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2022年7月21日 患者申出療養評価会議議事録

○日時
令和4年7月21日(木)13:00~
 
○場所
オンライン開催
 
○出席者

【構成員等】  
福井座長 五十嵐座長代理 天野構成員 井上構成員 
大門構成員 田島構成員 辻構成員 寺田構成員 手良向構成員
直江構成員 成川構成員 松井構成員 山口構成員 山崎構成員
 
【事務局】
審議官 医療課長 医療技術評価推進室長 先進・再生医療開発戦略専門官
医療機器審査管理課長 研究開発政策課長 研究開発政策課長補佐 他

 
○議題
1 患者申出療養の総括報告書に関する評価について
(患-1)(参考資料)
2 患者申出療養の中間報告について
(患-2)(別紙1)(別紙2)(患―3)
3 患者申出療養の定期報告等について
(患-4)(別紙3)
4 その他


○議事
13:00開会

○福井座長
 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第33回「患者申出療養評価会議」を開催いたします。
 構成員の先生方の出欠状況ですが、本日は一色構成員、宮川構成員、上村構成員より御欠席との連絡をいただいております。新谷先生は参加が遅れているようです。
 本日、上村構成員からは委任状の提出がございまして、議事決定につきましては、座長に一任するとされております。
 次に、事務局の異動がございました。事務局より紹介をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 6月28日付、及び7月1日付で事務局の異動がございましたので、御紹介させていただきます。
 森光敬子審議官でございます。
 眞鍋馨医療課長でございます。
 荒木裕人研究開発政策課長でございます。
 安川孝志薬剤管理官でございます。
 中山智紀医療機器審査管理課長でございます。
 松倉裕二医薬品審査管理課長補佐でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○福井座長
 ありがとうございます。
 続きまして、資料の確認を事務局からお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 頭撮りについては、ここまでにさせていただきます。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 議事次第、構成員名簿に続きまして、患-1「患者申出療養の総括報告書に関する評価表」という資料がございます。こちらには参考資料をつけさせていただいております。
 続きまして、「患者申出療養の中間報告について」として、患-2、別紙1、別紙2、そして患-3の資料がございます。
 続きまして、「患者申出療養の定期報告等について」として、患-4、別紙3の資料がございます。
 資料の確認は以上でございますが、資料について不足、誤り等がございましたら、事務局まで御連絡をいただけますと幸いでございます。
 また、今回の患者申出療養評価会議におきましては、ウェブ上で行うこととさせていただいております。先生方におかれましては、本日使用する資料一式を事前に送付させていただいております。申請書類等につきましては、送付させていただいた資料を閲覧していただきますので、御発言される先生におかれましては、会議資料のページまたは送付のみの資料のページとあらかじめ御発言いただけますと、議事の進行上助かりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○福井座長
 資料等について、よろしいでしょうか。構成員の先生方から何か御意見はございませんでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、もう一点、今回、検討対象となります技術等に関しましては、事前に利益相反の確認をしております。その結果について、事務局から報告をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、今回、検討対象となる技術等に関しての利益相反について御報告いたします。
 松井構成員より、「患-4」について報告がありました。
 松井構成員におかれましては、自らが所属する保険医療機関からの届出に係る医療技術であることから、患者申出療養評価会議運営細則第4条の規定に基づきまして、当該技術に関する検討結果の取りまとめ及び事前評価には加わらないことになります。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
○福井座長
 ありがとうございます。
