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2017年7月26日 独立行政法人評価に関する有識者会議 地域医療機能推進WG(第3回)議事録

○日時

平成29年7月26日(水)12:58~15:20


○場所

中央労働委員会労働委員会会館講堂(7階)


○出席者

福井主査、大西構成員、押淵構成員、柿崎構成員、亀岡構成員、坂井構成員

○議事

 

○福井主査 

 少し定刻までには時間がございますが、関係している皆様方がお集まりですので、開始させていただきたいと思います。ただいまから第3回独立行政法人評価に関する有識者会議地域医療機能推進WGを開催いたします。構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。本日は藤本構成員が御欠席です。

 始めに、牧野政策評価官から御挨拶をいただきたいと思います。

 

○政策評価官

 この11日付けで政策評価官に着任しました牧野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。皆様には、本日は大変蒸し暑い中、雨の中、またお忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。

 この場を借りまして、独立行政法人の評価の方法につきまして、改めて簡単に御説明させていただきます。独立行政法人の評価の方法につきましては、平成27年度に変更されましてから、今回で3回目の評価になります。1回目の評価につきましては、総務省のほうから厚生労働省ほか幾つかの省庁を含めて、名指しでA評定以上の高い評価の割合が高いというような御指摘を受けたところでございます。また、その次の2回目の評価につきましても、これは名指しということではなかったのですが、A評定以上のものについて、明確な根拠、理由を明らかにして評価すべきというような指摘をもらったということです。したがいまして、今回3回目の評価になりますが、総務省の評価指針に基づきまして、一層厳正な評価を行いたいと考えており、皆様の御協力を是非お願いしたいと思います。

 具体的には、皆さん御案内かと思いますけれども、参考資料21枚めくっていただきたいのですが、本日行っていただくのは、法人の項目別評定につきまして、5段階の自己評価、SからD5段階評価に対する意見聴取ということでございます。その方法で、定量的な指標を設定している項目につきましては、Bを標準とします。100%以上120%未満の目標達成度合で、B評定であるというのが原則のルールです。A評定というのは、120%以上の場合になります。更にS評定というのは、120%以上に加えて、質的に顕著な成果があった場合になります。自己評価の中に、120%未満でもA評定というケースが散見される法人もあるところですが、その場合、なぜA評定になるのかということにつきまして、法人のほうからも明確な御説明を頂きますとともに、先生のほうからも専門的な御知見もいただきながら、理由等、根拠等を明らかにしていただくというような形で進めていただきますと、大変有り難いと思います。本日はどうぞよろしくお願いします。

 

○福井主査 

 ありがとうございます。本日の議事について、事務局から説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 政策評価官室の室長補佐をしております宮崎と申します。よろしくお願いいたします。

 議事の御説明の前に、事務局に異動がありましたので御報告いたします。本日恐縮ながら欠席でございますが、総合政策・政策評価審議官の本多と、先ほど御挨拶のありました、政策評価官の牧野です。

 それでは、本日の議事について御説明いたします。本日の議事は、議事次第のとおり、地域医療機能推進機構の平成28年度業務実績評価に係る意見聴取です。評価項目ごとに法人側から業務実績、及び自己評価について説明いただき、有識者の皆様から御意見、御質問を頂きたいと存じます。

 評価のルールにつきましては、先ほど挨拶の中で触れさせていただきましたが、参考資料3に置いております総務大臣が定める「独立行政法人の評価に関する指針」が基本ルールとなります。ポイントとしましては、B評定が標準であること、A評定以上を付すには定量的指標において120%以上の達成度が求められていることなどに御留意いただきますようお願いいたします。

 なお、独立行政法人の評価スケジュール全体につきましては、資料が大部になりますが、参考資料110ページに書いております。法人側から業務実績を6月末までに提出いただきまして、本日は2つ目の箱の「外部有識者の皆様からの意見聴取、法人の長等からのヒアリング」に当たります。その後、意見なども踏まえまして、法人所管部局において評価を実施し、政策評価担当部局である政策評価官室による点検を経て、公表という流れになります。事務局からは以上でございます。

 

○福井主査 

 ありがとうございます。それでは、早速評価に移っていきたいと思います。平成28年業務実績評価について、最初に国民に対して提供するサービス、その他の業務の質の向上に関する事項のうち、1-1、診療事業等(地域において必要とされる医療等の提供)について、地域医療機能推進機構からポイントを絞って簡潔に御説明いただきたいと思います。先ほど事務局から御説明がありましたように、特にA評価のときには、どういう理由でA評価になったかというところを、明確に説明をお願いできればと思いますが、よろしくお願いします。

 

○地域医療機能推進機構上席審議役

 上席審議役の黒川です。よろしくお願いします。資料1-1に基づきまして御説明させていただきます。1ページを御覧ください。私どもJCHO、地域医療機能推進機構は、3の組織の規模の所にありますように、全国57の病院のみならず、下にありますような、各種施設を運営しており、予防、リハビリ、介護を含む切れ目のないケアを担っている法人です。

2ページを御覧ください。2ページにありますのが、私どもの年度計画の目標です。ここにあります11項目が目標でございまして、これについて、順に御説明申し上げたいと思います。ちなみに、2ページの自己評価の欄に、ABと書いてありますが、これが今回の私どもの自己評価の評定でございまして、11項目中6つの項目にA評定ということにしております。そして、○や下線が引いてありますのは、2ページの下にありますが、重要度が高いものが○、そして難易度が高いものということで、下線を引いております。

 それでは、順に1項目目から御説明させていただきます。最初に、資料の中に赤の枠で囲ってある部分、緑の枠で囲ってある部分について説明しておきたいと思います。例えば7ページを御覧ください。年度計画の目標です。年度計画の目標は、中期目標に対応して、定性的なものと定量的なものを設定しているわけですが、定量的な数値目標を設定しているものについては、その実績が7ページのように赤枠で囲っています。

 更に14ページを御覧ください。14ページの下に、緑の枠で囲っているものがありますが、定量的な数値目標を設定していないもの、定性的なものについても、客観的に評価していただくということで、できるだけ定量的な指標を用いることに努めており、14ページにありますように参考として緑の枠で記載しています。

 恐縮ですが、3ページに戻っていただき、最初の項目の御説明をいたします。最初の項目は、2つありまして、地域において必要とされる医療等の提供が1つです。内容は、地域での取組が十分ではない分野について、他の医療機関等とも連携しつつ、積極的に補完し、病院等の運営に当たり、協議会の開催などによって、関係者の意見を聞いて、地域の実情に応じた運営に努めるというものです。もう1つが各病院等に期待される機能の発揮ということで、内容の所の※印にありますように、(1)から(4)までの機能を満たす病院の数が、平成25年度に比べて、27以上増加するという目標になっております。何故、27以上かというと、目標の設定方法の所に書いてありますが、中期計画では中期目標期間中に、全ての病院等が4つの機能を満たすということになっておりまして、4つの機能を満たす数が25年度において13病院でしたので、それを5年間かけて57にするということで、毎年9つずつ増やすということで、28年度は3年目ですので、9×32727ということにしています。それが年度計画の目標です。

 それに対して4ページです。4ページに主な業務実績を記載しております。地域において必要とされる医療等の提供の、具体的な取組です。地域のニーズに対応した病床機能への見直しということで、地域医療構想の議論や自治体などの意見を踏まえて、病床機能の転換を積極的に実施しております。矢印の下ですが、地域包括ケア病棟・病床を平成27年度、前年度と比較して14病院増えた36病院が導入したところです。そして、特に次の自治体と連携した移転建替えの推進で、私どもの57の病院の中に、特に慢性的な赤字経営の状態にあった6病院がありますが、この移転建替えを推進しておりまして、自治体、医師会など関係機関との累次にわたる調整を粘り強く進め、丁寧な説明により地域住民の理解を得ながら、移転建替えを推進しております。その矢印の下ですが、地域で十分に応えられていない医療・介護ニーズに対応する病院機能の強化、救急医療の強化、在宅療養支援病院などを内容とする移転建替えが大きく進展しているところです。

 例えば具体例としては5ページを御覧いただきたいと思いますが、6病院それぞれについて記載しております。一番上の登別病院について御説明申し上げますと、現在の温泉街から、医療ニーズや利便性の高いJR登別駅近隣に移転するとともに、救急医療の強化、地域包括ケア病床の設置など地域から求められる医療・介護に取り組むこととしまして、1220日に新病院の基本構想を公表したところです。

 更に進んだものとしては、2番目のさいたま北部医療センターですが、ここもより医療ニーズや利便性の高いさいたま市北区役所の隣に移転を決定いたしました。また、地域から要望がありました、小児救急医療の強化ということで、4月に入札公告を行ったところです。以上のように移転建替えを推進しています。

6ページです。全ての病院において地域協議会を設置しておりまして、開催回数が前年度と比較して24回増えています。そして、具体的に下の枠に1.から4.までの例が書いてあります。1番目は週5日で婦人科外来を実施する。2番目は緊急時入院などの後方支援を強化する。3番目は、訪問看護ステーションを開設する。4番目の、漢方薬や認知症などをテーマとして、市民講座を前年度は3回だったものを6回開催するなど、地域の求めに応じた対応を行ってきたところです。

7ページを御覧ください。各病院等に期待される機能の発揮です。枠で囲ってある(1)から(4)までの項目について、この機能を発揮した病院が今どうなっているかということを表にしたものです。御覧いただきますと、(2)(3)(4)の機能を発揮した病院は、全57病院になっております。そしてこの4つ全てを満たした病院の数は、41病院ということになっておりまして、25年度の13病院で、それに27を足した40病院というのが目標の数ですので、目標の40病院に対して実績が41病院になったということです。

7ページの下のまとめです。以上、御説明した実績に基づきまして、目標と実績との比較です。地域での取組が十分でない分野を積極的に補完するための病院機能の見直しを大幅に進めております。中期計画で定めた4つの機能のうち3つの機能を発揮した病院が全ての病院になって、全ての機能を果たした病院は、年度計画の数値目標を上回っております。

 そして、考慮すべき要素ですが、自治体など関係機関との調整を粘り強く進め、丁寧な説明により住民の理解を得て、病院機能の見直しを率先して進めたところです。また、医師確保が厳しさを増す中で、地域から期待される機能を発揮するための病院の態勢整備を進めたところです。以上でございます。よろしくお願いします。

 

○福井主査

 ありがとうございます。自己評価がAになっていますが、ポイントだけ、これをAとした理由をもう一度まとめて説明していただけませんか。

 

○地域医療機能推進機構上席審議役

 これ以降の項目も全てそうですけれども、要点はこの目標と実績との比較及び考慮すべき要素にまとめております。A評定にするためには定量的な観点と、定性的な観点と双方を勘案して、評定をするということになっていますけれども、まず1つは、定量的なものでいいますと、ここにありますように、4つの機能のうち3つを発揮した病院が全ての病院になったということです。更に4つの機能全てを満たした病院が数値目標を上回っているということです。それにプラスして、地域での取組が十分でない分野を積極的に補完するための病院の機能の見直しを大幅に進めていることです。それは考慮すべき要素にありますけれども、自治体と関係機関との調整を粘り強く進めて、丁寧な説明により住民の理解を得て進めたものです。そして、医師確保の厳しさを増す中で、病院機能の見直しを進めているということをもって、定性的な側面ももって、私どもはA評定としているところでございます。以上です。

