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2022年12月22日 患者申出療養評価会議議事録

○日時
令和4年12月22日(木)16:00~
 
○場所
オンライン開催
 
○出席者
【構成員等】  
福井座長 五十嵐座長代理 天野構成員 磯部構成員 井上構成員 
上村構成員 新谷構成員 田島構成員 辻構成員 寺田構成員
手良向構成員 直江構成員 成川構成員 松井構成員 山口構成員
山崎構成員 渡辺構成員
 
【事務局】
医療技術評価推進室長 医療課長補佐 先進・再生医療開発戦略専門官
治験推進室長 研究開発政策課長 研究開発政策課長補佐 他

 
○議題
1 患者申出療養に係る新規技術の科学的評価等について
 (患-1)(別紙1) (参考資料1)(参考資料2)
2 その他



○議事
16:00開会
 
 
○福井座長
 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第36回「患者申出療養評価会議」を開催いたします。
 座長の福井です。どうぞよろしくお願いいたします。
 気ぜわしい、年末のお忙しいところ、御出席ありがとうございます。
 初めに、本年7月をもちまして一色構成員が御退任されました。これに伴いまして、今回より磯部光章先生に新たに構成員に加わっていただくこととなりました。
 磯部先生、よろしくお願いいたします。一言お願いします。
○磯部構成員
 よろしくお願いします。御紹介いただきました榊原記念病院の磯部でございます。
 前任の一色構成員の後任として出席させていただきます。これまでは、技術専門員で何回か会議に出席させていただいておりましたけれども、今後は、構成員として活動してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。専門は循環器内科でございます。
○福井座長
 よろしくお願いいたします。
 本日の先生方の出欠状況ですが、全員出席となっております。
 次に、事務局の異動がございましたので、事務局より紹介をお願いいたします。
○医療課長補佐
 事務局でございます。
 それでは、10月1日付で事務局の異動がございましたので、御紹介させていただきます。
 私、木下翔司課長補佐でございます。よろしくお願いいたします。
○福井座長
 続きまして、資料の確認を事務局からお願いいたします。
○医療課長補佐
 事務局でございます。
 頭撮りについては、ここまでにさせていただければと思います。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 議事次第とあるものが1枚ございまして、続きまして、患-1「患者申出療養の新規届出技術に対する事前評価結果等について」、続いて、縦置きのもの、患-1の(別紙1)がございます。続きまして、参考資料が2つございまして、縦置きのものが(参考資料1)、横置きの「患者申出療養について」が(参考資料2)となってございます。
 以上、5点となってございます。
 資料の確認は以上でございます。資料について不足、誤り等がございましたら、事務局まで御連絡をください。
 今回の患者申出療養評価会議におきましては、ウェブ上で行うこととさせていただいております。先生方におかれましては、本日使用する資料一式を事前に送付させていただいております。申請書類等につきましては、送付させていただいている資料を閲覧していただきます。発言者は、会議資料(公開資料)のページまたはタブレット資料(非公開資料)のページとあらかじめ御発言いただけますと、議事の進行上助かりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○福井座長
 資料等について、よろしいでしょうか。
 それでは、今回、検討対象となります技術等に関しましては、事前に利益相反の確認をしております。その結果について、事務局から報告をお願いします。
○医療課長補佐
 事務局でございます。
 それでは、今回、検討対象となる技術等に関しての利益相反について御報告さしあげます。
 成川構成員より、「患-1」について報告がありました。
 成川構成員におかれましては、対象企業(ノバルティス)から申告対象機関に年50万円超500万円以下の報酬の受領がございました。よって、本会議の運営細則第4条の規定に基づき当該技術に関する検討に加わることはできますが、検討結果の取りまとめ及び事前評価に加わることはできません。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
○福井座長
 ありがとうございます。
 そのほか、出席されている構成員におかれましては、このような事例はないということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○福井座長
