ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会)> 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録(2016年11月24日)




2016年11月24日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

○日時

平成28年11月24日(木)16:00~


○場所

厚生労働省専用第12会議室


○出席者

出席委員(13名)五十音順

○新 井 洋 由、 川 上 純 一、 川 崎 ナ ナ、 清 田   浩、
 鈴 木 邦 彦、 関 水 和 久、 田 島 優 子、 田 村 友 秀、
 中 島 恵 美、 濱 口   功、 増 井   徹、 森 田 満 樹、
◎吉 田 茂 昭
 (注)◎部会長 ○部会長代理
 他参考人1名

欠席委員(8名)

大槻 マミ太郎、 奥 田 真 弘、 菊 池   嘉、 中 野 貴 司、
半 田   誠、 前 崎 繁 文、 山 口 拓 洋、 山 本 一 彦

行政機関出席者

武 田 俊 彦 (医薬・生活衛生局長)
森    和 彦 (大臣官房審議官)
山 田 雅 信 (医薬品審査管理課長)
佐 藤 大 作 (安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
宇 津    忍 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
林    憲 一 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
猿 田 克 年 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○医薬品審査管理課長 「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」を開催いたします。本日は天候が悪い中、お忙しい中御参集いただき、誠にありがとうございます。

 本日の委員の出席状況ですが、大槻委員、奥田委員、菊池委員、中野委員、半田委員、前崎委員、山口委員、山本委員より、御欠席との御連絡を頂いております。現在のところ、当部会委員数21名のうち、13名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。なお、本日は審議事項議題1に関して、社会福祉法人聖霊会聖霊病院院長の森下剛久先生を参考人としてお呼びしております。どうぞよろしくお願いいたします。頭撮りはここまでといたしますので、よろしくお願いいたします。

 吉田部会長、以後の進行をお願いいたします。

○吉田部会長 本日の審議に入ります。事務局から配布資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについての報告をお願いします。

○事務局 本日は席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。また、議事次第に記載されている資料1から資料14をあらかじめお送りしております。このほか、資料15、審議品目の薬事分科会における取扱い等の()、資料16、専門委員リスト、資料17、競合品目・競合企業リスト、資料18、各品目の有効成分の化学構造式、資料19、ニボルマブの最適使用推進ガイドライン()の草案段階のもの、資料20、ジメンシー配合錠に係る前回部会後の対応についてを配布しております。

 続いて、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告いたします。資料17の1ページ目を御覧ください。トレアキシン点滴静注用25mg、同点滴静注用100mgですが、本品目は低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 2ページを御覧ください。アーウィナーゼ筋注用10000です。本品目は、「急性白血病(慢性白血病の急性転化例を含む)、悪性リンパ腫 ただし、Lアスパラギナーゼ製剤に過敏症を示した場合に限る」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。

 3ページを御覧ください。キイトルーダ点滴静注20mg、同点滴静注100mgですが、本品目はPD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 4ページを御覧ください。リアメット配合錠ですが、本品目はマラリアを予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 5ページを御覧ください。デシコビ配合錠LT、同配合錠HTですが、本品目はHIV-1感染症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 6ページを御覧ください。オテズラ錠10mgほか2規格です。本品目は、尋常性乾癬及び関節症性乾癬を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 7ページを御覧ください。イラリス皮下注用150mgですが、本品目は家族性地中海熱、TNF受容体関連周期性症候群、高IgD症候群(メバロン酸キナーゼ欠損症)を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。

 8ページを御覧ください。avelumabですが、本品目はメルケル細胞癌を予定効能・効果としており、同様の薬理作用を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 9ページを御覧ください。ベバシズマブ(遺伝子組換え)ですが、本品目は悪性胸膜中皮腫を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。

10ページを御覧ください。spiramycinですが、本品目は妊婦のトキソプラズマ症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。御説明は以上です。

○吉田部会長 今の事務局からの説明に、特段の御意見等はございますでしょうか。ないようですので、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆様の御了解を得たものといたします。

 委員からの申出状況についての報告をお願いいたします。

○事務局 各委員からの申出状況については次のとおりです。議題1のトレアキシン点滴静注用は、退室委員なし、議決に参加しない委員は清田委員です。議題2のアーウィナーゼ筋注用は、退室委員と議決に参加しない委員はともになしです。議題3のキイトルーダ点滴静注用は、退室委員は田村委員、議決には参加しない委員はなしです。議題4のリアメット配合錠は、退室委員と議決に参加しない委員はともになしです。議題5のデシコビ配合錠は、退室委員と議決に参加しない委員はともになしです。議題6のオテズラ錠は退室委員はなし、議決には参加しない委員は田村委員です。議題7のイラリス皮下注用は、退室委員と議決に参加しない委員はともになしです。議題8のavelumabは、退室委員と議決に参加しない委員はともになしです。議題9のベバシズマブは、退室委員はなし、議決には参加しない委員は田村委員です。議題10spiramycinは、退室委員と議決に参加しない委員はともになしです。以上です。

○吉田部会長 ただいまの事務局からの説明に、特段に御意見等はありますか。ないようですので、皆様に御確認いただいたものといたします。

 議題に入る前に、事務局から前回の部会における委員の先生からの御意見に対して、説明があるそうです。よろしくお願いします。

○事務局 当日配布資料20を御用意ください。1111日に開催された前回の医薬品第二部会で頂いた御意見について、当日お答えできなかった点について補足の説明をさせていただきます。

 下の表のとおり、ジメンシー配合錠の審議において、「国内第III相試験においてDCV/ASV2剤併用レジメンを対照として設定した経緯について説明すること」との御指摘を頂いておりました。表の回答の列を御覧ください。

 一つ目のポツです。当該国内第III相試験においては、その有効性の評価として、単群におけるSVR12率を評価することとされ、試験計画当時の標準療法であったIFN製剤とリバビニンを含む併用レジメンのSVR12率を参考に、閾値として79%と設定され、95%信頼区間の下限値が閾値を上回ることを検証することを主目的として、計画、実施されております。

 二つ目のポツです。一方、DCV/ASV併用レジメンについては、試験計画が立案された当時は承認申請中となっておりましたが、各ジェノタイプや耐性変異ウイルスへの有効性や有害事象の発現率等について、同一試験において2剤併用レジメンのデータを参考として収集しておくことには、一定の意義があると考えられたことから、DCV/ASVの併用レジメンが対照として設定され、試験が実施されたものです。簡単で恐縮ですが、御説明は以上です。

○吉田部会長 ただいまの事務局からの説明に、何か御意見はありますか。

 結局、やって何かいいことがあった、というような具体的な説明はないのですか。一般論の説明で終わったのですか。

○事務局 参考としてデータを収集した2剤併用レジメンとの比較において、有害事象の発現率において若干の差が見られた部分もありましたので、そういったデータについては、添付文書等の注意喚起に反映するなどの活用をしているところです。

○吉田部会長 よろしいでしょうか。よろしければ、皆様に御確認いただいたものとして議題に入ります。

 本日は審議事項が10議題、報告事項が3議題、その他事項が1議題となっております。それでは、審議事項の議題1に移りたいと思います。議題1について、機構からの概要説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料1、医薬品トレアキシン点滴静注用25mg他の製造販売承認の可否等についてです。機構より説明させていただきます。

 本剤の有効成分であるベンダムスチン塩酸塩は、アルキル化作用とプリン代謝拮抗作用を期待して創製されたベンゾイミダゾール誘導体です。以降、今回の申請効能・効果であるB細胞性非ホジキンリンパ腫とマントル細胞リンパ腫を、それぞれB-NHLとMCLと略しますが、現在、本剤は再発又は難治性の低悪性度B-NHL及びMCL並びに慢性リンパ性白血病に対して承認されております。今般、本剤は、低悪性度B-NHL及びMCLの効能・効果に係る「再発又は難治性」の記載を削除するなどの承認申請がなされました。

 平成28年8月時点におきまして、本剤は未治療の低悪性度B-NHLに係る効能・効果にて、15の国又は地域で、また未治療のMCLに係る効能・効果にて、2か国で承認されております。なお、EU及び米国で同様の効能・効果にて申請が行われましたが、いずれも申請は取り下げられております。本品目の専門協議に御参加いただいた委員は、資料16にあるとおり4名の委員です。

 臨床試験成績を中心に、審査の概要を御説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、海外第III相試験であるNHL1-2003試験(以下、2003試験と略す)が提出されました。有効性について、審査報告書の8ページの本文上から6行目以降、また12ページの下から8行目以降、33ページの上から13行目以降を御覧ください。未治療の低悪性度B-NHL及びMCL患者を対象とした2003試験において、主要評価項目とされた治験責任医師判定による無増悪生存期間の結果は、9ページに記載している表5及び図1のような結果でした。この図ではBRが本剤群、R-CHOPが対照群を指しています。

 しかしながら、本試験は優越性評価とすることが試験成績を得られた後に規定されたこと、また非盲検試験であるにもかかわらず、独立評価委員会による評価が適切に実施される規定となっていなかった等、有効性の評価方法や解析に関して問題があったことから、機構は2003試験の成績に基づき本剤の優越性が検証されたとは言えないと判断いたしました。独立評価委員会による無増悪生存期間の評価は14ページの表6と図2に記載され、全生存期間の成績は16ページから17ページにかけて、表10と図6でお示ししています。これらの成績から、対照群と比較して本剤群で明らかに劣る傾向は示されなかったことなどから、本剤の一定の有効性は示されたと判断いたしました。

 また、診療ガイドライン及び教科書では、2003試験の試験成績に基づき、本剤は未治療の低悪性度B-NHL及びMCL患者に対する推奨治療の一つと位置付けられていることなども踏まえ、2003試験の成績の詳細について、添付文書などを用いて医療現場に適切に情報提供した上で、本剤を本邦の医療現場に提供する意義はあると判断いたしました。

 安全性については、審査報告書の18ページの下から11行目以降及び35ページの下から8行目以降を御覧ください。18ページの7.R.4の項の最初の段落に記載しているとおり、本剤の使用時において注意すべき有害事象は、既承認の効能・効果と同様であり、造血器悪性腫瘍の治療に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理など、適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。以上のような審査の結果、機構は「低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。

 本剤は新効能及び新用量医薬品に該当することから、再審査期間は平成321026日までの残余期間とすることが適当であると判断しました。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○事務局 追加で御紹介させていただきます。本議題に関して、日本リンパ網内系学会、日本臨床腫瘍学会及び日本血液学会の3学会から、厚生労働省に対して、本剤の低悪性度非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫の初期治療に係る適応の追加を求める要望書が提出されております。また、本日ですが、本議題に関して森下参考人にお越しいただいております。

○吉田部会長 森下参考人から、本議題についての御発言をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○森下参考人 聖霊病院の森下です。よろしくお願いします。まず最初に、病気のバックグラウンドについて少し説明させていただき、その後に本剤の位置付けと臨床的な有用性について述べます。

 低悪性度B細胞リンパ腫の代表例は、濾胞性リンパ腫とMALTリンパ腫です。マントルリンパ腫というのは、広義では同一分類に入りますが、予後不良の独立した疾患です。しかし、両者は治療、反応性など共通点も多いため、しばしば一つの臨床試験に組み込まれます。

 非ホジキンリンパ腫全体に占める割合は、濾胞性リンパ腫は7~10%、マントル細胞型は約3%です。日本では年間に約2,000名が発症しています。全身治療が必要なMALTリンパ腫はごく少数です。進行期症例であっても、経過はインドレントで、生存期間は比較的長いのですが、ほとんどの症例が化学療法抵抗性となるため、治癒は困難です。治療選択は病型のほかに病気の進行度、腫瘍量及び年齢等、治療に耐えられるかどうかにより決定されます。

 限局型の低悪性度Bリンパ腫症例は全体の1015%と少ないのですが、初発時、病巣部分への放射線照射が推奨されています。一方、大多数を占める進行期症例に対する標準療法はありません。watchful waitingから強力化学療法まで様々な治療法があります。その中でCD20抗体であるリツキシマブと化学療法剤の併用療法が選択されることが多くなっております。R-CHOP、R-CVPは代表的なものであり、比較的若年者のマントル細胞型では、より強力なR-Hyper-CVAD療法後に自家移植を行うことが推奨されています。ベンダムスチンはプリンアナログ様の骨格にアルキル化剤が結合したハイブリッドな抗がん剤で、CLLや低悪性度B細胞リンパ腫の再発難治例を対象に、既に保険適用があります。アルキル化剤を含むほかの抗がん剤と交差耐性を示さない特徴があり、従来の治療法と異なる有害事象プロファイルを有するため、治療選択肢として用いられています。初発例に関しては、先ほど機構から話がありましたように、本剤とリツキシマブとの併用療法(BR療法)とR-CHOP療法との第III相試験の結果が、2013年に、報告されました。その後の検証により、無増悪生存割合において、少なくとも非劣性が示されました。海外のガイドラインでも、NCCNとか、ESMOですが、そういうところにおいても治療選択肢の一つとして記載されています。

 本剤は初発例においても、臨床現場に新たな選択肢を提供する意義があると考えられます。例えば66歳以上の高齢者、あるいは比較的強力な化学療法に耐えられない患者、若しくはドキソルビシンの心毒性やビンクリスチンの神経毒性に懸念のある患者には、よい適応と考えられます。以上です。

