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2020年9月2日 第12回重篤副作用総合対策検討会 議事録

医薬・生活衛生局医薬安全対策課

○日時

令和2年9月2日(水)
18:00~

 

○場所

田中田村町ビル6階6B会議室
 

○議事

○医薬安全対策課長 始めさせていただきたいと思います。
まだ、参考人の先生で何人かいらっしゃっていない方もいらっしゃいますが、その場合については順次議題を変えさせていただきたいと思います。
それでは、第12回重篤副作用総合対策検討会を開催いたします。
お忙しい先生方におかれましては、御出席いただきありがとうございます。
本日の検討会は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、一般傍聴は制限ということです。報道関係者の皆様に限り傍聴可としております。カメラ撮りについても冒頭から禁止とさせていただきます。
また、議事録については、後日、厚生労働省のホームページに掲載する予定でございます。
また、審議の方法につきましても、対面ではなくWeb開催としております。構成員及び参考人の先生方は外部より審議に御参加いただくことになります。そのため、一部対面での進行と異なる部分がありますので、議事に先立ち、審議の進行方法について事務局より説明させていただきます。
○事務局 それでは、御説明申し上げます。
まず、ハウリング防止のため、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。御意見・御質問いただく際には、ミュートを解除し、初めに自身のお名前をお知らせいただいた上で御発言をお願いいたします。
発言のタイミングが重なったり、音声のみでの判別が難しいほど混雑したりした場合には、一旦発言を控えていただき、座長から順に発言者を御指名いただきます。
会議中、マイクの調子が悪くなるなど、他の出席者にとって聞き取りづらい状況が続く先生におかれましては、音声の代わりにメッセージに御意見等を記入いただくよう事務局または座長からお願いする場合がございます。
その他システムの動作不良等ございましたら、会議の途中でも結構ですので、事前にお伝えしております事務局への電話番号まで御連絡をお願いいたします。また、事務局のサーバーがダウンする等トラブルが発生した場合には、事務局から一斉にメールで御連絡する場合もございます。御確認をお願いいたします。
御不便等をおかけすることもあるかもしれませんが、何とぞ御理解・御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
続きまして、事務局から本日の検討会から御参画いただきます先生を御紹介させていただきます。
島田構成員の御後任といたしまして、公益社団法人日本薬剤師会理事の川名構成員が着任されております。
また、上野構成員の御後任といたしまして、日本製薬工業協会医薬品評価委員会ファーマコビジランス部会副部会長の西谷構成員が着任されております。
本日の構成員の御出欠でございますけれども、多賀谷構成員、木村構成員より御欠席との御連絡をいただいているところでございます。
続きまして、参考人の御紹介をさせていただきます。
議題2「令和元年度のマニュアル改定案について」、日本泌尿器科学会より尿閉・排尿困難につきまして石塚先生、出血性膀胱炎につきまして横山先生。
日本小児科学会より、新生児薬物離脱症候群につきまして日下先生。
日本産科婦人科学会より、卵巣過剰刺激症候群につきまして苛原先生。
日本血液学会より、血栓症につきまして鈴木先生、播種性血管内凝固につきまして山内先生、薬剤性貧血につきまして山崎先生、再生不良性貧血につきまして臼杵先生。
日本消化器病学会より、偽膜性大腸炎につきまして今枝先生、重度の下痢につきまして穂苅先生、麻痺性イレウスにつきまして松本先生。
日本臨床精神神経薬理学会より、アカシジアにつきまして嶽北先生、セロトニン症候群につきまして堀先生。
日本循環器学会より、心室頻拍につきまして髙橋先生に御出席いただいているところでございます。
また、日本消化器学会より消化性潰瘍、急性膵炎につきまして、あらかじめ書面での変更点の概略をいただいているところでございます。
また、議題4「特発性大腿骨頭壊死症マニュアルについて」の参考人といたしまして、日本整形外科学会より菅野先生に御出席いただいているところでございます。
参考人の先生方の紹介は以上となります。
以後の議事の進行につきましては、五十嵐座長にお願いいたします。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
では、早速ですが議事に入ります。
初めに、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
○事務局 資料につきましては、あらかじめお送りさせていただいております。
議題1に関しまして、資料1-1。議題2に関しまして、資料2-1~2-16まで。議題3に関しまして、資料3-1、3-2。議題4に関しまして、資料4-1~4-3がございます。
このほか議事次第、配付資料一覧。また、参考資料といたしまして、開催要綱、名簿をあらかじめお送りしているところでございます。
本日の資料は以上でございますけれども、不足、届いていない等ございましたら、お申し付けくださいますようお願いいたします。
○五十嵐座長 ありがとうございました。いかがでしょうか。何か資料のことで問題はありますか。よろしいですか。
それでは、ないようですので、議題1「マニュアル改定・新規作成の進捗について」に移りたいと思います。
事務局から資料の説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、事務局より資料1-1について御説明させていただきます。
令和元年度末における既存の75マニュアル、新規作成が必要とされた5マニュアル、計80マニュアルの作成・改定の状況について御説明させていただきます。
改定版の公表までが完了したものは26件、未完了のものは54件となっております。
また、未完了のマニュアルのうち、学会の改定作業が終了したものが16件あり、本日の議題2で御議論いただきます。
また、学会での改定および時点修正作業が進行中のものが38件あり、今年度中の改定作業が終了する予定です。
「2.その他」の記載のとおり、第8回検討会及び第9回検討会において、「副作用発現臓器・領域別総論」及び「免疫チェックポイント阻害薬の副作用に関するマニュアル」の新規作成を御提案いただきました。「副作用発現臓器・領域別総論」については、案の作成が完了いたしましたので、本日の議題3で議論いただきます。また、「免疫チェックポイント阻害薬の副作用に関するマニュアル」については、令和2年度中に作成作業が完了予定です。
資料1-1については以上となります。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
委員の先生方、何か御意見・御質問ございますか。よろしいですか。
それでは、次に移りたいと思います。議題2「令和元年度のマニュアル改定について」、事務局から説明をお願いします。
○事務局 それでは、個別のマニュアルの御議論に入る前に、まず全般的な事項について御説明いたします。
本日は、マニュアルについて作成していただいたそれぞれの学会より、参考人の先生方にお越しいただいておりますので、後ほどそれぞれのマニュアルについて参考人の先生方から改定のポイントについて御説明いただきます。
その前に、全てのマニュアルに共通の変更事項について、資料2-1を用いて御説明させていただきます。
各マニュアルには巻末に参考1~4がございます。23ページを御覧ください。参考1として、医薬品医療機器等法に基づく副作用報告件数の報告状況を記載しております。
次に26ページを御覧ください。参考2として、ICH国際医薬品用語集における関連副作用用語の一覧を記載しております。
また、参考3、医薬品副作用被害救済制度における給付件数、参考4、医薬品副作用の被害救済制度の解説を公表時に記載予定です。
全てのマニュアルに共通して、これらの参考資料における副作用報告件数や給付件数等の情報を最新のものに更新しております。
以上です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
では、早速審議に入りたいと思います。まず、日本泌尿器科学会から資料2-1、尿閉・排尿困難のマニュアル案が出ております。これについては石塚先生、資料2-2の出血性膀胱炎のマニュアル案については横山先生に、本日は参考人としてお越しいただいております。
まず、石塚先生から、資料2-1の御説明をお願いします。
○石塚参考人 信州大学の石塚です。簡単に御説明させていただきます。
まず、委員ですけれども、基本的には第1版と代わっておりませんが、私と西沢先生が交代という形になっています。ほかの委員は皆さん同じです。さらにもう一回、内容を確認していただいております。
簡単に説明しますと、「A.患者の皆様へ」は基本的に変わりなくて、「B.医療関係者の皆様へ」でございますが、表1や図1の順序がもっと分かりやすいように、文章の後につくように改正させていただいております。
「6.典型的症例」ですが、ちょっと変わっているのが症例2の80歳代の女性というものが15ページにございますが、過活動膀胱の治療薬としてβ3アドレナリン受容体作動薬のミラベグロンやビベグロンが出ておりますが、それと抗コリン薬を併用した場合、強く尿閉の症状が出ることがあるということで、症例2を参考例として入れてございます。
ほかは基本的に変わりなく、22ページの引用文献を1、2、3といろいろガイドラインが前回引用されておりましたが、改定されておりますので、全て新しいものに変えてございます。
概略は以上です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
では、続きまして資料2-2につきまして、横山先生、お願いします。
○横山参考人 東京医科歯科大学腎泌尿器外科の横山です。それでは、出血性膀胱炎のマニュアルの改定ポイントについて、簡潔に説明させていただきます。
まず、作成委員会の委員長として当科の藤井が就任したということと、あと、私、横山が委員として就任しております。それ以外は皆さん留任していただいております。
初版のマニュアルがかなりよくできていると思われますし、この10年ほどで出血性膀胱炎について大きな診療の変化はなかったと言ってよいと思いますので、基本的には前回のマニュアルをほぼ踏襲しております。
その中で、主なポイントとして2点ございます。
まず1点目としては、オプジーボを初めとする免疫チェックポイント阻害剤の使用が始まり、それによる出血性膀胱炎の報告がございますので、免疫関連の出血性膀胱炎の記載を加えております。
2点目としては、出血性膀胱炎に対する治療で中心的役割を担う高圧酸素療法につきまして、昨年初めて無作為比較試験の結果が報告されておりまして、また、高圧酸素療法を組み込んだ出血性膀胱炎のアルゴリズムを昨年発表しておりますので、その内容を治療の項目に組み込んでおります。
ほかには、免疫チェックポイント阻害剤の内容につきましては、休薬の上ステロイドの使用を考慮するということを記載しており、典型的な症例としまして、徳島大学の尾崎先生から論文で報告されている症例の情報を提供していただきましたので、それを掲載しております。