 ありがとうございます。
 それでは、議事に入ります。
 本日、2つの議題が用意されておりまして、最初の議題が、「患者申出療養に係る新規技術の科学的評価等」でございます。資料が提出されておりますので、説明をお願いします。
○医療課長補佐
 事務局でございます。
 それでは、資料の説明をさしあげたいと思います。
 資料「患-1」を御覧いただければと思います。1つ目の横置きのものでございます。
 「患者申出療養の新規届出技術に対する事前評価結果等について」でございます。
 申請されている技術名でございますけれども、「BRAF V600変異陽性局所進行・転移性小児固形腫瘍に対するダブラフェニブ・トラメチニブの第II相試験」となってございます。
 適応症等につきましては、生後12か月以上15歳以下のBRAF V600変異陽性進行・転移性固形腫瘍となってございます。
 医薬品につきましては、お示しさせていただいているとおりでございます。
 臨床中核病院としては、北海道大学病院となってございます。
 係る費用につきましては、資料にお示ししたとおりでございます。
 審査の担当構成員でございますけれども、主担当を山口構成員、副担当を松井構成員と手良向構成員に御担当をいただきました。
 総評といたしましては、「条件付き適」との御評価をいただいております。
 続きまして、患者申出療養実施可能とする保険医療機関の要件について御説明させていただければと思います。
 少しめくっていただきまして、別紙1の39ページを御覧いただければと思います。
 保険医療機関の要件として考えられるものを記載していただいております。
 まず、「実施責任医師の考え方」といたしましては、診療科として、腫瘍内科、小児科、脳神経外科。資格は、がん薬物療法専門医もしくは小児血液・がん学会専門医もしくはがん治療認定医。当該診療科の経験年数が10年以上。当医療技術の経験年数は不要。当該医療技術の経験症例数は不要となってございます。
 続きまして、「医療機関の考え方」でございます。診療科としまして、腫瘍内科、小児科、脳神経外科。実施診療科の医師数が、治験、臨床研究を含むがん薬物療法の実施経験を5年以上有する常勤医師が2名以上。他診療科の医師数は、不要。その他の医療従事者の配置は、不要。規模としましては、病床数100床以上、10対1看護以上となってございます。その他の条件としまして、厚生労働大臣が指定するがんゲノム医療中核拠点病院の指定要件を満たし、指定を受けていること。
 重篤な有害事象が発生した場合、24時間、365日適切に対応できる体制が確保されていること。小児患者を実施する医療機関においては、厚生労働大臣が指定する小児がん中央機関または小児がん拠点病院の指定要件を満たし、指定を受けていることとなってございます。
 「その他の考え方」としましては、頻回実績報告は、不要となってございます。
 続きまして、資料少しお戻りいただきまして、別紙1の7ページにお戻りいただければと思います。
 本技術につきまして、事務局から指摘をさせていただき、北大からの回答をいただいているところでございます。拡大治験や先進医療といった他の制度で本技術が実施できない理由について説明してくださいという指摘に対する北大側からの回答となってございます。
 BRAF V600変異陽性の低悪性度神経膠腫、もしくは再発または難治性高悪性度神膠腫を有する小児患者を対象とするこういった併用療法の効果を評価する第II相層試験が、日本を含む国際共同企業治験として実施されておりますが、その期間が終了し、現在は新規患者が参加することができません。また、小児患者の脳腫瘍以外の固形腫瘍に対する治験・拡大治験や先進医療は実施されていない。
 治験計画開始段階で、製販企業に対し、小児固形腫瘍に対する治験または先進医療制度でのダブラフェニブ・トラメチニブの当該医薬品の薬剤提供を申請しましたが、有償無償にかかわらず提供できないという回答をいただいているということです。一方、患者申出療養制度で実施される場合は、人道的な見地より、当該医薬品の無償提供を行うことは可能という回答をいただいております。
 現時点においても、計画中の患者申出療養の対象者が参加可能な治験・拡大治験・先進医療は国内で実施されておらず、製販企業においても実施される予定がないと回答を得ております。
 前述の企業治験で有用な結果が得られれば、小児患者の脳腫瘍に対する適応拡大につながると考えておりますが、当該企業より申請時期については告知できないとの回答があり、また、同治験では脳腫瘍以外の固形腫瘍は対象となっていませんでした。
