第4回医療法人の経営情報の データベースの在り方に関する検討会:議事録

○日時

令和6年12月20日(金) 13:00~15:00

○場所

航空会館 B101号室
東京都港区新橋1丁目18-1

○議事

○桑原室長 定刻となりましたので、ただいまより、「第4回医療法人の経営情報のデータベースの在り方に関する検討会」を開催させていただきます。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席いただき、誠にありがとうございます。
 なお、本日は全員御出席との御連絡をいただいております。石井構成員、伊藤構成員、今村構成員、角田構成員、寺島構成員、野木構成員、松原構成員におかれましては、オンラインでの御出席になります。
 次に、お手元の資料の確認をさせていただきます。本日の資料は、上から、議事次第、構成員名簿のほか、
 資料1 前回検討会での主な御意見
 資料2 医療法人情報の第三者提供制度に関する報告書(案)
 参考資料1 MCDBの概要及び統計制度の二次利用の実施状況等について
 参考資料2 「医療法人の経営情報のデータベース」の在り方に関する報告書
でございます。資料の不足等ございましたら、事務局までお知らせください。
 報道関係者の皆様、冒頭カメラ撮りはここまでとさせていただきます。
 それでは、以降の進行は、田中座長、どうぞよろしくお願いいたします。
○田中座長 では、委員の皆さん、こんにちは。ただいまから議事に入ります。
 資料1「前回検討会での主な御意見」及び資料2「医療法人情報の第三者提供制度に関する報告書(案)」について、事務局より資料の説明をお願いします。
○桑原室長 オンラインの先生方には画面で表示いたします。会場の先生は、資料1「前回検討会での主な御意見」を御覧ください。
 初めに、前回検討会で出た主な御意見を事務局でまとめております。
 まず、総論といたしまして1つ目、MCDBは情報を収集することが目的ではなく、収集した情報を厚生労働省が分析し、医療の現状を国民に分かりやすく情報提供することが目的。まずは厚生労働省がしっかりと分析し、その情報を公開することが大事。そうすれば第三者提供への需要も減るのではないか。
 また、MCDBが国民の共有財産であり広く利用できるようにということは理解できるが、個別の経営情報や個人情報が含まれることは認識すべきという御意見がございました。
 それから、公表方法についてです。
 特定の意図や目的の下で、都合の良いデータが出るよう、意図的にデータを取捨選択・加工するような恣意的な利用を抑止するような文言をガイドラインにしっかり記載して欲しいとございました。
 それから、再識別の防止につきましては、多数御意見をいただきました。
 再識別されない方法の検討が不十分なのでしっかり検討して欲しい。
 再識別されないための対策が足りていない。
 再識別のリスク判定を研究者任せにしないように。
 また、例えば、オーダーメード集計でも、集計数が少なければ容易に推測できてしまうので、データが何件未満の場合は集計結果を表示しないなどのルールが必要ではないかという御意見ございました。
 それから、医療法人情報の提供に当たっての、提供する情報の内容についてですが、医療法人情報の提供は、オーダーメード集計では対応できない場合のみ認められるのではないか。
 また、医療法人情報の提供は、当該研究に必要最小限の項目であること。また、上と同じですが、オーダーメード集計で対応できないと認められることを要件とするべき。
 また、オーダーメード集計と医療法人情報の提供、どのような情報が提供されるのかもう少し共有してもよいのでは。
 また、オーダーメード集計においては、社会保障審議会や第三者機関のスクリーニングが制度上ないため、提供時の組織内の決裁・方法、また人事異動等でイレギュラーなことが起こらないようデータ加工方法の適切なインストラクションを設定しておく必要があるという御意見がございました。
 また、他の調査等との連携についてですが、病床機能報告・外来機能報告との連携以外は想定していない。他の調査と連携すればするほど、個人を特定できるものとなってしまうので、何とでも連携するのは困る。
 一方で、病床機能報告・外来機能報告以外で、医療施設調査等の他の調査とも連携することが想定されていると理解。他の調査と連携できるから経営情報の収集データを少なくした経緯がある。また、他の医療施設調査等とは、厚生労働省内でも連携して分析することが重要との御指摘がございました。
 また、医療法人情報の提供に当たっての社会保障審議会での審査です。
 審議会の開催頻度が低いと、研究費の申請に間に合わないなどの不具合が出てくるので困る。最低でも月に1回くらいの頻度で開催して欲しい。
 また、審査結果は他の部会等にも報告し、医療関係者に情報共有できるようにして欲しい。
 それから、実際に審査する側から、審査のサポートとして、申請書を充実させ具体的な研究内容を記載させることで判断しやすくなるのではないかという御意見ございました。
 それから、医療法人情報の提供に当たっての安全管理措置あるいはオンサイトセンターの利用についてです。
 オンサイトセンターが原則なのはおかしい。安全管理の基準を満たすのが原則で満たせない人がオンサイトセンターを利用するのではないか。統計法のように全国にあれば別だが、WAM(独立行政法人福祉医療機構)1か所だけというのは非常に不便。国民の税金を使って構築しているデータベースなので、ちゃんと利用できるようにして欲しい。
 一方で、大学であればしっかり情報管理がされているということでもない。フリーパスで教授室に行くことができ、そこにあらゆるデータがそのまま置かれていたりするので、情報管理についてしっかりと対応して欲しい。
 また、その安全管理についてですが、利用者に対して、実際に安全管理措置をやっているかという確認作業をどのようにするのかも、ほかの法令などの制度と比較して検討すべき。
 それから、オンサイトセンターでの利用について、利用する場合、持ち出せる内容はどのようなものか、利用期間の設定方法、外部委託の可否なども慎重に検討する必要があると御指摘ございました。
 また、その他の事項としまして、適切な苦情相談窓口の設置も必要。
 不適正利用をどう把握するのか検討する必要があるという御指摘もございました。
 これらの指摘を踏まえまして、事務局のほうで、前回の検討会を踏まえた、この会としての報告書の案を作成いたしましたので、その内容について、まず御説明させていただきます。黒い文字と赤い文字に分かれていますが、黒い文字につきましては、前回、事務局のほうからお示しした資料に基づいて、おおむね御理解いただけていると考えた部分。赤文字につきましては、特に構成員の皆様からいただいた御意見、こういうことをしっかり記載すべきであるという観点について書いたものでございます。黒い部分につきましては簡単に御説明しまして、赤い文字について詳細に御説明してまいります。
 まず、見出しですけれども、「医療法人情報の第三者提供制度に関する報告書(案)」でございます。
 「はじめに」としまして、この第三者提供制度の経緯につきましては、2年前の検討会で報告書が出され、それを踏まえて医療法が改正され、今後施行されることとなっているということを書いております。