○吉田部会長 この試験の内容に関してのコメントはないのですね。

○森下参考人 先の第III相試験に関しては、全生存期間で、まだ有意な差は出ていないと思われます。

 それから、奏効率に於いて非劣性が示されたBRIGHT試験の生存解析結果がこれから出てくると思いますが、やはり全生存期間に有意差はないと考えられます。全生存期間をエンドポイントとした試験で有意差を出すことは、この種の腫瘍では非常に難しいと考えております。生存期間が長くて、ほかの薬剤とか治療法が後で追加されることが多いものですから、無増悪生存割合で評価することに関しては、妥当だと考えています。

○吉田部会長 分かりました。低悪性度B細胞リンパ腫を構成するのがいわゆる細胞異型の乏しい腫瘍細胞で、それがゆえに化学療法が効きにくいということですが、田村委員、本薬の開発経過に関して、どの程度の評価ができるかということについて何かコメントを頂けますか。

○田村委員 細かいことは分からないのですが、非劣勢/優越性のデザインや評価法の問題など、エビデンスのレベルとしては若干劣るのかもしれませんが、現場の専門の先生が必要だと、それなりに使うメリットのあるpopulationがあるということであれば、よろしいのではないかと思います。

○吉田部会長 初めは、非劣性試験でやろうとしたのだけれども途中で差が出てきたので、優越性の検定に切り替えたため、症例数の計算もそこで変わってきてしまうのですが、そうしていたら、今度は増悪の判定を主治医がしていたことがわかったと。そんなこんなで、かなり意図的に試験を動かしていたのではないかという疑念もあって、図1が一気に信用を失ってしまって、さまざまな議論の果てに、EU、アメリカでは取下げということになったようです。取り下げられなかった国は15か国ということですが、どのような所なのですか。

○医薬品医療機器総合機構 主な国としては、スイス、オーストラリア、ニュージーランドなどがあります。

○吉田部会長 そういう所が入っているということですが、ほかに何かコメントはございますか。

○関水委員 経緯について不思議に思うので伺います。EUとかアメリカで、本剤の有効性は認められないという結論が出されているということでよろしいですね。

○医薬品医療機器総合機構 データが不足しているということで、申請が取り下げられたという経緯になっております。

○関水委員 今回は、それを使ったBRとR-CHOPという二つの投与形式について比較して、片方が非劣性であったということから、片方を承認したらどうかという御提案になると理解してよろしいですか。

○医薬品医療機器総合機構 統計学的な解釈という意味で申し上げますと、先ほどから申し上げているような、今回の解析手法に問題があったことから、非劣性についても検証されたとまでは言い難い結果であったと考えますが、客観的な評価やOSの結果を見る限り、BRが標準的な治療法であるR-CHOPに明らかに劣ってはいないと考えることは可能と考えております。

○関水委員 もう一回重ねて伺いますが、「劣っていない」というのは、R-CHOPに比べてBRが劣っていないということが示されたということですね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○関水委員 そうすると、そもそもR-CHOPとBRというのは効くのかといった質問に対しては、現段階では効くということを示すデータはないと考えてよろしいのですか。

○医薬品医療機器総合機構 R-CHOPの有効性に関しては複数の論文が公表されており、相応のエビデンスがあります。2005年の文献ですと、リツキシマブを抜いたCHOPという1970年代から標準的に使用されてきた更に古い療法なのですが、このCHOP療法とR-CHOPを比較して、R-CHOPのほうが有効であった、と公表されております。

○関水委員 そうすると、効くということが根拠であれば、なぜ「それが効くという根拠であるので」というように、この文書は書かれていないのですか。

○医薬品医療機器総合機構 R-CHOP自体が、実臨床で既に使用可能な標準的治療であるというところを審査報告書の12ページに記載しておりまして、既に承認されていて、実臨床で使用可能なものであるというところをもって、既に一定の有効性が示されているものとしております。

○関水委員 もう一回伺いますが、それが実臨床で承認されているというのはいいのですが、それが治療に有効だというエビデンスがあるかと私は質問しているのです。

○医薬品医療機器総合機構 エビデンス自体は幾つかありまして、先ほど申し上げたものが一つの例ではあります。

○関水委員 どうしてそれが中心になって、この薬は効くのだということの前提の下で、この審査報告書が書かれていないのか、不思議に思うのです。

○医薬品医療機器総合機構 あくまでも本剤の評価を行う審査報告書ですので、R-CHOPの詳細な評価については、この報告書内では言及しておりませんでした。

○吉田部会長 今の意味は分かりますか。最初の海外第III相試験の説明に、何で対照群がこのように設定されたのかということを書いておいてくれないと、読んでいるほうは分からないではないかという話なのですが。

○医薬品医療機器総合機構 説明を補足いたします。12ページの「対照群の設定について」という所の一番下の段落から13ページの最初にかけて、ここでも一つ文献を記載させていただいておりますが、こうした成績からもR-CHOPの有効性が示された標準的治療であるという認識が、試験設定当時にあったことは明記させていただいております。

○吉田部会長 よろしいでしょうか。ほかにございますか。

○森下参考人 先ほど「標準治療がない」と言った標準治療は。

○吉田部会長 いや、あるのではないですか、R-CHOPが。

○森下参考人 R-CHOPというのが最もよく使われていることは事実なのですが、R-CHOPと同等と考えられる治療方法はほかにもあります。ですから、R-CHOPのみが良かったら、それは標準治療と言えるのですが、ほかにも似たような成績を示すことができる治療があるという意味で、「標準治療はない」と私が言ってしまったのが、分かりにくくさせてしまったかもしれません。

○吉田部会長 分かりました。標準治療が数レジメンとありますと。それはR-CHOPとほとんど同等だということですね。分かりました。ほかにございますか。

 今回のような場合、なかなか厳しい判断を迫られているように思うのですが、図1の試験の成績が既に公表されてしまったという状況の中て゛、「不手際があってきちんと評価できないから、もう一回試験をやり直そう」と言っても、これは無理な話になるだろうと思います。一つには、対象が比較的まれな疾患なので、患者数の確保が難しいという問題もあるのですが、それよりも、1度こういう結果が出てしまいますと、試験参加者がR-CHOPよりも良いのではないかというような思い込みを持ってしまうため、無作為化の保証がほとんど取れなくなりますし、恐らくこれだけの試験を再度やろうとすると、体力的にもかなりきついと思われます。また、EUや米国では、結局取り下げたということですが、不承認ということではないのですよね、withdrawしただけという状況ですよね。さらに、この図1ですが、優越性の証明は厳しいかもしれませんが、いわゆる同等性についてはなんとか読めそうだというような判断もできるのではないかということですね。

 特に御異議がなければ、先ほど田村委員がおっしゃったように、現場の意向もかなり強いということもあって、御了解いただければと思うのですが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 では、ほかに御意見がなければ議決に入ります。なお、清田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。お諮りします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 参考人の森下先生、ありがとうございました。

 議題2に移ります。機構からの概要説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料2、医薬品アーウィナーゼ筋注用10000の製造販売承認の可否等について機構より説明いたします。本剤の有効成分であるクリサンタスパーゼは、Erwinia菌から単離されたL-アスパラギナーゼであり、血中のL-アスパラギンを分解し、枯渇させることにより、増殖においてL-アスパラギンを必須とする悪性腫瘍に対して、増殖抑制作用を示すと考えられています。また、本剤は、大腸菌由来のL-アスパラギナーゼと交差反応性を示さないことから、既承認のL-アスパラギナーゼ製剤に過敏症を示した患者への使用が期待されています。今般、本剤は、急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫を効能・効果として承認申請されました。

 なお、本剤は、平成22年8月に開催された「第4回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」での検討を踏まえて、同年12月に、厚生労働省から申請者に対して開発要請がなされております。

 平成28年8月時点において、本剤は急性リンパ性白血病、以下ALLと略しますが、ALL及び悪性リンパ腫に係る効能・効果にて、18か国で承認されています。

 本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料16にあるとおり、9名の委員です。

 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国内第I相試験、第II相試験である「OP-01-001試験」が提出されました。

 有効性については、審査報告書25ページの上から7行目以降及び46ページの上から13行目以降を御覧ください。大腸菌由来のL-アスパラギナーゼに対して、過敏症の既往歴のあるALL又はリンパ芽球性リンパ腫患者を対象としたOP-01-001試験の第II相パートにおいて、本剤初回投与48及び72時間後の血漿中L-アスパラギナーゼ活性値が、アスパラギンの完全な枯渇の基準とされている0.1/mL以上であった患者が、一定の割合で認められたこと等から、本剤の一定の有効性は示されたと判断いたしました。

 安全性については、審査報告書26ページ、本行の上から8行目以降及び46ページの下から8行目以降を御覧ください。本剤の使用時において注意すべき有害事象として、凝固異常、過敏症、肝機能障害、骨髄抑制、感染症、高血糖及び膵炎が認められております。これらの有害事象については、造血器悪性腫瘍の治療に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断しました。

 ただし、検討症例は限られていることから、製造販売後には使用成績調査の実施が必要であると判断し、申請者に指示しています。

 以上のような審査の結果、機構は、本剤の臨床的位置付け及び既承認のL-アスパラギナーゼ製剤の効能・効果を考慮し、「急性白血病(慢性白血病の急性転化例を含む)、悪性リンパ腫 ただし、L-アスパラギナーゼ製剤の過敏症を示した場合に限る」を効能・効果として本剤を承認することは可能と判断いたしました。

 本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会に報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問、御意見をお願いいたします。

○関水委員 この薬の治療に関する有効性は全くデータが示されていませんが、全くないのですか。

○医薬品医療機器総合機構 本薬の開発の背景を含めて機構から説明させていただきます。まず今回、対象とされている患者が。

○関水委員 いや、短くするために、データがあるかないかを、Yes or Noで言ってくだされば、それで十分なのです。ないのですか、あるのですか。

○医薬品医療機器総合機構 今回の試験成績としては得られていないです。

○関水委員 ないのですね。そうすると、同じ酵素活性だから、治るであろうという予測ですよね。そういうことが一般に許されるかどうかということですが、なぜ許されると判断しておられるのですか。私が懸念するのは、必ずしもそのエンザイムの活性だけで今までの臨床成績が説明できるという説明について、疑問があると思うからです。

○医薬品医療機器総合機構 血中のアスパラギンを枯渇させることが増殖抑制につながるというエビデンスが蓄積されており、L-アスパラギナーゼの投与が今回の対象患者における標準的治療になっています。

○関水委員 いえいえ、それは説明にはなっていません。大腸菌のエンザイムを使って治療するということは標準治療になっている、これは正しいといたしましょう。違う種の生物から得られた、同じ酵素活性をもっている画分を使えば、がんは治るはずだとする推論も可能であると思います。ただし、それだけで薬として承認できるかという点には問題があると思います。有効性がある、という点について、エビデンスがひどく乏しいと私は思いますが。それがなくても、承認すべきだとする根拠は何ですか。

○医薬品医療機器総合機構 大腸菌由来のL-アスパラギナーゼに過敏症を示した場合には、使用を継続したくてもできないという現状があり、海外においては、本剤が当該患者に対する治療薬となっています。そのような患者において、本剤を使うことにより、アスパラギナーゼを用いた治療を継続できるというメリットがあります。

○吉田部会長 いや、そうではなくて、海外、18か国で承認されているようですが、例えば、そのときには抗腫瘍効果とか、そういった直接的な作用を見た上で承認されているのか否かということを答えていただければ分かるのではないかと。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘いただいた点については、機構も重要な点だと認識しております。

 今回、L-アスパラギナーゼの酵素の活性値を指標として、代替指標という形で評価させていただくことについては、審査報告書25ページに記載しております。審査報告書25ページの7.R.3.1の所に記載していますが、この製剤自体の承認がかなり古く、大腸菌由来のものが45年前に承認されて、今回の薬剤自体も海外では30年以上の実績があるということです。当時の承認時には、大腸菌由来のL-アスパラギナーゼは、抗腫瘍活性を評価した上で承認されています。

 ただ、今回の薬剤についてはその後の研究により、血漿中のL-アスパラギナーゼ活性値が0.1/mL以上であれば、治療効果は期待できるであろうという論文が複数報告されています。その論文については、先ほどの25ページの記載の・の3つ目に記載している論文等です。

 この点で、かなり長い使用経験からこういった知見が公表論文で得られているということも考慮して、この基準に基づいて評価することは受入れ可能と判断させていただきました。

○関水委員 よろしいですか。その論文は大腸菌の酵素について書いてあるのですよね。それで、大腸菌の酵素と、今使っている酵素は、例えばVmaxとか、Kmにおいて、同じ0.1Uと言っても、血漿からアスパラギン酸をクリアする能力は同等、あるいは非劣性であるということが、酵素学的に示されているのですか。

○医薬品医療機器総合機構 活性自体の測定法は同じです。

○関水委員 それは、だから同じだというのは間違いですよ。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○関水委員 つまり、活性は1分間当たり、どれぐらいの基質を反応するかということで定義されるわけです。実際に薬として使う場合には、血液に存在しているこのアミノ酸のクリアランスです。それが二つの異なる酵素で同程度行われているということは実証されているのですか。

○医薬品医療機器総合機構 今回は、アスパラギンを枯渇させるレベルとなることを確認するような設定していますので。

○関水委員 私は、その能力において本剤の酵素が、大腸菌の酵素に劣らないということが実証されているのかを伺っています。なければないで、そのような条件で承認を検討しようということになるのですが、そういうことはもう十分やってあるのだと私の様な者にかみ付かれるのです。エビデンスがない、というのであれば、その上で審議する、というので結構だと思います。

