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2022年9月15日 第14回重篤副作用総合対策検討会 議事録

医薬・生活衛生局医薬安全対策課

○日時

令和4年9月15日(木)
18:00~

 

○場所

厚生労働省 仮設第2会議室

○議事

○医薬安全対策課長 それでは、定刻を若干過ぎました。大変失礼いたしました。第14回「重篤副作用総合対策検討会」を開催いたします。
本日御出席の構成員の先生方、参考人の先生方におかれましては、お忙しい中、また、夜分にかかわらず御出席を賜りまして、ありがとうございます。
本日の検討会の公開については、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしておりますので、御理解、御協力のほどお願いいたします。議事録につきましては、後日、厚生労働省のホームページに掲載いたします。
また、審議の方法につきましては、対面でなくウェブ開催としており、構成員及び参考人の先生方には外部より審議に御参加いただいております。
そのため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、議事に先立ちまして、進行方法について説明をさせていただきます。
○事務局 事務局より御説明を申し上げます。
まず、ハウリング防止のため、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
御意見、御質問をいただくときは、ミュートを解除し、初めに御自身のお名前をお知らせいただいた上で御発言をお願いいたします。
御発言のタイミングが重なったり、音声での判別が難しいほど混雑したりした際は、発言を一度お控えいただき、座長から順に発言者を御指名いただきます。
会議中、マイクの調子が悪くなるなど、他の出席者にとって聞き取りづらい状況が続く先生におかれましては、音声の代わりにメッセージに御意見等を御記入いただくよう、事務局または座長からお願いをする場合がございます。
その他、システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事前にお伝えしております事務局の電話番号まで御連絡をお願いいたします。また、もし事務局のサーバーがダウンする等のトラブルが発生した場合は、事務局から一斉にメールで御連絡いたしますので、御確認いただけますと幸いです。
御不便等をおかけするかもしれませんが、御理解、御協力のほどお願い申し上げます。
続けて、本日の構成員の出欠状況になりますが、木村構成員、多賀谷構成員、滝川構成員より御欠席との御連絡をいただいております。
また、議題3「令和3年度作成のマニュアル案について」の参考人といたしまして、御審議順で、日本皮膚科学会より矢上晶子先生、日本口腔外科学会より里村一人先生、日本眼科学会より辻川明孝先生、日本神経学会より新野正明先生に御出席をいただいております。
それでは、以後の議事進行につきまして、五十嵐座長にお願いいたします。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
では、早速ですが、議事に入りたいと思います。
初めに配付資料の確認をお願いいたします。
○事務局 あらかじめ資料をお送りさせていただいておりますが、議題(1)に関しまして資料1、議題(2)に関しまして資料2-1から2-5、議題(3)に関して資料3がございます。このほか、議事次第・配付資料一覧、参考資料として開催要綱・構成員/参考人名簿をあらかじめお送りしております。
本日の資料は以上です。
また、ユーチューブで傍聴されている方におかれましては、厚労省のホームページに資料を掲載してございます。
不足等がございましたらお申しつけください。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
皆さん、資料はよろしいでしょうか。
それでは、議題1に移りたいと思います。
まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○事務局 事務局より御説明申し上げます。資料1をお手元に御準備ください。
まず、前回の第13回検討会以降のマニュアル改定または作成の進捗状況となります。
1つ目、第13回検討会では別紙1にお示ししております37マニュアルが審議されまして、審議結果を反映の上、本年の2月にマニュアルを公表いたしました。こちらをもって平成28年から令和2年度の5年間かけて行っておりましたマニュアルの改定・作成を集中的に行う計画の対応が終了いたしましたが、マニュアルについては引き続き継続的な見直しを行うこととしております。
2つ目、第13回検討会で作成・改定作業を実施中である旨御報告しておりました別紙2に示す5マニュアルについて、今般、作業が終了いたしましたため、本日の議題2で御審議をいただきます。
3つ目、本年度は、構成員の先生方には事前に御確認いただきましたとおり、学会等に御意見を伺った上で、別紙3にお示ししております3つのマニュアルの作成・改定作業を実施しております。こちらは次回以降の検討会で御審議をお願いする予定です。
続いて、2ポツの「第13回検討会以降のマニュアルの利活用に向けた取組みの状況について」です。
1つ目、第13回検討会では、患者に対するマニュアルの普及啓発動画の作成及び公開について御了承いただきましたので、動画を作成いたしまして、本年4月に厚労省及びPMDAのホームページにて公開をしております。
2つ目、本年度は、さらなるマニュアルの利活用に向けた取組として、どのような普及啓発方法が効果的かなどについてのアンケート調査を日本病院薬剤師会様及び日本薬剤師会様で実施し、その調査の結果に基づく活動を行うことを検討しております。議題3で構成員の日本病院薬剤師会の林先生から御説明いただき、御審議をいただくこととしております。
資料1については以上となります。
○五十嵐座長 御説明をどうもありがとうございました。
それでは、資料1につきまして、何か御意見、御質問がありましたらお願いいたします。よろしいですか。
特にないようですので、議題2に移りたいと思います。「令和3年度作成のマニュアル案について」、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 個別のマニュアル案の御審議に入る前に、事務局より全般的な事項について御説明させていただきます。
本日はマニュアル案を作成いただいた各学会の参考人の先生方にお越しいただいておりますので、この後、各マニュアル案について、参考人の先生方から作成または改定のポイントについて御説明いただきます。
今回のマニュアル案は、資料2-5の「進行性多巣性白質脳症(PML)」が新規作成で、その他4つは改定となります。
また、全てのマニュアルに共通の参考資料について、資料2-1を例に用いて事務局から簡単に御説明させていただきます。資料2-1をお手元に御準備ください。
巻末に参考1から参考4がございます。参考1が39ページにございます。参考1として、医薬品医療機器等法に基づく副作用報告件数を記載しております。
次のページに参考2として、ICH国際医薬用語集における関連副作用用語の一覧を記載しております。
42ページを御覧ください。こちらは参考3として、医薬品副作用被害救済制度における給付決定件数を記載しておりまして、その次のページからは参考4の医薬品副作用被害救済制度の解説を記載しております。
本日資料としている全てのマニュアルについては、これら参考資料における副作用件数及び救済制度の給付決定件数の情報も更新しております。
