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2017年8月1日 独立行政法人評価に関する有識者会議 医療・福祉WG(第9回)議事録

○日時

平成29年8月1日(火)13:59~15:50


○場所

中央労働委員会労働委員会会館講堂(7階)


○出席者

真野主査、石井構成員、名里構成員、橋田構成員、松原構成員、三田構成員

○議事

○真野主査

 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第9回独立行政法人評価に関する有識者会議医療・福祉WGを開催します。構成員におかれましては、お忙しい中、お暑い中をお集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日は五十嵐構成員、石渡構成員が欠席で、松原構成員がちょっと遅れて来られるそうです。初めに、牧野政策評価官から御挨拶をいただきます。

 

○政策評価官 

711日付けで政策評価官に着任しました牧野と申します。どうぞよろしくお願いします。皆様にはお暑い中、また大変お忙しい中をお集まりいただきまして本当にありがとうございます。

この場をお借りしまして、皆様御案内とは思いますけれども、独立行政法人の評価の方法について改めて、簡単ですが御説明させていただきたいと思います。独立行政法人の評価の方法につきましては、平成27年度に変更されましてから今回で3回目の評価ということになります。初年度平成26年度評価の結果につきましては、総務省のほうから厚生労働省も含めて幾つかの省庁が名指しでA評定以上の割合が高いという指摘を受けたところです。

 また、第2回目の評価につきましては、名指しということはなかったのですが、A評定以上のものにつきまして、理由や根拠を明確に説明すべきではないかというような指摘があったところです。したがいまして、今回3回目の評価になりますけれども、総務省の指針に従った評価を引き続き行いたいと考えております。具体的にはお手元の参考資料2を御覧いただければと思います。1枚めくっていただきまして、オレンジの箱を御覧いただければと思いますが、定量的指標を設定している項目につきましては、Bが標準となります。定量的指標が目標値の100%以上120%未満の場合にはB評定が基本で、A評定は120%以上、また、S評定につきましては、それにプラスして質的に顕著な成果があった場合のみとなっております。委員の先生方からは専門的な知見から、特にA評定以上につきまして、理由と根拠が明確にされているかどうかという観点から御知見をいただけますと大変有り難いと思います。今日は、どうぞよろしくお願いします。 

 

○真野主査

 ありがとうございました。事務局からは以上でよろしいですか。それでは、引き続きよろしくお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 それでは、事務局から本日の議事について説明させていただきます、本日の議事は、お手元に配布させていただいております議事次第のとおりで、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の平成28年度業務実績評価に係る意見聴取です。評価項目ごとに法人側から業務実績及び自己評価について御説明いただき、有識者の皆様から御意見、御質問をいただきたいと思います。評価のルールですが、先ほどの評価官挨拶でもありましたとおり、総務大臣が定める「独立行政法人の評価に関する指針」が基準となります。参考資料3として付けている指針です。内容としてはB評定が標準であること、A評定以上を付すには定量的指標において120%以上の達成度が求められていることなどに御留意いただければと思います。

 なお、評価スケジュール全体につきましては、参考資料110ページの図のとおりです。本日は法人からの意見聴取にあたり、後日主務大臣の評価を決定することになります。事務局からは以上です。 

 

○真野主査

 ありがとうございました。それでは、早速議事に入ります。先ほどからお話がありましたように、A評価のものを重点的に見ていきたいと思いますが、とりあえず順番に最初からお願いしていきたいと思います。平成28年度業務実績評価で、最初に、「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」になり、1-1から順番にポイントを絞って御説明いただければと思います。よろしくお願します。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

 国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長杉原と申します。よろしくお願いいたします。本日は資料1-1の「平成28年度業務実績に関する説明資料」により説明をさせていただきます。なお、この説明資料は主に定量的指標、評価の視点に対応して作成しておりますが、時間に限りがありますので全ての定量的指標の数値目標等評価の視点を読み上げることは省略させていただきます。なお、定量的指標は主な指標のみを掲載させていただいていまます。また、説明は自己評価でA評価を付したものを重点的に説明させていただきますが、できるだけ説明のポイントを絞って説明させていただきます。ただ、参考資料7を御覧いただきたいのですが、前半部分に自己評価Aのものであったり、重要度、難易度を設定しているものが多いので、前半部分に少しお時間を頂戴できればと思います。

 それでは説明させていただきます。まず、最初にのぞみの園の概要を簡単に説明させていただきます。3ページです。のぞみの園の概要を簡単に記載したものですが、のぞみの園の事業につきましては、法律にも書かれておりますが、大きく分けて5つの事業に分かれています。中段に書かれている左側の総合施設の設置・運営では、入所利用者の支援や地域移行、強度行動障害などの方に対する支援を行っています。このフィールドを活用して、次の調査・研究を行っており、その成果や現場で得られたノウハウを活用して、次の養成・研修や、その次の援助・助言を行っているところです。また、附帯事業ですけれども、診療所の運営や、地域の障害者の方の支援として、日中一時支援や就労支援などを行っています。その下の適切な業務運営のための組織・予算等につきましては、業務運営の効率化に関すること、内部統制に関することをここで明記しています。

4ページは、具体的な事業の一覧です。根拠法令別に分けていますが、一番上の施設入所支援がのぞみの園の基本となる事業となっています。住居支援のほか、日中活動、地域支援を行っています。また、児童福祉法の関係では、児童発達支援などの療育支援を行っているところです。

5ページは、施設入所利用者の平成29331日現在の状況です。平均年齢は63.1歳で最高齢の方は92歳の方がおられます。平均入所期間は38.7年と年々高くなっているところです。障害支援区分の平均は5.9となっており、こちらも年々重度化が進んでいるところです。出身都道府県では38都道府県となっています。資料には記載されておりませんが、出身別に見ると関東が半数を占めている状況です。入所利用者の内訳ですが、中段の表です。(1)の入所利用者が旧法人からの入所者で、平成12年度以降新規に受入れは行っていませんが、現在224名です。その下が有期認定の入所利用者で、(2)が刑務所や少年院等を退所した矯正施設退所者で5名です。(3)の行動障害等が9名です。簡単ですが、以上がのぞみの園の概要です。

 次に評価項目1-1で資料は6ページです。地域移行への取組についてですが、定量的指標としては、地域移行した方の数のみですが、目標値は5人となっており、実績は5人で達成度は100%となっております。この評価項目につきましては、難易度()を設定させていただいております。のぞみの園では、第1期より地域移行に取り組んでおり、平成27年度までに165人の方が地域移行をされており、比較的若く、身体的機能も低下していない方につきましては、既に地域移行が行われておりますので、主な定量的指標の難易度()の所に記載されておりますが、旧法人からの入所者につきましては、高齢・重度の知的障害の方が多いことから、地域移行に関して本人や家族の方から、地域での生活に不安があるということが多くあり、地域移行に理解が得られていないことや、加齢に伴い、機能低下・重症化が顕著であり、介護度が増加している方、あるいは重篤な病気に罹患している方など、常時医療的ケアが必要となるなど特別な支援が必要となる方が多く、受入れ可能な移行先の事業所などが限定されることから、地域移行が非常に困難となっていますので、難易度を()とさせていただいております。このため、定量的指標の達成度は100%で、本来であれば自己評価Bとなるところですが、難易度()を設定させていただいておりますので、自己評価をAとさせていただいています。

7ページは、地域移行の困難度を示すデータです。左上の表は地域移行が困難となっている要因別の該当者をまとめたものです。右上の表は各年度における保護者からの同意をを得ている数字です。平成28年度では、同意している保護者の方が22家族となっていましたが、同意を得られても、その下の枠の中ですが、重症化等により現実的には地域移行は困難な方がおられます。一番下にある表が地域移行された5人の方の状況をまとめたものですが、平成28年度に地域移行された方の中には、例えばAさんですが、全盲の方などがおられます。