 重ねて伺いますが、大腸菌酵素の1ユニットと、本剤のすなわち哺乳動物酵素の1ユニットは、標準アッセイ系での1ユニットであれば、活性値として同じですが、実際に治療に使うときの、アミノ酸のクリアランスという点では違うのではないかという質問を私はしているのです。この点について、機構としてきちんと調べましたか。調べていないのであれば、調べなさいと申しているのではなくて、調べてあるかどうかを聞いているのです。

○医薬品医療機器総合機構 菌により、反応速度等が異なる可能性は考えられます。

○関水委員 いやいや、1ユニットだったら、反応速度は1ユニットだったら、全く同じなのです。反応速度は同じで、1ユニットなのですね。同じ1ユニットのものを使ったときに結果が、目的とするアミノ酸であるアスパラギン酸のクリアランスという点で、同等あるいはそれ以上だということを示してあるのか、示していないのですか。

○医薬品医療機器総合機構 確認させていただきます。

○関水委員 酵素学的な議論については、今この薬を承認するかどうかに影響はないと思うので、後でお答えしてくだされば結構です。

 私としては、機構がどの程度理解して、大腸菌と哺乳動物の酵素について、同じだと確信しているかを伺いたいのです。

○医薬品医療機器総合機構 Erwinia菌由来の酵素になります。

○関水委員 そうです。私は、本剤が哺乳動物由来と勘違いしていました。私が哺乳動物由来、と申したのは、Erwinia菌由来と訂正させてください。Erwinia菌由来酵素がどのぐらい大腸菌由来酵素と同等性があって、効率は大腸菌と変わらないということを把握しておられるかが問題です。どうやら0.1ユニットというユニット数だけで考えておられるようですが、それで承認しましょうというのでしたら、別にそれでいいのではないでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘のとおり、今回、大腸菌由来のアスパラギナーゼも、今回のErwinia属由来のアスパラギナーゼ自体も、要は、外来性というか、筋注をして投与し、その血中に移行すると。

 おっしゃるようにどこまで同等かというのは、厳密な意味では、今、お示しすることはできませんが、その点も考慮した上で、今回その一定の基準に基づいて、この基準をクリアした。

○関水委員 いやいや、それは、その点は考慮しないで承認しようということなのですよ。1ユニット同士酵素活性値が同じなのだから、機能も同じだと考えるべきだという論理もありますから。しかしながら、お答えを聞いていると、同等と考えてもいいという確かなエビデンスがあるのだとと、普通の人が今の討論を聞いたら、受け取るであろうと私は思います。ところが、それは全くの誤解なのです。実は、全くそういうエビデンスは示されていません。それでも、承認に合意できますかと言われたら、私としては、承認ということになります。このところの議論は厳密ではなくてはいけません。

○医薬品医療機器総合機構 大腸菌由来のL-アスパラギナーゼと活性値自体が一緒であることを確認した結果は提出されていません。

○関水委員 いえいえ、あるのです。0.1ユニットと明確に書かれています。そうしたら0.1ユニット同士は同じ試験系で厳密に同等なのです。しかしながら、同じ0.1ユニットの酵素を使って結果が違うかもしれないという疑念があって、そのことについて検討しましたかと聞いているのです。検討していないということですが、それでは、仕方ありません。

○医薬品医療機器総合機構 説明が不十分で申し訳ありませんでした。

○吉田部会長 では、そういうことでいいですか。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○吉田部会長 ほかにありますでしょうか。これ、例えばアレルギーの有る方に使おうというような場合、クリサンタスパーゼ自体にアレルギーを持っている人は、いろいろアレルギーを持っていると思うのですが、両方クロスで持ってしまっている率は、ものすごく低いということなのですか。だから使えているのですか。

○医薬品医療機器総合機構 大腸菌由来のL-アスパラギナーゼに過敏症になった方で、Erwinia菌由来のL-アスパラギナーゼの交差反応はないとされており、ガイドラインにおいても、大腸菌由来のL-アスパラギナーゼに過敏症を示した患者に使用できるとされています。

○吉田部会長 なるほど。Erwinia菌と大腸菌で、両方にアレルギーを持っている人はいないということですね、ほとんど。ということですね。

○医薬品医療機器総合機構 本剤投与後に、本剤に対する過敏症を発現することはあると思います。

○吉田部会長 それはいるでしょうね、ある程度。その頻度は報告されていますか。

○医薬品医療機器総合機構 審査報告書の安全性について31ページ、表16を御覧ください。

○吉田部会長 ここに書いてありますね。

○医薬品医療機器総合機構 過敏症として軽度のものですが、16.7%ぐらいで発現しているという状況です。

○吉田部会長 そういう場合は、もうやりようがないということになってしまうのですか。

○医薬品医療機器総合機構 軽度のものですと使用を継続することは可能ですが、全身性のアナフィラキシー、激しいような過敏症が出てきてしまうと使用できなくなるという状況です。

○吉田部会長 はい、分かりました。という側面もあるということです。ほかにありますでしょうか。

○川崎委員 審査報告書を見ると、本剤は生物由来原料基準に適合する原料を用いていないと書かれています。

 これが生物由来製品に該当しないとされた理由を教えていただきたいと思います。また、添付文書に注意喚起するということは支持できるのですが、このような品質上のリスクを「医薬品リスク管理計画書」に反映させる必要性はないのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 

これまでも生物由来原料基準に不適合の原料を用いた場合に必ず生物由来製品に指定しているというわけではないため、今回も過去の品目と同様に、実際に用いられた菌、遺伝子組換え技術の利用がないこと等も考慮し、生物由来製品には該当しないと判断いたしました。

○川崎委員 品質上のリスクをリスク管理計画に反映させる必要性に関してはいかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 持ち帰り検討させていただきたいと思います。

○川崎委員 次は要望ですが、□□年までに生物由来原料基準に適合する原料で製造するということになっていますので、是非、機構のほうでも確認、管理していっていただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構 承知いたしました。

○吉田部会長 よろしいでしょうか。ほかにありますか。では、ないようですので、議決に入ります。

 本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし薬事分科会に報告とさせていただきます。

 議題3に移りますが、田村委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議題3の審議の間、別室で御待機いただくことにいたします。

                                 ( 田村委員退室)

○吉田部会長  それでは、議題3について、機構から概要説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料3、キイトルーダ点滴静注20mgほかの製造販売承認の可否等について機構より説明いたします。

 本剤は、Programmed cell death-1、以下、PD-1と略させていただきますが、PD-1に対する免疫グロブリンG4サブクラスのヒト化モノクローナル抗体であるペムブロリズマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤です。現在本剤は、根治切除不能な悪性黒色腫に対して承認されております。今般、本剤は切除不能な進行又は再発の非小細胞肺癌を効能・効果として承認申請されました。

 平成28年8月時点において、本剤は、非小細胞肺癌に係る効能・効果にて、48の国又は地域で承認されております。

 本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料16にあるとおり5名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明いたします。

 今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国際共同第III相試験であるKEYNOTE-024試験及び国際共同第II/III相試験であるKEYNOTE-010試験が提出されました。

 有効性については、審査報告書15ページの下から8行目以降を御覧ください。Programmed cell death-ligand1、以下PD-L1と略させていただきますが、腫瘍組織において、PD-1を発現した腫瘍細胞が占める割合、以下TPSと略しますが、TPSが50%以上で、PD-L1陽性の化学療法歴のない進行・再発の非小細胞肺癌患者を対象としたKEYNOTE-024試験において、主要評価項目とされた無増悪生存期間について、standard of care群と比較して、本剤群の優越性が示されました。

 また、審査報告書11ページの下から3行目以降を御覧ください。TPSが1%以上で、PD-L1陽性の白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法歴のある進行・再発の非小細胞肺癌患者を対象としたKEYNOTE-010試験において、主要評価項目の一つとされた全生存期間について、ドセタキセル水和物群と比較して本剤群の優越性が示されました。

 以上の二つの臨床試験成績により、本剤の有効性は示されたと判断いたしました。

 安全性については審査報告書21ページの上から5行目以降及び38ページの下から4行目以降を御覧ください。本剤の使用時において注意すべき有害事象は、既承認の効能・効果と同様であり、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による慎重な観察と、過度の免疫反応による副作用を考慮した鑑別診断や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には、本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。

 以上のような審査の結果、機構は、「PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。

 本剤は、希少疾病用医薬品として承認された新有効成分含有医薬品に対する希少疾病用医薬品に指定されていない効能・効果等の追加に係るものであることから、追加される効能・効果等に対する再審査期間を5年10か月とすることが適当であると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。

○鈴木委員 この薬は、社会的、政治的問題にもなったオプジーボの類薬になるわけですが、この薬も当初は根治切除不能な悪性黒色腫を対象に、希少疾患として通った後に、今回、適応拡大になっています。説明を聞きますと、PD-L1陽性というお話があったのですが、効能にはその記載がないようですが、それはどうしてなのでしょうか。

 それから、対象患者がどのぐらい増えるのかということと、いずれ、薬価の問題が中医協で議論されると思いますが、基準になる薬価は、オプジーボの価格が50%引下げになるわけですが、どこが基準になって議論が始まるのか、それも教えてください。

 ここではコストの議論はこれまではしないことになっていたのは分かっているのですが、余りにも高額な薬が出現したために、薬食審では、コストの議論がまったく行われなかったのかとの批判を、今、されている状況もありますので、改善の方針が示されてはおりますが、現時点での取組の状況を教えていただきたいと思います。

○医薬品審査管理課長 ただいまの御指摘、私どもとしても十分理解しつつ、審査を進めているところです。まず、キイトルーダについては、今回の効能追加については、PD-L1陽性のということで、効能・効果としてまず縛っているということです。

 この中身としては、未治療の部分については50%以上の強陽性、再発・進行の場合には、1%以上の陽性ということになろうかと思います。

 対象の患者数については、正確な数字をこの場で申し上げるのはなかなか難しいですが、一応、50%以上の強陽性の場合には、対象となる非小細胞肺癌のおよそ4分の1程度の症例数になると聞いております。また、1%以上になりますと、6、7割程度の症例数になろうかと思います。したがって、オプジーボについては、未治療の部分というのは効能に入っていないわけですが、今回、キイトルーダで未治療の部分が追加されるということになりますが、恐らく数千人、1万人を切るぐらいの患者数になるのではないかと考えております。

 キイトルーダについて、私ども保険局と十分連携を取って進めているところですが、オプジーボの薬価は、御案内のとおり2分の1に減額されることが決定しております。キイトルーダについては、決定事項ではありませんので、あくまで現時点での予測ということになりますが、オプジーボの類似薬効ということで算定されることが想定されますので、オプジーボが50%の削減を受けた、その薬価が基準になるのではないかと考えております。

○鈴木委員 了解いたしました。薬事分科会でもコストについて一定の議論ができるように、前回もお願いしたと思いますが、改めて、お願いいたします。以上です。

○吉田部会長 ほかにありますか。

○新井部会長代理 PD-L1に着目したのが、余り今までないと思っていたのですが、

結果的にPD-L1陽性と陽性でない癌で、PD-1の効果というのはどうかという、ちゃんとしたデータがあるのでしょうか。オプジーボも含めて。単なる、この薬ではなく質問ですが、いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 今の御指摘の点は、非臨床の観点、それとも臨床的な観点ですか。臨床的な観点ですと、化学療法歴のない進行・再発の非小細胞肺癌には、現時点で今回お示しした、PD-L1陽性の患者さんの臨床試験成績しか得られていません。

○新井部会長代理 私はオプジーボを既に結構使っているわけで、癌で測っていないのでしょうね。積極的に測らなくていいのかなというのが、何となく前から気にはなっていたのですが、今回は結構そこを意識したあれになっていると思うのです。当然、オプジーボに戻ってさえ、それは本来は調べられるべきことではないかなと思うのですが、関連がないのだったら、もう調べる必要は、逆に言うとないし、関連があるのだったら調べなければいけないということで、今後はどのPD-1抗体についても必要になってくるのではないでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 現状で、オプジーボに関しては前向きな第III相試験成績は得られていませんので、今後、臨床現場で検討されていくものと考えております。

○事務局  事務局より少し追加で御説明いたします。今、御指摘いただいたように、オプジーボに関して、前向きにPD-L1が発現した形でない方で、調査したというデータはないということは事実です。

 一方、論文発表や、学会などの発表の情報になりますが、企業のほうで治験を行っていく中で、PD-L1の発現率が高ければ高いほど、より有効性が高かったという結果が得られているという学会報告などもあります。そういう意味で、PD-L1を測定することによって、有効性の差が一定程度、ある可能性はあるかと思います。その点も含めて、先ほどの薬価の議論と合わせて、現在「最適使用推進ガイドライン」を作成しております。今回、キイトルーダについても、こちらはまさに作成の途中になっておりまして、まだできていない状況ですが、この後、少し現在の進捗状況ということで、そちらのほうも併せて御紹介をさせていただければと思います。

○吉田部会長 今の話に関連してですが、例えば非初回治療例だった場合には、今回の成績とオプジーボの成績というのは、大体似たり寄ったりなのですか。

○医薬品医療機器総合機構 全生存期間を直接比べた試験ではありませんが、試験期間で得られた値を比べるとほぼ遜色はなく、同程度の結果が得られていると思います。

○吉田部会長 効き方に余り差はなさそうということですね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○吉田部会長 分かりました。ほかにありますか。よろしいですか。御異議がないようですので、議決に入りたいと思います。本議題について承認を可としてよろしいですか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。別室で御待機されている田村委員をお呼びください。

