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2016年12月5日 厚生科学審議会感染症部会薬剤耐性(AMR)に関する小委員会
健康局結核感染症課
○日時
平成28年12月5日(月)14:00~16:00
○場所
厚生労働省 専用第12会議室(12階11号室)
○議題
(1)薬剤耐性(AMR)について
(2)今後の進め方について
(3)その他
○議事
○結核感染症課長補佐 ただいまより第1回厚生科学審議会感染症部会薬剤耐性(AMR)に関する小委員会を開催いたします。開会に当たりまして、福島健康局長より御挨拶申し上げます。
○健康局長 健康局長の福島でございます。開会に当たりまして、一言御挨拶を申し上げたいと思います。まず委員の先生方には、大変御多忙のところ御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。また、日頃から感染症対策のみならず、健康政策全般にわたり御指導を賜りまして、厚く御礼を申し上げたいと思います。
御承知のように、薬剤耐性(AMR)の問題は、今や国際的な課題となっているわけですが、WHOはもとより、国連総会、あるいはG7サミットでも主要議題の1つとなっています。
私ども日本におけるアクションプランについては、WHOのガイドラインや各国の既に作っているアクションプランを参考にしながら平成28年4月に策定しましたけれども、この中身については、医療、農畜水産、あるいは食品安全等各分野が一体となって対策を推進するという、ワンヘルス・アプローチの理念に基づいた分野横断的なアクションプランとなっております。
この小委員会は、アクションプランの実行を確実なものとして、我が国におけるAMR対策の専門的、技術的な事項を検討することを目的として、感染症部会の下に新たに設置した小委員会、こういう会議体でございます。
普及啓発、教育、それから薬剤耐性菌の発生状況に関する動向調査、感染予防管理、抗微生物剤の適正使用、研究開発や国際協力など、今後、検討しなければいけない範囲は多岐にわたっておりますけれども、是非、委員の先生方にはそれぞれの御経験を踏まえた活発な御議論をお願い申し上げまして、簡単でございますが、冒頭に当たっての私からの御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○結核感染症課長補佐 続いて、委員の御紹介をさせていただきます。本小委員会の委員長については、厚生科学審議会感染症部会運営細則の第3条に基づき、倉根感染症部会長より、渡邉委員を御指名いただいておりますので、御報告させていただきます。
委員の御紹介をいたします。委員長の渡邉委員、荒川委員、遠藤委員、大曲委員、賀来委員、釜萢委員、洪委員、柴山委員、澁谷委員、瀬古口委員、高野委員、舘田委員、田村委員、松井委員、皆川委員、宮崎委員、八木委員、山野委員でございます。本日は、19名中18名の方々に御出席いただいております。また本日は、白石委員より欠席の御連絡を頂いております。現時点で定足数以上の委員に御出席を頂いておりますので、会議が成立いたしますことを御報告いたします。
次に、事務局から資料等の確認をさせていただきます。議事次第、配布資料一覧、委員名簿、座席図のほか、資料1から資料9、参考資料1から参考資料5を御用意しております。資料に不足等がありましたら、事務局までお申し付けください。では、冒頭のカメラ撮りについては、ここまでとさせていただきます。御協力をお願いいたします。
では、以降の議事運営については、渡邉委員長にお願いいたします。
○渡邉委員長 ただいま紹介にあずかりました渡邉です。よろしくお願いいたします。
以前、感染症部会の部会長をやっておりまして、久しぶりに戻ってまいりました。よろしくお願いいたします。
AMRについては、私は実は非常に深く関わっておりまして、まず最初にWHOのアジサ(AGISAR)という会議がありまして、それは動物とヒトとの間の抗菌薬の耐性の問題を話し合う会議が2001年からずっとありました。それと、3、4年前ですか、WHO事務局長マーガレット・チャンの主催で「AMR対策へのグローバル・アクション・プラン」を作るという会議をWHOが主催しまして、AMR-STAGという名前ですが、それにも関係しまして、グローバル・アクション・プランの作成にも関わってまいりました。そういう意味ではこの問題に関して、日本も「ナショナル・アクション・プランNAP」を作って、本格的にこれに対応しようという動きをしているということは、非常にすばらしいことです。特にこの問題に関してはEUが中心になりまして、特にイギリスですね、フレミング資金というのを、英国政府とウエルカムトラストのもとで作って、非常に莫大な資金をAMR対策、特にlow and middle-income国を対象に出そうということで開始しています。その動きが、数箇月前にバンコクで大きな会議が開かれて、アジアの地域がそこに集合して、いろいろな問題を話し合ったということを聞いています。そういう意味では、日本もこの会議がこれから日本のAMR対策を厚労省と一緒に、それに対しての確実なる対策を立てて、かつ遂行していくという会議として、非常に重要な位置付けになっていると思っております。皆さんの御協力、御意見等をよろしくお願いしたいと思います。
では、まずは本日の議題を確認したいと思います。議題1は薬剤耐性について、議題2は今後の進め方について、議題3として、その他を予定しています。では、議題1について、事務局から資料の説明をお願いします。
○結核感染症課長補佐 事務局の野田でございます。議題1の関係で、資料1から資料3を基にして説明させていただきます。まずは資料1をお手元に御用意ください。
厚生科学審議会感染症部会薬剤耐性に関する小委員会設置要綱です。設置の趣旨です。ヒトに対する抗微生物薬の不適切な使用等を背景として、抗菌薬をはじめとする抗微生物薬が効かなくなる薬剤耐性、いわゆるAMRについて、国際社会で懸念が広がっております。AMRの発生を抑えるためには、普及啓発や教育を含めた様々な施策を行っていくことが重要であり、こうした観点から、包括的な政府の行動計画である薬剤耐性(AMR)対策アクションプランが、平成28年4月に取りまとめられ、具体的な対策及び実施すべき事項が示されております。
この本アクションプランの実行を確実なものへとするために、我が国におけるAMR対策の専門的・技術的事項を検討するため、厚生科学審議会感染症部会の下に、薬剤耐性に関する小委員会を設置するというものです。
本小委員会の所掌事務です。本小委員会は、薬剤耐性アクションプランに定められた対策のうち、厚生労働省が所管する専門的・技術的事項について調査審議を行うとしております。
小委員会の運営です。本小委員会の運営については、厚生科学審議会審議会令、厚生科学審議会運営規程及び運営細則の定めるところによるほか、この決定に定めるところによるという形でさせていただくことになっております。
また、この小委員会が定めるところにより、作業部会を置くということになっております。なお、小委員会及びその下に設けることがあります作業部会の庶務については、厚生労働省健康局結核感染症課が行うこととさせていただいております。資料1については、以上でございます。
続いて、資料2について御説明いたします。薬剤耐性の現状と対応という資料です。次ページですが、薬剤耐性について、背景としては、抗微生物剤が効かなくなる薬剤耐性問題が国際的な課題となっており、公衆衛生及び社会経済的に重大な影響を与えているという状況です。また、その一方で、新規の抗菌薬等の開発は、近年、停滞しており、このままではAMRに対抗する手段が枯渇するという状況があります。そのようなことも踏まえて、先ほど渡邉委員長からもありましたが、昨年のWHO総会でAMRに対するグローバル行動計画が採択されておりまして、さらに昨年のG7、また、今年のG7伊勢志摩サミットやG7神戸保健大臣会合においても主要な議題として挙げられておりました。また、本年9月の国連総会では、AMRに関するハイレベル会合が開催されており、国際社会においても大きな議論となっております。
このような状況も踏まえて、我が国の対応としては、医療や農畜産等の各分野において、モニタリングや抗微生物薬の適正使用の取組等を実施しているということで、具体的に、4月には我が国の行動計画を策定し、分野横断的に取り組むことを開始しています。また、4月16日には、アジア太平洋地域の保健大臣らを招き、WHOと共催でアジアAMR東京閣僚会議を開催しております。また、G7においても、サミット議長国として、AMRについて国際的協力を推進していくということを発表しています。
次ページ、薬剤耐性の仕組みです。もともと薬剤耐性に関しては、自然耐性という形で耐性遺伝子を持っている菌は自然界でもいるという状況ですが、その耐性遺伝子について、感受性菌が獲得してしまうということが起こります。
また、耐性菌の選択と増加ということで、抗菌薬を投与することによって耐性菌のみ残るということが起こり、更にその次の世代は耐性菌だけが増えていくという状況になりますので、この結果、薬剤耐性の菌が増えてくるということが起こってくるというメカニズムがあります。
次ページ、薬剤耐性に関しては、ヒトのみの問題ではないという状況です。具体的には、ヒト、環境、動物、食品などで薬剤耐性の菌が伝播していくということが指摘されています。また、医療品については、ヒトと同時に動物にも使われるということもありますので、すなわち、先ほどお示しした選択圧というものが、ヒト及び動物によって特に起こっている状況下で、薬剤耐性菌が薬剤耐性の遺伝子を伝播していくということが広い範囲で起こっている可能性が指摘されている状況です。
次ページ、この図は論文に出されている結果ですが、2000年から10年間のヒトにおける抗菌薬使用量の変化です。青いほうがこの10年間で減少している所で、赤いほうが増えている所です。地図を見ていただくと、日本を含めた主要先進国においては、抗菌薬の使用量は減少していまして、特に日本では2.5~4%の範囲で減少している状況です。
ただ、一方で、特に途上国の中でも人口が多いような、中国、インド、ブラジルなどについては増えているという状況もありますし、また、これらの国については、保健サービス等が更に発展していくということもありますので、実際に、更に抗菌薬の使用量が増えてくることが予測されます。このようにAMRの対策については、世界的な枠組みで対策を取っていく必要が指摘されています。
次ページ、日本の抗菌薬の使用量の図です。日本の状況としては、抗菌薬の使用量自体は多くないことがこの図から見て取れるかと思います。一方で、日本の問題としては、特に幅広い細菌に有効であることが多いセファロスポリン、キノロン、マクロライドの使用割合が極めて多いということがありますので、これが抗菌薬の適正使用の推進において、重要な問題になってくるということが指摘されております。
