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2017年3月2日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

○日時

平成29年3月2日(木)14:00~


○場所

航空会館702+703会議室


○出席者

出席委員(17名)五十音順

赤 羽 悟 美、 石 川 欽 也、 今 井 輝 子、 大 賀 正 一、
大 森 哲 郎、 岡   淳一郎、○奥 田 晴 宏、 金 子 明 寛、
川 上 純 一、 神 田 敏 子、 柴 田 大 朗、 鈴 木 邦 彦、
田 島 優 子、 増 井   徹、◎松 井   陽、 森   保 道、
山 田 清 文

欠席委員(4名)

磯 部 光 章、 杉     薫、 武 田 正 之、 平 石 秀 幸、
(注)◎部会長 ○部会長代理

行政機関出席者

森    和 彦 (大臣官房審議官)
山 田 雅 信 (医薬品審査管理課長)
佐 藤 大 作 (安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
宇  津    忍 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
林    憲 一 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
猿 田 克 年 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○医薬品審査管理課長 定刻となりましたので、ただいまより、「薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会」を開催いたします。本日は雨の中、お忙しい中、御参集いただき誠にありがとうございます。本日の委員の出席状況は、磯部委員、杉委員、武田委員、平石委員より御欠席との連絡を頂いております。また、石川委員、大賀委員が少し遅れておられるようです。本日は、現在のところ、当部会委員数21名のうち15名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達していることを報告いたします。

 それでは松井部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。

○松井部会長 本日の審議に入ります。まず、事務局から配布資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告してください。

○事務局 資料の確認をいたします。本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。また、あらかじめ議事次第に記載されている資料1から資料10をお送りしております。また、当日配布資料として、資料1-3、インチュニブの添付文書に関する差し替え資料、資料2-3、ヒドロモルフォン塩酸塩品質に関する概括資料、資料11、希少疾病用医薬品試験研究中止届書、資料12、審議品目の薬事分科会における取扱い等の案、資料13、専門委員リスト、資料14、競合品目・競合企業リスト、参考資料として、各品目の有効成分の化学構造式を配布しております。このうち、資料2-3については事前送付資料に含まれるべきであったもの、委員の先生方への御提供が本部会の直前となったことを、この場をお借りしてお詫び申し上げます。また、資料11は追加議題である報告議題3に関するものです。

 続いて、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リスト(資料14)について説明いたします。1ページです。インチュニブ錠1mg、同錠3mgは、小児期における注意欠陥/多動性障害を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 2ページです。ナルラピド錠1mg、他2規格です。本品目は中等度から高度の疼痛を伴う各種がんにおける鎮痛を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 3ページです。ナルサス錠2mg、他3規格です。本品目は中等度から高度の疼痛を伴う各種がんにおける鎮痛を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 4ページです。シンポニー皮下注50mgシリンジ、同皮下注用100mgシリンジです。本品目は中等症から重症の潰瘍性大腸炎の改善及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 5ページです。ノベルジンカプセル25mg、同カプセル50mg、同錠25mg、同錠50mgです。本品目は低亜鉛血症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。

 6ページです。コムクロシャンプー0.05%です。本品目は頭部の尋常性乾癬を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 7ページです。トルバプタンです。本品目は抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)における低ナトリウム血症の改善を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する他社の薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。

 8ページです。バルプロ酸ナトリウムです。本品目は脊髄性筋萎縮症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。説明は以上です。

○松井部会長 ただ今の事務局からの説明に関して、何か御質疑はございますか。よろしいですか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆さんの御了解を得たものといたします。

 続いて、委員からの申出状況について報告してください。

○事務局 各委員からの申出状況については、次のとおりです。議題1インチュニブは退室委員なし、議決には参加しない委員は大森委員。議題2ナルラピド、ナルサスは退室委員なし、議決には参加しない委員は大森委員、森委員。議題3シンポニーは退室委員なし、議決には参加しない委員は森委員。議題4ノベルジンは退室委員、議決には参加しない委員は共になし。議題5コムクロシャンプーは退室委員、議決には参加しない委員は共になし。議題6トルバプタンは退室委員なし、議決には参加しない委員は大賀委員、大森委員。議題7バルプロ酸ナトリウムは、退室委員、議決には参加しない委員は共になし。以上です。

○松井部会長 ただ今の事務局からの申出状況に関する報告に、特段の御意見はございませんか。追加等ございませんか。よろしければ、皆さんに御確認いただいたものとして議題に入ります。

 本日は審議事項7議題、報告事項3議題、その他1議題です。それでは、早速、審議事項の議題1に移ります。機構から概要を説明してください。

○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料1-1、1-2及び1-3、医薬品インチュニブ錠1mgほかの製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。本剤は注意欠陥/多動性障害(以下、AD/HDと略す)の治療薬であり、201611月現在、米国、欧州等33か国で承認されております。本邦では、過去に本薬を有効成分とするエスタリック錠0.5mgが、他社により本態性高血圧症治療薬として販売されておりましたが、商業上の理由から2005年に販売が中止されております。

 今般、小児期におけるAD/HDに対する有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認申請が行われました。なお、本品目では、心血管系への影響に関連する添付文書の注意喚起内容について、申請者との間で調整に時間を要したため、当日配布資料の資料1-3として添付文書案の差替えを配布しております。本申請の専門委員としては、資料13に記載されている10名の委員を指名しております。

 臨床成績を中心に審査の内容を説明いたします。有効性について、引用箇所が多岐にわたり恐縮ですが、まず、審査報告書31ページの表16を御覧ください。小児AD/HD患者を対象とした国内臨床試験が実施され、主要評価項目であるm-ITTでのAD/HD Rating Scale IV合計スコアの最終評価時点でのベースラインからの変化量について、本剤0.04mg/kg/日群、0.08mg/kg/日群及び0.12mg/kg/日群とプラセボ群との間に、それぞれ統計学的有意差が認められました。

 次に、審査報告書38ページの表21を御覧ください。しかしながら、国内臨床試験では使用可能な製剤の制約等から、体重25kg未満の患者は本剤0.04mg/kg/日群に、体重75kg以上の患者は本剤0.12mg/kg/日群に、それぞれ割り付けないこととされていたため、群間の比較可能性は担保されていませんでした。

 そこで、一部の投与群に割り付けが行われなかった患者集団を除いた部分集団解析結果を確認したところ、審査報告書39ページの表23のとおり、本剤0.08mg/kg/日群及び0.12mg/kg/日群とプラセボ群との間に、それぞれ統計学的有意差が認められました。さらに、審査報告書37ページの表20を御覧ください。本剤の海外第III相試験の事後解析結果においても、本剤0.050.08mg/kg/日集団及び0.090.12mg/kg/日集団とプラセボ群との間に、それぞれ統計学的有意差が認められたことから、本剤0.08mg/kg/日及び0.12mg/kg/日の有効性は示唆されたと判断しております。

 次に、安全性ですが、審査報告書48ページの表31及び表32を御覧ください。本剤はアドレナリンα2A受容体作動薬であり、投与により血圧及び脈拍数の低下が認められております。また、審査報告書24ページの表11を御覧ください。本剤ではΔΔQTcF間隔の延長作用も認められております。本剤投与時には心血管系への広範な影響が示唆されたことから、審査報告書67ページの1.1.1項に記載のとおり、血圧及び脈拍数については、本剤の投与開始前及び用量変更の1~2週間後に加え、至適用量の決定後にも4週間に1回をめどに測定することが必要と判断いたしました。

 また、心電図についても、本剤の投与開始前に検査結果を確認した上で、心電図に異常が認められた患者、心血管系リスクを有する患者では、定期的に心電図検査を実施し、患者の状態を慎重に観察すること、また、これらの患者以外においても心血管系への影響が懸念された場合には、心電図検査を実施することが必要と判断いたしました。そのほかに本剤の主な有害事象として、審査報告書51ページの表34に中枢神経系に関する有害事象、審査報告書56ページの表40に体重増加について記載しており、これらの有害事象については添付文書で注意喚起することが適切と考えております。

 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間を8年、生物由来製品、特定生物由来製品には該当せず、製剤は劇薬に該当すると判断しております。なお、原体はエスタリック錠0.5mgの承認時に毒薬に指定されております。薬事分科会には報告を予定しております。

 説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○松井部会長 それでは、早速、委員の先生方から御質疑をお願いいたします。

○大森委員 新しい作用機序のAD/HDの3番目のお薬で、とても有意義だと思います。もともと高血圧のお薬ということで、その点、注意が必要という御説明がありました。そのことと若干関連があるのかもしれませんが、米国の添付文書を見ると用法・用量の所に、かむな砕くなというようなことがアンダーラインを引いて、結構、強調されているように思えるのです。

 欧州の添付文書も用法・用量の所に、かむな砕くなというようなことが書いてあるのです。日本の添付文書は、割とそこは後のほうの薬剤交付時にかまずに服用するよう指導することということで、扱いが大分違うように思いました。そこは何か背景や事情があるのでしょうか。