○事務局 田村委員が御入室されましたら、ここで議題と別になりますが、最適使用推進ガイドラインの進捗状況について御説明をさせていただきます。

                                ( 田村委員入室)

○吉田部会長 事務局からの説明の前に田村先生に伺いたいのですが、今回キイトルーダが初回治療例で認められるようになるというのは、今後の大きなポイントになると思います。つまり、今回非小細胞肺がんの初回治療例で有効性が認められたということになると、PD-L1抗体が発現していれば、ファーストチョイスがキイトルーダになるということになりますね。メーカー側がこのようなやり方で、例えば胃癌に適応拡大していったら、当然未治療例もターゲットとして試験をすることになるでしょう。そこでも初回治療例が勝つようなことになると、早晩ほとんどの固形癌で、キイトルーダが初回治療例のファーストチョイスになって、これまでの抗がん剤治療が激変するとともに、経済的負担も大変なことになるというようなことは考えなくてもいいのでしょうか。先生のご意見はいかがでしょうか。

○田村委員 多くの癌腫で、ファーストチョイス、セカンドチョイスにはなってくるかもしれません。同じ癌の中でも、効く人、効かない人は割とはっきりしているのではないかと思います。PD-L1が最も良いマーカーとなるかどうかはわかりませんが、どういう人に効くか、どういう人に効かないか、これははっきりさせて効く人だけに使用するようにしないと、社会的にも大変なことになるかもしれません。

○吉田部会長 なるだろうなということは、適正使用に向けて、ひとつ押さえておくべき視点だろうと思います。ありがとうございました。それでは、説明をお願いします。

○事務局 ここで議題の間に挟ませていただきます。最適使用推進ガイドラインの作成の進捗状況について御紹介いたします。当日配布資料の資料19が、現在作成途中のものになります。ニボルマブ、オプジーボの最適使用推進ガイドラインの案の草案の段階のものとなっております。こちらが、まさにこれから学会の先生方と協議をしていく段階の案になっておりますので、内容について、ここから更に変更があることに関しては御承知おきいただければと思います。

 こちらのガイドラインについては、まず全体の構成から御説明いたします。3ページに、はじめにということで、このガイドラインがどういったものであるのか、どういった内容が含まれているのかということの御紹介をしております。

 4ページ、この薬剤の特徴、または作用機序などの基本的な情報となっております。5ページ、承認時の臨床成績の御紹介をしております。それらの成績や、そういったものを前提として、15ページからになりますが、実際にどういう機能を備えている医療機関、施設で使用していただくことが最適となるのかということです。17ページ、投与対象となる患者ということで、有効性と安全性の観点から、これまでに得られているエビデンスの下に、どういった患者さんに投与するのが最適となるのかということを示しております。19ページ、投与に際して留意すべき事項ということで、実際にこれまでにお示ししているような施設、患者さんで、実際に使うという場合に、どういった点に気を付けるべきかということを示しています。

 こちらのほうで、先ほど少しお話がありましたが、後追いの結果になりますが、オプジーボのほうでもPD-L1の発現状況を後から解析した結果で、一部PD-L1の発現が低いような患者さんですと、対照薬と同じような成績が得られているということがありますので、そういった患者さんであれば、オプジーボ以外の薬剤を使用することを原則として、ただ、他の薬剤が使えない場合にオプジーボの使用を考慮するという、そういう案内をすることも今現在、検討しております。

 こちらキイトルーダに関しても、これと同じような形で、実際キイトルーダに関してはPD-L1の発現率で、明確に投与対象の患者が制限されることになりますので、そちらのほうを記載するような形になりますが、併せて検討を行っている段階です。こちらが今現在の進捗状況の御説明になります。

○吉田部会長 この文書の取扱いですが、まだまだ未定稿ですよね。

○事務局 はい。

○吉田部会長 未定稿に対して何かコメントしてもいいのですか。

○事務局 頂いたものも踏まえて、今後検討していく段階になりますので。

○吉田部会長 鈴木先生、コメントをお願いします。

○鈴木委員 薬食審でも意見を入れていかないと意味がないので、これだけ専門家が集まっていらっしゃるのですから、今日お休みの方も御意見を出していただきたいと思います。我々も持ち帰って検討したいと思います。

○吉田部会長 今ここで、ということではなく、持ち帰って検討してください、ということでいいのですね。

○事務局 はい、大丈夫です。

○吉田部会長 ただし、この未定稿の内容は公表するなということですね。

○事務局 そうですね。こちらの取扱いのほうは、よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 ということだそうです。よろしいですか。では皆様、御意見等々、よろしくお願いいたします。

 それでは議題4について、機構からの概要説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料4、医薬品リアメット配合錠の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。

 マラリアは病原体である各種マラリア原虫の感染により発症する感染症です。感染するマラリア原虫の種類により、熱帯熱マラリアと非熱帯熱マラリアに分類され、特に熱帯熱マラリアでは発熱が連日続き、発症後5、6日間適切な治療が行われないと、痙攣、昏睡、循環不全によるショック等の重篤な症状を呈し、最終的に死に至ることがあります。

 リアメット配合錠は、抗マラリア作用を示すアルテメテル及びルメファントリンを有効成分とする配合錠です。アルテメテルは経口投与後に活性体に代謝され、炭素中心ラジカルを発生させることにより、赤血球内のマラリア原虫を殺滅すると考えられています。ルメファントリンはマラリア原虫によるヘモグロビンの消化産物であるヘムの重合を阻害することで、抗マラリア原虫活性を示すと考えられています。

 マラリア治療では、マラリア原虫を速やか、かつ確実に消失させ、薬剤耐性株の出現を防止することが重要とされており、異なる作用機序でマラリアに作用する本剤は、WHOガイドラインで代表的なマラリア治療薬の一つとして推奨されています。

 本邦のマラリア患者は、流行地域に渡航した際に感染した輸入マラリア患者であり、年間50例前後の報告があります。日本医療研究開発機構の「わが国における熱帯病・寄生虫病の最適な診断治療体制の構築」に関する研究班より本剤の開発要望が出され、厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、「医療上の必要性が高い」と評価され、今般、海外臨床試験成績、国内臨床薬理試験成績等に基づき、製造販売承認申請が行われました。本剤は1998年にガボン共和国で最初に承認を取得した後、2016年9月時点で米国、英国等を含む60以上の国又は地域でマラリアに対する治療薬として承認されています。

 本申請の専門委員として、資料16に記載の8名の委員を指名いたしました。

 審査内容については、臨床試験成績を中心に御説明いたします。有効性について、審査報告書62ページの表37を御覧ください。外国人成人及び小児の熱帯熱マラリア感染患者のうち、マラリアに起因する合併症のない患者を対象とした臨床試験における、本剤投与28日後の治癒率を示しています。いずれの臨床試験でも本剤投与28日後の治癒率は、WHOガイドラインにおいて有効な抗マラリア薬として許容可能な治療率とされる90%を超えていました。

 小児に対しても、表37の下、「小児における本剤の用量は」で始まる段落及び表38に示しているとおり、年齢別及び体重別のいずれでも90%以上の治癒率が示されました。また、意識障害や臓器不全を伴う重症熱帯熱マラリアや、非熱帯熱マラリアに対しては、本剤の作用機序、また審査報告書64ページの表39に示した海外臨床成績データや64ページの中段の「WHOガイドラインでは」で始まる段落に示した公表文献等における報告を踏まえると、重症マラリア及び非熱帯熱マラリアに対しても、本剤の有効性が期待できると判断しました。

 日本人での使用経験は限られているものの、臨床薬理試験データで審査報告書47ページの表21に記載したとおり、日本人と外国人のアルテメテル、アルテメテル活性代謝物及びルメファントリンのばく露量は同程度であったこと等を踏まえると、日本人のマラリア患者に対しても本剤の有効性は期待できると判断しました。ただし、本剤は赤血球中のマラリア原虫を殺滅する薬剤であり、肝細胞中の休眠体には効果が期待できない旨を添付文書等で注意喚起する必要があると判断しました。

 安全性について、審査報告書65ページの表40を御覧ください。熱帯熱マラリアの感染患者のうち、マラリアに起因する合併症のない患者を対象とした主要な海外臨床試験7試験の併合解析において、5%以上に認められた有害事象を示しています。認められた事象のほとんどが軽度又は中等度で、またマラリア又は熱性疾患による徴候又は症状に関するものとされる事象でした。

 また本剤では、QT延長リスクが非臨床試験及び臨床試験において示唆されており、QT延長リスクは否定できないものの、QT延長リスクのある患者では心電図モニタリングを行う等、観察を十分に行い、医師等の下で適切に投与されることを前提として、本剤の安全性は許容可能と判断しました。

 以上の審査を踏まえ、機構は、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年とし、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体アルテメテル及び製剤は劇薬に該当すると判断しています。薬事分科会には報告を予定しています。

 なお、審査報告書の一部に誤記がありました。44ページの表20を御覧ください。5kg以上15kg未満のアルテメテルのCmaxの平均値の算出に、1例の欠測値があった旨が記載されていなかったこと、また表20の下の文章の、ルメファントリンの血漿中濃度データを用いて推定された値は、AUCinfと記載されていますが、AUClastであったこと、以上の2点について適切に修正させていただきます。本修正について、審査への影響がないことを確認しています。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 それでは委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。

○関水委員 いつも同じ質問をするようで恐縮なのですが、どこにこの本剤が効いたという証拠があるのですか。

○医薬品医療機器総合機構 まず、本剤の有効性に関して、WHOガイドラインでの位置付け等が一つあると思います。また試験データに関してはこちらです。

○関水委員 試験成績で96%治癒したから有効だというのだと思いますが、この薬事審議会でそういう論理、議論がまかり通ることについて、私は非常に疑問に思うから聞くのです。プラセボを使った少なくとも途中経過なり、この薬剤が確かに効いているのだというエビデンスを、なぜ我々に提出できないのですか。この場合は合剤だから、それぞれが効いてそれぞれについて混ぜているのですから、そんなことは関係なく認めてくださいという、この議論はしませんというのだったら理解できます。そうなのですか。私は、本剤がマラリアに効いているというエビデンスは何もないと思うのです。

○医薬品医療機器総合機構 まず、熱帯熱マラリアでは適切な治療を行わないと、短時間のうちに重症化して死に至ることから、プラセボ群を設定することは困難であると考えています。

○関水委員 それは私も知っています。ただし、選ばれた患者が恣意的に自然に治るようなものをメーカーが集めて「治った、治った」と言っているのではないという、基本的な質問に対してどのデータが答えているのですか。

○医薬品医療機器総合機構 まず、薬効の証明となるようなデータとして、用量反応関係が示された臨床試験があります。審査報告書49ページの表23を御覧ください。表23において、急性熱帯熱マラリアを対象とした海外II相試験において異なる3つの用量が検討されており、主要評価項目である28日後の治癒率が、6回投与群と4回投与群を比較し、6回投与群のほうが高いということが示されており、用量反応関係が示されたことから、薬効は証明されていると考えています。

○関水委員 その議論は間違いです。統計学的有意の差があるのですか。それを見ているわけではないと思います。用量反応関係が示された、とおっしゃいましたが、それは正しくありません。結果としてこういう結果が得られていますというのならいいのですが、本剤が効いたという証拠になっているというのは、誰もが認める論理にはなっていません。表23を見せて、本剤がマラリア感染症を治癒させる治療薬であることが示されたと、主張されていますが、受け入れられることは絶対ありません。

○医薬品医療機器総合機構 薬の作用として、用量反応関係が認められているということは、非常に重要なことだと認識しております。

○関水委員 私も重要なことだと認識していますが、この場合は統計学的にも差があって、このデータから用量作用があるので、プラセボなどを使わなくても、この薬の有効性が示されたとおっしゃるのですか。

○医薬品医療機器総合機構 この表を見て、用量反応関係はあるとは認識しております。

○関水委員 それは間違いです。86.0のほうが81.4よりも大きいということは小学生でも分かります。ただし、これが統計学的に有意な差があるのですか。

○医薬品医療機器総合機構 群間差を示したカラムの信頼区間を御覧ください。一番右のカラムになりますが、表の一番下の群間差の95%の信頼区間を見ますと、1を超えていますので、これは差があったと判断してよいと考えます。

○関水委員 結局、本剤については、構成しているものが抗マラリア薬として有効であると認められている、そういうものを三つ混ぜたのだから、きっと効くに違いないという程度の議論なのです。それが、さも確固たるデータがあると言って議論されるのは非常に問題があると思います。

○医薬品医療機器総合機構 用量反応関係が見られていることが薬効を持っていることの一助になるというお話をさせていただいています。

○関水委員 本剤の有効性がこの表によって確かめられたと書くべきです。

○医薬品医療機器総合機構 薬効として、ここからは薬としての効果が読み取れると考えています。

○関水委員 読み取れるのかどうかを伺っているのではなく、この薬がマラリアを治したという実証になっているかどうかです。

○医薬品医療機器総合機構 そこは先ほど申しましたように、WHOが出している指針として、90%以上の治癒率であればマラリアの薬として認められるだろうという指針があります。

○関水委員 それは議論しているように、90%だろうが、結果が96%だろうが、99%だろうが、やられた試験が作為に基づいたものではないかという疑問に答えられるかが問題なのです。これは薬効を議論する上での基本的なことです。きちんと公正な、この薬の薬効に関する試験が行われているのだろうかということを私は質問しているのです。

