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2017年8月7日 第10回厚生労働省国立研究開発法人審議会高度専門医療研究評価部会
医政局医療経営支援課
○日時
平成29年8月7日(月)14:30~17:30
○場所
厚生労働省専用第21会議室
○出席者
委員
永井部会長 内山部会長代理 大西委員 斎藤委員 祖父江委員 花井委員 深見委員 福井委員 藤川委員 本田委員 |
○議題
(1)国立研究開発法人国立循環器病研究センターの平成28年度業務実績評価について
(2)国立研究開発法人国立国際医療研究センターの平成28年度業務実績評価について
(3)その他
○配布資料
【国立循環器病研究センター】 | |
資料1-1 | 平成28事業年度 業務実績評価書(案) |
資料1-2 | 平成28事業年度 業務実績評価説明資料 |
資料1-3 | 平成28年度 財務諸表等 |
資料1-4 | 平成28年度 監査報告書 |
【国立国際医療研究センター】 | |
資料2-1 | 平成28事業年度 業務実績評価書(案) |
資料2-2 | 平成28事業年度 業務実績評価説明資料 |
資料2-3 | 平成28年度 財務諸表等 |
資料2-4 | 平成28年度 監査報告書 |
【参考資料】 | |
参考資料1 | 国立研究開発法人審議会高度専門医療研究評価部会 委員名簿 |
○議事
○医政局医療経営支援課江口課長補佐
それでは、定刻になりましたので、ちょっとおくれている先生がいらっしゃいますが、ただいまから第10回「厚生労働省国立研究開発法人審議会高度専門医療研究評価部会」を開催いたします。
冒頭に、特に循環器病センターの方、本日かなりお暑うございますので、どうぞ上着を脱いでいただいて。クールビズ、政府全体で取り組んでおりますので。
また、委員の皆様にはお暑い中、お忙しい中、お集まりいただきまして、本当にありがとうございます。
本日、10名全員の出席を予定してございまして、当然過半数を超えてございますので、会議が成立するということを御報告申し上げます。
また、大西委員におかれましては、議題1、循環器病センターが終わったところで中座されるということで御連絡を受けております。
また、事務局のほうでございますが、佐藤医療経営支援課長並びに松永政策医療推進官につきましても、公務の都合で、議題1、循環器病センターが終わるまでいまして、その後、中座させていただくことを御了解いただければと思います。
続きまして、本日の会議資料の確認をお願いいたします。
まず、机上に委員名簿と座席表。そして、本日のメーン資料になります資料1-2、国立循環器病センター平成28年度業務実績評価説明資料でございます。そのクリップの後ろに1枚紙で「非公開資料(委員限り)」というものを追加でつけさせていただいております。こちらは法人の今後の研究の方針の各論でございますが、一部支障を来す内容が入ってございますので、委員の先生限りという資料の1枚紙でございます。したがいまして、基本的に全て公開資料でございますが、この1枚資料に関しては非公開とさせていただいております。
議題2になりますが、資料2-2、国立国際医療研究センターの業務実績評価説明資料。
また、委員の先生のお手元には評価を記入いただきます用紙と、あわせて、永井部会長のほうから事前に依頼がありました資料を参考に置かせていただいております。
資料の不足、乱丁等ございましたら、事務局までお申し出ください。
また、タブレットのほうには、資料1-1としまして業務実績評価書、1-2で業務実績評価説明資料。この紙の資料と同じものでございます。資料1-3としまして財務諸表等。1-4としまして監査報告書。以下、2のほうは国際医療研究センターで、同様の資料になっております。
それでは、以降の進行につきまして、永井部会長、よろしくお願いいたします。
○永井部会長
それでは、国立研究開発法人国立循環器病研究センターの平成28年度業務実績評価について御議論をお願いいたします。
時間が限られておりますので、ポイントを絞っての御説明をお願いいたします。
最初に、研究開発の成果の最大化に関する事項、評価項目1-1と1-2に関する業務実績、自己評価について御説明をお願いいたします。
では、最初に理事長さんからどうぞ。
○国立循環器病研究センター小川理事長
国立循環器病研究センター理事長の小川でございます。
本日は、国循の評価のためにお忙しい中、お時間をいただきまして、誠にありがとうございます。本日のスケジュールは非常にタイトでございますので、冒頭手短に御挨拶を申し上げたいと思います。
以下、着席させていただきます。
昨年の評価部会の際に申し上げましたが、27年度の総収支差がマイナス6.5億円と大幅な赤字となったことから、昨年6月に私から職員に向けて財政緊急事態宣言を発出いたしました。これを受けまして、昨年度は副院長を初めとした医療職と事務方が一体となり、診療材料の購入価格の引き下げを行うなど、種々の経営改善に取り組んだ結果、総収支差はマイナス2.3億円と、まだ赤字ではあるものの、大きく赤字幅を圧縮することができました。
その他、個別の評価項目については、この後、各担当から御説明いたしますが、研究開発などの業務にも積極的に取り組み、今、あらゆる分野で話題となっております人工知能(AI)を用いた発症・重症化予測に関する研究に着手し、始めているところでございます。
研究業務や診療業務では数値目標を上回る実績を上げることができたと自負しておりまして、自己評価をもう少し高くしたかったというのが本音でございますけれども、前回の評価から評価基準が変わっておりますので、厳しく自己評価をさせていただきました。
では、よろしくお願いいたします。
○永井部会長
では、よろしくお願いいたします。
○国立循環器病研究センター寒川理事
それでは、評価項目1-1、研究領域の特性を踏まえた戦略的かつ重点的な研究・開発の推進ということで、説明資料の5ページを参照いただきたいと思います。これにつきましては、評価書の4ページから32ページに詳細に記載しております。
この項目の目標ですけれども、ここに掲げておりますが、センターにおきまして最先端の治療あるいは研究開発を行うための体制を構築して、そのもとで得られたデータを臨床開発に活用するということでありまして、その中身としましては、人工臓器の開発とか画像診断、いろんな材料・細胞・組織等を用いた次世代型先端医療機器の開発を目指すということです。もう一つが致命的な循環器疾患の救急医療や難治性循環器疾患の革新的な治療法の開発を推進する。もう一つが致命的な循環器疾患の救急治療法を開発するために、リスクを層別化することを可能とするようなバイオマーカー等を探索して、それらを指標として薬物並びに非薬物療法の効果を評価可能とするということになっております。こういった目標と実際に28年度に行いました実績に基づいて主な成果を紹介したいと思います。
細かいことは概要書の6ページに記載しております。特筆すべき成果は、一つは、このページの左上に書いておりますが、革新的な医療機器の開発ということで、多孔化カバードステントを用いた医師主導治験の開始ということで、7ページの左上にも資料としてつけておりますけれども、これはシーズの段階から非臨床試験等を含めてセンターで実施して開発したステントでありまして、first in human試験を医師主導治験として28年度よりセンターで開始しました。昨年度は目標症例、12例中4例を登録できて、実際に試験治療も実施しました。これは現在行われている治療法よりも患者の負担が少ない、また、治療効果の即効性や医療コストの低減にも期待できるということで、センターでシーズから臨床試験まで進んでいるということであります。
2番目の大きな成果は、革新的な治療法の研究開発のうち、6ページの右の上の1、循環器疾患の発症リスクの予測や重篤化防止のため、人工知能(AI)を用いるプロジェクトの開始。これは先ほど理事長からも述べましたが、循環器疾患の発症に関する前向き研究2,273症例のデータから、1年後の主要有害心血管イベントの発症が予測可能かを検討して、機械学習により日常診療上よく使用される約40項目のルーチン検査及び既往歴を用いてMACE予測モデルを構築、GRACE研究などの既存の予測モデルの成績よりも感度もよくて、特異性も約20%向上した、という成果であります。
また、AIの自然言語処理により、電子カルテのSOAP記事から、胸痛、浮腫などの症状の有無の自動抽出が可能であり、これらの項目を予測モデルに加えた場合、さらに10%程度予測精度が向上することがわかったということです。これにつきましては、後ほど少し詳しく峰松院長のほうからも補足説明をしたいと思います。
3番目の主要な成果ですけれども、心臓ホルモンであるANPは、3つの分子型で生体内に存在している。心不全等の診断のマーカーではBNPが用いられておりますが、ANPもそういったものを反映するマーカーでありますけれども、この3つの分子の血中濃度は、これまで構造がよく似ているので区別しての測定が困難だったのですが、それぞれの分子を個別に定量的に測定するという方法を開発して、これを用いて種々の心不全における病態との関係を検討するような技術を可能にしたということです。
これにつきましては7ページの右下に図で示しております。健常者では心臓では前駆体の形であるわけですが、それがプロセッシングされてα型に変換される。これが健常者ですが、心不全の患者さんでは、それに加えて、心臓の中でもα型、それからβというのは、αが二量体になったものでありまして、同じαが2つくっついているので、非常に判別するのが難しいわけですが、これを区別して測る方法を開発したということです。
下に例を示しておりますが、入院時、入院の1日から2日後、5日から8日後、退院前、こういった時点で血中濃度を測定すると、それぞれの分子が変化して、総合的に症状との関係により心不全の病態を把握できます。BNPは診断としてですけれども、ANPは既に心不全の治療として使われているのですが、治療のタイミングとか、あるいは使用量といったものを適正にするための今後の重要なマーカーになるのではないかと思っております。
そのほかにも、心臓のレプリカですが、これまでは鋳型をとっていたのを三次元のプリンターでつくるということで、非常に作製時間を短縮するということ。さらに、これを用いて実際の手術のシミュレーションとして使って、昨年、これを用いた適切な形での手術が実施できたということ。
それから、心房細動合併心不全という疾患があるのですが、この治療効果予測指標を発見したということであります。これは心臓MRIを用いた右室駆出率を左室駆出率で割った数値により、早期に高い精度で診断予測可能であるということを見出すということであります。
そのほかにも多施設共同研究とか生活習慣病の予防法の研究開発ということで、尼崎市と認知症予防等に関する連携、協力に関する協定等を結んで、実際に住民を対象として予防介入ということを行っている。こういうことが挙げられます。
この項目における定量的な指標としましては、大きくこの分野に貢献する成果というのを2件挙げていますけれども、先ほど述べましたように、実績として3件出すことができた。
英語の論文数ですが、年間250件に対して、実績として344件、137%という実績を上げたということです。
さらに、インパクトファクターの高い論文ですが、一昨年は15以上が10件でありましたが、28年度は18件と大幅に増えているということで、この項目の自己評価はAとしております。
続きまして、1-2を説明したいと思います。この領域は実用化を目指した研究・開発の推進及び基盤整備ということでありますけれども、目標としましては、最近推進されていますメディカルゲノムセンターを設立して、それを機能的に運用する、そういったものにかかわる人材を育成するということです。それから、基礎研究を円滑に実施して、トランスレーショナルにつなぐような研究を推進するということ。それから、研究開発拠点を整備するとともに、大学・研究機関との包括協定等を締結して進めていくということであります。
こういった目標に対しまして、9ページにありますように、実際にメディカル医療部門の設置ということでありますが、既にオミックス解析センターという生体試料を解析する組織はつくっていたのですが、病院の中に遺伝子診断を中心に進める部門を設置した。それから、その管理システムを適切に構築したということです。
TRに関しましては、先ほど述べました多孔化カバードステントの医師主導治験の開始。
産学官の連携としましては、2年後に新しいセンターに移転するのですけれども、そのセンターの近くに建設されているマンション住民に対する健康管理システムを導入して、患者の健康管理、それからそのデータを研究に使用する。その住民の高度循環器ドックの受診権の付与。こういう形であります。
オープンイノベーションセンターの開設に向けて、昨年東芝メディカルシステムズ、GEヘルスケア・ジャパンとの包括連携協定を結びまして、具体的な研究内容を現在検討して進めているということであります。
もう一つが循環器疾患情報の収集・登録体制の構築ですけれども、新しい脳卒中データバンクシステムの運用を開始したということで、電子カルテと連携したSS-MIX2ストレージに収納された患者情報を多目的臨床データ登録システムを介してウエブベース上で症例登録が可能な新しいデータバンクを構築したということ。このシステムによりまして、脳卒中患者の臨床情報を効果的かつ大規模に収集することが可能となりました。
また、このデータベースは2階層の構造で、1階部分は全般的なものに重点を置き、2階部分は長期フォローが可能となるような詳細性に重点を置いたということであります。昨年10月より開始し、これまでに137施設の登録をしております。
そのほか、「かるしお」認定制度の推進、倫理体制の整備ということであります。
数値目標でありますけれども、10ページにありますように、first in humanですが、これは中期期間中に昨年1例できた。それから医師主導治験は、中期期間中3例に対して、これまでに昨年1つあったということです。
先進医療は、残念ながら目標に対してまだ登録できておりません。これにつきましては、現在センターでは中核拠点に向けての整備をしております関係で、できるだけ医師主導治験に持っていくということで進めておりますが、恐らく試験期間内には2件は可能と考えております。そのほか、ガイドラインへの採用件数、それから臨床研究の実施件数、それから治験実施件数、こういったものは目標をクリアしております。
そういうことで、1-2はおおむね目標を達成できたということで、自己評価はBとしております。
以上です。
○永井部会長
ありがとうございました。
それでは、委員の皆様から御質問、御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
論文がいっとき落ちていたのですが、この2年ほど一気に勢いが戻ってきましたけれども、そこはいろいろと改革されたのでしょうか。
○国立循環器病研究センター寒川理事
いや、とにかくできるだけいい論文をたくさん書くようにと。ただ、独法になってから随分研究費が減っていますので、大学等で交付金がどんどん減ってくると論文も減ってくるということがあるのですが、論文はコンスタントにずっと右肩上がりは難しいと思うのですけれども、幸い昨年はいい成果が出たということであります。これは前年度にどうこう言って、次の年にすぐ出るというわけではありませんで、ある程度の期間そういった方向性を持って組織として進めることが大事だと思っています。
○永井部会長
大西委員。
○大西委員
どうもありがとうございました。大変いろんな取り組みをされているということがよくわかりました。
1つ教えていただきたいのですけれども、最初に挙げられました多孔化カバードステントのプロジェクトでございますが、シーズの段階からfirst in humanもしくは医師主導の治験というところまでずっと実施されてこられたというのは大変すばらしい成果だと思うのですが、こういうことが実現できている施設というのは、日本に限らず多くあるのでございましょうか。
○国立循環器病研究センター寒川理事
センターは、循環器医療機器に関しまして、これまでの人工心臓等を開発しているのですが、今回こういった非常にいいステントで、これまでの考え方から非常に進んだものを現在、脳の動脈瘤領域に使っているのですけれども、これは、組織としてそういうものを開発できる基盤と同時に前臨床もできる、そういった体制が重要でして、これも6年前にセンターにおける医療機器開発ということで、早期探索の拠点に指定されたということで、ある程度大きな予算をいただきましたので、それがこういった前臨床を含めて進める資金になっていますので、ある程度いい成果を出そう、そういった前臨床を含めて自前でやろうと思うと、ある一定の資金がないと絶対にできません。基礎的な研究はある程度できても、そういったところというのはかなり資金がかかりますので。
○国立循環器病研究センター峰松病院長
補足ですが、カバードステントのもともとの発想は、十数年前に循環器病センターの脳外科のドクターが、こんなのがあればいいなと。穴が少しあいていて、必要なところに血液が流れるけれども、動脈瘤のところは血栓ができる。そういう発想を実現するために、研究所で開発研究を開始し、試行錯誤を繰り返しながらここまで到達しました。発想から実現まで国循内で行っているという点で、特筆すべきものだと思っています。
○大西委員
大変そのとおりだと思います。ありがとうございます。
○永井部会長
福井委員、どうぞ。
○福井委員
研究のこのテーマ自体が成功した暁にはどれくらい患者さんの命を救うのかとか、またはQOLでもいいのですけれども、そういう数値がもしあれば、よりアピールすると思います。
例えば多孔化カバードステントがうまく開発されたら、今まで救われていなかった人がどれくらい救われるのかとか、AIを用いた診断精度のことだと思いますけれども、診断精度、予測精度が10%上がったら、どれぐらいの人でより正しい診断が行われて命が救われるのか、そういうのも今後出されると、いかに重要なテーマなのかがわかるから、いいのではないかなと思います。
○国立循環器病研究センター峰松病院長
カバードステントに関しては去年も実は同じ質問を受けた記憶があって、曖昧な言葉で濁してしまったのですが、現実に患者さんの数としては、今、これと類似しているのはあるのですけれども、全く手のついていない血管領域があって、これは多分年間で数百から数千ぐらいはあるのではないか。それから、非常に普遍的に使える可能性もあるので、そうなってくると、これはかなり大化けする可能性があるというところで、数字はちょっと言えないのですが、国内で年に1,000人程度、ワールドワイドにいけば多分数万単位の患者さんを救える可能性があると思っています。
