第7回新たな地域医療構想等に関する検討会:議事録

○日時

令和6年8月26日(月) 14:00~16:00

○場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア 8F会議室
東京都千代田区内幸町2-2-3 日比谷国際ビル8階

○議事

○淺野課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから第7回「新たな地域医療構想等に関する検討会」を開会いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
 本日は、対面及びオンラインによる開催とさせていただいております。
 オンラインでの参加に係る留意事項につきましては、事前に送付しております「オンライン参加の留意事項について」を御覧ください。
 続きまして、議事に入る前に資料の確認をさせていただきます。事前に議事次第、構成員名簿、省庁関係出席者名簿のほか、資料1を配付いたしましたので、お手元に準備いただきますようお願いいたします。
 本日は、土居構成員から御欠席である旨を御連絡いただいております。
 また、事務局におきまして人事異動があり、新たに森光医政局長などが着任しております。お手元の事務局名簿に反映しておりますので、御紹介させていただきます。
 また、オブザーバーとして、総務省自治財政局準公営企業室の八矢準公営企業室長、文部科学省高等教育局医学教育課の堀岡企画官に御出席いただいております。
 冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまででお願いいたします。
(カメラ撮り終了)
○淺野課長補佐 それでは、以降の進行は遠藤座長にお願いいたします。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 皆様、こんにちは。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、早速議事に入らせていただきます。
 本日の議題は「新たな地域医療構想を通じて目指すべき医療について」でございます。
 それでは、事務局より資料の説明をお願いしたいと思います。
○高宮参事官 医療提供体制改革担当の参事官です。
 私から資料1を用いまして説明いたします。
 6月21日の検討会で論点をお示しして、総論的な議論を少ししていただいたところです。検討会につきまして少し間が空きましたが、この間、事務局で85歳以上の高齢者の増加による医療の内容の変化、課題などのデータ分析を行ってきました。本日は、もう一度総論として2040年頃を見据えた85歳以上の高齢者の増加を踏まえ目指す医療の方向性、それから新たな地域医療構想の基本的な考え方などを議論いただきたいと考えています。その後、9月の検討会から各論の議論を進めていきたいと考えています。
 今回の資料の項目、1つ目は「2040年頃の医療をとりまく状況と課題」、それから「これまでの地域医療構想」「2040年頃を見据えた目指すべき医療」という項目立てにしています。
 最初の3ページから「2040年頃の医療をとりまく状況と課題」です。これまでの検討会の資料、それから新たなデータの資料を追加しているものになります。
 4ページ、これはこれまでの検討会でもお出ししているデータになります。2040年には85歳以上人口を中心とした高齢化、それから生産年齢人口の減少が見られる、地域ごとに見ると、生産年齢人口はほぼ全ての地域で減少、高齢人口は大都市部では増加、過疎地域では減少、地方都市部では高齢人口が増加する地域と減少する地域それぞれあるということです。
 5ページ、これはこれまでの検討会の資料になります。85歳以上の増加に伴って医療と介護の複合ニーズを持つ方が一層多くなるということです。
 6ページ、こちらは新しい資料になります。85歳以上の高齢者が増加することによって、左側の下側にある救急搬送が増加をするということです。1か月当たり51万人という救急搬送件数が2040年には56万人に増加、特に濃い赤色の85歳以上が75%増加をするということです。これに対してどう対応するかが課題になってくると考えています。右側、在宅医療需要の増加、こちらも特に85歳以上で増加が見込まれるということです。
 7ページ、こちらは先ほどの前のページの左側、高齢者の救急搬送に関連する資料をつけています。消防庁のデータで2010年と2022年の救急搬送人員の比較になります。高齢者の人口増加に伴い、高齢者の救急搬送が増えるが、その中でも軽症・中等症の救急搬送が増加をしているという資料になります。
 8ページ、こちらは新しい資料です。左側、これも消防庁のデータで事故発生場所別の搬送人員の内訳です。オレンジ色になっていますが、老人ホーム、特養や有料老人ホームなどですが、こういう老人ホームからの搬送が現在45万人になっていると。これを右側、年齢階級別で2040年まで延ばすと67万人に増加をする、特にこれも濃い赤色で85歳以上が増加をするということです。介護施設あるいは特養、有料老人ホームなどからの救急搬送にどう対応するかが課題になると考えています。
 9ページ、こちらは中医協の資料になります。在宅要介護高齢者の要介護度悪化の要因として、上の四角ですが、一般病院への入院が要介護度を悪化させる要因となることが報告をされている。右側の表で下から2つ目、一般病院入院の是非が2.72で高くなっているということです。疾患によるADLの低下もあるが、適切なリハビリあるいは退院支援等も課題になっているということだと考えています。
 10ページ、これも中医協の資料になります。入院料ごとのリハビリの平均提供単位数、それぞれの入院料でそれぞればらつきがあるということです。
 11ページ、今度は入退院支援加算の対象者における「退院困難な要因」になります。下のほうの赤い線で囲っているところです。退院後の生活様式の再編が必要、退院支援が必要という回答がそれぞれの入院料で高い回答になっています。
 12ページから、今度は在宅医療に関連する資料をおつけしています。下のほうの左側、まず在宅医療の提供体制として訪問診療を行う診療所の数です。近年2万診療所ぐらいで横ばいという状況です。その下の訪問診療を行う病院の数は令和2年度に2,973病院で、近年増加傾向ということです。右側、在宅医療の需要です。2040年にかけて訪問診療の需要の変化率別に二次医療圏数を分析したものになります。左側の赤いグラフ、これが減少する医療圏で、23医療圏が訪問診療の需要が減少するということですが、それ以外の医療圏では増加をするということです。
 その次の13ページ、人口規模別に訪問診療の需要の変化状況を分析しています。一番左が人口規模5万人未満の市区町村で、249市区町村で訪問診療の需要が減少、高齢者も減少するような市区町村では訪問診療の需要も減少するということだと思います。ここ以外の市区町村においては訪問診療の需要が増加をするということです。特に真ん中のグラフの人口規模5万人以上50万人未満、それから一番右側の50万人以上の市区町村においては、50%以上訪問診療の需要が増加をするという市区町村が大半になっています。
 14ページ、医療機関当たりの平均訪問患者数、看護職員1人当たりの平均訪問回数をお示ししています。医療機関職員当たりの訪問できる患者数には限りがあるということです。
 15ページ、話は替わりますが、病院の経営状況の資料をおつけしています。一番左、一般病院の費用構造を見ると、医業・介護収益に占める給与費の比率が57%を占めているということです。真ん中のグラフ、病床利用率は近年低下傾向が続いているということです。一番右ですが、このような中、一般病院などの医業利益率は低下をしているということです。
 16ページ、2040年にかけて診療領域別の手術件数の変化を分析したものです。多くの医療資源を要する医療について、2040年にかけて全ての診療領域において、半数以上の構想区域で手術件数が少なくなる見込みということです。
 17ページ、外来です。外来についてはこれまでの検討会の資料をつけています。全国で外来患者数は2025年にピークを迎える見込みで、地域別に見ると既に2020年までに224の医療圏ではピークを迎えているということです。
 18ページから、医療従事者に関連する資料をつけています。これまでの検討会の資料です。日本全体で就業者数が大きく減少する中で、医療・福祉職種の人材の確保がますます厳しくなるということです。
 19ページ、医師偏在指標をつけています。医師の地域偏在があるということです。
 20ページ、診療科別の医師数の推移、医師の診療科偏在というものが指摘をされているということです。
 21ページ、診療科別の時間外・休日労働時間数になります。外科あるいは脳神経外科などで時間外・休日労働時間数が多いということです。
 22ページ、こちらから診療所の数の変化の状況の資料をおつけしています。人口規模別の二次医療圏、5万人未満や10万人未満の二次医療圏、それから一番下で100万人以上の二次医療圏に分けて診療所の増減を分析しています。上のほうの5万人未満、5万人以上10万人未満の二次医療圏では診療所数が減少している二次医療圏が多く、下のほうの50万人以上あるいは100万人以上の二次医療圏では診療所が増加をしている二次医療圏が多い傾向にあります。
