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2017年7月25日 独立行政法人評価に関する有識者会議 国立病院WG(第3回)議事録

○日時

平成29年7月25日(火)9:27~12:03


○場所

中央労働委員会労働委員会会館講堂(7階)


○出席者

松尾主査、大西構成員、亀岡構成員、斎藤構成員、田極構成員、高瀬構成員、富田構成員、山口構成員

○議事

○松尾主査

 ただいまから、第3回独立行政法人評価に関する有識者会議国立病院WGを開催いたします。構成員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、また蒸し暑い中お集まりいただき、ありがとうございます。今日も、よろしく御審議のほどをお願いいたします。

 最初に、牧野政策評価官から御挨拶を頂きます。よろしくお願いいたします。

 

○政策評価官

 一言御挨拶させていただきます。11日付けで政策評価官に着任した牧野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。皆様には、本日はお暑い中、また朝早くからお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 挨拶の場を借りまして、独立行政法人の評価の方法について、改めて御説明させていただきます。独立行政法人の評価の方法については、平成27年度に変更されてから今回で3回目の評価になります。1回目の評価については、総務省の独立行政法人評価委員会という所で各省の評価結果についてコメントが出ていまして、厚生労働省については「A評定以上の割合が高い」という指摘を受けたところです。また、2回目の評価である昨年度の平成27年度評価についても、厚生労働省が名指しというわけではなかったのですが、「A評価以上のものについて、理由、根拠が不明確なものが多い」という指摘を頂いたところです。

 これらを踏まえて、今回の評価についても、総務省の指針に則した厳正な評価を行っていきたいと思いますので、法人からも的確な御説明を頂くとともに、委員の方からも御意見を頂ければ大変有り難いと思っております。

 評価の方法について、参考資料21枚めくった所を御覧ください。「項目別評定」という所について、本日、法人から自己評価を頂いているところです。定量的指標を設定している項目についてはBを標準として、定量的指標が目標値の100%以上120%未満の場合にB評定となるというのが大原則です。法人によっては120%未満でも自己評定でA評定を付けているケースが見られるわけですが、この数値目標については基本的には原則を守っていただくとともに、120%未満でA評定ということであれば、明確な理由、根拠をきちんと説明していただきますようお願いしたいと思います。

 また、S評定は、120%以上の目標を達成し、更に質的な顕著な成果があったものについて、付けられるということです。これらを踏まえて、先生方から本日は御専門の見地から御知見を賜りたいと思いますので、皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

 

○松尾主査

 昨年、この評価については厳しくしろということだったのですが、今年は参考資料22ページ目の原則に従って、より一層厳しく評価しなさいという話ですから、今日はよろしくお願いいたします。

 それでは、本日の議事について、事務局から説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 政策評価官室の補佐をしている宮崎と申します。よろしくお願いいたします。

 御説明の前に事務局に異動がありましたので、御報告させていただきます。恐縮ながら本日は欠席ですが、総合政策・政策評価審議官の本多と、先ほど御挨拶のあった政策評価官の牧野です。

 本日の議事について御説明いたします。本日の議事は議事次第のとおり、国立病院機構の平成28年度業務実績に係る意見聴取です。評価項目ごとに、法人側から業務実績及び自己評価について御説明いただき、有識者の皆様から御意見、御質問を頂きたいと存じます。

 評価のルールに関しては、先ほど評価官の挨拶の中で御説明させていただいたとおりで、総務省が定める指針に従って、B評定を標準に評価させていただくというルールに御留意いただきますよう、改めてお願いいたします。

 なお、独立行政法人の評価スケジュール全体については、参考資料110ページの図のとおりです。本日は10ページの2つ目の箱にある、有識者の皆様からの意見聴取、法人の長等からのヒアリングという段階に当たります。その後、評価を実施させていただき、政策評価担当部局で点検した上、評価結果を公表・通知という流れになります。事務局からは以上です。

 

○松尾主査

 議事に入ります。国立病院機構の平成28年度業務実績評価について、初めに、国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項のうち、1-1-1、診療事業(医療の提供)について、国立病院機構から、ポイントを絞って簡潔に説明をお願いいたします。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

4ページを御覧ください。診療事業(医療の提供)です。最初に難易度に関して御説明いたします。難易度は「高」としていますが、その理由として、我々の法人は、慢性期から急性期まで、各病院の医療内容や機能が多様であるということがあります。その中で医療の提供全般にわたって不断の見直しを行うこと、またその普及のためには医師等のスタッフに対する研修の実施、電子カルテをはじめとしたインフラの整備などを継続して行う必要があり、この実施には多大な時間・手間・資金を要することがあり、難易度を「高」と設定させていただいております。定量的指標としては、そこに記載したクリティカルパスの実施件数、医療の質向上委員会の設置数を設定しています。

 右の(1)患者の目線に立った医療の提供です。患者満足度調査の実施と必要なサービスの改善に向けた取組について記載しています。平成28年度は、入院、外来ともに、総合評価で平成27年度を更に上回った改善が示されました。具体的な例として、特に総合評価を改善した病院の取組として、例えばインフォームド・コンセントの手順の見直しを行い、看護師同席の対応や治療方針を医師が説明した後、患者の理解状況について看護師がヒアリングし、医師にフィードバックする体制を徹底した病院、あるいは外来受診待ち時間に関して電子カルテからの解析により、時間帯を設定し、例えば昼食時間帯であれば待ち患者の診察時間を確認の上、先に昼食を済ませるような案内など、予約時間に配慮することに取り組んだ病院もあります。その後、分かりやすい説明に関する取組、多様な診療時間の設定に関する取組、待ち時間対策に関する取組に関しては、記載した内容となっています。

 次に、患者・家族が相談しやすい環境や体制を充実させるための取組として、平成28年度は、特にがん治療体験者(ピアサポーター)を定期的に招聘し、患者やその家族が相談する場を設けています。がん治療体験者が、自らの体験からの学びを、現にがんに苦しむ患者やその家族と共有することで、病気や日々の生活において抱える悩みや不安を和らげることにつながっています。このピアサポーターに関しては、定型的なトレーニングを受けた方を招聘しており、その理解度、スキルに関しては、それなりのレベルに達した方を配置しているところです。その次の複数職種が協働して患者・家族の目線に立った支援を行う取組、さらにその次の次の疾病に関する理解を促すための取組等は、記載を確認いただければと思います。

 右にいきまして、(2)安心・安全な医療の提供です。医療事故への対応は、国立病院機構は、医療事故調査制度に該当する事案が発生した医療機関などの院内事故調査を支援するための「医療事故調査等支援団体」に指定されております。平成28年度は58病院が支援を行う病院として登録されております。平成27年度は4件を報告していますが、平成28年度は19件ということで、更に推進しております。

 その次は病院間相互チェック体制の拡充です。平成28年度からは相互チェックが2巡目に入っており、1巡目は距離等を考えた病院の組合せでしたが、2巡目は病院機能に着目した病院の組合せにより実施しており、より細かい改善に資しているところです。

6ページを御覧ください。最初の○の院内感染防止体制の強化です。本部においても、「国立病院機構内院内感染報告制度」の運用を始めており、平成28年度は、各病院においてICTの介入により終息した院内感染事例について病院から本部への報告を頂いた上で、「院内感染対策に関する専門委員会」等で事例分析を行う体制を整備しております。病院における体制では、感染管理認定看護師の配置状況が114病院から118病院、人数にして183名から193名まで増加させることができておりますし、研修も1,178回から1,319回と更に推進しています。

 その次の○の使用医薬品の標準化です。標準的医薬品と使用医薬品の乖離を縮小させるため、従来は除外していた抗がん剤、血漿分画製剤を検討範囲に加えておりますし、直近の新医薬品についても検討を行うことができました。その結果、従来の2,441医薬品に対して、172医薬品を削除し、新たに652医薬品を追加し、2,921医薬品としております。右にいきます。○の医療安全対策における情報発信では、平成27年度版の医療安全白書を作成し、公表しています。

 (3)質の高い医療の提供です。チーム医療の実施で、協働チームの設置状況を表に示しています。ほぼ全てのチームにおいて増加していますが、一番下にある精神科リエゾンチームに関しては2病院が減っています。これは、精神科医など医療スタッフの確保ができなくなった病院等が出て、残念ながら2病院が減った結果です。

7ページです。最初の○の薬剤関連業務の充実では、病棟薬剤師の配置を推進しているところです。特に、持参薬等の事故が多いということがあり、病棟薬剤師の配置を推進した上で、持参薬鑑別を強力に推進しています。数字にあるとおり、62病院から70病院に、病棟数においても増加させることができました。次の○のJNPの活動に関しては、豊富な診療現場を活用し、スキルミックスによるチーム医療が提供できるJNPを養成していますが、23病院62名から28病院75名まで増加させることができました。その次の○の専門・認定看護師の配置に関しては、病院数においても配置人数に関しても増加させることができています。その次のチーム医療推進のための研修等の実施は、行ったチーム医療の研修等を一覧に示しています。上から2番目の障害者虐待防止対策セミナーにおいては、我々のネットワークの中の病院においても、障害者の虐待というものが残念ながら起こっており、この虐待防止対策セミナーを強力化し、継続して行っています。

 次のページです。クリティカルパスの活用推進ですが、これが定量的指標です。5年間の中期目標期間中に5%増加させる目的でやっておりますが、灰色のバーが平成28年度の目標です。緑が実績で、達成度は105.6%です。右にいって、日本医療機能評価等の認定状況です。5病院が新たに認定され、58病院になりました。1病院が更新していませんので、全体では4病院の増加です。さらに、現在のプロセスを重視した3rdGの新しい評価体系で、既に45病院が最新の評価体系の認定となっております。次の臨床評価指標は、Ver.3.1にバージョンアップしていますが、特に中段にあるように、計測頻度を増すとともに、その計測の方法を評価指標の計測マニュアルとして公表しています。下段にあるように、このマニュアルをWebサイトで公表していますが、平成27年度の23万件のWebサイトのアクセス数から、平成28年度は32万件ということで、非常にアクセスが集中してきていますし、民間病院をはじめ、是非我々の指標を使いたいという問合せがきている状況です。

 次のページです。我々はこの公表だけでなく、この臨床評価指標を用いたPDCAサイクルによる医療の質の向上推進を目標としています。こちらは定量的指標として、まず医療の質向上委員会の設置数を5年間の中期計画の期間中に、全病院に設置するとしています。右のグラフにあるように、平成28年度の目標を70病院としていますが、実績が示すように141病院、達成度において201.4%を達成しました。

 具体的には、その下の「取組の概要」を見ていただくと、1.にクオリティマネジメント委員会の設置がありますが、これだけでなく2.としてワークショップを毎年開催しています。これはモデル病院をはじめ、これらの改善のスキルが蓄積されていて、例えばここに示すようなプロジェクトの教科書もできており、こういうものを使ってクオリティマネジメント委員会の委員をスキルアップしています。それを受けて、3.の臨床評価指標の決定、改善活動計画の立案、4.で評価としています。こちらは、本部から3か月に1回、全指標の集計結果を通知することによりフィードバックを行い、5.として最終的に1年後に対象病院が一堂に会した上で、改善に関しての情報共有を行ったことで、予定した以上の成果を上げています。これは病院の手挙げ方式で行っていますので、病院の意気込みが強かった結果です。さらに国立病院機構は全部で143病院ですが、2病院が統合に向かって動いていますので、141病院というのは実質完全に達成という状況にあります。

 次のページは、具体的にクオリティマネジメント委員会のイメージを示しています。個別病院の取組で改善した事例として、左側の下にあるように、例えば障害者中心の病院の重症心身障害児()の病棟においては、予期せぬ骨折等が非常に多いわけですが、これは骨密度の測定による薬の予防投与などにより予防することも可能です。そのために、骨密度の測定の頻度を上げようという取組を行った病院もあります。調べてみますと、その病院では29.6%しか行われていなかったということで、いろいろな診療上のプロセス等を見直した結果、平成28年度には61.5%まで改善しています。それから、例えば急性期病院では手術の前から抗菌薬を予防投与するわけですが、その後、漫然と長期にわたって投与されることがあり、耐性菌を発生させることもあります。そのため、ガイドラインでは抗菌薬の4日以内の中止が定められていますが、この急性期病院で調べてみると25%しかできていなかったということがあり、クリティカルパス等を見直し、平成28年度では78.6%まで改善できました。当然発熱等のある方もいるので、ほぼ完璧にこのガイドラインを遵守できるところまできたと考えています。

