ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(福祉部会福祉人材確保専門委員会)> 第10回社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会 議事録(2017年3月28日) - (1)

 
 

2017年3月28日 第10回社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会 議事録
 

社会・援護局総務課

○日時

平成29年3月28日(火)10時~12時

 

○場所

東海大学校友会館「阿蘇の間」

○出席者

田中 滋(委員長)
阿比留志郎(委員)
石本 淳也(委員)
井之上 芳雄(委員)
上野谷 加代子(委員)
鎌倉 克英(委員)
川井 太加子(委員)
(代理:小島誉寿参考人)
武居 敏(委員)
平川 則男(委員)
堀田 聰子(委員)
森脇 由夏(委員)

○議題

○田中委員長 皆さん、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから、第10回「福祉人材確保専門委員会」を開催いたします。
委員の皆様方にはおかれましては、お忙しいところ、お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
初めに、事務局より、本日の委員の出席状況について、報告をお願いします。
○菊池福祉人材確保対策室長補佐 それでは、本日の委員の出欠状況について、御報告いたします。
本日は、黒岩委員、高橋委員より、御欠席の御連絡をいただいております。
また、黒岩委員の代理として、神奈川県保健福祉局福祉部長、小島誉寿参考人に出席をいただいております。また、堀田委員、石垣社会・援護局福祉基盤課長については、若干おくれて参るということでございます。
以上でございます。
○田中委員長 ありがとうございました。
ただいま御紹介がありました、欠席委員の代理として出席いただいている参考人について、皆様の御承認を頂戴する必要がありますが、よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田中委員長 ありがとうございました。
では、カメラはここまでといたします。
(報道関係者退室)
○田中委員長 続いて、資料の確認を事務局からお願いします。
○菊池福祉人材確保対策室長補佐 それでは、お手元の資料につきまして、確認をさせていただきます。
本日は、配付資料といたしまして、資料1「介護人材に求められる機能の明確化とキャリアパスの実現に向けて」、資料2「ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる役割等について」、参考資料1としまして「福祉人材確保専門委員会における主な意見」、参考資料2といたしまして「介護人材の業務実態等について」を配付しております。また、上野谷委員、鎌倉委員から提出された資料を配付させていただいております。御確認のほどお願いいたします。
○田中委員長 ありがとうございました。
ここから、議事に入ります。
本日は、まず「介護人材の機能とキャリアパスの実現に向けて」、事務局より、これまで議論してきた内容が整理されたものが提出されています。これをもとに議論を行います。その次に「社会福祉士に求められる役割等について」、委員の皆様から御意見を頂戴することになります。
初めに、資料1について、事務局より説明をお願いします。
○榎本福祉人材確保対策室長 では、事務局から、資料1「介護人材に求められる機能の明確化とキャリアパスの実現に向けて」に基づきまして、御説明をいたします。
おめくりいただきまして、1ページでございます。こちらが、これまでこの専門委員会で議論をしてきた内容をまとめたものでございます。まず、介護人材の現状ということでございますが、介護職の業務実施状況を見ると、介護福祉士とそれ以外の者で明確に業務分担はされていない。
介護過程の展開に中心的にかかわっている介護職と利用者に関する介護過程の展開に必要な情報収集などを常に行っている介護職は少ない。
管理者の認識では、認知症の周辺症状のある利用者やターミナルケアが必要な利用者などへの対応、介護過程の展開におけるアセスメントや介護計画の作成・見直しなどの業務は、介護福祉士が専門性を活かして取り組むものという意識が高くなっている。
また、チームリーダーにはチーム内の介護職を統合できる能力、人材育成力などの能力が求められているが、十分に発揮できていないと感じている管理者が多い。一方で、介護職の指導・育成や介護過程の展開などを重視している事業所では、チームリーダーの役割等を明確にし、キャリアパスへの反映などの取り組みを行っている、こういう現状がございます。
そういった中で、今後の方向性でございますけれども、利用者の多様なニーズに対応できるよう、介護職がチームでかかわっていくこと(チームケア)を推進するとともに、チーム内の介護職に対する指導やフォローなど、介護サービスの質の向上や人材の定着が図られるよう、一定のキャリアを積んだ介護福祉士をチームリーダーとして育成する。
専門職としての評価と資質を高めるため、現場のケアの提供者の中で中核的な役割を果たすことができ、介護ニーズの複雑化・多様化・高度化に対応できる介護福祉士を養成する。
介護人材のすそ野を広げ、介護未経験者を含む多様な人材の参入を促進するとともに、介護分野に参入した人材が意欲・能力に応じてキャリアアップを図り、キャリアに応じた役割を担うことができる仕組みを構築する、こういったものが今後の方向性ではないかと考えます。
次に、2ページに参りまして、今、チームリーダー、介護福祉士、介護人材のすそ野の拡大ということで方向性をお示しさせていただいたところですが、それぞれについて細かく記載をしております。
まず、2ページ、チームリーダーについてでございます。介護サービスの質を向上させるとともに、介護福祉士の社会的評価を高めるため、一定のキャリアを積んだ介護福祉士がチームリーダーとして担うべき役割等を明確化する。
現場での実践の中で、チームリーダーに必要な知識・技術を分野別に修得できる研修プログラムを検討するということが考えられます。
具体的にチームリーダーが担うべき役割と求められる能力、育成内容については、まず1番目として、高度な技術を有する介護の実践者としての役割というのが考えられます。この役割を果たすために必要な能力としては、認知症の症状に応じた対応、医療の必要性が高い方への対応、終末期の方に対するみとりを含めた対応、障害の特性に応じた対応といった役割を担うに当たり、利用者の心身の状況等に関する観察力、利用者の状態に応じて適切な対応ができる判断力、認知症の症状や病状等に応じた介護等を提供できる業務遂行力、さまざまな職種と連携して業務を遂行することができる多職種連携力といった能力が求められます。
このため、育成に当たっては、「認知症や障害特性等に係る知識を個別支援に活かす視点」「自らのケアの実践を振り返り、深化させるための実践研究の方法」「医師、看護師、リハ職等と連携してケアを提供する際の視点」を修得できる内容とすべきであると考えます。
次に、介護技術の指導者としての役割というのがあります。こちらにつきましては、どのような能力が求められるかといえば、チーム内の介護職に対する介護技術の指導・伝達、チーム内の介護職の能力を引き出す支援といった役割を担うに当たり、エビデンスに基づいた介護技術の指導・伝達により後身を育成することができる指導力、個々の介護職員の能力に応じた指導力といった能力が求められます。
このため、育成に当たっては、「エビデンスを適切に伝えるためのコミュニケーションの方法」「個々の職員の能力や特性を見極めるための人材アセスメントの方法」を修得できる内容とすべきと考えます。
チームリーダーの3番目の役割としては、介護職チーム内のサービスをマネジメントする役割というのが考えられます。この役割を果たすためには、介護過程の展開における介護実践の管理、チーム内の介護職のフォロー、さまざまな職種や機関からの利用者に関する情報収集と情報共有といった役割を担うに当たり、介護計画等に沿った介護が提供されているかの管理やチーム内の介護職に対するフォローなどのマネジメント力、多職種と情報共有できる多職種連携力、チーム内のサービスの質の改善力といった能力が求められると考えられます。
そのため、育成に当たっては、「介護職の力量に応じた業務の割り振りなどの人材マネジメントの方法」「介護過程を管理するための実践を評価する方法」「チーム内のサービスの質を改善するための問題解決と分析の方法」を修得できる内容とすべきであると考えます。
次に、おめくりいただきまして、3ページでございます。今度は、介護福祉士に必要な資質について、まとめさせていただいております。
介護福祉の専門職である介護福祉士について、現場のケアの提供者の中で中核的な役割を果たすことができ、介護ニーズの複雑化・多様化・高度化に対応できる介護福祉士を養成するため、養成過程におけるカリキュラムの見直しを検討したいと思います。
見直しに当たっては、既存カリキュラムの教育内容も見直し、内容の統廃合を行うなど、養成施設や学生の負担にならないように留意する必要があるとともに、介護の専門性を高めていくため、介護技術等の研究を重ね、養成課程における教材開発や教育方法など、教員側の養成も重要であると考えます。
介護福祉士について、これまで求められてきた役割に加え、今後、より求められる役割としては、次のようなものが考えられます。現場のケアの提供者の中で、チームリーダーのもと専門職として中核的な役割を果たすことが求められるとともに、認知症高齢者の増加や高齢単身世帯の増加、世帯構成の変化、地域移行の推進による地域で暮らす障害者の増加などに伴う生活支援も含めた介護ニーズの複雑化・多様化・高度化への対応。
本人のエンパワメントを意識した支援や家族の介護負担の軽減に資する助言。
介護予防の観点から、利用者が元気で居続けられるような支援。
医師、看護師、リハ職などの多職種と協働したケアのさらなる実践といったものが求められます。
このために、カリキュラムを見直すということにした場合、その例としては、次のようなものが考えられます。
チームリーダーのもとで専門職として役割を発揮し、将来的にみずからがチームリーダーを担う際の素養として、リーダーシップやフォロワーシップといった内容を学んでおくことが必要。
認知症の方に対する支援のあり方の変化(本人の意思(思い)や地域とのつながりなどを重視する支援)を踏まえ、認知症に関する学習内容の充実が必要である。
介護ニーズの複雑化・多様化・高度化に適切に対応できるよう、利用者が生活する地域や集団とのかかわりといった社会との関係性も含めたアセスメントや利用者の状況の変化に対する観察力の強化など、介護過程の学習内容の充実が必要。
学んだ知識を現場での実践に結びつけていけるよう、養成課程の中で学んだ知識を統合化し、実践に生かすための訓練が必要。
医師、看護師、リハ職などさまざまな職種と連携してケアを提供していくことができるよう、多職種協働を意識した事例検討を積み重ね、実習の際に実際のケアカンファレンスの場で確認することが必要といったものでございます。
