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第1回小児医療及び周産期医療の提供体制等に関するワーキンググループ:議事録
日時
令和7年10月1日(水) 10:00~12:00
場所
東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎第5号館
厚生労働省 15階 専用第12会議室
厚生労働省 15階 専用第12会議室
議事
○近藤室長 定刻となりましたので、ただいまから第1回「小児医療及び周産期医療の提供体制等に関するワーキンググループ」を開会いたします。
構成員の皆様方におかれましては、御多用の中、御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
座長選任までの間、進行を務めさせていただきます。医政局地域医療計画課の近藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本ワーキングは、オンラインによる開催とさせていただいております。電波状況により、音声や映像が一部途切れることがございます。御了承ください。
議事に入ります前に、本来であれば、構成員の皆様方の御紹介をさせていただくべきところですが、時間の関係上、構成員名簿の配付をもって紹介に代えさせていただきます。
本日は、滝田構成員は御欠席との連絡をいただいております。
それでは、開催に先立ちまして、医政局地域医療計画課長の西嶋より御挨拶を申し上げます。
○西嶋課長 厚生労働省医政局地域医療計画課長の西嶋と申します。
本日御参集の皆様におかれましては、日頃より小児医療体制及び周産期医療体制の構築に多大なる御尽力を賜っておりまして、心より感謝申し上げます。
また、本日はお忙しい中、御参集いただきまして本当にありがとうございます。
これまで厚労省といたしまして、小児医療、あるいは周産期については周産期母子医療センター等を中心に、財政支援をはじめとする必要な支援を行ってまいりました。
昨今、出生数が減少する、あるいは医師の働き方改革が始まる。そして、医師偏在の問題が今なおあるというようなことで、小児・周産期医療体制を取り巻く環境というのは依然厳しいものだと考えております。
一方で、誰もが安心して子供を産み育てられるということで、今後とも持続可能な小児・周産期医療体制の構築・維持ということを目指していかなければいけないと考えております。
本ワーキンググループにおきましては、医療計画における小児医療及び周産期医療の体制構築に向けて必要な事項について御議論いただきたいと思っております。こども家庭庁に入っていただいていますので、厚労省としても各省、関係部局としっかり連携しながら進めてまいりたいと思いますが、このワーキングにおきまして、具体的には第9次の医療計画も見据えながら、足元の課題は様々あるかと思いますので、そういったものにつきましては今年度中に一定の取りまとめを行いまして、次年度以降、引き続き具体的な議論を進めていきたいと考えております。
構成員の皆様におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をいただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
○近藤室長 続きまして、資料の確認をさせていただきます。
本日の資料は、資料1「小児医療及び周産期医療の提供体制等に関するワーキンググループ開催要綱」。
資料2「ワーキングの設置について」。
資料3「小児医療の提供体制について」。
資料4「周産期医療の提供体制等について」。
資料5「宮地構成員提出資料」。
資料6-1、6-2が「三浦構成員提出資料1、2」となっております。
なお、6-1については先ほど差し替えがございましたので、配付したものと一部異なっているかもしれませんが、御了承ください。
資料に乱丁・落丁等がございましたら、事務局までお声がけください。
冒頭のカメラ撮りについてはここまでとさせていただきますので、カメラの方は御退席をお願いいたします。
それでは、議事に移ります。
議題1「座長の選出」でございます。事務局から資料を説明いたします。
資料1「小児医療及び周産期医療の提供体制等に関するワーキンググループ開催要綱」を御覧ください。
目的ですが、小児医療及び周産期医療の提供体制については、各都道府県で策定される医療計画において随時見直しが行われており、産科・小児科医療機関を取り巻く状況も踏まえながら、地域で子供を安心して産み育てることができるよう、医療機関の連携・集約化・重点化を含めた体制の確保を図っていく必要がございます。
つきましては、検討事項として、医療計画における小児及び周産期医療提供体制の整備推進に向けた取組等を進めてまいりたいと考えております。
本ワーキンググループの座長につきましては、開催要綱のとおり、構成員の互選により選出することといたします。
どなたか御推薦を頂戴できればと存じますが、いかがでしょうか。
では、濵口先生。
○濵口構成員 日本医師会の濵口でございます。
座長につきましては、妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会におきまして座長を務められて、そして、医療政策にも明るい田邊國昭構成員にお願いするのがよいと思いますが、いかがでしょうか。
○近藤室長 ありがとうございます。
ただいま、濵口構成員より田邊構成員を推薦いただきましたので、田邊構成員に座長をお願いするということで御異議はございませんでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○近藤室長 ありがとうございます。異議なしということでございますので、本ワーキンググループの座長は田邊構成員にお願いしたいと思います。
では、田邊構成員におかれましては、以後、議事運営をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
○田邊座長 このたび、小児医療及び周産期医療の提供体制等に関するワーキンググループの座長を仰せつかりました、田邊でございます。構成員の皆様方の御協力を得ながら、本ワーキンググループの円滑な運営に努めてまいりたいと思います。
このワーキンググループは、持続可能な提供体制というものを見据えながら、第9次の医療計画の中に落とし込んでいくというのが義務だと思っております。それらを皆様方の活発な御議論を踏まえましてまとめてまいりたいと思っているところでございます。
まず、議事に入ります前に、開催要綱では座長は座長代理を指名することができるとされておりますので、座長の代理を指名させていただきたいと存じます。
私からは、医療政策にも明るく、また、これまで厚生労働省の検討会等に多数御参画されている今村構成員にお願いしたいと思いますけれども、皆様、よろしくお願い申し上げます。
次に、団体を代表して御参加いただいている構成員の方が欠席される際に代わりに出席される方につきましては、まず第一に、事前に事務局を通じて座長の了解を得ること、及び第二に当日の会合において了承を得ることによって、参考人として参加し、また、発言いただくことを認めるということにしたいと思いますが、この点、いかがでございましょうか。
(構成員首肯)
○田邊座長 よろしゅうございますか。ありがとうございます。
それでは、本日は滝田構成員が御欠席のため、参考人といたしまして、関西医科大学総合医療センターの石﨑様に御出席いただいておりますけれども、本日のワーキングへの出席について御異議はございませんでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田邊座長 ありがとうございます。
また、本日は、参考人といたしまして、高知県健康政策部健康医療政策課企画監の宮地様、高知県産婦人科医会会長の坂本様、高知県・高知市病院企業団高知医療センター副院長兼地域医療センター長の林様に御出席いただいております。
メンバーシップに関して確認いたしました。
それでは、早速でございますけれども、議題の2に入らせていただきたいと思います。議題の2は「小児医療及び周産期医療の提供関係等について」でございます。
それでは、本議題につきまして、事務局のほうから資料2から資料4までの説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○近藤室長 事務局でございます。
それでは、資料の説明をいたします。
まずは、現在投影されている資料2について御説明いたします。
ワーキングの設置についてです。本ワーキングは第9次医療計画に向けて継続的に検討し、見直すことを見据えております。
次のスライドをお願いいたします。
新たな地域医療構想の策定等に向けて、地域医療構想及び医療計画等に関する検討会が設置され、その下にこの小児医療及び周産期医療の提供体制等に関するワーキングを含む4つのワーキングが設置されております。本ワーキングは今年度中に一定の取りまとめを行うとされております。
次のスライドをお願いいたします。
医療部会においては、地域でお産ができる体制をどのように構築していくか、様々な立場から、特に実際にこれから子供を持つ若い世代、地方にお住まいの方、そして、実際に現場で働く勤務医の意見や提案などもぜひ取り入れて、持続可能な体制に向けて議論をしていただきたい。
持続可能性という側面だけでなく、地域住民に丁寧に説明しながら、アクセス面なども考慮した体制を構築することが重要。
できるだけ住み慣れた地域でお産をしたいという気持ちは分かるが、お産の安全性の問題を重視すべき。
厚労省のほうから自治体やマスコミにきちんと情報伝達をしていただきたい。そうでなければ、現場で集約化の議論が進まないといった御意見を賜っているところでございます。
では、資料3のほうに進ませていただきたいと思います。
資料3、小児医療の提供体制等について御説明申し上げます。
1枚おめくりいただいて、小児医療を取り巻く現状についてですが、出生数は年々減少し、昨年、過去最小の68万6173人となっておりました。
次をお願いいたします。
御覧のとおり、15歳未満の人口も減少が続いているところでございます。
次をお願いいたします。
15歳未満の人口は今後も減少する見込みでして、今後15年間で2割程度の減少が見込まれているところです。
次をお願いいたします。
都道府県別で御覧いただいておりますけれども、東京都を除いて全ての道府県において減少しているところです。
次をお願いいたします。
こちらは乳児死亡率ですけれども、日本はOECD加盟国の中で最も低いような状況になっております。
次をお願いいたします。
小児科医の数ですが、増加傾向が続いておりまして、右のグラフでお示ししているとおり、診療所よりも病院のほうが増加の割合が大きくなっております。
次をお願いいたします。
都道府県別で申しますと、大都市圏で小児科医師数は多くなっておりますが、小児の人口当たりでいえば全国的に増加しているといった状況にございます。
次をお願いします。
小児科診療には、小児科医のみならず、内科医等の他診療科の医師も従事しているといった状況でございます。
次をお願いいたします。
左のグラフのとおり、病院の数は減少傾向ですけれども、診療所の数についてはおおむね横ばいであると考えております。
次をお願いいたします。
小児科常勤医が配置されている病院のうち、47.9%が常勤医師数1~2となっておりまして、広く薄く配置されています。
次をお願いいたします。
診療所の数は都市部に集中しています。人口当たりでは8県を除いて増加しておりまして、人口減少の影響が考えられております。
次をお願いいたします。
小児の推計患者数ですけれども、入院患者の数は減少傾向でございますけれども、外来患者は横ばいとなっております。
次をお願いいたします。
外来患者の傷病別分類ですが、呼吸器系疾患は大きく減少したのに対し、精神及び行動の障害が増加しております。また、予防接種による受診が大きく増加しているところでございます。
次をお願いいたします。
右のグラフにお示しのとおり、65歳以上は19.3%が入院診療ですが、小児は3.2%と相対的に外来診療のニーズが高いと考えられます。
次をお願いいたします。
小児の入院患者数ですが、年ごと・月ごとの変動が大きく、感染症の流行等の影響を受けやすいと考えられます。
次をお願いいたします。
救急については、小児の搬送件数は横ばいであり、成人と比較して乳幼児・少年の多くは入院となっておりません。こちらは右のグラフで示しております。
また、下の赤囲みのとおり、小児初期救急センター等を受診した患者のうち、高次医療機関へ紹介・転送となったのは約2.1%となっております。
次をお願いいたします。
第8次医療計画を踏まえた取組について御説明いたします。こちらはポイントをお示ししておりますけれども、第8次医療計画の見直しのポイントを中心にこの後御説明をしてまいりたいと思います。
次をお願いいたします。
小児医療体制は、三次医療を小児中核病院が、二次医療を小児地域医療センターが、一次医療を診療所や小児初期救急センター等が対応するという体制になっております。
次をお願いいたします。
小児医療圏は第8次医療計画より、小児救急医療圏と一本化し、常時小児の診療ができる体制の確保を求めています。14都県において二次医療圏と異なる小児医療圏を設定しています。
次をお願いします。
地域における小児医療体制のイメージですが、三次医療は大学病院や小児救命救急センターなどが担い、二次医療は小児医療圏ごとに輪番制や小児救急拠点病院等を整備しております。一次医療と連携を図っていただいているといった状況でございます。過疎地域においては小児地域支援病院が一次から二次医療を担っています。
次をお願いいたします。
小児救命救急センターはPICU6床以上の整備を要件としておりましたが、医療資源に余裕のない地域を念頭にPICU整備を要件としない地域小児救命救急センターの整備を昨年度より開始しているところでございます。
次をお願いいたします。
子ども医療電話相談事業(♯8000)ですが、全国展開されており、各都道府県において地域の実情に応じて実施されているところでございます。
次をお願いいたします。
相談件数もコロナ禍で一時減少しましたが、増加傾向が続いております。
次をお願いいたします。
医療的ケア児を含むNICU等に長期入院中のお子さんについては、地域療育支援施設運営事業や日中一時支援事業により在宅移行の促進やレスパイトの受入れ体制の整備を行っています。
次をお願いいたします。
第8次医療計画において、オンライン診療の活用を検討するとされております。こちらは例示でございます。
次をお願いします。
現状と課題ですが、第8次医療計画において、全ての小児医療圏で常時小児の診療ができる体制の確保を進めてまいりました。
小児科を標榜する病院数は減少しておりますが、一病院当たりの勤務医数は少ない施設も多い状況で、医療資源の分散が課題となっています。
入院患者数は減少している一方、外来医療へのニーズは依然として高く、入院機能の集約化によって、地方での入院機能や小児初期救急を含めた地域の一般小児医療への影響が懸念されます。
論点としては、需要の多い小児一次医療を安心して受診できる環境を整備するため、内科医等との連携、小児科診療所が少ない地域における病院小児科の一般診療への参画、内科医等との連携、オンライン診療や♯8000等の取組を組み合わせた医療提供体制の維持を検討してはどうか。
症例数も減少する中、地域ごとに必要な質の高い小児専門医療と入院医療の提供体制を維持するため、小児医療圏ごとの集約化・重点化が必要ではないか。地域の実情に応じた医療機関の役割分担と連携を推進するため、各医療機能についての考え方を整理し、第9次医療計画に向けて具体的な施設の在り方を見直してはどうかといったことが挙げられると考えております。
資料3については以上です。
引き続いて、資料4、周産期医療の提供体制等について御説明いたします。
1枚おめくりいただいて、周産期医療を取り巻く現状と取組についてです。周産期医療は多職種が関わり地域で支える体制が重要で、緊急的な対応と予測が困難で、常時一定規模の体制の確保が必要となります。
次をお願いいたします。
出生数は、先ほどもお示ししたとおり、年々減少しております。
次をお願いいたします。
日本の周産期医療は周産期死亡率、妊産婦死亡率ともに諸外国と比較して低くなっております。
次をお願いいたします。
妊産婦死亡率はOECD加盟国でも相対的に低い状況でございます。
次をお願いいたします。
出生数は御覧のとおり減少傾向でございますけれども、分娩取扱い医療機関もそれに伴って減少しております。
次をお願いいたします。
都道府県ごとの分娩取扱い医療機関数は、東京都が最も多く147、逆に最も少ないのが高知県の9となっております。
次をお願いいたします。
これを出生1,000人当たりで示しますと、東京都が最も少なくなってまいります。
次をお願いいたします。
こちらは病院と診療所の数を都道府県ごとに並べたものです。地域によってそれぞれまちまちである状況です。
次をお願いいたします。
出生場所ですが、1960年代以降は施設内での分娩が多数を占めるようになり、現在は99%以上が医療機関で生まれております。
次をお願いします。
病院においては分娩対応医師数は増加傾向にありまして、診療所においては微増となっております。助産師につきましては病院・診療所ともに増加傾向と考えております。
次をお願いいたします。
診療所の分娩取扱医師数ですけれども、約半数が2人未満となっておりまして、病院でも2人未満の施設がございます。
また、月間分娩数になりますが、5件未満の施設も一定数存在しているという状況になります。
次をお願いいたします。
産科診療所の医師の平均年齢ですけれども、60.2歳、常勤医師数は2.8人となっております。
非常勤も含めて麻酔科医がいる施設は全体の16.3%であったということでございます。
次をお願いいたします。
周産期母子医療センターは、平成29年までに全都道府県に配置が進んでおります。
次をお願いいたします。
分娩対応可能な医師数、当直可能な医師数は、いずれも総合周産期母子医療センターが地域周産期母子医療センターの2倍程度となっております。
次をお願いいたします。
総合周産期母子医療センターにおいては産婦人科医師数が10人以上の施設が多いですが、地域周産期母子医療センターは10人以上確保できているのは26.2%となっております。また、総合周産期母子医療センターでも25.2%が10人未満となっております。
次をお願いいたします。
NICU等を担当する小児科医師数ですけれども、複数勤務している施設は少なく、その他の小児診療を担当しながら新生児医療を担っていただいていると考えられます。
次をお願いいたします。
こちらは低出生体重児の割合ですけれども、近年は横ばい傾向にあると考えられます。
次をお願いいたします。
母体年齢ですが、35歳以上の割合が増加傾向にありまして、2023年においては35歳以上の割合は3割を超えております。また、母体の年齢が高いほど妊産婦死亡率は高いといったデータもございます。
次をお願いいたします。
こちらは一般医療機関と周産期母子医療センターとの連携を示したものですが、妊娠期から産後にかけて、様々なタイミングで多種多様な理由により搬送等の連携が実施をされているところでございます。
次をお願いいたします。
NICUは出生1万人当たり25~30床の整備を目標としてまいりましたが、平成29年に全都道府県において目標を達成し、現在は目標を大きく上回る都道府県もございます。
次をお願いいたします。
多くの総合周産期母子医療センターにおいては、NICUの病床利用率が75%以上でございますけれども、地域周産期母子医療センターでは約半数が75%未満となっております。
GCUはNICUの2倍の病床数を有することが望ましいとされてきましたが、総合周産期母子医療センターで33.6%、地域周産期母子医療センターで67.3%が50%未満となっております。
MFICUは総合周産期母子医療センターの6割以上が病床利用率75%以上でございますけれども、地域周産期母子医療センターでは6割以上の施設が75%未満です。病床規模によらず、施設によって様々な値を示しているといった状況にございます。
次のスライドをお願いいたします。
産婦人科の医師数ですけれども、緩やかに増加傾向でありまして、分娩取扱医師数も同様と考えております。
次をお願いいたします。
こちらは看護職員の就業者数でございますけれども、増加を続けておりまして、2023年には174.6万人となっています。助産師の数は4.2万人でございます。
次をお願いいたします。
無痛分娩ですけれども、令和2年には実施している施設は26.0%であったところ、令和5年には34.1%となっております。無痛分娩が出生数に占める割合も、令和2年には8.6%であったのに対し、令和5年には13.8%となっております。
次のスライドをお願いいたします。
都道府県別では、東京都、千葉県、神奈川県、熊本県は約4分の1が無痛分娩となっている一方で、岩手県、鳥取県、高知県ではこの調査を行った月において0件であったという状況でございます。
引き続いて、第8次医療計画を踏まえた取組について御説明いたします。御覧いただいている第8次医療計画の見直しのポイントを中心に御説明をしてまいりたいと思います。
次をお願いいたします。
周産期医療体制は、総合周産期母子医療センター、地域周産期母子医療センター、一般医療機関の3層構造で構成されております。
次をお願いいたします。
周産期医療圏は、二次医療圏に分娩取扱医療機関が存在しないことなどもあることから、二次医療圏よりも広い圏域で対応する必要が生じております。二次医療圏330に対して、周産期医療圏は263、19都県において二次医療圏と異なる設定がされているところです。
次をお願いいたします。
私どもはオープンシステム・セミオープンシステム活用を推進しております。これは産科診療所で妊婦健診を実施し、分娩は周産期母子医療センター等の基幹病院で行うものでございまして、現在全国で121の基幹施設がございます。
次をお願いいたします。
妊婦に対する遠方の分娩取扱施設への交通費及び宿泊費支援事業についても、こども家庭庁さんとともに実施しているという状況でございます。
次をお願いいたします。
無痛分娩についてですけれども、日本医師会、日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本麻酔科学会、日本産科麻酔学会、日本看護協会等の関連学会・団体による連絡協議会、JALAと申しますけれども、JALAとともに取り組んでまいりました。
自主点検表の項目を満たすような対策を取るように集中しておりまして、医療スタッフの研修、情報公開、インシデント・アクシデントの収集・分析・共有といった取組をしているところでございます。
次をお願いいたします。
現状と課題ですけれども、ハイリスク妊産婦に対応するため、周産期母子医療センターを基幹とした集約化に加え、妊婦健診や産後ケアを行う施設との役割分担などの取組を進めてまいりました。
また、昨年度より医師の働き方改革が開始され、偏在の問題もあって、地域では周産期医療体制に関わる医師・助産師・看護師の確保が課題になっております。
出生数の減少とともに、分娩取扱施設は減少傾向にございますけれども、これが急速に進むと、安全な提供体制に影響を及ぼす可能性があると考えております。
都道府県が作成する医療計画に基づいて、周産期母子医療センターの整備を進めてまいりましたけれども、特に地域周産期母子医療センターは施設によってその規模や提供できる診療内容に大きな差があるといった状況にあると考えております。
無痛分娩については、安全に実施するための体制整備が重要であり、JALAと連携した取組を進めておるところですけれども、医療従事者等の連携体制を充実させることが重要と考えております。
