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2016年8月15日 独立行政法人評価に関する有識者会議 医療・福祉WG(第5回)議事録

○日時

平成28年8月15日(月)9:55~12:22


○場所

厚生労働省共用第6会議室(3階)


○出席者

真野主査、石渡構成員、園田構成員、名里構成員、橋田構成員、平井構成員、松原構成員

○議事

独立行政法人評価に関する有識者会議 医療・福祉WG(第5回)

 

開催日時:平成28年8月15日()9:55~12:22

開催場所:厚生労働省共用第6会議室(3階)

出席者:真野主査、石渡構成員、園田構成員、名里構成員、橋田構成員、平井構成員、松原構成員

 

○真野主査

 それでは、定刻より少し早いですが、全員そろわれて、かつ議論も白熱するかもしれませんので、ちょっと早めに始めたいと思います。本日は第5回独立行政法人評価に関する有識者会議、医療・福祉WGということになります。構成員の皆様方、今日も蒸し暑い中、また遠方からの委員の方もお見えですが、どうもお集まりいただきましてありがとうございます。本日は三田構成員と五十嵐構成員のお二人が御欠席となります。

 それでは、本日の議事について事務局から説明をお願いします。初めに酒光総合政策・政策評価審議官から御挨拶いただきます。よろしくお願いします。

 

○総合政策・政策評価審議官

 世間は夏休みに入っている方が多い中で、構成員の先生方におかれましては、本当にお忙しい中お時間を割いていただきまして、どうもありがとうございます。また、法人の方々もありがとうございます。この有識者会議の医療・福祉WG2回目ということなので、余り同じような御挨拶は不要かと思いますが、法人の方もいらっしゃいますので、簡単に御挨拶をさせていただきます。

 御承知のとおり、独立行政法人評価の方式が昨年度から変わりまして、今まで評価委員会が評価するという形が、主務大臣の厚生労働大臣が評価するという形になりました。それに際しまして、有識者会議の御意見を踏まえて、それを参考に厚生労働大臣が決めるということになったわけでございます。

 それからもう1つ、評価の基準について統一化を図るということになっております。参考資料22ページに簡単に書いてございますが、評価についてはSABCD5段階評価、これは余り変わっておりませんけれども、あくまでもBを標準とすると。従前、頑張ったものはAみたいな感じがあったわけですが、そうではなくて、Bが標準であることがベースになっていて、その上で適切に設定された目標が120%を超えるような成績を上げたもののみをAとする。さらに質的に素晴らしい業績を上げたときにSにするというような形に変わりました。

 昨年度からそのように変わっているわけですが、参考資料6を御覧いただきたいと思います。総務省が各省の独立行政法人の評価について、昨年度の評価結果を点検したものです。真ん中に表がございますが、全省庁でA以上が20.9%あったわけですけれども、実は一部の省庁、外務省、厚生労働省、経済産業省が、大体半分ぐらいはAを付けていたのですが、それを除きますとほかの省庁では13.8%、14%ぐらいしかAを付けていないことになります。ほかの省庁はBが標準ということで、評価をかなり厳密にやったのですが、この3省庁については、ちょっと甘いのではないかというようなことを、暗黙に総務省からも指摘されているということでございます。

 それを踏まえまして、以下に評価についての指針がございまして、要するに120%を定量目標で超えているということを、きちんと点検する。Aを付ける場合は、きちんと理由を付す。120%を超えている場合でも、この目標自体の妥当性についてきちんと検証するということになっております。

 その辺を踏まえまして、有識者の皆さんの議論をお願いしたいと思っております。また、法人の方々におかれましても、昨年と同じあるいは昨年以上の業績を上げたけれども、例えば昨年Aだったのを今年はBになることもあるかもしれませんが、それは評点の付け方が変わったということで御理解いただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。私からは以上です。

 

○真野主査

 今、御説明ありましたように、少し考え方が変わったということで、若干イメージが変わるかもしれませんけれどもよろしくお願いします。

 それでは、事務局から本日の議事について説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 それでは、本日の議事について説明します。本日の議事はお手元に配布している議事次第のとおり、医薬品医療機器総合機構の平成27年度業務実績評価に係る意見聴取です。評価項目ごとに法人側から業務実績及び自己評価について説明いただき、有識者の皆様から御意見、御質問を頂きたいと存じます。なお、独立行政法人の評価スケジュール全体については、参考資料110ページ、別添6の図のとおりであり、本日の意見聴取などを踏まえて、主務大臣による評価を実施することとなります。昨年度の評価の結果については、参考資料6にあるとおりのような指摘を受けております。

 したがって、お話したとおり、本日、御意見を頂く業務実績評価に関しても、改めて総務大臣が定める独立行政法人の評価に関する指針を踏まえ、B評定が標準であること、A評定以上を付す場合には、定量的指標において120%以上の達成度が求められていることなどに御留意いただくよう、お願いいたします。事務局からは以上です。

 

○真野主査

 それでは、早々に議事に入りたいと思いますが、今回、11個やっていくことになりましたので、まず最初に、国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項を、11つ、1-1から順番にやっていきたいと思います。状況によっては、多少まとめさせていただくこともあるかもしれません。

 それでは、ポイントを絞って簡潔な御説明をお願いいたします。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 審議役を担当しております稻川と申します。それでは、私のほうから順次、簡単に御説明させていただきます。資料1-1に基づき説明させていただきます。

 まず、8ページを御覧ください。PMDA3つの業務をやっておりますが、そのうちの救済制度の情報提供、相談体制の充実ということです。評価の視点としては、救済制度を幅広く周知する取組をしているかどうかというところです。重要度、難易度、定量的指標については、特にコメントはありません。

 業務実績は9ページに書いております。救済制度の特別な集中広報期間というものを毎年10月から12月に実施しておりますが、その業績を中心に書いております。具体的には、この間、救済制度の特別サイトの視認性を高めるとともに、CM動画を視聴できるようにリニューアルしたこと、テレビCMの放映、それから、最近、力を入れているのですが、個々の医療機関に訪問して医療関係者に個別に救済制度の説明をするという、これを出前講座と言っておりますが、医療現場でしっかり制度を理解していただくことで制度の利用につなげるというようなことも、去年、62か所についてやっております。その他ポスターや院内ビジョンへの掲載ということです。

 評価です。様々な媒体を利用した広報のほか、医療機関に訪問し説明するなど、積極的に広報活動を実施し、展開したことだと思います。特に、集中広報期間中の特設サイトへのアクセス件数ですが、12ページをお開きください。ホームページへのアクセス件数がここにあるように、それ以外の月の3.5倍になっております。年度全体で見ても、前年比116%ということになっております。救済制度の請求件数自体も、次の項目とも関係しますが、増加しているということで、制度の浸透に十分な成果を上げたということで、Bとしております。以上です。

 

○真野主査

 簡潔な説明、ありがとうございました。それでは委員のほうから何か御質問などありますか。よろしいですか。

 では、次は1-2にいきたいと思います。こちらはS評価ということですが、よろしくお願いします。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

14ページ目です。請求から判定までの迅速な処理ということです。具体的には、きちんと事実関係を照査した上で、医学・薬学的事項に関する判定の申出を行っているかどうかということ。それと数値目標として、各年度に支給決定あるいは不支給決定をした全決定件数のうち、60%以上を6か月以内に処理するような取組が着実に行われているかということです。

 重要度ですが、「高」としたのは、医薬品が世の中で使われることを考えると、もちろん承認審査や、その後の市販後の安全対策も重要ですが、最終的に医薬品というものは、どうしても副作用を避けられないものである以上、救済制度がしっかりあるということが、逆に言うと画期的な医薬品を患者の元へ届けるためには重要だということで、重要度は高いと思っております。

 難易度ですが、これは個別の症例ごとの判断が必要であり、例えば、ある症状を発生した場合に、それが本当に医薬品の副作用なのか、あるいは、もともとの疾患によるものなのかなど、個別に判断しなければならないことがあります。当然、最新の医薬品や薬学の知識も押さえなければいけないということで、幅広い知識が必要であるということです。

 それから、先ほど広報について申し上げたとおり、制度が浸透したことによって古い時期の請求なども増えており、資料が余り残っていない中で判断しなければならないことがあります。特に、平成27年度としては、子宮頸がんワクチンの接種緊急促進事業という事業が去年からスタートし、このワクチンに関する請求事例が急激に増加して、対応しているということです。これは従来の事例と違う点としては、まだ原因が明確でない中で、多様な症状が複数発生していて、複数の医療機関を受診しているということがあります。それと、普通の救済制度というのは、基本的には入院相当以上の副作用があった場合の救済ですが、これについては政治の判断により、入院だけではなくて通院相当のものについても判断しなくてはならなかった結果、全ての受診医療機関のカルテ等について調べなくてはいけないということがありました。これは新しい事業ですし、いわゆる給付資金の出どころも違うということもあり、事務手続を含めて厚生労働省と密接な調整を行う必要があったということで、非常に難易度が高かったということです。

 実績は次の15ページ目にあります。まず、この子宮頸がんの事例は非常に政治的にも重要性が高かったということもあって、迅速に対応しなければいけないということで、組織内にHPVの対応チームを設けました。また神経内科に集中するということで、神経内科専門医を委嘱するということを重点的に行って、処理をしました。

 それから、このような難しいHPVの事例を含め、請求件数は過去最高、去年に比べても100件以上増えました。処理件数も100件以上増加させたという中で、6か月以内の目標の達成は、目標の60%に対して60.6%ですが、6か月以内に処理した件数は915件と、目標を設定した平成25年の実績から見ても120%以上増えていることもあります。その他、業務の改善として様式の全面改定などにも取り組んだということです。

 自己評価としては、請求件数が過去最高であるということと、特に質的に異なるHPV事例を処理する中で、目標を達成したということ、ここにあるように、処理件数が大幅に増加した中での目標達成、それから6か月以内の処理件数も平成25年に比べて増え、HPV事例がある中での目標達成であり、難易度も高いということで、顕著な成績を上げたと考えており、Sと評価しました。以上です。

 

○真野主査

 これは何か議論がありそうですが、どうでしょうか。

 

○園田構成員

 目標との比較ですが、平成25年度と比較されていますけれども、年度評価ですから平成27年度の目標と比較するべきだと思います。その場合には101%ということですので、基準に照らすとB評価ということになるかと思います。事務局に一応、ルールとして確認しておきたいのですが、難易度の高い項目に関しては、評定を上げられるのは1段階だけだと認識しておりますが、その点はいかがなのでしょうか。

 

○政策評価官室長補佐

 御質問のあった点について、事務局よりお答えいたします。お手元の配布資料の参考資料3を御覧いただけますでしょうか。こちらは先ほど来、申し上げている独立行政法人の評価に関する指針というもので、これの10ページをお開きください。SABCDの下の部分にある、2、項目別評定の留意事項のイとして「目標で設定された難易度の高い項目に限り、評定を1段階引き上げることについて考慮する」とあります。つまり、1段階ということでは間違いありません。あと、必ず上げなければいけないというわけではなくて、考慮するとなっております。以上です。

 

○園田構成員

 今、事務局に確認していただきましたけれども、そうすると、元がB評価ですから、上げられたとしてもA評価までということになるかと思います。あと、難易度が高いと設定されているのですが、今、説明があったことは機構の本来やるべき業務のような気がするのですが、それでなぜ難易度が高いのかというのが、ちょっと伝わらなかったのですけれども、難易度が高いという理由をもう少し分かるように教えていただきたいのですが。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 難易度が高いと申しましたのは、特に、HPVの子宮頸がんワクチンの救済案件が非常に大きいと我々は思っております。これ自体、従来の案件でしたら、入院相当のものだけを判断すればいいという中、全ての通院も含めて、副作用が上がれば、判定をしなければいけないということがありますので、やはり11件相当時間がかかっております。

 そもそも子宮頸がんワクチンの副作用の因果関係自体が国としても正式に判断されていない中で、副作用の疑いが否定できないものについて救済していくような、非常に難しい判断を11個しているということです。ある程度因果関係が科学的に実証されたものを評価するのであれば、それは、ある程度当てはめの世界でできるかもしれませんが、そのように非常に難しく、かつ救済の範囲も従来と違って広がっているという中で、やはり11件の内容というのは相当に難しいということで、これは私どもの手前勝手なものではなくて、いわゆる薬学の先生方からもそういう評価を頂いていますので、そういう点からランクを上げたと、難易度が高いと評価したものです。

