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2016年9月16日 2016年9月16日 第27回ILO懇談会議事要旨

厚生労働省大臣官房国際課

○日時

2016年9月16日


○場所

厚生労働省共用第9会議室(19階)


○議題

(1) 第105回ILO総会の報告
(2) 2016年年次報告について

○議事

(1) 第105回ILO総会の報告について

政府側から、資料に基づき説明を行い、その後意見交換が行われた。

 

(労働者側)

本年の総会は2週間で慌ただしかったが、全体を通しては成功したと思う。三者構成主義に基づく社会対話の難しさとともに、大切さを改めて示した総会であった。グローバル・サプライチェーンの議論では、当初は労使の認識の隔たりが大きかったようだが、短い期間の中で結論文書の採択に至ったのは、コンセンサスを得るために三者がそれぞれ緊張感を持って取り組んだ結果であると考える。今後も、取り組むべき課題は多いが、それぞれの課題に対処するためには、ILOの三者構成主義を貫いていくことが重要である。

(2) 2016年年次報告について

はじめに、使用者側から、労使に対する意見聴取日程や意見内容など年次報告のあり方について懸念が示された。

続いて、政府側から、資料に基づき説明を行い、その後意見交換が行われた。

 


【第100号条約について】

(労働者側)

・ 労働基準法第4条については、差別の範囲が限定的であるため、例えば格付け、職種、雇用形態(雇用管理区分含む)によって生じる男女間の賃金格差に対応できておらず、直接差別、間接差別が残存している。また、労働監督による男女間賃金格差の是正が十分に機能していない実態がある。また、労働基準法第3条では、性差別についての規定がない。現行の労働基準法では、男女間賃金格差を是正していくことが難しい。

・ 現在、政府では、同じ雇用形態間での同一労働同一賃金についての議論をしているが、これでは第100号条約の精神に基づく、男女間賃金格差の是正には貢献できない。

・ 地方自治体の臨時・非常勤職員は、同じ職種・職務であっても自治体ごとに任用根拠がバラバラであり、政府は実態把握を行うべき。

・ 均等法指針の性差別の判定が雇用管理区分内という仕組みを廃止するべき。

・  現在の男女間賃金格差が、結婚や出産時点で夫婦のどちらかが離職しなければならなくなった場合にどちらが退職するかという選択を事実上決めてしまっている。数値的な差は徐々に縮まっているとのことだが、より一層の取組が必要である。

 

(使用者側)

・ 年次報告において、あたかも長時間労働に応じることを労働者に求める企業制度があるかのように読める記述は削除されたい。

・ 基本的に 100 号条約は、労働基準法 4条で担保できていると考えている。性別については、自分の努力で変えることができない。そのため、自分の努力で変えられる区別とは異なる扱いがされているのだと考えている。

 

(政府側)

・ 厚生労働省では、「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会」を開催しており、今後の取組が是正に資するものではないかと思っている。

・ 昇進に関しては、女性活躍推進法が施行され、着実に実施していくことが必要。

・ 一億総活躍の観点から、我々は女性が活躍できる社会を作っていくというスタンスである。女性活躍推進法はまさにその観点から重要である。

・ 使用者側の年次報告へのご意見については、ご反映させていただく。


 

【第122号条約について】

(労働者側)

・ 若者の雇用については、若者雇用促進法が成立したが、より一層の取組を進めていく必要がある。

・ 年次報告では、非正規労働者の正社員転換の促進の結果として、実際に制度を利用し、正社員に転換した者の人数を記載しているが、非正規労働者の全体の人数も記載するべきではないか。

・ 女性の雇用対策を進めているが、性差別の判定が雇用管理区分内という仕組みを廃止するべき。

・ 高齢者雇用については、もっと指導を強化するべき。

・ 先進国でこの条約の適用が問題となり、個別審査されるケースが続いている。ガバナンス条約でもあり、日本でも国内適用に問題があるという指摘を受けることのないよう、しっかり取り組まなければならない。

 

(政府側)

・ 我が国は、非正規労働者が正規労働者に転換するための様々な対策を取っている。不本意非正規労働者の人数・割合という点では減っているかと思う。今度とも、新卒、若者応援ハローワークによる取組等により、転職、キャリアアップへの支援を進めてまいりたい。

 


【第131号条約】

(労働者側)

・ 最低賃金と生活保護額を比較する上で、考慮するデータが不十分。

・ 最低工賃については、据え置かれており、引き上げが必要ではないか。

・ 労働基準監督官の人数が十分ではないため、増員が必要。

 

(政府側)

・ 最低工賃については、一定の成果に対する報酬であり、最低賃金と同様に引き上げるということはなかなか難しい。

 最低工賃は、一定の地域において一定の業務に従事する工賃の低廉な家内労働者の労働条件の改善を図るため必要があると認めるときに、公労使の委員からなる地方労働審議会の調査審議を得て決定されるものである。

現在、家内労働者を取り巻く環境は厳しく、地方労働審議会の議論の結果、最低賃金の引き上げに合わせた見直しを行わなかったとしてもやむを得ないものと考えている。

・ 労働基準監督官の数は2012年から連続して増加している。なかなか人数を増やすことが厳しい中で、最大限定員の確保に努めている。

 


【第156号条約】

(労働者側)

・ 育児介護休業法の改正より、一部の有期契約については、処遇要件が緩和されたものの、なお、有期契約労働者については一定の取得要件がある。全ての労働者を育児休業の対象とすべき。

・ 介護休業の日数の上限は、93日となっているが、1年に延長すべきである。

・ 男性の育休取得の促進について、一層の取得促進が重要である。

 

(政府側)

・ 育児介護休業法の改正により、育児休業の取得要件を緩和した。今後、この推移を見守りながら、きちんと施行できるよう、周知徹底を図って参りたい。

・ 介護休業の趣旨は、労働者が全ての介護を担うためのものではなく、介護体制を整えるための準備を行うためのもの。従来1回しか取得できなかったが、それでは使いにくいということで、今般制度改正を行い、分割取得を認めたところ。

 


【第181号条約】

(労働側)

・ 民間職業紹介事業所については、求人と実際の労働条件が違うといったトラブルがあり、また、インターネット上の職業紹介のような職業安定法制定時には想定していなかったサービスも多数ある。これらに対して、求職者保護の観点から規制が必要。

・ 労働者派遣法の改正が、真に労働者保護に資するものなのかどうか検証していかないといけない。

 

(政府側)

・ 労働者派遣法の改正の状況も見ながら、引き続き働き方改革を進めてまいりたい。


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