第12回新たな地域医療構想等に関する検討会:議事録

日時

令和6年11月20日(水) 18:00~20:00

場所

AP日本橋 6階ルームF+G
東京都中央区日本橋3-6-2 日本橋フロント

議事

○淺野課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから第12回「新たな地域医療構想等に関する検討会」を開会いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
 本日は、対面及びオンラインによる開催とさせていただいております。
 オンラインでの参加に係る留意事項につきましては、事前に送付しております「オンライン参加の留意事項について」を御覧ください。
 議事に入る前に、資料の確認をさせていただきます。
 事前に、議事次第、構成員名簿、省庁関係出席者名簿、配席図のほか、資料1、参考資料を配付いたしましたので、お手元に御準備いただきますようお願いいたします。
 また、本日は、河本構成員から御欠席、香取構成員から19時20分頃、土居構成員から19時15分頃御退席である旨、事前に御連絡をいただいております。
 また、オブザーバーとして、総務省自治財政局準公営企業室の齋藤課長補佐、文部科学省高等教育局医学教育課の俵課長、堀岡企画官に御出席いただいております。
 冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまででお願いをいたします。
(カメラ撮り終了)
○淺野課長補佐 それでは、以降の進行は遠藤座長にお願いいたします。
○遠藤座長 皆様、こんばんは。本日は若干いつもよりも遅い時間からの開催ですけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、まず議事に入る前に代理出席についてお諮りをしたいと思います。
 本日は、健康保険組合連合会の河本構成員の代理として、理事の松本真人参考人の御出席をお認めいただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。
(構成員首肯)
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 本日の議題は「医師偏在是正対策について」です。まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○高宮参事官 医療提供体制改革担当の参事官です。
 資料1を御準備ください。
 医師偏在是正対策については、9月30日の検討会で議論を行っていただいたところです。本日はもう少し具体化した案について御意見をいただきたいと考えています。
 最初の2ページ、3ページ、4ページは、9月30日の検討会にいただいた主な意見を項目別に並べたものになります。
 5ページ、今年6月の骨太の方針になります。医師偏在是正を図るために、医師確保計画を深化させるとか、医師養成課程の取組、経済的インセンティブにより偏在是正、それから規制的手法を組み合わせた総合的な対策のパッケージを本年末までに策定をするとされています。
 6ページ、8月30日に厚生労働大臣から公表した対策パッケージの骨子案になります。
 7ページは、厚生労働省の推進本部で示された主な論点です。
 8ページは新しい資料になります。医師偏在是正に向けた基本的な考え方の案です。
 1つ目のポツで、医師の配置は、これまで基本的に職業選択の自由・営業の自由に基づき、医師が自由に選択することができるという考え方の下、へき地対策とともに、医師養成課程での取組を中心に進めてきました。
 しかしながら、今後、地域ごとに人口構造が急激に変化していく中で、医師配置の不均衡が拡大しかねない状況にある。また、日本の人口減少が進み、人材制約が大きくなる一方、医師数は毎年増加をしており、令和2年度の医師の需給推計では、医師の需要と供給は2029年頃に均衡するという推計もある中、医師確保対策について、総数の確保から適切な配置へと重心をシフトしていく必要がある。
 このような中、従来のへき地対策を超えた、新たな総合的な対策を講じていく必要がある。その際、医師養成課程中心の対策から、全ての世代の医師へのアプローチが求められる。
 4つ目のポツです。さらに、人口減少が進む中で、定住人口が見込まれる地域であっても、「保険あってサービスなし」という事態に陥る可能性がある。将来にわたり国民皆保険を維持し、地域を守るため、地域の必要な医療機能を確保することが必要であり、国、地方自治体、医療関係者、保険者など全ての関係者が協働して医師偏在対策に取り組むことが重要としています。
 次の9ページから総合的な対策パッケージの骨子案の項目のうち、本検討会で議論いただく項目、養成課程の項目以外の項目について案を整理しています。
 最初が医師偏在是正プラン・重点医師偏在対策支援区域になります。
 10ページです。重点医師偏在対策支援区域、想定をしているのは1つ目の○の1行目になります。今後も一定の定住人口が見込まれるものの、必要な医師が確保できず、人口減少よりも医療機関の減少のスピードのほうが速い地域など、へき地でなくても、人口規模、地理的条件、今後の人口動態などから、医療機関の維持が困難な地域というようなものを想定しています。まず早急に取り組む対策として、優先的かつ重点的に対策を進める区域を重点医師偏在対策支援区域として定めることとしてはどうか。
 具体的な設定の仕方をその下のポツで記載しています。重点医師偏在対策支援区域の設定に当たっては、都道府県において、厚生労働省が提示した候補区域を参考としつつ、地域の実情に応じて、医師偏在指標、これだけでなく可住地面積当たり医師数、住民の医療機関へのアクセス、診療所医師の高齢化率、今後の人口動態などを考慮して、地域医療対策協議会や保険者協議会で協議をして、重点医師偏在対策支援区域を選定することとしてはどうか。
 ※印で書いてあるとおり、地域の実情に応じて、二次医療圏単位、市区町村単位、地区単位などで設定をできるようにしてはどうかと考えています。厚生労働省の提示する候補区域は参考とするものであって、地域の実情に応じて地域で協議をして、柔軟にこの支援区域を選定できる仕組みとしてはどうかということです。
 厚労省の提示する候補区域の案を点線の四角の中に書いています。1つ目は、各都道府県の医師偏在指標が最も低い二次医療圏、これで47都道府県が対象ということになります。2つ目は、医師少数県の医師少数区域、3つ目が、医師少数区域で可住地面積当たりの医師数の少ない二次医療圏、この3つのいずれかに該当する区域ということを考えています。
 矢印のところですが、全国で100程度の二次医療圏を想定しています。面積が全国の4割、人口が全国の15%ぐらいの地域、医師数は全国の1割の医師で支えているというような地域のイメージになります。
 その下の医師偏在是正プランは、都道府県において、医師確保計画の中でより実効性のある取組を進めるため、重点対策支援区域を対象として、医師偏在是正プランを策定することとしてはどうか。
 策定する内容が次のポツになります。このプランにおいては、重点医師偏在対策支援区域、それから支援対象医療機関、必要医師数、具体的な取組などを定めることとする。策定に当たり、地域医療対策協議会、それから保険者協議会で協議することとしてはどうか。
 スケジュールがその次のポツです。医師偏在是正プランは、国の定めるガイドラインを踏まえ、緊急的な取組を要する事項から先行して策定をしていく。令和8年度に全体を策定することとしてはどうか。緊急的な取組を要する事項については、後ろのほうでまた具体的なものが出てきます。
 11ページ以降は参考資料をおつけしています。参考資料の中で16ページ、診療所医師が80歳で引退をし、承継がなく、その二次医療圏で新規開業がないと仮定した場合の診療所医師の状況になります。地域医療構想の議論で全国ベースの資料を出していますが、それをブロック単位にしたものになります。
 右側が2040年になります。診療所の医師が50%以上減少すると見込まれる区域を青色にしています。多くの二次医療圏で診療所の減少が見込まれるということになります。それを北海道以外のブロックでも資料をおつけしています。
 次の項目が、24ページから医師少数区域などでの勤務経験を求める管理者要件になります。
 25ページが今回の資料です。管理者要件として、医師少数区域などにおける一定期間の勤務経験、地域医療の実情を経験して知っているというようなことを求める対象医療機関について、現行は地域医療支援病院としています。これについて、管理者に求められる幅広い経験の機会となる期間を考慮するとともに、対象医療機関を拡大することとしてはどうか。
 具体的には次のポツになります。医療法第31条において医師の確保に関する事項の実施に協力することなどが求められている公的医療機関、それから厚生労働省関係の国立病院機構、地域医療機能推進機構などの病院を追加してはどうか。
 次の「他方」というところです。前回の検討会でも、管理者を探すのが難しいというような御指摘もいただいています。運用上の配慮、対応を行ってはどうかと考えています。
 2つ目のポツで、他方、まず医師少数区域などに所在する対象医療機関の管理者となる場合は、その後に医師少数区域等の勤務を経験することとなるため、対象から除外してはどうか。
 3つ目、地域医療対策協議会において調整された医師派遣の期間については、医師少数区域などでない地域に派遣されている期間も含めるということ。それから、地域医療対策協議会で認められた管理者に求められる幅広い経験の機会となる期間、例えば医育機関で医療従事者等の指導などに従事した期間など、医師や看護師などの指導によって、チーム医療あるいはマネジメントを経験する期間について、医師少数区域などでの勤務経験期間に一部認められることとしてはどうかとしています。
 下のほう、勤務経験期間の延長です。現行の6か月から1年以上に延長してはどうか。その際、医師免許取得後9年以上経過している場合は断続的な勤務日の積み上げでよいこととし、9年以上経過していない場合は、6か月以上の連続した勤務に加えて、残りの期間は断続的な勤務日の積み上げでよいこととしてはどうかとしています。
