第1回在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ:議事録

日時

令和7年9月24日(水) 10:00~12:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール14D
(東京都 千代田区  内幸町1-3-1 幸ビルディング 14階)

議事

○佐野室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、第1回「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」を開会いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、御多用の中御出席くださいまして、誠にありがとうございます。座長選任までの間、進行を務めさせていただきます医政局地域医療計画課の佐野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、対面及びオンラインによる開催とさせていただいております。
 議事に入ります前に、本来であれば構成員の皆様方の御紹介と事務局の紹介をさせていただくべきところですが、時間の関係上、構成員名簿の配付をもって紹介に代えさせていただきます。
 本日は、荒井構成員、北原構成員、知浦構成員は御欠席との御連絡をいただいております。
 それでは、開催に先立ちまして、医政局地域医療計画課長の西嶋より御挨拶を申し上げます。
○西嶋課長 医政局地域医療計画課長の西嶋でございます。
 構成員の先生方におかれましては、大変御多忙の中、本日はお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 本日は、在宅医療及び医療・介護に関するワーキンググループということで開催をさせていただきたいと思っております。
 新たな地域医療構想の検討会を今鋭意進めておりますけれども、その中で、それと並行して幾つかの医療領域、特に医療計画に関するような領域については別途ワーキングを立ち上げて、それぞれのワーキングの中でその具体を議論していこうということで、構想の検討会のほうでもおおむね了承いただいたということでございまして、それを受けて、今日は多くの構成員の先生方にこの会に入っていただいて、様々な観点から在宅医療、そして、医療から見た介護との連携の在り方、この辺りについて様々な御意見をいただきたいと思っております。
 このワーキングについては、今後、在宅医療の基本方針について見直しをする時期でありますので、可能なものがあればそういったものにも反映させていき、我々としても様々な施策に先生方からいただいた意見を今後反映させていくというようなことを考えていきたいと思っておりますので、皆様方の活発な御意見を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
○佐野室長 続きまして、資料の確認をさせていただきます。
 本日の資料は、資料1「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ開催要綱」、資料2「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループにおける検討事項等について」、資料3-1「提出資料1」、資料3-2「提出資料2」、資料3-3「提出資料3」、資料3-4「提出資料4」、参考資料1「在宅医療の体制構築に係る指針」、参考資料2「2040年に向けたサービス提供体制等の在り方に関するとりまとめ」、参考資料3「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ構成員名簿」となります。
 資料に乱丁・落丁等がございましたら。事務局までお声がけください。
 冒頭のカメラ撮りについては、ここまででお願いいたします。
(冒頭カメラ撮り終了)
○佐野室長 それでは、議事に移ります。
 議題1「座長の選出」でございます。事務局から資料を説明いたします。
 資料1「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ開催要綱」を御覧ください。
 まず、目的といたしまして、85歳以上の高齢者の増加に伴う在宅医療の需要の増加が見込まれる中、質の高い在宅医療を効率的に提供できる体制を構築するため、多職種での連携や介護との連携を含めた今後の在宅医療の在り方について、介護保険事業計画及び障害福祉計画等の関連する計画と整合性を確保しながら検討する必要性があるという目的がございます。そして、本ワーキンググループは、医療計画における在宅医療及び医療・介護連携の推進等に向けて必要な議論をすることを目的に開催するものとされております。
 検討事項といたしましては、こちらに書いております2つの事項です。
 (1)医療計画における在宅医療及び医療・介護連携の体制整備の取組。
 (2)その他在宅医療及び医療・介護連携に係る施策の実施に必要な事項となっております。
 本ワーキンググループの座長につきましては開催要項のとおり、構成員の互選により選出することといたします。どなたか御推薦を頂戴できればと存じますがいかがでしょうか。
 坂本先生、よろしくお願いいたします。
○坂本構成員 日本医師会の坂本でございます。
 座長についてですけれども、社会保障審議会介護保険部会の部会長代理を務めていらっしゃり在宅医療、医療・介護連携に精通されております早稲田大学の野口晴子構成員にお願いするのがよいかと思いますが、いかがでしょうか。
○佐野室長 ありがとうございます。
 ただいま坂本構成員より野口構成員を御推薦いただきましたので、野口構成員に座長をお願いするということで御異議はございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
○佐野室長 それでは、本ワーキンググループの座長は野口構成員にお願いいたします。
 野口構成員におかれましては座長席にお移りいただきまして、以降の議事運営をお願いいたします。
○野口座長 皆様、こんにちは。早稲田大学の野口晴子と申します。
 このたび在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループの座長を仰せつかりました。本当に重要な検討会で身が引き締まる思いでおります。
 構成員の皆様方の御協力をいただきながら、私ではあまりお役に立てないかもしれませんけれども、当ワーキンググループの円滑な運営に努めてまいりたいと思います。何とぞよろしくお願い申し上げます。
 まず、議事に入ります前に、開催要項では座長は座長代理を指名することができるとされておりますので、座長の代理を指名させていただきたいと思います。私からは、本日残念ながら御欠席ではございますが、医療政策にも明るく、これまで厚生労働省の検討会等に多数御参加されておられます荒井構成員にお願いしたいと思います。皆様、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 次に、団体を代表して御参加いただいている構成員の方が仮に欠席の際に、代わりに出席される方につきましては、事前に事務局を通じて座長の了解を得ること及び当日の会合において承認を得ることにより、参考人として参加し、発言をいただくことを認めることとしたいと思いますがいかがでしょうか。
(構成員首肯)
○野口座長 よろしいでしょうか。どうもありがとうございます。
 それでは、早速でございますが、議事2に入らせていただきたいと思います。
 本日の議題は「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループにおける検討事項等について」でございます。
 それでは、本議題について、事務局から資料2の説明をよろしくお願いいたします。
○佐野室長 よろしくお願いいたします。事務局でございます。資料2をお手元に御用意ください。
 1ページ目に関しましては、表紙となっておりますので飛ばさせていただきます。
 本日は、こちらの4つの項目について御議論を進めていきたいと思っております。
まず、1つ目としましては本ワーキングの進め方について、そして、2つ目といたしまして第8次医療計画における在宅医療の提供体制整備について、3つ目といたしまして在宅医療に関わる多職種の現状について、4つ目として医療・介護/多職種の連携、ICTの活用についてでございます。
 それでは、本ワーキングの進め方について進めさせていただきたいと思います。
 こちらは2040年の人口構成について提示させていただいております。2040年には85歳以上人口を中心とした高齢化と生産年齢人口の減少が見られます。さらに地域ごとに見ますと、生産年齢人口はほぼ全ての地域で減少し、高年齢人口では大都市部では増加、過疎地域では減少、地方都市では様々な地域があるという状況でございます。
 それに伴いまして医療需要が変化してくるというところのスライドでございます。要介護認定率は年齢が上がるにつれて上昇し、特に85歳以上で上昇いたします。2025年以降、後期高齢者の増加は緩やかとなりますが、85歳以上の人口は2040年に向けて引き続き増加が見込まれておりますので、こういった医療と介護の複合ニーズを持つ者が一層多くなることが見込まれております。
 こちらが2040年の医療需要となりますが、そういった人口構成の変化に伴いまして、救急搬送の増加ですとか、在宅医療の需要の増加が見込まれるという図となっております。
 こちらが在宅医療の需要の増加について示しております。全国での在宅医療患者数につきましては2040年以降にピークを迎えることが見込まれております。さらに2040年以降に237の二次医療圏において在宅医療患者数のピークを迎えることが見込まれているという状況でございます。
 死亡者数につきましては2040年まで増加傾向にありまして、ピーク時には年間約170万人が死亡すると見込まれております。死因につきましては、悪性新生物、心疾患とともに老衰が増加傾向にあるという状況でございます。死亡の場所につきましては、自宅、介護施設等が増加傾向にあるということが見て取れるかと思います。
 次のスライドは、2040年には就業者数が大きく減少するような背景がある一方、医療・福祉種の人材というのはより多く必要となってくるというところで、ますます人材確保は課題になってくるというスライドでございます。
 こちらのほうが市区町村におけます診療所数と2040年の見込みとなっておりまして、診療所医師が80歳で引退し、承継がなく、当該市町村に新規開業がないと仮定した場合におきましては、2040年においては診療所がない市区町村数は170程度増加する見込みとなっております。
 こちらが第8次医療計画の在宅医療の体制に係る見直しのポイントとなっております。概要のところを見ていただければと思います。
 1つ目といたしまして、今後見込まれる在宅医療の需要の増加に向け、地域の実情に応じた在宅医療の体制の整備を進める。その中で、在宅医療において積極的役割を担う医療機関及び在宅医療に必要な連携を担う拠点を医療計画に位置づけ、適切な在宅医療の圏域を設定する。
 2つ目としまして、在宅医療患者の急変時の適用に対応するための情報共有や連携を進める。また、看取りに際し、本人家族の希望に沿った医療・ケアの提供を進め、平時から関連機関の連携体制の構築を進めた上で、災害時における事業継続計画の策定を推進する。
 3つ目として、多職種の連携について明記するとなっております。
 こちらは令和6年12月3日の新たな地域医療構想等に関する検討会の資料の一部改変となっておりますが、新たな地域医療構想の内容について基本的に第9次計画に適切に反映されるよう、地域医療構想の策定状況や医療計画の取組に係る課題を国と県で共有することとしてはどうかというところで、一番上の地域医療構想につきましては、今、そちらの検討会のほうで御議論いただいているという認識でございます。
 下のほうの医療計画の中で、3年間ごとに見直しを行って、それぞれPDCAサイクルを回していくとされている計画が3つございますが、その中に在宅医療に関する事業がございます。
 こちらが令和7年7月4日の医療部会で出された資料となっておりまして、医療計画のうち外来医療計画等の3か年の計画につきましては、第8次医療計画の後期に向けて令和7年度中に一定のとりまとめを行う。さらに在宅医療連携ですとか救急医療等について、新たな医療構想の策定に向けて議論が必要なものについては検討会で行う。在宅医療と医療・介護連携につきましては、こちらの第8次医療計画(後期)に向けてワーキンググループで議論を行うとされております。
 こちらは令和7年8月27日に行われました第3回の地域医療構想及び医療計画等に関する検討会の資料となっておりまして、在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループで検討するという形となっております。
 こちらは今までいただいております在宅医療に関する主な御意見でございます。御紹介させていただきますと、医療と介護の複合ニーズを有する方々への地域での支援体制についても検討が必要なのではないかですとか、慢性期の入院や介護施設、在宅医療でケアされているような患者が今後増えていくのではないか。
 あとは地域で切れ目のない医療を提供するための具体的な方策について検討が必要なのではないか、看取りについても検討が必要なのではないか、そして、薬局における薬剤の供給・提供の点もセットで議論するべきとか、こういった多職種の連携が必要なのではないかというところですとか、救急車の受け入れの体制整備だけではなく、そういった救急搬送しなくて済むような医療機関と介護施設による効果的な連携が進むような取組についても検討が必要ではないかとされております。
 そういった中で、今まで説明したところは上の薄紫のボックスのところにまとめさせていただいておりますが、本ワーキングにおける具体的な検討事項としては、下のボックスとしてはどうかという形とさせていただいております。今後、地域医療構想及び医療計画等に関する検討会におきまして、新たな地域医療構想の策定に向けた医療機関機能ですとか、構想区域に関する議論が進められることになりますが、本ワーキングにおきましては第8次医療計画の後期に向けて、前期における課題等を踏まえた在宅医療の体制構築に係る指針の見直しを行うために以下について検討を行うこととしてはどうか。
 1つ目としましては、前期の8次医療計画における取組を踏まえました後期における在宅医療提供の整備としまして、具体的には、積極的な役割を担う医療機関を設定する際の考え方、そして、積極的に担う医療機関と必要な連携を担う拠点の役割の明確化と連携の在り方。
 2つ目としましては、質を担保した効率的な在宅医療提供の在り方といたしまして、協力医療機関と介護保険施設・高齢者施設等の連携を含めたさらなる医療・介護の連携、そして、在宅医療に関わる多職種の役割や連携の充実。
 3つ目といたしましては、在宅医療における災害時の対応というところで検討していってはどうかという形で大きく目出しをさせていただいております。