次ページ、ヒトにおける薬剤耐性率です。薬剤耐性率については、比較するデータがまだまだ世界的に少ないという状況ですが、実際に現状あるデータをお示しています。実際に日本とほかの国を比較すると、例えば、肺炎球菌ペニシリン非感受性率などが日本で高いということなどが示されています。日本において、やはりAMR対策をしっかりと進めていくことによって、このような薬剤耐性率が最終的に低くなっていくことを目指していく必要があるという現状です。
次ページ、先ほどヒトのみの問題ではないということをお示ししましたが、畜産分野においても薬剤耐性率について調べられています。左側の図を見ていただくと、特にテトラサイクリンの耐性率については、このように欧州などの国において、牛、豚、鶏で、幾分傾向は違うという状況はありますが、それなりの耐性率が出ているという状況ですので、ワンヘルスの観点でヒトのみならず、動物なども含めた観点で見ていく必要があるという状況になっております。
一方で、第3世代のセファロスポリンや、フルオロキノロンについては、テトラサイクリンに比べると耐性率が低いという状況ですので、このような状況も総合的に見ながら対策を取っていく必要があるという状況です。
次ページ、一方で、ヒトと家畜との間の薬剤耐性率については、まだまだ分からないことも多いということも事実です。左上のフルオロキノロンについては、ヒトにおいて耐性率が上昇していますが、家畜ではそれほど上がってきていないという状況です。
右下のオレンジ色の図ですが、実際にニワトリを飼っている団体の自主的な注意喚起において、このような形で耐性率が下がるという事例がありましたが、一方で、ヒトの赤い図ですが、ヒトのデータを見ると、それが必ずしも関連して下がってきていないという状況もありましたので、やはりまだまだヒトと家畜との間というところに関しては、研究を進めていく必要がある部分もあるのは事実かと考えております。
次ページ、対策としては、畜産・水産分野のほうでも、随分対策が進んでいると聞いております。実際に、動物用医薬品については、2001年の段階で1000tを超えていましたけれども、2013年には約800tという状況です。また、飼料添加物で使われている抗菌薬についても、ヒトに使われることがないポリエーテル系の抗菌薬が割合としては増えてきていて対策が進んできていると聞いております。もちろんこのような状況であっても、更に対策を進めていく必要があると聞いております。
次ページ、AMRは、将来に向けて対策を行っていく必要があるということが指摘されています。この図はイギリスのオニールらが、オニールレポートによって示されているものです。現状、2013年にAMRの関係で70万人の方が亡くなっているということが指摘されていますが、実際に2050年までに何も対策を取らない場合には、AMRに関しての死者数が1,000万人に上るという指摘がされています。この世界で1,000万人という数字は、現在の世界でのがんでの死亡者を超えるという数字になりますので、AMR対策は将来に向けて行っていくということが重要であることが指摘されています。
次ページ、AMRに関する国際社会の動向です。先ほどお示しました2015年WHO総会において、グローバル・アクション・プランが採択されています。その後、G7のエルマウサミットでの首脳宣言、G7ベルリン保健大臣会合において、AMR耐性の重要性について指摘されております。また、本年に入っても、アジアAMR東京閣僚会議、G7新潟農業大臣会合、そして、G7伊勢志摩サミット、さらに、その後に続くG7神戸保健大臣会合において、AMR対策の重要性が指摘されている状況です。そして9月には、国連においてハイレベル会合が開かれ、国際社会のレベルにおいてAMR対策を進めていくという宣言された状況になっています。
次ページ、WHOが示した薬剤耐性に関するグローバル・アクション・プランについてです。グローバル・アクション・プランの中では、5つの柱を設けて対策を進めていくということが示されています。具体的には、普及啓発・教育、動向調査・監視、感染予防・管理、抗微生物薬の適正使用、そして、研究開発という5つの柱で示されており、2年ごとに各国は達成状況をWHOに報告するという形で定められております。
続いて、資料3を御用意ください。このような状況を踏まえて、日本においても今年4月に「薬剤耐性対策アクションプラン」というものを内閣官房を中心に取りまとめをしております。薬剤耐性対策アクションプランにおいては、WHOが提示したグローバル・アクション・プランの5つの柱に加えて、6つ目の柱として国際協力を加えた6つの柱で対策を進めていくということを定めています。
次ページ、1つ目の柱は普及啓発・教育です。普及啓発・教育として、2つ。すなわち国民に対する薬剤耐性の知識・理解に関する普及啓発活動の推進ということと、関連分野の専門職に対する薬剤耐性に関する教育研修の推進ということが示されています。具体的には、国民全体に向けた施策として「薬剤耐性対策推進国民会議」の設置や、また、普及啓発、教育体制の確保として「感染症教育コンソーシアム(仮称)」の設置などが示されているという状況です。
次ページ、動向調査・監視です。こちらについては、この柱の基に5つの要素が定められております。具体的には医療・介護分野における薬剤耐性に関する動向調査の強化。医療機関における抗微生物薬使用量の動向の把握。畜水産・獣医療における動向調査・監視の強化。医療機関、検査機関、行政機関等における薬剤耐性に対する検査手法の標準化と検査機能の強化。そして5つ目、ヒト、動物、食品、環境等に関する統合的なワンヘルス動向調査の実施ということが定められております。
次ページ、感染予防・管理です。感染予防・管理については、3つ。医療、介護における感染予防・管理と地域連携の推進。畜水産、獣医療、食品加工、流通過程における感染予防・管理の推進。そして、薬剤耐性感染症の集団発生への対応強化ということが定められております。
次ページ、4つ目の抗微生物薬の適正使用です。抗微生物薬の適正使用については、2つ。医療機関における抗微生物薬の適正使用の推進、そして畜水産、獣医療等における動物用抗菌性物質の慎重な使用の徹底ということが定められております。
次ページ、研究開発・創薬です。この柱については、5つの項目が定められております。薬剤耐性の発生・伝播機序及び社会経済に与える影響を明らかにするための研究の推進。薬剤耐性に関する普及啓発・教育、感染予防・管理、抗微生物薬の適正使用に関する研究の推進。感染症に対する既存の予防・診断・治療法の適正化に資する臨床研究の推進。新たな予防・診断・治療法等の開発に資する研究及び産学官連携の推進。そして、感染症に対する既存の予防・診断・治療法の最適化に資する臨床研究の推進ということが定められております。
6つ目の柱、国際協力です。国際協力については、薬剤耐性に関する国際的な政策に係る日本の主導力の発揮ということと、薬剤耐性に関するグローバル・アクション・プラン達成のための国際協力の展開ということが定められております。
このような6つの柱を基にしまして、成果目標というものも日本のアクションプランでは定めております。一番最後のページになりますが、ヒトの抗微生物薬の使用量と、そして、医療分野と畜産分野における、主な微生物の薬剤耐性率が定められております。このように日本のアクションプランの中では、ヒトとともに動物における成果目標を定めて対策を進めていくことにしております。
今、お示ししたように、薬剤耐性対策アクションプランにおいては、ヒトのみならず、動物といった、いわゆるワンヘルスの観点で総合的に対策を行っていくということになっておりまして、厚生労働省のみならず、関係省庁が協力して対策を行っていくという状況になっております。事務局からは以上でございます。
○渡邉委員長 今、事務局から資料1から資料3に基づいて、日本の今後行うべき方向性、ビジョンが示されたわけです。特に、厚労省だけではなくて農林水産省を含め、ワンヘルスの立場でこの問題に対して立ち向かっていくということが明確にここに書かれているわけで、その方向性に基づいて、今後、2020年までのアクションプランと、それの成果目標がここに掲げられているという点においては、非常に画期的な文章であると思われます。
今、報告があったことに対して、確認というか、何かこの問題についてどういうことなのかという確認事項がありましたら、皆さんからお願いいたします。
○澁谷委員 これは各省庁で作られたアクションプランということですが、これの評価は、内閣官房で評価するのか、どういう形の評価の体制になるのかということが質問です。
それと、その一番最後の成果目標のところに数字が上がっていますが、例えば、指標の所だと33%減ということは3分の1減という形になるかと思いますが、その目標の根拠とか、それからその下の医療分野で、例えば2020年に指標として15%以下という数字が出ていたりしますけれども、現状を見ると、大変この数字は厳しい目標のような気がするのですが、科学的にこの評価というものは可能な範囲の数字なのでしょうかということで、とても大変な目標だと感じたものですから、その辺を少し説明していただけると有り難いです。
○渡邉委員長 お願いします。
○結核感染症課長補佐 1つ目の評価については、お手元に薬剤耐性対策アクションプランというものをお配りしております。こちらについては、冊子の表紙に書いてあるように、「国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議」という所で定められたものです。そのような状況ですので、アクションプランの評価については、一義的に厚生労働省のみで行えるものではないと考えております。一方で、厚生労働省に特に関係するものについては、小委員会などの枠組みにおいて適切に評価をし、厚生労働省としてはきちんと対策を進めて、更にその評価を加えるというところで、いわゆるサイクルを回しながら対策を加速していきたいと考えております。
2つ目の科学的根拠については、御指摘のように、やはりこの目標については、相当、野心的な目標であるということは事務局としても認識しております。一方で、先ほど資料2でお示ししましたが、各国の薬剤耐性率というところで見ていくと、必ずしも薬剤耐性率が高くないという国もありますので、ほかの国の状況も踏まえた上でこのアクションプランは作られているとも聞いております。ですから、野心的ではありますけれども、達成不可能な目標ではないと事務局としては考えております。どのような形でこのアクションプランを、ねらいを実施し、そして目標を達成していくかというところについては、委員の先生方から忌憚のない御意見を伺いながら、事務局としても対策を取っていきたいと考えております。
○澁谷委員 ありがとうございました。
