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第2回小児医療及び周産期医療の提供体制等に関するワーキンググループ:議事録
日時
令和7年10月23日(木) 10:00~12:00
場所
東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎第5号館
厚生労働省 19階 共用第8会議室
厚生労働省 19階 共用第8会議室
議事
○榊原専門官 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第2回「小児医療及び周産期医療の提供体制等に関するワーキンググループ」を開会いたします。
構成員の皆様におかれましては、御多用の中、御出席くださいまして、ありがとうございます。
医政局地域医療計画課の榊原と申します。本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。
本ワーキングは、オンラインによる開催とさせていただいております。
また、本日は、今村構成員は御欠席との連絡をいただいております。
続きまして、資料の確認をさせていただきます。
本日の資料は、資料1「滝田構成員提出資料」。
資料2「安全性と持続可能性を考慮した周産期医療提供体制の構築について」となります。
資料に乱丁・落丁等がございましたら、事務局までお声がけください。
冒頭のカメラ撮りについてはここまでとさせていただきますので、カメラの方は御退室をお願いいたします。
それでは、以後の議事運営は田邊座長にお願いいたします。
○田邊座長 早速ではございますけれども、議事に入ってまいりたいと思います。
議題1は「小児医療の提供体制に関するヒアリング」でございます。
本議題につきまして、日本小児科学会の滝田構成員より資料が提出されておりますので、説明をよろしくお願いいたします。
○滝田構成員 よろしくお願いいたします。日本小児科学会会長を仰せつかっております京都大学小児科の滝田でございます。本日はこのような機会を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。
それでは、資料に沿って説明をさせていただきます。共有をお願いできますでしょうか。
ありがとうございます。それでは、私のほうから「小児医療提供体制の現状と今後」ということで話をさせていただきます。
次をお願いいたします。
初めに、子供を取り巻く社会環境から御説明いたします。
第1に挙げられる特徴としては、少子高齢化の進行でございます。御存知のようにこの10年間、出生率は低下の一途をたどっており、昨年はついに70万人を切ったということが報告されてございます。しかし、その一方で、生命に関わるような深刻ないじめの件数であるとか児童虐待の件数は、お示ししたように増加の一途をたどっている状況でございます。さらに、小・中・高生の自殺の件数も年々増えており、昨年は10歳から39歳の小児、若年成人の死因の中で自殺が第1位という状況になっております。つまり、生まれる子供の数が減るにもかかわらず、医療の対応、あるいは社会の対応で防げるような死亡例が増えているということですので、ここをしっかりと対応する必要があるのではないかと考えております。
そんな中、2018年には成育基本法が成立し、また、2023年にはこども家庭庁が設置され、国としても、こどもまんなかの社会を目指すという姿勢をお示しいただいているところでございます。
次をお願いいたします。
次に、小児医療を取り巻く社会環境について御説明させていただきます。
まず第1に挙げられるのは、疾患構造の変化でございます。ワクチンの普及あるいは抗生剤の発達により、重症感染症、コモンディジーズが減少する中で、医療の発達により難病のキャリアや、あるいは超低出生体重児のサバイバーが増加し、複雑かつ濃厚なケアが必要な医療ケア児が増加しております。他方、小児人口が減っていたとしても、この真ん中の下の図にお示ししましたように、小児患者さんにおいては時間外、つまり救急外来の受診件数が成人と比べると非常に高いという状態が続いております。したがって、小児救急のニーズは相変わらず高い状態ということになります。
こういった医療を支える枠組みとして、日本小児科学会では3つの類型化を提唱しております。右のほうにお示ししてございますように、中核病院小児科、地域小児科センター、地域振興小児科ということでございます。この3つの類型化によって、このような急性期から高度な医療を支える枠組みを小児科学会としては提唱しているところでございます。この枠組みについては、後ほど詳しく御説明いたします。
一方で、医薬品の供給不安定、診療報酬改定の課題、人的資源の不足、またドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスといった様々な問題が小児医療にはございまして、それが小児医療の提供体制に大きく影響しているという状況もございます。
次をお願いいたします。
また、先ほど御説明いたしましたように、出生率が減っていることに伴って、15歳未満の人口もこのように右肩下がりになっております。そして、それに呼応するかのように入院患者の数も減ってきておりますが、しかし、外来患者の数を見ますと、小児人口の減少に反して、一定方向、あるいはやや増加しているようにも見てとれる状況でございます。
次をお願いいたします。
続きまして、小児科医を取り巻く社会環境について御説明いたします。最近の大きな変化としては、2018年に始まった新専門医制度でございますが、それによりシーリング等の影響もあるせいか、左上のグラフを見ていただくと、小児科医の成り手は年々減少傾向にあるというふうにも見てとれますので、これは注視していく必要があると考えております。
また、小児科医の中の男女比を見てみますと、小児科は40%が女性医師ということでございます。ほかの診療科の平均は大体30%、20~30%が女性医師ということでありますので、ほかの診療科と比べても小児科は女性医師の割合が多い科ということになります。
一方で、働き方改革が実施され、地域医療の診療体制にも影響が出てきているのではないかと懸念される状況もございますし、また、診療とともに研究を支えていかないといけない大学病院、専門施設においては、研究力の低下というところも危惧されている現状がございます。
次をお願いいたします。
さて、ここからは、小児科の特性について御説明してまいります。
小児科医の数は、お示ししましたように年々増加傾向にございます。しかし、注意が必要なのは、29歳以下の若手の小児科医の数は年々減少しているように見てとれます。これは先ほどお示ししたように、専攻医の数が年々減少して停滞しているということと一致しているかと思いますが、このような状況がございます。そして、小児科医が増加しているといっても、見てみますと60歳以上の割合が増えているということでありますので、一番の働き手、救急医療、NICUあるいは夜間診療を担う若手の小児科医の数は、危機的な状況にあるというふうにも見てとれます。
次をお願いいたします。
小児科の特殊性として重要なのが、小児科は複数のサブスペシャルティが必要ということでございます。これは私ども京都大学のサブスペシャルティのグループをお示ししておりますが、私どもはここにお示ししたように6つのサブスペシャルティのグループで活動しております。しかし、これ以外にも、例えば心の専門医であるとか腎臓の専門医、そういうサブスペシャルティもございますので、小児科というのは、一言で言っても複数のサブスペシャルティが存在してようやく小児医療の提供が可能になるということであります。これがほかの診療科とは大きく違うということを、どうぞ御留意いただけましたら幸いです。
次をお願いいたします。
また、小児科の役割ですけれども、診療していればいいということではございません。この図にお示ししましたように、特に黄色い部分です。小児科医の役割・実績として評価されにくい、例えば学校保健、在宅医療支援、移行期医療支援、虐待対応、こういったことも小児科医の役割として、今担っている状況でございます。
次をお願いいたします。
そして、この役割は、勤務形態によらず、全ての小児科医が様々な役割をしているというのがこちらのスライドになります。大学病院から診療所の医師に至るまで、全ての様々な役割をしているということであります。それぞれの役割のエフォートはもちろん違うとしても、決して診療だけを担っているわけではないということであります。
次をお願いいたします。
先ほど申し上げたように、小児科学会は小児医療の提供体制を維持するために3つの類型化を提唱して、それに基づいた医療提供体制の構築を目指しております。中核病院小児科、地域小児科センター、地域振興小児科A/Bという分類になりますが、それぞれの現状の数をお示ししたのがこちらになります。例えば2019年から2020年の数字を申し上げますと、中核は119、地域小児科は394、地域振興小児科は440という数字でございます。最新のものは今調査中であります。
次をお願いいたします。
小児科学会が定義する小児医療提供体制を詳しくお示ししたものがこちらでございますが、まず、中核病院小児科でございます。これは三次医療圏に1か所設置するべき施設として捉えておりますが、高度な医療、それから重症対応を行う施設ということで、小児科医師は20名が目標ということで、小児入院医療管理料も1~2を取る施設というふうに定義してございます。
続いて、地域小児科センターですが、これは二次医療圏・小児医療圏に1か所以上存在するような施設を指します。24時間の体制で入院や救急医療を受けているような施設でございます。また、小児科の一般研修に加えて、一部のサブスペシャルティの研修ができるような、比較的、基本的な診療から専門性の高い診療まで担うような施設ということになります。
続いて、地域振興小児科でございますが、これはAとBに分類してございます。このAというのが、中核病院小児科、地域小児科センター、いずれもない医療圏において最大の小児科の病院ということになります。入院はできる施設ということになろうかと思いますが、隣接医療圏からアクセスが1時間以上の場所というふうに定義されてございます。イメージとしては、小児入院医療管理料の4~5を取っているような施設ということであります。
また、地域振興小児科Bでございますが、これは地域振興小児科Aに限らず、地域小児科センター、中核病院小児科等を補完するような特殊な役割を担う施設となります。中核病院小児科、地域小児科センターがある医療圏においても存在し、例えば新生児医療であるとか、あるいは重症心身障害児の医療とか、特殊なサブスペシャルティの医療を担う施設という位置づけになります。
それぞれの常勤医師数、それから入院管理料の取得状況を右に示してございます。
次をお願いいたします。
私どもが実施した厚労科研の研究班の報告を一部御紹介させていただきます。
これは小児医療提供体制の実態調査でございますが、この調査の結果、特定の地域で、少数の小児科医が小規模な地域支援(地域振興B)を担い、幅広い医療を提供し負担が大きいという状況が見えてまいりました。つまり、地域振興Bは本来、補助的な役割をする施設にもかかわらず、ある特定の地域では一般的な初期対応を行っていて、非常に大きな負担がかかっているということでございます。
それから、地域小児科センターでは常勤医師数に幅があり、地域の輪番制度の維持が困難という状況もございます。
また、コロナ禍後では、地域支援(振興A/B)で、小児入院管理料の下方修正や病床閉鎖・再編成の縮小があり、回復できない施設が散見されるという状況もございます。
また、厚生労働省による医療機能分類(3分類)と小児科学会の定義する3類型の一致率は40%というような状況もございます。
次をお願いいたします。
コロナ禍によって小児の患者さんはどの施設も非常に減少しましたが、特に地域小児科センターにおいては、小児科の患者さんの数が減って、なかなか回復できていない施設がこのようにたくさんございます。混合病棟が増加している、あるいは小児病床そのものが閉鎖してしまったような病院が地域には散見されますので、地域の小児医療提供体制の危機的な状況にあると言っても過言ではないのではないかと思います。
次をお願いいたします。
こちらは厚労省がお示しされている小児医療提供体制でございますが、先ほど申し上げましたように、小児科が推奨しております提供体制とは異なるような類型化でございます。厚労省が策定している類型化は、一応、学会の構造を参考にしつつも、都道府県、医療圏設定、機能分担、連携を進める枠組みとして考案されているということでございます。
次をお願いいたします。
こちらが厚労省の分類と小児科学会分類の相違点になりますけれども、このように相違点があるということであります。小児中核病院、中核病院小児科の役割、あるいは小児地域医療センター、地域小児科センターの役割はそう変わらないのですけれども、地域振興小児科の役割が厚労省の分類とは少し異なるという状況でございます。
次をお願いいたします。
このように双方の名称が混在している状況でありますので、非常に分かりにくい状況になっているということでございます。なので、まずこの分類の見直しが必要ではないかというふうに私どもも自覚してございます。現在、小児科学会における小児医療提供体制委員会内でこの実態を調査し、より分かりやすい適正な分類のやり方を提案していきたいと考えております。
次をお願いいたします。
小児医療提供体制を考える上で重要なのが、必要な小児科医師数の考え方でございますが、これはほかの診療科と大きく異なります。先ほど御説明いたしましたように、小児科の特性を考えますと、ほかの診療科とは分けて考える必要があるのではないかと思います。つまり、救急医療に必要な人数だけでは小児医療は成り立たないということであります。以前に小児科学会、それから小児科医会が合同で、救急医療に必要な人数ということで1万705人という数字を打ち出しましたが、これは急性期医療を提供する医師数ということで捻出された数字であり、小児医療を支える数字ということでは決してないというふうに御理解いただきたいと思います。
つまり、小児医療というのは、当然、急性期医療だけではなくて、予防接種や健診などの保健的な役割もございますし、また、先ほど申し上げたように小児科医は診療だけではなく多岐にわたる役割をしているということも考慮いただいて、小児科医の配置というものを考えなければいけないし、また、年齢、性別ですね。小児科医は60代以上の割合が多くなってございますし、また女性医師が40%おりますので、ライフイベント等により、フルで働ける、つまり夜間診療もできるような小児科医の数は、全体の割合よりもかなり目減りしているということも御理解いただきたいと思います。それを踏まえた上で、小児医療提供体制に必要な小児科医の医師数というものを打ち出していく必要があると考えております。
次をお願いいたします。
今後の小児医療・周産期医療提供体制の構築を考える上で、集約化というのは一つの論点になろうかと思います。しかしながら、私どもは、少子社会においても地域の活性化の視点には「安心して出産・育児ができる」ことというのが大前提と考えておりますので、小児科のニーズというものはしっかりと見極めて、それをキープするような体制を構築する必要があると考えております。集約化は、需要と供給のバランスから進む可能性はあると思われますが、一方で、私どもは、学会としては個々の医療機関の将来構想を直接意見する立場にはないというふうにも考えてございます。
それから、集約先となる中核施設の財政、稼働ベッド数等の柔軟な運用、それから常勤医師枠の増設など、財政面でのサポートも集約する上では非常に重要になってくると考えています。地域小児センターの定義も改めて見直す必要があろうかと思いますし、また、医療計画において、周産期母子医療センターのような要件定義はありますが、財政的支援がなされていないという課題もあろうかと思います。また、集約化を進めるためには、住民の理解が何といっても必要ではないかと考えております。
次をお願いいたします。
一方で、高度医療、先天性の特殊な疾患においては集約化することのメリットもあるのではないかと考えております。例えば先天性心疾患の外科的な対応であるとか、あるいは希少疾患、小児がん等の集約化ということでございます。こういったものは、むしろ集約化を進めることで、よりよい医療の提供ができるのではないかというふうにも考えております。
次をお願いいたします。
以上のように、今後の小児医療あるいは周産期医療を維持していく上で、様々な課題があるということを御説明させていただきました。そして、この課題を解決する方向に向かうことで、小児医療あるいは周産期医療の提供体制が維持できるのではないかと考えております。そのためには、行政が主導となった小児医療協議会が設置されるのはどうかというふうに考えております。
現在、多くの都道府県は、小児救急や周産期医療に特化した協議会はございますが、小児医療全体に広げたそういう協議会はございませんので、そういったものを設置していただき、各都道府県の事情を加味した小児医療の今後の提供体制の維持について議論を進めていくのが有用ではないかと考えております。
また、患者数の将来的な減少を前提として将来の体制を構築するということにおいては大きな問題があると考えております。先ほど申し上げたように、やはりしっかりとした小児医療あるいは周産期医療の提供が維持できるからこそ、安心して子供を産み、子育てをする社会が成り立つというふうに考えております。
また、我が国の全ての子供を健全に育てるためには、冒頭でお示ししたように、いじめ、児童虐待、自殺、そういった非常にメンタルヘルスに深くコミットした問題が今、大きくクローズアップされておりますので、そこをしっかりと私ども小児科医が主導となって対応していく必要があると考えております。そのためにも、地域小児科センター、地域小児科(振興A/B)、いずれもしっかりとした連携体制を構築する必要があると考えております。
次をお願いいたします。
これが小児医療に関する協議会の体制を模式化したものですけれども、医療者のみならず、教育・保健・福祉に関わるメンバーで構成されるのがいいのかなと思っております。
次をお願いいたします。
遠隔医療に関しても申し上げたいと思いますが、遠隔医療に関して、もちろんその議論を進める必要があると考えております。しかしながら、現在、小児科学会内でのオンライン診療検討ワーキンググループは、一旦、コロナ禍が収束して、休止状態という状況でございます。日本医学会連合が各学会の代表と共に「オンライン診療の初診に関する提言」を作成し、その中で小児医療は、慢性疾患の定期受診と救急診療の利用に分けて議論するべきということを主張してまいりました。慢性疾患の定期受診であれば、遠隔医療、オンライン診療というものは可能ではないかと考えますが、救急診療において小児科領域でオンライン診療を導入するのはなかなか困難であると考えております。
しかしながら、PICU、NICUと遠隔地域の小規模施設の医師の情報交換としてのオンライン診療というものは、集約化に代わる手段として有用ではないかとも考えてございます。慢性疾患の定期外来のフォローなどは、むしろオンライン診療を導入することで地域の格差が是正できるのではないかとも思います。
また、申し上げたように、救急・時間外対応は対面の診療を御家族も御希望されることが多いですので、この点において小児科のオンライン化というのはなかなかハードルが高いと考えております。
以上になります。御静聴ありがとうございました。
○田邊座長 滝田構成員、御説明ありがとうございました。
それでは、滝田構成員からの説明に関しまして、構成員の皆様方から御意見、御質問などをお願いしたいと存じます。どなたからでも結構でございますので、よろしくお願いいたします。ウェブ上の挙手の機能を使ってお知らせいただければ幸いです。
それでは、日本小児科医会の佐藤構成員、よろしくお願いいたします。
○佐藤構成員 日本小児科医会の佐藤でございます。
滝田先生、ありがとうございました。小児医療の現状について詳しくデータをお示しいただきまして、ありがとうございます。
本来、保健医療計画は、小児科に関しては救急医療の崩壊というところから多分進んできておりまして、救急医療に関しては、今日の資料にもありましたように、♯8000から始まるのですけれども、13ページにあるような層構造が出来上がり、小児科学会がつくっていただいたように、中核病院、小児地域医療センター、振興小児科という機能分担がきちんとできて、それぞれに医師の配置についてもある程度、地域ごとにできてきているというのは事実です。大きな問題ないのですけれども、先ほど滝田構成員がおっしゃられたように、小児医療というのは、7ページにありますように、小児科に必要とされるものは多岐に及んできております。