論点でございますが、これまでハイリスク妊産婦について集約化と役割分担を進めてまいりました。しかし、今後はハイリスク以外も含めて周産期医療圏を柔軟に設定しつつ、医療資源の集約化と役割分担を進める必要があるのではないかと考えております。
また、無痛分娩については、安全な医療体制を整備するための課題の整理と、医療従事者の連携の在り方について議論してはどうか。
出生数の減少を踏まえ、周産期母子医療センターの整備の在り方について検討してはどうか。こういったことを考えているところでございます。
以下は参考資料になります。
以上でございます。
○田邊座長 御説明ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局からの説明に関しまして、構成員の皆様方から御意見、御質問などを賜れればと思います。
御発言を求める方は、下のリアクションボタンを押して、さらに挙手ボタンというのを押して、座長の私のほうまでお知らせいただければ幸いでございます。
それでは、どなたからでも結構でございますけれども、御意見、御発言をお願いいたします。
それでは、今村構成員、よろしくお願いいたします。
○今村構成員 今村です。皮切りに意見を申し上げたいと思います。
御説明ありがとうございます。問題点の整理と今後の論点などについてはこのとおりだと思うのですが、事態はより切迫していると考えています。今の説明にありましたけれども、昨年生まれた子供の数は68万人です。社人研が68万人になるのはいつかと予想していたかというと、3年前の推計で2039年なのです。だから、3年前の推計が15年も外しているというなかなか強烈な状態が起こっています。ですので、事態はより急を要する状態になっています。つい10年ほど前までは100万人オーバーの子供が生まれていたのが、今、70万人とこれからどうなるかという推計も私はさせていただいていますけれども、基本的に婚姻数に比例して下がるものなのです。婚姻数が3割近く減っていますので、もう3割ぐらいは減るだろうということはほぼ予測できていまして、そうすると、出産をなりわいとするお産の診療所などは、もともとお産件数が減ってしまえば経営としては成り立たなくなってしまうので、事は非常に急を要すると思っております。
今、医療機関は9次で見直しに向けて動くということですけれども、9次の医療計画2029年の目標で検討を終えるというか施策として反映されていくわけなので、前倒しでもできる限り早く考えていかないといけない状況になっています。今まで医療計画は足りない部分をどう埋めるか、どう充実させるかということを専ら検討してきたわけですけれども、今回、小児、お産に関してはどんどん減っていく状態になりますので、これは全く逆の撤退戦のほうだと思うのです。混乱を起こさずにどう撤退していくかというのが集約という言葉で言われているわけですけれども、このまま施策を打つタイミングが遅れると、先に診療所や医療機関のほうが倒れるという事態が起こってきますので、非常に事は急を要する事態だと危惧しているということをまず意見として申し上げます。
もう一つだけ、お産に関しては、昨年までかけましてお産の保険適用の議論が活発に行われております。議論はお産の無償化という形で集約されているわけですけれども、これをどのような形で施策に反映させるかによって、特にお産を診ていただいている診療所の動向が変わってくるのではないかなと思っています。そちらの進捗はなかなか外からは見えないので、もしその進捗が言える状況があればぜひ情報共有してほしいと思いますし、そちらの施策がうまくいかないと、医療計画以前に各診療所が立ちいかなくなるということも考えられるので、そういったことも考えながら施策を打つ必要があると思います。
以上です。1点質問ですが、もし可能なら教えていただきたいと思います。
○田邊座長 御意見ありがとうございました。
質問は後半部分で、何か回答できることがございましたら、事務局、お願いいたします。
○近藤室長 事務局でございます。
今、無痛分娩を含めた分娩の保険適用といったところについての御質問がございました。現時点で情報提供できるところはあまりございませんので、適宜情報提供できる部分をしてまいりたいと考えております。基本的に質の高い安全な地域の周産期医療体制を将来にわたって確保していくということが重要だと考えておりますので、そのことは御指摘の医療保険給付の設計に当たっても検討の前提になると考えているところでございます。
その上で、医療給付に関する具体的な制度設計については、医療保険等の関係者を交えて議論する必要があるということで、本ワーキングとは別に所管部局である保険局を中心に対応されると認識しておりますので、本ワーキングにおいてはあくまでも小児及び周産期の今後の医療提供体制の在り方について御議論いただきたいと考えております。いずれにせよ、両者の議論は互いに深く関連するというのは御指摘のとおりでございますので、本ワーキングでの議論は保険局における検討の場にも適切に共有してまいりたいと考えているところでございます。
事務局からは以上です。
○田邊座長 今村構成員、よろしゅうございますでしょうか。
○今村構成員 無痛分娩に限らず、全お産が保険適用になるかもしれないという状況だと思いますので、それは保険局マターの議論だというのも理解できるのですが、こちらの施策に大きく影響するものなので、ぜひ向こうの情報等を共有しながらこちらの議論を進めてもらえればと思います。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
では、濵口構成員、よろしくお願いいたします。
○濵口構成員 日本医師会の濵口でございます。
今村先生から御指摘のありました内容でございますけれども、基本的に妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会で田邊座長を中心として1年間話をしてまいりました。結論とすれば、やはり標準的な分娩の無償化、そして、安心・安全な周産期医療体制の構築の両立を図るということが最終的に決まったわけでございます。
確かに事務局が言われているように、体制の構築の検討会と無償化という問題は切り離して議論すべきということもございましたけれども、最終的にはやはり出産の無償化という影響が全て周産期医療体制に影響するのは間違いないわけです。これは切っても切り離せない内容だと思いますけれども、ここで議論するということではなくて、どのように進めていくかというのを今検討しているところで、具体的な話合いはこれからということになろうかと思います。
それから、取りまとめをした後で、保険適用から無償化という言葉に変わりましたけれども、それをどういうふうに具体化していくかというのも今から検討していく形になろうかと思います。
最終的には社会保障審議会医療保険部会に諮る形になると思いますけれども、要するに今村先生が言われているように、ゆっくりと議論を進めている内容ではない、少しでも早くいろいろな分娩施設に対して経済的な支援をしていかなくてはいけないという状況は間違いないので、やはり急ぎ議論を進めていく必要は絶対にあるだろうと私は考えるところでございます。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。初回のキックオフの会議でございますので、御発言のある方はぜひお願いいたします。
では、奥山構成員、よろしくお願いいたします。
○奥山構成員 子育てひろば全国連絡協議会の奥山です。このような貴重な機会に構成員をさせていただきまして、大変光栄でございます。
妊娠期から幼稚園や保育所等に入園する前の親子の交流の場、地域子育て支援拠点等の事業者の中間支援組織となっております。日頃より出産間もない子育て家庭と接点が多く、小児科や周産期医療に関して保護者の方々の関心はとても高いと感じております。
小児科に関しては、お示しいただいたデータにおいても、救急は非常に多いのですが、入院するケースはそう多くないというようなお話でした。ただ、本当に不安が高い、また、夜間に子どもが少し急変するということもあって、24時間相談できる体制がとても必要だと思っております。♯8000の御紹介もあったのですけれども、これが自分の住まいとは別のところで相談を受けられるような状況もあると聞いております。そういうことを考えますと、救急車の適正利用に基づく救急アプリの活用であったり、地元の夜間の救急体制の情報をしっかりと得られるような体制を構築していただきたいなと思っております。
また、若い世代は就労家庭も多くて、やはり身近に健診や予防接種ができる体制が構築されていること、一方で、オンラインなどの活用についても、若い世代は全然そこに活用の不安というかちゅうちょはございませんので、そういったところの広がりにも期待をしているところです。
もう一つ、周産期医療についてなのですが、本当に子育て家庭にとっても出産できる場所がないというのは緊急事態だと思っております。自治体においても若い世代の転出にもつながる事態となり、非常に危惧しております。出産できる医療機関が市内に1か所もなくなった自治体が、1年かけて産科医を探して開業につなげたというお話も聞いたことがございます。一方で、働き方改革の問題も理解できるところでございます。そういった中で、市町村においては計画的に体制を整えてほしいと思います。例えば今日も御紹介がありましたが、妊婦健診や分娩時の移動にかかる交通費、宿泊費、公費での助成というのが始まっていると思いますが、あまり活用されていないとも聞いております。産後ケア事業との施設との連携も必要だと考えております。一部、島嶼部ですとか、それから、先ほどもオープンシステム等の紹介がありましたが、ここをもっともっと普及していっていただきまして、安心して地元で妊婦健診が受けられて、出産のときには移動するかもしれないのですけれども、そちらで安心して産めるような体制を都道府県計画、市町村計画の中で医療とともに全体としての体制整備を進めていっていただきたいなと思っています。一番困っているのは子育て当事者でございます。都道府県、市町村の役割も非常に重要だと思っております。
最後に、無痛分娩ですけれども、特定の市町で補助があるなどという話も聞かれます。私が活動しているのは神奈川ですけれども、4分の1が無痛分娩の選択というデータが示されており、安全性についてもさらに啓発、広報をしていただいて、安全な環境づくりをぜひ提供していただければと願っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、次は佐藤構成員、よろしくお願いいたします。
○佐藤構成員 日本小児科医会の佐藤でございます。
私自身は千葉県で小児科の診療所を開業している者でございますけれども、小児科医の立場から3点お話をさせていただきたいと思います。
まず第1に、これはよく見るところなのですけれども、資料3の10ページに小児科医の数を15歳未満の人口1万人当たりで比した図が出てまいります。これで見ると、どの地域も小児科医が足りているような結果でございます。けれども、実際は、子どもの数が少ないから小児科医が足りているといったことではありません。小児科医の役割は、例えば一般外来や救急医療の現場などで、単に疾病を診るだけではなくて、母子保健や学校保健といった保健活動、最近では5歳児健診もこれから始まってまいります。また伴走型の子育て支援という形であれば思春期診療ももっと充実させていかなければいけないと考えます。特にその中では先ほどの疾病の構造の中で精神及び行動の障害という部分が患者さんとして増えていることを考えると、人も時間も足りなくなっていってしまうといったところで、小児科医の数を全国的にどのように配置していくのか、考えていく必要があります。このことについては、小児科学会のほうも危惧されていらっしゃると思うのですが、例えば岩手県だとか鳥取県は今年は大学に専攻医として小児科の専攻医がゼロだったと。要するにそういうところでは全然増えていかないというような現実もございますし、あと東京と京都では小児科専攻医のシーリングがかかってしまって制限がされている。単に子どもの数と小児科医の数を合わせていくと偏在が大きくなり今後響いてくるのではないかなと危惧しております。
第2に周産期のほうでもお話がありましたけれども、新生児科医が常勤ではなく、病院の小児科医が併せて診ているような病院もかなりあります。本当の意味で小児科医、新生児科医の育成とその配置を真剣に考えていかなければいけないと思います。
そして第3は、救急の問題です。先ほど、小児の救急の入院は少なく、重症な患者も少ないというお話であります。しかし、あの数字にはからくりがあると思います。重症、中等症、軽症の入院数のことです。重症度はその後の入院日数によって分けているだけなのです。例えば熱性けいれんで運ばれていった子が数時間で改善し帰宅すれば、それは軽症なのです。ただし、運ばれているときには意識がなくてけいれんを起こしているわけで、これは誰が見ても重症であります。ですから、そういう患者さんは軽症だからといって救急の中から軽んじられるというのは、小児の特性からするとやはり違和感がございますので、小児の救急に関しましては、先ほど奥山構成員もおっしゃっていましたけれども、やはりお母様方の不安であるとか現実の状況、あと、急変するという危険性、そういったことも十分考慮していただいて議論していきたいと思います。私も千葉県で♯8000事業に携わっておりますけれども、非常に難しいです。トリアージがすぐに病院に行かなくても済むのだろうとしたいところがやはり心配な部分がたくさん出てきてしまうといったところで、小児の疾患の特性というものも考慮していきたい。その中には、今回話には入っていませんけれども、♯8000の相談の2割近くは頭部打撲だとか捻挫といった外因系の疾患がかなり多くあります。実際にそういう患者さんを時間外に診てくれるところがなくて、♯8000でも誘導するのに困っているというのが現状でございます。ぜひ小児医療の体制を考える上では、小児の外因系疾患を診てくれる病院等のネットワーク、連携というものも十分考慮して地域医療を構成していっていただきたいと思います。この3点についてお話しさせていただきました。ありがとうございます。
○田邊座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
では、伊藤構成員、よろしくお願いいたします。
○伊藤構成員 ありがとうございます。
提供体制ということで、小児医療と周産期医療それぞれについてコメントをさせていただきたいと思います。
まず小児医療の関係でございますけれども、総論といたしまして、この後議論が進んでいく周産期医療にも共通することだと思いますけれども、今後、出生数が減少していく中で必要な医療を確保していくためには、専門的な入院医療については拠点病院あるいは基幹病院が広い範囲をカバーした上で、外来、通院については患者になるべく身近なところでアクセスを担保していくことで、患者や家族の安心といったものが高まるのではないかと考えてございます。そうした観点で、30ページに論点というものを示していただいておりますけれども、これについては異論はございません。
小児の一次診療につきましては、内科など他の診療科の医師と連携したり、あるいは地域によっては病院の小児科に一般診療を担ってもらったり、あるいはオンライン診療を活用することも有効な方法だと考えてございます。
来年度からかかりつけ医機能報告によりまして、小児領域を担うことのできる医療機関、あるいは時間外診療の実態が分かってくると思いますので、そうしたデータも参考にしながら、地域の実情に応じて対応していくということが考えられるのではないかと思ってございます。
病院の小児専門医療につきましては、入院患者数が減少していくという中で、医師が広く薄く配置されているという状況でございますので、やはり集約化・重点化といったことをしていくことが必要ではないかと考えてございます。
また、今後の議論次第ということは承知してございますけれども、今後の方向性を早めに関係者間で共有してもらうためにも、今年度末を目途に一定の取りまとめをしていくということについても賛成でございます。
続いて、周産期医療の関係でございます。こちらのほうも37ページに論点を示していただいてございますけれども、これについても異論はございません。
小児の部分でも申し上げましたけれども、やはり高度で専門的な入院を集約化して、健診や産後ケアといった通院につきましては身近なところで対応していくという方向性につきまして賛同いたします。
ハイリスク妊産婦だけではなくて、一般の妊産婦への対応等も含めまして、医療資源を集約して、拠点病院の分娩体制や地域周産期母子医療センターの機能を強化しながら、その一方で、妊産婦が安心して出産できるように、34ページあるいは35ページに示していただいているような仕組みも活用しながら、地域において、機能に応じた役割分担と連携を進めることが必要だと考えてございます。
出産に関する保険適用について別の検討会で議論がされている状況でございますので、この場では提供体制というものについてしっかり議論していく必要があろうと考えてございます。
そういった中で、無痛分娩についてですけれども、実績がほとんどない地域もあるということでもございますし、学会や関係団体が協力して安全に実施していくための環境整備しているところでもございますので、まずはこういった体制の確立が必要だと認識しているところでございます。
以上でございます。
○田邊座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、こちらの議題2は本日のところはこちらで終了したいと存じます。
続きまして、周産期医療提供体制における取組についてヒアリングを行ってまいりたいと思います。
まず最初に、高知県健康政策部医療政策課の宮地参考人、高知県産婦人科医会の坂本参考人、高知県高知療センターの林参考人、以上の方々からヒアリングを受けたいと思います。
それでは、御発表、御報告をよろしくお願いいたします。
○宮地参考人 高知県医療政策課企画監の宮地と申します。
本日は、こういった場で高知県の取組を説明する機会を設けていただきまして、ありがとうございます。
私のほうからは、「高知県の周産期医療体制の現状について」といたしまして、昨年行いました周産期医療体制の将来像、ロードマップの策定に係る経緯などを紹介させていただきます。
次のページをお願いいたします。
本日お話しする内容としましては、現在の状況と検討した経緯、その取りまとめた対策となります。
次をお願いします。
まず、高知県の出生状況ですが、30年前に7,000人台だったものが年々減少し、昨年は3,108人と30年間で6割、15年間で見ても約4割減少している状況になっております。
次をお願いします。
そういった中で、現在の周産期医療体制ですが、医療圏としては4医療圏を設定しておりますが、左のほうにある緑色の高幡医療圏には14年前から分娩施設がない状況となっております。県全体でも病院が6か所、診療所が3か所の9か所のみとなっており、ほとんどが高知市内に集中しているという状況でございます。
次をお願いします。
15年前の全ての医療圏に分娩施設があった時期との比較です。出生数は4割減少したと先ほど述べましたが、分娩施設は21施設から9施設に約6割減少しております。大きく減少しているのは診療所で、出生数減と医師の高齢化が主な原因となります。ただ、中央医療圏以外はもっと前から減少しており、15年前の時点で既に最低限の確保しかできていないという状況でした。
次をお願いします。
続いて、検討を開始した令和5年度の状況です。最終的には、その時期に7か所あった病院のうち、6か所で計10名の医師が年度末までに減少するとの連絡がありました。令和7年度には7病院のうち2病院が分娩を休止しなければいけない状況が見込まれ、それでは県内の周産期医療が成り立たないということで、早急に対応を取る必要が出てきたことが高知県の周産期医療体制の将来像について考えるスタートとなりました。
次をお願いします。
この表は課題の発生を時系列に表したものです。
最初は7月に幡多けんみん病院の医師が1名退職するという情報が入ってきたところから始まり、その対策の検討過程において高知大学の医師減少とあき総合病院への医師派遣減と課題が大きくなってきました。さらに、10月には徳島大学の医師派遣減、12月には他の病院での医師退職が判明し、その間、県医師会からは課題が判明した早期より周産期医療改革の提案をしていただき、11月には周産期医療未来図検討委員会というものを県医師会のほうが立ち上げ、検討いただき、最終的には提言書の提出をいただいております。
県においては県周産期医療協議会を臨時で開催し、対応を検討してまいりましたが、場当たり的な対応で解消するのではなく、ロードマップを作成して、今後の周産期医療体制を計画的に考えないといけないとの意見が出たことから、周産期医療協議会の部会として位置づける高知県周産期医療のあり方検討会を立ち上げて検討することといたしました。
次をお願いします。
こちらは県医師会からの提言の主な内容となります。大きくは大規模集約化分娩施設の創設とセミオープンなどの病診連携の確立、遠方の施設での分娩となる中山間地域の妊産婦への対応となります。
次をお願いします。
こちらは提言いただいた大規模集約化分娩施設のイメージ図となります。単なるローリスク分娩への対応だけでなく、助産師の雇用を大きくし、院内助産や出張妊婦健診、妊婦相談、産後ケアなどを行い、県内助産師を統括する助産師活躍センターの機能も併せ持つ施設との提案をいただいておりました。
次をお願いします。
こちらは助産師活躍センターのイメージ図となります。こういった提言も参考にあり方検討会での協議を行いました。
次をお願いします。
こちらはあり方検討会のメンバー構成です。協議を迅速に行うため、人数を絞ったメンバーとし、周産期母子医療センターから産科医と小児科医、助産師職能団体の代表、主に医師派遣を行う大学等の代表、産婦人科医会代表といたしました。
会議は令和6年4月から計9回開催し、ロードマップを作成しております。
次をお願いいたします。
こちらはロードマップの概要になります。大きく4つの取組に分けています。それぞれの取組で、令和9年度までの短期の取組と11年度までの中長期の取組を整理いたしました。
詳細な説明は省かせていただきますが、このうちの周産期医療体制の確保では、令和7年度に分娩中止を検討していた2病院について、1病院には医師を派遣することにより分娩機能を維持することとし、もう一つの病院には、申し訳ないのですが、医師派遣のめどが立てられず、分娩取扱いを休止することとなりました。
また、県医師会からの提案の大規模集約化分娩施設については、郡部での取扱い施設をゼロにするということとなることから、すぐに対応することは県民に対して周産期医療体制を確保する県の責任の観点から難しく、その条件や方法などを事前に検討し、準備していくという内容とさせていただきました。
次をお願いいたします。
参考までに、こちらが現在のロードマップになります。
次をお願いします。
2ページにわたってこういう形でまとめております。
次をお願いいたします。
最後に現状と課題ですが、現状の分娩体制ですが、令和7年4月より高知赤十字病院に医師3名を派遣する体制を構築し、分娩体制の回復を図っています。安芸と幡多の県立2病院には医師数減のまま当面は分娩体制を確保することとしています。
医師確保として、昨年、若手医師への呼びかけを強化し、幸い令和7年度には新たに7名の産婦人科の専攻医に入っていただきました。その内訳としては、地域枠が3名、一般枠ですが、県の奨学金を利用している方が2名という内容となっています。そういったことから、分娩施設の産婦人科医師数は36名まで減っていたのですが、44名に増加しているという状況となっています。
