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2019年3月6日 第5回一類感染症に関する検討会

健康局 結核感染症課

○日時

平成31年3月6日(水)17:00~19:00

 

○場所

厚生労働省 省議室(9階)

○議題

(1)エボラ出血熱患者発生時の情報公開の基準について
(2)「一類感染症への行政対応の手引き」について
(3)報告事項
  1.コンゴ民主共和国におけるエボラ出血熱の発生について
(4)その他

○議事

○嶋田研究推進専門官 こんにちは。定刻となりましたので、ただいまより第5回「一類感染症に関する検討会」を開催いたします。

 初めに、三宅課長より御挨拶をお願いいたします。

○三宅結核感染症課長 どうも、たしかワーク・ライフ・バランスは5時以降の会議は禁止だと。そういうことは言ってはいけませんね。

 済みません、本当にこんな時間でございますけれども、年度末が近い中で、今回、一類感染症に関する検討会をさせていただくことになりました。よろしくお願いいたします。

 きょうの中身につきまして、前回に引き続き、エボラ出血熱患者発生時等の情報公開の基準について、少し例示を交えながら、具体的に少しイメージをしていただきながら、議論をしていただきたいということで、資料を用意しております。

 実際、エボラは、アフリカのほうで引き続き増加をしているようでございます。今のところは、出るような状態ではないわけでございますが、きちんとした準備をしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 また、もう一つにつきましては、「一類感染症への行政対応の手引き」についてということでございますが、こちらもペストが実際に発生したという中で、我々としても、いつ起きてもおかしくないということで、ペストについてもきちんと考えようということで、手引きにつきましても、少し増補的なものをしっかりつくろうとして、議題を用意させていただきました。

 構成員の皆様には、活発な御議論をいただきたいと思っております。

 簡単ではございますが、挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○嶋田研究推進専門官 ありがとうございます。

 続いて、構成員の出席状況を御報告いたします。本日は、齋藤構成員より御欠席の御連絡をいただいております。

 次に、事務局より資料等の確認をいたします。

 これらは全てタブレットにございますが、議事次第、配付資料一覧、座席図、構成員名簿、ほか、資料1~8、参考資料1~3を御用意しております。

 不足の資料がございましたら、事務局にお申しつけください。

 冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。

 それでは、以降の議事運営については、西條座長よりお願いいたします。

○西條座長 それでは、皆さんお忙しい中、ありがとうございます。

 まず、これから本日の議事に入りたいと思います。

 本日の議事ですけれども、議題1「エボラ出血熱患者発生時の情報公開の基準について」、議題2「『一類感染症への行政対応の手引き』の作成について(案)」及び報告事項の3項目がございます。

 これまで議論を積み重ねてきましたが、さらに議論を深めていきたいと思っています。

 構成員の皆様におかれましては、円滑な議事進行に御協力をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 それでは、早速ですが議事に入ります。

 まず、議題1「エボラ出血熱患者発生時の情報公開の基準について」、資料1を事務局から説明していただきたいと思います。

○嶋田研究推進専門官 事務局より御説明させていただきます。

 資料1をごらんください。「公衆衛生上特に重要である感染症の国内初症例が発生した場合の情報の公表に係る基本方針について(たたき台)」という資料です。

 前回、第4回の一類感染症に関する検討会のときの御意見を伺いまして、幾つか修正している点があります。

 概要としましては、ここは余りかわりがなくて、公衆衛生上、特に重要である感染症の国内初症例(以下「国内初症例」という)が発生した場合は、国が感染症の発生状況等に関する情報を公表することとなります。

 以下、国が国内の初症例に関する情報を国民向けに公示する際の基本的な考え方を「基本方針」として取りまとめまして、本方針に沿って対応することとなります。

 前回の議論の中で、公衆衛生上、対策の必要性と個人情報の保護の必要性を比較考慮し、公衆衛生の対策の必要性が高い場合と判断した情報のみを公表することとするということがありましたが、比較考慮についてはいかがなものかという御意見がありましたので、今回それを踏まえて内容のほうを変えております。

 基本方針としましては、まずは感染症の情報を公表する目的です。この目的は明らかで、感染症の蔓延を予防することです。そして、感染症による健康リスクが個人や社会に与える影響を最小限にするためには、感染症の発生状況等に関する情報は、国民に対し積極的に公表する必要があります。

 なお、患者の情報については、個人が特定されないような最低限の事項を公表するなど、感染症の患者さんの個人情報の保護に十分留意することが必要であります。

 ここで、伝えるべきことは伝える、伝えないことは伝えないということははっきり分けて考えております。

 そして、公表する情報につきましては、(1)から(3)までありますが、(1)感染症に関する基本的な情報です。感染症によってその特徴は異なります。ウイルスであるのが細菌であるのか。あとは感染の経路です。接触なのか飛沫なのかであったり、患者さんがいつ感染しているのかという、感染症の病気であったりとか、感染症に関する基本的な情報を発信し、国民にしっかりと理解してもらうことが重要と考えています。

 また、感染源との接触歴に関わる情報としまして、感染推定地域及び感染源と思われる接触の有無等についても発信し、感染源を明らかにすることにより、国民に正しいリスクを認知してもらうということです。

 最後、感染者の行動歴等の情報ですが、感染症の患者さんが、他者に当該感染症を感染させ得る時期の行動歴については、感染症の蔓延防止のために必要な情報です。また、この公表に当たっては、公表したことによる社会的な影響についてももちろん十分に配慮して、丁寧な説明に努めたいと考えています。

 ただし、感染症を感染させ得る時期ではない行動歴、余り感染症を広げないような時期の行動歴の情報まで無制限に公表することについては、公衆衛生上の対策の観点から不必要であるため、感染者の行動歴等の公表を、以下の方針によって行うものとします。

 一つが、感染症患者の接触者の状況が把握できている場合、しっかりとこちらで感染した患者さんの接触した患者さんがしっかりと把握できていて、フォローできている場合は、既にその者だけに伝えればよく、既に公衆衛生上の対策に必要な情報が収集されているため、最低限の情報を国民に公表することにとどめることとします。

