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2017年2月13日 平成28年度発達障害・重症心身障害児者の地域生活支援モデル事業検討委員会 第2回重症心身障害児者支援体制整備モデル事業分科会

社会・援護局 障害保健福祉部 障害福祉課 障害児・発達障害者支援室

○日時

平成29年2月13日(月)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 専用第12会議室(12階)


○出席者

【検討委員】

大塚委員
田村委員
奈良間委員
福岡委員
米山委員

【実施自治体】

大阪府
三重県

○議題

平成28年度重症心身障害児者支援体制整備モデル事業報告書案 実施自治体ヒアリング 等

○議事

【第2回重症心身障害児者支援体制整備モデル事業分科会議事録】

○小島障害児・発達障害者支援室長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより 「平成 28 年度発達障害・重症心身障害児者の地域生活支援モデル事業検討委員会 2 回重症心身障害児者支援体制整備モデル事業分科会」を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

 本日は本事業の実施自治体から、モデル事業報告書案に対するヒアリングを予定しております。本日の委員会ですが、 5 名の委員の皆様に御出席いただく予定です。なお、田村委員におかれましては、電車遅延により若干遅れて到着されると御連絡を頂いているところです。委員の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。それでは、これからは座長に進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○大塚座長 皆様、お早うございます。今日は御苦労様です。よろしくお願いいたします。それでは早速、議事に入りたいと思います。議事を進める前に、本日の資料についての御説明を事務局にお願いいたします。

○小島障害児・発達障害者支援室長補佐 本日、御用意した資料は、資料 1-1 1-2 が大阪府から御提出いただいている資料です。資料 1-1 が説明資料、資料 1-2 が報告書案です。資料 2-1 と資料 2-2 が三重県から御提出いただいている資料です。資料 2-1 が説明資料、資料 2-2 が報告書案となります。資料の不足等がありましたら、事務局までお願いします。

○大塚座長 資料のほうはよろしいですか、大丈夫ですか。それでは、議事次第に沿って、平成 28 年度重症心身障害児者支援体制整備モデル事業報告書案実施自治体ヒアリングに入りたいと思います。実施自治体の皆様、三重県と大阪府ですけれども、お忙しいところ、第 2 回重症心身障害児者支援体制整備モデル事業分科会にお越しいただきまして、どうもありがとうございます。

 今回、実施自治体の皆様から提出のありました最終報告書案につきまして、各委員からコメントを頂いて、これを参考にして報告書をまとめていただく予定です。実施自治体の皆様が、これまで実践された取組が全国の自治体において活用されて、より普及が図れるものにしていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。それでは、最終報告書案に対するヒアリング方法について、事務局より説明をお願いいたします。

○小島障害児・発達障害者支援室長補佐 本日は大阪府福祉部障がい福祉室地域生活支援課、三重県健康福祉部障がい福祉課から、それぞれヒアリングをお願いしております。ヒアリングの方法ですが、まず最終報告案について 25 分間で説明をお願いします。その後、 25 分程度の時間で、各委員の方から報告書案に関しての御質問や御助言等と、実施自治体からの御回答をお願いしたいと思います。なお、最終報告案の説明時間の残り時間 1 分前及び質疑時間の終了間際に、ベルで合図をしますので、円滑な議事の進行につきまして、御協力いただけますようお願いします。以上です。

○大塚座長 それでは早速ですけれども、まず大阪府より説明をお願いいたします。

○大阪府 大阪府福祉部障がい福祉室地域生活支援課の黒崎と申します。今年度モデル事業として採択いただきました、大阪府の重症心身障害児者地域ケアシステム整備事業について、事業報告をさせていただきます。

 それでは、まず 1 、地域の現状について御説明いたします。資料 1-1 1 ページを御覧ください。報告書案では 1 ページとなります。夏の本検討委員会ヒアリングの場で御報告いたしました府内の重症心身障害児者数について、昨年の 7 1 日時点で更新調査を行いました。合計は 8,502 名で、平成 27 年度調査の 8,284 名から約 200 人の増加ということになります。年齢分布は平成 27 年度と同傾向で、 18 歳未満が 3 割、 18 歳以上 40 歳未満が 4 割、 40 歳以上が 3 割となっております。

 次に事業の範囲ですが、 1 ページ右側の大阪府地図に記載のとおり、医療基盤整備の基本である二次医療圏が、大阪府内には政令市を含め 8 圏域あります。モデル事業は、この圏域単位で実施を行いました。

2 ページを御覧ください。地域資源等の状況についてです。平成 26 年度より相談支援事業所等の支援機関向けに支援マニュアルを作成いたしました。医療、保健、福祉、教育等の各分野の窓口や管理手当、医療費助成等の制度情報のほか、障害福祉サービスの事業所一覧を作成し掲載しております。

 平成 27 年度につきましては、重心児者と介護者向けのガイドブックも作成しております。今年度も支援マニュアル及びガイドブックの更新を行うこととし、それに併せまして障害福祉サービスの状況に関するアンケート調査を実施いたしました。アンケート内容は事業種別、看護師配置、送迎の実施、入浴施設、喀痰吸引等の実施をはじめ、小児への対応が可能かなど、各市町村では把握が難しい詳細項目となっております。

 上の表に圏域ごとの事業所数を掲載しております。複数のサービスを実施している事業所は、それぞれにカウントしております。各サービス種別を合わせた総事業所数は、今年の 1 月時点で 4,360 事業所です。

 下の表は訪問看護事業所の状況です。昨年 4 月時点で府内に 1,027 の事業所があり、大阪府訪問看護ステーション協会加盟事業所は 594 事業所です。このうち小児に対応できる事業所は 215 事業所と、加盟事業所の 36 %です。また、人工呼吸器対応可能な事業所は 425 事業所と、約 70 %となっております。

 次に、 2 の医療的ケアが必要な重症心身障害児者支援の取組について御説明いたします。 3 ページを御覧ください。今年度以前の取組につきましては、報告書案の 2 ページから 12 ページに記載しております。大きな流れとしては、まず重症心身障害児者を支援する拠点となる施設を設置するとともに、障害者計画の中に医療的ケアが必要な重症心身障害児者への地域生活支援を最重点施策と位置付けております。平成 24 年度には、大阪府自立支援協議会に重心の部会を立ち上げました。

 部会の報告書の中で、当事者を中心とした個別ケアシステムを核とし、それを市町村域、あるいは二次医療圏域のケアシステムで、重層的に支えていく仕組みが示されました。同時に当時の市町村において市町村自立支援協議会や基幹相談支援センターを核とした重症心身障害児者への支援を実施できる基盤が、まだ十分には整っていないこと。また、特に、医療機関との連携について、各市町村とも模索している段階であること等の課題も示されました。

 これらを解決する取組として平成 26 年度以降、段階的に二次医療圏域ケア連絡会議の開催、当事者向け福祉サービス体験会や事業所向け医療的ケア実施相談会、医療型短期入所整備促進事業などの具体的な事業を実施してまいりました。今年度新規の取組として、平成 28 年度の欄の中央の矢印にコーディネーターとしての訪問看護師育成研修があります。

4 ページを御覧ください。 3 の支援に関する課題です。報告書案では 11 ページとなります。 1 つ目はライフステージに応じた一貫した相談支援体制の整備です。特に最近では地域包括ケアの考え方を踏まえ、子育て支援や高齢介護サービスの活用も視野に入れる必要性が高まっており、当事者を中心としたネットワークを構築し、包括的に支援する機能の整備が急務であると考えております。そのためには、市町村域を越えた広域的な視野で情報を収集しつつ、当事者にとって身近な場所で必要な情報を提供する体制作りが必要となります。

2 つ目は、医療と介護の連携強化の課題です。もちろん医療だけにとどまらない多職種支援が不可欠ですが、医療的ケアが必要な方への支援では、医療が大きなウエイトを占めており、今年度実施した訪問看護師育成研修も医療から介護へのアプローチという手法を試みたものです。今後も相談支援に医療の視点を持ち込む取組を進めていきたいと考えております。

3 つ目は、障害福祉サービス等の充実強化です。府において医療型短期入所事業所への補助事業を実施するとともに、福祉サービス体験会や社会資源調査の取組等を継続しています。

5 ページのイメージ図を御覧ください。夏のヒアリングでも御説明させていただきましたが、大阪府が目指しているケアシステムは三層構造となっております。ステージ 1 の個別ケアシステムを、ステージ 2 の市町村域ケアシステムと、ステージ 3 の二次医療圏域地域ケアシステムがバックアップし、サービスをコーディネートすることで、医療、福祉、教育などの各サービス実施者が連携して、一人一人の状態像やニーズに応じた支援を行うというものです。医療的ケアの必要な重症心身障害児者が在宅で安心して生活するためには、広域ネットワークによるバックアップにより、支援機関が当事者を重層的に支える仕組みが重要であると考えております。

6 ページを御覧ください。 4 、支援体制構築等に対する間接的支援です。報告書案では 14 ページとなります。今年度は広域的支援体制を構築するため、新たに政令市と連携を図りました。そこでまず事業単位での連携を進めることとし、重症心身障害児者に対応可能な訪問看護師研修や、障害福祉サービス等体験会、医療型短期入所整備促進事業の一体的実施により、医療的ケアが必要な重症心身障害児者に対応可能なノウハウの活用を進めてまいりました。