 

○医薬品医療機器総合機構理事(重藤)

 もちろん、HPVワクチンも大変でしたが、申請件数が増えてくることになると、従来、なかなか自分でも副作用かどうか分からないというか、難しいケースも結構増えてきております。したがって、グレーゾーンと言いましょうか、かなり判断に苦しむケース、要するに数が少ない頃は確実に副作用と分かるようなケースが割と多いのですが、だんだん数が増えてきて、普及啓発が進むと、「これも副作用なのではないか」とか「あれも副作用なのではないか」ということで、判断に困難なケースが増えてきます。例えば、糖尿病の薬で、がんが発症したとか、この薬を飲んでちょっとフラフラして、転んで骨折したとかいうようなケース、要するに直接的な因果関係について、なかなか医学的に、明確に副作用だと判断できないようなものも結構多くなって、因果関係が直接的には認められない、要するに不支給となるケースもパーセンテージ的にはだんだん増えてきております。

 以上のように、件数が増えてくることは大変いいことですが、なかなか直接的に本当に因果関係がピシャっとしたものではないのです。私どもとしては、普及啓発が進んで少しでも救済が進むことは大変いいことではありますが、我々の労力と言いましょうか、それを11つ取り寄せて、また医学の専門家の御判断も頂かなければならないということが、なかなか大変でした。それに加えてHPVワクチンのことも増え、今年は非常に大変であったということなので、職員の頑張りということで、私どもとしてはA評価でお願いしたいと考えております。

 

○医薬品医療機器総合機構総括調整役

 簡単に申しますと、今のHPVワクチンの給付事業は、本体的には予算事業でやっているのですが、やはりこの因果関係の認定については、うちの法人ではなくてはできないということで、特別に私どもで実施しているという経緯がありますので、非常にエクストラの業務だと考えています。

 あと、先生方から御指摘がありましたが、120%の基準ですが、対前年度比という考え方、これは非常に重要ですが、我々、人の配置などを考えると、中期計画期間の目標に対して120%の考え方もあるので、平成25年度比で120%という考え方で、今回、Aにプラスして、S評価という形でやらせていただいているところです。

 

○園田構成員

 いや、それはルール変更になるからできないのではないですか。どの独法も、こういう評価基準でやりましょうというルールで評価をしていますので、特別だからといって、そのルールを勝手に変えてしまうのはいかがなものかと思いますが。

 

○医薬品医療機器総合機構総括調整役

 対中期計画値を基準とすることも認められていると理解しております。

 

○園田構成員

 いや、だから、その対中期計画値ではなくて、今年度の目標値と比較してというルールなのではないですか。その辺は事務局、どうなのでしょうか。

 

○政策評価官

 評価基準の見直しや評価主体の見直しが途中から入ったということもあり、今までは余り、そうした意味で厳密に指標などは整理していないようなこともあったのかもしれません。基本的には年度ごとの評価をやった形で、PDCAを回すということだと思いますので、こうした指標なども今後定めていく場合に当たっては、そうしたところで守っていけるような指標の定め方も、合わせてセットで考えていかなければならないと思っております。

 その上で、今、経過期間ということですが、どういう評価が適切なのかということについて、御意見を本日は伺えればと思いますし、最終的に主務大臣がそれを踏まえて、判断するということになろうかと思います。

 

○真野主査

 ちょっと確認ですが、今回のHPVの話はエクストラだということですよね。そうすると、事前に分かっていない追加業務があったような場合に、それは全く評価の対象にならないというのが、今の指標だということなのですか。

 

○政策評価官

 指標の読み方をどうするかということだろうと思います。その中で、例えば、今までないようなものがあって、件数が大幅に増えたということであれば、それ自体が多分指標の中で読み込めるような数字として出てくるということがあるかと思います。質的に違うということがPMDAの御主張だと思いますが、件数的なことでいうと、そういうことが出てくるのだろうと思いますし、その際にどういう状況があったのかを判断するのですが、今までなかったといっても、通常の規定された業務との乖離とか、そういうことの延長にどこまであるのかなど、その辺は多分、その分野その分野の専門的なお話があるかと思います。

 あとは、ウエイトの話としても、どれぐらいの話かということがあるかと思います。最終的には御意見を伺った上で、主務大臣の方で判断することになろうかと思います。

 

○真野主査

 全ての独法に当てはまるかどうか分からないですが、やはり一部の独法ではそういうエクストラな事情が発生して、変化が起きることは恐らくあると思うのです。今回の指標にあるかどうか分かりませんが、ちょっとそれがないと新たな重要な仕事が発生して、それを一生懸命やっても全く評価されないというのも、何かちょっと矛盾を感じるような気もします。また、それは評価の仕方だと思いますが。

 

○政策評価官室長補佐

 その部分は、定量的指標が指標上ない場合に該当すると思うのですが、期間中に新たな業務が発生したという場合には、例えばその定性的な部分とか、その指標にはないけれども、自己評価欄に定量的なものも書いていただくということで、それをどう評価するかは、有識者会議なり主務大臣の判断ではありますが、もともと掲げている定量的指標プラスアルファみたいな形で考えていただければと思っております。

 

○真野主査

 それが今回のPMDAの主張だということでしょうか。

 

○政策評価官室長補佐

 それがどのぐらいエクストラなのかどうかというところを、今、御議論いただいているのかなと思います。

 

○真野主査

 分かりました。ほかの先生、どうでしょうか。

 

○橋田構成員

 指標とか目標という話からは外れますが、HPVのワクチンの問題は、本当に社会的にも非常に関心の高いところでありますし、それを新しく引き受けられるというか、取り扱われるようになって、粛々と結果を出しておられると思いますので、そういった意味での評価は当然あると思います。

 

○真野主査

 分かりました。ありがとうございました。特に先生は薬学の専門家ですので。

 

○石渡構成員

 薬学は分からないのですが、やはりいろいろな方の暮らしを見ている立場で、前にも申し上げたかと思うのですけれども、やはりこのワクチンのことが問題になって、本来であれば助けられる命が助からないみたいなお話を、婦人科の先生がよくおっしゃるわけです。私はやはり、ここまで救済の対応をしてくださっているのは、とても評価していいことだと思います。これまでの救済でいろいろなデータを蓄積したことが、因果関係を究明するみたいなところにつながる可能性があるのかどうか、その辺をもしお聞きできたらと思うところですが、難しいですよね。

 

○医薬品医療機器総合機構理事長

 私自身、患者さんを診ているわけではありませんが、いろいろな研究論文その他を拝見して、例えば神経症状がいっぱい出ている方がおられますけれども、致命的な神経症状にはなっていない。それで亡くなられているという形はありません。治ってこられる方もおられます。

 したがって、この症状が、永久なのか一時的なのか、これは見ていかなければならないだろうと思います。治っていかれている方がかなりの数おられるわけで、ですから、もう少し観察をしていかないと、その病態がよく理解できないだろうと思うのです。いろいろな学説があります。例えば、免疫学説であるとか、物質が何か刺激しているとか、いろいろな説があることは間違いないのですが、どちらが本当に正しいか、両方とも正しいかどうかは分からないので、丁寧に患者さんを診てあげて、やはり、よく話を聞いてあげていくことが、これからの大事な解明につながるのだろうと私は思っています。

 そういう意味でPMDAがこういう業務について積極的に救済をしてあげながら、そういう話を伺っていくことは、我々の業務についても非常に助けになるし、患者さんのためにもなるだろうと思っております。

 

○真野主査

 ありがとうございました。

 

○名里構成員

 同じようなことなのですが、先ほど機構の普及が進んで件数も増えているというお話がありましたが、とてもいいことだと本当に思うのです。その中で、質問ではなくて、意見なのですが、取下げの件数が10件あるとか、あとは6か月で60%の処理ということですが、6か月で済まないという件数も40%弱あるということですよね。その辺の分析を、多分もちろんされていると思うのですが、何か請求されてきた方への不具合が本当に少なくなるように、更に分析をされるようお願いしたいと思います。意見です。

 

○真野主査

 ありがとうございました。ほかはよろしいですか。では、時間もありますので、取りあえず有識者の構成員からの議論は、今のような形だということで、最終的には主務大臣の判断にお任せしたいと思います。

 では、次ですが、1-3のほうですね。よろしくお願いします。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 資料1-118ページです。1-3は救済業務における給付事例などが、個人情報に配慮しつつ、我々の審査部門とか安全部門に適切に提供され、そこで生かされているかどうかということと、副作用被害を受けた方に対する保健福祉事業というものをPMDAでやっておりまして、そのようなものが予定どおり適切に実施されたかというところです。

 実績が19ページにあります。救済の給付請求事例を通じて把握した情報を安全対策部門に提供し、安全対策部門を通じて、適正使用の更なる徹底を呼び掛けるとか、保健福祉事業の関係でいうと、健康被害者のQOL向上のための調査研究事業、あるいはC型肝炎の関係のもの、3つ目の○として、精神面のケア及び福祉サービスに関する助言を行う精神面などに関する相談事業を引き続き実施しております。

 自己評価としては、継続的に部門間の連携を図り安全対策業務につなげたということ、さらに保健福祉事業についても、各事業ともに適切に実施ししており、十分な成果を挙げたということで、Bにしております。

 

○真野主査

 これについて御意見などはございますか。よろしいですか。

 では、次をお願いいたします。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

22ページ、1-4です。これは通常の副作用被害救済、感染救済以外に、特定のスモンの患者、血液製剤におけるHIVに感染した方、さらには特定フィブリノゲン製剤等によりC型肝炎に感染した方に対する給付業務を委託により行っておりますが、それらの業務が適切に実施されたかどうかです。

23ページに実績があります。受託給付業務、受託支払業務、特定救済業務、スモン、血液製剤、HIVC型肝炎が該当しますが、それらについては、特に個人情報に配慮しながら業務を実施しました。それから、具体的な支払実績等については24ページにありますが、これらの支給業務について適切に実施し、十分な成果を挙げたということで、Bとしております。

 

○真野主査

 これはどうでしょうか。これもよろしいですか。この辺は通常の話だということですね。

 次はS評価ということですが、詳しく説明をお願いします。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 ここからが審査業務についてです。26ページです。最初に医薬品の審査の関係の項目です。ここについては、中期計画で、一番下の「主な定量的指標」にあるように、例えば新医薬品であったら、優先品目については、総審査期間9か月を60%タイル値で達成する、通常であれば、12か月を70%タイル値で達成するという数値目標を作りましたが、これらが達成されているかということと、それ以外の審査の迅速化に対する取組が実施されているかということです。

 この重要度については、政府の日本再興戦略等においても、2020年に医薬品・医療機器の審査ラグ、要するにアメリカと比較した審査期間の長さの差をゼロにするというところで、達成すべき成果目標が設定されているということですし、やはり審査の時間を短縮化していくということは、世界に先駆けて革新的な医薬品・医療機器、再生医療製品を実用化して市場に届ける、医療現場に届けるということになりますので、重要度は非常に高いと認識しております。

 難易度についてです。総審査期間ということで、審査というのは基本的に申請があった後、我々側と申請者側とのいろいろなやり取りがあります。例えば、もし資料が不足していれば、こちらから資料の不足を補うようなお願いをしながら進んでいくのですが、その目標自体が総審査期間ということで、相手方が我々からの宿題をこなしている時間を含めての目標設定、PMDAだけではコントロールできない期間を含めた目標設定にしているということです。

 更に言いますと、特に新薬の審査を中心にですが、どんどん新しい科学的な知見が使われていく中で、11件の難易度も相当上がってきており、さらに総審査期間に対する品目の達成する目標の割合を、今期中に50%から80%に上げていくという中で、平成27年間も目標が高くなっていく中途段階にあるということです。これをやっていくためには、審査を効率的に行われなければならず、その前の段階でのディスカッションを通じて、できるだけ審査の段階で問題を解決していくようにするとか、企業側の予見可能性を高めるためにガイドラインを策定するといった、総合的な取組が必要ということで、難易度が高いと認識しております。