 23ページ、それを人口20万人未満の二次医療圏と人口50万人以上の二次医療圏に分けた分析をしているものです。20万人未満の二次医療圏では減少している二次医療圏が多い、50万人以上の二次医療圏では増加をしている二次医療圏が多いということについて、診療所数の実数でも併せてお示しをしています。
 24ページ、診療所医師の年齢階級別の分布です。診療所の医師は過半数が60代以上、人口20万人未満の二次医療圏では60代以上の医師が60%以上を占める状況です。
 25ページ、地域差です。これまでの検討会でもお示しをしてきていますが、2040年にかけて大都市部では85歳以上を中心に医療需要が増加する見込み、過疎地域では生産年齢人口の減少も大きく医療需要が減少する見込みということです。
 26ページ、これまでの資料を文章にしたものです。説明は省略をいたします。
 27ページから、これまでの地域医療構想の評価と課題をまとめたものになります。
 28ページ以降、しばらく制度の概要資料がついています。地域医療構想の概要、病床機能報告の概要、支援策の概要、基金、重点支援区域、権限などの概要資料をつけています。
 35ページ、2023年度の病床機能報告の速報値になります。2023年合計の病床数が119.3万床で、一番右側の2025年の病床の必要量合計119.1万床とほぼ同じ水準になっているということです。また、機能別に見ると、急性期の病床が2015年に比べると減少をしている、回復期の病床が増加をしている、慢性期の病床が減少している、方向性としては病床の必要量の方向に進捗をしているということです。ただし、機能別に必要量との数字の差異はあるという指摘がされている状況です。
 36ページ、現行の地域医療構想の評価ということでおつけをしています。上のほうの四角の1つ目のポツです。現行の地域医療構想において病床の機能分化・連携を進めない場合は、高齢化により2025年時点で152万床程度の病床が必要と推計をされていました。こちらを地域医療構想で①、②、③の取組を進めることによって、119万床程度に抑えるという目標としてきています。
 今回この①、②、③のそれぞれの取組の状況について、足元の診療実績に基づくデータで2025年時点を推計して比較をしてみたというものになります。1つ目、一般病床のC3基準、回復期の基準未満の医療資源投入量の患者です。もともとの現行の地域医療構想では在宅医療などの医療需要、こちらに移行する見込みを立てていました。もともと11.8万床と推計をしていたものが、足元の診療実績のデータからは4.3万床に減少している、64%減となっています。2つ目、療養病床の医療区分1の患者の70%、こちらも在宅医療等の医療需要としてそちらに移行することを見込んでいます。もともと12.5万床と推計していましたが、足元の診療実績のデータでは3万床に減少、76%減になっています。3つ目の療養病床地域差解消の取組、この地域差解消をどう見るか難しいところはありますが、医療区分1以外の慢性期病床の減少の数、もともと11.9万床と見込んでいました。これが足元のデータからは11.3万床の減少となっている状況です。おおむね取組の推計した数値に合っているという状況になります。
 37ページ、これまでの地域医療構想のまとめを書いています。上のこれまでの取組は概要を説明したもの、真ん中の評価で病床の機能分化・連携を進めない場合には152万床程度必要と推計されたものを119.1万床とする目標としていると。病床機能報告の病床数、2023年には119.3万床になり、全体として同程度の水準になっている。機能別に見ても、急性期が減少、回復期増加、慢性期が減少するなど、全体としての進捗が認められる。
 他方で、課題として、依然として構想区域ごと、機能ごとに必要量との差異が生じている中で、さらなる取組が求められていると。また、この仕組みについてこれまで以下のような指摘もなされています。1つ目、病床機能報告制度において、高度急性期と急性期あるいは急性期と回復期の違いが分かりづらい、また将来の病床の必要量と基準病床数との関係が分かりづらい。2つ目、病床数に着目した議論をしてきたため、医療機関の役割分担・連携の推進につながりにくい。3つ目が、病床数の必要量の議論が中心となり、将来のあるべき医療提供体制の実現に向けた議論が十分なされたとは言い難いということです。
 38ページ、「2040年頃を見据えた目指すべき医療」の資料になります。
 39ページ、昨年3月に医療介護総合確保指針の改正をしています。その総合確保指針の別添として、ポスト2025年の医療・介護提供体制の姿というものをまとめています。上のほうの四角ですが、実現が期待される医療・介護提供体制の姿を関係者が共有した上でバックキャストで進めていくということ、限りある人材で増大する医療・介護ニーズを支えていくため、医療・介護提供体制の最適化・効率化を図っていくこと。
 それから、下のほうに3つの柱を示しています。1つ目は、必要なときに「治し、支える」医療、個別ニーズに寄り添った介護が地域で完結して受けられる。2つ目が、地域に健康・医療・介護等に関して必要なときに相談できる専門職連携が確保される。3つ目が、情報基盤の整備により、自らの情報を基に、適切な医療・介護を効果的・効率的に受けられるということです。
 これらを踏まえて、40ページで目指すべき医療提供体制の基本的な考え方の案を整理しています。85歳以上の高齢者の増加、人口減少がさらに進む2040年以降においても、全ての地域・全ての世代の患者が、適切な医療・介護を受け、必要に応じ入院、日常生活に戻ることができる。同時に、医療従事者も持続可能な働き方を確保できる医療提供体制を実現する。このため、入院だけでなく、外来・在宅、介護連携などを含め、地域における長期的に共有すべき医療提供体制のあるべき姿・目標として、地域医療構想を位置づける。人口、医療需要の変化に柔軟に対応できるよう、構想区域、調整会議の在り方などを見直す。医療・介護関係者、都道府県、市区町村などが連携し、限りある医療資源を最適化・効率化しながら、「治す医療」を担う医療機関と「治し、支える医療」を担う医療機関の役割分担を明確化、「地域完結型」の医療・介護提供体制を構築する。
 「具体的には」ということで、4つ挙げています。高齢者救急への対応、軽症・中等症を中心とした高齢者の救急の受入体制を強化する、入院早期からリハビリを適切に提供し、早期に生活の場に戻ることを目指す、日頃から在宅、高齢者施設等と地域の医療機関の連携、かかりつけ医機能の発揮などを通じ、救急搬送、状態悪化の減少等が図られるよう、在宅、高齢者施設等を含む対応力の強化を目指す。2つ目、在宅医療になります。現行の構想区域よりも小さい単位で、地域の医療機関の連携による24時間の在宅医療の提供体制の構築、オンライン診療の活用、介護連携など、在宅医療の体制強化を目指す、外来医療について、かかりつけ医機能を発揮して必要な医療提供を行う体制を目指す。3つ目、医療の質、マンパワーの確保のためということで、手術等が減少し、病床の稼働率の低下による医療機関の経営への影響が見込まれる中、一定の症例、医師を集約して、医師の修練、働き方改革を推進しつつ、高度な医療・救急を提供する体制の構築を目指す。一番下については、特に過疎地域において、人口減少、医療従事者の不足が顕著となる中で、地域で不可欠な医療機能について、拠点となる医療機関からの医師派遣、巡回診療、ICT等を活用し、機能維持を目指すということです。
 最後、41ページ、新たな地域医療構想の基本的な方向性の案として、上のほうの四角ではこれまでも言ってきた内容を書いています。病床を中心とした地域医療構想をバージョンアップする、2040年頃、さらにその先も見据え、入院だけでなく外来・在宅・介護連携等を含む医療提供体制全体の新たな構想を策定すると。その下で、現行の病床の機能分化・連携から、新たな地域医療構想で医療提供体制全体の課題解決を図るための構想にしていくということ。
 その下、基本的な考え方を3つ挙げています。1つ目は、地域の患者・要介護者を支えられる地域全体を俯瞰した構想、特に高齢者救急、在宅医療など、2040年頃を見据えた課題に対応するための医療提供体制全体の地域医療構想の策定をする。2つ目は、医療機関機能に着目した医療提供体制の構築、病床機能だけでなく、急性期医療の提供、高齢者救急の受皿、在宅医療提供の拠点など、医療機関の役割も踏まえた医療提供体制を構築する。3つ目は、限られたマンパワーにおけるより効率的な医療提供の実現ということで、医療DX、働き方改革、医療・介護の連携強化などを通じて持続可能な医療提供体制モデルを確立するということで、方向性の案をお示ししています。本日、総論的な御意見をいただいた上で、9月から各論の議論を進めていきたいと考えています。
 資料の説明、以上になります。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの報告をお聞きして、御質問、御意見があれば承りたいと思います。
 今村構成員、お願いいたします。
○今村構成員 今村です。
 壮大な全体の内容をうまくまとめていただいていると思いました。