以上になります。      
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
ここまでで何か委員の先生方、ございますか。よろしいですか。
では、具体的な作業に入りたいと思います。
初めに、日本皮膚科学会の矢上参考人から資料2-1につきまして御説明をお願いいたします。
○矢上参考人 重篤副作用の「薬剤による接触皮膚炎」のマニュアルの改定をさせていただきました、日本皮膚科学会・藤田医科大学ばんたね病院の矢上晶子と申します。よろしくお願いいたします。
では、始めさせていただきます。奈良県立医大の浅田秀夫先生の下、日本皮膚科学会皮膚科専門医5名でこのマニュアルの改定をさせていただきました。簡単に説明させていただきます。
5名の皮膚科専門医で本文を改定し、日本病院薬剤師会、重篤副作用総合対策検討会の先生方に御指導いただきました。感謝しております。
改定点は大きく3点です。1点目は、典型的な臨床写真を加えました。2点目は、薬剤名の見直しを行いました。日本病院薬剤師会の先生方にも改定していただきました。ありがとうございました。3点目は、最近報告の多い薬剤による接触皮膚炎事例を載せました。
では、具体的にお示しします。医療従事者が薬剤による接触皮膚炎の患者さんを適切な医療施設に送れるよう、典型的な臨床写真を載せました。薬剤名の見直しについては、日本病院薬剤師会の先生方に古い薬剤を現在市販されている薬剤に、または現在は市販されていない薬剤を削除していただきました。
後半の最近報告が多い薬剤による接触皮膚炎事例としては、尋常性ざ瘡外用薬に含まれる過酸化ベンゾイルによる接触皮膚炎、点眼液に含まれる塩化ベンザルコニウムによる即時型アレルギー、うがい薬に含まれるクロルヘキシジンによるアナフィラキシー、オラネキシジングルコン酸塩による接触皮膚炎、歯科領域で歯根管治療に使用されるホルマリンによる即時型アレルギーを新規に載せさせていただきました。
簡単ですけれども、改定点は以上でございます。いろいろなご指摘をありがとうございました。
○五十嵐座長 御説明どうもありがとうございました。具体的にどこが改善されたかがよく分かりました。ありがとうございます。
では、この資料2-1につきまして、委員の先生方、御質問、御意見がありましたらお願いしたいと思います。
どうぞお願いします。
○笠原構成員 笠原です。
あらかじめ修正意見については意見フォームに出しまして、直したところは反映されているのですけれども、31ページで、文献58)のところが消えていたのが、文献58)が入りましたのでこれはよろしいのですが、32ページに臨床写真60)というものがありますね。この60)というのは尋常性ざ瘡治療薬中の過酸化ベンゾイルの例ではなくて、消毒薬、うがいのところに60)の文献がありますので、これは60)のところに入るべき写真かと思うのです。
○矢上参考人 修正いたします。ありがとうございます。
○笠原構成員 お願いします。
以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
この臨床写真60)をどこに移すのですか。
○矢上参考人 参考文献を変えます。
○五十嵐座長 60)ではないということですね。
○矢上参考人 はい。58)になる。
○五十嵐座長 58)ということですね。分かりました。
○矢上参考人 ありがとうございます。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
飯島先生、どうぞ。
○飯島構成員 飯島でございます。
矢上先生、御苦労さまでした。一般的なところを少し見直させていただいて、気がついた点を2~3点申し上げたいと思います。
7ページでございますが、上から7行目ぐらいでしょうか。せっかくランゲルハンス細胞を出していただいていますので、これは一般の方向けの文章でございますので、「見張り役」なのですが、「見張り役細胞」としておいていただくほうが一般の方は分かりやすいかと思いますので、「細胞」をつけていただいたらいいのではないかと。よろしくお願いします。
それから6~7行下でございますが、「皮膚にその原因の化学物質が残っていると、リンパ球」云々ですが、これが実は再接触のことが抜けているのです。というのは、26ページに医療向けのところにきちんと惹起相のことが書いてあるのですけれども、これは文章としてはどれがいいか分かりませんが、「皮膚にその原因物質が残っている、あるいは再接触」としていただいたほうが前後がすっきりするかと思います。それが2点目です。
13ページなのですが、一番下でございます。発症時期云々というところの「アレルギー性接触皮膚炎」のところで、これは新しく感作が成立して発症する場合という意味なので、「今回」ではなくて、これが既感作の例と最後の行は未感作の例なので、「新たに」が正しいと思うのです。よろしくお願いします。
30ページの「白癬菌陽性」云々と白癬の鑑別診断、我々はふだんルーチンでやっていますので、これは医家向けにするのであれば、例えば苛性カリの標本で、例えば直接鏡検で陽性になるとかと書いていただくと医家向けに親切かと思いました。
以上、細かい点ですが、気がつきました点です。ありがとうございました。よろしくお願いします。
○矢上参考人 ありがとうございます。修正いたします。
○五十嵐座長 いろいろと御指摘をありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
どうぞお願いします。
○薄井構成員 慈恵医大の薄井でございます。
先生、ありがとうございます。非常に分かりやすくて、私は血液内科なので皮膚科の専門家ではないものですから、非常に素人的な質問になるかもしれませんけれども、アレルギー性接触性皮膚炎、多分内科医だと今までアレルギー性皮膚炎とか間違った病名を使っていたものなのではないかと思うのですけれども、すごく先生の御説明でどういうことかよく分かったので、それは本当にありがたいと思います。
非常に素人的で申し訳ないのですけれども、先生、薬剤の薬疹とこうした薬剤性の皮膚炎、どこが違うのでしょうか。と申しますのは、マニュアルの例えば10ページには、3のところで「かぶれの原因となった」というところから始まって「全身の薬疹を起こす」という言葉がありまして、同じパラグラフの下のほうにも「薬疹を起こす」「薬疹」という言葉が出ているのですけれども、薬疹とこうした薬剤性のアレルギー性接触型皮膚炎の違いが分かりにくいかと思うのです。どのように解釈したらよろしいのでしょうか、教えてください。よろしくお願いいたします。
○矢上参考人 ありがとうございます。
このマニュアルの場合には、かぶれといって外側からくる物質に対して皮膚で感作をされた方がメインになっております。ですけれども、例えば湿布薬でかぶれたとしても全身に広がる方もおり、全身の症状を表す言葉として「薬疹」が使われています。一方、通常、薬剤の点滴を受けたり、内服をした時の全身性の薬疹も「薬疹」と使用されます。今回は、薬剤による接触皮膚炎がテーマですので、「薬疹」という言葉がより正しく伝わるよう修正したいと思います。
飯島先生、それでよろしいでしょうか。
○飯島構成員 それで結構だと思います。接触性皮膚炎でも場合によっては自家感作性皮膚炎のように全身に発疹が及ぶこともございますので、この辺は一般の方に分かりやすく御説明いただければありがたいと思います。よろしくお願いします。
○矢上参考人 貴重な御意見をありがとうございます。
○五十嵐座長 そうすると、この10ページの3の文言を少し変えるということですね。