救急医療だけを考えていった場合には、先ほどの構図はよろしいのですけれども、例えば保健や福祉、あるいは児童虐待とかそういったことに関して、実際に小児科医がどのように関わっていくかといった場合に、7ページの図の下にあるように、あまり小児科医の実績として評価されていないところもございますが、ここに関して誰が担うのかといったところは、やはり小児科学会が提唱されている3類型では、ここを担う者は入ってこないのではないかなと思います。私自身も大学で研修して、そして専門医を取って、専門の課程に進んだのですけれども、結局開業してみると、初めてそこでこういったものを学んでいくような形でございます。ぜひ小児科学会の提唱する3類型に加えて、地域のプライマリー小児科医ですね。いろいろな言葉があると思いますが、私たちは小児かかりつけ医を一つの類型としていなければ、保健とか福祉といったものに対応できないのではないかなと思います。
それから、もう一つは、13ページにあります医療体制でいくと、アップストリームに関してはできていますが、先ほど滝田先生がおっしゃったダウンストリームに関しては、まだまだ地域によってはうまくいっていない。ですから、この部分をぜひ、小児医療協議会等を各地域できちんと手立てしていかなければ、子供たちが救われないのではないかなと思っております。小児医療というのは、そういう意味で、アップストリームで見たような問題点よりは、今はダウンストリームで見るような問題点、あるいはこれからの施策が必要であるというふうに考えております。
ですから、子供たちを診る意味で、3類型にプラス一般小児科あるいは小児科診療所、一般開業医、小児科開業医などのかかりつけ医の役割と、そのための教育であるとか育成といったところも、今後より必要になってくると考えております。
それから、もう一点、オンライン診療に関しては、滝田構成員がおっしゃるとおり、今、小児科の一般開業医のほうでは大変問題になっております。1つは、やはり急性期あるいは時間外の急性期をオンライン診療が診ることがコロナ禍から始まり拡大してきています。御存じかもしれませんが、本年10月から青森県では朝8時から夕方までオンライン診療を県のほうが導入しております。これに限らず、オンライン診療で急性期あるいは一般のコモンディジーズを診ることについて、きちんとしたガイドラインができているのかとか、あるいはそれなりの研修を受けたドクターがやっているかどうか不透明で非常に心配しておるところでございます。オンライン診療を小児医療の中でどのように加えていくかというところは、早急にきちんとした指針をつくらなければうまくいかないと。恐らくコロナ禍で急に始まったことだと思うので、それまでは慢性疾患で何かあれば30分以内にかかりつけに行けるというような縛りがあったのが、全くなくなって、発熱や嘔吐といった急性期の疾患も診ているという事象まで起こっているところも議論していただきたいなと思っております。
とにかく滝田委員がおっしゃるように、小児科医は、今、表に出ている数字だけでは計り知れない程多く不足しています。ですから、ぜひ集約化という言葉だけではなくて、地域の小児科医の役割が大きくなっていることも含めて、集約化した後の値域の小児科医を増やしていくような施策もぜひ加えていっていただきたいと願っております。
以上でございます。ありがとうございました。
○田邊座長 佐藤構成員、どうもありがとうございました。
今の点に関しまして、滝田構成員、レスポンスございますでしょうか。1つは社会的役割というのと、あとオンラインに関わる部分でございます。
○滝田構成員 ありがとうございます。全く先生の御意見に私も賛同いたします。大変有用な御意見を頂戴いたしました。ありがとうございました。先生のおっしゃることを加味しながら、検討を進めてまいりたいと思います。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、井本構成員、よろしくお願いいたします。
○井本構成員 ありがとうございます。日本看護協会の井本でございます。
滝田先生、プレゼンテーションありがとうございました。プレゼンテーションの中で触れられていた混合病棟の課題について、2022年に日本小児看護学会から「成人患者との混合病棟における子どもの療養環境向上のための具体的対策(提言)を出しております。成人病棟と混合化している状況の中で、子どもの療養環境で留意すべきことが対応しにくい状況が語られており看護提供体制においても非常に苦難な状況になっています。ぜひとも検討の際には一緒に入れていただきたいと思っておりますし、本ワーキンググループの第8次医療計画にもある療養環境の向上という視点で今後議論していただきたいと思っております。現在、小児科領域の看護提供体制について、何か課題や御意見があれば伺いたいと思います。
○滝田構成員 ありがとうございます。今回の方向性をまとめる中で、特段、看護師サイドの御意見を伺ってはおりませんが、先生おっしゃるように、混合病棟というのは非常に課題が多いなというのは現場の実感として感じております。子供たちにとってよい療育環境を提供し切れていないし、また、小児の看護に慣れていない看護師さんにも大きな負担をおかけしていると感じておりますので、そこは大きな課題ではあります。
ただ、やはり小児の入院患者さんが減っている状況で、なかなか小児固有の病棟をつくるのが難しいという状況もございますので、そういう状況を鑑みながら、よい方向性を模索してまいりたいと思います。ありがとうございます。
○田邊座長 ありがとうございました。
引き続きまして、濵口構成員、よろしくお願いいたします。
○濵口構成員 日本医師会の濵口でございます。
滝田先生、プレゼンテーションありがとうございます。特に7ページの小児科医の役割というところで、学校保健、虐待対応、この辺の部分を強調していただいたのは非常にありがたいと思います。全ての小児が健やかに育つことが小児医療の目標というふうに19ページにも書いていますけれども、特に予防接種、乳幼児健診、学校保健、こういった健診に関しては、地域に根差した医療ということで、医師会が一番力を入れているところでございます。今、佐藤先生もおっしゃったように、振興A/B以外にも、地域のかかりつけの小児科医が非常に地域を支えているわけでございます。そういった意味で、さらに、医師会の活動と小児科の先生方の活動が強いパイプを持って動かしていくというのが非常に重要だと改めて感じたところでございます。
また、1ページ目に戻りますけれども、児童虐待件数の増加、これも産婦人科では本当に看過できない非常に重要な課題でございます。特に虐待あるいは妊産婦さんの自殺に関しては、産後1か月以内が圧倒的に多いわけで、母子保健という観点からすると、産婦人科と小児科医のしっかりとした連携が非常に重要になってくるということを改めて感じているところでございますし、日本産婦人科医会を中心に、周産期のメンタルヘルスにもかなり力を入れております。具体的には、例えばペリネイタルビジットなど産婦人科と小児科のしっかりとした連携が各地域で構築されていくことが、地道な活動ではありますけれども、虐待の予防につながっていくというふうに産婦人科としては認識をしているところでございます。
以上でございます。
○滝田構成員 貴重なコメントをありがとうございました。
○田邊座長 子育てひろばの奥山構成員、よろしくお願いいたします。
○奥山構成員 子育てひろば全国連絡協議会の奥山です。
滝田先生、ありがとうございました。私も地域で子育て家庭をサポートしている立場から、地域における小児科の先生方の御活躍については、本当に日頃から感謝しております。学校保健医だけではなく、保育園や幼稚園、特に保育園が非常に増えたところで、そういったところの園医も務めていらっしゃり、また、行政の健診等で診療時間、お休みの時間も活用して地域で活動してくださっていて、とても感謝しているところです。そういったことを考えますと、やはり地域に一定程度の小児科の先生がバランスよく配置されていることというのがとても大事になってくるなと思っております。
また、7ページに示されたように、行政との関わりが強いのが小児科の先生方なのかなと思っております。滝田先生のほうから、小児医療協議会ということで御紹介いただきましたけれども、都道府県に限らず、市町村レベルでもきっと必要なのかなと思いまして、この辺り、どのような体制があったら一番よろしいのかも教えていただければと思いました。
最後に、今、医師会の濵口先生からも虐待の話がありましたけれども、虐待ということが発見されたときに、小児科の先生方が関わって診察をするなどといった体制がなかなか日本では進みにくいというお話も聞いておりますが、こういった体制も含めて、きっと児童福祉のところとの関連が非常に深い分野でございますので、これからもぜひ体制づくりをお願いできればと思っております。
以上です。
○滝田構成員 ありがとうございます。大変重要な御指摘だったかと思います。小児医療協議会、これは本当に必要な行政との会議体かなと思ってございますが、私どもはお示ししたように多職種での教育あるいは保健、そういったところを関係している皆様方に御参加いただくような会議体を想定してございます。それは確かに必ずしも都道府県単位ではなく、もちろん地域によっては非常に大きな市町村もございますので、あるいは特殊な事情の市町村もあるかと思いますので、柔軟に市町村での会議体の設置というのも検討してもいいのかなと思っております。
児童虐待に関しましても、本当に心を痛めてこの現状を見ている状況でありますが、私ども医療者だけでは何とも進められない部分があり、そこをもどかしく思っております。それには本当に行政の皆様の御支援が必要ですし、それから、やはり児童相談所のマンパワーが圧倒的に少ないなというふうに実感しております。なかなか全ての案件に関われないという状況がありますので、そこにも何とか力を入れていただけると、よい方向に進んでいくのかなと感じているところでございます。ありがとうございました。
○田邊座長 ありがとうございました。
引き続き、家保構成員、よろしくお願いいたします。
○家保構成員 全国衛生部長会の家保です。
滝田先生、お話しありがとうございました。急性期や入院医療については集約化をしないといけないというのはよく分かりますが、一方で、濵口構成員がおっしゃったように、地域の住民にとっては、身近な小児科医というのは非常に大事な存在ですし、やはり一定確保していかないといけません。集約化と均てん化の均衡と言ってはなんですが、両立させるためには、外へ出るような方策が必要になります。常勤としては集約化をしながら、一定期間、曜日を決めて外来を応援するとか、そのような方法も併せて考えていかないと、なかなか市町村長さんの御理解、住民の御理解が得られにくいかなというのが聞いていて思った感想です。
質問としては2点ありまして、小児科医の数を増やさないといけないというのはよく分かりますので、学会として何か取り組んでおられるのかというのが1点と、それからもう一つは、数が増えても地域偏在の問題というのはついて回ってきますので、それについての学会の認識と、どのような対応をされるのかをお教えいただければと思います。
以上です。
○滝田構成員 ありがとうございます。重要な御質問だと思います。
まず、小児科医を増やすという点でございますが、学会としても非常に重要な課題と考えておりまして、学生とか初期研修医のレベルから小児科に引き込むために、例えば学術集会等に積極的に参加していただき、なおかつトラベラーズアワードとかそのような賞を設けてモチベーションにつなげていただくようなこともしてございますし、また、若手医師に対するハンズオンセミナーのような講習会も開催して、若手医師の獲得に努めているところでございます。
しかしながら、シーリングの対象になっているような都道府県もあり、なかなかそういった影響もあるせいか、少なくとも若手医師の確保が順調に伸びているという状況ではないのが現状ですので、引き続き努力を続けてまいります。
それから、2番目の御質問として、ごめんなさい。
○田邊座長 協議会の設置、偏在かな。
○家保構成員 偏在のほうです。
○滝田構成員 地域の医師の偏在。失礼いたしました。おっしゃるとおり、医師の偏在というものはございます。それに対して専門医機構、厚労省、シーリングということで対応していただいているところではございますが、私どもの調査によりますと、その効果が必ずしも十分ではないというような数字も見えてまいりました。なので、シーリングに代わる地域の医師偏在の是正の仕組みを考えなければいけないと思っておりまして、今、学会内で検討を進めているところであります。それは専門医機構あるいは厚労省にも提言を進めてまいりたいと思いますが、1つは、循環型の研修システム、つまり地域の大学病院とか大きな基幹病院をハブにして、そこに専攻医を集めて、そこから地域の医師少数地域に人を派遣するようなシステム、また、その地域のハブの病院から都会へ研修するような機会も与えることによって、専攻医は都会でも地域でも研修できる、そのようなシステムが構築できると、少し地域の偏在是正の貢献になるのではないかと考えております。
あと1点、非常勤として地域に応援に行くというアイデアは大変すばらしく、今も実際にそうしている施設はたくさんございます。ただ、働き方改革がございますので、その時間内でしか動けないというような縛りもあるのが現状であります。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
引き続き、三浦構成員、よろしくお願いいたします。
○三浦構成員 日本産科婦人科学会から推薦されております三浦でございます。
滝田先生、小児科の現状について御発表いただきありがとうございました。私は前回のこの委員会の中で、産婦人科の特に周産期の分娩については、恐らく医療圏を越えて大規模な集約化が必要になってくる。つまり、周産母子センターへの集約化というところが第9次医療計画では非常に重要になってくるのではないかということをお話ししたのですけれども、急速な少子化とか、あるいは産婦人科の産科医、それから小児科の新生児科医も非常に少ないという現状の中で、また、病院の赤字経営ということもあると思うのですけれども、私が今、実感していることとしては、大規模集約化する前に、周産母子センターの中には、NICUやGCUの規模を縮小したり、あるいは閉鎖ということを考えているような病院が、私が知る限りでも出てきているような現状です。
その1つは、NICU、GCUの稼働もあるのですけれども、新生児科医が非常に少なくて確保できないという病院も出てきている中で、影響を受けるのは、どちらかというと母体搬送などを受ける産科医療のほうの影響が非常に大きいのですけれども、小児科学会として、新生児科医が非常に不足したり、周産母子センターでのNICU、GCUの縮小というような動きについてはどのように取り組まれているかということと、産婦人科としては、今後のことを見据えると、そういう大規模な周産母子センターでの縮小というのは、むしろ今後の備えとしては逆行しているのではないかと思いますので、ぜひ産婦人科学会と小児科学会と協力して取り組ませていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
○滝田構成員 ありがとうございます。新生児科医の育成、それから総合周産期母子医療センターの維持のためには、本当に産科の先生との連携が必要というふうに考えてございます。
私どもの学会の中に新生児医療委員会というものを設置して、そういった課題に取り組んでいるところでありますが、まさにその委員会でも御活躍中の、今日も御参加されている細野先生、この点について、ぜひコメントをお願いできればと思います。
○細野構成員 すみません。私は新生児委員会には入っていないのですけれども。
○滝田構成員 失礼しました。
○細野構成員 日本周産期・新生児医学会の立場で申し上げると、これはやはり小児科医が、小児科医というのは先ほど滝田構成員がおっしゃったように領域が非常に広いのですね。なので、新生児をやる人間を多くしようと思っても、今度、PICUとかそちらのほうの人間も必要であるし、本当に小児科医の総数が増えない限りは、各領域の人数を増やすのはなかなか難しいというのが現状かと思います。
あとは、三浦先生も御存じのとおり、出生数が減ってくると、当然、NICUが受け入れる患者数は全体的には減ってくるわけなので、やはり病院の数が多いと、各病院で研修できる患者さんの数は当然、1人当たり減ってくるわけなので、これは周産期のほうとしては、やはり集約化していかなければいけないというのが小児科側の意見としてもありますし、働き方改革の中でそれを担保するためには、大規模な病院が生き残ってきて、小規模な周産期センターが当然減っていくというのは、どう考えてもそういうふうになってしまうのです。
その中で新生児をやる医者を増やすのは非常に難しいのですけれども、これは厚労省の会議なのであれですけれども、我々医者がその領域を勉強したいと思うのは、研究とか教育とかそういう時間もしっかり取れるような体制にしていかないと、なかなか診療だけだと、10年、15年やれば大体のものはできて、その先ということを考えると、やっぱりということになって、開業のほうに行ってしまったりするので、とにかく新生児の医者がずっと新生児を続けられるというためには、大規模な病院で当直の業務を減らしていって、教育とか研修、研究とかにも力を割けるような体制にしていくことが、医者の数を増やすという方策かと考えております。
以上です。
○滝田構成員 ありがとうございます。
○田邊座長 ありがとうございます。
三浦構成員、どうぞ。
○三浦構成員 集約化していくときに、やはり産科と新生児科の集約化というのがシンクロしていないと、片やAという病院に新生児が集約化されたけれども、産科のほうはBという病院だとすると、これは医療として地域の医療が守れないことになってきますので、ぜひ集約化の方向性ということについては、各医療圏で同じ方向に向くように、産科と小児科との連携というところをキープしていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○滝田構成員 ありがとうございます。重要な御指摘かと思います。
○田邊座長 それでは、佐藤構成員、お願いいたします。
○佐藤構成員 日本小児科医会の佐藤です。
2点、今の議論につけ加えさせていただくと、1つは、働き方改革でございますが、多分、病院の先生方は、そのためにアウトリーチが取りにくいと感じられていると思いますが、地域では、それまで応援に来ていた、あるいは地域で予防接種なり健診等をやっていただいた先生方を派遣していただけなくなる。それから、初期救急を担当している先生がいらっしゃらなくなるということで、やはり地域ではかなり働き方改革の影響が出てきておりますので、今後、その辺について、全体の数が増えればいいのですけれども、数が増えたら増えたで今度、病院の勤務医の先生方が昼間に仕事がなくなってしまうような事態にならないように考えていただきたいと思います。
それから、もう一点は偏在のことなのですけれども、前回の第1回でもお話ししましたように、小児科医の数を比較するときに、子供の人口、15歳以下の人口当たり小児科医が何人という数字が出てくると、日本全国でそんなに変わらないのです。千葉県でいけば、房総半島の広いところに小児科の開業医は数名しかおりません。かと思うと、東京に近いほうの東葛にはたくさんいるということですけれども、子供の数当たりの小児科医の数は変わらない。子供が少ないからといって、予防接種とか保健等をやらなくていいわけではないので、やはり地域地域によって必要な小児科医の数というものをもう少し細かく出していく。そのための小児医療協議会ではないかなと思いますので、そういった議論もそちらのほうでぜひやって、地域に小児科医が足りないという状態がないように、ぜひお願いしたいと思います。その2点でございます。よろしくお願いします。
○滝田構成員 ありがとうございます。おっしゃるとおり、なかなか派遣するほうも働き方改革の制限によって派遣しづらい状況というのは実感しておりますし、県の中でも、京都府もそうなのですけれども、京都市には医師が多いのですが、北のほうに行くとほとんど医師の過疎地区になってしまう。そこを全く考慮されずに機械的にシーリングの数が決まっているというのは、非常に大きな課題かなというふうに考えております。しっかり働きかけてまいりたいと思います。ありがとうございます。
○田邊座長 ありがとうございます。
それでは、内田構成員、よろしくお願いいたします。
○内田構成員 ありがとうございます。日本麻酔科学会の内田と申します。
前回もそうなのですけれども、ちょっと風向きが違うようなコメント、質問になるかと思うのですが、今おっしゃっていたいろいろな現状の問題に対する解決策は、いずれも小児科のドクターがある程度増えるということ、それから、特に急性期、重症系の患者さんを診てくださる小児科の先生方を増やすにはどうするかというお話だったかと思うのですが、偏在の部分を強制的に、循環型の研修システムというお話も今、滝田構成員から御提案があったかと思うのですが、若い方々の循環ということで医師の偏在を解消するというのは、結局のところ、研修機関だけの話になってしまって、なかなかうまくいかない可能性もあるのかなというふうに聞いておりました。小児医療の医師がある程度少なくて、かつそこに子供の数が少な過ぎて、常勤の小児科の先生方がいても、確かに緊急事態には役に立つということだと思うのですが、日常的に都市の患者さんが多いところと比べると業務量に差があるというような地域に、本当に若い先生方が行きたいと思うかというところも考えないといけないのかなと思っております。