また、その他としまして、産科麻酔科医の特任教授を高知大学に招聘しました。これは高知大学のほうからこういった取組をしたいという御提案がございまして、県として寄附講座を設けさせていただきまして、無痛分娩の実施体制の構築を開始しております。
また、それぞれ各病院が独自に行っていましたセミオープンシステムにつきまして、県下統一のセミオープンシステムというものを整備いたしまして、本年4月から開始しているという状況となっています。
ただ、少子化や医師高齢化などの課題は実は何ら変わっていないという状況で、根本的な周産期医療の危機的状況は解決していない状況です。ローリスク分娩施設の集約化も含めた体制検討というのは急務という状況となっております。
また、専攻医は増えたものの、研修施設が減ったことや少子化による症例数の確保などが新たな課題となっています。これは助産師の育成でも同様となっております。
また、県医師会から提案いただいた内容のうち、妊婦健診や産後ケア事業も含めた体制構築は十分にできていない状況で、こちらについても早急に検討が必要な状況となっております。今後もロードマップに沿って取り組んでいくこととしております。
私からの説明は以上となります。
○坂本参考人 高知県産婦人科医会会長、それから、高知県医師会の常任理事もさせていただいております坂本です。
先ほどの高知県の資料の8ページまで戻って共有させていただけますか。
高知県では産科医師の高齢化、県外転出、新規医師の減少等のため、分娩数の減少ペース以上のペースで分娩施設が減少するという事象が発生しまして、周産期医療が非常に危機的な状況になりました。
そこで、高知県医師会では、高知県周産期医療未来図検討委員会を設立し、今後の高知県周産期医療の在り方について、県内産婦人科施設の医師や助産師、行政、県議会議員等に皆さんにお集まりいただきまして、検討してまいりました。その検討結果を昨年7月22日に高知県濵田省司知事に提言書として提出させていただきました。図はその結果をまとめたものです。
その内容は、ハイリスク分娩は総合周産期母子医療センターの高知医療センター及び地域周産期母子医療センターである高知大学医学部附属病院に担当していただき、ローリスク分娩は集約したメガホスピタルであるこうのとりセンターを創設して扱うということを提案させていただきました。センターでは、多数の医師や助産師を抱え、多数の分娩を取り扱う能力を保持し、少々の分娩施設の減少にも動じない対応力を持ち、また、無痛分娩、その他の多様化する分娩にも即応できる能力を持たせるとしました。
また、現在分娩を扱っている既存施設については、その能力に合った分娩数を扱っていただき、分娩取扱いが困難あるいは閉院となればセンターが補完するということとしました。
また、近年増加している分娩を取り扱わず妊婦健診のみを行う施設には、センターと全てセミオープンシステムにて緊密に連携し、妊婦及び分娩のあっせんを確保するということとしました。
資料次のページをお願いします。
さらに、高知県の広域にわたる中山間地域における周産期医療及び産後ケアの確保のために、センター内に助産師活躍センターを併設し、助産師機能を分娩介助のみではなく訪問、妊婦健診、24時間妊産婦相談センター等による中山間部の妊産婦支援、さらに産後ケア統括センターとして機能的かつ統一化された産後ケアの実施とケアレベルの向上、さらに安全確保のための研修、そして、妊産婦の個々の状況に合った産後ケア計画の立案などを業務として、周産期医療から産後ケアのレベルの向上及びスムーズな移行を可能とし、助産師のマンパワーをフルに活用することを考えております。
私からは以上です。
○林参考人 続けてよろしいでしょうか。高知医療センターの林と申します。
高知医療センターは総合周産期母子医療センターです。
昨年のあり方検討委員会は、私が委員長として取りまとめをさせていただきました。
キーワードは集約化ということでいいとは思うのですけれども、いかにそこに少ない人員を集約化するというところ、建物に集約するのには人が必要ですので、そうしますと、昨年1つ出てきた問題は、JA高知病院がお産をやめたのですけれども、そこに優秀な助産師がたくさんいました。その中には県外に出ていった人もいますし、当院や高知大学に来た人もいますけれども、一度JAを退職して、当院あるいは大学の採用試験を受けて、それで合格して採用になるという非常にかわいそうな手続があるのです。これはどうしようもないところなのです。ですから、集約化する場合には、いかに雇用母体が違う人たちをできるだけ壁を下げてスムーズに動かしていけるかどうかということだと思っています。
ドクターについては、大学からの派遣という体制に基づいた医師であれば、そこは比較的スムーズにいく。ほかの病院の集約化でもそれは明らかなのですけれども、そうではない医師あるいは大学間が違う医師、そういった人をどうやって集約化するかということは今後の大きな課題だと思っていますので、ここは何かしらの施策をお願いしたいと思っています。
それから、人を確保する際に、今、大学病院、あるいは当院などの研修システム、プログラムもあるのですけれども、やはり人を集めて、今度は集めるだけではなくて派遣するということも必要なので、今、総務省の管轄で公立病院の経営強化ガイドラインといったものでも当院のような公立病院からの人の派遣ということも求められていますので、そういったことからも、厚労省だけではなくて、総務省の管轄する公立病院からも人を集めて人を派遣する。そういったものが地域の医療を支える中では必要ではないかなと私の立場では考えております。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、次に公益社団法人日本産科婦人科学会の三浦構成員から発表をお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○三浦構成員 よろしくお願いいたします。日本産科婦人科学会から推薦の三浦でございます。
今回は、学会が策定しております産婦人科医療ガイドライングランドデザイン2023について御紹介させていただきたいと思います。
スライドをよろしくお願いいたします。
このグランドデザインは、もともと日本産科婦人科学会で安定して高度な産婦人科医療を提供できる体制をサステイナブルに提供できることを目指して策定されておりました。これまでにも2010年、2015年と定期的に見直しを図って、その時々の状況に応じたグランドデザインを提案しております。
また、2018年には日本産婦人科医会と共同で医師の働き方改革についての宣言と提言を発出しております。その中で、ここにございますように地域の公的な分娩取扱病院の大規模化・重点化の推進と産科診療所等との連携の強化というところがその項目のうちの一つになっております。
次をお願いいたします。
そのような状況の中で、2024年の4月から医師の働き方改革が始まり、勤務医の状況、診療所の先生方の状況というのも非常に大きく変わっておりますし、先ほど議論の中にもございましたように、急激なスピードで少子化が進んでいるという状況の中で、多くの診療所の経営難といったところから分娩施設も急激に減少しているというところが背景にございます。
今日はグランドデザイン2023の基本的な考え方から現状、そして、私どもの学会が提言していることと、それを受けての事例紹介ということでお話を進めてまいります。
次をお願いいたします。
まずグランドデザイン2023の基本的な考え方ですけれども、次をお願いいたします。
ここに示しますように、このグランドデザインの基本的な考え方としては、学会だけではなくて全国民、つまり、行政、利用者、そして、妊婦、その家族も含めた全国民に向けての行動指針ということで、将来に向けた目標を設定して具体的な施策を実行していくというところを目的としております。そのフローについてはここにお示しするとおりでございます。
次をお願いいたします。
そうした中でこの提言書の中には、6つの項目が左側にグランドデザインとなされておりますけれども、もちろん医師の働き方改革の法律を守っていくことというのは非常に重要です。その中において、2024年の4月の状態では、連携Bといったところで宿日直許可を受けるような形において今の医療体制というのが保たれている状況ですけれども、このグランドデザインの中でも語られておりますように、見せかけ上の勤務医の経験負担ではなくて、やはり実効性のある働き方改革を進めていかないといけないということが、課題としてあると思います。大きくはB水準からA水準に、2035年には1,860時間から960時間というところで医師の時間外の制限というのが移行してまいりますので、それに応じて勤務医の数をしっかりと確保していくことが重要になるかと思います。
その中で、今日お示ししますのは地域医療提供体制の抜本的な見直しというところで、これから10年かけてしっかりとA水準に移行していくためには、地域の基幹病院への集約化と重点化、大規模化というところは避けて通れないところだと思います。また、機能分担の継続的な審議、それから、産婦人科医の参加というところ、地域、それから、地域医療を考えていく協議会の中にしっかりと入っていくことが重要だと思います。
ただ、その達成のためには、大規模化といってもそこへの人員の確保というのは非常に重要になってまいります。学会として想定している必要最低限の数というのは、総合周産母子センターで常勤医が20人以上、それから、地域の周産期母子医療センターで常勤医10人以上ということになります。現時点では、先ほど事務局からお示しいただいた資料にもございますように、多くの施設がこの基準はまだ満たしていない。地方においてはほぼ満たしていない状況だということになるかと思います。そういうような状況でどういうふうに進めていくかというところが、今後、第9次医療計画を出していく上では非常に重要な論点になるのではないかと思います。
そのほか、今、産婦人科医の状況としましては、女性医師、若手医師の割合というのが半分を超えてきておりますので、そういう中において女性医師が継続してこういったキャリアを積んでいく体制というのは非常に重要になってまいります。出産、育児あるいは様々な介護などを経てキャリアを形成していくということも重要になりますし、やはりアカデミックな医療機関でのトップを目指していく女性というのは非常に重要になってまいりますので、その間に学位取得というところも非常に重要になってくるのではないかと思います。
今日は主に医療体制の抜本的な見直しがなぜ必要かということについて紹介していきたいと思います。
次をお願いいたします。
このグランドデザインを策定するに当たって、大都市圏の東京、それから、地域ということで北海道と長崎を元に現状を把握しました。
次をお願いいたします。
その中で見えてきたことというのは、東京都に限っては、今、日本の産婦人科を専攻する医師の4分の1は東京都内に勤務しているという状況がございます。そういうことも反映して、先ほど申し上げましたように、周産期母子医療センター総合型であれば20人、地域の周産期母子医療センターであれば15人というところがございましたけれども、そういった医師数というのは既に東京都内においては確保できているという状況です。一方で、キャリア支援というところに関しては、育児や夜間の保育など、そういったインフラの整備というのは、医師に対する対応としては非常に重要だというところは学会として把握されております。
一方で、地方においては、北海道あるいは長崎県を特に調査しましたけれども、気象条件や離島などではアクセスの不備といったところが非常に大きいところなのですけれども、やはり地方では新規の産婦人科医の確保というのは非常に難しくて、一方で現在ある問題点としては、60代の産婦人科医が30~40%を占めている地域が多い。今の産婦人科医療というのはシニア世代で地方は支えられているというところがあるのですけれども、これから第9次を策定していく上で、次の10年間ということになってくると、その勤務医はリタイアが見込まれるので、非常に切迫した状況にあると思います。
そうした産婦人科医不足が極めて深刻な中においては、地方においてはアクセスにある程度不便が生じるとしても、施設の集約化・重点化は不可避であって、学会ではなくて、先ほどから資料の中にもございましたように、行政、住民を含め、関係者が真剣に地域で安心して周産期医療、婦人科診療が受けられる体制づくりが必要だということが示されております。
次をお願いいたします。
そこで、こういった抜本的な見直しのところでも非常に重要になるのは、繰り返しになりますけれども、基幹となる周産期母子医療センターを中心とした施設の大規模化・重点化というところになるのですけれども、それはマンパワーを集中することによって夜間休日でも質の高い安全な、NICU、GCUも含めた、そこで母体搬送とかそういったところの時間のロスや負担というところも減ってまいりますので、周産期医療を提供することが可能になるかと思います。
一方で問題となるのは、大規模施設までのアクセスが地域によっては非常に不便になるケースが出てまいりますので、そういった地域に住む住民に対しての交通費、宿泊費などを自治体が支援するような体制が非常に重要だというところが見えてまいりますし、やはり妊産婦、地域住民への説明というところは非常に重要になってまいりますので、各自治体が指導してそういった説明会というところをしっかりと開いていくことも重要だということが述べられております。
次をお願いいたします。
最終的なグランドデザインの2023年の提言になりますけれども、次をお願いいたします。
ここに示しますように、赤が2024年4月の時点で既にこれが開始されていることが推奨されておりますし、青、緑というのは今後A水準に移行していくにしたがって達成しなければいけない、目標になります。もちろん働き方改革の法律を遵守するということについては、ここに記載されていることは全ての自治体あるいは医療機関において実施されていることと思います。
また、2)の地域医療提供体制の抜本的な見直しについても、やはり医療体制を各医療圏、周産期の医療圏で把握して、地域の自治体、住民としっかりと共同して進めていくということが重要だと思います。先ほどの高知県の取組などが好事例になるのではないかと思います。
その中で非常に重要なのは、地方においては特に産婦人科医が今後急激に増加していくということは、あるいは自治体で都道府県の養成医とかが産婦人科医にどんどんなってくれるような状況になればまた話が変わってくるのでしょうけれども、そういう見込みが非常に低い状況の中では、この常勤医20人、総合型での20人、地域の周産期母子医療センターでの10人というところを目標にすると、やはり大規模な医師の集約化というところが非常に重要なテーマになってくるのではないかと思います。
そのほかについては先ほど述べたとおりになります。
次をお願いいたします。
そうした中で、長崎県でもやはり急激に少子化が進んで、特に離島においては年間の分娩数が50を切ったりしていて、分娩を停止する地域が出てきているのですけれども、やはりこうした地域では地域の周産期母子医療センターと連携することが重要になってまいります。その事例を紹介したいと思います。
次をお願いいたします。
長崎県においては、青いところが総合型の周産期母子医療センターで、医療圏に1つずつ周産期母子医療センターがある状況なのですけれども、離島においては母体搬送受入れ可能な総合病院がそれぞれ1つずつ設置されているような状況ですけれども、上五島病院とありますけれども、既に分娩数が32人となっておりますので、今月から分娩休止という状況になっております。島に産婦人科医が一人もいない状況で32名の妊婦をどういうふうに管理していくかということになります。
また、先ほどのセミオープンというシステムがございますけれども、五島中央病院では、分娩施設、診療所が今年の1月から閉院しておりまして、やはり経営難ということでセミオープンに移行しましたけれども、セミオープンでも診療所では経営が成り立たないというところになっております。こういったセミオープンシステムといったところに対する経営が成り立つような助成といったことも地域の中のグランドデザインの中で見えてきているところかと思います。
次をお願いいたします。
産婦人科医がいない島で複数名の妊産婦を管理するということになると、やはり地域の周産期母子医療センターとの連携ということになるのですけれども、ここで非常に大きな問題点として出てくるのは、夜間に妊婦が急変したときにどうやって搬送するかということなのですけれども、現時点では自衛隊のヘリということになるのですけれども、自衛隊のヘリというのも夜間は島によっては着陸できないというところで、そうしたところで、各省庁間でこういう妊婦さんたちに対して自衛隊の支援というところが必要になるのですけれども、この上五島病院においては、夜間に何か起こったときには誰も産婦人科医がいないところで何とか完結しないといけないというような状況になっております。
また、先ほど高知県にもございましたけれども、妊娠・出産の出産となったときに、宿泊施設を確保するということも地域医療の中では非常に大きな問題になっております。
次をお願いいたします。
こういった運用までに、すぐ運用できるわけではなくて、やはり各周産期母子医療センターの連携、それから、ICT化を進めて妊婦健診の情報を共有するようなサポート体制も必要になりますし、診療所との連携ということについては、地域の産婦人科医会との連携、そして、最終的には地元の住民への説明というところで非常に時間がかかりますし、様々な議論がなされている状況です。
次をお願いいたします。
また、妊婦への支援というところで、こういった支援をどういったところで助成制度を使っていくのかというところも重要ですし、やはりこの事例においても住民への説明で非常に住民からの意見というのが大きく紛糾しましたし、やはり丁寧な説明をしていくということも重要かと思います。
次をお願いいたします。
まとめになりますけれども、アクセスがある程度不便になるということは承知の上で、周産期医療における分娩施設の集約化・重点化というのは地方においては不可避な状況だろうと思います。
そのためには、学会だけではなくて、行政、住民を含め関係者が真剣に考えて、安心して周産期医療を提供する。特に地方においては婦人科の診療も同時に行っている病院がほとんどですので、婦人科医療に影響しないような体制も重要になりますし、人的な確保というところもしっかり考えていく必要があるのではないかと思っております。
以上でございます。
○田邊座長 御報告ありがとうございました。
それでは、ただいまの2つの発表につきまして、構成員の皆様方から御意見、御質問などをいただければと思います。先ほど申し上げましたように、リアクションボタンを押して「挙手」というボタンを押すということでお知らせいただければ幸いです。
では、よろしくお願いいたします。
それでは、今村構成員、よろしくお願いします。
○今村構成員 今村です。
また皮切りに質問させていただきます。
現場の切実なお話をありがとうございました。高知県の方と三浦先生に質問したいのですけれども、まず高知県は私が以前聞いた状況よりも非常に状況が悪化しているということに驚きました。質問の内容としては、高知県はこれからお産があと3割ぐらい減る予想が立っていると思うのですけれども、実際に3割減ったとして、今のこの新しい体制はもつでしょうか。もっと対策が必要なのでしょうかというのが1つ質問です。
三浦先生のほうには、長崎県の特に離島での取組についてここまでやっていただいているということに大変感銘を受けたわけです。私は長崎県の離島組合の理事も昔やっていまして、なかなか大変だということを知っています。その中で自衛隊のヘリですね。夜間にヘリコプターを飛ばすのは自衛隊しかできないわけですけれども、そのためには自衛隊の本部の了解を得ないと飛ばせないというようなかなか大きな難関があったと思うのですけれども、そこら辺のところはスムーズに防衛省から了解というのは取れる状況にあるのでしょうか。その辺のところを教えていただければと思います。
以上2点、もし可能ならお願いいたします。
○田邊座長 御質問いただきましたので、まず高知県のほうから御回答をお願いいたします。その後で三浦先生のほうによろしくお願いいたします。
○宮地参考人 高知県の状況ですが、これからもつかという点ですが、今の体制のままもつとは考えておりません。というのも、医療圏4つのうち、安芸圏域ですと現在でも出生数が120人程度です。これが今でも分娩施設を確保するにはなかなか数として確保できる状況ではないところを無理に確保している状況です。今後、数年以内に100を切ると思いますので、こちらは今後集約化というのは避けて通れない。
高知市内から一番遠い幡多地域においても現在300人程度、こちらのほうも施設として維持するのはなかなか難しいと思いますので、ただ、距離的に130キロとかありますので、こちらはどうするかというのはまた議論していくことが必要と考えております。
以上です。
○田邊座長 それでは、三浦参考人、よろしくお願いいたします。
○三浦構成員 御質問ありがとうございました。
離島における搬送体制というところで、夜間は自衛隊のヘリに頼らないといけない状況なのですけれども、現在も地域の自衛隊に搬送を要請すると、そこから中央省庁のほうに出動の許可を得て、そこからまた許可が下りたということの連絡を受けでないと出動できないので、やはりどんなに急いでも3~4時間のタイムロスができるような状況なので、夜間の搬送体制というのは非常に厳しい状況が続いております。
また、今回上五島病院が閉院するに当たって分かったことなのですけれども、全ての地域に夜間飛べるわけではなくて、この上五島という島においては夜間は着陸できないということが分かりまして、長崎県とかが要望を出しているのですけれども、なかなかそこは話が進まないということなので、今日からこの島に住む妊婦さんに何か起きたときには夜間は島内の産婦人科医ではない医師が何とかしなければいけないという状況なので、以前は常位胎盤早期剥離とかが起これば何とか助かっていた命も、今日からは助からないという状況になるのではないかなと思います。
なので、集約化と言っても、やはり交通のことですね。高知県とかも山間部とかいろいろあったりして、なかなか医療圏を越えての搬送とか難しい問題は長崎もあるのですけれども、また海を越えてとなると、こういうふうに夜間のヘリの体制とか、船の体制といったところと、気象条件によっても制限がまいりますので、こういったところの体制をどうするのかというところを考えないといけないかなと思っております。
○田邊座長 ありがとうございました。
今村構成員、よろしゅうございますでしょうか。
○今村構成員 ありがとうございます。
高知県はこれだけ進んだ取組をやってもらっても、やはりまだこれから先の変化に追いかけ切れないというのも切実な問題だと理解いたしました。ぜひ新たな対策の道筋をつけていただきたいと思います。
あと、三浦先生からもありがとうございます。自衛隊のヘリコプターは飛ぶ許可が下りるのに4時間ぐらいかかるということで、多分長崎県は大村に航空隊がいるから最も恵まれた環境だと思うのです。それ以外のところで自衛隊のヘリを夜間に飛ばすというのは極めて困難な作業なので、そこら辺のところも今後の対策の中では検討するべきだと思います。
今村からは以上です。
○三浦構成員 先生、追加発言なのですけれども、以前は大村の基地から飛んできてもらっていたのですけれども、自衛隊の内部の事情で、現在は九州北部は全部福岡の基地から飛んでいます。よって時間がかかるようになっています。非常に大きな問題です。
○今村構成員 そうなのですね。分かりました。ありがとうございます。
○田邊座長 それでは、次に家保構成員、よろしくお願いいたします。
○家保構成員 全国衛生部長会の家保です。
