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2017年7月14日 平成29年度第三回高齢者医薬品適正使用検討会議事録

医薬・生活衛生局

○日時

平成29年7月14日(金)14:00~16:00


○場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール2A


○議題

(1)構成員等からの情報提供
(2)今後の課題の整理と検討の方向性について
(3)その他

○議事

 

○医薬安全対策課長 定刻の2時でございます。開会に先立ちまして、傍聴の皆様方にお知らせいたします。傍聴に当たりましては、既にお配りしております注意事項をお守りいただくよう、お願いいたします。

 また、本日の検討会は、従来の取り扱いと同様に公開で行うこととしております。カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、マスコミ関係者の皆様におかれましては、御理解と御協力のほど、よろしくお願いいたします。

 また、厚生労働省ではクールビズを実践してございます。事務局は軽装で失礼をさせていただいております。先生方も、上着などをお召しになられている方も適宜お脱ぎいただくなど御対応をお願いいたします。

 それでは、ただいまから「第3回 高齢者医薬品適正使用検討会」を開会いたします。

 御出席の構成員、参考人の先生方におかれましては、御多用中のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

 本日は、構成員19名中18名の御出席をもちまして、検討会を開催させていただきます。

 また、本日は参考人といたしまして、医療法人北晨会 恵み野訪問看護ステーション「はあと」の樋口秋緒先生に御参加いただいておりますので、御紹介させていただきます。

 続きまして、第2回の検討会以降に事務局に人事異動等がございましたので、御紹介させていただきます。

 初めに、医薬・生活衛生局長の宮本でございます。

○医薬・生活衛生局長 医薬・生活衛生局長を拝命いたしました宮本と申します。よろしくお願いいたします。

 この分野は、いろいろと各方面からも御指摘のある分野でございますので、私もできる限りこの会議に参加したいと思っておりますし、先生方から忌憚のない御意見をいただければと思っております。

 大変申し訳ありませんが、着任直後で本日は所用が重複しておりますので、ここで退席させていただきますが、ぜひとも私どもにとりまして厳しい御意見を含めて、いろいろな御意見を自由闊達に御議論していただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○医薬安全対策課長 本日は欠席でございますけれども、総務課長に屋敷が着任してございます。

 事務局の紹介は以上でございます。

 また、7月11日付の組織再編に伴いまして、私ども事務局の「安全対策課」の課名が「医薬安全対策課」に変更になりました。資料もこれにあわせて修正させていただいておりますので、あらかじめお知らせをさせていただきます。

 それでは、これ以降議事に入ります。座長の印南先生、よろしくお願いいたします。

 なお、カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御協力をよろしくお願いいたします。

(カメラマン等退室)

○印南座長 それでは、議事を進めてまいります。

 初めに、事務局から資料の確認をお願いいたします。

○課長補佐 配付資料の確認をさせていただきます。

 お手元にお配りしました資料、一番上に座席表と出席者名簿、続いて議事次第と配付資料一覧、開催要綱、裏側に構成員名簿となります。

 続きまして、順に資料を確認させていただきます。

 資料1 高齢者の医薬品適正使用に関する検討課題と今後の進め方について(案)

 資料2 「在宅看護領域における高齢者の薬物療法の実態と看護の取り組み」

 資料3 「高齢者の適正な医薬品使用に向けた在宅医療の現状と課題」

 資料4 「療養病床における薬剤使用に関するアンケート集計結果まとめ」

 資料5 「高齢者医薬品適正使用ガイドライン作成ワーキンググループ」開催要綱(案)

 裏面に構成員の案が入っております。

 資料6 今後の予定(案)

 本日の資料は以上です。不足等がございましたら、事務局までお申しつけください。

○印南座長 よろしいでしょうか。

 それでは、議事次第に沿って議事を進めてまいります。

 本検討会では、これまで2回の会合で構成員や参考人の先生方から、高齢者の医薬品の適正使用促進の検討のための基礎となる情報として、ポリファーマシーの現状や医療現場でのこれまでの対応の事例等について情報提供をいただきました。

 今回は3回目ということで、提供いただいた情報や第2回までの議論をもとに、今後の検討課題や方向性について御議論いただくこととしています。

 議題1は「今後の課題の整理と検討の方向性について」です。前回の検討会で議論するお時間がとれなかったこともあり、今回はこの議論から始めたいと思います。

 その後、議題2として、前回の続きとして、各構成員などからの取り組みについて御紹介いただくことにしたいと思います。

 議題1につきまして、まず事務局から説明をお願いします。

○医薬安全対策課長 議題1につきまして、事務局から御説明させていただきます。

 本日、資料1を皆様のテーブルにお配りさせていただいております。これまで2回、当検討会で御議論をいただいたところでございます。さまざまな構成員、参考人の先生方からの情報提供もいただいてまいりました。また、第1回目の際は、先生方から非常に忌憚のない御意見も頂戴したところでございまして、ご提供いただいた情報ですとか、これまでの1回目、2回目での先生方から御指摘いただいた論点等を一通り資料1という形でまとめさせていただいてございます。前回6月23日の検討会の際にも、これと同様の資料を提出させていただいておりますが、十分にご議論いただく時間をいただけませんでしたので、今回改めて御議論いただきたいということで提出させていただいております。

 また、今回この資料の中で下線を引いてある部分が何カ所かございます。これは、用語をより明確にさせていただくような部分や、前回の検討会以降に構成員の先生方から事務局に御指摘いただいた点を盛り込ませていただいたということでの改正事項になってございますので、その点もあわせて御紹介させていただきます。

 まず、資料1でございますけれども、「1.高齢者の薬物療法の現状と分析」が書かれてございます。高齢者の薬物療法の安全性確保の観点ということで、これまで得られている情報の範囲の中での現状を整理させていただいた部分が、1の上段部分でございまして、その薬剤の併用、薬剤の種類等につきましては、60歳前後を境に増大し、75歳以上でより多い傾向がございます。また、その他、複数医療機関の受診傾向ですとか、高齢者では注意が必要となる副作用があって、生理機能や薬物動態に変化により増強されるようなものもございます。また、特に併用薬剤については、6剤以上では有害事象の頻度が高くなる傾向があるというところは、現時点での現状として傾向が見られているといったことです。

 こういったところを踏まえて、その基礎となる十分なエビデンスを以下の点に留意して、今後も収集・分析する必要があるということで、高齢者の適正な薬物療法において副作用との関連も含めて、十分なエビデンスがまだ現状ではなかなか入手しにくいという状況を踏まえまして、()()までの論点を整理してございます。

()としては、高齢者向けの用法・用量ですとか、その根拠になるような薬剤学的なエビデンスの収集のお話。()としては、内服薬の多剤併用とその副作用の直接的な関係に関するエビデンスのお話。()としては、こういった情報を得るために、もう少し大規模な医療情報データベースや分析も必要であろうということ。()としては、それぞれの医療現場において内服薬剤の処方の種類が増減しやすいような事例について、収集と分析を行う必要があるのではないかということでございます。

 2ページでございますけれども、2番目として、そういった状況も踏まえつつ、高齢者の多剤服用(ポリファーマシー)対策のためのガイドラインを作成して、医薬品の適正使用情報を充実すべきではないかということで、()としては、国レベルでの包括的な内服薬の多剤服用に関するガイドラインを作成する必要があるのではないか。

()としては、そういったものを作成する際に、検討が必要な薬効群を考慮するということで、幾つか例示を示させていただいております。また、この検討会でも御指摘がございましたけれども、画一的に当てはまるガイドラインの困難さも考慮しながら、薬剤数の調整に適切な対応の基本的な考え方を整理する必要があるのではないか。マル3としては、患者が置かれたさまざまな医療現場に応じた対応を整理すべきであろうということで、急性期から回復期、入院、外来、在宅などの各医療現場の特徴に応じた薬剤の考え方、処方の考え方や、また、院内の病棟間における薬剤調整の考え方や、複数医療機関間・薬局間等での考え方等の整理が要るのではないか。また、医薬品だけではなくて周辺にあるセルフメディケーションや、栄養補助食品等との組み合わせといったものも考慮する必要があるのではないかというところでございます。

 こういったものについて、エビデンスを収集するごとに、それに基づき段階的にガイドラインを増強して改訂していってはどうかというところが2番目のポイントでございます。

 3番目といたしましては、ここでも先生方に真摯に御議論いただきましたけれども、多様な医療現場の多職種連携のもとでの情報収集、管理、共有ということでございまして、特に高齢の患者さんは、多様な医療現場にまたがって治療を受けられるということが想定されるということで、その多様な現場、多様な職種間での情報の共有が円滑に行われるような仕組み、それぞれ医師、薬剤師、看護師、さまざまなレベルで薬剤や患者さんの疾病に関する基本的な情報を共有していくような仕組みが重要なのではないかということで、3ページに共有される情報として、患者さんの服薬情報、薬剤管理の状況、お一人様の患者さん等もいらっしゃったりというところも含めて患者さんの状況ですとか、処方状況、アドヒアランスの状況、その他継続的な投薬が必要と考えていたり、投薬中止も将来的に考える等、処方医がどういう認識でおられるかといった考え方ですとか、あとは処方量の適切性の評価に資するような腎クリアランス値等の情報というようなもの。

 また、()としては、情報共有の方向性ということで、急性期から在宅、また在宅から急性期という情報の流れ。それから、院内であれ、在宅の現場であれ、医師を含めた多職種による横断的かつ一元的な高齢者薬物療法適正化チームの形成も必要なのではないか。

()としては、電子版お薬手帳を活用した情報の一元的・継続的な把握を支援するような仕組みを考えるべきではないか。

()としては、医療機関・薬局の機能に応じて、保険者等と連携し、多剤服用情報をフィードバックする等の適正化の取り組みも、前回、呉市の事例も御紹介いただきましたけれども、そういう部分についても書かせていただいております。

 4番目としては、これも1回目の検討会のときにさまざまな構成員から御指摘をいただいた部分でございますけれども、薬剤の使用に対する医薬関係者の理解・意識の向上ということで、現役の医薬関係者、医師、薬剤師、看護師等だけでなく、学生の段階からこういった問題に対する意識づけが必要なのではないか。また、多職種連携を行う上では、医師、薬剤師のみならず看護師も含む高齢者の薬物療法の理解ができる人材育成の確保も必要ということでございます。

 また一方で、医療職という観点だけでなくて、患者の視点からも選択に資するようにということで、前回、北澤構成員からも「Choosing Wisely」を御紹介いただきましたけれども、そういう薬剤を減らすことに関する意義など、伝え方も含めて、患者・家族にわかりやすい情報提供という部分に努めていくというところも指摘させていただいてございます。また、逆に、自己判断で服用をやめないとか、患者に啓発する機会の確保も重要ということでございます。

