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2017年3月3日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

○日時

平成29年3月3日(金)10:00~


○場所

厚生労働省専用第22会議室


○出席者

出席委員(14名)五十音順

浦 野 泰 照、○奥 田 真 弘、 川 上 純 一、 川 崎 ナ ナ、
菊 池    嘉、◎清 田    浩、  鈴 木 邦 彦、 田 島 優 子、
登 美 斉 俊、 中 野 貴 司、 濱 口    功、 半 田    誠、
増 井   徹、  南    博 信
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(6名)

渥 美 達 也、 大槻 マミ太郎、 森 田 満 樹、 山 口 拓 洋、
山 本 善 裕、 渡 辺   亨

行政機関出席者

武 田 俊 彦 (医薬・生活衛生局長)
森    和 彦 (大臣官房審議官)
山 田 雅 信 (医薬品審査管理課長)
佐 藤 大 作 (安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
林    憲 一 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
猿 田 克 年 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○医薬品審査管理課長 定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」を開催いたします。本日はお忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。

 まず、本日の委員の出席状況について、渥美委員、大槻委員、森田委員、山口委員、山本委員、渡辺委員より御欠席との御連絡を頂いております。現在のところ当部会委員数20名のうち、14名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。

 それでは清田部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。

○清田部会長 おはようございます。本日の審議に入ります。事務局から配布資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告をお願いします。

○事務局 資料の確認をいたします。本日、席上に、議事次第、座席表、当部会員の名簿を配布しております。議事次第に記載されています資料1~資料18をあらかじめお送りしております。また、今回の資料事前送付に当たりましては、多くの資料で送付時期が遅くなり、委員の皆さんに御迷惑をおかけいたしましたことを、この場をお借りしてお詫び申し上げます。次回以降は可能な限り早くお送りできるよう改善させていただきたいと存じます。このほか、資料18-1「医薬品アビガン錠200mgの承認条件について()」の差し替え資料、資料19「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料20「専門委員リスト」、資料21「競合品目・競合企業リスト」、資料22「最適使用推進ガイドライン」、参考資料として、「各品目の有効成分の化学構造式」を配布しております。

 続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リスト(資料21)について御報告いたします。資料21の1ページを御覧ください。「ムンデシンカプセル100mg」ですが、本品目は「再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 2ページを御覧ください。「ニンラーロカプセル2.3mg、同カプセル3mg、同カプセル4mg」ですが、本品目は「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 3ページです。「ゾレア皮下注用75mg、同皮下注用150mg」ですが、本品目は、特発性の慢性蕁麻疹(既存治療で効果不十分な患者に限る)を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目なしとしております。

 4ページを御覧ください。「ソバルディ錠400mg」ですが、本品目は「セログループ1(ジェノタイプ1)又はセログループ2(ジェノタイプ2)のいずれにも該当しないC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 5ページです。「ケイセントラ静注用500、同静注用1000」ですが、本品目は「ビタミンK拮抗薬投与中の患者における急性重篤出血時、又は重大な出血が予想される緊急を要する手術・処置の施行時の出血傾向の抑制」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 6ページ、「オラパリブ」です。本品目は「BRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 7ページです。「イノツズマブ オゾガマイシン(遺伝子組換え)」ですが、本品目は「再発又は難治性の急性リンパ性白血病」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。

○清田部会長 事務局からの説明に特段の御意見はございますか、よろしいでしょうか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆様の了解を得たものといたします。委員からの申出状況について御報告お願いいたします。

○事務局 各委員からの申出状況については次のとおりです。議題1「ムンデシン」退室委員なし。議決に参加しない委員は、清田委員、中野委員、南委員。議題2「ニンラーロ」退室委員なし。議決に参加しない委員は、清田委員、中野委員、南委員。議題3「ゾレア」退室委員は、南委員。議決に参加しない委員は、なし。議題4「ソバルディ」退室委員なし。議決に参加しない委員は、中野委員、南委員。議題5「ケイセントラ」退室委員なし、議決に参加しない委員は、なし。議題7「オラパリブ」退室委員なし。議決に参加しない委員は、清田委員、南委員。議題8「イノツズマブ オゾガマイシン」退室委員は、南委員。議決に参加しない委員は、中野委員。以上です。

○清田部会長 ただいまの事務局からの御説明に特段の御意見はございますか、よろしいでしょうか。よろしければ、皆様に御確認いただけたものとして議題に入ります。本日は審議事項8議題、報告事項10議題となっております。それでは、審議事項の議題1に移ります。よろしくお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料1、医薬品ムンデシンカプセル100mgの製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。本剤の有効成分であるフォロデシン塩酸塩は、プリンヌクレオシドホスホリラーゼを阻害し、細胞内に蓄積した2'-デオキシグアノシンがリン酸化され、2'-デオキシグアノシン三リン酸が蓄積されることにより、腫瘍細胞のアポトーシスを誘導し、腫瘍の増殖を抑制すると考えられております。今般、本剤は、再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫を効能・効果として承認申請されました。なお、本剤は平成20年5月の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されております。平成2810月時点において、本剤が承認されている国又は地域はございません。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は資料20にございますとおり、8名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に、審査の概要を説明いたします。

 今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国内第I/II相試験であるJ02試験が提出されました。有効性については、審査報告書24ページの上から8行目以降、また26ページの上から14行目以降、及び47ページの上から13行目以降を御覧ください。再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫患者を対象としたJ02試験の第II相部分の結果、主要評価項目とされた奏効率について、8例以上の奏効が認められた場合に有効性が認められたと判断する旨の事前に設定された基準を満たしたこと等から、本剤の一定の有効性は示されたと判断いたしました。

 安全性については、審査報告書27ページの上から1行目以降、及び47ページの下から15行目以降を御覧ください。本剤の使用時に特に注意すべき有害事象として、血液毒性、感染症、エプスタイン・バーウイルス関連悪性リンパ腫、エプスタイン・バーウイルス関連悪性リンパ腫以外の二次性悪性腫瘍、末梢神経障害、皮膚障害及び心不全が認められております。これらの有害事象については、造血器悪性腫瘍の治療に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には、本剤を使用した全例を対象とした使用実績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。

 以上のような審査の結果、機構は、再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は、希少疾病用医薬品に指定された新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は10年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○清田部会長 委員の先生方からの御質問、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。

○菊池委員 今日の審議事項で時々、「再発」又は「難治性」という言葉が出てきますけれども、この「再発」というのは、何かの治療で一旦PR以上になって、それから悪化したというのが、再発ですよね。

○医薬品医療機器総合機構 今回の定義ではそうさせていただいております。

○菊池委員 多分、2番目以降からも同じ質問をすると思いますので、皆さん準備しておいてください。それで、再発が何例で、難治性に対しては何例で使ったかは把握されていますか。

○医薬品医療機器総合機構 少々お待ちください。

○菊池委員 ほかの方にも同じことを言いますから。全体で、何例投与されたかを、すぐ答えられますか。

○医薬品医療機器総合機構 全体としましては、41例がII相部分の対象症例になります。

○菊池委員 その中のどれが再発なのですか、どれが難治性ですか。それは書かれてないのですよ、簡単に分からないのです。例えば再発例のものがほとんどであって、難治性に対しても有効性が認められそうだということで認めているのか。ちゃんとその難治性だというのか。PTCL自体がもともと難治性で、これも前回も多分MMか何かのときに同じことを言っているのですが、はたして、それでいいのでしょうかということです。それを調べている間に他の方にお伺いしますけれども、安全性のところでも、かなり血液毒性も強いですし、感染症も起きてきて、これは更に二次性の悪性腫瘍が結構出ていますが、EBウイルス関連のものが出ていますけれども、これは海外の治験でも同じであって。あと、添付文書中にその記載を捜しましたけれども、なさそうですが、それはどこかに書いてありますか。

○医薬品医療機器総合機構 まず、海外の成績から御説明申し上げます。今回、PTCLに対する開発は国内のみで行われました。海外では、CTCLの患者を対象とした試験が実施されています。CTCLの患者を対象とした試験における試験状況については、EBVが1例であり、海外臨床試験では1例のみ報告されております。日本の成績で、やはり多く出たという状況でした。

 添付文書での注意喚起につきましては、「重大な副作用」の項におきまして、エプスタイン・バーウイルス関連悪性リンパ腫について注意喚起をさせていただいております。これは国内の臨床試験の成績に基づいた注意喚起とさせていただきました。

○菊池委員 はい、分かりました。本日のこのあとの審議事項でも、それぞれ再発と難治性について確認させていただきますので、ご準備お願いします。

○医薬品医療機器総合機構 調べがつきまして、直近の悪性腫瘍剤に対する治療効果として、全員がPR以上という成績になっております。審査報告書23ページ、今回はそのPR以上の方を対象として行いましたので、全例でPR以上というようになっております。

○菊池委員 だから再発した人という意味で当たり前ですよねということで、それは確認なので。ですから、何例の人がその再発例で、難治性が何例なのかというのは多分、ちょっと見ただけでは分からないので、実際にその難治例が1例もないのに効能・効果にあげてもいいのかとか、そういうことを質問しているのです。臨床家としては稀少疾患に対する適応のある薬剤の登場は非常に有り難いわけですが、治験段階で、難治性の実例が全くなくてもこの疾患にお詳しい経験豊富な先生が難治性にも効果がありそうであるからという判断を下しても良いのでしょうかという質問です。海外でもやっていないことをやるわけですから、そういう経験則だけで薬を出していいのですかということを申し上げているわけです。

○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。

○清田部会長 結局、難治性が適用になるのかという話ですね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○清田部会長 では、考えていただいて。半田先生、どうぞ。

○半田委員 類似の質問ですけれども、当該の製品は、もともとvitroでの抗腫瘍効果というのはT細胞全体ではなくて、その中の病型によって異なりますよね。例えば、HUT78のT-Cell LymphomaCell linesには効いてないということがあって、実際にN数が非常に少ないI/II相試験の限られた中で、その中でも一番多い病型に対しては効果があるということですけれども、それ以外のところの効果は、N数が少ないですから、評価はできないですよね。この辺を総括して全て、いわゆるPeripheral -Cell Lymphomaに対して、その適用を出すのはいいのかと。もちろん、これは機構で、それを懸念されているわけですけれど、この辺はどう考えられますか。