○福井委員
そういうのをうまくアピールするようにプレゼンテーションがされるといいなと思っています。
○国立循環器病研究センター寒川理事
ただ、これを余り言い過ぎると、新聞等に出て、今すぐにでも患者に使えるような形の見出しでよく出るのですね。ですから、我々も、それはかなり進んで実証性ができてからでないと。まだ何年もかかるのを来年にもできるような形は医療機関としてなかなか言えないというので、非常に自重していると受けとめていただきたいと思います。
○永井部会長
では、藤川委員、それから祖父江委員。
○藤川委員
いつも循環器センターさんは非常にいい意味でしっかり稼げる開発をされるという印象を持っているのですけれども、6ページ目に革新的な治療法の研究開発の中でAIの話が出ていますが、ここで特許申請中ということが書かれていて、特許をとることによってある程度ビジネスモデルを独占化して、お金にかえることができるようなものというふうに考えてよいのか。ここの説明ではそのあたりがよくわからないのですが、しっかり稼いでいただけるということも必要なのかなと思って、そのあたりをお聞きしたいと思いました。
○国立循環器病研究センター峰松病院長
後で補足説明するということで、1枚紙がありますが、最初に準備したのは非常にわかりにくくて、これは何がAIなのだというところだったと思いますが、従来はいろんな予測をするときには、もうわかっている数字を取り込んできて、それで統計の解析をやってというような形だったのですが、人工知能は、カルテを自分で見て、その中から大事だと思っているものを引っ張り出してきて、それをこういったアルゴリズムに投入して、より精度を上げるという仕組みです。
これを実際やってみて、精度が10%以上上がったということを書いていますが、これは多分それ以外の疾患の発症とか重症度予測にも役立つのではないかということで、今、下のほうに書いてあるようなことをやっています。最終的には人工知能がカルテをばーっと見て、ある程度患者さんを発症する、重症化する可能性があるものとないものに振り分けて、それはどのぐらいの可能性があるとか、そういったことまで出していただければと思うのですが、そこで実は新たなアルゴリズムを組み込んでいるのです。それがちょうど特許に相当するというところで、これが非常にうまくいけば、いろんなところにベーシックなアルゴリズムとして使われる可能性があると思っています。詳しいことは私自身も余り知らないのですが、特許にかかわるということだけは聞かされています。
○藤川委員 今、こういうことをやっていらっしゃるところはほかにもいっぱいあるのだろうと思うので、循環器センターがすごく進んでいるのか、それとも一、二を争わなければいけないので早く頑張ろうというような感じなのか、ちょっとよくわからないなと思ったのですけれども。
○国立循環器病研究センター小川理事長
ちょっとよろしいでしょうか。
○永井部会長
はい。
○国立循環器病研究センター小川理事長
他でも一応やっておりまして、循環器、がん、精神科領域、いろいろやっているのですが、メソドロジーとして循環器は非常にやりやすいというのがわかりました。循環器分野が一番進んでいるというのは、病歴からのパターン認識が非常にできやすい。もともと循環器というのはそういう疾患なのですが、それが如実にあらわれた結果ではないかと思っております。
○永井部会長
祖父江委員、深見委員。
○祖父江委員
どうもありがとうございました。
非常に継続性を持ちながら、新しい方向も打ち出してきていただいて、非常にすばらしいなと思ったのですが、今も質問がちょっとございましたけれども、こういう臨床へアプライしていく研究をやろうと思うと、お金が相当かかりますね。それをどうされているのかというところがいつも非常に気になっているのですが、例えば企業との共同研究、あるいは先ほど特許の問題もちょっと話が出ましたが、その辺はどういう運転をされているのか。
○国立循環器病研究センター寒川理事
まさに非常に大事なところで、現実的に言いますと、企業等と共同研究でいろんな資金も獲得する方向で行っています。ただ、最近は企業も金を出しません。それと同時に、循環器領域、AMEDの予算等もがんには非常にたくさん資金を出しているのですが、AMEDの中にはそもそも循環器という領域はないのです。そういうこともあって、大型のプロジェクトというのはありませんので、そこで非常に苦労しています。ですから、前臨床、医師主導は、スポンサーなり公的資金がないとできませんので、そういうところで計画はしていても、まだそういったものが担保できないので、そこに上がれないというのは幾つもあります。資金さえあれば、センターは実際に医師主導を進める力は十分あります。
○祖父江委員 また後で出てくると思うのですが、今後企業を誘致するような形のモデル事業を開発されるということですので、その辺とつながると思うのですが、主には共同研究がメーンルート。どういう形をとられているのか、その点だけ教えてください。
○国立循環器病研究センター寒川理事
オープンイノベーションセンターは2年後、新センターではかなり広いスペースをとっています。これはあくまで共同研究です。貸しラボではありません。ですから、企業とセンターがタイアップして、企業からもセンターへ、研究者が、病院、臨床にも入ってきていただいて一緒にする。その上でできるだけ資金も出してほしい。そういうスタンスです。
○永井部会長
深見委員。
○深見委員
限られた時間の中で話題性のあるものという形で医療機器やAI等々を御紹介いただきましたけれども、より基盤的な研究成果というところで、ANPだけ御紹介いただいたのですが、先ほどインパクトファクターの非常に高いものもたくさんあるというお話でしたので、まだまだたくさんあって、来年に向けてとっておくのか、臨床につながるような、かつ芽になるような基盤的な研究成果があったら、もう一つ、二つ教えていただけるとありがたく思います。
○国立循環器病研究センター寒川理事
これは非常にたくさんありまして、例えば動脈硬化に関与する新しい遺伝子治療といいますか、RNAを使った治療とか、実際にも臨床にもつながる研究。またこれは評価書に記載されていると思うのですけれども、センターとして認知症に関係する研究ですが、認知症と言うと、アルツハイマーを主として考えるのですが、やはり血管性というのが重要ではないかということで、それを抑制するというような
研究も進んでいます。
主要な成果として幾つ出すのが適切かということですが、今回はそういう面でインパクトの大きいものとしては3つ出したということで、そのほかにもずっとナンバーを振っていますが、評価書には非常にたくさんの成果が記載されています。
○永井部会長
内山委員、どうぞ。
○内山部会長代理
毎年臨床に関連した素晴らしい研究を続けておられて、感服しております。私、個人的にちょうど32年くらい前、まだANPの市販キットが発売される前にANPを測定していたという経緯があるものですから、ANPに関して、特にγ-ANPについて期待を持って今回拝見しました。一方で、昨年まで紹介された研究で、ANPによる悪性腫瘍の転移、抑制というものがありました。その研究はその後どのように発展しましたでしょうか。
○国立循環器病研究センター寒川理事
現状として、先進医療Bで500例登録する予定で進めていまして、恐らく今年度中には250例投与群、250例非投与でランダマイズの登録が完了すると思います。ANPは循環器の薬なので、がんということで不思議に思われるのですけれども、ANPも含めていろんな因子が血管内皮の炎症の抑制に働く、こういった作用も血管拡張と同時にあるのです。考えれば、循環器系の因子というものは血管内皮の保護というのが非常に重要で、永井先生などもずっと内皮の研究をやっておられたのですが、そういう意味から血管の内皮を保護すれば、がん細胞は血中に出ても転移しにくいと。極めてシンプルな考え方です。
○内山部会長代理
成果を期待しています。
○永井部会長
斎藤委員、どうぞ。
○斎藤委員
祖父江先生の質問を直接的に、ちょっと下品な言い方でお聞きしたいのですけれども、AI、ディープラーニングさせるのにどのくらいの費用をおかけになったのか教えていただけますか。先ほど財政危機何とか警報のような感じでお出しになって、大変な努力をなさったと伺いました。その中でお金を捻出するというのはとても大変なことだったと思うので、どのくらいの金額か、大ざっぱで結構ですから教えていただけますか。
○国立循環器病研究センター宍戸理事長特任補佐 後ろから失礼いたします。初期投資が諸々含めて約5,000万円ほどかかっております。それ以降、ランニングコストとして年間1,500~2,000万ぐらいかかりまして、それぞれのテーマごとに、例えばWatsonの中でも、今、Watson Explorerで自然言語処理したりとか、そのほか例えばゲノムを扱う場合には、ほかにもまたそういうものを導入していかなければならなくて、それぞれにものによっては数千万円という費用がかかるので、今、テーマを絞って段階的に進めていっているところでございます。
○永井部会長
祖父江委員。
○祖父江委員
意外とそんなに高くないなと思ってびっくりしたのですけれども、もう一つだけ。AIは、この間ちょっとお聞きしたときは、ゲノムは入れておられない、インクルードされておられないという話を聞いたのですが、ぜひ将来的にはゲノムも。ゲノムをやると物すごくお金がかかるかもしれませんけれども、入れていただけるといいかなと思っているところです。
○国立循環器病研究センター寒川理事
先生、物すごくお金がかかると思います。
○祖父江委員
そうですね。だけど、非常にいいのではないかということと、それからゲノムの関係でメディカルゲノムセンターというのは、各ナショナルセンターこぞって皆さんおつくりになっているのですが、6ナショナルセンター全てつくっているかどうかわかりませんが、ほぼつくっていると思うのです。横のつながりというか、ナショナルセンター全体でゲノム関係のことをやっていこうという動きがあるのかどうか。例えばコントロールをどうされるのか。例えば東北メディカル・メガバンクと組むとか、全体的な構想としてもうちょっと将来を見据えたものがあるかどうか、ちょっと教えていただきたいのですが。
○国立循環器病研究センター寒川理事 ゲノム研究のもとになるバイオバンクというのがあるわけで、それを使ってゲノムのほうに行こうというのは基本的。ただ、ゲノムを進めるのは非常に資金が要ります。それはAMEDのそれぞれの領域におけるプロジェクトでカバーされて、本来はナショセンが一体になってできればよかったのですが、そうすると、ナショセンだけだということになるので、大学も入れてということで、それぞれの疾患領域ごとにプロジェクトは進んでいるということですけれども、基本的にこれまでバイオバンクというナショセンの間で一つのネットワークがありますので、そういったものも含めて今後も連携してやっていくというふうに考えています。
○永井部会長
どうぞ。
○花井委員
大変素人的な質問で申しわけないのですが、AIというのは定義がいろいろあってわかりにくいのですが、ここを見る限り、例えば自然言語を自動抽出したアルゴリズムで、一定のイベント項目とクロスさせて集計させるというアルゴリズムは今まで存在したと思うのです。AIを使うというときに、まずクラスタ自体は外にあるという理解なのですか。何を心配しているかというと、そのデータ自体が抽出されたときに、そのデータ自体がイントラネット上のクラスタにあるのであれば、それはそれで一つのアルゴリズムを形成しているわけですけれども、外部のクラスタを使うことになると、外部のAIがそれを認識しているわけだから、そうすると、患者情報のコントロールというのは一体どこでしているということになるのですか。AIといって、これはイントラネット上にクラスタがあるということなのですか。
○国立循環器病研究センター峰松病院長
今の段階では閉じられたサーキットの中でやっていますので、個人情報の問題はかかってこないですが、これを応用するときには、その問題をどうクリアするかというのはテーマになると思います。
○花井委員
クラウド上のクラスタを使わないと膨大なことができないですね。そのときにそういうコントロールの問題、外国にはあったりするのでしょうけれども、それをどういうふうにクリアするかというのが気になりました。
今みたいな成果だったら、今までのいわゆる記述可能なアルゴリズムとそんなに革新的な感じはしないのですけれども。
○国立循環器病研究センター峰松病院長
いやいや、委員が今言っているのは、ネット上にある、あるいは外部からの情報であって、医療情報はカルテに書かれている、センター内の組み合わせということで、幾つかの項目をネット上から拾ってきてどうこうというのではないので。
○花井委員
いやいや、私はAI自体のコンピュータクラスタの話をしているので、今おっしゃったように、イントラネット上にあるということなので、今の段階では問題ないというのは理解したのですが、今後大きな成果を出そうと思うと、今、ゲノムとかが出てきた中で、そんなスーパーコンピュータを各病院が持つというのはあり得ないから、そのネットワークの中でやっていくときにある程度問題になってくるかなということです。
○永井部会長
IBMを使われるわけですね。そうすると、基本的なところのアルゴリズムとかソフトはIBMのものを使うわけですから、初めは安くても、全部情報を持っていかれて、あとお高くつくことになりませんか。結局、自前の開発ではなくなってくるのではないかと思うのですが、その辺はどう考えたらよろしいのですか。
○国立循環器病研究センター小川理事長
これは西村先生という方がやられているのですけれども、先生おっしゃるとおり僕もその懸念を持ったのですが、Watsonでどの電子カルテでも全て読み込める、どういうパターンでも全部読み込めるというのは一応確認していまして、別にIBMもそれでいろいろ稼ごうというのでなくて、そのシステムをつくるというのが目的で、電子カルテはどれでもいいという話です。
○永井部会長
もちろん、IBMのWatsonというのはどんなカルテでも対応するわけですから、どの電子カルテを読むかでなくて、分析する自然言語処理とか、いろんなノウハウが彼らにはあるわけですね。それに依存しているのではないかということなのですが。
○国立循環器病研究センター宍戸理事長特任補佐 自然言語処理に関しましては、ほとんどWatson Explorer依存ですけれども、辞書に関しましては、先ほど価格の話もありましたが、購入するというよりも、研究に関して契約を取り交わして、辞書等の知財の扱いに関しても一応契約書の中には入れてございます。恐らく今回のAIの中では、我々がつくった辞書のところ、カルテにどういう記載があったときに、胸痛あり・なしにするとか、そこのところは一応契約書で縛りをかけてあります。ただし、契約書の段階から日本のほうはオーケーでも、例えば米国のほうがなかなか承諾してくれない項目がございまして、そういう点は知財の担当者も入って縛りをかけるような形で進めてはおります。
○永井部会長
祖父江委員。
○祖父江委員
先ほどお聞きしたのはその意味なのです。AIで、ゲノムが今のところ入っていないと。将来的にはゲノムを入れた、AIとは限りませんけれども、少なくとも6ナショのセンターぐらいの共同の基盤を持つべきではないかなと思うのですが、そうなると、今のシステムの言語の共通化とか、カルテをどう突合するのかとか、そういうことをどこまで入れようとするのかというのを、将来構想として考えておいていただくといいのかなというのが先ほどの意見です。
○永井部会長
よろしいでしょうか。本田委員。
○本田委員
済みません。高度な議論の中ですごく素人的なことを伺うのですけれども、AIのところなのですが、先ほど循環器の分野がとても病気のパターンが読みやすくて、適しているのだというお話がありましたが、こういうのが今あちこちで進み始めていますね。循環器の分野というのはこちらだけがやっているのですか。それともどこかと連携して。また、これを確立した後、どういうふうに使っていくというものなのですか。
○国立循環器病研究センター小川理事長 これは、がんの分野、精神科の分野、それぞれ1つか2つの病院でずっと共同研究をやっているようですが、循環器の分野は、私が聞いた範囲では当センターだけと聞いています。循環器の中でも特に心臓のほうが読みやすいと。ちょっと言葉は悪いのですけれども、病歴が割とシンプルですので、データも全部そろっていますし、予後もはっきりしているので、使いやすいというのを聞いております。
○永井部会長
では、福井委員。
○福井委員
簡単に伺いたいのですが、その場合、そもそも循環器の病気というのは誰が判断するのでしょうか。がんについても同様です。結局、ゼネラルなポピュレーションからそれぞれの臓器に絞るところで、誰が絞ったポピュレーションについて話をしているのでしょうか。
○国立循環器病研究センター小川理事長
それはゼネラルでまだ行っていませんで、まず循環器の中で、今やっているのは心筋梗塞ですから、救急で入院した患者さんです。がんはがんセンターではないかなと思うのですけれども、そこに入院した患者さんで。ですから、ゼネラルからそこをぱっとより出すまでは行っていないです。
○福井委員
では、病気の診断がついたグループについての話をされているわけですね。
○国立循環器病研究センター小川理事長
今は。
○国立循環器病研究センター寒川理事
予後です。
○福井委員
そうですか。
○永井部会長
よろしいでしょうか。
では、続きまして、医療の提供等、その他の業務の質の向上に関する事項。評価項目1-3から1-5について説明をお願いいたします。
○国立循環器病研究センター峰松病院長
病院長の峰松が担当します。
11ページからになります。最初は評価項目1-3で医療の提供に関する事項です。先進医療の提供とか心臓移植、多職種の協働チームの実践、それから、これから非常に問題になります心不全、特に終末期の心不全患者に対する医療提供体制のあり方に関する検討というあたりを目標にしてやらせていただいています。
今回の自己評価はBという形にさせていただいております。
具体的な内容に関しては、12ページ、13ページで説明させていただきます。12ページの高度・専門的な医療の提供に関して、具体的なものとしては難治性の希少疾患であるヘパリン起因性血小板減少症。これは非常に重篤な疾患ですが、今まで精度にちょっと問題がある検査方法しかなかったのに対して、感度ほぼ100%、特異度も98%という極めて精度の高い検査方法を開発しております。一応、国内のHITセンターという役割で、全国384施設から昨年度1年間で1,000例以上の症例のコンサルテーションを実施したということです。
