第4回地域医療構想及び医療計画等に関する検討会:議事録

日時

令和7年9月11日(木) 17:00~19:00

場所

航空会館ビジネスフォーラム 7階大ホール
東京都港区新橋1丁目18-1

議事

○鈴木課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから、第4回「地域医療構想及び医療計画等に関する検討会」を開会いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして誠にありがとうございます。
 本日は、対面及びオンラインによる開催とさせていただいております。オンラインでの参加に係る留意事項につきましては、事前に送付しております「オンライン参加の留意事項について」を御覧ください。
 議事に入る前に、資料の確認をさせていただきます。事前に、議事次第、構成員名簿、省庁関係出席者名簿、配席図のほか、資料1、参考資料を配付いたしましたので、お手元に御準備いただきますようお願いいたします。
 なお、構成員に交代がございましたので御紹介いたします。
 お手元の参考資料、地域医療構想及び医療計画等に関する検討会開催要綱を御覧ください。岡山県鏡野町の石原構成員に代わりまして、山梨県身延町の松田宜親福祉保健課長が新たに構成員となられました。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、松田晋哉構成員、望月構成員から、御欠席の御連絡をいただいております。
 また、岡構成員、鈴木構成員から、遅れての御参加となる旨、御連絡をいただいております。
 また、本日、オブザーバーとして、総務省自治財政局準公営企業室の德大寺室長、文部科学省高等教育局医学教育課の松本企画官に御出席いただいております。
 冒頭のカメラ撮りについては、ここまででお願いいたします。
(冒頭カメラ撮り終了)
○鈴木課長補佐 それでは、以降の進行は遠藤座長にお願いいたします。
○遠藤座長 皆様、こんにちは。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入る前に、代理出席についてお諮りをしたいと思います。
 本日の会議につきましては、全国自治体病院協議会の望月構成員の代理としまして、副会長の松本昌美参考人の御出席をお認めいただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。
(構成員首肯)
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、議事に移らせていただきます。本日の議題は「医師偏在対策について」でございます。
 それでは、関連する資料について、事務局からの説明をお願いしたいと思います。
○佐野室長 よろしくお願いいたします。事務局でございます。
 それでは、資料をお手元に御用意ください。
 2枚目のスライドをお願いいたします。
 本日は、医師偏在対策について御議論いただきたいと思っておりますが、こちらにある2つの論点、1つ目が医師偏在指標に関する考え方について、そして2つ目が診療科偏在対策等の地域で必要な診療の確保についてという2つの論点から御議論いただきたいと思っております。
 それでは、4枚目のスライドお願いします。
 4枚目から9枚目につきましては、過去の資料を載せておりまして、これまで医師偏在対策ですとか医師確保について厚生労働省で取り組んできた取組について、全体的に御紹介させていただいております。
 まず4枚目といたしましては、医師確保対策に関する取組といたしまして全体像を提示させていただいております。
 5枚目のスライドにつきましては、医師養成過程を通じた医師偏在対策として、大学医学部における地域枠の設定であったりですとか、あと臨床研修、専門研修における取組を御紹介させていただいております。
 6枚目のスライドですが、こちらが各都道府県で設定されております医師確保計画を通じた医師偏在対策についてというところで御紹介させていただいているところでございます。
 まず医師偏在指標を算出して、医師多数区域、少数区域を設定して、それぞれに医師の目標数を定めていただいてというふうな形で医師確保に対して取り組んでいただいているという図でございます。
 7枚目のスライドが、地域医療対策協議会と地域医療支援センターについての概要について載せさせていただいております。
 先生方はよく御存じのことだとは思いますが、地域医療対策協議会のほうで、都道府県、大学、医師会、主要医療機関、民間医療機関等の様々なステークホルダーの方々に集まっていただいて、医師確保対策の具体的な実施に係る調整を行っていただいて、具体的な様々な細かなところの実際の運用については、地域医療支援センターのほうで実施していただいているという図でございます。
 8枚目のスライドを御覧ください。
 こちらは地域枠の先生方等に行っているキャリア形成プログラムについて全体像を載せさせていただいております。
 まず大学医学部における修学資金の貸与ですとか、その後のキャリア形成においてプログラムをちゃんとサポートしていっているという状況でございます。
 9枚目のスライドが、医師少数区域等で勤務した医師を認定する制度についてというところを御紹介させていただいております。
 医師少数区域における6か月以上の勤務をした先生を認定した上で、ある一定のインセンティブを与えているというものとなります。
 続きまして、10枚目から13枚目につきましては、こちらも既存資料となりますが、実際にこういった取組をした中の目標の達成状況について御紹介させていただいております。
 まず、医師少数県における目標の達成状況として、医師少数県16県のうち目標を達成した医師少数県は6県、医師少数区域105区域のうち43区域は達成しているという状況でございます。
 11枚目のスライドが、35歳未満の医療施設従事医師数の推移となっておりまして、医師多数県よりも医師少数県で増加率が非常に大きいという形となっております。
 12枚目は、全体の医療施設従事医師数の推移となっておりまして、こちらのほうも35歳未満に比べるとごく僅かではありますが、医師多数県よりも医師少数県のほうが伸び率が高いという形となっております。
 13枚目のスライドが、二次医療圏における35歳未満と全体の医療施設従事医師数の推移についても御紹介させていただいておりますが、都道府県とよく似たような形となっているという状況でございます。
 14枚目、15枚目のスライドが、こちらも既存資料となっておりますが、昨年末に取りまとめさせていただきました医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージの概要となっております。
 まず14枚目に全体的な概要として、様々な施策を用いて実施していく必要性があること。そして15枚目のほうにさらに詳しい内容を載せさせていただいて、若手だけでなく中堅、シニア層にも伸ばしていきましょうという話を記載させていただいております。
 16枚目と17枚目のスライドが、令和6年度の補正予算で我々のほうで予算を確保しまして実施しております偏在対策の2つの事業について紹介させていただいております。重点医師偏在対策支援区域(仮称)における診療所の承継・開業支援事業と医師偏在是正に向けた広域マッチング事業でございます。
 18枚目に医師偏在指標、つまりこういった医師の偏在対策に用いられている偏在指標の算定式を再掲させていただいておりまして、19枚目から24枚目のスライドまでの中で、各都道府県別の医師偏在指標、そして二次医療圏別の医師偏在指標について、令和6年1月に公表させていただいたものを再度掲載させていただいております。
 25枚目のスライドからが本日の前半部分の本題となりますが、医師偏在指標に関する主な御意見と進め方についてというところで、本年7月24日の第1回の本検討会において御提示させていただいたスライドとなっております。今まで医師偏在対策についてですとか、医師偏在指標について様々御意見をいただいておりました。それを上のほうにまとめております。
 それを踏まえて、下の赤の網かけのところにおきまして、令和9年度からの医師確保計画に向けましては、医師偏在指標について以下の3点に留意して検討してはどうかということで頭出しさせていただきました。
 まず1つ目の矢羽根として、地理的要因を反映した上で区域を設定することについて、2つ目の矢羽根として、性・年齢階級別の医師の労働時間比率について実態に即したデータを反映することについて、そして3つ目の矢羽根として、高齢医師が多く数年後に医師少数区域になる可能性がある等、医師の年齢構成の違いの範囲についてとなっております。
 26枚目のスライドが、当該検討会におきましていただきました医師偏在指標に対する主な意見となっております。
 まず1つ目に、地理的な要素を反映することについては賛成だが、客観的に判断できるようにすることが重要だという御意見ですとか、それ以外にも様々なことを把握して、全体の内容の把握が必要ではないかという御意見をいただいております。
 27枚目のスライドを御覧ください。
 こちらが現行の医師偏在指標に地理的な要素を反映した上で区域を設定することについてというところになります。
 上の薄い紫で網かけしているボックスを御覧いただければと思います。地理的要素というものは、医師不足地域の医療提供体制を検討する上で非常に重要であるというふうに我々としても考えております。医師偏在指標は、人口10万人当たり医師数をできるだけ精緻に把握する目的の指標でありまして、その計算式には、アクセスの結果である流出入調整係数を含んでいるものの、地理的要素を十分に反映していないという意見が多いという状況でございます。
 現在、人口密度、医療機関への距離、離島、特別豪雪地帯を要素とした日本国内における医療機関へのアクセスに関する尺度が存在しておりまして、こういったものを実際に反映することが可能な地理的要素を真ん中のほうに出させていただいておりますが、こういったものがございますというところを踏まえて、下の青のボックスになりますが、次期確保計画における医師少数区域の設定に当たりましては、こうした地理的要素を一定程度反映して医師少数区域を設定することとしてはどうか。そして、地理的な要素を具体的にどのように反映するかについては、引き続き検討させていただきたいと思っております。
 28枚目のスライドを御覧ください。
 こちらはあくまで仮定で参考というところで、一度こういった形でプロットしてみたところ、やはり医師中程度区域や多数区域であっても、医療機関へのアクセスの程度にはばらつきが存在しているということが分かるかと思います。
 29枚目のスライドを御覧ください。
 性・年齢階級別の医師の労働時間比率について、実態に即したデータを反映することについて、上の薄い紫の網かけのところを御覧いただければと思いますが、令和5年度の医師偏在指標の算出において用いられた令和4年の労働時間比率に関する調査では、20代、30代の若手医師を中心に労働時間の短縮が見られております。また、女性よりも男性の労働時間の短縮が相対的に大きいという状況でございます。
 さらに、都道府県におけます医師確保計画の策定に向けました準備期間の確保の観点からは、可能な限り早期に医師偏在指標を算出することが望ましいものの、より実態に即したデータを反映する観点から、最新の調査結果を反映した医師偏在指標の算出が求められると考えております。
 それを踏まえて、下のボックスになりますが、なかなか難しい話になると思いますが、時間との戦いもあると思いますけれども、医師偏在指標に用いられる医師の性・年齢階級別の労働時間比率を含め、次期医師確保計画に向けた医師偏在指標の算出に用いるデータにつきましては、可能な限り最新の調査結果を反映することとしてはどうかとさせていただいております。
 30枚目のスライドが3つ目の矢羽根に対応するものとなっておりまして、高年齢医師が多く、数年後に医師少数区域になる可能性がある等、医師の年齢構成の違いの範囲についてという形となっております。
 上の青で囲ったボックスを御覧いただければと思いますが、医師偏在指標というのは、人口10万人当たり医師数を基本として、医師数ですとか受療量の状況を一定程度精緻に反映させた指標でありまして、既に医師の年齢構成については、標準化医師数の算出過程においてある程度反映されているという状況です。
 ただ、一方で、都道府県ですとか二次医療圏におきましては、医師偏在指標の値が同じであっても、需療量当たりの標準化医師数が等しくとも、高年齢医師の割合が多く、若手医師の流入がなければ将来的には医師が不足してしまう地域も考えられます。そういった地域における医師の確保については、やはり各地域の実情に応じて適切に対応していただく必要性があると考えております。
 それを踏まえて、下の青の網かけのところを御覧いただければと思いますが、医学部臨時定員の配分方法につきまして、令和8年度の医学部臨時定員は、医師の年齢が高年齢医師に偏っている場合などは削減幅を緩和する、または削減をしない取扱いとしておりまして、令和9年度の医学部臨時定員においても、地域の実情に応じた配慮については継続することを検討しているという状況です。
