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2016年8月2日 独立行政法人評価に関する有識者会議 国立病院WG(第2回)議事録

○日時

平成28年8月2日(火)12:59~15:57


○場所

厚生労働省専用第14会議室(12階)


○出席者

松尾主査、大西構成員、亀岡構成員、斎藤構成員、高瀬構成員、富田構成員、山口構成員

○議事

○松尾主査

 定刻になりましたので、ただいまから第2回独立行政法人評価に関する有識者会議国立病院WGを開催いたします。私は座長、主査を務めます名古屋大学の松尾でございます。よろしくお願いいたします。本日は構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。最初に出席状況ですが、本日は田極構成員が御欠席です。また、山口構成員におかれましては、早めに退席されると伺っております。よろしくお願いいたします。

 それでは、初めに酒光総合政策・政策評価審議官から御挨拶を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○総合政策・政策評価審議官

 政策評価担当の審議官の酒光でございます。今日はぎりぎりになってしまいまして、申し訳ありませんでした。この独立行政法人評価に関する有識者会議の国立病院WGの開会に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。

 まず、構成員の皆様には本当にお忙しい中、いつも長時間の会議になりますが、御参加いただきまして、ありがとうございます。心より感謝申し上げます。

 本日は議事に入る前に、申し上げたいことが1つあります。御承知いただいておりますけれども、評価の仕方が昨年度から変わっております。それを確認の意味で申し上げたいと思います。参考資料が17までありますが、そのうちの参考資料2を御覧いただきたいと思います。

 平成26年まで独立行政法人の評価というのは、この評価委員会の方に第三者として評価を頂いておりましたが、それが昨年度から変わりまして、基本的に主務大臣が評価をするということになりました。ですから、厚生労働省におきましては、厚生労働大臣が評価をするという形になります。その評価といっても、ただ、大臣がすぐにやるということではなくて、皆さんの御意見を伺うということで、今、進めております。そういう意味で外部の有識者会議を開催して、その御議論を踏まえながら評価していくということになっております。

 第2点目は、緑の四角の枠に書かれていますが、評価の基準について、ややそれまで各省ばらばらだったものを統一ルールに基づいて行うということになっています。ルールの概要は次ページ、裏面にあります。

 真ん中の所に、項目別評定がありますが、定量的指標を設けているものについてはBを標準とする、SからABCD5段階評価です。真ん中のBを標準として5段階評価をしていただき、基本はBであると。逆に言うと、Bで合格点ということになります。その上で、定量的指標が目標値の120%以上の場合にA評価、更にそれに加えて、質的にとても顕著な功績があった場合のみSの評価ということになっており、これが政府統一の評価方針となっております。

 昨年度の各省の実施状況をまとめたものが、参考資料6になります。これは総務省のほうの、各省庁が行った独法評価についての評価です。何かメタ評価のような感じで分かりにくくて申し訳ありませんが、こういうことをやっておりまして、その点検結果をまとめたのがピンクの表、真ん中よりちょっと上の表になります。

 これを御覧いただくと、(1)の平成26年度評価ですが、一番右端のA以上の割合、全体でA以上を付けた項目は、20.9%ということです。実はこの中で、省庁によってばらつきがあって、この下の※を付けていますが、外務省、厚生労働省、経産省が極端にAの数が多いという指摘を受けています。次ページに詳しいことが書いてありますが、説明の関係で省略いたしますが、多いということで、その3省庁を除くと、A以上の割合は13.8%です。今、指摘を受けた外務省、厚労省、経産省は約5割ぐらいがA評価をしていて、ほかの役所の独法に対しては14%ぐらいということで、かなり乖離があるということで、その点を総務省から指摘されたということです。

 それを踏まえて、その下に右左で4つずつの箱がありますが、今後、評価についてこういうことを気を付けてくださいということを言われています。

1番目は、一番上ですが、できる限り定量的な目標を設定するということ。2番目は、A評定、特に数値目標で120%になっていなかったり、なっているものと、なっていないものがあるのにA評定をしているというような場合については、きちんと合理的な根拠を示して評価してくださいと。要するに、120%が1個あるから全体としてAにするとか、そういうことはやめてくださいということです。それから、主務大臣が評定を引き上げる、これは余りないと思いますが、そういう場合は客観的な根拠を具体的に示すということ。最後が特に大きい問題だと思いますが、過去に遡ってみても、120%ばかりというようなときに、目標設定自体が妥当かどうかということを、実現可能性を過度に考慮した安易なものになっていないかどうかを、きちんと点検した上で評価をしてくださいということになっています。

 以上、細かく申し上げましたが、こういった点が指摘されていますので、厚生労働省の私ども評価担当している者としても、各省の評価基準にそろえた形で評価したいと思っております。一番最初に申し上げましたが、最終的な評価を主務大臣がやりますけれども、是非それも念頭に置いて御議論いただければと思います。

 また、法人の方々におかれましては、このような評価の基準が変わったということで御理解いただいて、ものによっては、昨年と同程度、あるいは昨年度以上の実績を上げても評価が下がるという場合ももしかしたらあるかもしれませんが、それは皆さんの業績を評価していないということではなくて、評価の基準、付け方が変わったというような御理解を頂ければと思っております。私からは以上です。これから、どうぞよろしくお願いいたします。

 

○松尾主査

 このワーキングというか、評価委員会というのはこれまで結構議論もしっかりやっていただいたと思いますが、それでも、まだ甘いと、こういうことのようです。今日もしっかり議論していただきたいと思います。

 それでは、本日の議事について事務局から説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 政策評価官室長補佐の肥沼と申します。どうぞよろしくお願いいたします。なお、頭撮りについては、この部分までとさせていただきます。

 御説明の前に、新任の構成員を御紹介させていただきます。71日付けで、大西昭郎明治大学国際総合研究所客員研究員に構成員として御就任いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。また、事務局で異動がありましたので、その点も御報告させていただきます。先ほど御挨拶のありました総合政策・政策評価審議官の酒光、政策評価官の玉川です。よろしくお願いいたします。

 それでは、本日の議事について御説明いたします。本日の議事はお手元に配布させていただいております議事次第のとおりです。国立病院機構の平成27年度業務実績評価に係る意見聴取です。評価項目ごとに法人側から業務実績及び自己評価について説明いただき、有識者の皆様方から御意見、御質問を頂きたいと存じます。なお、独立行政法人の評価スケジュール全体については、参考資料1の別添610ページの図のとおりです。本日の意見聴取等を踏まえまして、主務大臣による評価を実施することとなります。

 昨年度の評価結果については、先ほど総合政策・政策評価審議官がお話しましたように、参考資料6にあるような御指摘を受けています。したがって、本日御意見を頂く業務実績評価についても、改めて総務大臣が定めております「独立行政法人の評価に関する指針」を踏まえてBが標準であること、A以上を付す場合には、定量的指標において120%以上の達成度が求められていることなどに御留意いただきますようお願いいたします。事務局からは以上でございます。

 

○松尾主査

 それでは早速議事に入ります。平成27年度業務実績評価についてこれから議論いただきますが、初めに国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項のうち、「1-1-1診療事業(医療の提供)」について、国立病院機構からポイントを絞って簡潔に御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 それでは、4ページの1-1-1の診療事業から始めさせていただきます。70ページまでの業務実績について説明させていただきます。まず、資料1-38ページを御覧ください。1-1の診療事業(医療の提供)についてです。この項目は、患者の目線に立った医療の提供、安心・安全な医療の提供、質の高い医療の提供が年度計画に定められています。

 まず、患者の目線に立った医療の提供については、患者の満足度調査を平成16年から実施しています。平成27年度は、入院において、総合評価をはじめ、分かりやすい説明、プライバシーの配慮について、前年度平均値を上回る結果でしたが、外来においては、各評価項目で前年度を下回りました。

9ページを御覧ください。各病院ではそれぞれの調査結果を踏まえた取組を進め、特に前年度の平均値が低かった多くの病院で改善が進んでいるところです。12ページ、この改善についてですが、例えば医療ソーシャルワーカー(MSW)について、平成27年度は23名の増員を行い、459名になっています。その結果、病院によってはMSWが土曜日にも勤務することが可能となり、紹介患者、救急患者への早期介入を可能とする病院も出てくるなど、数々の改善が各病院で行われています。

17ページ、安心・安全な医療の提供についてです。まず病院間相互チェック体制の拡充です。これは3つの病院同士で相互訪問してチェックすることで、医療安全対策の質の標準化、向上を図るものですが、平成27年度はこれまでの実績を基に実施要綱の改定、それから、全国40病院で相互チェックを実施いたしました。この結果、平成27年度までに全病院一巡し、第1クールを終了しました。病院間での情報交換、意見交換が活発に行われ、国立病院機構全体の医療安全対策の向上のための情報、スキルの共有が進みました。

18ページ、院内感染報告制度の設置についてです。平成27年度より全病院における院内感染事例を一元的に情報収集し、分析を行い、再発防止に役立てる体制を構築しており、運用も開始しています。また、院内感染防止体制の強化のために、全病院で院内感染対策チーム及びそれに準ずる院内組織を設置しています。19ページ、感染管理の認定看護師は183名となり、配置病院数、人数ともに増加させることができています。

20ページ、医療事故調査制度に関してです。各病院が昨年10月から始まったこの制度に適切に対応できるように、「医療事故調査に関する専門委員会」を設置し、指針の見直しを行い、更にその周知徹底を図っております。国立病院機構自体も「医療事故調査等支援団体」に指定されて取組んでいます。

25ページ、質の高い医療の提供です。まず、チーム医療推進のための取組ですが、各病院におけるNSTICT等の複数の専門職種による協働チームの設置だけでなく、医療の質の向上、医療安全の観点から病棟薬剤師、診療看護師、専門・認定看護師の配置を進めており、チーム医療の一員として活躍しております。

 また、チーム医療推進のための研修として、従来からのNST、がん化学療法、輸血などの研修に加え、教育研修の領域でも述べますが、新しいコンセプトでチーム医療研修を新たに開始しています。

30ページ、数値目標になっているクリティカルパスの活用についてです。効果的なチーム医療の実践及び医療の質の標準化の取組として、平成27年度の実施件数は301,181件となり、計画に対して、2.4%の増加になっています。地域連携パスに関しても後述しますが、実施件数が増加しています。

32ページ、臨床評価指標です。平成27年度は治療ガイドラインの変更などを踏まえ、全体的な見直しを実施しまして、87指標から改訂版の「臨床評価指標Ver.3」の115指標へ拡大して測定を開始し、公表しました。

 また、これまでは有償で提供してきました「計測マニュアル」の無償公開をホームページ上で実施しました。このマニュアルには、平成279月から23万件のアクセスがあり、国立病院機構の臨床評価指標は非常に注目され、関心を持たれていることが分かりました。さらに、いろいろな医療情報の分析のソフトに、国立病院機構の指標の算出が自動でできるものが実装されているものもあり、利用する病院も増えてきています。

33ページ、こちらは臨床評価指標を用いたPDCAサイクルによる医療の質の向上の推進です。中期計画に記載されている「医療の質向上委員会」の設置について、中期計画期間の5年間で全病院に設置し、医療の質の改善に取り組むということを目指しています。平成27年度はモデル病院も含め第一次の募集を行ったところ、こちらの予想を上回る66病院が自発的に手挙げをして委員会の設置ができました。

 これらの病院に対しては、委員会設置だけではなく、モデル病院での運用によって蓄積された、委員会を実働させるための「ノウハウ」を修得するためのワークショップを全国6か所で開催しました。各病院独自の指標をメルクマールとした医療の質の改善に、これらの66病院が取り組んでいます。実は十分スタートできていない2つの病院がありましたが、現在、その2病院もきちんと参加することが可能となり、参加全病院より改善経過の報告書が提出され、現在、この取組も順調に進行しています。

5ページに戻っていただきます。自己評定です。この評価項目について、高齢化や医療技術の進歩など医療の環境が変化する中で、患者の多様な医療ニーズに対応していくためには、医療安全、医療の質の評価、改善が不可欠であるため、重要度は「高」と設定させていただいております。

 難易度についても、「高」に設定していますが、その理由として、医療安全、医療の質の向上のために、先ほど申し上げましたが、医療の進歩に合わせ、又は医療ニーズの急速な変化に合わせて不断の見直しが必要なこと。また、全ての評価項目に関わることであり、国立病院機構の特異な問題になりますが、機構は143の規模も、機能も、医師数、あるいはベッド数も大きく異なる病院によって構成されていまして、これらの全ての病院に医療の質・安全の基準の水平展開をするとともに、定着させるということは極めて困難な取組であると私どもは判断しています。

 また、数置目標にしているクリティカルパスに関してですが、最新の医療動向を踏まえた上で、多職種連携の下、クリティカルパスを作成する必要もあります。また、作成後も、評価・改善を続け、適切に運用する能力が求められます。この技量を、医師、看護師、薬剤師をはじめとした多職種に修得させることが必要であること、また、普及のため、電子カルテをはじめとするインフラ整備も必要となってきます。これらに必要とされる時間・手間・資金も多大なものになっており、導入に困難を来しています。さらに第2期中期計画中に既に高い実績を上げている中で、病院の機能分化が進み、平均在院日数が短縮し、入院患者数が減少する現状で、国立病院機構が限られた患者数の中で実施件数を増加させることも難易度が高いと判断される根拠としております。

