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2017年7月27日 心身障害者扶養保険事業に関する検討会(第2回) 議事録

社会・援護局障害保健福祉部

○日時

平成29年7月27日(木)17:00~19:00


○場所

労働委員会会館612号会議室


○出席者

秋山構成員
久保構成員
駒村構成員
平松構成員
村山構成員
森構成員
米澤構成員

○議題

(1)心身障害者扶養保険事業の見直しについて
(2)その他

○議事

○駒村座長 定刻より少し早いですけれども、委員の皆様がお集まりになりましたので、ただいまからから第2回「心身障害者扶養保険事業に関する検討会」を開会いたします。

 構成員の皆様方には、御多忙のところお集まりいただきまして大変ありがとうございます。

 まず、議事に先立ちまして、事務局から構成員の出席状況について御説明をお願いいたします。

○齋藤補佐 事務局の齋藤でございます。本日はどうかよろしくお願いいたします。

 まず、構成員の出席状況につきまして御説明させていただきます。

 本日は、小竹構成員と野澤構成員が所用のため欠席となっております。

 次に、本年7月11日に事務局に人事異動がございましたので、この場をおかりして御紹介させていただきます。

 社会・援護局障害保健福祉部長の堀江にかわりまして、宮嵜が着任いたしました。まことに恐縮ではございますが、本日は所用のため欠席させていただいております。

 次に、本日の資料の確認をさせていただきます。お手元に第2回心身障害者扶養保険事業に関する検討会資料」と、参考資料1として、米澤構成員からの提供資料及び参考資料2として、心身障害者扶養共済制度(東京都)のリーフレットを配付しております。過不足がございましたら、お申し出ください。

 事務局からは、以上でございます。

○駒村座長 ありがとうございました。

 それでは、カメラの撮影はこれまでといたします。

(カメラ撮影終了)

○駒村座長 それでは、議事に入りたいと思います。「第2回心身障害者扶養保険事業に関する検討会資料」について、事務局から説明をお願いします。

○朝川企画課長 企画課長の朝川です。お手元にある横紙の束になっている資料でございます。

 1枚おめくりいただきまして、目次がございますが、今回の資料の構成としましては、まず最初に、前回御議論いただきましたことを踏まえて、簡単な論点整理をしてございます。これを見ていただいた後、前回、宿題として事務局がいただいております事項がございますので、幾つかデータを見ていただければと思います。それが2番から6番についてです。その後に、今回の事務局案としまして、幾つかシミュレーションをしてございます。その前提として、死亡率がどう変わっているかとか、運用利回りの状況がどうかとか、そういうものを見ていただいた後、財政収支等の見通しということで幾つかシミュレーションしたものを見ていただければと思います。後は参考資料でございます。

 3ページ目をご覧いただければと思います。

 まず、前回の議論を踏まえた論点整理についてということで、箱囲みの中でございますが、前回の改正、平成20年4月でございますけれども、それ以降、社会状況等の変化がございますので、それを踏まえて、本制度が安定的に持続可能であるかということで、状況の変化を5つ程挙げております。

 1つは、加入者数、これは保護者の方ですけれども、減少してきているということ。

 2つ目は、年金受給者、こちらは障害者の方ですけれども、その数が増えてきているということ。

 3つ目は、死亡率の変化、これは後ほど詳しくご覧いただきますが、年金の受給期間の延びがしっかり盛り込まれたものになっているかどうか。

 4つ目が運用利回りの推移ということで、これも詳しくは後でご覧いただきますが、現在、年金収支について、運用利回り2.8%という前提になってございますが、それが可能であるかどうか。

 最後に5つ目は、公費投入額及び期間ということで、現在の予定でいきますと、毎年92億円の公費投入を、平成62年度まで行うことになってございますが、その公費投入のあり方について、何か考えられる余地がないだろうかといったところが論点だと考えてございます。

 それに関しまして、その下は第1回の議論で出していただいた主な意見でございます。

 1つ目は、予期しないリスクの変化が事後的に発生すれば、それは給付で調整するか、保険料で調整することになるわけですけれども、年金受給期間が延びるかどうかといったことが一つのリスクであって、年金の債務に影響を与えるものでありますから、年金受給期間が延びているかどうかを確認することがポイントになります。年金受給期間の延びを盛り込んだ財政であれば、保険料等特段触る必要はないのではないかという御意見でございます。

 2つ目は、加入者の状況や死亡率などの各種データに基づいて、将来の収支予測を行う必要があるわけですが、場合によっては詳細なデータがないという場合もありますので、ない中でどう検証するのかが検討プロセスになるのではないか。各種データにより将来収支予測を行わないとわからない面もあるが、財務状況は概ね改善傾向であり、すぐに料率の見直しは必要ないのではないかという御意見。

 3つ目は、年金収支の運用利回りについて、ポートフォリオの大部分を占める国内債券の金利を考えますと、今後は2.8%を確保するのは難しいのではないかという御意見を主にいただいてございます。

 1枚おめくりいただいて、4ページ目でございますが、もう一つの大きい論点は今後の運営のあり方ということで、広報のあり方について御議論いただきました。論点としましては、民間保険にないメリットは何なのか、あるいは話題性のある発信方法で広報できないかどうか、具体的なターゲットを絞った紹介ができないかといった点でございます。

 前回いただいた御意見は、4つの○に書いてあるとおりでございます。

 次に、5ページ目でございますが、加入者等の状況について、これ以降、前回いただいた宿題の関係のデータでございます。

 まず、総括的なものとして、加入者の状況でございますけれども、実人員は4万5,000人強、平均年齢は73.6歳。障害者との続柄は、圧倒的に父母が多いという状況でございます。年齢としましては、60歳以上の加入者が9割近くを占めているという状況でございます。

 マル2でございますが、加入者に扶養されている障害者の状況としましては、実人員としては4万5,000人強いらっしゃって、平均年齢は43.5歳ということです。

 その下の表は障害の種別でございますけれども、この制度の歴史的経緯もあろうかと思いますけれども、知的障害者が一番多くて、重度、Aの方が28.1%、Bの方が39.7%ということですので、6割から7割の方は知的障害者の方であるという状況が見てとれます。

 マル3は、既に受給を開始されている年金受給者の方でございますが、実人員として4万6,000人強いらっしゃって、平均年齢は60.6歳。障害種別で見ますと、知的障害者が最も多く、57%、6割弱が知的障害者であるという状況でございます。

 1枚おめくりいただきまして、もう少し詳しくグラフで見ていくと、加入者の状況について、障害者との続柄を10年前と10年後を比較したグラフでございます。変化は余り大きくございませんけれども、圧倒的に父母であるということでございます。

 性別については、男性が多いということで、約8割は男性。

 7ページ目で年齢を見ますと、この10年間で新規加入者が少ないという影響が出ているということだと思いますが、高齢化している状況が見てとれます。

 下に参考としまして、昨年度の新規加入者の年齢構成の表をつけさせていただきました。平均年齢49歳ということですけれども、どの辺の年齢層が多く加入いただいているかということで見てみますと、40歳代あるいは50歳代前半あたりの方が新しく加入されているという状況が見てとれます。

 次に、8ページ目で、障害者の状況でございますけれども、性別としましては、この10年間でそんなに大きい変化はこちらもございませんけれども、男性が6割を占めているという状況。加入時の障害種別につきましては、知的障害者が7割弱、身体障害者が4分の1ぐらいという状況でございます。

 年齢も加入者と同じ傾向を示しておりますが、高齢化が進んでいる状況が見てとれます。

 表の方は、昨年度、新規加入された方の、障害者の年齢構成でございますけれども、5歳から19歳ぐらいまでといったところが多く加入されている状況が見てとれます。特に14歳以下が多いところを見ますと、小学生から中学生位の時に親が加入しているという状況が見てとれます。

 1枚おめくりいただいて、10ページ目でございますが、今度は障害の程度でございます。これは、現在の程度というよりも、加入時の障害の程度を見たものでございますけれども、まず上が知的障害で、重度の方が約4割。下が身体障害でございますが、1級の方が3割、2級の方が5割弱という状況でございます。

