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2017年10月2日 第4回薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会

健康局結核感染症課

○日時

平成29年10月2日(月)14:00~16:00


○場所

厚生労働省 省議室(9階)


○議題

(1)薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書(案)について
(2)その他

○議事

○結核感染症課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第4回「薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会」を開催いたします。

 本日の構成員の出席状況を御報告いたします。

 本日は、浅井構成員、境構成員より、欠席の御連絡をいただいております。また、参考人といたしまして、三重大学より田辺正樹先生に御出席をいただいております。

 続きまして、事務局より配付資料の確認をさせていただきます。

 議事次第のほか、資料1、資料2、参考資料を御用意しております。不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。

 以降の議事運営につきましては、座長の渡邉先生にお願いいたします。

○渡邉座長 それでは、本日の議事に入ってまいりたいと思います。

 今、事務局から説明がありましたように、皆様のお手元にあります資料1「薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書(案)」について御議論いただくのがメインでありまして、終わりましたら、その他に関して皆さんから御意見がありましたら伺いたいと思います。

 まず、議題1「薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書(案)について」は分量が多いので、各パートごとに説明を事務局からお願いいたします。

○結核感染症課長補佐 それでは、事務局より御説明いたします。

 資料1をごらんください。

 こちらは、事務局及び構成員の皆様に御提出いただきましたデータと前回までの御議論を踏まえまして、事務局にて作成いたしました「薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書(案)」でございます。

 報告書全体の構成につきましては、表紙を1枚めくっていただきますと目次がございますので、まずはごらんください。

 「1.前文」「2.略称」「3.抗菌薬の種類と略号」「4.要旨」「5.アクションプランの成果指標」、こちらに続きまして「6.日本における耐性菌の現状」でございます。こちらが、ヒト、動物、食品、環境の各分野における耐性菌の検出状況をまとめたものでございます。「7.日本における抗菌薬使用量の現状」、同じくヒト、動物、食品、環境、各分野における抗菌薬使用量の状況をまとめたものでございます。「8.日本における薬剤耐性に関する国民意識」「9.今後の展望」となります。以上が本文となりますが、「1.前文」「4.要旨」「9.今後の展望」につきましては、事務局で原案を作成し、構成員の皆様よりいただいた御意見に基づきまして修正した文案となってございます。最後に、参考資料に「6.日本における耐性菌の現状」及び「7.日本における抗菌薬使用量の現状」のデータのもととなりました各調査の詳細を記載し、さらに巻末に引用文献、本検討会の開催要項、本年次報告書作成の経緯をつけております。

 以上が、報告書全体の構成でございます。

 次に、資料2、1枚紙をごらんください。

 こちらは、前回までの3回の本検討会において、構成員、参考人の皆様からいただきました指摘事項と各々への対応の状況についてまとめたものでございます。全部で15個ございますけれども、これからの議論のときに指摘しやすいように、上からここで1~15の番号を振っていただけますでしょうか。最初から番号入りのものを用意していればよかったのですけれども、申しわけございません。指摘事項1、2、3、4、8、9、101114につきましては、今回の報告書(案)に反映させております。5、6、7、121315は、今後の課題として検討していくこととしております。

 事務局からの説明は以上でございます。

○渡邉座長 ありがとうございます。

 今の事務局からの説明について、全体の構成等を踏まえて、何かコメントまたは御意見がありましたらお願いいたします。

 特にないようでしたら、今度は各項目ごとに見ながら、そこで皆さんから御指摘または御質問、改良点等の御意見を伺いたいと思います。

 それでは、資料2を参照しつつ資料1の報告書についての中身を見ていきたいと思います。

 まず、「1.前文」のところですけれども、これについては、先ほど事務局から資料2の1のところに本報告書の想定する読み手を明確にすべきではないかということで、それに対して、1ページの2段落目、本報告書がAMRに関する対策及び研究を進めるに当たって、関係府省庁、関係諸機関・諸団体、関係学会等に、本報告書を活用していただければ幸いであるということで、読み手はある程度専門家というか、知識のある方を想定しているというような書き方になっておりますけれども、これでよろしゅうございましょうか。全く一般の人だと、これは中身を見ると確かに数字が羅列しているところもあって難しいかもしれないですね。それを少しかみ砕いてというのが多分「4.要旨」のところに当たるのだと思うのですけれども、6ページ、7ページもどちらかというとまだ難しいところかと思うのです。この誰を対象とするかというのはこの辺でよろしいですか。それとももっとかみ砕いた形にしないと一般の人に伝わらないのではないかというコメント等もあるかと思うのですけれども、皆さんから御意見をまずはお願いしたいと思います。

 今回の構成員の先生方は一般の方はほとんど入っていないので、どちらかというと一般の人との窓口的な意味で言うと、保健所関係の先生がそれに当たるのか、医師会の先生がそれに当たるのかと思うのですけれども、もし何かその辺のコメントがありましたら。

○釜萢構成員 どうもありがとうございます。

 この内容については、今後、このワンヘルスの視点からAMRの対策をどういうようにしていくかということについて、現状の認識をしっかりと示すことに大きな意味があると考えますので、私は本報告書読み手の対象の方々としては今ここに記載されている方々でよいのではないかと思います。ただ、この内容については幅広く国民の皆さんに御理解をいただく必要があると思いますが、例えば、それは内閣府でやっている国民啓発会議のようなところに反映をして、幅広く国民の皆さんに御理解を賜るという体制でいけばよいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○渡邉座長 ありがとうございます。

 今のような御意見は、内閣府が中心になって、毛利さんが座長の会議か何かでもうちょっとかみ砕いた形で国民にお知らせしたほうが良いのではないかという御意見ですけれども、いかがでしょうか。

 よろしいでしょうか。

 事務局はいかがですか。今後の一般の方々向けにどういう形で情報を伝えるか。

○結核感染症課長補佐 ありがとうございます。

 まさにこの報告書につきましては、今、釜萢先生からもありましたように、ある程度専門家向けの部分があるというところはありますが、一方で、内閣官房で開催されますような普及啓発に向けた取り組みとか、また、今年度からリファレンスセンターというものを立ち上げておりますし、よりかみ砕いたもの、さらにはより一般の方に知ってもらうべきことについては、いろいろな手段を用いて啓発していきたいと考えております。

