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2019年05月27日 第1回一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会 議事録
老健局老人保健課
 
○日時 令和元年05月27日(月)13:00~15:00
 
○場所 全国都市会館 第2会議室
      (東京都千代田区平河町2-4-2)
 
○出席者 石田、鵜飼(代理:荻野参考人)、江澤、遠藤、大西、鎌田(代理:荒木参考人)、河本(代理:松本参考人)、小玉、近藤(克)、近藤(尚)、齋藤、田中、辻、津下、濵田、藤原(佳)、堀田、山田
 
○議題 1 座長の選出について
      2 今後のスケジュールについて
      3 一般介護予防事業等について
 
○新畑介護保険データ分析室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第1回「一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会」を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
本検討会の進行につきまして、座長が選出されるまでの間、事務局にて議事進行を務めさせていただきます。
私は、議事進行を務めさせていただきます、老健局老人保健課介護保険データ分析室長の新畑と申します。
本検討会は、開催要綱4.(1)にございますとおり、老健局長が構成員の参集を求めまして開催させていただくものでございます。
老健局長は、現在、ほかの公務対応中につき、終了後にこちらに参りますので、若干おくれての参加になることを御容赦ください。
本日は、第1回でございますので、御出席いただいております構成員の方々を御紹介させていただきます。
石田路子構成員です。
江澤和彦構成員です。
遠藤久夫構成員です。
大西秀人構成員です。
小玉剛構成員です。
近藤克則構成員です。
近藤尚己構成員です。
齋藤秀樹構成員です。
田中和美構成員です。
辻一郎構成員です。
津下一代構成員です。
濵田和則構成員です。
藤原佳典構成員です。
山田実構成員です。
なお、本日は御欠席または代理の出席で承っておりますけれども、そのほか、構成員といたしまして、荒井秀典構成員、安藤伸樹構成員、鵜飼典男構成員、鎌田久美子構成員、河本滋史構成員、黒岩祐治構成員、藤原忠彦構成員、また、おくれての御参加と御連絡をいただいております堀田聰子構成員がいらっしゃいます。
次に、事務局側の出席者の紹介をさせていただきます。
老健局長でございますが、大島が後ほど到着いたしますので、まずは省略させていただきます。
初めに、大臣官房審議官(老健、障害保健福祉担当)、諏訪園健司でございます。
総務課長、黒田秀郎でございます。
介護保険計画課長、橋本敬史でございます。
振興課長、尾崎守正でございます。
老人保健課長、眞鍋馨でございます。
振興課課長補佐、荻田洋介でございます。
老人保健課課長補佐、冨安知翔でございます。
老人保健課医療・介護連携技術推進官、中園健一でございます。
また、繰り返しでございますけれども、本日は、荒井構成員、安藤構成員、黒岩構成員、藤原(忠)構成員より御欠席の御連絡をいただいております。
また、本日、老健局長の大島と介護保険計画課長の橋本は、ほかの公務の関係で途中退席をさせていただきます。
また、鵜飼典男構成員の代理といたしまして荻野構一参考人、鎌田久美子構成員の代理といたしまして荒木暁子参考人、河本滋史構成員の代理といたしまして松本展哉参考人が御出席でございますので、お認めいただけましたらと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○新畑介護保険データ分析室長 老健局長の大島が到着いたしましたので、開催に当たり、一言御挨拶申し上げます。
○大島老健局長 すみません。国会の関係でおくれました。
本日は、お忙しい中、お集まりくださいまして、ありがとうございます。
平成27年以降、この予防の関係につきましては、ポピュレーションアプローチの考え方を踏まえてやってきております。地域づくりなどの本人を取り巻く環境へのアプローチも踏まえたバランスのよい取り組みが重要であるという考え方に基づき、最近では、通いの場という形で、市町村に一般介護予防事業という形で推進をお願いしているところでございます。
この一般介護予防事業でありますけれども、住民の参画を得て、メニューを工夫して進めていく。それによって、孤独や孤立感など、そういう高齢者独特の課題にも対応していくという地域づくりの観点もかなり含まれておりますので、市町村あるいは保険者における取り組みへの期待を持っているところであります。また、先般、健康保険法の改正で、高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施についての枠組みができましたので、さらにそれに伴う期待も高まっているところであります。
こうした状況の中で、この一般介護予防事業に今後求められる機能あるいはPDCAサイクルに沿った推進方策の検討を集中的にお願いしたいと思っておりますし、ここの成果を介護保険部会の議論に反映させていくということで考えているところでございます。特にその専門的なかかわりをどのようにしていくのか、これについてより効果を確認するための方法はどうかなど、今後、進めるに当たりまして、我々も、行政的な手法というか、取り組み方を精緻化してまいりたいと思っております。
市町村に対しましては、今のところ、「これからの地域づくり戦略」という小冊子、事例を含めたものを発表しまして進め方をお示しし、引き続きお互いにコミュニケーションをとりながら進めていこうとしているところでございまして、ここでの成果をまたそういった中でも反映させていきたいと思っております。
年内取りまとめ予定ということで、かなり短期間の検討ではございますが、忌憚のない御意見、御協力をいただければ、より市町村にとりまして意味のあるものにできると思っております。よろしくお願いいたします。
○新畑介護保険データ分析室長 報道関係の方々におきましては、冒頭のカメラ撮影等々はここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
議題に入る前に、本日の資料の確認をさせていただきます。
厚生労働省では、審議会等のペーパーレス化を推進しており、今回の会議もタブレットの御用意という形にさせていただきたいと存じます。タブレットの資料の確認方法等につきましては、お手元の資料をごらんいただければと思います。また、操作等で御不明な点がございましたら、適宜事務局がサポートをいたしますので、当方までお知らせいただければと存じます。
それでは、資料の確認をさせていただきます。
資料1「『一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会』開催要綱」。
資料2「今後のスケジュール(案)について」。
資料3「一般介護予防事業等について」。
不備等がございましたら、事務局までお申しつけください。
よろしいでしょうか。
それでは、議題に入ります。
まず、議題1「座長の選出について」でございます。
開催要綱3.(2)に基づき、検討会の座長は構成員の互選により定めることとされております。これに従いまして、座長の選出をお諮りしたいと存じます。
座長の御推薦等がございましたら、お願い申し上げます。
津下構成員、お願いします。
○津下構成員 座長につきましては、社会保障審議会介護保険部会で部会長を務められ、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関する有識者会議でも座長を務められました、遠藤構成員が適任かと存じます。御推薦申し上げます。
○新畑介護保険データ分析室長 ありがとうございます。
ただいま、遠藤構成員に御推薦がございましたが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○新畑介護保険データ分析室長 ありがとうございます。
それでは、御異議なしとのことでございますので、遠藤構成員に座長をお務めいただきたく存じます。
それでは、座長席にお移りいただきまして、以降の議事進行につきましては、遠藤座長にお願いしたいと思います。
よろしくお願いします。
(遠藤座長、座長席へ移動)
○遠藤座長 ただいま座長に選出していただきました、遠藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
老健局長からのお話もありましたように、本検討会は大変重要な内容を検討する会議だと認識しております。
各分野の専門家、関係者、構成員22名だそうで、これは審議会並みの人数がいらっしゃるということで、それを見るだけでも非常に重要な会議であることをうかがい知ることができるのではないかと思います。そのような大変重要な会議でございますけれども、構成員の皆様の協力を得まして、円滑な議事運営に努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
次に、開催要綱3.(2)に基づきまして、座長代理につきましては、あらかじめ座長の指名する構成員がその職務を代行することになっておりますので、私から指名をさせていただきたいと思います。
健康、医療、介護の各分野の造詣に大変お詳しくて、また、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関する有識者会議で座長代理もお務めになられました、辻構成員にお願いしたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、辻構成員、どうぞ座長代理席にお移りください。
(辻座長代理、座長代理席へ移動)
○辻座長代理 ただいま座長代理に御指名いただきました、辻です。
大変重要な検討会でございますが、遠藤座長の補佐をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、次の議題に入りたいと思います。
議題2「今後のスケジュールについて」、事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。
○中園医療・介護連携技術推進官 事務局でございます。
まず、資料1、開催要綱でございます。
先ほど少し老健局長からもございましたけれども、1ページの「1.目的」でございます。平成27年度以降、いわゆるポピュレーションアプローチの考え方も踏まえて、地域づくりなど本人を取り巻く環境へのアプローチも含めたバランスのとれた取り組みが重要であるという考えのもと、通いの場の取り組みを中心とした一般介護予防事業などを推進しているところでございます。一般介護予防事業などにつきましては、一部の自治体でその取り組みの成果があらわれてきているとともに、介護予防の観点に加えまして、地域づくりの推進という観点からも保険者などの期待の声が大きいところでございます。そうした中、平成30年12月に高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関する有識者会議報告書が取りまとめられ、先日、法案も通ったところでございますけれども、一般介護予防事業における期待がさらに大きくなってきているところでございます。このような状況を踏まえまして、一般介護予防事業などに今後求められる機能やPDCAサイクルに沿ったさらなる推進方策などの検討を集中的に実施し、介護保険部会の議論に資するため、一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会を開催させていただくものでございます。
「2.検討事項」でございますが、現状果たしている機能、効果的な実施方策、専門職などの効果的なかかわり方、今後求められる機能やPDCAサイクルに沿ったさらなる推進方策、その他と5つ御用意しているところでございます。
「3.構成員」につきましては、任期及び座長・座長代理の選出について規定させていただいているところでございます。
2ページ目をごらんください。「4.運営等」でございますが、本検討会につきましては、老健局長が参集を求めて開催させていただくものでございます。(2)以降につきましては、運営等、事務的なことを記載させていただいており、別紙については構成員の先生方の名簿とさせていただいているところでございます。
続きまして、資料2をごらんください。今後のスケジュールの案でございます。
