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2017年4月27日 第133回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成29年4月27日(木)18:00~19:30


○場所

中央労働委員会講堂


○出席者

【公益代表委員】

荒木委員、安藤委員、川田委員、守島委員

【労働者代表委員】

川野委員、神田委員、柴田委員、冨田委員、八野委員、福田委員、村上委員、世永委員

【使用者代表委員】

小林委員、齋藤委員、早乙女委員、杉山委員、滝澤委員代理、三輪委員、輪島委員

【事務局】

山越労働基準局長、土屋審議官、村山総務課長、藤枝労働条件政策課長、荒木監督課長、宮本計画課長、中嶋調査官

○議題

時間外労働の上限規制等について

○議事

○中嶋調査官 ただいまから、第 133 回労働政策審議会労働条件分科会を開催させていただきます。本会は、 4 27 日付けにて行われた委員改選後初めての分科会となりますので、前回同様の手続を取らせていただきます。まず分科会長を選出することとなりますが、労働条件分科会長については、労働政策審議会令第 6 条第 6 号により、労働政策審議会の本審に所属する公益委員の中から選出されることとされており、引き続き荒木委員に分科会長に就任いただきます。また、分科会長代理については、労働政策審議会令第 6 条第 8 号により、公益委員又は臨時委員から、分科会長が指名することとされており、これに基づき守島委員が指名されております。以降の議事進行は荒木分科会長にお願いいたします。

○荒木分科会長 引き続き分科会長を務めることになりました荒木です。皆様の協力を得ながらやってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。本日の委員の出欠状況ですけれども、欠席委員は公益代表の黒田祥子委員、平野光俊委員、水島郁子委員、両角道代委員。使用者代表の秋田進委員、佐藤晴子委員。使用者代表の秋田委員の代理として、日本通運株式会社総務・労働部専任部長の滝澤毅様に御出席いただいております。公益委員の守島委員、川田委員は所用のため遅れて出席されます。本日の議題に入る前に、前回当分科会を開催して以来、委員の異動がありました。そこで定足数と併せて事務局から説明をお願いします。

○中嶋調査官 分科会委員の交代について御報告いたします。参考資料として、労働政策審議会労働条件分科会委員名簿を配布しております。名簿順に新しく委員に就任された方々について御紹介させていただきます。労働者代表の委員が新たに 1 名就任されました。日本化学エネルギー産業労働組合連合会特別中央執行委員の福田明子委員です。使用者代表の委員が新たに 4 名就任されました。トヨタ自動車株式会社人事部企画室労政・制度グループ長の齋藤貴久委員です。本日は御欠席ですが、東日本旅客鉄道株式会社人事部法規グループ課長の佐藤晴子委員です。株式会社千疋屋総本店取締役総務人事部長の杉山敦志委員です。一般社団法人日本経済団体連合会労働法制本部長の輪島忍委員です。

 次に、定足数について御報告いたします。労働政策審議会令第 9 条により、委員全体の 3 分の 2 以上の出席又は公労使各側委員の 3 分の 1 以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告いたします。

○荒木分科会長 議事次第に沿って進めてまいります。本日の議題は、時間外労働の上限規制等についてです。事務局から資料 No.1 、資料 No.2 の説明をお願いします。

○中嶋調査官 資料 No.1 の「論点について ( 事務局案 ) 」とタイトルを付した資料を御説明いたします。こちらは、前回 A4 縦置きの一枚紙の資料で提示させていただきました論点案の項目立てに沿って、該当する実行計画、それを踏まえた事務局案を記載したものです。本日は 1 時間外労働の上限規制を御議論いただきます。最初は (1) 限度時間等についてです。実行計画の記載を波線囲みで引用しております。時間外労働の限度を原則として月 45 時間、かつ年 360 時間とする旨。それから臨時的な特別の事情がある場合として、労使が合意して労使協定を結ぶ場合においても、年 720 時間を上限とする旨。この上限について 2 ないし 6 か月の平均では、休日労働を含め 80 時間以内。単月では休日労働を含め 100 時間未満が上限となる旨。特例の適用は年半分は上回らないよう、年 6 回を上限とする旨です。

 これを踏まえてページの下段に矢印を使って示す形で、 4 つほど事務局案を記載しております。 1 つ目は、時間外労働の上限規制は、現行の限度基準告示のとおり、労働基準法に規定する法定労働時間を超える時間に対して適用されるという考え方でどうか。 2 つ目は、 36 協定で延長時間を定める対象期間について、現行制度は「 1 日」「 1 日を超え 3 か月以内の期間」及び「 1 年」と定めることになっているが、今後は「 1 日」「 1 か月」及び「 1 年」の 3 区分に固定してはどうか。 3 つ目として、 1 年単位の変形労働時間制については、現行の限度基準告示を踏襲し、原則の上限を「月 42 時間」「年 320 時間」としてはどうか。その上で、月 42 時間を上回る特例の適用の上限を年 6 回としてはどうか。 4 つ目は、休日労働を含んで、複数月平均 80 時間以内、単月 100 時間未満の限度は「特例を活用しない通常の月にも適用するという考え方でどうか。

2 ページで (2) 適用除外等の取扱いについてです。最初の囲みは、自動車運転業務に関する実行計画の記載です。矢印の所では、これを踏まえて自動車の運転業務については罰則付きの時間外労働規制の適用除外とせず、改正法の一般則の施行期日の 5 年後に年 960 時間 ( 月平均 80 時間 ) 以内の規制を適用することとし、かつ将来的には一般則の適用を目指す旨の規定を設けることとする。 5 年後の施行に向けて、荷主を含めた関係者で構成する協議会で、労働時間の短縮策を検討するなど、長時間労働を是正するための環境整備を強力に推進するとした上で、この場合でも原則の上限 ( 45 時間・年 360 時間 ) に近付ける努力が重要であるという考え方でどうかとしております。

 次の囲みは建設事業に関する実行計画の記載です。これを踏まえて矢印の所ですが、建設事業については罰則付きの時間外労働規制の適用除外とせず、改正法の一般則の施行期日の 5 年後に、罰則付き上限規制の一般則を適用する。 ( ただし、復旧・復興の場合については単月で 100 時間未満、 2 か月ないし 6 か月の平均で 80 時間以内の条件は適用しない ) 。併せて将来的には、一般則の適用を目指す旨の規定を設けることとする。 5 年後の施行に向けて、発注者の理解と協力も得ながら、労働時間の段階的な短縮に向けた取組を強力に推進するとした上で、この場合でも原則の上限 ( 45 時間・年 360 時間 ) に近付ける努力が重要であるという考え方でどうかとしております。

