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2017年11月16日 第1回循環器疾患の患者に対する緩和ケア提供体制のあり方に関するワーキンググループ 議事録

健康局がん・疾病対策課

○日時

平成29年11月16日(木)14:00~17:00


○場所

田中田村町ビル・貸し会議室 8階8E会議室


○議事

○岡田がん・疾病対策課長補佐 定刻となりましたので、ただいまより、第1回「循環器疾患の患者に対する緩和ケア提供体制のあり方に関するワーキンググループ」を開催いたします。

 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 事務局を務めさせていただきます厚生労働省健康局がん・疾病対策課の岡田と申します。座長が決まりますまでの間、進行を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 初めに、ワーキンググループの開催に当たりまして、がん・疾病対策課長の佐々木より御挨拶申し上げます。

○佐々木がん・疾病対策課長 先生方、皆さん、こんにちは。厚生労働省がん・疾病対策課長の佐々木でございます。

 構成員の先生方、皆様におかれましては、このたびは御多用中にもかかわらず、循環器疾患の患者に対する緩和ケア提供体制のあり方に関するワーキンググループの構成員をお引き受けくださり、また、本日は、初回、第1回の会合に御参集いただき、まことにありがとうございます。また、平素より緩和ケアの推進のみならず、厚生労働行政全般の推進に格別の御指導、御協力を賜り、重ねて心から感謝を申し上げる次第でございます。

 当課も、がん・疾病対策課として発足してから2年余り、25カ月が経過いたしました。現在、さまざまな政策の横展開を図っているところでございます。緩和ケアで申し上げますと、昨年12月に改正されましたがん対策基本法の中で初めて「緩和ケア」の用語が法律で規定されました。具体的には「がんその他の特定の疾病に罹患した者に係る身体的若しくは精神的な苦痛又は社会生活上の不安を緩和することによりその療養生活の質の維持向上を図ることを主たる目的とする治療、看護その他の行為をいう」と明記されたところでございます。このように、緩和ケアの対象とする病気をがんだけではなくほかの病気に対しても広げていくといった横展開がございます。この法改正を具体化していく中で、私ども政府内でもがんの緩和ケアに関する検討会で、まずは循環器等についてワーキンググループを設置して検討すべきとの提言をいただいたところです。

 また、先ほど御紹介申し上げたとおり、法律でも明記されたところでございますので、立法府、国会議員の政策責任者レベルの方を含め、法律の趣旨に私どもの取り組みがかなうのかどうか。また、先月閣議決定いたしました第3期がん対策推進基本計画との関係、整合性はどうかなど、患者さんや現場の御意見を伺う機会をいただきながら議論し、そして、本日、本ワーキンググループの設置、開催に至りました。

 横展開に関してもう一点申し上げますと、先ほど御紹介いたしました第3期がん計画の中では、これまで医療の均てん化を中心とした構成となっていましたけれども、予防、医療、社会との共生と3本柱の構成とし、横展開を図っているところです。

 一方、臨床の現場では、先生方皆様の前で申し上げるのもなんですけれども、循環器における緩和ケアは、我が国でも国立循環器病研究センターで最初に組織的に取り組んで以降、徐々にではありますが、広がりつつあるところと認識しております。こうした背景の中で構成員の先生方皆様におかれましては、開催要綱にあります「循環器疾患における緩和ケアの現状と課題」、「循環器疾患の患者に対する緩和ケアの提供体制のあり方」について幅広く御検討いただき、循環器疾患の患者さんに対する緩和ケアのさらなる推進に向けた活発な御議論の上、最終的には取りまとめをいただきたいと考えております。

 本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

○岡田がん・疾病対策課長補佐 続きまして、構成員の皆様方の御紹介をさせていただきます。

 恐縮ですが、お名前を呼ばれた際に御起立いただき、一言御挨拶をいただきますようよろしくお願い申し上げます。

 淀川キリスト教病院緩和医療内科主任部長、池永昌之構成員でございます。

○池永構成員 淀川キリスト教病院の緩和医療内科、池永でございます。

 今回は、この循環器疾患の緩和ケアについての話し合いの場に参加させていただけること、本当に感謝いたします。

 私自身は、がんの緩和ケアがこれまで専門ではございましたが、特にホスピスや緩和ケアチームという場を通して仕事をしてまいりました。そのようながんに対する緩和ケア、また、緩和ケアチームの働きにおいて、どのような形で循環器疾患の緩和ケアに参加できるか。特に症状緩和やみとりなど、そのような形で何かお仕事をさせていただけたらと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○岡田がん・疾病対策課長補佐 日本心臓ペースメーカー友の会副会長/神奈川支部長、井上美枝子構成員でございます。

○井上構成員 日本心臓ペースメーカー友の会の井上と申します。

私自身、ペースメーカーを装着しております患者でございます。患者の立場からの思いをお届けすることで、これからの御議論のお役に立てればと思っております。先生方には今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

○岡田がん・疾病対策課長補佐 公益社団法人日本看護協会常任理事、川本利恵子構成員でございます。

○川本構成員 日本看護協会の常任理事をしております、川本と申します。日本看護協会では、主に継続教育、看護師さんの教育、資質向上に対することを所掌しております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

○岡田がん・疾病対策課長補佐 広島大学大学院医歯薬保健学研究科循環器内科学教授、木原康樹構成員でございます。

○木原構成員 広島大学の 木原 と申します。

 親会議でもお世話になっている先生方はたくさんいらっしゃいます。引き続きよろしくお願いいたします。

 私は、広島で心不全患者をチームでどう診るかという活動を行ったり、あるいは日本心不全学会で高齢者心不全に関してのステートメントをまとめたりしながら、緩和ケアを勉強中でございます。どうぞ御指導のほどよろしくお願いいたします。

○岡田がん・疾病対策課長補佐 公益社団法人日本医師会常任理事、羽鳥裕構成員でございます。

○羽鳥構成員  羽鳥と申します。日本医師会では学術担当です。また専門機構理事をしております。

 私自身は、神奈川県の川崎というところで、内科医会の会長、循環器も専門として心房細動レジストリ研究などをしております。引き続きデータ追跡を行っています。よろしくお願いします。

○岡田がん・疾病対策課長補佐 東京ふれあい医療生活協同組合副理事長/梶原診療所在宅総合ケアセンター長/オレンジほっとクリニック所長、平原佐斗司構成員でございます。

○平原構成員 平原でございます。

 東京の北区でおおむね2526年、在宅診療、地域医療に携わっております。私自身は在宅医療をライフワークとして取り組んできているのですが、当然その中でさまざまな病気、疾患のエンドオブライフケアに携わることが多くなりまして、十数年前からになりますけれども、がんではない方の緩和ケア、終末ケア、エンドオブライフケアをどうするのかということの問題意識をずっと持って、非がん疾患の緩和ケアに長らく取り組んでおります。そういう立場と、循環器の専門ではございませんので、非選択的な在宅診療をしている立場からこの会に参加させていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○岡田がん・疾病対策課長補佐 川崎医科大学総合医療センター看護部長付参与/川崎医療福祉大学保健看護学科特任教授、山田佐登美構成員でございます。

○山田構成員 山田でございます。

 私は、15年前に看護管理者として日本循環器看護学会を何人かの有志と立ち上げて、その後、慢性心不全の認定看護師教育を日本看護協会に申請して、今、教育を継続しているところなのですけれども、きょうは看護管理者あるいはそういった学会等の活動を通してプレゼンをさせていただけたらと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○岡田がん・疾病対策課長補佐 なお、本日は、北海道大学大学院医学研究院循環病態内科学教授、安斉俊久構成員より、御欠席の御連絡をいただいております。

 続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。

 健康局がん・疾病対策課課長の佐々木でございます。

 同じく、がん対策推進官の丹藤でございます。

 同じく、課長補佐の久保田でございます。

 同じく、専門官の小野でございます。

 なお、事務局の健康局がん・疾病対策課課長補佐の権は公務により途中参加になりますことを御報告いたします。

 事務局の紹介は以上でございます。

 それでは、資料の御確認をお願いいたします。

 議事次第

 座席表

 資料1   「循環器疾患の患者に対する緩和ケア提供体制のあり方に関するワーキンググループ」開催要綱

 資料2   「循環器疾患の患者に対する緩和ケア提供体制のあり方に関するワーキンググループ」今後の予定(案)

 資料3   がんにおける緩和ケアの提供体制について

 資料4   循環器疾患における緩和ケアについて

 資料5   緩和ケアにおける循環器疾患とがんとの共通点・相違点について(案)

 資料6   循環器疾患における緩和ケアの提供体制について~病院における現状と課題~(山田構成員提出資料)

 資料7   循環器疾患における緩和ケアの提供体制について~在宅医療における現状と課題~(平原構成員提出資料)

 参考資料1 心不全に対する緩和ケアの取組事例

 参考資料2 「心不全の定義」について(日本循環器学会・日本心不全学会)

 参考資料3 「がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会」における循環器疾患の緩和ケアに関する議論

 参考資料4 脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方について(抜粋)

 以上でございます。

 資料に不足、落丁等がございましたら、事務局までお申し出ください。

 以上をもちまして、カメラをおさめていただきますよう、御協力のほどよろしくお願いいたします。

(報道関係者退室)

○岡田がん・疾病対策課長補佐 本日は最初のワーキンググループとなりますので、座長を選任させていただきたいと思います。

 まずは、資料1の本ワーキンググループの開催要項をごらんください。「3.その他」(2)におきまして、「本ワーキンググループには、構成員の互選により座長をおき、ワーキンググループを統括する」とされております。構成員の互選により座長を選任していただきたいと思いますが、どなたか御推薦いただけますでしょうか。

 羽鳥構成員、お願いします。

○羽鳥構成員  座長は、経験も豊富で研究を多くされている広島大学の 木原 先生にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○岡田がん・疾病対策課長補佐 それでは、木原構成員に本ワーキンググループの座長をお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○岡田がん・疾病対策課長補佐 それでは、木原座長は座長席へお移りいただきまして、今後の議事運営をお願いいたします。

木原 座長、座長席へ移動)

木原 座長 本日は初回でございますので、議事に入る前に、まず、本ワーキンググループの目的やスケジュールなどについて事務局から御説明をいただきたいと思います。

 よろしくお願いします。

○岡田がん・疾病対策課長補佐 事務局でございます。

 お手元の資料1及び資料2をごらんください。

 まず、資料1の「1.趣旨」でございますが、平成28年5月に設置された「がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会」におきまして、(1)ウにございます循環器疾患の患者に対する緩和ケア提供体制のあり方を含めた議論を検討することとされ、平成2812月に取りまとめられました議論の整理におきまして、がん以外疾患の緩和ケアについては、今後の対策についてワーキンググループ等を設置して検討すべきであるとされました。これを受けまして、本ワーキンググループが設置されたところでございます。

 ワーキンググループのスケジュールに関しましては、資料2をごらんください。資料2にございますように、本日、第1回のワーキンググループを開催しております。こちらは、議事次第にございます3つの点に関する議論を予定しております。その後、第2回ワーキンググループを平成30年1月ごろに予定しておりまして、その際に「循環器疾患患者の全人的な苦痛について」、「循環器疾患における緩和ケアのチーム体制について」、「WGとりまとめの骨子案について」を議論する予定案としております。その後、平成30年4月ごろに第3回ワーキンググループにおきまして「WGとりまとめ案について」検討を行い、平成30年春~夏ごろに予定しております第8回がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会にワーキンググループの取りまとめを報告する予定としております。

 以上でございます。

木原 座長 続きまして、本日の議題「(1)循環器疾患における緩和ケアについて」をどのように考えるか、「(2)緩和ケアにおける循環器疾患とがんとの共通点・相違点について」に議論を移してまいりたいと思います。

 まず、資料3、4、及び5の説明を事務局からよろしくお願いいたします。

○久保田がん・疾病対策課長補佐 事務局の久保田です。

 お手元に、資料3を御用意いただけますでしょうか。

 資料3を用いまして、これまでの「がんにおける緩和ケアの提供体制について」を御説明させていただきます。

 スライド2、がんにおきましては、全国どこでも質の高いがん医療が提供できるように、がん診療拠点病院が全国に設置され、緩和ケアにおいても診療拠点病院が中心となり、がん患者に必要な緩和ケアの普及を図ってまいりました。

 スライド3、こちらは、拠点病院において取り組むべき緩和ケアについて示しております。意思決定支援、スクリーニング、緩和ケア研修会等の教育システムを通した基本的緩和ケアの普及、多職種支援を基本とした専門的緩和ケア、相談支援の体制、地域との連携体制等について取り組んでまいりました。

 スライド4、こちらについては、拠点病院における緩和ケアチームの体制について示しております。

 スライド5、こちらに関しては、都道府県がん診療連携拠点病院に整備されております緩和ケアセンターの体制について示しており、緩和ケアチームに加えて緩和ケア外来や緊急緩和ケア病床などの設置について定めております。

 スライド6、地域緩和ケアにおいて求められる地域連携体制について示しております。緩和ケアチーム、緩和ケア病棟、在宅緩和ケアが有機的に連携することを概念図として示しております。

 スライド7、こちらは、全国の緩和ケアチームを有する施設数について示したものになります。上の図におきまして、300床以上の病院におきましては56.4%の施設が緩和ケアチームを有していることに比べ、中小病院や有床の一般診療所においては緩和ケアチームを有する施設が少ないことを示しております。その一方、下の図におきまして、がんに比べ循環器疾患におきましては中小病院や一般診療所で見られている割合が高いことを示しております。

 スライド8、なお、その中で、特にこのがん診療連携拠点病院におきましては、およそ89.4%の施設が循環器研修施設も兼ねておることを示しております。

 スライド9、都道府県における緩和ケアチームを有する施設数と循環器研修施設数の表になります。こちらに関しましては、診療拠点病院と循環器研修施設がおのおの重なっている可能性があることを示しておりますが、実際の重複している施設数に関しては、次回以降のワーキングでお示しできればと考えております。