 3つほど意見を申し上げたいと思います。
 まず、資料で出ています15ページですけれども、病床の利用率の低下が続いているということで言い切っていますけれども、少なくとも2020年から2022年はコロナの影響を受けているので、この傾向が本当かどうかは定かではないと思います。また、収支もあれだけ大きな変化があった中のものなので、少なくともこの2020年から2022年までの傾向を全体の傾向として捉えるのは非常に危険だと思いますので、そこら辺をミスリードがないようにぜひしていただきたいというのが1つ目であります。
 2つ目として、36ページに今回の医療構想の総括の資料を載せていただいています。これは非常にいい資料だと思っております。医療構想が立ち上がったときに、30万人ほど病院以外で診ていただくことが本当にできるのかが最大のテーマだったわけですけれども、少なくとも医療区分1の人の7割を減らすのは事実上難しいのではないかという中で、今回70%以上の減少ということで、これは医療界と介護界の大変な努力の成果だと思いますし、この医療構想が全体に構想どおりうまくいったことをもう少し声高らかに言っていただいていいのではないかと思っております。
 3つ目、最後ですけれども、目指すべき医療体制の基本的な考え方、40ページですけれども、方向としては賛成です。その中で矢羽根の上から2つ目、在宅医療に関して、現行の医療構想よりより小さな単位でということで、これは非常に重要なポイントだと思います。特に介護に関しては地域医師会との連携は非常に重要なポイントだと思いますので、私はこの小さな単位は市町村単位ではなくて郡市区医師会の単位で行うのが一番適切ではないかと思っております。
 以上の3点、もし事務局から回答があればお願いします。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 何か事務局でコメントがあればいただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○高宮参事官 御指摘ありがとうございます。
 いただいた御指摘、病床利用率あるいは医業利益率についてコロナの影響が2020年以降あるというのはそのとおりですので、それらも踏まえて勘案して議論をしていきたいと考えています。
 以上になります。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかに御意見等はございますでしょうか。
 岡構成員、どうぞ。
○岡構成員 まず、9ページの一般病院への入院が要介護度悪化の重要な要因というところなのですけれども、これは要するに10:1以上の急性期病院は高齢者のいろいろな方が入院してきます。例えば心筋梗塞であれば早期にリハしてADLは低下しないのですけれども、今は急性期病院でも体動困難、誤嚥性肺炎などそういう方が来ると、どうしてもADLはリハをしても落ちてしまうのですね。ほかの病院と比べると、例えば回リハや地ケアは落ちてきても上がりそうな人はその時点で急性期病院から転院するので、そこの病院はADLは上がると思うのです。あるいは慢性期でも介護度5で変わらない人はそこで変わらないと。つまり、急性期病院はいろいろな人を受け入れているので、これは一概に一般病院へ入院したら要介護度が悪化すると言われてしまうと、なかなか厳しいかと。そこはいろいろなパターンの入院がどうしても最初の入り口は10:1あるいは7:1の急性期病院は入ってきますので、恐らくこれはオッズ比で見ているので、地ケアや回リハはもしかしたらオッズ比1を切っているかもしれない。でも、それは上がりかけた患者さんが転院してきていますので、このデータの見せ方はどうかと。
 それから、今回大事なのは85歳以上の方が増えるということで、訪問診療が非常に肝になってきますね。その中で12ページ、在宅医療の提供が診療所はほぼ変わっていないと。ただ、診療所にかなり多くの在宅医療を担っていただいている、そこは変わっていなくて、病院は増えているといってもそんなに多くないので、全体的に見ると在宅医療の提供体制があまり増えていない状況が重要なことと、もう一個、13ページで人口5万人以上あるいは50万人以上は今後訪問診療の需要が物すごく増えるとあって、逆に5万人未満は減少もあると。これはあくまで需要で見ていると思うのです。ところが、医療提供体制で見ると、これはページが飛んで非常に分かりにくかったのですけれども、22ページですね。これを見ると、つまり在宅を担っている診療所が5万人未満のところはむしろ今後減っていくと。しかも、24ページの年齢で見ると、5万人未満のところは60代以上の方がやっていると。これはうちの地域でもあったのですけれども、日常生活圏で本当に1個しかない診療所の先生、もう70歳以上で何とか1年延ばしてやってもらってと。つまり、このデータは需要から見ると5万人以上は増えていくけれども、でも提供体制で見るとトータルで見るとどっちが厳しいのかが見にくいのです。だから、ここを切り離して出しているというか、ページ数が飛ぶのもどうかと思ったので、ここは連続して見せないと今後それぞれの地域はどうなるかが見えないので、そこをどう考えるか。在宅の面では地域ごとに需要と供給が全く違う、要するに100%裏返しになっているのです。それをどう見せるかをぜひ検討していただくとありがたいかと思いました。
 これは大したことではないですけれども、7ページの2010年と2022年の救急搬送のデータ、ずっと85歳以上が重要と議論しておきながら、ここだけ高齢者が65歳以上なのですね。これだと見にくいところがあるので、65歳から75歳は医療資源も相当投入できる人たちの救急搬送も結構多いのです。ですから、これは総務省の消防庁のデータなのでそう難しくないと思うのですけれども、ここだけ65歳以上というのは違和感があるので、ぜひそこは85歳など、そのように出していただくとより見やすいかと思いました。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 事務局、何かコメントはありますか。なければ結構ですけれども、よろしいですか。
 それでは、御意見として承りました。ありがとうございます。
 ほかにいかがでございましょうか。
 では、河本構成員、お願いいたします。
○河本構成員 ありがとうございます。
 まず、40ページの基本的な考え方、41ページの基本的な方向性、これにつきましては、特段異論はございません。
 その上で、改めて何点かコメントさせていただきたいと思いますけれども、まず総論的なコメントになりますけれども、新たな地域医療構想、これはかかりつけ医機能をはじめとして外来医療や在宅医療あるいは介護との連携まで射程を広げているわけで、言わば2040年に向けての我が国の医療提供体制のグランドデザインと言っても過言ではない、そういった存在だと思います。資料にもあるように、医療需要が大きく変化をして、またその地域差も拡大するという中で、医療・介護人材の不足あるいはその保険診療を支える財政基盤にも限界があることも踏まえて、医療機関のさらなる機能分化・強化、それと連携、これを推進することによって最適な医療が過不足なく効率的に提供されるようにしていただくことが絶対に必要だと考えております。
 次に、個別の課題についてコメントしたいと思います。資料の6ページから11ページにございますとおり、高齢者救急の増加、これに対応することは今後ますます重要になってまいりますけれども、主に増加するのは軽症や中等症の高齢者ということですので、地域の二次救急体制をしっかり構築することですとか、入院中に要介護度やADLが悪化しないように早期からリハビリテーションあるいは栄養管理、これを一体的に提供できるように地域包括ケア病棟あるいは新設された地域包括医療病棟の役割を発揮していくことが必要だと考えております。
 また、6ページと12ページから14ページを見ますと、都市部を中心に在宅医療のニーズが増加し続けることが想定されております。診療所による訪問診療あるいは訪問看護ステーション、こういったところからのサービス供給量を増やすことが必要になるわけですけれども、1か所の施設あるいは1人の職員で訪問できる患者数は限りがございますので、施設同士の連携あるいは施設そのものの大規模化、こういったことを進めて効率化を図ることが重要だと考えます。
 入院については、15ページ、16ページを見ますと病床利用率が右肩下がりの状況にある、さらに2040年にかけて多くの医療資源を必要とする手術が半数以上の構想区域で減少するといった見通しになっております。医療資源が散在しないように急性期の病床を重点化することが、医療機関の収益性の観点からも今後ますます重要になるのかと考えております。
 外来については、17ページ以降にございますけれども、既に減少局面にある医療圏が多いですし、全国的にも2025年以降にピークアウトするということでございますけれども、診療所の医師の地域偏在あるいは診療科偏在を是正しながら、特に人口の少ない地域でプライマリーケアを維持していく必要があると思います。来年度から開始されるかかりつけ医機能報告、これを活用するとともに、他の施策と組み合わせて地域医療構想の中で過不足のない外来医療の提供体制、これを確保することが重要だと考えております。
