第3回医療法人の経営情報の データベースの在り方に関する検討会:議事録

○日時

令和6年11月22日(金) 13:00~15:00

○場所

航空会館 B101号室
東京都港区新橋1丁目18-1

○議事

○桑原室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第3回「医療法人の経営情報のデータベースの在り方に関する検討会」を開会させていただきます。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席いただき誠にありがとうございます。
 なお、本日座長の田中先生が10分程度遅れそうとのことですので、初めは座長代理の荒井構成員に代わりに座長を務めていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 初めに、今回から御参加いただいている構成員の方を御紹介いたします。
 日本医師会から、猪口構成員に代わりまして角田構成員に御参加いただきます。よろしくお願いいたします。
 それから、オンラインの御参加でございますが、日本歯科医師会から三代構成員に代わりまして寺島構成員に御参加いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
 なお、本日は全員御出席との御連絡をいただいております。伊藤構成員、今村構成員、寺島構成員、野木構成員、松原構成員はオンラインでの御出席になります。
 なお、医政局長は公務のため本日欠席させていただいておりますが、第3回の開会に先立ちまして医療経営支援課長の和田より代理で御挨拶をさせていただきます。
○和田課長 医療経営支援課長の和田でございます。よろしくお願いいたします。
 本日、構成員の皆様におかれましては大変お忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。また、平素より医療行政の推進に御尽力いただきまして、重ねてお礼申し上げます。
 医療法人の経営情報データベースの構築につきましては、一昨年の秋に本検討会において御議論いただき、報告書としてまとめていただきました。また、昨年5月にはその報告書を基に医療法が改正され、経営情報等について8月より決算期を迎えた法人から順次御報告いただいているところです。
 一方、検討会においてデータベース情報の第三者への提供の仕組みにつきましては、「制度の詳細について慎重に検討していくべき」とされているところでございますので、このたび検討会を再開し、御議論いただくこととさせていただきました。
 第三者提供制度は大学や研究機関などにおいて医療提供体制に関する研究等に活用され、地域における必要な医療提供体制の企画・立案につながることは有意義である一方、医療法人等の権利利益を侵害するおそれがある情報の提供につながるため、利用目的の限定方法等について慎重な検討が必要です。
 構成員の皆様には、データベース情報の第三者への提供の仕組みにつきましてそれぞれ御専門の立場から御意見をいただきたいと存じておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○桑原室長 次に、お手元の資料の確認をさせていただきます。
 本日の資料は、会場にいらっしゃっている先生方はお手元の机上ですが、上から議事次第、構成員名簿のほか、資料1「第三者提供制度の検討について」でございます。オンラインの先生方には事前にお送りしております。
 また、前回、2年前のこの検討会でおまとめいただきました報告書につきましても参考に配付しておりますので御参照いただければと思います。
 それでは、座長代理の荒井先生お願いいたします。
○荒井座長代理 座長代理の荒井です。しばらくの間、田中座長の代わりを務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入らせていただきます。資料1「第三者提供制度の検討について」について事務局より資料の説明をお願いいたします。
○桑原室長 そうしましたら、資料1「第三者提供制度の検討について」、1枚おめくりいただきまして右下に、スライド番号が入っておりますので、そちらを御覧ください。
 まずスライド2でございます。
 「第三者提供制度の検討」についてで、上に「検討会報告書より」と書いていますが、2年前のこの検討会でおまとめいただいた報告書のことです。主に太字の部分を中心に御説明してまいりますが、「検討すべき事項」としまして、今回この第三者提供制度において提供対象となる情報の内容や利用目的の限定方法、再識別させないための方法、漏えいのリスクの低減など、こういった制度の詳細について検討していくべきであるという報告書をおまとめいただいておりますので、それを踏まえて今回御検討、御議論いただくものでございます。
 下に「施行予定の仕組み」です。大きく分けて2つの仕組みがございます。
 1つ目は「オーダーメード集計」です。こちらにつきましては、医療法第69条の3で定めているものですが、実際の作業は福祉医療機構(WAM)に委託しており、厚生労働省がデータベースを利用して統計の作成及び統計的研究を行い、その結果を提供する。簡単に申しますと、統計の集計をしまして、その集計結果を一般の方に提供するものがオーダーメード集計です。
 それから2つ目、「医療法人情報の提供」につきましては医療法第69条の4に定めておりますが、相当の公益性を有する調査、学術研究または分析を行う研究者等に医療法人情報を提供する。その際、「ただし」とありますが、特定の商品・役務の広告・宣伝に利用するための調査等を除くとしております。
 また、データ提供に当たって、あらかじめ社会保障審議会の意見を聴くことを義務づけております。
 下の※印ですが、この2つの制度自体はまだ未施行です。今、申し上げた医療法第69条の3、それから69条の4、法律としましてはそこにありますように令和5年5月19日に公布されておりますが、そこから3年以内に施行しなさいということになっておりますので、3年を足しますと令和8年5月18日までの間に施行する。従って、それまでの間に御議論いただいた結果を踏まえ、どういう仕組みにするかを決めて施行日を決めるということになっています。
 次のスライドをおめくりいただきまして、4ページでございます。
 見出しのところで、1つ目が「オーダーメード集計制度の検討」です。今、申し上げた医療法第69条の3で、①から④まで定められております。太字のところを御覧いただきますと、②として具体的な手続、例えば申出書の記載事項等は厚生労働省令で定めるとなっております。それから④でございますが、厚生労働省がその集計依頼を受けるに当たって医療法人情報を利用することについて相当の公益性の確保を求めつつ、具体的には厚生労働省令において定めることとしております。ですので、この2点について厚生労働省令に定める当たり、先生方の御意見をお聞きしたいと思っております。
 下は「オーダーメード集計の位置づけ」です。厚生労働省がデータベースを利用して統計の作成及び統計的研究、集計をしましてその結果を提供するものでございます。ですので、そのものを提供する場合に比べましてデータ提供に伴うリスクは低いと考えております。
 そういったことを踏まえますと下の矢印でございますが、オーダーメード集計について、このオーダーメード集計という仕組みがもともと国の統計法でも同じような仕組みがありますので、その例を踏まえつつ、可能な範囲で活用しやすい制度とすべきではないかと考えています。
 次のスライド、5番目です。
 こちらのスライドは今、申しました統計法において、既にあるオーダーメード集計の申請の手続を書います。左のほうに大きな○で5つ並んでいますが、例えば申出者の名称、氏名、住所、所在地、連絡先、生年月日等々で、こちらはやはり本人確認をしっかりするということもございますので、こういった生年月日まで含めて、あるいは本人が確認できる書類も出していただいて申請していただくということになっております。
 それから、統計の作成に必要となる調査票情報、どういう統計が必要かということ。それから、どういう統計の作成、どういう集計をしてほしいか、あるいは利用目的、それから下に掲げられているような内容に該当しないということを出していただきます。
 こういった内容を踏まえましてMCDB、この医療法人の経営情報データベースにおきましてもオーダーメード集計に係る申請手続についてはこの統計法の規則に倣ったルールを定めてはどうかという案です。
 続きまして、資料の6ページです。
 オーダーメード集計制度においてもう一つ御検討いただきたい点が、相当の公益性を有するとは何かということです。こちらも今、申し上げました統計法においてほぼ同じような仕組みがございまして、統計法における「相当の公益性を有する委託」とあります。
 左のほうに①から③まで並んでおりますが、統計法の場合は①として「学術研究の発展に資する」もの、②として「研究の発展に資する」もの、③として「特定公共分野(デジタル社会形成基本法関係)に係る統計」となっております。