 次に、協議の場としての二次医療圏域ケア連絡会議です。 7 ページを御覧ください。構成機関は表の 2 列目に記載しているとおり、市町村医師会や地域病院など医療機関、教育機関である支援学校、保健所、市町村、児童相談所などの福祉機関です。昨年度は府内全圏域統一テーマで協議を行いましたが、今年度は各圏域の実情に応じて、創意工夫を凝らしたものとするために、会議を府と市町村の共同運営とし、協議内容を府と市町村で運営会議を開催して検討しました。

 府内二次医療圏域のうち 6 圏域で運営会議を開催し、 4 圏域でケア連絡会議を開催し、支援のネットワーク作りを進めてまいりました。開催状況等は報告書案の 15 ページも御覧ください。本会議の運営を通じて、今後、地域自立支援協議会で重症心身障害児者ケア部会を設置していただくなど、地域での協議の場作りのためのノウハウを蓄積していただくことを目指しました。

 その結果、圏域市町村から個別ケースの報告や、災害時の重症心身障害児者への支援の取組、昨年度に実施したアンケート結果の詳細分析といった議題が提案されました。出席者につきましても、議題に応じて実務者レベルとするなど柔軟に対応し、より個別ケアシステムに資する形に会議を発展させました。

8 ページは、今年度実施したケア連絡会議の様子です。豊能圏域で先週開催したケア連絡会議では、災害時の重症心身障害児者への支援の取組をテーマに協議を行い、各機関の取組紹介や課題の共有を行いました。三島圏域で 1 月末に開催したケア連絡会議では、各市の相談支援センターや保健所が重症心身障害児者への支援事例を報告し、支援学校や地域病院の医師、訪問看護師などから、特に教育の問題について、支援の課題やあるべき姿の提案がなされました。これらの内容については、報告書案の 15 ページの➁に具体的な協議内容として盛り込む予定です。

 続いて 9 ページを御覧ください。医療型短期入所の整備促進事業です。こちらは報告書案では 18 ページとなります。事業概要に記載のとおり、在宅で医療的ケアが必要な重症心身障害児者の短期入所を受け入れた医療機関に対し、当該ベッドを医療提供に利用した場合の診療報酬と、指定障害福祉サービス報酬との差額相当、 1 日当たり 1 300 円を助成する制度となっております。利用実績は平成 26 年度は延べ 12 日であったものが、平成 27 年度は延べ 448 日と大幅に伸びており、今年度から政令市も対象として拡大したので、更に実績は伸びる見込みです。

 現時点で本制度に基づく短期入所受入医療機関は、 9 ページ下段の表のとおり 6 か所です。今年度も実施医療機関の拡大に向けて精力的に活動してまいりましたが、急性期病院については、急性期病院として果たすべき役割と短期入所事業とがマッチしないことから、また、診療報酬との差額がまだまだ大きいことなど経営上の課題があり、受入れが困難な医療機関が多いのが現状です。また、慢性期の病院においても医療介護関係法の改正の時期でもあることから検討中という所が多く、府としても各制度の状況を注視しながら、事業を進めていくこととしております。

10 ページを御覧ください。支援人材の育成です。重症心身障害児者に対応可能な訪問看護師の育成研修、及び福祉サービス等体験会を実施しました。報告書案では 19 ページからとなります。研修につきましては医療から介護へのアプローチモデルとして、ネットワーク支援のつなぎ役を担える存在である訪問看護師の方を対象に実施しました。

 中央の枠内に研修内容を記載しております。研修は基本研修 2 日、実地研修 1 日の計 3 日で実施しました。基本研修につきましては国で作成された在宅重症心身障害児者支援者育成研修テキストを活用し、訪問看護師の方に障害福祉サービスはもとより、重症心身障害児者の状態像や支援の基本的な枠組みを理解していただける内容としました。

 受講者アンケートでは 9 割以上が研修に満足又はほぼ満足と回答し、特に小児科医師の研修が高い評価を得ました。また、コーディネーターとしての役割の重要性を学んだといった回答もありました。加えて福祉制度やサービスについての講義をもっと充実してほしいという要望が上がっており、来年度以降の継続実施を望む声も多くありました。

11 ページを御覧ください。実地研修は府内 4 圏域に分けて実施しました。委託先である重症心身障害児者入所施設や病院の御尽力により、各圏域で演習や病棟見学、ケア体験などの実習も含んだ充実した内容の研修を実施することができました。

 研修後のアンケートも各圏域おおむね好評で、特にサービス体験会での障害児、介護者との交流や、施設そのものや施設入所者の状態像を見られたこと、スキンケアや姿勢管理、遊びの手法など、訪問看護の現場で使える実習について、高い評価が寄せられました。参加者数は 132 名で、全日程の 8 割を受講した修了者は 101 名となっております。 12 ページは実地研修の様子です。

 次に、福祉サービス等体験会について御説明します。 13 ページを御覧ください。報告書案では 17 ページ、 18 ページです。福祉サービス等体験会につきましては、これまで重症心身障害児者と御家族の方に福祉サービスを体験していただくことで、福祉サービスの利用促進を目的として実施してまいりましたが、今年度はそれに加え訪問看護師の方に重症心身障害児者と触れ合っていただく機会とも位置付けており、訪問看護師研修の実習の一部として組み込む工夫をしました。

 スヌーズレンやボールプールなど遊びの体験や介護者交流のほか、サービス相談会や福祉機器の展示など、圏域ごとに施設の特色をいかした内容で実施しました。参加者の方からは「地域や年齢の違う方々との交流は、いろいろなことを聞けて情報を得ることができた」「体験会に参加し、ショートステイを利用したいと思いました」という意見がありました。 14 ページは体験会の様子です。

 続いて 15 ページを御覧ください。 6 、その他、地域支援体制の整備を広域的に推進する取組です。報告書案では 23 ページです。 2 ページで御説明したとおり、今年度も重症心身障害児者、介護者、支援者向けの情報発信として、支援マニュアル、ガイドブックを更新する予定です。相談窓口制度、事業所情報の更新と併せ、ケア連絡会議で共有された災害時の重症心身障害児者への支援の取組に関する情報も盛り込みたいと考えております。

 次に 16 ページ、医療や保健などの関係者への情報発信です。重症心身障害児者への支援は、医療や保健などの分野と連携することが必要です。今年度も各分野の関係者に重症心身障害児者の現状や必要な支援について理解を深めていただくために、関係団体が開催する会議等で大阪府の取組等について発信を行いました。

 最後に 17 ページを御覧ください。重層的なケアシステムの構築、実践に当たっては、支援者、事業者の充実と、それらが効果的に連携するためのネットワーク作りが重要と考え、取組を進めてまいりました。取組が広く認知されることで、福祉分野以外の関係機関の協力が得られやすくなるなどの成果が出る一方、社会資源の不足など以前から指摘されているものの、なかなか解決しない課題や、市町村でのネットワーク作りが進まないなど新たな課題も浮かび上がりました。

 また、昨年 6 月の児童福祉法の改正では、いわゆる医療的ケア児が保健、医療、福祉、その他の各関連分野の支援を受けられるよう、保健、医療、福祉、その他の各関連分野の支援を行う機関との連絡調整を行うための体制の整備に関し、必要な措置を講ずることが地方公共団体の努力義務とされました。これを受け、これまでの重心児者への取組を重心児者を含む医療的ケア児への取組へと拡大・充実していく必要があり、大阪府としては改めて対象者となる医療的ケア児の実態把握を行った上で、それぞれのニーズに応じた協議の場や社会資源の充実を考えていくことが求められています。広域自治体としてシステムの中核となる専門人材の育成と、広域的利用が想定される医療型短期入所事業所の拡大、市町村でのネットワーク構築支援等に今後も取り組んでいきたいと考えております。大阪府からの説明は以上です。ありがとうございました。

○大塚座長 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの説明内容について、御質問あるいは御助言等がありましたら、委員の皆様からお願いいたします。少し時間に余裕を取ってありますので。

○田村委員 埼玉医大の田村です。大阪では以前から地域のネットワークが非常に、新生児医療などの面でも組まれていて、それをうまく活用した、この重層的なケアシステムの構築、並びに、我々も実は、最後におっしゃいました埼玉県の医療ケアを受けているお子さんと家族の実態調査というものをやりまして、その中で浮かび上がってきたのは、やはりお母さんの負担が非常に重いと。

 また、人工呼吸器を付けているようなお子さんなどでは、もう半分以上のお母さんが 5 時間以内しか睡眠が取れなくて、しかも、その 5 時間をまとめて取れていればいいのですが、モニターや吸引などで起こされながら、やっとつなぎ合わせで 5 時間という実態が出ています。ですから、今回、大阪府が非常に積極的に取り組まれた短期入所で、お母さんをレスパイトさせてあげることは非常に大事なことで、これはすばらしいことだと思います。