○渡邉座長 ありがとうございます。

 幾つかのツールがあるということで、そのツールを使ってもう少しかみ砕いた形での情報を提供する。よろしいでしょうか。

 それでは、皆さん、そういうことで、「1.前文」と、続いて「2.略称」はよろしいと思うのですけれども、「4.要旨」はいかがでしょうか。

 御手洗構成員。

○御手洗構成員 「4.要旨」ではなくて、その1つ前の「3.抗菌薬の種類と略号」のところなのですが、キノロン系の略号のところで、エンロフロキサシンの略号とオフロキサシンの略号が間違っているかと思われますので、御訂正をお願いいたします。

○渡邉座長 具体的にはどれですか。

○御手洗構成員 キノロンです。エンロフロキサシンは「EPFX」ではなく「ERFX」だったと思います。オフロキサシンも「OFX」はアメリカ式で、日本では「OFLX」の表記だったと記憶しております。お願いします。

○結核感染症課長補佐 確認いたしまして、訂正させていただきたいと思います。ありがとうございます。

○渡邉座長 ほかにこの略号で訂正事項はありますか。よろしいでしょうか。

 これは、化学療法学会か何かからとってきたのですか。

○結核感染症課長補佐 基本的にそうですけれども、一部確認が不十分なところがあったようでございます。失礼いたしました。最終的に全て再確認いたします。

○渡邉座長 わかりました。

 今のところの略号、その前の略称もよろしいでしょうか。もし気づかれましたら、後でお願いいたします。

 続いて「4.要旨」のところはいかがでしょうか。

 「結果」のところで、重要な抗菌薬に対しての日本での今の耐性状況、ヒト及び動物、水産動物、抗菌薬の使用量、その辺のところが簡潔にまとめられていて、「結語」のところで今後期待される状況のところが述べられている形になっておりますけれども、よろしいでしょうか。

 御手洗構成員、どうぞ。

○御手洗構成員 御手洗でございます。

 「4.要旨」全体としては、非常によく書かれていると思います。

 ただ、2点ほど、1点は確認、1点はコメントという形で理解していただけるといいのですが、まず、最初のパラグラフの「背景」のところに国内外に向けて発信と書かれていますが、この報告書は英訳されるのでしょうか。

○渡邉座長 事務局、お願いいたします。

○結核感染症課長補佐 はい。英訳して国際的にも公表するつもりでございます。

○御手洗構成員 そう考えますと、最初の「1.前文」のターゲットの部分が英文にしたときに書きづらいのかなと一瞬考えたのです。先ほど渡邉先生が確認されていた読み手の部分です。英文に直したときに、これはわかりにくいのではないかと少し思ったのですが、その辺はいかがお考えでしょうか。

○結核感染症課長補佐 そちらにつきましては、実際に英訳版を作成する際に留意して訳して、かなり日本文との相違点が出るようであれば、また構成員の皆様に御確認いただきたいと思います。

○渡邉座長 英訳はどういう形ですか。機械でやるわけではなくて、専門家に頼むわけですか。

○結核感染症課長補佐 事務局で英訳いたしまして、ネーティブチェック等を受けたいと考えております。

○渡邉座長 そのときに、構成員の先生にも回していただいて、意味が伝わるかどうかの確認をしていただくほうがいいかと思うのです。

○結核感染症課長補佐 承知いたしました。

○渡邉座長 どうぞ。

○御手洗構成員 細かいところで申しわけないのですが、今度は最後の「結語」の部分です。下から4行目「影響を考慮した分析や精度管理」と書いてあるのですが、「精度管理」としてしまうと、これも英訳時に「internal quality control」になってしまって、オーバーオールな意味合いが薄れてしまいますので、ここはぜひ「精度保証」としていただきたい。そうすると「quality assurance」ということで、いろいろなプロセスがカバーできるのではないかと考えます。いかがでございましょうか。

○結核感染症課長補佐 承知いたしました。

○渡邉座長 確かにそうですね。英語で訳すときに「assurance」のほうがいいかもしれないですね。

 ほかにございますか。

 よろしければ、次に「5.アクションプランの成果指標」について、いかがでしょうか。これは2020年度を目標値として現状がどのぐらいであるかということがここにまとめられているわけですけれども、これは、201520162017と毎年報告書を出すために、ここに追加されていくと考えてよろしいですか。2015がこれで、201620172018と。

○結核感染症課長補佐 そこはスペース等の関係で議論になるかもわかりませんが、基本的にはそのつもりで、並べていく予定でおります。

○渡邉座長 そうすると、年度ごとのアチーブメントがわかっていくという形になるわけですね。

 よろしいでしょうか。

 それでは、続いて「6.日本における耐性菌の現状」で、JANISのデータを細かくまとめたものがずっと続いておりますけれども、これに関してはJANISで何か追加とかさらなるコメントはありますか。よろしいでしょうか。

○柴山構成員 特に追加等はございませんけれども、前回、分母を書いたほうがいいというコメントもいただきましたので、大分細かくなってしまうのですが、このような形で記載させていただきました。

○渡邉座長 この資料2とあわせて言うと、JANISの関係で言うと6番のところですか。JANISNESIDの関連性についての検討を進めるべきではないかという御意見があったわけですけれども、それについての対応としては、今後、厚生労働科学研究で検討していくということでよろしいでしょうか。

○柴山構成員 NESIDを担当していただいている感染研の疫学センターとJANISの事務局でそういう話を進めているところです。

○渡邉座長 ありがとうございます。

JANISのほうは、これでよろしいでしょうか。

 どうぞ、御手洗構成員。

○御手洗構成員 今ごろこんなことを伺うのは心苦しいのですけれども、ここのJANISに出ているデータの対象の菌というのは、これは起因菌なのでしょうか、分離菌なのでしょうか。

○柴山構成員 このデータは分離菌になります。

○渡邉座長 対象の検体は何でしたか。全部が含まれているのですか。

○柴山構成員 このデータは、入院患者さんの全検体のデータになります。

○渡邉座長 そうすると、たんとかし尿とか、全てが含まれていると。

○柴山構成員 はい。今のところは全部の検体を一緒にしたデータになっております。

○渡邉座長 今の起因菌かどうかということの想定というのは、なかなかたんの場合などは難しいですかね。

○柴山構成員 そうですね。このデータは細菌検査室からのデータをいただいていますので、起因菌かどうか、感染症を起こしたかどうかという情報は上がってきておりませんので、その辺の集計は難しいところです。