主なポイントとしては以上になります。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
それでは、資料2-1と2-2につきまして、委員の先生方、御質問・御意見ございますか。どうぞ。
○飯島構成員 飯島でございます。資料2-2でございますが、10ページの一覧表のところに、抗アレルギー薬のリザベンだと思うのですが、これが抜けているんです。というのは6ページに代表的な医薬品として紹介があるにもかかわらず、一覧表から落ちているのですが、これは抜いてよろしいのでしょうかという質問です。
以上です。
○五十嵐座長 横山先生、いかがですか。
○横山参考人 失礼いたしました。これは見落としていたと思いますので、リザベンにつきましては追加させていただきたいと思います。
○飯島構成員 よろしくお願いします。
○五十嵐座長 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。
では、ほかはないようですので、今、飯島構成員が御指摘なられた表1、出血性膀胱炎の原因の医薬品としてリザベンを加えるということで、それ以外につきましては、このマニュアル案はこのままで了解いただけますでしょうか。もし反対の方がいらっしゃるようでしたら、声を出すかしていただきたいのですが。
○川名構成員 日本薬剤師会の川名です。
尿閉・排尿困難のマニュアルについて、1つ質問がございます。すごく勉強させていただきました。ありがとうございます。拝見しておりまして、1点分かりづらいかなと思った記述があったのですけれども、13ページの症例1について読んでおりましたら「当科」という記述がございまして、ほかは「症例など」となっておりまして、ここはつながりが分かりづらいかなと思いましたので、てにをはが抜けていたりというのをチェックしていただければと思います。
○五十嵐座長 御指摘になったところは分かりますか。「6.典型的症例」の症例1ですか。
○川名構成員 下から11行目ですが、ここの前後がつながらないような気がしましたので、御確認いただければと思いました。
○五十嵐座長 「2週後、尿意があっても排尿できず、下腹部が膨隆してきたため他院受診、尿閉と診断され尿道バルーンカテーテルが留置された」、ここのところですね。
○川名構成員 その次に「当科」と来るのですけれども、全国に公開するマニュアルで「当科」という言葉がここに来ると。
○五十嵐座長 そうすると、どういう言葉に変えたらいいですか。
○川名構成員 「当症例」とか、症例をよく読んで誰がというのが分かるような記述になったらいいと思うのですが。
○五十嵐座長 石塚先生、今の御指摘どうですか。
○石塚参考人 どう直せばいいですかね。
○五十嵐座長 このままでも分からないことはないとは思うのですが。
○川名構成員 分かりました、どうもすみませんでした。
○五十嵐座長 このままでも御理解いただけると思います。ありがとうございます。
ほかはよろしいですか。
○西谷構成員 製薬協の西谷です。1点確認させていただきたいのですが。
○五十嵐座長 資料2-1ですか、2-2ですか。
○西谷構成員 資料2-1も2-2にもかかるのですけれども、各マニュアルの一番最後の参考2のMedDRA/Jのバージョンが22.1と23.0でマニュアルよって違うのですが、そこはこだわらなくても大丈夫ですか。
○事務局 ありがとうございます。それぞれのマニュアルを作った時期が微妙にずれておりまして、そのときの最新のバージョンで書かせていただいたのですが、事務局でも検討いたしまして、統一できそうなら最新のバージョンに統一させていただきたいと考えております。ありがとうございました。
○西谷構成員 ありがとうございます。
○五十嵐座長 よろしいですか。そのほかいかがですか。
それでは、リザベンを入れるのと、参考2のバージョンをそろえられたらそろえるということを条件に、このマニュアル案については了承するということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。特に反対意見はないようですので、そのようにしたいと思います。今後の進め方は、事務局に最後にまとめてお伺いしますので、よろしくお願いします。
石塚先生、横山先生、お二人の先生におかれましては、貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。これ以降の議題につきましては、特にお二人に御意見を求める予定はありませんので、御退席されても差し支えございません。どうもありがとうございました。
○石塚参考人 ありがとうございました。
○横山参考人 ありがとうございました。
○五十嵐座長 続きまして、日本小児学会から資料2-3、新生児薬物離脱症候群のマニュアル案について、日下先生に御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○日下参考人 よろしくお願いいたします。香川大学小児科の日下でございます。
今回のマニュアルは改定版でございまして、初回は2010年、平成22年につくられたものを今回10年ぶりに改定させていただきました。
主な変更点は、13ページの下から4行目に、日本小児科学会におきまして、平成30年度に全国の主要新生児集中管理施設にアンケートを取りまして、現状を確認いたしました。そのところ、母親が離脱症候群の82.5%が多剤内服ということで、かなりのお母さん方が1剤でなくて多剤の薬物を内服されているということと、もう一つは、今回新しく考えましたことは、アルコール依存等の嗜好品が症状を増強することがありますので、アルコールに関して問い合わせたところ、63例中3例にアルコールの乱用が確認されておりますが、その30%程度の症例でアルコールの摂取歴が確認されていないという状況が分かりましたので、そのことも注意を喚起するようにマニュアルを改定いたしました。
以上です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございます。
それでは、資料2-3について何か御意見・御質問ございますか。最近すごく患者さんが増えていますので、すごく重要な改定だと思いますけれども、よろしいでしょうか。
○齋藤構成員 国衛研の齋藤ですけれども、よろしいでしょうか。
日下先生、大変貴重な改定をありがとうございました。
一つ教えていただきたいのですけれども、11ページの表3と13ページの表6にスコアリングがございまして、スコアの点数に対応してどういう治療をするかと注に記載いただいておりますけれども、12ページの表4のLipsitzスコアと表5のFinneganの簡易版につきましては、点数のスコアリングにつきまして、どういう治療を施すかというものはございませんでしょうか、教えていただければと思います。
○日下参考人 ありがとうございます。一応、表3のFinneganが標準的なものですが、私どもとしましても、13ページの表6の磯部スコアというのが非常に簡便にしておりますので、臨床等の現場ではそちらを使っていただいて問題ないかと考えておりますが、従来の報告には表4と表5も記載がありましたので、参考までに記載している程度でございますので、その点に関しては、これを指標にして治療するということは今回は記載しておりません。それでよろしいでしょうか。
○齋藤構成員 分かりました。実用的にはあまり問題ないということで理解いたしました。ありがとうございました。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
ほかはよろしいですか。
○西谷構成員 製薬協の西谷です。
10ページに記載いただいている薬物の一覧なのですけれども、催眠・鎮静薬としてはバルビツール系がセコバルビタールのみが記載されていて、フェノバルビタールは抗てんかん薬のほうに記載されているのですが、適応を見ると催眠・鎮静の適応もフェノバルビタールは持っていたり、ニトラゼパムもてんかんの適応を持っていたりするのですが、実際に臨床現場ではあまりそういう適応をされないから、こういう一覧になっているという理解でよろしいでしょうか。
○日下参考人 一応そのように考えて記載しましたが、先生御指摘のようにサーベイしたほうがいいのかもしれませんが、そうなりますと薬の記載がたくさんになりますので、一応このようにいたしました。
○西谷構成員 ありがとうございます。
○五十嵐座長 これでよろしいですか。
○西谷構成員 大丈夫です。
○五十嵐座長 ありがとうございます。ほかはどうでしょうか。
では、特に御異論ないようですので、新生児薬物離脱症候群のマニュアル案につきましては、日本小児科学会の御提案どおりで了承するということでよろしいでしょうか。
反対ないようですので、そのようにしたいと思います。
日下先生、貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。これ以降の議題につきましては、先生に御意見を求める予定はありませんので、御退席されても差し支えございません。どうもありがとうございました。
○日下参考人 ありがとうございました。失礼いたします。
○五十嵐座長 続きまして、本来ならば資料2-4の日本産科婦人科学会からの御説明をいただく予定なのですが、苛原先生がまだ参加されていないということですので、スキップいたしまして、資料2-5、2-6、2-7、2-8について御説明いただきたいと思います。
まず、資料2-5ですが、鈴木先生から御説明をお願いしたいと思います。鈴木先生、よろしくお願いします。
○鈴木参考人 名古屋大学の鈴木です。よろしくお願いします。
まず、5ページの患者さんに対する記載ですけれども、「1.血栓症とは?」の項ですが、最近SERMという骨粗鬆症薬による血栓症が知られるようになっていますので、この点について記載しました。
また、ここに挙げたような薬は、病院にもよりますけれども内服していると手術時には休薬や血栓リスクが高い患者として対応策が取られることがありますので、患者さんにも自己申告してもらえるように記載いたしました。
7ページですけれども、エコノミークラス症候群に関する記載ですが、最近は震災時にも車中泊などの避難生活によって発症する例がトピックにもなっておりますので、今後もこのような例は増えると予想されますので記載させていただきました。
次に、8ページからの医療関係者に対する記載ですが、10ページの4行目から、家系内に血栓症が多発している場合には、薬剤性ではなく何らかの先天性素因が存在する可能性がありますので、専門医へ相談することを勧めるような記載に変更しました。
同じく10ページ、「(4)投薬上のリスクの因子」ですが、まず、トラネキサム酸につきまして、線溶優位型DICに関する注意が書かれていましたが、特に使用禁忌として有名であるAPL症例での使用を追加記載しました。このケースでは特に、ATRAとの併用が禁忌となるわけですけれども、それに伴いまして、以前記載されていましたATRAの記載はここに含める形にまとめさせていただきました。
ワーファリンにつきましては、以前の記載ですと、プロテインC欠損症のときのみ切替え時にはヘパリン併用との記載でしたが、実際には切替え時にはヘパリン併用でというのが一般的と思われましたので、そのような記載へと変更しました。
ダナゾールの記載は血栓リスクの度合いが明確ではなく、他の薬剤との重要性比較の観点からも削除させていただきました。
