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2017年9月15日 第141回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成29年9月15日(金)13:00~14:30


○場所

中央労働委員会講堂


○出席者

【公益代表委員】

荒木委員、安藤委員、川田委員、平野委員、水島委員、守島委員、両角委員

【労働者代表委員】

川野委員、柴田委員、冨田委員、八野委員、村上委員、世永委員

【使用者代表委員】

秋田委員、小林委員、齋藤委員、早乙女委員、杉山委員、三輪委員、輪島委員

【事務局】

山越労働基準局長、土屋審議官、村山総務課長、藤枝労働条件政策課長、増田監督課長、久知良計画課長、中嶋調査官

○議題

「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」について

○議事

○荒木分科会長 定刻になりましたので、ただいまから第 141 回労働政策審議会労働条件分科会を開催いたします。本日の委員の出欠状況ですが、欠席の委員としまして、公益代表の黒田祥子委員、労働者代表の神田健一委員、福田明子委員、使用者代表の佐藤晴子委員と承っております。本日の議題に入る前に、事務局より定足数の報告をお願いいたします。

○中嶋調査官 定足数について御報告いたします。労働政策審議会令第 9 条により委員全体の 3 分の 2 以上の出席又は、公労使、各側委員の 3 分の 1 以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。

○荒木分科会長 カメラ撮りはここまでということでお願いいたします。

 それでは本日の議題に入りたいと思います。お手元の議事次第に沿って進めてまいります。本日の議題は「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」についてです。まず、事務局から資料の確認と説明をお願いします。

○中嶋調査官 それでは資料の確認をさせていただきます。お手元にございます資料ですが、まず資料 No.1 が「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」です。お手元の一番上の「次第」の紙には括弧書で「諮問時からの変更点を反映させたもの」とございますが、当分科会の所管関係では 8 日に諮問したときのものと変更はございません。他の分科会の関係で一部に技術的修正があったということです。

 それから、参考資料の No.1 No.2 が当分科会のこれまでの建議でして、それぞれ、本年 6 月のものと平成 27 2 月のものです。

 それから、参考資料 No.3 は前回、分科会長から御指示いただきました、修正箇所が分かりやすいように整理した資料となります。こちらは上下 2 段組といたしまして、下段には平成 27 年通常国会提出法案要綱を、上段には今回の「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」を並べまして、変更箇所に、それぞれ、傍線を付すことにより変更の箇所を参照いただける資料です。資料の確認及び説明につきまして、以上とさせていただきます。

○荒木分科会長 ありがとうございました。それでは、本日は取りまとめに向けた議論を頂きたいと思いますが、労使双方から総括的な発言を含めまして御意見がありましたら、よろしくお願いします。

○輪島委員 ありがとうございます。その前に 1 つだけ、質問といいますか、確認させていただきたい点がございますので、事務局に質問させていただきたいと思います。前回、分科会で継続法案について修正された部分を、デジタルにといいますか、分かりやすくという意味でしたが、示してほしいというようにお願いしたところです。今ほど事務局から御説明を頂きましたように、参考資料 No.3 ということで、新旧ということで上下段に傍線を引いていただいて、修正していただいた所を明確に確認することができたと考えているところです。

 そこで事務局に質問ですが、これまでの審議を踏まえて労働側から様々、御主張とか御懸念点が示されたわけですが、そのようなものは全てこの下線部分の中に含まれていると、全て反映されていると考えてよろしいかどうかという点だけお伺いしたいと思っております。

○藤枝労働条件政策課長 事務局からお答えいたします。御指摘いただきましたように、労働側委員から指摘された懸念点、それを踏まえた当分科会での議論を踏まえ、必要と考えられる修正は全て反映していると認識しております。