○医薬品医療機器総合機構 審査報告書の33ページ、表17に示すように非特定型のPTCL、AITLについて奏効が認められたという点は、御指摘のとおりです。それ以外の組織型で登録された方々は、1、2例であり、それらでは奏効は認められなかった。また次の34ページの所で議論させていただきましたけれども、今回のJ02試験の対象とならなかった組織型についても、その成績は得られていないということ。あと、先ほど菊池委員からも御指摘いただきましたけれども、PR以上の効果が得られなかった患者、今回の除外された方々についても検討を行いました。先ほど半田先生がおっしゃられたとおり、薬理作用の面が一つの理由として考えられたわけですけれども、あとは実際に、このPTCLの患者自体が全体としてとても少ない病気であり、組織型ごとに臨床試験を実施して、その有効性を個々の組織型ごとに検討することは困難ではないかという点、それからPTCL自体がOSを延長する治療がないということと、組織型ごとの治療体系に差があることは考えられないのではないか、その辺から専門の先生にお使いいただくということも加えまして、添付文書の臨床成績の項で、今回の対象となりました患者の前治療歴、組織型、それから有効性の成績を記載した上で注意喚起をして、許容してはどうかと考えた次第です。

○半田委員 そうだと思うのですね。ただ、先ほどの御指摘もあったように、添付文書の書き方が余りにも表面的で、注意喚起の内容が、後でよく見ないと分からないですね。申請薬剤の適応対象として難治性とか再発性とかがすごく多いですよね。この後も同じですけれども、もう少し根拠となった臨床試験の対象者のプロファイルをきちんとして、今の現時点ではどこに効いていて、どこには確証がないとか、もう少し添付文書を親切に書かせるようにしないと濫用につながったり、先ほど言ったように非常に強い副作用がありますので、その辺もやはり添付文書の書き方で、もっと前面に持ってきていただきたいと私は思うのです。次のも、そうです。全く同じで、その辺が何となく添付文書で、その辺を隠しているのではないか、隠すという意味では余り言及したくないから、ともかくまず使ってくれというような感じで、特に希少疾患を対象としてた薬剤は、そういう傾向があると思うので、添付文書の書き方をもう少し、一律に指導していただくといいのかなと思いますけれど、いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。添付文書の4ページ目に臨床成績の項があります。こちらでは、直近の治療でPR以上が認められた方ということと、実際に登録された組織型、そしてその下に、今回の成績については、そこの状況と奏効率を含めて記載をさせていただいてはいるのですが、いかがでしょうか。

○半田委員 そうですね、ですから例えば、添付文書だったら5ページの一番最初の所ですが、効能・効果に関連する使用上の注意の所にもう少しきちんと明記していただくと。病型によってとか、何かその辺を。そこで注意喚起すれば、その後見るではないですか。そういうところがもう少し、添付文書の形として反映していただけるといいかなと思います。

○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。今現在、先生の御指摘いただいた5ページの効能・効果に関連する使用上の注意の記載としましては、臨床試験に組み入れられた患者の組織型について、「臨床成績の項の内容を熟知し」というように書かせていただきまして、この「使用上の注意」の項に、その成績を書いてしまうと、すごく分かりにくくなってしまうために、実際の成績は後のほうに書かせていただいて、注意喚起としてはそこをちゃんと見て使ってほしいというような。

○半田委員 そこを見ろというような、そういう書き方をしていただければと思います。実際のところ、なかなか後は見ないです。だからそういうところがあるといいかなと、これは形式上の問題です。

○清田部会長 ありがとうございます。改めて菊池先生、いかがですか。

○菊池委員 承認された時期、年代によって添付文書の記載が不統一なことは致し方ないことだとは思うのですが、やはり、この薬をPTCLに使ったらEBウイルスが活性化してくること、特に日本人にはEBが多いわけですから、そうした特異な注意喚起をもっと前のほうにしたほうがいいと思いましたので言わせていただきました。

 ついでに言わせてもらうと、添付文書の主要文献の多くが自社資料が列挙されているものもたくさんありますけれども、そんなの意味があるのですかと思うのです。請求したら自社資料を出すのかもしれませんけれども、こういうのは非常に根拠が弱いですよね。今日こればかり言っていると、先に進みませんので、本薬がVivoでもそんなにしっかり効いてないということは、機構もよく分かっているわけですよね。もともと難治性のPTCLに奏功を期待してでの承認となる事は理解できますが、先々何か重篤な有害事象があれば、この中にいる人たち皆が専門家としての責任を問われるわけですよね。だからいつもこうして朝から怒っているわけです。そういうことです。

○清田部会長 よろしいですか。非常に少ない数の病気であるということ、その中でどういう条件で通していくのかを御指導いただいているわけですけれども、今のを参考にしていただいて、添付文書の指導をお願いするというような条件でいかがでしょうか。ほかに御意見はございますでしょうか。

○浦野委員 直接、審査内容に関係ないのですけれども、資料が結構間違っている所が多いのです。特にそれが原薬の構造式とか、そうしたものの書き方で、かなり間違っているのですね。2.3.Sの15ページぐらいから始まるのですが、例えば、図の中に書いてある上から三つ目の構造式に、「OMe」と書いてあるのですが、そのメチルの「e」が、なぜか上付きだったりとか、ものすごく怪しいのがすごく多いです。非常に多くて、これはまずいかと思うので、この2.3.Sは、もう一回かなりチェックしたほうがいいと思います。

 あとキャラクタライズも、本当にこれで合っているのかなというのが結構出てきまして、例えば、質量分析の数字とかも、ローマスとは言え、普通に考えたら、これは外れすぎというぐらい、1弱が外れているものとかが結構出てくるのです。その辺が本当にこれでいいのかというところを、もう一回しっかり精査したほうがよろしいかと思いますので、一応指摘しておきます。

○清田部会長 いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。確認させていただきます。

○清田部会長 確認していただくということで、また御報告は後でしていただければと思います。それでは、ここで議決に入りたいと思います。なお、私と、中野委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。いろいろございますけれども、本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは議題の2に移ります。

○菊池委員 すみません、今日の最後までに、さっき質問したことについてお答えいただくということで。最悪、事後報告いただければいいですけれど。次のも同じですね。

○清田部会長 先ほどの「再発性」「難治性」に関して、それぞれ意識しながらプレゼンしていただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構 先ほどの難治性の方がいたのかどうかの点については、難治性に該当する方はいらっしゃらなかった、臨床試験の対象としてはいなかったということです。

○菊池委員 そうすると、いよいよ、その難治性のものを承認すること自体で、申請企業に取り下げてもらわなければいけないのではないでしょうか。やってないわけですよね難治性に対しての治療は。そういう理屈になりませんか。

○医薬品医療機器総合機構 考え方としましては、先ほどのPR以外の効果の方とか、登録されなかった組織型の方と同様に考えております。また、製販後調査、全例調査を行いますけれども、そこで登録された方全例の有効性についても、今回は収集させていただくこととしまして、その効果の状況について、製販後においても確認をしたいと考えております。その計画につきましては、審査報告書の50ページの「有効性に関する検討事項」の表25になります。それから表27の所に、計画の骨子については書かせていただきました。

○清田部会長 ということでよろしいでしょうか。

○菊池委員 しょうがない。

○清田部会長 必ず再評価をしていただくということですね。それから「難治性」に関してはデータがないということも広く周知していただくということで、何とか、お許しいただければと思います。よろしいでしょうか。

 そうしましたら、議題2に移ります。機構から概要の御説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料2、医薬品ニンラーロカプセル2.3mg他の製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。本剤の有効成分であるイキサゾミブクエン酸エステルは、プロテアソーム活性を阻害することにより、腫瘍細胞のアポトーシスを誘導し、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。今般、本剤は再発又は難治性の多発性骨髄腫を効能・効果として承認申請されました。なお、本剤は平成28年1月の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されております。本剤は、平成2811月時点において、多発性骨髄腫に係る効能・効果にて、六つの国又は地域で承認されています。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料20にありますとおり8名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明します。

 今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国際共同第III相試験であるC16010試験が提出されました。有効性については、審査報告書38ページの上から2行目以降、44ページの上から4行目以降、及び72ページの上から13行目以降を御覧ください。再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象としたC16010試験の結果、主要評価項目とされた無憎悪生存期間について、全体集団において、レナリドミド水和物とデキサメタゾンとの併用投与群と比較して、本剤、レナリドミド水和物及びレキサミナゾンの併用投与群で優越性が示されたこと等から、本剤の有効性は示されたと判断しました。一方、日本人集団に関する部分集団解析からは、全体集団との結果の一貫性は確認できませんでした。

 安全性については、審査報告書48ページの上から10行目以降、72ページの上から12行目以降を御覧ください。本剤の使用時に特に注意すべき有害事象として、血小板減少症、胃腸障害、末梢神経障害、皮膚障害、感染症及び可逆性後白質脳症症候群が認められております。これらの有害事象については、造血器悪性腫瘍の治療に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断しました。

 以上のように、C16010試験の部分集団である日本人集団における本剤の有効性に関して、全体集団との一貫性は確認できなかったものの、審査報告書56ページの下から3行目以降に示してありますとおり、C16010試験の全体集団において無憎悪生存期間の延長が認められていること等を考慮すると、添付文書においてC16010試験の日本人集団の結果について十分な情報提供を行った上であれば、本剤を承認することは可能と判断しました。

 ただし、日本人集団における本剤の有効性に関する情報を引き続き収集する必要があると考えることから、現在実施中の多発性骨髄腫患者を対象とした臨床試験を含めた日本人患者の有効性に関する情報を引き続き収集することが適切であると判断し、申請者に指示しております。また、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。

 以上のような審査の結果、機構は、再発又は難治性の多発性骨髄腫を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断しました。本剤は希少疾病用医薬品に指定された新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は10年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも毒薬に該当すると判断しました。薬事分科会には報告を予定しております。