 一方、FDAでは6歳以上の小児のBRAF V600陽性固形腫瘍に対してダブラフェニブ・トラメチニブ併用療法の臓器横断的な適応拡大が行われている。国内でも、保険適用済みのがん遺伝子パネル検査で、小児の脳腫瘍及びその他の固形腫瘍においてBRAF V600変異が一定の頻度で見つかっており、ほかに標準治療がない小児患者と家族の思いに応える形で、患者申出療養制度での本技術の実施を行いたいと考えておりますという回答をいただいているところでございます。
 併せて、6歳未満に適応を拡大した理由及び脳腫瘍から固形腫瘍に適応を拡大した理由についても、事務局より医療機関に確認してございます。回答は割愛させていただきますけれども、こちらは御確認いただければと思います。
 事務局からは、以上でございます。
○福井座長
 ありがとうございます。
 ただいま説明していただいた新規届出技術の事前評価につき、主担当を山口構成員、副担当を松井構成員と手良向構成員にお願いしております。
 それでは、最初に山口構成員より概要の説明と実施体制等の評価をお願いいたします。
○山口構成員
 概要は、別紙1の1ページ目にあるとおりで、今ちょっと御紹介がありましたように、遺伝子パネル検査が普及して、BRAF V600変異が検出されるようになったということで、小児の腫瘍の中で大変治療の難しい腫瘍ですけれども、そういうものがあって、実際に、今回治療薬でありますダブラフェニブ・トラメチニブが有効であるという結果が、海外の国際試験で出ているということで、国内でも、九州大学が患者申出療養で脳腫瘍に対して、4例ほどやりましたけれども、それも含めて、小児の固形腫瘍にそれを拡大しようという研究であります。
 評価もよろしいでしょうか。
○福井座長
 お願いします。
○山口構成員
 (別紙1)の3ページを見ていただけますか。
 適応症については、妥当であると考えます。
 有効性に関しましては、従来の技術より有効であることが期待されますが、実際に見てみますと、Wilms腫瘍と、もう一つ何か有効例があったというのですけれども、Wilms腫瘍は肺に対する1mmとか2mmの左右の変異が消えたという話でけれども、これはなかなか評価が難しいところで、非常に有効な例が続出しているというエビデンスがあるわけではないということで、ちょっと留意する必要があるかと思います。
 ただ、今までは手がないわけですから、有効であることが期待されるということにいたしました。
 安全性は、特に問題はないと考えました。
 技術的成熟度は、特に難しい技術を伴うわけではなくて、当該分野を専門とし経験を積んだ医師または医師の指導の下であれば行えると思いました。
 社会的妥当性につきましては、倫理的問題等はないと思います。
 普及性ですけれども、罹患率、有病率から勘案して、普及していないということです。
 将来的には、保険収載を行うことが妥当だと思われますが、本試験は第II層試験でありますので、小児のための医師主導治験あるいは別な道筋で進める必要があるかと思います。
 それから、2番目の医療機関の考え方ですけれども、2番目の実施医療機関についての考え方を「不適」にしたのは、単施設でやられることを主張しておられるのですね。研究協力機関はなし、予定もなしということですけれども、13ページに、3年強の症例登録期間内に目標例数週(18例+α)が登録可能であるという根拠を教えてくれということを言ったわけですけれども、過去に3年間、2019年~2022年までがん遺伝子パネルを行って、807例中BRAF V600変異陽性だったのはわずか24名しかないのですね。この24名は、本試験の対象になるとは言っているのですけれども、本当にそれが全て適応されるはずはないので、かなり少ないことが予想されます。3年間で24例ですから、1年間8例しかないわけですから、これを全てリクルートしないと間に合わないということで、必ずしもこれも単施設でやることは可能かどうかということはやはり疑問ではないかということが1つ。
 それから、北大だけでやると、九州の人は患者を連れてくるのは大変ですし、5か月ぐらいいなければ駄目だという話なので、患者さんの利便性の点からも非常に大きな問題があるということで、「不適」にしましたけれども、実際、回答が、それに対して、14~15ページにあります。それを見ますと、いろいろ手続上、あまり時間をかけられないということ、それから、今、実際に希望している患者さんがおられて、実は、待機中に1名亡くなっているという事実もあることもあるから、この「不適」は一応「適」ということにさせていただきたいと思います。やむを得ず「適」ということであります。
 以上です。
○福井座長
 ありがとうございます。
 続きまして、倫理的観点からの評価につきまして、松井構成員より説明をお願いいたします。
○松井構成員
 それでは、今の同じ資料の4ページ目に私からの評価を示していますけれども、最終的な評価としましては、私が担当しているのは、同意に係る手続で、同意文書というところで、それに関しては、最終的には「適」という判断にしています。