2ページ目をごらんいただければと思っております。介護保険制度につきましては、3年を1期のサイクルといたしまして、現在、第7期介護保険事業計画が走っているところでございます。第8期介護保険事業計画につきましては、2021年度からのスタートでございまして、それに向け昨年度末より介護保険部会において制度改正の議論がスタートをしたところでございます。本検討会におきましては、本日をスタートに順次開催をさせていただきまして、夏ごろに一度介護保険部会へ御報告をさせていただき、年内に検討結果を取りまとめた上で、改めて介護保険部会へ報告する。そのようなスケジュール案を考えているところでございます。
事務局からは、以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、ただいま御報告がありました資料1及び2について、何か御質問、御意見等があれば承りたいと思いますが、いかがでございましょうか。
よろしゅうございますか。
それでは、もし何かあれば、また議事の途中でも結構でございますので、振り返っていただければと思います。
次の議題に進みたいと思います。
議題3「一般介護予防事業等について」、事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。
○中園医療・介護連携技術推進官 資料3をごらんください。「一般介護予防事業等について」というタイトルのものでございますけれども、少し量も多い形でございますので、かいつまんで御説明させていただければと思っております。
右下にページ数を打っております。
4枚目をごらんください。「総人口の推移」というグラフでございます。これから人口減少の局面を迎えるところでございまして、介護保険制度においては、高齢者の人口の絶対数あるいは割合が大きな制度の規定要因でございます。このような中、65~74歳の方々の人口の割合につきましては、グラフに示したとおり、おおむねフラットな形で推移することが予想される一方、75歳以上の方々の割合については、これから増加をすると見込まれているところでございます。
スライドの5枚目でございますけれども、先ほどの4枚目と同じような資料で、少し形を変えたもので5ページにお示ししているところでございます。
6ページ目でございますが、左側に年齢階級別の推移という形でお示ししております。グラフにございますとおり、60~70代にかけては認定率は低い傾向があるところでございますけれども、80代になると割合が上昇するというものがこのグラフから見てとれると考えているところでございます。一方、右側の人口1人当たりの介護給付費(年齢階級別)でございますけれども、こちらにつきましては、いわゆる使う方、使わない方、両方含めて1人当たりの人口に置きかえて算出したものでございます。左側の年齢階級別の要介護認定率の推移と同じような傾向で1人当たりの給付費が増加していることがこのグラフから見てとれるかと思っております。
スライドの7枚目につきましては、先ほどの人口構造と同じような形でございますので、割愛させていただきます。
8枚目のスライドをごらんください。「『若返り』が見られる高齢者」というタイトルのもので、ここから4枚ほど高齢者像の変化という形でのスライドをお示しさせていただければと思っております。左側につきましては、新体力テストの合計点の年次推移という形でございます。1998年と2016年を比較したものでございますが、こちらからも身体面における高齢者の若返りが一つ見ることができるのかなと。あるいは、右側の高齢者に対する意識調査の点からも、意識あるいは認識の変化が見てとれるかと考えております。
スライドの9枚目につきましては、先ほどの左側のグラフの経年変化をお示ししたものでございます。
スライドの10枚目、「高齢者の社会参加」のスライドでございますけれども、地域活動を含めた社会活動への参加といったものを希望する方あるいは実際に参加をしている方が増加していると見ることができます。
11枚目、高齢者の就業理由(男女別、複数回答)のグラフでございますけれども、高齢者の就業理由につきまして、60代前半と後半では少し異なる傾向が見られるかと思います。60代後半につきましては、「健康にいいから」あるいは「いきがい、社会参加のため」の割合が増加しているとこのグラフから見てとれるかと思います。以上、これらの約4枚でございますけれども、従来の高齢者像と大きく変化をしてきているとも言えるのではないかと考えているところでございます。
12枚目からは、現在国としての施策で打ち出しているものを少し御紹介させていただければと思っております。「2040年を展望し、誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現」でございますけれども、現在、2040年を展望いたしまして、本年夏を目途に健康寿命延伸プランと医療・福祉サービス改革プランの策定が進んでいるところでございます。2040年に向けて、健康寿命を3年以上延伸し、75歳以上とするとともに、医療・福祉分野の生産性を全体として5%以上向上するという目標を掲げて取り組んでいくと打ち出されているところでございます。
次の13枚目が、健康寿命延伸プランを少し詳しくお示ししたものでございますけれども、健康無関心層も含めた予防・健康づくりの推進あるいは地域・保険者間の格差の解消に向けて、I、II、IIIと3つございますけれども、3つの分野を中心に取り組みを推進していく。
その中で、介護予防につきましては、IIIでございますけれども、これをもう少し詳しくお示ししたものがスライドの14枚目になります。左側でございますけれども、高齢者一人一人に対して、フレイルなど心身の多様な課題に対応したきめ細かな保健事業を行うため、市町村において保健事業と介護予防の一体的な実施の推進が打ち出されているところでございます。右側の介護予防に関するインセンティブ措置でございますけれども、通いの場をさらに拡充していくことが重要ということがございまして、そのさらなる推進に向けて保険者へのインセンティブ措置の強化の推進といたしまして、例えば、配分基準のメリハリの強化あるいは重点的な評価などが打ち出されているところでございます。右下でございますけれども、認知症施策の予防の視点においても、現在、通いの場の拡充に関する内容が含まれているところでございます。
15枚目に、先ほど申し上げましたいわゆる健康寿命延伸プランあるいは医療・福祉サービス改革プラン策定の目標あるいは補完的指標についてお示しし、16枚目、17枚目、昨年後半にございました健康寿命の研究班、研究会での取りまとめについての御紹介のスライドでございます。
18枚目からが、「II 介護予防の推進について」のスライドになります。
スライドの19枚目をごらんください。介護予防につきましては、高齢者が要介護状態等となることの予防または要介護状態などの軽減もしくは悪化の防止を目的として行うものでございます。平成18年度に創設されたものでございますけれども、当時、要支援あるいは要介護1の認定者の大幅な増加を踏まえまして、介護予防事業が創設をされたところでございます。
その経緯をお示ししたものが21枚目から22枚目にかけてございます。少し先ほどの繰り返しになりますけれども、平成17年介護保険法改正を踏まえて、平成18年度介護予防事業などが創設されまして、1枚前の20枚目のスライドにあるような介護予防事業がスタートをしたところでございます。22枚目になります。その後、対象者の選定方法などの見直しを含め事業の充実が実施されたところでございまして、平成26年介護保険法改正に伴いまして、介護予防事業を再編し、一般介護予防事業を創設したところでございます。最近の動向といたしましては、先ほど来もございますけれども、保健事業と介護予防の一体的実施あるいはインセンティブ交付金に関する動向が挙げられるところでございます。平成26年介護保険法改正の3つ目の○に少し記載しております。いわゆる平成26年法改正前につきましては、基本チェックリストなどを使って状態の把握が一定程度行われたところでございますけれども、現在、そのような点については少しふわりとしているところがございます。後ほどのスライドにも御用意しておりますけれども、一般介護予防事業に一定程度の広がりというものが昨今見られているところを踏まえまして、今回のPDCAに沿った事業展開、さらなる推進へと考えているところでございます。
23枚目のスライドをごらんください。「平成26年介護保険法改正による介護予防の推進」でございますけれども、先ほど来、申し上げましたとおり、現行の介護予防につきましては、平成26年法改正の中で導入された介護予防の考え方に沿って展開させていただいているところでございます。すなわち、機能回復訓練だけではなくて高齢者を取り巻く環境へのアプローチも含めてバランスよく行っていく、また、高齢者自身も担い手になっていただき高齢者の方々のつながりを強化してくような考え方に立った事業を、現在、展開させていただいているところでございます。
1枚飛んで、25枚目をごらんください。平成26年介護保険法改正の前後の地域支援事業の枠組みをお示しするものでございます。今回の一般介護予防事業につきましては、右側のいわゆる地域支援事業の中の緑色の箇所でございますけれども、介護予防・日常生活支援総合事業、いわゆる総合事業の中の事業として位置づけられているところでございます。
26枚目につきましては、その総合事業を構成する介護予防・生活支援サービス事業、いわゆるサービス事業と今回の議論の中心でございます一般介護予防事業の対象者あるいは事業内容について、お示ししたものでございます。
27枚目、28枚目につきましては、サービス事業において、27枚目が訪問型のサービス、28枚目が通所型のサービスのそれぞれの類型、典型的な例をお示ししたものでございます。
29枚目でございますけれども、介護予防事業の体系の変化をお示ししたものでございます。左側が、平成26年法改正前、右側が現在でございますけれども、赤の実線囲みのところにつきましては、今回の検討会の検討の中心となる一般介護予防事業をお示ししたところでございます。今回、検討会名にもいわゆる「等」をつけさせていただいておりますけれども、一般介護予防事業をより効果的・効率的に推進するという観点から、今回、一般介護予防事業と一緒に御議論いただいたほうがよいものも一部含まれるところもあると考えておりますので、今回、破線で囲ませていただいているところでございます。その範囲につきましては、今後、検討会を重ねる中で御議論いただければと考えているところでございます。
30枚目は、一般介護予防事業について御説明させていただくスライドでございます。一般介護予防事業は5つの事業で構成されまして、左から、介護予防把握事業、介護予防普及啓発事業、また、右側の、通いの場などの介護予防活動への育成・支援を行う地域介護予防活動支援事業、左下の一般介護予防事業評価事業、右下でございますけれどもリハビリ専門職などの関与を促進する地域リハビリテーション活動支援事業、この5つの事業の中から必要な事業を組み合わせて、地域の実情に応じて、効果的かつ効率的に市町村に御実施いただくという枠組みとなっているところでございます。
31枚目が住民主体の通いの場の概念図あるいは現況をお示しするスライドでございますけれども、左下にございます箇所数あるいは高齢者数を分母にした参加率も年々増加しているところでございます。また、右側に、主な内容の内訳といたしまして、多い順に、体操、茶話会、趣味活動などが現在は行われているところでございます。
1枚飛びまして、33枚目をごらんください。健康寿命延伸プランのスライドでもございましたけれども、財政的インセンティブ付与の規定を整備した際の法改正の概要のスライドでございます。
具体的には次の34枚目のスライドをごらんいただければと思っておりますけれども、趣旨あるいは概要についてお示ししているところでございます。自治体への財政的インセンティブ措置といたしまして、市町村、都道府県のさまざまな取り組みの達成状況などを評価できるよう客観的な指標を設定いたしまして、取り組みを推進するための新たな交付金の創設という形でございます。具体的に介護予防あるいは通いの場関連の指標につきましては、右下の赤枠、また、次の35ページ目をごらんいただければと存じます。
36枚目からは、総合事業のサービス事業あるいは一般介護予防事業の現在の実施状況について、グラフあるいは数値でお示しするものでございます。36ページにつきましては、サービス別事業者数をお示しし、そのうち多様なサービスの事業所数の内訳をお示ししたものが37ページになります。