こういったことを踏まえて、次の4ページで介護福祉士の養成の目標について記載をしております。これまで求められた介護福祉士像として左側に12個掲げてございますが、社会の変容や制度改正等というものを踏まえたときに、今後、求められる介護福祉士像として、1から10まで10個のものにまとめてあります。特に変わったところとして、赤い字で書いてあるところがございます。
まず1番目の、尊厳を支える「個別ケア」の実践ということでございますが、これはもともとの左側の1番目と9番目をまとめた記載をしております。
次に3番目として、自立支援について本人のエンパワメントを意識した自立支援ということ。それから、複雑化・多様化・高度化した介護ニーズに対応できること。さらに、制度改正後の政策に対応できることというのが必要になってくると考えます。
それから、6番目として、介護予防の観点から利用者の状態を維持できる支援を行うということが必要になってくると考えます。
そして、8番目に、家族の介護負担の軽減に資する助言などができることが必要になってくると考えます。
次に、おめくりいただきまして、5ページでございます。介護人材のすそ野の拡大についてということでございます。
介護分野への参入のきっかけをつくるとともに、参入障壁となっている不安を払拭するため、入門的研修を導入してはどうかということでございます。ここで参入障壁と書いていますが、これは制度的なものではないのですけれども、なかなかいい言葉がないのでこういう言葉を使わせていただいております。不安があるのでなかなか介護職に参入しないというような趣旨でございます。
そして、入門的研修の導入により、介護人材のすそ野を広げ、中高年齢者など多様な人材の参入を促進する。
これにより、介護職のサポーター(ボランティア)として介護分野に参入し、希望に応じて介護職となるような施策にも活用され、介護人材確保対策としての効果も期待できるということでございます。
導入に当たっては、介護職員初任者研修等の既存の研修内容も踏まえ、受講科目の読みかえが可能となるような配慮が必要ではないかと考えます。また、研修時間については、受講対象者として想定される介護未経験者の研修受講負担を考慮しつつ、一定の介護の質が担保できるような時間とすることが重要と考えます。
この場合、入門的研修の内容として考えられるものとしては、介護保険制度等の制度に関する内容、移動や着脱などの基本的な介護の方法、認知症に関する基本的な理解、緊急時の対応方法などが考えられます。
次に、医療との役割分担についてということでございますが、こちらにつきましては、現在、厚生労働省内におきまして、新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会というものが開催されておりますので、そちらの最終的な取りまとめも踏まえて方向性を提示させていただければと考えております。
なお、御参考まで、前回の福祉人材専門委員会における主な意見を挙げさせていただいております。医療的ケアについては、範囲の拡大を前提とするのではなく、現状を評価した上で必要であれば見直しを行っていくべきではないか。医療的ケアの範囲拡大の議論をする前に、医療的ケアの質の担保ができているのかなど、どのような課題があり、どのように対応していくのかといったことを評価する必要があるのではないかといった意見がございました。
また、ビジョン検討会につきましては、昨年12月に中間的な議論の整理が行われておりますが、そこにおきましては、これまでの取り組みや安全性を踏まえ、看護師・薬剤師・介護人材等の業務範囲の拡大などによる柔軟なタスク・シフティング及びタスク・シェアリングを推進するというふうに書かれております。
そして最後、介護人材のキャリアパスについてということでございますが、これまでチームリーダー、介護福祉士、すそ野の拡大ということで参りましたけれども、介護人材のキャリアパスの実現に当たり、介護未経験の者であっても安心して入職し、さらなる専門性の向上を目指す者が目指すべきキャリアに応じて専門性を修得できる仕組みを構築することが必要だと思います。
その実現に向けた具体的な施策としては、必要最低限の知識・技術を修得する機会を設けるとともに、介護福祉士の資格取得後もチームリーダーに必要な知識・技術を分野別に修得できる現場での実践を通じた研修プログラムの検討といったものが考えられます。
それでは、私からの資料の説明は以上とさせていただきます。
○田中委員長 ありがとうございました。
ただいま事務局から説明のあった内容について、委員の皆様方から御質問や御意見を承ります。どなたからでも結構ですので、お手をお挙げください。
石本委員、お願いします。
○石本委員 ありがとうございます。
それでは、数点、確認などでございますが、まず、2ページ目にございますチームリーダー。全体を通しますと、今までのこの会議で出た意見を整理していただいたということで理解しておりますが、2ページのリーダーが担う役割ということで、マル1、マル2、マル3の中で「育成にあたっては」の後にかぎ括弧で、これとこれとこれを修得すべきというのがそれぞれに決め打ちといいますか、もうこれなんだというのを限定的にしてあるのですが、限定的にしておく必要性があるのか、ここを「等」ということで、それ以外にも必要なことがあるのではないかと考えたときに、ここを固定化してしまうことで窮屈さが今後出ないのかというのは少し懸念があります。決めるべきなのか、「等」としてもいいものなのかというのは、確認をさせていただきたいというのが1つです。
それと、一番後ろの5ページのところでございますが、すそ野の拡大のところで、これは以前も一度御質問させていただいたところではあるのですが、「※ 導入にあたっては、介護職員初任者研修等の既存の」というところの「等」の中に、もう既に始まっておりますが、各市町村で行われている総合事業の緩和型サービスのための人材育成の研修、これを受けられた方に関しても、この「等」の中での読みかえの対象ということで想定されているのか、されていないのか。この点をお聞かせいただければということでの御質問でございます。
以上です。
○田中委員長 質問を2点頂戴しました。お答えください。
○榎本福祉人材確保対策室長 ありがとうございます。
まず、2ページ、チームリーダーの育成に当たってこれこれを修得できる内容とすべきということでございますが、これは当然ながら限定しているわけではなくて、例示で挙げてあるということでございますので、最低限こういったものを修得できる内容とすべきとは考えますが、当然ながら、これ以上やってはいけないということではないということでございます。
次の5ページのすそ野の拡大のところでございますけれども、この「等」ということで、総合事業における取り組みが入るのかということでございますが、これは我々は基本的には別物と考えてございます。ただ、今後いろいろと検討していくに当たって、具体的にそれ以外にこの「等」に何が当たるのかということについては、検討を続けていくということになります。
○石本委員 ありがとうございました。
では、それを受けまして、確かに相対的にいろいろな養成や育成が必要というのは、そうだと思います。ただ、これだけ細分化したいろいろな研修を今後、新しいものをたくさんつくりましょうという話なのか、既存で実際に行われているものを何がしかそれに置きかえて、これに位置づけてやっていくというようなイメージなのか。恐らく新しいもの、どんどん研修会をたくさんやりましょうとなると、現場や地域は対応し切れないと思うので、その辺についてはちょっと丁寧に今後も整理していただければと思います。
以上です。
○田中委員長 ありがとうございました。
堀田委員、どうぞ。
○堀田委員 今、御指摘のところに関連してまず1つ申し上げますと、2ページの御指摘があったところ、育成にあって何とかかんとかを修得できる内容とすべきというのは、確実に「等」を入れていただいたほうがいいと思います。この場はとても限られた会合で、回数も限られていて、もうちょっとこういったことはどちらかというと現場の方々が具体的にどういった視点を修得していくべきなのかといったことを、地域の実践の中からもう少し詳細に詰めていくべきところだと思いますので、「等」を入れていただきたいと私も希望いたします。
それは前提として、プラスほかの幾つかということになるのですが、まずこの全体の、もちろんこれまでの議論を受けた整理をしていただいていると思いますので、これはこうした方向で一つおまとめいただくとして、ただ、途中の段階でも発言いたしましたが、注記していただきたいこととして、こういったように介護人材に求められる機能を明確化、その中でチームリーダーが果たすべき役割、それをどのように育てていくかということを、それはそれでベースをつくっていくことは重要だと思うのですけれども、他方で既に現場に裁量があるような、例えば地域密着型サービス、小規模多機能であったりとか、定期巡回・随時対応みたいなサービスを見ていますと、1つのチームの中で本人を中心に、利用する方々を中心に目標が共有されているチームになっていれば、こういう人がチームリーダーで、それがチームリーダー以外の人たちに対してどのようなということを全国共通でどんというふうにやらなくても、そのチームあるいは組織の中で本人中心の目標共同体として柔軟にタスク・シェアリングあるいはタスク・シフティングが図られているといったタイプのサービスも出てきていますので、そういった柔軟にチームの中で、このような参照すべきものは置いておくけれども、これを全て適用してチームリーダーには今御指摘があったように、このような研修はみんな受けてくださいというふうにやるよりも、チームの中で裁量を持って役割分担あるいは連携がより図られるようなタイプのサービスを振興していくような考え方もあり得るのではないかと思いますというのが、全体を通じてどこかに併記として書いていただけるといいのではないかと思います。
それから、もう一つなのですが、4ページの養成目標のところで、これはどちらかというと、これでいいのでしょうかという確認なのですけれども、既に調整が終わっていれば結構なのですが、先ほどの御説明のところで、1番の尊厳を支える「個別ケア」の実践というのが、左側の1番、尊厳を支えるケアの実践と9番、「個別」ケアの実践を統合したというような御説明だったと思うのです。でも、やや小さくされてしまったのではないかなという気がしておりまして、今も行っていらっしゃるし、これからますます個のケアに加えて、個別の人々が暮らしているそのべースになる家族あるいは地域全体を支えようというような取り組みが起きてきているところで、広く尊厳を支えるケアの実践というと、個を支えることも、その暮らしの場を支えることも読み込み得ると思うのですけれども、「個別ケア」の実践と出てしまっていると、地域を、その暮らしの場を支えているという実際にやっていらっしゃることも、今後ますます求められているところも消されてしまっているような感じがあるので、別にこれ自体、この10項目がどういう位置づけで出さされていくのかわかりませんが、ちょっともったいないのではないかと思いますので、2つを一つにするのではなくて残すか、あるいは尊厳を支えるケアの実践のままにしたほうが、広く今果たしておられる、そして今後も期待される、個と地域の一体的な支援ということを含み得るのではないかと思います。
○田中委員長 ありがとうございます。
2点ともとても大切な指摘だと感じましたが、事務局、何かお答えになりますか。
