ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 独立行政法人評価に関する有識者会議 医療・福祉WG(第11回)議事録(2017年8月7日)




2017年8月7日 独立行政法人評価に関する有識者会議 医療・福祉WG(第11回)議事録

○日時

平成29年8月7日(月)14:00~16:32


○場所

厚生労働省共用第8会議室(20階)


○出席者

真野主査、五十嵐構成員、石井構成員、名里構成員、橋田構成員、松原構成員、三田構成員

○議事

○真野主査

 定刻になりましたので、第11回独立行政法人評価に関する有識者会議医療・福祉WGを開催いたします。構成員の皆様方におかれましては、台風の話もある中、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。本日は、石渡構成員が御欠席ということです。

 最初に本日の議事について、事務局から説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 議事について事務局から御説明いたします。本日の議事は、議事次第にありますように、本日は2点ございます。「国立重度知的障害者総合施設のぞみの園」に関しまして、(1)中期目標期間見込評価に係る意見について、及び(2)業務及び組織の全般にわたる検討の結果並びに講ずる措置の内容に係る意見についての2点です。それぞれについて若干、御説明させていただきます。

 参考資料1-1ページを御覧ください。真ん中辺りに「中期目標期間見込評価」について説明しております。中期目標期間の最終年度に実施される中期目標期間終了時に見込まれる業務の実績の評価であり、のぞみの園は本年度が5年間にわたる中期目標期間の最終年度に該当しますので、対象となっております。業務実績の評価の点では、年度評価と同様に行うこととされております。(2)の議題ですが、真ん中より少し下にあります「業務・組織全般の見直し」に当たります。今年度に当たる中期目標終了時までに、法人の業務及び組織の全般にわたる検討を行い、その検討結果に基づいて業務の廃止、若しくは移管又は組織の廃止、その他の所要の措置を講ずるものであり、今年度が中期目標期間の最終年度に該当するということで対象になっております。これも独立行政法人について定めた通則法第35条の法律の規定に基づいて行うものです。この2点の中期目標期間見込評価と、業務・組織全般の見直しについては、いずれも次期中期目標、来年度からの中期目標の内容に反映させていただくことになるものですので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

 

○真野主査

 ありがとうございました。それでは早速、議事に入りたいと思います。国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の中期目標期間見込評価に係る意見についてです。最初に「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」をお願いします。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

 のぞみの園の事業企画局長をしております杉原と申します。よろしくお願いいたします。本日は、見込評価説明資料により、ポイントを絞って説明させていただきます。ページは右下に振ってあります。1ページを御覧ください。第3期中期目標・中期計画期間中の取組をまとめたものとなっております。それぞれの項目ごとに平成28年度までの業務実績と、平成29年度の見込みを一部記載しております。なお、2.自立支援のための取組の所の(3)矯正施設等を退所した知的障害者を受け入れるという所ですが、誤って計画値を入れてしまいました。受入れ実績につきましては、6ページの緑色の表があります。その一番下の「新規受入」の人数が本来の正しい数字です。申し訳ありませんでした。

 次に、2ページになりますが、資料の構成について説明させていただきます。右上に見込評価を書いております。その下に、平成25年度から平成28年度の表記がありますが、ここには、のぞみの園の自己評価を記入させていただいております。その下に中期計画の概要を記載しております。その下の緑色の表ですが、当該評価項目の主な定量的指標を掲載しております。関連する他の評価項目の定量指標や、第3期の取組状況を表わす項目を表記しているものがあります。一番上の地域移行の実績は、当該項目の定量的指標ですが、その下の平均在籍年数は第3期の取組状況を表わす項目となっております。また、4ページの表の一番上の高齢知的障害者支援に関するセミナーの開催につきましては当該評価項目の指標ですが、その下の現任訓練の受入や、講師の派遣につきましては、他の評価項目の定量指標です。その中から高齢知的障害者支援の部分だけを抜粋して掲載させていただいております。

 一番下の黄色い枠の中に、第3期の取組状況を記載しており、本日の説明は、この第3期の取組状況を中心に御説明させていただきたいと思います。また、この見込評価説明資料には、重要度と難易度の設定を記載しておりません。それにつきましては、参考資料7に記載されているとおりですので、よろしくお願いいたします。

 それでは、評価項目の1-1「地域移行の取組」から説明させていただきます。この中期計画では、平成24年度末と比較して、施設利用者数を16%削減することとされております。のぞみの園の平成28年度末の入所者数は、238名となっておりますので、平成24年度末の292名と比較して既に18%の減となっております。また、定量的指標として、年間5名の地域移行となっておりますが、緑色の表の一番上の所ですが、平成25年度から平成28年度までに毎年5人の地域移行を達成しております。その下に地域移行の累計と平均在籍年数を載せております。のぞみの園では、第1期より地域移行に取り組んでおり、平成24年度末までに150人の方が地域移行されておりますが、比較的若く、身体的機能も低下していない方は既に地域移行が行われておりますので、第3期中期目標期間に入所されている旧法人からの入所者につきましては、加齢に伴い機能低下や重症化が顕著であり、介護度が増加している方、あるいは重篤な病気に罹患するなど、常時医療的ケアが必要な方など、特別な支援が必要となる方が多くなっておりますが、丁寧に地域移行を進めております。また、地域移行に関しましては、本人や家族の中には、地域での生活に強い不安感を抱いておられる方も多いことから、保護者懇談会などの機会を利用して、地域移行の取組について説明する際には、地域移行での生活を分りやすくするため、写真やビデオを活用したり、平成27年度までは、地域移行した入所利用者の様子を紹介する「のぞみの園地域移行通信」を年4回発行し、保護者全員に配布するなどにより、家族の理解を促しております。また、受入先の確保に向けた取組といたしましては、移行先の自治体などに対して、入所利用者の情報について、常に情報交換をしながら進めておりますし、地域移行をする方につきましては、移行前に健康診断を実施し、その結果を移行先に情報提供するなど、地域移行が円滑に進むよう、必要な情報提供を行っております。また、施設利用者本人につきましては、地域移行に向けて、施設見学や、宿泊体験を実施しておりますが、家族の方にも宿泊体験の様子を確認していただいて、地域移行への不安解消にも努めております。

3ページです。地域移行への取組に関する項目の数値は、中段の表に掲載させていただいております。一番下の枠の中の3行目の所ですが、地域移行をした方のフォローアップとしては、毎年度行っておりますが、前年度に地域移行した方や、地域移行後5年を経過した方などにつきましては、職員が移行先事業所を訪問いたしまして、本人の様子などを確認し、訪問していない方につきましては、全ての地域移行をされた方につきまして電話等で生活の状況などを確認しております。

 このように、地域移行への取組は非常に困難なものとなっておりますので、難易度を設定させていただいております。説明は以上となります。

 

○真野主査

 ありがとうございました。今御説明がありました事項について御意見、御質問等いかがでしょうか。

 

○名里構成員

 すみません、平成27年度が一応、数値的には達成されているけれども、B評価というところは多分、難易度の設定も同じだったと思うのですが、最終的な評価がどうだったのか、伺ってもいいですか。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

 このときは、例えば地域移行の取組につきまして、情報発信が不十分であったり、そういったところで評価は「B」とされたと思っております。

 

○名里構成員

 すみません、情報発信というのは、誰から誰にですか。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

 のぞみの園から御家族の方に対して、どういう取組をしているかとか、家族の方や地方自治体に対して、そういう情報発信です。

 

○名里構成員

 そうですか。意見ですが、前回の平成28年度の評価のときと本当に同じ内容なのですが、のぞみの園に我々が一番望むというか、やっていただきたいと思うのは、こんなに重度の方を目標どおりに5人を外に移行させましたではなくというか、それよりも、こんなに重度の人にこういう取組をして、御本人の意向を確認しながら、こういうふうに御本人の意向が明確になっていって、そして移行できて、移行した後はこのように新しい暮らしをされているとか、そういうプロセスを事例として、どういうふうにしているのかを明確にしていただきたいのが一番なのではないかと思います。

 

○真野主査

 よろしいですか。ほかの構成員はいかがでしょうか。

 

○三田構成員

 すみません、前回お聞きすればよかったのかもしれないのですけれども、確認です。地域移行をされる方が5名でずうっと続いてきておりまして、高齢化そして重度化という中で達成したということです。これはよく分かったのですけれども、今後にも関わるのですが、地域移行できないというか、例えば高齢者の施設に行くとか、病院に行くとか、亡くなるとか、そういう方は年々どのようになっているのか、あるいはその数が5名どころではないような状況なのかを、すみませんが、ちょっと教えていただけたらと思います。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 まず、亡くなられる方は、トレンドとしてはやはり増えてきております。年間で大体10名前後ですが、多い年は15人ぐらいの年もございます。それから病院については、一応急性期の場合は、国立高崎医療センターのような病院に入院して、急性期の治療ということで手術とか、そのような治療をしていただいて、急性期の治療が終わったという場合には、のぞみの園の診療所に戻りますので、そういう意味では病院に出たままそのままのぞみの園を退所になった方はいないという理解でよろしいかと思います。のぞみの園である程度長期入院している方、あるいは入院していて最後に残念ながら亡くなられた方はいますけれども。そういう意味で、入院してそのまま退所というのはないということです。

 それから、介護保険施設の関係は、この地域移行のいろいろな調整を行う中で、御本人が65歳以上で、要介護度も3以上のような認定を受けて、御家族の希望もあって、介護保険施設に移られる方は若干名いますけれども、それは私どもの、のぞみの園の地域移行という事業の中では、移行者として一応カウントしております。したがって、過去のカウントした数字の中の若干名は介護保険施設に移行しているということです。

 

○三田構成員

 ありがとうございました。その5名の地域移行という数の算出の仕方が、3倍の15人が亡くなるとしたら、どのように考えたらいいのだろうなとちょっと思ってしまったので、お答えを頂いた感想ですけれども。それと全国的な傾向というか、ある一部の、もと公立の大規模な施設などでは、敷地内に高齢者の施設を作るというような動きが既に出てきておりまして、私はそれは良いとは思ってはいないのですけれども、恐らく地域の高齢者の介護保険施設は多分、知的な障害があるというだけで受け入れてくれないという実態があるからだと思うのですが、その地域移行というときに、グループホームとか家族の所に行くとか、高齢者の施設とか、いろいろあると思うのですが、これだけ長期で重度になったという方への関わり方として、ちょっとうまく言えないのですが、どういうモデルのルートというか、本人の意思を確認しながらですけれども、家族が高齢者の施設を望んだら、恐らくそっちに行くだろうなと思ったり。一人言みたいになってきていますけれども、この5名の算出と言いますか、15人と聞いてちょっと考えてしまったという感じです。意見です、すみません。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