○渡邉委員長 一番最後に話し合うべきことが一番最初に来てしまったかなという点もちょっと感じますが、せっかく今の話が出ましたので、これをちょっと掘り下げていきたいかと思うのです。この小委員会で評価を行うことになるわけですが、この手順は2020年度までの計画が出ているのですが、これは毎年やるべきことなのですか。それとも中間とか、何かそういうものを設けて、数字を皆さんに示して、いろいろ御意見を伺うことになるのか、その辺のプロセスを説明してください。
○結核感染症課課長補佐 このアクションプラン全体の分については内閣官房のほうで取りまとめられておりますので、そちらのほうはそちらに譲りたいと思いますが、まずこの厚生労働省分の、言わば小委員会で所掌いただく範囲については、もちろん委員の先生方の御意見も踏まえながら評価をしていきたいと考えています。ただ、一方で、後ほど資料としてお示しする予定ですが、資料の後のほうに出てまいりますが、ワンヘルスの関係の検討会を開催することを事務局としては計画しておりますので、そちらのほうでの御議論、すなわちこのサーベイランスについては、ヒトのみならず、ほかの分野のものについても評価をしていかなければならないというところがありますので、そこの評価も踏まえつつ、そして最終的には施策も踏まえて、この小委員会で御議論いただくという形になるのではないかと考えております。そのサイクルとしては、データとしては例えば1か月とか、そういうレベルで上がってくることではありませんので、1年ぐらいのスパンを見ながら議論をしていくものかと考えております。
付け加えまして、先ほどの科学的知見という部分について、薬剤の使用量は、特に全体について33%減と定めておりますが、その次に来ております経口のセファロスポリンとかフルオロキノロン、そしてマクロライド系の薬について50%減という形にしております。そして、静注の抗菌薬については20%減としていますが、特にこの経口セファロスポリンなどのものを50%減にすることによって、全体も33%になるという形で計算できるということから、そういうところが1つ、科学的根拠になっているという状況です。
また、アウトカムの先ほどの評価の部分については、この委員会、そして後ほどお示しする検討会で御議論いただくという形になりますが、まずどのような形でモニタリングを作ってしていくかというところについても、この小委員会とか、またその関係の検討会で御議論いただいて、確立していく必要があります。そのような観点で、今後の有識者、この会の先生方の御議論が今後の評価の形も作っていくことになっていくと考えております。
また、そのような評価を基にして、各事業をどのような形にしていくかということについても、小委員会のほうで御議論いただくというように考えております。以上です。
○渡邉委員長 あとで説明があると思うのですが、この委員会の下にワンヘルスの考えに基づいての対策、又は抗菌薬の使用基準とか使用方法の問題について話し合うサブ委員会が設けられるということですので、そこで詳しく議論された結果がここの小委員会にも上がってくるというスキームになると思います。
もう1つ、先ほど澁谷先生のほうから成果目標の根拠という形で聞かれたのですが、これは事務局もアンビシャスなゴールだというようにおっしゃっているのですが、これはどこかほかの国か何かの事例を参考にこういう形で決めたのか、そうではなくて日本独自のアンビシャスな考えとして、このぐらいはやらないと世界に通用しないだろうという気持ちで書かれているのか、その辺の説明を。
○結核感染症課長 補足になりますが、資料2の6ページと先ほどの資料3の一番最後の成果目標の表と、併せて見ていただきたいと思います。まず、日本の抗微生物薬使用量が6ページの図の一番下に書いてありますが、15.8ということです。ここで並んでいる諸外国と比べてみると決して多くはないのですが、先ほど事務局から説明がありましたとおり、セファロスポリンとフルオロキノロン、マクロライド系、この3種類が非常に高い割合を示していると。この3種類が高い割合を示しているからこそ、日本は抗菌薬使用量が決して多くはないのですが、耐性率がそこそこ出ているのではないかという御指摘もありますので、まず、我々としては、専門家の御意見も拝聴しながら、今、申し上げた3種類の抗菌薬を半分に減らす。これを半分に減らすという根拠ですが、ざっと見ていただくと分かるとおり、日本は諸外国と比べてみると、この3種類を倍ぐらい使っている。ですから、これを半減することはできるのではないか。アウトカムとして半減することはできるのではないか。その結果、抗菌薬使用量全体が33%減になるのではないかと。それで、これをアウトカムの目標にしようとしております。
但し、これは、決して抗菌薬を最初から服用させないと言っているような話ではないのです。行動計画として6つの柱がありますが、例えば院内感染を防ぐためには、しっかり手洗いを励行しましょうだとか、感染症をそもそも起こさないためにはワクチン接種をしっかりやりましょうだとか、そうした感染症対策を総合的に推進することによって、アウトカムとして抗菌薬使用量がこの目標の数値になるのではなかろうかということです。もちろん抗菌薬の適正使用は重要なのですが、それだけで、このアウトカムの目標をクリアにしようと言っているわけではないということです。考え方としては、まず上の数値目標3点については、こういう形になっています。
薬剤耐性率については、確かに半減以下の目標もあります。例えば、肺炎球菌のペニシリン耐性率については15%以下と、かなりチャレンジングな数字にはなっていますが、これについても専門家の方の御意見を踏まえながら考えると、先ほど申し上げたような適正使用を推進していけば、この高みの目標ですが、アウトカムとして進めていくことはできるのではないかと。そもそも先ほど澁谷委員から大変御心配いただきましたが、確かに達成可能な目標を掲げることについては、我々もこの行動計画の策定作業中には考えとしてはあったのですが、それだとやはり士気が上がらないのです。何事も高めの目標がないと、医療現場で抗菌薬の適正使用が進まないではないかという御意見もありまして、チャレンジングという話もありますが、ある程度の高めの目標を作らないと、適正使用の推進が図られないのではないか。要するに、現実可能性が高い、ハードルが低い目標であれば、それだと5年後に目標をクリアしてよかったねという程度にしかならないで、最終的には抗菌薬適正使用が本質的に進んでいないことにもなりかねないのではないかという危惧もありましたので、チャレンジングな数値ですが、高めの目標にしているということです。以上です。
○渡邉委員長 やはり厚生労働省がそういう形で音頭を取ってやるという意思を示すというのは非常に重要なことで、実際にこれが実行に移されるために、どういう細かいアクションが必要なのかということは、今後これに基づいて作られてくることになると思うのです。そういう意味では、目標がしっかりしていないと、それに基づいたものもできてきませんので、私はこれを見たとき、先ほどチャレンジングと言いましたが、チャレンジングというのは非常に素晴らしいことです。この間WHOの会議がありまして、日本がこういうものを出していると言ったら、今後どのようにそれが達成されていくのかを見ましょうというような意見が結構出ているのです。
そういう意味では、こういうものを掲げたということは、逆に言うとそれだけの責任があるということなので、世界に、特にアジアの国が非常によく日本を見ています。日本がちゃんとこういう形でやるということになると、多分アジアの国のお手本になるのではないかと思います。そういう意味では、私は非常に前向きな姿勢でいいのではないかと思っています。ただ、これをやるには相当なことをやらないと、なかなか大変だなとは思うのですが、そこは今後この委員会の先生方の御意見を踏まえて、多分こういうアクションが必要だろうという話に、これから詰めていくことになるのだと思います。
○舘田委員 私は感染症学会で仕事をしていますが、このアクションプランに関して感染症学会でもいろいろな議論がされるようになりました。私は個人的には国を挙げての大変大事な方向性を示したプランであり重要であると思いますが、数値目標のインパクトが大きいことから、その数字だけが独り歩きしてしまうというところがちょっと心配です。このアクションプランに向かって、これからどのように我々は努力していくのか、その戦略と併せながら数値目標を考えて行ってもいいのではと思います。
その中で、資料2NO. 5ですが、抗菌薬が日本で2000年から2010年で2.5~4%減っているという事実が報告されています。一方、今回のアクションプランは2013年度比で2020年を判断しようとしているので、2013年から2016年まででどのぐらい減っているのかということを一度検討しておく必要があるのではないかと思います。その成績をみて、2020年にどのくらいの効果を予想するのか、実現可能な目標としての数字はどのくらいであるのかを考えてみてもいいのかなと思います。
○渡邉委員長 確かに、感染症学会、化学療法学会、環境微生物学会など、いろいろなところがこの数字に関心を持っているという話は聞いております。先生がおっしゃるように独り歩きしてしまうと、これはただ減らせばいいのではないかということで、厚生労働省がどのような指導を出すのかと戦々恐々としているところもあります今日は製薬会社の方もいらっしゃいますが、製薬会社にとっても何をやられるのだろうかと心配というか、何かそういう話も聞こえないでもないのですが、こういう目標というのは製薬会社の立場からはいかがですか。
○山野委員 今、皆さんコメントがありましたように、減らすことありきを目標とすべきではないと思います。どのようにすれば本当に皆さんの健康を守れるかというところの視点で、議論しなければいけないと思いますので、その意味で、より減らすことがベターであるということがあれば、その方向で何をすべきかということをしっかり議論すればいいと思います。本当に数字ありきの議論にだけはなってほしくないなというところを思っておりますので、よろしくお願いします。
○渡邉委員長 ほかに御意見がありましたらどうぞ。
○皆川委員 資料3の最後のページで、ちょっと確認させていただきたいことがあります。薬剤耐性率の2014年の指標及び2020年の目標値の指標の根拠なのですが、例えば2014年はJANISのデータということになるのでしょうか。
○結核感染症課課長補佐 はい、さようでございます。ヒトの医療分野についてはJANISのデータです。ちなみに、畜産についてはJVARMのデータになります。
○皆川委員 ありがとうございます。それに関連して、2020年の目標値についてですが、アクションプランの中に動向調査や監視に関して強化等が入っていますが、基本的にはJANISを強化するということをお考えなのですか。
○結核感染症課課長補佐 はい、さようでございます。
○渡邉委員長 地方衛生研究所の立場からの御意見を伺って、JANISだと病院関係で、地方衛生研究所がこれにどのように絡むのかということが何かあれですか。