 また、当該区域が医師少数区域でない場合であっても、医師少数スポットに指定することで、キャリア形成プログラム対象医師、つまり若手の地域枠の先生方の派遣先区域等として若手医師を確保することができるほか、医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージに基づく経済的インセンティブの対象となる重点医師偏在対策支援区域に指定することで、重点かつ優先的に対策をある程度柔軟に進めることが可能でございます。
 こういった取組を行ってもなお医師不足が進行する地域または将来的な医師不足が懸念される地域につきましては、こういった医師確保の取組は継続していただきつつも、例えば拠点病院からのオンライン診療を実施するなど、現時点での医療の確保に向け対策を講じることとしてはどうかと思っております。
 31枚目のスライドにつきましては、今までのところをまとめたものとなっております。
 続きまして、よろしくお願いいたします。
○和泉医師養成等企画調整室長 続きまして、医政局医事課でございます。
 32ページ目以降につきましては、本検討会で構成員の皆様から診療科偏在の対策ということで議論をすべきということでございましたので、その御指摘を踏まえて資料を御用意しております。前半に総論的な内容、そして後半に、論点の性質に応じて各論をお示ししておりますので、順次御説明させていただければと思います。
 33ページ目は医師数の経時的な推移でございまして、全体として増加する傾向にあるということでございます。
 34ページ目は診療科別の医師数の伸びの推移となっておりまして、診療科ごとに伸びのペースは異なっているという状況でございます。
 35ページ目は診療科別の医師数ということで、数字の実際の伸びということでございまして、御参考となっております。
 36ページ目、若手の医師である専攻医の診療科別の採用数の推移となってございますが、近年専攻医は増加しているところでございますけれども、その診療科別の内訳につきましては、全体としては大きな変化はないというところでございます。
 37ページ目でございますけれども、医師届出票の情報に基づきまして、医師少数区域に従事する医師数を、全国の平均と比較しまして、より少ない区域が診療科別にどのようにあるかということをお示ししておりまして、赤いところが、医師が少ない割合が高い区域ということでございまして、図の上のほうにある診療科は、医師数が平均と比べて少ないという区域がより少ないというところでございます。下のほうには、平均と比べて少ない区域がより多いということで、赤い領域が並んでおりまして、診療科ごとに状況が異なるということでございます。
 38ページ目にお進みいただきまして、診療領域ごとの患者数ということで、患者調査に基づきますけれども、高血圧等の内科疾患のほかにも様々患者が多い領域というものがあるということで、御参考までにお示しをしております。
 39ページ目以降、先ほど前半にもお示ししましたが、医師確保対策に関する全体像でありまして、40ページ目は医師養成過程を通じた取組でございます。一部、委員から御指摘もありましたので少しコメントさせていただきますと、今、医学部定員については配分の検討をしておるところでございまして、医師多数・少数のみならず、医師の年齢構成等によってその配分の調整をさらに丁寧に検討するということをさせていただいておりますし、一番下の専門研修に関しましては、シーリングに関連する制度を今回見直しをさせていただいておりまして、都道府県も含めて、様々シーリング制度に関して御協力いただけないかということを現在検討しているところでございます。
 おめくりいただきまして、41ページ目は医師確保計画に基づいて都道府県が行っている医師確保対策でございます。
 42ページ目にお進みいただきまして、医療計画のスライドでございますけれども、診療科偏在対策の観点では、右下に赤く囲っておりますとおり、産科や小児科につきましては個別の領域として対応を行っているということでございます。
 43ページ目に、これまで本検討会で御指摘をいただいた点を抜粋させていただいておりますけれども、診療科偏在に対する議論が必要である旨、御指摘をいただいていると認識しております。
 44ページ目は、これまでの状況を踏まえまして、診療科偏在に関する検討のアプローチについて記載をしております。
 まずリード文ですけれども、医師数は経時的に増加の傾向にあるところでございますが、診療科ごとにその増加のペースは違うところでありまして、また、医療計画等に基づいて医療提供体制確保の観点から、特に周産期等で取組を進めているということ。それからさらに二次医療圏ごとの医師少数区域における医師数を見ますと、全国と比較して医師が少ない区域の数というのは診療科ごとに異なっておるということでございます。
 こうしたことを踏まえながら、診療科偏在につきましては、いろいろな課題あるいは対応の方策が考えられると思っておりますので、下のほうにあるような視点に基づいて検討してはどうかということでございます。
 まず視点の1番目としましては、まさに医師数の伸びが緩慢であるといった形で、担い手の確保の観点というものがあるかと思います。
 視点の2番目といたしましては、地域の医療提供体制を維持する観点での検討が必要なもの。
 視点の3番目としましては、医師少数区域で医師が少ない一方で、一定の医療ニーズがある場合などについては、地域でのアクセスを確保するといった観点が重要ではないかといったような考え方でございます。
 以降、こうした視点に基づきまして、現状等について御説明できればと思います。
 まず1点目の担い手の確保の観点ですが、47ページ目までお進みいただきまして、診療科別専攻医採用数の推移の再掲でございます。特に右上にありますとおり総合診療を専攻する医師につきましては、経時的には増加の傾向にあるということでございます。
 48ページ目、総合的な診療能力を持つ医師の養成に関する大学や大学病院の取組といたしまして、地域枠の医師であったりとか若手の医師に対して、総合診療医の教育・研修を充実させるための事業を行っておりまして、また、49ページ目にお進みいただきますと、昨年策定をいたしました医師偏在対策に関する総合的な対策パッケージに基づきまして、中堅、シニア世代に向けたリカレント教育を全国的に推進するということで、現在このページの下方にございますとおり、実施団体を採択させていただいておりまして、具体的な取組につなげる準備をいただいているところでございます。
 50ページ目は御参考でありますけれども、リカレント教育における取組の一例でございまして、研修のプログラムの中で、内科等に限らず様々な診療科に関する研修というものを受けられるようにするなど、幅広い対応が可能となるような内容を盛り込んでいただいているということです。
 51ページ目から53ページ目まで続いておりますけれども、リカレント教育に係る認識の調査ということで、医師への調査ということで、日本医学会連合で調査されたものを参考として置かせていただいております。
 54ページ目以降でございますが、総合的な診療に関連をいたしまして、臨床研修制度におきましては、このスライドの下のほうにありますとおり、一般的な診療について基本的な診療能力を身につけることとされておりますので、この状況についても少し御説明をさせていただきます。
 おめくりいただいて、55ページ目でございますけれども、臨床研修は平成16年から必修とされております。ページの右側の上から2番目の箱の③にございますが、様々な診療科について研修するということになっておりまして、56ページ目に進んでいただきますと、その中身を少し詳細を書かせていただいておりますが、大きな2番目、真ん中にありますとおり、多様な診療科であるとか経験すべき症候などについて学んでいただいて、基本的な診療業務が可能となるようにするということがこの制度の趣旨でございます。
 57ページ目は御参考でございますけれども、地域医療などにつきまして、幅広い内容あるいは場所で研修が行えるといったような形で記載をしているということでございます。
 58ページ目以降、少し話が替わりまして、昨年の議論の振り返りといたしまして、外科の医師数の伸びが緩慢であるということでございます。
 さらにおめくりいただいて59ページ目、診療科別の時間外の労働時間が1,860時間を超える割合が外科で高いということでございます。
 60ページ目は、専攻医に対して行ったアンケートでございますけれども、外科を選択することをやめたというような専攻医の御意見でございますが、ワーク・ライフ・バランスの懸念を持っていたということが示されておりました。
 こうした事実を基にしまして御議論をいただきまして、61ページ目の昨年の偏在対策のパッケージの中の議論で、さらに進んでいただきまして62ページ目の下のほうに赤く囲ってございますけれども、必要な環境づくり、そして外科医師の負担への配慮等、対策を講じていく方向性ということにしておりまして、まさに省として順次対応していくというような状況になってございます。
 参考までに63ページ目がパッケージの詳細の内容で、64ページ目が骨太の2025における記載となっております。
 ここまでが担い手の観点ということで整理させていただいたもので、次に地域の医療提供体制を維持する観点ということで、66ページ目にお進みいただけますでしょうか。産科・小児科における医師確保計画を通じた医師偏在対策の全体像でございまして、上の背景のところに記載がありますとおり、産科や小児科の政策医療の観点から、偏在対策を早期に検討することとされたことを踏まえまして、医師確保計画を策定して、医師の確保や偏在対策を講じているところです。
 そして、ページの下のほうに4つ施策をお示ししておりますけれども、提供体制の確保等も含めて対策をするということになってございます。
 次から具体の取組を少し御紹介させていただきますけれども、67ページ目に、周産期医療圏、それから二次医療圏の関係などをお示ししております。こういった形で検討の範囲を決めているということと、63ページ目は、こうした体制の確保に当たって、産科の医師の負担等が課題であったところ、助産師のタスク・シフト/シェアを行うということを整理したということをお示ししております。
 69ページ目には、分娩を行う施設かどうかということで役割分担をするオープンシステム・セミオープンシステムといった、医療機関の運用面の工夫ということでお示しをしております。
 70ページ目はこども家庭庁の事業でございますけれども、妊婦が遠方の場合に、交通費や宿泊費を支援するといったような事業をお示ししております。
 71ページ目以降は、産科医等の不足への対応としまして、産科医を派遣する場合の支援を書いておりますし、72ページ目が産科医療機関の確保の事業でございます。
 73ページ目は、周産期母子医療センターの運営に係る事業ということで、こういったものも支援をさせていただいているということでございます。
 そういったものをまとめたものが74ページ目で、周産期医療の体制整備に係る支援の全体像をお示ししているところでございます。
 75ページ目以降は小児の領域で、小児の救命救急センターの整備に係る事業、そして76ページ目は、先ほどと同様、小児医療の体制整備に係る支援の全体像ということでお示しをしております。
 77ページ目にお進みいただきまして、近年の分娩の取扱いであったり、小児の入院患者等を取り巻く状況の変化への対応ということで、昨年度の補正予算におきまして、支援のパッケージとして追加的な支援といったものも適宜対応しているところでございます。
 以上が産婦人科を含めた周産期と小児科に対する取組ということで、次の78ページ目は各論となりますけれども、がんの医療提供体制に関する健康・生活衛生局の検討状況を共有させていただいておりまして、上のほうにありますとおり、2040年を見据えまして、提供される医療の性質に応じた均てん化・集約化の考え方を示しておりまして、高度な医療技術を要するような手術等については、集約化の検討をすると。また、がん予防や支持療法・緩和ケア等に関しては、患者にとって身近となるように、オンライン診療の活用も含めまして、身近な診療所等で提供されることが望ましいといった議論もがんの領域ではなされているということで、状況の共有でございます。
 次に、地域偏在が見られるような診療科のアクセスの確保ということで、次のページ以降で御説明をさせていただきますが、80ページ目と81ページ目は資料の再掲でございます。特に81ページ目の下のほうにある診療科というものですけれども、医師少数区域での医師数が全国比で少なくて、偏在による影響の懸念があると考えているところでございますが、一方で、診療科ごとの特性等にも留意が必要だというところでございます。
 82ページ目から85ページ目までは、本検討会でも既にお示しをしております人口規模別の診療所数の変化であったり、広域的な圏域のイメージでありまして、詳細説明は割愛をさせていただきます。
 86ページ目は、へき地の医療拠点病院におきまして、特に遠隔医療の支援等を行っているということで、87ページ目はそれを少し絵にしたものでございまして、88ページ目に活用状況をお示ししております。このデータにありますとおり、一部の巡回診療をオンライン診療を活用して行うなど、一定の取組が見られているということでございます。