5名という目標値は、これは確たる根拠があって、いろいろ計算して積み上げて5名ということよりは、むしろ私どもが精一杯頑張って年間どれだけできるかという、その一番の上限値みたいな意味で5名というのを設定して、とにかくそれを達成しようということでやっているということが正直なところだと思います。

 

○真野主査

 他の委員はよろしいですか。

 

○石井構成員

3ページの下の黄色い四角の中に結果が書かれているのですが、訪問して面会して聴き取りを丁寧に行っているとありますが、その結果、移行された方がどのような状態なのか、問題はないのか、うまくいっているのか、というのはいかがでしょうか。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 一応、実際に訪問して面会するというのもございますし、その他にいろいろ電話とかの通信手段を使って現況を確認することもございます。その結果として、移行された方は皆さん一応、移行後の生活に大体満足しているということです。それで何年か前に、移行した御本人にアンケート調査をしたことがございます。これは意思疎通が何とかできる方だけということですが、その結果として、のぞみの園に戻ることを希望するかという問いに対しては、一人も戻りたいと回答した方はいませんでした。そういう意味で、私どもも、やや複雑な気持ちではありますけれども、移行後も一応、皆さんがおおよそ満足した生活を送られていると、そのように理解しております。

 

○真野主査

 よろしいですか。ありがとうございました。それでは次に、1-2をよろしくお願いします。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

 評価項目21-2「施設入所利用者の高齢化に対応した支援」です。この評価項目は、高齢知的障害者支援に関するセミナーの開催に係る定量的指標の計画値は達成されておりますので、見込評価は「B」とさせていただいております。一番下の枠の中にありますけれども、高齢知的障害者への自立支援への取組につきましては、施設利用者の高齢化に対応した生活環境や身体状況に相応した日中活動や自立に向けた効果的な支援方法について検討を行い、効果的なサービスの提供を行っているところです。認知症を発症した方への支援では、平成21年度以降、認知症に罹患した知的障害者に対する効果的な支援方法、地域移行のプロセスの確立に関する調査・研究に基づいた支援を実施しておりますし、医療的ケアの必要な方への支援につきましては、医療との連携により専門性の高い支援の提供を行っているところです。

 また、高齢の施設入所利用者に対する支援につきましては、身体機能の維持の観点から様々な取組を実施しておりますけれども、資料の一番下の枠の2段目ですが、平成28年度では、生活支援部と診療部が連携して身体機能低下の予防を目的とした「余暇活動における健康増進プログラム」を試行開始しております。

 なお、情報提供としましては、のぞみの園主催のセミナーの開催やニュースレターにおいて、当法人における高齢者支援の取組等の紹介を行っているほか、中段の表の2つ目の○にありますけれども、平成25年度から全国知的障害関係施設職員を対象として、のぞみの園のフィールドを活用し、専門性の向上を図ることを目的とした「支援者養成現任研修」を実施し、高齢知的障害者支援コースで、第3期に16名を受け入れているところです。

 また全国の知的障害者関係施設等の求めに応じ、全国知的障害者支援に関連したテーマについて、職員を講師として、第3期に派遣し、情報提供に努めております。

 このように、のぞみの園では全国の障害者支援施設における利用者の高齢化に伴う機能低下の著しい方などへの対策が喫緊の課題となっている中で、整合性の高い支援を実施し、全国に向けて情報発信を行っておりますので、重要度を設定させていただいているところです。以上でございます。

 

○真野主査

 こちらは「B」評価ということですね。何か構成員から御質問とか、お願いします。

 

○名里構成員

 ごめんなさい、何か出されているものを見たら分かるのかと思うのですが、医療的ケアのことですが、介護職員等が講習を受けて実施するということについては、どれぐらい実践されているか伺ってもいいですか。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 一応、講習というか、研修を受けて、痰の吸引などを実際にできる職員というのは9人ですけれども、人事異動でそのような生活寮からほかに移ってしまったとか、そういうのがございますので、現に「あかしあ寮」という寮で業務として痰の吸引などを行っている職員は、確か5人だったと思います。

 

○名里構成員

 医療的ケアが必要な方は何人いらっしゃるのですか。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 あとは、特に必要な利用者というのは、ちょっと手元に数字がないのですが、大体あかしあ寮で生活しております。あかしあ寮は診療所と併設になっていて、ドア1枚を隔てて診療所がございますので、必要に応じて看護師が、あかしあ寮に行って必要な痰の吸引とか、そういう流動食の経管栄養みたいなものについても看護師が担当してやっている状況です。

 

○名里構成員

 医療的ケアの必要がある人に対して、医療的ケア自体を看護師がやったり、福祉職がやったりということは、福祉職がやれればいいということだけではないと思うのですけれども、本当にその方の生活の質とか考えたときに、あるときは福祉職ができたほうがいいというような、もちろん考え方もあると思うので、その辺の全体的な整理と言いますか、のぞみの園としてはどのように考えてどういう支援をしているというようなことが出されるといいのではないかと思います。

 

○真野主査

 ほかによろしいですか。それでは次に、1-3をお願いします。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

1-3「著しい行動障害等を有する方への支援」です。第3期では第2期に引き続き、他害、自傷、器物破損行為、拒食、被虐待などにより、他機関や事業所において、受入れを拒否され、行き先のなくなった支援困難な障害者の方をのぞみの園で受け入れて、一番下の枠の、福祉と医療が連携しまして自閉症の行動特性や行動障害が生じる背景・対応について検討を行い、例えば有効な支援の方法の1つであります視覚に訴えるなど、分かりやすくルールを示す手法などを用いた効果的なサービスの提供に努めているところです。このように行き先のなくなった支援困難者に専門性の高い支援を行っておりますので、困難度を設定させていただいております。

 また、中段の表の2つ目の○ですが、全国の知的障害者施設の若手職員を対象とした支援者養成現任研修の行動障害者の支援コースでは46人の受入れを行っております。また、全国の知的障害者関係施設等の求めに応じて「強度行動障害にかかる基礎知識」等をテーマとして、職員を講師として18回派遣するほか、ニュースレターにおいて、取組等の紹介を行い、情報提供に努めております。

 また中段の表の一番上の○ですが、新規の受入れは第3期の平成28年度までの計画値は6名となっておりますけれども、定量的指標の計画値を大きく上回る11名を受入れ、問題行動等の著しい改善が見られた5名の方が出身県の施設やグループホームに退所されているところです。

 このように評価項目の新規受入れ者数等の定量的指標は、計画値を大幅に上回る実績となっておりますので、見込評価は「A」とさせていただいております。

 またこの資料には記載されておりませんけれども、平成28年度までは著しい行動障害等を有する女性の方を支援する寮は1つの寮でやっていたわけですけれども、例えば旧法人から入所されている方と、有期限で受け入れている方を一緒に、同じ寮で支援を行っておりましたけれども、そうした場合、有期限で受け入れている入所者の他害行為に対して、旧法人からの入所者がその他害行為を回避できないケースがございましたので、同じ寮で支援するのはちょっと好ましくないことから、平成29年度からは、旧法人からの入所者と有期限で受け入れている入所者を2つの寮に分けて支援を行っております。以上でございます。

 

○真野主査

 ありがとうございました。よろしいですか。お願いします。

 

○三田構成員

 資料1-2の大きいほうの16ページですが、評価指標に「著しい行動障害等を有する者や精神科病院に社会的入院等をしている知的障害者の方を受け入れて、サービスモデルの構築をする」と書いてあるのですが、16ページには「精神科病院から1名を有期限というモデル的で受け入れた」と書いてあるのですが、恐らく閉鎖病棟の奥のほうにいらっしゃった方だと思うのです。行動障害のある知的障害者の方はたくさんいると思うのですが、その人をどのような基準で選定したのか。すみません、突っ込んだ質問で。つまり、モデルを構築するのであれば、どういうきっかけで、のぞみが受けてくださる経過になったのか。そして、その方を選んだ基準などを教えていただければ嬉しいです。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 前回も若干、御説明したのですが、のぞみの園に困難事例としていろいろ相談が寄せられて、その中で是非、のぞみの園で施設入所支援をお願いしたいと、そういう事例が幾つかあります。前回お答えしたところでは、そういった事例は、のぞみの園に今でも40ぐらい、やり取りが終わっていないで残っているということを申し上げました。そういう中から非常に困難な事例であって、なおかつ、私どもとしては、一応、事前に相談支援事業所などといろいろなやり取りをして、その中で非常に困難であり、のぞみの園として受け入れる必要があるのではないかと、そういう判断をするわけです。そして、のぞみの園の受入担当の職員が実際に出向いて行って御本人と面談して、いろいろやり取りをするということですが、そういう経過で、この1名の方の受入れをしております。

 その際に、御本人が自傷がひどくてということで実質拘束を受けています。しかし、いろいろやり取りをする中で御本人の意思が確認されて、ここの病院を出たい、そしてもう一度やり直しをしたいのだと、そのような意思が確認されて、私どもとして受入れするということに至ったわけです。その場合、具体的にたくさんある中から、どういう基準で選んでいるのかと言うと、これははっきり、こういう基準でという、申し上げる基準はありません。それは日常的に私どもが、いろいろなそういう相談支援事業所、あるいはいろいろな入所施設などとのやり取りの中で、優先度が高いと判断したものについて、私どもの生活寮の空きの状況を見ながら受け入れているのが実際のところです。

 その点について、のぞみの園での施設入所支援の希望をする方たちから見て、もう少しはっきりした基準みたいなものを作ったほうがいいのだと、そのような御意見もありますので、今、私どもはそこら辺を検討中です。

 

○三田構成員

 基準を作るかどうかは、今、私はそこはどちらでもいいという感じですが、つまり確認しますと、精神科病院からこういう方がいるのだけれどもというのが、そもそもの申し出なのでしょうか。それと、精神科病院にも幾つかあり、のぞみの園が割と連絡を取りやすい関係になっている病院がたくさんあって、その中で選んでいくのか、あるいは、もしかしたらかなり限定された病院なのだと。そうしたら、それは群馬県内なのかとか、範囲はどのぐらいまでコンタクトを取っているのかとかを知りたいだけです。ほかの全国の施設も、なかなか連携が取れないで困っているのです。そうなので、うまく連携が取れているのであれば、それが参考になると思いますので。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 精神科病院と直接やり取りをしてというのは、ほとんどないかと思います。むしろ、のぞみの園がこのような事業をやっていることを、例えばニュースレターで記事としてまとめて全国に発信するとか、そういうことを通じて、のぞみの園がそのような事業を実施しているということで、のぞみの園にいろいろな問合せがあります。それは先ほど申し上げましたように、相談支援センターと、相談支援事業所とか、入所施設とか、そういう所ですが、福祉関係の所からのいろいろな問合せです。