11ページ目で、障害者の就労の状況についてでございます。これはデータに制約がございまして、前回、宿題でいただいたものは、恐らく現在の障害者の就労状況がわかれば一番よろしいかと思うのですけれども、そこのデータがございませんので、昨年度、新規加入された障害者の就労状況を表にしてございます。見ますと、9割の方が就労していないということでございます。これは、先ほど見ていただきましたとおり、昨年度加入された方の多くは20歳未満の方が多数でございますので、おのずと就労していないという結果になっていると思われます。

 下の表は、就労している方の平均月収でございます。母数が30人ですので、必ずしも傾向が強く見てとれるというわけではないかもしれませんけれども、就労されている方の状況を見ますと、1万円未満の方が20%、10万円以上の方が36.7%という状況でございます。

 なおということで、参考に挙げておりますのは、一般的に就労継続支援A型の事業所を利用されている平均賃金は現在6万7,795円、B型の平均工賃は1万5,000円という状況でございます。

 次に、12ページ目でございますが、これも障害者の方の施設入所の有無についても宿題としていただいておりまして、現在の状況はデータがよくわからないので、昨年度加入された方について見ますと、97.3%の方は施設には入所されていないという状況でございます。

 次に、13ページ目は、年金受給されている障害者の状況でございますが、性別で見ますと、男性が54.6%、加入時の障害種別でいきますと、知的障害者が57.4%、身体障害者が37.6%という状況です。

 年齢については、こちらも高齢化が進んでいるという状況でございます。

 次に、14ページ目でございますが、受給者について、加入時の知的障害の程度、身体障害の程度でございますが、知的障害の程度、上のグラフでいきますと、重度の方が38.1%、身体障害でいきますと、1級の方が4分の1ぐらい、2級の方が約半分という状況になってございます。

 次に、15ページ目でございますが、受給者の平均受給期間を経年的に見てみたものでございまして、左のグラフは障害種別で分解してみたものでございます。ぎざぎざになってございますけれども、傾向としては、どの障害種別であっても平均受給期間は現在延びている最中ということでございます。障害種別ごとの特徴は、おおむね青いラインと赤いラインは両方が上に行ったり下に行ったりしている状況でございますので、基本的には同じような状況を示しているということだと思います。

 右側のほうは男女別で平均受給期間を見ているものですけれども、これもいずれも右肩上がりですので、平均受給期間は延びていて、足元では約18年ということです。傾向としては、女性のほうが平均受給期間は長い傾向にございますが、足元の数字だけ見ますと男女同じぐらいになっているという状況でございます。

 次に、16ページ目でございますけれども、この制度は下の参考の箱囲みにございますけれども、保険料免除という仕組みがありまして、65歳に達して、かつ20年以上継続して加入している場合は、保険料が免除されるという仕組みになってございます。各年度の新規年金受給者を対象に集計してみたところ、10年前と直近、昨年度、いずれも免除前に受給をされる方は非常に少ない。特にこの10年間で減ってございまして、いずれも免除後に受給されている方が大勢を占めているという状況が見てとれます。

 次に、17ページ目からは、民間の仕組みについて、調べさせていただいた限りで御紹介するというものでございます。

17ページ目、まず特定贈与信託の仕組みということで、前回、委員から、こういうものがあるのではないかということで紹介を受けて、調べてみたものでございますが、こちらは特定の重度障害者の生活の安定を図ることを目的に、親族等が金銭等の財産を信託するという仕組みでございます。信託銀行の方は、信託財産を運用して定期的に金銭を交付していくという仕組みでございます。

28年度の実績は1,633件、受託残高は384億円という状況になっているという紹介を受けてございます。

18ページ目は、今の仕組みは大分違う仕組みなので、比較がなかなか難しいですけれども、左右で当該制度と対比してみたものでございます。一番下の欄を見ますと、これはおのずとそうなるということだと思いますけれども、左側の特定贈与信託の場合は、信託財産が全額交付されたら、それで終了する。一方、共済制度の方は終身であるという違いがございます。

 次、19ページ目でございますけれども、民間保険の状況を幾つか調べさせていただきました。

 2つ目の○にございますけれども、生命保険会社によっては、一般的な生命保険で、被保険者の死亡等により、保険金の受取人に対して、保険金を一時金で支払う方法にかえて、希望者に年金で支払う対応を行っているところがあるということで、この共済制度と似たような仕組みが民間保険でもあるということでございます。

 A社の場合ということで挙げさせていただいておりますが、終身保険という形で行われているものがございます。それぞれ数字がございますけれども、民間保険ですので、いろいろな条件の設定が可能でございます。参考として、保険金額1,500万円の場合で、保険料の状況等を見ますと、こんな感じで設計されているということでございます。

 1枚おめくりいただいて、20ページ目でございますけれども、保険会社の中にはということですけれども、保険金の受取人が保険会社が定める所定の障害者である場合に、一時金で支払う保険金を割り増しされた年金額で支払うという特約をつけることができるものがあるということでございます。

 これもB社の例ということで、一つの例でございますけれども、保険金を一時金以外の方法で受け取ることができる特約を付加した場合の年金額を100とした場合、当該特約、障害者の特約を付加した場合の割り増しされた年金額は約146ということで支払いがされる特約がある例がございます。

21ページ目でございますが、そういうことで、民間生命保険(終身保険)の特色を整理してございます。

 民間の保険の仕組みと、この共済の制度の仕組みを単純に比較することは難しいと思います。あえて特色を挙げていきますと、2つ目の○でございますけれども、1つ目は、保障のバリエーションが豊富であるということが、こちらの扶養共済制度と大きく違うところだと思います。医療保障とか3大疾病保障との組み合わせが可能でございます。

 2つ目は、所得やライフスタイルに合った保険料や保険金額の選択ができるということで、いろいろなパターンが契約可能であるということが特色として言えるのではないかと思います。

 税制上の取り扱いについて見ますと、終身保険部分の保険料は、所得税・住民税について一般保険料控除の対象であるということでございます。年金については、受給権取得時、年金受取時、いずれも課税が原則になっているということでございます。

 次に、22ページ目、この心身障害者扶養共済制度の特色をいくつか整理してございます。

 1つ目は、都道府県・指定都市が条例に基づいて実施している制度であるということ。

 2つ目は、加入者が転居した場合でも同様の保障が受けられる。これは民間保険でもそうですけれどもね。

 3つ目でございますけれども、終身保険であるということ。

 4つ目は、制度の運営に関する事務経費といったものについて、付加保険料が民間では上乗せされるのが通常でございますけれども、こちらの制度は上乗せされていないということ。

 税制上については、掛金について見ますと、その全額が所得控除されるという優遇がされてございます。

 2つ目、脱退一時金以外の給付金は、所得税・地方税ともに非課税。年金、弔慰金、特別弔慰金については、相続税・贈与税ともに非課税という特色がございます。

 一番下は、年金、弔慰金、特別弔慰金については、生活保護の収入として認定されないという取り扱いになってございます。

 次に、23ページ目でございますが、公的年金の国民年金(障害基礎年金)と比較を試みてみたものでございます。公的年金とこちらの制度は、おのずと性格が違いますので、どちらかというと障害基礎年金があって、それにプラスアルファとして任意に加入するのがこちらの制度ということだと思います。

 次のページを見ていただきますと、公的年金の特色の一つは、2つ目の欄、真ん中辺にある給付月額の右側に※印が2つございますけれども、その2つ目の※印で書いてございます物価スライドあるいは賃金スライドといったものが公的年金制度にはございますが、こちらの制度にはそういったものはないということが違いとして言えるかと思います。

 また、下から2つ目の欄、財政方式も、公的年金は賦課方式でございますが、こちらの共済制度は積立方式ということでございます。

 次に、25ページ目でございますが、加入者を増やす取組として、幾つかの自治体で取り組んでいただいている広報の好事例でございます。

 基本的には、共通した取組をされておりますが、例えば真ん中の欄を見ていただきますと、東京都独自でリーフレットを作成していただいていて、市区町村の窓口で身体障害者手帳等の申請があった際は、そのリーフレットを配布するということをされていたり、あるいは全国に先行して、都立の特別支援学校にリーフレットを配布して、保護者の目につくところに掲示板の掲載をお願いしているということもされています。ちなみに、第1回目でも御紹介しましたけれども、国としても文部科学省と連携しまして、全国の特別支援学校にリーフレットの配布をするということを、今年度、させていただいております。