8ページは、平成28年度において地域移行を進めるために実施した対応の内容です。アが本人及び保護者への働きかけ、イが地域移行確保に向けての取組、ウが地域移行に対する地域生活への支援ということでフォローアップ等、その下の枠の中ですが、情報提供として地域移行等をテーマにした講演会の実施等が記載されています。以上が評価項目1-1の説明です。

 

○真野主査 

 ありがとうございました。それでは、ただいま御説明がありました事項について御意見、御質問がありましたら、よろしくお願いします。

 

○名里構成員

5人の方の地域移行ということなのですが、家族の方の同意については書いてあるのですが、御本人の意向はどのように確認されているのでしょうか。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画管理課長

 ただいまの御質問ですが、御本人の意向に関しては、Aさん、Bさん、Eさんについては基本的にコミュニケーションが取れる方でしたので、体験を通じて御本人にグループホームでの生活の意思の確認をさせていただいたところです。残りの2人の方については、言葉のない方でありましたので、グループホームと移行先の事業所で実際に生活の体験をして、それを現場の職員と相手方の事業所の職員、御家族にも入って御本人の状態、よく言うところなのですが、笑顔の量や言葉の発音の量を確認していただき、少なくとも御本人が寮にいる、のぞみの園で生活しているときよりもいい状況だということを、今お話したように第三者に客観的に観察していただき、御本人の言葉がないものですから、それをもって意思の確認という形にして移行させていただいております。以上です。

 

○名里構成員

3人はコミュニケーションが取れる方で、でも、今まで難しい方ということで進んでこなかった方たちということですよね。この項目の難易度というか評価の仕方は、大変難しい御本人の意向確認とか、ずっと入所でいらした方、それこそ今のやまゆり園の問題でも非常に重要な話題になっていますが、御本人がどのようにしたいのかということをどのように確認したのかというプロセス、のぞみの園ではどのようにしているのかということこそが評価点だと私は思います。なので、その辺りについてどのようにやってきたのか、そこについてどういう難しさがあったから難易度が高くて、それをこのようにやってきたということでの評価ではないかと思います。

 

○真野主査

 意見ということでよろしいですか。ほかの方はいかがでしょうか。

 

○三田構成員

5人の地域移行した方がかなり困難な状況の中で達成したということなのですが、恐らく、これは年々家族の同意というよりは、その方の状況というところのほうが大きくなっているのだろうと、お話を聞いていて思いました。でも、家族の同意は今まで地域移行が進まなかったという非常に大きな点でもある中で、先ほどの委員と同じように同意を取ってもなかなか難しい状況というのもそうですし、どのように家族の安心感を。不安感を軽減して、多分、家族にとっては高齢の親かあるいは同様に高齢の兄弟という可能性はあります。どういうようなものを用いて、その方たちの不安を軽減してという、そこが一番PRするところだと私も思います。

 目標が5人で5人が出たということで言うと、ほかの施設も高齢で行動障害のある方の地域移行を進めておりますので、多分、質問にはすぐにお答えになれないと思うのですが、のぞみの園がこれだけいろいろな働きかけをしながら5人が地域移行できたプロセスを知りたいと思いました。それと、このままいくとどんどん高齢化が進んでいって、この後に出てくる話なのですが、受ける地域側の方たちに、受けて大丈夫なのかと思わせないためにどういうバックアップをするかしないか、あるいはどういう研究成果をお伝えするかとか、そういうことが一番知りたいと思った次第です。すみません、答えづらいと思うので、意見でも結構です。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画管理課長

 ただいま御質問がありましたように、まず、御家族のことだと思います。地域移行に関して15年間いろいろお話をさせていただいて、ずっと説明を続けてきた我々法人側の内容について常に否定的だった御家族が今残っている御家族です。あと、御本人の状態がどんどん重度化していく中で、やはり、御家族は代も代わりますし、そうしながらどんどん不安も募っています。実際には、とにかくその御家族一人一人とゆっくりお話をして、どういう場所であれば移って行けるのか、移ってもいいのかというところを聞き出すところから始まります。ただ、実際は、そうは言うものの、そういう地域が有りや無しやということもあります。

 まず我々は、とにかくどこであれば移ってもいいですかと、どういう条件が必要ですかというところを一人一人から丁寧に聞き取りをして、それをデータ化して、その中から可能性がある方たち、最近は当法人のグループホームであればということで、御家族に了解していただくことも増えています。結果としては、それは場所を移すということではなくて、やはり慣れ親しんだスタッフが、そのまま町の中でも継続して支援できるというところの安心感が大きくなってきているかと思います。

 今、三田先生がおっしゃられたように、移って行ったときに、町の中に相手の事業所がある場合にも、その事業所はやはり相当な負担感を持って、うちの重度の利用者さんを受け取っていただいておりますので、基本的には、とにかく丁寧に連絡を取りフォローアップをさせていただきながら、場合によっては医療的なケアが継続的に必要になったりとかということで、再入所という手続をせざるを得なかった方も数名いらっしゃいます。常に御本人の状態像をきちんと確認しながら、移行後も丁寧に連携させていただくというところで、取りあえず相手の事業所には、安心感を持っていただける形で進めております。

 

○三田構成員

 質問の仕方が悪かったのかもしれないのですが、御家族にどのような所だったら、今、入所されている方の地域での生活を思い浮かべますかと言われても、長期にわたっている方の御家族が、具体的にこういうグループホームともなかなか言えないのではないかと思う中で、家族の不安感を1つずつ取り除くような提供を積極的にやっていかないとなかなか厳しいかと思います。

 確認ですが、御家族の希望とコミュニケーションが取れなくても、御本人の御希望とか変化に対する反応は皆さんのほうがよく御存じのような気もします。今の話だと、すごく家族に決定権があって、家族がうんと言わないことで地域に出せないとなってくると、家族がかわいそうかと思いました。揚げ足を取るみたいで、すみません、

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画管理課長

 申し訳ありませんでした。御本人については、うちの法人の独自の事業で地域生活体験事業ということで、かねてから長いことずっと町の中で支える仕組みを持って、今回、移っていただいた方たちについても、グループホームに移られた4名は皆さんその事業で、長い方は4年ぐらい経験を積んでいただいて、その中から、先ほどお伝えしたように御本人の意思の確認をさせていただいたところです。

 残りの1名は、先ほどお話したように言葉のない方です。その方については、故郷の施設へ移っていただくということで、非常に難しかったのですけれど、とにかく、御本人に職員を付き添わせることも含めて複数回体験していただき、必ず御家族にもそこに付き添っていただいて、先ほどお話したように、御家族も含めて御本人の状態を確認した上で移させていただいたというところがあります。

 実際には、先ほどお話がありましたように不安をどのように取り除くのかということについても、御承知のように、今は全国的にいろいろな形で重い方たちを支えているグループホームが増えてきています。そういう所の事業の在り方や強度行動障害の方であれば、幾つかの事業所でこういう形でやっていますとか、できるだけ御本人の状態に近い方たちを支援していらっしゃる所の実例をお伝えしながら、そこに移れるわけではないのですが、そのように地域ではサービスが整ってきていますということをお伝えしながら、先ほど三田先生が言われたように、長期の入所の御家族ですので、どうしてもそういうサービスに対しての情報を持っていらっしゃらないのです。もう15年前とは随分変わったのですよということを少しずつお話して御理解を頂きながら、そういう所であればいいよねと。もしそういうところが自分の故郷にあるのならば移してもいいねという、情報を交換する形で、今は取り組んでおります。ですから、余計一人一人に対しての時間が掛かるようになってきていると御理解いただければと思います。以上です。

 

○真野主査

 それでは、よろしいですか。では、次に1-2をお願いします。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