 5番目に、今後の進め方ということも触れております。後ほどまた御議論いただこうと思っておりますけれども、ガイドライン作成に必要なデータ収集等、集中的な検討が必要だろうということで、ガイドラインに関する部分については検討会の下にワーキンググループを設置するとか、3番、4番の課題については、引き続き本検討会で構成員からのいろいろな取り組み事例も言及しながら議論を深めたらどうかということで、とりまとめをさせいただいております。

 事務局からのたたき台ということで御紹介させていただきました。御議論のほど、よろしくお願いいたします。

○印南座長 ありがとうございました。

 ただいまの事務局の御説明に御意見、御質問等ありましたら、お願いいたします。

 それでは、勝又先生、お願いします。

○勝又構成員 3点ばかり御意見を申し上げたいと思います。

 まず、2ページの2番のガイドラインの作成のところでございますけれども、私も以前、認知症に関しての仕事をしていたときに、かかりつけ医のためのBPSDに対応するガイドラインというものがあったのですけれども、その状況を調べてみますと、10%の方しか常時ガイドラインを参考にしていないという調査結果の報告がございました。ガイドラインを国レベルでつくっていただくことについては、とてもありがたいことかなと思うのですけれども、これらに関して使用されるための仕組みづくりが重要になってくると思いますので、その点を御検討いただきたいということが1点。

 それから、3番目の情報収集、管理のところでございます。情報収集のことについては、かなり具体的に記載していただいているところですけれども、これから多分、樋口参考人のほうからも御紹介があるかと思いますが、看護師も含めまして医療従事者が高齢者の服薬状況をモニタリングしたり、あるいは認知機能や生活状況等も含めまして、高齢者の方々は管理する能力が落ちているという状況を考えますと、個別に服薬方法を調整したり、あるいは指導する実効性のある仕組みを、誰がどのようにつくっていくのかということについて検討していく必要があるだろうと考えております。

 最後に、3ページの医学生等についてもということでございますけれども、看護師につきましても新人看護職が薬剤関連の事故を起こしている状況を見ますと、新人がそれ以外の人に比べて2倍事故を起こしているという状況がございます。高齢者の薬物療法の特性も踏まえまして、看護師の基礎教育の中でしっかりと薬物に関する知識を教授する必要もありますし、先ほど追加で御説明がありましたように、医療関係者のみでなく、患者さんや家族に対する理解、意識の向上等についても忘れてはならないことかなと考えております。

 以上でございます。

○印南座長 ありがとうございました。

 ただいまの御意見に対してでも結構ですし、その他の部分についてでも結構でございますが。

 それでは、北澤先生、お願いいたします。

○北澤構成員 この検討会のスコープからはオーバーしてしまうのかもしれませんけれども、1番目の現状と分析で、なぜポリファーマシーになってしまうのかという背景を考える上で、やはり診療報酬制度、もう少し平たく言うと、出来高払いでお薬は使ったら使っただけ、検査はやったらやっただけ診療報酬が得られるという今の仕組みは無視することはできないのではないかと思っています。この検討会のレポートの中に盛り込むのがいいのかどうかわからないのですけれども、そういった背景が現実問題としてはあると言えるのではないかと思っています。

 それから、もう一つ、ポリファーマシーになってしまう原因として、多くの医療者の方から、とにかく診察のときに時間がないと伺います。患者さんのお薬についてよく考えようと思っても、そうしている時間がないので、同じものを繰り返してしまうと言われます。ですので、この問題は薬剤的な問題もさることながら、医療の仕組み全体のお話にもなるのではないかと思っています。

 以上です。

○印南座長 ありがとうございました

 松本先生、お願いします。

○松本構成員 診療報酬のことを言われましたけれども、現状が全くわかっておられません。出来高払いと言いますけれども、今、薬価差がどれくらいあるのですか。それと院内は院外よりも報酬が低いわけですけれども、院内で薬剤を置くというのは、それだけ在庫を抱えるということなんです。薬価差で稼ぐから必要ない薬も処方しているのだと聞こえるような御発言は、私としては抗議させていただきます。

○印南座長 ただいまの件につきまして何かありましたら。北澤先生。

○北澤構成員 そういうつもりではないです。そうではなくて、私が思うのは、そういった診療報酬の仕組み自体にポリファーマシーを生む要因があるのではないかと言っているだけです。

○松本構成員 よろしいですか。ポリファーマシーに対する考え方が、いわゆる診療報酬による医療制度に問題があるというふうに、どうも聞こえます。それは違います。我々はなるべくなら薬剤は少なくしたい、だけれども、必要だから処方しているという背景がまずあることを御理解していただかないとだめですね。しかも、今の医療制度で診療報酬が出来高払いだから、出せば出すほど医療機関の利益になると。そういうつもりでないと言われましたけれども、そういうふうに受けとれる発言です。

○医薬安全対策課長 事務局からよろしゅうございますか。本検討会での検討の趣旨というのは、あくまで薬をめぐる安全性の確保の問題、適正使用の問題ということですので、直接的に診療報酬の是非をここで議論する内容ではないのではないかと思いますので、御検討のほどよろしくお願いいたします。

○印南座長 それでは、樋口先生、お願いします。

○樋口構成員 ここに書かれております厚労省の検討会としてまとめてくださった内容に全く異論はないので、ありがたいことだと思っております。ただ、今回はやはり医療関係者、つまり医師、薬剤師、看護師あるいは介護に当たる人たち、そういう中での合意形成だと思っておりますからいいのですけれど、私どもはNPO法人高齢社会をよくする女性の会でございますが、こういうことが行われますので皆様アンケートをとりますからよろしくということを言いましたら、ちょっとびっくりする以上の反応が返ってまいりました。服薬についてポリファーマシーかどうかは別として、いろいろな疑問や不自由を予想以上の多くの会員が考えているらしくて、いつアンケート用紙が配られるのか、言いたいことが山ほどあるということでございました。

 今回の構成員のメンバーを拝見しても、ほとんど全員がドクターか薬剤師か看護師さんでございまして、そうでない人は恐らく座長先生と、消費者、患者の立場というのは私1人で、これもまた大変心細いことです。ただ、今回はそういう会ではなくて、医療関係者の合意形成の場だと思っておりますから、それはそれでよろしいのですけれど、例えば「4 高齢者の薬剤使用に関する医薬関係者の理解・意識の向上」、これはそのとおりだと思うのですけれども、今上がってきている反応だけを見ましても、高齢者自身の意識の向上といいましょうか、お医者さんにかかるとき、薬局に行くとき、高齢者自身が日本の医療問題について、あるいは自分の健康を守ることについて、きちんと意識を持つべきではないかと思いました。

 それから、服薬のあり方、例えば在宅での服薬管理などというのは、訪問看護師などでいらしている方は百も御承知だと思いますけれども、ここ5年か10年の間で日本の家族のあり方は急展開、目を回すぐらい、あっという間にひとり暮らしがふえて、嫁と姑の関係も、地域によってはまだお嫁さんが管理しているところがありますけれども、この間の厚労省の調査を見ても、総務省の国民生活基礎調査を見ても、嫁の介護者なんて本当に少なくなって、介護嫁は絶滅危惧種だと思っていたのですけれども、本当に絶滅に近くなっている。しかし、その中でも、高齢者御本人が服薬を管理するか、嫁さんが管理するかというところで猛烈な争いがあったり、一々そんなことは見ていられないとおっしゃるかもしれませんけれども、特に厚労省の御方針が、できるだけ在宅で、在宅でとおっしゃいます以上、家族の変化ということに関してもぜひ御留意の上、そして、できましたら利用者側の意見も一遍ぐらい、誰か呼んで聞いていただきたいなと思う次第でございます。

 以上でございます。

○印南座長 薬を利用する側から山ほど疑問があるというのが出ましたけれども、ぜひどんな疑問なのか、樋口先生でなくても結構ですけれども、ぜひどこかで。

○樋口構成員 アンケートができましたら、御報告させていただきたいとお願いしておきます。

○印南座長 ぜひ、お聞きしたいと思います。

 島田先生、お願いいたします。

○島田構成員 今、御説明がありましたように、また前回の検討会でも紹介がされましたように、薬局でも多くの薬剤が投与されて、一部服用されずに残っていたり、自己調整されたりして、思いも寄らぬ結果が起きているということは私たちも目にするところです。せっかくこういう専門家の皆さんがいらしているところですので、一番大事なのは、実態がどういうことなのかを正確に把握して、情報提供し合うことではないかと思います。

 それと、樋口構成員がおっしゃられたように、確かに高齢者の薬物療法の実態、在宅におかれましては、家族構成のこともありますでしょう。ご自身で管理がなかなかできずに、処方医の意図どおりの結果がなかなか出てこないという、服薬過誤といったものも時々訪問先で見つけることもあります。そういったこともありますので、外来、在宅、入院も含めて、実態をまず把握し、具体的にどういった薬剤があるのかという情報共有が、まず議論の中で一番大事なのではないかと思っています。

 そういう中で、薬局、薬剤師、かかりつけ薬剤師における情報の一元的な管理は、かなり有効な機能を発揮するのではないかと思っております。この検討会のガイドラインについては非常に私たちも期待しているところです。

 以上です。

○印南座長 ありがとうございました。

 ほかに。美原先生。

○美原構成員 樋口構成員の話は非常に重要なポイントを含んでいると思います。ポリファーマシーに関して処方するのはドクターで、今回いろいろ検討するのに処方する側、医療提供者側のことを調べようというのはあるのですが、ポリファーマシーというのは一体どうして起きているのか。そのとき処方する側だけの問題なのか、ユーザー側の患者さんたちがどういう思いなのか。例えば、実際に臨床現場では、患者さんが来るとお薬を欲しがるということもあるのだろうと思います。そのときに、患者さん側がどう思っているのか患者さん側の立場から、それをガイドラインの中に医療提供者側だけではなくて、医療享受者側のことも少し調べて、どうあるべきかという啓発的なことも含まれるようにしたらいいかもしれないと思いました。すなわち、調べるときには医療提供者側だけではなくて、ユーザー側のこともきちんと見るということも必要かと思われます。

