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2019年2月22日 第1回毎月勤労統計の「共通事業所」の賃金の実質化をめぐる論点に係る検討会 議事録

政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室
政策統括官付参事官付統計企画調整室

○日時

平成31年2月22日(金)15:30~17:30

 

○場所

厚生労働省 専用第21会議室(中央合同庁舎第5号館17階9号室)

○出席者

構成員(五十音順、敬称略、○:座長)

  石原 真三子
  稲葉 由之
○ 今野 浩一郎
  神林 龍
  樋田 勉
  山田 久


事務局

  藤澤政策統括官
  中井参事官(企画調整担当)
  瀧原統計管理官
  細井統計企画調整官
  田中審査解析官
  村木雇用・賃金福祉統計室長補佐

○議題

(1)「共通事業所」の賃金の実質化をめぐる論点について
(2)その他

○議事

 
○細井統計企画調整官
  ただいまから第1回毎月勤労統計の「共通事業所」の賃金の実質化をめぐる論点に係る検討会を開催いたします。本日は国会の関係がございまして、政策統括官の藤澤が少し遅れての着席となることをお許しいただければと存じます。構成員の皆様方にはお忙しい中をお集まりいただきまして誠にありがとうございます。本検討会の進行について、座長が選出されるまでの間、進行させていただきます。統計企画調整官の細井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
初めに、本日御出席いただいている構成員の皆様方について御紹介いたします。資料1に構成員の名簿を付けさせていただいておりますので、そちらを御参照いただければと思います。武蔵野大学経済学部教授の石原真三子様です。明星大学経済学部教授の稲葉由之様です。学習院大学名誉教授の今野浩一郎様です。一橋大学経済研究所教授の神林龍様です。獨協大学経済学部教授の樋田勉様です。日本総合研究所理事/主任研究員の山田久様です。また、早稲田大学政治経済学術院教授の野口晴子様からは、本日御欠席との連絡を頂いておりますので御報告申し上げます。
 続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。(企画調整担当)参事官の中井です。統計管理官の瀧原です。審査解析官の田中です。雇用・賃金福祉統計室長補佐の村木です。
次に資料1を御覧ください。開催要綱の4 運営等の(2)におきまして、検討会の座長は構成員の互選により選出すると明記させていただいております。これに従って、座長の選出をお諮りしたいと存じます。座長の御推薦等ありましたらお願いします。

○山田構成員
   やはり年長でいらっしゃるので、今野先生にお願いしたいと思います。

○細井統計企画調整官
   ありがとうございます。他はいかがですか。今野先生、お願いできますか。

                                                                                                                                              (異議なし)
 
○今野構成員
   よろしくお願いします。

○細井統計企画調整官
   ありがとうございます。御賛同いただきまして、今野構成員に座長をお願い申し上げます。それでは座長に御就任いただく今野構成員より御挨拶をお願いいたします。

○今野座長
   今、山田さんから推薦いただきましたが、年齢は上だからというのが少し気になりましたが、進行役をさせていただきます。自由に議論をしていただければと思いますので、この場が活発になれば私の役割は果たしたかなと思いますので、よろしくお願いします。

○細井統計企画調整官
   ありがとうございました。カメラ撮りはここまでとさせていただきます。それでは、以後の進行を座長によろしくお願いいたします。

○今野座長
   お手元に今日の議事次第がありますので、それに沿って進めたいと思います。今日は、共通事業所の賃金の実質化をめぐる論点についてですが、最初、事務局から現状について広く紹介をしていただきまして、それをめぐって、しばらく自由に広く議論をしたいと。別に    
論点を絞らないで、皆さんが感じられていることをどんどん言っていただく場にしたいと思います。それを踏まえて次回以降、どういう論点でやっていこうかということを次に考えていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。まず事務局から説明をお願いします。

