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2017年3月21日 第16回東日本大震災アスベスト対策合同会議 議事録

(環境省;東日本大震災におけるアスベスト調査委員会)(厚生労働省;東日本大震災の復旧工事に係るアスベスト対策検証のための専門家会議)

○日時

平成29 年3 月21 日(火)13:30~14:15


○場所

都道府県会館 1階 101大会議室


○議題

(1)被災地におけるアスベスト大気濃度調査について
(2)がれき処理作業等におけるアスベストの気中モニタリング等について
(3)その他

○議事

【出席者】
委員: 神山委員長、小坂委員、小島委員、小西委員、小林委員、高田委員、戸塚委員、外山委員
専門委員:ユーロフィン日本総研株式会社、株式会社日新環境調査センター、
東北緑化環境保全株式会社、独立行政法人労働安全衛生総合研究所
環境省:瀧口大気環境課長、伊藤課長補佐、廣田課長補佐、五十嵐係長
厚生労働省:奥村化学物質対策課長、小林中央労働衛生専門官

【議事録】
事務局(ユーロフィン日本総研)
 それでは、ただいまから第16回東日本大震災アスベスト対策合同会議を開催致します。本日の出席状況ですが、名古屋委員、藤吉委員、松本委員、森永委員からご欠席の連絡を受けております。従いまして、委員12名のうち8名の方に御出席いただいております。また、福島県のご担当者の蓮沼様に御出席いただいております。そのほか、測定機関、研究機関の方々にも専門委員として御出席いただいております。それでは、これ以降の議事進行は神山委員長にお願いいたします。


神山 委員長
 この東日本大震災発生6年ということで、今年初めての会議となりますが、皆さん、お忙しいところ御出席ありがとうございます。今日はデータを見て頂いて、おおむね安心するようなデータと思いますが、委員の皆様からご意見を頂戴出来ればと思います。どうぞよろしくお願い致します。
 それから申し遅れましたけれども、宮城県、岩手県、その他のがれき処理はすべて終了したとのことで、現在モニタリングはほとんどこの報告には載っておりませんが、福島県はダブルで被災を受けまして、がれき処理等がまだ続いているということで、福島県に関するモニタリング結果のみとなりますが、よろしくお願い致します。それでは早速議事に従いまして進めて行きたいと思います。
 議題(1)の「被災地におけるアスベスト大気濃度調査について」の報告になります。事務局から説明をお願いします。