○渡邉座長 本来はその辺のデータがそろえばいいのでしょうけれども、そうすると、今のようなシステムだとなかなか難しいかもしれないですね。ある程度限られた病院とか何かとの連携でやらないと、難しいかもしれないですね。

 よろしいでしょうか。

 問題点はあるけれども、日本の分離菌の耐性の現状としてはこういうことがわかるということで、それが起因菌になっているかどうかというのは今後少し考えながら、そういうサーベイランスがもし必要ならば立ち上げていくということでよろしいでしょうか。

 これはこの表を見ていてもなかなかわかりにくいので、これは将来的には図か何かにするような計画はございますか。

○柴山構成員 JANISの事務局でも、通常公開している情報について、もうちょっとわかりやすいように、年次推移がわかるようにといったことも議論しておりますので、そういったことも今後の検討課題とさせていただきたいと思います。

○渡邉座長 デンマークの報告書を見ると、結構、図か何かをいっぱい多用しているので、あれを見ると一目で大体わかるので、今年は無理としても、今後そういう検討もよろしくお願いいたします。

 ほかに御質問等はありますか。

 よろしいでしょうか。

JANISのデータと、続きまして、NESIDのデータが16ページで、先ほどNESIDとの関係性については検討していくということになるわけですけれども、NESIDの場合には耐性菌の定点当たりの数ということで、感受性菌のデータとの比率はなかなかこれだけだとわからないというところがネックと言えばネックになるわけで、その辺をJANISのデータとどのように補えるかというのは今後の課題だと思います。

 よろしいですか。

 次に、その他の耐性菌でカンピロバクターとか、ノン・タイフォイダル・サルモネラ、サルモネラ・ティフィについて、これはなかなかJANISのデータからは出にくいということで、東京都、感染研、地方衛生研究所が中心になって集めているデータがここに記載されているわけですけれども、これについて更なる追加事項というか、コメント事項がございますでしょうか。

○四宮構成員 前回、ノン・タイフォイダル・サルモネラの耐性率に関する表をお示ししたところ、血清型についてもわかっていれば記載してほしいということでしたので、表18にヒト由来株の上位10位の血清型と食品由来株の上位5位の血清型を加えました。

 基本的には、地衛研で分析しているサルモネラ属菌については、O抗原とH抗原、それぞれ決定しておりまして、血清型がわかっております。ですので、それぞれそこに書いてある血清型ごとの耐性率はお示しすることは可能なのですけれども、それをここで記載すると余りにも煩雑になりますので、前回から表を2つ血清型に関して加えました。それが表21と表22で、それぞれヒトの下痢症を主とする有症者から分離されたサルモネラの中で、同じ年度の鶏肉を中心とする食品からも分離された血清型、食品からは分離されなかった血清型、それぞれ2つのグループに分けてヒトのサルモネラ属菌の耐性率との比較を示したものです。食品からも分離されたものの血清型のほうが、ヒトと食品の間の耐性率のパターンの類似性が強く認められたところです。

 以上です。

○渡邉座長 ありがとうございます。

 表19と表21を対比すればいいのですか。似ているか、似ていないかと。

○四宮構成員 対比する場合は、表20のみが食品由来の耐性率を示しておりまして、表19と表21と表22はヒト由来の耐性率になっていますので、それぞれ表20と表19、表21、表22を比較していただきたいと思います。

○渡邉座長 これは前のときにも質問があったかと思うのですけれども、食品由来のノン・タイフォイダル・サルモネラでカナマイシンが人に比べて高いというのは、その後、何か解析されたのでしたか。

○四宮構成員 この理由はよくわかっていないのですけれども、これをグラフにしますとカナマイシンが例外的に低いので、その理由は今のところよくわかっておりません。

○渡邉座長 血清型で並べかえたとしても、余りはっきりしないと。

○四宮構成員 そうです。食品と表21と表22を1つのグラフにして比較したことがあるのですけれども、カナマイシンだけがその相関からずれてヒトでは非常に低いという結果になっています。

○渡邉座長 どうぞ。

○藤本構成員 とても興味深いデータになったと思うのですが、これは食品から分離されたもののほうが耐性が高いというのを一般の人にどういうことなのかとわからせることは、準備をしておかないといけないのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○四宮構成員 そうですね。食品については、網羅的な調査が恐らく今まではそれほどされていなかったので、今回サルモネラ属菌に関してはヒトと食品の耐性率の間に非常に相関が認められたということで、シンプルに考えると食品中の耐性率を下げてやればヒトのサルモネラ症の原因菌になっているサルモネラ属菌の耐性率も下がるのではないかということが想定されます。我々がこういうデータを出したときに一般の人に不安を与えるのではないかという御指摘もいただいておりまして、サルモネラは一般的には細菌性食中毒の注意をすれば、それを食べてサルモネラ症になることはないということを周知する必要があります。一方、サルモネラ症を発症した場合を想定すると、さまざまな薬剤に対する耐性がもし仮にどんどん増えていくと、ヒトでの治療がより難しくなっていきますので、食品中の耐性率を下げてやることが、いわゆるワンヘルスの概念からいっても、それを食してサルモネラ症になった場合に、治療をよりやりやすくする方向にシフトさせるのではないかと考えられます。

○藤本構成員 ヒト由来のうち食品から検出されなかったものというのは、例えば、カメとか、そういうものなのですか。

○四宮構成員 それは、我々は非常に重要だと考えております。ヒトは今回651株をやったのですけれども、その中で鶏肉を中心とする食肉から認められたのが大体半数なのですね。そうすると、鶏肉を中心とする食肉以外のもので経口感染しているものが約半数あるということが、これも恐らく初めて明らかになったのではないかと考えています。

 それが何なのかですけれども、今回調査していない食品もたくさんありますし、特に加工食品を中心としてさまざまなものを食品として摂取しています。先生が言われたように、爬虫類とか、あるいは汚染された水とか、動物由来の場合もあるし、それがどういう由来であるのかというのは、今後、明らかにする必要があると考えています。