 右の(4)療養環境の改善です。こちらは個別病院の投資案件についてですが、個別病院では患者のクリーンで快適な療養環境を実現するために整備を進めています。病棟等の建替整備の投資決定が6病院608床、実際に完了したのは病棟が6病院で1,392床です。外来等建替整備が1病院で、写真が示されています。1-1-1に関しては以上です。難易度を「高」と設定したため、一つの定量的指標が200%、もう片方の指標は105%ですが、自己評価はAとさせていただきました。以上です。

 

○松尾主査

 構成員の皆様から御意見を頂きます。いかがでしょうか。

 

○山口構成員

 最初に「厳しい評価を」という話があったのですが、医療の問題というのは定量評価のできる目標設定のしやすいものと、評価しにくいものもあると思うのですが、なかなか定量評価に向かない分野ではあるかなと思っており、「厳しく」という話もとても難しいことだと思いながらお聞きしました。

 例えば、8ページにある臨床評価指標のことですが、これに関する学会とかフォーラムなどに出ますと、必ず国立病院機構のことが一番に例に挙がってきて、このように公表されているということが例示されます。そういったことも本当は評価だと思うのですが、それを定量評価するのは、やはり難しいということで、私は定量評価だけではなく、いろいろな面からの評価が必要なのではないかと思いながらお聞きしました。

 一方で、この国立病院機構でいつも難しいと思うのが、今は141ということですが、病院個々の取組が個別に見えてこないということが評価の難しさとしてあると思っています。

 そういうことで質問としてお聞きしたいのが、4ページの右側の「患者の目線に立った医療の提供」という所で、インフォームド・コンセントの手順の見直しを行い、患者の理解状況について看護師がヒアリングした病院があると書いてあります。更には、昼食時間帯の待ち時間というような工夫をされているということがあるのですが、こういう好事例について病院間で広がりにつながっているということで挙げられているのか、あるいは個々の病院がやっているという一例で挙げてあるのか、それが更に広がっていくような取組になっているのかということをお聞きしたいと思います。

 それから、5ページに「患者・家族が相談しやすい環境」ということで、がん治療経験者(ピアサポーター)を招聘して相談する場を設けたとあります。御説明の中で、きちんと研修を受けて、知識レベルの確保できた方が相談に乗っているという話があったのですが、知識があるだけでいいのかという問題があって、対応の仕方とか、例えば患者の依存を引き起こさないような対応の在り方といったことというのは、知識ではなくてルール作りが必要ではないかと思うのですが、そういったことについてどのような配慮が行われているのでしょうか。

 

○松尾主査

 まず、質問の答えからお願いします。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 まず、4ページの患者の目線に立ったという所で、例えば良い取組をどのように広げるのか。現実的には、患者満足度調査に関して公表が主で、周知ということはしていないのですが、例えば5ページの下にあるように、病院間相互チェックで取組を共有することもあります。これはもともと医療安全などの目標でやっているのですが、実際は医療安全のみに限定はしていません。この相互チェックでよかったのは、各病院間でいろいろと情報が出て、このようなことをしてうまくいっている、こういうところは気を付けたほうがいいということの共有が図られることです。1巡目は距離的に近い所でやったのですが、2巡目は機能を合わせたいという病院からの声があり、障害者病棟は障害者病棟なりの問題があるということもあって、そういう意味ではこの制度をもっと拡充していけたらと我々は考えています。

 

○山口構成員

 是非、そういう広がりにつながったところを今後出していただいて、いい取組があったら、それを広げることによっていろいろな病院でこの効果を発揮しているという成果が上がれば、是非そこも御紹介いただければと思います。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 もう1つ付け加えさせていただきますと、臨床評価指標に関してのワークショップなどは、指標そのものは完成したものが当然あるのですが、病院から「こういう改善がしたいのでこういう指標を作りたい」というところも出てきています。我々としては相互チェックと臨床評価指標の委員会設置を目標にしたのですが、現実にはそれが非常にうまく稼働しています。病院の中でも、例えばそういうものがQC活動などいろいろなところへも波及していき、有機的につながっていくという実感はあります。

 

○松尾主査

 臨床評価指標については、作られ始めたのはそんなに遠い昔ではなく、比較的新しくて、評価指標そのものを作るということは大事です。作った後、それに従って評価をして、実際に医療がよくなったかどうかというのは最終的な目標です。そういう観点からすると、まだ具体的なものは出せないということなのですが、全体的にはいかがですか、医療の質は上がっていますか。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 プロセスに関してはアップしています。例えばプロセスがあってアウトカムにつながるだろうということでアウトカム指標をそれに合わせて作っていますが、アウトカムまで上がったかと言われると、今のところはまだそこまできれいな結果は出ていません。

 ただ、病院機能評価等でもありますように、このプロセスを行うことによって、例えば医療安全上改善するとか、患者へのアメニティとかサービスが上がると思われる、あるいは一応認められているプロセスに関しては改善が認められておりますので、一定の効果はあったと思っています。

 

○松尾主査

 ほかにはいかがですか。

 

○高瀬構成員

 評価の仕方ですが、定量的指標がクリティカルパスと向上委員会の2つですね。クリティカルパスのほうは5%増加が目標なので、達成率が105%だと、ほぼ100%達成という形になりますよね。もう1つの医療の質向上委員会のほうは201%ですから120%を超しているということになります。そのほかの定量的にそぐわない部分で見ると、大体かなりレベルが高くなっているので、ほぼ横ばいのような感じがします。そこは難易度で、一挙にA評価にしてしまったという理解になるのでしょうか。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 今回、片方は120%に到達していなくて、もう1つは200%で、両方を割って平均値を取るのかなどはあると思うのですが、それは乱暴だと思いますし、そもそも我々も定量的指標を設定する事が難しいということもあったので、去年も説明させていただいたように、難易度が高いというところで100%から120%の指標であってもA評価をさせていただくということを評価の基本にさせていただいております。

 

○高瀬構成員

 分かりました。個別の項目については、かなり高いところまでいっていますので、これ以上に伸ばすというのは難しいかもしれませんが、1つだけ質問で、私も国立病院機構の患者の1人なのですが、患者から見ると待ち時間は非常に苦痛になっている部分はあります。待ち時間を活用するというのは1つの方向ですが、待ち時間そのものをなくすという発想もあっていいのではないかと思うのですが、その辺はどうでしょうか。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 永遠の命題でもあるのですが、予約制等を徹底するということになります。我々も現場で、この10年で待ち時間に関してはそれなりに減少させていますが、これは予約時間等に関しての改善によると思います。あと、電子カルテとか、オーダーエントリーで入る患者の数の設定をきちんとすると、かなりよくなります。ドクターの気持ちにまかせてしまうと、例えば診療に30分かかる先生でも予約を10分ごとに入れてしまったり、現実的な設定ができない方もいらっしゃるので、運用である程度改善できるとは思っています。でも、待ち時間がまだあるではないかとおっしゃられると思いますが、それは継続的に改善していきたいと思っています。

 

○高瀬構成員

 卑近な例ですが、私の場合ですと1時間以上というのは平均です。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 それと、先ほど山口構成員からの御質問のピアサポーターのことをお答えできていなかったのでお答えします。こちらへの普及が、がん拠点であったり、そういう機能がある程度ある所をどのように普及させていくかという問題もあるので、研修だけでなく例えば病院間チェックなども、3クール、2クール目の途中からでも、ピアサポーターに関するルール作りの視点はあってもいいのかなと考えています。

 

○田極構成員

 先ほどから出ている定量的指標について、クリティカルパスの実施件数と医療の質の向上委員会の設置数ということで、2つ定量的指標が出ているのですが、やはり医療の提供については定量的な指標だけで測れるものではないという山口構成員の御指摘に私も同感で、全般的に見て、いろいろな取組を地道にされていて、非常に難易度の高いところに取り組んでいるというところが、資料1-2の業務実績評価書を見ていると、例えば先ほど高瀬構成員から御指摘のあった待ち時間対策についても、平均値よりも下回った所、55病院に対して36病院が改善など、地道に努力されているということが非常によく分かります。それから、専門看護師、認定看護師についても増やしていただいて、質の高い医療の提供に向けて着実な進展が見られるところは評価したいと思います。

 こういったところについても、全て定量的に測れるわけではない、全体を見て医療提供については非常に厳しい状況の中で、例えばクリティカルパスの実施件数についても、もともと計画自体がすごく高い目標であり、これについて105.6%をどう評価するかについても、平均在院日数も短くなって、1日当たりの入院患者も少なくなって、非常に短期集中でやっていかなければいけない急性期病院もあれば、長期療養も担っている病院もあるというところで、非常に目標の設定自体が難しかったところはあると思いますし、その中で105.6%ということについては丁寧に評価する必要があるのではないかと思っております。

 こういったところで、120%以上ではないということではありますが、こういった定量的指標についての難易度の高さ、定性的なところについての各取組の着実な進展というところを見ても、かなり評価できるのではないかというのが私の感想です。

 

○大西構成員

 厳しい医療環境の中で、こうやって成果を上げていただき、ありがとうございました。今もいろいろ御議論されている医療の質、若しくは医療の定量的な評価というところに関して、2つ目のほうの医療の質向上委員会の設置数についてお尋ねします。もともと中期計画の目標として100%に達しようとしていたところ、1年間でほぼ倍以上の成果を上げられて、141病院での設置がかなったということです。当初、40病院、70病院という目標を立てていたところ、66病院、141病院というように急速に増えた理由というか秘訣というか、その辺りについてお話いただけますでしょうか。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 我々も設定したのは妥当な目標だと思っていました。先ほども説明させていただきましたとおり、手挙げ方式で、各病院の意気込みを基に手を挙げていただくような設定をしたところ、思った以上に手が挙がり、かつ1年、2年、3年目と考えて設定していたのですが、1年目でかなりの数が上がってきて、2年目のほうにお願いするという事態もありました。ただ、その中でも例えば1年目に手を挙げた病院に、2年目にお願いしたいと言っても、医療スタッフだけではなくて病院全体として例えば事務部長辺りからもお電話があって、「なぜうちを入れてくれないのだ」という、医療の改善をやりたいマインドは、我々が思った以上に各現場においては強いと。そういうものをどのように活用できるかというところをうまくやると、実は思った以上のことが出来ました。我々がうまくやったというより、彼らの中で医療をよくしたいという思いと、医療をよくしたものが明らかになって、フィードバックができるという仕組みに関しての関心が高かった。我々の臨床評価指標も10年を超えていますし、試行錯誤して今の形になっていますので、各病院ともに、そういう意味では指標などに対してのアレルギーがなくなっていたというところも大きいのかなと思っています。

 

○国立病院機構理事長

 追加させていただきます。臨床評価指標に関しては国の時代から取り組んでおり、10年以上の経過があります。当初の臨床評価指標は、それを求めるのに人が台帳を目視でチェックするというような、相当人手がかかるような指標の求め方でしたので、年に1回出すのがやっとというような状態でした。それでは意味がないということで工夫して、現在は病院内で自然に集まる電子的データ、診療報酬のデータ等に関して、これを本部に集めて一度に解析するという形で、人手をほとんど介さないやり方にしています。

 その結果として、3か月に1回、そういう指標を病院にお返しすることができるようになりました。そういうことがありますので、クオリティマネジメント活動をしても、はっきりと結果が見えてきます。四半期ごとに経過を追えるということで、現場のモチベーションも上がってきていると思っています。

 

○松尾主査

 ほかに御意見はございますか。

 

○斎藤構成員

10ページの「病院の投資案件」というのが難しい案件だと思います。平成28年度に完了したのが6病院で1,392床で、今回投資決定したのは同じ6病院だけれども、608床ということで半分以下になっています。これは小振りの病院を選んだのか、あるいは病院全部の建替えではなくて一部の改修なのか。この608の数字の内容を御説明いただけますか。

 

○国立病院機構副理事長

 今、準備させますが、結局病院の規模が非常に異なっています。例えば400床ぐらいの病院を1病院全体で整備した場合は400床ということになりますし、今回は重症心身障害児の病棟のみを建て替えようというように、病院自体が計画的に整備する場合もあります。それも50床でも、100床でも1病院という形でまとめていますので、言ってみれば、個々の病院ごとで整備していく病棟をどのように優先順位を付けていくかということで、結果的に病床数と病院数が違っているということです。

 

○斎藤構成員

 コストがかさむ時期であるからこそ、もっとやりたい所を抑えるような工夫をなさって小振りにしたのかなと忖度をいたしました。

 

○国立病院機構副理事長

 正にそういう面もあります。結局、建て替えたいという病院はたくさんありますが、今の建物をもう少し使っていこうというようにしているところもあります。今は建物の建設費用が上がっています。一方で経営はかなり厳しくなってきて、資金繰りも厳しいということですので、そこを兼ね合わせて体力のある病院からの整備ということにはどうしてもなってしまうということです。