脳梗塞の急性期治療も我が国のセンターとしての役割をずっと担ってきましたけれども、血栓溶解療法、特にt-PAは昨年1年間で124例。過去も含めて国内最多の実績を上げています。
最近は血管内治療も非常に有効だと言われていますが、たしか数字は78例とかそれぐらいだったと思いますが、これも国内トップレベルの実績を上げております。
外科治療も、非常に難しかった外科的な再弁置換術を経カテーテル的にやろうという臨床研究を開始しております。昨年度は4件実施して、これが非常にうまくいけば、非侵襲的、低侵襲的な治療が可能になると考えています。
それから、心臓再同期療法がやられていますが、新たなアルゴリズムに基づくデバイス。これは資料に絵が描いてありますが、1分ごとにモニターを繰り返すことにより、エコーなどを使った最適化作業が不要になりました。国際共同治験が始まり、昨年度は国循から5件の症例登録を行いました。
それから、これはちょっと古い実績ですが、救急車の中で12誘導心電図をとって、それを医療機関に伝送する。このシステムでずっとデータをとってきていまして、その結果が発表されました。吹田市はもともと救急体制が整っていたところなのですが、今回のシステムの運用によりインターベンション開始がさらに3分から10分程度短縮ができたという成果が上げられています。
それから、脳梗塞の治療選択、トリアージに有効な病院前脳卒中スケールの開発を行いました。今、急速に日本国内で普及しています。
心臓移植は、昨年度内で実施件数が17件、昨年度末までに94例の累積症例数を重ねることができました。今年の話になりますが、先日100例を突破したところです。
補助人工心臓装着は、昨年度1年間で28例実施しておりますが、植込型がそのうちの19例、これは国内でもトップの数字です。
下のグラフは心房細動の根治治療件数で、真ん中の緑のものが28年度で、160%の達成。補助人工心臓の外来管理。いかにたくさんの患者さんを管理しているかということですが、これも155%の達成でした。
13ページに自己決定への支援ということで、遺伝子カウンセリングをたくさん実施しました。それから外来でいろんな啓発・教育イベント、計24回、2週間に1回のペースで開催し、1,000人弱の患者さんが参加しくれました。
3~4年前から循環器緩和ケアチームを結成し、活動しています。これは悪性疾患ではなくて、循環器の末期の患者さんに対する緩和ケアをどうするかということですが、右下にグラフが出ていますが、この3年間は60例から77例、80例までの間で推移していて、昨年度は67件実施できています。昨年度末に活動内容をまとめた『多職種カンファレンスで考える心不全緩和ケア』という本を出版しました。
ハートチームですが、弁膜症・冠疾患・重症心不全といった疾患は、従来、普通の病院ですと心臓外科が中心になってやるのでしょうけれども、センターでは内科も外科も一緒になってやるというハートチームをつくって作業を始めているというところです。
右上の終末期医療モデルですが、今までは移植を前提にした補助人工心臓の植え込みがやられていましたけれども、いよいよ国内でも移植を目的としない、いわゆるDestination Therapyを導入しようということで、治験が始まっております。センターでも1例実施したところであります。
以前から重症患者さんに関しては、死に至る前から多職種でカンファレンスをやって、治療方針等を検討するという重症回診のシステムをやっていますが、昨年度は135件。こういった中から問題性があると思われた症例に関しては、事例検討会を病院長も参加してやるということで、これを23件行っています。特に問題になったのは、対策会議ということで、1件だけやっていますが、外部委員を必要とするようなものはありませんでした。
病院の中に病院倫理委員会を設置して、それに対応する形で臨床倫理室をつくらせていただいています。ここでは従来の研究倫理を審査するのではなくて、未承認、適応外治療等々に関して妥当かどうかということを検討させていただいています。9件の実績がございます。
ほかにも連携登録医施設、手術件数、病床利用率、平均在院日数、入院患者数等の数字がありますが、いずれも目標を上回った実績を上げることができました。
評価項目1-4、人材育成に関する事項ということで、14ページを見てください。専門医あるいは多職種で人材を育成するというのが目的であります。今年度は自己評価はBという形にさせていただいております。
15ページを見ると具体的な内容が書いてあります。連携大学院を数年前から積極的に始めておりますが、現在連携大学院は17大学に及んでおります。昨年度はセンター職員7名が博士号を取得しております。東北、京都、大阪、熊本大学などであります。
同志社大学との連携講義、それから薬剤師のレジデントを連携大学院、研究大学に入っていただいて、うち1名が博士号を取ったということです。
ほかにも他機関との交流は積極的に行っています。国外も中日友好病院の神経内科医を脳卒中研修に受け入れたということがあります。
右上のほうになりますが、低侵襲心臓外科手術。全国9つの大学病院から研修を受け入れております。
小児薬物療法に関する薬剤師の研修を6名受け入れました。
海外からも妊娠・分娩管理に関する研修を受け入れているということで、心疾患の合併妊娠に関しては、国循が中心になって取り組ませていただいています。
あとは従来からの脳外科、生物統計家、最後のほうに書いています産婦人科、脳血管外科のフォーラム、セミナー等を開催しました。
私の担当の最後ですが、1-5。これは16ページに書いてあります。政策医療に関する提言、あるいは医療情報をアピールする。それから海外との連携などが目的になります。
今年は、自己評価はAとさせていただいております。
具体的な内容に関しては17ページと18ページに挙げております。一つは国の政策提言に関する事項ですが、脳卒中学会と日本循環器学会が昨年12月に関連19学会と協力して、初めて「脳卒中と循環器病克服5ヵ年計画」を策定し、発表しました。最初の段階から循環器病センターのメンバーが深く関与し、委員25名のうち4名が国循の現役スタッフ、2名が国循のOBということで、25名中6名が国循関係者でした。もちろん、一つの施設としては最多です。
2ですが、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」のガイダンス改正。これには循環器病センターの医学倫理部長が参加して、かなり倫理関係に関する意見を反映させていただいています。
3日産婦、日産婦医会が共同で行っている全国妊産婦死亡評価委員会。これは循環器病センターが長年にわたって事務局を担当しています。最終的に死亡事例をまとめて、『母体安全への提言』という書籍を発刊し、全国に配布しました。
ネットワーク構築に関しては既に紹介しましたけれども、NeCST、脳卒中データバンク、それから研究としてやっています循環器病救急データベースを用いた予後改善のための研究等々です。
下のほうの「診療ガイドライン」と書いているところですが、「大量出血例に対する輸血治療ガイドライン」の策定を中心的に行わせていただきました。一つは、産科的なものです。それから新鮮凍結血漿の使用に関するガイドライン。これまでのものは実用に合わないということで問題になっていたのですが、センターの診療部長が委員長になって改訂作業を行いました。その内容は、今年の3月に10年ぶりに改訂された厚労省の「血液製剤の使用指針」の基礎資料として活用されております。
情報発信としては、吹田市の全公立小学校に対する脳卒中講義、教室、それから生活習慣病に関する書籍発刊。これは循環器病センターの書籍として『データまるわかり!国循のなぜこれが生活習慣病にいいのか?』を発行させていただいています。
「かるしお」に関しては以前から紹介しているとおりですが、昨年は第3回のS-1g(エス・ワン・グランプリ)を開催しました。岩手県立中央病院チームがグランプリを獲得しました。
国際貢献として「明美ちゃん基金」を使った医療支援。今回は特にミャンマーに医療団を派遣して、多くの小児患者の開心術を実施しましたが、その中心的なメンバーとして参画しております。ミャンマーからは、2カ月間病理研修も受け入れましたた。セルビア人女児に対するバイパス手術等も行っております。
最後に、公衆衛生上の重大な危害への対応ということですが、昨年は熊本地震が発生しました。4月14日と16日に震度7の地震が2回発生しましたが、それから1週間もたたない4月21日、熊本県からの要請を受けて、被災地に支援チームを派遣しました。これは医師4名、技師や看護師も加わり、ドクターカーも出動させました。18ページに出ていますが、バスのような大きなドクターカーに診断機器等を搭載して熊本市内まで行き、丸2日間にわたって避難所等々で主にエコノミー症候群のスクリーニング評価を行ってきました。その後もやりとりがあり、1年間の成果として書籍が出版されました。理事長の前任地が熊本大学の循環器内科ということもあり、連携が非常にうまくいった事例になりました。
以上が私の担当するところです。ありがとうございました。
○永井部会長
ありがとうございます。
それでは、御質問、御意見、お願いいたします。
参考までに、HITの検査法を新たに開発されたと。具体的には何を測定するようにしたのでしょうか。
○国立循環器病研究センター峰松病院長
今、使われているのがかなりフォールスポジティブ。本当はHITでないのだけれどもHITと判定してしまって、それから幾つか検査しないとなかなか出てこないと。ほかの臨床試験のデータなどもあわせて評価・診断するのですが、これはたしか血小板にマークをつけてやるようなやり方で、私、詳しいことを知らないのですが、非常に精度が高くて、多分国際的に持っていっても十分に通用するものだと。ただ、保険等はまだ通っていないので、全部持ち出しで、今、国内の症例を集めてやっているところだと聞いています。
○永井部会長
それの知財は確保されていますか。
○国立循環器病研究センター峰松病院長
確保してあります。
○永井部会長
いかがでしょうか。藤川委員、それから福井委員。
○藤川委員
今までほかのところにおいても120%を超えているようなものもあるけれども、割と穏やかな評価をされているケースが多かったのですが、1-5のところで、数値目標の達成ぶりという意味ではほかのところとすごく違うわけではないのだけれども、ここをAにされたわけですね。この理由を特別に。
○国立循環器病研究センター峰松病院長
ここはなかなか数字であらわせないのですが、一つひとつのクオリティーが高いのではないか。我々の内部評価と言ってもいいかもしれませんが、先ほどの五ヵ年計画とか倫理指針の問題も非常にインパクトの大きなガイドラインですし、それから輸血に関しても、大量輸血しても保険の査定を食らってどうしようもないのですが、これはエビデンスがうまくそろっていなかったということで、実用に合ったようなガイドラインをつくっていただいて、それが厚生労働省のほうの指針にも反映されたということです。これはなかなか数字としてあらわしにくいものですけれども、クオリティーは非常に高いということで、最初はBにしていたのですが、どう考えてもこれはAでいいのではないか。それから熊本の発災のときの支援も相当貢献があったと聞いていますので、自己評価ではありますが。
以上です。
○藤川委員
質的なところを反映されたということですね。
○国立循環器病研究センター峰松病院長
はい。
○藤川委員
福井委員、どうぞ。
○福井委員
2点ほど伺いたいのですけれども、13ページの重症回診及び事例検討会の実施に関しまして、以前は経過に疑義があるような患者さんについての定期的なカンファレンス、例えばモータリティカンファレンスみたいなものは特になかったということなのでしょうか。それで、新たに副院長が。
○国立循環器病研究センター峰松病院長
これは以前から継続的にやっているものです。特に重症回診というのは、かれこれ10年ぐらいの歴史があって。
○福井委員
以前からあるものについての話ですね。
○国立循環器病研究センター峰松病院長
病院全体を挙げて、全ての重篤症例を捕捉して、病院、多職種で治療方針とか家族に対する説明とか、そういったものをやるという方向で。日循のガイドラインにもこの取り組みというのは紹介されているようなもので、これをずっと継続的にやっているということです。
○福井委員
もう一点よろしいですか。
○永井部会長
はい。
○福井委員
心不全の患者さんでの緩和ケアの件ですけれども、緩和ケアを行うということの取っかかりというか、例えばがんの患者さんでしたら、治癒を目的とした治療はもう行わないとか、病院によって緩和ケアに入る手続がちゃんとしたやり方があるのですけれども、心不全の患者さんの場合には、緩和ケアを受けるか受けないかというのは、患者さんの医師を確認するとか、そういう手順のある話なのでしょうか。全ての心不全の患者さんに適用されるもの。
○国立循環器病研究センター峰松病院長
全てではないと伺っています。これは病棟の医療従事者のカンファレンスの中で、これは介入したほうがいいという人たちを中心にやっているということだと聞いております。
ただ、がんと違う要素が非常に大きくて、心不全というのは重篤のように見えても、治療効果でよくなって退院されますけれども、また入ってくる。そうしながらだんだん悪くなるという特殊なコースをたどるということで、これに関する緩和ケア的なアプローチが従来なされていなかったのを、これから非常に大きな問題になるということで、いち早く取り組み始めた。まだ試行錯誤の段階だと。
これは先生のほうから。
○国立循環器病研究センター小川理事長
先生も御存じのように、心不全、何回も何回も入院を繰り返して、本当にこれでいいのだろうかというのはいつも問題になるわけですけれども、心不全だけでも年間3,000例以上の患者さんが入院されまして、その中で御家族の希望とかそういうのを聞きながら緩和ケアをやっているということでございます。心臓移植も多いですし、人工心臓も一番多いのですが、循環器病センターがそれをやるので意義があるのではないか。心臓をやっている人なら、緩和ケアをやるべきだというのはわかっていたのですけれども、やはり国立循環器病研究センターでやるのが一番だろうということで始めたというところでございます。臨床心理士とかそこら辺のメンバーも加わって、非常にうまくいっているというところです。実際緩和ケアに入ってから割とよくなったような症例もありまして、非常に効果を上げているところでございます。
○永井部会長
祖父江委員。
○祖父江委員
非常に積極的にいろいろトライをされているようで、大変いいなと思ったのですが、これは研究とも絡むと思うのですが、ナショナルセンターは、例えば循環器なら循環器の全国動向、日本全体として実態がどうなっているかというような把握のセンターであるべきではないかというのは、前から私どもは申し上げているのですが、もう一つは長期的なリアルワールド型の予後の検定とか、そういうことが今後、非常に重要になってくるのではないかなと思っているのですが、そういうことをきちっと実施していこうと思うといろんな枠組みが必要だと思うのです。僕は、その一つに法制化もあるのではないかなと思っているのです。がんみたいな。今の話を総合してどうお考えなのかをお話しいただけるとありがたい。
○国立循環器病研究センター峰松病院長
いわゆるレジストリーが一つの大きな解決策だと思いますが、これに関しては、循環器、心臓領域に関しては、日本循環器学会とタッグを組んで、循環器病センターの事務局で全国の教育施設の毎年のアニュアルレポートを回収して、それを分析するということをやられています。これだけだと施設統計なので、さらにDPCと連動するとか、レセプトデータで個票を入れ込むという作業を今やっているところです。
脳卒中のほうは個票を集めて、手挙げ方式で集めるということをやってきたのがJapanese Stroke Databankですが、これも先ほど言った悉皆性を高める取り組みも一緒にやらなければいけないということで、両極端とも言える方法論を同じ循環器病統合情報センターという枠組みの中に投入し、先生がおっしゃったようなものをつくっていこうと考えています。
ただ、やはり限界があります。資金の問題と強制力の問題があって、この辺は法律の問題、がん対策基本法みたいなものがあれば全然違うと思います。これに関して、実は私自身がその運動の一つの役割を果たしていますが、循環器病センターの立場とはまた違いますので、ここでは余り言いません。そういった活動も裏でしっかりやらせていただいています。
○国立循環器病研究センター小川理事長
補足、よろしいですか。
○永井部会長
どうぞ。
○国立循環器病研究センター小川理事長
脳のほうは、峰松先生が脳卒中データバンクというのをやられたのを今、循環器病センターに持ってきていますし、心臓血管のほうは循環器学会と共同して。国立循環器病研究センターがやるというと、なかなかうまいこといきませんので、循環器学会が主導して、事務局だけ循環器病センターに持ってくるということで、2013年から持ってきまして、今、日本の循環器の専門病院1,300あるのですけれども、全ての症例、心筋梗塞が7万例、心不全が25万例とかデータがございます。その中でDPCがございまして、DPCのデータを使いたいのですが、DPCに入っているのが1,300のうち1,100あります。特に大学病院が多いのですが、個人情報の問題で出せないと言われまして、注意をして個人情報は全く出していないのですけれども、それでも疑いがあって、提供しないという病院が少しあります。それでも600病院のデータがありまして、今、データとしては75万件のデータが入っております。
それから、永井先生がおっしゃった長期予後に関して何とかならないかということを言われまして、循環器病センターでSS-MIX2というのを入れておりまして、これは全国の国立病院に入っているものですから、その中で循環器病センターの心臓のほうをモデル事業としまして、先ほど言いました病歴の問題とかカテデータの問題、エコーのデータ。エコーのデータ、カテのデータはほぼ取り込めるようになっていまして、これがうまいこといきますと、全国の国立大学の80病院と全国の国立病院に全てそのシステムが入っておりますが、十分使われていませんので、何とかそれを使えるように持っていきたいと思っております。
○祖父江委員
非常に重要だと思いますが、余りディスクローズされていないので、今後それをアピールしていただけるといいかなと思います。
○永井部会長
