ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会)> 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録(2016年10月31日)




2016年10月31日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

○日時

平成28年10月31日(月)15:00~


○場所

新橋8E会議室


○出席者

出席委員(13名)五十音順

 奥 田 晴 宏、 加 藤 総 夫、 金 子 明 寛、 神 田 敏 子、
 杉     薫、 田 島 優 子、 内 藤 幹 彦、 野 田 光 彦、
 林   邦 彦、 平 安 良 雄、 古 川   漸、 増 井   徹、 
○松 木 則 夫 

欠席委員(8名)

 川 上 純 一、 木 村   剛、 鈴 木 邦 彦、 武 田 正 之、
 平 石 秀 幸、◎松 井   陽、 村 田 美 穂、 山 田 清 文
(注)◎部会長 ○部会長代理

行政機関出席者

武 田 俊 彦 (医薬・生活衛生局長)
森    和 彦 (大臣官房審議官)
山 田 雅 信 (医薬品審査管理課長)
佐 藤 大 作 (安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
宇 津    忍 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
林   憲 一 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
猿 田 克 年 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○医薬品審査管理課長 それでは、定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会」を開催させていただきます。本日はお忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。まず、新しく当部会の委員に就任された先生を御紹介いたします。さわやか法律事務所弁護士の田島優子先生です。よろしくお願いいたします。

 本日の委員の出席状況についてですが、川上委員、木村委員、鈴木委員、武田委員、平石委員、松井委員、村田委員、山田委員より御欠席との御連絡を頂いております。また、加藤委員が遅れておられるようです。現在のところ当部会委員数21名のうち12名の委員の御出席をいただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。

 なお、本日、部会長の松井委員が御欠席ですので、会議の進行につきましては、部会長代理の松木先生にお願いしたいと存じます。それでは、松木先生、以後の進行をお願いいたします。

○松木部会長代理 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配布資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告を行ってください。

○事務局 本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。また、議事次第に記載されている資料1から資料7-2をあらかじめお送りしております。このほか、資料8の審議品目の薬事分科会における取扱い等の案、資料9の専門委員リスト、資料10の競合品目・競合企業リストを配布しております。

 続いて、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リスト(資料10)について御報告いたします。各品目の競合品目選定理由については次のとおりです。資料10の1ページを御覧ください。「パーサビブ静注透析用2.5mgほか2規格」ですが、本品目は「血液透析下の二次性副甲状腺機能亢進症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 2ページを御覧ください。「ディナゲスト錠1mg、同OD錠1mg」ですが、本品目は「子宮腺筋症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。

 3ページを御覧ください。「アミヴィッド静注」ですが、本品目は「アルツハイマー型認知症が疑われる認知機能障害を有する患者の脳内アミロイドベータプラークの可視化」を予定効能・効果としており、同様の臨床的位置付けを有するものとして、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 4ページを御覧ください。「ヌシネルセンナリウム」ですが、本品目は「脊髄性筋萎縮症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 5ページを御覧ください。「エルトロンボパグオラミン」ですが、本品目は「再生不良性貧血」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。競合品目に関する説明は以上です。

○松木部会長代理 今の事務局からの説明に特段の御意見等はありますでしょうか。よろしいですか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆さんの了解を得たものとします。それでは、委員からの申出状況について、報告してください。

○事務局 各委員からの申出状況については、次のとおりです。議題1「パーサビブ」退席委員なし、議決には参加しない委員、野田委員、平安委員。議題2「ディナゲスト」退席委員なし、議決には参加しない委員、平安委員。議題3「アミヴィッド」退席委員なし、議決には参加しない委員、杉委員、平安委員。議題5「ヌシネルセンナトリウム」退席委員、議決には参加しない委員、ともになし。議題6「エルトロンボパグオラミン」退席委員なし、議決には参加しない委員、杉委員、野田委員、平安委員。以上です。

○松木部会長代理 今の事務局からの説明に、特段の御意見等はありますでしょうか。よろしいですか。よろしければ皆さんに御確認いただいたものとし、議題に入ります。

 本日は審議事項が6議題、報告事項が1議題となっています。それでは、審議事項の議題1に移ります。議題1について、機構から概要を説明してください。

○医薬品医療機器総合機構 それでは議題1、資料1、医薬品パーサビブ静注透析用2.5mg他の製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。

 二次性副甲状腺機能亢進症におけるPTH管理を目的とした薬物治療としては、現在、カルシウム受容体作動薬であるシナカルセト塩酸塩や活性型ビタミンD製剤が個々の患者に応じて選択されております。

 本剤はシナカルセト塩酸塩と同様のカルシウム受容体作動薬であり、今般、血液透析下の二次性副甲状腺機能亢進症患者を対象とした国内第III相試験において有効性及び安全性が確認されたとして、医薬品製造販売承認申請がなされました。なお、2016年8月現在、海外において本剤が承認されている国はありません。

 本品目の専門協議では、本日の配布資料9に示します専門委員を指名しております。

 以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明します。

 有効性に関しては、報告書25ページの表19を御覧ください。国内第 III 相試験の主要評価項目である「投与開始85日目の血清intactPTH濃度達成率」について、本剤群のプラセボ群に対する優越性が検証されました。以上より、機構は、本剤の有効性は示されたと判断しました。

