ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(雇用均等分科会家内労働部会)> 第15回労働政策審議会雇用均等分科会家内労働部会(2017年3月21日)




2017年3月21日 第15回労働政策審議会雇用均等分科会家内労働部会

厚生労働省雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課

○日時

平成29年3月21日(火)15:00~15:50


○場所

厚生労働省専用第12会議室(12階)


○出席者

公益代表

小杉部会長  小畑委員  鎌田委員  藤村委員  山口委員

家内労働者代表

堀尾委員  久保委員  佐藤委員  中村委員  萩原委員

委託者代表

菱沼委員  新田委員  穗岐山委員  吉岡委員  渡辺委員

○議題

1 平成28年度家内労働概況調査の結果について
2 第12次最低工賃新設・改正計画の進捗状況について
3 平成29年度家内労働関係予算案の概要について
4 その他

○配布資料

資料No.1   平成28年度家内労働概況調査の結果概要
資料No.2-1 第12次最低工賃新設・改正計画の進捗状況(概要)
資料No.2-2 第12次最低工賃新設・改正計画の進捗状況(詳細)
資料No.2-3 第11次最低工賃新設・改正計画の実施状況
資料No.3   平成29年度家内労働関係予算案の概要
資料No.4-1 サプライチェーン関係者の実態把握調査報告書
資料No.4-2 危険有害性が相対的に高い地域・業種に即した対応の好事例に関する調査報告書
資料No.4-3 好事例から学ぶ 家内労働に関する安全衛生のポイント
資料No.5  家内労働関係資料
参考資料1 家内労働のしおり
参考資料2 家内労働における危険有害業務災害防止対策ハンドブック(委託者用)
参考資料3 家内労働におかる危険有害業務災害防止対策ハンドブック(家内労働者用)

○議事

○小杉部会長 

 それでは定刻になりましたので、ただいまより第15回労働政策審議会雇用均等分科会家内労働部会を開催いたします。本日は、藤村委員が御欠席で、山口委員が少し遅れるとの御連絡が入っておりますが、労働政策審議会令第9条の規定による定足数を満たしております。今回、家内労働者側委員と委託者側委員にそれぞれ交替がありました。家内労働者側委員につきましては、加藤委員に代わって堀尾委員が、委託者側委員につきましては、小林委員に代わりまして菱沼委員が委員となられています。それぞれ御挨拶をお願いします。まず、堀尾委員、一言お願いいたします。

○堀尾委員

 皆さん、こんにちは。私はセラミックス産業労働組合からまいりました副書記長をしております堀尾と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

○小杉部会長 

 では、菱沼委員、お願いします。

○菱沼委員 

 皆さん、こんにちは。ただいま御紹介いただきました全国中小企業団体中央会の菱沼です。前任の小林より代わりまして、今回、委員となりました。いろいろとお世話になるかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○小杉部会長 

 続きまして、雇用均等・児童家庭担当審議官より、一言御挨拶をお願いいたします。

○吉本審議官 

 担当の審議官をしております吉本と申します。年度末の大変お忙しい中を御出席いただきましてありがとうございます。この家内労働部会ですが、毎年、定例的に今頃の時期に御審議をお願いしておりまして、今回で15回目ということでございます。

昭和45年に家内労働法が制定されて以来、制定当時は約200万人の家内労働従事者がいらっしゃいましたが、減少を続けておりまして、現在では約11万人ということですが、日本国内産業の様々な分野で下支えいただいているという役割に変わりはないと考えております。

 一方で、家内労働の現状、かねてから言われているところでございますが、法令に定められたことが徹底されていないといったような実態もございますので、私どもといたしましても、労働局における指導あるいは本省で毎年危険有害業務における災害防止に関する委託事業を実施して、様々な資料を使った啓発などに努めているところでございます。

 今回は、今年度の家内労働の概況調査がまとまりましたので、それの御報告をするとともに、昨年度、12次の最低工賃の計画を御審議いただき策定しましたので、それに基づく初年度の進捗状況、それから来年度の関係予算、また危険有害業務の災害防止に関する委託事業の状況などを御報告させていただきたいと思います。忌憚のない御意見をお聞かせいただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。