3 ページの上の囲みは医師についてです。実行計画において、医師については時間外労働規制の対象とするが、医師法に基づく応召義務等の特殊性を踏まえた対応が必要である。具体的には、改正法の施行期日の 5 年後を目途に規制を適用することとし、医療界の参加の下で検討の場を設け、質の高い新たな医療と医療現場の新たな働き方の実現を目指し、 2 年後を目途に規制の具体的な在り方、労働時間の短縮策等について検討し、結論を得るとされております。これを踏まえて矢印の所ですが、医師の規制水準については、まずは医療界の参加の下での検討の場で検討を進めることが必要ではないかとしております。

 同じページの下の囲みは、新技術、新商品等の研究開発の業務に関する実行計画の記載です。すぐ下の矢印の所ですが、当該業務については、健康確保措置の具体的内容を検討することが必要ではないかということで、次回御議論を頂きたいと思います。

 同じページの一番下の矢印ですが、上記のほかに現行の限度基準告示で、限度時間の適用が除外されている事業・業務の取扱いをどうするかとしております。具体的にどういう事業・業務なのかについては、別綴じの資料 No.2 の中に整理をしておりますが、これについては資料 No.2 を説明する際に御覧いただくことにします。恐縮ですが、論点をまず一通り御紹介させていただきます。

4 ページの (3) 新たな指針に盛り込むべき事項についてです。囲みにあるとおり、労使が上限値までの協定締結を回避する努力が求められる点で合意したことに鑑み、更に可能な限り労働時間の延長を短くするため、新たに労働基準法に指針を定める規定を設けることとし、行政官庁は当該指針に関し、使用者及び労働組合等に対し、必要な助言・指導を行えるようにする。

 この実行計画の記載を踏まえ、すぐ下の矢印の所で、現行の限度基準告示及び労使合意を踏まえれば、新たな指針に盛り込むべき事項としては、以下のような事項が考えられるがどうかとして、 4 つの事項を提示しております。順に申し上げます。特例による延長時間をできる限り短くする努力義務。特例に係る割増賃金率を法定基準を超える率とする努力義務。特例の場合に実施する健康・福祉確保措置の内容の例示。労働時間を延長する必要のある業務の区分を細分化することです。

 併せてすぐ下にもう 1 つ矢印を設けております。さらに休日労働についてもできる限り抑制するよう努めなければならないことを盛り込んではどうかです。こちらの資料について、具体的なものは事務局からは以上です。

(4) はその他です。 2 勤務間インターバル、 3 長時間労働に対する健康確保措置、 4 その他については次回御議論を頂きたいと存じます。

 資料 No.2 を御覧ください。タイトル「論点に関する参考資料」と付いた資料です。こちらは、今御説明した各論点に関わる現行制度、それからデータなどを整理した資料です。できるだけ簡潔にポイントを御説明させていただきます。 2 ページの (1) 限度時間等の関係です。 36 協定で延長時間を定める対象期間についてです。現行制度では、その対象期間は 1 日、 1 日を超え 3 か月以内の期間、 1 年間の 3 つの区分になっています。これを条文に即してお示ししたものが 2 ページの四角囲みです。労働基準法の施行規則、いわゆる限度基準告示の 2 つの条文で、今申し上げた 3 つの対象期間を規定しています。

 このページの囲みの外側に矢印を付した部分があります。これは、今回実行計画を踏まえて、「 1 日」「 1 か月」「 1 年」の 3 区分を対象期間とする案をお示ししておりますこととの関係で、仮に 2 か月や 3 か月といった対象期間を定めた場合に生じることとなるケースについて、例という形で記載をしたものです。 ( ) として、延長できる時間外労働時間を「 3 か月で 120 時間以内」と定めた場合に、単月の上限は定めないため、例えば「 90 時間・ 30 時間・ 0 時間」といった各月の配分も可能になるということ。この場合、単月ごとに見れば、特別条項を用いずに、 45 時間超えを許容することになるという例を挙げております。

3 ページは、 36 協定において延長時間を定めている期間について、現行制度の下での状況を表の形で整理したものです。表の左側、それから右側の両側に 1 日と 1 年間の数字があり、これを肌色のマーカーで塗ってあります。その 1 日と 1 年間の間の部分、その間の各欄、各数字が「 1 日を超え 3 か月以内の期間」についての設定状況を示したものです。 1 か月の欄に色を塗ってありますが、 9 割以上の事業場で「 1 か月」ということで設定されています。

4 ページは、 1 年単位の変形労働時間制についての資料です。左右に表を並べるような形になっております。右側が 3 か月を超える期間を対象期間とする 1 年単位の変形労働時間制における、現行限度基準で定める限度時間ということです。通常の限度時間より短く、 1 か月では 42 時間、 1 年では 320 時間とされています。

5 ページは、 36 協定における延長時間の状況で、一般労働者について見たものです。 36 協定を締結し、延長時間の定めをしている事業場について、このページの上の表では 1 か月の延長時間として、どのぐらいの長さを定めているか、それを時間区分ごとの事業場割合として示しております。下の表では、 1 年の延長時間として、同様にどれぐらいの長さのものを定めているかを、時間区分ごとの事業場割合として示しています。これらの表から、延長時間の定めのある事業場の通常の延長時間は、ほぼ 100 %が限度基準告示における限度時間、すなわち 1 か月 45 時間、 1 360 時間の範囲内に収まっていることを御覧いただけます。

6 ページでは、同じく 36 協定における延長時間の状況として、 1 年単位の変形労働時間制について見た資料です。この中で、上の表は 1 か月の延長時間についての時間区分ごとの事業場割合、下の表は 1 年の延長時間についての時間区分ごとの事業場割合をまとめたものです。これらを総括すると、このページの上の四角囲みの所にサマリーとして書いておりますが、延長時間の定めのある事業場の通常の延長時間は、 95 %程度が限度基準告示における限度時間、すなわち 1 か月 42 時間、 1 320 時間の範囲内に収まっている状況です。