 あと、補償内容については、特に最初から指摘する事項はなかったので、「適」という判断をしております。
 それから、いずれも「適」という判断をしておりますけれども、同意に係るものとしては、最初に示されたプロトコールとか、提出書類の中に、そもそも小児のことをやるのに、アセント文書が全くついてないと。これは、事務局の手違いなのか、申請者らの手違いなのかが分かりませんけれども、それがなかったということを最初は、「不適」としておりました。
 それと、単に書類の提出の問題だけではなくて、その中に記載されておりました患児でであっても、きちんとした被験者になりますので、その方の意思の確認は可能な限りきちんとするというのが、今の倫理的な判断の原則になっておりますけれども、それを基本的に無視したようなプロトコールの記載がかなり目立ったということで、それは指摘をして、修正は出して対応されたということですけれども、ただ問題は、1か所の記載ミスとかではなくて、この本人の同意の尊重部分に関して、あるいは同意の撤回の部分に関しましても、あくまでもこれは研究にという形でやっておりますので、本人の研究参加の意思の尊重ということに対する研究者の当然配慮すべき在り方が、全体に欠けているということで、北大の研究班の倫理という部分、あるいは本人意思の尊重というところに対する姿勢に少し疑いを持たざるを得ないというところがありまして、その意味で、こちらの私の評価のところの実施条件欄で、単に書類上、こちらが指摘したことに対して、修正しましたよということで済まされるのではなくて、そもそもこの研究班、申請者らの姿勢が問題になりますので、それをここできちんと修正した内容、こちらが指摘した内容について、向こうから対応しますと言ったことをきちんと履行することを約束してもらわないと、この申請者については、倫理的なことで懸念が残ると。
 それと、もう一点、これは説明文書とかという話ではなくて、研究全体の倫理性の問題のところで私がコメントしたと。後ほど、この画面にあらわされていますけれども、九大が、若干対象が違ったりとかということはありますが、先行して行っている研究と、そもそも共同できないのかということを、もともとのプロトコールというか、この申請で出された書類から分からなかったので、どういう交渉をしたのかとか、どういうことを検討してやっていく感じで、今回これを申請したのかということの経緯を聞きましたけれども、ようやく聞き出して、こういう回答が得られたということで、北大も九大に関して一応検討をしたけれども、延長とか追加症例とかという形で、見通しについて照会をしましたがということで。ただ、向こうでは、追加とか期間の延長が困難ということで回答をもらったから、我々独自で出すのですということを回答されておられました。
 ただ、先ほど山口構成員が指摘されておられましたけれども、数が少ない疾患の中で、しかも、九大と別個に、北大で単独でやるというのを、意義というか、そもそも患者申出は迅速性を求めて、患者さんがやってほしいと言ってきているようなものなので、それに似たようなところで、もしかしたら、そこの先行する研究も、プロトコールの一部変更することで、患者さんへの迅速な対応が可能になったかもしれないことを、非常に時間をかけてしまっているという、その問題はどうかなと思いますので、それを北大に求めるのは、酷なことであることは承知しているのですけれども、北大もこの提案に至るまでに、事務局も含めて、九大と事務局と北大が、どうやったら迅速にできるかということを、もう少し真剣に十分時間をかけて、協議すべきではなかったかと考えています。
 以上です。
○福井座長
 ありがとうございます。
 続きまして、試験実施計画書等の評価につきまして、手良向構成員より説明をお願いいたします。
○手良向構成員
 手良向です。資料の5ページです。
 私のところは、試験実施計画書の内容ですが、まず、10番の有効性及び安全性の評価方法に関しては、13ページに、照会をしたのですが、7番ですが、主要評価項目の評価の時期が、試験が、亡くなるまでとか、追跡不能となるまでなっていましたが、それでは評価が、時期は定まってないのでということを言ったところを、最終的には、24週までのレジストに基づいた奏功率に変更しますということでしたので、一応ここは、「適」にしました。
 それで、戻っていただいて、6ページのところに、基本、全て「適」にしたのですが、コメントとしましては、本来、治験で実施すべきだと思いますけれども、それが実施できないということは一応理解しましたということと、統計学的に一応仮説を定めて、閾値と期待値を定めたような臨床試験デザインなので、なおさら、治験でやったほうがいいと思うのですが、ただ、ここでそういう成績が出れば次につながる可能性があるということなので、そのデザイン自体は重要であると思います。