○榎本福祉人材確保対策室長 ありがとうございます。
もちろん、まだこれで確定ということではございませんので、今、御指摘いただきました、今後、求められる介護福祉士像のところは、今の御指摘も踏まえて適切に修正をしたいと思います。
○堀田委員 1点目のほうも、ぜひ。
○田中委員長 繰り返しますが、とても大切な指摘であると座長としても感じました。ありがとうございます。
川井委員、お願いします。
○川井委員 先ほどの堀田委員がおっしゃってくださったところは同感でございます。ただ「個別ケア」の実践というのは、本来、介護福祉士はしている業務だといえば業務なので、もしかしたらそれは含めてもいいというか、ここに挙げなくてもいいのかもわからないなと思っております。
それから、今後、求められる介護福祉士像ということで整理していただいているわけですけれども、そこのところで、例えば今後求められる介護福祉士像の内容の中の3番、それから8番の新しく追記してくださっているところを見ますと、今後、求められる役割に対応するために、職種横断的に活躍できる人材の育成という表現がありますが、ここに書かれている3番と8番の内容は、ソーシャルワーカー等との共通性が読み取れると思うのです。ですから、今後、読みかえとか共通する内容としての整理などが、検討できるようであれば、そういうことも含めていただければと思っています。それが1点です。
それから、3ページを見ていただきましたら、介護福祉士に必要な資質についてというところの、これまで求められてきた役割に加え、今後、より介護福祉士に求められる役割というところの3番目のポツですが、介護予防の観点から、利用者が元気で居続けられるような支援という、その元気というのが主観的な表現になっていると思います。これは今の4ページにあります、今後、求められる介護福祉士像のところの6番に、「利用者の状況を維持できる」という表現がされていますから、これに合わせて利用者が「元気」を「維持」という表現にしたほうが妥当なのではないかと思います。
引き続いて、これも文言についてですが、3ページにカリキュラムの見直し例を書いてくださっているのですが、その中の上から4つ目のポツのところ、学んだ知識を現場での実践に結びつけていけるというところの最後のほうに、実践に生かすための訓練が必要というところがありますが、ここでは訓練という表現より現場で生かすことのできる「実践教育」が必要であるというような表現のほうがより適切ではないかと思います。
それから、一番初めのほうで一度発言させてもらったかと思うのですけれども、こういうふうにリーダー研修とか入門研修、それからキャリアパスの構築ということを検討していく、導入していくという文言になっていますが、これを誰が教育していくのかというところが、この全体を見ていてわかりにくいと思います。今、養成校ではこういう教育をしているわけですから、養成校で教育するということではありませんが、養成校の教育力を活用して、そういうものをさらに検討していくとか導入していくということになるのではないかと思いますから、養成校のそういう教育力を活用するというような表現をどこかに入れていただけるといいかと思います。
以上です。
○田中委員長 ありがとうございました。
4点御指摘ありました。事務局、何かお答えになりますか。
○榎本福祉人材確保対策室長 ありがとうございます。
済みません。よく資料のほうを御確認いただきまして、ありがとうございます。ちょっと私どももなかなか適切な言葉が選べないところもありましたので、当然ながら、言葉の適切化には努めたいと思います。
それから、誰が教育するのかというのは確かに重要な問題でありまして、少しそれにも触れさせていただいてはいるのです。例えば3ページで、「介護の専門性を高めていくため、介護技術等の研究を重ね、養成課程における教材開発や教育方法など、教員側の養成も重要」というような記述はさせていただいておりますけれども、確かにチームリーダーの研修というのは現場での実践の中でということになりますので、必ずしも養成校ということではないわけですが、そのあたり、具体的にこういった研修プログラムをつくるときには誰が教えるのかということも念頭に置きながら検討したいと思います。
○田中委員長 ありがとうございました。
小島参考人、お願いします。
○小島参考人 まず最初に確認をさせていただきたいのですけれども、この専門委員会で議論している内容は、今まで議論していたものがだんだん集大成されてきていると思うのですが、これはいつ決着をつけるのか。要は、この3月のこの部会が最後で、この後、福祉部会のほうに提言するのか、まだこの後、この議論は深めていくのか。その辺が見えないと、まだいただいている資料の中では、今の幾つかの確認の中でも抽象的な表現で、具体的にどうなのだというところが詰め切れていないのかなという部分があるものですから、まず最初にそれを教えていただきたいのです。
○榎本福祉人材確保対策室長 そうですね。もしかしたらそれを最初に申し上げるべきだったかもしれませんが、私どもの予定といたしましては、今回、介護人材に求められる機能の明確化とキャリアパスの実現に向けてということで議論させていただいた後、次回について、これまでいただいた御意見や新たな、先ほど医療との役割分担についてはまだ方向性を提示させていただいていないわけですけれども、次回までには恐らくは新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会の取りまとめも行われると思いますので、その内容も踏まえて、私どものほうで介護人材の機能とキャリアパスの実現に向けた取りまとめの案を作成して、その議論を行うということでございますので、今回ではないのですけれども、少なくとも介護人材のほうは、取りまとめはそんなに遠くない時期には行われるというふうに御理解いただければと思います。
○小島参考人 では、そうしたことを踏まえて申し上げますと、やはり全体的に抽象的な部分があるのかなということで、特に石本委員が言われたチームリーダーの部分については、前々回にもチームリーダーのイメージがこの委員会の中でも少しかけ離れていた部分があったのかな。そこで御指摘いただいたのが、大体10人ぐらいのユニットというお話が出ているのですけれども、石本委員が言われたように、介護の世界にもサービス提供責任者、あるいは障害の世界ではサービス管理者という方がいて、そういう方が実際には利用者をまとめていく、いわゆるチームリーダーになっているわけですね。ですから、そういった方々の養成課程の研修と、この研修をどう位置づけるのかということをきちんと分けるのか、またはその中に取り込むのかということは大事な話だと思うのです。
それと、実際にはリーダーを意識すると5年ぐらいの経験年数が必要だろうということになれば、養成課程ではなくて、あくまでもやはり実践教育の場面で実施しなければいけないのかなということですから、今、川井委員から言われたように、誰がこれをやるのか、どういう内容にしていくのかというのを、もう少し具体的に見ていただかないと、既存のものとの重複感が出たりしてしまうと思うのです。
ただ、大事なのは、介護人材に求められる機能については、養成課程の段階から5年後にはもうリーダーを目指すのだとか、そういうことは養成課程の段階からもあってしかるべきだと思うのです。その上で、実践教育の中でもステップを踏むということで、前々からあるように、介護福祉士の一つのキャリアをアップしてもいいのかな。認定介護福祉士とかいう言葉がありますけれども、そういったところもやはり踏み込んでいかないと、このリーダーの養成とか、あるべき介護福祉士の像というのがきちんとしていかないのではないかと思いますので、そこのところを見せていただくほうがよろしいのではないか、もう少し具体化するのではないかという意見であります。
もう一つは、医療の部分で、今、表現が医療的ケアということで、ちょっとこれも抽象的にまとめ過ぎているのかな。前回の議論では、喀痰吸引の実態をまず確認すべきだという意見が出ていたと思いますので、そういった部分について、まず広げた喀痰吸引の実態把握をして、どこに課題があるのかということを掘り起こすことも、今、ビジョンのほうでは検討されていると思いますけれども、そういった側面も必要ではないかと。そういったことをあわせてどうするのか検討すべきではないかと思います。
以上です。
○田中委員長 平川委員、お願いします。
○平川委員 最初に、チームリーダーに関しての全体的な方向性に関しては、いいのではないかと思いますが、これをどうやって現場で実践していくのかというのが大きな課題なのではないかと思っています。先ほどご発言のありましたサービス提供責任者がこういう力を発揮していけるような職場実態があるかどうかというと、現実はなかなか厳しい状況があるかと思います。課題認識をまず踏まえていく必要があるのではないかと思っています。
それから、5ページの介護人材のすそ野の拡大のところで、参入障壁となっている不安を払拭するために入門的研修を導入するとなっているところです。石本委員もおっしゃっていましたけれども、これが新たな資格のような形になって、介護人材の資格、専門性が逆に低下してしまうのではないかと、懸念をしているところであります。入門的研修もしくは体験というところで言えば、それぞれの養成校においてもそれなりのことをやっているわけでありますが、国として入門的研修を導入するということについては、ある意味、新たな資格導入のような形になってしまう感じもします。どういう意図なのか、あくまでもこれは介護体験であり、新たな資格をつくるわけではないということなのかどうなのかということについて、一つ確認をさせていただきたいと思います。
○田中委員長 小島参考人と平川委員がおっしゃったことについて、質問も1つありましたし、御意見もありました。対応してください。
○榎本福祉人材確保対策室長 ありがとうございます。
まず、小島参考人からの御指摘で、全体的にまだ抽象的過ぎるのではないかという御指摘でございます。確かにそういう面もございます。今回というか、きょうは大きな方向性について御議論いただくということで、こういった資料を出させていただいておりますが、当然ながら今までの専門委員会での議論の積み上げというものもございますので、次回、その取りまとめ案を出させていただくときには、より詳細に、具体的なイメージが湧くようなものということでお出しさせていただければと思います。
また、医療的ケアについて抽象的ではないかということがございますが、こちらについては、要はビジョン検討会のほうの取りまとめがまだ出ていないということもあって抽象的な書き方になっている部分もありますので、そちらの取りまとめも踏まえて、イメージが湧くような方向性を取りまとめ案の中では提示をさせていただければと思います。
それから、平川委員から御指摘いただきました、まずチームリーダーの運用については、これについてもできるだけイメージが湧くような取りまとめ案を出させていただきたいと思いますし、それから、入門的研修について、これが新たな資格になってしまうのではないか。要は、介護福祉士からレベルが下がったところで介護の資格ができてしまうのではないかというような御懸念をお持ちになられていると理解いたしましたけれども、この研修につきましては任意で受けていただくということでございまして、これを取らないと介護ができないとか、あるいはこれを取ったら介護が十分できるとかいうものではございません。あくまで介護職に参入しようという方が、いろいろな知識がないとか、そういった不安をお持ちの場合のその不安の払拭というための研修と捉えてございます。
