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2017年9月13日 第9回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」議事録

○日時

平成29年9月13日(水)14:00~17:00


○場所

中央合同庁舎5号館専用第22会議室


○出席者

井出アドバイザー、岩崎アドバイザー、上條アドバイザー、千把アドバイザー、野沢アドバイザー、二神アドバイザー、宮嵜障害保健福祉部長、朝川企画課長、内山障害福祉課長、武田精神・障害保健課長、三好障害福祉課障害児・発達障害者支援室長兼地域生活支援推進室長、市川障害福祉課長補佐、照井障害福祉課長補佐、寺岡障害福祉課長補佐、村山障害福祉課就労支援専門官、服部障害福祉課就労支援係長、高沢職業安定局雇用開発部障害対策課長補佐(オブザーバー)

○議題

1.平成30年度障害福祉サービス等報酬改定に向けて(就労系サービス)
2.その他

○議事

○内山障害福祉課長 定刻となりましたので、只今から「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」第9回会合を開催いたします。

 御出席いただいたアドバイザーの皆様におかれては、御多用のところお集まりいただき、誠にありがとうございます。

 本日のアドバイザーの出席状況ですが、平野アドバイザーにつきましては所用により欠席です。

 続きまして、構成員についてですけれども、大沼厚生労働大臣政務官につきましては、本日、公務により欠席をいたします。また、朝川企画課長につきましても少し遅れての出席となります。

 続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。資料1~3がございます。

 資料1「就労定着支援に係る報酬・基準について」。

 資料2「就労移行支援に係る報酬について」。

 資料3「就労継続支援A型、B型に係る報酬について」でございます。

 過不足等ございましたら、事務局にお申し付けいただければと思います。

 それでは、議事に入らせていただきます。各資料1~3につきまして、それぞれ事務局から説明をした後に質疑を行いたいと思います。

 まず初めに資料1です。就労定着支援に係る報酬基準について、事務局より御説明いたします。

○寺岡障害福祉課長補佐 資料1につきまして御説明をさせていただきます。

 「就労定着支援に係る報酬・基準について」ということで1枚おめくりいただきます。就労定着支援が前回の障害者総合支援法改正により新設されることとなりました。こちらのサービスの考え方といたしましては、障害者の方が雇用されるに当たりまして職場定着支援が大事だというようなことがございます中で、福祉から一般就労へ移行される方も年々増えており、また、これからも増やしていこうという中におきまして、福祉を経て就労された方につきまして、福祉サービスの中でちゃんとした定着支援を実施しようと。かつ、福祉サービスの中で支援を受けていたなじみのある関係の中で、就職後も引き続き定着支援を受けるようにしようという考え方のもとで法律上、盛り込まれたものでございます。

 1枚めくっていただきまして、既に幾つか決まっている事項がございます。省令事項として3つほど定着支援に関しまして決定されておりまして、具体的内容1~3でございます。

 まず1ですけれども、定着支援サービスの対象者でございますが、こちら就労移行支援と就労継続支援という就労系サービスを経て就労された方が入るのは当然といたしまして、更に生活介護、自立訓練からも毎年一定程度就労移行されている方もいらっしゃいますので、こちらも経て一般就労された方も含むという形とさせていただいております。

 具体的内容2でございますけれども、サービスの利用期間として3年間としてございます。こちら現状、就労移行支援につきまして定着を行った場合の加算がついておりますが、それが3年間であることを踏まえまして3年間としてございます。

 具体的内容3ですけれども、就職後の支援につきまして、総合的に読めるということで、雇用に伴い生じる日常生活または社会生活を営む上での各般の問題に対する相談、指導及び助言という形で規定させてございます。これらは省令事項として決まっていることでございます。

 4ページ、これまでヒアリングで新サービスの定着支援に関していただいた主な御意見として並べてございます。主立った意見としましては、福祉サービスの外、例えばハローワークから直接ですとか、特別支援学校から直接就職したような方も対象にするべきではないか、あるいは定着支援サービスの報酬の考え方として月額報酬とするべきではないか。そのような意見が主立ったところとしてございました。

 5ページ以降、幾つか論点を並べさせていただいております。

 6ページ、論点1です。サービス対象者の要件をどのように考えるかということでございます。矢印の下、1つ目でございますけれども、まずこちらのサービスを利用される障害者の方に関しまして、暫定支給決定の仕組みを適用するかどうかということでございます。

 暫定支給決定は先に7ページ目を見ていただきますと、就労系のサービスで言いますと就労移行支援、就労継続支援A型、また、自立訓練の場合もこちらが適用されることになりますけれども、利用される障害者の方にとって、そのサービスが本当に適切なものであるのかどうか。御本人さんの最終的な判断、また、客観的な判断を担保するために2カ月間の暫定支給決定という期間を設けてございます。これを今回の新サービスに適用するかということでございますけれども、6ページ目に戻っていただきまして、こちらは福祉サービスを利用して就労されたというような、その時点で一定の要件も掛かってございますので、ここであえて暫定支給決定の仕組みを適用する必要はないのではないかと考えてございます。

 2つ目でございます。現に就労移行支援で定着支援を行っている場合あるいは障害者就業・生活支援センター等で現に定着支援のようなことを行っている場合に、後ほどデータを付けてございますけれども、困難度として高く挙げられてございましたのが、就職された障害者の方に就職後の定着支援のような課題解決が必要であるという御理解をいただくのがなかなか難しいという御指摘があります。そういったことや利用促進ということも踏まえまして、本人が利用を拒む場合以外は対象者に関する特段の要件を設けることはせずに、広く就労系の障害福祉サービス等の利用を経て就職した方は、広く利用できる仕組みとしてはどうかと考えてございます。

 最後でございますけれども、施行日が今回、平成30年4月1日となりますけれども、施行日の前に就職した方について、その利用の可否についてということですが、期間が3年未満とされておりますので、その場合は利用できる。例えば施行日の1年前に就職していた方であれば、施行日から2年間は利用できる。そのような仕組みにしてはどうかと考えてございます。

 8~10ページにデータを付けてございますけれども、先程申し上げました就労移行支援事業所等におきまして、現に定着支援のようなサービスを行う場合の困難度が高いものといたしまして、赤線で囲んでございますdのところ、障害者本人が課題解決が必要であることの理解を得ることが難しいというのが、いずれの場合も高く出ているという状況でございます。

11ページ、論点2でございます。サービスの提供主体の要件をどのように考えるかというところでございます。これも矢印の下、1つ目ですけれども、先程申し上げましたとおり、就労定着支援は福祉サービスのなじみの関係の中で支援をすることが骨子にございますので、サービスの提供主体は生活介護、自立訓練、就労移行及び就労継続支援の指定事業者としてはどうかと考えてございます。

 その下ですが、その際、事業所の参入の要件を厳しくするか緩くするかという論点がございますけれども、こちらではある程度幅広い参入を認めることとした上で、それによりまして事業参入と利用者の確保を図った上で、ただし「過去●年間」としてございますけれども、過去●年間は最低でも1人以上の就職者を出している事業所でなければならないという程度の要件を課すこととしてはどうかと考えてございます。

12ページ以降しばらくデータが続きますけれども、12ページは福祉から一般就労への移行者数・移行率の推移のデータでございます。左を見ていただきますと、移行者数は年々右肩上がりに増加している状況でございます。ただ、こちらは事業所数も増えておりますので、移行率で見ますと右側のグラフですけれども、平成25年度以降は横ばい傾向が続いているという状況でございます。

13ページは就労移行支援事業のデータでございますけれども、1年間の利用者に占める移行率でございます。右肩、赤い太字で書いてございますが、20%以上という比較的高水準のグループが年々増加しておりまして、28年4月には51.9%と5割を超えた状況でございますけれども、一方グラフの一番左の黄色い部分、0%、1年間の移行者がゼロであるという事業所は年々ちょっと変動がございますが、直近ではようやく3割を切ったところでございますけれども、いまだにほぼ3割はいるということで、これが移行率の二極化と呼ばれている状況でございます。

14ページ、こちらはA型とB型の一般就労の移行のデータでございます。いずれも青い部分、0人というところが最大多数ではございますけれども、A型で見ますと青い部分以外の部分は44.5%、B型で言いますと23.4%、ここは移行者が毎年ちゃんと出ているという状況でございます。

15ページ、生活介護と自立訓練のデータです。こちらは右から2番目の列ですけれども、こちらも数、率ともに少なくはございますが、こちらからも一般就労の移行者は出ているということですので、今回の就労定着支援サービスは、これらの移行した方々が利用者として想定されるものと考えてございます。