 そのほか出席されている構成員の先生方におかれましては、このような事例はないということで進めさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○福井座長
 ありがとうございます。
 それでは、議事に入ります。
 本日、議事は、その他を含めまして4つの議題が挙げられております。
 最初の議題でございます。「患者申出療養の総括報告書に関する評価について」でございます。資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、資料「患-1」を御覧ください。
 「患者申出療養 総括報告書に関する評価表」でございます。
 今回、患者申出療養告示番号旧8番、エヌトレクチニブ経口投与療法について、総括報告書が提出されましたので、その評価を、主担当を五十嵐構成員、副担当を大門構成員、井上構成員にお願いしております。
 それでは、事務局より、技術の概要につきまして御説明をさせていただきます。
 「患-1」、9ページ目を御覧いただけますでしょうか。
 本技術の対象と目的でございますが、ROS1融合遺伝子陽性脳腫瘍を有することが組織学的/細胞学的に確認され、かつ実施すべき標準治療が存在しない小児患者に対して、エヌトレクチニブの有効性と安全性を評価するものとなってございます。
 こちらはエヌトレクチニブ300mg/m2、1日1回連日経口投与を行い、1コース28日として、決められたコースごとに有効性及び安全性評価を行うというものでございます。
 主要評価項目としては、エヌトレクチニブ投与4コースまでの最良総合効果を評価することとなってございました。
 事務局からの説明は以上でございます。
○福井座長
 ありがとうございます。
 それでは、本技術の評価結果について、五十嵐先生からまず御説明をお願いいたします。
○五十嵐座長代理
 ありがとうございます。
 3ページを御覧いただきたいと思います。
 予後不良のROS1融合遺伝子陽性脳腫瘍の小児の患者さんに対しまして、エヌトレクチニブの治療を行いまして、Stable diseaseの状態を得ることができました。このことは、本治療法の有効性を示唆するものだと思いますけれども、残念ながら1例のみの報告でありますので、本治療法の有効性を評価することは、これからだけでは難しいのではないかと思います。そこで、有効性につきましては「E.その他」とさせていただきました。
 それから、安全性につきましては、便秘以外の重篤な有害事象は認めませんでした。安全性に関して大きな問題は無いと考えますが、やはり1例のみの報告ですので、安全性の評価をすることは難しいと考え、「D.その他」とさせていただきました。
 技術的成熟度に関しましては、「A.当該分野を専門とし、経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できる」治療法と判断いたしました。
 4ページを御覧ください。総合的なコメント欄に記載しましたとおり、予後不良のROS1融合遺伝子陽性脳腫瘍の小児患者の1名に本治療を実施し、重篤な有害事象を認めることなく、Stable diseaseの状態を得ることができたということは、本治療法の有効性と安全性を示唆するものだと考えます。しかしながら、1例のみの報告ですので、有効性や安全性を評価することは難しいとコメントさせていただきました。
 薬事承認申請の効率化に資するかどうかにつきましては、今後、複数の症例での検討で同じように有効性と安全性を示唆する結果が得られた場合には、薬事承認申請の効率化に資する可能性があると判断させていただきました。
 以上です。
○福井座長
 ありがとうございます。
 続きまして、大門先生から御説明をお願いいたします。
○大門構成員
 副担当の大門でございます。
 五十嵐構成員の御説明にもありましたとおり、私もやはり1例の報告ということで、有効性、安全性、技術的成熟度に関する評価は困難だと考えております。
 そのことを踏まえながら、この患者さんから得られたデータそのものに目を向けさせていただきまして、評価させていただきました。
 有効性に関しましては、Stable diseaseということですので、A~Dのいずれにも該当しないということも踏まえまして、Eと評価させていただきました。
 また、安全性に関しましても、先ほどの御説明にもありましたとおり、重篤な有害事象や予期されない有害事象が認められず、Grade2の予期される有害事象が認められたということですので、このように評価させていただいております。
 また、技術的成熟度に関しましても、腫瘍内科の専門の先生であれば適切な治療が行われるのではないかと思い、Dと評価させていただきましたが、この辺りは専門の先生方の御意見をお伺いできればと思います。
 以上でございます。
○福井座長
 ありがとうございます。