 評価項目1-2、「施設入所利用者の高齢化へ対応した支援」についてです。自己評価はBとしております。主な定量的指標として、高齢知的障害者支援に関するセミナーの開催を挙げております。参加者は、目標値の150人に対して実績が239人となっており達成度159%です。また、セミナー参加者の満足度については、目標値の80%以上に対して実績が83%となっており達成度104%となっております。この項目については、重要度()を設定しております。これは全国の障害者支援施設でも、65歳以上の利用者の割合が年々増えている傾向にあり、入所者の高齢化や機能低下に直面していることから、特に認知症を発症した者、機能低下の著しい者、医療的ケアが必要な者等への対策が喫緊の課題です。こうした中で、のぞみの園では施設入所支援を所管しております生活支援部のみならず研究部や診療部が連携して専門性の高い支援を実践し、全国に向けて情報発信を行っておりますので、重要度()を設定しております。

10ページです。のぞみの園が取り組んでいるいろいろな内容が記載されておりますが、B評価ですので説明は省略いたします。説明は以上です。

 

○真野主査

 御質問等ございますか。

 

○石井構成員

 先ほどの1項目とも連動するのですが、やはり入所者が高齢化してくる場合に、目的としては地域に出す、でも高齢化してくる。高齢になると介護だけではなくて医療の側面もプラスアルファされてくるという場合に、今後、何か対策を考えているとか、そういう人がうまく帰れるような仕組みは考えていらっしゃいますか。現状でもいいのですが、そこのところを何か解決できれば戻れるのかという気もするので、ありましたら教えてください。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 資料の10ページに「認知症、機能低下により医療的ケアの必要な利用者に対する福祉と医療が連携した専門性の高い支援」ということで説明しております。私どもは直営の診療所を持っており、そこに内科、精神科、また、歯科医師、常勤の医師がおり、当然医療スタッフもそろっておりますので、そういう入所者の高齢化、機能低下、日常的に医療的ケアが必要な入所者が増えてくる中で、福祉の現場の支援員と診療所の医療スタッフが定期的にカンファレンスを開催したり、あるいは日常的に意思疎通をよくしながら支援に当たっているということです。

 

○石井構成員

 そうすると、一遍地域に出した人が、医療とかの側面で面倒が大変で戻ってきてしまうということはありますか。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 先ほど、こちらからの説明の中で、一旦、グループホーム等に地域移行して、残念ながら機能低下し医療的なケアが必要になって、そういう方についてどのようにするのかということを、私どもと移行先の事業所でいろいろ検討した結果として、介護保険施設であれば療養型病床ぐらいしか選択肢がないということと、コミュニケーションを取れる方については、のぞみに戻りたいというような意思も確認されたりする場合もありますので、そういう方については、のぞみの園に再入所という例外的な事例があります。これまで、医療的な事情でやむを得ずということが5例ほどあります。

 

○真野主査

 よろしいでしょうか。ほかの委員はよろしいですか。では、次に1-3をお願いします。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

 評価項目1-3、「著しい行動障害等を有する者等への支援」についてです。こちらは自己評価をAとしております。主な定量的指標としては新規受入れ者数を挙げておりますが、目標値2に対して実績が4人となっており達成度は200%となっております。また、著しい行動障害等に関する研修の参加者については、目標値が200人に対して実績が390人となっており達成度が195%となっております。また、研修参加者の満足度については、目標の80%以上に対して実績は95%となっており達成度は119%となっております。

 この項目についても、難易度()を設定しておりますので、簡単に説明します。のぞみの園に入ってこられる方については、他機関や事業所において受入れを拒否され行く先のなくなった支援困難な障害者の方を、のぞみの園で受け入れて支援を行っていること、また、著しい行動障害を有する方への支援は、医療的ケアも含め、より専門的な支援を必要とするとともに関係自治体や関係機関との連携を密にして、共通理解を深める必要があることなどから難易度を設定しております。

12ページです。著しい行動障害等を有する者への支援の取組、受入れ、地域移行の状況、情報提供についてまとめた資料です。簡単に説明します。著しい行動障害等を有する方への支援については取組の内容の枠の中ですが、生活寮において行動特性に配慮した支援の提供や、福祉と医療の連携により、診療所の精神科医師、臨床心理士等と連携して検討を行い、個別のニーズに応じた支援を行っております。

 また、地域移行に向けて段階的な宿泊体験等の実施や、関係機関が集まり合同会議を開催し、支援の方針の確認や、退所に向けての課題とその対応について検討を行っております。なお、他の施設へ移行するに当たっては、のぞみの園で確立した支援プログラムを移行先の施設職員に伝達する等の取組を行っているところです。平成28年度の実績は、受入れが4人で地域移行が1人となっております。受け入れた方は4人ですが、その下の枠の中に、例えば、一番上の方は幻覚、幻聴、他害、拒食等が著しい10代の女性ほか3人の方となっております。説明は以上です。

 

○真野主査

 何か御質問等ございますか。

 

○三田構成員

 単純な質問なのですが、著しい行動障害を有する4名の方は、どの地域から来られているのでしょうか。あるいは、4名しか希望がなかったのでしょうか。何人かいる中で、この4人を選んだのでしょうか。すみません、基本的な質問なのですが。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

4名ですが、内訳は東京都や横浜市、茨城県のつくば市と群馬県の方です。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 受入れの基準と申しましょうか、どういう方について受入れをしているのかということなのですが、やはり、各地域で行動障害が著しくて、その支援に大変困難があるということで、のぞみの園に援助や助言で協力なり援助を求めてくるという事例がかなりあります。その中で、私どもはよく事情をお聞きして、まず、地域でどのような支援体制を作って、どのような経過でこれまできているのかということをお聞きして、そして、その地域でこれ以上頑張るのは無理だというケースについて、私どもの受入れの空きがある範囲内で受入れをしているということです。

 そういう意味で、まだ、はっきりとした基準が作られていないということが現状です。ただ、これから、来週にもそういう話題になるかと思いますが、第4期に向けて行動障害のある方たちの受入れの枠を増やしていきたいと考えております。のぞみの園としてどのような方を受け入れていくのかということについて、もう少しはっきりした基準やプロセスみたいなものを全国にお示しして、その中でお話があったものの優先度を考えながら対応していきたいと考えております。

 

○三田構成員

 たくさん相談があるというのは大体どのぐらいで、待機者と言ったら変ですが、そういう方がいらっしゃるのか、あるいは、細かい所はいいので、関東以外でものぞみの園がこういう研究や対応をしているということを研修会で聞いた場合に、ほかの人たちはどのようなノウハウを受けることができるのか。研究報告書とかなのか。セミナーは全国で390人の実績ということなのですが、実際に本当に困っている人たちもいるのかと思っております。ざっくりで結構です。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 これまで、のぞみの園に入所受入れの要請があった中で、特に行動障害が著しいという理由の要請は、現在40件を超えているということです。現在というのは、要するに私どもが受入れを開始して、いろいろこれまでのやり取りの中から、なお、のぞみの園にお願いしたいという意向があると思われるケースが40件を超えてあるということです。それから、私どもは強度行動障害支援者養成研修の事業を国研修という形で実施しております。都道府県研修のプログラムやテキストについて、調査・研究を通じて、こういうものでどうだろうかということをお示ししており、現にテキストも頒布しております。

 そして、私どもに寄せられてくる入所受入れについて要請がある事例というのは、強度行動障害といっても、かなり地域でその人の支援に困難なケースということで、これは、もちろん私どもの研修会やテキストで、おおよその目安としての支援のプログラムやプロセスみたいなものは皆さん当然学んでいるのだと思います。その中で、なおかつ、難しいということで地域で本当に皆さん、関係者が連携して支援チームみたいなものを作るというケースが多いようです。

 したがって、私どもは、当然、研修会やテキストが活用されて、地域でそういう困難なケースについても何とか支えていけるようにということを期待はしているのですが、中にはなかなか地域で支えきれなくてのぞみの園に要請がくるというケースが、先ほど申し上げた件数ぐらいはあるということです。

 

○真野主査

 よろしいですか。ほかに何かございますか。

 次は1-4ですが、時間の都合もありますし、しばらくBが続くので1-41-8まで連続していただいて、御質問は随時一つ一つになるかもしれませんが、1-41-8まで連続で説明をお願いします。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