今村先生、御質問ありがとうございました。私は高知県の保健医療担当理事ですので、先ほどの宮地企画監の説明について少し補足させていただきます。
現在、周産期の医療圏は4つですけれども、ゆくゆくは2つに集約せざるを得ないかと考えております。ただ、高知県の中部と東部を1つの医療圏にしてしまいますと、高知市の中心部から2時間かかるような地域がありまして、やはり地元の住民、市町村に対する説明を丁寧にやっていかないといけませんので、その点は慎重にしていきたいと思っております。
高知県の状況は、やはり産科の診療所が非常に減ったことが大きな要因ですので、そういう状況を踏まえて、県の産婦人科医会、県医師会がかなり率先して議論を進めていただいたことが今回取りまとめの大きな貢献になったと思います。都道府県だけではなかなか進みづらいということは御理解いただきたいと思います。
それから、全国を見ますと、産科診療所の分娩が45.1%ございます。だから、将来的に10年とかを想定しますと、地方の都道府県ではかなり産科診療所が減ってくるのは見えますので、早い段階から将来を見据えて、各都道府県医師会、産婦人科医会と行政とが、今頑張っていただいている産婦人科診療所の先生方の意向も踏まえて、どうソフトランディングするのかを考えていくことが大切と思います。
去年やっていた分娩の検討会でも、産科の診療所がなくなって全て病院産科に行くと、今度は病院の産科が潰れるという話もされておられましたし、そこはソフトランディングするために早め早めに議論を進めるということを行政もやらないといけないと思いますし、各都道府県医師会や産婦人科医会にもぜひともそういうスタンスで臨んでいただきたいと思っております。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
高知県の坂本参考人、今の絡みでの手挙げでございましょうか。お願いいたします。
○坂本参考人 追加ですけれども、分娩施設は9施設あるのですが、そのうち有床診療所は3施設です。そのうち2つは高齢の院長で、跡継ぎは決まっていません。つまり、ここ数年以内に3つのうち2つはなくなる可能性が高いということです。先ほどお話ししたように、安芸病院もいつやめざるを得ないか分からないという状況ですから、そういったことが今後次々起こってくるのに対応しておかないと、高知県の周産期医療は大変なことになるので、こうのとりセンターのようなある程度大きい規模でゆとりを持って、閉院や分娩を停止した施設が出てもその分娩をいつでも十分キャパシティーを持って受け止められるような施設を早く考えないと駄目だというのが医師会としての提言でございます。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、関沢構成員、よろしくお願いいたします。
○関沢構成員 日本産婦人科医会の関沢です。
高知県は非常に厳しい状況の中で体制をいろいろ検討いただいていて、これが今後全国のモデルになっていくのかなと思って聞かせていただきました。
ここで、ハイリスクとローリスクという言葉が使われていて、両者の区別ができるようなイメージがあると思いますが、実際の分娩というのは、100人分娩すれば、その中の数%は緊急で帝王切開が必要になりますし、1%ぐらいは本当に急いで対応しないと、赤ちゃんが脳性麻痺になったり、重症新生児仮死の状況になってしまうもので、なかなかハイリスクとローリスクが分別できないというのが一番厳しい点と認識しています。
そういったことを考えると、このこうのとりセンターという大きな施設ができ、それは非常に理想的なことかと思うのですけれども、これが総合周産期、地域周産期センターの外にできるのか、中にできるのかというのがすごく大きな問題で、やはり総合周産期とか大きな人数を抱えるところがそういったところをケアして運営していくというような体制をつくっていかないと、両方を維持していくことはなかなか難しいのではないかと思いました。以上、感想です。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、井本構成員、よろしくお願いします。
○井本構成員 ありがとうございます。日本看護協会の常任理事の井本でございます。
高知県の皆様、そして、三浦先生、事例の御紹介をありがとうございました。
日本看護協会より看護職の立場として少しお話をさせていただきます。
かねてより看護職は周産期医療、小児医療それぞれの関係団体の先生方と様々協議を進めて参りました。また、国の施策に基づいて、タスク・シフト/シェアの議論においては院内助産等の推進も図ってきたところでございます。
しかし、昨今、会員からは県ごともしくは地域ごとに、少子化の影響を強く受け、それによって様々な看護提供体制にも影響が起きてているという報告があり、妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援等に関する検討会では混合病棟化の話を紹介させていただいたところです。そういった中においても、看護職がしっかり妊産婦や子どものケア、支援に携われるように、本会としてはしっかり研修等の拡充も進めていきたいと考えているところです。
高知県の事例の御紹介、本当にありがとうございました。非常に参考になる事例でした。特に林先生からは、助産師の実践能力及び雇用の点まで課題を示していただきありがとうございます。まさに課題としてお話しされていた雇用の障壁について、助産師が異動することを阻む場合もあり、本会の調査では、助産師が潜在化している実態が明らかになっています。
ぜひ本ワーキングでは、少子化の中においても、住み慣れた地域で妊産婦さんが仕組みの中で支援を受け、安全・安心な出産環境や子育てを続けていけるように議論をしていただきますよう、また、助産師等も含めた看護職の活用をお願いしたいと考えます。
以上でございます。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、三浦構成員、よろしくお願いいたします。
○三浦構成員 高知県の事例をお伺いして、幾つか周産期医療体制を考える上で大事な点があるかと思ったので質問させていただくのですけれども、今、セミオープンシステムというところは、例えば九州とかであれば、80%が地域の診療所で分娩しているというのですけれども、今後、大規模な周産期母子医療センターへの集約化というのは避けて通れないと思うのですけれども、そこに急に移行していくわけにいかないので、ソフトランディングしていくためには、やはり地域の医療を支えてくれている診療所の先生たちがセミオープンで一般の妊婦健診などを診ていただきながら周産期母子医療センターでの分娩というところをしっかりと定着させていく必要があると思うのですけれども、長崎県で見ていると、セミオープンに移行すると、やはりそこで経営が成り立たなくて、ほとんどの医院が閉院という形になっていくので、現在セミオープンシステムを取っているところは数年後には閉院するのだろうなというような状況になるのですけれども、先ほどの発表の中でセミオープンシステムというのを県で一括してコントロールするというところがあったのですけれども、その際に経営が成り立つような取組というところが何かあるのであれば教えていただきたいというのが一点。
もう一つは、やはり地方においてはどこも一緒だと思うのですけれども、周産期母子センター化するに当たって、そこで働ける若い医師ですね。20代、30代、40代、50代というところがそこで勤務する医師になると思うのですけれども、そういう若い先生たちが今後10年間でどんどん減少してくるというところが見えてくると思うのですけれども、その際に、それぞれの都道府県で養成している都道府県の養成医をいかに産婦人科医にリクルートするかというところは重要な問題だと思っております。
そこで、高知県のほうで7名のうち5名が県の養成医あるいは県から助成を受けている医師だったというところは非常に興味深いのですけれども、リクルートにおいて、例えば産婦人科医を選べば何かの義務が優遇されるとか、そういった取組があれば教えていただきたいというのと、もう一つは、診療所が閉院する原因になっているのが助産師の不足というところが非常に大きいのですけれども、その根本的なところは助産師を養成する学校がどんどん閉校していて、その後、5年から10年たつと若い世代の働き盛りの助産師さんがいなくなって、雇用できなくて閉院するというのが、少なくとも長崎ではそういうのが問題になっておりますので、助産師の確保というところについて何か問題があれば教えていただきたいと思っております。
以上です。
○田邊座長 3つほど御質問いただきました。セミオープンにしたときの経営の確保みたいなことと若い医者のリクルートの点、それから、助産師不足の問題に関してどう対応しているのですかということだと思います。
高知県のほうからどなたからでも結構ですけれども、御回答をお願いできますか。
○林参考人 林が御回答します。補足があればまた追加をお願いしたいですけれども、まず一つ、セミオープンについては当院、高知医療センターから先に始めたのですけれども、これは診療所の先生方が高齢化になってお産をやめるということが続いていったのです。分娩施設が減るのだけれども、その先生方に何とか周産期をまた支える立場で継続していただきたいというお願いする形でセミオープンをまず始めました。ですから、セミオープンをきっかけにお産をやめるということではなくて、セミオープンをしながら産婦人科診療所を継続していただけないかというスタンスで始めています。それを県全体に広げたというところで、今、県の取組としてやっていますが、当院と高知大学のほうで始めたことをまた適宜振り返りなども行いながら、そういった形で診療所の先生方に何とか踏ん張っていただくという一つの取組として始めたというのが現状で、実際にこれを始めたことで経営がどうかというところまで私たちの耳には入ってきていないのが現状です。そこからは分からないです。
○三浦構成員 その点ですけれども、私たちが経験するのは、セミオープンになったはいいのですけれども、やはり経営が成り立たないというところで、数年で継続できなくなるというケースが長崎の場合は問題になっていると思いますので、高知県のそういった今後の状況というのを教えていただきたいかなと。
○林参考人 13~15回ぐらい妊婦健診が、通常、県の補助券も出ていると思うのですけれども、初期と妊娠の32~33週以降が基幹病院に来ることになっていて、それ以外、特にハイリスクではない、そういう因子がないとなれば、診療所のほうでの妊婦健診をお願いしていますので、そういったことでは一定収入は確保されているのではないかなとこちらでは考えています。
○三浦構成員 やはり収入が確保できるかどうかというのはすごく大事なポイントで、私たちも先生方の取組のそういった部分をまた教えていただけたらと。
○林参考人 近々振り返りをするタイミングになっていますので、そこは1つ議題として聞いてみることにします。
それから、専攻医の確保についてです。幸い今年度は7名、当院が4名で高知大学で3名、機構の指針に従って、高知県は産婦人科の専攻医プログラムが2つあります。そういったことで、大学だけではない高知医療センターという選択肢があって、いい具合にシェアして専攻医が入ってきているという状況で、今までは大体年合わせて1名ということが7名急に増えたのはどうしてかということは我々も驚くのですけれども、一つの取組としては、大学と高知医療センターの医師が共同で産科婦人科学会がやっているようなサマースクール的なものを高知大学のほうでやりました。それをやりますと、5年生、6年生で40~50名集まるのです。産婦人科に興味を持っている人がこれだけいるのだということで驚くぐらいです。
そういった方々がどうやって高知県に残ってくれるかというところで、今度は県の仕組みになるのですけれども、この地域枠の取組が始まったときに、僻地と言われるところに重点的に研修に行くことでスタートしたのですけれども、産婦人科については高知県全体が僻地というレベルだということで、高知市での研修も償還の地域として認めていただいています。そういうことで、あえて先ほどの安芸や幡多に行かなくても、高知市でもその償還の年限に入っているということで人が確保できているとも思っていますが、研修プログラムの中ではきっちり高知県の中で研修をする。半年は幡多けんみんに行くとか、そういった中で、高知県の中できっちり産婦人科医師が回るという仕組みをプログラムの中で確保しているところです。
それから、もう一つ、関沢先生がおっしゃられたように、集約化すると、たくさんのローリスク分娩だけではなくて、中にはハイリスク分娩も含まれますので、今度はそこにやはり新生児の先生、何よりも麻酔科の先生、それから、助産師といった多職種がきっちりと確保された状態でないと、多数のお産はできないと思っていますし、当院でもロボット手術も始めましたけれども、今の若手がみんながみんなお産ばかりやりたいとは思っていませんし、我々も分娩も見ますし、ロボット手術、腹腔鏡手術もずっとやってきています。そういった地方においては産科だけでは済まされない人の育成というのがありますので、そこはやはりうまく人が回るような、循環する仕組みをつくらないと、一定インセンティブも地方に与えていただきながらやらないと、今はできないのではないかと。
当院でも新生児の先生方が非常に少なくなっていて、大変な御苦労をおかけしているところです。産科ということだけではなくて、婦人科の医療、それから、麻酔、新生児、やはりお金のかかる分野だと思うのです。不採算医療です。ですから、ここを安いお金で済まそうというのはとても無理な話で、きっちりと国はお金をかけていただくべき、特に人件費です。そういったところがかかる医療だということは改めてお願いしたいと考えます。
以上です。
○田邊座長 坂本参考人、これの関連の御発言でしょうか。お願いします。
○坂本参考人 追加ですが、先ほどこうのとりセンターが総合、それから、地域の母子医療センターとは別につくった形で高知県では提案しました。でも、これは最初は総合周産期母子医療センターである高知医療センターに併設してつくったらどうかという考えは医師会の中ではあったのですけれども、医療センターは対応困難とのことでしたし、地域周産期母子医療センターは大学病院ということで、現実的にはここにこうのとりセンターをつくるのは難しいと判断しました。そうしたら、既存の施設でもいいから、それを拡大するような形でこうのとりセンターを考えたらどうかということで、現実的には医師会のほうでは高知赤十字病院を今考えているのですけれども、そういうことでやっていましたので、全国的に母子医療センターとは別につくったほうがいいという意見ではないということをお話ししておきたいと思います。
それから、医師は別として、助産師さんが足らない可能性もあるということなのですが、ただ、助産師さんでも助産師業務を実際にできていない方もたくさんいるのです。助産師業務をしたいけれども、働く場所がないという方もたくさんおられます。例えばJA高知病院でお産が昨年から中止になりましたが、17人いた助産師のうち、1人だけ残った助産師さんに言われました。「先生、早くこうのとりセンターをつくってください。行きたい助産師がいっぱいいます。」と言われました。早くつくってくださいと言われました。ですから、隠れたマンパワーというのも掘り起こして、それを有効に使うということが非常に大事ではないかと考えております。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
宮地参考人、これ絡みの御発言でしょうか。でしたら、お願いします。
○宮地参考人 助産師の確保というところの御質問があったと思います。助産師の確保については、平成20年代ぐらいから高知県においては奨学金を出して確保するということをさせていただいています。奨学金を使っていただいた方については、県内で2年もしくは3年程度は働いていただくというような条件をつけた奨学金で、返還を免除するということで、医師と同じような形で確保ということをさせていただいています。
また、今年から始めましたが、産後ケアというのも今後必要ということで、産後ケアについても今後どうしていくかというのは協議会を立ち上げて検討するということで、そちらのほうでも助産師さんの活躍ということを検討していくことを始めたところになっております。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、宮川構成員、よろしくお願いいたします。
○宮川構成員 ありがとうございます。日本助産師会理事の宮川です。よろしくお願いいたします。
高知県のほうの取組で非常に助産師のことも注目していただいてありがたいなと思いますし、今、県の方がおっしゃっておられましたけれども、潜在助産師と言われる助産師の数はやはり多くなってきていますし、助産師の学校を卒業した後も、やはり分娩を取る場所が非常に少なくなっているということと、混合化の中で働いていくことで自分自身どうすればいいのかということで迷うような若い助産師たちも多くいるというのが実態だと思います。
高知県のこうのとりセンターの取組の中で、今、産後ケアにも力を入れていかなければとおっしゃっていただいておりました。本当に産むだけではなくて、妊娠中から分娩、そして、産後、子育てというところを丁寧に寄り添いながらやっていくということが虐待防止とかにつながっていくと思いますので、そういう部分では、高知のほうにも14件ぐらい開業助産師が、既に地域でそういう部分で働いている者もおりますので、そちらのほうの活用とかもこうのとりセンターと一緒にまた考えていっていただければなと思います。
それと、この答申が知事に述べられた後なのですけれども、今年度の春に分娩を取り扱う助産所が1件開業しているという届出を受けておりますので、またこちらのほうも一度情報収集をお願いできればと思います。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、濵口構成員、よろしくお願いいたします。
○濵口構成員 ありがとうございます。
先ほどから高知県の実情、それから、長崎の実情の御紹介がありましたけれども、さらに詳しいお話を聞きたいところでございます。実を言うと、私も長崎県の離島で勤務しておりましたので、実情はよく把握しております。
私がお話ししたいのは、今、新たな地域医療構想の議論を国でやっていまして、その下にこのワーキングがあるわけでございますけれども、現実的にその中で小児医療・周産期医療の強化というのは日本医師会でも大きな柱として考えてやっているところでございます。
一方、現実の医療機関の現状を見ますと、御存じのように、病院の多くが赤字、診療所も4割が赤字で経営状態が非常に厳しいわけです。一番は、健全な経営の上にこういった議論が成り立つわけで、そこが成り立たないと、構想を話しても本当に机上の空論になっている可能性があると思います。
そういった意味で、日本医師会では国に対し、小児医療・周産期医療に対する支援を要請し、令和6年度補正予算では緊急的な支援パッケージとして55億円が支給されたと思いますけれども、そういった金額では満ち足りているとは到底考えられていないわけで、やはり今言っているような皆様方の各施設に対して補正予算が届くようにならないと、皆さんが考えている構想に向かっていかないので、そこの部分は日本医師会としては国に強く要望しているところでございますので、それだけお知りおきくださいということでお話をさせていただきました。
以上でございます。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、内田構成員、どうぞよろしくお願いいたします。
○内田構成員 ありがとうございます。私、日本麻酔科学会を代表してお声がけいただいた内田と申します。
今回の御議論を拝聴しておりまして、どちらかというと地域で医療が提供できないところにどう対応するかというところの御議論が中心だったと思いますので、私の話は今までの議論とはずれるかと思うのですけれども、麻酔科の立場としまして、今、東京都では無痛分娩の補助というのが始まりましたので、この10月1日からということですので、まさに今からということですけれども、実際に麻酔科医が無痛分娩を提供するということが困難な状況でどのように安全な対策をつくるかということを検討しておりまして、東京都の麻酔科医の中でもサイトビジット、実際に無痛を行っているところで、先ほども御説明がありましたJALAの自主点検表というものがございますけれども、それに基づいた体制が組めているかどうかということを実際に視察して、必要に応じてアドバイスなどをするというようなことは少しずつ始めております。
ただ、グッドリスクの妊婦さんの場合でも、無痛分娩に伴う合併症の中でも、比較的緊急事態になるものというのは頻度は低くても起こり得る。注意しないといけないのは、無痛分娩というのは日本は文化的に今まであまり広がっていなかったということがございましたけれども、やらないと治療できない医療行為でないことをあえて行った結果、患者さんが危機的状況になるということが起こり得る診療行為である。ですので、安全対策、何か起きたときにきちんと救命できる体制がいかにつくられるかということを麻酔科医の関わっている人たちは非常に心配しております。
特に補助の話とかが出てきたことで、文化的にも日本人の考え方が変わってくることで、より無痛分娩を求める、患者希望による無痛分娩というものがこれから増えてくると思われますけれども、それに伴って母児ともに本来無痛をしなかった場合であれば起きなかったような合併症が今後起きてくる可能性というのがやはりあると考えられますので、いずれにしても、発生してからそれに対する対処までの時間的猶予がないということが麻酔科の担当している人たちの頭を悩ませているところでございます。
なので、一番理想的には複数の麻酔科医、麻酔科1名でもいざ蘇生ということになるとかなり厳しいですので、麻酔科医が複数名で無痛分娩に携わるという体制がどの病院でもできるというのがアクセスも確保した上で安全性を提供するという意味では一番理想ですけれども、現状はやはり大きな病院のほうに早く運んでいただくという判断をしていただくことも重要である。その辺りの部分の医療者全体の教育も必要ですし、それから、今、集約化というのは全国の流れであるというか、産科分野に限らずあると思うのですが、どうしても今、大病院と言われるところにいる麻酔科医の大半は、先ほどもありましたけれども、経営の問題からしますと、全身麻酔手術のほうにより関わることで手術件数を増やすということが病院の経営陣から求められております。ですので、現状の保険診療の評価額からしますと、無痛分娩に対する麻酔科医をそちらのほうに割り振るというインセンティブがなかなかつかないという状況もございますので、麻酔科医が常に手術麻酔のほうに忙殺されていてほかが出せないという状況がございます。
ですので、集約化をさらにそこで進めて、無痛なり産科の分娩の件数をそういった病院に集約化させる場合には、やはり相当思い切った人材の再配置ということは今後必要になってきて、恐らく多くの場合は病院の経営の個々の努力、あるいは自治体の方々の努力でやってこられたことだと思いますけれども、こういったワーキングループを通じて、厚生労働省からもその辺りの人員配置についてより強いメッセージを出して、必要な政策を出していただくということが重要ではないかなと感じております。
以上です。
○田邊座長 それでは、様々な御意見をありがとうございました。本日の議論はここまでとさせていただきたいと存じます。
事務局におかれましては、本日いただいた御意見を踏まえた議論を今度行えるように、次回以降の資料等の準備を行っていただきますようお願い申し上げます。
最後に事務局のほうから何かございますでしょうか。
○近藤室長 本日は活発な御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。