 続きまして、井上先生から御説明をお願いいたします。
○井上構成員
 井上でございます。
 有効性、安全性、技術的成熟度について、それぞれコメントさせていただきました。ページ番号として6番になります。
 これまでの先生方の御指摘に基本的に同調するところでありまして、本件のみで有効性を評価することは難しいということで、これは申請者側も記しているとおりではあるのですけれども、A、B、C、DのEとさせていただきました。
 安全性ということにつきましても、事象は起きているということであるのですけれども、顕著な問題とはいえないのではなかろうかということで、Bという形とさせていただきました。
 最後、技術的成熟度ということでは、生命倫理の委員の専門性の域を超える部分があるので、私のほうではこの評価をすることは困難であるということで、専門的な見地からの評価に委ねたいとさせていただきました。
 なお、この安全性などにつきまして、私のほうでは、先方に追加の質問として、7ページにありますように、モニタリング監査でどのような指摘があったのか、あったのかなかったのか、あるいはもしそういったことがあったとすれば共有していただきたいということについての質問をさせていただき、私の判断の根拠にさせていただきましたので、7ページも併せて見ていただければと思います。
 私からは以上です。
○福井座長
 ありがとうございます。
 ただいま3名の構成員の先生方からの評価の説明がございました。
 何か御質問、コメントがございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 標準的な治療がない状況下でこの治療法を考えているということで、よろしいですか。特にコメントがございませんようでしたら、ただいま構成員の先生方が評価された結果をそのままということで承認したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○福井座長
 ありがとうございます。
 構成員の先生方、評価をありがとうございました。
 それでは、議題の2番目「患者申出療養の中間報告について」でございます。資料が提出されております。2件ございますので、まず1件目の「患-2」の説明を、まず事務局からお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 資料「患-2」につきまして、御説明をさせていただきます。
 「患者申出療養『パクリタキセル腹腔内投与及び静脈内投与並びにS-1内服併用療法』に係る中間報告について」としている1枚紙を御覧ください。
 まず、1マル目でございますが、本技術につきましては、先行して先進医療Bとして実施されたランダム化比較試験におきまして標準治療に対する優越性が示されなかったことを受けまして、本患者申出療養につきましても中間報告を求めるべきという指摘がございました。こちらを受けまして、第16回患者申出療養評価会議におきまして東京大学医学部附属病院より中間報告書が提出されております。
 また、2マル目でございますが、第23回患者申出療養評価会議におきまして、再度現時点での中間報告を求めるべきという指摘があり、第25回患者申出療養評価会議において中間報告書が提出されました。その際に、「多くの患者さんに適切なエビデンスを提供するという観点から、この試験自体の現時点の結果について早期に示すことを検討するべきではないか」「試験治療継続中の8例においては、腫瘍増悪を認めていないとのことだが、どのような症例か示してほしい」という指摘がございました。
 3マル目でございますが、この指摘を踏まえ、医療機関に指摘事項について照会を行い、第27回患者申出療養評価会議において回答書が提出されました。
 4マル目でございますが、前回、第32回患者申出療養評価会議におきまして、中間報告書が提出されました。その際に、以下のような御指摘がございました。
 今回、医療機関から、これらの指摘事項に対する回答が得られましたので、御報告させていただきます。
 続きまして、資料、別紙1につきまして説明いたします。
 まず、問1、6月23日時点で何名が治療中かという点に関しましては、3名が治療中とのことでございます。
 問2でございますが、生存率を示すグラフのセンサー(打ち切り)についてでございますが、こちらは試験参加施設から転院となっており、その後の転帰が把握できていないと回答いただいております。
 問3でございますが、今後、本患者申出療養とは別に、標準治療と比較して当該治療法の有効性を示すような臨床研究を行う予定があるかどうかという点につきましては、企業の協力が得られないこともあり、実施は困難な状況ですとのことでございます。