○小杉部会長 

 ありがとうございました。審議官は所用のため、途中退席になるということなので御了解ください。それでは、議事に入ります。お手元の議事次第に沿って進めてまいります。まず、議題の1「平成28年家内労働概況調査の結果について」、事務局から説明をお願いいたします。

 

○高橋課長補佐 

 短時間・在宅労働課で課長補佐をしております高橋と申します。どうぞよろしくお願いいたします。座って御説明させていただきます。

 資料1を御覧ください。平成28年の家内労働概況調査の結果について、御説明をいたします。この家内労働概況調査ですが、こちらは都道府県労働局を通じて、家内労働法第26条に基づいて提出されております委託状況届などの情報を基に、毎年101日現在の家内労働者の数や委託者の数等を集計して、家内労働対策における基礎資料としているものです。この度、昨年101日現在の結果がまとまりましたので、御説明をいたします。

 資料13ページ目の第1表を御覧いただければと思います。こちらの左上ですが、「家内労働従事者数」とありまして、「家内労働者」の数と、家内労働者と同居をしていらっしゃる御家族で家内労働をお手伝いされている「補助者」の数を足し上げたものです。ピーク時は、昭和48年に204万人超いらっしゃいましたが、その後少しずつ減少しておりまして、一番右上ですが、今年度の調査では11989名、前年度比で3.2%の減少ということでした。その下の家内労働者の数も、ピーク時184万人超いらっしゃいましたが、減少してまいりまして、この度の調査では107,747名、前年度比3%減となっております。家内労働者数につきまして男女別に見ますと、引き続き女性の方が9割近くでして、96,000人超が女性でいらっしゃいます。

 専業、内職、副業の別で見ますと、これまでと同様に、家庭の主婦等が家内労働に従事している内職の方が一番多いということで、94.7%、102,068名いらっしゃいます。補助者は、今回の調査では3,242名、前年度比で少し減少しております。委託者は7,516名で、こちらも少し減少が見られております。

 4ページ目は、業種別に、家内労働者の数や、主な家内労働の業務について見たものです。一番家内労働者が多かったのは、上から2つ目の「繊維工業」で29,787名、全体の27.6%でした。2番目に多かったのが、一番下の「その他(雑貨等)」で24,999名です。3番目が、下から4つ目の「電機機械器具製造業」に従事されている方で、12,901名でした。

5ページ目は、都道府県別に見た家内労働従事者等の数です。今回の調査で一番多かったのが、昨年と同様に中ほどの愛知県でして、家内労働従事者は9,320名でした。次に多いのが静岡県の8,352名、そして東京都の4,364名となっております。

6ページ目が、危険有害業務に従事している家内労働従事者の数です。全体として11,301名が危険有害業務に従事していまして、全体の1割程度いらっしゃいます。業種別に見ますと、一番多いのが5の「動力により駆動される機械を使用する作業」をしている方で、8,728名いらっしゃいます。繊維工業に従事していらっしゃる方が多いので、それに伴って多いと言えるかと思います。また、危険有害業務従事者全体で見ますと、性別では男性が22.2%、専業が21.7%で、家内労働従事者全体よりも男性や専業が多いと言えます。

7ページ目は、委託者や代理人の数、1委託者当たりの家内労働者数をまとめております。委託者の数は、最初に御紹介しましたように全体では7,516で、昨年度比マイナス3.14%でした。業種別に見ますと、「繊維工業」の委託者が一番多くて3,018、次に多いのが「その他(雑貨等)」で1,1643番目が「電気機械器具製造業」で770ということで、家内労働従事者の多い業種と共通しております。

 続いて代理人の数です。委託者と家内労働者が距離的に離れているために、原材料の運搬や工賃の支払いを代理で行う方ですが、299名の代理人がいらっしゃいました。それから、1委託者当たりの平均家内労働者数は14.3名です。

概況調査の主な結果については以上です。

○小杉部会長 

 ただいまの事務局の説明につきまして、御質問、御意見ございますでしょうか。

○堀尾委員 

 セラミックス産業の堀尾です。御報告ありがとうございました。後のサプライチェーンの関係等々の調査にも関わってくるかなと思いますが、外国人労働者について、家内労働に携わっている方は少ないかなとは思われますが、外国人労働者が今後増えるであろうという見方をすると、家内労働に従事する外国人労働者がどれぐらいの数いらっしゃるのかということも参考までに情報収集できればと思いましたので、今後もし取れれば、資料として付けていただけると幸いです。以上です。