12年前の建物コストと比べるとほぼ1.5倍から、もっと上がっているという状況がありますので、昔であれば3分の2で建ったものが、今はもっとかかっているという状況があります。ちなみに、平成28年度に整備が完了した6病院は、250床、456床、250床、220床、110床、106床というように、比較的規模の大きな整備が多かったということで、1,300床余りになっています。

 平成28年度に投資決定した6病院は、正に今御指摘のあったとおりで、210床、168床、60床、60床、60床、50床と病院の一部分だけの建て替えであり、丸ごと整備はできていないものがあります。結局、これは次の課題になっているということです。

 

○松尾主査

 今の斎藤構成員の回答には、こういう建替えを希望する病院あるいはベッドはどのぐらいあって、そのうち機構が精査して、これはお金があってもなくても絶対に必要だというのはどれぐらいあって、そのうちの608床というのはどのぐらいなのかというのがあると、非常に分かりやすいということだったのです。

 

○国立病院機構副理事長

 整理していますので、少しお待ちください。

 

○松尾主査

 今、この評価のことでいろいろと御意見を頂いたのですが、この評価チームは、今は有識者会議になっていますが、これまで結構長いこと中身の業務のチェックさせていただいて、お話いただいたような議論をずっとこの間にやってきたと思います。具体的な数値目標が上がっているのは2つで、大部分は明確な数値目標はありません。重要度については皆さんは理解ができて、問題は難易度なのです。難易度を外の人にも分かるように見せるには、1つの方法として、以前に議論があったのですが、ほかに幾つかある大学病院のグループとかと比較して国立病院機構はいかに優れているかということ、あるいは難しいところがあるのかというような出し方をすると、分かりやすいと思います。

 これまでの議論では、国立病院機構は我が国の病院改革の非常にいいモデルになっていて、多くの病院グループは参考にしているところがあるということは委員の皆さんは御存じなのですが、それを外に分かりやすく見せるためには、ほかとの比較が要るのかなと思います。そうすると、達成度が105%でも、ほかの病院グループがほとんどマイナスであれば、これはもうすごいことなので、そういった見せ方をするというのも来年度以降の課題かと思っていますので、その辺を是非よろしくお願いしたいと思います。

 

○国立病院機構副理事長

 御指摘のとおりだと思います。一方で、各病院グループで出されている指標がまちまちです。我々もこの資料を作るときには、社会的、客観的にどの位置にあるのかということを説明できるといいというのは、常々思っています。ただ、我々しかやっていないところはしようがないということなのですが、先ほど山口構成員からもあったように、定量的には測れないものを、どううまくいろいろな指標を使って表現していくか。それは全体の立ち位置もあると思いますし、違う指標で定性的な評価をしていくという努力は引き続きさせていただきたいと思います。

 

○松尾主査

 では次の項目にいきたいのですが、ここで自己評価Aということなのですが、これをどこまでここで議論するかというのは問題なのですが、妥当であるという御意見でよろしいでしょうか。宿題は付きましたが、よろしくお願いします。

 続いて、1-1-2をお願いします。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

1-1-2の診療事業(国の医療政策への貢献)について御説明させていただきます。難易度に関してですが、まず、他の医療機関では、十分に提供できないおそれのあるセーフティネット分野の医療、あるいは国の施策に対応した医療等を行っています。これらの医療に関しての対応は、例えば医療スタッフ、医師も含めて確保をすることが大変であり、また、これをどう養成していくかという困難な問題があります。よって、これらを提供することは、質的に難易度が高いと考えています。また、後発医薬品が定量的指標になっておりますが、例えば国が示す70%以上という高い水準を維持したうえ、医師・薬剤師等の医療従事者だけでなく、患者側と双方の理解を含めたうえで、後発医薬品の促進対策を率先して行う。しかも継続的に行っていくことは、難易度が高いと考えていまして、この領域も難易度は「高」とさせていただいております。

 右にいきまして、(1)国の危機管理に際して求められる医療の提供として、国立病院機構の防災業務計画にもとづく体制整備は、基幹災害拠点病院を12病院、災害拠点病院を24病院の体制を維持しています。それから、防災業務計画にもとづいた研修も継続的に行っています。

3つ目の○にある熊本地震への対応です。その下の下段に示しておりますように、医療班等の派遣状況は、地震の発生初期から対応し、初動医療班を翌日から派遣し、合計26班、24病院から125名を派遣しておりますし、DMAT55チーム、精神科のDPAT12チームの派遣をしています。

 めくっていただいて、病院機能維持のためのNHOの病院支援についてです。実は熊本医療センターは、あの地震においてもほぼ無傷で残っていまして、地域での医療を24時間体制で支えることができました。ただ、熊本医療センターのスタッフも被災していまして駐車場で寝泊まりして、その業務に当たるということもあり、疲弊が心配されていました。このため、病院側とかなり相談をして、看護師、薬剤師、放射線技師等の派遣を行っています。人数的には少ないところもありますが、病院側からは、かつて勤めたことがあるとか、病院に関してかなり分かった方でないと、すぐには役に立たないこともあり、グループ内で異動した方を含め、精査をした上でこの人数を派遣させていただいています。

2ポツ目です。大牟田病院に後方支援拠点を設置(物流支援)しました。実は熊本は井戸水、湧水を病院も非常にたくさん使っていまして、その湧水が使えなくなったという問題がありまして、地震後早期には食料もそうですが水が非常に大きな問題になりました。それをこのネットワークを使った上で、大牟田病院に水、食料を集中させ、そこから熊本の4病院に搬送するネットワークを活用した支援ができました。

 その次にある、日本小児アレルギー学会からの要請によるアレルギー対応食品の提供も、このネットワークを使って成功したものです。これは学会から避難所に移ったアレルギーの患者さんに関して、アレルギー対応食品がないということもあり、例えば我々の福岡病院はアレルギー専門病院でもあり、アレルギー対応食品の備蓄がたくさんあり、全国からアレルギー対応の品物が送られてくる中で、我々のこのネットワークを使った搬送にこれらを乗せられないかという御相談がありました。調整の結果、このネットワークを積極的に活用することができまして、まず、熊本医療センターに備蓄ができました。それから、最終的には、県庁に備蓄をすることができ、学会からも非常に感謝されました。

 それから、DMAT体制の貢献ですが、こちらは大阪医療センターと災害医療センターに事務局があり、研修等を引き続き実施しています。

 (2)のセーフティネット分野の医療の確実な提供です。重症心身障害児()、神経・筋疾患患者さんですが、こちらの介護サービスの強化のために、療養介助職の配置は平成27年度から平成28年度は記載した数字のように増加させていますし、在宅療養が重症心身障害児()でも進んでいますが、これらを支援するために生活介護の32病院、放課後のデイサービスの28病院、児童発達支援の32病院で引き続き実施しています。

 右にいきまして、ポストNICUの後方支援病床としての機能強化も図っていまして、そちらに記した延べ患者数も受け入れています。それから、他の医療機関で対応困難な神経・筋難病を含む難病患者さんに関しては、難病治療研究事業対象患者の入院患者さんの受入れであったり、小児慢性特定疾患治療研究事業の対象疾患の受入れであったり、そちらに記したとおり継続しています。

 さらに、重症難病患者さんの在宅療養を支援するため、自治体からの委託を受け、難病医療連絡協議会事務局を5病院、難病相談支援センターを3病院に引続き設置しています。

 それから、心神喪失者医療と精神科医療の対応ですが、まず、精神科に関しては、薬物依存症の患者さん、アルコール依存症の患者さん、精神科救急等に関しても、そちらに記したように、引続き継続して行っていますし、認知症疾患センターとして、9病院から平成28年度は12病院まで指定が増加しています。

 それから、医療観察法病床に関しては、14病院(421)を国立病院機構が占めていまして、国全体の病床の51%になり、引き続きこの国の委託の医療を継続しています。

 次ページ、質の高い結核の医療ですが、こちらは耐性化を防ぐために、DOTSを進めることを継続的に行いまして、カンファレンスあるいは実施率等もこちらに書いたように、高い数字のまま推移させることができています。

 (3)重点課題に対するモデル事業等の実施です。こちらが、定量的指標になっている、後発医薬品の利用促進です。右ページのグラフを御覧ください。こちらは、平成27年度閣議決定で60%から70%に上がったのに従って、目標値を70%に引き上げています。目標は70%ですが、実績は78.7%で、達成度が112.4%になっていますし、左ページの下側を見ると分かるように、平成27年度は70%以上の病院が94病院でしたが、平成28年度は116病院になっており、実質70%以上の病院も増やすことができています。

 (4)のエイズへの取組推進においても、ブロック拠点病院を中心にいろいろな包括的・総合的な治療を行うための体制を進めています。

 国への医療に関しては以上です。難易度を「高」と設定していますので、後発医薬品の112.4%をもって、自己評価ではAとさせていただいています。以上です。

 

○松尾主査

 ありがとうございました。それでは、御意見お願いします。この項目も数字は出ているのですが、数値目標という点でどういうように取られるのか難しいところです。私から1つ質問なのですが、12ページのセーフティネット分野の医療の確実な提供というのがあって、ここにザッと数字が並んでいて、今、病院の診療報酬をめぐる状況は、非常に厳しくなっている中で、こういった分野からも手を引く医療機関は結構今出ていると思うのですね。それで質問なのですが、ここに出ている数字は、一昨年度、あるいはその前と比べて、これ増えているのでしょうか、減っているのでしょうか。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 先ほど言いましたが、増えている所に関しては、例えば認知症医療センターなどは増えていますし、難病連絡協議会事務局とかセンター等は維持できているというような状況にあります。患者数については、今年度しか記載をしていないので、少なくとも我々の所はミッションとして持っていますので、継続的に受け入れている形になっています。

 

○松尾主査

 ありがとうございました。それでは、委員から。

 

○田極構成員

 先ほど、比較というお話があったのですが、今回、ここの項目についての定量的指標としては後発医薬品の採用率が挙げられていますけれども、国で目標として、平成296月までに70%という目標を立てたところ、結果的に国も達成できてないことを比べても、この78.7%という、昨年度の実績として、既にもう70%を上回っているというのは、非常に高い目標について実績も申し分ないレベルだというのは、国の達成状況と比較して言えることではないかと思います。

 

○山口構成員

 私も同じ点ですが、1つの病院でも70%を達成するのが難しい中で、143病院が平均してこの数字を出されているというのは、やはりすごいことだと思います。確か、数年前に、このジェネリックを推進していくに当たって、医療者も患者も納得できるようにジェネリックの品目をいろいろ挙げて、安心できるリスト作りのようなことをされたとお聞きした記憶があるのですけれども、そういった努力の結果、例えば医療従事者も安心してジェネリックの採用につながった結果ではないかと思っていて、これについて78.7%という数字は、かなりこれは評価に値する数字なのではないかと思いました。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 ありがとうございます。やはり、採用率を上げるに当たって、1つの障害は、急性期の病院等では、かなり流通したこともあって、理解もあったのですが、障害者病棟等での場合、長らく使ったお薬に関して、特に患者さん、あるいは医療従事者も、変えることに結構抵抗がございます。そういった事も含めて70%以上が116病院になったというところは、我々も強調させていただきたかったところです。70%になっていない病院の中には、やはり30%程度の病院もあるのですが、そういう病院のお話では、やはり患者さん、医療従事者ともに、長年治療の薬として信頼をしてきたところがあって、なかなか難しいというところもございます。ですから、前回リストを作ったのが、供給を含め安定して、ほかの病院でも使っていて、その効能あるいは副作用等に問題がないという薬品のリストを作ったところですので、医療従事者にとっては、かなりそういう抵抗を除くには、役に立ったと考えています。

 

○山口構成員

 それは、医療者にとって安心ということは、ひいては患者さんにもそういうリストを作った上で、これ、安心なんだという説明をされているということで、解釈してよろしいですか。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 そういうことです。

 

○田極構成員

 そういった、国立病院機構の後発医薬品のリストというのは、薬剤師さんがいない診療所とか薬局さんでも、いろいろ参考にどういう薬品を採用すればいいかということで、中小病院の方もそうなのですが、非常に参考にされていたということはあちこちで聞いていますので、こういった取組については、国の政策の医療政策への貢献として引き続きお願いしたいと思います。

 