 この①か、②か、③のいずれかに該当し、かつ下の※印にあります「研究の成果若しくはその過程、教育の内容又は事業等の内容が公表されること」ということがございます。
 それで、矢印の下でございますが、このMCDBにおきましても相当の公益性を有するものの定義としまして、①に該当する「学術研究の発展に資する」こと、②の「教育の発展に資する」こと、それから③につきましては「医療提供体制の確保に資する」ということのいずれかに該当することを定めてはどうかと考えてございます。
 また、いずれの場合についても公益性を裏づけるため、研究等の成果が公表されることを共通の要件としてはどうかと考えております。
 ここまでが、オーダーメード集計制度に当たって御検討いただきたい2つでございます。
 続きまして、資料の8ページを御覧ください。
 見出しのところ、「医療法人情報の提供制度の検討」でございます。医療法人情報の提供、まさにデータベースにある情報を提供する仕組みでございますが、こちらにつきましても医療法第69条の4で①から③まで定めております。
 まず、①の具体的な手続は厚生労働省令に定める。これは、先ほどのオーダーメード集計の場合と同じです。
 ②ですが、情報提供を受けることができる対象者の具体的な範囲及び利用目的につきましては、この赤字の部分を読み上げますと「医療法人情報の提供を受けて行うことについて相当の公益性を有する調査、学術研究又は分析」で、ただし、「(特定の商品又は役務の広告又は宣伝に利用するために行うものを除く。)」場合に範囲及び利用目的を限定するとあります。
 先ほどは、ここに該当するものを厚生労働省令で定めるとあったのですが、省令ではなく、※印にあり「※厚生労働省令に定めず、社会保障審議会において、個々の事例に則した総合的な審査を行う」ということになっています。それが③の内容です。
 それで、改めて下のほう、「医療法人情報の提供の位置づけ」ですが、医療法人情報は一言で申しますとそのデータベースに集められたデータそのものを提供することになります。そのため、オーダーメード集計に比べてさらに慎重に取り扱う必要があると考えております。
 続きまして、スライドの9ページを御覧ください。
 医療法人情報の提供において、1つ目に御検討いただきたい内容が申請の手続です。こちらにつきましても今、御覧いただいているのは、統計法においてその個別の調査票情報を提供する仕組みがございまして、それを参考に記載しております。
 大きな○が6つ並んでございますが、1つ目のほうから、例えば申出書の名称・氏名、住所、連絡先、生年月日等々、どういう調査票情報が必要か、それから調査票情報をどこで使うかという利用場所、調査票情報の利用目的や次に掲げることに該当していないこととか、あるいはどういう調査研究に使うのかということが並んでおります。先ほどのオーダーメード集計の内容と比べて、例えば3番目の利用場所が追加になっています。MCDBにおきましても、この申請手続については統計法施行規則、上に並んでいる内容に沿って定めてはどうかという案になっています。
 1枚おめくりいただきまして、10ページ目でございます。
 医療法人情報を提供するに当たりまして1つ目の○でございますが、「相当の公益性」の判断は個々の事例に即した総合的な審査が必要ですので、社会保障審議会での審査に委ねております。ですが、その基本的な考え方や範囲はガイドラインに定めまして、それに基づいて社会保障審議会で審査いただくのがいいのではないかと考えております。具体的にどういう範囲にするかについては、案として「学術研究の発展に資する」こと、「教育の発展に資する」こと及び「医療提供体制の確保に資する」ということを定めてはどうかという御提案でございます。
 また、いずれに該当する場合であっても公益性を裏づけるため、「これらの研究等の成果が公表されること」を共通の要件としてはどうかと考えております。
 スライド11ページ、12ページは今、申し上げた統計法と医療法との並びですので、参考資料として説明は省略させていただきます。
 続きまして、13ページ目から医療法人情報の提供を受けた方にどういう安全管理をしていただくかという内容でございます。
 14ページをおめくりください。
 上の見出しのところに「医療法人情報の提供を受けた者に求める安全管理における検討事項」とございますで、こちらは医療法第69条の5で安全管理措置に関する規定がございまして、①としてもちろんその提供を受けた者は安全管理措置を講じなければならないとなっております。
 それで、②として具体的な安全管理措置の内容については厚生労働省令に定めるとなっておりますので、この具体的な安全管理措置をどのように定めるかを決める必要でございます。それで、先ほど申し上げましたように、統計法におきましてもその調査票を個別に提供する仕組みがありまして、その場合も同じようにやはり安全管理措置を規定しております、ですので、立てつけとしてはよく似ているのですけれども、下に統計法の場合の安全管理の方法が(1)から(5)まで左端に並んでおります。組織的な管理措置とか人的な管理措置、物理的な管理措置、技術的な管理措置、それぞれ右にございますような具体的な内容がありまして、上の方から例えば組織内のルールですとか、欠格事由ですとか、入退室管理、どのように部屋を管理するか、盗難防止をどうするか、データ廃棄時の措置をどうするかとか、あるいはそのシステムのアクセスの制限ですとか、そういったことをこの統計法においても定めております。
 MCDBにおきましても、医療法人情報の提供を受けた者に求める安全管理の内容としましては、一般的な定めとなっている統計法の施行規則に倣って定めてはどうかと考えております。
 次のスライド、15ページを御覧ください。
 今、申しました安全管理措置を守っていただいた方、かつそれ以外の様々な条件を満たした方にその医療法人情報を提供するのですが、個別の情報を提供しますので安全管理措置としては厳しいものになります。それで、今後、施行が始まってもすぐにはそういった安全管理措置を講じることが難しいという研究者の先生方も想定されます。あるいは、この安全管理措置が本当に大丈夫かというところで、漏えい等のリスクをなくすことは困難であろうと考えておりますので、医療法人情報の提供は原則としてオンサイトセンターで行う運用としてはどうかという御提案です。
 オンサイトセンターという聞き慣れない言葉ですが、※印にございます情報セキュリティーが確保された環境で許可を受けた研究者が独自の集計や分析を行うことができる専用の部屋のことで、統計法とかNDBにおいてもこのオンサイトセンターを運用しております。
 具体的にMCDBにおきましては福祉医療機構、WAMの東京の建物がございますので、その中にオンサイトセンターをつくって情報セキュリティーを確保し、そこに研究者の先生方が来ていただければ個別の医療法人情報を分析、集計することができるといった運用にしてはどうかという御提案です。
 ちなみに、おめくりいただきまして16ページは統計法におけるオンサイト施設、あるいは17ページはNDB、レセプトデータベースにおけるオンサイト施設がそれぞれ載っております。例えば、レセプトデータベースですと厚生労働省、東京大学、京都大学の3か所にあります。MCDBの場合は厚生労働省、具体的にはその委託先であるWAMの中にオンサイトセンターをつくって、そこで利用していただくような立てつけにしてはどうかという御提案です。
 続きまして、スライド19ページを御覧ください。
 こちらは本当に事務的な手続ですね。今後さらに詰めていくことになると思いますが、運用のイメージ、流れでございます。大きく3列、左から手続の順番と、オーダーメード集計の場合の順番、それから医療法人情報の提供の場合の順番がございます。左上を見ていただきますと利用相談から始まりまして、委託・提供申出書を提出していただく。
 それから、③にその申出書が出た後にオーダーメード集計の場合は斜線が引っ張ってございますが、医療法人情報の提供の場合はそこで社会保障審議会にこういう申出がありましたがどうですかという諮問をして、そこで審査をいただく。
 それで、その結果、④で承諾します、あるいは承諾できませんという通知を発出し、その後、正式に依頼書を出していただいて手数料を納めていただくというような流れで進んでまいります。こちらは、イメージでございます。
 おめくりいただきして、20ページ目以降は事務的なことになるのですが、「その他定めておく必要がある事項」がございまして、その項目です。
 21ページを御覧ください。
 まず1つ目は、「オーダーメード集計及び医療法人情報提供に係る手数料の検討」でございます。こちらは医療法第69条の8におきまして①から④までありますが、①として手数料の額は実費を勘案して政令で定めるとなっていますので、この手数料の額を定める必要がある。
 それから、今、申し上げた手数料について、どういう場合に減免できるかというのを政令で定めるというのが③でございます。
