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2017年6月29日 第2回脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方に関する検討会 議事録
健康局がん・疾病対策課
○日時
平成29年6月29日(木)16:00~18:00
○場所
田中田村町ビル・貸会議室8階会議室8E
○議事
○石上がん・疾病対策課長補佐 それでは定刻となりましたので、ただいまから、「第2回脳卒中、心臓病その他の循環器病の診療提供体制の在り方に関する検討会」を開催いたします。構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。事務局を務めさせていただきます、厚生労働省健康局がん・疾病対策課課長補佐の石上と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は13名の構成員に御参集いただいております。岡山県保健福祉部部長の荒木裕人構成員、公立大学法人奈良県立医科大学公衆衛生講座教授の今村知明構成員、国立研究開発法人国立循環器病研究センター理事長の小川久雄構成員、脳卒中経験者の川勝弘之構成員からは御欠席の御連絡を頂いています。また、今回、参考人として、徳島大学大学院医歯薬研究部療養回復ケア看護学分野教授の田村綾子先生に御出席いただいております。なお、健康局長は公務により途中参加になりますことを御報告いたします。
続きまして、資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表、「脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方に関する検討会」構成員名簿、資料1が「脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方について(案)」。また、貸し出し資料といたしまして、第1回の検討会及び第1回から第4回の脳卒中に係るワーキンググループ、心血管疾患に係るワーキンググループの資料を配布させていただいております。こちらは会議終了後、机の上に置いたまま、お持ち帰りになりませぬよう、よろしくお願いいたします。資料に不足、落丁等がございましたら、事務局までお申し出ください。
以上をもちまして、撮影を終了しカメラを納めていただきますようお願いいたします。これからの進行は、永井座長にお願いいたします。
○永井座長 では、議事に入らせていただきます。本検討会では、昨年6月の第1回検討会以降、脳卒中、心血管疾患に専門性の異なる視点における検討が必要な項目があるということから、それぞれのワーキンググループを立ち上げて議論を行ってまいりました。本日は、各ワーキンググループにおいて行ってまいりました議論を踏まえまして、脳卒中、心臓病その他の循環器病の診療提供体制の在り方について、まとめを行いたいと思います。資料1にそれぞれのワーキンググループでの議論を中心に、「脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方について(案)」がまとめられています。まず、事務局から資料の説明をいたします。
○岡田がん・疾病対策課長補佐 事務局でございます。資料1を御覧ください。こちらは、脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方について(案)、という形で整理しています。見開きの内容の部分を御覧ください。全体の構成ですが、第1が「はじめに」、第2が「循環器病の診療提供体制の在り方について」、こちらは第1回検討会の意見を中心に循環器病全体の総論的な部分を記載しています。次の第3、第4の部分が、それぞれのワーキンググループにおける議論を整理した部分となります。第3が脳卒中の部分、第4が心血管疾患の部分、第5が「おわりに」という形で構成しています。それぞれのワーキンググループにおける議論につきましては、第3、第4で大きく分けて診療提供体制についてと、診療提供体制の評価指標の考え方についてという形で項立てしています。1の診療提供体制については、発症後の各段階における診療提供体制を、急性期と回復期~維持期に分けて記載しています。それぞれの部分で、現状と課題、考え方、全体の体制のイメージや地域における具体的取組例を記載した構成としています。こちらは脳、心臓ともに同じような構成にしています。
1ページを御覧ください。第1「はじめに」ですが、本検討会やワーキンググループを設置した背景、検討会やワーキングループの開催状況等をまとめた形で提示しています。2ページの第2の部分ですが、こちらは循環器病の診療提供体制の在り方についてという形で、第1回の検討会における議論を中心に循環器病全体の総論的なことを記載しています。
1は、急性期から回復期~維持期までの一貫した診療提供体制についてという形で、1つ目の○には、心疾患、脳血管疾患ともに循環器病は死因の上位を占めていること。特に急性期の突然死の原因としては、循環器病の占める割合が最も大きいことを記載しています。2つ目の○には、脳血管疾患は介護が必要となる原因の第1位であり、また、慢性心不全患者の20~40%が1年以内に再入院する等の現状がある。これらを踏まえまして3つ目の○として、急性期から回復期~維持期までの一貫した診療提供体制の構築が必要であると記載しています。
2は、診療提供体制構築に当たって留意すべき脳卒中と心血管疾患の主な共通点と相違点について記載しています。共通点につきましては1つ目と2つ目の○に記載していて、1つ目の○には、共に発症後、急性期には早急な治療を開始する必要があり、このような時間的制約の観点を考慮する必要があると記載しています。2つ目の○には、疾患の再発や増悪を来しやすく、回復期~維持期における再発予防の取組や、再発や増悪を繰り返す患者に対する適切な介入方法が重要である点を記載しています。相違点ですが、相違点の1つ目の○は、発症後急性期から回復期~維持期を経て、社会生活に復帰するまでの経過については、脳卒中と心血管疾患で相違点があると記載していて、具体的な内容を2つ目の○に記載しています。脳卒中は、社会生活に復帰するまでに身体機能の回復を目的としたリハビリテーションが必要で、心血管疾患に比べて回復期に長期の入院が必要になる場合が多い。心血管疾患のほうは、状態が安定した以降は回復期も外来で管理を行うことが多いという相違点を記載しています。
これらを図に示したのが、3ページの図1.循環器病の臨床経過です。上段が、共に急性発症し再発や増悪等を繰り返すということをイメージ図で提示しています。下段に、1つのイベントに対して脳卒中と心血管疾患でその経過が異なる、特に回復期にかかる期間でありますとか、入院、外来の違いを図示したイメージ図となります。
4ページを御覧ください。第3、脳卒中の診療提供体制の在り方について、主に脳卒中のワーキンググループにおいて議論された内容を整理した部分になります。1の診療提供体制についてですが、(1)の発症後の各段階における診療提供体制について、アの急性期に関してです。(ア)の現状と課題に関して、1つ目の○には、脳卒中の急性期治療に関しては、t-PA療法の実施可能な発症後経過時間の延長、急性期血管内治療の科学的根拠の確立等、治療技術の進歩について記載しています。2つ目の○には、これらの急性期治療を、国民が普く享受できる状態には至っていないのではないかということを記載しています。これらの議論の中で、脳卒中学会におきまして平成28年9月に、「t-PA静注療法適正治療指針第二版」に定める「治療を行う施設」の基準が変更になっていますが、その変更内容を表1として、学会からの資料の抜粋という形で記載しています。
5ページ、(イ)の考え方ですが、aは急性期の診療提供体制の基本的な考え方を記載しています。1つ目の○で、脳卒中には、脳梗塞、脳出血等が含まれますけれども、それらに対して構築すべき診療提供体制は、疾患を問わずほぼ同様であると考えられることを記載しています。2つ目の○で、脳卒中に関しては、先ほど述べましたように時間的制約の観点を急性期には考慮する必要があることを記載しています。3つ目の○で、発症後、早急に適切な治療を開始するために、患者やその家族等が脳卒中の発症を認識して救急要請することも重要ですから、そのためには国民に対する、症状や早期受診等に関する教育・啓発が重要である点を記載しています。4つ目の○で、救急搬送に関しては、脳卒中スケール等を利用して疑われる例を判別し、疑わしい場合には、脳卒中の専門的な医療を行う施設に搬送することが望ましいことを記載しています。
6ページの1つ目の○、aの5つ目になりますが、急性期の治療には多職種によるアプローチが重要であることを記載しています。6つ目の○で、このような、急性期の診療提供体制に関する基本的な概念を、地域における関係者間で共有した上で、地域の現状に応じて急性期の体制を構築する必要があることを記載しています。