 ※印で、現行の制度においても免許取得後9年以上という場合には、断続的な勤務日の積み上げでよいとしていることを踏まえた対応ということです。
 次の項目が31ページです。外来医師多数区域における新規開業希望者への地域で必要な医療機能の養成等の仕組みになります。
 現行はガイドラインで、外来医師多数区域で新規開業希望者に地域の必要な医療機能の要請という仕組みがある。その仕組みの実効性を確保するための対応を行うこととしてはどうか。
 具体的にはその下のポツです。都道府県において、外来医師偏在指標が一定数値、例えば標準偏差の数倍を超える地域において、新規開業希望者に対して、開業の一定期間前、例えば3か月前に提供する予定の医療機能を記載した届出を求める。その内容を踏まえて、地域の外来医療の協議の場への出席を求めることができるようにする。また、地域で不足している医療機能の提供、医師不足地域での医療提供を要請することができることを医療法に規定することとしてはどうかとしています。外来医師偏在指標が一定の数値、例えば標準偏差の数倍を超えるというところで、かなり外来医師偏在指標の大きい地域を対象としてはどうかと考えています。
 ※印の2つ目にありますが、外来医師過多区域の中で、人口動態等も踏まえつつ、人口当たり医師数、可住地面積当たり医師数などが特に高い市区町村や地区がある場合には、その対象区域を市区町村単位あるいは地区単位とすることもあり得るということです。
 32ページで、要請の実効性を確保するための仕組みとして、以下のような対応が考えられるのではないか。
 1つ目の矢印は医療法になります。要請に従わず、地域で不足している医療機能の提供などを行わない開業者に対して、都道府県において、都道府県医療審議会での理由の説明を求めた上で、勧告を行う。勧告に従わない場合は、公表を行うことができることとする。また、都道府県において、状況の報告・確認を行うことができることとする。
 その次の矢印は健康保険法になります。要請・勧告を行った場合、保険医療機関の指定期間を6年でなく3年とすることができることとするなど、保険医療機関の指定権限に関する取扱いについてどのように考えるかです。この「など」の中には、保険医療機関の指定を行わない、あるいは取消しも含めて御意見をいただきたいと考えています。
 下の矢印で、また、このような取組の在り方について、医療保険サイドでも議論を行ってはどうか。
 その下の○、上記の対応の対象とならない外来医師多数区域においては、引き続き、ガイドラインの取組を推進することとしてはどうか。
 一番下の保険医療機関の管理者要件、3行目になります。保険医療機関に運営管理の責任者として管理者を設け、一定期間の保険診療に従事すること等を要件としてはどうか。保険医療機関の指定などに関しては、医療保険部会などでも議論をいただくことになります。
 次の項目が41ページ、経済的インセンティブになります。
 重点医師偏在対策支援区域における医師確保を推進するため、都道府県の偏在是正プランに基づき、経済的インセンティブを講じることとしてはどうか。
 2つ目の○で、都道府県の医師偏在是正プランの全体の策定に合わせて、令和8年度から経済的インセンティブの本格実施とするよう検討すべきではないか。
 具体的な内容を3つ書いています。
 診療所医師が高齢化し、人口規模が小さい二次医療圏などで診療所数が減少傾向にある中、重点対策支援区域で承継・開業する診療所に対する支援を行うこととしてはどうか。この支援については、先ほど前のほうに出てきた緊急的に先行して取り組むことが考えられるのではないか。
 2つ目は、重点医師偏在対策支援区域において、区域内の一定の医療機関に対して派遣される医師、それからそこで従事する医師への手当増額の支援を行うこととしてはどうか。それから、土日の代替医師確保など、医師の勤務・生活環境改善の支援を行うこととしてはどうか。
 3つ目は、重点医師偏在対策支援区域の医療機関に医師を派遣する派遣元医療機関に対する支援を行うこととしてはどうか。
 その下の○で、その際、国において、事業費の総額を設定した上で、その範囲で、人口、可住地面積などに基づき、都道府県ごとに予算額の上限を設定し、その範囲内で支援を行うこととしてはどうか。
 その下の○、地域の医療提供体制の確保は、国と都道府県が連携して取り組んできた。適切な給付を行うことは医療保険制度において保険者に求められるものであり、医師少数地域における適正な給付の維持・確保は保険者にも一定程度の責任が求められる。このため、重点医師偏在対策支援区域における支援のうち、本来診療報酬により賄われているが、特定の地域に対して診療報酬で対応した場合に、その地域の患者負担の過度の増加を招くおそれがあるものについて、保険者からの拠出を求めることとしてはどうか。
 一番下の○で、こうした支援策の検討に当たっては、給付費全体の中でバランスを取る観点から、医師偏在是正のための診療報酬での対応を図ることが考えられるのではないかとしています。
 最後の項目が49ページ、全国的なマッチング機能の支援などです。
 49ページの上のほうが全国的なマッチング機能の支援で、医師不足地域での中堅・シニア世代などの医師を対象として、医師不足地域の医療に関心・希望を有する医師の掘り起こし、必要に応じてリカレント教育や現場体験につなぐ、それから医師不足地域の医療機関とのマッチング、定着支援等を行うため、マッチング機能の支援を行うこととしてはどうか。
 真ん中の右側で、中堅・シニア世代の医師に対する総合的な診療能力などに係るリカレント教育の推進を支援する。
 一番下で、地域医療対策協議会などの医師派遣調整機能などを強化するため、都道府県と大学病院などの間で連携パートナーシップ協定の締結を推進することとしてはどうかとしています。
 本日の検討会で議論いただきたい項目はここまでになりますが、57ページ以降、参考資料をおつけしています。
 58ページからは、診療科偏在の対応について、医師養成課程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会で今、議論を行っている、その検討会の資料になります。
 それから、同じ医師養成課程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会で、63ページのような医学部の臨時定員あるいは地域枠の議論も行っているところです。
 68ページ、69ページは、美容医療の適切な実施に関する検討会で、美容医療を提供する医療機関の報告あるいは報告した内容を公表する仕組み、あるいは保健所への立入検査、指導のプロセス、法的根拠を明確化するような通知の発出、診療録に必要な事項を記載事項として追加するなどの対応を検討しているところです。
 資料の説明は以上になります。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、皆様から御意見、御質問等いただきたいと思います。まずは対面でいらしている方からいただきたいと思いますが、どなたかいらっしゃいますでしょうか。
 山口構成員、お願いいたします。
○山口構成員 ありがとうございます。山口でございます。
 3点申し上げたいことがございます。
 まず、10ページです。今までは医師少数県にポイントを置いていろいろ話し合われてきたところではありますけれども、医師多数県であっても対策が必要な地域は存在すると思いますので、ここに書いてあるような都道府県において、地域の実情に応じて、二次医療圏単位、市町村単位、地区単位で設定することには賛成でございます。
 2点目として、25ページです。私、以前にも申し上げたと思うのですけれども、対象医療機関の拡大をすることがよくないと思っているわけでもありませんし、強く反対するものでもないです。そして、医師少数区域で経験を積みたいと考える若い医師は一定数いると思います。ただ、対象医療機関の拡大をすることが医師少数区域で勤務するインセンティブになるかというと、私は実効性に疑問があると思っています。
 以前にも申し上げましたけれども、今、非常に価値観が変わってきていて、若い人たちが管理職や管理者になることに意義を見いだしていない、そういう方が多いということを私もここ数年で非常に実感しているところです。ですので、多くの医療機関で病院長のなり手がいないということで、悩まれている方もいらっしゃると思います。
 ですので、医師少数区域で経験を積んでもいいと考える若い医師がイコール管理者になりたいと考えるかというと、みんながみんなそうではないのではないかと思います。この提案は、管理職になりたいだろうという上昇志向の発想で考えている内容だと思うのですけれども、将来の候補者たるべき年齢層の人の思考や価値観はかなり変わってきているということを前提に、将来のことを考えていく必要があるのではないかと感じました。ただし、医師少数区域での勤務経験期間の延長については、半年というとあっという間に終わってしまうと思いますので、本当にそこの地域をしっかりと理解するには1年以上が必要なのではないかなと思っています。
 最後、質問ですけれども、49ページのマッチングのところです。経済的インセンティブと併せて、このマッチングはぜひ力を入れていただきたいと思っているところです。若い人たちで医師の偏在問題を解決しようということにはもう限界があると思っていますので、一定以上の中堅以上の人たちに努力していただくことが大事だと思っています。
 質問は、このマッチング機能の事務局や実施主体は一体どこが担うことを想定されているのかということと、各医師が個人的にアプローチすることが前提なのか、それとも医療機関を介してなのか、その辺りのところが全然見えない気がしましたので、今どういうことを想定されているかをお聞きしたいと思います。
 もし個人的に各医師でこのマッチング機能を使ってみようと思っている人がアプローチをするのだとしたら、どのようにそういう人たちに呼びかけをするのか、その辺りの構想についても考えていらっしゃることをお聞かせいただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 事務局、お願いいたします。