16ページ、論点3でございます。サービスの利用の開始の時期をどのように考えるかでございます。当然ながら福祉サービスの利用を経て就職した後ではございますけれども、現状、就労移行と就労継続支援の場合は一般就労した後に6カ月以上、就労移行であると義務、就労継続支援の場合は努力義務ですけれども、定着の支援をしなければならない、あるいは努めねばならないという規定がございます。これは省令上の義務なのですけれども、省令上の期間を経て、6カ月経た後で新サービスの利用を開始するという形としてはどうかと考えております。

 また、2つ目ですけれども、生活介護と自立訓練に関しましては、現在そのような省令上のルールはございませんが、今回、新たにこれを踏まえまして6カ月以上の就労定着支援の努力義務期間を設けた上で、その期間の終了後に新サービスの利用を開始することとしてはどうかと考えております。これはまた考え方といたしまして、先程もございました就職した後に御自身が就労定着のような支援を必ずしも必要であるという判断をされる方も少ないというのがございますので、直後ではなく、この6カ月のアフターサービスの期間に改めて新サービスの御利用が必要かどうか、御本人に判断していただく期間を設けるという意味でも、このような期間があったほうがいいのではないかと考えた次第でございます。

 最後ですけれども、これは報酬には直接関係しませんが、最大3年間の支援期間の終了の前後には、期間が終わった後は就業・生活支援センター等へ引き継ぎを行うことが想定されますので、そちらに本人が希望する場合は、きちんと事業所として引き継ぎを行わなければならないということを運営基準に規定するべきではないかと考えております。

17ページは先程申しました省令の規定の御紹介です。就労移行支援の場合は運営基準におきまして就職した日から6カ月以上、職業生活における相談等の支援を継続しなければならないという規定がございます。A型とB型の場合は、同様のものが「努めなければならない」という形で規定が置かれております。

 次に論点4の基本方針の設定方法をどのように考えるかというものでございます。現状の就労移行支援ですとか就業・生活支援センターの状況も見ますと、就労定着支援といいますのは、端的に申し上げますと本人に来所いただく、訪問する、あるいは電話する等によって本人に困りごとがないかを確認した上で、困りごとがあれば御本人だったり家族だったり企業の方に対して相談、助言、指導等を実施するという形になってございます。そのような実態がございますので、基本報酬につきましては1カ月当たり定額の包括報酬としてはどうかと考えております。

 これは例えば電話1本で報酬幾らと設定してしまいますと、事務手続が煩雑になるというのもございますし、必ずしも本人に必要でないような電話等々の支援を無理に行うことも起こりえますので、それを避ける観点でも包括報酬としてはどうかと考えております。ただ、その上で包括報酬ですので、最低限でもこのぐらいのことはしなければならないという要件は課すべきと考えてございまして、例えば「例」で書いてございますけれども、月何回以上は面談等を実施しなければならないですとか、月1回以上は利用者懇談の場を設ける。これはイメージしておりますのは特別支援学校などでOB会、OG会のようなものが運営されておりますと、そういった定期的に集まる場があって先生が様子を聞くことができたりというのが定着に役立つ等の話もありますので、そういったことを踏まえてここに例示として入れさせていただきました。

 その下ですけれども、障害福祉計画におきまして、新サービスを踏まえて支援開始後1年間の定着率8割以上という目標を掲げてございます。このため今回の新サービスの創設に当たりまして、職場への定着の実績に応じた報酬を段階的に設定することにしてはどうかと考えております。

 また、そのような段階的な報酬を設けるとした場合にですけれども、事業開始年度におきましては全ての事業所が新規事業所ということで、過去の実績がないということになります。その場合に全ての事業所を同一の報酬水準から開始させるよりは、その事業所が就労移行支援等を過去に実施しておりまして、定着の実績があるのであれば、それを踏まえた報酬の設定をするという仕組みとしたほうがよいのではないかと考えております。

 最後の○ですけれども、こちら後述いたします就労移行支援事業につきましても、今回の改正におきまして実績に応じた段階的な報酬を設定したいと考えてございます。それを踏まえてなのですが、25ページに飛んでいただきまして、報酬の考え方ですけれども、現行の就労移行支援につきましては基本報酬(X)に加えまして、就職後に定着している場合に定着支援体制加算というものがついてございます。なのでちゃんとした実績が上がっているところであればX+Yという報酬の形になってございます。

 これを先程申し上げましたとおり就労移行につきまして、これはあくまで仮ではございますけれども、実績に応じて例えば7段階ぐらいの報酬体系にした場合で、かつ、就労定着につきましても定着実績に応じた仮に7段階ぐらいの報酬段階にした場合に、両方の実績が高実績のグループ、例えば実績Aとaですとか、実績Aとbとか、その辺の組み合わせの場合につきましては現行のX+Yと同水準か、やや上回るぐらいの水準を設けることとしてはどうかと考えてございます。これによりまして高い実績を上げられているところは、より実績に応じた報酬を受け取れるような仕組みにする。そのような形で報酬バランスを考えてはどうかと考えてございます。今のお話が18ページの一番下の論点でございます。

19ページはまたデータを付けてございますけれども、これは就業・生活支援センターにおきまして生活支援の実施方法として、来所により支援あるいは電話等により実施するというのが身体、知的、精神障害のいずれも高くなっているというデータでございます。

20ページは一般就職した後に知的ですとか身体、精神の方々それぞれに対する支援の主な内容について書いてございますけれども、21ページ以降はグラフとして書かせていただいております。

21ページは就業・生活支援センターでの例ですけれども、例えば精神、発達障害の場合はストレス対処という支援が多いですとか、その他、全体的に生活リズム・生活習慣、衛生管理、健康管理・服薬管理、金銭管理等が高くなっている。これは就業・生活支援センターの場合、22ページの就労移行支援の場合、23ページの計画相談支援の場合、いずれも大体同じような傾向になってございます。

24ページ、先程申し上げました第5期障害福祉計画に向けまして、新サービスの就労定着支援につきまして、支援開始後1年後の定着率を8割以上とするという目標を定めてございます。こちらを定めるに当たりまして、参考にございます就業・生活支援センターの1年後定着率が7577%であるのに対して、こちらに比べて福祉サービスの中でなじみの関係の中で支援するという強みがあることを踏まえまして、就業・生活支援センターの実績よりもやや高めの8割という目標を定めているところでございます。

26ページ、論点5、サービスの従事者の要件をどのように考えるかということでございます。現行、就労系の移行と継続支援のサービスにおきましても、サービス管理責任者ですとか、職業指導員、生活支援員、就労支援員がございますけれども、現在これらの職員に対して特段の資格要件は定められていないという状況でございます。ただ、こうした中におきましても、現に職場定着支援を積極的に行って実績を上げているという移行支援事業所もございますので、そういったことも踏まえまして、今回の新サービスにおきましても特段の資格要件を求める必要はないのではないかと考えております。

 また、職員配置の考え方ですけれども、先程から繰り返し申し上げておりますように、今回の骨子はなじみの関係の中で支援するというものがございますので、例えば就労移行支援事業所の支援員が就職後、定着支援の支援員として支援することが有効であると考えておりますので、そういったことが可能になるように常勤換算方式で配置するとしたほうがいいのではないか。また、利用者がある程度少ない場合も想定されますので、そういった場合も参入できるように常勤換算方法で1未満の場合でも配置を可能とする。そのような運用の仕組みとしてはどうかと考えてございます。

27ページ目は定着に関係する加算の実績を付けてございますので、御参考です。

28ページ、論点6、サービスの設備基準をどのように考えるかです。現行の就労系の障害福祉サービスでは、訓練・作業室、相談室、洗面所、便所及び多目的室等、必要な設備という要件がかかってございますけれども、一方で利用者の支援に支障がない場合は兼用も可能というルールとなってございます。今回、定着支援に関しましては定着支援という性質を考えますと、相談室があれば十分だろうと思われますので、また、提供主体は生活介護と自立訓練と就労系サービスでして、これらは既に相談室が設けられてございますので、新サービスに関しましては特段の設備基準は設けないこととしてはどうかと考えております。

29ページは、設備基準について御参考に付けてございます。

30ページ、論点7は定員でございます。定員をどのように考えるかですけれども、就労系サービスは現状、利用定員を定めることになってございます。ただ、就労定着支援は相談、指導、助言等を行うサービスでございますので、実績のある事業所が多数の利用者を受け入れて一層支援を促進するという観点もありますので、利用定員は設けないこととしてはどうかと考えております。