 スライド10、こちらでまとめになります。がんにおける緩和ケアにおる多職種支援、教育、意思決定支援、スクリーニング、相談支援、地域連携などにおいて、循環器の緩和ケアに対しても有用である可能性があるのではないか。また、院内及び院外の緩和ケアチームとの連携の有無も、循環器の緩和ケアに当たっては考慮すべきではないかということについて提案させていただきます。

 以上になります。

○岡田がん・疾病対策課長補佐 続きまして、資料4の説明をさせていただきます。

 お手元に資料4を御用意ください。こちらは「循環器疾患における緩和ケアについて」ということで、循環器疾患における緩和ケアを総論的に整理したものでございます。

 スライド2、こちらは2002年のWHOにおけます緩和ケアの定義でございます。下の段の和訳に「生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して」とございますので、緩和ケアの対象疾患はがんに限定されるものではございません。

 スライド3、こちらは同じくWHOから2014年に発行された資料でございますが、人生の最終段階に緩和ケアを必要とする者の疾患別割合、成人のデータでございます。こちらのデータによりますと、1位は心血管疾患、2位はがんになっております。このように、WHOのデータによりましても心血管疾患に対する緩和ケアのニーズは非常に高いものと考えられます。

 スライド4、こちらは本邦における心疾患の現状を示したスライドでございます。こちらは心疾患の病類別に見た死亡者数でございまして、左の円グラフに示しておりますように、心不全と急性心筋梗塞が心疾患の死亡の半数以上を占めております。また、この1位の心不全による死亡者数は、右の経年グラフにございますように、年々増加傾向にございます。

 スライド5、スライド6は、その死因の1位の心不全患者の本邦における現状を整理したものでございます。

 まず、スライド5の現状1でございますが、心不全患者の約70%は75歳以上の高齢者であり、今後患者数が増加することが予想されております。また、心不全患者は心不全増悪による再入院を繰り返しながら、身体機能が悪化する悪循環が特徴であり、患者の約2040%は1年以内に再入院するというデータがございます。下の右の絵は、心血管疾患から心不全の臨床経過の全体のイメージを提示したシェーマでございます。

 スライド6、こちらは心不全患者の現状2といたしまして、日本心不全学会から出ております、心不全患者の多くを占める75歳以上の心不全患者の治療に関するステートメントにおける高齢心不全患者の特徴を記載したものでございます。この上の3つ、Common Diseaseであり、その絶対数が増加していく。根治が望めない進行性かつ致死性の悪性疾患である。その大半が心疾患以外の併存症を有する。これが大きな特徴でございます。それに加えまして、なかなかエビデンスと言えるデータは限られていることや、自己管理能力に限界があることが多い。個体差が大きい等の特徴もございます。このような特徴を踏まえまして、ステートメントにおきましては、箱内にありますように、心不全患者の多くを占める75歳以上の高齢心不全患者の管理方針は、それぞれの症例の重症度や併存症の状態、社会的背景等の全体像を踏まえた上で検討することが推奨されております。また、かかりつけ実地医家等が地域で形成する診療体制を中心に、循環器専門医が所属する基幹病院が連携・支援する体制を提言しております。

 スライド7、このような現状を踏まえまして、こちらは先日行われました循環器病に係る診療提供体制の在り方に関する検討会の報告書より抜粋した「心不全対策の考え方について」でございます。こちらでは、1つ目にございますように、心不全の治療目標は、それぞれの重症度等により適切に設定される必要があり、状況によっては心不全に対する治療と連携した緩和ケアも必要とされております。2つ目には、先ほど申しましたように、管理体制としては、かかりつけ医等の総合的診療を中心に、専門的医療を行う施設が急性増悪時の入院治療や、多職種チームによる疾病管理などで連携・支援する体制の検討が必要であるとされています。また、3つ目といたしまして、このような幅広い心不全の概念を関係者間で共有することも重要であるとされております。シェーマは、心不全患者の臨床経過のイメージを示したものでございます。

 スライド8、このような背景等を踏まえまして、循環器疾患における緩和ケアに関する検討の方向性を案として提示しております。1つ目でございますが、循環器疾患の中でも、全ての心疾患の共通した、終末的な病態であり、今後の増加が予想される、心不全患者に対する緩和ケアを主に検討する。2つ目でございますが、心不全患者の臨床経過を踏まえた緩和ケアを検討するとしております。

 スライド9、この2つ目の心不全患者の臨床経過を踏まえた緩和ケアに関しましては、こちらを検討する上での論点の案といたしまして、この3つを提示しております。1つ目でございますが、心不全患者における緩和ケアのニーズの認識と概念の共有について。2つ目でございますが、心不全患者の臨床経過に伴う課題について。3つ目でございますが、多職種連携及び地域連携による心不全患者管理の一環としての緩和ケアについてとしております。それぞれ提示した論点案に対して、1つずつ現状等を記載したスライドを提示しております。

 スライド10、こちらは心不全患者における緩和ケアニーズの認識と概念の共有に関する検討の方向性の案としております。このように末期心不全患者の多くは呼吸困難などの身体的苦痛に加えて、精神心理的苦痛や社会的苦痛といった問題を抱えている。このような背景から、循環器専門医研修施設の98%が心不全患者に対する緩和ケアの必要性を認識しているというアンケート結果もございます。しかしながら、このような心不全患者に対する緩和ケアの提供内容については確立されたものがなく、具体的な内容は、施設や担当する医療従事者に委ねられているのが現状でございます。そこで、検討の方向性の案といたしまして、1つ目は、このような全人的苦痛を踏まえ、心不全患者に対する緩和ケアの提供内容について検討する。2つ目といたしまして、ニーズや提供内容などの心不全患者における緩和ケアの概念を、関係する医療従事者等の間で共有する方法について検討するとしております。

 スライド11、心不全患者の臨床経過に伴う課題に関する検討の方向性の案を提示しております。心不全患者は、さきに示しましたように、心不全増悪による再入院を繰り返しながら、身体機能が悪化していくことが多く、いわゆる難治性心不全となる時期の予測が困難であるといったことがございます。また、2つ目にございますように、原疾患に対する治療が症状緩和につながるため、最終段階においても、侵襲的な治療を含む原疾患の治療が、治療の選択肢に上がり得るといった特徴もございます。スライドのシェーマは、論文を参考に作成いたしました、身体機能の変化と従来のケア及び緩和ケアの強度について示したイメージ図でございます。箱内にございますように、このように難治性心不全となる時期の予測が困難であり、最終段階においても原疾患の治療が選択肢に上がり得るといった心不全患者の特徴を踏まえ、原疾患の治療と緩和ケアをどう並行して提供していくべきかについて検討するとしております。

 スライド12、こちらは多職種連携及び地域連携による心不全患者管理の一環としての緩和ケアに関する検討の方向性の案としております。さきに述べましたように、心不全患者の管理体制としては、かかりつけ医等の総合的診療を中心として、専門的医療を行う施設が連携する体制が必要であるとされておりまして、また、個々の高齢心不全患者の管理方針は、さまざまな全体像を踏まえた上で検討することが推奨されております。このような心不全患者に対する多職種連携のイメージは左のシェーマに提示しておりまして、このように多職種で情報を共有した上で管理方針を決定し、患者の状態に応じた多職種の介入が推奨されております。右の図は、7月の診療提供体制に関する検討会の報告書にございました心血管疾患患者の診療提供体制のイメージ図を簡略化したものでございます。このように多職種連携及び地域の現状に応じた地域連携体制による心不全患者管理の中で、いわゆる緩和ケアに関連する職種がどのように連携していくべきかについて、これまでの取組事例を踏まえながら検討するとしております。

 これまでの取組事例の参考資料といたしましては、本日の参考資料1に提示しております。

 次に、資料5をお手元に御用意ください。資料5は、「緩和ケアにおける循環器疾患とがんとの共通点・相違点について(案)」としております。このように(案)としておりますのは、今後のワーキンググループにおける議論を踏まえましてリバイスしていくことを想定しております。

 スライド2、「循環器疾患(心不全)とがんとの主な共通点・相違点」は、疾患特性についてと緩和ケアについての2つに分けて、それぞれ共通点と相違点を整理したスライドでございます。まず、疾患特性についての共通点でございます。生命を脅かす疾患。終末期の強い症状や苦痛、いわゆる全人的苦痛です。症状や苦痛に伴い、ADLが低下。相違点といたしましては、疾病の経過と、経過の違いに伴う予後の予測。また、患者の年齢層と主に受療している医療機関。緩和ケアに関する項目といたしまして、共通点といたしましては、ともに適切なコミュニケーションの中での意思決定支援が必要である。症状の緩和及び苦痛の除去が必要である。家族へのケアも必要である。多職種介入や地域連携が有効である。相違点といたしましては、原疾患に対する治療の症状緩和及び苦痛の除去への影響、適切な緩和ケア導入のタイミング、緩和ケアに使用する薬剤の原疾患への影響としております。

 スライド3とスライド4は、それぞれ循環器疾患とがんとの主な相違点に関しまして、少しデータを提示したものでございます。

 スライド3、「疾病の経過について」という形で、箱内にございますように、がんは、比較的長い間機能は保たれ、最期の2カ月くらいで急速に機能が低下する経過をたどりますが、心不全は、増悪と寛解を繰り返しながら、徐々に機能が悪化する経過をたどり、最期は比較的急速に低下いたします。急性増悪期にも、治療により症状や機能が改善することも多く、増悪時に今後の経過を予想することは難しい。それぞれの経過のイメージを、左側にがん、右側に心不全等の臓器不全という形で提示しております。

 スライド4、こちらは患者の年齢層と主に受療している医療機関についてのデータを提示しております。このようにがん患者に比べて心疾患患者の年齢層は高く、特に心不全患者の年齢層はさらに高いというデータがございますし、先ほど提示しましたように、がん患者に比べまして、心疾患患者は中小病院や診療所で受療している割合が多いというデータを示してございます。

 以上でございます。

木原 座長 事務局から、がんの緩和について、がん以外の循環器の緩和について、両者の疾患あるいは緩和という側面からの相違について説明があったところでございます。今の説明の資料3、4、5を中心に、ディスカッションをしてまいりたいと思います。忌憚のない御意見をいただきたいと思います。

 もう一度今回ディスカッションしたいポイントとしてまとめますと、まず、循環器疾患における緩和ケアの要点です。何をすることが循環器疾患においての緩和になるのか。循環器疾患に対して緩和ということがそもそも必要なのかというディスカッションも必要かと思います。循環器疾患の中で心不全が緩和の対象ということになりつつありますが、これは正しい方向だろうかというディスカッションもいただきたいと思います。がんの緩和に関しては親会議等でもディスカッションされていますが、非がん、循環器領域の緩和についてディスカッションをするときに、場合によってはそこの問題点を整理する必要があるかと思います。

 相違点として資料5に非常に簡潔にまとめていただいておりますが、本当にこの認識でよいかということも構成員の先生方にお伺いしたいところでございます。もっと別の視点があるかもしれませんし、あるいは、がんと非がんとの間で共通している部分もまだあるかもしれないと思います。

○羽鳥構成員  1つ質問なのですけれども、資料4のスライド5の右下なのですけれども、2020年までこのブルーのバーが上を向いていますが、2030になるとバーが下を向くというか、同じぐらいの数になるのですが、これは人口が減るからということでいいのでしょうか。それとも、治療が進むのでこれ以上は心不全患者さんがふえないのではないかという予測なのでしょうか。

○岡田がん・疾病対策課長補佐 こちらのデータに関しましては、アメリカにおける年齢構成から見た心不全患者の比率のデータを、日本の今後の人口構成の推移に当てはめた推計値でございます。治療等々に関しては恐らくこの推計には入っておらず、あくまで年齢構成の推移から見た推計値でございます。

○羽鳥構成員  高齢者の人口がそろそろ減ってくるからということですか。

木原 座長 私の認識はそんな感じでございます。全体の人口が減る中においてもそのあたりがピークになるだろうという考え方ではないかと思います。

○羽鳥構成員  もう一つ、そのスライド7、8のあたり、脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方に関する検討会は私も出席させていただいたのですけれども、これから心不全の患者さんが非常にふえてくる、非常にふえてくるけれども、必ずしも全ては入院できないだろうということなので、今後のあり方として緩和ケアが必要になってくるということはとても大事だという議論をされていましたので、この緩和ケアに関する検討会でしっかり議論をしていただきたいということには賛成いたします。

○池永構成員 心不全の患者さんを多く見ているわけではないので、緩和ケアの立場から御質問なのですが、資料4のスライド10、心不全患者さんの終末期の苦痛という頻度が書かれております。呼吸困難、倦怠感などはよくわかるのですが、3番目に疼痛というものがございまして、がんの疼痛は非常にイメージをしやすいのですが、心不全患者さんの末期の疼痛というのはどのような痛みでどんな治療が行われているのかということが気になったのですけれども、結構頻度が高くて、心不全の患者さんは結構痛みが出るのだなと感じましたが、その点、経験のある先生方から何か教えていただけたらと思っておりますが、いかがでしょうか。

○岡田がん・疾病対策課長補佐 こちらのデータに関しましては、心不全の症状でいわゆるNYHAの分類が高くなるほど疼痛頻度が高いというデータは実際にございます。その疼痛の治療をする際に、NSAIDsなどさまざまな治療手段がありますけれども、NYHAの分類が上がるほど腎機能障害等も合併するケースがございますので、選択薬に難渋するケースがあることは承知しております。ただ、疼痛の原因が何によるものかということに関しては、なかなかはっきりしたものがなく、恐らく心拍出量の低下による症状なども、含まれている現状ではないかと理解してございます。

○木原座長 がんのようなここが痛いというのとは違うのではないかと思います。身の置きどころがないという訴えを我々循環器の医者としてはよく聞きます。これも一種の疼痛という理解でよろしいかもしれないと思います。あそこが痛い、ここが痛いというがんの割とローカルな訴えと少し違って、身のやり場がないという言い方がよく聞かれるという感じがいたします。