 以上です。

○印南座長 池端先生、お願いします。

○池端構成員 美原構成員と全く同意見で、後でプレゼンのところでもお話しさせていただきますけれども、処方医がポリファーマシーを何とかなくそうと思って一番困るのは何かというフリーアンサーの中で、受ける患者さん側がそれに対して非常に困るとか、何でとか、逆に怒られてしまうということがあって、なかなか減らせないのだという意見が結構出てきているので、これは両方のことを見ていかなければいけないなという、ある意味では国民全体で考えていくこと、取り組む問題だというのは私も賛成です。後でアンケート調査の結果を出させていただきます。

 もう一点よろしいですか。これも後でプレゼンの中で少し触れさせていただきますけれども、3番、4番で多職種連携とか理解は誰が中心になってやるべきか。もちろん皆さんがそれぞれやっていくべきだと思いますけれども、やはり処方権がある医師がそこをしっかり理解しなければいけない。アンケートの中で、そうは言いながら専門外の処方を削るというのはなかなか難しいという意見があって、これに対して総合診療医がそこを担ってほしいという意見が結構たくさん出てきているのですが、これは秋下先生にお聞きしたほうがいいのかもしれませんけれども、総合診療医をこれから育成されていく中で、ポリファーマシーを真剣に取り組んで教育するという流れはあるのか。なければ、逆にそういう流れをつくっていただいたほうが、将来的には非常にいいのではないかと個人的には考えていますが、いかがでしょうか。

○秋下座長代理 伴先生がおられるので、総合医という視点では伴先生のほうがいいと思いますが、老年病専門医というものがございます。老年医学会が認定しているのは1,500人しかおりません。ですので、高齢者の特に総合診療医といえば老年病専門医ということになると思いますが、教育機関もむしろ講座は減少しつつあるというところでございまして、なかなか卒前・卒後教育も行き届いていないということでございます。これは厚労省というより文科省の話になってしまうのかもしれませんが、既存の診療科でもいいので、そういうことを担うところが必要であって、総合診療学でそういうことをしていただければ、協力してやっていくことが重要かなと思いますので、それだけ申し上げたいと思います。

○印南座長 伴先生、お願いします。

○伴構成員 私は、専門領域が総合診療医学ということで、今少し議論が出ましたので。確かに、在宅を担当されている先生方から、病院を退院するときに、まずそこで一旦チェックして退院できるような仕組みにできないかということで、今、病院では褥創とか栄養とかさまざまなチームがありますので、実際にそんなに検討されているところはないと思うのですが、総合診療医あるいは老年科の医師、薬剤師、看護師あるいはケアマネジャーさんみたいな会議のところで一旦どうだろうということで、各専門領域から処方されている薬に、病院を退院する前にこれはやめられませんかというチェックをするという構想はありますが、実際に動き出しているという状態ではありません。

○印南座長 溝神先生、お願いします。

○溝神構成員 国立長寿医療研究センターの溝神でございます。第1回でも少しお話しさせていただきましたけれども、当センターでは、ポリファーマシーの削減チームという形で、多職種で老年科の医師、循環器の先生、薬剤師、看護師、栄養士、言語聴覚士の先生ということで多職種で入っていただいてチームを構成いたしまして、入院患者さん限定なのですけれども、ポリファーマシーの患者さんに対しての多職種でのアプローチを行っております。実際に、減薬に対して主治医のほうに提言させていただくというようなアプローチをさせていただいております。

○伴構成員 それが、きちんと診療報酬などの構造の中に組み込まれるようにすべきだと思います。今は褥創チームとかそういうものもちゃんと組み込まれているんですよね。長寿は特殊な医療施設ではありますけれども、そういうところをひとつモデルにしながら、一般病院にもそういうトライアルを広げて、きちんとしたシステムの中に組み込まれればいいのではないかと思います。

○秋下座長代理 済みません、関連していますので追加させていただければと思います。多分、国立長寿だけではなくてもほかでもできることで、今、病棟配置の薬剤師というのがいますので、その役割というのはまさにそこだと思うんです。東大病院でも昨年度から対応できるシステムをつくって、薬剤師がまず入院時の持参薬を見て、ポリファーマシーの傾向があるとか、患者から飲みにくいという訴えがあるとか、幾つかのチェックポイントで引っかけて、医師側に処方のこういうところを検討いただけないかと連絡いたしますと、半分ぐらいは医者側も応答があるんです。場合によっては、薬剤師の提案以上に、ここも見直したらこっちもこうだったというような大幅な変更につながるということがあって、非常によいきっかけになるチームだと思いますので、そういうものに何かインセンティブがつくような形になればもっと広まると思います。ただ、インセンティブがつかなくても、これは一定の規模の病院であればつくれるチームだと思っていますので、もう少し情報共有しながら広げていくように、この検討会から情報発信していければいいのではないかと思っています。

 以上です。

○印南座長 松本先生どうぞ。

○松本構成員 現実に診療報酬で手当すると言うと、また何か言われるといけませんので、それは余り進めないほうがいいかもしれませんが、ただ、現実に減薬すると診療報酬上、加算はございます。

○印南座長 林先生どうぞ。

○林構成員 私が勤務しているのは、この近所の虎の門病院というところです。大学病院でも高齢者のナショナルセンターでもないですが、高齢者診療部があります。高齢者診療部の機能の1つ目には、各科で診ていると高齢者としての問題がある患者さんの薬の調整を何とかしてほしいという検診依頼が毎週のラウンドに上がってきますので、そこを論点整理して、急性期病院なので十数日しかないのですが、その間になるべく解決して、解決した結果を次に引き継ぐ病院に退院時の、ここにも書いてある薬のヒストリー、処方歴というだけではなくて、こういうふうに調節しましたということをなるべく書き添えてバトンタッチしたいと思っています。

 それから、秋下先生がおっしゃってくださったように、今多くの病院では病棟薬剤師がおりますので、入院時に率先して、医師の皆さんや看護師の皆さんより先に、最初に患者さんのお薬の問題を全部一通り整理するようにしています。その中で飲みにくい薬があるというお申し出がある方は、科ごとによって違いますが、10%、20%いらっしゃいます。それは剤型変更や別の一日1回型、2回型の薬への処方変更を調整するということもありますし、同効薬が重なっている場合に、どうしても必要なのかを入院時にまず調整することはあります。そこを調整しましたよという情報も、また連携病院に情報提供しなければいけないと思っています。

 あと、病院薬剤師の中で入院中に副作用が起こったものの、初期対応をして重篤化を防止しているような職能を、通称プレアボイドと呼んでいますが、こういうものも伝達する必要があります。入院中にアレルギー歴、副作用歴を確認したお薬も二度と出ないように退院時に連携病院にバトンタッチしたいと考えています。

 ですので、とてもよくまとめていただいた検討課題なのですが、例えばですけれども、3番の()の「処方情報・服薬アドヒアランスの状況」のあたりに今後の課題として、入院時に既にどこかの医療機関で確認しているアレルギー歴、副作用歴あるいは患者さんの治療上の必要性と生理的機能に合わせた増減量歴と中止歴みたいなものを医療施設間で情報共有してあげると。こちら側でせっかく調節して中止した薬剤ですけれども、紹介していただいた病院にお戻りいただく際に、合理性を持って処方中止したのですよという説明はしなければいけないかなと思うのです。しかし、医師だけで全部お返事を書かれるのは大変ということなので、入院中チームで薬物療法をやっていますので、なるべくアレルギー歴、副作用歴、増減量・中止歴についても書きたいなと思っているところですが、リソースの問題もあって全員にはなっていません。病院薬剤師会でいろいろな情報を集めてみますと、そういうところが定着して、プロトコルで役割分担を決めて医師の退院紹介状に薬剤師がアレルギー歴、副作用歴、増減量・中止歴について書くと決めて、次のバトンタッチ先の病院とも交流して勉強会をやって、そこがシームレスに引き継げるように医療提供体制を備え始めている病院が少しずつ増えてきていると思います。せっかく薬物の整理をしたものが、よく連携できていないために足し算になってしまわないような地道な努力は、これからもしていければと思います。この枠組みの中でも少し御検討いただければ。それは、地域医療の中でもそういった協働があったほうが恐らくいいのだろうなというのは想定して、地域包括ケアまでバトンタッチしたいとは思っています。

○松本構成員 前回の検討会の前に、ちょうど病院薬剤師会がそういうことをマスコミに発表されていたのを見かけたので、あの検討会のときにそういうお話があるかなと思ったのですけれども、時期はともかくそのとおりだと思いますので、ぜひ病院薬剤師の方は退院時の調整をよろしくお願いしたいと思います。

 それから、先ほどはちょっと言葉足らずでしたけれども、診療報酬上、減薬は手当されております。なのに進まないということは、どうしてかということを考えていただきたいと思います。

○印南座長 ほかにいかがでしょうか。島田先生、お願いします。

○島田構成員 今の林先生のお話につけ加えたいと思いますけれども、在宅ですと、まだまだ病院の入院患者さんの情報ほど現場のほうに情報が少ない。特に、慢性の疾患ですと変化がなかなかつかみにくいということもありますので、そういう意味でも在宅の地域の薬局にも、こういった情報というのは非常に必要だと思っております。

 以上です。

○印南座長 ほかに御意見、御質問等ございますか。どうぞ。

○水上構成員 連携の件で、医師・薬剤師間という連携とともに、ふだんの生活状況を確認できる看護師や介護職と、薬剤師あるいは医療との連携も重要です。看護の方からが薬についての理解不足や薬剤師とのかかわりがいま一つということも伺うことがあります。

○印南座長 ほかにはいかがでしょうか。齋藤先生、お願いします。

○齋藤構成員 事務局の皆様が非常によくまとめていただいたと思っています。今までの御議論の中で、処方の数と高齢者で副作用が起こりやすいという医薬品について、薬効群として2つの()のマル1で挙げていただいたのは非常にすばらしいことだと思っております。ですので、数と種類という2面から1番のエビデンスを御検討いただくのが、非常に効果的ではないかと考えております。

 ガイドラインをつくるという意味では、そのようなある程度絞った解析も重要だと思いますけれども、長期的にはいろいろな医薬品も出てきますし、また、6剤以上ですと副作用が起こりやすいという報告もございますので、地道にエビデンスを積み上げていくような仕組みを、ぜひお考えいただければと思います。

 以上です。

○印南座長 伴先生、お願いします。

○伴構成員 6剤以上の6という数字がいろいろ出回っているのですけれども、秋下先生のチームからは確かに統計学的にはそういうデータが出ているのですが、薬は増やせば増やすほど、それぞれの薬の副作用も起こりやすいし、薬物相互作用も起こりやすいんです。ですから、3剤よりも2剤のほうがいいし、5剤よりも4剤のほうがいいし、あるいは2剤よりも1剤のほうがいいということなので、4剤、5剤ならいいだろうというものではないということをコメントしておきたいと思います。