 再識別防止の必要性につきましては、第三者提供制度の施行にあたっては、データベースが国民共有の財産として有効活用されるべきである一方、医療法人情報には、医療法人の競争上の利益を侵害するおそれのある情報や、いわゆる一人医師医療法人の医師給与等、特定の個人の収入等を容易に推知できる情報が含まれることに留意しなければならない。
 このため、提供する情報の範囲を研究目的に照らして必要最小限の範囲に限定することや、提供先から特定の個人や医療法人等の識別につながる形での公表がなされないようにすること等、個人及び法人の権利利益が侵害されない制度とする必要があるということで、基本的な考え方を初めに示しております。そうした経緯を踏まえて検討会でまとめたということを書いております。
 医療法における規定をまず御説明いたします。第三者提供制度は、医療法において、(1)の委託に応じ作成した統計表を提供する仕組みとして、オーダーメード集計制度があり、2つ目に(2)のデータベース上の医療法人情報を提供する仕組みがある。かつ、オーダーメード集計と医療法人情報の提供に関する事務につきましては、福祉医療機構に委託することができるとされています。
 また、医療法におきまして、相当の公益性を高める必要性があるということ。
 それから、申請手続、安全管理措置等も定める必要が医療法においてあるということを書いております。
 これらを踏まえまして、第三者提供制度について定めるべき項目をまとめると、このようになります。
 (1)として、オーダーメード集計については、相当の公益性、申請等に係る手続、再識別の防止措置。
 それから、(2)の医療法人情報の提供につきましては、相当の公益性、申請等に係る手続、安全管理措置、再識別の防止措置。
 それから、上の2つに共通の事項としまして、(3)として手数料等、不適切利用への対応となっております。
 この流れに沿いまして、以降、順次、報告書に記載しております。
 まず、オーダーメード集計についてです。
 (1)は医療法に定められたオーダーメード集計の定義を書いております。
 (1)の①ですが、オーダーメード集計における相当の公益性です。まず、先行事例として、統計法においてもオーダーメード集計がありますので、統計法上のオーダーメード集計の相当の公益性とは何かということを次のページの上のほうに書いています。ポツが4つ並んでおります。
 この4つのポツに倣って、医療法人情報のオーダーメード集計における「相当の公益性」を定めてはどうかという内容になっていまして、下の4つのポツを並べております。
 続きまして、(1)の②です。オーダーメード集計の申請等に係る手続についても、今、申し上げた統計法におけるオーダーメード集計がありまして、そこに手続が定められているので、それに倣って定めてはどうかという内容です。ポツが3つございます。
 それから、(1)の③オーダーメード集計における再識別の防止です。オーダーメード集計は集計結果を提供する仕組みであるため、医療法人情報を提供する場合に比べデータ提供に伴うリスクは低いが、集計方法によっては、特定の個人や医療法人等の識別につながる可能性がある。
 そのような特定を防止するため、厚生労働省は、特定の個人や医療法人等の識別ができないように医療法人情報の最小集計単位をあらかじめ定めるとともに、集計結果が最小集計単位を下回る場合には、集計結果を非表示とするべきである。
 また、集計結果が特定の個人や医療法人等の識別につながるものとなることが申請時から見込まれる場合には委託を受けないこととし、オーダーメード集計の提供について厚生労働省が適切に対応できるよう、再識別の防止に係るこれらの措置について、第三者提供に係るガイドライン及び利用規約に定めるべきであるとしております。
 続きまして、医療法人情報の提供についてです。
 (2)につきましても、法律に定められている法人情報の提供の仕組みの定義を書いています。
 ①としまして、医療法人情報の提供における相当の公益性ですが、こちらも先ほどと同じように、先行事例として、統計法における調査票情報を提供する仕組みがありますので、まず、そちらをポツ5つ並べて御説明しております。
 それに倣った形で、医療法人情報の提供における相当の公益性についても定めてはどうかということにしております。基本的に統計法に倣ったポツを並べておりますが、一部赤字にしています。上から4つ目です。医療法人情報を利用して行った研究の成果の内容、教育の内容又は事業等の内容が、前回の検討会では、私どもから「公表されること」としておりましたが、「客観性が確保された上で」公表されることとしております。こちら、先ほど御紹介しました構成員の前回検討会の意見の中で、恣意的な公表を抑止するような文言が必要だということで、事務局案として「客観性が確保された上で」ということを入れております。
 また、手続としまして、社会保障審議会における審査は、丁寧な審査を行うための審査期間を確保しつつも、可能な限り速やかに行うことに努めるとともに、同審議会における審査結果は、原則として公表することと定めております。
 続きまして、(2)の②医療法人情報の提供に係る申請等の手続でございます。こちらも統計法における調査票情報を提供する仕組みの手続が定められておりまして、それに倣って定めるべきであるということで、ポツを3つ並べております。
 続きまして、(2)の③医療法人情報の提供を受ける者に必要な安全管理措置でございます。こちらも先行事例として、統計法における調査票情報の提供を受ける場合の安全管理措置が、このように5つのポツ、並んでおります。こちらについても、医療法人情報の提供においても、同じような安全管理措置を定めることにしております。
 その下でございます。安全管理措置を講じた上で、自施設で使うのか、オンサイトセンターで使うのかについてです。
 自施設では十分な安全管理措置を講じることができない研究者等であっても、医療法人情報を利用した研究等が可能となるよう、安全管理措置を実施しているオンサイトセンターを独立行政法人福祉医療機構に設置することとする。
 オンサイトセンターの利用については、自施設で安全管理措置を講じる場合のリスク及び研究目的の公益性を考慮し、次の事項を第三者提供に係るガイドライン及び利用規約に定めるべきであるとしまして、下のポツでございます。
 医療法人情報の提供は原則としてオンサイトセンターで提供を受けることとする。ただし、公的機関等、又は公的機関等からの委託・補助を受けて行う研究者等は、安全管理措置が確認された自施設又はオンサイトセンターにおいて医療法人情報の提供を受けるとしております。公的機関のところに注釈をつけておりますが、国または地方公共団体、つまり行政機関のことを公的機関というふうにしています。
 また、安全管理措置の確認方法及びオンサイトセンターの利用方法について、次の事項を第三者提供に係るガイドライン及び利用規約に定めるべきであるとしまして、1つ目、自施設で安全管理措置を講じる研究者等について、措置が講じられていることを厚生労働省が実地監査等により確認する方法。2つ目、オンサイトセンターの利用期間、持ち出し可能な情報、外部委託の可否等、オンサイトセンターの利用方法でございます。