(1)被災地におけるアスベスト大気濃度調査について


事務局(ユーロフィン日本総研)
 事務局のユーロフィン日本総研の栗崎弘輔です。事務局からご報告させて頂きます。それでは、お配り致しました資料、環境省資料1-1「第14次モニタリング結果概要」。経緯・目的を読み上げさせて頂きます。
 東日本大震災により広範囲にわたる地域で多くの建築物等が損壊するとともに、膨大な量の災害廃棄物が発生致しました。被災した建築物等にはアスベスト含有建材が使用されていることもあり、それらの除去等に当たり、アスベストの飛散が懸念されているところでございます。本件に関しましては、環境省参考資料の「アスベスト対策に関する行政評価・監視-飛散・ばく露防止対策を中心として-」の結果に基づく勧告にございます通り、「災害時における石綿飛散防止に係る取り扱いマニュアル」の改訂について検討を行っているところになります。
 これまでに実施した東日本大震災の被災地でのモニタリング(平成23~27年度)におきましても、一部建築物の解体現場等からのアスベストの飛散が確認されており、福島県では被災建築物の解体が今後も続くことから、引き続きアスベスト濃度の把握が必要でございますので、アスベスト大気濃度調査を実施いたしました。
 調査期間は資料1-1に記載されている通り、平成28年11月8日から平成29年2月23日となっております。
 調査地点は、福島県内(14市町村)において、住民のばく露防止と不安の解消及びアスベスト飛散防止の観点から、被災自治体と連携して、調査地点を51地点選定致しました。
 調査手法といたしまして、試料の捕集及び分析については、「アスベストモニタリングマニュアル(第4.0版)」、環境省資料3の東日本大震災におけるアスベスト大気濃度調査(実務マニュアル)に準じて実施致しました。
 調査結果につきまして、今回の調査では総繊維数濃度が1本/Lを超えた地点はございませんでした。
 こちらに関して、今回の調査を表1にまとめております。調査地点分類(1)、(2)について、(1)マル1学校・避難所・仮設住宅等周辺では37地点、マル2被災自治体において、環境省が毎年実施している地点では2地点、(2)マル1倒壊・半壊又は一部破損している建築物の解体等の現場、こちらは富岡町の解体現場になりますが1地点、マル2破砕等を行っているがれき処理現場及びがれき集積所で11点の測定を行いました。こちらの調査結果につきまして、先ほど申し上げましたとおり、最大繊維数は(1)のマル1で0.44 本/L、マル2で0.68 本/Lでした。また、(2)ではマル1で0.24 本/L、マル2で0.85 本/Lでした。なお、これらの値は幾何平均値であることを申し添えます。
 続きまして6、第1次~第14次モニタリング調査結果一覧について説明致します。次ページ以降の表2、表3をご覧下さい。
 表2では、予備調査も含めまして第1次から本年度調査である第14次までの総繊維数濃度が1 本/Lを超えた地点数をまとめております。なお右側のかっこ内の数字はトータルの地点数になります。ハイフンは測定が該当県で未実施であることを示します。表2より、東日本大震災に関連する地点において、総繊維数濃度の幾何平均値が1 本/Lを超える地点は調査開始時から減少傾向にございます。また、福島県内では第11次モニタリング(2013年12月から2014年2月まで)以降、総繊維数濃度の幾何平均値が1 本/Lを超えた測定地点はございませんでした。
 次のページ表3も表2と同じく、予備調査を含めて第1次調査から、本年度の第14次までの調査における総繊維数濃度とアスベスト繊維数濃度の結果を示しております。なお、アスベスト繊維数濃度は位相差/偏光顕微鏡法で測定された数値となっております。カッコ内の数値は解体現場で採取された試料について測定された数値を示しております。予備調査の段階では総繊維数濃度は最大で12 本/L、アスベスト繊維数濃度で0.90 本/Lでした。第一次調査では総繊維数濃度は最大で56 本/L、アスベスト繊維数濃度で4.2 本/Lで高い数値で測定されておりましたが、第11次以降の調査では1本/Lを超える総繊維数濃度は観測されておらず、繊維の飛散については、近年は落ち着いているのではないかと思われる推移となっております。環境省資料について概要の説明は以上です。


神山 委員長
 ありがとうございました。ご質問はあろうかと思うのですが、意見交換はまとめて行うことと致します。続けて、議題(2)の厚生労働省からの「がれき処理作業等におけるアスベストの気中モニタリング等について」報告をお願い致します。それでは、厚労省の方から説明をお願い致します。


