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2019年5月29日 第15回労働分野経済協力に係る政労使懇談会

大臣官房国際課国際労働・協力室開発協力第二係

○日時

令和元年5月29日(水)
10:00~11:30

 

○場所

厚生労働省 共用第8会議室(11階)

○議題

1 労働分野経済協力に係る政労使懇談会開催要項の改正について
2 労働分野の開発協力の実施状況等について
3 労働分野の開発協力の今後の展開について
4 その他

 

○議事

議事要旨

 

※事務局から配布資料について概要説明後、意見交換が行われた。参集者からの主な意見等は次のとおりである。


 (使用者側)アジア地域の人的資源等強化向上事業に関して、ASEAN地域からの参加者を増やし、現地の労働問題に適切に対応するために、労使関係セミナーの開催地や内容を工夫してほしい。
アジア展開日系企業等ビジネス基盤整備事業のベトナム電子産業の輸出向けサプライチェーンに関する社会対話に関して、現地における政策決定プロセスを尊重しながら、多国籍企業の意見を聞く仕組みをどのように作るのか工夫をするべき。
インドネシアにおける社会保険制度整備支援事業と、JICAのスキームで日本からインドネシアに専門家を派遣することにはどんな関係があるのか。

(政府側)アジア地域の人的資源等強化向上事業に関して、セミナーは日本で開催し、日本の労使関係に関する経験・知見をASEAN各国に提供しつつ、現地の問題を解決するために議論する。セミナー実施後も、ILOがASEANと協力して母国版のセミナー実施、ガイドライン策定の提言等のフォローアップを行う予定。
アジア展開日系企業等ビジネス基盤整備事業のベトナム電子産業の輸出向けサプライチェーンに関する社会対話に関して、現地の意見をどのように尊重するのか、ILOと引き続き検討したい。
インドネシアには厚労省から労働政策アドバイザーとして職員を派遣しており、インドネシア政府から雇用保険制度創設にかかる助言を求められている。社会保険制度整備支援事業にも雇用保険制度創設に関連する部分があるので、労働政策アドバイザーとは意見交換等必要な連携を図っている。
配布したJICA協力一覧表に記載はないが、インドネシアでは、日本の社労士制度をインドネシアに輸出し、社会保険の実施能力の強化を図るというプロジェクトをJICAと社労士会が中心になって実施している。そのプロジェクトとも連携し、事業を進めたい。
 
(使用者側)ASEANの国の中には、制度的に多国籍企業の意見を聞いてもらえない国がある事実も含め、ILOと検討を進めてほしい。
 
(労働者側)まず、日本政府のILO拠出金を中心とした労働分野の開発協力に敬意を表するとともに、引き続き確実に実施していくことをお願いしたい。
分担金については、日本のプレゼンスを維持・向上させることが非常に大事だと思う。他国の台頭もある中で、分担金の分担率が下がる分、任意拠出金の増額に向けた予算要求について引き続き努力をお願いしたい。
一方で、アジア地域の人的資源等強化向上事業及び国境を越える高度技能人材に関する実態調査事業に関して、意見したい。
労働分野の国際協力を行うに当って、人口動態の変化と技術革新が地域の発展に影響するということは想定しておく必要がある。その中で、日本の国益を最大化させていくためには他国の社会開発や利益が最大化されることが必須であり、それがアジア全体の地域の活性化や安定化に繋がっていくというのがロジックと考える。
国際協力の重要性が高まっている中で、G20等で、労働分野の国際協力の重要性や、日本政府の協力のあり方をアピールする機会があれば、ぜひ教えていただきたい。
 
(政府側)日本はG20の議長国であり、6月には大阪サミットが開催される。雇用労働大臣会合の中でアジア地域を対象にした国際協力を取り上げてアピールするのは難しいと考えているが、ご指摘の点も念頭に置き、9月の大臣会合に向けて準備を進めたい。
 
