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2019年03月20日 第76回社会保障審議会介護保険部会 議事録

老健局総務課

○日時

   平成31年03月20日(水)9:00~11:00

 

○場所

   ベルサール九段  ホール
   (東京都千代田区九段北1-8-10 住友不動産九段ビル3F)

○出席者

安藤、石田、石本、伊藤、井上、江澤、遠藤、大西、岡、兼子、河本、久保、
黒岩(代理:川名参考人)、齋藤(訓)、佐藤、鈴木、武久、津下、花俣、濱田、東、
桝田、山際の各委員
 

○議題

   (1)介護予防・健康づくりと保険者機能の強化
   (2)その他
   

○議事

○黒田総務課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第76回「社会保障審議会介護保険部会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、早朝より、大変お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
報道関係の方々に申し上げます。冒頭のカメラ撮影はこれまででございますので、区切りをつけていただきますようにお願いいたします。

(カメラ退室)

○黒田総務課長 それでは、以後の議事進行は遠藤部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○遠藤部会長 皆様、おはようございます。
それでは、まず、本日の出欠状況について御報告いたします。
本日は、黒岩委員、野口委員、藤原委員が御欠席でございます。また、佐藤委員、武久委員がおくれて御到着の御予定であります。
黒岩委員の代理としまして、川名参考人、神奈川県福祉子どもみらい局福祉部長が御出席でございますので、お認めいただければと思います。よろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、議事に入らせていただきます。
本日の資料につきまして、事務局から確認をお願いしたいと思います。

○黒田総務課長 事務局でございます。
厚生労働省では、審議会等のペーパーレス化の取り組みを推進しておりまして、前回の会議に引き続きまして、タブレットを御用意しております。操作等で御不明な点がございましたら、お申しつけください。大丈夫でしょうか。
必要な際には、挙手をいただければ、事務局の者が参りますので、よろしくお願いいたします。
また、複数の資料を同時に御参照いただく際に備えまして、委員の皆様のお手元には紙でも資料を御用意しておりますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。
資料1「介護予防・健康づくりと保険者機能の強化」
資料2「一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会の開催について」
参考資料1「介護予防・健康づくりと保険者機能の強化」
参考資料2「これからの地域づくり戦略(1.0版)」
以上でございます。
不備等がございましたら、事務局までお申しつけください。
以上でございます。