 具体的な実績は27ページにあります。まず、新医薬品の総審査期間については、それぞれ目標があって、優先品目は医療上の必要性が高くて、できるだけ早く医療現場に届けなければいけないという品目ですが、それについては9か月以内が60%という目標に対して、70.3%を達成しています。目標達成率は117%です。通常品目については、12か月以内で70%という目標に対して、88.6%を達成していて、126.6%ということで、大きく上回り達成しているということです。

 ○の2つ目、ジェネリック医薬品(後発医薬品)についての、通常の一部変更については、年度の目標は定まっておりますが、それについては目標の14か月に対して、実績は13か月です。それから、医薬部外品についても、目標5か月から4.7か月で達成しているということです。

 ○の3つ目、カルタヘナ法と言いまして、遺伝子を組み換え技術を用いた製品についての環境への影響を防ぐための法律に基づく審査をやっておりまして、それについても目標値に対して実績値が上回った形です。

 ○の4つ目、申請前の治験相談という事前の相談においても、400件以上の対応をしております。医薬品をできるだけ早く医療現場に届けるためには、世界で同時に治験を始めて、治験を終了して、同じタイミングで承認審査をすれば、世界との差がなくなるわけですが、その件数についても、平成27年度は平成26年度を上回っていた件数の相談を受けているということです。

 ○の5つ目、今後の審査のやり方として、新しい審査、我々は次世代審査システムと言っておりますが、今年の10月からそれに関係する臨床試験データを電子的に受け付ける取組をスタートさせます。平成27年度はこの準備に精力的に取り組み、当初の予定どおり、10月から実施できるような体制を構築しましたので、そういうところも自己評価に加味させていただいております。

 自己評価です。優先品目の達成率が117.2%、通常品目が126.6%ということで、いずれも大きく上回っているということです。特に医療現場で必要なのは、いわゆる新しい有効成分を使った画期的な医薬品ということですが、それについても、行政側の期間をできるだけ短縮することに重点的に取り組み、目標達成に結び付けたということです。それから、先ほどのカルタヘナの関係、次世代の関係の新しい取組なども進め、中期計画における所期の目標を量的、質的に上回る顕著な実績を挙げたということです。

28ページですが、それぞれPMDA、真ん中の濃いものがEMA、一番下の薄いのがFDAです。2005年段階、今から10年ぐらい前の段階では、相当差があったのですが、この間我々として意欲的に取り組んだ結果、2014年の値ですが、ついにFDAとかEMAを超すということで、世界でも一番早い審査を達成しております。2015年のデータが全部は出そろっていないのですが、この傾向は2015年も続いているということで、今や国際的にも、この審査については評価されておりますし、世界最短になった点については、是非御評価いただければということです。そういうことで、Sといたしました。

 

○真野主査

 これについて、何か御意見はどうでしょうか。

 

○園田構成員

 資料1-2にいろいろな目標値を出していただいているのですが、よく見てみると未達のものもあります。ジェネリック医薬品に関しては、2つは未達だと思いますし、昨年度と比較すると数値が下がっているものも結構あります。

 主要なインプット情報を見てみると、一番下に従業員人数が書いてあるのですが、従業員人数をこの事業のために37人増やして、昨年度比で107.6%ということになっています。要するに、マンパワーを結構増やされたということです。

 もう1つは、カルタヘナ法に関するものの達成度が高いと話をされているのですが、このページの目標値の設定のされ方を見てみると、各年度ごとに作られているように見えます。つまり、5年度分のものを1度に作るのではなく、毎年度作られているように見えるのですが、そうすると既に平成26年度に実績が出ていますので、例えば第一種使用のほうですと、中央値で0.8か月という実績が去年に出ています。それで、なぜ目標値が今年度も6か月なのか。総務省からの意見で、目標値が余りにも低い場合にはそれも見直すようにと、この会議にも言われていますので、あえて言いますが、そういった目標値が低かったからこういう高い結果になったのではないかと思います。以上を総合して、数値を見た限りでは、これはB評価が妥当だと私は考えます。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 先生が目標未達だとおっしゃったのは、ジェネリックの関係ですか。これは、今の目標自体は。

 

○園田構成員

6か月ですよね。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 はい。

 

○園田構成員

6か月と3か月という目標値になりますよね。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 資料1-2のほうですか。

 

○園田構成員

 資料1-2です。27ページではないですか。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 これは平成30年度に中央値で達成するという目標なので、平成27年度の目標値ということではないものですから、最終年度としたのは、ジェネリックについては、今期初めてこういう審査期間の目標値を置いたということで、直ちに目標達成することは難しく最終年度にということで置いていますので、我々としてはこれを目標未達とは考えておりません。

 

○園田構成員

 では、ほかのことは認められるわけですね。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 いや、ほかの点についても認めるわけではないです。

 

○真野主査

 確認ですが、資料1-135ページのジェネリックの中央値というのは、どうなのでしたか。平成26年度より少し伸びていますよね、これはいいのでしたか。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 伸びていますのは、35ページ、36ページで、例えばジェネリックの新規のものが6.1月から8.2月に伸びているということですが、これについては平成26年度以前には、いわゆるジェネリックの名称が別効能の医薬品と非常に紛らわしいものが結構ありまして、それを医療現場で医療事故が発生するのを防止するために、名称を変更するという申請が大量に来ておりました。これにつきましては、一からジェネリックの新薬との同等性を判断するのではありませんので、比較的短時間にできるものが大量にあったということで、期間自体は非常に短くなっていました。平成27年度は、期間は長くなっているのですが件数は大幅に減っています。減っているのは、名称変更のものなくなったことが影響したと理解しておりますので、そういうことで言うと、中身自体を分析すれば、決して数値が悪化したものではないと我々は思っております。

 

○真野主査

 それは目標値も達成ということですね。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 あと、新規も最終年度の目標値の設定です。

 

○真野主査

 ジェネリックも、基本的に全部目標値は達成しているということですよね。

 

○園田構成員

 いや、ジェネリックは最終年度が目標値だから、まだ何とも判断のしようがありませんということではないですか。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 そうです。

 

○園田構成員

 ただ、資料1-2のほうでは、今年は4.8か月ですから、そういった意味では、短くする方向にいかなければいけないものが長くなっているわけですよね。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 確かに、それで見ると長くなっていますが、目標はあくまでも最終年度で3か月ということですし、どういう品目が上がってきたかによっても、多少左右されます。あと、我々としても3か月、最終年度ということで限られたリソース、確かに先ほど人は増えていると言いましたが、いきなり審査というのは、サイエンスの知識があるだけではできるものではなくて、実際に配属をして一定期間はトレーニングを積まないと一人前にならないという意味では、人が30何人増えたからといって、それが直ちに審査の対象につながるというよりは、その者に教育をするということを考えると、決してそこはパフォーマンスに直ちにプラスの影響にはならないという中でやっております。そういう中で最終年度に3か月という目標について、当座どこを優先するかということで、掲げたリソースを配分していると御理解いただければと思います。

 

○真野主査

 ほかの御意見はいかがでしょうか。

 

○医薬品医療機器総合機構理事(矢守)

 ここの数字に表れていないことを補足させていただきます。審査の早さを保つことプラス、質を高めるということが非常に重要なポイントです。背景としてイノベイティブなものがどんどん出てきており、これまでなかった審査基準のところに審査の基準を作っていかなければならなくなり、最新の科学技術に関する知識等を審査員に浸透させていく必要があります。1つやっていることは科学委員会の活用です。科学委員会という所で革新的科学技術の医療への応用についていろいろなことを議論して、基本的な考えを醸成してゆくということを、限られたリソースでやっております。

 例えば非臨床薬効評価について、新たな数値を出すこと、その元になる考えを出すこと、現在使われている薬効評価のいろいろなモデルを整理してリスト化すること、個別化医療についての考え方を整理することなどがあります。再生医療製品については、これまでにない指標として、発がん性に関して、どれぐらいの評価を事前に非臨床でしておけば良いかなど、先を見据えて評価基準を作ることにリソースを割いております。そういったことも含めて、御理解いただければと思います。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 園田先生の御指摘にお答えできなかったカルタヘナの関係についてです。カルタヘナ自体は非常に件数が少ない状況です。第一種であれば20件、第二種であれば2件ぐらいしかないということです。これは、今の段階では非常に少ない状況の中で目標を達成しているということですが、今後このような遺伝子組換えなどで言いますと、ベンチャー企業などが相当入ってくると思っており、恐らく彼らは必ずしも薬事の手続には慣れていないところもあり、こういう部分が審査期間にも影響していくことを考えると、一定の時間がかかってくるということになってくると思います。ですから、今の段階ではそれほどベンチャー等の進出が見られない中で目標は達成していますが、今後、そういう方が増えてきて、必ずしも薬事等の申請に慣れていないというケースを考えたときには、この目標自体が甘いとか、低いとは考えていなくて、恐らく今後そういう方も含めて申請を受けていくと、ある程度長期化してくるのかなと思っておりますので、現段階ではこの目標が我々としては妥当だと思っております。

 

○園田構成員

 今後増えてくるかもしれないというわけですから、現段階では目標値として妥当ではないのではないですか。来年度以降だったら、この数値で目標としていいかもしれませんが、今は少ないのですよね。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 ですけれども、実際にどういうものが上がってくるかというのは、今から振り返ってだとそういうことは言えますが、それは分からないという意味では、平成27年の頭も平成26年の頭も同じだったわけですから、開発の現場でそういう開発が進んでくるということを予見してということで言えば、今の段階でもそうだし、平成27年度を振り返って言うと、そういうことになりますが、ただ、平成27年度当初の段階でそうだったかというと、それはそうではないので、平成27年度の目標が甘かったとは考えていないということです。

 

○真野主査

 よろしいですか。

 

○橋田構成員

 カルタヘナの話は数も少ないですから、なかなか議論が難しいところもあるかと思います。

 もう1つは、先ほど御説明がありましたように、今はイノベイティブな新しい医薬品の開発がどんどん進んでいっており、それに対してということで、非常に大事なお仕事をやっていただいているのだと思うのですが、それをある種の目標とか数値とかでどう評価するかというところです。恐らく我々の側からしたら、単に期間とか目標を達成しただけの話ではなくて、質の話なのです。特に、新しいイノベイティブなものを、いかに十分な質を担保して御審査いただけるかというところが、非常に重要だと思います。

 その辺を結局はこういう評価の中で、バランスをどう取るかということだと思いますが、私の立場からしますと、評価というよりも、とにかくしっかりやってくださいという言い方が一方ではあるなと、いつも思っております。

 

○真野主査

 ありがとうございました。ほかの先生はよろしいですか。ここも白熱した議論になりましたが、最終的には主務大臣の御判断に任せたいと思います。

 次はA評価ですが、よろしくお願いいたします。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

42ページの1-6、医療機器と再生医療等製品に対する項目です。これについても、評価の視点としては医薬品と同様ですし、重要度としても日本再興戦略等において審査ラグを解消するということがうたわれているということです。難易度についても、先ほど医薬品のほうで述べたのと同様ですし、特に医療機器についてはFDA、アメリカなどでは、いわゆる審査側期間のみを目標としておりますが、我々は審査側期間だけではなくて、総審査期間目標を設定しているということで言いますと、FDAよりも高い目標を設定してやっているというところは、御理解いただきたいと思います。定量的な目標については、それぞれ医療機器の特性において、新医療機器から後発医療機器まで、ここに書いてあるような目標を設定しております。再生医療等製品については、平成26年の秋に旧薬事法が改正され、平成26年度に施行されて、平成27年度に初めて申請品目が上がってきたものです。ですから、ある意味これまでないものを新たに取り組んだということで御理解いただけると思います。

43ページは実績です。新医療機器については、優先品目、通常品目とも、目標達成率は166.7%、145.8%ということで大きく上回って達成しております。

 改良医療機器のうち、臨床試験が必要なものについては、54%に対して達成率は47.2%ということです。後発医療機器については、54%に対して50.5%ということで、目標達成できなかったところは率直に認めないといけないと思っております。この要因については、我々の進捗の管理上の問題もなかったわけではないのですが、これは総審査期間の目標を設定していますが、申請者側の照会に対する回答が遅かったということとか、申請資料が不足していたということ、あと、承認審査時に工場で実際にそのとおり作れるかどうかの調査であるQMS調査をやっておりますが、それに対する企業側の申請とか対応が遅れたということが要因だと認識しております。特に医療機器の場合については、医薬品などに比べて企業の規模も小さいところが多いであるとか、あるいは外資系であれば、日本の窓口は、やや商社的な性格のところで、薬事に対する知識も必ずしも十分でない場合もあったりして、医薬品以上に総審査期間の目標が難しいというところは是非、御理解いただければと思います。