○輪島委員 ありがとうございました。

○荒木分科会長 よろしいですか。

○輪島委員 はい。

○荒木分科会長 それでは御意見を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。

○杉山委員 ありがとうございます。本日示されました法律案要綱につきまして、商工会議所としての意見を申し上げます。

 無用な長時間労働をなくしていくこと、過労死を絶対に起こさないこと、これらが重要であることは改めて申し上げるまでもありません。会社としても、従業員の方々に健康で生き生きと働いていただき、その能力を十分に発揮していただきたいと切に願っています。今回の法律案要綱は建議に沿ったものであり、そのような働き方の実現に資するものだと認識しております。

 今回、要綱で示された施行の時期ですが、法改正が、過労死認定基準を上回らない上限時間が設定されていること、時間外労働の多い業種の適用猶予等が措置されていること、高度プロフェッショナル制度の創設、企画業務型裁量労働制の対象範囲拡大など、柔軟な働き方に資する内容が盛り込まれていること、それから、中小企業における月 60 時間超の時間外労働に対する割増賃金率の適用について 3 年の猶予が確保されていること、以上を勘案しますと、 2019 4 月施行はやむを得ないものと考えております。今後は各社で施行に向けて準備を進めてまいりますが、この場で繰り返し申し上げておりますとおり、長時間労働を是正するためには、取引慣行を含めて、環境整備も同時に必要となってまいります。したがって政府におかれましては、施行期日までの間、法律の趣旨や内容が十分理解されるよう周知徹底していただくとともに、長時間労働を是正するための意識改革、環境整備にも同時に取り組んでいただくようお願いいたします。

 また、中小企業において遅滞なく準備が進み、混乱なく施行日を迎えることができるよう、相談機能の強化や助成制度の拡充、企業を対象としたセミナーの開催等の支援に一層、力を入れていただきたいと考えています。特に助成制度につきましては、適宜、必要書類や申請方法を見直し、分かりやすく簡素で利用しやすい制度としていただきたいと思っております。加えて、要綱で示された産業医・産業保健機能の強化につきましては、健康確保措置を実効性あるものとするために重要ですが、そもそも、地方では医師がなかなか見つからない、あるいは、その業種、業界の事情に精通した医師が少ないといった意見も聞かれておりますので、地域産業保健センター等、公的機関の機能拡充や周知、 PR と併せて、課題解決に向けて取り組んでいただきたいと思います。

 最後になりますが、企業の実務担当者は、今回の罰則付きの新制度にしっかり対応できるか不安に感じているのが実情です。法施行後は違反企業に対していきなり罰則を与えるという運用ではなく、まずは、中小企業の置かれた状況を踏まえて長時間労働の発生原因や改善方法について十分に議論しつつ、丁寧に指導していただきたいと考えております。また、速やかに省令、指針の議論を進めるとともに、できるだけ早く公開していただきたいと考えております。私からは以上です。

○荒木分科会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。

○輪島委員 ありがとうございます。それでは私からも一言、短めにお話をさせていただければと思います。

 本分科会では、 2013 9 月から 2015 3 月まで、約 2 年半を掛けまして、現在、継続審議になっておりますが、労働基準法等改正法案についての議論をしてきたということです。また、本年 4 月からは、 3 月に取りまとめられました働き方改革実行計画を受けて、時間外労働の上限規制等の措置に向けた法改正の審議を進めてきたと、こういうことです。これまで審議会でも再三申し上げましたが、いずれの審議に当たっても、企業で働く方々の健康の確保、過労死をなくすということ、そして、多様な人材の能力の発揮、そういうことによって労働生産性の向上を図るということが、分科会の共通の目的ということで私どもは参画してきたと理解しているところです。

 今回示されました法律案要綱で、長時間労働、過重労働を防止する措置として、時間外労働の上限規制の導入、健康確保措置の拡充、年 5 日の年休付与の義務化、勤務間インターバル制度の努力義務化、そのようなことが整備されるということです。特に本年 3 13 日に結ばれました労使合意を踏まえて措置されることになりました時間外労働の上限規制につきましては、 1947 年の労働基準法制定以来、最もインパクトの大きな改正と考えているところです。これは痛ましい過労死を絶対に起こしてはならないという決意の下に、経済界の総意として決断したというところでして、大変重い決断だということにつきまして、公益側委員、そして労働者側委員にも改めて御理解いただきたいと思っているところです。