38ページからは、一般介護予防事業の中の実施状況についてお示しするところになってございます。38枚目が介護予防把握事業の現状について、39枚目から42ページ目については、介護予防普及啓発事業、または地域介護予防活動支援事業の実施状況について、また、少し飛びますけれども、50ページにつきましては、地域リハビリテーション活動支援事業の実施状況について、それぞれお示しするものでございます。
43ページからは、通いの場の現状についてお示ししたスライドを数枚つけさせていただいているところでございます。43枚目につきましては通いの場の参加率について過去5年間の推移を都道府県別でお示しし、44ページには週1回以上の通いの場への参加率をお示ししているところでございます。
45枚目からは通いの場の有無別の市町村数の構成比、46ページには主な取り組み内容別の推移、47ページには開催頻度別の箇所数をそれぞれお示しさせていただいているところでございます。
48枚目につきましては、参加者人数の観点からの通いの場の現状をお示ししたところでございます。
49枚目にございますけれども、先ほどいわゆる市町村や都道府県へのインセンティブというものを御紹介いたしましたが、個人へのインセンティブという一つの観点で、現在、介護予防に資する取り組みへの参加あるいはボランティアなども含めたポイント付与の取り組みを進めている地域もございまして、その一部を御紹介させていただくものでございます。
51枚目、52枚目のスライドにつきましては、健康寿命延伸プランにもございましたけれども、認知症施策の予防の観点で通いの場の拡充というものも含まれているところでございまして、認知症カフェの実施状況などをお示しさせていただいているところでございます。
53枚目からは、「III 高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施」についてお示しさせていただくところでございます。
54枚目が、先般法律改正が行われました高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関するスライドでございまして、54ページが法律の概要、55ページが現在の制度の現状と課題、56ページ、57ページには、イメージ図あるいはスキーム図をそれぞれお示しさせていただいているところでございます。
58枚目からは、「IV 介護予防の取組例」という形で、いくつかの市町村さんあるいは都道府県さんとの取り組みについて挙げさせていただいているところでございます。
59枚目につきましては、高知市の取り組みでございますけれども、いわゆる「いきいき百歳体操」などという、いわゆる運動機能向上の体操のプログラムを考案され、その取り組みをベースに、住民の力を引き出して、そこに市役所が寄り添う形での取り組みの精力的な拡大、さらには、この取り組みの反響を受けて、口腔の関係の体操なども加えた形で幅広く展開いただいている例でございます。
60枚目は、これも同様のアプローチでございますけれども、長洲町の例でございます。町長の指揮のもと、町職員の方々が住民と協力をして取り組みを拡大していただいている例でございます。
61枚目からは、生駒市から2つの例がございますけれども、生駒市につきましては、特に62ページにあるような専門職とのかかわりという観点。
63ページの茨城県利根町につきましては、シルバーリハビリ体操を普及させる指導士の養成という形で、住民が住民を育てるというスキームで活動をいただいている点でございます。
また、都市部の取り組みといたしましては、葛飾区にございますような、公園に設置した健康遊具を活用した取り組みでございましたり、65枚目、荒川区にございますようなさまざまなオリジナル体操の開発などを通した取り組み、また、66枚目につきましては、職能団体などを巻き込んだ、例えば、フレイル対策の取り組み等々が行われているところでございます。
67ページにつきましては、川上村でございますけれども、保健・医療・福祉・介護の一元化といった取り組みについての例でございます。これらの地域ぐるみで、地域の実情に非常に細かく目配りをされながら、地域共生の視点あるいは予防の視点も含んで基盤を整えているということが共通に挙げられるテーマかと思っているところでございます。
68枚目からは、都道府県による支援を3つ、事例をつけさせていただいております。熊本県によるいわゆる通いの場の立ち上げなどの支援でございましたり、埼玉県によるいわゆる伴走型の支援、高知県によるトップセミナーの開催など、都道府県による市町村の支援という形での事例でございます。
5つ目のテーマでございますが、「V 一般介護予防事業等の課題と論点」という点で3枚を御用意させていただいております。
72枚目でございますけれども、前段冒頭に申し上げました介護予防の定義について記載をさせていただいているところでございます。2つ目でございますが、一般介護予防事業等の効果的な実施方策についてという観点でございますけれども、先ほど実施状況をお示しいたしましたけれども、一般介護予防事業につきましては、全ての自治体で現在何らかの事業が行われているところでございます。また、通いの場に取り組む市町村あるいは通いの場への高齢者の参加率という観点につきましても、近年、増加傾向にあるとともに、通いの場の担い手の確保あるいは参加促進の観点からポイントを活用する市町村も増加しているところでございますけれども、取り組み状況にばらつきがあることも実態でございまして、参加者の増加に向け、地域特性に応じたさらなる取り組みが必要であるとも考えているところでございます。また、参加者の増加を図る観点から、民間事業者など多様な主体との連携あるいはポイントの活用を含めたインセンティブのあり方など、多くの高齢者が魅力を感じるとともに、あるいは効果的な介護予防の取り組みにつながるよう、内容の充実あるいは普及啓発を図っていく必要があると考えているところでございます。
73枚目でございますけれども、専門職とのかかわりという観点でございまして、専門職とかかわる事業あるいはサービスの市町村における取り組み状況につきましては、先ほど少し御紹介いたしました地域リハビリテーション活動支援事業あるいは通所型・訪問型サービスCというものがございますけれども、これについても取り組み内容の地域差が大きくなっているのも現状でございます。また、先ほど、御紹介いたしました高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施の動きがある中、より効果的な介護予防の取り組みを進めるために、専門職のかかわり方についてさらに整理・検討する必要があるのではないかと考えております。また、一般介護予防事業等の今後の求められる機能や今後の推進方策についてでございますけれども、一部の自治体においては、一般介護予防事業などについて介護予防に加えて地域づくりにもつなげるなど、戦略的に取り組みが実施され、効果が出てきている地域もあるところでございますけれども、通いの場などの一般介護予防事業等について、PDCAサイクルに沿った推進が図られるよう、整理・検討を行った上で、より効果的な推進に向けた検討を行う必要があるのではないか。
このような課題を踏まえまして、74枚目、最後のスライドでございますけれども、論点として大きく4つ、幾つかの例示として、お示ししているところでございます。1つ目は、一般介護予防事業などの現状果たしている機能などを踏まえた上で、今後求められる機能をどのように考えるかという観点。例示といたしまして2つお示ししておりますけれども、特に通いの場などの現状の機能や効果などについて、都市部、中山間地域など、地域特性に応じた取り組みや機能などについてという観点が一つの論点としてあると思っております。2つ目といたしましては、通いの場を始めとする一般介護予防事業などの充実を図る観点から、住民主体の通いの場という点は維持しつつ効果的な取り組みを進めるため、専門職の関与の方策等について、どのように考えるかという観点。○の3つ目でございますけれども、介護予防・日常生活支援総合事業における一般介護予防事業として、他事業との連携方策あるいは効果的な実施方策について、どのように考えるかという観点。最後、4つ目、上と重なる点もございますけれども、取り組み状況にばらつきが大きいことも踏まえて、効果的かつ効率的な取り組みを強化する観点から、一般介護予防事業などのPDCAサイクルに沿ったさらなる推進方策についてどのように考えるか。この中で例示として4つお示ししておりますけれども、一般介護予防事業は、先ほど5つの事業構成がございましたけれども、その事業構成を含む一般介護予防事業のあり方について、効果検証の仕組みや考え方について、また、3つ目といたしまして、一般介護予防事業などの効果的・効率的なPDCAサイクルの実施について、指標、評価方法、この点は効果検証の点にもかかわってきますけれども、指標や評価方法も含む形での御検討、最後、推進方策について、このような形で課題、論点、また、論点例をお示しさせていただいたところでございます。
長くなりましたが、事務局からは以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
ただいま報告がありましたけれども、きょうは第1回目ということでありますので、基本的にはフリーディスカッションという形の意見交換をしたいと考えております。事務局からこのような資料が出ております。特に最後、「論点」として74ページに4つがまとまっておるわけでありますけれども、フリーディスカッションでありますけれども、この論点と関連した御発言がいただければ幸いかと思います。また、いろいろと資料の説明がありましたので、それに対する質問でも結構でございます。どなたでも結構でございますので、御意見はございますでしょうか。それから、人数がかなり多うございますので、発言はできるだけ簡潔にお願いできればと思います。よろしくお願いします。
近藤克則構成員、どうぞお願いします。
○近藤(克)構成員 人数が多いので、ぼーっとしているとしゃべる時間がなくなるので、最初に。
最後に示していただいた論点に沿いまして、3点、発言したいと思います。
まず、介護予防のあり方について考え方の枠の中に入れて御検討いただきたいのが、厚生労働省でもありますので、労働や就労です。調べてみますと、スポーツの会や通いの場に参加している人たちと就労している人でどうかと比べると、もとの健康状態をならしても、就労している人たちは機能が落ちてこないことが、大変きれいに出てまいりました。そのことを考えますと、通いの場に行くのが介護予防だと狭く捉えないで、就労も含めていろいろなところへの参加があると広い枠で捉えることが大事ではないかと思います。特にこれから都市部で高齢者がふえます。都市部で全て行政とボランティアをやるのでは通いの場の供給量はとても追いつかないと思います。例えば、名古屋で有名な某コーヒー店に、午前中に行くと高齢者の人たちがいっぱい集まっておしゃべりをして盛り上がっているとか、必ずしもボランティアや行政がかかわっていない民間事業者であっても、通いの場の機能を果たしているところはいっぱいあります。就労や民間事業者もぜひ視野に入れていただきたいと思います。
2番目、評価にかかわってぜひ御検討いただきたいものが、これは計画課所轄なるかと思いますが、ニーズ調査をぜひ上手に活用していただきたいという点です。今回出てきた資料でも、先ほど高齢者で通いの場に行っている人が5%ぐらいという数値の紹介がありましたが、私たちがニーズ調査の拡張版で調査したところ、高齢者に聞くと、15%ぐらいは行っていると答えているのです。それは多分行政が必ずしも把握できていないサロンであったり、あるいは民間事業者であったり、いろいろなところに行っている。それを全て行政で把握するのは困難だと思います。そういう意味では、ニーズ調査は直接高齢者に聞くものですから、そこで尋ねればどれぐらい行っているかというカバレッジみたいなものがわかるのです。ぜひニーズ調査を活用して評価をやっていただきたいと思います。また効果評価については、この間、いろいろ分析していますと、来ている本人に与える直接効果だけではなくて、どうやら来ていない人への波及効果もあるらしいということが見え始めています。そのことを考えますと、来ている人たちを対象にした効果評価、よく参加前後でデータをとってということをやられているところが多いかと思いますけれども、それ以外に地域レベルでどんな変化が出てきているのかということを見ることがとても大事だと思います。その意味でも、ニーズ調査を上手に使うことで高齢者がアクティブに動いている地域とそうではない地域でどれぐらい違うのかという効果評価ができますので、その面でもぜひニーズ調査を活用していただきたいと思います。