 再生医療等製品については行政側の審査期間を目標にしております。行政側審査期間を目標にしておりますのは、先ほど言いましたように、この制度自体がスタートしたばかりということもあります。新薬とか新医療機器についても、もともとPMDAは、まず行政側の審査期間を設定して、一定の実績が上がった上で総審査期間にチャレンジするということをやってきており、そういうことで実績がない中、再生医療製品も割とベンチャーなどが多いということもありますので、まずは行政側審査期間でしっかり目標を達成していこうということで設定しております。その結果、目標自体は2.2か月及び3.3か月ということで、かなり上回って達成したということです。

 自己評価です。一部品目については目標を下回っていますが、医療現場で患者さんがとても待っておられる新医療機器の優先品目、通常品目ともに、120%を大きく上回る顕著な成果を上げたと思っております。再生医療等製品についても、前例がない中で大幅に上回っているということです。これは上回った要因としては、我々の再生医療のセクションが承認申請をする前から申請企業側と綿密にディスカッションを行って、その段階でいろいろ問題点を解決した上で承認という流れで進んだということで、そこに相当リソースを投入した結果と思っております。単純に目標からすると、かなり短くなっていますが、相当、労力を投入した結果ということでもありますし、今後、この分野も大幅に申請が増えてくることも想定され、かつ新しい企業が参入している分野ですので、この目標自体が決して我々としては低いものであるとは思っておりません。結果として、再生医療の関係や新医療機器について顕著な成果を上げたと思っており、自己評価Sとしたかったのですが、一部、目標を下回ったものがあるのは事実ですので、そこを踏まえてAといたしました。以上です。

 

○真野主査

 ありがとうございました。何か御意見はいかがでしょうか。

 

○園田構成員

 カルタヘナ法については先ほどと同じ主張ですので、返事はもう結構です。まず、指標の中で未達が2つあります。達成度が高いとおっしゃっているのですが、資料1-279ページ、新医療機器(優先品目)の目標総審査期間の達成率(計画値)が、平成26年度60%達成になっているのですが、既に去年、平成26年度で100%達成されています。前中期の表現の仕方が違っていて、中央値で書かれているのですが、これを平成26年度、平成27年度と同じように10か月で達成したパーセントと変えた場合に、何パーセントになるのか教えていただきたいのですけれども。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 ちょっとお待ちください。先生がおっしゃったのは一番上のものですか。

 

○園田構成員

 新医療機器の目標総審査期間の達成率です。これの前中期の表現を、今年度、前年度に合わせて10か月での達成度に合わせた場合、何パーセント達成しているのか教えていただきたいと思います。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 平成25年は一応、10か月の達成率は85%ということになっております。

 

○園田構成員

 そうすると、前年度に85%達成しているのに、平成26年度で60%と低くしているわけですね。これはおかしいのではないですか。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 その前、平成24年度は60%になっていますし、これは年度別にばらつきがあります。これは新医療機器の優先品目自体、品目数が非常に少なく、年間10を切るぐらいの品目数ですので、年度によっては、たまたまそれほど審査に時間がかからなかったものがあれば短くはなりますが、そうでない場合については、やはり相当、申請品目によってばらつきが生じるということです。

 私どもとしては、先ほど申しましたように、医療機器については、総審査期間の目標設定した場合に、申請者側でかかる時間が、企業側の体制が一般的に脆弱な場合が多いので、ばらつきが生じるということを考えます。さらに言いますと、質の確保、もちろん審査は早ければ早いほうがいいという意見もあるのですが、一定の審査のプロセスを考えたときに、申請資料を読み込んで、企業側とやり取りをした上で、更に専門家の意見を聞いて判断をする。単にPMDAだけではなくて、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会に掛けて判断するというプロセスを考えますと、10か月という目標の達成率が、平成25年度は確かに結果として上回っておりますが、だからと言って、これができたから今後もできるのではないかということではなくて、そういう質の確保ということも考えますと、今の目標。今の目標であっても、更にどんどん達成率は上がっていくわけですから、この目標設定が決して甘いとは考えていないということです。

 

○園田構成員

 でも、平成24年度が60%で、平成25年度が85%なのですよね。もう60%というのは、大体できるというように考えることができるのではないですか。そうすると、普通は目標値というのは、ある程度の努力水準ですから、もっと高めにするのではないかと思うのですが、85%から25%下げる根拠というのは何なのでしょうか。25%という、その数字ですね。多少低めにするというのは、そちらの考えは分かりましたが、25%下げられた理由です。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

1つは品目が少ない中で、どういうものが上がってくるかというのは非常に分からない。医療機器というのはそもそも非常に幅が広いものですので、そういう幅が広いものに対して、件数が少ないということを考えますと、ある程度のばらつきを踏まえた上で目標設定しないと、我々も結果としては、これまで達成できていますが、今後達成がおぼつかないような目標を設定するのは難しいということがありますので、医療機器の特性を踏まえて、こういう目標を設定しているということです。

 

○園田構成員

 マンパワーが同じだったらまだしも、それでも納得はそんなにできないのですが、マンパワーを見てみると、やはりここも1-5と合わせて同じ数字になっていますが、37人、1-5と合わせて増強されているわけです。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 これはあくまで審査部門全体での話なので、医療機器部門では数人ぐらいのオーダーです。ですから、そんなに増強されているわけではありません。優先品目の件数も、平成25年度は14件ですが、平成24年度は5件、平成23年度6件という数字ですので、ここは非常にばらつきがあるというところについては、是非、御理解いただければと思います。

 

○医薬品医療機器総合機構理事(重藤)

 品質のばらつきについては、平成25年度、平成26年度の新医療機器とか、80件、62件で数は多いのですが、その年にMRI対応のペースメーカーが、違う会社で多少違ったものが大量に申請がされたのですが、審査のポイントが同じような品目がありまして、そういうことで件数が多くても、早く審査が済みますので、早くなったという影響がありました。総審査期間だけ見るとでこぼこがありますが、品目の難易度と言いましょうか、大量に同じような製品がブームとして、例えばMRI対応のペースメーカーというのはみんな欲しがっていた医療機器ですので、大量にいろいろな会社が、各社競って出して、そうしますと審査のポイントが同じようになるわけで、大変早く審査が進むということがあります。医療機器の場合、テクノロジーの開発、進化によりブームというのがありまして、そういうもので大変読みづらいといいましょうか。時間の、その辺の見込みがなかなか難しいところがあります。

 

○園田構成員

 平成25年度で、今、85%の理由を説明されたのですが、そうすると、平成26年度、平成27年度で100%の達成度というのは、今の説明からすると、ちょっと説明ができなくなってしまうのではないですか。85%がそういうイレギュラーな理由でということで、説明されたのですよね。今、100%達成されているのは、これは何なのですか。これもイレギュラーな、そういう理由があったのですか。平成27年度、100%達成されていますよね。何かこれを見ると、そういうイレギュラーな理由というよりは、数値が普通に上昇傾向にあるというように感じるのですけれども。

 

○医薬品医療機器総合機構総括調整役

 数値の理由自体の話ではないのですが、この目標水準というのは、先ほど稻川のほうからも説明しましたが、国際的に見ると、総審査期間ということでこれだけの数値を作っているのは、非常に意欲的な目標であることを、ちょっと御理解いただきたいと存じます。その上で、確かに平成25年度85%なのだから、今、達成できているではないかという御指摘については、1つ、要因分析をしてみるというのはあるかと思います。

 

○真野主査

 ほかはいかがでしょうか。

 

○平井構成員

 期間のことはいろいろな要因があるので、期間の長さを決めて、それだけで評価するのはなかなか難しいところがすごくあると思うのです。だから、医薬品と同じように、期間だけで評価するのは、医療機器に関してはちょっと難しいのではないかと思うのです。というのは、私も実際、病院で治験の医療機器がいっぱい来るのですが、本当にでこぼこというのか、相当、企業側の姿勢に問題を感じるようなものもあるのです。でも、現場では必要なので、どんどん出てくると。ということは、先ほども御説明がありましたが、医薬品メーカーとは違う代理店みたいなところがやっていたりとか、専門のところもあったりとかで、企業側のばらつきというのが、それはある程度企業の方々に意識付けみたいな、指導と言ったらおかしいのですが、そういう勉強会的なことをしていただいて、理解を進めていただくという取組をされたほうがいいのではないかと思うのです。それから、圧倒的に外国のものが多いのです。だから、技術的に見ると、やはり日本の技術は高いので、外国製品に席巻されるよりも、別にナショナリストではないのですが、日本の製品を出していただけるような育成の仕方みたいなことも考えていただいたほうがいいのではないかと現場で見ていてすごく思いますので、是非その辺をお願いしたいと思います。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 先生がおっしゃるのは、そのとおりだと思っております。私どもも、例えば業界団体がやる講習会などに人を派遣して、いろいろな薬事の関係のディスカッションをしたり、業界団体と定期的に打合せを持って、例えば彼らが、今、どういうところで悩んでいるのかというところを酌み取った上で、手を打つということはやってきております。その努力は今後もしていかなければいけないと思っておりますし、それが総審査期間の短縮につながっていくのだと思います。

 ただ、医薬品と比べて難しいのは、医療機器の団体は、割と業界の組織率がそれほど高くないということがありまして、そういう努力は努力として、しっかりやっていかなければいけないのですが、そこは十分に浸透しきれないというのがあって、我々もちょっと頭を悩ませているところではあります。ただ、ある意味、良い医療機器をできるだけ早く届けるということ、医療機器業界の薬事の対応能力を上げていくということが大切だと思っておりますので、その努力は今後ともしていきたいと思っております。

 

○真野主査

 私もちょっとだけ気になったのは、人数のことです。どうしても、人数は投入されるのだと思うのですが、人数を投入するということは費用対効果と言うのでしょうか。最近のはやりのそういう視点から見ると、費用というのは人件費も費用だとすればですが。その辺は今後、課題なのかとは思って聞いておりました。時間も押してきましたので、次に1-7をお願いします。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

1-750ページです。これは医薬品・医療機器・再生医療等製品を含めて、申請前のいわゆる開発段階の支援を積極的にやっていくという指標です。これについては、革新的医薬品に対する審査基準を作るとか、アカデミア等と連携を強化するということに取り組んでいるのが評価の視点になっております。

 重要度については、ここにありますように国際的な質の高い臨床研究・治験の推進を図るとか、薬事戦略相談、これは要するに開発段階でアカデミアを含めての相談に乗るというPMDAの仕組みですが、そういう取組を支援する、強化するとされております。ここの部分をいかに早くしていくか。審査については、今日いろいろ御意見を頂きましたが、できるところまで短くしているという認識ですし、そこは業界側の認識も、ほぼ一致しているところなのですが、今、我々として一番リソースを投入したいのは、正に開発段階のスピードを上げていくということです。そこに積極的に取り組んでいるかどうかというところの指標です。ただ、これについては、アカデミアにおける有望なシーズを見極める、それを実用化に導くというのは、高い能力、目利き的な能力も含めて必要なものですし、最近出てきている技術は前例のないものが多い中で、それを実用化に持っていかなければいけない。例えば、ガイドラインみたいなもので機械的に当てはめればいいというものが必ずしもない中で、あるいはガイドラインがあっても、それとの関係では、事案に応じ、どこまでやればこれと同等と言えるかということで、個別の判断をしていきながらやっていくという指標です。ということで、難易度も高いというように認識をしております。

 次ページ、実績です。1つ目の○、革新的な医薬品・医療機器・再生医療等製品実用化促進事業は、大学とかアカデミアと人材交流をするための事業であるとか、研究協力の実施、あるいは横断的な基準作成プロジェクトの取組について、いろいろな評価指針の策定に協力するということをやっています。