 それで、下に表がございますが、統計法あるいはレセプトデータベース、NDBにおきましても同じような考え方で手数料が定まっておりまして、例えば統計法であればオーダーメード集計、調査票情報提供、いずれにしても作業1時間当たり4,400円とか、あるいはNDBのほうでございますといろんな料金の組合せで対応をしている。右下のところに※印で令和6年11月1日とあり、最近料金の値上げをしたと聞いております。基本利用料ですとか、業務料を1時間当たり8,600円にしたとか、こういった料金をいただいて作業をするということになっております。
 MCDBにおいてもこの第三者提供に係る手数料について、金額をこの上の金額と合わせるという意味ではなくて、統計法ですとかNDBの手数料を参考に実費相当で定めてはどうかと考えています。あとは、今後構築予定のオンサイトセンターも実際にいろいろなハード面での設備が必要になります。そういったことも踏まえて考えていきたいと思っております。
 続きまして、22ページを御覧ください。
 今、申し上げました手数料について減免する場合、どういう場合に減免するかということを規定する必要がございます。それで、下に並んでおりますのはNDBの場合の減免内容でございます。①から⑪まで並んでおりまして、完全に免除する場合と、50%減額する場合と、2種類ございます。免除する場合はかなりその公的性が高い場合、あるいは50%減額は研究費の内容に応じて減額するというような規定になっています。MCDBにおきましても、こうしたNDBの減免対象者を参考に対象者を定めてはどうかと考えております。
 続きまして、23ページ目を御覧ください。
 医療法人情報は非常に機微に触れる情報ですが、それが万が一、不適切に利用された場合にどういう対応を取るべきかということは、こちらも法律において規定されております。
 大きい1つ目の○にポツが3つ並んでおりますが、1つ目のポツを見ていただきますと、「医療法人情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用したときは、一年以内の拘禁刑若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」ということですので、刑事罰の責任が問われるということで、かなり厳しい責任が問われるという内容になっております。
 ただ、その下の○ですが、そうした罰則以外にこの法人情報の利用提供に当たって規約を当然設けます。それで、その規約に反する行為を行った場合には事実関係を確認して速やかに是正措置を講じていただくよう指導する、あるいは必要に応じて提供の取消し、一定期間の利用停止等の措置を講ずる必要があると考えております。
 それで、赤字の部分でございますが、こうした不適切利用の対応につきましては、こちらも統計法ですとか、NDBですとか、前例に倣ってこの第三者提供に係るガイドラインの中に定めていってはどうかと考えております。
 その下の※印にありますが、この不適切利用に限らず、今日申し上げたいろんな面で政令、省令でまず定めるのですけれども、それ以外にガイドラインを定めて、その中で運用してまいりたいということを考えております。
 おめくりいただきまして24ページ目、あるいは25ページ目は今、申しました不適切な利用が統計法ですとかNDB、レセプトデータベースあった場合のガイドラインですね。こんなイメージで不適切利用の場合のガイドラインをつくるということを考えております。
 おめくりいただきまして、今日申し上げたことのまとめでございます。27ページ目を御覧ください。御検討いただきたいことを一覧にまとめました。
 左端の列を御覧ください。まずオーダーメード集計について2つございます。
 申請手続きについてで、その申請手続については右のほうにあります統計法の施行規則に倣って省令で定めてはどうか。
 それから、オーダーメード集計における相当の公益性を有するものは何かということにつきましても右の方を御覧いただきますと、MCDBを利用することについて相当の公益性を有するものとして「学術研究の発展」「教育の発展」及び「医療提供体制の確保」と定め、かつその成果が公表されることを定めてはどうか。
 それから、左の方ですね。医療法人情報の提供につきましても2つでございます。
 申請手続についてで、手続は統計法に倣って定める。それから、個人情報の提供において相当の公益性を有するものにつきましても、右でございますが、「学術研究の発展」「教育の発展」「医療提供体制の確保」を、こちらは先ほど申しましたガイドラインに定めて、その上で社会保障審議会において審査いただく。かつ、いずれの場合であっても研究の成果が公表されることを要件としてはどうか。
 それから、医療法人情報を提供する場合で安全管理措置につきましては、組織的管理から人的管理、物理的管理、技術的管理、その他等々、統計法に基づいて安全管理措置を定めてはどうか。
 それから手数料、あるいは手数料の免除につきましても、こちらは政令で定めますが、いずれも先行している事例を踏まえて実費を勘案して定め、かつ減免の場合の規定も設けるということを考えてはどうか。
 それから、最後です。不適切利用への対応につきましては、医療法人情報を提供して不適切利用をされた場合につきましても統計法及びNDBの例に倣ってガイドラインに定めてはどうかということを考えております。
 資料は、それ以降は参考条文等々並んでおりますので説明は割愛させていただきまして、今、申しましたことは多岐にわたって大変恐縮なのですけれども、先生方に御審議いただければ幸いでございます。
 私からの説明は以上でございます。
○田中座長 遅れて失礼いたしました。座長を務めさせていただきますので、皆さん協力のほどをよろしくお願いいたします。
○桑原室長 ありがとうございます。
 そうしましたら、この後は御質問、御意見をいただきたいと思いますので、座長よろしくお願いいたします。
○田中座長 説明ありがとうございました。
 では、会場にいらっしゃる方、それからオンライン参加の皆様、どうぞ御質問、御意見がおありでしたらお願いいたします。
 角田構成員、お願いします。
○角田構成員 ありがとうございます。日本医師会副会長の角田でございます。
 まず初めに、データベースを第三者に提供するに当たっては、万が一にも個別の経営情報や個人の給与が推定できるような形で公開されたりとか、あとは漏えいしたりしないように本当に慎重に運営すべきものと考えております。
 資料の2ページ目からまずお話ししたいと思いますが、ここに提供対象となる情報の内容や利用目的の限定方法、再識別させないための方法などについて検討していくべきであると書いてあります。
 しかし、本日の事務局の御説明では、再識別させないための方法の検討がまだ少し不十分ではないかと考えておりますので、これはしっかりと御検討いただきたいと思っております。例えばオーダーメード集計でも、その区分したデータが何件未満のところは集計結果を表示しない等のルール、これは数が少ないと容易に推測されてしまいますので、そういったところが必要ではないかと考えております。
 また、前回の検討会の報告書にも書いてありますが、匿名化されたデータでも、データの組合せによっては個別の医療機関とか、場合によっては特定の個人が推定できてしまうようなこともございます。もし悪意を持って情報が拡散された場合には、個人や法人の権利や利益を侵害する危険性があるというのはとても重大なことですので、十分考慮が必要ではないかと思っております。したがって、次回以降この検討会の取りまとめ等をされる場合には、再識別をさせないための方法についてもしっかりと記載していただきたいと考えております。
 次に、8ページを開いていただければと思います。ここに「「医療法人情報」とは」云々と書いてあって、データベース上のデータそのものを指すというふうには記載されておりますが、この制度で提供されるものはあくまでも匿名加工したデータベースであるということをまず事務局に確認したいと思っております。
 その上で、10ページをお開きいただきたいと思います。ガイドラインに関する記載がございますが、ここに書いてあることに加えましてデータベースの提供、これは当該研究に必要最小限の項目の利用申請であること、かつオーダーメード集計では対応できない事情があると認められることを要件とすべきではないかと思いますので、そのことを明確にすべきではないかと考えております。
 また、ガイドラインでは公表する際に特定の意図や目的の下で都合のよいデータが出るように、意図的にデータを取捨選択、加工するような恣意的な利用の何か抑止力になるような文言をしっかりと盛り込んでいただきたいと考えております。
 私からは以上でございます。
○田中座長 角田構成員、ありがとうございました。2ページ、8ページ、10ページ辺りについて様々な御指摘をいただきました。検討してください。
○桑原室長 ありがとうございます。
○田中座長 荒井構成員、お願いします。
○荒井構成員 荒井です。
 幾つかあるのですけれども、大きく3つほどありまして、1つは大きな話、残り2つは細かい話ということです。
 まず一番大きい話をしておきますと、今回、第三者提供制度について議論していますけれども、その前提として、机上には2年前の報告書が配られていますが、そこの中でそもそもこのデータベースを構築するのは何の目的なのかというような話が書いてあります。