○瀧原統計管理官
   資料について私から御説明させていただきます。資料1は先ほどの開催要綱ですので、資料2の「これまでの経緯と現状について」と合わせて、御議論を頂く論点の例という形で、この共通事業所の参考値と申しておりますが、いろいろこれまで議論があった中ですので、その点も御紹介させていただきつつ、御議論のための資料としていただければと思います。では、資料2の「これまでの経緯と現状について」を御説明させていただきます。
  2ページ、本議題になっている毎月勤労統計の中での参考値として出ているものですので、まずは「毎月勤労統計とは」という形で資料を用意させていただきました。調査の目的としては、月々の賃金、労働時間、雇用の変化を迅速に把握することを目的としているということで、調査の内容・対象事業所数という形になりますと、まず常用労働者5人以上を雇用する事業所の雇用、給与及び労働時間について毎月の変動を把握するという形で、毎月把握することが1つのポイントになっております。
 対象事業所数ですが、常用労働者5人以上については約190万事業所から抽出した約3万3,000です。実際に今は3万3,000に届いていない部分はありますが、制度の設計としては3万3,000という形で調査を実施しているものです。次に、その調査に基づいて公表しているものです。まず賃金については、賃金総額に当たる現金給与総額、きまって支給する給与については、特別に支払われた給与、ボーナスを除いた部分で、きまって支給する給与になります。さらに内訳になりますが、所定内給与と所定外給与、それに先ほども申しましたが、特別給与ということで5本立てという形になっております。あと労働時間については、総労働時間、所定内労働時間、所定外労働時間、それに加えて出勤日数を集計しております。最後に、常用労働者数という形で出ておりますが、このうち下の※にありますが、現金給与総額、総労働時間、常用労働者数等については、時系列比較ができるように指数を、現在では2015年を100としたものですが、作成・公表しています。
 次に調査の方法ですが、500人以上の事業所が全数調査。これについては既に新聞発表等で皆様も御存じの通り、大変御迷惑をかけたことでありますが、東京都について全数になっていなかったということが今回の不適切な事案で、我々も今現在、計画どおり全数で実施すべく取り組んでいるところですが、調査設計としては全数でやるということになっております。30~499人事業所については標本調査という形になっており、実際、標本の選び方については、今、設計では、これから毎年3分の1ずつサンプル入替えをするということで、それ自身が始まるのが2020年からで、昨年、今年はそのための経過措置ということで2分の1ずつ入替えです。それ以前の平成29年までは、一斉の総入替えということでやってきておりました。そこで総入替えすることによってギャップが発生するという課題もあり、2分の1あるいは3分の1ずつ入れ替える、ローテーション・サンプルという名前で呼んでおりますが、そういうやり方に変更して、平成31年は経過措置期間中というものです。
 一方、5~29人についても標本調査ですが、これについては半年に3分の1ずつ入れ替えるというサンプル入替え、先ほど申したローテーション・サンプリングですが、これを既に過去から実施しているものです。右側が抽出方法で、30~499人の事業所については、事業所母集団データベースの年次フレームを事業所全数リストから抽出するための母集団フレームとして、そこから産業、事業所規模別に標本事業所を無作為に抽出しています。先ほどのローテーション・サンプリングを平成30年1月分以降に実施しますので、ここを毎年、最新の年次フレームを用いて行うという形になっております。5~29人事業所については少し選び方が違いまして、二段抽出法という形を取っております。第一段は、センサスの「調査区」、全国で約22万区ありますが、そこに基づいて区を選んで、その上で第二段として抽出された調査区について5~29人規模の事業所の名簿を作成し、そこから無作為に抽出するという二段抽出法を取っているものです。
 標本設計自体は、調査事項が幾つかあるのですが、そのうちの常用労働者一人当たりの平均の、きまって支給する給与の標本誤差が、産業、事業所規模別に一定の範囲内になるということで、具体的なパーセントとしては、産業大分類レベルでは2%以内、中分類では3%以内になるように標本を設計するという形になっております。実際に調査をやっていきますと、基本的には調査対象事業所を固定するわけですが、その中で実際に事業所が廃止されたり、あるいは規模が調査対象外になったりする場合には、調査対象事業所の指定から外れますので、その場合には事業所を補充しております。この作業は30~499人については毎年1回の追加指定を行っております。こちらが毎月勤労統計全体像です。
 次は3ページになります。具体的にそういうものをやって、どういうふうに集計・推計しているか書いております。産業、規模別の各種平均値の推計方法です。下に各変数の定義はそこに書いておりますが、aの~(チルダ)という形で、産業、規模別の1人平均月間現金給与総額、実労働時間数、出勤日数の算出方法としては、まず大きな話としては、分子に当たる部分は、調査事業所の現金給与総額の支払い総額、あるいは時間で言いますと、延べ実労働時間数、延べ出勤日数を分子に足して、分母のほうは労働者数、前月末と今月末の調査労働者数の和の2分の1で割るという形で、調査票に書いていただくのは、その事業所の賃金で言いますと、現金給与総額なり、総賃金で、一方で労働者数を書いていただいて、それを割算して一人当たりのものを出すというのが基本になっております。ですので、個別一人一人の労働時間を聞くというものではなく、その事業所での全体を把握して、それを割算することによって一人当たりの賃金を見るという方法が、毎月勤労統計の基本型です。実際、毎月やって速報性を高く発表していくということがありますので、その辺りがある面一人当たりを出すという簡易なやり方をこういう形でやっているというものです。この式の「d」というのが調査事業所の抽出率の逆数で、3分の1雇っていれば3に当たりますが、そういうものを掛けて復元しているというところです。実際、一人当たりを出す段におきましては、労働者数も抽出率逆数で復元しますし、分子も同じようにやりますので、基本的にはそこは、計算的には打ち消すような形になりますが、考え方としてはそういうものになるというものです。
 その上で、これは各産業なり規模で切ったときの平均値の推計方法ですが、それを産業計なり規模計なり、あるいは全体として推計するときにどういうふうにするかという形です。それが下の○2の所で、Aの~という形で書いております。産業規模別の調査事業所の現金給与支給額等々について、推計比率を掛ける形にして、それを産業又は規模別に合計した値で全体的な数字を求めるということになります。そういう意味では、下の式で言いますと、rが推計比率です。下にあるように、定義としては抽出率逆数は入っておりますが、基本的には、Eをeで割るという形になります。eは調査している労働者数になりますが、Eが、一番下の所に説明しておりますが、産業i、規模jの前月末の母集団労働者数という形で、全国にどれだけの母集団としての総労働者数をEとして設定して、その分を戻していくという形になります。これ自体は前月の労働者数をもとに、常に補正された数字になります。この母集団労働者数をベースにした推計比率を掛けることによって全体に戻していくという形になりますので、イメージとしては産業別、規模別で、セルごとに切っていくという感じになりますが、そこでのものを全国の労働者数の割合、ウエイトに掛けて戻していく形を取っていて、産業計、規模計あるいは全国計という数字を取って算定しております。以上が、3ページの説明です。
 その次はイメージの御参考として、実際に抽出する逆数をどういう形で取っているか用意させていただきました。字が小さくて恐縮ですが、都道府県別を横に取って縦に産業別を取っております。あと3種類の規模別の表にしておりますが、4、5ページは500人以上です。ここの部分は設計上、基本的に全数調査という形になりますので、抽出率逆数は1が並ぶ形になりますが、先ほど申し上げたように東京都の部分が、実はここが全数調査になっていなくて抽出になっているところが、この表で見て取れる形になっております。上の4ページの真ん中よりやや右の所の東京を御覧いただくと、1もありますが、2とか3という数字が並んでいる所が抽出調査になっている産業であるということです。それ以外の都道府県については、500人以上については1が並んでいる状況です。
 次のページは100~499人という形で、これは都道府県によって若干の違いもありますし、産業によっても違いがありますが、1もありますが、1以外の2、3、4、8が並んでいるところが100~499人の調査状況です。
 8、9ページについては、30~99人規模の小規模の企業になりますが、その分、数も多くなっておりますので、逆数で言いますと、より大きな数が並んでいる状況です。以上が、毎月勤労統計調査の全体像を簡単に御説明させていただきました。
 10ページからが、皆様方に今回御議論いただきたい共通事業所です。これについては上に計算方法の説明がありますので、これを御説明します。まず共通事業所というのは何かと言いますと、毎月勤労統計、通常の集計値、我々は本系列と言ったりしますが、それ自身は、全国の賃金や労働時間を集計しているものですが、これについて実際、個々の企業というよりは、日本の全事業所の中でどういう動きがあるかということになりますので、当然、日本の産業構造が変わってくるとウエイトとかが変化してきます。先ほども申しましたように、事業所母集団データベースを使うわけですが、そのもとが経済センサスになっておりますので、経済センサスの数字が5年に1回とか見直されると、当然、その影響を受けて数字が、各規模、産業別のウエイトが変わりますので、数字が動いてくるというところになりますが、その動きがイレギュラーに発生する部分が見にくいという御批判もあり、参考値として、こういうものを出してきたものです。
 計算方法の前に、11ページを先に御覧いただければと思います。共通事業所の集計値の作成・公表の経緯について、11ページに簡単に載せております。共通事業所という言葉ですが、最初の上の2つのマルの下の黒ポツです。平成28年3月24日の第4回経済財政諮問会議での西村統計委員長の発言を抜粋しております。ここにあるように、景気の指標を多数の人々が実感するのは、自分の事業所の平均賃金が上がったのか、自分の企業の投資が増加したのかということで、つまり、同じ事業所の平均賃金の変化を見ていくのがいいのではないかという話で、これに対応しているのが、サンプルを継続して調べている継続サンプルによる指標であるので、景気を表わす統計としては、統一的に参考の指標として提示するということをしていきたいという御発言がありました。いわゆる継続している事業所、同じ事業所で比較していくという系列を参考提供してはどうかということを、その下の資料の抜粋の2つ目に書いてあります。調査対象を入れ替えるときに断層が生じにくい、継続して調査する対象から作成した系列の参考提供など、指標の充実を図るということです。ここに書いてあるとおりですが、サンプルの入替えを行ったときに断層が生じにくい形にして比較できるようにしようということです。実際には、前年同月比ですが、ちょうど1年前からと、その月とで両方ともに調査できる対象としての継続している事業所について比べようというものです。
 その後の時系列の詳細は省略しますが、「公的統計の整備に関する基本的な計画」等で、その部分の提供が議論されて、ここでそういうふうな形を決定されたというものです。その後、提供する資料が更に充実してきたという部分もあります。ただし、これは共通する事業所というのは、この資料の11ページの上の所に戻りますが、実際の毎月勤労統計では、30~499人の所ですが、「総入替え」という形を取っておりましたので、総入替えにした場合には、共通事業所が取れないということになりますが、平成30年1月からローテーション・サンプリングという一部を入れ替えていく方式を取りました。そうすると、必ず一部の事業所は継続して1年前と継続して存在する形になりましたので、このローテーション・サンプリングを導入することによって共通事業所の集計値が可能になったというものです。
 実際、そういう共通事業所を具体的にどういうふうに取っているかですが、10ページに戻っていただければと思います。共通事業所の導入の考え方ということで、「共通事業所の集計値」は、○1調査対象事業所の部分入替え、○2産業構造の変化に伴う労働者のウエイトの変化、これはベンチマークの更新と言っておりますが、これらの影響を受けないように作っているというものです。具体的には○1に対応するものとしては、1年前と当月の両方で回答している調査対象(共通事業所)に限定して、まず数値を集計するというものです。かつ、ベンチマーク自体が1年前と当月で変わってしまうという部分を除くということですので、ベンチマークを1年前のものも当月と同じようにして集計するということです。それを「参考値」として公表しているのが、今の毎月勤労統計の共通事業所の集計値です。
 具体的な集計方法ですが、下の数値は先ほど見ていただいた各産業規模別の平均値の取り方や、産業計と規模計の取り方と基本的に同じですが、推計比率の所が違っております。それが一番下の推計比率を赤で書いたところですが、通常で言いますと、前年の所の推計比率を出しますと、rの右側の分数ですが、基本的には、前年については(n-1)年の数字を使うという形になります。Eの定義は3ページに書いてあるのと同じですが、母集団の労働者数を何で取るかということで、ここを(n-1)ではなくて、(n)で取っているという点がベンチマークの影響を除去するというポイントになっております。ですから、前年についても、Eのj、iの(n)という形になりますが、これが当年の右側の分母と同じになっているということで、母集団労働者数を同じように持ってきて割算で推計比率を出すという形で、ベンチマークの変化を除去する形を取っております。基本的には、このポイントが○2の全てです。○1の調査対象の入替えを除くということについては、全サンプルを集計するのではなくて、当月と1年前の月と両方とで回答しているものを対象としているという形です。
 実際に、これをやると、どういう形になっているかというイメージを示しているのが12ページです。これはある年のイメージ図です。一番下に各年X月の比較、Y月の比較と書いてありますが、端的に例えばXが9月で、Yが10月ぐらいと思っていただければ結構です。平成31年度は過渡期ですが、来年度以降はサンプルの3分の1ずつ入替えが発生しますので、イメージとしては、調査があって3分の1が抜けて、新しく3分の1ができるという形なのですが、それがこの青いほうの縦の長さで表わされる感じです。そのうちで、例えばN年のX月のサンプルというのは、真ん中の表とN-1年、1年前の同じ月のサンプルと比べたときに、両方ともで答えているものについて青い点線で囲まれている所を比較するというのが共通事業所の賃金の比較です。この実額も出しておりますが、対象が変わってきますので、基本的には前年同月比を発表しているのが共通事業所の前年同月比です。
 当然、今度は同じX月でも、1年ごとを比べる、1年たってまた戻ってくるというときになりますと、当然サンプルは変わっていますので、下の濃いブルーで網掛けしている所になりますが、ここの賃金cと賃金bダッシュです。先ほどのほうは賃金aダッシュと賃金bを比べるような形でしたが、今度は賃金cと賃金bダッシュという形になりますので、対象となる部分は年によって変わっていくのですが、ただ両方とも1年前と同じ事業所について調べるということで、事業所が入れ替わる所の要素を取り除くという形になっております。同じようなことで、例えば次の月になりますと、これもまた月が変わると回答する事業所は調査対象としては同じですが、企業のいろいろな事情で9月は調査票を出したが10月は出さなかったという所も出てきますので、少し対象が動くことがありますが、ただ基本的には同じ事業所で回答していただいたものに対して、その前年同月を比較するという考え方には変わりありません。
 ここで幾つかポイントになるものを赤で書いておりますが、例えばX月とY月と比べたときに、同じ年、例えばN年を見たときに、1年前のN-1年と比べるのですが、基本的には、ここでサンプルの入替えはないのですが、回答する事業所が変わることで上の赤印では、月々で比較する事業所の範囲は少し変わってくるということがあります。右側の下の所に、「同じ月であっても」と書いてあるのは、N年Y月のサンプルが、1年前のN-1年と比べるときは賃金Bになるわけですが、翌年のN+1年のY月とN年のY月を比べるということになりますと、今度は賃金Cと賃金Bダッシュを比べるという形になりますので、端的には年Y月の賃金額というのは、1年前と比べるときは賃金B、1年後とを比べるときは賃金Bダッシュとなって、2つの数字が並ぶという形になるのが、共通事業所の特徴的なところです。それを具体的に数字で見える形にさせていただいたのが13ページです。
 13ページは、「現金給与総額」について、「本系列」いわゆる通常の毎勤の系列部分と「共通事業所の集計値」を比較できるような形で並べました。本系列のほうは、例えば平成28年~平成30年、1月、2月、3月と並べておりますが、そこの月で回答を頂いた事業所について単純に集計する形になりますので、数字が1つ決まり、それについて指数で計算できます。その指数に基づいて前年同月比を出すという形で、平成29年の例えば1月の前年同月比は0.6%プラスという形になっております。
 これについて大体のサンプル数ですが、平成29年、平成30年辺りは2万5,000前後で、2万4,000~2万5,000ぐらいで推移しておりますが、これを共通事業所で見るときはどうするかと言いますと、次のブルーの部分になります。まず金額ですが、平成29年と平成28年の1月を比べるときは、平成28年1月と平成29年1月の両方とも回答している事業所についてのみ集計します。ここでは26万8,258円というのが平成28年1月の数字であり、平成29年1月は27万2,965円が出てきます。この2つについて前年同月比を見ると、1.8%というのが横の平成29年1月の前年同月比になります。この1.8%というのが、共通事業所系列の前年同月比になるという形です。そういう形でずっと計算していくのですが、今のは平成29年と平成28年の比較でしたが、平成30年と平成29年を比較するときは、先ほど図で示したように、平成30年1月と平成29年1月の両方とも回答している事業所が変わりますので、当然、平均賃金額も変わってきます。また、ウエイトも、この場合では平成30年にそろえることになりますので、金額も右の本系列とは変わってくるわけです。ただ、そういう形で事業所の入替えやベンチマークの影響を除去しますと、そこにある形で計算できます。この前年同月比を出すと、0.3%増という形が計算できます。
 この共通事業所の集計値の実額の平成29年の所に、今申しましたように、どちらと比べるかで数値が違うので、先ほど図の所で申しましたが、同じ月であっても2種類の賃金額が存在するというものです。そういう経緯もあり、共通事業所の集計値は指数を作っておらず、前年同月比を参考値として出しています。ちなみに両方とも回答していただいている事業所ということで、サンプル数も半分よりも少し少ない形で出ております。ただ、1万弱ぐらいのサンプル数は確保できているということです。以上が共通事業所の詳細です。
 あと、今回の議論していただく中で指数というのが出てきますが、これは先生方はもう既によく御存じのことと思いますが、指数の作成は、雇用、賃金及び労働時間の各調査結果を時系列比較を目的として、基準年の平均を100とする指数を作っていて、計算式としては、基準数値(基準年の平均の数値)で各月の調査結果の実数を割って指数を作ります。
 実際、具体的に毎月勤労統計でどういう形で公表しているかというのは、下の表です。表の左側ですが、常用雇用指数と賃金指数です。賃金指数としては現金給与総額、きまって支給する給与、所定内給与です。あと労働時間指数として、総実労働時間、所定内労働時間、所定外労働時間について産業ごとに作っています。基本的には、産業ごとは5人以上と30人以上という形で指数を作っておりますが、具体的には幾つか、調査産業計のEの製造業、Iの卸売業・小売業、Pの医療・福祉については、下の賃金指数と労働時間指数に◎が付いております。これについては、規模別の500人以上、100~499人、30~99人、5~29人の指数も作ってやっているのが現在の毎月勤労統計の指数の公表数値です。
 あと、実質賃金には「実質化」というのがあります。その資料を15ページに付けております。これも先生方はよく御存じのことかもしれませんが、毎月勤労統計においては、実質賃金指数及び前年同月比を公表させていただいております。これは、本系列の現金給与総額と、きまって支給する給与から賃金指数を消費者物価指数(帰属家賃を除く)で割ることによって作成している形ですので、上にあるようにrwiについては、nwi(名目賃金指数)をpiで除した指数、その月の消費者物価指数で割る形で出しております。前年同月比については、そこの式のとおりの形で割算をして出しております。
 実質賃金の実質化というのは何かということですが、これは時価で表示した価格(名目値)の動きから価格変動の影響を取り除くということで、単に前年と比較するというよりは、長期的な物価の変動を踏まえた賃金等の価値を示すというものです。
以上が現状の説明ですが、そういうことを踏まえて、資料3は御議論いただきたい論点例というものです。これに絞るものではありませんが、我々が議論して、今までいろいろな課題等が出てきた中でのポイントを幾つか整理させていただいております。1つは、論点1として、実質化の検討に当たって、「本系列」と「共通事業所の集計値」、本系列は本来の発表したもので、参考値として出している共通事業所の集計値については先ほど少し説明させていただきましたが少し特性が違いますので、その辺りをどう考えていくのがいいのかということです。
 論点2としては、「共通事業所の集計値」については賃金額が同年同月で2種類存在するということで、これがある面、比較の中での基本的な性格にもなっているのですが、その場合に集計値の実質賃金指数を考えるときに、現在はそういう意味で指数を作っていないわけですが、実質賃金指数の作成についてどういうふうに考えていくかということが1つあるのかと思います。
 論点3は、仮に何らかの形で共通事業所の集計値の前年同月比から消費者物価指数を用いて実質化した値を算出した場合に、本来の実質化に照らし、この場合の数値はどんな意味を持つものなのかというところも論点として考えられるのではないかということで、事務局としては、これまでの我々の中での議論を踏まえて、論点の例として提示させていただきました。
 参考資料は、詳細は御説明いたしませんが、今回の最近の議論になっている中で毎月勤労統計の賃金系列、特に本系列と共通事業所系列があるということで、総務省と厚生労働省の認識で確認させていただいている部分を提示させていただきました。ポイントとしては、3番にあるように、先ほどの統計委員会のところにもありましたが、「労働者全体の賃金の水準は本系列、景気指標としての賃金変化率は共通事業所を重視していくことが重要」という見解が示されたというところがありますが、それについて幾つか共通事業所についての特異な部分、先ほどの標本交替やウエイト変更による断層を回避できるという特性がある一方で、○2実際の事業所が限定的になりますので、新設事業所が入っていくとか入ってこないという部分で偏りがあるとか、あるいは標本数が小さくなるために標本誤差が大きくなるというデメリットもあるということが指摘されております。以上の形で出ておりますが、これは政府の総務省と厚生労働省での認識ということになりますので、これにこだわることなく先生方にはそれぞれの専門のお立場からの見地やいろいろな御意見、御示唆を頂ければと思っております。長くなりましたが、私からの説明は以上です。

