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2017年10月6日 第11回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」議事録

○日時

平成29年10月6日(金)9:00~11:00


○場所

中央合同庁舎5号館専用第22会議室(18階)


○出席者

岩崎アドバイザー、上條アドバイザー、千把アドバイザー、平野アドバイザー、宮嵜障害保健福祉部長、朝川企画課長、内山障害福祉課長、三好障害福祉課障害児・発達障害者支援室長兼地域生活支援推進室長、市川障害福祉課長補佐、照井障害福祉課長補佐、大津障害福祉課長補佐、佐々木障害福祉課訪問サービス係長、福島障害福祉課長補佐、原障害福祉課福祉サービス係長、高沢職業安定局雇用開発部障害対策課長補佐(オブザーバー)

○議題

1.平成30年度障害福祉サービス等報酬改定に向けて(居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括支援、施設入所支援)
2.その他

○議事

○内山障害福祉課長 定刻となりましたので、ただいまから「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」第11回会合を開催いたします。

 御出席いただきましたアドバイザーの皆様におかれましては、御多用のところお集まりいただき、まことにありがとうございます。

 本日のアドバイザーの出席状況ですが、井出アドバイザー、野沢アドバイザー、二神アドバイザーにつきましては、所用により欠席です

 続いて、構成員の出席状況ですが、主査であります大沼政務官、武田精神・障害保健課長につきましては、公務により欠席です。なお、おくれているメンバーも少しいるようでございます。

 続きまして、本日の資料の確認です。

 資料として7点付けてございます。

 資料1  居宅介護 に係る報酬・基準について

 資料2 重度訪問介護に係る報酬・基準について

 資料3 同行援護に係る報酬・基準について

 資料4 行動援護に係る報酬・基準について

 資料5 重度障害者等包括支援に係る報酬・基準について

 資料6 訪問系サービスに係る横断的事項について

 資料7 施設入所支援に係る報酬・基準について

という7点でございます。

 資料に過不足等があれば、事務局までお申し付けいただければと思います。

 撮影はここまでとさせていただきますので、カメラの方は退席をお願いいたします。

 では、議事に入らせていただきますが、各資料につきまして、それぞれ事務局から説明をした後に、質疑を行いたいと思います。なお、テーマが7つと多いため、資料1と資料2、資料3と資料4につきましては、あわせて御説明をさせていただいた後に質疑の時間を設けたいと思っています。

 初めに、資料1の居宅介護、資料2の重度訪問介護について、事務局より御説明いたします。

○大津障害福祉課長補佐 事務局の大津と申します。よろしくお願いいたします。

 資料1で居宅介護から御説明させていただきます。1ページをご覧になってください。居宅介護の概要です。居宅介護につきましては、障害支援区分1以上の障害者、障害児に対して、居宅における入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事、生活等に関する相談及び助言、その他生活全般にわたる援助を提供するサービスでございます。

 2ページに移りまして、現状ですけれども、平成28年度費用額は約1,574億円で、給付費全体の7.2%を占めてございます。利用者、事業所数は毎年増加しておりまして、1人当たり費用額の推移につきましては、平成27年度まで毎年増加。平成28年度は少し減少したという状況でございます。

 3ページに各団体からヒアリングを受けました主な意見を載せさせていただいておりますが、御紹介いたしますと、家事援助の報酬の引き上げ、各種加算の充実などの御意見・要望がございます。

 居宅介護につきまして、4ページに論点を整理させていただいております。訪問介護の見直しに伴う家事援助等の見直しについて、御意見を伺いたいと思います。

 5ページになりますけれども、現状・課題の最初ので、居宅介護は、介護保険における訪問介護に相当するサービスでありますので、これまでの報酬改定では、基本的には介護報酬改定における訪問介護の議論を踏まえて、改定を行ってまいりました。平成2812月の社会保障審議会介護保険部会の「介護保険制度の見直しに関する意見」や、同じく平成2812月の経済・財政諮問会議決定の「経済・財政再生計画改革行程表2016改訂版」などにおいて、生活援助を中心に訪問介護を行う場合の人員基準の緩和や、それに応じた報酬の設定について、平成30年の介護報酬改定で対応とされておりまして、現在、介護給付費分科会において議論が行われている状況でございます。

 4つ目のでございますが、このほかに、訪問介護のほうでは、現行でも介護職員初任者研修課程修了者がサービス提供責任者になっている場合や、訪問介護事業所が同一建物に居住する者にサービスを提供する場合に報酬の減算をするという仕組みがございますが、居宅介護のほうには、このような取り扱いがない状況です。

 最後のですけれども、関係団体のヒアリングは先程御紹介しましたとおり、家事援助の報酬の引き上げなどについての御意見がございますという現状です。

 それにつきまして、論点が6ページでございます。ですけれども、介護保険の訪問介護の現在の運用やその見直しを踏まえて、居宅介護の見直しについてどう考えるかということに対しまして、下の2つの○ですが、居宅介護職員初任者研修課程修了者がサービス提供責任者となることができる取り扱いの見直し、また、居宅介護事業所と同一建物の利用者にサービスを提供した場合の減算について、この議論は後ほど紹介いたしますけれども、訪問介護でも現在検討中なのですが、その検討状況を踏まえて検討してはどうかということ。もう一つ、最後ので、介護人材の不足については障害福祉分野についても同様でございますので、人材の専門性などに応じた人材の有効活用の観点から、訪問介護においても議論されていますので、障害の特性を踏まえた上で、家事援助を中心とした居宅介護を行う場合の人員基準の緩和やそれに応じた報酬の設定について検討してはどうかということについて、御意見を伺いたいと思います。

 参考資料として、7ページ、8ページに訪問介護の概要を付けさせていただいております。

 9ページには、訪問介護の指定の基準、10ページには訪問介護の報酬の単位を参考に付けさせていただいおります。

11ページから、社会保障審議会介護保険部会介護給付費分科会の今年の7月5日の資料を付けさせていただいております。一部紹介いたしますと、11ページの真ん中の3つ目のですけれども、先程御紹介しました平成2812月の介護保険部会の「介護保険制度の見直しに関する意見」におきまして「体力的な都合等で身体介護は難しいが生活援助ならできるという介護人材も存在し、その人材の活用を図るべきとの意見や、生活援助の人員基準の緩和を行い、介護専門職と生活援助を中心に実施する人材の役割分担を図ることが重要」ということ。一方で「生活援助の人員基準を緩和すれば、サービスの質の低下が懸念されることや、介護報酬の引き下げにより、介護人材の処遇が悪化し、人材確保がより困難になり、サービスの安定的な供給ができなくなる可能性がある」という慎重な意見もございます。このような状況で、平成30年度介護報酬改定の際に改めて検討ということが記載されてございます。

12ページに移りまして、下のですけれども、集合住宅におけるサービス提供の適正化について、これも「平成30年度介護報酬改定に向けて実態調査を行った上で、給付の適正化に向けて介護報酬上の対応を検討すべき」と。これは財政審の財政制度分科会のほうでの指摘があるということでございます。

 それに対しまして、論点として、13ページの最初のですけれども、生活援助を中心に訪問介護を行う場合の人員基準及び報酬について、要介護者に対する生活援助の意義を踏まえ、どう考えるかとか、3つ目のですけれども、集合住宅におけるサービス提供の適正化について、どう考えるとか、4つ目ので、サービス提供責任者の役割や任用要件について、どう考えるかなどの論点が挙げられております。7月5日にこの議論がなされ、今後、さらに検討がされる予定という状況でございます。

 居宅介護については、以上でございます。

 続けて、重度訪問介護の説明をさせていただきます。資料2でございます。1ページは重度訪問介護の概要でございます。重度訪問介護は、重度の肢体不自由者または重度の知的障害もしくは精神障害により行動上著しい困難を有する者であって、常時介護を要する障害者に対しまして、居宅における入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事、その他生活全般にわたる援助、外出時における移動中の介護を提供するサービスでございます。

 2ページが現状でございますが、平成28年度費用額は約735億円で、給付費全体の約3.4%で、利用者1人当たりの費用額及び事業所数ともに毎年増加しているという状況です。

 3ページ、4ページに関係団体ヒアリングの主な意見を載せさせていただきました。支援区分4以下でも重度訪問介護が利用できるようにしてほしいとか、入院中のヘルパーの支援につきまして区分6以外の者でも利用できるようにしてほしいとか、新人ヘルパーが先輩のヘルパーと2人体制で支援する場合の2人目の人件費も賄えるような報酬改定とすべきなどの御意見がございます。

 5ページに移りまして、重度訪問介護に係る論点につきまして、論点1は入院中の病院等における利用に係る報酬等について、論点2として熟練ヘルパーとの同行支援についてと2つ立てさせていただいております。

 6ページが論点1でございますが、入院中の病院等における利用に係る報酬等についてということで、現状・課題でございます。最初のの重度訪問介護の提供場所については、昨年の法改正で新たに厚生労働省令で定める場所が加わりまして、その場所については病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院、助産所を位置付ける方向で現在整理中でございます。2つ目のですが、病院等に入院した時の利用について、対象者や支援内容の範囲・報酬単位等を定める必要がございます。また、関係ヒアリングでは今、御紹介したとおり、区分6以外の者でも利用できるようにとか、医療連携加算のような報酬を検討してほしいというような御意見をいただいております。

 その中で論点を幾つか分けさせていただいておりますが、最初のでございます。重度訪問介護の対象者は区分4以上でありますが、入院中の利用の対象者についてどう考えるかということにつきまして、病院等における看護等は、当該病院等のスタッフにより行われることが基本であることを踏まえまして、対象者につきましては、看護師等とのコミュニケーション支援を要し、これが行われないことにより苦痛を感じるような特殊な体位交換や環境調整等を必要とする者としまして、障害支援区分の6の者に限るとしてはどうかということ。

 もう一つの論点、2つ目のですが、病院等との役割分担についてどう考えるかということにつきまして、ヘルパーは看護を行わず、コミュニケーション支援(適切な体位交換の方法を看護スタッフに伝えるため、ヘルパーが看護スタッフと一緒に体位交換の方法を示すといったことを含む)を提供することとしてはどうかということ。また、これに付随して、看護に該当しない行為(テレビの位置調整等)についても可能としてはどうかということについて、御意見をいただきたいと思います。

 7ページも論点1を引き続きなのですが、最初ので、入院中の支援の期間や、その延長に当たっての必要性について、どう考えるかということにつきまして、入院中の利用の必要性の判断について、診療報酬における障害者施設等入院基本料において、長期入院として減算されることとなる日数が90日であることを踏まえまして、1回の入院につき、少なくとも90日以内に、市町村が必要性を確認して、支援の継続が必要な場合に限り、延長するような仕組みにしてはどうかということについて、御意見をいただきたいと思います。

