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2016年7月27日 独立行政法人評価に関する有識者会議 労働WG(第10回)議事録

○日時

平成28年7月27日(水)10:00~12:00


○場所

中央労働委員会労働委員会会館講堂(7階)


○出席者

今村主査、酒井構成員、志藤構成員、柴田構成員、園田構成員、田宮構成員、戸田構成員、宮崎構成員

○議事

○今村主査

 それでは、皆様お揃いになり、ちょうど定刻を過ぎましたので、ただいまから第10回独立行政法人評価に関する有識者会議労働WGを開催いたします。構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中をお集まりいただき、誠にありがとうございます。本日は、小西構成員、関口構成員、高田構成員、中村構成員、松尾構成員が御欠席です。

 それでは、評価官室からの説明の前に、酒光審議官から御挨拶がありますので、よろしくお願いいたします。 

 

○総合政策・政策評価審議官

 厚生労働省の政策評価を担当しております審議官の酒光です。よろしくお願いいたします。ワーキンググループの構成員の皆様方には、連日のように、大変お忙しい中、評価をしていただきまして、ありがとうございます。

多くの構成員の方々には御説明をしておりますが、初めての方もいらっしゃいますので、今回の評価について、若干補足をさせていただきたいと思います。

 参考資料2を御覧ください。昨年度から評価の方法が変わり、従前、独立行政法人評価委員会が第三者機関として評価をしておりましたが、主務大臣が法人の評価を行うように変わりました。こちらの有識者の御意見については、この知見をお聞きして最終的に主務大臣が決定するという形に変わったということです。

 評価基準については統一ルールが設けられ、参考資料22ページを見ますと、項目別評定ということで、SからDまでの5段階評価で、これは同じですが、あくまでBが標準であり、要するに、Bが合格点であるという上で、定量的指標が120%以上の場合にはA、更に、質的に顕著な場合にSということで、厳密に評価を行うこととされました。

 この評価は、昨年度からやっており、昨年度分の結果が出ております。参考資料6に「業務実績評価結果についての点検結果」とありますが、これは総務省の委員会で各省庁の評価結果を評価したものです。真ん中に表があり、平成26年度評価(全省庁)では、A以上の割合が20.9%でしたが、※にありますように、この中で特に外務省、厚生労働省、経産省はAが顕著に多いという指摘を受けており、それを除きますと13.8%、約14%です。ちなみに平成25年度ではA以上は93%あったので、これについては評価の仕方を各省庁がかなり変えたということですが、外務省、厚生労働省、経産省については、その変え方がどうなのかということが暗に指摘されています。具体的な指摘は3ページ以降にラインマーカーをしてありますので、そちらを御覧いただければと思います。

 それを踏まえて、参考資料6の下のほうに幾つか、今後どうしていくべきかということが書かれています。1点目は、できる限り定量的な目標を設定すること。2点目は、達成度が120%になっていない、あるいはそういう指標が少ないにもかかわらずAになる場合があるが、そういう場合はきちんと合理的な根拠を書きなさいということ。3点目に、主務大臣が評価を引き上げるという場合は引上げの根拠を明確にしてくださいということ。最後に、目標が実現可能貰を過度に考慮して安易なものになってないかを十分点検するべきということがあります。特に、最後の項目などはA評価が出やすい要素になっていますので、こういうことが指摘されていると思います。

 以上で、構成員の方々には、このような指摘も踏まえて、適正に評価を頂きたいと思っておりますし、今回の法人はそういうことは余りないのですが、従前、A評価だったものが、B評価になることもあるかもしれませんが、それは決して評価が下がったということではなくて、同じような業績であっても評価基準が変わってそうなることもあるということも御了解いただければと思います。私からは以上です。

 

○今村主査

 続きまして、政策評価官室からお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 それでは、本日の議事について御説明いたします。本日の議事は、お手元に配布しております「議事次第」のとおり、勤労者退職金共済機構の平成27事業年度業務実績評価に関する意見聴取です。評価項目ごとに法人側から業務実績及び自己評価について説明を頂き、有識者の皆様方から御意見、御質問を頂きたいと思います。なお、独立行政法人の評価スケジュール全体につきましては、参考資料110ページの別添6の図のとおりです。本日の意見聴取等を踏まえて、主務大臣による評価を実施することとなります。昨年の評価の結果については、先ほど酒光よりお話があったとおり、参考資料6にあるような指摘を受けております。取り分け、目標水準の設定については、その水準が実績等々に照らして妥当であるかどうかの検証が必要です。また、その目標水準自体がチャレンジングな目標であった場合に、それを安易に引き下げることについては、若干の説明が必要になるかと考えております。

 したがいまして、本日、御意見を頂く業務実績評価に関しても、改めて総務大臣の定める独立行政法人の評価に関する指針を踏まえて、B評定が標準であること。A評定以上を付す場合には、定量的指標において120%以上の達成度が求められていることなどを御留意いただきますよう、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

 

○今村主査

 それでは、勤労者退職金共済機構の平成27年度業務実績評価について、議論をしていきたいと思います。1項目ずつ行きたいと思いますが、初めに「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」のうち、No.1-1、退職金共済事業(一般の中小企業退職金共済事業)について、法人からポイントを絞って、ごく簡潔な御説明をお願いします。

 ここに司会進行のガイドラインがありますが、アンダーラインがしっかりと引いてありますので、私は大学生時代から、重要なことから先に話せと言われていますので、是非、重要なことを御説明いただいて、細かなことは、資料を見れば分かることは、できれば最少限にしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 おはようございます。独立行政法人勤労者退職金共済機構総務部長をしております川口です。私から評価項目ごとの法人の自己評価について御説明をいたします。

 資料1-14ページを御覧ください。確実な退職金支給のための取組ということです。具体的に申しますと、一般の中小企業退職金共済事業における退職金未請求者に対する取組ということです。真ん中にある数値目標ですが、請求権が発生した年度における退職者数に対する当該年度から2年経過後の未請求者数の比率を中期目標期間の最終年度(平成29年度末)までに1%程度としているか、となっています。評価の視点については、こちらに書かれているとおりです。