31ページ、論点8でございます。その他の論点として幾つか並べさせていただいております。まず矢印の下、1つ目ですけれども、利用期間終了後の対応についてということで、最大3年間という利用期間を定めてございますが、その利用期間が終わった後は従来の就業・生活支援センター等で定着支援を利用していただくことを想定しておりますが、仮に就業・生活支援センターから要請がありまして、協同して支援をしてほしいと言われた場合には、それを行うことは妨げないというルールとしてはどうかと考えてございます。

 そのような協同支援を実施した場合に、何らか報酬上の評価をするかどうかはまた別途検討なのかなと思っております。

 2つ目ですけれども、就業・生活支援センターとの併給についてでございます。就業・生活支援センターと就労定着支援は、恐らく定着支援という観点で申し上げますと機能が重複することになりますので、一方を利用している場合はもう一方は利用できないという仕組みとしたほうがいいのではないかと思っております。

 3つ目、転職支援でございます。今回の定着支援は、文字どおり職場に定着することを支援するものではございますが、ただ、社会生活を営む上で転職あるいは離職することが必ずしも不適切ではないケースもあろうかと思っています。例えば労働条件改善のための転職でありましたり、あるいは離職したとしてもすぐに再就職できるような場合ですとか、障害者の場合ですと虐待ということも加味しなければならない部分がございます。こういった一定のしかるべき事由がある離職であれば、それは就労定着支援の報酬上の実績評価の中でマイナスの影響を与えないように考慮する必要があるのではないかと考えております。

 離職支援ですけれども、やむを得ずに離職する場合におきましても、相談支援事業所等の支援機関に繋がなければならないということを、これも運営基準上の義務として設けるべきではないかと考えております。

 以上が資料1の説明でございます。

○内山障害福祉課長 資料1で30年4月から新しく始めるサービスの就労定着支援の説明をさせていただきました。この就労定着支援に係ります報酬・基準につきまして、御質問、御意見等がございましたらアドバイザーの方からお願いをしたいと思います。いかがでございましょうか。

 では野沢さん、お願いします。

○野沢アドバイザー 新しい類型なので、設計する側もなかなか御苦労されているかと思うのです。やってみていろいろな想定外のこともいっぱい出てくると思いますので、とりあえずまずやりやすい形でやってみるということが大事かなと思って今、聞いておりました。

 1つ思ったのは、就職した後、定着支援をする人たちです。就労移行は元々数も多いし、いいのですが、少ないですけれども生活介護やB型とかA型とか、ここから就職させているって私はすごくあっぱれだと思っているのです。多分就労できる方はB型にしたって生活介護にしたって、すごく戦力になっている人たちです。それをわざわざ御本人のためにといいますか、多分そうだと思うのですけれども、就労のほうに背中を押して促して移行させるというのは、なかなかの志がある。いろいろな事情があるのかもしれませんが、こういうところをもう少し加算を上げてあげるようなことはあってもいいのではないかと思うのです。

 というのは多分、今のほかのところでもB型でもA型でも結構、働けそうな人はいると思うのです。そういう人たちをもっともっと一般就労の道をつくっていくためには、こういう支援している人たちの意識を変えていくというのがすごく大事かなと思って、就労移行支援をやっているところはもちろんやらなければいけないのですけれども、そうでないところで頑張っているところを評価してあげる。傾斜を付けて評価してあげるというのはいいのではないかと思っています。

 定着支援をするために何をするのかという仕事の中身です。見ていくとストレス対処が非常に多い。これはよく分かります。それを考えたときに、ストレスを解消するとか、ストレスのもとを修正していくことを考えたときに、障害を持った本人の相談に乗っているだけでいいのかなという感じがするのです。ストレスは一番人間関係で起きますので、就職している相手側の企業あるいは同僚の人たちとの調整が一番大事なのではないかと思うのです。そうすると、とりあえず包括の報酬が一番分かりやすくていいと思うのですが、電話を受けたり、来てもらってそこで相談に乗っているということよりも、企業に出向いていって、そこでいろいろな状況を見ながら調整していくというのは非常に手間暇も掛かるし、難易度も高いはずなのです。でも御本人たちのことを考えたときには、こういう定着支援はとても重要なことだと思うのです。ここをもっとメリハリを付けて評価してあげられる方法はないのかなと思って聞いていました。

 もう一点、最後なのですけれども、転職、離職です。これは定着支援から言うとネガティブに見られがちなのですが、でも実はここはすごく大事だなと思っていて、今、私もいろいろな例を聞いたり見たりしていますけれども、特に自閉傾向のある方は最近知的障害とか発達障害の方でも一般就労している方が増えてきていますが、意外に難しいです。企業側も一生懸命やっているつもりでも、障害特性をよく理解しなくて本人たちがストレスをためて、行動障害を起こしたり、同僚たちの間がうまくいかない。本当は企業の側ももっと合理的な配慮をして、人間関係の調整をしなければいけないのに、それができなくてあたかも本人のせいにばかりしてしまって、ますます行動障害を助長させるという例がいっぱいあります。結局お金を払っているのだから、こんなものではやれないみたいなことになって本人はやめていくのです。そういうときにもっと虐待だけではなくて、不適切な対応をされているところから、きちんとそういうものを企業の側に働きかけて改善していく。でもそれは無理な場合にはもっと本人を早期に離職させて、ほかのもっといいところに再就職させるとか、こういうところももっとプラスの評価をしてあげてもいいかなという気がしているのです。

 あと、この前のいろいろな岡山とか名古屋で話題になっているあれはA型ですけれども、突然会社がなくなってしまうみたいなときに、行く場所がなくなってしまうことが本人たちにとって一番大変な事態なので、ここにもありますけれども、きちんと相談支援に繋げるとか、離職の際のフォローみたいなところももっとプラスの評価をしてあげてもいいのかなと。でも難しいですね。簡単に離職させてしまうことを評価していいのかということも、その辺の中身の評価が非常に難しいのは分かりますけれども、そんなところも少し目が行き届くようなものになるといいなと思って聞いておりました。

 以上です。

○内山障害福祉課長 ありがとうございます。

 事務局からのコメントは、後ほどまとめてお答えさせていただければと思います。

 ほかにアドバイザーの方から御質問等ありますでしょうか。では二神さん、お願いいたします。

○二神アドバイザー 論点を丁寧にまとめていただきましてありがとうございました。

 1つは基本報酬の設定方法のところで定着の実績に応じて、成果を出したところには非常によい報酬を与えるということで、とてもいいことだなと思いました。特に移行支援との報酬との関連についても計算式をつくっていただいて、そういう意味では移行支援の好成績のところでまた更に定着支援が好成績であれば、非常に報酬が高いというのはとてもいい試みだなと思いましたので、ぜひ進めていただきたいなと思います。

 一方、ヒアリングで少し気になっていたところがあって、そのところがあまり取り上げられていなかったなと思ったのは、定着の問題だと精神障害の方たちの定着が非常に企業なんかでも難しいということを伺っていますので、その場合、精神障害者の方の定着に関しては例えば医療機関であるとか、専門機関との連携が非常にこれから課題になってくるのかなということで、今後の課題かなということだと思うのですけれども、そういう連携も今後、定着支援のほうでも想定して考えていくことが重要なのかなということと、それに関連してなのですが、論点の中の従事者の資格に関しては特に定めはないのですけれども、今後そういった精神障害者の方とか、定着支援に関してもストレスであるとか、そういった意味では高度なカウンセリングの知識が必要だとか、そういうことも出てくるのかなと思うので、今回はこれで結構だと思うのですけれども、今後、将来としては専門人材というか、定着支援に関しての専門人材の確保とか質の向上ということも今後、想定して考えていくことが重要なのかなと思いました。

 以上です。ありがとうございました。

○内山障害福祉課長 ありがとうございます。

 ほかにございますでしょうか。では岩崎さん、お願いします。

○岩崎アドバイザー 今回、新しい事業ということで、これまでの定着の加算というものをできればなくさないでほしいという御要望もあったかと思うのですけれども、ただ、報酬上の工夫で、この事業でそこの点を実績のある事業所に関してはカバーしていただけるという内容で設計されていらっしゃるんだなということは感じました。

 それを踏まえてですけれども、ただ、ここの3ページのところに一般就労した障害者が具体的な対象になるという記載になっておりますが、一般就労と申しましてもいろいろな時間数ですとか形態とかがあると思うのです。どこまでを範囲としてお考えなのかなということがお聞きしたい点でございます。