 問4につきましては、中間報告書最終ページの結論の項におきまして、「本研究において安全性と有効性が確認されたことの意義は大きいと考える」と記載されておりましたが、有効性が「示唆された」のではなく、「確認された」と結論づけられた根拠は何かと指摘しております。こちらに関しましては、回答として、絶対的な有効性が確認されたという意味ではなく、先行研究と同等の有効性が確認されたという意味で記載いたしました。「本研究において安全性と有効性が確認された」という記載を「本研究において先行研究と同等の安全性と有効性が示された」と修正いたしますとのことでございます。
 最後に、問5において、中間報告書の改版を行う予定があるかという点につきましてお尋ねしたところ、問4の回答のとおりに改版するとのことでございます。
 続きまして、別紙2を御覧ください。こちらは第32回患者申出療養評価会議においても審議いただいた中間報告書でございますが、11ページ目の結論の文章が先ほどの指摘事項を受けて修正されております。
 資料につきましては以上になります。
○福井座長
 ありがとうございます。
 何度もこの会議で議題になっている研究でございます。いかがでしょうか。ただいまの説明につきまして、よろしければ順番に伺いたいと思いますが、別紙1の問1につきましては、現在、治療継続中のケースは3例ということです。この点につきまして、何か御意見、御質問はございますか。よろしいでしょうか。
 その前の会議では8例が継続中だったということですが、現在は3例ということでございます。
 それから、問2のセンサーが4例入っていることにつきましては、ほかの施設に転院した患者さんが4名おりまして、その後の転帰が把握できていないということでございます。この点につきましてはよろしいでしょうか。
 それでは、問3につきまして、今後、標準治療と比較して有効性を示すような臨床研究を行う予定につきましては、企業の協力が得られないということで、実施は困難であるという回答でございます。
 天野構成員、どうぞ。
○天野構成員
 御説明ありがとうございました。
 今、御説明いただいた箇所について、質問です。
 以前も指摘申し上げたと思うのですが、本技術について、東京大学は自由診療を同時に行っていると理解しています。もちろん自由診療だから直ちに駄目だということはないわけですが、ただ、自由診療を行うにしても、将来、臨床試験を行って、有効性、安全性などを確認する予定があるとか、あるいは薬事承認に向けた何らかの取組が行われているとか、そういうことであれば一時的な状態として自由診療も許容される場合もあるかと思うのですが、今の御説明だと臨床試験を行う予定も全くめどが立っていないという状況で、自由診療はこのまま続けるということになると、有効性が必ずしも明らかでない状態で患者さんに対して自由診療が提供される状態になりかねないと思うのですが、その辺りについて東京大学から何か説明などはあるのでしょうかという質問です。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 今のところ東京大学から天野先生の御指摘に関するような回答はいただいておりません。
○福井座長
 ありがとうございます。
 次の問いとも関係しますけれども、優越性や有効性が示されていない。しかも有効性、優越性を示すような研究も計画されていない状況で、ずっと自由診療の形で続けていいのかどうなのかということになりますが、この点につきまして、先生方、いかがでしょうか。
 山口先生、どうぞ。
○山口構成員
 企業のサポートが得られないので、もう研究はできないという回答がなかなか受け入れ難いと思います。そうだとしたら、企業のサポートなしに何もできないということになってしまうので、回答としては不適切かなと思います。
 恐らく従来の治療法に比べて同等かもしれませんけれども、今回の結果を見てもすごく有望という結果ではないように理解されます。実際に長生きしているのは、細胞診だけが陽性のもので、これはもともと治療をしたら10%ぐらいは生存しますので、これが何例かあったからといって有効性を証明するものではないと思うのです。
 このような状態でだらだら続けて、ちょっとお金のある人が自由診療で希望を持ってやるということは、先生が心配されているように大変望ましくなくて、やはり専門学会である日本胃癌学会とかがこの結果をどう解釈して、この研究をどのようにサポートしていくかということを検討していかなくてはいけないと思いますので、できましたら日本胃癌学会とかの関連学会に今後の見解を問い合わせるとか、企業のサポートなしでやれる方法はないのかということを研究者に問い合わせいただければと思います。このまま自由診療で拡大していくのは大変不適切だと思います。
 以上です。
○福井座長
 ありがとうございます。
 ほかに、この点につきまして御意見はございますでしょうか。