次回のワーキンググループについては、詳細が決まり次第御連絡いたしますので、引き続きお願いいたします。
○田邊座長 それでは、本日のワーキンググループはこれまでとさせていただきます。様々な御意見を賜りまして、ありがとうございました。
それでは、これにて閉会といたします。
構成員の皆様方におかれましては、御多用の中、御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
座長選任までの間、進行を務めさせていただきます。医政局地域医療計画課の近藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本ワーキングは、オンラインによる開催とさせていただいております。電波状況により、音声や映像が一部途切れることがございます。御了承ください。
議事に入ります前に、本来であれば、構成員の皆様方の御紹介をさせていただくべきところですが、時間の関係上、構成員名簿の配付をもって紹介に代えさせていただきます。
本日は、滝田構成員は御欠席との連絡をいただいております。
それでは、開催に先立ちまして、医政局地域医療計画課長の西嶋より御挨拶を申し上げます。
○西嶋課長 厚生労働省医政局地域医療計画課長の西嶋と申します。
本日御参集の皆様におかれましては、日頃より小児医療体制及び周産期医療体制の構築に多大なる御尽力を賜っておりまして、心より感謝申し上げます。
また、本日はお忙しい中、御参集いただきまして本当にありがとうございます。
これまで厚労省といたしまして、小児医療、あるいは周産期については周産期母子医療センター等を中心に、財政支援をはじめとする必要な支援を行ってまいりました。
昨今、出生数が減少する、あるいは医師の働き方改革が始まる。そして、医師偏在の問題が今なおあるというようなことで、小児・周産期医療体制を取り巻く環境というのは依然厳しいものだと考えております。
一方で、誰もが安心して子供を産み育てられるということで、今後とも持続可能な小児・周産期医療体制の構築・維持ということを目指していかなければいけないと考えております。
本ワーキンググループにおきましては、医療計画における小児医療及び周産期医療の体制構築に向けて必要な事項について御議論いただきたいと思っております。こども家庭庁に入っていただいていますので、厚労省としても各省、関係部局としっかり連携しながら進めてまいりたいと思いますが、このワーキングにおきまして、具体的には第9次の医療計画も見据えながら、足元の課題は様々あるかと思いますので、そういったものにつきましては今年度中に一定の取りまとめを行いまして、次年度以降、引き続き具体的な議論を進めていきたいと考えております。
構成員の皆様におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をいただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
○近藤室長 続きまして、資料の確認をさせていただきます。
本日の資料は、資料1「小児医療及び周産期医療の提供体制等に関するワーキンググループ開催要綱」。
資料2「ワーキングの設置について」。
資料3「小児医療の提供体制について」。
資料4「周産期医療の提供体制等について」。
資料5「宮地構成員提出資料」。
資料6-1、6-2が「三浦構成員提出資料1、2」となっております。
なお、6-1については先ほど差し替えがございましたので、配付したものと一部異なっているかもしれませんが、御了承ください。
資料に乱丁・落丁等がございましたら、事務局までお声がけください。
冒頭のカメラ撮りについてはここまでとさせていただきますので、カメラの方は御退席をお願いいたします。
それでは、議事に移ります。
議題1「座長の選出」でございます。事務局から資料を説明いたします。
資料1「小児医療及び周産期医療の提供体制等に関するワーキンググループ開催要綱」を御覧ください。
目的ですが、小児医療及び周産期医療の提供体制については、各都道府県で策定される医療計画において随時見直しが行われており、産科・小児科医療機関を取り巻く状況も踏まえながら、地域で子供を安心して産み育てることができるよう、医療機関の連携・集約化・重点化を含めた体制の確保を図っていく必要がございます。
つきましては、検討事項として、医療計画における小児及び周産期医療提供体制の整備推進に向けた取組等を進めてまいりたいと考えております。
本ワーキンググループの座長につきましては、開催要綱のとおり、構成員の互選により選出することといたします。
どなたか御推薦を頂戴できればと存じますが、いかがでしょうか。
では、濵口先生。
○濵口構成員 日本医師会の濵口でございます。
座長につきましては、妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会におきまして座長を務められて、そして、医療政策にも明るい田邊國昭構成員にお願いするのがよいと思いますが、いかがでしょうか。
○近藤室長 ありがとうございます。
ただいま、濵口構成員より田邊構成員を推薦いただきましたので、田邊構成員に座長をお願いするということで御異議はございませんでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○近藤室長 ありがとうございます。異議なしということでございますので、本ワーキンググループの座長は田邊構成員にお願いしたいと思います。
では、田邊構成員におかれましては、以後、議事運営をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
○田邊座長 このたび、小児医療及び周産期医療の提供体制等に関するワーキンググループの座長を仰せつかりました、田邊でございます。構成員の皆様方の御協力を得ながら、本ワーキンググループの円滑な運営に努めてまいりたいと思います。
このワーキンググループは、持続可能な提供体制というものを見据えながら、第9次の医療計画の中に落とし込んでいくというのが義務だと思っております。それらを皆様方の活発な御議論を踏まえましてまとめてまいりたいと思っているところでございます。
まず、議事に入ります前に、開催要綱では座長は座長代理を指名することができるとされておりますので、座長の代理を指名させていただきたいと存じます。
私からは、医療政策にも明るく、また、これまで厚生労働省の検討会等に多数御参画されている今村構成員にお願いしたいと思いますけれども、皆様、よろしくお願い申し上げます。
次に、団体を代表して御参加いただいている構成員の方が欠席される際に代わりに出席される方につきましては、まず第一に、事前に事務局を通じて座長の了解を得ること、及び第二に当日の会合において了承を得ることによって、参考人として参加し、また、発言いただくことを認めるということにしたいと思いますが、この点、いかがでございましょうか。
(構成員首肯)
○田邊座長 よろしゅうございますか。ありがとうございます。
それでは、本日は滝田構成員が御欠席のため、参考人といたしまして、関西医科大学総合医療センターの石﨑様に御出席いただいておりますけれども、本日のワーキングへの出席について御異議はございませんでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田邊座長 ありがとうございます。
また、本日は、参考人といたしまして、高知県健康政策部健康医療政策課企画監の宮地様、高知県産婦人科医会会長の坂本様、高知県・高知市病院企業団高知医療センター副院長兼地域医療センター長の林様に御出席いただいております。
メンバーシップに関して確認いたしました。
それでは、早速でございますけれども、議題の2に入らせていただきたいと思います。議題の2は「小児医療及び周産期医療の提供関係等について」でございます。
それでは、本議題につきまして、事務局のほうから資料2から資料4までの説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○近藤室長 事務局でございます。
それでは、資料の説明をいたします。
まずは、現在投影されている資料2について御説明いたします。
ワーキングの設置についてです。本ワーキングは第9次医療計画に向けて継続的に検討し、見直すことを見据えております。
次のスライドをお願いいたします。
新たな地域医療構想の策定等に向けて、地域医療構想及び医療計画等に関する検討会が設置され、その下にこの小児医療及び周産期医療の提供体制等に関するワーキングを含む4つのワーキングが設置されております。本ワーキングは今年度中に一定の取りまとめを行うとされております。
次のスライドをお願いいたします。
医療部会においては、地域でお産ができる体制をどのように構築していくか、様々な立場から、特に実際にこれから子供を持つ若い世代、地方にお住まいの方、そして、実際に現場で働く勤務医の意見や提案などもぜひ取り入れて、持続可能な体制に向けて議論をしていただきたい。
持続可能性という側面だけでなく、地域住民に丁寧に説明しながら、アクセス面なども考慮した体制を構築することが重要。
できるだけ住み慣れた地域でお産をしたいという気持ちは分かるが、お産の安全性の問題を重視すべき。
厚労省のほうから自治体やマスコミにきちんと情報伝達をしていただきたい。そうでなければ、現場で集約化の議論が進まないといった御意見を賜っているところでございます。
では、資料3のほうに進ませていただきたいと思います。
資料3、小児医療の提供体制等について御説明申し上げます。
1枚おめくりいただいて、小児医療を取り巻く現状についてですが、出生数は年々減少し、昨年、過去最小の68万6173人となっておりました。
次をお願いいたします。
御覧のとおり、15歳未満の人口も減少が続いているところでございます。
次をお願いいたします。
15歳未満の人口は今後も減少する見込みでして、今後15年間で2割程度の減少が見込まれているところです。
次をお願いいたします。
都道府県別で御覧いただいておりますけれども、東京都を除いて全ての道府県において減少しているところです。
次をお願いいたします。
こちらは乳児死亡率ですけれども、日本はOECD加盟国の中で最も低いような状況になっております。
次をお願いいたします。
小児科医の数ですが、増加傾向が続いておりまして、右のグラフでお示ししているとおり、診療所よりも病院のほうが増加の割合が大きくなっております。
次をお願いいたします。
都道府県別で申しますと、大都市圏で小児科医師数は多くなっておりますが、小児の人口当たりでいえば全国的に増加しているといった状況にございます。
次をお願いします。
小児科診療には、小児科医のみならず、内科医等の他診療科の医師も従事しているといった状況でございます。
次をお願いいたします。
左のグラフのとおり、病院の数は減少傾向ですけれども、診療所の数についてはおおむね横ばいであると考えております。
次をお願いいたします。
小児科常勤医が配置されている病院のうち、47.9%が常勤医師数1~2となっておりまして、広く薄く配置されています。
次をお願いいたします。
診療所の数は都市部に集中しています。人口当たりでは8県を除いて増加しておりまして、人口減少の影響が考えられております。
次をお願いいたします。
小児の推計患者数ですけれども、入院患者の数は減少傾向でございますけれども、外来患者は横ばいとなっております。
次をお願いいたします。
外来患者の傷病別分類ですが、呼吸器系疾患は大きく減少したのに対し、精神及び行動の障害が増加しております。また、予防接種による受診が大きく増加しているところでございます。
次をお願いいたします。
右のグラフにお示しのとおり、65歳以上は19.3%が入院診療ですが、小児は3.2%と相対的に外来診療のニーズが高いと考えられます。
次をお願いいたします。
小児の入院患者数ですが、年ごと・月ごとの変動が大きく、感染症の流行等の影響を受けやすいと考えられます。
次をお願いいたします。
救急については、小児の搬送件数は横ばいであり、成人と比較して乳幼児・少年の多くは入院となっておりません。こちらは右のグラフで示しております。
また、下の赤囲みのとおり、小児初期救急センター等を受診した患者のうち、高次医療機関へ紹介・転送となったのは約2.1%となっております。
次をお願いいたします。
第8次医療計画を踏まえた取組について御説明いたします。こちらはポイントをお示ししておりますけれども、第8次医療計画の見直しのポイントを中心にこの後御説明をしてまいりたいと思います。
次をお願いいたします。
小児医療体制は、三次医療を小児中核病院が、二次医療を小児地域医療センターが、一次医療を診療所や小児初期救急センター等が対応するという体制になっております。
次をお願いいたします。
小児医療圏は第8次医療計画より、小児救急医療圏と一本化し、常時小児の診療ができる体制の確保を求めています。14都県において二次医療圏と異なる小児医療圏を設定しています。
次をお願いします。
地域における小児医療体制のイメージですが、三次医療は大学病院や小児救命救急センターなどが担い、二次医療は小児医療圏ごとに輪番制や小児救急拠点病院等を整備しております。一次医療と連携を図っていただいているといった状況でございます。過疎地域においては小児地域支援病院が一次から二次医療を担っています。
次をお願いいたします。
小児救命救急センターはPICU6床以上の整備を要件としておりましたが、医療資源に余裕のない地域を念頭にPICU整備を要件としない地域小児救命救急センターの整備を昨年度より開始しているところでございます。
次をお願いいたします。
子ども医療電話相談事業(♯8000)ですが、全国展開されており、各都道府県において地域の実情に応じて実施されているところでございます。
次をお願いいたします。
相談件数もコロナ禍で一時減少しましたが、増加傾向が続いております。
次をお願いいたします。
医療的ケア児を含むNICU等に長期入院中のお子さんについては、地域療育支援施設運営事業や日中一時支援事業により在宅移行の促進やレスパイトの受入れ体制の整備を行っています。
次をお願いいたします。
第8次医療計画において、オンライン診療の活用を検討するとされております。こちらは例示でございます。
次をお願いします。
現状と課題ですが、第8次医療計画において、全ての小児医療圏で常時小児の診療ができる体制の確保を進めてまいりました。
小児科を標榜する病院数は減少しておりますが、一病院当たりの勤務医数は少ない施設も多い状況で、医療資源の分散が課題となっています。
入院患者数は減少している一方、外来医療へのニーズは依然として高く、入院機能の集約化によって、地方での入院機能や小児初期救急を含めた地域の一般小児医療への影響が懸念されます。
論点としては、需要の多い小児一次医療を安心して受診できる環境を整備するため、内科医等との連携、小児科診療所が少ない地域における病院小児科の一般診療への参画、内科医等との連携、オンライン診療や♯8000等の取組を組み合わせた医療提供体制の維持を検討してはどうか。
症例数も減少する中、地域ごとに必要な質の高い小児専門医療と入院医療の提供体制を維持するため、小児医療圏ごとの集約化・重点化が必要ではないか。地域の実情に応じた医療機関の役割分担と連携を推進するため、各医療機能についての考え方を整理し、第9次医療計画に向けて具体的な施設の在り方を見直してはどうかといったことが挙げられると考えております。
資料3については以上です。
引き続いて、資料4、周産期医療の提供体制等について御説明いたします。
1枚おめくりいただいて、周産期医療を取り巻く現状と取組についてです。周産期医療は多職種が関わり地域で支える体制が重要で、緊急的な対応と予測が困難で、常時一定規模の体制の確保が必要となります。
次をお願いいたします。
出生数は、先ほどもお示ししたとおり、年々減少しております。
次をお願いいたします。
日本の周産期医療は周産期死亡率、妊産婦死亡率ともに諸外国と比較して低くなっております。
次をお願いいたします。
妊産婦死亡率はOECD加盟国でも相対的に低い状況でございます。
次をお願いいたします。
出生数は御覧のとおり減少傾向でございますけれども、分娩取扱い医療機関もそれに伴って減少しております。
次をお願いいたします。
都道府県ごとの分娩取扱い医療機関数は、東京都が最も多く147、逆に最も少ないのが高知県の9となっております。
次をお願いいたします。
これを出生1,000人当たりで示しますと、東京都が最も少なくなってまいります。
次をお願いいたします。
こちらは病院と診療所の数を都道府県ごとに並べたものです。地域によってそれぞれまちまちである状況です。
次をお願いいたします。
出生場所ですが、1960年代以降は施設内での分娩が多数を占めるようになり、現在は99%以上が医療機関で生まれております。
次をお願いします。
病院においては分娩対応医師数は増加傾向にありまして、診療所においては微増となっております。助産師につきましては病院・診療所ともに増加傾向と考えております。
次をお願いいたします。
診療所の分娩取扱医師数ですけれども、約半数が2人未満となっておりまして、病院でも2人未満の施設がございます。
また、月間分娩数になりますが、5件未満の施設も一定数存在しているという状況になります。
次をお願いいたします。
産科診療所の医師の平均年齢ですけれども、60.2歳、常勤医師数は2.8人となっております。
非常勤も含めて麻酔科医がいる施設は全体の16.3%であったということでございます。
次をお願いいたします。
周産期母子医療センターは、平成29年までに全都道府県に配置が進んでおります。
次をお願いいたします。
分娩対応可能な医師数、当直可能な医師数は、いずれも総合周産期母子医療センターが地域周産期母子医療センターの2倍程度となっております。
次をお願いいたします。
総合周産期母子医療センターにおいては産婦人科医師数が10人以上の施設が多いですが、地域周産期母子医療センターは10人以上確保できているのは26.2%となっております。また、総合周産期母子医療センターでも25.2%が10人未満となっております。
次をお願いいたします。
NICU等を担当する小児科医師数ですけれども、複数勤務している施設は少なく、その他の小児診療を担当しながら新生児医療を担っていただいていると考えられます。
次をお願いいたします。
こちらは低出生体重児の割合ですけれども、近年は横ばい傾向にあると考えられます。
次をお願いいたします。
母体年齢ですが、35歳以上の割合が増加傾向にありまして、2023年においては35歳以上の割合は3割を超えております。また、母体の年齢が高いほど妊産婦死亡率は高いといったデータもございます。
次をお願いいたします。
こちらは一般医療機関と周産期母子医療センターとの連携を示したものですが、妊娠期から産後にかけて、様々なタイミングで多種多様な理由により搬送等の連携が実施をされているところでございます。
次をお願いいたします。
NICUは出生1万人当たり25~30床の整備を目標としてまいりましたが、平成29年に全都道府県において目標を達成し、現在は目標を大きく上回る都道府県もございます。
次をお願いいたします。
多くの総合周産期母子医療センターにおいては、NICUの病床利用率が75%以上でございますけれども、地域周産期母子医療センターでは約半数が75%未満となっております。
GCUはNICUの2倍の病床数を有することが望ましいとされてきましたが、総合周産期母子医療センターで33.6%、地域周産期母子医療センターで67.3%が50%未満となっております。
MFICUは総合周産期母子医療センターの6割以上が病床利用率75%以上でございますけれども、地域周産期母子医療センターでは6割以上の施設が75%未満です。病床規模によらず、施設によって様々な値を示しているといった状況にございます。
次のスライドをお願いいたします。
産婦人科の医師数ですけれども、緩やかに増加傾向でありまして、分娩取扱医師数も同様と考えております。
次をお願いいたします。
こちらは看護職員の就業者数でございますけれども、増加を続けておりまして、2023年には174.6万人となっています。助産師の数は4.2万人でございます。
次をお願いいたします。
無痛分娩ですけれども、令和2年には実施している施設は26.0%であったところ、令和5年には34.1%となっております。無痛分娩が出生数に占める割合も、令和2年には8.6%であったのに対し、令和5年には13.8%となっております。
次のスライドをお願いいたします。
都道府県別では、東京都、千葉県、神奈川県、熊本県は約4分の1が無痛分娩となっている一方で、岩手県、鳥取県、高知県ではこの調査を行った月において0件であったという状況でございます。
引き続いて、第8次医療計画を踏まえた取組について御説明いたします。御覧いただいている第8次医療計画の見直しのポイントを中心に御説明をしてまいりたいと思います。
次をお願いいたします。
周産期医療体制は、総合周産期母子医療センター、地域周産期母子医療センター、一般医療機関の3層構造で構成されております。
次をお願いいたします。
周産期医療圏は、二次医療圏に分娩取扱医療機関が存在しないことなどもあることから、二次医療圏よりも広い圏域で対応する必要が生じております。二次医療圏330に対して、周産期医療圏は263、19都県において二次医療圏と異なる設定がされているところです。
次をお願いいたします。
私どもはオープンシステム・セミオープンシステム活用を推進しております。これは産科診療所で妊婦健診を実施し、分娩は周産期母子医療センター等の基幹病院で行うものでございまして、現在全国で121の基幹施設がございます。
次をお願いいたします。
妊婦に対する遠方の分娩取扱施設への交通費及び宿泊費支援事業についても、こども家庭庁さんとともに実施しているという状況でございます。
次をお願いいたします。
無痛分娩についてですけれども、日本医師会、日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本麻酔科学会、日本産科麻酔学会、日本看護協会等の関連学会・団体による連絡協議会、JALAと申しますけれども、JALAとともに取り組んでまいりました。
自主点検表の項目を満たすような対策を取るように集中しておりまして、医療スタッフの研修、情報公開、インシデント・アクシデントの収集・分析・共有といった取組をしているところでございます。
次をお願いいたします。
現状と課題ですけれども、ハイリスク妊産婦に対応するため、周産期母子医療センターを基幹とした集約化に加え、妊婦健診や産後ケアを行う施設との役割分担などの取組を進めてまいりました。
また、昨年度より医師の働き方改革が開始され、偏在の問題もあって、地域では周産期医療体制に関わる医師・助産師・看護師の確保が課題になっております。
出生数の減少とともに、分娩取扱施設は減少傾向にございますけれども、これが急速に進むと、安全な提供体制に影響を及ぼす可能性があると考えております。
都道府県が作成する医療計画に基づいて、周産期母子医療センターの整備を進めてまいりましたけれども、特に地域周産期母子医療センターは施設によってその規模や提供できる診療内容に大きな差があるといった状況にあると考えております。
無痛分娩については、安全に実施するための体制整備が重要であり、JALAと連携した取組を進めておるところですけれども、医療従事者等の連携体制を充実させることが重要と考えております。
論点でございますが、これまでハイリスク妊産婦について集約化と役割分担を進めてまいりました。しかし、今後はハイリスク以外も含めて周産期医療圏を柔軟に設定しつつ、医療資源の集約化と役割分担を進める必要があるのではないかと考えております。