これは中期計画の中で立てるときに相当言われた話なのです。ですから、悉皆性を求めて、少ない項目で横断的に見るということでした。しかし、それは断面でしか見えないわけです。もう一つは、少数の施設でもいいから多数の項目で長期予後を見ていく。2つのアプローチが必要で、断面調査は大分軌道に乗っていると思うのですけれども、これから必要になるのは縦断的な調査です。ぜひこれのイニシアチブをとってほしいと思います。
よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、次に、業務運営の効率化、財務内容の改善、業務運営に関する事項。2-1から4-1について御説明をお願いします。
○国立循環器病研究センター西辻企画戦略局長
企画戦略局長の西辻です。かいつまんで説明をさせていただきます。
まず、概況説明資料の20ページをご覧いただければと思います。28年度の経営状況でございます。冒頭理事長から御説明申し上げましたように、27年度の経常収支はセンター全体で約6億4千万円の赤字ということで、理事長が6月に財政緊急事態を宣言し、理事長のリーダーシップの下で収入、支出両面にわたる対策を講じてまいりました。
結果、28年度は約2億強の赤字ということで、約4億円強改善しているという状況であります。その大きな柱というのは、当然医業収支になるのですが、右側に再掲しておりますように、収益は、入院、外来いずれも大幅に増加しております。特に入院に関しましては、1日1人当たりの点数、1日平均患者数、いずれも増加して、結果的に7億強の増収につながった。
費用に関しましては、これも先ほど理事長のほうから少し言及がありましたけれども、診療材料費、循環器はどうしても高い材料をたくさん使うのですが、全国的に見ても高い価格で調達をしているものがありましたので、センター一丸となって価格交渉を行った結果、トータルで診療材料費1億1,000万程度引き下げがあった。
上のほうの表に行きますと、医業の利益が27年度は8億強の黒字だったものが、約17億の黒字ということで、医業収支が倍増いたしました。これがセンター全体の経常収支の赤字の圧縮につながったというのが全体の状況でございます。
具体に中身の説明をさせていただきます。21ページ、業務運営の効率化に関する事項ですけれども、数値目標が何点かあります。2のところの下に黒ポツで3つほど書いてあります。まず、経常収支の目標は100%としておりますが、赤字の削減にはつなげられたのですけれども、まだ100%には至っておらず、99.3%という状況です。次にジェネリックのシェア、これは目標を上回っている。一般管理費は26年度比のマイナス5%を目標としておりますが、いつも指摘されるのですが、私どもは、平成31年度の移転建てかえに向けてどうしてもいろんな委託費等々が増えておりますので、金額的には目標からすると8,000万ほどのオーバーなのですけれども、率にすると、マイナスではなくて、プラス28.1%という状況になっております。
内容について御説明させていただきますが、23ページをご覧いただければと思います。これは効率的な業務運営等のところですけれども、左側の真ん中ほど、効率化による収支改善が財政緊急事態宣言に関する取り組みの効果ということですが、1から6まで、緊急事態宣言のメニューに沿って改善の効果を表示しています。患者数減少への対応。これは病院長以下、病院のスタッフが一丸となって近隣の医師会等々から患者の紹介をどんどんとっていく、あるいは救急をどんどん受け入れるという取り組みをやった結果、3.5%の増。
診療材料調達価格に関しては、先ほど御説明したとおりです。
職員数の管理の徹底ということで、勤務体制とか夜間の当直等の体制を見直す。あるいは基本的には純粋な人員の増というものは行わない、スクラップ・アンド・ビルドをやるということを徹底した結果、人件費の抑制につなげているということでございます。
右側の上、超過勤務の適正化ですけれども、職員の健康管理、あるいは働きやすい職場の実現という観点から超過勤務の抑制を行いまして、27年度と比べて超過勤務手当の金額が1億以上削減されております。
事務費に関しましては、いろいろな消耗品とか備品とか、できるだけの削減も行って、前年より1億4,000万円程度減となっております。
こうしたものが財政緊急事態宣言の効果として収益につながっているということです。
評価項目3-1の自己収入の増加、資産および負債の管理。右下の欄、外部資金等の受入状況なのですが、外部の研究費、AMEDの委託費、厚労科研、文科科研等については、前年度比24.7%減ということになっております。
寄附金の受入につきましては、前年度比6.6%の増。
特許収入に関しましても、前年度比156.3%の増という状況になっております。
続きまして、25ページ、コンプライアンス関係であります。前情報統括部長が逮捕、起訴され、まだ公判が続いておりますが、それを受けて設置した第三者委員会で27年度に提言をいただきました。それを受けて27年度にできるものはやったのですけれども、残りのものを全て28年度に対応しております。それが1から4の部分であります。コンプライアンス体制の強化ということで、コンプライアンスの専任職員を配置するとともに、コンプライアンス研修を実施して、受講率100%としたということ。あるいは入札監視機能の強化ということで、入札部門とシステム部門の連携を図る仕組みをつくった。
それから、業者との接触に関するルールの周知徹底、アンケート結果等を踏まえた対応をとっている。
ガバナンスの強化の一環として、コンプライアンス室長。これは非常勤の外部の弁護士なのですが、執行役員として執行役員会に毎月出ていただいて、各般の観点から御意見をいただくような体制をとっております。
その他の事項といたしまして、移転建替に向けて着々と進んでおります。28年8月から建築に着手しております。順調に進んでおります。
右側のほうですけれども、移転地を取り巻くエリア、北大阪健康医療都市(健都)に関しましても、地元自治体、アカデミア、経済界等を含めた協議体で盛り立てていただいて、いろいろなものが進んでいるということでございます。
そこに地元自治体が分譲していただくイノベーションパークについても、第1期の募集が行われて、大阪市にあるニプロ株式会社が本社を含めて移転をするということになっております。
それから、先ほど健都への事業者、マンション事業者の協定を結んで、マンションの居住者に対する健康管理等を行うということ。先ほど御説明申し上げたとおりです。
その他の事項として人事システムの最適化ということで、女性職員等の雇用・幹部登用の促進ということで、ダイバーシティー人材育成推進室を設置いたしまして、女性あるいは障害者だけでなくて、外国の方々の採用、登用といったものを進めているということでございます。
簡単ですが、説明は以上でございます。
○永井部会長
ありがとうございます。
御質問、いかがでしょうか。斎藤委員、それから藤川委員。
○斎藤委員
経費削減を大幅になさっているにもかかわらず人件費は上がっているというのは、おもしろいなと思ったというか、ちょっと注目したのですが、通常でしたら人件費カットというのは非常に安易なやり方なのですが、それをなさらなかったというのは、職員の待遇を落とさないようにということなのでしょうか。それともほかの何か理由があったのでしょうか。
○国立循環器病研究センター西辻企画戦略局長
人件費はトータルで増えているのですけれども、人員自体については、正職員についてはスクラップ・アンド・ビルドを原則としていますので、純粋な職員の増は行っていません。ただ、待遇、処遇という面では、やはり少ないというか、増えない人数で一生懸命仕事をしていただく以上は、そこを切り込んでモチベーションを下げることになっては元も子もないものですから、人は増やさないけれども、あなた方にはとにかく頑張ってもらいたいので、引き続き今までどおりお願いしますよということでやっております。
あと、レジデントがどうしても新しい専門医制度というものを念頭に置いて一時的に増えているものですから、その分で人件費が若干膨らんだと考えております。
○永井部会長
藤川委員。
○藤川委員
宣言をされて、医業収支に関してはかなりの効果が出たというところだと思うのですが、PLに関して3カ所教えていただきたいと思います。
1点目は、一番大きい変化があったなと思うのですが、研究収益がすごく減っているのですね。平成27年が例年に比べて大きかったのかなという気もしなくはないのですけれども、とはいえ、どうして減ったのか、その増減の理由を一つ。
それから、補助金等収益が、5年ぐらいで拝見しますと、2億から4億強ぐらいのところで推移しているように思われるのですが、今期は4,200万ということで、ちょっと少ないなと思ったので、その理由を2つ目。
3つ目は、固定資産の除却損なのですが、金額は大きくないのですけれども、例年大体100万円台、少ないときは200万円ぐらいのところを、今回2,300万円出ていまして、移転の影響なのかもしれないなと思ったのですが、皆さん、ぎりぎりというか、耐用年数以上に使われるようなケースが多いので、これが出るのは余りないため、理由を教えていただきたいなと。効率的な資産の使用がされているのかどうかという観点からも教えていただきたいと思いました。
○永井部会長
どうぞ。
○国立循環器病研究センター寒川理事
1点目の研究費ですけれども、これは委員の指摘のように、27年度は少し多かった。28年度はAMEDの大型のプロジェクトがなかったということで、これくらいのAMEDからの大きなプロジェクトがあるかどうか、特に循環器に対応するのがどうかというのは、センターに大きい影響があります。その分共同研究等の外部資金を増やすという方向になっています。
○国立循環器病研究センター西辻企画戦略局長
では、残り2点、補助金と除却損についてです。
補助金のところなのですが、基本的には国からいただいくものというのは運営費交付金がメーンであって、それ以外の補助金というのは、一時的に例えば補正予算でついたものとか、ないしは移転建替に伴って、例えば内閣府か何かの補助金をもらえそうだとか、そういうものが中心になってくるので、毎年毎年一定額でいくというものではそもそもないのですが、ここの落ちが大きいのは、早期探索の事業といって、厚労省から結構大きな補助金がずっとついていたものが段階的に落ちてきているものが実は1個あって、それがここに大きく響いていると思います。
除却損ですけれども、センターの職員が自ら獲得した外部研究費等で購入した研究機器等があるのですけれども、その職員が他の大学等に移ってしまい、その際に機器等もその大学へ移管したため、資産を除却損として計上しております。
○永井部会長
藤川委員。
○藤川委員
それは有効活用ができないということになりますか。
○国立循環器病研究センター西辻企画戦略局長
その職員が自分で研究費をとってきたものなので、違う大学に行ってもその研究がその方のもとで続くということであれば、当センターでそれをずっと置いておくということは難しいと考えております。
○永井部会長
私から業務の効率化という意味では、サービス改善ということが大事だと思うのです。非公開資料、机上配付資料の22ページをご覧いただきますと、外来の診療待ち時間を今回報告いただきましたけれども、循環器病センターは非常によろしいと思うのです。患者さんが30分以内の待ち時間、あるいは30分以上1時間未満、合わせて80%ぐらいですか。やはり1時間以上待っていらっしゃる患者さんが10%ぐらいおられるわけです。がんセンターをご覧いただくと、これが7~8%ですか。まだまだ改善の余地があるのではないかと思うのです。
恐らくこれはドクターが診られないほどの患者を一定の時間の中に詰め込み過ぎているということだと思いますので、ここは個別に指導していただきたいと思います。
ほかのセンターに比べて、もっと待たせているところがあるわけですが、そういう意味では国立循環器病センターは相当改善されている。これを何年か前に議論したことがあるのです。できるだけ枠を小さくしないといけない。そうすると、待ち時間が減ってくるわけですが、できるだけこれを徹底していただきたいと思います。
もう一つ、今回新たに資料の提供をお願いしたいのはICUの勤務体制なのです。18ページをご覧いただきたいのですが、ICUというのは2対1看護ですね。ですから、10床ICUがあれば、5人看護師を夜勤させないといけないわけです。そうすると、4週に8回の夜勤回数となると、膨大な配置数になるわけです。18ページをご覧になると、ICU関係、66床にトータル161人の看護師さんが配置されているわけです。ここはできるだけ効率的に働いていただかないといけないのですが、ただ、夜勤の体制をしっかり組むと、日勤帯が過剰になってくるわけです。これは適切な範囲だろうと私は思うのですけれども、例えばCCU7.6人に対して日勤8人。ほとんど1対1で勤務しているわけです。非常に重症な病棟はこうせざるを得ないと思うのですが、この辺が適切なのかどうかという御意見をお伺いしたいのです。
ほかのセンターを見ていただくと、1対2、1ベッドに2人の日勤看護師さんがいるセンターもあるのです。こういうところが業務の改善をしないといけないと思うのです。この点、どうなのでしょうか。
○国立循環器病研究センター三井看護部長
後ろから失礼します。この配置は、確かにそのとおりでございまして、日勤人数につきまして、例えばCCUは心臓リハビリテーション室に1日4人配置しておりまして、かつER(緊急外来)の方にもCCUの看護師を配置しています。
○永井部会長
だから、派遣で出ているわけですね。そこを見える化したほうがいいと思うのです。
○国立循環器病研究センター三井看護部長
そうですね。
○永井部会長
そういうふうに見える化しているセンター、病院はいいのですけれども、多くの病院はここが見えないのです。応援に行っていますと言うけれども、そこがしっかり見えていないので、それでお聞きしているのです。国循の問題としてよりも日本の大病院の問題として、実はここを経営関係者、執行部がよく実態を知っていないという問題があるものですから、今回出していただいたのですが。
もう一つ、CCUは5人の夜勤になっていますね。8床ですから4人でもいいように思うのですが、そこはどういう理由ですか。
○国立循環器病研究センター三井看護部長
ER(緊急外来)の方に1人行っています。
○国立循環器病研究センター峰松病院長
CCUに隣接してERがあるので、そこにつけている。
○永井部会長
そうすると、CCUではないわけですね。
○国立循環器病研究センター峰松病院長
そうです。
○永井部会長
そこをちゃんと把握することが大事だということなのです。
よろしいでしょうか。どうぞ。
○大西委員
大変な御尽力をされて、赤字幅が大幅に縮小されたと。御苦労だったと思いますけれども、残念ながらまだ2億円の赤字だったということがありますが、冒頭でお話のありました緊急事態宣言というのは、もう収束はされたのでしょうか。今はどういう状態に置かれておられるのでしょうか。
○国立循環器病研究センター西辻企画戦略局長
緊急事態宣言自体は、昨年6月に理事長が職員を集めて直接自分の言葉で話されて、職員一丸となって28年度取り組んだのですけれども、その取り組み自体については、当然29年度も継続しています。ただ、それだと、29年度、もう一段の経営改善ができないものですから、やはり先ほどの材料費の価格の抑制等を含めて、「緊急事態宣言」という名前でいくかどうかわからないのですが、理事長から恐らく第2弾の対策を29年度にも打つということで今、考えていると思います。
○大西委員
ありがとうございます。
○永井部会長
では、最後に祖父江委員。
○祖父江委員
先ほど研究費がそれほど伸びていないという話が出ましたけれども、先ほどの議論では共同研究がメーンで、これが今後伸びていくということが非常に重要な要素ということになるようなのですが、外部資金の受入状況を見ると、共同研究はそれほど表に出てきていないのですが、これは今どれぐらいあって、どういうものかというのを教えていただけますか。
○国立循環器病研究センター西辻企画戦略局長
今、数字を持ち合わせておりませんが、傾向を申し上げると、AMEDとか厚労科研、文部科研とかのいわゆる競争的な資金は、27から28年度で落ちてきているのですが、企業との共同研究とか、外部からの企業治験などは27から28年度で若干増えているという状況にあります。ただ、どれを中心でいくかという話でなくて、どれも取りにいかなければならないわけで、競争的資金は今回落ちて、それは3年間の研究とかそういうのがあるので、毎年毎年同じような感じではいかないと思っているのですけれども、センターの中で見ても、研究所、病院それぞれ見ると、エントリーが多いところとそうでないところがあるので、エントリーの少ないところは、28年度も理事長からかなり厳しく、とにかく特に若手職員はどんどんエントリーするようにということを指示しているので、それも含めて今後確保していくようにしたいと思います。
○永井部会長
よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、続きまして、法人の監事さんから業務の監査結果等を取りまとめた監査報告について御説明いただき、また、監査等を踏まえた現在の法人の業務運営の状況、今後の課題、改善方針等について、コメントをお願いいたします。
○国立循環器病研究センター竹山監事
それでは、竹山監事、片山監事を代表しまして報告します。
監査の結果につきましては、お手元の監査報告書のとおり、適正な遂行ということで報告しておりますけれども、私どもと小川理事長を初めとする執行部の方、あるいは幹部の方と非常にコミュニケーションがうまくいっておりまして、業務の有効性、効率性というテーマ、本日いろんな面で議論されていますが、そういう課題を積極的に見つけて、お互いが一致協力してそれを改善していって評価する。いわゆるPDCAサイクルの内部統制の確立。これはずっと昔から続けてきているのですけれども、特に2年前、もう3年になりますが、業務方法に入ってからはかなり進んできたと私は評価しております。ですから、本日の成果等は、その内部統制の構築に努力されている皆さんの結果が反映してきているのではないかと監事としては考えております。
もう一点は、2年先に新病院、新センターに移るのですが、ここでは患者のアクセスも違います。場所も違いますから、患者の層も変わってくる。近隣の場所が変わってくるとか、環境が大きく変化しますので、私のほうからは、特に柱となる診療部門についての業績見通しについては、いろんな仮説を立てて、2年前からいろんな精度を上げていって、そして、今、打てる対策をぜひ2年間続けていただいて、移った際にはまた新たに発生するでしょうけれども、かなりの部分が改善されるように努力してほしいとお願いしています。
以上です。
○永井部会長