 臨床評価指標に関しては、定量的に質を評価することがそもそも難しい中、不断に指標を評価・改善し、完成度の高い指標により測定を行い、結果を公表しています。それから、指標や測定、公表している病院グループはほかにもありますが、指標による測定にとどまらず、医療の質向上委員会等を設置し、具体的に臨床評価指標をメルクマールに医療の質改善に取り組んでいる所は、病院単体では、例えば聖路加病院のような例がありますが、病院グループとしてはありません。この医療の質改善の取組のために本部と病院が協力し、モデル病院で得られたノウハウの蓄積を普及するためのワークショップを全国で開催しながら、1病院ならず、急性期、慢性期、規模も機能も異なる全病院に、この委員会を設置し、水平展開していくことは難易度が高いというように判断しています。

 

○松尾主査

 前回もディスカッションする時間が足りなかったので、説明を簡潔に是非お願いしたいと思います。

 今の1-1-1の項目ですが、構成員の皆様方から自由に御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。

 

○高瀬構成員

 資料1-2 平成27年度業務実績評価説明資料で見ると、主な指標というのはこの2つしか出ていないのですが、評価の指標にはほかのも全部、入っているわけですか。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

5ページのことですか。

 

○高瀬構成員

 そうです。クリティカルパスと、質向上委員会の2つだけが主な指標として挙がっているのですが、例えば患者満足度なども、一応、評価の指標としてはあるということですね。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 もちろんです。そういうことで評価書に掲載させていただいております。

 

○高瀬構成員

 そうですよね。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 ただ、数値目標としては、主な指標に挙げているこの2つで設定させていただいております。

 

○高瀬構成員

 患者満足度の数値目標は定量的なものに挙げないのですか。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 当初、平成26年度の評価において、数値目標として設定したものがこの2つだったので、それを踏襲しております。

 

○高瀬構成員

 ここで言うと、例えば自己評価Aというのは、難易度も含めて。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 はい。

 

○高瀬構成員

 ということになるわけですね。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 数字としては、クリティカルパスは計画に対して2.4%の改善ですし、委員会のほうの設置は当初予想以上に各病院の関心が強く、熱意もあったので165%の達成になっていますが、双方共に目標値の120%を超えているわけではありません。

 

○高瀬構成員

 そうですよね。了解しました。

 

○松尾主査

 冒頭の120%、この前も話題になりましたが、難易度と重要度とかの関係が非常に難しいところですが、ほかに御意見はありますでしょうか。

 

○大西構成員

 評定をAにされているのは重要度、難易度が高いというところが1つの要素になっているわけで、重要度と難易度の状況ということについて御説明いただきましたが、これは必ずしも年度ごとに変化する性質のものでもないということですね。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 要素を何項目か上げましたが、特に私どもも苦労しているところは、やはり医師数、規模、それから、診療内容、機能に、非常に大きな差がある多様な病院がある中で、医療の質だったりを、もちろん満足度もそうですが、本部としての取組と各病院の取組を協働しながら改善していくというのは、非常に難しいというところはあります。これは年度によって変わるものではありません。

 

○大西構成員

 そうですよね。ということは、当初の計画の中で盛り込まれている難しさであり、重要度の高さであるということは言えるのですね。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 そうです。

 

○松尾主査

 ほかに御意見はありますでしょうか。それでは、私からですが、一応、100%の目標は達成していますが、120%には達していないと。それを普通はBですけれども、Aに上げるという、このロジックですね。例えば医療安全とか、クリティカルパスもそうですが、今お話されていたのは、よく医療を評価するときにストラクチャーとプロセスとアウトカムだというように言われて、多分、主にストラクチャーの話です。プロセスは例えば医療安全だと、実際にヒヤリ・ハットの報告件数がどれぐらい増えたかとか、それをどれぐらい処理したのか。アウトカムで言うと、その結果、医療事故はどれぐらい減ったのかというような恐らく質的な改善で、これも伴うとAに上げるロジックが成り立つかなと思って、その一部は、以前の議論でもあったのですが、どれぐらい難しい。これは確かに難しいのですが、その難しさを測るためにほかの病院グループとベンチマークするとか、それは先ほど少しお話されて、その部分はよかったと思います。今後、ストラクチャーのところプラス、プロセスとアウトカムのところ、言い換えると、質の話ですけれども、こちらのほうのデータがあると非常に説得力があるかと思います。その辺り、いかがでしょうか。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 臨床評価指標に限ってまず例としてお話させていただくと、当初、ストラクチャーだった部分をかなりプロセスに変えてきたこと。それから、当然アウトカムの指標も増やしたというところで、私どもとしても今お話されたとおりだと思っています。ただ、プロセスはかなり改善していますが、いわゆるアウトカムがどれだけというところがまだ、実質なかなか出にくいところです。

 ただ、先ほどのPDCAの改善であれば、1つのメルクマール、プロセス指標が多いのですが、こちらはいわゆる委員会の設置だけではなくて、先ほどもありましたように、実はノウハウ集としてこういうもの(臨床評価指標の本を手にとって示す。)も出来ていまして、非常にこの中にノウハウが詰まっています。これをワークショップで行うことによって、そのときに私どもも参加するのですが、非常に多くの意見、あるいは情報が共有されることが分かりました。この結果として、第1陣のグループはプロセス指標もかなり多いですが、ほぼ改善を来していると。ただ、それが指標で一番問題になるのですが、直接つながってのアウトカム、例えば、死亡率が改善するとかそういうところへ、なかなかつながりにくいというのがあって、これが恐らく指標の一番難しいところであろうと思います。ただ、私どもとしても、指標を増やしながら、そちらを目指しているという状況にあります。結果は、プロセスの改善までいっている。こういう状況にあります。

 

○山口構成員

 御説明ありがとうございます。国立病院機構の特徴は143の数があるということから、資料1-317ページの所の病院間の相互チェック体制というのが、1つ特徴として前向きにできることかなといつも思って拝見しています。

 今回、全ての病院が第1クールを終了したということで、実施したことは書かれているのですが、これを実施したことによって、何か具体的に変化とか、プラスになったこと、そういったことが記載の中には見当たらなかったので、実績として何かお伝えいただけるようなものがあれば教えていただきたいと思います。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 やはり医療安全上で各病院の手法の中で、例えば手術の準備とかそういう中での機材の準備の仕方とか、いろいろな現場で分かるようなことが、いろいろな病院が直接会うことによって、具体的なものが伝達されて、そういうものが改善されたりとか、余りにも小さなものの改善がたくさんあり、ここに書けなかったのですが、実際、集めたら非常に多くありました。

 それと、ある程度医療安全のところでは、常識的なものでも、やはり分かっていない病院もありますので、それは本で読んで修得するというよりは、やはりこういう形が非常に有効性が高いということも分かってきました。

 

○山口構成員

 現場でのそのやり取りは非常に有効だと思います。そういったことによって意欲が高まったりとか、自分たちのやっていることの確認につながったりということがあるかと思いましたので、何かそういったことも、細かいことが多いということもよく分かるのですが、何か具体的に書き込んでいただけると有り難いかと思います。

 

○松尾主査

 ありがとうございます。

 

○斎藤構成員

Aランクには、数字を見ると前年度よりも少し減っている、あるいは同じというものが多いので、ちょっと抵抗があるというのは事実です。余り強くおっしゃっていなかったのですが、診療時間を変えて、サラリーマンに使いやすくするとかというような記述がありました。診療時間を変えるというのは、シフトを変えるなど、ものすごく大変な御苦労だったと思います。受診する人たちが便利なように、利用しやすいようにと御配慮の賜物だと思います。そういったところをもう少しアピールなさってもよかったのではないでしょうか。評価のところで余りアピールしていないと評価されづらいというところもあるような気がするので、外に対して発信をもう少しなさってもいいのかと感じました。

 

○松尾主査

 簡潔にお願いします。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 おっしゃられるように、現場で診療時間の変更を行うのは非常に大変です。私も病院にいるときに、それも行いました。ただ、国立病院というのはもともとの組織上、そういうことになかなか進みにくいというところもあります。今、独立行政法人化されて、その部分はかなり自由になったということもあって、そのとおりだと思いますが、各病院では、例えば、土曜日に外来で診療されている所がかなり増えていることも事実です。

 

○松尾主査

 簡潔にお願いします。

 

○国立病院機構副理事長

 どうもありがとうございます。先ほど松尾主査がおっしゃったように、評価はストラクチャー、プロセス、アウトカムの三つの視点が一般的です。私どもはまだストラクチャーを整えるという段階もあり、それがようやく達成しましたということです。前倒ししたものもありますが、おっしゃるようにこれからはプロセスも重要です。それから、山口構成員が言われた、質の内容、結構良い内容がいろいろ挙がってきますが、それを全部きれいに説明できませんけれども、今後は、まず「量」を達成したら、次は「質」というように、中身がうまく運用されているかどうか、それもできれば説明していきたい。

 それと、併せて、医療は物を100個、120個作るというような簡単な話ではないということと、先ほど大西構成員が言われたように、私どもの中でも人の異動があって医者が代わったり、看護師が交代したり、あるいは地域の開業医も代わったりという状況の変化の中で、成果をずっと維持し続けることの大変さもあるということで、それはなかなか数字では表わせないけれども、引き続き全国で努力しています。今後は、できるだけ分かりやすい事例の説明を含め、本日のご意見も踏まえていくようにしたいと思います。

 

○松尾主査 

それでは、時間の関係で次に行きたいと思います。「1-1-2」をお願いします。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

36ページを御覧ください。1-1-2、国の医療政策への貢献です。実績ですが、39ページの国の危機管理に際して求められる医療の提供の所で、災害対応体制整備を現在進めております。平成27年度はそれまでの基幹災害拠点病院は変えておりませんが、災害時に被災者の受入・搬出を中心的に行う災害拠点病院は23病院に拡大しました。

 災害発生に対しては、初動医療班、DMAT隊員の派遣を行うわけですが、そちらの訓練も継続して行っております。実際の災害として、昨年度はネパールの中部大地震には災害医療センターから医療チームが、関東・東北豪雨災害に関しては近隣病院のDMATが派遣されております。43ページを見ていただくと、武力攻撃予測事態における住民の避難・保護のための「国民保護訓練」に関しても、本部職員及び6病院のチームの方が参加しております。

 引き続きまして44ページは、セーフティネット分野の医療の確実な提供です。結核及び重心、筋ジストロフィー、それから医療観察法等において、3090%に及ぶシェアを持っておりまして、主体的役割を果たしております。特に44ページに示しますように、重症心身障害児()の在宅医療を支援するため、通所事業、生活介護、放課後のデイケアサービス、児童発達支援に対応できる病院を増やすなど、都道府県の重症難病患者の事業に関して、多くの病院が協力し、役割を担っております。

 それから、45ページに記載していますように、これらの病棟において、NICUの後方支援病院としての機能強化も推進しております。患者の延べ受入数はそちらに記入しており、増加しております。45ページの下段ですが、療養介助の充実ということもあり、療養介助職の増員も行っております。

53ページは重点課題に関するモデル事業です。ここに数値目標にも挙がっている後発医薬品の利用促進が記入されています。厚労省は平成303月までに60%、数量ベースでの目標を示しておりますが、これを基に目標を作成しております。後発医薬品の使用促進を図った結果、平成27年度は平成26年度の66.4%から72.7%まで上昇し、計画に対して21.2%の上昇になっています。

53ページの下段は難治性の精神疾患に関してですが、クロザピンなどの専門治療を受けることのできる地域連携体制を構築することが、副作用発生時の対応等で必要ですが、このモデル事業に1病院が参加しております。また、厚労省の人生の最終段階における医療を実現するモデル事業に、新たに1病院が採択されております。55ページにはエイズへの取組推進について、拠点病院、連絡会議、研修の実施を通じて、引き続き均てん化を推進していることを記載しております。

37ページに戻って、自己評定です。こちらは国の危機管理に関して迅速に対応できるような形で協力すること。また、他の設置主体では、必ずしも実施されないおそれのあるセーフティネット分野の医療において中心的役割を果たすということで、重要度が高いと考えております。

 難易度に関してですが、通常の業務を行いつつ、災害に迅速に対応するための人材育成訓練、あるいは災害対応体制の整備を実施すること。セーフティネット分野では、これらの医療の担い手である医師の確保については、現在非常に困難な状態となっておりますが、実際の人材確保だけではなく、育成から取り組まなければならない、それでも維持がやっとという分野もたくさんあって、これらに継続的に取り組むことは難易度が高いと判断しております。

 後発医薬品の採用率に関しては、諸外国に比べて、日本では低いという事情がありますが、そのような中、国立病院機構では、全病院の平均値で、この数字を出しています。平成27年度の全国平均が55%ですから、それよりも高い結果を残しており、難易度が高いと判断し、この難易度「高」をもって評価すると考えております。以上です。

○松尾主査

 それでは、ただいまの説明と自己評価について、委員の皆様方から自由に御意見を頂きたいと思います。いかがですか。

 

○高瀬構成員

 これは分かりやすいので、自己評価Aでもいいと思うのですが、後発医薬品については、1つの連合体で、本部が声を掛ければ、ほぼ100%になりそうな感じもあるのですが、これはなかなか難しいところがあるのですか。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 残念ながら、なかなか難しいことがあります。特に各病院においてしかるべき手順、薬事委員会等があって、そこで評価をしながら順次変えていきますので、本部から後発品に全部変えろと言っても、すぐにはいかない。やはり医療ということは、各病院が責任を持ってやっているということがあります。