○矢上参考人 そうですね。3番と恐らく4番とか、少し変えないといけないと思いました。ありがとうございます。
○五十嵐座長 より分かりやすくということで、了解いたしました。
薄井先生、それでよろしいですか。
○薄井構成員 ありがとうございます。
ここの部分の言い方をもう少し分かりやすくしていただくと、先生がおっしゃっていることはよく分かります。接触していなくても一度感作されると飲んだ薬でも出てくるので、そういうことを言っているのかというのは分かるのですが、ここら辺は御説明していただくとよろしいかと思いましたので、よろしくお願いいたします。
○矢上参考人 本当に貴重な御意見をありがとうございました。
○五十嵐座長 了解です。
そのほか、いかがでしょうか。
どうぞ。
○西谷構成員 日本製薬工業協会から参加させていただいています西谷と申します。よろしくお願いいたします。
今回、薬剤の接触性皮膚炎ということで、非常に具体的な例を示していただきながら分かりやすくまとめていただき、ありがとうございます。
16ページなのですが、こちらに表3としてプロピオン酸系のNSAIDsの商品名が列挙されているのですが、くだらない質問で申し訳ないのですけれども、表の頭に1)から7)まであり、これが引用文献なのかと思ったのですが、どうもそうでもないようで混乱いたしました。何かこちらに意図はございますでしょうか。
○矢上参考人 ありがとうございます。
私も今、見直して、この番号は紛らわしいので、省いたほうがいいのではないかと思っております。貴重な御意見をありがとうございます。なくていいと思います。
○西谷構成員 ありがとうございます。
それと併せて、その下に特に頻度の高いものを太字でとお書きいただいているのですが、こちらもこの表には太字がなさそうなので、ここも要らないのかと感じた次第ですので、御検討いただければと思います。
○矢上参考人 ここは私もないほうがよいと思います。貴重な御意見をありがとうございます。
○西谷構成員 あと1点、こちらのほうが重要かと思うのですが、23ページに診断基準が載っている表がございまして、7)の引用をされているのですが、たまたま中身を見ようと思って7)の引用を拝見したら、違う文献を指されているのかと思いました。そこで接触性皮膚炎診断ガイドライン2020を確認させていただいたら、ここの引用は川村先生の文献を引用されているので、ここはもしかしたら違うのかと思いましたので、御確認いただければと思っております。
○矢上参考人 ありがとうございます。
私もこれを見直しまして、7)というのは、内容が抗真菌外用薬の文献の7)のことなのですね。ですから、15ページの7)のものをここに書いてしまっているので、川村先生も含めて日本接触皮膚炎診療ガイドラインから引用しておりますので、ここは1)とし、7)を削除がよいと思います。ありがとうございます。
○西谷構成員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
そのほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
そうしますと、幾つか今日御指摘いただきましたけれども、これはケアレスミス的なものもありましたし、少しだけ文言を変えるというところがありましたけれども、大きく修正という点はなかったかと思うのですが、委員の先生方、それでよろしいでしょうか。基本的にはこれを了承するということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
細かいところ、御指摘いただいたところは事務局と一緒に修正していただいたものを御確認させていただくということで、そういう方向を取らせていただきたいと思います。それで委員の先生方、よろしいですね。
ありがとうございました。
今後の進め方につきましては、事務局に最後にまとめてお伺いしたいと思います。
矢上先生には、大変お忙しいところ、御説明もいただきまして、また、この作業の中心的な役割を果たしていただきまして、本当にありがとうございました。これ以降の議題、まだ幾つかあるのですけれども、先生に御意見を求める予定は恐らくないと思いますので、御退席していただいて差し支えございません。どうもありがとうございました。
○矢上参考人 貴重な御意見を本当にありがとうございました。またお願いいたします。失礼いたします。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
(矢上参考人退室)
○五十嵐座長 続きまして、日本口腔外科学会の里村参考人から資料2-2、2-3のマニュアル案につきまして御説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○里村参考人 口腔外科学会の里村と申します。本日は何とぞよろしくお願いいたします。
では、資料2-2「薬物性口内炎」の資料に関しまして御説明をさせていただきたいと思います。
1ページ目を御覧ください。日本口腔外科学会マニュアル改訂委員会と書いてありますけれども、これが今回のマニュアルの改定に当たりましたメンバーで、この現行のマニュアルの改定ということが口腔外科学会に依頼が参りました。そこで、口腔外科学会の中の学術委員会が担当することになりまして、その学術委員会が委員を選定したということでございます。これが委員で、学術委員長が東京医科歯科大学の原田先生、原田先生の指名によって私、里村が取りまとめ役をさせていただいたということでございます。このメンバーは、この後に説明させていただきます抗がん剤による口内炎も同じメンバーでございます。
今回のマニュアル改定に当たりまして、現行の平成21年5月の発行分のマニュアルを少し拝見させていただきましたけれども、現行のマニュアルが非常に完成度も高いということ、それと薬物性口内炎の副作用の機序等にはその後の研究による大きな変化もないということで、大規模な改定ではなく修正、加筆を主体とする改定ということに改訂委員会として意見がまとまりまして、その方針で進めさせていただきました。これを踏まえまして、少し改定させていただいたところ、修正させていただいたところを御説明させていただきたいと思います。
まず6ページを御覧ください。薬物性口内炎ですけれども、広範囲に広がりますと、皮膚等を巻き込んで御存じのようにスティーブンス・ジョンソン症候群やTEN、あるいは薬剤性過敏症症候群と進展することもございますので、その病名を具体的に挙げまして、別途マニュアルが作成されているということで、利用者の方の利便性を図って注意喚起を行わせていただいたことが一つでございます。
それと、その1の下のほうでございます。現在いろいろな骨吸収抑制薬、ビスホスホネート製剤や分子標的薬等が使用されておりますけれども、まれではございますが、このような骨吸収抑制薬を使用されている患者さんに顎骨壊死が起こる前の段階で口腔粘膜における違和感や潰瘍等が出現することがございますので、これが本当に薬物性口内炎と言えるかどうかということはまだはっきりとは申し上げられませんけれども、これに関しましても別途マニュアルが用意されているということで、薬物性口内炎と紛らわしい病態が一時期あるということで記載をさせていただいたところでございます。
その次に見ていただきたいのが、8ページでございます。これもこの後資料2-3で御説明いたします抗がん剤による口内炎ということがありますので、この抗がん剤による口内炎も別途マニュアルが用意されていることを御紹介させていただきました。
次に、9ページでございます。下のほうの「(4)画像検査所見」というところでございますけれども、胸部X線画像は普通に撮られると思いますので、実際の臨床現場を反映いたしまして、「胸部X線画像」と追加させていただきました。