(2)がれき処理作業等におけるアスベストの気中モニタリング等について


厚生労働省 小林専門官
 それでは、厚生労働省資料1についてまずご説明致します。
 「1 経緯・目的」について昨年度までと同様に、環境省と同じく東日本大震災の被災地でのモニタリングを実施するということで行っております。「2 調査期間」ですが11月から3月の頭まで、調査を行っております。「3 調査地点」につきましては、すべて福島県内で、のべ17地点、うち2回が3地点ということで、実施を致しました。調査結果の概要としては4に記載しておりますとおり、石綿繊維を検出した地点はなかったということとになります。
 それでは、表の説明に移りますが、調査地点としては4つの分類で行っております。(1)の隔離をしている建築物等の解体又は改修作業として4地点。(2)で表の記載に間違いがございまして「隔離あり」は正しくは「隔離なし」です。(2)の建築物等の解体又は改修作業は隔離をしていない、いわゆるレベル3の現場となっており、こちらの地点数が4地点。それからがれきの仮置場、集積場における分別作業として8地点、最後に(4)として廃棄物処理場等における作業を1地点、合計17地点の調査を行っております。
 5の測定条件につきましては、これまでと同じです。総繊維数濃度が3本/Lを超えた時に石綿の同定を行っております。吸引流量は1 L/分、測定時間は原則として、作業開始から90分間としております。6のその他ですが、1点のみ、隔離空間内において飛散している繊維を測定するため、隔離空間内における石綿気中モニタリングを行っております。
 2ページ目は総繊維数濃度が3 本/Lを超えた場合の対応について詳細を記載させて頂いております。
 続きまして資料2に参ります。詳細は、のちほど資料5について中村専門委員に説明をお願いしていますが、まずは資料2の見方から説明させて頂きたいと思います。
 まず一番左の地点ナンバー、番号が振られておりますが、たとえば12番とか14番ですが2つ番号が振られている地点があります。こちらは同じ地点で2回測定を行ったということで、たとえば「12(4)」という記載に関しては、No. 4で調査を行った後、期間をおいて再度2回目の調査をNo. 12として行ったということを示しております。
 それから委員の皆様に机上資料を配付させて頂いておりますが、机上配布資料をお配りした地点を資料2にそってご説明させて頂きます。まず資料2のNo. 10の4行目に記載のあるとおり、隔離区域内作業現場として調査を行っております。こちらは外壁にリシンの吹付がなされていた現場になりまして、総繊維数濃度が989 本/Lでありまして、さらに電子顕微鏡で確認致しましたところ、約20 %はクリソタイルとなっており、割合を掛け算しますと、約198本はクリソタイルの繊維となっております。また、2行目と3行目はそれぞれ前室付近と排気口付近のデータとなっております。こちらについては繊維数がやや多いという結果となっておりまして、こちらに関してはまた後ほど机上資料も用いてご説明させて頂きたいと考えております。
 また、隔離無しの解体現場、いわゆるレベル3の解体現場を4地点行いました。どの現場かと申しますと、上からNo. 11、13、15と、2ページ目のNo. 17の4地点が、いわゆるレベル3の現場になります。いずれも測定中に石綿含有建材を扱う作業がなされておりましたが、繊維はそれぞれ検出されておりますけれども、アスベスト繊維は検出されませんでした。