○小杉部会長 

 事務局、いかがですか。

○河野課長 

 外国人労働者の方がいることに関して、現時点で労働局から、個別の情報は来ていない状況ではありますが、将来のことも含めてという御意見だと思いますので、実態を見ながら検討していきたいと思います。

○堀尾委員 

 よろしくお願いします。ありがとうございます。

○小杉部会長 

 ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、次の議題に入ります。議題2「第12次最低工賃新設・改正計画の進捗状況について」、事務局から説明をお願いいたします。


○高橋課長補佐 

 最低工賃の新設・改正計画の進捗状況等について説明いたします。進捗状況の説明の前に、簡単に最低工賃制度の概要について改めて説明させていただければと思います。

最低工賃につきましては、家内労働法の第8条から第16条までに規定されていまして、厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、一定の地域内で一定の業務に従事する工賃の低廉な家内労働者の労働条件の改善を図るために必要があると認める場合に、審議会の意見を聴いて最低工賃を決定することができると定められています。また、家内労働者や委託者を代表する方は、厚生労働大臣又は都道府県労働局長に対し、最低工賃の決定や改正、廃止の決定を申し出ることができることとなっています。具体的には、都道府県労働局に地方労働審議会が置かれておりますが、こちらで審議が行われ、都道府県労働局において、その意見を聴いた上で最低工賃の決定が行われているところです。

平成2931日現在、全国で105件の最低工賃が定められており、家内労働法上、委託者は決められた最低工賃額以上の工賃を支払わなければならないことと定められています。
 そして、最低工賃の改正等につきましては、計画的に進めていくことが重要との考えから、3か年計画を昭和58年度以降定め、その計画にのっとって改正等を進めているところです。昨年度の家内労働部会におきまして、第12次計画を御議論いただき、今年度は第12次計画の初年度となっております。そこで、この度は第12次計画の初年度の進捗状況を説明いたします。

 資料2-1は、第12次計画の進捗状況を総括的に数字でまとめたものです。資料2-2が、第12次計画において、都道府県労働局ごとに、どの最低工賃の改正等を何年度に行うかをまとめた表であり、平成28年度の欄については、31日現在の進捗状況を括弧書きで記載しています。

 廃止、新設等につきまして、既に地方労働審議会での議論を経て官報の公示まで終わったものが赤字になっており、合計3件です。資料2-1の中ほどに、平成28年度における改正等予定件数30件のうち公示済3件とありますが、これが資料2-2の赤字3件です。

 資料2-2で緑色の字になっておりますものが、31日現在で地方労働審議会の答申が終わって官報掲載前の段階のもの、あるいは諮問中の段階のものです。資料2-1で御覧いただきますと、答申済が6件、改正に向けた諮問中のものが2件となっています。

 資料2-2で青字になっておりますのが、諮問見送りの結論に至ったものです。廃止の諮問が見送りになったものと改正の諮問が見送りになったものとありますが、資料2-1で見ると11件あります。

 資料2-2で黒字になっているものは、実態調査等に着手はしておりますが諮問まで至っていない、あるいは諮問見送りの結論まで至っていないという段階にあるものです。資料2-1では着手済みとなっており、8件あります。

 資料2-1一番下の未着手につきましては、今年度は0件です。

 資料2-3です。昨年度までの第11次計画につきまして、今月1日現在でどういう状況になっているかをまとめたものです。第11次計画の進捗状況につきましては、昨年度3月の家内労働部会でも報告しているのですが、その際の報告の時点が昨年2月末でして、計画年度がまだ終わりきっておりませんでしたので、今回、計画年度を終わりきってどうなっているかを報告するものです。第11次計画における改正等の予定件数は124件でしたが、公示済みのものが35件、諮問見送りの結論に至ったものは82件となっております。まだ進捗中のものは、諮問中のものが1件、着手済みのものが2件となっています。一番下に未着手4件とありますが、これは昨年度の家内労働部会でも未着手4件となっていたもので、昨年度も説明しておりますが、いずれも第11次計画の中でやっていくことがどうしても難しいために、第12次計画の中での改正等を予定しています。