 続きまして、5ページです。平成27年度退職金未請求者に対する主な取組結果について、まとめてあります。一番上の大きな囲みの部分ですが、未請求については、これまでも説明しておりますが、主な原因が調査した結果で分かっておりまして、被共済者(従業員)が退職金等を請求できることを知らなかったというケース、あるいは退職金共済制度に加入していることを知らなかったことが多いということがあります。そういったことから被共済者(従業員)に共済制度に加入していることを機構がお伝えして、請求手続を進めていただくための直接的な働き掛けが必要と考えています。

 このために、「新たな未請求退職金の発生を防止するための取組」と書いてありますが、被共済者の方々(従業員)に対して、退職後3か月経過後など、一定期間経過後に、少なくとも3回程度、3回以上、直接退職金請求手続を要請しているほか、未請求者の在宅時間、夕刻・休日等に合わせた電話によるアプローチを実施しています。

 同じ5ページの「周知の効果的な実施」についても、これまでも御説明しておりますが、従業員の加入意識の向上に対する取組と、事業主の理解向上に対する取組の2つを挙げてあります。従業員の加入意識の向上に対する取組として、新たに加入した被共済者への「加入通知書」の発行とか、既に加入している被共済者に対しては「加入状況のお知らせ」をそれぞれ発行しています。また、下にある事業主という所ですが、未請求の原因の1つとして、共済契約者である事業主が請求書を交付しないケースがあるということですので、事業主の理解向上に対する取組として、機構のホームページとか、「中退共だより」があります。「中退共だより」は共済契約者に対して発行している会報のようなもの、定期刊行物ですが、事業所に送付して、そういった送付書類において、未請求退職金に対する注意喚起を実施しています。

 このほか、累績した未請求者もあって、この方々に対しても記載してあるとおりの取組をこれまでどおりやっております。また、調査・分析というのがありますが、調査をしている中で、脱退後2年経過直前の未請求者の率が昨年度より上回っているという状況を踏まえて、これまでの取組に加えて、2年経過直前の未請求者に対しても、いろいろな取組をしています。こうした結果、未請求率の縮減と書いていますが、退職金共済制度から脱退して2年経過後の未請求率については、過去最高を記録した平成26年度の1.40%に次ぐ1.42%になりました。これまで御説明した取組について、私どもとして考えられる可能な取組を検討しつつ、きめ細やかで丁寧な対策を講じた結果、過去最高の1.40%に次ぐ1.42%まで縮減したことを踏まえて、自己評価をBとしました。

 続きまして、No.1-2です。 

 

○今村主査

1項目ずつ、No.1-1、No.1-2と個別にやっていく予定だと思います。一旦ここで切らせていただきます。それでは、項目No.1-1について、御意見、御質問がありましたらお願いします。

 

○園田構成員

 目標が1%ということで、5年間の目標ですよね。今、3年経過の段階で1.42%ということで、資料1-1では1%程度という微妙な書き方ですが、一般的には1%を基準に考えられると思います。これで最終的に目標を達成できるのかどうかについて教えていただきたいのです。

 

○勤労者退職金共済機構理事(西川)

 中退共を担当しております理事の西川です。私から回答させていただきます。先生の御指摘のとおりで、1.0%と言った場合には、1.4%との間に開きがあるのではないかということかと思います。もともと1%程度という目標を設定したときは非常に難しいチャレンジングな目標であると認識しておりました。正直に申し上げると、1.0%というのは不可能だろうと思っていたわけですが、そこはチャレンジングに目標設定を行い、少しでも未請求率を下げたいという思いを込めて「程度」という言葉を付けたうえで設定したものです。

 そういった中で、私どもは昨年1.4%という実績に対して、Aと自己評価して、それを認めていただいたわけですが、これは対策の内容が相当程度きめ細かく、手を尽くしていたということを御理解いただいたということだと認識しております。それから、現在1.4%あるいは1.42%の中に残っている内訳についての理解ですが、先ほど総務部長から説明がありましたが、知ってさえすれば受け取る気があるのだが、知らないがために受け取っていないという人たちについては、相当程度働き掛けを行い、ほぼ周知し尽くしているという感じがしております。残っている3,800名程度のうちのほとんどは、知ってはいるが、請求しないという方々だと認識しております。

 あと、その中で数百名程度は住所が分からないという方々がいますので、ここについては今後、マイナンバーや住基ネットなども活用しながら、取組を進めていきたいと思っています。

 その部分を除くと、ここから先については、受給資格があることを知らしめるよりは、受け取ってくださいという説得をするというか、相手が受け取らない理由をほじくり出してというか、突き詰めて、聞いていって、「どうして受け取れないのでしょうか」というような話をしないと受け取ってもらえないという領域に入ってきているのかと思っています。

 したがいまして、ここは、費用対効果の問題等も考えながら取り組んでいく領域に入ってきたのかなというのが、私どもの現在の正直な感想です。そういう意味では、私どもは当初、想定していたような対象、受給できることを知らないために請求できない方々についての取組、成果というのは、ある意味、出尽くしているのではないか、そうであれば目標達成の範囲に入っているのではないかということでB評価にさせていただいたと考えております。

 

○園田構成員

 受け取ってもらえない理由というのは、どういう理由があるのですか。ちょっとよく分からないのですが。

 

○勤労者退職金共済機構理事(西川)

 大きなものは、金額が小さいので面倒くさいというのがあります。大体半分ぐらいが5万円以下という金額ですので、そういう意味では、あえてそこで「とにかく持っていってくれ」と言うのもなかなか難しいかという実情があります。ただ、そういった中で、例えば100万円以上の金額があるにもかかわらず受け取らないという方々も、年によって振れはあるのですが、1割程度はいますので、そういった方については、私どもとしても首をひねっているというのが実態です。

 

○園田構成員

100万円以上で受け取らない理由は何かあるのですか。

 

○勤労者退職金共済機構理事(西川)

 正直、私どもも本当に首をひねっているところです。

 

○今村主査

 今の件は、昨日も議論をしたのですが、先ほど酒光審議官からありました参考資料64番目、目標は実現可能性を過度に考慮した安易なものにしないという逆のケースで、目標は実現可能性を安易に考慮して過度なものにしないというケースかと思います。これは常に議論していて、昨年Aになったのは、0.2減ったので、このまま行けばトレンドで1を達成するかなという見込みで評価したのだと思いますが、いずれにしても、この目標設定そのものが、おっしゃるとおり、ちょっとチャレンジングだったということであれば、今後、これは目標設定に関して、そのときに業務に関する見通しが十分調査ができていなかったのかということにもなりますので、これは今後考慮しなければいけない要素だと思います。ただ、やっていることはかなり一生懸命努力していることは評価できるので、内容的にはBに値すると思います。その辺、何か御意見があれば。いかがでしょうか。