 また、2としましては、感染症患者の接触者等の状況把握が十分できていない場合、例えば不特定多数であったり、公共交通機関を利用している中で広まるような可能性のある場合には、ここは伝えないといけないことですので、公衆衛生上の対策を講じる必要があるため、できるだけ詳細な情報を国民に公表することとします。

 また、公表の時期につきましては、原則としては、感染症にかかっていることが確定した時点で、速やかに厚生労働省ホームページに掲載、記者会見等々をして、国民向けに公表を行います。

 なお、感染症患者の接触者等の状況が十分に把握できていない場合など、公衆衛生上の対策を速やかに行う必要がある場合については、当該感染症であるとの蓋然性、可能性が高いと判断された時点で直ちに公表を行うこととします。

 ここまでは基本方針です。

 そして、次のページですが、この場合、特に公衆衛生上、重要な感染症である例として、前回と引き続きのエボラ出血熱(エボラウイルス病)の場合はどうなのかということで、公表基準の考え方として載せております。

 一つは感染症のエボラ出血熱に関する基本的な情報で、ウイルス感染症で潜伏期間は2~21日あって、他者への感染経路が主に接触感染であるということと、感染源としましては、感染した患者の血液や体液、ウイルスに汚染された血液や体液が触れることによって感染します。

 そして、他者に感染させ得る時期というのが、発症後に限られるということで、公表基準としましては、項目として患者さんの最低限の基本的な情報と、あとは感染源と思われる者の接触歴、あとは国外、国内の感染者の行動歴と入院の状況に分けて、それぞれ公表する情報、しない情報としています。

 患者情報につきましては、公表する方法は、居住国、年代、性別など基本的には個人が特定できないように配慮しております。

 また、接触歴については、こういう感染源の接触の有無は発信して、感染源を明らかにすることによって国民にそのリスクを知ってもらうということであったり、あとは国外、国内についてですが、基本的には他者に感染させ得る時期以降の渡航、旅程については公表します。

 国内についても同じで、例えば、患者さんの行動歴で、接触者が把握はしっかりとできているのであれば、ある特定の方と追えているようであれば、基本的にはその者だけに対して、健康監視、注意喚起などを促すことができるのですが、感染者の接触者が追えないような場合というのは、報道等を通して広く公表しなければいけないというのが基本的なスタンスです。

 また、参考資料2-1と2-2になるのですが、こちらに前回、構成員からケースシナリオがあったほうがわかりやすいという御意見もありましたので、参考資料2-1と2-2に、簡単ではございますがケースシナリオとして載せております。

 1例目のケースシナリオ(1)については、飛行機内で発熱をして、その後、検疫で見つかって、搬送されたケースと、ケースシナリオ(2)というのは、症状がなかったので検疫では特に問題なく通過して、帰国しているのですが、その後、都内の自宅で症状が出て、公共交通機関、電車を利用して病院に行ったというケースの2つを書いております。その場合には何を公表して、何を公表しないのかという情報を載せておりますので、こういった形の御意見を今回お願いいたします。

 事務局からは以上です。

○西條座長 ありがとうございます。

 それでは、ただいまの説明について、御意見等を構成員、参考人の方々からございましたら、よろしくお願いします。

 前回のこの会で、情報の公開のあり方、発表の仕方について議論になったと思いますが、しっかりと本日の御提案を踏まえて、議論したいと思います。

 松井先生、何かありますか。

○松井構成員 ちょっと細かいことも含まれているのですが、簡潔に。概要のところで、国が公表するということは理解しましたが、自治体との調整のうえという文言が一言あったほうがいいのかなと思いました。

 あと、基本方針の中で、最低限の事項という表現が適切かどうか、ちょっと引っかかる方がおられるかもしれないと感じました。

 それから、行動歴の情報に関しまして、後の参考資料の例を見ておりますと、当該感染症を感染させる時期の行動歴だけではなくて、リスクのある接触機会を他者に与えたかどうかというところが期間とともに大事なので、時期だけが大事ではないというところが、例を見るとよく理解ができませんでした。

 あと、接触者の状況把握が十分にできたかどうかということは大変重要でありますけれども、例の(2)を見ますと、リストアップはされており、かつ、健康観察がちゃんとできるというところが担保されているかどうかというところをリマインドしたほうがいいかなと思いました。

 とりあえず以上です。

○嶋田研究推進専門官 わかりました。ありがとうございます。

 今回の基本方針につきましては、まずは国はこう示すということでありますので、また、今後も関係省庁などと詰めていきたいと思っております。

 そして、時期だけではなくて、そのリスクというところですね。ありがとうございます。とても重要なことだと思います。それにつきましても少し考えておりまして、リスクのことも含めて、そういった意味で基本的な感染者の情報もあわせて伝えるように考えております。

 例えば、今回のケース(2)の例では、特に発症後、自宅から電車に乗って医療機関に行ったという設定になっているのですけれども、このときには熱だけで、特に嘔吐などの症状がないということを想定しておりまして、その場合には、感染させ得る時期の行動歴を示しつつ、特にその患者さんは嘔吐したりとか、体液を広げるようなことはなかったということを伝えることが大事かなと思います。

 そのためには、基本的な情報もまずきちんと伝えることによって、エボラというのは、基本的には接触感染であり、せきやくしゃみで広がるものではないということと、あとは感染源としては、患者さんのウイルスに汚染された体液ないし血液で暴露されて、感染するということとあわせて説明することによって、たとえこの状況を公表したとしても、そういったことをあわせることによってリスクのことも説明できますし、ある程度は理解してもらえるのではないかと考えております。

 最後に、接触者を把握して、その後、きちんとフォローアップというかモニタリングができているかどうかが大事だと言われるのも、確かにそのとおり、しっかりとモニタリングできているようなケースであれば、その者だけに伝えればいいので、公表することにしますし、もちろんモニタリングが途中でできないという場合には、これは公表せざるを得ないような状況だと思いますので、おっしゃるとおりだと思いますので、ありがとうございます。