 一方で、先ほど山口構成員が言われたように、この希少な疾患で、かつ希少なフラクションですから、単施設で行うのは無理があるのではないかという照会も出したのですけれども、それについても、最終的に、先ほど御説明あったように、多施設で行う可能性を示唆されているということで、もし、ここで単施設で開始した場合には、できるだけ早急に、多他施設共同の計画に変更するのが妥当と考えるということにいたしました。
 以上です。
○福井座長
 ありがとうございます。
 それでは総評につきまして、主担当の山口構成員からお願いいたします。
○山口構成員
 総合評価としては、「条件付き適」といたしました。
 実は、最初、私は継続審議と判断しました。と申しますのは、今まで各構成員から述べられたような理由で、指摘すると、変えることは変えるのですけれども、積極的にそうは思ってないような節があるというか、先ほど、松井構成員から、姿勢がちょっとというような御指摘がありましたけれども、単施設でやることが、完全なエビデンスをいかに損なうか。それから、患者さんのフォローアップ上で、安全性を確保できるのかという大きな問題がありますし、そもそもこの研究が、症例が全然集まらなくて終わってしまって、全く意味のないことになってしまうという点で、もう少し前向きに施設研究にしているのだと、施設を増やしていくという姿勢が見えてほしかったということです。
 例えば北海道大学でやっていることについて、それを理由に断った患者さんは今までいないとかそういうことをおっしゃっているのですけれども、それは、ほかに治療法がなくて、わらをもすがる思いで来るわけで、患者の家族にしてみたら、北海道で5か月過ごして、これは単に薬を飲むだけですから、そのためにそこでやるのはちょっと無理があるのではないかと思います。例えば、特別な機器が必要で、そこにしかないもので、そこに行かなければ駄目だということならともかく、技術的なレベルとしてはそんなに高いものだとは到底思えませんので、条件としては、多施設で研究するための道筋をもう少し具体的に示した上で、認めることにしていただきたいと思います。
 以上です。
○福井座長
 ありがとうございます。
 ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、お願いします。
 天野構成員、どうぞ。
○天野構成員
 御説明ありがとうございました。1点質問がございます。
 (別紙1)で、事務局から御説明いただいた7ページになりますが、治験・拡大治験や先進医療といったほかの制度で本技術が実施できない理由について説明してくださいのところについて、御説明では、試験計画開始段階で、製販企業─ノバルティスかと思いますが─に対して、小児固形腫瘍に対する治験または先進医療制度での当該医薬品の薬剤提供を申請しましたが、有償無償にかかわらず提供できないとの回答という記載がございますが、拡大治験等を含めて、当該企業が提供できないという理由がもし分かれば、ちょっと教えていただきたいと思いました。
 以上です。
○医療課長補佐
 天野構成員、御質問ありがとうございます。事務局でございます。
 北大からの回答のとおり、治験・拡大治験や先進医療については、企業からは提供できない。ただ、患者申出療養制度で実施される場合は、人道的な見地より、当該医薬品の無償提供を行うことは可能であるというところは、企業から北大への回答であったと聞いているところでございます。
○福井座長
 いかがでしょうか。
○天野構成員
 なぜ拡大試験で提供できないのか、ちょっと不思議に感じたので、何か背景が。当然、企業としていろいろな意向があるとは思いますが、背景を知りたいと思っているのですが、それ以上の回答はないということですね。
○医療課長補佐
 そのとおりでございます。
○天野構成員
 かしこまりました。ありがとうございました。
○福井座長
 渡辺構成員、どうぞ。
○渡辺構成員
 渡辺でございます。
 1つは、天野構成員の御質問と同じことで、7ページの文章を読んでも、何となく納得がいかなかったというのが1つです。
 もう一つは、私は患者申出療養制度を十分把握してないのかもしれないのですけれども、患者さんがほかに治療の選択がなく、ある程度のエビデンスがある治療に対して、医療保険適応ではないけれども、患者さんが申出を行って、医療機関が申請を行うという体制と理解しています。医療機関が患者さんに話をして、これから研究対象を集めるというのは、臨床研究か先進医療Bか、そういう認識だったのです。この流れを見てみますと、今から18例集めるのでしょうか。さっきも御説明がありましたように、北大だけで研究を行っている。18例今から集まるのかというと、そうでもないような書きぶりであることを考えた場合に、患者申出療養制度はこのような形で使うものかというのは、ちょっと疑問を感じるのです。この点に関して、事務局はこういう研究案も含むのか。つまり、どういうことかというと、さっきもお話があったと思うのですけれども、研究者もしくは医療者から、これはいい方法があるのだよと言われて、患者さんはそれしかないからと思って参加する。これは本来の患者申出療養とは若干違うのではないかなという気もちょっとしましたので、この今から18例を集めるということに対する、患者申出療養制度の妥当性といいますか、適応は、事務局はどのようにお考えかというのを、お考えを教えていただければと思います。