 それから、16ページでサービスの利用開始時期については6カ月間を見た上でということで、これまで努力義務規定がなかった事業に関しても6カ月、運営基準のところに新たに規定を設けることになっていますけれども、そこら辺の事業所の負担ということがいかがなものなのかなということが、心配している点でございます。移行の事業所に関しましては、これまでもなさっていると思うのですけれども、自立訓練とか、そういった事業所で新たにこの6カ月間どうやってフォローアップをするのかというところに関しての労力を何か違う形で見ていただけるのかどうかということも心配しております。

31ページの離職の問題、先程野沢さんも触れていらっしゃったのですけれども、私もここはすごく気になるところで、どのようにアセスメントをして正当性を認めていただけるのかという辺りが心配なところと、再就職までの期間が1カ月と書かれているのですが、精神障害の方とかで虐待めいた御対応をされて傷ついた障害者の方たちがもう一回、仕事につくというような立て直しの期間として1カ月というのは短いのではないかと感じていたりもします。ですのでこの間の期間を少し検討していただければなと思うことと、その間の支援というのも、この事業の中の評価に含めていただけるのかどうかということをぜひ御検討いただければと思っております。

 もう一点だけいいですか。長くなって恐縮なのですけれども、実際に地域で障害のある方を支援しているときに、就労を支えるのに生活支援というのはどうしても避けられないというか、それとセットでないと、ただお仕事のことだけサポートしていればいいというわけではないというのは皆さん重々御承知だと思うのです。ですのでこれまでの生活支援系のサービスというのとどのように組み合わせていいのかなというところとかが、個人的には気になっています。

 具体的に申し上げると、生活訓練の訪問なんかを活用しながら就労をサポートしていくといった利用の仕方もあろうかと思うのですが、そういったことが今回の事業との併給は難しくなるのかなと想像しております。生活面をこの事業でどこまで見られるのかということと、もし限界があるのだとしたらそういった連携の仕方とか、併給のあり方も少しモデルとして示していただければありがたいなと思った次第でございます。

 以上です。
○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 ほかにこの就労定着支援について御質問等ございますでしょうか。では上條さん、お願いいたします。

○上條アドバイザー 私は対象のところなのですけれども、実は地域活動支援センターが利用者あるいは事業所、運営主体で対象になっていないかと思うのですが、地活センターから就労というケースも少なくないと思っています。自治体によっては地域活動支援センターに加算を自治体独自で打っているところもあったように思いますし、先程生活介護・自立訓練から一般就労をさせているのは評価すべきだというお話もありましたけれども、同じように地活センターも言えるのではないかと思っていて、省令で決まっていることではありますが、対象要件を見直せるのであればそういったところも御検討いただければ、あるいは全国的な実績みたいなものがもしあれば、そういったことも見ていただければなと思います。

 それから、6カ月の努力義務のところが新たにというところを先程岩崎先生もおっしゃっていましたけれども、今までなかったところをこの6カ月の繋ぎの部分、就職してから最初の時期でもありますし、この間が努力義務とはいえ評価されない空白期間になってしまうことが、結果としてどうなのかなと少し心配があります。何かそこの部分、しっかりと努力義務で支えられるんだということが言えるのかどうかというところは、確認したいなと思います。

 以上です。

○内山障害福祉課長 ありがとうございます。

 ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、事務局からお答えできる部分があればお答えしたいと思います。

○寺岡障害福祉課長補佐 御意見、御質問ありがとうございます。

 まず野沢アドバイザーからございました、B型等から移行された場合の評価というのは、本日の資料3で最後その辺を触れている部分がございます。そこで後ほどお話させていただきたいと思います。

 それとの関連ですけれども、生活介護や自立訓練に関して御質問としていただきました、新たに努力義務の期間を6カ月設けることに対する支援はどうかということも、後ほどお話がありますが、A型やB型から一般就労移行させた場合もきちんと評価できる仕組みを今回提案させていただきますので、それと同じ文脈の中で生活介護・自立訓練から一般就労に移行させている場合の対応、評価を一緒に検討することができるかなと思っております。

 岩崎アドバイザーから御質問いただきました一般就労の定義ですけれども、現状、就労移行から一般就労といった場合の定義はございませんが、ただ、そこで雇用というものについて一定の要件をかけるか否かというのは、十分検討の余地があるところだと思ってございます。そこは実態等を踏まえながら、調査をした結果を踏まえて検討したいと思っております。

 その他色々いただいた御意見につきましても、我々事務局のほうで検討させていただきます。

○内山障害福祉課長 まだ就労定着支援について御質問等あるかもしれませんけれども、全体が終わった後に、また全体を踏まえて時間をとらせていただきたいと思いますので、少し先に進ませていただきたいと思います。

 資料2の就労移行支援に係る報酬について、事務局より御説明をさせていただきます。

○寺岡障害福祉課長補佐 資料2「就労移行支援に係る報酬について≪論点等≫」を御説明させていただきます。

 1枚おめくりいただきまして、就労移行支援でございます。御承知の方もいらっしゃると思いますけれども、就労移行支援といいますのは標準期間2年間のうちで一般企業での就労の可能性が見込まれる方に対して、一般就労移行を目指して訓練等を行うための福祉サービスでございます。

 3ページ、現状でございます。費用額、利用者数、事業所数いずれも右肩上がりに増加している状況でございます。

 4ページ、利用者の障害種別の状況をまとめたものでございます。こちら見ていただきますとお分かりのように、精神障害者が非常に大きく増加している状況でございまして、半数を超えている状況です。

 5ページ目が年齢階層別に利用者を見た場合ですけれども、こちら移行支援の場合は30歳未満の比較的若い利用者の方が約5割を占めている状況です。一方で40歳以上というところも、ちょっとずつ増えてきている傾向にあるという状況となってございます。

 6ページ目がヒアリングで就労移行に関していただいた御意見の主立ったものをまとめているものでございますけれども、主立ったものといたしましては、職場定着支援体制加算を維持してほしいという御意見。一方でこれは就労定着支援ができるので廃止もしくは要件の厳格化ができるのではないかという御意見もありました。就労移行の移行率に応じたメリハリのある報酬とすべきであるという御意見ですとか、支援をより確実にするために専門人材の配置ができるようにしてほしいとか、そのようなことが主立った御意見だったと考えております。

 9ページ、以上の状況を踏まえました現状・課題と論点としてございます。

 現状・課題ですけれども、平成27年の社会保障審議会障害者部会におきまして、就労移行につきまして、一般就労への移行実績を踏まえたメリハリを付けた評価を行うべきという御提言をいただいております。

 2つ目ですけれども、前回の報酬改定、平成27年度におきまして、過去2年間の移行者数がゼロの場合には、基本報酬の15%を減算するという措置を新たに設けましたが、こちらの適用率は最新値で2.8%という状況になってございます。

 3つ目ですけれども、これは先程資料1でも若干触れましたが、一般就労移行率が平成25年度以降、22%前後で停滞していることが認められるというのとともに、移行率が20%以上というところが51.9%であるのに対して、0%のところが3割近くあるというところで、移行率の二極化が続いているという状況でございます。

 また、就労移行に関しましては第5期障害福祉計画におきまして、32年度末までに移行者数を28年度の1.5倍以上、移行率が30%以上である事業所を5割以上とする。このような目標を定めて取り組んでいるという状況でございます。

 これを踏まえました論点といたしまして、矢印の下、1つ目ですけれども、一般就労への移行実績に応じたメリハリの効いた報酬を設定してはどうかと考えております。その際に安易な一般就労への移行とならないように、先程も申し上げましたが、就労移行には6カ月以上の定着支援の義務がございますので、この6カ月以上定着したことをもって実績値として評価するという仕組みとしてはどうかと考えております。

 また、定着のための支援につきましては新サービス、就労定着支援ができますので、現行の就労定着支援体制加算を廃止してはどうかと考えております。その際、以下に報酬バランスについて書いてございますが、これは先程資料1の25ページで説明したものと同じ内容を書かせていただいております。

 一番下ですが、更にこのような段階的な報酬を設けた上で、一般就労への移行実績がない場合における減算を更に強化してはどうか。このような考え方で資料をまとめさせていただきました。

10ページ以降は参考ですけれども、10ページの資料が先程申し上げました平成27年度の報酬改定におきまして、それまで過去3年間、4年間の定着者数がゼロの場合の減算というものがございましたが、これを強化しました。減算割合を強化するとともに、赤いところ、過去2年間の就労移行者数がゼロの場合は、15%減算というものを設けたところでございます。