 分かりました。評価項目1-4、「矯正施設等退所者への支援」について、自己評価はBとなっております。主な定量的指標としては新規受入れ者数を挙げており、目標は5人程度で実績としては5人を受け入れ、達成度100%となっております。また、矯正施設等退所者に関するセミナーの参加者は、目標値300人に対して、実績は若干低いですが293人で、達成度は98%となっております。また、研修参加者の満足度は、目標80%に対して実績は94.3%となっており、達成度118%となっております。この項目についても、難易度()を設定しております。これはのぞみの園が受け入れる矯正施設退所者については、貧困、虐待、暴力、性の課題などがあり、知的障害のみならず、発達障害、精神障害を併せ持つなど、複雑で多岐にわたる課題を抱えている困難なケースが多くなっていること。また、矯正施設等退所者の支援に当たっては、地域移行を視野に入れて、福祉のみならず、司法の機関をはじめとした様々な関係機関とも連携して、矯正施設等退所者について、一人一人に対して個別なチームを作って支援に当たらなければならないことから、困難度を設定しております。

14ページが矯正施設等退所者の受入れや地域移行の状況などについて、15ページがのぞみの園における矯正施設退所者への取組を全国に情報発信している、その普及に努めていることを、16ページは矯正施設を退所した知的障害者に対する受刑中から地域移行までの支援の取組を体系図にまとめたものですが、B評価ですので説明は省略します。

 評価項目1-5、「発達障害児・者及び地域で生活する重度の障害児・者への支援」です。主な定量的指標としては、発達障害児の通所支援事業の利用率、目標75%以上に対して実績が100.5%、達成度が134%となっております。ほかに、保護者等学習会の開催、目標20回以上で実績は21回、達成度が105%。発達障害児に関するセミナーの参加者が目標250人に対して実績が304人で、達成度が122%。セミナー参加者の満足度が目標80%以上で実績は99%で、達成度が124%となっております。

 主な定量的指標に入っておりませんが、地域で暮らす発達障害児やその家族の方に対する様々な支援の取組として、上のピンクの枠の中ですが、短期入所利用者の数の実績が45人、延べ日数で2,754日となっております。また、医療的な配慮が必要な重度の方の実績としては、短期入所利用者が4人、延べ日数が512人となっており、平均障害支援区分が5.8となっているところです。

 のぞみの園としては、そういう方々に対しても必要な支援を行っている状況があります。また、この項目は重要度()を設定しております。これは発達障害児・者への支援は、今後の障害者福祉施策の重要なテーマと考えており、地域において医療、福祉、教育などの関係分野が連携した支援体制作りが重要と考えて、のぞみの園においては、学校などの関係機関と連携した支援体制の構築や、他の事業所で受入れが困難な児童についても積極的な受入れをするなど、発達障害児への適切な支援に取り組んでおり、診療部のみならず、研究部とも協力して実践事例を積み重ね、その成果を全国に発信し、発達障害児・者への支援の向上を図っておりますので、重要度()と設定しております。

18ページ、19ページは、発達障害児の支援として運営している障害児通所支援センター「れいんぼ~」の事業概要となっております。B評価ですので、説明は省略します。

 評価項目1-6、「調査・研究テーマ、実施体制等」です。主な定量的指標としては、テーマの設定目標が8テーマで実績が13テーマとなっており、達成度が163%となっております。ただ、この項目については達成度が120%を大幅に超過しておりますが、昨年度もB評価を頂いており、実績もほぼ同数ですので、自己評価はBとしております。

21ページは、平成28年度の研究テーマと計画的な実施体制についてまとめたものです。これらの研究テーマは障害福祉関係者が非常に関心があり、かつ国の政策課題である重要なテーマとなっているところです。調査・研究の計画的な実施体制についてですが、強度行動障害等の3テーマについては、外部研究者と共同で研究を実施し、延べ27人の研究者と他の障害福祉関係者の協力を得て行っております。また、研究計画及び研究結果に対する指導・助言を受けるために、研究会議を設置しており、4人の外部有識者と、のぞみの園の内部委員2人、厚生労働省のオブザーバーを交えて、年に2回開催をしております。その他、倫理審査委員会を設置し、個人情報保護並びに倫理面での審議を行っております。この委員会は、外部の有識者の3名と内部の委員3名で構成されており、年2回開催しております。また、研究部以外の職員を含めた内部委員による調査・研究調整会議を行い、計画的な研究の実施に努めているところです。

 評価項目1-7は、「成果の積極的な普及・活用」についての自己評価ですが、B評価としております。主な定量的指標については、成果の発信、ニュースレターの発行ですが、年4回の目標に対して実績が年4回で、達成度100%。発行部数は3,996部を発行しており、達成度が102%。成果の発表の回数は、目標12回に対して実績は22回で、達成度が183%となっております。

23ページですが、調査・研究を積極的に普及・活用するための取組です。まず、広報媒体の活用として、ニュースレターを発行しております。調査・研究の成果を分かりやすくまとめて、年に4回、平均3,996部を発行して、全国の障害福祉関係機関、自治体、大学等に配布しております。そのほか、1年間の研究内容をまとめた研究紀要を発行し、ホームページにも全文を掲載しております。さらに、これまでの研究成果をテーマごとに分かりやすくガイドブック形式にまとめて、有償刊行物として全国の関係機関に頒布しております。

 次に、成果発表の回数ですが、関係団体、学会誌等に、合計22回の発表を行っております。この内訳は、障害福祉の関係団体等の機関誌の掲載が6誌に6回、学会等に論文として掲載したものが1誌に3回、学会・研究大会等における発表が10大会に13回となっております。これらは全て、のぞみの園の研究成果を評価いただき、発行元、あるいは主催者側から依頼されて発表したものとなっております。

 次に、研修会・講習会についてですが、のぞみの園の研究テーマに関する研修会を開催しており、合計1,226人が受講しております。また、障害福祉施設等関係機関からの依頼により、142回の講師派遣を行い、調査・研究の成果を発表・紹介しております。

 評価項目1-8、「養成・研修、ボランティアの養成」の自己評価はBとしております。主な定量的指標については、研修会の開催及び参加者は、目標が年9回で実績が8回と実績が1回下回っておりますが、これについては25ページの4、国立のぞみの園医療福祉セミナー2016が開催直前に講師の都合で、残念ながら開催できなかったというものです。御理解いただければと思います。ただ、参加者は、目標1,050人に対して1,226人と、達成度が117%となっております。満足度は、目標80%以上で実績が93.6%、達成度が117%。ボランティアの受入れは、目標が1,000人程度に対して実績が1,092人で、達成度が109%となっております。

25ページですが、のぞみの園が主催する研修会は、この表のとおりになっております。国の政策課題や最先端の医学知識の紹介・普及等を目的とした内容となっております。下の左側の表ですが、支援者養成現任研修についてです。この取組は、調査・研究の成果を活用して、のぞみの園が実践するモデル的な支援について、のぞみの園のフィールドを活用した現任研修となっております。コースは4コースあり、41人の方を受け入れております。

 次に、実習生とボランティアの受入れ実績ですが、のぞみの園では社会福祉士、介護福祉士、保育士等の各種養成機関から、多くの実習生を受け入れております。実習生の受入れ件数は170人。また、ボランティアの募集は広く公募しており、多くの方に来ていただいております。ボランティアの内容としては、園内の清掃等環境整備、あるいは衣類の補修などがあります。1,092人の受入れを行っております。以上が評価項目1-8までの説明になります。

 

○真野主査

 ありがとうございました。何か御意見とかありますか。ニュースレターとか研究成果の報告は、いつも送っていただいており、ニュースレターは前からあったかもしれませんが、最初の頃に比べると研究がいろいろ進んでいて、感心しております。どうでしょうか。

 