 安全性に関しては、同じ25ページの表20を御覧ください。国内第 III 相試験における有害事象の発現状況を示しております。有害事象の発現割合についてプラセボ群と比較して本剤群で臨床上問題となるような差異は認められませんでした。

 以上より、機構は、本剤の安全性は許容可能と判断しました。

 ただし、本剤は血清カルシウム濃度低下作用を有することから、本剤投与中はカルシウム濃度を定期的に測定して、減量、休薬等の用量調整を適切に行うよう添付文書等で注意喚起する必要があると考えました。また、低カルシウム血症関連の有害事象の発現状況については、製造販売後調査等で情報収集する必要があると考えました。

 以上、機構での審査の結果、血液透析下の二次性副甲状腺機能亢進症患者に対する本剤の有効性は示され、安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で、本剤を承認して差し支えないと判断し、本部会で審議されることが適当と判断しました。

 なお、本品目は新有効成分含有医薬品であることから再審査期間は8年、原体は毒薬、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しました。薬事分科会では報告を予定しております。機構からの説明は以上になります。御審議どうぞよろしくお願い申し上げます。

○松木部会長代理 委員の先生方から御質問、御意見お願いします。いかがでしょうか。

○杉委員 循環器の方から伺いたいのですが、カルシウム濃度が低下するので、心機能抑制があるのと、それに伴って二次的にQT延長があると思うのです。今まで報告があった中で、QTはどのぐらいまで延びるかどうか。それから、心機能の低下は実際に認められるかどうか。ここには心不全に注意と書いてありますけれども、そういうものの報告がもしあれば教えていただきたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明申し上げます。本剤の心血管系事象への影響につきましては、報告書32ページより検討しております。国内

III相試験において、心不全や心再分極関連事象についてプラセボ群では認められなかったのですが、本薬群では1例に認められました。認められた事象は心室性期外収縮ですが、軽度であったことから、特段問題ないと考えております。

○松木部会長代理 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。透析中に失われるパラトルモンを補うというものですが、いかがでしょうか。

 私から一つ、添付文書の案の方ではなくて、実際に文面になっている添付文書の3ページに薬物動態を示しているのですけれども、単回投与した後に血液透析して下がるというデータなのですが、これは実際の投与のときには血液透析のときのリターンのときに入れていくので、このような血漿中濃度になるというパターンはないと思うのですが、なぜこれが載っているのですか。

○医薬品医療機器総合機構 機構からお答えいたします。実際の臨床現場では単回投与ではなく反復投与で使用されます。一般的に透析で使用される薬剤については、実際に透析下において1回透析を回したときにどのぐらい除去するかという情報を添付文書で情報提供しています。本剤についても添付文書で、透析の影響をどの程度受ける薬剤なのか、医療現場に情報提供した方がいいのではないかということで、申請資料に書いてある情報を、こちらの添付文書にて情報提供しました。

○松木部会長代理 これが大体一般的ということですか。

○医薬品医療機器総合機構 一般的に透析時に使用される薬剤については、透析によりどのぐらい除去されるのかという情報は、医療現場の先生方にとって、大事な情報かと思います。本剤も他の透析に使用される薬剤と同様、透析がどの程度血中濃度に影響するのかという情報を添付文書に記載した方が、添付文書に記載しないことにより医療現場の先生自身がその都度企業に問い合わせる手間が発生するよりも適切と考えました。

○松木部会長代理 実際の静脈のリターンのほうに入れたときの濃度変化とかは、別に出さなくてもいいということですか。

○医薬品医療機器総合機構 実際の用法・用量で実施したデータ、すなわち、反復投与したときのデータは、添付文書の「薬物動態」項、「1.血漿中濃度 ()単回投与」の直後の「()反復投与」に記載されています。添付文書の「()単回投与」項は、単回投与時の薬物動態パラメータの情報と透析の影響に係る情報を提示しており、「()反復投与」項は、承認の用法・用量どおり使用した場合どのように血中濃度が推移するかという情報を提示したものです。

○松木部会長代理 単回でなくても反復投与で出しておけばいいということですか。

○医薬品医療機器総合機構 本剤は反復投与して使用される薬剤であり、添付文書の「()反復投与」で提示している反復投与時のデータが最も薬効を反映する血中濃度データと考えています。添付文書の「()単回投与」では、透析時にどの程度除去されるかという情報も併せて提示しています。

○松木部会長代理 ありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。よろしければ議決に入りたいと思います。なお、野田委員、平安委員におかれましては、利益相反に関するお申し出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を「可」としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議はないようですので、承認を「可」とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは、議題2に移ります。議題2について、機構から概要を説明してください。

○医薬品医療機器総合機構 課題2、資料2、医薬品ディナゲスト錠1mg、同OD錠1mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等につきまして、機構より説明します。