 他の自治体も同様に、職員の研修をしたり、手帳の申請時に紹介したりということをお取り組みいただいています。

 1枚おめくりいただいて、その結果、26ページ目、各都道府県・指定都市ごとに加入者の推移を見ております。網かけしているところが加入者を増やしているところでございまして、例えば東京都を見ますと、23人、37人、47人と増やしてきているということで、広報の取組の成果も1つあるのではないかと思われます。

 以上が前回いただいた宿題に対するデータでございまして、27ページ以降が財政シミュレーションについてでございます。その前提として、まず、7.死亡率についてでございます。

 ちょっと見づらくて恐縮ですけれども、まず左上のグラフを見ていただきますと、これは加入者、保護者の男性の死亡率について見てみたものでございまして、特に見ていただきたいのはブルーのラインと赤いラインでございまして、赤い方が10年前のこの制度の死亡率の実績値、男女計でございます。青い方が最近の男性の死亡率の実績でございます。したがって、赤いラインと青いラインを見ていただきますと、50歳より前のところは青いラインの方が上でございますが、50歳を超えたあたりから赤いラインの方が上、青いラインの方が若干下に来ておりまして、保護者の方の死亡率は改善している、下がっているという傾向が見てとれます。

 右上のグラフでございますが、同じことを女性の死亡率について見たものでございますが、赤いラインと青いラインを比較しますと、くっきりと赤いラインの方が上、青いラインが下に行っているかと思います。これは、先ほど見ていただきましたとおり、加入者の多くは男性であるということを割り引いて考える必要がございまして、赤いラインの方は男女計でございますので、死亡率で見ると男の死亡率の方が高いという影響が赤いラインに入っていますので、単純に赤いラインと青いラインを比較することはできないという制約はありますけれども、傾向として死亡率は改善傾向にあるということが見てとれます。

 今度、左下でございます。これは、障害者の方の死亡率の男性について見たものでございます。まず、オレンジ色と水色のライン、ほぼ重なっているので見づらいですけれども、見ていただきますと、オレンジ色が一番下にありますとおり、20歳前の公的年金、障害年金の失権率でございます。水色の方が26年、直近の失権率でございまして、概ね重なっておりますので、この10年間で死亡率について、そんなに変化はないという状況が見てとれるかと思います。

 こちらの制度の方に加入されている方の障害者の死亡率について見ますと、先ほどと同じような色ですけれども、赤いラインとブルーのラインを比較してみますと、ブルーのラインが直近の方です。これが非常に見づらくて恐縮ですが、若いところはブルーのラインが下に来ていますので、死亡率は下がっているということでございますが、50歳を超えたあたりからオレンジ色の下にブルーのラインが隠れてしまっているのですけれども、ブルーのラインの方は赤いラインより若干上がっているという傾向が見てとれます。死亡率が上がっているという状況でございます。ただ、若干ということでございます。

 右側の女性の方で見ますと、ほぼ全てのグラフが重なっていますけれども、ブルーのラインと赤いラインを見ますと、若いところはブルーのラインの方が下がっていますけれども、50歳を超えたあたりのところは、ブルーのラインが若干上にあるところがあるという状況が見てとれます。

 以上が死亡率の状況の変化でございます。

 次に、28ページ目で、運用利回りについてですけれども、まず保険収支の方は安定した推移を示しておりまして、9年間の年率、一番右側1.67%という実績でございます。

 年金収支の方は、これは信託での運用でございますので、年によって大きく変動がございます。9年間の平均は、一番右にありますとおり、2.92%ということで実績が上がっておりますけれども、直近27年度、28年度を見ていただきますと、1.22%、1.31%ということで、低めの運用実績になっている。これは国内債券中心に運用しておりますので、金利が下がっていることの影響などが出ているのではないかと思いますけれども、直近の実績は下がっているということでございます。

 次に、29ページ以降、財政シミュレーションをしてございます。シミュレーションする前提について、このページで整理してございます。

 まず、先ほど見ていただいた加入者の死亡率については、直近の数字、実績値を使ってございます。

 障害者の死亡率の方は微妙な感じでしたので、直近の実績でも計算しましたし、保守的に見込んで、10年前の実績値でも計算してみたという形になっています。

 運用利回りについては、今年度は今までどおり、保険の方が1.5%、年金の方は2.8%で計算しておりまして、30年度以降については3パターン計算しています。Aのパターンは、今までどおり。Bのパターンは、年金の方について運用利回り1.5%に下げるという前提で計算しています。Cのパターンは、金融庁が設定しております標準利率0.25%というものを使って、保険も年金もその運用利回りで計算するとどうなるかという計算をしています。

 次に、保険資産、年金資産については、28年度末時点のものを使っているわけですけれども、毎年度の運用収益を、19年度以前の方と20年度以降の方に割り振る必要がありますので、それは月次の平均残高で割り振ってみましたということでございます。

 これから新規加入者がどうなるかということは、予想できないところもありますので、保守的に計算するということで、仮に新規加入者はないと仮定した場合の計算をしてございます。

 公費投入額につきましては、今年度は今までどおり46億円ずつということでございます。30年度以降も、まずは同じように46億円ずつ、保険と年金の方に入れていきますけれども、最初に保険の方に入れる必要がなくなりますので、なくなった年度については、残っている部分は年金の方に持っていき、それ以降については、年金の方に公費を全額投入するという計算をしてございます。

 次の30ページ目が結果表でございます。

 上のほうが20年度以降の加入者、こちらは公費が入っていない加入者でございます。それについて、6つのパターンについて計算してみた結果でございまして、まず左上のところを見ていただくと、Aというパターン、現在の運用利回りと同じで計算し、かつ、加入者と障害者の死亡率は直近の数字を使うというふうに計算してみると、これはずっと積立金は枯渇しないという計算結果が出ましたので、安定しているということが言えるのではないかと思います。

 同様に、Aパターンのマル2、障害者の方の死亡率を昔の結果を使って少し保守的に計算してみても枯渇しない。

 Bのパターン、運用利回りを下げてみても枯渇しない。

 Cのパターンになりますと、マル1の方で枯渇のパターンが出てまいります。しかしながら、いずれも平成92年とか101年という遠い将来に枯渇するという計算結果でございますので、こちらは5年に一度、今回のように財政の状況を検証して、その都度、保険料率の見直しなどを考えていけば、財政的には安定しているということが言えるのではないかという結果と理解しています。

 下の方、平成19年度以前に加入された方については、公費の投入が行われているわけですが、それについての計算結果でございます。左の方は、現在の92億円のまま公費を投入し続けるという計算をしてみたものでございまして、左上を見ていただきますと、現在の運用利回りで運用して、加入者と障害者の死亡率をいずれも直近のものを使って計算してみると、公費の投入が終了するのが平成54年度という結果になっております。現在の見通しは、平成62年度まで公費を投入するということになってございますので、それと比べますと公費の投入は少なくて済む、短くて済むということで、財政状況は好転しているという結果だと思います。

 左下のところのAのマル2、障害者の死亡率を少し保守的に見込んでみますと、公費の投入終了年度が平成61年度でございまして、現在想定している62年度と比べて、ほぼ同じ時期で終わるということでございますので、このパターンで計算しますと、今までどおりの状況であるということが見てとれます。

 一方、年金のほうの運用利回りを現在よりも下げて計算してみたBのパターンでいきますと、マル1の死亡率で計算しますと平成59年度まで、マル2のパターンだと平成66年度までという結果が出ておりますので、おおむね今までと同じような結果になっていると評価できるのではないかと思います。

 Cのパターンまでいきますと、運用利回りを0.25まで下げますと、公費の投入期間は大分長くなりまして、平成65年度までと72年度までという結果が出ています。

 右下の表は、今度は公費の投入期間を、今見込んでいる平成62年度までと固定してみると、毎年度投入しなければいけない公費投入額は幾らになるかということを計算したものでございます。傾向は左下のものと同じことになっているわけですけれども、A-マル1のパターンで見ますと、毎年76億円で済む計算になります。A-マル2のパターンですと91億円、B-マル1だと85億円、B-マル2だと101億円、Cですと101億円と120億円という結果になってございます。

31ページ目以降は、今の計算結果をそれぞれ経年的に、ブルーのラインは各年度の収入の推移、赤いラインは各年度の支出の推移。結果として、緑色の棒グラフは積立金の水準がどうなるかということを、長期にわたって計算してみたものでございます。この31ページ目は、緑色の棒グラフ、いずれも余り下がらずに、例えば、右側のほうの年金収支の方で見ますと、どんどん積み上がっていく計算になっておりますので、財政的には安定している結果になっていると思います。