次のbですが、診療提供のための施設間ネットワーク構築に関する考え方を記載しています。1つ目の○ですが、単一の医療施設で、24時間専門的な診療を提供できる体制を確保することが困難な場合があることから、地域における複数の医療施設が連携し、24時間体制を確保することが求められると記載しています。2つ目の○ですが、このような24時間体制を確保するための考え方として、それぞれの医療施設が受入れ可能な日や時間帯を明確にし、その情報を地域全体で共有することや、患者の状態に適した医療施設を受診できるよう、円滑に転院搬送できる体制を構築することが、24時間体制を確保する手段の一つであると記載しています。加えて、3つ目の○ですが、遠隔診療を用いた診断の補助や、Drip and Ship法、Drip and Stay法等の活用も、医療資源を効率的に運用する手段の一つであると記載しています。
7ページを御覧ください。bの4つ目の○、一番上になりますが、時間的制約の観点から脳卒中に対しては、各地域における平均的な救急搬送圏内でのネットワーク体制の構築が基本となると記載しています。しかしながら、地域における医療資源の状況等によっては、遠隔診療を用いた診断の補助等を活用し、平均的な救急搬送圏外の施設との連携体制も必要であると記載しています。5つ目の○ですが、このような手段を活用し、図2に例示されるように地域の救急搬送圏内の状況を踏まえて、それぞれの地域に適した施設間ネットワークを構築し、適切に運用する必要があると記載しています。図2はワーキンググループでも提示した施設間ネットワークのイメージです。
8ページを御覧ください。C、急性期の専門的医療を行う施設が担う医療機能の考え方です。1つ目の○ですが、先に述べましたように24時間体制で提供できる施設間ネットワークを構築するに当たっては、急性期の専門的医療を行う施設が担うべき医療機能を、地域のネットワークを構築している医療施設において、分担する必要があると記載しています。2つ目の○ですが、このような分担を検討するに当たっては、1つの考え方として、急性期の専門的医療を行う施設を、「専門的医療を包括的に行う施設」と「専門的医療を行う施設」に大別することが考えられると記載しています。具体的には3つ目の○ですが、「専門的医療を包括的に行う施設」は、t-PA療法に加え、血管内治療や外科的治療等を含めた、脳卒中の急性期診療を提供する体制を、おおむね24時間維持できる施設が想定され、「専門的医療を行う施設」は、t-PA療法等の、脳卒中急性期に対する一般的な診療を提供する施設が想定されます。しかしながら、4つ目の○ですが、このようなネットワーク内で各々の施設が提供する医療機能は、地域の状況や医療施設の医療資源に応じて柔軟に設定される必要があることも追記しています。5つ目の○は、t-PA療法に特化したことですが、このt-PA療法の均てん化のためには、地域によっては、t-PA療法を単独で実施できない医療施設に対する診断の補助等の支援が必要になる場合もあり、このような支援する施設と、支援される施設のそれぞれに必要な医療機能も検討する必要があると記載しています。6つ目の○ですが、このようなt-PA療法を含めた脳卒中の急性期診療の均てん化は、適切性及び安全性を担保しながら進める必要があると記載しています。
9ページを御覧ください。急性期の診療提供体制の前述の観点を踏まえた全体像のイメージを記載しています。図3はワーキンググループで提示した発症から急性期の診療提供体制の全体像のイメージです。また、9ページ以降は地域における具体的取組例を記載していて、10ページには、図4.地域における24時間体制確保の方法の例として、川崎市、東京都における、それぞれの医療施設が受け入れることができる日や時間帯を明確にすることにより、地域における24時間体制を確保している例です。こちらはワーキンググループで提示した資料を使用して作成しています。
11ページを御覧ください。図5.遠隔診療を用いた急性期の診療提供体制の例で、山口県における取組を記載しています。これは、ワーキンググループにおいて鈴木構成員から提供いただいた資料を用いて作成した資料です。単独でt-PA療法を実施することができない施設を、遠隔医療を用いてt-PA療法を実施可能にすることにより、急性期の診療提供体制を構築している具体的な例として提示しています。
12ページを御覧ください。回復期~維持期の部分になります。(ア)の現状と課題で、1つ目の○ですが、脳卒中患者の急性期診療終了時の状態は、神経症状が残らないものから重度の神経症状が残存するものまで様々である。また、回復期以降の日常生活動作の改善の程度や、改善に要する期間も個人によって異なる。そのため、脳卒中の回復期~維持期の診療提供体制については画一的に考えることができないが、どのような患者にどのような医療が必要かについては、いまだ整理がなされていないという現状を記載しています。2つ目の○で、さらに脳卒中患者では、脳卒中を再発したり合併症を発症することがある。特に再発については、予防のために必要な服薬や危険因子の管理の継続ができていない場合があることが指摘されていることを記載しています。3つ目の○は、回復期リハビリテーション病床の整備状況や、リハビリテーション従事者の分布は地域ごとにばらつきがある現状を記載しています。
(イ)の考え方ですが、aは回復期~維持期の診療提供体制の基本的な考え方を記載しています。1つ目の○で、脳卒中の患者には神経症状が重度の患者等様々な患者が含まれ、必ずしも全ての患者が回復期リハビリテーションに移行しない。そのため、急性期診療の終了後に、直接若しくは回復期リハビリテーションの実施を経て生活の場に復帰するといった、一般的な経過を辿る患者と、それ以外の患者に分けて、回復期~維持期の診療提供体制を構築する必要があると記載しています。2つ目の○ですが、いずれの経過を辿る場合であっても、多職種によるアプローチが重要であることを記載しています。3つ目の○は、地域ごとに有する医療資源が異なることから、脳卒中の回復期~維持期の診療提供体制を構築するに当たっては、地域の臨床現場の現状を踏まえる必要があると記載しています。
13ページの1つ目の○、aの4つ目の○になりますが、脳卒中の再発の予防のためには適切な服薬や、再発の危険因子である高血圧等の管理も重要ですので、発症間もない時期からの患者への教育や、国民への啓発を行うことが重要であると記載しています。
bは一般的な経過を辿る患者に対する診療提供体制の考え方です。1つ目の○で、急性期から回復期への移行の際には、個々の患者の神経症状の程度等に基づき、機能的な改善の到達点や、それに到達する時期を想定した上で、回復期リハビリテーションの適応を検討する必要がある。2つ目の○で、急性期の病態安定後、回復期リハビリテーションの実施が有効であると判断される患者には、速やかにリハビリテーションを中心とした回復期の医療に移行できる連携体制が必要である。3つ目の○で、回復期リハビリテーションによって、日常生活動作の改善が十分に見込めなくなった場合には、円滑に維持期の医療及びリハビリテーションに移行すべきであると記載しています。4つ目の○で、脳卒中の発症から維持期まで切れ目のない医療を提供するためには、脳卒中地域連携パスの活用が望ましいことを記載しています。
cの一般的な経過を辿らない患者に対する診療提供体制の考え方ですが、1つ目の○で、脳卒中患者であっても、肺炎や心不全等の合併症を併発した患者や、神経症状が特に重度の患者等では、回復期リハビリテーションの実施が困難な場合がある。2つ目の○で、このように、合併症を有することにより回復期リハビリテーションの実施が困難となっている患者がいることから、リハビリテーションと合併症の治療を同時に実施できる体制の構築が望ましいことを記載しています。3つ目の○で、回復期リハビリテーションよりも合併症の治療が優先される場合もあり、それらに適した医療を提供できる施設の連携が必要であることを記載しています。4つ目の○で、回復期や維持期に脳卒中の再発が疑われる場合には、まずは急性期の医療施設と連携すること等により、患者の病態を適切に評価することが望ましい。その上で、患者の病態に応じた適切な医療施設において医療が提供される必要があると記載しています。5つ目の○で、特に、合併症や脳卒中の再発を繰り返す患者に対しては、緩和ケアの観点を踏まえることを含め、どのような医療を提供するかについては、今後検討していく必要があると記載しています。
14ページの(ウ)以降は、地域における具体的取組例を記載していて、図6には熊本県において患者の状態に応じた医療を提供している例を提示しています。
