2024年10月17日 第16回重篤副作用総合対策検討会 議事録

日時

令和6年10月17日(木) 16:00~18:00

場所

厚生労働省 専用第12会議室(オンライン会議会場)

議事

○医薬安全対策課長 それでは、定刻になりましたので、第16回「重篤副作用総合対策検討会」を開催いたします。
 本日御出席の構成員、参考人の先生方におかれましては、お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。
 本日の検討会の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしておりますので、御理解、御協力のほどお願いいたします。議事録については、後日、厚生労働省のホームページに掲載いたします。
 また、審議の方法につきましては、対面ではなくウェブ開催としており、構成員及び参考人の先生方は外部より審議に御参加いただいております。そのため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、議事に先立ち、審議の方法について説明をさせていただきます。
○医薬安全対策課課長補佐 事務局より御説明申し上げます。
 まず、ハウリング防止のため、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
 御質問、御意見をいただく際には、ミュートを解除し、初めに御自身のお名前をお知らせいただいた上で、御発言ください。
 発言のタイミングが重なったり、音声のみでの判別が難しい場合には、一度発言を控えていただければと思います。座長から順に発言者を御指名いただきます。
 会議中、マイクの調子が悪くなるなど、他の出席者にとって聞き取りづらい状況が続く場合においては、音声の代わりにメッセージに御意見等を記入していただくよう、事務局からお願いをする場合がございます。
 その他、システムの動作不良等ございましたら、会議の途中でも結構ですので、事前にお伝えしている事務局の電話番号まで御連絡をお願いいたします。また、万一事務局側のインターネット接続が切れる等のトラブルが発生した場合には、事務局から一斉にメールで連絡いたしますので、御確認いただけますと幸いです。
 御不便をおかけするかもしれませんが、何とぞ御理解、御協力のほどお願い申し上げます。
 続きまして、事務局から本日の検討会から御参画いただく先生を御紹介させていただきます。
 川名構成員の後任といたしまして、日本薬剤師会理事の井深構成員が、細川構成員の後任といたしまして、日本医師会常任理事の藤原構成員がそれぞれ着任されております。
 また、森田構成員につきましては、退任されましたことを御報告いたします。
 また、本日の構成員の出欠ですが、犬伏構成員及び多賀谷構成員より御欠席との御連絡をいただいております。
 また、議題2「令和5年度作成のマニュアル案について」に関する参考人といたしまして、日本口腔外科学会より原田浩之先生、日本腎臓学会より横尾隆先生に御出席いただいております。
 事務局からの御説明は以上でございます。
 以後の議事の進行については、五十嵐座長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 どうもありがとうございます。
 それでは、議事に入りたいと思います。
 初めに、事務局から配付資料の御確認をお願いいたします。
○医薬安全対策課課長補佐 あらかじめ資料をお送りさせていただいているところでございますが、議題1に関して資料1、議題2に関して資料2-1から2-4、議題3に関して資料3がございます。このほか、議事次第・配付資料一覧、参考資料といたしまして開催要綱、構成員/参考人名簿をあらかじめお送りしております。
 本日の資料は以上でございます。不足等ございましたらお申しつけください。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
 それでは、議題に入りたいと思います。まず、議題1です。「重篤副作用疾患別対応マニュアルの新規作成・改定について」。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○事務局 資料1を御覧ください。
まず、 「1.前回の第15回検討会以降のマニュアル改定または作成の進捗状況について」です。1つ目、第15回検討会では、別紙1に示しております3マニュアルが審議され、審議結果を反映の上、昨年12月にマニュアルを公表いたしました。
 2つ目、第15回検討会で作成・改定作業を実施中である旨を御報告しておりました別紙2に示す3マニュアルについて、今般当該作業が終了いたしましたため、本日の議題2で御審議いただきます。