最低工賃の状況につきましては以上です。

○小杉部会長 

 それでは、この件につきましても、皆さんから御意見、御質問を伺いたいと思います。いかがでしょうか。

○佐藤委員 

 資料2-311次の実施状況ですけど、124件を予定して廃止が13件だとすると111件ということになると思うのですけど、今回の第12次の計画で言いますと、予定件数は110件ということになっていて、資料2-2の、同じく平成2931日現在の最低工賃件数は、全体合計105となっているのですが、この数字の違いは、それぞれどういうことでしょうか。

○小杉部会長 

 事務局、どうですか。

○高橋課長補佐 

 3 1日現在の最低工賃の件数につきましては、資料2-2にありますとおり105ですが、第12次計画における改正等の予定件数が110ということで、それより多くなっていますのは、第12次の3か年度のうちに2回改正等を予定しているものがあることなどから、件数が多くなっているものです。

○小杉部会長 

 それはそうですね。

○佐藤委員 

 ちなみにどれでしょうか。5品目あるということですよね。5つあるということですよ。それは、どれですか。3か年のうち2回やるということですよね。

○高橋課長補佐 

 例えば、資料2-2の岩手ですが、電気機械器具の改正につきましては、平成29年度と平成30年度、2回予定されています。

○小杉部会長 

 第11次だと、差し引きだと111のはずだけども、第12次のところに110、この件もでしたよね。1件違うのはなぜという。

○高橋課長補佐 

 11 次も3か年度の中に同じものについて何回かやったものがありますので、多めに計上されているものと考えます。

○小杉部会長 

 佐藤委員、よろしいですか、それで。

○佐藤委員 

 何となく分かりました。ダブりと言いますか、2回やっているということがあるということですね。

○小杉部会長 

 ほかにございますでしょうか。それでは、3番目の議題に入りたいのですが、よろしいでしょうか。それでは議題3「平成29年度家内労働関係予算案の概要について」及び議題4「その他に」ついて、事務局から説明をお願いします。


○高橋課長補佐 

 平成29年度の家内労働関係予算案につきまして、資料3に基づいて説明させていただきます。来年度の家内労働関係予算案ですが、額としては4,000万円となっています。今年度予算額は3,200万でしたので、約800万の増額となっています。

内訳ですが、まず1番、「家内労働行政の推進に要する経費」は約700万の増額になっております。その理由としては、来年度、3年に1度の家内労働等実態調査という詳細な統計調査を実施予定としております。その統計調査に要する費用が追加で計上され、合計で1,000万円ほどとなっています。

そして2番、「家内労働に係る安全衛生管理の指導等に要する経費」です。各都道府県労働局に家内労働安全衛生指導員という非常勤職員を置いて指導等に当たらせていますが、主にこの経費で約1,400万円、今年度と同等の額となっています。

3番は、「家内労働者安全衛生確保事業に要する経費」です。危険有害業務に従事される家内労働者の災害防止のための委託事業を実施しており、1,600万円で、100万円増額となっています。

 委託事業の内容ですが、今年度は、委託者、家内労働者、また、委託者の川上にいらっしゃるサプライチェーンの関係者にヒアリング調査を行いまして、災害防止の好事例集をまとめました。来年度につきましては、今年度好事例集を作成したほか、昨年度、委託者と家内労働者向けに、家内労働法上求められる措置や業種ごとにどういうことに気を付けたら災害を防止できるかというポイントをまとめたガイドブックも作成していますので、昨年度と今年度作った周知啓発の資料の内容を、いろいろな方に知っていただくことをやっていきたいと考えております。具体的には、全国でセミナーをやってみたいと思っておりますのと、過去の調査結果で4割ほどの委託者がホームページの情報を充実してほしいとおっしゃっていましたので、ウェブサイトを構築しまして、好事例の中身、ガイドブックの中身を広くお知らせしていくことを考えています。

 最後に、参考として「在宅就業関連予算」というのを載せています。在宅就業者は、請負契約に基づいて主に在宅で情報通信機器を活用して働いている方々で、物品の製造・加工を行うものではありませんので、家内労働法は適用されないのですが、請負契約で働いている点などが家内労働と共通することから、ここ数年この家内労働部会で御紹介しているものです。こちらの来年度予算は3,600万円で、100万ほど今年度より減額査定されておりますが、3,600万を確保しています。来年度実施予定としております内容ですが、在宅就業に関する実態を調査した上で、現在のガイドライン、局長通達ですが、これを見直すことを予定しております。