○松井部会長 機構、いかがですか。

○医薬品医療機器総合機構 本剤については徐放性製剤で、かみ砕いてしまうと有効成分が非常に早く放出されてしまうということがあります。そういう観点もあり、かんではいけない、割ってはいけないということを注意喚起しております。本邦では徐放性製剤に関する注意喚起として、まず、添付文書ですが、性状という部分。

○松井部会長 添付文書の何ページですか。

○医薬品医療機器総合機構 1ページです。性状という表を作成しており、性状・剤形と記載している部分に徐放錠という形で明記しております。加えて、今回、箱の見本もお配りしていると思いますが、グアンファシン塩酸塩の徐放錠という形で記載していると思います。その辺りの記載を見ていただくことで、まず、薬剤師や医療関係者の方には、徐放錠であるので、かんだり割ってはいけないということを、ある程度御理解いただけるようになっています。

 添付文書の注意喚起箇所については、基本的に既存の徐放性製剤との横並びもあり、適用上の注意の、この部分になってしまうのですが、ほかの剤とも同じ位置に注意喚起しているという状況です。

○大森委員 その点、よく理解いたしました。

○松井部会長 よく資料で説明をするという。

○大森委員 もう一つ、欧米の添付文書には、高脂肪食と一緒に服用すると吸収が促進されてしまうようなことが書いてあり、これも日本は後ろのほうに少し客観的な事実として書いてあるだけなのです。この辺も、いろいろ背景があるのでしょうか。

○松井部会長 いかがですか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘の点についても、本邦では空腹時と食後の投与タイミングについては用法・用量に入れております。食事の具体的な内容、高脂肪食や低脂肪食については基本的に用法・用量に含めておりません。後ろのほうと御指摘いただきましたが薬物動態のパートの所に記載しております。そこで薬剤師等に見ていただいて、必要に応じて患者様に注意喚起していただくという形で対応しております。

○大森委員 分かりました。

○松井部会長 他にございますか。この薬は循環器系というか、血圧、QTの時間の延長が問題になっています。この点について、今日は循環器内科の御専門のお二人の先生が御欠席なので、いかがでしょうか。準備の段階で循環器内科、特に小児に関してアドバイスを頂けたでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 本品目については、今、部会長から御指摘いただいたとおり、血圧の低下と脈拍数の低下、QT間隔の延長が認められているということで、心血管系に関して、かなり大きな影響がある薬剤ということになっております。今回、機構でも専門協議といって御専門の先生方から御意見をお伺いする機会があるのですが、その中で、小児循環器の先生にも入っていただいて、この剤のリスクと添付文書での注意喚起内容について、御確認と御指導を頂いているところです。

 本日、添付文書案を1-3という形でお配りしております。2ページの左側のカラムの上から3分の1ぐらいの所から重要な基本的注意の記載があります。()()の部分が血圧関連の注意喚起と心電図測定に関する注意喚起となっております。添付文書については、このように注意喚起するということ、患者様本人と御家族の方向けに情報提供の資材もかなり作成しており、本日、クリアファイルに入れてお手元に配布しております。

 その中でも、主治医の先生に御相談くださいということで、血圧低下や徐脈が認められた場合の初期症状、血圧や脈拍数の低下が起きるという事実について、御家族の方にもしっかり知っていただいて、患者様をよく見ていただけるようにということで対応しております。

○松井部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。

○今井委員 製剤的なことです。多分、□□□□□□□□薬物なのだと思うのですが、含量の均一性の幅が余りよくないということで、1mgという割と少ない用量で、しかも徐放性ということで、この幅は問題ないだろうと書かれていたのですが、もう少し狭める努力はできるのでしょうか。

○松井部会長 いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 ご指摘の点は審査報告書の7ページの記載になります。正に御指摘いただいたとおり、□□については、かなり□□□□□もので、□□□□への□□等も認められております。こういった□□特性のものは、通常、□□□□□□するわけではなく、一度□□を行った上で□□等を予防する形で製造工程を設計するのですが、今回については、もともと海外で開発が行われた製剤で、国内で一般的に行われる□□□□□での検討は現状行われておりません。

 今回、日本で審査するに当たり、非常にばらつきの大きい状況になっておりますので、その辺りも加味して、今後、□□□□□への変更等についても引き続き検討していくようにということで、申請者には指導しております。

○松井部会長 よろしいですか。

○今井委員 はい。

○松井部会長 他に何かございますか。議決に入る前に、大森委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。異議がないようですので承認を可として薬事分科会に報告いたします。

 議題2に移ります。機構から御説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料2-1、2-2及び当日配布資料の2-3です。医薬品ナルラピド錠1mg他、及びナルサス錠2mg他の製造販売承認の可否等について説明いたします。ナルラピド錠及びナルサス錠は、それぞれヒドロモルフォン塩酸塩を有効成分とする即放錠及び徐放錠です。今般、中等度から高度の疼痛を伴う各種がんにおける鎮痛に関する、ナルラピド錠及びナルサス錠の有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認申請が行われました。

 なお、2016年3月時点で、ヒドロモルフォン塩酸塩を有効成分とする製剤は米国、英国などの45の国又は地域で承認されております。本申請の専門委員として、資料13に記載されている8名の委員を指名しました。以下、審査内容について臨床試験成績を中心に説明いたします。説明に際して、ナルラピド錠を本薬即放錠、ナルサス錠を本薬徐放錠、また、両剤を合わせて本剤と呼びます。

 審査報告書については、資料2-1、2-2の両方に付いておりますが、同じものですのでどちらかを御覧ください。本薬即放錠の有効性については、審査報告書別紙33ページの表26を御覧ください。登録時点でオピオイド鎮痛剤を使用していなかった患者であるオピオイド新規導入例を対象とした本薬即放錠の第III相試験(以下、A-301試験という)において、主要評価項目とされた視覚的アナログ尺度値(以下、VAS値という)の治験薬投与前から投与終了時又は中止時までの変化量について、本薬即放錠群とオキシコドン散群との群間差の95%信頼区間の上限値は3.1mmであり、あらかじめ設定された非劣性マージンである10mmを下回りました。

 また、本薬徐放錠の有効性については、審査報告書別紙37ページの表30を御覧ください。オピオイド新規導入例を対象とした本薬徐放錠の第III相試験(以下、B-303試験という)において、主要評価項目とされたVAS値の治験薬投与前から投与終了時又は中止時までの変化量について、本薬徐放錠群とオキシコドン徐放錠群との群間差の95%信頼区間の上限値は5.0mmであり、あらかじめ設定された非劣性マージンである10mmを下回りました。以上の試験成績等に基づき、中等度から高度の疼痛を伴う各種がんにおける鎮痛に関する本剤の有効性は示されたと判断しました。

 次に、安全性について説明いたします。A-301試験及びB-303試験において、本剤及び対照薬として設定されたオキシコドンを投与したときの有害事象の発現状況について、審査報告書別紙42ページの表35を御覧ください。B-303試験において、オキシコドン徐放錠群と比較して本薬徐放錠群で悪心及び嘔吐の発現割合が高い傾向が認められたことを除いて、本剤群と対照群との間に有害事象の発現状況の明らかな差異は認められませんでした。

 また、長期投与時における安全性について、42ページの表36を御覧ください。A-302試験及びB-304試験は、オピオイド新規導入例、登録時点で他のオピオイド鎮痛剤を使用していた患者であるオピオイド切替え例、並びにA-301試験及びB-303試験からの継続例を対象とした第III相試験です。これらの2試験における有害事象の発現状況について、オピオイド新規導入例、オピオイド切替え例及び継続例の間で大きな差異は認められず、認められた有害事象の多くは、オピオイド鎮痛剤に特徴的な事象又は原疾患に関連すると考えられる事象でした。

 したがって、本剤の使用に際してはオピオイド鎮痛剤で特に注意を要する有害事象である悪心及び嘔吐、意識障害、呼吸抑制、イレウス並びに乱用及び依存性に対して、他のオピオイド鎮痛剤と同様に注意を要すると考えますが、有害事象の観察、管理等の適切な対応がなされるのであれば、本剤の安全性は許容可能であると判断しました。

 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本剤は新有効成分含有医薬品に該当することから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体は毒薬に該当し、製剤は劇薬に該当すると判断しております。薬事分科会には報告を予定しております。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○松井部会長 ありがとうございます。審議に入る前に、この薬剤は麻薬ですね。

○医薬品医療機器総合機構 今、部会長がおっしゃいましたとおり、本剤は麻薬に指定されます。したがって、麻薬及び向精神薬取締法の下で厳重に管理される製剤となります。

○松井部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から御質疑をお願いいたします。いかがでしょうか。

○今井委員 非常に細かいことなのですが、動態のデータの所、表18で少し不思議だったのですが。

○松井部会長 何ページですか。

○今井委員 22ページです。単回投与と反復投与で代謝物が異なるのがとても不思議で、1回投与のときと反復投与したときで動態が変わっていくのかどうか、その辺を知りたいと思いました。