○医療課長補佐
 渡辺構成員、御質問ありがとうございます。事務局でございます。
 患者申出療養は、先生御指摘のとおり、患者さんからの申出を発端としてというところがあるところでございますけれども、一方、全体としては、当該医薬品・医療機器技術等の保険収載を目指すという目的も踏まえたものとなってございます。
 そういった観点から、一定のエビデンスを患者申出療養制度の中で集積していくのも必要なところかと思っておりまして、今回のような提案というところもあり得るところなのかなと、事務局として考えているところでございます。
○渡辺構成員
 先進医療Bとどう違うのですか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。渡辺先生、貴重な御意見ありがとうございます。
 先進医療Bは、渡辺先生もよく御存知だとは思うのですけれども、研究計画を立てて、CRBなどを通し行う臨床研究であると理解しております。
 この患者申出療養につきましては、これまで、事務局から御説明しましたとおり、患者の申出によって、それがトリガーとなってこういうふうに適用外の未承認薬にたどり着けるというスキームでございます。
 この18例という症例数については、例えば、1例のみの患者申出療養とか、2例とか、そういう設定することももちろんありますし、今回のように10例以上の場合も、これは、特段、定めはないのが現状でございます。医療機関の事務的な、今回の申請に係る労力や負担、そして、一応保険収載を目指すための研究という立てつけであるこの患者申出療養制度の中で、どういう設定が一番妥当なのか、そして、先進医療とのすみ分けはどうなのかと言われると、そこに関しましては、大変難しい論点があるかと思っております。ただ、今回に関しましては、医療機関との相談の中で根拠を見つけていただきまして、この18例にたどり着いたと、事務局では理解しております。
 以上でございます。
○福井座長
 何回も原点に立ち返った議論が行われてきたテーマでございまして、科学的現実性をもって保険収載につなげる、そういう手続と、一方では、どうしても人道的といいますか、安全性が確保されて、安全性は大丈夫だけれども、有効性については、エビデンスがあまり確立されていないところでの、何か科学的現実性と人道性のところの何となくバランスで判断してきているというのが現実だと思います。なかなかすっきりしないところがあるのも事実で、悩むところではあります。
 私、座長の感想です。
 松井構成員、どうぞお願いします。
○松井構成員
 天野構成員から指摘されたこととコメントにかかわるのですけれども、私も、これを厚労省の事務局にはコメントとして、製薬企業に対してという意味かと、両方の意味で送ったのですけれども、今回、ノバルティスからは、治験・拡大治験、先進医療の枠組みからでは、有償無償にかかわらず提供できないけれども、人道的見地という、一見すると、何か世間体としては義理の立つような、患者申出療養だったら提供しますよということを言っているのは、やはりちょっとおかしいのではないかということを申し上げました。
 そもそも、これは申請者が最初に提出されたプロトコールで、間違えて書かれていたのですけれども、医師主導治験でというような形でこれを申請しているという形の記述が残っていたところがあって、それを私はよい意味で理解して、この申請者は、医師主導治験という形であっても、早く承認にもっていく必要があるのでやろうという気があるのかなと理解をしましたけれども、それであれば、ノバルティスに企業治験をやれと言っているわけではなくて、申請者から医師主導治験でやるのだ。だから、そのために薬剤提供してほしいという、それぐらいになぜ応えられないのかという、そこが大きな疑問だというのが正直なところです。
 患者申出療養だと人道的見地とかという言葉が真っ先に出てきて、患者さんの思いに応えるという、何か耳当たりのいい言葉でできるので、製薬企業にとってはイメージアップにつながるから、この提供をする。しかも、少量で提供は済むのだから、これは製薬企業にとっては、広告というか、イメージアップの戦略に使えるけれども、治験に出す場合だと、非常にコストもかかるから嫌だというような、何かそういう理由が見え隠れするところがすごく嫌らしいなと思いました。少なくとも、医師主導治験という形でもしやろうということがあるのだったら、それは無償で提供するというのが、製販企業としての在るべき姿ではないかなと思っております。