○印南座長 ほかにいかがでしょうか。

 齋藤先生、お願いします。

○齋藤構成員 伴先生のおっしゃるとおりだと思います。第1回会合時の秋下先生の御発表で、特に副作用が起こりやすいような医薬品についてお示しいただいて、恐らくそれをベースに2の()の薬効群ということでお示しいただいたと考えています。

 一方で、伴先生のおっしゃるように、薬物相互作用という観点からも起こりやすい薬はございますので、高齢者で副作用が起こりやすい薬、また、高齢者の腎機能低下、肝機能の低下が起こりやすい組み合わせ、そのような観点からエビデンスを収集することが重要かなと考えております。

 以上です。

○印南座長 美原先生、お願いします。

○美原構成員 エビデンスの問題については非常に難しいと私は思っています。というのは、高齢者はたくさんの病気を持っている。例えば、循環器の先生は循環器学会の病院のエビデンスに基づいてやっていく、そこに神経内科の先生がパーキンソン病のガイドラインに基づいてやっていく、それぞれの専門家がガイドラインに基づいてやっていると、お互いがどうしても切れないと言い合ってしまうような状況がないわけではないように思います。そういったときに、総合診療医という名前が出てきましたけれども、スタチンもそうですし、さまざまな薬剤をいつどうやって切るのかという目安があると、本当に臨床の現場では役立つと思いますので、このガイドラインが確立することを臨床の現場の人間としては非常に期待しております。

 以上です。

○印南座長 いかがでしょうか。

 さまざまな御意見、大変ありがとうございました。ここまでに先生方からいただいた御意見を踏まえて、事務局で資料1を修正していただき、構成員の皆様に御確認をお願いしたいと思います。最終的なとりまとめは、座長に御一任いただければと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

○印南座長 特に御意見がありませんので、とりまとめは私に一任とさせていただきます。

 事務局から補足があればお願いします。

○医薬安全対策課長 本日は大変活発な御意見をいただきまして、ありがとうございます。本日、樋口先生からも御指摘がありましたように、高齢者の方の意識や家族構成の変化等も踏まえた形での情報共有、その他の対応をこの中にも書いていったほうがいいだろという御指摘、大変強く心に響く御指摘だったと思います。

 あと、3ページに、院内の多職種による横断的・一元的な高齢者薬物療法適正化チームの形成という文言が書いてあるのですけれども、これはきちんと一歩進めて、いろいろな病院でもこういうものがシステム的に組み込まれるように促進を図っていくところも非常に大きな論点だと思いますので、そこも修文する際に項目を1つ上に上げて対応させていただこうと思います。

 あと、先ほど林先生からも御指摘がありましたけれども、入院中に起こっているいろいろなヒストリーの部分で、アレルギーですとか、副作用、中止の履歴といった情報を地域にバトンタッチしていくという部分、また地域でもそういった情報は必要という部分、また、それはちゃんと病院薬剤師の仕事として、プレアボイドという部分を含めて貢献するというところ、ここも非常にニーズが高い部分ですので、そういった部分も反映した形でとりまとめをさせていただこうと思います。あと、エビデンスの収集の仕方についても御指摘をいただきましたので、最終的にそういうところを修正した上で、また先生方に御確認をいただくということでお願いしたいと思います。

 これにつきましては、とりまとめられた時点で当検討会のホームページにも公表という形で掲載させていただくということで対応したいと思いますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございます。

○印南座長 それでは、議題1を終了いたします。

 次の議題は「在宅医療等における薬剤安全性管理の取り組みについて」でございます。前回の検討会の続きとなりますが、各医療の現場の医薬品の適正使用の取り組みを御紹介いただきたいと思います。ここで御紹介いただいた内容は、また次回以降の本検討会の議論の論点として参考とさせていただきたいと思います。

 それでは、樋口参考人、山中構成員、池端構成員にプレゼンテーションをお願いします。3人の先生方から順に御発表いただき、その後にまとめて質疑を行いたいと思いますが、発表について特段に御意見などがございましたら、各プレゼンテーションの合間に挙手をお願いいたします。

 なお、発表時間は15分とさせていただき、終了1分前にベルを鳴らせていただきたいと思っております。

 まずは、樋口参考人から「在宅看護領域における高齢者の薬物療法の実態と看護の取り組み」について、御説明いただきます。樋口参考人、よろしくお願いいたします。

○樋口参考人 よろしくお願いいたします。本日は、このようなお時間をいただきましたこと深く感謝申し上げます。ありがとうございます。

 今の検討会を聞いていまして、一人一人の先生方の御意見に本当にそうだなということで、うなずきながら伺っておりました。

 本日は、訪問看護の現場から、高齢者医薬品の使用の実態について御報告させていただきます。

 当訪問看護ステーションの5月を例にとりますと、利用者数は88名でした。そのうち平均年齢は79.5歳で、お一人お一人の内服処方の種類を見ましたところ、平均7.7種類という状況でした。これにドラッグストア等で買ったと思われるさまざまなサプリメントが加わっているのが現状です。

 そこで、私も非常に興味がありましたガイドライン2015の記事で、5種類以上の内服薬によって転倒率が上がるという報告を見まして、当ステーションではどうなっているのだろうと確認しましたところ、今年1~5月までの間に屋内で転倒した利用者さんは10名でした。

10名のうち9名は6種類以上内服しているという状況で、1316種類までの内服薬を飲んでいる方もいらっしゃいました。

 特に、その方々は慎重な投与を要する薬物も使用されておりました。

 中でも1例ですが、ここで再発を回避するための取り組みがありましたので報告させていただきたいと思います。

 症例は85歳の独居の女性でした。いろいろ疾患を持っていまして、この方はある日、明け方の4時頃にトイレに起きて、そのまま階段から落ちてしまいました。腰を強く打ったことと足背を打撲しまして、開放創になりました。外来に毎日通って治療を続けなければいけなかったのですが、腰が痛いということもありまして、処置を目的として訪問看護の指示が担当の先生から入りました。

 そこで私は、転倒したことに関しての原因が何かを考えまして、高齢であり、睡眠薬による筋弛緩作用を考えて、処方薬の内容を見てみることにしました。そうしますと、この表にありますとおり11種類以上の薬と、眠剤につきましてはマイスリーやレンドルミンを処方されておりました。特に、これらの薬に関しましては追加で内服している現状から、月の半ばには薬が足りなくなって外来に処方をお願いしにくるという状況がカルテからわかりました。

 そこで、実態を確認しなければならないと思いまして確認しましたところ、不眠の原因は、お一人でしたので夜中に目が覚めるととても寂しくなって、また追加して飲んでしまって朝を待つような現状があったことや、訪問に行ったときに血圧はそんなに高くないのにおかしいなと思いましたが、多分、外来受診時の値が非常に高いということで高血圧だったような状況でした。

 あと、風邪などの症状が出現すると、症状を抑えたいという思いから、すぐに受診しましてお薬をもらいにいっていて、薬の数がどんどんふえているという現状がわかりました。

 そういう中で判断しますと、薬剤を飲み過ぎている状況にあるということ。2つ目には、降圧剤を減量できる可能性があるのではないかということ。もう一つは、風邪の処方薬などを適切に使用していないということが考えられましたので、さまざま実践をしましたが、まず、眠剤の服薬指導によりまして追加処方が不要になりました。また、訪問看護等で血圧を管理し、その状況を医師にコンサルテーション、報告していくことで減薬の相談ができました。

 また、症状は消失しても内服し続けていた薬がありましたので、それらを選定し、中止することができました。

 このような関わりがあるのですが、訪問看護の5月、88名のうちで、内服管理が必要な患者さんは86名おりました。中でも訪問看護で全てを管理しなければいけない方が25名ほどおりまして、この方は大抵独居だったり、老老介護だったり、認知症があったり、多剤内服している方というのが現状です。

 この方法は、よくいろいろなところで見られる内服の管理の方法かと思われます。

 当事業所でも同じようになっております。カレンダー方式、個別パック方式、個別にパックしたものをさらに朝昼晩に分けるような方法をしております。ですが、現実はどうかといいますと、週間のカレンダー方式やピルケース方式になりますと、指先がうまく動かなかったり、指が太くて中に入らなかったり、取りこぼしてしまったりということが実はこの方法では起きています。曜日を間違ってしまうと、その先はバラバラです。いつから始まっているものだか、終わるものだかわからないという状況になっていることがあります。

 あとは、一日方式だと、誰が毎日入れるのかという現状があります。一包化方式につきましても、開けるときに袋からポロッと落ちた薬が、訪問のときに床や布団から出てくるということが普通に起きています。

 さらに、そういうふうにセットするまでが大変で、訪問看護の事業所の中に大きな引き出しがあるのですが、それを開けますと、常に10人ぐらいの方々の薬をこのように管理しています。

 なぜ、このように訪問看護の事業所に薬を持ってこなければいけないかということですが、実は私たちが訪問にいってお薬を次にセットして置いてきても、行くたびに場所が変わっていたり、なくなっていたり、多く飲んでいたりということが現実に起きています。

 さらに、たくさんの薬の管理が必要ですので、訪問時間でいただいている30分、1時間の中では、薬のセットをするには時間が足りないのが現状です。なので、事業所の中で薬をセットして、カレンダーに入れて、それを持っていくという状況があります。

 さらに特に大事だと思っているのが、2カ所、3カ所と薬局を使っていて、さまざまなところからお薬をもらっている患者様です。処方される薬局によっては切れる日も、持っている薬もバラバラになってしまいます。そういうものを合わせたり、特に同じような作用の薬をあちらの薬局やこちらの薬局でもらっていることもありまして、そういうものの安全管理のために、危ないときにはこのように回収して管理しております。

 これはある訪問のときの例です。80代の男性でした。糖尿病や前立腺肥大などで治療しておりましたけれども、入退院を何度も繰り返しているということで、多分、在宅での薬の管理に問題があるだろうということで、担当医の先生から訪問看護の依頼がありました。初回訪問に行きますと、このように薬が押し入れから出るわ、出るわ、出るわという感じでした。次々昔の薬が出てくるわけです。それらを今飲まなければいけない薬を選別しまして、何とかきちんと飲んでいただけるように、朝昼晩とセットしているところです。中には、インスリンのように冷所保存しなければいけない薬も押し入れから出てくるわけです。これが現状であり、これらの薬をおうちで限られた時間の中でセットするのは本当に労力が必要です。