○医薬品医療機器総合機構 先ほどのお話の繰り返しになりますが、4回投与に対して用量反応関係が見られている。その群間差の95%信頼区間が1を超えているということで、用量を高くすれば効いているということで、クスリとしての評価はできていると判断しております。

○関水委員 そこのところを私は認めないと言っているのだから、私が認めるようになるような説明をしていただきたい。用量の4回、6回、8回でだんだん値が上がっているということは、たとえ統計学的に有意な差があっても、この薬が効いているという証明だとは受け入れられません。違うエビデンス、感染治療薬なのですから、患者が亡くなるというわけではないのですから、プラセボによって効能・効果を評価するという努力があってもいいのではないですか。

○医薬品医療機器総合機構 先ほど述べましたように、早期の治療機会を逸すれば死亡に至るような疾患ですので、プラセボ投与というのは現実的ではないと判断しております。

○田村委員 一つよろしいですか。用量効果の相関を見るとおっしゃるということは、総投与用量と効果ということですか。1回投与量が違うのですか。

○医薬品医療機器総合機構 投与回数が違います。

○田村委員 スケジュールが違うわけですよね。ですから、これは必ずしも用量相関とは言えないのではないですか。スケジュール相関かもしれません。

○医薬品医療機器総合機構 4回投与と6回投与では、総投与量が異なります。1回当たりは同じ用量で4回と6回で総投与量が変わっていると考えています。

○田村委員 ですから、投与期間もスケジュールも違うわけですよね。どちらが効いているか分からないですよね。狭義の用量相関は、同じスケジュール、異なる1回投与量みるのでは。

○医薬品医療機器総合機構 中国でこの製剤が開発されたときの投与スケジュールは4回投与でしたが、製薬企業がその開発を引き継いだときに4回投与では効きづらいので、投与回数を増やしたほうがより効くのだろうということで、1回投与量は同じですが、総投与量として高めたということです。

○田村委員 総投与量がいいのか、投与期間・スケジュールが長いからいいか分からないですよね。

○吉田部会長 そのとおりですね。今のいろいろなディスカッションですが、例えば前臨床のデータがいろいろあると思いますが、そこでも例えばコントロールと、この薬とを比べたら、これだけ反応が違っていてというのは見えてないのですか。そういうデータもないのですか。

○医薬品医療機器総合機構 確認いたします。

○吉田部会長 ただ、最も悩ましいのは、関水先生、なぜこの薬が効いているかというメカニズムが分からないという点です。

○関水委員 効けば薬として承認することはいいのではないですか。私は、そこにも問題はあると思いますけれども、そもそもこれが本当に効いているのかと疑問に思います。

○吉田部会長 対照薬と本薬による原虫の死亡率の差とか、治癒率の差といったものが判らないということですね。

○関水委員 赤血球の中でマラリアが増えていくことを抑えるという点については、ここの薬剤について証明されています。しかしながら、実際にヒトに効いて病気が治ったというデータが本当にあるのですかと質問されたときに、「ここにありますよ」と答えるデータがあるかどうかが問題です。

○医薬品医療機器総合機構 シングルアームの試験の結果解釈には限界があるので、そこについては先ほど恣意的に患者を選択すればこういう数字が出せるのではないかという委員の質問については、シングルアームの試験である限りは回答はなかなか難しいだろうと思います。

○関水委員 シングルアームであろうが何であろうが、きちんとしていなければ科学的には却下されるべきです。常にきちんとやっているのかということについてしっかり示されねばなりません。捏造だったら話になりませんが、私はそんなことを問題にしているわけではありません。きちんと科学的に受け入れられる評価体制で、この薬が評価されているかという趣旨の質問をさせていただいています。審議会で承認するに当たって、個々の薬について効いているということが確認されれば、あとは医師の判断に任せようということでいいと思うのです。

○医薬品医療機器総合機構 我々が特にこの薬が薬として役に立つだろうと思ったところは、先ほど申しましたように、シングルアームの試験の結果解釈には限界はありますが、WHOのガイドラインで規定されているような数値を、確かに臨床試験の中でも超えているということを確認しております。

○関水委員 そういう考え方は厚生労働省としてはやめてほしいと思います。コントロールをとらずに臨床試験をやったら96%だったから、WHOのガイドラインに合っていますとのことですが、これは通用しない議論です。

○医薬品医療機器総合機構 審査報告書59ページの「中国のThe Academy of」で始まる段落の2行目ですが、アルテメテル単独とルメファントリン単独とリアメット配合錠で比較している試験では、アルテメテル単独の治癒率は45%、ルメファントリン単独では75%、リアメット配合錠ですと90%という成績が得られています。ここは群間差を統計学的に示すことを目的とした試験ではないですが、それぞれ単独群よりも点推定値では高い治癒率が得られていることが示されています。

○関水委員 そういう御発言を聞くと、さらに疑うことになってしまいます。なぜその点を正面に出して、この薬は効くのだということを言わないのか。これがこの薬の効くという証拠であって、それ以上のものはないということならそれで結構です。その上で皆さん審議してください、と委員の意見を問う、ということになるのではないでしょうか。

 私が問題にしているのは、この報告書を見た一般的な国民は、厚生労働省、機構が言っているのだからエビデンスがあるのだと思うわけです。ところが、実際に聞いてみると、大したエビデンスがないのに、非常に強く言われる、ここが問題だと思います。

 今、中国の例があると言われたのですが、なぜ中国の結果を基にして、これによって本剤は有効だということが示されたという議論がきちんと書かれないのか非常に疑問です。

○医薬品医療機器総合機構 この中国で実施された試験は、申請者が実施した試験ではないため、評価資料としては提出されておりません。

○吉田部会長 よその人のデータなので参考扱いにしたということですね。

○医薬品医療機器総合機構 これはヒトのデータです。こちらは中国の公的機関が過去に実施した臨床試験でこういう成績が得られているということを申請者が説明しているものです。

○関水委員 それは機構としては完全には認めないのだと、もし言われるのだったら、そういうことを材料にしてここの場で効いているのだということを言うのはやめてください。言われるからには、確固なエビデンスがあって、「ここに中国でやった例がありますよ」というべきです。今のお答えでは、ちゃんとやったわけではないのだということですよね。そうなのですか。

○吉田部会長 それに関しては、レポートを見ただけだということなのでしょう。つまり、「レポートの結果、こうなっています」ぐらいしか知らないということですね。

○医薬品医療機器総合機構 そうです。

○吉田部会長 今の議論がすごく大事なのは、有効とする数値の根拠というのが純粋に科学的な根拠に基づいているのか、ただ単に政策的と言っては変なのですが、そういう行政上の一つの約束事というような根拠なのかという話に通じるからです。例えば90%以上を有効とするという話になっていたら、試験をやって89%だった場合「これは効かない」と言えますか。効きそうだなと思う人もいて不思議ではありません。そうすると、効く、効かないというのを、どこで本当に線を引けますかというと、今のような議論になって、どんな実験があって、どういう証拠があるからという話にならないと決着がつけられません。というのは、90%という基準だって将来変わるかもしれませんしね。だから、ガイドラインにあるからという議論ばかりをやっていると、確かに有効性の議論が飛んでしまう可能性があるので、審査を行う上では、充分に配慮しておくべき点だろうと思います。

○清田委員 ちょっと関水先生の虫の居所が悪いみたいで、今日はちょっと長いのですが、私ども日本性感染症会のガイドラインをついこの間出したばかりです。それでサイエンティフィックと言われてしまうと、エビデンスが非常に低いレベルでガイドラインを出さなければならないという現状もありまして、プラセボコントロールスタディが非常に難しい。特に梅毒などはエビデンスが足りないのです。培養もできないし、MICも出せない。その中でリコメンデーションを出さなければなりません。

 マラリアに関しては、世界的な蔓延が問題になっているのと、恐らく耐性株が今後も出てくるだろうという中で、何か手を打たなければならないという急務があるので、サイエンティフィックをとことん問われると、ちょっと危ないのですが、リミテーションがあるというのをちゃんと理解して通すというのでよろしいのではないかと思うのが、私の意見です。それから至適投与期間はどのぐらいをリコメンドされるのか、この辺は聞き損じたかもしれません。

○医薬品医療機器総合機構 本剤の用量・用法に関しては、3日間を予定しています。初回投与、その8時間後、その後は朝・夕1日2回2日間、計6回、3日間の投与スケジュールとなっています。

○清田委員 そこははっきりとさせていだいて、よろしいかと思います。

○吉田部会長 よろしいですか。

○新井部会長代理 長くなってしまって聞きづらいのですが、全然違う話ですが、ちょっとマニアックな話になって申し訳ありません。一応この化合物は赤血球内でラジカルを作って、マラリア原虫が比較的酸化ストレスに弱いので、より選択的に効いているという原理にのっとっていると思います。

 たまにこういう化合物というか薬物で思うことは、この文章の中にもありますが、抗酸化剤を加えると、その効果が軽減する。この場合はミトコンドリア障害か何かでしたが。

 未開発国でマラリアの薬を使う場合はいいのですが、日本のような国で人によってはすごくビタミン剤を摂っていて、特にビタミンEとか、そういうのを摂っている人は、この薬の効果とか、比較的効かなくなる可能性があり得るかと前から思っていました。後で何か薬を使っても、この人は妙に効かないというときに、私自身が思うのは、本当に日本だといつでも今はビタミン製剤が買えてしまうと。しかも好きなだけ飲めてしまって、ビタミンEなどは特に飲んでも余り副作用が出ないので、たくさん飲んでしまっている人もいっぱいいるかもしれないので、そういう状況において、この薬を使うのは、余り適切ではないかなと科学的に思うのです。

 今後それを使う、特に日本で使うようなときに、余り効かないような患者がいた場合に、ビタミン剤か何かを飲んでいますかという追跡調査をしてもらう。する必要があるかどうかは分かりませんが、そういうファクターはあり得るのではないかと思います。

 我々は実験をしていて、ビタミンEは実は少ないほうが、マラリアは抗酸化力に弱いので、本当は殺せるのです。そういう部分も今後こういうメカニズムのものに関しては、ファクターとして考えてもらいたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。製販後調査では、マラリアということで、それほどたくさんの患者を調査する予定ではありませんが、通常、各患者で併用されている薬剤は調査の項目となっております。

○新井部会長代理 薬剤ではなくて、日本だと健康食品でビタミンE製剤などはどんどん飲めてしまうわけです。その辺も含めて調査をしてもらえたら、一定のことが分かるかもしれない。今後の方針にもなるかと思います。

○医薬品医療機器総合機構 患者が日常的に摂取しているサプリメント等があれば、そこも調査の範囲に含められるかどうか検討いたします。

○新井部会長代理 アンケート程度でもいいと思いますが、そういうファクターも今後は考えてもいいのかなと思います。

○吉田部会長 タンザニアとか、タイとか、中国が相手だから、日本と随分、環境は違うとは思いますが、その辺も関係医師を含めて製販後のときに調べていただくということで、お願いしたいと思います。ほかにありますか。

 それでは、そろそろ議決に入りたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていだたきます。

 それでは、議題5に移ります。議題5につきまして、機構からの概要説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 機構から御説明いたします。議題5、資料5、医薬品デシコビ配合錠LT及び同配合錠HTの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。

 本剤は核酸系逆転写酵素阻害剤であるエムトリシタビン(以下、FTCと略します)と、テノホビルのプロドラッグであるテノホビル アラフェナミド(以下、TAFと略します)の2成分を有効成分として含有する配合剤で、各成分は本邦で既に承認済みとなっております。デシコビ配合錠LTと同配合錠HTについて、エムトリシタビン(FTC)の含有量については、いずれも200mgと同一ですが、TAFの含量は異なっています。リトナビル、コビシスタットと併用して投与されるLT錠に関して、TAFの含量としては10mg、リトナビル、コビシスタットと併用しないHT錠については、TAFとして25mgが含まれています。

 本剤は既承認のツルバダ配合錠、これもHIVの薬として承認されていますが、それに含有されるテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(TDF)がTAFフマル酸塩に置き換えられた配合剤となっています。またFTCとTAFフマル酸塩を含有する製剤として、ゲンボイヤ配合錠が承認されております。本剤については、HIV感染症に対して、既に欧州、米国にて承認済みとなっています。

 本申請の専門委員としては、資料16に記載しました5名の委員を指名させていただいております。

 次に審査概要について、臨床試験成績を中心に説明します。審査報告書7ページの表2を御覧ください。本剤の有効成分であるFTC及びTAFと、TAFのばく露量を増加させるコビシスタットとエルビテグラビルを含有するゲンボイヤ配合錠投与時と、同じ用量のFTC/TAF、200mg10mgを有効量とする配合錠及びコビシスタットとエルビテグラビルを併用投与時のFTC及びTAFの薬物動態パラメータについて評価され、生物学的同等性が示されております。

 次に同じ審査報告書7ページの表3を御覧ください。こちらは表2とは異なって、TAFの用量が10mgではなくて、25mgの製剤を使った試験ですが、この場合はコビシスタットを併用していないデータとなっています。このデータとしては、ゲンボイヤ配合錠投与時と、FTC/TAF、200mg25mgが含まれていますが、配合錠の単剤投与時のFTC及びTAFの動態パラメータについて、生物学的同等性が示されています。

 以上のことから、後で説明しますが、本剤の臨床試験成績に加えて、FTC/TAFを含む配合錠(既承認のゲンボイヤ配合錠)の承認申請に際して提出された臨床試験成績等を利用して、本剤の有効性及び安全性は評価可能と判断しております。