○名里構成員

 そんなに評価と関わらないかもしれないのですが、1-5の地域で生活する重度の障害児・者への支援という所とか、1-8のボランティアの養成等々、従事者を含めたというところの項目なのですが、入所を主にしてきた事業所が、地域で暮らす人たちのこととか、その地域の状況を見て、この時代、地域作りというところにまで、どのように参画していくのかというところがすごく重要だと思うのですが、その辺の地域をどのように見ているのかというのが。私は何となく、昨年もボランティアのところで同じようなことを話させていただいたかと思うのですが、地域をどう見ていて、地域作りという観点では、どんなことを狙っていくのかということの上に、この実績がこうですということであるといいのではないかと思います。何かあればお願いします。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 名里先生の御意見は、本当にごもっともだと思います。ただ、私ども国の施設として、地域にどのように関わっていくのかということを考えますと、地域には地域の施設・事業所がありますので、むしろそちらがかなり主体性を持っていろいろやっていただきたい。現にかなりやっていただいておりますので、そこに国の施設としてどのような応援ができるのかなと。むしろそのようなことで考えていったほうがよろしいのかなと思っております。そういう意味で、地域でいろいろ施設、事業所が取り組んでいる中で、なかなか受入れするのが難しいような利用者の方については、私どもが通所の形式で、できるだけ受け入れるようにしているとか、あるいは地域のいろいろな催し物・行事など、それには積極的に参加していくとか、またボランティアについても、将来の人材養成みたいなものも考えて、高校生とか大学生、若い人にターゲットを絞っての養成的な催し物も行ったりしております。そういう意味で、国の施設として地域にある施設・事業所と、どのような連携・協力を図っていったらいいのかというのは、これからの課題というか、今までも課題だったのですが、もう少しよく検討させていただいて、それで正に地域の関係者と連携・協力を図って、より良い結果が得られたらなと考えております。

 

○名里構成員

 確か基幹相談支援センターになっていらっしゃらなかったですか。違いましたか。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 なっていないです。

 

○名里構成員

 失礼しました。自立支援協議会とかは、もちろん入られていらっしゃいますよね。なので、私はそこら辺で、その地域で国立だけど、のぞみの園としてどのように地域のほかの事業所との連携の中でやっていくのかというところは、課題なのだろうなと思っております。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 高崎市の相談支援センターを受託して、その事業を行っているということと、自立支援協議会、これは当然参加しておりますし、その自立支援協議会の中でかなり中核的な役割を担う方向で活動しているところです。また、県レベルの自立支援協議会では、困難ケースなどについて、のぞみの園のノウハウを活用させていただきたいといった要請で参加しているようなものもあります。

 

○橋田構成員

 今、御説明いただきました後半のところで、例えば1-6からですと、調査・研究、それからその成果の積極的な普及・活用、それから養成・研修、ボランティアの養成ということで、こういうところも本当にこののぞみの園の役割としては非常に重要な機能と言いますか、そういうことではないかと思っております。そういう意味で、1-6へ戻ると、実際に研究テーマを13テーマ挙げていただいておりますが、例えば状況調査、あるいは実態調査等々、これは非常にイメージが湧くのですが、もう1つの研究というところで、例えば病気でしたら治療という言い方になりますが、何かこういうそれぞれの入所者に対する対応の仕方なり、システムの作り方なり、そういう意味での研究としてはどういうことを取り上げておられるのか、あるいはどういう成果を上げておられるのか、ちょっと御紹介いただけたらと思うのですが、いかがですか。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園研究部長

 研究部の志賀です。よろしくお願いします。研究の内容については、私たちの中では基本的には総合施設を使った実際の支援をやっている実態調査と、補助金等を頂きながらの国全体の様々な事業所、あるいは関係の保護者の団体等を通しての実態調査が中心になります。そういった面では、研究開発とまではいきませんが、支援の在り方については、のぞみの園がこれまでやってきた中では、1つは矯正施設を退所した人たちを受けた際に、どのような形で支援をしていくか、あるいは地域と関係機関をまとめていくか。研修でやっている内容を毎年毎年繰り返しながら、精度を上げてという形で、今年度になりましたが、テキストも出して、新しい形の養成・研修をしていく。

 もう1つが、強度行動障害についても、全国の実態に合わせて、それぞれの都道府県で強度行動障害の支援の養成・研修をどのようにしていくか、あるいはその後のフォローアップをどのようにしていくのがいいかというような研究を行っているのが、主な2つだと思います。

 もう1点は、高齢の知的障害者の支援についても、今現在、支援としては決して目新しくはないかもしれませんが、障害者支援施設の中に介護の視点、あるいは医療的なケア、医療との連携をどうしていくかというのも、併せて途中経過ですが実践を積み重ねたのをまとめているところです。

 

○橋田構成員

 ありがとうございました。恐らくいろいろな面で、社会からの期待が非常に大きいと思いますので、是非、研究のほうも頑張っていただけたらと思っております。

 

○真野主査

 ほかはよろしいでしょうか。次にいきたいと思います。1-9A評価なので、これだけで説明をお願いします。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

 評価項目1-9、「援助・助言」です。主な定量的指標として、援助・助言の回数を挙げておりますが、目標値150件程度に対して実績が213件、達成度が142%となっております。また、講師派遣は、障害福祉施設等関係機関からの依頼に基づいて行っており、依頼には極力職員を派遣するようにしており、目標値の100人に対して実績が142人と、こちらも達成度142%となっております。どちらも指標120%を大きく上回っているところです。また、達成度のみならず、援助・助言については、全国の施設・事業所で困っておられる事例で、例えばホームページやニュースレターなどで、のぞみの園の調査・研究や取組の事例を知り、のぞみの園に相談すれば何らかの回答が得られるのではないかということで、個人としてではなくて、組織として御相談いただいているものです。その意味では、この援助・助言は、全国の施設・事業所での支援の現場を支えている重要な事業であると考えておりますので、自己評価をAとしております。

 次の27ページですが、左上のグラフは援助・助言の実績の件数の推移です。青色の棒グラフが電話等による相談等、赤色は講師の派遣件数です。昨年度と比較して、約1割程度伸びているところです。右の表が援助・助言の主な相談者です。やはり障害者支援施設が一番多くなっておりますが、地方自治体をはじめ、その他の中の内訳になりますが、精神科病院、教育機関、児童相談所、司法関係、地域生活定着支援センターなど、幅広く援助・助言と講師派遣を行っているところです。下の表は、その援助・助言の主な内容ですが、電話等では行動障害、触法関係で半分を占めております。講師派遣では、発達障害、触法関係で約4割を占めているところです。援助・助言の利用促進への取組については、ニュースレターに広報記事を掲載するとともに、PR用のリーフレットを作成して、研修会等の会場で配布を行っております。以上が評価項目1-9の説明となります。

 

○真野主査

 ありがとうございました。御意見とか、どうでしょうか。これは毎年少しずつ増えているわけですが、何か増やすような施策は打っておられるのでしたか。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 のぞみの園の業務の1つに、このような援助・助言というものがあることを、関係者の方によく知っていただくために、リーフレットみたいなものを作って、ニュースレターの中に挟み込んだりとか、あるいは研修会の折に配布したりということで、のぞみの園の業務の1つということを知っていただくと。それによって、次第に増えてきているのかなと思っております。

 

○真野主査

 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。それでは、評価項目1-10と評価項目1-11Bですのでまとめてお願いします。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

 評価項目1-10、「その他の業務」については、主な定量的指標として発達障害児の通所支援事業の利用率を挙げておりますが、目標値75%以上に対して実績が100.5%、達成度が134%となっております。また、保護者等の学習会の開催は、目標値の20回以上に対して実績が21回、達成度が105%となっております。また、一般就労への移行者数は、目標の3人程度に対して実績が1人、達成度は33%となっております。これについては、達成度が100%を大きく割り込んでいるところですが、これは特別支援学校を卒業した後に就労できなかった方が、就労移行支援を受けることになるわけですが、のぞみの園では国立施設であるということもあり、その中でも重度の方を受け入れておりますので、就職が困難な方が多いということで、御理解いただければと思います。4番目の指標の短期入所者延べ受入れ日数については、目標の1,400日に対して実績が2,754日、達成度は197%となっております。また、日中一時支援延べ受入れ日数は、目標値の190日に対して実績が218日、達成度は115%となっております。全体で平均すると100%を超えていますので、自己評価はBとしております。