○高宮参事官 全国的なマッチング機能の支援ですが、これから具体的に意見をいただきながら検討していこうと考えています。ただ、全国的なマッチングになるので、全国規模、全国的な団体、医療関係団体にお願い、相談をすることになるのかなと考えています。
 個々の医師への呼びかけの方法についても、またこれから具体的に相談していくということだと思っていますが、医療機関を通じてだけではなくて、個人から、あるいは関連する場合によっては学会とか、そのようなつながりから呼びかけることも考えられるのではないかなと、現時点で考えています。
○遠藤座長 山口構成員、どうぞ。
○山口構成員 具体的なことはこれからということですね。大枠だけを今回提案されたという理解でよろしいでしょうか。
○高宮参事官 そうです。
○山口構成員 分かりました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 構成員の方が多いので、御発言はできるだけ簡潔にお願いできればありがたいと思います。
 それでは、フロアでいかがでしょうか。先ほど望月構成員が手を挙げておられました。望月構成員、どうぞ。
○望月構成員 それでは、簡潔にということで、具体案がかなり出てきておりますので、まず25ページです。かねてから医師少数区域での勤務経験を求める管理者要件の対象医療機関の拡大という方針が書かれていたということであるのですけれども、我々自治体病院協議会としては、今回の要望書にも、全ての医療機関の管理者は医師不足地域における勤務実績を条件化という要望を出しておったのですけれど、それはなかなかハードルの高い話だと思っております。ですから、今回こういう形で医療機関を拡大するということは、医師確保に協力する義務が定められている医療機関というところに注目されたということで、それはそれで納得できる話かなと思います。
 山口構成員が言われたとおり、なかなか今、若い人たちの病院長になる志望者は、志望と申しますか、できたら避けたいと思うような方がかなり多いのも事実でございますので、嫌々ながら地域に行くという形にはならないほうがいいのかなと思っています。
 あと細かい点なのですけれども、その下に条件の大きな○があって、3つ目のポツなのですけれども、医師派遣期間とか地域医療対策協議会で認められた管理者に求められる幅広い経験の機会となる期間、ここのところに一部認められることということがありますので、これはこれでいいと思うのですけれども、最後の勤務期間の延長のところ、細かな話なのですが、9年以上経過している場合と経過していない場合に分かれていまして、9年以上経過していない場合の医師は、原則6か月以上の連続した勤務という条件が入っているのですけれども、現状では、当院では若い先生は1か月とか2か月単位で地域に行ったり、また戻ったり、そういうことを繰り返しておりますので、原則6か月以上の連続した勤務ではなくて、原則は1か月以上でいいと思うのですけれども、1か月以上の積み上げの評価というのをぜひ入れてほしいなと思います。そうやって行ったり来たりしながら地域と基幹病院の医療を学んでいくということがあります。
 あとは管理者になるというのは20年、30年先の話ですので、医師少数区域の管理者になるのであれば、管理者となってからの期間をカウントできるようなルールが書かれており、それはそれでいいなと思いますので、おおむねこの案で賛成ですが、細かな点で少しやり方を検討してほしいなと思います。
 もう一点、経済的インセンティブの41ページのところなのですけれども、派遣元の医療機関に対する支援はぜひ行ってほしいと思いますし、派遣先にも支援を行うということはあまりはっきり書かれていないのですけれども、派遣先、派遣元、両方に経済的な支援を行ってほしいなと思います。
 その原資が診療報酬ということなのですけれども、その地域の患者負担が増加するのは決してよくないと思いますので、保険者に広く負担していただくと書いているのですけれども、本当にこれが可能なのかどうか。総務省のものは税で負担しているというのもあるので、この辺のところをどのように考えるかということが一つ問題かなと思いました。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 御意見ということで、特段事務局からのレスポンスは要らないということですね。
 それでは、高橋構成員、岡構成員の順番でお願いします。
○高橋構成員 2点あります。
 まず10ページ、医師偏在是正プラン、真ん中に地図が書いてありますけれども、この検討会で、二次医療圏の見直しが一つ大きな課題になっております。どこの二次医療圏かというと、偏在のところが非常に候補が多く、二次医療圏の見直しをしたら、医療圏がなくなりそうなところが結構多そうな感じがしますけれども、医師偏在是正プラン・重点医師偏在対策支援区域と、今後見直すであろう二次医療圏との関係がどうなっているかを質問したいと思います。
 2点目は31ページでありまして、真ん中辺りに開業の一定期間前(例えば3か月前等)と書いてありますけれども、3か月という期間はちょっと短いので、もう少し長くしたほうがいいのではないかと。
 2つの立場から考えて、準備する都道府県のほうで協議の場を設定するというのも3か月は非常に短いと思いますし、プランは3か月より前に出していいということはありますけれども、3か月前となるともう開業の準備がかなり進んでいる形になると思いますので、そういう意味ではここの期間をもう少し長くしたほうがいいのではないかと思う。これは意見であります。
○遠藤座長 それでは、質問についてお答えをお願いいたします。
○高宮参事官 重点医師偏在対策支援区域と二次医療圏の関係の御質問でした。
 今回の重点医師偏在対策支援区域については、厚生労働省の提示する候補区域は二次医療圏単位になりますが、都道府県において地域の協議を行って、その地域の実情に応じて、二次医療圏単位でなく市区町村単位、地区単位などで柔軟に設定ができるようにということを考えています。
 あと厚生労働省の提示する候補区域については、二次医療圏の見直しの議論というのはまだこれからになりますので、また新たな地域医療構想に向けてガイドラインを検討し、都道府県のほうでも、新たな地域医療構想を議論する中で、構想区域をどうするかという検討、議論をやっていただくことになりますので、医師偏在対策の観点での厚労省の提示する候補区域というのは、まずは現行の二次医療圏を前提にお示しすることになろうかなと考えています。
○高橋構成員 分かりました。
○遠藤座長 お待たせしました。岡構成員、お願いいたします。
○岡構成員 私は1点だけです。25ページですけれども、今も意見がありましたように、いろいろな若い人の価値観が変わってきているということで、院長になりたい人は少ないかもしれないですけれども、逆に今、若い人の価値観で重要なのは、医師少数区域にどうやって行ってもらおうかと考えたときに、経済的インセンティブも大事なのですけれども、今、ワーク・ライフ・バランスということを物すごい重視しているのです。働き方改革を見てもそちらのほうを重視しているということを感じます。
 医師少数区域にもし行ってもらうとしたら、例えば1週間必ず休みは連続して取れる体制をもともと取るとか、6か月であれば、6か月で1週間必ず連続休みを取る。もし1年ならば1週間を2回取るとか、そういうワーク・ライフ・バランスから見たインセンティブを考えていただきたい。あるいは、子供の卒業式や入園式にはちゃんと休みを取れるとか、そういう担保がないと、若い人は行かないと思うのです。なので、ちょっと発想を変えて、そういうインセンティブをやる。
 ただ、1週間休んだときに誰が行くかというときに、先ほど言ったシニア世代のリカレント教育された方に1週間行ってもらうとか、あるいはここに書いてある医育機関で医療従事者等の指導に従事した期間、医育機関であれば大学病院とかがあるかもしれないですので、そこから1週間行ける可能性もあるので、そういう組合せです。ぜひうまく組合せをして、医師少数区域に行きたいと思える環境、これが今の若い人の価値観に合わせたものを何か考えていただくことをお願いしたいという提案です。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 土居構成員、それから川又構成員の順番でお願いいたします。
○土居構成員 御説明どうもありがとうございました。
 まず、10ページの医師偏在是正プランですけれども、基本的にこの方向でいいのではないかと思います。全ての都道府県が何らかの形で偏在是正の取組を行うということで、他人ごとではないという立てつけで候補区域を設定することは、一つ意義があることなのかなと思いました。
 それから、31ページですけれども、外来医師過多区域でこういう取組をするということは、私としては当然ながら賛成なのですけれども、幾つか留意する必要があることがあるのかなと思っています。
 それは、この書きぶりを特に行間を読まずに読むと、診療所の新規開業を想定しておられるような書き方なのかなと思うのですけれども、病院に併設される外来もあって、基準病床の枠内で病院を開設できるとなって、それが図らずもというか、外来医師過多区域に病院を新設するというようなことになったときに、当然ここにも外来が設けられることになると、その場合にこの協議の場を活用することは当然としてあっていいことなのかなと思います。
 もう一点は診療科についてであります。あくまでも外来医師偏在指標で一定の数値ということになっているわけで、診療科ごとでそうだとは今のところ読めるような文言にはなっていない。直ちに診療科ごとで偏在指標をつくるというのは、すぐにはできないということかもしれないので、一旦は全ての診療科で見たときの外来医師偏在指標という話になるのだと思うので、その指標で一定数値を超えた場合には、外来医師過多区域になるという案だということは承知をしています。