○今野座長
  それでは、御質問でもいいです、御意見でもいいですのでどうぞ。今日は広く議論したいと思いますので、どうぞ。

○神林構成員
  すみません、テクニカルな点で幾つか確認したい点がございますので、よろしくお願いいたします。1つは、この共通事業所の集計値を作るときの推計比率なのですが、10ページです。今御説明いただいたように、この推計比率の作り方なのですが、分母は、共通事業所だけを取っているわけですね。

○瀧原統計管理官
  はい。

○神林構成員
  分子は、そのまま大文字のEがきているので、これは全事業所ですか。

○瀧原統計管理官
  全事業所に戻しています。

○神林構成員
  ここは、全事業所と共通事業所の雇用者数の比率で、全部戻しているということですね。

○瀧原統計管理官
  はい。

○神林構成員
  もう1つは、13ページなのですが、数字を出していただいたものです。共通事業所の集計値の実額のところで、平成29年は2種類出ています。27万2,965円と27万6,964円。原理的には、ここの2つの集団で全てが説明できるようになっているわけですよね、本来であれば。ここのどちらかのグループは、平成28年に観察されるか、もしくは平成30年に観察されるべき事業所なわけですよね。

○瀧原統計管理官
  共通事業所としてはそういうことです。

○神林構成員
  ちょっと前に戻ると、その共通事業所というのは、両方の年に同時に観察されないと共通事業所として認識できないので。

○瀧原統計管理官
  はい、できません。

○神林構成員
  例えば、平成28年のときにサンプリングをして、平成28年のときには答えていました。けれど、平成29年に入って答えなくなりましたというサンプルは落ちちゃっているわけですね、共通事業所の。

○瀧原統計管理官
  はい、落ちます。

○神林構成員
  なので。ただ、もし仮にそういう事業所が全員答えてくれていたとすると、回収率が100%だとすると、この平成29年の2つの集団というのは、それで全ての標本をカバーしていると考えられるわけですね。

○瀧原統計管理官
  そうですね。

○今野座長
  でも、サンプリングを取替えている。

○神林構成員
 取替えているのは、平成29年と平成30年が一致しているサンプルか、平成28年と平成29年が一致しているサンプルか、どちらかになりますよね。

○石原構成員
 3分の1。

○今野座長
 3分の1、交替しているね。

○瀧原統計管理官
 はい。この28、29、30で言うと、まだ3分の1になっていませんので。

○石原構成員
 2分の1。

○瀧原統計管理官
 2分の1なのですけれども。

○今野座長
 2分の1、はい。

○神林構成員
 それっていいですよね、理解としては。

○今野座長
 私、質問の意味が分からなかった、もう一度言って。

○神林構成員
 質問したいことは、この272,965円と276,964円の加重平均が、一番左の実額の平成29年の271,855円になるはずなのかどうかということです。

○瀧原統計管理官
 それは、ものによっては多分、例えば1月で言いますと、調査対象にはなっているのですが、1月に全部回答しないと、ここに入らないです。

○神林構成員
 そういうことですね。本来だったら、その共通事業所として回答対象になっているはずの所が、回答していない所があって。そこが抜け落ちることによってサンプルサイズが変わる。

○瀧原統計管理官
 そうですね。

○神林構成員
 それで、こういう数字になっているというわけですね。

○瀧原統計管理官
 はい、そうです。

○神林構成員
 もう少し詳しく言うと、右のほうのサンプル数が平成29年の所に9,977と書いてあります。これは、平成28年と平成29年を同時に観察できるサンプルが、9,977あった。その右の平成30年の所に、9,860というのがあります。これは、平成29年と平成30年の両方で観察されるのが9,860だったということは、本来でしたら、この2つを足すと平成29年に観察されるサンプルになるはずだけど回収率が100%ではないので、その点がずれる。

○瀧原統計管理官
 すみません。ここの平成28年と平成29年はちょっと特殊な事情が一点入っておりまして、そこを少し御説明させてください。まず、作ったのは平成30年から平成29年を作っており、平成30年と平成29年の比較というのが最初にあります。ここについては先ほどございましたが、平成30年に2分の1入替えをしております。ですので、共通事業所がガクンと減っているのは、その影響が多くあります。平成30年と平成29年で共通して存在しているのは当然、平成30年1月でサンプル調査対象から外れてしまったのは完全に落ちますので、その残った部分の中から、かつ、両方とも答えていただいた所についてのみの形になります。それは大体のイメージです。特殊なものというのは大変恐縮なのですが、平成28年と平成29年については、ここは実はサンプル替えをしていませんので、通常で言うとその全部になりますから。

○神林構成員
 入ってありますね。

○今野座長
 サンプル替えしてないということ、ここはね。

○瀧原統計管理官
 ええ。してないので、本当はもっと大きい数字になってもおかしくないのですが、ここは比較対象にできるような形で、実は平成29年で終わってしまう事業所を共通事業所から、この時点では抜いています。ですので、この平成28年と平成29年の比較対象となっていますのは、群としましては、基本的に平成29年から平成30年をまたがって存在する所に限定しているというのが、ここだけの特殊な計算です。

○石原構成員
 すみません、サンプル替えはしているんですよね、もともと。

○瀧原統計管理官
 サンプル替え自体は、平成30年の1月時点でやるのは、そこの前までは基本的にずっと。

○石原構成員
 全取替をする部分はあったわけですね。

○瀧原統計管理官
 はい、全取替をしてます。全取替をしたのが平成27年の1月で、その平成27年から平成28年、平成29年と、基本的に入れ替えていません。だから27、28、29。

○石原構成員
 サンプルが入れ替わるのは3年に1回とか、そういう。

○瀧原統計管理官
 はい。

○石原構成員
 すみません、そこだけ。

○瀧原統計管理官
 はい、そうです。ですので、平成27年に全取替をいたしまして、3年間やって、平成30年1月に、また全取替になるところだったのですけども、そのうち半分だけ残して、もう1年やって、平成30年1月の時点で、半分入れ替わったという形になります。

○今野座長
 その残った企業について、平成28年、平成29年、平成30年の、これをやったということね。

○瀧原統計管理官
 はい、それをやったということです。

○今野座長
 だから、平成29年のサンプル数も9,977で、ガっと落ちているわけだ。

○瀧原統計管理官
 はい、落ちている。それはそういう意味です。

○今野座長
 特殊なんだね、ここは。

○瀧原統計管理官
 ちょっと、そこだけ、ここはどういう形がいいのかというので、一応平成30年、平成29年を比較できやすい所について、共通事業所にしたということです。

○神林構成員
 結構、分かりにくいですね、これは。

○今野座長
 そうすると、平成30年から入替をやっているわけね、そうだね。

○瀧原統計管理官
 はい。

○石原構成員
 今後は、その3年に1回、全取替をやめて、1年ごとに3分の1ずつ。

○瀧原統計管理官
 はい。1年ごとに3分の1になります。ですので、今回の平成28年、平成29年はちょっと特殊になってしまったのですけれど、12ページで見ると、3分の2が基本的に共通事業所の対象になり得るということになります。