 ですので、ここは事務局も積極的に、企業にそういう形での、企業治験ではなくて、医師主導でやると言うのだから、それに対しては協力していくというようなことを求めていく必要があるのではないかということで、事務局にお願いをしたというか、コメントをしたというところです。
 以上です。
○福井座長
 ありがとうございます。
 直江構成員、どうぞお願いします。
○直江構成員
 私の質問は、(別紙1)の8ページの下のほうに書いてありますけれども、この分子標的薬の組み合わせは、固形がんだけではなくて、実は、血液がんでありますランゲルハンス細胞組織球症にも非常によく効くと。このペーパーを見ますと、86%の奏功という報告が出ております。小児がんの領域では、このランゲルハンス細胞組織球症はそんなにまれではない、比較的小児ではある血液がんでございますし、化学療法耐性例も結構出ていると私は聞いておるのですが、今回、固形がんということに絞られているのですが、この辺は、事務局としては北大から何か聞いてみえますでしょうか。小児科が申請だとすれば、血液の関係の方はかなり多いのではないかという気もしたのですが、その辺いかがなのでしょうか。
○医療課長補佐
 事務局でございます。直江構成員、御質問ありがとうございます。
 大変申し訳ありませんけれども、この件について、北大側に事務局からの確認あるいは回答というところはいただいていないところでございました。申し訳ありません。
○直江構成員
 今回の申請と関係がないし、これを条件にするわけではございませんけれども、一度聞いていただけませんでしょうか。
○医療課長補佐
 ありがとうございます。承知いたしました。
○福井座長
 ありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。
 辻構成員、どうぞお願いします。
○辻構成員
 ありがとうございます。
 まず、有償無償の問題については、基本的には企業の判断であって、当然、事務局や病院等からもお願いすることはよいとは思うのですけれど、基本的には任せるべきなのではないかという気がしております。その応え方が、企業の体質といいますか、姿勢というものがうかがえるわけなので、当然、今後のところに考えが及ぶところではありますけれど、有償無償については、基本的には、お願いをするにしても、強要するようなことがあってはいけないのではないかと思います。すみません。ちょっと個人的な意見です。
 それと、参考資料の89ページになるのですけれど、今回、札幌市内に宿泊という文字が新しく追加で出てきているのですけれども、少し珍しい記載かなと思っております。北海道のことを考えると分からないわけではないのですけれど、札幌は大都市ですし、それなりのお値段もかかります。入院と同様に、原則とすることについて、何かちょっと違和感といいますか、ちょっと不思議な感じを受けております。札幌市内に宿泊を原則とする理由があればいいのですが、入院を原則とするで足りるのではないかという気もいたしますので、理由があるかも分かりませんので、事務局から確認をしていただければと思っております。
 以上です。
○医療課長補佐
 確認させていただきます。ありがとうございます。
○福井座長
 ありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。
 天野構成員、どうぞ。
○天野構成員
 すみません、追加で。先ほど私からの質問に関連してコメントしますと、先ほど他の構成員からもあったように、患者申出療養制度で実施されるのは人道的な見地よりというコメントが企業からありますが、皆さん御承知のとおり、そもそも拡大治験自体が人道的見地から実施される治験と呼称されているものですので、真に人道的見地を考えれば、やはり拡大治験等に企業は乗り出すのがあるべき姿勢だと、私も考えます。
 改めまして、以上です。
○福井座長
 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
 私から一点確認ですけれども、松井構成員が触れられたインフォームド・アセントが最初のときには全くなかったという点ですけれども、これは北大病院の倫理委員会で通った後でさえも、インフォームド・アセントが準備されていなかったということなのでしょうか。
○松井構成員