○渡邉座長 WHOFAOOIEが最初にいろいろ会議を持ったときの大きな争点がどこにあったかというと、カンピロバクターとサルモネラの耐性が、いわゆる食品、その食品の前の動物から、食品、ヒトにどういう形でトランスミットしているのかということが大きな議論になって、それのためにWHOAGISARという会議が2000年の初めぐらいからできている経緯があるのですね。そうすると、EUとかアメリカも含めて、そういうターゲットとして、このカンピロバクター、サルモネラというのは非常に大きなそういう関心事だと思うのです。そういう意味では、この報告書は、カンピロバクターとかサルモネラに対しての記述が今から考えるとちょっと甘いというか、少な過ぎるのかなと、今の質問を聞きながら思ったのです。

 できれば、血清型を別に耐性の状況をもうちょっと加えるとか、そうすると今の議論になっているところがもう少しクリアになっていくのではないかという気がするのですけれども、今からというのはなかなか難しいと思うので、次回はその辺を少し頭に入れながらやると、世界の関心事との関係が日本ではどうなっているかということを表に出せるのではないかと思うのです。

 後で動物が出てくると思うのですけれども、動物のほうも、サルモネラ、カンピロバクター、その辺がターゲットになっていて、そこに今は大腸菌がいろいろ問題になっているので加わってきているという経緯があると思うので、そことの連関を示すのも重要かと思うので、来年に向けてはその辺を少し検討していったほうがいいとは思いますけれども、田村先生、AGISARの流れとか何かを考えた場合に、その辺はいかがですか。

○田村構成員 今おっしゃったとおり、WHOのあの会議に行くとみんなサルモネラとカンピロバクターが中心で、サルモネラとカンピロバクターは動物から肉を介してヒトに行っていることは間違いないと思うのです。ただ、この耐性率の関係は、私は前回も申し上げましたけれども、ヒトでカンピロバクター・ジェジュニのエリスロマイシン耐性があるのですけれども、動物はずっと今まで十何年間やっていてエリスロマイシン耐性がないということは、これを並べてみると、多分ヒトで使った治療薬のために後で分離したのでそういうものが反映されたということがよく分かるので、ぜひそういう並べて出すような形を次回に考えていただければいいと思います。

○渡邉座長 ワンヘルスという立場で物事を考えるというのがこの報告書の目的だと思うので、その辺をクリアにしていくというのは、今回は今すぐにというのはなかなか難しいので、来年までに少し検討を加えながら、来年の報告書はそこをもう少し充実するということを、厚労省、農水省の間も含めて考えたほうがいいのかなという気がいたしますけれども、その辺はよろしくお願いいたします。

 今のカンピロとサルモネラ、サルモネラ・ティフィ、この辺の記述等に関してはよろしいでしょうか。

 それと、ナイセリア、淋菌も、WHOは淋菌の耐性に対してトッププライオリティーに挙げていて、これに対しての新しい抗菌薬の開発等を促進すべきであるということを言っておりますので、それに対応して日本ではどうなっているかというのを出していくのは非常に重要なことだと思います。幸いにセフトリアキソンに対する耐性率が今のところ日本は1桁台で済んでいるわけですけれども、これはほかの国ではどんどん高くなっているという状況がありますので、この辺は注視していく必要は当然あると思います。よろしいでしょうか。きょうは大西先生がいらっしゃらないのですが、1つ日本のデータとしてはこういうことがあるということがここに書かれるわけです。

 続いて、サルモネラ・ティフィはほとんどが輸入感染症の類に入るのだと思いますけれども、臨床でシプロフロキサシンの非感受性株がふえているということで、治療等にはこのデータが非常に有用性を増しているのだと思います。

 続いて、マイコバクテリウム・ツベルクローシスに関して、これも非常に大きな問題で、XDRが今後どうなっていくかということでも注視される問題だと思いますけれども、これに関しては、御手洗先生、これでよろしいですか。

○御手洗構成員 データとしては、脚注等の数字の比較でよく見ていただくとわかると思いますが、データの入力が大体80%弱ということでずっと推移しておりますので、実数として見ると、例えば、多剤耐性も48とか50とかになって、実はもう少しいるだろうとは考えられます。そこら辺のところがもう少しわかりやすいようにしたほうが良いのかなとちょっと思ったりもいたしますが、悩むところでございます。実際のところ、全ての保健所に100%入力していただければデータとしてはそろうところだと思いますが、元々のそこの入力がないので、多分これは出せないというところだと思います。

○渡邉座長 ありがとうございます。

 ほかに御質問等はありますか。

 藤本構成員。

○藤本構成員 今ごろになって申しわけない。XDRは数としては推測でするのですか。

○御手洗構成員 2次抗菌薬のほうです。基準薬になっていますフルオロキノロン、それから、注射薬のアミノグリコシドとポリペプチドですが、この薬剤感受性試験を必ずしも全例はやっていないと思われます。ですので、全数把握をきちんとすることは今の段階では無理ではないかと。

○渡邉座長 比率としては難しいとしても、XDRがあるかどうか、絶対数と言って良いのですか、どのぐらいあるかどうかはわかるわけですね。

○御手洗構成員 それはわかります。あることだけは、データとして実施した数から推測することは可能ですが、それが全数を反映していないので、ほとんどの場合過小評価ということになりますから、誤ったメッセージを届けることになってしまうかもしれません。

○渡邉座長 これも実際にどのぐらいの正確性でもって推測されるかを考えながら、XDRが日本ではどのぐらいあるのかというのは、将来的には出していく必要があるのかなとは思いますけれども、その辺は今後の検討課題となるのだと思うのです。よろしいでしょうか。

 続いて、院内感染の状況で、JANISのデータがSSI発生率等もこの中には入っているということで、皆さんのお手元の資料2の5番にSSIの起因菌について記載すべきではないかというコメントがありまして、それについては薬剤耐性か否かを届け出ているのではなく、今回の薬剤耐性に係る報告書の趣旨から外れるため、記載はしないこととしたとなっておりますけれども、これはよろしいでしょうか。

 起因菌は、出そうと思えば出せるのですか。

○早川構成員 ウェブサイトには出ています。

○渡邉座長 ウェブサイトですね。報告書には入れなくていいですか。

○早川構成員 はい。

○渡邉座長 あとはICUの感染症の状況、クロストリジウム・ディフィシル、この辺はいかがですか。クロストリジウム・ディフィシルは、日本より世界で、アメリカとか他の色々な国では非常に関心事なのですけれども、何だか知らないけれども日本はそれほどでもないというところです。今後問題になってくる菌種なのだと思います。これは今の院内感染発生状況というデータというのは、国際医療センターのホームページには全部出ているということでよろしいですか。