○西條座長 三宅課長どうぞ。

○三宅結核感染症課長 自治体と協議をしてというのは、すごくメリットとデメリットがあると思って、あえて入れなかったのですけれども、結局SARSの件などでも、昔、京都の何とかホテルというのも、頑強に公表を拒んで板挟みにあった京都府とかが非常に困ったとか、そういう例があるわけです。

 我々としては、そこは原則をしっかりと言っておかないと、交渉の余地があるというふうにしたほうが、現場にとっていいのか、交渉の余地がないから国の方針で公表せざるを得ないのですというほうが、かえって現場を守ることになるのかということを考えた場合に、もしかしたら後者かなと思って、原則をあえて入れていないのです。そこはぜひ議論をしていただきたいと思います。

 それから、時期とリスクというのは、先生がおっしゃるのは、エボラで発熱で発汗しているだけの時期に電車に乗った場合に、それはほぼ感染のリスクがないので、そこの中で、どこどこ駅で下車した際に、トイレで吐いた。その一番危ない時期と発汗しているだけの時期は、公表の基準を変えるべきかというのは悩んだのですけれども、それを言うと、いろいろとどっちでも、その場ですごく議論になってということであれば、全部伝えた上で、ただ、嘔吐の時期は非常に危ない。発汗の時期は、ほぼないのですが、一応知らせますというほうがいいのかなと思ったのですけれども、その変をもうちょっと玉虫色にしておいたほうが安全なのかというのは、議論いただければありがたいと思います。

○西條座長 ありがとうございます。

 ただいま松井先生のほうから意見が述べられました。まず一つは、発熱等の症状などがあるときに、公共交通機関で移動したときの経路をただ伝えるということだけではなく、そういった移動中に何らかの感染リスクが高まるイベントが起こった場合には、そういったことまで含めて公表することが必要だという意見でした。

 この様な内容でしょうか。

○松井構成員 リスクによって公表の内容を変えるべきではないかと考えます。

 なぜならば、何々線に何時に乗りましたと公表すると、その後に病院に、曝露されたかもしれないという方が、例えば押しかけてきたりするようなことになれば、医療機関への無用なプレッシャーになるのかなと思いました。

○三宅結核感染症課長 ということは、先ほどの発汗状態と嘔吐だったら、嘔吐時期だけ公表して、発汗時期は公表しないほうがいいのではないかということでよろしいのですか。

○松井構成員 そういうふうに考えます。

○西條座長 ありがとうございます。

 提案のほうは、発熱があった段階、まずはじめに、発熱という症状が出てくることが多いと思います。そういった症状が出て、さらに症状、下痢が出てきたり、嘔吐、それから、さらに病状が進んでくると紫斑等の出血症状が出てきたりします。そういった状態のときはもう移動できないと思いますが、基本的な考え方としては、症状のレベルで(公表のあり方を)区別をしない方向性で公表していくということが御提案です。

○三宅結核感染症課長 ここの決定案はそうです。公表はするけれども、感染のリスクがあるときには公表しましょうと。感染のリスクが低くても、高くても、公表しますけれども、感染のリスクが低い時期は、低いことをちゃんと明示した上で、ほぼ安心ですがといった上で公表したほうがいいのではないかというのが一応原案ですけれども、松井先生は、そこのリスクが低いときも、科学的に無視できるリスクだったら、そこも公表しないでいいのではないかとおっしゃっていただけているのかなと思ったのですけれども。

○西條座長 ありがとうございます。

 今の件について、そのほかの方から御意見はございますか。

 足立先生、御意見はありますか。

○足立構成員 どこまでの情報を公表するのかは、国内第1例が発生したときに、そこでそれまでの症例定義は恐らくがらっと変わると思うのです。ですので、流行国帰りの発熱あるいは幾つかの症状がある方が疑似症になるのではなくて、国内で先行事例と接触歴がある人で、なおかつこれだけの症状がある方が疑似症という、疑似症の定義ががらっと変わると思いますので、どこまでの情報を公表するかは、どういった基準を疑似症の提示として設定するかに、恐らく表裏一体の話ではないかと思います。

 エボラ出血熱の伝播の様式を考えると、単にすれ違っただけで感染するものではないというのが恐らく我々の共通の理解だとは思いますので、これとわかっている明らかにぐあいが悪い人と、直接肌と肌とが触れ合うとか、あるいは体液を直接扱うとか、そういった事例がなければ、有意な接触とはみなさないということになるのかなと思います。そうすると、ケースシナリオ(2)の行動歴のところで、接触者を把握できない国内での公共交通機関での移動は公表と書いてありますけれども、これがどれくらい実効性を持っているのかというのは、ちょっと疑問符がつくかなと思います。

 これを公表したとして、電車に乗った人が心配して医療機関に来たときに、医療機関で、これは有意な接触歴があるとして疑似症扱いにするとかいうふうには恐らくしないと思うのです。

 ですので、国内1例目が発症したときに、どういった基準を疑似症の症例定義として設定するか。これは表裏一体の話で、両方を一緒に設計していかないといけないのではないかと思います。

○西條座長 ありがとうございます。

 そのほか、御意見はありますか。

 少しまとめると、例えば熱がある状況で、公共交通機関を移動したときに、今現在の提案は、そういった情報は、もし症状とかがあって、その症状のレベルを区別せずに、公共交通機関の移動等についてお伝えするのと同時に、しっかりと病気に関する基本的な情報もお伝えするということだと思います。

 つまり、発熱等だけの症状が出ている時期であれば、人にウイルスを感染させるリスクは、直接触れない限り、ほとんどないという、そういった情報をしっかりと提供することとあわせて、公共交通機関の移動についても公表していく、これが一つの案です。

 もう一つの意見は、そういった状況では、発熱だけが症状としてある場合には、人に感染させるリスクはほとんどないので、公表をしない方法もあるのではないかというものです。