 その際に、全体で見ると一定の数値を超えるということかもしれませんけれども、実は皮膚科では相当多くて、外科ではそうではないというようなことで、全体としてこの区域自体が外来医師過多区域になっているということになると、やみくもに外科であっても開業するには協議の場に届け出なければいけないということであると、本来偏在を是正すると言っていることと若干乖離するような面もなきにしもあらずということだと思います。なので、望むらくは診療科ごとの医師偏在指標をつくっていただくことが必要だと思います。けれども、偏在是正は早急に取り組まなければいけないということですので、行く行くは診療科ごとの医師偏在指標をつくるとして、当面の間は外来医師偏在指標、全ての診療科という意味ですけれども、それで見て外来医師過多区域を設定するということで取り組んでいただく。その際に、診療科によって多寡があるということになる点は、もちろん現場、それぞれの地域ごとに御配慮なさるのだとは思いますけれども、そこはしっかり配慮する必要があるのかなと思います。
 そういう意味でいいますと、33ページのフローイメージの一番上に、外来医師過多区域で、地域で不足している医療機能を公表するとなっていて、それはいいと思うのですけれども、それとともに、足りている医療機能も公表できるようにするということにしてはどうか。例えば先ほどの例でいえば、皮膚科は足りているということならば、皮膚科は足りていますと公表する。けれども、外科が足りませんというような形で、診療科ごとという言い方がいいのかどうかはケース・バイ・ケースかもしれませんけれども、不足している医療機能だけではなくて、足りている医療機能も公表できるようにすることにしてはどうかと思います。
 最後に32ページで、要請・勧告を行った場合というところで、指定期間を6年でなく3年とするということですけれども、私の印象では、6年を2分の1にして3年と言っているという以外にすごく他意があるという感じはしないので、3年ばかりでなくて、2年とか、場合によっては取消しということも選択肢の中に含めておいた形で規定するほうがいいのではないか。つまり、要請・勧告が行われた後どういうことになるかを意識しながら、外来医師過多区域ないしは多数区域で開業を判断していただくことが必要なので、実際取り消すことを実行しろと言いたいわけではなくて、むしろ牽制効果という意味で、そういうことがあり得るということを示すということで、規制的な手法がより有効にワークするということがあり得るのかなと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、川又構成員、お願いいたします。
○川又構成員 ありがとうございます。
 医師偏在是正、重要な取組であると考えています。その前提の下でございますけれども、医療保険者という立場から、特に費用負担の件について申し上げたいと思います。
 41ページの下から2つ目の○に、経済的なインセンティブの費用負担ということで、保険者からの拠出を求めるという記述がございます。その根拠として、ここの記述ですけれども、「適切な給付を行うことは医療保険制度において保険者に求められるものであり、医師少数地域における適正な給付の維持・確保は保険者にも一定程度の責任が求められる」と書いてあるわけですけれども、このような抽象的な説明だけではなかなか保険料を財源とする根拠としては不十分ではないかと思いますし、保険料を実際負担している事業主あるいは加入者にとって納得できる説明が求められるのではないかと考えています。
 こうした医師の偏在是正を含む医療提供体制の整備は、国の方針の下に、医療関係者の御協力を得て、都道府県が実施主体として取り組んでいると理解しております。したがいまして、こうした医師偏在による医療サービスの提供ということで、保険者にも責任があるという理屈には疑問がございます。なかなか保険者としては直ちには受け入れ難い面があると考えています。
 また、医師偏在対策を含む医療提供体制の整備については、現在、地域医療介護総合確保基金を活用して様々な施策を実施していると考えていますけれども、今の基金と今回新たに御提案の保険者に拠出を求めて行う支援がどう区別され、どう違うのかというところについては明確に説明が求められると思いますので、その辺の御説明をお願いできたらと思います。
 また、こうした保険料の財源について、診療報酬を通じてではなく、医療提供体制に直接拠出するということは、医療保険制度の基本の部分にも関わることだと思いますので、この点については別途、社会保障審議会医療保険部会のほうで、関係者がそろったところで十分に議論されるべき課題ではないかなと考えています。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、猪口構成員、お願いいたします。
○猪口構成員 ありがとうございます。
 2点私のほうからお話をしたいと思います。
 32ページの新規開業の要件というところなのですが、このページの一番下に書いてある管理者要件として、保険診療の経験を積んでいないとできないということ、これはとても重要な問題で、保険診療を知らずに開業する、もしくは管理職になるのは無理ですので、これは絶対条件ではないかなと思います。
 ただ、指定期間を短くするとかいろいろ厳しいことが書いてありますが、あまり厳しい要件にすると、今度はそれが行われる前に開業ラッシュが起きて、地域医療をゆがめたものにしてしまう可能性があるので、あまり厳しければいいというものではないのではないかと思っております。
 41ページの経済的インセンティブのことですが、今もお話がありましたけれども、例えば地域によって、その地区で開業している先生がリタイアして、承継する医師がいないというようなことは、今後も起こり得る話なので、その場合は地域、もしくは広げて都道府県がやはり財源を用意すべきだろうと思います。そして、財源を用意した上で、そこの診療所に常勤で医師を誘致するというのはなかなか難しいかもしれないので、その地域にある病院に助成をすることによって、医師を少し増やしてもらって、そこから必要に応じて地域の診療所等に派遣をしていく。そうすると多科の医師を派遣することも可能になりますので、こういう方法が有益なのではないかと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、オンラインに移りたいと思います。お待たせいたしました。
 オンラインで手を挙げておられます玉川構成員、よろしくお願いいたします。
○玉川構成員 ありがとうございます。
 今回、参考資料として知事会での提言を添付させていただいております。そちらもお開きいただきながら、お聞きいただければと思います。
 まず、全国知事会としましては、これまでも医師偏在対策の強化を重ねて国に求めてきたところでありまして、そのような中、厚生労働大臣のリーダーシップにより、総合的な対策の検討を進めていただいていること、さらには都道府県との意見交換の場の設定など丁寧に議論を進めていただいていることについて、改めて感謝申し上げます。
 これから年末の取りまとめに向けて議論が本格化し、実効ある対策の深掘りが必要となることから、このたび、全国知事会として意見集約を行い、昨日、社会保障常任委員長である内堀福島県知事より、福岡厚生労働大臣に47都道府県の総意としての緊急提言を行わせていただきました。こういった背景を踏まえまして、本日は知事会要望に直接関連する事項を3点、その他の事項を2点、合計5点についてコメントさせていただきます。
 まずは今回の参考資料の2ページ目にひもづく部分になりますが、医師偏在対策の検討に際する必要医師数の見直しと課題の体系的な整理となります。
 実際のデータに基づいた施策の検討が非常に重要である中、前提となる必要医師数についても、専門分化や高齢化、働き方改革、そして美容医療への若手医師の流出も含め、これまでの前提が変化している状況にあります。また、実効ある対策を進めていく上では、ロジックモデルのように、どのような課題がどのような背景から生じているかといった課題の体系的な整理、可視化も必要です。これは総合的対策を国民に示す上でも非常に重要な視点と考えております。
 次に2点目、4つの医師偏在課題への対応です。
 厚労省におきましては、今般、診療所の医業承継や医師不足地域に対する医療機関への医師派遣を後押しする制度的な検討や、重点支援区域の柔軟な設定への配慮など、各種検討いただいていることについて感謝申し上げます。
 一方で、偏在課題の1つ目である県全体として深刻な医師不足が生じている県への対応に関しては、現在示されている項目だけでは指標の改善は難しいという印象があります。医師不足が著しい県では、相当数の医師の確保と蓄積が必要であり、地域枠の拡充や臨床研修医と専攻医を地域全体でしっかりと確保していくための取組が不可欠となります。
 また、2つ目以降の課題については多くの都道府県に共通するものであります。中山間地域等の医師不足の対策は、東京都においても必要な対策であります。また、若手医師の大都市部への流出については、医師多数県と区分される県でも深刻化している状況にあります。また、診療科医師の偏在についても、政策的に誘導・対応していくことなしでは解決しない問題と認識しています。これらの4つの課題につきましては、体系的な整理、そして対応策のブラッシュアップをお願いしたいと考えております。
 そして3点目、予算措置についてです。こちらについても現在検討を進めていただいていることについて感謝申し上げます。医師確保対策を進めていく上では、国における直接的な対策に加えて、地方の実情に応じた柔軟な対策が不可欠です。地域枠の継続・拡充など、地域の実情に応じて展開するには財源が必要となります。確保基金の区分4の拡充など地方負担の軽減も含めて、しっかりと取り組んでいただければと思います。
 最後にですが、知事会の提言とはまた別な視点でコメントさせていただければと思います。前提としては、広い世代も含めて対応していくという点については賛成でございますが、やはり医育の過程についても関連する部分としてコメントをさせていただきます。