○早川構成員 ICUの感染症の状況は、JANISHAI部門のほうに今は出ています。CDIに関しては、当センターで今構築中の新しいシステムに入れる方向で検討していますので、データ自体が出るのは少し先になると思うのですけれども、とり始める方向ではあります。

○渡邉座長 これは報告書全体として、こういうデータがもっと詳しいものはどこを見ればいいかというようなウェブサイトの情報はどこかに載せてありましたか。余りぱっと見たときに気がつかなかったのですが。

○結核感染症課長補佐 66ページからの引用文献のところにデータが示されてはおりますので、そちらからのアクセスもできるかと思います。

○渡邉座長 ここですね。例えばJANISだとどこなのでしたか。

○結核感染症課長補佐 JANISは参考資料の51ページになります。こちらの文章の中にもウェブサイトが示してありますので、ここから探っていくことは可能かと思います。

○渡邉座長 時々、WHO等の国際会議に行くと、日本のデータはどこを見ればわかるのだということで聞かれるのです。JANISはここだ、JVARMはここだと教えるわけですけれども、ただ、私も前にやったときに、例えばAGISARなどの報告書を見ると、日本のホームページはJVARMのものしか出してくれていないのですね。JANISのものは何回言っても入れてくれていないので、余り見ていないのかなと思う。

 それの一つの理由は多分英文で書かれていないところがあって、最近はJANISは英文で書かれているのですね。前のときは余り英文で書かれていなかったので出ていなかったのかなと思うのですけれども、今後はこの報告書も出て、そこを見て、JANISのところを見れば英文での年次報告も出ているということがわかれば、引用してくれるようになると思うのです。そういう意味では、このホームページをちゃんとさせていくのは非常に重要なことだと思うのです。

 結核菌に関しても、結研のホームページに。

○御手洗構成員 結研のホームページにも出ていますが、英語もより充実させるように言っておきます。

○渡邉座長 ぜひ、なかなか大変だと思うのですけれども。

 医療センターのほうは英文でも出るのですか。

日本のデータ等がホームページを見ると英語で書かれているかどうか。

○早川構成員 いずれはそういう集約的なものをつくっていくときには、英文でも極力出したいと考えています。既にあるレポートに関して全部英訳はできないのかもしれませんが、JANISJVARMなど、既存のものへのリンクを張る感じであれば可能かと思います。

○渡邉座長 先ほど御手洗先生からも質問がありましたけれども、国内外と書いてあるのは外国も対象にしているのかという話で、そうすると、英語で書かれていないと、せっかく良いものも外国の人たちが引用してくれない可能性があるので、その辺はすぐにきちんとさせるというのは難しいかもしれないですけれども、心の中にとめておいていただいて、徐々にそういう方向性で考えていただければと思います。

 今までのところでよろしいですか。

 続いて、ヒトのところが大体終わりましたので、JVARMのほう、動物由来菌で、これについては24ページからずっと書いてありますけれども、いかがでしょうか。これに対してJVARMからさらに何かコメントはありますか。

 遠藤構成員、お願いします。

○遠藤構成員 JVARMは、宿題となっておりました資料2の8番の話と9番の話については追記しております。8番の肉用鶏由来のセファロスポリンの耐性率、これは渡邉先生の御指摘だったと思いますけれども、32ページの表36のセファゾリン(CEZ)とセフォタキシム(CTX)に脚注をつけまして、2010年の肉用鶏の耐性率はという形でこれを追記しているのと、59ページ、参考資料のほうになりますけれども、ここのところに肉用鶏の耐性率ががくっと下がっているところもグラフで書いております。それで一応追記をさせていただきましたということが8番の対応です。

 9番につきましては、同じく59ページのところの本文のところにも書いてございますし、30ページ、報告書の真ん中くらいのところの、「肉用鶏におけるセファゾリン及びセフォタキシムの耐性率は、2012年以降減少したが、これは、JVARMの成績を関係団体に示し、第3世代セファロスポリンの適応外使用を取りやめるよう指導したことが要因と考えられる。」と追記いたしまして、引用文献もつけました。

○渡邉座長 ありがとうございます。

 ここはよろしいでしょうか。

 他に何か御質問等がありましたら、お願いします。

 動物由来サルモネラ、スタフィロ、カンピロバクター、エンテロコッカス、エシェリキア・コリ、大腸菌、ずっと並んでおりますけれども、よろしいですか。

 続いて、養殖水産分野、ここが37ページから書かれています。愛玩動物、これは今後調査をする。食品、これについては、チフス菌について先ほど四宮先生からの報告があったところですね。

 環境について、これも、今後、WHOJoint Programming Initiative on Antimicrobial Resistance等々への参加等で、黒田先生、会議に出たということで、何か報告事項がありましたら、つけ加えをお願いします。

○黒田構成員 会議には先週参加してまいりましたけれども、本報告書に書くところまでは話し合いが煮詰まっていませんので、「その他」のところでまとめてと思っております。

○渡邉座長 では「その他」のところで報告をしていただきます。

 よろしいでしょうか。

 続いて「7.日本における抗菌薬使用量の現状」で、ヒト用抗菌薬の状況で、JACSからの報告ですね。この時に問題となったのが、資料2の12番のところで、ヒトと動物での抗菌薬使用量の比較について検討を進めるべきではないか。これは、今後、農水省と協力し、厚生労働科学研究で検討するということでよろしいですか。

 村木先生、お願いします。

○村木構成員 手元のデータとしては、ヒトの抗菌薬の使用量の卸のデータがありますので、来年度報告には、とりあえずトンで出せるように調整していこうと思っております。

 また、先日バイオマスといいますか、農水省の方と少し議論させていただきましたけれども、新しいヨーロッパなどで報告されている指標にも挑戦できるようであれば挑戦していきたいと思っています。

 もう一点、きょう一緒に参考人としてお見えいただいていますけれども、前職の三重大学でお世話になりました田辺先生と連携しまして、NDBを用いた医薬品使用状況の使用量調査に関して年度を含めたものを申請中で、今、このNDBの情報も論文として投稿中ですので、また来年度報告には何らかの形でこのワンヘルス動向調査検討会の資料に含められるのではないかと考えております。