遺伝子組換え活性型血液凝固第Ⅶ因子製剤につきましては、血栓事例のほとんどが適応外使用であると認識しておりますので、今回は除外させていただきました。
サリドマイド及びレナリドミドの記載は、前回以降新たに発売された薬剤ということで追加させていただきました。
新規血友病治療薬、エミシズマブと乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体との併用につきましては、添付文書にも注意書きがされていますけれども、血友病という基礎疾患で、その治療法も不慣れな医療機関多いと推察しまして、注意喚起の意味で記載させていただきました。
11ページの「(6)早期発見に必要な検査と実施時期」については、特に静脈血栓においてはDダイマー測定の重要性が言われておりますので、これを反映させた記載とさせていただきました。
13ページからの「(4)発生機序」と「(5)副作用発現頻度」ですが、これらの項は先ほど述べた「(4)投薬上のリスク因子」に挙げた薬剤の入れ替えに伴いまして、記載内容の変更を行っています。
16ページ「6.典型的症例概要」につきましては、以前記載されていました2つ目の症例は、器質的なリスク要因が明確な症例で、薬の副作用という点からは不適切な印象を受けましたので、差し替えしました。
以上になります。
○五十嵐座長 どうもありがとうございます。
予定では、資料2-5から2-8まで全部終わってから御質問に移ろうかと思っていたのですが、それぞれ内容が濃いですので、一つずつ御質問を受けたいと思います。
血栓症、資料2-5について、委員の先生方、御意見・御質問ありますか。
○薄井構成員 すみません、慈恵医大の薄井でございます。よろしゅうございますか。
鈴木先生、どうもありがとうございます。非常に詳しく、かつ、分かりやすく、患者さんの御説明も非常に的を射た、良いマニュアルを作っていただいてありがとうございます。1つ質問、1つは多分誤字だと思うので、その点を指摘させていただきます。
まず一つは、先ほどエミシズマブのお話がありましたけれども、これは私たち血液をやっている人間はどういうお薬か分かるのですが、ここは括弧づけで結構ですから「血友病製剤の」とか何か入れていただいたほうが、一般の先生方がお読みになったときにお分かりになるかもしれないと思います。
10ページ、これは誤字だと思うのですが、先ほど先生に御指摘いただいた「(4)投薬上のリスク因子」の4行目、「著名」の「名」が多分「明」だと思うので直していただきたいと思います。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
鈴木先生、漢字の誤りを修正することとし、血友病の治療薬を入れるという御指摘はいかがですか。
○鈴木参考人 分かりました。入れさせていただきます。ありがとうございます。
○五十嵐座長 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。
それでは、今、御指摘になった点を修正することで資料2-5につきましては、御承認いただけますか。
○西谷構成員 すみません、製薬協の西谷です。
1点だけ質問させていただきたいのですが、患者様への説明の5ページと6ページですが、前回は「片方の足」というのが「急激な痛みや腫れ」の前についていたのを、あえて外されているようにお見受けしたのですけれども、6ページの「2.早期発見と早期対応のポイント」は「片方の足」というのが残っています。間違いではないと思うので、意図的だったら申し訳ないのですけれども、一応確認だけさせていただきたいのですが、これでよろしいでしょうか。
○鈴木参考人 意図的ではないと思うのですが、このあたりはそろえたほうがいいということでしょうか。
○西谷構成員 そうですね。今回あえて取られているので、もしそうであれば患者さん向けなので、片方でなくてもリスクはあるよとお伝えするのであれば、そろえたほうがいいのかなと感じたものですから。
○鈴木参考人 では、2の「片方」を削除する方向でそろえさせていただこうかと思いますが、よろしいでしょうか。
○西谷構成員 私は異存ございません。
○鈴木参考人 では、そうさせていただきたいと思います。
○五十嵐座長 分かりました。6ページの下から8行目の「片方の」を削除するという方針にしたいと思います。
ほかはよろしいですか。
それでは、誤字を修正することと、説明の言葉を入れることと、「片方の」という言葉を削除することで御承認いただけますでしょうか。
それでは、御異議ないようですので、資料2-5につきましては御承認いただいたものとしたいと思います。
では、続きまして、資料2-6のDIC、山内先生、お願いします。
○山内参考人 福井大学の山内でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、2ページの3段落目、本項目の担当は全く新しく私どもが担当させていただいております。ありがとうございます。
そして、7ページからの「A.患者の皆様へ」で、基本的には記載の整理でございます。
1点、9ページの第2段落、「早期にDICの診断がつけば、早い対応が可能になります。」というところだけ追記させていただいております。
続きまして、11ページからの「B.医療関係者の皆様へ」でございます。
「1.早期発見と早期対応のポイント」が2ページにわたって記載の整理のみでございます。
13ページ「2.副作用の概要」についても記載の整理のみでございます。
15ページ「3.副作用の判別基準(判別方法)」が大きく変わってございます。1988年の旧厚生省DIC診断基準を用いてございましたが、今回は現在ベストと考えておられます2017年に日本血栓止血学会の提唱しておりますDIC診断基準に変更させていただいております。
17ページ「4.判別が必要な疾患と判別方法」は、記載の整理のみでございます。
「5.治療方法」でございますが、18ページの1行目にございますように、この間に発売になった遺伝子組替え型トロンボモジュリン製剤の記載を追加させていただいております。
「6.典型的症例概要」につきましては、2017年の新基準に基づいたDICの診断がつき、なおかつトロンボモジュリン製剤の使われた私どもの経験した適切な症例に置き換えさせていただいております。
最後、20ページの「8.引用文献」で追記をさせていただいております。
以上でございます。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
それでは、委員の先生方、何か御意見・御質問ありますか。
○薄井構成員 慈恵医大の薄井でございます。よろしゅうございますか。
山内先生、非常に分かりやすくまとめていただいて、ありがとうございます。1つ質問というか、DICのアルゴリズムは16ページに先生に書いていただいたものがあるのですけれども、そこにも御指摘いただいているように、産科・新生児領域はまた別途でやることになっておりますよね。ここは下線を引くとか分かりやすくしたほうがいいのではないかと思うのですけれども、いかかでございましょうか。
○山内参考人 承知いたしました。ありがとうございます。こちらは下線を引かせていただきます。
○五十嵐座長 アルゴリズムのところではなくて、本文のほうに下線を引くということですね。
○薄井構成員 そうでございます。本文のところに下線をよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。
図1のDICの診断基準適用のアルゴリズムというのは、記載の仕方か何か知りませんけれども、オーバーラップしてしまっているので、印刷するときに注意していただけますか。
それから、文献の20ページも少し空いていて記載がちょっと乱れているところがありますので、これも後で直していただきましょう。
○山内参考人 ありがとうございます。承知いたしました。
○五十嵐座長 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、このDICのマニュアルにつきましては、御承認いただけますか。
ありがとうございました。では、細かい幾つかの点を修正していただいて承認ということにしたいと思います。山内先生、どうもありがとうございました。
○山内参考人 ありがとうございました。
○五十嵐座長 続きまして、山崎先生から資料2-7の薬剤性貧血について、お願いします。
○山崎参考人 横浜市立大学の山崎です。よろしくお願いします。
薬剤性貧血に関しましては、「A.患者の皆様へ」では特に変更事項はございません。
「B.医療関係者の皆様へ」の文言の訂正として、「網状赤血球」を「網赤血球」へ、「LDH」を「LD」へ全般の文言変更をしております。
それ以降は、新たに報告のあった薬剤の追記が中心となっていまして、特に16~19ページですが、新規薬剤として免疫チェックポイント阻害薬と新たに報告のあった抗菌薬の症例提示を新たに追記しています。
あとは、新規薬剤の追記があるくらいで、大きな変更はしておりません。
以上です。よろしくお願いします。
○五十嵐座長 山崎先生、どうもありがとうございます。
では、資料2-7につきまして、御意見・御質問いただきたいと思います。いかがでしょうか。
○薄井構成員 慈恵医大の薄井でございます。
小さなことですみません。山崎先生、ありがとうございます。非常に分かりやすくまとめていただいて、本当によく勉強になります。
11ページでしょうか、ミスプリだと思うのですけれども、「その他」の3行目「貧血があるのもかかわらず」とありますが「あるにもかかわらず」ではないかと思うので、文章をもう一度見直していただけるとありがたいのですが。よろしくお願いします。
○山崎参考人 そうですね、「貧血があるにもかかわらず」ですね。修正します。ありがとうございます。
○五十嵐座長 では「の」を「に」に変えていただくということですね。ありがとうございます。
ほかはいかがですか。
○川名構成員 川名です。
また、勉強させていただいています。ありがとうございます。一つ読んでいて分からなかったのが、19ページの下から2行目なのですけれども、MCVが681となっていて、調べながらなのですが、MCVは80以下で小球性と書かれているものがあったので、こんな大きいことがあるのかなと戸惑ったのですけれども、どうでしょうか。
○山崎参考人 3歳男児のところでですか。
○川名構成員 もっと下ですね。症例7の20歳男性のところです。
○五十嵐座長 これは、68.1ですかね。
○川名構成員 そうですか。100以下でしか見たことがなかったので。
○山崎参考人 そうですね、68.1です。
○五十嵐座長 どうも御指摘ありがとうございます。きっと「.」が抜けているんですね。よろしくお願いします。
ほかはいかがでしょうか。
それでは、2点字の修正がありますが、資料2-7は御承認いただけますでしょうか。
御異議ないようですので、承認したいと思います。山崎先生、どうもありがとうございました。
○山崎参考人 ありがとうございました。
○五十嵐座長 それでは、続きまして、資料2-8につきまして、臼杵先生に再生不良性貧血の御説明をお願いします。
○臼杵参考人 NTT東日本関東病院の臼杵です。よろしくお願いします。
資料2-8の再生不良性貧血ですが、1月に改定案を提出させていただき、8月に検討事項をいただきましたので、先日、検討事項を反映した改定案を提出しておりますが、お手元にございます資料2-8は1月時点の改定案のままですので、本日は新たに改定したものについても御説明申し上げます。