 最後に、事務局に対するお願いですけれども、今後の議論を進めるに当たって、資料の36ページにもありますように現行の地域医療構想の効果、これを少し多角的に分析するといったことも必要だと思います。事務局にはそういった点も踏まえて各論の検討、資料の御準備をお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 事務局へのお願いもありましたが、事務局、何かコメントはございますか。
○高宮参事官 また御意見をいただきながら、資料を準備して議論いただこうと思っています。
○遠藤座長 よろしくお願いします。
 それでは、大屋構成員、お願いいたします。
○大屋構成員 どうもありがとうございます。
 全般的に非常によくまとめていただいていて、課題が1つずつ分かりやすくなっております。今後の議論がこれで進むのではないかと思って、大変よい資料をつくっていただきました。ありがとうございます。
 私からは医療者の育成というところで発言をさせていただきますけれども、私は大学病院におりますので、また地域で医師会等でもいろいろ議論しているのですけれども、どこの地域でどのような仕事をしてもらうかに関しましては、長い、長いといっても何十年というわけではないのですけれども、それなりの期間があって初めて医師がその方向へ向かって定着していくことになりますので、確かに地域包括ケア病棟、地域包括ケアの病院などをつくっていくにしても、そこでどういう能力を持っている人がどのように働くのかをしっかり見せていかないと、勉強してそっちに行こうという医師も出てこないわけですね。全般的に病棟はこうなるということが見えてきているのですけれども、そこでこのような働きをするというところまである程度方向性が見えた段階で示していただくと、学校の大学の教育なり、初期研修なり、その後の様々な専門医の選択のところで見えてくるのかと思いますので、一つ一つ早め早めに御提示いただけると助かりますということが1点目でございます。
 2点目になるのですけれども、これは少しメッセージとして分かりづらいのであえて御質問させていただくのですけれども、確かに診療所で働く先生方の高齢化が進んでいることもあり、地方の人口の少ないところでは診療所も減ってくることも分かりますので、在宅医療を担う医療施設はどういうところなのかというところで、今のこのメッセージをそのまま取ると、診療所はこれ以上増えないので地域の病院にもっと在宅医療に関わってほしいというメッセージになっているのか、または都会の病院で働いている人たちが地域に行って開業して在宅をしなさいと言っているのかが見えないと思って、その両方をやらないといけないと思うのですけれども、その際にも自分の仕事を移していくことになるので、ある程度の方向性が見えますと分かりやすいということがございます。
 私からのコメントは以上となります。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 事務局、最後の問題について何かコメントはございますか。
○高宮参事官 在宅医療を行う施設についてどういうところが考えられるかということでした。現在の診療所においても在宅医療を提供していただいている診療所は2万ございます。近年横ばいにはなっていますが、また2040年に向けてかかりつけ医機能報告なども活用して地域で協議を行うことによってその裾野を広げるという検討ですとか、その際、診療所ではなかなか24時間の在宅医療、夜中の在宅医療、全て賄うのは難しいところもございますので、そういうところは地域の医療機関にも役割を担っていただくということで、地域で検討していただくことが必要になってくるかということを考えています。また地域医療構想、在宅のところで議論いただきたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
○大屋構成員 ありがとうございました。
○遠藤座長 それでは、会場に移りましょうか。会場でどなたかお手をお挙げになる方はいらっしゃいますか。
 それでは、猪口構成員、お願いします。
○猪口構成員 ありがとうございます。
 私からも在宅医療の提供について教えていただきたいことがあります。12ページで在宅医療の需要が増すと。これは間違いないことなのですけれども、24ページでは診療所の数もあまり増えなく、高齢化が進んでいくことが示されています。ただ、これは地域によって大分違うのではないかという気がしております。例えば都会で見ると、今は在宅専門の診療所が乱立していて、十分過ぎるぐらい在宅医療の担い手、少なくとも診療所に関しては医師の数も十分いるのではないか。ところが、地方に行くと、在宅医療専門の診療所はまず見られない。そうすると、そこで数少ない診療所の先生方が在宅も診なくてはいけないことになるので、かなり厳しい現実もあろうかと思います。
 それから、在宅医療と一言で言っても、いわゆる自宅の在宅医療に行くことと施設系の在宅では医療提供の方法が全く違いますので、このような資料も出していかないと地域別の診断がなかなか難しいのではないかと思います。このような調査をやった上で、これは地域によって大分異なりますのでパターン化できるかどうか分かりませんが、地域の調査・診断をしっかりやらないと進まないのではないかと思います。
 また資料にはありませんが、ACPの問題が非常に重要だと考えています。ACPが言葉としては大分広がっているのですけれども、どれぐらい確実な方法として実施されているのか、また医師が常駐していない特養等の施設でどこまで浸透しているかが、今後85歳以上の方が増えた場合には非常に重要なポイントだと思いますので、ぜひそのこともどこかに記載していただけたらと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、会場でどなたかいらっしゃいますか。
 吉川構成員、お願いします。
○吉川構成員 ありがとうございます。
 今回お示しいただきました目指すべき医療提供体制の基本的な考え方につきましては、特に異論ございません。
 その上で、40ページまた41ページにお示しいただいております今後の具体的な議論に関しまして、4点意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、高齢者の救急への対応についてです。資料にありますように、早期に生活の場に戻ることを目指した入院医療の提供はとても重要なことですが、同時に日頃から救急搬送や状態悪化に至らない支援が非常に重要になるかと思います。そのためには高齢者施設の対応力がきちんと強化されていなければいけないと考えます。日本看護協会が行った実証事業におきまして、病院所属の認定看護師が直接高齢者施設へ出向いてケアの提供や、相談支援をした結果、誤嚥性肺炎での入院が減った、今までケアが実施できないため介護施設で受け入れることができなかった患者の受入れができるようになったといった結果が明らかとなりました。高齢者施設の対応力の強化は、救急搬送にも関係すると思いますので、非常に重要な視点と考えます。
 また救急外来では、資料にもありますように軽症者や中等者は受診後帰宅します。その場合、帰宅する高齢患者に対して、帰宅した後安心して生活を送ることができることと、再度救急外来を受診するようなことがないよう、救急外来の看護職は療養支援や生活への支援、地域の多職種との連携、介護サービスへのつなぎ等を行っています。こういったことを可能にするような提供体制の構築についても検討が重要と考えます。
 2つ目は、在宅医療提供体制の構築についてです。在宅において必要な医療を提供していくため、地域の医療機関また訪問看護ステーション、看多機、介護保険施設、薬局等の役割をきちんと整理して、地域全体での提供体制の構築に向けた具体的な方策の検討をさらに進めていただければと思っております。
 3つ目は、医療の質の向上とマンパワーの確保についてです。在宅医療の需要は増大しますが、地域の人々の医療提供の中核となってくるであろう中小規模の病院では、看護職の確保が非常に厳しくなっており、また医療の質の向上をしなければいけないという点で重要な、看護職の育成に向けた教育体制の整備も非常に厳しい状況となっております。既に地域の公立病院、特定機能病院、また地域医療支援病院の看護管理者が地域の中小規模の病院の看護管理者と連携し、看護職育成のための出向体制を整備したり、認定看護師や専門看護師が出向き研修を行うといった取組が行われております。それ以外にも行政と教育機関、県の看護協会が連携して、県全体での育成体制を検討する取組も行われています。、中小規模の病院や訪問看護ステーションにおける看護職の確保は非常に厳しいことから、大学病院や大きな病院で確保・育成し、地域の病院や訪問看護ステーションと連携して派遣していくような体制の検討も議論していただきたいと考えております。