 続きまして、(2)の④医療法人情報の提供における再識別の防止でございます。
 1つ目の段落は、「はじめに」のところで書きました再識別防止の考え方をそのまま引っ張ってきているのですけれども、改めて申し上げます。医療法人情報には、医療法人の競争上の利益を侵害するおそれのある情報や、特定の個人の収入等を容易に推知することができる情報が含まれることから、提供に当たっては、情報の範囲を研究目的に照らして必要最小限の範囲の情報に限定することや、提供先から特定の個人や医療法人等の識別につながる形での公表がなされないようにすること等、個人及び法人の権利利益が侵害されない制度とする必要がある。
 そのため、医療法人情報の提供に当たっては、次の項目を第三者提供に係るガイドライン及び利用規約に定めるべきであるとしまして、次のページでございますが、1つ目のポツ、提供する情報は、研究目的に照らして必要最小限の範囲に限定するとともに、直ちに個人や医療法人等の特定につながる情報(法人名、個人名、医療法人番号、医療機関コード等)は提供しないこと。
 また、研究目的がオーダーメード集計によって達成できる場合は、オーダーメード集計の結果を提供し、医療法人情報は原則として提供しないこと。
 公表可能な最小集計単位を定め、研究者等は、その最小単位以上で研究成果等を公表すること。
 多角的な分析を行うために「病床機能報告」及び「外来機能報告」と連携した情報の提供を求める研究者等については、社会保障審議会において当該情報の必要性を審査し特定の個人や医療法人等の識別につながらないように十分に配慮したうえで提供すること。
 厚生労働省は、公表内容に再識別可能な情報が含まれていないか、最小集計単位が遵守されているかどうか、公表前に確認を行うこととしております。
 また、その他としまして、(3)の①第三者提供に係る手数料等です。
 1つ目については、医療法において、手数料については、実費を勘案して政令に定めることとされている。また、手数料を減額又は免除できると規定されている。
 2つ目の○におきまして、先行事例として、統計法あるいはNDBにおいても、作業時間1時間当たりの単価等によって手数料を定めているということを紹介しております。
 第三者提供に係る手数料等についても、これらの先行事例に倣って、実費を勘案した手数料、また手数料の免除として、公的機関や厚生労働大臣が交付した補助金等を充てて研究を行うもの等を免除の対象とする。
 それから、手数料の減額につきましては、独立行政法人、大学等の良質かつ適切な医療提供体制の構築に資する研究を行う者、厚生労働省を除く行政機関が交付した補助金により研究を行う者としております。こうした手数料について、規定に定めることとしています。
 それから、(3)の②医療情報法人の不適切利用への対応です。
 1つ目の○においては、医療法において、法人情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用した場合は刑事罰が課せられることを紹介しています。
 ただし、その刑事罰に相当する場合以外にも、利用規約に反する行為を行った場合に取るべき対応があるということを記載した上で、その次の○は、統計法あるいはNDBにおいて、そうした対応があらかじめ定められているので、以上のことから、医療法人情報の提供においても、不適切利用を把握する方法、苦情相談窓口の設置等や不適切利用が生じた場合の対応・措置について、第三者提供に係るガイドライン及び利用規約に定めるべきであるということとしております。
 それから、その他の事項です。
 上記を含めまして、この第三者提供の手続きに係る詳細事項については、ガイドライン及び利用規約に定めるべきであるとしています。
 それから、最後ですが、「病床機能報告」及び「外来機能報告」以外の調査と連携した情報については、特定の個人や医療法人等の識別につながる可能性が高まることから、慎重に検討すべきである、という意見がございました。一方で、医療施設調査等の統計調査との連携の重要性についての意見もございました。こうした両方の意見がございましたので、第三者提供制度における「病床機能報告」及び「外来機能報告」以外の調査との連携については、制度の施行状況や研究のニーズ等を踏まえつつ、引き続き検討を行うことが必要であるということを最後に示しております。
 以上、前回の検討会での主な御意見と、それを踏まえて事務局のほうでまとめました、この検討会での報告書の案です。私からの説明は以上です。
○田中座長 説明ありがとうございました。
 それでは、ただいま伺った説明について、資料1、資料2について御質問、御意見おありの方はお願いいたします。どうぞ。
 角田構成員、お願いします。
○角田構成員 ありがとうございます。
 7ページ目の3つ目のポツから始めさせていただきます。「病床機能報告」と「外来機能報告」とつながったデータの第三者提供については、特定の個人・法人が同定される恐れが特に高いと懸念しています。本日の参考資料2、前回の報告書にございますが、12ページの2つ目の○で病床機能報告及び外来機能報告と情報の連携を可能とすべきである、とした上で、3つ目の○で、連携したデータベースは政府内で活用することを前提とし、それ以外の活用については慎重な検討が必要であるとされております。したがって、病床機能報告・外来機能報告を含めた、他の調査と連携したデータは、政府内で活用する前提であったと理解しています。
 そして、それが本日の報告書の7ページでは、病床機能報告・外来機能報告と連携した情報を研究者等に提供するとされています。参考資料2の2年前の報告書を踏まえれば、ここに踏み込むかどうかがまず論点になるかと思います。これにつきましては、後ほど事務局から御説明をお願いしたいと思います。
 次に、同じく2年前の報告書の16ページを御覧いただきたいと思います。医療施設調査などの統計調査も活用することで、主たる診療科ごとの経営情報等の分析も可能となるため、必要に応じて、統計調査も活用した分析も対応できるよう検討すべきであるとされております。これはあくまで他の調査と連携したデータベースは、政府内で活用することを前提とした記載であり、第三者に提供することを想定した合意ではなかったと理解しています。この点につきましても、事務局の認識をお願いしたいと思います。
 取りあえず、今、私からは以上でございます。
○田中座長 ありがとうございました。
 ただいまの角田構成員の質問について、お答えください。
○桑原室長 まず、今回の報告書案ですが、多角的な分析を行うために「病床機能報告」及び「外来機能報告」と連携した情報の提供を求める研究者等について、社会保障審議会において情報の必要性を審査し特定の個人や医療法人等の識別につながらないように十分に配慮した上で提供するという内容があります。一方で2年前の検討会の報告書の12ページにこうした記載がございます。
 「病床機能報告・外来機能報告との連携について」という見出しがございまして、多角的な分析の可能性が高まること、そしてこのデータベースにおいて情報の連携を可能とすべきであると書いた上で、ただし、他の調査との連携により医療法人の属性に係る情報が付加されるため、連携したデータベースは政府内で活用することを前提とし、それ以外の活用については、本検討会において研究目的などのニーズへの意見があったことを踏まえつつ、慎重な検討が必要であると記載しております。