○羽鳥構成員  私自身も、拙い経験ですけれども、心不全の末期に近い方を外来でみています。外来で見ているような人だと、足の痛み、座っていて、足がぱんぱんに張ってきて、この激痛は何だろうということで整形外科に行かれますが、心不全による下肢浮腫で内科に戻ってきます。利尿剤、サムスカ投与で心不全の治療をする、または、治らずに入院させてもらって、1週間ぐらいすると楽になって帰ってくるということなので、心不全の方の入院・外来を繰り返すことはしばしばあります。

○平原構成員 痛みに対してどういったエビデンスがあるかはわからないのですけれども、資料7の後ろに痛みに対しての対策の中で、血管痛、骨痛、狭心痛があることに対して、こういう治療のエビデンスがあるというエビデンスのレビューがございますけれども、そういう循環器ならではの痛みがあるのだろうとは推察するのです。ただ、在宅で多い超高齢者の心不全では、なかなか痛みの訴えも少ない方々ということもありました。非がん全般に言えることですけれども、海外の文献を読んだ印象よりも日本人の高齢者の疼痛は少ないという印象を持っておりますが、その辺の実際のエビデンスを日本人できちんとつくらないといけないかなという気がいたしております。

○山田構成員 私たち看護側から見ても、倦怠感と呼吸困難に紛れているのかどうか、どこが痛いという訴えはほとんどなくて、あるとすれば、血管病なので末梢血管が非常に狭くなっていけば下肢痛といった訴えが部分的にある場合があるので、そのことなのか。呼吸困難や、身の置きどころがないと先ほど木原先生がおっしゃっていたようなときは、本当にベッドの上で七転八倒なので、ある意味、筋肉痛のようなものとか、そういったものもあわさって「痛み」という表現。でも、患者さんはほとんどどこかが痛いという直接的な訴えはなさらないように思います。

木原 座長 固定した痛みではないですね。

○山田構成員 はい。

○佐々木がん・疾病対策課長 事務局からで恐縮ですけれども、よくがんの場合の疼痛で麻薬の使用量が話題になるのに対して、循環器領域の先生方は、疼痛があるから麻薬の処方ということはほとんど経験がない、または、その軽減策も麻薬という選択肢は余り考慮には上がらないという理解でよろしいでしょうか。それよりはむしろ先ほどの羽鳥先生がおっしゃったような、血管系または利尿剤をすることによって血流のボリュームコントロールということでよろしいでしょうか。

○山田構成員 私が言うのもあれですけれども、患者さんで本当に呼吸困難感が、単に利尿剤がある程度効いたりいろいろな循環器系のお薬で取れるかというと、完全には取れなくて、そのことによって夜に寝られない、体動もほとんどできない、倦怠感もますますそれによって増してくるという悪循環、それはある程度麻薬や鎮静剤のようなものをうまく使わないと、なかなかコントロールはできないです。がんのように痛みを取る麻薬の使用というよりは、そういった二大徴候など、そのあたりを緩和するために麻薬の使用は必要だろうと思いますし、既に循環器内科の先生たちも最近は麻薬を使ってくださるようになってきました。

○平原構成員 数は少ないのですけれども、会議のこの後に私どものデータをお示ししますけれども、在宅で心不全末期として緩和ケアを提供した18例を調べてみたら、大体私のところでは4割弱、モルヒネ、麻薬を使っておりました。ただ、2ミリ、3ミリの少量の投与が多くて、それはほとんど呼吸困難に対してで、痛みではほとんどなかったと思います。

木原 座長 麻薬を使う段階はかなりレートステージ、がんよりももうちょっと遅いということがあると思いますし、痛みの緩和というよりはむしろ呼吸困難や全身倦怠の緩和のために使われているというのが現実ではないかと思います。

 もう一つは、心不全はよくなることもあるのです。がんの場合にはなかなか改善ということがないですが、心不全の場合には鬱血などを少し管理できた場合、完全ではないにしろ、改善するという経過ががんとは違う部分と思います。

○井上構成員 私ども患者も家族も「緩和」、「緩和ケア」という言葉はもちろん存じております。ただ、これまでの概念では、がん治療のそのプロセスの中で行われるものであるというような固定した思いがありましたので、今、循環器疾患を患っている本人と、恐らく家族も、ドクターから「緩和ケア」という言葉をお聞きしたら、非常に絶望的と申しますか、積極的な治療はもう受けられない状況になってしまったというイメージを持ってしまうだろうと思います。患者自身も、医療を御提供くださる先生方ととも 「緩和ケア」という概念を正しく理解しておきたいと、この御議論の中で強く思っているところでございます。

木原 座長 とても大事なポイントだと思います。

 我々は、がんの領域ではがんに対しての治療のなかで、これはだめだというところから緩和へ切りかえたというイメージがあります。循環器の領域は、だめだから次は緩和ですねとはなかなかできない病気ではないかという御意見もたくさんあります。緩和と言われたらもう後がないということでは必ずしもないと感じておりますが、そういう点ではいかがでしょうか。

○佐々木がん・疾病対策課長 井上構成員、御指摘ありがとうございます。

 まさにがんの領域でもそのことが大きなテーマになっておりまして、緩和ケアの持つ、どうしてもかなり重くなってからというところからの払拭、具体的に言うと、診断されたときから緩和ケアは並行して治療として行うものだと。もちろん国際的に使われる場合の多くはもう少し進行してからですけれども、我が国で、日本でこれから目指そうとしている姿としては、診断されたときからも、もちろん治るという治療を行う場合でも、その前提として、緩和ケアの資料4の定義の中にありますような、さまざまな病気に伴う痛みがあります。それに対してどうサポートをしていくのかということですので、今、御指摘いただいたその言葉の持つイメージを、その言葉の概念とは別に、持つイメージで、それによって患者さんも御家族ももちろん、医療を行う医師、看護師、そのほかチーム医療の皆さんが同じ共通の考え方を持って立てるような広げ方が非常に重要だということで、今の御指摘を受けとめたいと思っています。

 それに関連して、「心不全」という言葉の持つイメージも恐らく国民の間ではさまざまかと思います。その意味では、参考資料2で先月末に日本循環器学会、日本心不全学会が改めて国民の皆さんに問いかける形で心不全の定義を示されたというのは、形は違いますけれども、同じように、患者さんと同じ立場で病気と闘うときに、その言葉が持つイメージの共有を図ろうとする動きだろうと思いますので、あわせて参考資料2もこの場をかりて紹介をしたいと思います。

木原 座長 参考資料2の心不全の定義は、循環器学会と心不全学会が国民に「心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です」と、できるだけ簡略に要点をメッセージとして伝えようという定義がなされております。結構中身は厳しいことが書いてあるということは理解できるのですが、もう一つ、心不全という病気の理解もとても大事な問題になってきていると思います。

 まず、御議論いただきたいのは、循環器領域で緩和を考えていくということは大事だということと、それから、循環器領域の疾患の代表としてこの緩和を考える上で取り上げる病気が心不全でよろしいかというあたりをまとめたいと思います。

○羽鳥構成員  もちろん心臓疾患は心不全だけではないし、これにも書かれているように、まずは、正しい治療、根本的な治療をすべきということがあるのだと思いますけれども、今回のこの会の中での方向性としては、心不全にターゲットを絞ってきちんとしたまとめが必要ではないかと思います。

 1つは、循環器の専門の病院など、そういうところでは先ほど緩和ケアのチームがあるというお話もありましたけれども、一般の先生、開業している我々循環器を比較的専門としている先生たちにとっても、例えば、麻薬を持たない先生も多いし、麻薬の使い方を私はがんではないから勉強しないという方もいらっしゃるわけなので、レベルはたくさんあると思います。ありますが、その取っかかりになるような指針はここで示していただけたらありがたいと思います。

○川本構成員 看護におきましても、緩和ケアの始まりはがんからでございまして、背景としてどうしても疼痛コントロールが大事な状況でした。そして、もっと緩和ケアを広い概念で捉えようとなったときに、対象となる症状は一体何だろうかということで、まず、痛みは指摘されたのですけれども、倦怠感ということで広がり、精神的な症状へとだんだん拡大していったわけです。

 それでは、緩和ケアとは一体何かということで、また概念をもう一回見つめ直した経緯がございます。これからもしケアにあたるとすると、私たち看護職も、まず、がんの緩和ケアをやっている看護職から広がっていくような状況になりますので、その定義や扱う症状の広がりなど、それを丁寧に議論していくことは大事なことと思っておりました。

木原 座長 川本構成員からもう少し広義で扱う必要があることと同時に、啓発、教育をどうやっていくかという御提案をいただきました。今までがんを中心にされてきた緩和行政がたどりついたところ、それがさらに補わなければいけない。これは循環器の領域だけに限らないと思うのですが、確かに緩和という概念はいまひとつ限定的で、心不全も国民の間に広く認知されているとは思えない、しかしそういうことにとても苦しんでおられる方が相当数いることは間違いがない。その苦しんでおられる方に何をどう差し伸べていくのか。しかもそれを施策として明確にしていくためには、定義、教育が必要です。みんなが言葉を同じ認識で語り合うことがかなり大事なパーツになるのではないかと思います。

○山田構成員 私たちも、今、急性期の病院におりますけれども、ここ数年は在宅医療にどうかかわるかということを模索している中で、最近、訪問看護ステーションであったり、在宅主治医の先生方と一緒に現状をお聞かせいただいたり見させていただいていく中で、慢性心不全の患者さんは、この統計にもありましたように、結構クリニックに通いながら何とか加療している。でも、次のステージC、或はNYHAの2はまだいいですけれども、3ぐらいになってくると介護度が非常に上がりまして、家から出られない。そうすると、残された時間だったり、自分の人生をより豊かに、その人らしく生きていくというところで、積極的な緩和のアプローチがないと、本当に閉じこもってしまって通院すらできない状況があります。往診と訪問看護そして介護サービスを利用しますが現実的にはそういう心不全の患者さんや循環器の患者さんが得意ですという訪問看護はほとんど私の近辺にはなく、急性期病院のナースと協働する必要があります。

 ですので、こういったことが提供体制として国の施策として動き出せば、もう少しその辺の地域の現状と急性期病院との関連とか、そういったことも改善に向かっていくのではないかと思いますので、ぜひ進めていただけたらと思います。

木原 座長 急性期と慢性期、拠点病院と在宅施設との間の連携が必要で、連携するためには同じ言葉で同じことを認識しなければなかなか連携できないということを山田構成員からおっしゃっていただいたと思います。

 介護やそういう問題も非常に大きなディスカッションの論点になってくるのではないかと思いますが、がんでは余り介護の話は出ていないですね。がんでは介護は出ていますか。

○佐々木がん・疾病対策課長 もちろん出てはおります。ただ、介護保険制度は、御案内のとおり、40歳から64歳の方もがんの方は使いますが、かなりステージや状態が進んでからということもあるので、それは別の言い方をすれば、資料5の裏面のこの進行の経過からすると、恐らく全身状態としての介護が必要な状態、要介護度がかなりぎりぎりのところまでは保たれているということも、もしかしたら関連するかもしれません。

 大きな進行の流れからすると、最終的には介護保険を使いながらということも必要ですけれども、それまでの途中の中でそれを使われる場面が少ないということもあって、これまでの議論ではそこまで多くは出てこなかった。それに対して、心不全の患者さんは隣にあるような進行経過ですので、恐らく介護保険との併用は積極的に御議論いただいたほうがよいかとは思います。

○木原座長 心不全の場合少し動いたら息が切れるというのがステージCであり、確かに著しく生活の機能が下がります。いわゆる自立生活ができなくなると同時に、Cになりますとほかの病気も悪くなるのです。腎臓も悪くなったり、肺炎を起こしたり、さまざまなことが一緒に起こってきます。実際に心臓の悪い人が心臓で死ぬかといえば、そうではない。併存症ということが病気の進行とともに一緒に出てくるというところがございます。

 平原構成員、そのあたりに関してコメントはございますか。

○平原構成員 心不全自身が85歳から90歳で有病率がふえますし、認知症も、高齢期に5歳刻みに倍加的にふえるということはありますし、肺炎もそうなのです。5歳刻みで倍加的にふえていくので、高齢者になればなるほどそれを複数の不全と複数の疾患を1人の方が持っているというのは当然あり得ることで、そこに肺炎などの引き金疾患が起こると、それぞれの病態が全部悪くなるという、私はこれを「病と障害・不全の連鎖」と言っていますけれども、そういうことが起こってADLが落ちていくということが、在宅や超高齢者を見ていると、日常的によくあるわけです。

 ですから、心不全1つだけというよりは、全身管理が重要であると、心不全学会の提言にも書かれていますとおりだと私も実感しております。

木原 座長 例えば、資料3のスライド3、地域拠点に求められる緩和ケアががんの領域でございます。7番に「切れ目のない地域連携体制の構築」ががんの中でうたわれていますが、これに関しては政策的にはどこまで踏み込んだことがされているのでしょうか。

○久保田がん・疾病対策課長補佐 ありがとうございます。

 がん対策推進基本計画の中でもこの地域連携体制のことに関しては盛り込まれております。特に現在がん・疾病対策課として取り組んでおります施策としましては、地域連携調整員を育成することによって、拠点病院、在宅、包括支援センター、そのほか緩和ケアにかかわるさまざまな職種を調整員が一堂に集めながら、地域の緩和ケアを考えていただくといった取り組みを行っていただいております。

 スライド6にありますように、調整員が、緩和ケアチーム、緩和ケア病棟、在宅緩和ケア、この3つの役割をスムーズな連携が可能となるように取り組みを行っております。

木原 座長 そこのところは完成していてうまくワークしているという認識なのですか。というのは、そこのところがうまくワークしていれば、循環器や心不全の緩和を考える上でもインフラはある程度できたという理解も場合によってはできるかもしれないのですが、そのあたりはどうですか。