○松尾主査

 ありがとうございました。いかがですか。

 それからもう1つ、災害対応なのですが、国立病院だからやって当然という考え方もありますが、実際に私も病院長をやっていましたので、派遣するときには、経済的、精神的に、様々な苦労を伴うのですが、これだけ派遣するときに、むしろ機構として何か課題があって、派遣する人に対する支援とか、そういったものはどうされているのですか。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 そこは、確かに御指摘のように難しいところがあります。しかし、少し趣旨もずれるかもしれませんが、我々は、神戸、あるいは中越、それから東日本、それから今回の熊本と経験してきています。それぞれで対応すべき課題が違っていまして、私自身も東日本と、今回熊本と経験し、その差が非常に大きいことは痛感しました。しかし、東日本のときにいろいろな支援を行った経験から次の災害への準備をして、体制の整備や初動医療班の創設、その医療班の研修を行ったことは大きかったと思います。確かに熊本に関しては、また違った意味で上手く機能しなかったものもありましたが、それぞれの災害で分かってきた課題に対して研修も含めて準備もしてきた備蓄は役に立っていると思います。それと、我々の強みとしてネットワークがあります。各病院の貢献したいという気持ちは非常に強いので、そのときにネットワーク病院を使って、できるという利点があるので、そういう意味では我々がグループ病院であるというところは、大きく役に立っているのではないかと思っています。

 

○松尾主査

 ありがとうございました。ほかによろしいですか。それでは、今、出た意見を付して、また後で上に挙げたいと思います。

 それでは、その次、1-1-3をお願いします。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

1-1-3、診療医療(地域医療への貢献)です。こちらも、難易度に関して最初に御説明いたします。各病院が、地域の実情に合わせて、しかも地域における将来の医療体制を検討しながら、地域の医療機関と信頼関係を構築し、更に我々の病院の中の診療内容なども調整しながら医療を提供していくことが、現実にはかなりハードルが高い、容易なことではないということです。さらに、これだけ143病院あり、機能も違っておりますので、それぞれの地域で求められる医療機能や扱う診療領域が、各病院において全く異なるという問題もあります。その中で、機構全体として、例えば目標である紹介率・逆紹介率を引き上げていくことは、容易ではないと考えております。

 また、地域連携クリティカルパスに関しても、先ほどから繰り返すように、地域の医療資源がかなり異なる中、また我々の病院がこれだけの機能が異なる中で実施件数を増加されるのは、かなり困難であることから、難易度に対しては「高」としております。

 右のページにいきます。(1)医療計画等で求められる機能の発揮です。地域医療への取組ですが、5疾病・5事業に関して現在医療計画に記載されている病院に関して、こちらに記載をさせていただいており、引き続き貢献をさせていただいております。次の○の地域連携クリティカルパスの実施ですが、こちらが定量的指標になっております。その次のページの下のグラフを見ていただければと思います。こちらは、この中期計画の5年間の間に5%増加させるということで、灰色のバーが目標になっており、平成28年度が6,805件です。実績は7,331件で、達成度が107.7%で達成することができております。しかし、平成27年度からは実測値は少し下がっております。こちらは、やはりがん等を含めての患者さんの死亡、あるいは大腿骨骨折、脳卒中を含め、パスからの離脱をする方もあるということで、右肩上がりを維持することはできなかったものと考えております。

 紹介率と逆紹介率の向上に関してです。こちらの紹介率が、定量的指標で、下のグラフにありますように、こちらも5年間で5%増加ということにしております。66.6%の目標に対して実績が73.0%ですので、達成度が109.6%になります。逆紹介率も掲載しておりますように、56.3%から59.5%に上昇させることができております。これらに関しては、近隣医療機関の定期的訪問や、退院支援看護師を各病棟に配置して退院支援を強化するなど、様々な取組によってこちらの向上に努めた結果として考えております。

16ページです。医療審議会等への参加状況は、こちらにまとめて記載してあります。特に、今後進んでいきます地域医療構想調整会議への参加病院数も80病院であり、これからの地域医療へいかに貢献するかを各病院で現在取り組んでいるところです。

 次の○の地域の救急医療体制への取組です。こちらは表のように、救急患者受入数、救急受診後の入院患者数、救急車の受入数、救急車の受入数のうち受診後の入院患者数等を見ていただきますと、平成27年度に比べ、28年度はほぼ全体で増加させることができておりますが、救急患者の受入数の中の小児患者に関してだけは、前年度よりも低下した数字になっております。右のページは、救急告示病院の80病院、それから20病院においての救命救急センター設置は、変わらず維持しております。小児に関してですが、24時間の小児救急の病院が14病院、輪番が40病院で、こちらも維持しております。

 さらに、次の○のドクターヘリ・防災ヘリ、ドクターカーに関しては、防災ヘリ、ドクターヘリによる患者受入れや患者の搬送は、23病院で1,491回実施しております。特に多い長崎医療センターに関しては、その下に稼働回数、体制等にも書いてありますように、平成28年度で783回の実施になっております。更に、医師等が同乗するドクターカーによる患者受入れも、13病院で1,278回実施しているところです。

 (2)在宅医療との連携など地域包括ケアシステムの貢献です。在宅医療に関しては、難病医療拠点病院として27病院、難病医療の協力病院として59病院が診療を行っており、こちらも維持しております。それから、在宅の重症心身障害児()の居宅支援は、短期入所事業を69病院で維持しているところです。在宅医療を担う医療機関との連携においては、117病院で急性増悪時の入院、98病院でレスパイト入院に対応しております。それから、在宅療養支援病院は200床以下ということもあり、1病院が変わらず維持しております。在宅療養後方支援病院に関しては、22病院と少し増やしているところです。26病院では、地域包括ケア病棟、あるいは病床の導入をしているところです。

 次の○の訪問診療・訪問看護の取組ですが、各病院において例えば31病院で訪問診療を行っておりますし、47病院で訪問看護を引き続き行っております。右ページの訪問看護ステーションの開設ですが、こちらは平成28年度、新たに3病院が地域の医療事情に応じて訪問看護ステーションを開設しております。全体では6病院になっております。そのうち2病院、神経難病等を中心にやっている宇多野病院、地域の医師会からの要請で開設しました長崎川棚においては、24時間対応も行っております。その次の○の在宅医療推進セミナーは、更に引き続き42病院、62名の参加で継続しております。

 ここまでが地域医療への貢献です。先ほど説明いたしましたように、難易度が高いと設定していることから、達成度107.7%、109.6%ですが、自己評価はAとさせていただいているところです。以上です。

 

○松尾主査

 それでは、御意見をお願いいたします。

 

○亀岡構成員

15ページの地域連携クリティカルパスの実施総件数ということで、これは5%、平成30年までに毎年1%ずつということで、目標はそのとおりなのですが、実績数がずっと右肩上がりで上がっていたのですが、平成28年度においてかなり件数が、逆に言えば平成27年が上がりすぎたのかも分かりませんが、結構な数の下がりが、目標よりは多いのですが、実際の努力と比較をしたときに、昨年よりも200ぐらい落ちています。この辺は、いかがでしょうか。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 右肩上がりであることは目指してはいますが、それを実現するのはかなり困難であるのと、それから地域連携クリティカルパスは通常のクリティカルパスと違って、受け入れる側があって信頼等がないとできないということがあります。中には、数までは把握しておりませんが、例えば受入側のリハビリ病院などが医師の数などによって機能が低下したことによって、受け入れられなくなった病院があったり、それから先ほど少し説明いたしましたように、がん等ではやはり死亡されたりもありますし、いろいろな面で受けていらっしゃった方が未来永劫ずっと維持できるわけでもありません。いろいろな要件があって、ここでは数字としては下がったと考えておりますが、このまま右肩下がりとは我々も考えていなくて、ある程度のレベルに達したので、これをどうやって維持していくかとか、ある意味では更に連携を深めていくのかというフェーズに入ったのかなという形では理解しております。

 

○大西構成員

 先ほど来、委員の先生方からもお話が出ていますが、やはりベンチマークというか、他の医療機関、若しくは医療グループの数値と比べてどうなのかとか、もう1つはこれは平均値で示されておりますが、ばら付きといいますか、バリアンスといいますか、最大、最小の範囲がどのぐらいだったかということも付けていただくと、先ほど来お話いただいている難易度の考察に非常に助けになるのかなと思ったりいたします。そういったデータというのは、一般論としてこの時期にそういうものと比較して出していただくというのは、難しさはあるのでしょうか。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 まず、2点あると思います。少なくとも自分たちのデータに関して、例えば平均値だけでなくて、標準誤差やばら付きをどのように表せるかは、工夫はあると思います。先ほどからありますように、ある意味で公表された数字が得られれば、それに関しての比較ができるのですが、特に欲しいところの数字が得られるかという意味では、まだ我々もそこまでではないと思います。ただ、いろいろな面で、例えばナショナルデータベース、それから病床機能報告制度、あるいは地域医療構想等で、データそのものが出ていますので、そういう意味ではそういうものが使えればと思います。

 それから、病院によってはいろいろなコンサルグループも含めてのデータ的なもので比較している所はありますが、グループ全体としてとなるとそこがまだ十分ではないのかなと思いますので、先ほどの件も含めて来年度の宿題になるのかなと思っております。

 

○大西構成員

 是非御検討いただければと思います。

 

○国立病院機構副理事長

 このような他機関との連携になると、実際に自院で診療もしながら、かつまた外へ出て行って連絡を取るというのは、非常に手間がかかります。現在の総務省の評価基準ですと、明確な数字でしか出てこないという課題があると私は思っています。今言った、どれだけ手間をかけて連絡して、信頼を築いていないと、顔の見えない人に患者を安心して預けることはできないというのが診療所の意見だと思いますので、こういう連携を維持していくことに相当準備と手間がかかっていて、それが必ずしも数値化はできないのだということです。維持していることに対する評価はもう少し考えてもらいたいと思っています。我々は、それを下げないように、引き続き努力はしていきたいと思っております。

 

○松尾主査

 まあ、そうではあるのですが、そういってしまうと評価がなかなかできないので。平成27年から28年に実施件数、総件数が減っている、今の説明では特殊要因なのだということだったのですが、国立病院機構は地域も広いですし、病院の機能も全部違う中であるからこそ、先ほど言われたようにいろいろな病院があって、どこが減っているのか。もっと言うと、このようなクリティカルパスの実施が減っていることは、本当に特殊要因なのか、もっと根本的な問題があるのかという分析をもう少ししっかりされると、次につながりますし、ひょっとしたら病院機構以外の病院のいろいろな施策の参考になるのかなと思いますので、その辺りの分析をされているとは思うのですが、是非よく説明していただくといいかなと思いました。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 私の説明が足らない部分もありましたが、一部ではありますが診療報酬改定があり、新しい施設基準を満たさない病院も出てしまいました。そういう意味での、地域連携パスの数字が低下したことも入っていました。ただ、どういうものが要因かを分析した上で、きちんと次に対応することは当然御指摘のとおりだと思っております。

 

○松尾主査

 今の話ですと、全国的に減っているということですか。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 そうです。

 

○富田構成員

 地域連携クリティカルパスなのですが、私の理解では平成28年度の診療報酬で加算がなくなってしまって、受ける側にメリットがなくなったので、もういいよという病院が随分出てきてしまって、日赤病院グループでも相当減っています。やはり、加算に誘導されていたのだなと思いますので、そういう意味ではこれだけの数をまだ維持しているのは、誠実な病院と一緒にやっているのだなという印象を持ちます。お金だけで動いている所は、すぐやめてしまうのです。受け手がきちんと受けてくれないとパスは使えませんので、そのような印象をもちました。

 

○松尾主査

 大変分かりやすい説明をありがとうございました。

 

○田極構成員

 先ほど、ばら付きという御意見もあったのですが、確かに評価しにくい部分があって、例えば14ページで医療計画等で求められる機能の発揮のところで、5疾病・5事業で何病院取り上げられているかというところがあります。そもそも、病院が担っている役割によって、例えばがんについては143病院の中には対応できない病院もあると思いますので、そういった分母が分かるような表記の仕方も工夫してもいいのかなというのがあります。

 また、少し視点が違うのですが、17ページで例えば在宅医療を担う医療機関との連携とあるのですが、117病院で在宅患者の急性増悪時の入院や、98病院でレスパイト入院に対応するため、引き続き在宅医療を担う医療機関との連携を図ったとあります。ここについては、病院の数は分かるのですが、それがどの程度なされているのかが少し分かりにくいので、こういったところが丁寧に説明していただいて、これからますます重要になってくると思いますので、在宅医療との連携や地域包括ケアシステムにおいて、国立病院機構の各病院がどう関わっていくのかといったところは、もう少し分かりやすくどのぐらいの取組がなされているのかを示していただくと有り難いと思います。

 また、17ページの右下に在宅医療推進セミナーの実施と書かれているのですが、これについては、自院の課題を把握することや、在宅医療提供体制の構築や訪問看護ステーションの開設に向けてということで、そのために必要な知識の習得を目的としている研修だとなっているのですが、こういった研修については恐らく入院している患者が在宅にスムーズに移行できるためには、在宅の生活の様子なども知る機会になるので、そういったところは是非今後も進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