○遠藤部会長 よろしゅうございますか。
それでは、まず資料1から2につきまして、まとめて事務局から報告をお願いしたいと思います。

○尾崎振興課長 おはようございます。振興課長でございます。
私から、資料1について御説明させていただきます。適宜、参考資料1も御参照いただければと思いますので、資料1と参考資料1の2つを用いてお話をさせていただければと思います。
まず、資料1でございます。1枚おめくりいただきますと、目次が出てまいります。今日お話しさせていただく事項は大きくまとめて4点でございます。
まず、総論という形で、2040年に向けて、高齢者介護の取り巻く状況がどのように変化をするのか。それを見据えて、どのようなことを検討しなければいけないのかといったものを整理させていただこうと思ってございます。
その中で、地域のつながりを強化していかなければならない。一方で、保険者ごとに取り組みにばらつきがあるという実態が見えてくるものですから、保険者機能を強化していくということとか、2番、3番に書いてあります地域支援事業等のさらなる推進、健康づくりと介護予防の推進といったものを進めていくというお話をさせていただければと思います。
また、その際に、有力なツールとなります保険者機能強化推進交付金、こちらの機能強化についても本日御議論いただければと思ってございます。
資料をおめくりいただきまして、3ページでございます。総論の「はじめに」という部分でございます。参考資料でいいますと4ページ以降を御参照いただきながら、お話を聞いていただければと思います。
1つ目の○でございます。今後の高齢者介護をめぐる状況を展望するとどういうことがわかるかということでございます。高齢化の進展に加えまして、世帯構造の変化、単身世帯なり高齢者のみの世帯がふえていくといったことが並行して進みまして、地域のつながりが徐々に弱まり、2040年に向けて、介護サービス需要がさらに増加、多様化していくことが見込まれるということでございます。
それに加えまして、参考資料の8ページの真ん中の表を見ていただければと思いますが、とりわけ2025年以降は、現役世代の減少が顕著となります。地域の高齢者介護を支える人的基盤の確保が大きな課題となってまいります。
その一方で、高齢者に視点を向けますと、年齢を問わず働き続ける高齢者も増加をしているという状況にございまして、就業率を見ますと国際的に見ても高い水準にあるということが言えると思います。このあたりは、参考資料でいいますと10ページあたりをごらんいただければと思います。
また、就業率だけではなくて、身体面における高齢者の若返りといったものも見られているところでございますし、地域活動を含めた社会活動への参加といったものを希望する方、実際に参加している方がふえているという状況が見られます。従来の高齢者像も大きく変わっているという状況でございます。
本体資料の3ページの一番下の○になりますけれども、こうした状況を踏まえまして、2040年を展望しますと、もちろん介護サービス需要に応える基盤整備を着実に進めていかなければいけない。これは当然のことでございますが、これとあわせて、高齢者が社会参加や就労など地域とのつながりを保ちながら生活を継続する基盤づくりといったものが重要になってくると考えられます。
このような取り組みは、高齢化が進展する中で、地域社会の活力の維持、向上にも寄与するものだと思ってございます。
もう一つ大きな課題として、政府の基本的な方針であります健康医療戦略なり未来投資戦略におきまして、政府全体として、健康寿命を延伸していこうということを目標として掲げてございます。こういったものを政府として責任を持って進めていこうという立場でございます。
健康づくりと介護予防の推進は、介護保険制度にとっても大きなテーマになってくると考えてございます。こうした取り組みが地域で推進されまして、より多くの高齢者が参画をすることによって、予防・健康づくりの推進が図られるだけではなくて、年齢による「支える側」「支えられる側」の区分なく、地域のつながりの強化なり地域の活力の維持・向上といったものにつながっていくことが期待されていると考えてございます。
そういったことを踏まえて、どのようなものを検討テーマにするかでございます。4ページでございます。
今まで述べたことを踏まえますと、地域保険である介護保険制度において、保険者に求められる機能といったものとして、介護基盤の整備はもちろんのことでございますが、これに加えまして、予防・健康づくりの取り組みを通じて、地域のつながり強化といったものにつなげていくことが求められていると思います。
あわせて、保険者ごとに取り組み状況にばらつきが見られますので、その分析と機能強化といったことをしていかなければいけないと思っています。
そういった意味で、検討テーマの一つとしては、保険者機能の強化、特に地域保険としての地域のつながりの強化、マネジメント機能の強化といったものを検討テーマにする必要があるだろうと思ってございます。
2つ目の○になります。特に、総合事業等を含めました地域支援事業は、上記の介護予防・健康づくりを通じた地域のつながり強化に向けて、有力なツールになると考えています。この地域支援事業の着実な推進によりまして、高齢者本人、個人へのアプローチはもとより、これにとどまることなく、高齢者本人を取り巻く環境へのアプローチも行いまして、地域で暮らし続けるための社会参加を軸として、全ての高齢者を視野に入れた取り組みといったものを推進していくことが重要になってくるのではないかと思ってございます。
そういった意味で、検討テーマの2つ目でございますが、地域支援事業のさらなる推進、健康づくりと介護予防の推進といったものをきちんと考えて進めていかなければいけないということでございます。
3点目でございます。この今、御説明したような内容をしっかりと進めていくためのツールでございます。前回の制度改正に基づきまして、保険者の取り組みを進めていくための交付金、保険者機能強化推進交付金をつくってございます。地域支援事業の推進、健康づくり、介護予防の推進といったものをさらに進めていく、実効的なものとしていくために、この交付金は有効なツールになるものですから、きめ細やかな見直しなり、仕組みづくりといったものを検討していくことが考えられるのではないかということでございます。
総論という形で、こういうことをお話しさせていただいて、テーマ設定をさせていただこうと思ってございます。
1枚おめくりいただきまして、それぞれの事項についてこれから御説明をさせていただきますが、過去の経緯等も踏まえて検討いただいたほうがより実効的な検討ができると思いまして、5ページ以降にこれまでの経緯を少しまとめさせていただいてございます。
まず、1つ目の○は、地域支援事業の関係でございます。地域支援事業につきましては、平成18年、介護保険でいいますと第3期から既に創設されているものでございます。この段階から、要介護状態になった場合においても、住みなれた地域で自立した日常生活をできるようにするといった目的を達成するために、介護給付や予防給付といった個別給付、これと別建てで、事業という形でこういった取り組みを進めていけるようにということで、地域支援事業が創設されてございます。
創設に際して、2つ目の○になりますが、それまでの介護予防の取り組みが各種事業ばらばらに実施されていたという状況がございます。老人保健法に基づく老人保健事業なり、予算事業である介護予防・地域支え合い事業なり、あとは保険制度に基づく給付がばらばらにやられていたことで、一貫性や連続性に欠けて、連携が不十分だったという反省がございましたので、それを踏まえて、各種の事業と介護保険の給付が有機的に連携を図りながら、事業展開をすることが可能になるように、一元的な形でできるようにということで、この地域支援事業が創設されてございます。
こういった形で、給付と一体的かつ密接にこの事業を実施するということで、効果的、効率的に事業運営をできるようにということでつくられたものということでございます。
平成18年から実施されています地域支援事業でございますが、総合事業へと移行してございます。これは平成26年の改正になります。地域支援事業を充実していくということで、そこに書いています4つの事業について、新しく消費税財源を加えて、充実をするということをさせていただいたことと、全国一律で行われていました予防給付、これは訪問の部分と通所の部分でございますが、こちらを市町村が取り組む地域支援事業へと移行させまして、多様化を図っているような状況でございます。
こういった形を進めることによりまして、5ページ目の一番下の○でございますが、市町村が中心となって基盤の整備を進めながら、地域支援事業に移行するということを通じて、既存の介護事業者による既存サービスだけではなくて、ボランティア等々を含めて、多様なサービスが多様な主体によって提供される。そして、それを利用者が選択可能となるといったことも通じて、高齢者が支え手に回ることもできる、地域の中で役割を持てるという生きがい・介護予防にもつながるものということで、事業への移行などもさせていただいたということでございます。
次の6ページ以降が予防の関係の経緯でございます。介護予防につきましては、平成12年の介護保険制度創設時から、重要なテーマとして取り上げておりまして、平成12年介護保険法ができた段階でも、予防給付という形で予防の観点が取り入れられてございます。
そして、平成17年の介護保険法改正、制度施行後最初の改正でございますが、介護予防をより重視したシステムを確立していこうということで、予防給付の見直しなり、地域支援事業といったものが創設されたということです。
平成19年には、要支援・要支援状態になるおそれの高い者、特定高齢者について、より多くの方を事業の対象とできるように、特定高齢者の決定方法の見直しを行う。
平成22年には、ハイリスクの者をより把握できるようにするとともに、魅力あるプログラムの充実を図るということで、対象者の選定方法の見直しなどの事業の充実を図っているということでございます。
次に、7ページでございます。26年の改正につきましては、ポピュレーションアプローチの考え方も踏まえまして、地域支援事業における介護予防事業を再編して、後ほど御説明させていただきますが、通いの場の取り組みを中心とした一般介護予防事業をつくっているというところでございます。
これを通じて、年齢や心身の状態によって、分け隔てることなく、住民主体の通いの場を充実させていくといったことを進めていくとともに、リハビリテーションの専門職の関与といったものも推進して、地域の介護予防の機能強化を図ったということでございます。
そして、前回の改正でも、一般介護予防事業は重要な事業でございます。市町村が行う取り組みでもございますけれども、都道府県の支援が大切だということで、都道府県の役割の強化といったものを明確化しているところでございます。
また、最近の動向、一番下でございますが、介護予防と保健事業、ヘルス事業を一体的に実施するということを盛り込んだ法律案を現在、国会に提出してございますし、また、保険者機能強化推進交付金の評価指標におきましても、介護予防の取り組みに関する評価指標を設定している状況でございます。
こういった経緯も踏まえながら、これから御説明させていただく各論についても御議論いただければと思います。
2つ目のテーマでございます。地域支援事業のさらなる推進についてでございます。本体の資料で言うと9ページでございます。
介護の給付と地域支援事業はなかなか幅が広く、項目が多いものですから、まず9ページに全体像を示させていただいてございます。
地域支援事業といますと、色がついている3つ全体を指すということでございます。青い色の部分の介護予防・日常生活支援総合事業、一般的に総合事業と言われているものでございます。包括的支援事業、こちらはどちらかというと、地域包括支援センターが中心となってやっていただいている事業です。3点目が任意事業。この3つを総称して、地域支援事業というふうにお話をさせていただいてございます。
今、真ん中の包括的支援事業は地域包括支援センターが中心となってやっていただいているというお話をさせていただきましたが、10ページ以降に、まず地域包括支援センターの現状と課題をまとめさせていただいてございます。
10ページの1つ目の○からでございます。地域支援センターの概要が書いてございます。参考資料で言うと22ページ以降をごらんいただきながらと思います。地域包括支援センターでございますが、職種としては、保健師、社会福祉士、主任ケアマネの3職種を配置しまして、総合相談や権利擁護、包括的継続的ケアマネジメント支援、介護予防ケアマネジメントの各種の業務を担っていただいています。市町村における地域包括ケアの推進の要としての役割を担っていただいています。
数としましては、今、全市町村で5,079カ所、ブランチ等を含めますと7,000カ所を超えているところでございます。実施の形態としては、8割程度が委託で実施をしているような状況でございます。
人員の配置なり相談件数ともに、年々増加をしてございますが、課題として、業務量がふえていく一方で、人員体制、その強化が課題になっているという状況でございます。
こういった課題は、昔から言われている部分もございまして、前回の制度改正では、地域包括支援センターの活動状況について、市町村なりセンターそれぞれが評価をするという内容の制度改正を入れさせていただいてございます。本体資料の10ページの※の1つ目ですが、その評価指標の集計結果を見てみますと、本来であれば全項目達成することが望ましいのですが、達成度は約8割程度という状況になってございます。また、業務の中でも、介護予防ケアマネジメント、いわゆる予防のケアプランの業務が負担として重いと。大体、地域包括支援センターの業務全体の4割程度がこの介護予防ケアマネジメントの業務になってございます。この負担が重いという指摘がある一方で、要支援者に対する適切なケアマネジメントを実施する観点からは、センターがしっかりとこれを担っていくことが重要だという指摘もあるということでございます。
3つ目の○でございますが、センターの役割として期待されることでございます。当然、地域包括ケアの推進の要として、高齢化の進展に適切に対応していくことが期待されてございますが、それだけではなくて、介護離職ゼロに向けた役割も期待をされているところでございます。こちらに対応できる人員体制の確保といったことも課題になってくると思ってございます。
最後、4点目でございますが、平成27年度より、消費税の財源を活用して、地域ケア会議なり在宅医療介護連携の推進なり、生活支援サービスの充実強化、認知症施策の推進といった4つの事業が創設されてございます。センターにおいても、これらの事業を十分に連携しまして、それぞれの地域の実情に合った地域包括ケアシステムの構築が求められていくということでございますが、これらの事業をどのように有効に活用していくのかといったことも課題になってくるということでございます。
次が11ページでございます。ケアマネジメントの関係の現状と課題でございます。参考資料でいうと42ページ以降をごらんいただければと思います。本体資料でいうと11ページです。
まず、1つ目の○からでございます。居宅介護支援、ケアマネジメントにつきましては、在宅の要介護者に対しましてケアプランを作成したり、サービス事業者の連絡調整を行うということで、重要な役割を果たしているものでございます。
高齢化の進展に伴いまして、ケアマネ事業所の件数や利用者は年々増加しているという状況にございます。
その一方で、利用者宅への訪問やケアプランなり給付管理を行う書類の作成、関係の事業者を集めて行うサービス担当者会議といった会議の業務がふえているということとか、医療機関なり他の職種との連携といった業務がだんだんふえてきて、負担になっているということが調査結果からも出てございます。
さらに、3つ目の○でございますが、今後、さらなる高齢化が進展していく中で、地域の高齢者を適切に支援していくことを考えた場合に、先ほど申しましたケアマネジャーの業務の負担の軽減を初めとする環境整備が必要だろうと思ってございます。その環境整備を行いながら、自立支援、重度化防止の実現に向けた質の高いケアマネジメントの実現の両方を求めていくことが大切なのではないかと思ってございます。
この観点でいいますと、※を2つ打ってございますが、ケアマネジメントの質の向上に向けましては、ケアマネジメントの標準化や研修の充実を図ってきているということが1点でございますし、また、高齢者の生活は、介護保険の給付のサービスだけで支えられるものでもございませんので、保険外のサービスの活用も含めて、総合的な支援をしていく。総合的なプランをつくっていくことが大事になってくると思いますので、そういった努力義務規定なども設けさせていただいてございます。
11ページの一番下の○でございますが、ケアマネジメントにつきましては、御承知のとおり、骨太2018などで関連の記載がございますので、これを受けた検討も行わなければならないと思ってございます。
12ページは総合事業の関係でございます。総合事業につきましては、平成26年の介護保険法の改正により導入されたものでございまして、27年4月から順次実施され、一昨年の4月以降、全市町村で実施をされているところでございます。
実施状況を見ますと、利用者1人当たりのサービス料はおおむね維持をされてございますし、多様なサービスを実施する事業所も出てきております。その一方で、多様なサービスが実施されている市町村の数につきましては、訪問で約半分、通所で6割ということでございますし、多様なサービスの実施主体のうち、介護サービス事業者以外の方々の割合も必ずしも高くなっていない。そのような状況にございます。
総合事業につきましては、市町村の取り組みにばらつきがございます。参考資料の74ページ、75ページあたりに進んだ地域の取り組みとして、高松市の取り組みなり川上村の取り組みといったものも御紹介をさせていただいてございますが、取り組みが進んでいない地域もあるというのが実情でございます。
我々としては、それぞれの地域が抱える課題に着目をして、きめ細やかな支援をしていく必要があると思ってございまして、関連の調査研究事業等々も進めさせていただいているということでございます。
本体資料の12ページ目の4つ目○でございますが、今後、高齢化の進展に対応しまして、地域包括ケアシステムの深化・推進に取り組む観点、また、現役世代が急減していく中で、社会の活力維持といったことをしていかなければなりませんし、労働力の制約が強まる中で、きちんとサービスを確保するといった観点から、この総合事業をより効果的に推進をして、地域のつながり機能を強化していく必要があるのではないかと思ってございます。
12ページの一番下の○でございますが、総合事業につきましても、御承知のとおり骨太なり改革工程表において関連の記載がございますので、これを受けた検討もしなければならないと思ってございます。
以上を踏まえて、13ページが地域支援事業の関連の論点でございます。
まず、地域包括支援センターの論点を2つ挙げてございます。一番上の○です。地域保険としてのマネジメント機能の中核を担う地域包括支援センターの現状についてどう評価するか。
2つ目の○、高齢化の進展への対応や介護離職ゼロの実現等の課題がある中、地域包括支援センターに今後求められる役割として、どのようなものが重要か。その役割を効果的に果たすためには、どのような取り組みが必要か。
ケアマネジメントの論点でございます。高齢者の多様なニーズに対応した適切なサービス提供を実現するためには、ケアマネジメントのあり方が重要である。その現状と課題についてどう考えるか。その際、介護支援専門員が果たす役割が重要となってきますが、その役割を効果的に果たすことができるようにするためには、どのような取り組みが重要か。
総合事業の論点は3つでございます。平成29年度より、全市町村で開始されている総合事業の実施状況についてどう評価をするのか。
2点目、高齢化の進展に対応し、地域包括ケアシステムの深化・推進に取り組む観点から、また、現役世代の人口が急減する中での社会の活力維持向上や、労働力の制約が強まる中でのサービス確保を実現する観点から、総合事業をより効果的に推進する必要があると考えますが、そのためにはどのような取り組みが必要か。制度的な対応が必要な点があるのかないのか。
3点目、地域支援事業のうち、地域包括ケアシステム推進のために導入された社会保障充実分の4事業、先ほど申し上げました地域ケア会議の推進や医療介護連携の事業といったものでございます。この実施状況をどのように評価するのか。より効果的な展開に向けて改善が必要な点があるかということでございます。
最後、地域支援事業全体についてということですが、地域保険としての地域のつながり機能・マネジメント機能の強化の観点から、総合事業や地域包括支援センターを含む地域支援事業や、ケアマネジメントに関して、検討すべき事項としてどのようなものが考えられるか。市町村が、地域保険である介護保険制度の保険者として、予防・健康づくりをこれまで以上に推進していくとともに、地域のつながりを充実させていくことが重要であるが、現状ではその取り組み状況のばらつきが大きいことを踏まえ、どのような対応が必要かといったことについて御議論いただければと思ってございます。
続きまして、次の論点でございます健康づくりと介護予防の推進についてということでございます。本体資料でいいますと15ページ以降でございます。
今回、特に中心的な御議論になるものが15ページの赤囲みで囲っている部分でございます。総合事業の中の訪問、通所のB型、C型と言われているもの。B型は住民主体による支援、C型は短期集中型の予防サービスでございます。これに加えまして、一般介護予防の事業といったものについて、御検討いただきたいと思ってございます。
1枚おめくりいただきまして、16ページでございます。まず、現状と課題をまとめてございます。現状と課題の1つ目、「介護予防とは」ということでございますが、介護予防とは、御承知のとおり、高齢者等が要介護状態になることの予防なり、要介護状態の軽減もしくは悪化の防止を目的とする取り組みでございます。
2つ目の○でございますが、単に運動機能や栄養状態といった心身機能の改善だけを目的とするのではなくて、2行目でございますが、「心身機能」「活動」「参加」のそれぞれの要素にバランスよく働きかけて、これによって日常生活の活動を高めて、家庭や社会への参加を促す。そして、一人一人の生きがいや自己実現のための取り組みを支援し、QOLの向上を目指していくことが大事だろうということでございます。
その次に、「一般介護予防事業の効果的な実施方策について」ということで、記載をさせていただいてございます。一般介護予防の事業は、現状、全ての自治体で何らかの事業が実施されている状況でございます。箱囲みに囲っているような状況でございます。
また、2つ目の○でございますが、通いの場に取り組む市町村なり、通いの場への高齢者の参加率は増加傾向にあるということでございます。また、通いの場の担い手確保なり、参加促進の観点から、いわゆるポイント制度といったものを活用する市町村もふえているということでございますが、取り組み状況にはまだばらつきがあるということでございますので、参加者の増加に向けて、地域特性に応じた取り組みを進めていくことが必要なのではないかと思ってございます。
また、参加者の増加を図る観点から、民間事業者などの多様な主体との連携ですとか、ポイント制度なども含めたインセンティブのあり方、さらには、多くの高齢者が魅力を感じるとともに、効果的な介護予防の取り組みが進められるように、その内容なり普及・啓発をさらに図っていく必要があると考えてございます。
また、介護予防につきましても、骨太2018に関連の記載がございます。これについて検討しなければならないということでございます。この骨太の記載に関しては、高齢者の通いの場を中心とした介護予防フレイル対策などといったものを、市町村が都道府県と連携しながら一体的に実施する仕組みを検討するとともに、インセンティブを活用することにより、健康寿命の地域間の格差を解消していこうといった前向きなことが書かれてございます。こういったことにも頭を置きながら、検討を進めていく必要があるのではないかと思っているということでございます。
17ページでございます。今度は専門職とのかかわり方でございます。1つ目の○でございますが、専門職のかかわる事業やサービスの今の取り組み状況でございます。地域リハビリテーション活動支援事業、これはさまざまな場にリハビリテーションの専門職が関与していく事業でございますが、その実績が大体55.8%ぐらい。あとは、C型のサービス、訪問系のサービスですと2割弱、通所型でいいますと35%程度ということにとどまっておりまして、取り組み内容についても地域の差が大きくなっているということでございます。
また、2つ目の○、真ん中よりやや下の○になりますが、高齢者の保健事業、医療保険のヘルスの事業と介護予防の一体的な実施の動きがございます。今は法律案を提出しているような状況でございます。そういった中で、より効果的な介護予防の取り組みを進めるため、専門職のかかわり方について、さらに整理、検討する必要があるのではないかと思ってございます。
もう一つの現状と課題でございます。真ん中やや下寄り、一般介護予防事業等の今後の求められる機能なり、今後の推進方策についてということでございます。
一部の自治体におきましては、一般介護予防事業について、介護予防だけではなくて、これを地域づくりにつなげるなど、戦略的に取り組みが実施されて、効率的に運用しているという部分がございます。
そういった中で、通いの場などの一般介護予防事業について、PDCAサイクルに沿った推進が図られるよう、整理・検討を行った上で、効果的に推進に向けて検討を行う必要があるのではないかと思ってございます。
以上を踏まえて、論点立てをしております。18ページになります。論点としては4つ挙げさせていただいております。
まず、1つ目の論点、一般介護予防事業の現状、果たしている機能等を踏まえ、今後求められる機能をどのように考えるのか。これが1つ目でございます。
2点目は、通いの場を初めとする一般介護予防事業等の充実を図る観点から、住民主体の通いの場という点は維持をしながら、効果的な取り組みを進めるため、専門職の関与の方策等についてどう考えるかというのが2点目です。
3点目です。取り組み状況にばらつきが大きいことも踏まえまして、効果的、効率的な取り組みを強化する観点から、一般介護予防事業等のPDCAサイクルに沿ったさらなる推進方策についてどのように考えるか。
4点目は、段取りの関係でございますが、上記の事項につきましては、後ほど御説明させていただきますが、「一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会」において検討することとしてはどうかという提案をさせていただいてございます。
今、地域支援事業なり健康づくり、介護予防の推進のお話をさせていただきましたが、保険者機能を強化して、これをさらに進めていくためのツールとして、保険者機能強化推進交付金についてお話をさせていただければと思います。ページで言うと20ページになります。
現状・課題ということで、まず、経緯を書かせていただいてございます。1つ目の○でございますが、高齢化が進展する中で、地域包括ケアシステムを推進するとともに、制度の持続可能性を高めるためには、保険者機能を強化していくことが大切であろうという発想から、前回の制度改正におきまして、保険者がそれぞれの地域の課題を分析して、自立支援、重度化防止に取り組むとともに、財政的なインセンティブを付与するということが、制度化をされました。
これを受けまして、市町村なり都道府県のさまざまな取り組みの達成状況を評価できるような指標を設定しまして、市町村や都道府県の高齢者の自立支援、重度化防止に関するさまざまな取り組みを推進するための交付金として、保険者機能強化推進交付金を創設しまして、今年度から実施をしているという状況でございます。
2点目で、今年度の評価結果を踏まえた来年度の評価でございます。
1つ目の○でございますが、今年度の評価結果は都道府県分の得点率でいうと87.4%、市町村の得点率でいうと67.2%という状況でございました。これを踏まえて、2019年度の評価指標におきましては、達成状況の高い指標の配点を減らしまして、メリハリ付けをする予定でございます。
また、都道府県と市町村が協力関係を構築して、市町村の施策が押し上げられていくといった形をつくることが大事だと思っておりますので、都道府県から、施策が進んでいない市町村に対して、特に重点的な支援をしていただきたいといったことを促したいと思ってございます。
このため、都道府県の評価指標において、管内市町村で得点が著しく低い状況がある場合には、都道府県の点数から減点を行うというような指標を入れさせていただいてございます。
また、アウトカムの評価につきましても、対象に要支援者等を追加するなどの精緻化をする予定でございます。
あとは、段取りの関係を書いてございますが、2018年度は初回であったということもありまして、内示時期がおそくなってしまったということで、交付金を活用した事業が実施しづらかったという指摘も受けてございますので、2019年度につきましては、評価指標を2月に通知しまして、7月めどで内示を行う予定でございます。
また、保険者機能の強化として、予防健康づくりの推進に加えまして、それらの取り組みを通じて介護予防の基盤としての地域づくりにつなげていくことが求められている。
現在の評価指標では、通いの場への65歳以上の参加率等が盛り込まれておりますが、その指標の充実が必要だろうと思ってございます。
また、市町村の取り組み状況にばらつきがございますので、都道府県の協力関係の構築と合わせて、さらなるインセンティブ機能を強化していくことも必要なのではないかと思ってございます。
この交付金につきましても、骨太の関係などに関連の記載がございますので、これを受けた検討をしたいということでございます。
中身としては、評価結果を公表して、取り組み状況の見える化、改善といったものを進めていこうということが骨太に書いてある。こういったことをやっていかなければいけないのではないかということでございます。
これを受けまして、論点の21ページです。最後のページでございます。介護予防等の推進を図るため、保険者機能強化推進交付金のインセンティブ機能の強化に向けて、指標の見直し、メリハリ付け等、どのような方策が考えられるか。特に通いの場等、大幅に拡充するなど、地域づくりの推進に向けて、都道府県、市町村に対し、さらなるインセンティブ強化策として、どのような方策が考えられるかといった点について御議論いただきたいと思ってございます。
資料1の説明は以上になります。