32ページ目も、緑の積立金の額は若干水準が下がっていますけれども、長期的に安定している結果が出ています。

33ページでございますけれども、左側の保険収支の方の積立金は途中で枯渇しているというのが、遠い将来ですけれども、見てとれるかと思います。同様に、右側の年金収支の方も、遠い将来ですけれども、枯渇しているのが見てとれるかと思います。これは、先ほど表で見ていただいたものを視点を変えて見ているだけなのですけれども、そんな傾向が見てとれます。

 今までのものは20年度以降の加入者について見たグラフで、34ページ目以降は19年度以前の加入者、公費投入している方々の推移でございます。34ページ目は、安定した積立金の推移になっているということだと思います。右のほうの水準が下がってきていますのは、これは19年度以前の加入者ですので、だんだん人数が少なくなっていきますので、その影響です。

35ページ目も基本的には同じような傾向をたどっていますけれども、36ページ目が少し特色のある図になっていまして、C-マル2、右下のグラフを見ていただきますと、積立金の緑の棒グラフが1回ずっと下がっていって、平成50年代、60年代ぐらいのところで水準がかなり下がる。その後、またちょっと上がっていくというカーブになっておりますので、トータルで見れば枯渇しないという結果になっているわけですけれども、途中の年度で大分水準が下がってしまうという結果が出ているので、こういったところには少し留意する必要があるのではないかと思われます。

37ページ以降も基本的には同じような計算をしておりまして、次に40ページ目をごらんいただければと思います。こちらの表は、公費投入額を変えてみて、それぞれのパターンで計算してみるとどうなるかという結果でございます。

 左上は、公費投入額が現在92億円ですけれども、76億円に下げて計算してみるとどういう結果になるかということでございますが、A-マル1のパターンは、平成62年度まで、現在と同じ年度まで公費投入を続ける必要がある。それ以外のパターンは、延びるか、あるいは年金のほうが途中で枯渇してしまうというパターンになってございます。

 右上の公費投入額を85億円までにすると枯渇パターンは大分減って、右下C-マル2のパターンで平成49年度に枯渇するという結果が出ています。

 左下の91億円に投入額を変えると、今、92億円ですから、余り変わらない状況が結果として出てくるということでございます。

41ページ目、42ページ目、43ページ目は、この計算結果を少し視点を変えてグラフを描いていたみたものでございます。どういうグラフかといいますと、左上のグラフの縦軸のところ、横になって見づらいですけれども、漢字のところを見ていただくと、給付現価から収入現価を引いたものを分母にして、分子に保険資産を置く。その計算結果ということです。ただ、一番下に注書きを書いてございます。※2を見ていただきますと、収入現価から公費の投入現価、将来投入する公費の部分を除いて計算しているものでございます。

 結果を見ますと、責任準備金に近いものなのですけれども、この公費投入額については、あくまでも将来の分は足元に計算を入れていないという責任準備金的な計算をしているということでございます。結果を見ますと、公費の投入を将来の分を足元で入れていませんので、1の水準に達していませんで、左上で行くと0.6前後のところに今あるという状況で、徐々に公費の投入が毎年されていきますので、平成40年度ぐらいのところから公費の投入が十分終わって、1の水準に到達するというグラフになっています。

 左上はよろしいのですけれども、右上のグラフを見ていただきますと、A-マル1から青と赤と紫、その辺のグラフは、足元の積立水準は0.4とか0.3とか、低いところにありますが、徐々に上がっていくパターンで結果が出ておりますが、オレンジ色のようなC-マル2のパターンでいきますと一旦下がって、平成50年代、60年ぐらいまで、かなり低いところまで落ち込んでから上がっていくということになっているのが見てとれるかと思います。これは、公費投入額を毎年92億円ずつ入れたパターンでございまして、その下は91億円、状況は余り変わりません。

 次のページが公費投入額を85億円と76億円に下げてみると、ということでございますが、いずれも年金収支、右側のグラフを見ますと、途中でグラフからはみ出てしまうというか、ゼロになってしまうという計算結果が出てきてしまうということでございますので、こういうグラフから見ますと、公費の投入額を大きく減らすと将来的には少し不安な状況が生じるという結果になっているのではないかと思います。

43ページ目は、平成20年度以降の加入者について、これは公費投入されていない方々ですけれども、同じような計算をしてみたものでございまして、左のグラフは、おおむねオレンジ色と緑以外、Cのパターン以外は1を上回る水準で、40年代以降はこのグラフから突き抜けて上に行っていますので、安定しているという状況が見てとれます。厳し目に見たものでも、C-マル2でも途中から上に上がっていく、1から下がることはないという結果になっていまして、C-マル1のパターンだけが途中から下がっていきますので、財政的にはおおむね安定しているのではないかと思います。

 右側、年金収支の方を見ましても、オレンジ色と緑のライン以外は、みんな1を上回って推移していますので、こちらを見てもおおむね安定している状況が見てとれます。

 以上でございますが、どんな参考資料がついているかだけ御紹介しますと、45ページ目は、20歳前と20歳以降で、年金と手当でどんな状況の制度になっているかというものでございます。

46ページ目は、障害者に対する手当が4種類ございますけれども、それぞれの制度の概要でございます。

47ページ目は、障害者の数についてでございまして、推計でございますけれども、障害者の総数8587,000人ということでございます。左側が障害種別ごとに在宅施設にどれぐらいの人数がいらっしゃるか。右側は、年齢別にどうなっているかを見たものでございます。

48ページ目は、就労継続支援A事業所の平均賃金の推移。

49ページ目は、B型の平均工賃の推移を挙げてございます。

 ちょっと長くなりましたが、事務局からの説明は以上です。

○駒村座長 ありがとうございました。

 重要なデータ、それからシミュレーションが出てきました。議論は、このシミュレーションやデータの関係を中心にしたいと思います。前半、後半を分けて議論すればと思っていますので、どうでしょうか。前半部分では、30ページで分けましょうか。30ページ以降はシミュレーションですから。30ページの前ぐらいまででいかがでしょうか。運用利回りのところまででいかがでしょうか。御質問とかコメントとかありましたら、ここまでのところで御発言いただければと思いますが。

 興味深いのは27ページですね。ここが死亡率の動向ということですので、この点をどう読みとるかということで財政の安定性にはねていきますので、読み方とか解釈があれば御発言いただければと思います。どこでも結構です。

 では、どうぞ、お願いします。

○村山構成員 27ページの加入者の死亡率のところですが、50歳を超えたあたりから死亡率が改善しているという御説明でした。この年金給付が開始されるのは加入者が亡くなってからですので、加入した方が長生きすればするほど年金の開始が遅れますので、財政的には改善される。

 それから、下の障害者の男性の50歳を超えたあたりから死亡率が上がっているということは、こう言っては失礼ですが、年金をもらっている方が早くお亡くなりになるということで、財政的には改善される方向です。ただ、御説明にもありましたように若干ということで余り大きな差はないですので、必ずそうなってきているかどうかはわからない。

 例えば、少し違った見方ということで、15ページの受給期間を見てみますと、御説明にもございましたが、長くなってきている。これは、開始年齢の関係もあるでしょうから、少しわかりにくいところもありますが、必ずしも死亡率だけではリスクが読みにくいところがあるということは気をつけなければいけないのではないかなと思います。

 私の気がついたところを申し上げました。

○駒村座長 27ページの男性の方を見ますと、加入者の死亡率は改善してきていて、障害者の方は非常に残念ですけれども、死亡率が少し悪化している、上昇しているというのが見てとれるので、これだけ見れば財政的には安定するように向かっているんじゃないかということですけれども、一方で平均受給期間は延びているということですね。こっちを見ると、必ずしも安心できる情報ではないと。これは、事務局はどういうふうに見ていますか。

○大西補佐 今回の死亡率を基に、平均受給開始年齢である50歳の平均余命を見ますと、25年から30年ということですので、今後も平均受給期間はしばらくの間延び続けるのではないかと考えております。こちらの制度は、まだ制度の成熟途上でございまして、これから受給者の方が徐々に増えていき、そのような過程の中で平均受給期間も延びていくと考えております。