また、無痛分娩については、安全な医療体制を整備するための課題の整理と、医療従事者の連携の在り方について議論してはどうか。
出生数の減少を踏まえ、周産期母子医療センターの整備の在り方について検討してはどうか。こういったことを考えているところでございます。
以下は参考資料になります。
以上でございます。
○田邊座長 御説明ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局からの説明に関しまして、構成員の皆様方から御意見、御質問などを賜れればと思います。
御発言を求める方は、下のリアクションボタンを押して、さらに挙手ボタンというのを押して、座長の私のほうまでお知らせいただければ幸いでございます。
それでは、どなたからでも結構でございますけれども、御意見、御発言をお願いいたします。
それでは、今村構成員、よろしくお願いいたします。
○今村構成員 今村です。皮切りに意見を申し上げたいと思います。
御説明ありがとうございます。問題点の整理と今後の論点などについてはこのとおりだと思うのですが、事態はより切迫していると考えています。今の説明にありましたけれども、昨年生まれた子供の数は68万人です。社人研が68万人になるのはいつかと予想していたかというと、3年前の推計で2039年なのです。だから、3年前の推計が15年も外しているというなかなか強烈な状態が起こっています。ですので、事態はより急を要する状態になっています。つい10年ほど前までは100万人オーバーの子供が生まれていたのが、今、70万人とこれからどうなるかという推計も私はさせていただいていますけれども、基本的に婚姻数に比例して下がるものなのです。婚姻数が3割近く減っていますので、もう3割ぐらいは減るだろうということはほぼ予測できていまして、そうすると、出産をなりわいとするお産の診療所などは、もともとお産件数が減ってしまえば経営としては成り立たなくなってしまうので、事は非常に急を要すると思っております。
今、医療機関は9次で見直しに向けて動くということですけれども、9次の医療計画2029年の目標で検討を終えるというか施策として反映されていくわけなので、前倒しでもできる限り早く考えていかないといけない状況になっています。今まで医療計画は足りない部分をどう埋めるか、どう充実させるかということを専ら検討してきたわけですけれども、今回、小児、お産に関してはどんどん減っていく状態になりますので、これは全く逆の撤退戦のほうだと思うのです。混乱を起こさずにどう撤退していくかというのが集約という言葉で言われているわけですけれども、このまま施策を打つタイミングが遅れると、先に診療所や医療機関のほうが倒れるという事態が起こってきますので、非常に事は急を要する事態だと危惧しているということをまず意見として申し上げます。
もう一つだけ、お産に関しては、昨年までかけましてお産の保険適用の議論が活発に行われております。議論はお産の無償化という形で集約されているわけですけれども、これをどのような形で施策に反映させるかによって、特にお産を診ていただいている診療所の動向が変わってくるのではないかなと思っています。そちらの進捗はなかなか外からは見えないので、もしその進捗が言える状況があればぜひ情報共有してほしいと思いますし、そちらの施策がうまくいかないと、医療計画以前に各診療所が立ちいかなくなるということも考えられるので、そういったことも考えながら施策を打つ必要があると思います。
以上です。1点質問ですが、もし可能なら教えていただきたいと思います。
○田邊座長 御意見ありがとうございました。
質問は後半部分で、何か回答できることがございましたら、事務局、お願いいたします。
○近藤室長 事務局でございます。
今、無痛分娩を含めた分娩の保険適用といったところについての御質問がございました。現時点で情報提供できるところはあまりございませんので、適宜情報提供できる部分をしてまいりたいと考えております。基本的に質の高い安全な地域の周産期医療体制を将来にわたって確保していくということが重要だと考えておりますので、そのことは御指摘の医療保険給付の設計に当たっても検討の前提になると考えているところでございます。
その上で、医療給付に関する具体的な制度設計については、医療保険等の関係者を交えて議論する必要があるということで、本ワーキングとは別に所管部局である保険局を中心に対応されると認識しておりますので、本ワーキングにおいてはあくまでも小児及び周産期の今後の医療提供体制の在り方について御議論いただきたいと考えております。いずれにせよ、両者の議論は互いに深く関連するというのは御指摘のとおりでございますので、本ワーキングでの議論は保険局における検討の場にも適切に共有してまいりたいと考えているところでございます。
事務局からは以上です。
○田邊座長 今村構成員、よろしゅうございますでしょうか。
○今村構成員 無痛分娩に限らず、全お産が保険適用になるかもしれないという状況だと思いますので、それは保険局マターの議論だというのも理解できるのですが、こちらの施策に大きく影響するものなので、ぜひ向こうの情報等を共有しながらこちらの議論を進めてもらえればと思います。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
では、濵口構成員、よろしくお願いいたします。
○濵口構成員 日本医師会の濵口でございます。
今村先生から御指摘のありました内容でございますけれども、基本的に妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会で田邊座長を中心として1年間話をしてまいりました。結論とすれば、やはり標準的な分娩の無償化、そして、安心・安全な周産期医療体制の構築の両立を図るということが最終的に決まったわけでございます。
確かに事務局が言われているように、体制の構築の検討会と無償化という問題は切り離して議論すべきということもございましたけれども、最終的にはやはり出産の無償化という影響が全て周産期医療体制に影響するのは間違いないわけです。これは切っても切り離せない内容だと思いますけれども、ここで議論するということではなくて、どのように進めていくかというのを今検討しているところで、具体的な話合いはこれからということになろうかと思います。
それから、取りまとめをした後で、保険適用から無償化という言葉に変わりましたけれども、それをどういうふうに具体化していくかというのも今から検討していく形になろうかと思います。
最終的には社会保障審議会医療保険部会に諮る形になると思いますけれども、要するに今村先生が言われているように、ゆっくりと議論を進めている内容ではない、少しでも早くいろいろな分娩施設に対して経済的な支援をしていかなくてはいけないという状況は間違いないので、やはり急ぎ議論を進めていく必要は絶対にあるだろうと私は考えるところでございます。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。初回のキックオフの会議でございますので、御発言のある方はぜひお願いいたします。
では、奥山構成員、よろしくお願いいたします。
○奥山構成員 子育てひろば全国連絡協議会の奥山です。このような貴重な機会に構成員をさせていただきまして、大変光栄でございます。
妊娠期から幼稚園や保育所等に入園する前の親子の交流の場、地域子育て支援拠点等の事業者の中間支援組織となっております。日頃より出産間もない子育て家庭と接点が多く、小児科や周産期医療に関して保護者の方々の関心はとても高いと感じております。
小児科に関しては、お示しいただいたデータにおいても、救急は非常に多いのですが、入院するケースはそう多くないというようなお話でした。ただ、本当に不安が高い、また、夜間に子どもが少し急変するということもあって、24時間相談できる体制がとても必要だと思っております。♯8000の御紹介もあったのですけれども、これが自分の住まいとは別のところで相談を受けられるような状況もあると聞いております。そういうことを考えますと、救急車の適正利用に基づく救急アプリの活用であったり、地元の夜間の救急体制の情報をしっかりと得られるような体制を構築していただきたいなと思っております。
また、若い世代は就労家庭も多くて、やはり身近に健診や予防接種ができる体制が構築されていること、一方で、オンラインなどの活用についても、若い世代は全然そこに活用の不安というかちゅうちょはございませんので、そういったところの広がりにも期待をしているところです。
もう一つ、周産期医療についてなのですが、本当に子育て家庭にとっても出産できる場所がないというのは緊急事態だと思っております。自治体においても若い世代の転出にもつながる事態となり、非常に危惧しております。出産できる医療機関が市内に1か所もなくなった自治体が、1年かけて産科医を探して開業につなげたというお話も聞いたことがございます。一方で、働き方改革の問題も理解できるところでございます。そういった中で、市町村においては計画的に体制を整えてほしいと思います。例えば今日も御紹介がありましたが、妊婦健診や分娩時の移動にかかる交通費、宿泊費、公費での助成というのが始まっていると思いますが、あまり活用されていないとも聞いております。産後ケア事業との施設との連携も必要だと考えております。一部、島嶼部ですとか、それから、先ほどもオープンシステム等の紹介がありましたが、ここをもっともっと普及していっていただきまして、安心して地元で妊婦健診が受けられて、出産のときには移動するかもしれないのですけれども、そちらで安心して産めるような体制を都道府県計画、市町村計画の中で医療とともに全体としての体制整備を進めていっていただきたいなと思っています。一番困っているのは子育て当事者でございます。都道府県、市町村の役割も非常に重要だと思っております。
最後に、無痛分娩ですけれども、特定の市町で補助があるなどという話も聞かれます。私が活動しているのは神奈川ですけれども、4分の1が無痛分娩の選択というデータが示されており、安全性についてもさらに啓発、広報をしていただいて、安全な環境づくりをぜひ提供していただければと願っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、次は佐藤構成員、よろしくお願いいたします。
○佐藤構成員 日本小児科医会の佐藤でございます。
私自身は千葉県で小児科の診療所を開業している者でございますけれども、小児科医の立場から3点お話をさせていただきたいと思います。
まず第1に、これはよく見るところなのですけれども、資料3の10ページに小児科医の数を15歳未満の人口1万人当たりで比した図が出てまいります。これで見ると、どの地域も小児科医が足りているような結果でございます。けれども、実際は、子どもの数が少ないから小児科医が足りているといったことではありません。小児科医の役割は、例えば一般外来や救急医療の現場などで、単に疾病を診るだけではなくて、母子保健や学校保健といった保健活動、最近では5歳児健診もこれから始まってまいります。また伴走型の子育て支援という形であれば思春期診療ももっと充実させていかなければいけないと考えます。特にその中では先ほどの疾病の構造の中で精神及び行動の障害という部分が患者さんとして増えていることを考えると、人も時間も足りなくなっていってしまうといったところで、小児科医の数を全国的にどのように配置していくのか、考えていく必要があります。このことについては、小児科学会のほうも危惧されていらっしゃると思うのですが、例えば岩手県だとか鳥取県は今年は大学に専攻医として小児科の専攻医がゼロだったと。要するにそういうところでは全然増えていかないというような現実もございますし、あと東京と京都では小児科専攻医のシーリングがかかってしまって制限がされている。単に子どもの数と小児科医の数を合わせていくと偏在が大きくなり今後響いてくるのではないかなと危惧しております。
第2に周産期のほうでもお話がありましたけれども、新生児科医が常勤ではなく、病院の小児科医が併せて診ているような病院もかなりあります。本当の意味で小児科医、新生児科医の育成とその配置を真剣に考えていかなければいけないと思います。
そして第3は、救急の問題です。先ほど、小児の救急の入院は少なく、重症な患者も少ないというお話であります。しかし、あの数字にはからくりがあると思います。重症、中等症、軽症の入院数のことです。重症度はその後の入院日数によって分けているだけなのです。例えば熱性けいれんで運ばれていった子が数時間で改善し帰宅すれば、それは軽症なのです。ただし、運ばれているときには意識がなくてけいれんを起こしているわけで、これは誰が見ても重症であります。ですから、そういう患者さんは軽症だからといって救急の中から軽んじられるというのは、小児の特性からするとやはり違和感がございますので、小児の救急に関しましては、先ほど奥山構成員もおっしゃっていましたけれども、やはりお母様方の不安であるとか現実の状況、あと、急変するという危険性、そういったことも十分考慮していただいて議論していきたいと思います。私も千葉県で♯8000事業に携わっておりますけれども、非常に難しいです。トリアージがすぐに病院に行かなくても済むのだろうとしたいところがやはり心配な部分がたくさん出てきてしまうといったところで、小児の疾患の特性というものも考慮していきたい。その中には、今回話には入っていませんけれども、♯8000の相談の2割近くは頭部打撲だとか捻挫といった外因系の疾患がかなり多くあります。実際にそういう患者さんを時間外に診てくれるところがなくて、♯8000でも誘導するのに困っているというのが現状でございます。ぜひ小児医療の体制を考える上では、小児の外因系疾患を診てくれる病院等のネットワーク、連携というものも十分考慮して地域医療を構成していっていただきたいと思います。この3点についてお話しさせていただきました。ありがとうございます。
○田邊座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
では、伊藤構成員、よろしくお願いいたします。
○伊藤構成員 ありがとうございます。
提供体制ということで、小児医療と周産期医療それぞれについてコメントをさせていただきたいと思います。
まず小児医療の関係でございますけれども、総論といたしまして、この後議論が進んでいく周産期医療にも共通することだと思いますけれども、今後、出生数が減少していく中で必要な医療を確保していくためには、専門的な入院医療については拠点病院あるいは基幹病院が広い範囲をカバーした上で、外来、通院については患者になるべく身近なところでアクセスを担保していくことで、患者や家族の安心といったものが高まるのではないかと考えてございます。そうした観点で、30ページに論点というものを示していただいておりますけれども、これについては異論はございません。
小児の一次診療につきましては、内科など他の診療科の医師と連携したり、あるいは地域によっては病院の小児科に一般診療を担ってもらったり、あるいはオンライン診療を活用することも有効な方法だと考えてございます。
来年度からかかりつけ医機能報告によりまして、小児領域を担うことのできる医療機関、あるいは時間外診療の実態が分かってくると思いますので、そうしたデータも参考にしながら、地域の実情に応じて対応していくということが考えられるのではないかと思ってございます。
病院の小児専門医療につきましては、入院患者数が減少していくという中で、医師が広く薄く配置されているという状況でございますので、やはり集約化・重点化といったことをしていくことが必要ではないかと考えてございます。
また、今後の議論次第ということは承知してございますけれども、今後の方向性を早めに関係者間で共有してもらうためにも、今年度末を目途に一定の取りまとめをしていくということについても賛成でございます。
続いて、周産期医療の関係でございます。こちらのほうも37ページに論点を示していただいてございますけれども、これについても異論はございません。
小児の部分でも申し上げましたけれども、やはり高度で専門的な入院を集約化して、健診や産後ケアといった通院につきましては身近なところで対応していくという方向性につきまして賛同いたします。
ハイリスク妊産婦だけではなくて、一般の妊産婦への対応等も含めまして、医療資源を集約して、拠点病院の分娩体制や地域周産期母子医療センターの機能を強化しながら、その一方で、妊産婦が安心して出産できるように、34ページあるいは35ページに示していただいているような仕組みも活用しながら、地域において、機能に応じた役割分担と連携を進めることが必要だと考えてございます。
出産に関する保険適用について別の検討会で議論がされている状況でございますので、この場では提供体制というものについてしっかり議論していく必要があろうと考えてございます。
そういった中で、無痛分娩についてですけれども、実績がほとんどない地域もあるということでもございますし、学会や関係団体が協力して安全に実施していくための環境整備しているところでもございますので、まずはこういった体制の確立が必要だと認識しているところでございます。
以上でございます。
○田邊座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、こちらの議題2は本日のところはこちらで終了したいと存じます。
続きまして、周産期医療提供体制における取組についてヒアリングを行ってまいりたいと思います。
まず最初に、高知県健康政策部医療政策課の宮地参考人、高知県産婦人科医会の坂本参考人、高知県高知療センターの林参考人、以上の方々からヒアリングを受けたいと思います。
それでは、御発表、御報告をよろしくお願いいたします。
○宮地参考人 高知県医療政策課企画監の宮地と申します。
本日は、こういった場で高知県の取組を説明する機会を設けていただきまして、ありがとうございます。
私のほうからは、「高知県の周産期医療体制の現状について」といたしまして、昨年行いました周産期医療体制の将来像、ロードマップの策定に係る経緯などを紹介させていただきます。
次のページをお願いいたします。
本日お話しする内容としましては、現在の状況と検討した経緯、その取りまとめた対策となります。
次をお願いします。
まず、高知県の出生状況ですが、30年前に7,000人台だったものが年々減少し、昨年は3,108人と30年間で6割、15年間で見ても約4割減少している状況になっております。
次をお願いします。
そういった中で、現在の周産期医療体制ですが、医療圏としては4医療圏を設定しておりますが、左のほうにある緑色の高幡医療圏には14年前から分娩施設がない状況となっております。県全体でも病院が6か所、診療所が3か所の9か所のみとなっており、ほとんどが高知市内に集中しているという状況でございます。
次をお願いします。
15年前の全ての医療圏に分娩施設があった時期との比較です。出生数は4割減少したと先ほど述べましたが、分娩施設は21施設から9施設に約6割減少しております。大きく減少しているのは診療所で、出生数減と医師の高齢化が主な原因となります。ただ、中央医療圏以外はもっと前から減少しており、15年前の時点で既に最低限の確保しかできていないという状況でした。
次をお願いします。
続いて、検討を開始した令和5年度の状況です。最終的には、その時期に7か所あった病院のうち、6か所で計10名の医師が年度末までに減少するとの連絡がありました。令和7年度には7病院のうち2病院が分娩を休止しなければいけない状況が見込まれ、それでは県内の周産期医療が成り立たないということで、早急に対応を取る必要が出てきたことが高知県の周産期医療体制の将来像について考えるスタートとなりました。
次をお願いします。
この表は課題の発生を時系列に表したものです。
最初は7月に幡多けんみん病院の医師が1名退職するという情報が入ってきたところから始まり、その対策の検討過程において高知大学の医師減少とあき総合病院への医師派遣減と課題が大きくなってきました。さらに、10月には徳島大学の医師派遣減、12月には他の病院での医師退職が判明し、その間、県医師会からは課題が判明した早期より周産期医療改革の提案をしていただき、11月には周産期医療未来図検討委員会というものを県医師会のほうが立ち上げ、検討いただき、最終的には提言書の提出をいただいております。
県においては県周産期医療協議会を臨時で開催し、対応を検討してまいりましたが、場当たり的な対応で解消するのではなく、ロードマップを作成して、今後の周産期医療体制を計画的に考えないといけないとの意見が出たことから、周産期医療協議会の部会として位置づける高知県周産期医療のあり方検討会を立ち上げて検討することといたしました。
次をお願いします。
こちらは県医師会からの提言の主な内容となります。大きくは大規模集約化分娩施設の創設とセミオープンなどの病診連携の確立、遠方の施設での分娩となる中山間地域の妊産婦への対応となります。
次をお願いします。
こちらは提言いただいた大規模集約化分娩施設のイメージ図となります。単なるローリスク分娩への対応だけでなく、助産師の雇用を大きくし、院内助産や出張妊婦健診、妊婦相談、産後ケアなどを行い、県内助産師を統括する助産師活躍センターの機能も併せ持つ施設との提案をいただいておりました。
次をお願いします。
こちらは助産師活躍センターのイメージ図となります。こういった提言も参考にあり方検討会での協議を行いました。
次をお願いします。
こちらはあり方検討会のメンバー構成です。協議を迅速に行うため、人数を絞ったメンバーとし、周産期母子医療センターから産科医と小児科医、助産師職能団体の代表、主に医師派遣を行う大学等の代表、産婦人科医会代表といたしました。
会議は令和6年4月から計9回開催し、ロードマップを作成しております。
次をお願いいたします。
こちらはロードマップの概要になります。大きく4つの取組に分けています。それぞれの取組で、令和9年度までの短期の取組と11年度までの中長期の取組を整理いたしました。
詳細な説明は省かせていただきますが、このうちの周産期医療体制の確保では、令和7年度に分娩中止を検討していた2病院について、1病院には医師を派遣することにより分娩機能を維持することとし、もう一つの病院には、申し訳ないのですが、医師派遣のめどが立てられず、分娩取扱いを休止することとなりました。
また、県医師会からの提案の大規模集約化分娩施設については、郡部での取扱い施設をゼロにするということとなることから、すぐに対応することは県民に対して周産期医療体制を確保する県の責任の観点から難しく、その条件や方法などを事前に検討し、準備していくという内容とさせていただきました。
次をお願いいたします。
参考までに、こちらが現在のロードマップになります。
次をお願いします。
2ページにわたってこういう形でまとめております。
次をお願いいたします。
最後に現状と課題ですが、現状の分娩体制ですが、令和7年4月より高知赤十字病院に医師3名を派遣する体制を構築し、分娩体制の回復を図っています。安芸と幡多の県立2病院には医師数減のまま当面は分娩体制を確保することとしています。
医師確保として、昨年、若手医師への呼びかけを強化し、幸い令和7年度には新たに7名の産婦人科の専攻医に入っていただきました。その内訳としては、地域枠が3名、一般枠ですが、県の奨学金を利用している方が2名という内容となっています。そういったことから、分娩施設の産婦人科医師数は36名まで減っていたのですが、44名に増加しているという状況となっています。
また、その他としまして、産科麻酔科医の特任教授を高知大学に招聘しました。これは高知大学のほうからこういった取組をしたいという御提案がございまして、県として寄附講座を設けさせていただきまして、無痛分娩の実施体制の構築を開始しております。