○久保田がん・疾病対策課長補佐 ありがとうございます。

 拠点病院と各拠点病院をつなぐ周りの医療機関との連携に関しては、地域の連携クリティカルパスなどを通しながら少しずつ連携が可能となってきているとは思いますが、拠点病院以外の病院と在宅、在宅医療機関同士など、そういったことに関しての連携についてはまだまだ問題があるかという認識をしております。

○池永構成員 確かに 木原 座長がおっしゃるとおり、いわゆる拠点病院という大きな枠組みは二次医療圏を中心としたがん医療でございますが、その二次医療圏という大きな枠の中での拠点病院と、いわゆる地域の緩和ケア、特に地域のさまざまな職種が参加する地域包括ケアシステム、そこの融合が非常に大きな問題で、難しい点なのだろうとは思います。

 そのために、厚労省として地域緩和ケアの調整員という形で進めていくということで計画はされておりますが、そういう立場をどこに置くのがいいのだろうか。拠点病院をベースにすると非常に大きなものになってしまいますし、また、地域と言ってもさまざまなリソースで変わってきますので、そこの間を埋めることがまだまだ大きな問題として話し合わないといけないところとしては残っているのだろうとは思います。拠点病院としてはさまざまな地域の医療機関との連携のカンファレンス等を開くということが要件には含まれておりますが、それも十分地域を網羅したような活動にはなっておりませんし、その辺をどうしていくのかということは、がんの中でも大きな議論だろうと思います。

 ただ、がんの場合に、なかなか地域の先生方ががんの患者さんまたはそういう終末期ということを含めて多くを診ていない可能性はあるのかもしれませんが、循環器疾患を見ておられる地域の先生は逆に多いような印象がございまして、地域連携を進めていくモデルは循環器疾患をベースとして考えていって進めていくほうが、より効果的なものが生まれてくるのではないかとは思っております。

 以上です。

○木原座長 今、池永構成員が言われたことに、私も全く同感です。地域の先生方ががんの終末期を診ているかと言えば、なかなかそうでもないのではないか。私の考え違いがあるかもしれませんが、どこかの拠点病院の放射線あるいは化学療法に通って、いよいよになると緩和病棟に入る、どうしても最期は家で逝きたいという方は地域にまた帰るのかななど、不十分な理解かもしれませんが、いろいろと思っております。

 一方、循環器の場合には、余りにも数がふえていますので、基幹病院はそういう患者さんの中のいわゆる急性増悪、鬱血が起こった患者の急性期手当てはできるのですが、ずっとその患者さんを全部拠点病院で見ること自体はとても難しくなっている。それから、そういう患者さんがだんだん増悪していくに従って、先ほど申しましたように、クオリティー・オブ・ライフが落ちていきますので、拠点病院に通うどころではなくなり、地域でどうしても診ないといけないみたいなところが、現実的にはあるのではないかと思います。

 外国の心不全の専門家と話しますと、とんでもないと言われます。例えば、アメリカの専門家は、心不全患者を一般医が診るなんてあり得ないことだと言います。ある意味、日本のほうがそういう意味で社会的なところが進んでいるところもありますので、日本の社会の中ではいつも専門医が診る疾患から、高齢者心不全の場合、Common diseaseとして捉えて、いろいろな方々の力によって支えないといけない病気に移ってきているのではないかという考えも持っております。

 その辺の構成に関しては、がんでまだできていないところがもしあるのであれば、循環器疾患の中で構成を考えていくという立場もあるかと思っております。

○山田構成員 がんの拠点病院ですけれども、そういう拠点になれるような病院は、都市部に集中しています。岡山県だと、岡山市、倉敷市には二次医療圏の中に拠点病院が複数あります。本当に半径5キロ、10キロ以内に複数あるということがいかがなものかということと、県北とか島嶼部になってくると、1つの拠点病院が何十キロという半径の広範囲を見なければいけないし、患者さんのアクセスも悪いし、開業医の数も都市部のほうが多い。

 先ほどおっしゃっていた、今、在宅療養支援の診療所が岡山市内でもふえてきていて、緩和ケアに非常に熱心に取り組んでくださる開業医の先生も10年ぐらい前に比べると随分ふえています。ただ、後継者の問題が岡山市内はもう出てきていて、それを担う次の世代がいないんだという話を開業医の先生からお聞きするので、多分医師や医療機関がどんなふうに配置されているかによって、連携の密度だったり質だったりというところが随分違うのだと思います。

 だから、多分循環器も、先生のやっていらっしゃる広島県のように非常にバランスよく拠点をつくられているとすごくいいといつも思うのですけれども、がんと同じような傾向は少なからず出てくると思います。

○木原座長 地域格差といいますか、疾病を診 る上での南北問題みたいなものががんの領域にも確実にあるのだろうと思います。その辺はディスカッションとしては大き過ぎる内容を含んでいるのかもしれませんが、そういう現実があることを踏まえて、緩和という患者の苦痛を全人的に軽減することにどうアプローチできるのかある地域はできるが、ほかの地域は全くできないということにならないような仕組みをどうつくればよいのかということも、大きな課題になると思います。

○川本構成員 厚労省の方がいらっしゃる前で私が発言するのもいかがかと思っております。がんは最初は均てん化ということで施策が進められていたと思うのですが、今は集約化、むしろ方向を少し変えられ、提供体制も考え方を変えられているような状況なので、そういう先に進んでいる体制のいいところを大切にすべきと考えます。循環器を考えるときには今の流れを大切にしていくことも大事と思っています。

 今、都道府県は、医療計画を立てなければいけない状況で、連携のことに関しては30年度までにいろいろな方策を定められたものをやらなければいけないという状況に来ていると伺っておりますので、そこの市町村の中での医療の提供、連携のあり方も織り込みながら考えていくことも大切かと思います。

○佐々木がん・疾病対策課長 この後の議題3の提供体制のところにも関連する議論をいただき、ありがとうございます。先ほど来のがんとの比較で言うと、一番大きい違いになり得るのかは後で御議論いただきたいのですけれども、川本構成員に御紹介いただいたように、がんはもともと均てん化していって、今、一部はもう一度集約化すべき部分もあるのではないかという議論になった経緯で言うと、受けられる医療が住む地域によって違ってくるというのは望ましくないということでこの10年均てん化を進めていったわけですけれども、一方で、これを現実的に考えたときに、例えば、放射線治療に伴う高額医療機器の購入もありますし、例えば、手術も同様に症例をある程度集めたほうがということで、集約化、また、新しい治療法、がんゲノム医療とかも出てきますので、そういった病気の背景、その治療方法による特性といったものが、がんは申し上げた経緯があって拠点病院づくりから始まり、今、もう一度集約化を進めてきた。

 今、まずは心不全に絞っていただいてこの循環器疾患の緩和ケアを御議論いただくに際し、その前提となる、例えば、心筋梗塞の患者さんの治療で言えば、恐らくまだ集約化をもう少ししたほうがいいと思うのですけれども、その後の心不全の治療を考えたときに、例えば、先ほど木原座長が専門医ではないところで診るのはどうかと外国の方からは指摘されたということですけれども、今後、この心不全の緩和ケアを含む治療を考えていったときに、伴う治療機器やヒューマンリソースが、例えば、チーム医療は前提なのですけれども、医師で診たときに、その専門性がある医師を何人ぐらいでチームをつくらないと無理なのか。そういったこととかなり密接不可分になろうかと思います。

 いずれにせよ、池永構成員にも御助言いただいたとおり、山田構成員からも御指摘いただいたように、がんの場合は既にある拠点病院を軸にした緩和ケア体制づくりだったことに対して、循環器、さらには心不全に対しての緩和ケアを考えるときに、ある意味でそこの医療提供体制のつくり込み方は、かなり自由度、フリーハンドが残っておりますので、この後の議題3のところでも御議論いただければと思います。

 そこで、井上構成員のお立場から見たときに、ぐあいが急に悪くなることもあるでしょうし、その退院に際し、できるだけ御自宅に近いところで診られるようになったほうがいいとは思うのですけれども、この後の議題3の提供体制のところでも、患者さんのお立場から、どういう形であればより大病院志向ではなく身近なところでも受けたいと思えるような体制づくりになるかということを御指摘いただければと思います。

 今の一連の議論については、そういう受けとめ方で考えております。

○池永構成員 ありがとうございます。

 佐々木課長のおっしゃるとおりだろうと思います。がんの場合、がんの拠点病院、主にはがん治療に関しては、そのときにはADLはかなり保たれておりますので、大阪の場合でも周りの府県から多くの患者さんが大阪市に集まってくるという状況。それが高度ながん医療を受けるためには非常に重要なことではありますが、それは拠点病院として非常に大事な側面なのだろうと思います。

 一方、心不全または心不全に対するケア、いわゆる急性の心臓疾患ではない心不全であるような場合には、地域医療ベースに、拠点病院になるのか基幹病院になるのかはわかりませんが、病院でなくてもいいのかもしれませんが、そういう心不全の緩和ケアを広めていくためのキーというのは、日本全国のアクセシビリティーを中心に考えていき、そこをキーとして広めていくという考え方をしていく。地域ベースにスタートをするというのがより心不全の緩和ケアを広めていく上ではよいような気はいたしました。

 以上です。

木原 座長 広島県で6次の医療計画を立てたころに、循環器領域で拠点病院がどれだけ要るのか、足りていないのかということのディスカッションがあり、調査したところ、各二次医療圏レベルでは大体充足していることが分かりました。どういうことかと言えば、新しい拠点を立ち上げて、そこに循環器医を集約して、24時間常に待機体制をとる、いつでもカテーテルを中心とした治療ができるということに関しては、これ以上拠点をふやす必要がないいうことが、一つのその当時の結論であったと思います。

 恐らく広島県に関してもそれ以上人口がふえていない状況の中で、そこのところは余り変わっていないのかなと思っております。そうすると、がんにおいてのいわゆる化学療法や放射線療法を中心とした高度医療の考え方と、循環器における急性期、増悪期の考え方は、比較的そう違わないという理解がありますが、いかが思われますか。

○平原構成員 北区で申し上げますと、割と23区の辺縁にある区ですので、明らかに疾患別に患者の流出と流入が違うことがわかっています、例えば、がん患者さんは明らかに文京区など都内の中心部の医療機関に行って治療し、そこから帰ってくる人は帰ってくるし、帰らない方はホスピスに行くという流れですけれども、循環器疾患や骨折などは結構区内の病院でやりとりをして、完結いるという流れがわかっています。

 循環器の中でも非常に難しい治療はもちろんあるわけですけれども、私どものところも在宅があって有床診療所で急性期を診ているのですけれども、一般の急性期病棟では、肺炎、骨折、心不全の入院が多いのです。循環器の先生がうちはパートの先生しかいないのですけれども、何かあったときにはその先生に診てもらって、その先生がふだん勤めている中小の病院にさらに悪くなれば送るという形をとっていますが、高齢者、少なくとも在宅で診ているような心不全の患者さんはその地域で完結することが割と多いかなという印象があります。

 ただ、もっと高度な心不全に関する治療をしなければいけない方は、また別の流れがあるのかなという印象を持っております。

○木原座長 患者の立場でということになるのかもしれませんが、今の日本、今の循環器の在り方に関して、十分これで安心というお考えなのか、それともこれでは心配というお考えなのか、御意見をいただければと思います。

○井上構成員 突然発症し、救急で病院へ参ります。その病院で完結する場合もございますけれども、中にはそこでは難しいということで、その治療ができる病院へ移されるということもございます。いずれにしても、突然死を免れて退院し御近所の先生方のサポートを得ながら家庭へ戻ってまいりますと、前とそんなに変わりなく日常を送ることができるものですから、患者はこれで一件落着と根拠のない自信を持ちながら生活を続けます。またある日突然という形で状態が悪くなる。以前のことがあるものですから、救急車を呼ぶ。救急車が搬送してくださった病院で治療を受ける。そういう繰り返しで、救急 搬送をお願いする頻度を重ねる。

 資料4のスライド7や12もございますが、途中からでも、出来れば最初期段階から患者に対する緩和ケアと申しますか、適切な患者指導を行っていただき、また、患者の側も、根拠のない自信に依ることなく、きちんとした指導、例えば、栄養指導や運動指導などその他、患者もよく認識しながら日常を送ることなのだろうと思います体調が発症する前の状態に一旦戻ってしまいますと、なぜかそこで気が緩み、次の異変が起こるまで何にも注意せずに過ごしてしまうということが現実としては多いような気がいたしております。

木原 座長 大変大事なポイントと思います。どういう養生をどのように続けていけばよいのかということと、基本は全てが治っているわけではないというところが大事なメッセージになるのではないかといつも思います。医療従事者あるいは患者も含めての教育の問題になるのではないかと思います。

 教育は緩和を考えていく上でもとても大事なポイントではないかと思っております。心不全や緩和の概念の不偏化を誰が担ってどのように実施していくのかということの教育のシステムはとても大事ではないかと思います。

○山田構成員 私どもの日本循環器看護学会が、なぜ慢性心不全という領域の認定看護師の養成に期待したかというと、まさに緩和ケアは単に苦痛を緩和するということではなくて、循環器の疾患はとにかく自己管理がきちんとできなければ症状が悪化して、それが身体的苦痛、社会的苦痛、精神的苦痛につながるということで、そこの自己管理能力をどう支援していくのか高齢者に心不全が多いですから、認知症等の人たちに、毎日お薬を飲むなど、毎日こういう生活をするということをどんなふうに私たちが支援できるのかというところを専門的にできる看護職を養成したいということで立ち上げたわけなのです。

 ですので、緩和ケアの考え方ですけれども、苦痛緩和の裏に自己管理という、そこが必ずついていくのだという認識と、先ほどから出ているアクセスは循環器については非常に重要で、がんの患者さんやほかの患者さん、肺炎も急変するといえばするのですけれども、循環器疾患のほうは急変するとショック状態で救急車で運ばれてくる。そうしたときに、そこにどれだけ経験のある、いわゆる循環器の専門医がいるかいないかによっては、判断を間違えてしまって致死的な影響を与えるということもあるので、二次救急等で受けたとしても、それを適切に拠点というか、それなりの病院できちんと紹介をして搬送するという2段階、3段階、4段階ぐらいの仕組みが地域の中に必要です。急変してうまくそれがコントロールできれば、可逆的な症状というか、可逆的な部分は結構循環器には多いので、緩和ケアは、急性期の医療を全く抜きに考えることはできにくいと思います。