 最後に、過疎地域の医療についてです。過疎地域では移動手段の確保等の問題から、医療機関にアクセスできない高齢者が増加しています。また治療中断によって重症化に至るケースが出てきています。現在、医療MaaSの実証事業などをはじめ、医療機能の維持に向けた様々な取組が進められておりますが、地域の生活を支えて暮らし続けるためには、生活の視点を踏まえた支援、また相談機能が非常に重要になるかと思います。医療MaaSにおいては看護職が同乗し、実際に巡回してD to P with Nが行われていますが、これから必要な医療機能の維持のためにも巡回診療、ICTの活用について、引き続き詳細に検討していただきたいと考えております。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。御意見として承りました。
 あとお二方ぐらい会場でと思います。
 高橋委員、どうぞ。
○高橋構成員 どうもありがとうございます。
 非常に面白い資料で、感心して見せていただきました。
 次回に向けてというか、まず15ページの病床の利用率等の推移、2022年までしか出ておりませんで、一生懸命2023年以降どうなっているかというデータを私自身も個人的に集めていて、あまり上がっていないという感じでしたけれども、全国的にどうなっているかといういいデータがない。ここの動向が非常に大きい形のままのデータですとかなりずれている感じがするので、2023年の動向が分かるデータをぜひ次回以降提示していただけたら非常にありがたいというのが事務局に対する要望であります。
 36ページ、これも非常に面白いデータで、例えば医療区分1の患者さんが76%減りましたと出ているのですけれども、どこに行ったのだろうという話が非常に不思議で、これがこれから先どう考えるかの鍵になると思います。私もこの問題は個人的にナショナルデータベースなどの公表データなどを使って自分で追える範囲を追っているのですけれども、今村構成員が前々回だったと思いますけれども、お話しされていた超過死亡が増えているというのは22、23であって、その影響は確実に出ていると思うのですけれども、それだけではとても説明し切れないと。私が調べている感じのデータで次々回以降また発表したいと思うのですけれども、在宅死亡の比率を2015年と2023年を比較しますと、ほとんど全都道府県で倍増しているのです。家で亡くなる方が非常に増えてきて、それも間違いなくここに効いている。それから、特養のデータなのですけれども、特養などでも入所の年齢が非常に上がって平均年齢がすごく上がってきて、要は元気な期間を得て入らない人が増えてきていると。高齢者の変化が非常に大きいなと。これもまた全体像、病院の場合のデータはそろっていないのですけれども、傾向としては間違いなくそういうものがある。そういうトレンドを織り込んで今後の予測をしていかないといけないということで、どこに行ってしまったのか、どうなったのか、ここをもう少し深掘りすることが非常に重要ではないかということをこれを見ながら考えたということであります。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 事務局に対する御要望もあったかと思いますけれども、何かコメントがあればお願いします。
○高宮参事官 病床利用率のデータなど、今、取れるデータでどこまで出せるかということはありますので、調べて確認した上で出せるものについては出していく、御議論いただきたいと思います。
○遠藤座長 よろしくお願いします。
 それでは、オンラインに戻りたいと思います。
 お待たせいたしました。東委員、どうぞ。
○東構成員 全老健の東でございます。
 まず、総論ですが、資料1の41ページに「新たな地域医療構想の基本的な方向性(案)」が示されております。このページの下の青字にあるように「地域の患者・要介護者を支えられる地域全体を俯瞰した構想」等、3つにまとめられております。ほかの委員からも意見がございましたが、私も大変いいまとめ方になっているのではないかと感心しております。今後各論の議論をしていく上で、この3つが非常に重要なキーワードになると思います。事務局におかれましては、本当に御苦労さまでございました。
 次に、各論に行かせていただきます。まず、資料1の11ページに「入院料別の入退院支援加算の対象者における「退院困難な要因」」の一覧が出ております。このページの上の四角で囲んである中に、「回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟では「入院前に比べADLが低下し、退院後の生活様式の再編が必要であること」の割合が高かった」という記載がございます。さらに下の赤枠のところですが、もともとリハビリを提供してADLをよくする、改善させるはずの回復期リハビリテーションにおいて、「退院困難な要因」の中で、ADLが低下して退院が困難であったというのが51.3%もあることに少し驚いております。これには様々な要因が考えられると思いますが、認知症の合併もその大きな要因ではないかと考えています。認知症を合併しているために思うようにADLが改善しなかった事例もこの中には多く含まれるのではないでしょうか。患者を受け入れる段階で回復期リハビリの対象者にはそぐわない方を入院させていることも原因ではないかと考えます。効果が見込めない方を入院させておくことは無駄な医療費を増加させることともなりますので、例えば認知症を合併している要介護高齢者であるならば私ども老健施設に紹介する等、急性期から退院する際の適切なトリアージが、今後は非常に重要になるのではないかと考えました。
 次に、資料1の12ページから13ページにある在宅医療の需要についてです。12ページの二次医療圏毎や13ページの人口規模別で見ますと、在宅医療がかなり増加するということが書かれております。また、訪問診療を行う診療所は横ばいであるというグラフも示されております。一方、20ページの診療科別医師数の推移を見ますと、リハビリテーション科や形成外科が非常に伸びていますが、残念ながら一般訪問診療を行うような内科は平均よりも低くなっております。若い医師にとって在宅医療を担うことが魅力であるというように今後していかなければいけないかとも考えます。
 次に、資料1の22ページと24ページでございます。22ページには「人口規模別の二次医療圏毎の診療所数の変化」、また24ページには「人口規模別にみた診療所医師の年齢階級別の分布」のグラフが出されております。これは診療所全体の数字だと思われます。ぜひこのうち診療所の中で訪問診療をやっているところが人口規模別でどうなのか、年齢階層別も訪問診療をやっているところでどういうデータになるのか、もし可能であれば事務局で次回以降出していただければとお願いを申し上げます。先ほど猪口委員もおっしゃっていましたが、地域差とか、また訪問診療と一口に言っても集合住宅と居宅の違いとか、ACPの問題とか、そういうものが私も重要だと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 最後になりますが、資料1の40ページ「目指すべき医療提供体制の基本的な考え方(案)」に「具体的には」ということが真ん中ぐらいに書いております。この「具体的には」というところの一番上に、「増加する高齢者救急に対応するため、軽症・中等症を中心とした高齢者の救急の受入体制を強化する」、またその3行下に、「救急搬送や状態悪化の減少等が図られるよう、在宅や高齢者施設等を含む対応力の強化を目指す」と書いてございます。大変重要な課題ではないかと考えています。過疎地であれ、大都市であれ、今後高齢者の救急をどうするのかは非常に重要な問題であります。以前にも申し上げましたが、本人や家族が望まないような過度な医療提供がされないように、高齢者施設等での対応力の強化、これが非常に重要ではないかと考えます。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。貴重な御意見として承りました。
 それでは、山口構成員、お願いいたします。
○山口構成員 ありがとうございます。
 かなり幅広い資料を作成していただいて、どうもありがとうございました。
 1つ質問と意見を2つほどお伝えしたいと思います。
 13ページに地域別に見た訪問診療需要の変化率が書かれているのですけれども、一番左の5万人未満のところで249市町村が減少すると書かれているわけですけれども、これは本当に単純に需要が減っているというだけなのか、必要だけれどもなかなか充実できないので需要が満たせないということなのか、その辺りは気になったので教えていただきたいのが質問です。
 意見としては、40ページの目指すべき医療提供体制の基本的な考え方ということで、一番上のところの「全ての地域・全ての世代の患者が、適切な医療・介護を受け、必要に応じて入院し、日常生活に戻ることができ、同時に、医療従事者も持続可能な働き方を確保できる医療提供体制を実現する必要がある」、まさしくこれは理想だと思うのですけれども、先ほどから皆さんおっしゃっているように非常に地域差があって、実現したくてもできない地域があるのだと思います。そういうことからすると、地域ごとの可能性、本当に幾ら頑張っても無理なところは無理だということを住民に知らせていく必要も私はあるのではないかと思っておりまして、救急、在宅、訪問診療、訪問看護など、そういったことについてもう少し地域差を見ていく必要があるのではないかと思いました。