 

○福井主査 

 ありがとうございます。それでは、構成員の皆様から御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。御意見、御質問等ありましたらお願いします。

 

○大西構成員

 御説明どうもありがとうございました。地域のいろいろな機能の強化、若しくは発展に向けて、いろいろ努力をされているお話を伺わせていただいて、大変ありがとうございます。その中でありました、移転建替えを進めておられる病院を6つ御紹介いただきましたが、この個別病院ごとの実績という資料1-2を拝見したところ、この6つを含めて15病院ほど、経常利益が赤字になっている所があります。この中の1つは、必ずしも赤字ではなかったと思いますが、今後こういう赤字になっている施設が、移転建替えの候補になっていく、若しくは改革を進められる候補になっていくと捉えてよろしいですか。

 

○地域医療機能推進機構理事(宇口)

 理事の宇口です。お答えさせていただきます。御質問いただきまして、今6つありますが、この病院自体は、前の3団体、つまり全社連、厚生団、船保会の中で、とりわけ経営的にも難渋していて、医療職の確保も困難な病院で、立地も、昔は栄えていた地域かもしれませんが、もう今は人がどんどんいなくなってしまっているという問題を抱えた病院を、真っ先に取り組みさせていただいて、前団体では、市長とか自治体との交渉力がなかった。ところが独立行政法人になりまして、首長さんと直接理事長等が対話をし、医師会長などとも会話をして、このように変わってきています。先生御指摘のとおり、桜ヶ丘以外は赤字ですが、一番後でも出てきますが、ほとんど絶望的な職員のマインドが、今は現状のぼろ家であっても、赤字がどんどん減っていっている。工事の入札も去年の実績として終わっています。先週も登別病院で入札を実施してきました。具体的には、駅前に移転ということで、場所も決まり、医師も職員もモチベーションが上がり、やる気を出してきて、相乗効果でよくなっているということです。赤字についても、今年度はひょっとしたら単年度で黒字にできる可能性も出てきています。そういう状況です。

 

○地域医療機能推進機構理事長

 追加ですが、大西構成員のもう1つのご質問は、赤字の病院は全て移転の候補になるかということもあったと思うのですけれども、実はこれは赤字の病院の中でも大きく分けて、2つのカテゴリーがあります。1つはもう本当に建物が古くなって、地の利がないというものもあります。もう1つのカテゴリーは、地の利ではなくて、例えば院長の努力がなかったりというカテゴリーで、それは移転が解決策にはならないのですよね。したがって、移転を主に進めているのは、地の利がなくて、もうそろそろ古いというタイプの病院です。その他の赤字の病院で土地の問題ではない経営の仕方の問題というのは、我々個別に集中的に指導・支援をしています。

 

○福井主査

 ほかにはいかがでしょうか。

 

○坂井構成員

 ありがとうございます。少し細かいことでお聞きしたいと思いますけれども、それぞれの努力をされておりますし、病院機能の見直し等といったようなことも、先ほど来の説明があったと思うのですが、これの病院機能の見直しの関係で、病院としての持っていらっしゃる職員も含めたポリシーと、医師会とかいろいろな地域から求められる部分との何か乖離みたいなことはないのかなということと、もちろん地域医療に貢献するというのがここの医療の大事なことだと思いますが、その部分と、例えばさいたまの北部医療、小児救急医療の強化の内容の部分についてお聞きしたいということがあります。

 それから、地域協議会での対応事例の中で、4点目の市民講座の関係ですが、例えばこれは6回となっていますが、これにつきましては、57病院の中での6回なのでしょうか。とにかく、先ほどの小児救急の問題ではありませんが、医師確保というのは非常に難しいという部分の中で、何か特に強化をされたようなことがありましたら教えてください。

 

○地域医療機能推進機構理事(宇口)

 ありがとうございます。さいたま北部医療センターにつきまして、具体的に申し上げますと、小児科の強化は、今の病院は外来だけです。新病院は入院機能も発揮すべきということで考えております。即ち小児科のドクターの確保です。今、具体的に想定しておりますのは、さいたま北部医療センターは、現在の地では常勤医21名体制ですけれども、この計画がうまくまいりますと、完成時の段階では32名の常勤医にアップします。それから、小児科の入院機能がアップするということが見込まれております。

 例えば大阪みなと中央病院、これは旧大阪船保病院なのですが、大阪環状線弁天町の駅前、これは本当に大阪市の虎の子の土地なのですが、その駅前に移転できるということで、ドクターも33名から48名に増加できる予定でございます。

 縷々言いませんけれども、桜ヶ丘の1病院は黒字でもありますけれども、これは社会保険庁時代、移転代替地を用意していたのですが、それが余りにも市街地から外れているため、理事長の判断で、こんなところに移転してどうするのだということで、新たに静岡市長と市街地に移転するような調整をしたということです。ここだけはちょっと唯一中身が、毛色が違いますが、そのようにしております。

 それから、地域協議会を経ての6回の話は、パワーポイントで載せているのは、1つの病院の具体的な例を箇条書きにさせていただいているので、全国で6回だけがあったということではなくて、とある1つの病院の例として、具体的にそのような御指摘を踏まえて対応させていただいたという例です。

 

○地域医療機能推進機構理事(中野)

 今説明しましたとおり、例示ですので、それぞれの地域の協議会において御意見を賜わって、病院が対応しているということです。

 

○福井主査

 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。

 

○地域医療機能推進機構理事(内野)

 医療機能のポリシーについて御質問いただきましたが、基本的に病院にもポリシーはあるのだと思いますけれども、恐らくそれは地域の要望しているものと乖離がありますと、結果的には病院がうまくいかない、患者さんが増えないということになりますので、基本的にはやりたい医療よりも、地域から希望される医療を重点的に展開して、医療機能の転換を図っております。

 

○地域医療機能推進機構理事長

 更に追加ですけれども、今の医療機能のほうですが、4ページの真ん中に例えばという所があります。先生方には釈迦に説法になりますし、福井先生は一番のプロですけれども、従来医療界では、急性期医療に対する信仰、言ってみれば71信仰という、急性期の病棟ならこれが医療の理想という価値観だったと思います。JCHO(地域医療機能推進機構)病院の中にも71病棟はあるのですが、実は71病棟で看護師さんを手厚く配置しているのだけれども、患者さんがいなくて病床利用率が低い場合は、これはニーズとミスマッチがある。そういう所では我々はかなり大胆かつイニシアティブを取って地域包括ケア病棟へ転換してきました。さらに地域のニーズに合っただけではなくて、医療経営上にも貢献しているというのがあって、そういう機能へ転換をやってきたということです。

 

○福井主査 

 ほかにはいかがでしょうか。

 

○亀岡構成員

 ありがとうございました。私のほうからは1点ですが、この4ページ目のところに、自治体と連携した移転建替えの推進というのがあります。この中に特に老朽化などと、地域のニーズとミスマッチによる慢性的な赤字経営となった病院と書いてあります。先ほど見せていただきました資料1-2の別紙の所で、ちょっと見て気になったのが、湯布院ですね。人件費も83.7で、今回建替えに出てくるような所と比較しても、それ以上の経営状況の収入を見ても厳しいのかなと考えるのですが、この辺についての考え方をよろしくお願いします。

 

○地域医療機能推進機構理事(宇口)

 ありがとうございます。湯布院病院はもともと旧厚生団時代には専門病院の中では4病院ある中で唯一黒字だったのですが、リハビリへの体制の転換で、JCHO病院となって初年度は億単位の赤字でした。2年目に黒字に転換をしたのですが、28年度は熊本地震の影響で、うちのグループで唯一病棟が被害を受けたのは湯布院病院です。それで、1つのメルクマールとしては200を超える患者数を維持しないと黒字にならないということで、2年目はその200を超える患者数というのを確保できたのですけれども、やはり、地震で病棟がつぶれたものですから、患者さんに一旦出ていただかざるを得なくなって、150名ぐらいの入院患者数に落とさざるを得ない時期が結構長く続いたものですから、28年度は先生の御指摘を繰り返しませんが、そういう状態になりました。ところが、今年は4月から順調にきていますので、また2年目のように黒字の病院に確実になると我々は思っております。御質問ありがとうございました。

 

○柿崎構成員

 地域協議会ですが、前も聞いたと思うのですが、どういう構成で、協議会の話合いの中身はどんな感じになっているのですか。実態をお聞きしたいと思います。

 

○地域医療機能推進機構理事(内野)

 私がちょうど相模原と東京で病院長をやっておりましたときの構成ですが、基本的に病院側から代表者何名かを出しますが、地域から入っていただきますのは、まず地域の自治会、町内会を代表した方、患者代表として1名ないし2名入っていただきます。それから行政、これは役所から入っていただいて、あとは必要に応じて政治家の方に入っていただいて、御意見を頂いております。それから、医師会、病院協会という所から代表者を頂いております。

 

○福井主査 

 よろしいですか。

 

○柿崎構成員

 そこからいろいろ意見が出ると思うのですが、取捨選択というのでしょうか。それはそれぞれの協議会に任されているのでしょうか。

 

○地域医療機能推進機構理事(内野)

 各病院が頂いた意見を判断して、できるものはやる、できないものは申し訳ないけれども、できないというお返事をしているということになっていると思います。

 

○福井主査 

 よろしいですか。今のページでの確認です。資料1-16ページで、地域協議会での意見を踏まえた対応事例の一番下ですけれども、漢方薬や認知症などをテーマに6回開催したということは、57病院全部合わせて6回ですね。確認ですけれども。

 

○地域医療機能推進機構理事(中野)

 これはそれぞれの病院の例でございますので、ある病院はこうやったということなのです。

 

○福井主査 

 では全部の統計ではないということですね。

 

○地域医療機能推進機構理事(中野)

 統計は全部とっておりますが、例を記載しております。全体では1,130回の開催ということです。これは1病院の例です。

 

○福井主査 

 すみません。繰り返しで申し訳ないです。

 

○押淵構成員

 地域に密着した医療の展開というのは、JCHOの基本的な姿勢だと思いますので、その観点からお聞きしますが、地域医療協議会とか、あるいは市民講座だとか、あるいはいろいろな取組をなさっているのを、地域の市民にどのような情報伝達をしておられるのかというところは、もし調べがあったらお知らせいただきたいと思います。

 

○地域医療機能推進機構理事(内野)

 私の病院長のときの経験ですが、院内の掲示に、この間提案いただいた、これをやることになりましたというような形で出しましたし、自治会長さんから御提案いただいたことに関しては、これはいついつから実行いたしますということを直接お返ししております。

 