 ただ、正直言いまして、我々の埼玉医大のほうでもカルガモの家という医療障害児型の施設を活用して短期入所をやっておりますけれども、 3 歳以下で人工呼吸器を付けているようなお子さんを入れると全くの赤字で、先ほど 1 300 円支援をされるということで、これはこれですばらしいことですが、これでもとても間に合いません。

 埼玉県では今、そういうお子さんに関しては 2 万円の補助金をもらって、やっととんとんというところです。ですから、その辺りについてもまだまだ御助力しないと、恐らく施設側としては、軽い子どもは受けていただけるでしょうけれども、やはり一番困っている、人工呼吸器をしているような重い子どものお母さんなど一番負担が重い方の受入れは、なかなかこれでは促進できないのではないかというのが 1 つです。

 それともう 1 つは、ちょっと今、私は個人的な理由もありまして、学校に人工呼吸器を付けているようなお子さんが行ったときに、ちゃんと学校で見てもらえるかどうかということに非常に関心を持っています。今回の御報告の中で、このネットワークの中には府の教育委員会が入っておりますけれども、障害児支援施設や、若しくは学校そのものなどで実際にそういう医療的ケア、特に人工呼吸器を付けながら学校に行っているような患者さんに対して、どのような支援が行われているのか。具体的に言いますと、埼玉県に関しましては、全ての特別支援学校、それから一般の小中学校で人工呼吸器を付けながら行っているお子さんは、たとえそこに看護師さんがいても、お母さんがずっと付くという条件でないと受け入れてくれないというのが実は現状で、それを何とかしようということを、今、考えているのですが、その辺りについては大阪ではいかがでしょうか。

○大阪府  2 点御質問頂きました。まず短期入所のほう、御意見も含めまして、ありがとうございます。私どもも医療機関を回らせていただいている中で、特に急性期の重いお子さんを見ておられる母子総合医療センターなどでも、診療ベッド 1 日、高い方ですと 7 万円とか、 5 万円を下ることはないと聞いておりまして、障害福祉サービスのお金が 3 万円程度ですので、うちの 1 万円を足したとしても到底ペイしないというような話は頂いております。

 ただ、医療機関を回らせていただいて、そういう実態のお話をお聞かせいただけるようになったのも、本当にこの取組をやっていく中でのことですので、制度の御紹介もさせていただいて、なるほど福祉はそういうことをやっているのかという中で、病院の実態を教えていただいたり、あとは管理入院といいますか、医療レスパイトのようなことを実際には取り組んでおられる病院もあるということをお聞きしておりますので、府内のそういう実態をお聞きしながら、私どもも制度の改善に努めているところです。先生のおっしゃるとおりというところですので、引き続き努めてまいりたいと思います。

 また、学校での対応ということなのですが、私どもで協議の場として設定しておりますケア連絡会議の中に、各地域の特別支援学校の校長先生は毎回御出席いただいております。やはり教育分野は最近関心が高いので、福祉のほうの出席者、また医療のほうの出席者から、通学のときに支援学校のバスに乗れないのはなぜかとか、看護師さんが配置されていても付添いが必要なのはなぜか、どういったことで付添いが必要なのかといったような質問も出まして、その都度、校長先生のほうから丁寧に御説明いただいているところです。

 来年度以降は支援学校にとどまらず、一般の小中学校を所管しております大阪府の教育部門とも更に連携を深めてまいりたいと思っております。今、大阪府の教育部門では、一般の小中学校にも看護師配置を進めるということで、市町村で小中学校に看護師さんを雇っていただきましたら、大阪府から補助するという、人件費の補助の制度を作って配置を進めたりしているところですので、そういった事業との連携も進めていきたいと思っております。

 大阪府でも付添いが必要なのは同様の状況ですし、特に呼吸器管理が必要なお子様は支援学校のバスに乗れないということで、逆に地域の小中学校に通うほうが保護者の送迎の負担が低いのではないかとか、そもそもインクルーシブ教育の考え方の中で、御本人と保護者の方が、自分が行きたい学校を選べるようにするためにどのような仕組みが必要なのか、福祉の事業所のサービスなども活用していただける所もあると思いますので、引き続き教育関係者と協議してまいりたいと考えております。以上です。

○田村委員 すばらしいと思います。よろしくお願いします。

○大塚座長 今の医療型短期入所整備促進事業の書き方はどうするか、そもそも受入先がないということの問題意識からでしょうけれども、家族支援とかレスパイトとか負担軽減とか、アンケートにもあったようですので、それはもちろん整備、確保していかなければならないのですが、少ない中において、どのように納得のいく効率的な、みんなで利用しながら負担を軽減していくかまでいくと思うので、そういう観点が書かれると。今のところないので、ただ不足していることだけは確かですけれども、そういう観点を入れたほうがいいかなと。

○米山委員 いろいろな取組をまとめていただいて、とてもよく活動をされているところが見えました。ありがとうございます。報告書案の 8 ページの下で、利用しているサービスの人数等の割合が 100 %というのは、よく分からないのですが、それは置いておいて、一番右のほうに児童発達支援、それから真ん中に放課後等デイサービスが入っています。それで、 9 ページに放課後等デイサービスの課題として、「緊急で利用できなかった」「利用日数が少ない」ということがあります。その辺は、短期入所のレスパイトということで、 3 時過ぎから夕方までの時間の親の就労支援も一部入るとは思うのですが、実際にどのような取組がされているか、その辺の実態については書いていなかったかなと。

 もう 1 つ、こちらのカラーのほうの 3 、支援における課題、重層的なケアシステム完成のイメージ図の中に、この児童発達支援、放課後等デイサービスは、福祉サービスではあるわけですけれども、個別ケアの 1 2 辺りに入れたほうがいいかなと思います。放課後等デイと通所は八尾市とか幾つか通所施設があるわけですけれども、いかがですか。

○大阪府 大阪府内の児童発達支援と放デイについては、数はかなり増えていると聞いております。特に、放課後等デイサービスについては、ここ数年急増しておりまして、今、どちらの支援学校でも、帰りはほとんどデイの車がお子さんを迎えに来るという実態があると支援学校の校長先生からもお聞きしております。

 今、問題になっておりますのは質の問題、特に高度な医療的ケアが必要なお子さんを、どれだけ受け入れていただけるかという部分になりますので、そちらは大阪府として研修をしたり、そういった取組をしていかないといけないという、これからとなっております。御指摘いただいたアンケートにつきましても、これは平成 27 年度に実施しているものですので、恐らくここからまた数字も変わってきているかと思います。私どもが事業を実施している中で思いますのは、特に小学校は普通の学校に通っておられて、中等部以降を支援学校に変わられた方は、放課後等デイサービスという制度を知らなかった。小学校に入られる頃は、こんなにこのサービスの事業所がなかったので、市役所の人にちょっと勧められたけれども、まだまだ数も少ないし選べないしということで、 6 年間お母さんが自力で頑張ってこられて、中等部に入ったら、お友達はみんなデイの車が迎えに来るということで、知りませんでしたという年代の方もまだ多くいらっしゃると聞いていますので、制度の周知、必要なサービスが紹介できる、行き届くような取組も行政としては必要なのかなと思っているところです。

 私どものイメージ図の中に、事業所をもう少し入れることは是非検討したいと思います。児のサービスと者のサービスがありますので、その辺りをどのようにというのは工夫が必要かと思うのですけれども、やはり児のほうは、特に今御指摘いただいたようなサービスが必須となっていると思いますので、検討させていただきます。

○米山委員 最後に述べられたように、 56 条の 6 の第 2 項のこともあって、同じときに通った 30 年に向けては居宅の療育も入っていますので、その辺りのシステムをまた考えて、是非進めていただければと思います。

○奈良間委員 御報告、お疲れさまでした。前回も少し触れましたけれども、重層的なケアシステムが、非常に全国的にも参考になるようなモデルだと思って拝聴しました。その中で、できるだけ個のニーズを把握できること、全体としてそれを反映していくための取組として、今回具体的に資料の 7 ページにあるかと思いますけれども、二次医療圏域ケア連絡会議の構成機関や協議内容をずいぶん工夫されたということを感じました。今回の発表の中で余り触れていなかったかとも思いますけれども、報告書の一番最後の 26 ページで、そのシステムは非常に有意義だけれども、その協議の場をどのように継続していくかが課題だということで、これは、継続していくに当たって具体的にどのような点が課題であるかということと、現在の段階で何か対応策がありましたらお願いいたします。

○大阪府 協議の場につきましては、市町村と本当に何回もそのことについて会議を重ねてきたのですけれども、やはり、市町村側としては、まだまだ重症心身障害児者、しかも医療的ケアが必要な方というのが、全体の障害児者の中で割合的に少ないということで、併せて似たような会議と申しますか、出席者が重なっているような、例えば保健所が主催の会議や地域の自立支援協議会もそうですけれども、いろいろな部会がありまして、たくさんの会議を運営していく中で重心に特化した会議を立ち上げて継続的に運営していくことの負担と、それで得られる効果をなかなか市民に対して証明していくことが難しいという忌憚のない御意見があったところです。