○松尾主査

 何かコメントはありますか。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 最後の在宅医療推進セミナーに関してですが、こちらは実は訪問看護ステーションを含めて、我々は在宅医療を今まではなかなか推進できていなかったので、突破口としてスキルやノウハウを含めて普及させるために行っている部分もあります。そういう意味では、これを進めていかないと、我々法人全体としての在宅医療がなかなか進まないところもありますので、地味ではありますが引き続きさせていただこうと思っています。

 

○高瀬構成員

 これは、評価には直接関わりはないとは思うのですが、要するに都道府県との関係です。これから都道府県が地域構想ビジョンを出していくのですが、それによって医療機関の役割分担を進めることになると思います。機構の病院は、そういった都道府県の構想に対して、これからどういうスタンスで臨むことになるのでしょうか。

 

○国立病院機構副理事長

 基本的に、地域医療構想が各地で作られておりますので、これには協力するようにというお話を本省から頂いております。その中で、都道府県の要請に応えて審議会に委員として入っている場合もあれば、地域医療構想の調整会議に入って、どういう機能があって、どういうことができるかを、できるだけ積極的に話をしていきたいということがあります。ただ、都道府県によって多少濃淡があります。国立病院機構の病院のいろいろな機能について、県ともタイアップしながらなかなか難しい分野を担っているというものもあれば、結核であれば国立にお任せしますからということで置かれてきた分野もあります。今回、地域医療構想の中では、できるだけ都道府県に対して積極的に説明をするようにという形で各病院に言っており、そのような情報を集めながら進捗管理をしております。

 

○高瀬構成員

 場合によっては、縮小する分野も出てくるということですか。

 

○国立病院機構副理事長

 多分、そういうことも話として出てくると思います。地域の中でどの機能を残すかが、地域医療構想の調整会議ですので、我々だけでなく、各地域の医療機関とも協議をしながら、他の公的病院とも協議をしながらやっていきますので、ものによっては全体としては縮小、国立はどれだけだというものも当然出てくると思います。一方、維持してもらいたいというものも出てくると思います。それは、11つきちんとやっていきたいと思っています。

 

○松尾主査

 ありがとうございました。それでは、他の項目もそうなのですが、ここでも先ほど診療報酬の話も出ましたが、必ずしも大幅に伸びてはいないけれども、維持することは非常に困難で、そのこと自体評価できたり、あるいは十分でなかったり、なかなか評価は難しいところです。その辺りのことも勘案して、この有識者会議は点数を付ける所ではないので、一応今のお話ではおおむねこの自己評価は妥当であると考えてよろしいですか。そうではあるのですが、先ほどからも意見が出ていますように、多分ベンチマークもしながら維持することは難しいのであれば、難しいというのを明確に分かるように記載してもらうとその妥当性がもう少しはっきりするのではないかと思います。

 それでは、時間の関係でその次の臨床研究事業と教育研修事業をまとめてお願いします。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 それでは、1-2の臨床研究事業に関してご説明します。

 難易度ですが、例えば電子カルテのデータの様式の標準化は、現在、病院やメーカーごとに仕様や様式が異なるという状況がありますが、これを標準化するためには膨大な量の調査と変換の作業が必要になります。また、これを日本で初めて標準化に取り組んで、ほかの医療機関に先駆けて自らを実証確認の場として、我が国の医療情報の標準化の普及促進に継続的に取り組んでいくことは容易でないということで、難易度が高いと考えております。さらに、例えば研究の部門ですが、これだけ機能の違うネットワークの中で活用し、それぞれの143病院をコーディネートしながら研究を行っていくことは困難であるということから、難易度が「高」として作成しております。

 右のページですが、(1)診療情報の収集・分析と情報発信機能の強化です。EBM推進のための診療情報分析は、診療情報分析レポートを引き続き作成しております。平成28年度は、新たに各病院の分析結果から最新のデータで病床機能、こちらは今後進むであろう病床機能報告に対応し、病床機能の分析をまとめて「特別編」を作成しております。追加した分析項目に関しては、その下にまとめております。

 次の○ですが、外部競争的資金をもとにした研究活動による医療政策や医療の質への貢献です。こちらはいろいろな外部資金を獲得しておりますし、実際の数字として1,418件から1,527件、33.5億円から33.7億円と増加させることができております。

 次のページですが、電子カルテ情報の収集・分析のIT基盤構築です。こちらは平成28年度、国立病院機構診療情報集積基盤(NCDA)を運用することができておりますし、これらのデータを利活用する規程も作成しました。さらに、このIT基盤を発展・充実させるために、現在の41病院に加えて新たに19病院を追加し、60病院にする予定になっております。また、主要ベンダも6社から7社に拡大しているので、こちらでの標準化は更に進むことになります。

 さらに、新たな取組として、下段にありますように様々なベンダでも電子カルテの災害診療記録用の電子フォーマットの出力が可能となるような対応モジュールをバージョンアップしており、災害時に必要な診療情報の自動抽出化等の開発・検証も行い、実証事業を開始しております。ここには書いておりませんが、先ほど理事長からお話があった臨床評価指標に関しては、これらの診療情報データを基に作成しておりますが、こちらの新しい電子カルテからの収集・分析情報が入ると、今までできなかった臨床評価指標に関しての作成ができるようになり、臨床評価指標の分析にもこちらを活用することで現在進んでおります。

 (2)大規模臨床研究の推進です。こちらは、平成28年度に学会で出された論文の主な発表についての記載があります。学会発表が下に書いてありますが、国際学会の発表に関しては回数が増えております。和文と国内学会に関しては少し減少しております。

 次のページですが、定量的指標の英語論文の掲載数に関してです。こちらも中期計画で5%増加と設定しており、平成28年度は2,004件を考えておりましたが、2,417件まで増加させることができ、達成度が120.6%になっております。次の○、EBMの大規模臨床研究も、右のページの上にも書いてありますように、平成28年度は新たに2課題を採択して進めております。

 次の○、臨床研究品質確保体制整備病院事業に関しては、名古屋医療センターで引き続き行っております。その次の○、バイオバンク・ジャパンや京都大学のiPS細胞研究所等の外部機関との連携ですが、例えばオーダーメイド医療の実現化プログラムということで、バイオバンク・ジャパンに検体を出しており、平成28年度から肥満症や化学物質過敏症といった研究課題を選定し、研究を開始しております。また、京都大学のiPS細胞研究所との連携・協力においては、159疾患・457例の登録を平成28年度末にすることができております。平成29年度からは、これらのものを使用する基礎研究を予定しております。

 さらに、次のページにありますように、NEDOが実施する事業の推進として、平成28年度に戦略的基盤技術高度化支援事業に係る「橋渡し研究機関」の指定を受けております。こちらで医師主導治験の「次世代マイクロニードルを用いたインフルエンザワクチン試験」が採択されて、平成29年度から本事業を進めております。

 次の中央治験審査委員会・中央倫理審査委員会基盤整備モデル事業(AMED補助事業)ですが、こちらにも採択され、スタートしております。

 (3)迅速で質の高い治験の推進です。右側に示しているように、国際共同治験、国内治験を含めて、依頼された治験数においては、平成28年度は大幅に増やすことができております。医師主導治験と製造後販売に関しては少し減っておりますが、金額的には平成27年度から平成28年度で51.94億円まで増やすことができております。

 次のページです。国立病院機構の職員が主任研究者の医師主導治験ですが、そちらに3つの新しい課題を示しておりますので御確認ください。

 (4)先進医療技術の臨床導入の推進です。こちらも理化学研究所との連携・協力で、NKT細胞治療の共同研究で平成28年度に41症例の登録まで到達しております。右の職務発明の権利化の推進では、平成28年度は13件の発明が届けられ、11件の特許出願を行っております。8件の特許権設定登録を特許庁から受けております。

 (5)臨床研究や治験の人材育成です。こちらはいろいろな推進をしており、引き続き研修を行っていますが、CITI Japanの教育研修プログラムの活用において、研究者だけでなくCRC、事務局も対象としてe-learningでの研究倫理の教育を引き続き実施しており、6,344名まで教育を受けていただいております。

 引き続き、1-3の教育研修事業に関して御説明します。難易度ですが、こちらは教育研修体制の内容においても不断の見直しが必要であること、通常の診療業務を行いながら高い水準でこれを実施していること、地域の実情も考え更に介護ニーズも把握し、内容の検討・検証等を行い、こちらも不断の見直しを図る必要があること、ほかの医療機関では対応が困難なセーフティネット分野の医療等、国立病院機構しか成し得ない専門知識を含めた講師などの育成・確保、あるいは研修ツールの作成を継続的に行っていくことは、極めて難易度が「高」と考えています。

 右のページの(1)質の高い医療従事者の育成・確保です。医師の育成については、特に○の2つ目を見ると、国立病院機構の臨床研修及びレジデントの育成で基幹型臨床研修病院が平成28年度は1病院減りましたが、実際に受けた研修医の受入数は647名から744名まで増えております。1病院減ったところは、下段の協力病院のほうに移っております。

 次のページですが、後期研修医に関しては、機構独自のプログラムである専修医の養成も引き続き行っており、例年80人前後の卒業生を出しているので、平成27年度よりは少し減りましたが86名となっております。後期のレジデントの受入数も807名から843名ということで、引き続き大勢の医師の養成に関わることができております。

 次の○の医師養成研修ですが、「良質な医師を育てる研修」として20テーマを超えるいろいろな項目に関して、必要なものをスクラップ・アンド・ビルドしながら充実を図っておりますが、平成28年度は、課題であった消化器疾患に関する研修を新たに設定することができました。

 次の○の新専門医制度の対応です。こちらは来年度の春からほぼ実施が予定されていますが、特に内科学会においては、内科救急であるJMECC研修の開催が必須ということになっております。インストラクターとディレクターが必要ですが、これらを養成するのが非常に困難な中、内科学会等との連携によってJMECCの指導者講習会、これは学会以外では2番目ですが国立病院機構が主催して、平成28年度は3回開催し、地域にも貢献できております。また、NHOの国内留学制度であるフェローシップに関しては継続して行っており、累計で14名がこの制度を活用しています。

 右側の○、質の高い看護師等の育成・キャリア支援です。看護師等養成所に関しては、ほかの設置主体の看護専門学校の副学校長等からなる第三者による評価を引き続き受けております。定量的指標である看護師の国家試験合格率に関しては、表にありますように目標が当該年度の全国平均を超えるという目標で、全国平均が94.3%のところ97.8%、達成率は103.7%になっております。こちらも少し下がってはおりますが全国規模を見ても下がっており、難易度は高いものと思っております。実際には大学、短期大学及びほかの3年課程の養成所の結果と比較しても上回っているため、こちらも達成したと考えております。

 次のページですが、看護師のキャリアパス制度の充実です。こちらは、我々の所は「ACTyナース」という能力開発プログラムを持っておりますが、これをVer.2に全面改訂しております。改訂点を列記しておりますが、まず看護実践能力の育成から看護管理者教育への連動性を考慮したプログラムに変更したこと、卒後1年目から5年目までとしていた教育対象を中堅看護師まで拡大したこと、経年別になっていたものを能力段階別に変更したこと、こちらは右側の看護師のキャリアパスに基づく研修の実施にも関わってくるものです。

 次の○、専門看護師、認定看護師の育成に関してですが、こちらは更に養成を進めるために研修を推進しており、平成28年度の研修実績を右側の上に示しております。次の○、キャリアパスに基づく研修の実施ですが、こちらは左側で説明した「ACTyナース」の部分の改訂に基づいて、キャリアパスに基づく研修という形で実施しております。

 質の高いメディカルスタッフ等の育成・キャリア支援ですが、例えば「診療情報管理に関する研修」は引き続き実施し、75名が参加しております。次のページですが、そのほかのメディカルスタッフに関する研修もそちらに列記しております。特に薬剤師、放射線、臨床検査技師等、確保困難な部分のスタッフを含めて、理学療法士、児童指導員等も幅広く研修を行うことで、医療の質の向上を維持することに努力をしております。

 (2)地域医療に貢献する研修事業の実施として、こちらも定量的指標になっている地域医療従事者等を対象とした地域研修会の開催件数ですが、平成30年度までに10%増加ということで、平成28年度目標が4,818件でしたが、5,011件と各病院の努力により104%の達成となっております。

 以上で、難易度に関して「高」という説明も含め、特に臨床研究事業においては定量的指標が120%を超えているところで自己評価はA、教育研修事業は120%に到達しておりませんが、難易度が「高」という理由で自己評価はAとさせていただきました。以上です。

 