 本剤はジエノゲストを有効成分とする製剤で、本邦では2008年に「子宮内膜症」の効能・効果で承認されています。現在、国内外で子宮腺筋症に係る適応を有する薬剤はなく、本剤を含め、子宮腺筋症と同じエストロゲン依存性の疾患である「子宮内膜症」の適応を有する薬剤が医療現場で使用されている実態があります。しかしながら、本剤を子宮腺筋症又は子宮筋腫を有する患者に投与した際に、重度の貧血を伴う重篤な不正子宮出血を発現した症例等が報告され、注意喚起が行われてきました。このような状況を踏まえ、申請者は、子宮腺筋症患者における使用上の注意、治療対象とすべき患者集団等を明確にすることが有用であると考え、今般、子宮腺筋症患者を対象とした第III相試験成績等に基づき「子宮腺筋症に伴う疼痛の改善」の効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。なお、本剤は、海外では201510月現在、□□か国で子宮内膜症の効能・効果で承認されております。

 本剤の審査に関し、専門委員として、資料9に記載されております委員を指名しました。

 本剤の審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明いたします。

 有効性については、審査報告書8ページ、「7.2.1第III相試験」の項を御覧ください。子宮腺筋症患者を対象に実施されたプラセボ対照二重盲検試験において、主要評価項目である疼痛スコアの変化量は表9のとおりであり、本剤群のプラセボ群に対する優越性が示されたことから、本剤の子宮腺筋症に伴う疼痛の改善に関する有効性が示されたと判断しました。

 安全性については、審査報告書12ページ、「7.R.2安全性について」の項を御覧ください。子宮腺筋症患者を対象とした臨床試験で発現した有害事象は表14のとおりであり、不正子宮出血を除く有害事象については、既承認の子宮内膜症患者を対象とした臨床試験と比較して、その種類、発現割合及び重症度に大きな差異はなかったことから、子宮腺筋症患者に対する本剤の投与について、新たな安全性上の懸念はないと判断しました。

 不正子宮出血については、子宮腺筋症患者を対象とした臨床試験における発現割合は97%で、子宮内膜症に関する臨床試験と比較して高頻度に認められましたが、重症例及び輸血の処置を要した症例はなく、また重度の貧血に至った症例は認められましたが、休薬等で管理可能でした。ただし、臨床試験は、不正子宮出血及びそれに伴う重度の貧血を生じる可能性が高い「高度の子宮腫大又は重度の貧血のある患者」を除外するなどして実施されていたことから、「高度の子宮腫大又は重度の貧血のある患者」を禁忌に設定するなど、不正子宮出血及びそれに伴う貧血の重症化を回避するための方策を講じることにより、子宮腺筋症患者において本剤による不正子宮出血及びそれに伴う貧血が安全性の問題となる可能性は低いと判断いたしました。

 以上の審査の結果、本剤について、子宮腺筋症に伴う疼痛の改善に関する効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。

 本申請は新効能医薬品に該当することから、再審査期間は4年と設定することが適切と判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○松木部会長代理 委員の先生から御質問、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。

○神田委員 効能・効果と用法・用量について、お聞きします。効能・効果は子宮腺筋症に伴う疼痛の改善ということになっておりますが、月経時の疼痛を評価する疼痛スコアによって、疼痛に関する改善は図られたというテストが行われていて、それは分かったのですが、この子宮腺筋症というのは月経時疼痛だけなのでしょうか。主な症状はこれだと書いてありますけれども、そのほかの疼痛というのはないのでしょうか。ちょっと進行すると月経時に限らず下腹痛があると聞いていますので、そういうものがあるとすれば、それについての効果もあるのかということを、表現との関係でお聞きしたいと思います。

 それからもう一つは、用法・用量なのですけれども、これはどのように読み取っていいのか分からないのでお聞きしたいのですが、月経周期の2~5の間に投与を始めるということで、2というのは多分、妊娠していないことの確認が必要なのかなと勝手に理解したのですが、2~5という範囲を設けている理由が分からなかったので、教えてください。

 それから、いつまで飲むのか、投与すればいいのかというところが分からないのですが、一定期間投与を続ける、例えば16週なら、そういった一定期間続けたときに改善されたと分かったら、もう止めていいということでよろしいのでしょうか。その場合、改善された内容、痛みが非常に楽になるというようなことがずっとその後も続くという形で考えてよろしいのでしょうか。以上です。

○松木部会長代理 幾つか質問がありましたが、いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えします。まず、効能に関する御質問は、子宮腺筋症に伴う疼痛がいつ発現するのか、主に月経時を評価していると思われるが、そのほかの疼痛にも効くのかということだったかと思います。審査報告書の21ページに記載しているとおり、子宮腺筋症自体で発現する疼痛については、月経時の強い疼痛を典型的な臨床症状とするものと認識しております。

 また、今回の臨床試験では、月経時ということではなくて、最大の痛みがどれだけ減ったかを評価しておりますので、月経時、月経時以外にかかわらず、最大の痛みを改善するということで効果が認められているものと理解しております。