まず、1ページの委員の構成が変わっておりますので、これも新しくしております。
12ページに、特発性造血障害調査研究班の診療の参照ガイドというガイドラインがございますが、その診断基準に沿いまして検査値を新たに変えております。
それから、赤血球にしばしば異形成などを認めることなどがございますので、その部分を変えております。
14ページの「(7)医薬品ごとの特徴」の中ほど部分に、先に言いました特発性造血障害調査研究班の参照ガイドの薬剤性再生不良性貧血の項目が大体400字ぐらいあるのですけれども、その知見をそのまま入れるようにしております。
そして、そのガイドラインにあります再生不良性貧血の原因となり得る薬剤と化学物質の表をそのまま入れるように変えております。
15ページ、16ページの診断基準と重症度基準も、ガイドラインに合わせて新しいものに変えてあります。
17ページの上の部分に、再生不良性貧血とrefractory anaemiaを鑑別するのが困難であるという記載がありますけれども、この部分は鑑別にPNHタイプ血球などが有用である、最も簡便なものとしてTPO血中濃度であるということを記載するように変更しております。
18ページの「5.治療方法」の中ほどに、造血幹細胞移植や免疫抑制療法などを挙げておりますが、それに加えてトロンボポエチン受容体作動薬を加え、さらにはガイドラインにあります治療アルゴリズムの図を挿入し、治療方法を大体900字、これで言いますと1ページ分に当たるような内容で追記するようにしております。
あとは、最後の21ページの参考資料を少し新しいものに変えております。
以上です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございます。バージョンアップしたものがあるということですね。
○臼杵参考人 はい、そうです。
○五十嵐座長 今日、委員の先生方が共有している資料ではない別の新しいものがあるわけですね。
○臼杵参考人 はい、そういうことでして、先日だったので間に合っていないかと思います。
○五十嵐座長 これは事務局にも届いていないのですね。
○事務局 届いていないです。
○五十嵐座長 では、どうしましょうか。かなり修正が入っていますよね。
○医薬安全対策課長 では、提案ですけれども、今日は元のバージョンを見て意見をいただいて、恐縮ですが事務局に送っていただきまして、修正点をチェックした上で、再度先生方に送るという手続ではいかがでしょうか。
○五十嵐座長 そうですね。臼杵先生、とりあえず今日は、委員の先生方に今配付してある内容について御意見をいただいて、それを集約し、臼杵先生にお送りします。臼杵先生から最終的にマニュアル案を出していただいて、それを委員の先生方に改めて配付します。その上で承認いただきたいと思いますけれども、それでよろしいですか。
○臼杵参考人 そのようにお願いいたします。ありがとうございます。
○五十嵐座長 分かりました。では、委員の先生方、そのような条件で、これがかなり変更になるわけですけれども、その前の段階の今お示しいただいているマニュアル案について何か御意見がありましたら、お願いしたいと思います。いかがですか。
○川名構成員 日本薬剤師会の川名です。
いろいろ勉強させていただいて、小さなことばかりで申し訳ないのですけれども、9ページの「B.医療関係者の皆様へ」の下から6行目に「高脂血症」という表現があるのですが、私たちは最近「脂質異常症」という呼び方に変わったと伺っているのですけれども、これは「高脂血症」のままがよろしいのでしょうか。
○医薬安全対策課長 事務局でございますけれども、ほかのマニュアルも「脂質異常症」に変えているということなので、よろしければ事務局のほうでチェックして変えさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○川名構成員 ありがとうございます。
○五十嵐座長 では、そのようにバージョンアップしたいと思います。
ほかはいかがでしょうか。
○薄井構成員 薄井でございます。
臼杵先生、どうもありがとうございます。最新の知識が入ったと思います。新しいバージョンを期待しておりますけれども、先生も御指摘になっているように、例えば、14ページにもクロラムフェニコールの機序等々を書いてあるのですが、クロラムフェニコールを使うことはほとんどなくて、副作用という点ではメトトレキサートなどが非常に多いと思いますので、クロラムフェニコールはあまり使われていないというので、その辺のことが分かるようなことも追記しておいたほうがいいのではないかと思うのですけれども、いかがでございましょうか。
○臼杵参考人 分かりました。では、最近では頻度は少ないというような。
○薄井構成員 クロラムフェニコールを使わなくなって一旦少なくなっていったように思われますけれども、実際には先生が御指摘のように、いろいろなファクトも絡んで、そう減っている副作用ではありませんので、その辺を強調したほうがいいかなと思ったのですけれども、先生の新しいバージョンにはそれが入っていらっしゃれば、それで結構でございます。
○臼杵参考人 分かりました。追記するようにいたします。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
○笠原構成員 笠原です。よろしいですか。
15ページと16ページの2つの表ですけれども、この表の下に「厚生労働省特発性増血障害」の「増血」ですが、これは「造血」だと思います。単なるミスですね。
○五十嵐座長 これは字が間違えていますね。
表2のstage2の網赤血球の下の好中球の位置は、左にずらして、そろえていただきたいと思います。
「μl」が本文では「L」になっていたりなど、統一が取れていないところが幾つかあるようですけれども。
ほかはいかがですか。よろしいですか。
それでは、先生方に今日御指摘いただいた点と、ほかにもしありましたら事務局に御指摘いただいて、それらを踏まえた上で臼杵先生に最終版を出していただきます。それを皆さんに御覧戴き、了解を得たいと思いますので、臼杵先生、いつ頃バージョンアップしたものを事務局に出していただけますか。
○臼杵参考人 それは既にありますので。
○五十嵐座長 では、今日御指摘いただいた点も追記して修正していただくということで、できるだけ早くお送りいただけますか。
○臼杵参考人 そのようにいたします。
○五十嵐座長 では、そのようなことで改めて承認の作業をしたいと思いますので、資料2-8を除いては一応了解を得たことにしたいと思います。臼杵先生、どうもありがとうございました。
○臼杵参考人 ありがとうございました。
○五十嵐座長 それでは、資料2-4の苛原先生がおいでになりましたので、卵巣過剰刺激症候群について御説明いただけますか。
○苛原参考人 遅くなりまして、申し訳ございませんでした。
卵巣過剰刺激症候群につきましては、最近、播種性は予防法が確立してまいりましたので減っておりますが、やはり発症しますと大きな問題になりますので、そういう観点から見直しました。
一つの特徴は、表4にOHSSの発症予防法を現在の知見を基にして整理し直しました。
それから、体外受精の関係でいろいろなものを一つ一つチェックしましたら、一番最後に症例を2件ほど付け加えたのですが、入っておりますでしょうか。
○五十嵐座長 22ページに症例1がありますね。
○苛原参考人 症例1は、体外受精ではなくて普通の一般不妊症例で、その後、体外受精症例も入れてあります。最近は、いろいろな薬の開発からOHSSの過剰症候群の発生を抑える知見がある薬剤が少しありますので、それを加えたということです。大きくは変わっておりませんが、そういうことを変えました。
以上です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございます。
それでは、資料2-4につきまして、委員の先生方、御意見・御質問はいかがでしょうか。よろしいですか。
特にないようですので、それでは、このマニュアル案については了解いただけますでしょうか。
御異議ないようですので、了解したいと思います。苛原先生、どうもありがとうございました。
○苛原参考人 こちらこそ、どうもありがとうございました。
○五十嵐座長 それでは次に、資料2-9に移りたいと思います。偽膜性大腸炎です。それから、資料2-10が重度の下痢、資料2-12が麻痺性イレウスで、資料2-11、2-13については事務局から御説明するということですので、初めに、資料2-9の偽膜性大腸炎につきましては、今枝先生に御説明をいただきたいと思います。今枝先生、お願いします。
○今枝参考人 埼玉医科大学の今枝です。よろしくお願いします。
まず、1ページ目の構成員やメンバーが変更になりまして、私と大阪医大の中村先生、また鳥取大学の磯本一先生に御協力いただきました。
大きな変更点にポイントとしましては、一つ、クロストリジウムという学名がクロステリジオイデスという学名に変わりました。ただ、従来のクロストリジウムは括弧で残っております。
また、もう一つの大きなポイントとしましては、このCD感染症に関して欧米でガイドラインが出ていまして、さらに日本でも日本化学療法学会と感染症学会からガイドラインが2018年に出ましたので、そのガイドラインを参考にさせていただきまして、いろいろと改定させていただきました。
改定の内容のポイントとしましては、11ページの「(3)臨床検査」から入りますと、検査方法はかなりクリアカットになってきておりまして、ToxinA/BとCDの共通抗原を測定して、はっきりしない場合には、場合によってはPCR法を調べたり、それ以外の方法を調べるということで、20ページの「(2)判別方法」で診断方法がはっきりとしております。
また一方で、海外ではかなり重症化するような症例もあるということで、それに関していろいろゲノム解析でリボタイプが分かってきたり、あとはバイナリーtoxinの話題が出てきておりますので、それに関して12ページと、バイナリーtoxinに関しましては15ページ目で記載しております。
また、治療法に関しましては、従来のメトロニダゾールとバンコマイシンが基本なのですが、21ページに記載したのですが、最近フィダキソマイシンというものが出てきておりますので、これは再発例や難治例にかなり有用ということで、その記載をしました。
あと、23ページで、Toxinのモノクローナル抗体も出てきておりますので、その記載と、我が国ではまだ臨床研究でデータがあまり出ていないのですが、海外では糞便移植のデータが出ておりまして、ガイドラインも欧米では掲載されているということで、それに関して記載しました。
以上です。よろしくお願いします。
○五十嵐座長 どうもありがとうございます。
それでは、委員の先生方、いかがでしょうか。何か御質問・御意見ありますか。
○笠原構成員 自治医大の笠原です。
この内容について非常に多彩で、略語も多いので、なかなか分かりにくいところもあるのですけれども、何点か質問があります。1つは、10ページの「2.副作用の概要」の「(1)自覚症状」の6行目に「重症例(3)」と書いてあるのですけれども、この「(3)」の意味が症例3なのか分からなかったのですけれども、これは何を指しているのでしょうか。
○五十嵐座長 「(3)」は要らないですか。
○今枝参考人 確認しますが、多分これは間違いです。すみません。