 この2つに絞られてきたと思います。

 釜萢先生、この部分について何か御意見はありますか。

○釜萢構成員 エボラ出血熱という病気の性質からすると、先ほど松井先生が指摘されたように、発熱、発汗の段階では伝染力が余りない、移る可能性がないということを踏まえてはいるのですけれども、現実の対応場面でこの時期は大丈夫で、ここからが危ないというのがそれほどはっきり言えるのかどうかということは、いろいろと皆様の御意見を伺ってみたいと思います。

 私の考えでは、可能な限り情報を出していくほうがよいなと思っておりまして、場合によっては、そのことによって、不要な心配を助長して、受診者が殺到するという事態も避けなければならないのですけれども、一般に行政の対応としては、情報の公開はなるべく抑えていくという傾向が出ますので、なるべく必要な情報は出していただきたいという思いの中で、最初の段階で、どこからが非常に感染力が強くなるかというところを区分することが、どの程度できるのかなということについて、もう少し御意見を伺いたいと思っております。

○西條座長 ありがとうございます。

 三宅課長、お願いします。

○三宅結核感染症課長 まさに釜萢先生に言っていただいたとおり、今までの過去の例を見ますと、今の我々の案でも結構冒険的と申しますか、絶対に感染させ得ないとか、そんなことはわからないだろうということで、全てのことを公表することがどちらかというと、メディアとの関係で多かったと思っています。

 なので、感染させ得る時期が明確にクリアカットにできない中では、少なくとも発症する前はないのだというところで、安全を少し見込んだ上で、公表範囲を少し見ないと、少しでも感染させ得る可能性があるけれども、ここはほぼ無視し得るので、発表しませんということで、対国民的に納得していただけるかというところが非常に悩ましいところだと思っております。

 まさに本当に重要な論点だと思います。

○西條座長 ありがとうございます。

 たしかに発熱があって、さらに下痢とか嘔吐、そのほか症状が進んでくるわけですが、発熱等の症状だけが認められる時期は、感染リスクは低いということは、私たちは言えます(知っています)。そのときに、私たちはよく知っているからそういうことが言えるのですが、(一類感染症についてあまり)知らない多くの方々がどのように受けとめるかということを考えると、しっかりとした情報公開のあり方が必要だということも考えられます。

 ただし、そのときに、やはり繰り返して感染リスクの低いこと、それから感染するには直接的な接触がなければ感染しないということもあわせて公表していくということで、無用な(無用ということではないかもしれませんが)、大きな混乱は起こらなくなってくるのではないだろうかと考えられます。

 例えば、ケースシナリオを少し考えてみたいと思います。ケース(2)を読んでいただけますか。

○嶋田研究推進専門官 厚生聡は、大学の夏季休暇を利用してアフリカのS国、かつてのエボラ出血熱流行地で現在の報告はないとされています。S国を旅行して、15日間滞在した。

 S国では、同じ大学の留学生の家族がいる郊外のV村を訪れ、その家族の家で寝泊まりしていた。V村滞在中、たまたま開催されていた結婚式や葬儀などにも村長の許可のもと、興味本位で参加していた。その村で熱が出て亡くなる者が滞在中に3名おり、その村の慣習に従い、葬儀の際、遺体に触れることがあった。V村は熱帯熱マラリアの侵淫地であったが、寝室には蚊取り線香を使い、抗マラリア薬を医師の指示通りに内服していた。

 S国からP国経由で8月31日夜に帰国後、以前から同居しているパートナーがいる自宅のアパートに戻り、9月1日から学校にも通った。帰国から3日後の夜に発熱、下痢及び関節痛があったが、自宅で様子を見ており、翌日も登校。しかし、1限目の授業終了後に気分が悪くなり、渡航前に抗マラリア薬を処方された○○医療機関をパートナーとともに受診した。咳などはなかったが、発熱しているため、念のためマスク着用の上、電車で移動した。線のK駅~I駅、線のI駅~J駅。

 同日正午前に病院到着。S国の滞在歴及び遺体に接触という行動歴から、エボラ出血熱が鑑別診断として疑われ、直ちに検体採取となった。血液検体到着後8時間後の午後11時に、国立感染症研究所においてエボラウイルスのPCR検査が陽性となり、エボラ出血熱と判明した。

 これはあくまで架空のケースなので、実際にあったケースではないということを御了承ください。

○西條座長 これをもとに、今、交通情報の公表のあり方を少し検討したいと思います。例えばこのとき、大学の名前を公表するのかどうか。これはどうなりますか。

○嶋田研究推進専門官 そこは、する必要があるのではないかと考えています。

○三宅結核感染症課長 公衆衛生上に必要かどうかなので、ここの患者情報のところに書いてございます日本、20代、男性、東京都までで、ほかの氏名や所属などは言う必要がないというのが事務局案だと思っていますが、いかがでしょうか。

 所属先ではなくて、行動歴として記載が入るということですか。失礼いたしました。4番の1の患者情報では、X大学は関係ないですが、行動歴の中でのX大学は公表する情報に、下を見ていただくと整理されています。

○西條座長 もし、症状があるときに大学に通っていた場合には、どうですか。

 杉下構成員は、今の点はどう考えますか。

○杉下構成員 基本的には、整理された公表の基準にのっとって公表ということには賛成というか、問題はないかと考えております。

 先ほどの議論というか、ちょっと戻ってしまいます。

○西條座長 先生、その点は後で議論します。

 次に、公共交通機関を利用して移動した。このときは、今のところ議論としては、経路等を公表して、それとあわせて感染リスクのことも公表するということなのですが、この方は病院に行きますね。この場合の医療機関についてはどうなりますか。

○嶋田研究推進専門官 例えば医療機関において、そこで接触者が特定できるようであれば、その医療機関の公表は必要ないと思います。ですが、接触者が特定できないような場合であれば、その医療機関を公表する必要があるのではないかと考えています。