今年度の規制改革会議で、在宅ワーカーの健康確保等の観点から、実態調査を行った上でガイドラインの記述を厚くするべきではないかという提言を頂いておりますし、厚生労働省が昨年夏にまとめました「働き方の未来2035」という報告書の中でも、今後雇用契約によらない働き方が増えていくと予想されるので、そういった方を支える仕組みの検討も必要ではないかということが言われております。また、昨今の働き方改革実現会議でも、柔軟な働き方が1つのテーマとして挙げられており、その中で、雇用契約によらない働き方に関して必要な支援、保護等を検討すべきではないかといったことが言われています。こうした一連の御指摘等を受け、実態調査をした上で、ガイドラインの見直しを行うことと、見直し後のガイドラインの一層の周知を行うことを予定しています。また、セミナー等も引き続き行ってまいりたいと考えております。 

予算関係は以上です。

○小杉部会長 

 ただいまの説明について御質問、御意見をお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。特にありませんか。この報告書の説明はないのですね。

○高橋課長補佐 

 報告書についてもここで御説明をさせていただきます。失礼いたしました。

資料4-1から4-3まで、今年度の委託事業の成果物について御説明をいたします。資料4-14-2が、今年度行ったヒアリング調査の調査報告書で、その調査結果を踏まえて作成した災害防止の好事例集が資料4-3です。

まず4-14-2の調査結果の概要を御説明いたします。資料4-12ページを御覧ください。資料4-1は、「サプライチェーン関係者の実態把握調査」と題していますが、昨年度、委託者と家内労働者に対してアンケートを広く実施し、災害防止の実態を把握したところ、専門家から、委託者の上流にいらっしゃる企業も含めて、家内労働者の安全衛生に関してどのような実態があるかを調査するべきではないかということの御指摘があったので、今年度は委託者の上流も含めて、実態把握をヒアリングによって行ったものです。

 調査対象です。21行目の最後のほうですが、昨年度調査において、危険有害業務に関係が深い業種として、繊維工業、ゴム製品製造業、皮革製品製造業、金属製品製造業、電子部品・デバイス製造業、機械器具等製造業の計6業種を調査対象としました。この6業種のうち、昨年度の委託事業の調査で危険有害業務に従事していると回答してくださった委託者118に、まず事前アンケートをお送りしました。

 その中から、災害防止に関して一定の取組をなさっていると見受けられた12の委託者を抽出して、今回ヒアリングの対象としています。そして、この12委託者に関して少し業種に偏りが出たので、関係団体に御推薦などを頂き、追加で3委託者を選び、合計15の委託者を調査対象としました。15委託者の上流にいる発注者と、委託者から委託をしている家内労働者ということで、合計で15チェーンに対してヒアリング調査を行いました。

 1枚おめくりいただいて、3ページ目の表に、労使の委員や安全衛生の専門家が載っています。こちらの方々に事業運営委員会の委員となっていただき、御助言等を頂きながら行った調査です。

調査のサマリーですが、4ページ目以降です。まず、家内労働者が従事している業務の危険性について、委託者、委託者への発注者、それぞれにおいて十分認識されていないケースも見られました。それから、片方が危険性を認識していても片方が認識していないという認識のズレも見られたということで、サプライチェーン全体で家内労働者の業務の危険性を認識していただくことが望まれるとされています。

 次いで、川上の委託者への発注者において、実際に家内労働者の安全衛生確保のために、委託者に対する指導や措置などを何らか行っているかということです。法を超えるものではありますが、調査したところ、多くの企業でそういうことは行われていませんでした。委託者への発注者においても、家内労働者の実態を把握した上で、下請業者への指導にそれを反映させる姿勢が求められるとされています。

 5ページ、委託者における措置の状況です。業種の特性に応じて家内労働者に対して指導等が行われていましたが、今後更に施策の充実が必要だという御認識の委託者は156にとどまっており、今後とも安全衛生確保策を常に向上させる意識が求められるとされています。

 次いで家内労働者側ですが、災害や事故やヒヤリハットがあった際に委託者側への報告・連絡・相談が不十分であり、したがって、多様な手法による報・連・相の体制整備、家内労働者における報告すると委託量の減少につながるという考え方の是正、怪我の程度にかかわらず報告・連絡する姿勢が、災害防止に当たって必要であろうとされています。