11ページは障害福祉計画の関係の資料でございます。就労移行の利用者数ですけれども、第4期障害福祉計画におきまして25年度末の1.6倍という目標を掲げてございましたが、現状としましては、29年度でこれを達成するのは困難であろうという状況でございます。それを踏まえまして第5期、平成30年から32年度の計画で28年度末の2割以上増加、1.2倍以上にするという新たな目標を立てているところでございます。

12ページ目は、その数値の推移を示したものですので、御参考です。

13ページ目も同じく障害福祉計画ですが、移行率に関する目標といたしまして、第4期のときにも移行率が30%以上の事業所を5割以上という目標を立ててございますけれども、こちらも29年度での達成は正直なかなか厳しいことが見込まれるということですので、32年度末までに同じ目標を引き続き立てているところでございます。

 以上が資料2の説明になります。

○内山障害福祉課長 只今御説明いたしました資料2の就労移行支援につきまして、アドバイザーの方から御質問、御意見等があればお願いをしたいと思います。いかがでしょうか。

 では野沢さん、お願いいたします。

○野沢アドバイザー 9ページなのですけれども、就労の実績がないところの減算ですね。ところが、適用が平成29年4月で2.8%とありますね。これはどういうことなのでしたっけ。全く移行の実績がないところが3割ぐらいあるけれども、減算の適用になったのは2.8%というのは、何でこんなに開きがあるのかなという感じがしたので教えていただけるとありがたいです。

 もう一つ質問で、10ページの減算です。過去3年間がゼロのときは15%減算、過去4年のときには30%減算。この減算をすると、例えば就労移行はほかのところより高く設定されているはずなのですが、減算をすると就労継続のAやBに比べてどのぐらいになるのか、大体同じぐらいになるのか、それともまだ移行のほうが減算をしても高いのかという辺りを知りたいなと思ったのですが。

○内山障害福祉課長 事務局からお答えします。

○寺岡障害福祉課長補佐 先に御質問にお答えいたします。

 まず過去2年に移行者数がゼロの場合に15%減算の適用率が2.8%ということですけれども、1年間の移行者がゼロの3割というものの詳しい分析は正直できているわけではございませんが、例えば就労移行は2年間が標準期間ですので、1年間では出せなかったけれども、2年間あれば出すことはできたという捉え方もし得るのかなと思っています。ニュートラルに考えればです。

 ただ、一方で1年間でゼロというところも、こちらももう少し詳しい分析をさせていただきたいと思っておりまして、例えばこのデータはあくまで利用者に占める1年間の移行者数の割合ですので、事業所で見たときに利用者数などに基づいた分析、例えば利用者が20人いる事業所で移行者がゼロの場合と、利用者が5人しかいなくて移行者がゼロの場合、意味合いも違ってくると思いますので、1年間でゼロというところのもう少し細かい分析を今後、今いろいろとデータをとっているところでございますので、そういったことを踏まえてもう少し詳し目に分析をさせていただきたいと思っております。

 2つ目の御質問ですけれども、例えば資料2の2ページ目で移行支援の報酬単価が書いてございますので、これになぞらえて考えますと、例えば20人以下で804単位という、基本報酬だけで考えた場合ですけれども、これに対して30%減算がかかればマイナス大体240ぐらい下がるわけですので、そうすると560ぐらいということですので、A型の同じ20人以下の場合だと584ですので、大体とんとんか、また、50%減算がかかればもっとA型よりも少なくなるという状況、関係性かと思っています。

○野沢アドバイザー 最初の質問のところなのですけれども、定員が例えば5人でも20人でも、移行した人がゼロの場合には減算の対象になるのですよね。そうすると2年間でゼロのところはもっとありますね。3割ぐらいでしたっけ。違いますか。

○寺岡障害福祉課長補佐 1年間のです。

○野沢アドバイザー なるほど。

○内山障害福祉課長 なので1年間は実績がないのですけれども、2年目に入ると1人は出たとか、そういう場合は減算の対象にならないので。

○野沢アドバイザー この辺はもっと調査とか研究の余地があるのではないかと思っているのです。こういう減算の措置が設けられてからいろいろ減算されるのは嫌だから、何とかそれを逃れようとしていろいろなことをやっていませんかね。企業だって雇用したことになれば雇用率にカウントできるし、その辺の人のやりとり、形式的に、それでまたすぐに戻すとか、そういうものは結構あるのではないかと思っているのです。そういう事例、調査はありませんか。

○寺岡障害福祉課長補佐 事例としてつまびらかに聞いていたりとか、あるいは何らか質的、量的なデータとしてそういったものが把握できているわけではございませんけれども、今、野沢アドバイザーがおっしゃったようなことは、論理的に考えれば起こり得ることだと思っております。例えば今回、移行にしましても6カ月は定着させないと実績としてカウントしないですとか、そういったことはひょっとしたら1つのそういうことの抑制策になり得るかもしれませんし、今回の資料に書かせていただいているような実績を厳正に評価した報酬体系にするのであれば、おっしゃったような不適切な運用はできるだけ起こらないように、防げるような運用の仕組みを設けなければならないと考えています。

○野沢アドバイザー ぜひこの辺りはもっと細かく調べていただきたいなと思うのです。あまり厳しいことを言うと恨まれそうなのであれなのですけれども、よくやっているところも私は知っていますので、そこをちゃんと評価するという意味で、民間企業でずっと働いてきた者からすると、高い報酬を設定されて、その間に移行することを業務として高い報酬設定されているのに、それが達成できないとなるとどちらかというと契約違反ですね。しかもそれを形式的にやってまた戻すみたいなことだと、これは詐欺に近い行為だと思うのです。もっと私はこの辺は厳しく見ないと国民に対して説明がつかないのではないかと思います。でもきちんとやっているところも知っていますので、そういうところはもっと評価してあげてほしいし、もっとやりやすいような制度設計を考えてもいいのではないかと思うのです。

 難しい事業です。出せば出すほどだんだん自分のところの報酬自体が減っていくわけで、非常に難しい事業で、だから包括的な報酬にしてほしいという要望が業界団体から上がるのはよく分かります。だからこそきちんとメリハリをもっと付けて、厳しく見ていったほうがいいなと私は思っております。

 以上です。

○内山障害福祉課長 ありがとうございます。

 他にございますでしょうか。では岩崎さん、お願いします。

○岩崎アドバイザー 就労移行のことに関して、別にすぐに何かどうこうというお話ではないのですけれども、成果主義ということで報酬が設定される。それはごく当たり前のことだと思ってはいます。ただ、支援の中身、就労移行支援の実際にやっていらっしゃる実践の中身ということの評価が成果だけではなかなかはかれないところがあって、従来、非常に重たい障害の方で、それでも就労を目指したいという方を引き受けていらっしゃる事業所もあれば、比較的すぐに就労の準備に入れるような方がいらっしゃっているようなこともあったりする。それはいろいろな事業所によっても違うし、個々人によっても違っていて、なかなか難しいところだとは思うのですけれども、どれだけその事業を使ってその方が伸びて、それで就職に繋がったのかというようなプロセスが、なかなか今の仕組みだと評価できないような気がしています。

 ただ、ここにまた支援区分とかそういう類の評価が入ってくるというふうになると、更に煩雑になって、皆様の業務が多忙になってくると思うのですけれども、障害のある方たちが今後ますます裾野が広がっていくとしたら、障害の重い方たちも当然就職を目指すということになりますでしょうし、そうあるべきだと思うのです。そのときに障害の軽い方だけではなくて、障害が重たいけれども、働きたいと思っていらっしゃる方をどうやって支援していくのか。その支援に対してどういう評価をいただけるのかというようなこと。今回は難しいかと思いますが、今後少しお考えの中に含めていただけるとありがたいなと思っております。

○内山障害福祉課長 ありがとうございます。

 ほかに就労移行支援についてありますでしょうか。では二神さん、お願いいたします。

○二神アドバイザー 一般就労への移行実績がない事業所が3割あるということがあったので、成果主義はある程度導入することは仕方がないというか、そのようにすべきだなと思っています。

 ただ、今も議論があったように移行支援の中身というか、実際にどういうことをやっているかということをもう少し質的に内容を検討する必要もあるのかなと思っています。

 前にヒアリングのときにも申し上げたのですけれども、実際にスキルをどのように身に付けているのかとか、能力開発をどのようにやっているのか。職業訓練プログラムみたいなものをどのように充実させているのか。それがどのように一般就労に繋がっていくのかというところの見える化というか透明化みたいなことを、例えば教育訓練プログラムとまでいかなくても、そういうスキルとか能力開発の何か体系的なプログラムづくりを各事業者がどういうふうにやっていらっしゃるのか、そのようなものが分かる仕組みをつくることはいいのかなと思っています。それですばらしい取組みをしていれば、結果的には移行に繋がっていくと思うのですけれども、そういった取組みをしている事業所に対しては、評価していくことが1つのやり方としてはあるのかなと思っています。