 89ページ目にお進みいただきまして、若手の医師である専攻医へのアンケートを再びお出ししておりますけれども、医師不足地域で勤務するに当たりまして、待遇面での希望が多いのですけれども、診療所のサポートへの体制というのも若手の医師から求められているというような結果だと思っております。
 それから、こういった遠隔医療を含めた支援ということで、90ページ目以降に遠隔医療の活用について資料をおつけしておりますが、様々な利用形態がございまして、医師から医師、DtoDのほかに、いわゆるオンライン診療と呼んでおりますDtoPの形態もございます。
 91ページ目をおめくりいただきまして、オンライン診療の指針の概要をお示ししております。
 92ページ目にお進みいただきますと、指針における対面診療の必要性ということで、冒頭書いてございますとおり、基本的な理念といたしまして、対面診療を適切に組み合わせるということについて触れております。
 93ページ目は基礎的な資料になりますが、オンライン診療の初診の届出医療機関数ということで、これが経時的に増えているというところでございます。
 94ページ目以降は事例を御用意してございまして、各診療領域あるいは自治体医療機関における取組の事例でございます。もろもろ書いてございますので御覧いただければと思いますが、詳細は割愛させていただいて、かいつまんで御説明をさせていただきますと、94ページ目は眼科の領域で、北海道の取組でDtoDということでございますが、一番下にございますとおり、地域の関係者との連携が非常に重要だということをこのクリニックの先生はおっしゃっておられました。
 95ページ目は日本皮膚科学会から御提供いただいたものでございますけれども、在宅等における皮膚科の診療ニーズに対応するためのオンライン診療の活用等について、一番下の記載にもございますとおり、様々な支援というか投資であったりとか、看護師の研修の必要性にも触れられております。
 おめくりいただいて96ページ目は、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会からの御提供でして、人工内耳のフォローに関する取組でございまして、様々知見を収集する必要があるといったようなことも記載がございます。
 97ページ目は、整形外科のフォローアップに当たりまして、デイサービスなどの施設でも活用がされているということでございました。
 98ページ目以降は自治体の取組になりますけれども、和歌山県の取組をお伺いしたところ、地域に若手の医師、地域枠の先生が多いということなのですが、そういった医師を派遣する際のサポートとしまして、DtoDの支援を大学病院などとつないでやっているといったようなところ。
 99ページ目は長崎県でございまして、離島での活用のために、県や大学、病院企業団が連携した体制をつくっているということでございました。
 100ページ目は鳥取県の北栄町というところでございまして、町内にない小児科の夜間・休日の対応を図るために、オンライン診療が可能な窓口を設置しているというところで、ページの真ん中やや下にありますとおり、町と地域の医師会、そして地域の薬剤師会などが連携をしまして、対面診療につなぐ体制の構築といったようなことも行っているということでございました。
 101ページ目は医療機関取組でございますけれども、山口県で離島に看護師が渡って、診療を支援するDtoPwithNの取組をお示ししております。
 102ページ目はDtoPwithDの取組ということで、炎症性腸疾患のフォローに使われていたりとか、103ページ目になりますと、遠隔画像診断による画像診断が近年、診療報酬の算定が増えているということで、放射線科の領域ではこうした取組は既に一定程度普及しているのかなと思っております。
 104ページ目以降は、診療報酬の話になりますけれども、遠隔連携診療料というDtoPwithDの点数でございまして、105ページ目にその利用状況がお示しをされておりまして、難病、てんかんの患者さんが算定要件なのですが、それ以外にも医療的ケア児の方へのフォローといったような形で活用されているようでございます。
 106ページ目はDtoPwithNの点数でございまして、107ページ目には医療機関であったり算定の回数といったものをお示ししております。
 108ページ目は、遠隔医療の事例収集等を行うということでございまして、私どもとしても調査事業を持っておりますので、こういったものも活用して今後検討できればということで御参考としての情報でございます。
 以上を踏まえまして、109ページ目に、これまで御説明したことの簡単なまとめを記載しておりまして、110ページ目が、事務局案になってございます。
 診療科偏在につきましては、いろいろな視点での課題があるといったところでございまして、診療科ごとの状況あるいは特性に応じた対策を組み合わせながら、各都道府県の状況に応じた取組を進めることを念頭にして、具体的には以下のような対応の方向性が考えられるのではではないかということでございます。
 まず担い手の確保の観点で、総合的な診療に従事する医師あるいは外科医師の確保ということで、昨年末に取りまとめた医師偏在是正に向けた総合的な対策パッケージなどに基づきまして、引き続き取組を進めさせていただきたいということでございます。
 2番目の医師確保計画を通じた対策ということで、小児科及び産婦人科につきましては、これまでの取組を御紹介させていただきまして、こうした取組を進めながら、小児医療及び周産期医療の提供体制等に関するワーキングを開催することになってございますので、医師確保も含めた提供体制の在り方について具体的に検討してはどうかということでございます。
 3番目の丸括弧で、遠隔医療の活用を通じたアクセスの確保というところでございますけれども、一定の専門性がある医師が少ない地域がある一方で、また、一定の医療ニーズも存在し得るという領域につきまして、今後を見据えますと、人口減少が進んでいけば患者数が限られ得ること、そして常勤の医師の確保はさらに困難になっていくのではないかといったことも念頭に、学科や自治体等の事例やへき地の対策なども参考にして、遠隔医療の効果的・効率的な活用等による対応を含めて検討してはどうかということでございます。
 2番目で、遠隔医療の活用に当たりましては、適時適切な対面診療への切替え、あるいは急変時の対応等も念頭に、地域の既存の医療提供体制との連携が不可欠であると考えております。また、地域のニーズであったりとか、地域医療への影響などなども踏まえた対応が重要であるということでありますので、都道府県が一つの中心となって、地域の関係者、具体的には大学や医師会等が考えられるかと思いますが、こういったものが関与する中で、地域で必要な体制の整備を図ることが適当ではないかとさせていただいております。
 3番目ですけれども、遠隔医療を活用したアクセスの確保の方策につきましては、地域における対策の効果的な実装を支援する観点で、様々な利用の形態を含めまして、診療科ごとの特性あるいは都道府県の取組事例などを収集した上で、都道府県等に対する情報提供を行うこととしてはどうか。
 4番目、取組の導入の在り方に関しましては、都道府県や医療機関の負担、あるいは住民、患者さん等の混乱を回避するために、遠隔医療を全ての診療科あるいは状況に一斉に導入するのではなくて、例えば対応する医師の不足等の課題が顕在化しやすい休日・夜間対応等で遠隔医療による対応を導入するなど、一定の優先順位を定めて取組を進め、順次やっていくということでどうかということでございます。
 それから、最後のポツですけれども、遠隔医療の活用を進めるに当たり、必要な支援について検討を進めることとしてはどうか、あるいはどのような支援が必要かというところについても御議論いただければと思っております。
 また、医学的な安全性・有効性の確保とともに、各診療科の特性を踏まえた適切な遠隔医療の実施を図るため、関係学会の協力等も得ながら、領域ごとの必要な知見の収集あるいはマニュアル作成等を行うことを検討してはどうかということで、事務局の案とさせていただいておりますので、こちらについて御意見等いただければと思っております。
 事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いします。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいま事務局からありました説明につきまして、御意見・御質問等をいただければと思います。何分構成員が大変多うございますので、多くの構成員の皆様から御意見いただければと思いますので、御発言は大変恐縮ですけれども簡潔にお願いできればと思います。
 まず、会場に御参加の構成員の方から数名御発言いただきまして、それからオンラインに移るという繰り返しでやっていきたいと思います。それでは、会場で御参加の構成員の皆さん、どなたかございませんでしょうか。
 猪口構成員、お願いいたします。
○猪口構成員 全日病院の猪口です。
 医師偏在の話、今回のこれには出ていないのですけれども、病院の視点で述べさせていただきます。
 統計上、病院勤務医師が増えているにもかかわらず、特に急性期病院の医師の充足感が乏しい状況です。特に医師偏在指数で医師少数地域における民間急性期病院はその印象を強く持っているようですが、東京をはじめとした大都市部や地域の中核都市部の民間病院も充足感はないようです。それは、都市部で起きている業態別偏在、つまり診療所に多く若い医師が就職するという現象は82ページから84ページでも明らかで、大学病院を除けば、病院に来る若い医師は少なくなっています。また、民間病院という立場からは、都道府県の地域医療対策協議会などで、大学や地域の中核病院からの派遣は公立病院に偏っているという意見もあります。こうした事実が根拠なく起きているならば、是正を求めたいと思います。
 さて、このようなことの根底となります全般的な話をいたしますと、1、医療の専門性が分化していることによって、例えばリハビリテーション科や形成外科などの新しい診療科が増えていったり、旧来の内科も内科一つではなくなり、呼吸器科や感染症科、膠原病科など、地域の一般病院でも診療科が増えております。病院の中の医師数が増えても、1診療科の医師数は増えないという状況になっています。
 また、2ですけれども、高度専門化して、例えば心カテといっても、心臓弁膜症を見るだけではなくて、虚血性心疾患の治療を行い、心房細動にアブレーション治療を行うなど、それぞれに専門の医師が必要な状況になっていて、一つの診療科に多くの専門医が必要になっていることなど、こうしたことがあらゆる診療科に存在しており、急性期病院を中心とした病院には、医師に求められる仕事量が年々増え続けていることが根本にあります。
 3、また、外科に代表されるように、患者の生き死にに関係することや、夜勤があったり緊急手術などのある科は忙しくて、若手医師に避けられています。
 4、最近は仲介業者の後押しもあって、当直なし、土日呼び出しなしなどの条件で病院に就職する医師が増加しています。そうなると、患者に寄り添う労をいとわない医師や、夜勤を行う医師には病院中の引き受け手のない仕事が集まってきて、それがストレスとなり、過重労働が課せられて、立ち去って辞めてしまうということになります。
 6、背景には日本人全体のワーク・ライフ・バランスなどの価値観の変化があり、医師たちは就職に関してさらに流動性が増していることも多くあります。
 7、診療所、さらに直美、直宅、これは在宅診療ですね。直産、産業医のほうが給料が高く、タイパ・コスパがいいという就職先が求められる状況にあるのは、ニュースなどで流れているとおりだと思います。
 こうした根本のことを止めないことには、働く者にとって最悪な職場である急性期病院の医師充足感は解決できず、地域偏在、診療科別偏在を是正しようとしても、ざるに水を注ぐ状態が続くと思われます。地理的偏在と診療科の偏在で多くを説明することができますけれども、診療所と病院という業態別偏在や、公立病院と民間病院の格差、診療科ごとの必要とされる専門家人数や仕事量の増加、若者のワーク・ライフ・バランスにおける価値観の変化、さらには女性医師が多くなるときっちり子供のためといって4時には上がる、5時には上がるというような職場での働き方の大変化なども考慮に入れながら方略を練らないと、特に急性期病院における医師の不足感は解消しないと思います。
 さて、医師偏在指標を基にして、25ページ以降の進め方の方向性に関しては、特に異論はございませんが、偏在指標の算出に性・年齢階級別の最新データを入れればいいというだけではなくて、29ページに表れているように、勤務時間が極端に減ってきております。このことは将来、加速度的に1人当たりの勤務時間が減少していくことを示していると思われますので、結局最新のデータを入れても後追いになってしまうという可能性があります。
 それから、診療科偏在対策における外科医や総合診療医をイメージした担い手確保の観点は、63ページの下枠内の取組をより具体的に、病院医師、特に外科医や救急医、総合診療医、夜勤・当直医師の処遇改善が行われ、一方で、都市部医師多数地域における開業に対して抑制的な方略が望ましいと思われます。