 次に有効性について説明します。審査報告書19ページの表17を御覧ください。一番左の試験成績としては、これは本剤の試験成績、海外のII相試験成績になりますが、中段と一番右のカラムの成績が、ゲンボイヤ配合錠の承認申請時に提出された成績です。このゲンボイヤ配合錠の試験成績の概要としては、未治療の成人であるHIV-1感染症患者を対象とした臨床試験で、これらの試験成績において非劣性が検証されていますので、試験成績等を踏まえて、ゲンボイヤ配合錠は当部会の審議を踏まえて承認とされております。

 次に審査報告書20ページの表18を御覧ください。この試験成績としては、FTC/TDF(ツルバダ配合錠)になりますが、これを含む抗HIV療法によりウイルス学的抑制が得られている既治療の成人HIV-1感染症患者を対象とした試験において、ツルバダ配合錠に対する本剤の非劣性が検証されています。その試験成績を踏まえて、既治療の成人HIV感染症患者における有効性は示されたと判断しています。

 以上の試験成績、コビシスタット併用におけるFTC/TAF、200/10mgの含有量になりますが、配合錠投与時とFTC/TAF、200/25mgを含む配合錠の単剤投与時と、ゲンボイヤ配合錠投与時のFTC及びTAFのばく露量が同程度であったこと等を踏まえ、未治療又は既治療のHIV感染症患者に対する本剤の有効性は期待できると判断しております。

 次に安全性について説明いたします。審査報告書17ページの表16を御覧ください。この表は既治療患者を対象とした海外第III相試験における投与後48週時の発現率が5%以上の有害事象及び副作用を示しています。本剤の有害事象発現率や主な有害事象としては、既承認のツルバダ配合錠で確認された安全性プロファイルと大きな差異はなく、本剤投与時に新たな懸念となるような事象は認められておりません。また、未治療患者における安全性については、海外第II相試験成績等を踏まえ、特段の問題はないと判断しています。したがって、本剤の安全性については、各有効成分を含有する製剤と同様の注意喚起を行うことで特段の問題はないと判断しています。なお、日本人に本剤を投与した際の有効性・安全性に係る情報は得られていないこと等を踏まえ、本剤の全投与例を対象とした製造販売後調査を実施する予定になっています。

 以上の審査を踏まえ、機構は本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本剤は希少疾病用医薬品を含む新有効成分含有医薬品であり、再審査期間については、本剤の有効成分であるTAFを含有するゲンボイヤの残余期間を残余期間として、平成38年6月16日までとし、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断します。薬事分科会には報告を予定しています。

 なお、事前に送付させていただきました審査報告書の35ページに記載漏れがあり、御迷惑をお掛けして申し訳ございませんでした。本日、資料として机上配布させていただいておりますが、机上配布させていただいた資料のとおり訂正させていただきたいと思いますので、改めて御確認を頂ければと思います。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。

○清田委員 17ページ表16の一番下の「異常な夢」というのはどんな夢ですか。

○医薬品医療機器総合機構 少々お時間を頂けますか。

○清田委員 「放屁」というのがあるのですが。

○吉田部会長 田村先生、これはNCI-CTCにあったかな。

○田村委員 異常夢ですか。

○吉田部会長 異常夢。

○田村委員 分かりません。

○医薬品医療機器総合機構 各事象の詳細は確認させていただいて、後ほど報告させていただきます。

○吉田部会長 調べておいてください。ほかにありますか。先般の議論にもあったように、先行薬のメタボライトでも非劣性が証明されれば新薬になるし、配合剤の配合比を変えても新薬になるしということで、本薬でもこれまで聞いたことがあるような薬が、配合比が変わって出てきています。そこでお願いですが、そういった場合の臨床的な位置付けについて、予め報告書の方に整理しておいていただけると、審査をする側にとって大変有り難いのです。菊池先生は今日お見えになっていませんが、機構の方から分かっている範囲で結構ですので教えていただけますか。本薬では結局何をどうしようとしているのですかね。

○医薬品医療機器総合機構 先ほど説明しました既承認のツルバダ配合錠にはTDFがテノホビルの成分のプロドラッグとして含まれていますが、TDFについては、主な副作用として腎障害があります。クレアチニンクリアランスが50mLを切ると、用法の調整が必要である旨が注意喚起されていますが、今回のTAFの成分については、臨床試験ではクレアチニンフレアランスが30mLのところまで安全性が確認されており、用量調整等が不要というデータがあります。このため、腎障害がある患者に対しては使い勝手が良くなるのではないかと思います。

○吉田部会長 前薬よりも使い勝手が良いというメリットがあるということですね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○吉田部会長 よろしいでしょうか。

○川上委員 添付文書()の6ページに承認条件があって、1、2、3、4の、全部ペケになっているのですが、どういう内容が入る予定なのですか。

○医薬品医療機器総合機構 こちらは本日、部会の審議の中の承認条件をどうするかという議論を踏まえて、最終的に詳細な文言が入る予定です。案としては、審査報告書の2ページの下から5行目から「承認条件」として1~5番まで記載しておりますが、部会での審議等を踏まえて、この案を変更する必要があるかを検討いたします。

○吉田部会長 異常な夢は分かりましたか。

○医薬品医療機器総合機構 異常な夢に関してですが、これは治療で本剤とともに投与されているキードラッグの中で、NNRTI、エファビレンツ等で頻繁に見られるものです。それが有害事象及び副作用として挙がってきていると考えています。具体的には、追いかけられて、どこかからか飛び降りるとか、人を殺してしまうとか、日常的に見る夢とは、明らかに異なる夢で、HIVの治療レジメンでは比較的頻繁に見られる有害事象です。

○吉田部会長 分かりました。ほかにありますか。

 ないようですので、議決に入りたいと思います。なお、田村委員におかれましては利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。お諮りします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは、議題6に移ります。議題6につきまして、機構からの概要説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題6、資料6、オテズラ錠10mg他の製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。本剤の有効成分であるアプレミラストは、ホスホジエステラーゼ4を阻害し、免疫細胞の炎症性サイトカイン発現を調整する作用を有しております。今般、尋常性乾癬及び関節症性乾癬に関する効能・効果で製造販売承認申請されました。本剤は、2016年9月現在、海外では米国、欧州を含む37か国で承認されております。本申請の専門委員として、資料16に記載されております委員を指名いたしました。

 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡単に説明いたします。本申請は、ブリッジング戦略に基づいており、国内では審査報告書41ページから43ページ、7.2.2国内第II相試験に記載した、中等度から重症の局面型皮疹を有する尋常性乾癬及び関節症性乾癬患者を対象とした、プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験がブリッジング試験として実施されております。ブリッジング試験と、海外で実施されたブリッジング対象試験の有効性、安全性及び背景因子の結果への影響等を検討し、日本人乾癬患者に対する有効性及び安全性について、海外臨床試験成績を外挿して評価することは可能と判断いたしました。

 有効性につきまして、50ページ、表40及び53ページ、表43を御覧ください。乾癬患者を対象とした2つの海外第III相試験において、主要評価項目である投与16週時におけるPASI75達成率、すなわち乾癬の面積と重症度の指標であるPASIスコアがベースラインから75%以上改善した被験者の割合について、プラセボに対する本剤30mgの優越性が示されております。

 報告書を戻っていただき42ページ、表30を御覧ください。国内第II相試験においても、主要評価項目である投与16週時におけるPASI75達成率は、プラセボに対して本剤20mg及び30mg群で、統計学的に有意に高いことが示されております。以上より、尋常性乾癬及び関節症性乾癬の局面型皮疹に対する本剤の有効性は示されていると判断しました。

 関節症性乾癬につきまして、56ページ、表4859ページ、表51及び61ページ、表54を御覧ください。三つの海外第III相試験において、主要評価項目である投与16週時におけるACR20改善率、すなわち米国リウマチ学会による関節症状の改善基準20%を達成した被験者の割合について、プラセボに対する本剤30mgの優越性が示されております。また、67ページ、表62に示したとおり、国内第II相試験において、関節症状の改善傾向が認められております。以上を踏まえ、関節症性乾癬の関節症状に対する本剤の有効性は期待できると判断しました。

 安全性について、審査報告書67ページ以降の7.R.3安全性についての項を御覧ください。国内外臨床試験における有害事象の発現状況は69ページ、表65及び表66のとおりであり、本剤投与時には感染症、下痢、悪心等の消化器系障害、頭痛、体重減少等の発現が認められましたが、多くは軽度又は中等度の事象であったこと、消化器系障害、頭痛については一過性であったことから、いずれも忍容可能と考えております。なお、本剤の投与開始初期に漸増投与しない場合には、消化器系障害の発現率が高い傾向が認められていることから、本剤の投与開始時には漸増投与法を設定することが適切と判断しました。

 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は、いずれも劇薬に該当すると判断しております。薬事分科会では報告を予定しています。以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。

○関水委員 68ページの表63の死亡例を見ているのですが、プラセボ対照群と本剤対照群で違いがあるように思われますが、これは重要なことではないのですか。

○医薬品医療機器総合機構 違うというのは具体的にどの点でしょうか。

○関水委員 本剤投与群で数だけ見ると、111。これは本剤投与例が一番右側にありますよね。その369というのが111と比べて369のほうが多いと見てはいけないのですか。死亡に係ることだから、ちょっと注意したほうがいいと思うのです。

○医薬品医療機器総合機構 記載がわかりづらく申し訳ありません。この表の左側のプラセボ対照期と記載した部分は、プラセボ、本剤30mg又は本剤20mgを同期間、投与した結果となりますので、それぞれの群を比較してご覧頂ければと思います。右側の本剤投与期と記載した部分につきましては、それぞれ本剤30mg又は20mgを投与した全体、一番右側の欄は本剤を投与した全体を集計したものです。左側のプラセボ対照期と比較して投与期間が長くなる分、死亡例数が増えているものと思われます。また、一番下に総ばく露期間を示しておりまして、下のプラセボ対照期は377.4574.5人・年に対して、本剤投与期では2416.06927.4となり、右側と左側ではばく露期間が違うものを比較してしまうことになるかと思います。

○関水委員 はい、分かりました。

○吉田部会長 ほかにありますか。表の読み方を教えてほしいのですが、53ページにPASI507590と書いてあって、有意差が出たのは75%ですよね。

○医薬品医療機器総合機構 はい、そうです。上から2番目のPASI75達成率の所です。

○吉田部会長 90%以上だと90になるのですか。

○医薬品医療機器総合機構 これはPASIの達成率、それぞれ50%改善した患者さんの割合、75%改善した患者さんの割合となります。

○吉田部会長 75%改善した人は、50%の所に絡んでいるわけではないのですよね。

○医薬品医療機器総合機構 絡んでいます。

○吉田部会長 どんどん積んでいくわけですか。

○医薬品医療機器総合機構 そうです。

○吉田部会長 そうすると、読み方によっては、75しか効かないのかなという話に見えてしまうのですが、そうではないのでしょう。

○医薬品医療機器総合機構 そうではありません。改善度が、面積なり重症度が50%以上改善した人の割合をPASI50達成率として示しています。

○吉田部会長 PASI75で差が付いているということは、例えばPASI50ぐらいだったら、プラセボも本剤も変わらないのだということですか。

○医薬品医療機器総合機構 いえ、PASI50については右側にプラセボ群との群間差を示させていただいておりますが、35%程度の差がありますので、いずれの達成率でも、本剤群のほうが優れていると言えるかと思います。

○吉田部会長 それはわかりますが、p値を殊更ここで挙げているのは何でなのですか。

○医薬品医療機器総合機構 申し訳ありません。ここでp値を記載させていただいているのは、主要評価項目であるPASI75について検証仮説をたて、必要な症例数設計を行ったためとなります。

○吉田部会長 PASI75での検証を仮説にしたから、そうなっただけの話。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○吉田部会長 分かりました。ありがとうございました。ほかにありますか。よろしいですか。御意見もないようですので、議決に入りたいと思います。なお、田村委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは、議題7に移ります。議題7について、機構からの概要説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題7、資料7、医薬品イラリス皮下注用150mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より説明いたします。本剤の有効成分であるカナキヌマブ(遺伝子組換え)は、ヒトIL-1βに対するモノクローナル抗体で、既にクリオピリン関連周期性症候群(以下、CAPS)の効能・効果で承認を取得し、臨床使用されております。今般、既存治療で効果不十分な家族性地中海熱(以下、FMF)、TNF受容体関連周期性症候群(以下、TRAPS)及び高IgD症候群/メバロン酸キナーゼ欠損症(以下、HIDS/MKD)に係る効能・効果を追加する一部変更承認申請が行われました。

 申請された三つの疾患は、CAPSと同様に、周期性発熱症候群に分類される自己炎症疾患であり、原因遺伝子は異なるものの、4疾患で共通してIL-1βの産生異常により、日常生活に支障を来すほどの高熱を伴う全身性炎症発作を繰り返し、炎症性サイトカインの標的となる臓器及び器管に特有の症状が発現します。本邦における患者数は、FMFが約300名、TRAPS30数家系30数名、HIDS/MKDが4家系6名と報告されております。FMFに対しては、コルヒチンが承認されているものの、約10%の患者ではコルヒチン抵抗性又は不耐容であり、またTRAPS及びHIDS/MKDに対して承認されている薬剤はなく、治療薬の開発が望まれています。