 それで、実際にそもそもこの制度をつくる前には骨太の方針に入ってきて、それを基にこうやってつくってきたわけですけれども、この2年前の報告書にも具体的に医療機関の経営状況を基に国民に対して医療が置かれている現状だとか、最近の物価上昇であるとか、新興感染症の状況を把握したりだとか、医療従事者の処遇の適正化に向けて使ったり、あるいは医療経済実態調査の補完だとか、そういうふうに医療法人の経営情報を把握分析するとともに、その分析により国民に丁寧に説明するため、新たな制度として医療法人の経営情報を収集してデータベースを構築すると4ページ目に書いてあります。
 つまり、データベースを構築することに目的があるんじゃないです。データベースはあくまでもその手段でしかなくて、これらの目的を達成するために今回データベースをつくっているので、この集めたデータを使って、医療法人支援室の方では従来病院経営管理指標をつくっていますけれども、少なくともあのレベルのものをちゃんと出す。それで、国民に対してちゃんと丁寧に説明する。それを厚生労働省がやった上で、その観点から以外の情報が欲しいという人のために第三者提供制度があるのであって、これをやる前に第三者提供制度ばかりつくってもあまり意味がなくて、あくまでも厚労省が一生懸命説明して、それでも足りない部分を第三者が利用するというのが基本だと思います。
 ですが、なかなかそこの部分をやるということになってはいるのですけれども、一向に動きが見えないというところで非常に危惧しております。
 それで、恐らくそこをしっかりやればやるほど、第三者提供制度に対する必要性が低下するので応募が少なくなるわけです。ある意味、究極の安全なんです。逆に、それをやらなければやらないほど、より多くの人々が第三者提供制度を使って情報を得て、分析せざるを得ないとなるから、次々とデータが外部にいくわけで、一番重要なのは厚労省自体が徹底的に少なくとも病院経営管理指標のレベルのものを毎年出す。第三者提供制度はそれをやった上での話だということを確認しておきたいので、これを最初にお話ししておきます。
 2つ目は、社会保障審議会で審議するということなのですけれども、社会保障審議会もいろいろな部会があるし、とても大きな組織なのですが、具体的にどういうことを想定されているのかということをお聞きしたい。
 1つ懸念しているのは、開催頻度が低いと申請して大分後になってからでないと利用できないということになって、例えば厚労科研とか、そういうもので申請しながら、承認されたらそれを使って研究したいというときに、タイムラグがあり過ぎると非常に使いづらいものなので、その辺は少なくとも月に1回くらいのペースでは審査してくれるような仕組みでないとまずいだろうと思います。これが2つ目です。
 3つ目は情報の出し方のところですけれども、今日のメインの資料の14ページと15ページになります。統計法でこういった(1)から(5)のような具体的な安全確保の仕組みがある。これに沿ってやってはどうかということなのですが、これ自体はいいと思うのですけれども、15ページを見ると、安全管理措置を講じることが困難、あるいはすぐに講じることができない研究者も想定される。だから、オンサイトセンターで運用することとしてはどうかなのですけれども、ここで「原則として」というのがおかしいのではないかと思うんです。統計法と同じように(1)から(5)の要件を満たすというのが基本で、そこを満たした人たちが使っていく。
 でも、全員がその措置をすぐには講じることができないので、オンサイトセンターでも運用を行うというのであれば理解するのですけれども、そうではなくて原則としてオンサイトセンターで運用を行うというのは主客転倒していると思うんです。そこはちょっとおかしいのではないかと思います。
 また、オンサイトセンターでも運用するということは大切だと思うのですけれども、WAMだけだと非常に制約が大きいと思います。次の16ページを見ていただければ分かるように、統計法に倣うということであれば、統計法でこれだけオンサイト施設を用意しているわけですから、これくらいの数でやらないと、WAM、1か所だけみたいな話なので非常に不便ではないかと思います。これは、2年前の報告書にも書いてあるのですけれども、国民の税金を非常に使った国民の資産だ、財産だ。だからそれを積極的に利用するんだという趣旨なので、もうちょっと利用の便を考えてやっていく必要があるかと思います。
 以上、3点です。
○田中座長 ありがとうございました。
 まずは厚労省に分析の責務がある。これは御指摘ですね。
 2番目と3番目は答えを求めますか。
○荒井構成員 はい。お願いします。
○田中座長 では、2番目の点ですね。それから、3番目のオンサイトは原則というのはおかしいのではないか。それから、社保審のどういうところで対応するのかという御質問なのでお答えください。
○桑原室長 ありがとうございます。
 まず2番目の社会保障審議会で審査を行うということですが、そういう審議会に出ておられる先生方も御案内のとおり、社会保障審議会本体は非常に大規模で、かつ開催頻度も少ない会議ですので、実際にそこで議論するというのは現実的ではございません。今、想定しておりますのは、社会保障審議会の下に専門委員会のようものを設けまして、そこに有識者の先生方、できるだけ小回りの利くといいますか、開催頻度もそれなりに開催できるような場を設けて、そこで審議をいただいて提供の是非を決めるということを考えております。
 それで、今、荒井先生から月1回程度というお話がありましたが、具体的に開催頻度は今、何か月に1回とか決めているわけではございませんが、そこにつきましても先生方の御意見を伺いながら決めてまいりたいと思っております。
 それからもう一点続いて、資料の15ページでございますが、「医療法人情報の提供は、原則としてオンサイトセンターで行う運用としてはどうか」となっております。それで、立てつけとしましては今、御指摘がありましたように、医療法に基づいて厚生労働省令で安全管理措置を定め、それが守られている場合には提供をするとなっております。従って、本当に守られている方が医療法人情報を提供してほしいと申請された場合に、それを拒むことはできないです。
 ただ、ここで「原則として」と書きましたのは、どの程度守られるかというところが今の時点で読めない。そういう意味で、オンサイトセンターだけには限られません。本当に安全管理措置を守れる方の申請がくれば提供をすることになりますが、今の時点で厚生労働省として「原則として」と書いたのは、なるべくリスクを減らす観点からオンサイトセンターをまず利用していただくほうが安全だろうということで書いたものです。
 ちゃんとしたお答えにはなっておらず恐縮ですが、この場で「原則として」を外しますと判断がつかないため、先生から今、出た御意見を踏まえて次回まとめの中で検討してまいりたいというのが本日のお答えです。
○田中座長 本日は即答できないということですが、いかがですか。
○荒井構成員 即答できないということなのですけれども、どちらにしてもこの(1)から(5)を満たした人はそこで使えるわけで、それをすぐには満たせない人のためにオンサイトセンターでも行うということなので、結局は併用なんです。ですから、オンサイトセンターのほうに「原則として」と使っているのはちょっとおかしいのではないかと思います。統計法のほうも(1)から(5)のところが基本で、オンサイトでもやっているということだと思いますので。
 でも、今日は結論が出ないということなので、次回結論を出していただけるものと思いますが、よろしくお願いします。
○田中座長 満たせる人及びオンサイトセンターとすべきであるというような御意見ですね。オンサイトセンターは東京にしかないと、地方の研究者は一々交通費を払って来なければいけないという問題点の御指摘だったので、次回までに検討してください。
 野木構成員、お願いします。
○野木構成員 ありがとうございます。野木でございます。
 総論的に反対するものではなく、各論的な部分等を含めてお聞きしたいとは思っています。
 まず、ここに書いてあります「学術研究の発展」、「教育の発展」、「医療提供体制の確保」とかいうふうにガイドライン等に書かれるわけですけれども、「学術研究の発展」、「教育の発展」、「医療提供体制の確保」というのは具体的にはどういうものを言うのかがちょっと私にはつかみづらいところがあったので、もしよろしければ教えていただきたいというところがあります。
 それと、情報の平等性というか、何といいますか、例えば一般社団とか、一般財団とか、そういうところの情報は出てこない。WAMさんにも出てこないような気もするのですけれども、これは医療法人機関が出るわけではないので、この辺りも平等性から言うとどうなっていくのかというところも教えてもらいたいです。