 また、56ページ、57ページの臨床研修における基本的価値観、プロフェッショナルリズム、その具体的な研修内容として、病院の深夜勤務や当直といった医療法上病院に課している責務に関して、病院の医師のみならず地域医療を担う医師全員で行うというようなことを考えていただきたいと思います。
 それから、産科・小児科医師をイメージした地域の医療提供体制を維持する観点においては、産科・小児科医の減少の大きな原因の一つは、やはり出産数の減少だと思います。69ページの交通費・宿泊費支援は、日本国中どこの地域においてでも全ての出産するお母さんたちに行ったらどうかと思います。出産するお母さんたちへの強いメッセージになるように思います。
 以上です。ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 御意見として承らせていただいて、特段事務局からのコメントは必要ないということでよろしゅうございますね。ありがとうございます。
 ほかに会場からいかがでございましょうか。
 岡構成員、お願いいたします。
○岡構成員 ありがとうございます。日本病院会の岡でございます。
 私も病院の立場からですけれども、まず11ページのデータは、医師少数都道府県で35歳未満の医師が増加しており、これは医師養成過程における取組の成果として評価したいと思います。
 一方で、12~13ページのデータを見ますと、逆から見ますと、35歳以上、特に35歳~50歳という病院で最も戦力となる医師が医師少数区域において増加していないことを示していると思います。
 要因として、地域枠や修学資金の義務年限が終了した後に都市部に移動していることがあり、その理由を見てみますと、多くは子供の教育問題が関係しているような印象がありますので、解決策は難しいと思います。
 しかし、14ページの真ん中にありますように、これまでは医師偏在対策という若手医師を対象とした対策が中心で、彼ら若手医師のみに負担を強いていた医師偏在対策の側面がありますので、やはり今後は中堅、シニア世代を含む全ての世代の医師へのアプローチを実行することが重要であると思います。
 そこで、15ページにも示されているように、中堅、シニア世代の対策を実効性のあるものにして、そして病院として一番の戦略である35歳~50歳という医師を少数区域で確保する施策をぜひ進めることをさらに検討していただきたいと思います。
 31ページに記載されています、医師偏在指標に地理的要素を反映した上で区域を設定することに賛同いたします。地理的要素を反映することは、医師偏在指標にとどまらず、前回も議論しました高度医療の集約化を議論する際にもアクセス等が問題になっていますので、ぜひ地理的要素を精度が高く誰もが納得するデータ及び指標を出していただくことを期待します。このことが医師偏在対策だけでなく高度医療の集約化にも役立つと思います。ぜひそこはお願いしたいと思います。
 それから、性・年齢階級別の医師の労働時間比率も、実態に即したデータを反映することに賛同しますが、さらに今、産休・育休の取得期間も反映したデータがもし加味できればお願いしたいと思います。この数年、育休の取得期間が長くなっているという印象を受けますし、さらに男性医師も育休を取る医師が増加しております。このこと自体は、国及び病院としては支援していく方向で問題ないと思いますが、ただ、実際現場では大変な面もありますので、その実態をまず調査して、データを出していただければと思います。
 最後に、診療科偏在対策については非常に重要な問題と認識していますが、これまで地域医療構想の検討会であまり議論されておらず、こちらについては、私の理解としては、医師養成過程を通じた医師の偏在対策に関する検討会で主に議論されたと思います。今後、診療科偏在について両方の検討会で議論するのであれば、この2つの検討会でどのように整合性を持たせてやるのかということはぜひ示していただきたいのと、昨年来ずっと医師養成過程を通じた医師の偏在対策に関する検討会で議論された内容を、できれば簡潔に分かるように資料を提示していただければ、今後我々の議論の参考になると思います。
 最後に、診療科偏在と、やはり前回議論した急性期拠点機能を中心とした医療の集約化はある意味同じ方向を見ていると思います。集約化ということは、ある程度そこに医師を偏在させるということになると思いますので、ここはリンクして考えていただいて、集約化と均てん化ということと、医師の偏在対策というのはリンクするかと思いますので、ここは非常に難しいと思うのですけれども、その点も留意して今後検討をしていただければと思います。
 以上、お願いということでございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 事務局に対していろいろと御要望もありましたけれども、可能な範囲で御対応いただければと思いますので、よろしくお願いします。何かコメントはありますか。
 佐野室長、お願いします。
○佐野室長 いろいろと御意見ありがとうございました。
 会議体のことについてなのですけれども、まずこちらの検討会では、現在の状況の分析ですとか課題の抽出を行った上で、養成過程で対策すべき問題については、養成過程の検討会のほうで議論を行う必要があると考えております。
 ただ、その他の対策については、本検討会でも議論を行う必要性があると考えておりますので、その辺りは適宜協力しながら議論を進めていきたいと思っております。
 私からは以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでございましょうか。
 それでは、尾﨑構成員、お願いいたします。
○尾﨑構成員 AJMCの尾﨑でございます。
 まず、医師多数地区の医師数の推移を11ページにお示しいただいておりますが、医師数の推移に関する分析は、現在、医師少数区域、多数区域、その他の3群で分析されております。ただ、この3群だけでは地域の実態を十分に反映できていない可能性を考えます。例えば都市部と地方では、同じ医師多数地区や医師少数地区に含まれていても、状況が大きく異なる可能性があります。また、地方でも、過疎地域と中小都市では課題の性質が異なる可能性があります。今後の分析に当たっては、さらに幾つかのサブグループに分けていただいて、詳細な検討をお願いしたいと考えます。
 次に、25ページ以降の医師偏在指標の検討についてでございます。医療圏ごとの医師数は、地域の医療体制の評価や政策立案において重要な指標ですが、大学病院の医師数などをどのように扱うかなど、労働時間を考慮した方法についてはなお検討の余地があると感じております。
 まず大学病院の医師の診療時間は、診療のみならず学生教育や臨床研究といった業務も兼ねておりまして、一般の医療機関で行われる診療と比べ診療効率が低い傾向にあります。例えば数名の医師で1時間に二、三名しか診療できないというケースも少なくありません。ぜひ他の医療機関との診療効率の違いを考慮し、例えば実際の勤務時間を半分であるとか3分の1というふうに割り引いて考える必要があるのではないかと考えております。
 次に、大学病院を抱える医療圏についてでございますが、大学病院を抱える医療圏の多くは、実際の状況にかかわらず、医師過剰とみなされる傾向があるようです。もちろん大学病院でも所在する医療圏の医療機関としての診療は行っておりますが、全体の診療業務の一部分でございまして、大学病院の診療の多くは、複数の医療圏や都道府県全体に及ぶ広域なものでございます。大学病院の医師数を所在地の医療圏の医師数と全てカウントするのではなく、一部とし、残りは広域の医療圏に配分するといった方法を提案させていただきます。
 さらに、初期研修医の取扱いでございますが、初期研修医の2年間は指導医の監督下で診療を行う必要がありまして、初期研修医単独では外来、病棟業務は行うことができず、宿日直も単独では行えません。次期医療構想では、初期研修医についても医師数の算定の際に除外するか、診療に大きな制限があることを考慮した標準化医師数を評価することを提案させていただきます。
 あと、急性期医療を担う医師の確保でございます。幾つか既に意見がございますが、急性期医療提供体制を検討するに当たっては、2040年時点で急性期医療を担う中核病院に勤務する医師数を見通すことが重要であると考えます。公的病院や大学病院では多くの場合、60歳~65歳で定年を迎えます。年齢とともに、手術や夜間・休日の急患対応、日当直といった大きな負担のかかる診療は難しくなり、急性期医療の担い手として活動し続けることは困難です。このため、医師の総数を基準に議論すると、将来必要な急性期医療の現場を支える医師数を過大評価してしまう危険性があります。もちろん高齢でも活躍されておられる方がたくさんおられますが、15年後にも急性期病院で勤務し、診療可能な例えば40歳以下といった年齢層に焦点を当て、今後の急性期医療の現場の医師確保の議論を行うことを提案いたします。
 34ページからの医師数の推移でございますが、平成20年からの増減が示されておりますが、医療需要が増加している診療科にはより多くの医師が必要になりますので、医師の偏在を考える際には、それぞれの診療科の医療需要の変化も考慮し、医療需要に見合う医師数の増加であるかどうかという検討も行っていただければと思います。
 最後に、90ページからの遠隔医療についてでございます。遠隔医療は今後、有効な医療提供のツールになると考えております。ただ、90ページで診療形態の分類でまとめられていますが、それぞれの内容については同じ診療形態でも大きな幅があります。例えばDtoDの遠隔医療には、比較的短時間で完了する画像の読影といったものから、手術支援といった高度で時間のかかる診療まで幅広く存在します。また、必要となる設備も、簡便な端末とソフトだけのものから、5G回線、専用回線や特別な設備を要するものまで様々です。それらに見合う診療報酬が手当てされなければ、遠隔医療の普及や定着が進みにくいと思われますので、遠隔医療の現場への実装に当たっては、その特徴やコスト、診療報酬についてのより詳細な検討をお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 多様な御指摘、御要望をいただきました。ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 川又構成員、お願いいたします。
○川又構成員 ありがとうございます。
 医師偏在指標についてですけれども、できるだけ客観的な指標としていくということが必要ではございますけれども、地理的な要素、あるいは医師の年齢等についてはある程度勘案していくということは必要なことだろうと思います。ただ、そのメルクマールをどうするかといった点については今後詰めていただきたいと思います。
 診療科の偏在については、109ページに整理をしていただいているとおり、3つの観点から対応策を検討していくというアプローチについては、この方向でよろしいのではないかと思います。特に3番目の地域偏在が大きい診療科のアクセスの確保という点については、医師をただ増やしていくということではなくて、アクセスの改善などの工夫によって、必要な診療科の医療を保障していくという取組については積極的に進めていただければと思います。
 その他、医師確保全般についてですが、今日の直接の課題ではないかもしれませんが、医師確保対策については、提案されている法案の中身を含めて、様々な対策があったかと思います。それら全般について、今後、都道府県等において対策を具体化していくという際には、その計画あるいは検討のプロセスの段階から、施策の効果検証、今日も対策をいろいろ御紹介いただいていますけれども、効果がどうだったのかという辺りはきちんと効果検証まで視野に入れた対応ができるような手法等について、ガイドラインとか指標の検討とか、その辺りについては今後検討を進めていただけたらと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでございましょうか。
 それでは、坂本構成員、お願いいたします。
○坂本構成員 日本医師会の坂本でございます。
 まず総論にはなります。
 狭い範囲での近くの医療として必要となるかかりつけ医の外来診療と、県境、都道府県を超えるケースも存在する入院医療とは、今後現実的な対策を考えていく上で、分けて検討する必要があるのではないかと考えております。
 また、各地域によって医療の需要を考える際には、医療の特性、地域住民の受療動向も加味していただくことで、より実態に即した実効性のある手法に近づくと御検討いただければと考えております。
 3つ目は、現行の外来医師偏在指数の算定式については、分子が診療所単位となっており、また、分母も診療所の患者数を基にしています。しかし、先ほど大学病院の話も出ましたが、地域ではもう中小の病院も含めかかりつけ医機能を持って外来診療を行っているところもありますので、より実態を反映した数値とするためには、算定式を見直していただいたほうがよいかと考えます。
 4つ目、話は替わりますけれども、毎回お願いしておりますけれども、例えば16ページの重点医師偏在対策支援区域における開業支援事業等のことでございますが、ここで議論したり、せっかく確保された予算が、都道府県の財源の関係で事業を実施されないという事例もよく見受けますので、ぜひ国のほうからの働きかけの仕組みの見直しを御検討いただいたらと思っております。