 では、次に行きたいと思います。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 続きまして、項目No.1-2です。資料1-16ページを御覧ください。確実な退職金支給のための取組ということで、先ほどの一般の中退共に対して、こちらは「特定業種退職金共済事業における長期未更新者への取組」ということです。数値目標については6ページの真ん中にあるとおり、共済証紙の販売額の累計の差額と貼付確認額の累計の差額について、前中期目標期間の終了時(平成24年度末)から100億円程度減少しているか、という数値目標となっています。また評価の視点については下記のとおりということです。

 続きまして、7ページを御覧ください。7ページに長期未更新者調査と書いてありますが、手帳の長期未更新者については、先ほどの未請求と違いがあります。特定業種の退職金共済事業については、一般の中小企業退職金共済事業とは異なり、事業所から退職するだけではなく、それぞれの業界から引退の意思を表明した被共済者、すなわち従業員に対して退職金を支払う制度です。これらの被共済者に対して「共済手帳」を発行して、1日働くごとに1枚の証紙を貼り付けるという制度で運用されています。1年分の証紙を貼りますと、手帳を更新するという仕組みになっていますが、通常はほぼ2年程度で共済手帳を更新するところを、3年間手帳の更新がないということは、この特定の業種・業界から引退している可能性があるということから、3年間手帳の更新がない被共済者について、長期未更新者という定義をして、種々の対策を講じています。

 その件で7ページに調査結果が出ています。各共済事業別に上から建退共事業、清酒製造業の清退共事業、林退共事業ということで、それぞれの長期未更新者調査の結果は7ページに書いてあるとおりです。特定業種退職金共済事業における長期未更新者への取組については、過去3年間手帳更新のない被共済者の住所を調査・把握して、手帳更新、退職金請求等の手続を取るよう要請しているところです。

 その関係で8ページです。上に「確実な退職金支給のための取組」と書いてありますが、平成27年度新規加入被共済者の住所について、住所を把握して、データベース化を図る等の取組を行っています。また、新規加入被共済者に対して、機構から直接、退職金共済制度に加入したことを通知しています。また累積した長期未更新者を縮減するための取組が書いてあります。これはこちらに書いてあるとおりで、在籍者の生年月日等の入力作業を現在もやっています。

 最後は数値目標に関する部分では、「建退共事業の共済証紙の適正な貼付に向けた取組」ですが、平成27年度末において、共済証紙販売額と貼付確認額の差額は、平成24年度末と比較して約17億円増加したことになっています。この理由については、平成27年度末において、共済証紙販売額と貼付確認額との差額が建設土木工事が東京オリンピックなどで公共工事が増えたことに伴って大幅に増加している中で、証紙の販売と証紙の貼付までの間にタイムラグが生じてしまった結果と捉えています。したがって、平成29年度末までの数値目標である差額については、現時点では17億円増加していますが、そのほかの取組については、おおむね計画どおりの取組を実施したところから、法人の自己評価をBとさせていただきました。法人からの説明は以上です。

 

○今村主査

 御意見、御質問をお願いします。

 

○柴田構成員

 質問です。これらの3つについては、未請求率という形でカウントすることは不可能ですか。やはり証紙だからということですね。私はほかの所でお聞きしたのですが、共済証紙を売り買いしている人がいる。中には、インターネットでの売り買いもあるということです。証紙という形のままで続けていってしまえば、この問題は根本的に解決しないのではないかと思うので、そろそろ仕組み自体を考えないと、大変難しいことになるのではないかと思います。

 

○勤労者退職金共済機構理事長代理

 理事長代理の稗田です。まず未請求という取組ができないかということですが、業界の退職金として、いろいろ企業を移られます。いろいろ企業を移られた結果、中退共の場合に、ある企業を退職され、これは退職されたのだなというのが分かるのですが、建設業の場合だと、あちこち移りますので、どの時点で退職したかというのは、御本人の意思にかかっている部分があるわけです。ある程度年齢がいっても、例えば私どもの請求の事例ですと、80歳を超えて請求する方もおられますし、ある年齢でパチッと切るわけにはいきません。本人の意思にかかるということから、未請求率という数字は出てこないで、今のような形でしているというわけです。

 あとのほうですが、委員の御指摘のように、私どもも同じような認識を持っております。労働者に確実に退職金を支払うということで、建退共制度の枠組みが、今のやり方でいいのかという御指摘はいろいろ頂いているところです。

 本日は平成27年度の説明ですが、平成28年度に入って、理事長の下で学識経験者、建設業界関係者などで構成される「建退共制度に関する検討会」を設けて、制度の全般的な検討を開始しており、その中で証紙についても検討しているという状況です。

 

○柴田構成員

 ありがとうございました。

 

○園田構成員

 目標が100億円の減少ですが、3年たって17億円増えてしまったわけです。先ほどのケースは、いろいろ聞きましたが、まだ減っていたので良かったのですが、今回は増えていますので、B評価というのはちょっと難しくて、C評価なのではないかと思います。特に東京オリンピックだということは分かっていますが、本番はこれからです。そうすると、これを認めてしまうと、今後は幾ら増えても認めるという話になってしまいますので、説明がちょっと苦しいのではないかと思いますが、どうなのでしょうか。

 

○勤労者退職金共済機構理事長代理

 多少長い説明になりますが、数字の中身について御説明させていただきます。6ページの真ん中の数値目標を見ると分かるとおり、これは累計額ですので、昭和39年の制度創設以来の総額を比較したものです。したがって、平成27年度で言いますと、販売累計額は17,610億円、貼付の累計額は16,417億円で、その差額は1,193億円です。その差額1,193億円は平成24年より、残念ながら17億円増加しているという状況です。