 このような背景の下、日本を含む国際共同治験等の成績に基づき、今般の申請が行われました。なお、本剤は2014年4月に、当部会での審議の結果、家族性地中海熱、TNF受容体関連周期性症候群及びメバロン酸キナーゼ欠乏症を、予定される効能又は効果とする希少疾病用医薬品に指定されております。本申請の専門委員としては、資料16に記載されております5名の委員を指名いたしました。

 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡単に説明いたします。審査報告書8ページの7.1第III相試験の項を御覧ください。TRAPS、HIDS/MKD及びコルヒチン効果不十分なFMF患者(以下、crFMF)、これらの患者を対象に体重40kg以下の場合は2mg/kg、体重40kg超の場合は本剤150mgを4週間隔で反復皮下投与したときの有効性及び安全性を検討するプラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験が、国際共同治験として実施されております。有効性については、10ページ、表5のとおり、主要評価項目である投与16週後における寛解率、すなわちランダム化時に認められた最初の再燃が投与15日までに寛解し、かつ16週間の投与中に再燃しなかった被験者の割合は、いずれの疾患においてもプラセボに対する本剤の有効性が検証されました。なお、この寛解や再燃の定義については、同じ10ページの9)10)を御参照ください。

 審査報告書16ページ、7.R.1.3増量時の有効性についての項を御覧ください。周期性発熱症候群では、発作頻度を最小限とし、アミロイドーシスの進行を抑制することが治療目標の一つとして重要であることから、既承認のCAPSと同様、追加投与及び増量投与が検討されております。本試験では、初回投与量により症状をコントロールできない場合に、初回投与量の追加投与及び次回の規定来院時に倍量の4mg/kg又は300mgを投与することとされ、17ページ、表13のとおり、TRAPS及びHIDS/MKD患者の約半数並びにcrFMF患者の約3割において、増量投与がなされております。

 増量投与時の有効性については、表14のとおり、主解析として示した主要評価項目による寛解率に比べて、探索的解析として示した追加投与及び増量投与による寛解例を含めた寛解率は、TRAPS、HIDS/MKD及びcrFMFのいずれにおいても高かったこと等を踏まえると、本剤150mgの4週間隔投与で寛解に至らなかった患者は、300mgへの増量により有効性が得られる可能性があると考えております。

 また、国際共同第III相試験成績から、TRAPS患者及びcrFMF患者と比較して、HIDS/MKD患者においては、本剤300mgへの増量投与の効果は限定的であったことから、更なる高用量の必要性について検討されております。審査報告書24ページ、表18にお示ししたとおり、300mg投与により効果不十分であったHIDS/MKD患者2例に、更なる増量である450mg又は6mg/kgが投与され、増量による疾患活動性の抑制が認められました。

 また、25ページ、図3のとおり、HIDS/MKD患者における本剤の標的分子であるIL-1βの血清中濃度は、TRAPS及びFMF患者より高いことに加え、本邦ではCAPS患者に対して最大600mgを4週間隔投与することが可能であり、CAPS患者における製造販売後安全性情報等から、450mg以上の投与による安全性上の懸念は示唆されていないこと等を踏まえて、HIDS/MKD患者において1回用量の上限を6mg/kg又は450mgと設定することは可能と考えております。

 安全性については、報告書を戻って18ページ以降の7.R.2安全性についての項を御覧ください。国際共同第III相試験の疾患別データ及び3疾患併合データ、並びにCAPS患者を対象とした国内外の臨床試験5試験の併合データに基づき、本剤の安全性について検討したところ、19ページ、表16のとおり、TRAPS、HIDS/MKD及びcrFMF患者における本剤の安全性について、既承認のCAPSにおける有害事象の発現率及び発現プロファイルと比較して、特段の違いは示唆されていないと考えております。しかしながら、TRAPS、HIDS/MKD及びcrFMFの日本人患者における本剤の投与経験は極めて限られていることから、製造販売後調査等で情報を集積した上で、重篤な感染症をはじめとする有害事象の発現状況等について、引き続き検討する必要があると判断いたしました。

 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は、本申請に係る効能・効果で希少疾病用医薬品に指定されていることから、今般追加される効能・効果及びその用法・用量について、再審査期間は10年とすることが適切と判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。

○鈴木委員 いずれも患者数が少ない疾患ですので、そうした方に有効な薬は必要だと思いますが、この薬は服用しないと、どのような症状が出るのか、要するに命に関わるような状態になるのか、そこまではいかないのか、それを教えていただきたいと思います。この薬は服用を始めたら、基本的には一生涯続ける薬になるのかどうかも教えてください。それから、一部コルヒチンが承認されているものもあるとのことですが、この薬がどのぐらいの薬価になると想定しているのか。かなり差がつくのではないかという気もします。以前にも非常に高額な薬が中医協に出たことがありました、一生涯服用すれば、社会的に普通の生活を営むことができるが、服用しなければ命に関わるというもので、それは皆必要な薬だと思いました。今回は臨床的にどの程度症状を改善させる薬なのかということと、コルヒチンとの差も含めて、価格についてどのようなことが想定されているのか、教えていただけますか。

○医薬品医療機器総合機構 機構より説明いたします。まず、1点目の死亡に至るような疾患であるかというところに関してですが、FMFとTRAPSに関しては、発症年齢自体が20歳未満と報告されておりまして、その後、特徴的な臨床症状としては、皮膚や関節の症状などが認められますが、アミロイドーシスが発症する可能性も示唆されており、特にFMFに関しては約50%未満の患者さんで、治療を行わなければアミロイドーシスに至ると報告されています。また、TRAPSに関しては、1020%の患者さんで、アミロイドーシスに至るということが報告されています。

 HIDS/MKDに関しては、発症年齢が1歳未満であり、先ほどの皮膚の症状に加えて、眼房異形成や神経学的症状、つまり一度その症状を発症すると回復はしないという症状が出てきます。また、HIDS/MKDに関しては約10%程度の患者さんでアミロイドーシスを発症することが報告されています。アミロイドーシスを発症し、その後重篤化すると死亡に至るケースも想定されることから、このアミロイドーシスをいかに予防できるかという点が、本剤に期待される役割と思います。

 2点目、一生涯服用が必要な薬剤かというご質問ですが、一度これら疾患と診断されますと、遺伝子異常を伴う疾患ということもあり、やはり一生涯、服用が必要な薬剤になります。

 3点目、薬価についてですが、既にCAPSの効能・効果で承認されており、そのときに付けられた薬価が1本、1バイアル150mgですが、約142万円となっております。

○吉田部会長 よろしいでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 補足させていただきます。最初に各患者数については、FMF患者に関しては約300名、TRAPSに関しては30名、HIDS/MKDが6名と申し上げましたが、このうち今回FMFに関しては、適用対象と考えておりますコルヒチン効果不十分な患者がそのうち10%ですので、約30名がこの薬剤の対象になる予定です。

○鈴木委員 ちなみに、コルヒチンは幾らぐらいなのですか。

○医薬品医療機器総合機構 8月部会に御審議いただいて承認されたところなのですが、比較的安価と思いますが、具体的な薬価は今は把握しておりません。

○吉田部会長 痛風になると、昔どっさりもらいましたよね。確かに相当安かったですよ。ほかにありますか。よろしいでしょうか。いわゆるオーファンドラッグということで、我々も既に指定しており、今回は、その後の臨床試験の成績の評価ということになろうかと思います。議決に入ります。お諮りします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは、議題8に移ります。議題8について、事務局からの概要説明をお願いします。

○事務局 それでは議題8、資料8、avelumabを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。資料の事前評価報告書をお開きください。報告書1ページ目中段、申請者はメルクセローノ株式会社、予定される効能・効果はメルケル細胞癌です。

 まず、1ページ目の対象患者数について、メルケル細胞癌の総患者数は75人と推定されており、患者数が5万人未満という基準を満たしていると考えております。2ページ目は医療上の必要性についてです。メルケル細胞癌に対する化学療法は、いずれの抗悪性腫瘍剤も延命効果が示されておらず、新たな治療薬の開発が望まれています。なお、根治切除不能なメルケル細胞癌の5年生存率は0~18%とされており、極めて予後不良です。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。最後に、2ページ目中段から、開発の可能性についてです。化学療法歴のある根治切除不能なメルケル細胞癌患者を対象に、本剤の有効性及び安全性を検討することを目的とした国際共同第II相試験が実施され、主要評価項目とされた独立評価委員会判定による奏効率は31.8%でした。以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えております。

 以上より、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしているものと考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。頻度、医療上の必要性、開発の可能性等々と3条件は整っていると思われます。よろしいですか。

○鈴木委員 このメルケル細胞癌という病気に対してはいいと思うのですが、報告書を見ますと、抗PD-L1抗体と書いてあります。何となくオプジーボに近いのかなという気もするのですが、その辺はどうなのですか。

○事務局 こちらは抗PD-L1抗体の医薬品となっており、オプジーボ、キイトルーダはPD-1抗体なので、少し作用する部位は違いますが、機序としては同じ位置付けのものになるかと思います。

○吉田部会長 ということですが、今のは、「この手の新薬はまずオーファンを取って承認を貰い、次にcommon cancerへと適応拡大を取りにいくというような戦略なのだけれど、これも同じか」という御質問ですね。

○鈴木委員 そうです。

○事務局 現時点で、企業のほうでの日本国内での開発状況としては、メルケル細胞癌のほか、非小細胞肺癌と胃癌について臨床試験が行われている状況になっております。企業のほうで開発戦略等があるかどうかに関してはこちらで承知しておりませんが、メルケル細胞癌については、癌の発症機序などから免疫系のところが関与しているというような文献等があり、そちらを基に、こちらの癌種に対しての開発がなされたと聞いております。

○鈴木委員 そうすると、これから同じことが起きてくると思うのです。中医協のヒアリングで、中医協委員が、最初、希少疾患で取っておいて、それから患者の多い癌に広げて、そのまま高い薬価で高い収益を上げていることを、企業戦略だと企業の方はおっしゃいましたが、そういうやり方については、いかがなものかという話にもなったわけです。今回、オプジーボの50%引下げもあったわけですが、そうしたことが前もって分かっているのだったら、例えば適応を拡大する時点で価格をもう一回見直すことを組み込んでおく。先ほど部会長もおっしゃったように、総合的に全体を見る必要があり、今のように一個一個別々に出て来れば、それはいいでしょうと言わざるを得ないのですが、全体を見て、前もって薬食審としてもある程度、方針を立てていたほうがよいと思います。中医協では、薬食審は何をやっていたんだと、批判されるわけです。もう少し総合的な対応を検討されておいたほうがいいのではないかと思いますので、これは要望として話させていただきます。

○吉田部会長 よろしくお願いします。ほかにございますか。よろしいですか。それでは議決に入りたいと思います。

 本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは、議題9に移ります。議題9について、事務局からの概要説明をお願いします。

○事務局 議題9、資料9、ベバシズマブ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。資料のタブの3.事前評価報告書の1ページ目の中段、申請者は中外製薬株式会社、予定される効能・効果は悪性胸膜中皮腫です。

 まず、対象患者数について、1ページ目の下からになります。悪性胸膜中皮腫の総患者数は約2,000人と報告されており、患者数が5万人未満という基準を満たしていると考えております。次に、1ページ目下段から2ページ目の医療上の必要性についてです。悪性胸膜中皮腫に対する化学療法は、シスプラチンとペメトレキセド水和物の併用投与が推奨されていますが、当該併用療法を受けた場合であっても、全生存期間の中央値は12.1か月と報告されており、予後不良です。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。最後に、2ページ目の中段からの開発の可能性についてです。平成28年6月より、化学療法歴のない切除不能な悪性胸膜中皮腫患者を対象に、本剤、シスプラチン及びペメトレキセドナトリウム水和物の併用投与の有効性及び安全性を検討することを目的とした、非盲検非対照第II相試験が実施中であり、本剤の開発の可能性は高いと考えております。

 以上より、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 この件についても対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性等々、特に問題ないように思いますが、御意見ありますか。ないようですので、議決に入りたいと思います。なお、田村委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。

 本議題について、指定を可としてよろしいですか。御異議がないようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは議題10に移ります。議題10について、事務局から概要説明をお願いします。

○事務局 議題10、資料10Spiramycinを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。資料10の事前評価報告書をお開きください。申請者はサノフィ株式会社、予定される効能・効果は、妊婦のトキソプラズマ症です。

 まず、1ページ目の下段の対象患者数についてです。本剤による治療が必要とされるのは、トキソプラズマ原虫に初感染の妊婦となりますが、妊婦の初感染率と年間出産数から、年間1,000人~1万人と推定されております。以上から、希少疾病用医薬品の指定基準である対象患者数5万人未満を満たしていると考えております。

 次に、2ページ目の医療上の必要性についてです。妊婦がトキソプラズマ原虫に初感染した場合、トキソプラズマ原虫が胎盤を通過して胎児に垂直感染する可能性があり、先天性トキソプラズマ症では水頭症、網膜脈絡炎による視力障害、脳内石灰化及び精神運動機能障害等が主な臨床症状として知られております。海外では、妊娠中にトキソプラズマ原虫に初感染した妊婦に本薬を投与すると、胎児感染の頻度が低下すること、また、胎児感染が起こった場合でも、児の臨床症状の重症度を下げることが示されており、トキソプラズマ原虫に初感染した妊婦に対し、本薬が推奨されております。上記を踏まえ、医療上の必要性が高い未承認薬・適応外薬検討会議において、本剤は医療上の必要性が高いと判断され、申請者に対して開発要請を行っております。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。最後に、開発の可能性ですが、既に実施された国内第I相試験成績、海外臨床研究、公表文献、国内外の診療ガイドライン、成書等に基づき、本薬の有効性及び安全性を評価できる可能性があると考えており、本剤の開発の可能性は高いと考えております。