 最後に、遠隔診療についてでございます。医師少数区域におけるオンライン診療の活用については、各種事例をまとめていただきました。しかし、DtoDとDtoPを区別して考えるべきでございます。先ほどAJMCの尾﨑委員からも御意見がありましたけれども、DtoDは画像診断などの遠隔地の専門医が患者さんを対面で診ている医療を支援することでございます。DtoPは異なる概念と思われますので、両者が混在しないように、区別して整理していただいたほうがよいかと思っております。
 また、大前提として、オンライン診療は基本的に今行われている診療の延長や補完をするものでないと、なかなかうまくいかないと考えております。物理的なアクセスとして、離島やへき地、外来に来られない患者さん、専門的な医療を行う医療機関が限られている場合、少数地域など、そういう地域では、診療所偏在を含め、同様に活用ができると考えております。
 医師偏在対策でオンライン診療を活用していくことの必要性は認識していますが、精度は対面に比べて下がらざるを得ないと思っております。厚労省では好事例の手引きや、総務省等でも手引き等作られていると思いますので、地域の実態やニーズに合わせてそういうものを活用するのも一つの方法と思っております。
 医療法改正により、オンライン診療の法的な位置づけが明確にされる予定ではありますが、現状では、オンライン診療の実施に関する指針が遵守されていない不適切な実施例が最近よく散見されます。対策が必要と考えております。
 またオンライン診療において、投薬検査は必要であり、少数地域に薬局や検査センター等のアクセスに関わる事態も考慮して検討していただきたいと思っております。
 以上でございます。
○遠藤座長 御意見として承りました。どうもありがとうございます。
 ほかに会場でありますでしょうか。それでは、玉川構成員、その次に橋本構成員、取りあえず会場はこのぐらいにさせていただきます。
 玉川構成員、お願いいたします。
○玉川構成員 ありがとうございます。
 私は都道府県の立場からコメントをさせていただきます。
 まず、今回の医師偏在対策に関しましては、歴史的な課題がある中で、厚生労働省の皆さんにおかれては、昨年度から精力的に取り組んでいただいていることに改めて感謝申し上げます。
 また、今回の資料に関しましては、医師偏在対策に関して、制約要件となります物理的アクセスなど地理的要素を反映する工夫や、変化を踏まえた医師の労働時間比率の反映など、実情を踏まえた視点と考えております。
 また、オンライン診療の具体例についても非常に分かりやすい内容となっており、いずれも前向きな視点、取組と受け止めております。
 その上で、今後の課題として4点コメントさせていただければと思います。
 まず1点目、医師偏在対策における新たな地域医療構想との整合性の確保と、バックキャストの視点についてです。これはほかの構成員からもコメントがありましたが、新たな構想と医師偏在対策は表裏一体であり、整合性の確保が不可欠と考えております。2040年に向けて高齢者の医療ニーズが増加するほか、男性育休の増加、社会全体で時短の動きなど、働き方の変化も進み、必要医師数の検討も含めて、先読みした対応が必要と考えております。偏在対策についても、バックキャストの視点を踏まえた検討、具体化について、引き続きお願いをしたいと思っております。
 例えば包括期の医療ニーズへの対応については重要な課題と考えております。現在の専門医制度の下では、サブスペ志向が強い現状であり、専門医取得後に包括期の病院に勤務する医師が極めて少ないのが実際であります。医師の世代交代が進む中、医師不足地域では包括期の病院勤務医の確保が課題であり、行政と大学が緊密に連携しても、この分野に関しては派遣調整が既に困難な状況となっております。急性期と包括期の機能分化ということは、体制上、非常に重要な部分でありますが、機能分化が進むことで、結果的に包括期の医師不足という課題が顕在化するということに関しても改めて認識をいただきたい。これは現専門医制度にひもづく課題でもあります。医師偏在対策と新たな構想、双方の視点で認識を深め合っていくことが重要と考えております。
 また、110ページに、総合的に診療できる医師等の確保については現在のパッケージで引き続き対応との記載になっておりますが、総合診療医の育成と総合診療のリカレント教育は非常に重要な取組であるものの、この2つの施策だけで先ほどの医療ニーズをカバーすることはなかなか難しいと思っています。医師養成過程の検討は別の場での議論ということは十分承知しておりますが、2040年を見据えた課題として取りこぼしがないように、事務局には課題の整理と、そちらの検討会との適切な橋渡しについてお願いをしたいと思っております。
 2点目です。4つの医師偏在課題の整理についてです。
 医師偏在の課題については、今回の資料に記載がありますが、26ページの記載のとおり、4つの偏在課題、1、総数としての都道府県格差、2、都道府県内の地域格差、3、地方における若手医師の不足・高齢化、4、診療科の偏在があります。先般、西日本の知事が、厚生労働省に偏在対策の要望を行っておりますが、国としてこの4つの偏在対策にそれぞれしっかりと取り組んでいくという方向性をお示しいただくことで、地方の受け止め方は変わって、もう少し安心していただけると思っておりますので、その点についてよろしくお願いいたします。
 加えて、4つの偏在課題に対応した代表的な指標の設定ということが、また重要になってくるかと思います。医学部定員数の見直しに当たっては、若手医師や高齢者の割合を用いていただいておりますので、偏在課題に応じた指標に関しては、政策上の指標と位置づけて対策を講じていただくことが重要です。
 3点目、アクセス課題に対応するためのオンライン診療の取組ですが、こちらについてはへき地のみならず、専門医が不足する分野への対応も含めて、一層重要になると認識しております。厚生労働省における専門的な支援、専門的な分野でもあるがゆえに、非常に今後とも重要になるため、診療報酬や各種支援制度の充実も含めて、引き続きお願いしたいと考えております。
 その上で、オンライン診療はスポット的には医師不足対策にはなりますが、医師数が少ない二次医療圏、都道府県では、支援側の医師確保が重要になってまいります。この点については政策課題として支援側の医師確保対策についても織り込んでいただきたいと思います。
 4点目になります。大学病院とのパートナーシップについて、今回の資料にも一部含まれておりますが、県立大学を有する大学と一体的に取り組んでいる本県だからこそ、この点、重要と感じております。
 地方の大学や大学病院が、大都市への医師流出のダムとして一定の医師を抱えて、地域への支援を強化していく上では、人的、財政面での支援が不可欠と考えております。大学及び大学病院への支援の強化については、厚生労働省と文科省が連携をした対応についてお願いしたいと思っております。
 最後に、医師偏在対策については、各知事も問題意識を強く持っております。施策の具体化に向けましては、これまで以上に地方と意思疎通を確保して、適切な施策の構築を行っていただきたいと思います。
 コメントは以上になります。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 それでは、橋本構成員、よろしくお願いいたします。
○橋本構成員 ありがとうございます。日本看護協会の橋本でございます。
 診療科偏在対策の地域での必要な診療の確保について、2点意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、80ページからお示しいただいています地域偏在が大きい診療科へのアクセス確保の観点についてです。資料にもお書きいただいていますように、皮膚科や耳鼻咽喉科、眼科等の専門性がある医師が少ない地域におきましても、必要とする方に必要な医療を届けるために、遠隔医療の活用を通じて、必要な診療へのアクセスを確保するということは非常に重要と考えております。各診療科の特性を踏まえた適切な遠隔医療の実施に当たりましては、DtoPwithNで患者のそばにいる看護師が力を発揮する必要があると思います。ただ、かなり専門性が高い診療科でもございますので、看護師が領域ごとの地域の知識の習得や、特殊な検査の実施等が求められます。適切に安全で質の高い遠隔医療の提供ができるよう、ぜひ資料に記載いただいているような、領域ごとに必要な知見を学ぶ機会やマニュアルの整備等の対応が必要と考えております。
 次に、66ページからの地域の医療提供体制を維持する観点についてです。お書きいただいている周産期医療は、集約化・重点化によって、必要な医療の確保が進められておりますが、妊産婦が安心して地域で出産し育てることができる環境の実現が重要であり、引き続き、院内助産や助産師外来などを導入しつつ、助産師が最大限に専門性を発揮しながら、地域の周産期医療体制の維持に貢献することも重要と考えております。
 以上2点、意見でございました。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 それでは、お待たせしました。オンラインに移りたいと思います。
 まず最初に鈴木構成員からお願いいたしたいと思います。
○鈴木構成員 マギーズ東京の鈴木です。
 様々な遠隔診療の活用方法を御紹介いただいて、それがある中で、私からはその普及啓発について意見を述べさせてください。
 108ページに、医療機関や自治体の状況を把握して事例集を作るというのがありましたが、ぜひ事例集を作って終わりにしないでいただきたいです。適切に患者側に届けて使ってもらうようにすることまでを考える必要があると思います。ほかの構成員の方からもコメントがありましたが、患者側の普及啓発については、都市部では適切なオンライン診療を受けてもらうための規制の観点での啓発が重要になっていますが、へき地や離島などオンライン診療が受けづらい場合には、その体制を整えていくとともに、あなたの地域ではこのように遠隔診療を使ってもらえるのですよということを、いざということになる前に、患者になる前から知っておいてもらう何らかの仕組みが必要だと思います。都市部とへき地では普及啓発の在り方も変わりますが、それぞれ適切なオンライン診療が届くように、バランスよく普及していく努力が必要だと思います。
 また、事例集作成にとどまらず、うまくいっている事例を分析して、状況が似た地域に横展開していく仕組みや連携、それぞれ学び合うような方法についても考えていかなくてはと思います。
 私からは以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 御意見として承らせていただきました。
 それでは、続きまして、今村知明構成員、お願いいたします。
○今村(知)構成員 今村です。
 4つほど意見を申し上げたいと思います。
 まず1つ目、医師偏在の指標で、26ページに地理的要素を考慮するということを今回テーマとして挙げていただいていますけれども、私、大賛成で、ぜひ入れていただきたいと考えています。
 私、こういう指標の作成などに深く関わってきておりますけれども、現場での不満というのは、上3分の1から下3分の1に簡単に動くという問題があります。特に人口の少ないところとか離島などですと、3人ぐらいドクターを誘致していただくと、下3分の1から上3分の1に移動してしまうような地域があって、地理的要素で頑張って誘致していただくと、かえってそこに対策が打てなくなるというような矛盾した構造があると考えます。そのためには、ある程度地理的な要素を、式の中に入れるというよりは、式とは別に考慮するというようなやり方が必要ではないかと考えております。
 続きまして、一番最後、110ページに、診療科の偏在対策で様々な御提案をいただきまして、私、基本的にこの方針に賛成ですけれども、幾つか注意点をコメントさせていただきたいと思います。
 まずは診療科の指標のようなものがつくれるかというのは、かねてからの懸案事項でありますけれども、自分も深く関与してきておりますが、今まで小児科と周産期以外はなかなかつくれていないという現状があります。それは、指標というのは分母側と分子側、両方とも定義をしっかり決めなければいけないのですけれども、例えば内科であれば、消化器内科というのはどんな先生ですかという定義そのものも難しいし、その先生が診る診療科が何ですか、診療の患者さんはどんな人ですかということも難しいので、両方とも揺れるようなものを指標化するというのはなかなか難しいと考えています。そのようなことから、指標化というよりは、現実的な対策を打っていくというような方策のほうがよいと考えています。
 それと併せて、診療科の偏在を考えていく上で、へき地対策とはしっかり分けていただきたいと考えております。それは、今まで日本は無医村をなくすということを頑張ってやってきたわけで、やっとその無医村がなくなりつつある状態で、その次に専門診療科が受けられるようにというと、いきなり20人ほどドクターを誘致しなければいけなくなってしまうというような関係があると思います。ですので、そこは今回、眼科、耳鼻科、皮膚科などが言われていますけれども、それ以前にもっとメジャーな診療科の誘致や対策が取られなければいけないへき地、少数人口区域の問題とは分けて考えていただく必要があると思います。