 3つ目、本年度は学会等に御意見を伺った上で、別紙3に示しております6つのマニュアルの作成・改定作業の実施を予定しております。こちらは次回以降の検討会で御審議をお願いする予定です。
 続いて、「2.第15回検討会以降のマニュアルの利活用に向けた取組みの状況について」です。1つ目、第15回検討会では、マニュアルの具体的な活用方法に関する情報も含めた周知啓発ポスターを作成する方針について了承されました。その後、普及・啓発ポスターを作成し、作成したポスターを本検討会の先生方に御報告の上、令和5年12月から当該ポスターの配布、ホームページ掲載等を行っております。
 2つ目、本年度は、さらなるマニュアルの利活用に向けた取組みとして、昨年度に引き続き医療従事者向けも含めた普及・啓発ポスターを作成することを検討しています。議題3で構成員の日本病院薬剤師会 林先生から御説明いただき、御審議いただきます。
 資料1については以上です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
 では、ただいまの御説明につきまして何か御意見、御質問がありましたら、挙手をお願いいたします。よろしいですか。
 特にないようですので、それでは、議題2に移りたいと思います。「令和5年度作成のマニュアル案について」、事務局からお願いいたします。
○事務局 議題2について御説明させていただきます。
 個別のマニュアル案の御審議に入る前に、事務局より全般的な事項について御説明いたします。資料構成として、資料2-1がマニュアル改定の概要、資料2-2から2-4が改定マニュアル案です。マニュアルの改定箇所について、項目内の一部変更の場合は変更箇所に、項目内の内容が一新されている場合には項目にマーカーを引いております。本日はマニュアル案を作成いただいた各学会から参考人の先生方にお越しいただいておりますので、この後、各マニュアル案について、参考人の先生方から改定のポイントについて御説明いただきます。
 今回のマニュアル案は、資料2-2「薬剤関連顎骨壊死・顎骨骨髄炎」、資料2-3「ネフローゼ症候群」及び資料2-4「血管炎による腎障害(ANCA関連含む)」は、いずれも既に作成されていたマニュアルを改定するものです。
 また、全てのマニュアルに共通の参考資料について、資料2-2を例に用いて事務局から簡単に御説明いたします。資料2-2をお手元に御準備ください。各マニュアルには巻末に参考1から4がございます。資料2-2の41ページを御覧ください。参考1として医薬品医療機器等法に基づく副作用報告件数を記載しております。
 次に43ページを御覧ください。参考2としてICH国際医薬用語集における関連副作用用語の一覧を記載しております。
 続いて45ページを御覧ください。参考3、医薬品副作用被害救済制度における給付決定件数を記載しており、46ページには参考4、医薬品副作用被害救済制度の解説を記載しております。
 本日資料としている全てのマニュアルについては、これら参考資料における副作用報告件数及び救済制度の給付決定件数の情報も更新しております。
 以上になります。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。
 それでは、各論に入りたいと思います。まず1番目に、日本口腔外科学会の原田参考人から資料2-2につきまして御説明をお願いいたします。
○原田参考人 原田です。よろしくお願いいたします。
 本マニュアルは2018年度に改定しておりますけれども、昨年、薬剤関連顎骨壊死のポジションペーパーが8年ぶりに改定となったため、本マニュアルを改定しております。
 主な改定点ですけれども、1番、資料2-2の5ページの上の英語名は、前回のポジションペーパーでは「Antiresorptive agents」、いわゆる骨吸収抑制薬関連の顎骨壊死という名称でしたけれども、今回は骨吸収抑制薬以外の薬剤、例えば血管新生阻害薬や免疫抑制薬でも発症することが報告されているため、薬剤関連、「Medication」の名称で「MRONJ」としております。
 2番目、資料の27ページの中段になりますが、抜歯時の予防的休薬はしないことを推奨としております。予防的休薬を誤解している先生が多いのですが、予防的休薬とは骨髄炎の症状のない歯を抜歯する場合に骨吸収抑制薬を休薬することを指しております。
 一方、顎骨壊死・骨髄炎を発症している場合に抜歯する場合は、休薬する場合も多いかと思います。ただし、これも予防的休薬同様、エビデンスが少ないのが現状です。
 予防的休薬に関しては前向き試験が乏しいものの、症状のない歯を抜歯する場合は休薬しなくてもよいという観察研究の報告が多く出ているため、今回抜歯の際に予防的休薬はしないことを推奨という記載に変更いたしました。