○眞鍋老人保健課長 続きまして、老人保健課長でございますが、資料2につきまして御説明させていただきたいと思います。
「一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会の開催について」ということでございます。
先ほど資料1の説明の中にもございましたとおり、この一般介護予防事業の現状果たしている機能等を踏まえて、今後求められる機能をどのように考えるかという一連の記載が、資料1の18ページにございましたとおりでございますが、それを受けまして、資料2のページ番号で申し上げますと1のところでございます。「現状・課題」にありますけれども、一般介護予防事業等に今後求められる機能や、PDCAサイクルに沿ったさらなる推進方策等の検討を集中的に実施し、介護保険部会の議論に資するため、検討会を開催したいと考えてございます。
主な検討項目は左にございますけれども、現状果たしている機能、効果的な実施方策、専門職等の効果的なかかわり方。こちらは保険事業と介護予防の一体的実施、現在国会で法案を御審議いただいておりますけれども、そちらの関連もございます。
(4)といたしまして、今後求められる機能やPDCAサイクルに沿ったさらなる推進方策、その他ということでございます。
検討スケジュールはその下にございます。4月に第1回を開催させていただきたいと思ってござまして、夏ごろには中間的な取りまとめを行い、本部会で一度御議論をいただきまして、御報告させていただくのかと思っております。また、年内には検討結果を取りまとめて、また再度御報告というスケジュールを考えているところでございます。
構成員は右側にございますけれども、こちらは一般介護予防事業のこれまでの実績を、主に学術的な観点から整理を行うためということで、有識者、また下半分にありますとおり、関係団体の方々から構成されるような形で行っていきたいと考えているものでございます。
説明は以上でございます。

○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいま御説明がありました資料1と資料2に関しまして、全体として御意見を承りたいと思いますので、御意見、御質問等がおありの方は挙手をお願いします。また、できるだけ多くの方の御発言をお願いしたいと思いますので、御発言は要領よくお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
いかがでございましょうか。
岡委員、その次に久保委員の順番でお願いいたします。

○岡委員 ありがとうございます。私からは2点申し上げたいことがございます。
まず、1点目でございますが、保険者機能の強化についてでございます。現在、市町村ごとの予防、健康づくりの取り組みにばらつきが生じていると、資料の各所に記載がございました。
まずは、そのばらつきがなぜ起こっているのか、その要因をしっかりと分析していく必要性があると考えております。
また、介護保険法では、市町村の取り組みに対して都道府県が必要な助言、適切な援助を行うことになっておりますので、都道府県のバックアップ体制が適切に機能しているのか等についてもあわせて分析を行った上で、今後の対策を講じていく必要性があると考えております。
2点目ですが、保険者機能強化推進交付金についてです。高齢者の自立支援、重度化防止に取り組む都道府県や市町村への財政的なインセンティブとして、平成30年度は200億円の新たな予算が手当てされました。
しかしながら、日本商工会議所としては、以前から申し上げておりますが、自立支援や重度化防止の取り組みは、本来保険者が担うべき業務の一つにすぎないと考えております。つきましては、財政的インセンティブによる効果がどれほどあったのか。インセンティブのなかった、例えば平成29年度以前と比較するなどして、その効果検証をしっかりと行っていただきたいと考えております。
以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。御意見として承りました。
それでは、お待たせしました。久保委員、どうぞ。

○久保委員 ありがとうございます。
今回のテーマに対して、3点意見を述べさせていただきます。
初めに、地域包括支援センターについてです。地域包括支援センターは土、日、祝日の開所や、総合相談の強化、また、医療と介護の連携についても積極的に関与することが求められています。
また、介護予防のケアプランについては、なかなか受けてもらえる居宅介護支援事業所が少ないために苦戦しているのが実態です。
地域包括支援センターの役割がふえて、業務量がふえる一方で、業務内容の精査や、人員体制の強化が課題になっていることは既に承知されていますが、今後どのようにこの課題を克服していくのか、現在の計画等がありましたらお示しをいだきたいです。
2点目は、居宅介護支援事業所の管理者要件についてです。居宅介護支援事業所は管理者要件を見直し、主任ケアマネジャーに限定することになりました。しかし、2021年4月実施までに、主任ケアマネジャーを配置できないことが予測される事業所については廃止、休止が進んでいます。
3月14日開催の介護保険給付費分科会資料、管理者の主任ケアマネジャー資格の有無によると、1,288事業所中、管理者が主任ケアマネジャーの資格を有するのが51.2%、資格を有しないが43.7%となっています。
2021年4月実施までに5年以上の要件を満たすために、残された年数は約2年であり、現在の居宅介護支援事業所の管理者が全員主任ケアマネジャーの資格を有することができるのでしょうか。そのために、今後さらに居宅介護事業所の廃止、休止が進むことが予測され、ケアプラン作成に大きく影響することが懸念されます。このような状況の中、今後どのような対策を講じられるのか。
3点目は、総合事業の予防介護についてです。総合事業では地域住人が共助の精神を発揮して、高齢者の介護予防に貢献できる体制づくりを目指しています。
このサービスでは、設置基準やサービス提供者の資格要件も緩和されて、地域住人がボランティアや住民主体の団体へ協力できることなど、大きな特徴があります。しかし、一方ではサービス単価が低いことから、従来サービスを担っていた介護事業者の徹底が相次いでいることも事実であります。
厚生労働省発表の昨年4月のデータですが、1,708市町村の回答で676市町村、つまり4割の市町村で介護予防から事業者が撤退しています。その後も継続しており、このままでは必要な人が、必要なサービスを受けることができなくなるとともに、サービスの質が落ちてしまうことが危惧されます。総合事業を円滑に推進するために、見直しが必要ではないかと考えます。
以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。
これは幾つか事務局に対するコメントを求めるように受けとめられたものがありますので、事務局にコメントを求めますか。

○久保委員 もし今、お答えいただける範囲でございましたらお願いいたします。

○遠藤部会長 それでは、今のお話の中でもしコメントできるものがあればお答えいただきたいと思います。
事務局、どうぞ。

○尾崎振興課長 振興課長でございます。3点ほど御質問いただいたと理解してございます。
1点は地域包括支援センターの業務量がふえていく中で、どのような対応をしていくのかということだと思います。
地域包括支援センターの業務量がふえていく。人員体制に比べて非常に量が多いのではないかということにつきしましては、我々も認識してございまして、前回の制度改正でも、地域包括支援センターと市町村と、それぞれが評価しまして、認識を一致して進めていこうと。特に全国と比べて強い部分、弱い部分を見ることによって、弱い部分の機能を強化していこうといった取り組みをさせていただいているところでございます。
現状、さらにまた厳しい状況にあるという御指摘だと思いますが、今やっているセンターの業務にどのように対応していくのか、人員をどのようにしていく必要があるのか、こういったことはまさに、この場所で地域包括支援センターのあり方について御検討いただければと思ってございますので、この介護保険部会の議論も踏まえながら、何ができるのか、こういったものは考えさせていただきたいというのが1点目でございます。
2点目はケアマネ事業所の管理者の要件です。これは主任ケアマネにするということが決まってございますが、その主任ケアマネを配置できないケアマネ事業所が出てくるのではないかということだと思います。
この点については従前より御指摘をいただいているところでございますが、現状は主任ケアマネの研修の実施主体に対しまして、できるだけ研究を受けやすい環境をつくってほしいというお願いをしているところでございます。
例えば、土日に研修を行うとか、夜間に研修を行うとか、分割して研修を行うとか、そういったことをお願いしているところでございます。
また、この研修の費用につきましては今、医療介護の総合確保基金で賄うことができる形になってございますので、そういったものも活用いただきながら、まずは研修を受けやすい状況をしっかりとつくっていってほしい。こういったものを引き続きお願いしていきたいと思ってございます。それが2点目でございます。
3点目の総合事業につきまして、単価が安いのではないか、それによって撤退が起きているのではないかというお話でございます。
データ上は事業所の数そのものは減ってはいない。これは全国ベースでいうと減ってはいないという状況になってございますが、地域地域で御苦労いただいているというのはそのとおりだと思ってございます。
単価につきましては、各自治体が設定することになってございますが、単価を設定する際に一方的に決めるのではなくて、各事業者さんとよくお話し合いをいただきながら決めていただきたいということをお願いしているところでございまして、引き続きそのようなお願いをさせていたただきたいと思ってございます。
いずれにしましても、地域でサービスがなくなって、利用者の方が困るということが起きてはいけないという思いは、我々も同じ思いを持っておりますので、そういったことのないように取り組みを進めていきたいと思ってございます。
以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、いかがでしょうか。
津下委員、山際委員、花俣委員の順番でお願いします。