15ページですが、脳卒中の診療提供体制構築の在り方のまとめを記載しています。1つ目の○は、脳卒中患者の急性期以降の経過は個人により異なるため、患者の状態に応じた医療を提供できるよう、体制を構築する必要がある。2つ目の○に、前述の急性期、回復期~維持期の診療提供体制の基本的な考え方を踏まえた、診療提供体制の全体像について記載しており、図8に全体像のイメージを提示しています。図7ですが、このように様々な経過を辿る患者がいて、それぞれに応じた適切な医療が提供される医療のイメージを図示しています。図8が脳卒中の診療提供体制の全体像イメージで、これはワーキンググループで提示したスライドを基に作成しています。
17ページ、2は診療提供体制の評価指標の考え方です。1つ目の○で、診療提供体制の評価には地域全体の評価に加え、各施設がその役割を果たすことができているかの観点も必要なため、地域の評価指標に加えて各医療施設に対する評価指標も必要であると記載しています。2つ目の○には、それぞれの医療機能は地域によって異なりますので、各医療施設に対する評価指標は地域の実状を踏まえて設定する必要があると記載しています。3つ目の○ですが、これらを踏まえた考え方を図9に例示しています。具体的な指標や指標のデータソースを含めた評価指標については、今後、行政や関連団体、研究者等が協力して、引き続き検討していく必要があると記載しています。以上までが、脳卒中ワーキングの議論を整理した部分となります。
18ページからは、心血管疾患の診療提供体制の在り方を整理した部分になります。1の診療提供体制についてですが、(1)の発症後の各段階で、急性期の(ア)の現状と課題です。1つ目の○に、循環器の救急医療は二次救急が大きな役割を果たしていることをデータと共に記載しています。2つ目の○には、救急搬送に関して、直ちに救命処置を要する重篤な傷病者で、主に三次救急医療機関による対応が想定される場合であっても、原因疾患として急性期心血管疾患が疑われる場合には、専門性が高い二次救急医療機関での対応が適切である場合がある現状を記載しています。3つ目の○で、急性期心血管疾患に対する治療内容は、内科的治療、冠動脈インターベンション治療、外科的治療に大別され、疾患により主に必要とされる治療内容には違いがあることを記載しています。4つ目の○には、図10と共に代表的な例を記載しています。5つ目の○と6つ目の○は診療の質に関する現状です。5つ目の○は、心筋梗塞に対するPCI症例については心臓血管外科併設の有無により、特に予後に差はないことが確認されていることを記載しています。6つ目の○で、急性期の心臓血管外科手術症例については、都道府県レベルでの標準化死亡率比に差があることが指摘されており、施設における心臓血管外科手術件数が、心臓血管外科手術症例の死亡率に影響する要因の1つとして挙げられていることを記載しています。
19ページ、図10は急性期心血管疾患に対する治療内容の具体的な例をデータとともに記載している図です。
20ページに、(イ)考え方を記載しています。aは急性期の診療提供体制の基本的な考え方ですが、1つ目の○には時間的な制約の観点を記載しています。ここには突然死の可能性等や予後の改善の観点から時間的な制約の観点が必要な旨を記載しています。2つ目の○ですが、こちらも脳卒中と同様に、国民に対する症状の啓発も重要であることを記載しています。3つ目の○ですが、救急搬送に関して、前述のように専門性が高い二次救急医療機関での対応が適切な場合があるため、心血管疾患の救急搬送体制の検討には、専門性を重視した体制を考慮する必要があることを記載しています。4つ目の○に、このような基本的な概念を関係者が共有して、地域の現状に応じた診療提供体制を構築する必要があると記載しています。
bは診療提供のための施設間ネットワーク構築に関する考え方です。1つ目の○は、対応疾患に応じた急性期診療を、24時間体制で提供できるネットワークを構築する必要があることを記載しています。2つ目の○で、心血管疾患は治療中の急変が多いため、急性期心血管疾患患者の受入体制には、ある程度の余裕があることが望ましい旨を記載しています。そのため、1つの方策として施設ごとの医療機能を明確にして、状態に応じて円滑に転院搬送できる体制も含めた、効率的な施設間の連携体制を構築する必要があることを記載しています。3つ目の○には、ICT等を用いた情報の共有により、相談できる体制の構築についても記載しています。
21ページにあります4つ目の○ですが、こちらは時間的制約の観点から脳卒中と同様に、平均的な救急搬送圏内での施設間ネットワークの体制構築が基本となりますが、疾患によっては必要とされる治療内容と医療資源の観点から、平均的な搬送圏外の施設との連携も必要になることを記載しています。5つ目の○に、具体的な例として急性大動脈解離を記載していて、このような急性大動脈解離に対して安全性等の質が確保された緊急手術が常時可能な施設は限られていますので、他の心血管疾患とは異なる、より広域のネットワーク体制を構築する必要があることを記載しています。図11はワーキングでも提示した施設間ネットワークのイメージです。
22ページを御覧ください。cの急性期の専門的医療を行う施設が担う医療機能の考え方ですが、1つ目の○は、脳卒中と同様に、24時間体制で提供できる施設間ネットワークに当たっては、医療機能を地域の医療施設によって分担する必要があることを記載しています。2つ目の○で、このような分担を検討する際には、医療機能をもとに「専門的医療を包括的に行う施設」と「専門的医療を行う施設」に大別することが考えられると記載しています。3つ目の○に、具体的な内容として「専門的医療を包括的に行う施設」としては、内科的治療、PCI等に加えて、外科的治療等も行う施設が想定され、「専門的医療を行う施設」は、内科的治療やPCI等の一般的な急性期心血管疾患に対する診療を行う施設を想定しています。4つ目の○には、このような医療機能は地域の状況や施設の医療資源に応じて柔軟に設定される必要がある旨を記載しています。5つ目の○には、疾患によって主な治療内容は異なりますので、対応疾患に応じた各施設の役割分担を検討する必要があることを記載していて、次の6つ目から8つ目の○に具体的な例示をしています。6つ目の○で、患者数が非常に多い心不全は、内科的治療が中心の専門的治療を行う施設を中心とした幅広い施設での対応が必要とされる。7つ目の○は、心筋梗塞は外科的治療が必要な場合に備えて連携体制を整備した上で、PCIが可能な専門的医療を行う施設が中心となり対応する必要がある。8つ目の○で、急性大動脈解離は外科的治療が可能な施設で行う必要がありますが、このような施設は地域によっては限られているため、外科的治療が不要で内科的治療が中心となる患者を、状態に応じて速やかに別の施設に移すなどの連携体制の構築も同時に必要である旨を記載しています。
23ページ、一番上の○ですが、このような急性期治療には安全性等の質が確保されていることも必要であることを記載しています。上から2つ目の○で、先ほど言いました外科手術に関しては、施設における件数が死亡率に影響する要因として指摘されており、質の確保の観点から、まずはこのような外科的治療については集約化の検討が必要ではないかと記載しています。3つ目の○には、近年拡大しているカテーテル治療、ステントグラフトによる治療であるとか、心臓大血管の構造的疾患に対するカテーテル治療の提供体制については、今後安全性等のデータを収集した上で、将来像の検討が必要であることを記載しています。最後の2つの○には、専門的医療を行う施設以外を受診した場合にも、急性期の心血管疾患患者は適切な対応が行われる必要があることを記載しています。このような初期対応を行う施設では、心血管疾患を疑い適切な医療施設へ搬送するとともに、同時に、適切な初期治療を行う旨を記載しています。
24ページは、急性期の全体像のイメージと地域における具体的取組例です。図12には、これまでの考え方を踏まえた急性期の体制の全体図を記載しています。
25ページ以降は具体的な取組例で、25ページに、図13.患者搬送システムの例として東京都の例を記載しています。こちらは急性心筋梗塞を中心とする急性期心血管疾患の体制と、大動脈疾患患者に対する搬送体制を分けて構築している例です。
26ページは、図14.県下全域を網羅した体制構築の例で熊本県の例ですが、県下全域をカバーする体制として、救急搬送システム等を活用して体制を構築している例です。図15.疾患に応じた体制構築の例ですが、心筋梗塞と大動脈解離で疾患に応じた提供体制を構築している例を提示しています。
27ページですが、こちらは回復期~維持期のことを記載しています。(ア)の現状と課題として、1つ目の○ですが、心血管疾患患者の回復期~維持期の管理は、再入院予防・再発予防の観点が重要であることを記載しています。このような観点から関連学会が患者教育やカウンセリング、運動療法を含む疾病管理プログラムとしての「心血管疾患リハビリテーション」を提供しています。ただ、2つ目の○に、このような疾病管理プログラムとしての心血管疾患リハビリテーションの実施率は低いことが指摘されていて、3つ目の○には、このようなリハビリテーションは一般的には運動療法を想定するために、運動療法以外の幅広いプログラム内容が含まれているという概念は、心血管疾患リハビリテーションを専門としている方以外には共有されていない現状を記載しています。4つ目と5つ目の○には、今後の増加が予想される慢性心不全患者に関することを記載していて、再入院が多いことや、心不全の増悪因子には医学的要因以外のことも含まれる現状を記載しています。