○駒村座長 他はいかがでしょうか。

 国民全体の27ページの簡易生命表と加入者の状況を見ると、加入者の方が若干でも死亡率は低いのですね。だから、リスクの低い人が加入しているという傾向は、この制度の中では見られるのかなという感じですかね。

 あと、これを見ていて、国民年金の20歳前障害の方の動きと、この実データの動きで乖離がないかどうかということですけれども、かなり重なっている部分もあるのですけれども、ちょっと気になるのはデータ数の問題を確認した方がよくて、これが十分なデータ数かどうか。要するに、国民年金の失権率の方がかなりのデータ数だと思いますから、こっちは安心できますけれども、こちらの制度は人が少ないですから、そういう意味では余り多くのデータじゃないんじゃないかという疑問も持たれてしまうかもしれない。この辺はどうなんでしょうか。どのぐらいのデータ数で見ているんでしょうか。

○大西補佐 データ数といたしましては、確かに御指摘のとおり少ないということで、今回、実績の死亡率をつくる際に用いるデータを前回の3年から5年へと延ばしております。そうしましても、多いところで1万件程度となっております。

○駒村座長 それまでずっと小さめのデータということで、データの幅の中で評価しなければいけないということは考えなきゃいけないということですね。

 ほか、ここまでについて、いかがでしょうか。

26ページの自治体別の加入者数の推移について、今後どう対応していくのか。東京は、それでもある程度加入者が出ているようですけれども、ほぼゼロに近いようなところも幾つかあって、静岡市はしばらくゼロ、岡山もゼロですけれども、この辺は制度の周知の問題なのか、別の特殊な問題なのかということも後で議論しなきゃいけないですけれども、米澤先生、ここまでで何かありますか。

○米澤座長代理 運用利回りの話、よろしいですか。

○駒村座長 お願いします。

○米澤座長代理 それでは、28ページをちょっと見ていただきたいと思います。それから、その数字を用いてシミュレーションしているわけですが、今日、私の方でお配りした参考資料1をご覧になってください。1カ所ミスがあるので、そこも直していただくことも含めて、参考資料1ですね。

 現在、福祉医療機構の方では運用利回りは2.9%と私は理解しております。ここでは、シミュレーションとしては2.8%となっておりますが、目標としては2.9%のポートフォリオを策定していると理解しております。それはどのような格好で策定しているかというと、参考資料1を見ていただきたいのですけれども、これは公的年金積立金の運用の際のデータをそのまま用いております。それで、この表の中の国内債券、国内株式、外国債券、外国株式の4資産で運用しているわけですが、福祉医療機構さんの方では、配分比率は国内債券が74.5%、国内株式・外国債券・外国株式は全部同じく8.5%、合計100%で運用しています。

 問題なのは、そのときの期待収益率をどのように見込んでいるかというと、結論から言いますと、赤字で書かれております国内債券が2%、国内株式が5.8%、外国債券が4.1%、外国株式が7.2%という数字を用いています。この数字が、GPIFが採用しております期待収益率になっております。単純に上のウエートで計算しますと、運用利回りは2.94%になります。それで、実際、運用利回り2.9%で運用されていると理解しております。私が前回言ったのは、特に国内債券の2.0%の運用が今後難しいんじゃないだろうかということです。

 実は、これは公的年金でも大変じゃないだろうかと思うかもしれませんが、公的年金の場合には仕組みがあって、賃金上昇率が2.7%とありますね。賃金上昇をどのぐらい上回るかというのが公的年金の財政に影響しております。ですので、この2.7%が、御存じのように賃金が上がっていますので、仮に0%と置いた場合には、各資産の期待収益率である2.0%、5.8%、4.1%、7.2%から全部2.7%を引いた値で評価できるという仕組みがあります。要するに、公的年金の方は、2.7%の賃金上昇率をどのぐらい上回るかが、実際の年金財政に影響を与えているということなので、そういう意味で考えますと、2.7%というのはそんなに意味のある数字じゃなくて、相対的な差がとれればいいということになっています。

 それに対して、福祉医療機構の方はその仕組みがないわけですね。絶対水準でとらなきゃいけないということなので、話を整理しますと、改めて国内債券が2.0%というのは厳しいなということです。

 もう一度、公的年金の方へ行きまして、さっき言った賃金上昇率である2.7%がゼロだとしますと、国内債券の2.0%から2.7%を引いたマイナス0.7%でいいということになって、それはかなり現実的になっているわけです。繰り返しますけれども、我々の方は対賃金上昇率の相対概念はここでは許されないので、そこのところをちょっと計算し直したほうが、今後合理的ではないだろうかというのが私の考えです。

 実は、この上の福祉医療機構さんのポートフォリオの時も私が関与して作ったのですけれども、その時は2.7%ぐらいの賃金上昇率になるのかなという甘い考えがあったのですけれども、どうもそれは当分なりそうもないとなりますと、では、どうするかということで、ここに書いてある賃金上昇率は全くゼロの場合と、それから、私自身は一番現実的だと思っています1%という、この2つのケースをつけ加えさせていただいております。

 そうしますと、計算は上から2.7%を1.0%に全部下げれば、以下の数字は出てくるわけですけれども、先にゼロの方で計算し直しますと、ポートフォリオ全体としましては0.2435%です。というので、かなり厳しい数字が出てくるかと思います。それが1%の賃金上昇率が見込めますと1.2435%という数字になります。

 これは単に計算上の数字ですけれども、こういう数字になって、私は賃金上昇率1%相当のところで見込んで、1.2435%。ないしは、GPIFはもう一つの市場基準ケースというのも非常に重要視しておりますので、同じようなところで数字を作りますと、黄色で書きました1.467%という数字が出てきておりますので、賃金上昇率1%のもとでは、この辺が非常に合理的かな、かたく見積もってこの辺かなということになります。

 そういうもとで、もう一度29ページ以下のシミュレーションを見させていただきますと、たまたまシミュレーションの方を先にやっていただいたわけなので、非常にいい数字でシミュレーションを3通りやっていただいたと感じております。

 Aは年金の方の話でやっていますが、2.8%ということで、これは現行とほとんど同じ利回りですね。次のBというのは1.5%という数字になっております。Cが0.25%ということで、これはいみじくも賃金上昇率がゼロ%の場合に近い数字になっております。

 以上、鉛筆をいじった中では、私はこの中では1%程度の賃金上昇率を見込めることを想定して、Bというものが一番現実的かな、Aはちょっと高過ぎるかな、Cほど下げる必要もないんじゃないだろうかという感じを持っています。

 1点直していただきたいと言いましたのは、下のポツの4つ目ですけれども、昨年度の賃金上昇率は0.33%と書いてありますが、GPIFのデータを見ますと0.03%という数字になっています。1桁違うんですけれども、いずれにしてもコンマ以下の%なので非常に小さな数字ですが、0.03%と直していただきたいと思います。私は国家公務員共済の方の数字を拾ってきたんですけれども、どうして違う数字が出てくるのか、不思議ですけれども、GPIF0.03%ということで、現在、賃金上昇率ゼロ%に近いんですけれども、じわじわと上がってきていることも事実ですので、1%と見込んで、1.5%ぐらいの年金の利回りで回すのがいいのかなと感じております。

 ただ、最後に一言。そうは言っても、28ページの実現した年金の利回りを見ますと、直近でこそ、この低金利のもとでも、賃金上昇率がほぼゼロにもかかわらず、1.22%とか1.31%とか、あげておりまして、25年度、26年度あたりは金利がまだ大きく下がっているところ、加えて株式からのリターンも上がっているので、5.96%とか8.35%という数字が上がってきておりますので、結果としては1.5%で回しても予定よりかなり高いリターンが得られるかもしれませんけれども、1.5%ぐらいを見込むのがかためでいいんじゃないかというのが私からの意見です。

 以上、ちょっと長くなりましたけれどもね。

○駒村座長 ありがとうございます。

 これからシミュレーションの話に入っていきたいわけですけれども、材料をどうやって見るかは、この死亡率を30ページのマル1、マル2、どの想定で見ていくのかというのと。それから、運用利回りをA、B、Cのどれで見ていくのかで6通りが出てくるわけですけれども、米澤先生のお話だとBの1.5のケースを中心に議論する。Cほど弱気になる必要はないけれども、Aほど強気になってしまうとまずい。Bあたりを中心に議論して、あとは公費投入の話や財政の安定性の議論を進めればいいんじゃないかということだと思います。