 以上です。

○渡邉座長 ありがとうございます。

 田辺先生にもおいでいただいているので、さらなるコメント、追加点がありましたらお願いします。

○田辺参考人 全体量ということですと、網羅的に推計する方法は村木先生の出されている卸を用いる方法と、日本の場合はレセプトで、ほぼ98%か99%電子化されておりますので、そちらから得る方法があります。今回この相関を見たところ、比較的良かったのですが、それぞれちょっと見ているものが違って、卸のほうが基本的には量が多くなって、例えば破棄した場合などですと、卸には入るけれども、レセプトに入らない。一方、レセプトは紙レセの場合や診療報酬として請求しなかった場合などは、入らないということで、アンダーエスティメートするというところはあります。しかし、例えば年齢別のように、もう少し詳しい評価になりますと卸ではなくてレセプトのほうで見られますので、それぞれ特色が違うということで、両方から見ていくのがよろしいかと思っております。

○渡邉座長 ありがとうございます。

 より現場での状況がわかってくるということだと思いますけれども、そうすると、それの使用量と、それこそ耐性菌の関係が明らかになると、後で、このワンヘルスの動向調査検討会の課題とはちょっと違ってくるかもしれないですが、対策という形で、対策の結果としてどう耐性菌の割合が動くのかというところも見えてくるかもしれません。本来はそれが一つの大きな目的にもなるのだと思うのですけれども、今のような形でよろしいでしょうか。

 動物のモニタリングに関してJVARMのほうからということで、遠藤先生、何か付け加えることはありますか。

○遠藤構成員 これにつきましては、44ページの「➂愛玩動物」というところに書いてございますように、調査方法の検討も含めて今後の課題です。私たちはまだ動物用として承認のあるものしか把握しておりませんので、今後、獣医師会さんとか、ヒト用の医薬品の販売卸業者さんなどと相談いたしまして、進めていきたいと思います。

○渡邉座長 ありがとうございます。

 ヒト用のものが、今、動物にどれぐらい使われているのかというのは、なかなかわからないところもあるということで、その辺も今後の課題としてそれがわかるような調査方法を考えていただくということになるかなと思います。

 これに関係して、田村先生、コメントがありましたら、お願いします。

○田村構成員 愛玩動物の使用量というのは非常に重要だと思いますので、ぜひ早目に出していただければと思います。

○渡邉座長 釜萢先生、お願いします。

○釜萢構成員 今、田辺先生からお話がありました卸のデータというのは、医療機関に納められたものなのですか。それとも卸が全部扱ったものということでしょうか。

○田辺参考人 これは多分、村木先生から答えた方が。

○村木構成員 御質問ありがとうございます。

 私が手に入れたデータというのは、医療機関に卸したもののみになりますので、実際に動物病院に卸したデータは含まれておりません。

○渡邉座長 ありがとうございます。

 畜産動物、水産動物、愛玩動物、この辺はよろしいでしょうか。

 それと抗菌性飼料添加物、これのデータもここに2013年まで書かれていますけれども、農薬の問題、環境の問題、追加事項はこれでよろしいでしょうか。

 資料2の15番で、ヒト、動物、食品等の耐性菌や抗菌薬が下水に流れ環境に戻り、さらには環境からヒト、動物、食品にどのようにしてかえっていくかを研究するに当たって、Conceptual frameworkを決めていく必要があるのではないかということで、これに関しては、農水省と協力して、厚生労働科学研究で検討を行うということになっていますけれども、これについて、農水省の方、さらに何かコメントがありましたらお願いします。

○農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課課長補佐 正直言いまして、これからの分野でありますので、よく連携しながら検討していきたいと思います。

○渡邉座長 ありがとうございます。

 他に何かこれに関してコメントはございますでしょうか。

 田中先生、よろしいですか。

○田中構成員 先ほど少し書かれている部分で、46ページの追加が3行ぐらい書かれていて、環境省の方の環境保健部の方で黒本調査をされていて、最近その中のターゲットが、工業系の化学物質だけではなくて抗生物質を含む医薬品に、今、広がろうということを聞いています。それで、こちらでのこういう動きについての情報交換が必要ではないかということを相手方にも言ってあって、向こうもこちらとの連携を少し考えたいと言われています。

○渡邉座長 ありがとうございます。

 それこそワンヘルスの立場に向かって、環境も含めて検討が行われているということで、非常に良い傾向だと思います。よろしいでしょうか。

47ページ以降が、一般国民への調査ということでなされた結果でありますけれども、よろしいですか。

50ページに「9.今後の展望」ということで概略がまとめられております。今後、いろいろ出てきたようなことも含めてさらなる検討が必要であるというところで簡単にまとめられています。また、各分野に関しての今後の動向ということに関しては、これは51ページから、JANISNESIDJVARM、販売量等に関しても含めて、この中に今後の展望等も書かれております。さらに追加事項はありますか。各分野の先生方、よろしいですか。

 英語名に関して、資料2の14番に本報告書の英語名についても記載すべきではないかということで、これは事務局から、巻末ですね。70ページの後のところで「AMR One Health Surveillance Committee. Nippon AMR One Health Report」という形に英語名をする案が出ていますけれども、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

○早川構成員 「Japan」ではなくて「Nippon」なのは何か理由がありますか。

○渡邉座長 事務局、何か理由はありますか。

○結核感染症課長補佐 特にございません。「J」か「N」か、どちらかなのですけれども、「NAOR(ナオール)」のほうが読みやすいかなという程度で、皆様の御意見がございましたら、再検討いたしたいと思います。

○早川構成員 ちょうど開発中のRICSSの専門家会議で少し出た話で、「Nippon」という言葉が英語圏で良くない意味を持つ場合もあるので、音合わせなどで選べないときもあるかもしれませんが、選べる状況であれば「Japan」の方が良いのではないかという意見がちょうど先週の会議でありましたもので、一応情報共有させていただきます。

○渡邉座長 そうですね。「Nippon」というと、戦争を思い出してしまうのか。これは皆さん、ニュアンスとしてどうですか。「Nippon」と「Japan」とどちらの方がいいですか。

 御手洗構成員、お願いします。

○御手洗構成員 今、検索したところでは「JAOR」というのは、既に日本口腔リハビリテーション学会というものが存在しますね。

○早川構成員 そういう理由があれば仕方がないかなと思うのですが。

○渡邉座長 もう使われているということだと、「Nippon」でよろしいですか。

 もし特に反対がないようでしたら、「Nippon AMR One Health Report」ということでやらせていただきたいと思うのですが、よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。