 枠外になりますが、医療ソーシャルワーカーの業務指針というものがございまして、実はこちらが平成14年より改訂されていないという状況がございますので、こちらの業務指針の改訂についても本ワーキングで議論することとさせていただいております。
 こちらが第8次医療計画における在宅医療の提供体制整備についてというところで、18枚目のスライドに在宅医療の体制について概念図を出させていただいております。退院支援ですとか、日常の療養支援、看取り、急変時の対応といったものがありますというスライドになっております。
 こちらが第8次医療計画における在宅医療の圏域について少し記載させていただいております。赤のところが今回第8次医療計画の指針で新たに記載された内容となりますが、内容といたしましては、従来の二次医療圏にこだわらず、できる限り急変時の対応や医療と介護の連携体制の構築が図られるよう、在宅医療において積極的な役割を担う医療機関及び在宅医療に必要な連携を担う拠点の配置並びに地域包括ケアシステムの状況も含め、市町村単位や保健所区域等の地域の医療ですとか、介護の実情に応じて弾力的に設定する。こういった積極的な医療機関ですとか、連携を担う拠点については圏域内について1つは設定することとされております。こちらは在宅医療の圏域の話でございます。
 20枚目のスライドが在宅医療の圏域の設定状況についてとなります。下の棒グラフを見ていただければと思いますが、在宅医療の圏域として二次医療圏を活用していたのは24府県となっておりまして、二次医療圏よりも多い圏域を設定していたのが21都道県であったという状況でございます。
 二次医療圏よりも多い圏域を設定していた都道府県では市町村、郡市区医師会、保健所等の単位で設定されていたという状況でございます。
 奈良県と長野県様のほうでは、なかなか数としてカウントすることはできないような形で、柔軟に相互に連携しながらやってくださいというようなところで設定していただいている都道府県さんもございますという状況でございます。
 こちらが積極的役割を担う医療機関についての第8次医療計画における記載となっております。こちらも赤字が第8次医療計画に向けた指針において新たに追記された内容となっておりまして、医療ですとか、介護・福祉の現場での多職種連携の支援を担うような病院・診療所を積極的な役割を担う医療機関として医療計画に位置づける。そういったものに関しましては、在支診ですとか、在支病等の地域において在宅医療を担っている医療機関の中から位置づけることが想定されるという記載ぶりとなっているという状況です。もちろん医療資源の整備状況が地域によって大きく異なるということを勘案した上で、そういった病院ですとか診療所以外のところも地域における在宅医療に必要な役割を担うこととするとされているところでございます。
 22枚目のスライドは積極的役割を担う医療機関の設定状況となっておりまして、既に7月24日の第1回の検討会で提示させていただいているスライドとなっております。多くの地域に関しましては在支診ですとか在支病が指定されているところなのですが、その他のところが指定されている状況もございます。その他の例としましては、右上の青のところで記載されておりますが在宅療養支援歯科診療所ですとか、在宅療養支援歯科病院、訪問看護事業所、薬局などが指定されていたという状況がございます。
 こちらが第8次医療計画における必要な連携を担う拠点についてというところで、こちらのほうも少し記載させていただいております。左のほうに指針の記載ぶりを記載させていただいておりますが、こちらはかなり分量が多くございますので右の図を見ていただければと思います。この拠点というのは具体的に何をしているかといいますと、こういった地域の病院さんですとか、診療所の皆様、そして、介護サービスの事業所ですとか、訪問看護ステーション、薬局の情報ですとかを汲み上げたりした上で、うまく連携するような形で交通整理をしていただくところを我々としては想定しているものでございます。具体的には市町村ですとか地域医師会、そして、保健所、医療機関等が設定の想定となるという形となっております。
 こちらですが、在宅医療に必要な連携を担う拠点と在宅医療・介護連携事業との関わりについて少し記載させていただいております。8次医療計画につきましても市町村が在宅医療・介護連携事業において実施する取組との連携を図ることが重要であると記載されているという状況でございます。そういった中で、在宅医療・介護連携推進事業の内容というのは在宅医療に必要な連携を担う拠点との連携が有効なものとなっている状況でございます。
 こちらのスライドにつきましては、在宅医療に必要な連携を担う拠点と在宅医療・介護連携推進事業の連携について記載させていただいております。下のベン図を見ていただければと思いますが、なかなか完全には重ならないところがございまして、例えば地域医療・介護連携確保基金につきましては在宅医療の対象というのは高齢者に限らない。一方で、地域支援事業交付金につきましては主に高齢者が対象になってくるというところで、なかなか完全にはベン図が重ならないところを御提示させていただいております。
 そういったところを踏まえまして、下のところの論点としましては、先ほども挙げさせていただきましたように、前期の第8次医療計画において在宅医療の圏域ごとに位置づけることとされました積極的な役割を担う医療機関及び必要な連携を担う拠点について、後期に向けた指針の見直しを見据えて、以下の点についてどのように考えるかということで論点出しをさせていただいております。
 1つ目としましては、積極的役割を担う医療機関を設置する際の考え方。
 2つ目として、積極的役割を担う医療機関と必要な連携を担う拠点の役割の明確化と連携の在り方とさせていただいております。
 ここからが在宅医療に関わる多職種の現状についてになっております。
 こちらのスライドに再掲させていただいておりますが、第8次医療計画見直しのポイントとなっておりまして、こちらのほうにも各職種の関わりについていろいろとさせていただいたということが記載されている状況でございます。
 こちらは第8次医療計画における訪問看護の提供体制に係る記載事項について提示させていただいております。訪問看護におきましては規模が大きいほど緊急時の訪問、医療ニーズの高い利用者への対応で24時間対応が可能な事業所が多く、事業所の規模の拡大や訪問看護事業所間、関連機関との連携、情報通信機器の活用等による業務効率化による安定的な訪問看護サービスの提供体制の整備が必要であるという形となっています。
 訪問看護の必要量について少し提示させていただきますが、訪問看護の利用率というのは年齢とともに増加している。さらに2025年以降に後期高齢者の割合が7割以上になることが見込まれているという状況です。多くの二次医療圏、198の医療圏において2040年以降にピークを迎えることが予想されているという状況でございます。
 こちらは訪問看護事業所数と看護職員規模について提示させていただいております。左側が訪問看護事業所数で右側が看護職員規模となっておりますが、訪問看護事業所の数は増加していることが見て取れるかと思います。請求事業所数は約1万7000事業所となっております。さらに右のほうを見ていただければと思いますが、令和6年では5人以下の訪問看護ステーションは53.8%となっており、小規模な事業所が多いという状況でございました。
 32枚目のスライドが訪問看護の供給力に係る状況となっておりまして、左のほうに看護職員がどこで働いているかというところの棒グラフ、右側に看護職員の求人倍率について載せさせていただいております。看護職員の就業場所というのは病院・診療所が多いという状況がございますが、訪問看護ステーションや介護保険施設等が増加傾向であり、さらに看護職員の求人倍率としては訪問看護が突出して高い状況が見て取れるかと思います。
 こちらが市町村の人口別に見た訪問看護ステーションの設置状況となっておりまして、左側の箱ひげ図を見ていただければと思いますが、5万人以下の人口規模の小さい市町村では訪問看護ステーションがない地域が一定数存在しているという状況でございます。
 次のスライドが訪問看護ステーションの指定・廃止の状況についてというところで、訪問看護ステーションの指定数及び稼働数自体は増加傾向でありますが、廃止・休止のステーションも増加しているという状況がございます。その理由としましては、従業員の確保難、管理者の退職、利用者の減少等があり、人材の確保が主な要因となっているという状況でございます。
 こちらが地域医療連携推進法人を活用した訪問看護の体制整備というところで、現在、地域医療連携推進法人というものが全国で57法人ございまして、実は訪問看護の皆様も一定数参加していただいているという状況でございます。下の右側のほうに山形県の酒田市の事例を出させていただいておりますが、こういった法人参加により常勤看護師が増加したことで経営の安定化ですとか、あとは従業員の休暇取得等の働き方改革の改善につながった事例もあるという形でございます。
 ここからが第8次医療計画の指針で示した訪問歯科診療の提供体制に係る事項でございます。歯科医師ですとか歯科衛生士による口腔の管理へのより一層の関与が期待されているという状況でございます。歯科診療所と後方支援機能を有する歯科医療機関との連携ですとか、医科歯科連携をさらに推進していくことが求められている状況でございます。
 こちらが訪問歯科診療を提供している歯科診療所の状況となっておりまして、歯科診療所当たりの訪問歯科診療の実施件数は増加傾向にありますが、令和2年に減少したものの令和5年には増加傾向が見られております。どういった場所で実施されているかというところなのですが、居宅は増加傾向ですが、施設は新型コロナウイルスの感染拡大以降、あまり変化していないという状況でございます。
 こちらは歯科診療数を人口65歳以上10万対で各都道府県で見た図となっておりますが、青が居宅で訪問歯科診療を実施した診療所数、緑が介護施設等で実施した歯科診療所数、オレンジが病院・診療所等で実施した診療所数となっております。これを見ますと、居宅ですとか介護施設等で訪問診療を行っている歯科医療機関が多い。在宅医療サービスを実施している歯科診療数は都道府県によって差が大きいことが分かるかと思います。
 こちらが訪問歯科診療を実施している歯科系の診療科を標榜する病院数となっております。訪問歯科診療を実施する病院というのは診療所に比べまして少ないという状況でございまして、約9.5%であったという状況でございます。都道府県別では鹿児島県が29.6%と最も高い一方で、歯科訪問診療を実施しているような病院がない県も存在していたという状況でございます。
 こちらが在宅歯科医療に関連する歯科衛生士の業務の実施状況となっておりまして、歯科衛生士により訪問歯科衛生指導ですとか、口腔の管理が実施されている状況がございます。どういった業務がされているかと申し上げますと、介護職員への口腔ケアに関わる技術的助言、そして、ケアマネジャー、多職種との連携調整など、多職種連携に関わる内容が24.3%、41.8%で実施率が多かったという形となっております。
 こちらが第8次医療計画の指針で示した訪問薬剤管理指導の提供体制に係る事項となっております。在宅医療で必要となる薬物療法ですとか、麻薬や無菌製剤の調整、小児在宅や24時間対応等の提供機能を医療体制として構築・整備することが必要であるという形でございます。
 こちらは医薬局様のほうの検討会で出していただいた資料となっておりますが、在宅医療において薬局に期待される主な役割としましては、この4つのものがあると整理されているところでございます。
 1つ目として、医薬品、医療機器、衛生材料の提供体制の構築。
 2つ目として、薬物療法の提供及び薬物療法に関する情報の多職種での共有・連携。
 3つ目として、急変対応。
 4つ目として、ターミナルケアへの関わりとなっております。
 こちらは在宅医療の訪問薬剤管理指導に関わる届け出薬局数となっておりまして、左側ですが、在宅医療対応ありと回答した薬局は70%を超えていたという状況でございます。右側のほうで、一定の訪問実績が必要な在宅患者調剤加算の届け出薬局数については薬局全体の40%でありますが、増加傾向にあるという状況でございます。
 次のスライドが訪問薬剤管理指導等を実施する薬局と24時間対応可能な薬局の状況についてというところでグラフを示させていただいております。上が訪問薬剤指導を実施する薬局の状況というところで、これは実際に訪問薬剤指導を実施した薬局の数となっておりまして、全国平均は56.2%となっており、都道府県間でばらつきがあるという状況であるかと思います。下のほうは24時間対応が可能な薬局の状況となっておりまして、こちらは届け出制となっておりますので、実際に24時間対応が可能な薬局の数となっておりますが、全国平均が40.9%で都道府県によってばらつきがある状況が見て取れるかと思います。
 こちらが麻薬の製剤と無菌製剤の調剤を実施している薬局の状況についてというところで、それぞれ提出させていただいております。麻薬の調剤の実施状況が上のグラフとなっておりまして、全国平均9.0%で、こちらも都道府県によってばらつきがあるという状況があるかと思います。無菌製剤の調剤の実施状況につきましては下のグラフとなっておりまして、全国平均2.3%で、こちらも都道府県ごとにばらつきがある状況になっているかと思います。
 こちらは都道府県別の小児への訪問薬剤管理指導のグラフとなっておりまして、実際に算定回数は増加している一方で、都道府県ごとに算定回数には差があるというところが右で分かるかと思います。都市部に限らず実施されておりまして、都道府県単位で地域偏在があるという状況かと思います。
 次のスライドも医薬局様の審議会のほうで御提示いただいた資料について御提示させていただいております。実際にその地域における薬局の役割機能においても在宅への対応というものはあるのではないかということを御提示いただいている状況でございます。
 こちらが訪問リハビリテーションに関する事項となっております。訪問リハビリテーションにおいては、今後さらなる需要が見込まれている状況でございます。医療機関におけるリハビリテーションから地域における居住生活の維持向上を目指す生活期リハビリテーションを切れ目なく提供できる体制の整備が求められているという形となっております。
 こちらが介護保険における訪問リハビリテーションの請求事業所数となっておりまして、こちらは毎年増加している状況が見て取れるかと思います。
 保険区分による訪問リハビリテーションの件数について御提示させていただいておりますが、左が医療保険、右が介護保険となっておりますが、介護保険の数がかなり多い状況となっているかと思います。
 次のスライドは訪問リハビリテーションの受給者数という形となっておりますが、こちらは年々増加していて、要支援ですとか要介護の区分ごとにも増加傾向が見て取れるかと思います。
 次が訪問栄養指導の提供体制に係る事項となっておりまして、訪問栄養指導を充実させるために管理栄養士が配置されている在宅支援病院ですとか、在宅支援診療所、そして、栄養ケアステーション等の活用も含めた体制整備を行うことが必要とされております。