 いかがでしょうか。そうやって見ていきましょうということで。そうしましたら、30ページ以降のシミュレーションの評価になるわけですけれども、お願いします。

○村山構成員 死亡率につきましては、先ほどのお話でも、平成2428年の実績と平成1517年の実績で余り大きな差がない話と、もう一つ、先ほど座長もおっしゃいましたが、若干サンプルが少ないということで、それについても見ておく必要があるということで、平成1517年の実績を見ておくことも重要なことかなと思います。

○駒村座長 死亡率もマル1よりマル2のほうが安全ではないかという感じでした。そうすると、マル2とBの組み合わせを中心に議論してはどうかということですね。ありがとうございます。

 それで、シミュレーションの方は、33ページまでが新規の加入者ですので、公費投入がない中で、事務局としては、保険料と給付を今のままでやっていけるかどうかで、途中で積立金がなくなってしまうようなことにはならないというのを確認したいという趣旨ですね。これは、安全的に見ても、今の状態であれば、料率あるいは給付を調整しなくても、どのケースでもほぼ大丈夫という読み方でいいのでしょうか。新規加入者については、そういう読み方でいいですか。

○朝川企画課長 そういうふうに理解しております。

○駒村座長 34ページ以降は、公費投入を何通りかで動かした場合に、途中で積立金がなくなったり、急激に財政悪化に突入するようなことはないかということを見るために作っているということですね。

 これは、前半と後半で分けて議論しますか、それとも一緒にやりますか。前半部分は、概ね今のような形で、それほど料率を動かせるファクターはないということですが、後半部分は、公費投入の金額を変えることによって、どんな状態になってしまうのかなということは議論しなければいけない。そうなってくると、40ページあたりでしょうか。40ページあたりが評価しているということなので、この辺、委員の皆様からも、お気づきの点や評価をいただければと思いますけれども、いかがでしょうか。

 お願いします。

○村山構成員 40ページとおっしゃいましたので、中心的なケースの議論ということで、例えば左上の76億円、あるいは次の85億円でもよろしいのですが、76億円のB-マル2を見ると、平成54年に枯渇となっています。今年は平成29年ですので、25年先のことと言いつつも、平成8年に作られた公費投入スキームが平成20年に見直しになって、20年後の今も検証している最中ということで、25年後の平成54年はそれほど先ではないと考えると、少し気にしながらみていかないといけない、この額では心配すべきだろう思います。

 右の85億円とした場合でも、平成70年まで公費を投入する必要があり、現在予定されているのは平成62年までですから足りないということです。左下の91億円とした場合も、マル2のBで平成67年までの投入が必要ということで少し足りないぐらいということで、少なくとも現在の92億円ぐらいは見ておかないと財政的には厳しそうに見えます。

○駒村座長 76億円だと、赤の数字が3つも出てきてしまって、確率半分ぐらいでだめになってしまうかもしれない。Aのパターンは余りなさそうだとすると、BとCのパターンと一緒の組み合わせでいくと、マル2の方はありそうかなというと、85億円のマル2-Bとマル2-Cを比べたときに経済の状況が悪いままになってしまうと、平成49年にはこの制度がおぼつかなくなると考えていくと、91億円ぐらい、現行とほぼ同じぐらいは維持していただかないといけないとも読めるということですけれども、何かこの辺について御意見ありますでしょうか。

 お願いします。

○秋山構成員 76億円、85億円という考え方は、少し遠慮するという。つまり、今まで92億円ということでやってきたものを計算した上でやっていくと、76億円でもやっていけるのではないかということで、公費の効率化という考えでしょうか。

○駒村座長 事務局、答えてください。

○朝川企画課長 今回、いろいろなパターンを計算してみるということに主眼がありまして、死亡率は実績です。運用利回りは、先ほど御議論いただいたような感じで、あと、公費が結構財政に影響しますので、公費もいろいろ変えてみるとどうなのかということを計算してみたと純粋に御理解いただければと思いますが。

 こういう見方は余りしてはいけないと思いますけれども、現在、足元だけで見ますと、この制度はキャッシュフローが回っている。積立金が今は潤沢にある状況ですので、公費をどんどん入れていけばいくほど積み上がっていくような構図になりますので、公費をもう少し減らしてもいいのではないかという議論が今後あり得ますので、いろいろなパターンも計算してみているという感じであります。

○駒村座長 どうぞ、米澤構成員。

○米澤座長代理 私、運用が専門なので、運用の方を中心に話させていただきますと、ご覧のように、国内債券中心の運用になっておりますので、そこだけ見てもこの運用環境が極めて厳しくなっているというのは、これは財政当局だって御理解いただけるかと思います。そういう時に、足元はまだいいとしても、長期的に減らすというのはなかなか難しい相談かなと思っています。

 この後、そうしろと言うつもりは全くないのですけれども、もう少しポートフォリオを株式なんかのウエートを高めるというのもなくはないですけれども、このスキームの性質を見て、それは余り適当ではないのかなと私、感じていますので、運用環境が悪くなっているので、公的な投入額を少なくとも減らすということはちょっと難しいんじゃないだろうかということで、御理解いただけるようにするのがいいかなと思っております。

○駒村座長 ありがとうございます。国内金融財政政策の御都合というものがあるわけで、そこで少し低い金利になっているわけでありますし、下振れリスクもどうしても残っているわけですから、Aケースで議論して、財政が浮くじゃないかという議論ではなくて、手がたいほうで議論していけば、最低でも91億円はないと安心できませんねという感じの評価になっているのかなと思いますけれどもね。

 お願いいたします。

○秋山構成員 私は、投資とか資産運用に関する知識に疎いものですから、よくわからないのですが、このような低金利、特に債券ですね。今、私は最低かと思っているのですけれども、そうじゃなくて、これがまだ下がるというんですか。先ほど標準が0.25という話がありましたけれども、この標準の0.25というのはどういうもので出てくるのでしょうか。これは金融庁が設定されたと思います。

○駒村座長 はい。

○大西補佐 標準利率は、民間の生命保険において適用されているものでして、国債の利回りを参考に設定されています。今年の4月に、月払いの保険につきましても0.25%に引き下げられました。

○秋山構成員 非常に低い金利の状態であるということでありまして、これがそろそろ上向きに行くのじゃないかとちょっと期待しているのですけれども、私はど素人ですから。

 そこで、先ほどもお話がありましたけれども、ポートフォリオを見直すという考えはどうなのでしょうか。といいますのは、実は前回、平成19年、あるいは20年からになっていますけれども、19年の見直しの検討委員会のときにもこの問題が出まして、そのときの委員会の意見といいますか、その中に、資金の運用管理については、5:3:2規制について見直しみたいなことをすべきというか。長期的に維持すべき資産構成割合について触れているのですが、その結果、その意見が取り上げられたわけじゃなくて、5:3:2、そのままだと思っております。こういうものを、先ほどのお話のように公費投入が今後、続けられることを前提に今までやってきている。

 そうした中で、公費を継続的に62年度以降も投入していただかなければならないようなことになるのかもしれませんけれども、そういうことを考えた場合に、今のポートフォリオの割合は確かにリスクがあるんですけれども、株式の方に少し回すとか、そんなことはできないのかどうか、全く素人ですので、お聞かせいただきたいと思います。

○駒村座長 米澤先生。

○米澤座長代理 株式の比率をもう少し上げるということですね。御存じかもしれませんけれども、公的年金は株式等で半分運用しているわけですけれども、そうはいっても9割以上は賦課方式ですので、株式運用の積立金の貢献度というのは1割もないですね。しかも100年ぐらいの余裕があるので、あそこまでリスクがとれるという格好になっています。それと比べますと、こちらの方では全て積立金で行っているわけですので、我々のリスク許容度というのは、許容するのは少ないという、リスクは余りとれないと理解しております。というので、公的年金がポートフォリオを大きく変更した時に、改めて議論して、福祉医療機構の方は引き続き債券中心のポートフォリオを維持したと理解しております。