(イ)の考え方ですが、回復期~維持期の基本的な考え方として、1つ目の○に回復期~維持期の体制の検討には、再発予防・再入院予防の観点が重要であることを記載しています。2つ目の○には、このような観点には多職種チームによる多面的・包括的な疾病管理が重要である旨を記載しています。3つ目の○には、特に慢性心不全患者は今後も増加が予想されるため、対策が特に重要である旨を記載しています。
28ページ、bの心血管疾患の再発予防・再入院予防に向けた考え方ですが、1つ目の○で、先ほど述べましたような心血管疾患リハビリテーションのプログラム内容は、再発予防につながることが示されていますので、このような内容を地域でどのように実施するかを検討する必要があることを記載しています。2つ目の○は、このようなプログラム内容の実施には多職種の介入が必要であることを記載しています。3つ目の○で、このような疾病管理プログラムとしてのリハビリテーションは、急性期から開始し、回復期~維持期にかけて継続することが重要であるため、実施時期や患者の状態等に応じたプログラムを提供する必要がある旨を記載しています。4つ目の○は、ある程度状態が安定すると主に外来において行われることが多いことを記載しています。5つ目の○ですが、運動療法については、可能であれば永続的に行うことが望ましいのですが、維持期以降については生活習慣としての運動の継続など、幅広い視点で検討する必要がある旨を記載しています。6つ目の○には、このような特徴から図16に例示していますが、リハビリテーションを提供する体制の検討に当たっては地域の資源を効率的に用いて、多職種が連携できる体制を検討する必要がある旨を記載しています。7つ目の○ですが、疾病管理プログラムとしてのリハビリテーションを提供するに当たっては、基本となる多職種による疾病管理の概念を共有することが非常に重要です。そのためにリハビリテーションの代わりに、「心血管疾患の疾病管理プログラム」等の表現を用いることも、専門職以外もその概念を共有できるためには考慮する必要があるのではないかと記載しています。図16には疾病管理プログラムとしての心血管疾患リハビリテーション提供体制のイメージを、ワーキンググループの資料を基に作成しています。
30ページには、cとして特に慢性心不全に関する対策を整理しています。1つ目の○ですが、今後の増加が予想される慢性心不全患者の管理について、地域のかかりつけ医等も含めた幅広い施設での管理を検討する必要がある旨を記載しています。2つ目の○ですが、このような心不全患者は、増悪による再入院を繰り返すため、再入院予防の対策に加えて急性期診療との連携体制が重要である旨を記載しています。この連携の際には、基本的に急性期は内科的治療が中心となることが多いですから、急性期の内科的治療を行うことができる施設との連携が基本となる旨を記載しています。3つ目の○ですが、慢性心不全の主な治療目標は、年齢等の状況に応じて適切に設定される必要があり、状況によっては心不全に対する治療と連携した緩和ケアも必要とされる旨を記載しています。特に心不全患者の大部分を占める75歳以上の高齢心不全患者の管理方針については、心血管疾患以外の要因も含めた、個人の患者の全体像を踏まえた上で検討する必要がある旨を記載しています。4つ目の○には、このような特徴を踏まえ管理体制としては、かかりつけ医の総合的診療を中心に、専門的医療を行う施設が連携する体制の構築が必要である旨を記載しています。5つ目の○には、このような体制の構築に当たって必要な課題、かかりつけ医等の専門医以外のガイドラインや診療マニュアル、患者情報共有手法の検討、連携パスの検討及び普及等も重要である旨を記載しています。6つ目の○ですが、このような心不全対策を推進するに当たっては、非常に幅広い心不全の概念を患者やその家族、また心血管疾患を専門としない医療従事者や行政等の関係者間で共有することが重要であり、このような概念を共有する際には、次の31ページの図17に示すような全体像を示したイメージを用いることも有効である旨を記載しています。7つ目の○は、これらを踏まえた上で、地域全体で管理する体制を検討する必要性について記載しています。31ページの図17が心不全の臨床経過全体像のイメージで、どのように経過するか関係者間で共有するイメージを作成しています。
32ページは、地域における具体的取組例を記載しています。図18は広島県における取組例で、広島大学の心不全センターを中心に、各二次医療圏に回復期リハビリテーションを実施する心臓いきいきセンターを整備し、かかりつけ医等と連携して心不全患者をサポートする体制を構築している例です。
33ページは、地域の例の2つ目として、医療資源も乏しく高齢化率も高い長野県北信地域において、地元医師会と基幹となる北信総合病院が連携して診療提供体制を構築している例を記載しています。
34ページは、心血管疾患の診療提供体制構築の在り方のまとめで、全体的なまとめを記載しています。1つ目の○は、心血管疾患患者は、心不全症状がない状態から症候性心不全へと進行・悪化を続けますので、それぞれのステージにおける主な治療目標は異なります。このような経過を踏まえた上で体制を構築する必要がある。2つ目の○には、急性期、回復期~維持期の基本的な考え方を踏まえ、診療提供体制の全体像を示しています。こちらは入院管理や外来管理の両面から診療提供体制を構築する必要があることを記載しています。
35ページが、それぞれの図です。図20は心血管疾患患者の全体の臨床経過のイメージを記載しています。図21には、これらを踏まえた心血管疾患の診療提供体制の全体像イメージを提示しています。
36ページは、診療提供体制の評価指標の考え方を記載しています。脳卒中と同じく地域全体の評価に加えて、各施設に対する評価指標も必要である旨を1つ目の○に記載しています。2つ目の○は、地域の実状を踏まえて設定する必要がある旨を記載しています。3つ目の○には、このような評価指標には手技件数等の量的な観点のみではなく、質的な観点での検討も重要である旨を記載しています。4つ目の○には、このような評価指標は、各施設の医療機能の向上及び地域における適切な診療提供体制構築に活用されるべきものであり、ランキングのような形で扱うものではないことに留意する必要があることを記載しています。5つ目の○は、これらを踏まえた考え方を図22に提示していますが、具体的な内容等に関しては引き続き検討する必要がある旨を記載しています。
37ページに、第5「おわりに」という形で、これまでの議論と、今後、このような議論内容が活用されることを期待する旨を、提示しています。事務局からは以上です。
○永井座長 ありがとうございました。ただいまの事務局の説明を踏まえて、資料1の内容について議論をお願いします。まず、それぞれの疾患の診療提供体制に関して確認をしていただき、最後に循環器病全体に対する議論を行いたいと思います。資料1の4ページの第3、脳卒中の診療提供体制の在り方について御議論いただきたいと思います。その前に、ワーキンググループで座長をお務めになられました小川先生から、何かコメント等ありましたらお願いします。
○小川(彰)構成員 座長を務めさせていただきました小川でございます。8月18日の第1回のワーキンググループでは、急性期のことを議論したのですけれども、かなりいろいろな御意見が出ました。特に4ページの下にあるように日本脳卒中学会で、もう既に作っておりましたアルテプラーゼ静注療法の適正治療指針第二版は施設基準が厳格すぎたということもあって、本ワーキンググループからの提言で、5ページの上にあるように第二版の改訂を行っていただきました。ここに参加している脳卒中関係の構成員のみならず、脳卒中学会を挙げて、この件についても取り上げたということです。
地域差に関しては、地域により医療支援が随分違うことがあって、これについては大都市にいらっしゃる構成員、それから地方にいらっしゃる構成員に大変な御努力をお願いして、調査をしていただきました。結果的には、十分に議論が深まっていない部分もないわけではないのですけれども、かなり激しい議論の中で、全体的には急性期についても回復期、慢性期についても、最大公約数的なところは最大公約数的に、全体をまとめることができたのではないかなと思っております。以上です。
○永井座長 ありがとうございます。それでは脳卒中の診療提供体制の在り方について、御発言、御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。心血管疾患でも初期症状に対する啓発などが議論になっているのですが、脳卒中もTIAなど早くに気が付いて、受診すれば対応が取れることがありますね。そういう啓発について、議論されましたでしょうか。