評価のところでもう一点、論点といいますか、この論議の中でやっていただきたいものが、国が評価の仕方を示すことです。市町村が保険者だから任せる、現場の実情に合わせるという視点も大事だと思います。しかし、サロンは、先ほどの48ページの資料などを見ますと、1カ所の平均人数が20人未満という小規模なところが71.7%を占めているのです。そうしますと、現場に任せてしまうと、評価をしましょうと言っても大変なので、全然やられていない実態があって、それでなかなか全体像が把握できないという面があります。その評価の方法については、国で、ガイドラインとか、考え方や必要な技術的な支援をして、現場は余り悩まなくても動けるような評価の仕組みを、ぜひここで、あるいは厚労省でつくる。それを御検討いただきたいということが評価についての意見です。
最後、推進のためにやるべきことで、これにも3点あります。まず、先ほど言った就労や民間事業者まで巻き込むことです。厚労省の老人保健課だけではなくて、もっといろいろなところを巻き込む必要があります。次に、その人たちに動いてもらうためにも、エビデンスをしっかりと出すことです。こんなに効果があるので、例えば、スポーツ庁さん頑張ってくださいとか、いろいろなエビデンスを示して働きかけ、巻き込むことが重要だと思います。そのために、ぜひエビデンスを重視してやっていただきたい。最後ですけれども、民間事業者を巻き込もうとしますと、先ほど保険者に対するインセンティブの話がありましたけれども、民間事業者に対するインセンティブも検討に値するのではないかという点です。閣議決定でもソーシャル・インパクト・ボンドを初め社会インパクト投資を進めるということが掲げられていますので、ぜひそのモデル事業なども活用しながら、うまい仕組みを開発する。今回、それもぜひ御検討いただきたいと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ただいま御発言があった内容も含めて、当会議でまた議論していきたいと思います。
それでは、藤原構成員、お願いいたします。
○藤原(佳)構成員 ありがとうございます。
私も、2~3点、ございます。
一つは、通いの場、更には介護予防というもの自体の定義ですね。これは先ほど近藤先生もおっしゃいましたけれども、就労まで含めるのかとか、あるいは本当に体操が必ず原則入っていないといけないのかといったところ、もう一回、どこまで広く捉えるかという御議論をいただきたいと考えております。その中でも特に就労は重視しておりまして、私も10年間の追跡研究をしたのですけれども、特に男性においてはBADLつまり、基本的日常生活動作能力の低下の予防には効いているということもわかりますし、実際に無償の地域活動に男性はなかなか流れていってくれないということもありますので、就労も一つ捉える必要があるだろうと。ただ、就労といいましても非常にジャンルが広いことでございますので、もちろん最後のゴールはいろいろな業界を巻き込んで普及啓発をしていくことが重要だと思うのですけれども、私どもも、ここ数年、では、どういう就労が高齢者にとってまずは現実的なのか、実践的なのかということを研究会で議論を繰り返しておりまして、その中で、やはり地域密着の介護や保育や福祉など、そういったジャンルの仕事は、確かに世の中のニーズ的にも非常に問われておりますし、また、高齢者が長く地域で活動できて、直接、喜びややりがい、また、その地元のサービスとも結びつきやすいということがわかりました。自治体の施策として着手しやすいとすれば、介護、福祉あるいは保育といった領域での高齢者の活動が非常に現実的ではないかということで、この流れで、ちょうど今、高齢者に関しては介護助手の仕組みなどが動き出しておりますので、そういったものも、完全な有償なのか、あるいはセミボランティアなのかといったところも含めて、まず、足元でできやすいような仕事を検討していくことが一つ重要かなと思っておりました。
もう一つ、73ページの最後のほうに「介護予防に加え地域づくりにもつなげるなど」というところで、今の介護予防の施策の中でどうするのが一番地域づくりに親和性があるかなと思っておりますと、私どもは、地域の生活支援事業、生活支援のコーディネーター、協議体のモデル事業あるいは研究に取り組んでいるのですけれども、枠組みとしては、ああいう生活支援の協議体や場というものを活用して、いきなり助け合いというものはなかなか生じませんので、まず、その第1段階として社会参加の場になり、また、社会交流して健康づくりをする、その中でちょっとした助け合いの関係性が生じてくるロジックの事例を、幾つか我々も体感しておりますので、流れとしては、今の生活支援の基盤整備事業など生活支援事業を活用するというのは割と現実的で、しかも地方自治体も取り組みやすいのではないかと思っておりました。
以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
先ほど手が挙がりました、石田構成員、津下構成員の順番でお願いいたします。
○石田構成員 ありがとうございます。
意見として、3つ、申し述べたいと思います。
まず、最初なのですけれども、このスライドの6ページ等で示された高齢者の捉え方です。いまや人生100年時代といわれておりますが、年代によって大きく高齢者の状況も変わってまいります。一口に「高齢者」といっても様々な区分や状況の違いが想定されますし、その対応の仕方は細かく分かれてくるため、60代、70代といった10年ごと、あるいは5年ごとに刻んでいかないと難しいであろうと考えます。例えば、参加の場のニーズや状況についてもやはり年齢によって大きくその内容は変わってくると思いますので、最初の前提として、この「高齢者」は人口の約3割を占める大きなボリュームゾーンのところでもあり、もうちょっと刻んで対応を細かくやっていかないといけないのではないかと思っています。それが1点です。
もう一つは、スライドでいいますと、24ページ、25ページのところに当たります。ここで、「活動」、「参加」という言葉が出てきております。さらに、そのモデルのイメージ図として24ページが示されているわけです。このイメージ図は、たびたび厚労省から出されたりするのですが、この階段状の図についてはどうしても違和感がございます。ICFというWHOが採択した考え方で解釈いたしますと、「身体機能・構造」と「活動」と「参加」は常に並立の関係でとらえられています。この考え方に則って考えていく必要があるのではなかと考えます。24ページの図ですと、まずは「身体機能」の回復やリハビリがあって、その後に「活動」が行われるようになり、「活動」をすることで「社会参加」につながっていくだろうという3段論法的な物の考え方に沿っている表記のように思われます。この考え方は、わかりやすくはありますが、しかし現実とはまた違っている状況も多々ありますし、今後、さらにそれが大きく変わってくるのではないかと思っております。例えば、「身体の機能」を十分に動かすことが難しくても「参加」は可能ですし、「活動」についてもICT等を用いれば情報発信もできるということが現在は当たり前のようにあります。そのような状況があるにもかかわらず、この階段を描いた図が何回も出されますと、どうしてもこれがあってこれ、次がこの段階という順序を追ったイメージが抱かれてしまわないかと懸念しておりますので、この辺のところはちょっと考えていただきたいと要望いたします。ICFは2001年5月に採択されており、もう18年も経過している理念ですので、どうぞご検討いただきますよう、よろしくお願いいたします。
最後は、30ページにあります事業の体系というところです。今回、一般予防事業というところと、それに連動してその下のさまざまなサービス事業というものも一緒に考えていく必要があるだろうということは非常に重要なことだと思います。最終的には、こうした事業について、一番私たちの身近にある自治体が当該事業を実施する際に、具体的には経費や事業費等を一体どうやって使っていくかという段階になったときに、この事業の中のこれには使えないとか、これをもし使うのであればこういうように細かく整理して書類を提出しなければ実際に運用が難しいといった制約がいまだに多いのではないかと思います。新しい事業を展開していく際に、前例がないため自治体が二の足を踏むことも想定されますし、実際に事業費を使うときになって非常に使い勝手が悪いという現状がまだあるのではないかと思います。ですから、こういった事業の方針がしっかり示されたときには、その事業の運用方法や事業費の振り分け、その他諸々について、現場の事業担当者が事業運営を速やかに実践できるような支援が必要ではないかと思います。なかなかいいコンセプトを持つ事業なのだけれども、実際に運用していくのは難しいなとか、面倒だなとか、それにはちょっと人手が足りないなということになりますと、結局はサービスが住民に届かないことになってしまいますので、ぜひそれを御検討いただければと思います。
また、74ページの課題のところにあります「通いの場」ですけれども、そのスタイルは大きく変わってくると思います。都会型、地方型というだけでなく、これまでの私たちの固定観念を取り払って、もう少し柔軟かつ多様な発想で考えていく必要があるのではないかと思っております。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
続きまして、津下構成員、お願いいたします。
○津下構成員 ありがとうございます。津下と申します。
まず、20ページから21ページあたりに、介護予防事業の変遷というものがございます。3年に1度、制度の見直しがあって、事業の変更があるということなのですけれども、これまでの経緯の中で、さまざまな経験を踏まえつつよりよくしていくというメッセージが現場に伝わればいいのですけれども、前の方策が余りよくなかったので次は変えますと説明されると、現場で国の目標に向かって頑張ってきた人がちょっとはしごを外された感じになってしまうような印象をお持ちで、資料をよく読み込めばそういうことではないというのはよくわかるのですけれども、何となく今まで頑張ってきたことは何だろうと受けとめられないように、今まで第1期からずっといろいろ変遷を見て、また、時代の変化を見ながら成長させてきているシステムであるという御説明が担当者または高齢者にも伝わっていくといいのかなというのがまずは第1点です。
2点目は、通いの場なのですけれども、例えば、43ページと44ページのグラフでは実人数となっていますけれども、延べ人数しか把握していない自治体もあるかと思いますし、実人数でも、43ページと44ページで、週1回以上の参加を定義とするのか、または年に1回でも参加していればいいのかとか、その定義やどの人が参加していてどの人が参加していないか、という区別が可能かどうか、課題と思います。先ほど藤原構成員が、参加していることで効果があるということを証明する、それもリアルワールドの事業ベースで評価するということでありましたが、それを実現するためにはどの人がどんな類型の通いの場にどの程度参加していたのかということが簡単にわかるのがいいのかなと。それを現場に登録してくださいというのは大変なので、例えば、本当に交通系のカードのように、来たらピッとするだけで登録できるような仕組み、スーパーでも来ただけでポイントがつくとか、そんなような仕組みも普及してきていますので、どうやって簡単に高齢者が活動している状況、それも問診だけではなくて実態が把握できるのかという工夫も考える必要があるのかなと思います。現実に何が起こっているのかが把握できると思います。それに関連してですが、現在の国民健康・栄養調査や生活基礎調査など、多くの私たちが参考にしている調査結果が75歳以上と丸めて公表されていたりとかしています。後期高齢者のなかでも、85歳以上とかは暮らし方やサポートが違いますし、市町村の方が参考にできるようにということもありますので、できるだけ5歳刻みの信頼のある人数で、とれる範囲でお示しいただけると参考になるのかなと思いました。