 それと、少し上がっても、後発品ができた薬等が増えることもあり、常にメンテナンスをしていないといけない。5病院ほどは実際に下がったということもある中で、これだけ全病院で平均値を上げております。

 それから、DPC病院においては、当然非常にドライブが掛かるわけですが、非DPC病院においても情報を出し、本部からも情報発信を続ける中でやっていって、この数字ということですから、なかなか簡単ではないということです。

 

○高瀬構成員

 分かりました。そうすると、結局あるジェネリックを、ある病院では使っていて、ある病院では使っていないということも生じるわけですね。その根拠は。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 標準的医薬品等の中にもそういうジェネリックの部分も作っております。それと、必ずそういう病院から、ジェネリックに関しては供給が十分あるのかとか、何らかの副作用はないのかとか、現場の先生方からいろいろな不安等が出るので、そういうものがなくて、私どもの中でも採用があるジェネリックに関してはリストを周知しており、導入しやすいような形での誘導はしております。

 

○高瀬構成員

 そういうリストが整備されれば、全部の病院が一斉にそれを使ってもいいような気もするのですが。

 

○国立病院機構理事(医務担当)

 私どもの143病院はいろいろな種類の病院があります。例えば急性期病院であれば、そうしたリストにのっとって、後発品を使用をしていることもあります。しかし、例えば障害者系の病棟はすごく長い経緯の患者がいて、分かりやすいのは抗てんかん薬みたいなものです。先発薬でずっと発作を抑えてきましたと言ったときに、後発品にしたときにどうかということで、急性期病院と少し違った種類の、患者側からも医療提供者側からも、少しハードルが高いというのがあって、そこを何とかしようということで標準的医薬品も含めていろいろな仕組みを本部でもやっているところです。

 

○国立病院機構理事長

 ジェネリックに変える場合、単に薬が同等だからという以外に考慮しなければいけない幾つかのファクターがあります。例えば錠剤ではそれほど問題になりませんが、輸液の場合だと、従来のものがパック型のものだったのが、ジェネリック製品だと瓶詰めであったりすることによって、後の廃棄の問題が変わってきます。

 ブランド品に関しては、名前を付けるときに、類似のものがないように、医療安全上の考慮がされて、かなり区別できるようにしているのが、ジェネリックになりますと、一般名になりますので、もともと化学名ですから、変えようがなく、類似した名前の品が出てきてしまう。そのために、院内の他の薬剤との関係で、医療安全上、どうしてもそれは別にしておかなければいけないと考えて、ブランド品を残さざるを得なかったりと、細かいところで配慮すべきものがあります。そのため、すぐに100%になるのはなかなか難しくて、いろいろなところも配慮しながら、今のような経過をたどっていることを御理解いただければと思います。

 

○松尾主査

 ジェネリックを入れるときに、例えば抗がん剤などを入れるときに、私も経験があるのですが、どうしても副作用の問題などがドクターから出るのです。それを抑えるために全国でどのぐらい実際に副作用があったのかを調査をして、特に問題がない場合は説得をして変えてもらうとか、そういった努力も必要かと思いました。患者の目から見ると、また違うのでしょうが。ほかに何か御意見はありますか。

 

○斎藤構成員

 先ほどから御説明いただいたポイントではない所に私は感動しました。多分専門家の先生が御苦労なさっているのと素人が見るのと違うのだろうと思いますが、日々の診療で忙しいにもかかわらず、セミナーを回数多くやっておられるのは、私はすごいことだと思いますが、余り評価されていないのでしょうか。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 もちろん評価はしているのですが、いろいろ項目がある中で、均等に出しているということもあります。難易度に関して、診療を行う中で、そういうセミナーをすること、あるいは改善をする、災害に対して準備をする。例えば日赤でも同じようにされているのだろうということもあって、どれだけベンチマーク的に、更にできているかという意味での説明の仕方になったために、余り強調しませんでした。ただ、どの病院でも積極的に行われていて、本来一番必要なことだと思います。

 

○松尾主査

 ほかにいかがですか。これは評価Aで。我々が判断するわけではないのですが、先ほども出ましたが、去年と余り変わってないなというのが正直な印象です。

 審議官にお聞きしたいのですが、毎年120%というと、Aを達成しようと思うと、相当大変なことですが、中には維持するだけで非常に難しい項目があったり、120%に達しなくても、今、議論が出ているように、そもそも数字を伸ばすこと自体が非常に大変だということがあって、最終的には大臣が判断されるのでしょうが、その辺の考え方はどうなのでしょうか。

 一番大事なのは、皆さんも非常に必死になっているのは、そういう評価が例えば運営交付金とか、いろいろなところに跳ね返ったり、どういう仕組みになっているのでしょうか。

 

○総合政策・政策評価審議官

 まず最後の運営交付金に跳ね返るかというと、直接跳ね返ることはありません。間接的にも多分ないと思いますが、基本的にはないということです。

 それから、最初の120%そもそもやること自体、非常に難易度が高いということ、あるいは、ずっと120%以上に達していること、それ自体がすごく頑張っているのだということです。細部は難易度などを総合勘案してというのがお答えになるかと思いますが、申し上げたいのは、決してAを取ることが目的ではなく、Bというのは、ある意味で大ざっぱな言い方をしてしまいますと、今までのABを合わせたのがBになっているという感じですので、Bというのが、何となくイメージ的には頑張っていないという印象があるのかもしれませんが、決してそういうことではなくて、100%以上でなければ本来はBにはならないわけですし、すごく頑張った結果でもあると理解しています。要するに、合格点を頂いたものと理解していますので、Aにするためにはどうしたらいいかというのは余り考えなくてもいいのかと思います。

 もちろん法人的にはガバナンス的なモチベーションの問題とかいろいろとあると思いますので、今回のような評価の仕組みだと、そのものから直にそういうものは出にくくなったのかなと個人的には思うわけですが、申し訳ないのですが、また法人の中のガバナンスなども工夫していただきながら、やっていただければと思います。そこはちょっと申し訳ないと思います。

 

○松尾主査

 ということでよろしいでしょうか。次の項目に移りたいと思います。よろしくお願いします。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 評価項目1-1-3の地域医療への貢献、60ページです。こちらでの評価で実績ですが、63ページの医療計画の5疾病、5事業及び在宅医療の各分野の実施機関として私どもは位置付けられているわけですが、その取組を推進しているものの実際の実数を63ページに表示してあります。さらに、地域医療に貢献するために、国立病院機構は設置主体がもともと国であった沿革より、都道府県との距離があり、その現状を打破する必要があります。機構の各病院と都道府県との政策対話の会を推進しておりますが、各都道府県における医療体制、連携体制についての検討・討議の場である医療審議会等に積極的に参加をしております。

64ページは数値目標に挙げている地域連携クリティカルパスを記載しております。地域の医療機関と一体となり、大腿骨頸部骨折、脳卒中、がん等の地域連携クリティカルパスの実施を通じて、地域完結型の医療の実現に貢献しており、平成27年度実施総数は7,591件と増加しております。

65ページ、数値目標に設定している紹介率です。国立病院機構では地域医療に貢献するため、紹介率・逆紹介率の向上に努めております。平成27年度の全病院の平均値に注目いただきたいのですが、紹介率は69.3%、逆紹介率が56.3%と向上し、計画を上回っています。また、救急・小児救急の受入れにも力を入れています。救急患者の受入れ、救急車の受入れ、人数ともに増加し、重症であると考えられる救急受診後の入院患者数も増加しております。

68ページは在宅医療との連携、地域包括ケアシステムへの貢献です。この3期中期計画における在宅医療の取組を示しております。これを受けて重症心身障害児()、難病患者等の在宅療養支援のために、急性増悪時の入院、レスパイト入院に対応するための在宅医療機関との連携の充実を図っております。

69ページを見ますと、実際の在宅医療を担う医療機関との連携として、平成27年度は新たに7病院が在宅療養後方支援病院になり、全部で21病院です。7病院が地域医療包括ケア病棟・病床の入院管理料を取得して、全部で19病院になっています。

70ページは訪問診療についてです。平成26年度は19病院でしたが、平成27年度は24病院です。同様に訪問看護も平成26年度24病院から、平成27年度は36病院に増加しています。また、今まで設置していなかった訪問看護ステーションは、いろいろな検討のもと、平成27年度は3病院を開設することができました。

61ページに戻ります。重要度に関して、国の医療介護総合確保推進法の改正により、都道府県が中心になるわけですが、こちらに協力をすることは非常に重要であることと、自治体、地域医療機関と連携して地域の実情に応じた対応をすること、また、新たに在宅医療、訪問看護等も含めた医療提供は、私どもにとって非常に重要なものと考え、重要度を「高」としております。

 また、難易度は地域の実情、高齢化、医療機能の分担、医師の偏在などがありますが、それぞれの地域で異なった連携デザインを、変わりゆく中で構築していく必要があります。その上で、将来の地域における医療体制の検討をしながら、医療を提供していくことが求められており、都道府県との連携を進めながら、国という遠隔から変革をするということで新たな取組・変革を私どもは求められることから、難易度が高いと判断しております。

 地域連携クリティカルパスは上記の状況の中で、既に第2期中期計画で非常に高い実績を上げており、実際に高い実績となった後で、更にほかの医療機関との連携のもと、地域連携クリティカルパスの実施件数を増大することは難易度が高いと考えております。また、紹介率に関しても同等のことが言えて、第2期計画中に20%増という実績を上げており、更に連携、医療機能を扱う診療が異なる中で、国立病院機構全体での平均の紹介率を上げていくことは難易度が高いと判断しております。以上のことを踏まえ評価とさせていただいております。以上です。

 

○松尾主査

 それでは、構成員の皆さんから御意見をお願いします。

 

○山口構成員

 在宅医療とか、地域包括ケアにも取り組んでいかれているということで、全般的にとても前向きな取組をされていると感じました。中でも紹介率を平均してこれだけの高い数字を出すというのは、とても大変なことではないか。ほかに外部評価委員を務めている団体も幾つかあるのですが、急性期の病院ですら、この数字が出せない所がある中で、143病院をおしなべて69.3%を出しているというのは、御努力がとてもあってのことだろうなと感じました。

 これだけの数字にしようと思うと、例えば急性期の病院でかなり引っ張らないと平均の数が上がらないのかなと感じているのですが、143病院の中で、例えば紹介状を持ってくる患者を特に増やせるような急性期の病院でカテゴライズしたら、そこで大体どのぐらいの数字が出ているのかというのがもしあれば教えていただきたいと思います。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 一般病床中心が73.8%で、実際に一般病院中心の350床以上になりますと77.7%ということです。その中でもトップの所は、90%ぐらいを地域の中で紹介をしていただいているということもあり、私どもとしては非常に努力をしているところです。

 

○松尾主査

 ほかにいかがですか。

 

○亀岡構成員

1つ確認ですが、64ページの3番目のがん対策医療への取組という所で、地域がん診療連携拠点病院は昨年に比べて2病院、これは減少しているのですが、引き続き貢献していると書いてあります。減少した理由をお聞きしたいと思います。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 実は基準そのものが厳しくなったということがあって、今までその病院として活動はしていたのですが、例えば放射線の治療の実績とか、そういうところが足りなくなったり、人事異動によって病理医の数だったり、必要なものが決まっておりますが、それが確保できなかったことによって2病院ぐらいが、病院としては非常に断腸の思いではあるが、この基準から落ちてしまったと。ただ、その下にある県のほうからの指定の病院として活動していますので、それはそういう項目のルールがありますので、なってしまったということがあります。

 

○亀岡構成員

 これはお願いになると思います。67ページ、68ページ等について、文章の中でこれだけになりましたということで数字をどんどん書いているのですが、できましたら、先ほど私がお聞きしたような、例えば64ページにあるように、前年度は何名であった、どれだけだった、今年度はどうなったのかということが分かるように、特に限られた時間の中で判断するときは、それは非常に重要なことなのかなと感じました。

 それと、ずっとお聞きしていて、良い所のアピールは随分あるのですが、そうではない部分についてもきちんとすることが、本来の正しい評価につながるのかと思います。聞いていると、とても耳障りがいいのですが、今のようなこともあれば、決してそれはマイナスという意味ではないので、その辺は大事なのかと思いました。

 

○松尾主査

 これは先ほどの診療連携拠点病院ですが、確かに基準が厳しくなって減っていると思います。全国的な数というのは分かりますか。全国でどのぐらいあって、基準が変わってどのぐらい減ったかというのは分かりますか。2病院減ったというのは、よしとしなければいけないのかです。よくやったというレベルなのか。多分、大分減っているのではないかと思うのですが、今、分かりますか。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 今は分かりません。

 

○松尾主査

 そのほか、御意見はいかがですか。 

 

○国立病院機構理事長

 がん診療連携拠点病院ですが、基本的に今までなかった医療圏で新たに認められたのが約10病院ほどあるかと思います。既に複数ある場合に関して、新規に認めるというのはかなり厳しい条件ですので、それはありません。

 それから今回、国立病院機構でも2病院減っておりますが、これも複数ある医療圏で条件を満たさなかったために1年間猶予があったのですが、期間内に条件を満たせず、その期限が切れて駄目になってしまったという所ですので、全体の数としては若干増えているかと思います。

 