 これらの管理をガイドラインでは支援と一元管理ということで、残薬を外来や薬局に持ってきてもらったり、あるいは御家族に管理していただければいいのではないかという話が載っておりましたが、私が考えるにはどちらも理想像だなと感じております。まず、現状での薬剤管理指導というのは、私の記憶の中では中6日あけて月4回までだったと思います。薬剤師さんがおうちに行って管理していただいたその日の夜や、次の日に何か飲み間違いがあったときには、次の訪問までには日にちがあくということです。

 あと、独居や高齢者同士の生活の中で、大体家族は遠方におります。お薬が飲めなくなったからといって、わざわざ御家族がその管理をしにくるのは現実的ではないかなというのが私の印象です。結局、そうなりますと薬の管理というのは、訪問看護か訪問ヘルパーで実際にやっていくということになっております。

 それでもお薬は飲んでいただかなければいけないので、さらに私たちは工夫をしています。現実的には無償になりますけれども、毎日決まった時間に「何々さん、もうお薬飲みましたか」と電話をするということや、毎日訪問します。ヘルパーさんや訪問看護師でタイアップしながら毎日訪問したり、私は本日北海道から来ておりますが、北海道は猛吹雪もあります、薬をセットするためには吹雪の中でも行かなければなりません。あと、2~3日あけて訪問した場合に、その間にきちんとお薬を飲んでいただけたかどうかを確認するために、薬の空の確認をすることもあります。そのために、ごみ箱まであさるという現実さえあります。

 そこまでしても、やはり在宅にはまた別の常識といいますか、こだわりがそれぞれの方々にはあります。1つは、癖になるものは飲んではならないということです。この薬は癖になるから飲んではいけないのよねと考えるんです。例えば降圧薬です。降圧薬などは、血圧を自宅ではかると数字で出てきますので、落ち着いてきたらもう要らないと。今度高くなったときに効かなくなったら困るから、今はやめておかなきゃということです。

 あるいは、今すぐ症状をとらなくてはいけない、効果をすぐに出したいという薬に関しては、1剤、2剤と増やしていきます。自分の経験上、2剤までならOK、3錠までならOKという形で、在宅にいる患者さんたちはいろいろ考えて内服します。そういうことになりますと、途中で薬が足りなくなって、月の半ばで処方をお願いするということも起きてきます。

 逆に、お薬は高価なものです。だから、大事に使います。いざというときのためにとっておくんです。いざというときがどういうことなのかということですけれども、例えば、頭が痛いとか、発熱とか、寝られないとか、風邪を引いたというときに飲めるように、大事に大事にとっておきます。抗生剤からタミフルまで出てきたときは、私はびっくりしたのですけれども、こういうことが現状です。これは一体いつのものかというものもあります。

 これは御自宅で写真を撮ったものなのですけれども、出てくるわ、出てくるわという感じで、よく見ると、いざというときのために飲む薬なのですけれども、鎮痛剤やら、よく見るとハルシオンみたいな薬も入っているのですが、冷蔵庫を開けると、いつのものかわからない坐薬だとかが出てきます。ソースや梅干しと一緒にこういうふうに並んでいるわけです。これが現状です。

 そして、一番危険だなと、これはまずいなと思ったケースがありました。がん疼痛コントロールで在宅療養中の患者様でした。妻が頭が痛いと言っていると、自分はこの薬を飲んだら非常によく効いたから、今、自分が大事にしている家族、介護者が頭が痛いと言っているが、この薬をあげてもいいだろうかという相談が来ました。それはオプソでした。非常に危険だなと思います。聞いてくれたからよかったものの、こういうことは現実にあるのかもしれないと思いました。

 今のような現状が実際には訪問看護で起きています。とても珍しいケースではなくて、本当に日常茶飯事の中で起きているような現状です。

 そこで、普段やっていく中で、適正使用の課題として考えていることを挙げさせていただきたいと思います。

 自身で管理ができていても、適正使用が本当にできているのかどうか。自身で管理ができなくなったら、誰が適正に使用できるように支援していくのか。その誰かは適正使用するためのノウハウを本当に持ち合わせているのかどうか。高齢者の薬の管理能力や適切に服薬できているかどうかを誰が把握し、判断していくのか。そして、管理能力や服薬の実態に応じて処方されるよう調整を行ったり、服薬支援を行うのは一体誰なのだろうかと常に考えさせられます。

 本日は、訪問看護からの報告をさせていただいておりますので、本日の状況は訪問看護が入ってのことです。それでもあのような状況が起きている中で、訪問看護やヘルパーさん、在宅の中でいろいろなサービスが入られている方というのは、ほんの一握りだと思います。それ以外の方々に適正使用していただけるためには、どういうふうに入っていったらいいのかというが、私たちのこれからの課題だと思って常に考えております。

 以上です。ありがとうございます。

○印南座長 ありがとうございました。

 一応、御意見は後でまとめてですが、どうしてもという方がいらっしゃいましたら、お伺いしますが。では、島田先生。

○島田構成員 非常に大変な状況を拝見いたしました。こういった状況は大分前からも指摘をされているということから介護保険制度がスタートして以来、薬剤師は患者の自宅や入居施設にお伺いし、服薬方法のアドバイスや薬の適切な管理に導く訪問薬剤管理指導という仕事をさせていただいているわけで、この地域の状況をしっかり把握しないで軽はずみなことは言えないと思いますけれども、こういうのを見るがゆえになおのこと、私たちの活動をもっと効果的にしていかなければいけないなと思いました。

 ちょっと質問させていただきたいのですけれども、ここの場合は地域の薬局さんの訪問服薬指導というのはされた上で、こういう状況になっているのでしょうか。

○樋口参考人 在宅薬剤管理指導ということで考えてよろしいですか。

○島田構成員 薬剤師がお宅へ行って、こういったものを見過ごしているということでしょうか。

○樋口参考人 入っていらっしゃる方もいます。うちの訪問看護ステーションの中でも利用されている方はいます。でも、全員が全員入れるわけではないんです。キャパの問題もあるかもしれませんけれども、在宅での管理がみんな薬剤師さんが入れればいいのですけれども、そういう状況にないところで訪問看護が全部カバーしているのが現状です。

○島田構成員 薬剤師が訪問管理指導に介入できない状況もあってということですか。

 こういったものを見ると、多分そこの地域の薬剤師さんもこれは放っておけないと思っていると思いますので、スムーズに介入していける状況になるといいなと思います。ありがとうございました。

○樋口参考人 ありがとうございます。

○印南座長 続きまして、山中構成員から「高齢者の適正な医薬品使用に向けた在宅医療の現状と課題」について、御説明をお願いしたいと思います。山中先生、お願いいたします。

○山中構成員 山中です。よろしくお願いいたします。

 私からは、在宅医療の役割、在宅医療における薬剤治療、在宅医療のエビデンスということで3点お話しさせていただきます。

 まず、在宅医療の役割ということですが、改めて申すまでもないわけですけれども、国際的に見ますと、在宅医療というのは生活を支える医療、緩和ケアとしての在宅医療と、病院と同等の治療を自宅で生活の場で実現する、ホスピタルアットホームとも言われていますけれども、そのような在宅の治療を追求するようなモデルという2つに分かれます。

 日本では、先生方も御存知のとおり医療制度が整っておりまして、高齢者が急増しているという背景で1番の生活を支える医療、緩和ケアとしての在宅医療が非常に求められているということになります。

 そういう状況下では、一番上にございますような疾患を見るという軸だけでは不十分で、生活を支援する、最終的には生き方まで思いをはせて、総合的にとらえて支援をするということが我々、医師に求められることだと理解しております。

 そのような在宅医療では、ここに挙げましたように、病状の安定化、生活の維持・改善、苦痛の緩和というのが治療の主な目的になるかと存じます。

 2つ目の在宅医療における薬剤治療につきましては、私の経験した事例を通してお話しさせていただきます。

 まず、1点目の在宅医療での薬剤処方の適正化という問題でございますが、これは薬剤名と有害事象を全て網羅的にお示ししようというものではございませんで、私が経験したものからの抜粋でございます。

 このうち上半分、1~4番につきましては、病院ないし外来診療で処方されていた、これらの薬剤が原因でADLが低下して在宅医療が必要になってしまったという事例です。在宅医療になってそれを調整したら、少し元気になったという薬剤です。

 5~8番の薬剤は、在宅医療の現場で私が処方して生じた有害事象となります。

 また、少し離して長期経管栄養療法の微量元素欠乏症と書かせていただきましたが、急性期の病棟ではなかなか経験しないような状況が在宅医療にありますので、急性期病院の中だけでは見えない現象もあるということで、ここに掲げております。

 ここにお示ししましたように、先ほどもお話しいたしましたが、在宅医療が始まる前の薬剤処方ということが1つ課題としてあります。その上で、在宅医療が始まった後の薬剤治療につきましては、頻度が多いと感じております現象として、認知症患者さんのBPSDに対する薬剤処方。それから、不眠や疼痛、便秘という患者さんの症状がはっきりしている、その症状に対する薬剤処方がしばしば問題になります。

 2つ目の観点は、服薬アドヒアランスということですけれども、先ほどのプレゼンテーションにもございましたので事例は詳しくは御説明いたしませんが、服薬状況の把握ということと、生活実態、その人がのめるように薬剤処方を調整していくことが必要だと現場では思っております。

 1例御覧いただきますけれども、この方は94歳の男性で、2型糖尿病、認知症などを認めて、外来通院されていた方です。内科から右の1~11番の11種類、泌尿器科から1214の3種類を処方されていたというポリファーマシーの典型という状態だと思います。

 この方は、もともとお酒を飲むのが好きだったので、一升瓶を抱えてずっと飲んでいらっしゃったようですけれども、最近は調子が悪くてワイン3杯ぐらいしか飲めないという状態で引き継ぎました。

 これが訪問診療開始まで糖尿病内科にかかっていたときのHbA1cの時系列データです。糖尿病内科の先生は薬剤処方を調節して、HbA1cが6前後でピタッと、理想的な状態なので糖尿病に関しては特に問題はないのだけれども、足腰が弱ってしまって通院ができないので、薬はそのままで始めてほしいということで訪問診療に入りました。

 そうしますと、実態はこういう状態で、最後には袋の中から出さない薬も含めて、半年分ぐらいの薬がベッドの下から出てくるという状況になりました。

 結果的には、薬をのんでHbA1cがコントロールされていたわけではなくて、食欲がなくて好きなお酒も飲めずに、飲み食いができなくなってしまって、結果的にHbA1cは動いていなかったという状況でございます。ですから、検査データだけを見ていても本当の姿はとらえられないという教訓です。