3つ目になるのですけれども、保健事業と介護予防の一体的な実施に向けてということで、56ページの図にもありますけれども、今、保険局の高齢者医療課で検討しているのは、特定健診の質問票を高齢者のフレイルを把握できるような質問票に変え、低栄養やフレイル状態を発見し、また、それが保健事業や介護予防につながっていけばいいということで検討しています。高齢者の健診受診率は20~30%がありますので、まず、こういうような高齢者の介護予防把握事業の中で、健診の情報から介護予防の必要性の高い人を把握することができるようになるのではないか。また、医療機関でそのようなフレイルの視点を持った診療がどんどん広がっていけば、介護予防把握の中で医療機関の果たす役割も非常に大きくなってくるので、この一体化が進んでいって、より日常の動線の中で、余り特別な調査とかではなくて高齢者の実態が把握でき、必要なところにつながっていくシステムを今回議論できたらいいのかなと考えております。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
高齢者の実態把握はなかなか難しいところもあって、それも非常に重要だという御指摘ですね。そのとおりだと思います。
ほかにいかがでしょうか。
それでは、まずは大西構成員からお願いします。
○大西構成員 ありがとうございます。
高松市長の大西でございます。全国市長会介護保険対策特別委員会の委員長をしておりますので、代表して参加させていただいております。
先ほどから、高齢者像が大きく変化してきている、人生100年時代ということでございますけれども、我々が現場で見ておりましても、確かに高齢化率はどんどん上がってきているのですけれども、現場の雰囲気はどちらかというと元気な高齢者がどんどん増えてきて、高齢者がより社会的に出てきているのかなという気がいたします。
例えば、後期高齢者医療制度ができたときは、75歳以上は後期にされるのかということでかなり議論を呼びましたけれども、今は75歳といってもやっと高齢者かなという感じの雰囲気が出てきておりまして、逆に、後期と言われても全くそんなものは自分とは関係ないというような形で、文句を言う人も少なくなったかなと思っておるところでございます。
したがいまして、これからのこの超高齢社会といわれる中で、特に介護保険制度をいろいろな意味で持続可能な制度として活用していくためにも、また、社会が活力を維持していくためにも、この一般介護予防事業は非常に重要な位置づけとなる事業ではないかと思っておるところでございます。
中心となるものが「通いの場」事業等々でございますが、高松市におきましても、これを「居場所づくり」事業と言っておるのですけれども、今、高松市は42万人の人口でございまして、おおむね徒歩圏内に1カ所ずつぐらい、全市的にいえば300カ所ぐらいつくろうということで平成26年度から始めておりまして、今、240カ所程度ができております。ただ、要件を結構厳しくして月2回以上はやっていないと認めないとしているものですから、まだちょっと伸び悩んでおるところではあるのですけれども、高齢者がちょっと歩いて通えるよう、ぜひとも300カ所程度に増やしていきながら、さらには、論点の2番目にございます専門家の活用というものがございますけれども、特に医者あるいは薬剤師などが居場所を訪問して、いろいろな講座を開いたり、専門的なお話や何かをしていただくことによって、高齢者にとって、みずから健康づくりへの意欲というものが湧いてくるし、あるいは間違った知識みたいなものに左右されることなく、正しい健康づくりというものを考える機会になるということでございまして、この居場所、通いの場の活用をこれからも充実していくべきではないかと思っております。
ただ、私自身が思っておりますのは、この居場所の効果といいますか、成果をなかなかうまくはかる指標がないといいますか、これだけ今は居場所というものは活用されていて、非常に効果が上がっているのですよということを周りの人にお示しするような、その数字がなかなかうまくとれないなと思っています。
ちなみに、高松市の居場所づくり事業の効果ですけれども、平成29年度の数字でいいますと、高齢者は65歳以上が全体で11万6,000人ぐらいいるのですが、そのうち居場所に通われている方が実人員で5,500人強おられます。参加率5%弱ということで、これは全国平均並みかなと思っております。ただ、アンケート調査をいたしますと、その5,500人強のうち、主観的健康観の維持・改善率、すなわち自分が健康を維持できている、あるいは居場所に通うことによって改善したという人たちの割合は約95%に上ります。この約95%の人たちが居場所に通うことによって健康が維持され改善されてきたと感じているは、これは非常に大きな数字ではないかと思っております。
もう一つ、要介護の認定状況を調べてみますと、本市におきまして、65歳以上の介護保険の新規認定者率、認定された人の率が大体4%程度なのですけれども、29年度の居場所に通う約5,500人のうち新規に認定された人は0.82%であります。年度によって大きく動くので安定的な数字ではないのですけれども、それでも0.82%という数字は全体の介護認定率の約5分の1になっておるということで、居場所に通うだけでそれだけの効果が出ているとは言いませんけれども、やはり何らかの大きな効果はあるのであろうということでございまして、この辺をもう少し全国的にいろいろと調べていただいて、こういう効果がきちんとあるんだ、あるいはこういう事業をやればより効果があるんだということを示していただければと思っております。
そういう意味で、論点1で今後の機能としてどういうふうなあり方を考えるのかということですが、まさに高齢者といっても多様な形がございますので、その人に合った形の活動が一番好ましいのだと思うのですが、かといって効率的にも実施しなければなりませんので、その辺は、多様性を持たせた中で、多機能をいかに確保していくのか。その辺の方策等についていろいろな自治体の事例などを参考にしながら横展開できるように、できれば厚生労働省さんで吸い上げていただいて、先ほどの効果測定の基準みたいなものと一緒に広めていただければと思っておるところでございます。
お金の面の話でございますけれども、総合事業との兼ね合い等の話でございます。まさに保健事業とこの介護予防事業は、大分内容が重複する部分もございますので、住民から見たらちょっとややこしいところはあるのですけれども、一体的実施ということで、ぜひとも連携しながら、効果を上げながらやっていただきたいと思っておるところでございます。
ただ、この一般介護予防事業でございますけれども、この事業費は総合事業の中でカウントをされるということ、しかも総合事業には上限額が設定され、それは後期高齢者の伸び率で決まってまいりますが、そこの中に押し込めなければならないものの、どうしても上限額をオーバーする場合が出てくるということで、本市の場合もオーバーしているのですけれども、その辺につきましては、一般介護予防事業等々を充実してやっていることについては、できるだけ何らかの形で弾力的に運用していただくとか、御配慮いただければと思っております。
最後の論点のPDCAサイクルのところでございます。なかなかこの一般介護予防事業の取り組みは、市町村間において、相当ばらつきがあると論点にも書かれておりますが、ばらつきの差が非常に大きいと思っております。そういう中で、PDCAということでいきなり押しつけても、なかなか対応できないような自治体も非常に多いと思っておりますので、まずはPとDのところをきちんと全ての市町村が取り組めるように厚生労働省の御指導をよろしくお願いいたしたいと思っています。
その上で、先ほど言いました効果測定、あるいは実際にやっているときにはこんな効果があるんだよということを示しながら、インセンティブを働かせて進めていただければありがたく、そういう意味で、国のインセンティブ交付金の予算額につきましても、この取組強化のときに有効活用できるように、できるだけ確保をお願いしたいと思っておるところでございます。
以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
それでは、近藤尚己構成員、お願いいたします。
○近藤(尚)構成員 健康格差の研究をしている立場として、何点か御意見を差し上げたいと思います。
まず、評価の視点について、論点のところに都市部や中山間地域など地域特性に応じた取り組みや機能等について検討と書いてありますが、ほかにも、個人のレベルで、例えば、所得水準など、社会的背景によってもかなり介護にかかわる指標に差があることがわかっておりますので、できればそういった個人や地域の社会背景まで踏まえた評価を行っていくことが必要かと思っています。インセンティブ交付金等の運用に当たっては、本当にケア必要な人、ケアのニーズが高い人は誰かということを把握して、その方々にしっかりと介入が届けられていくかというカバレッジの視点をうまく評価してあげることも大切かなと感じております。
そのときに必要なものがやはりデータなのですけれども、例えば、国民生活基礎調査などは、かなり調査区が限定されていますので、市町村単位での評価もできないという状況にあります。ですから、いわゆるビッグデータのようなものを活用したり、なければサンプル数を確保したりということが必要になってきます。大事だと思うことは、先ほど近藤克則教授もおっしゃっていましたけれども、生活圏域ニーズ調査の具体的な運用方法を探るとか、あとは、介護レセプト、KDB等の活用をどう進めていくかです。具体的にこういったデータの活用戦略を立てていくことが大切なのではないかと感じております。
さらにもう一つ、実際の施策に関しては、これは私の意見ですけれども、民間の企業の力はとても大切になるのではないかと感じております。健康格差の研究をしていると、なかなか健康づくりや介護予防に前向きになれない方をどうするかという話がどうしても出てきます。そういうときに、行政だけであるいは研究者だけで考えていてもユニークな発想はなかなか生まれてこないと思うのですね。そこは、民間のどうやったらみんな消費者が動いてくれるかというノウハウを持っている方々にしっかりと安全に参入していただくことが求められると感じております。
これについては、私は世界保健機関のHealthy Ageingのアジェンダづくりにもかかわっておる関係で、国際動向を見てみますと、とにかく民間企業は、これから世界的に人数がふえてくる高齢者というクラスターにすごく関心を示しています。有望なマーケットだからです。ですから、WHOは、そのマーケットをどう安全に育てていこうかというところで、ステークホルダー同士の調整にかなり力を入れているようです。これは日本も見習って民間企業を歓迎して、しっかりと、安全に活動を盛り上げていただきたいなと思います。例えばソーシャル・インパクト・ボンドなどのスキームが参考になると思います。
海外の関係でもう一つ言いますと、WHOがHealthy Ageingというアジェンダをつくっております。日本は以前から独自で地域包括ケアシステムというすばらしいシステムをつくり上げてきていますけれども、今後、世界中でこのHealthy Ageingのアジェンダが広がってきますと、日本もどこかですり合わせていく必要が出てくるのだろうと思っております。私の経験上、1つWHOから学ぶべきだと思ったのは、エイジズム、つまり高齢者差別への対応です。例えば、年齢によって権利をそいでしまうことです。例えば、定年退職も場合によっては差別となります。今後、介護予防の政策を発展させていく際にはその辺の配慮が必要になってくると思います。
以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
それでは、田中構成員、お願いします。
○田中構成員 田中でございます。
私は、一体的に進めるに当たって通いの場のところの専門職はどのようにかかわるかというところで、2つほど、感じていること、今、私がだんだん感じとしてつかんでいることをお話ししようかと思います。
一つは、この通いの場に専門職が来ることをその通いの場はどう思っているかというのもあると思うのですね。今、私がアドバイザーを務めさせていただいている市町村でアンケートをとりますと、全体の約半分ぐらいは来てほしいという回答を持っております。全体的に管理栄養士ということですが、そういう回答を得ておりますので、ちょっと聞きますと通いの場でメニューの多様化をかなり求めている感じも少しある。私が聞いたところ、神奈川県内の幾つかの市町村にも聞いておりますけれども、ここの47ページ、48ページと同じように、20人であったり、内容も同じぐらいのところを聞いていますので、私が聞いた、今は非公式ですが、得ている情報としては、そんなに格段偏った情報ではないと思われます。ウエルカムな状況が結構あるということを感じました。