 1点目は臨床研修医の確保です。後の定着につながる専攻医の入り口ともなります臨床研修については非常に重要な取組で、地域枠の拡充によって、地方での候補者が増えていくような状況もあります。その中においては、臨床研修医に対する指導医の確保や研修医育成のための給与の増、そのための臨床研修医向けの会議室の確保など、地方における研修医を確保するためのソフト・ハードにわたる環境整備が必要です。そのための手厚い支援ということも課題になっております。
 2点目は、2040年に向けて、複数の疾患を抱える高齢患者の増加に対して地域で対応していくには、総合的診療能力を持つ医師の育成が不可欠になります。そのためには、近い場所での診療体制、育成体制の確保が必要であることから、受皿となる病院に対する支援の検討をお願いいたします。
 加えて、総合的診療能力を持つ医師の裾野を広げていく上では、リカレント教育を広く実施していくとともに、もともと地域医療を中核的に担ってきた外科や内科等のメジャーな分野においても、総合的診療能力を高める医育の在り方が求められると考えております。
 以上、コメントをさせていただきましたが、今般の医師偏在是正対策においては、外来医療機関の扱いなど地方の事務負担が必要となる項目が含まれていることから、引き続き地方への丁寧な説明と意見の反映をお願いいたします。
 よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、お待たせしました。今村知明構成員、お願いいたします。
○今村知明構成員 今村です。
 意見と質問を4つほどさせてもらいたいと思います。
 まず25ページ、先ほどから何度か議論に上がっておりますけれども、大病院の病院長の要件に、少数区域での勤務を義務化するかのような表現、今回、医育機関での指導などが入ってかなり現実的な線になったので、強く反対はいたしませんが、これのみを必須要件にするというのは、あまりよい施策であるとは思えません。少なくとも大きな病院の病院長になるにふさわしい資質に今回、医育機関での指導とかを入れるのであれば、そのほか要件となるようなものも列記していただいて、大病院の病院長になるにふさわしい要件がちゃんとここに出てくるように、今後の検討の際には考えていただきたいと思います。
 2つ目です。30ページの開業制限や保険医療機関の制度を厳格化するという話で、できるのであればそれはよい施策の方策になると思うのですが、開業制限の話も保険の指定を外すという話も長年なかなかできなかったことで、今までの紛争事例や過去の法令協議などを見ていて、これが現実的に俎上に上がるほどの施策として考えられるものかを疑問に思っています。ここは厚労省の考えを教えていただきたいと思います。
 3つ目です。31ページの外来医師多数区域の一定数を超える、標準偏差の数倍を超える地域の指定についてですけれども、私、偏在指標の式をつくるときにかなり協力をさせていただいたのですが、2SDを外れるような地域というのは物すごく外れ値なのです。もともと外来の医師偏在指標というのは、人口に対して開業している先生の数が多いか少ないかということなので、恐らく物すごく人口の少ないところで開業している先生が多い。あまり外来をやっていない病院が指定されるのと、大きな都市が指定されるのではないかと思います。それは基本的には外れ値の話であって、実際に指定するかどうかというのは、よほど現地の実情をちゃんと確認してやっていただかないと、ここで外れ値だからというので指定すると、とんでもなく違うものを指定するのではないかと危惧いたします。
 4つ目、最後ですけれども、32ページの保険医療機関の管理者要件に、新規開業する際に保険経験をということで、これ自体は私は施策としては賛成なのですが、医師偏在対策としてこれをするのは邪道だと思っています。この間も申しましたけれども、美容で開業する際には別に保険医にならなくてもいいので、大都市で保険の経験なしに開業しようと思うと、美容整形でしか開業できないというような誘導策になってしまう可能性があると思っています。だから、美容に対してはある程度別の施策制限は必要だと思いますけれども、医師偏在対策としてやってはいけない美容への誘導をここでやってしまっているので、これ自体には違和感を覚えます。施策そのものはやったほうがいいものだと思いますので、これも強くは反対しませんが、医師偏在対策としてやることへの違和感を強く覚えます。
 以上です。もしお答えできるのであれば、事務局から回答をお願いします。
○遠藤座長 では、事務局、コメントできる範囲で結構ですのでお願いいたします。
○高宮参事官 31ページ、32ページのところで、外来医師の多い区域における開業制限、あるいは保険医療機関の指定取消しが現実的にできるのかという御質問だったと思います。
 参考資料でつけている38ページで、これまで平成30年などにも開業規制に関する議論は行われています。その中で、下のほう、開業規制を行う場合の課題、自由開業制との関係、憲法で保障された営業の自由との関係の整理が必要とか、国民皆保険との関係、皆保険を採用する我が国においては、保険上の制限も実質上の開業制限になるのだというような課題がございます。この点について、憲法上の課題がどうなのかという点については、まだ政府内で検討・調整をしているというのが今の状況になります。
 以上です。
○今村知明構成員 ありがとうございます。
 今まで政府の調整に多少なりとも関与してきた人間としては、その困難さを強く感じているところなので、これの困難性というのは情報提供させていただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 では、お待たせしました。大屋構成員、よろしくお願いいたします。
○大屋構成員 大屋です。
 今日新しく出てきたところを中心に、コメントを述べさせていただきます。
 まず10ページです。重点医師偏在対策支援区域という形で、今回このような提示をいただいて、その中でも評価したいのは、ほかの方も言われていましたけれども、※印のところで、都道府県において地域の実情に応じて設定していくというところで、案としてこの点線の枠の中に、厚生労働省はこういうものがいいのではないかなということで①、②、③と書いてあると理解していますので、医師不足というのは全国レベルでも判断できますけれども、地域ごとでもあるので、こういう設定は実際的ではないかなと思いました。
 一方、都道府県間で調整するとなったときには、地域の実情はどちらかというと無視されてしまって、全国はここがこうだからとなっていきますので、要望としては、地域の実情の中でも特に深刻であるようなものがある場合は、全国の調整の中でも一方的に決めない。例えば医師少数区域、医師多数区域だからといって、今は研修医も、例えば地域枠も、医師多数が中心に減らされていて、地域の実情はあまり考慮されないということも行われていますので、そういうことが最小限になるようにお願いしたいという要望でございます。
 次です。これは先ほど少しお話が出ていたかもしれないのですけれども、参考資料として16、17、18ページからずっと外来医師が半減するという絵がありました。これも当然ながら、地域ごとの人口の減りは書いてあるのですけれども、二次医療圏ごとの人口の減りも本当はあるのだろうと思いますので、それも一緒につけていただくと分かりやすいのかなと思いましたので、次回何かこのような提示があるときはそれをお願いしたいということでございます。
 3番目です。25ページにございます今も少し話題になっております管理者要件です。どれだけの効果があるかということは、いろいろ御意見もありますし、やってみないと分からないところもあるかと考えておりますけれども、いわゆる国立・公立病院で地域をしっかり支えている病院であれば、それなりの能力、それに適した能力がないと院長、管理職はできないことになりますので、そういう点で、地域に行っただけでなれるということではないように今回修正がかかっていることは非常に評価したいと思っているところでございます。
 今後は、案として書いてある3番目のポツ、例えば医育機関で云々というようなことも柔軟に、より地域の国公立の重要な病院にとって有益な例外事項や補足事項がついていくことを希望したいと思います。
 また、今回、私的には、断続的な勤務日で積み上げていってよいということの内容が具体的に書かれていますし、これも評価したいと思うのです。今後、地域での医師を、例えば専門医等を確保しても患者数がそこまでもないといったような場合は、派遣で専門医が診療をその病院でやるというケースが増えてくることになりますので、そのような派遣というのも、このような断続的な勤務日の積み上げにより行く人が増えるのではないかなという気がしておりますので、どこまで実効性があるかは別にして、派遣でいろいろなことを地域の病院にやりに行くケースが増えるのではないかなと思いました。
 あとは31ページの開業支援に関しましては、実効性ということが今後検討されるということですので、私はどちらかというと大学病院、そして地域の医師会での議論に参加しておりますけれども、これは実際にやっていかないと分かりませんので、今回これについてはコメントは差し控えさせていただきます。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、お待たせいたしました。櫻木構成員、お願いいたします。
○櫻木構成員 ありがとうございます。日本精神科病院協会の櫻木です。
 今日は、精神科病院協会という立場ではなくお話をするようになると思います。よろしくお願いします。
 まず10ページの重点医師偏在対策支援区域の案です。これも今、御説明がありましたように、医師多数県あるいは医師少数県ということではなくて、全ての都道府県でということの説明がありました。今までの議論よりはかなりきめ細かな対策になってきていると思っています。いわゆるへき地ではなくてもということで、一定の定住人口が見込まれるもののという条件がついています。それから、医療計画でのへき地対策は引き続き行っていくということですので、いわゆるへき地対策とは別に重点医師偏在対策支援区域を設定して取り組んでいくということなのか、ある程度へきの部分も含んでこういった区域を指定するということなのかをお伺いしたいと思います。