○笠原構成員 それから、12ページの4行目 から「C.difficile toxinの有無を直接調べる検査で、感度が不十分なgolden standardと考えられている」と書いてあるのですけれども、35ページの表4には、細胞毒素試験(CCNA)は「感度も高い、特異度が高いゴールドスタンダードと特徴に書いてあるのですが。
○今枝参考人 すみません「感度が高い」という記載に変更させていただきます。
○五十嵐座長 12ページのほうを直すということですね。
○今枝参考人 本文のほうを変更させていただきます。
○五十嵐座長 「ゴールデンスタンダード」という言葉は間違いで、「ゴールドスタンダード」ではないですか。
○今枝参考人 すみません、表のほうは「ゴールドスタンダード」になっていますね。修正します。
○五十嵐座長 「ゴールドスタンダード」ですね。
○今枝参考人 おっしゃるとおりですので修正します。
○笠原構成員 それから、もう一つは、23ページの「(4)予防法」ですけれども、予防法がいろいろ記載されているのですが、先ほど先生が指摘された日本化学療法学会と日本感染症学会の2018年の診療ガイドラインが文献12にありますけれども、このガイドラインには書いてあるのですが、この中のクリニカルクエスチョンとして、CDIの提言を目的としてAntimicrobial Stewardship(AS)という抗菌薬適正使用支援を推進すべきかに関して、非常に強く推奨するとしてありまして、このことを通知しておいてもよろしいのではないかと思うのですが、その辺は予防法の中できちんと学会が強く推奨することがあるので、書かれることはいかがでしょうか。
○今枝参考人 一応、記載で「抗菌薬適正使用支援活動がCDIの減少対策として推奨される」とは書いていますが、「強く」という記載にしたほうがよろしいでしょうか。
○笠原構成員 それはクリニカルクエスチョンとして強く推奨するとなっているので、広義の抗菌薬適正使用支援が推進されるというような内容が入っているとよろしいのかなと思うのですが。
○今枝参考人 下に書いてはあると思うのですけれども、「(4)予防法」の4行目で「また」ということで「抗菌薬適正使用支援活動がCDIの減少対策として推奨される」と。
○五十嵐座長 これはよろしいですね。
○笠原構成員 はい。
それから、35ページの表3は、もちろん見れば分かるのですが、ほかの表は全てタイトルがついていますので、これも例えば「TonnaによるCDI症の5型とその臨床的特徴」というような、何かタイトルがあったほうがよろしいかなと思います。
○今枝参考人 すみません、タイトルが抜けていましたので入れるようにいたします。
○笠原構成員 最後ですけれども、これは厚労省の問題だと思いますが、参考1の副作用名のところですが、「偽膜性大腸胃炎」となっていますが、これは「偽膜性大腸炎」だと思います。
以上です。
○五十嵐座長 いろいろと御指摘ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
○事務局 事務局です。参考1の副作用用語のところですが、ICHの国際医薬用語集を使っておりますので、そちらの記載を確認させていただいて適切な用語に修正させていただきます。ありがとうございます。
○今枝参考人 よろしくお願いします。
○五十嵐座長 ほかはいかがですか。
細かいことで申し訳ないのですけれども、「Clostridium difficile」が「C.difficile」という表記でたくさん出てくるのですが、「C」が斜体になっていないところがたくさんあるんです。斜体にするのですよね。斜体になっているところとなっていないところがあす。
それから、24ページのCRPの「mg/dL」の前に半角スペースを入れないと、つながってしまっているので。そもそもCRPを下2桁まで出す必要があるかどうかは再考だと思いますけれども、そういう数字を入れるのは間違いではないと思いますので、幾つか校正するところで注意しなければいけない点があるかと思いますので、これはチェックしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、偽膜性大腸炎の案につきましては、幾つか御修正いただくことを条件に御承認いただけますか。
御異議ないようですので、承認したいと思います。今枝先生、どうもありがとうございました。
○今枝参考人 ありがとうございました。
○五十嵐座長 次に、資料2-10、重度の下痢をお願いいたします。
○穂苅参考人 防衛医大の穂苅と申します。
重度の下痢でございます。平成22年のものを改定させていただいたので、大体10年ぐらいたったものになります。
今回は疾患として、先ほども免疫チェックポイント阻害薬の副作用のことが何回か議題に上がりましたが、重度の下痢も潰瘍性大腸炎類似の腸炎を起こしますので、それを入れさせていただきました。
また、腸間膜静脈硬化症という漢方薬で安全だと思って知らず知らずに起こってしまう疾患もございますので、それを追加いたしました。
もう一つといたしまして、顕微鏡的腸炎(collagenous colitis)を追加させていただきました。それに伴いまして、その原因となる疾患を追加させていただき、その病態について簡単に触れさせていただいております。
また、ほかにイリノテカンの副作用に、平成29年9月に保険収載でUDPグルクロン酸転移酵素(UGT1A1)の遺伝子多型を調べるのが認められるようになっております。こちらを投与前に検査することで副作用のリスクがあらかじめ分かりますので、こちらを収載させていただきました。
また、こちらにも先ほどのクロステリジオイデスディフィシル、学名が変わりましたので、変更させていただいています。
そのほかには、高齢者については副作用が増えるという文言がありましたが、そちらについて高齢者の定義あるいは年齢だけではなかなか分からないというところについて付記させていただいております。
簡単ですが、以上でございます。御討議よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 穂苅先生、どうもありがとうございます。
それでは、資料2-10の重度の下痢につきまして御意見をいただきたいと思います。いかがですか、よろしいですか。
○齋藤構成員 国衛研の齋藤でございます。よろしいでしょうか。
大変素晴らしいマニュアル、ありがとうございます。1点教えていただきたいのですけれども、お話しいただきました11ページのUGT1A1の遺伝子多型の件でございますが、遺伝子多型の影響は好中球の減少ですと非常に強く見えるのですけれども、下痢につきましてもかなりエビデンスがそろってきていると考えてよろしいでしょうか。
○穂苅参考人 原因という面でございますか。
○齋藤構成員 検査によって、その結果を下痢の発症予測に役立てるとか、そういう診断の有用性があるかにつきまして教えていただきたいのですが。
○穂苅参考人 おっしゃるとおりでございます。遺伝子多型があると副作用のリスクが高まりますのでの、そういう患者さんがあらかじめ分かった場合には、注意深くあらかじめ副作用の準備をして投与を行う、そのようなことが推奨されているかと思います。
○齋藤構成員 ありがとうございます。私どもはちょっと前に、がんセンターの先生方と解析させていただいたことがございまして、そのときは好中球の減少とはよく相関がついたのですけれども、下痢とはあまり相関がつかなかったものですから、最近、下痢についてもUGT1A1の影響が見られるというエビデンスがかなり蓄積されていると考えてよろしいでしょうか。
○穂苅参考人 もう一回よく検討させていただきます。エビデンスレベルがどこまでの症状についてかというのは、そこまで追い込んで調べていなかったので。
○齋藤構成員 すみません、私も調べればよかったのですが。調べて、事務局経由で情報を共有させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○穂苅参考人 ありがとうございます。
○五十嵐座長 ありがとうございます。これは一般的なお話ですね。下痢が多くなるとは書いてはいないわけですね。
○穂苅参考人 はい、おっしゃるとおりです。
○齋藤構成員 分かりました。それでしたら、今の記載で結構でございます。
○五十嵐座長 ありがとうございます。ほかはよろしいでしょうか。
それでは、資料2-10、重度の下痢の案につきましては、御承認いただけますでしょうか。
御異議ないようですので、御承認させていただきたいと思います。穂苅先生、どうもありがとうございました。
○穂苅参考人 ありがとうございました。
○五十嵐座長 続きまして、資料2-11、消化性潰瘍につきまして、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 消化性潰瘍の変更点について御説明させていただきます。
資料2-11の9ページを御覧ください。「B.医療関係者の皆様へ」の「1.早期発見と早期対応のポイント」「(1)副作用の好発時期」についてですが、NSAIDs潰瘍発生時期を具体的にお示ししております。
「(2)患者側のリスク因子」について、ヘリコバクターピロリの感染者について追記いたしました。
また「(3)投薬上のリスク因子」について、プロトンポンプ阻害薬の予防投与は再発予防にのみ保険適用であることをお示しいたしました。
次に、11ページを御覧ください。「2.副作用の概要」の「(4)画像検査所見」について症例を一新いたしました。
続いて、12ページを御覧ください。「(6)発生機序」について、消化性潰瘍歴のない低リスク患者についての記載、また、アスピリン以外の抗血小板薬での粘膜障害について、ステロイド単剤での潰瘍発生の可能性、その他医薬品による粘膜障害について追記いたしております。
次に、17ページを御覧ください。「5.治療方法」について、プロトンポンプ阻害薬の効果について具体的にお示しし、プロスタグランジン製剤以外の防御因子増強剤の有効性、また、NSAIDsによる消化粘膜障害、ボノプラザンの有効性について追記いたしております。
次に、18ページを御覧ください。「6.典型的症例概要」において、症例4にNSAIDsによる小腸粘膜障害の症例を追加しております。
以上になります。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
それでは、資料2-11、消化性潰瘍につきまして、委員の先生方、御意見・御質問等ございますか。
○西谷構成員 製薬協の西谷です。
誤植と思われる部分があります。15ページの上から4行目「低容量」の「容」の字が違うのではないかと思います。
○五十嵐座長 「用」ですね。
○西谷構成員 それから、17ページの「5.治療方法」のNSAIDsの潰瘍の治療の5行目「リウマチ性疾患な度」は「など」かなと思いました。
最後ですけれども、18ページの症例1ですが、併用薬のところで「ニカルジピン塩酸塩、ビンポセチン」とあるのですけれども、その後改行して「スリンダク」なのかなと。
○事務局 併用薬のところについて、「ニカルジピン塩酸塩、ビンポセチン」で一旦終了して、その後改行を加えまして「スリンダクによる胃障害」という形で修正させていただければと思います。
○西谷構成員 ありがとうございます。
○五十嵐座長 分かりました。スリンダクの行を下に持っていくということですね。
ほかはいかがですか。よろしいですか。それでは3つほど御指摘いただきました。ありがとうございました。これを修正するということで御承認いただけますでしょうか。