○木原座長 緩和が入っているからということでトリアージをやめるという考えは成立しないだろうということですね。がんの場合はどうなのですか。 がんにトリアージという考え方はあるのではないかと思うのですが。

○池永構成員 あるだろうと思います。抗がん治療がこれ以上はできないという時期、多くの場合、最近ではかなりその期間は短くなり、最終の時期の2カ月から3カ月というぐらい、そういった状況においてできるだけ家にいていただきたい方には、救急車は呼ばないほうがいい、何かあったときには訪問看護ステーションに相談してそちらで対応するということを教育することはよくあるので、若干そこでギアが変わるというのは、がんの終末期医療においてはあるかもしれないと思います。

○佐々木がん・疾病対策課長 今の山田構成員の御指摘に関連して、確かに循環器領域で急にぐあいが悪くなる急性増悪も含めて、急性期の循環器の治療提供体制が大前提になって、だからこそそこを脱してからの緩和ケアを含めた医療を考える必要があると思います。ここで御紹介したいと思うのが、先生方皆さんには釈迦に説法になるのですけれども、もともと医療計画で、初めは「心筋梗塞」という書かれ方をして、平成20年からの第5次医療計画、平成25年からの第6次医療計画で、本当に急性期治療としての体制はかなり我が国で進んできたと思います。

 それに対して、今、全ての都道府県で策定いただいている来年からの第7次医療計画では、それをもう少し心筋梗塞に限らず心不全を含めて広げようとしておりますので、山田構成員の御指摘、まずは急性増悪を含めた急性期治療に必要な体制は、大体心筋梗塞の治療ができる医療機関であれば、恐らく心機能の急な低下にも対応できると思いますので、その意味では、大前提としての、資料4のスライド9で言う心不全患者の臨床経過に伴う課題や、スライド8の臨床経過を踏まえた緩和ケアといったときに、急性のところは恐らくそこでかなり対応できるだろうとは思いますから治療は対応できると思いますので、それを踏まえての緩和ケアの御議論をいただく際にはそれを前提にしていただければと思います。

 もしよろしければ、その医療計画の流れや今の急性期の循環器治療体制がどうなっているかということは、次回の検討会でも必要であれば資料出しも考えたいと思います。

 以上です。

木原 座長 4疾病・5事業あるいは5疾病・5事業のところでの循環器疾患の位置づけはあくまでも急性心筋梗塞という、急性期の治療に関しての整備が、国策としてはそういう格好で進んできたということで、それによって随分整備されたと循環器を扱う者としては強く感じおり、それが実際に急性心筋梗塞の死亡率の顕著な現象に我が国ではつながっているのではないかと思います。だから、そこから後の話ですね。心筋梗塞になって治ったと思っていたら、また足が腫れてきたり息が苦しくなってきたりということが何年か先に起こってくる。その辺の問題がこれからの大きな課題であろうということです。

○佐々木がん・疾病対策課長 きょうの資料で申し上げますと、参考資料4がまさに今回から急性心筋梗塞を対象に広げたときのために都道府県に示した資料でございます。参考資料4の1ページが「心血管疾患の診療提供体制の在り方について」と題していまして、急性期から始まって、今まではここの急性期のところの記載にとどまっていたのが、もう少し進みまして、10ページをごらんください。10ページから回復期~維持期までをも今回の来年度からの第7次医療計画で組み込んできた。さらには13ページの慢性心不全対策の考え方も示しているところですので、その点では大分医療提供体制そのものの下敷きは整いつつある中でこのワーキンググループで御議論いただくということを御紹介したいと思います。

○木原座長 少しまとめていきたいと思います。資料4の9のスライドにある3つの論点です。

 心不全患者に緩和ケアが必要だという認識と、その概念を共有することに関しては、その次の10に根拠となるようなスライドも示されていますが、これを我々の中で共通認識として取り上げていくと考えてよろしいでしょうか。ただ、どのように認識を共有化するのか、誰がその認識を担っていくのかというのはこれからのディスカッションになっていくかと思います。

 それから、心不全患者の臨床経過に伴う課題は、がん 患者とよく似たところもあるし、相違点というものもある。とりわけ、循環器患者にとっては、緩和と言われるとかなり距離を感じるということは非常に大事なメッセージだと思います。「緩和」ということの意味です。どういう伝え方を皆さんにしていけば、共有できる概念になるのかというところは、大きなディスカッションではないかと思います。

 もう一つ、Cのところです。これを地域と連携しなければいけない。これは心不全患者の生活のありよう、あるいは疾病の進行のありようというところと関係があるわけです。多職種や地域の中のチームみたいなものがそういうことを担っていかなければならないのですが、どういうチームがどのように担っていくという考え方でよろしいのか。また、地域で担うチームみたいなものとの間の立ち位置、がんの中でこれまで培われた連携員の皆さんとはまた別に循環器の連携員やチームみたいなものをつくるのか、それとも共有していくべきものなのかみたいなところも課題としてあるかと思います。

 多職種でやらないといけない、専門の先生に要請するようなことではだめだろうということに関しては、どのように皆さんの認識を共有したらよろしいでしょうか。

○平原構成員 それこそ後でちょっと申し上げるのですけれども、在宅の患者さんの場合と病院をメディカルホームにしている患者さんとで考え方が違うのかなという認識を持ってはいます。病院から地域に紹介されてくる患者さんを想定すると、先ほど訪問看護の実態の話がありましたけれども、循環器を専門にしている在宅医はそんなにないですし、先ほど申し上げましたように、地域の受け皿としては非選択的な在宅診療をしている我々のような者が大体普通受け皿になるのですね。このような一定の専門的な治療が必要な患者が病院から紹介されてきたときに、専門的な管理が必要なときに、例えば病院のチームとの連携があれば、そういう患者さんも診られるということは出てくると思います。

また、訪問看護であれば、病院の認定看護師には退院後のフォローでの訪問ができるという制度がありますね。在宅訪問をして、そこで会って話をしながら細かい調整をするというのが恒常的に連携できるようになればかなり違いますでしょう。医師の場合は医師同士ですからコンサルテーションができればかなり十分なのだろうと思いますけれども、主治医と常にコンサルテーションができる体制があれば、循環器の専門性の高い治療が必要な患者さんもある程度対応できる体制を構築できるかと思っています。

逆に、在宅の患者さん、超高齢者の患者様はいろいろな併存疾患の中に心不全があるので、その中で全体のバランスをとりながら全身管理をしていくということで、それは在宅医が得意としているところでございます。

 ただ、非常にいろいろな問題の中で心不全の問題が鮮明化してきたときに、コンサルテーションができるということがすごく大事です。当院ではそのような場合には、パートの循環器の専門の先生がいらっしゃるのですごく助かっていますし、場合によってはその先生が所属する病院に引き取っていただくことも可能です。循環器の問題解決のために一時的に転院していただくような連携がとれると、かなり診やすい体制になる。このように、メディカルホームをどこに置いているのかによって、ちょっとイメージが違うような印象を持っております。

○羽鳥構成員  これから地域ケアシステムや地域包括の話が大分出てくると思うのですけれども、緩和ケアだけではなくて、心不全患者をどうやって地域で診ていくかということを含めると、例えば、悪化させないためには運動療法や薬をきちんと飲む、塩分制限を守る、正しいリハビリを指導することもとても大事だと思うので、そういう意味での運動療法の指導ができる仕組みをつくっていくことがとても大事だと思います。

 緩和ケアになってしまうともうちょっと病気が先へ進んだときの話かと思うのですけれども、緩和ケアに行く手前のところでこれから地域で支えていこうというときに、わかりやすい図示、資料がある、講演会、市民講座なども必要です。ぜひここで提案できたらいいと思います。

 先ほど発言し忘れてしまったのですけれども、この1番のニーズの認識と概念の共有というところで、患者さんにも理解していただくことと同時に、一般の医療者、我々、特に開業医の先生たちにもこういうことがあるということを知ってもらうための啓発はぜひやっていただきたいと思います。

 いわゆるメーカーさんが主導でやっているいろいろな講演会があるのですけれども、本当にそれはある意味で薬のための講演会みたいになってしまっているので、そうではなくて病気の概念の理解を深めるための講演会、医師会もきちんとそういうものを主催していかなければいけないと思いますけれども、こういうところからも資料が提供できるようになったらいいと思います。よろしくお願いします。

木原 座長 井上構成員が提起された「緩和」の意味がすごく大事で、要するに、がんで言う緩和、例えば、疼痛を取ってやって、苦しみを取って、いろいろお話を聞いて、ぼつぼつ行くよみたいな、そういうときは、循環器では本当に最期の最期、短い時期で、緩和のちょっと前ぐらいのところの時期が循環器の心不全などはすごく長いのではないかと思うのです。そこのところを誰がどのようにケアしていくのか。広い意味での緩和を誰がドライブしていくのか。特に地域で誰がドライブしていくのかが、実は大きなテーマなのではないかと思います。

○池永構成員 がんでも同じような議論が、現在の検討会の1つ前で、いわゆる診断時からの緩和ケアという概念をつくり出した時期に大きな議論になりました。緩和ケアというのは、どうしても終末期医療であり、悪いイメージは払拭できない。本当に「緩和ケア」という言葉でいいのかどうか、このまま押していってもいいのか。がんの緩和ケアだけではなくてもっと早い時期からの緩和ケアをどう広めていくかということの選択に関しては、今回、厚労省や日本の行政ががん対策基本法の中に緩和ケアも法律の文言で定義したという、世界的な快挙といいますか、余り例を見ないような形で決定したということは、この緩和ケアを広義に捉える、広く捉えていくということを逆に啓発していくことが今後は大きな目標かと思っています。

 当時、いろいろな言葉をかえるという案もありましたけれども、日本としてはこのように進めるということが国民に求められているからこそ法律の文言になったわけなので、我々このワーキングも、緩和ケアという概念をもっと広い意味として広めていくための足がかりにしていくことが非常に大事なのかなと感じました。

 がんのいわゆる診断時からの緩和ケアは、もちろん症状緩和がその時期にはそんなに必要ではありませんので、どちらかというと情報提供と意思決定支援という部分と、告知に伴う精神的な苦痛に対応し、生活を支援していくということでありますので、同じような形で、心不全の緩和ケアもそのような形で広い意味で捉えていき、それをいわゆる医療職、また非医療職に啓発していくことが大事なのかなと思いました。もう一つ、いわゆる地域で見ていくという点でいいますと、ある部分、がんであるような拠点病院ベースで考えるよりは、地域ベースで考えていくことをこのワーキングとしては進めていくべきなのだろうとは思っています。

 日本中どこに住んでいてもアクセスできるような形で、例えば、がん診療連携拠点病院にはがん相談支援センターがありますけれども、それをもっと地域ベースで、いわゆる循環器疾患や心不全患者さんの相談支援センターを地域でつくっていく、下から見ていくという形の考え方をしていくことが、より心不全の緩和ケアを考えていく上では大事なのだろうと思います。もちろん急性期治療の重要性または専門基幹病院との連携を考えていく必要性は当然あると思うのですが、それも地域ベースで専門家といつでも相談できる体制、2人主治医性のようなものであったりすることが、がんではない特徴という感じが非常にしております。

 以上です。

○木原座長 がんの領域での教育体制は、いわゆる医師を中心にして提供されてきたところで、看護師、特に地域というところが循環器領域ではとても大事で、医者ができないと言うわけではありませんが、看護師の立場がすごく大事で、彼らが中心になってそういう概念の啓発や教育などをするというのも大いにありではないかと私は思っているのですが、最後に御意見を一言いただけたらと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○川本構成員 ありがとうございます。

 看護は、厚生労働省から支援事業をいただきまして研修をしました。まず、リンクナースをつくってということで拠点病院を中心に始めていったわけですけれども、そのときに、先ほど山田構成員からも御紹介がありました認定看護師、専門看護師などのスペシャリストの方が要になって、その方たちが実践を含めて広げていったという経緯がございますので、スペシャリストの方をうまく使っていくことが大切かと思っています。

 緩和ケアにおきましても拠点病院のそういうスペシャリストの方が中心になっています。そして、訪問看護のスペシャリストがいますので、その方たちをつなぐ、そういう研修に発展しました。私が先ほど思っていたのは、慢性心不全と緩和ケアのスペシャリストをどのようにつないでいくのが大切かと、この話を聞きながら考えておりました。今、慢性心不全の方の認定看護師は349名なのですが、緩和ケアのほうが2,217名おります。ただ、緩和ケアはがんの領域で頑張っておりますので、この方たちが持っている看護の実践の力をどのようにうまく有機的につないでいくかということを考えておりました。また山田構成員とは学会と話し合いながら進めていかなければいけませんので、そういう広がりを持っていきたいと思っています。これまでのことが参考になればということで御紹介させていただきました。

○平原構成員 ここで申し上げていいのかわからないのですけれども、循環器疾患にかぎらず、非がん疾患全般にそうなのですけれども、最期まで改善の可能性はゼロにならないため最期まで治療モードで推し進めることができるということが非がん疾患の特徴ではあるのですが、それぞれのケースでどこまで治療モードで進むかという指標がないのです。