それは一つ置いておきまして、小児医療が全国津々浦々の医師が比較的少ないところにも届くようにするという観点で言いますと、むしろ小児科医でない内科の開業医の先生方がある程度担っていらっしゃる部分も、校医の立場だとか、予防接種だとかをやっていらっしゃるということかと思います。そういう方々が、逆に、小児の患者さんを診たときに重症な部分を見逃さないようにするように、例えば小児科学会としての何らかのサポートをするとか、そこに小児科医を派遣できるのが恐らく一番いいのだとは思うのですけれども、そうでない地域に対しても、実質的な診療の質が落ちないようにするというようなお考え、動きなどがもしおありでしたら、御教示いただきたいと思います。
以上です。
○滝田構成員 ありがとうございます。まず、地域偏在に対しては、循環型のシステムを導入してもなかなか根本的な解決にならないのではないかというのは、まさにおっしゃるとおりで、私どももそれで完全に解決できるとは思っておりません。ただ、現状を見ますと、地域の大学なりで勉強した学生あるいは初期研修医は、やはり都会に出たがるという傾向がございます。それで都会のプログラムに集中する。なので、そこをできるだけ是正するために、地域にいても都会にも行けるし、地域の医療も経験できるというようなプログラムの提案というところを目指してございます。
確かに患者さんが少ない地域に若い人を行かせて勉強になるのかというお考えもあろうかとは思いますが、ただ、そういうところは本当に自分で何もかもやらなければいけないというような状況もありますので、それはそれで小児科医として経験すべきよい研修となり得ると思っております。大きな病院で何もかも分業でやってもらって、自分はその部分しかやらないということではなく、何もかも全て自分で、診断から治療、フォローまで全部やるという経験は重要かなと思っております。
それから、おっしゃるように、小児科医が配置できないのであれば、内科とか総合診療科の力を借りるというのは一つの考え方かなと思います。そのために、例えばリカレント教育とか、eラーニングのシステムとか、そういう教材を提供する方向性はあるのかなと思いますが、現時点で小児科学会としてそこまでの動きはないという状況であります。今後検討させていただきます。
○田邊座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
ありがとうございました。特に滝田構成員、非常に実情をお伝えいただくような、さらには提案を含めた御報告をいただきまして、感謝申し上げます。
○滝田構成員 ありがとうございました。
○田邊座長 今後またこの議論は続いていくと思いますので、皆様方、よろしくお願いいたします。
続きまして、議題2に入らせていただきます。議題2は「安全性と持続可能性を考慮した周産期医療提供体制の構築について」でございます。
この議題につきまして、事務局から資料2の説明をお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○榊原専門官 事務局でございます。
それでは、資料の共有をお願いいたします。資料2について御説明させていただきます。
まず1ページ目、2ページ目で、第1回のワーキンググループでいただいた御意見をまとめております。1ページ目には、周産期医療の提供体制について、それから安全な無痛分娩の提供体制についてというところ。2ページ目については、高知県のほうから取組を御紹介いただきましたので、それぞれいただいた御意見をまとめております。
次をお願いします。
出生数の変化率ということでお示ししております。上の段のグラフで出生数の推移をお示ししており、減少傾向にあるというのは御存じのことと思いますけれども、下の段にあるように、前年度と比較した出生数の変化率を見てみますと、2020年からは増大しているということが分かります。
次をお願いします。
また、出生数の推計ですけれども、国立社会保障・人口問題研究所が令和5年、2023年に提示した将来人口推計によりますと、出生中位推計になりますが、2039年に68.4万人となる推計であったところ、令和6年の時点で実際の出生数は68万6173人という状況となってございます。
次をお願いします。
こちらは産婦人科医の年齢・性別ごとの推移をお示ししております。上段のグラフを見てみますと、産婦人科医のうち、50歳未満の方の割合は約半数を占めております。一方で、下の段のグラフを見ますと、一番左にお示ししているとおり、年齢を考慮しなければ、男性が58%、女性が42%となっている一方で、特に50歳未満の方々を見てみますと、女性の割合が多くなっていることが分かります。
次をお願いします。
前回もお示ししましたが、母体の年齢を考慮した周産期リスクについて、特に35歳以上の母体からの出生数の割合が増加していることが分かります。2023年においては、35歳以上の割合は30.4%という形になっております。その下の段のグラフには、母体の年齢が上がるほど、妊産婦死亡率も上昇してきているということが分かります。
次をお願いします。
7ページですが、出生数別の市町村の数をグラフで示しております。令和6年においては1,892市区町村のうち、年間の出生数が100未満である市町村が898か所であるということが分かります。
次をお願いします。
前のページの状況もありまして、医療全般については、一般的には二次医療圏単位で提供体制を確保しているところですが、周産期医療については、さらに二次医療圏を越えた圏域での整備が求められることも多いことから、二次医療圏にこだわらずに、周産期医療圏を柔軟に設定し、必要な医療を確保することとしております。
次をお願いします。
こちらは分娩を取り扱う医療機関数別の周産期医療圏をお示ししています。周産期医療圏ごとに分娩を取り扱う医療機関数は様々となっておりますが、各周産期医療圏の医療機関数の中央値は5施設と算出されております。特にグラフを見てみますと、7つの周産期医療圏においては、分娩を取り扱う医療機関数がゼロであるという実態がございます。
次をお願いします。
こちらも前回お示ししたスライドですけれども、病院においては、1施設当たりの分娩対応医師数は上昇傾向にあり、医療資源の集約化が一定程度進んでいるとるかと思いますが、診療所においては、1施設当たりの分娩対応医師数が少なく、わずかな増加にとどまってございます。一方で、1施設当たりの助産師数については、診療所、助産所ともに増加傾向にあります。
次をお願いします。
都道府県別に見てみますと、分娩担当医師数は、病院で見てみると、例えば東京都ですと1施設当たり約12人いることとなりますが、福島県や香川県では1施設当たり約4人という形で算出されます。下の段のグラフは助産師についてとなっておりますが、宮城県で1施設当たり約30人となっている一方で、石川県では約12名、大分県では約8名となっております。
次をお願いいたします。
続きまして、周産期母子医療センターの産婦人科医師の対応状況ということでお示ししております。こちらを見ますと、周産期母子医療センターにおいても、産婦人科医は周産期、産科以外の診療も行っていることが分かりまして、また、地域周産期母子医療センターは、総合周産期母子医療センターと比較しますと、産婦人科医師数が約半数であるということが分かります。
次をお願いいたします。
夜勤または当直が可能な産婦人科医師数につきましても、地域周産期母子医療センターについては、総合周産期母子医療センターと比較すると約半数の人員となっていることが分かります。
次をお願いいたします。
こちらは分娩を取り扱う病院というくくりのデータをお示ししております。令和5年9月の1か月における分娩取扱医師1人当たりの分娩件数については、中央値として4.4件という形で算出されますが、1か月の取扱い件数が図にお示ししているとおり2件未満の病院は139施設あるという形で算出されます。
次をお願いします。
また、周産期母子医療センターにおいては、下の段にお示しするように、医師1人当たりの年間ハイリスク妊娠対応数が20件未満である施設も一定存在することが分かります。
次をお願いします。
こちらは助産師の方についても同じように、1か月における分娩取扱助産師1人当たりの分娩件数ということでお示ししておりまして、中央値としては1.3件でありまして、2件未満の病院については605施設と算出されております。
なお、これら一連の資料につきましては、分娩1件に対して、必ずしも1人の医師、助産師で分娩を対応しているわけではなく、例えば帝王切開をする場合には複数の医師が対応する必要があったり、助産師の方については、妊産婦さんに直接的に介助するスタッフ、間接的に介助を行うスタッフ、その他サポートに入る助産師が複数名いらっしゃる場合もありますので、1人の妊婦さんに対して複数の医療スタッフが関わっている点は御承知おきいただければと思います。
次をお願いいたします。
ここから、周産期母子医療センターにおける産科以外の診療科の介入を行うための体制について、少しお話ししたいと思います。
次をお願いいたします。
18ページから25ページにかけて、麻酔科等を含む他の診療科の体制ということについて調査結果をお示ししておりまして、前半が総合周産期母子医療センター、後半が地域周産期母子医療センターの結果となっております。
例えば19ページ、次のページをお願いいたします。本ページについては、総合周産期母子医療センターのうち、約1割の施設が脳血管障害を合併する妊産婦への対応が不可能という形でお示しされております。
一方で、23ページを御覧いただきますと、地域周産期母子医療センターにおいては、約3割の施設が脳血管障害を合併する妊産婦に対応が不可能であるということが分かります。
続きまして、26ページに飛ばさせていただきます。
こちらは地域の実情に応じた集約化と役割分担についてということで、少し話題が変わります。出生数が比較的少なく一定の周産期医療の提供が困難な地域におきましては、左の図にあるような、当該区域内での集約、役割分担に加えまして、右の図にあるように、隣接する周産期医療圏との合併等も含めて考慮する必要があります。
その際に、妊婦の方の移動にかかる負担が増加することについても考慮する必要がございますし、また、分娩取扱施設までの移動、それから付近で待機するための宿泊費の支援に加えて、陣痛、破水等を含めた緊急時に例えば救急車を利用したり、救急救命士等に対する研修などの取組を実際に自治体としては行っているところもあると承知しております。
次をお願いいたします。
こちらは集約のいわば受け皿という形で、分娩数増加への対応の可否について、周産期母子医療センターを対象として調査を行った結果をお示ししております。全国の周産期母子医療センターを対象としたこの調査によりますと、分娩数の増加に「対応できる」、「条件によっては対応できる」と回答した施設が、回答のあった周産期母子医療センターのうち81%、それから回答のあった地域周産期母子医療センターのうち74%となっております。そのうち当直のための増員についてお聞きしてみますと、現行の派遣を維持する、あるいは特にそういった対応が不要と回答した施設が、回答のあった総合周産期母子医療センターのうち44%、地域周産期母子医療センターのうち38%という形となっております。
次をお願いいたします。
先ほど、いわば受け皿となる施設についてお示しさせていただきましたが、それに対して、例えば前回、高知県の取組として高知県から御紹介いただいた、青色で示す安芸医療圏、黄色で示す幡多医療圏がございます。それぞれ分娩を維持するのか、役割分担を進めて分娩は中央医療圏に集約するのかといった議論はもちろんあろうかと思いますが、いずれにしましても、こういった地域にお住まいの妊婦の方々や、分娩以外も含めて産科診療を行う医療スタッフの方々のことも踏まえまして、体制整備を行っていく必要があると思っております。
次をお願いいたします。
その際に、具体的な取組として、29ページから32ページにあるような取組も踏まえながら議論をしていく必要があるかと存じます。
33ページをお願いいたします。
こちらが最後、論点のスライドとなりますけれども、現状と課題という形でまとめております。医療資源の有効な活用の観点では、24時間体制で対応を行う必要のある周産期医療提供体制においては、市区町村単位で分娩取扱施設を配置することは、一つの施設における医師や助産師を分散させることになります。また、施設における妊産婦や新生児への対応件数が減少することによって、医療従事者1人当たりの症例経験が減少し、知識・技術等の維持・向上が困難となる可能性があります。ただ一方で、1人当たりの対応件数が多過ぎる場合には、医療の質が低下するといった可能性もございます。安全な周産期医療提供体制を構築するためには、地域の実情に応じて一定の集約化を検討することが望ましいですが、遠方にある分娩取扱施設で分娩することの不安や移動にかかる負担、分娩取扱施設における分娩数の増加等の課題が生じると予想されます。また、分娩については、人口が比較的少ない地域においても一定の体制を確保する必要があるため、都道府県全体でその提供体制を検討する必要があります。また、産科以外の介入を必要とする合併症への対応や母体の全身管理については、周産期母子医療センターであっても提供できる医療が限られる施設もあるという現状がございます。
これを受けまして、論点としては、持続可能な周産期医療提供体制の構築に向けて、医療の質や安全性の確保、医師や助産師等のキャリア形成の観点からも、施設ごとの症例数は重要であり、地域の医療資源や出生数等に応じた集約化をそれぞれの医療圏において検討する必要がございます。その際には、妊婦の移動にかかる負担の増加など、それから分娩取扱施設における分娩数の増加等の課題及びその対応について整理をする必要があるのではないか。また、地域ごとに一定の集約化等の対応を行う際には、周産期母子医療センターの在り方や、分娩を取り扱わない医療機関等が妊婦健診等を維持するなど、役割分担について検討が必要ではないか。このようにまとめさせていただきました。
以上となります。
○田邊座長 御説明ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関しまして、構成員の皆様方から御意見、御質問などを頂戴できればと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、細野構成員、よろしくお願いいたします。
○細野構成員 日本周産期・新生児医学会の新生児側の代表の細野ですけれども、詳細なデータをありがとうございます。
今お示しいただいて、集約化は当然進んでいくことになると思いますけれども、1つは、妊婦健診に関しては、交通費の補助等でいろいろな施策が打たれているところかと思いますけれども、実際に最終的な分娩のところになったときに、妊婦さんはほとんど陣痛が発来してから病院に向かうという状況になっていると思いますので、その場合に、やはり時間が延びれば当然、救急車で向かうことも増えるかと思いますし、また、自宅分娩とか車中分娩というのが増える可能性が危惧されるわけでございます。今お示しした中で、救急隊へのそういった研修や何かに補助を出している市区町村も出てきているということは私も存じ上げています。ただ、今、日本の救急隊の新生児に対する扱いというのは、MC協議会、メディカルコントロール協議会のほうで蘇生の仕方に関しては、新生児、小児、成人と大きく3つあるのですけれども、メディカルコントロール協議会の中に新生児の医者がほとんど入っていないので、蘇生の方法としては、場合によっては成人のやり方、よくて小児のやり方で、一部新生児のやり方が入ってきているという、日本全国で蘇生のやり方に大きな差があるということは、私は非常に問題かと思っています。
日本周産期・新生児医学会では、そういったことに対応するために、救急隊員向けの新生児蘇生のプログラムをつくっていますけれども、やはりそのところに対する補助がないので、救急隊員が自腹で講習を受けるとかそういうことになっていますので、その辺を含めて、メディカルコントロール協議会のほうにも新生児の蘇生はやはり新生児のやり方でやるというような提言もしていただきたいですし、そういった研修に対する補助ももうちょっと各市区町村で考えていただければと思います。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
続きまして、濵口構成員、よろしくお願いいたします。
○濵口構成員 濵口でございます。詳細に御紹介ありがとうございました。
私が質問したいのは、18から25ページまでの周産期母子医療センターにおける他の診療科の対応のところでございます。最後の33ページの5ポツ目、産科以外の介入を必要とする合併症への対応や母体の全身管理については、周産期母子医療センターであっても提供できる医療が限られる施設もある。これは現実的に各地域で起こり得ることだと思うのです。
今日、関沢構成員と三浦構成員が出席していらっしゃいますので、お聞きしたいのですけれども、具体的に申しますと、周産期母子医療センターの中で、例えば救命救急センターもあるような施設では、そこにまず重症患者が運ばれてきて、ある程度トリアージや全身管理をしてから他の診療科へつなぐ形ができると思うのですけれども、産科で受けてすぐに円滑に他の診療科に紹介するというようなことは、なかなか難しいのが現実だと思うのです。もう一つは、周産期母子医療センターから周産期母子医療センターへ搬送しなければならないことも日本では起こっているわけで、その辺のところの見解をお二人の構成員の方にお聞きしたいのですけれども、いかがでしょうか。
○田邊座長 それでは、よろしくお願いします。
○関沢構成員 関沢ですけれども、本当におっしゃるとおりで、もともと周産期センターを地域の基幹施設として整備してきたわけですけれども、NICUの機能を重視して指定されてきた歴史がありますが。現状、妊婦が高年齢化して、もともとリスクの高い女性が妊娠したり、妊娠中に様々な合併症が発生したりすることも増えています。また、妊婦の救急対応が必要になることも一定頻度発生します。また、各地域の分娩数や分娩取扱施設がどんどん減っていく中で、地域全体を支えるために、地域の基幹病院をいかに整備していくかという視点が重要と考えます。基幹病院では、しっかり三次救急的な機能も担える必要があり、そういった施設が総合周産期母子医療センターとして認定されていくような流れが必要だと思います。
地域周産期センターについても、総合周産期センターに比べると機能は弱いことになるのだと思いますけれども、ある程度必要になります。やはり新生児だけを診られればよいではなく、ある程度しっかり妊産婦の救急に対して対応できることを念頭に置く必要があります。各地域において今の地域周産期センターを維持することは現実的に難しいと思いますので、そういった機能重視でしっかりとしたところ指定していくような流れが必要であると思います。
私は妊産婦死亡の事例の検討会等をやっていて、一次施設から病院に送り、病院から周産期センターに送り、その後、救急センターのある周産期センターに送られるような事例をみます。基幹施設にダイレクトに行けるようなシステムがないと、救われない女性が出てきてしまう思います。赤ちゃんもそうですけれども、そういった問題があるので、多少時間がかかっても、しっかりアクセスできる、しっかりとした基幹施設を政策的に整備していく、それは総合周産期センターとか地域周産期センターとかを問わずに整備し直すことが大事なのではないかなと思います。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
今の点に関しまして、三浦構成員、何かコメントございますでしょうか。
○三浦構成員 産婦人科学会から推薦されている三浦でございます。
先ほど関沢先生のほうからもございましたけれども、周産期母子医療センターという性格上、やはり新生児科医と産科医との総合的な力で成り立っているところがございますので、地域によっては、総合周産期母子医療センターよりも、危機的な状況の妊婦を救うということに関しては、総合力では地域の周産期母子医療センターのほうが非常に受け皿としては適しているということが認識されているところでございます。なので、今後大規模な集約化をしていく上では、地域と総合という枠組みよりも、そういう危機的な状況が起きたときに、どこに搬送すべきかというところをしっかりと整理していくことが重要なのではないかなと思います。