 3点目は、23ページの中段です。ステージ2で外科療法を行うことで治癒率は高くなるという記載をしまして、以前のマニュアルでは、外科療法には深く言及しておりませんでしたけれども、最近では外科療法の有用性を報告する論文も多くなり、全身状態、状況が許せば外科療法も検討すべきであるというコンセンサスが得られつつあるため、外科療法を推奨する形にしております。
 4番目は、28ページ最後になりますが、医歯薬連携下での口腔管理の重要性を周知しております。医歯薬連携のためには、医師は歯科医師の、歯科医師は医師の役割や治療の重要性を認識する必要があり、薬剤師は患者さんを含めた医歯連携に重要な役割を担っております。骨吸収抑制薬投与前に連携を取ることが望ましく、開始後も情報提供や研究会などを利用しコミュニケーションを図ることが大切であるということを記載しております。
 変更点は以上です。
 委員の先生からいただいた御意見が幾つかありまして、それに対するコメントも説明したほうがよろしいでしょうか。
○五十嵐座長 もしよろしければお願いします。
○原田参考人 微細な修正は割愛させていただきまして、2番目の11ページのステージ1の表記ですけれども、「歯性感染が(ほぼ)全くない歯の自然脱落」の「ほぼ」を削除すべきか、「全く」を削除すべきであるという御指摘がありまして、これに関しては、アメリカの口腔外科学会のステージの英文をそのまま日本語訳にしておりまして、こういうような表記になっておりますが、「ほぼ」も「全く」も削除して、「歯性感染がない歯の自然脱落」という文言でよろしいかと思います。
 それと、中段目、ポジションペーパーでは各薬剤のリスクを黒丸の数で記載していたのですけれども、今回は黒丸を記載しておりません。本マニュアルは患者さんへの周知の役割もありますので、患者さんが骨吸収抑制薬に対する先入観念を持つことを懸念して記載しませんでした。
 それと、下の2つになります。グルココルチコイドを副腎モルモン薬あるいはステロイド薬に替えたほうがよろしいのではないでしょうかという御指摘ですが、以前どこかの用語集で糖質コルチコイド、グルココルチコイドに統一されつつあるという情報がありまして、本学会の学会誌では論文の表記は「グルココルチコイド」に用語を統一しております。
 最後の指摘事項ですが、7ページの最後の行「歯ぐきから膿がでたり骨が露出するなどの症状が生じます」。この前に医師・歯科医師・薬剤師に相談してくださいということですけれども、これはあくまでも薬剤関連顎骨壊死・顎骨骨髄炎の症状を説明しているもので、次の4の予防法と対処法で、そのような症状が出る前、骨吸収抑制薬を投与する前の段階で歯科医のチェックを受けるべきであることを説明してあります。
 私からの説明は以上になります。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。どうぞ。
○笠原構成員 笠原です。
 今、御説明いただきました参考の文献のポジションペーパーの件ですけれども、これはこちらで提出したページが間違っていまして、41ページでなくて、39ページになります。その表で、実際にリスクのことについてですが、ポジションペーパーではリスクの高さがきちっと丸で表示されているということでしたけれども、今の説明で患者さんにあらかじめ予想されるようなことは避けるということで、書かなかったということですが、よく見ますと、ビスホスホネートとRANKL、デノスマブですけれども、いずれも高用量のほうにリスクが多くて、低用量のほうは少ない傾向にありますので、一言「高用量の場合にはリスクがある」ということを書いておけば済むことかなと思うのですが、その辺りについてはいかがでしょうか。
○原田参考人 その内容は検討させていただきます。高用量が今回の中に書いて。ちょっと今、確認できませんけれども、もしそのような記載漏れがあれば追加させていただきます。
○笠原構成員 ポジションペーパーのところに丸がつけてあるのは、いずれも高用量で4つなので、低用量は2つぐらいなので、そこはエビデンスがはっきりしているのかなと思いまして、そのくらいのコメントは必要かなと思いますけれども、いかがでしょう。
○原田参考人 20ページになりますが、高用量と低用量の頻度、ビスホスホネート製剤とデノスマブ製剤で書いてありますので、これを見れば高用量のほうが明らかに頻度が高いということは理解していただけると思います。20ページですね。
○笠原構成員 そうですね。あえて表に書いていなくても、この文章で書いてありますので、理解しました。
○原田参考人 表のほうが分かりやすいのはごもっとも。
○笠原構成員 薬剤ごとに書いてあるものですから、非常に分かりやすいなと思ったのをあえて削った理由があるのかなと思ったものですから。分かりました。