 循環器疾患は治療の進歩が目覚ましいものですから、TAVIや高齢者でも強心剤を使った治療をどこまでやるかとかということがいつも論議になります。そこはバランスをとった治療ができるように医療者の認識を変えることも確かに重要です。恐らく患者さんの多くは、治せるものは治してほしい、でも、つらいのは嫌だしバランスをとって考えてほしいと思っていらっしゃると私自身は思うのですけれども、そこで医療者がそこをちゃんと理解することが大切です。もう一つは、私がふだん日常の臨床で感じるのは、家族ができることは何でもしてほしいとおっしゃる方がすごく多くて、御本人の意向と違うことがすごく多いのです。アメリカのアドバンス・ケア・プランニングの研究でも、アメリカの医師は割と過少医療の傾向にある、でも、家族は過剰医療を求める傾向にあるということが出ているのです。非がん、心不全患者で超高齢者になりますと、認知症の方も多いですし、医療同意能力がなかなかない方も多い中で、どうしても御家族の意見を尊重せざるを得なくて、これは転送して送っても残念なことにはならないかなと思いながら送らざるを得ない。そして、やはり亡くなったという話を聞くと、非常に我々は残念な気持ちになるのです。

 そういういろいろな問題や複雑な問題を持っている方に対して、どのような治療あるいはどの治療がどこまで適正なのかという指標がなかなか難しいと思うのですけれども、何かそういうものがないと、御家族に説明するということはなかなか難しいのですね。例えば、国際フレイルスケールや、このフレイル、全身の虚弱状況がこういう状況だったらこの治療ぐらいまでが適正ではないかというコンセンサスみたいなものがあればいいのですけれども、そういうものがないと実際の臨床の場で緩和ケアと治療のバランスを図るということは相当難しい作業になると思っています。このあたりは恐らく知恵を絞って具体的に進めないと、なかなか緩和ケアといっても進まないのではないかということを危惧しています。

木原 座長 高度医療の適用の基準は、大きなディスカッションではないかと思います。

 それでは、5分ほど休憩をさせていただきまた再開をいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

( 休  憩)

 

木原 座長 続きまして、議題「(3)循環器疾患における緩和ケアの提供体制について」でお話を進めてまいりたいと思います。

 まず、資料6「循環器疾患における緩和ケアの提供体制について~病院における現状と課題~」を御説明いただきたいと思います。

○山田構成員 よろしくお願いします。山田です。

 まず、2枚目のスライドからお話ししたいと思います。現在、看護系大学で教鞭をとっておられる岡田先生の文献を引用しております。これは慢性心不全の管理プロセスということで図式化したものです。私たちは緩和ケアをどこから考えているかというと、ステージB以降、患者さんが軽度であっても主観的に苦痛を感じた状態が生じたときから緩和ケアの出発点と考えています。それは先ほどから議論がありましたように、広い範囲で考えるということと、「緩和ケア」という言葉にもう少しよいイメージを持たせる。例えば、楽に死ぬために緩和ケアをするのではないのだということと、より豊かにその人らしく生きていくためのものであり、QOLを維持して自分の人生を自分なりに全うできるように支援するものであるという考えのもとで、このように考えています。緩和ケアが進む中にエンドオブライフケアという人生最後の段階をどのように迎えるかというところで、ステージC、ステージDとなっていくのではないかと考えています。

 欧州の心臓病学会ガイドラインによると、緩和ケアの対象は以下の6点のようなことが述べられていますけれども、これは先ほどの図でいくとステージCの後半からステージD、いわゆる不可逆的な状況に陥った非常に重症度の高い状態で、臨床的にも終末期に近いと判断されることになっています。ですが、先ほど申し上げましたように、緩和ケアの概念を少し見直してみると、NYHAの2の段階あるいはステージBから考えるべきではないかと思っています。

 慢性心不全の緩和ケアの特徴としては、以下の7点を挙げております。まずは先ほどもありましたように、急性増悪を繰り返しながら比較的ゆっくり時に急速に病態が変化することと、だんだん悪くなるにつれて急変するまでの寛解期が非常に短くなってくることと、療養生活の延長上に突然死があるという、それだけに非常に不安感というものがはかり知れないものがあります。予後予測が困難であることもよく言われていますけれども、慢性心不全では急激な増悪があっても治療によって可逆的に回復することがあるので、医療者も患者自身も御家族も死という意識は曖昧な状況がほとんどです。がんの場合はがんと診断されると、これはもう悪い病気で致死的だとイメージされるのですけれども、循環器、慢性心不全ではそれが少し弱いということです。DNARの判断や延命治療が奏功する例もあるので、延命治療をするしないとか、中止するかしないかといった判断が非常に困難です。緩和ケアに加えて、症状コントロールのための自己管理あるいは治療継続が非常に重要になってきます。高齢化とともに慢性心不全患者さんは増加しますので、認知機能の低下を伴います。そして、訴えも乏しくなるので、侵襲的治療の適応判断や意思決定能力といったところでかなり支援が必要だし、早い時期から将来を想定した形で意思決定というところに患者さん自身の意識を向けていくことが重要であろうと思います。いろいろな合併症があるので、多疾患有病者であることがほとんどです。比較的若いときに心筋梗塞を発症している方もいらして、そうなると就業活動が制限されるので、データ的にどうかということは確認がとれていないのですけれども、経済的に危機を抱えている、経済状況が悪いという患者さんが比較的多いように見受けられます。高齢になってくると生活保護や年金だけではなかなか生活が難しくて、途中で治療を中断してしまうという事例も見受けられます。

 慢性心不全患者さんの苦痛にどんなものがあるかというと、先ほどから議論があったように、呼吸困難と全身倦怠感がほとんどです。そして、重症化すればするほど抑鬱が出てきます。スピリチュアルというところでは、生きる目的を創出したり、身体的な苦痛とともにいろいろなことが人の手に委ねられていくので、自分の身体や自分自身に対するイメージの変化がひどく起こってきて、それによって抑鬱が進んだりとか、罪悪感にさいなまれたりするという傾向があるように思います。呼吸困難については、患者さんは、いつも何かにちょっと首を絞められているような気がする、大きな息をしようと思ってもできないんだとおっしゃいます。

 慢性心不全における緩和ケアの提供モデルをがんや今までの緩和ケアの考え方と比較したものがスライド6にあります。これで特徴的なことは、積極的治療というところに、緩和ケアががんのように徐々に高くなってくる、ふえてくるというものではなくて、比較的段階的にステージに応じて緩和ケアと積極的治療のバランスが変わってくるということであろうと思います。がんと同じように、遺族ケア、突然死が結構あったり、非常に治療に期待していたにもかかわらず死を迎えてしまったという御家族もたくさんいらっしゃるので、グリーフケアががんと同様に重要になってくるであろうと思います。

 スライド7には、病院における課題としてここに幾つか挙げています。循環器疾患等の非がん患者さんについて、医療提供者側、我々患者自身も余り緩和ケアという認識を持っていないことと、現在、いろいろな病院に緩和ケアチームがありますけれども、その活動や緩和ケア病床の活用についてはがん患者さんに限定的です。診療報酬的に見ても、がん患者さんに限定されています。患者さんからの相談や倫理的な意思決定を支える部門にどれぐらい相談があるかと言うと、慢性心不全を初めとする非がん患者さんの相談はほとんどありません。疾患に関する治療は非常に高度化していますけれども、確立した緩和ケア体制や方法論的なガイドラインがまだ十分には整っていない状況です。専門チームの構築はいろいろな名称で進んでいますけれども、どちらかというと積極的な治療を主流としているので、緩和ケアのバランスがとれているとは言えない状況です。慢性心不全の患者さんはいろいろ多疾患を持っている場合が多くて、それぞれそれに見合う診療科を受診しています。そうすると、糖尿は糖尿病内科、高血圧は循環器内科であったり高血圧の専門外来であったりということで、統合する仕組み、統合した疾病管理の仕組みが院内あるいは地域の中に整っているとも言えないということで、領域を超えた院内連携が多部門にわたるだけに非常に難しい面があります。心不全の管理体制には、医療機関間の格差がある。これは先ほどお話ししたように、循環器内科医の診療体制のありようだったり、循環器内科の先生がパートなどの週に1回しかいないとか、そういった病院もたくさんあります。チーム活動があるかないか、あるいは医師以外のいろいろなメディカルスタッフの慢性心不全に関する専門的能力があるかないかというところや、慢性心不全患者さんの緩和ケアについての関心や問題解決力というところにこういった格差が非常に大きな影響を与えているように思います。

 急性期の病院から見た在宅療養や地域連携における課題としては、次の4つを挙げています。1つは、急性期病院において在宅療養支援計画の中に十分慢性心不全患者さんの緩和ケアに関する計画を立てられていない。その理由として、病態や投薬・水分・栄養・運動管理等々の複雑さが非常にあることと、いろいろな治療法等が開発されればされるほどこの複雑さが増していくこと。利尿剤一つとっても、年々新しいものが開発されて、その使い方だったり副作用だったりということを全員が習得することが非常に難しい。就業制限があるので、経済的困窮者が比較的多いがために、場合によっては治療中断にそれが直接つながったりすることがあります。前半のところでも申し上げましたように、慢性心不全や循環器疾患をちゃんと見るという訪問看護ステーションあるいは施設等は余りないです。症状コントロールを並行させながら介護をしていくことも非常に難しく、高齢者は介護保険等を使っていますけれども、そこにはケアマネが入ってきます。ケアマネジャーに関しても、なかなかこの心不全や循環器疾患であることを言ったらとても緊張されて、なかなか在宅は難しいですよという話になります。在宅側の医療スタッフからの相談といったことに病院側もタイムリーに答えられるだけの体制をまだ十分に整えていません。在宅みとりについても、大方が急変して救急車で搬送されてそのまま入院となって、本来は自宅で亡くなりたいという患者さんの御希望があったとしても、入院医療の中でみとるという形が多くなっています。家族の介護負担が非常に大きくて、その点もあってレスパイトといったあたりの支援が必要だと思います。家族も疾病やその成り行きについて十分な理解が得られなかったり、患者さんと同様に、日本は特に家族主義なので、いろいろな代理意思決定者として家族に意思決定を委ねることが多く、そういったときに非常に不安と戸惑いがあるということもあります。保険診療上、例えば、訪問看護だと、医療保険と介護保険の両方を使うのですけれども、非常に制限があって、慢性心不全のコントロールに必要な薬が使えなかったり、先ほどの麻薬だったり鎮静剤だったり、そういったものも制度上非常に限定的にしか使えないなど、カテコールアミンとか、ああいったものはなかなか輸液ポンプなどを使いながら在宅ということも難しいということがあります。介護保険になってくると、緩和ケアについても非常に末期状態であることが指示書になければ、医療保険にはなかなか移行できませんし、そうすると、介護報酬だと単位が決まっているので、その単位の範囲でしか訪問看護も行けなくて、毎日行ってあげたいけれども週に1~2回しか行けないといったことが起こっています。

 そういった問題がある中で、今後どのように取り組んでいくかということで7つほど挙げています。1つは、がんと同じように人材育成ということで、こういったようなことが必要だろうと思いますし、特定行為の研修も始まっていますけれども、特定行為の中にも循環器系の特定行為は余り入っていないので、今後そういった面も見直しが必要かと思います。今、がんの緩和ケアでやっている、そういったものを利用しながら、スペシャリストだけではなくてゼネラリスト教育に拡大をしていくことと、先ほどのチーム医療という点では、現存の緩和ケアチームはまだ非常にがんに特化しているので、そことこれから慢性心不全のチームとがどんなふうに関連がとれるのかということと、認定看護師にしても専門看護師にしても心疾患の経緯がわからないとなかなか緩和ケアが難しいという点があるので、このあたりをどのように考えるかということを見据えながら、チーム医療の推進というところを考えるべきだと思います。それと、前半の議論にもありましたけれども、相談機能や外来といったあたりの外からのアクセスがしやすいような仕組みが必要だろうと思いますし、「カフェ形式」と書いていますけれども、患者さん同士のそういったこともこれからは自己管理やスピリチュアルペインというあたりの対策としては必要ではないかと思います。

 意思決定のところは、寛解期がACPの絶好のタイミングだと思いますので、早くからどのようになっていくかというところを、いろいろ可逆的な部分があるので非常に困難な点だとは思いますけれども、あくまでも御本人の意思決定ができるように早期から情報提供をしながらやっていくことが大事だし、そのかかわりの中で、もし意識がなくなったりした場合に誰が代理で意思決定をするのがこの患者さんにとって最善なのかということを、医療者も見きわめていくことが重要だと思います。急変のリスクが非常に大きいので、この辺の24時間対応と専門チームというところの連携体制と、何でもかんでも入院ではなくて、入院適応を正確に判断できるということが大事だと思います。在宅療養や在宅みとりというところでは、患者さんは家で亡くなりたいと思っていらっしゃる方は結構多いので、開業医と訪看や、かかりつけ薬剤師さんや、あるいは看多機というものもわずかですけれどもふえつつあるので、こういったところをレスパイト的な入院、入所ということで活用しながら、この辺が進むといいのではないかと思います。あとはグリーフケアを含めた家族支援の体制を、相談機能とあわせて構築できればいいかと思います。

 重複しますけれども、参考資料に緩和ケアにおいて看護師がどんな役割が担えるかということをここに8つほど挙げております。そして、今、登録している認定看護師がどれぐらいいるかということを分野別に出ています。認定看護師は、緩和ケアや慢性心不全、在宅だと在宅看護等々がありますけれども、専門看護師で慢性心不全の緩和ケアに関心を持ってやっていらっしゃるのは、例えば、急性期、急性重症患者看護もそうですし、慢性看護というところのCNSの方もやっていらっしゃる方はいるし、家族支援だったり在宅看護という領域の方も非常に熱心にやっていらっしゃる方がいるので、専門看護師領域は結構領域を超えて広く緩和ケアに携わっていらっしゃるような感があります。