ありがとうございます。
続いて、理事長さんから今後の方向、課題、改善方針等について御説明をお願いいたします。
○国立循環器病研究センター小川理事長
本日は貴重なコメントをどうもありがとうございました。
今、監事から御説明がございましたように、2年後に移転するわけですが、目下最大の使命は移転を確実に成し遂げるということで、経営基盤、研究業績、ガバナンスの問題、いろいろございますので、安定した職務体質への転換に向けて着実に取り組んでいきたいと思っております。
以上でございます。
○永井部会長
ありがとうございます。
委員の皆様から何か御発言ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、以上で国立循環器病研究センターの業務実績評価を終了いたします。
どうもありがとうございました。
では、5分ほど休憩して、10分から開始いたします。
(休憩)
○永井部会長
それでは、国立研究開発法人国立国際医療研究センター、平成28年度業務実績評価について御議論いただきます。
初めに、研究開発の成果の最大化に関する事項、評価項目1-1と1-2に係る業務実績、自己評価について御説明をお願いいたします。
○国立国際医療研究センター難波企画戦略局長
私のほうから説明をさせていただきます。
2ページをご覧ください。当センターは、ほかのナショナルセンターとの違いがございます。国府台病院、センター病院、2つの病院を有しているということ。また、国際医療協力局、国立看護大学校という組織があるということが他のNCと違うところでございます。それが特徴でございます。
6ページをご覧ください。28年度の取り組み状況。研究開発に関する事項を説明させていただきます。最初、担当領域の特性を踏まえた戦略的かつ重点的な研究・開発の推進。こちらは自己評定Sをつけさせていただいております。
担当領域の特性を踏まえた戦略的かつ重点的な研究・開発の推進では、まず国際的な感染症その他疾患の解明と医療推進に大きく貢献する研究成果ということで、4つの例を示させていただいております。
まず、127年度、私どもはC型肝炎患者に治癒をもたらす「ハーボニー」の第3相試験結果を本研究センター研究者が筆頭著者で報告をさせていただきました。さらに、28年度につきましては、青字で書いてあるところでございますが、HBVに対しても強力な活性を有する新規の化合物のデザイン・合成・同定に成功しております。
さらに、その成果でございますが、一番下にございますように、1日1回の服用が必要であるものが、本剤では体内で化学的安定性が高く、週1回の服薬レジメンが可能であり、感染者のQOLを大いに改善することが期待されている。さらに、本センターの単独特許出願も完了しており、開発企業による製品化が期待されているという状況になっております。
7ページの2、HIVに関する治療薬でございます。昨年も御報告させていただきましたヤマサとの共同研究、EFdAという物質でございますが、これは第1相からさらに第2相の臨床試験が米国で進行中ということであります。
本薬剤は、青字に書いてございますとおり、週1回の静注のみで有効血中濃度が半年から1年にわたって維持されることが確認されており、HIV治療の感染予防における「game-changer・paradigm shift」。すなわち、劇的な大変革をもたらすことが期待されているという、日本でも画期的な創薬の可能性を秘めたものでございます。
3につきましても、HIV変異株に対する強力な抗HIV活性を要する物質の合成・同定に成功しているということでございまして、国際特許出願を完了し、製薬企業への導出によりさらに実用化を加速させるという段階に来ております。
4薬剤耐性マラリア治療薬につきましては、当センターは多くの患者さんを実際診療しておりますが、28年度に厚労省が国内製造承認取得に関しまして大きく貢献をさせていただいたということで、実際の国内治療で使用が可能になっているということ。さらには、マラリア予防に向けたワクチン開発にも注力をしているということ。さらに、マラリア完全ヒト型抗体の作製を企業と開始し、一定の効果がある抗体治療薬作製に成功しているという現状でございます。
8ページをご覧ください。数の目標でございますが、原著論文の数、年間331件ということで、年間計画年250件をクリアしております。
さらに、疾病に着目した研究でございますけれども、エイズ治療・開発研究センター(ACC)では、多施設の共同研究でございますが、エイズ関連認知症に関するJ-HAND研究というのを行って、HIV感染者、全国728例対象の25.3%にエイズ関連認知症が存在するということが判明しておりまして、これは今後の医療提供体制を考える上でも大変重要であると考えております。
2、疾患の実態把握の部分では、ACCではHIV患者4,000例のコホートを管理しており、併発する感染症などの疫学研究を実施しているということ。また、海外からの輸入による抗菌薬耐性菌の医療機関への流入状況とその感染対策について報告を行っていること。
4)糖尿病学会と共同で診療録直結型全国糖尿病データベース事業(J-DREAMS)を運営しており、35施設の参加によって全国の糖尿病患者2万5,000例以上が登録されているという現状にございます。
3、1型糖尿病につきましては、同種の膵島移植について、心臓死ドナーより提供された移植を1例実施していること。
2につきましては、慢性膵炎患者に対する自家膵島移植につきまして、1例実施をしているということ。
さらに、ACCにおきましては、日本のHIV感染者の8割を占める男性同性愛者に特化した検査システムというものを開発・実施していて、新たな陽性者が判明するといったような状況になっております。
一番下の「均てん化に着目した研究」でございますが、4)「ウイルス性出血熱診療の手引き」「重症熱性血小板減少症候群診療の手引き」「糖尿病標準診療マニュアル」等の策定をいたしまして、ウェブ上で公開しているという成果もございます。
10ページ、国際医療保健協力に関する研究。これは後ほど国際協力の部分で詳しく述べますけれども、例えば2にございますように、セネガル保健省「へき地施設への看護師助産師採用配置計画実施」を策定して、そういったものをサポートする。あるいは昨年、TICADの記念シンポジウムで「UHC達成に向けた保健人材課題へのアプローチ」を企画・運営し、多くの国から多数の方が参加しているということ。
また、WPROにおきましては、保健医療科学院と協力して「病院の質と患者安全管理」に関する研修を実施したりしているということ。
5にありますように、グローバルヘルス政策研究センターというものを設置しまして、シンポジウム等を実施しているということがございます。
11ページ、研究・開発に関する事項で、実用化を目指した研究・開発の部分でございます。これは自己評定Aにしております。
最初の○、メディカルゲノムセンターを実施して、センター病院に臨床ゲノム診療科というものを設置いたしました。
バイオバンクにつきましては、28年度、こちらにお示ししますように新規登録患者多数、バイオバンクのバイオリソースとしては2,987名から参加同意を取得しております。
さらに、4でお示ししていますとおり、内部利用、外部利用のみならず、1件は企業への有償分譲というものを完了しております。
5にお示ししますとおり、これは数値目標ですけれども、研究所と病院の共同研究は、毎年10件以上というものを33件実施させていただいております。
また、外部機関との共同研究も、計画では10件以上というものを22件やらせていただいております。
産官学との連携強化につきましては、4にお示ししておりますとおり、センター病院内に医工連携推進室を設置いたしまして、中小の医療機器メーカーとの情報交換会として合同クラスター研究会を実施しておりまして、1件の機器提供契約が締結されております。
さらに、東京都による支援対象事業の公募で1件採択しておりまして、「経鼻管挿入誘導装置の開発」というものが契約に向けて準備を進めている状況にございます。
12ページをご覧ください。真ん中の○にございますとおり、知的財産の管理強化及び推進につきましては、強い特許を目指し、特許新規出願件数12件ということで、27年度の4件をかなり上回る数字を出してきております。
また、4にございますとおり、権利・知的財産に係る法務契約を支援し、120件の成約を実施している状況にございます。
13ページをご覧ください。治験・臨床研究体制の充実につきましては、3NCGM、458件の臨床研究を実施しておりまして、これは年間200件の計画を上回るものでございます。
治験につきましても、計画では年17件であるところを、センター病院21件、国府台9件ということで、計30件の治験を実施しておりまして、治験の収益も2.8億円と27年度を上回るものになっております。
また、6にお示ししますとおり、医師主導治験につきましては3件、先進医療Bにつきましては3件を実施しております。
NCGMが主導する先進医療Bでは、当センターのオリジナルの技術でございます「腹膜偽粘液種に対する減量切除術と周術期腹腔内化学療法に関する前向き試験」「FDG-PET/CTの不明熱診断への応用 - ガリウムSPECTとの比較研究」「多血小板血漿を用いた難治性皮膚潰瘍の治療 褥瘡又は難治性皮膚潰瘍」という3件を実施しているという状況にございます。
14ページをご覧ください。倫理性・透明性の確保につきましては、当センターの倫理委員会は、27年度末、全国15委員会あるうちの一つとして倫理審査委員会の認定を受けたという状況にございます。
当初の部分の説明は以上でございます。
○永井部会長
ありがとうございます。
それでは、御質問をお願いいたします。いかがでしょうか。花井委員。
○花井委員
ありがとうございます。
1-1については評定Sがついておるのですが、S評定は相当高い基準を求められていて、まず目標値を120%以上上回るのが前提なのですけれども、さらに世界初で、論文というのは大体世界初なので、単なる世界初だけではなくて、すごいブレークスルーするということが求められているのですが、ヤマサ醤油との共同開発というのは昨年も出ていた件だと思うのですけれども、B型肝炎の耐性HBVに対する。これは齧歯類なのですが、これについては今回ここで発見した化合物ということでよろしいのですか。
○国立国際医療研究センター満屋研究所長
所長の満屋でございます。私のほうから御説明いたします。
この新規の抗HBV化合物は未発表でございまして、5年かけてやっとここまで到達したもので、まだ臨床試験に投入するまで行っていない、どこにも公表していないものでございます。しかし、その効果について既に幾つかのメガファーマにお話ししましたところ、大きな興味があるということで、導出を目指しているところです。この化合物はエンテカビル耐性、そこに書いてございますように、まだ1万人前後の人たちでウイルスが現存する治療薬に抵抗する、そのような薬剤耐性HBVに対して強力な効果を発揮致します。また、1,000人程の日本国内のHBV感染者ではほとんど治療が奏効しない状態ですから、この化合物の開発が成功しますと大きな福音をもたらすものではないかと私自身、期待しております。これは私のグループでデザイン・合成・同定をしたもので、NCGM単独で開発した産物でございます。
○花井委員
ありがとうございます。
Cが克服され、Iは、根治はまだですが、かなりいて、Bが最後だと言われている中で、大変画期的に見えたものですから質問しました。
ありがとうございます。
○永井部会長
ほかにいかがでしょうか。深見委員、どうぞ。
○深見委員
今のヤマサ醤油との開発なのですけれども、国内での開発ができなかったのか。特許等で今、こういう段階でメルクとの共同開発ということになってしまうと、また輸入というときにかなり医薬品のコストが高くなるという問題も出てきますね。そういった中で、せっかく御自分たちでつくれたものが、国内で臨床治験等々に持っていけなかったというのは、ちょっと残念だなという気もするのですが、そういうのをちょっと。
○国立国際医療研究センター満屋研究所長
おっしゃるとおりでございまして、導出の相手を日本の企業ということで最初に求めます。3番目にございますプロテアーゼ阻害剤についても、日本のある会社が最初興味を示されたのですけれども、説明は当然期待できませんが、途中でやっぱりやめたと言われて、これも今、米国のメガファーマへの導出を進めているところでございます。どうしても臨床開発ということになりますと、数百億円を下らない研究開発費が必要となりますので、残念ながら日本の企業で単独というのは非常に難しいところがございます。
私も発明者なのですけれども、ヤマサに最終的にはその権利を譲渡して、ヤマサが決定するということになりますので、ヤマサがその方法を選んだということになります。
しかし、メルクの導出も私自身で画りまして、副社長との直談判の結果やっと導出にこぎつけたという経緯もございます。ですから、残念ながら日本の企業にお話し申し上げても断られることが多い。複数のそのような有望なものの臨床開発を進めるには企業の財政上の体力等がないというのが、日本での残念な現状、即ち薬品会社の研究開発費の額が少ないという限界がございます。できるだけ国内企業との共同開発を進めたいと思いますけれども、今回もCFCPという1にございます新規の化合物もできれば国内での臨床試験を進めたいと考えておりますが、それは外国企業に導出しますと、要望を入れてくれないこともままあります。そのような状況でございます。
○永井部会長
祖父江委員、どうぞ。
○祖父江委員
非常に広範な、しかもレベルの高い研究を進めておられるのは非常にすばらしいと思いました。ただ、今のこととちょっと関係してくるのですが、ほかのナショナルセンターも臨床に直結するようなクリニカルアプリケーションタイプの研究というのが今後重要だと思うのですが、非常に費用がかかりますね。今後、外部資金の一つの柱として、国内の企業に限らないかもしれないのですけれども、共同研究というので一つの柱が立つといいなと思っているところなのですが、その辺はどれぐらい共同研究型で企業との連携で進められた研究がこの中に。今、幾つか御紹介されたのですが、どれぐらいの規模でどれぐらいの数がやられているのかというのをちょっと教えていただけるといいなと思うのですが。
○国立国際医療研究センター満屋研究所長
最初の1にございますCFCPについては、B型肝炎に対する新規治療薬の開発、主としてAMEDからのサポートを受けておりまして、これはかなり巨額の研究費をいただいておりまして、1年間で数億円、それを5年間でここまで参りました。ここに一部だけお示ししていますけれども、ここまで来るには、有機化学者のグループを4つ率いて、いろんなものを合成致します。そして、これだということになりますと、ヒトの肝を移植したヒト肝キメラマウスにヒトのB型肝炎ウイルスを感染させて、そのウイルスの感染増殖をブロックするというのがこの図でございまして、2週間で100分の1から1000分の1、あるいはそれ以上の強度の抗HBV活性が長期間にわたって持続する。具体的に申し上げますとこれらの1回の実験だけで我々の予備実験などを加えますと2,000万円は下らない。ですから、かなりの巨額の研究費が必要になりますから、なかなかリスクも高うございますし、よほど運がよくて、効率的にしかも賢くうまくやらないといけないという気はしております。
○祖父江委員
今のお話ですと、AMEDから非常に巨額なものを受けておられるということなのですが、先ほどの話の続きになるかもしれませんが、企業との関係よりはそんなにうまく伸びていなくて、やはりAMEDとか国の内部資金が中心だということですか。
○国立国際医療研究センター満屋研究所長
そうです。やはり権利関係がかなりの初期段階から問題になりますから、私の経験ではアカデミズムがリードをとらないとアカデミア発の創薬事業を進めるのは難しいのではないかと思います。御存じの方もおいでかもしれませんけれども、私はワシントンのNIHでまだ研究室を維持しておりまして、米国立という事もありまして、かなり権利関係についてはうるそうございまして、企業のほうがなかなか寄りついてくれないという場合もあります。
一方で、アカデミズムの力というのはかなりサイエンスを進めるのに都合が良いと思っていますので、私自身は、アカデミズムが中心になって創薬の努力を続けて、運がよければ成功する可能性が高くなると考えております。
○永井部会長
内山委員。
○内山部会長代理
ただいまの祖父江委員の御質問とも関連して、12ページ、介入研究の拡大や競争的研究資金を財源とする研究費獲得のために臨床試験相談を開始する。この中には企業との共同研究も含まれているのでしょうか。それから、この相談の主なやり方というのは、これまで十分情報が行き届いていなかったので、その情報を発信するのがメーンなのか、それともいろんな問い合わせがあって、そこのところのハードルを少し低くするのが大きな目的なのか。現状はいかがなものなのでしょうか。
○国立国際医療研究センター満屋研究所長
12ページに書いてありますもので新規の化合物はかなり少ないと存じます。当然の事ながら新規の化合物でしかも実際に臨床試験に持っていけるかどうかについての可能性が大きくないと、企業は興味を示してくれません。それから、ここにある多くのものは、いわゆるダイアグノスティクスで、検査のキットをつくるとかいうハードルがあって、大きな利潤が上がる可能性がない。つまり、世の中でお困りの患者さんの健康に本物のインパクトを与えるものでなければ、導出したとしてもそのロイヤルティの額は100万円、200万円程度で終わってしまっているというのが実情でございます。
ですから、どうしても強い特許といいますのは、新規の化合物で大きなインパクトをもたらすと考えられるものというふうに読みかえるべきだと思っております。そうして見ますと、本当に患者さんに福音をもたらすものがあるかどうかについては、私ども、まだまだ努力が足りない、もっと幸運を呼び寄せないといけないのではないかと思っているところでございます。
○永井部会長
福井委員、どうぞ。
○福井委員
先ほどのCFCP、EFdAなどを含めまして、臨床で実際に使われるようになるまでに幾つかの段階を踏む必要がありますけれども、今までの先生の御経験からいって、これらの薬が成功する可能性というのは、先生御自身はどれくらいと考えられますか。臨床で実際に使われる可能性は非常に高いと思われているようですけれども、どういう点でこれは大丈夫だというふうに思われているのでしょうか。
○国立国際医療研究センター満屋研究所長