 以上より、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。よろしく御審議のほど、お願いいたします。

○吉田部会長 それでは委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。ちょっと訊きたいのですが、1955年にフランスで承認されて以来、世界85か国で承認されているのでしょう。海外データで承認申請できないのですか。

○事務局 海外データ、そうですね。

○吉田部会長 どうして、こういう回りくどいことをするのだろう。これだけたくさんのデータがあれば、承認申請できるでしょう。どうしてできないのですか。

○医薬品医療機器総合機構 先ほど事務局からも御説明ありましたように、現在、国内で、日本人と白人の健康の女性の方を対象に薬物動態の試験がされており、その成績と海外の教科書、公表文献を基に、評価できる可能性があるということで、そういう形の申請を申請者は考えているのだろうと思います。

○吉田部会長 でしょう。どうしてオーファンを申請する必要性があるのですか。だから、普通に正々堂々とやれば、それこそ。

○医薬品医療機器総合機構 今回はオーファンに申請するかどうかというのは企業の判断になりますので、企業が対象疾患の重篤性とか、その患者さん。

○吉田部会長 取りあえず使えるようにしたいということなのですかね。

○医薬品医療機器総合機構 オーファンの指定を頂きたいということです。

○吉田部会長 頂きたい、後のこともあるから、なるほど。企業戦略上オーファンを選択したという意味なのですね。そういう道もあるということですか。承認を受ける方法論として。

○医薬品医療機器総合機構 企業としてはそういう選択をしたというところです。

○吉田部会長 分かりました。ほかにございますか。ではないようですので、議決に入りたいと思います。本議題について、指定を可としてよろしいですか。御異議がないようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは報告事項に移ります。報告事項について、事務局からの説明をお願いします。

○事務局 報告事項議題1、資料11、ヴァクセムヒブ水性懸濁注の製造販売承認事項一部変更承認について、報告いたします。本剤はインフルエンザ菌b型のポリリボシルリビトールリン酸由来オリゴ糖と無毒性変異ジフテリア毒素の結合体を有効成分とするHibワクチンです。インフルエンザ菌b型による感染症の予防を効能・効果、皮下を接種経路として、平成28年1月に承認されています。今般、武田薬品工業株式会社より、筋肉内接種を用法及び用量に追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。

 続きまして報告事項議題2、承認条件に係る報告に移ります。資料12-1、コムプレラ配合錠に係る承認条件に係る評価報告書です。評価報告書2ページを御覧ください。コムプレラ配合錠は、平成2611月にHIV-1感染症の効能・効果で承認されており、その際、1ページ中ほどの承認条件の項に示しているとおり、承認条件が付されております。この度、ヤンセンファーマ株式会社から、日本人健康成人男性を対象として薬物動態を評価することを目的とした国内製造販売後臨床試験に係る報告書が提出され、機構において評価されましたので、御報告いたします。

 2ページ、日本人健康成人を対象とした製造販売後臨床試験を御覧ください。本試験は平成27年8月20日から開始され、9月24日までに8例が登録され、当該情報を基に調査結果がまとめられました。本試験で得られた日本人健康成人での薬物動態パラメータと、海外臨床試験で得られた外国人健康成人における薬物動態パラメータを表1に示しております。日本人では外国人と比較して、リルピビリンのばく露量及びエムトリシタビンのCmaxは高値を示しましたが、テノホビルのばく露量は同程度でした。また、安全性については有害事象は認められませんでした。5ページ、3.機構における評価の概要を御覧ください。機構において、本試験で収集された薬物動態及び安全性に関する情報を確認した結果、現段階で追加の対応が必要となる問題を生じていないことを確認、判断されました。

 以上を踏まえ、製造販売後臨床試験が適切に実施され、日本人における薬物動態は明らかにされたと考えられることから、承認条件4は対応されたものと判断しております。

○事務局 続きまして資料12-2、ダカルバジン注用100に係る、承認条件に係る評価報告書です。評価報告書1ページを御覧ください。ダカルバジンを有効成分とするダカルバジン注用100は、平成14年3月にホジキン病(ホジキンリンパ腫)の効能・効果で承認されており、その際、1ページ中ほどの承認条件が付されております。この度、協和発酵キリン株式会社から、これに係る市販後特別調査に係る報告書が提出され、機構において評価されましたので、御報告いたします。

 2ページの()製造販売後調査の結果です。本調査において29例の調査票が回収され、調査結果が取りまとめられました。安全性については3ページ、2)安全性に記載しております。安全性解析対象症例29例のうち副作用が24例、重篤な副作用が4例に認められました。また、重篤な副作用は白血球減少症、汎血球減少症、腹痛、ユーイング肉腫各1例であり、死亡例は認められませんでした。有効性については3ページ目、3)有効性に記載しております。本調査での有効性は、判定不能と評価された1例を除く28例において、CR率が67.9%でした。機構において、本調査で収集された安全性及び有効性に関する情報を確認した結果、現時点で更なる製造販売後調査等の実施の必要はないと判断されました。

 以上を踏まえ、製造販売後調査が適切に実施され、安全性等に係る情報が収集されていることから、承認条件である「本邦での小児ホジキン病(ホジキンリンパ腫)症例における本剤の安全性を確認することを目的とした市販後特別調査を実施すること」は対応されたものと判断しております。

 続きまして資料12-3、トーリセル点滴静注液25mgに係る、承認条件に係る評価報告書です。評価報告書2ページ目を御覧ください。テムシロリムスを有効成分とするトーリセル点滴静注液25mgは、平成22年7月に根治切除不能又は転移性の腎細胞癌の効能・効果で承認されており、その際、1ページの中ほどの承認条件が付されております。この度、ファイザー株式会社から、全例調査に係る報告書が提出され、機構において評価されましたので御報告いたします。3ページの()製造販売後調査の結果ですが、本調査では平成22年9月22日から平成24年2月26日までに1,050例が登録され、当該情報を基に調査結果が取りまとめられました。安全性については、2)安全性に記載しております。安全性解析対象症例1,001例のうち副作用は778例で報告され、うち重篤な副作用は352例に認められました。また、死亡例は、本剤との因果関係が否定できない死亡として32例報告されました。重点調査項目に係る副作用発現状況については、4ページの表のとおりであり、Grade3以上の副作用については間質性肺疾患及び感染が海外第III相試験と比べて、本調査で発現頻度が高い傾向にありました。しかしながら、両事象とも既に必要な安全対策を講じており、添付文書上での更なる注意喚起は不要と考えられております。有効性については5ページの、3)有効性に記載しております。本調査での奏効率は6.7%でした。機構において、本調査で収集された安全性及び有効性に関する情報を確認した結果、現段階で更なる製造販売後調査等の実施は必要ないと判断されました。

 以上を踏まえ、製造販売後調査が適切に実施され、安全性等に係る情報が収集されていることから、当該承認条件は対応されたものと判断しております。

○事務局 続きまして、議題3、医療用医薬品の再審査結果について、報告いたします。資料13が、医薬品再審査確認等結果通知書となっており、今回は1製剤のみです。一般的名称はドリペネム水和物、販売名はフィニバックス点滴静注用0.25g、同点滴静注用0.5g及び同キット点滴静注用0.25gとなっております。こちらの品目について、製造販売後の特定使用成績調査等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品・医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられる承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要ない、カテゴリー1と判定したものです。報告事項に関する説明は以上です。

○吉田部会長 委員の先生方からの御質問がありましたら、お願いします。

○関水委員 この資料12-3の5ページの有効性の奏効率の所ですが、完全奏効及び部分奏効例の割合を奏効率としているというのは、これは何を意味しているのですか。完全奏効したものが6.7%だったとのことですが、どうしてこれがよく効いたということの指標になるのかが分からないので、質問したのですが。

○事務局 こちらの奏効率ですが、こちらの抗がん剤の臨床評価で、幾つかのガイドラインが出ており、そちらの基準を基に設定しているものになります。

○清田委員 これは泌尿科のものですから、私からお答えします。絶望的な人を対象とするデータにしては、まあまあかなという感じなのですね。このリスポンスですよね。ですから、まあまあかなと予想される感じかなという感じで、大して高くはないのです。もう絶望的な人たちの奏効率です。

○関水委員 これ、どうしてトータルを示さないで、部分奏効例と完全奏効例の比率から議論するのですか。

○清田委員 これはそういうふうに調査の方法がなっている。CRとPRですよね。それを書いてあるわけですね。

○医薬品医療機器総合機構 いわゆるレシストで通常、奏効率は完全奏効CRとPRを合わせて奏効率と表記することが多いかなと思いまして、そういった表記になっています。

○関水委員 少なくとも私が分かるような記述ではないですね。

○吉田部会長 一応これは世界基準のルールということになっています。事務局の方から、部分奏効率と完全奏効ということについて、後で説明してあげてください。ほかにありますか。なければ、報告事項については御確認いただいたものといたします。

 それでは、その他の事項に移ります。その他の事項についての説明をお願いいたします。簡単に、手短にお願いします。

○事務局 その他事項議題1、資料14、未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請を行うことが適当と判断された適用外薬の事前評価について、御説明いたします。オセルタミビルリン酸塩、乾燥濃縮人C1-インアクチベーターの2品目について、順に説明いたします。御参考として資料14の一番最後の47ページに、この未承認薬・適応外薬検討会議と本会議との関係、流れについて説明しておりますが、こちらについては割愛いたします。

 品目の説明に移ります。オセルタミビルリン酸塩について、3ページを御覧ください。日本感染症学会等より、A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療に対する新生児及び乳児の用量追加の御要望があり、医療上の必要性が高いという評価を受けて、中外製薬から今回、公知申請の該当希望書が提出されたものです。25ページの7.公知申請の妥当性を御覧ください。()有効性ですが、母集団薬物動態解析を基にしたシミュレーションにおいて、新生児や乳児でオセルタミビルを1回3mg/kg、1日2回投与することで、成人で有効性及び安全性が確認されているばく露量が得られることが確認されていること。また、成人及び1歳以上の小児における薬物動態では、いずれも明らかな民族差は認められていないことから、新生児及び乳児のインフルエンザ感染症の治療に対する3mg/kgの有効性が国内でも期待できると、検討会議において判断がなされております。

 また、()安全性については26ページを御覧ください。1歳未満の小児を対象とした海外臨床試験成績や、国内臨床研究で報告されている有害事象は、いずれもオセルタミビルに関する既知の事象であったこと。2015年~2016年のインフルエンザ流行シーズンに実施された国内使用実態調査において、1歳未満の小児に対するオセルタミビル3mg/kgの使用が22例で確認され、安全性上も特段の問題は認められなかったことから、インフルエンザの治療目的として、日本人の新生児及び乳児にオセルタミビルを3mg/kgを投与した際に、新たな安全性の懸念が生じる可能性は低いものと判断されました。

 したがって()のとおり、医学薬学上公知であると、検討会議で判断されております。なお、効能・効果については28ページの8.()のとおり、「既承認の効能・効果の内容から変更する必要がない」こと、用法・用量は()のとおり、「新生児、乳児の場合3mg/kg」とすることとされております。

 続きまして乾燥濃縮人C1-インアクチベーターについて、31ページを御覧ください。日本口腔外科学会等より、処置前の遺伝性血管性浮腫の急性発作の予防に対する乾燥濃縮人C1-インアクチベーターの適応追加の要望があり、医療上の必要性が高いとの評価を受け、CSLベーリングより公知申請の該当希望書が提出されたものです。

41ページの7.公知申請の該当性を御覧ください。()有効性ですが、英国等の海外においては、処置に伴う遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制に関する効能・効果で承認されていること、国内外のガイドラインにおいて、本剤の使用が標準的療法として位置づけられていることから、本剤の有効性に関する一定のエビデンスは得られていると、検討会議において判断されました。

 また、安全性については()を御覧ください。抜歯等に伴う遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制を目的とした本剤の使用において、安全性上の懸念は示唆されていないことから、本剤を遺伝性血管性浮腫の急性発作に対して予防的に投与した際の安全性に、新たな懸念はないものと判断されました。

 これらを踏まえ、42ページの()のとおり、医学薬学上公知であると検討会議で判断されております。なお、効能・効果については8.()のとおり、「侵襲を伴う処置による遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制」とし、用法・用量は()のとおり、海外における文献報告やガイドライン、また国内症例報告における使用実績を基に、「通常、成人には侵襲を伴う処置前の6時間以内に1,0001,500国際単位を投与する」と設定することとされております。説明は以上です。

○吉田部会長 委員の先生方から何か御質問ありますか。ないようですので、本議題について御確認いただいたものといたします。本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告ありますか。

○事務局 来年1月に、薬事・食品衛生審議会の委員の改選があります。次回の部会は委員改選後になりますことから、日程調整の上、追って御連絡させていただきたいと思います。

○吉田部会長 次回は改選後ということになりますが、不肖私、本年をもってめでたく任期満了となり、次回にはお目にかかれませんので、一言御礼のご挨拶を申し上げます。本当に長い間皆様の御協力を頂き、一生懸命やらしていただきました。思い出に残ることがいっぱいあります。またどこかでお会いしましたら、お声でもかけて頂ければと思います。ありがとうございました。それでは本日は、これにて終了とさせていただきます。

 


(了)

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 課長補佐 清原(内線2746)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会)> 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録(2016年11月24日)

ページの先頭へ戻る