○平川委員 御回答をいただき、内容についてはそういうことなのだろうなと思いますが、その辺を少し押さえておく必要があるのかなと考えているところです。
あと、医療との役割分担のところです。医療的ケアというと、先ほど意見がありましたように少し抽象的ですが、介護職員、介護福祉士なりが医療行為を行うかどうかということですね。その辺は医療行為であるのか医療行為ではないのかを明確にしておかないと、少し議論の整理が混乱する可能性があると思いますので、その辺はしっかりと押さえておいていただければなと思います。
最後は意見として言わせていただきました。ありがとうございます。
○田中委員長 ありがとうございました。
井之上委員、お願いします。
○井之上委員 2ページのところの一番最初に、介護福祉士の社会的評価を高めるためという言葉が入っているのは大変ありがたいのですが、ただ、職場内のリーダーをつくるというだけで本当にそうなるのかどうか。養成校の立場からすると、本当に介護福祉士そのものの魅力がなくなり、今、若者が全然やってこない状況があるわけですけれども、その次、チームリーダーをつくられることで社会的な評価が高まって、職業としての魅力が高まるのかどうかというところを私はすごく気にしているのです。それも、職場によってチームリーダーを置く、置かないも管理者に任せるのかどうか。これを全体として、国として必ず設置基準というような形でリーダーを持っていくのかどうかということも気になるところであります。
先ほど川井先生がおっしゃった誰が担うかということも、誰が教えるかということも大変気になるわけですけれども、確かに研修がふえるということは、現場にとっては本当にこれ以上やめてほしいという気持ちはあるかもしれませんが、ただ、リーダーそのものの魅力を世に訴えることのできるような存在となるのかどうか。管理者が必ず、参考資料を見ればより高い専門性を持った方の存在がどこの管理者もほぼその必要性を認めているというのは出ているかと思うのですけれども、積極的に個々の管理者が本当にリーダーを育てるべくインセンティブというか、それを持てるのかどうかということも気になるところであります。意見であります。
○田中委員長 ありがとうございます。
チームリーダーを強制すべきでないと先ほどありましたけれども、これは制度論なのですか。それとも、抽象的にチーム内の役割を担う人という意味なのですか。
○榎本福祉人材確保対策室長 まず、私どもとしては、人材育成という観点から考えていますので、こういった人材が必要であろうということは確実に申し上げられます。ただ、それを具体的に、例えば介護保険の中でどう位置づけるかというと、それはまた次の議論となります。ですので、まずはチームリーダーという方が必要で、そういう方について、こういった育成をする必要があるということまで、私どもはお示しさせていただきたいと思いますが、具体的に、例えば施設の配置基準上何人置かなければいけないのかとか、そういうところはまた恐らく次の議論なのかなと思います。
○田中委員長 阿比留委員、お願いします。
○阿比留委員 1つお尋ねなのですけれども、今回の資料1の介護人材というのは、全ての介護現場で働く介護職員に対して求められるという解釈でよろしいのですか。
○榎本福祉人材確保対策室長 はい。全ての職場。ですから、高齢者の職場だけではなくて、障害とかそういうものも含めてということです。
○阿比留委員 そういう意味もあるのですけれども、この中で介護福祉士というのが1つありますけれども、資料1でつくられている求められる機能という全般的な話は、全ての現場の職員に求められるということで整理がなされているのかどうかという質問です。
○榎本福祉人材確保対策室長 今回の資料の中では、介護人材については大きく3つの層の人たちが出てきています。1つがチームリーダー、2つ目が介護福祉士、3番目として介護人材のすそ野を支える人たちということでございますので、基本的にはこの3つの方々をあわせれば、介護人材全体かなと思います。もちろん、さらに上の管理職的な人は今回の中には入っていないのですけれども、そういう方は数的にも少ないと思いますので、基本的にはこれで介護人材全体をカバーしているかなと思います。
○阿比留委員 この資料は、いわゆる介護福祉士がという目線で見てしまうと、ちょっとこの記述はどうかなと思うところがあるのです。ただ、介護全体という目線で考えると、やはり多岐にわたって書かれていて、場合によっては結構アバウトな表現をせざるを得ないところが出てくるのかなと思うのですが、できましたらこれを中心に、介護福祉士が具体的にどういうところに目線を合わせてやっていくのかというところに落とし込んでいけば、そこまで問題になることはないのではないかと思うのです。
この中の資料1の現状という1ページのところなのですけれども、管理者の認識という、この管理者がどこを指すのかという問題もあるのですけれども、例えば施設を経営する管理者からすると、この中で記載のあるターミナルケアという利用者への対応は当然介護福祉士等直接処遇職員が中心となり行う訳ですが、アセスメントであったり、介護計画であったり、そういった作成の見直しは介護福祉士が中心的にというよりは、どちらかというと計画作成担当者である介護支援専門員が中心に、介護福祉士等が協働してこれに当たるということなのですね。でも、全体で捉えると、やはりこういった形で介護に携わる全ての職がこういったことにかかわっていくということでは理解されると思うので、そこら辺がうまく整理されれば問題なく受け入れられるところも出てくるのではないかと思いますので、整理していただければと思います。よろしくお願いします。
○田中委員長 御指摘ありがとうございました。
川井委員、どうぞ。
○川井委員 先ほどいろいろなことを言った中で言ってしまいましたので、ちょっと言ったことがぼけてきたかなと思いましたので、もう一度確認をさせていただきたいのですけれども、要は以前にも言いましたように、社会福祉士と介護福祉士を両方取っていこうとする学生も大学ではふえてきています。ですから、そういうことが本当にカリキュラムの見直しをした中で、他の専門職種などと横断的な学びで読みかえることが可能なものについては、そういうことができるような文言を、例えば3ページのカリキュラムの見直し例のところにでも入れていただけますと、今後につながっていくのかと思いましたので、いかがでしょうか。
○田中委員長 お答えください。
○榎本福祉人材確保対策室長 御指摘ありがとうございます。
もちろん、私どもとしては、来年度以降、社会福祉士及び介護福祉士のカリキュラムの見直しということを考えてございますので、そういったことを検討するというのも一つの選択肢であるかと思いますし、今、全体として、医療、それから福祉の資格の共通課程の創設というような動きもございます。そういった動きも見ながら、社会福祉士、介護福祉士の養成カリキュラムというものについても検討していく必要があるかなと思います。
○田中委員長 堀田委員、お願いします。
○堀田委員 今のことに関連して、これまでのシリーズのところでも申し上げたと思いますが、既にこの後議論するであろう社会福祉士も介護福祉士も、今、おっしゃってくださったように、ほかの医療や介護、福祉関係の関係資格の基礎教育課程の一部共通化みたいなことは、地域共生社会実現本部が出しているものでも今後進めていく方向性として明記されていますし、それにかかわる基礎的な研究も今年度行われているところですので、先に介護人材についての取りまとめを出して、次に社会に行くのかというような流れになるのかと想像しますけれども、一貫してそうした流れは踏まえて書いていただけるとありがたいと思います。
何度かお話に出ている、5ページのところにある新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会は私も参加させていただいていますけれども、この医療と介護の役割分担の話のみならず、今のような共通の基礎課程をつくっていく、生活まで基づくようなということも、ある一定のブロックで、恐らく来週には取りまとめになると思いますけれども、書き込まれる予定だと。完全に消されることはないと思いますので、この医療との役割分担のみならず、ビジョン検のことも踏まえるということであれば、今、川井委員が御指摘くださったところについても、こちらの検討会とも連動していただけることを期待しています。お願いいたします。
○田中委員長 ありがとうございました。
私も1つ言っていいですか。委員長ではなくて一委員としての意見です。4ページに今後、求められる介護福祉士像がまとめられています。それの3番に、高度化した介護ニーズに対応することと政策に対応することが一つに書いてあるのですが、両者は違う事柄ですよね。一人一人あるいはその家庭のニーズに対応することと、例えば報酬が変わったから対応するでは、違う次元の能力が一個に入っていて、違和感があります。
それから、制度改正後は余計な形容詞で、別に制度が変わらなくても、介護保険法や社会福祉法が変わらなくても、報酬の体系などが変わることも政策の変化ですね。制度改正後だと、去年変わったときだけで、次の年に変わらなかったら対応しなくてもいいのかと感じますので、これは余計な形容詞ではないかと。とてもテクニカルな話で申しわけありません。私からの提言です。
○榎本福祉人材確保対策室長 大変申しわけありません。確かにここはもう少し文章を整理する必要があって、しかも、まさにおっしゃるとおり、私どもとしては、要は最近特に従来に比べて制度改正が相次いでいるという認識のもとこういう書き方にしたのですが、確かにおっしゃるとおりで、制度改正があろうがなかろうが政策に対応する必要はあります。また、制度改正以外の方法での政策誘導というのも当然あるわけでございますので、そういったものを踏まえるということであるかと思いますので、そういった趣旨で文章整理をさせていただければと思います。
○田中委員長 10個にとどめなくてはいけないとしたら、この倫理性は外側だと思うのです。1から9までは能力の話をしていますが、10番のそれらを全て支える職業倫理とは、横並びではなく、別の視点なので、これを出すと今のところを2つに分けても10個になる。10にとどめないといけないかなと思いまして。
ほかに何かございますか。
よろしければ、次の議題である「社会福祉士に求められる役割等について」に移らせていただきます。資料2について、事務局より説明をお願いします。
○榎本福祉人材確保対策室長 では、次は、資料2「ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる役割等について」について、この資料に沿いまして御説明を申し上げます。
まず、一番最後のページ、5ページを御参照いただければと思います。こちら、ことしの2月7日に提出させていただいた資料でございますけれども、「今後、ますます求められるソーシャルワークの機能」ということで出させていただきましたが、その下のほうです。ソーシャルワークの機能を発揮することによる体制づくりの推進ということで、こういったことによって包括的な相談支援体制の構築、それから、住民主体の地域課題解決体制ということがあるわけですけれども、きょう、この資料に基づいて御説明をさせていただくのは、この左側の包括的な相談支援体制の構築という部分でございます。そういった前提で、資料を初めから御説明申し上げます。