○津下委員 あいち健康の森の津下です。よろしくお願いいたします。
4ページにありますように、保険者機能の強化、そして、地域支援事業等、保険事業のさらなる推進という大きなテーマが掲げられております。
保険者機能の強化という点で言いますと、医療保険の側では前倒しで国保の後期高齢等のインセンティブ制度を実施されておりまして、例えば糖尿病性腎症重症化予防の広がりを見せています。さまざまな保健事業に対しインセンティブ制度の指標に基づいて実施状況を可視化し、それぞれの地域の不十分なところに気づいて取り組むという動きが始まりました。その結果、3年間連続して実施状況が向上している結果にもつながっております。保険者機能の強化、インセンティブというのは非常に重要な事柄であろうと思います。
この保険者機能についてですけれども、加入者のうち介護サービスが必要な方だけではなく、加入者全体を見ていくという視点が大事であると思います。まだ要介護にならない段階から予防に取り組み、さらに重度化を防ぐという全体像を把握することが非常に重要になってきます。その中で必要になってくるのが住民全体を把握できるデータだろうと思っております。
考えてみますと、地域包括支援センターは住民の身近なところで頑張っているのですけれども、持っているデータとしては、既に関係があった者に限られているなど、市町村の持っているデータとは範囲が違っております。
市町村の委託を受けて、民間事業者等も含めて、委託で地域包括の方々が地域のマネジメントをやっていく例が多いわけですが、保険者としての主体である市町村と地域包括の役割の整理や全体像を把握した上での保健事業実施など、保険者として市町村がしっかり機能する必要があると思います。マクロ的なデータと、地域個別のデータ、地域包括が吸い上げてくるデータを把握し、対策を一緒になって考えるなど、保険者機能を強化することが重要と思います。そのためには市町村、自治体のさらなるガバナンス強化といいますか、そういう力をつけていくことと、包括に頼むこと、市町村自身がやるべきこと、そのような観点の仕事の仕分けなども必要なのかと思います。
あと、保健事業で大事なことは、支える側をリクルートしたいということがあるのですけれども、市町村の高齢担当の方や地域包括は、元気な高齢者に接する機会が余りないかもしれません。例えば健診の場面であれば、70~74歳の健診受診率が43%なのです。ですから、ほかの部局で高齢者に接している人が、そういう機会に、通いの場の支える側に回ってほしいなど、ほかの入り口から支える側にリクルートするような方策をもう少ししっかりと戦略的に考えていくことが必要ではないでしょうか。こういうことも、自治体の全庁的な取り組みといいますか、そちらに広がっていかないと進まない。通いの場のことを知っている高齢者は、高齢者の中でもかなり高齢者層に偏ってしまっているのではないかという気がします。この取り組みが全庁的な取り組みに波及できるかどうかが鍵と思っています。そこまで議論を広げてしまうと大き過ぎるのかどうなのかということを教えていただきたいと思っています。
あと、もう一つ、最後に介護予防と高齢者の保健事業の一体実施に関する期待感でございます。
国保世代まではメタボ対策や疾病の重症化予防などで、どちらかというと栄養指導についても、高カロリーにならないようにみたいな指導が多い中で、後期高齢者で低栄養対策が必要になってくる。そのはざまの人たちに対して、保健事業がうまく提供されていないという実態がある。気づいてみたらフレイル、低栄養、痩せの問題が起こっていたということになりますので、体の連続的な変化を捉えて、高齢者の保健事業と介護予防とを一体的に推し進めていくことが重要と思います。その方法等について市町村が迷わないように、しっかりとした方針を出していくことが必要ではないかと思いますので、今後の検討会での議論を深めていくことが重要かと考えております。
以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。
大体が御意見だったと思いますが、事務局の意向を御確認された点がございましたので、コメントがあればお願いしたいと思います。
お願いします。

○黒田総務課長 総務課長でございます。ありがとうございます。
先生のお話はまことにごもっともだと思って伺っております。特に今回は、この会のテーマ自身は、まずは一般介護予防事業等をどう広げていくかというテーマではありますが、先ほど振興課長なり老人保健課長からもお話がありましたとおり、今回は医療保険側からも介護予防側に手が差しのべられて、一緒にやりましょうという話が、新しい動きとして出てくるということがございます。
その中では、当然医療保険の部署と介護保険の部署との連携が当然視野に入ってまいりますし、その中で、さらにそれを住民の活動までもう少し広げてということになっていくならば、どの範囲のデータを、どの部署の連携がという話が当然視野に入ってくると思います。医療保険の動向も見ながらにはなりますが、検討会での議論、それから、この介護保険部会の議論を通じて、昔は老人保健法という法律の中で一体的にやっていた時期もございましたので、そういった伝統、市役所なり町の役場の先駆的な取り組みにも目を配りながら、どの範囲でデータをということも含めて検討させていただきたいと思います。それは同時に部会での御議論にも賜りたい、大切なテーマだと思っております。
ありがとうございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、お待たせしました。山際委員、どうぞ。

○山際委員 ありがとうございます。民間介護事業推進委員会の山際でございます。3点意見を述べさせていただきます。
まず、1点目ですが、資料1の13ページにある総合事業に関して意見を述べさせていただきます。
厚生労働省において、総合事業に関するガイドラインを出されておりますが、現状は十分に総合事業が実施されているとはいえない状況にあると考えております。
これらの実施方式として行われている補助事業であるとか委託事業の方式では自由度がなくて、国が目指している、市町村が中心になって、地域の実情に応じて、住民等の多様な主体が参画し、多様なサービスを提供していく。そして、地域の支えをつくっていくという目標が、なかなかうまく成果に上がっていないのではないかと考えております。
また、事業者としても、さまざまな縛りであるとか問題があるために、この事業に参入しようとしてもうまく参入できないという状況が、実態だと思っています。例えば交付金化するなど、もう少し地域の実態に応じた事業が展開できるような仕組みに変えていくということも含めて、総合事業の見直しを行うべきではないかと考えております。これが1点目です。
2点目につきましては、意見と質問ということになります。資料1の18ページにある健康づくりと介護予防の推進について、この論点の4つ目、一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会について意見を述べさせていただきます。
厚労省による平成29年度の介護サービスの実態調査、概況によりますと、訪問介護であるとか通所介護の開設主体の構成割合は、ともに9割維持を民間事業者が担っているというのが実態です。
また、本日御提示をいただきました参考資料1の66ページから総合事業の実態についても示されていますが、総合事業の提供体制についても、7割から8割が従前相当のサービスとなっているということから、その開設主体の構成もほぼ同様の民間事業者が中心だろうと考えております。
また、67ページのところに、総合事業の多様なサービスの実施主体についても記載がございますが、その8割近くが民間事業者または民間の団体ということになっておろうかと考えています。
今回、資料2で検討会の構成員をお示しいただいておりますが、主に学識者の方々、医療関係、保険者などで構成されておりますけれども、もっとも実際に事業で実施している生活支援サービスの提供側が構成員に入っていないのではと、考えております。
そこで質問なのですが、今回お示しをいただいている委員の構成について、どのようなお考えで委員の選定を行われたのか、ぜひお聞きしたいと思っています。
また、現在民間事業者あるいは民間団体が事業を実施しているわけですが、こちらの事業について何か問題があるとして、新たな一般介護予防事業を考えたいとお考えなのか、この辺についても、お考えをお聞かせいただければとありがたいと思っております。
実際に高齢者等の生活を支える、支援する側からの意見も反映できるように、ぜひそういう構成にすべきではないかと考えております。
3点目ですが、資料1の論点のところにインセンティブ強化策が書かれておりますが、こちらについて意見を述べたいと思います。
インセンティブにつきましては、意欲の向上であるとか、目標達成のための刺激策として有効であるということについては十分理解ができるわけですが、現状、都道府県であるとか市町村によって業務体制がまちまちであるということも考えれば、まずは国として全ての自治体に対してあるべき姿を示して、最低限実行しなければならない内容として何があるか。そのことを明確にした上で、その上位の目標となる指標を示した上でインセンティブをつけていく、全体の底上げを図っていくことが必要ではないかと考えております。
以上3点、意見を述べさせていただきました。ありがとうございました。

○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、事務局、御質問がありましたので対応をお願いします。

○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。こちらの一般介護予防事業の推進方策に関する検討会に係る御質問と受けとめてございます。
まず、委員の選定ということでございましたけれども、こちらは資料1及び資料2です。資料1で申し上げますと18ページでございますけれども、ここに一般介護予防事業の現状果たしている機能等を踏まえ、今後求められる機能をどのように考えるかということから、論点をお示しさせていただいているところでございます。
この中で、私どもとしては、通いの場を中心といたします住民主体の取り組みがこれまでどんどん進んできているということに関しましては、参考資料にもあるとおりでございます。
そういった機能をさらにどのように発展させていけばよいかということから議論を始めていただきたいと思ってございまして、そういうことから、市町村において取り組んでいただいている実績を、まずは学術的な観点で御評価をいただいて、またPDCAサイクルにつなげていくということを想定しております。
また、これも御説明申し上げましたけれども、いわゆる後期高齢者の保険事業と介護予防事業、特にこの通いの場を用いました一体的な実施についても、現在、法律の審議が進んでいるところでございます。そういったことから、この一体的実施の検討をしていだいたメンバーとも整合を図った形のメンバー構成にさせていただいているところでございます。
一方で今、御指摘のありましたように、現状、現場で一般介護予防事業を担っていただいている事業者様の御意見あるいは実態を把握することも、私どもは重要と考えてございます。
そういった機会を設けることも含めて、そこに関しましては今後の運営の中で工夫させていただきたいと思ってございます。それがまず検討会のことでございますし、その検討会での審議結果に関しましては、適宜、夏に中間取りまとめ、そして年内に最終取りまとめと申しましたけれども、この部会の場でも、この広い場で御議論いただければと思っているところでございます。
以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、お待たせしました。花俣委員、お願いいたします。

○花俣委員 ありがとうございます。
まずは総論についての意見として申し上げたいと思います。総論の3ページ、4つ目の○に関連してなのですけれども、介護予防とか健康づくりについては、個人的には本当にそうありたいと願うところですけれども、参考資料の16ページのところに、未来投資戦略2018の紹介があります。ふえ続ける社会保障費への対策として、健康寿命を延ばすことが盛んに言われていますが、介護保険でも健康寿命の延伸を掲げることにはやや疑問があります。これまでの資料でも、健康寿命が延びるとともに平均寿命も延びていますが、果たして平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加というのが現実的な目標になるのかどうかという点。そして、介護保険における健康は一体何なのだろうということ。介護保険部会でも長く、自立とは何かということを問い続けてきましたが、定義がはっきしないまま、健康寿命の延伸の主張が、認定を受けた人あるいは基本チェックリストの対象になった人たちの人間の尊厳を傷つけることにならないように十分配慮していただきたいと思います。
次に、地域支援事業等のさらなる推進についてのところですけれども、13ページの論点にも挙げられていますが、10ページの1の地域包括支援センターについてでは、業務量の増加あるいは人員体制の強化、確保等の課題などが挙げられていますが、中でも4つ目の最後の○では、平成27年度より地域ケア会議を初め、認知症施策の推進を目的とした事業と十分に連携しということが書かれています。これらの事業を有効に活用することも課題とあります。
ここで言うところの事業内容は、新たに加わった業務というよりも、そもそも地域包括支援センターが総合相談窓口として潤沢に機能するために、具体的な取り組みを示したものではないかと思います。
これらの事業を伸展させることこそが、地域包括支援センターの役割の一つである認知症の初期あるいは診断直後の空白期間のサポートであるとか、さらには家族支援、地域でのネットワーク構築につながるわけで、課題が多くあることは十分認識しておりますけれども、ここはぜひ、本来何のために地域包括センターが設けられたのかを、いま一度お考えいただければと期待しております。
続けて、2つ目の資料の11ページです。ケアマネジメントについてでは、最後の○に、居宅介護支援については骨太の方針2018や工程表において関連の記載があり、これを受けた検討を行う必要があるとあります。骨太の方針2018では、負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化、自助と共助の役割分担の再構築として、参考資料の56ページ、経済財政諮問会議の改革工程表2018にもある介護のケアプラン作成、多床室室料、介護の軽度者への生活援助サービスについて、給付のあり方を検討すると書いてあります。
これはつまりは、これまでの議論から推測すれば、10割給付だったケアマネジメントについて、利用者負担の導入を検討するということになるのかと、非常にここが気がかりなところでもあり、これからも利用者の現状と立場から、率直な意見をお伝えしていきたいと感じた次第です。
あと1つだけ質問してよろしいですか。
参考資料2-2のケアマネジメントのところなのですけれども、45ページの3)に末期の悪性腫瘍の利用者に対するケアマネジメントの説明があったのですが、2月19日に、がん患者に係る要介護認定の申請に当たっての特定疾病の記載等についてという事務連絡が出されています。この中で第2号保険者の人たちが認定を受ける条件となっている特定疾病のうち、末期がんが、末期を削除してがんに変更されているかと思うのですけれども、がんであれば末期でなくても認定を受けることができるということになってしまうのでしょうか。
ここを質問させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
以上です。

○遠藤部会長 事務局、よろしくお願いいたします。

○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。こちらの、きょうの資料の中で、末期の悪性腫瘍という言葉が出ておりまして、御質問自体は要介護認定に係る御質問でございます。
第2号被保険者の方で、特定疾病といって、神経難病、がんの末期の方というのが並べられている。そういう要介護認定の対象となる類型の患者さんのことをお示ししたものでございます。
その中で、末期のがんの患者さんが要介護認定の対象となると特定疾病に定められておりますけれども、今、御指摘のありました事務連絡自体は、末期のがんということを記載することが、御本人あるいはその御家族の心情として、なかなか抵抗がある。そうすると、主治医の方もなかなか書きづらいという御指摘があったことを受けて、末期のがんということが基準上変わったものではございませんけれども、私どもとしては、がんという記載で要介護認定の申請を行えるという運用をお示ししたものでございます。症例自体の末期のがんというところが変わっているものではございません。そのように御理解いただければと思います。

○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、総務課長、どうぞ。

○黒田総務課長 総務課長でございます。御意見の1点目について、少しコメントさせていただきたいと思います。
健康寿命の延伸というのは、政府横断的なテーマとして提供されているものですが、介護保険制度にその話を置きかえますと、介護保険制度の目的や、まさにお話がありましたように、本人の尊厳の保持、自立支援ということです。
また、介護予防というテーマは先ほど振興課長なり老健課長からもお話がありましたとおり、既に介護保険制度の中に位置づけられた一般介護予防事業、あるいは地域支援事業をどのように展開していくのかというテーマに置きかえて、理解することが可能です。ですので、健康寿命延伸というテーマは政府全体のテーマとして挙げられていますが、介護保険部会で御議論いただく際には、それを制度の中に位置づけられた具体の仕組みをどう展開していくのかというテーマに置きかえて、その上で介護保険法の理念を踏まえた上での御議論を頂戴したいというのが私どもの立場でございますので、もし御懸念がありましたら、そういう点が正確に理解されるようにということは心がけながら、これから御議論を頂戴したいというのが私どもの立場でございます。
よろしくお願いします。