○松木部会長代理 まず、その点について、神田委員いかがでしょうか、よろしいですか。

○神田委員 私が見落としたのかもしれませんが、何かテストがみんな月経時のテストの結果とトータルで見えたので、それ以外の試験というのがなされていないとすれば、この効能・効果の表現が広過ぎるのかなと思ったのですが、では、最大の痛みということで、それは月経時以外の痛みも含まれていると捉えてよろしいのですね。

○医薬品医療機器総合機構 はい、御指摘のとおり、月経時に限定した評価ではないということです。

○神田委員 そうなのですか。それなら分かりました。

○松木部会長代理 では、次の用量の点でしたか。いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 まず、用法・用量の2点目にあった、いつまで継続して服用すればよいかですが、子宮腺筋症の治療の中で、疼痛の改善を目的とする場合、本薬は継続的に飲み続けていただくものとなっております。例えば、1週間飲んで止めたらその後も効果が続くというような薬ではなく、基本的に疼痛を改善したい期間は継続的に飲むものとなります。

○松木部会長代理 その点はよろしいでしょうか。

○神田委員 例えば、これは手術しない限りは根治しないわけですね。ということは、かなりの歳になれば別でしょうけれど、ずっと投与し続ける薬ということですね。ただ、試験では52週までしかなっていないので、気になったものですから、その辺が大丈夫なのかと。そうすると、1年よりもずっと長いこと必要だと見通していらっしゃるのでしょうか。多分そうですね。でも、52週様子を見ているので、その後は続けてもさほど心配は要らないと受け止めてよろしいのですか。

○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えします。まず、神田委員から御指摘のあったとおり、長期に使用される薬剤ですので、まずは臨床試験において52週までの安全性は確認させていただきました。また、今回の申請は効能追加ですので、既に臨床で類縁疾患の子宮内膜症で使われている実績があり、今回と同じように投与期間が限定されない形で長期に使用されていますが、これまでの使用実績で特段の安全性の問題がないことは確認しております。

○松木部会長代理 ほかにも質問はありませんでしたか。

○医薬品医療機器総合機構 あと、御質問いただいた用法・用量の2~5日の設定根拠については、申し訳ありませんが、手持ちで分かる情報がないので、後で確認してお答えするということでよろしいでしょうか。なお、用法・用量の設定につきましては、既承認の子宮内膜症が当該用法・用量で使われている実績があり、今回、同じ用法・用量で実施された臨床試験成績から設定しております。

○松木部会長代理 後でということですが、よろしいでしょうか。では、ほかにいかがでしょうか。このホルモン剤は鎮痛に使っていて、しかも不正出血が結構起こるという、何かこう釈然としないのですが、先生方はいかがでしょうか。

○杉委員 今の話、松木先生の話と関連して、これはずっと飲むという形になりますよね。不正出血が96%というのは結構高いですよね。そうすると、少量であるとか中等度であるとか、軽症であるとか書いてあるのですが、これはずっと毎日出るような形になるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えします。今の御質問につきましては、審査報告書の15ページを御確認いただければと思います。まず、不正子宮出血については高頻度で発現するけれども軽度なのだというご説明をいたしました。この軽度というのがどれぐらいの程度かと申しますと、図1に示しているとおり、ごく少量、点状出血程度、または破綻出血程度であると言えます。点状出血程度ですと、臨床試験上の定義では、月経用のナプキンを使用しなくてもよい、ちょっと下着が汚れる程度の出血であると定義されております。恐らく出血というと、もう少し血が出ているイメージかと思うのですが、実際に生じた事象としてはご説明したとおりの軽度なものが多いという状況です。

 また、不正出血が長期的にずっと継続するのかということにつきましては、表15で性器出血の日数の経時推移というものを示しております。投与8週時や12週時は日数が長い傾向があるのですが、服用していくにしたがって、性器出血の日数が減っていくような傾向がありますので、長期間ずっと出血し続けるようなプロファイルではない状況となっております。

○杉委員 分かりました。ただ、まだこれからずっと使う薬だと思いますので、添付文書も、その辺要注意で、貧血については何年たっても要注意で検査することなどを入れられたらいいのではないかと思いました。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。添付文書上でも、長期投与時の定期的な検査は注意喚起させていただいております。

○松木部会長代理 ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、議決に入りたいと思います。なお、平安委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を「可」としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を「可」とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは、議題3に移ります。議題3及び関連する議題4について、機構から概要を説明してください。

○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料3、医薬品アミヴイッド静注の製造販売承認の可否等につきまして、機構より説明させていただきます。

 本剤は、放射性フッ素(18)で標識されたフロルベタピルを有効成分とする、脳内アミロイドベータ(以下、A β ) プラークの可視化を目的としたPET検査用放射性医薬品です。海外では、2016年4月現在、アルツハイマー型認知症(以下、AD)が疑われる認知機能障害を有する患者における脳内A β プラークを評価するためのPET検査用の医薬品として33か国で承認されています。

 国内では、本剤を医療機関で合成するための医療機器であるNEPTIS plug-012014年7月に製造販売承認を取得しておりますが、当該医療機器を使用できる設備がない医療機関においても、フロルベタピルを用いたPET検査の実施が可能となるよう、今般、本剤の医薬品製造販売承認申請がなされました。なお、本申請では、NEPTIS plug-01の製造販売承認申請時と同一の臨床試験成績が提出されております。