 続きまして、資料3に移りたいと思います。資料3は厚生労働省で「石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアル」を作成しておりまして、毎年度改訂を行っております。
 本資料は今年度改訂を行ったばかりのマニュアルの抜粋となっております。被災地のみに特化したものではないのですが、めくって頂きまして2ページ目、印刷では68ページになりますが、今回の改訂のポイントとして、「成形板の定型の大きさのものをそのまま梱包できるよう、図のような大きさのフレコンが市販されているので、これを利用するとよい」という記述を追記致しました。マニュアルについては厚生労働省サイトに載せまして、全国に通知をしたいと考えております。特に被災地につきましては成形板の処理も多いと思われますので、こうしたマニュアルを周知することで、被災地の取り組みを一層しっかりと進めて行きたいと考えております。
 続きまして資料4になります。資料4は来年度のモニタリングの実施案となっております。来年度も内容については今年度と同じく、目的や現場測定方法を同様のものを挙げさせて頂いておりまして、本日、ご了承を頂けましたら、来年度も同様に被災地でのモニタリングを実施していきたいと思います。
 続きまして、資料5を中村専門委員にご説明頂く前に、机上資料についてご紹介したいと思っております。こちら厚生労働省机上資料は会議終了後回収致しますのでよろしくお願い致します。さきほど申し上げました外壁リシン吹付の現場No. 10ということで、簡単に現場の概要についてご説明させて頂きますと、まず1ページの(4)に事前調査の結果について、RC造1階建て建屋の外壁にクリソタイル0.59 %含有のリシン吹付け材が使用されているとのことです。方法としては次の(5)にあるとおり、外壁リシンの吹付け材の除去作業を手持ち式グラインダーにより行っておりました。集じん機はついておりません。こちらはセキュリティゾーン前室と排気口付近で繊維が検出された場所になります。2ページ目の(4)の4段落目になりますが、「排気口に設置した粉じん計のカウント値が、通常排気口に設置した場合よりもやや高い値であった。対象施設の南東側の建屋内部解体作業において、石膏ボードの破砕が行われていたため、その影響を受けた可能性が推察される。なお、粉じん計カウント値のロギングデータをグラフ化したところ、隔離内での作業開始に伴いカウント値が上昇し、作業終了に伴いカウント値が減少する傾向が見られた。排気口において捕集したろ紙に石綿は検出されなかったが、対象施設南東側の内部解体作業の影響のほか、隔離区域内部で行われていたケレン作業により発生した大量の粉じんや飛散防止剤のミスト等が、何らかの原因により多少漏れ出た可能性も考えられる。」ということとなっております。こちらロギングデータが机上配付資料の16ページ目に記載しております。上がリアルタイムモニターの測定値で、下がデジタル粉じん計の値となっております。真ん中で黄色に塗られているところが作業状況になっております。デジタル粉じん計の濃度はそれほど高くはないのですが、作業の状況と一定の相関も見られます。なお、リアルタイムモニターについては※印で小さく書かせて頂いておりますが、発電機の不具合が生じ、作業中30分間のデータが取れなかったということになっております。その他の机上資料は、地点No. 11, 13, 15, 17、レベル3の現場として机上資料をお付けしている次第となっております。厚生労働省からは以上でございます。