○松井部会長 表18ですね、いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 今、御指摘がありました表18の代謝物の検討についてですが、ここに示してある結果の検討方法を表の下に小さい字で記載しています。検討方法としては、海外で実施された単回投与試験及び反復投与試験で得られた試料を使用しており、この検討においては厳密な定量等を目的としていたわけではなくて、認められる主な代謝物のプロファイルの概要をつかむという目的で検討されています

ので、単回投与と反復投与で大きく異なるものではないと判断しています。

○松井部会長 よろしいですか。他にはいかがでしょうか。特に御発言はございませんか。

○奥田部会長代理 即放錠と徐放錠は、具体的にどのように使い分けていくものなのでしょうか。

○松井部会長 いかがですか。

○医薬品医療機器総合機構 今、御指摘いただいた使い分けなどについては、審査報告書別紙48ページから記載しています。48ページの下から6行目、がん性疼痛の治療においては定時投与には徐放性製剤を使用し、用量調節や突出痛への対処には同一成分の即放性製剤を使用することが適しているとされております。

49ページを御覧ください。こちらは使い分けについてという項を立てています。特に御覧いただきたいのが、半分より下辺りの箇条書きの2点です。この項では、他のオピオイド鎮痛剤からの切替えについて議論しています。疼痛がコントロールされているときに切り替える場合にはどちらでも可能と考えており、一方、疼痛コントロールが不十分であるときの切替えについては、箇条書きの2点目ですが、現在、オピオイド鎮痛剤を使用する際に一般的に使用されている薬物療法に関するガイドラインで、不安定な場合には即放性製剤の使用が推奨されているという状況です。

 今回のナルラピド錠及びナルサス錠についても、既に承認されている他のオピオイド鎮痛剤の即放性製剤、徐放性製剤と同様に、医師などの判断によって使い分けられると考えています。

○松井部会長 よろしいですか。他に何かございますか。特に、これ以上議論の必要がないということであれば、議決に入ろうと思いますが、よろしいですか。なお、大森委員、森委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。

 本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。全員の賛成が得られたと思います。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。それでは、議題3に移ります。機構から説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料3、医薬品シンポニー皮下注100mgシリンジの製造販売承認並びに同皮下注50mgシリンジの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。

 潰瘍性大腸炎の治療においては、軽症から中等症の活動期の患者にはメサラジン製剤やステロイドなどが使用され、それらの既存治療で効果不十分な中等症から重症の活動期の患者には、抗TNF製剤の使用が考慮されます。シンポニー皮下注は、ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体です。

 なお、本邦では潰瘍性大腸炎に対する適応を有する抗TNF製剤として、インフリキシマブ及びアダリムマブが承認されています。今般、既存治療で効果不十分な中等症から重症の潰瘍性大腸炎患者を対象とした臨床試験成績から、当該患者に対する有効性及び安全性が確認されたとして、承認申請がなされました。

 なお、シンポニー皮下注50mgシリンジは、本邦において「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」の効能・効果で承認されています。また、海外では、シンポニー皮下注50mg及び100mgシリンジは、米国で2013年5月に、欧州で2013年9月に、既存治療で効果不十分な中等症から重症の潰瘍性大腸炎の適応で承認され、201612月現在、70か国において当該適応で承認されています。本品目の専門協議では、本日の配布資料13に示す専門委員を指名しております。

 有効性について、まず活動期における有効性について説明いたします。審査報告書27ページの表37を御覧ください。既存治療で効果不十分な患者を対象とした国際共同試験であるT17試験で、主要評価項目である6週時点における改善率のプラセボ群に対する本薬群の優越性が検証されました。また、日本人における有効性は全集団と比べて、問題となる傾向は認められませんでした。以上より、活動期における本薬の有効性は示されたと考えました。

 次に維持期における有効性について説明いたします。審査報告書15ページの表17を御覧ください。活動期に本薬の投与により改善が認められた患者を対象とした国際共同試験であるT18試験で、主要評価項目である54週まで改善が維持された被験者の割合のプラセボ群に対する本薬群の優越性が検証されました。また、審査報告書29ページの本文の上から5行目を御覧ください。「日本人集団については」で始まる段落です。国際共同T18試験では日本人患者の組入れが少なかったため、日本人における有効性を検討するために、国内3001試験が実施されました。国内3001試験におけるプラセボ群と本薬100mg群の群間差は、事前に定めた有効性の判断基準を達成しました。また、国内3001試験の有効性の結果は、国際共同T18試験の全集団の結果と比べて矛盾する傾向は認められませんでした。以上より、維持期における有効性は示されたと考えました。

 安全性についてです。活動期における安全性について、審査報告書31ページの表42から表44を御覧ください。プラセボ群に比べて本薬群で有害事象が多い傾向は認められませんでした。

 次に、維持期における安全性について、審査報告書32ページの表45を御覧ください。プラセボ群に比べて本薬群で有害事象が高い傾向が認められましたが、プラセボ群より本薬群で発現割合が高い傾向があった事象は、鼻咽頭炎、注射部位紅斑などでした。感染症については、プラセボ群に比べて本薬群で発現割合が高い傾向が認められ、結核は国際共同試験の外国人患者において死亡例も認められました。したがって、感染症、特に結核については、既承認の効能・効果である「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」における添付文書の注意喚起に準じ、潰瘍性大腸炎についても十分に注意する必要があると考えました。

 以上の審査の結果、「中等症から重症の潰瘍性大腸炎の改善及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」を効能・効果とした有効性は示され、安全性は許容可能と考えられたことから、承認して差し支えないと判断し、本部会で審議されることが適当と判断しました。

 本申請は新効能・新用量医薬品としての申請であることから、再審査期間は4年とすることが適切と判断しました。また、シンポニー皮下注100mgシリンジは、生物由来製品に該当し、製剤は劇薬に該当すると判断しました。薬事分科会では報告を予定しています。御審議、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○松井部会長 審議に入ります。御質疑をお願いいたします。シンポニーについては、サンプルが委員の先生方のお二人に一つ配られていると思います。

○神田委員 これは自己注射ですか、お医者さんにしてもらうのですか。もし自己注射であるなら、その辺の注意はいろいろしなければならないと思います。

 もう一点です。欧米の添付文書ですと、体重80kgをラインとして、それ以上の場合、4週に1回の場合は100mgだけれども、それ以下の体重の方は50mgとなっているのですが、そういったことを考慮しなくてもいいのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 1点目の自己注射に関しては、現時点では医師に注射してもらうことになっております。

 2点目の欧州添付文書では80kgを境に、体重の低い患者には50mgを用量として設定されている件です。欧州では国際共同治験であるT18試験の成績を事後的に解析した結果に基づき、体重を80kgで分けたときに、80kg未満の患者では有効性が50mgでも十分と判断し、このような判断がなされたと申請者は説明しています。一方、私どもの審査の過程においては、T18試験では体重を問わずに50mg群又は100mg群の用量を設定して試験が実施され、その結果、100mg群の方が色々な副次評価項目を含め、少しでも100mg群の方で有効性が高い傾向が認められたということがございますので、体重を問わずに100mgの用量を設定して差し支えないのではないかと考えました。また、米国添付文書においても、同じT18試験を評価して、体重を問わず100mgが用量として設定されていることもありますので、本邦の添付文書において、体重区分別の用量設定は特に必要ないと考えております。

○松井部会長 余談になりますが、厳密に皮下注射をするというのは難しいです。

○赤羽委員 今の御質問に関連してですが、副作用に関しては体重の軽い方のほうで、副作用の発現割合が高いとか、そういったことはいかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 体重別の副作用の発現状況について、承認審査において確認が必要な点と考え、申請者に照会し確認しましたところ、体重の軽い患者に副作用が多いという傾向は特に認められませんでした。

○川上委員 添付文書2ページの左側カラムの上の方に「用法・用量に関連する使用上の注意」がありまして、「14週目の投与までに治療反応が得られない場合、本剤の継続の可否も含め、治療法を再考すること」とあります。この根拠はどこにあるのですか。

○医薬品医療機器総合機構 審査報告書の41ページに、その辺りのことを記載しております。国内の試験では投与開始から14週までに有効性が認められない患者については、その時点で治験薬の投与を中止するというようなことをやっておりましたので、この国内の試験に準じた形で設定しました。

○川上委員 そうすると、例えば類薬のヒュミラ、アダリムマブなどですと、同じようなところに、通常投与開始から8週以内に効果が得られると、8週時点で得られない場合は投与を中止することと、かなり明確に書いてあるのですが、この薬剤に関しては中止することではなく、再考することというように両薬剤で書き分けた理由は何なのですか。

○医薬品医療機器総合機構 意図としては同じような感じなのですが、その後、絶対に中止しなければいけないかと言うと、本剤については今般提出された臨床試験成績等を踏まえ、明確に中止と書かなくてもいいのではないかと判断しまして、治療法を再考する、続けるかどうかは医師に判断していただくことが適切と考えました。