 在宅療養介護高齢者におきまして、栄養障害及び摂食・嚥下障害が認められる者は多く存在しておりまして、要介護度が高いほどその割合も高い状況が見て取れるかと思います。
 こちらが訪問栄養指導の実施状況となっておりまして、令和6年の算定回数は平成24年と比べますと、医療保険、介護保険ともに約4倍に増加しているという状況でございます。診療報酬は令和2年度から、介護報酬は令和3年度から外部の管理栄養士との連携による訪問栄養指導を評価しているという状況がございますが、自施設の管理栄養士が約9割でございまして、外部の管理栄養士との連携が約1割という状況がございます。
 こちらが栄養ケア・ステーションにおける訪問栄養食事指導の実施状況でございまして、下の左の図を見ていただければと思います。栄養士さんが集まっている栄養ケア・ステーションというものがございまして、いろいろなところに栄養士さんを派遣していただいている状況がございます。その中で、都道府県の栄養士会様に設置していただいております栄養ケア・ステーションにつきましては、訪問栄養食事指導を実施して医療機関のほうで算定できるところがございます。そういったものにつきまして、実際にやっている都道府県に関しましては24年9月の1か月間において12都道府県であったという状況でございます。その中でも山形県が最も多く、月10回でございまして、実施回数においては都道府県において差が生じていたという状況でございます。
 こちらが訪問栄養食事指導を行う体制の整備状況となっておりまして、こういった体制を整備したとか、あとは準備中と回答した在支病に関しましては49.1%、そして、在支診に関しましては26.8%という状況でございました。対応する栄養士さんがどういった方々なのかというところなのですが、病院のほうはほぼ全てが自院の管理栄養士さんでありましたが、診療所につきましては自院が約4割で、ほかの医療機関と栄養ケア・ステーションがそれぞれ約3割であったという状況でございます。
 こちらを踏まえて在宅医療に関わる多職種の現状と議論の方向性についてというところで、下のところに論点をまとめさせていただいております。在宅医療の需要の増加が見込まれる中、各職種が担うサービスにつきましては、人材の確保、医療資源の地域差、質の高い提供体制の確保等といった課題が挙げられております。今後、在宅医療の効率的・効果的な提供を実施していく観点から、多職種連携も含めた在宅医療の提供体制についてどのように考えるかという形で論点出しをさせていただいている状況でございます。
 ここからは医療・介護/多職種の連携、ICTの活用についてというところで、少し御議論いただきたいと思っております。
 医療と介護の連携につきまして、こちらは第3回の地域医療構想及び医療計画に関する検討会の抜粋となっております。下のボックスのところを見ていただければと思いますが、医療と介護の総合ニーズを持つ高齢者の増加に関しまして、在宅医療と介護保険施設や療養病床の一部を合わせた提供体制について構想区域単位の範囲で検討が必要である。急性期を担う医療機関を中心とした連携など、様々な連携が必要であるとされている状況でございます。
 こちらが慢性期の需要に対応する主な医療・介護サービスの数についてというところです。1つ目のポツを見ていただければと思いますが、在宅医療と介護保険施設、療養病床の一部につきましては患者数が増幅するところがございます。ですので、下のグラフを見ていただければと思いますが、実際に地域の資源に応じてサービスの提供が行われているという状況でございまして、青で示しております訪問患者数に関する地域差につきましては、こういった介護保険施設の定員数ですとか、療養病床数を合わせると、地域差が縮小するという状況が見て取れるかと思います。
 こういったことがございますので、2ポツ目といたしまして、慢性期の需要に対する医療提供体制の整備につきましては、病院だけでなく在宅や介護サービスの整備も含めた検討が重要なのではないかとされているというところでございます。
 次のスライドが増加する高齢者医療の対応に係る医療と介護の連携、介護施設等における対応力の強化というところで、現在、ACSCという概念がございます。簡単に申し上げますと、緊急入院をさせることができると考えられるような例えば喘息ですとか、糖尿等、一部の関連疾患についてのことなのですけれども、そういったところを増加する高齢者救急への対応といたしまして、老健も含む介護施設ですとか、在宅等での適切な管理、そして、医療機関との緊急の対応を含めた連携体制の構築、情報共有等を通じて、肺炎ですとか、尿路感染症、心不全や脱水といったものの適切な管理によって状況悪化を防ぐとともに、必要時には円滑な入院につなげるための対応力の強化が重要なのではないかとされているところでございます。
 実際に、こういったACSCをしていくことで、病院搬送ですとか、入院の削減に対する研究が国内外で複数示されている状況でございまして、下のほうに済生会熊本病院様の心不全における取組を提示させていただいておりますが、こういった外来受診に係る基準を事前に定めた上で、病院と診療所、介護施設の医師等が共有・連携することで入院の回避に努める事例もあるという状況でございます。
 こちらが医療・介護連携の推進について、令和6年度の介護報酬の改定の主な事項を提示させていただいております。
 60枚目のスライドが協力医療機関の役割について、令和6年度の報酬改定、介護保険施設につきましては協力医療機関との実効性のある連携体制に資する要件を定められたりですとか、診療報酬改定につきましても、在支病、在支診ですとか、在宅療養後方支援病院ですとか、地域医療包括ケア病棟を有する病院については、求めに応じて協力医療機関を担うことが望ましいとされているという状況でございます。
 こちらは介護老人福祉施設の看取りに関する状況でございまして、実際に半数で看取りの実績があるという状況でございますが、原則受け入れていないような施設が1割程度あるという状況でございます。あとは人生の最終段階における医療・ケアに関する本人の意思確認、または推定を入所者全員に実施している施設は約半数であったという状況でございます。
 こちらは在宅医療に必要な連携を担う拠点を介した多職種連携の促進に関する事例というところで、甲府市様の事例でございますが、こういった在宅医療の拠点を介して多職種連携を促進していただいている事例について提示させていただいております。
 こちらが在宅医療の提供診療所同士のICTを用いた平時からの情報連携事例となっておりまして、こちらは出雲市様の事例となっておりますが、在宅医療やっているかかりつけ医の先生方がICTで連携することで、うまく24時間の往診体制を構築している好事例となっております。
 こちらが訪問診療を行う主治医と介護施設のICTを用いた平時からの情報連携事例となっておりまして、こういったところで患者情報の共有や相談を行っていただいている事例があるという状況でございます。
 こちらのほうに論点として下のほうにまとめさせていただいております。第8次医療計画(後期)における在宅医療サービスの効率的な提供ですとか、医療・介護の連携及び多職種の連携に当たっては、1つ目として、在宅医療に必要な連携を担う拠点をより効率的に活用することですとか、ICTを活用することを基本的な考え方としてはどうかということで論点出しをさせていただいております。その際に、こういった連携を担う拠点の役割についてどのように考えていくかというところが重要なのではないかと考えているところでございます。
 事務局からは以上でございます。
○野口座長 どうもありがとうございました。
 それでは、構成員の皆様からの御質問・御意見に入る前に、介護及び在宅医療にこれまで長年にわたって積極的に取り組んでいただいている団体様に、各団体の紹介も兼ねて取組事例等の御発表をお願いしたいと存じます。
 最初に、公益社団法人全国老人保健施設協会、東構成員、よろしくお願いいたします。
○東構成員 全老健の会長の東でございます。
 プレゼンを始める前に一言御挨拶を兼ねて申し上げます。今回、在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループを開催していただきまして、誠にありがとうございます。
 構成員名簿を見ますと、全国介護事業者協議会、全国老人福祉施設協議会、私ども全老健、4つ目として日本介護支援専門員協会ということで、介護分野からも4団体がこのワーキンググループに参加しているわけでございます。ぜひともこの医療・介護連携に関して介護も含めた積極的な議論がなされることを期待いたします。
 また、在宅医療及び医療・介護連携とございますが、医療・介護連携だけではなくて、在宅医療の中でも役割を担う介護分野の医療機能を持った施設がございますので、在宅医療の中でも医療・介護連携というものがしっかりと議論されることを望みます。
 それでは、私のプレゼン資料に沿って説明させていきます。資料3-1でございます。
 2ページ、認知症について幾つか示させていただいております。
 まずは①が認知症高齢者と有病率ですが、これは御存じのように今後認知症が増えていくということでございます。
 ②が介護保険施設における認知症高齢者の割合でございます。これは認知症高齢者の日常生活自立度の割合を示したものですが、特養、老健施設、介護医療院、いずれも入所している方の9割以上が何らかの認知症を合併しているというエビデンスもございます。その上で、中重度の認知症の方が結構多く入所していることも分かります。
 ③が老人ホーム等の救急搬送等の見通し、これは先ほどの資料にもございましたが、増加するということでございます。それから、認知症のある方に対して入退院がスムーズに行われているかという資料でございますが、これも約7割がなかなかスムーズに行われていないということが分かります。私が認知症について真っ先に取り上げましたのは、今後、地域医療構想を議論していく上で、今回は在宅医療及び医療・介護連携ですが、認知症ということを切り離しては議論ができないと考えているからです。ぜひこの認知症ということをきちんと扱っていただきたいと思います。
 3枚目のスライドはトリアージについてお示ししました。現時点では急性期病院から地域包括ケア病棟や回復期リハ病棟へ送られる患者様が多いわけです。それは急性期病院で治療して速やかにお家へ帰れればいいのですけれども、帰れない方もたくさんいらっしゃる。それはまさしくADLが悪化するだけではなく、認知症というのが大きく関連をしているわけでございます。
 ということで、急性期病院からのトリアージ先ですが、認知症が軽度、またはないのであれば、地域包括ケア病棟や回復期リハ病棟で適切なリハビリをすることによって改善を期待できると思います。しかし、認知症が中重度の場合は、老健施設や介護医療院といった認知症対応に優れたところでリハビリをやる方が適切ではないかと考えております。こういうところでは介護職における認知症ケアがありますし、原則身体拘束はできません。さらに、老健におきましては認知症短期集中リハビリというものも提供することができます。認知症短期集中リハビリにおきましては、BPSDの改善効果があるというエビデンスもしっかり出ておりますので、私ども老健施設においては非常に重要な認知症高齢者に対するリハビリの手法となっております。
 続きまして、4~5枚目に老健施設の短期入所療養介護(ショートステイ)における総合医学管理加算と看取りのスライドを出しております。先ほど申し上げましたように、在宅医療を議論する上で、介護保険施設が持っている医療機能をきちんと認識していただきたいと思います。
 1つ目が、私ども老健施設の短期入所療養介護(ショートステイ)に設定されております総合医学管理加算というものでございます。これは通称医療ショートと言っておりますが、これを在宅のかかりつけ医等がきちんと認識することで、軽度な医療ニーズを老健施設の医療ショートで受けることができます。真ん中に書いてございますが、脱水等の軽度の医療ニーズはここで十分治療が可能でございますし、何よりも老健施設の医療ショートで治療することでADLの悪化や認知症の悪化は防げます。非常に短期間でかかりつけ医のもとに帰ることもできますので、要介護高齢者の救急搬送を減らすという意味でも、こういうものを活用していただきたいと思います。
 5枚目、看取りにつきましては、先ほど一部特養での看取りの資料が資料2に提示されてございました。しかし、介護保険施設におきましては、特養以外にも老健施設、介護医療院でも多くの看取りが行われておりますし、有料老人ホームやグループホーム、それから、サ高住においても現在は看取りが多く行われる状況になっております。
 左側のスライドでは高齢者多死時代を迎えるという資料を出しております。また右側のスライドでは私が今申し上げたように、2010年からは医療機関での看取りがどんどん減っておりまして、介護施設での看取りが急速に増えているという現状もございます。看取りの方を全て病院へ送るのではなくて、介護施設で対応するということも評価してはいかがかなと存じます。
 最後の6枚目のスライドですが、先ほど資料2でACSCの考え方が紹介されておりました。ACSCの考え方がそのまま私が昨年の新たな地域医療構想のところでプレゼンしましたプレターミナルACPにつながる訳ではないと思います。つまりACPの中でも延命の手前、延命を議論する手前の医療をどこまで提供するかという意味で、プレターミナルACPという言葉を使いました。今回提示されたACSCという考え方とプレターミナルACPの概念がそのままニアリーイコールでもございません。
 しかし、このACSCの考え方が広がることで、今申し上げました延命だけではなく、延命以前の医療についてのACPに関しても現場での実践につながるのではないかと思います。また、特養の配置医師、サ高住の連携医師等にもACSCの概念を周知することによって、要介護高齢者の救急搬送を減らすことができると考えます。もちろん介護現場でもACSC、プレターミナルACPという考え方を進めるべきですし、日本医師会様からもかかりつけ医等へ介護施設等におけるACSCの関与を推進していただいたら有難いと考えます。
 そもそも本人・家族が高度な医療を望んでいないのであれば、それを避けるべきであると考えます。ACSCの概念をもう少し拡大し、周知していただいて、何度も申し上げますが、本人・家族も望まないような医療を避けられるように議論をしていただきたいと思います。また、ぜひガイドラインの中にもこういうことを書いていただきたいと思います。
 以上でございます。
○野口座長 どうもありがとうございました。貴重な御意見だと思います。
 次に、一般社団法人全国訪問看護事業協会、中島構成員、よろしくお願いいたします。
○中島構成員 皆さん、こんにちは。御紹介いただきました全国訪問看護事業協会の中島と申します。日頃は各団体の皆様に大変お世話になっております。この場を借りて感謝を申し上げます。
 先ほど検討事項で説明いただいた課題のほかの課題について、駆け足ですけれども、御説明させていただきたいと思います。