そういう意味でも、新生児科医と産科医の配置というところも地域の中で考えないといけないということと、総合周産母子センターにそういう機能を持たせて、病病連携をしていくのか、あるいは救急医との連携、あるいは麻酔科との連携というところは今後、非常に重要になってくるのではないかなと思っています。
また、無痛分娩が今後普及してくると、やはり麻酔科の設置というか、何かしらの救急的な事態が起きたときの対応ということも、今までになかったことをしっかりと考えていく必要があると思っております。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
濵口構成員、何かございますか。
○濵口構成員 お二人の先生、ありがとうございました。救命の観点でいえば、1つのセンターで完結するというのが理想であって、やはりセンターとセンターとの連携も密でないと、タイムラグがあると救命できないということも現実的には起こり得るので、その辺のところは各地域で、できるだけ整備をしていただくことが必要と感じておりました。ありがとうございました。
○田邊座長 ありがとうございます。
○三浦構成員 追加で、地方で九州とかにいると、医療圏を越えて集約化するときに、やはりインフラの整備というか、救急医療ということも含めて、また道路とか交通手段の整備も考えないと、地図の上から見た距離で搬送ということを考えてもなかなかうまくいかないというのが実情ですので、特に濵口先生も北九州でそういうことを考えてこられたと思うのですけれども、やはり医師会、それから産科婦人科学会、産婦人科医会が協力して、小児科学会も協力して、インフラの整備というところが非常にこの問題には重要なのではないかなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○田邊座長 ありがとうございました。
関沢構成員、先ほどお手が挙がっておりましたけれども、よろしくお願いします。
○関沢構成員 先ほど濵口先生の質問のときに言いたいことを発言させていただきましたので、大丈夫でございます。
○田邊座長 それでは、内田構成員、よろしくお願いいたします。
○内田構成員 ありがとうございます。また麻酔科の立場も踏まえてということなのですが、御提案いただいた今回の集約化の基本的な方針は、我々としても、麻酔科の立場としても非常に望ましいことではないかなと感じております。実際に何らか緊急事態が発生した場合には、蘇生なら蘇生、あるいは麻酔に関連する事故に対応するという場合には、それに関しての知識が十分ある者が複数名というのはやはりどうしても必要になってまいります。ですので、各施設に均等に麻酔科医が配置されたとして、各施設で1名いた場合に、それ以外の方々にそういった知識がないと、いざ何かが発生したときに実質的に施せる有効な治療はかなり制限をされてしまうと思っております。
その意味では、各施設で無痛処置にしても、分娩を取り上げることにしても、事態が戻れない状態になる前に早く判断をして、適切な医療資源、それから人材がいる施設に送れるかどうかの判断がいかに早くできるかということも重要になってくると思っております。そういう意味では、集約化されたところの施設が、そういった部分の教育を各地域の施設で担うという体制も必要ではないかと思っております。それが実際に実現するためには、そこで学びつつ診療もこなしている方々、医療者が、そういう地域の医療の面倒を見るといいますか、教育の部分も担えるぐらいの余裕がどうしても必要であって、緊急事態のときには、やはり多くの人数がまたそれに必要とされますので、それに向けた人材の余裕ももちろん必要なのですけれども、集約化するということを決める上では、そういった部分の余裕をかなり持った人材配置、ポジションの確保ということが、今まで以上に重要になってくるのかなと思っております。
今のところ、各施設が単独で持っている人材のマックスのキャパシティーで診療を行っているということで、恐らくそこで働いている方々はどなたもそういった外に出る余裕を感じていらっしゃらないと思いますので、その辺りも踏まえた人員配置を検討していただければというのが、私の追加のコメントでございます。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
引き続きまして、伊藤構成員、よろしくお願いいたします。
○伊藤構成員 ありがとうございます。
資料の説明ありがとうございました。33ページで論点について示していただいてございますけれども、前回のワーキンググループでも申し上げたところではございますが、ハイリスクの妊産婦だけではなくて、やはり一般の分娩に対応する施設についても集約をしていただいて、分娩を行わずに健診だけで対応する施設との役割分担、あるいは連携といったものも進めていく必要があると改めて感じたところでございます。また、その際には、妊産婦が安心して出産を迎えられるように、妊婦の移動あるいは宿泊にかかる費用の補助を充実すること。そして、29ページで紹介していただいてございますけれども、周産期母子医療センターなどによりますオープンシステムあるいはセミオープンシステムの利用、そして、35ページには取組事例も示していただいてございますけれども、こういったものも参考にしながら、緊急時に対応する体制の整備についても、地域の実態に合わせて進めていただければと思ってございます。
また、26ページで少し言及していただいてございますけれども、周産期医療圏の合併、広域化、こういったことも重要だと考えてございます。想定以上に少子化が進展しているということでもございますので、地域におけます分娩ニーズ、あるいはハイリスクの発症率、医師や助産師の状況なども踏まえまして、医療資源の集約化、役割の分担と表裏一体の中で、周産期医療圏の考え方につきましても、なるべく早い段階で考え方を整理していく必要があるのではないかと考えてございます。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
引き続きまして、井本構成員、よろしくお願いいたします。
○井本構成員 ありがとうございます。日本看護協会の井本でございます。
今回、議題2のテーマである安全性と持続可能性を考慮した周産期医療提供体制を構築していくためには、前回の高知県の事例や資料2(安全性と持続可能性を考慮した周産期医療提供体制の構築について)のスライド33のポツ2にも示されておりますが、助産師を含む看護職の実践能力の維持・向上に向けた研修体制の充実等を進めていく必要性、そして本会としての責務も感じたところでございます。
現在、助産師に関しましては、国の助産師活用推進事業の助産師出向制度などを利用して、助産師の実践能力を維持・向上している状況があります。地域医療計画等にも示されているアドバンス助産師の認証要件には、分娩の症例件数等も明示した上で認証を進めている状況があり、こういったことが今後担保できるように、様々な取組をぜひ続けていただきたいと思っております。また、助産師活用推進事業も現在、約半数の都道府県が実施しておりますが、全県で実施し、実践能力の担保ができるようにしていっていただきたいと思っています。今後、そういった検討も含めて議論をお願いしたいと考えております。
○田邊座長 ありがとうございました。
続きまして、奥山構成員、よろしくお願いいたします。
○奥山構成員 ありがとうございます。子育てひろば全国連絡協議会、奥山です。
私からは、全国の特に地方の子育て家庭の声なども会員団体から聞いてみたところ、やはり分娩ができる施設が地元自治体になくなってしまうことの不安というものについては、非常に多く語られたという状況が実際にはございます。今日の議論の中でも、ハイリスクの方々の体制整備について集約化が求められるということについては、本当にそうなのだろうと思っております。一方では、一般の分娩に関しまして、かなり離れたところで出産しなければならないとなりますと、妊婦健診と分娩する施設との連携ですとか体制整備ということがこれまで以上に重要になってくると思っております。
と申しますのは、交通費の補助ですとか宿泊費の補助も、まだ始まったばかりなのですね。まだ市民の皆さんに周知が行き届き、全ての自治体がそれに取り組んでいるような状況にないということを考えますと、先ほど行政主導の小児医療協議会が大事ではないかという話がありましたが、周産期の医療協議会というのもございますのでしょうか。それも都道府県だけではなく、市町村においても、我が市の体制はこうなっているということがしっかり保護者の皆さんに伝えられることがとても大事ではないかなと思っております。
自治体においては、島嶼部においても分娩できる医療体制を整えて、しかしながら、ハイリスクに関しては、島外にしっかりと宿泊、交通費、サポートの体制をちゃんとホームページにも入れて、提供体制を可視化している自治体さんもございます。そういった意味で、この提供体制を整えるに当たっては、自治体との連携もしっかりと協議していただければなと感じております。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
1点、協議会について御質問がございましたので、よろしくお願いします。
○榊原専門官 事務局でございます。
周産期医療の協議会について御質問をいただきました。現在、第8次医療計画を策定するための周産期についても国のほうで指針をお示ししているところでございますけれども、周産期に関しましても、協議会を各都道府県において設置することを求めてございます。その中で、本ワーキンググループで御議論いただいた内容を、そういった協議会に下ろしていけるようにと考えてございますので、引き続きそういったことも念頭に御議論いただければと存じます。よろしくお願いいたします。
○奥山構成員 奥山です。
やはり学校の統廃合となると、本当に地元の皆さんはすごく関心が高いと思うのです。同じように、分娩施設のこれからの在り方についても、ぜひ自治体や市民の皆さんもそういった協議のプロセスに関われるよう、どうぞよろしくお願いいたします。
○田邊座長 ありがとうございました。
続きまして、宮川構成員、よろしくお願いいたします。
○宮川構成員 ありがとうございます。日本助産師会の宮川です。よろしくお願いいたします。切れ目のないケアを継続するという観点で発言させていただきます。
先ほど濵口構成員からもお話がありましたけれども、本当に昨今、メンタルヘルスの不調の妊産婦さんには大きな問題があります。そして、妊娠期間から産後までの継続したケアというものが、周産期体制の集約化の中でも切れることなくケアが継続できるような体制を検討していただきたいとお願いいたします。
現在としては、母子医療センター、それから診療所や助産所の助産師などが連携して継続したケアを行って、メンタルヘルスの支援を行っていますけれども、このネットワークにおいても明示していただいて、地域差が出ない形での仕組みということもお考えいただきたいと思っております。
医療の検討の場ですので、産後ケアというようなこともなかなか入りにくいことは承知しておりますけれども、前回の周産期検討会の中でも提案がありましたように、母子のための地域包括ケアの在り方についても検討をお願いしたいと思っております。加えて、妊産婦にとって切れ目のないケアということをどうつなぐか。つないでいける体制というものの観点の検討をお願いしたいと思っております。
それと、1つ質問なのですけれども、9ページ、分娩を取り扱う医療機関数別の周産期医療圏のデータのスライドです。7つの医療圏で分娩を取り扱う施設がゼロであったというところなのですけれども、この中には、分娩を取り扱っている助産所は含まれていないという理解でよろしいでしょうか。もしそうであれば、今後はこのようなデータに助産所の数を入れていただくということを御検討いただきたいと思います。
発言は以上です。
○田邊座長 では、回答をお願いします。
○榊原専門官 事務局でございます。
先ほど御質問いただきました9ページの資料につきましては、分娩の取扱いのある助産所自体は含まれていない数値ということになります。今回御意見いただきましたことも踏まえまして、引き続き検討してまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
○宮川構成員 よろしくお願いいたします。
○田邊座長 引き続きまして、三浦構成員、よろしくお願いいたします。
○三浦構成員 三浦でございます。
学会の立場というよりも、長崎県で集約化を進めて、今感じていることについて発言させていただきたいと思うのですけれども、33ページの妊婦の移動にかかる負担の増加等というくだりなのですが、先日、10月から上五島病院というところで分娩が停止されたのに伴って、医療体制についての住民説明会というのに、県に要請されて大学として加わったのです。その際の住民の反応としては、半年間、長崎県と行政とで準備をしてきて、住民説明会も何度かなされているのですけれども、それであっても、移動にかかる負担というところに関して補助が出ていても、妊婦への支援だけではなくて、やはり住民から出たのは、家族への支援も必要だという意見が多数寄せられましたし、宿泊所というふうに、宿泊への援助だけではなくて、きちんと宿泊できる施設の確保までやっていただきたいという意見が住民から出たというところが非常に大きかったのと、また、多くの住民から出たのが、それであれば住民票を移して都市部へ移住することを考えないといけないのかという意見も出て、やはりこういう集約化をすると、分娩施設がない地域においては過疎化が進んでいくのかなというのを実感した次第でございます。
また、島嶼部においては、やはり夜間の搬送ができないという点が非常に重要な点だというところが浮き彫りになってまいりまして、夜間は自衛隊のヘリが稼働する地域と稼働しない地域が国内にあるみたいなので、分娩施設がない地域で夜間の搬送が必要なところについては、関係する省庁と搬送体制の整備を、特に自衛隊ヘリというところは九州では非常に大きな問題になりますので、ぜひこの問題とともに考えていただきたいと思います。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
続きまして、滝田構成員、よろしくお願いいたします。
○滝田構成員 ありがとうございます。周産期医療の提供を維持するために集約化が必要という点においては大変よく理解できました。
そういたしますと、集約化して分娩数が増えるような周産期母子医療センターにおいては、当然、NICUの役割も大きくなってくるのかなと思います。そういった中で、NICUは24時間体制でなければならないというところで、新生児特定集中治療室重症児対応体制強化管理料が24時間対応でないと認められないという状況になり、宿日直が認められないという状況になりましたので、2交代制を強いるような状況になっております。そういたしますと、当然、マンパワーが必要になってきますが、多くの周産母子医療センターのNICUの状況を見ますと、必ずしもそこをしっかりと担うポスト数の確保が十分ではないというふうにも感じております。なので、集約化を進める中で、やはりNICUの医師の各施設のポストの増員というところも併せて御議論いただけますと、大変ありがたく思います。
それから、もう一点、これは産科婦人科学会、産婦人科医会様への御質問になりますが、特にハイリスクの妊婦さんの集約化はとりわけ必要だろうというお話がございました。そうなりますと、産婦人科の中に母体・胎児専門医というのがございますが、その専門医の育成に関して、今後どのようにお考えなのか。増やす方向なのか、あるいは集約化に併せた現状維持ないしは。
○田邊座長 関沢構成員。
○関沢構成員 私は、日本周産期・新生児学会で専門医制度委員会の委員長をしておりまして、その立場からお話しします。母体・胎児専門医は、周産期センターの指定要件の中には現状入っていないという事実があります。ただ、データとしまして、周産期センターの中で母体・胎児専門医が1名以上いるところと全くいない周産期センターで、周産期予後が有意に違うというようなデータもあります。地域でNICUがあると、そこが周産期センターになっていくような現状があるということを先ほども言いましたけれども、今後、集約化する地域周産期センターは、やはり一定の機能を持つような形にして、しっかりそこに母体・胎児専門医を配置していくような形にしていかないといけないと思います。
現状、母体・胎児専門医は1,000名くらいいますけれども、大学病院とか総合周産期センターに多くいるというのが現状です。今後、地域周産期センターの中にもしっかり配置するような形にしていかないといけないと思いますし、そういった専門医資格を取って、専門的な医療ができる立場の医者をつくっていかないと、なかなか地域周産期センターで専門的な産科医療を担う医師も確保できなくなると思っています。答えになっていれば幸いですが、よろしくお願いいたします。
○滝田構成員 ありがとうございます。よく理解いたしました。
○田邊座長 ありがとうございました。
三浦構成員、何かこの点、コメントございますか。
○三浦構成員 地方においては、まだまだ母体・胎児専門医も新生児専門医も不足している状況ですので、やはり総合周産母子センターが基幹施設になって、しっかりと養成していく必要がございますし、産婦人科医も高齢化が進んでおりますので、継続して育成していくというところが地域の周産期医療体制を維持していくことになりますので、縮小というよりは、これを維持あるいは拡大していくことが必要になると思います。
また、これまでの病診連携というよりも、恐らく周産期母子センター間の病病連携というところが非常に進んでくるとなると、母体・胎児専門医のニーズはより高まってくると思いますので、むしろ私の私見としては、増加傾向にないといけないのではないかと思っております。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。やす
滝田構成員、よろしゅうございますでしょうか。
○滝田構成員 了解いたしました。ありがとうございました。
○田邊座長 それでは、井本構成員、よろしくお願いいたします。
○井本構成員 何度もすみません。先ほど日本助産師会の宮川構成員からお話しのあった母子のための地域包括ケアシステムに関する御意見の中で、既に第8次医療計画の中で母子に配慮した周産期医療の提供可能な体制ということで、混合病棟における産科区域の特定や、母子保健、福祉に関する事業と連携する機能を包括的に実施する機能を持つ病棟の概念等については触れられているところです。
奥山構成員もおっしゃっておりましたが、これから集約化される中で、連携を強くしながら、様々な体制を検討することが大変重要で、特に濵口構成員もおっしゃったように、メンタルヘルスの変調を持つ妊産婦さんをしっかり支援していくことは、本会としても大変重要だと考えております。
本会としては、この概念のモデル事業として2019年頃から2年にかけて、全国の医療機関12施設に体制づくりをしていただいたところ、現行のこども家庭センターとの連携強化に効果があり、支援がスムーズにできたという結果が得られました。本ワーキンググループは、周産期医療、小児医療の議論をする場ではございますが、ぜひこういったところも視野に入れて御議論を進めていただきたいと考えております。
○田邊座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
家保構成員、よろしくお願いします。
○家保構成員 衛生部長会の家保です。
今回、33ページにまとめていただいた論点、都道府県としては非常に理解できるところではございますが、実際に実行に移すとなります難しい点があります。高知県の例を出していただきましたが、あれはもうせっぱ詰まって、県の産婦人科医会、産科婦人科学会、県医師会と行政がまとまって進めたということで、そこまで逼迫していないところでは、こういう議論が進むには2~3年はかかると思います。第9次に向けて各都道府県が準備するという期間も必要だと思いますし、各都道府県の学会・医会の御協力が不可欠だと思いますので、その点、よろしくお願いしたいと思います。
それから、1点、そういう協議をするとき、都道府県の立場で言いますと、医師が派遣される親元が当該都道府県にない場合があります。首都圏近郊とかでは多数あると思いますので、そういうところには、県をまたいで医会・学会、特に医会や大学と話をしないといけなくなります。関係する皆さん方には、ぜひとも大所高所から御協力いただけるとありがたいということでございます。意見でございます。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、様々な御意見を本当にありがとうございました。
本日の議論はこれまでとさせていただきたいと存じます。
事務局におかれましては、本日いただいた意見を踏まえて、今後議論が行えるように、次回以降の資料等の準備を適宜行っていただくようお願い申し上げます。
最後に、事務局のほうから何かございますでしょうか。
○榊原専門官 事務局でございます。
本日は活発な御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。