資料の1ページでございます。論点といたしましては、「包括的な相談支援体制」を構築・維持するためのソーシャルワーク機能を社会福祉士が発揮するために、具体的にどのような実践能力が必要となるかというところでございます。
論点に対する考え方でございますけれども、高齢分野や障害分野、生活困窮者自立支援制度、「我が事・丸ごと」の地域づくりなど、さまざまなところで言及されている「包括的な相談支援体制」を構築・維持していくに当たっては、個人や世帯にとどまらず、地域全体をアセスメントすることによって新たなニーズや地域課題を発見し、課題解決に向けて社会資源の調整や開発並びに地域づくりを行うといった機能が必要となります。それらの機能に関する職務を効果的に遂行するために、一定の価値・知識・技術が必要となります。
社会福祉士の養成カリキュラムは、「総合的かつ包括的な相談援助の理念に関する知識と方法」「地域福祉の基盤整備と開発に関する知識と技術」「実習・演習」及び「サービスに関する知識」から構成されており、ソーシャルワークの基本的な展開過程(ケース発見、受理面接、スクリーニング、アセスメント、支援計画の策定、支援の実施、モニタリング、効果測定、終結、アフターケア)及び社会資源の開発に関する知識及び技術を理解し、修得するものとなっています。
また、地域力強化検討会中間取りまとめにおいて、「「我が事・丸ごと」を実現するためには、制度横断的な知識を有し、アセスメントの力、支援計画の策定・評価、関係者の連携・調整、資源開発までできるような、包括的な相談支援を担える人材育成に取り組むべきである。また、ソーシャルワーカーの養成や配置等については、国家資格として現在の養成カリキュラムの見直しも含めて検討すべきである。」とされています。
2ページに参りまして、こうしたことを踏まえると、社会福祉士には、養成課程において修得したソーシャルワークに関する知識・技術を統合して実践することによって、包括的な相談支援体制の構築及び維持に必要なソーシャルワーク機能を発揮するための役割を担うことが期待されます。
包括的な相談支援体制の構築及び維持に向け、今後、特に社会福祉士が担う必要のある具体的な役割とそのために必要となる知識及び技術を整理すると、以下のとおりと考えられます。
まずマル1として、個人、世帯、集団及び地域のニーズの発見及びアセスメントです。個人や世帯の多様なニーズや課題に対して適切な支援を提供し、活用可能な社会資源を調整するためには、解決が必要なニーズを確定し、支援の目標を設定することが重要となります。また、支援が必要な人と環境との相互作用に着目し、個人を取り巻く集団や地域のアセスメントも重要となります。
個人や世帯のアセスメントは、各種サービスの利用に合わせて社会的、身体的、心理的、経済的等の側面から情報収集が行われておりますが、地域アセスメントや地域課題の解決に向けた取り組みは十分とは言えず、更なる取組みが求められています。
そのため、社会福祉士は、自治会や住民の身近な地域における住民同士の関係性や地域活動への参加状況、集合住宅や新興住宅地など住まいの状況と生活問題との関係、医療・保健・福祉等の機関、社会資源、人口動態等について把握し、その地域において解決すべき地域課題の内容や優先度を明らかにする役割が求められています。
おめくりいただきまして、3ページでございます。このような役割を果たすためには、社会福祉士には、他の専門職と協働し、地域特性、社会資源、人口動態等を把握するとともに、インタビュー調査法などによって地域住民の生活課題やニーズのありのままの状況を質的に把握し、質問紙調査法等によって地域住民やサービス利用者のニーズを量的に把握するための知識と技術を統合し実践する能力が必要となります。
また、地域には、自分から支援を求めることができない人、自分から相談に来ることができない人、社会資源やサービスの存在を知らない人、社会的に孤立した状態にある人などが存在しています。
そのため、社会福祉士は、相談者が支援を求めてくるのを待つのではなく、他の専門職と協働して積極的に潜在的なニーズや地域課題を発見する役割を果たすことが求められます。
このような役割を果たすため、社会福祉士には、情報を得やすい環境整備を行い、地域アセスメントや調査結果並びに関係者からの情報提供を踏まえてアウトリーチの対象や方法を決定し、支援対象者のアセスメントを改めて実施し、具体的なサービスや社会資源の利用につなぐための知識と技術を統合し実践する能力が必要となるのではないかと考えます。
次に、4ページでございます。先ほどマル1ということでありましたが、次にマル2ということで、分野横断的な社会資源の調整及び支援体制・地域づくりというものが必要と考えられます。
地域には公私のさまざまな社会資源が存在しており、それぞれ求められる役割を果たしております。一方で、個人や世帯及び地域のニーズや課題は複合的であり、高齢、障害、子どもといった福祉関係だけではなく、多岐にわたる分野の公私の社会資源の業務実態や役割を踏まえた協働体制を構築する必要があります。
そのため、社会福祉士は、他の専門職と協働して分野横断的な社会資源の業務内容等の実施状況を把握し、ニーズに対して適切な社会資源をつなぐ役割を果たすことが求められます。
このような役割を果たすため、社会福祉士には、他の専門職と協働し、福祉分野だけではなく、多岐にわたる分野の公私の社会資源の業務実態や強みを把握して支援が必要な人や解決すべき地域課題に対して適切な社会資源であるかを見極め、協力を得るための交渉を行い、支援が必要な人やニーズと社会資源との仲介(コーディネート)や調整(マネジメント)を行うための知識は技術を統合し実践する能力が必要となるのではないかと考えております。
私からの資料の説明は以上でございます。
○田中委員長 ありがとうございました。
ただいま説明のあった内容について、委員の皆様のほうから御質問や御意見があれば、お願いいたします。
鎌倉委員、お願いします。
○鎌倉委員 日本社会福祉士会の鎌倉です。
ただいま事務局から説明がありましたけれども、これを踏まえながら、ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる実践能力について、実践事例を通して説明したいと思います。提出させていただいた資料に基づいて説明させていただきます。
1ページ目をごらんください。事務局から示されました包括的な相談支援体制におけるソーシャルワークの機能を前提に説明させていただきます。
2ページ目です。包括的な相談支援体制の構築・維持においてソーシャルワークの専門職である社会福祉士が果たすべき機能、つまり役割として、これらが挙げられました。
続きまして、3ページ目です。1つの実践事例を通して、御説明させていただきます。ちょうど資料の真ん中のところです。○であるところが社会福祉士の活動をあらわしています。その下の青色の四角でソーシャルワークの機能・役割を示しております。それを果たすための活用した知識・技術を一番下の緑色の四角で示しております。
この事例は、A町の地域包括支援センターの社会福祉士による実践事例です。事例の概要のところにあります、BさんとCさんという高齢夫婦世帯が困っているようだと、地域住民からの相談で始まりました。この時点で、地域アセスメントやネットワーキング等の知識・技術を活用して、地域住民がニーズを発見し、それを地域包括支援センターにつなげるという体制を構築しています。
この相談から、アウトリーチ、面接、アセスメント等の知識・技術を駆使し、危機介入や包括的アセスメントを行うことで、すぐさまBさんとCさんのニーズを明らかにしました。そして、コーディネーション、チームアプローチ、ケアカンファレンス、ファシリテーション等の知識・技術を活かして制度活用を支援するとともに、地域ケア会議によって関係者の連携体制を構築するだけではなく、救急車が頻繁に来て迷惑だと感じていた地域住民を巻き込み、世帯を支えるような支援体制を構築しました。
これは、「他人事を我が事」に変えるような働きかけといえます。その結果、不要不急な119番通報は解消され、Bさんの意向を踏まえた在宅での痛みの緩和と看取りに関するニーズを充足することができました。その後、BさんとCさんの個別課題の解決支援にとどまらず、この課題に関してアンケート調査を行い、地域の課題として普遍化し、地域の人々と共有することで専門職の連携体制の構築や、新たな情報共有シートの開発など、社会資源の開発につなげています。
また、住民による見守り体制も、BさんやCさんに限らず機能しております。ここではコンサルテーションや組織化等の知識・技術を活用し、地域の専門職や住民等をエンパワメントしながら、包括的な相談支援体制の構築を行いました。そのような中で、倫理的葛藤や地域住民との個人情報の共有という課題を経験しています。
続きまして、4ページをごらんください。包括的な相談支援体制の構築・維持においては、右側の四角に列記した多様な知識・技術が求められているといえます。
次に、5ページ目です。先ほど御説明させていただきましたとおり、包括的な相談支援体制の構築・維持に向けた実践を行っている社会福祉士がおりますが、その条件を整理しますと、個人レベルでは、包括的なアセスメントができること、多職種等と協働するためのコーディネート力やマネジメント力を有すること、地域において解決すべき地域課題や優先度を判断する知識・技術を有すること、多職種等や地域住民に対して調査等を用いながら理解を促すことができること、社会資源の開発等も含め、価値、知識、技術を統合する実践能力と言語化する力を有することなどが挙げられます。
組織レベルでは、組織内において社会福祉士の役割、職務等に対する理解と協力があること、研修の受講機会や実践能力や意欲を高める体制が整備されていること、組織として包括的な相談支援体制の構築・維持に積極的に取り組んでいることなどが挙げられます。
社会レベルでは、多岐にわたる分野の社会資源の協働体制を構築するコーディネート人材としての社会福祉士の役割が明確であること、包括的な相談支援体制を担う法人等と法人等が協働できる体制があること、また、合意形成の場があること、統合的な実践能力を習得できる養成課程、実践能力を高めることができる生涯研修とスーパービジョンの体制があることなどが挙げられます。
6ページ目をごらんください。全ての社会福祉士は、包括的な相談支援体制の構築・維持を担うために、これまで以上に価値・知識・技術を統合化する実践能力の強化が求められております。そのためにも、組織や社会の理解が不可欠であることから、社会福祉士の定義の見直しも必要といえます。あらゆる分野で実践する社会福祉士の強化と活用によって、包括的な相談支援体制の発展が期待できると考えております。
次のページからは参考資料になりますので、後ほど御参照ください。
私からの説明は以上です。
○田中委員長 ありがとうございました。
上野谷委員、どうぞ。