また、それぞれ各病院が独自に行っていましたセミオープンシステムにつきまして、県下統一のセミオープンシステムというものを整備いたしまして、本年4月から開始しているという状況となっています。
ただ、少子化や医師高齢化などの課題は実は何ら変わっていないという状況で、根本的な周産期医療の危機的状況は解決していない状況です。ローリスク分娩施設の集約化も含めた体制検討というのは急務という状況となっております。
また、専攻医は増えたものの、研修施設が減ったことや少子化による症例数の確保などが新たな課題となっています。これは助産師の育成でも同様となっております。
また、県医師会から提案いただいた内容のうち、妊婦健診や産後ケア事業も含めた体制構築は十分にできていない状況で、こちらについても早急に検討が必要な状況となっております。今後もロードマップに沿って取り組んでいくこととしております。
私からの説明は以上となります。
○坂本参考人 高知県産婦人科医会会長、それから、高知県医師会の常任理事もさせていただいております坂本です。
先ほどの高知県の資料の8ページまで戻って共有させていただけますか。
高知県では産科医師の高齢化、県外転出、新規医師の減少等のため、分娩数の減少ペース以上のペースで分娩施設が減少するという事象が発生しまして、周産期医療が非常に危機的な状況になりました。
そこで、高知県医師会では、高知県周産期医療未来図検討委員会を設立し、今後の高知県周産期医療の在り方について、県内産婦人科施設の医師や助産師、行政、県議会議員等に皆さんにお集まりいただきまして、検討してまいりました。その検討結果を昨年7月22日に高知県濵田省司知事に提言書として提出させていただきました。図はその結果をまとめたものです。
その内容は、ハイリスク分娩は総合周産期母子医療センターの高知医療センター及び地域周産期母子医療センターである高知大学医学部附属病院に担当していただき、ローリスク分娩は集約したメガホスピタルであるこうのとりセンターを創設して扱うということを提案させていただきました。センターでは、多数の医師や助産師を抱え、多数の分娩を取り扱う能力を保持し、少々の分娩施設の減少にも動じない対応力を持ち、また、無痛分娩、その他の多様化する分娩にも即応できる能力を持たせるとしました。
また、現在分娩を扱っている既存施設については、その能力に合った分娩数を扱っていただき、分娩取扱いが困難あるいは閉院となればセンターが補完するということとしました。
また、近年増加している分娩を取り扱わず妊婦健診のみを行う施設には、センターと全てセミオープンシステムにて緊密に連携し、妊婦及び分娩のあっせんを確保するということとしました。
資料次のページをお願いします。
さらに、高知県の広域にわたる中山間地域における周産期医療及び産後ケアの確保のために、センター内に助産師活躍センターを併設し、助産師機能を分娩介助のみではなく訪問、妊婦健診、24時間妊産婦相談センター等による中山間部の妊産婦支援、さらに産後ケア統括センターとして機能的かつ統一化された産後ケアの実施とケアレベルの向上、さらに安全確保のための研修、そして、妊産婦の個々の状況に合った産後ケア計画の立案などを業務として、周産期医療から産後ケアのレベルの向上及びスムーズな移行を可能とし、助産師のマンパワーをフルに活用することを考えております。
私からは以上です。
○林参考人 続けてよろしいでしょうか。高知医療センターの林と申します。
高知医療センターは総合周産期母子医療センターです。
昨年のあり方検討委員会は、私が委員長として取りまとめをさせていただきました。
キーワードは集約化ということでいいとは思うのですけれども、いかにそこに少ない人員を集約化するというところ、建物に集約するのには人が必要ですので、そうしますと、昨年1つ出てきた問題は、JA高知病院がお産をやめたのですけれども、そこに優秀な助産師がたくさんいました。その中には県外に出ていった人もいますし、当院や高知大学に来た人もいますけれども、一度JAを退職して、当院あるいは大学の採用試験を受けて、それで合格して採用になるという非常にかわいそうな手続があるのです。これはどうしようもないところなのです。ですから、集約化する場合には、いかに雇用母体が違う人たちをできるだけ壁を下げてスムーズに動かしていけるかどうかということだと思っています。
ドクターについては、大学からの派遣という体制に基づいた医師であれば、そこは比較的スムーズにいく。ほかの病院の集約化でもそれは明らかなのですけれども、そうではない医師あるいは大学間が違う医師、そういった人をどうやって集約化するかということは今後の大きな課題だと思っていますので、ここは何かしらの施策をお願いしたいと思っています。
それから、人を確保する際に、今、大学病院、あるいは当院などの研修システム、プログラムもあるのですけれども、やはり人を集めて、今度は集めるだけではなくて派遣するということも必要なので、今、総務省の管轄で公立病院の経営強化ガイドラインといったものでも当院のような公立病院からの人の派遣ということも求められていますので、そういったことからも、厚労省だけではなくて、総務省の管轄する公立病院からも人を集めて人を派遣する。そういったものが地域の医療を支える中では必要ではないかなと私の立場では考えております。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、次に公益社団法人日本産科婦人科学会の三浦構成員から発表をお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○三浦構成員 よろしくお願いいたします。日本産科婦人科学会から推薦の三浦でございます。
今回は、学会が策定しております産婦人科医療ガイドライングランドデザイン2023について御紹介させていただきたいと思います。
スライドをよろしくお願いいたします。
このグランドデザインは、もともと日本産科婦人科学会で安定して高度な産婦人科医療を提供できる体制をサステイナブルに提供できることを目指して策定されておりました。これまでにも2010年、2015年と定期的に見直しを図って、その時々の状況に応じたグランドデザインを提案しております。
また、2018年には日本産婦人科医会と共同で医師の働き方改革についての宣言と提言を発出しております。その中で、ここにございますように地域の公的な分娩取扱病院の大規模化・重点化の推進と産科診療所等との連携の強化というところがその項目のうちの一つになっております。
次をお願いいたします。
そのような状況の中で、2024年の4月から医師の働き方改革が始まり、勤務医の状況、診療所の先生方の状況というのも非常に大きく変わっておりますし、先ほど議論の中にもございましたように、急激なスピードで少子化が進んでいるという状況の中で、多くの診療所の経営難といったところから分娩施設も急激に減少しているというところが背景にございます。
今日はグランドデザイン2023の基本的な考え方から現状、そして、私どもの学会が提言していることと、それを受けての事例紹介ということでお話を進めてまいります。
次をお願いいたします。
まずグランドデザイン2023の基本的な考え方ですけれども、次をお願いいたします。
ここに示しますように、このグランドデザインの基本的な考え方としては、学会だけではなくて全国民、つまり、行政、利用者、そして、妊婦、その家族も含めた全国民に向けての行動指針ということで、将来に向けた目標を設定して具体的な施策を実行していくというところを目的としております。そのフローについてはここにお示しするとおりでございます。
次をお願いいたします。
そうした中でこの提言書の中には、6つの項目が左側にグランドデザインとなされておりますけれども、もちろん医師の働き方改革の法律を守っていくことというのは非常に重要です。その中において、2024年の4月の状態では、連携Bといったところで宿日直許可を受けるような形において今の医療体制というのが保たれている状況ですけれども、このグランドデザインの中でも語られておりますように、見せかけ上の勤務医の経験負担ではなくて、やはり実効性のある働き方改革を進めていかないといけないということが、課題としてあると思います。大きくはB水準からA水準に、2035年には1,860時間から960時間というところで医師の時間外の制限というのが移行してまいりますので、それに応じて勤務医の数をしっかりと確保していくことが重要になるかと思います。
その中で、今日お示ししますのは地域医療提供体制の抜本的な見直しというところで、これから10年かけてしっかりとA水準に移行していくためには、地域の基幹病院への集約化と重点化、大規模化というところは避けて通れないところだと思います。また、機能分担の継続的な審議、それから、産婦人科医の参加というところ、地域、それから、地域医療を考えていく協議会の中にしっかりと入っていくことが重要だと思います。
ただ、その達成のためには、大規模化といってもそこへの人員の確保というのは非常に重要になってまいります。学会として想定している必要最低限の数というのは、総合周産母子センターで常勤医が20人以上、それから、地域の周産期母子医療センターで常勤医10人以上ということになります。現時点では、先ほど事務局からお示しいただいた資料にもございますように、多くの施設がこの基準はまだ満たしていない。地方においてはほぼ満たしていない状況だということになるかと思います。そういうような状況でどういうふうに進めていくかというところが、今後、第9次医療計画を出していく上では非常に重要な論点になるのではないかと思います。
そのほか、今、産婦人科医の状況としましては、女性医師、若手医師の割合というのが半分を超えてきておりますので、そういう中において女性医師が継続してこういったキャリアを積んでいく体制というのは非常に重要になってまいります。出産、育児あるいは様々な介護などを経てキャリアを形成していくということも重要になりますし、やはりアカデミックな医療機関でのトップを目指していく女性というのは非常に重要になってまいりますので、その間に学位取得というところも非常に重要になってくるのではないかと思います。
今日は主に医療体制の抜本的な見直しがなぜ必要かということについて紹介していきたいと思います。
次をお願いいたします。
このグランドデザインを策定するに当たって、大都市圏の東京、それから、地域ということで北海道と長崎を元に現状を把握しました。
次をお願いいたします。
その中で見えてきたことというのは、東京都に限っては、今、日本の産婦人科を専攻する医師の4分の1は東京都内に勤務しているという状況がございます。そういうことも反映して、先ほど申し上げましたように、周産期母子医療センター総合型であれば20人、地域の周産期母子医療センターであれば15人というところがございましたけれども、そういった医師数というのは既に東京都内においては確保できているという状況です。一方で、キャリア支援というところに関しては、育児や夜間の保育など、そういったインフラの整備というのは、医師に対する対応としては非常に重要だというところは学会として把握されております。
一方で、地方においては、北海道あるいは長崎県を特に調査しましたけれども、気象条件や離島などではアクセスの不備といったところが非常に大きいところなのですけれども、やはり地方では新規の産婦人科医の確保というのは非常に難しくて、一方で現在ある問題点としては、60代の産婦人科医が30~40%を占めている地域が多い。今の産婦人科医療というのはシニア世代で地方は支えられているというところがあるのですけれども、これから第9次を策定していく上で、次の10年間ということになってくると、その勤務医はリタイアが見込まれるので、非常に切迫した状況にあると思います。
そうした産婦人科医不足が極めて深刻な中においては、地方においてはアクセスにある程度不便が生じるとしても、施設の集約化・重点化は不可避であって、学会ではなくて、先ほどから資料の中にもございましたように、行政、住民を含め、関係者が真剣に地域で安心して周産期医療、婦人科診療が受けられる体制づくりが必要だということが示されております。
次をお願いいたします。
そこで、こういった抜本的な見直しのところでも非常に重要になるのは、繰り返しになりますけれども、基幹となる周産期母子医療センターを中心とした施設の大規模化・重点化というところになるのですけれども、それはマンパワーを集中することによって夜間休日でも質の高い安全な、NICU、GCUも含めた、そこで母体搬送とかそういったところの時間のロスや負担というところも減ってまいりますので、周産期医療を提供することが可能になるかと思います。
一方で問題となるのは、大規模施設までのアクセスが地域によっては非常に不便になるケースが出てまいりますので、そういった地域に住む住民に対しての交通費、宿泊費などを自治体が支援するような体制が非常に重要だというところが見えてまいりますし、やはり妊産婦、地域住民への説明というところは非常に重要になってまいりますので、各自治体が指導してそういった説明会というところをしっかりと開いていくことも重要だということが述べられております。
次をお願いいたします。
最終的なグランドデザインの2023年の提言になりますけれども、次をお願いいたします。
ここに示しますように、赤が2024年4月の時点で既にこれが開始されていることが推奨されておりますし、青、緑というのは今後A水準に移行していくにしたがって達成しなければいけない、目標になります。もちろん働き方改革の法律を遵守するということについては、ここに記載されていることは全ての自治体あるいは医療機関において実施されていることと思います。
また、2)の地域医療提供体制の抜本的な見直しについても、やはり医療体制を各医療圏、周産期の医療圏で把握して、地域の自治体、住民としっかりと共同して進めていくということが重要だと思います。先ほどの高知県の取組などが好事例になるのではないかと思います。
その中で非常に重要なのは、地方においては特に産婦人科医が今後急激に増加していくということは、あるいは自治体で都道府県の養成医とかが産婦人科医にどんどんなってくれるような状況になればまた話が変わってくるのでしょうけれども、そういう見込みが非常に低い状況の中では、この常勤医20人、総合型での20人、地域の周産期母子医療センターでの10人というところを目標にすると、やはり大規模な医師の集約化というところが非常に重要なテーマになってくるのではないかと思います。
そのほかについては先ほど述べたとおりになります。
次をお願いいたします。
そうした中で、長崎県でもやはり急激に少子化が進んで、特に離島においては年間の分娩数が50を切ったりしていて、分娩を停止する地域が出てきているのですけれども、やはりこうした地域では地域の周産期母子医療センターと連携することが重要になってまいります。その事例を紹介したいと思います。
次をお願いいたします。
長崎県においては、青いところが総合型の周産期母子医療センターで、医療圏に1つずつ周産期母子医療センターがある状況なのですけれども、離島においては母体搬送受入れ可能な総合病院がそれぞれ1つずつ設置されているような状況ですけれども、上五島病院とありますけれども、既に分娩数が32人となっておりますので、今月から分娩休止という状況になっております。島に産婦人科医が一人もいない状況で32名の妊婦をどういうふうに管理していくかということになります。
また、先ほどのセミオープンというシステムがございますけれども、五島中央病院では、分娩施設、診療所が今年の1月から閉院しておりまして、やはり経営難ということでセミオープンに移行しましたけれども、セミオープンでも診療所では経営が成り立たないというところになっております。こういったセミオープンシステムといったところに対する経営が成り立つような助成といったことも地域の中のグランドデザインの中で見えてきているところかと思います。
次をお願いいたします。
産婦人科医がいない島で複数名の妊産婦を管理するということになると、やはり地域の周産期母子医療センターとの連携ということになるのですけれども、ここで非常に大きな問題点として出てくるのは、夜間に妊婦が急変したときにどうやって搬送するかということなのですけれども、現時点では自衛隊のヘリということになるのですけれども、自衛隊のヘリというのも夜間は島によっては着陸できないというところで、そうしたところで、各省庁間でこういう妊婦さんたちに対して自衛隊の支援というところが必要になるのですけれども、この上五島病院においては、夜間に何か起こったときには誰も産婦人科医がいないところで何とか完結しないといけないというような状況になっております。
また、先ほど高知県にもございましたけれども、妊娠・出産の出産となったときに、宿泊施設を確保するということも地域医療の中では非常に大きな問題になっております。
次をお願いいたします。
こういった運用までに、すぐ運用できるわけではなくて、やはり各周産期母子医療センターの連携、それから、ICT化を進めて妊婦健診の情報を共有するようなサポート体制も必要になりますし、診療所との連携ということについては、地域の産婦人科医会との連携、そして、最終的には地元の住民への説明というところで非常に時間がかかりますし、様々な議論がなされている状況です。
次をお願いいたします。
また、妊婦への支援というところで、こういった支援をどういったところで助成制度を使っていくのかというところも重要ですし、やはりこの事例においても住民への説明で非常に住民からの意見というのが大きく紛糾しましたし、やはり丁寧な説明をしていくということも重要かと思います。
次をお願いいたします。
まとめになりますけれども、アクセスがある程度不便になるということは承知の上で、周産期医療における分娩施設の集約化・重点化というのは地方においては不可避な状況だろうと思います。
そのためには、学会だけではなくて、行政、住民を含め関係者が真剣に考えて、安心して周産期医療を提供する。特に地方においては婦人科の診療も同時に行っている病院がほとんどですので、婦人科医療に影響しないような体制も重要になりますし、人的な確保というところもしっかり考えていく必要があるのではないかと思っております。
以上でございます。
○田邊座長 御報告ありがとうございました。
それでは、ただいまの2つの発表につきまして、構成員の皆様方から御意見、御質問などをいただければと思います。先ほど申し上げましたように、リアクションボタンを押して「挙手」というボタンを押すということでお知らせいただければ幸いです。
では、よろしくお願いいたします。
それでは、今村構成員、よろしくお願いします。
○今村構成員 今村です。
また皮切りに質問させていただきます。
現場の切実なお話をありがとうございました。高知県の方と三浦先生に質問したいのですけれども、まず高知県は私が以前聞いた状況よりも非常に状況が悪化しているということに驚きました。質問の内容としては、高知県はこれからお産があと3割ぐらい減る予想が立っていると思うのですけれども、実際に3割減ったとして、今のこの新しい体制はもつでしょうか。もっと対策が必要なのでしょうかというのが1つ質問です。
三浦先生のほうには、長崎県の特に離島での取組についてここまでやっていただいているということに大変感銘を受けたわけです。私は長崎県の離島組合の理事も昔やっていまして、なかなか大変だということを知っています。その中で自衛隊のヘリですね。夜間にヘリコプターを飛ばすのは自衛隊しかできないわけですけれども、そのためには自衛隊の本部の了解を得ないと飛ばせないというようなかなか大きな難関があったと思うのですけれども、そこら辺のところはスムーズに防衛省から了解というのは取れる状況にあるのでしょうか。その辺のところを教えていただければと思います。
以上2点、もし可能ならお願いいたします。
○田邊座長 御質問いただきましたので、まず高知県のほうから御回答をお願いいたします。その後で三浦先生のほうによろしくお願いいたします。
○宮地参考人 高知県の状況ですが、これからもつかという点ですが、今の体制のままもつとは考えておりません。というのも、医療圏4つのうち、安芸圏域ですと現在でも出生数が120人程度です。これが今でも分娩施設を確保するにはなかなか数として確保できる状況ではないところを無理に確保している状況です。今後、数年以内に100を切ると思いますので、こちらは今後集約化というのは避けて通れない。
高知市内から一番遠い幡多地域においても現在300人程度、こちらのほうも施設として維持するのはなかなか難しいと思いますので、ただ、距離的に130キロとかありますので、こちらはどうするかというのはまた議論していくことが必要と考えております。
以上です。
○田邊座長 それでは、三浦参考人、よろしくお願いいたします。
○三浦構成員 御質問ありがとうございました。
離島における搬送体制というところで、夜間は自衛隊のヘリに頼らないといけない状況なのですけれども、現在も地域の自衛隊に搬送を要請すると、そこから中央省庁のほうに出動の許可を得て、そこからまた許可が下りたということの連絡を受けでないと出動できないので、やはりどんなに急いでも3~4時間のタイムロスができるような状況なので、夜間の搬送体制というのは非常に厳しい状況が続いております。
また、今回上五島病院が閉院するに当たって分かったことなのですけれども、全ての地域に夜間飛べるわけではなくて、この上五島という島においては夜間は着陸できないということが分かりまして、長崎県とかが要望を出しているのですけれども、なかなかそこは話が進まないということなので、今日からこの島に住む妊婦さんに何か起きたときには夜間は島内の産婦人科医ではない医師が何とかしなければいけないという状況なので、以前は常位胎盤早期剥離とかが起これば何とか助かっていた命も、今日からは助からないという状況になるのではないかなと思います。
なので、集約化と言っても、やはり交通のことですね。高知県とかも山間部とかいろいろあったりして、なかなか医療圏を越えての搬送とか難しい問題は長崎もあるのですけれども、また海を越えてとなると、こういうふうに夜間のヘリの体制とか、船の体制といったところと、気象条件によっても制限がまいりますので、こういったところの体制をどうするのかというところを考えないといけないかなと思っております。
○田邊座長 ありがとうございました。
今村構成員、よろしゅうございますでしょうか。
○今村構成員 ありがとうございます。
高知県はこれだけ進んだ取組をやってもらっても、やはりまだこれから先の変化に追いかけ切れないというのも切実な問題だと理解いたしました。ぜひ新たな対策の道筋をつけていただきたいと思います。
あと、三浦先生からもありがとうございます。自衛隊のヘリコプターは飛ぶ許可が下りるのに4時間ぐらいかかるということで、多分長崎県は大村に航空隊がいるから最も恵まれた環境だと思うのです。それ以外のところで自衛隊のヘリを夜間に飛ばすというのは極めて困難な作業なので、そこら辺のところも今後の対策の中では検討するべきだと思います。
今村からは以上です。
○三浦構成員 先生、追加発言なのですけれども、以前は大村の基地から飛んできてもらっていたのですけれども、自衛隊の内部の事情で、現在は九州北部は全部福岡の基地から飛んでいます。よって時間がかかるようになっています。非常に大きな問題です。
○今村構成員 そうなのですね。分かりました。ありがとうございます。
○田邊座長 それでは、次に家保構成員、よろしくお願いいたします。
○家保構成員 全国衛生部長会の家保です。
今村先生、御質問ありがとうございました。私は高知県の保健医療担当理事ですので、先ほどの宮地企画監の説明について少し補足させていただきます。
現在、周産期の医療圏は4つですけれども、ゆくゆくは2つに集約せざるを得ないかと考えております。ただ、高知県の中部と東部を1つの医療圏にしてしまいますと、高知市の中心部から2時間かかるような地域がありまして、やはり地元の住民、市町村に対する説明を丁寧にやっていかないといけませんので、その点は慎重にしていきたいと思っております。