7 ページからは (2) 適用除外等の取扱いに関する資料です。先ほど資料 No.1 の説明において、現行の限度基準で、限度時間の適用が除外されている事業・業務の取扱いをどうするかと申し上げましたが、具体的にどういう事業・業務なのかについてページの上半分の囲みの中でリスト化をしています。四角の中の 1 つ目の○ですが、現行の限度基準告示で、限度時間の適用が除外されている事業・業務には、「実行計画」で方針が示されたもの以外にも下記のものがある。

(1) 季節的要因等により事業活動若しくは業務量の変動が著しい事業又は業務。具体的には 1 鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業 ( 砂糖精製業を除く ) 2 造船事業における船舶の改造又は修繕に関する業務。 3 日本郵便株式会社の行う郵便事業の年末・年始における業務。

(2) 公益上の必要により、集中的な作業が必要とされる業務として、具体的には 1 電気事業における発電用原子炉及びその附属設備の定期検査並びにそれに伴う電気工作物の工事に関する業務。 2 ガス事業における、ガス製造設備の工事に関する業務です。ただしとして、 2 つ目の○ですが、年 360 時間の限度時間は適用ありとしています。

8 ページは、先ほど来御覧いただいております 36 協定における延長時間の状況について、今、一覧で御覧いただきました業務なども含め、現行の適用除外業務等について整理をした資料です。これらの表から、現行の限度基準告示の適用除外業務などの 36 協定における延長時間を見ると、 1 か月 45 時間や、 1 360 時間以下に収まっている事業場は 6 割程度という状況です。

9 ページは、こうした現行の適用除外業務などにおける法定時間外労働の実績をまとめたものです。 2 つの表がありますが、上のほうが 1 か月の法定時間外労働の実績です。事業場で最も時間外労働が長い方に着目をして集計したものです。下の表は、 1 年の法定時間外労働の実績について、同様に事業場で最も時間外労働が長い方に着目して集計をしたものです。

 これらにおいて、またサマリーとしてこのページの上のほうの四角の囲みですが、現行の限度基準告示の適用除外業務などの法定時間外労働の実績 ( 事業場における最長の者 ) を見ると 1 か月 45 時間や、 1 360 時間以下に収まっているのは 7 割程度です。また、平均は 1 か月約 35 時間、大企業は約 48 時間。 1 年では約 297 時間、大企業では約 402 時間という状況です。

10 ページからは、 (3) 新たな指針に盛り込むべき事項に関する資料です。 10 ページは、先ほど資料 No.1 の中で、新たな指針に盛り込むべき事項の 1 つとして、特例の場合に実施する健康・福祉確保措置の内容の例示を提示させていただきました。このページは、この点に関係するこれまでの当分科会報告であるとか、今般の労使合意等について掲載させていただいた資料です。

 ページの中ほどの※ 1 から※ 3 まで 3 点あります。※ 1 は、平成 27 2 13 日の当分科会報告、今後の労働時間法制等の在り方についてから関係部分を抜き出したものです。 1 (1) 長時間労働抑制策の 2 健康確保のための時間外労働に対する監督指導の強化です。その中で、「併せて」で始まるポツで、時間外労働の特別条項を労使間で協定する場合、限度時間を超えて労働した労働者に講ずる健康確保措置を定めなければならないことを、時間外限度基準告示において規定し、健康確保措置として望ましい内容を通達で示すことが適当であるというものです。

 ※ 2 は、本年 3 13 日の時間外労働の上限規制等に関する労使合意の関係部分です。「 ( 前略 ) さらに」として引用しておりますが、現行省令で定める 36 協定の必須事項として、月 45 時間を超えて時間外労働をした者に対する健康・福祉確保措置の内容を追加するとともに、特別条項付き 36 協定を締結する際の様式などを定める指針に、時間外労働の削減に向けた労使の自主的な努力規定を盛り込むとされています。

 ※ 3 ですが、現行の裁量労働制では、制度の対象者に講ずる健康・福祉確保措置の内容を指針に列挙しています。

11 ページと 12 ページです。特別条項に関する現状です。 11 ページの上のほうに色分けをした 3 本の棒があります。上から順に事業規模合計、大企業、中小企業についてのものになります。それぞれ特別条項がある事業場について、 1 か月の特別延長時間として、どのぐらいの時間を定めているか、時間区分ごとに事業場割合として示しました。例えば、一番上の事業規模合計で、構成割合が一番高い所は 70 時間超 80 時間以下の区分。 36.2 と数字のある濃い青色の所です。次いで高い所、 50 時間超 60 時間以下の区分が 23.5 という数字と、ウグイス色で色分けをしています。このように状況を御覧いただける資料です。

 なお、今申し上げた数値は、特別条項がある事業における構成割合ですけれども、これを全事業場を分母としたときの割合で見たものが下の表です。下の表の一番左側の欄が、特別条項付き 36 協定を締結している事業場の割合欄です。合計というのは企業規模計ですが、こちらの数字が 22.4 %です。企業規模別に締結割合には差があり、大企業では 58.6 %、中小企業では 11.3 %となっております。この表を右に辿ると、特別延長時間に応じた事業場割合、それを企業規模計と、企業別にそれぞれ分けてみた数字が分かる資料になっています。

12 ページは、今申し上げたものと同じ構成です。 1 年の特別延長時間について見た資料です。 1 年の特別延長について、 360 時間以下、 360 時間超 400 時間以下、 400 時間超 500 時間以下、 500 時間超 600 時間以下、 600 時間超 800 時間以下、 800 時間超 1,000 時間以下、そして 1,000 時間超といった時間区分で構成割合を御覧いただけます。

13 ページと 14 ページにまたがり、割増賃金率の設定状況についての資料です。 13 ページは、月の法定時間外労働時間が 45 時間以内の場合における割増賃金率です。 14 ページの上の表は、 45 時間超 60 時間以内の場合です。同じページの下の表は、 60 時間超の場合の数字です。いずれの表においても、法定の最低基準に当たる所に肌色のマーカーを塗っております。また、それ以外の率を定めている事業場の割合についても、各欄に数値があります。すなわちパーセンテージの形にて、どれぐらいの事業場がそういう率を定めているかを御覧いただけるようになっています。