 私どもとしては、やはり個別ケースの課題解決というところが市町村のメリットになってくると思いますので、ケア連絡会議はもう少し広域の会議ですけれども、あえて個別ケースの報告を議題として、例えば、こういったことを継続的にしていけば、何か基幹相談支援センターや市町村にもメリットが出ないかということを試みたりというモデルを示すということは、今年度の取組の中でも進めてきました。また、手法も、各市町村に自立支援協議会の運営実態などのヒアリングを行っております。各自立支援協議会はたくさんの部会を持っていますので、部会を新たに立ち上げることではなく、本体のほうで年に数回、重心のことを協議するようなやり方や、数は少ないですけれども、医療的ケア児というところで言いますと、自立支援協議会ではなく要対協で会議を持って、子育て支援の一環として医療的ケアが必要な障害のお子さんのことを話し合っていくような取組をしている市町村もあることを調べているところです。なので、今後は各市町村の取組事例を、この中で収集して共有できるようなことを情報提供するのが、広域自治体としての役割かなと思っております。実際立ち上げに当たって委員の先生、研修していただける先生を紹介してほしいという協力の依頼も市町村からありますので、そういった側面的な支援を引き続き続けていきたいと考えております。

○福岡委員 大阪府が目指しているケアシステムの実現の図は恐らくこの何年間、ずっとこの図を横目に見ながらどこまで行ったかと詰めてきたと思います。私は相談の立場なので、平成 24 年度から全員に高齢のケアマネと同じような相談支援システムがついてプランを作り続けるという実態にとても興味があります。あれからもう 5 年たっているわけですが、恐らく本当はステージ 1 で相談支援が頑張って、支援会議を継続しながらプランを作り、そこから出てくる課題がボトムアップで下のほうから矢印が上がって行って、今回のモデル事業のように大阪府がステージ 3 から攻めていくという、トップダウンの矢印が上から降りてきて、それがちょうどステージ 2 でぶつかって、市町村域ごとの実態のあるケアシステムが花開くわけです。

 私、統計でしかつかんでいないので間違っているかもしれませんが、昨年度の大阪府のサービス等利用計画や障害支援利用計画の作成の中で 45 %ほどがセルフプランなので、親御さんが建前上は作っている。セルフプランということはモニタリングが要らないのです。恐らくそういう意味では、普通ですとステージ 1 で相談支援専門員が、専門性や資源の足りなさでは、もちろんハンディはあるわけですけれども、一つ一つ支援会議を開きながら、しかも、モニタリングからすると重症心身障害の厳しい方は恐らく毎月やるわけです。そのような毎月、相談支援専門員がサービス等利用計画を作るために集まり続けるというものがなく、セルフプランで親御さんが頑張られて、勘違いかもしれませんが、医療関係者とか事業所の方が頑張ってくれて、やり続けてきてくれていると思うのです。そういう実態の中で、大阪府が府として最高の取組は、この中で頑張ってくださったと思うのです。必要十分な取組を、全て府レベルでやってくれて、その中で上のほうから何とか矢印を引っ張ってきてくれた。

 こうなってきたときに、こちらの府の取組というのは相談支援の、一人一人のサービス等利用計画を作るための事業所の数を増やしたり、相談支援専門員を増やすことはなかなか難しいけれども、これは全国どこでも同じ課題なので、そのときに都道府県レベルでここまで頑張れるのだと。あとは、最後のステージ 1 で花開かせるためには、実際私はオレンジのチームですけれども、相談支援員がほとんどいない中で、恐らく基幹センターもひょっとしたら市町村でやっているのかもしれません。こうなると、いない中で何とか頑張る平成 24 年以前のやり方の中で、言い方は失礼かもしれませんが、その中ででもステージ 3 が頑張って、ここまでやれるというモデルでは、全国似たような状況の中で、必要十分な取組をしてくださったのだと。うまく伝わっているかどうか分かりませんが、そんなモデルとして全国に広まったらと思っています。間違っているところがあったら申し訳ないです。

○大阪府 相談支援専門員にもっともっとしっかりしてほしいという声を、このケア連絡会議を何十回と開く中で何回お聞きしたかというところが本音でして、やはり、相談支援員を御存じないという当事者の方もまだまだ多いです。お示しいただいたセルフプランの率も、もちろん年々減ってきておりますけれども、なかなか事業所の数も増えないですし、医療的ケアが必要なお子さんのプランを作る力量のある相談支援事業所となると、更に厳しいところが実情であります。ケア連絡会議の中では、相談支援の方が核となってしっかり引っ張って行くべきだということは変わらないですけれども、ただ、それを待っていても仕方がないという中で、ほかの事業所なり医療機関、かかりつけ医、主治医がどのようにその方々を支えていくかを、先生御指摘のとおり正に話し合ってきたのかなと、感想になりますけれども、ありがとうございます。

○大塚座長 ほかには、いかがですか。御意見、御助言、何でも気が付いたことでもよろしいのですが。最後にもう一回、全体を振り返りたいと思いますので、大阪府のほうは、よろしいですか。それでは、次のケースは、三重県より説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○三重県 三重県障がい福祉課の田中と申します。よろしくお願いいたします。本日は、今年度のモデル事業を通して三重県が実施した内容について報告いたします。報告書案とパワーポイントの資料に沿って説明いたします。

 表紙をめくっていただき、三重県のこれまでの取組についてです。報告書は 2 ページからです。三重県では小児在宅医療の課題への取組として、平成 23 年度から三重大学医学部附属病院小児在宅医療支援部で多職種からなる研究会の開催や現地学習などを通して、医療機関から在宅への移行時や、その後の在宅医療に関わる人材の育成等を行ってまいりました。

 この取組を通して得られた課題等を踏まえ、三重県保健医療計画において小児在宅医療を今後の取組の 1 つとして掲げ、小児在宅医療に関わる支援者のネットワーク構築に取り組むこととしております。このような中、平成 25 26 年度において、厚生労働省の医政局が実施する小児等在宅医療連携拠点事業の採択を頂き、小児在宅医療を所管する地域医療推進課が事業を実施いたしました。

 当該事業では、県の北西地域に属する 2 つの地域をモデル地域として選定して、主に対象となる小児の把握、体制作り、家族支援、教育・福祉との連携に取り組みました。この事業を踏まえ、平成 26 年度に策定した第 4 期障害者計画である「みえ障がい者共生社会づくりプラン」において、医療的ケア児者の地域生活支援のための体制強化について記載し、障害福祉分野においても医療的ケア児者の支援に取り組むことといたしました。

 その取組の 1 つとして、昨年度、三重県障害者自立支援協議会に医療的ケア児者の地域生活における課題の整理と、それに対する具体的方策について協議を行う医療的ケア課題検討部会を設置いたしました。こういう取組を通して、今後取り組むべき課題としては、多職種による途切れのない支援等が可能となる体制整備、医療的ケア児者の支援者の人材育成・人材確保、障害福祉サービス事業所等の受入体制整備の大きく 3 つの課題があると整理いたしました。

 これらの課題を解決していくためには、医療的ケア児者を支援している障害福祉サービス事業所等が少ないことなどから、医療的ケア児者の支援は市町の域を越えて行われていると考えられるため、県が広域的な取組を行う必要がありました。このような経緯があり、現在医療的ケア児者の支援を行っている施設を地域における拠点として、地域の支援体制の構築や受入体制の強化を図ることを目的として、平成 28 年度医療的ケアを必要とする障がい児・者の支援拠点構築事業を実施し、当該事業の一部を平成 28 年度重症心身障害児者支援体制整備モデル事業の対象といたしました。

 事業の実施は、医療的ケア児者の支援実績のある障害福祉サービス等事業所を運営する法人に委託することとして、企画提案コンペの結果、独立行政法人国立病院機構三重病院に委託することとなりました。三重病院は、重症心身障害児者の病床を持っており、療養介護、生活介護、医療型短期入所、児童発達支援、医療型障害児入所施設の指定を受けております。県の重症心身障害児者の専門相談支援事業も受託いただいているところです。事業の実施地域については、三重県の障害保健福祉圏域を単位として津圏域、鈴鹿亀山圏域、伊賀圏域の 5 市と設定いたしました。

 次のページです。パワーポイント資料の 3 4 ページに医療的ケアを必要とする障がい児・者の支援拠点構築事業の概要について簡単に記載しております。大きく 2 つの取組があります。 1 つ目は、地域の医療的ケアが必要な障害児者の支援体制の構築で、多職種の顔の見える関係作りと地域資源の調査です。 2 つ目は、地域の医療的ケアが必要な障害児者の受入体制の強化ということで、コーディネーターの人材育成と訪問看護師の活用による三重病院における受入体制の強化等を行ってまいりました。 3 ページに本モデル事業の対象の記載があります。

 続いて、パワーポイント資料の 5 ページから、本モデル事業として取り組んだ内容について説明いたします。事業の実施体制についてです。報告書では 5 ページです。事業の実施に当たり、有識者等から助言等を頂くため、医療的ケアを必要とする障がい児・者の支援拠点構築事業委員会を設置いたしました。三重県障害者自立支援協議会医療的ケア課題検討部会と同時に開催することとして、事業委員会では事業の実施内容について御協議いただき、医療的ケア課題検討部会では事業の実施状況や成果も踏まえた上で、医療的ケア児者の地域生活における課題の整理と、それに対する具体的な方策について協議いただきました。