○松井部会長 どうでしょうか、それで理由になりますでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 一点、補足します。ヒュミラ(アダリムマブ)の添付文書における注意喚起については、治療反応は通常投与開始から8週以内に得られることが知られていること、投与間隔が短いこと等から、8週時点で薬剤の臨床効果を比較的判定することが通常は可能であり、8週時点で明らかに改善効果が得られていない場合は、投与を中止するのが適切ということで、少し強めに書いてあります。一方、本薬の添付文書における注意喚起については、本薬の投与間隔が比較的長いこと、本薬の臨床試験成績等を踏まえ(審査報告書41ページ参照)、治療継続の判断の時期が多少ずれてもやむを得ないのではないかと考え、今回提示した記載となっています。基本的には、ヒュミラ(アダリムマブ)も本薬も効果がないと判断できた場合は、継続しても効果が期待できないのではないかということで、中止いただくのが本来の使い方ではないかと考えています。

○松井部会長 他にございませんか。

○岡委員 審査報告書37ページですが、臨床試験で脱髄疾患が起きたという報告があるのですが、中枢なのでしょうか、それとも末梢症状なのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 中枢性も末梢性も両方とも報告がされています。抗TNF製剤では一般的に脱髄疾患が報告されています。

○松井部会長 他にはございませんか。よろしいですか。ないようでしたら議決に入ろうと思いますが、よろしいですか。

 なお、森委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。

 本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御反対がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告します。

 議題4に移ります。機構から御説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料4、医薬品ノベルジンカプセル25mg他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。低亜鉛血症は血清亜鉛濃度が低下し、生体内の亜鉛が不足した状態で、亜鉛の欠乏により食欲低下、発育障害、皮膚症状、脱毛などの様々な症状があることが報告されています。血清亜鉛濃度が低く亜鉛不足や欠乏が疑われる場合、あるいは明らかな亜鉛欠乏の症状が見られる場合などには、亜鉛の補充が必要とされております。しかしながら、本邦では、これらの症状に対する治療薬として承認されている亜鉛製剤はありません。

 本剤は、有効成分として酢酸亜鉛水和物を含有し、低亜鉛血症患者を対象とした国内第III相臨床試験において、有効性及び安全性が確認されたとして、今般、製造販売承認事項の一部変更承認申請がなされました。本品目の専門協議では、本日の配布資料13の専門委員を指名しております。以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。

 有効性に関しては、審査報告書4ページの表2を御覧ください。プラセボを対象とした二重盲検試験において、主要評価項目である血清亜鉛濃度の投与開始時から投与8週後又は中止時の変化量は表2のとおりであり、本剤群とプラセボ群の間に統計的な有意差が認められたことから、本剤の有効性は示されたものと判断いたしました。

 次に安全性に関しては、審査報告書8ページの表7、表8及び表9を御覧ください。二重盲検試験においてプラセボ群と比べ本剤群に特段の問題となる差異は認められなかったこと、また用量調節試験において投与期間又は用量と有害事象の発現状況に臨床上問題となる傾向は認められなかったことから、本剤の安全性は許容可能と判断いたしました。

ただし、臨床試験において、血清銅の減少が認められており、ほかの亜鉛含有製剤では銅の欠乏症に伴う貧血や汎血球減少等の副作用が報告されていることから、銅欠乏症に伴う貧血や汎血球減少について、添付文書案「4.副作用」の項に記載し、製造販売後調査において情報収集する必要があると考えました。添付文書の「副作用」の項の「低亜鉛血症」の「()重大な副作用」で銅欠乏症の注意喚起をしています。

 以上の審査の結果、低亜鉛血症の効能・効果に対する有効性は示され、安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で、本剤を承認して差し支えないと判断し、本部会で審議されることが適当と判断いたしました。

 なお、本品目は希少疾病用医薬品として承認された新有効成分含有医薬品に対する希少疾病用医薬品に指定されていない効能・効果等の追加に係るものであることから、追加される効能・効果等に対する再審査期間は5年10か月とすることが適当と判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しています。機構からの説明は以上です。御審議どうぞよろしくお願い申し上げます。

○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いいたします。

○金子委員 審査報告書6ページです。低亜鉛血症と言いますと、今まで治療薬の製剤がなかったということで、開発意義はあると思うのですが、多く使われるのが皮膚障害、味覚障害だと思います。

 6ページを拝見すると、今回は味覚障害ですと症例数が少なくて結論は至らなかったということです。CTDモジュール2の臨床に関する概括評価においても同様のことで、2.5の一番下の所で、8週間で血清の亜鉛濃度は得られたけれども、症状は改善しなかったという解釈でよろしいのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 データの解釈としては、結果として症状は治らなかったということではありません。最初からどの症状を目的にこの薬を投与したかが分かれば、その症状に対して改善したかの評価ができたのですが、症例数が少なく、かつ臨床試験の副次評価項目の解析として、本薬の投与目的の症例別ではなく、一般的に知られている低亜鉛血症に関する項目を各症状がある患者、ない患者でまとめて解析してしまったために、このように不明瞭な結果になってしまったと考えております。

 金子委員からコメントいただきましたように、製造販売後に確認する必要があると考えています。どのような症状がある患者に本薬を投与したかについても情報収集を行い、その症状が本薬投与開始後に改善するか、血中亜鉛濃度等も含め、検討可能な製造販売調査を予定しています。

○金子委員 もう一つ教えていただきたいことがあります。添付文書の2ページ目の相互作用によってキレート結合を起こすということで、テトラサイクリンだとかキノロンだとか、経口製剤が書いてありますが、セフジニルは入れなくても大丈夫なのでしょうか。セフジニルは一般的には、鉄と結合すると10分の1ぐらいの濃度になってしまうのですが。

○医薬品医療機器総合機構 金子委員から御指摘のあったセフジニルについて、本薬とどの程度相互作用があるか十分な確認ができていないため、現時点ではこのような記載にしました。

 金子委員からご指摘いただきましたように、今後、製造販売後調査の中で相互作用が確認された場合は、速やかに添付文書を改訂することを考えています。

○松井部会長 今の金子委員の御発言は、かなり周知のことと受け取ってよろしいのでしょうか。

○金子委員 相互作用ですので、セフジニルのほうが下がるのではないかと思いましたのでお聞きしました。

○松井部会長 そうであるとしたら、早急にその点を明らかにして、記載するものは記載してください。

○医薬品医療機器総合機構 内容を確認し、申請者側に情報が集積されているかも確認した上で、添付文書への記載を検討いたします。

○松井部会長 他にいかがでしょうか。

○森委員 臨床試験が行われた際に、亜鉛を含んでいるサプリメント若しくは亜鉛を含んでいる薬品で、併用しないようにされていた薬品等はありますか。それに関して、添付文書での注意喚起とする予定はありますか。

○医薬品医療機器総合機構 亜鉛を含むサプリメントに関しては、臨床試験では併用されておりません。本剤による血清亜鉛濃度の上昇を見るために、亜鉛を含むサプリメントを一旦止めていただいた状態で臨床試験を行っています。

 また、添付文書案「効能・効果に関連する使用上の注意」に、「食事等による亜鉛摂取で十分な効果が期待できない患者に投与すること」と注意喚起しております。この「食事等」というのは、食事若しくは栄養機能食品であるとかサプリメント、通常入手できるもので対応可能な患者ではない場合に、このような高含量の亜鉛製剤が必要になると考えます。通常は両方飲まれるというよりは、食事等で対応できない患者に本剤が使われることになるものと考えております。

○森委員 具体的な薬品名ですが、プロマックはどう扱われているのでしょうか。臨床的には、今まで亜鉛の足りない方は、胃の悪い方も多いのでプロマックを使っていたのですが、その点は臨床試験ですとか、今回のこの添付文書に何か反映されている可能性はありますか。

○医薬品医療機器総合機構 プロマック錠(一般名ポラプレジンク)ですが、現時点での承認効能は胃潰瘍のみになっており、適応外使用として、森委員からコメントいただきましたように亜鉛欠乏のときに使われることがあると理解しています。

ポラプレジンクは、低亜鉛血症に対しての臨床試験でのエビデンスは十分ではなく、どうしても亜鉛が含有されている製剤ということで、ポラプレジンクを補助的に使わざるを得ないという状況であったと理解しています。

 一方、今回のノベルジンの場合は低亜鉛血症の患者を対象とした臨床試験を実施しており、適切に用量設定ができたところも臨床試験で確認されていることから、基本的には今回承認申請されたノベルジンのほうが有効性・安全性の情報が多いという点で、有益な薬剤ではないかと考えています。

○森委員 それには全く異論はありません。つまり、今回審議されているノベルジンのカプセルを低亜鉛血症に補充されている方が、承認されている疾患への上乗せでプロマックを服用されることが臨床上はあり得ると思います。その場合に、低亜鉛血症の治療をされながらプラスでプロマックを服用されると、亜鉛含有量が多いので、それによる影響等については、添付文書上で何らかの注意喚起をなさる可能性があるかどうかということを確認したいと思っています。