 ほかにも、先ほどもありましたので詳しい説明は割愛しますけれども、残薬という問題は現場でたくさん生じております。

 この中でも、左上の吸入薬についてだけ一言御説明させていただきます。これは90代のCOPDの患者さんでしたけれども、認知症があってCOPDがあるということで、呼吸器内科の先生は何回か薬剤調整を試みて、こっちのほうが効くのではないかということで何種類か出してくださったのですが、その方は結局「わしに毒ガスを吸わせる気か」ということで吸入薬は絶対に吸わないと。それを御家族が主治医に外来に行ったときに伝えようとするとものすごく怒って、帰ってから大変なことになるので、御家族も主治医に伝えられなかったという状況で過ごされていたという例です。

 もう一例紹介いたします。この方は84歳の女性、ひとり暮らしです。慢性心不全を認めて訪問診療を開始いたしました。この方は、それまでに解離性大動脈瘤とか両側変形性膝関節症手術、さらには81歳でS状結腸がんの手術を受けるということで、体力を落として通院するのが困難となって在宅医療が始まりました。

 その経過図ですけれども、心不全があるということで体重とBNPをメルクマールにしてコントロールしようと試みました。まず、薬剤をしっかりのまないと始まらないということで、訪問薬剤管理指導を導入いたしまして、薬を届けていただいて服薬指導、先ほどもありましたようなお薬カレンダーの設置等を行いました。それでも体重、BNPともに上がってくるということで、水分が多いのだろうということで飲水制限をさらにかけましたが、その後、呼吸困難で救急外来を受診することが立て続けに2回続きました。その直後に、床に利尿剤が落ちているという光景を目にしまして、訪問薬剤管理をしっかりしていたつもりが、きちんと口まで入っていなかった、服薬されていなかったということで、この時点で主要な薬を朝1回にまとめて、ヘルパーさんに確実に内服するところを見届けていただくという介入をいたしまして、BNPと体重が落ち着いたという経過を示しております。

 このように在宅医療では問題点ばかりのように思われるわけですけれども、メリットもございます。薬剤処方が一元化されやすいというのが最大のメリットだと思います。さらに、普段の生活の様子がわかる、服薬状況の実態、本当の姿がわかるということで、それに応じた対策を検討することができるというところがメリットだと考えております。

 3点目として、在宅医療のエビデンスについてお話しさせていただきますが、在宅医療のエビデンスは極めて少ないのが現状です。特に、日本のエビデンスというのはほとんど皆無に等しい状態です。

 高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015では、領域別の指針として在宅医療という項目がございます。そこで4つのCQに対して推奨が出されております。いずれもエビデンスの質は不十分ないし低いという評価で、全て海外の英文論文に基づいた推奨ということになります。

 特に、慎重な投与を要する薬物のリストということで、ベンゾジアゼピン系睡眠薬・抗不安薬が掲載されております。

 エビデンスということですけれども、これは筑波大学の浜野先生が調査した結果ですが、日本の在宅医療の現場の実態です。在宅医療におけるPIMsPPOsということで、430名を対象に調査しております。平均の薬剤処方数が6.1、1種類以上のPIMsが認められたものが34%。1種類以上のPPOsが認められたものが60%。ただし、PPOsに関しては、ここで示されていることが在宅医療の現場で適切かどうか考えないといけない問題があると考えております。

 さらに、それぞれのリスク因子・疾患(オッズ比)は、ここにお示しするとおりです。

 先ほどのスライドと共通してですけれども、STOPP criteriaの該当割合も、このような内容となっております。

 続きまして、在宅患者における薬物治療に伴う副作用、薬物有害事象と言ったほうがよろしいのかもしれませんけれども、薬剤師さんが訪問時にADRsを発見した割合は14.4%。多かった症状はめまい・ふらつき・立ちくらみ等、消化器障害、臨床検査値の異常、意識障害、皮膚症状とされています。

 被疑薬として多かった薬剤として、催眠鎮静剤・抗不安剤、精神神経用剤、その他の中枢神経系の薬になっております。

ADRsに関連する要因としては、女性、自宅、7剤以上の内服薬を処方ということがまとめられています。

 また、残薬という観点では、このような薬が在宅で残薬として多いということで資料としてつけております。

 在宅医療で介入した研究ほとんどないのに等しいのですが、これは認知症を認める在宅療養患者さんに、特に真ん中のTable5の図ですけれども、ベンゾジアゼピン系の薬剤の調整をして減薬すると、QOLADLがどのように変化したかを検討した結果です。

 3カ月の時点では、ベンゾジアゼピン系の薬剤を整理すると、QOLADLともに改善する。6カ月で見てもADLが改善するということを示した調査結果です。

 これは海外の論文になりますけれども、MCIの患者さんで75歳の以上の方、在宅療養者では、介護者の状況が服薬アドヒアランスに影響するということで、介護者がいるかいないかというのは大きな問題ですけれども、いる場合でも、いない場合でも、さらに介護者にストレスがかかっているとノンアドヒアランス、すなわち服薬をしっかりできていない状況が増してしまうということが示されております。

 このように、在宅医療では我々処方医の問題、それから、患者さんの服薬の問題もありますし、ケアする人をどのようにしていくかというところを総合的に考えないといけないと考えております。

 以上です。

○印南座長 ありがとうございました。

 特段の御意見があれば今お聞きしますが。よろしいでしょうか。

 それでは、続きまして、池端先生から「療養病床における薬剤使用に関するアンケート集計結果のまとめ」について御説明いただきます。よろしくお願いいたします。

○池端構成員 私のほうから、私が所属している日本慢性期医療協会でことしの5月、この検討会が決まってから緊急にアンケート調査をさせていただきましたので、慢性期の病棟の現状を御理解いただくために、少しプレゼンさせていただければと思います。

 平成29年5月に、慢性期医療協会の会員の薬剤部長あるいは課長宛てに1,024の病院にアンケートしまして、病棟基本シートを320病院、病床種別シートを416病院、3割強の方に御回答いただきました。

 まず、病院基本シートというのは、慢性期病院と言いながらいろいろな種類の病棟を持っていますので、それが主にどういう病院かということで調査させていただきました。医療、介護療養が一番多いですけれども、そのほかに回復期リハ、地域包括とか精神を持っているいらっしゃるところも一定割合あるということです。

 そして、服薬を最小限にするための努力をしているかどうか。先ほどあったように、出来高ではない病棟で、基本的には薬剤は減れば減るほど収益は上がるという包括的な病棟なので、もちろんこういう努力をしているという病院が6割以上あるということです。

 そして、積極的にジェネリックを使っているかどうかということで、これは圧倒的に8割以上、9割近くが消極的、積極的に使っているというデータが当然ながら出ています。

 そして、後発品の品目ベースでどうかというと、50%以上というのが5割ぐらいありますが、これを薬価ベースにすれば6割以上。

 使用量ベースで言えば、7割5分以上ということになっていますので、使用量ベースでいえばジェネリックはかなり使われているという現状がありました。

 そして、病床種別と平成29年5月1日現在の病床数と入院患者数です。この病床に関しては、主に療養病床中心の病床だけをピックアップして調査させていただきました。分布はこういった形になっています。

 そして、その時点で最も多く服用した患者さんの処方数は幾つですかという問いに答えたのが、平均で111213が多いのですけれども、ある病棟で最高26種類出したことがあるということが出ていました。(全体としては)こういう正規分布に近い結果で中央値は大体111213、一番多い処方は10種類以上処方しているところが、どの病棟でも多かったということです。

 次に、平成29年5月1日現在の入院患者の定期内服薬の処方数は幾つですかということで、全患者の処方数を挙げたものですが、ゼロというのが一定割合、2割弱ありますけれども、大体平均で3~4種類が一番多くて、こういう分布をしている。ゼロで1つの波があって、あとは、3~4種類で1つの波があるということで、そんなに多くないということが療養病床の中で出ました。

 次は、平成29年5月1日現在で一包化しているか、あるいは粉砕しているかということでいえば、一包化しているのが7割近く、圧倒的に一包化しているということで、療養病床の特徴だと思います。それから、粉砕しているのも1割程度あるということでした。

 そして、1カ月以上入院して退院した患者の入院時と退院時の処方数を比べる調査を行いました。これは大体82歳の平均年齢で、包括的医療ですのでできるだけ減らしたいというバイアスがかかって、私は正直もうちょっと多いかと思っていたのですけれども、意外に少なくて入院時に5.6剤だったのが4.7剤、1剤弱程度の減薬という平均が出ていました。

 そして、退院時の変化として、変化なしが3割ぐらいあって、減らしたのが4割ありますけれども、増えたというものも一定程度出ている。減らそうと思っても減らせない現状は、やはりあるのだということです。

 そして、5種類以下と6種類以上で比べますと、入院時はほぼ同じくらいだったけれども、退院時は6種類以上が少し減ってきて、6種類以上だったものが5種類以下になった、若干こういう傾向になったということです。

 そして、入院時・退院時の一番多いのは4、5、6だったのが、今度は0が圧倒的に多くなって、あと3剤、5剤が比較すると出ていました。

 次が、入院前と退院時を比べて、ゼロが当然多くなっているのですけれども、若干シフトしていますが、そんなに大きく少ないほうに引っ張られているような統計ではないということが出ています。

 さらに長期に入院した方はどうかということで、半年以上入院した方をピックアップするために、平成2811月1日から1カ月間に入院した方で、現在も入院している人の入院時と退院時の処方の量を調べてみました。平均年齢は大体82歳と同じような感じです。

 これを見ると、長期でも5.6から5.20.4しか減っていない。多剤を余り減らすことができていないという現状ではないかと思われます。増えているのが3割ぐらいある。減らしたのも3割で、変わらないも3割ということで、こんな感じでちょうど増えた、減った、変わらないというのが三等分になってしまっているということで、高齢者の長期療養になるといろいろな病状が出てきて、減らせるものもあるけれども、増やさなければいけないものも出てくるというのが現状かと思います。

 次が、5種類以下と6種類以上で、これは大体同じような傾向があったということで、長期入院でも同じぐらい。これも同じような傾向があったということです。

 次は、入院時と退院時のグラフです。先ほどと同じようなグラフです。

 次は、20対1、25対1という療養病床の重症度が高い20対1の療養病床と、比較的低い病棟で違いがどうあるかということを見ると、意外ですけれども、重症度が高い医療区分2、3が8割以上いるという高いのがオレンジですけれども、高いほうが逆に処方数が少し少ない。長期療養で低いほうがむしろ種類が多いという、これはどう解釈するか、いろいろな解釈の仕方がありますけれども、こういう傾向が出てきたというのが特徴かと思います。