 2つ目の●でございますが、制度の円滑な運用や利用者の支援のためには、入院先の病院等との連携が必要です。これを担保する仕組みについてどう考えるかにつきまして、入院中の重度訪問介護の提供に当たっては、病院等の連携を要件としてはどうかということ。具体的には、例えば、利用者の症状等の共有や、支援内容の再確認等のため、適宜のタイミングで打ち合わせを行うなどが考えられるのではないかということ。最後の論点ですが、報酬単価についてどう考えるかにつきまして、ヘルパーは、身体介護は基本的に行わないということになりますが、病院等との連携を行いながら支援することが必要になります。また、重度訪問介護は、従来から支援の内容を基本的には分けず、見守りを含めた総合的な支援を断続的に行っていることを評価している仕組みでございますので、報酬単価については在宅時のサービスを基本としてはどうかということについて、御意見を賜りたいと思います。

 参考資料として、8ページが重度訪問介護の訪問先の拡大の考え方で、これは部会などで提出させていただいている資料をお付けしております。

 9ページ、入院中のコミュニケーション支援に係る実態調査を平成28年度に実施しております。これは市町村が地域生活支援事業の意思疎通支援事業として「重度障害者が入院した際に、看護師等とのコミュニケーション支援のために支援者を派遣する事業」を行った場合の実態を調査したものでございます。一部紹介いたしますと、下の表で調査事項の(1)ですけれども、入院中に必要とされる重度訪問介護によるコミュニケーション支援の具体的内容としましては、ナースコールをかわりに押すとか、見守り、意思伝達装置の調整、ふだんのケアについて医療スタッフ等に伝達するなどの業務がございます。そのほかに「療養上の世話」に該当しない行為、エアコンの調整とかテレビの位置調整なども支援として実施されている実態がございます。あとは(2)の入院中の重度訪問介護の利用が想定される障害者の具体的な状態像につきましては、ALSや筋ジス等の利用の必要性が想定される状態像から障害支援区分6としつつ、引き続き検討が必要という御報告をいただいております。

 次は10ページですけれども、特別なコミュニケーション支援が必要な障害者の入院における支援について、これは平成28年、昨年6月に保険局の医療課長から通知が出されておりますものの抜粋でございます。1番には、当該入院患者のコミュニケーションに熟知している支援者が、当該患者の負担により、入院中に付き添うことは差し支えないということが通知で明確化されております。

 2番につきましては、その支援については、当該入院中の患者とのコミュニケーションの技術を習得するまでの間において行われるものであることとされております。

 3番目の一番下の行ですけれども、看護要員による看護を代替し、または看護要員の看護力を補充するようなことがあってはならないことなどが通知で示されてございます。

11ページは、同じく入院中に支援が可能な事業として、地域生活支援事業の意思疎通支援事業がございますが、その意思疎通支援事業の要綱の抜粋と、下のほうには、これも同じく平成28年6月に障害保健福祉部の企画課長通知で出ておりますけれども、入院中における意思疎通支援が可能であることを改めてお示しするという通知が発出されておりますので、その概要でございます。

12ページは重度訪問介護の報酬単価でございます。

13ページの論点2、熟練ヘルパーとの同行支援につきまして、進ませていただきます。現状・課題でございますが、重度障害者の場合、利用者の支援に熟練したヘルパーが新任ヘルパーに同行して、利用者が求める支援について伝達することが必要な場合がございます。この場合は2人で派遣することになるのですけれども、報酬としては1人分しか算定されないため、事業所の負担になっているというもの。関係団体のヒアリングの中でも、新人ヘルパーの人件費が賄えるような報酬を設定してほしいという御意見がございます。3つ目のですけれども、3年後の見直しの報告におきましても「熟練した従業者による実地研修の実施を促進すべき」とされております。

 論点でございますが、熟練ヘルパーが新任ヘルパーに同行して支援することについてどう考えるかということに対しまして、下のでございますが、重度訪問介護は、障害者みずからが必要な支援を、その方法等も含めヘルパーに伝え、必要な支援を求めるサービスというものでございます。そのために、支援に必要な技術は、個々の障害者の状態によって異なりますので、重度訪問介護従業者養成研修は、最低限の研修時間(10時間以上)にとどめておりまして、支援を通じてヘルパーの資質向上がなされることが想定されてございます。

 一方、新規に採用したヘルパーの実地研修を実施している等の要件を満たす場合には、特定事業所加算を算定することが現状でもできることとなっております。このような状況で、コミュニケーションに困難を抱え、利用者が新任ヘルパーに必要な支援を求めづらい場合に、熟練ヘルパーが同行して、新任ヘルパーに対して、当該障害者の意思伝達を行いながら支援を行うことの評価が必要か、御意見を賜りたいと思います。最後に、一般的なことでございますが、仕事に必要な技術を取得することは、一般的には従業者や雇用者のみずからの負担により行われているということを付け加えさせていただいております。

14ページは、重度訪問介護従業者養成研修の科目を紹介してございます。

15ページにつきましては、重度訪問介護の報酬単価。

16ページは、先程紹介しました特定事業所加算の真ん中の(5)で、新規に採用した全ての重度訪問介護従業者に対し、熟練した重度訪問介護従業者の同行による研修を実施していることが要件として加わってございますということを紹介してございます。

 説明は、以上です。

○内山障害福祉課長 ただいま御説明いたしました資料1の居宅介護、資料2の重度訪問介護につきまして、御質問等があれば、アドバイザーの方からお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 平野さん、お願いいたします。

○平野アドバイザー 居宅介護と重度訪問介護、どちらも非常に重要なものだと思っております。特に今、地域移行を掲げているわけですけれども、地域移行を掲げるとすれば、地域で生活できていくのかという保証がないと、やはり利用者は、地域というのは難しいと思うわけです。ですから、ここはちゃんと地域で支えられますというメッセージを出さないと、地域移行は、利用者は難しいと思います。それが1点目。

 2点目なのですけれども、これから、障害の重い人を出そうとすれば、どうしてもこの辺のあり方とか質の問題が増えてくる。量の問題も増えてくるというのは避けられないだろうと思っていますので、この辺の質と量をどのように確保するのかが課題になってくると思っています。

 ちょっと長くなって恐縮ですけれども、その辺で、1点目なのですが、居宅介護。これは確かに御指摘のとおり介護保険との関係がすごく大きいですし、現実として、事業所のほとんどが介護保険と兼ねてやっているという実態がありますので、そこはもう介護との議論は避けられないと思うのです。一方で、障害の特殊性はあるだろうと思うのです。

 今回、論点として、家事援助の問題が出されたのですけれども、この点に関しては、障害独自の部分はあるだろうと思っています。どういうことかといいますと、個々のケースはばらばらですが、一般論、全体のマクロの話なのですが、高齢者の場合には、いいとは言いませんが、老老介護だったりとか、子どもの世帯がいたりとかがいるのですけれども、障害者の場合は逆でして、単身者が多い。障害者本人はもう単身のケースが圧倒的に多いですし、親が高齢化して介護できないとか、そういうパターンが多いので、介護保険のパターンとは世帯構成が違うというのが前提にあって、その辺で家事のサービスは、ある意味では単身者が多い。家庭自体のそういう機能が、子どもが面倒を見るわけではないですから難しくなっている。その辺を踏まえて重要性があるだろうと思います。

 もう一つ、特に知的とか精神の場合には、単に家事援助ではなくて、そういうものを通じてSSTというか、社会適応訓練に近いようなこともやっているのです。一緒に掃除をしましょうとか、そういう生活技術とか生活管理という部分も持って関わっているという実態があります。特に精神の場合は、これが社会とのつながりになっているという部分もあるので、この辺は介護との違いという部分としてはあるのではないか。

 ですから、現実問題としては厳しいのですけれども、障害の持っている対象者の特殊性は配慮する必要があるだろうと思います。

 そういったことで言えば、6ページ目ですけれども、論点の下のの2つ目です。確かに介護のほうは、家事援助の場合は市町村事業にして報酬を分けているのですが、残念ながら全国的に見るとマスコミなどでも、下げることで結果的に人材確保が困難になってしまった、あるいは事業所の経営が困難になってしまったということです。確かに求められるものが違うのに同じ報酬にするというのは難しいと思うのですけれども、場合によってはいきなりやるのではなくて段階的にやるとか、経過措置を設けるとか、下げてしまうと、今、言ったようにただでさえ障害の場合が持っている独自の部分が担保されなくなってしまう。結局人材不足が難しくなることが考えられるので、介護と右へ倣えでやってしまうと、介護のほうが負っている問題がこちらにも来てしまうのかなということになるので、その辺の配慮が必要かなと思っております。

 以上です。

○内山障害福祉課長 ありがとうございます。

 ほかにございますでしょうか。

 上條さん、お願いします。

○上條アドバイザー ありがとうございます。

 今、平野先生がおっしゃったようなことが、私のほうでもお伝えしたいことになります。やはり家事援助、身体介護だけではない体系が障害者支援の場合には必要ではないかという声が出ています。例えば重度訪問介護では見守りができることになっているのですが、重度訪問介護の対象にならないような方でも、例えば知的障害の方とか精神障害の方とか、あるいは障害児などの場合に保護者が留守中の対応を、どうしても必要だということもあるでしょうし、そういったことから新たなサービス類型の創設を検討していただきたいということが、21大都市の政令市等の課長会の要望事項としても挙げさせていただいているところです。今回のテーマの報酬改定というところに直接ではないかもしれませんが、今、平野先生もおっしゃられたので、そういった声もあるということで、お話しさせていただきました。

 重度訪問介護の関係ですけれども、1つは対象者で、支援区分6ということになっていますが、これについては、特に入院に関して、コミュニケーション支援というようなところが重要だということで出ている中では、行動障害のある方は結構大変なところがあると思います。そう考えると、行動障害があるということで、イコール支援区分6になるわけではないので、実態は支援区分4の方とか5の方で、そういった障害のある方も結構いらっしゃるというところからいくと、対象の枠が6に限定されるのではなくて、プラス、こういった障害がある場合というような方について対象とするということは、御検討いただけないかなと考えています。

 熟練ヘルパーとの同行支援についてなのですが、確かに論点に書かれているように研修時間は必要最低限で、実際は現場で、OJTの中で学ぶという設定になっている。だからこそ特定事業所加算が算定できるということなのですが、実際に現場のほうからこういった声が多く出ているということでいうと、特定事業所加算で対応することがいいとは思うのですが、その単価ですとか算定の基準がもうちょっと算定しやすくなるようにということです。資料の最後の16ページにあるように、取得状況は事業所の中でも1割も満たないというところがあるので、算定の数字が少ない理由を御検証いただいて、少し使いやすくするということで、この加算を対応されたらどうかと思います。