 群馬県内というよりは、この1例は新潟からでした。新潟の相談支援事業所から直接、のぞみの園に問合せがありました。それから、以前に受け入れた例としては、岐阜県とか、東京都とか、群馬県内というよりは、そういう本当に困って、のぞみの園に問い合わせてきてと、先ほど申し上げましたように、そういう中から優先度も考えながら対応しているということです。

 

○三田構成員

 一言だけ。分かりました。要するに、ニュースレターで、のぞみの園がこういうことをやっていますよと。あれがすごく大事で、それを見た福祉関係者が、知っている知的障害者が精神科病院に社会的入院をしていると。それで、あの人を何とかしてほしいという場合に、そちらにお願いをして、のぞみの園より会いに行って、ある程度のコミュニケーション能力がある方については、受ける対象になるということでよろしいですか。「著しい行動障害」と書いてあるので、この辺が私の中でなかなかすっきりしないのですが、実態が分かれば、いいのです。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 今、三田先生が大体まとめていただいたことですが、要するに、精神科病院に社会的入院している方は、以前、施設とか在宅でいろいろ何か思うようにならない、何か複雑な内面的な問題があって、その結果として自傷や他害行為がひどくなって、福祉施設でも対応できないと。そういうことで精神科病院に入院というプロセスになっているようです。そういう意味では、まずはそういう自傷や他害行為がかなりひどくてというところがあって、精神科病院に入院し、精神科病院での治療は大体終わっているけれども、終わっているというのでしょうか、精神科病院で治療しても、そういう自傷や他害がおさまらなくて、むしろひどくなっていると。そういうことで、福祉と言うのでしょうか、医療だけではなくて福祉と連携しながらということで対応しなければいけない事例なのだと。私どもは、そのようなことで判断して受けているということです。

 

○三田構成員

 一言だけ。私がこれを読んだときには、精神科病院と向き合っていただいて、どこの病院にも必ずかなりの数の方がいらっしゃるので、福祉関係者とも接点がない人もいるかもしれなくて、そういうための精神科病院からの受入れで、サービスモデルの構築に向けて取組ということだと、少し期待してしまったので、それはのぞみの園がやっていただけることなのかという期待です。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 それは私どもも、もう少し事例を積み重ねて、まとめて、その上でこういった精神科病院に入院している知的障害の人の退院促進のために、どういうことが必要なのかをまとめて、それを厚生労働省のそういう担当部局に一応説明してということは考えております。それは正に精神科病院の退院が、現在、統合失調症のモデルで大体進んでいて、こういう精神科病院の中で社会的入院をしている、そういった知的障害のある人たち、なおかつ、かなり長期にわたる入院を強いられている知的障害のある方たちの退院をいかに促進できるかと、そういう意味でこの事業に取り組んだわけですから、三田先生の言われることで、私どもももう少し事例を積み重ねた上で、次のステップとしてそういう方向でやれたらと思っております。

 

○真野主査

 非常に現場に即した良い議論ができたと思いますが、これは余分なことかもしれませんが、三田先生は「著しい」と書いてあるのが気になったということですか。一方、「著しい」を取ってしまうと、ものすごくたくさん来てしまうかもしれないという感じもありますがね、どうなのでしょう。「著しい」というのが気になったのですか。

 

○三田構成員

 いや、「著しい」は「著しい」でいいのです。

 

○真野主査

 それはいいのですね。

 

○三田構成員

 でも、著しいと言いながら、コミュニケーションをとれる方と、先ほど言っていたので、そこもちょっとと思っただけです。でも、いいです。

 

○真野主査

 ありがとうございました。それでは、ほかはよろしいですか。

 時間が大分押してきてしまいましたので、では、B項目が続きますので、1-41-8までまとめて順番に御説明をお願いします。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園企画局長

1-4「矯正施設等退所者への支援」です。この評価項目については、受入者数等の定量的指標については、計画値を実績が下回っているものがありますが、全体では、おおむね100%の達成率になっておりますので、見込評価は「B」とさせていただいております。

 また、矯正施設退所者については、複雑多岐にわたる課題を抱えておられる困難なケースが多く、様々な関係機関とも連携し、支援を行う必要がありますので、困難度を設定させていただいております。

 一番下の枠の中ですが、矯正施設退所者については、第3期では、平成28年度までに16名を受け入れておりますが、計画値では毎年5名程度受け入れることとなっておりますので、実績が計画を下回っているわけですが、中段の表の一番下になりますが、毎年の新規受入の人数を増やしてきており、平成28年度では計画値の5名を受け入れているということです。

 また、厚生労働省の助成を受け、先駆的な受け入れ事業所や関係団体からの委員と、法務省・厚労省からもオブザーバーとして参加していただいている調査・研究検討委員会を開催し、矯正施設を退所した後の支援をめぐる調査研究や支援者養成研修に関する検討を行い、報告書にまとめて関係団体に配布しているところです。

 同時に、委員会からは意見を頂きながら、のぞみの園が主催する研修会の検討を行い、初・中級者向け及び実践者向けの2種類の研修会を、中段の表にありますが、年に3回~4回主催し、毎年約300名の参加者を得ているところです。

 また、一番下の枠の中ですが、平成28年度は、「理論と実践で学ぶ知的障害のある犯罪行為者への支援」を編集し、支援技術等の普及に向けた取組を行っております。また、中段の表にありますが、毎年50件を超える相談を受け、援助・助言を行うとともに、必要に応じて職員の派遣を行い、また、ニュースレターに実践事例を掲載するなど、情報提供に努めているところです。

 また、中段の表の2つ目のポツになりますが、矯正施設等を退所した知的障害者支援プロジェクトチームを設置し、支援技術等の向上のためのケース検討などを行っているところです。

 評価項目1-5「発達障害児・者及び地域で生活する重度の障害児・者への支援」です。中段の表にありますが、定量的指標の発達障害児の「通所支援事業の利用率」「保護者等学習会の開催」「情報発信」については、定量的指標の計画値以上の実績となっておりますので、見込評価は「B」とさせていただいております。

 また、発達障害児・者への支援は、今後の障害福祉施策の重要なテーマと考えており、のぞみの園においても、その支援に積極的に取り組んでおりますので、重要度を設定させていただいております。

 一番下の枠ですが、障害児・者への支援については、平成254月に障害児通所支援センター「れいんぼ~」を開設し、児童発達支援事業や放課後等デイサービスを実施し、発達障害のある児童について、就学前から成人まで切れ目のない支援を行うとともに、中段の表にありますが、保護者と学習会を開催するなど、保護者への支援に取り組んでいるところです。

 また、資料には記載がありませんが、障害児通所支援センター「れいんぼ~」は、開所から4年が経過し、これまでに専門性も蓄積されてきましたので、今年5月から従前の障害児通所支援センター「れいんぼ~」をセンター化し、児童発達支援事業と放課後等デイサービス事業をそれぞれ単独事業として実施しております。このセンター化により、従来の地域の中での身近な療育の場を提供するだけではなくて、地域の障害児や、その家族に対する療育相談や地域の障害児施設、保育所などを訪問し、援助・助言を行う等の地域の中核的な療育支援施策としての機能を担うこととしております。また、対象児の定員を10名から20名に増やしているところです。

 資料に戻り、一番下の枠の2行目ですが、地域で暮らす重い障害のある方たちの地域での生活を支えるために短期入所事業の提供も行っております。このような先導的かつ総合的な取組については、分かりやすくニュースレターに掲載するとともに、研修会やセミナーの開催、あるいは障害者支援施設や地方自治体からの求めに応じ、研修会への講師派遣などにより普及に努めているところです。

 評価項目1-6「調査・研究のテーマ、実施体制等」です。中段の表にある主な研究テーマの件数の実績は、定量的指標の計画値を大きく上回っておりますし、4人の有識者と内部委員2人で構成されている「のぞみの園研究会議」も、定量的指標の計画どおり実施し、研究計画や研究結果に対する指導・助言を受けておりますので、見込評価は「B」とさせていただいております。

 中期計画では、調査・研究のテーマは、障害福祉行政の政策目標の実現に資する分野について、各年度ごとに厚生労働省の意見を踏まえて、テーマを設定し、調査・研究の内容に応じて、外部研究者等との適切な連携・協力体制の確保に努めることとされておりますが、第3期はこの目標に従い、障害福祉関係者が、非常に関心があり、かつ国の政策課題である重要な研究テーマを計画・実施しております。

 なお、参考として、中段の表の中に、厚生労働省補助金事業の実施件数を掲載させていただいております。

 評価項目1-7「成果の積極的な普及・活用」です。中段の表にある定量的指標のニュースレターの発行は、計画値のとおり実施しておりますので、見込評価は「B」とさせていただいております。

 一番下の枠の中になりますが、調査・研究の成果の積極的な普及・活用については、調査・研究の成果を分かりやすくまとめたニュースレターを、全国の障害福祉関係機関などへ配布するほか、1年間の研究内容をまとめた研究紀要を発行し、ホームページにも全文を掲載して公表しているところです。また、支援の現場で活用できる小冊子の作成と配布や、日本社会福祉学会や日本発達障害学会などの学会の講演会等の機会を活用した発表などにより積極的な普及を行っております。なお、学会等での発表件数は、中段の表に掲載させていただいております。また、強度行動障害支援者養成研修テキスト、事例で読み解く障害者虐待等、障害施設職員を対象とした有償テキストを5種類作成し、関係機関に情報提供を行っておりますが、これらの有償頒布部数は4年間で約2万冊となっているところです。

 評価項目1-8「養成・研修、ボランティアの養成」です。中段の表にある定量的指標については、一部計画が下回っているものもありますが、全体としては計画値を上回っている実績となっておりますので、見込評価は「B」とさせていただいております。

 一番下の枠の中になりますが、養成・研修事業については、障害者福祉や保健医療に従事する方の資質の向上を図るため、全国の政策課題となっているテーマや全国の知的障害関係施設・事業所において、関心の高いテーマを取り上げて、福祉セミナーや研修会を積極的に実施しているほか、知的障害者関係施設等の職員を対象として、のぞみの園のフィールドを活用した支援者養成現任研修をはじめ、実習生やボランティアの受入れを行っているところです。説明は以上です。

 

○真野主査

 ありがとうございました。何か御意見とか。細かい話ですが、9ページに説明がありましたね。「テキストの有償頒布」ということだったのですが、多分、分厚いほうに書いてあるかと思いますが、これは収入としてはどれぐらいのものになっているのですか。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 一応、有償頒布でありますが、大体実費でもって頒布しておりますので、大体1,000円前後というのが見当になります。したがって、この4年間の実績として2万冊ですので、それに大体1,000円を掛けると、その収入になります。