 あと、いろいろ比べましたけれども、そんなに20対1と25対1の差はなかったということで、時間の関係で省略します。

 一応、自由記載欄が合計1,200ぐらい出ました。いかに注目しているか、先ほど樋口先生が書きたい人がいっぱいいるということで、ポリファーマシーに対して問題意識を持っている方が非常に多かった。特に薬剤課長に聞いてみますと、主なものをピックアップしましたけれども、一番多かったのは、最小限努力にするためにどういう努力をしていますかということで、医師と薬剤師が連携することが非常に大事。薬剤師から医師に提案をしている、入院時の持参薬を見直している、当然ながら持参薬からの切りかえの際の見直しをしているというのが一番多く上がっています。

 それから、ポリファーマシーなど高齢者医薬品使用に関する意見としては、情報を一元化することと、まとめ役になる医師が必要だと。これがなかなか難しいと。私は専門外だからわからないよと言われる医師が多くなってしまって、特に療養病床の中でまとめ役になる医師が難しいということが出ています。入院を機会に減薬の見直しをするということもありました。

 それから、入退院の間で患者の薬剤数が増えている場合があるのはなぜですかということは、感染症や他科受診をしたとか、疼痛を軽減するために増やしたということがある。

 逆に減ったのは、入院管理によって状態が安定したとか、リハビリ、介護の介入によって眠剤等が減った、同種同効薬を減らしたということがあるということでした。

 皆さん方の資料には赤字は入れていないのですけれども、このようにフリーアンサーを羅列しています。これも抜粋で、全体では千二百幾つ出てきましたので、相当皆さん思い入れがあるということで、主なものを見てみると結構いいアイデアも出てきて、ポリファーマシーについてミーティングしているとか、主治医と相談して、薬剤師のほうが提案しているということが非常に多かったです。主治医だけに任せておくと、どうしても忙しさで見直しができないので、チーム医療や薬剤師からの提言でやっていることが多かったということです。

 看護科とも連携している。これはポリファーマシーの研修会を院内で行っているということ、研修会で説明している、あるいは薬剤師も薬剤管理指導を見直す薬剤について処方を提案している。

 本人・家族への説明をきちんとしている、これは何名かから出てきました。

 加算をとるために頑張っているということ。

 お薬手帳と一包化を推進する、配合剤を活用する、まとめ役の医師が必要、この言葉はあちこちに出てきます。

 あとは、かかりつけ医や、かかりつけ薬剤師が必要だろうということ。

 それから、精神系薬剤の中止、変更はしづらいと考える医師が多いという意見も出てきています。

 高齢者自身の意識改革、先ほども出ましたけれども、こういうことも非常に大事なのではないかということが上がってきています。

 あとは、医師だけではなくて、患者本人、家族の理解が結構大事だということが、かなりの項目で上がってきています。一部の医師で中止したがらない人もいるということも上がってきていますし、入院を機に見直すことは非常に大事だと。

 また、総合診療医がもっと必要ではないか、この方がイニシアチブをとっていただけるといいのではないかという意見が多数出ていました。

 ガイドラインが発表されて非常に助かっているということや、あるいは院内教育が非常に大事だ、ポリファーマシーの問題点、啓発活動が大事だ。

 医師は、自分の専門以外の科からの処方はなかなか変更しにくいという御意見、医師は専門外の処方はなかなか調整しにくい、むしろ薬剤師が積極的にその医師にかかわったほうがいいのではないか。似たような意見がかなり多かったです。

 あと、抜粋で入退院の薬剤が増えたのは何か、減ったのは何かという意見をまとめました。

 ここからポリファーマシーに関する提言ということですが、くしくも本日の最初のほうの議論に非常に近いものがあったのですが、私が一番最初に挙げたのは、国民的啓蒙活動、受ける側が薬のことをもっと勉強して、自分の薬という非常に大事なものなので、それをしっかり認識して、本当に必要かどうか、あるいは本当に必要ならしっかり必要十分な飲み方をしなければいけない、こういうことが非常に大事ではないかと。逆転的な発想かもしれませんけれども、ここを同時進行でやらなければいけないのではないかということ。

 それから、当然ながら、多職種連携での取り組みの推進。特に、医師と薬剤師はしっかり連携していくべきだろうと。これは在宅でも病院施設でも同じことではないかと思います。

 3番目は、あえて勝手につくってしまったのですけれども、PSTPolypharmacy Support Team)という、先ほど議論がありましたけれども、ここを設置するということを1つの提言として挙げてみたいと思います。栄養サポートチーム(NST)が非常にうまくいって、かなりよくなったとあちこちで聞きますけれども、これも本当にチーム医療が必要になってくる。これが診療報酬でどうするかということとは余り強くは言いませんが、でも、こういうPSTというのはまずトライアルとしてどんどんやっていただいて、長寿医療研究センターだけではなくていろいろなところでやると、それがいいものであって、しかもポリファーマシーがなくなって薬が減っていけば、多分(診療報酬上も)認められていくのではないかと思いますので、基幹病院を中心にこういう取り組みをやっていただければいいのではないかと提案させていただきます。

 それから、横にいらっしゃいますけれども、製薬会社や薬剤卸業者はただ売ればいいというものではないと。一緒に考えましょうという考え方もしていかなければいけない。私は時々、自分のところに来るMRさんに言っているのですけれども、こういうことを考えていますかと聞くと、「え、何ですか、それ」と言う方も結構多いんです。これは国民的議論で、みんなが一緒に考えなければいけない。どんどん売れたら、またしっぺ返しで薬価や診療報酬が減額されるわけですから、こういうところにもアプローチして国民的な考え方、合意形成のもとにポリファーマシーをなくそうということをやっていくべきではないか。

 最後に、できれば診療報酬でのインセンティブがあるといいよねということをつけ加えさせていただいて、5つの提言とさせていただきました。

 以上です。ありがとうございました。

○印南座長 ありがとうございました。

 それでは、3つのプレゼンテーション、樋口参考人、山中構成員、池端構成員の御説明に御意見、御質問等がありましたら、お願いいたします。

○医薬安全対策課長 事務局からよろしゅうございますか。

 今、池端構成員から5つの提言をいただきましたけれども、製薬会社、卸業者等の取り組みというところは私も非常に重要だと思っているのですが、せっかく今、構成員として荒井構成員に入っていただいているのですけれども、もし、この場でお考え等がありましたら、お聞かせいただければと思ったのですが。

○荒井構成員 日薬連から参加しております荒井でございます。

 業界のほうもいろいろと考えておりまして、こういったポリファーマシーに対して何ができるのか、どういった情報提供ができるのかというところを考えております。今、添付文書の大改訂という作業も進んでおりますので、そういった中でもエビデンスに基づいた情報提供が必要ということも考えているところです。

 本日冒頭にお話しいただいた今後の進め方についての案の中でも、医療関係者の理解・意識の向上もございますので、こういったところを今後もうちょっと情報を整理しまして、どういったことが伝えられるのか、何ができるのかを考えていきたいと考えております。

○印南座長 ありがとうございました。

 ほかに御意見、御質問等ございませんでしょうか。水上先生、お願いいたします。

○水上構成員 ベンゾジアゼピン系薬剤などの向精神薬については、管理は非常に厳格にされていますが、処方と処方後の服薬状況の確認などの取り組みが、管理の厳重さに比べると行き届いていないような気がします。

 それから、BPSDの薬や眠剤はやめ方が難しいという話があります。確かに難しいのですが、例えばBPSDに抗精神病薬を新規投与すると11週以降死亡率が上がるという2016年の日本のデータも出てきていますので、新規に処方した場合は、同時に減量中止を意識していく必要があると思いますし、紹介で向精神薬を引き続き処方してもらう場合は、紹介するときにどのようにやめていくかという道筋を示すことも必要と思います。

 樋口参考人の御発表では、訪問看護で睡眠薬の追加処方が不要になったというケースがありましたし、池端先生のお話でも、リハビリによって睡眠薬が中止できたという話がありました。やめにくいお薬をやめるときに、代替手段や、非薬物的な対応をなど、患者さんが、自然とやめていけるような方法も提示していく必要があるのだろうと、お話を伺って感じました。

 樋口参考人のお話で、追加の睡眠薬が不要になったということですが、実際にはどういう指導をされたのですか。

○樋口参考人 質問ありがとうございます。

 私は訪問看護なので、それが大きな特徴だったと思います。訪問看護で利用者さんの生活状況がしっかりわかる。どういうときに不安な状況が起きたりとか、不安の原因が何なのか、不安にもいろいろな原因があると思うのですけれども、そこをしっかり向き合って話し合うことができたり、そういう人に寄り添うことができるというのが大きかったと思います。

 薬自体は、安心して眠れたら、昼間に誰かが来てお話ができるとか、私たちは24時間連携体制をとりましたので、心配なときはいつでも連絡をとれる人がいる。そういう安心感は大きかったと私は思っています。よろしいでしょうか。

○水上構成員 私も、そのように理解していました。単に眠れる、眠れないに焦点を当てるよりは、日中からの不安や心理状態、あるいは日中の活動性の向上といった部分が、ひいては睡眠薬の減少につながってくるのかなと思います。 以上です。

○松本構成員 皆さんすばらしい発表で、反論することもないし、それほど意見もないのですけれども、ただ、1点、残薬のことを皆さんどうしても言われます。多剤投与で残薬があるという一面はあると思いますけれども、大きな理由は長期処方にある。長期処方ですと受診回数が減りますから、様子を話す機会が少なくなる。ましてや、先ほどありましたように、服んでなくても服んでないと家族に言われるのが嫌だとか、せっかく処方してくれているのに先生に申し訳ないという、処方医と患者との間に会話がなされていないからそういうことが起きるのだと思うので、長期処方が問題であろうと考えます。

 あと残薬、そういうことではないのだと思いますけれども、看取りの後、残薬を全部回収して薬局に返却しているということでしたが、返却された薬局も非常に困ると思います。一旦処方したものは服んでいようが、服んでいまいが捨てるしかありませんので、そういう無駄をしているということも、池端構成員が最後に言われた中で、やはり啓発運動が大事なのだろうなと思います。