 私の手元に届いた書類一色の中にはアセント文書が漏れていたということで、そこは構わないのですけれども、ただ、私もこれは事務局に指摘をして、コメントしておりますけれども、今回出てきた北大の倫理審査を通ったプロトコールの中の10.幾らのところの同意に関する記載がありますけれども、その中の同意の取得と同意の撤回に関して、本人意思の尊重というところの配慮が全く欠けているプロトコールがそのまま通っているというのが、そもそも北大の倫理審査をしたところの委員も含めて、きちんとした研究倫理として最低限見るべき被験者の権利とか保護の問題というところを見落としたまま上がってきているということで、北大の倫理審査委員会の質の問題を私は取りました。ちょっと不適なのではないかと思っております。
 以上です。
○福井座長
 ありがとうございます。
 事務局からどうぞ。
○医療課長補佐
 事務局でございます。
 アセント文書は、当初、松井先生初め事前評価の構成員にお願いしたときの文書から抜けておりましたけれども、倫理委員会自体は、アセント文書込みで審査されていたというところを承知しているところでございます。
 失礼いたしました。
○福井座長
 ありがとうございます。
 ほかに御意見・御質問ございませんでしょうか。
 もし、ないようでしたら、検討結果の取りまとめを行いたいと存じます。
 大変申し訳ありませんが、成川構成員は一時御退席いただくことになりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
(成川構成員 退席)
○福井座長
 それでは、山口構成員が最後に「条件付き適」とされましたが、その方向でよろしいでしょうか。できるだけ多施設共同の研究に変更する方向でというところは、ぜひ強調した上での「適」ということにしたいと思いますが、よろしいですか。
○山口構成員
 すみません、よろしいですか。
○福井座長
 どうぞ。
○山口構成員
 それについては、1つの提案ですけれども、例えば6か月とか1年見て、症例が本当に集まるのかどうか、その現実を見て、安全性は問題なかったのかということを一応報告していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
(首肯する委員あり)
○福井座長
 よろしいですか。
 事務局としても、もしよろしければ、例えば半年に1回、そして、多施設共同の計画に変更する手続がどうなっているのかということについて、私としては、2つの点について報告をもらえればいいのではないかと思います。
○医療課長補佐
 事務局でございます。
 会議からの御意見というところでございますので、その方向で進めさせていただければと思います。期間についてはお示しいただけますと、幸いです。
○福井座長
 山口構成員、今、半年とおっしゃったので、半年でとりあえずはお願いするということでいかがでしょうか。
(首肯する委員あり)
○福井座長
 それでは、そのように決定したいと思います。ありがとうございます。
 それでは、成川構成員に入室していただくようにお願いします。
(成川構成員 着席)
○福井座長
 ありがとうございます。
 それでは、議題の2、「その他」となっておりますが、構成員の先生方、または事務局から何かございますでしょうか。
○医療課長補佐
 事務局でございます。
 事務局からは特にございません。
○福井座長
 構成員の先生方から何かございますでしょうか。
 天野構成員、どうぞ。
○天野構成員
 恐れ入ります。前回の患者申出療養評価会議で、小児の疾患に対して患者申出療養制度が使いづらいという指摘が、実際、現場の先生方からあるので、事務局で何らかの方策を検討いただけないかという御提案を申し上げたところですが、それについて、その後、事務局で、検討の状況とか何かあれば、できれば教えていただきたいと思います。
○医療課長補佐
 天野構成員、ありがとうございます。事務局でございます。
 現場の先生のお声を聞く機会を設けさせていただきまして、具体的な課題のところまでヒアリングをさせていただいているところでございます。現場の皆さん、特にアカデミアの先生方を含めて、しっかりお声を聞きながら、施策を進めてまいりたいと考えているところでございます。ありがとうございます。
○天野構成員
 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。
○福井座長
 ありがとうございます。
 そのほかはいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、次回の開催につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○医療課長補佐
 事務局でございます。
 次回は、日程調整の上、後日連絡させていただきます。
○福井座長
 それでは、第36回「患者申出療養評価会議」をこれで終了といたします。
 本日は、御多忙のところ、本当にありがとうございました。
 以上でございます。

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