そこで、最初はどうしても先駆的にあるべきだろうと思う点に関しましては、最初は先駆的にどこかがかかわっていけば、かなりの受け入れ数としては出るのではないかと思うのですが、最初は先駆的にかかわる、しかし、それが心あるところだけで、高齢福祉課と健康増進課のようなところが手を組めるばかりではないので、やはり市町村レベルの計画ですね。健康増進計画や、例えば、食育計画、栄養士、保健師、その辺がかかわっているような計画のところにも、もっと言えば、まちづくりにも関係しますので、そういうまちづくりのような計画のようなところに落とし込んでいきませんと、どうしても市町村の職員は、3年ごと、どんなに長くても4~5年でしょうか、異動がありますので、そこでだんだん何となく下火になっていく可能性がございます。できれば本当はマスタープランみたいなところに入っていけばなおいいかとは思うのですが、そのように計画の中に盛り込んでいくということは非常に重要ではないかと思っております。
以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
それでは、こちら側に行きましょう。堀田構成員、お願いいたします。
○堀田構成員 3点、申し上げます。
まず、1つ目、通いの場、多様な実態を把握して機能を整理したり、そこから類型化して評価をするということを考えたときに、今までの各構成員の方々からの御指摘もありましたけれども、今後の展開を考えて幾つか視点を明確にした上で把握したほうがいいのではないかと思いました。例えば、既に資料の中にありますけれども、一般介護予防と介護予防・生活支援サービスがしっかりと連携できている事例。さらに、高齢者の保健事業がしっかり連携できている。このあたりは大体行政も把握できているわけですけれども、住民から見た通いの場になり得るところは本当に極めて多様なところに実は存在しているので、セクターを超えて民間というお話も幾つかありましたし、さらに、世代を超えている、全年齢にわたる居場所になっているからこそということもあると思われますので、既にこの事業化されているものの中で、一体的に運営されている、あるいは連動の可能性が高いという取り組みで、さらに民間セクターが中心になっている、あるいは世代が全対象になっているといったことは、ほかの地域行政の方向性や社会的包摂という観点からも実態把握の軸として重要ではないかと思います。
2点目ですけれども、効果の評価をするというときに、最初に近藤構成員がおっしゃいましたけれども、本人にとってだけではない、今、介護保険、要介護になった後も広い意味で働くとか参加するということをやっているところの評価をどうするかということをこの数年で取り組んでいますけれども、まずは、本来的には事業の目的が本人にあるとしても、その御家族、担い手、その運営者、地域住民、さらには保険者や民間セクターといういろいろなステークホルダーがあって、そのステークホルダーのそれぞれにとって結構いろいろな価値が生まれているということがだんだん明らかにされつつあるところだと思いますので、まずは、広く、量的な把握がまだ十分には指標が確立していないというところも踏まえつつ、どういったステークホルダーにとってどういった社会的な価値が生まれ得ているのかということを質的に構造化することも、事例収集の中から、とりわけ本人のところについては、もう少し試みる余地もあるのではないかと思っています。
3点目ですけれども、最初にお2人続けて就労のことをおっしゃってくださって、今、私も申し上げましたように、実際には、要介護になった後も社会に参加する、あるいは広い意味で働くということに取り組みたいという思いを持っている高齢者の方々、さらにその場として機能している事業所、介護保険の事業所も存在していて、しかし、なかなかそれをスムーズには実現しがたい状況があって、今まで、「ユニバーサル就労」とか、あるいは最近は「ダイバーシティ就労」という言われ方もしていますけれども、性や年齢や疾患・障害の違いや有無にかかわらず、本人の望む形で参加するとか働くということを進めていこうと考えたときに、どのような障害があり得るのかということは、この検討会で直接的にということではないと思いますけれども、どこかでしっかりと議論していく余地が残されているのではないかと思います。
以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
お待たせしました。山田構成員、どうぞ。
○山田構成員 私からは、一番最後の74ページの論点の一番上のものと2番目のものについてコメントをさせていただきたいと思います。
まず、この通いの場の効果について、住民の方が直接的にというよりは、恐らく地方自治体の職員の方々が一番欲しい情報かと思います。そういった視点で見たときに、よくそういった方とお話しする中で出てくる話題なのですけれども、一体何をすればいいのか、どれぐらいの頻度で行えばいいのか、こういったことで非常によく質問をいただく。また、最近、数年間、通いの場を行うようになってからの課題として言われていることが、比較的若い世代、60代、65~70歳ぐらいまでの方が余り参加されていないという現状に対して、今後、どういうふうに取り組むべきなのか。もしかすると、60代の方は、そのまま余り積極的に声をかけなくてもいいのかもしれないけれども、本当は声をかけたほうがもっと効果があるのかもしれない。そういった課題感、疑問感をお持ちの方は非常に多く感じておりますので、そういったことも検討できればいいかなとは思っております。
その次に、専門職とのかかわり方について、先ほど津下構成員からもお話がございましたけれども、医師会の連携、特に診療所、クリニックの先生方からのハイリスク者の抽出といいますか、スクリーニングというのは非常に重要になるかと思いますし、看護、理学療法、作業療法、言語聴覚といった各専門職からも、こういった通いの場、介護予防にいかにかかわっていくべきかということを既に議論されておりますので、それぞれの職能団体がどういった検討や課題感をお持ちなのかということを十分に把握した上でこの通いの場を設計していく必要があるのではないかと思っております。
また、実際に我々も見ている中で非常に感じることですけれども、通いの場は決して元気な方ばかりではなくて、いわゆるフレイルに相当するような方々も非常にたくさん来られているということがわかっております。そういった方々は、いわゆるみんな同じようなプログラムというよりは、やはり何らかの専門家がかかわったほうがよりよい効果が得られているのではないかといったデータも得ておりますので、今後、こういったかかわり方、うまいかかわり方を模索していく必要があるかなと感じております。
以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
それでは、こういう順番で行きますので、小玉構成員、お願いします。
○小玉構成員 座長、ありがとうございます。
日本歯科医師会の小玉でございます。
私からも、74ページの論点3の内容につきまして、主に意見を述べさせていただきたいと思います。
通いの場の機能や効果の検証ということで、職場についてもというお話だったのですけれども、切り口を考えてみると、住民の皆さんの興味深いことやちょっとやりにくくなったことというと、例えば、食事のことや、おしゃれや化粧のこと、また、買い物に行きたいとか、質の高いエンターテインメントに触れたいとか、そういった内容も入れ込みながら、いろいろな市町に沿った形での展開も考えられるのではないかと思ってございます。
専門職の関与の方策等ということで、通いの場の専門職とのかかわりは、56ページの図には介護予防と保健事業の真ん中のところに多分保健師さんを想定したものがあると思うのですけれども、保健師さんは健康や介護予防には精通されています。ただ、住民の方がいろいろ来られるとなると、例えば社会福祉士さんのような職種の方もここにいて、我々医療職ともつなげていただくようなことも効果的ではないかと考えているところでございます。
また、先ほど津下構成員からお話がございました、介護予防の現況、把握事業の中で、既にいろいろある予防に関する項目や、今、それを精査されているのだと思うのですけれども、昨年10月には後期高齢者の歯科検診のマニュアル等も出まして、先ほど言っていただいたフレイルまたはオーラルフレイルにもかかわるところであると思いますので、国家的な検証・評価項目の中にそういった部分の要素も取り入れていただくとありがたいと思います。よろしく御検討のほどお願い申し上げます。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、荒木参考人、どうぞ。
○荒木参考人 ありがとうございます。
今、小玉構成員からもありましたように、通いの場における看護職のかかわりについては、最初はやはり簡便な指標である程度ふるいにかけ、介護に至るリスクの高い人たちに関しては専門性の高い包括的なアセスメントが必要であり、介護予防を効果的に実施するためにも看護職の活用が重要であると思います。
また、一般介護予防事業と保健事業との関連において、地域のデータ分析等を含めて地区診断・地域診断を適切に行った上で課題抽出を行うことについては、保健師の能力が長けているかと思いますので、そこはますます活用を推進していただきたいと考えます。
また、介護予防事業の成果評価につきましては、何人かの構成員の先生方からご意見が出ていますように、地域の課題に沿った評価指標が必要であり、住民の視点による評価が重要になってくるかと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
お待たせしました。江澤構成員、お願いいたします。
○江澤構成員 ありがとうございます。
大きく3点、述べさせていただきます。
まず、通いや集いの場等を介護予防の現場においては、数よりも質が重要であって、何をやるかによって効果が大きく変わります。例えば、フレイルについても、筋肉の負荷運動と必須アミノ酸摂取の同時介入のみに医学的成果が認められていますので、ぜひ専門家や医師会等と連携して、最新の知見やエビデンスに基づいたプログラムが各地域で実施できるよう、国のリーダーシップのもと整備していただきたいと思っています。その際に、介護予防データベースを構築し、PDCAサイクルを回せるように、アウトカム評価や地域間の取り組みについての比較ができることが重要ですので、あわせてお願いしたいと思います。また、データに基づいてPDCAサイクルを回すためには、当然統計学的分析が不可欠となりますので、そのためのノウハウ等の市町村支援もぜひお願いしたいと思っています。今後、一般介護予防事業の各種メニューについて定期的に結果の検証をお願いしたいと思っています。
2点目は、健康寿命は当然延伸すべきですけれども、現在の健康寿命の指標について、国民生活基礎調査のアンケート調査による国民の回答が基礎データとなっていますので、当然回答者の主観が入ってくるわけで、健康指標の客観的な尺度としてはやや不安定ではないかと思っています。例えば、地域住民の要支援・要介護認定率等の客観的指標を今後どう考えていくのかということが重要ではないかと思っています。例えば、厳密に判定しようと思えば、評価ポイントの年齢の高齢者全員に要介護認定一次判定を実施するという非常に負担の多い方法も考えられます。ただ、現状の要介護認定率でも、必ずしも全員が受けていないけれども、十分に利用可能ではないかと思っています。不安でない方は当然要介護認定を受けておりませんし、サービスを使っていなくても不安だから要介護認定を受けている方も大勢いらっしゃるわけで、したがって、各地域における性・年齢階級別の要支援・要介護認定率を今後のそういった客観的尺度にも加えるのが可能ではないかと思っています。
3点目ですけれども、要支援・要介護の原因の3割が生活習慣病関連、5割が老年症候群関連で、例えば、脳卒中と認知症とフレイルで全体の原因の5割を占めます。したがって、いかに日ごろの疾患コントロールが重要であるかということで、介護予防の下支えは、日ごろの医療的ケア、疾患コントロール等になります。さらに、今後、医療と介護ニーズはますます複合化していくと考えられますから、介護予防については相当医療とのいろいろな連携がなくしてはなかなかうまくいかないのではないかと思っていますので、今後、そのあたりもぜひ視野に入れて御検討いただければありがたいと思っています。そもそも高齢になってからの介護予防は、恐らく一定程度の効果はあるものの、効果に限界があると思っていますので、あわせて、ぜひ若い世代や中高年世代からの生活習慣から介入して、要介護者の発生そのものをいかに防ぐのかということを考えていかないといけないと思っています。当然この場の会議の所掌ではないと思いますけれども、我々も汗をかくことに全く抵抗はございませんので、事務局におかれましても、本省を挙げていろいろな各局と連携していただいて、総合的な介護予防戦略に取り組んでいただければありがたいと思っています。