 以上です。

○内山障害福祉課長 ありがとうございます。

 ほかにございますでしょうか。

 岩崎さん、お願いします。

○岩崎アドバイザー ほかのアドバイザーの皆さんもおっしゃっていらっしゃることだと思うのですけれども、私も非常にヘルパーの支援は重要だと思っております。特に、直接生活に直結している点で有効性もあるのですけれども、居宅で、ほかの施設体系とは違った意味での密室というようなことになりますので、プライバシーの問題ですとか、いろいろなトラブルなどが起こっている実態もございます。切り下げることによって、質の低下を非常に懸念しているということがございます。ですので、そこら辺は慎重に考えていただきたいと思っている次第です。

 熟練ヘルパーに新人のヘルパーが同行した時の問題は、本当にこれはぜひ考えていただきたいと思っております。ただ、考える時に、どのぐらいの時間、どのぐらいの頻度でその分を手当てするべきなのかということは、これもまた個別性が高い問題で、一律にできるわけではないという点で、非常に困難な判断だと思うのですが、手厚くしていただければと思います。

 それから、先程上條さんがおっしゃっていたことなのですが、私も入院中の重度の訪問介護に関して、某自治体の障害支援区分の認定とかに携わらせていただいている範囲で言うと、おっしゃったように、身体介護が非常に多い方は6という支援区分になっている方が多いのですが、知的障害とか精神障害の方とかで6となる方がなかなか少ない状況があると思います。障害をお持ちの方の中で、身体介護がない方で、コミュニケーションの支援が必要な方がいらっしゃると思うのです。これもまた範囲をどのように決めるのかというのは非常に難しい問題ですけれども、そうした方々への御配慮もぜひいただきたいと思っております。

 以上でございます。

○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 ほかにありますでしょうか。

 千把さん、お願いします。

○千把アドバイザー 私のほうからですと、居宅介護でございますが、当町でも延べで300名弱の利用を見込んでいる予算を組んでおります。特に平野先生がおっしゃったように、精神の方の生活援助といいますか、一緒に掃除をするとか、そういったケースが多く見られてございます。介護保険の改定も注視しながら、報酬の設定をよろしくお願いしたいと思うところでございます。

 熟練ヘルパーとの同行支援でございますが、これからは人材育成。人がどんどん減ってきておりますので、どうしてもそういったところが必要になってくると思いますので、評価の方法はぜひ導入していただきたいと存じます。

 以上でございます。

○内山障害福祉課長 ありがとうございます。

 ほかにございますでしょうか。

 平野さん、よろしくお願いします。

○平野アドバイザー 重度訪問介護の件なのですけれども、自治体のほうは非常に影響が大きいというのがありまして、いただいた資料でも分かるのですけれども、資料1を見ると、居宅介護のほうは1人当たりを見ると大体月額7~8万、それに対して重度訪問介護は月額ざっと60万ぐらい。単純に考えると、掛ける12をすると800万近い金額になります。もちろん人数、絶対数は全然違いますけれども、自治体からすると1人対象者が出ると大変なことになってしまうという感じで、しかも大きい影響をするということで、絶対数は少ないのですが、非常に影響の大きい事業と考えられます。

 しかし、一方で、地域で必要な事業でもあるわけです。しかも障害独自の領域ということで、そこでこれに非常に注目しているのですけれども、今回、問題提起されたうちの2件目、1つ目だったのですが、入院中にやるということについて、これについては団体側の要望もありますし、現実に障害、特に重度訪問介護自体が属人的な事業なのです。一人一人に個性があって、一人一人のやり方が違うので、それを環境が変わった場合にうまくやるということですので、そういった意味で、これをうまくつなげるというのは障害独自ではないかと思うのです。

 やはりどうしても懸念されるのが、厚労省の通知にもあったのですけれども、病院の労働力の補完にならないようにしなければならないというのは、どうしてもあるだろうと思いまして、そういった意味で、福祉の専門性というところで、今回、コミュニケーションという部分に言ったのですけれども、きちんとその辺で、本来福祉が担うべきは、ここなのだということを示さないと、本当に補完や代替の労働力になってしまう。それは避けたいというのがあります。やはり本人が生活しやすいように支えていくという役割をしてほしいというのが1点。

 もう一つ、病院との連携というのは要件にしてもいいのではないかと思っているのです。これは幾つかの現場で、実際に知的障害者の利用者が施設に入所する時に、病院から付き添いを求められたりとかしていろいろ、既にこういう問題は起きているのです。そこで問題になってくるのは、病院側が2つに分かれるのです。本当にそういう人が必要だと受け入れてくれというところもありますし、一方で、拒否的なところもあります。なぜ拒否的かというと、病院の中に、病院の管理体制に服さない人が入ってくる。ですから、病院であれば医師、看護師の指揮や指導で動くのだけれども、それに服さない人が入ってきて、どうなのだということで拒否反応を示すところもあります。あとは先程言ったように、同じですけれども、そういう介助者が病気の、衛生管理とかで菌、感染症を持ち込んだら、病院として責任が負えないという形で、かなり抵抗を示される病院も現実にあります。そういうことで言えば病院との連携という部分をきちんと図っていかないと、病院側も戸惑ってしまうという気がしますので、そこをやらないと、結局2つに分かれるのかなということです。

 最後は熟練のことなのですけれども、これに関して言いますと、趣旨はそのとおりだと思うのですが、先程言いましたように、重度訪問介護自身がかなり属人的な事業なのです。利用者に対して属人的にコミュニケーションがとれたりとか、その人のやり方をきちんと分かっているという、それを踏まえた人がやっていくという、オーダーメードのサービスというのですか、レディメードではない。それをやっていくということですから、これは個人的な私見ですけれども、実は、この熟練問題で一番重要なことは、どれだけ熟練のヘルパーを増やすかだと思うのです。

 今、一番大きい問題は、熟練のヘルパー、力量がちゃんとあるヘルパーをどれだけ増やすかという、ここがこの事業の一番の肝になるのかなと。当然新人交代もありますから新人を入れなければいけないのですけれども、熟練の人がどれだけ属人的なことを踏まえて伝えられるのかと。そう考えてくると、これは私の個人的な意見ですけれども、新人に付けるのではなくて、熟練のワーカーが頑張っていける、熟練のワーカーが増えていけるような、熟練のヘルパーを増やすような方向性でやっていくことが、この事業を継続する鍵になるのかなと。

 その辺で、付け方はいろいろあると思うのですけれども、新人に付けるのではなくて、熟練のワーカーが頑張って評価された、熟練で頑張っていったほうが事業所にとってもいいのだ、本人にとってもいいのだという、熟練のワーカーのモチベーションを高められたり、条件を改善できるような、そうすることが事業全体をよくできるのではないか。その辺は考えていただければと思っております。

 以上です。

○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 ほかにありますでしょうか。では、先に進ませていただいて、またありましたら最後に全体の質疑をしていただく時間をとりたいと思います。

 先に進ませていただきまして、資料3の同行援護、資料4の行動援護に係ります報酬・基準について、事務局より御説明いたします。

○大津障害福祉課長補佐 それでは、資料3の同行援護についてでございます。1ページが同行援護の概要でございます。同行援護は、視覚障害により、移動に著しい困難を有する障害者や障害児に対しまして、外出時において移動に必要な情報の提供、移動の援護、排せつ及び食事等の介護、その他外出時に必要な援助を提供するサービスでございます。

 2ページが現状でございますが、平成28年度費用額が約161億円で全体の0.7%、利用者1人当たりの費用額、事業所数ともに毎年度増加という状況です。

 3ページが関係団体ヒアリングの主な意見でございますが「身体介護伴う」以上の単価設定の要望や、盲ろう者支援加算の創設などの声がございます。

 4ページに論点を整理させていただいております。論点1として報酬体系について、論点2として従業者要件についてです。

 5ページに論点1の報酬体系についてがございますが、現状・課題については、先程御紹介しましたとおり、関係団体ヒアリングでは「身体障害伴う」以上の単価設定が必要や、盲ろう者支援加算の創設などについての御意見がございます。

 2つ目のでございますが、同行援護の報酬につきましては、身体介護を「伴う場合」と「伴わない場合」で分かれておりまして、それぞれの対象要件が定まっております。しかし、視覚障害者の移動支援につきましては、一般的に体に触れるという実態を踏まえまして「伴う場合」と「伴わない場合」を分けずに、基本報酬の一本化を求める意見がございます。

 それにつきまして、下で論点が2つに分かれておりますが、1つ目の●の基本報酬が「伴う場合」と「伴わない場合」に分かれていることについてどう考えるかにつきまして、○で、同行援護は、外出する際に必要な援助を行うことが基本でありますので、身体介護を「伴う場合」「伴わない場合」の対象や支援内容を分けることなく、報酬を一本化してはどうかということ。もう一つの論点のですが、手厚い支援が必要な者に対する報酬上の評価についてどう考えるかということにつきまして、盲ろう者等の情報提供が困難な者や、特に身体介護が困難な者などへの支援については、加算により評価してはどうかということについて御意見をいただきたいと思います。

 資料6ページは、同行援護の対象者要件をお付けしてございます。

 7ページは、同行援護の主な報酬単価をお付けしてございます。

 8ページに同行援護の報酬体系の見直しにつきまして、イメージをお付けしてございますが、現状は身体介護を「伴う場合」と「伴わない場合」で基本報酬が分かれてございますけれども、それを一本化し加算部分を付けるような、例えばのイメージでございますが、このようなものが考えられるのではないかということです。

 9ページの論点2、従業者要件につきまして、進めさせていただきます。現状・課題でございますが、平成23年度に同行援護が創設された時に、従業者要件やサービス提供責任者の要件につきまして、同行援護従業者養成研修の修了者であることとなっておりますが、平成26年9月末までの経過措置で、研修を修了していなくても修了したものとみなすとなってございます。その経過措置につきまして、平成30年3月末まで延長という状況でございます。

 それに対しまして論点ですが、従業者要件等についてどう考えるかにつきまして、従業者要件等の経過措置については、従業者要件を満たす者が一定程度確保されている状況にあることと、経過措置期間が6年あったことなどを勘案して、廃止してはどうかということについて御意見をいただきたいと思います。