(労働者側)技術革新の進行に伴う人的資本の獲得競争は熾烈を極めている。国際社会においては、アジア地域の人的資源等強化事業のような人材開発よりも国境を越える高度技能人材に関する実態調査事業のような高度技能人材の移動に焦点が当てられているように見える。人材開発による全体の底上げがおろそかにならないよう、日本政府として適切な支援を行っている姿を見せてほしい。
また、日本で開催するセミナーを通じた熟練労働者の技能の向上を期待するならば、事業を効果的に実施するために、将来的に不足する職業や技能を特定する必要があるのではないか。
 
(政府側)日本が現地労働者の底上げのための人材育成を任意拠出金事業の中で積極的に行っていることを積極的にアピールする必要があると考えている。限られた予算の中でも地道に活動し、地域に根付かせることで、国際協力の必要性を理解してもらい、日本の評価の向上を図りたい。
熟練労働者の技能の向上に関して、ご指摘を踏まえて、ILOと協力して人材育成の対象を検討・選定して参りたい。
 
(使用者側)加えて、技術革新のスピードが非常に速いので、どの産業を強化・発展させるかも併せて考える必要がある。
 
(使用者側)人材育成の付随問題として、育成した人材の流出が挙げられる。人材が自国に定着して活動するようになるまでフォローする必要があるのではないか。
 
(政府側)一定程度のスキルを持つ者は、他国に流出する場合もあれば母国で起業する場合もある。育成した人材が母国で適切に活動するために、どのような課題があるかについても問題意識を持ってILOと検討したい。
 
(労働者側)例えば、中国はアフリカに対する国際協力にも進出しており、プレゼンスを強めている。他国の台頭、日本の分担率が下がる等の要因からプレゼンスが弱まるおそれがあるので、任意拠出金で日本のプレゼンスを強化するとともに、ビジビリティの向上に向けても努力を続けて欲しい。
社会対話が重要なことは言うまでもないが、アジア展開日系企業等ビジネス基盤整備事業に関して、社会対話を行う際の労働者側の代表の選び方も重要になる。例えば、カンボジアであれば政府系、野党系、NGO系等複数の労働組合が存在するが、そういった国の場合、どのように労働者代表を選んでいるのか教えていただきたい。
 
(政府側)労働者代表の選定については、社会対話をするために声をかけた者の全員が集まるとは限らないこと、組合ごとに思想が違うことや国内の制度上の制約等を考慮し、時々の状況を踏まえて適切な選定を行う必要がある。ILO-ROAPから具体的な選定方法を確認し、後日回答させていただきたい。
 
(使用者側)分担金と任意拠出金の総額ベースにおける日本の位置や、中国はILOを通さずアフリカ、アジア、南太平洋諸国で国際協力を行いプレゼンスを非常に高めていること等を考える必要がある。日本の活動内容をILO総会や理事会の場でアピールし、ビジビリティーを高めてほしい。
 
(労働者側)今後、労働分野の国際協力の必要性は更に増すと思う。資金を合理的に投入し、多くの人に国際協力の必要性を理解してもらうためにも、政労使、外部団体が協力して対象地域の人口動態の変化と技術革新の変化によってアジア地域の労働環境や社会環境がどのように変化したか把握する必要がある。
 
(政府側)日本のプレゼンスについて、金額や順位だけでなく、実際の活動内容をアピールし、ビジビリティーを高めることが大事。日本とILOのビジビリティーを高めるために、知恵を出して工夫したい。
また、長期的な話として、人口動態、技術革新やアジアにおける人材の分布等を念頭に置き、労働分野の国際協力のあり方を考えていくことが非常に大事。
今回のG20大臣会合で掲げているテーマは、人口動態への対応、ジェンダーの平等、新しい形態の仕事への対応となっていて、一見各国の国内政策のみを扱っているように見えるが、人口動態の変化や技術革新を捉えた視点も含まれている。G20大臣会合では、本日の中長期的なご指摘も念頭に置いて、発信できることをしていきたい。
 

<照会先>

国際課国際労働・協力室開発協力第二係
03-5253-1111(内線7314)

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