 今、角田構成員からいただいた御指摘は、2年前のこの書きぶりというのは、病床機能報告・外来機能報告と連携させるけれども、それは政府内での活用が前提であって、それ以外については慎重な検討が必要ではないかということと、先ほど御紹介しました今回の報告書での書きぶりが合っていないのではないかというのが1つ目でございました。
 確かに前回の検討会の中で、政府内での活用が前提であって、それ以外については慎重な検討が必要であるという指摘がございました。今回の事務局の案は、慎重な検討が必要であるということですので、どこまで病床機能報告と連携できるかという、前回の検討会で構成員の皆様に意見をいただいた、ぎりぎりどうかという御提案でして、病床機能報告・外来機能報告と連携した情報の提供を求める研究者等について、まず、社会保障審議会において、その必要性を審査する。それから、特定の個人や医療法人等の識別につながらないように十分に配慮する。
 かつ、当然ですが、その公表内容に再識別可能な情報が含まれていないかどうかを厚生労働省において見て、公表前に確認を行うこと。こういう配慮をした上で、病床機能報告・外来機能報告との連携を提供することとしてはどうかというのが、今回の報告書の案でございます。
 それから、もう一つは、2年前の検討会の報告書16ページの中で、最後の3つ目の○です。新たな制度によるデータベースの分析において、医療施設調査などの統計調査も活用することで、主たる診療科ごとの経営情報等の分析も可能となるため、必要に応じて、統計調査も活用した分析も対応できるよう検討すべきである、と書いてあって、角田構成員からの御指摘は、ここで、必要に応じて分析も対応できるようというのは、あくまでも政府内での活用のことを言っているのであって、第三者提供制度における活用を検討すべきであるという、そこまでの意味合いはないのではないかという御指摘だったかと思います。
 この記載が、検討会報告書では「その他」の最後に入っていて、どこまで、どういう意味での分析・活用なのかということは、ここでそこまではっきりとは書いておりません。政府内で活用できるように検討すべきであるということに限定してなのか、私どもとしてははっきり確認が取れていないかなと考えております。
 まずは以上でございます。
○田中座長 角田構成員、いかがでしょうか。
○角田構成員 ありがとうございます。
 前段については、社保審での審査等、十分な配慮をするという説明と承りました。
 2つ目の政府内云々は、私どもは、この部分の文章は政府内での話と認識していました。少し認識のずれがあると思いますので、これは引き続きしっかりと検討すべきではないか。
 私から以上でございます。
○田中座長 御指摘ありがとうございました。
 伊藤構成員、お願いします。
○伊藤構成員 ありがとうございます。医療法人協会の伊藤でございます。
 今、角田構成員から発言がありましたように、8ページの第三者提供制度における「病床機能報告」及び「外来機能報告」以外の調査との連携、ここは大変懸念の残るところでございまして、前回の会議でも発言しておりますけれども、この点に関しては新たな制度がきちんと動き出して、その中で再識別ができないことがしっかりと検証された後に検討すべきではないかと我々も考えているところでございまして、御指摘がございました16ページの医療施設調査などの統計調査も活用するということですが、ここでは第三者提供は考えていないということで認識しておりますので、これに関しても一度きちんと検討すべきです。まずは、第三者提供制度ということから外して検討し直す必要があるのではないかと考えております。
 以上です。
○田中座長 これに当たって慎重を期すべきだという御意見でした。
 荒井構成員、お願いします。
○荒井構成員 荒井から質問やコメントをしたいと思います。
 今、ちょうど角田構成員等から出ていた部分ですけれども、病床機能報告・外来機能報告以外の調査のところですが、2年前の議事録を見ていただければ分かると思うのですけれども、この2つを常時接続のためのものと言っていて、それ以外の随時必要なときにやるものという形で、医療施設調査とかナショナルデータベースといったものとつなげることを言っているので、必ずしも「政府内での活用だけ」のことということで議論はしていないのです。なので、厚労省の方もおっしゃっていたように、最後の部分、その他のところに入っているのですけれども、別に政府内だけとか第三者提供という話はここではなくて、むしろ議事録を見ていただけると両方を含むものというのが理解かと思います。
これは取りあえず置いておいて、質問とコメントをします。
 まず、コメントからですけれども、6ページで医療法人の提供は原則としてオンサイトセンターで提供を受けることとする。ただし云々と書いてありますが、これは参考資料1の5ページに統計利用の二次利用の実施状況が書いてあって、33条で提供する場合と33条の2があって、33条のほうが圧倒的に多くて、33条の2は全体の0.2%もない。ほとんど例外的な部分で、その例外的な部分のほうが主文になっていて、99.8%以上の使われ方をしているところがただし書きになっているというのが、どうも文章としておかしいような感じがします。これはコメントです。
 質問のほうは、その下にある、厚労省が実地調査等により確認する方法。安全性を確保することは非常に大切だと私も思っています。ただ、統計法上の、先ほど言った1139、プラス2の場合、どうなっているのか、ほかの制度でどうなっているのかを調べていただいて、それと同じように扱わないと、今回の第三者提供制度のときだけ特別な扱いをするというのはおかしいので、その辺りを調査した上で、実地監査が一般的なのであればそれでやるべきですし、実地監査が一般的ではない場合には、より一般的な方法にすべきじゃないかと思います。
 それと、これは厚労省にとって物すごい大変なことになると思うのですけれども、それは大丈夫なのでしょうか。沖縄から北海道まで行って監査し、その結果駄目だという人は、それでも、当地でやりたいからということで、もう一回環境を整備しますね。自分たちの施設を整えます。それを厚労省が現地へ再確認に行く。毎回のように沖縄から北海道まで行くことを前提としたものになっているのですが、制度的に大丈夫なのかなと感じました。なので、統計法上、他の制度を調査した上で、他の制度と同様に扱うことがよろしいかと思います。このあたりについて、どのようなお考えなのかということを質問したいと考えます。
 取りあえず、ここでお願いします。
○田中座長 お答えください。
○桑原室長 6ページに、厚生労働省が安全管理措置を実地監査等により確認する方法と書いております。今、荒井構成員から、業務的にも大変になるだろうし、かつ、他の制度との並びを取って定めるべきではないかという御指摘がございました。他の制度がどうなっているかということにつきましては、確認していきたいと思います。