○松尾主査

 ありがとうございます。2点質問があるのですが、この数値目標で、20ページに英語論文数があります。前に後発医薬品もあったのですが、平成27年の実績値が2,340、平成28年の目標値は2,004となっていますが、この関係はどうなっているのですか。この目標値は、最初に年度ごとに全部何年間か立てて、それと比べるのですか。それとも、毎年毎年立てていくのですか。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 これは中期計画で立てたものですので、最初に5年間で5%という数値目標を立てましたので、それに従って評価ということで達成度を120%にしております。御存じのようにこちらも実績ですので、必ずしも右肩上がりになるものではありませんし、英語論文、日本語もそうですがきちんとした論文としてアクセプトされたものですので、こちらを増やすことは非常に難しい。特に、失礼ですが、大学等でない、国立病院機構として臨床研究を基礎研究も含めて進めていくことは高い目標と考えております。

 

○松尾主査

 取りようによっては、前年、論文が大幅に目標値を上回っているのに、次の年の目標がそれより低いと、先ほど難易度が高いと言われましたが、そもそも目標が低すぎるのではないかと言われかねないので、その辺りは確かに英語の論文をちゃんと書くのは難しいのですがそれだけ力があるということですが、それであれば若干目標の立て方を考えたほうがいいのかなと思います。

 もう1つ、22ページにCITI Japanの教育研修プログラムがありますが、国立病院機構ではこういう臨床研究をやるときに、この受講は義務付けているのですか。これをやっていない人は臨床研究に参加できないということでよろしいですか。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 義務付けております。これを取っていただかないと臨床研究には参加できないということになっております。

 

○国立病院機構理事長

 国立病院機構全体として、CITI Japanの受講を義務付けております。また、各病院ごとで、それぞれの病院で開催する治験、あるいは臨床研究に関する研修会を受講しないとこれもできないということで、両方をパスしないとできないという組織にしております。

 

○松尾主査

 ありがとうございます。ほかに何かありますか。

 

○山口構成員

 定量評価ということで、26ページで地域医療に貢献するということで、研修会の開催件数が4,800を超えているということですが、これは1病院当たり平均すると10という平均は出せますが、ほとんどの病院で実際に開催されていることなのか、ある程度偏りがあるのか、例えば積極的にやっている病院の特徴みたいなものがありましたら、中身をもう少し教えていただきたいと思います。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 病院としてはほとんどなのですが、御指摘のとおり、例えば各病院平均して10ずつなのかといえば、そうではなくばらつきがかなりあります。例えば研修施設を持っている所で、地域に開いていて、そこにたくさん地域住民の方にも開いた中でやっている病院もあって、そういう所が多くなっているのは事実です。研修施設がない場合、建物も古い所もありますので、そういう所を使ってやっている所とか、施設面、スタッフの数等、いろいろなことによって差が出ているので、ばらつきはかなりあると思います。ただ、全体の病院でなされているということは事実です。

 

○山口構成員

 全くやっていない所はないということですね。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

1病院ほどあります。先ほどの臨床評価指標でも141という説明をしましたが、残りの2病院の実名を言いますと八雲病院なのですが、筋ジスの患者から要望があって、北海道医療センターに筋ジス病棟を移す、また、重心に関しては北海道医療センターと函館病院に移すということが進んでおります。その中で、臨床評価指標に関しても、実は院長とも直接お話しているのですが、委員会を設置するのは難しいと考えております。医師も2人しかいません。医師でなくても例えばスタッフができるのではないかとか、いろいろ議論したのですが、今、病院の移行をスタッフも含めてやっているのでなかなか難しいと。移行を見据えた上で、次の病院との連携でやろうという形になったので、その病院においては平成28年度の実績はないということになります。

 

○富田構成員

24ページの看護専門学校について伺いたいのですが、今でも40施設を維持しているということで、私たちも以前は40ぐらい持っていたのですが、今は17まで減らしました。その理由は、大学化の勢いが強いということで大学化した所もありますが、閉じた所もあります。具体的に言うと、入学者の数の確保が大変だということと、質が落ちてしまって、国家試験を通すのに大変な労力が要るので、今減らしております。40をずっと維持しているのは大変な努力をされておられると思いますが、この先はどうされるのでしょうか。

 

○国立病院機構理事(看護担当)

 大学化に関しては少しずつ進んでおり、現在、3校進んでおります。募集に関しても大変厳しい状況の所に関しては、閉校を考えている所が2つあります。先生がおっしゃったように、今、本当に質の低下が否めないような状況ではありますが、教員たちがかなり頑張って国家試験合格まで持っていっているのかなと思っています。それは評価できるかなと思っております。

 

○松尾主査

 つまらないことですが、国家試験合格率達成度は103%ですが、合格率が100%になっても120%にはいかないのです。何が言いたいかというと、多分、先ほどのここの評価で120%以上でなければAではないということで、項目をよく選ばないと本当にこの基準でAを付けたりBを付けたりするのが妥当かどうか、項目によっては問題があるかもしれません。先ほどの達成度の話でいくと、既に達成してしまっているので、それより低い目標というのもおかしいと。そういったところで、評価に関しては、これは我々が考えることではないのですが、国のほうで考えていただければと思います。よろしいでしょうか。

 それでは、時間の関係で先に進みたいと思います。次は、2-14-1について、まず2-1の業務運営等の効率化の説明をお願いします。

 

○国立病院機構理事(資金管理担当)

 評価項目2-1、業務運営等の効率化について御説明します。27ページを御覧ください。この評価項目については、難易度を「高」に設定しています。その理由としては一般管理費の節減については、第1期中期計画期間に37.7%、第2期中期計画期間に23.8%と既に大きな削減実績を上げております。第3期中期計画においては監査業務の本部一元化や非公務員化による費用増に加え、消費税の増税や電気料金の単価上昇などによる影響が見込まれる中、更に5%削減することは困難だと判断したためです。定量的指標について詳細は後ほど御説明しますが、QC活動奨励表彰応募件数及び一般管理費の実績となっています。

 続きまして、主な業務実績について御説明します。ページの右側を御覧ください。(1)効率的な業務運営体制です。本部による病院支援・指導機能の強化についてです。本部組織体制の見直しとして、法人全体の情報セキュリティレベルの向上や、診療情報データベース利活用推進等のために、情報システム統括部の新設、更に医薬品等の共同調達の推進や医療機器の共同調達の効率化のため、調達課の新設を平成28年度中に検討し、本年4月に設置しました。

 ○の2つ目、内部統制や外部監査等の充実についてです。国立病院機構内で顕在化したリスク事象等の実例を洗い出し、リスク事象ごとに発生可能性及び影響度により、リスク評価した「リスク事象リスト」について、定期的に内容の見直しを行い、法人全体で情報共有を行うことで内部統制の取組を推進しております。

28ページを御覧ください。(2)効率的な経営の推進と投資の推進です。地域のニーズに対応した効率的な経営の推進についてです。こちらは外部環境や内部環境、経営状況等を分析するための経営分析ツールの中で、患者数推計・医療圏の動向等を更新しまして、引き続き全病院に提供しております。特に、平成28年度は高額薬剤による材料費の高騰を鑑みまして、経営分析ツールの一環として、診療収益の伸びが実際にどの程度病院経営に寄与しているかを判断するための分析データを作成し、病院に提供しました。

 ○の2つ目、QC活動奨励表彰についてです。こちらは平成28年度も引き続き実施しております。青字であるとおり、応募病院数は昨年度から3病院増えまして、93病院となっております。定量的指標としておりますQC活動奨励表彰応募件数についてですが、こちらは平成25年度の実績から、5年で10%増加させる計画としています。平成28年度の実績ですが、ページ右上のグラフでお示ししたとおり、計画値282件に対しまして、実績は237件となり、達成度は84.0%となっています。

28ページの右、○の1つ目、「調達等合理化計画」に基づく取組についてです。「調達等合理化計画」に基づき、随意契約の適正化の観点から、随意契約を締結することとなる案件について、会計規程等における「随意契約によることができる事由」に該当しているか否か、本部契約監視委員会において、原則全案件、事前に確認して、公正性及び透明性を確保しております。

 共同購入についてです。医薬品の共同購入について、市場価格をより反映させるための入札エリアの見直しを行いました。ここでいうエリアとは、東北地方や関東地方などの地域区分のことを指しています。平成27年度は全国を6エリアに分けて行っておりましたが、これを入札区分によって、3又は9エリアに見直しを行いました。入札品目によっては、広域な地域に対応できないものの、一部の地域であれば価格競争力のある、地場卸業者などがおります。そういった業者が入札に参入しやすいように、地域区分の見直しを行い、価格の低下を目指しました。

 なお、ナショナルセンター及び労働者健康安全機構とともに、引き続き連携の上、実施しております。

29ページ、左上ですが、大型医療機器の共同入札について、CTMRIなど、大型医療機器10品目を対象とし、労働者健康安全機構及びJCHOと連携の上、引き続き実施しております。平成27年度は16病院21台であったのが、平成28年度は20病院28台まで拡大しております。

 収入の確保については、債権管理業務の効率化を図るため、医療未収金管理システムの円滑な導入に向け、仕様書の作成・システムの開発を行いまして、全てのパイロット病院(8病院)において、データ移行及び受入テストを実施し、導入後の債権管理業務の検証が完了し本稼働となったことから、パイロット病院以外の10病院にシステムを導入しております。

 ○の2つ目、情報セキュリティ対策の実施についてです。情報セキュリティ対策規程と、より詳細な17の手順書やガイドラインを作成整備しました。その上で、全国143病院の情報セキュリティレベルを向上させるべく、新IT基盤の整備を進めているところです。

 ページ右上の、一般管理費の節減についてです。一般管理費は、本部組織にかかる給与費、減価償却費を含む経費、全役職員にかかる退職給付費用などを言います。定量的指標としては、人件費を除いた一般管理費を平成25年度の実績から、5年間で5%を削減させる計画としております。平成28年度の実績ですが、計画値54,900万円に対して実績は54,400万円にとどめることができ、目標を達成して、達成度は100.9%となりました。以上のことから、当項目の自己評定は、定量的指標において、QC活動奨励表彰応募件数の達成度は、84%でしたが、一般管理費の節減については、達成度が100%以上であることと、難易度が「高」であること、その他の業務実績等も総合的に勘案し、B評価としています。以上です。

 

○松尾主査

 はい、ありがとうございました。それでは構成員の皆さんから御意見をどうぞ。

 

○亀岡構成員

 はい、どうもありがとうございました。27ページですが、難易度の高いということの理由の1つに、消費税の増税ということがあるのですが、増税はしばらくはないと思うのですが、消費増税というのは。

 

○国立病院機構理事(資金管理担当)

 すみません、26年度中期計画策定時の264月の消費税増税を加味した中で、この評価を加えているというところです。

 

○亀岡構成員

 そういうことですか。分かりました。

 

○国立病院機構理事(資金管理担当)

 はい、すみません。

 

○亀岡構成員

 それと、あと同じく27ページにあるのですが、効率的な業務運営体制ということで、ここで1つは病院に対する経営指導及び経営情報分析と非常に重要なことなのですが、1つは、これを実際に提供することによって、どういう効果があったのかということをお聞きしたい点と、もう1つは、各病院における業務キャッシュフローと財務キャッシュフローを分離管理するために、あるシステムを導入したと書いているわけですが、もともと今キャッシュフローを計算してみると、当然これは分けて表示されているわけですので、もともとは分離管理をされているのではないかと個人的には思っているわけですが、だから決算書を作れるわけであって、更にここでは業務キャッシュフローと財務キャッシュフローということで、あと投資のキャッシュフローについては述べられていないのですが、この辺のところと、それとあとすぐ下にあります病院・本部間の長・短の貸付制度の見直しということに書いてあるのですが、この辺について、従前されてなかったのかどうか、私はされていたかと思っているのですが、この辺の御説明をお願いできるでしょうか。

 

○国立病院機構副理事長

 最初のいろいろなデータ分析をしてやるということについては、例えば診療分析、DPCデータとか、いろいろチャートを作りまして、病院に対してその地域で自分たちはどの位置にあるのか、あるいはどれが強みになっているのかというのをまず見ていただきます。そうすると、病院が将来構想を考えるときに、これからどう強めようかというときに、この診療科は今の体制では厳しいのではないか、むしろ強いところを維持する。例えばある病院では、肺がんの手術が非常に多いと。ではこれを維持していかなければいけないと。でも、ほかに1人しかいない診療科の医師にそんなに負担はかけられないだろうと、そういうことを細かく分析して、在院日数と難易度というような形でお示ししたりして、全病院にお示しをするというようなことをやっております。