29ページは、診療所の役割として大きく分けて2つありますが、1つは左側の利用者に対する適切な医療の提供と、もう1つは右側の地域医療への貢献です。この2つの役割を説明した資料です。

30ページは、その他の業務として短期入所事業及び日中一時支援事業、更に就労関係の事業も行っており、これを説明した資料です。

 評価項目1-11、「サービス提供等に関する第三者から意見等を聴取する機会の確保」ということです。定量的指標としては、運営懇談会の開催回数ですが、目標1回に対して実績が2回ということで、達成度は200%となっております。達成度は200%ですが、昨年度も2回開催して評価はBでしたので、今年も自己評価はBとしております。

32ページ、のぞみの園では地域の福祉、医療、司法、労働等の関係者から構成されている、のぞみの園の運営懇談会を設置しており、第三者の意見を事業計画等に反映しております。平成28年度においても2回開催しており、議事要旨についてはホームページに掲載しております。以上が説明となります。

 

○真野主査

 ありがとうございました。この2項目について、何か御質問はありますか。

 

○石井構成員

30ページ、評価項目1-10の所で、通所支援事業というのが非常にアクティビティが高いのですが、30ページの短期入所事業で定員15名で、短期入所利用者が271名というのは、これはすごく多いことになっていて、アクティビティが高いだけではなくて、これはオーバーフローとかしていないのですか。この表現とか、計算の仕方がよく分からないのですが、すごくパーセンテージが高くなるということは活発だという証なのですが、その分、来られた方が十分支援を受けられているのかというのは、この人数はどうなっておりますでしょうか。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 この短期入所事業の定員15名というのは、短期入所利用用のベッドを15用意しているということで、1日最大15名まで受け入れ可能であるという数字です。短期入所利用者数というのは、1回の利用で、例えば1週間とか3日とか、そのような利用が通常ですので、そういった利用を申し込まれた方の人数が全部で271人ということで、当然リピーターもあります。延べ日数というのは、これは正に先ほど15名ということで、15ベッドと申し上げましたが、これが年間2,754回稼働しているということです。

 

○石井構成員

 ありがとうございました。

 

○真野主査

 ほかの先生はよろしいですか。次に、業務運営の効率化に関する事項、財務内容の改善に関する事項、及びその他業務運営に関する重要事項に関わる項目別評定について、議論したいと思います。最初に、業務運営の効率化に関してですが、これもまた全部Bなので、2-1から2-5まで、まとめて御説明をお願いします。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

 評価項目2-1、「効率的な業務運営体制の確立」についての自己評価はBとしております。定量的指標としては常勤職員数の削減ですが、目標値が203名で削減率は9%、これに対して実績は目標値のとおり削減しており、達成度は100%となっております。

34ページは、常勤職員の削減と職員給与水準の適正化についての資料ですが、目標どおり削減しておりますので、説明は省略します。

 評価項目2-2、「内部統制・ガバナンス強化への取組」です。内部統制委員会の開催は、目標値の4回に対して実績が3回、達成度は75%となっております。この評価項目については、平成28年度の内部統制委員会では、内部統制システムの課題や神奈川県のやまゆり園の事件を踏まえて、防犯対策の取組の状況の検証を行うこととしておりましたが、この取組状況の検証については、年4回開催して、基本的に第1回目で現状確認し、第2回、第3回で進捗状況の確認、第4回で最終確認を行う予定でしたが、第1回の開催がちょっと遅れた関係で、中間確認を2回やるところを1回しかできませんでした。このため、3回となっておりますが、年度末に開催した第3回の内部統制委員会で、取組の達成状況を最終的に確認しておりますので、目的は達成されたのではないかと思っているところです。もう1つの評価指標ですが、モニタリング評価会の開催は、目標4回に対して実績4回で、達成度は100%となっております。

36ページ、当法人で内部統制・ガバナンスの強化のための取組として、内部統制委員会、モニタリング評価会議をまとめた資料です。一番下ですが、事故防止対策委員会・虐待防止対策委員会・感染症対策委員会を開催しているところです。なお、事故防止対策委員会及び虐待防止対策委員会については、毎月開催を行っております。この中で虐待防止の取組については37ページになりますが、虐待事案に関する第三者委員会の提言を受けて、平成26年度以降、対応策を講じてきているところですが、平成28年度においても虐待防止委員会を毎月開催し、権利擁護、虐待防止に関する研修会の実施、外部専門家を招聘し、支援現場の点検、風通しのいい職場作りに取り組んできたところです。

 評価項目2-3、「業務運営の効率化に伴う経費削減」についてですが、自己評価はBです。定量的指標としては、運営費交付金の削減ですが、目標値が121,600万円で削減率が27%、これに対して実績が12200万円で削減率も27.8%として、達成度は103%となっております。

39ページは、運営費交付金の推移、自己収入割合等の推移、運営費交付金の収益額等の推移となっております。

 評価項目2-4、「効率的かつ効果的な施設・設備の利用」です。定量的指標としては、通所支援事業の利用率のみですが、目標値が75%以上に対して実績は100.5%で、達成度は134%となっております。

41ページ、のぞみの園の施設の保有資産の状況ですが、のぞみの園は総面積が232万m 2 あり、東京ドーム50個分の面積を有しております。ただ、ほとんどの所は山あり谷ありの山林になっており、建物を建てることができる平地は総面積の0.5%程度と、使える場所は限られております。資産の効率的な使用については、法人内に資産利用検討委員会を設けて、適宜、検討を行っているところです。

42ページ、43ページについては、説明は省略します。

 評価項目2-5、「合理化の推進」は、自己評価はBとなっております。定量的指標としては、競争性のある契約の割合ですが、目標値80%以上に対して実績は82.6%で、達成度は103%となっております。

45ページですが、左上の表に平成28年度の契約締結状況をお示ししております。また、一番下の枠の中ですが、監事による監査であったり、外部の有識者等による契約監視委員会を年2回開催しております。こちらにおいて、契約実績の点検などをしていただいておりますが、指摘事項等は特にありませんでした。なお、契約監視委員会の審査概要は、のぞみの園のホームページに公表しております。以上が評価項目2-5までの説明になります。

 

○真野主査

 御質問等はいかがでしょうか。自己収入の比率の話のところで、記憶が定かではないのですが、診療所のほうの運営で黒字だとか赤字だという議論がずっとあったと思うのですが、診療所のほうは最近はどのような様子でしょうか。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 今回は診療所についての詳しい資料が抜けており、恐縮です。これまでもこの場で御説明し、いろいろと御意見なりを頂いておりましたが、収支という面で見れば、さほど大きな変化はありません。一応、診療収入を増やすため、あるいは確保するためにということで努力はしておりますが、利用者自体が大分減っているということと、福島県の第一原発の事故で、のぞみの園に集団避難していた社会福祉法人の友愛会というのが、昨年4月に自らの施設を福島県に再整備し、利用者70人近くが福島県に帰還したということもあり、いわゆる通院の患者数は若干減っていますが、全体的な状況としてはベッドの稼働率は90%近い状況で推移しています。いずれにしましても、のぞみの園の医療スタッフは看護師、臨床心理士、PTOTSTが、医療だけに携わっているということではなくて、本日も紹介しましたように、高齢の利用者の日常的な支援に関わったり、また発達障害の子供を対象とする通園事業にも携わっているということで、そういう意味では、全体的な収支の状況としては若干改善の方向にはありますが、これをセグメント別で見ると、まだまだ赤字が大きいという御指摘を受けてしまうと思います。

 