10ページは、訪問系サービスの従業者やサービス提供責任者の要件を整理した表。

11ページにつきましては、平成27年度の障害福祉課の調査でございますが、上の表の右から3つ目でございますけれども、同行援護の従業者が約8万6,000人いる中で、経過措置対象者が2万人強。約25%いらっしゃいます。平成27年度の調査でございますが、そのうち研修が修了すると見込まれる者も一定程度いまして、一番右側の研修修了予定がない者は2万人弱いまして、約23%いらっしゃいます。ただし、同行援護事業者の多くが居宅介護事業者を兼ねておりますので、この2万人弱の方々のうち一定程度の方が居宅介護しか行わない従業者であることが見込まれるという状況でございます。

 同行援護の説明については、以上でございます。

 続きまして、資料4の行動援護に係る報酬・基準についてでございますが、1ページが行動援護の概要でございます。行動援護は知的障害、精神障害により行動上著しい困難を有する障害者、障害児であって、常時介護を要する者に対しまして、行動する際に生じ得る危険を回避するために必要な援護、外出時における移動中の介護、排せつ及び食事等の介護、その他の行動する際に必要な援助を提供するサービスでございます。

 2ページに移りまして、現状ですけれども、平成28年度の費用額は約108億円で、全体の0.5%。利用者数、事業所数については毎年増加しておりまして、1人当たりの費用額の推移につきましては増加と減少を繰り返しているという状況でございます。

 3ページが関係団体ヒアリングの主な意見でございますが、従業者要件の経過措置を延長すべきとか、支援対象を拡大して居宅にももっと支援ができるようになどの意見がございます。

 4ページに行動援護の論点を立てさせていただいておりますが、従業者要件について、御意見を賜りたいと思います。

 5ページの現状・課題でございますけれども、平成27年度の報酬改定において、従業者やサービス提供責任者の要件については、行動援護従業者養成研修の修了者となりましたが、平成30年3月末までは、これらの研修課程を修了していなくても修了したものとみなす経過措置を設けてございます。もう一つ、支援計画シートが未作成の場合は減算するという仕組みなのですけれども、平成30年3月末までは支援計画シートを作成していなくても減算しない経過措置がございます。

 それに対しまして、論点でございますが、2つに分けさせていただきまして、1つ目のの従業者要件についてどう考えるかに対しまして、平成28年度に実施した抽出調査で、約7割の従業者が経過措置対象者であるという現状で、うち3割が行動援護従業者養成研修修了予定がないという状況がございます。また、関係団体からも経過措置の延長を希望する意見があることなどを勘案しまして、従業者要件の経過措置については延長することとしてはどうかということについて、御意見をいただきたいと思います。

 支援計画シート作成に係る経過措置についてどう考えるかにつきまして、同調査によりますと、事業所の9割以上が、支援計画シートを作成済みまたは作成予定という状況を踏まえまして、支援の質の確保の観点から、未作成でも減算しないという経過措置については廃止としてはどうかということについて、御意見をいただきたいと思います。

 6ページは、先程と同じ訪問系サービスの従業者やサービス提供責任者の要件の表。

 7ページは、平成28年度に実施しました平成27年度の状況の調査でございますけれども、従業者が大体6,000人いるうち、経過措置対象者が4,000強で約7割。何人かは研修が修了すると見込まれるのですけれども、まだ2,000人弱の方々、約3割の方々が研修修了予定ではないとなっております。下の円グラフですけれども、青いものがもう既に作成している、赤いところが未作成だけれども作成予定というような状況をお示ししております。

 説明は以上です。

○内山障害福祉課長 それでは、今、御説明いたしました資料3の同行援護、資料4の行動援護につきまして、御質問等がございましたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 平野さん、お願いいたします。

○平野アドバイザー それぞれお話しさせていただきます。

 まず、同行援護なのですけれども、いわゆる視覚障害者のガイドヘルパーです。これは法改正でそれまで市町村事業だったものから、こちらの自立支援給付に移ったのですけれども、このことは正解だったと思っています。現場でも、障害を持った当事者の人たちからも、これまでの市町村事業から自立支援給付、法定給付になったことで、安定した給付になったということで、その辺ではすごく評価されているし、実際にこれで視覚障害者の人たちもたくさん使っているということで、この変更はすごくいいと思っております。

 具体的な報酬改定の今回の御提案なのですけれども、やはり現場でも身体介護を「伴う場合」と「伴わない場合」の判断が非常に難しいと言われています。市町村も事業所も当惑しているのが事実です。市町村からすると、ちょっと手を添えてトイレに引っ張っていくだけでも身体介護ありとやっているところもありますし、そうではないという、本当に抱き起こしたら付けなければだめだというところもあるし、かなり違っている。

 やっているガイドヘルパーからしても、当初は身体介護ありで行ったら何もなかったということで、報酬が下がってしまったということもありますし、身体介護なしで依頼があって、行ったらこれをやってくださいと言われてやってしまったということで、かなり混乱をしているのは事実です。

 そういった意味では、思い切って一本化してしまったほうが、特に肢体不自由とは違いますから、通常の視覚障害であればそんなに大きい身体介護はないわけですから、一本にしてしまったほうがいいと思っています。そのほうが現場も楽ですし、市町村の判断のぶれもなくなってくると思います。

 それで報酬のほうを一本化して、むしろ先程あった盲ろうですとか盲肢体不自由とか、そういう特別な障害を持っている人にプラスアルファを付けたほうが、よほど現実的になってくるのかなと。盲ろうの場合、あるいは盲肢体とか盲知的の場合には、1足す1が2ではなくて1足す1が5とか6になりますから、基礎の部分は簡単に、明確にして、そうすれば先程言ったように市町村の判断のぶれもないし、ヘルパーのぶれもない。これは身体介護なのかどうかというのを事業所に報告する時に、ヘルパーもこれでどうなのかと悩むのです。そういうこともなくなるわけですから、全部フラットにしてしまって、むしろそういう特別なニードを持っている人には上に加算するといったほうが、現場のほうも整理はしやすいし対応もしやすい。

 実は、先程説明があったのですけれども、居宅介護の事業者がやっているパターンが多いのですが、同時にガイドヘルパーだけをやっている人も意外といるのです。特徴は、意外と高齢の方が多いのです。これだったら自分たちもできるという形で加わっていきますから、そういう人たちが参加するためにもフラットにしたほうが分かりやすいですし、それで特別なニードがあればこれをこちらでやりますよとしたほうが分かりやすいのではないか。削るというわけではありませんけれども、フラットにした分をむしろ重い盲ろうだとか障害を持った人、特別なニードを持った人たちに回したほうが、これは視覚障害者の人たちからも同意が得られるのではないかと思います。そういう意味では、重い方たちをやったほうがいいと思っているということです。

 視覚障害者の要件が9ページ目にありますけれども、これは廃止したほうがいいとは私も思います。先程言いましたように、視覚障害者専門でやっていくという人たちにはしっかり理解してもらったほうがいいと思っていますし、ほかのヘルパーもそうですけれども、障害者の命を預けている場合がありますし、非常に長い時間関わっていく。もう一つ、これはガイドヘルパーたちに言うのですけれども、プライバシーに触れる部分が相当あるというのです。例えば出かけた時に書類を書いたりとか読んだりとか、そういうこともしなければならない場面がいっぱいあって、どうしても個人のプライバシーに触れたりとかする部分もあるし、病院に行ったりすることもあるので、視覚障害に対する一定の知識は持っておく。先程ヘルパーの閉鎖性の問題がありましたが、ちゃんとそれを担保するという意味でも資格要件はきちんとやったほうが、視覚障害者の場合、全部人格も預けるわけですから、そういう意味でやってもらったほうがいいなと思っています。

 行動援護なのですけれども、もう釈迦に説法で恐縮なのですが、元々は確かに保護的な性格が大きかったのです。知的や精神で問題的な行動があった場合に、それを抑制しようということが、不穏当ですけれども問題が起きないようにしましょうということが当初は強かったと思っています。ただ、これが前回の報酬で、なぜこの重度の行動障害の研修を入れたかというと、自己予防とか、防衛的なものではなくて、本人のあれを守るという防衛ではなくて、むしろそういうことを起こさないように、問題行動が起きないように予防的に関わっていくものだというふうにしましょうというのが一つの議論だったのです。つまり、本人がそういう重い障害を持っていても社会生活ができるように、社会で、地域で暮らせるように予防的に関わっていくものにしましょうと。だから、こういう行動障害の研修を受けてもらいましょうと。そして、シートをつくって、訓練プログラムとしてやっていきましょうと。問題が起きたらそれを予防するのではないという、そういうことをやったわけです。

 そういう趣旨からすれば、研修はまだまだあれですが、きっちりとやってもらって、問題行動が起きたら何とかしようではなくて、そういうものが起きないようにして地域で暮らせるようにしましょうというサービスなのですと。地域移行のための、地域で生活するための支援なのですという色彩を強めたほうが本来の趣旨に戻ると思いますし、そういう意味で要件のほうはもうちょっと伸ばして付記したほうがいいと思いますし、計画シートは私も、減算はそろそろなくしてもいいと思います。

 先程言ったように、サービスの趣旨が変わったわけですから、問題が起きたらそれを押さえ付けるのではなくて、そういうものが起きないようにきちんとしたサポートをする。そういうものにしていくというメッセージとしてやったほうが、まだ現場の意識はそこまで変わり切れていませんけれども、そういうメッセージを発したほうがいいのかなと思っています。

 以上です。

○内山障害福祉課長 ありがとうございます。

 ほかにございますでしょうか。

 上條さん、お願いいたします。

○上條アドバイザー 私のほうからも、同行援護で身体介護を「伴う場合」「伴わない場合」の話なのですが、平成15年に支援費ができた時にこういう区分ができたと思うのですが、それ以前は特に分かれていなかった。そこから数えるともう十何年たっているわけですが、平野先生がおっしゃったように、まだまだ当事者も自治体もヘルパー自身も混乱があるという中では、これを続けていくというよりは一本化するというところがいいと思います。

 その際、単価差が今まで非常にあったわけです。居宅介護の身体介護並みと家事援助並みというところで、そういう単価設定だったわけですけれども、外で身体介護をしようがしまいが、利用者の人の安全を確保しながら誘導するということに関して、気の使い方とか関わり方は、身体介護と家事援助という家の中でやるサービスの違いと同じでいいのかなというのもあるのですが、それ以上の差だったなと思います。

 事業所は、伴う人しか受けないなどということはできませんので両方やるのですが、バランスをとりながらやらないと、偏ってしまうと「伴わない場合」の人が多くなってしまうと、事業所運営ができないような状況にもなってしまうので、非常に対応が厳しかったかなと思いますので、単価を一本化というのはいいと思います。その際、一本化して報酬的にはあまり下がらないようにというのでしょうか、なかなか全体の中では難しいかもしれませんが、身体介護を伴うというものに近い全体的なサービスの内容だというふうには私は思っています。