 なお、先ほど菊池委員から御質問を頂いた再発、難治性別の有効性については、2.5のタブの33ページを御覧ください。

○清田部会長 タブに2.5という数字が書いてある資料です。

○医薬品医療機器総合機構 「臨床に関する概括評価」という部分です。2.5.4.3に部分集団別の解析結果があります。Refractory anylineが難治性の方の結果です。いずれかのラインで難治性になられた方が165例認められ、対照群と比較した本剤群のハザード比は0.647であり、1を下回っています。

 また、最後のRelapsed or Refractryと記載されている箇所のRelapsedが再発の方の結果です。こちらについても、ハザード比は0.769であり、1を下回っていますので、いずれの患者様においても全体集団と一貫した結果が得られていると考えております。説明は以上になります。御審議のほど、よろしくお願いします。

○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方からの御質問、御意見、菊池先生いかがですか。

○菊池委員 ですから、難治性には使っているのですかということで、それは使っているのですか。

○医薬品医療機器総合機構 はい、使っております。

○菊池委員 それで、46ページのところで、日本人に本薬を投薬されたのは20名ですね、その内訳はどうなっているのですか。

○医薬品医療機器総合機構 そこについては、難治性の方はいらっしゃらず、全例が再発の方でした。

○菊池委員 また同じことですけれど。

○医薬品医療機器総合機構 申し訳ありません。本薬群では20例のうち2例が難治性の方でした。再発の方は18例です。

○菊池委員 それが本薬を投与しているほうの。

○医薬品医療機器総合機構 本薬が投与されています。

○菊池委員 分かりました。

○医薬品医療機器総合機構 20例中2例。

○菊池委員 だから、再発はよいのですが。ですから、難治性としては今度もいないわけですね。

○医薬品医療機器総合機構 2例いらっしゃいました。

○菊池委員 2例いるのですか。

○医薬品医療機器総合機構 再発で。

○菊池委員 難治性ですよ。

○医薬品医療機器総合機構 難治性の方が2例いらっしゃって。

○菊池委員 難治性の人がいる、難治性だと判断している人がいるのですか、こちらには。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○菊池委員 その人には効いているのですか。その人はPRとかになっているのですか。ですから結局、海外の評価もいいですが、日本人の希少集団に使っているのだから、そこのことを把握してほしいというのが、やはり大事なのではないのですか。

○医薬品医療機器総合機構 申し訳ありません。データをすぐに提示することができません。確認させていただきます。

○清田部会長 どうですか。非常に日本人のスタディはすごくNが少ないですね。その中で何も言えないです、実は。

○菊池委員 それで、意地悪な言い方ですが、一貫性がないことを、母集団と日本人の部分集団で一貫性がないことを分かっていると強調されている中で、このように言っているわけですから、日本人20人に投与したものをもっと詳細に見ておかなければやはりよくないと思うのです。日本人部分集団に対する事象に疑問点を持たないで、ただ送られてきた資料をぼーっと見ていたら何も出てこないと思うのです。そうやって見ていかないと危ないことを見逃して、本来は機構が母集団(海外を含めた全体)と日本人部分集団の違いを審議してもらって、私たち審議会委員がその報告を見るという役目なのではないのですか、そのように思いました。

○清田部会長 いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 確認をさせていただきたいと思います。

○清田部会長 半田先生、どうですか。

○半田委員 すみません、同じような質問で再び申し訳ございません。前治療として、例えば添付文書の4ページの一番最初のところには、「少なくとも一つの標準的な治療が無効又は治療後に再発した患者を対象とすること」ということで今、ベルケイドが標準治療として一般に使われています。もちろん本剤は経口薬で末梢神経障害は少ないということで待ちに待った薬だと思うのですが、前治療というところでベルケイド不応性のものに効くかどうかというところは、今回の臨床試験では見られていないわけですね。違いますか。

○医薬品医療機器総合機構 ベルケイドの使用歴がある患者には使用されていますが、ベルケイドに難治性であった方は除外されていたので使用されていません。

○半田委員 なるほど。ですから、その対象は、先ほどの繰り返しになりますが、この添付文書上では、4ページの下のところに、「臨床成績」の項の内容を熟知して使ってくださいと書いてあります。臨床成績をざっとめくって添付文書の7ページを見ますと、確かに臨床成績として今の国際共同試験が出ていて、7ページの右側の一番下に小さくて細い字で、「レナリドミド又はプロテアソーム阻害剤に難治性の患者は除外した」と書いてあります。ですから、これは確かに書いてあるのですが、何か注意喚起上、形式上で、それをもう少し前面に持っていくとか、そういうことをしてもいいのではないのかと。でないと、またこれは濫用という言い方はちょっとおかしいのですが、市販後の調査でその辺は分かってくることは確かに分かるのですが、やはり添付文書としてきちんと国が示していくということです。きちんとそういう結果を評価していることをもう少し示すべき、そういう書き方の指導をすべきではないかと、ちょっと思いますが、いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 これまでも同様の記載をしており、そこも含めて分かりにくいという御指摘だと思いますが、そのような理解でよろしいでしょうか。

○半田委員 ですから、今回もこのような小さな字ではなくて、もう少しはっきり書くとか、そういう形式上のことを言っているだけです。

○医薬品医療機器総合機構 分かりました。強調したいと思います。

○清田部会長 強調するように、是非御指導いただきたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 申請者に伝達したいと思います。

○清田部会長 よろしくお願いします。さて、今日は終わるかどうか心配なのですが、ここら辺でお許しいただいて。どうぞ。

○川上委員 患者さんへの服薬説明上のことで教えていただきたいのです。外箱を開けて内箱の裏面を見ますと患者さんへ、飲み忘れたとき、72時間以内であれば、あるいは72時間以上であればというように、飲み方の指示があるのですが、その根拠はどこにあるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 この薬は、かなり半減期の長い薬剤であり、1日程度投与時期がずれたとしても定常状態に達していると血中濃度が大きく変わらないと考えられ、臨床試験においても、「飲み忘れた場合に」同じ取扱いとして実施し、有効性、安全性が確認されたことから、試験における取扱いと同じ内容を記載しております。

○川上委員 そうしましたら、添付文書の6ページ目左側に、9.適用上の注意があります。そこの「服用時」というところに、「潰したり噛んだりしないで」という飲み方の一般的な注意はあるのですが、その下に、飲み忘れたときの患者さんへの指導を書いておいたほうが医療関係者にその情報がきちんと伝わるように思うのですが、いかがでしょうか。要するに、この内箱を見て初めて分かるのではなくて、本来、情報源というのは添付文書であるべきではないのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 別途RMPに紐付いた患者向け資材を作成していただく予定であり、その情報につきましては、当該患者向け資材において、分かりやすく記載しますので、そちらで確認いただけるかと思っております。

○清田部会長 添付文書上には付け加えられないのですね、今の御指摘は。

○川上委員 医薬品は本来、内箱とかボトルだけが薬ではなく、添付文書もきちんと備わって流通上も医薬品として取り扱うべきで、医療関係者は内箱や資材を見に行くということは少ないと思うので、添付文書にも必要な情報はきちんと備えていただきたいというのが、患者さんに説明する上での考え方かと思います。

○審議官 御指摘ありがとうございます。昨日の医薬品第一部会でも川上委員から同じ御指摘を頂いたかと思いますので、検討させていただきたいと思います。

○清田部会長 是非、その方向になるように御検討を頂くということでよろしいでしょうか。

○南委員 今のディスカッションですが、内服の仕方に関しては添付文書で縛るほどの内容ではないように、私は実際のユーザー側として思います。これは資材として、適正使用ガイドとかで十分徹底すればいいものではないかと思います。それから、臨床上の成績を考慮してという文言も、これが書いてあれば医者はそこを見ますので、少なくとも専門医が使用する場合には、それに準じた使用法をするものと私は個人的には考えています。

○安全対策課長 1点補足なのですが、添付文書のほかに、実は「患者向医薬品ガイド」というものを機構のホームページに掲載させていただいています。これは製薬企業の方に御協力いただいて作成しているのです。「患者向医薬品ガイド」の中では、飲み合わせの際の対応とか、過量投与の対応というのを患者さんが分かりやすいような形で、添付文書と似たような様式で作成していますので、それを公のものとして添付文書同様に見ていただけるような環境整備を我々の方でもしております。

○清田部会長 今の点に対しましては、いかがですか。川上先生よろしいですか。なるべくその方向で御指導を頂くということで御理解いただいてよろしいでしょうか。

○浦野委員 1点だけちょっと質問があるのです。審査報告の6.1.4に、「本薬のPKに及ぼす胃内pHの影響」という項目があるのです。胃内pHにかかわらずPKはほとんど影響を及ぼさないのではないかと書いてあるのですが、これは何かデータはあるのですか。実際に構造を見ると、これはかなりpHによって脂溶性、水溶性がガラッと変わる物質ですし、実際にこれがクエン酸エステルで効いているわけではなくて、加水分解されてから効くのかと思っていたのです。そうすると、加水分解速度はかなり違うはずなのです。そこに対してはこの影響は低いと考えるというだけでよろしいのか、何かデータがないと、これでいいのかなと思ったのですが、そこに関してはどうでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 26ページに記載してありますように、pHが1.26.8の間で溶出性を検討していますが、その範囲において、いずれも30分以内の溶出することが確認されていますので、低胃酸の方に投与された場合であったとしても同じような溶け方をすると考えられます。

○浦野委員 ですから溶出ではなくてPKなので、溶出はもちろんそうなのですが、その後のPKに関して酸性が関係なくても大丈夫なのかと、かなり。

○医薬品医療機器総合機構 血中からの消失自体がかなり遅いので、AUCに影響してくることはほとんどないと考えております。

○浦野委員 それは、もうデータとしては大丈夫なのですか。

○医薬品医療機器総合機構 血球移行するので、実際には吸収されれば。

○浦野委員 溶出というのは、では血中移行のことを言っているのですね、この溶出率というのは。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○浦野委員 分かりました。それならいいです。

○医薬品医療機器総合機構 溶出率が血中移行のことを言っているかということでしょうか。

○浦野委員 はい、溶出率が書いてあるのですね、ここには。溶出率が変わらないという。

○医薬品医療機器総合機構 溶出した後、吸収は変わらないということ。

○浦野委員 いや、そこがCOOHだと全然違うと思うのです。カルボン酸が2個も、これは物質として入っているので、PKを考えるとpH2とpH6は全然違うと思うのです、水溶性が全く異なるので。そこはデータがないと、PKが影響を受けないとは言えないかと思うのです。