 24ページからの規制的な手法についてというところで、これも多くの構成員から御指摘がありましたように、管理者要件の対象医療機関を拡大するということが一つあります。25ページの○の下のポツの2つ目、医師少数区域に所在をする対象医療機関の管理者となる場合は、その後に医師少数区域等の勤務を経験することになるので対象から除外をするという案が出ています。むしろほかのいろいろなことは問わずに、これのことだけ言えばいいのではないかなという気がします。
 それから、医師少数区域での勤務経験期間の延長ということです。これも私、日常いろいろな患者さんの話を聞いていると、大きな病院に若い先生が来て担当したのだけれども、すぐに替わって、1回か2回か受診しただけですぐ次の先生になっているという話をよく聞きます。ですから、どうせおいでになるのであれば、ある程度1年以上とかにしたほうがいいと思います。
 31ページからの外来医師多数区域における新規開業希望者への地域で必要な医療機能の養成等ということですけれども、これもいろいろなものを求められることになろうかと思います。ただ、その地域で不足をしている医療機能、例えば健診だとか、予防注射だとか、学校医の仕事といったようなものが絶対的に不足しているということであれば、こういった規制の中というよりは、別途にそれを確保する方法を考えたほうがいいのではないかなと考えています。
 若い先生のいろいろな気質ということに触れられた構成員も多くいらっしゃいましたけれども、参考に出していただいている45ページを見ると、医師が勤務先の選択に当たって考慮する事項についてという部分があります。若手医師が勤務先を選択するに当たって重視する項目が分析してあって、収入が多いこと、勤務地が過疎地・へき地・離島でないこと、休日が多いこと、あるいは当直回数が少ないこと、同じ科の同僚の数が多いことが重視をされるということです。私も若い先生とはいろいろ付き合いがありますけれど、とにかく彼らはいろいろな押しつけあるいは制限を非常に嫌います。ですから、病院の勤務よりは、自分が開業して、自分の裁量でいろいろなことができるということを好みますし、その際、最近増えてきているのは、医師会にも加入をしないようなことが増えてきています。
 ですから、あまり規制的な手法を使って、新規開業の制限であるとか、あるいは指定の取消しというようなところに踏み込んでいくと、今の先生方は、いわゆる保険診療から逃げてしまう。それこそみんな美容整形のほうに行ってしまうという心配もあります。ですから、むしろ規制によってコントロールするというよりは、勤務先の魅力を上げていくというような視点で考えることがいいのではないかと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 では、お待たせいたしました。松本参考人、よろしくお願いいたします。
○松本参考人 ありがとうございます。
 医師の偏在を是正するためには、多数地域対策と少数地域対策をセットで実施する必要があると考えます。これまでの医師不足対策で十分な成果が得られなかったことを踏まえれば、多数地域での過剰な開業を抑制することが不可欠です。診療科偏在や医師不足も念頭に入れ、強力な規制は導入すべきだと考えます。具体的には、少数区域での勤務を管理者要件とする医療機関の拡大と多数区域における開業制限の2つがポイントになると考えており、いずれも真の意味の実効性を確保することが重要です。
 資料の25ページになりますが、医師少数区域での勤務経験を要件とする管理者の範囲については、ここでは公的病院や政府系の病院が挙げられていますけれども、それだけではなく、ほかの医療機関についても幅広く対象とすべきではないかと思います。
 続きまして、31ページ、医師多数区域について、一定の基準を設定して、外来医師過多区域を選定するという新しい提案は評価できると思います。ただ、対象となる区域が少なければ、少数区域へのシフトや病診偏在を是正する効果が弱くなることをしっかり認識する必要があります。
 地域で不足する医療の提供については、都道府県の要請に応じず、勧告にも従わなかった場合の対応については、実効性を確保するためには過多区域で特に厳しい規制をかけるべきです。ガイドラインで勧告等の基準を明確にした上で、保険医療機関への指定の可否について、開業時だけではなく、更新の際にも厳しく判断すべきと考えます。
 さらに重点支援区域として100程度の二次医療圏、全体の3分の1相当と聞いておりますが、それを想定することを踏まえますと、過多区域でない多数区域についてもより踏み込んだ対応が必要になると思います。
 続きまして、41ページの経済的手法についてでございますが、医療機関や医師個人の努力だけでは必要な医療を維持できない場合に、経済的に下支えすることは十分理解ができる話でございます。基本的には行政の責任で対応し、制度的な対応としては、特例的な税制の導入や柔軟な資金調達を認めることも検討する余地があると考えます。保険給付全体としてバランスを取る中で、診療報酬にめり張りを効かせ、財政中立で重点支援地域の医療機関に傾斜配分することにより、医療界全体でその財源を賄うべきでございます。その際には当然、ディスインセンティブの仕組み、例えば診療報酬の減算や算定制限、あるいは一定の指標に基づくクローバック等も検討すべきではないかと思います。
 私からは以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、香取構成員、お願いいたします。
○香取構成員 簡単に申し上げます。
 まず、偏在対策は、今日皆さんの御議論がありましたように、実はそんなに簡単ではなくて、世界中どの国でもうまくいっている例はほとんどありません。目の前の課題でもあるのでどうしても議論が乱暴になりまして、都市部の開業規制をすればいいとか、報酬を削ればいいとなるのですが、今日皆さんの御議論にあるように、様々な施策を組み立ててやっていくことが必要です。先ほど玉川構成員が全国知事会の御意見の中で、全体としての施策の体系性ということと、偏在が起きている原因を細かく分析して、それに対応できるような施策をロジカルにつなぐ体系整理という話がありましたが、正しくそういうことが必要になるのだろうと思います。
 そのことでいうと、今日、資料の中でドイツの例が出ていましたけれども、よくドイツでは開業規制をしている、あるいは保険医の定員制を導入しているという議論がありますが、ドイツは行政では規制していないのです。保険医協会、向こうでは家庭医協会ですが、要するに医療界が診療科ごとの養成数、各地域の医師数を自分たちでコントロールしている。つまり、プロフェッショナルオートノミーの中でコントロールをしているので、同じような仕組みは恐らく日本ではつくれない。
 もう一つは、ドイツは事業承継ができないので、例えばある開業医の先生が開業していて、辞めた後その息子さんが承継するかといったらそういうことはないので、ここも日本とは開業の形が全然違っているので、なかなか難しいのではないか。
 その意味でいうと、今日、議論にあった診療報酬で対応するということなのですが、テクニカルなことになりますが、今の診療報酬体系だと、特定の地域に点数がついているとか、ある地域だけ点数が違うとか、そういう仕組みというのはないので、もし診療報酬でやるのだとすると、そもそも診療報酬の体系のつくり方から変えていかないといけなくなるので、そこまでやって対応するというのであればそれ相応の議論が必要になる。これはよくよく詰めて議論したほうがいいと思います。
 同様のことは指定の話も同じで、今の保険医の指定の仕方は、昔と違って二重指定になっていないので、医療機関指定ということになるのです。そうすると直接医師のコントロールをしているわけではないので、診療所の数はコントロールできても個々の医師の数はコントロールできないので、先ほど土居構成員がおっしゃったようなことが起こってしまう。そうだとすると、もっと全体的な見方が必要ではないかと思います。
 最後は、今回もそうですけれども、皆さんずっと医師の話をしていますが、実は同じ問題は看護師だってコメディカルだって全部あるわけなのです。何が言いたいかというと、要はそれぞれの地域でどういう医療提供体制の確保の形を考えるかということになるので、医師だけの問題ではない。それと、都会と地方とでは、例えば同じ人口比でお医者さんなり看護師の人的リソースが確保できたとしても、人口密度も違うし全然提供の形が変わってくるはずです。なので、この話は、医療提供体制全体をどうするかということの中で医師のことを考えないといけないということになるのだろうと思います。
 私からは以上です。ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、今村構成員、よろしくお願いいたします。
○今村英仁構成員 おまとめは香取構成員がしてくださったように思うのですが、1点そういう中で、先ほど今村知明構成員が確認したところで、厚労省さんもわざわざ38ページに無床診療所の開業規制を行う場合の課題ということで、先ほどのお話では、実はこれは今までも議論があり、憲法上の問題、営業の自由といったところでいうと、事実上難しいということが一回決まっている。わざわざ課題とも書いて、案として開業規制を入れるというのはいかがなものかと思うところです。
 1点だけです。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 事務局、今のことについて何かコメントありますか。特段ありませんか。問題提起ということだけでお聞きするということでよろしゅうございますか。
 ありがとうございます。
 それでは、対面に戻りましょうか。尾形構成員、東構成員の順番でいきたいと思います。
○尾形構成員 ありがとうございます。
 私からは2点、資料1についてコメントさせていただきたいと思います。