○今野座長
 3分の2でしょう。

○瀧原統計管理官
 3分の2です。

○石原構成員
 3分の2、はい。

○今野座長
 サンプル数は、もっと増えるということだね。

○瀧原統計管理官
 そうです、はい。

○神林構成員
 そうすると現時点で、共通事業所の平均賃金と、取り替えられた事業所の平均賃金で、どちらが高いかというのは分からない。

○今野座長
 平成30年を見ると、比較的分かる。

○神林構成員
 平成30年と31年なので、今は。

○今野座長
 いやいや、ここので言うと、平成29年、平成30年を比べると、まあまあ大丈夫な状況というか。平成29年までは変わらずに来て、平成30年で入れ替えているわけでしょう。そうですね、入れ替えてるわけね。

○瀧原統計管理官
 はい。

○今野座長
 そうすると、平成30年と平成29年の比較は、入れ替えたことを前提に、共通事業所を出しているわけね。

○神林構成員
 平成29年の場合。

○今野座長
 いや、平成30年です。

○瀧原統計管理官
 多分、神林先生のおっしゃるのは、ここは揃えてしまったので、その脱落したところの影響が、ここでは見れないだろうというお話ですね。来年度以降は、抜ける所と加わる所が出て来るので、加わる所は。

○神林構成員
 もしくは1月、平成31年の1月のデータが出て来たら、1月については。

○瀧原統計管理官
 そうですね。ちょっと違う傾向が。

○神林構成員
 初めて。

○瀧原統計管理官
 初めて、そういう傾向が見えてくると。そういう意味では、まだこれが一体いかなるものか、まだ実態はこれから見えてくるというのが正しいのかもしれません。

○今野座長
 でも、平成29年までは違う、平成27年で総入替をしたサンプルがあって、それはそのままずっと平成29年まで行って、平成30年で半分入れ替えて、それで入れ替えて残ったものと共通したのを平成29年から引っ張り出せるわけですね、これは。

○瀧原統計管理官
 はい。

○今野座長
 そうですね。そうすると、意外に平成29年、平成30年というのは、平成30年、平成31年と同じような状況に近いかな。

○神林構成員
 そうです。

○今野座長
 近い状況かなと思ったのだけれど。

○神林構成員
 ただ、平成31年が出てこないと分からないのでは?ここに平成28年を入れて、平成29年で、継続事業所と新規事業所で上下に分けて、平均賃金を出しているわけです。普通に見ると、継続サンプルと打切りサンプルとの間の平均的な違いがここに出てきて、これを見ていけば、大体どんなふうにグループが形成されるのか分かるはずなのですけれど、今現在、誰も知らないということですね。

○瀧原統計管理官
 そうですね。今のこれでは、打切りサンプルのものは情報がないことになります。これは今は打切りというか、同じものでずっと見ているということになります。

○今野座長
 ただ、対前年比で見るといろいろあるけど、実額で見ると平成30年は継続したもので、あと半分を捨てている。言いたいのは、実額は、平成30年の実額は27万7,697円で。本系列は27万3,961円ですね。ここだけを見ると、やはりちょっと高めに出てそうだなという感じはすると思ったのですけど、対前年比とは関係なく。

○神林構成員
 回答率が100%だとすれば、多分その平成31年との間の関係で、平成30年1月時点で打ち切られたサンプルと、平成30年の1月時点でのサンプルを足して2で割ると、平成30年の1月の実績に近いものになるはずですよね。そう考えると、こちらが27万7,000円で、こちらが27万3,000円ですから。もしかすると27万を切っている可能性というのは、これだけを見るとあり得ますね。その差が、ちょっと大きすぎるなというのが自分の直感です。

○瀧原統計管理官
 そうですね。ただ、その差が正に100%だと、そういう形になるところですけど。100%ではない所、回答していない所の影響が大きいのか、打ち切られたほうが大きいのか。我々のイメージとしては、平成30年1月に、2分の1入替をした。この2分の1の選び方は完全にランダムなので、イメージとしては、平成29年12月というか平成30年1月で終わった所と引き続きしている所が同じだとすると、共通事業所系列として答えている所が、それに入っていない事業所の差による部分が、そこそこあるのかもしれないということにはなります。

○山田構成員
 今、その回答率を100%で考えているとしていますが、その前提として、回答率は実際にどの程度なのですか。大きく変動していると、かなりバイアスが出て来ますね。本来100%を想定すると、共通事業所というのは時系列的な連続性があるのですが、かなりそれが変動して、しかも何か、あるときは、大手は落ちて、次に中小が落ちるとかと言うと、非常にグタグタになって、実は時系列的に見ること自体に意味がなくなってしまうみたいなことにもなりかねないので、その前提としての回答率がどうなっているのかというのはデータがあるのですか。

○瀧原統計管理官
 その辺り、今日はいろいろ御議論いただいて、必要なというか、こういうのがもっとあったらというのをいろいろ言っていただきましたら、それを考えたいと思います。今こちらでお見せできるデータとしては、サンプル数が少しそれには参考になり得るのかなと思っています。まず、サンプル数自体は本系列も共通事業所系列もそこそこ数としては、ある程度確保できているのかなと。ただ、その中で今おっしゃったように、例えば規模間での動きとかが、そこが変わると、それは影響大きいと思いますし、あとは何がありますか、その辺。今日の時点では、このサンプル数だけお示しさせていただいた形です。

○山田構成員
 規模もですが、当然、産業もだと思いますけど。

○瀧原統計管理官
 そうですね。

○神林構成員
 幾つ配っているのでしたか。

○今野座長
 3万3,000だから、約と書いてあったので。

○瀧原統計管理官
 大体3万くらいです。

○今野座長
 25,000くらいだから、8割ちょっとくらいということですか、単純計算で。

○瀧原統計管理官
 はい、そんな感じだと思います。

○今野座長
 これは、半分だけを抜き出すときのサンプリング、3分の1でもいいのですけど。抜き出すときはランダムでされているとおっしゃったのですが、それは規模と業種で、きちんとコントロールしてランダムにしてあるわけね。ただ、ざっと並べて、ランダムではないよね。

○瀧原統計管理官
 はい。そこは実際には、規模と産業で。

○今野座長
 コントロールして。

○瀧原統計管理官
 はい、コントロールしての話になります。

○神林構成員
 そうすると、恐らく平成30年1月に、ランダムサンプリングしているので、平成29年の12月まで回答していた事業所の中の幾ばくかは平成30年1月以降も連続して当たっているはずですよね。

○瀧原統計管理官
 はい。

○神林構成員
 そうすると、その平成29年12月時点での事業所のうち、平成30年1月以降も回答を継続している事業所と、打ち切られている事業所があるはずなので、それだけをもってきて比べて見るということはできると思います。12月時点でですね。どの程度重なりますか。

○瀧原統計管理官
 そうですね。ただ、その場合、そこで打ち切られるのだけれども実際には再び当たるという所は、基本的には大企業なのですね、1分の1のところが多く当たりますので。

○神林構成員
 ちょっと、それは置いといて。

○瀧原統計管理官
 ええ。その2分の1なのだけど、その中で終わる所で当たる所というのはちょっと癖というか、特徴が強い可能性はありますけども。

○神林構成員
 ええ、自分もそう思います。自分もそう思うのですが。

○樋田構成員
 幾つか確認したいことがあります。まず共通事業所の中の規模別の内訳はどうなっているのかということです。今回、全入替から部分入替に変更したのは、30~499の事業所だけですか。

○瀧原統計管理官
 はい。

○樋田構成員
 共通事業所に入っている5~29の事業所の割合と、本系列に入っている5~29の事業所の割合は変わっている可能性があると思います。

○瀧原統計管理官
 そうですね。

○樋田構成員
 いま,全系列と共通事業所を比べて、変化の違いについて考えているわけですが、そもそも二つのデータの中の事業所の構成が変わっているということは注意しなくてはいけないと思うのです。まず、共通事業所と本系列で使っている事業所の属性がどのくらい違うのかを調べる必要があります。確かにベンチマークで調整をしているわけなのですけれども、入っているデータが違っていれば調整した結果も変わってくるはずです。
また,共通事業所については確かにその規模と産業についてはコントロールされているわけなのですが、その内部の労働者についてコントロールされているわけではありませんよね。

○瀧原統計管理官
 はい。

○樋田構成員
 ですので、例えば,共通事業所の平均賃金が上昇したときに,その原因は景気が良くなって全体的な平均賃金が上がったためということも、あるいは事業所内で労働者の構成が変わったためということも起こりえます。ですので、共通事業所と本系列で使っているデータというのは、どこまで比較可能なのか、属性の分布がどのくらい揃っているのかということを、もう少し詳しい資料で見せていただかないと、議論がしにくいと思います。

○今野座長
 今の統計の取り方だと、属性と言っても、規模と業種はいいよね。あと雇用形態だと、一般労働者とパートしかない、毎勤はね。それ以上は、もうできないから、そうすると、雇用形態の違いだと言うと、パート比率が変動したかの影響はどうかということだけだよね、できるのはね。

○樋田構成員
 そのぐらいだと思います。

○山田構成員
 あと、結構、影響は大きいですけど、それだと。

○今野座長
 それは影響大きいですけども。

○樋田構成員
 労働時間も比較できると思います。

○今野座長
 労働時間は。

○樋田構成員
 労働時間の変化というのも起こりますね。その辺りはおっしゃるとおりで、毎勤では細かい変化までは見えないということなのです。共通事業所という言葉を使うことで事業所が揃っていて状態が変わっていないというイメージを持ってしまいがちなので,どこまでがコントロールされているのかを示しておく必要があると思います。

○瀧原統計管理官
 おっしゃるとおりで、まず1つの企業の中での構造変化は決して除去されてないというのがあります。それは明らかに出てきます。あと復元も、そのベンチマークを揃えると言いましたが、あくまでも企業、産業で切ったところの構成比のウエイトは揃えているだけですので、1つのセルの中で、そこの産業、この規模の産業の中での構造変化がもし起きたとしたら、当然それも除去されない形になると思います。そこに限界は限界かもしれませんが、ただ、そこは具体的にどこまで見えるかということのデータを、もう少し提供するような形ですね。

○樋田構成員
 そうですね。共通事業者については公表されているデータが少ないので、それが議論の妨げになっていると感じます。より詳しいデータを出していただいたうえで議論する必要があると思います。

○神林構成員
 飽くまでも、毎勤は事業所単位の事業所調査なので、その労働者一人一人の性格や性質を格納するようなデータにはなっていないですよね。自分自体の経験として、1つのアイディアは賃金センサスと事業所単位でマッチングができるので、6月について。結構コンシステントなのですね、両方。それは当たり前と言っては当たり前ですけれど。そうすると、賃金センサスを使って、6月末時点での労働者構成が、その事業所に関してどうだったのかというのは結構よく分かります。それを使って、補正するというようなことはできないわけではないとは思いますけれど。何と言いますか、別なデータを使って情報を補充するという形になりますので、政府統計のあり方としては邪道なのかというふうには思います。なので、毎勤でできることは毎勤の中でできるということに限定したほうがいいのかなというのは、今のところの感想ですが、できないわけではないとは思います。それは1つです。
 もう1つは、やはり共通事業所の性格というのが余りにもよく分かっていないので、共通事業所と非共通事業所ですね。どういう形で共通事業所というのは残っているのか、あるいは非共通事業所が出てくるのかということについて、その辺りの情報がもう少し蓄積されないと、どう対処していいかというのはよく分からないような気がします。