○真野主査

 ありがとうございました。先生、お願いします。

 

○三田構成員

 まず、34ページに常勤職員の数があるのですが、非常勤職員の割合はどのぐらいでしょうか。

 それと、37ページに、研修会をやられているということで、権利擁護、虐待防止の研修会の参加者が116とか63ということで、出られない方は伝達講習ということだったと思うのですが、常勤が200名ぐらいで、それでもこの数は一人1回出ればいいのかちょっとよく分からないのですが、非常勤の方も研修対象なのかどうかを教えてください。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 まず、常勤と非常勤の職員の数で申し上げますと、常勤職員が200名弱ですが、非常勤の職員というのは、いわゆるグループホームの世話人も含めて約150人おります。そういう意味で、職員の数全体ということで言えば、350人前後ということです。

 そして、職員の研修については、当然非常勤の職員も対象として実施しています。この研修の参加人数が110数名というようにありますが、これは利用者支援を行っている中で研修に参加する職員をどれだけ集められるかということを考えると、大体この数が限度です。したがって、場合によっては同じ研修を2回開催したり、あるいは権利擁護の研修のように、研修に参加した者が職場に戻って、職場の同僚に確実に研修内容を伝達するということで徹底を図るように努めているところです。

 また、非常勤の職員については、特に最近こういう福祉の業務の経験のない方が応募してきて、私どもも人手が足りないということで、やむを得ずそのような方も雇用する場合もありますが、非常勤職員用の研修体系を作り、段階的に研修を積んで、日常業務についてはそれなりの専門性を身に付けてやっていただけるようにということで努めているところです。

 

○名里構成員

 運営費交付金の考え方がよく分かっていなくて、一般的な、それこそ社会福祉法人がやっている入所施設とか生活介護事業所もたくさんあるわけで、そういう所に入る給付費と同じもの、自己収入というのはそれも多く含まれるということですよね。それにプラス運営費交付金というのは、一般的な所よりもかなり難しい方々の処遇をしなさいということと、あとは研究事業等、なかなか一般的にはできない、ほかの所をリードするような研究とか事業をやりなさいということなのでしょうか。

 それを減らしていくというのが目標になっているというのが、どのように考えればいいのでしょうか。今更ですが教えていただければと思います。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 運営費交付金の趣旨については、名里先生がおっしゃられたことで大体尽きていると思います。沿革的に言いますと、旧法人の時代に非常に障害の重い方たちを受け入れて、職員体制を手厚くして、また施設・設備もかなり手厚く整備したと。その結果として、到底事業収入だけでは対応できないということで、言わば収支差補助的に頂いていたものです。

 それが新法人になり、そういった重い入所利用者の方の支援ということで、当然職員の配置も手厚くなりますし、調査・研究事業なり、研修事業なり、採算を考えないような事業も実施しなければならないようになったと。そういう結果としての運営費交付金です。

 ただ、運営費交付金といっても国の財政事情を考えますと、これは、いわゆる一般の補助金の枠の中で厚生労働省の障害保健福祉部が捻出している財源です。そういう意味で私どもとしても、事業収入でどれぐらい努力できるか、また日常的な業務の効率化といったところで、できるだけの努力をして、この運営費交付金を減らせるかと。それは私どもとしても当然すべきものだと考えております。

 ただ、削減というのは、のぞみの園の入所利用者をかなり減らしてきておりますので、そういう意味では、のぞみの園全体としての事業規模というのはだんだん縮小してきておりますので、運営費交付金の額もだんだん縮減するというトレンドにあるということは確かです。

 

○真野主査

 先生の所のような大学の場合は、自動的に減らされていきますけれども、そういうルールはないのですよね。よろしいですか。

 では、次が財務の3-1になります。お願いします。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

 評価項目3-1の財務内容の改善に関する事項です。こちらの定量的指標については、総事業費に占める自己収入の比率ですが、目標値が40%以上となっており、これに対して実績は59.8%で達成度は150%となっています。47ページに総事業費や自己収入の額を示した資料を付けています。説明は以上です。

 

○真野主査

 どうでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、最後になりますが、4-1をお願いいたします。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

 評価項目4-1「その他業務運営に関する重要事項」です。こちらの項目については、特に定量的指標はありません。この項目では、情報セキュリティに関する取組を行っており、平成28年度では情報セキュリティポリシーや情報セキュリティ関係規程を策定し、それらの必要な措置を講じてきています。

 そのほか、策定した情報セキュリティポリシーの周知徹底を図るために、全職員を対象とした集合研修を行うとともに、国等が主催する集合研修に職員を派遣し、情報収集に努めているところです。この評価項目については特に問題がありませんので、自己評価はBとしています。説明は以上です。

 

 

○真野主査

4-1についてはよろしいですか。これは独法全部が、この厚生労働省のポリシーを守らなければいけないというのではなくて、それを参照してしっかりやろうとしているという意味合いですよね。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

 全ての独法が厚生労働省のポリシーを参照して、それぞれ独自のポリシーを作っていくということです。

 

○真野主査

 独自のものを作っていくということですね。なるほど。いかがでしょうか。

 

○松原構成員

 いつも、のぞみの園には非常に重要な仕事をしっかりと行っていただいていると思っています。この説明資料の作り方なのですが、全体として、どうしても評価がこの数字に対して何パーセント達成したかという評価の体系になってしまっているので、この説明も数字のことばかりになってしまいがちなのですが、やはり何人かの構成員から御指摘があったように、のぞみの園の重要な点というのはプロセスだと思うのです。例えば地域移行を達成したというときも、数字ばかりどうしても出てしまうのですが、こちらの大きな資料の評価書を拝見すると、非常に細かく、例えば他の事業所に110何回も本人に行ってもらったとか、移行する先の事業所の方2名に実際にのぞみの園に来ていただいて、いろいろ意見交換しただとか、こちらには細かく書かれています。移行だけではなくて、賃金アップなども、地域と比べてなぜ賃金アップを達成できたのかということも、こちらの資料にはしっかりと書かれているのですが、この説明資料には載っていないのです。全部書けとは言いませんが、重度の方々、最初はのぞみの園にずっと入れると約束して入った方々に、地域に移行してくださいという非常に難しいことをなぜできたのか、15年かかってきたわけです。利用者としても15年間周りの方が出ていくのを見ながら、だんだん気持ちも変化したでしょうし。以前に見学させていただいたときに、グループホームをお持ちになったり、小規模をお持ちになったりして、地域移行をするための準備を非常にきめ細かく対応なさっている様子を見せていただきましたが、そういうことをこちらにも、数字だけではなくて参考資料として載せて、一緒に御説明していただければ、私たちももっと理解しやすいと思います。意見です。

 あと、すごく高額な医療機器を入れて、その機器の利用回数、その推移はできれば毎回載せていただけると有り難いです。以前は載っていたのですが、今年は載っていないので、次回のリクエストです。

 

○真野主査

 私も聞きましたが、診療所のことですが、今回は余り出ていなかったので、是非よろしくお願いいたします。それでは、よろしいですか。

 次は、法人の監事より、業務の監査結果を取りまとめた「監査報告」について御説明いただくとともに、それを踏まえて現在の法人の業務運営の状況や今後の課題、改善方針についてコメントをお願いいたします。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園監事(関口)

 のぞみの園監事の萩原と、私は関口です。平成28事業年度監査について、御報告を申し上げます。我々監事は、週2日、非常勤で勤務しており、出勤日に合わせて開催される理事会等重要な会議へ出席し、個々の事業ごとに報告を受け、必要に応じて説明を求めるなど、年間を通じて監査業務を行うとともに、12月と5月には各部に出向き実地監査を実施してきました。

 また、会計監査に当たっては、会計監査人が独立の立場を保持し、かつ適切な監査を実施しているかを監視及び検討するとともに、会計監査人からその職務の執行状況について報告を受け、必要に応じて説明を求めました。