○遠藤部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。今度はこちら側から行きましょう。
安藤委員、石田委員、石本委員の順番で行きましょう。

○安藤委員 ありがとうございます。2点ほど御意見を申し上げたいと思っております。
まず、健康づくりと介護予防の推進についてですけれども、介護予防につきましては、取り組みの結果、どのような効果や改善が見られたのかを定量的に把握し、効果的な取り組みにつなげていくためのアウトカムの指標をつくることが望ましいと思っております。
また、この後議論いたします交付金の機能強化とも関係いたしますけれども、あらゆる取り組みのアウトカムである要介護状態の維持、改善の状況等の指標とは別に、例えば介護予防、日常生活支援の指標として、これを新たに追加することにしてはどうかとも考えております。
また、資料2のところで、一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会を立ち上げるということで、ここで重点的にやっていけばいいかと感じております。
また、保険者機能強化推進交付金の機能強化についてでございますけれども、これは先ほど岡委員や山際委員のほうからもお示しされておりますが、交付金にかかわる効果がどうであったのかということをちゃんと示していただく必要があるかと思います。
その中で、いろいろな形で評価の点数がつけられているのですけれども、例えば今回めり張りをつけることが非常に重要だと書いてありますけれども、昨年の2月28日付の介護保険最新情報で評価指標が出ているのですけれども、その評価指標の中身を見ますと、結構皆さんやっていて当然だと思われるような評価指標がいっぱいありまして、その点数も10点満点とか2点とかがあって、とにかく物すごくいい取り組みをやっていても、とりあえずやっていると言っていても10点は10点という形ですので、ここの部分についはめり張りのついた評価指標をきちんとつくるということと同時に、きちんとやられている方についてはいい点数をやるとかいう形で、なおかつ、それができなければ、ここの評価するところで最重要であると思われる事業の取り組みをきちんとやっている方たちに対して多くの配点をするとか、そのようなめり張りをつけてやったほうがいいかと感じております。
以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。
石田委員、お願いいたします。

○石田委員 ありがとうございます。
まず、12ページにあります総合事業の2番目の○なのですけれども、最後に多様なサービスの実施主体のうちで、介護サービス事業者以外の主体の占める割合がまだ伸び悩んでいるというか、2割とか4割にとどまっている。一番の意向としては、これは住民参加型による住民たち自身がそういった事業に参加して、いろいろな活動を進めていくというところを、もっと広げていくことが主な目的ではないかと思います。そして、ここが伸び悩んでいる理由につきまして、先ほど意見があったように、これをやりにくい規制があるのかどうか、また、自治体としてそれを進めていくときに、どこまでの基準でやっていったらいいのかというところが、まだもう一つ定まっていなくて、自治体も及び腰になっているところがあるのではないかという気がいたします。どこまでやっていいものなのか、人材その他、限られた資源を活用するためには、従来のものにとらわれない新たな発想や方法が求められると思いますので、この辺のところに柔軟な取り組みを運用していけるような、もう少し明確な指示のようなものがあったほうが、自治体が動きやすいのではないかと感じております。
13ページにあります総合評価のところなのですけれども、総合事業の評価ということで、一番上にある、どう評価するかというところにつきまして、この中で特に住民の参加というところがどのように進められているかという点を評価の対象としてきちんと設けるということも非常に重要になってくるのではないかと思います。
このことによって、それぞれの自治体はどのような指標で、どういったことを重点的にやれば、この評価の対象になるかということが考えられるではないかと思っております。
実は16ページにありまして、一般介護予防事業の2番目の四角の中で、よく出ます高齢者の参加率は、平成25年の2.7が、29年は4.9で、5%に届かないと。この高齢者の参加率ということのカウントの仕方も、実はサービスを利用する、いわゆる受け手の高齢者の参加なのか。例えば、これまで申し上げたような住民参画型の形で事業が運営されていけば、事業を運営・実施する側に回る高齢者ということもあり得ると思うのです。そうすると、それはいわば「高齢者の、高齢者による、高齢者のための事業」となって、それが実践されていけば、そこに参加している高齢者も、高齢者の参加に入ってくることになります。そうすると、この辺のカウントの仕方も変わってくるのかと思います。まずは、この数字の内容について御説明いただきたいです。多分受け手の数字かと思いますけれど。
もう一点だけ質問なのですけれども、17ページで、専門職のかかわる事業について、Cのものです。そうすると、この訪問型というのが数字的には一番低くなっています。訪問型は、保険医療専門職等による居宅での相談支援ということですが、この保険医療専門職というのは、具体的にどのような方による訪問であるかということを教えていただければと思います。
そこを含めて、21ページの評価ということをお聞きしたいと思いますので、まずはそこだけお願いします。

○遠藤部会長 それでは、事務局、お答えをお願いします。

○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
まず、通いの場の参加率でございますけれども、平成29年度の値として4.9%というものをお示しさせていただいているところでございます。
こちらは65歳以上高齢者人口の中で、何人の方が通いの場に来られたかということを、各市町村から御報告いただいているものでございます。
私どもとしては、重複はなるべく排除していただくようにということで、市町村の御担当者におかれては、かなり手間をかけて出していただいておりますけれども、その中で名寄せをして、主にそのような形で参加していただいている。その数が今、ふえてきているということで、私どもはこれが向上してきていることはいいことかと思っているところでございます。
それから、サービスCの専門職に関するお尋ねでございましたけれども、こちらに関しましては保健師さんですとか、リハビリのスタッフという方々が想定されているところでございます。
以上です。

○石田委員 ありがとうございます。
訪問では、もっとほかにいろいろな多職種の訪問というのがニーズとしてあると思います。薬剤師さんであれ、管理栄養士さんであれ、歯科衛生士さんも含めて、そういった方々の訪問ということが、複合的にこういうふうに取り組まれていったほうが、この辺についてはもっと数字が上がっていくのではないかということで、そこは意見として述べさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。

○遠藤部会長 ありがとうございます。
石本委員、お願いいたします。

○石本委員 ありがとうございます。3点御意見を申し上げたいと思います。
まず、1点目ですけれども、地域支援事業を初めとする総合事業であったり、一般介護予防事業というものを推進していくということについてですけれども、前回の部会でも介護保険制度自体が複雑になり過ぎているという旨の発言をさせていただきました。これらの事業を推進するために大きな鍵を握っているのは、この取り組みについて住民がどれだけ理解していただけるかというところは非常に大事なポイントでありますし、いかに地域住民のモチベーションを上げながら、事業に取り組んでいくかということは大切であろうと思います。
ただ、今の複雑さの中では、なかなか住民理解が得にくい現状にあろうかと思います。現役世代が今後減っていく中におきまして、自助や互助といった思想のもと、この介護予防の重要性や必要性をどれだけわかりやすく、かつ効果的に住民の皆さんに御理解いただけるようなメッセージを投げかけるか。そういったところの工夫が大きな課題ではなかろうかというのが、まず1点目の意見でございます。
2点目は地域包括支援センターに関することですけども、現状とてもハードということが現場感覚としての包括の実態であると思っているところです。今後ますますニーズも複雑化していくと思われます。
地域のニーズというのは、個別の住民の方のニーズが、実はそれを蓄積していくと地域全体の課題につながっていくということも考えられますし、特に地域社会における暮らしにくさ、もしくは生活支援といった側面からのニーズに丁寧に向き合うためには、いわゆる介護の視点により特化した専門職の配置も今後必要ではないかという感覚を持っております。介護福祉士を初めとする介護職種の必要性をどこかで検討して行く時期に来ているのではないかと思うところでございます。
3つ目ですけれども、先ほど山際委員のほうから御発言がありましたが、一般介護予防事業のところに関しましては、私どもも実施主体である事業者または介護といった視点からの意見が、こういった検討会の中でちゃんと取り上げられて、議論されることが妥当ではないかと思いました。
以上、3点でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがですか。こちら側から行きましょう。
桝田委員、お待たせしました。

○桝田委員 参考資料の43ページの居宅介護支援と介護予防支援の費用の額のところですけれども、質問でございます。
29年度、30年度と減っている部分、利用者も減っているし、費用額も減っているのは、いわゆる介護予防支援の分から介護予防ケアマネジメントに変わった分が上乗せで書かれていないためにこの表になっているという理解でよろしいですか。
できましたら、ここに本当は別枠で載せていただくと、全体の動きがよくわかると思うのですけれども、少しそこも、また何かの機会にお願いしたいと思います。
もう一つは、最近のいわば健康で元気な高齢者の動きという問題です。きょうのデータの資料の中でも出ていますけれども、65歳から69歳までの方の就業率は44点数パーセント、男性ですと55%と。これは今、ずっと増えていっていますね。そうすると、元気な高齢者がどのような方向に向かうのかをこれから考えていかないと、例えば、いわゆる介護の担い手になってもらえる層などは増えていくのか、いわば総合事業の参加の部分等で実際に入って活躍してもらえるのか、もしくは、そのまま元気で別の仕事をされるか、そこのこれからの動向を見ながら、総合事業をつくっていかないとならないと思います。また、いわゆるボランティアを頼りにする部分。実に重要なことなのですけれども、その一大勢力が、元気な高齢者が一番担えるという部分なのですが、それがみんな生涯現役でばりばり働くというほうに向かっていくと、ボランティアとして支えていく力にはなり切れないという問題が出てくるので、その問題点をこれから見つめて、制度設計が必要なのかと思っています。
更なる課題は、いわゆる総合事業系の部分で、なかなか既存の関係事業者が総合事業のほうに入ってこられないという問題です。今、いわゆる訪問介護も通所介護も、人材不足という問題がついて回っています。そうすると、総合事業の部分に、いわば相当サービスはそのまま委託を受けているのだけれども、もう一段、要するに基準を落として、単価が低くなった分。いわば採算が合わない部分になってくると、みんな躊躇している。それよりも人材難のほうから言うと、その分を受けずに、いわゆる、ちゃんと経営的に成り立つ部分だけに特化しようという動きが非常に強い状況です。
それと、市町村と事業者側のほうで話し合いをして金額を決めてくださいと国のほうは言われますけれども、ほとんど相談というのはありません。一方的に単価を示されて、それに従ってください、手を挙げるか手を挙げないかは事業者側のほうですということになっています。
そこはこれからどのように改善していくのか。市町村によって大きな差が出ています。その部分を考えていかないと、サービスがないということも起こってきます。また、制度が複雑になり過ぎた部分でもう一つ、利用者側のほうで新しい制度がなかなか理解できなくなってきているということも起こってきています。総合事業の中で、今まで使っていた相当サービスをそのままスライドで今、使われています。しかし、もう一段順番に、あなたに向いているサービスはこれですというふうに地域包括支援センターのケアマネさんが順番に変更していくのですけれども、なかなか場所が変わることに抵抗がある。そこら辺の組み立てという部分も、少し考えていかないと、ぎくしゃくしたサービスになってしまう市町村が結構出てしまう恐れがありますので、そこら辺はこれからの検討課題として見ていただけたらと思います。
以上でございます。

○遠藤部会長 御意見として承りました。
東委員、どうぞ。

○東委員 ありがとうございます。全国老人保健施設協会の東でございます。論点に沿って2、3点意見を申し上げさせていただきます。
まず1点目でございますが、地域包括支援センターについてです。地域包括支援センターに関しましては役割が非常に多くなっています。それに対して余り効果的に運営ができていないという問題が先ほどから出ております。
前回の会議でも申し上げましたが、新たな財源を投与してセンターを整備するよりも、今ある社会資源をうまく利用するということを考えるべきだと思っています。
例えば現在、老健施設と受託を受けている地域包括支援センターという事業は別々にやらなければいけないことになっておりますが、この事業を一体的にできるようにするという制度改革等も今後必要ではないかと思っております。
さらに、今ある社会資源をうまく利用するという意味では、介護予防に関してですが、資料を見ますと専門職の関与等の文言がたくさん出ております。一方、老健施設には多職種の専門職が配置されております。
また、昨年度の介護報酬改定では、老健施設には地域貢献活動というものが義務づけられました。このように他職種の専門職がいて、地域貢献活動をしなければならない老健施設に対して、フレイル対策等の介護予防事業の一部を担うように義務づけるということも、今後考えてはどうかと御提案を申し上げたいと思います。
この介護予防を介護サービスの事業者が、今後ある程度担っていくということは必要ではないかと思っております。そういう意味で、先ほどから御意見が出ていますが、本日資料で出された一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会の委員構成案につきましては、介護サービスの提供事業者が全く入っておりません。事務局にもいろいろとお考えがあろうと思いますが、今後は介護サービスの提供事業者が介護予防の一端を担うということも必要だと思いますので、委員構成についてもご検討いただけないでしょうか。
2点目でございますが、ケアマネジメントについてです。介護給付費分科会の委員でもございます産業医科大学の松田晋哉先生からいただいたデータでございます。介護DBのレセプトデータをいろいろ分析しますと、認知症を有する方は、認知症を有しない方と比較すると福祉用具対応、通所リハビリ、訪問リハビリ等のサービス利用が大幅に減少するというデータをいただきました。特にリハビリ等の医療系サービスについては、認知症のあるなしでかなり差があるとお聞きいたしました。
実は認知症がある方ほどリハビリは必要であると私は考えております。そういう意味でも、今後、介護支援専門員の方がより医療系サービスの重要性とか、認知症に対する理解というものを深める必要があると考えております。
最後でございますが、インセンティブ交付金については、他の委員と同じように、取り組んでいるということを評価するのではなくて、どういうアウトカムが出たのかということをきちんと評価すべきだと思います。現状は要介護認定がどうなかったかとかいうところだけでございますが、取り組み項目には医療介護連携というものもあります。医療介護連携のアウトカム評価をどうするかということを今後議論していくべきだと思います。
以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。
こちらに行きましょう。伊藤委員、井上委員、江澤委員、大西委員の順番でとりあえず行きます。