○西條座長 わかりました。

 基本的には、その公表医療機関をただ単にその患者さんが訪れたからといって、その医療機関を特定するような情報は開示することはない。リスクにもよるということです。

○嶋田研究推進専門官 接触者が追えるか追えないかです。

○西條座長 交通機関を利用しているわけですが、このときに、この情報を全く公表しないのか、または適切な情報とともに公表するのか。このどちらかだと思います。例えば、ある地域で患者さんが出て、公共交通機関を使った。例えばこのシナリオでは夏に患者発生しているのですが、冬では風邪などもはやって、熱がその後に出てくる人が多くなると、それとともに感染症を心配する人も出てくるかもしれないということが言えます。適切な情報とともに、公共交通機関のどこの部分を使ったのかということを公表したほうが、大きな混乱の発生リスクは低くなるのかという考えもあります。この点はいかがですか。

○松井構成員 接触者とここで言っておられる対象者で、とても大事なのは、積極的疫学調査の手引きに書いてあります低リスク、高リスクの接触者を把握できるかどうかということが問題なのだろうと思います。そこは、先ほど足立先生が御指摘されたとおり、疑似症の一歩手前の健康観察の対象者たる接触者が把握できるかどうかと読みかえれば、もう少し議論がすっきりとするのかなと思います。

○西條座長 先生、具体的には公表しないほうがいいとお考えですか。そのリスクに合わせて、公表するということですか。

○松井構成員 低リスク、高リスクに合致する人が発生していないと判断できるのであれば、必要ないと私は思います。

○三宅結核感染症課長 そうすると、この例示だと、4は全て非公表ということでよろしいということですか。

○松井構成員 私はそのほうが、全体的な意味での混乱は少ないというふうに考えます。

 ただし、その中で、患者さんの行動歴について、患者さんからのお話がちゃんと聞けているかどうかとか、その情報の正確性がどうかとか、そのようなところで多少ぼんやりしたところがあるのであれば、それはまたリスクの評価としては変わってくると思いますが、今、いただいた情報が正しければ、私は公表する必要はないと思います。

○西條座長 ありがとうございます。

 先ほど釜萢先生は、そういった状況でも、発熱だけと、その後、進んだ状況とで区別もつかない場合もあるので、明確な情報を公開したほうが、適切に対応できるような情報の公表のあり方としてはいいのではないかという御意見だったと思います。改めて先生のほうから御意見をどうぞ。

○釜萢構成員 今、松井先生がお示しになったように、行動の状況が非常に正確にきちんと把握できているかどうかというところについては、なかなか現実はそこまではっきりわからないのではないかと思いまして、そこのところの線引きがはっきりできれば御指摘のとおりだと思うのですけれども、そこが現実には曖昧になる可能性があるので、そうであれば、混乱をなるべく起こさないようにしなければいけないのですけれども、行動歴について、このケースでは電車の経路を示すほうが私はいいように思います。

○西條座長 ありがとうございます。

 多分、実際にエボラ出血熱の患者さんが出たことを公表したときに、その情報は開示しませんということが本当に可能かどうかということもあって、正確な情報を公表するのとあわせて、感染リスクのことも正確に、また繰り返し伝えるという姿勢で対応していくということ、提案の内容はそうだと思います。大曲先生、ここで一言お願いします。

○大曲構成員 明確に整理し切れていないので、ちょっと混乱させるかもしれないのですけれども、私は実際、本物の陽性例を国内で見たわけではないのですけれども、疑似症あるいはそれ以前の疑い例の対応の話を聞いていると、行動に関する患者さんの自己申告の内容が、不十分であることはあると思います。

 つまり、本来はあったはずの行動歴がでてこないということがあります。公開されている諸々の情報をたどっていくと結局わかることもあります。患者さんが我々にくださる情報だけではリスク判断がすごく難しいと思うことは正直あります。

 直接の回答にはなっていないのですけれども、そういう問題があるなとはちょっと思っておりました。

○西條座長 ありがとうございます。

 今の御意見を少し私なりに解釈すると、例えば、行動歴で発熱だけなので、感染リスクは低いということを判断できるかもしれないが、実は患者から得られる情報が正しいとは限らないということです。

 もしかしたら嘔吐とか、そういったことが起こっていたのですが、患者がそれを正確に伝えないというリスクもあるということですか。

○大曲構成員 特に患者さんが発症されて以降、発症される以前もですけれども、本来、それをちゃんと聞き出せるかどうかは、ある意味、一番近くにいる我々医療従事者の責任でもありますし、その技量を試されるところなのです。全力は尽くしますが、それでも出てこないことはあるかもしれません。患者さんの認知の状況によっても変わりますし、逆に、判断が粗い方であれば、しゃべらないということも十分あり得ると思いますので、それは具体的な事例は申し上げられないのですけれども、いろいろな方とお話をする中で、患者さんがその情報を伝えるべきかどうかということに関して、非常に頭の中で計算をされているということは経験はしていますので、情報が本来あったものが出てこないという可能性は十分にあるだろうと思っています。

○西條座長 ありがとうございます。

 議論はこれまで積み重ねてきました。本日、この会議なのですけれども、感染リスクについての正しい情報を繰り返し提供すること、エボラ出血熱等の特徴に関する正確な情報もあわせて、交通機関の情報についても公表することが前提に、ご意見をまとめさせていただいてよろしいでしょうか。

 足立先生、どうぞ。

○足立構成員 手短に申し上げます。

 ここでの議論は、水も漏らさぬ対策をとるのか、それとも、ある程度効率というものを考えるのか、それによって目指す方向がちょっと違うと思うのです。

 このシナリオ(2)の行動歴の例で言いますと、症状は起こしていた患者さんが乗り合わせた2本の列車、恐らくそれぞれ1,000人くらい乗っていたと仮定をしますと、たまたま風邪をひいていたとか、たまたまおなかを壊していたので、何となくぐあいが悪いという人が、恐らく何十人かぐらいいるかもしれません。