次回のワーキンググループについては、詳細が決まり次第御連絡いたしますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
○田邊座長 それでは、本日のワーキンググループはこれまでとさせていただきます。
御参集賜りましてありがとうございました。これにて散会いたします。
構成員の皆様におかれましては、御多用の中、御出席くださいまして、ありがとうございます。
医政局地域医療計画課の榊原と申します。本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。
本ワーキングは、オンラインによる開催とさせていただいております。
また、本日は、今村構成員は御欠席との連絡をいただいております。
続きまして、資料の確認をさせていただきます。
本日の資料は、資料1「滝田構成員提出資料」。
資料2「安全性と持続可能性を考慮した周産期医療提供体制の構築について」となります。
資料に乱丁・落丁等がございましたら、事務局までお声がけください。
冒頭のカメラ撮りについてはここまでとさせていただきますので、カメラの方は御退室をお願いいたします。
それでは、以後の議事運営は田邊座長にお願いいたします。
○田邊座長 早速ではございますけれども、議事に入ってまいりたいと思います。
議題1は「小児医療の提供体制に関するヒアリング」でございます。
本議題につきまして、日本小児科学会の滝田構成員より資料が提出されておりますので、説明をよろしくお願いいたします。
○滝田構成員 よろしくお願いいたします。日本小児科学会会長を仰せつかっております京都大学小児科の滝田でございます。本日はこのような機会を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。
それでは、資料に沿って説明をさせていただきます。共有をお願いできますでしょうか。
ありがとうございます。それでは、私のほうから「小児医療提供体制の現状と今後」ということで話をさせていただきます。
次をお願いいたします。
初めに、子供を取り巻く社会環境から御説明いたします。
第1に挙げられる特徴としては、少子高齢化の進行でございます。御存知のようにこの10年間、出生率は低下の一途をたどっており、昨年はついに70万人を切ったということが報告されてございます。しかし、その一方で、生命に関わるような深刻ないじめの件数であるとか児童虐待の件数は、お示ししたように増加の一途をたどっている状況でございます。さらに、小・中・高生の自殺の件数も年々増えており、昨年は10歳から39歳の小児、若年成人の死因の中で自殺が第1位という状況になっております。つまり、生まれる子供の数が減るにもかかわらず、医療の対応、あるいは社会の対応で防げるような死亡例が増えているということですので、ここをしっかりと対応する必要があるのではないかと考えております。
そんな中、2018年には成育基本法が成立し、また、2023年にはこども家庭庁が設置され、国としても、こどもまんなかの社会を目指すという姿勢をお示しいただいているところでございます。
次をお願いいたします。
次に、小児医療を取り巻く社会環境について御説明させていただきます。
まず第1に挙げられるのは、疾患構造の変化でございます。ワクチンの普及あるいは抗生剤の発達により、重症感染症、コモンディジーズが減少する中で、医療の発達により難病のキャリアや、あるいは超低出生体重児のサバイバーが増加し、複雑かつ濃厚なケアが必要な医療ケア児が増加しております。他方、小児人口が減っていたとしても、この真ん中の下の図にお示ししましたように、小児患者さんにおいては時間外、つまり救急外来の受診件数が成人と比べると非常に高いという状態が続いております。したがって、小児救急のニーズは相変わらず高い状態ということになります。
こういった医療を支える枠組みとして、日本小児科学会では3つの類型化を提唱しております。右のほうにお示ししてございますように、中核病院小児科、地域小児科センター、地域振興小児科ということでございます。この3つの類型化によって、このような急性期から高度な医療を支える枠組みを小児科学会としては提唱しているところでございます。この枠組みについては、後ほど詳しく御説明いたします。
一方で、医薬品の供給不安定、診療報酬改定の課題、人的資源の不足、またドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスといった様々な問題が小児医療にはございまして、それが小児医療の提供体制に大きく影響しているという状況もございます。
次をお願いいたします。
また、先ほど御説明いたしましたように、出生率が減っていることに伴って、15歳未満の人口もこのように右肩下がりになっております。そして、それに呼応するかのように入院患者の数も減ってきておりますが、しかし、外来患者の数を見ますと、小児人口の減少に反して、一定方向、あるいはやや増加しているようにも見てとれる状況でございます。
次をお願いいたします。
続きまして、小児科医を取り巻く社会環境について御説明いたします。最近の大きな変化としては、2018年に始まった新専門医制度でございますが、それによりシーリング等の影響もあるせいか、左上のグラフを見ていただくと、小児科医の成り手は年々減少傾向にあるというふうにも見てとれますので、これは注視していく必要があると考えております。
また、小児科医の中の男女比を見てみますと、小児科は40%が女性医師ということでございます。ほかの診療科の平均は大体30%、20~30%が女性医師ということでありますので、ほかの診療科と比べても小児科は女性医師の割合が多い科ということになります。
一方で、働き方改革が実施され、地域医療の診療体制にも影響が出てきているのではないかと懸念される状況もございますし、また、診療とともに研究を支えていかないといけない大学病院、専門施設においては、研究力の低下というところも危惧されている現状がございます。
次をお願いいたします。
さて、ここからは、小児科の特性について御説明してまいります。
小児科医の数は、お示ししましたように年々増加傾向にございます。しかし、注意が必要なのは、29歳以下の若手の小児科医の数は年々減少しているように見てとれます。これは先ほどお示ししたように、専攻医の数が年々減少して停滞しているということと一致しているかと思いますが、このような状況がございます。そして、小児科医が増加しているといっても、見てみますと60歳以上の割合が増えているということでありますので、一番の働き手、救急医療、NICUあるいは夜間診療を担う若手の小児科医の数は、危機的な状況にあるというふうにも見てとれます。
次をお願いいたします。
小児科の特殊性として重要なのが、小児科は複数のサブスペシャルティが必要ということでございます。これは私ども京都大学のサブスペシャルティのグループをお示ししておりますが、私どもはここにお示ししたように6つのサブスペシャルティのグループで活動しております。しかし、これ以外にも、例えば心の専門医であるとか腎臓の専門医、そういうサブスペシャルティもございますので、小児科というのは、一言で言っても複数のサブスペシャルティが存在してようやく小児医療の提供が可能になるということであります。これがほかの診療科とは大きく違うということを、どうぞ御留意いただけましたら幸いです。
次をお願いいたします。
また、小児科の役割ですけれども、診療していればいいということではございません。この図にお示ししましたように、特に黄色い部分です。小児科医の役割・実績として評価されにくい、例えば学校保健、在宅医療支援、移行期医療支援、虐待対応、こういったことも小児科医の役割として、今担っている状況でございます。
次をお願いいたします。
そして、この役割は、勤務形態によらず、全ての小児科医が様々な役割をしているというのがこちらのスライドになります。大学病院から診療所の医師に至るまで、全ての様々な役割をしているということであります。それぞれの役割のエフォートはもちろん違うとしても、決して診療だけを担っているわけではないということであります。
次をお願いいたします。
先ほど申し上げたように、小児科学会は小児医療の提供体制を維持するために3つの類型化を提唱して、それに基づいた医療提供体制の構築を目指しております。中核病院小児科、地域小児科センター、地域振興小児科A/Bという分類になりますが、それぞれの現状の数をお示ししたのがこちらになります。例えば2019年から2020年の数字を申し上げますと、中核は119、地域小児科は394、地域振興小児科は440という数字でございます。最新のものは今調査中であります。
次をお願いいたします。
小児科学会が定義する小児医療提供体制を詳しくお示ししたものがこちらでございますが、まず、中核病院小児科でございます。これは三次医療圏に1か所設置するべき施設として捉えておりますが、高度な医療、それから重症対応を行う施設ということで、小児科医師は20名が目標ということで、小児入院医療管理料も1~2を取る施設というふうに定義してございます。
続いて、地域小児科センターですが、これは二次医療圏・小児医療圏に1か所以上存在するような施設を指します。24時間の体制で入院や救急医療を受けているような施設でございます。また、小児科の一般研修に加えて、一部のサブスペシャルティの研修ができるような、比較的、基本的な診療から専門性の高い診療まで担うような施設ということになります。
続いて、地域振興小児科でございますが、これはAとBに分類してございます。このAというのが、中核病院小児科、地域小児科センター、いずれもない医療圏において最大の小児科の病院ということになります。入院はできる施設ということになろうかと思いますが、隣接医療圏からアクセスが1時間以上の場所というふうに定義されてございます。イメージとしては、小児入院医療管理料の4~5を取っているような施設ということであります。
また、地域振興小児科Bでございますが、これは地域振興小児科Aに限らず、地域小児科センター、中核病院小児科等を補完するような特殊な役割を担う施設となります。中核病院小児科、地域小児科センターがある医療圏においても存在し、例えば新生児医療であるとか、あるいは重症心身障害児の医療とか、特殊なサブスペシャルティの医療を担う施設という位置づけになります。
それぞれの常勤医師数、それから入院管理料の取得状況を右に示してございます。
次をお願いいたします。
私どもが実施した厚労科研の研究班の報告を一部御紹介させていただきます。
これは小児医療提供体制の実態調査でございますが、この調査の結果、特定の地域で、少数の小児科医が小規模な地域支援(地域振興B)を担い、幅広い医療を提供し負担が大きいという状況が見えてまいりました。つまり、地域振興Bは本来、補助的な役割をする施設にもかかわらず、ある特定の地域では一般的な初期対応を行っていて、非常に大きな負担がかかっているということでございます。
それから、地域小児科センターでは常勤医師数に幅があり、地域の輪番制度の維持が困難という状況もございます。
また、コロナ禍後では、地域支援(振興A/B)で、小児入院管理料の下方修正や病床閉鎖・再編成の縮小があり、回復できない施設が散見されるという状況もございます。
また、厚生労働省による医療機能分類(3分類)と小児科学会の定義する3類型の一致率は40%というような状況もございます。
次をお願いいたします。
コロナ禍によって小児の患者さんはどの施設も非常に減少しましたが、特に地域小児科センターにおいては、小児科の患者さんの数が減って、なかなか回復できていない施設がこのようにたくさんございます。混合病棟が増加している、あるいは小児病床そのものが閉鎖してしまったような病院が地域には散見されますので、地域の小児医療提供体制の危機的な状況にあると言っても過言ではないのではないかと思います。
次をお願いいたします。
こちらは厚労省がお示しされている小児医療提供体制でございますが、先ほど申し上げましたように、小児科が推奨しております提供体制とは異なるような類型化でございます。厚労省が策定している類型化は、一応、学会の構造を参考にしつつも、都道府県、医療圏設定、機能分担、連携を進める枠組みとして考案されているということでございます。
次をお願いいたします。
こちらが厚労省の分類と小児科学会分類の相違点になりますけれども、このように相違点があるということであります。小児中核病院、中核病院小児科の役割、あるいは小児地域医療センター、地域小児科センターの役割はそう変わらないのですけれども、地域振興小児科の役割が厚労省の分類とは少し異なるという状況でございます。
次をお願いいたします。
このように双方の名称が混在している状況でありますので、非常に分かりにくい状況になっているということでございます。なので、まずこの分類の見直しが必要ではないかというふうに私どもも自覚してございます。現在、小児科学会における小児医療提供体制委員会内でこの実態を調査し、より分かりやすい適正な分類のやり方を提案していきたいと考えております。
次をお願いいたします。
小児医療提供体制を考える上で重要なのが、必要な小児科医師数の考え方でございますが、これはほかの診療科と大きく異なります。先ほど御説明いたしましたように、小児科の特性を考えますと、ほかの診療科とは分けて考える必要があるのではないかと思います。つまり、救急医療に必要な人数だけでは小児医療は成り立たないということであります。以前に小児科学会、それから小児科医会が合同で、救急医療に必要な人数ということで1万705人という数字を打ち出しましたが、これは急性期医療を提供する医師数ということで捻出された数字であり、小児医療を支える数字ということでは決してないというふうに御理解いただきたいと思います。
つまり、小児医療というのは、当然、急性期医療だけではなくて、予防接種や健診などの保健的な役割もございますし、また、先ほど申し上げたように小児科医は診療だけではなく多岐にわたる役割をしているということも考慮いただいて、小児科医の配置というものを考えなければいけないし、また、年齢、性別ですね。小児科医は60代以上の割合が多くなってございますし、また女性医師が40%おりますので、ライフイベント等により、フルで働ける、つまり夜間診療もできるような小児科医の数は、全体の割合よりもかなり目減りしているということも御理解いただきたいと思います。それを踏まえた上で、小児医療提供体制に必要な小児科医の医師数というものを打ち出していく必要があると考えております。
次をお願いいたします。
今後の小児医療・周産期医療提供体制の構築を考える上で、集約化というのは一つの論点になろうかと思います。しかしながら、私どもは、少子社会においても地域の活性化の視点には「安心して出産・育児ができる」ことというのが大前提と考えておりますので、小児科のニーズというものはしっかりと見極めて、それをキープするような体制を構築する必要があると考えております。集約化は、需要と供給のバランスから進む可能性はあると思われますが、一方で、私どもは、学会としては個々の医療機関の将来構想を直接意見する立場にはないというふうにも考えてございます。
それから、集約先となる中核施設の財政、稼働ベッド数等の柔軟な運用、それから常勤医師枠の増設など、財政面でのサポートも集約する上では非常に重要になってくると考えています。地域小児センターの定義も改めて見直す必要があろうかと思いますし、また、医療計画において、周産期母子医療センターのような要件定義はありますが、財政的支援がなされていないという課題もあろうかと思います。また、集約化を進めるためには、住民の理解が何といっても必要ではないかと考えております。
次をお願いいたします。
一方で、高度医療、先天性の特殊な疾患においては集約化することのメリットもあるのではないかと考えております。例えば先天性心疾患の外科的な対応であるとか、あるいは希少疾患、小児がん等の集約化ということでございます。こういったものは、むしろ集約化を進めることで、よりよい医療の提供ができるのではないかというふうにも考えております。
次をお願いいたします。
以上のように、今後の小児医療あるいは周産期医療を維持していく上で、様々な課題があるということを御説明させていただきました。そして、この課題を解決する方向に向かうことで、小児医療あるいは周産期医療の提供体制が維持できるのではないかと考えております。そのためには、行政が主導となった小児医療協議会が設置されるのはどうかというふうに考えております。
現在、多くの都道府県は、小児救急や周産期医療に特化した協議会はございますが、小児医療全体に広げたそういう協議会はございませんので、そういったものを設置していただき、各都道府県の事情を加味した小児医療の今後の提供体制の維持について議論を進めていくのが有用ではないかと考えております。
また、患者数の将来的な減少を前提として将来の体制を構築するということにおいては大きな問題があると考えております。先ほど申し上げたように、やはりしっかりとした小児医療あるいは周産期医療の提供が維持できるからこそ、安心して子供を産み、子育てをする社会が成り立つというふうに考えております。
また、我が国の全ての子供を健全に育てるためには、冒頭でお示ししたように、いじめ、児童虐待、自殺、そういった非常にメンタルヘルスに深くコミットした問題が今、大きくクローズアップされておりますので、そこをしっかりと私ども小児科医が主導となって対応していく必要があると考えております。そのためにも、地域小児科センター、地域小児科(振興A/B)、いずれもしっかりとした連携体制を構築する必要があると考えております。
次をお願いいたします。
これが小児医療に関する協議会の体制を模式化したものですけれども、医療者のみならず、教育・保健・福祉に関わるメンバーで構成されるのがいいのかなと思っております。
次をお願いいたします。
遠隔医療に関しても申し上げたいと思いますが、遠隔医療に関して、もちろんその議論を進める必要があると考えております。しかしながら、現在、小児科学会内でのオンライン診療検討ワーキンググループは、一旦、コロナ禍が収束して、休止状態という状況でございます。日本医学会連合が各学会の代表と共に「オンライン診療の初診に関する提言」を作成し、その中で小児医療は、慢性疾患の定期受診と救急診療の利用に分けて議論するべきということを主張してまいりました。慢性疾患の定期受診であれば、遠隔医療、オンライン診療というものは可能ではないかと考えますが、救急診療において小児科領域でオンライン診療を導入するのはなかなか困難であると考えております。
しかしながら、PICU、NICUと遠隔地域の小規模施設の医師の情報交換としてのオンライン診療というものは、集約化に代わる手段として有用ではないかとも考えてございます。慢性疾患の定期外来のフォローなどは、むしろオンライン診療を導入することで地域の格差が是正できるのではないかとも思います。
また、申し上げたように、救急・時間外対応は対面の診療を御家族も御希望されることが多いですので、この点において小児科のオンライン化というのはなかなかハードルが高いと考えております。
以上になります。御静聴ありがとうございました。
○田邊座長 滝田構成員、御説明ありがとうございました。
それでは、滝田構成員からの説明に関しまして、構成員の皆様方から御意見、御質問などをお願いしたいと存じます。どなたからでも結構でございますので、よろしくお願いいたします。ウェブ上の挙手の機能を使ってお知らせいただければ幸いです。
それでは、日本小児科医会の佐藤構成員、よろしくお願いいたします。
○佐藤構成員 日本小児科医会の佐藤でございます。
滝田先生、ありがとうございました。小児医療の現状について詳しくデータをお示しいただきまして、ありがとうございます。
本来、保健医療計画は、小児科に関しては救急医療の崩壊というところから多分進んできておりまして、救急医療に関しては、今日の資料にもありましたように、♯8000から始まるのですけれども、13ページにあるような層構造が出来上がり、小児科学会がつくっていただいたように、中核病院、小児地域医療センター、振興小児科という機能分担がきちんとできて、それぞれに医師の配置についてもある程度、地域ごとにできてきているというのは事実です。大きな問題ないのですけれども、先ほど滝田構成員がおっしゃられたように、小児医療というのは、7ページにありますように、小児科に必要とされるものは多岐に及んできております。
救急医療だけを考えていった場合には、先ほどの構図はよろしいのですけれども、例えば保健や福祉、あるいは児童虐待とかそういったことに関して、実際に小児科医がどのように関わっていくかといった場合に、7ページの図の下にあるように、あまり小児科医の実績として評価されていないところもございますが、ここに関して誰が担うのかといったところは、やはり小児科学会が提唱されている3類型では、ここを担う者は入ってこないのではないかなと思います。私自身も大学で研修して、そして専門医を取って、専門の課程に進んだのですけれども、結局開業してみると、初めてそこでこういったものを学んでいくような形でございます。ぜひ小児科学会の提唱する3類型に加えて、地域のプライマリー小児科医ですね。いろいろな言葉があると思いますが、私たちは小児かかりつけ医を一つの類型としていなければ、保健とか福祉といったものに対応できないのではないかなと思います。