○伊藤委員 ありがとうございます。
それでは順に発言いたします。まず、地域包括支援センターについては、資料の25ページと26ページあたりの総合相談の件数を見ますと、1人当たりの持ち件数は1月あたりで41件といった計算になります。総合相談には非常に丁寧に対応していく必要があるわけで、この件数からすると、今の人数は十分ではなく、職員の増員と、そのための財源が不可欠だと思っています。
また、保険者としても、地域包括支援センターの現状についてきちんと把握できているのか、丸投げにせず、しっかりと連携していくことが求められると思います。
あと、介護離職防止の観点からの活動をしていただきたいと資料1の10ページにもありますけれども、その視点は重要だと思っています。例えば、遠方にいる家族の介護について、地域包括支援センター間での連携した支援が現状できているのでしょうか。例えば、東京に住んでいて大分県に実家がある場合、連携はできているのか。そこを御質問させていただきたいと思います。
もう一つ、質問をさせていただきます。参考資料の37ページに、家族介護者支援のマニュアルを出しているということで紹介されていますが、通知の主な内容の2つ目の○、「出張相談等による相談機会の充実」の例1に、社会保険労務士などの専門職を配置して幅広い相談に対応と書かれていますが、誰に対して、どこに出張していくのかがよく読み取れません。さらに、一番下の○もそうですけれども、介護離職防止のための社会保険労務士との連携が書かれていますが、家族介護者という個人に対してどのようなアプローチが想定されているのかを教えていただきたいと思います。
また、ケアマネジメントについては、先ほど御指摘があった、要件を満たす管理者の配置について非常に心配しておりますので、十分な支援をお願いしたいと思っております。
ケアマネジメントについては、骨太方針2018での検討の要請があるということですけれども、これに関して、仮に有料化ということになりますと、セルフケアプランの増加ということも考えられます。そうすると、そのセルフケアプランに対する支援を地域包括支援センターがするという面も出てくるかもしれませんし、ケアマネジメントそのものへの影響を広く考えて検討していく必要があると思っております。
それから、総合事業について質問をさせていただきます。参考資料の69ページ、下のほうの○ですけれども、介護予防訪問介護・介護予防通所介護から多様なサービスへ移行した2年後の状態を見ると、69.1%は変わらなかった、22.7%は重症化したとあります。これについては、移行した人と移行前の時代の人を比較して、多様なサービスに移行したからといって悪化していないのだと読めるのか、その点について解説をしていただきたいと思います。
もう一つ質問があります。参考資料の112ページにあるインセンティブ交付金、2019年度評価指標の見直しの概要が出ていますが、ちょうど真ん中辺の評価指標全般の例に、介護人材の確保について、「介護に関する入門的研修」事業の修了者に対するマッチング状況(上位3割)を評価と書いてありますが、これはどういう意味なのかをまず教えていただきたいと思います。

○遠藤部会長 それでは、幾つか質問がありましたので、御対応をお願いします。

○尾崎振興課長 振興課長でございます。何点か御質問をいただきましたので、適宜回答させていただきたいと思います。
まず、1点目でございますが、介護離職ゼロとの関係で、御家族が遠方に住んでいるような場合、高齢者のいるセンターと御家族のいるセンターは異なる場所になる可能性がある。そこについてきちんと連携ができているのかということでございます。
数字上どのぐらいの連携ができているかということは、正直とれてございませんが、こちらからは適宜連携をとってほしいとお願いしている。現状はそこまでぐらいしかお答えできないというのが現状でございます。
また、参考資料の37ページに、家族介護者の支援マニュアルが出てございますが、この点について2点ほど御質問をいただいてございます。
まず、出張相談の関係でございますが、具体的な内容といたしましては、地域包括支援センターになかなか来てくれる機会もないだろうということで、休日ですとかタイミングを見て、デパートとかそういった場所にセンターの職員が出張っていって、相談コーナーを設けて、そこで利用者なり相談者の話を聞く。そういうことをやるという意味で、出張相談を書かせていただいています。
また、一番下の他機関との連携でございますが、これはセンターが一度相談を受ける。その相談を受けた際に、仕事の関係のお話とかも受けることがありますので、それはセンターの職員だけでは処理ができない、対応できない。そういったときにハローワークなり社労士さんなり、そういった専門的支援ができる方々につないでいくということをやっていきましょうということを書かせていただいているものだと理解してございます。
次の参考資料の69ページでございます。総合事業に移行した際に、利用していた方の状態の変化は、7割が状態を維持しているということですが、これがほかの集団と比べてよかったのか悪かったのかということでございます。集団が違っておりますので、同じ集団で比べることができませんので、よかったか悪かったかというのは評価できないというのが実情でございます。ファクトとして、7割の方は状態の維持ができていた。事実、そこまでしか言えないというのが実情でございます。
私からは以上です。

○橋本介護保険計画課長 計画課長でございます。
先ほど御質問をいただきましたインセンティブ交付金の評価指標のうち、介護人材の研修終了者に対するマッチングの関係でございます。こちらにつきましては、この入門的研修を受講された方で、介護施設等に就業された割合を出しまして、これにつきまして、市町村で並べて、上位3割につきまして評価をするということを考えてございます。
以上です。

○遠藤部会長 伊藤委員、簡潔にどうぞ。

○伊藤委員 今、お答えを聞いて、やはりいろいろ課題があると思います。まず、地域包括支援センターについては、社労士には公正な業務をやっていただくということに尽きると思いますけれども、家族介護者という個人へのアプローチがやはり重要です。介護離職しかねない状態、あるいは、してしまったという人に対するアプローチは非常に重要だと思いますので、そういう業務は地域包括支援センターにおいて充実させていく必要があると思います。
それから、業務が多いという点については、介護予防支援のケアマネジメントについて、居宅介護支援事業所に委託するとか、移行させていくことももう一回考えなくてはいけないのではないかと思います。
それから、総合事業については、今、質の点については他集団との比較はできないということですが、多様なサービスの質の面と、量が十分確保できるのかという現状の課題が示されておりますので、この点について相当な時間が必要だと思っています。
都市部の高齢者が急増することを考えると、現役世代には地域とのかかわりがなかなかないという問題がありますので、自治会も町内会もどんどん減少しているし、活動が低下しているという中で、退職、離職時になっていきなりスタートしにくいと思いますので、そういう仕掛けを考えなければならないのではないかと思います。
この点について、骨太方針2018で生活援助サービスの総合事業化も検討するということが書いてありますけれども、要介護度1・2といったところは生活援助サービスによって自立して生活ができているという面があるため、重要性が高いと思っていますので、その多様なサービスの実施体制が、十分確保できていないうちにこのような検討をするというのは、時期尚早だと思っています。
健康づくり、介護予防は検討会で詳しい方々の中で現場の人も入って、議論していただき、よりよい結果に期待したいと思います。
最後にインセンティブ交付金についてはもう何人の方もおっしゃっていますが、自立支援、重度化防止の有効なツールと考えられるときょうお話がありましたけれども、それがきちんと検証できているかといえば、やや疑問ですので、効果測定をちゃんとやっておかないといけないと思っています。その上で考えていただきたいと思います。
以上です。

○遠藤部会長 それでは、井上委員、お願いいたします。

○井上委員 ありがとうございます。
総論となりますけれども、3点ほど意見を述べさせていただきます。
まず、第1点目は、言うまでもなく健康寿命の延伸も日本が抱える最重要課題の一つだと思っているのですけれども、この課題に対して連携を図って検討いただきたいです。健康寿命の延伸、介護予防につきまして、介護保険のみならず、医療保険あるいはその他の多くのステークホルダーとの連携が重要になってくると思っておりまして、そのための総合的な戦略の中で、介護保険がどの部分を担うのかということをポジショニングしながら、検討をお願いしたいというのが第1点目でございます。
第2点目が、多様化する社会、あるいは多様化するニーズにどうやって対応していくかということでございます。
可能な限り社会への参画をしていただくということが重要だと思っておりまして、もちろん就労できる限りは、意欲のある方には就労していただく。支え手になっていただくというのが一番望ましいところでございますけれども、その後、社会への参加を促すということに関しても、多様なニーズが出てくるのだと思います。全ての高齢者について、通いの場だけでは対応できないのではないかという感じがいたしますので、多様性への対応を考えていただきたいということです。
第3点目は皆様と重複しますけれども、エビデンスベースで評価をしながら検討していただきたいということでございます。そのためには、データをきちんと蓄積していくことが重要だと思います。さらに、データの蓄積のためには、各指標等のフォーマットなどは全国的に統一されたものを活用していくということも、あわせて検討していただきたいと思います。
以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、江澤委員、お待たせしました。

○江澤委員 ありがとうございます。
介護予防が創設されてから、なかなか難しい状況だと思いますけれども、75歳以上の人口の伸びよりも、要介護、要支援者の延びのほうが高いという状況が続いているので、いろいろ検討すべき課題だと認識しています。
その中で、要支援、要介護度の原因の5割は脳卒中等を中心とする生活習慣病関連で、そのほか、認知症とかフレイルの老年症候群関連で3割を占めますので、これは若年世代、中高年世代からの取り組みもあわせて、これはこの場の会議の議論とは必ずしも一致しないかもしれませんけれども、かなり早い段階から取り組んでいかないと、なかなか難しいのではないかと思っています。
平成18年度に地域支援事業か創設されまして、それまで地域で非常に有効な方策であったと思われる保健師の地域の公衆衛生活動が、創設と同時に抜け落ちてしまったような印象を持っておりまして、今、せっかく保健師さんが市町村にいらっしゃるのに、結構デスクワークがふえていたり、あるいは、学校の実習でも、地域活動の実習が減っていたりということも伺っておりますので、今後そういったところは検討課題であると思っています。
資料にありましたように、ハイリスクアプローチは必ずしもうまくいかなかったと思っていますので、今後ポピュレーションアプローチでいくというのはよろしいかと思っています。
特に認知症におきましては今、なかなか臨床の薬の開発も厳しい状況の中、むしろ早期発見というよりは、ちゃんと家族とか地域住民と関係性がこじれる前には必ず必要ですけれども、ちゃんと地域共生というほうに足元を重点化していくのも重要ではないかと思っています。
もちろん、今は国の関係閣僚会議のほうで、いわゆる発症予防を今後強化すると伺っておりますので、そちらは期待しているところでございます。
続きまして、地域包括支援センターにつきまして、介護予防ケアマネジメント業務は確かに大変負担になっておりますので、この業務を続けるのであれば、人的要因を増強するべきではないかと思いますし、そうでないのであれば、介護予防ケアマネジメント業務は地域包括支援センターの業務から外していくということも検討すべきではないかと思っています。
ケアマネジメントにつきましては、昨年の介護報酬改定でがん末期についてはかかりつけ医の助言を受けて、特に予後予測を踏まえたケアプランをちゃんと作成しておけば、サービス担当者会議はその後開かないでも、かかりつけ医と連携するだけでケアプランを変更できるというような、特にがん末期の状態が変わったときに随時対応できるということで入ったところですけれども、そういった今後の予後予測を踏まえたプランを期待しているところでございます。
多様なサービスについてですけれども、特に介護事業所以外の主体の割合が少ないという報告がございましたが、何をするかが大事であって、特にノウハウが非常に重要ですので、医学的根拠、科学的根拠にある程度基づいたものは必要だと思っていますので、ここは専門職、医師、看護師、栄養士、薬剤師、リハビリ専門職等、その辺の連携、あるいは、医師会とかそういった業界関連団体との連携をぜひ密にしていただいて、行っていく必要があるのではないかと思っています。
特にフレイルにおいては、地域在住高齢者の1割とも言われておりますけれども、必須アミノ酸の摂取等、筋肉の負荷運動の二者同時介入をしたときだけが医学的成果が認められておりますので、そういったものをぜひ、どんどん取り入れていただきたいと思っています。
一般介護予防事業につきまして、通いの場の数がよく出ていますけれども、確かに通いの場が相当ふえていて、通いの場の質がこれから重要ではないかと思っています。
特に住民主体で行うことは当たり前ですけれども、きょうの参考資料にもありましたが、開催頻度が必ずしも高くなくて、そこであと何をするのかというのが非常に重要なので、ここも専門職との連携等を非常に期待しているところでございます。
地域によっては認知症カフェに認知症サポート医が順番に訪れて、いろいろお話をしているというところもございますので、そういった取り組みも参考になるかと思っています。
最後に保険者機能の強化ですけれども、こちらも例えば在宅医療介護連携推進事業は、市町村においては初めて医療政策に着手する登竜門となっておりますし、市町村に必ずノウハウが必要だと思っています。特に先ほど申しましたが、医学的根拠、科学的根拠、あるいは医療介護の専門性の高いものをどう行っていくかという視点が重要なので、そのあたりはぜひ関係団体とか専門職との連携が、まず必要ではないかと思っています。
2点目は、データをちゃんと集積して、PDCAを回すことが重要であります。ここでは必ず統計学的分析が非常に重要になってきますので、その辺のノウハウの支援は、国とか都道府県を含めて、ちゃんと統計学的な分析ができるようにしていくことが重要ではないかと思っています。
特にこの分野はRCTとかが非常に難しいわけでございますけれども、なるべく同一の人物というか、同一の方がどうなったかが非常に重要であって、よく自治体の要介護認定率が若干下がったとかいろいろなデータがございますけれども、このあたりも今後より精緻に、科学的に、統計学的に分析をしていって、意味のあることに取り組むことが必要ではないかと思っています。
最後に交付金事業でございますけれども、資料1の20ページにアウトカム評価をお示ししております。
まず、この交付金が都道府県と市町村を合わせて、公費ベースで200億円と認識しております。そして、例えば市町村であれば、全国の点数をつけて、序列で並べて、それによって配分を決めるということになっていますけれども、どれぐらいの金額が配分されて、本当にインセンティブになるような金額になっているのかどうかということが1点です。
それから、今後この推進交付金の事業についても、この事業におけるアウトカムを見ていかないと、これがちゃんとインセンティブとして働くのかどうかは重要な視点ではないかと思っているところで、20ページのアウトカム指標も、要介護状態の維持、改善とありますけれども、これもやはり個人個人を追いかけていって、場合によってはいろいろ対象も見比べながらしていかないとなかなか難しいので、要は要介護認定を受ける人とか、受ける人の数とか割合とか、いろいろなバイアスが入ってきますので、なかなか分析が難しいところですけれども、この辺のアウトカム指標についてはどのようにお考えなのか。
必ずしも横ばい状態の改善というのは、非常に高いハードルになると思いますし、もっと科学的な分析を踏まえたアウトカム指標はどのような状況なのか。交付金の交付の状況と、アウトカム指標について御質問を2点申し上げます。
以上でございます。