 ○の2つ目、昨年、新たにスタートした取組として、包括的連携協定というのがあります。具体的には61ページに若干書いてありますが、これまで我々は連携大学院ということで、いろいろ大学との連携をしながらやってきていたのですが、大学のみならず、いわゆる国立がん研究センターみたいなナショナルセンターも含めて連携対象として、例えば人材の交流は必須として、それ以外に共同研究をするとか、あるいは我々としても教員を派遣するような、1ランク、バージョンアップした取組を去年スタートしました。昨年度の段階で、ここにあります国立がん研究センター、広島大学、慶應義塾大学、筑波大学と協定を結んでだという取組をスタートさせております。

 ○の3つ目、AMED、これは医療分野の競争的資金の配分を担当する法人ですが、そこと包括的な連携協定を昨年8月に結びました。要するに、ここで採択し、研究費を出したものが、できるだけ早く実用化につながることが非常に重要だということで、AMEDが採択した研究課題のうち、実用化段階に移行するものについては、我々の薬事戦略相談を受けていただくことを通じた出口戦略、要するに製品化を見据えた取組を積極的進めることをスタートしたということです。

 ○の4つ目、昨年度から、先駆け審査指定制度ということで、日本で初めて開発するような、非常に画期性の高いものについて、コンシェルジュという形でサポートする特別の職員を置いて取り組む取組をスタートさせておりますが、その体制を整備して、この制度のスタートに積極的に貢献したということです。

 ○の5つ目、承認審査の透明性確保のために企業側の申請資料の概要の掲載をしておりますが、3か月以内という目標に対して、新医薬品は100%、新医療機器も94%達成したということです。

 自己評価です。1つは包括的連携協定の関係などで、人材交流をアカデミアで強化したということ。特にAMEDとの連携協定を結んだりとか、先駆け審査指定制度に向けた対応については、十分な成果を上げたというように認識しております。それと数値目標である申請資料の関係、我々としては、先ほど申しましたAMEDなどのほうが重要だと思っておりますが、申請資料についても、目標に対して医薬品で32日、新医療機器で72日と、いずれも目標を上回って達成したことから、ここについてはAとしております。

 

○真野主査

 ありがとうございました。では、御意見はどうでしょうか。

 

○園田構成員

 資料1-2129ページで、今、32日で281%、72日で125%とおっしゃっていましたが、これは中央値で、目標値に対する実績値ではないですよね。達成目標は3か月以内ですから、これは中央値に対する目標ではないのではないですか。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 これは3か月以内にやるという目標なので。

 

○園田構成員

 これは数字の出し方としてミスリードする出し方で、ちょっといかがなものかと思いますけれども。それから、目標値に対する実績値を見ると、1つは3か月以内ということで、100%達成されておりますが、もう1つは94%で未達です。ということは、基準から言ったら、C評価がベースになるのではないかと思います。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 数値目標の部分は確かに目標達成していないものがあるのですが、我々、この項目は単に申請資料の概要の公表というよりは、むしろアカデミアとの連携とかAMEDとの連携の部分をやはり評価してもらいたいと思っておりますので。

 

○園田構成員

 そのために一番最初に確認したのですが、数値評価をベースにして、上げられるのは1段階ですよね。事務局に、もう一回確認しますけれども。

 

○政策評価官室長補佐

 はい。先ほども御説明させていただいたとおり、資料、指針に書いてあるのは1段階ということになります。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 補足させていただきますと、一応、3か月以内と書いてありますが、100%に達成するということではなくて、これは目標とするということですので、ここは100%を達成しなかったら目標達成しないというようには、我々は理解していないということです。

 

○真野主査

 そうすると、目標値としては何になっているのですか。100%でなくてですと、80%とか、何かそういうようになるのですか。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 あえてパーセンテージは置いていなくて、3か月以内にやるというところで、目標設定しているということです。

 

○真野主査

 必ずしもここは定量的な目標ではなかったということですか。

 

○医薬品医療機器総合機構総括調整役

 定量的な目標として設定したのは、「新医薬品の資料概要の掲載までの期間」ということで、ここは数値にしやすいのです。この事項は、「世界に先駆けた革新的医薬品・医療機器の実用化促進のための支援」ですので、そういう面から言いますと、定量的なところも重要なのですが、むしろ定性的なところが非常に重要ではないかということで、ちょっと説明させていただいたということです。

 

○真野主査

 ありがとうございました。確かに、項目もほとんど定性的ですね。ほかの方はどうでしょうか。よろしいですか。またこれも主務大臣にお任せするとして、今度は1-8をお願いします。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 ここからが市販後の安全対策になります。1-862ページです。副作用・不具合情報収集の強化並びに整理及び評価分析の体系化ということで、評価の視点は、日々上がってくる医薬品の副作用情報、感染症の報告の全症例について、報告内容の精査をきちっと翌営業日中までに行っているかということです。また、医療情報データベース、MID-NETですが、全国の400万人規模のデータベースの整備に着手しています。これは政府部内も含めて非常に注目が高いものですので、これをしっかり安全対策において使えるようになるということ、ひいては、こういうノウハウが安全対策以外のところにも生かされるという意味においても、ここをしっかりできたかというところが評価の視点となります。

 重要度については、日本再興戦略、今年6月に閣議決定されたものについても、MID-NETの診療データを活用して安全対策の強化を図るということが盛り込まれているということです。

 あとは、どうしても医薬品というのは副作用が避けられない。我々はもちろん審査の段階で、副作用のリスクを最小化していこうという努力はしておりますが、これはどうしてもゼロにはできないし、ゼロにしようと思ったら医薬品を出さないということしかないと思っております。そういう中で、できるだけ早く良い医薬品を患者さんの元に届けるには、より多くの副作用情報を迅速に集めて、それを評価して手を打っていくということが重要だと思っております。ですから、副作用の報告件数については、年々増えています。特に医薬品については、今、1つの医薬品がグローバルで非常に使用されていく状況にありますので、グローバルな情報収集は非常に重要だと思っております。

 具体的には、66ページ目が医薬品の症例の報告数ということで、オレンジで示しているのが国内の企業から上がってくる報告の状況です。それから、海外の状況ですが、海外のほうがここ5年間、相当伸びてきているということもあります。医療機関からは、やはり情報ルートは複数あったほうがいいということで、医療機関からの報告もここに書いております。67ページ目が医療機器の関係です。同様の傾向です。ですから、非常に重要度は高いと思っております。

 難易度についても、近年出てきた画期的な効果を示す医薬品であるとか、あるいはこれまでであれば、どちらかというと欧米で先に承認されて、日本で後からということでしたので、ある程度、欧米の使用実績を踏まえて事前に手を打てたのですが、先ほど申しました審査ラグがなくなるということは、日本で初めて市場に出るような医薬品も増えてきているということで、未知のリスクが発生した場合に迅速に対応していかなければいけないとか、あるいは医療機器なども非常に高度化してきていて、より重篤な疾患に高度な手技で使わないとうまくいかないものも増えてきているという中で、これまでの知見では想定されないような副作用・不具合が増えてきているということです。国際的な情報交換なども増えてきていて、そういう意味では11個評価してやっていくというのは、相当難易度が高いと思っております。

 医療情報データベースの整備事業については、ここにありますとおり、レセプト情報とかDPCの情報に加えて、臨床の検査結果なども含む電子カルテ情報を利活用できるシステムで、これができると非常に安全対策も高度化していくということです。特に我々のデータは、研究に使うというよりは行政判断に使うものなので、データの質が決定的に重要です。これまで医療現場というのは、必ずしもカルテが標準化されていない中で、カルテの情報を共通のもので吸い上げて、ちゃんと共通のフォーマットに落とし込むという技術が全くないという非常に困難な中で取り組んでいるところです。この取組の結果、今の段階では、ほぼ100%、カルテの情報と一致するような形で吸い上げることが可能になりました。日本にもいろいろ医療関係の情報データベースがありますが、そういう意味では、その中でも一番データの質、あるいは中身を含めて進んでいるというように評価を受けておりますので、そういうものに取り組んだ点は非常に難易度が高いということで御理解いただければと思います。

 実際の実績ですが、63ページ目です。国内の51,000件の医薬品の情報、医療機器の18,000件については、翌営業日までに実施したということです。医療機関からの副作用報告についても遅滞なく処理したということと、最近、企業が医療現場等に情報提供のための資材をいろいろ作っていますが、そういうものに対する相談件数が相当増えてきております。医薬品については991件で去年より14%増。医療機器については昨年に比べて138%増ですので、2.4倍ぐらいに増えてきているという中で、それをこなしたということです。ここについては、安全対策部門はそれほど増員がない中で、こういうものを工夫してこなしたということも御理解いただければと思います。

 先ほどの医療情報データベースについては、既にデータの質の確保もおおむね終わりまして、これから試行的に利活用、平成30年度に実施、本格運用に向けた試行的な取組に入っていくことに着手できたということです。先ほど言いましたように、データの質を確保することで得られた知見は、PMDAで持っているのではなくて、関係団体にフィードバックして、医療情報の標準化仕様の改訂にも貢献したということも評価していただきたいと思っております。

 自己評価については、総件数が増える中で、しっかり個別の症例について精査をして、遅滞なく実施したという点。先ほどの医療情報データベースについて、世界で確立していない品質管理に関する作業を進めて成果を上げたという点。単にPMDAの業務だけではなくて、国内のいわゆる電子カルテの仕様などの標準化にも貢献したところについては、我々としては高く評価しておりまして、Aとしております。長くなりましたが、以上です。

 

○真野主査

 ありがとうございました。これについては御意見はいかがでしょうか。

 

○園田構成員

 総人数はそんなに増えてないとおっしゃっていましたが、152人から167人で、15人増やされています。ですから、総件数が増えても、それに対応する人数は多分増やされているのではないかというのが、まず1つです。2つ目は、業務の質に関する質問をさせていただきたいのですが、資料1-165ページで「医療機器不具合」というデータがあります。この中で、機構が審査されたものの不具合件数は何件ぐらいあったのかというのを教えていただきたいです。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 後半の御質問については数字がないですし、これを11件調べて、うちが審査したものを出すというのも、なかなか難しいかなとは思うのですけれども。

 

○園田構成員

 普通、クオリティのチェックと言ったら、やはり審査されたもので不具合があるかないかを気にされると思うのですが、そういうのは余りチェックはされていないのですか。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 この中に臨床も入っているので、確かに機構以外のものもあるのですが、11件は全部チェックはしております。件数がどうかというところは、そこまでは今の段階では押さえてはいないです。

 

○園田構成員

 ちょっと意味がよく分からないのですが、チェックはしているけれども。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 副作用、不具合自体の11件をチェックして、それに応じて必要な措置はとっているという意味で申し上げたのです。

 

○園田構成員

 この中で、機構が審査した機器というのが何件ぐらいあったかは、分かっていないのですか。機器の審査をされていますよね。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 審査した機器は分かっていますが、先生がおっしゃっているのは、この不具合の報告の中で、機構が審査した機器に関する不具合が何件あるかということですか。

 

○園田構成員

 そうです。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 一応、認証品目が。

 

○園田構成員

 普通はクオリティのチェックと言ったら、審査して、それが何かこういう不具合があるというようになったら気にされるのではないかと思うのですが、そうではないのですか。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 我々としては、11件来たものに対して評価をしてということはやっておりますが、その中でどれが不具合だったのかどうかというところまでは、そういうメルクマールでは押さえていないと。ただ、要するに来たものを評価していればそれで足りると。

 

○園田構成員

 普通、PDCAのチェックと言ったら、こういうのをやるような気がするのですが、そういうのはしないのですか。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 だから、PDCAのチェックは、11件のものについてやっているということです。だから、要するに自分が審査したものに対して……。これはこの部分が不足しているから。

 

○園田構成員

 そうすると、ここに書いてある数字というのは、全て機構が審査したものなのですか。そういうことでいいのですか。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 不具合というのは、先生の今のお話だと、審査の見落としとかいうように理解されているようですが、そうではなくて、要するにお医者さんの使い方が想定外とか、そういう悪かったということの問題なので、だから一応。

 

○園田構成員

 全てそれだけなのですか。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 それはそれだけです。

 

○園田構成員

 そういうデータを取られているのですか、原因別データというのを。

 

○医薬品医療機器総合機構理事(赤川)