 これは以前、2015年、2025年度に向けての地域医療構想のときには、策定段階から住民が参加するというようなことがガイドラインに書かれたわけですけれども、現実にはあまり実現できていません。今回もこのたくさんの資料にあるような2040年にこうなっているのだということを具体的に国民が知る機会は実はあまりないのではないかと思います。ぎりぎりになってから伝えたのでは遅いので、今から何らかの形でどういった問題が想定できるのかや、そういったことを国民に伝えていく必要があって、さらに自分の地域のことを共に考える体制づくりが必要ではないかと思うのですけれども、その辺りは事務局はどのようにお考えなのか、お考えを聞かせていただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 1つは質問、もう一つは意見ということでありましたけれども、事務局、よろしくお願いします。
○高宮参事官 1点目、13ページの訪問診療需要の変化率のところですが、こちらの推計については、現在の提供量から需要率を出して、それを年齢階級別で2040年まで延ばしたものになります。ですから、現在の提供体制で必要な需要に対して満たせているか満たせていないかというところの評価はしないで、現在の提供量からの需要率を前提にしたものになっています。
 もう一つ、国民に対してどのような課題、あるいは地域医療構想をつくる際に国民も一緒に考えるという視点が重要という御指摘でした。こちらについて、これから地域医療構想をどう考えるかという議論をしていただいた上で、また地域医療構想をどうつくっていくかという策定をするプロセスの検討をする必要があると考えています。その中で国民の視点をどう取り込むか、国民の参画をどう取り込むかというのも考えるということかと受け止めています。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 山口構成員、よろしいですか。
○山口構成員 住民参加の意識を今まで以上にしっかりと鍛えていかないといけないと思っていますので、今後よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、お待たせいたしました。伊藤構成員、お願いいたします。
○伊藤構成員 ありがとうございます。
 私から1点お尋ねと1点要望ということでお話を申し上げたいと思います。
 まずは40ページ、41ページのところの基本的な考え方、方向性については、おおむねこれに対して異論のないところでございます。よくおまとめいただいていると思います。ただし、40ページの矢羽根の最初のところで「増加する高齢者救急に対応するため、軽症・中等症を中心とした高齢者の救急の受入体制を強化する」と表現されてございます。その軽症・中等症・重症というものの基準が、7ページに書いてございます救急隊が傷病者を医療機関に搬送し、初診時における医師の診断に基づいて分類をするということで、入院日数によって重症度が分類されているわけでございます。ただ、現場にいる者としてこれは非常に違和感を持っておりまして、例えば高齢者の急性心筋梗塞、脳梗塞など、これは血栓回収や血行再建ということで非常に高度な医療技術は要しますけれども、そういう治療を行ったところ、当然のことながら3週間も入院することはないわけでございまして、今のこの分類によると、そういう事例も重症ではないことになります。中等症という形で分類されて救急の搬送先が中等症という形で決められてしまうと、救える命が救えなくなるリスクもあることをきちんと認識をしなければいけないということで、現状の軽症・中等症・重症という分類についてより現実に即した形での高齢者重症疾患の取りこぼしのないような基準をおつくりいただくことは可能かどうか、1点目の質問でございます。
 2点目、これは意見ということなのですけれども、構成員の御意見の中にコロナの影響があったことはよく理解をしておるつもりではありますけれども、15ページにございますように、医療機関の経営の状況、特に一般の病院は大変に状況が悪うございます。これは肌感覚として非常に危機的状況にあることを実感するものでございます。民間医療機関のみならず公的な医療機関の存続も大変危うい事例も出ているところでございまして、これはコロナの影響だからもう少し様子を見ましょうと言っておりますと、今までかなり厳しい診療報酬の条件の中でぎりぎりの運営をしていたところが本当に立ち行かなくなってしまうことは目前に迫っていると感じておるところでございます。一生懸命地域医療構想、理想的な構想ができても、そこに参加するプレーヤーが本当にいなくなる事態が現実に起こりかけていることをぜひ御理解いただいた上で、どうするかということになりますと、地域医療構想を進めるに当たって、医療機関が存続をしていくことができるような対策も構想の中に取り入れる必要があるのではないかと私としては考えておるところでございまして、これをぜひ積極的にお考えいただきたい。この2点でございます。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、最初のところで事務局に対するお尋ねだったと思いますので、コメントをお願いいたします。
○高宮参事官 御指摘ありがとうございます。
 まず、7ページの重症・中等症・軽症の定義、こちらは消防のほうの統計のデータでの定義として3週間の入院加療などの定義で調査をされているということです。新しい地域医療構想で、2040年に向けて高齢者救急の対応の強化という観点で、高齢者救急でどういう患者像を想定して医療機関の機能を議論、検討していくかということは、今の消防のほうの統計とはまた別の話になるかと思います。ですから、高齢者救急の強化に当たって2040年に向けてどういう機能を想定するかという検討は、また別途行っていくことを考えています。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、会場にまた戻りたいと思います。
 香取構成員、どうぞ。
○香取構成員 今回の資料はよくできていると思うので、特に大きなコメントはないのですが、今日は総論の議論をしているわけですね。次回以降は各論の議論を行う。どのように各論のテーマを刻むかも関心があるのですが、そのこととの関係で今日の総論の議論の整理を考えるとすると、総論の議論の中で各論に落とし込んでいく課題・テーマを見えるような形で示すことが必要なのだと思うのです。そうすると、地域医療構想はそれぞれの地域が2040年時点での自分の絵姿をイメージして、それに対して現状がこうなのでこれから何をどうやっていくのか。全体としてこう、入院についてはこう、在宅医療についてはこう、介護との連携はこう、看護はこう、とやっていくのだと思うのですが、その場合の大前提として、現状の提供体制、人的物的リソースがどうなっているかという話だけではなく、それが20年後の2040年にどうなっているかを想定して考えないといけないことになるわけですね。
 このことはこの検討会の第1回に私が申し上げたことですけれども、2040年の絵姿を考えるときは、その時点での人口構成などがどうなっているかということと、提供体制がどうなっているかということを両方頭に置いて、今の状況を評価する。そうなると、例えば人口5万人以下の地域はそもそも高齢者そのものも減っていくので在宅の需要が減りますと。それはそのとおりなのですけれども、供給のほうはどうなっているのかと考えると、開業医がどんどんいなくなるわけだから、恐らく供給は需要が減る以上に減っていく。両方を見ないと逼迫しているかどうかは分からないわけですね。東京などはこれから高齢者がまだまだ増えると思いますけれども、さっき猪口先生がおっしゃったように東京はとにかくリソースが潤沢にあるので、逼迫はもしかしたら起こらないかもしれない。一種動態的な物の見方をしていかないといけないので、そういうことがわかるような各論への落とし込みがいるのではないか。
 それから、これも御指摘がありましたが、9ページに一般病院への入院が状態を悪化させると書いてあるのですけれども、一般病院と言ったっていろいろな病院があるわけだし、疾患によっても違うわけだし、総論としてリハビリが大事だ、入院期間中に状態が悪くならないようにするのは大事だ、それはそのとおりなのですけれども、同時に入院前に何をしておかないといけないのか、また退院後の受け皿としての在宅の絵姿をどうするのかということを病院の機能をどう強化していくのかということと合わせて考えないといけない。もうちょっと細かく分析したデータが要ると。これは入院だけの問題ではないと思うのです。
 同じ問題は救急もあって、高齢者救急が増えるので体制を強化しないといけない、それはそのとおりなのですけれども、実は救急の問題の本質はどうやって救急搬送を減らすかということになるので、そうなると、この話は在宅の医療体制をどのくらいきちんと見ることができるか、これはかかりつけ医の議論、地域の病院の機能ということになるわけで、そこがちゃんとすることで、言わば入り口で救急搬送を減らすことができることになるし、出た後の下り搬送のことを考えれば、これは地域の受皿という話になるので、一種全体の患者の流れの中で物事を考えていく視点を見ないといけない。先ほどもありましたが、救急搬送のかなりの部分は特養とかサ高住から来るわけなので、そこの体制をどう考えるか。この課題は半分は医療ですけれども、半分は介護の体制の問題ですから介護との接点も出てくるし、あらかじめきちんとACPを取っておけばという問題も出てくるので、これはまた別の視点として出てくる。