 以上です。

○内山障害福祉課長 ありがとうございます。

他にこの就労移行支援についてございますでしょうか。ないようでしたら、また少し先に進ませていただきまして、資料3のA型、B型に進ませていただきまして、御質問等あるようでしたら最後に全体を通じてということにさせていただければと思います。

 資料3の就労継続支援A型、B型に係る報酬につきまして、事務局より御説明いたします。

○寺岡障害福祉課長補佐 資料3につきまして御説明させていただきます。

 1枚おめくりいただきまして、まず就労A型の話でございます。

 3ページ目が概要ですけれども、就労継続A型は施設における福祉就労の中で雇用契約に基づいて労働法制が適用された中で就労いただくというサービスでございます。

 4ページ目、費用額、利用者数、事業所数、いずれも右肩上がりということは先程の移行と変わりませんが、伸び率が非常に大きくなっているのが今のA型の特徴でございます。

 5ページ目、障害種別の利用状況ですけれども、こちらも精神障害者の利用が大幅に伸びているという状況でございます。

 6ページ目が年齢構成ですが、こちらは移行とは異なりまして、40歳以上の利用者が半数以上となっているという状況でございます。

 7ページ目、ヒアリングの主な意見をまとめてございます。主立ったものといたしましては、A型事業としての営業活動ですとか、賃金向上への支援策をしてほしいですとか、一般就労移行への支援をしてほしいといったところが主立った意見だったと考えております。

 9ページ目がこれを踏まえた現状・課題と論点でございます。

 A型の平均賃金ですけれども、こちらは制度創設の18年度の113,000円から、40%の約6万8,000円まで急激に減少しているところでございます。そのような平均賃金の減少の背景には、本人の希望、能力に関わらず、一律に労働時間を短時間にしているという事業所があるという指摘もありますので、平成27年度の報酬改定におきまして短時間の利用の場合の減算の強化を行いましたが、こちらは適用率が11.9%にとどまっております。この背景には、あくまで27年度報酬改定では利用時間減算にいたしましたので、利用時間は長くしておきながら、その利用時間の中で事実上の労働時間を短くしている事業所がある。このような指摘をいろいろなところからいただいているところでございます。

 3つ目ですけれども、A型につきましてはこの4月に指定基準を改正いたしました。その結果、生産活動収入から経費を除いた額で利用者の賃金を支払わなければならないこと。また、賃金の支払いは原則として自立支援給付費から充ててはならないとさせていただきました。これを踏まえて就労の質の向上が今後期待されるということもございますし、他の日中活動系サービスに比べて、A型の常勤職員の給与が低いという状況がございました。これも恐らくは自立支援給付費を利用者の賃金に充てているためではなかろうかと思いますので、こういった基準の見直しによって常勤職員の給与の改善も今後期待されるという状況でございます。

 一方で、最後ですけれども、平均賃金の減少には精神障害者の利用者が増えておりまして、その精神障害者が一般的に長時間労働することは難しいためであるという見方もできると考えております。

 以上を踏まえまして論点ですけれども、こちらにつきましても賃金実績等に応じたメリハリの効いた報酬設定としてはどうかと考えております。その場合に何を指標とするかですけれども、平均賃金ですとか、平均労働時間とか、あるいはその他の活動実績として例えば生産活動収入そのものなどに着目した報酬設定とすることが考えられるのではないかと考えております。

 ただ、そのような指標とした場合に、例えば生産活動が高い水準でできない人は受け入れないということがあってはなりませんので、何らか生産活動が困難な方を積極的に受け入れている場合の配慮も検討する必要があろうと考えております。また、平均賃金ですとか生産活動収入等を指標にする場合には、指定基準上、生産活動収入と賃金と自立支援給付費の関係に基づくルールをしっかりと満たした上で運用することが必要であると考えております。

 また、論点の3つ目ですけれども、このようにA型に平均賃金ないし生産活動収入等に基づいた実績に基づいた報酬にするのであれば、A型事業所としても販路の拡大ですとか、付加価値のある商品開発等が必要となってきますので、現在、就労B型におきましては目標工賃達成指導員配置加算がございます。これに準じた報酬の加算をA型に創設してはどうかと考えてございます。

10ページ目以降は御参考の資料ですけれども、10ページ、平成18年度からA型の平均月額賃金が右肩下がりで下がっているというデータでございます。

11ページは短時間減算の27年度の報酬改定ですけれども、旧来の制度ですと利用時間が週20時間の方の割合が50%以上の場合の減算だったのですが、27年度に1日当たりの平均利用時間を算出して、それに応じて段階的な減算措置を設けた。最高は1時間未満の場合の70%減算で、最低で10%減算、このように段階を設けた減算措置に27年度に変えたものでございます。

12ページは短時間利用減算の場合の特例措置ということで、サービスの利用開始時には予見できない事由により短時間となった場合は除くというルールもございます。

13ページは先程申し上げました訪問系サービスの常勤、非常勤の給与を比較したものでございますけれども、23年度当時はA型のところがそれほど他と変わりがなかったのですが、26年調査の場合には明らかに他のサービスに比べて常勤の方の給与が低くなっているというのがデータとしてございます。

14ページが労働時間を見たものですけれども、運営主体別に見た場合は社会福祉法人の場合は50%が30時間以上の労働時間になってございますが、例えば営利法人で言いますと89%が30時間未満の労働時間になっている。障害種別で見た場合、短時間の30時間未満の方は、精神障害者の方で多いという状況でございます。

14ページが割合のグラフですけれども、15ページは実数のグラフですが、こちらを見ますと営利法人が数として圧倒的に多いという状況になってございます。

16ページがA型の指定基準の見直しについてのものでございます。生産活動の内容がA型であるにも関わらず、最低賃金以上の賃金を払うに十分な生産活動が行われていないですとか、利用者の意向に関わらず、一律に労働時間を短時間にするなど、志の低い事業所が増えているという指摘がございました。

 これまでは通知等を通じまして、自治体からの指導強化に取り組んできたところでございますけれども、17ページでこの4月に具体的に指定基準の改正を行ったものでございます。項目は幾つかございますが、今般の報酬改定の議論とも深く関係するのが赤で囲んでいるところですが、賃金の支払いとして生産活動に係る事業収入から経費を控除した額で賃金の総額以上としなければならないというのと、原則、賃金を自立支援給付費から支払うことは禁止。ただし、これは指定基準でございますけれども、これを満たさない場合に直ちに指定の取り消しというものではなく、経営改善計画を出していただく。経営改善計画を出すことで経営改善に努めていただく。そのような目的で設けたルールでございます。

18ページ、19ページは御参考です。18ページは各都道府県別のA型の平均賃金の比較を載せているものでございます。19ページは各地域の最低賃金の金額を書いているものでございます。

20ページからB型の話をさせていただきます。

21ページ、B型ですけれども、こちらはA型と同じく基本的には施設の中で就労をしていただくためのサービスですが、雇用計画に基づかない軽作業を中心にやっていただくというものでございます。

22ページが同じく費用額、利用者数、事業所数の推移ですが、これも同じく右肩上がりでございます。伸び率的には移行よりは高く、A型よりは低いという状況ですが、数の絶対値としては圧倒的にB型が多くなってございます。

23ページが障害種別の利用状況ですけれども、こちらは知的障害者が全体の半分以上を占めるという状況です。

24ページが年齢階層ですが、こちらはA型と同様に半数以上が40歳以上の利用者となってございます。

25ページ以降がヒアリングでいただきました主な意見ですけれども、B型に関しましては目標工賃達成加算の見直しについての意見が多数出ていたという状況でございます。

26ページが、こういった状況を踏まえました現状・課題と論点でございます。

 まず現状・課題といたしまして、平成27年の障害者部会におきまして、B型について高工賃を実現している事業所を適切に評価するなど、メリハリを付けるべきという御提言をいただいております。平均工賃を見ますと制度創設の18年度から年々徐々に上がってきているのですけれども、一方で平均値は確かに増加しているのですが、最頻値は5,000円、6,000円ぐらいのところであることは、平成18年当時から実は変わっていないところです。また、平均工賃が2万円以上の事業所が約20%ある一方で、1万円未満の事業所も約40%ということで、こちらも二極化傾向にあると認められます。また、指定基準上、月額平均工賃3,000円を下回ってはならないとされているのですけれども、現実には3,000円を下回る事業所も存在しているという状況でございます。