 少なくとも現状をずっと続けていいというわけにはいかないのではないかと思いますので、山口先生の御意見も含めまして、少し事務局とも相談させていただければと思うのですけれども、よろしいでしょうか。
 これをやめるようにと持っていくのかも、もう少し評価を科学的にきちんとした上で、続けるかどうかを決めてもらうためにはどうしたらいいかということを相談したいと思いますが、よろしいでしょうか。
 事務局、どうぞ。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 ありがとうございます。
 山口先生から御指摘いただきました点、関連学会にお尋ねするという点も非常に大切な点かと思います。
 その点を東京大学に我々事務局のほうで一度伺ってみたいと思いますので、そのような点で進めてまいりたいと思います。
○福井座長
 ただいまの点とも関わりますけれども、問4です。結局、有効性が「示唆された」のではなくて、「確認された」と結論されたことについて、今度は「本研究において先行研究と同等の安全性と有効性が示された」という文章になっておりまして、先進医療Bを行ったときの総括報告書では、優越性は示されなかったという言葉を使っているのです。それにもかかわらず、今回は前回の研究と同じで、同等の安全性と有効性が示されたという文章になってしまっていて、優越性が示されなかったということが分からなくなってしまっていて、私は、適切な回答ではないのではないか、適切な修正ではないのではないかと考えております。すみません、座長の意見を最初に申し上げて申し訳ないのですけれども、この点につきましてはいかがでしょうか。
 最初から、こう申し上げては何ですけれども、ニュートラルではなくて、結果を有効だという方向に誘導しようという意図がいろいろなところに見えてきているように思うのですけれども、いかがでしょうか。
 どうぞよろしくお願いします。
○直江構成員
 今、座長が御指摘の点と、プラスもう一つ、11ページ目の上のカラム、下から6行目です。読み上げますと、「しかし、本研究には高齢者、PS不良例や既治療例等が含まれていたにもかかわらず先行研究と遜色ない結果が得られたことは、本療法の有効性を改めて示唆するものと考える」と、ここにも同じような文章が出てまいります。
 先行する研究と遜色のないというよりは、この文章を読みますと、予後不良例が含まれているにもかかわらず同等だということは、本療法は、今回は前回よりも少し成績がよくなったのではないかということを暗ににおわせているのですが、この資料だけこれが統計的にどうなのか。もちろん違う試験ですし、対象群が違うので、ここを考察の結論に近いところで書くのはどうなのか。つまり、何例含まれていて、このくらい含まれているにもかかわらずこういう成績というのは、統計的に有意差があったのか、ないのか、多分そういうことではなくて、単にそこを強調して記述しているだけだと思われますので、今、委員長が指摘のところと、私は「しかし」以下の文章についても不適切ではないかと言わせていただきます。
 以上です。
○福井座長
 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
 辻先生、どうぞ。
○辻構成員
 ありがとうございます。
単純な患者の意見になってしまうかもしれないのですけれども、結果として同等のものが先進医療にもあって、自由診療もやっていくということに、簡単に言うと患者さんには映ってしまうのですけれど、同じものが先進医療にもあって、自由診療にもあるということ自体について、学会の方とか、そこら辺の御意見、患者としてはお金があるからこっちをやってみようとか、あるいは先進医療になって保険に入っているからこっちをやってみようとか、患者としては、何でここで迷わなければいけないのかなというような感じを受けています。
 どちらも先進医療であれば構わないのですけれども、同等の効果が出る、あるいは安全性のある技術が2つあるというのは、私も不勉強で申し訳ないのですけれど、そんなにあるのでしょうか。そういう意味では、自由診療がどんどん広がるということは、患者としてはあまり好ましくないと思っているので、感想的で申し訳ないのですけれども、同じであるならば先進医療に取り入れていただくとかしていただくほうがいいのかなというのが思いであります。
 以上です。
○福井座長
 ありがとうございます。
 先進医療ではもう終わっているのですね。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。補足をさせていただきます。
 先進医療に関しましては、もう既に終わっているものでございまして、現在は患者申出療養と東京大学が行っている自由診療というものでございます。
○辻構成員
 従来、先進医療でまた別の同等のものがあるのではなかったのでしたか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 ありがとうございます。