 たまたま乗り合わせて、たまたまぐあいが悪かったそれぞれの列車の何十人の人を、片っ端からエボラ扱いして、保健所の皆さんを動員して、医療機関の方々を動員して、感染研の検査の方々が片っ端からエボラの献体を検査するのかというと、それはかなり効率の悪いやり方ではないかとは思いますので、水も漏らさぬやり方というのも一つの方向性だとは思いますが、私は効率も多少考えざるを得ないのではないかと思います。

○西條座長 今、そういった接触者を今度ピックアップしてというかトレースして、検査を多くの人たちに行うとか、そういったことではなくて、今回のここの部分は、情報の公開のあり方ということで理解してよろしいでしょうか。

○嶋田研究推進専門官 そのとおりです。

○西條座長 そういうことで、御理解ください。

 それでは、ここの部分は今の方向性で確認したいと思います。

 杉下先生、先ほどご意見あったと思います。

○杉下構成員 先ほど、三宅課長のほうから、公表については自治体と協議してというよりは、国のほうで判断してというお話がございました。

 それを踏まえますと、やはり陽性が判明してから公表までの流れ、手順、公表の時期といったところを事前にわかるようにしていただけると、自治体側の混乱は少ないのではないかと思います。

 検査結果がどこに伝達されて、どの時点で自治体に連絡があるのかは、ぜひ知りたいところではあります。

 公表の時期なのですけれども、資料1の下に情報の公開時期についてということで記載がございますが、疑似症として発生届が出た時点なのか、あるいは検査陽性で患者確定で公表なのかというのは、ここでなお書きで書いてあるのですけれども、きちんと明確にしておいたほうがわかりやすいのではないかと思いました。

 あと、ケースシナリオのほうに、今言ったような検査で陽性が判明して、公表までの手順と公表の時期が、このシナリオにもあるとイメージがつきやすいのかなと思いました。

 以上です。

○西條座長 ありがとうございます。

 この点、確認させていただくと、蓋然性の高い疑似症例が出たときは、都道府県といったところでも公表されますか。

○杉下構成員 一類感染症については、基本的には国のほうで対応する。もちろん同時のプレス発表はあると思いますけれども、それは問題ないと考えています。

○西條座長 多分、感染研のほうで検査をしたときに、その情報は、依頼は正式には、都道府県等の自治体から行政検査依頼が来ることになるので、厚労省と自治体にも正確な情報が伝わるはずなのです。

 事務局に確認なのですけれども、厚生労働省だけから発表するということはありますか。

○嶋田研究推進専門官 それにつきましては、行政対応の手引きのほうにもあるのですが、内容を調整した上で、厚生労働省及び都道府県等の双方が公表すると書いていますので、だけということではないと思いますが、もちろん調整は必要になってくると思います。

○西條座長 そういうことです。

 柏樹構成員、どうぞ。

○柏樹構成員 今のケースで、私が知った範囲ですけれども、都道府県によっては、疑似症患者の届け出があった段階で発表するというふうに既に決めて、対応をとっているところがあると思いますけれども、そこについてどういうふうにされるのかなと。意見としてです。

○西條座長 事務局のほうで、これはどうなっているのか、その点を確認して下さい。

 私のこれまでの経験からすると、蓋然性の非常に高いときというのは、基本的には公表するという自治体はあります。

 ただし、しっかりと検査結果を見てから、実際は対応するということのほうが多いのですが、自治体によっては、そういった疑似症例が出たときに公表するという姿勢のところもあります。

 それが法律でどうなっているのかということを、改めて事務局のほうで確認していただきたいと思います。

 本日のところは、厚生労働省だけが進んで発表するということは特別な状況でない限りは調整して発表することにはなると思います。そういった情報の発表の仕方になると思います。

 時間が予定よりも少し過ぎていますが、そのほか議論すべき案件はありますでしょうか。

 松井構成員、どうぞ。

○松井構成員 一つだけ。

 戸籍上の性別ではなく、本人の希望する性別とするという記載がございます。このことに関しては、感染症発生動向調査のデータを取り扱っている立場からは、感染症発生動向調査に登録されている性別と公表されている性別は、整合性をとるようにしていただきたいと思います。

○西條座長 ありがとうございます。

 それで、あと少しだけここの部分は大切なところなので、この資料1の2ページ目と3ページ目、公表する情報、それから公表しない情報、公表・非公表を検討するに当たっての留意事項、ここで皆さん少し修正しておくべき箇所があるとか、気がついたことがあれば意見をいただきたいと思います。

 もしなければ、この公表基準についてもこれで確定させていただきたいと思います。

 それでは、資料1の説明と質疑応答は終わりました。これで公表基準については、本日議論した内容の方向性で、今後、関係省庁とも細かい点を詰めていくことで、確定させていただくということで、御了承していただきたいと思います。

 よろしいでしょうか。

(委員首肯)

○西條座長 それでは、議題2に入りたいと思います。「『一類感染症への行政対応の手引き』の作成について(案)」、資料2から7について、事務局から説明をしていただきたいと思います。

○嶋田研究推進専門官 それでは、資料2から資料7までが、今回関係するところです。

 「『一類感染症への行政対応の手引き』の作成について」ということで、資料2をごらんください。

 前回、この「一類感染症への行政対応の手引き」を作成することの了をいただき、今回、案をつくってまいりました。

 作成の経緯としましては、ペストは、アフリカ、アジア、アメリカ大陸の山岳地帯を中心に例年発生が見られる感染症でありますが、2910月以降、アフリカのマダガスカル共和国の都心部の複数の地域において肺ペストの流行が報告され、流行が終息するまで、死亡例200名以上を含む2,500名の患者さんが報告されています。

 近隣国である中国も、ペストの発生地域であり、人的・物流交流の活発化に伴い、今後、我が国においてもペストが発生する可能性は否定できない。そのため、ペストの患者が発生した場合に備え、迅速かつ円滑な対応を行うことができるよう、既存の「ウイルス性出血熱への行政対応の手引き」にペストの記載を加えて、「一類感染症への行政対応の手引き」を作成することとしたいということです。