○小川(彰)構成員 その辺も議論して、この中にも入ってはいるのですけれども、項目立てをしてやっているわけではないので。急性心筋梗塞や狭心症とは違って、例えば虚血性の脳血管障害のその前段であるTIA等々について、あるいは脳梗塞の急性期については心臓病と違って、重症感がない。例えば、狭心症ですともう本当に心臓が止まりそうだ、苦しくてどうしようもないということなのですけれども、一過性の虚血発作あるいは脳梗塞の急性期においては、重症感がない、痛くないわけで、そういう意味からすると、本当に社会啓蒙が必要で、国民も含めて、それから一般医科の方々に対する啓蒙も十分にやっていかなければならないということだろうと思っています。
○永井座長 いかがでしょうか。
○小川(彰)構成員 心臓病のワーキンググループと脳卒中のワーキンググループが、途中で議論の仕方を統一したわけではないので、結果的には出来上がったものをこうやって見させていただきますと、心臓病のほうに関してはある程度疾患別の構成になっている。脳卒中に関しては、全般という形で述べられているので、例えば三大脳卒中であるくも膜下出血の対応であるとか、あるいは脳出血、高血圧性脳内出血の対応、そして虚血性脳血管障害の対応というような疾患別の構成にはしていなかったので、この辺はどうなのか、その整合性という意味ではどうなのか。今日ちょっと心臓病の内容を見させていただいて感じたところです。
○永井座長 心臓病の場合には、後でも御説明しますが、疾患によって搬送される施設が違ってきます。急性大動脈解離で急ぐ場合は、早く外科医のもとへ、余り内科で引っ張らないということになりますし、心不全が悪化した場合、専門医に集中すると対応がとれません。むしろ非専門医のほうである程度対応もお願いしないといけない。そこが脳卒中との違いになったかもしれないですね。いかがでしょうか。羽鳥委員どうぞ。
○羽鳥構成員 啓発について、心臓疾患、例えば心不全に関する市民向け学会、医会、医師会を含めて、主催、共催の講演会は多くないです。一方脳卒中はストップ脳卒中などの市民向け講演会は多いです。一般医科の先生も脳卒中に関しては、発症してからの時間が重要という認識で、処置のできる病院へ速やかに行きなさいと患者さんに日頃話しています。それは救急隊も承知しているし、いわゆるウオークインで医療機関に訪れる患者さんは多くないですが、もちろん中にはいらっしゃって、診察して理学所見から救急車を診療所から呼ぶということもあります。
○永井座長 他にいかがでしょうか。ワーキングに参加されていた先生方から何かコメント等ありませんでしょうか。
○上田構成員 専門外ですけれども、先ほど小川構成員がおっしゃったように、要するに脳梗塞が主体の対応に見えて、高血圧性の出血とか、くも膜下出血の場合にどうするかは、t-PAとは全く関係のないところの対応になりますよね。そこが読んだときに分かりづらいように感じました。
○永井座長 そうですね、禁忌ですね。そこの整理が必要になります。
○小川(彰)構成員 実はなぜこういうことになったかというと、破裂脳動脈瘤に関しては、かなりもう体制が確立しているのですね。それでもう、やることは決まっているというか。ただ未破裂動脈瘤はどうするかということになると、これはちょっと話が違ってくる。ただ私の理解では、この脳卒中診療提供体制の在り方についてということになると、未破裂動脈瘤が見つかったときにどうするかというような問題ではなくて、脳卒中を発症したときに、急性期、回復期、慢性期でどうするかということになりますが、くも膜下出血の脳出血に関しては、ほとんど確立されてしまっているので、余り議論にならなかったということだろうと思います。今一番問題なのは、虚血性脳血管障害については、いろいろな意味でt-PAの問題、それからステントの問題と様々な問題が今どんどん進んでおりますので、そちらのほうが中心になったということです。長谷川先生、鈴木先生、何かありますでしょうか。
○長谷川構成員 小川先生がおっしゃったとおりです。
○鈴木構成員 鈴木でございます。1つ追加或いは確認ですが、緩和医療の件は、脳卒中と心臓と少し違うのかなという議論はWGでありました。それをちょっと付け加えさせていただきます。
○永井座長 よろしいでしょうか。心血管病について少し議論をした上で、また全体について御議論をいただくことにします。
○磯部構成員 よろしいですか。多分、回復期~維持期の辺りに関係するのかもしれませんけれども、脳梗塞の3分の1は心原性脳塞栓です。その大半は心房細動です。心房細動は治療・予防ができる疾患です。そのことがほとんど回復期~維持期のところに取り上げられていないので、心臓病のリスクを減らす、治療するというような観点が少しあってもいいのかなと思いましたが、いかがでしょうか。
○永井座長 いかがですか。心房細動対策、治療と予防ですね。その点も少し記載があったほうがよいのではないかということです。
○小川(彰)構成員 そうですね。これはどこまで広げるかということになりますと、先ほども申し上げたように、脳卒中になったときに、急性期の治療はどうやって、回復期、慢性期の治療はどうやるという構成で作ったわけです。実は予防というのはかなり大きな項目になって、予防だけで1つできるぐらいになってしまうのです。ですから例えば心房細動を持っている患者さんに対して、脳梗塞を起こさないようなどういう治療をするべきかとなってくると、かなり項目立ても多くなってしまって、とんでもなく大きなものになってしまう。ということで、一応我々のワーキンググループの考えとしては、脳卒中を発症したときに、どうするのかというところに中心を持って行って、一次予防のことに関してはスキップしたということになるわけです。
○永井座長 心臓のほうも、一次予防には余り触れていません。再発予防は視野に入れています。
○小川(彰)構成員 そうですね、再発予防に関しては、更にここに入れてもそれは構わないと思います。
○永井座長 そうしましたら、続いて心血管疾患の診療提供体制の在り方について御議論をいただき、その上で整合性を取るほうがよろしいと思います。私からの追加コメントとしては、既に議論が出ていますけれども、単に急性期の受入れだけではなくて、リハビリや心不全の急性増悪予防、再発予防も視野に入れているということです。
急性期の受入体制を分けたのは、特に急性心筋梗塞でしたら内科系が中心となるインターベンションが必須であるためです。心不全の急性増悪に対しては、内科系で全身管理をおこなう。また非専門医も場合によっては初期対応をしていただく必要がある。急性大動脈解離については、外科の手術が必要になる場合が多い。もちろん内科で、保存的療法も行うこともありますが、それも専門医の判断が必要になります。そういう意味で、疾患ごとの対応の違いが、今回少し強調されたかと思います。
いずれにしても、心血管病の場合は、初期、急性増悪期、あるいは慢性期であっても突然死が多いという特徴がありますので、啓発活動がかなり求められます。先ほど狭心症は典型的に苦しいという御指摘がありましたけれども、実はそうでなくて無症候性であったり、非典型的な狭心症があります。そのなかには急性心筋梗塞に移行しそうな狭心症もあります。結構見落としも起こりえます。患者さんへの啓発や、実地医家の先生方への教育・研修が必要になります。
今回特に強調したのは、慢性期の増悪防止という意味で、心不全がかなり強調されています。それは、1つには高齢社会で急速に増えており、高齢者であるというだけで、あるいは高血圧があるとほとんどの方が軽度の心不全状態にあります。そういう方々が繰り返し急性の増悪を起こしますので、受入体制、教育、初期対応について、国を挙げての対策が必要ということです。要するに高齢になりますと、健康か病気かの二者択一ではなくて、誰もが心臓の調子が悪い状態を持って生きていますので、急性期の受入れだけではなくて、慢性期の再発予防も視野に入れる必要があり、そうした視点からまとめたという経緯です。
いかがでしょうか。脳卒中と心臓病の両方に共通しているのは、35ページの絵です。31ページでも結構ですけれども、正常か病気かではないのだということです。徐々に年齢とともに機能は落ちますけれども、決して徐々に悪くなるのではなく、急性増悪を繰り返します。この点では、脳卒中も心臓血管病も似たような形を取るわけです。
余り簡単に考えずに、長い期間の中で考えないといけませんし、一度発作を起こしても、それで機能が落ちるわけではなくて、リハビリによってかなり戻りますし、一病息災と言われるように、一回発作を起こすと却って気を付けて、長生きすることもあるわけです。このあたりの教育啓発が大事だということです。今回、病気の自然経過が、図示されたということは、患者さんだけでなく一般医家、専門医にとっても、分かりやすくなったという気がします。
磯部先生何かコメントはありますか。
○磯部構成員 全体から言いますと、大変すばらしい内容で作っていただいたと思っています。日本循環器学会では、脳卒中・循環器対策の5か年計画を発表して、その中で診療提供体制にも言及していますけれども、概ね私どもの5か年計画に合致する内容で、そういった意味でも有り難いと思っています。