 前のほうの共済証紙の販売額、建退共の証紙というのは公共工事の場合には基本的には公共工事の契約時に購入され、割合早い段階で購入されるわけです。貼付の確認額、後ろのほうの数字については、工事の契約後、実際に工事が進行して労働者が働いた時点で証紙を手帳に貼っていきます。1冊の手帳には250日分の証紙を貼ることができますので、貼り終わって、いっぱいになったら、その時点で更新手続が行われ、この段階で建退共に証紙が戻ってきて貼付確認ということになるわけです。したがって、販売時点と貼付の確認時点では、個々の状況にもよりますが、おおむね12年、場合によってはもっと長いタイムラグが生じることになるわけです。

 証紙の販売額は年により変動します。平成26年、27年頃は販売額は500億円程度で、平成2324年頃と比べて、年間でおおむね50億円程度高い水準です。証紙販売と貼付確認にタイムラグがあるということで、証紙販売が上昇局面にあるときには、高い水準の数字が加算された数字から過去の低い水準の数字を加算した数字を引くことになってきます。したがって、証紙販売が上昇する局面では販売額と確認額の差額は拡大する傾向があるわけです。ただ、委員が御指摘のように、現に目標達成が危ぶまれるような数字が出ているわけで、目標達成のために引き続き、私どもは未更新対策や、証紙の適正な貼付に向けた取組を実施するとともに、制度自体についてもきちんと労働者の確実な退職金支給という点でいろいろ考えていきたいと思います。以上です。

 

○園田構成員

 前年度末から今年度にかけて幾ら増えたのですか。 

 

○勤労者退職金共済機構理事長代理

 前年度末からですと2億円です。

 

○園田構成員

 これは平成24年度末と比較して17億円増加ということですか。

 

○勤労者退職金共済機構理事長代理

 そのとおりです。

 

○園田構成員

 そうすると、今までも結構回収できていなかったので、目標値を減らしていなかったということですね。

 

○勤労者退職金共済機構理事長代理

 平成24年度以降の数字を申し上げますと、平成24年度から平成25年度にかけては27億円増加していたわけです。数字を生で言いますと、平成24年度には1,176億円で、平成25年度には1,203億円で、27億円増加しました。それが平成26年度では1,191億円で、前年よりは12億円減少しましたが、目標値からは15億円増加しました。平成27年度においては1,193億円で、前年度より2億円増加し、目標値よりは17億円増加しているという状況です。

 

○園田構成員

 そうすると、オリンピックに関係がないような気がするのですが、どうなのですか。

 

○勤労者退職金共済機構理事長代理

 先ほど御説明したように、やはりオリンピックも含めて、オリンピックの前段階ということで証紙の販売が上昇局面にあるときには、この数字自体は上昇する傾向にあります。そういうものはあるかと思います。

 あと長期的な観点で数字を御紹介しますと、5年ぐらいのタームで見ると、そこそこ私どもはいろいろ努力をしています。平成1519年というタームで見ますと、その段階では同じ数字が119億円減少しておりますし、平成1924年ということで見ますと、82億円減少しております。ただ、平成24年以降は残念ながら17億円増加しています。数字的にはそのようなものです。

 

○園田構成員

 過去には達成できたのに、今中期では逆の方向に出ていると取れますが、それでよろしいのですか。

 

○勤労者退職金共済機構理事長代理

 ちなみに1つ前の5年間ということで言いますと、1つ前の5年間は第2期の平成20年度から24年度までは目標が130億円減少ですので、その意味では達成はできていなかったが、減少はしているという状況です。

 

○今村主査

 付随して、先ほどの柴田委員の発言と関連するのですが、どの程度の係数管理、数量的な釈明を釈然としていたかということについて伺いたいと思います。かなり印象的な御説明が多いのですが、1,200億円分の証紙が滞留している、残存しているということですね。それが多いか少ないかということに関して、建設業の労働力人口は増えているというのですが、一体何人増えているのか。

 そういう係数管理で、例えば建設業の労働者数が20%増えているから、それに応じて証紙の発行が増えて20%増えるのはやむを得ないとか、そういう説明があれば納得できるのですが、建設業の人が増えているからと、どのぐらい増えているかは分からない。私の印象で、平成25年度のときは、311のせいだという説明があったのです。だから、311からオリンピックというように、確かにそういうブームは続いているわけです。

 つまり何が言いたいかというと、メインの業務の1つでありながら、きちんとそういう市場のバックグラウンドになる数字を取っておられるのかどうかということに対して、若干疑問が出るということなのです。そういう意味で、きちんとした裏付けの掛け算をした上で、これだけの数字が出るのは当然だというように、ちゃんと業務を把握していただきたいということです。

 

○勤労者退職金共済機構理事長代理

 建退共の証紙の場合、公共工事の場合には予算の中に積算項目として建退共が入っていますし、公共工事では発注者の推進ということで、数字自体は公共工事とかなり関係した数字が出てまいります。その意味で公共事業量が大幅に増えたら、その段階で増え、減ったらそれで減っていく、大体そんな相関になっています。

 

○今村主査

 その辺のきちんと構造的な上でも、把握した上で商品設計を次に考えるということにつなげていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

○勤労者退職金共済機構理事長代理

 はい。

 

○戸田構成員

 ありがとうございました。御説明を伺っていて、建設業の例えば公共事業が増えるとか、建設業に従事する労働者が増えているというのは、恐らく事実であって、2010年、2011年頃までは建設業の就業者は減少していたものの、2010年、2011年頃からは横這い、ないしは僅かに微増というところで、やはりそれは、311の東日本大震災の復興事業や、あとは東京オリンピックに向けた建設需要が出ているというのは確かな事実と考えておりますので、ここの目標としては平成25年度から、この差額が増加しているというのは、そうした影響が出ていると見てもいいのだろうと考えております。ですから、そうしたことを明記していただいて、評定をBにするということは、きちんと説明をした上では妥当なのではないかと考えております。

 

○今村主査

 ということです。よろしくお願いいたします。ほかにはよろしいですか。

 それでは、是非、意見を前向きに吸収していただいて、改善していただければと思います。次は、No.1-3です。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 それでは、No.1-3です。資料1-19ページです。「サービスの向上」の中の業務処理の簡素化・迅速化です。9ページの真ん中の数値目標は、中退共事業におきまして受付から25日以内に処理ができたかどうか。同じく建退共、清酒製造業及び林業退職金共済事業におきまして、受付から30日以内の支払いができたかどうかという数値目標になっています。また、評価の視点につきましては、こちらに書いたとおりです。