 

○真野主査

 ただ、実費だから、変な言い方ですが、この自己収入の話があるではないですか。自己収入を増やそうと思ったというよりも、普通に実費でやったという理解ですね。分かりました。冊数が結構多いので、何かインパクトがあるのかと思ったのです。ほかの方はいいでしょうか。

 時間も大分押してきましたので、1-9、これはA項目なので、1-9だけでお願いします。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

1-9「援助・助言」です。中段の表にある定量的指標については、計画値を大幅に上回っておりますので、見込評価は「A」とさせていただいております。

 資料には記載がありませんが、援助・助言については、全国の施設や事業所で困っておられる事を御相談いただいており、のぞみの園では、より専門的かつ効果的な援助・助言を行うために、担当窓口の事業企画だけではなくて、研究部や診療部といった関係部署が連携を図りながら、相談者の希望に沿った効果的な方法を選択して回答をさせていただいているところです。

 そういった意味では、この援助・助言は全国の施設・事業所での支援の現場を支える重要な事業であると考えておりますので、一番下の枠の中に書いてありますが、利用拡大を図るため、ホームページやニュースレターに広報記事を掲載するなど、広報活動に努めているところです。以上です。

 

○真野主査

 ありがとうございました。1-9について何か御質問とか。よろしいですか。では、次にB項目が2つありますので、1-101-11をまとめて御説明をお願いします。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

1-10「その他の業務」です。中段の表にある定量的指標について、短期入所の総利用日数と、日中一時支援の総利用日数がありますが、計画値を上回る実績となっておりますので、見込評価は「B」とさせていただいております。

 のぞみの園では、附帯事業として、診療所の運営、地域の障害者支援として就労支援を行っております。一番下の枠の中になりますが、診療所については、大きく分けて2つの役割があります。1つは、施設利用者の高齢化、機能低下を踏まえた医療提供、もう1つは地域の障害児・者などに対する地域医療への貢献があります。また、平成234月に東日本大震災により被災された社会福祉法人友愛会の利用者の方を、約70名受け入れました。その方々の医療に当たるなど、積極的な対応を行っているところです。さらに、地域の知的障害者の利用規模に応じて、短期入所や日中一時支援の提供、地域の知的障害者のための就労支援として、就労移行支援事業や就労継続支援B型事業などの多様なサービスの提供に努めているところです。

 この資料の説明は以上となりますが、前回の81日の平成28年度の有識者会議において、診療所に係るデータが資料の中にないという御指摘を頂きましたので、今回、関係資料を机上配布させていただいております。「診療所の運営状況(平成25~平成28年度)」という表です。平成25年から平成28年度の診療所の運営状況ですが、収入・支出の額、通院患者数については、医科と歯科に分けていて、それぞれ施設利用者と一般外来患者の件数、1日の平均入院患者数、CT検査数となっております。1日の平均入院患者数の単位が「日」となっておりますが、これは「人」の間違いです。すみませんでした。

 なお、枠外に()として、収支の支出について、平成26年度以前と平成27年度以降で大きく数字が異なっている理由ですが、平成26年度までは診療所職員の一部をセグメントの施設運営に計上しておりましたが、平成27年度以降は、全員を附帯業務(診療業務)に計上しておりますので、若干数字が異なっているということです。

 評価項目1-11「サービス提供等に関する第三者から意見等を聴取する機会の確保」です。中段の表にある定量的指標については、運営懇談会の開催、第三者機関による評価がありますが、運営懇談会は計画値を上回る実績となっておりますし、第三者評価機関の評価は計画どおりですので、見込評価は「B」とさせていただいております。

 下の枠の中ですが、当法人では、地域の福祉、医療、司法、労働等の関係者から構成される国立のぞみの園運営懇談会を設置しており、前年度の業務実績の評価結果とか、当該年度の事業計画などを議題とし、毎年、年2回開催し、第三者の意見を頂き、事業計画等に反映させていただいております。

 また、第三者評価機関による評価は3年に1度実施しており、第3期では平成27年度に実施しておりますが、福祉サービスの評価においては、中項目ではA評価が72項目、B評価が2項目ありました。

 なお、B評価の中項目については、1つは食事の提供に関するものでして、ミキサー食については常食の写真を見てもらい、食べているものが分かるように工夫している寮もあるけれども、全ての寮では実施されていないというものでした。もう1つは防災に関する関係機関との連携に関する中項目で、地域の団体や機関との共同防災訓練については、今後、訓練の在り方について工夫が必要というものでした。説明は以上です。

 

○真野主査

 それでは、御意見はいかがでしょうか。松原構成員お願いします。

 

○松原構成員

 資料を出していただいてありがとうございます。診療所の運営状況で、収入が平成27年、平成28年で400万円増えて、支出が1,000万円増えているのですけれども、人を雇ったとか何かありますか。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

 すみません、ちょっとお時間を頂いてよろしいでしょうか。分かり次第、御説明させていただきます。

 

○真野主査

 その間に別の質問で、13ページの1-11のほうで、もしかしたら前に聞いたかもしれませんけれども、第三者評価機関うんぬんというのがあります。これは、どういう評価機関でしたか。何か構成員のどなたかも行かれたとか、それは違う、懇談会のほうでしたか。これは何ですか。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 これは、こういう福祉サービスについて外部の専門機関に、そのサービスについて評価してもらうという仕組みがあります。その評価を行う専門業者という言葉が良いかどうか分かりませんが、そういう専門の事業者に委託して実施してもらうというものです。その専門の事業者というのは、正確に御説明できないのですが、それなりに県レベルでオーソライズされている専門の事業者に頼んでいるということです。

 

○真野主査

 私は不勉強でしたけれども、福祉サービスの場合は、別に独法であるからやっているというのではなくて、どこでもやっているということなのですか。福祉サービスの施設の場合は全部やっていると。そうではないですよね。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 何と言うのでしょうか、ISOみたいなのもあります。それとは別に、こういう福祉サービス専門について、サービスの評価をすることが望ましいという行政的な指導もあります。それで、そういう専門の事業者がいて、そちらのほうに私どもは3年に1回程度お願いして実施しています。したがって、全事業者に義務付けされているものではないと思うのですけれども、少なからずの事業所は、こういう外部の専門機関の評価を受けて、それを基にしていろいろな改善に努めているということだと思います。

 

○真野主査

B評価なのですけれども、のぞみが、ある意味独法という、他の事業者とは違う立場から何かを行っているというわけではなくて、一般的な標準的なサービスを提供する過程の中で行っているということですね。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 はい。

 

○真野主査

 よく分かりました。先ほどの宿題は分かりましたか。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

 すみません、もう少し時間をください。

 

○真野主査

 五十嵐構成員どうぞ。

 

○五十嵐構成員

 毎度、診療所のことで恐縮ですが、本日の話は次期中期計画にも影響するということであえて申し上げます。これは評価項目10で、「その他」でいつも埋没してしまっています。そもそも論として、この診療所をのぞみの園が直営する必要があるのかどうかというのは非常に大きなテーマだと思います。最低これは次回と言いますか、計画の中では、診療所の経営というか、その部分については独立した評価項目で中期計画を立ててもらいたいということ。

 それから、これは抜本的に本当に必要があるのかどうかというのをきちんと説明しないと、医療の部分というのはこれから地域包括ケア等でいろいろなことをやっていく中で、ここだけ直営でやるというのは、どうも昔から違和感があるところなのです。本当に必要なのかどうかということは説得する必要があると思います。本日は、そういうことで、あえて次期以降ということで意見を述べさせていただきます。

 

○真野主査

 松原構成員の趣旨とも、多分似通っています。代られた委員の先生もいますが、前々から、この点は問題になっていたような感じもします。まだ分からないですか。

 

○松原構成員

 別に今日知らなければいけないという話ではないので結構です。分かれば後で教えていただければ結構です。

 

○真野主査

 厳しいことを申しますと、年間1,000万円の支出増の返事がすぐにもらえないというのもちょっと問題かと思ったりもします。先ほどのお話もありますので、是非気を付けていただければと思います。名里構成員どうぞ。

 

○名里構成員

 同じことになってしまうのですけれども、これは診療所だけでいくと結局、27,000万円近い赤字ということですよね。それで1,000万円のことも、すぐに出せないというのは、この収支状況についてどのように評価されているのかというのは、もうちょっと緊張感を持っていただいたほうがいいのではないかと思います。

 

○真野主査

 よろしいですか。松原構成員の御質問はどうしますか。後日何か連絡をもらうという形がよろしいのでしょうか。

 

○政策評価官室長補佐

 本日この場でというのは難しいようです。問題意識は松原構成員のみならず幾つか御意見を頂きましたので、構成員の皆様に御説明するような資料を、事務局を通じて提供させていただきます。

 

○真野主査

 もちろん、わざわざ来ていただかなくてもいいので。資料をですね。

 

○政策評価官室長補佐

 そうですね、資料を。そういう形でよろしいでしょうか。それでは、そうさせていただきます。

 

○真野主査

 よろしいでしょうか。1の項目がこれで終わりました。今度は2のほうで、こちらも業務運営の効率化というテーマです。こちらは全部B評定です。診療所の話が出てきたかどうか記憶がないのですが、時間も大分押してしまいましたので、2-1から2-5までまとめて御説明をお願いします。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

 評価項目2-1は、「効率的な業務運営体制の確立」です。中段の表にある定量的指標として、常勤職員数がありますが、計画どおりとなっていますので、見込み評価は「B」とさせていただきました。また、人件費の総額を参考までに掲載しております。平成25年度と平成26年度の額を比較すると、常勤職員数は減少している中で額が増加しております。これは平成26年度において、震災復興特例に伴う給与の減額が解除されましたので、これによって人件費が増額しています。

 一番下の枠の中ですけれども、常勤職員数については13%削減するという数値目標を達成するために、計画に沿って削減を行っておりますし、人件費総額の縮減にも意欲的に取り組んでいるところです。

 続いて評価項目2-2は、「内部統制・ガバナンス強化への取組」です。中段の表にある定量的指標の内部統制委員会、モニタリング評価会議については、一部計画値を下回っているものもありますけれども、全体としては計画値を上回る実績となっておりますので、見込み評価は「B」とさせていただきました。

 一番下の枠の中にありますけれども、内部統制・ガバナンスの取組については、理事長の指示の下に、平成20年度に取りまとめられた報告書に基づいて、リスク対応に重点を置いた取組や、内部監査の実施、継続的なモニタリングによる内部進行管理、あるいは施設利用者に係る虐待防止などの様々な対策への取組により、リスクの回避・軽減を図っているところです。また、業務内容の情報などをホームページに掲載し、情報公開等を行うなど、適切な統制環境の確保に向けて取り組んでいるところです。