○今野座長
 一応、ランダムサンプリングしているわけですね。

○瀧原統計管理官
 ただ、対象はランダムなんですけども、共通になるというところがどういう対象が共通になっているのかといいますか。

○今野座長
 結果としてね。

○瀧原統計管理官
 結果としてですね。

○今野座長
 あと欠落の問題はあるね。

○神林構成員
 欠落バイアスが、どういうふうに掛かるのかというところですね。

○山田構成員
 共通という言葉が強いですね、パワフルですね。もう、これを聞くとバイアスがないというイメージを持たせるので、そこの実態が本当に担保されているものなのかというのは、やはりいろいろなところで、先ほどの回収率とかも見ておかないと、イメージだけ先行してしまうということです。

○稲葉構成員
 今の御意見に関連してなのですが、論点1に関わることで、本系列と共通事業所の集計値の特性ということなのですけれども、ちょっと資料を見ていただきたいのですが、3ページです。まず、初めに少し確認をさせていただきたいのですが、3ページの下のほうのEijというのは、本系列も、共通事業所も同じである。しかし、この上のrijに関しては、本系列と共通事業所の所が異なっていると考えてよろしいのですか。

○今野座長
 そうだろうね、戻すとき。それはそうじゃないかな。

○稲葉構成員
 そうですね。とすると、本系列と共通事業所の、その性質といったものはほとんど同じだと思うのですが、この比率、推計用の乗率の違いによって明らかになる可能性があると思います。つまり、抽出率、ほとんど全部調べているとは言え、拒否があったりとか、脱落したりとかで、そこも膨らませているわけですので。その膨らましている比率といったものが本系列と共通事業所で、どう違いがあるのかというところが見て取れると、両者の性質といったものが分かる可能性があるかもしれません。

○今野座長
 そうだろうね。

○瀧原統計管理官
 もちろん、おっしゃるとおり、今の本系列のほうも、戻す母集団労働者数は同じ形ですけれども、それがこう規模、産業別で切ったセルが全て均等になっているかどうかというのは必ずしも、癖があるのだと思うのです。回収率が違うとか。

○今野座長
 そうでしょう。それはあるよね。

○瀧原統計管理官
 ただ、そこを全部飲み込んだ上で、そこは安定的なものだとして復元していますので、ずっと経年で見ていくときには多分、安定したものになると思うのです。ただ、その性質が共通事業所になったときに同じかどうかと言われると、多分近いかもしれませんけれども、一定の何か特徴がある可能性は十分あるかと思います。

○今野座長
 ということは、私はちょっと誤解してたんですけど、さっきの復元率というのは、ずっと同じ復元率を使っているわけですか。

○瀧原統計管理官
 推定率なのですか、復元。

○今野座長
 本系列はいいのですけどね。先ほどデータをもらいましたよね。

○瀧原統計管理官
 はい。

○神林構成員
 抽出率。

○今野座長
 ごめんごめん、抽出率逆数。

○瀧原統計管理官
 抽出率は、毎年、これまでは3年に1回ですけれども、その時点で、そのときの母集団の、経済センサスの企業数を基に3%なり1%なりに収めなければいけないですから。

○今野座長
 毎回、これは見直しているということですか。

○瀧原統計管理官
 はい、見直します。それでは、議論の腰を折って恐縮なのですけれども、先ほどちょっと1点申し上げるのを忘れました。10ページなのですけれども、申し訳ありません。ここの一番下に、今の抽出率逆数をどうするかということで、※3に、「抽出率逆数は、抽出が行われた年次のものを使用しており」とあります。これが正に今の答えなんですが、ただ「例えば」以降がちょっと間違っております。「平成29年1月の実額は平成27年の抽出率逆数」とありますが、これは平成29年のとき比べたものは平成27年に選ばれているからというふうな形になりますけれども、その次の「平成30年の実額」というのは、30年1月と29年を比べたときのものは、平成27年に選ばれたものなので、後ろのほうは「平成27年の抽出率逆数」になります。
これは翌年の平成31年1月に平成30年と比べたときは、そこのものは平成31年にあるものなので平成30年1月に選ばれたものになりますので、ちょっとものが変わってくるということになります。ここは適切な表現ではなかったと思いますので、この流れで行くと、一番下の平成30年と書いているのは、平成27年の抽出率逆数ということになります。いずれにしても、その事業所が抽出された時の抽出率に応じた逆数を使っているという形になります。

○神林構成員
 なるほど。いわゆるパネルの復元倍率を使っていて、クロスセクションの復元倍率には調整してないということですね。

○瀧原統計管理官
 パネルというのは、最初のとき。

○神林構成員
 そうですね。

○瀧原統計管理官
 はい、そうです。

○神林構成員
 でもそれはできますよね。平成30年1月段階の抽出倍率を、27年に抽出されたものについても30年の抽出倍率で調整をする。

○瀧原統計管理官
 理論的には。
 
○神林構成員
 理論的にはすぐできると思いますので、クロスセクションの倍率は是非、作るべきだと思います。

○石原構成員
 なぜ、パネルの抽出率を使って。つまり本来は、その年の全事業所ではないですけれども、ものを見たいのに、昔の抽出率を使っている理由というのは何かあるのですか。

○瀧原統計管理官
 それぞれ御議論とか御示唆いただければと思いますけれども、多分、私も経緯自体を十分分かっているわけではないのですけども、もとは3年に一度、総入替をしていたというところがベースにあると思います。ですので、抽出率を作るのが、総入替のときのみであったということになります。
 今、このローテーション・サンプリングをやり出すことになって初めて、毎年そのときのものを計算する形になったわけですけれども、従来は3年に1回、そのときの経済センサスなりのものをベースにやっていて、そこだけで作っていたものなので、その翌年を計算することをしないで、そのまま一定のまま持っていたというところが、実態ではないかなという気がします。

○石原構成員
 ただ、もし今の状態を見たいのであれば、今の数字を使った方が、その年の。

○瀧原統計管理官
 そうですね。それは。

○石原構成員
 なんていうか、今の状態に復元されるということになるような気がするのですけれども。

○瀧原統計管理官
 抽出したときは、例えば5分の1で取っていれば5倍になる代表のものだけれど、今時点が6分の1だったなら、それは6倍に相当するものだというふうな考え方を取るということですよね。

○石原構成員
 はい。

○瀧原統計管理官
 それは、そうですね。

○稲葉構成員
 ただ最後にベンチマークと言われているところに合わせているので、そこはあまり気にしなくても大丈夫かと思いますけれども。

○瀧原統計管理官
 推定で合わせておりますので、比較している規模と最終形としては、それに合わせていっているということですので。

○石原構成員
 その部分では、ですね。

○瀧原統計管理官
 ええ。

○石原構成員
 その前の数字も見ますよね、多分。前のというか、ベンチマークというか、指数とかを作る前の数字も見たいと思うのですけれども。

○瀧原統計管理官
 集計結果としては、多分合っていると思います。膨らませていますので。

○今野座長
 違うことでもいいですか。一応、あれじゃないですか。本系列でいろいろやって工夫をして、オールジャパンの数字を出してるわけですよね。オールジャパンの数字で、対前年比でどのぐらい伸びたとか、こうやってるわけですけど、それを今度は共通事業所でやったときに、他にも書いてるかもしれませんけれども、11ページに、景気指標として多くの人が実感する指標を作りたいと、これはよく分からないんですよ。どういう意味ですか。

○石原構成員
 私も聞きたかったのですけれども。

○山田構成員
 私はマクロのエコノミストですので、その立場から、それをどういう感じで見てるかと言うと、多分、いろんなことで思うのですけど、マクロのエコノミストとして、この統計って非常に注目されているわけですね。その時に使っている意味合いというのは、私はいろいろあると思うのです。
 大きくは3つだと思っています。1つは、これは多分一般的に考えられているのですけれども、個人とか家計にとっての購買力が増えているのか、所得が増えているのかというのが1つですね。2つ目は企業の雇用コスト、労働コストがどう変動しているのかという場合でも使うわけですね。例えばユニットレーバーコストとするときに、これを計算します。その結果なんですけれども、3つ目は最終的に物価に対してのコストアップ、コストからの上昇圧力。多分、その3つなんです、大きくはですね。そういう形で、よく政策でも議論されていきます。
こういうとあれなのですけれども、これは多分一般的には、一番最初の個人の購買力なのですけれども、ここはやはりちょっとバイアスがどうしても入ってくる。というのは、最近の議論を見ていても、この毎勤が正しく統計的に手続きもしっかりされて出されていたとしても、よく議論されてるのは、途中でいろいろ、神林先生もおっしゃっていた話ですけれども、あるいは樋田先生もおっしゃった話ですけれども、雇用者、働いている人の属性がすごく変わっていっているわけですね。だからいわゆる、端的に言ってしまうと、パート比率が大きく上昇することによって、賃金が押し下げられてしまう。
 要は、何となく言葉の印象で言うと、個々人の生活がどうなっているのかということであれば、個々人の賃金の前年の変化、変化率の平均を取らないと駄目なんですね。もうちょっとラフに言うと、労働者の属性ごとにグルーピングした人たちの、前年変化の変化率の按分、平均を取らないと。
 ところが、実際にやってることは、ざくっと取った平均の額の変化を見てるだけなんですね。それはかなり実感とは乖離してくる。ですから、何となく議論されてる部分と乖離が生じている。ですから、やはりエコノミストの中でも、そこの議論というのはあるわけですね。
そういう話をすると、もう次の話になってしまうのですけれども、結局まずは、やはりこの共通事業所というのは、一体何を意味してるのかという話を明確にした上で、そこが示しているものは一体本当は何なのかという、一般的に言われているものを、必ずしも多分意味してないんですね。そうであるのであれば、そこの誤解を解くようなことはしっかりと説明をしていく。もしかしたら必要に応じて違う系列で補足的なものを出すということもあり得るのではないかと思います。
というのは、私なんか思うのは、個人の実感ということで言うのであれば、今はもうざっくりと平均しているわけですけれども、例えば事前にウエイトを固定してしまうと。ある時点で産業別、それから例えば規模別、それから就業形態別は今、取れますよね。その時点を固定してしまって、それで按分していった指数を出していくというものですね。
 確か、アメリカなんかは、雇用コスト指数って少し不正確なんですけれども、そういう考え方を取っているのではないかと思うのですね。だから、これは1つのオプションなのですが。ですから、ここが何を意味してるのか。かつては多分、ざっくりとパート率も小さかったし、大体底上げで上がってきたので、この統計の意味というのは、ラフに言うと正しいというか、大体イメージしているものを示していたと思うのですけれども、だんだんと構造が変わってきて、そこの乖離が生まれてきているということです。