○皆川委員 それと、やはり一定規模以上の医療機関に限定されるものですから、これは内閣官房から出ているものなので目標値はこうなるのでしょうけれども、サーベイランスを考えるときには、JANISに限定されるのではないのではないかなとは思いました。
○渡邉委員長 その辺のサーベイランス、細かい点は、これはまた小委員会のほうで議論していただいたほうがよいと思います。ほかにありますか。
○山野委員 数値目標ベースの議論になると、適正使用等々の話がどうしてもメインになってしまうのですが、5番目の柱として研究開発・創薬というところも入っておりますので、その辺りのところだけ、もう少し確認させていただきたいと思います。日本ではまだ数少ない治療困難な耐性菌がグローバルで見れば非常に多い中で、そういう耐性菌に対する創薬をどう活性化していこうかというところがグローバルで議論されているのかと思います。創薬活性化というところも、この小委員会では議論していくのですよねというところの確認と、もう1つはAMRというところのそもそもの言葉の定義になるのですが、今、どうしてもバクテリア中心の話になっていますが、オニールレポートなどの話では、バクテリアに限った話ではないというような理解もしておりますので、その辺り、どのぐらいの範囲でここで議論していくかというところを最初に示していただけると有り難く思います。
○渡邉委員長 事務局、お願いします。
○結核感染症課課長補佐 御指摘ありがとうございます。まず、この委員会のスコープですが、資料1にお示ししました。要は細菌に限定されるのかというところですが、おっしゃるように、このAMRの小委員会については抗菌薬とはしておりませんで、抗微生物薬というところで、文書についてはずっと作っておりますので、言わば細菌以外、例えばウイルスなどについての薬剤耐性についても扱っていくというものと考えております。
あと、この小委員会のスコープに開発が入るかというところですが、後ほど資料4の当面のというところでお示ししている中には入ってはいないのですが、もちろんアクションプランでも入っておりますし、また重要な柱ですので、開発についてもこの小委員会で議論できるスコープに入っていると考えております。以上です。
○渡邉委員長 ウイルス、寄生虫も、もちろん必要だと思うのです。ただ、成果目標うんぬんとするときに、これらについてのサーベイランスがまだちゃんとしたものができ上がっていないので、なかなか評価目標が立てにくいので、まずはウイルス、寄生虫の耐性の問題については、サーベイランスをどのようにするかということを、委員会で話し合ったほうがいいのかなと思うのですが、いかがですか。事務局はどのように考えていらっしゃいますか。
○結核感染症課課長補佐 正に、このサーベイランスについては、いろいろとまだまだ現状のサーベイランスでは足りない部分もありますので、この小委員会、そして後ほど御提示させていただく検討会のほうで、どのようなサーベイランスが必要なのかというところを御議論いただくという形になるかと考えております。
○荒川委員 資料3の1の普及啓発・教育という所なのですが、薬剤耐性に関する教育、研修の推進ということは非常に重要なテーマだと思うのです。教育の場合、あるいは研修の場合も含めて、医系の学生、医学部とか看護学部とか薬学とか、そういう大学における、あるいは専門教育における薬剤耐性の教育の強化ということと、卒業した後の教育、研修等の強化ということで、やはり学部教育における文科省のカリキュラムの中で、耐性に関する内容を強化していく必要があるかなという気がします。
もう1つは、卒業した後には各学会ですね。今、舘田先生がおっしゃったような感染症学会とか、化学療法学会とか、感染症に関連するいろいろな学会がありますので、そういう学会における研修、教育、そういうものの強化がこのプランの中にどういう形で盛り込まれていくのかについて、もし何かあれば、その辺を教えていただきたいのですけれども。
○結核感染症課課長補佐 詳しい内容については、参考資料5でお示ししている薬剤耐性対策アクションプランを御覧ください。まず、1つ目の卒前教育の関係、学部制の教育ですが、20ページに取組として「卒前教育」という所があります。医療関係者等の職を目指す教育課程の学生に対してのカリキュラムとか指導等へのAMRに関係するような内容を追加・拡充することについて検討するという形で、アクションプランには記載されておりますので、もちろんそのようなことについてはやっていくという話になっております。また、卒後の専門職の教育ですが、具体的には先ほども資料2でお示ししましたが、感染症教育コンソーシアムを設立するということもありますし、またアクションプランの21ページ「専門教育」という所に、薬剤耐性等に関する研修履修を認定・更新要件へ追加することについて、関係団体に働きかけなどというところが記載されております。そのようなことを行っていくことがアクションプラン上も記載されておりますので、対策を進めていくというように考えております。
○荒川委員 そうすると、例えば医学部の教育の場合は、コアカリキュラムなどがあるので、そういうところにこういうものを反映させていくような計画もお持ちだというように、具体的には理解してよろしいでしょうか。
○結核感染症課課長補佐 さようでございます。
○渡邉委員長 今の件に関して、このアクションプランの中には関係省庁として文部科学省という形で入っているわけですが、この委員会か、又はこのサブ委員会では、そういう教育の問題は特に扱わないとか、文科省とかに任せるとか、どういう方針なのですか。
○結核感染症課課長補佐 小委員会については、スコープとしては議論をしていただいて、もちろん構わないという話になりますので、御議論いただければと考えております。また、必要に応じて委員のほうから求められた場合には、関係する省庁などの担当者にも来ていただくということも考えております。
○渡邉委員長 ありがとうございます。
○賀来委員 今、いろいろな先生が意見を言われましたように、やはり目標をきちんと掲げていくというのはとても大切だと思われます。これまでも感染症専門学会などで薬剤耐性菌に関するさまざまな議論をしてきたのですが、国がアクションプランを立てていくというのは非常に大きなインパクトであり、学会を含めて目標を持って対応していくというのは非常に素晴らしいことだと思います。一方で、環境感染学会や、臨床微生物学会などのいろいろな専門家や医療施設の方々は数字・数値目標だけが独り歩きするのを非常に懸念されています。すなわち、医療施設の中で薬剤耐性菌に対する感染対策を徹底し、抗菌薬の適正使用を図っていても、他の施設からの薬剤耐性菌の持込例が非常に多いという場合もあるのです。高齢者施設などでは感染症を発症せず、薬剤耐性菌を単に保菌している方がかなり多いということが分かってきました。そういう意味では、アクションプランの内容にもありますが、是非ともマルチストラテジーによる対応、いわゆる医療分野・介護分野を含めた、あるいは農林・水産分野も含めたマルチストラテジーによる対応をはかり、そのような点も考慮に入れ、評価していくことが大切であると思います。
例を挙げますと、2011年の東日本大震災が発生した際に東北大学病院でMRSAが検出された患者さんが一過性に急増しました。すなわち、これは地域の医療施設・介護施設などから緊急入院となった患者さんによる持ち込み例の増加でありました。そのようなことからも、地域連携の重要性や地域での薬剤耐性菌のサーベイランス、感染症対策・抗菌薬の適正使用など、さまざまなファクターを考慮に入れたマルチストラテジーによる対応の推進をお願いしたいと思っています。
○宮崎委員 薬剤師会の宮崎です。このアクションプランですが、レクチャーを受けたときに、使用量の減少について2020年までに全体を33%減らすことは、私としては非常に驚きです。薬局という所の最前線で仕事をしておりますと、患者さんたちの動向といいますか、啓発をきちんとやっておかないと、特に子供さんをお持ちのお母さん方は、なぜこういった使い方に変わるのか、あるいはこういう場合、逆に今までは抗生剤が出ていたものが出なくなるといった問題もありますので、そういった一般国民に対する啓発についても、是非考えていただきたいなと思います。
それと同時に、資料2の6ページにありますように、現在、日本はほかの国と比べて特殊な使い方と言いますか、抗菌薬の使用の状態になっています。特にセファロス、キノロン、マクロライドが多いという状況が、果たして良かったのか。国民の健康維持と言いますか、感染症の治癒に対して良かったのか悪かったのか、どういう影響があったのかは1つ総括をしておかないと、ほかの国のように、例えばペニシリン系を今後どんどん増やすであるとか、そういったことになったときに、どういう影響が出るのかということをあらかじめ評価しておかないと、それを我々薬剤師としては、現場で、もしかしたらお母さん方とか国民の方に、何でこのように変わっていくのかということを話さなければいけないのです。是非その評価をしていただく必要があると思いますので、その点、よろしくお願いしたいと思っております。
○渡邉委員長 患者さんも確かに結構心配している。こういう話をしていると、使われなくなって、自分の病気が治らないのではないかなどという心配も、ちょこちょこ聞こえてくるところがあるのですが、これは非常に難しいのは、第一線で働くお医者さんの教育というか、どういう場合は使わなくてはいけないのか、どういう場合は使わないほうがいいのか。その辺のことをちゃんと第一線で働くお医者さんが理解して、その理解を患者さんにちゃんと説明できるようにしないと、相当の混乱が起きるのではないかと思うので、その辺もどのようにやるのかというのは、この委員会で話し合うのか、いわゆるunderstanding、 awarenessの問題というのは、先ほどから何人かの先生から出ているかと思うのですが、数字が独り歩きしてしまって、アクセスすべき所にアクセスが行かなくなるということになると、本末転倒になりかねないので、その辺はどのようにするのかというところも、是非どこかで議論をしていかないといけないかなと思いますが、事務局いかがですか。
○結核感染症課課長補佐 正に普及啓発という部分については重要だということは、アクションプラン上も示されておりますし、先ほど御指摘もありましたように、患者さんと医療関係者と、双方が良い方法について知識を得て、そして良い方向に向かっていくというところが必要になります。もちろん片方だけでは達成できないものですので、そこはこの小委員会でも御議論いただければと考えております。
○渡邉委員長 WHOでもエクセスとアクセスの問題が非常に議論されて、後進国からはアクセスをちゃんとしろという意見が強いです。使うべきところにちゃんと使うようにしろという点が大分言われて、先進国は満ち足りてエクセス状態かもしれないが、発展途上国は必要なところにも十分届かなくアクセスをまずは図るべきという南北問題に発展しているところが無きにしもあらずなのです。日本でもそういう意味では患者さんとの間の問題は非常に大きな問題になりかねないかなと思うので、その辺をどうすべきかということも、この委員会で議論していく1つ大きなテーマかなとは思います。