 それと、眼科、耳鼻科にも関してなのですけれども、これから市町村単位で見たときに、劇的に人口が減っていくところがあります。今、眼科、耳鼻科、皮膚科が足りないというところと、2040年に向けて見たときにどうなりますかというとすごく状況が変わるところがあります。ですから、現在の状況だけでなくて、先々どうなるのでしょうかということを踏まえて考えていくべき問題であると考えております。
 以上4点ほど、意見として申し上げた次第です。よろしくお願いします。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、小川構成員が手を挙げておられますので、よろしくお願いいたします。
○小川構成員 島根県雲南市の小川と申します。よろしくお願いいたします。
 私のほうからは、地方の代表としての意見として述べさせていただきたいと思います。4点ほどお願いさせていただきたいと思います。
 まず1点目、医師偏在対策についてですけれども、これは先ほどいろいろな委員の方からも御意見がございましたが、改めて、やはり地方、とりわけ離島や中山間地域を抱える地域におきましては、医師の偏在指標や目標医師数、これらを用いた医師の偏在対策の手法につきまして、圏域の面積や移動方法、時間、また冬期の豪雪といった現実的なアクセスの困難も加味した地理的条件、また、先ほど来ありますように診療科の偏在、それからやはり地域の実情を反映したものでお願いをしていただきたいと思っております。
 続いて2点目ですけれども、これもとりわけ離島や中山間地域で特に問題になっておりますけれども、医師の高齢化や、特に診療所になりますけれども、後継者不足によりまして、診療所が減少をしております。こうした地域におきましては、公立や公的病院、また民間病院を含めた拠点病院が、こうした診療所に代わりまして巡回診療や診療所への医師派遣、また、そういった診療所が担っておりますいわゆる嘱託医の派遣も行っておりまして、このような病院に対して医師の確保という支援が必要ではないかと思っています。
 あと、拠点の病院からのアクセス、その地域に対するアクセスの仕組みの構築についても議論を深めていただきたいなと思っております。
 また、後継者不足に悩んでおります地域の診療所の継承支援の強化も併せて議論を深めていただきたいなというところでございます。
 3点目です。これも先ほど委員のほうから御意見がございましたけれども、リカレント教育につきまして、地方におきましては、総合的な診療能力を持つ医師を必要としていると思います。とりわけ中山間地域や離島などで、こうした教育を受けました医師の先生方に従事をしていただけるような仕組みを構築していただきたいなと思っております。
 最後になりますけれども、医師偏在対策の一つとして、地域枠や専門医のシーリングがございますけれども、地方にとっては医師を確保するに当たりまして非常にありがたい制度だと思っております。ですが、その一方で、これらの医師というのは若手医師の方が多いと思っております。若手医師の方につきましては、キャリア形成というところで、自由に動けるということと、そういった自由が奪われるということにつきまして、もしかしたら地方の地域において定着してもらえるかというのは少し危惧をしております。実際に義務的年限が終了した医師につきまして、この地域を離れていくというような事例も耳にしているところでございます。若手医師の地域への定着がしていただけるような仕組みについても議論をしていただきたいと思っているとこでございます。
 以上、多く述べさせていただきましたけれども、私のほうから御意見としてお願いをさせていただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、伊藤悦郎構成員、お願いいたします。
○伊藤(悦)構成員 ありがとうございます。
 まず私のほうからは、医師偏在指標に対する考え方についてでございます。31ページに考え方についてお示しをいただいておりますけれども、これについては異論ございません。特に1つ目の医師少数区域の設定につきましては、なるべく客観的に妥当性を判断できることが重要だということで、以前にも指摘をさせていただいたところでございます。
 本日、資料の27ページにありますとおり、人口密度、医療機関への距離、離島、特別豪雪地域といったものの地域要素を勘案した、医療機関へのアクセスに関する尺度があるということでございますので、まず現行の医師偏在指標で候補となる区域を一旦選定した上で、地域的な要素の尺度を活用して、最終的に区域を決定していくというような整理をしていくということで、地域住民であったり我々保険者にとっても分かりやすくなるのではないかと思ってございます。
 2点目の診療科偏在対策等の関係でございます。まず、診療科偏在につきましては、44ページのとおり、3つの視点で診療領域を整理していくということにつきましては賛同するものでございます。
 その上で、110ページに示されました対応の方向性を見てみますと、これ自体については異論はございませんけれども、率直な感想として、果たしてどこまで実効性があるのかといったような、やや疑問といったものを持ってございます。
 まず1つ目の総合診療医や外科医の関係でございますけれども、総合的な診療につきましては、かかりつけ医機能を強化する流れの中で、資料48ページ以降にあります指導体制の整備、リカレント教育といった補助金事業に期待をしておりますけれども、その一方で、外科医につきましては課題が多いということと、成果が出るまでまだかなり時間がかかる印象を受けてございます。そもそも絶対数として外科医が増えていないということは理解してございますけれども、過酷な勤務環境の改善、あるいはワーク・ライフ・バランスを確保していくというためには、なるべく人材を集約化した上で、協力して仕事を回していくということも重要な要素になるのではないかと考えてございます。
 また、3点目の遠隔医療についてでございますけれども、健保組合の中で医師偏在の議論をした際に、オンライン診療につきましては、やはり有効なツールとして積極的に活用する余地があるのではないかといったような意見が出てございます。資料にもございますとおり、対面診療への切替え、あるいは緊急対応のために日頃から安全を確保するための連携体制を整備することや、あるいは休日・夜間といった特に患者様が困っているところから優先的に取り組んでいくということで、患者の安心感あるいは医療への信頼性が高まっていくのではないかと考えてございます。
 ただ、疾患の特性で遠隔診療が難しい診療科、あるいはそもそもオンライン診療には限界があるといったような部分もございます。やはり偏在の是正ということで、地域偏在対策とセットで、相対的に医師数が多い地域とのバランスを取りながら、病院からの出張診療をさらに活用したり、あるいは複数診療科クリニックといったようなことも考えていく必要があるのではないかと考えてございます。
 以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、松本参考人、よろしくお願いいたします。
○松本参考人 よろしくお願いいたします。自治体病院協議会の松本でございます。
 私のほうからは4点、意見を述べさせていただきたいと思います。
 27ページにあります医師偏在指標に反映する地理的要素として例が挙げられておられますが、気になるのは、地域の中心から直近の二次救急病院までの直線距離としておられますが、山間・へき地などでは、直線距離とするのは所要時間に差があり過ぎるのではないかと考えておるところであります。
 次に、30ページの青の網かけの○の2番目の項目でありますけれども、医師少数スポットを多く抱えた市町村を含む、医師少数区域でない医療圏で、地域の基幹病院から医師派遣するためにも、都道府県が経済的インセンティブの対象となる重点医師偏在対策支援区域に指定することが重要と考えますので、指定をはずさないように是非していただきたいと思うところです。
 それから、43ページにあります診療科偏在についてでありますけれども、視点1の例として、総合的な診療に従事する医師としておりますが、これは恐らく医療法上はまだ標榜されておらず、標榜されるべきと考えております総合診療科や、いわゆる総合内科でありますとか、整形内科といったものなどを指していると思っておるところでございます。まさにこういった総合的な診療に従事する医師は地域偏在がございますので、若手医師でありますとか、それからセカンドキャリア医師から養成することが重要であります。
 そのために、後半の部分で診療科偏在対策が書き込まれているものの、例えば61ページ、これはパッケージの中身なので修正しにくいとは思うのですけれども、このパッケージの最下段のところに、外科医師のことのみしか書いていなくて、総合診療医師養成についての施策がなく、どうも後半部分でトーンダウンしているように思います。
 また、48ページの総合診療能力を持つ医師養成に関する取組として、先ほど構成員のほうから少し話が出ましたように、大学でありますとか大学病院における取組を挙げておられますが、総合診療医の養成につきましては、地域密着型で地域基幹病院での養成も非常に重要かなと思っておるところでございます。そういった意味で、地域基幹病院での研修につきましても、その施策について検討、追記するよう求めたいと思います。
 あとは診療科偏在の視点の2でございますけれども、小児科と産婦人科のところが挙がっておりましたけれども、小児科につきましては、後ほど触れられておられますが、政策医療でありますし、地域偏在もあることなどから、産婦人科と同様に、専門研修でのいわゆるシーリング対象外にすべきと考えておるところでございます。
 以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 御意見、御要望として承りました。ありがとうございました。
 それでは、お待たせしました。瀬古口構成員、よろしくお願いいたします。
○瀬古口構成員 日本歯科医師会の瀬古口でございます。
 医師偏在とは直接関係はないのですけれども、事務局は、在宅医療も含めて、病院や診療所、訪問看護ステーション等だけで完結するものではないと思っており、薬局とか、あるいは歯科診療所等を含めて、様々な医療を提供する主体と連携をしながら、在宅を進めて、地域医療を支えていくことは非常に重要であると。具体的にどういう形でガイドラインに反映させるかということは、これから検討する必要があるということで、今後の議論の必要性について言及をされておられました。
 地域医療構想を検討する際には、地域住民の健康を守る観点から、職種を視野に入れた上での地域の実情に応じた検討が求められます。医師偏在対策とは直接関わりはなく、また、歯科医療提供体制に係る検討が遅れていることは当初から触れていることではございますけれども、職種に係る資料も提出をいただき、現状を示して課題と方向性を議論していただきたいと思っております。
 まだ、第1回で、秋頃に中間取りまとめを行うスケジュールが示されておりますけれども、今後の検討項目に関わる議論のスケジュール感と、そして職種に関わる検討はいつ頃行われるのか、これは回答いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 事務局、コメントございますか。よろしくお願いします。
○西嶋地域医療計画課長 地域医療計画課長でございます。
 先ほど委員から御指摘がございましたけれども、これまでの検討会でも、地域医療構想の国のガイドラインをこれから策定する際には、医師だけではなくて当然、薬、そして歯、様々なステークホルダーが一緒になってやっていく必要があるということで、そういった必要なデータについては、この検討会等でもお示しをするということだったということでございます。
 一方で、先ほど委員から御指摘がございましたけれども、歯科医師の養成につきましては、今日、事務局側にも歯科保健課長がおりますけれども、歯科保健課で別途、提供体制の検討会が今、開催されていると承知をしてございます。恐らく歯科医師の需給等につきましては、その検討会での進捗の状況、議論の様子等も我々もキャッチアップさせていただきながら、必要に応じてこちらの検討会とも連携しながら進めてまいりたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 瀬古口構成員、よろしいでしょうか。
○瀬古口構成員 よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 では、お待たせしました。荻野構成員、よろしくお願いいたします。
○荻野構成員 ありがとうございます。日本薬剤師会の荻野でございます。
 私からは、79ページからの「地域偏在が大きな診療科のアクセス確保の観点」でお示しいただいた遠隔医療の活用に係る点について、薬剤師の視点から意見を申し上げます。