 この 2 ページにまたがる資料の状況を概括したサマリーが 13 ページの上の四角の囲みに書いてあります。割増賃金率の設定状況を見ると、月の時間外労働が「 0 時間超 45 時間以内」「 45 時間超 60 時間以内」「 60 時間超」いずれの区分でも、法定の最低基準、すなわち 25 %、あるいは大企業の月 60 時間超は 50 %ですが、こうしたものにそろえている事業場が 9 割前後であるが、それを上回る率を設定している事業も一定割合存在する状況です。

15 ページと 16 ページは、健康・福祉確保措置に関する資料です。 15 ページが裁量労働制における健康・福祉確保措置について、現行制度を掲載したものです。裁量労働制では、対象労働者の労働時間の状況に応じた健康・福祉確保措置の実施を協定ないしは決議することが、制度の導入要件となっております。具体的な措置の例については、指針において示しています。

 その指針の関係部分について、このページの中ほどから下にかけて、そのまま引用しております。 4 (2) 留意事項のハです。労使委員会において、健康・福祉確保措置を決議するに当たっては、委員は健康・福祉確保措置として次のものが考えられることに留意することが必要である。具体的にはその下の ( ) から ( ) までで例示をしております。代償休日又は特別な休暇付与、健康診断の実施、連続した年次有給休暇の取得促進、心とからだの健康窓口の設置、配置転換、産業医の助言・指導に基づく保健指導といった事項になります。

16 ページは、平成 27 2 月の当分科会報告から、健康・福祉確保措置に係る部分を引用したものです。ポツで始まる引用の 3 行目からです。この健康・福祉確保措置について、現行の法定指針に例示されている事項を参考にしつつ、長時間労働を行った場合の面接指導、深夜業の回数の制限、勤務間インターバル、一定期間における労働時間の上限の設定等を追加することも含め検討の上、省令で規定することが適当であるとされております。

17 ページは、法定休日労働の協定締結状況と実績についてです。 3 つの表を掲げておりますが、一番上が休日労働に関する 36 協定締結の有無についてです。表の左寄りの所に、「労使協定を締結している」という欄があります。企業規模合計では 55.2 %、大企業では 94.0 %、中小企業では 43.4 %の事業場で 36 協定が締結されていることを示すものです。

 同じ表の右寄りに赤枠で囲っている部分があります。これは、今申し上げました 36 協定締結事業場の内訳として、休日労働に関する数字を囲ったものです。「休日労働に関する労使協定のみ締結している」「時間外労働・休日労働に関する労使協定を締結している」この 2 つが該当します。例えば、企業規模合計、一番上の数字を見ると、「休日労働に関する労使協定のみ締結している」が 0.1 %、「時間外労働・休日労働に関する労使協定を締結している」が 49.7 %であり、その合計が休日労働に関する 36 協定を締結している割合になります。

 その下の表 2 は、労使協定を締結している事業場における 1 か月の法定休日労働の限度日数について、限度日数ごとの割合、あるいはその平均を示した表です。限度日数については「 2 日」としている事業場が最も多く、また平均としては 2.2 日となっております。

 一番下の表 3 は、年間の法定休日労働の実績についてです。協定締結事業場において、休日労働が最も多い方に着目して集計した数値です。休日労働のある、なしで大きく区分しております。法定休日労働「なし」の事業場が 78.9 %、「あり」が 21.1 %です。「あり」とした事業場について、何日ぐらいなのか数字を御覧いただけるようになっております。この数字を平均すると 5.4 日になります。また、日数の区分ごとに構成割合も御覧いただけるようになっております。

18 ページから 21 ページにかけては、限度基準告示の全文を掲載しています。以上適宜御参照いただければ幸いです。私からは以上です。

○荒木分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいま説明のありました資料 No.1 及び資料 No.2 について、御質問、御意見等があればお願いします。

○八野委員 私からは論点のうち、「 1 時間外労働の上限規制」の「 (1) 限度時間等」という点について、意見を申し述べたいと思います。特に矢印で記載されている 1 つ目と 2 つ目について、意見を述べたいと思っています。

 まず今回の実行計画の法改正の方向性について、事務局の論点には出ていませんが、前回の労働条件分科会の中で提示をされた実行計画の中で、法改正の方向性という中に、「現行の限度基準告示を法律に格上げし、罰則による強制力を持たせるとともに、従来、上限無く時間外労働が可能になっていた臨時的な特別な事情がある場合として、労使が合意した場合であっても上回ることのできない上限を設定するもの」という記載があります。

 この点を前提としたという理解の上で、事務局案に書いてありますように、「時間外労働の上限規制は、現行の限度基準告示のとおり、労働基準法に規定する法定労働時間を超える時間に対して適用されるという考え方」に、特段の異論はありません。また、これに合わせてということですが、今回の罰則付きの時間外労働規制の導入というものは、働く者にとって、人たるに値する生活を営むこと、そして、命・健康・安全を守るという上で、非常に重要なものであると理解をしています。

 また、労使合意の中にもありましたが、「長時間労働に依存した企業文化や職場風土の抜本的な見直しを図ること」、またトップのマネージメントの考え方やその在り方、さらには労働時間の実態把握を見直すためにも、今回非常に重要であると考えています。

 皆様も御承知のとおり、労働基準法は働く人の労働環境を守るための、最低限の労働条件を定めた法律です。この視点に基づき、労基法の 36 条は 32 条で定められる労働時間の大原則があっての免罰効という、現行法の建付けを維持するということを踏まえていくということであれば、「これ以上は絶対に上回ることができない」ということが明確に分かる条文が必要であることを強く申し述べたいと思います。

 次の矢印の所で、 36 協定での延長時間を定める対象期間ということですが、ここに出ている事務局の提案の「 1 日」「 1 か月」「 1 年」の 3 区分に整理するということについて、賛成です。現在の限度基準告示で定められている、 2 か月、 3 か月といった対象期間を定めると、先ほどの資料説明の際の例示でもありましたが、単月の上限を定めないために、各月の配分方法によっては、特別条項を用いず 45 時間超えを許容することになりかねません。こうした観点から、「 1 日」「 1 か月」「 1 年」の 3 区分を整理することに賛成です。現在は 3 か月単位で 36 協定を締結している事業所もありますので、この対象区分の変更については、十分な周知が必要だろうと考えています。私からの意見は以上です。