時間が押し迫っているのですが、資料がまだ残っていますので、残っている資料を説明していただいて、もう一回戻りたいと思いますので、よろしくお願いします。事務局、お願いします。
○結核感染症課長補佐 事務局より、資料4~9を御説明させていただきます。資料4をお手元に御用意ください。薬剤耐性に関する小委員会で議論する当面の主な課題という資料です。先ほども委員の先生方からいろいろ御指摘を受けておりますが、AMR耐性については、様々な要因、対策が必要になってくるという状況です。特に当面の間、この事業については必要だろうというところを、アクションプランの中から事務局でピックアップしたのが資料4になります。
具体的にはアクションプランの2つ目の柱でありました動向・監視の中の2.2~2.5を持ってきていまして、これは、医療機関における抗微生物薬使用量の動向の把握とか、蓄水産、獣医療等における動向調査・監視の強化、医療機関等における薬剤耐性に対する検査手法の標準化と検査機能の強化、さらにはワンヘルス動向調査の実施をお示ししております。
これらについては、後ほどお示しします薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会で、まず議論をしていただき、また、小委員会でもそれを踏まえて御議論いただければという形で考えております。
また、柱の3つ目でありました感染予防・管理の問題では、特に3.1の医療、介護における感染予防・管理と地域連携の推進があります。また、柱の4つ目にありました抗微生物薬の適正使用の推進では、医療機関における抗微生物薬の適正使用の推進の中で、特にガイドライン・マニュアルの整備とか、適正使用体制の整備支援がありました。ここについては、後ほどお示しいたします抗微生物薬適正使用等に関する作業部会でマニュアル等の作成をした上で、小委員会でそれを差し戻し、御議論いただいていくのはどうかと考えております。
資料5をお手元に御用意ください。アクションプランの当面の必要な議論に対応し、資料5として、検討体制について案の御提示をさせていただきます。一番上にあります薬剤耐性に関する小委員会はこの委員会ですが、その下に抗微生物薬適正使用等に関する作業部会を設置してはどうかと考えています。
具体的に、作業部会の中では、適正使用に関する専門家等により構成するという形で考えており、技術的助言で抗微生物薬適正使用を推進するための指針等の検討とか、研究結果等に基づいた抗微生物薬適正使用に関する施策の提言を行っていただいてはどうかと考えています。作業部会の結果を踏まえ、さらに小委員会で御議論いただくという形です。
また、小委員会とは別の形で薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会も設置してはどうかと考えております。これは小委員会とは別という形で考えており、後ほどお示しいたしますが、健康局長の私的検討会という形で設置することを考えております。その理由としましては、これも後ほどお示ししますが、厚生労働省だけでAMR対策が完結できるものでもありませんので、特にワンヘルスの観点でサーベイランスを行っていくという状況下では、農林水産省とか環境省などの力も必要であるという御指摘を頂いておりましたので、そのような他省庁、具体的には農林水産省とか環境省からも事務局に入っていただいて検討会を行っていくことを考えております。
資料6を御覧ください。そのような案を踏まえ、作業部会の設置についてというのが資料6になります。こちらについて説明をいたします。設置の趣旨としましては、先ほどから申し上げておりますように、抗微生物薬の適正使用の重要性が指摘されている状況であり、また、薬剤耐性対策アクションプランの中でも、抗微生物薬の適正使用は重要な分野として取り上げられております。このようなことから、AMR対策に係る重要事項のうち抗微生物薬適正使用等の分野について審議するために、本小委員会の下に小委員会の設置規程に基づき作業部会を設置するというものがあります。
その作業部会の所掌事務といたしましては、薬剤耐性アクションプランに定められた対策のうち、抗微生物薬の適正使用等に係る専門的・技術的事項について調査審議を行うことで考えています。なお、作業部会の運営についても、厚生労働省健康局結核感染症課が行うことで考えております。
さらに、先ほどもお示ししましたが、小委員会とは別の枠組みで薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会の開催を考えております。こちらについてですが、薬剤耐性の関係では、ヒトのみならず、動物、食品、環境といった垣根を超えた「ワンヘルス」としての薬剤耐性に係る統合的な動向調査の重要性が指摘されていることを踏まえ、「薬剤耐性ワンヘルス動向調査」に係る技術的事項について検討することを目的といたしまして、厚生労働省健康局長の下に有識者の参集を求めて開催するものです。
こちらは、本小委員会とは違う形、すなわち健康局長の私的検討会という形で考えており、その庶務は、農林水産省とか環境省の協力を得て、厚生労働省健康局結核感染症課において処理するということで考えております。この検討会の審議の内容については、もちろん本小委員会に適宜御報告し、一体的に議論を進めていきたいと考えています。
特に、ワンヘルスの動向調査検討会においては、日本の中で様々なサーベイランスがありますので、そのようなサーベイランスを踏まえて一体的にどのような形で検討していくかが必要であると考えております。この資料については、事務局で、現在、日本の中で行われておりますAMRに関係するサーベイランスについてお示ししたものですが、実際に国の法に基づく調査としましては、感染症発生動向調査がありますし、また、国の行う調査としまして、院内感染対策サーベイランス事業(JANIS)が検査部門そして臨床系部門であります。また、農林水産省では動物由来薬剤耐性菌モニタリング(JVARM)という調査も行われており、こちらについては食用動物に関しての抗菌剤の使用などについての調査が行われております。
そのほか、三重大学で行われております抗菌薬使用動向調査システム(JACS)という調査とか、また、感染対策地域連携支援システム(RICSS)という調査、さらに医療関連感染サーベイランス(JHAIS)というもの、さらに、学会では三学会合同抗菌薬感受性サーベイランスというものも行われております。詳しい内容については、事務局で参考資料4としてお示ししておりますので、適宜御活用いただければと思います。
資料9を御覧ください。先ほど作業部会を小委員会に設置することを御提案させていただきました。特に、作業部会の中で一番初めに議論すべき項目といたしまして、有識者の先生方からは、アクションプランでも抗菌薬適正使用の手引きを作るべきであるという御意見を伺っておりました。そのような状況もありましたので、事務局でコンセプトペーパーとして資料9を御用意しました。
抗菌薬適正使用の手引きの目的は、臨床の現場において抗菌薬の適正使用を推進する上で重要な項目について、一般診療の場で実践的な対応を中心に解説するというものです。
主な対象者は、手引きの利用者としては外来で診療に関わる医療従事者、そして手引きの対象患者としては基礎疾患のない患者を想定しております。
内容ですが、総論と疾病ごとの各論で構成するということにいたしまして、総論では、抗菌薬の適正使用の考え方等について解説するということで考えております。さらに各論では、日常診療で一般的に遭遇する主要な疾病について解説することで、特に有識者の先生方から御意見を伺いましたところ、感冒、正確には急性気道感染症とか、急性下痢症について解説することが必要ではないかと御意見を伺っております。また、特に抗菌薬を使うべきか否かを迷う状況での助けになるよう適切な診療の進め方について、診断方法、鑑別疾患、治療方法、患者・家族への具体的な伝え方について解説する必要があるのではないかと聞いておりますので、そのような内容について含めることを考えております。
編集の方針といたしましては、科学的知見を踏まえて作成するとともに、手に取ってもらいやすいものにする必要がありますので、ページ数については極力抑え、図等も入れた簡潔かつ平易な内容とすることで考えております。また、この手引きについては、1回作ったら終わりということではありませんで、今後、必要に応じて改訂を検討することで考えております。
留意事項といたしまして、各科学的知見については、リミテーションも現在の科学的知見を踏まえますとありますので、今後の検討が必要な事項についても御議論いただき、そこについても記載をしていくということで考えております。
次のページですが、このようなコンセプトペーパーの案を基に、目次のイメージといたしまして、このようなものになるのではないかと考えております。「はじめに」で策定の経緯、目的、対象などについて書かせていただき、「総論」として、抗菌薬適正使用とは、適応病態、不適正使用、推奨事項について書かせていただきます。「各論」といたしまして、急性気道感染症、急性下痢症について、その定義、疫学、診断方法及び鑑別疾患、治療方法、患者・家族への説明について記載をするという目次をイメージしております。
先ほど宮崎先生からも御指摘がありましたが、このような適正使用を進めていく上では患者からいろいろな御意見も出てくるかと思いますので、そのようなことに対応できるような手引きにしていけばいいかと事務局としては考えております。このようなことを踏まえまして、特に事務局といたしましては、資料6でお示しした作業部会の設置について御審議いただければと考えております。事務局からは以上です。
○渡邉委員長 ありがとうございます。先ほど皆さんから御意見いただいた項目に対して、この小委員会の下に適正使用作業部会とワンヘルス検討会等を設けて、そこで話し合うということで、大体、皆さんから御意見いただいた項目は網羅されているのかと思います。ただ、1つ出ていなかったのが、研究開発ではないかと思うのですが、今後、これはどうなるのでしょうか。
○結核感染症課長補佐 研究開発については。資料4については入っていませんが、もちろん研究開発を忘れているわけではありませんので、小委員会の御議論を踏まえながら、どのような形で検討していくかを考えていきたいと考えております。
○渡邉委員長 分かりました。今、事務局の説明等に関して、何かこういうことを入れ込んだほうがいいのではないかとか、いろいろ御意見が。
○舘田委員 日本のアクションプランの項目として国際貢献、国際協力を入れたことは非常に大きな意味を持つのではないかと思います。先ほどの世界地図を見ても、ある意味、耐性菌の制御に関してアジアの中で日本はかなり制御できている国の1つではないかと思います。しかし、それだけに国際貢献として日本の果たさなければいけない責任は大きいと思います。日本の活動の具体的方法や経験、政策をどのように海外に発信していくか、導出していくかが重要だと思います。