 91ページに、オンライン診療の適切な実施に関する指針の概要をお示しいただいておりますが、左下のオンライン診療の提供に関する事項に「薬剤処方・管理」があり、また、取組事例の中で、97ページの事例では、電子処方箋、オンライン服薬指導などの体制整備、100ページの事例では、町、地域医師会、地域薬剤師会、事業者との連携、そして101ページの事例では、島内に薬局がなく薬の受渡し方法が限定的といった課題等が挙げられているところです。このような薬剤提供に係る地域の課題や体制整備の必要性を踏まえ、110ページの論点の下から2つにあります遠隔医療の活用の取組につきましては、まさに「都道府県や医療機関の負担や、住民・患者等の混乱回避のため」に、取組の初期段階から診療後の薬剤提供までを考慮いただき、検討の際には、ぜひ地域薬剤師会の参画も進めていただきますよう、ガイドラインへの反映をお願いしたいと思います。
 なお、薬剤の提供について、我々薬剤師・薬局では、対面で実施する場合と、オンライン服薬指導後に薬剤を郵送、もしくは薬剤師または薬局スタッフが患家へ届ける等の対応をしており、当該患者の状態や地域の実情に応じた方法を検討・選択していることも考慮いただきたいと考えております。
 私からは以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 御意見として承りました。
 それでは、会場に御参加の構成員にまた戻りたいと思います。土居構成員、櫻木構成員の順番でお願いいたします。その次に東構成員。
○土居構成員 ありがとうございます。
 私は、31ページの医師偏在対策を進める上での考え方について、基本的に賛同いたします。より細かいところについて、意見を述べさせていただきたいと思います。
 ほかの構成員もおっしゃっておられるように、地理的な様相を反映するということは、今後の医師偏在対策について考える上で重要だと思います。なので、もちろんこれを反映するということで、方向としてはいいと思います。
 ただ、今村知明構成員も言及されましたけれども、一つの式の中にこれを入れるというのは容易ではないようにも思います。今あります医師偏在指標、18ページで定義がありますけれども、これに地理的要素をそのまま数値的に入れるというのは単純にはできないと思いますので、また別の式を立てる、別の指標を立てる、そういう形で地理的要素を加味する。さらには、医師の年齢構成の違いということも加味する必要があるわけでありまして、これもまた別の指標を立てるというような形で、多元的に医師偏在対策を進めていくような体制を整えていく必要がある思います。
 そういう意味で申しますと、1つの指標だけでは測れないということになりますので、例えばレーダーチャートのようなものを複数の指標で見えるように表して、その凸凹がどのようなことになっているか、それぞれの医療圏でレーダーチャートのようなものでビジュアルに見せて、そして医師偏在対策に活用するということが今後期待できることなのかなと思います。
 その際、診療科偏在の話で出てきているところではありますけれども、遠隔診療に携わる医師を今の医師偏在指標の中に織り込むということはできるのではないかとも思いますし、何人かの構成員もおっしゃっておりましたけれども、大学病院の医師の役割というものも、その役割に応じた形で医師偏在指標の中に数値的に加味して、医師偏在指標を洗練化していくということも今後考えられるのではないかと思います。
 それから、猪口構成員がおっしゃっておられた病院と診療所の間の医師の偏在というのも私は非常に重要なポイントだと思います。既に、昨年12月に新たな地域医療構想等に関する検討会で、医師偏在対策に関する取りまとめをいたしたところで、外来医師偏在指標について言及をしていたところであります。既に医療計画の一部である外来医療計画において、外来医師偏在指標を活用するというようなことに今、既になっているわけでありますけれども、第9期の医療計画においては、今の指標でいいのか、それとももう少し偏在是正に活用できるような指標に洗練化するかは、私としても今日の段階で決め打ちしているわけではありませんけれども、外来医師偏在指標で特に診療所で医師が多い地域、外来医師過多区域が数値的に出てくるというようなこともありますし、その過多区域だけではなくてもう少しきめ細かくということであれば、先ほど申し上げたようなレーダーチャートのうちの一つの指標として、外来医師偏在指標というものも加味していくような形で医師偏在対策を進めていくことが必要になってくるのではないかと思います。
 私からは以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 御意見として承りました。
 それでは、続きまして、櫻木構成員、お願いいたします。
○櫻木構成員 ありがとうございます。日本精神科病院協会の櫻木です。
 まず、医師偏在指標に関してです。31ページのところに、偏在対策を進める上での考え方はお示しいただいています。地理的な要素に関しては、様々な構成員の方から賛成の御意見がありますけれども、私もこのことは入れていただきたいと思います。特に、医療機関に対するアクセスの問題というのはかなり離島でありますとか、あるいは中山間地というのは非常に困難な部分でありますから、そこの部分はきちんと反映するような形でまとめていただきたいと思います。
 人口密度というのはなかなかイメージしにくいのですけれども、例えば面積当たりの医師の数という形なのでしょうか。それとも、人口密度ということは、いわゆる住民の数というところに着目をして何か考えるということなのか、イメージが湧きにくいので教えていただければと思います。
 それから、3番目のところに、高齢医師が多くて、数年後には医師少数区域になる可能性があるところ。玉川構成員もお話しになりましたけれども、西日本の知事がまとまって要請に行ったという話があります。私、徳島ですけれども、鳥取なんかもそうでしょうけれども、かなり前の段階で医師の養成数が多くて、その後、若手の流入が少ないというところがあります。ですから、このまま放っておいて、いわゆる若手の流入が少なければ、何年後かには、今は医師多数地域と言われているところが、あっという間に医師少数地域になるということを非常に危惧しています。
 ここの対策の案のところでは、高齢医師の割合の高い都道府県や区域については、医師確保の取組を進める一方と非常にあっさり書いておられますけれども、ここの部分は自治体の努力で何とかなる部分ではなくて、養成過程に関わるようなところだと思います。医学部の定員であるとか、あるいは地域枠の設定であるとか、それから最近問題になっているのは専攻医のシーリングの問題です。徳島なんかも内科の先生がシーリングにかかっています。ですから、ある程度、医師の確保を進める一方と言いつつ、それを阻んでいるものは何かということを分析していただいて、養成過程に関わるようなところが多いかもしれませんけれども、そこのところを考えていただければと思います。
 それから、診療科偏在の問題です。これも3つの視点でまとめていただいています。総合診療とか外科に関わるような担い手の確保の部分と、それから地域の医療計画に基づいて確保していくという小児科とか産科とか救急とか、それからいわゆる専門的な要素があってなかなか地域での偏在が大きい皮膚科とか耳鼻科とか眼科と、残念ながら精神科が出てこないのです。
 37ページとか81ページを見ると、いわゆる少数地域においても、精神科の医師はある程度拡充していると読むのでしょうか。実際、我々の肌感覚からいうと決してそんなことはなくて、特に精神保健指定医の確保というのは非常に難しくなってきています。入院医療であるとか、あるいは救急に関して言えば、場合によっては非同意的な治療というのも選択しなければいけない。そのことに関して言えば、精神保健指定医が必須であるということですので、精神保健指定医が確保できていない地域においては、精神科救急医療システムが確立できないという状況があります。
 それから、オンライン診療に関しても、91ページに指針を示していただいていますけれども、定義が変わったのですね。遠隔医療と言っていたものを、オンライン診療に変えるということですから、かなりそこの中身が変わってくると思うのです。いわゆる遠隔診療と言うと、離島とかへき地に対してDtoDでいろいろな診療支援をしていくという考え方だったと思うのですけれども、オンライン診療というふうに定義が変わると、DtoPというのがすごく増えてきますよね。そうなってくると、この指針というのはこのままでいいのか。一番最後のところにまとめがしてあって、オンライン診療を含む遠隔医療の活用については、適時適切な対面診療への切替え、あるいは急変時の対応、精神科でもしもオンライン診療をやるとすると、この辺のことがたちまち問題になってくると思います。特に我々は、治療に関して言えば、抗精神薬を取り扱うということが含まれてきますので、安易にオンライン医療を今のままで入れていくということに関しては、かなり問題があるかなと考えています。
 精神科に関して言えば、別の検討会が動いていて、特に今の段階で言うと、精神科医療に関する医療提供体制について議論しているということも承知をしています。ただ、やはり医療計画のうちの5疾病に精神疾患はあるわけですし、患者さんの数というのも非常に多いし、患者さんの中身というのも非常に多様であるということですので、全体的な議論の中できちんと押さえるべきところは押さえていかなければいけないと考えています。
 別の検討会の動きも私は横目で見ながらこの会に参加しているわけですけれども、多くの構成員の先生方は、そのことに触れないで今まで来ておられた。ある程度の段階で報告があるのでしょうけれども、活発にキャッチボールができるような形でその体制を考えていただければと考えています。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、事務局、いろいろな御指摘もありましたので、コメントがあるものについてはお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
○佐野室長 ありがとうございます。
 まず1点目、御質問いただきました人口密度についてなのですけれども、地域の人口密度になっております。医師ではなく地域の人口密度という形になっております。
 あとはいろいろと御意見いただいたところなのですけれども、今回、特に遠隔診療の話につきましては、現在私どもが集めた式を用いた偏在対策を資料として出させていただいております。精神科の偏在が存在しているような地域で好事例となるような取組がなされているのであれば、私どもも取り上げていきたいと思っておりますので、情報提供いただきたいと思っております。
○遠藤座長 櫻木構成員、よろしゅうございますか。
○櫻木構成員 いわゆる精神疾患、精神医療についてもある程度、今までのところで言うとまだ医療法が改正になっていないのでというところでしたけれども、今日の話題なんかに関して言えばかなり突っ込んで話ができるかなと思ったものですからお伺いしました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、お待たせしました。東構成員、お願いいたします。
○東構成員 ありがとうございます。3点意見を申し上げます。
 まず、資料1の14ページに示されております医師偏在是正に向けた総合的な対策パッケージの基本的な考え方については、いずれも重要な取組であると思っております。特に先ほど他の構成員の発言にもございましたが、若手医師ではなくて、中堅、シニア世代へのアプローチをするとされたことは非常に重要だと思っております。資料1の49ページに示されておりますリカレント教育はその要であると私どもも考えており、委託を受けております私どもの団体も、今後しっかりと取り組んでいきたいと考えております。
 2点目ですが、資料1の66ページに「産科・小児科における医師確保計画を通じた医師偏在対策について」示されております。また、資料1の68ページには、その一環としてチーム医療、タスク・シフトを用いた対策等が示されており、資料1の77ページには、産科・小児科の支援に令和6年度の補正予算で55億が計上されていることも示されております。産科・小児科の医師確保対策というのは大変重要であり、必要なものと認識もしております。
 一方で、資料1の64ページには、減少傾向にある外科医師の支援が必要であるとか、資料1の60ページには、外科領域を選択することをやめた専攻医について、ワーク・ライフ・バランスの確保の課題が重要であるということが指摘をされています。
 私は、実は以前、胸部外科医として勤務をしておりましたが、その医局には現在、昔はおられませんでした女性の心臓血管外科医もおられます。しかし、やはり心臓血管外科医の業務が過酷であること、また拘束時間が長いこと等により、結婚を諦めるとか、退職をされたりするような傾向が見られて、大変心配をしております。
 先ほど猪口構成員も発言をされておりましたが、命に直接携わる外科医師の確保というのは、今後、喫緊の課題と私は考えております。早急に産科・小児科と同じレベルの対策を講じるべきではないかと考えます。