○上野谷委員 私からの提案を含めてお話しする前に、今、厚生労働省のほうから「ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる役割等について」の資料が出てまいりました。非常によくまとめていただいていると思いますが、4ページの最後ですが、「このような役割を果たすため」とございまして、コーディネート、マネジメントですね。これは今、鎌倉委員のお話を聞きますと、それプラス、やはり開発ですね。ディベロップメントと言っていいのでしょうか、行うためのという、少しこれをつけていただくとありがたいと思っております。
この点からは以上ですが、続けてお話しさせていただいてよろしいですか。
○田中委員長 どうぞ。
○上野谷委員 参考資料を出しておりますので、それをごらんいただきたいと思います。きょうの議論の中で、より具体的に構造的に提示をし、今後の議論を深めるための材料と考えていただければと思います。
前回の委員会におきまして、ソーシャルワーク専門職養成に係る5つの論点を提示させていただきました。1ページ目でございます。1、現任者の学び直し。2、現任者の研修機会の確保と組織承認による研さん。3、事業者、養成、専門職の三者協働による教育内容の検討体制。4、業務としての実習指導と事業所が社会的に評価される仕組みづくり。5、法定義において求められる人材像をわかりやすく再定義すること。今、鎌倉委員がおっしゃられたことと共通いたします。
おめくりいただきまして、2ページでございます。まず1つ目の現任者の学び直しでございますけれども、社会福祉士が地域への取り組みを十分に担えていない現状、これが明らかになりました。ですから、現任者に対しての最新のソーシャルワークに関する知識・技術を学び直すことができる機会の保障が必要でございます。既に開始している取り組みとしまして、コミュニティ・ソーシャルワーカー養成研修の基盤構築と全国展開。これにつきましては、今年度、赤い羽根福祉基金から助成金をいただきまして、社会福祉協議会、本協会、専門職団体、地域福祉学会、学識経験者等で委員会を構成しまして、研修のあり方と、来年度以降の全国での研修実施について、今、準備をし、検討を進めております。
また、マル2からマル4に関しましては、専門職団体や事業者団体等が行っておりますさまざまな研修、認定制度に関する情報を集約いたしまして、広く周知していく必要性。ネットによります動画配信等、私どもの協会はさまざまやってございますけれども、多様な学びの環境を保障する整備をしていくことも必要であるかと思います。もちろん教材開発も必要でございましょう。
おめくりいただきまして、3ページでございます。これは論点の2から4まで、事業者、養成、職能のそれぞれの役割や組織階層をイメージして、今後の人材養成の仕組みをイメージ化したものでございます。詳細は、ですから、いろいろ御意見をいただきたいということで、きょうは提示させていただいております。
次のページが大きくしたものでございます。背景は、地域づくりと人々の生活を支える仕組みづくりとしておりますが、この中には当然、保健、医療、その他多職種との連携による地域包括ケアというものが前提でございます。その中で特に福祉関係の団体などがどのように連携しながら現任者の学び直しと新卒者への教育を同時に行っていくべきかということです。
左半分をごらんいただきますと、これは事業者団体、全社協、法人経営協、各種別協などの全国組織でございます。これらの全国組織が人材養成に関する方向性やあり方などを、各所属する会員等に提案・奨励いたします。それらを受けて、各事業所や機関は、とりわけ社会福祉法人、この間の社会福祉法改正によりまして期待されております地域公益活動の積極的推進、職員の専門性向上やキャリア形成を見据えた事業所経費による学びの保障、養成校から配属されます実習生の積極的な受け入れ、実習指導業務を本来業務として位置づける。その組織承認のもとで、現任者や実習指導を担当する職員は、自身の業務に必要となります知識・技術の獲得を目指した研鑽、業務としての実習指導とともに、実習生や養成校教員等と御一緒に地域に対する取り組みを事業所の業務として行うというものでございます。
右下の職能団体、これは最新の専門知識・技術を身につけるということが職能団体の責務と認識しております。その認識のもとに、多職種連携の手法、最新の知識・技術を学ぶためのプログラム開発と研修の実施、それらの機会をできる限り広く提供するための組織力の向上の努力、これはお願いしたいところでございます。
職能団体の会員は、資格を取得したのみに満足するのではなく、利用者へのサービス向上のために自身が主体的・継続的に学ぶということが専門職の責務であることを認識する必要がございます。
左側の現任者・実習指導者は、右側の職能団体とかぶってまいりますので、真ん中の下でございますが、ここには共通の学び直しのプラットフォームをつくり、事業者、職能団体が一緒に研修基盤を体系的に構築して、知識・技術の再統合を進め、実践能力強化の機会を保障していこうとするものでございます。
次に、右上の養成校、私どもの団体でございますが、職能団体や事業者団体と連携をとりつつ、実践的養成教育に向けた教育の見直し、教員の教育力の強化、実習教育を通じた地域への取り組み強化、実践現場との共同研究とフィードバック、学校資源を活用した地域貢献、そして多職種連携に関する教育の強化が求められます。
その上で、各養成校、私どもは本当に反省しておりますが、教員を初めとする共学体制をソーシャルワーク機能を遂行できる人材養成の体制にシフトさせ、より実践的な教育を行うことや、学習内容の充実、地域にある事業者・企業その他の多様な社会資源に学校がみずから関与していくことが求められると思います。
そして、教員は包括的・実践的養成教育法を獲得し、自身の専門領域以外の領域への無関心さですね。いわゆるタコつぼ化と言われておりますが、タコつぼ化から脱却し、実践現場との関係強化、多職種連携教育をより強化していかなければなりません。
学生は、これら学習の機会を通じ、学習を通じた、実習を通じた地域への活動に主体的に取り組むことや、地域での取り組みに欠かすことができない企画する力、創意工夫する力を同時に獲得していく必要がございます。
おめくりいただきまして、5ページでございます。この図は、平成26年9月に全社協、社会福祉施設協議会連絡会が公表いたしました「社会福祉法人であることの自覚と実践」、よくできた内容でございます。この内容を引用させていただきました。
前のページのイメージを踏まえまして、この社会福祉法人の地域における公益的な活動と、社会福祉士養成に係る実習のタイアップが図れないかというものでございます。このメリットとして考えられることは右下5点の●のところに書かれております。
一番下でございますが、この実習の展開は、社会福祉法人に限らず、自治体を含むさまざまな機関・団体や多職種を含む人との協働により、実習教育効果と地域の活性化や地域共生社会の実現に向けた取り組みとして期待できるのではないかと考えております。
おめくりいただきまして、6ページでございます。地域を基盤としたソーシャルワーク機能を遂行する人材養成のためには、5つほど書かせていただいております。
マル1は、先ほど4ページでお示ししましたような人材育成の協力体制、協働体制が不可欠でございます。一団体が担うという時代は終わっているという考え方からです。
マル2、実習を地域でダイナミックに展開するためには、現行の養成制度におけます実習指定施設の要件や、養成校から遠方の地域に実習生を送るために壁となっております巡回指導、帰校日指導等の要件などを見直す必要があるのではないか。質を落とさず、できる工夫があるのではないかという考えでございます。
マル3、これは先ほど説明させていただきましたが、教員みずからが総合的な能力向上を図ること。社会福祉士養成に携わる全ての教員がソーシャルワーク専門職像、イメージを共有し、教育できるようになること。多職種連携教育を強化する必要があること。教員の教育力を強化するための方策を講じる必要があること。教員要件の新たな設定、教員向け教材の開発などが必要であると考えております。
教育内容を見直すとともに、とりわけ実習実施前の科目修了要件等の基準はございません。知識・技術を統合して実践する能力を身につける意味においても、教育のステージは学年や段階、現在も体系的にやっているとはいえ、各ステージにおいて修了すべき科目、達成度を確認する仕組みも必要となるのではないかと思っております。
地域のアセスメントを初め、地域への取り組みに強い専門職を養成するには、現行の養成校が多く取り入れております連続集中型の実習形態はもとより、より地域に長く観察、関与するため、週一、二回程度を通年で行う実習形態も積極的に取り入れるなど、教育方法の工夫が必要となるかと思います。この通年実習形態が取り入れられることは、学生が実習先の法人や地域と長くつながることになりますので、学生がイベントに参加したり、ボランティア活動を行うことが期待されるなど、学生の主体性や自主的な取り組みが可能となり、より社会福祉法人施設等さまざまな実習機関とつながり、その後の就職等にも進んでいくのではないかと考えております。
最後でございます。「知先行後」型教育から「知行合一」型教育、少し個人的な趣味をもって言葉とさせていただいておりますけれども、この展開が必要であると考えます。これは知識を先行させて実践を後づけする教育から、知識・技術の教育と実習などと実践をあわせながら実践的な教育に展開する必要があるということでございます。
そのためには、現行社会福祉士養成カリキュラムの精査、見直し、教育方法の工夫と充実、教育体制の強化、教員の意識改革が不可欠となります。
さらに、ソーシャルワークを展開するための基盤強化、すなわち地域における福祉文化の醸成や多職種連携によります包括的支援に関する教育内容の強化、教育体制の強化が必要となります。これらを最終的に社会福祉士像に落とし込み、実態に合わせた法定義の見直しが必要となれば、見直すべきであると考えます。
長い話になりました。ありがとうございます。以上でございます。
○田中委員長 御提示ありがとうございました。
森脇委員、お願いします。
○森脇委員 ありがとうございます。
まず、事務局の方から御提示いただいた、求められる実践能力につきましては、特に異論はございません。
ただ、先ほど上野谷委員からもご発言がございましたが、これを机上の空論とせず、本当の意味で実践能力を高めていくためには、民間でもそうですけれども、実際の仕事を通じて、日々発生するいろいろな課題にどう向き合って解決していくか、身をもって修得していくしかないと思っております。
また、先ほどの上野谷委員のご説明の中に学び直しのプラットフォームという言葉がございましたが、職場で実際に問題と対峙しながら、それを解決するための知識や手法を、教育研修の場で、継続学習や学び直しができるようにしていくことが非常に大切なのではないかと思っております。
そういう意味で、例えばですけれども、社会福祉士も一度資格を取ったらそれで終わりではなくて、ほかの資格と同様に、実務経験の実績や研修受講をベースにした、例えば更新制の導入などについても、今後、長い目で検討していかれるとよいのではないかと感じております。
ただ、私どもの社内にも電話相談員として社会福祉士の資格を持った者が複数名おりまして、いろいろな職場での社会福祉士の業務の実態を聞きますと、社会福祉士が実際に職場で求められている能力は、職場ごとにばらばら過ぎていて、個々の職場の業務に特化したミニマムな領域にとどまっていることが多いというのが現状と聞いております。