 委員については、特別支援学校に通う児童の保護者である当事者家族、三重大学医学部附属病院の小児科医、基幹病院の医療ソーシャルワーカー、医療型短期入所の指定を受けている病院の医療ソーシャルワーカー、看護協会推薦の訪問看護師、医療的ケア児者の支援を行っている障害福祉サービス等事業所の管理者と法人代表者、市町村の保健師、特別支援学校の進路指導担当教諭の合計 9 名の方にお願いいたしました。

 次のページです。会議の開催状況として、第 1 回は事業開始直後の 9 月に行いました。予定している事業の実施内容等について説明し、事業を進めていく上でのアドバイスを頂きました。また、医療的ケア課題検討部会では、新事業の全県への展開についてということで、本事業の実施を踏まえた相談支援体制や通所支援サービスの充実について、三重県では年々、喀痰吸引研修の受講者が減少傾向で、これからどのように支援者の人材育成と医療的ケアの支援の普及、理解促進を行っていくべきかということなどについて協議いただきました。

 第 2 回は 12 月に行い、 4 か月間の取組結果と、残り 3 か月で予定している事業の実施内容等について説明をしてアドバイスを頂きました。医療的ケア課題検討部会では、引き続き本事業の実施を踏まえた相談支援体制や通所支援サービスの充実についてや、委員からの提案議題であった短期入所の充実、移動支援・通学支援の充実の 2 つについて御協議いただきました。

 次に、スーパーバイザーの配置については、医療ソーシャルワーカーの業務を行っている方を 1 名三重病院に配置いただきました。医療的ケア児者の支援に携わった期間は 18 年で、医療分野の認定社会福祉士資格のほか、精神保健福祉士、サービス管理責任者の資格を持っていらっしゃる方で、医療分野にも福祉分野にも精通していらっしゃるため、医療と福祉の橋渡しに非常に適した人材であったのではないかと考えております。スーパーバイザーの取組としては、医療的ケア児者の支援を行う相談支援専門員や医療ソーシャルワーカー、障害福祉サービス事業所と連携して医療と福祉の両方の観点から、その支援に協力することといたしました。

 次のページです。業務の取組内容について説明いたします。報告書は 7 ページです。まず、多職種の顔の見える関係作りの取組についてです。多職種による途切れのない支援等が可能となる体制整備に当たっては、地域支援の現場に根ざした継続可能な支援体制を構築するために地域、自立支援協議会などの連携が必要不可欠であると考えて、事業を実施する 3 つの圏域のうち津圏域においてのみですが、津市地域自立支援協議会の事務局であり、市が実施する相談支援事業を受託している、津市障がい者相談支援センターと津市に対して事業の趣旨を説明したところ、事業の実施に当たっての協力を得られることとなりました。

 また、障害のある方の地域生活における課題全般を検討するくらしワーキンググループと、相談支援事業所の資質向上を目的に課題の検討や情報共有を行う相談支援ワーキンググループにスーパーバイザーが参加することとなり、自立支援協議会と地域の医療機関との連携体制を構築することができました。なお、未定ですが、来年度は医療的ケア児者の地域生活における課題について協議を行うワーキンググループの設置について、検討をしていただいているところです。

 多職種の顔の見える関係作りのための具体的な取組としては、事例検討会を行いました。関係者は資料のとおりですが、医療、福祉、教育、保健と幅広い分野の関係機関の方に御参加いただくことができました。事業実施地域で生活する医療的ケア児者を医療と福祉が連携しながら支援を行っている事例について、三重病院から 1 ケース、津市障がい者相談支援センターから 1 ケースを紹介して、この 2 つのケースにおいてどのような関係機関と連携しながらどのような支援を行っていくことができるかということについて、参加者を多職種が混合した幾つかのグループに分けて、それぞれのグループで検討を行っていただきました。

 参加者のアンケートによると、事例検討会を継続して開催し、成功例の紹介や事例の募集をしてほしいという声や、多職種による意見交換を通して学ぶことが多く有意義であったという声がありました。事例検討会の開催は効果的な手法であったのではないかと考えております。

 次のページです。地域支援等の調査については実施が予定よりも遅れており、現在、実施中です。本日は結果を報告することができず、申し訳ございません。また、 9 月に報告の内容から変更になった部分も多少あります。調査は総合支援法と児童福祉法の一部のサービスを除く、サービス事業所にそれぞれ調査票を送付して行っております。三重病院の意向もあり三重県内全てのサービス事業所を対象としております。

 調査項目として、医療的ケア児者の支援を行っているかどうか、行っている場合は、その方の年齢、医療的ケアの内容、利用サービスについてお伺いします。相談支援事業所には、サービス等利用計画を作成する上での課題についてもお伺いします。また、支援を行っていない事業所には、その理由についてお伺いし、受入れに当たっての課題を把握します。医療的ケア児者の支援に関する研修会の開催に当たって、どのような内容を希望するのかということについても把握し、今後の研修会の開催に反映していきたいと考えております。調査を通じて医療的ケア児者の支援を行っている事業所の実態を把握するとともに、実際にどの事業所が医療的ケア児者の支援を行っているのかも分かるので、多職種の顔の見える関係作りにも活用できると考えております。

 次に、コーディネーターの育成についてです。コーディネーターとしての役割を担うと考えられる相談支援専門員や医療ソーシャルワーカー、看護師を対象に資質向上を目的とした研修会を 12 月に開催いたしました。開催に当たり、講師派遣や開催案内など、津市障がい者相談支援センターにも御協力を頂くことができました。また、研修プログラムの策定や資料の作成に当たり、平成 27 年度厚生労働科学研究において開発・作成された重症心身障害児者等コーディネーター育成研修及び重症心身障害児者等支援者育成研修のテキストを活用いたしました。

1 日目は、コーディネーターの在り方や多職種連携の重要性のほか、医療的支援、福祉制度など、医療的ケア児者の支援に関する基本的な知識について講義を行い、 2 日目では、異なる職種間で専門的な意見交換を行いながらサービス等利用計画の作成を行うグループワークと、医療的ケア児者を支援する施設において実際の支援の見学を行うことで、医療的ケア児者を支援したことがない方も、実際の支援のイメージが持てるように工夫いたしました。参加者については、相談支援専門員が 9 名、医療ソーシャルワーカーが 2 名、看護師 5 名の合計 16 名でした。

 次のページです。今後の展開と三重県の取組の予定についてまとめます。報告書は 16 ページからです。まず、多職種による途切れのない支援等が可能となる体制整備についてです。本事業において、医療、福祉、保健、教育、行政等の顔の見える関係作りに向け、その契機とするため事例検討会を開催したところですが、今後、サービス等利用計画の作成時や退院時カンファレンスなどの実際の支援の機会を通じ、多職種が連携した支援を繰り返すことで、初めて強固な連携体制が構築されていくものであると考えております。そこで、次年度も引き続き、まずは医療、福祉、保健、教育、行政等の顔の見える関係作りのきっかけ作りを行うとともに、多職種が連携して支援することの重要性について啓発することで、多職種による途切れのない支援等が可能となる体制整備を推進していく予定です。事例検討会を継続させてほしいという声もありますが、事例検討会の趣旨であるそれぞれの医療的ケア児者を支援するための取組については、本来、市町村が取り組むべきものであると考えておりますので、県では広域的な支援体制の構築に向けた取組を行っていきたいと考えております。

また、支援者の方が一生懸命支援に当たっていただいてもうまくいかないことも多いのが現状です。そのため、行政が果たすべき役割として、医療的ケア児者の支援者の努力のみでは解決できない課題について適切に把握し、その解決方法を検討していくことが求められているところです。三重県では、次年度も引き続き医療的ケア課題検討部会を開催して、医療的ケア児者の地域生活における課題の整理と、それに対する具体的な方策について協議を行い、施策に反映できるよう努めていきたいと思っております。

 次に、医療的ケア児者の支援者の人材育成・人材確保についてです。本事業において、相談支援専門員や医療ソーシャルワーカー、看護師など、コーディネーターとしての役割を担うと考えられる職種の資質向上のための研修会を開催して、医療・福祉等の関係分野について一定の知識を得られる機会を設けたところです。

 また、三重県相談支援専門員従事者初任者研修においては、医療的ケアに関する講義を新たに追加して、相談支援専門員に対する医療的ケアの啓発や利用促進を行いました。修得した知識を活用して実際の支援に結び付けていくためには、多職種による途切れのない支援等が可能となる体制整備を構築する必要があり、これらの取組を同時に推進していく必要があると考えております。

 更に、相談支援専門員については、医療的ケア児者の支援全体のコーディネートを通じて、医療的ケア児者の地域生活における課題を抽出して、地域自立支援協議会に伝えていくことや、新たな地域資源を開発することなど、医療的ケア児者の地域支援体制を構築する中で、特に重要な役割を担っていると考えております。そのため、次年度も相談支援専門員に重点を置きながらコーディネーターの資質向上のための研修会を開催し、コーディネーターの人材育成を行っていく予定です。