中村専門委員
 労働安全衛生総合研究所の中村です。資料5について説明させて頂きます。毎年厚生労働省のデータをまとめさせて頂いておりまして、今年度も同じようにまとめを作成させて頂きました。
目的、方法につきましてはこれまでと同様でございますが、厚生労働省からもありましたとおり、建築物の解体、がれきの仮置場、廃棄物処理の場所、合計17の場所で調査を行っております。建築物の解体場所では合計8地点で調査が行われておりまして、鉄骨構造1件、鉄筋コンクリート構造3件の4件で、隔離養生がなされて解体が行われております。また、残りの木造建築物4件に関しましては、石綿含有材と見なして成形板を除去する、いわゆるレベル3の除去作業となっております。そのうち、隔離養生を行っていた4件の現場についてですが、除去対象の建材はそれぞれ、アモサイト含有の煙突断熱材、アモサイト及びトレモライト/アクチノライト含有のロックウール断熱材、クリソタイル含有のロックウール吹付け材及びクリソタイル含有のリシン吹付け材というものを除去している現場でありました。それぞれの現場で調査が行われたのですが、隔離区域内の測定を除く12点の測定では、位相差顕微鏡による総繊維数濃度が30 本/Lを超えた測定点はありませんでした。総繊維数濃度の最大値は福島県No. 10の5.94 本/Lであったということです。ここの現場では3つの測定点で総繊維数濃度が3本/Lを超えていたため、偏光顕微鏡による分析が実施されましたが、いずれも石綿は確認されておりません。それ以外の現場では、総繊維数濃度が3本/L以下であったため、石綿の同定は行っておりません。
 残りの木造建築物4件ですが、定点のほか個人ばく露の測定が行われておりますが、30本/Lを超えた測定点はこちらもありませんでした。総繊維数濃度の最大値は福島県No.11の個人ばく露で、11.89本/Lでありました。それ以外の現場の測定点でも、総繊維数濃度が3本/Lを超えた地点について偏光顕微鏡法による石綿の同定が行われたのですが、いずれも石綿繊維は確認されておりません。当該4現場のみなし建材は、厚生労働省測定事業の分析結果によると、いずれもクリソタイルを含有していて、それぞれのパーセンテージは3.6%、5.6%、1.4%、0.4%ということで、いずれも石綿を含有している建材の除去現場であったということであります。
 次にがれきの仮置場、集積場における集積作業についてですが、こちらも8箇所で調査が行われております。がれきの種類は主に家庭から出たごみや家屋を解体したときに生じたがれき、津波堆積物等ということで、様々なものが混在しているがれきでありました。全ての現場において報告書に記載があるように、何らかの建材、成形材があるということが確認されており、それらに関しては石綿を含有したものが混入していたかどうかは不明であると報告がなされております。行われていた作業は、集積、ふるい分け、重機及び手作業による分別、フレコンバッグへの詰込、移し替えなどが行われていたということです。これらの現場で行われた調査としては、総繊維数濃度の結果は30 f/Lを超えた点はなく、3 f/Lを超えて30 f/L以下が14点、3 f/L以下が16点であった。この3 f/Lを超えていた測定点は他と同様に偏光顕微鏡による分析が実施されたが、いずれも石綿は確認されなかったという事であります。
 次に廃棄物処理等における作業については1箇所で調査が行われております。ここでは家庭ごみ等の可燃性混合廃棄物を燃やす、ということが主な作業であったわけですが、総繊維数濃度が最大でも12.49本/Lでした。こちらでも、3本/Lを超えた地点について偏光顕微鏡を用いた測定がなされましたが、石綿は検出されなかったということになります。
 以上、まとめになりますが、平成28年度の調査では合計17か所の場所で測定が行われましたが、本年度は、調査した全ての現場において、偏光顕微鏡による分析で石綿繊維が確認されることはございませんでした。
 建築物解体の方ですが、昨年度までの調査で、煙突断熱材で石綿繊維数濃度が10 f/Lを超える飛散事例が複数確認されていたのですが、今年度の除去作業ではそのようなことはなく、きちんと対応されていた。
 また、外壁のリシン吹付け材の除去作業ということで、対応が難しい除去作業もありましたが、飛散が確認されなかったということで、除去作業が適切に実施されていたと考えることができます。今後ともこういった形で、飛散が無かった事例・良好事例について、関係者への周知を徹底して飛散が起こらないようにしていくことが重要であるといえます。お手元の机上資料で言いますと、33ページ、34ページにあるのですが、成形板の除去作業では、福島県No.13というところで、成形材を大きいままで梱包している様子が見られておりますので、こういった形で注意を払っていただいていることが分かるかと思います。
 また、一方で、ほかの現場においては、成形材が破砕されているのではないかと見える写真もありましたし、また調査を実施した方々の報告によりますと、一部バールで破砕して除去を行っていることもあったとのことですが、その際は飛散防止のために散水がなされていたということなのですが、やはり破砕を伴うという場合は、飛散のリスクが高くなりますので、飛散しないようにきちんと対策をしていただくということを、引き続き徹底していく必要があるかと思います。
 がれきの仮置場、集積場におきましては、今回石綿の飛散は確認されませんでしたが、これは主に建材ではなく、家庭から出たごみの処理であったためと考えられます。一方で、福島県No.3やNo.14の現場では、粉じん濃度が非常に高かったということが報告されております。石綿含有建材ががれきの中に混入するということを、完全に防ぐことはなかなか難しく、本年度の調査においてもがれきの一部に成形材が混入していたという報告がありますので、粉じん濃度が高くなる作業で、仮に石綿含有建材が混ざった場合には、そういったものが飛散するリスクが高くなります。そういった粉じん濃度が高い作業には注意して頂いて、曝露しないようにして頂くことが必要と思います。以上になります。