これをどのように実現していくか、評価していくかが重要ですが、なかなか難しいのではないかと思います。処方箋なしで抗菌薬を変える国が多数みられる中で、そこでどのように耐性菌対策を実施できるのか、またそれをどのように評価していくのか、しっかりと考えて対応していかなければいけないと思います。そして、日本は成功事例をもっているわけですから、ある意味、これを大きなチャンスとして捉えていかなければいけない。チャンスに変えていかなければいけない。国際貢献に繋げていかなければいけないと思います。どのようや方策でアプローチするのか、どのような成果目標をたててフィードバックしていくのかが重要になると思います。
○結核感染症課長補佐 国際協力についても、グローバル・アクション・プランとは別に、1つ新たにアクションプランの中で定めている項目がありますし、大変重要な項目ですので、是非、小委員会の中でまずは御議論いただければと考えております。
○結核感染症課長 補足します。作業部会は、成果物などを小委員会に御議論してもらうために、具体的に作業してもらう部会なので、作業部会をつくらなかったからといって、例えば、国際の話をしないとか、研究開発の話を小委員会ではしないということではありません。むしろ、国際の話でも研究開発の話でも、一義的にはまず小委員会で御議論をしていただきたいと我々は考えています。
また、ワンヘルス動向調査検討会も、なぜ小委員会にぶら下がっていないような図になっているのかという御指摘も、次に想定できるのですが、感染症部会の位置付けの中での小委員会ですので、先ほど事務局からも説明させていただいたとおり、サーベイランスに関しては関係省庁、特に農水省との関係がありますので、そこは感染症部会の下ではなくて、省庁間連携の中でやっていくということで、こういった形にさせていただいています。
ですので、この検討会で出てきた成果物等について、もちろんヒトに関わるものもありますので、AMR小委員会にはお諮りをしながら御意見も求めていくことになります。以上です。
○渡邉委員長 ありがとうございます。事務局のものをまとめますと、ナショナルアクションプランに書いてある項目に関しては、全て小委員会で話し合うという立場だということですね。
○結核感染症課長 はい。
○渡邉委員長 ということですので、もし国際協力に関してどうやったほうがいいかというコメントなりサジェスチョンがありましたら、どんどん出していただければということでよろしいですね。
○結核感染症課長 はい。
○渡邉委員長 先ほども言いましたが、EUの中で特にイギリスがこれに非常に力を入れて、先ほどのフレミング基金を利用してアジアに進出してきているのです。そこに中国とタイアップしてやろうとしていますので、日本もそれなりのことをやらないと、何かいつの間にか置いていかれてしまって、みんな彼らにさらわれてしまうのではないかということを、この間WHOの評価、JEEでベトナムに行った時にそれを非常に感じました。日本としてなるべく早くその方向性を出してどうするかは、これは予算も関わることだと思うので、もちろんマンパワーも必要ですが、この委員会で皆さんの御意見を頂くとともに、厚労省がそこを、どう予算を獲得するのかも含めて考えていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。今、資料4~9に基づいてお話がありましたが、これに関して御意見、コメント等がありましたら。
○洪委員 看護協会の洪です。資料9で、これはあくまでもイメージということで理解しています。病院において、基礎疾患があって入院し、さらに感染症を発症する場合が大変問題になっております。第1版でまず作るものに関して、手引きの利用者は、外来で診療に携わる医療従事者、そして患者が基礎疾患のない患者では、高齢者が外来患者には多いですが、高齢者で基礎疾患がない方はまれにしかいないと思うのですが、多くの高齢者は対象にならないことに関して、まずこれは第1版ということは、今後さらに内容を充実していくという手ことでよろしいのか。
また、その際に上気道感染症、急性下痢症という2つを挙げていらっしゃるのですが、肺炎とか尿路感染という介護施設などでも問題になっていることに関しては、次以降の整理なのか。はっきり申し上げますと、国が抗菌薬適正使用の手引きを作ることに関して、入院患者の感染症対策では大変期待をしているので、限定された点を少し説明いただければと思います。
○結核感染症課長補佐 正に第1版としているところは御指摘のとおりでして、今後、必要な部分については加えていくことで、第1版という形でお示しをさせていただいております。特に細かい、こういう抗菌薬は使うべきであるとかという所については、先ほどから2回ほどお示しいたしましたが、感染者のコンソーシアムを平成29年度予算で設置することを要求している状況ですので、そちらでも細かい部分については作り、また、特に大枠で進めていかなければならないところについては、第2版以降で御議論いただき付け加えていく形になるということで事務局としては考えております。
○渡邉委員長 ありがとうございました。急性気道感染症という中には、肺炎も含めるのですか、それともこれは感冒と書いてあるけれども、感冒に対する抗菌薬の使用がメインなのですか。
○結核感染症課長補佐 有識者の先生方から御指摘を受けた部分としては、ざっくりな風邪の対策が重要であることの御指摘を頂いております。そういう意味で言うと、上気道感染症というと少し広過ぎる表現かもしれません。具体的には風邪、感冒ということです。また、急性下痢症については主にウイルス性の疾病ですので、そこについては診断がちゃんとできれば、そこは抗菌薬は使わなくていいのだろうということで、この診断については重要だと指摘を受けております。
○渡邉委員長 これを見ますと、一般患者が使わなくてもいい薬を使っていることに対する啓発というところが中心になるかと思うのです。ただ、今の看護協会の洪先生の御意見だと、老人医療、特に老人医療だと肺炎又は泌尿器感染が非常に大きな問題だと思うのです。その辺の抗菌薬の使用方法等について適正使用マニュアルを作ってほしいという御意見かと思うのです。それは随時この後に行うということでよろしいですか。
○結核感染症課長 はい。
○渡邉委員長 分かりました。
○澁谷委員 作業部会かワンヘルス検討会でやることになるのかと思うのですが、情報収集が非常に大事だと思うのです。例えば、資料8でサーベイランス一覧を出していただいているのですが、保健所だと、感染症とか、食中毒対策をするわけです。食品、特に食肉とか、あるいは保健所で環境を持っている所もあるのですが、環境中のサーベイランスなど、そういう所はほかの省庁でということになるのか分かりませんが、そういった情報収集、どういうサーベイランスが実際に行われているのかとか、どういう研究課題が国の施設だけではなくてそれぞれで行われているのかと。これはものすごくオーソライズされてこの一覧表になっていると思うのですが、そういう研究課題や、実際のサーベイランスの状況についての資料収集といいますか、そういうこともやっていただけるといいのかということが1つです。
それから、先ほどの資料9の手引きですが、例えば、今、地域の中ですと、耐性菌や院内感染があったときに、相談できる病院同士のネットワークをつくって、診療報酬も認められていると思いますが、そういうつながりがあったり、あるいは、院内の院内感染対策委員会の機能などに結構お願いをしていることがあるのです。次の段階かもしれませんが、手引きのどこかに病院の院内感染対策委員会の活用や診療報酬で認められているような病院間の連携などについても少し一言、二言書いておいていただけると、困ったときの相談の先があるということを、そういうことの目安も少し入れていただけると参考になるのかと思いましたので、意見です。
○渡邉委員長 ありがとうございます。事務局、いかがですか。
○結核感染症課長補佐 ワンヘルスの関係で言いますと、検討会の中で細かい御議論はしていただくことで事務局としては考えております。澁谷委員からありましたように、ここに資料8でお示しをしているもので全てを網羅できているわけではありません。既に環境中のAMRの問題とか食肉の中のAMRの問題は、指摘をされていながら、現状、包括的なサーベイランスはなかなか行われていない状況です。研究ベースでいろいろと進められているものもありますので、そういう情報も集めながら御議論いただくということで考えております。
2つ目のものですが、これは手引きを第1版にしているという状況がありますので、適宜必要なものについては入れていくことで考えております。2つ目の部分で地域連携の話もありましたが、そこは重要なものでして、実際に現状は御指摘も頂きましたように、診療報酬の中でもそういう加算もありますし、また、アクションプランの3.1の中でもその指摘をされているという状況です。さらに、地域連携の仕組みという部分については、戦略の3.3、アクションプランの42ページに「地域感染症対策ネットワーク(仮称)」を作ります。こういう支援をしていくということも書かれております。実際にそのような包括的なアクションプランになっており、その中でこういう地域の対策という部分についても行っていくことが示されておりますので、そこについても対策を進めていきたいと考えております。以上です。
○渡邉委員長 情報の発信ということを考えたときに、先ほどから出ているサーベイランスの研究というのは結構やられていて、厚生科学研究でもやっているし、文科省の研究費、食品安全委員会の研究費でもやられていまして、ばらばらな所に位置しているのです。
どこでやるのかはこれから省庁と相談していただくのですが、一番いいのは厚労省なら厚労省で、このAMRの委員会もできましたので、委員会のホームページを作っていただいて、そこに全部の情報がリンクしていて、そこを開くと、日本の食品、環境等の耐性菌の分離状況の現状が分かる。これは研究班でやられているデータが農林省にあるはずですし、食品安全委員会はrisk analysisの関係においてやられているデータが結構ありますので、そこが一括して見えるような仕組みを作っていただくと、行政関係者又は研究者、一般の国民も、そこを見ると「こういうものか」ということが分かると思うので、その辺は考えていただくと利用できるのではないかと思います。よろしくお願いいたします。
○瀬古口委員 手引きの第1版について項目がこれだけ出てきた中で、今後に検討が必要な項目を考えると、規模的にも大きくなってくるのかどうか。アクションプランでも、70ページぐらいなものです。書き込めるだけ書いていくと、すごく膨大なものになってきますし、まとめると30ページぐらいになるのか、50ページぐらいになるのか、この辺の規模的なところだけをお聞きかせいただきたいと思います。