 まず、訪問看護師の活動の役割のところですけれども、訪問看護は小児から高齢者まで全ての年齢層を対象にしていることもあって、年齢や疾患、状態によって医療保険、または介護保険の適応になるため、両知識を活用した在宅医療及び介護連携の実践的な推進役を現場で担っているかと思います。様々な医療ニーズが高くなるケースや多重課題を抱えたケース等の意思決定支援や権利擁護、多職種連携等を行っているわけですけれども、そういうあらゆる場において、医師と利用者・家族、もしくは医師と介護職、または利用者・家族と介護職といったそれぞれの職種、家族・利用者等の間に立って、専門職との対話や調整など、かけ橋的な役割を担っていることも多いかと思います。
 また、近年は認知症カフェや住民の相談対応といった活動や、施設や学校等への訪問、自治体等の事業の受託など、様々な訪問看護の機能を多機能化して地域で活動しています。中には在宅医療・介護連携推進事業の受託を受けて、様々な多職種調整や連携強化、相談対応等も行っていることもあります。このように4つの機能を果たしながら、プラス災害時における提供体制においても平時から多職種と連携強化をしながら活動しております。
 そんな中で、訪問看護の現状と課題です。今、訪問看護師は11万人まで達しておりますが、離職率は15.8%と病院よりも高い状態になっています。24時間365日対応するという意味では、右下のグラフにありますけれども、精神的・身体的負担が大きく、夜間や休日を担う人材が不足しているのも現実です。また、病院看護師の給与と比較して訪問看護ステーションの給与額では約3万5000円低くなっているような現状からしても、離職理由は単独訪問や24時間対応など、訪問看護特有の心身の負担や教育体制の不備、給与等の処遇問題などが離職の理由になっております。
 また、訪問看護制度創設から33年が経過し、管理者が60歳代以上となり、事業承継者が不足しているということも起きております。右下のグラフがそのような状況で、かなり高齢の方も管理業務をしていたり、逆に25歳未満の方が管理をしている、または訪問看護の経験がない中で管理者をしているということも起きているのが現状です。
 訪問看護ステーションのICT活用の実態ですけれども、ステーションにおいて約90%以上がICT機器を活用しております。情報通信機器を用いたオンライン診療、D to P with Nについては、知らないとか、把握していないといったところが91.6%ありますけれども、8%程度がD to P with Nを実際に行っているというようなデータも出ております。
 D to P with Nを行った利用者像としては、末期の悪性腫瘍が過半数ですけれども、次いで真皮を超える褥瘡の状態にある者、または在宅で麻薬を使っている者等の人たちに対して行っているというようなものが分かってきております。
 訪問看護利用者は地域差はあるものの、多くの二次医療圏において2040年以降ピークを迎えると推定されておりますので、離島・山間部に限らず、効率的・効果的に在宅療養者を支えるためのICTとDX化の推進が必要です。
 訪問看護の利用者の状況です。利用者の疾患ですけれども、介護保険の利用者は循環器系疾患、または骨格系疾患が多いですが、健康保険を使っている利用者は精神及び行動の障害、神経系の疾患、悪性新生物が多い状況です。
 訪問看護サービスを提供していく中で、様々な多重課題を抱えている方の意思決定支援や、家族や多職種間での調整、倫理調整等を実施し、医療・介護の連携を推進しながら、その人らしく地域で生活していけるように支援していますが、最近では独居、高齢者世帯、身寄りのない人たちが増えており、そういう方々の意思決定支援での困難さや、救急搬送時の対応困難等には課題があると感じています。
 また、精神科の訪問看護利用者に対してですけれども、精神科訪問看護の役割には24時間対応の支援を求められていますが、精神疾患を持つ者への支援に係る医療や福祉、障害の関係機関の多くは、夜間、休日に連絡が取れず、症状が悪化した等の対応に難渋することがあります。右下のボックスの中に書いてありますが、自殺企図、希死念慮の増大、陽性症状の増悪、精神症状の悪化時に医療機関となかなか連絡が取れないという現状もあります。また、精神疾患を持っている方が身体疾患を発症した場合、身体科につなぐための調整を訪問看護が担うことも少なくありません。その際にはかなりの時間を要することが起きております。
 訪問看護の相談機能日数についてです。訪問看護師は訪問看護をしながら地域全体の様々な課題を抽出したり、発見したり、気づいたり、様々な皆さんからの相談に対応するなど多機能な活動をしております。相談された後には必ず、医療や介護のみならず、その相談内容に応じて障害や福祉関係機関につなぎ、相談者の生活が継続できるように調整をしております。例えばひきこもりの方、発達障害、虐待やヤングケアラー、こういった様々な課題について、地域の中でのニーズを抽出し、それの課題解決に向けての活動を実施しております。
 次は小児と医療的ケア児についてです。小児の訪問看護を受け入れるステーションは左の上のほうの表になりますけれども、約6割まで増加してきております。しかし、訪問看護を利用する小児は別表8の該当者が多くて、重症児、または医療デバイスを使用している割合が高く、人材の育成や教育というものは引き続き必要になっております。
 また、右下のボックスの中ですけれども、小児や医療的ケア児の対応についての課題ですけれども、学校や放課後デイの後の訪問になるため、訪問看護が夕方以降になることが多く、人材確保が困難なことがあります。また、18歳以降のトランジションについてもなかなかつながらず、訪問看護師がここの調整に入ることも少なくありません。地域の障害福祉サービスの資源が少なく、療育支援についても訪問看護が担うことも生じております。また、虐待や親の心身の疾患へのフォロー等、様々な対応に応じることも生じております。
 また、医療的ケア児に対する学校訪問や施設等の訪問、通学バスの同乗など、自治体から事業を受託して支援をしておりますが、これについての費用や運営方法については地域によって様々で、ある程度統一を図っていくことも必要です。
 次は医療・介護・障害福祉との連携になります。まず、感染症についてですが、現在でも発熱があるといった理由だけでも介護サービスが止まってしまうことが起きております。この場合には訪問看護が代替的に生活支援を引き受けなくてはならない状況が起きております。このような事態を解決するため、介護・福祉事業者に向けて訪問看護師が感染症対策のための研修や相談指導を行いながら、地域の特性に応じた形で支援をしております。
 また、災害についてはBCPを作成し、日頃から行政を含めた多職種との体制整備を行っております。左下のボックスにありますが、例えば大阪市生野区では訪問看護事業所の連絡会と行政が契約を交わし、覚書を締結して平時から避難行動の要支援者への支援方法の検討や防災訓練の参加等、様々な充実の体制を図っております。
 また、施設入居者への訪問看護ですけれども、認知症グループホームなど、施設に看護師が配置されていない施設に対しては、訪問看護が訪問に出向いておりますけれども、非がんの末期や褥瘡以外の症状の場合には、特別指示書の期間のみしか訪問看護が入ることができず、特にACSCのような場合、看護が引き続き入れずに医療機関に救急搬送せざるを得ないという現状も起きておりますので、訪問看護がこういったところにより入ることによって、看取りの推進や施設からの救急搬送の減少に貢献できるのではないかと思っております。
 まとめです。訪問看護事業所の相談機能の一層の活用が必要かと思います。訪問看護者は様々な相談に対応しておりますので、こういった相談機能を一層活用していくことも必要ではないかと思っています。
 また、訪問看護人材確保についてですけれども、看護師等の人材確保の促進に関する法律の基本指針にもあるように、必要数が確保できるように方策を定め、また、地域医療連携推進法人を活用した訪問看護体制確保の推進など、着実な実施が必要かと思われます。
 また、訪問看護事業所の管理者の質の担保ですが、最近、法令遵守等についての課題も生じております。訪問看護事業所の管理者に管理者研修の受講を必須要件にするなど、質の向上に向けた方策が重要です。また、経営者に向けた研修も検討し、法令遵守や訪問看護師の勤務環境改善等の推進が必要です。
 最後に、地域医療構想においても、精神をはじめ、障害・福祉も視野に入れた計画の作成が必要かと考えられています。
 以上です。
○野口座長 大変貴重、かつ重要な情報共有をしていただき、どうもありがとうございました。
 続きまして、一般社団法人全国在宅療養支援協会、島田構成員、よろしくお願いいたします。
○島田構成員 全国在宅療養支援協会の島田潔です。本日はよろしくお願いします。
 最初のスライド、まず、住みなれた地域で安心して暮らせる社会づくりのために、地域の自治体と医療、看護、介護、福祉などの関係事業所が連携していくことは非常に大切だと思っています。国が策定する医療計画は、これからの地域社会に必要なモデルを描き、方向性を示し、実現することにあると思います。
 一方で、個々の地域に目を転じれば、自治体ごとの課題も異なり、取組にかけられるマンパワーや予算、地域の医療・介護資源にも違いがあろうと思われます。特に地域の職能団体や連絡協議会、医療、看護、介護、福祉の各事業所においては、国や自治体が示す目標や方向性に対して取組の姿勢や進捗にかなりの差があることも事実です。
 このワーキンググループは診療報酬や介護報酬を議論する場ではありません。しかしながら、報酬体系に盛り込まれる新たな項目や届け出基準などによって、地域の事業者を動員した社会保障基盤の整備と質の向上に向かうという側面もあります。第8次医療計画の実現には、自治体や地域の職能団体などの協力に加えて、地域の事業者をしっかりと巻き込むことが重要だろうと思います。そのような視点も踏まえて、こちらに示した順に医療と介護の連携状況について、現状と課題を報告させていただきます。
 令和6年の診療報酬改定で在宅医療情報連携加算が新設されました。着目すべき点は、算定項目にある5か所以上の事業者との情報連携に介護事業者も含めたことです。既に医療と密接な関係にある調剤薬局や訪問看護ステーションに加えて、介護事業者との情報連携の促進につながっていくものと思います。調剤と医療は大変密接な関係にありますが、しかし、調剤指示を行う処方せんには病名や既往歴などを記載する欄もなく、今までは病名が分からずに薬を調剤しているケースもあります。また、同じ薬剤成分といえども、いろいろな病気に対して処方されるわけですので、病名や既往歴の情報にアクセスできるようになる意義は大きいと言えます。
 ケアマネジャーの事業所も、利用者の病名の把握は要介護認定に使用した主治医意見書の開示請求でようやく確認しているというようなこともある中で、また、この意見書は主たる3つの病名に限定されておりますので、この辺りも大きく前進したと言えます。
 患者に関わる関係者がACPなどの情報を共有し、状態の変化によって移ろいやすい患者の意思決定を支援し、協力して最新の情報へアップデートすることで、患者中心の医療・ケアの提供につながることが期待できます。
 中医協の資料から数字などは抜粋しております。往診時医療情報連携加算の目的は、在支診、在支病が一般の診療所の在宅患者の往診をバックアップすることにあります。しかし、現時点ではなかなかこの取組は進んでいません。現状は1人医師の在支診について、地区医師会が取組として規模の小さな在支診同士の連携を進めて、安定的な夜間休日体制を構築すること、そんな途上にあるという状況にあるのです。
 複数の医師が在籍する中規模以上の在支診がある地域では、一般診療所や小規模の在支診を支援する体制が構築しやすくなるように思います。やや不安材料となるのは、昨年の診療報酬改定で、訪問診療が3か月で合計2,100回以上の在支診、恐らく規模として医師が3名、患者が400名ほどの規模になるようなところにおいては、重症度割合や施設往診患者の割合の基準が満たせない場合には、単一建物患者10人以上の医学総合管理料を4割減算するものが導入されたことです。在支診が患者受け入れを抑制して小規模運営にとどまる可能性もあるため、今後の推移を検証していく必要がありそうです。
 一般居宅についてです。一般居宅で医療、看護、介護の現場の連携が阻害されている理由の一つとしてよく往診医が挙げるのが、訪問診療と介護保険サービスが同一時刻に重なってはいけないことという取り決めでございます。百聞は一見にしかず、現場で直接医師が関係者に説明や指導ができれば、処置やケアの質はもちろんのこと、おのずと顔の見える連携の機会が増えることでしょう。サービス担当者会議の開催はとてもよいことですが、召集には関係者の出席調整で多くの負担がかかっているのも事実です。
 そのほか、ショートステイ先への訪問期間は30日以内へ緩和がなされましたが、頻繁に利用する患者では訪問診療を自宅に戻る週末だけに合わせるのはなかなか大変だったり、また、看取りの際に医師が診断した死亡時刻以降は、訪問看護の費用は患者への自費請求の扱いになるため、医師・看護双方へのクレームになるなど、患者も含め、関係者の間にあつれきを生むケースがあります。
 先ほどの中島構成員からも紹介がありましたが、オンラインの活用は一般居宅はもとより、高齢者施設でも現状の課題を解決していく方法の一つになると思います。病院の退院時共同指導や、居宅でのサービス担当者会議について、関係職種や遠方家族のオンラインでの参加が認められるようになっています。また、オンライン会議が社会的に一般的になったことで、当院も朝の時間を利用して地域の看護ステーションやケアマネ事業所とオンラインによるケースカンファレンスなどが開催できています。
 一方で、オンライン診療です。オンライン診療は一般居宅では高齢者のみの世帯が多く、デバイスを持っていない、または画面操作が煩雑でできないなどからなかなか普及が進みません。患者宅を訪問する看護師や介護職のサポートによるオンライン診療の普及に期待します。
 施設系の現状です。サービス付き高齢者住宅は、入居後も外部の介護保険サービスが引き続き利用できるので、多様な対応が可能になっています。一方で、難病や終末期に軸足を置いた施設や、生活保護者を中心に入居させる施設などで課題が発生しています。外部サービスを利用している施設の場合は、経営の異なる複数の医療機関や介護事業所などがサービスに加わり、運営主体とは異なる複数の目線でサービス提供状況を確認していく必要がありそうです。
 グループホームはユニットケアで目の行き届く介護が提供されているのですが、看護師がいない施設が多く、体調悪化や重症化の際に医療機関の往診だけでは処置の指示に対応できないために限界があります。
 特定施設は年々重症者が増えていることから、看護師の業務負担が増加しています。業務負担が看護師の定着率にも影響しているようで、最近では働き方改革として医師の診察への同席を廃止したり、定期の血圧測定や入浴前の血圧測定を省略するなどの動きが出ています。特定施設では介護保険による訪問看護の外部利用がロックされているため、重度者が増えた施設では看護師の人手不足感が否めないようです。高齢者は自分自身で受け答えができない人も多く、診察に必要な情報や日頃の健康管理への影響が出ないことを願っています。