 一方で、「実地監査等により」と入れた趣旨としましては、新しい仕組みを始めますので、最初は安全にといいますか、大丈夫だということを、安全運転でしっかり確認する必要があると考えております。そういう観点から申しますと、研究者の先生方あるいは大学等々から出てきた申請書を見て、もちろん疑うというか、うそを書くことはないと思うのですけれども、本当に大丈夫かということは確認した上でないと、もしそれで何かあった場合に、むしろ厚生労働省が責任を問われることになりますので、実地監査等により確認することが必要であるという趣旨で入れております。
 ただし、実務的にそれで本当に大丈夫なのかというところにつきましては、実際にどれくらい申請が上がってくるかということを踏まえて、対応を検討していく必要があるかなと考えております。
 以上でございます。
○田中座長 よろしいですか。
○荒井構成員 はい。
○田中座長 皆さん、それぞれ懸念を示していただいていますが、ほかにいかがでしょうか。
 野木構成員、お願いします。
○野木構成員 ありがとうございます。日精協の野木でございます。
 これも約3年前の話なので、なかなか思い出せないというところもあるのですけれども、当時、「令和3年度厚生労働省委託 医療法人の事業報告書等に係るデータベース構築のための調査研究事業企画検討委員会」の中に今の日本医師会会長の松本委員がおられて、最終的にはかなり激論になって落としどころがないような状況になってしまって、厚労省も大分悩まれてというような形での最終報告になったのではないかなと思います。そのとき第三者評価も、第三者にどれだけ出すのかというところも大分話題になって、そこが非常に曖昧になって政府だけで取りあえず検討するみたいな話になったように私も思っていたのが、いつの間にか変わってしまっていたのだなと今回、思っていたのですけれどもね。
 一方で、正直、これを出すということになってくれば、恣意的ではないということを確認すると書いてありますけれども、恣意的というのは、どこをもって、どう恣意的と言うのかというのは非常に難しいところがあると思うので、実際問題として、どういうふうなデータが出るのか。オーダーでもそうですけれども、架空でもいいですけれども、厚労省の中で見られて、どういうふうなデータ、数が少ないところは実際はどんなものが出るのかどうかというところですね。例えば、精神科病院なんかで言うと、大阪市内は1か所しかないわけですから、それが出れば全部分かってしまうし、2か所だったらどうなのだろう、3か所だったらどうなのだろう。実際、どういうデータを出したいのかというところを見ないと分からないというところもあります。
 もっと極端なことを言うと、例えば役員報酬なんかは、その役員構成とか、その構成の中に医者は何人いるのか、医者はいないのか、全部医者であるのか。そのことによって役員報酬も全然変わってきますし、当時も言いましたけれども、職員の報酬も年俸制なのかとか、いわゆる普通の形なのかとか、給与の出し方によっても全然変わってくるので、それが勝手にばっと出てしまったら、恣意的なのか、客観的なのかというのが非常に判断しづらくなってしまうような気がするので、データを出すにしても、我々、どういうものが出てくるのかというのを一度見てみないと、何とも言えないような気もするのですけれども、それはいかがなものでしょうか。
 ここで決まったから出しますよと出してしまったら、出てから、何でこんなえらいものを出してしまったということになってしまわないかという不安はあるので、その辺りも御検討いただければありがたいと思います。
 以上です。
○田中座長 そうした御懸念が出ないように説明をお願いいたします。
○桑原室長 まず、客観性が確保された上でと言っているが実際にはどのように判断するかということですが、今後、実際に出てきたものを見て個別に判断ということになるかと思います。
 それから、今回報告いただくデータの中で、例えば先ほどおっしゃった役員報酬とか職種別の給与情報。職種別の給与情報はあくまでも任意の提出ではあるのですけれども、例えば役員報酬は、その施設全体で役員報酬が幾らかということを提出いただくようになっているのです。そうすると、どういう役員がおられるかということで、そのトータルの金額というのは当然変わってくるのですけれども、単に役員報酬が多い少ないということで見られると誤解を受けるのではないかというのが、恐らく野木構成員の御趣旨であったかと思います。
 あるいは、給与情報につきましても、職種別に、こういう職種で何人でトータルで年間幾らの給与を支払っているという情報なのですけれども、当然、どういう職員か、あるいはその職員がどういう年齢かというものに応じて高い低いも決まってくるので、そういう情報を抜きにして、単にこの職種で平均1人幾らということが出ると、それによって誤解を招くのではないかという御趣旨であったと思います。
 その点は、確かにデータとしてはそのとおりのデータが出てくるのですけれども、それがある意味で解釈されて公表される際に恣意的でないかどうかというのは、非常に判断が難しいところというのは承知しております。そこは構成員からもおっしゃったように、実際にどういうデータが集まって、それをどういうふうに出そうとしているのかということを個別に見ていくしかないのかなというのが、現時点でのお答えでございます。
 以上です。
○田中座長 実際には個別で見ていって、そのときに判断するしかないということでした。いかがですか。
○野木構成員 ありがとうございます。
 例えば、大阪のこのエリアと言ってしまうと、みんなが情報を見るわけですから、どことも言わずにデータを出されて、こんなものが出ますよとか。オーダーもそうですけれども、3病院しかないようなところのオーダーはこんなものが出ますよというふうなものを1回見てみないと、何とも判断のしようもないというのは、素人の私などが考えるとそうなってしまうので、その辺はもう一度見ながら検討するべきだというふうに思います。
 以上です。
○田中座長 ありがとうございます。実際にどういう申請が上がったか、きちんと検討すべきですね。
 今村構成員、よろしくお願いします。
○今村構成員 一般的に法人というと、今もお話ありましたけれども、複数の方々でやるのが普通の法人ですので、そうすると個人情報というのは、その中からあまりすぐは結びつかないところですが、医療法人の場合には一人医療法人という、1人で法人といった特別な法人があると。かつ、その数が何万か所もあるということで、そういったところは場合によっては本当にお一人、もしくは例えば看護師さんとお二人とか、奥様とやっているとか、そういうことになればなるほど、法人情報がより完全な個人情報となってしまうと。今のところ給与等は任意となっていますけれども、これも場合によっては、将来、義務化するという話もあります。
 そうした際に、医療法人情報、国民にとっても非常に大事なデータベースだと思いますけれども、その結果、全てをそういった一人医療法人で、ある意味丸裸にしないといけないということ。これはまず、憲法的にもそこまで求めることができるのかなというところと。今回、そういった法人もある、非常に多いのだということをしっかり前提として、どこまでするかという検討をいただければなと。