 先進医療Bをやっていた時代があるのですけれども、それをやっていたときには、先進医療Bに含むことができる患者様は、基本的に先進医療Bで行っておりました。
 ただ、そのときに途中で先進医療Bの結果が総括報告書として上がってきて、先ほど福井先生がおっしゃいましたように優越性が示されなかったということが出ましたので、このような経緯に至っているということでございます。
○辻構成員
 分かりました。ちょっと誤解をしていて申し訳ございませんでした。
○福井座長
 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
 それでは、何回もこの事案を引きずって恐縮ですけれども、先ほど直江先生が指摘された点と、この報告書の最後の修正した文章につきまして、もう一度研究グループと相談をいたしまして、もう少し科学的にニュートラルな記述にならないかということも含めまして、また、今後、自由診療を続けることについての是非につきまして、学会なども含めまして事務局と相談して、またこの会議に報告することにしたいと思いますが、そういうことでよろしいでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○福井座長
 それでは、そのようにさせていただきたいと思います。
 それでは、議題2の2件目「患-3」につきまして、お願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 資料「患-3」につきまして、御説明をさせていただきます。
 「患者申出療養『マルチプレックス遺伝子パネル検査による 遺伝子プロファイリングに基づく分子標的治療』に係る中間報告について」とする資料を御覧ください。
 前回、第32回患者申出療養評価会議におきまして、アフィニトール錠及びテセントリク点滴静注の医薬品について中間報告が行われました。また、各医薬品数の登録患者数及びジカディア錠の新規患者登録中止の報告も行われました。
 その際に、アフィニトール錠、テセントリク点滴静注の継続が許容される理由が、研究実施計画書における、無効中止の基準と異なるのではないないか。
 2ポツ目、ジカディアのコホートを中止後、ジカディアを用いた臨床研究、治験などを行う予定があるかどうか。
 3ポツ目、ジカディアのコホートを中止後、既に登録された2名の患者の治療は今後どうするのか。
 4ポツ目、ジカディアのコホートを中止後、ジカディアが適応となる可能性がある患者には今後どのように対応するのか。
 最後のポツですが、メキニスト/タフィンラー及びオプジーボは登録が終了しているが、今後これらの登録が終了した医薬品については、治験等を予定されているかどうか。また、各医薬品のコホート終了後、割りつけられる可能性があった患者に対してはどのように対処するかという指摘がございました。
 今回、医療機関から回答を得ましたので、報告させていただきます。
 回答に関しましては、送付のみの資料を御覧いただければと存じます。
 事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○福井座長
 ありがとうございます。
 ただいまの説明につきまして、何か御意見、御質問等はございますでしょうか。
 手良向先生、どうぞ。
○手良向構成員
 問1は前回私が照会したのですが、回答は35ページにあります。無効と判断される5%未満の奏効割合というところが誤りでありまして、無効と判断される閾値は20%です。プロトコルでは、20%を超える確率が5%未満のときに無効中止を検討するという規準になっています。まず、そこがそもそも誤りということ。
 もう一つは、無効中止の規準を満たしたので、研究代表者及び効果安全性評価委員会において、継続の可否についての提案をしましたとなっていて、結果は19分の1(5.3%)と、26分の2なのですけれども、これは無効中止の規準に合致していますが、検討して継続するというのは、中止しなければいけないという規則になっていないので、そこはいいとしても、効果安全性評価委員会で、今の誤りも含めて、実際どのように審議されて、継続という結論に至ったかということを、もう少し詳細に提示していただかないと、この説明だけでは多くの人は納得いかないのではないかという気がします。
 以上です。
○福井座長
 ありがとうございます。
 統計学的な意味が伝わっていないのではないかと。手良向先生が聞かれている内容自体がうまく伝わっていないようにも見えます。
 事務局のほうから、どうぞ。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 手良向先生、貴重な御意見をありがとうございます。