高知県の状況は、やはり産科の診療所が非常に減ったことが大きな要因ですので、そういう状況を踏まえて、県の産婦人科医会、県医師会がかなり率先して議論を進めていただいたことが今回取りまとめの大きな貢献になったと思います。都道府県だけではなかなか進みづらいということは御理解いただきたいと思います。
それから、全国を見ますと、産科診療所の分娩が45.1%ございます。だから、将来的に10年とかを想定しますと、地方の都道府県ではかなり産科診療所が減ってくるのは見えますので、早い段階から将来を見据えて、各都道府県医師会、産婦人科医会と行政とが、今頑張っていただいている産婦人科診療所の先生方の意向も踏まえて、どうソフトランディングするのかを考えていくことが大切と思います。
去年やっていた分娩の検討会でも、産科の診療所がなくなって全て病院産科に行くと、今度は病院の産科が潰れるという話もされておられましたし、そこはソフトランディングするために早め早めに議論を進めるということを行政もやらないといけないと思いますし、各都道府県医師会や産婦人科医会にもぜひともそういうスタンスで臨んでいただきたいと思っております。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
高知県の坂本参考人、今の絡みでの手挙げでございましょうか。お願いいたします。
○坂本参考人 追加ですけれども、分娩施設は9施設あるのですが、そのうち有床診療所は3施設です。そのうち2つは高齢の院長で、跡継ぎは決まっていません。つまり、ここ数年以内に3つのうち2つはなくなる可能性が高いということです。先ほどお話ししたように、安芸病院もいつやめざるを得ないか分からないという状況ですから、そういったことが今後次々起こってくるのに対応しておかないと、高知県の周産期医療は大変なことになるので、こうのとりセンターのようなある程度大きい規模でゆとりを持って、閉院や分娩を停止した施設が出てもその分娩をいつでも十分キャパシティーを持って受け止められるような施設を早く考えないと駄目だというのが医師会としての提言でございます。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、関沢構成員、よろしくお願いいたします。
○関沢構成員 日本産婦人科医会の関沢です。
高知県は非常に厳しい状況の中で体制をいろいろ検討いただいていて、これが今後全国のモデルになっていくのかなと思って聞かせていただきました。
ここで、ハイリスクとローリスクという言葉が使われていて、両者の区別ができるようなイメージがあると思いますが、実際の分娩というのは、100人分娩すれば、その中の数%は緊急で帝王切開が必要になりますし、1%ぐらいは本当に急いで対応しないと、赤ちゃんが脳性麻痺になったり、重症新生児仮死の状況になってしまうもので、なかなかハイリスクとローリスクが分別できないというのが一番厳しい点と認識しています。
そういったことを考えると、このこうのとりセンターという大きな施設ができ、それは非常に理想的なことかと思うのですけれども、これが総合周産期、地域周産期センターの外にできるのか、中にできるのかというのがすごく大きな問題で、やはり総合周産期とか大きな人数を抱えるところがそういったところをケアして運営していくというような体制をつくっていかないと、両方を維持していくことはなかなか難しいのではないかと思いました。以上、感想です。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、井本構成員、よろしくお願いします。
○井本構成員 ありがとうございます。日本看護協会の常任理事の井本でございます。
高知県の皆様、そして、三浦先生、事例の御紹介をありがとうございました。
日本看護協会より看護職の立場として少しお話をさせていただきます。
かねてより看護職は周産期医療、小児医療それぞれの関係団体の先生方と様々協議を進めて参りました。また、国の施策に基づいて、タスク・シフト/シェアの議論においては院内助産等の推進も図ってきたところでございます。
しかし、昨今、会員からは県ごともしくは地域ごとに、少子化の影響を強く受け、それによって様々な看護提供体制にも影響が起きてているという報告があり、妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援等に関する検討会では混合病棟化の話を紹介させていただいたところです。そういった中においても、看護職がしっかり妊産婦や子どものケア、支援に携われるように、本会としてはしっかり研修等の拡充も進めていきたいと考えているところです。
高知県の事例の御紹介、本当にありがとうございました。非常に参考になる事例でした。特に林先生からは、助産師の実践能力及び雇用の点まで課題を示していただきありがとうございます。まさに課題としてお話しされていた雇用の障壁について、助産師が異動することを阻む場合もあり、本会の調査では、助産師が潜在化している実態が明らかになっています。
ぜひ本ワーキングでは、少子化の中においても、住み慣れた地域で妊産婦さんが仕組みの中で支援を受け、安全・安心な出産環境や子育てを続けていけるように議論をしていただきますよう、また、助産師等も含めた看護職の活用をお願いしたいと考えます。
以上でございます。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、三浦構成員、よろしくお願いいたします。
○三浦構成員 高知県の事例をお伺いして、幾つか周産期医療体制を考える上で大事な点があるかと思ったので質問させていただくのですけれども、今、セミオープンシステムというところは、例えば九州とかであれば、80%が地域の診療所で分娩しているというのですけれども、今後、大規模な周産期母子医療センターへの集約化というのは避けて通れないと思うのですけれども、そこに急に移行していくわけにいかないので、ソフトランディングしていくためには、やはり地域の医療を支えてくれている診療所の先生たちがセミオープンで一般の妊婦健診などを診ていただきながら周産期母子医療センターでの分娩というところをしっかりと定着させていく必要があると思うのですけれども、長崎県で見ていると、セミオープンに移行すると、やはりそこで経営が成り立たなくて、ほとんどの医院が閉院という形になっていくので、現在セミオープンシステムを取っているところは数年後には閉院するのだろうなというような状況になるのですけれども、先ほどの発表の中でセミオープンシステムというのを県で一括してコントロールするというところがあったのですけれども、その際に経営が成り立つような取組というところが何かあるのであれば教えていただきたいというのが一点。
もう一つは、やはり地方においてはどこも一緒だと思うのですけれども、周産期母子センター化するに当たって、そこで働ける若い医師ですね。20代、30代、40代、50代というところがそこで勤務する医師になると思うのですけれども、そういう若い先生たちが今後10年間でどんどん減少してくるというところが見えてくると思うのですけれども、その際に、それぞれの都道府県で養成している都道府県の養成医をいかに産婦人科医にリクルートするかというところは重要な問題だと思っております。
そこで、高知県のほうで7名のうち5名が県の養成医あるいは県から助成を受けている医師だったというところは非常に興味深いのですけれども、リクルートにおいて、例えば産婦人科医を選べば何かの義務が優遇されるとか、そういった取組があれば教えていただきたいというのと、もう一つは、診療所が閉院する原因になっているのが助産師の不足というところが非常に大きいのですけれども、その根本的なところは助産師を養成する学校がどんどん閉校していて、その後、5年から10年たつと若い世代の働き盛りの助産師さんがいなくなって、雇用できなくて閉院するというのが、少なくとも長崎ではそういうのが問題になっておりますので、助産師の確保というところについて何か問題があれば教えていただきたいと思っております。
以上です。
○田邊座長 3つほど御質問いただきました。セミオープンにしたときの経営の確保みたいなことと若い医者のリクルートの点、それから、助産師不足の問題に関してどう対応しているのですかということだと思います。
高知県のほうからどなたからでも結構ですけれども、御回答をお願いできますか。
○林参考人 林が御回答します。補足があればまた追加をお願いしたいですけれども、まず一つ、セミオープンについては当院、高知医療センターから先に始めたのですけれども、これは診療所の先生方が高齢化になってお産をやめるということが続いていったのです。分娩施設が減るのだけれども、その先生方に何とか周産期をまた支える立場で継続していただきたいというお願いする形でセミオープンをまず始めました。ですから、セミオープンをきっかけにお産をやめるということではなくて、セミオープンをしながら産婦人科診療所を継続していただけないかというスタンスで始めています。それを県全体に広げたというところで、今、県の取組としてやっていますが、当院と高知大学のほうで始めたことをまた適宜振り返りなども行いながら、そういった形で診療所の先生方に何とか踏ん張っていただくという一つの取組として始めたというのが現状で、実際にこれを始めたことで経営がどうかというところまで私たちの耳には入ってきていないのが現状です。そこからは分からないです。
○三浦構成員 その点ですけれども、私たちが経験するのは、セミオープンになったはいいのですけれども、やはり経営が成り立たないというところで、数年で継続できなくなるというケースが長崎の場合は問題になっていると思いますので、高知県のそういった今後の状況というのを教えていただきたいかなと。
○林参考人 13~15回ぐらい妊婦健診が、通常、県の補助券も出ていると思うのですけれども、初期と妊娠の32~33週以降が基幹病院に来ることになっていて、それ以外、特にハイリスクではない、そういう因子がないとなれば、診療所のほうでの妊婦健診をお願いしていますので、そういったことでは一定収入は確保されているのではないかなとこちらでは考えています。
○三浦構成員 やはり収入が確保できるかどうかというのはすごく大事なポイントで、私たちも先生方の取組のそういった部分をまた教えていただけたらと。
○林参考人 近々振り返りをするタイミングになっていますので、そこは1つ議題として聞いてみることにします。
それから、専攻医の確保についてです。幸い今年度は7名、当院が4名で高知大学で3名、機構の指針に従って、高知県は産婦人科の専攻医プログラムが2つあります。そういったことで、大学だけではない高知医療センターという選択肢があって、いい具合にシェアして専攻医が入ってきているという状況で、今までは大体年合わせて1名ということが7名急に増えたのはどうしてかということは我々も驚くのですけれども、一つの取組としては、大学と高知医療センターの医師が共同で産科婦人科学会がやっているようなサマースクール的なものを高知大学のほうでやりました。それをやりますと、5年生、6年生で40~50名集まるのです。産婦人科に興味を持っている人がこれだけいるのだということで驚くぐらいです。
そういった方々がどうやって高知県に残ってくれるかというところで、今度は県の仕組みになるのですけれども、この地域枠の取組が始まったときに、僻地と言われるところに重点的に研修に行くことでスタートしたのですけれども、産婦人科については高知県全体が僻地というレベルだということで、高知市での研修も償還の地域として認めていただいています。そういうことで、あえて先ほどの安芸や幡多に行かなくても、高知市でもその償還の年限に入っているということで人が確保できているとも思っていますが、研修プログラムの中ではきっちり高知県の中で研修をする。半年は幡多けんみんに行くとか、そういった中で、高知県の中できっちり産婦人科医師が回るという仕組みをプログラムの中で確保しているところです。
それから、もう一つ、関沢先生がおっしゃられたように、集約化すると、たくさんのローリスク分娩だけではなくて、中にはハイリスク分娩も含まれますので、今度はそこにやはり新生児の先生、何よりも麻酔科の先生、それから、助産師といった多職種がきっちりと確保された状態でないと、多数のお産はできないと思っていますし、当院でもロボット手術も始めましたけれども、今の若手がみんながみんなお産ばかりやりたいとは思っていませんし、我々も分娩も見ますし、ロボット手術、腹腔鏡手術もずっとやってきています。そういった地方においては産科だけでは済まされない人の育成というのがありますので、そこはやはりうまく人が回るような、循環する仕組みをつくらないと、一定インセンティブも地方に与えていただきながらやらないと、今はできないのではないかと。
当院でも新生児の先生方が非常に少なくなっていて、大変な御苦労をおかけしているところです。産科ということだけではなくて、婦人科の医療、それから、麻酔、新生児、やはりお金のかかる分野だと思うのです。不採算医療です。ですから、ここを安いお金で済まそうというのはとても無理な話で、きっちりと国はお金をかけていただくべき、特に人件費です。そういったところがかかる医療だということは改めてお願いしたいと考えます。
以上です。
○田邊座長 坂本参考人、これの関連の御発言でしょうか。お願いします。
○坂本参考人 追加ですが、先ほどこうのとりセンターが総合、それから、地域の母子医療センターとは別につくった形で高知県では提案しました。でも、これは最初は総合周産期母子医療センターである高知医療センターに併設してつくったらどうかという考えは医師会の中ではあったのですけれども、医療センターは対応困難とのことでしたし、地域周産期母子医療センターは大学病院ということで、現実的にはここにこうのとりセンターをつくるのは難しいと判断しました。そうしたら、既存の施設でもいいから、それを拡大するような形でこうのとりセンターを考えたらどうかということで、現実的には医師会のほうでは高知赤十字病院を今考えているのですけれども、そういうことでやっていましたので、全国的に母子医療センターとは別につくったほうがいいという意見ではないということをお話ししておきたいと思います。
それから、医師は別として、助産師さんが足らない可能性もあるということなのですが、ただ、助産師さんでも助産師業務を実際にできていない方もたくさんいるのです。助産師業務をしたいけれども、働く場所がないという方もたくさんおられます。例えばJA高知病院でお産が昨年から中止になりましたが、17人いた助産師のうち、1人だけ残った助産師さんに言われました。「先生、早くこうのとりセンターをつくってください。行きたい助産師がいっぱいいます。」と言われました。早くつくってくださいと言われました。ですから、隠れたマンパワーというのも掘り起こして、それを有効に使うということが非常に大事ではないかと考えております。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
宮地参考人、これ絡みの御発言でしょうか。でしたら、お願いします。
○宮地参考人 助産師の確保というところの御質問があったと思います。助産師の確保については、平成20年代ぐらいから高知県においては奨学金を出して確保するということをさせていただいています。奨学金を使っていただいた方については、県内で2年もしくは3年程度は働いていただくというような条件をつけた奨学金で、返還を免除するということで、医師と同じような形で確保ということをさせていただいています。
また、今年から始めましたが、産後ケアというのも今後必要ということで、産後ケアについても今後どうしていくかというのは協議会を立ち上げて検討するということで、そちらのほうでも助産師さんの活躍ということを検討していくことを始めたところになっております。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、宮川構成員、よろしくお願いいたします。
○宮川構成員 ありがとうございます。日本助産師会理事の宮川です。よろしくお願いいたします。
高知県のほうの取組で非常に助産師のことも注目していただいてありがたいなと思いますし、今、県の方がおっしゃっておられましたけれども、潜在助産師と言われる助産師の数はやはり多くなってきていますし、助産師の学校を卒業した後も、やはり分娩を取る場所が非常に少なくなっているということと、混合化の中で働いていくことで自分自身どうすればいいのかということで迷うような若い助産師たちも多くいるというのが実態だと思います。
高知県のこうのとりセンターの取組の中で、今、産後ケアにも力を入れていかなければとおっしゃっていただいておりました。本当に産むだけではなくて、妊娠中から分娩、そして、産後、子育てというところを丁寧に寄り添いながらやっていくということが虐待防止とかにつながっていくと思いますので、そういう部分では、高知のほうにも14件ぐらい開業助産師が、既に地域でそういう部分で働いている者もおりますので、そちらのほうの活用とかもこうのとりセンターと一緒にまた考えていっていただければなと思います。
それと、この答申が知事に述べられた後なのですけれども、今年度の春に分娩を取り扱う助産所が1件開業しているという届出を受けておりますので、またこちらのほうも一度情報収集をお願いできればと思います。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、濵口構成員、よろしくお願いいたします。
○濵口構成員 ありがとうございます。
先ほどから高知県の実情、それから、長崎の実情の御紹介がありましたけれども、さらに詳しいお話を聞きたいところでございます。実を言うと、私も長崎県の離島で勤務しておりましたので、実情はよく把握しております。
私がお話ししたいのは、今、新たな地域医療構想の議論を国でやっていまして、その下にこのワーキングがあるわけでございますけれども、現実的にその中で小児医療・周産期医療の強化というのは日本医師会でも大きな柱として考えてやっているところでございます。
一方、現実の医療機関の現状を見ますと、御存じのように、病院の多くが赤字、診療所も4割が赤字で経営状態が非常に厳しいわけです。一番は、健全な経営の上にこういった議論が成り立つわけで、そこが成り立たないと、構想を話しても本当に机上の空論になっている可能性があると思います。
そういった意味で、日本医師会では国に対し、小児医療・周産期医療に対する支援を要請し、令和6年度補正予算では緊急的な支援パッケージとして55億円が支給されたと思いますけれども、そういった金額では満ち足りているとは到底考えられていないわけで、やはり今言っているような皆様方の各施設に対して補正予算が届くようにならないと、皆さんが考えている構想に向かっていかないので、そこの部分は日本医師会としては国に強く要望しているところでございますので、それだけお知りおきくださいということでお話をさせていただきました。
以上でございます。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、内田構成員、どうぞよろしくお願いいたします。
○内田構成員 ありがとうございます。私、日本麻酔科学会を代表してお声がけいただいた内田と申します。
今回の御議論を拝聴しておりまして、どちらかというと地域で医療が提供できないところにどう対応するかというところの御議論が中心だったと思いますので、私の話は今までの議論とはずれるかと思うのですけれども、麻酔科の立場としまして、今、東京都では無痛分娩の補助というのが始まりましたので、この10月1日からということですので、まさに今からということですけれども、実際に麻酔科医が無痛分娩を提供するということが困難な状況でどのように安全な対策をつくるかということを検討しておりまして、東京都の麻酔科医の中でもサイトビジット、実際に無痛を行っているところで、先ほども御説明がありましたJALAの自主点検表というものがございますけれども、それに基づいた体制が組めているかどうかということを実際に視察して、必要に応じてアドバイスなどをするというようなことは少しずつ始めております。
ただ、グッドリスクの妊婦さんの場合でも、無痛分娩に伴う合併症の中でも、比較的緊急事態になるものというのは頻度は低くても起こり得る。注意しないといけないのは、無痛分娩というのは日本は文化的に今まであまり広がっていなかったということがございましたけれども、やらないと治療できない医療行為でないことをあえて行った結果、患者さんが危機的状況になるということが起こり得る診療行為である。ですので、安全対策、何か起きたときにきちんと救命できる体制がいかにつくられるかということを麻酔科医の関わっている人たちは非常に心配しております。
特に補助の話とかが出てきたことで、文化的にも日本人の考え方が変わってくることで、より無痛分娩を求める、患者希望による無痛分娩というものがこれから増えてくると思われますけれども、それに伴って母児ともに本来無痛をしなかった場合であれば起きなかったような合併症が今後起きてくる可能性というのがやはりあると考えられますので、いずれにしても、発生してからそれに対する対処までの時間的猶予がないということが麻酔科の担当している人たちの頭を悩ませているところでございます。
なので、一番理想的には複数の麻酔科医、麻酔科1名でもいざ蘇生ということになるとかなり厳しいですので、麻酔科医が複数名で無痛分娩に携わるという体制がどの病院でもできるというのがアクセスも確保した上で安全性を提供するという意味では一番理想ですけれども、現状はやはり大きな病院のほうに早く運んでいただくという判断をしていただくことも重要である。その辺りの部分の医療者全体の教育も必要ですし、それから、今、集約化というのは全国の流れであるというか、産科分野に限らずあると思うのですが、どうしても今、大病院と言われるところにいる麻酔科医の大半は、先ほどもありましたけれども、経営の問題からしますと、全身麻酔手術のほうにより関わることで手術件数を増やすということが病院の経営陣から求められております。ですので、現状の保険診療の評価額からしますと、無痛分娩に対する麻酔科医をそちらのほうに割り振るというインセンティブがなかなかつかないという状況もございますので、麻酔科医が常に手術麻酔のほうに忙殺されていてほかが出せないという状況がございます。
ですので、集約化をさらにそこで進めて、無痛なり産科の分娩の件数をそういった病院に集約化させる場合には、やはり相当思い切った人材の再配置ということは今後必要になってきて、恐らく多くの場合は病院の経営の個々の努力、あるいは自治体の方々の努力でやってこられたことだと思いますけれども、こういったワーキングループを通じて、厚生労働省からもその辺りの人員配置についてより強いメッセージを出して、必要な政策を出していただくということが重要ではないかなと感じております。
以上です。
○田邊座長 それでは、様々な御意見をありがとうございました。本日の議論はここまでとさせていただきたいと存じます。
事務局におかれましては、本日いただいた御意見を踏まえた議論を今度行えるように、次回以降の資料等の準備を行っていただきますようお願い申し上げます。
最後に事務局のほうから何かございますでしょうか。
○近藤室長 本日は活発な御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。
次回のワーキンググループについては、詳細が決まり次第御連絡いたしますので、引き続きお願いいたします。
○田邊座長 それでは、本日のワーキンググループはこれまでとさせていただきます。様々な御意見を賜りまして、ありがとうございました。
それでは、これにて閉会といたします。