 まず第1は、25ページの規制的手法の管理者要件の対象医療機関の拡大です。これについては既に多くの構成員の御指摘があるように、これが直ちに医師少数区域等での勤務の拡大につながるとはあまり思えません。そういった意味では、直接的な効果には疑問符がつくわけですが、しかしながら、一方で、地域医療の確保に一定の責任を有する公的病院等の管理者になる要件とすることによって、これらの病院がこうした地域における医師の確保に一層注力をしていくに当たっての一つの契機になるということが期待できるのではないかと思います。
 それから、拡大する範囲については、医療法第31条に基づく医療機関ということですので、一定の限定があり、これは適切ではないかと思います。これが1点目です。
 2点目は経済的なインセンティブに関してです。まず資料1の8ページを見ますと、最後のポツのところで「保険あってサービスなし」となる可能性に言及されていますけれども、私は、これは非常に重要な指摘であると思っています。この言葉はもともと皆保険体制が1961年に実現した当時、「保険あってサービスなし」になるのではないかというような危惧があったものと理解をしております。確かに当時、全国の病院の数を見ると3,000程度でしたので、こうした危惧が出てきたのも無理からぬところがあったのだろうと思います。
 しかし、御案内のとおり幸いにこうした危惧は杞憂に終わりました。むしろ皆保険の整備によって需要が供給を引っ張る形で、医療提供体制の整備が急速に進んだわけで、今や人口当たりの病床数、あるいはCTとかMRIの台数は世界一といっても過言ではないところまで来ているわけです。こうしたことは、自由であまり制約のない、言わば自由放任的な我が国の医療提供政策の下で、個々の医療機関の努力によって実現してきたものであると思います。
 しかし、現在の「保険あってサービスなし」という危惧についてはかなり状況が違ってきているわけで、人口減少社会という全く異なる環境の中で起こってきている話なので、これまでとは異なる対応が求められていると思います。
 そういったことを踏まえると、8ページに書いてあるように、行政、医療関係者、保険者等の全ての関係者の協力・協働が求められていると思います。
 そういった観点から、具体的には41ページで、先ほども問題になりましたが、下の2つの○で診療報酬あるいは保険財源を活用するということが提案をされていますが、私はこうした考え方については基本的に賛成したいと思います。そもそも診療報酬というのは医療機関の経常的な経費のみならず、投資的経費についても広く薄くではありますけれどもカバーをしているのだという理解に立てば、医療提供体制の在り方に保険財源を投入することは十分あり得ると思います。
 それから、私はもともと保険者機能の推進論者でありまして、現在の地域医療構想における調整会議の場に保険者を必ず加えるべきだということを主張してきました。幸い医療法が改正されまして、現在はそのような形になっているわけですが、ぜひさらにこれを一歩進めていただきたいと思います。
 もちろん先ほど川又構成員がおっしゃったように、現行の基金等による公費投入との役割分担については十分考慮する必要があると思いますが、一方で、診療報酬あるいは保険財源といっても、その財源として4割近くは公費が投入されているわけであり、その辺も含めた整理が必要であると思います。
 いずれにしましても、医療政策における重要なプレーヤーである保険者にぜひ保険者機能を発揮していただき、適切な医療提供体制を確保し、皆保険体制を支えていただくことを心から期待しております。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、東構成員、お願いいたします。
○東構成員 ありがとうございます。東でございます。
 まず、資料1の8ページに「医師偏在是正に向けた基本的な考え方(案)」が4点書かれておりますが、いずれも賛成で重要な点だと思います。
 その中でも3点目の2行目、「若手医師を対象とした医師養成課程中心の対策から、全ての世代の医師へのアプローチが求められる」ということが非常に重要かなと考えています。後でも述べますが、特にシニア世代の医師へのアプローチが重要だと思います。
 資料1の10ページに記載の「重点医師偏在対策支援区域」を設けることについても賛成でございます。
 資料1の40ページ、41ページには「経済的インセンティブ(案)」が出ておりましたが、これも原則的には賛成でございます。
 それから、資料1の25ページには、公的病院等の管理者要件の案も出ておりました。医師偏在の問題がなかなか解決しなかったということから考えると、対象医療機関を拡大することも必要なのかなとは思いますが、ただ、そもそも医療機関の管理者要件にこれをくっつけるというのは、今村構成員もおっしゃっていましたけれども、実効性に疑問があるだけでなく、やはり一言筋が悪いと感じております。
 最後に、資料1の49ページに「中堅・シニア世代等の医師を希望に応じて」という文言が書かれてございます。1つ申し上げたいのは、中堅医師というのは病院等で非常に重要な役割を担って活躍しているわけですから、中堅というよりも、むしろシニア世代にターゲットを絞ってやるべきだと考えています。
 私も今71歳で、バリバリ診療もしております。60歳以上のシニア医師というのは、病院に勤めておる場合は定年もそろそろ近づいてくるわけでございますので、そういう医師はたくさんいると思います。ただ、それらのシニア医師も様々な専門科がございますので、そういうシニア医師の方の現状や今後仕事を辞められるのか、まだ続けたいのか、続ける場合にへき地の診療に興味があるのか、また興味があったとしても、それにどういうハードルがあるのか等、そういう詳しい実態を現在多く働いているシニア医師を対象に調査して、エビデンスを出していただくことが必要だと思います。そのニーズを踏まえて、リカレント教育というものをしっかりと準備をし、リカレント教育を行った上で、前回も申し上げましたが、それで終わりではなく、全国的なマッチング機能も国で担って頂きたいと思います。先ほど山口構成員もマッチングをどこが主体でどういうことをやるのですかと質問されておりましたけれども、今からしっかりそういうニーズを踏まえた上で、地域のニーズと医師のニーズとがあるわけですから、それをきちんと国が責任を持ってマッチングすることが重要だと思います。民間のいわゆる紹介業とかそういうものにかかわらないような、しっかりとした医師偏在是正対策をやっていただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 江澤構成員、お願いいたします。
○江澤構成員 ありがとうございます。
 資料に沿って意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず10ページです。重点医師偏在対策支援区域の設定に当たって考慮する項目が幾つか入っておりますけれども、特にその地域における外来、在宅医療、入院医療の需要の推計はぜひ含めていただく必要があると思います。多くの地域で外来の需要がピークアウトしており、そして入院の稼働が低下している。そういったことも含めながら、幅広に検討していく必要があると思います。
 また、そこに住民の医療機関へのアクセスというのがありまして、こちらも大変重要なファクターだと思っています。各地域に応じて、特に人口過疎地域においてそれぞれの住民の医療に対する関わり方、受療行動がありますから、これまで培ってきた医療のかかり方は尊重するべきではないかと思います。
 一方で、医師の偏在指標、外来医師偏在指標、それから人口当たりの医師数、これらが乖離している地域もあります。また、現在は医師少数の区域であっても足元は医療提供に対して困っていないと感じているエリアもあるし、医師多数地域でも医師不足を非常に感じている地域もありますので、この辺りを一番よく分かっているのは都道府県の地元でありますから、しっかりと検討していただきたいと思います。あわせまして、医師偏在是正プランの作成に当たっては、ぜひ関係団体や地域医療を担っているかかりつけ医の声を十分踏まえた上で検討していただければと思います。
 続きまして、25ページです。
 ○の1つ目のポツの1つ目です。東構成員からも筋が悪いという御指摘がありましたけれども、前回の会議でも、管理者の資質、あるいは管理者に求められるものとしてはふさわしくないのではないかという声が多々あったと思っておりますので、ましてこういったことを全ての医療機関にという御意見もありましたけれども、全く現実的ではなく、効果も乏しいものでありますから、全ての医療機関というのはまずもってあり得ないと思っております。
 一方で、箇条書きの2つ目、3つ目については十分進めていくべきもので、賛成であります。
 また、その下の勤務経験期間の延長につきまして、現行の6か月以上につきましては、これも御意見がありましたけれども、6か月連続でなくて、断続的勤務の積み上げ、例えば2か月掛ける3ということも反映していくべきではないか。仮に1年以上延長する場合においても同様な対応が必要だと思っております。
 続きまして、31ページでございます。
 まず、開業の一定期間前の例えば3か月で間に合うのかどうか。恐らく開業する場合は1年以上前からいろいろ準備に入ってくるわけですので、その辺りの期間がもう少し手前の段階で相談できることが必要ではないかということ。それから、地域で不足している医療機能の提供や、医師不足地域での医療の提供、例えば在宅医療とか公衆衛生の関与等についてはぜひ進めていくべきだと思っておりますけれども、そういったときに都道府県医師会や地区医師会に相談できる、あるいは協議できるようなプロセスもあると非常に効果的ではないかと思っております。
 一方で、新規参入の過度な抑制を行うと、その地域において開業することが今後減少し、場合によっては競争原理が働かず、医療の質の低下を招きかねないこと。それから、新規参入の抑制の期限を定めるとなれば、駆け込みの開業が一時的に増えるおそれもありますし、今後の地域の診療所医師の年齢構成にひずみが出ることも考えられるので、その辺りは慎重に考えるべきだと思っております。