 本剤の審査に関し、専門委員として、資料9に記載されております委員を指名しました。

 本剤の審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。審査報告書26ページ「7.R.2臨床データパッケージについて」の項を御覧ください。本剤の本邦での開発に際しては、国内外の第 I 相試験及び第 II 相試験の結果から本剤の体内動態、本剤により得られるPET画像の所見及び安全性等に民族的な差はないと考えられたこと、ADに関する医療環境等についても国内外差はないことから、神経病理学的所見とPET画像所見との一致性を検討した海外第 III 相試験の成績を日本人における有効性及び安全性の評価に利用することは可能と判断しております。

 有効性について、審査報告書22ページ「7.3.1及び7.3.2海外第 III 相試験」の項を御覧ください。余命6か月以内と診断された患者及び認知機能が正常な被験者を対象に非盲検非対照試験として実施された海外第 III 相試験では、剖検脳を用いた病理診断を真のスタンダードとした場合の本剤を用いたPET検査の感度及び特異度を主要評価項目とし、その結果は24ページ表8のとおりでした。この結果から、既存の診断方法ではADの診断が不確実な場合に、本剤を用いたPET検査が有用な情報となる可能性が示唆されたと判断いたしました。また、特異度の結果から、病理診断でADではないと判定された被験者では本剤を用いたPET検査でも陰性となることが示唆されており、臨床的にADが疑われる患者から非ADの認知症患者を除外するという本剤に期待される有用性の一つを支持する結果が得られたと判断しました。

 安全性については、審査報告書30ページ「7.R.4安全性について」の項を御覧ください。国内臨床試験で発現した有害事象はいずれも軽度であったこと、海外臨床試験で発現した有害事象は31ページ表10のとおりで、いずれも軽度及び中等度であり管理可能であったことから、本剤を用いたPET検査における安全性は臨床使用において許容されるものと判断いたしました。

 以上の審査の結果、本剤を「ADが疑われる認知機能障害を有する患者の脳内Aβプラークの可視化」の効能・効果にて、承認して差し支えないとの結論に達し、本部会において御審議頂くことが適当であると判断いたしました。

 本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は劇薬及び毒薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。

 また、本申請に伴い、議題4、資料4のとおり、放射性医薬品基準の改訂を予定しております。議第3及び議題4につきまして、御審議の程よろしくお願いいたします。

○松木部会長代理 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。私のほうから一つ、サイクロトロンを持っていないような施設でもできるとなったのですが、運搬の時間がかかると、どうしてもどんどん壊われていくので、それを計算して、壊れても360MBqでしたか、この活性が残るようにたくさん入れておくということです。ただ、普通、コールドがたくさんあるとホットの影響がどうしても小さくなってしまうのですが、それはないというのは、どこのデータでなるのですか。つまり、このA β のプラークの有る無しはあるかもしれないですけれども、定量性に本当に影響がないかどうかというデータはあるのですか。

○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。まず、先生、御指摘のとおり放射能が最終的に370MBq、すなわち目的の放射能になるように製造時の放射能量自体は多く入っているのですが、放射分解して生じる物質が多くなり過ぎないように、フロルベタピルの物質量は一定の規格を定めており、その規格の範囲内では投与時の安全性を確認しております。

○松木部会長代理 要するに画像診断するわけなので、この18Fの持ったものかがくっついて診断されるわけですね。ただ、そのときに18Oに戻ってしまったものが、そこで競合して18Fの結合が弱くなってしまうのではないか。だから、サイクロトロンのある施設ですぐ解析したときと、かなり離れた所で時間がたってから、要するにかなりコールドが増えてしまったような状態でやると、もしかして画像が弱くなってしまうのではないか。そういう疑問があるのですけれども。何かそのときにコントロールとかを取ることを考えているのですか。

○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えします。実際に国内のデリバリーの状況を正確に反映しているかというところはございますが、国外で実施されたIII相試験においても、投与量が370MBqになるように調整された製剤を多施設で投与した結果ですので、コールドの割合が一定程度増減しても、診断能が得られる点につきましては確認ができている状況ではないかと判断しております。

○松木部会長代理 何かの画像は撮れると思いますけど、ただ、そのときの画像の強さによって定量するとなると、その辺のところも考慮しないといけないのかなと思ったのです。ほか、いかがでしょうか。

○内藤委員 今の半減期に関する質問ですが、これは出荷時にこの放射活性のスペックがあるという形で製品を出荷するのか。それとも患者さんの検査のスケジュールに合わせて、検査時にこのスペックが出るようにということで出荷されるのか。どちらでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 今、御指摘いただいた後者のほうで流通させようと考えている製剤です。