以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
ほかに御意見はございますか。
それでは、濵田構成員、お願いいたします。
○濵田構成員 ありがとうございます。
まず、通いの場へ行っていただくことが介護予防には重要かと思っておりまして、その中では、一つは参加を促進するために魅力あるメニューをいかに用意するか、もう一つはその場へのアクセスをどう確保するかということが重要ではないかと思っております。
例えば、メニューですと、介護予防体操することは非常に効果があることがわかっているのですが、高齢者の方、参加者の方によりますと、プライドがあってなかなか参加してもらえないことがある。このため、実際は介護予防体操をやるのだけれども、リハビリテーションの視点も入れてそういう促しかけを行うなど。但し、そこで行われる内容によって、そういう言葉を使って促しかけをしてもいいかということはありますが、あるいは根拠が明確な場合には介護予防以外に抗加齢の効果を説明し、参加を促進させるなど。趣味の教室でも、例えば、地域で行われているパソコン教室などですと参加できないぐらい応募があるということも聞いたりいたしますので、そうした全国的な流行メニューをどう把握するか、情報共有をするかということが重要ではないかと思っております。
もう一つ、アクセスの問題でありますが、例えば、地域によって集落が点在するようなところなどですと、訪問・通所系の介護保険サービスとの連携あるいは地域の交通機関との連携によって、何とか通いの場へのアクセスを確保する努力をする。少し事例で伺っておりますと、住宅密集地の老人福祉センターや大規模スーパーなど、そういうところに非常に高齢者の方が多く行かれているとも聞きます。少しお話を通われている方に聞くと、送迎バスがあって非常にアクセスがいいからということを聞いたりいたします。一方で、アクセスが良くないところは同じ種類でも利用者が少ないということもあるようですので、そういう既存のインフラを活用していくこともあってもよいのかと思います。
もう一つは、専門職の確保方策でありますが、これは当たり前のことかもしれませんが、このあたりは自治体の規模によっても、専門職の確保が難しい場合があるという事例も聞いておりますので、そういうところほど支援の方策あるいは地域の職能団体とも連携をしていただき、確保する方策も具体的に考えてもいいのかなと思っております。
最後に、ニーズ調査をして、いわゆる閉じこもり、セルフネグレクトという方があわせて把握されることも少なからずありますので、8050問題ではありませんけれども、そこは地域ケア会議とか、また対象者は要介護認定前の方であるかもしれませんが、ケアマネジメントのサイクルに乗っていただき、何とか早い段階からサポートをすることが重要ではないかと思っております。
以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
ほかにいかがですか。
齋藤構成員、お願いいたします。
○齋藤構成員 ありがとうございます。
きのう、何気なくテレビを見ておりましたら、徳島県の山合いの葉っぱビジネスの話が出ておりまして、高齢であってもビジネスにかかわっている、つまり、就労にかかわっているとこんなに元気かなと思うような映像が流れておりました。きょう、構成員の何人かからお話がありましたが、どういうふうに就労を捉えるかという問題はあるにしても、働くということは高齢者にとっては非常に大事だと思いますから、その就労機会をいろいろな形で確保していくことは、働き方改革というような大げさな話ではなくても、重要なポイントなのだろうと思います。
次に、通いの場でありますが、これも何人かの先生たちからお話が出ているように、頻度、質の問題、参加する側では継続性の問題が非常に大きな問題ではないかと思います。質の問題、20名程度参加のところが多いという現状からすると質の確保はかなり重要なことだろうと思いますから、専門職が適時適切にかかわっていくことがこれからポイントではないかと思います。
60代から十把一からげにということはかなり無理があるので、最初はかなりのことができて、頻度、継続性も担保できたのだけれども、なかなかそれが思うようにいかないということが日々の生活であります。特に要介護度が高くなったり有病率が高くなる75歳以上の人たちをターゲットにしながら、通ってくることの大事さは、健康度を回復することももちろんですけれども、孤立や孤独感を持たずに済んでいく暮らしがとても大事だと思います。これは冒頭に大島局長からの話がありましたように、地域づくりにもつながっていく。そういう意味では、精神的な意味合いも含めた効果の測定のあり方は、一つ課題としてはあるのかなと感じました。
さらに、これは近藤先生のお話で、国の調べでは5%の参加だけれども、別の調べによると15%ぐらい参加しているということは、通いの場という特定の場を行政が捉えてそこだけというのはどうしてもカウントとしては低くなりますけれども、私たちの感覚からすると、外出機会をふやすという観点からすると、必ずしも何か特定の通いの場だけではなくて、家に閉じこもらずに、何かしら社会的な接点や社会的な用件をつくるといいますか、外出する必要性をつくっていくことはとても大事なことだと思います。そういったことをカウントして、それも大変重要なことなのだということを認識していただくと、恐らく5%が15%以上にはね上がるということはあり得ることだと思いますので、参加する人たちが、通いの場以外のところでも外出することによる有用性は非常に大きいのだということもメッセージとして伝えていただくようなまとめにしていただけるとありがたいなと感じております。
以上であります。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでございましょうか。
それでは、辻座長代理、お願いいたします。
○辻座長代理 ありがとうございます。
皆さんも大分おっしゃったのですけれども、一つは、就労か通いの場かという話がありまして、その中間的なボランティア的なお話をしたいと思うのです。せっかくこれだけの人材、お年寄りの人材がいらっしゃるわけですから、その方々に地域の課題に取り組んでいただけるような、そういった課題はないのかなということであります。
一つ御紹介したいのは、アメリカでされている取り組みなのですが、Experience Corpsといいまして、「経験部隊」というふうな日本語になるのですが、これはもともとジョンズ・ホプキンズ大学でランダム化比較試験(RCT)による厳密な効果検証を経て、今はアメリカの全米退職者協会(AARP)が全国的にやっているのですが、これは何をやるかというと、シニアの方々が公立小学校でお手伝いをするという事業なのです。ボランティアをするためには、一定期間の研修を受けて、ちゃんとした責任を持った状況で参加しているのですが、例えば、読み書きが苦手な子供の脇に座って授業中に助けてあげるとか、図書室を整理して子供たちに本を読み聞かせるとか、いろいろな勉強しやすい環境をつくっていく、そういったアシストをするわけです、その効果がRCTで検証されているのですが、それをしたほうでは、子供たちも成績が上がって、非行や落ちこぼれる子が減っているという効果が報告されています。学校の先生たちも、負担が減ってメンタルも非常によくなっているという効果もあります。何よりも、その参加しているシニアの方々は運動機能や認知機能が改善しておりまして、MRIで調べると海馬も大きくなっている。そういったデータまで出ているのですけれども、このような一つの事業をすることによって、かかわる皆さんがそれぞれベネフィットを受けて、しかもその地域の課題解決に貢献していると。人の役に立ちたいということがシニアの方々の生きがいには非常に大事だと思いますので、さらに地域の課題を解決できるという点で、一石何鳥にもなり得るプロジェクトを、介護予防の一環として考えていただければということが一つです。
2つ目は、今、地域の高齢者を見ていますと、非常に忙しい方とそうでない方に二極分化をしてきています。つまり、さまざまな活動に参加したがる方は、月曜日は通いの場、火曜日はボランティア、水曜日は何とかと、毎日どこかに行くぐらい忙しい方もいらっしいます。それとは逆に、全くどこにも行かない方もいらっしゃるわけですね。ですから、地域の中で高齢者が二極分化しておりまして、このまま介護予防をやっていくと、希望する人に希望するサービスを提供するだけになってしまって、本当に必要な人に必要なサービスが行き届かない。この必要な方、つまり閉じこもりがちの方々が介護のハイリスクになるわけですから、その方々を何とかして掘り起こして、介護予防の場なり何なりにつなげていく必要があると思うのですね。そのようなハイリスク、閉じこもりがちな高齢者を、どこで把握するかということですけれども、津下先生がなさっているモデル事業を拝見しておりますと、70歳以上の方の約95%の方が少なくとも年に1回は医療機関を受診しているのですね。風邪でも何でもいいですから、何か医療機関を受診したときに、フレイルチェックなり、あるいは社会参加の状況をチェックするなりして、一般介護予防のルートにつなげていくといったことができれば、今、本当に地域の中で取り残されている人たちが何とかなるのではないかと考えておりますので、一つお願いしたいと思います。
3つ目ですが、一般介護予防は、もともとの性質からして、言い方はあれですけれども、手づくり感があるというか、ふんわりした感じで進んでいるわけです。要するに、立案とか評価が十分ではなかった。この間のいろいろな厚生労働行政と私のかかわりでいいますと、例えば、データヘルスができたことによって医療保険者の健康づくりはかなり進んできています。特に具体的なやり方はマニュアル化をしていまして、課題を抽出して、目標をつくって、必要な対策について、アウトプットも考えて立案して、実施して評価していくといったプロセスが医療保険者全てにあまねく広がってきて、実際に健康づくりが効果を発揮しているという実感があるわけですけれども、これからは、介護予防についても同様のデータヘルス的な考え方が必要になると思います。それを支えるインフラとしては、KDBがかなり進んできていますので、少なくとも後期高齢者に対しては、KDBも使いながら、地域診断をしたり、PDCA的な立案、評価につなげていくことが可能だと思います。そのためのマニュアルなどを、国として、あるいはこういった場で作っていかなければいけないのかなと考えておりますので、それについてもよろしくお願いしたいと思います。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
ほかにいかがでございましょうか。
それでは、松本参考人、お願いいたします。
○松本参考人 ありがとうございます。健保連の松本と申します。最後のほうに申しわけありません。
私からは、あえて費用負担の話を少しさせていただきたいと思います。
資料の25ページをごらんいただくと、介護予防・日常生活支援総合事業の緑色の部分がございます。ここの部分については、皆さん御承知のことと思いますが、公費5割、1号被保険者の保険料に加えて、2号被保険者の保険料も入っております。私が知る限り、今年度のこの総合事業の予算規模は4889億円ということですので、この28%部分が2号被保険者の負担になります。大体1300億円ぐらいかと思いますが、この部分を保険料で2号被保険者が負担しております。ここの中に、一般介護予防事業が含まれております。
ここの部分の総額がどのぐらいなのか、その辺がまだきちんと把握されていないようですので、保険料負担をしているほうからしましたら、ここの部分の金額がどの程度なのか把握していただきたいところです。ここの部分に2号被保険者の保険料を入れるということは、それなりに介護給付費の適正化効果がある、そういったメリットがあるのだという趣旨だと思います。その点については理解はしておりますが、いずれにしても、こうした一般介護予防事業として行われている部分について、どのような年齢層のどのような方々が参加していらっしゃるのか、どのくらい費用がかかってどのような効果があるのか、こういったことを明らかにしていただくのが負担する上での大前提なのかなと思っております。