 次のページです。最後に平成 28 6 3 日に児童福祉法が改正され、第 56 条の 6 2 項により地方公共団体は医療的ケア児の支援に関する関係分野の連携の一層の推進を図るよう努めることとされたところですが、医療的ケア児者の支援に当たっては、やはり関係分野、関係機関との連携が非常に大切であると感じております。

 三重県では、県庁内の関係各課等が集まり情報共有等を行う場として、年 10 回程度、小児在宅ワーキンググループを開催しております。今後も関係分野の連携を密にした上で、医療的ケア児者の地域支援体制の構築に向け努力していきたいと考えております。また、医療的ケア児者の支援は広域的に取り組む必要があるものも多いところですが、それぞれの医療的ケア児者を支援するための取組は市町村が行っていくべきものでもあるので、地域生活支援拠点構築の取組などにもつながるところもあります。市町村でも医療的ケア児者の地域支援体制の構築の推進を是非お願いしたいと考えております。

 長くなりましたが、説明は以上です。御清聴ありがとうございました。

○大塚座長 どうもありがとうございました。ただいまの説明内容について、御質問、御助言等がありましたらお願いいたします。

○田村委員 三重県におかれましては、最後に触れられましたが、県庁にワーキンググループがあり、そこで小児の在宅医療ケアが必要な子どもについて、三重大学のトータルケアセンターの岩本先生とも一緒に協議しているということは、素晴らしいことだと思っております。三重県を見学に行かせていただいて、お陰で埼玉県にも県庁にワーキンググループを立ち上げることに成功いたしました。本当に感謝しております。

 ただ、少し細かなところを質問いたします。先ほど、症例検討会ですね、ケースワーカー、その発表の所を見ると、参加された職種の方が、これは所属施設別に所属機関として挙げておられる。多職種の顔の見える関係作りの事業の取組内容➀ですが、例えば、恐らく、これだと保健師は行政に所属しているということでやられているだけで、職種として挙げればもっと多職種、我々も 3 か月ごとに定期的なケースカンファレンスをやっておりますが、今では 20 職種以上の方に参加していただいております。

 ですから、報告書には、それぞれの所属機関だけではなくて、そこにどういう職種の方が参加していたのかということも是非入れられてはいかがかと思います。それと同時に今回、 2 症例について検討して、これから先は市町村の役割だということで、これからは行わないというようなことをおっしゃったように思います。

 子どもで在宅医療、特に特殊で高度な医療ケアを必要とするお子さんは、県全体に広くパラパラと点在しているということが 1 つの問題で、その症例について、市町村に全て責任を委ねるというのは、かなり難しいことではないかと。県が企画して、その中に、その患者さんに関係する市町村の方や責任者も参加させるという形で指導していかないと、我々、正直言って市町村に、うちの病院でこれから人工呼吸器を付けて退院させるお子さんについていろいろ相談しようと思っても、ほとんど相手にしていただけないので、やはり、これは県が主導して市町村も巻き込むという形を取られたほうが実際的ではないかと思いました。

 もう 1 つは、今回の中で、先ほども大阪の方にもお聞きしましたが、学校で医療的ケアの必要なお子さんが、きちんと看護師からケアを受けているのかどうかということについては、全然お触れにならなかったと思いますので、その辺りも、もし御存じならばお聞かせ願いたいと思いますし、まだ十分に現状を把握しておられないのならば、是非、そういうことも調査していただければと思います。

○大塚座長 ほかに何かございますか。

○米山委員 御発表ありがとうございました。津の障害福祉圏域は、人口は大体どのくらいカバーされているのですか。 50 万ぐらいですか。

○三重県  30 万人程度です。

○米山委員 分かりました。そうすると、 0.04 とかというところだと、本当に重心の方がパラパラという感じになっている地域もあると思います。報告書案の 3 ページを見ていて本当にそうだと感じたのは、下のほうの看護師不足とか医ケアもできるスタッフ不足というのは、かなりどこでも課題だと。首都圏だとまあまあいるのかもしれませんが、なかなか厳しいということと、ここに書いてある医ケアができる看護師が限られているというのは、本当にそうだと思います。

 私、先月、 56 条にも合っているのか、 0 歳の保育園は看護師が配置されているので、そこの看護師たちと医ケアの勉強会をしたら、やはり怖いとか、 0 歳の赤ちゃんは鼻水がたくさん出て、オリーブ管で吸うけれども、それは医ケアではないね、拭うのは医ケアではないけれど吸引すると医ケアだねとか、そういう話から、カニューレも見たことないわということ。

 区立の保育園、公立保育園の方々はベテランが多いので、なかなか医療から離れていて難しいとかそういうことがあって、逆に言えばインクルーシブだし、 56 条を使った保育でも預かれるようにしてしまえば、 0 歳の所には看護師が配置されていますから、その利用がすごくいいという意味では、法律的に言えば、先ほど、大阪府からもありましたが、今、子どもの子育てという中だと子育て世代包括ということで、母子保健と更に子ども・子育ての中に、障害のお子さんたちをそこで見ていくということが法律の中に入っているわけです。

 その辺のことを絡めると、実際に結構人がいる中で、そこの方々の力量とか支援ができるように少し変えていくと、看護師はいるわけですから、そこの業務とかを変えると何かできる。特に人が少ない所は、今後そういうところをうまい具合に使っていかないと難しいということです。この相談支援についても、人口の少ない所は、本当にお年寄りのサービス支援から障害者や障害児の利用計画も含めて、みんな一緒にやっている中だと、少ない人材をどのように育てるのかということが、本当に課題だと思っております。大阪のように人もいる所から、津周辺はいるにしても、その周辺というのはなかなか少ないのかと思います。何かうまい具合にその辺を利用されたらいいかと思います。先ほど田村委員もおっしゃいましたが、市町村のレベルだと本当に人が少ないので、県が一緒になってやらないとなかなか厳しいなと、是非、そこがいい具合につながって支援ができたらいいと思いました。以上です。

○大塚座長 ありがとうございます。先ほど田村委員の御意見等も踏まえて、米山委員に県から何か考え方があれば、どうぞ御紹介ください。

○三重県 ありがとうございます。まず、田村委員から市町村に任せるのはいかがなものかということで、県が主導していくべきであろうと。実際に御指摘のとおりで、私どもの考え方としては、はっきり言ってもう少し市町村に主体的な気持ちを持っていただきたいということがあり、動いていただくのは市町ですということで、当然、県が手放すわけではなくて、県としてこのような今年の取組も、もう少しやっていきたいと考えております。ただ、主体となって動いていただきたいということを市町会議等で常に言い続けていきたいと考えております。

 併せて、米山委員にお話いただいたとおり、人材育成等については当然ながら県の責務で、その辺りは対応していきたいと考えております。田村委員から頂いた職種ですが、もう少し細かく分析して書くことができると思いますので、そちらも入れさせていただくように考えております。担当が特別支援学校で勤務経験があり、若干、学校でのケアや実情が分かるかと思いますので、分かっている範囲でお話します。

○三重県 障がい福祉課の榎木です。今日はありがとうございます。今、田中のほうから紹介のあったように以前三重県内で最も多くの医療的ケアが必要な障害児が通っている特別支援学校の事務室に勤務していたことがありました。あと、先ほど紹介の小児在宅医療ワーキンググループに特別支援教育課にも入っていただいており、日頃から情報共有をしております。知っている限りの情報ですが紹介いたします。

 三重県の中でも、人工呼吸器や高度な医療的ケアが必要なお子さんの教育に当たっては、どうしても現在のところ保護者の付添いをお願いしております。なかなか御負担をお掛けしているところでもあります。ただ、昨年度から施行された障害者差別解消法のこともありますので、教育委員会ではできるだけ保護者の付添いを求めることを少なくしていきたいということで検討いただいております。

 送迎に関しても、先ほどお話いただいた中にもありましたが、どうしても医療的ケアが必要な方は保護者にお願いしているという実情があり、かなり負担が掛かっているところです。今年度の第 2 回の自立支援協議会の医療的ケア課題検討部会の中でも議題に上っており、三重県の中で、この課題をどのように解決していくのかを議論いたしました。

 具体的な方策としては、今のところ考えられるのは、地域生活支援事業の移動支援に看護師も同乗して通学支援を行うということが一番現実的で、今ある資源を活用してできるものかと思います。移動支援が個別給付の関係で通学に利用されにくいというところや、訪問看護師も診療報酬の対象にならないということが課題です。なかなか医療だけ、福祉だけ、教育だけでも解決していかない問題ということで、今後どのように解決していくのかということは、財政的な面もあるのですが、関係各課で協議を進めてまいりたいと思っております。以上です。

○大塚座長 ありがとうございます。ほかに何かございますか。

○奈良間委員 御報告、お疲れさまでした。今回の事業を通して多職種がつながる機会を持たれたり、コーディネーター等の人材育成に取り組まれたりということで、非常に有意義だったと考えました。同時に今までの議論ともつながると思うのですが、三重県で全体的にどういうシステムモデルを描いていらっしゃるのかということが、なかなか見えにくいところもありましたので、この次の段階になるかと思いますが、是非、その辺り、具体的な御提案につなげていただきたいと思いました。看護師不足の話題も、そこにつながってくるかと思います。