○遠藤部会長 事務局、お願いします。

○橋本介護保険計画課長 計画課長でございます。アウトカム指標について御質問がございました。
まず、その前に31年度の交付金の金額については200億円を予算で計上しております。そのうち、10億円程度が都道府県で、190億円程度が市町村ということで、こちらを評価結果に基づいて配分していくということで考えてございます。
それにあたっての評価指標のうち、アウトカム指標につきましては、ここに書いてございますように、要介護状態の維持・改善の度合いということでございます。今、要介護度は要介護者しか対象にしておりませんが、要支援者も含めて対象に追加いたしまして、アウトカム指標の精緻化を図っていくということを、2019年度につきましては考えてございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

○江澤委員 今、御質問したのは、200億円はわかっているので、各自治体に配分されると大体どれぐらいの金額になって、要は、相当少ない金額になるのではないかと思っていて、それが本当にインセンティブになるのかどうかというのをお伺いしたかったのが1点です。
もう一個のアウトカム評価については、例えば自治体のある保険者の市町村の全体の要介護認定率だけでは、これは科学的には分析としては難しいかと思っているので、何かお知恵があればと伺ったのです。
この2点でございます。

○橋本介護保険計画課長 詳細な資料につきましては、また別途お示しさせていただきたいと思います。

○遠藤部会長 それでは、続きまして大西委員、お願いいたします。

○大西委員 ありがとうございます。高松市長の大西でございます。
私からは、2つの意見と、1つの現状報告的なものとしてお話しさせていただきたいと思います。
まず、1点目が総論でありまして、保険者機能の強化についてというか、保険者のあり方についてです。我々、市町村が基本的に介護保険の保険者ということでございますけれども、諸般の人口減少、超高齢社会の中で、持続可能な介護保険制度をいかに確立していくかということを考えた場合、今のままの保険者でうまくやっていけるのかどうか、全国市長会における議論でもかなり不安が強いところでございます。
とにかく持続可能性といったものを確保するためにやっていかなければならないわけですけれども、効率のみを追い求めると、当然、介護給付の質の低下や、被保険者の不利益ということが出てきかねないわけでございまして、そういうことがないように取り組んでいるところでございます。
一方で、市町村の今の財政状況等は非常に厳しいものがございます。今後、さらに厳しくなるような予想でございますけれども、その保険者自体のあり方が本当に持続可能なものなのかどうか。一方では、介護保険の広域化いったものも真剣に検討すべき時期に来ているのではないか。あと、保険者機能強化推進交付金のほうでも出てきますけれども、都道府県と市町村との連携といいますか、役割分担に基づいた、より強固なシステムみたいなものも構築していく必要があるのではないか。
さらには、一方で、いわゆる介護保険で具体的な事業をどんどん展開していくためには、今日の意見の中でもたくさん出てきましたけれども、地域のつながりの強化といったものが必要で、地域のつながりを強化しつつ事業を展開していくということになりますと、市町村を基本としながら、いかに保険者機能を強化していくのか、その体制づくりといったものを本当に議論すべき時期にきているのではないかと思っているところでございます。
その関連で、まず保険者機能強化推進交付金について意見を言わせていただきたいと思いますけれども、これにつきましては、いわゆるインセンティブ交付金ということで、より優れた事業等々を行っていただけるように、あるいは、やらなければならない事業を確実に、保険者が行えるように、こういう交付金が創設されたということでございます。2018年度は初年度ということで、先ほどもお話がございましたけれども、各保険者に係る評価指標の自己点検結果に基づいた交付金の内示時期等が非常に遅れたことにより、この交付金を活用した事業を市町村が実際に実施しづらかったという不満が結構あるわけでございます。
そういう中にあって、来年度の評価指標において、めり張りづけを実施したり、あるいは、指標の一部変更、充実を行いますということでございますけれども、若干市町村側からは、その点に対して、まだ、本交付金が始まって1年足らずで、すぐに評価指標の仕様を変えられることについて、不安がございます。ただ、良い指標に見直していただきたいと思っておりますので、できれば中長期的にきちんと見通した上で、安定的な指標はこうあるべきだという方向性がある程度きちんとわかるような形で設定していただきたいと思っております。
また、予算額につきまして、先ほどお話が出ていましたけれども、全体で200億円ということでございますが、地域支援事業全体の事業費が大体6,400億円でございますので、その中の3%強ぐらいでございます。そんなに少ないということはありませんけれども、もう少し増やしていただきたい。
この交付金の根拠は予算補助だと聞いておりますので、毎年財政当局との折衝によって確保されるということで、来年になったらこれが減らされることもあり得るわけでございます。先ほどもちょっと出ていましたけれども、個々の市町村にしてみれば、それほどの大きな額を受け入れているわけではございませんので、それが本当に財政的インセンティブの役割を果たしていくのかということを考えますと、予算額の安定的な確保と中長期的な観点に立った目標が見えやすい指標の設定を、ぜひともお願いいたしたいと思っております。
2点目の地域支援事業の推進、あるいは健康づくり、介護予防の事業の充実という観点でございますけれども、本市の取り組みにつきまして、参考資料の74ページに掲載していただきまして、本当にありがとうございます。
本市の場合、先ほどから地域包括支援センターのあり方の議論が結構出ておりましたけれども、本市は、全国的にも数少ないといいますか、中核市の中では割とめずらしく、地域包括支援センターを直営で運営いたしておるところでございます。直営で中央センター1カ所と、サブセンター6カ所、それに民間委託による、ブランチといたしまして28カ所の老人介護支援センターを置いて運営しているところでございます。
やはり保険者である市の意向を反映し、直接的に地域包括支援センターを運営できるという意味で、私は直営にしたメリットがあるかと思いますけれども、ただ、人件費等々を考えますと若干割高となり、その辺で財政運営上もかなり厳しい状況になってきているというのが現状かと思っております。
このような中で、本市におきましては健康づくり事業、あるいは高齢者の通いの場等のいろいろな一般の介護予防事業もかなり力を入れて行っております。
健康づくり事業は、先ほど江澤委員からもお話がございましたように、まさにこれまでハイリスクアプローチでずっと少数へのアプローチを行っていたところを、今後は、ポピュレーションアプローチにより、集団全体へアプローチする形で行い、全体の介護認定率や介護給付費を抑えていかなければならないということで、これを介護保険事業に関連させながらどんどん進めていくことについては賛成でございます。
最後に現状報告といたしまして、本市は、WHOの健康都市連合に加盟しておりまして、この健康づくり事業というのは特に力を入れておりまして、生活習慣の改善、生活習慣病の発症予防、重症化予防が図られ、ひいては高齢者の介護予防の推進に大きく寄与するのではないかということで、これからも力を入れたいと思っています。
また、通いの場等につきまして、平成26年から高齢者居場所づくり事業と高松市の場合は言っておりますけれども、現在、42万人の人口を擁する中で、大体300カ所ぐらいの居場所をつくることを目標にやっております。現在、243カ所の居場所ができておりますが、社会福祉協議会が行っているサロンのうち、一定の要件を満たすものや、認知症カフェ等につきましても、この居場所として位置づけて支援を行っています。全体で268カ所に対して市が単独支援を行っており、介護予防やフレイル対策、生活習慣病等の疾病予防、就労、社会参加を通じた様々な活動を、それぞれの居場所ごとに取り組んでおりまして、生きがいづくり、それから、介護予防にも役立っていると思っております。
これはきちんとした数字ではないのですけれども、年度ごとに、この居場所に来られた方の新規の介護認定率というのを調べております。
高松市全体の新規の65歳以上の方の介護認定率というのが、大体4%ぐらいなのですけれども、29年度の数字で見ますと、居場所に通われた方の介護認定率は0.82%になっています。単純にこれだけで考えますと、居場所に通われた方の介護認定率が本市全体の65歳以上の新規認定率の5分の1になっているということで、これはもちろん元気のいい人が居場所にかなり来られているという考えもございますけれども、居場所という活動をやることについて、介護予防としては効果がある程度出てきていると思っております。この辺につきましては今度、一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会をつくられるということでございますので、そちらで十分議論していただきたいと思っております。
以上でございます。。

○遠藤部会長 ありがとうございます。
先ほどお手が挙がった河本委員、どうぞ。

○河本委員 ありがとうございます。3点意見を申し上げさせていただきたいと思います。
まず、1点は総合事業の関係でございますけれども、地域の実情を踏まえた効果的、効率的な支援をする。そういうことでスタートしたということなのですけれども、参考資料の68ページとかを見ても、実際にそういった多様なサービスを受けられている方は、利用者で言うと7%ぐらいしかいないということで、その意味ではほとんど進んでいないのではないかと思います。
原因をちゃんと分析して、それに対して、本来の趣旨に合う形で、どういう形でそれを改善していけばいいのかということを、ぜひ考えて進めていただきたいというのが1点でございます。
2点目、一般介護予防事業の関係でございますけれども、従来から申し上げておりますが、こういった事業についてもきちんとエビデンスをとって、費用対効果を検証するということでお願いしたいと思います。
その意味で言いますと、通いの場の推進とか、これはもちろんいい試みだと思いますし、それ自体をどうこう申し上げるつもりは全くございません。進めていくべき方策、現在2号被保険者の現役世代の保険料が入っている。通いの場の推進とか、まちづくりとか、そういったお話もございますけれども、そういったところに2号被保険者の保険料が入るというのが、若干疑問に感じるところでございます。
といいますのは、後期の高齢者の保険事業というのは、公費と、後期の方の保険料で支えているということでございますので、この地域支援事業は、2号被保険者の保険料が入っている部分と、そうでない部分とございますけれども、そのあたりの線引きみたいなものについても、今後再検討してもいいのではないかという意見でございます。
3点目でございます。保険者機能の推進、交付金の話でございます。これも先ほど話がありましたが、アウトカム、要するに要介護認定者の維持改善といったアウトカム指標を重点的に評価するのが本来だと思います。もちろん、それに至るまでのアウトプット指標といいますか、それも必要ですけれども、最終的にはそういった本当の目的、アウトカムに結びつく指標を重点的に評価するように工夫していただきたいと思います。
本来、本件についても、私どもは従来、交付金という形ではなくて、財政中立でやったらいいではないかということを過去申し上げてきた経緯もございます。その意味では、取り組みがものすごく革新的に進んでいる保険者に対して大きく加点をすると同時に、本来やるべきことができていない保険者からはペナルティーをとるとか、そういったことも将来的には考えてもいいのではないかと考えるところでございます。
以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、川名参考人、齊藤委員、佐藤委員、鈴木委員、武久委員、濱田委員の順番でお願いいたします。
川名参考人、どうぞ。