それから、もう一つは、13ページにあります医療体制でいくと、アップストリームに関してはできていますが、先ほど滝田先生がおっしゃったダウンストリームに関しては、まだまだ地域によってはうまくいっていない。ですから、この部分をぜひ、小児医療協議会等を各地域できちんと手立てしていかなければ、子供たちが救われないのではないかなと思っております。小児医療というのは、そういう意味で、アップストリームで見たような問題点よりは、今はダウンストリームで見るような問題点、あるいはこれからの施策が必要であるというふうに考えております。
ですから、子供たちを診る意味で、3類型にプラス一般小児科あるいは小児科診療所、一般開業医、小児科開業医などのかかりつけ医の役割と、そのための教育であるとか育成といったところも、今後より必要になってくると考えております。
それから、もう一点、オンライン診療に関しては、滝田構成員がおっしゃるとおり、今、小児科の一般開業医のほうでは大変問題になっております。1つは、やはり急性期あるいは時間外の急性期をオンライン診療が診ることがコロナ禍から始まり拡大してきています。御存じかもしれませんが、本年10月から青森県では朝8時から夕方までオンライン診療を県のほうが導入しております。これに限らず、オンライン診療で急性期あるいは一般のコモンディジーズを診ることについて、きちんとしたガイドラインができているのかとか、あるいはそれなりの研修を受けたドクターがやっているかどうか不透明で非常に心配しておるところでございます。オンライン診療を小児医療の中でどのように加えていくかというところは、早急にきちんとした指針をつくらなければうまくいかないと。恐らくコロナ禍で急に始まったことだと思うので、それまでは慢性疾患で何かあれば30分以内にかかりつけに行けるというような縛りがあったのが、全くなくなって、発熱や嘔吐といった急性期の疾患も診ているという事象まで起こっているところも議論していただきたいなと思っております。
とにかく滝田委員がおっしゃるように、小児科医は、今、表に出ている数字だけでは計り知れない程多く不足しています。ですから、ぜひ集約化という言葉だけではなくて、地域の小児科医の役割が大きくなっていることも含めて、集約化した後の値域の小児科医を増やしていくような施策もぜひ加えていっていただきたいと願っております。
以上でございます。ありがとうございました。
○田邊座長 佐藤構成員、どうもありがとうございました。
今の点に関しまして、滝田構成員、レスポンスございますでしょうか。1つは社会的役割というのと、あとオンラインに関わる部分でございます。
○滝田構成員 ありがとうございます。全く先生の御意見に私も賛同いたします。大変有用な御意見を頂戴いたしました。ありがとうございました。先生のおっしゃることを加味しながら、検討を進めてまいりたいと思います。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、井本構成員、よろしくお願いいたします。
○井本構成員 ありがとうございます。日本看護協会の井本でございます。
滝田先生、プレゼンテーションありがとうございました。プレゼンテーションの中で触れられていた混合病棟の課題について、2022年に日本小児看護学会から「成人患者との混合病棟における子どもの療養環境向上のための具体的対策(提言)を出しております。成人病棟と混合化している状況の中で、子どもの療養環境で留意すべきことが対応しにくい状況が語られており看護提供体制においても非常に苦難な状況になっています。ぜひとも検討の際には一緒に入れていただきたいと思っておりますし、本ワーキンググループの第8次医療計画にもある療養環境の向上という視点で今後議論していただきたいと思っております。現在、小児科領域の看護提供体制について、何か課題や御意見があれば伺いたいと思います。
○滝田構成員 ありがとうございます。今回の方向性をまとめる中で、特段、看護師サイドの御意見を伺ってはおりませんが、先生おっしゃるように、混合病棟というのは非常に課題が多いなというのは現場の実感として感じております。子供たちにとってよい療育環境を提供し切れていないし、また、小児の看護に慣れていない看護師さんにも大きな負担をおかけしていると感じておりますので、そこは大きな課題ではあります。
ただ、やはり小児の入院患者さんが減っている状況で、なかなか小児固有の病棟をつくるのが難しいという状況もございますので、そういう状況を鑑みながら、よい方向性を模索してまいりたいと思います。ありがとうございます。
○田邊座長 ありがとうございました。
引き続きまして、濵口構成員、よろしくお願いいたします。
○濵口構成員 日本医師会の濵口でございます。
滝田先生、プレゼンテーションありがとうございます。特に7ページの小児科医の役割というところで、学校保健、虐待対応、この辺の部分を強調していただいたのは非常にありがたいと思います。全ての小児が健やかに育つことが小児医療の目標というふうに19ページにも書いていますけれども、特に予防接種、乳幼児健診、学校保健、こういった健診に関しては、地域に根差した医療ということで、医師会が一番力を入れているところでございます。今、佐藤先生もおっしゃったように、振興A/B以外にも、地域のかかりつけの小児科医が非常に地域を支えているわけでございます。そういった意味で、さらに、医師会の活動と小児科の先生方の活動が強いパイプを持って動かしていくというのが非常に重要だと改めて感じたところでございます。
また、1ページ目に戻りますけれども、児童虐待件数の増加、これも産婦人科では本当に看過できない非常に重要な課題でございます。特に虐待あるいは妊産婦さんの自殺に関しては、産後1か月以内が圧倒的に多いわけで、母子保健という観点からすると、産婦人科と小児科医のしっかりとした連携が非常に重要になってくるということを改めて感じているところでございますし、日本産婦人科医会を中心に、周産期のメンタルヘルスにもかなり力を入れております。具体的には、例えばペリネイタルビジットなど産婦人科と小児科のしっかりとした連携が各地域で構築されていくことが、地道な活動ではありますけれども、虐待の予防につながっていくというふうに産婦人科としては認識をしているところでございます。
以上でございます。
○滝田構成員 貴重なコメントをありがとうございました。
○田邊座長 子育てひろばの奥山構成員、よろしくお願いいたします。
○奥山構成員 子育てひろば全国連絡協議会の奥山です。
滝田先生、ありがとうございました。私も地域で子育て家庭をサポートしている立場から、地域における小児科の先生方の御活躍については、本当に日頃から感謝しております。学校保健医だけではなく、保育園や幼稚園、特に保育園が非常に増えたところで、そういったところの園医も務めていらっしゃり、また、行政の健診等で診療時間、お休みの時間も活用して地域で活動してくださっていて、とても感謝しているところです。そういったことを考えますと、やはり地域に一定程度の小児科の先生がバランスよく配置されていることというのがとても大事になってくるなと思っております。
また、7ページに示されたように、行政との関わりが強いのが小児科の先生方なのかなと思っております。滝田先生のほうから、小児医療協議会ということで御紹介いただきましたけれども、都道府県に限らず、市町村レベルでもきっと必要なのかなと思いまして、この辺り、どのような体制があったら一番よろしいのかも教えていただければと思いました。
最後に、今、医師会の濵口先生からも虐待の話がありましたけれども、虐待ということが発見されたときに、小児科の先生方が関わって診察をするなどといった体制がなかなか日本では進みにくいというお話も聞いておりますが、こういった体制も含めて、きっと児童福祉のところとの関連が非常に深い分野でございますので、これからもぜひ体制づくりをお願いできればと思っております。
以上です。
○滝田構成員 ありがとうございます。大変重要な御指摘だったかと思います。小児医療協議会、これは本当に必要な行政との会議体かなと思ってございますが、私どもはお示ししたように多職種での教育あるいは保健、そういったところを関係している皆様方に御参加いただくような会議体を想定してございます。それは確かに必ずしも都道府県単位ではなく、もちろん地域によっては非常に大きな市町村もございますので、あるいは特殊な事情の市町村もあるかと思いますので、柔軟に市町村での会議体の設置というのも検討してもいいのかなと思っております。
児童虐待に関しましても、本当に心を痛めてこの現状を見ている状況でありますが、私ども医療者だけでは何とも進められない部分があり、そこをもどかしく思っております。それには本当に行政の皆様の御支援が必要ですし、それから、やはり児童相談所のマンパワーが圧倒的に少ないなというふうに実感しております。なかなか全ての案件に関われないという状況がありますので、そこにも何とか力を入れていただけると、よい方向に進んでいくのかなと感じているところでございます。ありがとうございました。
○田邊座長 ありがとうございました。
引き続き、家保構成員、よろしくお願いいたします。
○家保構成員 全国衛生部長会の家保です。
滝田先生、お話しありがとうございました。急性期や入院医療については集約化をしないといけないというのはよく分かりますが、一方で、濵口構成員がおっしゃったように、地域の住民にとっては、身近な小児科医というのは非常に大事な存在ですし、やはり一定確保していかないといけません。集約化と均てん化の均衡と言ってはなんですが、両立させるためには、外へ出るような方策が必要になります。常勤としては集約化をしながら、一定期間、曜日を決めて外来を応援するとか、そのような方法も併せて考えていかないと、なかなか市町村長さんの御理解、住民の御理解が得られにくいかなというのが聞いていて思った感想です。
質問としては2点ありまして、小児科医の数を増やさないといけないというのはよく分かりますので、学会として何か取り組んでおられるのかというのが1点と、それからもう一つは、数が増えても地域偏在の問題というのはついて回ってきますので、それについての学会の認識と、どのような対応をされるのかをお教えいただければと思います。
以上です。
○滝田構成員 ありがとうございます。重要な御質問だと思います。
まず、小児科医を増やすという点でございますが、学会としても非常に重要な課題と考えておりまして、学生とか初期研修医のレベルから小児科に引き込むために、例えば学術集会等に積極的に参加していただき、なおかつトラベラーズアワードとかそのような賞を設けてモチベーションにつなげていただくようなこともしてございますし、また、若手医師に対するハンズオンセミナーのような講習会も開催して、若手医師の獲得に努めているところでございます。
しかしながら、シーリングの対象になっているような都道府県もあり、なかなかそういった影響もあるせいか、少なくとも若手医師の確保が順調に伸びているという状況ではないのが現状ですので、引き続き努力を続けてまいります。
それから、2番目の御質問として、ごめんなさい。
○田邊座長 協議会の設置、偏在かな。
○家保構成員 偏在のほうです。
○滝田構成員 地域の医師の偏在。失礼いたしました。おっしゃるとおり、医師の偏在というものはございます。それに対して専門医機構、厚労省、シーリングということで対応していただいているところではございますが、私どもの調査によりますと、その効果が必ずしも十分ではないというような数字も見えてまいりました。なので、シーリングに代わる地域の医師偏在の是正の仕組みを考えなければいけないと思っておりまして、今、学会内で検討を進めているところであります。それは専門医機構あるいは厚労省にも提言を進めてまいりたいと思いますが、1つは、循環型の研修システム、つまり地域の大学病院とか大きな基幹病院をハブにして、そこに専攻医を集めて、そこから地域の医師少数地域に人を派遣するようなシステム、また、その地域のハブの病院から都会へ研修するような機会も与えることによって、専攻医は都会でも地域でも研修できる、そのようなシステムが構築できると、少し地域の偏在是正の貢献になるのではないかと考えております。
あと1点、非常勤として地域に応援に行くというアイデアは大変すばらしく、今も実際にそうしている施設はたくさんございます。ただ、働き方改革がございますので、その時間内でしか動けないというような縛りもあるのが現状であります。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
引き続き、三浦構成員、よろしくお願いいたします。
○三浦構成員 日本産科婦人科学会から推薦されております三浦でございます。
滝田先生、小児科の現状について御発表いただきありがとうございました。私は前回のこの委員会の中で、産婦人科の特に周産期の分娩については、恐らく医療圏を越えて大規模な集約化が必要になってくる。つまり、周産母子センターへの集約化というところが第9次医療計画では非常に重要になってくるのではないかということをお話ししたのですけれども、急速な少子化とか、あるいは産婦人科の産科医、それから小児科の新生児科医も非常に少ないという現状の中で、また、病院の赤字経営ということもあると思うのですけれども、私が今、実感していることとしては、大規模集約化する前に、周産母子センターの中には、NICUやGCUの規模を縮小したり、あるいは閉鎖ということを考えているような病院が、私が知る限りでも出てきているような現状です。
その1つは、NICU、GCUの稼働もあるのですけれども、新生児科医が非常に少なくて確保できないという病院も出てきている中で、影響を受けるのは、どちらかというと母体搬送などを受ける産科医療のほうの影響が非常に大きいのですけれども、小児科学会として、新生児科医が非常に不足したり、周産母子センターでのNICU、GCUの縮小というような動きについてはどのように取り組まれているかということと、産婦人科としては、今後のことを見据えると、そういう大規模な周産母子センターでの縮小というのは、むしろ今後の備えとしては逆行しているのではないかと思いますので、ぜひ産婦人科学会と小児科学会と協力して取り組ませていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
○滝田構成員 ありがとうございます。新生児科医の育成、それから総合周産期母子医療センターの維持のためには、本当に産科の先生との連携が必要というふうに考えてございます。
私どもの学会の中に新生児医療委員会というものを設置して、そういった課題に取り組んでいるところでありますが、まさにその委員会でも御活躍中の、今日も御参加されている細野先生、この点について、ぜひコメントをお願いできればと思います。
○細野構成員 すみません。私は新生児委員会には入っていないのですけれども。
○滝田構成員 失礼しました。
○細野構成員 日本周産期・新生児医学会の立場で申し上げると、これはやはり小児科医が、小児科医というのは先ほど滝田構成員がおっしゃったように領域が非常に広いのですね。なので、新生児をやる人間を多くしようと思っても、今度、PICUとかそちらのほうの人間も必要であるし、本当に小児科医の総数が増えない限りは、各領域の人数を増やすのはなかなか難しいというのが現状かと思います。
あとは、三浦先生も御存じのとおり、出生数が減ってくると、当然、NICUが受け入れる患者数は全体的には減ってくるわけなので、やはり病院の数が多いと、各病院で研修できる患者さんの数は当然、1人当たり減ってくるわけなので、これは周産期のほうとしては、やはり集約化していかなければいけないというのが小児科側の意見としてもありますし、働き方改革の中でそれを担保するためには、大規模な病院が生き残ってきて、小規模な周産期センターが当然減っていくというのは、どう考えてもそういうふうになってしまうのです。
その中で新生児をやる医者を増やすのは非常に難しいのですけれども、これは厚労省の会議なのであれですけれども、我々医者がその領域を勉強したいと思うのは、研究とか教育とかそういう時間もしっかり取れるような体制にしていかないと、なかなか診療だけだと、10年、15年やれば大体のものはできて、その先ということを考えると、やっぱりということになって、開業のほうに行ってしまったりするので、とにかく新生児の医者がずっと新生児を続けられるというためには、大規模な病院で当直の業務を減らしていって、教育とか研修、研究とかにも力を割けるような体制にしていくことが、医者の数を増やすという方策かと考えております。
以上です。
○滝田構成員 ありがとうございます。
○田邊座長 ありがとうございます。
三浦構成員、どうぞ。
○三浦構成員 集約化していくときに、やはり産科と新生児科の集約化というのがシンクロしていないと、片やAという病院に新生児が集約化されたけれども、産科のほうはBという病院だとすると、これは医療として地域の医療が守れないことになってきますので、ぜひ集約化の方向性ということについては、各医療圏で同じ方向に向くように、産科と小児科との連携というところをキープしていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○滝田構成員 ありがとうございます。重要な御指摘かと思います。
○田邊座長 それでは、佐藤構成員、お願いいたします。
○佐藤構成員 日本小児科医会の佐藤です。
2点、今の議論につけ加えさせていただくと、1つは、働き方改革でございますが、多分、病院の先生方は、そのためにアウトリーチが取りにくいと感じられていると思いますが、地域では、それまで応援に来ていた、あるいは地域で予防接種なり健診等をやっていただいた先生方を派遣していただけなくなる。それから、初期救急を担当している先生がいらっしゃらなくなるということで、やはり地域ではかなり働き方改革の影響が出てきておりますので、今後、その辺について、全体の数が増えればいいのですけれども、数が増えたら増えたで今度、病院の勤務医の先生方が昼間に仕事がなくなってしまうような事態にならないように考えていただきたいと思います。
それから、もう一点は偏在のことなのですけれども、前回の第1回でもお話ししましたように、小児科医の数を比較するときに、子供の人口、15歳以下の人口当たり小児科医が何人という数字が出てくると、日本全国でそんなに変わらないのです。千葉県でいけば、房総半島の広いところに小児科の開業医は数名しかおりません。かと思うと、東京に近いほうの東葛にはたくさんいるということですけれども、子供の数当たりの小児科医の数は変わらない。子供が少ないからといって、予防接種とか保健等をやらなくていいわけではないので、やはり地域地域によって必要な小児科医の数というものをもう少し細かく出していく。そのための小児医療協議会ではないかなと思いますので、そういった議論もそちらのほうでぜひやって、地域に小児科医が足りないという状態がないように、ぜひお願いしたいと思います。その2点でございます。よろしくお願いします。
○滝田構成員 ありがとうございます。おっしゃるとおり、なかなか派遣するほうも働き方改革の制限によって派遣しづらい状況というのは実感しておりますし、県の中でも、京都府もそうなのですけれども、京都市には医師が多いのですが、北のほうに行くとほとんど医師の過疎地区になってしまう。そこを全く考慮されずに機械的にシーリングの数が決まっているというのは、非常に大きな課題かなというふうに考えております。しっかり働きかけてまいりたいと思います。ありがとうございます。
○田邊座長 ありがとうございます。
それでは、内田構成員、よろしくお願いいたします。
○内田構成員 ありがとうございます。日本麻酔科学会の内田と申します。
前回もそうなのですけれども、ちょっと風向きが違うようなコメント、質問になるかと思うのですが、今おっしゃっていたいろいろな現状の問題に対する解決策は、いずれも小児科のドクターがある程度増えるということ、それから、特に急性期、重症系の患者さんを診てくださる小児科の先生方を増やすにはどうするかというお話だったかと思うのですが、偏在の部分を強制的に、循環型の研修システムというお話も今、滝田構成員から御提案があったかと思うのですが、若い方々の循環ということで医師の偏在を解消するというのは、結局のところ、研修機関だけの話になってしまって、なかなかうまくいかない可能性もあるのかなというふうに聞いておりました。小児医療の医師がある程度少なくて、かつそこに子供の数が少な過ぎて、常勤の小児科の先生方がいても、確かに緊急事態には役に立つということだと思うのですが、日常的に都市の患者さんが多いところと比べると業務量に差があるというような地域に、本当に若い先生方が行きたいと思うかというところも考えないといけないのかなと思っております。