 行動援護に関してですが、これは研修についてです。やはり延長が必要だと思いますが、研修修了予定がない人が3割ぐらいということで、それ以外は修了していると見るのか、7ページの最後の表ですけれども、全体が6,000人強ということで、まだまだ足りない、少ないというふうに見た場合には、この研修受講を促進していく必要があると思うのですが、行動援護従業者養成研修にしろ、強度行動障害支援者養成研修にしろ、研修自体が量的に足りていないようなところもあるので、この研修を開く、開催することに関しての促進策も必要かなと考えております。

 以上です。

○内山障害福祉課長 ありがとうございます。

 ほかにございますでしょうか。

 岩崎さん、お願いいたします。

○岩崎アドバイザー 先生方がおっしゃっていただいたことに私も共感しておりますけれども、最後に上條さんがおっしゃられた研修の開催そのものが、回数がなかなか少ないですとか、いろいろな声があると思います。お忙しいし、費用とか時間、そういったものを事業所が持ち出して研修を受けるというようなことになりますので、開催回数もそうですけれども、出席しやすいような環境をどう整えればいいのかということ。そこら辺も少し念頭に置いていただけるとありがたいと思っております。

 以上です。

○内山障害福祉課長 ありがとうございます。

 ほかにございますでしょうか。

 それでは、先に進ませていただきまして、もし何かあれば最後のパートで全体的に御質問いただければと思います。

 続きまして、資料5の重度障害者等包括支援に係る報酬・基準について、事務局より御説明いたします。

○大津障害福祉課長補佐 重度障害者等包括支援でございます。1ページでございますが、重度障害者等包括支援の概要でございます。常時介護を要する障害者、障害児であって、その介護の必要の程度が著しく高い者に対しまして、訪問系サービスや通所サービス等を組み合わせて、包括的に提供するサービスでございます。

 2ページが現状でございますが、平成28年度費用額は約2.8億円で、給付費は全体の0.01%。利用者数、事業所数については、ほぼ横ばいという状況でございます。

 3ページは関係団体のヒアリングの主な意見ですが、業務に見合った報酬が盛り込まれていないとか、対象の拡大や報酬の大幅な引き上げなどの意見がございます。

 4ページに論点を整理させていただきました。まず、全体の状況・課題を御説明しまして、論点1として対象者要件について、論点2として報酬について、論点3としてサービス提供責任者の要件等についてとさせていただいております。

 5ページに全体の現状・課題がございますけれども、重度障害者等包括支援は、平成18年度に創設されたサービスでございますが、重度の障害者が地域生活を送る上で、必要なサービスを柔軟に利用できるようにするために、緊急なサービスに際してその都度支給決定を経ることを不要としているということと、従業者の資格要件を緩和しているということ、事業者による報酬の自由な設定が可能というものを意義として創設されたものでございます。平成24年4月の状況でございますが、利用者は31名、事業所は10カ所という状況でございます。

 関係団体のヒアリングの要望・御意見につきましては先程御紹介したとおりでございます。

 3つ目の○ですけれども、3年後の見直しの報告におきましては「地域で家族と生活する重症心身障害児者等のニーズに合わせて活用しやすいものにすべき」とされております。

 これまでの調査研究において、対象者要件、報酬、サービス提供責任者の要件について課題があるという御指摘をいただいております。

 6ページに重度障害者等包括支援の提供のイメージを描かせていただいておりました。これは生活介護事業所が指定を受けて支援を提供するパターンでございますけれども、真ん中に集中している黒い矢印が通常、家にいたら重度訪問介護を提供して、日中はマル2番でございますが、事業所において生活介護を提供するという通常の中において緊急なニーズ、例えば外回りに書いてあります一番左のマル3のウですけれども、家族のレスパイトが必要な状況に短期入所を提供するとか、一番下の紫の矢印ですが、生活介護中に体調が悪くなった場合に重度訪問介護を利用して通院支援を行うとか、右側に書かせていただいております家族の入院などの場合の重度訪問介護の利用、もしくは利用者の体調が悪くなった時の家からの通院支援などが包括的に、臨機応変に提供できるという事業でございます。

 7ページで過去の調査研究で指摘されたものを紹介してございます。平成24年度の調査研究におきましては、寝返りが打てるだけで包括のサービスを受けることができなくなるということ。対象がもう少し広くなってくれるとありがたいという御意見と、相談支援専門員の専従要件が厳しいという御報告をいただいております。平成28年の調査研究におきましては、寝返りができても「座位を保てない」人と、環境変化のリスクや支援の必要度に大きな違いがあるだろうかということ。たび重なる報酬改定で個別サービスの報酬がアップしている中、重度包括のメリットが少ないという御指摘をいただいております。

 そんな中で8ページが論点1の対象者要件についてでございますが、対象者は下に書かせていただきました1から3類型に分かれてございます。2つ目の○ですけれども、先程御紹介したとおり、寝返りが一部できても座位保持ができないなど、支援の必要度等が変わらないのに対象とならないことについての指摘がございます。この中で、論点としましては、対象者要件についてどう考えるかに対しまして、下ので、対象者要件を改めるのであれば、重度障害者等包括支援が必要な対象者の要件について調査研究が必要ではないかということについて、御意見をいただきたいと思います。

 9ページに進みまして、論点2の報酬についてでございます。現状は、包括的に提供するサービスのうち、短期入所や共同生活援助については、個々のサービスで提供する場合には算定できる各種加算を算定することができないという現状がございます。論点につきましては、報酬についてどう考えるかにつきまして、重度障害者等包括支援は、個々のサービスより指定基準が低く設定されていることや、個々のサービスで算定可能な加算の中には、包括的にサービスを提供することにより評価が必要ないものもあることに留意しつつ、重度障害者等包括支援で提供するサービス内容に見合う報酬となるよう検討してはどうかということについて、御意見をいただきたいと思います。

10ページは、重度障害者等包括支援の主な報酬単価。

1112は短期入所と共同生活援助の主な報酬単価を参考にお付けしてございます。

13ページに進ませていただきまして、論点3のサービス提供責任者の要件等についてでございます。現状・課題については、サービス提供責任者の要件である、相談支援専門員を専従で確保することが難しいという御指摘がございます。現状では、サービス等利用計画を、障害福祉サービスを利用する全ての者が作成することになっておりますので、重度障害者等包括支援のサービス提供責任者が作成する「サービス利用計画」との役割が重複している状況でございます。

 それに対しまして、論点は下のでございますが、サービス提供責任者の要件や、その役割についてどう考えるかということに対しまして、サービス等利用計画の作成を通じた総合的な支援のマネジメントは相談支援事業所が行う状況ということと、サービス提供責任者に求められる役割は、利用者の状態等により発生するニーズ、例えば急な通院などに応じて柔軟に支援ができる体制を整え、実際に急な支援内容の変更時に必要な調整を行うことではないかということを踏まえまして、これらの業務内容を踏まえ、サービス提供責任者の要件の緩和を検討してはどうかということについて御意見をいただきたいと思います。

14ページにつきましては、指定相談支援事業所と相談支援専門員の概要を付けさせていただいております。

 説明は以上です。

○内山障害福祉課長 それでは、ただいま御説明いたしました資料5の重度障害者等包括支援でございますけれども、これにつきまして御質問等がございましたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 平野さん、お願いいたします。

○平野アドバイザー これは全国的に数も少ないので評価が難しいのですが、やっているところから聞くと、うまく使いこなせばおもしろいのだけれどもという話があるのですが、なかなか難しいというのが多いです。実は、この制度ができた時に、私が当時の担当から聞いたのはこういうことだったのです。

 1つ目は、障害者の特性を考えて、障害を持っている人の場合、特に想定された、1ページのところです。実はALSの人たちを想定しているという話を聞いたのです。ホーキング博士みたいな人たちなのですけれども、介助と医療的なケアとか、そういったものも必要としているということで、いろいろな状況が変わるということで、連携もあるので、例えば子どもであれば教育だとか、大人であれば労働とか社会参加もあるので、そういう多方面と障害者は関わっていく。そういうことを考えると柔軟にするサービスが必要だと。特に介護であれば、訪問看護と訪問介護という医療系のサービス、メニューを持っているけれども、障害の場合には医療系のメニューは持っていない。そうすると、いろいろな連携とか、総合的に生活を支えるためにはこういうものが必要だろうというのが1つ目の理由。

 2つ目の理由としては、支給決定の方法なのです。介護の場合には、要介護の区分が決まれば、その区分の中でケアマネがうまくサービスを組みかえられるのですけれども、障害の場合には、一遍支給決定するとヘルパーは何時間、デイサービスは何時間というように市町村が決定すると、変更するとなるともう一回市町村で支給決定の変更をしなければならない。そうすると、先程あったように緊急の場合には対応できないから柔軟に対応できるためにはこのように別枠でつくったほうがいいだろうと。そのためにはここにはケアマネを張り付けましょうというような方向で来て、理念としてはすごくよかったと思うのですが、理念先行になってしまって現実に合わなくなってしまったという状況かなと思っていまして、何が合わなかったのかというと、一つは対象者になった人たちの求めるニードと、このサービスのあり方がうまく合わなかった。

 結局今は、もちろん先程説明がありましたように、対象者の人たちは、むしろ個別のメニューをうまく使って、それでやれるようになってしまったという形ですね。今、ケアマネのマネジメントも全員に必須化されたということで、こちらのもとでやるということもなくなってしまった。そういう意味で、ニードそのものはあるのだけれども、それがうまくかみ合わなくなってしまった。逆にほかのメニューが整備されてきたことで違いがなくなってしまったということが一つです。

 もう一つは密度の問題があるのです。かなり指定要件が高かった。ケアマネも付けるとかそういうことであったのですけれども、そうなってくると、これは事業として成立するかという話になってくるのです。やはり1つの町に1人とか2人では、とても事業所としては成立しないから、参入しようというモチベーションが働かなくなってくる。今、これがあるものがある特定の地域に偏っているのは、特定の地域であれば何軒かできるからやれるということ。全国的に広がらないのは密度の問題もあって、事業者が参入してこない。そういうところがあるのかなと。

 実際、先程言いましたように、重度の障害者はこれがないことで困っているかというと、ほかのメニューがそろってきたのでそんなに困ってもいないということで、そういう意味では、これは個人的な意見ですが、大きく見直したほうがいいのかなという考えを持っています。

 この趣旨からすれば、いろいろなサービスを複合的に提供できるという意味に着目するのであれば、介護であれば小規模多機能のような多面性のサービスに持っていくのか、あるいは個別的なサービスをやるのだったらケアマネジメントをもっと充実する。そういった方向の制度のあり方にするとか、そういう抜本的なあり方を変えていかないとずれたままになっているのかなと思っていますし、先程も言いましたように、これと言っては残念なのですが、これがないと困るという状況になっていないというのも認めざるを得ない現実でして、それはほかのサービスが充実したということもあると思うのですけれども、だとすれば、これのあり方を抜本的に見直す。