幾つかコメントをさせていただきます。先ほど永井先生もおっしゃいましたけれども、心筋梗塞の症状ですが、必ずしも胸がすごく痛くなって、すぐに患者さんが来られるという、典型的な経過ではない方が多いということと、強い症状があっても、実際に急性期の診療をするまで、病院に来るまでの時間が一番長いのです。我々はペイシェントディレイと言っていますが、患者さんが症状を覚知してから救急車を呼ぶまでの時間が、急性心筋梗塞の治療の一番のリミティングの要素になっています。
そういう意味では脳卒中と同じで、20ページ上から2つ目の○、発症早期の教育・啓発は、やはりこの領域でも非常に重要であると思います。具体的に、この辺を今後施策として生かしていかないといけないと思っています。多職種という言葉がたくさん出ていて、多職種の内容についても、細かく職種を指定していただき、これも大変評価できる点だと思います。緩和ケアという概念もそうです。これまで心臓疾患の緩和ケアという概念は、我々は議論はもちろんしてきたのですけれども、こういった形で明らかにしていただくということは、ある意味で画期的なことだと思います。先ほど永井先生も示されました経過の図ですが、心不全にはステージ分類があって、かつ突然悪くなることがあったり、非常に多様な経過を取ってかつ進行性の疾患であるという概念を今回明らかにしていただいたということで、有り難いと思っています。
私どもに与えられた課題の1つは、30ページの下から2つ目の○で、心不全の概念ということです。ワーキングでも随分議論になったのですけれども、心不全というのは分かりにくい、一般に認知されていない、私どももそういうことは十分承知していて、学会としても心不全を一般の方に分かりやすい形で定義をする作業を始めているところですので、この御指摘は真摯に受け止めて取り組みたいと考えています。以上です。
○永井座長 ありがとうございます。心不全という病名は、かつて死亡診断書で乱発されました。このため心不全というと助かりようのない病気と捉えられている向きもないわけではないと思います。実は極めて多彩な、また一病息災で心不全になっても幾らでも長生きできます。ひびの入ったお茶碗を乱暴に扱うとすぐ壊れるけれども、大事に使えば10年でも20年でももちます。そういう状態が心不全なのですね。もちろん急性心不全と慢性心不全では概念の違いがありますけれど、その辺をいかに分かりやすく国民あるいは医療者に伝えるかということが、大事だと思います。
○三浦構成員 今回、急性期の診療提供体制の基本的な考え方は、非常に現状に即した内容にまとめていただいたと思います。20ページの3番目の○に書いてあるように、心疾患の場合、専門性の高い二次救急医療機関で対応するほうが適切であるですとか、大動脈解離などはその手術ができる施設が限られているということが書かれていますけれども、実際にその通りだと思います。
一方で、二次救急医療機関が24時間体制で心臓外科手術を行うですとか、緊急PCIをいつでも行うためには、それなりの人員体制が必要で、例えば手術室でも麻酔科医ですとか外科医、人工心肺技士、ナース、これも24時間体制で勤務をする体制が必要なのだと思います。
ただし、二次救急医療機関は三次救急の場とは違って、診療報酬の支援が余りないですから、こういう人員体制を整備するためには、それなりの診療報酬の整備も必要なのではないかと思っています。外科医も臨床工学技士も看護師も、24時間体制で勤務していくというのは、1.5倍ぐらい人員が必要になってくると思いますので、そういうことも今後の検討課題として挙げていただけるとよいと思っています。
○永井座長 今回は、余り診療報酬については踏み込んでいませんが、まずは提供体制をどうするかということが課題だろうと思います。
○美原構成員 私は脳卒中と心血管疾患の両方のワーキンググループに参加させていただいて、私自身、その議論の中で非常に勉強させていただいたと思っています。そして、非常にうまくまとめていただいて、そのときの議論がきっちりとこの報告書に書かれていると思いました。
その2つのワーキンググループの違いがどこにあるのかというのが非常に分かりやすく出ているのが、この2つの図だろうと思うのです。1つは、脳卒中は16ページの図7、もう1つは心血管疾患の31です。どういうことかと言うと、17のほうは、ある1人の患者さんが心臓の病気になって患っていたときに、だんだん悪くなっていくというような経過の中で、どのような診療提供体制を作ろうかと。もう1つは、7番の図7のほうは、ある1人の患者さんではなくて、脳卒中の患者さんは様々いると。それがどのような経過を取るかというようなことで、2つのワーキンググループの中の議論がちょっと違うようなものになったのかもしれないと思います。
とは言うものの、これからの高齢社会を考えて、何度も何度も病気を繰り返すような人、脳卒中に関しても、心血管疾患もそうですが、そのような中で脳卒中の患者さん、どのような患者さんをどのような施設で診たらいいのかというようなことも図7の中に十分に書き込んでいただいたと思っています。つまり、何が言いたいのかと言うと、やはり、これから高齢社会を迎えてたくさん、健康でない人が病気になったときにどこで診ていくのかということは非常に重要な問題だろうと思います。それが今回の議論の中で結構よく練られたのではないかというような感想を持ちました。以上です。
○永井座長 ありがとうございます。専門が違いますので、両方をバランス良く見ている人は少ないと思います。そういう意味では、今回、取りあえず違いが浮かび上がってきました。もう少し洗練するとよいと思いますが。またお知恵を頂いて、両疾患の違いについて最初に書いてあってもよいかもしれません。これは時間のスパンだけでなく、どのくらい繰り返すかも重要です。心臓の場合には、水を飲みすぎても悪くなってしまいます。外的な要因で再発しますので、非常に短期間に繰り返す。脳卒中は、繰り返すとしても多分、もう少し間があるのではないかと思います。いろいろな違いがあってこうしたまとめになっていると思います。いかがでしょうか。
○長谷川構成員 非常にきれいにまとめられているということと同時に、宿題をここにいっぱい書き込まれているということを感じます。それは、地域の実状に合わせてやりなさいと、それから、地域全体でやると同時に、その地域のことを考えて仕組みを作ったそれぞれの役割に対する評価もしなさいと。では一体これはどうやればいいのですかというのが非常に難しいことだと思います。具体的にこれを実行するのは一体誰が主体で、どうやるのかというのは非常に重要な問題だと思います。これは第7次の医療計画、これは医療計画の中で、都道府県にこれが投げられた中に、ワーキンググループでこういう議論をしているから、これについても考慮しなさいという形で今、書かれていたと思うのです。この具体的な主体というのは、やはり都道府県になるのか、あるいは当然アカデミアも今これを一生懸命に考えて、やりたいと、やらねばならないと言って物事を変えているところです。では具体的に、地域の実状、緩和ケアの在り方をどうするかとか、これからの議論はどこが主体になって、というような形で考えておられるのでしょうか。
○永井座長 そうですね。この報告書の位置付けも含めて、事務局から御説明いただけますでしょうか。
○岡田がん・疾病対策課長補佐 先ほど御指摘いただいたように、今検討会におきましては、脳卒中と心血管疾患の診療提供体制の在り方がどうあるべきかという議論が中心議題と考えております。その中で、長谷川構成員が御指摘のように、様々な宿題となる観点が出てくることも認識しております。
まずこちらに関しましては、最初の検討会の際に御説明しましたように、医療計画が1つございます。医療計画に関しては、この成果の内容を都道府県にお伝えすることで、循環器病についてはこのような視点が必要であるということを、まずは都道府県にお伝えすることを考えております。また、ここで出てくるような様々な在り方の課題につきましては、それぞれの課題に応じて必要な省内の部署等との検討も含めまして、これを基にどのような施策を進めていくかの検討をこれから進めていきたいと考えております。本検討会における議論から、循環器病の診療提供体制構築の道筋となるものが出来たものと理解しております。様々な部署とも議論を深めまして、適切な施策を検討してまいりたいと考えております。
○永井座長 そうしますと、それは自治体だけではなくて、地域で受け止めていただきたいということでしょうか。医師会をはじめ大学、病院関係者、そして行政、全体で取り組んでほしいということですか。
○岡田がん・疾病対策課長補佐 こちらの報告書にも、随時記載しておりますように、本報告書に記載されている概念を、様々な関係者の方が共有することが非常に重要であるという御意見をそれぞれのワーキンググループで頂いたと理解しております。ですので、まず1つは、都道府県に概念を周知するということもあると思いますが、それに加えてここで出てくる、先ほど出ました、例えば国民への啓発の問題とか、その辺も含めて、適切な部署でありますとか、関係する各団体の方々と議論を深めていきたいと考えております。