 とは言いながら、僕も数字の上ではできないことはないですよと言ったのは、もう少し株式を増やせば、少なくとも数字の上ではもう少し高い数字が出てきます。もしかしたら、2.9%とか2.8%に近い数字だって出せないことはないわけですけれども、その時に最悪の場合、どこかで積立金が足りなくなった時は、これはどうなるんでしょうね。そういうリスクがまた別途出てくるわけですね。もしかしたら、儲かってすごいということもあり得ますけれども、今、言ったシナリオも出てきて、その時に誰が面倒を見てくれるのかということが出てくるわけです。

 本当だったら、財政の検証とポートフォリオのあり方と、同時に少しずつ議論していくのが一番いいのかと思いますけれども、そんな時間はないと思いますので、先ほど私はそういう意味では、中間の1.5%ぐらいがいいんじゃないかということで、もう少し上の数字で出すことは不可能ではないと思いますけれども、その分、当然リスクは高まりますよということですね。だから、我々、バリュー・アット・リスクみたいな最悪のことがどのぐらいの確率で起きるのか、起きた時にどこが保障してくれるのかという、確かめてみることは幾つかあると思います。

○駒村座長 どうぞ、お願いします。

○秋山構成員 余計なことをちょっと言い過ぎたような気がいたしますが、私、今、申し上げたのは、92億円を期限まで当然やっていただかなきゃいけないということと。その後も、これから先のことですから、利率の変動とか、そういうことがこれからどのようになっていくか、もちろんわからないので、今のところそんなに先のことまでよりは、62年までのことを考えれば、今の92億円ということで安定していけるんじゃないかと思いつつも、今のような利率を少しでも上げるという方策はないのかなということをちょっと申し上げたわけです。

○駒村座長 ありがとうございます。

○米澤座長代理 これは年金と同じように、5年に一度、再検証するわけですね。

○駒村座長 そうです。

○米澤座長代理 5年後に金利が大分上がっているとなれば、そこで考え直すことは全然やぶさかじゃないと思います。

○駒村座長 公的年金は、経済と現役世代からのお金と運用部分の両方に、むしろ運用の方に余り比重を置いていないわけですから、多少の運用に課題があっても、現役世代からお金がもらえますから、そういう意味では社会全体で制度を支えている部分があるわけですけれども、こちらの方は、そういう意味では社会全体というよりは、障害を持った家族のグループの中でやらなきゃいけないという意味では、余り無理なことをやった時に、ロスが出た時に財政が不安定になる。本当はそういう制度はどうかという御意見もあるかもしれませんけれども、なかなか助けてくれるシステムがないので、安全な方向で運用しないといけない。

 ただ、運用状態がよくて、保険の生命表の変化も非常に余裕が出てきて、財政が潤沢になっているにもかかわらず、漫然と公費を受け続けることできるのかということも疑問として出てくる可能性もあるので、5年に一度は財政状況をちゃんと開示して、別に余計なお金をたっぷり持っているわけじゃないですよということを明らかにしていこうということじゃないのかなと思います。結局どうなったかというと、そんなに余裕があるわけでも今のところはないですねとも見られる。

 そういう結論でいいかどうかですけれども、構成員の皆様がそれに対して、こういう見方もあるんじゃないかという議論があれば、この会合は3回議論しますので、きょうはメーンの部分になってくると思いますので、委員の皆様から何かお気づきの点がありましたら、あとまだ30分ぐらいありますので、御発言いただければと思いますけれどもね。

 事務局。

○齋藤補佐 先ほどのポートフォリオの関係で説明させていただきますと、年に1回、福祉医療機構の方で資産検討委員会を作っていただいて、米澤先生に座長になっていただいて、毎年、ポートフォリオについて検証していただいております。それで、見直す必要があれば改定していただいています。なので、必ず年1回は確認させていただいております。補足でした。

○駒村座長 どうぞ。

○森構成員 私も皆様と同じような意見でして、この低金利の環境の継続を勘案すると、このタイミングで公費縮小というのは慎重に判断することが一番望ましいと思っています。逆に言えば、平成20年度の見直し時に想定した投入計画とほぼ同じような形になっていますので、このタイミングはこの計画を続けることがいいのかなと思っています。

 そう考えた場合、ケース的にもB-マル2が一番実態に合っているのかなということもありますし、これに加えて、先ほどの年金受給期間、15ページを見たら、10年間で5年程度延びているということもありますので、もう少し悪化することも想定できることを考えたら、このタイミングでは公費投入の縮小は慎重に判断し、20年計画の想定のままで続けるのがいいのじゃないかなと思います。

 以上です。

○駒村座長 ありがとうございました。

 いかがでしょうか。今日の議論はこの話と、あと、事務局から東京都の心身障害者扶養共済制度、これは何か加入状況等を含めて、議論の題材にしてくれということでしょうか。

○朝川企画課長 これは、今回の資料の25ページの参考資料としてお付けしているものでございますが、東京都は独自にこういう裏表のパンフレットを作られて、非常に整然と制度をわかりやすく整理いただいていると思います。こういうものを使って、いろいろな機会に障害者の方がいらっしゃる御家庭の目に触れるようにする。そういう努力をされている例ということで、一つの好事例としてお示ししているものでございます。

○駒村座長 ただ、税制上の優遇に係る議論の御説明というのはわかるのですか。

○朝川企画課長 それは、右肩に参考資料2と振ってある面の左側のページの真ん中辺に、税制上の優遇措置というのが2行ほど書いてあります。

○駒村座長 民間の保険に比べれば、より優遇されていますよということを周知していただくと。多くの方が入っていただいた方が、保険の制度としても安定すると思いますので、今日の26ページの加入状況の推移を見ると少し寂しい感じがある。2つの大きな議題があって、1つは財政の安定性、公費投入の必要性を検証するという部分と、あと、制度の普及というのがこの検討会のもう一つの課題であるわけですけれどもね。これだけの数しか入っていないと、何でこれが進まないのかというのを定量的に分析するというのはなかなか難しいですね。

 何かありますか。平松構成員、お願いします。

○平松構成員 私どもの静岡市でも、26ページを見ますと、ちょっと寂しい数字ですけれども、実際には特別支援学校を通じての周知などをしておりまして、問い合わせの件数はそれなりにあると聞いております。ただ、新規の申し込みが少ない。そこのところをもう少し分析しなければならないかなと思っております。税制上の優遇措置とか、そういったメリットをもう少しわかりやすく伝えていくこと。それから、加入すると一番得な年代とか、そういったところがあるのであれば、ターゲットを絞り込んで働きかけていくことも必要なのかなと考えております。できるだけ加入者を増やすように努めていきたいと考えております。

○駒村座長 米澤構成員、ありますか。お願いいたします。

○米澤座長代理 感想ですけれども、これを見ますと、東京都のパンフレットはいただいて、東京都ももちろん増えているのですけれども、例えば広島県とか横浜市あたりが急速に増えていますね。ここはどうやったのか、もし次回までに何か情報があったら教えていただければ。

○駒村座長 事務局、お願いします。

○齋藤補佐 資料をまとめる時に広島県さんと横浜市さんの方にお電話をかけさせていただきまして、横浜市さんがすごく印象的だったのは、窓口の職員が制度を知らないと御案内できないので、窓口の職員の方に心身障害者扶養保険事業についての勉強会じゃないですけれども、説明・研修を行っていて、障害者の方が来られた時に御説明できるよう対応されているとのことでした。

 今年4月に各都道府県・指定都市に御協力いただいて、特別支援学校にリーフレットを配布しているのですが、そうしたら、ここ最近、加入者数は、年500件程度だったのですけれども、今年度については6月中旬から7月10日の間に100件を超える申し込みがあったと福祉医療機構の担当から伺い、今回、広報を積極的にやったことによって大分反響があったのではないかと思った次第です。

○駒村座長 ありがとうございます。

○米澤座長代理 知らない方が多い。

○駒村座長 高知県が1818、8と、割と多いんですね。人口の割に多いと思いますけれども、高知の詳しい方に聞いたら、割と知っている人が多いと言うのです。口コミとか家族会とか障害のある方の集いみたいなところで、その人はファイナンシャルプライナーの方で障害のサポートもされている方ですけれども、お金のことをお話ししたらしいのですけれども、そういうところで繰り返し紹介する。まさにこういうことに関して加入を考える世帯を相手にお話しすると、つながる部分もあるんじゃないかな。