○押淵構成員

 そうしますと、不特定多数といいますか、その地域の皆さんたちに、何らかの情報書を作ってお配りするということもなさっておられるわけですか。

 

○地域医療機能推進機構理事(内野)

 はい。

 

○押淵構成員

 ありがとうございます。

 

○福井主査 

 ほかにはいかがでしょうか。平成27年度はこの項目についてはB評価だったのですが、今回A評価にされました。どの部分が1年前と比べてステップアップされたのですか。すみませんが、もう1回説明していただけますか。

 

○地域医療機能推進機構上席審議役

 目標と実績との比較と考慮すべき要素のところを申し上げましたが、まず、定量的な話でいいますと、3つの機能を果たした病院の数、57病院が全て発揮しているということです。4つの機能を全て発揮した病院も41になったということです。

 

○福井主査 

 その設定している数値は120%を超えていないですね。

 

○地域医療機能推進機構上席審議役

 去年との比較で申し上げると、去年より定量的な指標についても、向上しています。それとプラスで先ほど来申し上げましたが、病院機能の見直し、移転建替えの話なども含めてです。そういった質的な面が去年よりもかなり進んでいるということで判断しているところでございます。

 

○地域医療機能推進機構理事(宇口)

 付け加えると、3つの項目はもう既に57病院全てが体制を整備しています。あと1つだけで120を超えるというか、全て丸3年目で終わったぐらいの所まで来ているというのが、自己評価でAを付けさせていただきました。これは定量的な話です。定性的な話は、感覚の問題になってきますが、5ページに入っている6つのケースにつきましては、JCHO立ち上がりの初年度から着手はしているのですが、なかなか地元との話合いから結果が見えてきていなかった。しかし、入札が終わったとか、地元でもちゃんとこのことは、関係者はみんな知っている話だというところまでレベルは上がってまいりましたし、地域のJCHOに対する期待というのは事実、間違いないところになりましたので、自信をもって臨ませていただいているということです。

 

○地域医療機能推進機構理事(中野)

 地域協議会の関係で、不特定多数の方にオープンということにつきましては、協議会の結果につきまして、各病院のホームページで公開しておりますので、御参考にしてください。

 

○福井主査 

 ありがとうございます。時間のこともありますので、評価項目1-2、診療事業等に移りたいと思います。説明をお願いいたします。

 

○地域医療機能推進機構上席審議役

 それでは8ページを御覧ください。2つ目の項目は5事業など個別事業、疾病に対する機構全体としての取組でして、8ページの内容にございますが、5事業、救急医療、災害医療、へき地医療、そしてリハビリテーション、5疾病、健診・保健指導、地域連携クリティカルパス、それぞれについて取組を進めるという目標です。

 実績です。9ページを御覧いただきたいと思います。まず5事業の中のへき地医療ですが、医師確保が困難な状況にある中、自治体等からの要請に応え、32病院から医師等を6,446人日派遣したところです。

 続きまして、災害医療です。1つ飛ばして2つ目のポツですが、熊本地震への対応として特に、「上記に加えて」の1行下の部分ですが、熊本総合病院は自らが被災を受けましたが、診療継続困難となった病院からの入院患者の方ですとか、停電などによって稼動が困難になった施設からの透析患者の方などの受入れを震災発生後直ちに実施したところです。こうした熊本地震についての対応をしたところです。

 それから、10ページを御覧いただきたいと思いますが、救急医療です。救急医療については、これは数値目標を設定しているものですが、救急車による救急患者の受入数がこの資料の一番右側の平成28年度の真ん中、88,304件になっております。これは、その隣の平成25年度の実績の82,877件と比較しますと、6.5%増えております。ただ、ここは目標が3%ですので、その上に、3%の場合には85,363件になるということです。平成25年度と比較すれば6.5%増えたのですが、3%増やすという85,363件と比較すれば、88,304件は103.4%に相当するということで、赤枠の中の数字として記載させていただいたところです。

 下段、リハビリテーションにつきましては、リハビリ専門職を積極的に派遣いたしまして、平成25年度比では175.9%になっているところです。

 続きまして、11ページ、地域連携クリティカルパスの話です。これは、実施総件数が2,919件となっておりまして、平成25年度比では172%になってございます。

 健診・保健指導につきましては、受診者数は、例年並みの132万人ということです。

 周産期医療、小児医療につきましては、医師数の減少や少子化に伴う分娩数の減少の状況の中、ニーズの高いハイリスク分娩や小児救急の受入れに、可能な限り取り組んだところです。

 以上をまとめまして、目標と実績との比較です。へき地等への医師などの派遣が前年度の実績、前年度は5,000人台だったのですが、この実績を大幅に上回っておりますし、あと、数値目標を設定しております救急車による救急患者の受入件数が数値目標を上回ったところです。

 そして、考慮すべき要素です。医師確保が厳しさを増す中で、へき地などへの医師等の派遣を更に推進して、熊本震災では、自らが被災する中で発災直後から、診療継続困難な病院などから入院患者などを積極的に受け入れたということです。

12ページは医師派遣の概要ですので、説明は省略させていただきます。以上です。

 

○福井主査

 ありがとうございます。それでは、構成員の先生方から御質問、御意見等をお願いいたします。

 

○押淵構成員

 地域のリハビリテーション事業に対する支援ということでお尋ねいたします。平成25年度比からしても175%、相当伸びてはいるのですが、こういったところに特に介護予防事業等へのリハビリの専門職の派遣となりますというと、これは診療報酬上の事業とは切り離されているものだと思います。そうしますというと、これらのスタッフの方々が診療の現場での診療の時間内での事業となりますというと、無理が生じてきているのではないかと思いますが、その点、いかがでしょうか。

 

○地域医療機能推進機構理事(内野)

 恐らく、もう少しできるくらいの余裕はまだ持っていると思っています。それから、なぜこういうことが急に、2倍くらいの数字が出るかといいますと、私は社会保険病院におりましたが、従来から我々は非常に内向きの状態でやってきたわけです。ですから、平成25年度くらいですとやはり、地域を見るとか、そのようなところに余り考えが至らなかったというところがあります。ですから、JCHOになってからこういうことを積極的にやり始めたということなので、まだ伸び代はあるのではないかと考えております。

 

○福井主査

 ほかにはいかがでしょうか。

 

○柿崎構成員

 災害医療をうまくいかれたということですが、これは説明しにくいかもしれないのですが、災害時の、例えば、熊本県内では3病院の連携がありますよね。そういうものは何か、マニュアルといいますか、その対応の指針などがあってこのようになされているのか、あるいは、今後起きることにどういう対応で臨まれているのかというのをちょっとお聞きしたいと。

 

○地域医療機能推進機構理事(宇口)

 透析患者の受入とは具体的に言いますと熊本総合病院は、実は熊本県八代市役所の前にあります。八代市役所は被災して使えなくなってプレハブを建てて対応しましたが、熊本総合病院は機能不全となるほど被災していませんでした。震災の当日の夜から市民病院など熊本市内の病院がもう駄目になってしまったものですから、人工透析の患者さんが、即、困ってしまうわけです。人工透析の患者さんをその夜から救急車で八代まで運んでJCHO熊本病院で透析を実施しました。それを具体的に書いております。それから、入院患者の受入れもやったというのを具体的に書かせていただいています。

 また、柿崎構成員のマニュアル的な今後の話というのは、JCHOでも災害対応マニュアルを作っています。実は、熊本市内にJCHO病院が3つあるわけではなくて熊本県内に天草中央総合病院、熊本総合病院、人吉医療センターの3つ病院がありますが、各々、その地域で災害が発生した場合どういう役目を果たすかというのはもう出来ております。具体例としては、被害を受けなかった八代で熊本市内の患者の受入困難なものを全部引き受けました。全部というのは語弊がありますが、透析はできる限りやらせていただいたということです。

 

○福井主査

 ほかにはいかがでしょうか。

 

○坂井構成員

10ページの救急医療です。とても、本当に受入れを大きくされていて地域医療に貢献なさっていると思っておりますが、これの、このように伸びていったというのは、多分、院長先生以下、トップダウンでのいろいろな御指導が院内にあったと思います。まず、そういったところの何か、工夫された点とか、それから、先ほど来、病院機能のいろいろな取組を進めていらっしゃる中でレベル的にどの程度のところと、内科系、外科系の中での取組をちょっと教えていただけますか。

 

○地域医療機能推進機構理事長

 坂井構成員と柿崎構成員の熊本の話、指針があったのかどうかということで、今、指針のほうは、2つのことがちょっと重なっているので私から回答させていただきます。

 実は今、私どもの病院の現場、職員において、救急医療、へき地医療、災害医療についてはJCHOミッションの一丁目一番地だという意識がこの3年で随分定着しました。したがって今回の、もちろんマニュアルもあるのですが、それよりも私の実感は、遭ったときに、国から言われる、都道府県から言われる、自治体から言われるというよりもう、これは当然、JCHOの主たるミッションなのだという意識が非常に強かったと思います。したがって、本部はもちろん、いろいろ情報公開をしましたが、我々が、何をしてくれという本部からの指令の前にもう現場の、今言ったような病院の人たちはもう我々の前にそういう意識になっていた。それは、恐らく救急医療のほうも同じです。救急医療、災害医療、へき地医療、これは我々の一丁目一番地だという意識が3年目でもう定着してきていると思います。

 

○地域医療機能推進機構理事(中野)

 救急の受入体制の状況です。基本的に本部といたしましては、救急の患者さんはまずは受ける、断わらないことということは、理事長以下、口を酸っぱく申し上げているところです。あと、現場の病院といたしましては、地元の救急隊の方々との意見交換を含め、医師会も含め、地元との密接な連携を深めていくということを、院長以下、地道にやっているということの結果です。

 

○大西構成員

 大変素晴らしい活動をされていると思います。その中で12ページの、「へき地を含む医師不足地域への医療支援」という参考資料がありますが、これを拝見いたしますと、恐らくは、非常に集中的に長期間にわたって派遣されているかなと思ったのです。例えばマル26に伊万里松浦病院というのがありますが、1か所に対して1,987人日ということですから、1つの場所に、1年間が365日ですから、少なくとも45人の先生方がずっとそこに常駐している、又は人吉医療センターも1,721日ですが、この6,400日の中の半分近くがこの2か所で賄われているというのは、そこに集中的に派遣されていたということなのでしょうか。

 

○地域医療機能推進機構理事(宇口)

 ありがとうございます。26番の例で具体的に回答させていただきます。この伊万里松浦病院はもともと、佐賀県と長崎県の境に位置し、経営状況もずっと赤字で、そのこと自体が困難な病院ではあります。さらに隣の長崎県松浦市の市民病院が数年前にクローズしてしまって、現在、松浦市の指定管理で、内科の外来、人工透析をやらせていただいています。伊万里松浦病院が指定管理という形態で行っております。内科の外来には内科のドクターが1名常駐しています。それに人工透析もございますので、人工透析についてはJCHO伊万里松浦病院の前院長であります夏秋先生や複数の先生が、非常勤という身分になってでも、今、お手伝いいただいています。この他にナースも派遣していますので、ドクターだけで1,987というよりもコメディカルも含めた医療職で、全体で1年間通して指定管理でやっていますからこれぐらいの数字になってまいります。