ありがとうございます。御異議ないようですので、承認したいと思います。
続きまして、資料2-12、麻痺性イレウスにつきまして、松本先生、いらっしゃいますか。お願いします。
○松本参考人 岩手医科大学の松本でございます。
まず、6ページを 御覧ください。「A.患者の皆様へ」の説明として、従来は糖尿病薬としてα-グルコシダーゼを示していたのですけれども、その後、投薬種類が増えていますので、機序は様々ですが「(糖尿病治療薬)など」という記載に変えています。
それから、8ページを御覧ください。「B.医療関係者の皆様へ」の説明で、リスク因子として精神疾患を加えております。
それから、患者もしくは家族が早期に認識し得る症状として、嘔吐が一番多いので追記しております。
9ページに関しましては、自覚症状として普通は原則ないと書いてあるのですけれども、「術後患者は高度の腹痛を訴えることがある」といった記載を追記しております。
10ページ、腹部CTに関しましては、造影をすることによって他疾患あるいは絞扼性イレウスを否定できる可能性があることを追記しております。
次に、12ページを御覧ください。オピオイド受容体の記載ですけれども、平成20年以降オピオイド性の鎮痛薬、OIC(オピオイド誘発性便秘症)という名称がありますので記載しています。
それから、抗がん剤による便秘の頻度に対しては、グレードがあるということを追記しております。
次は、13ページを御覧ください。新たにビノレルビンとボルテゾミブの2種類を追記し、ボルテゾミブに関しましては少し詳しく追記しております。
17ページを御覧ください。「5.治療方法」に関しましては、麻痺性イレウスに対する高圧酸素療法の有効性が一応、文献上記載されていますので追記しています。
最後に、原因医薬品等の一覧に関しましては、表を全て作り直しています。
主な変更点は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 御説明どうもありがとうございました。
それでは、委員の先生方、麻痺性イレウスの案につきまして御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。特に御質問等ございませんか。
それでは、御提案どおり御承認いただけますでしょうか。
御異議ないようですので、承認させていただきたいと思います。松本先生、どうもありがとうございました。
○松本参考人 ありがとうございました。
○五十嵐座長 続きまして、資料2-13、急性膵炎につきまして、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 事務局より、急性膵炎の主な変更点について御説明させていただきます。
大きく2つございます。資料2-13の10ページを御覧ください。
改訂アトランタ分類により急性膵炎の定義、急性膵炎後の局所合併症の定義が変わったために、「2.副作用の概要」、11ページ後半の「(4)画像検査所見」、また12ページ後半「(5)病理所見と急性膵炎後局所合併症」の内容を大幅に修正しております。
また、理解しやすいよう図2「改訂アトランタ分類における膵炎後貯留の分類」を追加いたしております。
次に、21ページを御覧ください。表6「過去10年間に我が国で報告された薬剤性膵炎の原因薬剤別の頻度」について、2009年の情報から2018年の情報にアップデートしております。
なお、16ページに記載しております表5については、変更予定でしたが検索した限りではWHOの追加の情報がないため、今回は変更を行わないことといたしております。
以上です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございます。
それでは、資料2-13、急性膵炎につきまして、御質問・御意見ございますか。どうぞ。
○飯島構成員 飯島でございます。
誤字が1か所ありますので。14ページの3行目に「代表てい」とありますが、「代表的」だと思います。
○五十嵐座長 そうですね。「代表的なものを」ですね。「てい」を「的」に直すということですね。ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。
では、ここを修正することで御承認いただけますか。
ありがとうございます。御異議ないようですので、急性膵炎は承認をいただきました。ありがとうございました。
続きまして、資料2-14、アカシジアにつきまして、嶽北先生、御説明いただけますか。
○嶽北参考人 よろしくお願いします。関西医大精神科の嶽北と申します。
我々のところは、前回、平成22年のものから10年たちましての改定という形になりますので、まずメンバーが全て代わっております。
続きまして内容につきましてですけれども、「A.患者の皆様へ」という点につきましては、アカシジアの部分は大きな変更はありませんでした。
「B.医療関係者の皆様へ」点について、大きな変更点としては4つございます。
まずは、分類や判別基準において、この10年間の間、2013年に精神科領域で最も用いられております診断基準、DSMというものが改訂になりまして、DSM-5が出ておりますので、そちらに基づいた形での分類に全て書き直しております。
また、医薬品ごとの特徴や発現頻度に関しましては、前回のマニュアルの発表以降、幾つかの新規の抗精神病薬が登場していることもありますので、それらも加えまして、またメタ解析や大規模な無作為比較試験が行われましたので、そちらの結果を参考にして改定いたしております。
また、治療方法につきましても、本邦や海外でも非常によく用いられていますガイドラインである、モーズレーの処方ガイドラインをベースにして内容を変更いたしました。
また、典型的症例の概要についても、抗精神病薬の使用においてアカシジアは最も頻度が高く生じるものですので、症例の内容を鬱から統合失調症に、また、原因薬剤をパロキセチンからリスペリドンに変更する形で今回、改定を行わせていただきました。
以上となります。よろしくお願いします。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
それでは、アカシジアにつきまして、御意見・御質問いかがでしょうか。よろしいですか。
特にないようですので、それでは御承認いただけますでしょうか。
ありがとうございました。御異議ないようですので、資料2-14につきましては御承認いただけたものとします。嶽北先生、どうもありがとうございました。
○嶽北参考人 ありがとうございました。
○五十嵐座長 それでは続きまして、資料2-15、セロトニン症候群につきまして、堀先生、御説明をお願いいたします。
○堀参考人 産業医大の堀でございます。
セロトニン症候群の改定に関して御説明させていただきます。
この改定に当たり、先ほどの嶽北先生もそうなのですけれども、メンバーが代わっておりまして、前回作成メンバーから改定が必要だと考えられている3点について、まず改定させていただきました。
1点目は、副作用の判別基準についての記載になります。前回分は副作用の判別基準について、分かりやすいのですが厳密性に欠けると言われているSternbachの診断基準と、厳密なのですけれども臨床でなかなか使いにくいと言われているRadomskiとHegerlの診断基準を用いたのですが、その中間に値すると言われているHunterの基準について追加で記載させていただきました。
2点目ですが、セロトニン症候群を発現させる可能性のある薬剤として、SSRIの記載について追記しました。
さらに、昨年、我が国で上市されたボルチオキセチンに関しても追記させていただいております。
3番目に、悪性症候群との鑑別が重要になって、それに関する鑑別に関して表で前回からまとめてあったのですが、その後、悪性症候群かセロトニン症候群か鑑別できない症例であったり、オーバーラップしているのではないかと考えられた症例についても報告がされていましたので、追加して記載させていただいております。
そのほか、前回の作成以降に新たに上市され、かつセロトニン症候群の報告があるような抗うつ薬、例えば、SSRIの中でエスシタロプラムなどを追記いたしました。
また、治療法などについても前回作成以降、いくつか有効であると思われる治療についての報告に関しても簡単に触れております。
また、一番最後の症例に関してですが、前回版だと三環系抗うつ薬に関連して、セロトニン症候群を発症した症例について記載がなされておりましたが、現在の我が国のうつ病治療の状況を勘案した上で、SSRI投与によるセロトニン症候群発症症例に差し替えを行いました。
そのほかはおおむね変わりませんが、言い回しなどを適宜改定しております。
以上です。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 どうもありがとうございます。
それでは、委員の先生方、セロトニン症候群の改定案につきまして、御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
○川名構成員 日本薬剤師会の川名です。
いろいろ勉強させていただいて、ありがとうございます。私たち地域の薬剤師もフォローアップして、しっかりマニュアルを活用させていただきたいと思います。
その際に、多分、緊急性や地域の状況に配慮して、どの先生に御相談するかの判断を患者様と一緒に、このマニュアルを見ながらお手伝いすることになるかと思うのですけれども、このセロトニン症候群については、7ページの患者様向けの文章のところで、上から9行目に「必ず専門家に御相談ください」と書かれているのですが、ほかのマニュアルですと「医師・薬剤師または専門医」と記載されているのですが、ここが「専門家」であることについては、特別な意味があってこのような記述になっているのでしょうか。教えていただければと思いました。
○堀参考人 御質問いただき、ありがとうございます。
特に、この「専門家」という言葉にはこだわっておりませんので、ほかのマニュアルと一緒の形で統一したほうが皆さん読みやすいのではないかと思いました。ただ、早く見つけていただいて、適切な機関と連携できるという形が我々としては望ましいのではないかと考えております。
○川名構成員 例えば、「医師・薬剤師」でもよろしいのでしょうか。それとも「専門医」としてもらったほうがよろしいのでしょうか。
○堀参考人 セロトニン症候群は恐らく多くの症例は、重症化しにくいとは思うのですけれども、まずこれを疑えるということ、そこから状況に応じて適切に受診なされることが大事だと思いますので、スタートの地点で医師・薬剤師にまず御相談いただくというのがいいのではないかと思います。
○川名構成員 ありがとうございます。しっかり勉強して対応できるようにいたします。
○五十嵐座長 川名先生、7ページの上から3行目に「セロトニン症候群が疑われた時は、速やかに医師か薬剤師に連絡して指示に従ってください」という文章はあるのですが。
○川名構成員 専門医の先生のほうがいいのかなと思いまして、質問させていただきました。
○五十嵐座長 堀先生、この「専門家」というのは「医師か薬剤師」と変えてもよろしいですか。
○堀参考人 今の指摘のように、最初にこれを読まれる方は一般医の先生や患者様と考えておりますので、こういった症状があるときには、まず医師や薬剤師に連絡していただいて、その後どちらかというと専門医や救急医療機関の受診が望ましいのではないかと思っております。