 あとは、前回の話も出たのですけれども、オーダーメード集計とか医療法人情報の提供ということでいろいろ内容はあるわけですが、これをあえてここでもう一度検討するというか、いわゆるランクづけをするというか、どういう情報をどういうふうに見ていくか、みんなでそこはもうちょっと共有してもいいような気もするのですけれども、それはする必要もないと考えられているのか。
 実際、オーダーメードではどういうものが出てきて、それをランクづけする必要があるのか。医療法人情報もどういうものが出て、どの辺りをランクづけするのかというのが必要なのかどうかですよね。要するに、個別のものが確実に特定できるのはあまりよろしくないようにも思いますし、全部出してしまうというのもどうなのか。それが必要なものだったら出せばいいような気もしたのですけれども、教えていただければありがたいです。
○田中座長 以上ですか。
 では、3点ございましたね。目的が何かということと、対象はなぜ医療法人だけなのか。ほかの医療を提供している法人についてはどうかということと、3つ目もありましたので、お答えください。
○桑原室長 かしこまりました。
 まず1番目の3つの目的、スライド番号で申しますと、例えば医療法人情報の提供であれば10ページに該当するかと思います。「学術研究の発展に資する」こと、「教育の発展に資する」こと、「医療提供体制の確保に資する」ことで、具体的なイメージが湧きづらいという御指摘でございました。
 まず「学術研究の発展に資する」というのは端的に申し上げれば、本日御出席の先生の中にもおられますが、こういった医療提供体制、医療経済等々の先生方がそういう研究のため、研究論文のためにこういったデータを活用して研究をしたい、論文を書きたいという場合を想定しているものが「学術研究の発展に資する」ものでございます。
 「教育の発展に資する」というのは、例えばこういった医療提供体制のデータを使って、中学・高校ではないかもしれませんが、大学での授業にこういったデータを基にして題材を活用して授業に使いたいというような場合が想定されると考えております。
 「医療提供体制の確保に資する」場合でございますが、こちらは法人情報の提供というよりもオーダーメード集計の場合があると思うのですけれども、自治体ですね。都道府県が、例えば自分たちでこういう集計はちょっとできないけれども、国やWAMのほうでこんな集計をして自分の県の中の提供体制を分析してもらえないかというような場合は、それこそWAMは専門家もおりますので集計をして分析をして、それを都道府県にフィードバックして活用していただく。そのような場合は考えられるかと思っております。
 それから、2つ目のご質問で、今回の医療法人のデータベースが医療法人だけであって、それ以外の一般社団、一般財団ですとか、あるいは公的な医療機関、公立病院等々が入っていないのではないかということにつきましては、このデータベースを始めるに当たってまずは医療法人からということで前回の検討会でも報告書を出していただいた。
 ただ、それに加えて公立病院、あるいは公的病院、公的医療機関については、そういった経営情報を公表されているものもありますので、それを使ってこのデータベースと比較できるような形にしていくということは、この検討会の報告書でも宿題としていただいておりますので、進めていく必要があると考えております。
 それから、野木先生からご指摘のとおり一般社団や一般財団の医療機関が開設されているのですけれども、その点はこの検討会とはまた別に、一般社団、財団が設立する医療機関についてどのように情報を把握し、あるいは監督指導していくかという別の観点から検討がなされておりますので、そちらのほうの検討結果を踏まえて、もしそういった経営情報が出てくるようになれば、この法人データベースとも合わせていくことはあり得ると考えております。
 それから、3つ目ご質問の、今回オーダーメード集計及び医療法人情報の提供制度でどういったデータの粗さ、細かさで出てくるのか、あるいはどういった項目がどういうふうに出てくるのか、ちょっとイメージが湧きづらい、あるいはこれだけでは決められないのではないかという御指摘でございます。
 最初に角田構成員からもお話があったように、まずオーダーメード集計においてはそれを見ても、これはどこの病院、どこの診療所のことだということが分からないような集計にすることは、再識別させないという意味で大前提になっております。
 それを踏まえた上で、例えばオーダーメード集計でどこまで集計するかという具体的なところにつきましてはガイドラインの中である程度定めていく、あるいは医療法人情報の提供につきましても基本的には研究目的に必要な部分の情報を提供するということになってまいりますので、そういったこともガイドラインの中で今後定めていくことを考えております。
 従って、具体的にどういう情報をどこまで細かくして出すのか、出さないのかということまでは報告書には出てこないことを考えています。その方針に沿ってガイドラインを定めて、それを運用していただくということを考えております。
 以上でございます。
○田中座長 野木構成員、いかがでしょうか。
○野木構成員 ありがとうございます。分かりやすい説明で、大体理解できました。
○田中座長 ありがとうございました。
 では、伊藤構成員お願いします。
○伊藤構成員 医療法人協会の伊藤でございます。ありがとうございます。
 2つ質問があったのですが、1つは今の再識別のお話で、これは大変懸念するところでございまして、いわゆる再識別のリスク判定を研究者自身に任せてしまっていいのかどうかというところを心配していたのですが、ガイドラインで定めるということですので、この件についてはその方向でお進めいただければと思っております。
 次の点は8ページでございますが、医療法人の情報提供の際にはあらかじめ社会保障審議会に諮るとございますけれども、この社会保障審議会、社保審で諮った結果については社保審の医療部会だとか、他の部会にこういう情報提供、詳細な情報の提供、共有化ができるかどうかということをお尋ね申し上げたいと思います。
 以上、2点でございます。
○田中座長 再識別の話と、それから新しくできる委員会での結果が社保審の部会等に報告されるのかという御指摘でした。いかがでしょう。
○桑原室長 ありがとうございます。
 まず、再識別につきましては先ほどの説明の繰り返しになるかもしれませんが、オーダーメード集計でも再識別できないような単位に集計をして公表する。あるいはもう一つ申しますと、医療法人情報の提供をして先生方が研究した結果を公表いただくのですけれども、その公表の中でも再識別されないようにするということを今後ガイドラインの中で位置づけて、要は外に出る情報は誰が見ても再識別できないようにするという方針を定めていくことになると考えております。
 それから2点目ですが、実際に社会保障審議会の親会で審査するわけではないので、専門委員会を立ち上げて審査する。では、その親会との関係はどうかという御質問だと思います。まだ今、具体的な運用まで決めているわけではないのですが、基本的に社会保障審議会は最終的には上の親会に下の会議で議論されている内容がちゃんと報告、共有されるという立てつけになっていると思いますので、それに従った運用を決めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○伊藤構成員 伊藤ですが、よろしいでしょうか。
○田中座長 お願いします。
○伊藤構成員 今、親会の社保審への報告があるということなのですが、そのほかの部会へ検討した内容の詳細というものも、医療関係者がたくさん入っている中での報告、情報の共有ということをしていただきたいという要望でございますので、これも一度お考えいただければと思います。
 以上です。
○田中座長 親会の経験では、そこまで細かい話は出ませんね。むしろ社保審の中でも例えば介護部会にこの話が出るとは思わないので、医療関係の部会等にどう扱うかという御指摘でした。
○桑原室長 失礼しました。実際の運用としましては、決まっているわけではありませんが、社会保障審議会の医療部会がこの担当部会になるだろうと考えております。
○田中座長 私もそう思います。もし何か連絡を取るとすれば医療部会でしょうね。
 伊藤構成員、よろしゅうございますか。
○伊藤構成員 はい、ありがとうございます。
○田中座長 北山構成員、お願いいたします。
○北山構成員 弁護士の北山でございます。
 先に構成員の方々がおっしゃっていただいたことと重複するところもあるのですけれども、念のため私のほうからも意見を述べさせていただきます。
 まず、前回まとめていただいた報告書にもありましたけれども、角田構成員からも御指摘がありましたが、個別の医療機関の情報が推知されないようにというところがまず今回のポイントになるのかなと思っておりまして、そういう推知を防ぐためにどう制度的な担保を施すかというところが今回問題になってくるのかなと理解しております。
 それで、この推知ですが、再識別のリスクという観点では、加工と利用の2つの場面でリスクがあると思いますので、まず適切な加工をどうするのかという点と、適切な加工をしたとしても利用者が悪意で利用したら復元されてしまう可能性があるとして、これをどう制度的に防ぐかという、この2つの観点の検討が重要になってくるかと思っております。