 ちょっと付け加えさせていただきますと、医療機器の場合は認証制度も別にありますので、大臣が承認しているもの以外で、認証機関が認証しているものは確かにあります。ただ、いずれにしろ、承認又は認証したものについて、製造販売後、Quality Management System(QMS)の制度の中で、先生が御指摘のPDCAサイクルを回すというのは、製造販売業者に、まず責務として法令上あります。私どもは不具合の報告が来ますと、それはPMDAのほうで、いわゆる添付文書の改訂が必要かどうかなどといった観点から、必要な措置に結び付く指導等を行っているということなので、当然、PDCAサイクルはそれによって回ります。ですから、それは認証が不適切だったとか、承認が不適切だったということではなくて、特に認証に関して言えば、認証基準がありますから、認証基準への適合性で認証されるというシステムの中での話ですので、医療での使用時における具体的な個別の不具合は製造販売業者から私どもが全部受けており、不具合報告を受けた時点から、企業とのやり取りで、ちゃんとPDCAサイクルを回すように、当然、指導・助言等をさせていただいているということで御理解いただければと思います。

 

○真野主査

 ちょっと時間もなくなってきましたが、ほかはよろしいですか。次は1-9をお願いします。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 資料1-970ページです。これは先ほど評価した情報を、いかに医療現場や企業等へ提供していくか、あるいは患者・一般消費者に対する情報提供をしていくかということです。具体的には副作用のラインリストということで、副作用報告のあったものは、4か月以内に処理して公表するということをやっておりますので、そういうものが適切にできているか、特に添付文書の改訂、注意書きの改訂について、2日以内にできているかというのが評価の視点です。

 重要度ですが、日本再興戦略などで革新的な医薬品等の実用化を促進するためには、市販後のフォローが非常に重要だということが位置付けられておりますので、重要性が高いと思っております。

 難易度についても、情報提供は単に付帯情報を公表するだけでなく、いろいろな形でどういうように工夫すれば患者などに伝わるかや、医療現場でのニーズの多様化に対応していくというのは、非常に難しいということがあります。また、PMDAに報告された情報は非常に件数が増えている中で、それを11個、情報提供につなげていかなければいけないという意味での難易度もあります。

 主な事業実績です。企業からの副作用報告、国内の5万件については、4か月の期間を経てラインリストを公表しております。医療機関報告についても、PMDAが実際に調査したものは、調査完了後、速やかに公表するということをやっております。添付文書の改訂指示についても、2日以内で公表します。

 ここで数値指標になっているのが「PMDAメディナビ」といって、例えば、PMDAが医療関係者に添付文書の改訂とか、緊急安全性の情報を周知しなければいけないところで、これらの情報がメールで届くということようなものです。これについては、年間1万件ぐらいずつ登録を増やしていこうという目標設定をしておりまして、去年1年間で23,408件増加しました。この目標値が11,269件に対して208%ということで、かなり件数が増えました。我々としては副作用の症例の公表やホームページでの掲載を行ったことと、数値目標についてはメディナビの登録件数が208%で、目標の倍以上を達成したことを踏まえて、Aにしております。

 

○真野主査

 これについてはいかがでしょうか。

 

○園田構成員

200%を超えているというのは、数値としてはどれですか。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

1-2で見たほうがよろしいですかね。

 

○園田構成員

1-2で見ると、目標計画値が120%で、今、132%になっているという状況ですよね。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 ここにありますように、今の目標値が中期計画開始前に10万件の登録があったのを、15万件にするというのが目標になっています。ですから、年間1万件ずつ達成していけばいいのですが、今回、平成27年度の評価ということで、1万件増えればいいところを、23,408件増えたということで、208%としたわけです。

 

○園田構成員

 この目標は、平成25年度の1.5倍以上の登録数とするという目標ですよね。そうすると5年間で1.5倍だから、1.11.21.31.41.5だと思うのです。それを実際に数字として見てみると、平成25年度の基準値が102,790件で、1.2倍すると123,340件ですから、実際の達成した数字と比較すると、109%の達成率のほうが正しいのではないですか。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 この目標の趣旨として、私どもは、年間1万件ずつ登録を増やしていくということでやっております。それに対して増えた件数ということで言うと、平成27年度の頑張りという意味においては、平成27年度の増えた件数に対して評価すべきだと考え、自己評価は208%という評価にさせていただいたわけです。

 

○園田構成員

 件数ですと平成26年度。 

 

○真野主査

 ほかの委員がついていっていないのです。何ページですか。

 

○園田構成員

 今、見ているのは資料1-2184ページの数字です。それと、資料1-169ページの数字です。1万件増といっても、11,269件増だから208%にはならないのではないですか。毎年度1万件増とおっしゃっていましたよね。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 これは11,269件となっていますが、本来であれば、去年1万件増えるべきところ1万件増えていなかったので、去年足りなかった分も含めて11,269件ということで。

 

○園田構成員

 それでなぜ208%ですか。先ほど毎年1万件増やすと言っていませんでしたか。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 正確に言いますと、毎年1万件に対して去年足りなかった部分を踏まえたところは、やはり増やさなければいけないということで。

 

○園田構成員

 これも先ほどと同じで、ミスリードするような書き方ではないですか。去年がどうのこうのという説明が、ここには全然ないですよね。

○医薬品医療機器総合機構審議役

 いや、去年のことを書いてないのは書くべきだったかもしれませんが、ミスリードではないと思います。

 

○園田構成員

 書いてなかったらミスリードでしょう。

 

○真野主査

 そうすると、この23,408件というのはどこにあるのですか。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

23,408件というのは184ページで言いますと、135,487件から112,779件を引いた数です。

 

○園田構成員

11,269件増というのは目標ですか。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 これが目標です。

 

○園田構成員

 この23,408件をこれで割るという意味ですか。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 そうです。

 

○園田構成員

 そうすると、これは2年分入れているということですか。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 去年達成してなかった分はオンしなければいけないだろうと思って、その分を入れているということです。

 

○真野主査

 分かりました。要は1万件に対しての比率ではなくて、去年達成しなかった分も入れると。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 そうです。11,269件に対する比率ということです。

 

○真野主査

 そういうことですね。分かりました。その辺の説明も含めて、これも主務大臣にしていただくということでしょうか。ほかの先生はよろしいですか。

 

○平井構成員

 前年に比べて非常にたくさん増えたということですけれども、それには何か原因があるのではないかと思うのです。その原因に対して適切な対応をするということ、フォローするということも必要ではないかと感じた次第です。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

1万件増えたというのは、登録件数が増えたということですか。

 

○真野主査

 それを評価されているということですよね。

 

○平井構成員

 いいことなのですが、これまでよりも急にバンと増えたというのが、何らかの原因があるかということです。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 要因として1つ大きくあるのが、いわゆる平成284月の診療報酬改訂のときに、調剤薬局の加算として基準調剤加算という、一定の要件を認めた加算があります。そこの要件にPMDAのメディナビが位置付けられたことがあると思います。ただ、ここに、今、位置付けられるというのも、それだけPMDAのメディナビがそういう情報をしっかり伝えているということが、診療報酬の世界で評価されたということだと思います。そこは私どもの努力もあったのかなという自負もありますので、その点はよろしくお願いします。

 

○平井構成員

 それは大変いいことですが、登録だけしたらそれで済むということではないので、できれば着実にそれが活用されているかというのをフォローするようなアンケート等をやられたらいいのではないかと思いました。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 それについては去年調査をしており、その結果も出ておりますので、それを踏まえて手を打っていきたいと思っております。

 

○真野主査

 ありがとうございました。それでは1-10をお願いします。これもA評価ですね。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

1-1078ページをお開きいただければと思います。国際化の推進です。医薬品の流通等も国際化していく中で、世界との連携を図りながらやっていくという重要性が高まっています。特に重要度の所にありますように、政府の日本再興戦略においてもPMDAも含めて、各国での制度整備を見越して国際連携を強化し、日本が国際ルールの形成に対して主導権を握ることを目指していこうという大きな考え方があります。PMDAについてもアジア医薬品・医療機器トレーニングセンターの研修等を通じて、日本の規制制度の理解を促進するということで、アジア諸国に対して制度輸出をする。制度輸出をすると、例えば日本で承認を受けたものについては、その国でも簡略な審査で通るようになって、我が国の医薬品や医療機器のメーカーがアジアの国に進出するという意味で、非常にメリットが大きいので、そういうものに取り組んでいます。

 難易度についてです。国際的な交渉事の中で日本がルールを作って主導していかなければいけないですし、諸外国に対して日本の承認制度の追加を受け入れてもらうということをやっていかなければいけません。そういう意味では、国際的な状況など、国によって、当然差もありますので、そういうことに配慮した交渉の能力が必要で、非常に難易度も高いわけです。我々も、ともすれば、これまではどちらかというと、我々と日本の企業がよければいいという形でやってきたところがありました。ただ、理事長を筆頭に、そうではなく、やはり世界全体を見据えていくと。日本は医薬品の世界でも、欧米と並んで三極の一極を成しておりますので、積極的に世界のルール化に貢献していくことが、世界の人々にとってもいいし、日本にとってもいいということで取り組んでいます。したがって、国際的視野に立った取組をしていかなければいけないということで、やはり相当難しいわけです。

 具体的な実績は79ページにあります。1つ目は、新しく求められるPMDAの国際的な役割をしっかり整理して取り組もうということで、去年、PMDA国際戦略2015というのを策定して公表しました。

 ○の2つ目、ICHという日本と米国とEUが中心になって規制調和を図っていこうという会議があります。それにおいても、新たな2つのトピックスを提案して、日本主導のガイドラインの策定、先ほどあった国際基準を日本が主導していくという取組の実績を成しました。

 二国間の関係においても、ブラジルやタイや台湾などと規制当局間会議を行って、協力関係を構築しております。これは特に医薬品業界や医療機器業界で高く評価されていますが、台湾やタイについては、日本の審査を受けていれば簡略審査で国内でも承認するという形の交渉にも成功しました。

 ○の4つ目、アジア医薬品・医療機器トレーニングセンターというのは、アジアの規制当局の方に日本に来ていただく、あるいは我々がアジアの国に出向いていくことによって、日本の規制のノウハウを提供して、それらの国の規制水準のレベルアップにつなげるというのが1つです。あとは、日本の制度に対する理解につなげるというところでやっています。当初、これは平成28年度中に立ち上げる予定だったのですが、非常に喫緊ということで前倒しをして、41日に立ち上がるように平成27年度に精力的に準備をしたということです。

 ○の5つ目、報告書の英訳というのが数値目標になっています。40件という目標は達成しています。

 自己評価です。国際交渉というかなり難しい交渉の中で、多国間の仕組みにおいては議論を主導する、二国間では日本を簡略審査対象国とすることに成功したということで、大変な成果を上げたと我々は思っております。あと、PMDA国際戦略や、アジア医薬品・医療機器トレーニングセンター設立準備の取組も実施しましたし、それに加えて審査報告書の英訳についても目標を達成したということ、国際的な場での指導的な役割とアジア医薬品・医療機器トレーニングセンター等の設置に取り組んだということで、Aといたしました。

 

○真野主査

 これについて御意見はどうでしょうか。

 

○園田構成員

 資料1-2196ページです。英訳が40件と書かれているのですが、うち前年度で13件が80%以上完了となっているのです。この13件はどうなったのでしょうか。今年度の40件の中に入れたのですか。入れてないのですか。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 確か13件は、平成27年度に入れています。平成27年度も、この40件達成したものとは別に38件着手しており、順次、平成28年度に公表開始をしておりますので、平成27年度は前年度の蓄えで食って目標達成したわけではないということは、御理解いただければと思います。

 

○真野主査

 先ほどの話もそうですが、年度がわたるからややこしいですね。ほかにいかがですか。よろしいですか。では、これで1-10まで終わったのですね。それでは次の2のほうです。2-1B評価ですので、早めに御説明をお願いします。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 これは法人のトップマネージメント、ガバナンスの関係、あるいは外部の意見を聞くという透明性の確保です。