○今野座長
 でも一応、パートは出ているわけですよね。一般労働者とパートで。そこで見ればいいのではないかと思うのです。

○山田構成員
 そうなんです、普通はそうなんです。だからある意味、分析する人たちは、それを分けて出して分析するわけですけどね。でも結構、1つの数字でというのは分かりやすい数字なので基本的にはそこを使われて議論されているという。そこは専門家とかの人たちの使い方の問題だとは思いますけれども。

○神林構成員
 山田さんがおっしゃったのは、例えばフルタイムとパートタイムの系列は別々に出ますよね。

○山田構成員
 はい。

○神林構成員
 それを合わせて全国系列に直すときに、例えば2000年のウエイトで固定して。アグリゲートする。

○山田構成員
 それは私が3つ言った上の、1つ目の目的には使われる。だから、目的に応じてやはり使い方が違うわけですね。もう1つ言うと、グローバルで見ると、多分統計は、例えばアメリカとかだったら時給を出すのですね。日本はそういうやり方をやってこなかった。もともとは恐らく3つ言ったうちの一番目の意味合いからやって楽にそれができたから問題がなかったのでしょう。構造変化が起こる中で、実はそうではなくなってきていると。
 ですから、もちろんヘッドラインで何を出すかというのは結構、重要でインパクトは大きいので。でも実際にやり方や使い方によって加工なり、どういう指標を使うかということを考えていかないと駄目なわけですけれども。
というか、そういう議論なしに、単純に統計だけの話をしていると、やはり最終的には素人が使って、それをどう受け止めるかということがあると思うので、そこの部分もどこまでやるかというのはあるのですけれども。すみません、ユーザー的な観点から少しコメントさせていただきました。

○神林構成員
 よろしいですか。むしろ山田さんにちょっとお聞きしたいのですが、その2番目の点です。企業のユニットレーバーコストとして考えるときは、時間賃金に直すのが一般的だと思うのですけれども、その場合も、やはり構成が変化することによって平均時間賃金というのは変化するわけです。家計の購買力という側面と比べると、時間賃金に直せば構成の変化というのは余り影響がないような気がするのですが、それはどういうふうにお考えですか。

○山田構成員
 家計のほうは、あくまで個々人の印象の平均ですよね。でも企業って、労働者一人一人の賃金を別に最終コントロールしているのではなくて総額でやってますよね。ですから、そこはあえて、さっき申し上げたウエイトを固定した指標を出すような使い方は必要ないと思うのです。

○神林構成員
 なるほど。

○山田構成員
 物価に関しても結局、コストプッシュのほうで考えると、2番目に申し上げたことの派生なので。世界でも、そこは多分そういう形でやっているのではないかと思うのです。

○今野座長
 今度は外部から見て、では何で企業のレーバーコストが落ちたのかというときに、パートが増えたから落ちたとかということになると、ちょっと分解してデータをもらったほうがいいですね。

○山田構成員
 だから多分、かなりすでに素材はあるのですね。すごいいろんな良い素材が入ってるのですけれども。やはり伝え方というのが、結局、昔出したままでずっと来てしまって、ただ使い手のほうも必ずしもプロばかりではないので、ややそこに誤解が入っていって、そこの間に我々がちゃんと伝えていくということをやるというのが本来の仕事だと思うのですけれども。そういう問題もあるのではないか。だから統計…。

○今野座長
 ということは、極端なことを言うと、共通事業所集計なんか要らないから、本系列の出し方を工夫して変えればいいではないかという話だよな。

○山田構成員
 必ずしも、それはそうではないかもしれない。例えばこれはアナロジーなんですけれども、ちょっと先ほど聞いていると、共通事業所というのを私がイメージしているのと少し違うかなという気もするのですけれども。よく我々、民間エコノミストが、小売関係の統計を見るときに、既存店ベースと全店ベースの比較の両方があるので、やはり両方を見ていきます。だから、それぞれにバイアスがあるので、意味がないまでは言えないのかなと。ちょっとそこは保留、私も分からないです。保留ですね。

○今野座長
 分かりました。ほかにいかがですか。

○中井参事官(企画調整担当)
 先ほど今野座長がおっしゃった、パートの時給の話で言うと、実は総額では見えないのです。時給データは2%以上上がって、上昇率は高くなっているのですけれども、一方で、先ほどの時間当たりというのが重要で、労働時間が実はトレードオフ的に減っていまして、総額で見ると実は大して増えていないみたいな。そういうところをどう考えるかというのは、見せ方の問題という御指摘もありましたけれども、そういうところがあるのかなというのは、実感と数字の意味みたいなものがあるのかなというのは。今回のメインテーマではないかもしれませんけれど。

○山田構成員
 すみません、少し話が外れて申し訳ないです。

○稲葉構成員
 質問ですが、統計委員会での発言があったときの背景の情報とか資料みたいなものはあるのでしょうか。即ち、景気指標としての賃金変化率を共通事業所による前年度別比率を重視していくといったものの背景資料といったものはあるのでしょうか。

○中井参事官(企画調整担当)
 背景資料ということで言えば、多分、その場のやりとりの議事録があるかと思いますけれど、それはちょっとまだ。先生の今のお話は、多分ちょっと材料不足ではないかという御指摘だと思うのですが。

○稲葉構成員
 そうですね、もう少しあれば判断をしやすいという。

○中井参事官(企画調整担当)
 そういうことですね。なので、そこら辺の背景の事情の分かるものを、やり取りも含めて、中で整理させていただければと思います。

○稲葉構成員
 あと、単純に考えるならば、西村先生のおっしゃったことというのは、同じ事業所で推計をしているので、そういった場合においては独立ではないということから、標準誤差が小さくなるはずなので、非常に単純な話で、そちらを言われているのかなと。
ただし、今回この共通事業所を考える際に重大なのは、前年同月比としての標準誤差率は小さいけれども、実際に出てくる数字の標準誤差は大きい。なおかつ、標本抽出に関わる誤差以外の部分、即ち偏りの部分で脱落があったりとかして、標本自体の状況が変わってきているというような、非標本誤差に関わる部分、この2つの部分を検討しなければいけないので、もし標準誤差が前年同月比で小さくなったとしても、バイアスによって誤差が大きくなるとしたら、共通事業所の発表自体もちょっと難しくなってくるかもしれない。そこの検討が必要ではないかと思います。

○中井参事官(企画調整担当)
 すみません、1つ戻って背景事情の話で1つだけ、やり取りを整理すると申し上げたんですけれども。やはり、今回そういう話が出てきたということの1つとして、いろいろ言われています段差の問題があります。平成29年から平成30年にかけてサンプルを変えたときに、ローテーションに変えたと同時にベンチマーク、あるいはウエイト更新と言いますけれども、やはりそういう所に影響があるという話があります。
 それは単月だけで、平成30年1月というのは、前のサンプルと今のサンプルということで、両方を取るので比較できるということで、いろいろあって現在の状況からすると、そこの段差というのは、0.5ポイント。うちベンチマークの要因が0.4、サンプルの入替の影響が0.1という話があるのです。そういったところが1年間続くんですけれども、2月以降は同じ程度だと言いながらも数字は分からない状況になっていて、古いサンプルと新しいサンプルを比較できるのが1月だけということなのです。
 そういうことが一定程度あるということが1年間あるので、そういったものの影響を取り除いて見ることができるのが共通事業所であるということなので、その段差の影響を考えずに済むという、そのメリットというのはやはり相当意識されていたのではないかと思います。そこはちょっと資料を整理させていただきますけど。

○今野座長
 他に、どうですか。

○樋田構成員
 共通事業所の変化率も、本系列と同様に要因分解できないでしょうか。共通事業所の平均賃金が前年同月で1%増加したときに、その1%が,例えば共通事業所に含まれている事業所の平均賃金や事業所・労働者の構成に関連するのか,あるいはベンチマークに関連するのかとか、その要因を明らかにできるのではないかと思います。増加率だけを出すのではなくて、その要因まで調べておくことが誤解のない使われ方につながるのかなと思います。

○瀧原統計管理官
 今の話の件なのですけれども、ベンチマークの件で言いますと、それは多分、先ほど言いましたようにベンチマークの要因を抜いて作ってますので、仮にベンチマークを抜かずに、ベンチマークを同じようにしていたら、共通事業所の前年同月比でどう違うかというところで、多分そこは見ることができると思います。労働者数の変化というのは、どういうイメージでしょうか。

○樋田構成員
 例えば、これは共通事業所では乗率の掛かり方というのが変わってきますよね。

○瀧原統計管理官
 変わってきますね。

○樋田構成員
 それが変わったことが、共通事業所の変化率にどう関連したのかを調べられないかということです。

○瀧原統計管理官
 ですから先ほど議論もありましたけど、推計比率と我々が言っているものが、全体の母集団に戻すときの、この数値の戻し方が違ってきているだろうということで、そこの部分の影響ということですか。

○樋田構成員
 はい、そうです。

○瀧原統計管理官
 なるほど、ちょっと検討させてください。

○石原構成員
 先ほど中井さんがおっしゃっていた、サンプルを替えるときに、段差とかギャップとおっしゃっていましたけれども、そこが問題になるので、それがならないものとして共通事業所が出てきたとおっしゃったのですけれども、もしかして、昔の資料で、なぜ段差やギャップが起こってしまうのかということについては何か議論がされていたのですか。

○瀧原統計管理官
 そこは議論というか、実際に結構、段差がでてしまうことが非常に分析しにくくしているというふうな、ユーザーから見た不便さがあるのですけれども。それは、なぜできているかというのは1つ、3年に1回総入替をするという。それは2つ意味があって、総入替という部分と、3年という、継続的な調査としては長い期間を同じ企業でやっていると、当然長くやれば生き残りバイアスというのが発生しやすくなってきますから、その辺の部分と。それから一斉入替をすると、だんだん変化しているかもしれないものが一時に全部吐き出されるということになりますので、その辺をもう少し緩和できないかということで、今回のローテーション・サンプリングの流れは多分、そういう流れで今、3分の1ずつを1年間で入れ替えていくという議論の結果になったのだと思います。
 ただ、そこは入替の話ですので、実はベンチマークのところは、それとはまたちょっと違う話になってくると思います。これまでは経済センサスが5年に1回なり、本調査で大きく変わったときに、それを抽出替えの段階で、全て新しく反映させようという形でやってきていますので、当然そこで大きなギャップが出るということになりますので。
 そういう意味では、なぜギャップが出るかというところは、一度に過去からのずれというのでしょうか、何かを解消しようとすることによってできている。それを、もう少しうまくできないかというところが多分、この議論の、これまでの議論もそういうのが議論されてきたのかなと思います。