○医薬品医療機器総合機構 低亜鉛血症患者に対し、同じ亜鉛を含有するプロマックとノベルジンを必ずしも服薬しなくてもいいのではないかと考えているところです。

○審議官 違います。胃が悪くなったときに使ってしまうことがあり得るということを言っているのです。

○医薬品医療機器総合機構 森委員の御指摘の点、理解しました。持ち帰り検討いたします。

○医薬品医療機器総合機構 補足しますと、添付文書案の用法・用量に関連する使用上の注意「低亜鉛血症の場合」の記載のように、今回は血清亜鉛濃度の測定が重要と考えており、もしポラプレジンクとノベルジンが併用されたとしても、血清亜鉛濃度を測ることで、過剰量が入っているかは何らかの把握ができるのではないかと考えています。

○松井部会長 森先生の第1の点について、議論がかみ合っていないような気がしたのですが。

○森委員 プロマックが亜鉛を高濃度を含んでいることは機構も御存じだと思います。それを先生方も共有されていると思います。プロマックに含まれている亜鉛量はかなり多くて、通常、低亜鉛血症の治療に必要とされるほどの亜鉛を、恐らく含んでいると臨床上認識されていると思います。

 ただし、低亜鉛血症の適応症はありませんので、臨床上亜鉛の補充をするために使われていることはないという理解でよろしいと思います。

 今回、ノベルジンカプセルが増えることは臨床上は歓迎されているのですが、ノベルジンで低亜鉛血症の治療をされている方々は、恐らく亜鉛の血中濃度はだんだん上がってくるので、血液中のモニタリングをしていけば、低亜鉛血症が治っていることが確認できます。ただ、これは服用している途中でも亜鉛の濃度をモニタリングするように義務付けられていますか。

○医薬品医療機器総合機構 亜鉛濃度の測定というのは、先生が御承知のように様々な要因が含まれますので、定期的にいつのタイミングでやりなさいという形の記載はありませんが、注意を払って測定していただくというスタンスでおります。

○森委員 その上でお伝えしたいのは、プロマックを服用されている方で亜鉛の吸収に特に支障がない方でしたら、血液中の亜鉛濃度は十分に上がってしまうので、ノベルジンを飲むか飲まないかのときに血中濃度を測れば、亜鉛濃度が高いのでノベルジンを使わないで済むということは十分にあり得ると思うのですが、ノベルジンで治療されている方が何らかの理由で偶然プロマックを服用されたときに、亜鉛のexcessが起こる可能性があるというところは、今、全く注意喚起されていないというところの懸念を申し上げています。

○医薬品医療機器総合機構 森委員の御指摘の点、理解しました。

○松井部会長 それについてどうしますか。

○医薬品医療機器総合機構 添付文書の相互作用欄に併用注意が必要な薬剤を記載する箇所がありますので、添付文書への記載について、持ち帰り検討いたします。

○松井部会長 他にはございますか。

○石川委員 確認なのですが、銅の低下についてですが、例えばウィルソン病の方はもともと下がっていますので、これを投与するともっと下がるという懸念があります。それは審査報告書14ページの表12の「重要な不足情報」という所で、これを検討することで、例えば添付文書等に追記されるというお考えなのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 銅の不足に関しては、添付文書案「重要な基本的注意」項で「低亜鉛血症の場合」において「()本剤投与により血清銅濃度が低下する可能性があるため、血清銅濃度を定期的に確認することが望ましい。」と注意喚起しています。

○石川委員 そうなのですが、ウィルソン病のときは下がっているので、よけいに下がりますよね。

○医薬品医療機器総合機構 ウィルソン病に関しても、銅濃度の測定は定期的に行なわれるので、そちらに関しても定期的にモニタリングをしながら本剤は使われていると思っております。

○石川委員 その臨床的な影響等の評価などは、よろしいのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 一つ確認させていただきたいのですが、ウィルソン病のほかの治療を行っていて、銅のコントロールができている状況、あるいは低い状況の場合という御指摘でよろしいでしょうか。

○石川委員 私の理解としては、これを投与することで亜鉛欠乏の方にしろ銅が下がるわけですね。それで、ウィルソン病に限ってなのですが、この薬を使ったときに、もともと銅の濃度がコントロールされていても、このお薬を使うと銅が下がってくると。

○医薬品医療機器総合機構 ウィルソン病で銅濃度が下がっている状況でこの本剤を追加することでということの御指摘ですか。

○石川委員 はい。それによる臨床徴候に対する影響など、これがもちろん今の添付文書には測定するということしか書かれていないわけですが、審査報告書の14ページの所に「重要な不足情報」と書かれているので、そこも含めて御検討されて、例えば将来的に添付文書に追記されるとか、そういうお考えなのかということです。

○医薬品医療機器総合機構 委員御指摘のとおりと考えます。念のために申し上げれば、ウィルソン病に関する本剤の市販後の成績は、既にある程度集積されていまして、そちら側のデータの上では、御指摘いただいたように銅の欠乏という報告はあるのですが、頻度及び重篤度の観点から、現時点で特に臨床上大きな問題となるようなデータは報告されていません。しかしながら、今後も引き続きデータの収集を行う予定となっています。

○石川委員 長期投与の影響等も懸念しますので、そういったことも御検討いただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構 承知しました。

○松井部会長 他にはよろしいでしょうか。それでは議決に入ろうと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。

 次に議題5に移ります。機構から説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 それでは議題5、資料5医薬品コムクロシャンプー0.05%の製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。尋常性乾癬では患者の7割以上が頭部に皮疹を有すると報告されており、治療にはステロイド外用剤や活性型ビタミンD3外用剤が使用されています。本剤は、ストロンゲストクラスのステロイドであるクロベタゾールプロピオン酸エステルを有効成分とするシャンプー様外用液剤であり、コンプライアンスの向上等が期待され、開発に至りました。

 なお、201611月現在、本剤は欧米を含め海外62か国で承認されております。本品目の専門協議では、本日の配布資料13に示します専門委員を指名しております。以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。

 有効性に関しては、報告書11ページ、表8を御覧ください。国内第III相試験の主要評価項目である「4週後のPSSIスコアのベースラインからの減少率が75%以上の患者割合」について、本剤群のプラセボ群に対する優越性が検証されました。以上より、機構は本剤の有効性は示されたと判断しました。

 安全性に関しては、同じ11ページ、下から2段落目を御覧ください。国内第III相試験における有害事象の発現状況を示しております。プラセボ群と比較して、本剤群で全身及び局所の有害事象の発現状況に懸念される差異は認められなかったことから、機構は、本剤の安全性は許容可能と判断しました。ただし、本剤はシャンプー様外用液剤であることから、眼及び眼瞼へ付着しないように注意すること、付着した場合はすぐに水で洗い流すことを添付文書で注意喚起し、患者資材による情報提供も必要と考えました。

 以上、機構での審査の結果、頭部の尋常性乾癬患者に対する本剤の有効性は示され、安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で、本剤を承認して差し支えないと判断し、本部会で審議されることが適当と判断しました。なお、本品目は新剤形医薬品であることから、本申請に係る再審査期間は4年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、製剤は劇薬に該当すると判断しました。薬事分科会では報告を予定しております。機構からの説明は以上になります。御審議どうぞよろしく申し上げます。

○松井部会長 ありがとうございます。これまでにシャンプーというのはありましたか、私には記憶にないように思いますが。ありますか、そうですか。

○医薬品医療機器総合機構 頭ジラミの治療に用いるOTC医薬品でスミスリンLシャンプータイプというものが既にございます。

○松井部会長 そうですか、ありがとうございます。それでは、委員の先生方から御質疑をお願いいたします。

○川上委員 当日配布されている、この製品のラベルを見ますと、一般のシャンプー類と一緒に保管しないとか、開封後4週以上経過したものは使用しないという情報があるのですが、製品にそういう注意が書かれていることが添付文書には書かれてはいないのですけれど、それはよろしいのでしょうか。

○松井部会長 いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 添付文書に記載はありませんが、患者に配られる資材にはその旨記載し情報提供することを予定しております。

○松井部会長 よろしいですか。反論があればどうぞ。

○川上委員 例えば、開封して4週たったら使わないようにという注意を患者に与えるのであれば、添付文書にも、そういった注意を与えていることを書いておかないと、医療関係者は患者さんにどういった指導をするかということが、情報としては入手しづらいかと思います。その製品資材のようなリーフレット類を見にいかないと、そういった注意が書かれているという情報を得られないこと自体が余り良くないと思いましたので、指摘をしました。

○松井部会長 シャンプーの本体に書いたほうがいいということでしょうか。

○川上委員 シャンプーの本体には書いてあるのですが、添付文書の中に書かれていないので、情報として一致していないのではないかと思ったので発言した次第です。

○松井部会長 分かりました。

○医薬品医療機器総合機構 添付文書で情報提供する場合には使用期間の辺りや適用上の注意等に記載することが考えられますが、もし何かお考えがあればご教示いただけますでしょうか。

○川上委員 それは開封していないときの使用期限なので、製品本体に「開封して4週以内」という注意を与えているのであれば、そういう注意を与えている旨の情報が添付文書にないと、医療関係者に伝わらないということを申し上げた次第です。