介護予防の取り組みは非常に重要だと思っておりますし、重症化予防につながるものも多くあろうかと思いますが、一方で介護保険のための費用負担は年々高まっております。当然ながら、効率化・重点化が大事になってくると思います。費用とその効果の両面で、費用を負担する人たちの理解を得られるものかどうかといったことも、これから御検討いただければ大変ありがたいと思います。
以上です。ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
まだ御発言されていない方で御発言の意思のある方はいらっしゃいますか。
よろしゅうございますか。
それでは、一通りお話をお聞きしましたので、各構成員の発言に賛同する、あるいは質問したいという御意見もあるかと思いますので、何かあればお願いします。
津下構成員、どうぞ。
○津下構成員 お願いします。
1点目は、市町村の庁内連携の話でございます。通いの場で高齢者の担当課だけではなく、さまざまな担当課が保有しているさまざまな機会があるので、そういうところにうまくつなげていくという意味でも、庁内連携は非常に重要になってくると思います。介護予防と考えたときに、どうしても高齢担当課の部分だけで捉えてしまう。まず、民間や世の中全体に行く前に、庁内でも、さまざまな高齢者の関連事業、地域づくりとかがいろいろありますので、庁内連携をどう保っていくのかということが重要かと思っています。その中で、退職されたことを把握できるのは恐らく国保課です。被用者保険から国保に移行する、そこのところで、先ほど辻先生がおっしゃった活動につなげる。この市町村ではどんなことに困っていて、こういう部門、例えば防災など、いろいろなことでボランティアとか、こういう人たちが欲しいのですということを説明している自治体があります。そうしますと、体験ボランティアのような形で、自分の行き場や自分の合う仕事、ボランティア活動などを知る機会が得られると思うのですけれども、ただ参加しませんかと広報等で言われてもなかなか参加できないと思います。国保加入時等の機会に市町村の必要としているボランティアまたは通いの場での支える側の活動がありますということを知っていただくような機会は、意識的につくっていかないと、なかなか情報が到達しないのではないかと思います。庁内連携ということを一つ考えていただくということは必要なのかなと思っています。
2点目は、参加なのですけれども、ボランティアとして支える側で参加、これも重要な参加なので、参加の定義として、受け身というか、参加者として参加するだけではない参加もどういうふうに位置づけていくのか、把握していくのかという観点も必要なのかなと思いました。
3点目は、地域、市町村でそれぞれ独自でいろいろな事業をやっていくと、民間事業者側としては、民間のインフラとしては、あの町の人は参加なのだけれども、この町の人はと、お隣の町同士でどう考えるのかということの調整が必要になってくるのかなと思いますので、近隣市町村間での調整もしていくことが現場の混乱を招かないのかなと思いました。こういう動きを進めるために、さらなる連携や情報の共有化などが必要なのかなと思いましたので、このあたりも御検討いただければと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかにございますか。
藤原構成員。
○藤原(佳)構成員 簡単に終わります。ありがとうございます。
津下構成員がおっしゃったとおり、私もまずは足元ということで、庁内の連携という視点で、区市町村を支援している中で、非常にその必要性をよく感じております。
大きく、2つパートナーシップを組みやすいところがあります。一つ、健康福祉行政の中ですと、まずは成人保健の部門だと思います。今回、保健事業と介護予防の一体化というものはありますけれども、現場の保健師さんが一番潤沢にいらっしゃるのが、市町村でも健康増進の部局ですし、特に前期高齢者をターゲットとしたような、例えば、ウォーキング事業やエクササイズに関する事業はかなりターゲットもダブっていたりしているのですね。そこをうまくやっていらっしゃるところは、高齢支援と健康増進課が連携して、ここの部分は健康増進がやる、ここから後は高齢がやると上手く連携してやっていらっしゃるところは散見されます。役所の組織は縦割りになっていますので、そこは部長級なり、あるいは上の首長さんが、高齢も健康増進も一緒にやったほうがいいよと強くリーダーシップをとられているところがうまくされているのではないかと思っております。
もう一点のパートナーなのですけれども、生涯学習の部局も結構ニーズは大きいかと思います。先ほどの議論から、多種多様なプログラムを提供するという意味では、どうしても、生涯学習、学びのところは、プログラムの引き出しはたくさんあるのですね。逆に、学びのところは、育成はするけれども、まず、終了後の活動場所や長期の継続というところまでの視点がなかなかなかったりとか、一番問題なのは生涯学習の部局は予算が圧倒的に少ないということです。初めの1回、立ち上げ講座はできるけれども、そこから後ができませんとか、あるいは良いプログラムでもなかなか実際にアクションを起こせないというところがありまして、そこをうまくやっていらっしゃるところは、健康あるいは特に高齢支援のほうと連携して、その後の自主活動やボランティアに導入するところもあるかと思いますので、先方のニーズのあるところとどう連携していくかを探ることが重要ではないかと考えております。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
先ほど、近藤尚己構成員は手を挙げられましたか。お願いいたします。
○近藤(尚)構成員 近藤です。
庁内連携の話が出ましたので。ちょっと具体的な話なのですが、今、社会・援護局が生活保護受給者への健康管理支援事業を始めています。生活保護受給者の方を含め、生活困窮は介護の大きなリスクファクターですので、重点的に対応すべき人々だと思っております。現場である福祉事務所には、今のところ多くの場合、健康の専門家はいません。そこで保健センターと連携して保健師さんを配置したりということをやっているのですけれども、当然、介護の問題もかかわってきます。連携先として、福祉事務所はとても重要になってくるのではないかと思っています。
もう一つ、民間との連携についてです。今、生涯学習というお話が出ましたけれども、介護予防と生活習慣病予防の一体的実施が計画されている中で、1点懸念されることがあります。介護予防のためのサロン活動について、サロン運営している住民の方は、多くの場合、自分たちの地域のためにやっていたりするわけなのですよね。自分たちがそういうことをやることで生きがいを感じている。ところが、そういうところに行政が入り込んで、メタボ対策もしなさいということになってしまうと、一気に白けてしまうことが起こり得ると懸念されます。このように、住民の自主的な活動の支援の仕方というのは相当うまくやらないといけないのではないかと思っています。子ども食堂を運営している住民の方にインタビューしたことがあります。その時印象的だったのは、子ども食堂は、地域の子どもたちのためにやっているんだよ、まちづくりのためにやっているんだよ、という意見でした。そして、行政からいろいろお話が来るけれども、その方々は断ったというのですね。行政が入ると、行政から支給された予算を消化するために、細かな物品の購入まで、全部レシートをとらなければいけないとか、いろいろと面倒なことが起きてきて白けてしまう、現場が疲弊してしまうというのです。介護予防の活動にも同じことが生じうると思われます。一体的実施に関して、そこのところは何とかうまい枠組みが必要なのかなと思います。
もう一つは、民間企業が、サロンみたいな住民の自主活動に、営利目的で参画したいということが出てきたときの対応も気になっているところです。例えば、フリマアプリがはやっています。高齢者の方も、フリマアプリで、フリマ終活などといって身辺の物品を売って整理するといったことが広がりつつあると聞いています。それをするためのフリマアプリセミナーを企業と協賛で行っている自治体もあるようです。確か茅ケ崎市などがニュースになっておりました。おそらく費用はフリマアプリ会社が捻出しているのだと思いますが、こういった企業主催による住民が集う場も、「通いの場」の一つの形として活用するということも大ありだと私は思っています。今後、こういった民間との連携のやり方も考えていけたらと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでございましょうか。
よろしゅうございますか。
それでは、小玉構成員。
○小玉構成員 歯科医師会の小玉でございます。
民間との関係は、民間の業者の方たちのこういった社会に対する貢献をどう考えるかということで、幾つかの類型があるのではないかと思います。例えば、アメリカのビル・ゲイツのような方が健康づくりにどんどんお金を出してくれる場合、今、お話しいただいたように、自分たちの企業なり、そういった仕事の上に少し利益が上がるような考えで入ってこられる方もいると思いますし、逆に、我々の立場でありますと、先ほど近藤先生がおっしゃったように、今、高齢者はコーヒーショップに昼間に行くとたくさん集まっていらっしゃって、そういった場をどう我々が見つけて活用するかということも重要だと思います。企業に対しては、こんなことがあるよ、こんなメニューをやるんだよということを示すことが大事だと思いますし、そうやって企業のかかわり方を我々も冷静に見つめて対応を考えていくといいのではないかと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかにございますか。
よろしゅうございますか。
ありがとうございました。
事務局に質問はなかったのですけれども、これまでの多様なお話を聞いて、私は非常に興味深く拝聴いたしましたけれども、事務局として何かコメントがあればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
長時間にわたる御議論、本当にありがとうございました。
私どもは、26年の制度改正以降、まずは、通いの場、住民主体の通いの場を広めていく。また、ポピュレーションアプローチの中でどのような取り組みができるか。これを進めてまいったところでございます。
その中で、今日お示ししましたけれども、ようやく数も広がってまいりまして、その中で、また介護予防事業と保健事業の一体的実施まで御議論いただいて、法律も通りましたけれども、そういうことが視野に入ってくる、施策が進んできたと思っているところでございました。
その中で、今日この会を開催させていただきまして、また、これまで私どもは各方面で指摘をいただいていたところでもあるのですけれども、その評価のあり方とか、例えば、就労のお話とか、民間の事業者との関係をどのように整理すべきかとか、そもそも参加の意義とはどういうことかという、私どもとしては、今後もきちんと考えて取り入れていかなければいけないさまざまな視点をいただいたと思っているところであります。
私どもとしては、このような意見をいただきましたので、今後、また夏までで1回中間取りまとめをと思っておりますけれども、御議論を整理させていただいて、今後、またあり方について資料を用意させていただきたいと思います。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
本日は、そういう意味では、フリーディスカッションということで、かなり事務局が想定した範囲以上のことも随分と御議論されたかと思いますけれども、フリーディスカッションはそういう意味では大変興味深くておもしろいと思うので、次回もしようかなと思いますが、そればかりやっていると報告書がまとまりませんので、次回以降は少し焦点を絞った議論になっていくかと思いますが、どうぞ御協力のほどよろしくお願いいたします。
事務局もおっしゃっておられましたけれども、本日の意見を踏まえて次回以降の議論に資するような資料の作成をしていただくということですので、事務局、よろしくお願いいたします。
それでは、本日、議題は以上でございますので終了したいと思いますが、次回の日程等について事務局から何かありますか。
○新畑介護保険データ分析室長 次回の日程等につきましては、追って御連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
○遠藤座長 よろしくお願いします。
それでは、これをもちまして本日の検討会を終了したいと思います。
どうも長時間ありがとうございました。

 
(了)

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