 ただ、今、現実に受けている人がいますから、すぐになくせとは言いませんけれども、もう少し多機能性に着目するのか、個別に柔軟性に着目するのか、もう少しポイントを絞らないと、この制度自身の存在意義が見えてこないのかなと思っています。

 最後に、そういう意味では、報酬の面とか従事者の面もそうなのですけれども、もう少し全般的に見直しをしていったほうがいいのかなという意見です。

 以上です。

○内山障害福祉課長 ありがとうございます。

 ほかにございますでしょうか。

 岩崎さん、お願いします。

○岩崎アドバイザー お聞きしたいことがございまして、最近、地域生活支援拠点というようなことが結構言われて、いろいろな自治体で既につくられているようなところもあって、そこはたしか24時間の緊急時の対応ということでお部屋も用意するとか、そのようなことが言われております。そういったところとこの事業は、どのような御関係にあると認識されていらっしゃるかをお尋ねしたいと思うのです。

○内山障害福祉課長 いかがですか。

○大津障害福祉課長補佐 重度障害者等包括支援につきましては最重度の方を対象という形になっておりますが、拠点はもっと幅広いというような状況でございます。

○岩崎アドバイザー ありがとうございます。今の基準のままでこの事業をなさるというふうになった時に、先程平野さんもおっしゃっていたように、相談支援、計画相談は元々やっていて、いろいろな事業を手広くやっていたり、その地域で非常に連携がよくて、すぐに対応できるとかいうような背景がないと進めていくのがなかなか難しい仕掛けになっているのだろうなと思うのです。

 先程来おっしゃっていらっしゃるように、いろいろなサービスが増えてくる中で、本当にどこに位置付けているのか。個々ばらばらに算定したほうがもちろん事業者の収入としてはあるわけですし、どちらを選択するかという時に今の報酬だと、この事業が選択されない。同じことをやっているけれども、こちらを選択しないというような事業者がどのぐらいあるのかが分からないので、そういう意味での実態の調査とかいうようなことはお願いできると、どうしていくのかという方向性がもう少しクリアになるのかなと感じました。

 以上です。

○内山障害福祉課長 ありがとうございます。

 ほかにございますでしょうか。

 千把さん、お願いいたします。

○千把アドバイザー 資源がない杉戸町の私の立場で申し上げるのも何ですけれども、平成18年に創設されてから今日まで来ておりまして、私どもからすれば、すごくよくできたシステムだなと。最重度の方に対しましては、現在でも十分に利用できるシステムだとは思っております。

 ただ、先程始まる前に平野先生ともちょっと話しておったのですけれども、フルコースなのです。先生と話した時に、個別のメニューが非常に充実してしまったと。フルコースで全部そろえたのが、だんだん陳腐化してきてしまった。そういったイメージが拭い切れないと思います。そこで調査研究が必要ではないかということでございますので、こちらのほうを十分やっていただければというところなのですが、すみませんが、大体どれぐらいまでをめどに調査研究をしていくのか。それだけをお聞きしたいのです。

 以上でございます。

○大津障害福祉課長補佐 時期につきましても、今後、検討させていただきたいと思います。

○内山障害福祉課長 基本的には次の報酬改定も視野にということかと思っています。

 ほかにございますでしょうか。

 それでは、あと2つ残っておりますので、また先に進ませていただきたいと思います。資料6の訪問系サービスに係る横断的事項について、事務局より御説明いたします。

○大津障害福祉課長補佐 訪問系サービスに係る横断的事項でございます。1ページから、関係団体のヒアリングにおける主な意見を載せてございます。簡単に御紹介いたしますと、前段のほうは国庫負担基準について検討すべきとか、介護保険給付対象者の国庫負担基準について是正すべきとかが出ております。後段のほうからは、通勤・通学に関する支援についての御意見がございます。

 2ページには医療的ケアの充実などの御意見をいただいているところでございます。

 3ページに訪問系サービスの横断的事項についての論点を整理させていただいておりますが、論点1としまして国庫負担基準の見直しについて、論点2としまして通勤・通学の支援について、論点3としまして訪問系サービスの従業者要件についてと整理させていただいております。

 最初の論点1は4ページでございますが、国庫負担基準の見直しについてでございます。国庫負担基準は訪問系サービスのみにある仕組みでございまして、市町村の国庫負担の上限を定めたものでございます。最初の○ですけれども、国庫負担基準は平成24年度まで一律に引き上げてまいりましたが、超過負担がない市町村の割合は70%台をずっと横ばいの状況でございます。また、平成24年度以降、全国的には基準総額、国庫負担基準の総額が総事業費を上回っている状況でございます。平成27年度に見直しがございまして、重度障害者の多い市町村の基準をかさ上げ。具体的には訪問系サービスの支給決定者数に占める重度訪問介護等の支給決定者数が5%以上の市町村に対しましては、国庫負担基準を5%かさ上げというような見直しを行っております。

 2つ目の○、関係団体のヒアリングにつきましては、先程御紹介しましたとおり、基準の大幅な引き上げとか介護保険対象者についての基準の見直しなどについていただいております。

 3年後の見直しについての報告につきましても「財源の確保にも留意しつつ、重度障害者が多いこと等により訪問系サービスの支給額が国庫負担基準を超過せざるを得ない小規模な市町村により配慮した方策を講じるべき」とか「介護保険給付対象者の国庫負担基準については、財源の確保にも留意しつつ、見直しを行うべき」とされております。

 このほか、国庫負担基準の算定につきましては、国庫負担基準ができたのが平成18年度からなのですけれども、その前年の平成17年度以前の補助額、これを従前額といいますが、従前額を下回る場合には、従前額を負担するという仕組みになっております。

 これに対しまして、一番下のですけれども、平成26年度の会計検査院検査におきまして、従前額に係る根拠資料が廃棄されている状況で、その適否が検証できない状況にある市町村があることから、従前額を基準額とする算定方法のあり方について検討を求められているところでございます。

 5ページにつきまして、論点でございます。幾つか分けてございますが、最初のですが、平成27年度の見直しの効果を踏まえ、小規模な市町村にさらに配慮した方策についてどう考えるかということに対しまして、人口規模、財政力及びその地域における重度障害者の割合等による自治体間の不均衡を踏まえ検討してはどうかということ。

 もう一つの論点、2つ目の●ですが、居宅介護や重度訪問介護は、介護保険の訪問介護に相当するサービスでありますので、それらを利用する介護保険対象者の基準は、介護保険の対象となっていない方と比べて低い単位となってございます。国庫負担基準の創設時につきましては、介護保険対象者の基準は、重度訪問介護等の基準から居宅介護分の基準を除いた単位となっておりましたが、現状では、それよりも低い水準となってございます。それに対しまして、どう考えるかということに対しまして、創設時の考え方、重度訪問介護等の基準から居宅介護分の基準を引き算した単位としてはどうかということ。もう一つ、行動援護につきましては、介護保険に相当するサービスではないにも関わらず、介護保険対象者の基準が設定されておりますので、介護保険対象者の基準を行動援護につきましては廃止してはどうかということについて御意見をいただきたいと思います。

 3つ目の●の従前額保障の算定方法についてどう考えるかということに対しましては、国庫負担基準が運用されてから10年以上経過しまして、利用者、総事業費とも大きく伸びてございます。従前額が国庫負担基準となっているのは、ほとんど人口3万人未満の市町村でありますので、最初のの論点でも御相談させていただきましたように、小規模市町村については別の仕組みで配慮を検討することとして、従前額保障の算定方法については廃止してはどうか。もう一つ、従前額保障の算定方法の廃止によって超過負担が増加または新たに生じる市町村については、補助金により経過措置として激変緩和策を盛り込むことを検討してはどうかということについて、御意見をいただきたいと思います。

 資料につきましては、6ページが国庫負担基準についての概要でございます。国庫負担基準は、国の費用負担を「義務化」することで財源の裏付けを強化する一方で「義務化」といっても無条件に全て負担することは困難でありますので、限りある国費を公平に配分し、市町村間のサービスのばらつきをなくすために、市町村に対する国庫負担(精算基準)の上限を定めたものでございます。

 これは個人のサービスの上限ではなく、市町村に対する国庫負担上限でありまして、同じ市町村の中でサービスの利用が少ない方から多い方に回すことが可能という柔軟な仕組みとなっております。

 そのような仕組みになっているということを、7ページの国庫負担基準の考え方でお示しさせていただいております。

 8ページにつきましては、国庫負担基準の超過に対する財政支援の現状ですけれども、下の絵です。一番右の財政支援がない場合ですと超過負担が発生している状況ですけれども、平成27年度に改正がございました。その前は2つの補助金で支援をしてございましたが、平成27年度改正がありまして、負担金の中で重度のかさ上げを創設して、引き続き2本の補助金で支援するという形となってございます。

 この補助金の仕組みで小規模かつ財政力の弱い市町村により重点を置いた財政支援を行っておりますということを9ページでお示しさせていただいております。左から右にかけて大規模になっていく絵でございますが、小規模な市町村ほど支援が手厚目というような絵でございます。

10ページにつきましては、平成27年度の自立支援給付の負担金の実績の状況で、マル1が負担金の算定の構造ですけれども、総事業費と基準額を比較して少ないほうの額が負担金となっているのですが、その基準額については国庫負担基準と従前額を比較するものとなっております。マル2の概要、3つ目の○ですけれども、総事業費を見ますと2,460億円。国庫負担基準の総合計が2,603億円と、総事業費を基準額が上回っている状況でございます。

 それを年次推移で見られるのが11ページでございます。超過負担についてですけれども、黄色が総事業費、青が基準総額でございますが、平成24年度から青の基準総額が超えています。緑のグラフは超過負担が生じていない市町村の割合ですけれども、70%台を推移している状況でございます。

12ページは、上が人口規模で下が財政力で、左から右に大規模になっている絵なのですけれども、超過負担が生じている市町村数や1人当たりの総事業費は、人口が多い、または財政力が高い市町村ほど多くなっている傾向にございます。

13ページにつきまして、総事業費に占める国庫負担基準の額の割合を仮にカバー率とした場合には、平均で言うと79.3%なのですけれども、中には50%を下回るような市町村もございますが、そのような市町村はいずれも3万人未満という状況をお示ししてございます。