 また、目標工賃達成加算ですけれども、こちら前回の27年度の報酬改定におきまして、加算の単位数の引き上げを行うと同時に、前年度の工賃実績が前々年度の工賃実績以上という要件が付け加えられました。この結果、既に高工賃を実現している事業所であっても、わずかでも工賃が下がった場合には適用されない。一方で低いところが少しだけ上げただけでも適用されるというところで、その辺りにアンバランスが生じているのではないかというのが、障害者団体等から改正を求める意見が上がっている状況でございます。

 これを踏まえました論点といたしまして、工賃実績等に応じたメリハリの効いた報酬設定としてはどうか。その場合に事業所の平均工賃やその他活動実績、生産活動収入等に着目した報酬設定としてはどうかと考えてございます。その際に生産活動が困難な方も受け入れられるような配慮ですとか、工賃と生産活動収入に関するルールについて厳正に適用することにつきましては、A型と同じ課題があると考えてございます。

 最後ですけれども、そのように工賃等の多寡に基づいた報酬設定とすることを踏まえた上で、それ自体が工賃実績等に応じたメリハリの効いた報酬設定となりますので、目標工賃達成加算につきましては、そのあり方を見直してはどうかと考えております。

27ページ以降は、またデータが続きますけれども、これは平均工賃が徐々に上がっているというのが27ページの図でございますが、28ページを見ていただきますと、分布図を見ていただくとお分かりのように、18年度と27年度で分布の最頻ゾーンは変わっていないというのが表れてございますし、右上の表を見ていただきますと、上位25%と下位25%の平均を比べると、5倍近い開きがあるというのも現状でございます。

 一方、29ページですけれども、確かに工賃の高いところと低いところの二極化はあるのですが、ただ、それも一定程度改善の兆しはある。18年度と27年度でグラフで言うと左の2つ、ピンクと緑のところが1万円未満ですけれども、この割合は減っておりますし、右の3つ、2万円以上のところですが、この割合は増えているので、確かに二極化はありつつも、その現象はちょっとずつ改善には向かっているということは認められます。

30ページ、こちらは27年度報酬改定の目標工賃達成加算の拡充等で、それまでの加算単位が49もしくは22だったのが、69から32ということで、単位は上げつつ、赤いところ、前年度の実績が前々年度の実績以上であるという要件が盛り込まれたというものでございます。

31ページは、各都道府県別のB型の平均工賃の比較ですので、こちら御参考です。

32ページ以降が、就労継続AとBの共通事項として資料をまとめさせていただきました。

33ページは平成27年の障害者部会報告におきまして、就労継続支援A、B型におきましても、能力を向上させ、一般就労が可能になる障害者もいる。そのため一般就労に向けた支援ですとか、一般就労への移行実績も踏まえた評価を行うべきであるという御提言をいただいておりました。

 2つ目ですけれども、A型、B型につきましても就労後、6カ月を超える期間を継続して就労している方が5%を超える場合の加算というものがございまして、これも加算の適用率が必ずしも高くはございませんが、A型、B型でもちゃんとそういった適用を受けているところはあるというところです。

 3つ目ですけれども、A型、B型の一般就労移行率も大体過去3年横ばいですが、A型では4.3%、B型では1.3%ということで移行者も出ている。また、第5次障害福祉計画におきまして移行者数を1.5倍以上とする目標が定められておりますというのと、ただ、最後5つ目ですけれども、A型、B型からの一般就労移行を妨げる要因として、A型、B型の施設におきまして一般就労が可能な方というのは、事業所の生産活動には非常に貴重な戦力であるということですので、その方が一般就労により退所されることによって利用者減による収入減とか、生産活動収入の減少等が起こってしまうという障害者団体の指摘もいただいてございます。

 こういったことを踏まえまして、就労継続支援A型、B型におきましても、現行の6カ月を超えた方が5%以上の加算というのではなくて、もっと形を変えた上で一般就労で移行実績を評価するという新しい評価の仕組みを設けてはどうかと考えております。その際も先程の移行支援と同様に、安易な一般就労の移行とならないようにするため、努力義務ではありますけれども、6カ月の定着支援がございますので、就職した後、6カ月以上定着したことをもって実績として評価するという仕組みとしてはどうかと考えております。

 以上が資料3の説明になります。

○内山障害福祉課長 それでは、只今御説明いたしました資料3の就労継続支援A型、B型に係る報酬につきまして、アドバイザーの方から御質問、御意見等があればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。千把さん、お願いします。

○千把アドバイザー 私からは、私の町の現状も踏まえまして就労B型の件で御意見を申し上げたいと思います。

 資料にも出ておりますとおり、平均工賃というのはすごい差が出てきているわけです。どうしても福祉サービスというわけですが、経済活動もしておりますので、経営センスのあるところが有利になるというのはやむを得ないとは思っています。ですが、特にB型は知的障害者の方が私どもの町も非常に多く使っております。収入を気にしている方もいれば、行き先、居どころということで考えている方もいらっしゃるわけです。いわゆるその人の生きがいという意味でのB型という位置付けもあるという状況でございますので、先程論点でも入っておりました生産活動が困難なものを積極的に受け入れている場合の配慮というのは、ぜひ御考慮いただければありがたいと思っております。

 以上でございます。

○内山障害福祉課長 ありがとうございます。

 ほかにございますでしょうか。では野沢さん、お願いいたします。

○野沢アドバイザー 工賃実績に応じたメリハリを付けた報酬設定というのは、私は基本的に賛成なのですけれども、今、おっしゃいましたが、B型の場合難しいなと思うのは、地域によっては他になかなか事業所がなくて、B型にいろいろな方が受け入れられているというケースもあったりしますよね。その場合、B型を就労の場として見るのか、やはり福祉の場として見るのか、この辺りの整理がまだついていないなというか、地域によっては付けないほうがいいのかもしれないのです。本当に混沌としているのですけれども、でも一生懸命やっているうちに本人が伸びていって、むしろ一般就労に行けるようなことも出てきたりするというので、すごく難しいのですけれども、大事なサービスだと思うのです。

  ただ1つ、ここにもあるように工賃だけで評価されると、高い工賃を上げるために自立支援給付を充てているとか、そうなると全く本末転倒になってしまう。これはA型もそうです。本来の目的ではない運用のされ方をしている。では自立支援給付を充てているというのはどこにしわ寄せが来てきているのかといったら、職員の方の給料が低かったり、人数が少なかったり、ひいては利用者のサービスに来ているわけで、この辺をもう少し細かく見た評価が必要なのかなと思っております。

  一番最初の冒頭のところでも言いましたが、A型やB型から一般就労に行ってもらうというのは戦力を取られてしまうわけで、法人としては、施設としては大変なのですが、それでもあえて一般就労に行っていただくという流れをつくるためには、それを後押しするような制度設計、報酬のあり方は当然考えられるべきだろうなと思います。

○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 ほかにA型、B型についてございますでしょうか。岩崎さん、お願いします。

○岩崎アドバイザー まず就労A型のお話なのですけれども、私が驚いてしまったのは、雇用されている時間と利用時間が異なることがあるんだということです。そこら辺はA型ですので、利用時間と雇用して賃金が発生している時間をどう考えて行かれるのかということの確認がまず1点でございます。

  それから、適切に運営がなされているのかどうなのかということと報酬の兼ね合いで言いますと、例えば1日4時間働いて3日間利用されているという方で12時間ですね。1日2時間来られている方で例えば5日間働いていたとしたら10時間ということで、3日間しか来ていない人のほうが労働する時間は長いけれども、今の体系で言うと入る報酬としては何日も来ているほうが当然事業所に対してたくさんの報酬が入るわけで、だから1週間トータルの労働時間が、労働を考える上ではこれまでも基本的なカウントの仕方で通用しているのは重々承知しているのですけれども、1日にどのぐらいその方が就労しているのかということと何日来ているかということが報酬上は非常に大きな問題になるわけで、そこら辺を加味した形での評価ができるのかできないのかということについて、お考えを伺いたいなと思っております。

  それから、生産活動が困難な方の問題というのは先程来、ほかのアドバイザーの先生からも出ていらっしゃるのですけれども、高齢化ということも最近、耳にするようになってきております。だから障害があったりする方で、一般の方よりも老化が進まれる年齢が低いと言われたりしていて、雇用が困難になっているけれども、解雇するわけにも当然いかないということがあったりとかして、先程も少しお話をしましたが、その方の障害の程度に関しても、B型とかA型に関しても少し加味していただけるような仕組みとかがあればいいなと思っております。