 以上の方法により監査した結果、平成28事業年度に係る業務監査及び会計監査において、のぞみの園は通則法、のぞみの園法、業務方法書等にのっとり、健全に運営されているものと考えております。

 お手元の監査報告において、業務における法令遵守等の状況及び中期目標達成に向けての状況、並びに内部統制システムの状況等について述べているとおり、特に文書により指摘すべき問題点は認められませんでした。

 次に、独法改革等に関する基本的な方針と、過去の閣議決定において定められた監査事項についてです。これについても、置かれた状況の中で順調に推移しているものと思われ、特段の指摘事項はありませんでした。当該事業年度は、津久井やまゆり園事件や岩手県における高齢者施設の水害事故など、多くの社会福祉施設において、それまで想定外としていたであろう事件、事故が発生いたしました。内部統制上の課題の1つは、こうしたリスクの顕在化にどのように対応するかの備えであり、大事に至らないための防止策の構築であると思いますが、それを実現していくためには、役職員が幅広に、かつ継続的に自己点検を実施し、リスク認識と課題対応力をもって日々の業務に臨むことが肝要であると考えております。引き続き、監査業務における座標軸に据えて取り組んでいく所存です。以上、平成28事業年度監査報告についての説明とさせていただきます。

 

○真野主査

 次いで、法人の理事長の先生から、日々のマネジメントを踏まえて、現在の法人の業務運営の状況や今後の課題、改善方針等についてコメントを頂ければと思います。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 本日は貴重な御意見、御助言などを頂きありがとうございました。これらを今後の法人運営に大いにいかしてまいります。また、この会議の資料作成について、ろいろ御指摘いただきました。御指摘の点を踏まえて、改善していきたいと思います。また、法人運営の状況などについて申し上げる機会を頂きましたので、幾つか申し上げたいと思います。

 まず、本日の説明は平成28年度の実績でしたが、平成29年度においても、おおむね順調に法人の管理面、また各種事業の推進面が進んでいる状況にあります。そして、特にこの場で申し上げたいということですと、1つは利用者の安全確保と日常的な利用者支援の質の向上についてです。1年前の津久井やまゆり園事件を契機にし、想定外の事件も起こり得るという危機感、緊張感を役職員全員で共有し、日頃から利用者の安全確保に万全を期すように努めているところです。このような事件発生の防止のためには、のぞみの園の取組というだけでなく、日頃から地域の住民の方、自治会、警察署などとの意思疎通をよくして、何か不審なことがあればすぐに情報提供していただけるようなよい関係を保っていくことも不可欠と考えています。

 最近、やまゆり園事件に関するマスコミ報道が多く見られます。施設の建替えの問題、事件発生後1年という特集、あるいは重い障害のある人の暮らしの場など、いろいろなテーマが取り上げられていますが、この関係もあるのでしょうか、最近のぞみの園にも新聞社、テレビ局が相次いで取材に入っています。重い障害のある人の暮らしの場、日々の生活、人生などについて考えていただくような企画と聞いていますが、のぞみの園における日常的な利用者支援の在り様を多くの方々に知っていただくよい機会だとも考えております。読者、視聴者などから、御意見、御要望なども寄せられることと思いますが、そういったことも踏まえながら、利用者支援の質の向上に引き続き努めていきます。特に、利用者の人権尊重、権利擁護といったことを職員に徹底しつつ、利用者支援の向上に努めていくということを、改めて申し上げます。

 また、個別の事業について若干申し上げます。1つは、矯正施設退所者の支援事業です。この事業に私ども福祉の立場として携わるということですので、再犯防止ということが目的ではなくて、あくまでも福祉政策の対象者でありながら、福祉とのつながりがほとんどないまま、犯罪行為に至ってしまった人に対して福祉としてどのような支援ができるか、その結果として地域に移行し定着することができるか。そういった問題意識をもって、更に事業を充実していきたいと思います。

 次に、発達障害のある人たちの支援の事業です。これは知的障害のある人たちの支援の事業に携わる中で、知的障害というよりは自閉症スペクトラムなど、発達障害を正面から捉えてアプローチする必要がある事例が少なくなく、最近増えています。就学前の早期療育、学齢時、学校卒業後の就職など、ライフステージの各段階で、また医療、福祉、教育、労働などの関係分野が連携して、切れ目のない支援を提供できる体制を国レベル、また地域で構築していくことが課題だと受け止めております。のぞみの園としても積極的に取り組んでいるところです。昨年12月には、国立リハビリテーションセンターと、発達障害関連の事業について連携するという協定を結び、本年度から幾つかの事業について連携して取り組んできております。国立リハビリテーションセンターは、発達障害に関する国の情報センターの機能を担っておりますし、発逮障害関係の事業も幾つか取り組んでおりますので、それぞれの得意分野を相互に学びながら、国としての発達障害関連事業の充実を図っていきたいと考えています。

 また、今月11日と12日、日本発達障害学会の本年度の研究大会を私が実行委員長を務め、のぞみの園職員が大会事務局の中心を担って、前橋市で開催することとなっております。このような機会を通じて、関係分野の専門家との連携も深めていきたいと考えています。

 以上、独立行政法人として、その役割を確実に担っていくためには、国の関係機関、関連分野の専門家などとの連携・協力を一層進めていく必要があるということを特に最近強く感じておりますので、2つの事業を例に挙げて申し上げた次第です。

 第3期中期目標期間も最終年度に入っております。中期目標を確実に達成するために、残された期間に全力を尽くしていきます。構成員の先生方におかれましては、今後とも御指導、御鞭撻を頂きまして、よろしくお願いしたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

 

○真野主査

 今の2つの御発言に対して、何か御意見などはございますか。よろしいですか。国立ということで御指摘もありましたが、どのようなアイデンティティを持つかということも、ずっとこの委員会でも議論してきましたし、一方では地域との関係も非常に難しいところもあって、もちろん地域との関係はやらなければいけないのだけれども、国立という国全体という視点もお持ちにならなければいけないという大変なところもあるかと思いますが、研究とか研修とか、最初の頃に比べると相当充実してきた観は持っております。ありがとうございました。

 それでは、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の平成28年度業務実績評価に係る今後の取扱いについて、事務局から説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 本日、法人から説明のあった業務実績、自己評価に対して、構成員の皆様から寄せられた御意見、法人の監事及び理事長のコメントなども踏まえ、厚生労働大臣による評価を決定いたします。本日の法人に関しては、構成員の皆様方から、数字に見えないところでのプロセスが非常に重要だという御意見を幾つか頂きました。その点について、法人側から丁寧な御説明を頂きましたので、そういったことも踏まえて、改めて評価書を確認させていただきますとともに、来年度の説明ですとか目標の設定に引き継ぐべきことは引き継いでいきたいと思います。

 厚生労働大臣による評価を決定しましたら、その評価結果について法人に通知するとともに、公表します。決定した内容については、後日構成員の皆様にお送りいたします。なお、本日の国立重度知的障害者総合施設のぞみの園につきましては、本年度が中期目標期間の最終年度に該当します。ですので、来週、7日の月曜日に開催予定の第11回本ワーキングにおいて、中期目標期間の最終年度に実施される評価、いわゆる中期目標期間見込み評価について御意見を賜ることとしておりますので、またどうぞよろしくお願いいたします。

 本ワーキングの次回の開催は、連日の開催になり大変恐縮ですが、82()14時から予定しております。場所は本日と同様で、こちらの中央労働委員会の7階の講堂です。議題は、同じく本年度が中期目標期間の最終年度に該当する福祉医療機構の「中期目標期間見込評価」、それから見込評価の結果を踏まえて作成する「業務・組織全般の見直し内容」についても御意見を賜ることとしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 最後に事務的なお知らせですが、本日配布した資料の郵送を御希望される場合は、事務局より送付いたしますので、机上にそのままにして退席いただきますよう、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

 

○真野主査

 それでは、本日は以上とさせていただきます。また明日もあるということですが、本日は長時間にわたりありがとうございました。


(了)

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