14ページでございますけれども、財政支援についてでございます。基準のかさ上げによる支援と補助金の事業による支援を財政支援として、総事業費に対する財政支援の割合を財政支援率とした場合の折れ線グラフでございますが、平成26年度と平成27年度の折れ線グラフを載せさせていただいております。平成26年と比べると、平成27年度は小規模な市町村に対して重点的な配分がされているということをお示ししてございます。また、棒グラフでございますけれども、小規模な市町村ほど基準のかさ上げにより補助金による財政支援が行われている状況をお示ししてございます。

15ページで市町村により様々な状況を御紹介してございますが、小規模な市町村であっても補助金による支援を受けていないところがあったり、小規模な市町村では重度率が特に高い市町村、50%とか40%のところにつきましては、かさ上げの効果があまりないという状況。重度率の算定に当たっては、前年度の支給決定者を用いておりますけれども、小規模な市町村だと利用者が少ないことから、前年度と当該年度のサービスの利用状況が大きく異なる場合があるということをお示しさせていただいております。

16ページが介護保険対象者の国庫負担基準でございますけれども、一例を見ますと、平成18年度の重度障害者等包括支援の国庫負担基準は、区分6につきましては4万5,500単位ですが、一番下の居宅介護の区分6は1万8,680。この4万5,500から1万8,680を引き算した2万6,820という数字が介護保険給付対象者の基準になっているのですが、平成29年度は区分6の8万4,320から居宅介護の区分6の2万6,970を引き算すると、右側の箱の赤字になりますが、5万7,350となるはずが、3万3,830となっている現状になりますので、この5万7,350規模に直すということを検討してはどうかということ。あとは下から2つ目、行動援護につきましては、相当するサービスではないのに基準が設定されておりますので廃止という検討について、御意見をいただきたいと思います。

17ページは論点2の通勤・通学の支援についてでございます。重度訪問介護、同行援護、行動援護では「通勤、営業活動等の経済活動に係る外出、通年かつ長期にわたる外出及び社会通念上適当ではない外出」を支援の対象外としております。

 障害者の通勤・通学については、事業主による通勤支援や、学校のスクールバスの巡回等により支援がなされておりますが、それらの支援だけでは通勤・通学ができない場合があることから、重度訪問介護等による支援を求める意見がございます。なお、一部の市町村では、地域生活支援事業における移動支援事業において、通勤・通学の支援が行われております。

 関係団体ヒアリングでは、先程御紹介したとおり、通勤・通学の支援を求める声がございますし、障害者権利条約の理念を踏まえて、国として支援を求めるという声もございます。

 また、3年後の見直しにおきましても、雇用障害者数及び就労移行支援利用者数の合計が約66万人、特別支援学校の小学部、中学部の在学者数が約7万人に上ることや、障害者差別解消法の施行に伴う事業者や教育機関による「合理的配慮」との関係、個人の経済活動と公費負担の関係、教育と福祉の役割分担のあり方等の課題がある。障害者等の通勤・通学等に関する移動支援については、福祉政策のみならず、関係省庁とも連携し、事業者、教育機関、公共交通機関等による「合理的配慮」の対応、教育政策や労働政策との連携、地方公共団体における取り組み等を総合的に進めていくべきであると。その上で、福祉政策として実施すべき内容について引き続き検討を進めるとともに、まずは、通勤・通学に関する訓練を就労移行支援や障害児通所支援により実施することとし、これを必要に応じて評価すべきとされてございます。

 それに対しまして、18ページが論点でございますが、通勤・通学の支援を重度訪問介護等の対象とすることについてどう考えるかにつきまして、現状の取り組みを進めていく上で、通勤・通学の支援を重度訪問介護等の対象とすることは、事業主や学校による支援が後退することが懸念されることや、通勤については個人の経済活動に対する公費負担について課題があるため、適当ではないのではないかということについて、御意見を伺いたいと思います。

 資料の19ページに、重度訪問介護等と障害者等の通勤・通学に係る助成金の絵を付けさせていただきました。通勤につきましては、重度障害者等通勤対策助成金として、通勤のための駐車場の賃貸や通勤用のバスの購入などの支援がございます。通学につきましては、学校支援教育就学奨励費の中で、特別支援学校と小・中学校の特別支援学級等に分かれておりますが、内容は同じで、通学に係る交通費等の助成でございます。小・中学校の特別支援学級のほうには、一部所得によって費用の負担が生じるというものでございます。

20ページに進めさせていただきまして、論点3でございます。訪問系サービスの従業者要件についてでございますが、介護保険の訪問介護等では、専門性の確保の観点から、平成21年度に旧3級ヘルパーによるサービス提供を報酬の対象外としましたけれども、居宅介護、重度訪問介護、同行援護では(旧3級ヘルパーに相当する)50時間の障害者居宅介護従業者基礎研修修了者による支援を、報酬の対象としてございます。それに対しまして、論点ですが、障害者居宅介護従業者基礎研修課程修了者による支援を報酬の対象としていることについてどう考えるかにつきまして、当研修修了者については、居宅介護等の従業者の資質向上を図るため、当該研修課程を廃止し、居宅介護職員初任者研修等の修了を促すことが考えられますが、居宅介護の議論のほうで御提案しましたとおり、居宅介護における家事援助を中心に居宅介護を行う場合の人員基準の緩和の議論も踏まえまして、その取り扱いを検討してはどうかということについて、御意見を賜りたいと思います。

21ページは従業者、サービス提供責任者の要件の表。

22ページは従業者の取得資格でございますが、赤字で囲っていますとおり、まだ障害者居宅介護従業者基礎研修修了者が1%前後でございますが、各事業所にいらっしゃる状況をお示ししております。

 説明は以上です。

○内山障害福祉課長 資料6の訪問系サービスに係る横断的事項で、中身は論点が3つ、国庫負担基準、通勤・通学の支援、訪問系サービスの従業者要件とあったわけですけれども、この横断的事項について御質問、御意見等があれば、アドバイザーの方からお願いしたいと思います。

 いかがでしょうか。

 上條さん、お願いいたします。

○上條アドバイザー 私のほうからは、国庫負担基準の話ですけれども、横浜は国庫負担基準ではかなり超過している自治体ということになるのですが、財政規模の小さい自治体でも、超過負担が利用者の方の状況によっては生じていることがあるので、やはり国庫負担基準は、自治体にとって非常に課題になっていると思います。

 当事者ヒアリングの中でも、国庫負担基準が支給決定の時に影響しているのではないかというお話もありました。必要なサービスをきちんと支給決定していると私は思いますけれども、やはり自治体によっては財政状況を圧迫する要因にもなるので、非常に厳しい状況にあるところもあると思います。

 いろいろ平成27年の見直しとか、かさ上げ分も含めて、8ページにあるように、超過分をだんだん少なくしていこうというふうにしているように見えるのです。全部を見るのはとても困難だとは言っていらっしゃるし、これは絵のことなので、この黄色の部分をより小さくしていくということではないかもしれませんが、一方で、算定が非常に複雑になっていて、会計検査院の指摘なども、あれは従前額についての指摘ですけれども、それ以前にもあると思います。

 そういったところの管理あるいは手続の複雑さなどもありますし、こういった形での基準額があるのは、このサービスだけだと思っています。シンプルに総費用の2分の1、4分の1といったほかのサービスと同じような負担にしていただくのが一番いいのではないかと思っています。

 ただ、その際に、枠が外れてサービスの決定が増えてしまうのではないかという懸念があるかもしれませんが、ほかのサービスと同様の基準になったとは言っても、一定の市町村の負担はあるわけなので、最初に言ったように、適切な支給決定をされるような仕組みをしっかり持っていくべきであって、それは相談支援であったり審査会であったりといったところだと思います。あるいは標準的な支給決定の基準を全国一律で示すというようなこともあるかもしれません。一律に示した場合は例外の手続もきちんととる必要があると思いますが、そういったことで適正化を図るというようなことで、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 以上です。

○内山障害福祉課長 よろしいでしょうか。

 平野さん、お願いいたします。

○平野アドバイザー 資料の8ページ目なのですけれども、元々障害の場合は、上條さんが言われたように、かつての措置制度のころはいわゆる出来高払いで、幾らやったから幾らやるというところだったのですが、その後、実際に国庫基準でつくって、いわゆる標準型にしたのです。結局障害の場合は出来高払いにすると、高齢とか児童みたいに一定数がいるというところはその数字が出るのでしょうけれども、障害の場合には、全体のパイが小さいので、出来高払いにすると結局小さくなってしまう。ですから、自治体ごとに基本的にやってねというので、このように導入してきたという経緯があるのですけれども、それが結果的に8ページの1のような形で超過分が出てしまったので、いわゆるそこで傾斜配分を導入して、この平成20年改正で傾斜配分からさらに調整を入れるということにしたわけです。

 確かにこれは、こうすることによって、満遍なく障害者にも目を向けてくれと。一定の最低保障みたいな形はしますというところではプラスだったと思うのですけれども、先程の指摘のとおり、非常に分かりづらくなったというのは事実ですし、これが標準パッケージみたいになってしまったというところのデメリットも出てきたのかなというところがあると思うのです。

 実態的に見れば、障害福祉全体が、国庫レベルでも十何年かの間に2倍になっていますから、従前の制度の数値を基にしてやるというのはもう無理があるので、従前額制度は廃止したほうがいいと思うのです。それに合わせて新しいものはどうするかということですけれども、個人的に言うと、全体を広げることとあわせて、私も横浜市みたいに大きいところに超過負担があるべきだなどとは全く思いませんけれども、本当になくしていく必要があると思いますが、小さいところほど手を当てたほうがいいと思うのです。先程の重度訪問介護みたいに、1人で年間600万とか1,000万のお金がぽんと出てしまうということを考えてくると、障害の場合は影響力が大きいので、小さいところをきちんと担保できるような方向性を持ってあげないと、障害者は結局都市部でしか生きられないみたいな、そのようになってしまうのもどうなのかなと。そういった意味で、ここにあるように、小規模の財政力の弱いところをある程度傾斜的に見ていくというのは、負担としては正しいのではないかと思っております。

 時間もなくて恐縮なのですけれども、通勤・通学のところです。ここに関しては、難しいところがありまして、18ページ目ですね。確かに福祉の機能の一つに、残余的機能というものがあるのです。残余というのは残りの余った分です。ほかがやらないところを福祉が拾うのだという機能が歴史的にありますから、当然ほかの手が届かないところをやるというのは一つの福祉の存在意義としてある。それですき間を埋めるというのがあるのですけれども、そうは言いながらも、何をどうするのか、どこが担うべきなのかという議論がないと、全部福祉で面倒を見るというわけにもいかないだろうと思うのです。