○輪島委員 資料 No.1 の実行計画に基づいて、資料 No.1 1 ページ目には 4 つの論点が示されています。今ほど八野委員が御指摘になった所ですが、まず 1 つ目の矢印ですが、私どもも基本的には全く異論がないと思っております。労働基準法の規定する法定労働時間を超える時間に対して適用されるという、基本的な考え方を今後も続けて、これからの議論に参加をしたいと思っているところです。

2 つ目の矢印について、基本的に賛成ということは同じですが、事務局にお伺いしたい点があります。資料 No.2 3 ページ目ですが、仮に区分をこの形で収斂していくということで、八野委員から周知ということがありましたが、具体的に 1 週とか、それ以外のところも実際にはあるわけでして、そのときに、どのように激変緩和といいますか、どのように収斂をしていくのかというプロセスといいますか、そういうものをお聞きしたいと思っているところです。

○冨田委員 私からは、「論点について(事務局案)」の 1 ページ目の、具体的な実行計画の枠の中のルール・取扱いについて、何点か要望を申し上げたいと思います。 1 点目は、今回、特例として臨時的な場合、特別な事情がある場合においても、労使が合意して労使協定を結ぶ場合においても、上回ることができない労働時間が年に 720 時間ということになりますので、その年の区切りを、起算点若しくは起算日のような形で、まず 1 年がどこからどこまでになるのかというのを、しっかりと明示して、遵守できるような形をしっかりと作っていくべきではないかと思っています。その場合であっても、例えば 3 か月単位で 3 か月ごとに結んでいる場合であっても、若しくは年の途中で協定をもう一度改めて出し直した場合においても、 1 年間という区切りがきちんと分かるような仕組みが必要ではないかと思っています。

2 つ目は、上限の取扱いの 1 の所にあるとおり、「 2 ないし 6 か月の平均で、いずれにおいても休日労働を含んで 80 時間以内を満たす」ということになるわけですが、こちらの 6 か月間の取扱いの部分においても、労災認定基準の場合では、発症前のおおむね 6 か月ということですので、協定から協定を結んでいるところで一旦リセットされるのではなくて、例えば協定と協定をまたぐ間の 6 か月についても、そうした平均がきちんと分かるような仕組みを入れていくべきではないかと思いますので、意見として申し上げさせていただきます。

○福田委員 矢印の 3 つ目、 1 年単位の変形労働時間制について、現行の限度基準告示を踏襲するという事務局案に賛成です。変形労働時間制は、法令で定める一定の要件の下に、企業の実態に応じて労使協定等を結んで、業務の繁閑を見込んで時間配分することになりますので、突発的なものを除いて、恒常的な時間外労働はないことを前提にした制度です。ですので、この制度趣旨を踏まえれば、 1 年単位の変形労働時間については、事務局案にあります、通常より短くしている現行の告示を踏襲するということに異論はありません。

○柴田委員 矢印の 4 つ目ですが、複数月平均 80 時間以内、単月 100 時間未満の限度に関して、この点について異論はありません。前回、労働側委員からも申し上げていますが、安易に休日労働を活用しないという点と、休日労働については、あくまで法定休日労働であるということについての周知が必要だということについて、改めて申し上げておきたいと思います。以上です。

○世永委員 前回も上限規制の関係について、自動車運転者の立場から報告させていただきました。若干重複しますが、再度訴えさせていただきたく、適用除外の取扱いについて意見を申し上げます。

 現行の自動車運転者の改善基準告示では、拘束時間が 3,516 時間となっています。休日労働を含めますと、年間 1,170 時間の時間外労働が可能ということです。これは過労死認定基準を超えているという水準であり、「脳・心臓疾患の支給決定件数」がワースト 1 であり、道路貨物運送業の自殺者の多さについても、前回調査結果を報告させていただきました。この点は、是非とも重く受け止めていただきたいということです。

 また、厚労省の資料によりますと、トラック事業者の労働基準法関係法令違反について、監督実施結果を見ますと、 2012 年が 81.3 %、 2015 年が 85.9 %と、違反が悪化しています。改善基準告示違反についても同様に、 2012 年が 63.6 %、 2015 年が 69.9 %と、悪化しております。その違反の多くが労働時間に関する内容ということです。

 これは人手不足が大きな要因であると考えています。現行の労働環境を改善しない限り、悪化に歯止めが掛けられないのではと考えています。したがって、現行の法令や告示が守れないから、これまでの水準と同様の 960 時間以内の規制を適用し、休日労働は別だという内容では、過労死等の根本的な解決につながらないと受け止めています。

 最後の発言になりますが、この労働条件分科会の総意として御提案いただきました、「 原則の上限(月 45 時間・年 360 時間)に近づける努力が重要」という 考え方については、理解していきたいと思っています。その上で是非とも長時間労働の是正と、過労死、自殺者ゼロに向けた対策について、関係労使と所管官庁も交えた検討の場を設けるなど、早期に具体的な施策を講じていただきたいということを、お願いさせていただきます。以上です。

○神田委員 適用除外等の取扱いで、今ほどありました自動車運転業務の関わりと同様の意見ですが、この適用除外の受け止めと要請を 1 点させていただきたいと思います。前回の分科会で、建設産業の厳しい労働環境について、発言をさせていただきました。とりわけ長時間労働の是正というのが、過労死防止の関わりなり、あるいは健康確保の重要な案件ということで、長期にわたる懸案事項だったということは御案内のとおりです。

 今回の実行計画は、そうした状況も踏まえながら、建設産業をいわゆる適用除外としないということで、一般則の施行以降、 5 年後にこれをしっかりやっていくのだということで、我々の働く仲間も前向きに受け止めているということです。

 併せまして、適正な工期設定、あるいは適切な賃金水準の確保、週休 2 日制の話を前回もさせていただきましたが、発注者も含めた関係者で構成する協議会の設置や制度的な対応も含めて、しっかりとやっていくのだということについても、そうした同様の受け止めをしているところです。

 先ほどもお話がありましたが、とりわけ人材の確保という点、あるいは技術・技能の維持・向上に向けた取組というのは、結果的に建設産業の維持・発展だけでなく、更に社会基盤の強化を通じた我が国の発展にもつながる、こうした認識をしているところです。