○内藤委員 もう一つ別の質問で、これは分かったら教えてほしいのですが、これはベータアミロイドが脳内に蓄積しているというのが分かる診断薬ですね。そうするとアルツハイマーであるということが確定診断できるのだと思いますが、そうなった場合、患者さんの治療法が変わってくるのですか。例えば、蓄積したベータアミロイドを減少させるようなお薬とか、あるいは、それに類するようなお薬があれば非常にいいと思いますが、私はあまり詳しくないのでよく知らないですけれども、これがベータアミロイドの蓄積によるアルツハイマーだと診断されたとして、その後、患者さんの治療方法にどういうふうに影響するのかということについて、ちょっと教えてください。

○松木部会長代理 いかがでしょうか。重要な点だと思いますけれども。

○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。まず本剤のメリットといたしましては、Aβプラークが見えたことによってADの確信度を増すことよりも、臨床診断上はADのようにも見える、あるいは、非定型である人がこの検査によってAβプラークの蓄積がないことが確認され、非ADだと確定できることが本剤の一番のメリットだと考えております。

○内藤委員 そうすると、その後の治療がどういうふうに変わるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 現状、ADだと思われていてADの治療薬を投与されているような患者さんにおいては、ADではないことが分かったことによって別の疾患の治療薬、あるいは、より適切な診断をするための検査が実施されるようになろうかと思います。

○内藤委員 ありがとうございます。

○松木部会長代理 結局、どの程度、これが本当に必要なのかということですね。だからADが蓄積していると確定したところで、先ほど質問があったようにAβを減らすような薬とか抗体とかが使用可能だったら、その検査をやる必要があるわけですが、この患者さんが最終的にADの蓄積があるかないかを決めたところで、そんなに患者にとってはメリットがないのではないか。つまり、これは静注するわけですから、ある程度のリスクはどうしてもあるわけなので、それをわざわざやるほどのメリットがあるのかどうか。多分、研究しているほうとしては、ADの発症原因とか知りたいところで、何か処置をしたらプラークが減ったかどうかということは非常に知りたいところだと思いますけれども、その点に関して専門の平安先生、何か御意見はありますか。

○平安委員 御指摘のとおりかと思います。今、機構のほうからも説明がありましたように、非ADであるということが明確になるのが一番大きなメリットということは、逆に、ベータアミロイドがあるからアルツハイマー病イコールではないので、私たちでも当然蓄積していくわけですから、そこで、おっしゃったように、その後の検査あるいは治療法を開発していく中で、アルツハイマー病理がない認知症の方々をどうするかということに関しては、非常に大きな証拠になるわけですから、とても有意義だと思いますけれども、ほとんどの方がアルツハイマー病理を持っているような状況ですので、そういう意味では大勢の方にとっては、この検査をしたことで何か大きく変わるということは、現状ではないというのは確かにおっしゃるとおりかと思います。ただ、その中でも臨床像の中で、ある程度定性だけでなく分布とか定量化ということから、より臨床診断の補助として、今後、その価値は期待できるかと思いますので、その辺りのところは今後の期待ということになるかもしれません。

○松木部会長代理 使用に当たってはかなり慎重にしていただかないと、多分、研究しているほうからすると、目論んだ治療をしたらAβが減るのではないだろうかとか、あるいは時間経過を見たいとか、どうしてもそういう誘惑はものすごくあると思いますけれども、そういう目的には使えないようにということですね。

 審査報告書の22ページの図3ですが、これは実際に皮質で見られた画像と医師による診断をプロットしているわけですけど、これを見るとMCIよりADの方が多くて、医師の診断が合っているのでないかと。だから別にアミヴイッドを使わなくても診断だけでいいのではないかというデータだと思ってしまうのですが、機構としてはこの薬にメリットがあるという判断ですか。

○医薬品医療機器総合機構 今回、感度、特異度がそれぞれ92.3%、100%という結果が得られておりまして、この結果に関しては既存の臨床診断の感度、特異度よりも優れているものであるという説明を申請者から受けています。我々としてもそのように判断していますので、既存の診断でどうしても判断が付かない、ADなのか、そうでないのかというところの判断が付かない患者さんにとっては、やはり有益なものになるだろうと考えています。

○松木部会長代理 先ほど言った、本当にADかどうかというものでどうしても必要だというのと、逆に医師のほうから、研究の対象として興味があるというところでの使用を制限するというのは、どうやって達成できるのですか。その区別というか。

○医薬品医療機器総合機構 機構より説明させていただきます。まず、本剤をADのスクリーニングには使用できないということは、添付文書に明記しています。また本剤の使用に当たりましては、海外でも同じ内容ですけれども、e-ラーニングを課していまして、それを受講した医師のみが使用できるという条件としています。e-ラーニングの中では、どういう場合に本剤を使用すべきなのか、あるいは本剤を使用して診断等にどういうふうに役立てていくかというところも含めて、情報提供をしていくことになっています。

○松木部会長代理 これで画像診断で陰性になったとしてもADではないと断定できるのですか。

○医薬品医療機器総合機構 基本的にADの診断というのは、臨床的な症状と、複数の検査をもって診断していただいているのが現状だと思います。

○松木部会長代理 ですね。だから、結局、アミロイドプラークがあるかないかだけのことになるわけですね。

○医薬品医療機器総合機構 そういうことになります。

○松木部会長代理 だから本当に、それを調べて何の意味があるのかなという疑問は、どうしても残るのですけれども。ほかの先生、いかがでしょうか。

○内藤委員 いい治療薬が一緒にあると、こういう診断薬は非常に有効だと思うのです。でも今の段階ではまだそういうものが残念ながらないので、先ほど平安先生がおっしゃったように、今後のいい治療薬の開発を促進するためにも、こういう診断薬が必要であるという理解のもとに、よろしいかなと思いますけれども。