あとは、11ページ以降に病態写真が、鑑別が必要な病態、それから、本当の薬物性口内炎の病態が出てきますけれども、せっかくの改定の機会でございましたので、委員の先生方に御協力いただいて、できるだけ典型例で全ての病態写真を新しいものに変えさせていただきました。
主な改定点としては以上でございます。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 分かりました。
それでは、1つずつ行きましょうか。この資料2-2「薬物性口内炎」につきまして、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。
特段の御意見はないようですけれども、よろしいですか。
それでは、この「薬物性口内炎」につきましては、このまま了承するということでよろしいでしょうか。
どうぞ。
○里村参考人 13ページを御覧いただけますか。これは私からで誠に申し訳ないのですけれども、「6.治療方法」の1行目でございます。「全身に準じた治療」となっておりますが、これは日本語になっておりませんので、「全身状態に応じた」ということで最終案を提出させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。この部分だけ修正させていただければと思います。
○五十嵐座長 分かりました。そのとおりですね。
では、これを修正するということを含んで、委員の先生方、御了解いただけますでしょうか。
ありがとうございます。
では、マニュアル2-2は13ページの6の1行目を修正するということで、了承ということにしたいと思います。
続きまして「抗がん剤による口内炎」につきまして御説明をお願いいたします。
○里村参考人 資料2-3を御覧ください。
1ページ目のマニュアル改訂委員会は同じメンバーでございます。
これに関しましても現行のマニュアルを確認させていただきまして、先ほどと同じように修正、加筆を中心とした改定をさせていただきました。修正、加筆ということなのですけれども、平成21年5月の前回の発行以降、臨床現場で使用されるようになりました薬剤、特に分子標的薬等につきましては、できるだけ分かりやすく追加記載をさせていただくという方針で改定を進めさせていただきました。それから、病態写真でございますけれども、これも原則、新しい写真に全て変えさせていただいております。
8ページを御覧ください。「患者側のリスク因子」というところで、これまでマル6の「口腔乾燥」というものがリスク因子に挙げられておりませんでしたけれども、今回、高齢等の理由からドライマウスの症状をもともと持っている方がいらっしゃいますので、この口腔乾燥があると粘膜炎が生じやすいということで、患者側のリスク因子として「口腔乾燥」というものも新しくつけさせていただきました。
10ページを御覧ください。上のほうのパラグラフでございますけれども、「分子標的治療薬は」というところ、分子標的薬が新しく出てまいりましたので、この文章を追加させていただいたということでございます。
11ページでございます。こちらも主な抗がん剤といたしまして、マル6の「分子標的薬」、マル7の「免疫チェックポイント阻害薬」ということを2つ追加させていただきました。
12ページでございます。表1の「口腔粘膜炎のリスク」、この表を少し新しくさせていただきましたのと、その下の表2ですね。NCI-CTCAEの「v5.0」の最新のものに変えさせていただいたということでございます。
14ページでございますが、口腔ケアが非常に重要ということが言われているのですけれども、「口腔ケア」という言葉が商標登録をされてしまっており「口腔ケア」そのものだけを用いることが難しくなっておりますので、ここに書かせていただきましたように、「口腔衛生管理(口腔ケア)」という文言で、以下、統一をさせていただきました。
続きまして、16ページを御覧ください。これも前回から今回の改正に当たって、保険で認可されましたものが「エピシル口腔用液」というものがございます。これは医療機器として認可をされているのですけれども、現在、非常に医療現場で重宝されておりまして、患者さんの痛みが効果的に軽減されるということで、抗がん剤による口内炎の場合にもよく使われるようになってきておりますので、この(5)を追加させていただいたことと、漢方薬でございますけれども、「半夏瀉心湯」が非常によく使われるようになっておりますので、こちらに関しましても(6)として追加をさせていただきました。
あとは、先ほど申し上げましたように病態写真は原則全て新しいものに変えさせていただいたということでございます。
それと、今回、厚生労働省の担当者の方から先生方に前もって御指摘をいただいたところのエクセルの表が送られてまいりましたので、それに関しましても私から委員の先生方に今、御説明させていただいてもよろしいでしょうか。
○事務局 お願いします。
○里村参考人 では、齋藤先生から御指摘いただいたところで、10ページを御覧ください。真ん中のちょっと下の「(4)病理検査所見」のところの1行目でございますが、「粘膜上皮から固有層にいたる組織の境界明らかな壊死層がみられ、この部」となっているのですけれども、齋藤先生から、これは誤植でございますね。「組織の境界に明らかな」と「に」を入れさせていただくのと、「この部」を「この部分」ということに訂正してはいかがかという御意見をいただいておりますので、そのように修正をさせていただきたいと考えております。
続きまして、12ページの表2でございますが、先ほどの「v5.0」のところで、「3.副作用の判定基準(判別方法)」のところの説明の2行目、「v5.0」がボールドになっているのですけれども、ボールドには意味はございませんので、通常の太さ、大きさの文字に変えさせていただくということで訂正をさせていただければと思っております。今のが西谷先生からの御意見でございました。
次に、15ページを御覧ください。齋藤先生から御意見をいただいておりまして、下の「6.治療方法」のところの1行目「口内炎は、確立した治療はなく、症状にあわせた対症療法が主である」ということでしたが、齋藤先生から、薬物性口内炎の場合には被疑薬の中止が一番最初に来るのだけれども、抗がん剤の場合はなかなかすぐにやめることが様々な治療の順位で難しいということで御指摘いただいて、マニュアルにはぜひにその点を踏まえて、この2行目の「主である」の次に「抗がん剤治療の継続に関しては、治療に関する担当医との相談が必要である」等の一文を加えてくださいということでございましたので、その旨の文を加えさせていただいて、修正をして、また提出させていただこうかと考えております。
続きまして、笠原先生と西谷先生から御指摘いただいたところでございますが、23ページを御覧ください。参考資料の1)で「国立がんセンターホームページ」とそのまま旧のものを採用して記載をさせていただいたのですけれども、御確認いただいたところ、このサイトが現在はもうアクセスできない状態になっているということで御指摘を受けましたので、こちらに関しましては同じがんセンターの「がん情報サービス」の中に「口内炎・口内の乾燥 もっと詳しく」というところで、非常に一般の方にも分かりやすいURLを設定されておりますので、そちらに変えさせていただければと考えております。こちらも訂正して修正で厚生労働省に提出し直させていただきますので、御確認いただければと思います。