○今野座長
 今の石原さんの質問は、なぜ、そのずれが発生するのかという、そういう話でしょう。

○石原構成員
 はい、それは3年に1回。

○瀧原統計管理官
 そうなんですけど。

○石原構成員
 ただ、普通に考えると、たくさんの中からランダムに選んできていて、ランダムなので、それほどずれないだろうという感じがちょっとするのですけど。

○瀧原統計管理官
 多分、ベンチマークといわれている、構成ウエイトの話でいうと、全数調査が5年に1回だったという形で多分、経済センサスも5年間で産業構造とか企業規模のウエイトというのは、だんだん変ってきているのだと思いますけれども、それが5年に1回の調査なので、5年ごとに相違が露わになってくるということかと思います。
 それを一度に反映させると、やはりギャップが発生するということなのかなと思うのですけれども。
 
○石原構成員
 そうすると、共通事業所ではなくても今のローテーション方式に変えることによって3分の1ずつギャップが埋まる、分散されていくので、それだけでも別にいいというか、共通事業所をわざわざ作る必要がない。まず、そこで均したものができるのではないかという気もするのですけど。

○瀧原統計管理官
 すみません、私も過去の、先ほど申しましたが、中で整理する必要はあるのかもしれませんけれども、ただ多分、そこは同じ方向を向いていて、ローテーション・サンプリングをやることによってギャップを、3年ごとに一度に出たものを3分の1ずつ毎年というものが分かりやすい形になると思うのですけれども。
 それをやるには経過措置的に少し、そのパターンに乗るまではどうしても時間がかかりますから、例えば2分の1入替えで平成30年1月にやれば、ある程度出るので、それを補完するものとして共通事業所、継続サンプルというところに注目して参考値を出すことによって、より情報が充実するのではないかという観点があったのではないかという気がします。

○中井参事官(企画調整担当)
 すみません、何度も。本当に今回の話というのは、いろんな要素が入り混じっていて複雑で分かりにくくて、なかなか我々も日常的に説明するのに苦慮しているところであって本当に恐縮なのですが、もともとの話として、先ほどのサンプル入替の影響で、どうしても一定の差が出てくるという話と、それからあとは、やはり5年に1回の母集団の更新ですね。
先ほどからベンチマークの入替えとか、ウエイト更新という言い方をしていますが古い経済構造から新しい経済構造に変るということで、そこにアジャストというか合わせていくという、そういうことをやるときに、しばらくはどうしても統計が出てから使うという話になるので、古い経済構造から新しい構造になるとき、飛び越えたときに、いきなりジャンプしたような形になるのが、結構大きな段差として出てしまうということがあり、これまではギャップ修正という言い方で、先ほどのサンプルの入替えと、ベンチマークの更新の影響というのをならすような調整をずっと入替えごとにやっていたんですが、それが評判があまり良くなくて。
というのは過去に遡って数字を変えることになるので、その時の判断材料として作って出していた数字が後になったら違っていましたみたいな話になってしまって、それが評判が悪くて、そういうやり方を変えるべきではないかといった話がもともと今回の発端であります。そこから来ていて議論の中で、過去に遡って数字を変えないような統計の作り方をしようというところから来ているのですね。
 それで、そのギャップ修正はやらないということの前提の中で、いかにして統計の精度を上げていくか、その一環としてのサンプル入替えを3年に1回ではなくて、毎年少しずつ部分的にするとかいう、そういうことも含めてやっていこうという、そういう流れの中での話なのです。その中でベンチマーク更新の影響が、一定程度出てしまうということがあるので、その影響を除いてみることができる共通事業所というものを作っていきましょうといった、そういう一連の流れがあるということです。

○今野座長
 ベンチマークの問題は、他の統計でも見たような悩みというのがありそうだけど。

○山田構成員
 それは過去に遡って、GDP統計とかもありますし、物価などもそうですね。だから、恐らく標準的にはローテーション・サンプリングを入れて、ベンチマーク修正のときに過去に遡って系列をわーっと変えてしまうというのは一般的な統計のやり方だと思いますね。ちょっと違うやり方をされてきたということだと思いますけど。基本的に、それに合わせていこう。
 これは確認なんですけど、ベンチマークが変わったときの指数の調整というのは、今後はどうされるのですか。過去にわたって全部変えてしまうのか、やり方いろいろあると思うのですけど。

○中井参事官(企画調整担当)
 それについても、統計委員会の中での議論がちょっと足りない側面もあったということがあるのですけれど、去年の8月の時点で、やはり過去に遡って変えないということで、それはベンチマーク更新も含めて、改めてそこで再確認していただいてはいるのです。
 ただし、そのときに言われたのが、やはりそういった更新の影響がどの程度あるのかということの情報提供が、我々は足りないと。それが不足しているということを、かなり厳しくお叱りを頂いて、そこを丁寧にやっていく必要があるということとセットで、やはり情報をもっと出していって、何でこうなっているかということの情報をきちんと出した上で過去は変えないということです。引き続き、それでやっていこうと、そういうことで統計委員会で整理していただいたと、そういう状況です。

○山田構成員
 過去を変えないというのは、伸び率を変えないのか、水準を変えないのか、水準は変わらざるを得ないのか。伸び率を変えないということで。

○瀧原統計管理官
 今やっておりますのは、両方とも変えない。

○山田構成員
 両方とも変えないんですか。

○今野座長
 そういうことだね。

○瀧原統計管理官
 ですので、段差のみが残るという形です。

○山田構成員
 だから、この共通事業所で、という話になっているということですか。段差がほとんど残ってしまう。

○今野座長
 その段差がなぜ起きたかという説明を丁寧に付けろという話ですね。この過去を直したほうがいいような気がしますが。

○山田構成員
 すごく使いやすいのかなというのは…、ちょっとすみません。独り言みたいになってしまいました。

○今野座長
 これで共通事業所で、長期推計指数にしろとかいうのは、改善年をずっとつなげていって、長期指数か何かにしろという話なのですか。

○瀧原統計管理官
 いえ、そこは正に、御苦労いただければと思うのです。今の推計自体では、統計委員会も含めて、共通事業所については前年同期比を出すという形までは決まっているのですが、それ以上の付加的な情報は特段決めているものではありません。現在は前年同期のみのもので、指数的なものは出していないのが現状です。

○今野座長
 そうすると、長期指数とは今は賃金指数がずっとあって段差が起きました。

○神林構成員
 それで、ベンチマークが更新されました。

○今野座長
 そのままです。それで、今度また新しく、戻して、また長期推計をつくるのか。

○瀧原統計管理官
 はい。

○今野座長
 そういう形になるのですか。

○石原構成員
 戻して。

○今野座長
 戻してというか、ベンチマークを変えた所から、ギャッブが発生しますよね。

○瀧原統計管理官
 単に数字出しっぱなしという感じがあるのですが、過去のものがありますので、この時点でサンプルの入替えをしました、ベンチマークも変えましたというときに、そこで一定のギャップがあっても、ギャップの所からまた推計するという。

○今野座長
 ああ、そうなりますね。

○瀧原統計管理官
 ええ。

○神林構成員
 そこで、共通事業所の部分が、そこの橋でブリッジになっているはずですから、共通事業所の伸び率を追って並行移動させてグシャッとくっ付けてしまえというのが1つのやり方です。しかし、全体の中で共通事業所の伸び率がどういう位置にあるのかが分かれば、ある程度それはできますが。

○今野座長
 そうだよな。

○神林構成員
 それに生き残りバイアスが掛かっていますので、共通事業所の上がり方にかなり情報バイアスが掛かっていたら、それで修正した数字も情報バイアスが掛かりっぱなしになってしまうということです。

○今野座長
 そうなりますね。

○神林構成員
 だと思うのです。

○山田構成員
 ユーザーの立場から言いますと、少し言いましたように、例えばアナロジーでいうと、小売統計の場合は2つ、2本をにらみながら見るのですが、やはり共通事業所は構造変化が見えないわけですから新しいものは入ってきませんよね。そうすると、今の御説明ですと、指数がベンチマークごとに飛んでいるということですよね。

○今野座長
 そうなりますね。

○山田構成員
 これはユーザーとしては、そうであれば我々は、改めてそこを、こちらで水準調整をして接続して系列を作って使わないと駄目だということになりますね。ですから、そういうことになるのですね。

○今野座長
 あなたが考えろと、ユーザーが考えろと。

○山田構成員
 まあ、そういう事実は分かりました。付随して言うと、一般的には、系列は連続して過去に遡ってベンチマークの以前も戻すことは、結構やられていますね。

○瀧原統計管理官
 毎勤統計も、そういう形で今までやってきたというのが。

○山田構成員
 なるほど。事実関係ですね。

○今野座長
 それでは、そろそろ時間ですが、皆さん、言いたいことは言いましたか。

○稲葉構成員
 今回の共通事業所の話は、ローテーション・サンプリングが完全に移行する2020年以降であれば安定するわけですが、それまでは経過措置であるわけですので、それぞれの発表年次、例えば平成31年3月にはどういう事業所に基づいて計算をされたものなのかという情報が、月ごとにあれば分かりやすいなと。それが、本系列と共通事業所では、どう違うのか。さらに言うならば、調査の対象になってからの経過年数の違いが、どのぐらい違うのかですね。それが、もし分かりやすく、将来については分からないのですが、今の状況で、ここ1年ぐらいの状況は分かるはずですので、それを見ただけでも本系列と共通事業所の系列がどう違うのか。そして、共通事業所の系列が18年、19年、20年、21年となっている間に、基となっている事業所数がどう変化するのかを、予想で構いませんので情報として頂ければと思います。以上です。

○今野座長
 ほかにいかがですか。

○石原構成員
 今のお話で、いろいろなデータをくださいとおっしゃったので、今のところ何を準備なさる予定なのかを教えていただけますか。

○今野座長
 それは、多分メモに入っています。宿題は3つぐらいはあった気がしますが。

○瀧原統計管理官
 まずは、共通事業所の中の属性ですね。実際に共通事業所として選ばれている所が、先ほどで言うと9,000ぐらいのサンプルとしかデータがありませんので、その中がどうなっているかが可能な範囲で。毎勤の調査項目の範囲内にはなってしまいますが、そこはやるという形になります。それから。