それは一つ置いておきまして、小児医療が全国津々浦々の医師が比較的少ないところにも届くようにするという観点で言いますと、むしろ小児科医でない内科の開業医の先生方がある程度担っていらっしゃる部分も、校医の立場だとか、予防接種だとかをやっていらっしゃるということかと思います。そういう方々が、逆に、小児の患者さんを診たときに重症な部分を見逃さないようにするように、例えば小児科学会としての何らかのサポートをするとか、そこに小児科医を派遣できるのが恐らく一番いいのだとは思うのですけれども、そうでない地域に対しても、実質的な診療の質が落ちないようにするというようなお考え、動きなどがもしおありでしたら、御教示いただきたいと思います。
以上です。
○滝田構成員 ありがとうございます。まず、地域偏在に対しては、循環型のシステムを導入してもなかなか根本的な解決にならないのではないかというのは、まさにおっしゃるとおりで、私どももそれで完全に解決できるとは思っておりません。ただ、現状を見ますと、地域の大学なりで勉強した学生あるいは初期研修医は、やはり都会に出たがるという傾向がございます。それで都会のプログラムに集中する。なので、そこをできるだけ是正するために、地域にいても都会にも行けるし、地域の医療も経験できるというようなプログラムの提案というところを目指してございます。
確かに患者さんが少ない地域に若い人を行かせて勉強になるのかというお考えもあろうかとは思いますが、ただ、そういうところは本当に自分で何もかもやらなければいけないというような状況もありますので、それはそれで小児科医として経験すべきよい研修となり得ると思っております。大きな病院で何もかも分業でやってもらって、自分はその部分しかやらないということではなく、何もかも全て自分で、診断から治療、フォローまで全部やるという経験は重要かなと思っております。
それから、おっしゃるように、小児科医が配置できないのであれば、内科とか総合診療科の力を借りるというのは一つの考え方かなと思います。そのために、例えばリカレント教育とか、eラーニングのシステムとか、そういう教材を提供する方向性はあるのかなと思いますが、現時点で小児科学会としてそこまでの動きはないという状況であります。今後検討させていただきます。
○田邊座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
ありがとうございました。特に滝田構成員、非常に実情をお伝えいただくような、さらには提案を含めた御報告をいただきまして、感謝申し上げます。
○滝田構成員 ありがとうございました。
○田邊座長 今後またこの議論は続いていくと思いますので、皆様方、よろしくお願いいたします。
続きまして、議題2に入らせていただきます。議題2は「安全性と持続可能性を考慮した周産期医療提供体制の構築について」でございます。
この議題につきまして、事務局から資料2の説明をお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○榊原専門官 事務局でございます。
それでは、資料の共有をお願いいたします。資料2について御説明させていただきます。
まず1ページ目、2ページ目で、第1回のワーキンググループでいただいた御意見をまとめております。1ページ目には、周産期医療の提供体制について、それから安全な無痛分娩の提供体制についてというところ。2ページ目については、高知県のほうから取組を御紹介いただきましたので、それぞれいただいた御意見をまとめております。
次をお願いします。
出生数の変化率ということでお示ししております。上の段のグラフで出生数の推移をお示ししており、減少傾向にあるというのは御存じのことと思いますけれども、下の段にあるように、前年度と比較した出生数の変化率を見てみますと、2020年からは増大しているということが分かります。
次をお願いします。
また、出生数の推計ですけれども、国立社会保障・人口問題研究所が令和5年、2023年に提示した将来人口推計によりますと、出生中位推計になりますが、2039年に68.4万人となる推計であったところ、令和6年の時点で実際の出生数は68万6173人という状況となってございます。
次をお願いします。
こちらは産婦人科医の年齢・性別ごとの推移をお示ししております。上段のグラフを見てみますと、産婦人科医のうち、50歳未満の方の割合は約半数を占めております。一方で、下の段のグラフを見ますと、一番左にお示ししているとおり、年齢を考慮しなければ、男性が58%、女性が42%となっている一方で、特に50歳未満の方々を見てみますと、女性の割合が多くなっていることが分かります。
次をお願いします。
前回もお示ししましたが、母体の年齢を考慮した周産期リスクについて、特に35歳以上の母体からの出生数の割合が増加していることが分かります。2023年においては、35歳以上の割合は30.4%という形になっております。その下の段のグラフには、母体の年齢が上がるほど、妊産婦死亡率も上昇してきているということが分かります。
次をお願いします。
7ページですが、出生数別の市町村の数をグラフで示しております。令和6年においては1,892市区町村のうち、年間の出生数が100未満である市町村が898か所であるということが分かります。
次をお願いします。
前のページの状況もありまして、医療全般については、一般的には二次医療圏単位で提供体制を確保しているところですが、周産期医療については、さらに二次医療圏を越えた圏域での整備が求められることも多いことから、二次医療圏にこだわらずに、周産期医療圏を柔軟に設定し、必要な医療を確保することとしております。
次をお願いします。
こちらは分娩を取り扱う医療機関数別の周産期医療圏をお示ししています。周産期医療圏ごとに分娩を取り扱う医療機関数は様々となっておりますが、各周産期医療圏の医療機関数の中央値は5施設と算出されております。特にグラフを見てみますと、7つの周産期医療圏においては、分娩を取り扱う医療機関数がゼロであるという実態がございます。
次をお願いします。
こちらも前回お示ししたスライドですけれども、病院においては、1施設当たりの分娩対応医師数は上昇傾向にあり、医療資源の集約化が一定程度進んでいるとるかと思いますが、診療所においては、1施設当たりの分娩対応医師数が少なく、わずかな増加にとどまってございます。一方で、1施設当たりの助産師数については、診療所、助産所ともに増加傾向にあります。
次をお願いします。
都道府県別に見てみますと、分娩担当医師数は、病院で見てみると、例えば東京都ですと1施設当たり約12人いることとなりますが、福島県や香川県では1施設当たり約4人という形で算出されます。下の段のグラフは助産師についてとなっておりますが、宮城県で1施設当たり約30人となっている一方で、石川県では約12名、大分県では約8名となっております。
次をお願いいたします。
続きまして、周産期母子医療センターの産婦人科医師の対応状況ということでお示ししております。こちらを見ますと、周産期母子医療センターにおいても、産婦人科医は周産期、産科以外の診療も行っていることが分かりまして、また、地域周産期母子医療センターは、総合周産期母子医療センターと比較しますと、産婦人科医師数が約半数であるということが分かります。
次をお願いいたします。
夜勤または当直が可能な産婦人科医師数につきましても、地域周産期母子医療センターについては、総合周産期母子医療センターと比較すると約半数の人員となっていることが分かります。
次をお願いいたします。
こちらは分娩を取り扱う病院というくくりのデータをお示ししております。令和5年9月の1か月における分娩取扱医師1人当たりの分娩件数については、中央値として4.4件という形で算出されますが、1か月の取扱い件数が図にお示ししているとおり2件未満の病院は139施設あるという形で算出されます。
次をお願いします。
また、周産期母子医療センターにおいては、下の段にお示しするように、医師1人当たりの年間ハイリスク妊娠対応数が20件未満である施設も一定存在することが分かります。
次をお願いします。
こちらは助産師の方についても同じように、1か月における分娩取扱助産師1人当たりの分娩件数ということでお示ししておりまして、中央値としては1.3件でありまして、2件未満の病院については605施設と算出されております。
なお、これら一連の資料につきましては、分娩1件に対して、必ずしも1人の医師、助産師で分娩を対応しているわけではなく、例えば帝王切開をする場合には複数の医師が対応する必要があったり、助産師の方については、妊産婦さんに直接的に介助するスタッフ、間接的に介助を行うスタッフ、その他サポートに入る助産師が複数名いらっしゃる場合もありますので、1人の妊婦さんに対して複数の医療スタッフが関わっている点は御承知おきいただければと思います。
次をお願いいたします。
ここから、周産期母子医療センターにおける産科以外の診療科の介入を行うための体制について、少しお話ししたいと思います。
次をお願いいたします。
18ページから25ページにかけて、麻酔科等を含む他の診療科の体制ということについて調査結果をお示ししておりまして、前半が総合周産期母子医療センター、後半が地域周産期母子医療センターの結果となっております。
例えば19ページ、次のページをお願いいたします。本ページについては、総合周産期母子医療センターのうち、約1割の施設が脳血管障害を合併する妊産婦への対応が不可能という形でお示しされております。
一方で、23ページを御覧いただきますと、地域周産期母子医療センターにおいては、約3割の施設が脳血管障害を合併する妊産婦に対応が不可能であるということが分かります。
続きまして、26ページに飛ばさせていただきます。
こちらは地域の実情に応じた集約化と役割分担についてということで、少し話題が変わります。出生数が比較的少なく一定の周産期医療の提供が困難な地域におきましては、左の図にあるような、当該区域内での集約、役割分担に加えまして、右の図にあるように、隣接する周産期医療圏との合併等も含めて考慮する必要があります。
その際に、妊婦の方の移動にかかる負担が増加することについても考慮する必要がございますし、また、分娩取扱施設までの移動、それから付近で待機するための宿泊費の支援に加えて、陣痛、破水等を含めた緊急時に例えば救急車を利用したり、救急救命士等に対する研修などの取組を実際に自治体としては行っているところもあると承知しております。
次をお願いいたします。
こちらは集約のいわば受け皿という形で、分娩数増加への対応の可否について、周産期母子医療センターを対象として調査を行った結果をお示ししております。全国の周産期母子医療センターを対象としたこの調査によりますと、分娩数の増加に「対応できる」、「条件によっては対応できる」と回答した施設が、回答のあった周産期母子医療センターのうち81%、それから回答のあった地域周産期母子医療センターのうち74%となっております。そのうち当直のための増員についてお聞きしてみますと、現行の派遣を維持する、あるいは特にそういった対応が不要と回答した施設が、回答のあった総合周産期母子医療センターのうち44%、地域周産期母子医療センターのうち38%という形となっております。
次をお願いいたします。
先ほど、いわば受け皿となる施設についてお示しさせていただきましたが、それに対して、例えば前回、高知県の取組として高知県から御紹介いただいた、青色で示す安芸医療圏、黄色で示す幡多医療圏がございます。それぞれ分娩を維持するのか、役割分担を進めて分娩は中央医療圏に集約するのかといった議論はもちろんあろうかと思いますが、いずれにしましても、こういった地域にお住まいの妊婦の方々や、分娩以外も含めて産科診療を行う医療スタッフの方々のことも踏まえまして、体制整備を行っていく必要があると思っております。
次をお願いいたします。
その際に、具体的な取組として、29ページから32ページにあるような取組も踏まえながら議論をしていく必要があるかと存じます。
33ページをお願いいたします。
こちらが最後、論点のスライドとなりますけれども、現状と課題という形でまとめております。医療資源の有効な活用の観点では、24時間体制で対応を行う必要のある周産期医療提供体制においては、市区町村単位で分娩取扱施設を配置することは、一つの施設における医師や助産師を分散させることになります。また、施設における妊産婦や新生児への対応件数が減少することによって、医療従事者1人当たりの症例経験が減少し、知識・技術等の維持・向上が困難となる可能性があります。ただ一方で、1人当たりの対応件数が多過ぎる場合には、医療の質が低下するといった可能性もございます。安全な周産期医療提供体制を構築するためには、地域の実情に応じて一定の集約化を検討することが望ましいですが、遠方にある分娩取扱施設で分娩することの不安や移動にかかる負担、分娩取扱施設における分娩数の増加等の課題が生じると予想されます。また、分娩については、人口が比較的少ない地域においても一定の体制を確保する必要があるため、都道府県全体でその提供体制を検討する必要があります。また、産科以外の介入を必要とする合併症への対応や母体の全身管理については、周産期母子医療センターであっても提供できる医療が限られる施設もあるという現状がございます。
これを受けまして、論点としては、持続可能な周産期医療提供体制の構築に向けて、医療の質や安全性の確保、医師や助産師等のキャリア形成の観点からも、施設ごとの症例数は重要であり、地域の医療資源や出生数等に応じた集約化をそれぞれの医療圏において検討する必要がございます。その際には、妊婦の移動にかかる負担の増加など、それから分娩取扱施設における分娩数の増加等の課題及びその対応について整理をする必要があるのではないか。また、地域ごとに一定の集約化等の対応を行う際には、周産期母子医療センターの在り方や、分娩を取り扱わない医療機関等が妊婦健診等を維持するなど、役割分担について検討が必要ではないか。このようにまとめさせていただきました。
以上となります。
○田邊座長 御説明ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関しまして、構成員の皆様方から御意見、御質問などを頂戴できればと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、細野構成員、よろしくお願いいたします。
○細野構成員 日本周産期・新生児医学会の新生児側の代表の細野ですけれども、詳細なデータをありがとうございます。
今お示しいただいて、集約化は当然進んでいくことになると思いますけれども、1つは、妊婦健診に関しては、交通費の補助等でいろいろな施策が打たれているところかと思いますけれども、実際に最終的な分娩のところになったときに、妊婦さんはほとんど陣痛が発来してから病院に向かうという状況になっていると思いますので、その場合に、やはり時間が延びれば当然、救急車で向かうことも増えるかと思いますし、また、自宅分娩とか車中分娩というのが増える可能性が危惧されるわけでございます。今お示しした中で、救急隊へのそういった研修や何かに補助を出している市区町村も出てきているということは私も存じ上げています。ただ、今、日本の救急隊の新生児に対する扱いというのは、MC協議会、メディカルコントロール協議会のほうで蘇生の仕方に関しては、新生児、小児、成人と大きく3つあるのですけれども、メディカルコントロール協議会の中に新生児の医者がほとんど入っていないので、蘇生の方法としては、場合によっては成人のやり方、よくて小児のやり方で、一部新生児のやり方が入ってきているという、日本全国で蘇生のやり方に大きな差があるということは、私は非常に問題かと思っています。
日本周産期・新生児医学会では、そういったことに対応するために、救急隊員向けの新生児蘇生のプログラムをつくっていますけれども、やはりそのところに対する補助がないので、救急隊員が自腹で講習を受けるとかそういうことになっていますので、その辺を含めて、メディカルコントロール協議会のほうにも新生児の蘇生はやはり新生児のやり方でやるというような提言もしていただきたいですし、そういった研修に対する補助ももうちょっと各市区町村で考えていただければと思います。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
続きまして、濵口構成員、よろしくお願いいたします。
○濵口構成員 濵口でございます。詳細に御紹介ありがとうございました。
私が質問したいのは、18から25ページまでの周産期母子医療センターにおける他の診療科の対応のところでございます。最後の33ページの5ポツ目、産科以外の介入を必要とする合併症への対応や母体の全身管理については、周産期母子医療センターであっても提供できる医療が限られる施設もある。これは現実的に各地域で起こり得ることだと思うのです。
今日、関沢構成員と三浦構成員が出席していらっしゃいますので、お聞きしたいのですけれども、具体的に申しますと、周産期母子医療センターの中で、例えば救命救急センターもあるような施設では、そこにまず重症患者が運ばれてきて、ある程度トリアージや全身管理をしてから他の診療科へつなぐ形ができると思うのですけれども、産科で受けてすぐに円滑に他の診療科に紹介するというようなことは、なかなか難しいのが現実だと思うのです。もう一つは、周産期母子医療センターから周産期母子医療センターへ搬送しなければならないことも日本では起こっているわけで、その辺のところの見解をお二人の構成員の方にお聞きしたいのですけれども、いかがでしょうか。
○田邊座長 それでは、よろしくお願いします。
○関沢構成員 関沢ですけれども、本当におっしゃるとおりで、もともと周産期センターを地域の基幹施設として整備してきたわけですけれども、NICUの機能を重視して指定されてきた歴史がありますが。現状、妊婦が高年齢化して、もともとリスクの高い女性が妊娠したり、妊娠中に様々な合併症が発生したりすることも増えています。また、妊婦の救急対応が必要になることも一定頻度発生します。また、各地域の分娩数や分娩取扱施設がどんどん減っていく中で、地域全体を支えるために、地域の基幹病院をいかに整備していくかという視点が重要と考えます。基幹病院では、しっかり三次救急的な機能も担える必要があり、そういった施設が総合周産期母子医療センターとして認定されていくような流れが必要だと思います。
地域周産期センターについても、総合周産期センターに比べると機能は弱いことになるのだと思いますけれども、ある程度必要になります。やはり新生児だけを診られればよいではなく、ある程度しっかり妊産婦の救急に対して対応できることを念頭に置く必要があります。各地域において今の地域周産期センターを維持することは現実的に難しいと思いますので、そういった機能重視でしっかりとしたところ指定していくような流れが必要であると思います。
私は妊産婦死亡の事例の検討会等をやっていて、一次施設から病院に送り、病院から周産期センターに送り、その後、救急センターのある周産期センターに送られるような事例をみます。基幹施設にダイレクトに行けるようなシステムがないと、救われない女性が出てきてしまう思います。赤ちゃんもそうですけれども、そういった問題があるので、多少時間がかかっても、しっかりアクセスできる、しっかりとした基幹施設を政策的に整備していく、それは総合周産期センターとか地域周産期センターとかを問わずに整備し直すことが大事なのではないかなと思います。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
今の点に関しまして、三浦構成員、何かコメントございますでしょうか。
○三浦構成員 産婦人科学会から推薦されている三浦でございます。
先ほど関沢先生のほうからもございましたけれども、周産期母子医療センターという性格上、やはり新生児科医と産科医との総合的な力で成り立っているところがございますので、地域によっては、総合周産期母子医療センターよりも、危機的な状況の妊婦を救うということに関しては、総合力では地域の周産期母子医療センターのほうが非常に受け皿としては適しているということが認識されているところでございます。なので、今後大規模な集約化をしていく上では、地域と総合という枠組みよりも、そういう危機的な状況が起きたときに、どこに搬送すべきかというところをしっかりと整理していくことが重要なのではないかなと思います。
そういう意味でも、新生児科医と産科医の配置というところも地域の中で考えないといけないということと、総合周産母子センターにそういう機能を持たせて、病病連携をしていくのか、あるいは救急医との連携、あるいは麻酔科との連携というところは今後、非常に重要になってくるのではないかなと思っています。
また、無痛分娩が今後普及してくると、やはり麻酔科の設置というか、何かしらの救急的な事態が起きたときの対応ということも、今までになかったことをしっかりと考えていく必要があると思っております。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