 今回の報告資料の 9 ページのコーディネーターの育成に関する所に、相談支援専門員に重点を置きながらということが書かれております。現状としては、そういう方向性で現実的な路線なのか、場合によっては、まずは訪問看護師等が補完していくことが先決なのか等、もし現状で把握していらっしゃることがありましたら教えていただきたいと思います。

○三重県 ありがとうございます。今後のシステムモデルですが、まだ大阪府のようにカッチリしたものができておりません。医療的ケア課題検討部会や地域の自立支援協議会の中で、どのような形がいいのか、現在、私どもが実施しているのは、こういう拠点を構築して、連携を高めていこうということで考えております。財政的な部分もあり、補助メニューを作るということは、非常に困難な状況です。ただ、多額の費用を使わずにできるものがあるのではないかということで、現在、このような連携を深めていくという形を取っております。

 ただ、医療的ケアの課題は対象となられる方が増えている状況ですので、今後も引き続きモデル、何か形になるカチッとしたものを作っていきたいと、今、模索しているところです。はっきりしたものが御提示できなくて申し訳なく思っております。

 あと、相談支援専門員主体で考えているのかという御質問ですが、相談支援専門員が全てではありません。当然ながら多職種ということですので、ただ、障害児者の方の相談を最初に受ける方ということになると、相談支援専門員は多いので、たくさんの方のお話を聞く機会があります。いろいろな所につないでいっていただかなくてはいけないという使命を持っておられると思いますので、中心に据えてと書いております。

○福岡委員 三重県の取組ですが、恐らく今、国も進めようとしているスーパーバイザーとコーディネーターという 2 つの人材については、正にドンピシャのモデル事業なので、今後スーパーバイザーやコーディネーターがどれぐらいのボリューム感やどれぐらいの資質というときに、三重県の取組はいろいろ紹介されていくと思います。

1 つは、前回、国立病院機構の三重病院にスーパーバイザーを配置した意味合いを少し聞かせていただいたことがあります。本来はスーパーバイザーがいるべき場所は、全県で 1 つと考えるのですが、このときに、結果的に病院自身も社会モデルに組織が変わっていくみたいなことも大事な取組です。

1 つは、スーパーバイザーが三重病院に配置されたことによる、スーパーバイザーの居心地感、あるいは拠点である三重病院の何が必要でそこにいたのか。少し聞き方があれですか。その辺のスーパーバイザーを配置するのならばこういう所のこういう所で、そのためにはそこは何の力があるから何が欲しいのだみたいなこと辺りをやっていただいた感想として少し聞いてみたいのと、三重病院自身も、前回は何となくアウトリーチに意外に苦手なのが拠点型の中心病院なので、フットワークの面で、逆に言うとスーパーバイザーだけが何となくここで動いていたことがないだろうかみたいなことが少し気になったものですから、その辺のところが 1 つです。

 あとは、コーディネーターとして、今も質問がありましたが、相談支援専門員と各地域の拠点になり得るような病院の MSW と地域の訪問看護ステーションの中核的な所。この 3 者は必須といいますか、できたら相談支援専門員は基幹型の所から相談支援専門員、あるいは本当はもう 1 つ、市町村の中で中核的な保健師もコーディネーターの資質としていいのではないかという案が出ておりました。

 この辺で人選に当たるときの、三重県でやられたときの感想として、やはりやるときには狙い撃ちでもいいですが、各圏域の中核的な相談の誰々さんに来てもらわなければ意味がないのだとか、あるいは各地域の中核となる病院の、あの方に来てもらわなければ意味がないのだみたいな、その辺の何というのですか、集め方といいますかコーディネーター育成の狙いといいますか、何か私、うまく少し言えていないのですが、それで、今回 16 人育てておりますが、この 16 人がきちんと動いてくれれば、対象者として三重県のような 200 人ぐらいの人口規模ですか、ほぼ OK かどうか、その辺の人材のことをお聞きしたいのです。お願いします。

○三重県 御質問、ありがとうございます。まず、三重病院にコーディネーターを配置したことについてです。御指摘のとおり、三重病院は三重県の中でも大きな病院で、国立病院機構ですので、組織も大きな所です。正直なところ、三重病院としては、そこまでフットワークが軽く小回りが利くかというと、なかなかそうではない部分も多かったかというところが担当者の感想です。コーディネーターについては、日頃から三重病院から出られる方の退院調整とかをやっておられる医療ソーシャルワーカーということで、日頃から。

○福岡委員 スーパーバイザーですか。

○三重県 スーパーバイザーのことです。すみません。日頃から地域に出られることが多くて、非常に地域へ地域へという思いが強い方でしたので、病院の中でもよく動いていただきながら、三重病院としても組織として、この事業に取り組んでいただけたのかと思っております。

 どのような人材をコーディネーターに育てていくのかということについてです。平成 25 26 年度に行った小児在宅の拠点事業でも、市町村の保健師もコーディネーターになり得る人材かという課題も見えてきております。これからは保健師に多職種連携の重要性について学んでいただく研修会の実施をを母子保健分野で取り組んでいこうかと今検討しております。

 手挙げ式ですと、なかなかなっていただく方は難しいので、やはり狙い撃ちで、現在、積極的に取り組んでいただいている事業者、そういう所を今回の地域資源の調査も活用しながら、人材育成をしていくという方法が、今のところは最も効率が良いのではないかということも考えております。これから厚生労働省の取組も始まるということですので、検討してまいりたいと思います。以上です。

○大塚座長 ほかにはいかがですか。よろしいですか。それでは、もう一度戻りまして、大阪府と三重県全体として、御意見、御感想、アドバイス等、一般的なことも含めてありましたら、お願いします。

○福岡委員 私はこの委員を 5 年ぐらいやらせていただいています。今年度の大阪府と三重県の取組は、最もモデル事業たり得るなと思うぐらいに、それぞれが本気でやっていただいたと。それぞれ持っている地域事情が違いますので、攻め方や取組が違いますが、大阪府のやられた、とにかくトップダウンで全府をこしらえて、その中で必要な資源作りも頑張って、本当は市町村が担うべきことまでくさびを打っていくような取組と、三重県のスーパーバイザーやコーディネーターに焦点を絞った地域のキーパーソン育成が 2 つ重なれば、相当全国でいけるなという感じを持ちました。

 ただ残念ながら、今回はこの分野のモデル事業なので、決定的に欠けているのは市町村を本気にするという取組なのです。市町村が本気になってくれないと、結局は相談支援事業所も増えませんし、あるいは最後は市町村のほうでとなっても、市町村からするとそこまで本気になれるだけのモチベーションを持つのは難しく、どちらかというと県レベルは、これはもう全て実施主体は市町村なので、余り県はそこに踏み込むのはよろしくないのではないかとお見合いしてしまったり、市町村は市町村で、とても我々に担えることではないのだけれども県はどうしてくれるのですかというような真空状態が一番地域をこしらえてくれない状態です。

 私の実感としては、とにかく都道府県が市町村と本気でこれについて、それぞれ守備範囲というよりは、コラボできるようなベーシックな取組。現実的には、都道府県の自立支援協議会が本気で動き、各地域の自立支援協議会も本気で動いて、そこが毎月集まるような下地がないと、本当はなかなか最後までたどり着くには難しいのではないかと。これは、別にこの分野だけではないのですが、そういう条件の中でもいい取組をしていただいた 2 つのモデルとして敬服いたしました。以上です。

○大塚座長 ほかにはいかがですか。

○田村委員 私は、先ほど大体言いたいことは言わせていただきました。福岡委員と同じく、都会型と地域型としては、三重県の方には失礼かもしれませんが、 2 つのモデルは非常にいい取組だと思います。ただ、これからはこの 2 つの府県のような先進県では、是非形の上で小児在宅医療のネットワークとそれに対する取組ができているということだけでなくて、今度は質の問題です。

1 つは、先ほどのレスパイト、短期入所は非常にお母さんにとっては大事なことです。私自身、私たちの施設にカルガモの家という重心施設があります。そこで短期入所をしている場合のレスパイトは、実はお母さんだけではなくて、入っているお子さん自身にとっても非常に意味のある時期になっております。というのは、ほとんど毎日のようにそういうお子さんたちを集めて、それこそ相談支援専門員や保育士がいろいろな催し物をして、単にリハビリをするだけではなく、やはり集団生活の中での子どもの発達の導きといったことがあるものですから、単にお母さんが休んでいるだけではなくて、入所しているお子さん自身もその短期入所の期間をエンジョイできるという意味で、私はやはり市中型の病院における短期入所、自主的にはレスパイトという言葉は余り使ってはいけないのでしょうが、検査入院などの形の入院の仕方は、命の安全という点では非常にいい点ではありますが、入っているお子さん自身にとってはメリットの少ない在り方ではないかなと思います。そういった辺りも勘案しながら、どういう形のレスパイトを行政として提供、推奨していくのかを検討していただければと思います。