 最初の佐野室長のレクチャーや東会長のプレゼンテーションでもありましたACSCに対しての医療連携ということになってきます。老健や特養などの介護施設では協力医療機関を定めるように義務化されました。協力医療機関が往診時に算定する介護保険施設等連携往診加算の施設基準は、この表の右下、資料の赤で囲った入院受け入れができる医療機関であることが条件と読み取れる表記になっています。一方で、介護報酬には、複数の医療機関でこの要件を満たして差し支えないと表記されています。このように施設基準が判然としないことにより、例えば入院受け入れのみ可能な病院と往診が実施できる医療機関の協力による連携構築が進んでいない可能性があります。
 また、特養では配置医の処方せん発行で必要な内服薬の調達ができる一方で、診察料や処置料、急性疾患に対しての往診などの医療保険が認められていません。そのため、気道感染症や尿路感染など、まさにACSCに関係する疾患、居宅や特定施設などであれば、往診で抗生剤注射や点滴などで対応できそうな症例も、現状は病院の受診を指示するしかない状況が多いと言えます。
 本日は具体的な医療連携のモデルを御紹介できず申し訳なく思っております。
 以上で、在宅療養支援協会のプレゼンテーションを終わらせていただきます。ありがとうございました。
○野口座長 現場の視点から様々な現状と課題について御説明いただき勉強になりました。ありがとうございました。
 最後に、一般社団法人日本在宅療養支援病院連絡協議会の鈴木構成員、よろしくお願いいたします。
○鈴木構成員 日本在宅療養支援病院連絡協議会の鈴木です。この団体は四病協の在支病に関する委員会を母体に、2022年3月に一般社団法人化して設立させていただきました。
 今年は2025年ですが、これまではその2025年を目指した社会保障税一体改革が進んできたわけですけれども、今、2040年を目指して次の改革がスタートしようとしております。特に地方では高齢化と人口減少がさらに進みますので、医療・介護提供体制改革が必要だと考えております。
 これまでの社会保障税一体改革の2本柱は上の2つ、地域包括ケアシステムの構築と地域医療構想の実現でしたが、4月からかかりつけ医機能報告制度が開始されましたので、これからはかかりつけ医機能の充実・強化を含めた三位一体の取組が必要と考えております。
 病院の機能分化についてですが、病院には大きいほうから高度急性期病院、広域急性期病院、地域包括ケアを支える病院、慢性期病院、単科専門病院が考えられます。大病院としては、高度急性期病院は人口50万~100万人に1か所あればいいので集約化が必要です。それから、中小病院としては地域包括ケアを支える地域密着型中小病院としての在宅療養支援病院、在支病といいますけれども、こちらは人口2万~4万に1か所と分散化が必要で、これが病院の2つの軸となると考えております。
 2040年を目標年として地域共生社会を実現していこうとなっておりますけれども、そのための医療3条件としては、今述べたような高度急性期大病院の計画的整備による集約化、私が医師会長をしていました地元の茨城県では、9つの二次医療圏を3つごとに集約して高度医療はその3つの二次医療圏全体で考えていこうという話が進んでおります。
 それから、2番目の地域包括ケアを支える地域密着型中小病院の分散化、これは後で申しますけれども、例えば在宅医療圏を市町村単位としていきますと、市町村単位に一定規模以上の地域密着型中小病院が必要になってくると考えられますので、分散化ということになります。さらに4月から始まった、かかりつけ医機能のさらなる充実・強化ということで、それがこれから重要な役割を担うと考えられます。
 地域包括ケアを支える地域密着型中小病院としての在宅療養支援病院の役割ですが、地域包括ケアシステムにおいては、多職種のマンパワーを地域に派遣し、まちづくりの中心となる存在です。地域医療構想においては、先ほど言いましたように、高度急性期大病院とともに病院の2つの軸の1つとなる存在です。さらにかかりつけ医機能においては、我が国に多いソロプラクティス診療所を支援し、地域を面で支える中心となる存在です。ということで、いずれにおいても在支病の役割が重要になると考えております。
 今後のかかりつけ医機能の担い手ですが、今議論されている、かかりつけ医機能として、例えば慢性疾患を持った高齢者には、外来、在宅医療、時間外対応に入退院支援や介護との連携が求められています。来年の1月から3月の間にそれを各医療機関が報告して県がまとめて公表することになっていますが、特に地方では高齢のソロプラクティスの開業の先生方も多く、1人ではとても対応しきれないことになってくるのではないかと考えられます。
 そのため、我々はかかりつけ医機能の担い手として、我々のような地域密着型中小病院としての在支病、有床・無床の在支診、それから、総合診療専門医の先生がやってらっしゃるようなグループプラクティスの診療所、そして、我が国に多いソロプラクティスの診療所は、我々のような在支病や有床・無床の在支診とグループを組んで対応することが考えられると思います。
 これをまとめていきますと、今、地域包括ケアシステムの日常生活圏域というのがありますが、これは中学校区、人口2万人と言われています。在宅医療圏は私が県医師会長のときに、第8次医療計画の協議をしましたけれども、本県では市町村単位にしていただきましたので、これを一致させる。それから、さらにかかりつけ医機能報告制度が始まりましたけれども、かかりつけ医機能医療圏、これは仮称ですけれども、これも一致させる。
 そして、それらを合わせて、これも仮称ですけれども、基本医療介護提供圏域を設定して、基本的には市町村単位なのですが、あまり小さな町村ではさすがに医療・介護資源が少なくて対応は無理だと思いますので、人口2万人ぐらいは必要思っております。大きなところは規模に応じて分割したらいいし、小さなところは統合したらいいのですが、基本は市町村単位ということです。本県は平成の大合併のときに85市町村を44にしましたけれども、全部1万人以上にしたのでそんなに極端に小さな市町村はありません。しかも、人口3万6000人という日本一大きな村もあって、村は人口が少ないというイメージはないので、そういう形になっています。
 そこが基本で、そこに有床・無床の在支診や在支病、これには二次救急や救急告示病院として、高齢者救急を担う病院も含まれますし、そこで介護、さらに障害福祉や保育まで、固定した一つの枠組み、合議体において、顔の見える関係の中で、地域の在り方を協議していく。これは地域包括ケアシステムのまちづくりにつながっていくと考えております。これからはここが基本になる、そういう考え方が必要ではないかということであります。
 ということで、市町村単位の基本医療介護提供圏域(仮称)の設定の必要性を提唱いたします。そこには、これまでの地域包括ケアシステム、の日常生活圏域、それから、在宅医療圏、そして、新たにかかりつけ医機能医療圏(仮称)を入れさせていただきました。それらを合わせて基本医療介護提供圏域(仮称)というものを提唱させていただき、これは市町村単位なのですが、実際には2万人ぐらいは必要だと思いますので、医療・介護資源に応じて分割や統合が必要だということであります。
 この同じ合議体にて顔の見える関係で様々な協議を行うということが、これから特に地方では人口もさらに減少し、高齢化されに進み、行政の人員も減ってきますので、我々も一緒に参加するということが必要ではないかと思っております。
 現状の課題と対策ですが5つあります。
 1つ目は、在宅療養支援病院の普及と質の向上であります。これはまさに我々の在支病連絡協議会の設立の目的でございますので、これは我々の団体として取り組んでいきたいと思います。ちなみに在支病は今、後の参考資料にもありますけれども、今年の8月31日現在で2,166か所であり、病院8,000のうち4分の1強ということで、かなりの数になってきておりまして、在支診は横ばいであるのに対して、在支病は確実に毎年増えております。
 2つ目に、介護施設との連携におけるマッチングの推進です。これも昨年度の診療報酬・介護報酬同時改定で、特に介護保険施設は協力医療機関として病院を3年の間に決めることになっております。1年半がたちましたが、残りまだ3~4割くらい決まっていないところがあるということですので、マッチングを地域の中で進めていく必要があると思います。そして、努力義務となっている介護保険施設以外の介護施設との連携も必要だと考えております。
 3つ目に、市町村単位の在宅医療圏の設定です。在宅医療圏が市町村単位というのは少数派なのですけれども、二次医療圏単位というのは基本的に大きすぎるのではないかと思います。人口2万人ぐらい、小さな町村は数千人とかになるとさすがに無理だと思われますので、人口2万人ぐらいに達するように小さな町村は一緒に取り組むことも必要だと思いますが、基本的に市町村単位で在宅医療圏を設定する必要があるのではないかと思います。
 4つ目に、かかりつけ医機能との連携ですけれども、これも市町村単位のかかりつけ医療圏(仮称)を設定する必要があると考えております。日医は地域を面でカバーすると言っておりますが、地方では開業医の先生も高齢化しておりまして、先ほど申し上げたような機能を1人で全部やれと言われてもなかなかできないということで、私は参加しなくて結構ですという先生も出てくるのではないかということが危惧され、とにかく全員参加で地域単位でやりましょうということを推進していく必要があると思います。かかりつけ医機能もうまくいくには海外の例を見ても現状を変えないことが大事でございますので、そういったことからスタートすることが重要ではないかと思います。
 そして、それらを合わせて、これも市町村単位で基本医療・介護提供圏域(仮称)というのを設定して、もちろんそこには老健、特養、グループホームや、いろいろな訪問系サービスなども入ってくるし、障害福祉や保育などもそこで議論すればいいと思います。そういう圏域を設定して、顔の見える関係の中で、かかりつけ医機能、在宅医療、介護施設の連携などを含めて協議する枠組みが必要ではないかと思います。特に地方では保険あってサービスなしというような圏域ができることは避けなければなりませんので、そういった取組が必要ではないかと考えております。
 以上です。
○野口座長 地域包括ケアを取り巻く現状と課題を踏まえて全体的な構想をお示しいただいたのは大変すばらしかったと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、ここから構成員の皆様から御意見・御質問などをお伺いしたいと思いますが、まずは会場にお越しの構成員の皆様から、もし、何かあれば。
 鈴木構成員、よろしくお願いいたします。
○鈴木構成員 これは3つに分かれていますけれども、全部でよろしいですか。
○野口座長 全部でよろしいです。
○鈴木構成員 私はこの前のワーキングには四病協から、その前は日医から出ていたので、ずっと出ていることになります。今の在宅において必要な連携を担う拠点の平成23年の最初の厚労省のモデル事業、医政局ですけれども、これも私は日医で地域医療も担当していましたので関わっております。それから、平成27年度から医療・介護連携推進事業に移ったときも日医の介護保険担当として最初からずっと担当しておりました。さらに、地域で第8次医療計画を策定するときには地元の茨城県の医師会長として深く関わってきましたし、最近の状況も県に確認したりしておりますので、その辺も含めて少し長くなりますが、最初なのでお話しさせていただきます。
 最初に26ページのところ、ここは意見と質問があります。意見としましては、在宅医療圏が24の都道府県で二次医療圏単位となっておりますが、二次医療圏は一般的に広く、人口20万人以上ということになっておりますので、小さな二次医療圏もありますけれども、在宅医療の議論が大きすぎて進まないのではないかと考えております。
 本県では在宅医療圏は市町村単位という形でありまして、後の参考資料にもありますけれども、積極的な役割を担う医療機関は全部で100か所ありまして、そのうち26か所が在支病、58か所が在支診ということで100分の84は在支病か在支診ということになっております。
 また、全国の状況を見ますと、数や母体に様々な種類があるようですが、それらにかかわらず求められている役割を果たせているかどうかの検証が必要であると思います。
 それから、私は県医師会長時代、県の担当者と毎週のようにコロナ以外の協議もしておりましたので、そういうことを踏まえて、1年半たちましたので直近の状況を確認しましたところ、全体としては、この事業と在宅医療・介護連携推進事業との連携が取れていないという意見がございました。
 また、医療機関によって温度差があり、熱心なところとそうでもないところの差がかなり大きいということで、現状については今調査中ということでございました。
 それから、求められている事項を満たしていない場合の扱いをどうするかということを考えなければならないのではないかということでございました。
 4つ目に、市町村において同じ県内でも選定数や選定の考え方が異なっているという問題もあるのではないかということでした。さらに連携を担う拠点については指針に定められたことをどのように遵守すべきか、市町村に助言するための具体的な方法を国から示していただきたいという御意見もございました。
 それらを踏まえて質問を4点申し上げます。
 1つ目の質問でございますが、在宅医療圏の設定は、指針の文章を読むと努力義務ということになっています。望ましいということですから努力義務だと思います。愛知県と岡山県は設定していないようですが、どちらも非常に大きな医療資源のある県だと思いますけれども、それについての厚労省の見解を伺いたいと思います。在宅医療圏を設定しなくてもいいのかということであります。
 2つ目の質問は、積極的役割を担う医療機関なのですが、いろいろな母体があるにしても、埼玉、兵庫、福岡などは在支診が500~1,000近くで非常に数が多いということもありますが、それよりも栃木県が在支診や在支病よりもその他が一番多いというのは、隣の県なのですが理解しにくいのです。栃木のその他にはどういうところが含まれているのかというのを教えていただきたいというのが2つ目でございます。
 3つ目は、県の意見を聞いて、いわゆる求められている事項を満たしていない積極的な役割を担う医療機関の扱いです。要するに全て満たさなければ駄目なのか、あるいは満たさない場合には取り消しができるのかということは確認しておく必要があると思います。数については、埼玉、兵庫、福岡は500~1,000ということで非常に多いのですが、そうなってくると、全てに全てを求めるということでもないのかなという気もします。その辺が県としてもなかなか判断できない部分だということでございます。