○宮崎構成員 今、これをどう政策にいかすかということが少し議論になっているのですが、私は、この両方のワーキングの中で非常に出てきた連携という言葉が、地域連携、自らの施設の機能をしっかり認識して、お互いに連携して地域の医療資源を有効にいかしていこうということですね。そして、その資源は地域によってかなり差があるということです。そうすると今までの、競争的なところから、今度は協調のほうに移っていくべきで、それが地域でうまく作れるかということが、これから問題になると思うのです。今いろいろな地域医療構想の協議があるのですが、外から見ると現実に今うまくいっていると感じると地域もあるのですが、私の知っている限りではなかなか身近にはそういう例がなくて、やはり今まで通り競争になっているところがある。特に病院団体の立場から見ますと、やはり各病院は皆、生き残りを賭けていますから、生き残りを賭けている中では、どうしても競争的にもならざるを得ないところもあります。でも、それをやっていると、もちろん患者さんのためになりませんし、余分な設備を作って効率的に良くないということもあるので、その仕組みをどう作っていくかというのは、これから大事だと思うのです。そういうことは、これからまた政策の中に生かされるのでしょうけれども、これは我々医療界のほうも考え方をかなり変えていかないと駄目なのですが、各病院はよほど仲が良くてもそういう競争からなかなかぬけられない。特に大学の系列が違ったりすると、なかなかその辺がうまくいかないのかなと思っています。やはり、これを政策に生かしてうまく誘導していただくことが非常に大事と感じております。
○永井座長 ある意味では、これを核として協調していただく。そうした意味で、このまとめが役割を果たすのではないかという期待があります。いかがでしょうか、全体を通してでも結構ですので。小川先生、いかがでしょうか、そうした循環器の心血管病の対応を踏まえて先ほどの疾患ごとの考え方をどこまで入れるか、あるいは慢性期の対策をどこまで入れるかですが、いかがでしょうか。
○小川(彰)構成員 疾患ごとになりますと、脳卒中に関しては、くも膜下出血、高血圧性脳内出血、虚血性脳血管障害、これが三大脳卒中ですので、そこを入れても特に問題はないのです。ただ、ある意味でかなり、その診療供給体制につきましても、脳出血とくも膜下出血に関しましては急性期、慢性期はほぼ確立されているのですよね。
○永井座長 そういうことであれば、あえて大改定をしなくてもよろしいかと思うのです。
○鈴木構成員 脳卒中の分野では脳虚血における急性期のt-PAの均てん化が本当にうまくいっていなかった、そこに小川座長も力点を置いて議論を進められたと理解しております。ただ、一方でtPA以後の血管内治療も普及してまいりました。長谷川構成員もよくおっしゃるのですが、「t-PAは均てん化に向かい」、「血管内治療は質を保つためには集約化が必要だ」。そして、さらに高次の包括的な脳卒中センターはそれプラス「啓発」、「症例の登録医業等高次の事業を加えて行う」 等の文言を入れていただければ少し理解が深まるのかなと思います。
○永井座長 対応が遅れていたのは、心血管疾患では心不全という概念です。当たり前のような疾患なのですが、数が膨大になってきました。また、これは学術的にも深い内容があります。過去15年ぐらいの間に、治療法からケアの在り方、多職種連携、随分変わってきたという経緯があり、今回、心不全を少し表に出しました。インターベンションなどは実際、もうある程度体制が出来ているかと思います。
○羽鳥構成員 くも膜下出血と脳出血に関してはほぼ解決しているということですが、脳梗塞の中で、先ほど磯部先生も触れていましたが、心房細動が原因でおきる心原性脳栓塞についても触れていただいたほうがいいかなと思います。心房細動による脳栓塞はその検査範囲も巨大で、症状も非常に重いし、重度の介護になる率も非常に高いです。私自身も今、川崎市内科医会会長として川崎という所で3,500症例ぐらい心房細動方の治療経過を追っています。それを見ていくと、ワルファリン、DOACなどの薬を予防投与していても脳卒中を起こされている方が多いのです。そういう意味では、是非ここは、どこかで項目を1個挙げてほしいということが1点。
それからもう1つ。循環器に関しては、29ページ、30ページの辺りで、特にかかりつけ医の役割というのが書き込まれていて有り難いのですが、循環器学会でも言われていましたが、やはり心不全の概念が変わったということに関して、一般医向けの講座を積極的に循環器学会を中心にして展開していただけると有り難いです。又、日本医師会認定健康スポーツ医の活用をして地域包括システムで、もし運動リハビリ、ロコモ予防などとともに、ぜひ活用して下さると有難いです。その2点、よろしくお願いします。
○小川(彰)構成員 構成で難しいのは、虚血性脳血管障害の中にはまた3つあるわけです。アテローム性の脳血管障害と、要するに、動脈硬化性の脳梗塞とラクナと心原性塞栓症、3つあるわけで、心原性塞栓症、今のNVAF等々が背景にあって、心原性塞栓症を起こすものに対して項目立てをすると、ほかのアテロームもラクナも入れなければいけなくなってしまうので、アマウントがすごく増えてしまうのかなという感じはするのです。
○羽鳥構成員 項目に立てずとも、総論なりまとめの所に文言を追加するぐらいで。
○小川(彰)構成員 文言を追加する。
○羽鳥構成員 ええ、それでよろしいと思いますが。
○小川(彰)構成員 分かりました。
○永井座長 そのほか。
○田村参考人 参考人ですが、脳卒中に関しての部分で追加をしていただきたいというのが1つなのです。心臓疾患で27ページの上から3つ目に文言として、また、一般にリハビリテーションは運動療法を想定するため、運動療法以外の幅広いプログラム内容が含まれているという概念をその領域の人が、専門としている医療職以外の人は共有されていないというのは本当に多い部分なのです。脳卒中に関しても、この脳卒中データベースの2015では、片まひは、大体50%の頻度で出てきているということは出されていますが、脳卒中の患者さんでまひがあるので運動療法だけを想定するのではなくて、脳卒中の患者さんに関しても、患者指導とか、カウンセリングとか、脳梗塞等の是正の因子、血管内等のいろいろな是正の、生活習慣を良くするための指導という部分を含めるというようなリハビリテーションという、そういう概念の部分がもう少し大きく、国民の皆さん、あるいは医療職の皆さんに広報するということがもう1つ大切ではないかという部分で、この項目はとても大切な項目だと思いますので、お願いいたします。
○小川(彰)構成員 今の点に関して。先生のおっしゃっているのは、もちろん運動療法だけをやるのではなくて、例えば、右脳障害と左脳障害ではリハビリテーションも全く違うわけですよね。
○田村参考人 そうです。
○小川(彰)構成員 そういうことを含めて、要するに、正常生活に戻るような総合的なリハビリテーションが必要だという、そういうことを組み込んでほしいということですか。
○田村参考人 そうです。それで、言葉としてリハビリテーションという言葉を使いますと、整形外科でのリハビリテーションとか、そういう概念の、一般的にはそういう言葉の使い方をしている、あるいはそのように理解する人が多いのですが、そうではなくて、もっと生活全般を指導できていくような仕組みをこの中で1つ提案していっていただけましたら、もっと患者さん、再発作とか、あるいは発作予防のためにはなっていくのではないかという部分はお願いしたいと思います。
○小川(彰)構成員 分かりました。脳卒中の回復期、慢性期のところにその項目は1つ立てましょう。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。
○井上構成員 はい、30ページの下から3つ目の○の所です。私ども心臓病患者が、病院から家に戻り、外来で様々な治療を受けている立場としては、このリハビリテーションに関して多職種の先生方が関わってくださるわけですが、地域格差や施設格差を強く感じながらきたところでした。このページで非常に具体的に、心血管疾患管理ガイドラインや診察マニュアルの策定、心不全手帳等による患者情報共有手段の検討及び普及というような具体的な施策が挙げられ、項目が明記されたことは、非常に心強く感じました。
また、今回の検討会が診療提供体制の在り方に関する検討会ということで、我々、患者や一般の国民に対しての「啓発」は検討会としてはまた方向性が少し異なるので、そのあたりは置いていかれるのかなという思いもなくはなかったのですが、今回のまとめで、脳卒中も心血管も早急に適切な治療を開始するためには、急性期の心疾患の場合には前兆や症状、発症時の対象等に関する教育・啓発が重要であるという項目をきちんと、20ページに載せていただいたので、患者としてだけでなく、国民の1人として非常に心強く感じたところでした。