 

○柿崎構成員

1点。さっき私はマニュアルと言ったのですが、別にマニュアルを整備しろという意味は全く、むしろ逆で、途中で指針と言い換えたのですが。要は、行政があって、そこから何か言われる前に自分たちの問題だというような認識を持っているということ、というような意味での指針と言ったのです。マニュアルを作れとは全く言っていません。つまり、自分の判断でやったというところが素晴らしいと思った次第です。

 

○福井主査

 ほかにはよろしいですか。

 

○大西構成員

 今のお話を伺った上で更にお尋ねしたいと思ったのですが、今のような伊万里松浦のようなケースです。実際、隣の町が医師不足若しくは医療機能不足が常態化している、そういった中にあって伊万里松浦病院自身も赤字になっておられる。これは、今後の展開としては、どういうことが考えられるのでしょうか。

 

○地域医療機能推進機構理事(宇口)

 伊万里松浦病院については、現地ではもう2年前から、このままの状態ではつぶれてしまうと。このため、理事長も私も何回も現地に入って記者会見までして、実は現場では対応してきているのです。本当にこのインフラをどう使うかというのを、そういう医療過疎的な地域も含めて、関係者の方と、今議論していまして、具体的な結論はもう少しお時間を頂かないといけません。今、なかなか微妙なところなので、そういった意味でお答えはできません。他の所も指定管理で診療所をやってくれとかいうのが多々あるので、そういうものも含めてこういう実数になっているというところです。

 

○大西構成員

 ありがとうございます。

 

○福井主査

 よろしいですか。では、最後に確認です、11ページの目標と実績との比較です。

 医療者が大変少ない中で努力されているのは重々承知しておりますが、この2行の中に「数値目標を大幅に上回り」という記述がありますが、これはあらかじめ設定した定量的な指標の数値が120%を上回っているものがあれば、記載することでアピールする力はもっと強くなると思いますが、「大幅に上回り」だけではなくて、数値を実際に出すことは難しいのでしょうか。

 

○地域医療機能推進機構上席審議役

 冒頭で申し上げたように、元々、全ての目標に定量的な指標を設定しているわけではありません。また、ある項目について120%以上になったから直ちにA評定ということには、多分ならないと思うのです。いずれにしても、数値化できるものについては、極力、数値化するということです。

 ここでは、救急患者の受入件数が数値目標として設定されているわけです。それについては、おっしゃるとおり120%に達していないのですが、数値目標を設定してはいないへき地等への医師等の派遣が大幅に増えているということが定量的には実績としてございます。加えて、いわゆる定性的な要素として医師確保が困難な中でこういう、医師派遣等を進めたとか、震災の際に自ら被災しながらその受入れを直ちにやったというようなことを総合的に勘案しまして、私どものほうとしてはA評定にさせていただいたということです。

 

○福井主査

 分かりました。よろしいですか。それでは、評価項目1-3に移りたいと思います。御説明をお願いします。

 

○地域医療機能推進機構上席審議役

3つ目の項目は高齢社会に対応した地域包括ケアの実施です。自己評価は、これもAにしてございます。年度計画の内容は、13ページを御覧ください。内容としては、2行目ですが、「複合的なサービスが一体的に提供される拠点として地域包括ケアの推進に努める」、そしてその次の行ですが、「在宅復帰支援及び在宅サービスの強化、認知症対策、看取りへの対応、介護予防など国及び市町村の介護政策を踏まえた役割を果たすように努める」ということです。

 具体的には4つあります。(1)地域包括支援センターの運営を積極的に行う。(2)老健施設については、2行目ですが、在宅復帰・在宅療養支援機能を強化する。

 そして、一番下の行ですが、看取りにも対応するということです。そして、(3)訪問看護・在宅医療につきましては、訪問看護ステーションの開設や機能強化などにより、訪問看護体制を強化するということです。そして、(4)認知症対策として、認知症を早期に診断し対応する体制を整備する。このような計画になってございます。

 実績です。14ページを御覧ください。具体的な取組といたしまして、大きな話として、在宅復帰の支援を進めるということです。まず、病院についてポツが3つございます。在宅復帰の支援として、退院支援加算(1、2、3)、退院前訪問指導料など、それぞれございますが、全ての病院がこういったものを算定できるようになりましたということが1点。それから、1つ飛ばしまして最後のポツですが、その在宅医からの要請で24時間の入院の受入れを行う在宅療養後方支援病院というものが、前年度から4病院増えまして8病院が12病院になったということです。

 続きまして、15ページですが、老健施設です。こういった病院の在宅復帰の支援を行いながら、ここも在宅復帰支援を強化するということでポツを3つ書いてございます。まず老健施設です。私ども、26の病院が運営しておりますが、26の施設の在宅復帰率の平均が、前年度から5.5ポイント増えております。それから介護報酬上の算定が、在宅復帰強化型老健施設及び在宅復帰・在宅療養支援機能加算算定施設数が、前年度から4病院増えた24病院になっております。それから、看取りが評価されるターミナルケア加算というのがございますが、その算定件数が前年度から523件増えまして、3,497件が4,020件になっております。

 次に、訪問看護・在宅療養です。訪問看護ステーションの強化ですが、訪問看護ステーションが前年度の20病院から4病院増えて24病院になっております。そして、括弧の中にありますが、更にその機能を強化した訪問看護ステーションの届出を4つの施設がしております。それから、看取りが評価されるターミナルケアに係る加算というのがございますが、この算定が185件ということで、前年度の151件から増えております。さらに、一番下の地域包括支援センターですが、認知症家族交流会や認知症カフェなどの開催数が、参考にございますように、前年度の337回から439回に増えております。

 続きまして、16ページを御覧ください。認知症対策です。早期の診断と適切な指導を行う体制として、緑の枠に囲ってございます、認知症サポート医とか、物忘れ外来の設置などこのような取組がございます。これを平成27年度、平成28年度と比較いたしまして、このように大幅に増加しているところです。

 以上のまとめです。目標と実績との比較につきましては、前年度比で実績を大幅に向上させているということです。それから、考慮すべき要素ですが国の施策を推進するということで、在宅復帰などの支援や認知症対策等の課題に率先して取り組んで地域包括ケアを強力に推進したところです。以上です。

 

○福井主査

 ありがとうございます。それでは構成員の皆様からの御意見、御質問等をお願いします。よろしいですか、坂井構成員。

 

○坂井構成員

 教えていただきたいと思います。15ページです。その前からもあるのですが老健の関係です。26施設の在宅復帰率の平均が46.9%ですが、この26施設のうちの強化型が何施設あるのかなということです、在宅復帰に関する強化型。

 それと、併せまして看取りの評価に関係しまして、加算算定等々も多くなっているのですが。この看取りと在宅復帰率との関係について少しお尋ねしたいと思います、看取りが増えていくと在宅復帰という先ほどの強化型との関連が出てくると思っておりますし。

 それともう1つ、例えばそのためには、老健の職員の中に介護職員は結構いると思うのですが、介護職員等に対するいろいろな看取りへの体制強化というようなことがあると思うのですが、どうしても、看護職とか、医療職もお一人とか、何人かしかいませんし、例えば喀痰吸引等々の関係について、どの程度職員に取らせているのか、あるいはそのことによって本当に実効率がどういう状況になっているのかというようなことで、看取りがうまくいくのかいかないのかということも含めて、今、現実のところをちょっとお尋ねしたいと思っております。

 それから、病院と老健施設の併設の特色という目標と実績の比較ですが、この併設ということにつきまして。例えば入院の方が、転倒とか、いろいろなことで、骨折等で併設されている病院等々の連携があると思うのですが、そこはそこで、先ほどの病院機能の問題ではないのですが非常に在院日数の関係が出てきますし、そのままでまた老健に戻ってくるというようなものが難しいし、もう1つ言いますと、在宅復帰との関係も出てきます。その辺りのことを少しお尋ねしたいと思います。

 

○地域医療機能推進機構理事(中野)

 まず在宅復帰強化型の施設数ですが、平成28年度の数は5施設です。在宅復帰の在宅療養支援機能加算算定施設数が19施設で、足して24施設ということで数をお示ししてございます。

 

○地域医療機能推進機構医療担当副部長(河嶋)

 失礼します。看取り関係を担当しております医療担当副部長の河嶋と申します。どうぞよろしくお願いいたします。御質問、ありがとうございます。

 まず看取りの件に関しましては、看取りを積極的に受けますと在宅復帰率が低下してしまうという兼ね合いは、当機構の老健施設においても、やはりその兼ね合いは難しいところがございます。ただ、積極的に受けるものの、やはり、御自宅に帰ることが可能性がある方も多々おられますので、その辺りは、看取りが可能な方と御自宅に帰ることができる方を入所判定会議等でよく見て話し合って。でも、基本的には、コンセプトとしては、積極的に受け入れるということで頑張ってございます。

 あと、併設している病院と老健施設との関係につきましては、やはり同じ悩みがございます。これに関しましても、やはりお隣にありますので、入所者、御家族の方の期待はとても高いものがありますので、病院から老健施設へ入所していただく方の適切な方がどれぐらい病院内にいらっしゃるかということと、逆に老健施設で何か医療的な処置等が必要な事態が起こった場合は、病院のほうが積極的に受け入れる体制を取ってございます。ですから、各老健施設の在宅復帰率、それぞれを見ますと少しばらつきがあるのですが、各施設に対して在宅復帰率を上げるように本部が直接、支援しているところはございます。でも、悩みとしては、御指摘のとおりではございます。

 

○福井主査

 ありがとうございます。ほかにはいかがですか。

 

○大西構成員

 全26施設の老健施設でいろいろ御苦労されながら運営されているというお話ですが、病院のほうは各施設ごとの、業績といいますか、実績を頂いているのですが、この介護施設の収支というのは、平成28年度収支計画というものは、こちらに資料として頂いています資料1-2の別紙1というものですね、がございますが、これで26の老健施設のほうの財政的な状況はいかがなものでしょうか。

 

○地域医療機能推進機構理事(内野)

 申し訳ありません、資料に入ってはおらないのですが。当然ですが、老健は老健だけで、数字は出しております。現在、8施設以外は全部、黒字で運営しております。

 

○福井主査

 それでは次に移りたいと思います。評価項目1-4、調査研究事業についての説明をお願いいたします。

 

○地域医療機能推進機構上席審議役

17ページを御覧ください。この項目は、自己評価はBとしております。年度計画の内容は、1つが公衆衛生学・社会学的なアプローチを含めた調査研究を行い、地域の実情に応じた医療の提供に活用する。もう1つが臨床研究及び治験を推進するということです。