○川名参考人 ありがとうございます。
行政の視点から2点、端的に御意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、1点目の保険者機能の強化推進交付金でございます。今回、都道府県、市町村の取り組みについて評価が出されましたけれども、本県でもこれを参考に、できていない部分等の、他県との比較をする必要があるのかということで、現在推進をさせていただいているところでございます。
また、県内の市町村を見ましても、この指標の充足度に非常に格差があるという現状も見えてきております。その中で何が足りないのか。また、市町村に対して、先ほども御意見がございましたが、都道府県での取り組みの足りない部分等の分析をこれからしようとしているところでございます。
また、市町村を見ていくと、地域分析も必要なのかと思っております。実際に指標の取り組みはできていないのだけれども、地域でもう既にそのような体制が整っていたりというところもしっかり見ていって、本当に足りない部分を評価していく必要があると思っております。
また、今回制度の改善、来年度に向けた取り組みについて示されておりますけれども、この辺も含めてよりよい制度にしていく中で、この目的が、まずは全体の底上げかと思っておりますので、その部分の強化というところも、格差がより広がるような制度になるというのはどうなのかと思っているところでございます。
この辺はまた意見交換をさせていただければと思います。
2点目ですが、健康づくりと介護予防の推進につきましては、これは我々もしっかりとやっていく必要があるところかと思っております。
対象者を見ますと、当然状態ですとか年齢も幅広く、連続しているような状態の中で、これまで県の体制、市町村の体制等も、制度の縦割りという中で、組織の縦割りもあったのかと思っております。取り組みにくいという状況があったかと思います。
本県でも未病改善ということをテーマに、行政、県民だけでなく、民間企業等も巻き込みながら全体に幅広い議論をしているところですので、今回の一般介護予防の推進方策の検討会も、より幅広い議論の中で、例えばインセンティブをどうしていくのか、持続可能にしていくためにどういう指標が必要なのか等を議論できればと思っておりますので、期待しております。
以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。
齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 13ページの論点に沿って、幾つか意見を申し上げたいと思います。
地域包括支援センターのあり方として、時代の変化と共に所掌する業務が多様化し、また、利用者の価値観も多様化していることから、業務自体が非常に複雑になり、負担が増大しているということはデータからも推察されます。評価指標の達成度が現状8割程度に留まっている背景には、財政的な問題や人材確保の問題があろうかと思います。
現状でも業務量に応じた専門職の配置ができていないことを考えますと、今後人材確保の手だては本当にあるのか、これからの人口減少社会の中ではなかなか難しいのではないかと考えています。現行体制において地域包括支援センター機能をますます発展させていこうとすると、地域包括支援センターにとって「本当に重要で、且つ本丸的にやらなければいけないことは何か」をもう少し明確にした上で、事業の切り分けも検討すべきではないかと思います。そういうふうに考えていきますと、個別のケアよりも、地域全体を見越した連携、調整等の職務に軸足を置かざるを得ないと考えます。
先ほど東委員のご発言にもあったように、事業者に任せられるものはそちらに移行していくということでもよろしいのではないかと考えますし、そういった移行等の方策を国が示して、市町村が選択していくということでもいいのかと考えております。
先ほど伊藤委員のご発言にもありましたように、運営方針として委託が増えていくことはやむを得ないと思いますが、市町村が明確に運営方針を定め、大事な情報は市町村の保険者にちゃんと上がってくるという仕組みは担保していただきたいと考えています。
ケアマネジメントに関しましては、ケアマネジャーの資質向上、業務効率化にこれまでも施策として取り組んできましたが、資料の49ページの中にあるように、ケアマネジャーの負担が大きい業務として、医療ニーズを有する方への対応の一環である「医療機関・主治医との連携・調整」や「初回のケアプランの作成」「利用者の状態像に関するアセスメント」が明らかになっています。
ケアマネジャーがその資格、能力を十分に発揮できるような環境をつくっていくということが非常に重要であると思っております。このたび日本看護協会が実施した老健事業において、地域の訪問看護師が、ケアマネジャーからの御相談にのり支援をする事業を実施致しました。実際に相談窓口を利用したケアマネジャーの方からは、「医療機関や主治医との連携が非常にスムーズになった」「利用者が抱えている疾患や状態像がしっかりと把握できた」、「御家族や御利用者の方に納得の得られる説明ができた」といった評価をいただいております。
相談者の中には、地域包括支援センターからの御相談もあり、非常に複雑な事柄を抱えている方々についての御相談が多かったという印象がございますけれども、こうした地域の既存の資源を使って、相談支援の仕組みを地域で事業化していくことも地域包括支援センターの業務軽減や、地域全体のケアの質の向上に貢献できるのではないかと考えています。
地域支援事業全体につきましては、保険者である市町村が地域分析をしっかりと行い、事業計画に反映していくことが非常に重要ですが、先ほどのマンパワーの問題や、行政の職員が数年単位で異動していくといった背景もあり、専門外の職員に地域分析のノウハウを醸成していくことはなかなか難しいのではないかと考えています。
先ほど保健師の話も出ておりましたが、介護保険の主管部門に保健師を配置して、地域分析をしっかりと実施できる体制構築が必要です。とはいえ、小規模な市町村においては、保健師の確保が難しいケースもあろうかと思いますので、複数の市町村における保健師の共同や、都道府県・保健所からの支援の検討、そして、私たちはプラチナと呼んでおりますけれども、行政を定年退職したプラチナ保健師がネットワークを活用し、市町村の支援に入るということをやっているところもございますので、ぜひそういった取り組みを広げていっていただきたいと考えています。
以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。
大変申しわけないのですけれども、本日9時から始めたのは、私のこの後の都合でさせていただいたということがありまして、ぜひ全員に当ててお話ししていただきたいと思ったのですが、これは次回優先的にそこからお話をしていただくという形で、これをもって終了させていただければと思っておりますが、簡潔であればあと1人か2人ぐらいは。
先ほどケアマネジャーの話が出ましたので、申しわけないですが濱田委員、佐藤委員にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○濱田委員 申しわけございません。
論点の地域包括支援センターとケアマネジメントについて、主に述べさせていただきたいと存じます。
評価指標につきましては、評価を受ける側のセンターの負担感も今後は考慮して、集約化、簡略化も必要ではないかということ。また介護離職ゼロの相談窓口ということでございますが、まずは周知を進めていくことが重要だと考えます。
一方で、業務用務負担感のことがこの間もずっと出ておりますので、例えば要介護者は特定事業所加算を算定する一定の機能がある居宅介護支援事業所が、職員が365日相談受付をするという形になっておりますので、窓口の二次的な部分として連携していくことが期待されるかと思っております。そうはいうものの、両センターも事業所のほうも、職員数3~4名の体制ということでございますので、例えば365日稼動している介護保険施設等との連携、こういうバックアップも含めて、介護離職ゼロの窓口を進めていってはということも考えております。
また、ケアマネジメントにつきましては、先ほど11ページにも※印で記載していただいておりますが、本当に質の向上に向けては適切な手法の策定や研修の充実等の取り組みが重要と考えております。
具体的には30年改定で、医療等の連携、診療報酬、ないしは障害福祉分野、地域共生社会ということで、両分野の知識、連携を進めていくということです。加えて、研修の中でこれをどれだけ盛り込めるか。時間数も限られておりますが、こういうことも含めて行っていく必要があると考えております。
また、保険外サービス、多様なサービスについては、制度施行当初、例えば草むしり、イヌの散歩というふうに、有償のサービスとの複合が少し、これはだめだということでございまして、先般、通知でうまく切り分けて、ケアプランで行っていくということを出していただいておりますので、こういったことの普及と、さらなる普及に関しましては、例えば介護予防や自立支援に資するような保険外サービスを集約して閲覧できるようにしていくなど、こういうことが重要ではないかと考えております。
また、先ほど齊藤委員のほうからも御発言がございましたけれども、例えば健康や医療に関する相談窓口、それぞれの分野の多職種連携を行う上で、専門領域において深掘りをするということで、もちろんかかりつけ医との連携のもとということでございますが、こういう窓口がふえていくということは非常に有用ではないかと考えております。
また、東委員が御指摘の通所リハビリテーションの利用に関しましてということでございますが、内容を少し深掘りしてみないとわからない部分もございますが、例えばこの認知症利用者の場合は、家族介護者もあるケースも多かったりいたしまして、レスパイトなど複合的なニーズに対応した結果そうなっているとか、認知症の方特有の情動行動の関係で、同じ事業所に通うようにしたほうがいいとか、あるいは、現在、更新研修のほうではリハビリテーションと福祉用具というカリキュラムがございますが、個々の研修コンテンツにつきましてしは都道府県で作成されているということで、その中身を、リハビリテーションと認知症の方という結びつけについて、私ども協会のほうでも力点を置いていければと思っております。
協会では研修テキストも作成しておりますが、まだ採用が半数程度ということで、リハ3団体ないしはリハビリテーション病院協会と関係団体とも合同研修会も開催しておりまして、企画につきましては本日の内容も伝えていければと思っております。
また、包括支援センターの職員の職場環境ということです。例えば給与費でありますとか正規、非正規とか、そういう経営実情のようなものは包括がございませんので、そういう職場環境の改善によって少し機能強化、バックアップもできればいいのではないか。
これは意見でございます。以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員 簡潔に。
先ほどから何人かの委員から、交付金による自治体への誘因づけという話が出ていますけども、中長期的には、例えば社会参加や健康づくりに向けた、個人に対する誘因づけをどうするかを考えてもいい。具体的には、例えば健康ポイントのような形、あるいは保険料の減免とか、そういう形で、個人に対してどう働きかけていくかということは、少し検討課題としてあっていいかと思います。
以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。
まだ若干ありますので、武久委員、鈴木委員の順番で、簡潔にお願いいたします。

○武久委員 これは前のときに総合事業、介護予防について、要支援と要介護の人と少しサービスを上げましたけれども、そのときにちょっと危惧していたのですが、要するに地方の田舎に行きますと、なかなかうまくいかない。先ほどの高松市長のように40万もあればいけるのですけれども、民間事業者は利益が出ないところは出ていかないわけですので、一応全国的には保険というのは、住むところによって保険料とサービスの利用のバランスがとれているということが一番必要だと思うので、問題は、介護保険料も差が大きいということです。ですから、私としては、国民健康保険が18年に、保険者が市町村から都道府県になったように、介護保険もそろそろそういうふうにしないと、その場所によって物すごくサービスの差が大きくなるということで、この辺のことを少し考えていただけたらと思っております。
以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。御協力ありがとうございます。
鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。
私は今後の問題ということもあると思うのですが、総合事業等について、制度的に対応が必要な点はあるかという論点です。
私は非常に大きな問題があると思っていて、御存じのように、高齢者をこの場では、高齢者という一くくりでかなりよく見ておりますけれども、前期の高齢者と後期の高齢者は、以前にも申し上げたのですけれども、全く違う集団だということをもう一回きちんと考える必要があるだろうと思います。
資料にもたくさん出ていますけれども、14歳未満は今、1500万ですが、前期の方が1,700万、後期の方が1700万ということで、子供の数より多いのです。3400万を一くくりにしてしまって、1号被保険者は全部65歳以上ですから、制度的に見てしまうのですけれども、実態としてはかなり違う。
こういったことを見ていくと、例えば13ページと14ページの高齢者の健康度についても、全く違う集団だということが御理解できるかと思います。
そういうふうに、前期と後期というふうに一つの区分けを入れることによって、例えば前期の高齢者にとっては何が必要なのか、こんなに若返っている高齢者にとって、本当に通いの場というものが必要なのか。それから、後期高齢者が増加していく中で、健康寿命の延伸を一切伸ばすということは、現実に本当に可能なのか。前期の場合は伸びしろが大きいですから可能ですし、疾病予防が大きな意味を持ちますけれども、後期の高齢者の場合は、もう老化そのものが一つのリスクになりますので、なかなか健康寿命を延ばすというのは難しい。
それから、制度的に見て、ポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチのあり方も前期と後期では全く違うだろうと。それから、インセンティブに関しても、例えば後期高齢者が非常に多い市町村と、前期高齢者が非常に多い市町村とでは、先ほど申し上げましたけれども、よくなる伸びしろが違いますから、そういったことをきちんと調整しないと、後期高齢者の多いところではなかなかインセンティブがつかないといった問題も出てくる可能性が大きいということで、そういう点はもう少し、高齢者の特性に応じた制度のありようを考えていく必要があるのではないかと思っております。
以上でございます。

○遠藤部会長 どうもありがとうございます。
今まで御発言をされていない方、ほかにございますか。よろしゅうございますか。
どうもありがとうございました。本日は非常に積極的な御意見をありがとうございました。感謝申し上げます。
また司会の不手際で、時間がかなりオーバーしてしまいました。おわび申し上げます。
それでは、本日はこれにて終了したいと思います。次回の開催につきましては、また追って事務局から御説明をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
それでは、長時間どうもありがとうございました。
 
(了)

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