○医薬品医療機器総合機構 吸収率の結果ではないので、再度確認をします。

○浦野委員 お願いします。

○清田部会長 それでは、そろそろ議決に入らせていただきたいと思います。ただいまの、この議題を御承認いただけますでしょうか。ありがとうございます。何とか御承認いただけたということで。ごめんなさい、議決に入る前に、私と中野先生、それから南先生におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして議決への参加を御遠慮していただくという前提での議決です。御承認いただけたということで薬事分科会に御報告させていただきたいと思います。それで、ようやく議題3です。南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議題3の審議の間、別室で御待機いただくことといたします。

                                  ( 南委員退室)

○清田部会長 それでは議題3の説明をよろしくお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料3、ゾレア皮下注用75mg他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。本剤の有効成分であるオマリズマブ(遺伝子組換え)は、抗ヒトIgEモノクローナル抗体であり、IgEと受容体との結合を阻害することにより、肥満細胞、好塩基球等の活性化を調節すると考えられております。本邦において、本剤は気管支喘息に関連する効能・効果で承認されています。今般、特発性の慢性蕁麻疹に関する効能・効果を追加する承認事項一部変更承認申請がなされました。なお、本剤は、慢性特発性蕁麻疹に関する効能・効果に対し、201612月時点で、米国、欧州を含む85か国以上で承認されています。本申請の専門委員として資料20に記載されております5名の委員を指名しました。

 主な審査内容について臨床試験成績を中心に簡単に説明します。有効性については審査報告書11ページ、「7.1国際共同第III相試験」の項を御覧ください。特発性の慢性蕁麻疹の標準治療である抗ヒスタミン薬で効果不十分な患者を対象とした国際共同第III相試験において、主要評価項目である投与12週時の週間累計そう痒スコアのベースライン値からの変化量は、12ページの表7のとおりであり、プラセボに対する本剤150mg及び本剤300mgの優越性が示されております。また、表8のとおり、日本人部分集団の成績は、全体集団と同様の傾向が認められました。以上より、特発性の慢性蕁麻疹に対する本剤の有効性は示されていると判断しました。

 なお、効能・効果につきまして、審査報告書26ページに記載のとおり、本剤の投与対象は抗ヒスタミン薬で効果不十分であり、症状を誘発する原因が特定されず、かつ継続的に症状を有する蕁麻疹患者であることから、「特発性の慢性蕁麻疹(既存治療で効果不十分な患者に限る)」とすることが適当と判断しました。

 次に、用法・用量について審査報告書をお戻りいただき、14ページを御覧ください。国際共同第III相試験では、14ページの表11のとおり、主要評価項目である週間累計そう痒スコアは300mg群では150mg群と比較して1.4のスコアの改善が認められたこと、また、副次評価項目についても、本剤150mg群と比較して本剤300mg群でより改善が認められたこと等から、本剤300mgを4週間ごとに皮下注射すると設定することは可能と判断しました。

 安全性について、審査報告書15ページ以降の「7.R.2安全性について」の項を御覧ください。国内外の臨床試験における有害事象の発現状況は16ページの表13、及び17ページ表14のとおりであり、現時点で、既承認の効能・効果である気管支喘息患者と比較して、特発性の慢性蕁麻疹患者において本剤投与による新たな安全性上の懸念は示されておらず、気管支喘息と同様の注意喚起を行うことが適当であると考えております。

 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本申請は新効能・新用量医薬品としての申請であることから、再審査期間は4年とすることが適切と判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。以上です。よろしく御審議のほどお願いします。

○清田部会長 ありがとうございました。先生方からの御質問、御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。

○菊池委員 これはジフェンヒドラミンを使っていますが、これは第1世代のH1ブロッカーですね。それで、このプロトコルを見ると80mgまでしか使っていないので、この量は全然普通のジフェンヒドラミンの常用量よりも少ないです。それでもってコントロールできないので、既存治療で効果不十分だということは言えるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 今回の試験では、ジフェンヒドラミンは、試験期間中のレスキュー薬としての使用となっております。

○菊池委員 ではないですね。最初のところでやっています。そこの段階で、ジフェンヒドラミンを使って、それでも良くならないことをもって慢性だと考えているわけですね。11ページにありますが、D-ですから2週間、1~2週間、その間にジフェンヒドラミンを使って、そのときのMAXドーズも80mgです。それでという感じですね。

○医薬品医療機器総合機構 御説明が足りず申し訳ありません。ジフェンヒドラミンは必要に応じての服用となっておりまして、レスキュー薬として設定されているものです。基礎療法としての抗ヒスタミン薬は、既存のヒスタミンH1受容体拮抗薬の承認用量を使っても、効果不十分な患者ということになります。

○菊池委員 分かりました。そうしたら、添付文書に、H1受容体拮抗薬を使ってということをもっと明記しなくていいのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 CTD1.8の項、添付文書案を御覧ください。1ページ目の右側の欄になります。「効能又は効果に関連する使用上の注意」の2.特発性の慢性蕁麻疹の項に、「ヒスタミンH1受容体拮抗薬の増量等の適切な治療を行っても」という表現で情報提供をしております。

○菊池委員 では、それでいいことにします。でしたら、あとUASというスコアの説明は、この送られた中の資料にありますか。

○医薬品医療機器総合機構 審査報告書11ページを御覧ください。

○菊池委員 その脚注ですね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○菊池委員 その脚注の説明では分からないと思います。専門でない人には、このスコアが主要評価項目になっていて、この辺が痒いだとか、膨疹の数が幾つだとかそういうことをもって評価しているわけですね。それの詳しい説明を省略して、どういう評価をしているか分からないようなところで、これはプラセボでも大体マイナス5とか下がっています。本剤300mgで、10とか下がっているから、それをもってこの自覚的な改善と評価している。とはいえ他の測り方がないので、前も、この議論は他のアレルギー薬でも申し上げましたが、そういう値をもってそこが統計的に有意に下がったから有効だというしかないのですか。

○医薬品医療機器総合機構 そのように考えております。

○菊池委員 この中の委員さんの中に、この脚注の中の、このことに、よほど興味を持たれていなければ何を言っているか全然分からないと思うのです。このUAS7というのが1日のUASを7日間合計したスコアということと理解しましたが、この間も、医者が1回だけ診ればいいということで、あとは全部自己申告ですね、これは。ということですね。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘のとおりです。

○菊池委員 でしたら、こういった記載でやっていることを、結構これは一番肝心な部分のデータを取るところのやり方の説明が不十分で、これだけ厚い資料をもらっても、説明が不十分なのは本当に不親切だと思います。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。この表の主要評価項目に関する説明については、今日いただいた御意見を参考に、今後はもう少し分かりやすい表記にしていきたいと思います。

○清田部会長 これからは、そういうスコアを書いておいていただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構 検討させていただきます。

○清田部会長 今日、大槻先生がいらっしゃらないのでとても残念なのですが、皮膚科の御意見も是非伺いたかったのですが、残念ながらいらっしゃらないので、こういう手法で皮膚科領域は評価しているということも御理解いただければと思います。ほかに御意見はございますでしょうか。

○菊池委員 すみません、もう一つあって、本試験を日韓でやっている検討で、症状の有意差をもって語っていますが、結局、日本人はプラセボを抜いたら全部で69人しかいないのです。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○菊池委員 それで、この病気自体は結構な頻度で世の中にあるはずであって、これが出たから進めてしまうということになると思うのです。それで大丈夫なのですか。

○医薬品医療機器総合機構 今回の臨床試験では、検証仮説に基づき、臨床試験全体の例数が各群70例程度、本剤群の合計は140例程度の計画となっており、表8にお示しましたとおり、各群いずれも全体集団の約半数が日本人症例となっております。また、蕁麻疹という括りでは、患者数は多くなりますが、今回、特発性という原因不明であって、標準治療不十分な慢性的に症状が続く患者数となると、かなり限定されると考えております。

○清田部会長 案外少ないという、そういう条件の中での試験だということですね。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘のとおりです。

○清田部会長 よろしいでしょうか。ほかに御意見はありますでしょうか。ありがとうございます。それでは議決に入ります。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告させていただきます。別室で待機されています南委員をお呼びください。南先生が戻っていらっしゃいましたら議題4には移りたいと思います。

                                  ( 南委員入室)

○清田部会長 それでは、議題4について機構からの説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料4、医薬品ソバルディ錠400mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定の要否について、機構より御説明させていただきます。

 なお、本剤は、リバビリンとの併用レジメンとして使用されるため、本日の報告事項の議題1、資料9、医薬品レベトールカプセル200mgの製造販売承認事項一部変更承認について、及び議題2、資料10、医薬品コペガス錠200mgの製造販売承認事項一部変更承認についても、併せて御説明させていただきます。

 本剤、医薬品ソバルディ錠400mgの有効成分であるソホスブビルは、C型肝炎ウイルスのNS5Bポリメラーゼを選択的に阻害する抗ウイルス剤であります。レベトールカプセル200mg又はコペガス錠200mgとの12週間併用レジメンで、ジェノタイプ2のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変に対する治療薬として承認されています。

 本邦におけるC型肝炎ウイルスの感染患者は、150万~200万人と推定されていますが、このうちジェノタイプ3の感染患者は国内で約2,800人、さらにジェノタイプ4~6の感染患者は極めて少数と推定されています。現在、本邦においてジェノタイプ3のC型慢性肝炎患者又はC型代償性肝硬変患者には、インターフェロン製剤を含む治療法が使用可能ですが、忍容性等の懸念から、インターフェロン製剤を含まない新たな治療法が望まれています。日本エイズ学会、日本肝臓学会、日本血栓止血学会等より、ジェノタイプ3のC型慢性肝炎患者又はC型代償性肝硬変患者に対する、ソホスブビル及びリバビリン24週間併用レジメン(以下、本併用レジメンと略します)の適応追加の開発要望が出され、厚生労働省で2016年8月に開催された「第28回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、「医療上の必要性が高い」と評価されました。今般、海外臨床試験成績及び国内臨床研究等に基づき、本併用レジメンの承認事項一部変更承認申請が行われました。