メルクが今、走らせております2番目のEFdAについては、フェーズ1Aとフェーズ1Bの両方が終了しているところでございまして、その効能は大きく期待されていまして、そこにparadigm shiftとかgame-changerと書いたのは私ではありませんで、米英の研究者や評価者がこのように形容したものでございます。
EFdAについては、最終的に実薬になる可能性が何%というのは難しいところがありますけれども、私、内情を知っていることもありまして、副作用は極めて軽微、ほとんど皆無の状態です。ですから、これが実薬になるのはまず間違いないのではないかと思っております。私個人で特許権を持っているのだったら、自分で払ってでも特許を維持したい。それくらい期待しているところです。
もう一つのCFCPも同様でございます。両方ともこれはフッ素化学を用いまして、生物内での代謝に抵抗しますので、1日1回ではなくて、1週間あるいは2週間に一度、あるいは半年に一度の投与で効果を奏する可能性がございます。特にEFdAについては、そのデータがメルク社によって既に報告されておりますから、CFCPも同じようにFはフッ素でございまして、フッ素化学を応用したもので、これについても、何%というのは言えませんが、これは我々国立国際医療研究センターが所有している特許になりますが、もしも今、国立国際医療研究センターがこれを個人帰属とするとしたら、私がその特許を維持致します。それくらい自信がございます。変な例えをいたしまして申し訳ありません。
○永井部会長
よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
時間の都合もございますので、それでは、次の評価項目1-3から1-7、医療の提供等、その他の業務の質の向上に関する事項の説明をお願いいたします。
○国立国際医療研究センター難波企画戦略局長
15ページをご覧ください。医療の提供に関する事項、自己評定はAとさせていただいております。
まず最初の項目、高度かつ専門的な医療、標準化に資する医療の提供でございますけれども、1エイズ患者の治癒成功率でございますが、毎月90%以上、年間平均で93.6%を達成しております。
当センター病院は特定感染症病床を有しておりまして、28年度は合計2例のMERS疑似症患者を受け入れております。
また、28年度は合計2例のジカウイルス感染症例を診断・治療しております。なお、当センターは、国内で診断されているジカウイルス感染症16例のうち当院で診断したものが5例という実績がございます。
マラリアにつきましても、28年度は合計16例のマラリア症例を診断・治療しております。
6新たに低侵襲で体への負担をできるだけ少なくする小切開心臓手術を開始いたしました。
8にお示ししますとおり、がん診療連携拠点病院の指定に向けて院内体制を整備しまして、本年4月よりスタートしております。
先ほどの説明と重なりますけれども、医師主導治験は3件、先進医療Bは3件が実施されております。
また、患者申出療養としましては、腹膜播種陽性または腹腔細胞診陽性の胃がんに対するS-1+パクリタキセル経静脈・腹腔内併用療法を1例実施しました。
16ページをご覧ください。救急医療の提供でございます。センター病院は、東京都内救急搬送件数は都内のトップレベルということで、右の写真にございますとおり、救急車が複数台駐まっているという時間帯も多く見受けます。救急車の搬送患者数は1万1,125人ということで、27年度を上回っております。
また、救急搬送依頼応需率も94.4%。三次救急搬送件数も年々増加しておりまして、昨年度は1,135件となっております。
2にお示ししますとおり、高度総合医療を要する多臓器不全を伴った重症感染症患者に対する集学的な集中治療を実施しておりまして、年間の救命割合は、救命率が95%で、計画の80%以上を達成しております。
また、国府台病院におきましても、精神科救急病棟新入院患者のうち重症身体合併症患者の割合が18.7%と、計画の7%を大きく上回っております。特に千葉県における精神科救急医療システムでは基幹病院となって多大な貢献をしております。
4にお示ししますとおり、センター病院ですが、昨年7月より新宿区の小児平日夜間診療事業を開始して、地域の小児医療にも寄与している状況でございます。
17ページをご覧ください。国際化に伴い必要となる医療の提供でございますが、最初の1、厚労省における「医療機関における外国人患者受入環境整備事業」で拠点病院に選定され、モデル病院として医療通訳を配置するなど、医療現場における多言語対応を推進しております。
また、JQの審査を受け、認証を取得しております。
2にお示ししますとおり、経済産業省MEJにより外国人の受け入れに適した病院、ジャパンインターナショナルホスピタルの第1弾として推奨されて、報告されております。
また、センター病院では、NECと共同研究で多言語対応再来受付機を開発し、日本語のほか、英語、中国語、韓国語、スペイン語の5カ国語に対応できるということになっておりますし、言語のサポートに必要な外国人の方に対しては、平日の昼間、スタッフが常駐して中国語、韓国語で対応できるようになっております。
また、電話でも英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語で365日24時間、ベトナム語以下ここにお示ししているとおり8言語については、平日の9時から18時まで対応可能となっております。
次の18ページをご覧ください。青字のところを説明させていただきますが、セカンドオピニオンの実施件数は281件と、年間200件以上の計画を上回っております。
また、一番下にお示ししますとおり、臨床倫理サポートチームの活動を発展させる形で、センター内に臨床倫理審査委員会を新たに設置して、外部委員を含めた審査を行うことにより病院医療における患者の立場に立った倫理的な対応を確保しております。
19ページをご覧ください。チーム医療の推進では、センター病院で従来からあるさまざまなチームのほかに、28年度は新たに精神科リエゾンチーム及び認知症チームを立ち上げました。また、国府台病院におきましても、ここにお示ししているとおり活動を行っているところでございます。
専門・認定看護師は延べでセンター病院29人、国府台病院7人が在籍しているという状況にございます。
指導・専門・認定薬剤師は延べでセンター病院84人、国府台病院は18人在籍しているという状況でございます。
入院時から地域ケアを見通した医療の提供でございますが、センター病院では右のグラフでお示ししたとおり、高い紹介率、逆紹介率を維持しております。また、国府台病院におきましては、治療医療連携の強化により、紹介率、逆紹介率が大きく向上しております。
そういった実績で、国府台病院におきましては、本年2月から地域医療支援病院に承認されました。また、28年度から近隣医師会を対象としたオープンカンファレンスも実施しております。
20ページをご覧ください。医療安全管理体制の充実につきましては、医療安全管理部門に専従医師1名を含む医師4名、専従看護師2名、医薬品安全管理者、医療機器管理担当者が所属しておりまして、本年4月からは専従の薬剤師も配置しております。
また、当院ではセンター病院に医療安全担当者としてリスクマネジャー70名のほか、ジュニアリスクマネジャーを107名配置しております。
また、27年5月からは全死亡例の把握を行い、問題事例の検証を実施しております。
6にお示ししますとおり、特定機能病院間の相互チェックとして、がん研有明病院をチェック、県立静岡がんセンターによるチェックを受けております。また、それに伴う報告書の作成あるいは改善報告書を提出しております。県立がんセンターのがん研有明病院によるチェックの際にはオブザーバーとして参加しております。
さらに、センター病院におきましては、昨年度2回、外部委員3名を含む医療安全にかかわる外部監査委員会を実施し、医療安全管理体制に問題がないということを確認しております。
また、医療安全に関するe-ラーニングにつきましては、医療安全・院内感染研修会を2回以上ということが計画になっておりますが、国府台病院、センター病院とも各2回ずつ、100%の受講率で実施しております。
21ページをご覧ください。人材育成に関する事項でございます。こちらも自己評定Aをつけさせていただいております。
まず、リーダーとして活躍できる人材の育成につきましては、日本専門医機構による専門研修制度に向け、基本19領域中、基幹施設として10領域、連携施設として7領域に対応する準備を開始しております。
また、3にお示ししますとおり、連携大学院を活用して、慶應義塾大学の博士課程には1名、順天堂大学の博士課程には7名が在籍中。また、センター病院の職員が順天堂大学の客員教授、あるいは客員准教授、慶應大学の客員教授として勤めております。
ACCの職員も熊本大学に客員教授2名、2名が社会人大学院生として参加しております。
また、長崎大学の熱帯医学・グローバルヘルス研究科のグローバルヘルス専攻の修士課程(社会人)の東京キャンパスとしてNCGM内にサテライトを29年度に開所することを支援いたしました。
また、日本人リーダー国際医療協力コース69名、アドバンスコース「医療の質」13名が参加しております。
11国際医療展開セミナー(アフリカ対象)を2回実施して、117名が参加。
センター病院におきましては、臨床研修医70名、レジデント104名、フェロー54名、薬剤師レジデント11名、計239名。また、国府台病院におきましても研修医22名、レジデント30名、フェロー2名の計54名を育成いたしまして、全国に医師等を輩出したという実績がございます。
22ページをご覧ください。モデル的研修・講習の実施でございますけれども、これは後ほど説明させていただきます国際医療協力の部分と重なりますが、厚労省から医療技術等国際展開推進事業を受託しておりまして、14カ国で31の研修事業を実施しております。延べ292人の日本人専門家を派遣、延べ383名の海外からの研修生を受け入れることによって、国際保健の向上に大きく寄与しております。
3にお示ししますとおり、感染症に関するワークショップを実施。これは検疫所等と共同で実施。
肝炎につきましても、拠点病院向け、あるいは看護師・相談員向けの研修。
糖尿病に関しましても、お示ししますとおりの研修。
児童精神につきましては、厚労省からの委託事業で研修事業を実施しており、受講者384名という実績でございます。
23ページ、政策医療の推進に関する事項でございます。こちらも自己評定Aをつけさせていただいております。
まず、国への政策提言でございますが、1にお示ししますとおり、各種の審議会、委員会等で専門的な意見を述べるだけではなく、2にありますとおり、国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議のもとに設置されたAMR対策推進国民啓発会議の構成員としての助言。
3にお示ししますとおり、TICADにおける体制、あるいは財政強化についての提言。
4にお示ししますとおり、WHO協力センターに関しての会議に出席し、提言。
5にお示ししますとおり、WHO西太平洋事務局などの国際機関が開催した各種の会議に参加して、さまざまな支援を行っております。
28年5月に開催されたWHOの総会や、あるいは執行理事会におきまして、23件の技術的コメントを厚労省に提供しております。
厚労大臣が開催いたしました「国際保健に関する懇談会」の国際保健政策人材養成ワーキンググループ提言書の作成にも寄与させていただいております。
9、国際保健のシンクタンク機能を求められているということで、政府等に積極的な政策提言を行うために、昨年10月に国際保健に関するグローバルヘルス政策研究センターというものを設置しております。
下の均てん化につきましては、HIV・エイズにつきましては、全国8ブロックの拠点病院協議会でブロックごとに開催すること。
また、肝炎情報センターで拠点病院との情報共有。
糖尿病情報センターにつきましても、情報提供やマニュアルの作成を行い、均てん化に寄与しております。
24ページをご覧ください。情報発信につきましては、ホームページのページビュー数が計画で1,400万件以上というものが983万件に減っておりますが、これはホームページを見やすい形でレイアウトをかなり改善したということで、こういった件数が出ておりますが、その中身につきましては、2に書いてございますとおり、民間団体によるウェブサイトクオリティー実態調査で高い評価。これは87法人中1位という評価を得ております。
また、肝炎情報センターでは、検査委託医療機関等に載る肝炎マップを作成しております。
一番下に書いてあるメディア・セミナーですけれども、これは記者の方を呼んでさまざまなテーマで講演会を実施するのですが、「ジカウイルス」「黄熱病」「AMR」「糖尿病」などをテーマに4回実施しております。
25ページをご覧ください。下の方にシンポジウムというところがございますけれども、当センターは織田記念国際シンポジウムというものを実施しておりまして、昨年度は「糖尿病治療と合併の実態」というものを開催しておりまして、136名の参加を得ております。
また、TICADの記念シンポジウム「UHC達成に向けた保健人材課題へのアプローチ」ということで、多くの方の参加をいただいております。
また、市民公開講座も多く実施しております。
26ページをご覧ください。公衆衛生上の重大な危害への対応ということで、これは医療の部分と重なりますが、特定感染症病床で2例のMERSの疑似症を受け入れたということ。
また、新感染症を想定した院内合同訓練というものを2回。これは毎年計画で1回というものを2回実施しているということ。
3、政府の行う新型インフルエンザ対策訓練に参加して、センター内でも訓練を実施したということ。
6、海外の公衆衛生危機に対して、JICAの国際緊急援助隊感染症対策チームのメンバーに選ばれ、中心メンバーとして研修計画の立案に参加。
さらに、7にお示ししていますとおり、黄熱病のアウトブレイクに対応するため、NCGMから4名が派遣されたという実績がございます。
8にあるとおり、JICAと協力して地球規模感染症に対する警戒と対応ネットワークの会議に出席し、この内容につきまして報告書を提出しております。
27ページをご覧ください。医療政策の部分で、特に国際協力の部分について御説明をさせていただきます。こちらは自己評定がSとなっております。
先ほどの国際展開事業と重なりますが、途上国からの医師・看護師等の研修生は、28年度で383名ということになっておりまして、中長期目標期間中延べ960人というところを、2年間で延べ816人という数字を達成しております。
2にお示ししますとおり、専門家の派遣でございますが、28年度は292名を派遣しておりまして、うち長期が22名という状況です。こちらも赤字でお示ししているとおり、中長期目標期間中延べ600人以上というところを2年で548人という実績が出ております。
また、カンボジア、ラオスにおいて継続的な母子保健支援を実施しておりまして、下にお示ししますとおり、カンボジアへの年度別の派遣、ラオスへの年度別派遣ということで、5年ごとに刻んでおりますが、年々増加しているということと、下にラオス、カンボジアにおける妊産婦の死亡率の推移ということで、本事業だけではないかもしれませんが、改善を見ているという数字でございます。
28ページをご覧ください。昨年度伊勢志摩サミットが開催されましたが、4つの国際保健への推進に貢献ということです。まず、Aの公衆衛生危機への対応ということで、西アフリカのエボラウイルス、フランス語圏に対して早期発見・治療のための体制確立の継続支援。あるいは先ほどのコンゴ民主共和国における黄熱病流行時の職員の派遣を行っております。700万人に対して黄熱病の予防接種を実施して、同国において結果として流行拡大が阻止されたということでございます。
また、強固な保健システムとUHCということで、理事長自らが、右の写真にありますとおり、アフリカで開かれたTICAD、ケニアに出向きまして、さまざまな会議、あるいは財政について提言をさせていただいております。
29ページをご覧ください。こちらに国際医療協力局が展開している図が示してありますが、こういった国にいろんな事業を展開しておりますが、例えば5に書いてありますとおり、フランス語圏アフリカ保健人材広域ネットワークの会合というものを東京で開催する。
あるいはWHOの西太平洋事務局において、2年に1回開催される協力センターの会議に出席して、日本の34施設の代表としてさまざまな提言を行うということで、当時の春日理事長の写真をここにお示しさせていただいております。
30ページをご覧ください。先ほどお話ししました「医療技術等国際展開推進事業」を厚労省から受託しておりまして、14カ国に対して31の研修事業を実施しております。研修生の受け入れ77名、専門家派遣127名、セミナー7回を実施しておりまして、一番左にありますのは、読売新聞の夕刊の一面に出ましたザンビアでドローンを使った医療物資の輸送方法ということで、こういった輸送システムの試験導入について、実用化に向けて検討を進めているということ。
また、右に書いてございますが、ベトナムでは11事業が実施されていますが、例えば小児がんの診療能力の強化。あるいはカンボジアでは6事業が展開しておりますが、子宮頸がん早期診断・治療のための人材育成と早期診断・治療体制の整備事業ということで、こういった事業が展開されているという例の御説明でございます。
○国立国際医療研究センター小須田統括事務部長
続きまして、看護に関する教育及び研究。評価項目1-7でございます。自己評定をAとしております。
看護大学校におきましては、28年度卒業生104名の国家試験合格率、看護師99%、助産師100%でございまして、また、NCへの就職者数が97人、就職率93.3%で、計画の90%を達成している状況でございます。
また、2に書かせてもらったように、入学試験は5.7倍という状況になってございます。
研究課程部のほうでございますが、大学院のほうに現在NCより12名を受け入れております。総数34名中12名がNCの職員となってございます。
3に書かせてもらいましたように、平成30年度、来年度から専門看護師を教育するための準備を28年度に開始してございます。
研修部における実績でございますが、1に書かせてもらいましたように、長期研修実習指導者講習会を年1回開催しております。
2の現任者教育、短期研修でございますが、計画6コースに対して8コースを実施してございます。
32ページになります。オープンキャンパスの実施もそれぞれ7回、公開講座2回を実施してございます。この結果、先ほど申し上げました入学試験の倍率が5.7倍になっているという状況でございます。
研究の推進につきましても力を入れておりまして、2のところに書かせてもらっていますけれども、教員の研究論文登録件数13件、そのうち5件が国際学術誌に掲載となってございます。