 しかし、他方、経済のグローバル化の進展、各国企業との競争は、一層厳しさを増しているというところです。特に近年は、 ICT AI というような技術的な革新の進展により、企業の事業構造は大きく変わりつつあると考えております。

 前回までの審議において使用者側委員からは、企業実態を踏まえて柔軟な労働時間制度の必要性ということを発言させていただきました。企業の現場では業務が複雑化、高度化しており、判断を求められるスピードも速くなっているということです。今回盛り込まれました高度プロフェッショナル労働制の創設、企画業務型裁量労働制の対象範囲の拡大は、いずれも企業実態の変化に応えるものだと思っておりまして、イノベーションの創出の促進あるいは時間と場所に制約されない柔軟な働き方の実現に大きく資するものではないかと考えております。高度プロフェッショナル労働制、企画業務型裁量労働制の改正に関しては、労働者側委員から具体的な懸念点が示されたと思っております。法律案要綱では、先ほど確認させていただきましたとおり、労働者側意見を踏まえた高度プロフェッショナル労働制の健康確保措置が拡充され、企画業務型裁量労働制の対象業務が明確化されたと考えております。これらの修正によって、その懸念点は相当程度、払拭することができたものと考えております。

 使用者側といたしましては法律案要綱が妥当な内容だと考えておりまして、政府には、これらの内容で臨時国会に法案を提出していただくとともに、この要綱のとおり、早期成立をお願いしたいと考えているところです。私からは以上です。

○荒木分科会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。

○村上委員 労働者側委員としての総括的な意見を申し上げます。労働者側委員は 2015 年法案の議論にも参加してきた委員とそうでない委員がおりますが、本日申し上げるのは労働者側委員共通の思いです。やや長くなりますが、大きく分けて 3 点申し上げたいと思います。

1 点目は時間外労働の上限規制についてです。労働基準法では、 1 40 時間、 1 8 時間という法定労働時間がありつつも、 36 協定を締結すれば何時間でも働かせて良いという青天井の状態が続いてきました。このような現状に対して私たちは、これ以上働かせてはならないという労働時間の上限規制を求めてきました。しかし、労働時間法制については、これまでも労使の意見の隔たりは大きく、上限規制はなかなか実現してきませんでした。このような中で今回、 36 協定の上限規制を法律で定めるという法改正について公労使で確認し、実現に向けて踏み出すということは大変重要な意義があることだと認識しています。

 労使が一致して上限規制の方向に進むことになった背景には、働き過ぎにより引き起こされている弊害が顕在化しているということに対して、このまま放置はできないという認識があったからにほかなりません。働き過ぎにより心身の健康を損なうことは、本来、あってはならないことです。ましてや、命を落としてしまうことは絶対になくさなければなりません。関係者の皆様の大変な御努力により 2014 6 月に過労死等防止対策推進法が議員立法で制定され、過労死・過労自殺の問題についての社会的な認識が広がってきたことも、時間外労働の上限規制の法制化の後押しをしたと思います。このことの意味をかみしめて私たちは、過労死・過労自殺ゼロを実現しなければならないと思います。

 法定労働時間を超える時間外労働や休日労働は、本来、例外であるべきです。 1 日はどんな人にとっても 24 時間しかなく、働くことのほかに、睡眠や休養を取る時間、家族との時間、地域の活動に関わる時間、自己研さんや趣味の時間など、豊かな暮らしを実感できるようになることが必要です。このような社会の実現を目指して長時間労働を是正するためには、労働基準法にまず一歩を刻まなければなりません。今回の上限規制の改正は、これまで踏み出すことのできなかった大きな一歩だと思います。