 こちらに関しましては、会議終了後に国立がん研究センターにお問い合わせさせていただこうと思いますので、また会議で御報告いたしたいと思います。
○福井座長
 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。問1、それから問2につきましてはよろしいでしょうか。臨床研究、治験などを行う予定がないと。
 辻構成員、どうぞ。
○辻構成員
 確認をしたいのですが、こちらのパネル検査はたくさんお薬があって、幾つか終了したり、今回は、製薬会社の事情で中止というようなことになったと思うのですが、この中間報告とか最終報告は薬ごとに出ないのでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 前回、第32回患者申出療養評価会議におきましては、アフィニトール錠とテセントリク点滴静注という医薬品に関しましての中間報告が行われております。
 今のところ、事務局が知り得る範囲の見解では、各コホートでの最終報告はなされる予定であると聞いてはおります。
○辻構成員
 ということは、既に終わったものもありますし、今回、中間報告がされましたけれども、中止に至った薬についても、最終報告がまた出てくると考えてよろしいのでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 今回中止に至ったものといいますのは、ジカディア錠のことですか。
○辻構成員
 そうです。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 ジカディア錠のことに関しましては確認できておりませんが、予定症例数を満たして終了したものに関しましては、最終報告が上がる見込みでございます。
○辻構成員
 分かりました。ありがとうございます。
 パネル検査自体が、患者申出療養としては患者からの申出があった場合にこたえられるよう、少し先回りして用意されたという背景もあったと思いますので、事情が違うのかも分かりませんが、ジカディア錠は、患者さんからの中止要請というわけではなくて、製薬会社さんの都合と思いますので、きちんと最終報告も出していただければなと思っております。
 以上です。
○福井座長
 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
 問2につきましては、ジカディアを用いた臨床研究、治験などを行う予定はないという回答でございます。
 3つ目の問いにつきましては、既に登録されている症例2例につきまして治療はどうするのかということについては、主治医の判断に基づき行うということのようです。よろしいですか。
 問4、ジカディアの中止後に適用となる可能性のある患者さんには今後どうするのかということですが、同じ種類のものでほかの薬が使える場合には、そちらが選択肢になるという答えだと思います。
 そこまでは何か御質問、御意見はございませんでしょうか。よろしいですか。
 それから、問5につきましても、いかがでしょうか治験等を予定されているかどうかということですが、解析を現在行っていて、その結果をもって、試験薬提供企業と相談したいということのようです。よろしいでしょうか。
 もし御意見がこの時点でないようでしたら、この件につきましては、問1につきまして、先ほど手良向先生からいただいた御意見を含めまして、さらに事務局からデータなり回答を要請したいと思います。よろしいですか。
(首肯する構成員あり)
○福井座長
 ありがとうございます。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。「患者申出療養の定期報告等について」でございます。資料が提出されておりますので、事務局から説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 「患-4」の資料を御覧いただければと思います。「患者申出療養『経皮的乳がんラジオ波焼灼療法』の実績報告について」でございます。
 まず、経緯でございますけれども、本患者申出療養につきまして、第13回患者申出療養評価会議で承認された際に、申請医療機関である国立がん研究センター中央病院に対しまして、本技術の定期的な実績報告を求めるべきだという御指摘をいただいたところでございます。
 前回、医療機関より、適用開始から3年時点での実績報告書が提出されましたので、そちらに基づきまして、本技術の継続の可否について御審議いただきました。その際に、3マル目にあるような2つの御指摘をいただきました。
 指摘に対する回答は、別紙3になります。別紙3を御覧ください。