 海外においては、ジェノタイプ3のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変患者に対して、本併用レジメンは、欧米を含む69の国又は地域で承認されています。また、ジェノタイプ4~6のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変患者に対する本併用レジメンは、欧州において、ペグインターフェロンαの投与に不耐容、又は不適格な患者に対してのみ適用可能となっています。本申請の専門委員として、資料20に記載の6名の委員を指名しました。

 臨床試験成績を中心に審査内容について説明させていただきます。ソバルディ錠の資料として添付されている審査報告書を御覧ください。有効性について、審査報告書22ページの表13です。

 この表は、ジェノタイプ3のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変患者を対象とした海外臨床試験における投与終了後12週のHCV RNA(C型肝炎ウイルスのRNA)の持続陰性化率、SVR12率を示しています。ジェノタイプ3のC型慢性肝炎における本併用レジメンによるSVR12率は81.5100%、C型代償性肝硬変では61.7100%であり、12週間又は16週間併用投与と比較して高い傾向が認められていることから、ジェノタイプ3のC型慢性肝炎患者及びC型代償性肝硬変患者に対する本併用レジメン(24週投与)の有効性は期待できると判断いたしました。

 また、効能・効果は、「セログループ1(ジェノタイプ1)又はセログループ2(ジェノタイプ2)のいずれにも該当しない患者」であり、本邦での患者数は極めて限られているものの、ジェノタイプ4~6のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変患者も含まれることから、これらの患者に対する本併用レジメンの有効性について検討しました。これについては、審査報告書、27ページの表15及びその表15の下、「ジェノタイプ5及び6のHCV感染患者は」で始まる段落を御覧ください。まず、表15についてです。ジェノタイプ4のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変患者を対象とした海外臨床試験における本併用レジメンによるSVR12率は66.7100%であることから、ジェノタイプ3の患者と同様に、ジェノタイプ4のC型慢性肝炎患者又はC型代償性肝硬変患者に対して、本併用レジメンを国内の日常診療で使用することは可能と判断しました。

 ジェノタイプ5又は6の患者を対象とした本併用レジメンの臨床試験は実施されておりません。しかしながら、審査報告書8ページの表2に示すように、非臨床試験において、C型肝炎ウイルスのジェノタイプに関わらず、ソホスブビル又はリバビリンの抗ウイルス活性が認められていることを踏まえ、ウイルス性肝疾患に対する治療に十分な知識と経験を有する医師により患者選択が行われ、その管理下で適切に投与されることを前提とした場合、ジェノタイプ5又は6の患者に対して、本併用レジメンを使用可能な状況とすることに意義があると判断しました。ただし、ジェノタイプ3~6の日本人患者に対して、本併用レジメンの使用経験は極めて限定的であることから、製造販売後において、これらの患者に対する有効性及び安全性に関する情報について、関連学会の協力を得ながら、確実かつ速やかに情報を収集し、適切に医療現場に情報提供をする予定です。

 安全性について、審査報告書23ページの表14及び表14の下、「投与期間別の」で始まる段落を御覧ください。海外臨床試験において認められた有害事象及び副作用の発現状況を投与期間別に記載しています。24週間併用レジメンの安全性プロファイルは、既承認の12週間併用レジメンとおおむね同様であり、投与期間延長に伴う新たな懸念は認められておりません。そのため、ソバルディ錠400mg及びリバビリン製剤の現行添付文書で注意喚起されている貧血関連事象等の発現については、引き続き注意が必要と考えるものの、ウイルス性肝疾患の治療に十分な知識と経験を有する医師の管理下で適切に投与されることを前提に、本併用レジメンの安全性は管理可能と判断しました。

 以上の審査を踏まえ、機構は、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は、新効能医薬品及び新用量医薬品としての申請ですが、既に本剤に付与されている再審査期間の残余期間が4年以上あることから、本剤の再審査期間は残余期間とすることが適当と判断しています。なお、レベトールカプセル200mg及びコペガス錠200mgについては、ソバルディ錠400mgの残余期間と同じ「平成35年3月25日まで」とすることが適切と判断しています。本剤について、薬事分科会には報告を予定しています。

 なお、審査報告書の一部に誤記がありました。19ページの表11を御覧ください。表11の上から2段目の中央のカラム、及び一番右のカラムについて、本併用レジメンの対象患者を「ジェノタイプ1~4の未治療患者」と示しておりますが、正しくは、「ジェノタイプ1、3及び4の未治療患者、又はジェノタイプ2及び3の既治療患者」であったことについて、適切に修正いたします。本修正について、審査への影響はないことを確認しています。以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○清田部会長 委員の先生方からの御質問、御意見はありますでしょうか。

○登美委員 教えていただきたいのですが、効能・効果を書くときに、ジェノタイプ1~6がある中で、今、2番目に、1あるいは2に該当しないという書き方なのか、あるいは3~6に該当するという書き方が、何となく3~6と書いたほうが分かりやすいような気がしたのですけれども。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘をありがとうございます。ジェノタイプ検査は、実際の臨床現場では使用されているのですが、現在、薬事承認された検査薬は日本ではありません。そのため、セログループの表現を使わざるを得なかったというところです。

○登美委員 確認していない場合にも使うということですか、そのジェノタイプを。

○医薬品医療機器総合機構 セログループ1と2のいずれにも該当しない場合の患者は、通常のケースであれば、ジェノタイプ3~6の患者になるということです。

○登美委員 分かりました。今、使用上の注意のところに、「1あるいは2に該当しない場合は、臨床成績及び薬効薬理をよく理解した上で」とありますが、これは具体的にどこをよく見てほしいという意図なのですか。

○医薬品医療機器総合機構 まず臨床成績の項には、ジェノタイプ3とジェノタイプ4の患者の成績が書いてありますが、ジェノタイプ5とジェノタイプ6の患者の試験成績が全くないというところを示唆しております。また、薬効薬理の項では、各ジェノタイプについて、薬効として抗ウイルス効果は確認されているという情報を提示させていただいております。

○登美委員 何となくジェノタイプ2の場合、特に見なくてもいいというようにとれなくもないような気もするのです。

○医薬品医療機器総合機構 もちろんジェノタイプ2に関しては、既承認というところもありますが、本来、この品目に関しては、警告欄において、「ウイルス性肝疾患の治療に十分な知識と経験を持つ医師の投与のもとで」という警告事項もあることから、各ジェノタイプの情報に関しては十分に理解していただいて、投与されるものと理解しております。

○清田部会長 お分かりになりましたか。分かりにくいですが、よろしいでしょうか。ほかに御意見はありますでしょうか。

○菊池委員 やはりもっと科学的に、3a、4a、5a、6aと出せるわけですから、その検査の方法が今、認められていないと言うのだったら別の話かもしれませんけれども、そこら辺は、血友病の患者さんなどは莫大な研究費を掛けてやっているわけです。そこで3aのほうが駄目だから、エイズ学会のほうからやったわけで、そのための治験というか、かなりのお金が掛かっているわけです。そういうことを考えたら、やはりそこのところも、この際に検査をしっかりしたほうがいいと思いますので、そちらも考える必要があるのかと思います。別の議論になるかと思いますが、いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 ジェノタイプ検査は実際の医療現場ではかなり実施されていると認識しておりますが、薬事承認のない検査法であるため、今回の効能はこういう表現ぶりにせざるを得なかったということを御理解いただければと思います。

 もう一つは、検査薬の承認申請を指導すればよろしいのではないかという御意見かとは思いますが、日本ではジェノタイプ3~6の患者が極めて少ないため、会社のほうも開発に手を出しづらいという側面もあって、日本ではジェノタイプ3~6の検査薬がこれまで出てきていない状況であると思います。

○菊池委員 これで治したら、この先、測る必要がなくなってしまうので、そういうことだとは思いますが、やはりそこら辺は片手落ちと言ったらいけないですけれども、お分かりだとは思いますけれども。多分、この書き方が不自然だと、皆さんは思っていたと思いますね。そういうことだと思います。

○清田部会長 よろしいでしょうか。分かりづらいところもあろうかと思いますが、ここら辺で議決に入りたいと思います。中野委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。

 本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告させていただきます。

 それでは、議題5に移ります。議題5及び議題6については、続けて機構から御説明があります、よろしくお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料5、医薬品ケイセントラ静注用500mg他の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。

 本剤は、人プロトロンビン複合体を有効成分とする血漿分画製剤です。ビタミンK拮抗薬投与中の患者における急性重篤出血時又は重篤な出血が予想される緊急を要する手術・処置時の出血傾向の抑制を目的とした薬剤であり、希少疾病用医薬品に指定されています。平成24年3月に開催された第11回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議での検討を踏まえ、同年4月に、厚生労働省から申請者に対して本剤の開発要請がなされました。なお、海外では、米国を含む42か国で承認されています。本剤の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料20ページにお示しした8名の方々です。審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。

 急性重篤出血時の投与における有効性については、審査報告書17ページの表17及び表18を御覧ください。併せて、緊急を要する手術・処置時の投与における有効性については、審査報告書19ページの表20及び表21を御覧ください。いずれの投与も、止血効果及びプロトロンビン時間-国際標準比の速やかな低下を指標とした比較において、既存薬の血漿に対する非劣性が検証されました。

 安全性については、審査報告書2325ページを御覧ください。提出された資料から、本剤は忍容可能と判断しました。なお、血栓塞栓性事象及びショック・アナフィラキシーの発現リスクについては、添付文書等で適切に注意喚起される予定です。また、国内での投与経験が極めて限られていることから、製造販売後には、全例調査方式の調査を実施する予定であり、当該調査を承認条件として設定することが適切と判断しました。

 以上の審査の結果、機構は、本剤を承認して差し支えないと判断しました。また、本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、特定生物由来製品に該当すると判断しました。薬事分科会には報告を予定しております。また、本剤の承認に伴い、議題6の生物学的製剤基準の一部改正において、資料6にお示しした基準を生物学的製剤基準に追加することを予定しております。併せて御審議くださいますようお願いいたします。説明は以上です。御審議のほど、お願いいたします。