続きまして、最後でございますが、24ページを御覧ください。一番上の2)の「米国立がん研究所ホームページ」に関しましても、西谷先生からリンクが切れているようですと御指摘をいただきました。申し訳ございません。それに関しましては、National Cancer Instituteのホームページを見直しますと、2か所関連するURLがございました。一つは「Oral Complications of Chemotherapy and Head/Neck Radiation」というところで「Health Professional Version」という医療関係者向けのホームページと、同じタイトルで「Patient Version」という患者さん向けのホームページが2つ用意されておりましたので、2)の「米国立がん研究所ホームページ」の下のURLはこの2つのURLを併記させていただく形で対応させていただければと考えております。
御指摘いただいたところを含めて説明としては以上でございますが、御審議のほどよろしくお願いをいたします。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
それでは「抗がん剤による口内炎」のマニュアル案につきまして、御意見、御質問をお願いいたします。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
1つ教えていただきたいのですが、よろしいでしょうか。27ページのICHの英語名と日本語名があるのですけれども、英語名がこのようになっているのではないかと思って確認したいのですが、そこの「口内炎」のところで、例えば「壊死性口内炎」というのは「Stomatitis necrotising」、あるいは「出血性口内炎」も「Stomatitis haemorrhagic」と、このように呼ぶのですか。何となく逆かと。
○里村参考人 我々が論文を書くときは確かに逆でございますね。
○五十嵐座長 これは元がこうなっているので、しようがないのでしょうかね。
○里村参考人 これは共通の参考資料として厚生労働省のほうで御用意いただいたものなので、普通、英文で書くときは先生がおっしゃったように「Necrotising stomatitis」ですし、「Haemorrhagic stomatitis」が使われます。ただ、ひょっとするとICD-11の表記に準拠されたのかもしれません。
○五十嵐座長 そうですね。だから、勝手に英語のほうを直すわけにはいかないのですね。
○里村参考人 そうですね。
○五十嵐座長 分かりました。細かいことですみません。
○里村参考人 先生、私のほうでも調べてみます。御指摘ありがとうございます。
○五十嵐座長 分かりました。すみません。
ほかはいかがでしょうか。
どうぞ。
○事務局 事務局になります。御指摘ありがとうございます。
参考2につきましては、事務局で作成させていただいた資料でございまして、こちらはMedDRAのとおりに基本的に記載させていただいているつもりではございますけれども、念のため確認させていただきまして、必要であれば修正を行わせていただきたいと思います。ありがとうございます。
○里村参考人 お願いします。
○五十嵐座長 どうぞよろしくお願いします。
ほかはよろしいでしょうか。
それでは「抗がん剤による口内炎」につきましては、今、疑問点はありましたけれども、私の杞憂ではないかと思いますので、基本的に了承するということでよろしいでしょうか。
どうもありがとうございます。
口内炎、2つ御了解をいただきました。どうもありがとうございました。
今後の進め方につきましては、事務局に最後にまとめてお伺いいたしたいと思います。
里村先生におかれましては、大変な作業、御説明もいただきまして、本当にありがとうございました。これ以降の議題につきましては、恐らく先生に御意見を求める予定はありませんので、御退席いただいて差し支えございません。どうもありがとうございました。
○里村参考人 ありがとうございました。失礼いたします。
(里村参考人退室)
○五十嵐座長 続きまして、日本眼科学会の辻川参考人から資料2-4につきまして御説明をお願いいたします。
○辻川参考人 日本眼科学会の辻川でございます。よろしくお願い申し上げます。
今回は日本薬剤師会の方から「網膜剥離」について追記するようにという指示をいただきましたので、その部分だけ追記したのと、もう一つ、網膜剥離をするに当たり、それまでの検査上で光干渉断層計が非常に副作用を鋭敏に見つけ出しフォローする上では役に立ちますので、その部分について併せて変更しています。
まず、9ページを見ていただきますと、この中の「自覚症状」、その次のページの「画像検査所見」「発症機序」等に関しまして、「網膜剥離」の部分を追記しています。
網膜剥離は最近は特に抗がん剤で出てくることがありますので、抗がん剤等が新しくなっていますので、それに合わせて11ページの「医薬品ごとの特徴」を修正して「網膜剥離」について追記しています。
12ページの「副作用の判別基準」のところの「(2)主要眼底所見」のところにも「黄斑浮腫、網膜剥離」、「網膜剥離」の部分を追記しています。
13ページの「5-1.治療方法」の部分に関しても、「黄斑浮腫」「網膜剥離」等を追記しています。
主な変更点は以上になります。
○五十嵐座長 どうも御説明ありがとうございました。
それでは、資料2-4につきまして、委員の先生方、御意見、御質問をお願いいたします。
先生、どうぞお願いします。
○笠原構成員 笠原です。
内容的には私はもちろん専門外ですから、意見というわけではないのですけれども、実は16ページの「網膜障害」のほうの7-1の文献は比較的新しい文献が引用されているのですけれども、2)の「視路障害」のほう、26ページ7−2の引用文献・参考資料が2010年前までとやや古いものが多いですね。
○五十嵐座長 笠原先生、聞こえますか。
事務局、通信状態が悪いのではないでしょうか。
○笠原構成員 21ページの例えば「5-2.治療方法」の「早期発見」のところに少し書いてあるのですけれども、そういうところにポイントとして記載をされるのはいかがかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○辻川参考人 今、間が聞き取れなくて、すみません。
○笠原構成員 すみません。日本眼科学会が関連の学会とともに、「呼吸器内科医がエタンブトール投与に際して行うべき眼科的副作用対策」という提言を学会としてされています。それは要するにエタンブトールの投与前にどういうことを患者さんに聞かないといけないかとか、副作用の早期発見のための検査をどうしたらいいかとか、患者への説明をどうしたらいいかという非常に具体的で、簡単な提言をされているので、それを一番新しい文献として引用されたらいかがかということなのです。
○辻川参考人 分かりました。それはそのように修正させていただきます。ありがとうございます。
○五十嵐座長 フォローアップができなかったのですけれども、笠原先生、その文献は26ページのどこでしょうか。
○笠原構成員 26ページの文献全体、「7-2.引用文献・参考資料」が12個あるのですけれども、これが全部2010年以前の文献で、内容的に変わっていなければもちろんこれでよろしいわけですが、特にエタンブトールに関して日本眼科学会が3学会合同で、内科など他科の先生方が注意すべきことをわざわざ提言をされていますので、そういう新しい情報をここに入れられたらいかがかということです。
○五十嵐座長 辻川先生、大丈夫ですか。
○辻川参考人 こちらで確認して、そのように追記するようにさせていただきます。
○五十嵐座長 分かりました。
笠原先生、どうもありがとうございます。では、先生の御指摘した点をここに反映させるということですね。