○五十嵐座長 そうしますと、この「専門家」はこのままにするか、あるいは今、先生がおっしゃった文言に変えることについてはどうですか。
○堀参考人 「専門家」という言葉には必ずしも我々はこだわっていませんので、逆に読まれた方が適切に動けるような形であればいいと思います。どちらでもいいといいますか。
○川名構成員 細かい質問ですみません。
○堀参考人 いえいえ。もし、ほかのマニュアルがそのように統一されているのであれば、それでいいと思います。その前の時点で速やかに医師・薬剤師に相談していただいて、そこから御連絡いただけるような形を取れるという体制づくりを、これを通してできればいいのではないかと思っております。
○川名構成員 ありがとうございます。
○五十嵐座長 では、これはどうしましょうか。
○堀参考人 ほかのマニュアルは、この部分はどんな感じになっているのでしょうか。
○川名構成員 多くが「医師か薬剤師に御相談ください」か、あとは「専門医に御相談ください」としっかり書いていらっしゃったところもありました。
○五十嵐座長 堀先生としては、この「専門家」は専門医という意味なのでしょうか。
○堀参考人 「必ず専門家に御相談ください」の前を読むと「薬を急にやめることがかえって危険なこともありますので」とございますので、ここは「医師・薬剤師」でもいいと思います。
○医薬安全対策課長 それでは、事務方のほうで少し調べさせていただきまして、表現を統一するようにいたしたいと思います。
○堀参考人 ありがとうございます。
○五十嵐座長 では、そのような対応にしたいと思います。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、7ページの「必ず専門家に御相談ください」のところはペンディングというか、修正の可能性があるという条件のもとで、資料2-15、セロトニン症候群につきまして御承認いただけますでしょうか。
御異議ないようですので、そのようにしたいと思います。ありがとうございました。
では続きまして、資料2-16、これは日本循環器学会からの御提出ですが、心室頻拍のマニュアル案について、髙橋先生に御説明をお願いいたします。
○髙橋参考人 大分大学の髙橋です。
前回が平成18年だったので随分期間がたっております。メンバーは随分一新されましたけれども、後任の教授の先生に大体お願いしております。
内容は心室頻拍、基本的には対象となる疾患は発作性心房細動が非常に多いのですけれども、それに対して抗不整脈薬を投与して、かえって副作用が出て心室頻拍が出るというものです。
ただ、この十数年間、新しい抗不整脈薬は出ていないのと、最近カテーテルアブレーションという手技が非常に進歩しておりまして、抗不整脈薬による副作用の頻度も減っているのではないかと思います。10年以上経過していますけれども、基本的に新しいことはないというのが正直なところです。ですので、改定に当たりましては、表現が分かりにくい箇所の修正が中心で、典型的症例も変更はありません。
1点のみ、5ページ、6ページを見ていただきますと、「A.患者の皆様へ」の黄色バックのところですが、2番目の段で「抗不整脈薬を服用中に、『めまい』、『動悸』、『胸が痛む』、『胸部の不快感』のような症状がみられた場合には、危険な不整脈の初期症状の可能性がある」というのは前回と同じなのですが、これは心室頻拍が実際に起き始めたときの症状です。事前の症状が何かあるか、要するに抗不整脈薬の血中濃度が予期せぬほど上昇しているような状態が次のところにある「『体がだるい』、『食欲がない』、『なんとなくボーっとする』といった症状」ということが多く報告されましたので、これを付け加えたのが大きな変更点でございます。
それ以外に対しては、先ほど申し上げましたように、全てマイナーチェンジにとどまっております。
私からは以上です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
それでは、資料2-16、心室頻拍につきまして、委員の先生方、御意見いかがでしょうか。
○薄井構成員 慈恵医大の薄井でございます。
先生どうもありがとうございます。ちょっと専門が違うのですけれども、私は血液が専門で、白血病の治療薬に分子標的薬が随分入ってきまして、QTの延長というのが非常に大きな問題になっているのですけれども、抗不整脈薬ではVTなどは起こらないとお話しされましたが、それ以外の分子標的薬などでの心室障害等々は多いのではないかと思いますが、参考資料を見てみますと、薬物として分子標的薬が挙がってきておりますので、その辺も注意書きとしてどこかで御指摘いただくとありがたいかなと思っています。特に、がんと化学療法では分子標的薬が随分多くなっておりますので、その辺も注意しなくてはいけないのではないかと思ったのですが、いかがでしょうか。
○髙橋参考人 御指摘ありがとうございます。私が勉強不足であまりよく存じておりませんでしたけれども、確かに十分起こり得ると思います。ですので、その言葉を「A.患者の皆様へ」の6ページの上から7行目「抗精神病薬、抗うつ薬、抗菌薬のように」となっていますけれども、ここの部分に抗がん剤も加えるようにいたしますか。
○薄井構成員 抗がん剤や分子標的薬ですとか、そういう言葉が入っていると、より注意がされるかなと思います。
○髙橋参考人 承知いたしました。それを加えるようにさせていただきたいと思います。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
それでは、6ページの不整脈を起こす可能性のある薬を追記するということでお願いしたいと思います。
ほかはいかがでしょうか。
○西谷構成員 製薬協の西谷です。
御説明ありがとうございました。5ページの「A.患者の皆様へ」ですけれども、前の版のマニュアルでは「抗不整脈薬に限らずお薬を服用中に」というような記載で始まっているのですが、今回は「抗不整脈薬服用中に」というところで限定する記載になっているんですね。先ほど6ページの1番や2番には両方のリスクについて明記されています。見出しの5ページにあえて抗不整脈薬に限定してしまうと、ほかの薬は大丈夫ではないかと患者さんが思われてしまう可能性あるのではないかと感じたのですけれども、いかがでしょうか。
○髙橋参考人 御指摘ありがとうございました。先生のおっしゃるとおりですので、5ページの記載を「抗不整脈薬などの薬剤を服用中に」あるいは「お薬」だけにしましょうか。
○西谷構成員 ちなみに、前版は「お薬を服用中に不整脈を発生することがあります。また、不整脈を治療するためのお薬により発生する」みたいな記載になっておりますので、前の表現のような形にされるのも一つかなというのと、抗不整脈薬の2段目は「お薬を」とされてはいかがかと感じましたが。
○髙橋参考人 分かりました。後ほど前回分も確認させていただいて、今御指摘いただいたとおりに修正して再提出したいと思います。
○西谷構成員 すみません、ありがとうございます。
○五十嵐座長 大変貴重な御指摘だったと思います。ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
それでは、「A.患者の皆様へ」の黄色の枠の中の2つ目の段の文頭を少し修正することにしたいと思います。そういうことでこの案は御承認いただけますか。
御異議ないようですので、条件つきで承認としたいと思います。髙橋先生、どうもありがとうございました。
○髙橋参考人 ありがとうございました。
○五十嵐座長 では、令和元年度のマニュアル案についての議論は、ここで一応終了いたしました。事務局から今後の進め方について御説明をお願いいたします。
○事務局 本日は御議論いただきまして、どうもありがとうございました。本日御議論いただきましたマニュアル、資料2-8につきましては再審議ということでございますけれども、御了承いただきましたものにつきましては、本日の御指摘を踏まえまして修正を行いまして確定したいと思っております。
本日の御審議の際に、用語や体裁等もかなり御指摘いただいたかと思っております。事務局のほうでも確認が不十分で、先生方には大変申し訳ございませんでした。こうした状況もございますので、改めて事務局で全体を確認したいと思っております。その上で、明らかな誤記につきましては、事務局限りで修正したいと思っておりますし、また、学会に確認が必要なものがありましたら、学会に確認をお願いしたいと思っております。
その上で、万が一ですけれども、もし趣旨に影響するような修正があった場合には、お認めいただけるのであれば座長に一任ということにさせていただきまして、確認が必要なものがあれば先生方に御確認いただきますけれども、そうでないものは座長に一任ということでお認めいただければと考えておりますが、いかがでございましょうか。
○五十嵐座長 よろしいですか。では、その方針にしたいと思います。ありがとうございます。
○事務局 ありがとうございます。では、そういった形で進めさせていただきまして、最終的に確定いたしましたら、ホームページ掲載等によりまして周知したいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 よろしくお願いします。
城守先生、御退室の予定だそうですけれども、何か御意見はございますか。
○城守構成員 すみません、他用で早退させていただくということで御無礼をお許しください。
本日の議題の4番なのですけれども、特発性大腿骨頭壊死症に関して質問だけさせていただいて、お答えは議論のときにしていただいたら結構ですし、また、後ほど私も聞かせていただきますので、少しだけ質問させていただきたいと思います。
今回、特発性大腿骨頭壊死症に関して、従来のマニュアルを削除してはどうかという事務局からの御提案だと思いますが、その趣旨が、因果関係が明確でないという状態で、リスク因子としては存在するわけですけれども、現時点においてはそれ以上の証明はできないというところがあって、原疾患の治療にこのマニュアルが大きな影響を及ぼしてしまうので、関係学会等のガイドライン等で情報周知ができれば削除したらいいのではないかという御提案だと思うのですが、マニュアルを今後、新規で作成したり、ないしは削除していくときに、一つの基準になるのかなという御質問でございます。ステロイドの薬剤の添付文書においては、リスクに関する注意喚起は残っているのだけれどもというケースというのは今後も出るのかどうか、一つの基準になるのかどうかということだけ、また皆さんで御議論いただければよいと思います。
私からは以上です。本当に途中で割り込みまして申し訳ございません。
以上です。
○五十嵐座長 分かりました。大変重要な御指摘だと思いますので、これにつきましては後で詳しく、整形外科学会からも菅野先生に参考人としておいでいただいておりますので、御意見をいただいた上で議論したいと思います。どうもありがとうございました。
それでは、議題3に移りたいと思います。「副作用発現臓器・領域別総論について」、事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。
○事務局 それでは、事務局より資料の説明をさせていただきます。資料は3-1になります。
これまで検討会で副作用発現臓器・領域別の総論について、作成の御提案がございました。事務局で作成方針を検討いたしましたので、御報告いたします。