神山 委員長
 ありがとうございました。ただ今、環境省及び厚生労働省の方から今年度のモニタリング結果の説明を頂きました。これに関して委員から、御意見がありましたらよろしくお願いします。


神山 委員長
 私の方から、最後に中村委員から報告頂いた資料5の福島県No. 3とか、No. 10とかいうのは厚生労働省資料2と一致していると言うことで大丈夫ですね。


中村 専門員
 はい。資料2の表の一番左にある番号と対応しております。


神山 委員長
 それでは、この資料2の表を見ながら確認ができるということですね。ありがとうございました。概ねいいデータが出ていたようですけれども、いかがでしょうか。


小林 委員
 この測定結果についてではないのですが、今回、福島県で調査をやられていますが、去年一年間でどの程度の建物が解体され、実際にアスベスト関連の建物の解体がどの程度あったのか、がれき処理の場所がどの程度数があったのか、また、その時期、解体の時期ですね、そのあたりをお伺いしたい。
 何故このような事をお伺いするかというと、不安解消のための調査の実施なのですが、28年度は前半にほとんどやっておられないのですよね。11月からのスタートですよね。ではその間解体はなかったのか、ということなんです。これはちょっと不安解消という意味からいうと、調査期間が抜けるというのは問題があるように思うのです。これに関してはいかがでしょうか。


神山 委員長
 そうしましたら、がれき処理とか解体・改修の総合的なデータというのは、まとめは自治体の方になるのでしょうか、それとも復興庁でしょうか、環境省なのか。何かお答えになるものはありますか。


廣田 課長補佐
 こちら環境省の方でまとめているというものはなく、災害関連の解体数等は、復興庁等でまとめているものはあるかも知れないのですが、今この場で正確にお答えすることは出来ません。


神山 委員長
 調べれば分かるということでしょうか。


廣田 課長補佐
 そのとおりです。


神山 委員長
 現在ここでは把握していませんが、復興庁かどこかで全体をまとめたものがあるはずなので、後でデータは提示できる。


小林 委員
 補助金の申請やチェックの段階でそのあたりの情報が出てくると思います。何故このような事を気にしているかと申しますと、災害時のアスベスト調査、解体のマニュアルを作る事になって、事前調査として調査をきちんと行い、それに基づいて指導が有り、モニタリングがなされると思うのですね。ところが最後にモニタリングをやる段階で、前段の部分は把握していませんというのは、問題かなと思うんですね。


神山 委員長
 この辺の前段については、予算的な、単年度予算の弊害ではと思うのですが、これはあくまで環境省なり厚生労働省が場所を決めて測定をしている形ですので、仰る通り前半部分に関して減っている部分は大丈夫か、ということにはなるのですけれども。後半部分で11月から翌3月までのデータで類推するしかないのかなという感じです。厳密に言えば通年でずっと追っていかないといけないというのは、仰る通りだと思います。
 この問題に関しては、安心なデータを取るために、全ての現場のデータをモニタリングすることも無理があると思いますが、時間的な問題に関しては、出来るだけばらして、全体にやった方がいいのだろうと。季節の変化もあるかも知れませんしね。仰る通りだと思います。


神山 委員長
 他にご意見ございますでしょうか。


外山 委員
 厚生労働省の測定で、まとめのところで昨年複数確認された煙突断熱材の漏洩は無かったという事なのですが、煙突断熱材の除去の測定というのはあったのでしょうか。


中村専門委員
 今年度の福島県のNo. 7というのは、煙突の中に使われていた断熱材の除去作業ということであります。


外山 委員
 わかりました。ありがとうございます。
 あともう一つ、外壁の塗材除去の現場で、もし分かったらでいいのですけれども、これはすごく難しい工事になるのですが、外部に負圧養生を作るというのは、技術的にも難しくて、外壁に対して養生を密閉させないといけないということだと思うのですけれども、このあたり現場を見ていた方、現場がどのように行っていたか、もし分かったら教えて頂けますか。


東北緑化環境保全株式会社
 東北緑化環境保全株式会社の阿部です。机上資料の1ページの(5)、下から3行目の中程から記載させて頂いていますが、隔離区域は、建屋周囲に足場を組んで、足場と外壁・軒天の間に設定しており、足下の方はコンパネを這わせて、その上にシートを貼って隔離しておりました。