 これらについての実績ですが、1項目目は私どもは全国的にがん検診を多数実施しておりますので、その特色を活かして、子宮頸がん検診におけるHPV検査の有用性に関する研究を始めることとしました。平成28年度は、その準備を進め、平成29年度早期から開始しているところです。(2)の、臨床研究及び治験の推進では、臨床研究の実施、治験等の実施件数は前年度から増えているところです。また、久留米総合病院が大学と民間業者との共同研究で特許申請をしております。以上のとおり、概ね計画どおりに実施しました。以上です。

 

○福井主査

 それでは、構成員の皆様からの御意見、御質問をお願いします。

 

○柿崎構成員

 調査研究の事業の中に、認知症の対応、具体的に言いますと、改善した例などのデータの蓄積はあるのでしょうか。認知症についての調査研究といいますか、データの集積と分析は、認知症の改善で実際に患者と接していて、非常に素人っぽい週刊誌っぽい質問なのですが。

 

○地域医療機能推進機構理事(中野)

 御指摘ありがとうございました。御指摘のような研究内容は、これからの世界で大変重要だと思いますし、私ども地域医療を担当するJCHOとしても、大きな研究課題だと思っております。ただし、まだそこまで手をつけていない状況で、これから計画を立てるのがいいのかなと思います。ありがとうございました。

 

○福井主査

 ほかにはいかがでしょうか。JCHOの全病院を巻き込んだ調査研究というのは、このHPV検査以外にもあるのでしょうか。幾つぐらいあるのでしょうか。

 

○地域医療機能推進機構理事(中野)

 今のところは、このHPVが共同研究ということで、手を付けたところです。これから、徐々に増やしていこうと考えております。

 

○福井主査

 研究をどういうテーマについて、どうやって進めようということなどについての話し合いは、どのようなストラクチャーで行われているのでしょうか。

 

○地域医療機能推進機構理事(中野)

 これから具体的に詰めるところですが、各病院の代表者に集まっていただいて、テーマを決定するような会議を設置して、そこで評価委員会を作り、事前、事後評価をしていくというような流れをつくりたいと思っております。

 

○福井主査

 ほかにはいかがでしょうか。

 

○地域医療機能推進機構理事長

 福井先生のご質問に対して追加のコメントですが、調査研究は今、中野が申したとおりです。追加としては、実は先生方御承知のように、JCHO3年目で、最初の12年は調査研究というよりも、財政の基盤、それから先ほどから議論がありますように地域医療に、正直申し上げてほとんどのエネルギーを費やしてきたことがあり、調査研究事業はやらなければいけないことは分かっていても、なかなか限りあるマンパワーでできないので、今、子宮頸がんのようなことを始めて、更に今、柿崎委員からありましたように、認知症は我々にとってテーマも相応しいですし、やろうと思ったらやれるプラットフォームがあるので、今の御意見を伺って、少しずつ新しい研究のテーマを追加していこうと思っております。

 

○亀岡構成員

 これを読むと、随分プラスの面が書かれているのですが、資料1-27374ページを見ますと、実際の論文数はどちらも昨年と比べたら随分減少していると。何か、プラスのところだけを評価で書かれているのですが、これだけ増えているにもかかわらず論文数が減っているというのは、どのように理解をすればよろしいのでしょうか。

 

○地域医療機能推進機構理事長

 確かに、おっしゃるように、実は今、調査研究は大きな文脈から考えますと、独立行政法人には研究のようなものを主たる取り組むべき、ナショナルセンターのような独立行政法人もあります。それに比較すると、我々の病院はもちろん研究調査もやるのですが、主たる目的は地域のニーズにいかに応えるかということで、恐らく職員のメンタリティー、調査研究は医者ですので当然学会に発表したりということもやるのですが、唯一最大のプライオリティーは何かといえば、地域のニーズにしっかり応えた医療、介護、リハビリ、検診をやることに、恐らくほとんどのエネルギーがいっていると思います。そういう中で、調査研究ももちろん余裕があればということで、ミッション自体の中でこれが他の法人に先駆けて、例えば先ほどの地域包括ケアなどは、やはり我々が率先してやらなければいけないという意識があります。調査・研究についてはそのような全体の背景があるということは御理解していただければと思います。

 

○亀岡構成員

 特に批判的な意味ではないのですが、こういうことに関して他との相対的な地域医療を頑張っているとか、包括ケアをされている、それはそれでいいと思うのです。今重要なのは、ここのことについてどうなのですかということなので。

 

○地域医療機能推進機構理事(宇口)

 先生も御承知のように、大学病院は基礎研究、国立病院は臨床研究で運営費交付金も入っております。それから研究法人になりますが、ナショナルセンター、柿崎先生のおっしゃるところの認知症でいきますと、長寿医療研究センターや精神・神経研究センターの辺りは、日常やっていて当たり前の多大な国費がもう予算化されているという意味で申し上げています。

 理事長が申しましたが、私から言うと、3年前は研究などを命じられている部隊ではなく、普通の地域の医療だけをやっていればいいと思っていた人たちに、3年目になって、ようやく先ほどの救急などの話も含めて浸透してき出したということで、キットの話も実は財源が別にどこからか降ってきたわけではなくて、JCHOが潤沢に運営できているので捻出できているという話ですから、自ずと持ち出しという前提で研究ということになれば限度があります。しかし、パブリックとしてやるべきではないのかというのが、理事長のお考えです。

 亀岡先生の論文のところについては、正直、医療の担当から怒られるかも分かりませんが、私の感覚ではそこまで本部からやいのやいのと言った覚えは私自身はないので、これは自然体の数字になってしまっているので、デコボコが出ているというのは謙虚にそのとおりであるというのは受け止めて、また折りを見てどんどんそこもやっていかないといけないなとは思います。ただ、3年目でキットを買うところまではきましたという御報告です。

 

○福井主査

 よろしいでしょうか。それでは、次に移ります。評価項目1-5、教育研修事業についての説明をお願いします。

 

○地域医療機能推進機構上席審議役

18ページを御覧ください。教育研修事業です。(1)(1)質の高い医師の育成です。3行目、これは、特に他職種と連携して多様なサービスを包括的に行う総合的な診療能力を有する医師の育成が、大きな目標になっております。それから、(2)質の高い看護師の育成ですが、特に地域包括ケアに関する専門分野における質の高い看護師を育成することが目標になっております。(2)(3)で、地域の医療・介護職や地域住民の方に対する教育活動等を進めるというのが、年度計画の目標です。

 実績は、19ページです。総合的な診療能力を有する医師、総合医の育成については、ポツにありますように、時代の求めに応じ、他の団体に先駆けて、初期及び後期臨床研修を修了した医師を対象として、全ての病院で独自のJCHO版病院総合医育成プログラムを構築しております。そして、57全ての病院で研修プログラムを作成し、全ての病院を研修施設として認定し、今年度からは実際に具体的な研修をスタートしているところです。2つ目のポツです。また、初期及び後期臨床研修についても、総合診療医のプログラム策定病院が増加しており、緑の枠にありますように、病院の数が増えております。一番下は、総合医とは別に、地域で不足する専門医のプログラムの策定についても、策定病院数が前年度の10病院が15病院に増えているところです。

 続いて、20ページの質の高い看護師の育成です。看護師については、特定行為に係る看護師の研修ということで、(1)公的病院グループとして初めて、厚生労働大臣に指定研修機関として指定を受けました。そして、(2)3行目、57全ての病院において、年間130名の研修を可能とする体制を整備しております。今年度早々から研修を開始しています。次に、認定看護管理者教育課程です。この教育課程も、独立行政法人として唯一の教育機関となっているのが私どもですが、平成28年度はファーストレベルを追加して、全てのレベルを実施することにしました。(2)(3)の地域の医療・介護職や住民に対する教育活動は、2行目、このような教育活動を57全ての病院で実施しており、実施回数は前年度から158回増えた2,291回となっております。

 以上、まとめの目標と実績との比較ですが、地域医療や地域包括ケアの要となる人材として、総合的な診療能力を有する医師や、質の高い看護師の育成に率先して取り組んだほか、概ね計画どおりに実施いたしました。そして、考慮すべき要素ですが、独自の総合医育成プログラムの構築、また特定行為に係る看護師の研修機関としての指定は、時代の求めに応じたもので、他団体に先駆けたものです。以上です。

 

○福井主査

 それでは、構成員の皆様からの質問、意見をどうぞ。

 

○押淵構成員

 当初の計画から少し外れたことを申し上げて大変失礼とは思いますが、57JCHOの関連の病院の中で、医学教育のレベルから介入している病院は、どれぐらいありますか。もう1つは、これから先、新しくできていく総合診療専門医の育成に関して、事前に資料を頂きましたが、まずJCHOが基本的な専攻医を3年間で育成した後のサブスペシャリティーの領域として、ホスピタリストを育成するという考え方に立った育成の在り方は、非常に現在の専門医機構が目指す方向性と一致していると思いますので、是非これは進めていっていただきたいと思います。そういう意味では、20幾つかのプログラムがあることはすばらしいことだと思いますので、まず3年間の基礎的なところでやろうとしているプログラムが、どれぐらい考えられるのかも教えていただければと思っています。

 

○地域医療機能推進機構理事(中野)

 申し訳ございません。医学教育ですか。

 

○押淵構成員

 臨床教育で、医育機関の学生を受け入れている所がどれぐらいあるかです。

 

○福井主査

 医学生を受け入れているのか、研修医を受け入れているのか、どちらですか。

 

○地域医療機能推進機構理事(中野)

 いわゆるポリクリのレベルということですね。データは持ってきていないのですが、ただ大学との連携という意味では、滋賀大や自治医大と連携がありますが、今はデータはありません。

 

○地域医療機能推進機構理事長

 今、中野が申し上げたように、実は我々の病院は全国に散らばっています。ほとんどの病院は、地元の医科大学と強い結び付きがあります。今、滋賀という話が出ましたが、例えばJCHOの滋賀病院は滋賀大学と非常に結びつきが強いです。私もつい1年前に向こうに行って、学長さんと協定をして、正に先生がおっしゃった医学部の学生の卒後の教育にもグループで回っています。あとは、栃木にあるJCHOうつのみや病院も地元にある自治医科大学と提携して、卒前の学生が適宜ローテーションして回って、もちろん卒後の人も来ますが、少しずつ始まっていますので、そういうことがだんだん拡大していけばいいと思っております。

 

○福井主査

 ほかにはいかがでしょうか。

 

○亀岡構成員

 いつも変わった角度からの質問ですが、20ページの参考枠はこのとおりかなと思っています。教育において非常に増加をしたと言われているのですが、多分1-281ページだと思うのですが、地域包括ケアは確かに624人で随分増えています。一方、認定看護師の資格認定制度における研修者受入れが、平成2627年度は50名ぐらいだったのが、20名弱まで落ちています。もう1つの123名というのは、82ページの本部研修の受講者数が56から123名に増えたと。その上の新任管理者向け研修が逆に80人ほど減っているということで、これを含めた総合評価で結構なのですが、いかがなものでしょうか。

 

○地域医療機能推進機構医療担当副部長(河嶋)