3、ベトナムのハイズオン医療技術大学の看護系教員との共同研究を実施し、両国の看護教育・研修を支援したということでございます。
特に国際貢献としまして、1に書かせてもらったJICAとの協同でインドネシア看護実践強化プロジェクト事業研修を実施。
2にありますように、カンボジア、ラオス、ミャンマー、バングラディシュより実習指導強化研究生の受け入れを実施。
その他、先ほどの入学検定料の関係でございますが、1万7,000円だったものを2万5,000円にし、自己収入増加にも貢献して、運営の改善を図っているという状況にございます。
ここまでの説明は以上でございます。
○永井部会長
ありがとうございます。
それでは、質問をお願いいたします。いかがでしょうか。藤川委員、どうぞ。
○藤川委員
17ページ目に外国語のサポートみたいなことがいろいろ書いてありまして、この言語数は少しずつふやしているという感じなのでしょうか。あとは、常駐のスタッフとか通訳のサポートの方というのは、外部委託ということなのでしょうか。
○国立国際医療研究センター小須田統括事務部長
通訳のスタッフにつきましては、現時点では非常勤職員ということで雇用しております。言語数につきましては、正直だんだんふえてきている。
○国立国際医療研究センター大西病院長
病院長の大西です。
追加しますと、最近中国語のニーズが相当ふえていまして、例えば昨年人間ドックをかなりリニューアルオープンしたのですけれども、多い月だとその収益の半分ぐらいが中国人のこともありまして、そのために中国語のできるスタッフを置いたりとかもいたしております。
あと、土地柄、ベトナムとかネパールとかミャンマーの患者さんも多いものですから、電話通訳とか、いろんなデバイスを使ったり、いろんな手段を使ってサポート体制をとっています。
○藤川委員
それは録音とかもされているのですね。
○国立国際医療研究センター大西病院長
そうですね。
○藤川委員
やはり責任問題もあるし。
○国立国際医療研究センター大西病院長
そうですね。なかなかICなどをとるときは難しいものですから。
○藤川委員
検証も難しいという話も聞くし、人材がなかなかキープできないというお話を聞いたのですけれども、恐らくオリンピックに向けてもっと言語数をふやせとか、そういう話になってくるのかなと思うのです。
○国立国際医療研究センター大西病院長
そういう話も大分いただいております。
○永井部会長
ほかにいかがでしょうか。本田委員。
○本田委員
27ページ、評価項目1-6ですけれども、ここは自己評定Sということで、これはたくさん成果が書いてあるのですが、サミットで大きな役割を果たしてということなのですか。ここがポイントなのですというのはどこに当たるのでしょうか。
○永井部会長
どうぞ。
○国立国際医療研究センター北窓国際医療協力局長
国際医療協力局長の北窓でございます。
先生御指摘のように、伊勢志摩サミットで日本の政府が行う提言というのをまさにNCGMが核となって実施していったということと、それから難波局長からお話がございましたように、TICADで理事長みずから黄熱病の支援等について提言いたしまして、実際に職員を4名送りまして、この4名の職員の活躍によって700万人の方に予防接種を打って、黄熱病のアウトブレイクを阻止したということで、この活動につきましては当然論文化もしておりますし、JICAのほうから職員に対して感謝状もいただいた。このような我が国を代表する国際的な活動に対して貢献していたではないかということで、Sをつけさせていただきました。
○永井部会長
福井委員。
○福井委員
2点ほど伺いたいのですけれども、27ページのところでカンボジアとラオスの妊産婦死亡率の推移が書いてありますが、これだけのドラスチックな変化に国立国際医療研究センターの役割が100%かかわったという意味でしょうか。この中のどれくらいに貢献したのか。その感触をあれば伺いたいのですけれども。それが1つ。
もう一つが、15ページでエイズ患者の治療成功率が毎月90%以上ということですけれども、これはほかのところと比べるとどれくらいいいのか、何かベンチマーキングみたいなデータはあるのでしょうか。
その2点だけ簡単に教えてもらえれば。
○国立国際医療研究センター北窓国際医療協力局長
国際医療協力局長の北窓でございます。
27ページのカンボジア、ラオスへの貢献の寄与度でございますが、私もMDGsというのですか、2000年から2015までの各国の妊産婦死亡率の改善状況をざっと見まして、必ずしも達成しているところばかりではなくて、むしろ達成しているところのほうが少ないという状況の中で、NCGMが長年関与してきたカンボジア、ラオスで先生が御評価いただきました4分の1以上のドラスチックな削減をしているということで、寄与率をどういうふうに定量的、定性的に出すのかというのは難しいのでありますが、100%ということはないですが、50%程度の貢献はしているのではないかと考えております。
○永井部会長
ただ、それはポル・ポト政権の後の話ですね。だから、せめて10年前とか15年前と比較していただきたいなと思いますけれども。
どうぞ。
○内山部会長代理
大変すばらしい成果を上げておられると思います。評価と直接関係ない部分もありますが、新宿区を中心とした都会における地域医療、と同時に国際的な医療、そしてまた多数の救急車を受け入れるという非常に現実的な医療。一方で、新たな治療戦略、また今後を見据えた新たな治療の開発。さまざまな役割を同時に行われているわけですが、その中で医療スタッフ、例えば看護師の教育において、あらゆるところに精通したゼネラリスト。ゼネラリストも特別なゼネラリストですけれども、そういった方針でおられるのか、それともスペシャリストを養成するのか、あるいは両方それぞれ分担してやっておられるのか、その辺をちょっと教えていただけますか。
○国立国際医療研究センター木村看護部長
御質問ありがとうございます。看護部長の木村です。
当院が総合病院ということもありますから、一番は5年未満の院内教育を実施、しっかりやって、ゼネラリスト育成、その上にスペシャリストということをつくっております。特に最近は国際に対する看護学生からの興味が多いということで、その中に専門教育というところで、海外研修を含めた国際協力。あと、国際コーディネーター、今、通訳を含めて、外国人がスムーズに受けられるような教育、そういうことも入れておりまして、あと、CRCとか教育、そういうものを立てております。2本立てで、ゼネラリスト、その上にスペシャリストという教育をしております。
○永井部会長
ありがとうございます。
どうぞ。
○国立国際医療研究センター岡ACCセンター長
先ほどのエイズの質問について答えさせていただきます。エイズ治療・研究開発センターの岡と言います。
個々の病院がどれぐらいかという数字はそれほど公にされているわけではないのですけれども、世界的に見ると、WHO、UNAIDSなどがゴールとしているところが90%という数字です。それは治療を受けている人の中で90%以上を治療成功、達成しろと言っているのですが、我々の出している数字は、その月に来た人全部の中での数字ですから、より厳しい基準でもって93%を達成しているということになります。
○永井部会長
先ほどの看護師さんの教育なのですけれども、特定行為の研修は、こちらではされていないのですね。これはある意味では医療政策の根幹で、研修終了者をもっとふやさないといけないという流れなのですが、これからの計画とか予定について教えていただければと思うのですが。
○国立国際医療研究センター木村看護部長
引き続きお答えします。組織全体でその研修を受け入れるということにはまだ至っておりません。研修医も多いということもありますけれども、ただ、特定行為の研修には今、出しておりまして、昨年はWOCの創傷モデル、今年は救急のほうで出していって、まだ研修を受けられるまでの、病院を挙げてのコンセンサスのほうは今後調整が必要だと思っております。看護部だけでは動けないということです。
○永井部会長
非常に救急患者が多い病院ですね。ですから、そこは救急部と一緒になって修了生の活用ということを考えていただきたいと思うのです。研修させるだけでは不十分で、いかにそういう人たちにモチベーションを与えて仕事をさせるか。これも一つの医療政策の一環だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○国立国際医療研究センター木村看護部長
ありがとうございます。
○永井部会長
祖父江委員。
○祖父江委員
どうもありがとうございました。
先ほど御質問もちょっとあったのですが、地域医療、救急、高度医療、一番メーンは海外への支援とか、それから今、看護の話もありましたけれども、非常に多岐にわたって高いレベルのお仕事をされていると思うのですが、日本国内の国民に対して、特に海外とか何かのイシューというか、ミッションがどれぐらい宣伝されて、どれぐらい認知されているのかというのがちょっと気になるところですが、それは実際にはどういうことをされているのか。プロダクトとしてはすごくたくさんあるのですけれども、広報的な面も非常に重要ではないかなと思ったので、それをちょっと教えていただけるとありがたいなと思った。
○国立国際医療研究センター大西病院長
おっしゃるとおりで、当センターは、創立が明治元年なのですが、陸軍病院を経て、戦後国立病院になりまして、名前もいろいろ変わっていって、いろんな患者さんと話してみますと、認知度がちょっと低いのですね。研究しかやっていないのではないかとか、なかなかかかれないのではないかということがあって、そこが一つの大きなポイントで、実際医療の現場では全ての専門家がいますし、入院患者さんの3割は75歳以上の高齢です。ただ、一方で外国の方も多くて、救急の外人さんは12%、入院外来の患者さんも外人患者さんが6%。ですから、外国の方も多いし、高齢者も多いし、地域医療にもかかわらなければいけない。救急も恐らくトップクラスの数ぐらいやっている。さまざまなことがまざっているのですが、そういったベースを強くしながら、いろんなミッション、総合力をさらに強くしながら、感染症とかミッションが幾つかございます。国際協力もあります。そういうのを支えるためにも総合力が重要なので、そういうのを強化しながら、いろんな広報活動、ネットの配信とか、先ほどあったホームページ、パンフレットとか宣伝とか、いろんな活動を今、組み合わせていて、例えば人間ドックも大きくしたのですが、ネット予約をする患者さんがかなり多いので、その辺の画面とか入力をちょっと工夫して認知度を高めたりとか、外国の方に対しても外国語で発信したりとか、いろんなことをやっているのですが、本当に一般の方がもっともっと認知していただけるように。
実はベトナムとの協力関係を非常に強くやっていまして、行き来がすごく激しくて、よくベトナムのトップの方々がいらっしゃるのですが、ベトナムでは日本のトップの病院はNCなのだと言われているのですが、ちょっと恥ずかしいやらうれしいやらなのですけれども、やはりもっともっと日本国内での認知度を上げる作業を強化しなければいけないと思っています。
○永井部会長
よろしいでしょうか。では、最後にどうぞ。
○国立国際医療研究センター北窓国際医療協力局長
大西院長に追加で発言させていただきたいと思います。国際保健医療協力に携わりたいという方に対するセミナーを開催して、日本全体の有為な、国際保健医療協力をこれからやりたいという方に対してさまざまなプログラムを提供したり、また、これから例えばアジアのいろんな国に展開していきたいという企業に対して保健医療セミナーを開いたり、そういったことに加えて、ニュースレターですとかテクニカルレポートとか、そういったことを出しながら、ラジオなどの媒体も活用しながら、国内にいる方に向けてアウトリーチ活動を展開しております。
以上です。
○永井部会長
国際医療のセンターであるとともに、国際的医療センターでもないといけない。2つの要求を満たさないといけないというのは大変なのだろうと思うのです。ぜひそこは工夫してやっていっていただければと思います。
それでは、次の業務運営の効率化、財務内容の改善、その他業務運営に関する事項。評価項目2-1から4-1について、説明をお願いいたします。
○国立国際医療研究センター小須田統括事務部長
評価項目2-1、業務運営の効率化に関する事項、33ページでございます。特に効率的な業務運営につきましては、2にございますように、先ほど話題になりましたセンター病院に人間ドックセンターを設置いたしました。これが5月からでございます。現時点では毎日14~15名の受診者がおるという状況でございます。
4、医師、医長、ドクターの採用に関しまして、昨年も申し上げましたが、任期を付した任用ということで、平成28年度は38名、平成27年度は11名でしたので、総数50名近くの新規採用者は任期を付した採用となってございます。
7に書かせてもらいましたように、国府台病院と看護大学校の財務、給与、調達関係の事務の一部を戸山地区に一元化ということで、効率的な業務運営を実施してございます。
次の効率化による収支改善でございますが、特に職員の適正配置、診療報酬基準の新規取得等々、また、材料費の削減、委託費のコスト削減に努め、平成28年度の経常収支率は97%でございました。27年度、前年より1.4%の改善となってございます。
主な取り組みにつきましては、収益関係では国府台が先ほど申し上げました地域医療支援病院の承認、センター病院におきましてもHCU、GCUの再編成等を行っております。
34ページですが、センター病院、国府台病院とも上位基準取得、列挙されたものを行ってございます。
一方、費用の関係でございますけれども、共同購入の実施、もとより昨年申し上げましたが、2つ目のポツ、医療材料の購入に当たって、契約内容の見直しのコスト削減。結果におきまして、材料比率が31.8%から30.6%、マイナス1.2%。約4億円の改善という数値が出ているところでございます。
後発医薬品の使用比率は、センター病院87.8%、国府台病院77.2%となっており、計画の70%を達成している状況でございます。
一般管理費につきましても300万の削減を実施できました。
35ページ、電子化の推進による業務の効率化につきまして、効率化やセキュリティー対策のために、office365を導入して業務効率化を推進してございます。
また、3に書かせてもらいましたように、センター病院では今年の1月から病院情報システムの更新。
4、センター病院で先ほど説明しましたNCとの共同での多言語対応再来受付機の開発。
財務会計システム導入による月次決算の実施。これも毎年ではございますが、月次決算の実施、分析結果の報告、それから経営分析システムでは部門別、診療科別の損益計算を行い、会議で周知しております。
36ページ、財務内容の改善に関する事項。自己評定Bとしてございます。
数字は、昨年度より伸びた部分と伸びていない部分がございますが、伸びた部分で申し上げますと、左下に書かせていただきました治験収益が対前年度9,500万の増。右上に書かせてもらいました研修収益が対前年度2,200万増の8,300万。
そのほか、寄附金につきましても寄附をしやすくするようにということで、クレジットカードの受付も可能としてございます。
右下に書かせてもらいました資産及び負債の管理に関する事項でございますが、28年度におきましては、長期借入金の新規借入はなく、約定どおりの返還、約11億円を行っております。
医療機器の投資でございますが、当センターの経営の状況から鑑みまして、資金枠を設定及び減価償却率の範囲を定めまして、計画的に実施するということを決定して、運用してございます。
37ページ、その他業務に関する重要事項でございます。特に法令遵守等内部統制につきましては、2に書かせてもらいましたように、内部統制委員会を3回実施。前年度は2回でございました。
エイズ裁判の和解に基づく対応に関する事項でございます。やはり日本一のHIV・エイズ患者の診療実績、入院患者数延べ4,489人。1日当たりにしますと12.3人。外来患者数は延べ1万2,952人。1日平均しますと53人ということで、日本一のエイズ患者の診療実績を誇っております。
3に書かせてもらいました治療成功率は、先ほど申し上げたとおりでございます。
8血友病/HIV患者の合併C型肝炎の患者に対しまして、治療適応となる27例のC型肝炎の治癒を成功してございますし、特に遺伝子型3型のC型肝炎3名に対しても、全国に先駆けて治療を実施、治癒に導いてございます。
9に書かせてもらいましたのは、患者さんの高齢化もありまして、がんスクリーニングの開始、J-HANDの話は先ほど申し上げました。認知症の研究も開始しているという実態でございます。
次に38ページでございます。特に施設・設備整備に関する事項につきましては、大型の整備が28年度中に終了してございます。
人事システムの最適化につきましては、28年4月からクロスアポイント制度を2名に適用しておりまして、29年4月からも新たに2名。都合4名の方がクロスアポイントで勤務しているということでございます。
2に書かせてもらいました、先ほどの新規採用者以外の医師・研究者につきましても任期を定める契約に変えるということで、今年の4月から5年の任期を定めることに賛同していただいて、実施をしているところでございます。
4育児休業の取得件数でございますが、平成28年度58件の育児休業ということで、育児休業をとりやすいという環境になっているのかなと思っております。
次に、その他の事項でございます。理事長と職員の意見交換等のためのタウンホールミーティングは、前年は4回開催、平成28年度につきましては5部署で開催し、いろんな意見を吸い上げて対応してございます。
2に書かせてもらいましたが、平成28年度、初めてQC活動を実施いたしまして、27件の応募がありまして、取り組みを実施したというところでございます。
最後に財務状況、39ページになります。右肩の損益計算書でございます。平成28年度の数値は、平成27年度に対しまして、真ん中の下のほうでございますが、経常収支率95.6%から97%ということで、1.4%の改善。総収支率におきましても1%の改善ということになってございます。特に投資の枠を設定し直したということがありまして、減価償却費が46.3億円から41億円、5億円の削減を図っているという状況にございます。
参考に書かせてもらいました長期借入金の残高、28年度末で196億。6NCの中でも多いのですが、28年度においては10.9億円の償還を行っているという状況でございます。年度計画が97%の計画でございましたので、計画を達成したと思っております。
説明は以上でございます。
○永井部会長