○松木部会長代理 ありがとうございます。

○平安委員 私も認知症が専門というほどではないですが、若年性アルツハイマーの方々の場合だと、そういう意味では診断を早く明確にするというメリットはあるかなと思います。ただ、数は非常に少ないというのは事実なのですが、4050歳で発症した方の場合だと、そういった検査によって、相当量のこういったアミロイドが写るということであれば対照の健常者と比べてかなり違いますから、そういう意味では早く診断が確定できて、今後の、治療はなかなか難しいですけど、ライフプランにしても介護にしても、いろいろなことが明確にできるというメリットとは言いにくいですけど、様々な情報が提示できるということはあるかなと思います。

○松木部会長代理 ありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。そんなにすごいメリットは感じられないけれども、承認を否とするほどのことでもないということでしょうか。ほかに御意見がなければ議決に入りたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは議決に入りたいと思います。なお、杉委員、平安委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。議題3及びそれに付随する議題4について承認を「可」として、よろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので承認を「可」とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは、議題5に移ります。議題5について事務局から概要を説明してください。

○事務局 議題5、資料5、ヌシネルセンナトリウムを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。

 資料5の「事前評価報告書」のタブをお開きください。報告書1ページ中段を御覧ください。申請者は「バイオジェン・ジャパン株式会社」、予定される効能・効果は「脊髄性筋萎縮症」となります。

 まず、1ページ目下段の「対象患者数」について御説明いたします。脊髄性筋萎縮症は、指定難病であり、平成26年度の特定疾患医療受給者証の交付は894件でした。

 以上から、対象患者数に関する基準を満たしているものと考えております。

 次に、1ページ目から2ページ目の「医療上の必要性について」御説明いたします。脊髄性筋萎縮症は、常染色体劣性遺伝性神経筋疾患であり、SMN1遺伝子の機能喪失を誘発する変異等によって、survival moter neuronタンパク、以降、SMNタンパクと略させていただきます。このSMNタンパクの発現量が低下することで、脊髄前角の運動ニューロンの喪失、脊髄前根における軸索数の減少、筋原線維の萎縮等が誘発されると考えられています。

 また、発症年齢及び重症度により、0型~IV型の病型に分類されております。現在の治療法は対症療法であり、呼吸管理、栄養管理及び整形外科的治療に重点が置かれており、近年、0型以外の患者の生存率は改善されていますが、運動機能及び筋力を向上させることはないと考えられております。

 本剤は、合成アンチセンスオリゴヌクレオチドであり、SMN1遺伝子と同一のアミノ酸配列をコードしているSMN2遺伝子のmRNA前駆体に結合し、SMNタンパク産生を増加させることで、脊髄性筋萎縮症に対する有効性を示すと期待されています。

 海外で実施中のI型患者を対象とした第II相臨床試験では、一般的な患者では達成できない「座る」「支えられて立つ」の運動マイルストーンを半数の患者で達成しており、本剤の有効性が示唆されています。

 以上より、脊髄性筋萎縮症は致死的な疾患であり、治療法が限られていること。本剤の有効性及び安全性が確認されれば、新たな治療選択肢となる可能性があることから、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。

 最後に、開発の可能性について御説明いたします。先ほど御説明しましたとおり、海外の第II相試験では本剤の有効性が示唆されており、現在、本邦を含む国際共同第III相試験が進行中であることから、本剤の開発の可能性は高いと考えております。

 以上より、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。よろしく御審議のほどお願いいたします。

○松木部会長代理 ありがとうございます。委員の先生から御意見、御質問をお願いいたします。いかがでしょうか。

○加藤委員 今までに、アンチセンスの製剤というので承認されているものというのは、あるのでしょうか。

○松木部会長代理 いかがでしょうか。

○事務局 事務局よりお答えさせていただきます。これまでにアンチセンスオリゴヌクレオチドの製剤は、既承認のものはありません。

○加藤委員 そうすると、アンチセンスを臨床に出すというのでは、これは初めての試みというふうに考えてよろしいですか。

○事務局 はい、御指摘のとおりです。

○加藤委員 アンチセンス、細胞の中にうまく入ったとしても、だんだん時間的に分解されていくと、その後で作られるメッセンジャーに対して結合しなくなると思いますが、指定申請書及び別紙の所ですけれども、予定される用法・用量の所で、乳児期に診断された場合には4か月に1回、小児期に診断された場合に6か月に1回ということですけれども、この時期というのが、まず第一にどういうふうにして設定されているのかということと、この時期が最適であるかという根拠が、もしないのであるとすれば、例えば運動症状なり何なりを診ながらこの時期も可変的に考えていかないと、初めてのアンチセンス製剤ということを考えたときには、どのぐらいの頻度で補充するべきなのかということに関して、恐らくほとんどノウハウがないように思います。この問題も臨床で検証して確認していくということも、一つのプロセスとして必要なのではないかなと感じますが、いかがでしょうか。