○清田部会長 委員の先生方から御質問、御意見を頂けたらと思います。いかがでしょうか。

○奥田委員 これは特定生物由来製品ということで、患者さんの同意を得て投与するという手順になると思いますが、こういう緊急時で運ばれたような患者さんに対して、同意を取るというプロセスについては可能と考えられているのかどうかということを教えていただきたいのが一つです。

 あとは、臨床試験の中で、2回目を投与した後に、肺塞栓症が表われたという記述があったかと思いますが、過量投与した場合の肺塞栓症のリスクがあるということは書いてありますが、2回目を投与するということが実際あり得るのかどうか。もし、そこに因果関係があるのであれば、2回目を投与したことによりこういうことがあることになるので、「2回目は絶対に投与するな」というようなことを書くべきなのかどうかということについて御意見を頂きたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 2点目のほうから先にお答えさせていただきます。追加投与することがあるのかどうかということですが、基本的にはないと考えております。注意喚起としては、資料1.8の添付文書()を御覧ください。添付文書()の2ページ目()の所です。本剤を投与して十分な効果が得られない場合は、患者の状態に応じ、他の適切な治療を行うことを注意喚起させていただいております。

○清田部会長 今の1番目の御質問に対しては、代諾者にお願いするというのが日常診療で普通に行われていますので、これは私はよろしいかと思います。

 2番目は、今、御説明がありましたけれども、あまりある場面ではないですね。日常の臨床で、私ども外科系ですので、これは手術しなければ死んでしまうと、ワーファリンを飲んでいる方が、という中で、ワーファリンが体の中にあると出血が多量になるので、あえてやるかというような手術の場面が一番多いと思います。そういう場面でこの薬を使って、逆に肺動脈血栓症などが起こり得るかというと、ほかのリスクと余り変わらないような印象があるのですが、それを語るにはちょっとNが少なすぎるのです。ただし、そういうリスクがあるのだという説明は十分知って手術しなければならないですね。これは日常臨床の中でのプロセスですね。処置なり、手術なりのプロセスで必要なところなので、それほど心配をなさる必要はないというような、私の印象です。

○奥田委員 分かりました。ありがとうございます。もう一つは、投与量に関して100kgを超えた人については固定用量ということになっています。これは海外でも承認用量になっているので、恐らくそこからきているのかとは思ったのですが、100kgを固定という根拠がどこかに書かれているのか読み取れなかったので、その辺りについて教えていただきたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 なぜ100kgを上限としたかという御質問かと思いますが、こちらは企業に確認しております。海外の臨床経験や市販後の経験、こちらは血友病の効能ですが、その中で、一定の人数に投与されている本剤の最大用量が5,000IUでした。ですから、5,000IUが投与の上限となるように100kgで固定しているという状況です。

○清田部会長 あまり論理的な感じではないのですけれども、一応、そのような基準を設けたというような理解かと思います。よろしいでしょうか。ほかに御意見はありますでしょうか。

○川崎委員 本製剤は血漿分画製剤で、品質上高いリスクとして、ウイルス、血漿由来のその他のタンパク質、ヘパリン、及び新添加剤であるアンチトロンビンIIIがあると考えます。それぞれの品質管理について確認させていただきます。ウイルスについて、ウイルスクリアランス試験が実施されていますが、製法が途中で変更になり、ウイルス除去用膜も変更になっています。このウイルスクリアランス試験は、どの膜で実施したものでしょうか。

 原料は、生物由来原料基準の適合品で、ヒトパルボウイルスB19の試験が実施されていると記載されていますが、HTLVについては記載がありません。どのような管理がされているかについてお聞きします。

 血液由来の他のタンパク質については、審査の過程でSDS-PAGEによる不純物プロファイル試験を設定したと書かれていますが、資料が提出されていないので、血液由来のタンパク質として混在する可能性のあるタンパク質は何か、また、それらが管理できているかということを確認させていただきたいと思います。

 ヘパリンは過去に問題になったことがありますのでお聞きします。これも審査報告書には、審査の途中で日局(日本薬局方)の規格に変更になったと記載されていますが、本日の部会資料からは、ヘパリンが日局に適合しているかどうかを確認できないので、念のために確認させていただきたいと思います。

 それから、新添加剤であるアンチトロンビンIIIの位置付けについてお聞きします。これまでアンチトロンビンIIIは新有効成分として扱われており、乾燥濃縮アンチトロンビンIIIや、アンチトロンビンガンマなどがあります。今回は添加物扱いになっていますが、新有効成分と添加剤の区別の判断基準をお聞きします。

生物学的製剤基準にアンチトロンビンIIIの規格がありませんが、本製剤の品質に影響すると思いますので、規格を設定していない理由を教えていただけませんでしょうか。

○清田部会長 たくさん御質問を頂きました。

○医薬品医療機器総合機構 一つずつ確認させていただきます。

○清田部会長 一つ一つ確認してお答えください。

○医薬品医療機器総合機構 まず1点目は、ウイルス除去膜が開発の過程で変更になっているけれども、ウイルスクリアランス試験はどの膜で実施したかということだったかと思います。それに関しては、市販予定の変更後の膜でウイルスクリアランス試験を実施しております。

 2点目は、ウイルスクリアランス試験のモデルウイルスをどのように選択したかという御質問でしたでしょうか。

○川崎委員 生物由来原料基準の適合品で、パルボウイルス試験を実施しているという記載がありますが、HTLVについては記載がないので、どのような管理がなされているのかという質問です。

○医薬品医療機器総合機構 HTLVの試験については、血漿のスクリーニングのような検査は行っておりません。

 しかし、HTLVのウイルスのモデルとなるようなウイルスを、ウイルスクリアランス試験においてスパイクしたところ、クリアランスされるとのデータが示されております。血漿分画製剤のウイルス安全性に関するガイドラインに従って試験が実施されているので、HTLVの否定試験は行っていませんが、ウイルス安全性に問題ないと考えております。

 3点目は、不純物試験として、SDS-PAGEを追加したということですが、リスクの高い血液由来タンパク質はどのようなものがあって、それはどのように管理できているかという御質問だったかと思います。

 リスクの高い血液由来タンパク質としては、トロンビンが含まれていると凝固が過剰に促進されますので、まず、トロンビンが想定されますが、トロンビンに関しては、規格に設定させていただいています。

 特定の成分に限らないのですが、本剤の投与で凝固が過剰に進まないということを確認するために活性化凝固因子試験を設定しております。

 4点目は、ヘパリンナトリウムは審査の過程で日局に変更になったが、部会資料からは日局適合品であることを確認できないというコメントでしたが、照会回答の中で確認しております。ですから、部会資料には含まれておりません。

 5点目は、添加剤と有効成分の切り分けの基準ということだったと思いますが、そちらに関しては、本剤により投与されるアンチトロンビンIIIの最大の用量は、市販のアンチトロンビン製剤で薬効を発揮する最小のアンチトロンビンの用量の約10分の1程度ということを確認しております。したがって、本剤の投与によってアンチトロンビンの薬効は発揮しないと考えていることから、今回は有効成分ではなく、添加剤であると判断しました。添加剤として含まれるアンチトロンビンの安全性は安全性試験等で確認しております。

○清田部会長 よろしいでしょうか。

○川崎委員 はい、ありがとうございました。

○清田部会長 ほかに御意見はありますでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。それでは、議決に入ります。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告させていただきます。

それでは、議題7に移ります。事務局から御説明をお願いします。

○事務局 議題7、資料7、オラパリブを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。資料7の「事前評価報告書」のタグが付いているページをお開きください。「希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書」の1ページ目の中段を御覧ください。

 申請者は、アストラゼネカ株式会社、予定される効能・効果は、BRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌となります。まず、1.対象患者数について御説明いたします。卵巣癌の総患者数は2万6,000人、このうち約13%がBRCA遺伝子変異陽性と報告されていることから、本邦におけるBRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌の患者数は3,380人と推測され、患者数が5万未満という基準を満たしているものと考えております。

 2ページ目、医療上の必要性についてです。BRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌に対しては、BRCA遺伝子変異陰性の場合と同様に、白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法が実施されますが、多くの場合は、再発又は病勢進行が認められ、予後不良です。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。

 2ページ目の中段から、開発の可能性について御説明いたします。BRCA遺伝子変異陽性の白金感受性再発の卵巣癌患者を対象に、白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法後の維持投与における本剤及びプラセボの有効性及び安全性を比較することを目的とした国際共同第III相試験が実施されました。その結果、主要評価項目とされた無増悪生存期間について、プラセボ群(中央値で5.5カ月)と比較して、本剤群(19.1カ月)で有意な延長が認められました。また、BRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌患者を対象に、白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法後の維持投与における本剤及びプラセボの有効性及び安全性を比較することを目的とした国際共同第III相試験が実施中となっております。以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えております。

 したがって、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○清田部会長 委員の先生方から御質問、御意見はありますでしょうか。特別問題がないようでしたら議決に入りたいと思います。私と、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加は御遠慮ということにいたします。

 本議題に対して、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として、薬事分科会に報告させていただきます。

 それでは、議題8に移ります。南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議題8の審議の間、また別室で御待機願います。よろしくお願いいたします。

                                  ( 南委員退室)

○清田部会長 それでは、事務局から御説明をお願いします。

○事務局 議題8、資料8、イノツズマブ オゾガマイシン(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。資料8の「事前評価報告書」のタブをお開きください。報告書の1ページ目の中段を御覧ください。申請者はファイザー株式会社、予定される効能・効果は、再発又は難治性の急性リンパ性白血病です。

 まず、1ページ目ですが、対象患者数について御説明いたします。急性リンパ性白血病の総患者数は5,000人と報告されており、患者数が5万人未満という基準を満たしているものと考えております。

 2ページ目で、医療上の必要性について御説明いたします。再発又は難治性の急性リンパ性白血病に対しては、多剤併用化学療法等が実施されておりますが、標準的な治療は確立しておらず、新たな治療薬の開発が望まれています。また、寛解に至った急性リンパ性白血病患者では、同種造血幹細胞移植の実施が考慮されることから、寛解を得られる新たな治療薬の開発が望まれています。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。