○結核感染症課長補佐 特に、内容ですとか大きさについては、委員の先生方に御議論いただいた結果になるとは思うのですが、事務局としては包括的な内容を入れるということも重要なのですが、それと同時に読んでいただけるというところが重要だと考えています。ですので、ページ数は極力少なくしたほうが手に取ってもらえると思っておりますので、少なくしていくということです。具体的には、先ほど御指摘いただきましたが、30~40ページぐらいというのが限度かなと考えています。
○荒川委員 資料9の手引きです。これを作るのは非常に大事なことだと思いますが、実際にこの手引きを参考にして日々診療に関与される方というのは、私のイメージでは小児科の外来、クリニックをやっておられるような方々を主な対象にしたものという印象がありますので、手引きを作るときに、小児科、特に外来、感染症の子供を診療している方々の学会、そういうグループもこれに加わっていただくといいという気がしますが、先ほどお伺いした感染症のconsortiumの中に、外来関係の小児科医の先生方の団体は入っているという理解でよろしいのでしょうか。
○結核感染症課長補佐 入っております。感染症のconsortiumについては、平成29年度予算で現状は要求中ですので、予算が付くかどうかというのは何とも言えないところはありますが、学会、専門職の方々の代表に入っていただかなければ、consortiumというところは回っていきませんので、そこは是非入っていくような形の事業にしたいと事務局としては考えています。
○釜萢委員 荒川委員から御指摘いただきましたが、私は小児科医でずっと診療に携わってきました。実は、小児科の外来診療において、抗生剤の適正な使用を進めようという動きは、もう随分前からあります。そして、いろいろな学会からもガイドラインが出ていますし、日本医師会も随分前から薬剤耐性の問題に積極的に取り組んで、日本医師会雑誌の特集号にたくさん出してきて今日に至っているわけですが、なかなか医療現場で実際に抗菌薬を使用するかどうかの選択というのは難しいです。非常に判断に迷うケースが少なくないのです。
それは、原因を、病因をはっきりと確定するという作業について、リアルタイムにどんどん出てくるわけではなく、以前に比べれば、迅速診断キットなどもありますので、かなり以前とは様変わりしましたが、全てのケースで問題になる病原を即座に判断できるわけではないので、予測に基づいて可能性を考えて、いろいろな角度から抗菌薬を選ぶ、あるいは出さないという選択をする。抗生剤、抗菌薬を出さないという場合には、それなりに親御さんに十分に納得をしていただくという作業はこれまでもずっとやってきていて、それはなかなか時間もかかることです。しかし、それは今後もしっかりとやっていかなければならないと思うのですが、今回作る手引きあるいはガイドラインには、私どもも大変大きな期待を持っているのですが、実際に現場で役立つものを作るのは容易ではないと思います。
ですから、そこはこの小委員会の英知を結集し、かつ、いろいろと学会あるいは小児科の専門家からもアドバイスをもらって、現時点でなるべく役に立つ最良のものを作りたいと私自身も強く思いますが、なかなかこれは難しいことで、実際に役立たなければ読んでもらえません。そこが大変大きな課題だろうと認識しております。
内閣府で、国全体、国民に対するAMRの啓発の仕組みができて、トップには宇宙飛行士の毛利先生がなられたり、みんなに受ける人が加わってくださるということもありますので、それはそれで大いに期待できますが、是非今回このガイドライン、手引きがしっかりと役に立つものができるようにと、そのことのために力を尽くしたいと思って発言させていただきました。
○結核感染症課長補佐 正に、このガイドラインについては日本医師会の先生方の協力なしには広まらないものですし、また役に立つことはできないというものですので、最終的にできた暁には、日本医師会の先生方にも御協力いただいて広げていくような形にしていきたいと考えております。そこについては、また御相談させていただきたいと思います。
○舘田委員 今の御意見はすごく大事なところです。私も国民啓発会議にも出ていますが、あの中での議論は、医療従事者ではなく、介護をなさっている方、保育師の方、お母さんといった人たちに、どのようにこの情報を伝えていくのか、啓発していくのかということが重要だということが議論されました。
そういう意味では、この委員会と、あちらの委員会がうまく連携するような形で、同じような内容で、もう少し下げてなのかどうなのかということになるのでしょうけれども、その辺の連携は当然やっていくのですよね。そこは非常に大事なところになるのかなと思いました。
○結核感染症課長補佐 そこの連携はしていきたいと考えています。
○柴山委員 この小委員会でアクションプランの全体を取り扱うということで、非常に範囲が広くてオールジャパンで取り組まなければならないことだと思います。特に、このアクションプランが出た当初の4月、5月ぐらいに、いろいろな学会の先生等から、個別に、この項目はどこの学会なのか、団体なのか、どういう所が担当するのかということを、ときどき聞かれることがありました。その辺というのは、全般にわたって整理はされているのでしょうか。
○結核感染症課長補佐 関係する省庁については、整理されている状況です。取りまとめは内閣官房ですので、どのような形で御提示できるかについては事務局からそちらに相談させていただきたいと思います。
○渡邉委員長 関連する学会もですよね。それとの相談・調整というのは、今後やられていくのですか。
○結核感染症課長補佐 関係する学会については、必要に応じて御相談させていただきたいと考えております。
○賀来委員 本年4月に開催されました感染症学会の学術総会に課長に御越し来ていただいて、学会員に対してAMRのアクションプランについて説明していただきました。また、感染症に関連した環境感染学会、化学療法学会、臨床微生物学会など、様々な学会が今回のAMRアクションプランに全面的に協力し今後とも支援させていただきたいと考えております。また、ガイドラインの手引きができたときに、開業医の先生がこれをうまく活用していただくために、地域の感染症の専門医あるいは大学を含めた拠点病院の専門の先生方に、相談できるような体制などの地域連携システムが構築されていれば、この手引きがさらに活用されるのではないかと思いますので、是非小委員会の中で議論していければと思います。
○田村委員 今回のアクションプランの基本的な考え方はワンヘルスなのです。それは、ヒト、動物、環境で耐性菌なり耐性遺伝子が循環しているということが基本にあると思うのです。ただ、先ほどからお話があるように、環境におけるサーベイランスはきちんとされたものがないので現状がよく分からないのです。また、環境に関する取扱いというのは、厚労であり農水であり、いろいろなところに関係があると思うのです。
厚労関連のところで私がいつも気になっているのは、病院の排水なのです。現在あの基準は水質汚濁防止法の基準です。ということは、あの有機物の除去、例えば重金属、化学物質の規制であって、耐性菌や抗菌薬の規制ではないのです。ということは、環境にある抗生物質だとか耐性菌のソースというのは、当然動物側もありますが、病院にあるわけです。そこのところの議論も是非やってほしいと思います。
聞いたところによると、国によっては、病院の排水基準というのは環境の基準とは違うというのがあると聞いていますので、そういうもので、蛇口を止めるようなやり方も必要だと思います。
○渡邉委員長 日本も川の水を調べると、そこから耐性菌が出てくるというデータは出ていますし、外国では、そういうデータがもう珍しくはないです。ですので、そういうものが循環して、動物なりヒトにということもあり得ると思うので、その辺はどこでやるのか、ここで議論するなら議論して、そのときに関係者も入れるとかいろいろな策があると思うのですが、よろしくお願いいたします。ほかにいかがでしょうか。
○八木委員 手引きに関しては、先ほど来いろいろな御意見が出ていまして、現場の第一線で患者を前にやられている先生方が有効に使える手引きができると本当にいいと思います。そのためには、1つは、これまでにも意見がございましたが、アウェアネスというか、薬をもらう側の教育と啓発が表裏一体でないとうまくいかないと思いますし、賀来委員が言われたように、地域連携等で、いろいろな相談などの連携ができると、もっといいと思います。
私も1つ言いたいのは、いろいろなサーベイランスが走ることになると思うのですが、アクションプランで示されている目標というのは、薬剤の市場の減少と耐性菌の減少のことだけが取り上げられているのですが、賀来委員が最初の頃に言われましたが、これはmulti-strategyで行われなければなりません。感染対策も大事ですしということで、いろいろなことが総合的に働いて、こうした結果を生むことになると思います。例えば今回の基礎になったトータルでの日本の消費量のデータといったものも毎年出てくるわけではありませんし、また感染対策とか、いろいろなことのプロセスといったことの評価が、やっているそれぞれの関係部署に分かりやすい形でフィードバックできれば、国として、全体として同じ方向に向かっていけるのではないかという気がします。そういったサーベイランスの結果をうまくフィードバックできるような形が取れるといいと思います。
○渡邉委員長 確かに、情報は溢れていて、そこをどのように整理して、それが特に一般の方々が適切にそれを理解できるようにするというのは、なかなか難しいことだと思うのですが、やっていかなくてはならないことですので、今後その方法論についても、この委員会等で議論して、方法論と、やった結果のレビューが必要だと思うのです。やりっ放しで終わりましたというのが、今までは多かったと思うのです。定期的にレビューして、PDCAサイクルにより国としてやっていく方向性を出されたと思うので、これが重要なことだと思います。
○荒川委員 資料2の7ページのWHOが出しているAntimicrobial Resistanceのサーベイランスのレポートですが、確かに肺炎球菌のペニシリンの非感性率は日本が一番高いという、余りよくないデータをWHOが発表しています。これは恐らく髄膜炎を起こした菌を判定するブレイクポイントで、要するに低いMICで判定すると、確かに4割、5割という値になるのですが、実際に2008にCDCがブレイクポイントを髄膜炎とそれ以外に分けて出した新しい基準で、髄膜炎以外に適応される高いMICのブレイクポイントで判定すると、恐らく日本でも今は2%とか3%という値ではないかと思うのです。
この48%と日本は断トツで高いのですが、ほかの国々が日本と同じようにWHOの髄膜炎由来細菌、肺炎球菌のブレイクポイントで判定したデータなのかどうかというのは、私はかなり違和感を持っているのです。