 以上です。

○印南座長 ほかにいかがでしょうか。池端先生、お願いします。

○池端構成員 樋口参考人の意見を聞いて、私も同じような経験が何度もあります。私も在宅を少しかじっているのですが、先ほど島田構成員からもお話があったように、訪問薬剤指導が入れるぐらいのレベルの方だと、それですごく助かってうまくいっている例を何度も聞いています。そこが中心になってきちんと調剤をやっていただけると、今おっしゃったように、長期処方しなくても本当に1週間、2週間単位で少しずつ減らすということができるんです。ただ、一番困るのは、訪問薬剤指導を入れるときにお金もかかるでしょうと言われて、ただ薬を運んでもらうだけでお金がかかるものなんて要らないよと言われるのですけれども、そうではないんだよということを理解してもらうことが大変なのですが、一旦理解して導入すると助かったということが非常に多いので、私は、一定レベル以上の介護度の在宅の方には訪問薬剤指導が非常にいいものではないかと思っていますので、より推進していただきたいと思います。

 そして、そこが中心になると、おっしゃったように朝、一包化して、こことここは訪看が入って、あとはヘルパーが入って、土・日は家の人でお願いしよう、では、これで一応1週間何とか見られるよねということでケアプランを立てるんです。それで本当にうまくいって、血圧も安定するといういい成功例もすごくあるので、ぜひ中心になって島田構成員にも頑張っていただければと思います。

 これは意見です。ありがとうございました。

○印南座長 ほかにございませんか。お願いします。

○樋口参考人 私もしゃべって大丈夫ですか。済みません。

 今の御意見は本当にそのとおりだと思います。先ほど私もプレゼンテーションさせていただいたのですけれども、あのような薬を管理するのは非常に時間がかかります。せめてポケットに入れるとか、1週間分セットするのでもいいので、そこは専門の薬剤師さんにやっていただけることで、訪問看護は、看護師は看護師の本来の仕事と言ったら語弊があるかもしれませんが、患者様に対するケアに時間を使うことができます。そういう意味では、本当にチームというのは大事だなと思って聞かせていただきました。

 あと1つ、意見といいますか、私の気になっていることをぜひ聞いていただきたいのですが、先ほどもチームで多職種の連携や、先ほどPSTとおっしゃっていましたけれども、ポリファーマシーのサポートチームという話が出ているのですが、入院していると、そこで薬を持ってきてもらったり、退院するときに薬を調整するということが非常にやりやすいし、多職種連携も非常にしやすいと思うのですが、それを外来でやるとなると非常に大変かと思います。実際には、持ち帰ったお薬がどういうふうに飲まれているかということがとても大事になってきますので、これがポリファーマシーと直接関係があるかどうかという問題はあるかもしれませんけれども、きちんとお薬が管理されているかどうか。要は、2剤、3剤減らして持って帰ったお薬も、翌日にどこかを受診して増えている可能性もあるわけです。結局また増えているということがあります。そのときに外来で何か管理ができたり、外来でケアができればいいなと思うのですが、そこには外来に薬局さんがいらしていて、処方されたときにしっかり話が聞けたりということもそうですし、看護側から考えると、外来のナースの力をつけるというか、看護外来というような状況ももっと拡充していけると、入院されているのではなくて、普段生活されている患者様にもっと寄り添えるような薬の管理や、薬が増えていくのを防げるのではないかと考えておりますので、ぜひ外来系で何ができるかも考えていただけるとうれしいなと思っております。ありがとうございます。

○印南座長 池端先生どうぞ。

○池端構成員 松本構成員にお聞きしたいのですが、多分それをやるのが地域包括診療料・地域包括診療加算の施設基準に入っている、いわゆる多剤を一括服薬管理するかかりつけ医の役目だということになっているんですよね。

○松本構成員 そのとおりです。何でもかんでもインセンティブをつけろというと、最初のように、そんなことでお金を稼いでいるからだめなのだという御意見になりますので、ぜひ、そういうふうに理解していただきたいと思います。

○印南座長 島田先生どうぞ。

島田構成員 前回、今回と、大量に残った薬の写真が出てきて、非常に私たちもショックだったのですけれども、確かに薬剤師の訪問により、薬剤を整理する成果を挙げているところも十分あります。樋口参考人のお話もエールだと思っております。いわゆるポリファーマシーの問題というよりも、最初にお話もありましたように、指示通り薬が服用されていない、そもそも患者の服薬コンプライアンスが守られていない状況なので、残薬の問題、きちんと使用してもらうだけではなくて、あのように残っているのであれば、こういうものは私たちもすぐ処方医への情報共有と相談をし、対応策を検討していくという切り口もあるわけなので、長期投与ということもありますけれども、だからこそ我々は在宅に可能な限りかかわって処方医に対しても、また医療機関に対しても情報提供とそのやりとりをし、連携構築をしていきたいと思っています。

○印南座長 ほかにいかがでしょうか。

 それでは、議題2を終了いたしまして、続いて議題3である「ガイドライン作成ワーキンググループの設置」について、事務局から説明をお願いします。

○課長補佐 それでは資料5を御覧ください。「『高齢者医薬品適正使用ガイドライン作成ワーキンググループ』開催要綱(案)」ということで提示させていただいております。資料1で説明させていただきましたように、今後、高齢者医薬品適正使用検討会のもとにワーキンググループを設置して、ガイドラインの作成に向けて詳細な部分を検討していきたいと考えているところでございます。主要な点を簡単に御説明させていただきます。

 開催要綱案の「1 目的」について、本ワーキンググループは、高齢者医薬品適正使用ガイドライン案の作成、さらに作成に必要な情報の収集及び整理を行うことを目的として開催いたします。

 「2 検討事項」「3 構成員等」は御覧いただければと思います。

 「4 運営」ですが、本ワーキンググループは、医薬・生活衛生局長の参集により開催されるもの。また、親の検討会同様に、原則公開という形で開催させていただきたいと考えております。

 また、裏面を御覧いただきまして、現在の構成員の案を掲載させていただいております。一部、親の検討会と重複する委員も入っております。

 以上、資料5の説明でございます。

○印南座長 ありがとうございました。

 ただいまの事務局の説明に御意見、御質問等がありましたら、お願いします。松本先生、お願いします。

○松本構成員 「1 目的」の3行目に「高齢者医薬品適正使用ガイドライン(案)の作成」とありますが、あくまでもワーキンググループは案を作成して、それを決定するのは親会であるこの検討会という理解でよろしいのでしょうか。声に出して答えてください。

○医薬安全対策課長 今、御指摘をいただきましたように、このワーキンググループは案を作成するところでございまして、もちろん当検討会が最終的にガイドラインの決定機関ということで間違いございません。

○松本構成員 それで構成員の案が裏面にございますが、この構成員の案は事務局でつくられたと思うのですけれども、どういう経緯で選ばれたのでしょうか。

○医薬安全対策課長 今回のワーキンググループの構成員の案は事務局で選ばせていただいてございますけれども、現在こちらの検討会に御参画いただいております構成員の先生方の専門領域の先生方に御相談させていただいて、いわゆる実働的な方々をできるだけ多く入れるということで人選させていただいたものでございます。ただ、本日御紹介させていただいているのは、一応案ということでございます。

○松本構成員 ワーキンググループが親会の人数の何割ぐらいがいいのかという決まりはないでしょうけれども、ほとんど親会と変わらないぐらいの人数で、たくさんの意見を聞くのはいいことかもしれませんが、船頭多くして何とかということもございます。また、同じ組織から複数名提案されています。例えば、アカデミアでも薬学部の教授という肩書きの方も複数名おられますし、病院の薬剤部という方も複数名おられます。これは、それだけ必要だということで、こうなっているのでしょうか。

○医薬安全対策課長 今回お示しさせていただいているのは案ということでございまして、できるだけ事務局のほうで割と多めにいろいろな方をピックアップさせていただいているという状況でございますので、ワーキンググループを運営していく上での機動性といったものを考えて、本日いただいた御意見も踏まえて、全体の構成員の数や構成の状況につきましても少し見直しさせていただきまして、また委員の先生方に御確認いただくことにさせていただいてはいかがかと思いますが。

○松本構成員 下世話な言い方をすれば、ふるいにかけるというふうに聞こえましたけれども、人数を少し絞るということでお願いします。後で今後の予定も出ておりますが、いつからこのワーキンググループを動かしていくのですか。人数を厳選していくことになりますと、第4回の検討会でこれを認めることになると、遅れてはきませんでしょうか。その辺はどうなのでしょうか。

○医薬安全対策課長 作業につきましては、この夏から開始させていただきたいと考えてございますので、このワーキンググループの構成案は事務局の不手際で大変申し訳ございませんけれども、先ほど資料1の今後の進め方を修正することでお話しさせていただきましたが、それとあわせて先生方に早急に御確認いただきまして、御了解いただければ、できるだけ早い時期にワーキンググループの議論を、夏を目処にスタートさせていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

○松本構成員 資料1に関しては、座長一任という形をとらせていただきましたけれども、ワーキンググループ構成員もそのような乱暴なやり方をするのですか。

○医薬安全対策課長 資料1もそうなのですけれども、事務局でつくり直した案を各構成員の先生方に御確認いただいた上で、座長の一任ということで事務方としてはお願いしたいと思っております。

○松本構成員 何かちょっとおかしな言い方ですね。確認をしただけで、座長一任なのですか。確認して、それは間違っているよと正すこともできるという理解でよろしいのですね。

○医薬安全対策課長 御指摘のとおりでございます。

○印南座長 ほかに議題3につきまして、御意見等ございませんでしょうか。

○医薬安全対策課長 事務局の不手際で申し訳ございません。

○印南座長 では、ワーキンググループの構成員につきましては、そのような取り扱いとさせていただきたいと思います。

 第1回から本日までに各構成員や参考人からいただいた資料等につきまして、今後のガイドライン作成や本検討会での今後の議論の材料として活用させてまいりたいと思います。御協力いただいた構成員、参考人の先生方にお礼を申し上げます。ありがとうございます。

 以上で、一応予定された議題は終了でございます。

 その他に御発言等がございましたら、お願いいたします。よろしいでしょうか。

 それでは、最後に事務局から何か連絡事項がありますでしょうか。

○課長補佐 事務局から今後の予定としまして、資料6に、今年度の検討会の開催予定日を乗記載しております。次回の検討会の日程は、1030日月曜日、午後6時からを予定しております。場所等の詳細につきましては、追って事務局より御連絡させていただきます。

 また、事務局にて修正した資料1「高齢者の医薬品適正使用に関する検討課題と今後の進め方について(案)」とワーキンググループの構成員案につきましては、座長に御確認いただいた後に先生方の御了解をとる形で、御確認をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 なお、本日の議事録につきましては、後日送付させていただきますので、内容の御確認をお願いいたします。修正・御確認いただいた後に、厚生労働省のホームページに掲載いたしますので、よろしくお願いいたします。

 事務局からは以上です。

○印南座長 それでは、これで閉会いたします。どうもお疲れさまでした。ありがとうございました。

 


(了)

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