○大西構成員

 大変素晴らしい成果を上げておられると本当に思うのですが、難易度の所で国立病院機構の各病院が地域医療に貢献するという所がありますが、それぞれの地域で異なった連携デザインを構築していく必要がある、その上で地域における医療体制を検討しながら医療を提供していくということ。これは143の病院がそれぞれの地域でやられているということですから、大変いろいろなことを御検討されて、御苦労されていると思います。143病院の地域ごとの連携デザインを具体的に構築されてきていると捉えてよろしいのでしょうか。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 御質問の正確な答えになっているかどうかは分かりませんが、そもそもその地域において医療機関の数がどうなっているか。例えば大阪の大阪医療センターであれば、数キロ内にそれだけの大きな急性期の病院が4つもある中で、どうやっていくかということ。一方、例えば小さな病院、福井県のあわら温泉のそばにあるあわら病院ですが、病院自体は急性期中心の病院ではないのですが、地域の開業医の先生方が高齢化してきていて、もちろん福井市内に出れば急性期の病院はありますが、その地域においては拠点病院ということで、訪問診療だったり、今は訪問看護を推進していますが、介護も考えなければいけないということもあって、そのような形を考える。ただ、急性期の中でも種々あって、先ほどの大阪の例をお話ししましたが、例えば舞鶴という9万人の人口の所では急性期の中規模の病院が4つもあって、今は再編で3つになっていますが、その中でそれぞれが医療連携をして、機能を分化というか、分担しなければいけないということもあったりします。今、例を3つ挙げましたが、それぞれ違う。

 その中に先ほど申しましたように、障害者病棟を持っているが、地域の中では後方支援の機能も持った病院は結構ありますから、そういう意味では私どもは143病院という目で見ますと、この表現通り、非常に多彩なものがあって、もちろん病院側も必死で考えるし、本部もそれを支援しながら様々な状況に応じて対応を考えるという形になっています。

 

○松尾主査

 ほかに御意見はありますか。

 

○高瀬構成員

 この紹介率は紹介状を持って来ないとお金を取られますよね。今年からちょっと、また上がったのです。もちろん前も取っていたわけですが、その関係というのは影響しているのですか。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 その影響は、今回は明らかではありません。

 

○高瀬構成員

 今まではどうですか。

 

○国立病院機構理事長

 紹介状がなければ自己負担が発生するというのは、500床以上の地域医療支援病院とか条件があって、全ての病院ではありません。機構の場合は必ずしも全部が500床以上の病院ではありませんので、影響がどのぐらい出るか、もうしばらくしないと言えないところがあります。

 

○高瀬構成員

 機構は幾らするのですか。

○国立病院機構理事長

 病院ごとによってまちまちです。余り高く取れない病院もあれば、かなり思い切って取っている病院もあります。

 

○松尾主査

 ほかに御意見はよろしいですか。では、ないようですので、次の項目に移りたいと思います。次は国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項のうちの「1-2臨床研究事業」についてです。まず、法人からポイントを絞って簡潔に説明をお願いいたします。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 研究事業1-2ですが、71ページをおめくりください。臨床研究事業のこの項目に関してですが、実績に関しては、更にめくっていただきまして、76ページを見ていただきますと、診療情報の収集・分析と情報発信機能の強化についてです。EBM推進のための診療情報分析ですが、引き続き全病院を対象としたDPCデータ、外来データの収集・分析によって、国立病院機構内の比較、あるいは地域のほかの病院との比較など、多角的な視点の分析を行って、診療情報分析レポートとして、解説編とともに公表しております。

 新たに更に、79ページを見ていただきますと、電子カルテの情報を収集・分析するためのIT基盤構築に関してですが、電子カルテの情報の収集・分析をするためには、電子カルテデータの標準化が極めて重要であります。ただ、電子カルテはベンダごとに開発が行われ、各病院が使いやすいように更にカスタマイズされるなど、データの形式が標準化されないまま普及したことから、電子カルテ上で使用される病名や医薬品などのコードが、ベンダや病院で異なり、標準化の課題となっております。

 これに対して27年度、国の補助金を得まして、厚生労働省の推奨しているSS-MIX2標準規格を用いて、電子カルテ情報を収集・集積するIT基盤を構築しました。さらに、我が国の電子カルテデータ標準化の全国普及展開に資するため、ほかの医療機関への普及促進を図るための導入手順などの工程を「標準作業手順書」として取りまとめ、広く公表いたしました。

83ページ、大規模臨床研究の推進です。日本最大の病院グループであります私どものスケールメリットを利用しまして、豊富な症例と、一定の質を担保することが可能という特徴を活かしまして、「EBM推進のための大規模臨床研究」を行っております。27年度は新たに4課題の演題を選定し、現在登録を進めております。

87ページを御覧ください。研究成果の情報発信についてです。数値目標にもなっております英文原著論文数ですが、27年度は計画の1,985本に対して2,340本、17.9%増と、計画を超えております。昨年度よりは10.2%の増になります。

88ページの下段を見ていただきますと、モチベーションを上げていただくために、臨床研究に取り組んでいただけるように、国立病院機構優秀論文賞を昨年より創設し、27年度は記載の2本の論文について表彰を行っております。

94ページの治験に関してですが、治験の体制は確立され、かつ、常勤のCRCの増員を進め、それらのスタッフの教育にも努めております。96ページに示しておりますように、受託研究の経理、症例の登録状況、各病院の治験の進捗状況の管理を一元化した治験管理システムを構築し、運用を開始しております。

97ページを見ていただきますと、治験実績が記載されております。実際に国際共同治験が進み、本邦における治験を行うことが厳しくなる環境の中で、27年度も4,857例、おおむね、昨年並みの実績を残しております。

100ページを見ていただきますと、先進医療技術の臨床導入の推進です。理化学研究所との包括的な連携協定に基づきまして、NKT細胞治療の臨床研究を推進しており、27年度は症例数蓄積のため、新たに13病院を協力医療機関として追加しております。また、京都大学のiPS細胞研究所と合意書を締結し、iPS細胞を用いた難治性疾患などの病因の解明、新たな治療の開発のための症例登録が順調に進んでおります。

104ページを見ていただきますと、これらに従事する人材の育成です。これらに関わる倫理の遵守を求めるため、CITIJapanの教育研修プログラムを活用しておりますが、今年度も更に登録人数が増加しております。

72ページにお戻りいただきまして、自己評価、評定です。重要度に関しては先ほども申しましたように、電子カルテなどの医療情報の標準化ということは国の医療の推進のために非常に重要な項目だと考えておりますし、さらには治験、それから臨床研究というところも国の医療の発展のためには非常に重要なものと考えており、重要度を「高」としています。

 難易度に関してですが、先ほども申し上げましたように、電子カルテの医療情報、現在のベンダ、病院で使用が異なっている中、これを標準化に取り組むということは非常に難易度が高いものであり、こちらを国立病院機構が日本で初めて取り組み、我が国の医療情報の標準化の普及促進に取り組んでいくということは、難易度が高いと考えております。臨床研究も143病院のネットワークを活用しておりますが、これらのコーディネートということは、非常に難易度が高いものです。さらに英語論文も大学の研究等でなく、各病院の臨床研究センター、臨床研究部独自の研究の結果としての論文が増加しております。これは、研究可能な体制、環境、研究者の育成などを基に得られた結果で、難易度は高いと考えていまして、これらを合わせて評価はAと判定しています。以上です。

 

○松尾主査

 ありがとうございました。それではただいまの説明と評価に対して、何か御質問、御意見は、どうぞ。

 

○山口構成員

 臨床研究事業については楠岡理事長が臨床研究にずっと取り組んでこられたので、これからますます発展していかれるところかなと思っておりますが、今日御説明いただいた中で、電子カルテの情報の収集・分析をするためのIT基盤を構築されたという、これはどれぐらいの病院が関わっていらっしゃるのかということと、IT基盤を構築するために結構費用が発生すると思うのですが、どれぐらい1病院当たり費用がかかって、それは機構として出費されているのか、各病院の費用負担になっているのか、その辺りのところを御説明いただければと思います。

 

○国立病院機構IT推進部長

 お答えいたします。対象病院は41病院です。この構築に当たりましては、標準化の事業という基盤自体を作りまして、データを活用する仕掛けの部分と、正に標準化して広く公開をしていくという部分、その両方の部分がありますが、これについては国から13億の補助金を頂きまして、それによりこの標準化事業を進めております。

 

○山口構成員

 各病院の持ち出しということは全然なく、できているということですか。

 

○国立病院機構IT推進部長

 ここの部分については、各病院にはデータを吐き出すモジュールという仕掛けを入れています。ただし、説明の中にもありましたように、個々の病院の個別のデータと、厚生労働省が推奨しておりますSS-MIX2の標準データの紐付け作業というものがあり、これを紐付けることによって、個々の病院のデータが標準化されて出ていくと。ここの標準化の作業は非常に大変でしたが、ここの部分は病院の労力ということで、もちろんこれは本部でやり方等々については指導し、協力を頂いてやっておりますが、ここの部分は手弁当ということです。

 

○山口構成員

 結構やはり今はデータ化の時代になって、うまくこれを活用することによっていろいろなことが見えてきたり、前向きに今までできなかったことができるようになるというようなこともほかで聞いたりしていますので、是非これは積極的に進めていただければと思います。

 

○松尾主査

 ほかに御意見はいかがですか。このSS-MIX2は全病院に入れられたのですか。

 

○国立病院機構IT推進部長

143のうちの41ということです。電子カルテ自体がまだ入っていない所が40ぐらいあります。電子カルテを例えば公開している場合には、古いもの等にマッピングしても全部やり直しになってしまうということもありますので、順次、更新の時期に合わせてうまくタイミングが合った中でやっていただける所ということで募りまして、とりあえず41から始めています。

 

○松尾主査

 確か、サーバーとシステムを入れるのに1病院当たり、ハードだけだと1,000万円ぐらいかかると。

 

○国立病院機構IT推進部長

 モジュールと言っております、電子カルテの個々の病院のデータを標準化して、本部に集めてくる部分で、1,000万円弱ということです。

 

○松尾主査

 そうすると、今入っている病院は比較的規模が大きくて、電子カルテがきちんと整理されている所に入れたと、そういうことですね。だから治験もそういった所を中心に進めるという体制ですかね。

 

○国立病院機構IT推進部長

 一応大きい所ということでもあるのですが、500床以上の所も入っておりますし、350床ぐらいの所で、私ども複合型と言っておりますが、精神とか急性期も混じったような所とか、いろいろなタイプがあり、集まってくるデータの対象の患者さんのバリエーションも考えております。地域的な分類も、偏らないようにということで広く募集しまして、北海道から九州まで入っているという状況です。

 

○松尾主査

 こういったのを運用するときに、医療情報関係の専門家がある程度必要だと思うのですが、その辺りは国立病院機構のほうでどの程度の人を配置されて整備されていますか。

 

○国立病院機構IT推進部長

 このプロジェクト自体には、私はITの仕掛けのほうの人間ですが、診療情報分析部という所があり、ここにこの関係のデータの分析研究をされておられる方がおりまして、そこの部署がやりまして、それと各病院の中で診療研究に詳しい所が一緒にやってきています。

 

○松尾主査

 ほかに御意見、御質問等はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。それでは次の項目に移りたいと思います。1-3、この説明をお願いしたいと思います。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 1-3教育研修事業、107ページからです。実績は110ページをおめくりください。教育研修事業で、この項目は医師、看護師、メディカルスタッフなど医療従事者の育成・確保を求めております。110ページは医師の育成・キャリア形成支援についてですが、質の高い医師の育成に対して、27年度で初期臨床研修医は、基幹型のみで647名、協力型を含めると851名を受け入れており、教育に協力をしています。

112ページを見ていただきますと、研修医、若手医師を対象とした「良質な医師を育てる研修」を進めております。27年度はこの内容、回数共に充実を図りまして、急性期のみならず、重症心身障害児()の医療、神経難病、結核などのセーフティネット分野についても機構病院の多くの指導医が参加して、技術の修得に加え、医師のあるべき姿も学ぶ全人的な医療を推進できる医師の育成に努めております。特に27年度は、結核等の実践的な知識を次世代に伝え、診療能力の向上を図るための研修や、内科学会の救急に関する研修JMECCの指導者を作るための指導者講習会を、内科学会以外では全国で2例目、1例目は大学ですが、開催し指導者の育成を推進しております。

114ページですが、25年度からのネットワークを利用した国内留学制度であるNHOフェローシップに、3病院において3名の若手医師が参加しましたし、海外留学制度では10名が留学し、かつ、延べでは77名が海外留学プログラムに参加して研修を行っております。さらに、当機構の学会において開催している「若手医師フォーラム」での若手医師の研究発表を27年度は23演題集め、優秀演題9演題の中から最優秀2題を選びまして、こちらにも留学の権利を付与したところです。

120ページを見ていただきまして、看護師などの育成・キャリア支援です。こちらでは附属看護学校において、第三者評価を参考にカリキュラムの充実を図っておりますし、学校間の相互評価も導入し、看護教育の質の向上に努めております。さらに教員の質の向上のための研究活動の奨励等の研究費もあります。122ページを見ていただきますと、数値目標になっております看護師国家試験合格率が98.4%と、計画値である全国平均を上回る実績を上げています。123ページに関してですが、東京医療保健大学との連携によるクリティカル領域での診療看護師(JNP)の養成を大学院で行っています。このように豊富な診療現場、人材を活用して、高度な実践能力を持つ、スキルミックスを持ったチーム医療を提供できるJNPの育成の結果、27年度は62名が「診療看護師研修病院」に指定された23病院で活動しています。