○永井座長 ありがとうございます。
○馬場構成員 日本医療法人協会の馬場でございます。地域の医療計画やメディカルコントロール体制の中で、民間病院であるとか、どうしても二次救急医療機関が過小評価されているという場合が結構あるのですが、今回は非常に正しく評価していただいたということで、本当に有り難いと思っています。今後、地域の医療提供体制を考えるスタンダードが出来たと思っていますので、都道府県等に説明するときに、是非正しく活用していただけるように説明していただければと思っております。よろしくお願いします。
○永井座長 ありがとうございました。そのほか。
○川本構成員 日本看護協会の川本でございます。まとめが非常にすっきりしておりまして、経過が見やすくなっていると私も、この報告書を見させていただいて感じました。医療資源は地域によって非常に違いますので、これからは実状に合わせたネットワークづくりをされていくことになるかと思います。誰が主体となって実現していくか、今後はまたその成果を、アウトカムというか、それをどのように見ていくかということでこの報告書がまた評価されることになるかと思いますので、長いスパンでアウトカムをどこに持っていくのかということも、今後、御検討いただければ有り難いと思いました。
○永井座長 ありがとうございます。全体を通して、何か御発言はございますでしょうか。
○羽鳥構成員 29ページの上のほうですが、「リハビリテーションの代わりに心血管疾患管理プログラムなどのような皆が共有できる言葉を」というのがあったと思います。これは宿題になっていたかと思うので、何か考えていかないといけないのかなと思います。要するに、リハビリという言葉だけでは心不全進展予防などの概念を膨らましていくこともあるでしょうし。32ページの広島だと、この絵だと「広島いきいきセンター」という言葉を使っていますが、このような言葉でもいいのかもしれませんが、皆が納得できるような概念を少し作っていかなければいけないのかなと思います。
○永井座長 ここで言葉を決めるのもなかなか難しいのですが、リハビリというのも運動リハビリだけではありません。疾病管理プログラムという言葉も1つの案として出されています。これは今後、学会、協会等で検討いただければと思います。
○磯部構成員 先ほど来、多くの構成員に触れていただいていますが、一次、二次、三次救急医療圏の話です、20ページの上から3つ目でよく触れていただいているのですが。具体的には、例えば、私どもの病院でも大動脈解離の患者さん、私どもは二次救急ですが、私どもの所に来ずに、まず、三次の施設に救急搬送されて、それで、この人は大動脈解離で手術が必要だからということで更に私どもの所に搬送されてくるということがしばしば起こります。ですから、ここに書いてあるとおりですが、専門性を重視した救急診療体制を検討いただきたいのです。厚生労働省とか自治体もさることながら、消防庁とか総務省とか、そういったかなり大掛かりな行政の仕組みの変更あるいは考え方を変えていただく必要があると思いますので、是非、この3つ目にありますような方向に実際に動いていただけるようにお願いします。
○永井座長 ほかに御意見はございませんでしょうか。そういたしますと、今回の取りまとめで議論になったところは幾つかございますが、基本的にはこの記載を踏まえるということ、また、脳卒中における再発予防、特に心房細動への対応については文言を追加するということ、そのほか、啓発の在り方についてもう一度記載をチェックする必要があるかと思います。主立った御意見はその辺りだったように思いますが、もしよろしければ、事務局とワーキンググループ長の間で調整し、最終的な取りまとめは、座長にお任せいただければと思います。そういうことでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○永井座長 ありがとうございます。
○羽鳥構成員 循環器対策基本法が国会を通過していないので難しいかもしれませんが、東京都でやっているのはCCUネットワーク、あるいは仙台、大阪、名古屋、神奈川県も今、始めましたが、疾患レジストリをつくりデータを取りこぼしなく収集する、きちんとしたデータに基づいて議論できるようなことをしてほしいということです。がん対策法みたいな法によるバックアップ状態で難しいと思うのです。レジストリーは必要であるなし、何か一言入れておいてほしいと思います。
○永井座長 全く書いていませんでしたでしょうか。レジストリーが必要だという議論はありましたね。これは脳卒中も心血管疾患も同じだと思います。
○岡田がん・疾病対策課長補佐 よろしいでしょうか。
○永井座長 はい。
○岡田がん・疾病対策課長補佐 事務局です。こちらの議論に関しましては、脳と心臓ともに、評価指標の考え方の点を御覧ください。脳で言いますと17ページです。最終的にこのようなデータのレジストリーに関しましては、その体制の評価、指標等を考える際に必要になってくるものと考えておりますが、17ページの上の○のように「具体的な指標や指標のデータソースを含め」という部分で、このデータに関しても、今後、引き続き検討していく必要があるという形で頂いた御意見を整理するような記載にしております。こちらは、心臓に関しても同様の記載をしております。
○永井座長 レジストリーを、強制というわけにもいかないですが、できるだけ進める必要があるというような記載があってもよいと思うのですが。
○羽鳥構成員 これは、救急隊病院の現場の先生の協力がないとできませんが必ずやるべきことです。
○永井座長 その辺も事務局と相談して、できれば織り込みたいと思います。全体を通して御議論はいかがでしょうか、よろしいでしょうか。もし御意見がなければ、早めですが、本日の検討会は終了したいと思います。先ほど申し上げましたように、本日の議論を踏まえまして、まず事務局とワーキンググループ長の間で調整いただき、最終的な取りまとめは座長にお任せいただきたいと思います。基本的には、本日の脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方についてのまとめを踏まえて取りまとめを行いたいと思います。
本日は最後の検討会となります。これで終了いたしますが、この後、御挨拶もあるということですので、事務局から進めていただけますでしょうか。
○石上がん・疾病対策課長補佐 ありがとうございました。本検討会の閉会に当たり、健康局長より一言御挨拶申し上げます。
○福島健康局長 健康局長の福島でございます。脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方に関する検討会の議論はひとまず区切りということで、御礼の御挨拶を申し上げたいと思います。
本検討会ですが、循環器病に係る医療、介護に要する負担の軽減が喫緊の課題となっていることに鑑みまして、特に循環器病の診療提供体制の在り方に関する議論をするということで昨年6月に始めたわけです。その後、ワーキンググループが心臓と脳卒中の2つに分かれて、それぞれ、4回御議論を頂きました。そして本日、また最終取りまとめということで開いたわけです。この間、先生方には、ワーキンググループでも毎回、非常に活発に御議論を頂きました。本当にありがとうございました。お陰様で、本日、おおむね取りまとめができたということで、永井座長をはじめ、委員の先生方に改めて御礼を申し上げたいと思います。こういう報告書はまとめることに意味があるのではなく、これをどうやって実現していくのかということが重要な課題であると私どもは思っております。
今後、この検討会で出た御議論の内容を、それぞれの自治体、都道府県における医療提供体制の整備の中できちんと実現していただけるように私どもとしてはまず通知をし、ちょうど来年度から新しい地域医療計画が始まるわけですが、今、ちょうど各都道府県で医療計画の議論をしております。5疾病5事業の中の議論にもこの報告書の中身を是非反映させていただけるように私どもとしても、医政局に対しても働き掛けをしていきたいと思いますし、各都道府県にもそういうことをお願いしていきたいと考えております。循環器疾患対策は医療体制だけではなく、様々な課題がございます。先生方には、医療体制の整備のみならず、これから循環器対策全般につきまして、引き続き御指導いただくことをお願い申し上げまして、簡単ですが、一応の中締めといいますか、この議論の取りまとめに当たっての私からの御礼の言葉にさせていただきたいと思います。誠にありがとうございました。
○石上がん・疾病対策課長補佐 では、これをもちまして脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方に関する検討会を終了させていただきます。構成員の皆様方には、1年間にわたり、誠にありがとうございました。
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