 評価の視点としては、日々の業務が契約どおりなされているか、戦略立案機能、リスク管理機能があるか、審議機関の意見を聞きながら業務をやっているかということです。

 実績は89ページです。各部門において業務計画表というものを策定して、年度計画を業務計画レベルに落とし込んで業務運営を実施してきました。それから理事長の経営判断を業務運営に反映させるため、理事会・幹部会等を開催しております。特に昨年度は、PMDAも非常に大きな組織になりましたので、理事会をもっと積極的に活用しようということで取り組みました。外部の意見ということでは、運営評議会等の審議を例年どおり行いました。また、PMDAのホームページの機能充実や記者懇談会などを実施して、PMDAの取組を紹介しました。契約に定められた事項については十分な成果を上げたということで、Bにしております。

 

○真野主査

 これはよろしいですね。次が最後のAですが、これもよろしくお願いします。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

2-296ページ、各種経費節減ということで、中期計画の目標値の設定目標に対して進展しているか等々です。これについてはPMDAの特性として、今の中期計画においても日本再興戦略等を受けて、5年間で300人ぐらいの増という形で、体制強化を図っているところです。そういう中で費用全体を縮減していくという目標は、なかなか作りづらいということがありますので、目標を設定する当時において国費、運営費交付金を充当するものに限り、平成26年度予算と比べて、一般管理費は15%以上の節減、事業費は5%以上の節減とさせていただいております。

 主な事業実績については、調達等合理化計画に基づいて一般競争入札を実施するなどの取組をやっております。実際の数値については国費、運営費交付金を充当するものについては、一般管理費で予算比51.1%の節減、事業費は18.1%の節減です。これはシステムの最適化等による調達率の削減等に努めた結果であると思っており、中期計画に定める節減率に比べて大きな成果を上げたということで、Aとしております。

 

○真野主査 

 これはよろしいですか。

 

○園田構成員

 国費に限定された理由は分かったのですが、全体の損益計算書を見れば、73,000万円の赤字ですよね。そういう状況でAにしてしまっていいのかというのは、やはりあるかと思います。先ほど主査より、1-6で費用対効果というお話もありました。やはり会計的に考えれば赤字というのはどうかと思います。ここのテーマが各種経費ですが、経常収益はほぼ一定ですから、実際の赤字の原因は、ほぼ経常費用の増なのです。人件費だけでなく、増えている理由としてはその他のものもありますので、必ずしも人数が増えたことだけが原因でもないように思います。そういった意味で、ここをAとするのはできないのかなと思いました。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 財務諸表上、赤字になっていることについてです。平成25年度に終わった第二期の終了時点で、約100億円の剰余金が出たわけです。我々はもうけることを目的にした法人ではありませんので、三期については、まず必要な審査を更に早くしていくための体制強化をしつつ、その費用は積立金を取り崩す形で運営していこうということです。もともと第三期当初から、ある程度は積立金を充当するということを前提に、財政モデルを組んでやっております。赤字になることが決していいというのではないのですが、第三期の我々のモデルとしては、もともと、ある程度そういう赤字が出ることは前提とした予算を組んでいたのです。もちろん、いずれ積立金がなくなれば、その部分はなくなるわけです。だからといって放縦な財政運営をしていいわけではありませんので、経費の節減については取り組んでいかなければいけないと思っておりますし、併せていろいろな収入を増やす算段なども、これから考えなければいけない時期にきていると思っております。

 なお、目標自体は運営費交付金分と申し上げましたが、自己財源分を含めても平成27年度は平成26年度予算に比べて、一般管理費7%、事業費17%の削減はしておりますので、我々なりに全体の経費節減努力をしているということは御理解いただければと思います。

 

○園田構成員

 経常費用の合計だと、昨年度よりも増えていますよね。昨年度平成27年度を比較して。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 はい。この間、さらにパフォーマンスを上げるための増員などもやっております。

 

○園田構成員

 いや、今、減っているとおっしゃったのですが。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 平成26年度予算と比較した削減率ということで申し上げました。

 

○園田構成員

 前中期よりも利益が50億円ぐらい減っていると思うのです。前中期の利益は結構出ていましたよね。50億円も減っている理由は何ですか。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 結局、今期の体制強化というのは、ある程度、前期の余剰金を取り崩すことを前提に予算を組んでいるからです。普通の企業であれば利益は持ち越していくのでしょうけれども、我々、手数料とか拠出金というのは拠出的に取っていただいているお金なので、まずはそこの部分をゼロにしないと。我々はため込むのではなく、そこを使った上で体制強化をしていくように予算を組んでいくべきだということで、そうしたのです。

 

○園田構成員

 それは国庫に返納するというものではないのですか。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 我々のお金、手数料なり拠出金なりは、ほとんど企業が出しているお金なのです。企業が審査や安全対策のために出したお金を国庫に返納するのはどうかという議論は、当時も財政当局などとしました。これについては国庫に返納はしないけれども、審査の迅速化などに役立てて使ってくださいということで決着した経緯があります。

 

○園田構成員

 結局、前中期の積立金を取り崩しているわけですから、単年度の評価としては損失というところで見るのが妥当ではないかと思います。

 

○医薬品医療機器総合機構総括調整役

    厚生労働大臣から与えられた中期目標におきましては、この積立金を取り崩すという形の予算に従って運営をしなさいということで頂いていますので、この目標から考えると妥当ではないかと考えております。

 

○真野主査

 確か前々回、国庫に戻す戻さないという議論はあって、それは、今、言われたように解決したと理解しているのですが。

 

○園田構成員

 ここはAではないとは思うのです。

 

○真野主査

 先生が言われたのは、今回は費用が削減されてないということですか。

 

○園田構成員

 ここに書かれているのは、国庫からの支出による一般管理費と事業費だけですよね。それ以外に、資料1-3の財務諸表の4ページを見ていただくと、法人全体の損益計算書が書かれていて、全体では赤字ですし、それを昨年度の数字と比較して見たのですが、経常費用合計と比較して見ると増えているということです。

 

○真野主査

 なるほど。それはここに書いてある定量的指標で減っているというのとは、どういう関係ですか。これはあくまで国庫の分だけということですか。

 

○園田構成員

 ですから、これも正直言って、国庫だけに限定して書くのではなくて、ディスクロージャーとしては、本当はそういう全体も書いてからこれを書かれるのが、あるべき姿かと思います。

 

○真野主査

 なるほど。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 財務諸表の計上費用については、例えば、いろいろな給付関係のものも含めて費用に計上されてます。その給付金の部分は、我々としては法律で決まっていて努力しようがない所ですから、一応、業務費とか一般管理費とか、努力のしがいがある部分について言うと、減っているということで御理解いただきたいと思います。

 

○園田構成員

 去年と比べて、交付金の金額自体は増えていますよね。運営費交付金収益というのは前の期と比べると増えていませんか。今年は13億円ですよね。その前は11億円ですよね。

 

○医薬品医療機器総合機構 財務管理部長

運営費交付金は国からの予算手当てに基づくもので、それに対して使用した分を収益化するという形になっております。財務諸表の交付金収益には人件費も含まれた数字も入っています。中期目標では人件費を除いた一般管理費的なもの、いわゆる物件費的なものを削減目標にしておりますので、人件費を除けば減っているというものです。

 

○園田構成員

 しかし、そういう説明がないと、いかにも全部減っているかのように聞こえるではないですか。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 そこは全て説明が悪かったのはお詫びいたします。

 

○真野主査

 ここにも「人件費、事業創設等に伴い発生する単年度経費を除く」とは書いてありますが。その辺のインパクトがどの程度かというのが分かりにくいというか、サマリーだからしょうがないのでしょうが、なかなか難しい所です。分かりました。これはかなり複雑です。そうすると、厚生労働大臣が判断されるのであれですが、先ほどの厚労省に対しての厚生労働大臣の考え方というか、中期目標との整合性と今年度の部分も含めて判断していただくということでしょうか。何かありますか。

 

○松原構成員

 取り崩せと言われたのだから、取り崩す分はその分の収益がない以上、絶対赤字になるのは決まって、赤字は当然です。そして、給付金はそれが仕事で、それがなぜか計上費用に入る会計ルールになっているので、ここが増えるのも給付金が増えれば当然増えると。自分たちで努力できる経費節減は、これだけ行ったのだという整理でいいと思います。

 

○真野主査

 ありがとうございました。よろしいですか。最後の3つは、まとめてB評価ですので、手っ取り早く御説明をお願いします。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

2-3100ページは拠出金の徴収及び管理です。具体的には99%以上の収納率の目標を掲げておりますが、101ページにあるように、副作用拠出金は99.7%、感染拠出金も100%、安全対策拠出金も99.7%と、目標を達成したということで、Bということです。

3-1104ページは、予算の収支計画が実績と乖離が出た場合、ちゃんと説明できるかということです。個別の説明については、106ページにそれぞれの勘定について書いております。給付の支給人員の増減があったこと中心で、ほかには拠出金の手数料収入とか、拠出金の収入の減という要因で、いつでも説明ができるということで、ここはBにしております。あと、一般競争入札等で調達コストの削減の評価も出ていることについては、お酌みいただければと思います。

 最後は4-1、人事に関する事項です。PMDAでは専門性の高い人材を確保することは非常に重要です。併せて、企業や個人の大事な情報を扱っていますので、情報セキュリティ関係の強化が必要ということです。

 具体的には109ページです。平成27年度も独法ということで、公募により84名を採用して、うち49名が博士号又は修士号取得者です。国や研究機関等との人的考慮も積極的に行いました。職員の能力開発のためのCareer Development Programの検討等も含めて研修の見直しを実施しました。情報セキュリティの関係については、インターネットの環境と業務システムを論理的にしっかり分離する取組をしたということで、Bにしております。以上です。

 

○園田構成員

 時間がないようですから簡単に答えてください。人事についてですが、普通ラスパイレス指数を指標にするような気がしますが、なぜされていないのでしょうか。それから、先ほどの損益計算書を見ると、業務のほうで人件費が増えるのはまだ分かるのですが、一般管理費の人件費が11,600万円増えています。この一般管理費を増やした理由を教えていただきたいのです。

 今期は一般管理費の中の人件費が78,900万円ではないですか。去年が67,200万円で1億円以上一般管理費で増えている理由です。要するに、管理部門の方の人件費をなぜそれだけ増やす必要があったのかということです。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 それはお答えとしては人数を増やしたということになるのですが。

 

○園田構成員

 業務に関するものが増えるのは分かるのですが、なぜ一般管理費まで。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 正直言いまして、うちの組織は10年前に、もともと300人からスタートして、今は800人です。非常勤の方も入れたら1,300人の組織になっております。ところが、管理部門の人数は300人の時からほとんど増やしていない状態にあって、むしろ逆に800人の組織を回していくためには、管理部門を回していかないと組織は回っていかないと判断をしております。ですから、組織をしっかり回していく上で、管理部門はしっかりしておかなければいけないということで管理部門の人数を増やしたということです。

 

○園田構成員

67,000万円の人件費から比較して考えたら、管理部門の人数は結構いませんか。いかにも少ないようにおっしゃっていますが、その人件費は当期で78,900万円ですよね。結構な人数がいそうな気がしますが。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

78,900万円が高いかどうかというのはあれですが。ただ、私どもとしては法人を回していく上で、これぐらいの管理部門が。これはいわゆる総務とか財務とか、いろいろ審査の関係、我々としてもシステム関係でITとかも使いますので、やるためにはこういう配置をしないと回っていかないということで、それは我々の経営方針として判断したということです。

 

○園田構成員

 しかし、人件費の総額を余り把握されていなかったかのように見えるところを考えると、本当にそういうことなのかなと少し疑問に思ったのですが。

 

○真野主査

 人数比でいくとどうなるのですか。管理部門と業務部門の人数の比率でいくと。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 管理部門、いわゆる総務とかそういうもので言うと、多分100人いないぐらいだと思います。すみません、数字がなくて申し訳ありません。

 

○園田構成員

 そうすると、それは割ると1人結構な金額の給料になりますが。

 

○真野主査

 一般管理費の人件費が78,000万円で、100人だから多少多いような感じがしますが、結構な金額ではありますね。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 今、申し上げた100人というのは常勤の職員で、それ以外も含めてということで御理解いただければと思います。

 

○園田構成員

 そうすると、そんなに少ないとは言えないのではないかという気がしますが。

 

○真野主査

 全体の職員が、今、800人が常勤で。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 平成27年度は、多分810人余りが平均だと思います。非常勤の職員が、今、大体400人弱ぐらいいます。