 幾つか追加点がありまして、新たにペストの記載及び対応の流れについて追記をしておりまして、ウイルス性出血についてはもちろんウイルスで、この一種病原体に入るものなので、バイオセーフティーレベル4で検査されるものです。

 ところが、ペストのほうは細菌感染で、こちらは二種病原体なので、BSL3において検査されるものです。

 そういった国内で検査できる施設が異なるため、検疫時及び国内発生時の対応の流れについてのフローチャートを作成しておりまして、資料3の56ページに、フローチャートのほうで記載しております。

 また、新たにペストに関する感染予防策について追記したということで、ウイルス性出血熱については、全身を覆うようなものが推奨されますが、ペストについては肺ペスト、腺ペストによって、それぞれ対応が違うということで、それについても作成しておりまして、資料6のほうにペストに対する個人防護具、暫定版ですが、こちらのガイドラインを加藤先生につくっていただきました。

 最後に追加したところで、新たにペストに関する治療薬、予防等について追記し、ウイルス性出血熱については、ウイルス感染症で効果の確立した治療薬や予防法はありませんが、ペストについては抗菌薬の治療がありますので、その旨を追加しております。

 ペストの治療に関する記載を追加するほか、ペスト患者と接触する者に対する予防内服の必要性などの項目を追加しております。

 全般的には、今までのウイルス性出血熱の手引きに、ペストの分を足して「一類感染症への行政対応の手引き」として資料3を案として用意しております。

 また、資料4と5については、これを公表する際には、地方自治体向けの案、実施要綱の案としてつくっておりまして、6については、個人防護具のガイドラインを用意しております。

 資料7につきましては、警察との協力で協議中ですけれども、検疫所、保健所等が一類感染症の患者さんを搬送する際に、警察の協力を得られるよう、厚生労働省から警察庁に通知を出しています。これは平成26年です。

 今後、今まではペストのことを勘案すると、今回については警察と調整するものとしては、一類感染症の患者搬送に対して、検疫所、保健所等の求めに応じて、警察車両の緊急走行の先導支援を行うことと、検体の搬送についてということと、ペスト以外のものについては村山庁舎に、ペストの検体については戸山庁舎に搬送することというところを対応するところでございます。

 一類感染症の手引きについては以上です。

○西條座長 ありがとうございます。

 それでは、ただいま事務局のほうから、行政対応の手引きにペストに関する項目が加わったことの説明と、資料4、資料5、資料7について説明をしていただきました。

 きょう、大西参考人にも来ていただいているのですが、ペストの治療と予防薬について、簡単に説明していただけますでしょうか。

○大西参考人 治療と予防ですね。

 治療は抗生物質耐性のペスト菌というのは非常にまれで、ざっくり言うと、あらゆる抗生物質が使用可能で効果を示すということで、耐性菌に関しては心配する必要はございません。

 予防に関しても、抗生物質による予防投与というのが可能です。

○西條座長 ありがとうございます。

 松井先生においては、積極的疫学調査の実施要綱といったところで、資料4のポイントはどういったところになるかわかりますか。または、質問でもいいのですけれども。

○松井構成員 ありません。

○西條座長 それでは、きょうは加藤参考人にも来ていただいていますが、このペストに対する防護具、これは厚生労働科研費で一類感染症等の患者発生時に備えた治療・診断・感染管理等に関する研究班のほうで、加藤先生が中心となって作成してくださっています。ガイドラインについて、ポイント等を説明していただきたいと思います。

○加藤参考人 個人防護具を担当させていただきましたけれども、まず、ペストは先ほど大西先生からもお話がありましたように、治療薬が確立している中で、一類感染症に指定されている公衆衛生上の重みがあり、個人防護具はどこまですべきかというところは非常に悩ましいところだったのですけれども、基本的には、病原体がリンパ節に局在している可能性が高い腺ペストと、飛沫感染で広がる肺ペストで、2つの病型に分けて対応をまとめたということであります。

 肺ペストにつきましては、N95マスクの使用を勧めている点、また、気管挿管等をする場合には、視野の良好な確保などの点から、最近、感染症指定医療機関等で普及し始めているPAPRという呼吸保護具を使ってもよいとするところが議論の中心でありました。

 腺ペストについては、標準予防策でよろしいということなのですけれども、一類感染症としての重大性みたいなところも鑑みて、特に気管挿管などを実施する際の顔面への体液曝露に注意を払うこととしました。かつて明治大正のころペストが国内で発生していた時期もあるわけですけれども、目に曝露を受けて感染した医療従事者の報告もございますので、目をしっかり守るというところを強調したのが主なポイントかと思います。

 以上です。

○西條座長 ありがとうございました。

 それでは、構成員等を含めて、ただいまの事務局からの説明と参考人からの説明を踏まえて議論したいと思いますが、質問、コメント等はございますでしょうか。

 杉下構成員、どうぞ。

○杉下構成員 資料3の手引きの項目の確認なのですけれども、第1部にウイルス性出血熱で、第2部でペストということで、このうち、項目「9.4 感染性廃棄物の処理」と「11.3 情報公開」については、第1部のほうにあるのですけれども、第2部のほうには抜けているので、ここのところを確認していただきたい。

 あと、中身を見てみますと、第1部と同じ内容が載っているところもあれば、省略されて第1部を参照のことというふうになっていますので、そこら辺は統一されたほうがよろしいのかなと思いました。

 以上です。

○西條座長 ありがとうございます。

 こちらについては、事務局のほうからお答えいただけますか。

○嶋田研究推進専門官 結構共通しているような部分もあるので、ほとんどのものをウイルス性出血熱の第1部のほうを参照にしてくださいとするのも考えたのですけれども、そうすると、そこに書いてあるのは、「ウイルスは」などという記載があったので、そういったものについては、別途「ペストに」と書いておりまして、混同しないものについては、参照して、共通して読んでもらうような案にしております。