 以上です。

木原 座長 結局、緩和の問題は緩和だけではない、非常に大きな世界だという感じで聞かせていただきました。

 資料7で、循環器疾患における緩和ケアの提供体制のあり方について、今度は在宅医療における現状と課題を引き続いて御説明していただきたいと思います。

○平原構成員 お願いいたします。

 資料7の3ページをまずは見てください。私は自分が循環器の専門ではなくてさまざまな患者さんを見ている在宅医療の立場でお話いたします。これは慢性心不全の緩和ケアのニーズはどのようにあるのかということを最初に私たちが調べたものです。2000年4月から5年7カ月の間に、関東近郊の7施設、これは病院もありますし在宅の診療所もありますが、後ろ向きの多施設研究をしました。在宅での非がん疾患の連続死亡例242例研究です。非がん疾患の原疾患としては、当時は脳卒中が多かったのです。慢性心不全は、数は少なく、14例で大体全体の5%ぐらいでした。でも、これは2000年あたりの状況なので、今は少しふえている可能性はございます。非常に驚いたのは、心不全の平均死亡時年齢が90歳を超えていることで、在宅の心不全患者はすごく高齢だということにこのときに初めて気づきました。非がん疾患全体で言うと84.5歳で、がんの死亡年齢より10歳ぐらい高齢なのですが、心不全はさらに高齢なのだという認識をこのときに初めて持ちまして、それが最初の気づきでした。

 その裏です。同じ研究の中で、疾患別にさまざまな21の症状の有無について主治医にカルテをレビューしながら聞き取った調査です。中等度以上の苦痛というところを見ていただくと、臓器不全群、特にCOPDなどの呼吸器疾患で非常に苦痛が強いことがわかります。それに次いで、数が少なくてあれなのですけれども、心不全患者さんも苦痛が強いということがわかります。内容としては、臓器不全群は呼吸困難が共通した苦痛だということも認識できました。非がん全体で言うと、食べられない、飲み込めない、息が苦しい、この3つが大きい課題でございまして、疼痛は5番目でございました。

 次に、5ページ目を開いていただきます。数字を書いておりませんけれども、私たちのクリニックのデータです。2009年1月から2013年5月まで、4年5カ月の間に、在宅で心不全がメーンのプログラムであり、心不全の終末期だと我々が認識して在宅緩和ケアを行った18例の研究です。これで見ても、死亡時年齢が90歳を超えていて、やはり在宅心不全患者は超高齢者が多いのだなと認識しました。数は少ない中でもこういう傾向は多分一貫してあるということでした。その方々のプロフィールをもう少し詳しく見てみると、ADLがやはり悪い方が多くて、8割は寝たきり度で言うとBランク以上です。ベッド上の生活をふだんされているので、そういう方々は余り動かないですし、多くは認知症があるので、呼吸が苦しいと訴えることが少ないようです。最期の最期は苦しいとおっしゃるのですけれども、割と気づかないでいることが多いことがわかりました。でも、BNP値は換算すると1,256ですので相当な心不全がございまして、ループ利尿剤は全例で使っております。塩酸モルヒネは38.9%、開始量は3.1mg、酸素は3分の2の方に使っていたという状況です。心不全は突然死が多いということなのですけれども、HFpEFの場合は合併症に非血管死が多いというデータもありますが、この在宅の心不全高齢者については、何らかの引き金疾患があったときに、それに着目すれば、その後心不全が前面に出て悪くなって亡くなっていくということが割と観察され、9割近くを自宅でみとることができました。在宅心不全高齢者は、平均4.6個の心外合併症を持っていて、多いのは認知症、腎不全が半分以上です。心腎症候群と誤嚥性肺炎などの老年症候群の合併率が非常に高かったという結果でした。心不全そのものが自然に悪くなっていくという経過ではなくて、83.3%は合併症、引き金疾患があって、それに伴う心不全の急性増悪で亡くなっていました。引き金疾患として多いのは、肺炎、腎不全、呼吸不全となります。

 次のページは、違うデータですけれども、2015年4月から2年間、私たちの有床診療所で肺炎で入院した方、NHCAP、医療・介護関連肺炎の方の73例の死亡例です。なぜこれを調べようと思ったかというと、合併症が引き金になって心不全の方が亡くなっていることが多いということでしたが、逆に肺炎の本当の死亡原因は心不全が半分ぐらいだというデータを出している先生がいらっしゃって、本当に肺炎の直接死因は心不全なのかどうかということを見ようと思って調べました。そうすると、肺炎死で本当に肺炎そのものが死因だった人は38%で、肺炎も最終的には合併症で亡くなっているということがわかりました。肺炎は引き金疾患だけれども、死因は別にあるということは確かです。ただ、私たちのところでは心不全は半分まではいきませんでしたが、肺炎を引き金疾患として、基礎疾患の心不全が悪化して悪くなっている方も少なくありません。こういう複数の疾患と障害が非常に混沌としていて、決して単独の疾患で亡くなっていくのではないということです。海外の非がん疾患のモデルは心不全なら心不全のみが悪くなるというような単独疾患モデルというものが主なのですが、日本の超高齢者の場合は、先ほど言いましたように、複数の病と複数の障害不全の連鎖の中で亡くなっていることが恐らく実態ではないかと、このデータを見て思いました。

 7ページになります。そういうことで考えると、循環器の在宅超高齢者の心不全の緩和ケアとなりますと、血圧の管理や虚血、心房細動は引き金になることが多いので、こういう循環器疾患の管理ももちろん大事なのですけれども、全身管理、例えば栄養法についてはまだまだ確立されたものがありませんが、栄養のことも重要ですし、合併症の管理をしていくことがすごく大事ですし、また、引き金疾患を予防することも重要です。例えば、口腔ケアと心不全の増悪は、一見結びついていないようですけれども、私どもはすごく大事だと思っています。循環器の管理、全身管理、合併症の管理が大事で、その上に緩和ケアを上乗せしていくのが、高齢者の心不全の考え方になろうかと思っております。

 もう一つは、心不全の軌道は、循環器の提言の中にありますけれども、急性増悪を繰り返していって最終的に最後の急性増悪で亡くなるという臓器不全モデルですので、このような軌道の中で緩和ケアのトリガーをどこに置くかというのは大事な問題になります。恐らく最初の急性増悪の回復後にトリガーを置いておくのは非常にいい考え方かと思います。図は、定期的に評価をして、その評価の中に疾患の評価だけではなくて患者さんの社会的背景や希望や考え方の評価を毎回入れていって、そこに代理意思決定者となるべき人たちを巻き込んでいって、個別の医師が、医療者、家族、患者さんの集団の意思に昇華していくような形の意思決定支援が必要だという模式図です。恐らくそれは医師だけでは難しいので、院内にいる認定看護師さんや、そういう方々がそこに参加しながら、意思表明と決定のプロセスを支援していくという仕掛けがどうしても必要かと思います。

 それに対して、在宅の場合は、超高齢者が多く、余り動かない方が多いこともあって、その方が心不全だということを余り認識しないで時が過ぎていって、肺炎を起こしたときにはすごく苦しくなっていて、調べてみたらすごく心不全だったということが多いように思います。その引き金に肺炎や心房細動・虚血などの引き金疾患があるのですけれども、このような軌道では予測的に意思表明を支援することはなかなか難しい環境にはございます。ですけれども、そこで複数の病と障害と機能不全をうまくコントロールしながら、急性期に意思決定をしながら、治療とケアとリハビリテーションと緩和ケアの一体的な提供をしていくことが実態かと思います。

 先ほど来の議論にもありましたけれども、心不全の緩和ケアの提供体制、連携については、恐らく専門病院外来と病棟などで診る心不全と超高齢者の在宅心不全はニーズが少し違うのかな、したがって、連携体制も違うのかなという印象を持っています。そこのエビデンスがまだ不足はしていると思うのですけれども、この辺の実態をもう少し明らかにしていく必要があるとは思っています。70代や80ぐらいまでの割と若い人については、心不全がメーンプロブレムですし、病院を中心とした連携が必要で、慢性期は病院外来での身体評価だけではなくて社会的背景や心理的な問題も含めた包括的支援を多職種で、意思表明支援を多職種でやっていく必要があるし、ここには特に専門性の高い看護師さんたちの協働があればいいのではないか。それが地域に広がればさらにいいと思います。もちろん院内においては緩和ケアチームと連携がとれる。緩和ケアチームと心不全のサポートチームが常に連携をとれる。そのトリガーをどこに置くかということを院内でちゃんと論議して、できるという体制が望ましいかと思います。在宅管理をすると、ある程度専門的な管理が必要なので、そこの仕掛けが必要になってくるかと思います。一方で、私たちがふだん見ているような90歳ぐらいの超高齢者の心不全については、多様な疾患と障害機能不全がある超高齢者は、地域を中心とした連携モデルが望ましいのかなと思います。肺炎や合併症が悪化の引き金になることが多いので、急性増悪期には複数の疾患・複数の障害不全の悪化の連鎖が起こるために、全身管理を常にしていくという視点が非常に大事になるので、これは在宅医が総合医としての役割を果たせるかと思います。ただ、心不全も含めて診療ができるような後方支援病床との連携が望ましいですし、循環器のコンサルテーションや緩和ケアのコンサルテーションができる体制が在宅医療においても望ましいかと思います。

 最後に、先ほど山田構成員からもありましたけれども、非がんについてはさまざまな政策的な課題がございます。最大はオピオイドの問題がありまして、モルヒネが使いづらいということ。特に2ミリ、3ミリというのは非常に少量なので、がんの速放錠も5ミリからですから、なかなかこの量で使える薬がないですし、徐放剤も1日20ミリでは多過ぎるので、10ミリの徐放剤が必要です。心不全患者さんには、心腎症候群がおこるので腎不全がかなりあります。腎不全が進んでいる方についてはオキシコドンが保険上心不全の呼吸困難に使えないということがございますし、酸素は心不全に使えなくはないのですけれども、肺炎などを起こして心不全も悪くなるので、そういったときに急性期に気軽に使えるようにはなってはおりませんし、あとはトリバプタンなどの心不全の治療薬、利尿剤がまだなかなか在宅で開始できないなど、肺炎で心不全が悪くなりますと、大抵低ナトリウム血症が起こっていますので、ナトリウムを下げる利尿薬は使いづらくて、こういう医療薬が家で使えることが重要です。あと制度上の問題としては在宅総合診療料はがんだけですし、訪問看護も、人工呼吸器をつけている方だと深い褥瘡の方には月2回特別指示書が出せますけれども、呼吸器や循環器などの臓器不全の急性増悪ではずっと出すことはできません。また、心不全患者などの内部障害の方は介護保険でも大抵はADLが割といいので、高い介護度が出ていないことが多く、医療的管理をその制限の中でやることに非常に困難を感じるところがございます。あと、制度上の問題としても、特養に入っている方も心不全の方は当然いらっしゃると思うのですけれども、がんの方と予後1カ月の方しか訪問できません。基本的に月単位の予後予測は非がんではできないという結論ですので、1カ月の予後の方が入るということは不可能と言ってもいいかと思います。緩和ケア病棟ではなかなかがんとエイズ以外は入れないということはありますので、心不全などの臓器不全群の末期の方を支えているのは、恐らく一般病院であり、ここでは急性増悪を繰り返しながら長期入院になったり、なかなかわずかな安定期も見いだせないような方で帰せないという方、そういう方をたくさん抱えています。何とか帰したが、すぐ戻ってくる。でも、基本料はどんどん下がっていく中で、難しい方を診ているというのが病院の実態ですので、そこを何とか手当てできないと、緩和ケア病棟と同じような終末期のケアは恐らく体制的にできないと思っています。あと、意思決定支援、意思表明支援と決定の支援をする体制がやはり重要です。がんでも論議されていますけれども、緩和ケアニーズにどこで気づいてというところで、トリガーをどこに置いて、その後、どのようにチームが動くかということの仕掛けを考えていかなければいけないと思います。コーディネーターの役割がすごく大事になるのかなということで、看護師さんがそこの役割を果たすのが今の日本の中では一番妥当かと思っております。

 以上でございます。

木原 座長 病院の立場から、在宅の立場から、まとめていただきました。ともに緩和ということだけ切り出してディスカッションがなかなかしにくい領域であるということを本当に切実に思いましたが、逆に言えば、それだけこの「緩和」という切り口が今の我々が直面している、特に高齢者を中心とした医療体制の一つのキーワードでもあるのではないかとも思った次第でございます。

○池永構成員 ありがとうございました。非常に現状を理解することができました。

 山田構成員にお聞きしたいのですが、心不全の認定看護師やいわゆるそれを専門としている専門看護師は、どういう現場でどういう仕事をしているのかということと、今後どういう役割がその専門領域では期待されているのかということを教えていただきたいと思います。

○山田構成員 多くの慢性心不全の認定看護師はいわゆる急性期の病院で働いていて、その中で心不全チームとか、循環器の何とかチームといった専門チームの中の認定看護師として活動をしています。なので、外来で比較的在宅も踏まえて、外来、入院、在宅とつなげる役割を担っている慢性心不全看護認定看護師と、一方で、高度急性期・急性期の医療機関で急性期の心疾患 治療 の中で看護の専門性を発揮している場合もあります。私たち学会としては、今後、まだ数が少ないのでなかなか難しい点があるのですけれども、外来を中心にして、患者さんの適切な入院と入院治療、そして、患者さんの希望に応じた、願いに応じた在宅医療、あるいは地域での生活にどうつなげていくかというところのリーダーシップを発揮してほしいと考えています。

○池永構成員 まだ地域でそういう活動をしておられる方はそんなにはおられないのですか。どういう形ですか。

○山田構成員 今の急性期の病院に所属して地域に出ている慢性心不全の認定看護師は、一部います。アウトリーチという形で、開業医の先生や訪問看護ステーションから要望があって、無報酬ですけれども、私の前にいた尾道市立市民病院であったり、私のところの病院も今は1人いるので、要望に応じてうちで見ている患者さんだけではなくて地域で見ている患者さんについて、相談を受けて提案したり、一緒に見ることによって情報を共有するといった形をとっている地域も一部あります。

○池永構成員 もう一つだけお願いいたします。

 地域で心不全の患者さんがおられる場合に、何かそのケアや看護など介護について相談をしたいと考えた場合は、もともとの病院の外来であったり、地域連携室であったり、訪看であったり、どういう感じになっているのでしょうか。