125ページを見ていただきますと、キャリア制度の充実として、専任の教育担当看護師の師長の配置病院が2病院増えて108病院になったほか、専門看護師、認定看護師の配置病院も増加し、配置数は76名増の852名となっております。

127ページを見ていただきますと、管理、退院調整の看護師を対象としたさまざまな研修を継続的に行っているところです。

129ページはメディカルスタッフの育成に関してです。医療において、先ほどもありました診療情報の質の向上をますます図るために、診療情報管理士を対象とした診療情報分析研修を行っておりまして、27年度は76名が参加しております。チーム医療の観点から26年度、新たに小児救急・成育研修と医療観察法MDT研修を開始しておりますが、27年度は更に強度行動障害医療研修、障害者虐待防止勉強会、在宅医療推進セミナーを新たに企画、実施しています。

133ページ、地域医療に貢献する研修事業の実施です。こちらも数値目標になっています地域の医療従事者を対象とした研修会、一般向け講習会の開催件数ですが、27年度は計画を上回る4,818件、対計画比1.9%、前年度比1.8%の増加です。

108ページにお戻りいただきまして、自己評定です。重要度に関しては、医療というところにおいては、その従事者の素質及び多職種による連携・協働というものが現在非常に必要となっています。これらのスタッフを育てるということは、私どもが医療を行う上で非常に重要なことですので、重要度「高」とさせていただいています。また、先ほどの数値目標にありましたが、地域の医療の従事者などにもそれなりの教育の充実を図ることも重要であると考えています。

 難易度に関してですが、こちらの理由としては、医療を取り巻く環境が著しく変化するということと、1年延期という状況になったことがこの前、内科学会などは決まりましたが、新専門医制度など、新たな教育体制も著しく変化していることもあります。これらに対応するため、教育研修事業も不断の見直しが必要であり、また、将来の変化も見据えた上での人材育成の仕組みを構築していくことが必要です。繰り返しになりますが、これらを規模、機能が大きく異なる143病院で構成された国立病院機構全体で高い水準で実施していくことは、難易度が高いと考えています。

 個別では看護師の国家試験合格率ですが、ご存じのように看護大学から看護師養成所まで多様な選択肢が現在あります。その中で、受験生の確保に努める一方、カリキュラムの評価等で教育内容の質の向上を図りつつ、全国平均を上回る合格率を維持することは難易度が高いと考えております。さらに、地域医療従事者を対象としたものについても、地域の医療ニーズを把握し、あるいは変化ということを見極めながら、講師の育成・確保や、更に研修ツールの作成も、診療を行いながら継続的に行っていくことが必要であり、難易度が高いと判断しています。以上からA評価とさせていただいています。以上です。

 

○松尾主査

 ありがとうございました。それでは構成員の皆さんから御質問、御意見をよろしくお願いします。いかがでしょうか。

 

○高瀬構成員

 この看護師国家試験合格率の計画の94.9%というのはどこから出てきていますか。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 これはいわゆる全国平均を上回るということを目標にしています。

 

○高瀬構成員

 では、実績でいうと、その前年は99%ですよね。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

  はい。

 

○高瀬構成員

 だから、それを更に上回るというのはほとんど不可能だけど、何か計画としてはそれに近いものでもよかったような気がするのですが。全国平均をずっと、ここに計画して挙げている限りは、かなりそれを上回る可能性が高いわけでしょう。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

  ええ、全国平均はかなり上回っておりますし、前年度よりも今回、合格率が下がっておりますが、全国平均も下がっておりますので、試験内容としてはやや難しかったかなというふうには判断しております。

 

○高瀬構成員

 難しいところですね。なかなか上へ伸ばすというのは難しい、これ以外もそうなのですが。だから計画自体が何かちょっと安易な気がするのだけど、すみません。

 

○松尾主査

 はい、どうぞ。

 

○富田構成員

 この112ページに書いてある医師養成研修の実施という所ですが、これだけの多くの医師が参加して、しかもこの指導に当たった先生方がすごく増えているということは、とてもこれは素晴らしい取組みだと思います。やはりグループとして医療の質を上げるために、医師の質を上げるということは非常に大切なのですが、これだけの回数の研修を、これだけの指導医の人たちが関わって、しかも若手がこれだけ参加しているというのは、多忙期の強みになると思います。

113ページにあるJMECCへの取組みなのですが、実はこれは国立病院機構が始めていると聞いて、私たちも後を追い掛けました。これは本当に組織を動かさないとできないという取組で、これをしていないと大きな遅れをとるわけです。素早くこれに取り組んでいらっしゃるのを聞き付けて私たちは後を追い掛けていますが、ほかのグループはついてきていないので、やったなと思っています。

 ちょっと、気になるところなのですが、医師の数のところです。110ページ、111ページです。後期研修医の受入数の所を見ると、平成24年、25年ぐらいがピークで、少し下がり始めています。そして、専修医の数も少し下がり始めているのですが、何かこれは傾向というか、何かあるのでしょうか。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 実は専修医は私ども独自のプログラムで募集しておりまして、こちらに関しては、多分22年度が良かったのは、新たに始めて、結構新しく良かったために、応募が多かったのだと思います。ただ、専修医に限って言いますと、いろいろと大学との関係があって、専修医を終了された方が、必ずしも十分なポストにみんなが就けているわけでないということもあって、病院によっては少し頭打ちになった所があるということで、この専修医に関しては470名前後で維持できているというところは、私どもは評価したいと思っております。

 それに対してレジデントというのが、専修医以外は大学派遣の方がほとんどということになりますので、これでいきますと少し下がってきているということがあります。ある意味、大学の派遣能力のこともあり、これは全体として低下しているようにみえますが、各病院で個別の事情はいろいろあると思いますので一概には言えませんが、そういうことも推測はしております。ただ、今回の専門医制度等のことからいきますと、私ども自体は大学回帰は少し出てきているように思いますので、後期研修に関しては、今後ともやはり制度の変化については注意をしていないと、こういう数字もすぐ下がってしまうというふうには思っています。

 

○松尾主査

 ほかにいかがでしょうか。まだ時間があるようですので。1回ちょっとお伺いしますが、この研修の項目に関して、B評価ではなくて特にA評価だった部分、これはほとんど数字を見ても、確かに増えてはいるのですが、大体横這いかなという感じがしているのです。そうすると、Aにする根拠としては、維持するのは極めて難しいところを維持したという、そういう理屈になるのですが、その辺りは正直に言ってどうなのですか。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

 正直に言うと維持するのさえ大変です。御存じと思いますが。やはり少なくとも初期研修に関してはそうは言いながら増えておりまして、私どもの教育システムそのものの魅力というものはかなり常に改善しておりますので、そこはあると思います。先ほどもお示ししましたように、専門医制度であったり、後期研修に関しては、ドラスティックに制度が変わってくるということがありますし、体制とか制度が変わることによっても、それは大きく影響を受けること。それから、ただ、ここにもありますように、いろいろな教育の仕方を私どもの中でやっているのですが、例えば国内留学制度ですが、これは専門医制度がもしあのままの形のものが来年進むと、余りメリットがないということにもなってしまうので、そういう意味では私どものネットワークというか、多彩な診療を経験していただくという教育上有利なものがなかなか使えないということもあり、いろいろな手段、プログラムを用意しておりますが、維持すること自体は非常に大変と思っております。

 

○松尾主査

 ほかに御意見はどうですか。確かにJMECCなどはなかなかやるのが大変で、病院ぐるみでやらないと、これはできないということで、先ほど御指摘というか、御意見があったとおりです。ディレクターがいないとできないとか、極めてハードルが高いという。病院機構全体で何人ぐらいの数で。

 

○国立病院機構企画役(専門医養成担当)

当初予定したときにディレクターが4名でスタートしました。インストラクターを入れると20名ぐらいだったのですが、1年以内にディレクターが3名ぐらい増え、1人転勤したりとかというようなこともありまして、ただ、ディレクター自体は増えています。ディレクターも研修をやらないと資格を維持できないというようないろいろなルールがありまして、簡単に増えたら永久的にそのディレクターができるということでもないので、やはり全国の中で拠点的なディレクターの方を用意した上で、その方がいるということで、内科学会も評価していただいたと思います。指導者講習というのは、内科学会が主体であり、かつ大学に、まず特定機能病院からということがあって、一般病院がなかなか参加できないということがあったのですが、認めていただけたというのは、かなり努力の結果というように私どもも思っています。

 

○松尾主査

 そのほかはよろしいですか。それでは、一応ここで休憩の予定ですね。10分休憩で、45分から再開ということでよろしいでしょうか。では、一旦休憩に入ります。

 

(休憩)

 

○松尾主査

 それでは、時間になりましたので、議事を再開したいと思います。続きまして、業務運営の効率化に関する事項、それから、財務内容の改善に関する事項、及び、その他業務運営に関する重要事項に関わる項目別評定について議論をしたいと思います。先ほどと同じような流れで、法人のほうからまずポイントを絞って説明いただいた後、構成員の皆様の御意見、御質問を頂きたいと思います。

 それでは、まず、この評定別の調書の2-1から4-1について、項目ごとに個別にやっていきたいと思います。まずは、法人のほうから御説明をお願いします。134ページですか。

 

○国立病院機構企画経営部長

134ページから御説明させていただきます。業務運営等の効率化についてでございます。ポイントを絞って御説明させていただきます。まず、138ページをお開きいただきたいと思います。

 内部統制や外部監査の充実ということで、本部組織の見直しをいたしまして、内部統制・監査部というものを27年度から新設しております。内部統制関係につきましては、この機会に、業務方法書に業務の適正を確保するための事項を新たに規定するなど、体制整備に努めるというようなことが、139ページにかけても書いてございます。139ページのほうの、全病院での書面監査でありますとか、その次のページ、監査法人による全病院の監査といったものをやっているというのが、業務効率のための整備事項ということになります。

 それから、147ページをお開きいただきたいと思います。QC活動というものは逐次やっているところでございますが、27年度も実施しておりまして、御覧のように、90病院から277の応募がありまして、これは、定量的指標の目標という形でも掲げさせていただいているところでございます。

 続いて、148ページでございます。投資の促進と効率化ということで、個別病院ごとに資金計画、償還計画を作成して、資金の状況、償還期間の見直しなどを行った上で、病棟等の建替えを1病棟、160床、外来等の建替えを3病棟という整備をいたしました。それと、建築単価が高い水準で推移しているという現状を踏まえまして、既存の施設の有効活用もできないかという検討とか、入札条件の緩和とか、フレックス工期の導入など、そういった競争促進策なども導入しているということで、27年度では519億円が契約に至っているところでございます。

149ページから152ページにかけては、調達の効率化ということを掲げさせていただいております。いわゆる「調達等合理化計画」に基づく取組につきましては、閣議決定に基づく取組を、御覧の所にありますように、27年度も実施いたしました。また、随意契約の適正化ということが強く求められているところでございますが、各案件について、会計規程等における「随意契約によることができる事由」に該当する理由を、契約監視委員会で確認をし、全案件について公正性及び透明性を確保しているところでございます。

151ページですが、共同購入の実施につきましては、大型医療機器等について、労働者健康安全機構、労災病院等との共同購入を実施しております。

152ページ、後発医薬品の利用促進につきましては、先ほども議論いただいたところですが、数量ベースで72.7%ということで、定量的な目標を達成しているところでございます。

153ページでございます。収入の確保についてですが、回収が遅延している医業未収金(患者自己負担分)が、平成27年度は24.5億円ということで、前年度比で約1.0億円の減少となっております。また、債権管理業務を効率化する、IT化を推進するということで、医業未収金の管理システムを、28年度の早期に導入できるように、パイロット病院の選定を行って、仕様書を作ったり、テストを実施したりといったことを行っております。

154ページから155ページについてでございます。人件費関係ですが、人件費率と委託費率を合計した率の抑制というものです。技能職の退職後の不補充とか、非効率病棟の集約といったことを図る一方で、医療法に基づく人員配置基準、医療安全や患者の処遇改善にも留意するといった形の人員確保を、行っております。

 人件費率と委託費率を合計した率ですが、26年度に比較して若干、2.4ポイント程度上昇しておりますが、その原因といたしましては、27年度より非公務員化されましたので、それによって労働保険料の負担が生じるようになったこと、これが0.5ポイントぐらい。それから、人事院勧告等その他の対応というもので0.5ポイント強ぐらいと。それから、長期公経済負担というものが当法人にはございまして、基礎年金給付費用のうち国庫等が負担する部分というものを、法律に基づいて私ども機構が負担している部分があるのですが、その法人内での会計処理を変更しまして、従来本部会計で負担していたものを病院会計へ振り替える、つまり、人件費のほうに計上すると。そういう会計処理上のものが1.6ポイント程度ありますので、そういった実態になっているところでございます。