 7ページ、9ページを見ると、先ほど事務局から話がありましたけれども、親側、加入側がピークになるのが4049歳ぐらいのところで、全体の40%の方がこのタイミングで入ってきている。それは、当然子供の年齢と30歳ぐらい差があるわけですから、5歳から14歳ぐらいのところで1つピークになってきているのを見ると、この辺の学齢期の子供たちを持つ親あるいは子供たちの集う場に集中的にお願いするとか。

 あるいは、先ほどの説明をするのは、口コミとか、いろいろな媒体がありますから、例えば朝川課長がYou Tubeで説明して、それを関係者や全都道府県の職員に見ていただくとか、行政説明で全国に話しに行くのもなかなかコストもかかるでしょうから。確か子ども・子育て新制度のときは、内閣府の方が新制度の解説をYou Tubeでやったと思いますが、そういう新しい媒体も使う。特にこの世代だったら、皆さんスマホを持っていますし、コンピューターに慣れていますから、どういう制度なのか、よくわからない。このパンフレットを見てもよくわからない部分もあると。だったら、こういうふうに考えてくださいね、お得な制度ですよということをうまく発信する仕組みを考えていくといいのかなと。

 テレビコマーシャルもいいのかもしれませんけれども、それも費用の問題で一過性の部分があると思いますので、何か口コミでいつも見られるような放送媒体を使えばいいんじゃないかと思いますので、また次回、この普及については、皆さんの知恵を、あるいは情報収集をしていただいて、こうしたら伝わるんじゃないかという話をアイデアをもらえればと思います。

 いかがでしょうか。ほかに。久保構成員、お願いします。

○久保構成員 利回りとか、前段で皆さんのお話を伺っていて、私も経済が上向けばいいけれども、日本の努力だけでもならない部分もありますね。外国のあおりを食ってということもありますので、できたら安定した方向性の公費投入をお願いしたいなと思います。

 それと、今ほど議論になっています広報のことですけれども、私ども、親の中で、我が子にどれだけお金を残しておけば安心なのかという、高齢者にとても増えてきていますから、親亡き後が今、話題になっています。その中で、年金もあるけれども、この扶養保険があると、親が亡くなった後、本人が年金プラス2万円はありますよというので、すごく安心感があるという話はたくさん出てきているんですね。

 そういう意味では、私たちの団体としても、若い人たちに早くから入ったら楽に払えるからという、ある程度の年齢になると払っていくのがしんどいというのがありますので、できるだけ早く入ったら、長く掛けるけれども、楽に払っていって、自分たちがいなくなった後、子供の安心のために残せるよということを発信していくというか、利用者側がお得だよということを言っていくのも1つかなと思っておりますので、私たち自身がこの制度をもっとしっかり教えていただいて、お勉強して、説明できる私たちになるというので、若い人に勧めていくというのも1つかなと思っていまして、そういうものをお勉強できる機会というのはできるのですかね。

○朝川企画課長 先ほどの駒村先生の御示唆もありますので、できるだけ皆さんにわかりやすく伝える工夫を考えてみたいと思います。

○久保構成員 お願いします。

○駒村座長 他はいかがでしょうか。民間の保険と違って、手数料といったものは取らないわけですし、貯蓄と違って使い果たしてしまうという問題はなくて、生きている限り、ずっと安定的にもらえるというのもあるし、あるいはそんなにめちゃくちゃ高い利回りじゃないとしても、もしかしたら御本人がリスクの低い預貯金だけでというよりは、ある程度リターンも確保できるのだと。

 しかも、税制上も優遇できるのですよと。倒産することもなくて、政府がバックでちゃんと運用している制度ですからと。こういうものをちゃんと説明すれば、心配だからお金を握り締めてというよりも、そっちもちょっと使っておこうかと思っていただけるのではないかと思いますので、この辺の情報を有効に出していくということを次回の議論の宿題、より制度の拡充を行っていく。

 それから、何がネックなのかですね。問い合わせが100件あったうちの、どの部分で入らないと感じられたのかというのも、ちょっと知りたいところではあります。つまり、保険料は思ったより高い。自分の年齢を言ってみたら高かった。今の生活の暮らし向きから見て、これは無理だと思われたのか、もっと給付をもらえると思ったけれども、保険料との見合いでしようがないわけですけれども、期待よりは低かった、そんなに魅力がなかったのか、それとも魅力が十分伝わり切らなかったのか、何がネックなのかということも明らかにしなければいけないので、事務局には、できたらそういう情報収集ですね。

 問い合わせの記録が残っていればいいのですけれども、あるいは何らかの方法で意見を求めるような方法があれば、そういうのも使っていただいて、次回、いつになるか、事務局のほうで御報告があると思いますけれども、そういう材料をぜひとも用意いただければと思います。

 よろしいでしょうか。ほかに議論があれば、まだ多少時間もありますので、どうぞお願いします。

 どうぞ。

○村山構成員 2つありまして、1つは、19ページに民間保険との比較が出ているので見ていたのですが、下から3行目に、A社の場合の年金年額が50万円とありますが、これは年間額ですから、この扶養共済制度の年間額24万円に対応する額と思います。年間額がおよそ2倍ということです。この民間保険の保険料が月額6万8,000円とか8万円ですが、東京都のパンフレットの裏に掛金の月額がございますね。45歳から50歳未満というところを見てもらいますと、1万7,300円ですから、仮に年間額が2倍の50万円だったとすれば保険料も2倍になりますが、それでも民間保険の保険料と比べれば低いと思います。もちろん、御説明にもありましたが、民間保険の方はバリエーションが多かったり様々な選択ができたりということで特色がございますから、そういった特色とのバランスによりお選びいただくものだと思いますが、金額だけで言えばこういうこともあるかなということを申し上げました。

○駒村座長 あまり大々的に比較広告するのは、民間には申しわけない気持ちもありますが。

○村山構成員 民間商品のバリエーションなどと比べたうえでお選びいただくものと思いますので、保険料の関係だけみればということだけです。

 もう一点は、41ページ目以降のことです。41ページですが、公費投入92億円の右のグラフの年金収支が何を意味しているかということですが、1が基準ということです。先ほどの御説明の中にもございましたが、収入現価から公費現価を除いてみるという意味は、仮にある時点で制度がぴたっととまったとしたときに、給付現価というのは将来払う約束をしている年金の総額ですが、それと、その時点で持っている年金資産を比べてみるということです。制度がぴたっととまってしまって、これから公費投入はないという状態で、今、持っている資産で約束をしている年金額のうちどれくらいの割合を払うことができますかというのを見ているのが、この41ページ以降の年金収支の資料ということです。それが1であればいいですが、そうでないとすると給付現価の一部、つまり約束した年金の一部しかもらえないという意味になります。そういう意味で41ページの右のB-マル2のケースでも現在はもらえる割合は低いですけれども、先へ行くと公費投入の効果や資産運用の効果でだんだん1に向かって上がっていく、確実に全額もらえるようになるということが見えています。財政状況や公費投入の意味については、こういう見方をすることも大事なのではないかなと思います。ある時点で制度がとまるということはもちろん考えたくないことですが。

○駒村座長 ありがとうございます。

41ページの年金収支のC-マル2はかなりぎりぎりのところまで突っ込んでくるんですね。こんなに違うものなんですね。ありがとうございます。

 他、どうでしょうか。資料の読み方とか、事務局の方からありますか。

 今日、こういう検討委員会ですから細かく出ているわけですけれども、ここまで言わなくてもいいのかもしれないですけれども、利用者の方にも、この料率、この給付で持続可能性は確保・担保できていますよということは、こんな難しいものまで説明する必要はないかもしれませんけれども、重要な情報かなと思います。

 よろしいでしょうか。もし御発言がなければ、今日の会合はこれで終わらせていただいて、次回の議題は、制度普及ということを議論するということでよろしいですか。

○朝川企画課長 それも当然でございますが、次回は取りまとめに向けて議論していきたいと考えております。

○駒村座長 では、次回、取りまとめを行うということで進めていきたいと思います。日程について、事務局から御連絡ありますか。

○齋藤補佐 次回の日程については、調整させていただいた上で連絡させていただきます。

○駒村座長 では、本日はどうもありがとうございました。これで閉会したいと思います。


(了)
<照会先>

社会・援護局障害保健福祉部企画課手当係
〒100-8916
東京都千代田区霞が関1-2-2
電話: 03-5253-1111(内線3020)
FAX : 03-3502-0892

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