 最後に、今回のヒアリングを通じて、家内労働者の安全衛生に関して啓発されたとおっしゃった企業があったということで、引き続き好事例等を積極的に情報発信、啓発していくことが効果的ではないかとされています。

 次に資料4-2です。こちらは危険有害性が相対的に高い業種等における好事例の調査です。調査概要の2ページ目、2に調査対象とあります。先ほどと同じく、昨年度調査で危険有害性が高いとされた6業種を対象業種として、先ほどと似通っていますが、昨年度調査に回答してくださった委託者118に事前アンケートをお送りし、その中から災害防止の好事例がありそうな10の委託者と、追加で御推薦いただいた2の委託者、合計12委託者に対して好事例を探す調査をいたしました。その成果物が資料4-3です。

 資料4-33ページの目次を御覧ください。好事例を(1)から(16)まで、合計16件御紹介しています。今回は、委託者の上にいるサプライチェーン関係者にも調査をしましたので、委託者の川上の企業における好事例も(1)(3)で御紹介しています。

 好事例(1)については、最近CSR調達ということで、自社が法令遵守をするだけではなく、サプライチェーン全体で法令遵守をすることを求める企業が出てきていると伺っています。今回のヒアリングの中では、発注者のCSR調達方針を、発注者から委託している委託者、そこから委託されている家内労働者の全体に共有し、そのことが家内労働者の安全衛生の向上につながっている事例が見られたということで、御紹介しています。

 好事例の(2)(3)については、家内労働者や委託者の声を川上の企業が聞いて、家内労働者の災害防止のために部品の材料を変えるとか、製造方法を変えるとかそういった配慮をされている例があり、そういう事例を御紹介しております。

 好事例の(4)(16)については、基本的に委託者側において行われていた好事例を御紹介しているものです。

この好事例集の周知についてですが、今年度は合計約1,000部を、都道府県労働局を通じて委託者や家内労働者等の関係者に配布するとともに、関係団体にも少し配布して、ホームページでも御紹介する予定です。また、来年度の事業で、先ほど御紹介したように、新しくウェブサイトを立ち上げたり、セミナーを開催したりする予定にしていますので、そうした中で一層家内労働者、委託者に周知していきたいと考えています。

 最後に資料5の御説明をいたします。資料5は、家内労働関係の監督指導の実施結果です。そして一番右側に、平成271月~12月のデータを今回新たに載せています。監督指導の実施営業所数が170、昨年より大分多くなっています。この理由は、特定の労働局において、ある特定の最低工賃の履行確保に努めた結果だと聞いています。監督指導をたくさん行ったことに伴い、違反営業所数も104と多くなっていますが、違反率については昨年より少し抑えられて60.2%となっています。

 違反事項の内訳としては、家内労働手帳が交付されていないものが80件。6条違反、工賃の未払いが21件。14条違反、最低工賃を下回る支払いが行われていたものが38件。帳簿の備付けがなかったものが36件です。そして、26条の委託状況届の提出に関する違反件数が載っていないのですが、手集計で集計することができ、60件でした。26条については、システム上自動集計できるようになっておらず、手集計してもらったものです。

 1枚おめくりいただいて、昨年7月末日現在の、労災保険特別加入の状況です。加入団体数は51、加入されている家内労働者は367名です。保険料の負担については、委託者が全額負担されている方は31名、委託者が一部負担されているのが20名、自治体による一部負担がある方が117名、家内労働者が全額負担されているのが199名ということです。業種別に見ると、()のプレス、シャー、旋盤又はフライス盤等を使用して行う加工に従事されている方が56.9%で一番多くいます。次に多いのが()で、動力により駆動される機械を使用して行う作業に従事している方が21.6%入っています。以上です。

○小杉部会長 

 ありがとうございます。資料45の説明でした。最初に資料4に関して御質問、御意見があれば先にどうぞ。

○新田委員 

 資料4-3はカラー刷りのきれいなもので、私の聞き違えでなければ確か1,000部印刷をしたということですが、中を見るとすごく分かりやすくいろいろな事例も入っていますので、ホームページでは多分PDFの展開などもされるとは思うのですが、もう少し労働局に配布するなり、是非これは活用していただきたいと思いました。