 ちなみに、国が進める患者さんのカルテ情報、3文書6情報も進めていますけれども、もう一つ、その前に始まった匿名加工のデータベースが、今回は仮名加工までは少し和らげましょうと。ただし、この仮名加工のデータベースの管理というのは非常に厳しくやっているのと、この仮名加工のデータベースを使える人も、認定を受けないとデータベースにはアクセスできないといった厳しい形になっています。
 今回の医療法人データベースがどの程度までの個人の情報とするのか、より広い法人とするかですけれども、少なくとも一人医療法人の場合には、そういった限りなく完全な個人データというものを提供しないといけないということを前提に、ここは慎重にすべきだと思いますし、先ほど伊藤構成員からも出ましたけれども、現時点では、まだ研究者と提供する側の信頼関係が必ずしも結ばれていない、まだ始まっていないところですので、ここはしっかりと始めて、お互い信頼関係が結ばれたところで、もう少しその活用を広げていくとしないと、今、任意で出しているものも、もしかするとたくさん出せない。まだまだこれに対する疑心暗鬼の状況と考えていただければと思います。
 医療法人から十分に安心してデータが出せるという環境づくりは非常に大事ではないかと思います。どうかよろしくお願いします。
○田中座長 ありがとうございます。報告書の段階でも安心が担保できるように書かれていることと、実際に運用が始まったらどういう開示の仕方をするかは、最初は慎重に行かないと、皆さんが心配しているということですね。
 お答えになりますか。
○桑原室長 御指摘ありがとうございます。
 まさに今、御指摘あったような、特に給与情報について、1人医師の医療法人ですと理事長先生の給与が分かってしまうのではないかということは、今回の報告書の中にも記載しておりますが、そうしたことが決して識別できないように、分からないようにするということは、そのとおりと考えておりますので、それが伝わらないように、運用上も、ガイドライン、利用規約等も定めてまいりますので、その中でも対応してまいりたいと考えております。
○田中座長 報告書でも個人情報が伝わらないようにすることが大切であると書かれているけれども、実際の運用でも最初は特に気をつけていくというお答えでしたが、今村構成員、よろしゅうございますか。
○今村構成員 よろしくお願いします。
○田中座長 ありがとうございます。
 北山構成員、お願いします。
○北山構成員 北山でございます。
 何人かの構成員の方々から御指摘もあったところで、再識別のところ、私からも一言申し上げさせていただきますが、再識別の懸念というところがあって、実務上、どのようにワークさせるか、そのリスクをどう減らすかというところについては、この報告書の段階で、データとか、一個一個見ているわけではないので、詳細に書き切ることは難しいと理解しておりまして、方針としてガイドラインとか利用規約に最終的に委ねるというところは、それはやむを得ないところとは思っております。
 肝心なのは、皆さん御懸念のとおり、実際にどういうふうな加工基準が定められるのかという点であり、そこをもうちょっと議論する必要はありますが、今の報告書(案)の内容に関して、指摘させていただくべき点として、報告書(案)の7ページの1個目のところ。ここは多分修正漏れだと思うのですけれども、提供する情報は、研究目的に照らして必要最小限の範囲に限定するとともに、直ちに個人や医療法人等の特定につながる情報、括弧を飛ばしますが、は提供しないこと。これは多分想定されているのは、適切なものだけを提供しますよという御趣旨だと理解しています。
 ほかのところでは、ワーディング、特定の個人の識別につながるというふうに打合せのときに御指摘させていただいて御修正いただいたと思うのですが、ここでは個人の特定という文言をまだ使われているので、平仄を合わせて、特定の個人や医療法人等の識別につながる情報というふうに文言を調整していただきたいと思います。
 あと、「直ちに」というのは多分要らないと思うのです。法律の定義として「直ちに」が要件として加わっているわけではないし、直ちにかどうかというのは評価として曖昧というか、これぐらいだったら提供していいのだろうみたいに邪推されるというか、誤った運用を招きかねないので、純粋に客観的に特定の個人を識別できる情報であるかどうか、そういった情報が含まれていれば削除した上で渡しますよというふうなことが伝わるように記載いただく必要があるかなと思います。
 以上です。
○田中座長 ただいまの御指摘、いかがですか。
○桑原室長 ありがとうございます。
 確かに、ほかのところは「特定の個人や医療法人等の識別につながらないように」と書かれていて、ここだけ「特定につながる情報」が残っていましたので、識別につながる情報は提供しないということで修正を行いたいと思います。
 それから、この「直ちに」というのがなぜ入っていたかと申しますと、例えば法人名とか個人名とか医療法人番号、医療機関コード等は、それを見れば、それだけで分かってしまう情報なので、そういう意味で「直ちに」というのをつけております。先ほど、患者情報の二次利用の中で匿名加工あるいは仮名加工という話があって、患者情報の場合でも完全に復元できない。どうやっても、これがどこのどの患者さんなのか分からないようにしてしまうという、匿名加工という言い方だと思いますけれども、そういう処理をして出すというのが、たしか患者情報のほうの仕組みだったと思います。
 この医療法人の提供に当たって、それだけ見ても分からない情報ではあるけれども、データベースの中にもちろん入っていないのだけれども、ほかの調査とつなぎ合わせることで分かってしまう場合をどうするかという観点があるかと考えております。ここで「直ちに」というのを入れたのは、そのデータだけ見てももちろん分からない。けれども、もしほかと突き合わせることで分かってしまうという場合については、そこまで厳密に完全になくして提供するというのは難しいのではないかということで、「直ちに」という文言を入れております。
○田中座長 解説がありましたが、いかがでしょうか。
○北山構成員 ありがとうございます。
 そうすると、確認となりますが、今の話は、個人情報保護法の観点から言うと、当該情報、それ単体では特定の個人識別できるようなものは含まないけれども、ほかの情報と容易に照合することができる容易照合性という要件を満たすものが含まれていて、その限りにおいては個人情報だけれども、この制度においては、その個人情報は提供してもいいでしょうというような整理をされているということですか。
○桑原室長 個人情報が含まれる場合、例えば先ほどの1人医療法人の場合のことではなく、これはどこの病院かとか、どこの診療所かということがこの提供するデータだけを見ても分からないようにする必要があるという考え方です。ですので、病床機能報告や外来機能報告とつなげたとしても、それだけ見てもどこのことか分からないようにして出す必要があると。
○北山構成員 分かりました。おっしゃっているのは、提供される情報について、当該情報だけからはどこの法人か分からないようにはしますよと。ただ、法人に関する情報については、容易にほかの情報と照合することによって、どこの法人か分かってしまう可能性はあると。ただ、個人に関する情報については、そうではなく、容易に照合することによって特定の個人を識別できる情報は含まれないよう加工するということですか。