○五十嵐座長 結論として、原田先生、どうされますか。表のほうも修正しますか。
○原田参考人 いえ、黒丸で書くのは、患者さんの先入観念を避けるということもあって、20ページの発生頻度で記載しているので、このままでよろしいかと思います。
○五十嵐座長 いかがですか。それでよろしいですか。
○笠原構成員 はい。了解しました。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
 そのほかはいかがでしょうか。どうぞ。
○山縣構成員 4ページ。前に気づくべきだったのですけれども、日本語と英語が違うので、日本語は「骨吸収抑制薬に関連する顎骨壊死・顎骨骨髄炎」という表題になっているのですが、これを「薬剤に関連する」に変更されたのですよね。今、そういう説明だったのですけれども。
○五十嵐座長 薬剤関連です。
○山縣構成員 これは「骨吸収抑制薬」と書いてあるので、ここは修正したほうがよろしいですよね。
○原田参考人 薬剤です。申し訳ありません。
○山縣構成員 分かりました。
○五十嵐座長 では、それは修正をお願いします。
 ほかはいかがでしょうか。飯島先生、どうぞ。
○飯島構成員 これはまさに医歯薬連携のモデルケースだろうと思うのですが、27ページ、28ページ、29ページに医歯薬連携による予防というのが詳しく書かれていて、非常に結構だと思うのですが、もしせっかく書かれるのでしたら、使用前の連携、使用中の連携、29ページ(3)に「医歯薬連携による予防」と書かれているのです。29ページのところはもっと赤字にするとか強調して。連携が非常に大事になるモデルケースだと思うので、何か文章を強調することをお考えになったらいいのではないかと考えましたけれども。よろしくお願いします。
○原田参考人 ポジションペーパーには患者さん、医師、歯科医師、薬剤師のベン図、図があるのですが、それを載せると少し分かりやすいかと思いますので、それを載せることを検討したいと思います。
○飯島構成員 強調して。
○原田参考人 ミュートになっています。
○五十嵐座長 飯島先生、ミュートです。
○飯島構成員 はい。分かりました。
○五十嵐座長 よろしいですか。
○飯島構成員 結構です。ありがとうございました。
○五十嵐座長 そのほかはいかがでしょうか。薄井先生、どうぞ。
○薄井構成員 薄井です。
 本当に細かいことで申し訳ないのですけれども、「顎骨壊死」というのが最初部分で出てきますが、この文言というのは、私たち医療者は当然分かりますけれども、患者さんは「顎骨壊死」というのはなかなか読めないのかなと思うのです。ルビを振るとか、そういう工夫は必要ないでしょうか。恐らく患者さんは顎骨壊死という言葉を知らないとこれをネットなどで検索できないので、最初のところのページに読み方を書いたほうが宜しいと存じます。御検討いただければと思います。
 以上です。
○原田参考人 それは異論はございませんので、そうさせていただきます。
○五十嵐座長 よろしくお願いします。
 それでは、これは5ページの一番頭のところですかね。この辺り。
○薄井構成員 最初の枠のところで出していただければ、あとは読めると思いますので、よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 はい。よろしくお願いします。
 ほかはいかがでしょうか。
 私から1つ。MRONJの正式なフルスペリングは、Medicationですか。あるいはMedicatedですか。5ページの一番上の英語名はMedicationなのですが、10ページを見ると、Medicatedと書いてあるのです。Medicated-related。MRONJのフルスペリングがMedicated-relatedなのですが、どちらでもいいのですか。
○原田参考人 いえ、ポジションペーパーではMedication-relatedになっています。
○五十嵐座長 そうですね。Medicationですね。
○原田参考人 Medicationです。
○五十嵐座長 そうすると、10ページの真ん中辺りにあるMRONJのフルスペリングは、Medicatedと書いてあるのですけれども、これをMedicationに直すのがいいのですか。
○原田参考人 はい。直さなければいけないですので。それ以外にもあるかも分かりませんので、隅々までチェックして訂正させていただきます。
○五十嵐座長 では、少なくとも10ページは直すということで。Medicationですね。
○原田参考人 はい。
○五十嵐座長 分かりました。ありがとうございます。
 そのほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、少し修正がありましたけれども、基本的には本日お示しいただいたマニュアル案を了承するということでよろしいでしょうか。特に御異議ございませんか。