10ページです。事務処理の改善内容について書いてあります。主な改善内容は、左の大きな枠です。平成27年度の新たな取組として、ゆうちょ銀行の総合口座へ退職金等の振込開始、林退共においては、制度改正がありましたので、掛金日額及び額の変更等に伴う様式変更等の実施、また、平成281月からマイナンバーの実施がありますので、マイナンバーについてのいろいろな様式の見直し等という取組を実施しています。また、数値目標にかかる退職金等の支給にかかる処理期間は、一番下の枠にあるとおりで、いずれも25日以内、あるいは30日以内の退職金支給が行われているということです。

 以上の取組につきまして、一般の中退共事業においては受付けから25日以内、建退共事業、清酒製造業、林業退職金共済事業におきましても、受付けから30日以内という数値目標を達成しているほか、事務処理改善も進んでいることから、法人の自己評価をBとしました。法人からの説明は以上です。

 

○今村主査

 ありがとうございます。では、御意見、御質問をお願いいたします。

 

○柴田構成員

 機構さんの問題ではなく、計画の出し方というか目標値の設定の仕方に工夫が必要です。この前申し上げたように、正に平成25年度にもう25日以内を達成して、その後は楽勝で多分25日以内を達成できていると思うのですね。そういう目標ができた段階で、では、適切な数字がどの数字か分かりませんけど、ひょっとしたらまだ余力があって20日にできるかもしれないとか、これ自体のB評価が問題ではないのですけども、目標値がひょっとしたら10日でできるかもしれない。平成25年度にできた段階で、もうその後は苦労せず、目標値となるほどのものではないと思ったものですから、ちょっとだけ意見を言わせていただきました。

 

○勤労者退職金共済機構理事(西川)

 中退共について説明します。25日というのは、これは営業日ベースではなく、カレンダーベースの日数ですので、週末等を除けば、特に大きな大型連休等がありますと、15日強ぐらいの日数で実施しなくてはならないということで、相当忙しいということがあります。もう1つは、確かに以前に25日というのは達成できているのですが、その後の環境がマイナス方向に変化しております。というのは、不正防止の観点から平成27316日の省令改正で新たな書類の徴求が必要になっております。すなわち、雇用実態のない加入や事業実態のない加入、そういったものを防ぐために、怪しい場合は関係書類、雇用保険等の証拠書類を徴求しなくてはいけないという事務が新たに発生しているものですから、その関係の事務に要する手間がオンされております。実を申し上げますと、25日を維持するのが相当きつくなっているのが実態です。そういう意味でいきますと、新たな要因を含めると、むしろ、どうやったら残業が減らせるかを考えているのが実態です。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 今の話、あとで理事長が何をもって運営しているかという2つの柱のうちの1本に関わるので、私から付言します。我々の事業というのは、退職金、あるいは財形の融資を期限どおり、しかも、その期限というのも、社会通念上許される範囲内に、きっちり正確に間違いないように納めるということが大事だと思っております。私も民間にいて退職金もらいましたけど、1か月以内にいただければ、それは余り遅くないのかな。むしろ、これをいたずらに早めて間違えたら大変だなと思いますし、これから、マイナンバーとか、いろいろな情報セキュリティーの問題もありますので、これは、私はこの範囲内で頑張っていきたいなと思っております。以上です。

 

○今村主査

 確かに理事長がおっしゃるように、いたずらに低めることにどのような意味があるかということは御指摘のとおりだと思いますが、是非そういう書き方をして、これは、あくまでも達成目標ではなくて維持目標だと。その中で、いろいろな多用な状況変化に応じて、これを死守するという表現のほうが、説得力があるかと思います。ただ、もう1つ問題は、理事長が民間にいらっしゃいましたので是非お聞きしたいのですが、要するに100%なら100%で、組織に対してどの程度緊張度が保てるかという問題、目標のストレッチ度ですね。そういう意味で、組織をガバナンスする上で目標設定をどうするかというのは、25とか30だけで組織のガバナンスに対するインセンティブが維持できるのかという、その辺は疑問があるのですけど、それはどのように組織の中で維持されているのですか。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 ガバナンスですので、理事長から回答します。目標によって、この目標は、いたずらにストレッチをかけると、それこそ本末転倒になる可能性もありますので、ここは私は25でいいと思っております。ただ、一方で、ストレッチをかける、例えば先ほど稗田代理が説明しましたけれども、その証紙のところで100億というのは、ストレッチがかかった目標でありまして、これを達成するためには結局それだけではなく、先ほど説明がありましたように、建退共制度の目標の背後にある制度そのものについての議論も、これは毎年やるわけではなくて10年に一度ぐらいですけれども、それを開始したので起爆になればいいかなと思っております。したがって、これについては、事務処理上はここでお願いしたいと思います。以上です。

 

○今村主査

 ありがとうございます。特になければ、次にいきたいと思います。1-4、お願いいたします。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 続きまして、No.1-4です。資料1-111ページです。「サービスの向上」の2つ目として、情報提供の充実、加入者の照会・要望等への適切な対応等ということで、数値目標はこちらにはありませんが、評価の視点ということで、ホームページの活用等による情報提供の充実、コールセンターの充実等によるサービス向上のための取組の実施等となっています。

12ページです。「ホームページの活用による情報提供の充実」については、こちらに書いてあるとおりです。災害による被災者に対する罹災見舞い、災害救助法適用地域の最新の情報の提供等ということです。また、右側の「サービス向上のための取組」ですが、中退共事業においては、コールセンターを設定しており、コールセンターにおいてマニュアルの見直し、関係部署へのヒアリング等を実施し、顧客のニーズに即した相談対応、情報提供の充実等を図っているということです。左下の相談業務の充実におきましても、必要なマニュアルの整備などの取組をやっております。右下のホームページについてですが、御意見・御質問を基に相談業務の満足度を集計しておりますが、参考になったというところについては85.3%という数字が出ています。

 以上、取組については、おおむね計画どおりと評価して、法人の自己評価をBとしました。法人の説明は以上です。

 

○今村主査

 ありがとうございます。御意見、御質問、お願いいたします。よろしいですか。特になければ、時間の制約もありますので次にいきたいと思います。1-5をお願いいたします。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 No.1-5です。資料1-113ページです。サービスの向上の3つ目、積極的な情報の収集及び活用です。