ありがとうございます。
いかがでしょうか。藤川委員。
○藤川委員
収支の話なのですけれども、医業収支に関して、前年度よりは改善されていると思いますが、まだ赤ですね。そのあたり、努力もされているとは思うのですが、今後の見通しと、繰越欠損金がどんどん大きくなっているということに関して、今後どのように対応していかれるのかという点が2点目。
ちょっと話がずれますけれども、先ほど国際化という話の中で、院長先生がネットを通じていろいろアクセスさせる方が多いということだったので、ちょっとウエブを見てみたのですが、ウエブはあまり多言語化されていないのかなというところで。
○国立国際医療研究センター大西病院長
まだ十分でないですが、人間ドックのほうはしていますけれども。
○藤川委員
そのあたりも対応が必要なのかなと思いました。
3点です。
○国立国際医療研究センター小須田統括事務部長
御質問の医業収支でございます。両病院を合わせて99.2%という収支率でございますので、27年度と比しますと0.5%ほど改善はされております。ここは患者数の確保ということを重点に置いてやってきたのですが、この場で御説明しなかったのですが、28年度の4月から6月、7月にかけて患者数の確保が追いつかなかった部分がございました。そこはいろんな診療科の体制の変化とか、その辺の改善を含めて、大西院長になられまして改善を続けた上で、後半のほうで医業収益が好転してきたという状況もありますし、また、今年度におきましても、特に麻酔科の医師の状況、常勤の確保が難しいというところもございまして、その辺にも今、力を入れて取り組んでいるところでございます。
救急でこれだけ患者が来ますので、そこのところを全て受け入れるという体制をできるだけとっていくために、まだまだ診療科ごとの体制を変える部分も必要ではないかと思っておりますし、また、それだけの力はあると思っておりますので、医業収支の改善は、診療科毎の体制の整備を含めて考えて今後改善に向けていければと思っております。
繰越欠損金の話でございますけれども、第2期中長期計画上も経常収支100%を目指してやってございますが、今年度、3年目に入りまして、計画上もマイナスの計画を立てさせてもらっております。こうしますと、第1期中計のところの繰越欠損金の返済計画が残り4年間でできるのかという状況で、今、ちょうど岐路に立っているところでございますし、先ほど申し上げました経営の効率化ということで、設備投資、医療機器の整備をちょっと抑えるとか、そのような工夫をして減価償却費率をなるべく標準に持っていきたい。その中で達成していきたいと考えてございます。
外国人のネットの関係につきましては、先ほど院長が申し上げましたように、人間ドックについてはそのようにしておりますし、英語、中国語のパンフレットも準備して行っている状況でございます。
○永井部会長
深見委員、どうぞ。
○深見委員
前にもちょっと伺ったような気もするのですけれども、33ページで人間ドックセンターを設置してということが書いてありますが、人間ドックセンターの設置というのは、海外の方を多く対象にしているのか、それとも国内の人を対象にしているのか、どちらかによってもまた違ってくるかと思いますけれども、それが経営的にはどういうふうに働いていくのかということを教えていただきたい。
○国立国際医療研究センター大西病院長
当センターは、実は聖路加と並んで日本の人間ドックセンターの老舗なのですが、私が3年前に異動してきたときは1日3人ぐらいしかやっていないという状況だったのですね。これではよくないだろうということで、大きく拡大したのですが、それはもちろん日本人の方も対象ですし、外国人の方も対象です。ただ、当センターの特徴としては、外国人の方を特に円滑に受け入れられる体制が整っているということで、今、外国の方が相当ふえていて、先ほど申し上げたような中国人を初めとして、手間がかかりますので、値段は1.5倍高くとっています。そういうことで、収益面でも今、右肩上がりでどんどん上がってきていますので、収益面でも非常に重要だろう。
もう一つ、医療の質の点でも、それぞれの外来が高度に専門特化してしまっていますので、ある程度通院している患者さんにも積極的にドックを受けていただいて、全体的なチェックもあわせてやる。そういう医療の質と経営の面で非常に重視しております。さらに外国の方もどんどんとっていく。そういう方針でやっております。
○深見委員
外国人と日本人の比率というのは、大ざっぱに今どのぐらいで、将来的にはどのぐらいにしたい。
○国立国際医療研究センター大西病院長
収益面で言うと、外国人の方は単価が高いものですから、多いときはフィフティー・フィフティーの月もあるのです。ただ、多くは外国人の方の収益率は大体3割ぐらいではないかと思いますけれども、今、1日平均12~15人ぐらいやっていて、これを30人ぐらいまで持っていく予定なのですが、そのうちの3分の1ぐらいは外国人ではないかと想定してやっております。
○永井部会長
机上の非公開資料の23ページを見ていただきたいのですが、これは外来診療の待ち時間を6つのナショナルセンターで調査させていただいたのですが、がんセンター、循環器病センター、精神神経センターは非常に短い。しかし、国際医療センターはかなり待ち時間が長くて、2時間以上待ちが20%ぐらいいるわけです。これは多分予約のやり方が悪いのだと思うのですけれども、改善の方向とか何かありますか。
○国立国際医療研究センター大西病院長
このデータ自体、びっくりしたのですが、外来のアンケートとかで患者満足度を年2回、あと外来待ち時間も3カ月ごとにやっていて、患者満足度のほうでは、待ち時間に対して「満足」が5割、「やや満足」が3割、「不満」が4%ぐらいあります。ふだんやっているアンケートのデータで見ますと、平均待ち時間が大体30分、2時間以上が4%なのです。少しデータの乖離はあるのです。
ただ、いろいろ調べてわかってきたのは、初診の手続にかなり時間がかかっている。それで今、改善を図っている最中なのですけれども、窓口を3人から6人にしたということと、画像とか書類の取り込みが、機種が古くて2台だったので、4台にして迅速化した。地域連携のほうは窓口を別にして、待たせないようにする。あと、保険証の確認やら問診は各ブースでやるということで、今、それをやっています。採血の件数が非常に多い病院なので、その辺を分散させる。電子カルテが新しくなったので、予約枠設定がかなり細かくできるようになったので、これからは診療科のドクターのそれぞれの実態に即した予約設定をしようと。そういった方針で今やっていますので、初診のところは改善すると思います。そういった分析結果になっています。
○永井部会長
我々が東大で行った方法はある程度必要だろうと思うのです。診られない数の患者は入れないようにする。別に予約したとおり診ろと言っているのでなくて、診ているように予約しなさいと。2時間延長してしまうなら、2時間後まで予約すればいいわけですね。その辺の配慮が求められるということだと思うのです。ぜひ来年はいい数字が出てくることを期待したいと思います。
ほかにいかがでしょうか。
もう一つ、私、今回調べさせていただいたのがICUの看護師さんの勤務体系なのです。ちょっと実態を教えていただきたいのですが、机上配付資料の18ページに国際医療センター、ICU、NICUが沢山入院しているのですが、夜勤の2・8体制を守ろうとすると配置数がふえて、その分日勤帯がふえてくるわけですね。これを見ますと、ICUは1日平均7.6人で、2交代で、日勤帯に14人。1ベッドに大体2人看護師さんが配置されるということが起こってしまうのですけれども、それはほかのセクションへ応援に行くという体制が必要だと思うのですが、そこはきちっとなさっているのですか。
○国立国際医療研究センター木村看護部長
御質問ありがとうございます。
ICUに関しては、確かに病棟の支援をしているのです。一般病棟が3人夜勤で42床、稼働率が95以上ですから、毎日入退院が激しいので、そこに出しているのが一点。
実は当院は3年未満の看護師がすごく多くて特にICUが、昨年度もそうでしたけれども、3年未満が50%いるということで、ICUの看護師は育成まで時間がかかりますから、日勤の指導も含めてということもあるのです。その人数と、あと病棟への支援という形でやっております。
○永井部会長
その辺を見える化しておかないと、執行部の先生たちがよく把握できないと思うのです。
○国立国際医療研究センター木村看護部長
わかりました。
○永井部会長
そういうふうにしているのだろうと思います。ただ、未熟な人が多いのだったら、それはトレーニングにしないといけないですね。教育の課題になってくるわけで、ぜひそこのスキルを上げて精鋭部隊をつくっていただきたいと思います。
○国立国際医療研究センター木村看護部長
ありがとうございます。
○永井部会長
よろしいでしょうか。花井委員、どうぞ。
○花井委員
いつもここはあまりにもたくさんのことをしていて、本当に大変ないろんな業務をしていると思うのですが、研究に関してはどう見ても得手不得手というのがあって、全面的に何でもやりますよというのはどこも不可能で、ほかのナショセンは、がんが一番わかりやすいと思いますが、それに特化しているという感じで、国立の場合はザ・ナショセンではないですが、人間ドックすら持っている総合病院、しかも国府台は持っておられるということで、いわゆるTRという面で言えば、何をやっているかがわかりにくくなっている。逆にそういう弱点もあると思うので、これは繰り返し言っているのですけれども、明らかに新薬も抗ウイルスとか感染症が得意で、国際と言っても、国際的な医療支援というのは感染症対策なわけです。ということは、感染症というのが大きくキーワードであって、感染症が得意分野だというのがもうちょっと前面に出てもいいかなと。
薬の開発も、満屋先生はジドブジンからダルナビルとか、要は、抗ウイルスとか感染症、そういうことでやっておられた先生でもあるし、トレンスレーショナルと言っても、一つそれがあると思うのです。それが国立の一つの得意分野として。もう一方は糖尿病かもしれませんけれども、そういうのがあったほうが、単なる総合病院としてのサービスがどんどんよくなっていますよ、救急はやっています、研修もたくさん受けていますというと、それはそれですばらしいことなのですが、ナショセンの中にあって、ここはほかと違うという感じでやった場合、感染症というところがもうちょっと前に出てもいいかなと思いました。
なので、病棟に関しても、肝炎のあちらと、もともと精神の国府台があるので、いろいろ複雑ではあるのですけれども、それがゆえに得意分野が光るような押し出しがあってもいいかなと思いました。
理事長、今後どういう感じなのですか。
○国立国際医療研究センター國土理事長
理事長の國土でございます。
花井先生、重要な御指摘、ありがとうございます。私も4月に赴任してから、このセンターのあまりにも幅広いミッション、たくさんあるがゆえに、外から見てわかりにくいということがあるかと思います。
感染症は、私どもの長期計画にもありますように、確かに重要な対象疾患であります。この他に糖尿病、代謝性疾患、肝炎もあります。例えば外国から見ても、私が東大からナショナルセンターに移ったと言うと、あ、ナショナルキャンサーセンターかとすぐ言われます。がんセンターの対象疾患はがん一つですから、そちらは非常にすっきりわかるのですけれども、National Center for Global Health and Medicineというのは、外部から見てややわかりにくいというのは事実だと思います。ただ、感染症は重要ではありますが、感染症だけを表に出すべきなのかどうかということについては、慎重に考えさせていただきたいと思っております。病院に「感染症」がついたほうが例えば患者さんから見てプラスなのかどうかというのも非常に慎重に考えなければいけない。特にMERS疑い患者を収容した際に通常の患者さんが減ったという経験もあります。
○国立国際医療研究センター大西病院長
エボラのときは初診患者さんががーっと激減しました。
○国立国際医療研究センター國土理事長
だから、そういうデメリットもありますので、非常に慎重に名前を考えなければいけないと思っております。
ありがとうございます。
○永井部会長
まさに国際医療と国際的医療、両方やらないといけないという重荷をしょっておるわけですね。しかも、経営もちゃんとやれ、研究開発もやれということで、ある意味ではたくさん期待されているのですけれども、いかがですか。
○国立国際医療研究センター満屋研究所長
一言。私の守備範囲でやはり国際感染症というのが重要だと考えております。先ほど申し上げませんでしたけれども、1日1回投与ではなくて、1週間に一度、あるいは1カ月、あるいは半年に一度というのは、国際的にはアフリカや中国の奥地で1日1回投与はかなり無理があります。水道設備や電気もないところでそのような人を守らないといけないというところまで考えておりますことから、そのような長期のレジメンが可能なものということで、私自身もNCGMに異動しまして、国際感染症というファクターを重視していきたいと思っているところですので、述べさせていただきました。
○永井部会長
では、最後に大西先生。
○国立国際医療研究センター大西病院長
おっしゃるとおりなのですが、感染症と糖尿病に関しては随分アピールしているつもりなのです。それはそれで非常に重要だと思うのですけれども、ただ、感染症も本当に支えるためには、緊急の感染症というのは物すごく多いですから、救急は充実していなければいけない。感染症が重症化したら完全にICU管理になりますから、感染症の専門家では診られない。そういうことで、そういうミッションを支える体制の整備が必要だろう。糖尿病に関しても、死因ががんですので、当院としてもがんセンターとはまた違った切り口でがんも強化しないといけない。そういうことで、ミッションは強化しながらも、それを支える総合体制はさらに強化しようという考えでやっています。
○永井部会長
ありがとうございます。
まだ御議論が尽きないかもしれませんが、時間の関係で進めさせていただきます。
続いて、法人の監事さんから業務の監査結果等を取りまとめた監査報告について、御説明をお願いいたします。
○国立国際医療研究センター水嶋監事
監事の水嶋でございます。
監事の平成28年度の監査報告書は、添付資料2-3のところにございまして、この報告書は6月16日付で理事長宛てに提出し、同じものが6月30日に大臣宛てに提出されております。
監査の方法及びその内容、監査の結果については、報告書記載のとおりで、特段の指摘事項はございません。
報告書の内容全般にわたりましては、昨年とほぼ同じでありますので、内容の説明は省略させていただきます。
昨年もこの席で申し上げたことでありますが、当法人の財務上の課題について少し触れたいと思います。損益計算書をご覧いただくとわかりますが、本年度も14億9,200万の欠損金、当期総損失を計上しております。独法化後の7年間の累積欠損金が87億に達しております。私ども監事としましては、引き続き当法人の財務状況に重大な関心を持って経営改善への取り組み、業務運営を注視してまいりたいと思っております。
簡単ですが、監事からの報告は以上でございます。
○永井部会長
ありがとうございます。
続いて、國土理事長よりこれからの方針等についてコメントをお願いいたします。
○国立国際医療研究センター國土理事長
本日は、長時間にわたりまして私どもセンターの評価をいただきまして、本当にありがとうございました。
先ほども申しましたように、私どものセンターのミッションは非常に多方面にわたっております。特に国際協力も重要でございますので、それぞれのミッションを各部門で認識しながら、来年度にわたって今年度頑張っていきたいと思っております。
特に監事からの御指摘にもありましたように、まだ赤字状況が続いておりますが、赤字幅は18億から6億改善しているということ。赤字がどうして起こるかということについて、一つは運営交付金が特にナショナルセンターは減らされておりまして、6センターの中でも私どもの削減の幅が大きいということ。人材育成が一つ大きなミッションでございますが、レジデントやフェローの教育・研究事業についても9.5億円も削減されているということで、こういうことも赤字の削減がなかなか厳しいということの原因かと思います。
一方で、医業の赤字についても御指摘がございました。この点につきましては、大西院長とも協力しながら、あるいは上村国府台院長とも協力して赤字の改善に努力しております。特に外科系を強化することが結局、経営の黒字につながる、そういう事実もございますので、そういうことも含めて、当センターのミッションを意識しながら経営の改善に努めたいと思っております。
研究の面では、満屋研究所長から御発表がございましたように、近い将来に非常に大きな成果が期待されるという状況に来ております。特に私ども戸山と国府台に二つの大きな研究所がございますが、基本方針としては、当センターのミッションであります国際医療、高度医療を実現するということでございますので、臨床に直結するような研究を推奨して、支援していきたいと思っております。
ありがとうございました。
○永井部会長
ありがとうございました。
何か御質問、御意見等ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、長時間にわたりましてありがとうございました。これで国立国際医療研究センター、平成28年度業務実績評価を終了いたします。どうもありがとうございました。
本日の議事は以上でございます。
事務局から今後の流れについて御説明をお願いいたします。
○医政局医療経営支援課江口課長補佐
長時間にわたりどうもありがとうございました。
次回でございますが、御案内のとおり、あした8月8日火曜日15時からになります。あしたは長寿と成育の2つで、場所はこちらの20階の共用8会議室。本日、黄色いエレベーターで来られたと思うのですが、明日は青いエレベーターで20階に上がっていただいて、共用第8が会場となります。
また、本日の評定の記入用紙でございますが、終わられましたら、机上に置いたままで御退席いただければということと、後日ということであれば、8月10日木曜日の午前中までに事務局宛てに送っていただければと思います。
また、本日配付した資料も、希望があれば、封筒に入れたまま机の上に置いていただければ、所属のところに郵送いたしますので、どうぞよろしくお願いします。
事務局からは以上でございます。
○永井部会長
ありがとうございました。
それでは、これで終了いたします。どうもありがとうございます。
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