○桑原室長 そのとおりです。
○北山構成員 そうすると、多分、1つ目の記載は誤解を招いてしまうので。要するに、個人情報は当然含まないことは、今までの議論もそうだったと思うので、想定されていると思いますから、そこは明確に分けて記載したほうがいいように思います。
○田中座長 個人情報の話と、医療法人の名前が分かるのだったら、分けて書いたほうがいいのではないか。ありがとうございます。
 野木構成員、お願いします。
○野木構成員 ありがとうございます。
 私、素人で、よく分からないところがあるので教えていただきたいと思うのですけれども、2年前のとき、個人情報ということで私も一度聞いたのですね。事業報告書ですが、たしかあれは開設者の個人の住所まで載っているのです。別の話になるのかもしれませんけれども、何で個人の住所まで載せるのだというところが非常に不思議で尋ねたところ、いや、それは決まっていることなのでと厚労省の方が言われたから、それであれば厚労省の役人さんも皆さん、自分の住所を書いて公表されたらいかがですかと、私も皮肉を言ったことがあったのですけれども、何で事業報告書に個人の住所なんか書かないといけない。いや、これは決まっていることなので。決まっていることって、これは個人情報じゃないですかという話をしたのです。
 例えば、昔、新聞に掲載されていた「長者番付」がプライバシー保護の観点から廃止された経緯を思い出すと、利益を生んでいる医療法人の人が、事業報告書もインターネットで公開されているわけですから、それを見て、理事長宅に押しかけて人が死んだという、理事長が殺されたということになったら、厚労省、びっくりして、個人情報、いわゆる住所は消すんだろうな。誰が犠牲になるのかなと私はじっと見ているわけですけれども、そういう個人情報がいろいろなところで漏れているというところは、ちょっと修正していくべきというような気はするのですけれども、これはもう決まったことだから駄目というふうな流れで全てが行ってしまうのはおかしいなと思っているのですけれども、ちょっと話はそれましたけれども、疑問点があったということで、教えていただければありがたいです。
○田中座長 直接、この報告とは関係なく、事業報告の話ですけれども、コメントされますか。
○桑原室長 かしこまりました。
 まず、大前提としまして、確かに法人の事業報告書の中に、今、御指摘あったような個人の住所が入っていたとしても、このデータベースに入れるものではございませんので、このデータベース上、先生の住所が載ってくることはないということを申し上げた上で、そもそもの医療法人制度上、個人の住所を事業報告書に載せて提出いただいているということについては、すみません、正確にお答えするためには、なぜそういう項目が入っているのかというのを確認して、どういう必要性があってかということを調べてからでないとお答えできません。当然、構成員、御指摘のあったような個人情報との兼ね合いも踏まえた上で、そういう医療法の立てつけになっていると思いますが、ここではお答えできません。申し訳ございません。
○野木構成員 ありがとうございます。
 ただ、おっしゃるとおり、そこは当然すぐ答えられないと思いますけれども、個人情報とは何かを一貫してつくっていかないと、常にぐちゃぐちゃになってしまうという。それで私たちはすごく懸念するわけです。どうなっていくのだろうというところを懸念するわけで、全てにおいて個人情報というのはないようにしていただきたいというのが1つのお願いになってくるのではないかなと思います。
 以上です。
○田中座長 ありがとうございます。この報告書とは別の話ですが、そういうところもきちんと気をつけてほしいと御指摘がありました。
 ほかにいかがでしょうか。本委員会としての報告については。
 石井構成員、お願いいたします。
○石井構成員 すみません、石井でございます。
 今の関係で再度の確認になるのですが、報告書の案の7ページのところで、「多角的な分析を行うために」という6行目ぐらいの記載があり、「病床機能報告」及び「外来機能報告」と連携した情報の提供を求める研究者等については、提供することという記載があります。今のお話との絡みで確認をさせていただきたいのですが、この報告書の中の最初の書き出しのところでは、1ページの下から第三者提供制度に関するところの整理があって、オーダーメード集計と、データベース上の医療法人情報そのものを研究者等に提供する仕組みの2つだと記載があり、データベース上の医療法人情報そのものというのは、今の話の流れで行きますと、事業報告書等という情報は入っていないという理解でよろしいのかという確認をさせていただきたいのです。
 先日来のお話の中では、事業報告書等という情報と、今回、新たにデータベースとして現実に提出され始めた新制度におけるところの情報は、どちらかというと一元的にというか、共に活用するのだというようなお話もあったように思いますので、あるいは、今年の3月、既にそういう趣旨で事業報告書等の分析データも開示されておりますので、事業報告書等のデータというのは、あくまでもデータベース上での医療法人情報の中には含まれない。したがって、連携して使われるものは病床機能報告と外来機能報告データだけである。この辺りについて、もう一回確認させていただきたいと思うのですが、よろしくお願いいたします。
○田中座長 お願いします。
○桑原室長 かしこまりました。
 この報告書に、今、石井構成員から御指摘があった事業報告書等をどうするかというのを載せていなかったので、分かりづらいのですけれども、そこは分かるようにいたします。というのは、医療法人情報とは何かということが定義されておりまして、その医療法人情報の中には、事業報告書と経営情報と、その他付加的な情報があって、先ほどお話があった事業報告書等の中にも、データベースに入れる情報もあれば、そうでない情報もございますが、例えば事業報告書等の中に含まれている財務諸表は、この医療法人情報として定義した中に含むということになっております。
 ですので、報告書からそこが分からないということもあると思いますので、それが分かるような記載にして、そのデータベースの中には事業報告書等にある法人ごとの財務諸表とか経営情報が含まれて、医療法人情報であるという書きぶりを考えたいと思います。
 以上でございます。
○田中座長 石井構成員、よろしゅうございますか。
○石井構成員 再確認させていただきました。結構でございます。
○田中座長 今の御指摘というか、御懸念、ごもっともですね。個人情報は、このデータベースの在り方には含まれないと確認されたわけです。
 ほかにいかがでしょう。よろしゅうございますか。文言の修正は、もちろん今日の御議論を踏まえて必要な点はしていただくとして、いつまでも引きずるわけにはいかないので、ある程度まとまったとすると、その先は何が行われるのですか。ガイドライン等に行くわけですか。
○桑原室長 報告書につきまして、この検討会でおまとめいただければ、それを踏まえてガイドライン、利用規約。あるいは、それ以前に政令・省令を定めて、この制度自体がいつからスタートするのかという日にちも決める必要がございますので、そうしたもろもろの規定を、この報告書を踏まえて手続を進めさせていただければと考えております。