○笠原構成員 そうですね。早期発見と早期対応のポイントが非常に分かりやすく提言されているので、そのことがあったほうがよろしいかということです。
○五十嵐座長 それは先生、本文にも記載が必要ですか。
○笠原構成員 恐らくその辺は内容的にはそう大きな変更ではないと思います。
○五十嵐座長 エタンブトールのことは21ページにありますね。
○笠原構成員 はい。21ページの5-2に「早期発見」ということで書いてありますね。そのことがより詳しく提言されています。
○五十嵐座長 そうすると、ここの文献をブラッシュアップするということでしょうか。
○笠原構成員 そうですね。そういう形でよろしいかと思います。
○五十嵐座長 分かりました。
辻川先生、よろしいですか。
○辻川参考人 分かりました。こちらで確認して入れるようにいたします。
○五十嵐座長 御指摘をどうもありがとうございました。確かに古い文献が多いというのはそのとおりだと思います。
そのほか、いかがでしょうか。
では、特にないようですので、今、御指摘いただいた点、文献をリニューアルするということで、場合によっては本文のほうも多少文言が変わるかもしれませんけれども、それも含めて資料2-4、委員の先生方、お認めいただけますでしょうか。
ありがとうございます。
では、マニュアル案は了承するということにしたいと思います。細かい今日御指摘いただいた点は事務局と私のほうでもう一度見せていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
今後の進め方につきましては、事務局に最後にまとめてお伺いしたいと思います。
辻川先生におかれましては、本日はお忙しいところを御出席いただきまして、詳しく説明をしていただきました。どうもありがとうございました。これ以降の議題につきましては、恐らく特に御意見を先生に求める予定はございませんので、ここで御退席いただいて差し支えございません。どうもありがとうございました。
(辻川参考人退室)
○五十嵐座長 続きまして、日本神経学会の新野参考人から資料2-5につきまして御説明をお願いいたします。
○新野参考人 北海道医療センターの新野と申します。よろしくお願いいたします。
お手元に資料はございますでしょうか。それを見ていただきながらお願いいたします。
神経学会からの依頼で、今回、新規でこのマニュアルを作成しましたので、詳しくお話しさせていただきたいと思います。
1ページ、御覧いただきますと、神経学会の作成委員会ということで、私のほかに東京医科歯科大学の三條先生、九州大学の松下先生、東京都立駒込病院の三浦先生、そして、国際医療福祉大学の村井先生、この5名で今回のマニュアルを作成いたしました。
そもそも進行性多巣性白質脳症という病気は、一般の方はもとより神経内科以外の医師の方にもあまりなじみのない病気ということもありますので、少し詳しく解説したというところはございます。
この病気の概要をちょっとだけ説明させていただきますと、6ページを御覧いただきますと、PMLと略しますけれども、JCウイルスというウイルスが原因で引き起こされる病気と。日本人は6割から8割ぐらいの方がこのウイルスをもう持っていますので、ほとんどは何も症状を起こさないで一生が終わるというウイルスなのですが、これまで問題になってきたのはエイズですね。免疫抑制状態がかかっている方ですとか、あとは担がん患者、こういう方の一部にPMLを発症するということが問題になっておりました。最近、いろいろな生物学製剤や免疫抑制剤が出てきまして、それに伴うPMLがいろいろ報告されてきたという経緯がありまして、恐らく今回この作成を依頼されたのかと思います。実際には、6ページに書いていますが、1000万人当たり0.9人ということで頻度が非常に低いものなのですが、ある生物学製剤で、後で説明しますけれども、ナタリズマブという薬があるのですけれども、それですと最大100人当たり1人発症するというぐらいまで言われている病気であります。
この疾患を引き起こすような薬はどんなものがあるかということで、一覧として表1、9ページになるのですが、こちらをまず載せております。こちらは取りあえず報告があるという薬剤ですので、本当に関係しているかどうかに関しては微妙なところもございます。ですが、一応報告がある以上、リスクは否定できないということで、このような薬がありますということで載せております。
一方、どのような薬がどれぐらいのリスクがあるかというのは表2に載せております。こちらはClass 1からClass 2、Class 3という形で載せておりまして、先ほど申しましたナタリズマブとかエファリズマブ、こちらは海外でしか使われていない薬のようなのですが、こういう薬ですと最大で100人当たり1人程度発症してしまうリスクがあると。Class 2ですと5万人当たり1人から1万8000人当たり1人ぐらいで、主に多発性硬化症関係の薬が多いのですが、免疫抑制関係の薬もあると。Class 3としましては、このような抗体製剤を含め報告がされているということで掲載しております。
この疾患の難しいところは何かということなのですが、聞いたことがないというのもそうなのですが、11ページを御覧いただきますと、この病気なのですが、非常に判断が難しいと。これが出たらPMLを疑うというものがないということでして、気づく必要があるということになります。どのようなものに気をつけなければいけないかということで「早期に認められる症状」、こちらに載せております。通常の場合、そこに書いてありますように、認知機能障害や片麻痺、構音障害などの症状が亜急性に出てくるということで、これとて最初は脳梗塞などで判断されることがありますので、この辺はなかなか判別が難しくなってくるということになります。
診断するためにはどうしたらいいかということで、上に戻るのですが、「早期発見と早期対応のポイント」ということで、最も大事なのはMRIになります。ですから、このMRIを撮ることによってPMLの可能性を探らなければいけないという形になりまして、そのMRIの評価ポイントということで字数を割いて出しています。
それが13ページに行きまして、「早期発見に必要な検査と実施時期」ということで、MRIの具体的な撮像方法を含めてここで解説している形になります。
実際にどのようなMRIの画像が出てくるかというのは後のほうで示しておりまして、例えば15ページに実際のMRIの画像を提示している形になります。
あとは疑ったら実際には髄液検査をしたりとか、場合によっては脳生検をして確定診断をつけるところになるので、これは神経内科のほうの作業という形になりますので、取りあえず疑わしい薬を使っている先生方においては、最初に怪しいと思ってMRIを撮るなり、そして、神経内科のほうの医師にコンサルテーションするという道筋をつけていただければということを主眼にこちらのマニュアルをつくっております。
そして、画面を共有させていただきますが、事前にいただいている質問なのですが、こちらは間に合っていないかもしれませんので、ここで提示させていただきたいと思います。17ページのPMLサーベイランス委員会ですね。こちらにアクセスするような方法を追記していただけたらということで御意見をいただいております。ありがとうございます。実はこちらのサーベイランス委員会の委員長をされています今回のガイドラインのメンバーの一人であります三浦先生から返事をいただきまして、こちらを掲載してほしいと伺っていますので、最終版にはこちらを掲示させていただくということで考えております。