 続いて評価項目2-3は、「業務運営の効率化に伴う経費節減」です。中段の表にある定量的指標の運営費交付金については、一番下の枠に記載しておりますけれども、職員数の減などにより、人件費の縮減を行うとともに、一般競争入札などの実施により、費用の縮減に努めるなどして、第3期において16%以上の削減に取り組むこととされておりますけれども、平成28年度までに25,000万円の縮減を図り、率で27%の節減を行っておりますので、見込み評価は「B」とさせていただきました。

 のぞみの園では、運営費交付金以外の自己収入の確保について、福祉サービスの充実や、国あるいは地方自治体からの委託事業の受託、あるいは診療収入の確保などにより、収入の増を図っているところです。

 続いて評価項目2-4は、「効率的かつ効果的な施設・設備の利用」です。この評価項目の定量的指標は、中段の表にはありませんけれども、通所支援事業の利用率が、定量的指標となっております。一部計画を下回っておりますけれども、全体としては計画値を上回っている実績ですので、見込み評価は「B」とさせていただきました。

 一番下の枠の中になりますけれども、施設・整備に関する計画については、利用者が安全で快適な居住環境を確保するため、施設内の設備の老朽化や危険箇所の改善などに関する整備関係を優先させることを基本に整備をさせていただきました。

 また、法人内に資産利用検討委員会を設け、資産の有効活用や、効率的な使用について適宜検討を行っております。主なものを紹介させていただきますと、平成234月から平成284月まで、空寮となっていた3寮を、東日本大震災に伴う、原発による避難を余儀なくされた被災施設である社会福祉法人友愛会の施設利用者の居住の場、あるいは日常活動の場として提供するなどして活用を図っております。効率的な使用では、寮の再編を行い、平成27年度に入所者の減に伴う2つの寮の閉鎖、あるいは使用されていなかった旧事業企画部の事務所を、平成29年度から新しい放課後等デイサービス「れいんぼ~」として活用しています。

 続いて評価項目2-5は、「合理化の推進」です。中段の表ですけれども、定量的指標の一般競争入札等については、計画値を上回って推移しておりますので、見込み評価は「B」とさせていただきました。

 一番下の枠の中ですけれども、合理化の推進については、「調達等合理化計画」に基づき、入札案件については、全て一般競争入札等の競争性の高い契約方式で実施しております。監事・監査、あるいは外部有識者と監事で構成される契約監視委員会を年2回開催し、契約実績の点検などを行っておりますけれども、指摘事項はありませんでしたので、適切な実施が担保されていると考えています。以上です。

 

○真野主査

 御質問とか御意見はどうでしょうか。これは、随意契約が17%ということで、年度で多少の差もあるのですけれども、随意契約された具体的な内容は何でしたか。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

1件当たり、かなり小額のもので、一般競争入札の対象とならない契約を随意契約でさせていただいています。

 

○真野主査

 小額が積み重なると17とか、結構な金額になるということなのですか。全体のボリューム感が見えないのですけれども。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

 これは件数です。

 

○真野主査

 なるほど、件数なのですね。金額としては非常に小さいということですか。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

 はい。

 

○真野主査

 分かりました。すみませんでした。他にはいかがでしょうか。よろしいようでしたら、次に3-14-1B評価でもありますので、まとめてお願いします。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

 評価項目3-1の「財務内容の改善に関する事項」については、中段の表にある定量的指標の、総事業に占める自己収入の比率は、その計画値の40%以上を上回って推移しておりますので、見込み評価は「B」とさせていただきました。

 評価項目4-1の「その他業務運営に関する重要事項」です。この評価項目に定量的指標はありませんけれども、情報セキュリティの取組について行っております。情報セキュリティについては、情報セキュリティポリシーや、その情報セキュリティ関係規程を策定するとともに、園内ネットワークと情報系ネットワークを分離し、個人情報の漏えい防止対策の強化に取り組んでいるところです。その他に策定した情報セキュリティポリシーの運用に関する周知徹底を図るため、全役職員を対象とした集合研修を行うとともに、国等の主催する集合研修に職員を派遣し、情報収集に努めているところです。以上です。

 

○真野主査

 御意見はありますか。よろしいでしょうか。この項目について御質問や討議はそろそろ終わりますが、全体を通して何かありますか。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園会計課長

申し訳ありません、遅くなりました。平成28年度については、委託業務・医事業務を行っていたのですけれども、委託は契約がなくて、賃金職員の雇いというところで人を増やしております。そこの人件費として、非常勤職員の費用として、当時は3名ということで増えています。雇い入れの関係です。資料については、また改めてお渡しさせていただきます。

 

○真野主査

 そうですね。それでは、次に法人監事及び理事長から、中期目標期間における中期目標の達成状況を踏まえて、今後の業務運営についてコメントを頂ければと思います。最初に法人の監事の方からお願いします。これは、資料はないのでしたか、ありますか。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園監事(萩原)

 資料はありません。本日は大変お世話になります。第3期中期目標において、理事長は障害福祉行政の新たな施策の展開、そして全国の関係施設、事業所における支援の専門性の向上に一層貢献できるよう取り組む旨を述べております。この間、理事長のリーダーシップの下、職員一丸となり、事業の推進に取り組んできたと考えております。

 地域移行の推進については、年を経るごとに一層難しさが増す状況の中で、的確な対応が求められております。外出で地域の社会資源に触れる機会を作るなど、体験を通した支援を行うなどしておりますが、支援に当たり利用者の尊厳を保持し、利用者本意の支援を実践することを念頭に一人一人のニーズに応じた適切な支援ができるよう日々検討を重ねております。

 新たな施設入所利用者の有期限の受入れは、著しい行動障害を有する者、精神科病院に社会的入院等している知的障害者、矯正施設等を退所した知的障害者への支援に、診療所の医療と連携した支援等を行い、実績を積んできております。実績から積み上げたノウハウを発信しており、関係施設等における支援の質の向上に寄与しているものと考えております。

 発達障害児・者の支援に向け、新たな事業として、平成25年度に開設した障害児通所支援センター「れいんぼ~」は、療育事業、また保護者支援の充実を図るなどして本年、平成295月に児童発達支援センターとして定員増を図り、新たに開所したことは、発達障害に係るニーズの高まりがある中で、期待は大きいものと考えております。

 日頃から、こうした自立のための取組の情報発信に努めております。一例ですが、平成26年度から始めた「のぞみの園のフィールドを活用した支援者養成現任研修」においては、全国からの参加者は増加傾向にあり、有効な情報提供として機能しております。調査研究の成果の積極的な普及活用や、講演会等における発表とともに、フィールドを活用した適切な情報発信の充実を図っていくことは重要と考えております。

 また、こうした役割を果たすために、法人として職員に対する人材育成の取組を一層充実させるとともに、職員においては日頃から自己研鑽を積むことを期待しております。以上、コメントとさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 

○真野主査

 ありがとうございました。続いて、法人理事長からお願いいたします。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 最初に、本日の会議への準備が不十分なところがありまして、御質問に十分に答えられないものがありました。おわび申し上げます。見込み評価に関しては、平成28年度までの実績については、本日、御説明したとおりであり、目標達成に向けておおむね順調に推移しているかと考えております。最終年度も既に5か月が過ぎようとしておりますので、本日頂いた御意見なども踏まえながら、確実に目標を達成できるように全力を傾注してまいりたいと考えております。

 第3期の中期目標期間を振り返ってみますと、厚生労働省、この会議の構成員の先生方をはじめ、多くの関係者の皆様の御指導、御協力の下に、各種事業を確実に前進させることができたと感謝しております。特に著しい行動障害のある人や矯正施設退所者の支援事業では、相当に困難が予想される場合であっても、担当職員のほうが積極的に受入れを提案して、受入れ後は粘り強く支援に取り組み、何とか成果を上げるという積極的な取組を行うようになってきたことは、非常に理事長としても望ましいことと受け止めているところです。

 また、第3期の初年度から開始した児童発達支援事業と放課後等デイサービス事業については、利用希望者が増加するとともに、医療と福祉の担当スタッフの専門性も高まってきましたので、本年5月から児童発達支援センターに拡充して、また放課後等デイサービス事業の1日の利用定員も10人から20人に倍増するという取組をしているところです。

 他方、反省すべき点としては、法人として虐待防止体制の整備が遅れて、あるいは支援の現場において必ずしも風通しのよい職場となっていなかったというような問題点も顕在化しました。のぞみの園に設けた第三者委員会からの提言なども踏まえて、改善に努めているところです。

 今後も障害のある方たちのニーズに幅広く対応して、障害福祉行政の推進にできる限り貢献できるように、また全国の関係施設、事業所が直面している課題を解決するために関係者の御理解、御協力を頂きながら、各種事業の推進に取り組んでまいりたいと考えております。以上です。

 

○真野主査

 ありがとうございました。少し時間もあるので確認といいますか、また話が戻ってしまいますが、3ページの地域移行への取組のところで、平成28年度に64市ということで急速に増えているのですが、これは何かすごくアグレッシブに取り組まれたということなのでしょうか。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画・管理課長

 お答えします。今年度につきましては、実は介護保険の適用の関係で、一旦、地域に出た場合に再度医療的なケアが必要で、再入所等を求めた場合に、障害福祉サービスを継続的に出していただけるかどうかというところを市町村のほうに調査させていただいたことがありました。通常の調整ですと、ほぼ例年並みに10件程度だと思うのですが、そういったことで少し枠を広げて、それが地域移行に直接できる方というのではなくて、結構全国的に幾つかの所を、移行した人たちの所も含めて調査させていただいたので、少し件数が増えております。以上です。

 

○真野主査

 よく分かりました。あとは関連して、地域移行の同意を取り消したという理由が本人の状態の変化ということでした。これが一番多いとして、ほかに同意を取り消される理由は、どのようなものが代表的でしょうか。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画・管理課長

 御本人の状態が変化することが一番大きいのですが、あとはやはり御本人の高齢化です。せっかく同意を頂いて、ふるさとの近くに戻して、10年以上取り組んできて、ようやく受け取れる事業所が見付かったのですが、御本人がもう70歳を過ぎているということで、改めて御家族のほうで、この状況で環境を変えたくないという理由で断られたとか、特徴的なものではそれがありました。

 あとは御家族が代わったタイミングです。御兄弟から甥御さん姪御さんに代わられて、やはりふるさとへという意識がうまくつながらなかったといいますか、改めてふるさとの近くへということよりは、のぞみの園のグループホームとか、のぞみの園の周辺でお願いしたいといったことでお断りになるケースがありました。以上です。

 

○真野主査

 ありがとうございました。ほかはありますか。

 