まず、「(1)総論の構成・内容について」です。総論につきましては、医療関係者につきましては、副作用名から直接各マニュアルを参照することが多いと想定されることから、通常のマニュアルでは医療関係者向けの項と患者さん向けの項があるのですが、こちらの総論につきましては医療関係者向けの項は作成せず、患者向けの情報提供としたいと考えております。
その内容といたしましては、既存の各マニュアルに示した各副作用の初期症状をまとめて示すとともに、初期症状が認められた場合には、医師・薬剤師に連絡する旨を情報提供したいと考えております。
2点目といたしまして、総論を作成する副作用領域ですが、領域内における既存の重篤副作用マニュアルが最も多い領域で、担当学会より総論の作成意向が示されている神経領域で、まずは作成してみてはどうかと考えております。実際に使っていただいて、こういった総論についてニーズがあれば、別の領域にも総論を作成したいと考えているところでございます。
こちらの方針にのっとりまして、神経領域で総論案を作成しました。そちらは資料3-2になりますので御覧ください。
まずタイトルなのですが、総論という名前だと患者さんがとっつきにくいかなというところもございますので、症状からマニュアルを検索するためのガイドということで「症状から重篤副作用疾患別対応マニュアルの検索ガイド:神経領域」ということで書かせていただいております。
2ページを御覧ください。まず初めに、神経系副作用の概要を示しております。
3ページの表にあるように、神経系の重篤副作用疾患別副作用マニュアルの一覧を初期症状とともに示していますので、こちらの初期症状を見ていただいて患者さんは各マニュアルを検索していただければよいのかなと考えているところです。
神経のマニュアルですが、今まだ更新作業をしているマニュアルもございますので、元のマニュアル修正がございましたら適宜事務局で反映させていただきたいと思っております。
資料の説明は以上になります。
○五十嵐座長 どうもありがとうございます。
初めに、重篤副作用疾患別対応マニュアル医師向けというものも考えていたのですけれども、非常に膨大な作業になることが予想されますし、むしろ患者さん側にマニュアルを作ったほうが実際的だろうということで、このような方針を取ることにしました。これについては以前御報告したと思うのですけれども、その一つの例として神経領域の案が今日出ていますが、いかがでしょうか。御意見・御質問等ございますか。
「A.患者の皆様へ」の「1.神経系副作用の概要」というのは太字ですかね。2が太字になっているので。
これはできたものなのですか、最終案なのですか。
○事務局 基本的に神経学会の先生にも御確認いただいて、内容については御了承いただいていますので、これが基本的には最終版となっております。今、五十嵐先生から御指摘いただいた体裁の面は適宜修正させていただきたいと思っております。
○五十嵐座長 ありがとうございます。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
特に御意見ないようですので、御承認いただいたものとしたいと思います。
では、今後の進め方について御説明願います。
○事務局 ありがとうございます。御了承いただいた神経領域の総論マニュアルにつきましては、本日体裁の御指摘も受けましたので、事務局で修正を行いまして、座長または学会にも確認をいたしまして、厚生労働省のホームページに掲載する等、周知していきたいと思っております。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
それでは最後、議題4に移ります。「特発性大腿骨頭壊死症マニュアルについて」、事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。
○事務局 それでは、資料の説明をいたします。資料は4-1になります。特発性大腿骨頭壊死症マニュアルについて削除の議題でございます。
経緯につきましては、まずこちらのマニュアルですが、平成10年度からの重篤副作用総合対策事業におきまして検討されておりまして、平成23年3月に公表しているものでございます。その当時から、ステロイドの投与と特発性大腿骨頭壊死症の発生の直接的な関係については不明な点もございましたので、マニュアルに「現時点で副作用と呼ぶべきかどうかは不明です」との記載がなされております。ですが、この特発性大腿骨頭壊死症については、疾患の情報等も不足しておりましたので、早期発見・早期対応に資するために初期症状、治療法、判別方法等を包括的にまとめてマニュアルとして公表した経緯がございます。
実際に作成してマニュアルを使っているところですが、令和2年8月4日に日本整形外科学会より、本マニュアルの削除要望が出されているところでございます。
その理由としては主に3点ございます。
まず、1点目といたしまして、ステロイドの投与と特発性大腿骨頭壊死症の発生の直接的な関係については、現時点でも証明されておらず、否定的であるとの見解があること。
2点目といたしましては、医薬品の使用により副作用を早期に発見し、その重篤化を未然に回避することを目的に作成されている重篤副作用疾患対応別マニュアルですが、その一疾患として本マニュアルを掲載することで、特発性大腿骨頭壊死症がステロイドによる副作用であるとの誤認を与え、原疾患の適切な治療機会を逸失するおそれがあるという点です。
3点目といたしましては、疾患の啓発につきましては、難病情報センターのWebページにおける一般向け及び医療従事者向けの疾患情報等が掲載されていること。また、学会で診療ガイドラインを作成いたしまして、ほかの媒体により疾患の情報につきましては十分に情報提供が行われている現状がございます。これらを踏まえまして、学会より削除の要望が提出されたことから、本検討を進めたところでございます。
対応方針でございます。事務局といたしましては、本マニュアルを削除してはいかがかと考えております。情報提供の部分につきましては、他の媒体で現状も行われていること、また、疾患につきましては、特発性大腿骨頭壊死症の発生や発症する患者さんにつきましては、ステロイド治療を必要とする全身性エリテマトーデス等の原疾患を有する患者さんも多いのが現状でございます。そういった患者さんにつきまして、患者さんがステロイド治療に抵抗感を持つなど、原疾患に適切な治療の機会を逸失するおそれがあること等を踏まえますと、本マニュアルを削除することでいかがかと考えております。
なお、添付文書に特発性大腿骨頭壊死症の注意喚起がなされていますが、ステロイド全身投与は危険因子であることはガイドライン等にも記載されておりまして、ステロイド投与が関連した特発性大腿骨頭壊死症の発生は否定できないことから、これらの注意喚起については引き続き必要だと考えているところでございます。
資料の説明は以上になります。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
今日は、日本整形外科学会から菅野先生に参考人としておいでいただいております。これに関して菅野先生から御意見をいただきたいと思います。菅野先生、よろしくお願いします。
○菅野参考人 大阪大学の菅野です。ありがとうございます。
事務局から御説明していただいたとおりなのですけれども、古くは特発性大腿骨頭壊死症というのは整形外科の教科書でもそうなのですが、ステロイド性、アルコール性、それ以外を狭義の特発性と長年分類して、それから、厚生労働省の特定疾患、特発性大腿骨頭壊死症研究班として、ステロイド性と呼ばれるものについては薬理作用で骨壊死が発生するという仮説のもと、薬剤代謝や感受性の遺伝子多型とかGWAS研究とか20年以上そういうことをやってきたのですけれども、歴代の研究班長の高岡教授、久保教授、岩本教授までの班で因果関係が人では証明できなかったというのが現状です。
ステロイド投与の背景には、御存じのとおり膠原病、臓器移植によるGVHDとか免疫異常が常に存在していて、ステロイド投与量が多いということは背景疾患が重症なので、それと切り離してステロイドの単独副作用を解明するというのはなかなか難しい点もありますし、ステロイド投与後発症する症例が、ほとんど発生するまで半年以内、それ以降は膠原病や臓器移植でステロイド投与というのはなかなかやめられないのですけれども、10年使っている方でも発生しないというある意味でユニークな特徴で、投与期間や量とともに重症化するもう一つの、これははっきりしていると思いますが、骨粗鬆症とは異なっているということと、膠原病の中でも一番頻度の高いSLEというのは昔からステロイド投与なく発生することが知られていまして、現在は特発性大腿骨頭壊死の発生機序は多因子関連ということで、ステロイド剤投与、習慣性飲酒、喫煙、SLE、血液凝固遺伝子疾患など、これらはリスク因子として指定されていまして、世界的にもARCOという骨壊死の国際学会でも、昔はsteroid-induced osteonecrosisと呼ばれていたのですけれども、今はsteroid-associated osteonecrosisという言葉で統一されて、ステロイドは飲酒や喫煙、SLEとともにリスク因子の一つとされています。
日本では今、ガイドラインも出版したり、教科書がみんなアップデートして改訂されているので、古い教科書を見たら「ステロイド性」と書いてあるのが残っているかもしれませんが、「ステロイド関連」「アルコール関連」という表現を使っていて、6年前に指定難病が設定されるときに、古い特定疾患に存在したステロイド性骨壊死症というのはもうなくなってしまいまして、そういう流れで来ております。そういう疾患概念説明というのは、先ほど紹介されました日本整形外科学会の特発性大腿骨頭壊死症診療ガイドラインの冒頭にも記載されていますし、疾患情報については難病センターでもホームページで患者さんでもいつでも見られるような状況になっておりますので、そういった流れで整形外科学会から先ほど御説明いただいたような要望が出ているという状況です。
以上です。
○五十嵐座長 どうも御説明ありがとうございました。
それでは、委員の先生方から何か御意見・御質問ございますか。よろしいですか。
それでは、私から1つだけ、菅野先生に教えていただきたいのですが、ステロイドと大腿骨頭壊死との関連に関する、例えばコクランレビューのような系統的なレビューというのは出版されているものではあるのでしょうか。
○菅野参考人 システマティックレビューでそれについて直接のものはまだないのですが、先ほど申し上げたARCOと呼ばれる国際学会で今レビューをしていて、そこにもちゃんとpathogenesis、osteonecrosisと書いてあるのですけれども、今はまだ原文なので公表されていないのですが、そのうち出ると思うのですが、先ほど私が説明したことと同様の記載内容になって、近々国際的に英文誌で出版される予定になっています。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
ほかの先生方いかがですか。よろしいですか。
そういたしますと、城守先生にはまた改めて今日のディスカッションの内容につきまして御報告したいと思います。特発性大腿骨頭壊死症マニュアルにつきましては、事務局の御提案通り重篤副作用疾患別対応マニュアルから削除することでよろしいでしょうか。
特に反対の方はいらっしゃいませんか。事務局から何かありますか。

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