 また、調達関係もいろいろな病院と比較をして、貴院はこれだけ高いと伝える。あるいは各病院の委託費の単価を全部お示しするとか、そういうことをしっかりやっております。

 マネージメントシステムはおっしゃるとおりですが、ちょっと言いにくいのですが、いろいろな貸し借りが病院と本部間であります。短期貸入れのような運営費もあれば、設備整備費だとかいろいろなものをやっていますので、過去いろいろ新しい投資を行うために、投資費用を見直したりもしていますので、そうすると、要はいろいろな貸し借りがあります。これをエクセルシートだけではもう管理できないような状況になっていますので、しっかりとシステムで管理をしていくという意味でちょっとバージョンアップしたと言いましょうか、そういうものを導入させていただいてやったということです。

 

○亀岡構成員

 聞き方が悪かったのかもしれません。業務キャッシュフローと財務キャッシュフローの分離管理するためという、ここがちょっと、もう少し分かりやすく説明していただけないでしょうか。

 

○国立病院機構監事(石尾)

 財務は確かに借入れとかそれの返済とかがあって、本業でどれだけ稼いだかという業務キャッシュフローになると思うのですが、現場の病院の中では、実は非常に今年は成績が悪い病院が多うございまして、運転資金が恒常的に借りられている。かつ、設備資金も新規投資で借りた、かつ、賞与資金も借りたみたいなところで、どこから返していっていいのか、病院の中の資金繰りは1本になっているので、そこが非常に見えにくい。どれを優先して返していけばいいのかということが非常に見えにくくなっていて、業務管理上どこを効率化すれば、どの資金を優先的に返せるかということが非常に現場の中で分かりにくくなってきているような状況になってしまったので、特に短期資金については、キャッシュマネージメントシステムを入れて、このお金はいつまでに返してくれないと借金が増えてしまいますよとか、投資は投資で必ず投資資金としてヒモついてはいるのですが、それ以外のところとの分別をきちんと病院の中でさせるというような会計的というよりも病院の中の運営の適正化を図るための仕組みとして作ったということです。

 

○松尾主査 

 私のほうから、28ページで気になるのは、このQC活動の奨励表彰応募件数については、対前年度も、計画値もともに大幅に下回っているということで、その理由としてもうQCをやり尽くしたので余り出ないのか、QCでいろいろ提案して、表彰はしてもらったが、例えば賞金が少ないとか、あるいは提案した内容がきちんと病院の運営の改善に反映されていないので、モチベーションが上がらなくて減ったのか、この辺りはどういうように分析されているのですか。

 

○国立病院機構理事(資金管理担当)

 昨年、熊本地震がありまして、当グループの中で、やはり九州地方からの応募が例年多いわけなのですが、昨年、全国で40件減った中でいうと、九州の減少がその大半を占めていたということもあります。ですので、実際に横這いから若干減ったかというところだと思います。国立病院機構のQC活動はやはり成熟してきて、件数だけではなくて、実態に応じて非常に横の水平展開を図ったりとか、そういう部分でうまく機能が定着してきているのではないかというふうには判断しています。

 

○松尾主査 

 そういうことであれば、このQC活動でいろいろ提案をして提案した人たちが実際にこれで変わったという実感があるとか、満足度だとか、そういうことも今後調査していただくと、やった意味があるのか、ないのかというのがよく分かると思うのです。

 

○国立病院機構副理事長

 御指摘を踏まえて、何かそういう単純に応募件数だけではなくて、定性的な内容が説明できるようにしていきたいと思います。実際に今の話は、例えば1例を挙げれば、ある病院で経営改善の発表をしてくれたら、それにかなり問い合わせがあって、ほかの病院でも工夫をしてみようという実例が何件か出ていますし、冊子を配っておりますので、かなり参考になっていると思います。

 

○松尾主査

 共有はされているのですか。

 

○国立病院機構副理事長

 共有はされています。

 

○松尾主査 

ほかによろしいですか。それでは時間の関係で次に、では、どうぞ。

 

○斎藤構成員

 情報系と業務系のネットワークが、今回問題にされたと。今、分断されたのかと聞いてちょっとびっくりしたのですが、病院の経営をするにあたって、ITというのは非常に重要なものなのですが、多分、本業のほうに力が入ってきて、なかなかITのところまで予算が回らないのかなという気はいたします。前に確か、ITとか、そういう方たち、エンジニアたちを減少させたということを伺ったような気がするのですが、今、ITを利用し、さらにAIでかなり効率化が図れるようになってきているので、厳しい状況であることはよくわきまえておりますが、こちらへの投資、そして関心度を高めるということを是非お願いしたいなと思います。

 

○松尾主査

 では一言、お願いします。

 

○国立病院機構副理事長

 情報セキュリティはしっかりやっていかなければいけないので、3年前にできるだけ分離ということで、全体でやっている部分と、個々の病院がやっている部分があって、そこの部分についてはより厳しく分離し、次の全体改定のときは安全に業務系、情報系、分けたものにもしていきたいと。そして今、御指摘の点も踏まえて、いいものにしていきたいと思っております。

 

○松尾主査 

 ありがとうございました。ほかによろしいでしょうか。それではこの評価項目3-14-1を合わせて説明をお願いできますか。

 

○国立病院機構理事(資金管理担当)

 続いて評価項目3-1、予算、収支計画及び資金計画について御説明します。30ページを御覧ください。この評価項目は難易度を「高」に設定しております。その理由として、平成28年度の診療報酬改定は、本体改定率が0.49%のプラスであったものの、薬価改定率と合わせたネットの改定率は、0.84%のマイナス改定となっており、71入院基本料等の要件が減額されるなど、非常に厳しいものでした。

 その他、平成26年度に引き上げられた消費増税負担の影響等により、公的医療機関の半数が赤字となっているなど、病院経営をめぐる環境は厳しさを増しております。さらに、国立病院機構では、他の大半の独立行政法人では課されていない、国が負担することが原則となっている基礎年金の2分の1の部分である長期公経済負担のおよそ150億円を、自らの診療報酬で賄っており、非公務員化による労働保険料約50億円の負担増等の費用増加要因も抱えております。また、東京オリンピック等による建設需要の増大により建設コストが高止まりするなど、中期計画の策定時とは異なる外部環境の変化に対応しつつ、老朽建物の更新等を効率的に実施する必要があります。そのような状況下において、効率的に投資を実施することと、健全な経営を維持することの両面に配慮しつつ、経常収支率100%以上を達成することは容易ではないためです。定量的指標については、経常収支率及び医療機器整備、建物整備に関する中期計画期間中の投資額となっております。

 次に、主な業務実績について御説明いたします。ページの右側、(1)経営の改善です。○の1つ目、経常収支についてです。こちらは定量的指標になっておりますが、平成28年度は、新規患者の増や新たな施設基準の取得による診療単価の増等、経営改善に向けた努力を積極的に実施した結果、経常収益が前年比で102.5億円増加しております。一方で、共済年金と厚生年金の一本化に伴う事業主負担金の増や高額な新薬の使用による医薬品費の伸び、人件費の増の影響から、経常費用は前年度比で178.5億円増加しております。その結果、収益を上回る費用の増となり、経常収支は△68.4億円で、法人発足以来初めてのマイナス収支となり、経常収支率は下のグラフのとおり99.3%となっております。

 ここで、経常収支がマイナスとなった要因について補足させていただきます。収益面については平均在院日数が短縮化し、病床の回転率が上がり、効率化が進んでいます。これにより患者単価は上昇していますが、平均在院日数の短縮化を補えるだけの新入院患者数を確保できておらず、結果として平均入院患者数が減少し、病床利用率が低下している状況です。平成28年度実績においては単価の上昇に伴う収益の増加が、患者数の減少に伴う収益の減少を上回っているため、収益は102.5億円増加しましたが、楽観視できない状況と考えています。また、費用増については、特に看護師の育児休業者や夜勤免除者が大幅に増えており、それを補うために人員を増やしている状況にあります。施設基準など、収入には直結しない増員のため、人件費のみが伸びてしまっている状況です。今後は人員配置の適正化など、今まで以上に取り組む必要があると考えています。

31ページを御覧ください。病院の経営改善計画の実施及び支援についてです。投資を計画する病院は、資金計画及び償還計画を作成することとしております。特に資金不足が見込まれる病院については、財務データ・診療データ等を活用した経営分析に基づく経営改善計画を作成することになっております。平成28年度は、経営改善計画を作成した97病院のうち29病院の経常収支が改善し、前年度を上回ったところです。なお、平成28年度期中において法人の経常収支の悪化が見込まれたことから、平成29年度以降の経営改善を推進するために、病院ごとの個別事情をより重視したきめ細かな経営指導が実施できるよう、本部・グループの機能・体制の在り方の検討を行うとともに、各病院に対して病棟機能の見直し、人員配置の適正化、医薬品・医療材料の削減等を例示し、経営改善の具体的取組を促すなど、本部・グループ・病院が一体となって取り組むこととしております。

 (2)の医療機器・建物整備に関する計画です。医療機器・建物への投資についてです。こちらは定量的指標となっておりますが、右側のグラフを御覧ください。いずれも計画値には達しておらず、医療機器整備は達成度73.3%、建物整備は達成度56.3%となっております。実績額と契約額の乖離の要因として、医療機器については、主に大型医療機器の共同購入をはじめとする調達の効率化による費用削減の効果や、平成26年度4月の消費増税を見据え、平成25年度に前倒しして集中的に投資が行われたことによるものであり、各病院から協議のあった平成28年度整備予定機器については、全ての整備を行っております。

 ページの右上は建物についてです。こちらは東日本大震災の復興事業や東京オリンピックの開催に向けた建設需要の増大により、資材及び労務費の建設コストが高止まりするなど、第3期中期計画の策定時とは異なる外部環境の変化によって、入札不調・不落が増加しており、予定どおりに進んでおりません。これらについては、整備内容の見直しやフレックス工期の導入、立体駐車場や職員宿舎等のデザインビルド方式の導入、入札条件の緩和といった方法など、可能な限りの努力を尽くしております。価格高騰の状況にあっても、法律で定められた耐震化に関する工事をはじめ、必要な施設整備は着実に進めているところです。

 先ほど申し上げた取組を実施した結果、これまでに不落・不調などにより計画どおり進捗しなかった15件の整備については、平成28年度に契約することができ、それらの契約額は2939,000万円になっております。また、落札件数についても平成26年度が19件、平成27年度が18件であったところ、平成28年度は56件となっており、取組の成果は着実に出ていると言えます。なお、必要な整備は進めているものの、計画額を達成できないという事実はあります。ただし、計画額を達成するために価格が高騰しているこの現状において必要以上に整備を進めてしまえば、それは将来に多大な負債を負うことになり、法人の存続に関わる問題になってしまいます。経営の状態を見つつ、バランス感覚を持って進めていくことが、最も重要だと考えております。

 以上のことから自己評価は定量的指標において、いずれの指標も計画を達成できておりませんが、難易度が「高」ということからB評価としております。

 

○松尾主査

 最後の項目も簡潔に、12分でお願いします。

 

○国立病院機構企画役(職員担当)

 最後の評価項目4-1、その他主務省令で定める業務運営に関する事項について御説明いたします。32ページを御覧ください。この項目では、人事に関する計画と広報に関する事項について、年度計画に定めております。主な業務実績について御説明申し上げます。

 (1)人事に関する計画です。○の1つ目、研修の実施についてです。こちらは有為な人材育成や能力の開発を行うため、国立病院機構本部研修委員会により研修計画を策定し、引き続き実施したところです。平成28年度は、職場環境や医療を取り巻く状況の変化に柔軟に対応するため、新たに、薬剤部()長研修、情報セキュリティ研修、障害者虐待防止セミナー、重症心身障害児()医療に関する研修、認知症ケア研修を実施いたしました。本部とグループで行った研修の実施状況については、青字で記載しているとおりです。

 ○の2つ目が、障害者雇用に関する取組についてです。平成27年度につきましては、昨年の1231日時点では、法定雇用率を達成していました。しかしながら、基準日である61日時点では2.29%と、未達成の状況でした。これが平成28年度においては61日時点、基準日において2.30%と、法定雇用率を達成し、障害者雇用に関する取組を着実に進めています。ちなみに、平成29年度も2.33%と、法定雇用率を達成しています。

 続いて右上の定量的指標としている、技能職の純減数についてです。まず、技能職の純減数を定量的指標として設定している趣旨を御説明申し上げます。技能職とは、そもそもボイラー技士や調理士等を指しているわけですが、当該職種はアウトソーシングでの効率化が可能な職種であると考えているところから、業務の効率化の観点からも目標値として設定しています。また、平成28年度の計画数を17名としております。他の年度と比較して著しく少なくなっていますが、これについて若干説明申し上げます。我々はもともと国家公務員でしたので、非公務員化になった際においても国の再任用制度に準じて、定年退職後に退職共済年金受給開始年齢に到達するまでの間、希望者全員をフルタイム等の職員として再雇用しています。平成27年度に60歳定年を迎えた職員の退職共済年金の受給開始年齢が、61歳から62歳へ引き上げられるタイミングだったことから、平成28年度においては再雇用期間の満了を迎える職員がおらず、恐らく退職者が減少するのではないかと想定していたのです。結果的に再任用制度の2年目の利用者が少なかった等の事情があり、計画数17名に対して、これを大幅に上回る60名の純減となり、結果的に達成度だけを見れば352.9%となっております。