○橋田構成員

 少し時間がありそうだということで、前回、議論をお聞きしたのですが、自己収入には診療所の収入とか、あるいは報酬などいろいろあるという話を伺いました。今回、診療所のほうの運営状況を出していただきましたので、それを見ますと、診療所の収入というのは相対的には非常に少ないのですか。その他の収入が多いということでよろしいのでしょうか。

 何を申し上げたいかと言いますと、運営費交付金が45割なのですが、それも結構、年度によって上下しているところがありますね。私が申し上げたいのは、やはりこういう重要な施設ですから、できるだけ安定した運営をしていただくことが必要だと思いますので、そういった意味で運営費交付金が非常に安定的に提供されるかとか、あるいはこういう自己収入のほうの中身で、私は把握し切れていませんので、非常に安定と見込んで大丈夫なものかとか、そういった状況が分かりましたら教えていただけたらと思っております。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 まず、自己収入についてですが、診療所については既に資料を御覧いただいたとおりです。できるだけベッドの稼働率をよくしたり、地域からの通院患者さんにPRして、私どもで専門的な診療を受けていただくという方向で取り組んでいるということです。

 また、福祉関係の自己収入については、これは障害福祉サービスの報酬というものが、いわば診療報酬と同じように、点数で大体決まっておりますので、私どもが提供するサービスに見合った報酬を頂いているということです。

 ただ、入所利用者がだんだん減ってきております。そういう中で、いかに収入を確保するかというときには、やはり地域から通っていただいて、そういう方の数を増やしていくのも1つの方策です。サービスの種類によっては非常に重い方を受け入れた場合に加算が付きます。加算が付くというのは、専門職員を一定割合以上配置すると加算が付くとか、そのような仕組みもありますので、現在のそういう仕組みの中で、私どもとして適切に収入を増やす努力をしているところです。

 

○真野主査

 ありがとうございました。ほかの構成員の方はよろしいですか。それでは、本当に予定とぴったりになりました。次に、二部といいますか、のぞみの園の業務及び組織の全般の見直しに関わる意見についてということです。この見直しについて議論をしていくわけですが、最初に法人所管課からポイントを絞って簡潔に御説明いただき、その後、質疑応答、意見など進めていきたいと思います。お願いします。

 

○社会・援護局障害保健福祉部企画課施設管理室長

 法人所管課、障害保健福祉部企画課の池田と申します。よろしくお願いいたします。資料1-3をお手元に御準備ください。「業務及び組織の全般にわたる検討の結果並びに講ずる措置の内容()」ということです。現時点で、来春以降のことにつきまして考えている案を、まず御説明申し上げたいと思います。

 前段に3点ほど記載しております。どういった現状があるかとか、どういった課題があるかということですが、1段落目では先ほど来、説明しておりますが、知的障害者の重度化・高齢化が進んでいるので、ニーズが多様化する中できめ細やかな支援が必要であるということです。2点目は、特に重度知的障害者のモデル的支援、それから調査・研究、また養成・研修を一体的に実施していくことが不可欠ではないかと思っております。

 このような状況の中で、従来の業務を実行しつつも、業務運営の効率性や自立性、質の向上を図る観点から、先ほど財政支出の安定的な経営というお話もありましたが、そういう点を見据えながら平成304月以降、こういった事業を展開していってはどうかと考えているところです。

 まず、1「自立支援のための取組」です。1番は、地域移行への取組ということがありますけれども、先ほど来、説明もしておりますが、のぞみの園に法人設立当初から、まだ一定数の入所されている方がいらっしゃいますが、地域移行していただくことにつきましても、いろいろな困難事例等もありますので、障害特性を考慮した受入れ先の確保など、粘り強く地道に地域移行に向けて進めていくことが1つあるのかと思っております。

 次の2番は、施設入所利用者の高齢化に対応した支援です。こちらは非常に重度な知的障害者で高齢化ということで、診療所の議論もありますが、医療との連携を強化しながらモデル的な支援を行い、高齢知的障害者に対するノウハウについて情報発信をしていきたいと思っております。

3番です。新たな施設入所利用者の受入れということで、平成1510月から、いわゆる一般の入所者の方は受入れを停止させていただいておりますが、その後、著しい行動障害を有する者や矯正施設を退所された知的障害の方につきましては、一定の有期の期限を設けさせていただき、非常に支援が難しい方がいらっしゃって、のぞみの園にずっといていただくということではなくて、そこで支援をさせていただいて、また地域に戻っていただくというような、正しくモデル的な支援を行っているわけです。受け入れる方の人数なども十分に検討し、モデル的な支援の拡充を図っていきたいと思っております。

4番です。発達障害児・者への支援です。これは近年、力を入れているところですが、就学前から継続的かつ予防的に対応を行い、そのお子さんが安心した生活を送られるような支援を取り組んでいきたいと思っております。

5番です。地域で生活する重度の障害者への支援です。高齢・重度の方がおりますが、のぞみの園としてはモデル的な支援を取り組んで、それをいかに全国に情報発信していくことが使命かと思っておりますので、十分にフィールドを活用して、総合的に推進していきたいと思っております。

6番のその他です。今、15番まで御説明申し上げましたが、他の障害者支援施設への普及ということが最大の使命かなと思っているところです。

次に、2「調査・研究の充実」です。フィールドを使って調査・研究を行っています。2ページから3ページにありますが、フィールドを活用したモデル的支援の実践を踏まえた調査・研究に更に取り組んでいきたいと思っております。

 次に、3「養成・研修の充実」です。こちらは多種多様な養成・研修を実施しておりますが、当然、全国の障害者支援施設従事者などを対象にしているわけです。障害者施策の分野も非常に幅広いものですから、特に現在では特定の分野ということで、行動障害、矯正施設退所者、発達障害に特化した形の専門的な研修を引き続き実施したいと思っております。

 次に4「援助・助言」です。こちらも多数の全国の障害者支援施設から、いろいろなお問合せがあるわけですが、のぞみの園で持っている、より専門的な援助・助言を行い、併せて必要に応じて全国の法人から講師の派遣依頼があれば、可能な限りそのノウハウを提供したいと思っております。

 5「附帯業務」です。今、1~4番まで御説明申し上げました。先ほど診療所の話もありましたが、その事項に附帯する業務として福祉サービスや医療サービスを今後も提供していきたいと思っているところです。

 6「第三者からの意見を聴取する機会の確保」です。先ほど御説明しましたが、引き続き運営懇談会、それから第三者評価を定期的に受審して、よりよいサービスを提供したいと思っております。

 次は、第2「組織の見直し」ということです。一般の入所の方は地域移行されますので、いわゆる施設入所利用者は減少していくわけですが、それに伴って人員削減ということもありますが、それにより効率化を図り、組織を見直していきたいと思っております。

 次が4ページの第3「業務全般に関する見直し」です。1「業務運営体制の整備」です。1番は、運営の効率化ということです。必要な運営体制は確保しつつ、業務の簡素化も務めていくというような記載になります。2番は、内部統制の強化ですが、こちらは内部統制委員会を設置しており、それを引き続き開催し、ガバナンスの強化について取り組んでいきたいと思っております。次に3番は、情報セキュリティの強化ということで、昨今、非常に情報セキュリティの話題がありますけれども、引き続き適正な情報セキュリティ対策を講じていきたいと思っております。

 次が2「財務内容の改善」です。1番は、保有資産の見直しということで、こちらの法人も相当広大な敷地がありますが、老朽化した建物も点在しているわけなので、既存のどの施設をどう整備していくとか、設備の必要性や利用方法につきまして、十分な見直しを行いたいと思っております。それから2番は、自己収入の増大ということで、運営費交付金が縮減されているのは、当法人に限らずどこの法人もそうではないかと思いますけれども、自己収入の増大をどう図っていくのかと位置付けたいと思っております。3番は、調達の合理化ということです。原則、一般競争入札に付しているものですから、これ以上なかなか調達での合理化は難しいかと思いますが、そこは調達等合理化計画を策定し、引き続き取り組んでいきたいと思っております。

 3「その他」ですが、平成295月に、この法人が平成1510月から独立行政法人になり、約15年間ぐらい中期目標を定め、それに基づく中期計画を定めて運営しているわけです。ただ、15年ほど経過しているものですから、平成295月に在り方検討会というものを当管理室のほうで立ち上げております。この在り方検討会では、中長期的な運営方針と記載しておりますが、どちらかというと長期のほうに少し視点を置いて、検討する場として立ち上げております。

 具体的にどのようなことを議論していただいているかというと、3点ほどあります。地域移行が困難な入所者の利用者処遇について、これはまだ250名ほど入所者の方がいらっしゃいますけれども、非常に処遇が難しいという点で、どうしていけばいいのかという点が1点です。

 それから2点目は、今後の事業展開は長期的に財政について、どう展開していくのかという話です。3つ目は施設の老朽化等についてということで、こちらは厚生労働省のホームページにも資料や議事録は掲載しておりますが、今後の本法人の在り方について、将来的なビジョンを少し示していきたいということで、検討会を立ち上げた次第です。

 ですから、在り方検討会を今、検討しておりますので、平成304月から、中期目標に反映できるところは反映していきたいと思いますが、まだ少し時間が掛かるようなこともあろうかと思います。その辺は検討結果を踏まえて、所要の措置を講じていきたいと思っております。簡単ではありますが、以上が今後の御説明です。

 

○真野主査

 ありがとうございました。それでは以上の御説明を受けて、構成員の先生方、何か御意見いかがでしょうか。

 

○五十嵐構成員

 先ほど申し上げた医療との関係で、ちょっと気になるところは、2ページの5番目ですが、実施に当たっては住まいや日常の医療などのサービスを総合的に整備すると。いわば医療の体制といいますか、それは直接、提供するということに限定されてしまうのかどうかということが、ちょっと気になったところです。

 併せて、3ページの附帯業務のところです。何回も申し上げますが、診療所の機能を有効的に活用しながら、医療サービスを提供していくということは、直接、引き続き提供していくのだと。先ほど御説明がありましたように、コストを掛けてでも今回1年間収入が若干増えたけれども、コストも1,000万円以上増えているという方向性で、今後もいくのだという宣言になってしまわないかどうかというのが心配なのですが、この辺はいかがでしょうか。

 

○社会・援護局障害保健福祉部企画課施設管理室長

 施設管理室です。先ほどから御議論いただいている診療所の経営ということで、確かに資料を見ますと、収入が減って支出が増えて、この収入と支出の割合では、施設利用者の方が、医科も歯科もいずれも減っています。ですので、のぞみの園の中で福祉サービスを提供させていただいている部分と相談・研修、それから研究とある中で、最近は医療の必要な方がいらっしゃるという現実もあります。