今回提示していただいているスペシャリストでもあり、かつ包括的な視点で社会福祉を担うゼネラリストとしても能力を求められている職場というのは一部の職場であって、現実的にそう多くはないという課題もあると思っております。このあたりは、今後の社会福祉士の活躍の場をどうしていくのかということにもつながっていくのではないかと思っております。
以上です。
○田中委員長 ありがとうございました。
石本委員、どうぞ。
○石本委員 ありがとうございます。
事務局の御説明、それと各委員からの意見書の御説明をお聞きして、そのとおりだと思うのですが、イメージとして、そこまでを求めますと、包括的、分野横断的な能力が必要で、それをどこでその人たちが発揮するのかというところのイメージとして、実際は包括支援センターというのが今、ありますが、本来はここに地域のよろず相談窓口としての機能が位置づけられていますが、実質的にはどうしても介護保険主体のところで動いているという現場としての実態がある中において、例えば社協、もしくは地域行政、どこにそういった包括的な相談支援体制を実効上位置づけてというのを事務局としてはイメージされているかを聞かせていただければと思います。
○田中委員長 お答えください。
○榎本福祉人材確保対策室長 ありがとうございます。
もちろん具体的なものはこれからになるのですけれども、当然ながら地域における包括的な支援体制、相談体制を構築していくのは非常に重要ですので、そういったところでソーシャルワークの専門職である社会福祉士が活躍するということが考えらえるわけでございます。委員、御指摘のとおり、今、結局社会福祉士の方が多くおられるのは地域包括支援センター、これは三職種がいるということになっているので、そういうのに含まれているのでいるわけですけれども、こういった形で私どものこちらの専門委員会のほうで社会福祉士の議論をすることによって、社会福祉士の活躍範囲の拡大につながっていけばいいのかなと思っています。
○石本委員 ありがとうございます。
御承知のことかと思いますが、介護保険制度の改正が控えている中で、包括の役割というのがさらにふえたりしていく中で、現場の包括の職員さんは介護予防マネジメントに忙殺されたり、非常に大変な状況下にある中に、さらにというのが乗っかってくることの負担感は否めないと思うのです。
とはいえ、ここで求められていることは絶対に今後の地域づくりの中で必要であるということを考えたときに、そういう能力を遺憾なく発揮できる環境をどう整えていくのかということは、この先の議論の中でぜひご検討いただければということを申し上げます。
以上です。
○田中委員長 堀田委員、どうぞ。
○堀田委員 今のに関連することを1つと、それからもう一つ加えて2点、お話ししたいと思います。
今、石本委員がおっしゃったように、やはりソーシャルワーカーの方々が、今回事務局が改めて整理してくださった役割の中でも、実際にはここに書かれたようなことを既に発揮しておられる方々も多くいらっしゃる一方で、それが発揮できていない方々もいらっしゃり、そのことは今年度、社援局でやっておられる多機関協働による包括的支援体制構築事業、自治体直の保健師さんや社会福祉士の方々、職種も背景となる法人も、背景となる事業もさまざまですけれども、今、お話のあった地域包括支援センターの社会福祉士さんもいらっしゃれば、社協の方もいらっしゃれば、生困の人もいれば、障害の相談の方もいらっしゃいますけれども、その26自治体の方々の研修会で皆さんのお話をお伺いしていると、今の石本さんのお話ではないですが、既にトータルで支援をしておられるということが、うまく体制が組めてできているところもあれば、今まで主に高齢と言われていたのが、まるごとよろしくねと言われて潰れていっているというような声もお聞きすることがあります。
その意味では、鎌倉委員の御提出資料の中の5ページのところで、個人レベルのみならず組織レベル、社会レベルというふうに整理をしてくださってしましたけれども、今の石本委員の御提言と同じで、組織レベルあるいはさらに社会レベルで、これからさらにということを考えておられるソーシャルワーカーの方々がしっかりと力を発揮できるような枠組みをつくるということは、今後重要な論点ではないかと思いますというのが1つです。
もう一つは、個人レベルでのところなのですけれども、今回の資料2でおまとめいただいたこと、そして、さらにそれを実践に落とし込んでいく上での鎌倉委員と上野谷委員の御説明をお聞きしながら、改めてこのソーシャルワーカー、社会福祉の方に今後、求められる役割、ソーシャルワークという機能を社会福祉士を中心として集約していくという発想とともに、いかに分散していくかということを両方の戦略として、一住民の立場からすると持っていただきたいなと思うのです。
なので、より社会福祉士がこのソーシャルワークを深めていく、高めていく、広げていくというような、専門職に集約するとともに、ほかのケアに携わる専門職、それは前半に議論をしていた介護福祉士も含めますし、それ以外の、もしかすると医師とか、看護師とか、あらゆるケアの専門職に対してもソーシャルワークの基礎を分散していく。さらに、ケアに携わる専門職以外の住民が担い得るナチュラルソーシャルワークというか、基礎的な機能というところもあると思いますので、集約の方向性だけではなくて、その方々がいらっしゃるからこそ分散できるというような戦略もぜひとっていただきたいなと思います。
それに関連してということでいきますと、事務局がお出しくださった資料2の中でも、特に3ページ、4ページのところなのですが、例えば3ページですけれども、「このような役割を果たすため、社会福祉士には、他の専門職と協働し」というのが、この後たくさん出てくるのです。ですけれども、他の専門職及び住民とということがつけられる部分もたくさんあるのではないかなと。3つ目の○もつけられるでしょうし、4ページ目の2つ目、3つ目、実際に社会福祉士の方々はやっていらっしゃると思いますし、住民とともに現状を把握して、課題を分析して、実際に行動を起こし、それを評価するというようなプロセスをいかに協働してやっていくかということが一つ、この資料2の今後深めるという上でも重要ではないかと思います。
もう一つ、今の方向性で上野谷委員が御提出くださった御提言に関連しますと、論点3のところです。三者協働による教育内容の検討体制、これは大変すばらしいなと思っておりまして、実際に6ページのところを拝見しますと、既に協議体を養成、専門職、事業者で設立なさって検討を始めておられるということで、広くほかのケア専門職に対してもソーシャルワークの基礎的な機能を分散していくということを考えますと、前半の議論にもございましたが、以前オランダの例を御紹介したことがあったと思うのですけれども、こうした養成教育機関と専門職、事業者の三者協働で、特に地域における必要なコンピテンシーというものを地域の中で学び、実践に戻していくというものをソーシャルケアの部分とヘルスケアの部分を通貫した形で、社会福祉関係の団体だけではなくて、関係のこの三者協働というものをもうちょっと広くとっていただいて、ここで議論しているところの、特にこの地域での実習などというのは、社会福祉以外の方々にもこういった考え方を共有して、一部はここで議論されていることが展開されてほしいとも思いますので、この枠組みをぜひ生かして、ほかの領域に対しても三者協働かつ地域でばらばらと、それぞれの何とか市が実習をやっていますというのは相当大変なことになりますので、一定の部分は共通の基礎の部分に組み込んでいくような発想で発展していただけると大変うれしいなと思いました。
以上です。
○田中委員長 事務局に対する提言、例えば住民を入れたらどうかなどがありましたので、そちらをお答えください。
○榎本福祉人材確保対策室長 ありがとうございます。
体制の問題と、それから個人レベルの問題、両方あるということでございまして、社会福祉士について、社会福祉士が全て何でもやるというのは無理ですので、これは当然ながら他の専門職との協働というのが必要になるわけですけれども、まさに堀田委員がおっしゃるとおりでございまして、私どもの資料の5ページで包括的な相談体制の構築と並んで、住民主体の地域課題解決体制の構築というのを、これは次回以降議論したいと思いますけれども、そういったことがあることも考えれば、社会福祉士は他の専門職及び住民との連携ということを図っていく場面は当然ながらあるだろうと思いますので、私どももそういった認識のもと、文章の精査をさせていただければと思います。
それから、三者協働で広くということでございますけれども、私どももカリキュラムの見直しを来年度考えている中で、幅広い方々の御意見を聞くということは非常に重要かと思いますので、そういったことも努めていきたいと思います。
○田中委員長 上野谷委員、お答えください。
○上野谷委員 堀田委員から非常に適切な御指摘と御意見いただきましたこと、お礼申し上げたいと思います。
ただ、ソーシャルワークの集中と分散、これは議論すべきテーマだと思うのですが、私がなぜ分散を慎重にと言っておりますかといいますと、社保審で初めてソーシャルワーク専門職である社会福祉士について国として初めて「ソーシャルワーク」を出していただいたわけですね。10年前の委員会のときには、ソーシャルワークという言葉は使ってはいけないという中で相談支援という言葉になったわけです。ですから、私としましては、今回はソーシャルワークとしての専門職としての社会福祉士、これを前面に出していただきたいという思いが一ついたします。
ですから、他の専門職と協働する。そして、住民ともちろん協働する。これはとても大事でございますし、私自身も地域福祉学会会長として、まずは住民とともに協働するということをやってまいりましたので、全く正しいのですけれども、段階があるのではないかということで、集中と分散の特に集中にまず力を入れていただきませんと、曖昧になってしまうのではないかという気持ちがございます。
ですから、書き方として丁寧に書いていただくということと、もちろんナチュラルなソーシャルワークはあるでしょうけれども、日本ではやはりソーシャルワークの専門職として命名しておりますので、そこは機能の一部の分散、そのためには社会福祉士がきっちりと運営、助言をしなければ、ひとり歩きしますと人権侵害等々がありますよというようなことを踏まえていただくことがとても大事なのではないか。このように思っております。
それから、もう一つ、ぜひこの間の歴史的ないきさつを踏まえて、今回の委員会がそれを乗り超えたのだという非常にすばらしい委員会だと思っておりますので、そこのところは少し考えていただいて、より踏み込むというのであれば、専門職としての社会福祉士は当然だがというような流れでやっていただけましたら幸いです。進みます方向において同じだと思っております。
○田中委員長 堀田委員、どうぞ。
○堀田委員 上野谷委員がおっしゃったことのソーシャルワークがしっかりと前面に、その専門職であるというのが出ること自体の社会福祉士の方に対するエールという意味合いも非常に大きくあると思いますので、そこは全く、それはぜひとも前面に出してください。おっしゃるとおり、専門職としてのソーシャルワーク、社会福祉士によるソーシャルワーカーというものと、それ以外のケア専門職、あるいは住民それぞれが持っているもともとのというは全く濃度も意味合いも違うものですので、そこは全くもってそのとおりだと思います。