 今回、労働基準法に 36 協定の限度時間が定められます。これはあくまでも、これ以上働かせてはならないという時間にほかなりません。時間外労働は例外であること、 36 協定を締結する場合でも、原則的な限度時間である月 45 時間、 1 360 時間に近づける努力が労使に求められることを協定締結の当事者として強く認識するとともに、職場で働く全ての人にもしっかりと理解してもらわなければなりません。法改正を機に長時間労働を是正していくためには、 36 協定の意味や手続などを周知するとともに、適正化することが求められます。連合が一般の方を対象に行ったアンケート結果においても、 36 協定を知っているという方は 55 %程度にとどまり、自分の勤務先の締結状況については、締結していないが 2 割弱、締結しているかどうか分からないが 4 割弱という結果でした。また、労働組合がない職場において過半数代表者が適正に選出されていない状況については、これまで指摘してきたとおりです。

36 協定が期待された役割を果たすためには、職場の労働者の集団的な意思が適切に反映される集団的労使関係が構築され、機能することが不可欠です。私たちは、それぞれの職場の労働組合に 36 協定や法改正について伝えていくことはもちろんですが、労働組合のない職場に働く人たちに対しても 36 協定やその役割を伝えていく取組を地域で行っています。職場の労働組合や労働者の代表が判を押さなければ時間外労働をさせることはできないということ、労働者の代表は適切に選ばれなければならないということ、そして、普通に働く私たちにこそ職場の時間外労働の在り方に関与できる権限があるということを広く知ってもらうよう、息長く取り組んでいくこととしています。厚生労働省及び使用者団体の皆様におかれても 36 協定が適切に締結されるよう、一段の取組をお願いいたします。

 今回の改正では、 2010 年の改正労働基準法施行以来 7 年にわたって中小企業は適用猶予とされてきた月 60 時間を超える時間外労働の割増賃金率 50 %についても、適用されることになります。施行日が更に 3 年先とされていることについては、本当に遺憾ではありますが、時間外労働の割増率は、大企業であろうと中小企業であろうと同じであることが当然です。ダブルスタンダードの解消はスタートできるところから施行を先取りした取組が進むよう、使用者団体の皆様にも御理解と御協力を頂くことをお願いしたいと思います。

2 点目に時間外労働の上限規制について、これまで限度基準告示の適用除外とされ、今回、適用の特例とされた業務について要望を述べたいと思います。

 建設事業に関しては改正法施行 5 年後に罰則付きの上限規制の一般則を適用すること、自動車の運転業務に関しては改正法施行 5 年後に年 960 時間以内の規制を適用することとし、将来的には一般則の適用を目指すこと、そして、医師に関しては改正法施行 5 年後をめどに規制を適用すること、その具体的な上限時間等は省令で定めることとし、医療界の参加による検討の場において規制の具体的な在り方等を検討し、結論を得ることとされました。建設事業と自動車の運転業務については、附則で「その特例の廃止について引き続き検討するものとすること」とされたところです。建議の段階でも、 9 8 日の法案要綱についての議論においても、私たちはこれらの業務に関する意見、要望を繰り返し述べてきたところです。これらの業務については、既に中央教育審議会における検討が始まっている教職員の労働時間問題と同様に、関係する省庁や業界関係者の参加がない労働政策審議会では議論が難しい問題であり、別の検討の場が用意されています。どのような業務に従事していようと労働者として同じであり、同じルールが適用されることを基本に置いて、少しでも早く過重労働の状態が解消されることを前提として、現実を変えていくよう検討を進めていただくことを要望いたします。

 今回の建議も踏まえて、長時間労働者に対する医師の面接・指導を適切に行う観点から労働安全衛生法の施行規則を改正し、管理監督者や裁量労働制の適用対象者も含めて、全ての労働者について労働時間の客観的な把握をしなければならないこととなります。勤務医については、教職員と同様に、タイムカード等による労働時間の把握管理がほとんど行われていないのではないかという指摘もあるところです。実態の把握も行っていただきながら、改善に向けた関係者の努力を強く促していただくことを要望いたします。

3 点目として、高度プロフェッショナル制度の創設と企画業務型裁量労働制の対象業務の拡大についてです。この 2 つについては前回も申し上げたとおり、 2015 年法案に至る労働条件分科会の審議過程においても、 8 30 日以降の労働条件分科会においても、私たちは、制度の創設の必要性はなく、また、対象業務の安易な拡大をすべきではなく、反対であることを述べてきました。そして、この 2 つが法案要綱に含まれていることについては、前回の労働条件分科会において「非常に残念である」と述べたところです。