 全体を通してよろしいでしょうか。今回こういう形で日本からワンヘルスレポートとして、実際の耐性菌の発生動向調査がどうなっているかということが各分野ごとに出るというのは、一つ大きなブレークスルーになるのだと思うのです。今後はいろいろな形で皆様から御意見等が出ました改良点を含めて、来年度に向けてどういうように改良していくか、さらにインプルーブしていくかというところは、今後1年かけていろいろ御検討を皆さんとともにしていきたいと思います。

 一つは、余り表ばかりだと、なかなかぱっと見てわからないとストレスになる可能性が読み手は多分あるのかなと思うので、できれば少し図を多用することも今後考えていったほうが良いかと思うのです。図があると、それを引用するときにも、私などもそうですけれども、いろいろなデータを引用するときに図を拝借して、それで例えばデンマークはこういう形になっているとかというので、一般の人がそれを見るときも見やすいですね。表だと目が追っていくのがしんどいというか、そういう意味では図があった方が良いのかなと思います。

 今後、せっかくこういういろいろなデータがそろってきていますので、専門的な知識を持っている人が対象になっていくということがこの「1.前文」のところに書かれているところですけれども、今後はこのデータが一般の人にもわかるような形で世の中に出ていくことも当然必要だと思います。そのときは図があったほうが、我々がいろいろなセミナーなどで示すときにも非常にわかりやすくてインパクトがあるのかなと思うのです。

 先ほど遠藤先生が59ページの図を示されて、これは非常にインパクトがあって、実際、ヒトと動物との関係がこれでどれぐらい正確にあらわされているのかというのは、また別なところはあるのですけれども、ただ、これを見た場合に、肉用鶏とヒトとの関係があったのが、昨今乖離している。この辺はどうしてかということで非常にインパクトのある図だと思うのです。こういうところの解明に向けてもいろいろ研究的なことがなされていくべきだと思うので、そういう意味では非常にインパクトのある図になっていると思います。その辺も今後考えながら、これらのデータを利用していくことも非常に重要なポイントだと思うのです。

 他に何か御意見がありましたら、いかがでしょうか。

 佐藤先生、お願いします。

○佐藤構成員 先ほどウェブサイトのお話があったですけれども、これはどこかを見ればウェブサイトのURLが出ているわけなのですが、JANISとか、JVARMとか、URLを全部まとめたものを一覧としてどこかに、「1.前文」でも「4.要旨」でも、「参考文献」のところでもどこでも構わないので、ぜひ入れていただきたいと思います。

○渡邉座長 それはぜひ、事務局、考えていただいて。

○結核感染症課長補佐 承知いたしました。そのように対応したいと思います。

○渡邉座長 確かに親切だと思います。

 他にございますか。

 御手洗構成員、お願いします。

○御手洗構成員 技術的な話ばかりで申しわけないのですが、ブレークポイントの表を見るときに、私が見つけ切れないだけかもしれないのですけれども、単位がμg/mlとかmg/Lとか、同じといえば同じですけれども、書いてあるものとないものとがあって、ちょっとわかりにくいので、ぜひブレークポイントのところに単位を入れておいていただきたい。というのは、今、46ページの環境の部分の数字を見ていたのですが、ここはng/Lで、これだけ見ると物すごく数字が大きいような気がしてしまって、ですから、単位をそろえておくと相対的な比較がしやすいのかなという気がいたしました。

○渡邉座長 ありがとうございます。

 事務局、よろしいですか。

○結核感染症課長補佐 承知いたしました。

○渡邉座長 他に何かございますか。

 四宮構成員、お願いします。

○四宮構成員 今回、他分野のデータを見て非常に参考になったのですけれども、特にワンヘルスという概念でいくと、鶏、それから、それ由来の鶏肉というところで見てみますと、先ほどJVARMのほうで示された病畜由来、食鳥処理場由来、食肉由来を見てみると、病畜鶏由来サルモネラの耐性率よりも、食肉由来の方がテトラサイクリンの耐性率は非常に高くなっているのですね。これは交差汚染等で分離率が高くなるのはわかるのですけれども、耐性率が高くなる。これを文字どおりワンヘルスに並べて見てみると、表30の病畜鶏由来サルモネラのテトラサイクリン耐性率は3040%ですが、34ページ表41の食鳥処理場由来のところで、テトラサイクリン、カナマイシンがそれぞれ80%、40%になって、これは食肉のパーセンテージと非常に一致するのです。食鳥処理場の段階で1.5倍ないし2倍に耐性率が上がるのは、どのように考えたらよろしいのですか。

○渡邉座長 これは食肉の経緯をよく御存じの先生は、遠藤先生、その辺はいかがですか。

○遠藤構成員 食肉からどのように分離されているのかについての情報を持っておりません。

○四宮構成員 この食鳥処理場由来というのも、基本的には鶏肉という理解でよろしいのでしょうか。

○田村構成員 糞便ですね。一つ言えるかと思うのは、普通の健康の鶏由来のものは、全国からランダムにとってくるのです。食鳥処理場の場合は、ある特定のところで業者が固まるので、だから、偏る可能性があるのですけれども、最終的にはなかったという報告で、今、移していこうかという動きなのですが、私はそれが一番の欠点だと思っているのです。

○渡邉座長 サンプリングの問題ということになるのですかね。食品の場合にもサンプリングの場所で、関東でやるのと大阪でやるのとで、なかなか違ったデータが出てくることがあるのです。福岡でやるとか。そういう意味では、日本全体を平均に見るときには、サンプリング方法を考えないとバイアスがかかる可能性があるのかなという気がしますけれどもね。

 この場合、外国産のものは、このデータには入り込んでいないのですね。

○田村構成員 JVARMのデータの中には入っていないです。

○渡邉座長 農林水産省、お願いします。

○農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課課長補佐 この食鳥処理場のサンプリングは、偏りがないように、一農場一株としており、偏らないような措置はとっています。

○渡邉座長 わかりました。

 いろいろ説明がつきにくいようなデータが幾つかあるのは確かだと思うので、その辺がどうしてそうなるのかというのは、今後いろいろな調査を含めて検討していくことになるのだと思います。これも来年度に向けての課題かなと思います。