 まず、認定看護師が減った理由でしょうか。

 

○亀岡構成員

 すみません、私の前提が間違えていると大変申し訳ないのですが、増えていくことがいいことだというような評価を、この書きぶりから読んだものですから。

 

○地域医療機能推進機構医療担当副部長(河嶋)

 認定看護師と専門看護師の機構内における総数に関しては、増加をしております。81ページの下から2つ目の資格認定制度に係る有資格者数という表がありますが、これが機構内における全ての専門看護師、認定看護師の資格を持ったナースの総数です。表現が複雑で申し訳ありません。その上の表に関しては、平成28年度内に研修を受講して資格を取った者の人数で、これは確かに減少しているのですが、機構内にスペシャリストの資格を持ったナースがある程度充足してきたと私どもは評価をしております。1年間の単年度での資格を受講しに行った者の人数の表現と、総数の表が2つ並んでいるので分かりづらかったかもしれません。申し訳ございません。

 もう1つは、新任看護管理者系の研修の受講者が減っているということですが、これも機構、JCHOに移行した段階では、新任の副看護師長、看護師長、それから副看護部長かなりの人数を昇任させたのですが、これは新任を対象としている研修ですので、少し安定をしてきており、単年度では少し人数が減少しましたので、機構内全体での看護管理者の人数が減っているということではありません。そのような回答でよろしいでしょうか。

 

○亀岡構成員

 はい。

 

○福井主査

 ほかにはいかがでしょうか。最後に、JCHO版の病院総合医のプログラムを作られたと書かれているのですが、実際にこのプログラムに入っている医師の人数は、何人でしょうか。

 

○地域医療機能推進機構理事(中野)

 これは、当然増えれば増えるほどいい話ですが、プログラムを作ったのは平成28年度で、平成29年度から研修を開始したことは、先ほど説明したとおりです。29年度に2名の方がこの研修プログラムに則って研修を受けております。

 

○福井主査

57病院全部合わせて、2名ですか。

 

○地域医療機能推進機構理事(中野)

 はい、そうです。

 

○福井主査

 目標値は、何名ぐらいの養成を想定しているのですか。

 

○地域医療機能推進機構理事長

 福井先生には釈迦に説法ですが、これは、日本専門医機構の19番目の専門領域がまだ始まる前にJCHOで取組みを始めたというもので、我が国の医療界で19番目の専門領域があれば、もっとこの領域に興味が持たれると思います。実はこれを構築するときにいろいろな若い医師とも話して、こういうことがあれば後期研修の19番目の専門領域が終わってから希望する人も多いので、私の希望としては来年、再来年から、今年は最初の年ですから2名の優秀な人が来てくれましたが、その人たちがいい経験を積んで、若い人たちはインターネットを使っていろいろな情報を共有しますので、速いスピードで増えていただければいいと思っています。

 

○福井主査

 ありがとうございます。それでは、次に評価項目1-6、その他の事項に入ります。説明をお願いします。

 

○地域医療機能推進機構上席審議役

21ページを御覧ください。その他の事項は、自己評定をBとしております。内容は、年度計画の(1)から(4)までに記載の内容について取り組むというものです。実績は、22ページに書かせていただいております。(1)は、57全ての病院で統一した患者満足度調査をやっておりますが、その結果としては外来の待ち時間以外の全項目で満足度が向上しております。また、平成28年度は老健施設についても利用者満足度調査の実施を開始したところです。

(2)は、医療安全管理指針などの作成や、医療安全点検ツールの作成といった整備を進めてきました。(3)(4)においても、ここに記載させていただいたような取組をしており、目標と実績との比較は、概ね計画どおりに実施したと考えております。以上です。

 

○福井主査

 ありがとうございます。構成員の皆様からの御意見、御質問等をお願いします。

 

○坂井構成員

 この患者満足度調査なのですが、これは第三者委員会での取組なのでしょうか。

 

○地域医療機能推進機構理事(中野)

 これは、本部で集計しているものですので、特に第三者的なものではありません。

 

○福井主査

 医療事故調査制度で届出したケースは、何件ぐらいありますか。把握はされていますか。

 

○地域医療機能推進機構理事(中野)

 平成28年度の報告が4件です。それから、制度発足後は10件です。

 

○福井主査

 ほかにはいかがでしょうか。

 

○大西構成員

 今の患者満足度調査の、外来の待ち時間以外で全ての項目で上昇したということですが、このデータはどこかに示されていますか。

 

○地域医療機能推進機構理事(中野)

 これは、JCHOのホームページに公表しておりますので、御覧ください。

 

○大西構成員

 ここにはないのですね。

 

○地域医療機能推進機構企画経営部長

 データ自体は、資料1-29293ページに表として掲載しております。

 

○大西構成員

 ありがとうございます。

 

○福井主査

 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、2-1の効率的な業務運営体制についてに移ります。説明をお願いします。

 

○地域医療機能推進機構上席審議役

 ここからの項目は、特に簡潔に説明いたします。23ページを御覧ください。効率的な業務運営体制ですが、(1)から(7)までの項目について取組を進めることが目標になっております。実績は、24ページを御覧ください。(1)本部・地区組織・各病院の役割分担は、平成28年度は内部統制の体制を強化しました。効率的な組織運営は、医薬品や大型医療機器の共同入札等の支援業務を実施しました。(2)病院組織の効率的・弾力的な組織の構築は、管理部門のスリム化を引き続き実施しております。前年度は173人スリム化をしたのですが、平成28年度は更に多い187人のスリム化をしました。(3)職員配置は、多様な雇用形態で採用をして、病院間における職員派遣を実施しました。(4)業績等の評価は、「職員業績評価制度」の運用を進めました。

25ページは、(5)内部統制、会計処理に関する事項です。最も優先度の高い個人情報等漏洩リスクへの対応として、個人情報の複製・持出を重要管理点として対策を進めました。それから、会計マニュアルの更新や、研修会を実施しました。(6)コンプライアンス、(7)広報に関する事項は、概ね計画どおりに実施したということで、目標と実績との比較に書いてありますが、計画どおりに実施したと考えております。以上です。

 

○福井主査

 ありがとうございます。構成員の皆様から、御意見、御質問等をお願いします。

 

○亀岡構成員

 質問です。1-2111ページに、コンプライアンスと監査について書かれていますが、コンプライアンス、監査はリンクもしますし、重要なことだと思います。(6)のコンプライアンスと監査の所で、本部の研修会で、「コンプライアンスに基づいた会計処理」について周知徹底と書いてあるのですが、コンプライアンスに基づいた会計処理というのはどのようなものをイメージすればいいのか、何でもいいのですが、こういうことを言っているのだというような。コンプライアンスというのは私なりに分かりますし、監査も分かるのですが、コンプライアンスに基づいた会計処理について周知、徹底したというのは。

 

○地域医療機能推進機構企画経営部長

 正にルールどおりにやるという意味で、会計規程でこう書いてあれば、そう書いてあるとおりに処理するという意味です。そういう意味でのコンプライアンスを遵守した処理をするということになります。

 

○亀岡構成員

 分かります。コンプライアンスというのかどうかはあれですが、どちらかというとガバナンスに近いような、法人内での規程のような。コンプライアンスは、どちらかというと法規というか、法律というか、むしろそういうものをコンプライアンスと普通は言うのではないかと私は思っていましたので。

 

○地域医療機能推進機構理事(宇口)

 一言付け加えさせていただきます。3年前にも申し上げたとおり、世の中にJCHOしかないのですが、天上がりですから、元々は民間としてきていましたので、契約ベースとか、規程もへったくれも、見積り合わせとかもない病院もあった所を、今、入札しろ、とかとやっていますので、そういう意味で少しそこは先生の言葉使いや認識とギャップがあります。しかし、適切に書かないと、我々も、現場に何を言っているのかということになりますので、大変申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。

 

○亀岡構成員

 分かりました。

 

○福井主査

 ほかにはいかがでしょうか。それでは、次に2-2、業務運営体制のIT化に関する事項の説明をお願いします。

 

○地域医療機能推進機構上席審議役

 それでは、26ページを御覧ください。IT化に関する事項、この項目は難易度が高く設定されたもので、これは自己評価をBとしているところです。年度計画の内容は、3行目に書いておりますが、JCHOクラウド・プロジェクト最適化計画を適宜見直し、着実に進めるというものです。そして「また」の部分です。情報セキュリティ対策強化を図るということが年度計画の目標になっております。

 実績としては、その下、まず、最適化計画についてです。最適化計画の第一フェーズにおけるクラウド型電子カルテの導入については、予定どおり稼働を開始した先行6病院の共通電子カルテシステムの画面の操作性などの効率化を実施したところです。しかしながら、この共通電子カルテを医薬品管理等の一部の部門システムと連携させて導入することについては、非常に多大な労力を費やすことが分かり、非効率的であるということを踏まえ、第一フェーズの計画を見直すこととしたところです。

 具体的には、当初の計画では後でやることになっていたのですが、部門システムの統一を前倒しし、また当初の計画にないフォーマットを共通化した統一電子カルテの開発と、全病院への導入に向けた検討を進めることにしたところです。それに伴い、予定していた先行6病院と同じ電子カルテの後続4病院への導入を中止したところです。また、部門システム関連ということで、各病院からの要請の高い画像データの遠隔集中保管について、当初の計画を前倒しして、実証テストを予定どおり実施したところです。

 また、情報セキュリティ対策につきましては、診療情報などの機微な個人情報について、閉鎖環境下での保管、個人情報の複製等の厳格な管理を徹底したところです。

 目標と実績との比較です。最適化計画の目標としては、複数病院共通システム、医療・健康情報活用のための基盤づくり、そして災害対策を大きな目標として掲げているのですが、これらを達成するために、第一フェーズの計画を見直すこととし、部門システムの統一、統一電子カルテの開発と全病院への導入に向けた検討を進めて、画像データの遠隔集中保管を前倒ししたところです。これは中期目標・計画、最適化計画の目標に対応したものであると考えております。そして情報セキュリティ対策については、概ね計画どおりに実施したということです。以上です。

 

○福井主査

 それでは、構成員の皆様から御質問、御意見等ありましたらお願いします。よろしいですか。最初のところでは計画どおりに進まなかった部分があるのだけれども、最後はおおむね計画どおりにということですか。

 

○地域医療機能推進機構上席審議役

 計画どおりに進まなかったというよりは、計画の見直しをしたということです。要するに、当初の計画ではクラウド型の電子カルテの導入を先行させて、そして部門のシステムは後回しというような、単純に言えばそういう計画になっていたのですけれども、そういうことにいたしますと、医薬品管理等の一部の部門システムと電子カルテを連動させるときに、非常に多大な労力を要するということで、むしろ部門のシステムのほうを前倒しする必要があるのではないかということで、部門システムの統一を前倒しすることにしたということです。

 そして併せて私ども、医療・健康情報活用のための基盤づくりということを大きな目標にしておりますので、電子カルテについてもここにありますように、フォーマットを共通化した統一電子カルテというものを開発して、それを全ての病院に導入していこうという形で、その計画の見直しをしたということです。