 最後の質問ですけれども、市町村によって選定数や選定の考え方が異なっている。確かに本県でも数少ない市町村単位といえども、少ないところと多いところとあるようでございます。それらは県内、あるいは全国で統一する必要はないのか、その辺は確認をさせていただきたいと思います。
 続けて、チェックの下のほうについての意見でございます。在宅医療・介護連携推進事業の相談窓口は、もともと平成23年度に始まった医政局の在宅医療連携拠点のモデル事業に由来しております。その結果、相談窓口と連携を担う拠点は機能が類似しており、指針では両者が同一でもいいし、連携を担う拠点が積極的な医療機関と同一でもいいとされております。すなわち三者が同一でも構わないということであります。特に人口が少なく医療資源の少ない地方では、行政と連携しながら在支病のような地域に密着した医療機関が三者とも担うことが有効かつ効率的であると考えられます。私は県医師会長当時も相談窓口で機能していないところは機能している医療機関等に付け替えたらいいのではないかと言っておりました。
 2つ目の意見です。本県では44市町村ありますけれども、連携を担う拠点が73か所中、直営の地域包括支援センターの11か所を含めて、34市町村で38か所あり、医療機関が相談窓口8か所、積極的医療機関7か所、合わせて15か所ということで、市町村が多いということになっております。
 次ですけれども、積極的な役割を担う医療機関と連携を担う拠点の役割の明確化と連携を進めるには、都道府県と市町村の連携を強化して現場で何をすればよいかを明確にした上で、在宅医療圏内での研修会等を開催して関係者が顔の見える関係を築く必要があると考えます。そのためには、人口2万人くらいからの市町村単位で日常生活圏域、在宅医療圏、かかりつけ医機能医療圏(仮称)を一体にした基本医療・介護提供圏域(仮称)を設定し、老健などを含めた介護サービス、さらに障害福祉サービス、保育サービスまで同じ枠組みで協議できるようにする必要があると考えます。2040年に向けては、今後、高齢化と人口減少が進む地方においては、先ほども言いましたけれども、保険あってサービスなしの地域を生じないようにする必要があると考えます。
 次に57ページの論点でございます。これは意見でございます。高齢化と人口減少がさらに進む地方においても、多くは在宅医療のニーズは増加しています。在支病は8月末時点で2,166と病院数の4分の1強を占めています。地域包括ケアを支える地域密着型中小病院としての在支病は、地域包括ケアシステムにおいては多職種のマンパワーを地域に派遣し、まちづくりの中心となり、地域医療構想においては高度急性期の大病院とともに病院の2つの軸となり、かかりつけ医機能においてはソロプラクティス診療所を支援し、地域を面で支える存在であります。
 現場レベルではコーディネーターとしての退院調整看護師の育成や、医療ソーシャルワーカー、介護支援専門員との連携が重要になりますが、在宅医療圏での協議では顔の見える関係の構築とともに、不足する医療資源の確保について行政と一緒になって対策を立てることが求められていると考えます。
 最後に69ページの論点についてでございます。医療・介護の多職種の連携とICTの活用についてでございますが、都道府県レベルや全国レベルでのACSCの活用など、先進事例の紹介を含む研修会の開催が必要であります。これについては在宅医療・介護連携推進事業のときは、厚労省が主催して全国を巻き込んだ研修会を毎年開催しておりました。まだスタートして1年半ですからこれからだと思いますけれども、そういった取組を定着させるためにはそうした研修会も必要ではないかと考えられます。先進事例を学びながら自らの在宅医療圏の取組を地域性に応じてPDCAサイクルを回しながら進化させていく必要があると考えます。
 連携を担う拠点やICTの活用は必要でありますが、在宅医療におけるICTは市町村によって運用するシステムが異なっています。在宅医療圏が市町村単位の場合、同一市町村内は共通となりますが、複数の市町村で在宅医療を行っている医療機関にとっては業務が煩雑となっています。さらに連携を担う拠点が在宅医療圏に1か所の場合はいいですが、複数ある場合はそれらの役割分担を明確にしていく必要があると考えられます。
 また、隣接する在宅医療圏の連携を担う拠点ともICTの共通化も含めて定期的な協議を行うことが必要であると考えます。
 そして、ICTの活用については事業者の負担を重くしないことも必要であると考えます。
 以上です。
○野口座長 どうもありがとうございました。
 スライド26番に対して4つの御質問、在宅医療圏域の設定に関する厚労省様の見解、2番目に栃木県のその他とは何か、3番目に求められている医療圏を満たしていない施設に対する取扱い、4番目に市区町村の設定の方法が全国でばらばらでよいのか、統一の有無に対する御意見ということです。
 鈴木先生のほかの御意見についても何かコメントがあればということで、よろしくお願いいたします。
○佐野室長 ありがとうございます。まず、質問についてお答えさせていただきます。
 在宅医療圏の設定につきましては、指針上は設定してくださいという話になっておりますので、設定していただくのがあるべき姿かと思っています。ただ、問題としましては、あくまで指針でございますので、どこまでの実行力を持たせられるかという話はあるとは思います。そういった中で実際にワークが都道府県の中でされているのであれば、なかなか我々からはいいとは言えないのですけれども、完全には否定できないのかなと思うところでもございます。
 2つ目の問題につきましては、現在、積極的な医療機関と拠点に対する調査を実施しておりますので、次回以降のワーキングでデータとともにお話をさせていただければと思います。
 3つ目につきましては、取り消しができるのかどうかという話についてです。1つ目のお答えともかぶってくるかと思うのですけれども、都道府県様のほうで適切な医療機関をこういった積極的な役割を担うような医療機関として設置していただいていると我々としては思っておりますので、そちらについては適切に対応していただくという形になるのかなと思っております。
 あと、選定の考え方についてなのですけれども、指針については文章の中である程度具体例をもって記載させていただいていると我々としては思っております。どこまでさらに具体化できるのかですとか、どうしていくのかというところについては、本当にこれ以上書けるのかどうかとかいう話もあると思いますので、少し御意見をいただいた上で、できるかできないかを含めて検討させていただきたいと思います。
○野口座長 鈴木構成員、よろしくお願いします。
○鈴木構成員 一つだけ確認したいのですけれども、取り消しはできるのか、適切に対応というのはそれが含まれているのかどうか確認させてください。
○佐野室長 できるかできないかの話で言いますと、都道府県様の運用になってくるのでどこまでお答えできるのかという話になると思うのですけれども、適切に対応していただくということはあり得るのかなと思います。
○鈴木構成員 含まれると考えられますね。私は付け替えが必要な場合もあるのではないかと考えています。例えば相談窓口は在宅医療の拠点なのに地域包括支援センターとして特養に委託されているような場合、それは特養としても困るだろうと思うのです。ですから、そういう場合は医師会か医療機関に付け替えたらいいのではないかと思います。そういうものも含めて対応は可能だと考えてよろしいですね。
○佐野室長 都道府県様のお考えになるかと。
○鈴木構成員 都道府県によって考えればいいということですね。ありがとうございました。
○野口座長 どうもありがとうございます。
 会場にお越しの皆様、ほかにいかがでしょうか。
 村杉構成員、どうぞ。
○村杉構成員 日本薬剤師会の村杉でございます。各論点に沿って意見を述べさせていただきます。
 まず、1番目の本ワーキングの進め方についてでございます。16ページの検討事項に関してはおおむね異論はございません。
 なお1点、14ページの介護との連携案に関しましては、15ページの中段にもお示しいただいたとおり、検討会で当会の構成員より、「在宅医療に関して、薬局における薬剤の供給・提供の点もセットで議論すべき」と意見させていただきました。医療・介護の連携については、病院・在宅を含む種々の施設との連携など、様々な類型が考えられます。このような議論を進めていく上で、いずれの類型においても必要な薬剤を確実に提供できるようにすることと、連携する際に薬剤に関する情報の共有が漏れることなく実施できるようにすることが重要と考えます。
 続きまして、2番目の第8次医療計画における在宅医療の体制整備についてでございます。第8次医療計画の中間見直しに向けては26ページの論点のとおり、まず、在宅医療において積極的役割を担う医療機関、在宅医療に必要な連携を担う拠点のさらなる体制整備、連携強化は極めて重要だと考えております。これらの体制整備、連携強化によって、地域における在宅医療の体制整備の議論がさらに進むことを期待しますが、その際には在宅医療における薬剤提供に関しても併せて議論が必要かと考えております。
 在宅医療における薬剤提供に関する課題については、医薬局の「薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」で議論され、関係職種を含め、その解決方策がとりまとめとして示されています。このとりまとめを踏まえて3点ございます。
 1つ目、地域における夜間休日対応や在宅急変対応に係る薬局の対応状況については、薬剤師会が作成する薬局機能をとりまとめたリストの周知・活用が求められること。
 2つ目、設定した在宅医療の圏域で協議される医療・介護連携の場において、関係者間の協議の中で薬剤提供体制を構築・強化すること。
 3つ目、薬局間の連携体制や一般用医薬品のほか、あらかじめ処方・調剤した薬剤の患者宅への配置など、具体的な対応方法などを地域で検討することが重要と認識しており、在宅医療に必要な連携を担う拠点を中心とした地域における在宅医療の提供体制を協議する場で、これらの検討を行っていくことが必要と考えておりますので、今後議論を深めていければと考えております。
 続いて3点目、在宅医療に関わる多職種の現状についてでございます。43~47ページ、そして、論点の57ページにお示しいただきましたとおり、訪問薬剤管理指導等の実施、夜間休日等の時間外対応、麻薬や無菌製剤の調剤の実施、医療的ケア児を含む小児在宅や精神・身体・知的障害者への在宅対応などについては、地域差や対応薬局の偏在があり、また、医療資源が限られている中、これらの全ての機能を個々の薬局が持つことは困難である場合もございます。
 地域においては薬局が機能に応じてどのような役割を担うかについては、効率的・効果的な在宅医療を実施していく観点で極めて重要であり、設定した在宅医療の圏域で医薬品の提供についても、在宅医療に必要な連携を担う拠点等が関係機関との調整を図ることを目的とした検討が必要と考えます。なお、今年度より医薬局予算事業として「地域医薬品提供体制構築推進事業」が実施されます。日本薬剤師会としても地域医薬品提供体制強化のためのアクションリスト」を策定いたしまして、都道府県薬剤師会、地域薬剤師会、地域の薬局と連携をしながら、改めて地域における医薬品提供体制の強化に向けた取組を進めているところでございますので、これらの検討の整合性も含めた対応も必要かと考えております。
 最後に4番目の医療・介護/多職種連携、ICTの活用についてです。在宅医療に必要な連携及び多職種間の連携に当たっては、ICTの活用は極めて有効と考えます。一方、システム構築が必要となると、その導入・維持の負担などがございますが、デバイスベースのものであれば比較的安価でさらに使い勝手のよいものへの改良が望まれます。また、容易に多職種間で活用ができるということも現実的です。
 68ページでは医療機関同士の活用ということで示されておりますが、薬に関する情報連携について、残薬の発見と解消、麻薬などの使用量、複数科からの薬などの併用薬の管理などに期待が寄せられております。なお、今年度、厚労省委託事業として「在宅医療の効率化のためのデジタル化及びICT導入促進に向けた実態調査事業」も実施されていると承知しておりますので、これらの成果も活用しながら、地域において有効かつ効率的な連携方策が取られるようにしていただけたらと考えております。
 以上でございます。
○野口座長 どうもありがとうございました。御意見として伺ってよろしいでしょうか。
 また戻ってきてもよろしいので、一旦オンラインに行かせていきます。
 田母神構成員、よろしくお願いいたします。
○田母神構成員 57ページの論点、69ページの論点について意見を申し述べます。
 まず、訪問看護につきましては、人口減少社会における人材確保策及び都道府県内での偏在対策などの重要な課題がございます。資料で連携推進法人の取組なども示されておりますけれども、こうした地域の実情に即して訪問看護事業所の連携体制や人材確保を構築していく上での事業所に対する相談機能の構築が重要であると考えております。
 訪問看護事業所では小規模の事業所が多くなっておりますので、個々の事業所の取組では課題解決に限界があることも多くございます。こうしたことから、地域における訪問看護の課題解決に向けて総合的に取り組む拠点といたしまして、本会では都道府県単位で訪問看護の総合的な支援を行う訪問看護総合支援センターという構想を掲げまして、現在では類似する組織を含めて36県でこのような取組があると理解しております。地域差が非常に大きくなってまいりますので、各地の課題を把握した上で効果的な取組を進めるために、医療計画におきましても訪問看護に関する基盤整備に向けた総合支援機能ということを位置づけていただきたいと考えております。
 それから、中島構成員の御発表でもありましたが、訪問看護で非常に幅広い利用者の方のニーズ、そして、非常に複雑な、専門性を要するニーズもございます。こうした利用者の方が居宅で療養されている状況にタイムリーに対応していく必要がございますので、認定看護師や専門看護師、そして、特定行為研修修了などの専門性の高い看護師の育成ということも大きな課題の一つでございます。
 医療計画におきましては、看護職員確保の一環で特定行為研修の修了者の計画的な育成などの視点が盛り込まれたと思いますが、現状でどのような都道府県の医療計画の状況になっているのか、今後のワーキングでお示しいただければ大変ありがたいと考えております。
 それから、訪問看護にかかわらずでありますが、非常に大きな地域差にどのように対応していくかという意味では、参考資料2の11ページにも示されておりますが、中山間・人口減少地域における移動ということも非常に大きな課題であると考えております。中山間・人口減少地域以外の地域においても、事業所が極めて少ない地域では、身近な場での在宅医療へのアクセスを目指していくことが基本だと思いますが、それがかなわない場合に、広域にわたるエリアをカバーする事業所が訪問看護のみならずあると思います。そうした状況を受療動向の中で捉えていくことが非常に重要であると思いますし、広域なエリアをカバーしている事業所に対する基金を活用した支援なども必要ではないかと考えております。