14ページです。左上にありますけれども、当機構では、外部の有識者で構成している参与会があり、中退共・特退共、それぞれ単独で1回ずつ、中退共・特退共合同のものを1回、平成27年度に開催したということです。そういった定期的な開催のほかに、その中で事業概況、独法評価の有識者会議での評価の内容等について報告するとともに様々な御要望や御意見なども拝聴しています。また、真ん中ですが、実態調査もしていますが、中退共においては退職金制度の実態調査、また、下にありますが、建退共につきましては、建設業共済制度の実態調査をやっています。調査結果については右側に書いてあるとおりとなっています。

 こうした調査結果を踏まえ、中退共制度の実態調査の中では、退職金制度の導入する予定について真ん中にも書いてありますが、導入する予定がない、あるいは検討している、そういった回答が得られています。そういったことを踏まえて、中退共におきましては、メディアを活用して中退共制度のPRを行っております。また関係機関に対して、制度の普及や周知をお願いするなどの加入促進業務に力を入れております。また、建退共についても、実態調査を踏まえて、現在、これについては掛金納付方式の見直しの検討をしておりますけれども、今年度に入ってその検討をしているところです。こういった形で、各事業本部では外部有識者の御意見、実態調査結果を踏まえて業務運営に反映させているということです。以上の取組につきまして、おおむね計画どおりの取組ということですので、法人の自己評価をBとしました。法人の説明は以上です。

 

○今村主査

 ありがとうございます。御意見、御質問ありましたらお願いいたします。どなたからも御質問なさらないので私から確認ですが、先ほど私が言ったコメントに関連して、特にこの調査は、業務の内容把握にすごく重要だと思います。例えば建退共のところで、元請が76.8の手帳交付だけど、1次下請が50.82次以下の下請が40.7と、どんどん下がっていくという構造ですよね。これは貼付とは直接関係なく手帳の交付ですけども、そういったものを、どう対応して改善していくかという問題は非常に重要なので、こういった調査データをしっかり生かして業務のデザインや構成に生かしていただければと思います。それから、中退共に関しても、中小企業の経営者のニーズに合っているかどうかという部分は非常に重要ですので、こういったところは業務に生かしているとは思いますが、こういう調査の御説明いただければと思います。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 まず、中退共の実態調査、これは毎年テーマを変えて取組みをしております。その中で、中退共制度を維持していくためには、より多くの事業主さんに理解をいただいて加入してもらう必要がありますが、その中で、どういうところにターゲットを置く必要があるかという観点で調査をしております。大体予想されたとおりですが、中小零細が多いという結果が出ておりますので、中小零細も意識しながら、より多くの事業主の方に中退共制度の魅力とかが伝わるように、委託事業主団体や金融機関を活用したり、普及推進員と特別相談員を各都道府県に配置しておりますので、きめ細かな対応をしながら、制度の普及を図っていくという観点でやっております。また、建退共については、今年度におきまして証紙の見直し等を含めて具体的な検討をして、基礎資料としているところですので、正にそれを活用して次年度以降の制度の見直しにつなげていきたいという感じで進めております。

 

○今村主査

 是非、情報の収集及び活用と書いてありますので、どうぞ、よろしくお願いいたします。特にありませんね。次に、1-6です。よろしくお願いいたします。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 No.1-6です。資料1-115ページです。加入促進対策の効果的実施ということで数値目標が定められております。数値目標については、新たに加入する被共済者目標数ということで、平成29年度までの合計として、各事業における数値が定められているということです。それに伴う評価の視点が下に書かれたとおり、評価の視点が設定されています。

16ページです。加入促進に当たり、取り巻く環境を分析する必要がありますが、中退共、以下の各事業の業種については、一番上に書いてあるとおり、当機構としては、厳しい状況の中で取組をしています。

 真ん中ですが、加入促進対策の重点項目として、これも各事業別に書いてあります。例えば、追加加入勧奨文の送付のほかに、マスメディアの活用ということで、テレビCMや新聞広告、ラジオCM等を活用した広報等を実施しています。また、私ども機構だけで、加入促進対策でいろいろな取組をするにも限界があるということもありまして、関係機関とか、厚生労働省の都道府県労働局にも連携をいただき、加入促進の取組を進めています。そういった結果ですけれども、加入実績が16ページの右下に書かれています。まず、左下に平成27年度の加入目標数が設定され、それに対する加入実績が右下に出ています。これについて見ますと、目標値に対して中退共は109.8%、建退共は110.9%、清酒が103%、林退が113.0%ですので、いずれも目標数を上回ったということです。さらに全体で見ても110.1%ということで、トータルでも目標を上回ったということです。以上の取組につきまして、加入目標の達成に向けて積極的な取組を行った結果、全ての共済事業におきまして目標を達成した、目標を超えたということ、また全体でも目標を上回る実績をあげたということ。さらに、加入促進につきまして、厚生労働省をはじめとする関係省庁、業界団体と連携した取組を行ったことなど、全体的に計画を上回ったレベルを達成したということで、自己評価をBとしました。法人の説明は以上です。

 

○今村主査

 ありがとうございます。御意見、御質問、よろしいでしょうか。正にこれは目標数値と業務のガバレッジが非常に連携していて、100から120という、正に典型的なBのケースかと思いますが。ありがとうございます。特になければ、最後1-7です。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 No.1-7、財形の関係です。17ページです。数値目標が細かく設定されておりますが、17ページの真ん中です。財形取扱店におきまして、借入申込書を受理した日から16日以内の融資の貸付決定、あるいは、アンケートについて回答者の8割以上の者からの満足の評価等です。評価の視点については、そういった数値目標に対する取組を記載しています。

18ページです。少し細かく書いてありますが、1番の融資業務についてです。勤労者財産形成促進事業の融資業務につきましては、左上に書いてありますが、融資営業力強化等の通信講座受講等により、担当者の融資の審査能力の向上に努めております。また、貸付金利の設定につきましては、基準金融機関の短期プライムレート及び5年利付国債の入札結果を基に設定した貸付金利を確定するため、関係機関との調整を毎月行うことで適切な貸付金利の設定を行うなどの取組を行っております。また、18ページの右側に書かれていますが、この貸付決定までの処理日数については、処理目標である16日以内に全て処理をしています。