 まず、問1、定期報告において、有効性については公開できないとのことでしたが、局所再発率や有害事象といったデータについても公開できないでしょうかという点につきまして、試験に関するデータを終了前に公表することは、試験の中立性・客観性に影響を与えるため、控えております。先行する先進医療B経皮的乳がんラジオ波焼灼療法においても追跡調査期間中のため、現時点で解析は終了しておりませんが、先進医療に係る報告書を厚生労働省医政局研究開発振興課に提出しており、有効性、安全性は問題ないと考えますと回答いただいております。
 問2でございますが、研究期間7年間で、300例の登録を予定しているとのことですが、今回、東京都立駒込病院を加えられた理由は、症例の組入れスピードと関係があるかどうかという点を伺いました。
 回答では、研究当初から東京都立駒込病院を含む11施設での実施を計画しており、東京都立駒込病院で患者の申出があり、協力医療機関の追加申請を行いました。本試験は患者申出療養として実施しておりますので、予定登録数は定めておりませんが、登録される患者数は年間約50例と見込んでおり、登録期間6年間とし300例と設定しておりますとのことでございます。
 なお、実績報告書につきましては、参考のため資料を送付させていただいております。
 資料に関しましては以上でございます。
○福井座長
 ありがとうございます。
 本患者申出療養の継続の可否について、何か御質問、御意見がございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、検討結果の取りまとめを行いたいと思います。
 大変申し訳ありませんけれども、松井構成員は一時御退席いただきますようお願いいたします。
(松井構成員 退席)
○福井座長
 それでは、この患者申出療養につきまして、継続を認めるということでよろしいでしょうか。何か御意見がございましたらお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○福井座長
 それでは、そのようにさせていただきたいと思います。
 それでは、松井構成員にお戻りいただきたいと思います。
(松井構成員 着席)
○福井座長
 ありがとうございます。
 本日の議題は4番目に「その他」が挙げられておりますが、事務局から何かありますでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 特段ございません。
○福井座長
 構成員の先生方から、何か御意見、またはディスカッションしておいたほうがいいような事柄はございますでしょうか。
 それでは、本日の議題は以上とさせていただきます。一色構成員、大門構成員、宮川構成員は今回をもって退任となります。残念ながら、一色構成員、宮川構成員は今回御欠席でございますので、御挨拶いただくことはできませんけれども、大門構成員から一言御挨拶いただいてもよろしいでしょうか。よろしくお願いします。
○大門構成員
 お時間をいただきまして恐縮です。
 構成員のお役目を拝命して6年になるのですけれども、まず初めに関係者の皆様及び先生方には、本会議を通じましても大変にお世話なりました。この場を借りて心より御礼申し上げたいと思います。
 また、本会議を通じまして様々な領域における第一人者の先生方の御意見を拝聴することができまして、本当に勉強になりました。
 一方で、私は生物統計学を専門としているのですけれども、本日案件としてありましたように、統計的な評価がなかなか困難な少数例で、その限界をお伝えするだけでなく、本会議で扱う治療がどのように患者さんに適切に届けられるべきか、本当にいろいろと考えさせられました。
 至らぬ点が多々あったかと思い、反省する次第であります。しかしながら、とても貴重な経験をさせていただきました。本当にありがとうございました。
 本会議はさらによりよいものになるものと信じております。
 以上でございます。
○福井座長
 長い間、ありがとうございます。今後とも何かとお世話になることがあると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○大門構成員
 こちらこそ、よろしくお願いいたします。
○福井座長
 それでは、次回の開催につきまして、事務局から伝達事項なりをお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 次回は日程を調整の上、また後日、御連絡させていただきたいと思います。
○福井座長
 それでは、第33回「患者申出療養評価会議」を終了といたします。
 本日はお忙しい中、ありがとうございました。コロナに感染しないように、先生方、どうぞお気をつけください。
 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。ありがとうございました。

 

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