(首肯する構成員あり)
○五十嵐座長 よければ挙手してもらいましょうか。
(構成員挙手)
○五十嵐座長 それでは、皆さん、挙手いただきましたので、これを承認したいと思います。どうもありがとうございました。
 今後の進め方につきましては、今日幾つか御指摘もありましたので、事務局にまとめていただきます。
 本日は、原田参考人におかれましては、大変貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。この会議以降は特に御意見をいただくことはありませんので、もしよろしければ御退席されて構いません。どうもありがとうございました。
○原田参考人 どうもありがとうございました。失礼いたします。
(原田参考人退席)
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
 続きまして、2番目、日本腎臓学会の横尾参考人から資料2-3のマニュアル案につきまして御説明をお願いいたします。
○横尾参考人 よろしくお願いいたします。腎臓学会から参りました横尾と申します。
 それでは、今回の改定に関しての概要を御説明させていただきます。これはネフローゼ症候群の重篤副作用疾患対応マニュアルになりますが、実際に疾患概念もしくは治療法に関しては大きな変化はございません。ただ、新規に使用されるようになった薬剤で二次性のネフローゼ症候群を生じることが分かってきて、また、コロナのパンデミックの際に感染及びワクチン接種に伴う二次性ネフローゼ症候群の頻度が高いということが分かってきましたので、新たに注意喚起が必要と考えて改定をお願いするに至りました。
 コロナに関しては、実はまだ因果関係が明白でないこと。さらには添付文書にも記載がないということで、本改定に盛り込むことで因果関係があたかもあるのではないかと誤解されてしまうことが危惧されるということで、そこの御指導を受けて、今回は記載しないということになっております。
 主な変更点としては、新規薬剤として抗血管内皮増殖因子受容体抗体ラムシルマブ、免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブによる二次性ネフローゼ症候群の追加と、それとともに病理所見、発生機序、発生頻度が現在分かっているところのアップデートを行ったということになります。
 実際には資料2-3の黄色でハイライトされているところがそのところになるのですけれども、大まかにいきますと、5ページ目の実際の症状、泡が立つとか体がだるいとかということを明記したということと、併せて、先ほど申し上げました新規に使用することによって、二次的なネフローゼがすることが分かった薬剤を7ページの黄色くハイライトされているところに記載しております。さらには、それの機序とか頻度とかを入れていると。これが13ページにハイライトされているところ、もしくは14ページにハイライトされているところ。こういったところが二次性ネフローゼの起因薬剤に入るかということになります。最初の改定では、先ほど申しましたように、コロナのことに関して書いてはいたのですけれども、それは再び除いたということになっております。
 そのほか、21ページの黄色くハイライトされたところにも、機序を分かっている範囲でありますけれども書いているということになります。それが今回の改定になります。
 委員の先生方に非常に細かく査読をしていただきました。実際にお話ししながら、誤字だとかいうことがありまして、それを指摘されまして、それは適宜改定させていただく。例えば群と微小変化型、どちらかに統一すべき。当然だと思うのですけれども、一般的に使われている「微小変化型」に統一するとか、ウイルス性肝炎は、一般的には「ウイルス肝炎」というところで、「性」が要らないという御指摘がありまして、調べましたら、確かにそのとおりでありますので、そういったところを適宜変えさせていただくというところであります。
 最後に、29ページ、参考1でコロナウイルスに関するワクチンの件数が、ポツがあるものとポツがないもの、2種類はどういうものなのかということの御指摘がありまして、これはワクチンの、我々にはお知らせいただいてはいないのですけれども、多分ファイザーとモデルナというところで、品種によって分けているということを伺っておりますが、この集計に関しては我々腎臓学会のところでやったものではないので、この是非については我々では決めかねますので、そこら辺はお諮りいただきたいと考えております。
 大まかにそういうことで御報告を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