 恐らく在宅の医療をどうするかという議論をどこかで一遍やると思うのですけれども、今日の議論でも出てきましたが、どういうリソースがその地域にあるかによって在宅の絵柄の描き方はかなり違ってくる。開業医がある程度整っているところと、基幹病院しかもう残っていない、在宅のデポに相当するような開業医がないところは病院が何らかの形でアウトリーチしていくことを考えないといけないことになる。実際、各市町村なり都道府県が絵を描くときは具体的などういうイメージでそれをつくっていかなければいけないか一種のパターン分けというか、具体的に自分たちがどうすればいいかを考えるときのよすがになるものが要るのだと思うのです。このことは在宅のところで議論することになると思うのですけれども、地域によって条件が違うので、それに合わせて何を各都道府県なり市町村が考えていけばいいのか分かるような出し方、これはガイドラインをつくるときにお示しすることになってくると思うので、そこにつながるような議論をするのだと思うのです。
 限られたリソースで地域で患者家族を支えることを考えなくてはいけないことになれば、オンライン診療であるとか、遠隔診療であるとか、あるいはD to P with Dとか、飛び道具をいっぱい用意しないと対応できなくなりますし、そもそも2040年はきっと世の中そこらじゅうITだらけになっていると思うので、そういうものをある程度積極的に入れていく視点を持たないと限られたリソースで在宅を支えることはできなくなる。在宅や地域を強化する視点で考えたときに使えるツールとして何があるのかも地域医療構想の中で考える必要がある。ITの話は総論にも書いてあったので事務局の頭にあるのだろうと思いますが、そういったものも入れながら各論のときに少し現実にどうやってやっていけばいいかを各医療機関あるいは市町村、都道府県が分かるような芽出しをするような議論の仕方をこれから進めていただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかに会場の方で。
 江澤構成員、どうぞ。
○江澤構成員 ありがとうございます。
 新たな地域医療構想ということで仕切り直しをする、バージョンアップもするということでございますので、いま一度住民も含めて関係者間でしっかりとこの地域医療構想の目的あるいは大義を共有していくことが最初のスタート地点ではないかと思っております。
 次に、ヒアリングでもお示ししましたけれども、入院患者数は例えば患者調査においては2005年からずっと減少が持続をしております。また、医科入院の受診延べ日数においてもコロナ禍のピークであった2020年度は対前年度比マイナス5.6%と大きく落ち込んでおりますが、その翌年の2021年度、2022年度もさらにマイナスになっています。ということは、経年的に入院患者数や病床稼働が低下している中で、コロナによってかなり拍車をかけたものの、入院患者数や病床稼働の低下傾向の直線上にあることは間違いないだろうと。特にいろいろ統計データを見てみますと、2017年あたりから3年間で大体10万人を超える入院患者数が減ってきている、そういった低下傾向、減少が続いております。したがいまして、先ほど伊藤構成員もおっしゃいましたけれども、非常に病院経営が今は火の車でありまして、最近決算報告がいろいろ見られておりますけれども、医業利益、特にコロナ補助金が入っていない医業利益は過去にないような悲惨な状況になっておりますので、まずは医療提供体制の確保という観点からも医療機関の経営基盤の強化も併せて考えていく必要があると思っています。
 一方で、必要病床数の推計をされると思いますけれども、当初の予測に反してそういった入院の患者数の低下でありましたり、これは急性期云々と書いていましたけれども、急性期に限らず結構あらゆる病床で稼働や入院患者数が減っています。一方で、介護施設の利用が伸びているかというと、介護保険3施設も稼働率の低下が徐々にずっと続いています。こういった当初の予測に反した事案に対して、これを十分に次の推計では加味しないと実態とかなり乖離しますから、その辺りは非常に一ひねり工夫が必要ですけれども、そういったところはぜひ慎重にお願いしたいと思います。
 次に、在宅医療につきましては、先ほど猪口構成員もおっしゃったように、住んでいる場所に在宅医療が提供されますから、自宅は一軒家から集合住宅まで様々でありまして、したがって、地域の中のそういった社会資源あるいは介護保険事業計画、そういったものをぜひ関係者間で共有を図っていく必要があります。そして、在宅医療のもう一つの提供の代表的な場である介護施設系でございます。各地域によってあるいは各施設によって介護施設で対応できる医療、対応している医療は実態が異なっていますから、地域の介護施設あるいは老健や特養ではこういったものが対応できているのだといったイメージは共有していく必要があろうと思っております。これはいつも申すことですけれども、在宅医療は在宅介護の日頃の日常の生活の支えがあってこそ初めて継続できるもので、訪問診療や訪問看護のみだけでは立ち行かない、成り立たないところがありますから、地域によって在宅介護、いわゆるホームヘルパーさんの人材確保は本当に可能なのかどうか、最も人材確保の厳しい部分でございますので、そういったところ、それから介護施設においても介護人材確保、この辺りがしっかりと十分できるのか、そういったところもしっかりと留意して見ていく必要があろうかと思います。
 もう一つ、最近は急性期をはじめあらゆる病棟で入院当初からリハビリテーションを提供してADLを落とさずしっかりと在宅につなげていくという話が非常に多い中で、今回同時改定でも手当てはされましたけれども、いわゆる通所リハと訪問リハ等の入院リハと在宅リハのさらなる円滑な提供は必要であって、リハビリ連携もこれまであまり調整会議では議論がなされておりませんので、そういった視点も今後重要になるのではないかと思っております。
 最後に、同時改定では介護保険3施設、特養、老健、介護医療院においては3要件、すなわちいつでも相談できる、いつでも診てくれる、入院のベッドを確保してくれている、この3つを満たす協力病院と協定することが義務化をされました。また、特定施設とグループホームではいつでも相談できる、いつでも診てくれる、この2要件を有する協力医療機関と連携することが努力義務化となったところでございまして、その中でその協力医療機関はどういった医療機関かというと、在支病、有床診の在支診、地ケア病棟を有する200床未満の病院、在宅療養後方支援病院、こういったものが通知等で明記をされているところでございます。要は、日常生活圏域でこういった医療機関とかかりつけ医、在宅医、施設の配置医師あるいは介護保険施設が顔の見える関係を構築していくことが非常に重要であって、そういったことは今回の同時改定でも推奨されている中で、地域医療構想調整会議で実際に我がまちあるいは我が日常生活圏域でどうなのかということはもう少し具体的に今後詰めていく必要もあるのではないかと思っているところでございますので、そういったところを期待しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 それでは、先ほどお手を挙げておられました玉川構成員、お願いいたします。
○玉川構成員 御指名ありがとうございます。福島県の玉川でございます。
 今回の資料を拝見いたしまして、一定程度、改めてスタンスの整理を試みられたことを確認できました。改めて敬意を表したいと思います。森光局長が就任されて、具体性など新たな視点で議論を深めていただいていると感じたところであります。
 加えて、医政局の皆様におかれましては、実務の多くを担うこととなる都道府県への事前の情報提供や協議の場の設定など御配意いただいていることにつきまして、この場を借りて感謝申し上げます。
 私の立場としましては、全国知事会社会保障常任委員長県の立場で考えさせていただいているところでありますが、次の構想に向けた提案につきましては、5月22日に報告させていただいた資料を改めて御確認いただければと思っています。地域医療構想のコーディネートを担う都道府県の立場として、地域医療構想の枠組みづくりや医療提供体制の課題に対する視点をその際、報告させていただきましたが、今回取りまとめていただいた内容は、その視点とも共通する形となっておりまして、感謝している次第であります。
 改めて、意見として5点ほどコメントさせていただければと思います。
 ほかの構成員の先生からコメントがありましたが、1点目は、国全体としてのマクロビジョンを踏まえつつ、地域類型の検討が必要だと感じたところであります。今回の資料の中を拝見しますと、医療圏によって違いがあることがよく分かるような内容となっております。少なくとも今回3つ程度の区分がこの中から透けて見えるような形かと思います。一つは既に高齢者人口すら減少に転じている地域、そういったところは医療の資源も乏しくなっております。また、人口が集積するまでに至らない中規模の地域、大都市部のように診療所の開業も続く、高齢者の増加にも一方では直面する地域など、香取構成員が話をされたようなパターンがあろうかと思います。少なくともそういったパターンの検討を行っていくことで、国全体としても効果的な政策構築も可能になるのではないか、そして地方の現場でも応用のハードルを低くすることが可能になるのではないかと思っております。