外山 委員
 細かい質問で恐縮ですが、シートと壁との接着はどのような感じでしたか。分からなければ結構ですが。


東北緑化環境保全株式会社
 ちょっと申し訳ないのですが、シートと壁との接着についてはわかりません。


神山 委員長
 外壁材の除去に関しては、現在、飛散防止のマニュアルの方でも扱っているわけですけれども、中々難しい所もあるようですね。養生がどこまでできるかという問題もあるようです。


戸塚 委員
 よろしいでしょうか。


神山 委員長
 戸塚委員お願いします。


戸塚 委員
 先ほどの委員のご質問にもあったのですけれども、測定が下期に集中することは致し方ないかと思います。しかしながら、測定は解体作業時のものですが、震災発生から建物解体までの間の、建物の管理状態、現場調査の状況、それと今回報告された解体時の測定結果、これらを合わせることで、震災により影響を受けた建物からの石綿飛散防止が行われていたか、分かるかと思います。今後は、できれば解体時のみの飛散状況調査だけではなく、飛散防止措置対応というのもどこかで公表して頂けるとありがたいと思います。


神山 委員長
 ちなみにこの今回、17地点を選定したのはどういうプロセスで決まったのでしょうか。自治体からの推薦があったのでしょうか。


厚生労働省 小林専門官
 今回の厚生労働省の17地点の選定については、がれき処理場などは環境省経由で自治体から情報を頂いたと。それから解体現場については福島労働局に届出があった現場や、届出対象外の現場については、個別には確認しておりませんが、公費解体とか、労働局が何らか把握したものを厚生労働省に情報をあげて頂いたということになります。


神山 委員長
 この厚生労働省の17地点は、環境省資料のがれき処理場・集積場と共通なんですね。ただ番号が違っているのですぐにはどれか分かりませんが。それでご質問のがれき処理はどのくらい野積みにされていたのかというのは、これは長いもの短いものがあるかと思うのですけれども、解体の方はレベル3の測定も含めて、今進行中のものも含めて測定していると言うことなのですね。


戸塚 委員
 がれきの処分場の方だけではなくて、解体現場で除去するということは、それまでの過程で飛散が無いという事で、そのままとっておいて良いと判断がなされていたかということとか、そういったことなど、被災地で何らかの被害があったから解体するのではなかろうかと思いますので。


神山 委員長
 被災後5~6年の間、どうなっていたのかということですね。


戸塚 委員
 そうですね。そういった点が記録に残っていると良いかと思います。


神山 委員長
 それはオーナーへのヒアリングか何かをしないと分からないかも知れませんね。


戸塚 委員
 そうですね。


神山 委員長
 その辺について注意して聞いたということはないのでしょうか。


厚生労働省 小林専門官
 今年度の事業に関しては、被災後どのようにしていたか等のヒアリングはしておりませんので、来年度は工夫したいと思います。


神山 委員長
 いかがでしょうか、他に確認しておきたいところはありませんでしょうか。
 もしないようでしたら、今年度、環境省及び厚生労働省が実施したモニタリング結果について、特段、総繊維数濃度が高い所はなかったということで、ご理解頂いたと思います。
 それでは本日の議事予定はここまでということですが、このあと事務局にお返ししてまとめの方をよろしくお願い致します。


事務局(ユーロフィン日本総研)
 議事に関しては以上となりますので、事務局に司会交代させて頂きます。
 本日は貴重な御意見をありがとうございました。本日の議事録については、各委員に御確認いただいた上で環境省・厚生労働省のホームページ等で公開することとさせていただきます。
 次回以降の会議の開催については、モニタリング調査の状況等も勘案して検討したいと思います。
 第16回東日本大震災アスベスト対策合同会議はこれで閉会といたします。ありがとうございました。


神山 委員長
 ありがとうございました。 


(了)

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