○田中座長 報告書がある程度皆さんの合意を得てまとまった段階で、その後は政令・省令が作られたり、ガイドラインが示されたり、あるいは社会保障審議会の中に具体的にどういう委員会ができるかとか、それも今後検討される。
○桑原室長 御指摘のとおりでございます。
○田中座長 構成員の皆さんの御意見も、実際の運用についても慎重に行うべきであるというのは合意されていると思いますが、野木構成員、どうぞ。
○野木構成員 何度もすみません。
 先ほど言いましたように、現実的にはどういうものが出てきてということが見られないと審議がなかなか進まないので、今、総論が出たので、その次には実際どういうものを出したいのかというところを我々も検討しないことには、どんどん進んでしまって、最後に見ても、また元に戻ることになる可能性があるので、どの辺りでどういうものが出てくるのか、具体的には、例えばどこかの都道府県の部分が出てくるような、こういうものを出しますよというのを見ることができればありがたいのですけれども、それはどこでどういうふうに検討される御予定ですか。
○桑原室長 今、具体的にいつ、どういうふうにしてというところまで決めているわけではありませんが、ちょうどMCDBのデータを今、集めているところで、具体的には令和5年度中に決算を迎えた法人の事業報告書と経営情報等が集まってきているところで、それを福祉医療機構のほうでデータクリーニングとか集計をしているところです。それでデータがある程度まとまってくれば、それを基に、ガイドラインを作成する中で、こういうデータであれば、ガイドラインにこういうふうに記載して、それによって再識別の防止を図ることができるのではないかという作業をいたします。
 そのガイドラインの書き方につきましても、また構成員の先生方の御意見も踏まえながら決めていくことになると思いますので、実際にはその中で、例えばこういうデータだと、こういう措置を講じることで防げると考えますが、どうでしょうかという御相談をさせていただくかと思います。
○田中座長 野木構成員、よろしゅうございますか。ガイドラインをつくる段階でもまた先生方の意見を。
○野木構成員 ありがとうございます。分かりました。
○田中座長 角田構成員、お願いいたします。
○角田構成員 角田でございます。ありがとうございます。
 本日の議論を踏まえた上で修文とかを行われると思うのですが、2年前の報告書の認識が異なっていることが明らかになってきましたので、十分な調整が難しい場合には、再度検討する場も必要かと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○田中座長 最終報告の前には、必ずそういう調整は行います。
 事務局に伺いますが、今日のいろいろな御意見や扱いを、さらに個別の構成員の方との調整で済みますか。会合を開かなくても大丈夫ですか。
○桑原室長 最後に角田構成員からも御指摘ございましたが、本日出た御意見を反映させた報告書の案を、また構成員の先生方に個別に御説明、御相談させていただきまして、それでおおむね御理解がいただければ報告書が確定します。それではどうしても難しいということであれば、次の会を開く可能性については、座長と御相談いたします。
○田中座長 まず、今後、今日の意見を基に報告書を修正して、その案を基に個別に先生方と御相談する。大体まとまりそうなら、それを最後、座長と事務局でまとめて報告する。あまり期待したくないとはいえ、もしうまくまとまらなさそうだったら、また会合を開くことも相談の上、あり得るという流れのようです。おまとめはそんなところでよろしゅうございますか。医療法人情報の第三者提供制度について、先日も本日もたくさんの御意見を伺いました。
 石井構成員が手を挙げていらっしゃいます。どうぞ。
○石井構成員 終わる直前で、申し訳ございません。
 1つ教えていただきたいことがございまして、医療法人の情報のデータベースの議論と並行して、介護事業者の経営情報のデータベースの話が来年の春からでしょうか、始まるやに伺っておりますが、その介護事業者におけるところの経営情報のデータベースという制度においても、ここで今日議論させていただいたような第三者提供制度というものは、その法律の中に記載されているのかどうか、私、不勉強で分かっておりませんので、御教示いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○田中座長 局が違うから難しいかもしれませんが。
○桑原室長 うろ覚えで申し上げると間違った情報が出てしまいますので。
○田中座長 老健局に確認。
○桑原室長 確認した上で個別にお答えさせていただければと思います。
○田中座長 ほかの局のことですので、うろ覚えで答えると問題になります。御懸念はもっともです。
○石井構成員 よろしくお願いいたします。
○田中座長 本報告書に戻ります。今日、お示しした報告書(案)については、さらにたくさんの御意見がありました。文言の修正提案もありました。しかし、ある程度時間制約もあるので、報告のまとめに向かって進めなければなりません。そこで、先ほど言ったことの繰り返しですが、改めて変更した報告書(案)をつくり、それを基に先生方の御意見を伺い、大体まとまりそうでしたら座長と事務局とで最終案としてまとめてまいります。第2案も一応用意しておきますが、そういった方向でまとめられればと考えております。ある程度先生方の意見がまとまれば、細かい表現等については座長に一任していただくことになります。今後、まだ事務局からいろいろ問合せ、どうだろうかとお尋ねする過程が含まれますが、よろしく御協力のほどお願いいたします。
 今日の段階はそのようなまとめでよろしゅうございますか。
(委員首肯)
○田中座長 事務局もよろしゅうございますか。
 そのようにまとめさせていただきます。
 本日の議論はこれにて終了でよろしゅうございますか。皆様方から大切な御懸念が示されて、大変意義があったと存じます。
 最後に、事務局からお願いします。
○和田課長 医療経営支援課長でございます。
 構成員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、11月の第3回検討会に引き続き御出席、御議論いただきまして、誠にありがとうございます。
 医療法人の経営情報のデータベースを国民共有の財産といたしまして、第三者提供制度を通じて、大学や研究機関等において有効活用していただくことは有意義である一方で、その制度は、医療法人の皆様の協力・信頼を得ることができる仕組みであることが前提でございます。
 引き続き、医療法人の皆様に安心して経営情報等の報告をいただけるよう、必要な仕組みにつきましては、今後、法令改正やガイドライン作成の中で具体化し、第三者提供制度の条件として設定してまいりたいと思います。
 今後とも引き続き御協力、御助言のほど、よろしくお願いいたします。
○田中座長 課長、ありがとうございました。
 では、本日の検討会はここまでといたします。年末、お忙しいところ、御参加いただき、ありがとうございました。


 

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