 2点目は、個別課題の具体化という観点です。今回、高齢者救急や在宅医療について課題を具体化して検討するスタンスが垣間見えております。高齢者救急の問題は単純に需要が増えるだけではなく、先ほど構成員の御意見でもありましたが、いかにそれを抑制していくかといった観点もかなり重要になってくると思います。在宅医療についても同じような観点が重要になってきます。これらについても、ある程度地域ごとの類型を踏まえていくと共通する課題がより見えやすくなってくるのではないかと思っております。
 3点目は、国と地方の役割を意識した施策の検討が重要になってくると思います。地域医療構想のビジョン的な部分につきましては、医療機関への支援制度、医師や看護師等の人材の育成、診療報酬制度など、国の施策として整理をしていく部分と、それを踏まえた上で地方で具体に取り組む部分に分かれてくると思います。それがうまく組み合うことで実効性も高まると思いますので、そういった地域医療構想を国全体として進めていけるようにするためにも、本ビジョンが医政局や保険局両方の指針となるような形、そして地方の指針、そして医療団体、国民の皆様への指針となる形を期待しているところであります。
 4点目は、建て付けになりますが、地域医療構想と医療計画の枠組みのアップデートということです。この資料の中にも触れられていますが、新たな地域医療構想はいわゆるビジョンとしての構想部分と具体的な取組、実行計画となる部分が交ざった形になろうかと思います。それに応じて医療計画も構想の部分と医療計画の中に実行部分として織り込んでいく部分、そういった形の構造的な見直しが必要になろうかと思います。医療計画の中間見直しのタイミングで地方がそれをどう織り込んでいくかというと、かなり頭が痛いことになると思いますけれども、そういった大幅な見直しでもありますので、早めの地方への情報提供をお願いしたいと思います。
 5点目は、介護との連携という部分になります。こちらについては、都道府県の医療体制所管部局としては今までとは異なる規模での取組になります。一方で、市町村の実務を担う方々にとっても、この部分は非常に気になる部分でもありますので、そのような異なる関係者との連携に対する配慮が非常に重要になってくると思います。これからは市町村の介護医療担当部署との連携、それは都道府県においても都道府県の介護担当部局との連携が当然必要となってきますが、そういった方々との連携をどのように構築していくかについては、コンテンツとしてどういうことを検討していくかと並行して、どのような枠組み、制度設計にすれば具体の議論が進むかという建て付けの部分についても検討を進めていくことが必要ではないかと思っております。
 最後、いつもの要望となって申し訳ありませんが、本検討会には、実際の取組の推進を担う47都道府県の1つとして本県も参画しておりますが、現在進めていただいているように各都道府県への事前の情報提供や意見交換という機会を使っていただきながら、この検討会に必要となる情報の提供に引き続き、取り組んでいただければと思います。
 長くなりましたが、意見となります。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでございましょう。
 尾形構成員、どうぞ。
○尾形構成員 ありがとうございます。
 私からは、この資料におけるデータの取扱いについて1点だけコメントさせていただきます。
 4ページですが、これまで何回も出てきている2040年には85歳以上人口を中心とした高齢化ということが強調されていて、これは今回の新たな地域医療構想の一つの重要なテーマだろうと思います。同じページの人口構造の変化というデータを見ると、確かに85歳以上は2025年に707万人が2040年に1,006万人で299万人増えることになっております。また、その下の65歳から74歳のところを見ると、こちらも1,498万人が1,701万人ということで203万人増えています。その一方で、このピンクのところですね。75歳から84歳というところを見ると、1,447万人から1,221万人ということで226万人減っています。そうすると、年齢の切り方によって大分話が変わってくるので、つまり前期高齢者は200万人以上増える、それに対して後期高齢者で見ると70万人ぐらいしか増えないということで、これは医療保険の財政的には非常に大きな話だろうと思います。
 ただ、それが医療提供体制や医療ニーズにどういう影響を与えるのかについてはもう少し丁寧な議論が要るのではないかと思います。たとえば、6ページにあるように在宅医療の需要の増加というところではかなりはっきりと85歳以上が増えるということが分かるのですが、先ほど岡構成員がおっしゃったように7ページの高齢者の救急の話については65歳以上という話になってしまっています。これから議論を進めていく上では、この辺は人口データについてきちんと丁寧な扱いが必要なのではないかと思います。その点は要望しておきたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでございましょう。
 猪口構成員、お願いいたします。
○猪口構成員 ありがとうございます。
 1点だけ、現在これから2040年に向けて医療提供体制を再構築するというか、再編、集約化等も含めてそれを進めていくというお話になるかと思いますけれども、どう考えても働き手は減少するし、その中でDX等を使うのでしょうが、医療・介護の質は落としてはいけない、それから効率化を図っていく、もう医療・介護同時改定は2040年までに2回しかないのですね。その中でやっていくことになると、我々現場のエンジンになるのは診療報酬、介護報酬だと思います。この点を十分に保険局、さらに老健局とも連携していただいて、こういう趣旨で動かしていくのであれば、どのようにすればより効率的な提供を我々が目指せるか。そして、先ほど江澤構成員も言っていたように、今、本当に病院は経営が悪いので、我々も努力はするけれども、きちんと経営していけるような体制、それをぜひお願いしたいと思っております。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、オンラインに戻りまして、お手を挙げておられました望月構成員、お願いいたします。
○望月構成員 望月でございます。よろしくお願いいたします。
 この40ページの目指すべき医療提供体制の基本的な考え方、非常によく分かるし、必要なことだと思いますし、現在都道府県では第8次医療計画を策定中でございまして、その中で今回はっきりと地域医療構想が目指すべき方向があって、その直近の状況が医療計画に反映されてくるという考え方ができてきたのではないかと思っています。
 これから各論に入るときに気になっているのは、ここに4つの視点が出ているのですけれども、例えば在宅医療と医療・介護連携は構想区域よりも小さな単位で見ていく、まさにそうだと思いますし、その次のところでは、これは再編・統合のことも含むと思うのですけれども、高度医療・救急に関しては構想区域を越えて、つまり5疾病6事業においてはかなり広い範囲でここを検討していかなければいけないということでありますので、実際に各論に移して地域でこれを議論していくときにはどういう形になるのかはなかなか見えてこないところがあるので、ぜひ医療計画と地域医療構想との関係も明確にしながら、提供する医療提供体制の構想区域の問題ですね。ここのところも見えるようにして、あとは実際にこれを議論していく場合、かなり多くのメンバーがどういう形で集まっていくのか、各論でぜひその辺の議論もお願いしたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでございましょう。大体御意見は出尽くしましたか。
 それでは、会場、オンラインともにお手が挙がっておりませんので、大体御意見を承ったとさせていただきたいと思います。長時間、活発な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
 それでは、本日の議論はこれぐらいにさせていただきたいと思います。
 次回から各論の議論が始まりますので、事務局におかれましては、本日いろいろな御意見を頂戴いたしましたので、それらの議論が次回以降の議論に資するような資料の作成をお願いできればと思いますので、よろしくお願いいたします。
 最後に事務局から何かありますか。お願いします。
○淺野課長補佐 次回の検討会につきましては、詳細が決まり次第御連絡いたします。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 それでは、本日の検討会、これまでとさせていただきたいと思います。大変お忙しい中御参集いただきまして、どうもありがとうございました。

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