19ページです。2番の周知の取組ですが、財形融資制度の周知につきましては、左上に書いてありますが、ホームページの見直し、パンフレットの作成を利用者の視点に立って行っています。19ページの右下ですが、(5)外部委託の活用や関係機関との連携等により、より効果的な制度の周知、利用の促進を図っています。こうした結果ですが、(3)ホームページのアクセス件数を見ますと、目標を達成したということになっています。また(4)、(5)についても、数値目標については、いずれも達成をしているということです。19ページ右下は、3番の財形システムの再構築ですが、レガシーシステムにより運用していたシステムの刷新ということで、これについては、予定どおり平成27年度の詳細設計が終了したということです。

 以上の取組につきまして数値目標を達成しているということで、おおむね計画どおりであることから、法人の自己評価をBとしました。法人の説明は以上です。

 

○今村主査

 ありがとうございます。御意見、御質問はいかがですか。

 

○宮崎構成員

17ページの評価の視点の所に、「適正な貸付金利の設定等を行ったか」とあるものですから、参考までに教えていただきたいのですが。大体、加重平均でも、あるいは、この年度の新規貸付でも結構ですが、大体この財形貸付金というのは何%ぐらいの金利で貸し付けているものかを教えていただけますか。

 

○勤労者退職金共済機構財形事業本部勤労者財産形成部長

 財形部長の川尻と申します。よろしくお願いいたします。御質問、もう一度確認ですけれども、国債とか短期プライムレートを基準にしているので、それの何%ぐらいという御質問という理解でよろしいですか。

 

○宮崎構成員

 単純に金利の%で結構ですけど。

 

○勤労者退職金共済機構財形事業本部勤労者財産形成部長

 直近で申しますと、金利のほうは、この71日から0.57%で貸し付けをしております。

 

○宮崎構成員

 分かりました。十分低い金利だと思いますので。

 

○今村主査

 ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは、ここで1-7までが終わりました。次の事項に移ります。20ページ以降ですが、業務運営の効率化に関する事項、財務内容の改善に関する事項、その他業務運営に関する重要事項です。これまで同様に、続いて業務運営の効率化に関する事項、財務内容の改善に関する事項、その他業務運営に関する重要事項に関する項目別評定について議論したいと思います。では、法人からポイントをしぼって、ごく簡潔な説明をいただき、その後、質疑応答ということでお願いいたします。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 項目No.2-1、資料1-120ページを御覧ください。第1 業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置として、1番の効率的な業務実質体制の確立から、4番のセキュリティー対策の推進等です。評価の視点についてはこちらに書かれているとおりですが、個別で説明させていただきます。

 次の21ページを御覧ください。初めに、効率的な業務実施体制の確立等です。業務の適正化を日常的に確保するために、「監査室」を平成2741日に、当機構内に設置しております。また2つ目の○ですが、退職金共済事業において、昨年10月から実施された林退共事業の掛金日額等の変更に対応し、システムの変更を行っております。284月から実施される各事業の制度改正に伴うシステムの変更の準備も行っております。

 中期計画の定期的な進行管理です。こちらは複雑な構成になっておりますが、大きな枠で捉えていただきたいと思います。まず、各本部の進行管理について、各本部の進行管理の所で大枠で書かれていますが、毎月各本部におきましては幹部会、あるいは部内会議といった各事業本部内会議を行っておりまして、その中で事業本部内での意思統一を図っております。また、中退共事業、建退共事業においては、四半期ごとに、この真ん中の資料にありますが、「加入促進対策委員会(四半期ごと)」というものを開催しており、委員会での御議論を踏まえ、積極的な加入勧奨を実施しているところです。各事業本部内の部内会議はこの下に書いてありました、失礼いたしました。

 また、各部バラバラの取組とならないようにということで、機構全体の進行管理と左側にありますが、機構の進行管理として、毎月開催いたします理事会において、業務運営状況の把握とか、運営方針の決定等を行うほか、その上にありますように、四半期に1回の業務運営・推進会議を開催しており、各事業本部における業務の進捗状況の把握検証し、業務運営の方針等を指示しているということです。こうした形で機構全体の進行管理を進めております。このほか、職員の意識向上を図るために、職員一人一人につきましては年度計画に基づいた目標管理ということで、目標管理表を作成し、年度末にはその達成度の評価もしております。

 その下の内部統制の強化に向けた取組ですが、リスク管理・コンプライアンス委員会というのがあります。これは各独法それぞれ取組が求められております統合的なリスク管理という組織ということで、当機構では「リスク管理・コンプライアンス委員会」という名称の下、昨年開催しまして、そこの委員として外部有識者を加えた形で開催しております。その中で、機構におけるリスク管理体制の実態の報告を行い、部署ごとにリスク管理項目の洗い出しをお願いしているということです。

 最後ですが、情報セキュリティ対策推進のための取組です。これにつきましては、情報セキュリティ対策推進のための取組として、理事長及び担当の理事から全役職委員向けにメッセージを2回発出したほか、情報漏洩が起きたと想定してサイバー攻撃対応訓練というものも実施しております。また、情報セキュリティーについて関係者間で連携を図るため、情報セキュリティ委員会を開催し、意見交換等も実施しております。このほか、最新のセキュリティパッチとか、ウイルスパターンファイルの適用、フィルタリングによるアクセス制御等も定期的に実施しております。更には全役職員に対する意識啓発ということで、研修やチェックリストの実施等を行っているところです。以上の取組について、いずれもおおむね計画どおりというように評価をしまして、法人の自己評価をBとさせていただきました。説明は以上です。

 

○今村主査

 御質問、御意見はいかがでしょうか。具体的に、例えば情報セキュリティで、こういう攻撃があったけれども防いだとか、そういう事例などが、つまりどの程度リスクにさらされているかという、そういう認識ですが、いかがでしょうか。

 

○勤労者退職金共済機構理事(西川)