 

○地域医療機能推進機構理事(内野)

 私、実は現場の病院長として、その第一期の先行病院の中の1病院として導入をいたしました。その経験というか、それを踏まえて申し上げますけれども、先生は御存じだと思いますが、ベンダーを変えるときに、前の会社が非常に抵抗することは御経験なさっているだろうと思います。今回も非協力的というよりも、どちらかというと妨害に近いようなことが非常に多く見られました。あるいはデータの移行に関しても、非常に法外な億という単位の金額を請求されるようなことがありました。これは6病院全てが同じような経過でした。

 その中で私ども、決してクラウドに関して旗を降ろすつもりは全くありません。ですからこれに関しては、必ずやることを決定しているわけですが、であれば、今度は逆に我々がJCHOオリジナルというようなものを作ってしまったほうが逆に早いのではないか。それから部門システムに関しても統一したものを入れていったほうが、接続もなかなか付けないというようなことを現場で経験をしてきましたので、最初からそれも自分たちのものを使っていったほうがいいのではないかということを考えました。

 

○福井主査

 統一電子カルテが全57病院で使えるようになるのは、いつ頃の予定なのですか。

 

○地域医療機能推進機構理事(内野)

 私は、最終的には10年計画だろうと思っています。現在、従来型を入れて無事に動いている所があります。それを入れて、まだ12年しか経過していない所がありますので、仮にできたとしても、12年で償却していないものを新たなものに切り替えて、また資金負担を強要するものと思いますので、恐らく数年から10年の間に全部切り替えられると思っております。

 

○福井主査

 よろしいですか。計画の見直しによって、お金の面で何か特別の損失があったということはないのでしょうか。それは大丈夫ですか。

 

○地域医療機能推進機構理事(内野)

 全く出ておりません。

 

○福井主査

 よろしいですか。それでは、2-3に移りたいと思います。業務運営の見直しや効率化による収支改善について、説明をお願いします。

 

○地域医療機能推進機構上席審議役

 資料の29ページを御覧ください。この項目は自己評価をAとしております。年度計画の内容です。まず(1)2行目、経営管理サイクルを充実させる、そして4行目、本部として病院経営に対する支援を行う、さらに、特に病院幹部職員の経営意識の改革を図るということが1点です。それから(2)収益性の向上の2行目、地域で取組が十分でない分野を積極的に補完する。そして(3)、各種の業務コストの節減等の方策を講じる。これが年度計画になっております。

 実績は30ページです。まず(1)ですが、民間企業と共同で開発した病院経営分析システムを導入し、各病院における経営分析や改善策の特定を容易に行うことができる環境を整備したところです。また、11月には57全ての病院を対象に、収益増加を目指す取組を病院毎に具体的に指示したところです。特に前年度に赤字であった15病院に対しては、本部による経営指導、そして大学との医師確保の調整を重点的に実施したところです。矢印の下、これによって5病院が黒字化し、6病院は経常収支率が改善したところです。

(2)収益性の向上です。これは前の項目で説明しましたが、自治体などからの意見、地域医療構想の議論を踏まえて、地域において必要とされる医療・介護ニーズに対応してきたところです。

 次の31ページ、各種のコストの節減ということで幾つか書いておりますが、例えば4つ目のポツ、大型医療機器の入札につきまして、平成28年度は新たに独自の医療機器の保守契約に係る共同入札を実施したところです。そして次のポツ、随意契約の件数割合が私どもの法人は高かったのですが、下の表にありますように、一番上が地域医療機能推進機構ですが、平成27年度が46.2%だったものが、平成28年度は23.9%ということで、大幅に下がっているところです。調達等合理化計画では40%を目標にしておりましたので、これを大幅に下回ったということです。一番下のポツ、一般管理費が平成28年度の計画額に対して91.4%、大幅に削減できたということです。

 目標と実績との比較です。本部による病院毎の分析に基づくきめ細かな支援と経営指導、そして経営分析や改善策の特定を容易にする経営分析システムの開発・導入などの経営管理手法の確立が大きく進展したところです。また、こうした各種のコスト削減等の対策を講じたことによって引き続き収支改善が図られたところです。

 そして、考慮すべき要素ですが、赤字病院を中心とする個別の経営指導等あらゆる機会を通じて経営意識の改革を進めたところであり、それによって病院幹部職員の経営意識の改革が進んだということです。以上です。

 

○福井主査

 構成員の皆様からの御質問、御意見等お願いします。いかがでしょうか。

 

○亀岡構成員

 大変すばらしいお話を伺いました。ちょっと確認で30ページですけれども、「民間企業と共同して開発した病院経営分析システムを導入して各病院において経営分析や改善策の特定を容易に行うことができる」と書いています。その後にまた、11月には取組を行い、そして結果的に黒字になったのだということと、さらに管理費が削減されたということになっているのですが、それぞれは事実のような感じがするのですけれども、ここでいう最初の病院経営分析システムにおいて、改善策の特定を容易にするということと、今回の改善されたこととは、直接はリンクはしていないと考えてよろしいのでしょうか。

 

○地域医療機能推進機構理事(宇口)

 各病院で院長先生以下、事務方の担当課長や部長などと会議するにしても、時点によっては月次決算等のデータでも古い場合があります。57病院のうち、48病院が、DPCで登録していますし、DPCでない病院も請求自体は電子媒体で請求させていただくというところですから、この「libra」を開発して、DVDに焼き付けた請求データを提携している会社に送ることによって、同規模同種の病院とのベンチマークとか、JCHO内での位置付けがどうかとか、仕入れがどれぐらいのレベルか、利益率や人件費率が縷々出るようになっているということです。

 先生お尋ねの個別というところは、4月から10月の月次決算の状況では、平成28年度診療報酬改定は、これはもう釈迦に説法みたいですけれども、なかなか厳しい改定で、特に400床前後ぐらいの、急性期が専らの病院は大打撃を受けているはずなのです。うちは幸いにして、病院の規模は57のうち400を超える病院もありますけれども、小さい病院が多いということと、8割が急性期ということではなくて、逆に23割急性期、8割慢性期のほうが多いということで、余り直撃ということではないにしても、4月から11月までの累計で、対前年度11億円のアンダーという状況でした。

 個別に病院毎の診療報酬のデータが出ていますから、請求している薬はDPCなのに、こんな新薬でどうするのと、これをゾロに変えることができるよと、病院に個別に本部から指示ができるようになったということです。

11月の会議で、全病院の担当者を本部に呼んで、病院毎に具体策を、後発品の切替えだったら、こういう品目に切り替えたら、これだけ仕入れが安くなるとか、この点数を取れるということで施設基準を取りに行ったら、段階が1個上の上位基準を取れると、具体的に指示をしたという形で、2年目が34億円だったのですが、大体ニアリーイコールの31億円で決算を迎えることができました。

 ですから、残りの4か月で相当増患対策にも力を入れ、経営的にも残りの4か月は対前年度の4か月を上回る数字で当然きていて、取り返したという形であります。個別具体的に反映したというのは、先生、そういう理解で、お答えでよろしいでしょうか。この分析システムを使って得られたインディケーターを使って、個別にゾロの仕入れも品目毎、病院毎に指示したし、上位基準を取れる病院については、あとはここだけ頑張れば上位基準を取れるということも具体的に指示させていただいて、経営改善につなげているということであります。

 

○亀岡構成員

 ありがとうございました。読ませていただいたのは、昨年の4月にシステムの操作説明会が始まったと。11月までの間に全部、数字を入れて、さらに改善の案を出して、改善までしましたよという。できないことではないでしょうけれども、今までずっと苦しんできたことが、急にこれを入れるだけでできたのか、そうではないだろうなと。

 ですから、それとは別のところできちんと、ずっとコンサルタントやアドバイザーなどを入れるなどされた結果が今回の結果であって、今回こういうシステムを入れたのは、もちろん一部は役立つのですが、今後に役立っていく部分なのかなと。最初の御説明だとちょっとリンクしているように。

 

○地域医療機能推進機構理事(宇口)

 ありがとうございます。そのとおりです。

 

○亀岡構成員

 実態をノーと言っているわけではありませんので。

 

○地域医療機能推進機構理事(宇口)

 ありがとうございます。

 

○福井主査

 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。

 

○坂井構成員

 とてもいい取組をされて、いい結果も出しておられると思うのですが、非常に単純なことで申し訳ないです。先ほどの効率的・弾力的な組織の構築で、187名の事務職員を削減された。ここでも適正な人員配置で技能職30何人でしたか、それを削減された。それはアウトソーシング等々の中でということなのですが、例えば事務職などでは、医事関係などに委託されたということにもつながってきているのかなと、これは私の想像ですが。

 ただ、いろいろなことを思うと、お金が入ってくる部門、漏れなどいろいろなことも含めて、あるいは受注などいろいろなこと。それら委託の部分との、そこそこの個々の病院になるのでしょうか、本部になるのでしょうか。そういう所の具体的な、何かこういう考え方を持っているのだ、こういうところがどうなのだという、会議の設定などはされているのでしょうか。

 

○地域医療機能推進機構理事(宇口)

 ありがとうございます。うちも3団体が出生でありますし、全国に散らばっていますので、前のグループが一緒であっても、病院によっては、例えば具体例で言われた医事課の事務職が、直営の職員でやっている病院もあれば、アウトソーシングの病院もあります。先生が言われた具体例でいくと、例えばほとんどのJCHO病院は健診のほうはやっているのですが、そこの受付などの部分もアウトソーシングしている病院が結構多いのです。

 ただ、業者を固定にしてしまって、健診で来られる方の波があっても、例えば、毎年同じ30人だったら30人体制でやっているなどの見直し、医事課が直営でやっている場合は、もうそれでいいのですが、アウトソーシングの場合であれば、2年契約か3年契約か、単年度かはありますけれども、見直しなどは余りやっていなかったので、そこについては本部からアドバイスをしたり、根本的に事務職については、非常に甘いという配置で、JCHOに移行してきましたので、やはり3年かけて、ある程度やるべきことというのを定めた上で、人員整理はせざるを得ない状況であったということで、やらせていただいているというところです。

 具体的に言いますと、労基の規程があるのに常勤職員を解雇など、乱暴なことができるということではありません。雇用形態に常勤と有期雇用ということで、フルタイム毎日働いていただける事務職なのだけれども、1年ごとに契約するという有期雇用の事務職というのを、平成26年移行のときに作りました。

 この有期雇用の方の事務職については、本部、地区事務所が開催する昇任試験というものをやりますから、勉強して頑張って受けてくれたら、常勤の道を作った上で平成29年度をもって、事務職の有期雇用の任用の制度は廃止するという形を取っております。そういった意味では、自分で勉強して頑張って残りたいという意思表示をして、試験を受けて突破するという事務職は残れますけれども、そろそろよその仕事を見つけないといけないということは出てくるのかも分かりません。そういう感じで厳しくやらせていただいているというところです。

 