 それから、157ページですが、IT化の推進関係でございます。適切なIT投資のための投資基準を踏まえて、本部の投資委員会において審議する仕組みを導入しております。診療情報のデータベース化の在り方につきましては、再掲でございます。それから、情報セキュリティ対策の重要性が言われているところですが、内閣官房のサイバーセキュリティ戦略本部や厚生労働省の指示に基づいて、個人情報を取り扱うファイルのパスワード管理の徹底ですとか、電子カルテ端末からのインターネット検索の遮断等の対策というものを実施しております。さらに、情報セキュリティの専門技術を有する事業者による「HOSPnetセキュリティデスク」を設置して、不審メール検知等の体制を構築するとともに、新たなセキュリティポリシーを作成し、一定のセキュリティ水準を確保できるように努めたところでございます。

158ページでございます。一般管理費の節減ですが、消耗器具備品等の経費節減に努め、27年度の目標値55,500万円に対して54,200万円ということで、定量的指標の目標を達成しているところでございます。

 最後に、自己評定ですが、この項目についても難易度「高」に設定しておりますので、その理由等を申し上げます。まず、定量的な指標として4つ掲げておりますが、そのうちの一般管理費の節減と後発医薬品の採用率について申し上げます。一般管理費につきましては、第1期中期計画の間に37.7%、第2期中期計画の間に23.8%と、既に大きな削減実績を上げている中で、第3期中期計画においては、監査業務の本部への一元化とか、冒頭に申し上げましたようなコンプライアンスのための部の設置、それから、非公務員化に伴う費用増等々ございます。そういう中で更に5%削減するという困難な目標になっているということでございます。

 後発医薬品の採用率につきましては、先ほども御議論いただいたところでございますが、これも、順次見直していかないと、後発品が出てくる中で率が下がってしまうと。先ほど申し上げましたように、DPCの病院でも、非DPCの病院でも、1割ぐらいの所は残念ながら下がる中で、各病院が努力した結果として、かなり高いレベルで更に上がっているというところを、難易度「高」というところで御評価いただければと思います。

 このほか、定量的な指標に掲げることは困難ですので、掲げておりませんが、投資関係の効率化について一言申し上げますと、東日本大震災の復興とか、東京オリンピックということで、建築需要が大きくなっている中で、建築コストは大変高止まりしているところです。一方で、国立病院機構は、老朽建物の更新等の投資需要にきちんと対応していかなければならないということでございますので、投資額ということを抑制していく観点からも、いわゆるストックマネジメントという、既存の施設を有効に活用していく手法を使うとか、そういったことを充実させていくことによって、同時に健全な経営も実現していくということに取り組んでいるというのは、なかなか技術的に難易度が高い業務を日々行っているということで認識しております。

 それから、先ほど御紹介いたしましたが、指標として掲げにくいものでございますが、未収金などについても減っているといったようなことは、不断の取組ではないかと認識しているところでございます。これらの理由により、難易度を「高」とさせていただいております。

 自己評定といたしましては、134ページでお示ししている定量的指標、監査法人による監査の実施数、QCの応募件数、後発医薬品の採用率、一般管理費のそれぞれにおいて達成度が100%、それと、後発医薬品については、数字的に言えば120%ということ、これに加え、効率的な業務運営等の取組を各種行っているということを、難易度「高」ということで評価をさせていただいているところです。以上です。

 

○松尾主査

 ありがとうございました。それでは、構成員の皆様方から、御意見、御質問を頂きたいと思います。いかがでしょうか。

 

○亀岡構成員

 ちょっとお聞きしたいのですが、先ほど、内部統制というところで、本部に内部統制とか監査部を新設をされたと。それで、全ての病院を回られたと書かれておりますが、法人内部のガバナンスを強化されたと。素晴らしいことだと思うのですが、会計監査人と内部監査との関係、それと、監事さんとの関係もあるのかもしれませんが、そこで、会計監査人による監査の充実ということで、全143病院に行ったということで、これは従来からずっと行っているわけですが、毎年行くことで本当に充実につながっているのかどうか。なおかつ、内部監査部が出来上がったときの役割があれば、そちらでかなりのことがカバーできることによって、いろいろな効率性が更に図れるのではないかと思います。それが1点でございます。

 あとは、この後に予算とか資金の関係とかがあるのですが、今回Aというところに評価をされた中に、いわゆる経費の削減ということがあり、ここに書いてあるわけですが、これは多分その後の予算との関係にもつながるのでしょうが、ここでは「消費増税や電気料金の単価上昇などの外的要因」があると書いてあります。これは、いわゆる外的な要因がある中で本来の計画というのがあるわけでございまして、もともと計画があって、それでは予想しないものが生じたために困難になってきたということであれば分かるのですが、ここで言う難易度の「高」という点については、もう少し説明をしていただきたいと。最初から分かっていたような内容が、結果的にこうだったと言われてしまうと、どうなのかなと思うのですが、その2点について、お聞きしたいと思います。

 

○松尾主査

 それでは、よろしくお願いします。

 

○国立病院機構内部統制・監査部長

 それでは、お尋ねの前半の部分でございます。私どもが内部統制の体制をとりました点、それと併せて監査体制への御質問がありました。私どもは、御指摘のとおり、独法通則法に基づいて、会計監査人の監査をするということ、それと、独立行政法人として発足した当時から、内部監査というシステムを取り入れております。会計監査人のほうにつきましては、今、監査法人と契約をするということで、北から南までございます143の病院に、毎年往査をする、それから、往査以外のところでも、レファレンスをすることによって会計手続を適切に行うというようなことを行っております。御質問にございますように、毎年毎年やるのかという点につきましては、会計監査人による監査は基本的に、会計業務など、そういうルールにきちんとのっとっているかという点に重きを置いて見ていただくように、お願いしております。それから、私どもの内部監査につきましては、公認会計士による会計ルールの確認のほかに、私ども独立行政法人の内部ルールをいろいろ持っておりますので、そういう内部ルールがうまく運用されているかどうかというところに、重きを置いてやっております。

 御指摘にございますように、結果的に病院の中で様々な実務をとっていただいているところで、監査対象となる実務が、確かに一部関連するところもございますが、その点に関しては、公認会計士というお立場で会計監査人の皆様に監査をしていただいている、極めて専門的な視点のものと、私どもの内部監査によるものは、役割、視点が異なった格好でやるように私どもは心掛けておりますし、会計監査人のほうにも、そういう格好で運用をお願いしております。したがいまして、各々が相互に補完して監査効果を高めるというものであると考えておりますので、より効率的な運用になるように心掛けております。それは、今、構成員のほうから御指摘がありました点も踏まえて、これからもそのようにしていきたいと考えております。

 

○国立病院機構企画経営部長

 一般管理費についてでございます。大変苦しいところでございます。先ほど率で申し上げましたが、第2期中期計画の間に既に7.44億円から5.67億円ということで、かなり発射台が低くなっている中でございます。事業の規模そのものが、病院が別に半分になっているわけではないので、やはり私ども本部としても、特に経営状態が厳しくなっている中で、例えば全体としてはこの目標に落とすように一生懸命努力しているのですが、いろいろな仕事、いわゆる経営改善のためのコミュニケーションとか指導などで、病院へ行ったり来たりとか、そういう交通費のようなものも掛かっている。費目で言えば、そうやって増えているものもありますし、そういう中で、消耗品費のようなものについては、なるべく買わないようにとか、そういう苦しい苦しい中でやっているということでございます。また、これも御案内のとおりのことかもしれませんが、消費税が上がった分を加味して計画を作成しているわけではないので、消費税が上がった分は、その分ベースの費用を落とさなければならないという中で、本当に、何というか、非常な節減を日々やっているということは、御理解いただきたいと思います。

 

○亀岡構成員

 ありがとうございました。特に先ほど、監査法人による会計監査実施数については、全くそのとおりで、これは会計監査人にお願いするわけですから、会計監査人が、自分たちが適正意見を出せるための監査計画を立てて、それで必要な法人、病院に行って結果を出すと、全くそのとおりだと思うのです。それについては、100パーセント、間違っておられないし、回答のとおりだと私は思います。であるならば、そのことがなぜこの指標になってしまうのか。それは完全に監査法人に任せているわけですから、監査法人が適正意見を出せれば、それでいい話なのに、それが、ここで言うところの主な指標の1番のほうにあって、143、監査法人に行ってもらっていることが指標なのだと。だって、これは、こちらでお願いするのではなくて、先ほどおっしゃったように、監査法人が監査計画で決められる話ですよね。にもかかわらず、まるで行った数が。では、百歩譲って、監査法人にここは行かなくても大丈夫だよと言われて、減ったら、充実がなくなったという理解になるのでしょうか。今のは回答は要りません。ちょっと意地悪を言っただけです。すみません。

 これが一番最初の主な指標に挙がってくるということに対して、私は個人的には疑問を持ち出して、それをもって今回Aですよということで1つの案になられると、若干疑問でございます。

 

○松尾主査

 もっともな御意見です。

 

○斎藤構成員

 私は、亀岡先生とちょっと違う意見なので、反論させていただきます。どちら側の人間か、という感じなのですが、今まで毎年お話を伺っていますと、一般管理費の削減に大変な苦労をしていらっしゃって、今では乾いた雑巾を更に絞っているような印象を受けております。それでこれだけの経費削減を達成なさったというのはすごいな、と思う反面、それによって何かいろいろ不都合が出てきていないのか、しわ寄せがないのか、そちらのほうが心配になってきております。今、建築費が大変高騰している、その中で老朽化したものを建て直さなければいけない。予算がありますので、建て替えたくても、それを後回しにしている所などは当然あるかと思うのですが、それが正しい判断になるのだろうかというようなことも、ちょっと気になっております。免震、耐震、その辺りの強化もしなければならない。となると、本当にここで黒字化をすることが正しいことなのか。先ほどA評価をしても交付金は増えませんというお話を伺いました。そうしますと、きちんとした運営をするためには、ここでいい数字を出すこと、これだけの努力をなさることが、それが逆にマイナスになることはないのだろうかというのを、ちょっと危惧しております。

 

○国立病院機構副理事長

 本当に限界までやっているのだろうということであります。平成16年の発足当時は7,000億円弱であった医業収益が、今は9,000億円を超えているわけで、人数も、4万人台が、今、指標にある6万人台になっているというと、どうしても、いろいろな事務とかは不可避的に増えます。ただ、なぜか一般管理費というのは無駄な部分で、削減すべきというような外部の議論の流れが、多少、長年あるのだろうと思います。そういう文脈の中で、こういう指標が、平成25年に計画の中に入っていると思います。そういう中で、できるだけ支障がないように努力しつつ、一方で、増大している部分を、かなり頑張っているということです。そこは、数字以上の努力をして工夫をしているということを、御理解いただきたいということと、それはそれとして、必要なものはしっかりと整えていかなければいけないというので、きちんと御説明をしていきたいと思っておりますので、御理解をお願いしたいと思います。

 

○松尾主査

 今の点に関して、例えば医師、看護師以外の職員の超過勤務とか、そういったものはどうなっているのですか。余り増えていないのですか。

 

○国立病院機構副理事長

 例えば看護師で言いますと、一定限度を守るように努力はしているというところでございます。

 

○松尾主査

 いわゆる医療職以外の事務職とか。

 

○国立病院機構副理事長

 手許に数字がありませんが、余りに過剰にならぬよう努力はしています。

 

○松尾主査

 管理経費削減とか、まずそこへくるので。

 

○国立病院機構副理事長

 私ども職員も、かなり遅くまで業務を行っています。その上で、できるだけ効率よく仕事をしなければいけないというので、私どももできるだけ最初から関わって物事を進める等、努力はしております。

 

○松尾主査

 そうすると、どうしても、何と言うのですか、医師と管理費削減の中で業務が増えてくると、働き方というか、業務フローのチェックだとか、そういったもの、要するに、労働の中身そのものにメスを入れていかないと、仕事が増える一方になりますよね。

 

○国立病院機構副理事長

 御指摘のとおりだと思います。先程の内部統制も、独法通則法が改正されて、内部統制を行うということになって、新たに組織したりするので、不可避的に増えるものは当然あるわけです。情報セキュリティへの対応も、新たに増えている。そういう中で、仕事によっては、これはもうできないとか、後回しにしなければいけないというものも出てくるかとは思います。そこは適切に判断をしていきたいと思っています。

 

○松尾主査

 ちなみに、これ、人勧は完全実施をされたのですか。

 

○国立病院機構副理事長

 平成27年から非公務員化をしました。それまでは、国家公務員の法人として10年余りやってきた経緯もあって、ある程度、人勧に沿った対応をしてきました。27年度については、いろいろ議論をした結果、人勧というのは政府の一つの考え方でありましょうから、27年度については、それまでの経緯もあってそういう方向にしました。ただ、今後、将来的には、いろいろな要素は考えていかなければいけないとは思っております。

 

○富田構成員

154ページの人件費率と委託費率の所ですが、平成27年度の実績で2.4%上がっているという。その内容を先ほど御説明いただいたのですが、労働保険料で0.5%、長期公経済負担で1.6%で2.1%。ということは、ほとんど実質的には職員の数が増えていないのではないかと思うのですが、実際には、職員の数はどのぐらい増えたのでしょうか。というのは、私たちはここにものすごく苦しんでいて、日赤も大体2.4%ぐらい毎年毎年上がるのですが、収益がその伸びについていかないので、大赤字になっているのです。職員の伸びについてはどのぐらい抑制ができているのかを、ちょっと教えていただけますか。

 