 それでは、資料2-3につきまして御質問、御意見をお願いしたいと思います。どうぞ。
○薄井構成員 薄井です。
 先生、どうもありがとうございました。ネフローゼが非常に増えているので非常に参考になりました。
 7ページの黄色でハイライトされています免疫チェックポイント阻害薬とVEGF阻害薬について先生に御説明いただいたのですけれども、この種のお薬はどんどん開発され世の中に出てきているので、例えば「など」とか、「ラムシルマブなど」みたいなものを入れておいたほうが良いかと存じます。免疫チェックポイント阻害薬(ICI)やVEGF Receptor阻害薬なども新しい薬として出てきています。 ですから、これだけということではないので、後でリストになっておりますので、それを読めば分かるのですが、こうした薬剤名が増えてくると、そのたびに改定しなくてはいけなくなってしまいます。「など」とか、そういう文言を入れたほうが宜しいのかと思うのですけれども、いかがでございましょう。
○横尾参考人 まさに先生の御専門であられるところなので、失礼いたしました。そのほうがいいと確かに思います。それはぜひとも変えさせていただければと思います。よろしくお願いします。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、7ページ、など、等をつけるということの修正がありましたけれども、そのほかは特にありませんね。
 では、特段の大きな修正の意見がないですので、本マニュアルを承認するということでよろしいでしょうか。挙手をお願いします。
(構成員挙手)
○五十嵐座長 皆さんからいただきました。どうもありがとうございます。
 では、そのようにしたいと思います。
 今後の進め方につきましては、先ほどと同じように、事務局に最後まとめていただいて、御説明をいただきたいと思います。
 そして、横尾参考人におかれましては、貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。
 先生は次もやっていただきます。よろしくお願いします。これで終わりではありませんので。もう一つありますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、資料2-4をお願いいたします。
○横尾参考人 よろしくお願いいたします。引き続き横尾のほうから御報告させていただきます。
 まず、この改定の背景でありますけれども、血管炎に対する腎障害に関しては、初発症状の記載が十分でなかったという御指摘を受けたこと、及び新規薬剤による報告がさらに認められたということで、それらを追加する必要があるだろうと判断したために、今回改定をお願いした次第です。
 これに関しても、新型コロナウイルスワクチンによる血管炎を誘発という報告がかなり多く見られたため、これは記載したほうがいいのではないかと当初判断しておりました。ただ、これに関してもまだ因果関係がはっきりしないということで、添付文書にも記載がないということで、盛り込むことが因果関係を明示することになると、誤解を招く可能性があるということで、1回は載せていただいたのですけれども、それは削除するということになっております。これに関しては大きな変化はしないのですが、初発症状の記載を加えるということと、C型肝炎治療薬ソホスブビルとチロシンキナーゼ阻害薬ニンテダブニブ、過活動膀胱治療薬ミラベグロンの記載を加えていると。あとは、判別が必要な疾患にクリオグロブリン血症性血管炎と低補体血症性蕁麻疹様血管炎を追加するということを加えております。
 実際には資料2-4を御覧いただいて、黄色でハイライトしたところが今回のものになりますけれども、多くは5ページ目にしっかり初発症状の記載ということを行っております。
 それ以外には、7ページ目に黄色でハイライトされているようなお薬が、報告があったので新たに加えたということになります。
 発生機序等々はまだはっきりしないことが多くて、さらには頻度もはっきりしないので、そこら辺を追記することがかないませんでした。なので、それについては加えることはできていません。
 あとは、15ページに書かれているように、クリオグロブリンと低補体血症性蕁麻疹様血管炎、ここら辺が加えてられているというところになります。
 もう一つ、先ほど参考1で同じようにコロナウイルスに関して、ポチがあるのとポチがないワクチンの件数はどうなるのだという御指摘を受けておりますが、これに関しては、先ほど申しましたように、ファイザーかモデルナということで区別しているということではあるのですけれども、それに関して注意書きとして23ページの一番下に、製品ごとに区別しているということを明記させていただいているということになります。