 それと、オーダーメード集計のときに一つの視点として私が少し思ったところは、医療法人情報の提供制度では、きちんと社会保障審議会によるスクリーニングを経ていただければ、ある程度加工の問題はクリアできるのかなとは思うのですけれども、オーダーメード集計ではそういう社会保障審議会や第三者機関によるスクリーニングというものが制度上、用意されていないというところがありますので、そこに少しリスクは存在するのかなと思っております。
 ですから、ここのオーダーメード集計のときにどのように加工の適切性を判断するのかを検討する必要があります。もちろんWAMにおいて専門性のある方が加工作業を担当して、あるいは成果物を出すときには省内決裁を経る等の手続きが予定されているということであれば一定の担保はあるのかもしれませんが、御担当者の異動があったときとかでもイレギュラーなことが起こらないように、ガイドラインとか適切なインストラクションを講じておくことが必要なのかなとも思いますし、相当の公益性の判断もなかなか該当性判断が難しいところも出てくるかと思いますが、そこら辺のガイドラインとかの充実も望まれるのかなと思います。そこが加工の問題の話かと思います。
 利用の問題はある程度、当事者間の契約で担保するほかないというのが最終的なところかとも思いますけれども、再提供を禁止したりとか、再識別を禁止したりとか、利用規約等の契約で、そういったところを適切に充実させていくということが一つのポイントになるのかなと思います。
 次に、医療法人情報の提供制度についてなのですけれども、社会保障審議会が審査をしていただくということで、そこでスクリーニングを期待するというところはあるのですが、いかんせんこういう識別可能性とかを判断する専門性のある方の集まりではないとも認識しておりますので、そういった方々であっても適切な判断ができるようなお膳立てというか、準備をする必要があるかと思います。
 その観点では、申請手続の時に充実した申請書を書かせるというか、例えば申請者がどのような目的があるというのも、単に学術研究の目的ですとだけ書くのではなくて、もうちょっと充実した記載を求めるとか、そういうところを申請の際に義務づけて審査の俎上に具体的な事実関係が挙がってくるように工夫をすることが重要なのかなとも思いますし、それを踏まえると相当の公益性の判断も比較的相対的には容易にできるようになると期待できるところも出るのかなと思っております。
 もう一つ、オンサイトセンターでの運用のところで、私が不勉強で大恐縮なのですけれども、まず統計法のところでどうなっているのかなというのは若干気になったのですが、今回利用する人が安全管理措置をちゃんとやっていますから私にくださいと言ったときに、では本当に安全管理措置をやっているのかというチェックをどのようにされているのかというところがちょっと不明かと思いました。
 実務上、例えば、個人情報取扱事業者が個人データを委託先に委託するときとか、チェックリストだけでチェックして返却してもらうことで済ますのか、実際に立入検査をしてちゃんとやっているということまで確認するのかというレベル感が、例えば金融機関とそうではない機関とでは異なる事例もあるように思いますので、今回の利用者が、安全管理措置をちゃんとやっていますと言ってきた際に、実際にその確認作業をどのようにするのかというところも、ほかの法令などの制度と比較して検討すべきかとも思います。
 オンサイトセンターを利用するという場面においては、マニュアル等で定める内容かとも思いますけれども、オンサイト環境で最終生成物作成まで行う利用の場合と、オンサイト環境で中間生成物まで行う場合で、中間生成物から公表物までの作業は外でやりますという場合、2つの場合が考えられるのかなと思っております。
 いずれにしても、その成果物としての最終生成物の持ち出しか、中間生成物の持ち出しかに関して、その持ち出しの可否を承認する機関というのが存在するのかなと思いますが、ほかにも利用期間の設定とか、外部委託の可否とか、そういったものを慎重に検討する必要もあるのではないかと思いました。
 最後になりますけれども、不適正利用のところです。これはルールとしてはもちろん必要かとは当然思うのですけれども、どう見つけるのかというところです。不適正利用をどう把握するのかは検討する必要があるかと思います。契約の中で一定の利用期間があるのであれば、定期的に報告を求めるのか、あるいは常時監督をするという立てつけにするのかは考えられるかと思いますが、果たしてWAMの方々がやるのかは分かりませんが、そういうマンパワーがあるのかというところは課題かと思いました。
 あとは、今回これが問題視される場面というのは、恐らく自分の収入が把握されてしまったと認識した方々からの苦情等が想定されると思うのですけれども、その方々が一体どこの窓口に苦情を言えるのかというところです。苦情対応は初動を間違えると炎上してしまう可能性もあるので、適切な苦情対応窓口の設置等を御案内さしあげる必要があるのかなとも思いました。
 以上になります。
○田中座長 ありがとうございます。いずれも御意見として承れば、答えは今日はよろしいですか。
○北山構成員 はい。
○田中座長 とても大切な点をたくさん列挙していただきましてありがとうございます。検討課題ですね。
 では、今村構成員お願いいたします。
○今村構成員 ありがとうございます。
 今、まず北山構成員のほうからかなり具体的な課題が挙がってきたかと思います。それで、このデータベースというのが国民共有の財産ということで先ほどお話もありました。そういう意味では、広くこれが利用されるようにということは理解できるのですが、一方でやはりここには個別の経営情報や個人情報が含まれているということ、これはしっかりと明記された上で国民共有の財産として利用と、つまりこれは利用を間違えるとそういった個別の経営情報や個人情報が結果として漏えいしてしまうということですので、そこら辺は何らかの形で、普通の何でも勝手に利用していいデータベースでないということはしっかり記載が必要ではないかと思うところです。
 その上で、やはり一番大きな部分は再識別させないための方法の検討が今の段階では十分でない。あとは、ガイドラインにおいてそこがどこまでしっかりと担保されるのか。そこら辺についてはぜひしっかりと検討して、理解が求められた上で先に進んでいただく必要があるのではないかと思います。
 あとは、先ほど北山構成員からも御指摘されましたけれども、例えば12ページで学術研究といった場合にこういうところから実際の申込みがくるとして、この中で例えば2つ目のポツの大学等に所属する教員が行う調査研究や共同研究を含むというような場合に、よくあるのはいろいろな今、政府の研究でもそれこそ外部のコンサルタント会社等を利用することは多々あると思います。そういった部分で、そうするとどこまでこれはそういった外部を入れての研究が可能なのかどうか。恐らくこういったところは非常に懸念されるところではないかと思いますので、そういった点はしっかりと対応できるようにしていただければと思います。
 あとは、先ほどのオンサイトの部分ですけれども、これも北山構成員のほうから御指摘されたとおりだろうと思います。現実、大学等であればしっかりと情報管理がされているかというと、例えば私の知っている田舎の大学ですと、本当にフリーパスで教授室まで行くことができ、そこの教授室にはあらゆるデータがそのまま置かれていて、極端なことを言うとそれでも、いや自分は管理しているんだと言われたら、それはどこまでしっかり管理されているのかというところは非常に懸念される部分になるのではないかと思います。アカデミアであればしっかりと個人情報管理ができているというのは、むしろ逆のパターンのほうが多いかなということも懸念されますので、しっかりとそういったところは御対応いただければと思います。
 その上で、オーダーメードと医療法人情報の提供の部分ですけれども、基本的に医療法人の提供を行う場合というのは、WAMさんで行えるオーダーメードの統計処理ができないのでということがやはり前提になるのではないかと考えております。そうすると、かなり高度な統計が必要であるというようなところでこの申請が行われる。そうしたときに、単純にアウトカムだけの公表ということで、公表はアウトカムだけなのかもしれませんが、少なくともそうした際にはそのプロセスですね。どういったプロセスでそこを出すのかというところの確認は少なくとも審査の際に、これだとやはりオーダーメード統計では無理だから、では医療法人情報を提供しましょうといったようなプロセスの評価、もしくはそこでの査定といったようなもの、こういった部分もしっかりさせていただきながら、最初に戻りますけれども、提供する側からすると、これは一部任意がありますが、ほぼ強制的に提供しなければいけないデータであり、かつそれが個別の経営情報や個人情報であるということを前提にしたデータベースであるということをしっかり認識していただければと思います。よろしくお願いします。
○田中座長 今村構成員、ありがとうございました。いずれもガイドラインづくりに非常に役に立つ具体的な御指摘でした。今日は直接答えなくてよろしいですか。