 最後ですが、資料1の90ページに遠隔医療の様々な活用形態として、DtoD、DtoPが示されております。先ほどDtoDとDtoPはきちんと区別して考えるべきという御発言もございました。私もそう考えます。その中でもDtoDにつきましては、資料1の94ページ以降に幾つかの事例が示されております。今後は、私どものような高齢者施設と医療機関の間でのDtoD、こういうものを活用していくべきではないかと思います。特にまずは常勤医師が配置されております老健施設や介護医療院と、その連携協力医療機関との間で適切なDtoDが行われることで、軽度な医療ニーズの高齢者救急の削減等にも寄与するのではないかと思います。オンライン診療は、遠隔医療だけではなく、今後、AIもどんどん発展していきますので、様々な分野での活用が可能と考えます。
 以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 ほかに会場で参加の構成員でどなたか御意見ございますか。
 では、今村構成員、お願いいたします。
○今村(英)構成員 私からは、細かい点ですが、まず27ページの地理的要素です。これは各委員からも出たように、ぜひ御考慮いただきたい点です。その際に、一つ問題になるのが、隣接する都道府県の医療機関へのアクセスも考えるのかです。この点をどう考え解決するかについて指摘致します。
 次に、44ページの診療科偏在の部分ですが、私自身が、医学部の定員問題と初期臨床研修の問題、そして専攻医の問題、3つの検討会に委員として関係しています。この中で一番難しいのが診療科偏在の問題です。なかなか解決策はないということです。例えば37ページにおいて、基本領域というのが19あるわけですが、そういう中で、内科は多いですが、実は内科でも、御存じのように循環器内科もあれば、消化器内科、糖尿病内科もあります。そうするとこの基本領域のドクター数が多いから良いというわけにはいかないという事です。ではどこまで診療科偏在を考えるかは、基本的に44ページに書かれているところで考えることでいいと思います。ただ、恐らく医師少数県で、なるべく診療科が整った病院が欲しいとなると、ここら辺の考え方も一筋縄ではいかないと思います。そういった点では、基本領域に加えて、サブスペシャリティーの部分をどの程度加味するかという問題が出てきます。
 その上で、総合的な診療に従事する医師が必要であるということは、各委員からも出てきていますが、実際に総合的な診療に従事する医師に求められるものは何かということです。これからリカレント教育等も入ってきますが求められる能力は地域によっては異なってくると考えられます。先ほど包括期に総合的な診療能力の医師が必要というお話がありましたが、恐らく包括期ではその中でもより老年医学に強い総合診療医が必要というようなことになります。総合的な診療能力は、各委員の考えている部分もしくは求める部分が異なってくる可能性があります。そこら辺をどう整理していくか、整理した上で、どのようにこれを配置するかというのが大事になってくると思います。
 最後に、日本医師会的には、今、全国の病院が経営的にも非常に厳しいという状況にある事を強調しておきます。医師偏在の問題を解決ということですが、まずは今の地域医療を支える病院が成り立って初めてここから先の議論ができるというところを最後指摘させていただきます。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 御意見として承りました。
 それでは、オンラインで先ほど来、お手を挙げておられます伊藤伸一構成員、よろしくお願いします。
○伊藤(伸)構成員 ありがとうございます。日本医療法人協会の伊藤でございます。
 まず最初に、各構成員の先生方が言っておいでになりましたけれども、27ページにあるような地理的要素の反映は大変に有効なことであろうということで、これに関してはぜひ進めてまいりたいと思っているところでございます。
 それと、実は医師の偏在指標のところで、もう既に今村構成員、土居構成員のほうから、大変難しいというお話は出ておりましたけれども、これに関しまして、いわゆる医師の偏在指数の算定式を、診療科の偏在というところに結びつけて偏在指標を出していくということが可能だとするならば、これを進めることは、偏在の実態がより明確になるということから、対策も可能になるという提言を申し上げたいと思っております。
 25ページの下段にありますように、次期の医師確保計画に向けてという意味でも、診療科の偏在指標を明確にすることはとても有効なことではないかというところでございます。これは可能であるかどうかということについて、もし何かコメントがあれば教えていただきたいと思っておるところでございます。
 それから、特に外科の医師の確保は病院によって非常に重要なことでありまして、喫緊の課題でございますが、60ページにございます診療科の専攻をやめたというようなデータに基づいて、我々は外科の集約化、脳外科も含めて外科系の集約化を進める方向で検討しているところです。つまり、医療提供体制の大きな変更というところに向けて今、検討しているところでございますが、ただ、ここをしっかり見てみますと、いわゆる専攻医を目指していたけれども、それを選ばなかった理由として、ワーク・ライフ・バランスが難しいということ。これが飛び抜けて高いわけでございますが、その次に、医師が不足しており、過酷なイメージがある。つまり、イメージの捉え方の問題で専攻医を辞めたというようなことになるわけでございます。もう一つは、ハラスメントが多そうだという理由はイメージに他ならない訳ですが、専攻医の入り口でのアンケートのデータをもって医療のシステムの大きな変更を行うことに関して外科医の減少が集約化することによって、本当に事態は改善するのかどうかというのはちょっと見えにくいところがございます。
 したがいまして、こういうところに関しましてももう少し突っ込んだ調査、たとえば実際に専攻している医師に実態はどうであったかというところも含めて、他科と外科との違いというものを調査してもいいのではないかと思っているところでございます。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 1つ、診療科別の医師偏在指標の作成上の実行可能性について、事務方に御意見をお聞きしたいということでありましたので、何かコメントがあればお願いしたいと思います。
○佐野室長 御意見いただきありがとうございました。
 現状、我々としても、先ほど今村知明構成員からありました意見と同じような印象を持っているところでございます。診療科偏在についてどのように取り組んでいくのかというのは、本当に非常に難しい問題だなと私も思っておりまして、指標化していって見える化するのか、それとも、できる限りそういった試みをしていくのか、実施可能性の問題はあるかとは思いますが、それともまた別のいろいろな方策を用いた上で対策していくのかというところについては、少し御議論させていただきたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 ちょうど予定していた時間になってまいりました。まだ御発言をされたい方もいらっしゃるかと思いますが。
 失礼しました。それでは、菅原座長代理、お願いいたします。
○菅原座長代理 ありがとうございます。
 少しだけ時間がありそうですので、私からも発言させていただきたいと思います。
 まず、大部の資料の御準備をいただきました事務局に心から感謝を申し上げます。いつも本当に感謝申し上げます。
 全体の対策の進め方の考え方、31枚目のスライドに関しまして、私自身はあまり大きな違和感はございませんでした。まずスライドの4枚目、5枚目、医師偏在対策として養成過程を通じた対策というのが大きなポイントになっているかと思いますけれども、その中でも、これまで同様、地域枠の設定が大きな柱になっている印象を持っております。私の不勉強なのかもしれませんけれども、この地域枠が設定されてからも相当な年数がたっていると思います。この地域枠の実態的な効果というのでしょうか。この場合、一定の年限の就業を義務づけることで奨学金の返還が免除されるとされているわけですけれども、その免除期間が終わった後に、どの程度の方々がその地域の中で活躍をされているのかに関してもしデータ等々があれば、こういった政策を進めていく上で非常に大事だと思います。次回で結構ですので、ぜひそういった効果についてのデータを出していただきたい。これから先、どういった部分を掘り下げていくのかについて非常に重要な資料になるかと思います。
 それから2番目ですが、スライドの14番、中堅、シニアの全ての世代の医師へのアプローチ、これも非常に大事だと私も思っておりまして、医師養成の期間の長さ、それから今後の地域の変化の予想を考えますと、これから医師を養成して、そこに張り付けていくという考え方もありますが、今、既存の医師の方々により長くそこで活躍していただくというほうが、より実効性が高いと思っております。
 そういった意味では、ちょっと踏み込みますけれども、既に地域の状況を熟知されている公的病院の医師の先生方などに対する定年延長の特例措置をさらに踏み込んで、その中の地域医療でさらにもう一歩貢献していただくというのが現実的な施策になるのではないのかなと個人的には考えております。
 それから3点目ですけれども、スライド15番目になると思いますが、偏在対策における経済的なインセンティブという話がございまして、実はその中に対策として診療報酬の対応が入っておりました。なかなか診療報酬の対応の具体策をここで議論するのは難しいと思うのですけれども、皆さん御承知のとおり、診療報酬の増額というのは基本的には患者負担の増大につながるという側面もございますので、このスキームを考える上では、遍在地域の患者さんの方に、偏在地域にいるがゆえにより多くの過度な負担が発生しないように、ここは十分な対策が必要だと思います。
 そういった意味では、非常に経済的には難しいのですけれども、地域を特定した負担軽減措置といったものを考えないと、その後ハレーションが起こってしまうということで、非常に慎重に議論をしなければいけないポイントかと思います。
 急いでいきますけれども、地理的な要素の勘案に関しては、既に先生方から様々な意見がございました。特にアクセス時間を反映するのは、私も実態的でいいのではないかなと考えております。直線距離だけだとやはり地理的な要因の影響がありますので、できれば時間といったより具体的なところで話が進むといいなと思います。
 それから、スライドの44、診療科偏在の視点が3つありました。3つに関してはすばらしい整理だと思いますけれども、その基底の部分に、恐らく医療現場では「待てる医療」と「待てない医療」、要するに緊急性の高い医療というのがあるのだと思うのです。偏在のところでこの3つの指標で整理されるのはいいのですけれども、その基底として時間軸の整理といいますか、各々の診療科の中にも、非常に急いでやらなければいけないものと、ある程度時間的猶予のあるものがあると思いますので、その辺り、3つの視点の中にそういったものもあるというのが少し基底として置かれると、私の頭の中ですっきり整理ができるかなと思いました。
 時間も超過してしまって大変申し訳なかったです。以上でございます。
○遠藤座長 当てなければいけないのに申し訳ありませんでした。
 ありがとうございました。非常に貴重な御意見が出されていると思います。
 その中で一つ、当部会では議論が適切ではないようなものもありましたけれども、特に今後の議論の中で重要だと思われることの一つに、地域枠の義務年限終了後の地域定着の状況のデータがあるのか。あれば出してほしいということだったのですが、それは私も重要だと思うのですが、その辺についての実行可能性とか事務局の考えをお聞きしたいなと思います。いかがでしょうか。
○和泉医師養成等企画調整室長 ありがとうございます。医事課でございます。
 その御指摘につきましては、医師養成過程の検討会でも御指摘がありまして、おっしゃるとおり、地域枠制度自体はかなり前からあるものですけれども、少し定義を整理したりというのが直近だったりして、それが6年の学部を卒業して、9年の義務年限の後というところのデータについては、今まさに集計を検討しているところで、研究班のお力も借りながら整理をしているところでございまして、直近ですぐに出すというのは難しいのですが、おっしゃるとおり重要性については各検討会で御指摘がありますので、可及的に整理をしまして、この検討会も含めまして御共有できればと思ってございます。
 以上でございます。
○遠藤座長 どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、ありがとうございます。非常に貴重な御意見を賜りました。
 事務局におかれましては、本日の様々な御意見を踏まえた議論が行えるように、資料の作成等、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、本日の会議はこれにて終了したいと思いますが、事務局から何かございますか。
○鈴木課長補佐 本日は、活発な御議論をいただき、ありがとうございました。
 次回の検討会については、詳細が決まり次第御連絡いたしますので、引き続きよろしくお願いいたします。
○遠藤座長 それでは、本日の検討会はこれにて終了したいと思います。どうもありがとうございました。
 

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