○福井主査

 ありがとうございます。では、よろしいでしょうか。恐縮ですが3時になりましたので、あと15分ほどで終わりたいと思います。御協力をお願いします。

 それでは、評価項目3-1、財務内容の改善に関する事項について、お願いします。

 

○地域医療機能推進機構上席審議役

32ページを御覧ください。財務内容の改善に関する事項につきましては、難易度が高いということにしており、自己評価もAとしております。年度計画の内容です。(1)経営の改善に書いてありますが、損益計算において、経常収支率100%以上を達成するということです。この目標につきましては、「中期目標期間の各年度の損益計算において、経常収支率100%以上とする」ということになっておりますので、それに対応したものです。

 これに対する実績は次の33ページです。(1)経営の改善の2つ目の○、人事院勧告に準拠せざるを得ない公的医療機関が人件費の増加により経営が厳しくなる中で、人件費をコントロールし、赤枠の中ですが、経常収支率は100.9%となって、3期連続で安定した黒字経営が図られたということです。

 一番下の目標と実績との比較ですが、厳しい医療環境の中で、難易度の高い目標を達成したと、そして考慮すべき要素としては、繰り返しになりますが、人事院勧告に準拠せざるを得ない中で人件費コントロール等の対策を講じたということです。

3435ページを御覧ください。まず34ページ、これは経常収支の状況を、3か年度比較したものです。黒い枠の中ですが、平成27年度の経常収支は34億円でした。それに対して平成28年度は31億円で、ほぼ平成27年度と同額ということです。次の35ページ、これは経常収益の中の経常費用の内訳を3か年度並べたグラフです。下の青の部分は給与費ですけれども、平成27年度は1,781億円に対して、平成28年度は1,799億円ということで、人件費のコントロールをしたにもかかわらず、それでもなお、17.2億円増加しており、こういう中で前年度並みの経常収支の額を確保したということです。以上です。

 

○福井主査

 ありがとうございます。構成員の皆様からの御意見、御質問等お願いします。

 

○亀岡構成員

 大変厳しい環境の中、これだけの経常収支を出されていることに対しては、大変すばらしいなと、まずは感想です。お聞きしたかったのは35ページですが、設備関係費は下がってきていると。もう少し分かりやすく説明させていただくと、先ほどから結構老朽化している施設が多いというときに、ここで今、設備関係費を下げているということは、今は人件費や設備関係の材料費、工賃など、いろいろなものが上がっているときですね。そういうときに設備関係費は下げてきていると。この年度においては下がったかもしれないけれども、今後この「ツケ」というものが増えてくるのか、どうなのか。ここを御確認いただけますでしょうか。

 

○地域医療機能推進機構理事(宇口)

JCHOは平成26年度にスタートいたしまして、独法の会計ルールに従って最初の財務諸表を設定させていただきました。固定資産等々については時価評価が習わしですので、それにより評価させていただいて、登記させていただいています。

 その他の工作物ですけれども、ここについては、2か年で償却するというのがルールになっています。ですから、平成2627年と2か年経過した、その2年で割るという物についての減価償却が一気になくなってしまうということなので、投資を止めたわけではありませんから、そこのボディブローが後から効いてくるというよりも、独法の会計制度上の3年目のその分だけは、下駄を履けるということです。

 

○亀岡構成員

 分かりました。

 

○福井主査

 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは評価項目4-1に移りたいと思います。その他業務運営に関する重要事項の説明をお願いします。

 

○地域医療機能推進機構上席審議役

36ページを御覧ください。その他業務運営に関する重要事項の項目です。内容としては、(1)から(5)までの項目を進めるということで、実績は最後の37ページです。まず職員の人事に関する計画につきましては、最初のポツですが、医師確保対策として、地域医療機構内の病院間医師派遣を継続してやっております。2番目の医療機器・施設整備に関する計画につきましては、大型医療機器の共同入札等を実施したところです。3番目の会計検査院の指摘につきましても、外部監査を実施して、効率的な執行と適正な会計処理の確保を図ったところです。以上のとおり、目標と実績との比較ですが、概ね計画どおりに実施したということです。以上です。

 

○福井主査

 ありがとうございます。御質問、御意見等ありましたらお願いします。看護師の離職防止は何か特別な対策をされているのでしょうか。

 

○地域医療機能推進機構理事(中野)

 資料1-2138ページですが、特に院内保育と時短関係は当然規定に則ってやっているということと、今、申し上げた院内保育等々の施策を講じているところです。

 

○福井主査

 ほかには何かありますか。いかがですか。よろしいですか。

 それでは、法人の監事より、業務の監査結果等を取りまとめた監査報告について御説明いただくとともに、監査等を踏まえた現在の法人の業務運営の状況や今後の課題、改善方針等についてコメントをお願いしたいと思います。

 

○地域医療機能推進機構監事

 それでは監事の牧のほうから、御報告をさせていただきます。まず、お手元の資料1-2、別紙の中に監査報告ということで、タイトル資料1-4と付いているものがあります。監事の監査報告と、監査法人の監査報告がありますが、後ろから2つ目の項目が監事の監査報告となっております。この内容に関しては、時間の関係もありますので、全て読み上げることは省略させていただきます。内容については昨年と同様、すなわち監査報告で、書面をもって御指摘をさせていただくようなことはなかったと御理解いただければと思います。

 業務運営の内容等々に関する意見ですけれども、御承知のとおり、今まで法人のほうから説明がありましたように、5事業や地域包括ケアなどの国の大きな施策であり、JCHOの法人の目的である項目に関しては、様々な施策を通じて着実に実行されていらっしゃると認識しています。

 またそれを実行するための、主に人とお金の部分ですけれども、人の面に関しては、JCHO版の病院総合医の育成の話や、新しく始まりました看護師の特定行為研修、公的病院として初めて研修機関としての指定を受けるといったような形で、着実に体制も整えていらっしゃると評価しております。

 お金の面に関しては、先ほどからお話が出ていますとおり厳しい環境の中、人件費に関しては人事院勧告という、公的病院として、ある程度斟酌しないといけないものがありながらも、それを単純に取り込むのではなくて、各病院の経営状況に応じた給与や賞与の体系を本部指導できちんと作り上げて、コストコントロールされていらっしゃる。コストの面で人件費以外の部分も、国病や労災などの共同購入、あるいは契約のほう、先ほど随契比率が23.9%、下がった話もありましたけれども、目標が40でしたので、35ぐらいにとどめておけば、来年度ももう少し幅があったのにと、ちょっと思わないわけでもないのですけれども、着実に努力をしていらっしゃると受け止めております。

 ただ、課題のほうももちろんありまして、何分、旧3団体から1つの法人になって3年、今4年というところですけれども、細かな事務の指示のマネジメントみたいな本部からの通達が、全病院、全老健の事務の末端まで、あまねく迅速に伝わっていて、現場の人たちがそれを受けて動いているかというと、なかなかそこまで本部の意向は伝わりにくい部分は、正直言ってあろうかと思います。ですので、各病院の職員という帰属意識から、法人の職員であるという大きな帰属意識というものを、より徹底していくというのは1つの大きな課題として、また数年かけて取り組んでいかなければいけないと思っております。以上です。

 

○福井主査

 ありがとうございます。続きまして法人の理事長より、日々のマネジメントを踏まえまして、現在の法人の業務運営の状況や今後の課題、改善方針等についてコメントを頂ければと思います。

 

○地域医療機能推進機構理事長

 本日はJCHOの平成28年度の業務実績につきまして、貴重な御意見、アドバイス等々、ありがとうございました。JCHOは発足して丸3年が経過したわけです。1年目、2年目はいわば助走期間という側面があったと思います。3年目である昨年度は、全力疾走すべき時期に来たという思いで、組織一丸となって職務に当たってまいりました。3年目になりますと、組織全体や各病院の問題点、そしてポテンシャルが明らかになりつつあります。そうした中で着実に成果が上がってきた分野もあります。

3つについて申し上げたいと思います。1点目は医療機能についてです。JCHOの特徴を生かして、地域のニーズに応えるべく、めりはりのある運営ができつつある例としては、先ほどからありましたへき地への医師派遣、熊本震災の対応、JCHO版総合医、あるいは特定行為に係る看護師の育成などがあります。さらに幾つかの病院では、地域のニーズと病院機能との間に深い深刻なミスマッチがありましたが、地元の自治体、医師会等との綿密な協議の結果、従来の運営団体では実現できなかったミスマッチの解消が、今、できつつあります。具体的な例としては、先ほどからの議論があった複数の病院が、地域のニーズにしっかりと応えられる新たな場所への移転の決定などが挙げられると思います。地元自治体などからの信頼は、JCHOの宝であると思っております。

2点目は財政基盤についてです。運営交付金に頼らないJCHOにあっては、その達成が困難であっても、財政的に自立することは不可欠であるという考えの下に、今、組織運営をしてまいりました。その結果、平成28年度の経常収支率100.9%と、3期連続して100%を達成することができて、一応、財政基盤が安定してきていると考えております。

 さて、最後の3点目は、職員の意識についてです。実はJCHOの幾つかの病院ではこれまで、例えば赤字の原因を外部要因に求めて、自ら問題解決に取り組むという意識が希薄だったと思います。このため、そうした病院に対する集中的重点的な指導、支援を行い、この結果、課題に対して正面から取り組む意識が、だんだんと芽生えてきていると思います。もちろん今日、先生方からいろいろ御指摘があったところ、それから先ほど監事の方から指摘があった、まだまだ一体感、帰属感というのは、我々が求めるレベルには来ておりません。様々な解決すべき課題があると思いますが、本日頂いた貴重な御意見や御指摘を心に刻んで、JCHOのこれからの運営に役立てたいと考えております。

 先生方におかれましては、引き続き御支援、御指導をお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。

 

○福井主査

 ありがとうございます。構成員の先生方から、何か理事長に御質問などはありますか。よろしいですか。それでは、地域医療機能推進機構の平成28年度業務実績評価に係る今後の取扱いにつきまして、事務局から説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 本日、法人から説明のありました業務実績及び自己評価に対して、構成員の皆様から頂いた御意見、法人の監事及び理事長のコメント等を踏まえまして、厚生労働大臣による評価結果を取りまとめいたします。本日、委員の先生からも御指摘ありましたが、業務実績評価書の達成目標の指標について、一部説明資料に上がっていないものもありましたけれども、評価書を丁寧に確認させていただいて、本日の御意見も踏まえて取りまとめるようにしたいと思います。その評価結果につきましては、法人に通知するとともに公表いたします。決定した内容につきましては、後日、構成員の皆様にお送りいたします。

 最後に、本日、配布した資料の事務的なお知らせですけれども、郵送を御希望される場合は、事務局より送付いたしますので、机上にそのままにして退席いただきますよう、お願い申し上げます。事務局からは以上です。

 

○福井主査

 それでは、本日は以上とさせていただきます。時間が延長して大変申し訳ありません。長時間にわたり熱心な御議論を頂きました。ありがとうございました。これで終わります。

 


(了)

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