 最後に、(2)の広報に関する事項です。○の1つ目が「NHO PRESS」の創刊についてです。広く国民の理解を得るため、新たに外部広報誌「NHO PRESS」を発行し、外来の待合室や病棟を中心に、また自治体や連携先医療機関にも配布しています。○の2つ目が、プレスリリース配信サービスの利用による情報発信についてです。メディアに掲載される可能性を高めるため、共同通信のPRワイヤーを活用させていただいております。そういったプレス配信サービスも導入したところです。

 以上のことから自己評価は定量的指標において、達成度が100%以上であり、所期の目標を達成していることからB評価とさせていただきました。

 

○松尾主査

 では、御意見をよろしくお願いします。

 

○亀岡構成員

2つあります。1つは、経常収支がマイナスということで、理由は御説明のとおりでよく分かったのですけれども、経常収支がマイナスというのは、やはり絶対に避けなくてはいけないことではないかと思っています。それに対する1つの見解と、もう1つは投資のほうがなかなかうまくいかないということです。これはやむを得ないと思うのですが、どうしても予算との比較の評価なのです。予算との比較の評価が果たしていいかどうかは、私自身が今悩んでいるのです。むしろ本来ならこうあるべきだというのが別途あって、それに対してどうなのかという1つの評価をしていただくと良かったかと思っております。

 

○松尾主査

 では、簡潔にお願いします。

 

○国立病院機構副理事長

 経常収支がマイナスというのは、いろいろな努力をしてギリギリだったと思いますので、今後はそれを改善していきたいと思っております。投資については、中期計画期間の途中で評価基準も変わったので、5年前に決めた指標を今も継続して使用していることについてどう考えるか。投資の実績値については、むしろ適正な量になっているのではないか。計画値を決めた5年前と現在では投資を取り巻く環境が変わっており、必ずしも実態に合っていないため、これらは実績値で見ていただいたほうがいいかと思っております。先ほど斎藤構成員から病院の投資案件のご質問がありました。昭和54年以前の旧耐震基準の建物が病棟で言いますとまだ17%、約8,000室ぐらい残っておりますから、改善していきたいのですけれども、今回、そのうちの608床のみ投資を決定したということです。残りの病棟に関しては、経営の問題も含めて先送りになっているので、そこは全部やっていきたいと思っております。

 

○斎藤構成員

 経常収支は確かにマイナスですが、この環境下でこの数字というのは、私は大変良い立派な数字で、定性的な評価ではAを差し上げたいぐらいの努力をしていただいたと思います。

 

○富田構成員

 私たちの病院グループは経常収支がマイナス98億円なので、経常収支について大きいことは言えません。ここにある人件費の増が最大要因だと思います。私たちも一番大きな要因は看護師増です。先ほどもおっしゃいましたけれども、我々も看護師は若い人が多いので、産休・育休で看護師の11.4%、6歳まで、短い時間の勤務でいいという育児短時間制度を導入していて、その取得者が8.5%、看護師の20パーセントがそのような体制になっているのです。これは普通の会社なら経営できないような状態ですが、それを必死に耐えているのです。多分、国立病院機構も同じだと思います。

 しかし、これで得られることは、間違いなく子供が増えているのです。私たちの病院グループでも10年前と比べると、毎年生まれている子供の数が約1.5倍増えています。少子高齢化に最も貢献しているのは病院という職場です。ですから、是非この厳しい経営環境を改善する施策を求めて是非、皆さんも声を挙げてください。よろしくお願いします。

 

○松尾主査

 数値目標だけから見ると、この基準で言うとCですが、今のお話にあったように、非常に厳しい病院経営の環境から見ると、1段階アップということでよろしいのではないかと思います。あと、建物や医療機械の整備ですが、先ほどおっしゃったように、平成25年度に消費税を見越して先行投資をしてしまったということであれば、目標計画値が最初からもっと低くても良かったのではないかとも感じました。そういうことで、今後、よろしくお願いしたいと思います。いつもそうですけれども、今日もたくさんの意見を言っていただきました。いつもだと途中で1回休みを入れるのですが、今日は休みを入れる暇もなく終わってしまいました。

 それでは法人の監事から、業務の監査結果についての報告の説明を頂くことと、監査等を踏まえた現在の法人の業務運営の状況、今後の課題、改善方針についてのコメントをお願いいたします。

 

○国立病院機構監事(伊勢)

 まず、監査の結果について申し上げます。監査の結果については、財務諸表の資料の1-4に監査報告書が添付されておりますので、そちらを御参照いただきたいと思います。平成28年度の国立病院機構の業務の監査に当たっては、監査計画に基づき理事長、理事、内部監査部門、その他の職員との意思疎通を図り、役員会等の重要な会議に出席し、必要な情報を収集して行ってきました。また、財務諸表及び決算報告書について検証するに当たっては、会計監査人からその職務の執行状況について報告を受けつつ行ってきました。監査の結果として、法人の業務は、法令等に従い適切に実施され、中期目標の着実な達成に向けて、効果的かつ効率的に実施されているものと認められます。役員の職務の執行に関する不正な行為、又は法令等に違反する重大な事実は認められませんでした。また、財務諸表及び決算報告書に関する会計監査人の監査の方法及び結果は、相当であると認められます。以上が監査の結果です。

 次に、法人の業務運営の状況について、あるいは今後の課題について申し上げます。国立病院機構では、監事、会計監査人による監査に加え、内部監査のための組織を設けて定期的な監査を行うなど、適切な業務運営に努めていると考えております。独立行政法人通則法の改正を踏まえ、平成27年度においては内部統制に関する諸規程を整備しました。これを受けて平成28年度においては、理事長の法人運営方針及び指示の徹底など、内部統制システムの充実・強化に努めたところです。また、国立病院機構が抱えているリスクを洗い出し作成した、リスク事象リストを法人全体で共有し、リスク管理を活用した内部統制の取組を推進するなど、内部統制に関する取組は着実に進んでいるものと考えております。

 平成28年度においては、ただいまも御指摘がありましたように、国立病院機構全体の経常収支が法人発足以来初めての赤字となり、経常収支率100%を達成することができませんでした。しかしながら、先ほど来、構成員の先生方からも御指摘いただいたように、ほかの医療法人においても大変厳しい経営を強いられている環境の中で、国立病院機構においては国からの負託を受けた責務を果たすべく、真摯に経営目標に取り組んでいることについては、監事監査を通じて確認しているところです。種々の収益向上並びに経費抑制努力もかなわず、経常赤字、赤字決算を余儀なくされましたが、監事としてその業務運営状況は評価されるべきものと考えております。

 かかる厳しい経営環境の下で、更に情報セキュリティ対策として個人情報漏えい事案等を踏まえた国などからの要請や、サイバーセキュリティ基本法案の改正等への対応を適切に行わなければならないなど、法人運営はますます困難を極めていくものと認識しております。監事としてはこうした状況下においても、引き続き国立病院機構に課せられた使命を果たしていくため、業務運営に係る不断の改善の取組を行い、業務の適正を確保し、将来にわたって安定的な法人経営を行っていくことが重要であると考えております。

 

○松尾主査

 続いて、法人の理事長から、現在の法人の業務運営の状況、今後の課題、改善方針等についてコメントを頂ければと思います。

 

○国立病院機構理事長

 理事長の楠岡でございます。独立行政法人化後2回の中期計画を経て、現在第3期中期計画の4年目に入っております。3年目であった平成28年度の業務実績については、ただいま各担当より御説明申し上げたとおりです。これまでの法人の実績としては、医療の提供、臨床研究、人材育成などを実施しながら、地域医療等に貢献し、医療情勢をめぐる環境の変化にも対応しつつ、職員一同努力を重ね、12期連続での黒字経営という結果につながっているもので、一定の成果が得られたものと自負しております。

 しかしながら、これまで同様の努力は続けてきたところですが、平成28年度については先ほど報告したとおり、法人設立以来、初めて経常収支が約70億円の赤字になった次第です。このような状況を踏まえ、これまで人事院勧告に準拠して給与改定を行ってきたわけですが、法人設立以来、初めて平成28年度の実施を見送ることとしました。この部分に関してはボーナス部分を除いた給与改定部分だけを本年4月から実施しています。さらに、経営の責任を果たす一環として、平成29年度には役員報酬の一部カットを実施しております。

 実質マイナス改定だった平成28年度の診療報酬改定、平成26年度に引き上げられた消費税の影響、建設コストの大幅な増額など、近年、病院経営をめぐる環境は厳しさを増しております。また、私どもには先ほども申し上げたとおり、平成28年度の非公務員化に伴う労働保険料の負担増など、費用の増加要因があります。さらに基礎年金の国庫負担に相当する長期公経済負担という年間約150億円、経常収益の1.5%に相当する他の独立行政法人にはない負担を課せられており、それを今、自己収入で賄っているという状況です。

 このような厳しい状況下においても、医療の質向上や患者の療養環境改善のため、健全な経営とのバランスを図りながら、老朽建物の更新等を実施していかなければならないと考えております。一方、熊本地震において法人の病院も甚大な被害を受けたのですが、先ほど御報告したとおり、法人全体一体となって早期に様々な救援活動を行い、被災者支援にも全力を挙げ、被災地の医療機能の回復に貢献いたしました。国立病院機構傘下の病院が、被災に遭った我々法人の病院を支援しつつ、被災地の復興支援にも貢献するという、国立病院機構のネットワークの強みを改めて再認識したところです。

 今後の課題ですけれども、来年の平成30年度は2025年に向けての大きなターニングポイントとなっております。第7次医療計画に基づく各種の取組の開始、診療報酬、介護報酬、障害者報酬の3報酬同時改定が予定されております。団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて、国を挙げて地域包括ケアシステムの構築と、地域医療構想の策定に向けた議論が進んでおります。国立病院機構内の個別病院においては、都道府県の地域医療構想調整会議における議論にしっかりと参画し、各病院が今後地域で担うべき医療機能について、明確化を進めているところです。

 このような中、平成28年度の診療報酬改定の状況を踏まえれば、平成29年度以降も病院経営は更に厳しくなると予想されます。このままでは当法人としても経営が更に悪化し、大幅な赤字が見込まれることから、経営改善をより一層推進する必要があると考えております。既に経営指導体制の強化に向けて、本部・グループ機能の在り方について検討を進めておりますし、今後は人員配置の適正化や費用削減等を例示し、経営改善により一層取り組むべく、様々な対策を講じていきたいと考えております。平成29年度は最低限、平成28年度の収支以上を目指しており、中期計画期間における収支相償を達成できるよう、職員一丸となって取り組んでいく所存でございます。

 終わりに、国立病院機構の使命である医療の提供、臨床研究、人材育成などを今後も的確に果たしていくこと、しかもそれらは、国からの援助を極力受けないで実施し、地域や社会に貢献していくため、引き続き、様々な課題の解決に取り組んでいきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○松尾主査

 ただいまの監事、理事長からのコメントについて何か御質問、御意見がありましたらお願いしたいと思います。

 ないようですので、どうもありがとうございました。それでは、国立病院機構の平成28年度業務実績評価に係る今後の取扱いについて、事務局から説明をお願いしたいと思います。

 

○政策評価官室長補佐

 本日、法人から説明があった業務実績及び自己評価については、構成員の皆様からいただいた御意見、理事長、監事のコメントなどを踏まえ、主務大臣評価を決定いたします。本日の法人に関しては指標の点以外にも御意見を頂き、対外的な説明の仕方などについてもアドバイスを頂きました。国の独立行政法人として横ぐしで確認・チェックを受けるという立場にありますので、改めて評価のルールに照らし、そういった御意見を踏まえた評価結果を決定していきます。決定した内容については、法人に通知するとともに公表し、後日、構成員の皆様にも送付させていただきます。

 最後に事務的なお知らせがあります。本日の資料は大量にわたりますので、郵送を希望される方は、机上にそのままにして御退席いただきますようお願いいたします。

 

○松尾主査

 先ほどもお話がありましたように、来年度からは更に厳しい状況が予想されますので、病院機構におかれては引き続き頑張っていただきたいと思います。今日は長時間にわたり、どうもありがとうございました。これで閉じさせていただきます。


(了)

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