○今村構成員 はい、結構でございます。
○田中座長 大学ならばきちんとしているということはないというのは、私も何となく実感しますけれども、こんなことを言っていいかどうか知りませんが。
 石井構成員、お願いします。
○石井構成員 会計士の石井でございます。
 本件の検討会には最初から関わりを持たせていただいておりまして、現実に制度ができて施行された後の時点で、新しくできた制度においてどのような経営情報のデータベース化が行われるのか、すみませんが、復習を兼ねて確認をさせていただきたいということで、質問を何点かさせていただきたいです。
 1つは、29ページに参照条文がございます。今回のオーダーメードないしは研究者への情報提供ということがこの後しばらくすると施行されるということで、それを前提とした条文が出ておりまして、今、国が公表していただいている法律の検索サイトではこの情報は出ていない。初めて拝見しました。
 それで、よくよく元へ戻って見てみると、69条の2で最初に「都道府県知事は」と書いてあり、4項で初めて「厚生労働大臣が」という記述があり、69条の3のところで先ほど来のお話がある「オーダーメード」、そして4のところで「学術研究」と、そして「厚生労働大臣が」という記述になるんだなというのがある意味、実感として理解はできました。
 そこで、まず教えていただきたいのは、本件の「医療法人の経営情報のデータベース」というふうに言っているデータベースの中身というのは何なのでしょうかというのを確認させていただきたいのです。この検討会でもって新たに法律改正を伴って行った昨年の8月から始まったデータベースの提供がございますね。まさにここで言っている制度の中でのデータベースというのはそれだけなのかなというと、そうでもなさそうだというふうに今、改めて理解をしております。
 福祉医療機構様のホームページにはもう既に医療法人の経営情報のデータベースを活用した分析が出ておりまして、それは今まで既にあった事業報告書等の都道府県に提出されているデータを分析していただいているということになりますので、そうするとここで新しい制度として議論してきたところの新たな情報提供のデータだけではなく事業報告書等、これも含まれているということになるのかというのが最初の御質問です。
 2番目は、69条の2で最初に都道府県知事は調査分析を行ってその内容を公表するよう努めるものとするという記述があるのですけれども、ここで言っている知事が公表するよう努めるものは今、私が申し上げた従来からある事業報告書等のデータベースだけなのか、あるいは新しく提出が始まったものを含めているのか、この辺りというのもちょっとどうなのかなという疑問があったものですから質問をさせていただきました。
 情報提供のシステムがこの数年で大きく変わってきていて、最終的に福祉医療機構様が様々な情報提供をしていただくような形になっているのですが、例えばこれから行われていく情報提供はもう既に今まであった事業報告書等のデータと、それから新たに始まった新しい提出データを言ってみれば一つの情報として再整理をして調査分析を行うという前提なんだということが理解としては正しいのかどうかというのもお聞きしたいと思っています。
 そういった場合に、提供の窓口というのは条文で拝見をすると、都道府県が公表することもあるし、場合によっては厚生労働大臣もかなと思う。しかし、公表は福祉医療機構様に委任しているのかなとも思い、そうすると今度は69条の4のところで研究者の方たちが行った調査学術研究の公表というのはどういうやり方でいくのだろうか。研究者の方が情報を取りにいくということの議論をしているのではなく、学術研究を行っていただいた結果、取りまとめられた論文ですとか情報はどういう形で公表されていくのか。窓口はどこで何なのかというのもちょっと教えていただきたいと思いましたので、質問をさせていただきました。
 当然、研究者の方たちは今いろいろ議論していただいたように厳格に選ばれて、場合によってはオーダーメード集計ではできないよう研究領域にある程度制約をしながら研究していただくということですが、当然個別情報を入手されるということが前提だと思っていますので、それがどういう形で公表されていくのかというのはつまびらかにしていただければと思います。
 長くなって大変申し訳ありません。片方で、介護事業者の方たちの情報の同じような制度の議論はありますが、あるいは今回、私は厚生労働省さんに質問させていただいて、G-MISというのはどんな格好で活用されていますかというデータをいただいて大変ありがとうございました。そうすると、今度はG-MISという同じ情報処理のシステムの中でとてつもなく大きな様々な情報が集められていますから、それをクロス分析するというようなこともできるのかなとも思うと、研究者の方たちの研究要望が今、私がここで議論をしている医療法で言うところの69条の2とか、3とか、4という領域を超えて、医療情報提供制度とか、入院外来報告とか、そういうものとの比較、統合分析などということまでいくことは技術的にどうも可能なような気がしてしまって、その後にどうなるのだろうかというようなことも含めて教えていただければと感じております。よろしくお願いします。
○田中座長 ありがとうございました。データベースの中身とか、公表の仕方とか、公表の主体とか、それからそれ以外の統計、介護等の連携などとたくさん質問がありましたが、お答えをお願いします。
○桑原室長 ありがとうございます。
 まず1つ目のこの医療機能情報データベース、MCDBの中に何で報告されたものが入っているのかということで、すみません。私は説明を省略してしまったのですが、スライドの2ページを御覧ください。2ページの一番下のところに小さい「※2」とあります。今回のこの医療情報データベースで「医療法人情報」という言葉が何度も何度も出てまいります。それで、「「医療法人情報」とは、医療法人の活動の状況その他の厚生労働省令で」と、これは厚生労働省令の中で既に施行されている省令なのですが、定まっておりまして、(事業報告書等、経営情報、その他必要な事項)とございます。
 それで、今、石井構成員から、経営情報と事業報告書とあったよねと、先ほどの後ろのほうの参考資料にこの法律に基づいて都道府県が集めると言っていたのは、ここの※2の括弧の中で申しますと2番目の「経営情報」に当たる部分でございます。それで、その前の「事業報告書等」というのは、今回新たに施行した法律の前から各医療法人が都道府県に医療法人の事業実態を報告するという義務が課されておりまして、事業報告書は既に前から提出されていました。それで、具体的に事業報告書の中身で経営情報と申しますと、簡単に言えば財務諸表ですね。貸借対照表と損益計算書、法人の財務諸表がこの事業報告書という形で都道府県に提出されておりました。それで、それがまず都道府県に前から報告されていた。
 今回、先ほど石井構成員から指摘があった後ろのほうの医療法を追加することによって、それに加えて事業報告書の財務諸表とは別に経営情報を都道府県に提出しなさいという義務が課されました。
 それで、ちょっとここは資料をつけていないので申し訳ございません。ここで言う経営情報というのは、それぞれの医療法人が開設している医療機関ごとの損益計算書、簡単に申しますとP/Lを経営情報と申しています。それは今回の法改正で新たに都道府県に提出しなさいということになりました。もうそれは既に提出されております。それで、その他必要な事項はちょっと置いておきますが、主に法人単位の財務諸表と、法人が開設している医療機関ごとの損益計算書、P/Lが今、都道府県に提出されることになって提出されております。
 それで、都道府県がそれをまず集める。そして、それを先ほどの後ろのほうの参照条文に基づきまして、法律に基づきまして、厚生労働大臣が、厚生労働省が都道府県からこの事業報告書と経営情報等を提出しなさい、提出してくださいという依頼をして、それに基づいて厚生労働省のほうに出していただいて、それを厚生労働省のほうでデータ化して、データベースのシステムの中に入れてまとめたものが大まかに申しますと今回の医療法人経営情報データベースでございます。
 ですので、大まかに何が入っているのかと言われれば、医療法人単位の財務諸表、それから医療法人が開設している医療機関ごとの損益計算書が入っております。それ以外に任意の項目なども入っていますのでそれも含めてですけれども、それがこのデータベースの内容でございます。
 それから2つ目、法第69条の2で公表というときに、ではこのデータベースを活用した結果、誰がどういうふうに公表するのか。いろいろなルートの公表が確かにございます。
 それで、1つは厚生労働省としてデータベースを集めて、最初にまさに荒井構成員から指摘があったグルーピング化して分析して国民に対して公表するというものがございます。