○医薬品審査管理課長 御指摘のとおりと思いますので、添付文書の適用上の注意などに適切にお伝えするように検討したいと思います。よろしくお願いいたします。

○松井部会長 どうぞ、委員の先生方、食い下がってください。お願いします。他にありますか。

○神田委員 名前なのですが、先ほどシャンプーについての御説明がありました。これまでもOTCでシャンプータイプがあったということで、このお薬の世界でも使う言葉なのかなと受け止めたのですが、ただ、シャンプータイプというものとシャンプーというものとでは、やはりちょっと違うのかなと。シャンプーというと、やはり洗髪剤としての名前が定着しているわけですので、「タイプ」と付くものと「シャンプー」と言い切るものとでは、また違うのかなとちょっと気になりました。それが1点です。

 それから、用法のところで、15分待ってからお水かお湯で泡立ててとある、この「泡立て」には何か意味があるのか、この場合こすっても余りいけないのではないかと、素人ながら思ったのですが。どのように使うのか、何かちょっとイメージできなかったので、「泡立て」とあえて言っているので、そこをちょっと改めてお聞きしたいと思います。

 もう一つ、髪を洗うと、多分、普通の洗髪もしたくなる、濡れるとやはりしたくなるのではないか。現実の生活の中から考えると、例えばお風呂に入る15分前に付けて、お風呂に入ってそこを洗い流して、そしてまた洗髪もしたくなると。そういうのが、もしかしたら普通の使い方になってしまうのかなと思ったときに、普通のシャンプーとの関係で、何か注意喚起することはないのでしょうか。そこをお願いします。

○松井部会長 3点お願いします。

○医薬品医療機器総合機構 1点目と3点目については併せて回答させていただきたいと思います。まず、本剤につきましては洗髪も可能です。ただし、本剤を塗布して洗い流した後、通常のシャンプーで、再度洗髪することも可能です。2点目の泡立てる必要性というところなのですが、本剤は粘性があり、少しでも頭皮に残りますとステロイドの局所作用というものが生じる可能性がありますので、よく泡立てて、しっかり洗い流す必要があるというところから、泡立てる必要性があると考えております。

○松井部会長 神田委員、いかがですか。

○神田委員 余りこだわりませんが、「泡立て」というのがちょっとピンと来ないですよね。そうしたら、しっかり洗い流してくださいということのほうが間違いなく伝わるのかなと思いました。泡立てても、それがイコールしっかり落ちるということにつながらないかもしれませんよね。だから、その辺の言葉の受け止め方が、やはり正確に誤解のないように、伝わるようにしたほうがいいのかなと思いました。

○医薬品医療機器総合機構 用法・用量につきましては、「泡立て、洗い流す」と記載しておりますが、資材のほうでは、より詳しく、本剤の使い方について説明しており、泡立てて本剤は残らないように洗い流すと説明しているところです。

○松井部会長 神田委員よろしいでしょうか。では、森委員どうぞ。

○森委員 泡がなくなるまで洗うという認識でよろしいのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 本剤が残っていないことを確認するために泡がなくなるまで洗い流します。

○森委員 それは要するにラウリルエーテル硫酸ナトリウムが入っていますから、これは多分洗剤ですよね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○森委員 これが泡立つ素だと思うので、それがステロイド成分と同じコンパウンドになっているので、泡が立って、お湯で流して、泡がなくなれば成分も抜けているという認識だということでの記載なのですね。

○医薬品医療機器総合機構 はい、御指摘のとおりです。

○森委員 では、資材のほうには、泡立ててきれいに流すということは、ちゃんと明記されているということでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 はい、御指摘のとおりです。

○森委員 それで私は理解できましたが、よろしかったでしょうか。もう1点ありまして、これはシャンプーとして使えるということで洗剤なのですが、シャンプーと聞くと、やはりリンスとかコンディショナーということを思うのですけれども、そういったほかの、いわゆるドラッグストアで購入されるような整髪製品などを併用するときの注意点といったことは、患者さん向けの資材に含まれているのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 シャンプーに限らず、その他リンス等につきましても併用することは可能です。海外では既に古くから承認され市販されていますが、海外市販後情報において、本剤を使った後に普通のシャンプーやリンス等を行っても特段問題ないことが報告されておりますので、本邦においても同様の使い方で、特段問題は生じないと考えております。

○松井部会長 私の勘違いでなければ、神田委員の先ほどの御質問の中で、シャンプータイプということについてのお答えがなかったような気がするのですが。

○医薬品医療機器総合機構 それにつきましては、本剤は洗髪も可能ということでシャンプーとしております。スミスリンは洗髪ができないので、シャンプータイプとしております。

○松井部会長 そうですか、シャンプーになっているのですね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○松井部会長 神田委員よろしいですね。他にありませんか。

○今井委員 このステロイドは、非常に強いタイプのステロイドということですけれども、アンテドラッグタイプのステロイドなのですか。生体内に入って不活化しやすいタイプのステロイドをアンテドラッグ型というのですけれども、そのタイプのステロイドですか。それとも不活化しないタイプですか。

○医薬品医療機器総合機構 本剤はアンテドラッグではなく、生体内で不活化しないでそのまま作用するようなステロイドです。

○今井委員 全身に回ったら、そのまま強い作用が出てくるということでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 全身に曝露されて、効果を発揮するような薬剤ではありません。

○今井委員 そうではないですけれども、頭皮から全く血中に入らないわけではないので。

○医薬品医療機器総合機構 その点につきましては検討をしております。まず本剤の皮膚の透過性等につきましては報告書の8ページ及び10ページを御覧いただければと思います。結論としましては、皮膚透過性は本剤につきましてはほとんどなく、全身曝露はほとんどないと考えられております。

 また、本剤の血清コルチゾール値に与える影響につきましては、15ページ7.R.2.3「副腎皮質機能への影響について」の項を御覧ください。海外試験において、本剤のHPA軸抑制について評価を行っておりましたが、本剤が投与された40例につきましては、HPA軸が抑制された患者は認められませんでした。

 また、本剤は海外試験で24週間投与された経験がありますが、その中でコルチゾール値が24週間投与されても異常値を示すことはありませんでした。以上から、本剤につきましては、全身ばく露され、コルチゾール値に影響することはないと考えております。

○松井部会長 森先生、今のお答えでよろしいですか。

○森委員 念のためにお伺いしますが、本ステロイドが、もし体内に入った場合に、いわゆるコルチゾールの測定系との交差性は確定されていますか。

このコルチゾールの測定されている値は、いわゆる交差していない本来のコルチゾールを省いていると理解してよろしいのでしょうか。

もっと具体的に言いますと、例えばデキサメタゾンのようなものは交差性がありませんし、コートリルのようなものは交差が起こるので、ステロイドによって交差性が違うのです。ですので、今回扱われているこのステロイドに関して、交差性に関する情報があれば、あってもよいと思います。それがもしあれば伺いたいですし、なければないで結構です。

○医薬品医療機器総合機構 現時点で手元の資料からは交差性について断言はできないのですけれども、少なくとも本剤を使わないときの濃度と比べて、本剤を使ったときにどのようにコルチゾールの値が影響するかは検討しており、コルチゾール値は変わらないことを確認しています。

 交差性については断言できませんが、交差性の有無にかかわらず、本剤はほぼ血中に移行しないことからコルチゾール値にあまり影響しないと考えられるため、臨床的には大きな影響はないかと思います。しかしながら、森委員から御指摘いただきましたように、測定法次第で、データの取扱いが変わってくるかもしれませんので、その点は申請者に確認したいと思います。

○松井部会長 よろしいですか。確認されたら何らかの形で報告していただきたいと思います。

○森委員 ちょっとコメントさせてください。医学的なことを申し上げますと、血中のコルチゾール濃度を測定して、それが前後で変化がないことが副腎皮質機能の変化と関係ないとは全く言えません。それは外来性に入っているステロイドが、内因性ステロイドを抑制するけれども、それ自体が交差されて測定されることがあり得るので、外来性ステロイドの分と内因性ステロイドが合算されている可能性は否定できません。ですので、そこは数値が不変だからといって除外なさるのは、非常に危険だと思います。

 ただし、ACTHは交差が全くないので、ACTHの値に変化がないというデータは極めて強い意味を持っています。したがって、前半にお示しになっているデータについて、ACTHのデータはありますか。

○医薬品医療機器総合機構 報告書15ページを御覧いただければと思いますが、海外2試験では、合成ACTH刺激前後における血中コルチゾール濃度を測定しております。

○森委員 それはACTHを注射した後ですよね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○森委員 ですので、それはやはりレスポンスを見るので、それはそれで意味があるのですけれども、実際にはコルチゾールの測定は外来性ステロイドの影響を非常に受けやすいし、ステロイドの種類によって評価の意味が違ってくるという難点があります。ですので、血液中のACTHを測定したほうが、よりセンシティブで、ステロイドの吸収がほとんどされていないということを証明し得るのではないかと私は理解していましたので、もう少し補足の情報があれば、なお安心かと思いました。