○石原構成員
 何か、労働者の。

○瀧原統計管理官
 ベンチマークの話なり、労働者の部分の要因が、どう利いてくるかがありますね。

○神林構成員
 年齢とか、学歴構成とかは入っていないので。

○今野座長
 しょうがないね。

○樋田構成員
 これでは取れないです。

○今野座長
 取れないな。

○神林構成員
 賃金センサスとマッチングすれば、なんとかはなりますが。

○樋田構成員
 まずは、事業所の構成がどうなっているか。特に、第二種と第一種の構成が全事業所と共通で、どのぐらいずれているかを確認する必要があります。

○山田構成員
 一応、回収率の検討もお願いします。

○今野座長
 回収率もそうでした。石原さん、何かお願いしたいことはありますか。

○石原構成員
 男女比とかはないのですよね。

○今野座長
 ないのでしょう。

○石原構成員
 あるのですか。

○瀧原統計管理官
 一応、調査票上は取っていますので。

○石原構成員
 多分、パートと正社員と同じような感じで、男女の構成比率は重要なのではないかと思うのですが。

○今野座長
 単に、一般労働者とパートというのも、例えばパートの人数を聞いて、パートについての労働時間を聞いて、パートについての賃金総額を聞いているはずですね。

○瀧原統計管理官
 はい。

○今野座長
 そうでないと、これは出ないですよね。それで、男女もそう聞いているのですか。単に、事業所属性だけで聞いているのではないですか。

○山田構成員
 あまり見た記憶がないですね。

○石原構成員
 見た記憶がないのですが。

○今野座長
 それは、できないと思いますよ。

○石原構成員
 でも、もしかして割合とか。

○樋田構成員
 一般労働者については、男女別で聞いているのではないでしょうか。

○瀧原統計管理官
 一応、聞き方としては、賃金総額を男女別に聞いています。

○今野座長
 賃金総額を、男幾ら、女幾らと。

○瀧原統計管理官
 賃金総額も労働時間も……ですが。

○今野座長
 そうですか。

○神林構成員
 パートについては、男女がないです。

○今野座長
 なくて1本ですか。

○瀧原統計管理官
 パートはないです。

○今野座長
 そういうことになっているわけですね。

○瀧原統計管理官
 パートは1本です。

○神林構成員
 一般労働者については分解できるのですか。総額だけではなくて。

○瀧原統計管理官
 そうですね。

○田中審査解析官
 ですから、一般労働者の分解は、今は男女別の数字、両方挙げたものから、それが常用労働者の全体と、先ほど神林先生がおっしゃったパートの部分を差し引いてということです。

○今野座長
 そういうことですね。

○樋田構成員
 そうすると、その変化を男女別や一般・パート別の要因に分けられるのではないでしょうか。

○瀧原統計管理官
 男女を一般・パート別で。

○樋田構成員
 男女別や一般・パート別の賃金の変化が足し上げられて、共通事業所や全事業所の賃金の変化になっているわけですよね。

○瀧原統計管理官 
 データ的には、男女とパートがクロスにはならない。

○樋田構成員
 そうですね。そこは無理ですね。

○瀧原統計管理官
 男女は男女でやって、パートと一般はそれぞれで、ということですね。

○今野座長
 直感として、先ほどから少し出ているのですが、回収率の話が出たのですが、脱落率はどの程度なのですか。1年、2年と、3分の1であれば3年間は答えなければいけないのですよね。今は2分の1でしたら、2年間というように、どの程度落ちているものなのですか。

○石原構成員
 何か先ほど、その質問もあった気がするのですが。

○今野座長
 あったのですね。

○石原構成員
 脱落する事業所はどういう事業所なのかという質問がありましたよね。

○今野座長
 先ほどから、一般的にはパフォーマンスの悪い所は落ちていくだろうみたいな話をしていましたよね。
 
○瀧原統計管理官
 していましたね。脱落も若干、少し難しいのが、明らかに脱落するのは、廃業や規模が変わってしまった所は完全に落とすのですが、調査票を出してこないことだけでは脱落にはならなくて、かつて出さなくても、また出してくる所もありますので、今どれだけ脱落しているかは、そんなに明確には出てこないと。

○神林構成員
 ただ、今月の属性を使って、来月の回答が来ない確率は計算できますよね。

○瀧原統計管理官
 そうですね。

○神林構成員
 情報は限られていると思いますが、どんな規模や、それこそ平均賃金の多寡で、平均賃金が高い所が生き残るのか、低い所が次の月に回答を出さないようになるのかというのは、簡単なレグレッションで見ていくことはできますよね。

○今野座長
 理由は何でもいいわけですね。分からないから。

○稲葉構成員
 提出率ですと、82%ぐらいだそうです。違う資料ですが。

○今野座長
 違う資料ですか。むしろ、それは、いわゆる回答率ですね。

○稲葉構成員
 提出率なので、先ほどおっしゃったように分割はできないですね。本当の脱落と、回答していない場合とに。

○今野座長
 そうですね。

○石原構成員
 それは、意味が違う。

○今野座長
 そういう意味ですね。

○神林構成員
 最初から回答しない。

○瀧原統計管理官
 明らかに脱落というのは、そこの事業所がなくなったとか、あるいは対象規模が外れてしまった場合には、それはもう完全にリストから落とすのですが、今月出さなかった所には、来月またお願いします、出さなくてもまたお願いしますとなりますので。実際に、それで出てくる所も一定の割合でありますので。そういう意味では、ずっと出している所と出さなくなるというよりは、出したり出さなかったりという企業も、中には入っていることになります。

○樋田構成員
 脱落というか、提出されなかった理由については区別できないわけですが、今月調査対象になっていて今月提出してきた事業所と、提出してこなかった事業所が、前月どういった数字を提出してきたのかを比べることは意味があると思います。これは,脱落の状況、未提出の状況を調べる上では必要な数字と思いますので是非作っていただきたいと思います。

○瀧原統計管理官
 はい。

○神林構成員
 マイクロデータにアクセスできれば、自分のほうでもやりますので、是非それは、よろしくお願いします。

○今野座長
 それでは宿題の整理も終わりましたし、いろいろ意見も頂きました。一応、先ほど事務局からありましたように、3つの論点が事務局案として出されました。取りあえず、これでいけばいいかなとは思うのですが、いかがですか。これに従って、少し進めながらやって、更に論点があるのでしたら追加していってもいいということで、とりあえずは、このような論点でやっていこうかと思います。そうすると、この論点に沿って次回は議論の内容や資料の内容を絞っていただいて議論するということで1回目はやってみて、また拡散するようでしたら、ここを変えればいいだけの話です。ということで一応、事務局としては、この論点に沿って資料を用意していただくのと、先ほどの宿題です。それから、この論点に沿って、サブ論点があったら整理しておいていただいて、次回に議論をしてみましょう。

○瀧原統計管理官
 それでは頑張って宿題をやりますが、時間が掛かったりするものが一部あるかもしれませんが、そこはきちんと精査した上で。

○今野座長
 何か働いてもいいという人もいますし。

○瀧原統計管理官
 ありがとうございます。

○今野座長
 それから、もう1つは我々だけの議論ではなくて、他の専門家の方の話を聞いたほうがいいということであれば、ここにお呼びしてヒアリングをすることもできます。その辺りは、もし希望があれば事務局に出していただいたほうがいいでしょうか。こういう分野の人の話を聞いたほうがいいのではないかとかいうのは、何かありますか。

○神林構成員
 物価です。資本コストの推計をするときに参考になると思うので。デフレーターをどう作るかという話ですから、それは自分の専門外なので。

○今野座長
 ほかにありますか。希望を言っていただければ。希望だけ言えばいいです。あとは全部やってくれるのですから、言ったほうがいいですよ。特にありませんか。では、次回の検討会で、あれば言っていただくということで。今のところは、物価の専門家という意見がありましたので、検討していただきたいと思います。

○瀧原統計管理官
 はい、分かりました。

○樋田構成員
 物価といっても、かなり広いと思うのですが、どういう分野ですか。

○神林構成員
 先ほど山田構成員がおっしゃったように、世帯から見たときの購買力だと見なすのであれば、消費者物価ですね。消費者物価のうち、どういう系列を共通事業所に関してだけ取り出したときに、それにどういう物価を当てるのかがよく分かりません。それが1つです。
 もう1つは、企業サイドからユーザーコストと見なしたときには、消費者物価ではなくて企業物価を使わないといけないわけです。そちらのほうが、もっと複雑だと思いますので、それこそ産業別、規模別で多分、企業物価が違いますので、ウエイトと直接相関するような格好になってしまいます。それは、どのように計算するべきなのか、あるいはどういうものを当てるべきなのかは専門外なので、詳しい方に是非お聞きしたいと思います。

○今野座長
 分かりました。ということは、今考えていることは、もし実質化するとしたら、今は簡単に消費者物価を使えばいいじゃないかという話になっているけれども、そうではなくて、実質化するときの指標を少し考えたほうがいいという話なのですね。

○神林構成員
 全国1本で平均を取ってしまったら、平均の消費者物価を当てるというのは非常にもっともですが、もし仮に、共通事業所で、非常に特殊な事業所だけを取って、そこで働いている人たちが非常に特殊の方たちだとすると、それに平均的な物価を当てて実質の購買力を評価するというのは、ある意味バイアスを掛けることになるので、明らかにバイアスが掛かるというのが分かるのであれば修正はしたほうがいいのかなと思います。

○山田構成員
 もともと企業の実質賃金といった場合に、普通は家計をイメージするわけです。もちろん実質賃金もありますが、コストを考えたときに例えばGDPデフレータでやるほうが分析上いいのではないかという議論はあるわけです。ですから物価のところは確かに、すごく。実質化とは、そもそも何を意味するかということ自体、本当はものすごく難しい問題だと思うのですが、専門家に見識を聞けるのでしたら。

○今野座長
 聞いたほうがいいと思います。ということで、時間になりましたので、今日はここまでといたします。今日はいろいろと良いアイディアを頂きましたので、もう一度整理をしていただいて、次回以降に、またお願いいたします。

○瀧原統計管理官
 特に次回は、たくさん宿題を頂きましたので、頑張って計算なり資料を作ります。まず、本系列と共通事業所の特性がどう違って、共通事業所は何たるかという部分をデータで洗い出すような感じですね。

○今野座長
 今日の宿題を踏まえて、準備するのに時間がかかりますよね。

○瀧原統計管理官
 はい。

○今野座長
 では、その準備状況も考えて、次回の日程は改めて設定させていただくということですね。

○細井統計企画調整官
 そのようにさせていただければと思います。

○今野座長
 それでは、今日は終了いたします。

○細井統計企画調整官
 本日は長時間にわたり御議論いただきまして、ありがとうございます。最後になりましたが、藤澤統括官より御挨拶させていただきます。

○藤澤政策統括官
 遅れてまいりまして申し訳ございませんでした。2月から統計担当の政策統括官を拝命しております藤澤と申します。先生方には大変お忙しい中、また委員をお引き受けいただきまして、ありがとうございます。途中からではありますが、大変有意義な御議論を頂き、ありがとうございます。統計学や経済学に関わる有識者の先生方として、専門的なお立場から引き続き御検討いただければ有り難いと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○細井統計企画調整官
 以上をもちまして、第1回検討会を閉会いたします。

                                                                                                                                                         (了)


<照会先>
政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室
電話:03-5253-1111(内線7609,7610)
政策統括官付参事官付統計企画調整室
電話:03-5253-1111(内線7373)
 

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