○小杉部会長 

 ありがとうございます。どうぞ事務局。

○高橋課長補佐 

 ありがとうございます。予算の制約等もあるのですが、可能な限り印刷して配布するとともに、ホームページにも掲載いたします。来年度、現在のホームページをもう少しバージョンアップしたウェブサイトを開設する予定ですし、セミナー等も行いますので、そうした中で一層周知に努めてまいりたいと思います。

○小杉部会長 

 ホームページ上というのは、スマホからも見られるということですかね。

○高橋課長補佐 

 そうですね、見られると思います。

○小杉部会長 

 他にありますか。

○堀尾委員 

 4-1 の報告資料の中身を事前に読ませていただいた中で、今回御報告いただいたこの好事例集というのは非常にいい内容と感じています。例えば4-17ページの上の「まとめ」のところを読みますと、78ページでも、やはりサプライチェーンのトップに望まれることだとか、個人用の保護具の着用については、まだまだ徹底されていない現状がありますので、機械のメンテナンスとか防毒マスク、SDSについても作業環境等のチェックというのは非常に重要かなと感じています。こういう好事例集の中で、それぞれ共有していただきながら浸透を図っていただければなと感じておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 また、できましたら教育履歴とか、作業者の理解度というのを確認していく必要もあるのかなというところも感じておりますので、教育履歴とか指導内容というのを徹底して理解度を求めていくことも必要かなと感じておりますのでよろしくお願いします。

 もう1点すみませんが、4-2の資料も中身を読ませていただきました。2526ページのゴム製品の作業の環境の報告資料を読んだ中で、ケブラー手袋、切創防止用の手袋とか、またカッターの写真を付けていただいていますが、市販のものではなくて、例えば短い刃で作業の度合いに応じた保護具の見直しといったところも、少しお伝えいただけるといいのかなと感じましたので、私の意見になりますが、そういったところも好事例集の中に入れて展開していただければと思いますので、よろしくお願いします。

○小杉部会長 

 これからこの後セミナーなどもやるわけですね。是非意見をいかしていただければと思います。

○河野課長 

 少し補足させていただきます。資料4-14-2の中身を11つ御覧いただきますと、なかなか家内労働の現場における安全衛生対策の徹底の難しさといいますか、今、一例を御紹介いただきましたが、私どもはまだまだ周知徹底していかなければならないということを、改めて感じた次第です。細かなところを労働局、家内労働安全衛生指導員一体となりながら、指導してまいりたいと思います。ありがとうございます。

○小杉部会長 

 他によろしいですか。では、資料4の質疑はここまでとして、資料5に関して御意見、御質問をお伺いしたいと思います。いかがでしょう、他によろしいですか。

○佐藤委員 

 昨年この場で申し上げた資料5に関わる26条、届出の問題で、先程60件とお話いただいたのですが、どうしても3条の家内労働手帳の問題とか、27条の帳簿の備付け、そしてこの委託状況届というのは全体的に連動している話なのですね。そういった意味では、そこが一番ある意味違反率が高いということですから、これは雇用均等・児童家庭局の所管ではなく、労働基準局の所管ということになると思いますので、引き続き徹底をお願いしたいということと、今まで集計されていなかったので、少しバランスが悪くなるかもしれませんが、是非26条の問題についても表にきちんとしていただければと思いますので、よろしくお願いします。

○小杉部会長 

 事務局お願いします。

○河野課長 

 今御指摘いただきました違反が多い条項は、おっしゃるように家内労働対策の根幹の部分ですので、労働基準局にも今の御意見を伝えながら引き続き徹底していきたいと思います。なお、26条の集計に関しては、結局今回も手集計でやりましたが、何らか今後システムでの対応ができないかを含めて、労働基準局と調整していきたいと思いますし、来年度以降の資料についても検討していきたいと思います。

○小杉部会長 

 ありがとうございます。今回の資料45にかかわらず御意見はありますでしょうか。よろしいですか。それでは以上をもちまして、全ての議事は終了いたしました。本日の部会はここまでとさせていただきます。本日の議事録の署名については、鎌田委員、萩原委員、吉岡委員にお願いいたしますので、よろしくお願いいたします。では、これにて終わります。議事運営に御協力いただきまして、どうもありがとうございました。

 


(了)
<照会先>

厚生労働省雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課家内労働係

電話: 03-5253-1111(内線7879)

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