○松井部会長 では、その点については調べて報告していただくということでよろしいでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 海外試験の詳細につきましては調べた上で、後日御報告申し上げたいと思います。

○松井部会長 森先生、調べた結果を報告してもらうのは後日でよろしいですね。

○森委員 はい、特にACTHの刺激前後の試験がされておりますので、これは海外成績ではありますが、その成績は評価して良いと思います。

○松井部会長 分かりました。他にありますか。

○岡委員 眼の副作用を見ますと、添付文書にいろいろ出ているのですけれども、このうちで主成分に依存するのは緑内障だけで、ほかのは添加物によるものではないかと思うのですが、添加物をマイルドなものに変えれば、こういうことを抑えられる可能性があるのではないかということです。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘のとおり、緑内障以外の眼の刺激性につきましては、基剤に起因するものと報告されております。添付文書の眼の刺激性に関する副作用のデータは、海外の臨床試験や市販後データに基づいております。他方、国内試験においては、眼の刺激性について有害事象としての発現は認められていません。

 したがって、本邦における眼の有害事象については、今後も引き続き製造販売後調査等において検討していきたいと思います。もし、製造販売後に眼の刺激性等に問題が生じましたら、適切な対応を考えるように申請者にはお伝えしたいと思います。

○松井部会長 それではよろしいでしょうか。大分議論が盛り上がりましたが、盛り上がるのは歓迎です。それでは、ただいまの点を踏まえまして、議決に入ってよろしいでしょうか。本議題につきまして、承認を可としてよろしいですか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。それでは議題6に移ってください。事務局から説明をお願いします。

○事務局 議題6、資料6、トルバプタンを希少疾病用医薬品として指定することの可否について事務局より説明いたします。資料6の評価報告書のタブをお開きください。評価報告書1ページ中段です。申請者は大塚製薬株式会社、予定される効能・効果は、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)における低ナトリウム血症の改善です。1ページの対象患者数についてです。抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(以下SIADHという)は、下垂体性の抗利尿ホルモンの分泌異常症の一部として、指定難病に指定されております。したがって、患者数の基準を満たしているものと考えております。

 続いて2ページの医療上の必要性に関してです。SIADHは低ナトリウム血症にかかわらず、抗利尿ホルモンによる抗利尿作用が持続している病態であり、脳浮腫等により致命的な転機を辿る可能性があります。SIADHの原因は、中枢神経系疾患、肺疾患、ADH産生腫瘍による場合並びに薬剤性等、原疾患の種類によって分類されております。SIADHの治療は、まず原疾患への治療が実施されますが、原疾患が治癒したと考えられた後にも、病態が遷延する場合等には、低ナトリウム血症の改善を目的とした対症的な治療が実施されます。

SIADHに伴う低ナトリウム血症に対する一般的な治療は水分制限であり、薬物療法としてはモザバプタンが既に承認されております。モザバプタンに関しての適応は、異所性ADH産生腫瘍によるSIADHに限定されております。一方で本薬は、米国及び欧州の臨床試験成績に基づき、原疾患を限定することなく、SIADHに伴う低ナトリウム血症の治療薬として承認されております。

 以上より本邦では、現時点で異所性ADH産生腫瘍以外の原因よるSIADHにおける低ナトリウム血症の改善に対して、適切な治療法があるとは言えず、本薬は当該疾患の治療における新たな選択肢になると期待されることから、本薬の医療上の必要性は高いと考えております。

 3ページの開発の可能性についてです。SIADHを含む低ナトリウム血症患者を対象として、海外で実施された第III相試験の結果に基づき、米国及び欧州では、種々の原因によるSIADHに伴う低ナトリウム血症の治療の効能・効果で承認されております。国内では、水分摂取制限を実施しても、低ナトリウム血症が改善していないSIADH患者を対象とした国内第III相試験を実施中であり、本剤の開発の可能性は高いと考えております。また、本薬のSIADHにおける低ナトリウム血症の改善の適応症については、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議により、医療上の必要性が高いと判断されております。以上より、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いいたします。

○森委員 本薬剤は、SIADHの病態の根本に関わるターゲットを効果的に治療する方法ですので、有効性は十分期待されるものかと思います。ただし、低ナトリウム血症そのものの危険性と、低ナトリウム血症を是正する危険性と、臨床上は両方の危険性があります。触れられていますが、低ナトリウム血症は、急速に補正されることは臨床上非常に危険性が伴いますので、慎重に臨床試験が遂行されて、その成績が反映されることを願っております。

○松井部会長 他に御発言はありますか。よろしいようでしたら議決に入ります。大賀委員と大森委員におきましては、利益相反に関する申出に基づいて議決への参加を御遠慮いただきます。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。御異議はないようですので、指定を可として、薬事分科会に報告いたします。議題7に移ります。議題7について事務局から概要の説明をお願いします。

○事務局 議題7、資料7、バルプロ酸ナトリウムを希少疾病用医薬品として指定することの可否について事務局より説明いたします。資料7の2番目のタブの評価報告書をお開きください。評価報告書1ページ中段です。申請者は興和株式会社、予定される効能・効果は脊髄性筋萎縮症(以後、SMAと略す)です。1ページ下段の対象患者数ですが、SMAは指定難病であり、平成26年度の特定疾患医療受給者証の交付は894件であったことから、対象患者数に関する基準を満たしているものと考えております。

 2.医療上の必要性についてです。SMA患者では、SMN1遺伝子の機能喪失を誘発する変異等によって、低分子リボ核タンパク合成や、運動ニューロンの伸長及び骨格筋との接合に関与するとされているsurvival moter neuronタンパク(以後、SMNタンパクと略す)発現量が低下することが示唆されております。SMAは、発症年齢及び重症度により、I型からIV型の病型に分類されておりますが、SMAに対する根本的な治療法はなく、全ての型において運動訓練、理学療法等の対症療法が行われます。

 バルプロ酸ナトリウムは、ヒストン脱アセチル化酵素の阻害作用を有しており、SMN1遺伝子と同様なSMNタンパクの遺伝情報を持つSMN2遺伝子の転写活性化等により、SMA患者由来の線維芽細胞において、SMN1遺伝子の変異により低下しているSMNタンパクを増加させる作用が認められています。さらに3歳未満及び5歳未満のSMA患者における運動機能の改善も報告されており、本剤の有用性が期待されております。

 以上より、SMAは致死的な疾患であり根本的な治療法がないこと、本剤の有効性及び安全性が確認されれば、SMAに対する新たな治療薬となる可能性があることから、本剤の医療上の必要性は高いと考えます。

 3.開発の可能性についてです。8歳未満のI型からIII型のSMA患者を対象とした前期第II相試験が実施され、本剤の投与前後で運動機能評価指標が改善しており、当該試験成績を踏まえ、I型及びII型のSMA患者を対象とした検証的試験が実施中であることから、SMAに対する本剤の開発の可能性はあると考えられます。以上より、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○松井部会長 委員の先生方、いかがでしょうか。昔はウェルドニッヒ・ホフマン病と言われた病気で、機械的人工呼吸をして栄養を与え、知能は正常であるという大変な難病だったわけです。それに対して、一つの治療のオプションが提示されているのだと思います。御質疑はありませんか。よろしいようでしたら議決に入ります。議題7について、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として、薬事分科会に報告いたします。報告事項に移ってください。

○事務局 報告事項について、事務局よりまとめて御報告させていただきます。報告事項議題1、資料8、医薬品オプチレイ350注の製造販売承認についてです。本剤は、有効成分であるイオベルソールをヨード量として350mg/mL含有する非イオン性ヨード造影剤であり、本邦においては血管心臓撮影、大動脈撮影及び選択的血管撮影を効能・効果として、バイアル及びシリンジ製剤が既に承認されております。

 一方、コンピューター断層撮影(以下、CTと略す)における造影の効能・効果については、本剤よりも低濃度のイオベルソール製剤が既に承認されておりますが、腹部のCTにおける造影は、ヨード量として600mg/kg30秒で投与することが推奨されているため、現時点でCT造影に関する効能を有する低濃度のイオベルソール製剤では、高体重の患者に推奨ヨード量を投与することができません。

 以上の状況を踏まえ、今般、腹部の腫瘍が疑われる患者を対象として実施した臨床試験成績に基づき、富士製薬工業株式会社より、オプチレイ350注のバイアル製剤及び100mLシリンジ製剤について、腹部のCTにおける造影の効能・効果及び用法・用量を追加する医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請並びに新たに135mLのシリンジ製剤を追加する製造販売承認申請がなされました。機構における審査の結果、本剤を腹部のコンピューター断層撮影における造影の効能・効果で承認して差し支えないと判断いたしました。

 報告事項議題2、医療用医薬品の再審査結果について御報告いたします。資料9-1から資料9-8で、こちらは各製剤の医薬品再審査確認等結果通知書です。こちらをまとめて御報告いたします。