 続きまして、32ページであります。ここで事務局のほうから保険医療機関の指定の取消しについても御意見という話がありましたけれども、前回も申し上げましたが、まずは憲法上の職業選択の自由・営業の自由に抵触することもあって、当然我々も地域で不足している医療を担うことについてはぜひ推奨するということを前提とした上で、そのことと指定の取消しをひもづけるというのは論外でありますので、「など」に取消しの意味が入っているのであれば、これは明確に反論したいと思います。
 特に更新の指定取消しというのは、職業選択の自由・営業の自由についても憲法について抵触する可能性があるので、その辺りは慎重な考え方が必要だと思いますし、また、保険医療機関の指定についても、これまでの考え方があるわけで、それを覆すような方法はいかがなものかと思っております。
 一番下の一定期間の保険診療への従事については賛成でございます。将来の地域包括ケアを担うための礎になることも期待できますので、賛成であります。
 続きまして、37ページでございます。こちらを見ますと東京と全国のデータがありますが、差はありますが診療所が右肩上がりに増えている一方で、外来受療率は横ばい傾向であります。ということは、供給が需要を呼び起こすことは必ずしもない状況と見てとれますので、ここはそういった傾向があるのではないかと思っております。
 続きまして、41ページでございます。
 まず○の2つ目のポツの1つ目で、継承・開業する診療所の支援については賛成でございます。
 一方で、こういった地域で開業した場合に、その後の経営が成り立つのかどうか、健全経営が担保できるかどうかは、なかなか不安を伴うところでございますので、その辺りについては最初の支援だけでいいのかどうか、継続的な支援が要るのかどうか、いろいろ注視して、また今後の対応が必要ではないかと思います。
 その後、2つ目と3つ目に医師への手当増額であったり、勤務・生活環境改善の支援、あるいはその下の派遣元医療機関に対する支援については、地域医療介護総合確保基金等を用いて、しっかりと公費を投入してぜひお願いしたいと思っております。
 その一番下の○ですけれども、診療報酬での対応につきまして、我が国はこれまで公的医療保険制度の中で、誰もがどこでも一定の自己負担で適切な医療を受けられることが基本として運営されているところであります。また、患者さんの間の負担の公平を期す観点から、公定価格として全国一律の報酬が決められているところでありますので、こういったことについては、診療報酬への対応は非常に慎重になるべきでありますし、また、そもそも本検討会は診療報酬での対応を議論する場ではないということは申し上げておきたいと思います。
 最後に49ページでございます。もちろんしっかりマッチングした上で、リカレント教育は進めていくべきだと思っております。その上で、リカレント教育を受けただけで開業するというのはなかなか難しいので、経営管理、労務管理、あるいは関係法令の知識をちゃんと身につけるとか、いろいろな臨床知識以外にも求められるものがありますので、その辺りも今後は検討していく必要があろうかと思います。
 長くなりましたが以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、オンラインでまだ発言されていない先生がいらっしゃいますので、松田構成員、お願いいたします。
○松田構成員 松田でございます。ありがとうございます。
 経済的なインセンティブも、規制的ないろいろな対応も、やはりそれを実際に適用するとなるとなかなか難しいだろうなと思います。例えばそういういろいろなことをやってきた国としてフランスがあるのですけれども、フランスが最終的にたどり着いたのは、いわゆる地区診断をしっかりやって、地域で何が欠けているのか。その欠けているものを明らかにした上で、それを担う医療機関と当局が契約を結んでそれに対する対応策を確実にやるということをしています。そしてその契約を実行することに対して、日本でいうところの地域医療介護総合確保基金みたいなものをつぎ込んでいくということをやっています。恐らく双方の合意の上でやっていくことを考えていかなければいけないわけで、経済的規制とかインセンティブとかいろいろな規制よりは、契約的なことを入れていかないといけないのかなと思います。
 これは別に突拍子もないことではなくて、実はもう既に北海道等でやられています。例えば夕張の診療所は、もともと夕張の市立病院ですけれども、いろいろと紆余曲折があって今、診療所になっていますが、そこは札幌市内のある病院が契約を結んで、診療の支援をしています。同じようなものが稚内とかいろいろなところにありますけれども、そのときの支援は、実は医師の派遣だけではなくて、先ほど意見として出てきているような看護師の派遣とか、PTの派遣とかも行っています。これは、北海道の場合、自治体として保健事業をやる職員も足りないということがあり、保健師やPTなども医療機関が派遣しているというものです。そういうものを契約でやっているわけですけれども、医師の偏在対策においてもそういう形を少し考えたほうがいいのではないかなということを今お話を伺って思いました。
 医療はチームでやらなければいけないので、契約をして、契約元の医療機関からそういう医療チームが行って過疎地で働くという方向のほうが、診療としての有効性も高いでしょうし、何かあった場合の紹介・逆紹介というか、さらに進んだ治療もできるでしょうし、そういう関係があれば、その上でオンラインを活用したD to P with NとかD to P with Dとかいろいろなパターンがつくれると思うので、そういう契約に基づいたやり方も少し考えていったほうがいいのではないかなということを思いました。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、伊藤構成員、よろしくお願いいたします。
○伊藤構成員 ありがとうございます。
 まず6ページでございます。リカレント教育を含めたリカレント事業ということなのですけれども、当検討会でもリカレントは非常に実現性の高い施策なのだろうと評価をされていたところですが、私もいろいろなところで検討会の経過を報告する中で、いろいろと現場の意見を聴きますと、どうも出身地への帰郷だとか、いろいろな施策・方策としても考えられるわけですが、なかなか前向きの意見は聞かれないという現実がございます。
 このリカレント対応は、我々としては非常に有望な施策だろうと思っておったところ、その反応を見ると非常に厳しいかなと思っておりまして、これについて現場の意識調査というようなことはされているのかどうかをお尋ねしたいということと、効果としてどの程度のものを想定されているのかということも含めて教えていただければと思います。本対策も含めて一定の投資をするわけですが、その推定される効果についてのお考えをお知らせいただければと思うのが1点。
 2点目、8ページのところで「保険あってサービスなし」という形でお話をいただいたところでございますが、地域の必要な医療機能というものは、ある意味、撤退戦でございます。撤退戦であることを明確にして、協働での対策に取り組む必要があります。
 医療の提供だとか医療の整備をすることが過疎化を阻止する、あるいはコントロールするということに役立つとは思えないわけでございまして、2060年からのバックキャストを考えるとするならば、厳しい現実を直視した対策を推進する必要があります。ましてや撤退戦の中で、幾ら資金の支援をするからといって、開業等を推進することはちょっと難しいのではないかと考えています。
 以前も申し上げましたが、こういうところに関しては、国あるいは自治体の責任で、撤退を前提とするような体制の整備が考えられるのではないかということを意見として申し上げました。
 以上です。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 事務局、質問がございましたけれども、何かあればお答えいただければと思います。
○和泉医師養成等企画調整室長 医政局医事課でございます。
 リカレント教育の調査とかがあるのかといったような御質問をいただいたかと思っております。
 客観的なデータは、利用可能なものはないのが現状ではございますけれども、こういった取組の御期待であったり課題であったりというのは御指摘をいただいているところかと思います。かつ、別の養成過程の検討会でも御議論させていただいているところでございます。
 こういった御意見をしっかり踏まえながら事業設計をして、効果が高いものになるようにということは私どもとしても思っておりますので、御意見をしっかり伺いながら事業設計をさせていただきたいと現状としては思ってございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
○高宮参事官 事務局から補足です。
 少し古い調査になりますが、平成28年の全国の医師の調査でも、地方で勤務する意思があると答えた方は、30~50代においても50%、50代では51%、60代以上で41%の医師が地方で勤務する意思があると回答されています。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 ほかにオンラインで、まだ御発言がない方で御発言の意思のある方はいらっしゃいますか。
 では、既に御発言いただいた方でも結構ですが、何かございますか。
 よろしゅうございますか。
 それでは、大体御意見はいただけたということにさせていただきたいと思います。
 本日の議論はこれまでとさせていただければと思いますが、本日いろいろな御意見が出ましたので、毎度申し上げますけれども、本日いただいた御意見等を踏まえまして、次回以降の議論が進むような資料等の作成をよろしくお願いいたします。
 最後に事務局から何かございますか。
○淺野課長補佐 次回の検討会につきましては、詳細が決まり次第、御連絡いたします。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 それでは、本日の検討会はこれまでとさせていただきます。
 遅い時間からの開催で本当に恐縮でございました。
 どうもありがとうございます。

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