 それから、先ほどの教育の問題も関心があり、いろいろと調べています。せっかく看護師を特別支援学校に配置してもらいながら、その看護師たちをうまく活かせていない現状に愕然としました。是非、先ほどの多職種の育成のための取組の中にも、訪問看護師だけではなくて、むしろ先ほど米山委員からありました学校や保育園のような所の看護師についても、研修会事業、若しくはなぜ学校できちんと家族が期待するような医療ケアができないのかといったようなことについても調査をして、それから彼女たちが技術的に不安だというのであれば、それを研修するというような取組が、これから 2 つの府県には期待されるのではないかと思います。ただ、三重県がスーパーバイザーを国立三重病院に置かれたというのは、私は非常にいいところに目をつけられたと。国立三重病院は、総合周産期センターで、ある意味ではたくさん障害児をつくり出している一方で、そういう子どもを重心施設で診ている、全国的にも非常に数の少ない所です。そういう所であれば、先ほどのような福祉と医療と正に一体化した所で、そこにキャリアのあるスーパーバイザーの方が入るということは、 1 つのいいモデルになると思いますので、是非それをいかして、その実績を上げていただきたいと思います。以上です。

○米山委員 私も、障害児の通所施設などの団体にも関わりがあったり、特別支援学校医もやっているのですが、とにかくだんだん人が減ってきていて、看護師不足もですし、児童指導員といった介護の人も減ってきています。このような人材育成もいいのですが、なかなか人がいないなと思っています。先ほど、福岡委員からもあったのですが、やはり行政の中で人というと、看護師の免許を持っているというと、やはり保健師が各地域にいて、そういう意味では保健師がコーディネートをできるというのは、とても大事だと思うのです。

 そうすると、もう一方では障害福祉というよりは、保健師はみんな母子保健や、今の子ども子育てや、児童福祉の領域でいるわけで、そこを超えた形で子どもについて言うと、先ほどの 18 までの 30 %のほうでいえば、児童福祉法の中で障害のお子さんたちも全てということで言われているので、やはりそこを人の少ない地域だと行政、公的なところだと、保健師がうまく利用できるかなと。あとは、学校について言うと、特別支援学校も地域支援部なり幼児の相談部も始めていて、そういったところでも主に肢体不自由の特別支援学校の先生方はいろいろと詳しくは持っているので、そういった情報も利用できるかもしれないなと思っています。

 それから、先ほど言いました保育園などは、もともと保育士、看護師がいらっしゃるので、そういった条例を変えていくということが必要なのです。一方で、居宅療育や訪問もなのですが、いろいろな歴史を見てみると、昭和 54 年に養護学校が全部義務教育でということで、就学免除がなくなった中で、子どもたちが学校へ通学できたということが、すごい喜びだったわけです。そういう意味では、インクルージョンということも考えると、みんな在宅へ支援ということもですが、やはり学校へ行けるとか、保育園に行ける、通所施設に行けるというところを支援できるように仕組みを作っていってほしいなと思うのです。

 もう一方で、先々で言うと、年令分布を見ると、 40 歳以上が 30 %ということで、私もこの 1 か月の間に 18 トリソミーのお子さんが 2 歳で亡くなり、 4 月からの就学のお子さんで呼吸器を着けていた方が亡くなりというようなことがありました。もう一方では、年齢を増してきた方々がどのような生活ができるかという中では、もちろん看取りも含めてなのですが、先々の高齢化ということで、重心施設が私どもの所にもあるのですが、もう 70 歳を超えた方が 6 人以上いて、本当に高齢のことも大事になってきます。在宅支援の中で言うと、やはり高齢化に向けて、高齢者のサービス利用なり、障害高齢者ということも言われていますが、そういったこともライフステージを見据えたときに、年齢が高い方についてもシミュレーションを持ちながら、是非仕組みを作っていただければいいと思いました。以上です。

○奈良間委員 全体を伺っていて思うのは、システムを整えたり、モデルを構築したりすることの重要性が、効率化やそれぞれの立場で同じものがある程度描けるという意味では、非常に効果的だと思います。それと同時に、具体の担当者がメリットを感じられることや、今回、特別支援学校の看護師の話題が非常に出ていたと思いますが、以前取り組んだ調査では、看護師個々にはやる気はあるのだけれども、身分保障が十分でなかったり、勤務時間が限られていることに、非常に葛藤されている方が多かったです。ですので、そういうところも可能な範囲で整えていただきながら、期待されているのだということを看護師自身が実感していただくことで、また仕事の質も上がっていくのではないかということも少し感じました。以上です。

○大塚座長 よろしいですか。それでは、大阪府さん、三重県さん、ありがとうございました。これで、ヒアリングを終了いたします。私から、最後にコメントを申し上げます。報告書案をこれから作成ということで、全国の支援体制や支援を行う自治体が参考になるようなことを少し考えたいと思います。大阪府は、やはり肝は重層的地域ケアシステムだと思いますので、このケアシステムの構築の時間的なプロセスとともに、どのようなところに配慮しながら、工夫をしながらやってきたかということをきめ細かく報告書の中に入れていただくと、これを通していろいろな都道府県も参考にしながら、自分の所でもこう作ればいいということになると思いますので、是非そこを報告書の中に盛り込んでいただきたいと思います。

 そのときの地域ケアシステムがここまできて、どう評価するかも皆さんの立場からあると思うのですが、多分ポイントは何かということです。 1 つは、ケア連絡会議、今後は協議会かもしれませんが、こういうものに掛かっている、これをうまくやればかなりいくのだ。あるいは、個別のケースを通して事例検討、そしてそれを解決するため、それは正に市町村にも関係し、ステージ 1 にも関係するわけです。そういうことをやると、このシステムは動くのだというようなポイントを書いていただくと、より参考にはなると思っています。

 もう 1 つは、 6 圏域で行ったと思うのですが、それぞれの事情が違ったり、それぞれの特色があったと思うのです。それぞれの特色が差異とか同一性と書かれると、その中で有効な方法が出てきますので、圏域ごとに工夫したところも書いていただくと有り難いと思っております。

 それから、三重県は全国のモデルということになると、やはり医療と福祉の連携モデルですよね。これは当然なのだけれども、反対に三重県は医療と福祉の連携モデルを非常に苦労して、工夫したと思うのです。これは、そもそも障害分野の事業なのに、小児拠点事業、医療の分野を導入しながら福祉部で作るということなので、多分相剋や喧嘩はないと思いますが、いろいろな工夫や苦労したこともあると思います。そういうことを書いていただくと、福祉から構築する支援体制に医療をどのように巻き込むかという観点の中で、三重病院はそれはそれで 1 つのモデルだと思いますので、スーパーバイザーの配置とともに、この有効性です。福岡さんもおっしゃっていたように、単なる拠点病院。拠点と福祉の自立支援協議会の関係は余りうまく書いていないのでこの辺りは工夫かと思いますが、拠点病院にスーパーバイザーを置くということですが、このスーパーバイザーは医療ソーシャルワーカーの方で非常にフットワークがいいと。書かれている中においては、地域を回ったり退院促進を進めたり、あるいは今回地域の不足している事業を作ったということまで書かれています。スーパーバイザーは病院に置かれたスーパーバイザーだけれども、むしろ医療モデルよりは福祉モデル、生活支援体制を地域で作っていくような仕事があるのだということを強調して書いていただくと、すごく参考になると思います。ただ、このスーパーバイザーが少し行政手腕的なことで支援体制を一緒に作っていくというようなことは余り書かれていなかったので、この辺りがどうだったのかなということがあると、より報告書が豊かになるのではないかと思っています。

 それでは、委員の皆様、実施されました自治体の皆様におかれましては、長時間にわたり、誠にありがとうございました。実施自治体におかれましては、今後の各委員からのコメントを踏まえて、最終的により良き報告書にまとめていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。では、事務局にお返しいたします。

○小島障害児・発達障害者支援室長補佐 今後の予定等について説明いたします。今回の事業報告の件は、実施自治体の皆様におかれましては、補助金交付要綱に基づく事業実績報告書については、 3 31 日までに事務局まで御提出をお願いいたします。また、報告書については、本日、委員の皆様からのコメント等を踏まえ、記載内容の追加、修正等をしていただき、 4 10 日までに事務局まで御提出いただければと思いますので、御協力をお願いいたします。なお、この重症心身障害児者支援体制整備モデル事業については、今年度で終了となります。皆様、ありがとうございました。また、来年度平成 29 年度については、医療的ケア児支援促進モデル事業を実施する予定としております。また、予算が成立した後、具体的にどのような形で実施するかを検討してまいりたいと考えております。連絡事項は以上です。

○大塚座長 この事業は今回が最終回ということで、長期にわたり、委員の皆様、行政の皆様ありがとうございました。それから、自治体の方もよく御努力いただき、ありがとうございます。これから、重症心身障害児者、あるいは医療的ケアを必要とする人たちの支援のために、頑張っていきましょう。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課
障害児・発達障害者支援室 障害児支援係
〒100-8916
東京都千代田区霞が関1-2-2
電話: 03-5253-1111(内線3037)
FAX : 03-3591-8914

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