ただ、役所が以前は、10年前は相談支援、相談援助だったのがソーシャルワーク。それはおっしゃるとおりだと思うのですけれども、社会のほうがずっと先を行っているし、社会福祉士の方々の働きのほうがずっと先を行っているので、ぜひとも集中と分散のことを同時に進めるということは、今おっしゃった御趣旨を踏まえながら展開しないと、それで困っている社会福祉士の方々も、住民もたくさんいるということを忘れている雰囲気にならないような出し方が重要かなと思います。
○上野谷委員 もちろんそうでございます。ただし、この委員会は福祉人材の養成委員会でございますので、私はあえてそのあたり、介護、保育、保健師を含めて御一緒にやっていきますので、そういう方々へのソーシャルワークの研修、これはもちろん当然でございますけれども、住民ということになりますと、ちょっと違う部会の話になるのではないかということで、少し慎重な議論をという意味でございます。
○田中委員長 武居委員、どうぞ。
○武居委員 先ほど来の上野谷委員のお話に関連してですが、私ども事業者としても、三者の協働と、それに上野谷委員の内容の中から見ますと四者と書いてあって、学会も含めてということでありますが、私も今まで三者の協働は非常に重要だと思ってまいりましたし、このことは単にソーシャルワーカーないしは社会福祉士の問題だけではなくて、ほかの福祉専門職も全く同じ状況ではないかと思っております。我々もそれが必要ですし、業界全体に就労する職員を導入するという意味でも、四者の協力がないといけないだろうと思います。
その中でちょっと問題を感じるのは、社会福祉士の養成に関しての協働の話でありますが、事業者側にとっても社会福祉士の養成は大事なことなのですけれども、他の職種と多少違いがある部分は、現場に社会福祉士の数が少ないという意味では、現場での教育の難しさというのが非常にあるのではないかと思います。介護福祉士や介護職員については、ある程度の数の職員がおりますので、その中で自組織の中の教育システムもある程度できている。そこに実習生が来ることによって教育がしやすいという体制があります。しかしながら、社会福祉士については、そう多くの人数がいるわけではないのが一般的ですので、そこの現場での養成の難しさというのがあるのではないかと思います。
その意味では、社会福祉のOJTの難しさもありますし、少人数で実習生を教育するという場面での、人数の問題であるとか、時間的な制約の問題であるとか、費用の問題であるとかいうことでの制度上の問題もあるのではないかと思います。このあたりをある程度クリアしながら三者の協働を考えていきませんと、なかなか人数の少ない社会福祉士の養成というのは難しさがあるのではないかと思います。
○田中委員長 御意見ありがとうございました。
小島参考人、どうぞ。
○小島参考人 また少し先走るようで申しわけないのですけれども、方向性としては本当に間違っていないと思うのですが、これをいかに具現化するかというところが大事なのかな。先ほど来、介護の世界は地域包括支援センターの中に社会福祉士が配置されている。これは大きな話だと思うのです。そうした中でソーシャル機能を今まで担ってきましたけれども、やはり社会福祉士が単独で頑張ってもバーンアウトしてしまうという実態がありまして、現在、介護の世界では、地域住民を交えた地域福祉コーディネーターであるとか、あるいはその前身である地域ケア会議、いろいろなところで多職種連携で一つの地域課題を解決していこうという動きで既にソーシャルワークの機能を発揮していますので、社会福祉士だけがということではないのです。
ただ、その底辺には、やはりそこに社会福祉士が配置されたというのは大きな意義があると思いますので、今後も、昨年からスタートしている生活困窮者、こういう制度の中でもまだネットワークの形成ができていない状態です。正直、連携ということはネットワークしかりでございますので、そのネットワークを形成するためには、やはりコーディネーター役であるとかマネジメントをする人という意味では、社会福祉士の役割は大事なのかなと思っていますので、そうしたところに社会福祉士がかかわらなければいけないというような制度的な意義づけをしていただくことが、社会福祉士そのものを現場にどんどん登用することにもなるのかな。
確かに今、武居先生が言われたように、地域社協さんにはいらっしゃるのです。でも、事業者には余りいらっしゃらない。ですけれども、地域社協さんも、先ほどの公益的な対応の中でいろいろやられています。今、現場で困っているのは、それぞれ頑張っているのですけれども、やはりスーパーバイズする人が欲しいなというところがあります。ですから、それぞれ社会福祉士の養成課程も大事なのですが、今いる方の中であらゆる制度に精通して、ソーシャルワークができる人材の養成というのも別に行っていただいて、その方がスーパービジョンとしてあらゆる場面で役に立てる。そういうような構想を入れていただくと、文字どおり、この5ページに描いているような絵が実現するのかな。この実現するためのメソッドとして具現化を考えていただければと思います。
以上です。
○田中委員長 平川委員、どうぞ。
○平川委員 ソーシャルワークの専門職である社会福祉士に求められる役割という表題ですけれども、いろいろ今、御意見がありました。保育士や介護福祉士も含めて、ソーシャルワークの機能としては一部持ち得るということでありますけれども、このソーシャルワーク専門職という意味合いがやはり重要かと思います。
この方向性、実践能力を含めての提言がありますけれども、ただ、これを読んだだけでは国民の皆さんが、やはり社会福祉士というのはいろいろなところに必要なのだというところの理解に至るまではまだ具体性がないのではないかと思っています。実践能力という方向性はいいのですが、今後さらにこれをより具体的に、なぜ必要なのかというところを議論していく必要があるのではないかと思っています。
そういった意味で、前も発言させていただきましたけれども、介護保険やさまざまな制度、医療もそうですけれども、診療報酬制度の要件とかいうことの位置づけの中で社会福祉士というのを明確にしていかなければならないと思っています。その活躍の場を拡大していくことは私も必要だと思いますけれども、それをしっかりいろいろな制度につなげていくような仕組みが重要と考えているところであります。
さらにまた、社会福祉士の専門性をどう生かしていくかというところで言うと、例えば生活保護の現場においても、もっともっと活躍する場が必要かと思っています。最近で言えば、小田原市の生活保護の福祉事務所におけるジャンパー問題がニュースで話題となっておりますけれども、小田原市の検証委員会で一定程度の最終的な報告が出たように聞いております。やはり援助を受ける側の視点であるとか、支援者としての意識の問題というのが最終的な報告書の中で問題意識として出されているところでございます。そういうところを考えてみると、この社会福祉士の知見というのがやはり重要と考えておりますので、今後、より具体的な配置や活躍の場ということをしっかりと議論していく方向が重要と思っているところであります。
以上です。
○田中委員長 ここまでの委員の御発言に対して何かコメントは。
○榎本福祉人材確保対策室長 ありがとうございます。
一つあったと思いますのは、まずはソーシャルワークの専門家としての社会福祉士のあり方について、最終形、それからそれに至る過程というのですかね。そういうものがやはり両方あるので、そこについて、それこそ私どものほうでも整理をさせていただいて、何を目指すのか、そこに行くにはどうしたらいいのかということを検討させていただきたいと思うのと、あと、武居委員から御指摘いただいた、確かに現場に社会福祉士の方が少ないという、これはまさにそのとおりだと思いますので、それをどうやってふやしていくかということが非常に重要だと思います。
それから、理想的なことを言うのはいいのだけれども、それを具現化する必要があるだろうということがありますので、それについても今後、議論を深めていきたいと思います。
また、社会福祉士のそういった知見に関する期待ということも平川委員からございましたけれども、そういう意味でも、私どものほうでこの専門委員会において社会福祉士のそういった役割等について議論を深めていくというのは非常に重要だと思います。
まさに社会福祉士というのが今、求められているというのが委員の皆様からの御発言からもよくわかるところでございますので、この委員会でも社会福祉士について今後とも議論を深めることが重要かと思っております。
○田中委員長 阿比留委員、どうぞ。
○阿比留委員 今までの議論と同じような形になるのですが、働ける場や役割を明確化するという作業も大事ですが、現状として、施設の中に少なからず存在する社会福祉士資格保持者が、社会福祉士本来の業務内容ではない業務に仕えている方も既にいらっしゃいますので、そういった資格保持者の方たちが働きやすい、兼務しやすいというか、そういった環境整備も並行して進めていただければと思いますので、よろしくお願いします。
○田中委員長 平川委員、どうぞ。
○平川委員 今の室長の御発言を受けまして、やはりより具体的な方向ということで言うと、何回も言っていますけれども、ほかの例えば老健局とか保険局、あと、生活保護は社援局ですけれども、もしくは生活保護に関して言うと総務省とも関係してくると思いますので、しっかりと関係する省庁、部局と連携をとっていただいて、この社会福祉士が具体的に活躍できる場、知見を生かしていける場をしっかりと話し合って、実現していけるような方向について努力をお願いできればと思っています。
以上です。
○田中委員長 一通り意見を伺いましたが、よろしゅうございますか。
また、私も1つだけ余計なことを言おうと思います。今の事務局の資料の4ページの怪しい英語を直したいですね。「仲介(コーディネート)」「調整(マネジメント)」となっていますが、マネジメントを日本語にしろといわれて調整と書いたら多分バツがつくと思うので、ここで片仮名は要らないのではないですか。マネジメントはもっといろいろな、前の介護福祉のほうでもっと広い意味でいろいろ使われていたので、ここで調整とせばめられてしまうと誤解を招くので。ほとんど冗談に近いコメントでございます。
皆様から活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。大変識見の高い発言があったと感じます。
本日の議論はここまでとさせていただきたいと存じますが、よろしゅうございますか。
次回については、これまで頂戴した意見を踏まえて、また、新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会の取りまとめ内容も入れ、事務局に介護人材の機能とキャリアパスの実現に向けた資料をつくっていただきます。その上で、私たちで議論を行う予定です。
次回の予定については、追って事務局より連絡するようお願いいたします。
本日は御多忙の折、お集まりいただきましてどうもありがとうございました。
 

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(福祉部会福祉人材確保専門委員会)> 第10回社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会 議事録(2017年3月28日) - (1)

ページの先頭へ戻る