○国立病院機構企画経営部長

 先ほどの御説明は、人件費の関係で、いわゆる率というものでやっておりますので、分母もちょっと増えるとその影響などもあるという関係で、大きく全体のパイの中で説明がつかない部分はほとんどない、という意味でのポイントの御説明をさせていただいたところです。人件費の額そのものの関係で言えば、資料の1-2の「概要」の説明資料の3ページに、いわば経常収支を、去年から今年の関係というもので説明した、分かりやすい資料がございます。そこで人件費の増が178億円となっているところですが、この内訳、先ほども紹介したものを額で申し上げますと、非公務員化に伴う労働保険料が45億円、それから、年金の一元化に参加しましたので、保険料率は上がって13億円とか、人事院勧告が27年度分と26年度分を合わせて53億とか、111億円ぐらいがそういうものでございます。それ以外の67億円というものが、いわば、この3ページで言えば、右側にある、例えば医療面で言えば、施設基準ごとの、要するに、サービスの充実のために必要な投資である人件費の上昇ということが言えると思います。

 人数的に言えば、全体として834名ほど増えていますが、ドクターが82人、看護師が645人ということが、常勤での増ということになっておりまして、やはり、御案内のとおり、施設基準等というより、良いサービスをとるための人的な投資というのはしなければいけない、その範囲内のものかなと。ちなみに、人を増やすときについては、各病院から本部のほうに御協議を頂いて、しっかりとコミュニケーションをとった上で、役員会に諮って決定するという形で行っておりますので、増えている中ではありますが、そんなに無尽蔵にということではないと思います。ただ、やはり、人が支える産業であると同時に、人の負担というのは結構長い影響があるものですから、きちんとこれからも管理していきたいと思っています。ちなみに、蛇足ながら、常勤の事務職員というのは、もうずっと増えないという形で行っております。

 

○富田構成員

 看護師が645名増えていらっしゃると。私たちも同じぐらいの数なのですが、実は、産休、育休を取る数がものすごく増えてきていて、それを補うだけでもこれぐらいの数が必要になってくるのですよね。それは収入が伴わないものですから、同じ苦しみを持っております。来年が心配でございます。

 

○松尾主査

 ほかに御質問、御意見ございませんか。よろしいでしょうか。

 

○亀岡構成員

 ありがとうございます。先ほど144ページの経常収支が8億円というのは、多分、損益計算書から引っ張ってこられているのだと思うのですが、144ページと先ほどの参考を見せていただくと、ここで言うところの経常利益が、ここで言う経常収支と一致しているのかなと。よろしいでしょうか。一致しているのですが、1つは、下の所にまた書きが書かれていますが、退職給付費用が減少したことによって運営交付金が減少しました、ということが1つの原因にもなっているわけです。もう一方では、退職給付費用が減ることによって、いわゆる特別利益ではないですが、それが、その分だけ増加はしているわけですよね。

 

○国立病院機構企画経営部長

 退職給付費用のうちの国期間分に係る、要するに、国からもらう交付金の部分が減っているということです。

 

○亀岡構成員

 そういうことですね。会計的には、その分だけ利益に上がるわけですね。この分は減るけれども。

 違うのですか。ここで言うところの。12ページの所に、ありますよね。

 

○国立病院機構監事(石尾)

 もともと、国時代から継続して働いている方の退職金部分は国からの運営費交付金で補填しますという立て付けの制度だったのが、その立て付け部分を減額するという形になったので、下がった部分は機構自体が自ら負担するという形になったので、その部分については、退職給付費用が増額する形になってしまっています。それは別に特別でも何でもなくて、通常の人件費の中で吸収している話になります。

 

○亀岡構成員

 今回、12ページに、会計方針の変更とございますよね。ここで結果的にその分のカバーをしている。

 言っている意味が分かりました。中身は違うけれども、結果としてそのようになって、同額に近い。

 

○国立病院機構監事(石尾)

 そうです。結果として、たまたま同額に近くなった。

 

○亀岡構成員

 私が言いたかったのは、そういうことです。失礼しました。何か、減ったところだけをグッとアピールされていますので。先ほどもそうなのですが、非常に苦しいところをすごくアピールされているなと思って。言われていることは分かるので。結果としてということですね。すみません。

 

○松尾主査

 よろしいでしょうか。それでは、次の項目は「3-1予算、収支計画及び資金計画」です。よろしくお願いします。

 

○国立病院機構財務部長

 続きまして、予算収支計画及び資金計画の説明をいたします。162ページです。今、御指摘のありましたとおり、経常収支の率に関して100.1%ということということで目標を達成しております。163ページです。病院側の経営改善の関係です。特に資金が不足している病院に関しては、経営改善計画を作成して本部でも常にそれをフォローアップする体制を構築しております。その結果として、資金が不足している病院の72病院のうち23病院の経常収支が前年度を上回ったという状況です。

164ページです。医療機器・建物整備関係です。ここに関しては先ほど少し御指摘があり少し苦しい部分ですが、医療機器の整備に関しては、支払いの実績は計画額292億円に対して206億円となっております。この要因としては、必要な投資を行っておりますが、大型医療機器に関して共同入札を実施している所があることと、平成25年度に関しては消費税増税前ということで、医療機器に関して集中的な投資があったということで前倒しがあった影響もあり、計画に対しては下振れしております。

165ページです。建物の整備です。平成27年度の計画額が614億円で実際の投資額は460億円です。先ほど御指摘もありましたが、建設コストが非常に高止まりしている状況もあり、なかなか入札が不調・不落になっているという状況があり、予定どおりに進まないということで翌年度以降にずれ込んでいるという状況です。これに関しては、落札に向けた整備内容の見直しやフレックス工期の導入、入札条件の緩和というところで必要な対応をしております。

 先ほど斎藤構成員から御指摘の耐震の診断ですが、143病院のうち137病院は法律に定められた耐震診断を実施しており、6病院について少し病棟なり渡り廊下なりで耐震診断を満たしていない所がありますが、そういうところは耐震補強や解体の対応をする予定と考えております。

166ページです。長期債務の償還に関しては約定どおりの償還を行っております。167ページです。短期借入金は27年度については借入れはないという状況です。

168ページです。不要財産の国庫納付の関係です。旧登別病院に関しては一部残っておりましたが、平成2711月に現物納付分の国庫納付を完了しております。もう1つの西甲府ですが、現物納付に際して事前にアスベストの調査や地下埋設物の調査が必要ということが生じた関係で、その契約の締結を行っております。169ページです。剰余金の使途の関係です。平成27年度に関しては13億円の利益剰余金が生じておりますが、これに関しては将来の投資、あとは借入金の償還に充てるための積立金とすることとしております。

160ページです。自己評定です。この評価項目に関して、先ほど申し上げたとおり、病院の経営に関しては、自治体若しくはその他の公的医療機関について約半数ぐらいが赤字になっております。国立病院機構に関しては、先ほど申し上げたとおり、東京オリンピックの影響や若しくは東日本大震災の復興事業の関係で、建設コストが非常に高止まりしているという状況で、なかなか投資が厳しいという状況です。

 こういう全体の状況の中で、効率的に投資を実施することと健全な経営を維持するという両面を実施しながら、経常収支率を100%以上達成するということはなかなか難しい部分があると考えており、難易度を「高」としております。定量的指標に関して、経常収支率については先ほど申し上げたとおり100%を達成しております。投資額に関しては、建設コスト増によって計画の値に対して達成していないところもありますが、これに関してはなかなか外部環境のところで難しい面があるということについて、御理解いただければと思っております。

 実績と難易度が「高」というところから全体の評価としてはB評価としております。以上です。

 

○松尾主査

 それでは、皆様から御意見をお願いいたします。

 

○亀岡構成員

 私は特に今回の予算と実績のところを見せていただき、非常に評価と違って良くされているなと、こういう大変苦しい中よくここまでもたれているなということが、むしろこの件については私の実感です。何か去年より減っているということではなくて、よくこれだけ大変な環境の中、実績を何とか維持していると、これは大変なことかと思っております。

1つだけ確認いたします。先ほどの第3の業務運営等の効率化に関する事項で難易度が○でAということで、こちらの難易度が○なのですが「B」という、この辺の判断の違い。今までは難易度が高いと少し1つ上げるみたいな感じだったのですが、もし難易度がなかったら「B」にならないのかどうか。少し今のは余分でしたが、こちらも難易度が本当に高いということであれば、難易度の高い理由をきちんと説明していただいて、その上でこうなのだということを是非お話を伺えればと思うのですが、いかがでしょうか。

 

○国立病院機構企画経営部長

 経常収支ですが、これは本当に苦しくて100.1%という結果が全てを物語っているのかと。やはり、2年ごとの診療報酬改定があるわけですが、特に今年については26年と27年は診療報酬制度そのものは一緒なわけですが、先ほど人件費のところでも紹介したように、人勧は実施するのだという判断、それから、民間の法人はどこもそうということはあるのですが、私どもとしては新しく労働保険料というものがある中で、そういうものでも数十億支出が増えるということが、ある程度の時点で見えている。

 だけれども、何とか経常収支が赤字になったことはないので頑張ろうということで、ありとあらゆること、事業系の3部、医療部、企画経営部、財務部といろいろなミーティングをしながら、病院ともコミュニケーションをして、それからいろいろなコストカット策についても、医薬品、診療材料、SPDにしてもいろいろと思い付いたことはどんどんやるという形で、何とか26年度改定の2年目についてぎりぎり黒字になったということかと考えております。最後の最後まで、もちろん営利を目的としてやっているわけではないので、少しぐらい赤字でもいいのかもしれないという考え方もあるかもしれませんが、やはり、ここのところは最後までこだわって、いい医療のほうは前段の御説明があったところで、経営もということを、改定にどこまでついていけるかですが、今年度は頑張ろうということで行った結果ということで、これについては数字そのものはプラス0.1ですが、非常に難易度が高かったということと、一定の達成感はあるのかと認識しているところです。

 

○松尾主査

 その点で、164165ページで医療機器整備と建物整備があって、恐らく、多分これは各病院から整備について、あるいは建物を建てたいという要望を取られると思うのです。その中から恐らく精査されて必要なものを、あるいは機構の本部から、各病院から出てきていなくてもここはやらないと危いよみたいな話があって、この計画額が出ているのかと、これは大分絞った結果だと思います。

 これに対して、実際の投資額は全然足りないわけです。先ほどの120%うんぬんからいくと、これだけ見るとCだということになります。現実には病院の収支を何とかプラスにするために本当は投資しなければいけないものを削ったので、結果として最終的に収支としてはプラスになったという、これは我々大学病院も一緒なのです。結局そこのところを削ったので、プラマイを何とか0にもっていったというところがあり、しかし、実際は投資すべきものが十分投資されていないと読めます。

 これは、要するに評価でいうと悪くなるかもしれないですが、逆に言うと非常に必要なものに投資されていないということのアピールもされているのかと思ったり、これはどのように捉えるのでしょうか、どのように考えられているのでしょうか。きっとこのままいくとずっとこれは計画に対して投資は大幅にマイナスが続きます。

 

○国立病院機構副理事長

 計画を立てたときは平成25年度で、かなり前に立てておりますので、ある程度順調にいくかと思ったわけですが、環境の変化があります。例えば消費税が引き上げられたときも、機器を前倒しで買ったり控えたりもしています。基本的に私どもは補助金ですべてを整備しているわけではなく、基本は自収自弁の世界で整備しています。

 そうすると医療機器といえどもきちんと各病院が責任をもって償還する努力はしてもらわなければいけない。そういう中で、今、機材がぎりぎりのところで、本当に壊れているとなれば買わなければいけないので、当然そういうものは本部としてもこれは買いましょうという形で、あとはいろいろな努力を聞いた上でお認めしています。もちろん、形式的には143病院が連帯保証しているわけです。

 そういう中で、非常に採算性が悪くなっている中でも必要最小限の整備は何とかやっていると思います。ただ、もっと積極的にやりたいという部分は多少遅らせたり、今のものを大事に使ったりという工夫とセットでこの額だということです。

 

○松尾主査

1回立てた計画は5年間変えられないのかもしれませんが、この数字は余りに非現実的ですよね。それが言いたかったのです。実際にそのことが、例えば、建物で先ほど耐震の話が出ましたが、熊本でもあのようなことがあり、これから大災害も予想される中で本当に大丈夫なのかということは、非常に心配です。

 

○国立病院機構副理事長

 耐震については1回診断して、先ほどの6病院がうまくいっていないということです。その部分も中身を見ると、例えば、廊下の部分、つなぎの部分が問題だとか、あるいは今使っていない部分だとかも含まれています。もちろん使っている所もあり、それは耐震補強しますとして、経営に関係なくやらなければいけないということは考えております。そういう意味で本当はもっといろいろと患者の療養関係の改善も含めてやりたいところですが、どうしても自収自弁でやる限りにおいては償還可能性とセットであり、また、建築単価がかなり上がっているので、遅れているということは事実だと思います。

 

○松尾主査

 よろしいですか。それでは、その次の4-1にいきたいと思います。「その他主務省令で定める業務運営に関する事項」に移りたいと思います。説明をお願いします。

 

○国立病院機構企画役(職員担当)

 一番最後の項目です。172ページです。4-1、その他、主務省令で定める業務運営に関する事項です。良質な人材の確保及び有効活用です。院長については、適材適所の配置の考え方を徹底して選任に当たりました。また、看護師、事務職等の職員については、グループ単位での一括採用を行うほか、グループ内での人事交流を促進するため人事調整会議を開催して意見交換を行っております。