 こういうように、全部がそろって出てきて初めていろいろわかったというものが、今、かなり出てきているのだと思うのです。そういう意味では、非常にこのワンヘルスの立場からこういうデータをまとめたというのは意義があることで、どうしてそういう形になっているのかは、今後省庁を超えた形で協力し合って検討していく必要があるかなと思いますので、その辺は今後よろしくお願いしたいと思います。

 他に御質問等はありますか。よろしいでしょうか。

 先ほどから言っておりますように、初めてこういう形でワンヘルスの立場からの報告書がまとめられたということは日本にとっても非常に意義が高く、これを世界に向けて発信することによって、日本はこれだけのことをやっているのだということをわかっていただけるのではないかと思います。それが最終的な目的ではなくて、このデータを使って、今後どういう対策をとった場合にこれがどう動いていくのか。その辺を見るための一つの指標になるのではないかと思うので、これからやらなければならない点がたくさん出てくるのだと思います。この会議で検討するのか、ほかの耐性菌の問題を扱う会議もありますので、そういうところで検討するのか。その辺は、今後厚労省と農林水産省とで詰めていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 よろしいでしょうか。

 そうすると、今年はこの報告書を出すということで、皆さんに了解をしていただいたということでよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。

 では、「その他」の項目で、先ほど黒田先生から、環境の問題に関して、WHOの会議に出席されたということで、その報告をお願いいたします。

○黒田構成員 報告させていただきます。

 本年度の報告書には環境のことは、そもそもデータがたくさんあるわけでもないので、なかなか書き込みませんでしたが、来年度からは書き込みたいという思いと、それとWHOもしくはこのJPIAMRというヨーロッパで推進していますJoint Programming Initiative on Antimicrobial Resistanceという枠組みがございまして、参加国26カ国のうち、日本も正式な参加国として認められ、環境分野の代表として僭越ながら参加させていただきました。

 簡単に、このJPIAMRというのは「治療、診断、サーベイランス、伝播、環境、そして、介入」という6つの分野でそれぞれがデシジョンメーカーみたいな形で集まって、基準を決めていこうと。どういう行動、アクションを我々はすべきなのだという話し合いがメインでして、学会のようなデータを持ち寄って何かを話し合うという、そういうお披露目する場ではなかったということでした。

 何が環境で耐性遺伝子等の進化をもたらすのか。エボリューションですね。それから、どういったトランスミッションが起き得るのかということと、どういった事象が出たときにどう介入を決定すべきなのかというリスクアセスメントについて、それぞれがまず目的と目標を設定する。あとは何をすべきかを決めた後、実際にモニタリングする人たちを決める。どういう対象をモニタリングすべきかなどを事前に把握するというような、非常にヨーロッパ、先進国ならではの物の考え方なのだなということを学んできました。

 スウェーデン、イエテボリで会議があったわけですが、イエテボリ大学のドクターがチェアをやりまして、その会議の発表の中、川の向こうのあそこの下水道から今も調査中だという話もちらほら伺いながら、日本はどうなっている?ということも聞かれて、鋭意努力している最中ですとお答えはいたしました。

 どうしても包括的に一地域だけ見てリスクはこうありますというのは、少し良い状況ではないと思いますので、日本全体の主要なところをメインに地方自治体、あとは地方衛生研究所の先生方たちとも連携しながら、耐性菌がいるのであればいるという状況を、子細にエビデンスを詰めるような1年間になればと思います。国内の報告書ももちろんのこと、このJPIAMRでのデシジョンメーカーの中の一人として、少し頑張ってやりたいと思います。アジア参加国は日本とインドだけですので、中国、その他の国への貢献にも手をかしていただきたいというような広報もできればと思っています。

 以上です。

○渡邉座長 ありがとうございます。

 確かに環境は、どこのサイトを調査するのかは結構大きな問題で、そういう意味ではバイアスをどういう形で平坦化させていくか。多分インドなどは、化学メーカーがたくさんありますので、そういうところでサンプリングするとすごい値が出てくるのだと思うのです。実際、そういう値が、大腸菌の80かそのぐらいのパーセントがESBLを持っているとか、いろいろなデータが出てきて、驚くべき状況があるのだと思うのです。日本の中でもどうなっているのか、今後いろいろなチームと一緒に、ぜひ協力し合いながら、現状を把握するデータを出していただければと思います。よろしくお願いいたします。

 田中先生、よろしいですか。

 ありがとうございます。

 そのほかに何かコメント等、または報告事項がありましたら。よろしいですか。

○早川構成員 今さら申しわけないのですけれども、私の所属に若干間違いがありまして、後でまた事務局と相談して少しだけ訂正させていただきます。

○渡邉座長 わかりました。

70ページ、ここに皆さんの所属等が書かれていますけれども、よろしいですか。ごらんになって、こういうようにしてほしいというところがありましたら、また後で言っていただければと思います。

 もしないようでしたら、きょうはちょっと早目ですけれども、これで後は事務局のほうにお戻しいたします。

○結核感染症課長補佐 事務局から1点御報告をさせていただきたいと思います。

 お手元にお配りさせていただいておりますけれども、先週9月29日付で、2つ啓発をさらに進めていく上で発表させていただいております。

 1つ目が「抗微生物薬適正使用の手引き」のダイジェスト版を作成させていただきまして、先週末で公表させていただいております。これにつきましては、順次配付していく予定でございます。AMR対策に関して言いますと、国民向けという部分とともに、医療機関の医師向けで対策を進めていく必要があるというところがございますけれども、なかなかお忙しいというところもございますので、簡単に手引のエッセンスが見られるものを作成させていただいております。これにつきましては、物について配付させていただくとともに、ホームページ上でもダウンロードができるようにしているということをさせていただきたいと考えております。

 2つ目、これは国民向けという形でございますけれども、「機動戦士ガンダム」とコラボレーションいたしまして、AMR対策の普及啓発を進めていこうということで、お手元にはチラシを配らせていただいておりますけれども、チラシとともにポスターについても作成していくということを進めていきたいと考えております。

 事務局からは以上でございます。

○渡邉座長 ありがとうございます。

 では、本日の議論等はこれで終わりたいと思います。

 次回は。

○結核感染症課長補佐 次回につきましては、また事務局から改めて日程調整をさせていただきたいと思います。

○渡邉座長 ありがとうございました。

 


(了)

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