 先程B型のお話が出ておりますけれども、特に精神障害の方とかですと、ほかに日中サービスで利用することが難しい状況があると思うのです。それはどうしてかというと、知的の方だと生活介護を割と利用されている場合が多いと思うのですが、精神の方の場合、支援区分でお若い方だと3以上でないと利用できないことがあって、ずっと利用できるサービスの選択肢がどうしても狭いということがあるかと思うのです。ですのでなかなか就労だけを目的に利用されている方ばかりではないということで、私も千把さんの御意見に共感するところがございました。

○内山障害福祉課長 ありがとうございます。

 利用時間と労働時間について事務局から少しお答えをさせていただきます。

○寺岡障害福祉課長補佐 利用時間と労働時間の整理に関しましては、今回の報酬改定のタイミングでいろいろ検討して、再整理するということは十分検討の余地があろうかと思っております。今後より細かい論点を議論するときに、その辺の話も議論したいと思っております。

  ただ、ある種、中立的なものの見方をいたしますと、A型の特徴は雇用契約に基づく就労の場であると同時に、福祉サービスの場でもありますので、例えばですけれども、1日の労働時間が5時間あった後で1時間、福祉のサービスとして振り返りの場を設けるということもあり得ると思いますので、必ずしも利用時間と労働時間が完全に一致していることだけがよいとも言い切れない部分もあるのだと思っておりますので、その辺も踏まえましていろいろと今後、検討していきたいと思います。

○内山障害福祉課長 ほかにA型、B型につきまして御質問、御意見等ございますでしょうか。では野沢さん、お願いいたします。

○野沢アドバイザー 14ページと15ページのところ、短時間の労働時間で運営主体別に出ている。これを見ると営利法人が非常に短時間。これは法人の属性を評価の基準に入れるというのは考えていらっしゃるのかなと思って、この表を見たときに、この表が出てきた意味といいますか、それを知りたいなと思ったのですが、そういうことができるのかどうなのか。あるいは何らかの今後の行政指導なり何なり要件なりに考えていらっしゃるのかという辺りを聞きたいなと思ったのですが、いかがでしょうか。

○寺岡障害福祉課長補佐 確かに数字上はこのような結果が出てございますけれども、営利法人であったとしても、かえって営利法人としての経営のノウハウですとか、そういったものを生かして生産活動を高く上げて、工賃や賃金が高いというケースもありますので、必ずしも法人種別によって、それ自体を絶対評価基準にすることは検討の余地が全くないわけではないかと思いますが、正直なかなか難しいのではないかという印象はございます。

 この結果自体は、確かにA型事業所は特に営利法人の参入というのが非常に大きく増えているのが、確かに移行やB型とも比較した大きな特徴としてございましたし、その動きと平均賃金の減少ですとか、いわゆる志の低いA型の存在が指摘されることはリンクしていましたので、結果的にこうなったという部分もあると思いますけれども、申し上げたとおり法人の種別が絶対評価基準にするというのは、なかなか難しいのではないかという印象はございます。

○内山障害福祉課長 岩崎さん、お願いします。

○岩崎アドバイザー 先程の利用時間と雇用している時間の話なのですけれども、働いていらっしゃる方の支援を私が知っているA型だと、結局、勤務時間内、要はお金を払っている時間の中で、そういったサポートも含めてやっていらっしゃるところもあるのです。ですのでそこら辺は非常に公平性を欠くというか、解釈の違いによって公平ではない状況がもしかしたら生じている実態があるのでしょうか。

 もし先程おっしゃったように、今そこら辺の解釈というのを今回明確にしていただけるとありがたいなと思うのと、働くことが困難、要は長時間働くことが困難な方は、それなりに理由があるわけで、そこら辺のサポートを逆にその評価に含めていただけるということがあるのだったら、ありがたいと思われる事業者もあるのではないかと思います。

○内山障害福祉課長 ありがとうございます。

 ほかにございますでしょうか。

 それでは、今、A型、B型を中心に御議論いただいたわけですけれども、これからの時間はA型、B型に限らず、資料1の就労定着支援、資料2の就労移行支援も含めて全体で御意見、御質問があればお受けしたいと思います。いかがでしょうか。では井出さん、お願いいたします。

○井出アドバイザー 今回3つのサービスについて御説明をいただいてありがとうございました。

 資料1は新しいサービスで、拝見していると緩やかな導入とかソフトな感じがして、私は基本的には賛成というか、よろしいのではないかと思います。

 資料2と資料3は、キーワードでメリハリという言葉が出てくるので、どうやら資料2も資料3も、利用者とか事業者の数とかも伸びている割に費用額も伸びているので、ここのところは特に資料2は1つの計画として利用者を増やして、移行するパーセントも増やしていこうという中で費用を考えていかなければいけない部分なので、言い方がいいかどうか分かりませんけれども、メリハリの「メリ」というか、そこの部分は費用との兼ね合いで、思っているより厳し目に見ていただいてもいいのかなと思っています。

 資料3もメリハリでいろいろ工夫されているので、いわゆる実態に沿った形でうまく調整していただければいいのかなと。基本的には今日御説明いただいた流れで私はよろしいと思っています。

○内山障害福祉課長 ありがとうございます。

 ほかにございますでしょうか。野沢さん、お願いいたします。

○野沢アドバイザー 意見なのですけれども、就労系のサービスは自立支援法以降の障害者支援の1つの柱ですね。それまで主に知的な人たちの分野でいろいろ考えてきた立場なのですけれども、およそ何か中重度の知的障害者が働くなんていうのは、それまではほとんど考えられていなかったことが、結構みんな本気になって考えていて、だからこの10年ぐらいというのは就労系のサービスは激変期だったのです。いい面も悪い面もいっぱい起きてきたと思うのです。こんなに支援の難しそうな知的や発達障害の人たちが一般企業で働くようになるなんて信じられないような状況だし、でも一方で営利企業がどんどん参入してきて、そこで本当は私は営利企業が参入するのはすごい賛成だったのです。旧来の社会福祉法人等が持っていないようなセンスだとかビジネススキルを持ち込んでくれるとすごくいいものが起きるなと。そういうものもあるのですが、ただ、やはりうまく制度のすきを突いて収益を上げることに長けている人たちも大勢いて、やはりそこでいろいろな弊害が出てきているというのが今の状況です。

 だんだん10年たってきて、ある程度サービスも何となくやる側とサービスの類型、あり方というのは整理がされてくるのではないかと今、思っているのです。特に先程一番最初に行った移行ですけれども、難しい人も就労したい、そういう意向をくんで受ける。頑張って一生懸命やっている。これは福祉的な文脈では非常に美しいのですが、でもやはり一般の民間企業のビジネスの感覚で言えば、それで移行できなければ私は契約に違反しているし、違約金を取られてもおかしくないぐらいだと思っているのです。なのでそういう方たちは最初のアセスメントの失敗だと思っているのです。

 むしろそういう就労が難しそうな人はB型なり生活介護なりに一度行っていただいて、そこでいい支援をして、そこでまた一般就労を目指したって当然いいわけで、実際にしている人たちもいるわけで、そういうところを高く評価してあげることによって、むしろ生活介護やBからもどんどん一般就労ができるんだという道筋をつくってあげることによって、就労移行の事業というのは整理されてくるのではないかと思うのです。

 つまり地域的な面で見ても、都会だから実績が上がっているというものではないですね。事業所の特性といいますか力量にかかっていると思うのです。一般就労だと企業のことをよく知っていなければいけないし、企業とつき合えるセンスがないと難しいと思うので、無理なところはB型だとか生活介護に移っていただいて、そこでまた難しい人たちを頑張って支援していただいて、一般就労を目指すのはいいのですけれども、元々の高い単価で一般就労を目指すというのを業務にしているところからは外れてもいいのではないかと思っているのです。サービスの整理を少しずつしていったほうが、いろいろなことが見えやすくなるし、事業所自体も活動しやすくなるのではないかと思っております。その辺りも次の改定といいますか、制度改革の中でぜひ今回のいろいろなデータを分析していただいて、考えていただけるといいのではないかと思いました。

○内山障害福祉課長 ありがとうございます。

 就労系全体を通じて、他にございますでしょうか。

 ないようでしたら予定の時間より早いわけでございますけれども、本日、予定をしている議事は、おおむね終了させていただきたいと思います。

 次回の検討チームにつきましては、9月22日金曜日の9時から麹町にあります全国都市会館において開催を予定しております。

 本日はお忙しい中、就労系サービスについての議論、どうもありがとうございました。これをもちまして「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」第9回会合を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

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