 高度プロフェッショナル制度は、年収要件、労使委員会の決議など、一定の要件を満たす労働者について労働時間規制の適用を除外する制度です。時間ではなく成果で報酬を決める制度などとも言われていますが、そうではなく、最低基準を定める労働基準法の労働時間に関する規制の適用を除外する制度です。私たちは、日本の労働時間規制は、変形労働時間や裁量労働制など、既に十分に柔軟であり、このような制度を創設する必要はないと主張してきました。また、この制度の対象となるような人たちが仕事への強い責任感などから働き過ぎてしまうことに、どのようにして歯止めを掛けるのかということこそが問われているのではないかと指摘してきました。

 企画業務型裁量労働制の対象業務を拡大することについても、私たちは安易な拡大をすべきではないと主張してきました。裁量労働制の対象労働者は長時間労働になりがちであったり、出退勤の時刻を会社から定められていたり、仕事の進め方に裁量がないなど、裁量労働制とはとても言えないような運用実態もあります。このような問題を是正することなしに裁量労働制の対象業務の拡大を議論するのは問題ではないかと指摘しました。また、 2015 年法案で拡大対象とされた業務の範囲が不明確であり、課題解決型提案営業については、法人営業のほとんどが含まれてしまうのではないかとの懸念なども指摘したところです。そして何より、過労死・過労自殺をなくさなければならないという認識の下での時間外労働の上限規制と、長時間労働を助長しかねない両制度は趣旨が異なります。長時間労働を是正していこうという中で本当にこの制度の創設や拡大が適切なのか、改めて問われるべきだと思います。

 法案要綱では労働者の健康確保が重要であるという公労使三者共通の認識から、健康確保措置や対象業務の範囲の明確化などがなされ、 2015 年法案のままであるよりは、改善されてはいます。しかし、この修正がなされてもなお、長時間労働を助長するおそれが払拭されたとは言えません。高度プロフェッショナル制度の創設も企画業務型裁量労働制の対象業務の拡大も、実施すべきではないという労働側委員の考え方が変わるものではありません。

 雇用労働政策に関しては、公益委員と労使の三者構成による労働政策審議会において立案、決定されるプロセスを私たちは今後も大切にしたいと考えています。労使の間にはもちろん立場や意見の違いはありますが、現場に責任を持つ労使が向き合って議論をしていくことが重要です。このような三者構成の労働政策審議会では、諮問されたことに対して、いつかは答えを出していかなければなりません。高度プロフェッショナル制度の創設と企画業務型裁量労働制の対象業務の拡大の 2 点が法案要綱から落ちていないことについては、労働側としては非常に残念であり、遺憾であることを申し上げて労働側委員としての意見といたします。長くなりましたが以上です。

○荒木分科会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、当分科会としては、これまで議論を重ねる過程で出されました委員の御意見を付記するという形で、これまでの審議の到達点を労働政策審議会長宛ての報告としてまとめるということにしてはいかがかと思いますが、よろしいでしょうか。異議なしということでよろしいでしょうか。

( 異議なし )

○荒木分科会長 それではそのようにさせていただきます。労働政策審議会令第 6 条第 9 項の規定において、「分科会の議決をもって労働政策審議会の議決とすることができる」と定められているところです。また、去る 9 14 日付けで安全衛生分科会、職業安定分科会、雇用環境・均等分科会から、それぞれ、報告が出されておりますので、それらも踏まえて事務局に答申の案文を用意してもらっております。事務局から、案文を配布の上、説明をお願いしたいと存じます。

( 資料配布 )

○中嶋調査官 それでは、読み上げをもちまして説明とさせていただきます。

 

( )

労審発第    号

平成 29 9 15

 

厚生労働大臣

加藤勝信 殿

労働政策審議会

会長 樋口美雄

 