 先生方に御指摘いただいたことに関しては、お恥ずかしながら我々のチェック不足で誤字・脱字等を含めて、単位がちょっとおかしいとかいうことを御指摘いただき、ありがとうございました。これは正確に直して実際に反映させていきたいと考えております。
 そういったことで、今回改定をお認めいただきたいということで、御審議いただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
 それでは、資料2-4につきまして御質問、御意見がありましたらお願いいたします。どうぞ。
○滝川構成員 治療薬のところに副腎皮質ステロイドというのがあるのですが、先ほど最初の方でグルココルチコイドで統一するというのがありましたね。そこはどういうふうになるのでしょうか。事務局の方、教えてください。
○医薬安全対策課課長補佐 事務局でございます。
 すみません。それぞれの学会でつくっていただいた文書で整合が取れておりませんで、申し訳ございませんでした。それぞれの学会の先生に御相談させていただいて、統一を図る方向で検討させていただければと思います。
 以上でございます。
○滝川構成員 我々からすると、医師国家試験もそうですけれども、副腎皮質ステロイドというのが普通で、あまりグルココルチコイドとかを使わないと思いますので、むしろそちらの方がいいのではないかと思います。こちらの表現の方が身近な感じがいたします。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
 先ほど伺ったのですけれども、マニュアルが79あるのですよね。それぞれがヒストリーがあって、少なくともマニュアルの中では統一した用語になるのだと思うのですが、マニュアル間を統一するというのはなかなか大変かもしれないですね。マニュアルの中で少なくとも統一はすると。将来マニュアル間の統一はちょっと検討課題ということで許していただけますか。
(首肯する構成員あり)
○五十嵐座長 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 横に山縣先生がいらっしゃるので伺いたいのですが、5ページに「血管炎による腎障害」というものの英語名ですけれども、これは「Vasculitis」だけでいいのですか。
○山縣構成員 5ページですか。
○五十嵐座長 5ページの「血管炎による腎障害」というブルーの表題がありますね。その下に英語名で「Vasculitis」となっているのですけれども、「血管炎による腎障害」の英語訳がこれでいいのかどうか。
○山縣構成員 横尾先生、確かに詳しく入れようとすれば、「ANCA Related」。
○横尾参考人 そうですね。腎障害ということが入っていないですね。
○山縣構成員 血管炎だけになっていますね。
○横尾参考人 確かに。大変失礼いたしました。この枠に入らなくてはいけないかなとも思ったのですけれども、2行になってよろしいようであれば、しっかり腎障害というところも含めさせていただいたほうが。おっしゃるとおりだと思いますので、そこは変えさせていただければと考えます。
 山縣先生、よろしいでしょうか。
○山縣構成員 これは統一的な言い方が何かなと確認してやりましょう。
○横尾参考人 はい。学術のほうで確認させていただいて、記載させていただきます。
○五十嵐座長 Kidney injuryですか。
○山縣構成員 ですかね。Kidney injury due to vasculitisとか、そんな感じになりますね。
○五十嵐座長 何かもっといい英語があるかもしれません。
○山縣構成員 何かあったような気がするのですけれども。
○五十嵐座長 では、これはちょっと検討していただいて。
○横尾参考人 はい。ありがとうございます。
○五十嵐座長 よろしくお願いします。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、特に大きな御指摘がないようですので、日本腎臓学会がおつくりになった血管炎による腎障害に関するマニュアル案は、了承するということでよろしいでしょうか。よろしければ、挙手をお願いいたします。
(構成員挙手)
○五十嵐座長 ありがとうございます。皆さんからいただきました。
 では、ほぼこのままで認めていただいたのですが、少し修正がありますが、今後の進め方につきましては、事務局に最後にまとめて御説明をいただきたいと思います。
 横尾先生に2つ説明をしていただきまして、どうもありがとうございました。
 以後の議題につきましては御意見を求める予定はありませんので、ここで御退席をされても結構です。どうもありがとうございました。
○横尾参考人 では、これで失礼させていただきます。ありがとうございました。
(横尾参考人退席)