 最後に、2ページ目の中段からですが、開発の可能性について御説明いたします。再発又は難治性の急性リンパ性白血病患者を対象として、本剤と治験担当医師が選択した救援化学療法との有効性及び安全性を比較することを目的とした国際共同第III相試験が実施されました。その結果、主要評価項目とされた完全寛解率は、対照群の29.4%と比較して本剤群は80.7%と有意に高く、副次評価項目の1つとされた全生存期間の中央値は、本剤群で7.7か月、対照群で6.7か月でした。以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えております。

 したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。よろしく御審議のほど、お願いいたします。

○清田部会長 また、鬼門の「再発又は難治性」というのが出てきましたが、委員の先生方から御質問、御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。同じようなフィーリングをお持ちでしょうから、それを意識して今後進めていただければというのが、私からのお願いでございます。よろしいようでしたら、議決に入らせていただきます。

 中野委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。本議題に対して、指定を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として、薬事分科会に報告させていただきます。別室で御待機されています南委員をお呼びいただけたらと思います。

                                    ( 南委員入室)

○清田部会長 それでは報告事項に移ります。報告事項は先に御案内してありますが、機構からの御説明をお願いいたします。

○事務局 報告事項の数が多いことから、まず議題1から議題6までをまとめて御説明いたします。初めの議題1のレベトール、議題2のコペガスについては、先ほどの審議事項、議題4のソバルディの審議の際に御案内しておりますので割愛させていただきます。

 では、議題3、医薬品アニュイティ100μgエリプタ14吸入用、他4規格の製造販売承認について御説明いたします。資料11を御覧ください。本剤は副腎皮質ステロイド薬であるフルチカゾンフランカルボン酸エステルを有効成分とする吸入剤です。

 今般、グラクソ・スミスクライン株式会社より、気管支喘息患者を対象とした臨床試験において、本剤の気管支喘息に対する有効性及び安全性は確認されたとして、「気管支喘息」を効能・効果とする製造販売承認申請がなされました。機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。

 続いて議題4、医薬品ベリナートP静注用500の製造販売承認事項一部変更承認についてのち御説明いたします。資料12を御覧ください。本剤は、乾燥濃縮人C1-インアクチベーターを有効成分とする製剤であり、現在は、遺伝性血管性浮腫の急性発作の効能・効果で承認されております。

 本剤については、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、遺伝性血管性浮腫の処置前における短期予防に係る公知申請の該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成281124日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、今般、CSLベーリング株式会社から、資料に記載した効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。

 続いて議題5、医薬品タミフルドライシロップ3%の製造販売承認事項一部変更承認について御報告いたします。資料13を御覧ください。本剤は、オセルタミビルリン酸塩を有効成分とする製剤であり、現在は、成人及び幼小児のA型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療及び予防に関する効能・効果で承認されております。

 本剤については、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、新生児及び乳児のA型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療に関する公知申請の該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成281124日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、今般、中外製薬株式会社から、資料に記載した新生児及び乳児の治療の用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。

 続いて議題6、医薬品オプジーボ点滴静注20mg及び同点滴静注100mgの製造販売承認事項一部変更承認について、御報告いたします。

 本剤は、Programmed cell death-(以下、PD-1と略す)に対する免疫グロブリンG4サブクラスのヒト型モノクローナル抗体であるニボルマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在は根治切除不能な悪性黒色腫、切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌、根治切除不能又は転移性の腎細胞癌及び再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫を効能・効果として承認されております。今般、小野薬品工業株式会社から、再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌の効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。

なお、本品目については最適使用推進ガイドラインを作成することとしております。

 一度、ここまでの報告事項の議題1から議題6について御質疑を頂き、その後に、続けてオプジーボ点滴静注の頭頸部癌の最適使用推進ガイドライン()について、御説明させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。議題6までの御説明は以上です。

○清田部会長 報告事項の議題1から議題6までについて、委員の先生方から御質問はございますでしょうか。

○奥田委員 直接の審議内容ではないかもしれませんが、先ほどのリバビリンのレベトールとコペガスへの適応追加の議論ですが、これは御存じのように後発医薬品が広く使われていると思います。今回出てきているのはこの2品目だけということで、後発薬品の適応がそろわないことでの医療現場での混乱が考えられるので、今後それが速やかに整備されることを希望として出したいと思います。予定としてはどうなるのでしょうか。

○事務局 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議で開発要請がされたのは、この二つの製剤、先発品の2製剤だけですので、今回の申請はこの二つの製品に限られているというところです。

 先ほど少しお話をさせていただきましたように、このジェノタイプ2のところで再審査期間が付いていますので、それと併せて再審査が設定されていますので、後発医薬品はその再審査期間が終了しないと、その次のステップに入れないということになっています。

○清田部会長 ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。それでは御確認いただけたものとして、引き続き事務局から御説明をお願いいたします。

○事務局 ここで報告事項6に関連して、オプジーボ点滴静注の頭頸部癌の効能追加に合わせて、最適使用推進ガイドライン()を作成しておりますので、御説明させていただきます。当日配布資料の資料22を御準備ください。今回、最適使用推進ガイドライン()として、オプジーボの頭頸部癌についてのガイドライン()を作成しております。こちらに関しては、以前御確認いただいている非小細胞肺癌、悪性黒色腫と同様の全体の構成にて作成しております。

 まず、2ページはじめにとありますが、こちらに関しては今回のガイドラインの位置付けの御紹介となっております。今回、頭頸部癌の作成に当たっては、機構、また非小細胞肺癌、悪性黒色腫のときも同じように御協力いただいた日本臨床腫瘍学会、日本臨床内科医会に加えて、今回は頭頸部癌ということになりますので、日本耳鼻咽喉科学会と日本口腔外科学会の御協力の下に作成しております。3ページ目の開発の経緯と本剤の作用機序については、これまでのものと同様ですので、割愛させていただきます。

 4ページ目は臨床成績です。こちらは、先ほど御報告させていただいたオプジーボの成績になっておりまして、国際共同第III相試験で、対照群に比べて優越性を示しているという結果が得られております。6ページを御覧ください。本剤は抗PD-1抗体というものになりますが、PD-L1という受容体の発現状況によって有効性の傾向が異なる結果が得られているということで、御紹介しております。左側がPD-L1の発現率が1%以上の患者で、右側の図がPD-L1の発現が1%未満の患者になります。PD-L1の発現率が低い患者においては、対照群と同じような成績が得られているという状況になっております。

 7ページは、実際にお使いいただくときに、本剤を最適に使っていただけると考えられる施設についての要件を御説明した資料です。丸1施設についての丸1-1は、がんの治療に精通している医療機関ということで、ほかの癌種と同じような設定になっています。丸1-2は、頭頸部癌の化学療法、又は副作用発現時に十分な知識と経験を有する医師、又は歯科医師ということで要件を設定しております。こちらは、一番上の所は癌薬物療法を主とした臨床腫瘍学の研修を行っている医師で、2点目は耳鼻咽喉科領域で専門的な研修等を行っている医師、3点目が口腔外科領域で、こちらは医師と歯科医師の両方が診療する可能性がありますので、そちらの専門の研修等を行っている方ということで、歯科医師で使用される場合には、実際に全身的な管理も必要となりますので、上記のいずれかの条件を満たすような医師と緊密に連携していただくことが必要と考えているところです。

 8ページです。こちらは、ほかの癌種と同様に、副作用への対応について、専門の医療機関などと連携しながら診療していただくことが必要と考えております。

 9ページは、投与対象となる患者です。こちらは安全性に関しては、ほかの癌種と同様のプロファイルでしたので、同じような設定としています。有効性の部分については、プラチナ製剤を含む化学療法歴のある患者ということで、いわゆるセカンドラインでの使用ということになります。先ほどの丸3の所で、PD-L1の発現率によって有効性の傾向が異なるということが示唆されておりますので、こちらは1%未満であることが確認された患者においては本剤以外の治療選択肢も考慮していただくことを記載しております。

 最後の10ページ目は、「投与に際して留意すべき事項」ということで、投与にあたって気を付けていただくことを記載しています。安全性のプロファイル等については、これまでの癌種と同様ですので同じような記載をさせていただきまして、丸5の所に、本剤の有効性があるかどうかを定期的に確認するということで、臨床試験の検査の間隔などを示させていただき、定期的な効果の確認を行っていただくということとしています。こちらについて、今回御議論いただいた効能の追加とともに周知できるように、準備してまいりたいと思いますので、御質問等がございましたらお願いできればと思います。

○清田部会長 委員の先生方からの御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、報告事項の議題7以降の御説明をお願いいたします。

○事務局 報告事項の議題7、資料15、優先審査指定品目の審査結果について、事務局より御説明いたします。2ページ目に、優先審査の取扱いについての概要を示しております。この制度は、医薬品医療機器等法第14条第7項の規定に基づき、希少疾病用医薬品やその他医療上で特に必要性が高いと認められる品目を指定し、他の品目に優先して審査を行うものです。その指定に当たっては、適応疾病の重篤性、医療上の有用性を総合的に評価して判断されます。

 資料の1ページ目にお戻りください。対象品目は販売名「オプジーボ点滴静注20mg及び同点滴静注100mg」、一般名は「ニボルマブ(遺伝子組換え)」、申請者は、小野薬品工業株式会社です。今回、治癒切除不能な進行・再発の胃癌に係る効能・効果で承認申請がなされております。こちらは、事前に取りまとめられた機構の報告書に基づき、当該薬剤の優先審査の該当性について御説明いたします。

 資料の7ページを御覧ください。()適応疾患の重篤性については、当該疾患は「生命に重大な影響がある疾患(致死的な疾患)」に該当すると判断されています。()医療上の有用性について、現時点において2つ以上の化学療法歴を有する治癒切除不能な進行・再発の胃癌患者に対して、確立した有効な既存の治療法は存在しないと考えられます。また、本剤については、2つ以上の化学療法歴を有する治癒切除不能な進行・再発の胃癌患者を対象に、本剤とプラセボの有効性及び安全性を比較することを目的とした第III相試験が実施されておりまして、主要評価項目とされた全生存期間の中央値は、本剤が5.32か月、またプラセボ群が4.14か月であり、本剤群で有意に延長しました。

 次のページです。安全性については、現時点で得られている情報を踏まえると、忍容可能と考えられることから、本剤は「既存の治療法、予防法、若しくは診断法がないこと」及び「有効性、安全性、肉体的・精神的な患者の負担の観点から、医療上の有用性が既存の治療法、予防法、若しくは診断法より優れていること」に該当すると判断されています。以上を踏まえ、当該薬剤は優先審査品目に該当すると判断いたしました。