173ページです。3.患者のQOLの向上及び療養介護事業の実施です。18歳以上の重症心身障害者に対する障害者総合支援法に基づく療養介護サービスの実施に必要な人員も含め、新たに療養介助職を43名配置し、その結果、国立病院機構全体では70病院で1,269名を配置しております。また、看護師の業務負担を軽減して、より専門性を発揮できる環境の整備等を図るため、新たに5病院で療養介助職の非常勤の期間職員を37名配置しました。

174ページです。看護師確保対策の推進です。奨学金の貸与状況ですが、国立病院機構の各病院に就職を希望する看護学生を対象に奨学金を貸与しております。平成27年度においては、これにより794名が就職しております。175ページです。潜在看護師の就職支援として講習会を実施したり、機構のネットワークを活用し急性期の病院と慢性期の病院の看護師の病院間相互交流を図ることで、双方の医療や看護についての理解を深め病院間異動を推進する等の取組を引き続き行っているところです。

176ページです。研修の実施です。有為な人材育成や能力の開発を行うため平成27年度においても研修計画を策定し、記載しているような研修を引き続き実施したところです。

181ページです。障害者雇用に対する取組です。平成27年度においては、毎年61日が基準日ですが、その段階では2.29%ということで、法定雇用率である2.3%には届かなかったところです。その後、引き続き、取組に努力した結果、2712月時点では2.39%と法定雇用率を達成したところです。ちなみに、2861日現在においては2.3%を達成したところです。

182ページです。技能職の削減です。27年度計画数101名に対して122名の純減となっております。

183ページです。広報に関する事項です。国立病院機構及び各病院の使命、果たしている役割・業務等について、広く国民の理解が得られるように総合パンフレットやホームページの活用等により積極的な広報・情報発信等に努めております。ちなみに、28年度からの話になりますが、共同通信のPRワイヤー等も活用して更なる広報活動の推進に努めております。

 最後に自己評定です。171ページにお戻りください。定量的指標である技能職の純減数については、27年度の計画値の101名純減に対して122名純減しております。これだけの達成度を見ると120.8%となっておりますが、他の業務実績と合わせて総合的に勘案して171ページに記載のとおり自己評定を「B」としております。以上です。

 

○松尾主査

 それでは、御意見、御質問等ありましたら、よろしくお願いいたします。

 

○亀岡構成員

1つだけ教えていただきたいのですが、71ページの所で従業員数が26年度の末には59,349名と書いておられて、27年度は6183名が常勤職員ですと書かれております。今回、技能職の方についてはどんどん減少しているということですが、先ほど、看護職の方も増えているように思えました。今回の1つの目標達成ということで技能職の削減ということが実は大きなターゲットになっているのですが、全体数では834人ぐらい増えていると、技能職の方を除くと約1,000名弱の人数、ネットで増えているということで結果的に増えていると思うのですが、簡単で結構なのでこの中身の分析はいかがですか。

 

○国立病院機構企画経営部長

 先ほど832名と申し上げたのはネットの増ですので、主なものとして先ほど看護師645名や医師82名と申し上げたところですが、それ以外に医療職(二)のOTPTという方々も診療充実の観点から増えるという部分はあります。技能職の分は減っておりますから、そこで入繰りがあるのは事実です。

 

○松尾主査

 よろしいですか。

 

○亀岡構成員

1つだけ、今おっしゃった内容はそうだと思っているのですが、そのうち評価として指標としては技能職の削減のところだけは1つ評価になるみたいな形になっております。当然、必要な人数は増やしていていいと思うのです。そこで、全体的に目標を達成したというところには、どこまでが考えられているのかというところを少し説明していただきたいです。増加も含めた全ての計画ということでよろしいのですか。それとも、ここで言う技能職の方のことを言っているのですか。

 

○国立病院機構企画経営部長

 技能職の方々についてここで目標として書いている趣旨としては、病院を運営していくに当たって、いろいろなマンパワーに支えられているところですが、いわゆる医療関係の職種、コアの部分は施設基準等もありますので、その中できちんと管理していく。一方、アウトソーシング等の手法をとることによって効率化できる部分もありますので、そこは1つ目標として管理していこうという発想でやっております。全体として人数をカウントするときは入繰りありますが、別の観点からここは一応管理しておく必要があるということで目標に掲げているという考え方です。

 

○亀岡構成員

 ありがとうございます。

 

○松尾主査

 よろしいですか。非常にクリアなお答えだと思います。ほかによろしいですか。それでは、もしないようでしたら、これで、ワーキングの構成員の皆様方からの御意見は頂いたということで、次に法人の監事より業務の監査結果等を取りまとめた「監査報告」について御説明いただくとともに、監査等を踏まえた現在の法人の業務運営の状況、今後の課題、改善方針等についてコメントを頂きたいと思います。それでは、監事からよろしくお願いいたします。

 

○国立病院機構監事(伊勢)

 監事の伊勢でございます。どうぞよろしくお願いいたします。まず、監査の結果について申し上げます。資料1-5の財務諸表等の後ろに監査報告が添付されております。平成27年度の国立病院機構の業務の監査に当たりましては、監査計画に基づき、理事長、理事、内部監査部門、その他の職員と意思疎通を図り、役員会等の重要な会議に出席し、必要な情報を収集し行ってまいりました。また、財務諸表及び決算報告書について検証するに当たっては、会計監査人からその職務の執行状況について報告を受けつつ行ってまいりました。

 監査の結果としては、法人の業務は法令等に従い適正に実施され、また、中期目標の着実な達成に向け効果的かつ効率的に実施されているものと認められます。役員の職務の執行に関する不正の行為又は法令等に違反する重大な事実は認められませんでした。また、財務諸表及び決算報告書に関する会計監査人の監査の方法及び結果は相当であると認められます。以上が監査の結果です。

 次に法人の業務運営の状況や今後の課題について申し上げます。国立病院機構では、監事、会計監査人による監査に加え、内部監査のための組織を設けて定期的な監査を行うなど、適切な業務運営に努めていると考えております。また、独立行政法人通則法が改正され、平成27年度より内部統制システムの構築が義務付けられたところです。これを受けて、国立病院機構では、内部統制に係る基本方針に基づき、理事長の下に内部統制委員会を設置しました。また、内部統制に関する諸規定を作成し、業務の適正を確保するための体制整備を行うなど、内部統制に関する取組は着実に進んでいるものと考えております。

 最後に今後の課題についてです。地域包括ケアシステムの構築や地域医療構想への対応、診療報酬改定や、先ほど来、御案内のとおり、建設コストの上昇があり、国立病院機構をめぐる外部環境が著しく変化している中で、法人運営はますます困難を極めていくものと認識しております。こうした状況下においても、引き続き、国立病院機構に課せられた使命を果たしていくため、業務運営に係る不断の改善の取組を行い、業務の適正を確保し、将来にわたって安定的な法人経営を行っていくことが重要であると考えております。以上です。

 

○松尾主査

 ありがとうございました。続いて、法人の理事長より、日々のマネジメントを踏まえて、現在の法人の業務運営の状況、あるいは今後の課題、改善方針等についてコメントをお願いいたします。よろしくお願いします。

 

○国立病院機構理事長

 本日はお忙しい中、貴重な時間を割いて本法人の評価に御参加いただきありがとうございます。さて、現在日本では高齢化が進んでおりますが、生活圏に根ざした地域を単位とする包括的な医療・介護システム、いわゆる地域包括ケアシステムとその構築が目標となっております。国立病院機構もこの方向に沿いつつ、都道府県の医療計画を踏まえた5疾病5事業、国の危機管理に際して求められる医療や、結核、エイズに対する医療、他の医療機関では対応が困難なセーフティネット分野の医療等を提供すること、更に地域のニーズに基づいた医療あるいは在宅医療の推進のため、地域との一層の連携強化が求められております。2025年に向けて地域包括ケアシステムの構築、更に病床機能の分化に代表される地域医療構想の実現のため、各病院においては地域の診療所、病院との一層の連携推進や、病院の診療機能及び地域のニーズに応じて在宅療養支援を進める必要がある等、対応すべき課題は現在、山積みしております。

 引き続き、国立病院機構の強みであるネットワークをいかして、ベンチマーキングによる医療の質評価・分析、成功事例・モデル事例の水平展開、医療安全相互チェック等の取組を通じて、医療の質を更に高めていくことは大変重要です。加えて、地域連携クリティカルパスや紹介・逆紹介の推進等、地域医療への貢献を強めていくことがより一層重要になっていると考えております。

 一方、診療報酬改定や消費増税の影響、建設コストの大幅な上昇等、近年病院経営をめぐる環境は厳しさを増しております。国立病院機構以外の主な医療機関の平成27年度の決算は、極めて厳しい状況であったと聞いております。私ども国立病院機構では、非公務員化に伴う労働保険料の負担増等、費用の増加要因があることに加え、長期公経済負担という他の事業体、独立行政法人にはない重い負担を課せられている中で、平成27年度の経常収支は黒字を維持したものの、年々厳しい状況にあることは変わりありません。

 医療の質向上や患者の療養環境改善のため、老朽建物の更新築等を実施していく必要があります。しかし、現在、他の医療法人も同様ですが、控除対象外消費税負担は大きくのしかかっており、特に建物の更新、高額な医療機器の購入に関しては極めて厳しい状況になっております。国立病院機構においても、診療報酬による補填率は約80%で、特に大型急性期病院、あるいは建物の更新築を控えた病院には、非常に大きな負担になっている状況です。そのような中で、効率的な投資の促進と健全な経営の両立を図り、かつ安定的に経営を維持していくことは、現下の状況において決して容易ではないことは認識しておりますが、引き続き努力していきたいと考えております。

 また1点、今後の懸念ですが、資料1-212ページを御覧ください。これは国立病院機構の27年度の財務状況を示した図です。右にあるように国からの運営費交付金の割合は経常収益の1.4%で、しかもそのうちの75%は国時代の債務のための処理、言うなれば国時代の退職金処理のものです。しかるに、13ページの損益計算書の3行目です。運営費交付金は平成16年度においての516億が現在137億と4分の1まで減っており、これは国の方針としてどんどん減らされていく状況で、今後、国時代の負担分を法人自身が負担していかなければならない事態が遠からずくるものと懸念しております。

 このような状況ですが、国立病院機構の使命である医療の提供、臨床研究、人材育成等を今後も的確に果たしていく、しかも、それらを国からの援助を極力受けないで実施し、地域や社会に貢献していくために、引き続き、様々な課題の解決に向け取り組んでいきたいと考えております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 

○松尾主査

 ありがとうございました。それでは構成員の皆様方から、もし監事及び理事長の先生に何か御質問、御意見等がありましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 

○富田構成員

 答申の所の最終的に「B」と判断された収支の結果についてです。資料1-21ページの所に独立行政法人の機構の概要という所がありますが、3.組織の規模の所で、一般病床が45,000床で、うち精神病床が4,000、結核が1,500と。病院を経営するときには精神病床や結核病床はいずれも大きな赤字を出す病床なのです。本当に病床の中の1割がそのような病床である現状を抱えていながら、全体の経常収支で黒を出すということは至難の業だと私は思っております。

 「B」という評価をされたのは謙遜なのかもしれませんが、病院経営の困難なこの時代では、本来、これは「S」になってもいいぐらいの値だと私は思っておりますが、大変難しい環境で経営をされていると思います。しかも、経営を考えると病床の構成が非常に悪いです。黒字にしようと思ったら大変な負担になる病床を抱えていらっしゃるので、これは大いに主張していいのではないかと思っております。以上です。

 

○国立病院機構理事長

 ありがとうございます。特に御指摘いただいた結核病床に関しては、実際、この病床数がありながら患者はこの10%程度しか入っておらず、診療報酬は病院患者数でしか頂いておりません。各都道府県で結核の集団発生等があった場合に収容病床がないというのはやはり困るということで、かなりの数の病床を維持するように要請を受けて維持しているわけですが、それに対する空床補填は全くありませんので、今御指摘いただいたように非常に経営の苦しい状況が続いております。この点にもいろいろ御配慮いただき、どうもありがとうございます。

 

○松尾主査

 ありがとうございます。ほかによろしいですか。ということで、これは事業規模が9,000億を超えている中で、運営費交付金が130何億ですから1.5%ぐらいですかね。微々たる交付金を国からもらってということなので、我々のこの評価委員会は前回もそうだったのですが、委員の皆様方が中を非常に詳しく見られて、非常に頑張っておられるということを評価したところであり、結果的に今日の議論は余り変わらなかったかと、いい加減ということではなくて、非常によく議論していただいたかと思います。どうもありがとうございました。

 それでは、国立病院機構の平成27年度業務実績評価に係る今後の取扱いについて、事務局から説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 本日、法人から説明のありました業務実績及び自己評価に対して、構成員の皆様方から寄せられた御意見や法人の監事及び理事長のコメント等も踏まえて、厚生労働大臣による評価として決定し、その評価結果について法人に通知するとともに公表いたします。決定した内容については、後日構成員の皆様方にもお送りいたします。最後に本日配布した資料の送付を御希望される場合は事務局よりお送りいたしますので、机の上にそのままにして御退席いただきますようお願いいたします。事務局からは以上です。

 

○松尾主査

 それでは、非常に長時間にわたり熱心に議論していただき、ありがとうございました。独立行政法人評価に関する有識者会議国立病院WG(2)を終了いたします。


(了)

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