 今ほどもありましたが、この労働条件分科会の総意として、「 原則の上限(月 45 時間・年 360 時間)に近づける努力が重要 」という点については、改めて異論はありませんし、しっかり取り組んでいただきたいと思っています。その上で、いかにこの実行計画を着実に進めていくかというのが、大きな課題だろうと認識をしています。

 先ほど発言させてもらいましたが、協議会の位置付けも含めて、その進め方をいかに明確にしていくのか、具体的には、法の適用期日となります 5 年後の完全実施に向けた、段階的な労働時間の短縮に向けた取組、あるいは行程表、いわゆるロードマップの作成と、それに基づいた具体的な取組を、しっかりとしていただきたいと要請をしておきたいと思います。また、それまでの間におけるいわゆる健康確保措置の徹底も併せて御要請申し上げて、発言にさせていただきます。ありがとうございました。

○輪島委員 過労死は絶対にあってはならないことだと考えています。この間、様々な周知も含めて取り組んできたところですが、先ほど世永委員から御指摘がありましたが、本日の午前中、過労死等防止対策推進協議会がありました。もしよろしければ後ほど事務局から、内容についても御披露いただければと思います。様々な予算を確保し、様々な啓発セミナーであるとか、取組がようやく動き始めたという御披露がありました。また、その件で過労死家族の会の皆様からの評価を頂いたと、私ども、理解をしているところです。また、それに対して私どもも、できる限り協力をしてまいりたいと考えているところです。

 その中で業界ごとに、自動車運転手についても取組が進んでいると承知をしているところです。そういうことも含めて、もう少し全体に様々なことが行われているということについても、周知が必要ではないかと思っておりますので、厚生労働省を含め、行政全体で様々な機会を捉えて、広報・周知をしていただきたいという、お願いをしておきたいと思っています。以上です。

○滝澤代理 資料の中についての質問です。資料 No.2 17 ページ、休日労働に関するデータが出ていますが、法定休日労働の実績のある事業場の平均日数は 5.4 日という説明がありましたが、実績のない事業場を含めた場合の平均というのはどのようになっているのか、お示しいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○荒木分科会長 では、事務局からお願いします。

○藤枝労働条件政策課長 労働条件政策課長です。ただいま御質問いただいた法定休日の実績ですが、冒頭に御説明しましたように、まず、ありなしで申し上げれば、「なし」が 78.9 %を占めていまして、「あり」が 21.1 %ということです。これを含めて平均すると、おおむね 1.1 ぐらいになりますので、ほぼ約 1 日という推計になると思います。

 それから、今まで頂いた意見の中で、幾つか質問もありましたので、少しまとめて答えさせていただきたいと思います。まず資料 No.1 1 ページ目の対象期間について、今回は「 1 日」「 1 か月」「 1 年」という区分でどうかという御提案をさせていただいております。現実には 3 か月単位で決めている所もあるので、その周知を、あるいは、どのように 1 か月なりに収斂させていくのかという御質問を頂きました。今回の実行計画に盛り込まれた 1 か月 45 時間、 1 360 時間、特例を結ぶ場合であっても 720 時間という、この原則を踏まえた形でもし合意が得られれば、今後は法案化をさせていただきますので、その中で、あるいは法律を施行するに当たって、できるだけ企業の労使の現場に御理解いただけるような周知の方法、運用の方法について、検討させていただきたいと思っています。

 それから、冨田委員からは、起算日をしっかり定めないと、例えば途中で 36 協定を出し直したときに、実際には 360 時間を超えてしまうケースが出てくるのではないかという御趣旨だったと思います。当然、脱法的な行為が行われてはいけないという認識でおりますので、運用に当たり、あるいは施行に当たって、例えば 36 協定の中に起算日を記載していただくとか、年間で 360 時間ということがしっかりと確保されるようなやり方を考えていきたいと思っています。

 また、 2 か月から 6 か月、平均で 80 時間以内という、これは働き方改革実現会議の中で過労死防止の観点から、こういった考え方、労災認定基準の考え方を取り入れた、新たな上限が設けられたと認識しておりますので、それも踏まえた運用・解釈、これも検討して、実現会議で議論されたものが脱法的に扱われることのないような仕組みを考えてまいりたいと思っています。

 それから、先ほど来ありました自動車運転、建設事業について、今回は 5 年間猶予した上で、規制を適用することになったわけです。前回も申し上げましたが、まず自動車運転で申し上げれば、今いろいろ御指摘を頂きましたが、なかなか貨物運送の実態としては、荷主都合による手待ち時間など、運送事業者だけでは解決できない問題もあるという実態を踏まえた、労使が入った実現会議の結論としての、今回の計画だと受け止めています。

 ただ、当然 5 年間猶予されたこと、あるいは年規制 960 時間という数字は決まっているわけですが、それまでの間、何もしないということではないと思っています。実行計画にも書かれましたように、荷主も含めた協議会の場で、労働時間短縮の対策について、しっかりと議論するということ。それから、省庁横断的な検討の場で、そういった取引慣行の改善等についても、しっかり議論するということが書かれておりますので、この取組については、既に 4 月後半になってしまいましたが、できるだけ早急に検討の場を、これは今、内閣官房とも相談をしているところですので、政府全体としてどういった検討の場を作るかをしっかり定めた上で、議論を進めていきたいと思っています。

 また、当然ですが今の改善基準告示、あるいは労働基準法の違反の状況を放置できるわけではありません。しっかりとした監督指導をしてまいります。先般、いわゆる運輸局との相互通報制度の中で、これまで労働時間等の違反について相互通報していましたが、これを健康診断の未実施についても相互通報する等、強化しています。こういったことも含めて、労働基準法違反、あるいは過労死防止に努めていきたいと考えています。

 また、建設事業については発注者も含めた検討の場を設けるということも決まっておりますので、これも早急に内閣官房とも調整の上で立ち上げて、段階的な労働時間の短縮も含めた検討を進めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いします。

○村山総務課長 御質問の最後に、使用者側から、「本日の午前中に開かれた過労死等防止対策推進協議会の位置付け及びその概況について、改めて事務局から報告するように」というお話を頂きましたので、御報告いたします。