○山田構成員 先ほど慢性心不全認定看護師のいる施設の多くは、退院されるときに慢性心不全の認定看護師が、何かあったらいつでも電話をしてきたらいいよと、相談機能、役割を担っています。でも、そういう看護師がいない場合は、入院していた病棟や地域連携室であったり、直接循環器内科のドクターに連絡が入ります。

○木原座長  医者は 、例えば、6グラムの減塩という指示はできても、患者6グラムの減塩とはどうするのですかと突き詰められると答えられないみたいなところがあります。

 慢性心不全認定看護師の一部は自分で外来をやっているので、主治医のところにも行くけれども、そちらにも行く。場合によっては、かけ持ちして帰ったり、あるいは看護師だけに話を聞いて帰ったりということができるのです。看護師は医者と また全く別の観点から指導してくれる。患者もまた話しやすい。

○山田構成員 私の赴任している今の病院も前の病院も、退院後のコールナーシング という しくみをつくっています。という ものを慢性心不全の認定たちはしていました。 要するに、認定看護師や現場の看護師が帰った後にどうなのか、わざわざ来ていただかなくても、電話でトリアージやアセスメントをして、必要があれば訪看と連絡をとったり開業医と連絡をとったりという活動です。

○池永構成員 その活動は、何か診療報酬的な手当てはあるのでしょうか。それか、病院自体が支えるのか。認定ナースの非常に個人的な力量に支えられているという気もするのですが。

○山田構成員 なかなか難しいので全部の施設ができるとは思いませんけれども、私の知っている限りでは、看護部長の采配で所属を外して看護部長づけにしたり或は外来所属にして 自分の裁量で 外来‐入院-在宅に働けるよう権限と責任を与えている例もあります。それには人件費の問題があるので病院長などの御支援も必要です。コールナーシングについては全く無報酬ですが、最近は疾患等々によっては退院前後の訪問について加算がつくようになりました。退院後訪問加算は580点で、訪看と同行すれば更に20点の加算なので、そういった部分では少し報酬的には評価され出したのかなと思います。

木原 座長 いろいろな緩和の仕組みを考えていく上の一つのキーになる部分は誰がキーになってこのシステムをつくるのかということで、それは多分医者ではだめではないかと思っているのです。患者の生活の中で病気に関しての継続的な支援は看護の世界ではないかと思っています。そのあたりはいかが思われますか。

○川本構成員 ありがとうございます。

 今、山田構成員からの御紹介もありましたように、認定看護師はもともとが特定領域の卓越した看護技術を持っているということで発展した経緯がございます。今調べたのですが、認定看護師1万8,768名中の1万6,861名が病院での所属になっておりまして、訪問看護ステーションはまだ634名しかおりません。特に病院の中でも外来でつなぐ役割をするようにということで看護外来等を設置しておりますが管理者の方の力量で進めていただいているところがございます。これからは対象の患者さんの状況が変化してきますので、治して、暮らしの中で生活するということの視点が重要と考えると病院から出ていかなければいけないと思うのですが、今、紹介したような所属の状態ですので、その辺が私どもとしても課題かと思っております。

 広く活躍をしていけるような体制づくりがこれから大事になってくるかと思いますし、間違いなくこの方たちが看護の今後の質を上げていったり、実際の利用されている方を支援するかなめになっていく方たちだと私たちも認識しておりますので、その辺の体制づくりをぜひお願いしたいところでございます。経済的な問題の裏づけがないとなかなか発展していかないという背景もございますので、よろしくお願いしたいと思います。

木原 座長 今は本当にボランティアみたいな感じで、そういう方たちが素地をつくりつつあるのではないかと思いますが、私としては言い過ぎのところもあって、それは医者軽視だという意見はあるかもしれません。

○羽鳥構成員  きょうはお話を聞くということにさせていただきたいと思います。

○木原座長  平原構成員、今、在 宅のいろいろな問題点を先生から御提起いただき、単純ではない構図があり、肺炎の中にもたくさんの心臓死の方が入っていて、心臓の悪い方も必ずしも心臓死としてカウントされていないところもある。とりわけ先生からポイントとして挙げていただいたのは、かなり超高齢ですね。比較的長生きをしながらその間にかなり入退院を繰り返されて、しかもさまざまな入退院を繰り返されて、そこでかなり大量の医療費の消費もされているというグループではないかと思います。そのあたりを先生にまとめていただければと思います。それから、QOLですね。

○平原構成員 疾患別になかなか区切っては考えられないところが出てきていまして、肺炎のガイドラインも今年出されましたけれども、そこにも、もともとの基礎疾患に応じた適正な治療を考えなさいということになっています。超高齢者の治療や緩和ケアについては疾患ベースでなかなか単純に考えられないということがあります。例えば、心不全が悪化するときは肺炎もあるので、肺炎で呼吸困難で苦しい、それで入院されたりすることもあるので、肺炎の緩和も必要だったり、心不全の緩和が同時に必要だったり、先ほどのようにCOPDの合併の方も多いので、それらを一緒に、並行してバランスをとって診ているというのがまさに地域・在宅の現状です。ここは、循環器の緩和についての検討の場ではありますけれども、高齢になればなるほど、地域に行けば行くほど全てのものが混合しているという状態です。それはむしろ専門医よりもゼネラリストのほうが得意とするところなので、そういう人はメディカルホームを在宅や地域に置いて、そうではない人は病院に置くと、うまくすみ分けていく。でも、お互いに連携するという、その辺の形ができればいいかと思います。

 例えば、先ほど退院後に訪問に行くというのは制度としてあって、私たちの病棟もやっているのですけれども、それだと循環器の心不全の認定看護師さんがそこの病院の入院患者さんでなければいけないわけです。多くの場合は、北区も看看連携が進んでいて、病院の数少ないWOCの方が、在宅の訪問看護師さんに呼ばれて一緒に見て、そうとう難しい褥瘡の方などもコントロールができるなどということもありますので、WOCでやっていることを心不全の緩和でもやっていただけるといいと思います。在宅で複数の問題がある中で循環器の問題が非常にクローズアップされたタイミングで、認定看護師さんに自宅に来ていただいたり、あるいは専門医の先生とコンサルテーションができるようなシステムがあるとよいと思います在宅という制限の中でも治療行為は、難しい治療でなければある程度できると思うのですけれども、行為よりも判断のほうがすごく難しいので、そこでコンサルテーションができると相当助かると思います。

○川本構成員 今のWOCの話ですが、同行訪問が診療報酬上は認められておりますので、かなり早く進んでいっていたように思っております。せっかくですので、もっと外に出ていけるようにと私どもは思っております。

木原 座長 いわゆる独居老人で、疾患、病気をお持ちで、しかも心臓も含めて病気があれこれある、そういう患者さんが抱えておられる大きな塊の中心に不安というものがあるのだろうと思います。私はどうなるのだろうかとか、どうしたらいいのだろうかとか、いろいろ不安があって、経済的な問題もある場合があります。

 それに対して、制度としてどんなあり方がその不安が軽減するだろうか いうことに関して、質問させていただいてもよろしいですか。難しいことで済みません。

○井上構成員 難しゅうございます。1つには、たまたま私はペースメーカーを入れており、ペースメーカーを植え込んでいる患者の会を運営いたしておりますが、会員の平均年齢が75歳以上でございますので、80代、90代の方ももちろん多くいらっしゃり、そういう「会」の中に籍を置いて何らかの情報を得られるということが、手前みそですけれども、御本人の大きな力になっているということは十分に考えられます。

 それと、服薬に関して、あえてやめてしまうのではなく「飲み忘れ」が深刻です。特に独居の方は、サポートしてくださる御家族もいらっしゃらないので、あっという間にお薬がたくさん残ってしまうということは日常茶飯です。今、先生方がおっしゃっておられましたように、専門のスタッフが御訪問くださって、コミュニケーションをおとりいただければ、御本人の不安軽減や、これからも元気でいこうというお力にはきっとなっていくのだろうと思います。

木原 座長 情報の孤立化はまずいでしょうね。何らかの意味で情報の共有があったり、ずっと持続的に支えていくなど、そういうことが大事だということですね。

○井上構成員 はい。病院に行けば外来でも様々な方々とお会いできるわけですけれども、同じような年齢の方や同じような病をお持ちの方々と、自宅におりましても必要な情報が得られ、コミュニケーションができれば、それは大きな力になっていかれるのだと思います。

木原 座長 がんの患者さんは割と個別的な感じがいたします。悪くなられたらさっと亡くなっていくようなことを一般的には想像してしまいますが、そういう中において、がんの患者さん同士の情報の共有などは余り問題にならないのですか。それは必要で、何らかの努力がされていることなのですか。

○池永構成員 それはいわゆる拠点病院の中で行われているがん相談支援の中に含まれる患者サロンという活動だと思うのですが、一部のがんの患者さんにおいては、同じような病気を持っておられる患者さんの話を聞きたい、情報を得たいという方は確かにいらっしゃいます。ある部分、医師からの話だけではなくて、また、看護師の話だけではなくてということです。ただ、全ての疾患にわたって十分にそういう患者会機能がそれぞれの病院で発揮できるかということは別であると思います。そのためには、都道府県でもよく患者会のいわゆる協議会などを開催していますが、がんに限って言うと、そういうものを通して希望すれば、相談支援センターを通して患者会を紹介したり、サロンに相談できるということはあるのだろうと思います。ニーズはあるということだと思います。

○木原座長 とにかく必須ではないと考えていいのですか。逆に言えば、心不全の管理ということを考えると、共通してみんなで知っておいてもらいたい、あるいは共有してもらいたいことがどうもあって、情報の共有ということはすごく大事だと思っているのですが、その辺はいかがでしょうか。

○池永構成員 必要だろうと思います。

 ただ、全てのがんの患者さんがそういうものを積極的にかかわられるかというと、そこはいろいろなやり方があるのだろうと思います。

○羽鳥構成員  平原先生にお聞きしたいのですけれども、11ページから13ページぐらいのあたりで、何か提言をしていくとしたら、どのあたりが一番訴えたいのでしょうか。例えば、麻薬を早く的確に使えるようになるとか、あるいは特別指示書のことなど、幾つか問題点が書かれていると思うのです。順位づけというか、心不全の方が在宅を展開していくにはここが解決すればもう少し使いやすくなるのではないかとか。

○平原構成員 恐らく薬剤のことはすごく時間がかかるだろうと思います。そういうニーズに応えてくれる企業がなかなかいないので、当面は工夫してやるしかないでしょう。制度的なところで言うと、介護保険で臓器不全群は低く介護度が出がちであるということで、それこそ枠が小さい中で工夫しなければいけないということがあって、非がん全般がそうですけれども、終末期の方を家でみとるのは、そこが制限因子になっていることは確実だと思います。

 特別指示書というものを乱用されてしまうと制度の悪用になってしまって非常に難しいところもあるのですけれども、例えば、私が思うのは、特別指示書を期間を限定して、心不全の末期であれば3カ月を限度として月2回を出せるということにすると、大体非がん疾患の終末期は医師が終末期だと思ってからそんなに長くは生きられないのです。3カ月を超えて生きることは余りないことが多いのです。制度を悪用する人がどうしてもいるので、そういうものを防ぐためには3カ月を限度として主治医が認めた場合に特別指示書を月2回出せるということをしていただくと、例えば、看護師さんが本当に丁寧に日々見ることができるようになりますので、そこは在宅の制度的には一番優先度が高いかと思います。お薬のことももちろん高いのですけれども、時間がかかることは承知していますので、制度としてはそこが一番あればいいと思っています。

○木原座長 山田構成員としては、御提案の中で優先度などありますか。

○山田構成員 ナースの視点からすると、人材育成とメディカルスタッフの人たちの循環器や慢性心不全に関するスキルを持つような仕組み、薬剤師さんは、それぞれ化学療法や緩和ケアは認定薬剤師があるのですけれども、循環器系は全くないのです。だから、管理栄養士さんも緩和ケアも栄養はすごく大事で、栄養状態のいい人は割と予後がいいですし、非常に活動性も高まるという意味では、管理栄養士さんも、減塩とか水を絞るだけではなく、逆に栄養をどうやってつけていくかというところの提案ができると、もっと違ってくると思います。

木原 座長 看護師と理学療法士と管理栄養士と、ほとんど一体になって同じところをドライブしていくような仕組みが必要なのですね。

○山田構成員 何もかもはできないので、専門のちょっと得意なところを持つことがそれぞれのスタッフには必要なのではないかと思います。

木原 座長 教育ですか。

○山田構成員 ジェネラリストの育成は重要ですけれども、その領域に特化してすごくわかる人がいると、その人がジェネラリストのモデルとなるでしょうし、コンサルも含めて、いろいろつなげてくれる役割をしてくれると思います。

木原 座長 資格みたいなものですか。

○山田構成員 そうですね。

○平原構成員 もう一点加えさせていただくならば、繰り返し入院となる方が、最終的には病院で亡くなる方が多いのですけれども、そこを支えているのが一般の中小の病院であることが多いと思うのです。そこがどんどん減算になっていって、なかなか最期責任をもって見られなくなり、行く場所がないなどということも起こりえます。私は有床診もやっていますので、そういう方は再入院をくりかえさざるを得ないのですけれども、終末期の方の避けられない再入院の減算にはかなり困っていらっしゃるところだと思うのです。

 ただ、これはまたかなり工夫が必要なことではあるのですけれども、何らかのその辺のことも制度としては優先課題かと思いました。

○木原座長 きょうは皆さんの御意見をしっかりいただいて、その御意見を取りまとめ、集約をしてコンセンサスを出すところまでは至らなかったと思います。それは次回に繰り越してまいりたいと思います。構成員の皆様には非常に活発な御議論をいただきまして、ありがとうございます。

○岡田がん・疾病対策課長補佐 ありがとうございます。

 次回のワーキンググループに関しましては、また事務局より追って御連絡いたします。お忙しい中、恐縮ですが、日程の御調整のほどよろしくお願いいたします。

木原 座長 それでは、きょうは第1回のワーキングをこれで終了したいと思います。

 大変お忙しい中、ありがとうございました。


(了)

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