濵口構成員、何かございますか。
○濵口構成員 お二人の先生、ありがとうございました。救命の観点でいえば、1つのセンターで完結するというのが理想であって、やはりセンターとセンターとの連携も密でないと、タイムラグがあると救命できないということも現実的には起こり得るので、その辺のところは各地域で、できるだけ整備をしていただくことが必要と感じておりました。ありがとうございました。
○田邊座長 ありがとうございます。
○三浦構成員 追加で、地方で九州とかにいると、医療圏を越えて集約化するときに、やはりインフラの整備というか、救急医療ということも含めて、また道路とか交通手段の整備も考えないと、地図の上から見た距離で搬送ということを考えてもなかなかうまくいかないというのが実情ですので、特に濵口先生も北九州でそういうことを考えてこられたと思うのですけれども、やはり医師会、それから産科婦人科学会、産婦人科医会が協力して、小児科学会も協力して、インフラの整備というところが非常にこの問題には重要なのではないかなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○田邊座長 ありがとうございました。
関沢構成員、先ほどお手が挙がっておりましたけれども、よろしくお願いします。
○関沢構成員 先ほど濵口先生の質問のときに言いたいことを発言させていただきましたので、大丈夫でございます。
○田邊座長 それでは、内田構成員、よろしくお願いいたします。
○内田構成員 ありがとうございます。また麻酔科の立場も踏まえてということなのですが、御提案いただいた今回の集約化の基本的な方針は、我々としても、麻酔科の立場としても非常に望ましいことではないかなと感じております。実際に何らか緊急事態が発生した場合には、蘇生なら蘇生、あるいは麻酔に関連する事故に対応するという場合には、それに関しての知識が十分ある者が複数名というのはやはりどうしても必要になってまいります。ですので、各施設に均等に麻酔科医が配置されたとして、各施設で1名いた場合に、それ以外の方々にそういった知識がないと、いざ何かが発生したときに実質的に施せる有効な治療はかなり制限をされてしまうと思っております。
その意味では、各施設で無痛処置にしても、分娩を取り上げることにしても、事態が戻れない状態になる前に早く判断をして、適切な医療資源、それから人材がいる施設に送れるかどうかの判断がいかに早くできるかということも重要になってくると思っております。そういう意味では、集約化されたところの施設が、そういった部分の教育を各地域の施設で担うという体制も必要ではないかと思っております。それが実際に実現するためには、そこで学びつつ診療もこなしている方々、医療者が、そういう地域の医療の面倒を見るといいますか、教育の部分も担えるぐらいの余裕がどうしても必要であって、緊急事態のときには、やはり多くの人数がまたそれに必要とされますので、それに向けた人材の余裕ももちろん必要なのですけれども、集約化するということを決める上では、そういった部分の余裕をかなり持った人材配置、ポジションの確保ということが、今まで以上に重要になってくるのかなと思っております。
今のところ、各施設が単独で持っている人材のマックスのキャパシティーで診療を行っているということで、恐らくそこで働いている方々はどなたもそういった外に出る余裕を感じていらっしゃらないと思いますので、その辺りも踏まえた人員配置を検討していただければというのが、私の追加のコメントでございます。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
引き続きまして、伊藤構成員、よろしくお願いいたします。
○伊藤構成員 ありがとうございます。
資料の説明ありがとうございました。33ページで論点について示していただいてございますけれども、前回のワーキンググループでも申し上げたところではございますが、ハイリスクの妊産婦だけではなくて、やはり一般の分娩に対応する施設についても集約をしていただいて、分娩を行わずに健診だけで対応する施設との役割分担、あるいは連携といったものも進めていく必要があると改めて感じたところでございます。また、その際には、妊産婦が安心して出産を迎えられるように、妊婦の移動あるいは宿泊にかかる費用の補助を充実すること。そして、29ページで紹介していただいてございますけれども、周産期母子医療センターなどによりますオープンシステムあるいはセミオープンシステムの利用、そして、35ページには取組事例も示していただいてございますけれども、こういったものも参考にしながら、緊急時に対応する体制の整備についても、地域の実態に合わせて進めていただければと思ってございます。
また、26ページで少し言及していただいてございますけれども、周産期医療圏の合併、広域化、こういったことも重要だと考えてございます。想定以上に少子化が進展しているということでもございますので、地域におけます分娩ニーズ、あるいはハイリスクの発症率、医師や助産師の状況なども踏まえまして、医療資源の集約化、役割の分担と表裏一体の中で、周産期医療圏の考え方につきましても、なるべく早い段階で考え方を整理していく必要があるのではないかと考えてございます。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
引き続きまして、井本構成員、よろしくお願いいたします。
○井本構成員 ありがとうございます。日本看護協会の井本でございます。
今回、議題2のテーマである安全性と持続可能性を考慮した周産期医療提供体制を構築していくためには、前回の高知県の事例や資料2(安全性と持続可能性を考慮した周産期医療提供体制の構築について)のスライド33のポツ2にも示されておりますが、助産師を含む看護職の実践能力の維持・向上に向けた研修体制の充実等を進めていく必要性、そして本会としての責務も感じたところでございます。
現在、助産師に関しましては、国の助産師活用推進事業の助産師出向制度などを利用して、助産師の実践能力を維持・向上している状況があります。地域医療計画等にも示されているアドバンス助産師の認証要件には、分娩の症例件数等も明示した上で認証を進めている状況があり、こういったことが今後担保できるように、様々な取組をぜひ続けていただきたいと思っております。また、助産師活用推進事業も現在、約半数の都道府県が実施しておりますが、全県で実施し、実践能力の担保ができるようにしていっていただきたいと思っています。今後、そういった検討も含めて議論をお願いしたいと考えております。
○田邊座長 ありがとうございました。
続きまして、奥山構成員、よろしくお願いいたします。
○奥山構成員 ありがとうございます。子育てひろば全国連絡協議会、奥山です。
私からは、全国の特に地方の子育て家庭の声なども会員団体から聞いてみたところ、やはり分娩ができる施設が地元自治体になくなってしまうことの不安というものについては、非常に多く語られたという状況が実際にはございます。今日の議論の中でも、ハイリスクの方々の体制整備について集約化が求められるということについては、本当にそうなのだろうと思っております。一方では、一般の分娩に関しまして、かなり離れたところで出産しなければならないとなりますと、妊婦健診と分娩する施設との連携ですとか体制整備ということがこれまで以上に重要になってくると思っております。
と申しますのは、交通費の補助ですとか宿泊費の補助も、まだ始まったばかりなのですね。まだ市民の皆さんに周知が行き届き、全ての自治体がそれに取り組んでいるような状況にないということを考えますと、先ほど行政主導の小児医療協議会が大事ではないかという話がありましたが、周産期の医療協議会というのもございますのでしょうか。それも都道府県だけではなく、市町村においても、我が市の体制はこうなっているということがしっかり保護者の皆さんに伝えられることがとても大事ではないかなと思っております。
自治体においては、島嶼部においても分娩できる医療体制を整えて、しかしながら、ハイリスクに関しては、島外にしっかりと宿泊、交通費、サポートの体制をちゃんとホームページにも入れて、提供体制を可視化している自治体さんもございます。そういった意味で、この提供体制を整えるに当たっては、自治体との連携もしっかりと協議していただければなと感じております。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
1点、協議会について御質問がございましたので、よろしくお願いします。
○榊原専門官 事務局でございます。
周産期医療の協議会について御質問をいただきました。現在、第8次医療計画を策定するための周産期についても国のほうで指針をお示ししているところでございますけれども、周産期に関しましても、協議会を各都道府県において設置することを求めてございます。その中で、本ワーキンググループで御議論いただいた内容を、そういった協議会に下ろしていけるようにと考えてございますので、引き続きそういったことも念頭に御議論いただければと存じます。よろしくお願いいたします。
○奥山構成員 奥山です。
やはり学校の統廃合となると、本当に地元の皆さんはすごく関心が高いと思うのです。同じように、分娩施設のこれからの在り方についても、ぜひ自治体や市民の皆さんもそういった協議のプロセスに関われるよう、どうぞよろしくお願いいたします。
○田邊座長 ありがとうございました。
続きまして、宮川構成員、よろしくお願いいたします。
○宮川構成員 ありがとうございます。日本助産師会の宮川です。よろしくお願いいたします。切れ目のないケアを継続するという観点で発言させていただきます。
先ほど濵口構成員からもお話がありましたけれども、本当に昨今、メンタルヘルスの不調の妊産婦さんには大きな問題があります。そして、妊娠期間から産後までの継続したケアというものが、周産期体制の集約化の中でも切れることなくケアが継続できるような体制を検討していただきたいとお願いいたします。
現在としては、母子医療センター、それから診療所や助産所の助産師などが連携して継続したケアを行って、メンタルヘルスの支援を行っていますけれども、このネットワークにおいても明示していただいて、地域差が出ない形での仕組みということもお考えいただきたいと思っております。
医療の検討の場ですので、産後ケアというようなこともなかなか入りにくいことは承知しておりますけれども、前回の周産期検討会の中でも提案がありましたように、母子のための地域包括ケアの在り方についても検討をお願いしたいと思っております。加えて、妊産婦にとって切れ目のないケアということをどうつなぐか。つないでいける体制というものの観点の検討をお願いしたいと思っております。
それと、1つ質問なのですけれども、9ページ、分娩を取り扱う医療機関数別の周産期医療圏のデータのスライドです。7つの医療圏で分娩を取り扱う施設がゼロであったというところなのですけれども、この中には、分娩を取り扱っている助産所は含まれていないという理解でよろしいでしょうか。もしそうであれば、今後はこのようなデータに助産所の数を入れていただくということを御検討いただきたいと思います。
発言は以上です。
○田邊座長 では、回答をお願いします。
○榊原専門官 事務局でございます。
先ほど御質問いただきました9ページの資料につきましては、分娩の取扱いのある助産所自体は含まれていない数値ということになります。今回御意見いただきましたことも踏まえまして、引き続き検討してまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
○宮川構成員 よろしくお願いいたします。
○田邊座長 引き続きまして、三浦構成員、よろしくお願いいたします。
○三浦構成員 三浦でございます。
学会の立場というよりも、長崎県で集約化を進めて、今感じていることについて発言させていただきたいと思うのですけれども、33ページの妊婦の移動にかかる負担の増加等というくだりなのですが、先日、10月から上五島病院というところで分娩が停止されたのに伴って、医療体制についての住民説明会というのに、県に要請されて大学として加わったのです。その際の住民の反応としては、半年間、長崎県と行政とで準備をしてきて、住民説明会も何度かなされているのですけれども、それであっても、移動にかかる負担というところに関して補助が出ていても、妊婦への支援だけではなくて、やはり住民から出たのは、家族への支援も必要だという意見が多数寄せられましたし、宿泊所というふうに、宿泊への援助だけではなくて、きちんと宿泊できる施設の確保までやっていただきたいという意見が住民から出たというところが非常に大きかったのと、また、多くの住民から出たのが、それであれば住民票を移して都市部へ移住することを考えないといけないのかという意見も出て、やはりこういう集約化をすると、分娩施設がない地域においては過疎化が進んでいくのかなというのを実感した次第でございます。
また、島嶼部においては、やはり夜間の搬送ができないという点が非常に重要な点だというところが浮き彫りになってまいりまして、夜間は自衛隊のヘリが稼働する地域と稼働しない地域が国内にあるみたいなので、分娩施設がない地域で夜間の搬送が必要なところについては、関係する省庁と搬送体制の整備を、特に自衛隊ヘリというところは九州では非常に大きな問題になりますので、ぜひこの問題とともに考えていただきたいと思います。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
続きまして、滝田構成員、よろしくお願いいたします。
○滝田構成員 ありがとうございます。周産期医療の提供を維持するために集約化が必要という点においては大変よく理解できました。
そういたしますと、集約化して分娩数が増えるような周産期母子医療センターにおいては、当然、NICUの役割も大きくなってくるのかなと思います。そういった中で、NICUは24時間体制でなければならないというところで、新生児特定集中治療室重症児対応体制強化管理料が24時間対応でないと認められないという状況になり、宿日直が認められないという状況になりましたので、2交代制を強いるような状況になっております。そういたしますと、当然、マンパワーが必要になってきますが、多くの周産母子医療センターのNICUの状況を見ますと、必ずしもそこをしっかりと担うポスト数の確保が十分ではないというふうにも感じております。なので、集約化を進める中で、やはりNICUの医師の各施設のポストの増員というところも併せて御議論いただけますと、大変ありがたく思います。
それから、もう一点、これは産科婦人科学会、産婦人科医会様への御質問になりますが、特にハイリスクの妊婦さんの集約化はとりわけ必要だろうというお話がございました。そうなりますと、産婦人科の中に母体・胎児専門医というのがございますが、その専門医の育成に関して、今後どのようにお考えなのか。増やす方向なのか、あるいは集約化に併せた現状維持ないしは。
○田邊座長 関沢構成員。
○関沢構成員 私は、日本周産期・新生児学会で専門医制度委員会の委員長をしておりまして、その立場からお話しします。母体・胎児専門医は、周産期センターの指定要件の中には現状入っていないという事実があります。ただ、データとしまして、周産期センターの中で母体・胎児専門医が1名以上いるところと全くいない周産期センターで、周産期予後が有意に違うというようなデータもあります。地域でNICUがあると、そこが周産期センターになっていくような現状があるということを先ほども言いましたけれども、今後、集約化する地域周産期センターは、やはり一定の機能を持つような形にして、しっかりそこに母体・胎児専門医を配置していくような形にしていかないといけないと思います。
現状、母体・胎児専門医は1,000名くらいいますけれども、大学病院とか総合周産期センターに多くいるというのが現状です。今後、地域周産期センターの中にもしっかり配置するような形にしていかないといけないと思いますし、そういった専門医資格を取って、専門的な医療ができる立場の医者をつくっていかないと、なかなか地域周産期センターで専門的な産科医療を担う医師も確保できなくなると思っています。答えになっていれば幸いですが、よろしくお願いいたします。
○滝田構成員 ありがとうございます。よく理解いたしました。
○田邊座長 ありがとうございました。
三浦構成員、何かこの点、コメントございますか。
○三浦構成員 地方においては、まだまだ母体・胎児専門医も新生児専門医も不足している状況ですので、やはり総合周産母子センターが基幹施設になって、しっかりと養成していく必要がございますし、産婦人科医も高齢化が進んでおりますので、継続して育成していくというところが地域の周産期医療体制を維持していくことになりますので、縮小というよりは、これを維持あるいは拡大していくことが必要になると思います。
また、これまでの病診連携というよりも、恐らく周産期母子センター間の病病連携というところが非常に進んでくるとなると、母体・胎児専門医のニーズはより高まってくると思いますので、むしろ私の私見としては、増加傾向にないといけないのではないかと思っております。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。やす
滝田構成員、よろしゅうございますでしょうか。
○滝田構成員 了解いたしました。ありがとうございました。
○田邊座長 それでは、井本構成員、よろしくお願いいたします。
○井本構成員 何度もすみません。先ほど日本助産師会の宮川構成員からお話しのあった母子のための地域包括ケアシステムに関する御意見の中で、既に第8次医療計画の中で母子に配慮した周産期医療の提供可能な体制ということで、混合病棟における産科区域の特定や、母子保健、福祉に関する事業と連携する機能を包括的に実施する機能を持つ病棟の概念等については触れられているところです。
奥山構成員もおっしゃっておりましたが、これから集約化される中で、連携を強くしながら、様々な体制を検討することが大変重要で、特に濵口構成員もおっしゃったように、メンタルヘルスの変調を持つ妊産婦さんをしっかり支援していくことは、本会としても大変重要だと考えております。
本会としては、この概念のモデル事業として2019年頃から2年にかけて、全国の医療機関12施設に体制づくりをしていただいたところ、現行のこども家庭センターとの連携強化に効果があり、支援がスムーズにできたという結果が得られました。本ワーキンググループは、周産期医療、小児医療の議論をする場ではございますが、ぜひこういったところも視野に入れて御議論を進めていただきたいと考えております。
○田邊座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
家保構成員、よろしくお願いします。
○家保構成員 衛生部長会の家保です。
今回、33ページにまとめていただいた論点、都道府県としては非常に理解できるところではございますが、実際に実行に移すとなります難しい点があります。高知県の例を出していただきましたが、あれはもうせっぱ詰まって、県の産婦人科医会、産科婦人科学会、県医師会と行政がまとまって進めたということで、そこまで逼迫していないところでは、こういう議論が進むには2~3年はかかると思います。第9次に向けて各都道府県が準備するという期間も必要だと思いますし、各都道府県の学会・医会の御協力が不可欠だと思いますので、その点、よろしくお願いしたいと思います。
それから、1点、そういう協議をするとき、都道府県の立場で言いますと、医師が派遣される親元が当該都道府県にない場合があります。首都圏近郊とかでは多数あると思いますので、そういうところには、県をまたいで医会・学会、特に医会や大学と話をしないといけなくなります。関係する皆さん方には、ぜひとも大所高所から御協力いただけるとありがたいということでございます。意見でございます。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、様々な御意見を本当にありがとうございました。
本日の議論はこれまでとさせていただきたいと存じます。
事務局におかれましては、本日いただいた意見を踏まえて、今後議論が行えるように、次回以降の資料等の準備を適宜行っていただくようお願い申し上げます。
最後に、事務局のほうから何かございますでしょうか。
○榊原専門官 事務局でございます。
本日は活発な御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。
次回のワーキンググループについては、詳細が決まり次第御連絡いたしますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
○田邊座長 それでは、本日のワーキンググループはこれまでとさせていただきます。
御参集賜りましてありがとうございました。これにて散会いたします。