 まず、過労死等防止対策推進協議会の位置付けです。平成 26 年に、働き過ぎにより人が命を失ったり、精神に障害を起こすようなことがあってはならないという強い思いの下で活動された方々の熱意が実を結ぶ形で、全会一致の議員立法として過労死等防止対策推進法が成立し、平成 26 11 1 日から施行されております。

 この法律や、それに基づく大綱においては、政府が重点的に取り組むべき分野として、過労死等防止に関する調査研究、啓発、相談体制の整備、民間団体の活動の支援等が掲げられ、勤労感謝の日がある 11 月を過労死等防止啓発月間とし、労使はじめ、関係者、過労死防止に取り組む皆様、国や地方公共団体も含めた行政機関が一体となって取組を進めるとともに、過労死防止に関する取組がどのように進んでいるのかを毎年白書の形で、閣議決定の上、国会に報告する枠組みが整えられてきたところです。

 それらの取組み全体を適切に進め、意識合わせするための場として設けられているのが、先ほど輪島委員から御言及のあった、過労死等防止対策推進協議会です。

 この協議会は 4 者構成になっています。公労使の 3 者に加え、過労死等で身内を失われた等の痛切な体験をお持ちの当事者も含めた 4 者構成になっており、ここでの議論が、先ほど申し上げた白書や大綱、月間の取組、様々な政府の政策に反映されております。

 協議会には、役所としても、厚生労働省だけではなく、教員など地方公務員や国家公務員の長時間労働問題も含めて討論するため、公務員制度官庁の幅広い参画を得ているところです。

 そして、 8 回目を数える本日の協議会の議論の状況です。先ほど輪島委員からもあったように、労使の皆様方の積極的な月間活動への参画なども含めて、これまで重ねてきた啓発、調査研究、相談体制の整備、民間活動の支援に関して、家族会を代表される委員の方々から高い評価を頂きますとともに、本日、正に御議論いただいているこの実行計画の具体化に関しても、御懸念と御意見を頂戴いたしましたので、この場をお借りして委員の皆様方にお伝えしたいと思います。今、午前中の協議会にも参画された労使双方の委員の皆様に頷いていただきましたが、とても重要な御意見だと思っています。

1 点目が、先ほど来、出ていますが、月 45 時間、年 360 時間というのが原則であって、業務の事情によって単月で 100 時間未満とか、複数月平均で 80 時間以内ということが実行計画に書かれているけれども、かりそめにも、そうした特例があるからといって、そこまでの時間外労働を従来やっていないような事業場で、労働時間が延長されていいといったようなメッセージになってはならない、決してそのような法制化をしてほしくない旨、過労死された方々の遺族の皆様や弁護団の皆様から御意見を頂戴したところです。これは事務局はもとより、協議会に御参画された労使の皆様方におかれても、しっかりと共有されたところだと思います。

 併せて、先ほどの御指摘にもありました、休日労働の取扱いの問題や労働時間の適正な把握等も含めて、本日、労使双方から御意見が出ているポイントについても、御意見を頂戴しておりますので、この点も今後御議論を深めていただく際の御参考にもしていただければと思っております。

 本日の議論の出発点となる「働き方改革実行計画」の基になった労使合意においても、 3 番の過労死等を防止するための対策という部分で、過労死等防止対策推進法に基づく大綱を見直す際、メンタルヘルス対策等の新たな政府目標を掲げることを検討することや、職場のパワーハラスメント防止に向けて、労使関係者を交えた場で対策の検討を行うことが明記されております。こうした労使合意の出発点としても、議員立法に基づき設けられた場における様々な御議論もあるということも御承知おきいただければ、有り難いと思っております。御質問への回答、御説明は以上です。

○荒木分科会長 重要なメッセージですので、是非、当分科会でも共有して参りたいと思います。ほかに何かありますか。

○村上委員 資料 No.1 3 ページの適用除外業務について 2 点、 4 ページの新たな指針に盛り込むべき事項について、申し上げます。

 まず、 3 ページの実行計画 で現行の適用除外等の取扱とされている医師に ついてです。先ほど御紹介があったように、過労死等防止対策推進協議会においても意見が出されたところで、医療界の参加の下での検討の場で検討を進めることは必要だと思いますが、その際、医師会や病院団体だけではなくて、現場で働く医師の皆さんの声も是非、踏まえたものにしてもらいたいということにつき、要望を申し上げます。

2 点目は、 3 ページの一番下にある「現行の限度基準告示で限度時間の適用が除外されている事業・業務の取扱い」についてですが、こちらについては資料 No.2 7 ページに詳しく記載されております。これらの業務について、事業や業務の特性から鑑みて、 1 45 時間などの限度基準告示の適用除外とされている部分については一定の理解をしておりますが、これまで指定されてから長らく見直されてこなかったということを鑑みれば、現時点において適用除外のままでよいのかどうなのかということについて、実態把握をした上で、適用しても問題ないということであれば適用させていくべきだと思います。

 その際、年 360 時間の限度時間の適用は維持すべきだと思います。また、見直す際において、現場の実態、過重労働による健康障害があるのかないのかということについても把握した上で、検討していくべきだと考えております。

 それから、資料 No.1 4 ページの新たな指針に盛り込むべき事項についてです。こちらについては、現行の限度基準告示などを踏まえて、 4 つほどの項目を盛り込んではどうかということがあり、これについては是非盛り込むべきだと考えております。その際、 3 つ目の「特例の場合に実施する健康・福祉確保措置」について、つまり月 45 時間を超えて時間外労働した者に対する措置としているものですが、これについては現行の裁量労働制の指針を参考にして例示列記をし、個別企業の労使で、その措置の内容を 1 つ以上決定して、確実に措置を講ずることにするとすべきだと思っています。

 その際、資料 No.2 15 ページに、現行の裁量労働制の指針での健康・福祉確保措置が出ていますが、これらの内容だけでなく、 16 ページに記載があります労働条件分科会での平成 27 年の建議で示された企画業務型裁量労働制の健康・福祉確保措置に例示されているものについても、盛り込んでいくべきだと考えています。