 平成 29 9 8 日付け厚生労働省発基 0908 6 号をもって労働政策審議会に諮問のあった「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」については、本審議会は、下記のとおり答申する。

 

 

別紙 1 「記」、別紙 2 「記」、別紙 3 「記」及び別紙 4 「記」のとおり。

 

( )

別紙 1

平成 29 9 15

 

労働政策審議会

会長 樋口美雄 殿

労働条件分科会

分科会長 荒木尚志

 

「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」について

 

 平成 29 9 8 日付け厚生労働省発基 0908 6 号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本分科会は、下記のとおり報告する。

 

 

1  厚生労働省案は、当分科会所管関係については、おおむね妥当と認める。

2  労働者代表委員から、法案要綱全体については、過労死・過労自殺ゼロの実現はもとより長時間労働の是正に向けた罰則付き時間外労働の上限規制の導入という労働基準法 70 年の歴史の中での大改革をはじめ、中小企業が適用猶予された月 60 時間超に対する時間外労働の割増賃金率の引上げ、年次有給休暇について年間 5 日の時季指定義務を使用者に課すこと等、評価すべき内容が多く盛り込まれている一方、要綱第一の五の企画業務型裁量労働制の対象業務の拡大及び要綱第一の六の特定高度専門業務・成果型労働制 ( 高度プロフェッショナル制度 ) の創設については、当分科会で指摘してきた懸念点について、労働者の健康確保の重要性に関する公労使三者の共通認識の下、対象業務の範囲の明確化、健康確保措置の強化といった修正がなされたが、長時間労働を助長するおそれがなお払拭されておらず、実施すべきではないとの考え方に変わりはない、との意見があった。

 

 別紙 2 から別紙 4 については関係分科会からの報告を添付しております。以上です。

○荒木分科会長 ありがとうございました。答申の案文については、ただいま読み上げてもらったとおりとしてはどうかと考えますが、いかがでしょうか。よろしいですか。

( 異議なし )

○荒木分科会長 ありがとうございます。それでは、ただいまの内容をもって厚生労働大臣宛ての答申を行いたいと思います。

 この分科会におきましては様々な御議論を頂きましたが、取り分け労働側委員からは内容に関わる重要な指摘がなされ、使用者側委員、公益委員からは、それぞれの立場からその指摘に理解を示す意見も示されたところです。このような議論を経まして、ただいまの答申のとおり取りまとめを行うことができました。これまで真摯に御議論いただきました委員の皆様の御協力に対して、この場を借りまして改めて御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。

 それでは、ここで山越労働基準局長より御挨拶を頂きたいと存じます。

○山越労働基準局長 ただいま、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」につきまして労働側から御意見を頂きましたが、全体としてはおおむね妥当だということでおまとめいただきました。分科会長のお話にもございましたように、これまで当分科会におかれましては、まずは 6 5 日の建議に至るまで、大変真摯に議論を頂いてまいりました。また、 8 30 日に法律案としての議論を開始して以降におきましても、 4 回にわたりまして大変いろいろな観点から御議論を頂きました。委員の皆様方には大変御協力を頂きましたことに心から感謝を申し上げたいと思います。本日頂きました答申に即しまして法律案を国会に提出していきたいと考えております。これまでに委員の皆様方から御議論いただいたことを十分踏まえまして、対応をしてまいりたいと考えております。

 いずれにいたしましても、長時間労働を是正し、働く方の健康確保、仕事と生活の調和を実現できる、そうした社会を実現していくために今後とも努力をしてまいりますので、引き続き、よろしくお願いしたいと存じます。皆様、どうもありがとうございました。

○荒木分科会長 それでは最後に、次回の日程等について事務局から説明をお願いします。

○中嶋調査官 次回の労働条件分科会の日程・場所につきましては、調整の上、追ってお知らせいたします。

○荒木分科会長 これをもちまして、第 141 回労働政策審議会労働条件分科会は終了といたします。なお、議事録の署名につきましては、労働者代表の八野委員、使用者代表の杉山委員にお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。


(了)

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