○五十嵐座長 それでは、一応3つのマニュアル案につきまして議論が終了し、多少の修正がありますけれども、ほぼ原案どおりお認めいただきました。
 事務局から今後の進め方につきまして御説明をお願いいたします。
○事務局 御議論ありがとうございました。
 本日の御指摘を踏まえ、文言修正が必要とされたマニュアルについては、学会及び事務局でマニュアルの修正を行い、座長への確認を行います。その上で、マニュアルの新規作成・改定版として御了承いただいたマニュアルと併せて、厚生労働省のホームページに掲載する等、マニュアルの周知を行います。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
 そのような方針でよろしいでしょうか。
(構成員挙手)
○五十嵐座長 それでは、今、御説明いただいたようにさせていただきたいと思います。
 ここまでで全体を通して委員の先生方、何かございますか。よろしいですか。
 それでは、議題3に移りたいと思います。これは毎年出てくる課題ですが、マニュアルの普及・啓発をどのようにしていくかということについて、日本病院薬剤師会、林構成員から資料の説明をお願いしたいと思います。
○林構成員 御説明いたします。資料3を御覧いただきながらお聞きいただければと思います。資料3の上段で令和4年度、令和5年度における重篤副作用疾患別対応マニュアルの公開・普及・啓発について説明をしております。上段真ん中に示しましたように、令和4年度は患者さんへのマニュアルの周知・啓発に関して、病院や薬局の患者待合室へ掲示できるポスターを作成・配布し、QRコードを埋め込む形など工夫しまして、多くの方がマニュアルにアクセスしていただきやすいように対応し、周知・啓発いたしました。
 上段右側になります。令和5年度でございますが、このマニュアル作成の原点に返り、医師・薬剤師が重篤な副作用を回避すること、あるいは患者さんからの症状の訴えに迅速に対処していくということを目的として、マニュアル自体の周知・啓発というよりも、マニュアルを具体的に活用して、チーム医療の中で使うことの普及・啓発を提案するポスターを作成し、活動いたしました。
 令和5年度新規作成改定マニュアルの中から具体的に活用していただくマニュアルを例示して、これらを医療関係者・医師・薬剤師に提案する取組です。具体的に重症高血圧マニュアルを作成した日本循環器学会の協力を得て普及・啓発のポスターを作成し、家庭血圧モニタリングによって早期発見し、重症化を防止する取組について普及・啓発を行いました。
 そこで、今年度でございますが、下段に書かせていただきましたように、同様のコンセプトに基づきまして、令和5年度に公開したマニュアルの中から高血糖・低血糖のマニュアルを取り上げて、日本病院薬剤師会、日本薬剤師会に加えて、日本糖尿病学会に御協力いただき、具体的に活用していく取組を周知・啓発していけるとよいと考えております。
 以上、御提案になりますので、御確認、御意見を頂戴できればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 御説明、どうもありがとうございました。
 それでは、何か御質問、御意見がございましたらお願いしたいと思います。よろしいですか。特にないですね。
 どうもありがとうございました。
 では、今後の進め方につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 ありがとうございました。
 普及・啓発活動につきましては、日本病院薬剤師会及び糖尿病学会においてポスターを作成していただき、周知を行います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
 そういう方針だそうですが、それでよろしいでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○五十嵐座長 ありがとうございます。
 今日、せっかく日本病院薬剤師会からお二人おいでになっているのですけれども、何か追加で。せっかく来たので、発言がありませんか。
○日本病院薬剤師会 来年度につきましては、今回よりも多くのマニュアルの改定を予定しておりますので、順次進めていきたいなと考えております。引き続きよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。突然振りましてすみません。
 以上で予定は全て終わりますが、改めて御発言を希望される方はいらっしゃいますか。いいですか。
 事務局のほうからはありますか。
○医薬安全対策課課長補佐 特にございません。
○五十嵐座長 それでは、本日の検討会はこれで終了したいと思います。どうも御協力ありがとうございました。