48%を2020年に15%に下げるというときに、どのブレイクポイントで判定した耐性率で15%に持っていくかということをしっかりしておかないと、変なことが起きるので、そこはきっちりと決めてから、48%から15%というのをやらないと理解が不能なことが起きるのではないかという気がするのですが、その点はいかがでしょうか。
○結核感染症課長補佐 7ページ目については、説明させていただいたときにも少しコメントさせていただきましたが、現状では国際比較が可能なデータがないという状況があります。あるデータを出してみるとこういう数字なのだけれども、御指摘のように、これまでも有識者の先生方から「比較という部分で言うとおかしいのではないか」という御指摘も受けておりますので、そこの問題点については認識しております。
少なくとも、このアクションプランの数値目標は、モニタリングしていくという段階では、検討会を設けてやっていくという形で御提案させていただいておりますが、そこで、どういう方法論でモニタリングをし、結果を評価していくのかというところも含めて御議論いただくことが必要だと考えております。
○渡邉委員長 この耐性率の問題は、各国がそれぞれの方法で今までやってきているのでそこでWHOはグラス(GLASS:Global Antimicrobial ResistanceS surveillance System) というサーベイランスネットワークを提案して、それに基づいて各国がデータの収集をするというのを決めているところです。日本もそれに基づいてデータを出していかないと、世界基準と比較できない難しい問題がでてくると思うのです。黄色ブドウ球菌などの耐性も、保菌者も日本のデータは含まれているのです。現場から「こんなに高くない」という話も聞こえてくるので、その辺をきちんと分けた形で出すのか、どういう基準にするのかをサーベイランスを話し合うのはどこの委員会でしたか。
○結核感染症課長補佐 ワンヘルスの動向調査検討会です。
○渡邉委員長 その辺で詰めて、日本も今のJANISの制度でいいのか、JANISは参加施設数は非常に多いのだけれども、精度管理をきちんとやられたデータなのかどうかというのが問題点もあるのだと思うのです。ですので、どういう仕組みがいいのかも含めて検討していかないと、世界の基準に合わなくなっていって、日本だけが高い値のデータで、実際はそうではないという話にもなりかねないので、そこは検討の余地があるのではないかと思うのです。柴山委員からコメントがありますか。
○柴山委員 JANISを担当している柴山です。JANISのデータというのは、入院患者だけで、しかも、JANISに参加している病院というのは、ほとんどが200床以上の大規模な病院ばかりで、外来、クリニックのデータは入っておりません。そういったバイアスがありますので、これを国際比較するにはどのようにしたらいいのかというのは、今後、この小委員会あるいは作業部会、研究班等で検討していければと思います。
○荒川委員 JANISは私も立ち上げの頃に関わっていましたが、JANISの精度管理は現在はかなりしっかりとできてきていると思うのです。
問題は、比較するときの基準が国でそれぞれ違うので、今回恐らく、髄液分離株に対するブレイクポイントで判定すると48%という結果になっていると思うのですが、これはWHOの資料は資料として、一度比較できるようなデータを、本当に日本の肺炎球菌の耐性率が、非感性感染率がどのぐらいかということを、ある程度、信頼が得られる国々のデータを整理してみて、特に先進国と、そういうことを一生懸命やっている国ですね、データをもう一回見直してみてもいいかなという気がします。WHOのデータをそのまま使うのではなくて、日本独自のデータとしてですね。48%からいきなり15%というのは、正直言って、薬を使うのをやめてもそこまでいくのかどうかというような感じもしますので、そこら辺の目標値として、48を3分の1の15に減らしていくとか、そういう形で15%というのが一人歩きしないようにやっていかれるほうがいいと思います。
○柴山委員 この肺炎球菌のデータに関して48%という数字は、CLSIの2007ですので0.125です。このデータでは非感受性率ですので、Iも入っているということで、48という数字になっているのだと思います。
あと、この図は昨年ぐらいに厚生労働省で取りまとめていただいたと思うので、そのときに私も相談を受けた記憶があります。各国のデータも、できるだけCLSIの0.125というものに合わせたデータを集めていたと思います。ただ、若干の一部論文には書いていないようなところもありますので、ほかの国についてはそういう齟齬があるかもしれませんが、日本のデータとしては48ということで、それをCLSI2007で判定した結果ということです。
○渡邉委員長 目標値がこれを基準に決めてしまっているので、違う基準にするというと、なかなか難しく誤解を生む可能性があります。どこかで訂正するなら訂正するという形でやらないと、一旦外に出てしまっているわけですので、それなりの理由を付けた、皆さんが納得するデータを提示した上で、変えていくなら変えていかないといけないといけません。その辺はサーベイランス等をやられている所で検討していただいて、またこの委員会等に上げていただければと思います。
大体皆さん発言されたと思いますが、発言されていない方で、どうしてもという方はいらっしゃいますか。
○高野委員 病院の中で感染対策を実施していると、感染対策と感染症治療、つまり抗菌薬の適正使用が両方ともかなったときに、初めて薬剤耐性菌がコントロールされるということを、私たち病院に勤めている感染対策に取り組む医師や看護師は実感しているところです。しかも、それを患者によく説明して、患者の協力を得られて初めて達成できるということもよく分かっています。同様のことを日本全国で進めていくということがよく分かりました。とても大変なことですが、やらなければならないこともわかりました。
動物に対する抗菌薬がどのように使われて、どのようにコントロールされる仕組みがあるのかということが認識できていませんので、その辺の説明を次の機会でもいいですので、御紹介いただけると理解が進むと思います。
○遠藤委員 ただいまの動物のほうの抗菌薬の使い方については、農林水産省のホームページと、私ども動物医薬品検査所のホームページにおいて、かなりリスク管理の政策についても出ておりますので、よろしければ御紹介したいと思います。
個人的に御紹介してもよろしいですし、機会を頂ければ、この場で御紹介させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○渡邉委員長 動物のほうをやるときでしたら、食品安全委員会のリスク評価も入れていただいて、どこかで時間を設けて発表していただくと、全体の日本の仕組みが理解できるのではないかと思います。
○結核感染症課長 今、正に同じことを考えていまして、農水省の施策だけではなく、食品安全委員会の抗菌薬の評価についても御説明させていただかないと、全体像が把握できないと思いますので、次回に関係省庁と連携して発表させていただこうと考えています。遠藤委員にお願いしてもいいのですが、当該省庁から説明したほうがよろしいですかね。
○遠藤委員 どちらでもいいです。近密に連携しておりますので。
○結核感染症課長 それでは、会議後に御相談させてください。よろしくお願いします。
○宮崎委員 質問です。薬剤耐性アクションプランを読みますと、45ページには抗生剤の推進のための診断、治療に関わる規制の検討ということで、添付文書などへの適正使用の見直しが載っているということは、添付文書の改訂などをメーカーに働き掛けると理解してよろしいのでしょうか。
○結核感染症課長補佐 正に、御議論いただきまして、どういうところが必要かを踏まえた上で、必要に応じてやっていくという話だと思っています。
○宮崎委員 これについては、まだ今後の検討課題と承っておいてよろしいのですか。
○結核感染症課長補佐 さようでございます。
○結核感染症課長 付け加えますと、一義的には医薬・生活衛生局安全対策課のマター、薬機法に基づくマターだと思います。もちろん、これは政府全体の行動計画ですので、厚労省内でも関係部局として、この問題については認識していると考えていただいて結構です。
○宮崎委員 分かりました。添付文書が変わることによって、我々薬剤師も処方箋を受けたときの監査の行動が変わってきます。こういった「(PK/PD)等の最新の科学的根拠に基づく知見の公的な感染症診療ガイドライン等への反映」というのは初めて入ってくるのではないかと思いますので、こういったものが入ってくることに対しても我々は研修などを強化していくことを考えないといけません。
○渡邉委員長 ほかに御意見等はございますか。よろしいでしょうか。
今日は多くの先生方に、貴重なる御意見を頂きました。今後、この小委員会で今回頂いた御意見を踏まえながら、薬剤耐性の問題に日本としてどのように取り組んでいくのか。掛け声だけで実際にやらなければ、元も子もないというか、また、やった結果をレビューして、もう一度それをリバイスし、新しい計画を作っていくというサイクルを回していかないと、なかなかこの問題に関しては最終的なところに行きつかない可能性もあります。なぜならば、今まで各学会等がたくさんいろいろな形で取り組んできたのですが、現状がこういう形であることを踏まえると、よほどリーダーシップを取ってやらないと、絵に描いた餅に終わってしまう可能性もあるということで、今回、厚生労働省がこういう形でファイナルゴールを決めて、2020年度までにこういうことでやるのだということを示したということは、最初にも言いましたが非常に画期的なことですので、この委員の皆様方の御協力を踏まえながら達成できるように、我々も後方支援していきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。事務局に回します。
○結核感染症課長補佐 締めの言葉を頂き、ありがとうございます。
作業部会の設置について、この委員会の御了承を頂かなければ設置ができませんので、そこについては最後に御審議いただければと思います。
○渡邉委員長 先ほど提示のあった2つの委員会、適正使用作業部会、ワンヘルス検討会を立ち上げて、議論していくということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○渡邉委員長 ありがとうございます。皆さんの賛同を得られましたので、この形で進めさせていただきます。
○結核感染症課長補佐 第2回の開催については、日程調整の上、改めて御連絡させていただきます。事務局からは以上です。
○渡邉委員長 言い足りなかったことなどがありましたら、事務局のほうに遠慮なくメールでお願いいたします。
これで今日の会はお開きとさせていただきます。ありがとうございました。
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