 本日は構成員の方から、診療所の在り方を、もう少し見直すべきではないかというような御意見も頂いたところですので、来年4月以降、のぞみの園の中に診療所をどう位置付けていくのかということは、非常に重要なテーマだと思います。しかし、医療的なケアがないと入所者の方も支障が生じるのではないかという不安もあるものですから、そこはこの先、法人と定期協議も開催させていただいておりますので、その辺で厚生労働省と法人のほうで定期協議を交えて、どのような形にしていくか、御指摘を踏まえて詰めていきたいと思っているところです。

 

○真野主査

 追加はありますか、どうぞ。

 

○五十嵐構成員

 この診療所の機能を有効的に活用しながら、医療サービスを提供していくという、この表現で、結局、医療サービスは直接、提供する必要があるわけではなくて、本人がいろいろな形で満足と言っていいか分かりませんが、どういう体制で提供すればいいかという話なわけですよね。その中で、のぞみの園が直接どんどん提供していくのではないという理解で間違っていないということでいいのでしょうか。

 いわば、ここでこれがあるから、今後の中期計画の中期目標の中で、例えば診療所の自己収入をどんどん上げていくのだというような指標が出ると、自己収入を上げるのはいいのですが、それよりももっとコストを掛けて自己収入を上げても意味がないような気がします。この文章によって、それはもう既に決着済みの話で、診療所の検討は、その中期目標の中ではしないということではないのであれば、ここではっきりとその話をお願いしたいと思います。

 

○社会・援護局障害保健福祉部企画課施設管理室長

 今、ちょっと御説明申し上げましたが、来年からの中期目標を策定するに当たって、十分に意見交換をさせていただいて、進めていくことになるのですが、本日頂いた御意見は十分に尊重して進めなければいけないと思っております。

 

○真野主査

 よろしいですか。

 

○五十嵐構成員

 中期目標の話のときに、また。

 

○真野主査

 そうですね。ただ、今のお話は重要な論点だと思いますが、多分、少し誤解があったのですかね。収入は増えていますね。平均入院患者も平成25年から比べると減っていますが、ほぼ横ばいですね。そうすると、やはり医療的ニーズ自体は増えているということでしょうか。少しそんな議論もありましたが。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 この診療所の役割として、1つは、のぞみの園の利用者の主治医的な役割です。それは、入所利用者が減っていきますと、頭数としては減るので、だんだんウエイトは小さくなっていくのですが、他方で、これまで種々説明してきましたように、のぞみの園の支援というのは福祉だけではなくて、やはり医療的な支援が福祉の支援と連携して初めて成り立つ支援がかなりあります。そういう意味で、他の医療機関が地域にたくさんあるだろう、そこで医療を受ければいいじゃないかという議論は、私は何というか、そのまま受け入れるわけにはいかない。のぞみの園のこれまでの長い歴史、あるいは独立行政法人になってからのこれまでの支援の実績からいって、医療というのはやはり不可欠な要素だと考えております。そして、収入の面で考えますと、今申し上げましたように、入所利用者の主治医としての役割は額としては少しずつ減ってきているかと思いますが、他方で地域の障害のある人たちの専門的な医療、特に発達障害関係の診察、診断、そしてその後の医療、更にこれまで説明してきましたように、児童発達支援センターを開設していますので、そちらにつながっていく一連の支援の中で、医療は非常に大きなウエイトを持っています。そういう意味で、のぞみの園での専門的な発達障害の診断治療に対して、地域からの期待は、大変大きくなってきております。そういう意味で、他で受ければいいということでは、なかなか説明できないようなところがあります。ただ、恐らくこの収支を御覧いただきますと、こんなに支出が多くてというような御指摘は、それはそれで御尤もだと思います。そういうものを踏まえて、私どもとしてどういう改善ができるかは、これから更に検討していかなければいけないと思っておりますが、ただ、のぞみの園の固有の実情みたいなことは、是非御理解いただけたらと思います。

 

○五十嵐構成員

 少し誤解をされているような感じがするので追加いたします。別に、私も医療そのものが不要だとか、地域で訳が分からない医者に丸投げすればいいのだということを言っているわけではなくて、もちろん重度ですが、障害者に対する医療は、別にのぞみの園に限った話ではなくて地域全体にこれからある話ですよね。その地域全体の話の中で、今は地域移行などもされている中で、医療についてはやはり医療との連携をしながらやっていかなければいけないというのは、これからいろいろな意味での大きな課題の中で、のぞみの園だけが直営にこだわってやることが本当に全体の障害者の医療に対する考え方でいいのかということを、少なくとも検討することは必要ではないかというのが、常々私が考えていたことです。決して、医療が不要だということを申し上げているわけではなくて、どういう体制であれ、どちらにしろ連携なしでは医療というのはできないわけですから。そういう意味で、連携を考えながらやられて、直営にこだわって閉鎖的にやる必要はないのではないかというだけの話です。

 

○真野主査

 よろしいですか。

 

○三田構成員

 今日出てきた運営状況を拝見してよく分からないのですが、例えば歯科などで、障害者の口腔ケアとか、地域のグループホームやいろいろな所でも、やはりなかなか難しくて、それをやってくれる先生の所にはすごく集中して行くのですね。これだけ何年かやってきたのに、どうして減っていくのかがよく分かりません。何年か前もお聞きしたのですが、1日に何件と決まっているという話を聞いたのを覚えていますが、非常に大変な方を限定でやっているのか、あるいは例えば予約が取りにくいとか、何か理由があって、数だけの問題ではないと思うのですが、歯科だけで100何十件減ってきていることなどを、どのように分析されているのでしょうか。あるいは、この実態の背景には何があるのかということなども知りたいと思いました。細かくてすみません。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 件数で見ますと減ってきています。1つには、先ほど申し上げた入所利用者の主治医ということで、入所利用者の歯科診療についても、これまでかなり丁寧にやってきました。しかしながら、治療の頻度がだんだん減ってきている、また入所利用者の数も減ってきているということで、減っている面があります。他方で、地域の発達障害の方たちの、いわゆる障害児の歯科診療という意味で、発達障害でのぞみの園に通院して、そういう方が歯科診療についても、のぞみの園を利用したいという希望もあり、そういった地域の発達障害のある人たちの歯科診療は、すぐに何件とは言えませんが、それなりの件数をやっています。そのような地域の方の歯科診療を行う場合に、やはり最初はそもそも診察台に乗って口を開いてもらうまでが、かなり労力を要するということで、なかなか効率的に件数をこなせないようなことがあります。そういうことで、件数がトレンドとしては減ってきているようなところがあります。

 しかし、そういうことで少ないと、もっと頑張れ、件数を増やせということも当然御意見としてあるはずですので、私どもも、もう一度現在の歯科診療の実態をよく分析して、どの辺りを改善して歯科診療の収入増につなげられるかを検討してまいりたいと思います。

 

○真野主査

 ほかはよろしいでしょうか。これは結局、国立であるという、ある意味日本全体をある程度見たほうがいいという話と、先ほどから出ている地域との話との両方の話があると思います。国立であるという意味でいけば、地域だけではなくて、研修事業や研究事業のように、「のぞみ」にしかできないことをやるのですという話なのですが、診療所に関して言うと、本来そういうことであれば、私は障害者・児のことをすごく知っているわけではないので間違ったことを言うかもしれませんが、例えば全国から、のぞみの診療所に患者が来るというようなシチュエーションが実際に今あるかどうかは別にして、というような話までいくと、地域だけではなくて、国立として、全国にそれなりの存在感があるみたいな話になるのかなとも思いますが、それは突拍子もない意見でしょうか。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 まず、私どものモデル的な支援ということで、高齢の知的障害の人、著しい行動障害の人などについて、福祉と医療が連携するときには、やはり診療所の内科医師、精神科の医師、そして医療のスタッフと、カンファレンスなども定期的に開きながら、どのように支援をしていったら支援の質が向上して、その結果として御本人の改善、地域生活へ近づけるかということで、実際に医療と福祉が連携しています。したがって、そのようなモデル的な支援のために、どうしても直接的に福祉の職員と医療のスタッフが日常的にいろいろ連携してという状況は、是非必要だと思っています。それは、あくまでもそういうモデル的な支援のためにということで、のぞみの園でなければ提供できない高度の医療があるとか、障害のある人たちの特別な医療があるということではありません。ですから、むしろ私どもがそのようにしてモデル的な支援として標準的なプログラムやいろいろなノウハウみたいなものを発信して、それを受けて全国の関係の施設・事業所としては、福祉と医療の連携を地域の実情を踏まえながらどのように組み立てていくかという問題だと思っております。

 

○真野主査

 そういう意味でいくと、中にあったほうが当然いいわけですね。よく分かりました。

 

○名里構成員

 有床診療所でやられているということですよね。有床であることが必要なのかどうかということを、今お答えいただかなくていいのですが、お考えにならないのでしょうか。多分、有床だからということも大きな要因で、赤字になっているのかなと思うのですが。うちは診療所をやっていますが、有床ではないです。入院が必要なときは、地域の総合病院にお願いするという形で、もちろんそのような行動障害の方などのことまでは、最終的にそこが課題で残ってしまっていると思うので、その問題はあるのですが、そういう人のための有床ということなのか、有床であることの再検討や見直しをされたらいかがかと思います。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 御助言ありがとうございます。沿革的には、かつて、このような直営の診療所を有床で開設していまして、いわゆる保健診療を行わないままきましたが、平成7年に通院について保険診療を受けるように指定を受けて、確か平成14年から入院治療についても保険適用というような経過があります。そういう意味で、もともと有床診療でというのは、正にのぞみの園の歴史的に、ここで福祉的な支援も医療が必要であれば、ある程度の医療は直接提供できるようにということで、施設が構成されていました。

 もう1つは、現実的な問題として、そのような入院治療が必要な場合、地域の医療機関がどれぐらい受けていただけるかという問題があります。私どもの場合は、重度で行動障害もかなりあるような入所利用者ということが、地域の医療機関にかなり知れ渡っておりますので、そういう意味では、入院治療をする場合には職員か御家族の方が付き添いでみたいなこともよくあります。この辺は、保護者の方から見れば、のぞみの園に直営の診療所があって、急性期の医療は専門的な医療機関で治療していただいて、急性期が終わればのぞみの園でまた従来どおり入院できて、そこで入院の必要性がなくなれば生活寮に戻れるというようなことで、保護者として安心で是非という強い要望もあったりして、入院治療は現在に至っています。

 