 資料9-1は、一般的名称はタダラフィル、販売名はシアリス錠5mg、同錠10mg及び同錠20mgのもの。資料9-2は、一般的名称はボグリボース、判売名はベイスン錠0.2及び同OD錠0.2のもの。資料9-3は、一般的名称はピオグリタゾン塩酸塩/メトホルミン塩酸塩、販売名はメタクト配合錠LD及び同配合錠HDのもの。資料9-4は、一般的名称はピオグリタゾン塩酸塩/グリメピリド、販売名はソニアス配合錠LD及び同配合錠HDのもの。資料9-5は、一般的名称はタクロリムス水和物、販売名はプログラフカプセル0.5mg、同カプセル1mg及び同カプセル5mgのもの。資料9-6は、一般的名称はバルサルタン/ヒドロクロロチアジド、販売名はコディオ配合錠MD及び同配合錠EXのもの。資料9-7は、一般的名称はポリトロピンアルファ(遺伝子組換え)、販売名はゴナールエフ皮下注用75、同皮下注用150、同皮下注ペン300、同皮下注ペン450及び同皮下注ペン900のもの。資料9-8は、一般的名称はガバペンチン、販売名はガバペン錠200mg、同錠300mg、同錠400mg及び同シロップ5%のものとなっております。

 これらの品目について、製造販売後の特定使用成績調査等に基づいて再審査申請が行なわれ、審査の結果、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はないカテゴリー1と判定したものです。

 報告事項議題3、希少疾病用医薬品の指定の取消しについて御説明いたします。資料11を御覧ください。届出者は全薬工業株式会社、医薬品の名称はリツキシマブ(遺伝子組換え)です。本剤は平成25年9月3日、慢性特発性血小板減少性紫斑病を予定される効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定されておりますが、今般、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請が妥当との評価がなされ、企業はこれ以上の研究開発の必要性がなくなったため、希少疾病用医薬品試験研究中止届が提出されたものです。よって、本剤の本予定効能・効果に係る希少疾病用医薬品の指定を取り消すこととしました。なお、当該公知申請の内容については、この後、その他の議題として御説明いたします。報告事項に関する事務局からの説明は以上です。

○松井部会長 御質問、御意見はありますか。よろしいようでしたら、報告事項については、委員の先生方の御確認を頂いたものといたします。その他の事項についての説明をお願いします。

○事務局 その他議題1、資料10、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の事前評価について、御説明いたします。初めに、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議(以下、検討会議という)による検討における本事前評価の位置付けに関して御説明いたします。資料1050ページを御覧ください。検討会議とは、欧米等では使用が認められておりますが、国内では承認されていない医薬品及び適応に関して、患者団体や学会等から要望があれば、本邦での医療上の必要性の評価及び承認のために必要な試験の有無及び種類の検討を行う会議です。

 資料の右上から説明いたします。厚生労働省は、学会や患者会等から要望があげられ、検討会議で医療上の必要性が高いと評価された医薬品に関しては、企業に対して開発要請を行います。開発の手段として、その医薬品が臨床現場において既に医学薬学上公知である場合には、公知申請を選択し、本邦において有効性・安全性を確認する試験が必要な場合には治験等を行います。本部会での事前評価については、図の真ん中左下の辺りに記載されておりますが、企業が開発の手段として公知申請を希望し、検討会議で公知申請に該当すると判断された場合に、公知申請の事前の評価として御確認いただくこととしております。事前評価として御確認いただいた後に、企業が公知申請を行い、機構の審査を経て、改めて部会で確認を頂く流れになります。

 それでは、検討会議で公知申請を行うことが適当と判断されたリツキシマブ(遺伝子組換え)及びアセチルコリン塩化物の2品目に関して、順に御説明いたします。リツキシマブ(遺伝子組換え)については、資料10の3ページを御覧ください。日本血液学会より、慢性特発性血小板減少性紫斑病(以下、慢性ITPという)に対する適応追加の要望があり、検討会議での医療上の必要性が高いという評価を受け、全薬工業株式会社から公知申請の該当希望書が提出されております。23ページの7「公知申請の妥当性について」を御覧ください。有効性に関して、慢性ITP患者に対して、本薬の有効性が統計学的に検証された臨床試験はありません。一方で、海外で実施された臨床試験において、一定の血小板数の増加効果が確認され、国内で実施された臨床試験においても、主要評価項目について事前に設定した閾値を下回ったものの、本剤による一定の血小板数の増加効果が示されたことが報告されております。また、国内外のガイドラインにおいて、本薬は慢性ITPに対する治療選択肢の一つとして記載されており、国内においても再発又は難治例に対する使用といった使用実態があります。

 引き続き、安全性に関しては24ページを御覧ください。提出された臨床試験の結果や症例報告等から過剰な血小板数の増加が認められる可能性が否定できないことから、血小板数の推移に留意する必要はありますが、その他の事象に関しては、いずれも本薬の既承認の他の適応でも見られる副作用であり、慢性ITPの診療において十分な知識及び経験のある医師の下で使用されるのであれば、許容可能であると判断されました。なお、添付文書においては26ページの9の()「その他」を御覧ください。「製造販売後における留意点について」に記載している注意喚起を行うことが必要とされております。これらの検討から、本要望内容に対する有効性及び安全性は、医学薬学上公知であると検討会議で判断されました。

 効能・効果、用法・用量に関しては25ページから26ページの記載を御覧ください。効能・効果は慢性特発性血小板減少性紫斑病とし、用法・用量は通常成人にはリツキシマブ(遺伝子組換え)として、1回量375mg/m2 を1週間間隔で4回点滴静注すると設定することとされました。

 続いて、アセチルコリン塩化物については31ページを御覧ください。日本循環器学会より、冠攣縮性狭心症が疑われる患者に対し、診断を確定するために施行する冠攣縮薬物誘発負荷試験時の冠動脈内投与に対する適応追加の要望があり、検討会議での医療上の必要性が高いとの評価を受け、第一三共株式会社より公知申請の該当希望書が提出されました。

41ページの7、「公知申請の妥当性について」を御覧ください。有効性についてですが、種々の報告から、アセチルコリンは冠攣縮の診断に必要とされる冠攣縮の誘発効果を有することが示されております。また、国内外のガイドラインでは、アセチルコリンを用いた冠攣縮薬物誘発試験は、冠攣縮性狭心症の診断法として推奨されております。また、本邦においてアセチルコリンを用いた冠攣縮薬物誘発試験が広く使用されている実態が報告されております。

 安全性については42ページの()を御覧ください。本邦における使用実態等の公表文献において、アセチルコリンにより誘発された冠攣縮に関連する重篤な事象の発現が確認できることから、これらの事象の発現には十分注意する必要があると考えております。一方で現在までに得られている情報からは、重大な安全性上の懸念は報告されておりません。冠攣縮薬物誘発試験の対象患者は、本薬の既承認の効能・効果の範囲では禁忌とされております重篤な心疾患のある患者ですが、冠攣縮性狭心症に対する診断及び治療に対して十分な経験のある医師及び緊急時に十分な対応が可能な施設の下で、副作用の発現に注意しながら慎重に投与されるのであれば、安全性は担保可能と判断されました。

 なお、これらの安全性に関する留意点については、添付文書において、こちらの記載では45ページから46ページに示しております注意喚起を行うことが必要とされております。ここで資料の訂正を一つさせていただきます。46ページの「重要な基本的注意」の2行目にある重症不整脈の記載の最後の部分に「等」が抜けておりました。正しくは「警告」の欄の記載と同様に、「重症不整脈(心室頻拍、心室細動、心房細動、房室ブロック、徐脈等)」となります。失礼しました。

 説明に戻ります。以上より、本要望内容に対する有効性及び安全性は、医学薬学上公知であると検討会議で判断されました。効能・効果、用法・用量に関しては44ページから45ページの記載を御欄ください。効能・効果は、冠動脈造影検査時の冠攣縮薬物誘発試験における冠攣縮の誘発とし、用法・用量は左冠動脈への注入から開始し、アセチルコリン塩化物として左冠動脈内には、通常2050100μgを投与。右冠動脈内には、通常2050μgを冠攣縮が誘発されるまで5分間隔で段階的に各20秒間かけて注入する、と設定することとされました。以上です。

○松井部会長 ただいまの説明について御質問はありますか。

○森委員 リツキシマブは、もちろん今もリツキサンは売られていますけれども、バイオシミラーはどうなっていますか。リツキシマブのバイオシミラーは、まだ申請途中ですので、今回は対象外ですね。

○事務局 今回に関しては対象外です。

○森委員 分かりました。

○松井部会長 他にありますか。ないようでしたら、本議題については、委員の皆様の御了解を得たものといたします。本日の議題は以上なのですが、事務局から何か報告はありますか。

○事務局 次回の部会は4月20()の午後5時から開催させていただく予定にしておりますので、よろしくお願いいたします。

○松井部会長 本日はこれで終了といたします。どうも御苦労さまでした。

 

 


(了)

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 課長補佐 清原(内線2746)

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