 それから、今日御説明しましたオーダーメード集計と医療法人情報の提供は、いずれも提供したら公益性の観点からそれぞれ公表してください。こういうふうに使いましたとか、こういうふうに論文を発表しましたと公表してくださいと言っています。それは厚生労働省が公表するのではなくて、公表することを最初に契約し、それぞれ利用した方が公表していただくという内容になります。ですので、それは厚生労働省でどういう内容が公表されるかという確認はいたしますが、厚生労働省が公表するものではないという整理です。
 その際に先ほどから論点になっている再識別されないかどうかというところが非常に御懸念になっていますので、それは厚生労働省において再識別されないような公表の仕方を確認する。それはどういうふうに確認するかというのは、今後ガイドラインの中で定めてまいりたいということになっております。
 3つ目が、事業報告書、あるいは経営情報と、他の調査との関係がどうかということです。前回の報告書を今お手元に御覧いただけるようであれば12ページで、前回の報告書の中に、ほかで調べた調査結果との連携についてという項目がございます。読み上げます。
 「3.病床機能報告・外来機能報告との連携について」とありまして、「新たな制度で収集する情報は、医療法人の経営情報となるが、関連する他の調査によって収集した情報と連携することにより多角的な分析の可能性が高まる」。それで、具体的には「「病床機能報告」及び「外来機能報告」との連携を行うことが考えられることから新たな制度においては、これらの報告と共通のIDを用い、情報の連携を可能とすべきである。」とございます。
 病床機能報告と外来機能報告はいずれも公表されております。ですので、病床機能報告と外来機能報告の医療機関と連結、連携することができれば、合わせて分析することができます。前回この報告書をいただいて「連携を可能とすべきである」となっておりますので、こちらはMCDBのデータベースのほうに公表されている病床機能報告、外来機能報告のデータも持ってきまして、連結ができるようなまとまったデータベースになっております。オーダーメード集計なり、法人情報の提供なりでそれと合わせて分析をしたいという研究目的があれば、かつ必要な条件を満たしておられるのであれば、それを合わせて提供し研究していただくことはできます。
 以上です。
○田中座長 石井構成員、いかがですか。
○石井構成員 ありがとうございました。
 1つだけ、そういうことになるとかかりつけ医機能報告とか医療機関機能報告などというものが出てくるとやはりつながるというイメージになりますかということだけ追加でお聞きしました。
○桑原室長 現時点でまずそこまで検討していないことと、あとは病床機能報告、外来機能報告となぜ連結できるかというと、公表情報ですので、公表情報であればこちらのMCDBと連結させたとしても問題ないだろうと考えております。公表されていないものとひもづけるとすると、そこは別途検討が必要だろうと考えております。
○田中座長 ありがとうございました。
○荒井構成員 今のところで補足させてください。
○田中座長 どうぞ。
○荒井構成員 これは2年前の報告書をつくるときに議論したところで、病床機能報告や外来機能報告は当然にIDでリンクできるようにしてあるのですが、それ以外のものも積極的にリンクして分析していくべきだというのが最初からの制度の趣旨で、その関係で報告書も最後のほうにも書いてありますけれども、医療施設調査とか、そういう統計調査との連動も図って分析していくことも想定しています。ですから、外来機能報告とか入院の機能報告だけではなくて、医療施設調査とか、その他のデータとのリンクも想定したものになっています。
○田中座長 追加の説明、ありがとうございました。
 ほかに御質問、御意見ございますか。
 今村構成員、どうぞ。
○今村構成員 今の連携の部分ですが、確かに想定という部分は出てきたと思いますが、その中で前回は病床機能報告と外来機能報告との連携というところで了解というか、この程度なので了解というふうにこちらのほうはとっているところです。想定で何でも連携をしていいというふうに取られてしまうと、それはまた先ほどお話ししている個人情報そのものですので、連携すればするほど特定の個別の個人情報がさらに大きくなっていくということになると思います。
 そこら辺は厚労省さんのほうがお答えすることになるかと思いますが、これはつなげられるものは何でもつなげていいというふうな解釈なのでしょうか。
○桑原室長 まず医療法人情報の提供をするに当たりまして、例えばその中に入っている法人名ですとか、あるいは保険医療機関番号ですとか、それを見れば明らかにその法人だと分かってしまう情報は、そこは匿名化をして医療法人情報の提供であっても提供いたします。ですので、そのデータベースをもらっただけで他の今お話が出ましたような医療施設調査でありますとか、そういうものとひもづけて分析することはできない仕組みになっております。
 今御指摘があったように、今後、病床機能報告及び外来機能報告以外に、どこまで連携先を広げていくかどうかということにつきましては、まさに先生方の御意見も踏まえて今後の検討課題というふうに認識しております。
○田中座長 という回答でしたが、今村構成員いかがでしょう。
○今村構成員 今の御回答で、荒井構成員の認識と我々の認識と少し違ったので質問させていただいたところですが、荒井構成員のほうはそれでよろしいのでしょうか。
○荒井構成員 では、私のほうから申し上げます。
 これは、医療施設調査ともリンクして分析していくことが当然想定されたものだと理解しています。もともとこの制度の創設の趣旨が、国民の税金を使って大量のお金をつくってデータベースを構築しているので、多角的に分析していかないと宝の持ち腐れになってしまう。そういうときに、そのものだけではなくて、ほかのデータとリンクして、より有効な分析ができるし、そもそもそれを前提としているからこそ経営情報自体の収集データを少なくしたという経緯があるわけです。負担感を減らすという意味も含めて、他とのリンクをするからそこは最小にしておこうという制度設計ですので、ほかのものを積極的にリンクしていくというのは当然の趣旨ですし、医療施設調査などもこうやって報告書に明記されていますので、当然やっていくことだと思っています。
○今村構成員 そこが今、明らかにこちらの提供サイドとの認識と違うわけですので、そこら辺はしっかりと厚労省さんのほうもその意見の相違の部分はしっかりと今後の議論なのかどうかを含めて明らかにされておいてください。よろしくお願いします。
○田中座長 最後は御要望でしたが。
○桑原室長 かしこまりました。
○荒井構成員 今の今村構成員のところでちょっと補足しておいたほうがいいかと思ったのですが、この医療施設調査とリンクして分析するという話は必ずしも外部に出して分析するということではなくて、厚労省自体がやっていく。それで、国民に知らせていくというところにおいて特にこれをリンクしてやっていくべきだということ、特にそちらのほうにメインはあるかと思います。
○田中座長 ありがとうございました。厚労省の責務であるという御指摘ですね。
 先ほど北山構成員が言われたことは私もちょっと気になっていたのですが、オンサイトのところで元のデータはそこに押さえられてもいいかもしれませんが、中間的なものというのはどういうふうに扱うのでしょうか。例えば、科研費を使った研究というのは数か月にわたるのですが、そのときずっとオンサイトに居続けるわけにはいかないですよね。どの段階ならば持ち出すというか、中間的なものならば持っていっていいというのはあるのでしょうか。
○桑原室長 ありがとうございます。
 我々も先行しているNBD、レセプトデータベースのオンサイトセンターを見学に行ったのですけれども、まずデータはNDBのオンサイトセンターの中でしか使えない。そうすると、おっしゃったようにずっとその中で完結していたら、要は外に研究成果も出せないわけです。
 確認しているところによると、やはり識別できてしまうような段階では途中で持ち出すことはできない。ですから、当然その中にちゃんとデータを保存できるようなPCなりシステムなりがあって、途中であればずっとそこの中に保存したままで置いて作業を進める。ある程度それがまとまって、この内容であれば外に出ても大丈夫だということになって外に持ち出すことができるようになるという仕組みだったと聞いております。
○田中座長 最終アウトプットに至る途中で、もう識別できないような加工がなされた論文の原稿とかになれば持ち出しても構わないというふうに運営されているということですね。
○桑原室長 はい。
○田中座長 説明、ありがとうございました。
 他に御指摘、御意見ございませんか。一わたりよろしいですか。
 ないようでしたら、本日はここまでといたしますが、よろしいですね。
 では、事務局から最後に説明をお願いします。
○桑原室長 次回の検討会につきましては、12月20日金曜日13時からを予定しておりますので、詳細が決まり次第、追って御連絡させていただきます。
 以上でございます。
○田中座長 では、本日の検討会はここまでといたします。皆様、それぞれ重要なポイントを御指摘いただき、誠にありがとうございました。

 

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