○杉下構成員 わかりました。

○西條座長 よろしいですか。

 そのほか、コメント等はありますか。

 大曲先生、何かありますか。

○大曲構成員 特段、私から、これはどうかということはありませんで、私は臨床に近い側の人間ですので、防護具のところは特に見ましたけれども、やはり海外あるいは日本で積まれた経験に基づいて書かれているところがあって、先ほどPAPRの話もありましたけれども、実際、そこはすごく納得できるところだと思いましたので、そういうコメントだけです。

○西條座長 田村参考人、何かこの件で意見等はありますか。

○田村参考人 ありがとうございます。

 先ほど、加藤班から出されたペストに対する個人防護具、PPEの件で、4ページ目にペスト患者のPPEの規格が、AAMI規格のPB70の推奨レベルはレベル2以上という規格が載っているかと思うのですけれども、行政レベルで規格を出すというのは、たしかエボラ以来の2例目だと思うのですが、実際、日本国内でこの規格のものを通常、購入することが可能なのかとか、あとは、もちろんないかとは思うのですけれども、各自治体もしくは医療機関レベルでこういう規格を購入するとなったときの混乱と申しますか、流通について何か懸案みたいなものはいかがでしょうか。

 以上です。

○西條座長 これは、事務局か加藤先生からお答え下さい。

○嶋田研究推進専門官 基本的には、国内に流通している、手に入るものです。

○西條座長 ありがとうございます。

 そのほか、質問、コメント等はございますか。

 今回の大きな目的、目標は、この「一類感染症対応への行政対応の手引き」にペストの部分を加えるということが大きな柱であったのですが、これにつきましては、ただいまの説明と質問と議論で、これで大まかに確定させていただきたいと思います。関係省庁との細かな打ち合わせ等もあろうかとは思いますが、この結論の方向性でよろしいでしょうか。

(委員首肯)

○西條座長 異論なしということで、それでまとめさせていただきたいと思います。

 それでは、議題3「報告事項」に入りたいと思います。

 報告事項1「コンゴ民主共和国におけるエボラ出血熱の発生について」、事務局から資料8の説明をお願いしたいと思います。

○嶋田研究推進専門官 それでは、資料8をごらんください。「コンゴ民主共和国におけるエボラ出血熱の発生について」です。3月4日時点のものです。

 コンゴ民主共和国、旧ザイールの北東部の北キブ州において、同国10回目のエボラ出血熱が発生したことが、2018年8月1日に同国の保健省及び世界保健機関より発表されております。

 そして、8月16日に事務局長が、今回のアウトブレークをグレード3の危機と宣言しておりますが、今のところ、患者さんの数はふえておりますが、まだ国外に出たという報告はありません。

 同国保健省は、2019年3月2日までに、北キブ州とその隣のイツリ州の両州において、561名の死亡例を含む患者894名、うち確定が829名の発生を報告しています。

 そして、同国の保健省では、2018年8月8日からエボラワクチンの接種を開始し、ことしの3月2日までに、8万5226人がワクチンの接種を受けております。

 今回、コンゴ民主共和国では、10回目のエボラ出血熱の流行で、9回目については去年5月から6月の間に流行がありましたが、今回、8月からいまだに続いている状態です。

 日本の対応としましては、厚生労働省は一般国民に対して、ホームページ等を通して注意喚起を行うとともに、8月2日に検疫所、医療機関、国土交通省に事務連絡等を通して注意喚起を行っているところです。

 以上です。

○西條座長 ありがとうございます。

 この流行は、始まってからまだ続いています。それで、アフリカ中央部で発生したエボラ出血熱、エボラウイルス病の流行としては、過去最大規模の流行となっている状況です。

 これについて、足立先生、それから加藤先生は何か情報はありますか。

○足立構成員 今回は、私も現地には参っておりませんので、なかなか直接の情報はないですけれども、国境なき医師団の治療施設が攻撃を受けたりとか妨害活動も、治安の問題があって、なかなか効率的にはいっていないということは聞いておりますので、恐らく終息までは相当時間がかかりそうですし、もしかすると、コンゴ民主共和国外に流行が拡大するという可能性も想定はされ得るのではないかと思います。

○西條座長 ありがとうございます。

 加藤先生、何か情報はありますか。

○加藤参考人 私も、特にこの情報に加えて、追加する情報は持っておりません。

○西條座長 ありがとうございます。

 この地域は、聞くところによると例えばコンゴ民主共和国の首都キンシャサといったところよりも、人口密度が非常に高いところで、それから、セキュリティーや社会基盤の不安定さとか、非常に脆弱なところであるということです。そういったことから、なかなかコントロールが難しくて、実際に患者さんをトレースするという作業もかなり困難を極めているようです。

 そういった中で、試験的な治療薬やワクチンで対応するということもなされていると聞いています。この流行については、これからも状況をしっかりとフォローして、西アフリカで起こったような大きな流行になるかどうか。そういったことにも注視しながら、情報をトレースしていきたいと思っています。

 事務局からの説明等に、そのほか質問、コメント等はございますでしょうか。

○嶋田研究推進専門官 まさに足立先生がおっしゃるとおり、この地域は割と政治上的に不安定な場所でありまして、エボラの治療センターが攻撃をされたりして、外務省でもレベル4の退避勧告が出ているぐらいのところなので、そういった意味で、なかなか支援が行き届かないということも把握しております。

 また、先ほど西條先生のほうからお話があったように、人等の交通が多いということですので、厚生労働省としては、この状況を注視して、今後見ていきたいと考えております。

○西條座長 ありがとうございます。

 それでは、ただいまの説明、今現在起こっているコンゴ民主共和国におけるエボラ出血熱の発生について、説明を受けましたが、質疑応答はないということで、この議題については終わりたいと思います。

 全体を通じて、皆さんのほうからコメント、質問、議論すべき案件等がありましたら提案してください。ありますでしょうか。

 ありがとうございます。

 それでは、本日の議事は以上で終了とさせていただきたいと思います。

 そのほか、事務局のほうから何かございますでしょうか。

○嶋田研究推進専門官 次回の会議につきましては、改めて御連絡をさせていただきます。

 事務局としては以上です。

○西條座長 それでは、きょうの会をこれで終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

 

 

(了)

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