○石井構成員

 私自身も、障害と福祉と医療というのは、もう切り離せない時代になってきているとは思います。そして今、出していただきました内容では、やはりモデル的な支援という言葉が非常にキーワードになっていると思います。非常にいいことをやることによって赤字が増えること自体がいいことかというと、またそれは別問題だと思います。先ほどの御説明の中で、中長期的なところで、特に長期ビジョンについておっしゃったと思うのですが、その中にモデル的な中に、やはり経済的な観点も入れていかないと、やはり地域のモデルにはならないかと思います。実際にはマイナスになってしまった、赤字になってしまった部分があれば、モデルとして地域が受け入れられなくなってきますので、そこの現実性、特に平成30年度は診療報酬の改定が、福祉にもありますし、医療にも同時改定が行われます。実際に、そういった経済的なところも見据えた上でビジョンを立てられるのが今後の課題になってくるのではないかと改めて感じました。もし次に出すとすれば、このモデルがどういった形のモデルなのか。いわゆる医療に対しては患者、福祉に関しては入所者に対してといったところを踏まえたモデルになってくれればと思います。非常に難しい課題ですが、せっかくですのでそこまで考えていただければと思いました。これは意見です。

 

○真野主査

 意見ということでよろしいでしょうか。ほかはいかがでしょうか。

 

○名里構成員

 別のことですが、やはりどうしても中長期的なことを考えるとき、のぞみの園の今後の在り方を考えるときに、やはり相模原の事件のことを踏まえて、国としてどのように考えていくのかということが、多分問われるのではないかと思います。この在り方検討会の1回目の議事録を見せていただきましたが、今は本当に老朽化で建て直しのときにどういう規模でとか、どういうことを今後の施設の在り方としてきちんと打ち出して建て替えをするのかということは、各地の老朽化して何十年かたっている所が皆さん同じように考えているところだと思うので、のぞみの園は国立としてどう考えるのかというのは、とても重要なところだと思っています。

 それから、やはり相模原の事件の後、地域共生社会の実現ということが本当に言われていると思うのですが、前回もそのようなお話をさせていただいたときに、国立なので地域というのが、そこにある地域というよりは、やはり国としてもモデル的なところになるということだったのですが、地域共生社会の実現と考えたときにもどういうモデル的な施設と地域とか、施設に関係している障害の方と地域がどういう関係を持っていくように、共生社会に向けてどんなことを実践していくのか、どう考えてどう実践していくのかということを是非出していただきたいと思います。

 

○真野主査

 結局、ややこしいのは恐らく、今後の中長期の在り方という話もありましたが、特殊な一部の例を除くと、そもそも入所も減らしてどんどん縮小させていくというように決まった方向性があるので、その中でもがいているように感じるのですね。ですから、地域共生社会とか、時代や社会からのニーズも変わってきているので、是非在り方検討会で、また話をひっくり返すのはおかしいのかもしれませんが、やはりそういう状況の変化も踏まえた上で、国としてどのように、要は非常に難しい人たち、あるいはモデルとなるようなケースを扱っているということであれば、もちろん余り赤字を垂れ流していいというわけではないですが、多少は国策としての考え方も出てくるような気もしますので、それがないと、最初から保障や福祉をするという中で幾ら良いことをやろうとしても、なかなか厳しいところがあるのかなという感じがしましたが、いかがでしょうか。

 

○社会・援護局障害保健福祉部企画課施設管理室長

 今、構成員の方から頂きまして、在り方検討会は正しく全国的な施設の位置付けでもあるのぞみの園もありますし、実際に入所者がいらっしゃる1つの福祉施設と言ったらあれですが、そういった位置付けの両方があり、また昨年は津久井やまゆり園の事件もありましたものですから、のぞみの園単体をどうしていくかということも当然我々は所管課として考えなければいけませんし、障害者福祉施策の、どこでも重度の高齢者の方がのぞみの園だけにいらっしゃるわけではないというところもあろうかと思いますので、そこはまだ第2回までしか検討会は開催されていませんが、そういったところまでの御提言が頂ければ、今日こういった場で構成員の方から御意見を頂いてということも報告させていただきながら、長期的なビジョンを示していただければ有り難いと思っています。その際に、先ほど冒頭申し上げましたが、平成1510月の独立行政法人化のときから、当初は500名ぐらいいらっしゃった入所者と、一般的な入所を受け入れて地域移行からするとそういう方向でさせていただいてきているので、必然的に障害福祉サービスの報酬は減っていく。先ほど法人の方から御説明がありましたが、特に重度の知的障害者の方を有期的に入れるとか、矯正施設の方をある意味、のぞみの園で訓練や支援をさせていただいて地域の社会福祉法人なら社会福祉法人に受け入れていただく橋渡しをやるのは国の責務ではないかと思っております。特に、重度の知的障害者の方は相当な待期者数で、40名程度いらっしゃると聞いていますが、あとは、矯正施設の退所者は非常に把握が難しいところもありますし、それが地域の福祉施設で即受け入れられるものかというと、なかなかまだそこまで進んでいないというところがありますので、そこは是非のぞみの園を活用というところもあります。一方、財政的にどう健全化を図っていくかは非常に悩しく、建物も古くなっておりますし、職員の削減もあります。ですので、その辺りをどのようにうまく調整しながら運営していくかということは、真剣に考えていかなければいけないとは思っているところです。

 

○真野主査

 少し診療所の話にフォーカスしてしまった感じですが、ほかにもっと大所高所も含めて何か構成員の方から御意見はありますか。

 

○松原構成員

 重度知的障害者の方を対象にずっと事業をなさっているということで、すごく重要でかつ大変な業務に携わっていただいていて、本当に感謝しております。そういうサービスの場合、どうしても数字で評価するというのが、他の独法の事業と比べて非常に沿わない事業内容なのですね。それを、無理矢理数字で評価していて、それは評価委員としては非常に心苦しく思っております。何が言いたいかというと、後ろ向きな話が多くなりがちではあるのですが、非常に大切なお仕事をなさっていらっしゃると思っていますので、是非職員の方のモラルが下がらないように頑張っていただきたいと。地域に貢献できるような、こんなことがあるのだと示せるような前向きなことができればと。職員の方々に対して夢があるようなことがあるといいなと。ここだと厳しい話ばかりになっていて恐縮だと思っています。感想と意見です。

 

○真野主査

 ほかの構成員の方、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、ちょうどいい時間にもなりました。以上で、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の業務、組織全般の見直しについての議論を終了いたします。法人所管課において、構成員の皆様から本日頂いた御意見を踏まえて、見直し内容の修正等について御検討いただき、内容の最終的な確定をよろしくお願いいたします。最後に、法人及び法人所管課から一言お願いいたします。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 まず、法人のほうから申し上げます。ただいま、厚生労働省から業務及び組織全般の見直しに関する資料について御説明がありました。これは、第4期の中期目標の骨格になっていくものと受け止めております。本日いろいろと御意見もありましたので、一部修正されてということではありますが、私どもとしては、これまで取り組んできた各種事業を更に発展させる方向での第4期中期目標が設定されれば、役職員の励みとなって志気は一層高まると考えているところです。のぞみの園では、一昨年、法人の中に、第4期中期目標期間に向けて事業の在り方を法人で検討するというプロジェクトチームも設置して、昨年5月に取りあえずのまとめをいたしました。これは当然、厚生労働省で中期目標が示されるわけですが、ある程度こういう目標になりそうだということを想定して、第4期に入ったら早速その事業に取りかかれるように、そのための準備を先に進めておこうという趣旨です。そのようなことで、本日の御意見もありましたが、いずれにしても第4期に向けて現在進めている準備は、更に進めてまいりたいと考えております。

 先週81日の有識者会議でも申し上げましたが、多様なニーズに応えて、のぞみの園の事業を推進していくためには、関係機関、関係者との連携・協力が不可欠です。厚生労働省の本日の資料の調査研究の項目でも、全国の研究機関、研究者及び事業所と連携してうんぬんと明記されているところです。今後とも、広く関係者、有識者の御協力、御理解、御支援を得て、独立行政法人としての役割を全うできるように、全力を尽してまいりたいと考えております。構成員の先生方におかれましても、御指導、御鞭撻を改めてお願い申し上げ、法人からの御挨拶、かつ感謝ということで終わらせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

 

○社会・援後局障害保健福祉部企画課施設管理室長

 本日は、貴重な御意見を頂戴いたしまして、誠にありがとうございました。具体的には、強度行動障害の支援方法の発信方法をもっと工夫すべきではないかとか、診療所の経営の在り方については十分検討すべきではないかという御意見、それから安定的な経営方法について十分考えるべきであるというような具体的な御指導を頂きました。本日、各構成員から頂いた御意見については、法人とも十分検討させていただいて、できる限り反映、対応させていただきたいと思っております。今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

 

○真野主査

 それでは、最後に事務局から今後の流れについて御連絡をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 今後の流れについて御連絡いたします。本日、2つの議事の御議論を頂きました。まず、中期目標期間見込評価については、この後ワーキングにおける御意見や法人の監事及び理事長のコメントなどを踏まえて、厚生労働大臣による評価を決定いたします。決定した評価は、法人及び総務省の独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに公表いたします。また、2つ目の議題にありました業務・組織全般の見直し内容についても、本日のワーキングにおける御意見などを踏まえて、厚生労働大臣が決定し、総務省の独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに公表いたします。決定したそれぞれの内容については、後日、構成員の皆様にもお送りいたしますので、よろしくお願いします。また、本日のワーキングで補足の説明資料を御用意すると申し上げました診療所の収支運営状況に関しては、後日、事務局から構成員の皆様にお送りさせていただきます。

 それから、今後の中期目標、来年度からの中期目標策定に向けた流れについて、若干の御説明をいたします。参考資料111ページをお開きください。先ほど、総務省の独立行政法人評価制度委員会へ通知とありましたが、11ページの中程にありますとおり、通知を受けて総務省側の独立行政法人評価制度委員会で、見込評価・見直し内容を点検するという作業が行われます。その点検結果に基づいて、この独立行政法人評価制度委員会が意見を出しますので、これを踏まえて厚生労働省において、次期中期目標案を作成することとなります。また、次期中期目標案については、決定する前に、来年1月以降、再度、独立行政法人評価制度委員会の審議に付されることが予定されています。ですので、本ワーキングでも次期中期目標案について、来年1月頃を目処に意見聴取を予定しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日をもちまして、医療・福祉ワーキングの業績評価、中期目標期間見込評価の議事は、5回にわたりましたが終了です。暑い中、多数の開催にわたり御協力いただきまして、どうもありがとうございました。

 最後に事務的なお知らせですが、配布した資料の郵送を御希望される場合には、前回までと同様、机上にそのままにして御退席いただきますよう、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

 

○真野主査

 それでは、本日は以上といたします。長時間にわたり、御熱心な議論をありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 独立行政法人評価に関する有識者会議 医療・福祉WG(第11回)議事録(2017年8月7日)

ページの先頭へ戻る