 

○真野主査

 特殊な業務なので、適切な管理者の人数比というのは分からないですが。

 

○園田構成員

 あとラスパイレス指数をなぜ使わないのかということです。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 今、我々としては優秀な人材をできるだけ早く確保することのほうが、より重要性が高いと判断したので、ラスパイレス指数というより、むしろ、採用できちんとレベルの高い人員が採れているかどうかというところでやったということです。ほかの独法が全部ラスパイレス指数を使っているかどうか、私は詳しく承知しておりませんので、もし、仮にほかの独法が全部使っているのであれば、うちも使わないといけないとは思いますが、そこはすみません。以上です。

 

○真野主査

 これもこの委員会でも、大分議論が出たところだとは思います。使わなければいけないかどうかは事務方の判断ですが、PMDAは比較的優秀な人材が採れないという中で、給与をある程度高めにという話は何回か議論したと思います。ラスパイレス指数は必須でしたか。

 

○政策評価官

 見たところ、資料の中では参考の数字として記載されていて、研究などをやられている法人ではかなり高い数値が出ていたりしますので、この法人はこういうことをやっているので、これぐらい乖離があります、という説明をされているところは多いように思います。

 

○石渡構成員

 私はやはりPMDAに関しては、女性の活躍というのにとても前から注目をしているのですが、資料の作り方として、そういう点を打ち出すような作り方をしていただけないでしょうかというのがお願いです。特に若い世代に関してです。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 うちは非常に若い世代の女性が多いので、ワーク・ライフ・バランスなどもかなり一生懸命取り組んでおりますが、その辺りが伝わっていない資料になっていますので、この場の資料もそうですし、それ以外の業務報告などでも、今後工夫していきたいと思います。

 

○松原構成員

 時間もないので簡略的に申し上げます。従来からPMDAFDAとかEMAと比べて人数が貧弱過ぎるとずっと言われ続けて、今はどんどん増やしてきているわけですが、例えば、全く組織が同じわけではないから単純に比較できないにしても、近い所としてアメリカとかヨーロッパの審査機関と比べた審査に対応している人の人数や審査件数、審査機関の比較表を参考資料として今後出してくださると、効率性がすごく高いというのがよく出るのではないかと思いました。

 私はPMDAに対しては、ドラッグラグがあるのに何でAを付けるのだと、ずっと厳しく申し上げてきました。しかし、今回世界最短を審査機関について達成したということで、量だけではなくて質的にも、企業への支援対策やアカデミアとの連携など、非常に攻めの経営をなさってきた結果という点を、私は高く評価することは求められると思っております。

 指標が対前年度比で見るのか、中間期間で見るのか意見が割れるのですが、ちゃんと指標は常にこうすると定められているのではないかと思うので、ここで意見が割れるのではなくて、しっかり統一して、指標そのものに対して意見が割れることがないような準備を是非していただきたいと思います。以上です。

 

○真野主査

 ありがとうございました。よろしいですか。次に、法人の監事から業務の監査結果をまとめた監査報告について御説明いただいて、現在の法人の業務運営の状況等のコメントをお願いします。

 

○医薬品医療機器総合機構監事(疋田)

 資料1-4を御準備ください。これは平成27事業年度の監事監査報告書になります。1ページは監査の方法及び内容と書いてありますが、監事監査については、業務監査と会計監査から構成されており、当PMDAの場合は会計監査については、会計監査人による監査を適用しております。

 2監査結果、1.法令遵守の状況や中期目標の達成状況ということで、主要3業務、健康被害救済、審査関係、安全対策に加えて、国際戦略部門を今年度は重点的に監査を実施しております。中身の詳細は割愛しますが、結論としては、諸課題はありますが、法令面の問題等はなく、中期目標は今のところですが、達成基調で推移していることを確認しております。

3ページ、2.PMDAの内部統制システムの整備とその運用状況について監査の記載をしております。この中身は業務監査の主要項目の1つになっており、(1)統制環境、(2)リスクの評価と対応、(3)統制活動、(4)情報と伝達、(5)モニタリング体制、(6)ICTへの対応といった視点からの考察をしております。結論は(6)の下に書いてありますが、内部統制システムは適切に整備され、運用されていると認められる。また、内部統制システムに関する役員の職務執行について指摘すべき重大な事項は認められないということです。

4.財務諸表及び決算報告書の適否という記載になっております。先ほど申し上げたように、会計監査は外部の会計監査人によって実施されておりますので、財務諸表の信頼性及び会計監査人の適切さについての監査を行っております。内容については特に問題ないという認識ですが、1つだけ説明を加えたいと思います。4の(3)、5ページの一番下、前年度の決算作業におきまして、副作用救済給付等に関わる責任準備金の過年度分の繰入不足が約10億円強ありましたが、必要額への修正を行った過去の事例がありましたので、今年度については、基礎算定データの入力・抽出内容、規定に基づいた計算プログラムのロジックの作成ができているかどうか、その計算プログラムによる責任準備金の計算が正確に実行できているか徹底検証を行っております。具体的には、会計監査人のアクチュアリーグループとの二重チェックを行い、今年度は必要額の計上を行っております。

 3.独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針等過去の閣議決定において定められた監査事項ということで2項目あります。先ほどから出ておりますが、給与水準の状況と随意契約の適正化を含めた入札・契約の状況です。ラスパイレス指数はここに出ておりますが、優秀な人材の獲得について民間企業との競争感が非常に激しい。非常に高学歴の人間が多い。勤務地の大半が東京都であることということで、ラスパイレス指数については国家公務員に比して高水準になっているという状況です。2については、記載のとおりです。

6ページの下のほうですが、4.過年度の監事監査における指摘事項に係る改善状況です。5項目ほどありますが、改善は順調に進んでおります。ただ、1項目停滞項目があります。7ページの一番下になりますが、4.大規模災害時の対応についてでして、災害時対応マニュアルの整備が遅れております。この上位の規定になる業務継続計画、いわゆるBCPについては策定が完了しておりますが、7ページの下に書いてある(1)マニュアルと(2)模擬訓練等の実施の検討が遅れております。平成28年度の上期中までには整備される予定です。

8ページの中ほどになりますが、5.是正又は改善が望まれる事項ということで、14項目ほど継続的に監査を行うものも含めて記載をしております。是正又は改善が望まれる事項についての項目別の説明は割愛いたします。現行のPMDAについては、まず、内部環境が大きく変化しております。1つは事業領域が拡大されていること。それに伴って、陣容や組織が急拡大しているといった環境変化。外部環境の変化としては、国際協調の進展が非常に加速度的に進んでいることと、協調だけではなく競争力も求められておりまして、取り巻く環境が短期間のうちに非常に大きく変わっておりますので、このような改善が望まれる事項については、必然的に発生して、なかなか避けては通れないものが出てくる。

 もう1つは完成型たるものがなかなかなく、いわゆる不断の努力を要するもので、こういった項目がゼロになることが望ましいのですが、なかなかそうはいかないことを認識しております。そういった中で、指摘事項が改善に向けて着実に進んでいるかといった視点からの監査を、ガバナンスの観点からも行っている状況です。最後になりますが、業務監査、会計監査ともに、特段大きな問題はなかったことを御報告いたします。監事からは以上です。

 

○真野主査

 ありがとうございました。最後に法人理事長からコメントを頂ければと思います。

 

○医薬品医療機器総合機構理事長

 本日は大変お忙しい中、平成27年度のPMDAの業務実績評価に当たりまして、有識者の皆様方には大変貴重な御意見を頂きありがとうございました。

 平成27年度の業務実績については、これまで説明させていただいたとおりですが、発言の機会を頂きましたので、少々、現在のPMDAの運営状況について、今後の課題などについても申し上げたいと思います。

 私どもPMDAは、医薬品・医療機器・再生医療製品等の審査、安全対策、健康被害救済、この3つの業務をセイフティ・トライアングルと称して、これを一体として行い、レギュラトリーサイエンスに基づき、より安全でより品質の良い製品を、いち早く医療現場に届け、医療水準の向上に貢献することを目指しております。

 業務運営の状況ですが、私が平成20年に就任した8年前は、欧米で承認されている医薬品・医療機器が国内では使用できない、いわゆるドラッグラグ、リバイスラグといった審査能力の問題。さらに薬害という安全対策の問題があり、これは大きな社会問題でした。

 それから今日までの間、私ども一堂は、レギュラトリーサイエンスに基づいて、規制のイノベーションを積極的に進めてきて、審査期間については既に欧米を上回る水準にまで短縮したところです。

 また、このパフォーマンスは米国FDAの約6,000人に対し、約800人強の人数で達成しております。この点は、国内関係業界はもちろんのこと、欧米をはじめとした諸外国からも高い評価を頂いております。

 今、世界の規制当局の目は、正に日本のリードに向いていると言っても過言ではありません。このような状況を踏まえ、PMDAとしては国際業務を戦略的に進めるため、昨年度は「PMDA国際戦略2015」を策定しました。併せて、国際的な規制調和活動において、これまで以上にリーダーシップを発揮するとともに、アジアや途上国における医薬品医療機器等の規制当局の能力向上に努めているところです。

 また、審査の質の確保という観点から、現在の審査期間の短縮が既に限界まで来ているために、これからは申請前の開発段階の支援を強化しており、昨年度は競争的研究資金の配分を行うAMEDとの包括的な連携協定を締結して、実用化に向けてサポートを加速するとともに、新たにアカデミアとの間で包括的連携協定の締結を進めているところです。

 さらに市販後安全対策におきましても、現在進めている医療情報データベース基盤整備事業は、各種医療情報データベースの中でも最も質の高いものと評価を頂いており、平成30年度の本格運用に向けて、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。

 今後の課題としては、第3期の中期計画の折り返しの年度に当たる3年目に入っておりますが、業務に必要なサイエンスの水準がどんどん高くなり、11つの業務が困難性を増しております。

 他方、目標値のほうは、ますます厳しいものになっており、その達成に向けて、引き続きレギュラトリーサイエンスに基づく規制のイノベーションを進めていくとともに、アカデミアで医療現場との連携、コミュニケーションを強化している所存です。

 また、日本再興戦略などの閣議決定文書におきましても、政府全体として取り組むべき課題にPMDAが大変重要な役割を担うべきとの位置付けをされていることから、これにも全力で取り組んでいく所存です。

PMDAが、米国のFDAや欧州のEMAなどの諸外国の規制当局だけではなく、産業界からも高く評価を頂いていることに、私は大変誇りを感じております。

 先日も台湾が我々の実績を認めて、日本を簡略審査制度の対象にするなど、PMDAに対する国際的な信頼が着実に増しておりまして、これからも我々が世界を積極的にリードしていきたい思っております。

  常に高い目標を掲げながら、少しずつでも改善していきたいと思っております。毎年の変化は、数学で言うと微分値として、また長い年月、8年たちますと積分化して、大変大きな変化を遂げていることが分かりました。

 これも毎年、独法評価委員会、今は有識者会議となっておりますが、皆様方の大変温かい御評価、適切な御指導を受けたお陰で、我々一堂、大変勇気付けられた結果です。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

 

○真野主査

 ありがとうございました。何か御意見などはよろしいですか。少し厳しい御意見も出ましたが、最後松原構成員が言われたように、一番のメインの所はかなり良くなっているかと思います。それ以外にもメインがあるかもしれませんが。それでは、この後のPMDAの評価について説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 本日、法人から説明のありました業務実績及び自己評価に対して、構成員の皆様から寄せられた御意見や、法人の監事及び理事長のコメントなども踏まえ、厚生労働大臣による評価として決定し、その評価結果について、法人に通知するとともに公表いたします。

 決定した内容については、後日、構成員の皆様にもお送りいたします。なお、次回の開催については、818()午後3時半からを予定しております。場所は厚生労働省19階の共用第8会議室です。議題としては、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の平成27年度業務実績評価について御意見を賜ることとしております。

 最後になりますが、本日配布した資料の送付を御希望される場合には、事務局より送付いたしますので、お机の上にそのままにして御退席いただきますようお願いいたします。事務局からは以上です。ありがとうございました。

 

○真野主査

 本日は以上とさせていただきます。長くなりまして、すみません。また、よろしくお願いします。


(了)

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