あとは表2の引用ですが、診療ガイドラインを基にしているのですけれども、情報量が多くなっているのではないかという御意見をいただきました。こちらの表を作成した委員に確認しましたところ、文献としては、こちらは1)がガイドラインなのですが、3)からも引用しているということでしたので、参考文献として3)も追記してくださいと回答をいただいていますので、こちらで今日は回答させていただきます。
以上です。
○五十嵐座長 詳細な御説明をいただきまして、どうもありがとうございました。
それでは、委員の先生方、何か御質問、御意見はございますでしょうか。
どうぞ、黒岩先生。
○黒岩構成員 黒岩でございます。
新野先生、新規の冊子の作成、お疲れさまでした。ありがとうございました。幾つかコメントを申し上げたいと思います。
特にフィンゴリモドを中心としますPMLを引き起こす薬剤について詳しい情報を書いていただきまして、一般の医療の人に役立つ大変いい冊子になったと思います。特にフィンゴリモドを使用した具体的な症例を2ページ半にわたって19ページに記載されまして、大変皆さんの参考になると思います。
それから、無症候性でPMLを発見すると予後がよくなるということを強調されまして、画像所見を中心としまして診断のポイントを示されたことは、大変評価されると思います。
また、PMLのサーベイランス委員会とのリンクが今回しっかりと示されたということも、よかったと思います。PMLの診療ガイドラインにつきましては2020年版が公開されていますが、それにつきまして18ページにポイントがよく記述されていると思います。現在2023の暫定版がパブコメに出ていて、2022年2月18日まででパブコメが締切りになっていると思いますので、この2023年版が出版されたときにはまたアップデートしていただければと思っております。どうもありがとうございました。
○新野参考人 御意見をありがとうございます。
○五十嵐座長 御指摘をどうもありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
どうぞお願いします。
○薄井構成員 慈恵医大の薄井です。
先生、どうもありがとうございます。非常に詳しく書いていただいたので、ふだんPMLに出くわすことが多いので大変参考になります。
私は腫瘍・血液内科なので、よく抗体薬を使うので、かなり増えてきているということもあって、先生にいろいろお薬のことを書いていただいて、本当にありがとうございます。その点なのですけれども、12ページの最後のところに「エクリズマブ」、これはソリリスだと思いますが、ソリリスはもともとはPNHやHUSなどで私たちは使っていて、PMLに遭遇することがあります。本薬剤は発作性夜間ヘモグロビン尿症に対して使われることが多いと思います。もちろん最近はMGだとか、先生のお書きになった神経疾患の脊髄炎スペクトラムでも使われるのですけれども、できればPNHやHUSなどの病名も入れておいていただけると、血液内科領域でも注意をするかと思いましたので、御検討いただければと存じます。よろしくお願いいたします。
○新野参考人 ありがとうございます。
どうしても神経内科の医者ばかりだったので、漏れていたところもあります。ありがとうございます。追記させていただきます。
○五十嵐座長 これは12ページの一番下の段落の「重症筋無力症、視神経脊髄炎スペクトラム障害」の後に「atypical HUS」とか、そういうものを入れろということですかね。
○薄井構成員 後でも前でもどちらでもいいのですけれども、そもそもがPNHだったので。
○五十嵐座長 この部分に具体的な病名を幾つか入れていただきたいと。
○薄井構成員 ちょっと入れておいていただけるといいかと思いました。よろしくお願いいたします。
○新野参考人 ありがとうございます。
○五十嵐座長 分かりました。ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
どうぞ。
○西谷構成員 製薬協の西谷と申します。よろしくお願いいたします。
9ページの表1の「PML発症の報告がある薬剤」というところでまとめていただいているのですが、これはこれで全然問題ないと思っているのですが、ただ、患者さんのほうのマニュアルのところで、詳細はそっちを見てねという記載がございます。それを見たときに、患者さんがなにを指すかすぐにわかるかどうか、私もよく分かっていないのですけれども、患者さんは「糖質コルチコイド」といってピンとくるのかというのが気になりまして、横を見ても「すべて」だと何ぞやというところがあるので、その辺りはピンとくるといいますか、分かりやすい記載があると親切かと思いました。
○新野参考人 ありがとうございます。
たしかこれは1)のガイドラインからそのまま持ってきたような形のものなのでこんな形になっているのかと思うのですが、「ステロイド」とか、「プレドニン」とか、名前を書いたほうがいいのでしょうかね。
○西谷構成員 そういう形でそういうものが含まれるみたいなものだと患者さんは分かりやすいかと感じました。
○新野参考人 ありがとうございました。検討します。
○西谷構成員 お願いいたします。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
それでは、私から20ページと21ページなのですが、20ページの一番下の段落に「入院経過(図2)」と書いてありますね。図2というのは上のほうでMRIの図2なのですね。それで、次のページの図3で「症例の臨床経過」、つまり、これが「入院経過」ではないかと思ったのですが、20ページの図2というのは図3でしょうか。
○新野参考人 そうですね。すみません。間違っております。図3です。
○五十嵐座長 それで、21ページに行きますと、私のところだけなのかもしれないのですけれども、「症例の臨床経過」の中身が「月/日」が書いてあるのですけれども、その下が空白になっているのですが、ほかの先生方のほうはちゃんと出ていますか。「図3:症例の臨床経過」と21ページにありますね。これは私のところだけ記載が空白になっているのでしょうか。ほかの委員の先生方はちゃんと記載されていますか。
○新野参考人 「X/5」とか、「X+2/10」とか、「X+3/5」とかとありますが。
○五十嵐座長 そこから下がないのです。それで「EDSS:Expanded Disability Status Scale、MMSE:ミニメンタルステート検査」という文章はあるのですが、ここまでの間が何も書いていないのですが、これは。
○新野参考人 「月/日」で、X月の5日で、Xプラス2か月の10日、Xプラス3か月の5日という意味なのですが。
○五十嵐座長 それはいいのですけれども、その下が全く私のところには見えないのですが、ほかの委員の先生のところは見えますか。
○薄井構成員 私のところもMACを使っているので見えていません。Windowsですと見えているのかもしれません。
○五十嵐座長 マックのせいで見えないのですか。マックではない先生のところでは見えているわけですね。では、見えていないのは薄井先生と私だけということですか。分かりました。こちらの機器の不備というか、申し訳ありません。
でも、これはそうすると、20ページの「入院経過(図2)」というのは図3ですね。
○新野参考人 それは図3で間違いありません。ありがとうございます。
○五十嵐座長 分かりました。ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
では、幾つか御指摘をいただきましたけれども、これは修正するということで、日本神経学会が作成してくださったマニュアル案については了解するということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、今後の進め方につきましては、事務局に最後にまとめてお伺いしたいと思います。