 それから、69ページに関することでございます。資料2の65ページに特養における看取りの状況が示されております。特養にかかわらず介護サービスの利用者の医療ニーズの高まり、そして、看取りまでの対応をしっかり行っていく必要性を踏まえまして、施設における人生の最期までのケアの提供、症状への対応、状態変化時の医師との連携などを考えますと、介護保険施設や居住系施設における看護職員の体制の強化が不可欠であると考えております。できる限り住みなれた場所で最期までを支えるという意味で、施設での対応力強化が困難な場合には、必要時に外部から訪問看護が関われることができる仕組みの両方が必要であると考えております。
 地域医療構想においては、施設系や居住系に入居中の介護サービス利用者の方々の状態や施設の体制を捉えるとともに、多様な場における訪問看護サービスの必要量の可視化、確保とサービス提供の手段の検討が必要と考えております。
 最後に、今回16ページにお示しいただいているワーキングの検討事項はいずれも非常に重要なことであると思いますし、本日もかなり多くの情報が共有されていると思いますので、このワーキングの機会の十分な確保と、これからの検討のスケジュールについても次回以降、具体的にお示しいただければと思っております。
 以上でございます。
○野口座長 どうもありがとうございました。
 それでは、瀬戸構成員、よろしくお願いいたします。
○瀬戸構成員 全国老人福祉施設協議会の瀬戸と申します。早速ですけれども、58ページ以降、介護・医療連携についての意見を述べさせていただきます。
 介護分野では、63ページにもありますし、今まで御説明いただいていますが、6年度の介護報酬改定で、平時からの連携に加えて、相談、診療、入院を受け入れる体制を確保した協力医療機関を定めることが義務づけられて、現在3年間経過措置中でございます。
 私どもでは、この改正の趣旨である医療と介護連携の実効性ある連携体制の構築については賛同しておりますし、進めるべきだと思っておりますが、全ての特養や養護老人ホームに義務化することについては、どうしても連携が困難な地域が一部出てくることが見込まれるため、改正以前から問題提起はしてきております。
 我々の調査で、7年の4月時点で、特養の1,780施設のうち1,456施設、81.8%が3要件を満たしている状況が明らかになりました。一定の連携体制の構築が進んでいると認識していますし、このことに関しては厚労省から各自治体、日本医師会から各都道府県医師会への周知や協力などの後押しをいただいたということで感謝しております。ありがとうございます。
 一方で、まだ連携していない施設については、調整中が242施設、13.6%、未着手が81施設、4.6%に上っており、調整中のうち127施設、52.5%が調整に難航しているという回答が来ています。経過措置終了まであと1年半です。これから体制構築ができていないケースの聞き取りや、医療との連携が難航している理由を掘り下げて実態を把握することと、実態を基に適正な連携構築をするための支援、先ほど鈴木構成員からマッチング推進という話もありましたが、そのようなことを取り組まなければいけないと考えています。
 このことに関連して検討していただきたいことが1点ございます。現在、厚労省では医療と介護の連携構築に関する改定の検証を行うために、6年度に介護事業者に対する調査、7年度には介護事業者や自治体に関する調査を行い、実態把握に努められていますが、医療機関に対する実態調査が行われておりません。介護事業者の立場としては、医療機関側の状況や意見が非常に重要だと考えております。医療関係の調査等の実施について御検討いただければということでお願いいたします。
 関連して、実効性ある連携構築の体制に向けた月1回以上の定期的な会議や平時からの感染対策の実施、感染症発生時の感染者の対応についての医療側の状況や御意見が非常に重要だと思っていますので、併せて実態把握についても御検討をお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○野口座長 どうもありがとうございました。
 1点、医療機関の実態調査というのは、実施計画はあるのでしょうか。
○渡邉室長 老健局老人保健課でございます。御指摘ありがとうございます。
 協力医療機関は非常に重要だと考えておりまして、御指摘いただいたように改定の検証調査の中で介護保険事業所、それから、都道府県、市町村向けの調査をしているところでございます。基本的には介護給付費分科会で議論されるものかとは思いますけれども、医療機関側の調査としましては、我々が承知しているところでは保険局医療課が入院・外来の実態調査の中で把握をしているところでございます。そちらのデータも連携しながら必要に応じてお示しして、まずは介護給付費分科会で御議論いただきたいと考えているところでございます。
○野口座長 瀬戸構成員、よろしいでしょうか。
○瀬戸構成員 いろいろなデータがきちんとそろえばいいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○野口座長 どうもありがとうございました。
 それでは、野村構成員、よろしくお願いいたします。
○野村構成員 私のほうからは、訪問歯科診療のことについて36ページから書かれておりまして、そこには歯科医師だけではなく、歯科衛生士が一緒に関わり、誤嚥性肺炎というようなところもありますし、あと、地域の実情を踏まえ、歯科診療所と後方支援機能を有する歯科医療機関との連携、医科歯科連携をさらに推進していくことが求められていると述べられております。実際、現状としてはニーズに対してなかなか供給が追いついていないというところは、日本歯科医師会としても自覚をしております。
 そういうようなところで、どういう形で連携体制、57ページのほうでございますけれども、人材の確保、医療資源の地域差とか、質の高い提供体制、そして、在宅医療の効率的・効果的提供を歯科がどのようにやっていければいいのか。多職種連携等も在宅医療の提供体制でどのようにして連携していけばいいのか、全国的に好事例というようなものがございましたら、また御提供いただいて、こちらのほうでも検討したいと思いますので、ぜひその点をよろしくお願いしたいと思います。
○野口座長 どうもありがとうございました。
 それでは、坂本構成員、よろしくお願いいたします。
○坂本構成員 医師会の坂本でございます。皆さんの御意見をお聞きしても地域の事情、多職種の皆さんのいろいろな事情、あるいは地域によって、診療所の偏在も問題ですけれども、訪看、薬局も不足し、最近医師会で問題になっているのは、オンライン診療にしろ、郡部での在宅診療にしろ、在宅以外の普通の診療所も、検査センターもなり採血検査すらできないという、いろいろ難しい問題が起こってきております。
 また、在宅はかなり狭い圏域でということで、鈴木構成員からも御指摘がありましたけれども、もともと地域包括ケアは市区町村で、調整会議等は県と国でとの整合性がとれず、医療介護連携がなかなかうまくいっていない経緯もございます。政令市・中核都市で、市長が1人、保健所長が1人、医師会長が1人、歯科・薬剤師会長が各々1人、そういうところは議論しながらでも何とか顔の見える関係でやっていけるのですけれども、4人首長がいらっしゃり、医師会長が5人いらっしゃり、薬剤師会長・歯科医師会長が5人いらっしゃるとか、そういう圏域は非常に意見集約が難しいと思っております。
 その辺を今後の調整会議等の中で、在宅医療の狭い範囲も含めて、市区町村、もっと狭い範囲を含めて整合性を取っていけるように何とか議論していただく、そういうシステムをつくっていただきたいと思います。今までの調整会議では、上滑りしているかなというところもございます。
 また、お願いしたいのは、担当者会議も含めて、多職種の皆さんは勤務時間中にもかかわらず、ずっとボランティアで頑張っていただいてきていますので、ぜひその辺の報酬も含めて、ボランティアでお願いしますではなく、厚労省さんにきちんとした報酬体系をつくっていただきたいと思っております。先の御説明で出てきましたけれども、家族へのフォロー、在宅医療の中で、特に小児在宅の家族へのフォローは、いろいろな事件も起こっておりますので、その辺も十分考慮いただきたいと思います。また、医ケア児の学校への御支援、訪看の皆さんに非常にお世話になっております。その辺の報酬に関しても、きちんと文科省との調整が必要かと思いますので、きちんとお願いしたいと思います。
 また、郡部は医師会員もかなり高齢化しておりまして、郡部に行きますと、平均年齢が70歳以上で、70歳以上の先生に訪問診療をお願いしているのが現状です、この対策にICTの活用も出てくるかと思いますけれども、ICTを活用したとしても、看護師の方も郡部に行くとなかなかいらっしゃらない、薬局にお願いするにも薬局も近くにない。看護師の方がいられても検査センターがないので、採血して検査すら出せないという、ICTだけで解決できない問題もあり、郡部の人口少数ではICTでやったらいいではないかというのも、医療介護連携の点から見て、ICTのみで解決していっていいのかと気になっております。
 あと、厚労省に質問です。23ページの拠点に関して、拠点の4つの機能の整備に向けてということでございます。もちろん医療計画で進んでいると思いますけれども、(6)の6行目ぐらいに、在宅医療に必要な連携を担う拠点が同一となることが想定されるということが書いてあります。
 市区町等で拠点となっても、市の事業とか、県の事業で他の拠点と同じような事業をしており、この10年ぐらいで市区町村によって努力されて、多職種と連携しておられる拠点は既に多くあると思うのですが、その辺と同一で新しくつくる必要はあるのかという思いはあります。医療・介護連携センターも拠点としてございますし、地域包括ケアの拠点としていろいろ頑張ってきていらっしゃるので、その辺の拠点との関係性はどうなのか。あまり縦割りで多く出来てしまうと、地元でも悩んでしまうところがございますので、そこに関して質問でございます。
 長くなりましたが以上でございます。
○野口座長 23ページの既存の拠点との関係性ということでよろしいでしょうか。
○佐野室長 ありがとうございます。
 まさに難しい問題というか、縦割りのところでなかなか御理解いただけてないところなのかもしれないのですけれども、在宅医療に必要な連携を担う拠点に関しましては、医療機関にかかわらず、様々なところを設定いただけるという状況と我々としても考えています。ですので、地域の実情に応じてもちろん在宅医療・介護連携事業の実施主体とこういった拠点が同一となることも想定されていますので、どこまで同一とするのかという話はあるとは思うのですけれども、地域の実情に応じて適切に設定していただきたいと我々としては考えているところでございます。
○野口座長 坂本構成員、よろしいでしょうか。
○坂本構成員 ありがとうございます。
 拠点が同一でも地域の事情でいいということは理解いたしましたけれども、市でやっている事業、県でやっている事業、あるいは多職種で頑張って医師会でやっている事業というのは、予算の出所が違いますので、その辺の地域の予算の出所が違うと、よく国からの予算執行の場合は、市から出ている事業には使えませんとか、基金でもよくあるのですけれども、その辺はいかがなのでしょうか。
○野口座長 予算の点はいかがでしょうか。
○佐野室長 ありがとうございます。
 予算の件に関しましては、二重に支払うですとか、そういったところは厳しいと思いますので、その辺りは御理解いただきたいと思うところではございます。
○野口座長 坂本構成員、いかがでしょうか。
○坂本構成員 了解いたしました。
○野口座長 それでは、松﨑構成員、いかがでしょうか。
○松﨑構成員 私のほうから、本日、事務局のほうから論点として掲げられた検討の方向性自体は全体として異論はございません。
 その上で、最初に事務局から御説明もございましたけれども、医療・介護の複合ニーズを掲げる方が増加するということと、中長期的にはそもそも国内全体の就業者数が減少して、こういった職の担い手の確保はこれまで以上に難しくなることは現実のものとして正面から受け止めなくてはいけないのかなと考えております。受け止めた中で、今後も質の高い医療を国内で届けていくためには、今ある地域の医療資源、介護資源が持つ機能を効果的・効率的に集約・連携していくことは避けられないのではないかと考えております。
 本日、様々な現場の状況を御共有いただきました。そういった現場の状況を現実の課題に応える形で、医療関係はもちろんながら、介護関係も含めた形で有機的に連携して議論が深まっていくことを期待しております。
 特に論点としてICTというものが挙げられておりました。これは多職種、今後、いろいろ連携を引き続き強化していくということですけれども、多職種のコミュニケーションを円滑にするという観点、そして、特に地方部ではそうだと思うのですけれども、各施設各機関の間で物理的距離が遠いところもあるかと思います。そういった観点から大変重要な論点として、私としては考えております。
 私のほうからは以上でございます。
○野口座長 どうもありがとうございました。
 それでは、東構成員、よろしくお願いします。
○東構成員 意見を1点、質問を2点お願いいたします。
 まず、資料2の65ページに介護老人福祉施設、特養の看取りに関する状況の資料が出ております。看取りに対応しておりますのは介護保険施設では老健施設や介護医療院も同じでございますので、ぜひ今後、看取りに関しまして介護医療院や老健施設のデータも出していただければと思います。
 それから、介護医療院からの退所先の20%が医療機関でございます。老健施設の退所先の30%も医療機関でございます。そもそも常勤医師がいるところから医療機関への搬送が行われているわけですが、その内容、重度なものもあるのでしょうけれども、例えば軽微なものであっても送っているのか?それから、看取りで目的で送っているのか?そういう搬送の内容を提示していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 2つ目ですが、資料2の16ページに<具体的な検討事項>が記載されております。先ほどから何度か出ております拠点の役割の明確化、それから、2つ目のポツにさらなる医療・介護の連携というものが書いてございます。それから、欄外にMSWのことも書いてございますが、MSWの業務指針改訂はぜひやっていただきたいと思います。拠点についてですが、資料2の26ページの論点のところにも積極的役割を担う医療機関と連携を担う拠点の役割の明確化と連携の在り方と書いてございます。
 先ほど坂本構成員からも御質問・御指摘がございましたが、資料2の24ページにも拠点のことが書いてございますので、そちらのほうで質問を1点させていただきます。この在宅医療に必要な連携を担う拠点、設置主体は病院、診療所、訪看、医師会、保健所、市町村と、公的なところから民間まで、様々なところが挙げられているわけです。先ほど坂本構成員からも、ボランティアはいい加減にしてほしいというようなご発言もございました。拠点に求められる事項というのを見ますと、会議を定期的に開催とか、介護・障害サービスの所在地を把握して、様々な支援、包括的・継続的に医療機関との連携を調整とか、この拠点に求められる役割というのは大変多くございます。