○事務局 事務局よりお答えさせていただきます。本剤につきましては、今回は希少疾病用医薬品の指定の可否についての御審議になっておりまして、実際の承認申請及び承認の審査につきましては、今後、進めていくことになりますので、その審査の過程の中で、今、御指摘いただいた用法・用量の点とか、細かい用法について審査あるいは企業との調整をさせていただくことになると考えております。

○松木部会長代理 よろしいでしょうか。

○内藤委員 今の加藤先生の御質問に対する回答というか、私の知っていることで少し補足説明させていただこうと思います。まず核酸の医薬品は、天然型の核酸は細胞内で非常に不安定ですぐに分解されてしまうのですが、こういう医薬品で使っているものは合成した修飾型核酸なので非常に代謝に抵抗性で、細胞内で長い時間保持されるという特徴がある。最近の核酸医薬品はそういうものが開発されているということのようです。

 それから、ここの資料にも確か出ていたと思いますが、日本ではまだ承認されていないですけれども、FDAでmipomersenという核酸医薬品が既に承認されていて、皮下注射で投与するようなアンチセンスのお薬ですけれども、週1回投与するような形だったと思います。

○松木部会長代理 ありがとうございます。アンチセンスですので膜透過がどのくらいあるかというのは、やってみないと分からないところもあるので、多分、用法とか用量などはこれからかなり検討していくことが必要ではないかと思います。現段階で希少疾病医薬品として承認していいかどうかということですので、よろしいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。ありがとうございます。それでは議決に入りたいと思います。本議題について指定を「可」として、よろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので指定を「可」とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは、議題6に移ります。議題6について事務局から概要を説明してください。

○事務局 議題6、資料6、エルトロンボパグ オラミンを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。資料6の「事前評価報告書」のタブをお開きください。

 報告書1ページ中段を御覧ください。申請者は「ノバルティスファーマ株式会社」、予定される効能・効果は「再生不良性貧血」となります。

 まず、1ページ目の「対象患者数」について御説明いたします。再生不良性貧血は、指定難病として指定されており、総患者数は約14,000人と推定されています。したがいまして、患者数の基準を満たしているものと考えております。

 次に、1ページ下段からの「医療上の必要性について」御説明いたします。再生不良性貧血に対する治療は、造血回復を目的とした治療である抗胸腺細胞免疫グロブリンやシクロスポリンを用いた免疫抑制療法、タンパク同化ステロイド療法及び造血幹細胞移植等並びに支持療法である輸血、造血因子及び鉄キレート療法等があり、重症度、年齢、発症に免疫病態が関与しているか等に応じて治療方針が選択されています。

 輸血依存例では、抗胸腺細胞免疫グロブリン及びシクロスポリンの併用療法を行ったとしても、約3割の患者で再発若しくは治療抵抗性となるとされています。また、輸血非依存例においても、無治療経過観察中に輸血依存となり、発病から治療までの期間が長い場合、免疫抑制療法を行ったとしても無効となる例が多いとされています。

 以上より、再生不良性貧血に対する新規の作用機序を有する本剤の医療上の必要性は高いと考えております。

 最後に、2ページ下段からの「開発の可能性について」御説明いたします。国内では、抗胸腺細胞免疫グロブリン療法抵抗性の中等症以上の再生不良性貧血患者を対象とした臨床試験、及び未治療の中等症以上の再生不良性貧血患者を対象とした臨床試験が実施中です。

 以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えております。

 以上より、希少疾病用医療品の指定の3要件を満たしていると考えております。よろしく御審議のほどお願いいたします。

○松木部会長代理 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは議決に入りたいと思います。なお、杉委員、野田委員、平安委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について指定を「可」として、よろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので指定を「可」とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは、報告事項に移ります。報告事項について説明をお願いいたします。

○事務局 事務局より、報告事項、議題1「医療用医薬品の再審査結果について」御報告いたします。資料番号は7-1と7-2で、こちらはいずれも医薬品再審査確認等結果通知書となっております。

 資料7-1は、一般的名称は『A型ボツリヌス毒素』、販売名は『ボトックスビスタ注用50単位』のもの、資料7-2は、一般的名称は『テルミサルタン/ヒドロクロロチアジド』、販売名は『ミコンビ配合錠AP、同配合錠BP』のものでございます。

 これらの品目につきまして、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられております承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものです。

 再審査結果に関する御報告は以上です。

○松木部会長代理 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、ありますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、報告事項について御確認いただいたものといたします。本日の議題は以上ですけれども、事務局から何か報告はありますでしょうか。

○事務局 次回の部会は、1125()、午後3時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。

○松木部会長代理 それでは、本日はこれで終了させていただきます。ありがとうございました。


(了)

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 課長補佐 清原(内線2746)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会)> 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録(2016年10月31日)

ページの先頭へ戻る