新野先生におかれましては、大変な作業に当たられて、また、今日は参加していただきまして御説明をいただきまして、どうもありがとうございました。これ以降の議題につきましては、恐らく先生に御意見を求めることはありませんので、ここで御退席いただいて差し支えございません。本当にありがとうございました。
○新野参考人 ありがとうございました。失礼します。
(新野参考人退室)
○五十嵐座長 それでは、今日予定しておりました令和3年度作成のマニュアル案につきましては、議論が終了いたしました。事務局から今後の進め方につきまして御説明をお願いいたします。
○事務局 ありがとうございます。事務局でございます。
本日、いずれのマニュアルにつきましても、先生方の御指摘を踏まえた文言修正を行うことで了承されたかと認識しております。そのため、これらのマニュアルにつきましては、学会及び事務局でマニュアルの修正を行いまして、座長への確認を行わせていただきます。その上で、厚労省のホームページに掲載するなど、マニュアルの周知を行わせていただきたいと思います。
以上です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
今後の進め方につきまして、委員の先生方、何かございますか。よろしいですか。
ありがとうございます。
続きまして、議題3「マニュアルの普及啓発活動について」、日本病院薬剤師会の林構成員から資料の御説明をお願いいたします。
○林構成員 虎の門病院に勤務しております林でございます。
日本病院薬剤師会におきまして、御紹介がありましたように、マニュアル改定ワーキンググループを担当しておりますので、私から資料3を御説明させていただきます。お手元、確認いただけますでしょうか。
コンパクトにまとめてございますが、上段にここまでの経過をお示ししてございます。昨年度の検討会で御提案いたしまして先生方に御了解いただいた内容に基づきまして、厚生労働省、PMDAのホームページにて一般向けのマニュアルを公開していることは実際に取組がずっと続いていることなのですが、このマニュアル、一般の方には少しどう使うのかが分かりにくいということも指摘されているところでした。この課題に対して一定の対策を立てるために、一番上段の右側にお示ししましたような患者さん御自身に視聴していただくことによってこういうマニュアルがあるのだという存在をお知らせし、また、内容を視聴していただきますと、医師、薬剤師から説明があった重篤副作用の名称等が分かりにくいときに内容を参照できるであるとか、何らかの症状が起こったときにどんな出来事だろうと思ってマニュアルを参照して副作用の概要を理解することができるような使い方がありますよということを解説した動画を公開させていただいたところでございます。御視聴いただいた構成員の先生方も多いかと思います。どうもありがとうございます。
そこで、本年度令和4年度でございますが、さらなる普及啓発の取組を進めるとすればということで考察を行いまして、医療現場でも薬剤師あるいは医師の皆さんとのチーム医療の中で、この動画を何らかの形で患者さんたち、国民の皆さんに周知するような方向での取組が実際に既にされているか、今後できそうかというところを調査させていただいて、その内容によってさらなるこのグループからの後押しをしていけるのではないかということを企画いたしました。
上段に書いてありますように、患者マニュアルの周知啓発に関する病院・薬局への調査ということで、既に病院薬剤師会、日本薬剤師会の協力を得ることができることを確保いたしまして、調査ができる状況になって、今、まさにスタートのところでございます。今日の先生方の御助言も含めて、この調査は本年度内に完結する事業でございますので、早急に実施するように進めております。この動画の配信を患者さんの待合室で配信するような形で一般の方の目に触れるような取組を既にされているかあるいは今後できるか、待合室等にこのマニュアルのポスターなどを貼っていただいて医療従事者と国民の皆さんのコミュニケーションの起点にしていただくようなことができるか、パンフレットをお持ち帰りいただいてそちらで何かの機会に御視聴いただく、あるいは最近はQRコードをスマホで読み取りますとこのサイトに飛ぶということもできますので、そういうことも含めて動画リンクなどの患者さんへの提供などのほうがいいのではないかとか、幾つかのアイデアを盛り込みました現場へのアンケートを現在スタートさせたところでございます。
この調査結果に基づきまして、今年度後半におきまして、その中から得られた最も有効そうな手段、あるいは望ましい手段を使って、さらなる普及啓発の取組を事業として進めさせていただきたいと考えておりまして、今日御報告させていただいて、先生方に御確認いただきたいと考えているところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 病院薬剤師会と日本薬剤師会の御協力の下でこれから調査をされるという御説明をいただきました。どうもありがとうございました。
それでは、委員の先生方、何か御意見、御質問がありましたらお願いいたします。
どうぞお願いします。
○川名構成員 日本薬剤師会の川名です。私からも一言御報告させていただきます。
このマニュアルは薬局の薬剤師も大いに活用させていただいておりまして、1マニュアルずつ小冊子にして会員向けの雑誌と一緒に送っている地区薬剤師会もありますし、卒後研修に組み入れている会社もあります。しかし、患者さんの普及啓発となりますと、薬局の待合室に動画配信できるモニターが設置されている薬局がどのくらいあるのかということは確認しなければならないと思っております。アンケート結果を見て、薬局の薬剤師も実施しやすい普及啓発方法が議論される展開を望んでおります。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 どうもありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
若い方たちはスマホを使っていますので、なくてはならない存在で、スマホからも見えるような内容のほうが特に若い世代の方たちには訴える力があるのかもしれませんけれども、それも御検討されるということでよろしいですね。
○林構成員 そういったことを発端にして参照していただけるような方法論についても、アンケートの内容に含めてございます。
○五十嵐座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
それでは、ありがとうございました。今後の進め方につきまして、厚労省の事務局から何かございましたらお願いいたします。
○事務局 ありがとうございました。
本普及啓発活動につきましては、本日いただいたコメント、御指摘等を踏まえまして、日本病院薬剤師会様での調査等に基づく取組を検討してまいりたいと思っております。
○五十嵐座長 ありがとうございました。皆さん、よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
以上で本日予定をしておりました議題は全て終わりました。全体を通しまして何かございますでしょうか。よろしいですか。
事務局からはありますか。
○事務局 特にございません。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
それでは、本日の検討会はこれで閉会とさせていただきます。御協力をいただきましてありがとうございました。

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