○荒木分科会長 ほかにはいかがでしょうか。

○冨田委員 事務局にお願いですが、次回の論議に向けて要望を発言させていただければと思います。

 今回、適用除外の中にある「新技術、新商品開発の研究開発業務」についての具体的な論点は次回の検討という形になっていますが、新商品、新技術等の研究開発については、業務の内容についての説明が現時点のところ大変抽象的になっており、具体的にどのような要素が該当するのか、また実際にはどのぐらいの方がこの業務に該当し、適用除外となっているのか、その実態についても次回の議論の際に、基礎となる部分だと思いますので、可能な限りで御教示いただけたらと思っております。よろしくお願いいたします。

○荒木分科会長 その点は、事務局はよろしくお願いします。ほかにはいかがでしょうか。

○柴田委員 休日労働についての意見です。新たな指針の 2 つ目の矢印で、「休日労働についてもできる限り抑制するよう努めなければならないことを盛り込んではどうか」ということがありますとおり、是非その点については盛り込んでほしいという立場で申し上げます。

 先ほど事務局からも話がありましたので、縷々申し上げませんが、当然時間外・休日労働は、本来は臨時的なものとして必要最少限にとどめられるべきだと思っていますので、是非そういう観点からもお願いしたいと思います。また、資料 No.2 17 ページで、これも先ほど御指摘がありましたが、少なくとも法定基準の中で働いている方も存在するということで、是非そういう観点からもお願いしたいと思います。

 ただ、法定休日の特定や法定休日の回数などに関する規定について、今後の課題として検討していただきたいということを申し上げておきます。

○荒木分科会長 ほかにはいかがでしょうか。

○川野委員 新たな指針に盛り込むべき事項について、要望を申し上げます。

 事務局案に記載があるように、労使が上限値までの協定締結を回避する努力が求められる点ですが、企業の中には、保険的に上限までの 36 協定を結ぶという傾向があるやに思います。加えて言うと、中には、そのような協定を締結するように、労働基準監督署までが指南をするような話も耳に入ってきます。

 そういうことを聞く上において、新たな指針に特例による延長時間をできるだけ短くする努力義務が規定されているわけですが、この実行計画を受けていかに上限規制の実効性を担保するかということは、非常に重要なところであると思います。

 先ほど総務課長から、過労死防止の重要な視点のご発言もありましたが、こうした実効性を担保することができなければ、この指針が形骸化してしまうという懸念があるわけで、加えて労働基準監督署による監督指導等の徹底強化をお願いしたいと思っています。特に、先ほどの資料の中にもありましたが、中小企業が 99.7 %を占めるという比率の中において、時間外労働、休日労働の 36 協定すら結んでいない所が非常に高い比率であるということです。実際には、中小企業の多くは時間外労働をしていないほうが不思議に思うようなところですので、そうした中においては、 36 協定の届出をしていない所に対する指導もそうですが、いかに上限規制の実効性を高めるかということにおいては、そういった部分の強化が必要になってくると思います。

 加えて、 36 協定の締結期間というのは、 1 年間で結ばれる所が非常に多いと思います。 36 協定を提出しようとするその中身をどう精査していくかについて、さらには今ほど、新たな指針に基づき、いかに時間外労働を短くするかということに対するチェック機能をどう高めていくかというのは、非常に重要な観点だと思いますし、具体的に実効性を高めるようなことを強化していただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○荒木分科会長 ほかにはいかがでしょうか。

○八野委員 次回の議論になるのでしょうけれども、「 (4) その他」の箇所についての意見です。川野委員が発言したことと関連するのですが、資料 No.2 17 ページにある「法定休日労働の協定締結状況と実績」の一番上の欄で、「時間外労働・休日労働に関する労使協定をいずれも締結していない」という事業場が 44.8 %という結果が出ています。

 これは同じく、平成 25 年度 労働時間等総合実態調査 の中で、 36 協定なしの事業所が、どういう状況であったのかという調査結果も確か出されていたと思います。第 119 回労働条件分科会のでも、資料が出されたと思います。

 その中で、例えば、「時間外労働、休日協定の存在を知らなかった」、「 36 協定の締結・届出を失念していた」という所が非常に多く存在します。これは前回も発言させていただいたのですが、今議論している法改正の実効性を高めるといったときに、そのベースはどこにあるのかというところもしっかりと見ておかなければいけないと思っています。併せて、その資料を提示していただきながら、その数値を見ながら、我々で検討していくということは非常に重要なのだろうと思っています。

 この点について、なぜまたあえて発言するのかというと、先ほど総務課長に詳しく説明していただいた、本日午前中に開催された過労死等防止対策推進協議会があります。過労死ゼロ、過労自殺ゼロに向けてという観点で、今日の協議会の中では、実行計画に対してかなり厳しい意見が出ていたことは事実です。先ほど説明をしていただいたので大変感謝をしておりますが、こうした現実を正確に認識するということの中で、その旨でやっていくときに、やはり実効性を高めるということが非常に重要な部分だと思っておりますので、このような観点からの資料も提示していただきながら、 36 協定の根本のところをどのようにしていくのかということも議論していきたいと思っています。

○荒木分科会長  36 協定についてはいろいろな資料もあると思いますので、実態等も含めて御披露いただければと私も考えます。ほかにはいかがでしょうか。

○川野委員 先ほど言い漏らした点を補強させていただきます。新たな指針に盛り込むべき事項の中で、「特例の場合に実施する健康・福祉確保措置の内容の例示」の箇所を補強する意味で、安全衛生委員会の設置義務がない中小企業、特に零細企業等に対して、労働基準法と労働安全衛生法は違う法律ですが、こうした健康確保をどう担保するかと観点からは、密接な関係にある労働安全衛生法の適用除外になるような企業の健康確保措置というのも、非常に重要な視点です。こうした部分も、新たな指針の中にどう盛り込むか、検討する必要があると思いますので、よろしくお願いいたします。

○荒木分科会長 ほかにはいかがでしょうか。特にございませんか。

 それでは、議論も出尽くしたようですので、本日のところは以上とさせていただきます。次回の日程について、事務局より御説明をお願いします。

○中嶋調査官 次回の日程、場所については、調整の上で御連絡させていただきます。

○荒木分科会長 以上をもちまして、第 133 回労働条件分科会を終了いたします。なお、議事録署名人は、労働者代表の八野委員、使用者代表の杉山委員にお願いいたします。本日は以上といたします。どうもありがとうございました。


(了)

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