 これを民間、例えば医師会等にお願いするときに、この費用というものが、先ほど佐野室長がダブルで出すことはできないとおっしゃっていましたけれども、拠点というものにこれだけの機能を求めるのであれば、それなりのフィーを払わないと、拠点機能というのはうまくいかないと思います。実際に例えば訪問看護事業所とか病院が拠点だった場合でもその費用というのは払われていないのでしょうか?ということが1点質問でございます。
 次に3点目、資料2の59ページの医療と介護の連携についてです。第3回地域医療構想の検討会の資料の抜粋の3つ目に「具体的な事項については、在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループで検討する。」「その際、介護との連携については、関係者が連携の参考とできるよう、知見を集積し共有できるようにしてはどうか」と書いてございます。
 その上で、今日の論点、資料2の69ページの1ポツ目の「医療と介護の連携については様々な類型が考えられる中、各都道府県において優良な取組が推奨されるよう、『在宅医療の体制構築に係る指針』の見直しに向けどのような対応が考えられるか」とございます。この在宅医療の体制構築に係る指針というのは、今、私どもが親会議で話し合っているいわゆるガイドラインのことを意味するのか、違うものなのかということを御質問したいと思います。
○野口座長 どうもありがとうございます。
 1点目の退所先の内容については今後でよろしいですか。
○東構成員 1点目は、拠点についてお金が出ているかという質問です。
○野口座長 その前におっしゃった医療施設からの退所先が医療機関。
○東構成員 これは質問ではありません。後日提出してください。
○野口座長 分かりました。1点目、拠点に対する費用をどうするのかという話と、69ページの在宅医療に対する指針とガイドラインの関係性です。お願いします。
○佐野室長 ありがとうございます。
 各自治体でどのような形で運用されているかというところは、我々としても全て把握している状況ではないところがあるのですけれども、少なくとも状況によっては医介基金等の費用を使って実施していただいているところもあるのではないかと考えているところでございます。
 2つ目の体制構築に関する指針のところなのですけれども、今回、あくまで在宅医療の体制構築に係る指針の第8次医療計画の後期に向けた指針の改訂について御議論いただきたいと考えているところですので、その構想ですとか、医療計画の検討会とはまた別と考えております。
○東構成員 ということであれば、資料2の59ページにございます「具体的な事項については、介護との連携については関係者が連携の参考とできるよう知見を集積し、共有できるようにしてはどうか」ということが書いてございます。従って在宅医療の体制構築に係る指針の中で書くだけではなく、この議論の中身をガイドラインの中に介護との連携についてもしっかりと書き込んでいただきたい。さらに「連携すべき」というような書きぶりではなくて、「具体的にどのような連携が必要」ということをガイドラインに書き込まない限り、実際にそのガイドラインを見て検討する地方行政、地方自治体においてなかなか具体的な動きが望めないと思います。ぜひガイドラインの中に、この介護との連携の具体的な内容を書いていただきたいと思います。これは希望でございます。
○野口座長 事務局の方から何かコメントはございますか。よろしいですか。
 それでは、島田構成員、よろしくお願いします。
○島田構成員 地域の在宅患者の緊急訪問とか、24時間対応のニーズに応えるための事業所単位の適正なというか、対応できるような規模感について、訪問看護が参考になるかと思いました。事務局で用意していただいた29ページ目のところに訪問看護においては、規模が大きいほど緊急ニーズとか、24時間対応がしやすいというのがあります。それで、31ページのところに、一方で、看護ステーションで5名未満のところが半分強あるというのを見ました。
 在宅療養支援診療所でいうと、実は1人在支診というのが非常に多くて、それをある意味で訪問看護ステーションがカバーしてくださっているという関係にはあるのですけれども、次以降に在支診のいわゆる医師の在籍状況とか、あと、看護ステーションと同じように、どのぐらいの規模でどのぐらいのことがきちんと対応できるようになっているような、閾値のようなものが見当たるのか、そうではないのかということとか、このところ在支病は非常に伸びていて4分の1強ということですが、在支診が伸び悩んでいる理由の一つにそもそもの職員数・在籍数、規模感というところで、そこまで伸ばせないのがあるのかなと思いました。
 同様に、薬局のほうの43~45ページの資料が、薬局は普通窓口調剤で今までやってきたものが訪問できるような機能を持っている。そして、24時間の対応ができている。あとは麻薬等の調剤の専門性の高いことができている。ここについてもいわゆる薬局の事業所単位の薬剤師数とか、職員の配置数によって、こういうようなものが実現できているのか、また、そこに併せて今まで出ているきちんとした報酬等の評価等も含めないと、一つ一つの事業所は診療所も含めて非常に小さいですから、そこに向けて整備ができないということがあろうと思います。
 ちなみに1人医師診療所は便利なこともあるのです。というのは、1人医師はいわゆる自営業者なので労働基準法が関係ないのです。だから、働き方改革の範疇外、労基署も来ないです。ところが、医師が増えると、もう1人医師がいるだけでそれは従業員であり、労働基準、365日を輪番で平等にやれないわけです。ですから、院長のほうがほとんどやって、2人目の医師は労基の範囲内の当直数、例えば週に1回しかできない、こういうようなことが実はあるわけです。どこかの人数になると労基も守れると言ったら語弊がありますが、守れるような労働シフトが組めるようになってくる、こういうことも現実にありますので、そのような参考になる資料があると、非常に前向きに、どうやって地域ごとにつくったらいいか、事業所を育てるか、考えていけるのではないかと思います。
 以上です。
○野口座長 どうもありがとうございました。
 価格が決まった中で規模の傾斜が働くという話だったと思うのですけれども、何かコメントはございますか。
○佐野室長 ありがとうございます。
 今、様々御意見をいただいたところ、正直どこまでの資料が出せるのか、出せないのかを含めて、整理してから考えないと駄目ですので、御希望に沿えるか、沿えないか、今の段階ではお答えすることは難しいかと思います。それだけ御了承いただければと思います。
○野口座長 それでは、山口構成員、よろしくお願いします。
○山口構成員 日本介護支援専門員協会の山口です。よろしくお願いします。
 様々な御意見を賜りまして、本当に学ばせていただいております。私自身、前任者から初めて参加させていただいておりますが、まず、ケアマネジャーの全国的な現状をお伝えさせていただきますと、ケアマネジャーも各専門職種の方々と同様、ケアマネ不足が顕著になってきております。
 日本協会のほうに声が上がってくる中では、中山間地域ではケアマネジャーが1人もいなくなった、結局、介護保険制度が2000年から始まり、25年間たつ中で、高齢化する中で退職する、ゼロになっている中山間地域もありまして、そうなると、包括支援センターさんのほうにお問い合わせなどが行っても、ケアマネジャーを探さなければいけないので、少しお待ちくださいという地域もあるという声が聞こえてきております。結局、その方に対しての支援は隣町の居宅事業所さんのほうから来る、そういうことがこれからも増えてくるかもしれません。
 その中で、日本介護支援専門協会として、現在、生涯学習体系というのがありまして、ケアマネジャーといっても初任者からベテランまで様々ありまして、バックライセンスも違います。ということで、実践者レベル、指導者レベル、それぞれ各4ランクに分かれた研修をしております。
 そこで、今日の事務局さんの資料の中で、いろいろあるのですがポイントだけ、63ページ、現在、高齢者施設から医療機関への救急搬送が増えているということで、救急搬送の依頼は高齢者施設から医療機関ということが半数以上あると救急白書で出ていると認識しているのですけれども、その中でも、誤嚥性肺炎、尿路感染症、骨折という理由が多かったと思います。ここで介護支援専門員としてのアセスメント、課題分析を事前にやっていかなければいけないということが協会のほうでも課題になっております。
 それで、介護施設だけでその数を減らすという話ではないのですけれども、ここでも医療・介護連携が必要である、主治医の先生もしっかりと予測を立てた事前の報告をすることによって、看護師さんとか、リハビリの先生方とも連携をすることによって施設の中でできるのか、それか、計画的に入院をすることが必要になってくるということが、協会の中でも今現在問題になっておりまして、そういうことも生涯学習体系の中でも内容的に含めなければいけないという話が出ております。
 そうしたときに、ケアマネジャーが不足しているとき、在宅の場合は、ほかの地域からのケアマネジャーさんが担当している場合、その市町の地域社会資源を十分に把握しきれていないケースも中にはあるかと思います。そういうときに各専門職の主事医の先生をはじめ、医療職の方々からの御助言とか協力支援体制が、ケアマネジャーとしてもこれからすごく重要になってきます。ACPはケアマネジャー中でも勉強しておりますけれども、ACPというのは、差し出がましい話ですけれども、その都度その都度意思は変わりますので、最初の意思と、本当に体調が悪くなったときの意思は変わります。
 ケアマネジャーは、いろいろな専門職の方々が声を上げている中で、その情報連携をどうまとめるか、それをどう医療機関につなぐか、福祉施設につなぐかというところ、最終的な決定は御利用者さん、患者さんの意思、これを守るのが権利でありますので、そこを多職種連携で深めながら、その意思に反しないような対応を進めなければいけないと思います。
 最後に、16ページの枠外にありましたように、地域連携室の医療ソーシャルワーカーさんとの連携がすごく密接に関わっておりますので、MSWさんのみならず、地域には精神疾患の方で65歳が来ると介護保険制度に移行しますので、PSWさんとの連携も関わってきますから、私は十分に把握しきれていないのですけれども、そうしたガイドラインとケアマネジャーとの連携が重要になってくるかなと、意見であります。
 以上でございます。
○野口座長 どうもありがとうございました。御意見として伺ってよろしいですか。
○山口構成員 意見です。
○野口座長 どうもありがとうございます。
 村松構成員、お願いします。
○村松構成員 村松です。指針の見直しについて全体的なことで2点意見をします。
 1つ目は指標についてです。先ほどまでの構成員の方々の御意見を伺っていますと、在宅医療は地域性もありますし、そもそも在宅医療そのものにかなりバリエーションがあって、一つの指標では評価しにくいという御意見がたくさんあったかと思います。
 そうなってきますと、現状、参考資料1の一番後ろについている別表12の指標例を見てみますと、これは厚労科研で出てきたものだと思いますが、ストラクチャーですとか、プロセスしかないというところでございます。前回の28年の厚労科研でもアウトカム指標はなかったと記憶しています。かなりばらつきがあるものですので、ストラクチャーやプロセスを比較しても、それは状況が違うので違いますということになってきますので、そういう意味では、この中で検討するのかどうかということはありますが、アウトカム指標というものも考えていかなければならないことになるかと思います。先ほど東構成員から出ました家族や本人の満足度ですとか、救急搬送の困難さですとか、そういったものはアウトカムの例として使えるようになっていくのではないかと思います。
 そういったものを見るためにはデータが必要になってまいります。今、事務局で御調査されているということですが、そもそも在宅医療の現状がどうなっているかというエビデンスも必要になってくるかと思います。私はDPCの研究を長くやっていますので、DPCデータのような共通のフォーマットのものが解析されて、どのような状況かということが明らかになっていくことが望ましいのではないかと思います。
 これは事務局へのお願いではなくて、DPCもこれだけ使われるようになってきましたのは、各医療機関ですとか研究者が使って、ボトムアップでエビデンスがたくさん出てきたところでございますので、各シンクタンクをお持ちの団体ですとか、学者もそういったものをつくっていかなければならないと思っています。
 もう1点、他制度との整合や運用について意見します。積極的役割を担う医療機関ですとか、拠点ですとか、そういったものについても、先ほど鈴木構成員からも指定の条件にもかなりばらつきあるのではないかというお話がありました。そういった積極的な役割を担う医療機関も、拠点も、ボトムとなるような機能を満たしているかどうかという観点からKPIを測定していく必要があります。冒頭、室長からもPDCAを回していくということでしたが、PDCAを回すためにはKPIをチェックしていかなければなりませんので、そうしたもので先ほど来議論になっているような指定している医療機関の見直しですとか、拠点をどこが担っているのかという議論が進んでいくことになるかと思います。
 また、島田構成員からも規模感と診療報酬の制度化というところもありますが、特に在宅医療は複数の局が関わっていらっしゃって、事務局も御調整が非常に大変だと思います。大変だとは思いますが、指標の見直しの中で、どのように整合を取っていくのかという、制度自体を変えること大変ですので、どのように運用していくのかという点について書き込めることがあれば、できるだけ書き込んでいければいいのではないかと思いました。
 2点意見です。以上です。
○野口座長 どうもありがとうございました。
 PDCAに対する指標という非常に重要な御指摘だったと思います。
 そろそろお時間ですが、まだ御発言がない方もいらっしゃいますけれども、よろしいでしょうか。
 それでは、本日は初回にもかかわらず大変多岐にわたる様々な御意見をどうもありがとうございました。
 それでは、本日の議論はこれまでとさせていただきたいと思います。
 事務局様におかれましては、本日いただいた御意見・御質問を踏まえた議論が行えるよう、次回以降の資料等の御準備を行っていただくよう、よろしくお願い申し上げます。
 最後に、事務局様のほうから何かございますでしょうか。
○佐野室長 本日は、活発な御議論をいただきありがとうございました。
 次回のワーキンググループについては、詳細が決まり次第御連絡いたしますので、引き続きよろしくお願いいたします。
○野口座長 それでは、本日のワーキンググループはこれまでとさせていただきます。
 皆様、お忙しい中御参加いただき、どうもありがとうございました。
 
以上
 

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