 なお、当該薬剤の承認の可否については、今後、機構での審査を経た後に、改めてこの部会で御報告をさせていただく予定です。

○事務局 続いて報告事項の議題8、希少疾病用医薬品の指定の取消しについて御説明いたします。今回は計4品目で、いずれもインフルエンザワクチンに係るものです。まず、資料16-1を御覧ください。届出者はバクスター株式会社、医薬品の名称は細胞培養インフルエンザワクチンH5N1「バクスター」です。

 本剤は、バクスター株式会社及び武田薬品工業株式会社の共同開発によって、それぞれ平成22年6月及び平成23年6月に、「新型インフルエンザ(H5N1)の予防」を予定される効能又は効果として、希少疾病用医薬品に指定され、平成25年6月18日に製造販売承認を取得しました。

 バクスター株式会社の海外法人であるバクスター・インターナショナル・インコーポレーションは、本剤に関連する技術及び資産をナノセラピクティス・インコーポレーションへ売却し、本邦においてはナノセラピクティス・インコーポレーションの日本法人が存在しないことから、バクスター株式会社は本剤の承認整理を行い、それに伴い「希少疾病用医薬品試験研究中止届」が提出されたものです。よって、本剤の本予定効能・効果に係る希少疾病用医薬品の指定を取り消すことといたしました。

 次に、資料16-2を御覧ください。こちらもバクスター株式会社の製品で、医薬品の名称は細胞培養インフルエンザワクチン(プロトタイプ)「バクスター」です。本剤は、バクスター株式会社及び武田薬品工業株式会社の共同開発によって、それぞれ平成24年9月13日に「パンデミックインフルエンザの予防」を予定される効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定され、平成25年4月18日に製造販売承認を取得しました。本剤についても先ほどと同じく、ナノセラピクティス・インコーポレーションへの売却に伴い本剤の承認整理が行われ、「希少疾病用医薬品試験研究中止届」が提出されたことから、本剤の本予定効能・効果に係る希少疾病用医薬品の指定を取り消すことといたしました。なお、これら資料16-1及び資料16-2の2剤については、共同開発を行う武田薬品工業の製造販売承認については引き続き維持されることを申し添えます。

 続いて資料16-3を御覧ください。届出者は、グラクソ・スミスクライン株式会社、医薬品の名称はGSK1557484(AS03アジュバント添加(プレ)パンデミック(H5N1)インフルエンザウイルスワクチン)です。本剤は、平成20年9月12日に「新型インフルエンザ(H5N1)の予防」を予定される効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定されました。今般、グラクソ・スミスクライン株式会社は、鶏卵培養ワクチンは新型インフルエンザパンデミック発生後の迅速なワクチン生産・供給が困難となる可能性があること、また本剤の開発当初の環境と比べ、細胞培養ワクチンの生産基盤が充実してきているため、新たな鶏卵培養の新型インフルエンザ(H5N1)ワクチンの医療上の必要性が低くなったことを踏まえ、開発中止を決定し、希少疾病用医薬品試験研究中止届が提出されたものです。そのため、本剤の本予定効能・効果に係る希少疾病用医薬品の指定を取り消すことといたしました。

 続いて資料16-4を御覧ください。届出者はアステラス製薬株式会社、医薬品の名称はASP7373(組換えインフルエンザHAワクチン(H5N1))です。本剤は平成231116日に、「新型インフルエンザ(H5N1)の予防」を予定される効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定されました。本剤は細胞培養法により製造を行う新型インフルエンザ(H5N1)ワクチンですが、アステラス製薬株式会社は、本剤の国内における開発、製造及び販売に関する独占権を有する事業者と共同開発及び独占販売に関する共同事業契約について解約を行うとともに、本剤の開発中止を決定し、希少疾病用医薬品試験研究中止届が提出されたものです。これを受け、本剤の本予定効能・効果に係る希少疾病用医薬品の指定を取り消すことといたしました。

 続いて、議題9の医療用医薬品の再審査結果について、御報告させていただきます。資料は資料17-1から資料17-5で、こちらは各品目の医薬品再審査確認等結果通知書となっています。資料17-1から順番に御説明いたします。

 資料17-1の一般的名称は、パミドロン酸二ナトリウム、販売名は、アレディア点滴静注用15mg及び同点滴静注用30mgのものです。資料17-2の一般的名称は、トスフロキサシントシル酸塩水和物、販売名はオゼックス細粒小児用15%のもの、資料17-3の一般的名称はメシル酸ガレノキサシン水和物、販売名は、ジェニナック錠200mgのもの、資料17-4の一般的名称は、イミキモド、販売名は、ベセルナクリーム5%のもの、資料17-5の一般的名称は、エタネルセプト(遺伝子組換え)、販売名は、エンブレル皮下注射用25mg及び同皮下注射用10mgのものです。

 これらの品目について、製造販売後の特定使用成績調査等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものです。

 続いて、アビガン錠200mgの承認条件について御報告させていただきます。資料18-1差し替えと資料18-2を御準備ください。このうち、資料18-1の差し替えに関しては、当日配布資料としてお配りしておりますので、お手元に御用意をお願いいたします。

 まず、資料18-2を御覧ください。こちらの1枚目の裏側、承認条件に係る評価報告書の1ページを御覧ください。ファビピラビルを有効成分とする医薬品アビガン錠200mgは平成26年3月24日に新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症(ただし、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効、又は効果不十分なものに限る)の効能・効果で承認されており、その際、頑健性の高い有効性の根拠は示されていないこと、催奇形性のリスクを有していること、国内では検討されていない用法・用量が設定されていることなどから、その承認に当たり、この1ページ中程にお示ししている五つの承認条件を付しております。

 この度、富山化学工業株式会社から承認条件2で求められていた追加の臨床試験として、US316試験、及びUS317試験の報告書が提出され、機構において評価がなされました。3ページを御覧ください。上の表1です。US316試験において、有効性の主要評価項目であるインフルエンザ6症状、すなわち筋肉痛、咳嗽、全身倦怠感、頭痛、鼻閉及び咽喉頭痛並びに熱が消失するまでの期間の中央値は、本剤群84.2時間、プラセボ群98.6時間であり、統計学的に有意な差が示され、プラセボに対する本剤の優越性が検証されました。

 4ページの表3を御覧ください。一方、US317試験において、有効性の主要評価項目であるインフルエンザ6症状、及び熱が消失するまでの期間の中央値は、本剤群77.8時間、プラセボ群83.9時間であり、統計学的に有意な差は示されず、プラセボに対する本剤の優越性は検証されませんでした。

8ページ目の中程、「機構は」で始まる段落から御覧ください。機構による評価では、2つの臨床試験において一貫した結果が得られなかったことから、インフルエンザウイルス感染症に対する本剤1,800mg800mg、BIDでの有効性は限定的なものであると判断されています。また、(2)の安全性については、新たな懸念は認められていないと判断されています。

 続いて、その下のIII.総合評価の欄を御覧ください。以上を踏まえて、追加の臨床試験を求める承認条件2については、対応され満たされたものの、今回、季節性インフルエンザウイルスに対する有効性は限定的なものであることが示されたことから、本剤が使用された場合に適正使用の遵守状況や新型又は再興型インフルエンザ感染症に対する有効性及び安全性を確認するための製造販売後調査等を実施する必要があり、9ページに記載のある承認条件を付すことが適切であると評価されております。

 続いて、資料18-1の差し替えにお戻りください。1ページ目の2.承認条件の変更についてを御覧ください。一つ目と二つ目のポツ、それぞれ承認条件1、及び承認条件2については、先ほど御説明したように、機構による評価報告書等を踏まえた変更をすることが適切と考えております。なお、現在の承認条件1については、既に対応する臨床試験結果が過去に提出され、承認条件が満たされたと判断しており、平成27年1月21日開催の医薬品第二部会において御確認いただいております。

 三つ目のポツの「承認条件3」については、事務局としては現行の承認条件1及び承認条件2が満たされたことから、パンデミック発生時に迅速な出荷が可能となるよう、平時の製造を可能とすることが適切と考えられること。本剤は、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分な新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症が発生し、本剤を当該インフルエンザウイルスへの対策に使用すると国が判断した場合にのみ、患者への投与が検討される医薬品であり、今回の季節性インフルエンザに対する有効性は限定的であることが示されたこと及び催奇形性のリスクを有していることを踏まえると、引き続き厚生労働大臣の要請がある場合に限り、製造販売を可能とすることが適切であること。これらの理由から裏面の承認条件変更案の左側の3番目のとおり、承認条件を変更することが適切と考えております。事務局からの報告事項に関する御説明は以上です。よろしくお願いいたします。

○清田部会長 御質問等はございますか。

○鈴木委員 オプジーボの適応が拡大されていくわけですが、今回対象となった頭頸部癌と胃癌の想定する患者数はどのぐらいなのでしょうか。

○事務局 頭頸部癌に関しては、おおよそ3,000人未満という形で想定していると、企業から聞いております。また胃癌は、今後の審査の状況によって実際に対象患者は異なってくると思いますが、サードライン以降の患者になりますので、こちらに関しては5,000人を切るような数字だと、企業からは聞いております。

○清田部会長 ほかに御質問はございますか。よろしいですか。それでは、報告事項の議題7から議題10については、御確認いただけたものといたします。

 事務局から引き続き御説明をお願いします。

○事務局 議題2で頂いていた御質問について、この場をお借りして回答させていただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構 議題2について、1点訂正がございます。日本人患者における難治例については、2例と申し上げましたが、本薬群では20例中8例、対照群では21例中4例が難治性でした。

 また、当該患者における有効性ですが、本薬群は8例中6例で、奏効が認められております。対照群では4例中2例でした。以上です。

○清田部会長 よろしいでしょうか。

 本日の議題は以上です。事務局から次回の御案内をお願いいたします。

○事務局 次回は4月21()の午後5時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。

○清田部会長 以上で終了いたします。ありがとうございました。

 


(了)

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 課長補佐 清原(内線2746)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会)> 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録(2017年3月3日)

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