 そういった意味では、私は、ここはあえてこちらの側から何でもかんでも福祉で面倒を見るのではなくて、本来どこがやるべきなのかという議論をこちらから言ってもいいのではないかという気はしています。何でもかんでもそれは福祉ですと言ってしまったら、それはここにあるようにそれぞれの責任が曖昧になってしまうので、本来教育がやるべき部分とか労働がやるべき部分は考えてもらったほうがいいと思います。

 もう一つ、これは現実的な問題なのですけれども、通勤・通学というのは、いわゆる定時的なのです。決まった時間にどっと来るわけです。単純に考えれば朝の通勤ラッシュと同じで、朝の時間帯に一斉にそういうニードが大量に出てくるわけです。もちろん全員がやるわけではない。必要な人が来るわけですけれども、こういうことを考えていった時に、福祉が持っているサービスがそこに全部持っていかれるということが、現実としていいのか。本来福祉がやるべきところはあるのではないか。そこをきちんと見ていく必要があると思うのです。

 前に私も県庁でこの仕事をやっていて、通学とかそういうものも、確かに個別事例で認めた事例がありました。具体的に言えば親御さんが重度の障害で、子どもも重度の障害で、養護学校の送り迎えでスクールバスに連れていけない。子どもの障害の問題ではなくて、親御さんがそのように送り迎えができない。これに対してはもう障害福祉でやるべきでしょうと。ですので、親の障害に対して着目してやったということは、それこそまさに福祉がやるべきことだと思うのです。それを全部抜きにして、子どもに障害があるから全部やってあげるというようなものはどうなのか。本来福祉がやるべきところはどこなのかということを議論していかないといけないのではないかと、意見として思っております。

○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 ほかにございますでしょうか。

 岩崎さん、お願いいたします。

○岩崎アドバイザー 通勤・通学の支援についてなのですが、実際に福祉で全部賄うとなってくると、とてもではないけれども賄いきれないというお話になるのは重々承知しているのですが、やはりどこかが担わなければいけない部分だと思います。福祉が担うことが難しいという一つの理由として、教育や労働の問題で、直接福祉サービスと関連しない部分なのではないかという整理はあると思うのですけれども、どこもやらなければいけないというふうに考えないという結論になってしまう気もしています。

 一つは障害者のケアマネジメントも福祉サービスを利用しているということであると、相談支援専門員が関われるわけですが、働くということになられた方で、もちろんサービスを併用されている方もいらっしゃるでしょうけれども、そうではない方もいたりとか、いろいろな状況の中で、要は、誰がマネジメントするのかということも宙に浮いてしまうようなことも結構あったりします。

 また、知的障害の方とか精神障害の方とかだと、一時的に、ある意味訓練的な要素で、職場に定着するまでの間と、それとは全く別にそこに通う限りずっとサポートが必要という2種類のサポートがあると思うのですが、訓練的なものというのは、ある程度専門性が必要とされるというような点で、やはり福祉の領域である程度サポートが必要なところなのかなと思います。

 もう一つ残る、ずっと支援が必要な方たちに関してですけれども、そこら辺がとても難しいと思いますが、すごく障害が重たい方たちが、例えば働いて税金を納められる立ち位置になっていくことを、どの程度国が進めようとするのかということと結びついているようにも思います。それを福祉サービスでやるのか、どうなのかということについては、まだきっと議論の蓄積が必要なのではないかというふうにも感じました。

 以上でございます。

○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 ほかにございますでしょうか。

 千把さん、お願いします。

○千把アドバイザー 私からは、国庫負担基準の見直しの件なのですけれども、従前額保障の算定方法は廃止でよろしいかと存じます。横浜市は超過ですけれども、杉戸町は一応枠の中でおさまっている状況でございます。その中でも、やはり同類といいますか、小規模な市町村ほど厳しいという点もございますので、15ページにいろいろな市町村でサンプルが出ておるのですが、中には財政力指数が0.16で重度率50%、総事業費が4,400万強というのは、かなり厳しい状況になっていると思うのです。こういったところは非常に見ていただきたいというのが私の感想でございます。

 以上でございます。

○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 ほかにございますでしょうか。

 それでは、また先に進ませていただきたいと思います。最後の資料でございます。資料7、施設入所支援に係る報酬・基準について、事務局より御説明いたします。

○福島障害福祉課長補佐 事務局です。施設入所支援でございますが、1ページをめくっていただきますと、概要でございます。

 概要のほうは説明を省略させていただきまして、2ページ目の現状でございます。事業所数、利用者数は徐々に減少傾向にありますが、一番下の総費用額の推移は近年増加している傾向にございます。これは重度化が進んでいることに要因があると考えてございます。

 3ページ目は、関係団体のヒアリングにおける主な意見でございます。

 今回、論点が3つございますが、1つ目の夜間職員配置の評価でございます。5ページ目の中ほどですが、夜間職員の配置については、夜間職員の勤務体制を手厚くしている場合に夜間職員配置体制加算により報酬上の一定評価をしております。

 それにつきまして、ページが飛んで恐縮ですが、6ページ目に夜間職員配置体制加算の算定状況のグラフがございます。平成28年9月現在で64.4%が算定ありということで、平成27年3月から比べますと、徐々に増加しているという状況にございます。

 7ページ目が職員の勤務時間の状況でございますが、事業形態別に見ますと、障害者支援施設の職員と生活介護の通所型で比べますと、障害者支援施設のほうが勤務時間は長いというデータでございます。

 戻っていただいて、5ページ目の今回の論点でございますが、今、御説明したようなことから、夜間業務については利用者の重度化ですとか日中業務とは異なる負担感があるということと、関係団体からも夜間職員の配置強化の要望を受けている状況でございます。

 今回の論点といたしましては、夜間職員の配置に関し、支援の実態を踏まえて報酬上どのように評価すべきかということでございますが、こちらからの提案としては、勤務実態を踏まえた夜間職員の負担感を適切に把握しつつ、必要となる費用についても十分に精査を行った上で、適切な報酬単価とするように検討してはどうかと。これが1つ目の論点でございます。

 8ページ目は2つ目の論点ですが、重度障害者支援加算の取り扱いでございます。重度障害者支援加算につきましては、平成27年度の報酬改定において見直しを行いまして、強度行動障害支援者養成研修修了者による支援を評価する仕組みとしたところでございます。強度行動障害支援者養成研修につきましては、基礎研修が平成25年度から、実践研修については平成26年度から、それぞれ各都道府県で実施しているところでございますが、当初は実施から間もないということで、平成30年3月31日までの間は研修修了を要件とせずに受講計画を作成されれば足りるものとしての経過措置を設けているところでございます。

 9ページ目に研修の実施状況の記載がございますが、真ん中の右の四角の中でございます。平成29年度末までに各都道府県で研修の計画上の必要者数に対して修了が見込まれない都道府県の数でございまして、基礎研修でいきますと47分の15、実践研修でいきますと47分の21ということになってございます。

 また戻っていただいて、それを踏まえまして、今回の論点でございます。経過措置の終了に当たって、当該研修の受講状況を踏まえて、検討してはどうかという論点に対しまして、こちらからの提案としましては、経過措置を平成31年3月31日まで1年間延長することとしてはどうかという提案でございます。

 次の論点は12ページ目ですが、社会福祉施設職員等退職手当共済制度の公費助成の廃止に当たっての措置でございます。13ページ目に見直しの経緯が書いてございます。そもそもこの制度は、社会福祉法人が経営する社会福祉施設等において、従来公立の社会福祉施設等の均衡を保つ観点から給付費について国と都道府県でそれぞれ3分の1を負担していた事業でございます。これにつきまして、平成28年度の社会福祉法の改正の中で、13ページの上の四角のマル3でございますが、ほかの事業主体とのイコールフッティングの観点から、公費助成を廃止ということになっております。

 戻っていただいて恐縮ですが、12ページ目、現状・課題の下の2個目のでございます。この法改正時の議論におきまして、衆議院・参議院それぞれの厚生労働委員会で附帯決議が付されておりまして「障害者支援施設等の経営実態等を適切に把握した上で報酬改定を行うなど必要な措置を講ずるよう検討すること」という附帯決議がついてございます。

 今回の論点でございますが、経営実態調査の結果を踏まえて検討することとしてはどうかと。こちらからの提案としましては、廃止に伴う報酬上の措置については、法改正の趣旨や、今後公表される障害者支援施設等の経営実態調査の結果等を踏まえて判断することとしてはどうかという提案でございます。

 施設に関しては以上でございます。

○内山障害福祉課長 それでは、資料7の施設入所者支援に係る報酬・基準について、アドバイザーの方から御質問等があればお受けしたいと思います。いかがでしょうか。

 平野さん、お願いいたします。

○平野アドバイザー 時間もなくてあれなのですけれども、全体的には今、提案いただいた内容でいいと思うのです。一つは施設の問題を考える時には、特に入所施設なのですけれども、施設単体で考えるだけではなくて、障害福祉全体の中での施設の位置を考える必要があると思うのです。例えばケアマネジャーの方は、かなりの数で施設職員になっている方が多いのです。やはりそういうノウハウを身に付けたりとかをやっている。施設のサービスを利用しているからプログラムをつくりやすい、連携もしやすいということ。

 ですから、あまり施設本体のほうを苦しめてしまうと、供給が難しい。同じことはグループホームにも言えまして、グループホームの世話人を考えた場合、ある程度施設で経験した人が来るほうが安定している。全くの素人がいきなりグループホームの世話人というのは、1人でやるのはしんどいですから、連携とかを考えると、そうなると、もちろん施設。

 私も施設を偏重しろというわけではありませんが、業界全体から見れば人材の確保が難しい中で、力を持った人をどのように確保するのかということを考えると、やはり施設のところである程度人材を確保して、いろいろなところにヘルパーだとかグループホームとかに流していけるような、そういう流れをつくらないと、人材の確保が難しくなるのかなと。有能な人を維持するという、その辺を考えておく必要があると思っています。

 特にケアマネジャーに関して言うと、ケアマネジメント、ケアプランをつくる。計画相談だけだと大体赤字なのです。本体の施設があることによって、その余剰金で賄っているということもありますので、質的、量的にそういう視点からここも考えていく必要がある。

 もちろん、残念なことに宇都宮の事件みたいに問題がある施設があるのも事実ですから、こういった問題も対処する必要があると思いますけれども、業界全体の人材の確保の一つの鍵だというところを考えた上で、施設問題は考える必要があるということだけ、御検討願えればと思っています。

○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、資料1から資料7、全体を通じて質疑あるいは御意見がございましたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 よろしいでしょうか。

 それでは、本日の議事はこれをもちまして終了させていただければと思ってございます。

 次回の検討チームにつきましては、また改めて御連絡をさせていただきます。

 本日は、お忙しい中長時間にわたり、どうもありがとうございました。

 これをもちまして「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」第11回会合を閉会いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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