 システム担当から御説明させていただきます。明確に私どもが攻撃を受けたのではないかという認識しているのが、大きな事例としては2回ほどあります。昨年12月でしたか、ホームページにかなりの回数のアクセスがあったというのが、これは事後的に分かりました。というのは、いわゆるDoS攻撃というものは実際にホームページを見られなくなってしまうわけですが、そこまでは達しなかったということなので、事後的に把握したことがあります。このときは特に支障は生じませんでした。それから2度目の事例としましては、今年3月の連休以降ですが、相当程度の不審メールが送られてきたという事例があります。これは通常ですと1日数本程度の不信メールが、1日数百本単位で連日送られてくるという事象がありました。もっとも、最新のファイアウオール等を整備しておりますので、そちらに引っ掛かって中にまで達することはなかったということであり、防衛は出来てということです。周囲の組織等に聞いたところでは、私どもがピンポイントで狙われたというよりは、5月のサミットなどもありましたので、ターゲットとしていろいろな所に送られてきたようです。一般的に脅威は増してきているなということを認識した上で、日々セキュリティの向上に努めているところです。

 

○今村主査

 今のところピンポイントのターゲットにはなっていないと。

 

○勤労者退職金共済機構理事(西川)

 はい。というように認識しております。

 

○今村主査

 分かりました。よろしいですか。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 情報セキュリティについては昨年も今村主査から御指摘がありましたけれども、システム面と、ヒューマンエラー面については、かなり対策を取ってきておるつもりでありますけれども、ここであえて申し上げたいのは、理事長の全責任の下でやりたいと思っています。情報セキュリティ対策というのは、実際には西川さんがかなり頑張ってくれているのですが、やはりシステム担当役員の仕事ではなくて、これは金融業務をやる以上、我々の生命線だと思っております。

 

○今村主査

 ありがとうございます。特になければ次にいきたいと思います、お願いします。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 項目No.2-2、資料1-122ページを御覧ください。業務運営の効率化に関する事項、業務運営の効率化に伴う経費節減です。一般管理費及び業務経費と人件費です。数値目標については、業務の効率化に努め、中期目標期間の最終年度までに、特定業種退職金共済事業における被共済者管理システムの改修や勤労者財産形成システムの再構築等の新規業務追加分を除いて、一般管理費(人件費を除く)については、24年度予算額と比べて15%以上の削減、業務経費については、24年度予算額に比べて5%以上の削減という数値目標となっております。評価の視点については22ページの下に書かれたとおりです。

 続いて資料23ページです。数値目標は一般管理費、業務経費の節減の状況ということです。上の囲みは先ほどの数値目標の再掲ですが、24年度予算額と27年度決算額の比較ということで、真ん中に棒グラフが書いてあります。この節減の取組状況については、27年度の決算額と比較した結果、左側の、人件費を除く一般管理費については15%以上の削減目標に対して12.8%の減。また業務経費については、5%以上の削減目標に対して18.1%の減となっております。また、人件費の節減について、給与水準の検証を左下に書いています。地域勘案指数が102.1ということで、26年度と比較すると0.7ポイントの減となっております。また、地域・学歴勘案指数については103.2ですが、こちらは昨年度と比較して0.7ポイントの減となっております。このような取組ということで、いずれも数値目標を達成していて、おおむね計画どおりであることから、法人の自己評価をBとさせていただいております。説明は以上です。

 

○今村主査

 御質問、御意見はいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、次は2-3です、よろしくお願いします。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 評価項目No.2-3、資料1-124ページを御覧ください。数値目標はありませんので、評価の視点です。「調達等合理化計画」に基づいた取組が着実に実施されているか等となっています。

 続いて25ページを御覧ください。その調達等合理化計画に基づく取組の実施です。これにつきましては、「調達等合理化計画」を契約監視委員会による点検を受けた後に決定したということです。各独法横並びですが、「調達等合理化計画」を当機構においても昨年決定したところです。真ん中ですが、「調達等合理化計画」を推進するため、合理化検討チームというものを機構内に構成し、決裁の回付前に事前説明をする場を設け、チェックを受ける体制を機構でも確保したということです。

 また、契約監視委員会の開催状況について、この契約監視委員会は監事及び外部有識者で構成しておりますけれども、昨年度は3回開催し、随意契約及び一者応札・応募に係る契約について審議を受けた結果、契約内容については、おおむね適正であるとの意見を頂いております。

 真ん中の下ですが、随意契約以外の契約も含めた競争性・透明性の確保について、企画競争や公募を行う場合には、競争性・透明性が十分確保される方法により実施したということです。また「一者応札・一者応募」に係る改善方策に従い、見直しを実施しました。また、入札辞退届に理由欄を設けるとともに、入札説明書等を受領したものの応札しなかった業者に対して、聞き取りを実施、改善策の検討をしております。そのほか、監査の実施もされております。以上の取組について、「調達等合理化計画」に基づいた取組を適正に行っているというところなど、おおむね計画どおりであることから、法人の自己評価をBとさせていただきました。説明は以上です。

 

○宮崎構成員

A3の資料に、競争性のない随意契約が20件、うちシステム関係が8件という記載があります。そのシステム関係以外は、主にどのようなものがまだ随契で残っているかを教えていただきたいのと、20件という件数自体は引き続き、まだ努力できる余地があるのではないかと思いますので、その点は是非努力いただければと思います。

 

○勤労者退職金共済機構理事(成田)

 システム関連以外の随意契約と言いますと、例えば、私どもの事務所の賃貸借の契約については、なかなか引っ越すのも難しいこともありますので、随契になっているところです。また、引き続き、契約の適正化については取り組んでいきたいと考えております。

 

○宮崎構成員

 ありがとうございます。

 

○今村主査

 よろしいですか。次に、3-1の財務内容のほうに入ります。よろしくお願いします。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 財務内容の改善に関する事項、1番の累積欠損金の処理について、資料1-126ページを御覧ください。数値目標が真ん中にあります。累損解消(累積欠損金解消計画)と申しますが、累損解消計画の年度ごとの解消目安額については、林退共(林業退職金共済)事業において9,200万円を毎年減らせられるかという達成目標、数値目標が定められております。評価の視点については記載のとおりです。

27ページを御覧ください。林退共給付経理における累積欠損金解消の取組の内容です。上の大きな枠の中の林退の共済給付経理における累積欠損金解消の取組については、累積欠損金解消計画に沿った着実な累積欠損金の解消に努めているところです。27年度は、掛金収入が退職給付金を上回り、また資産運用においても運用収入が3800万円を計上しました。また資産残高においても前年度1396,300万から1421,600万と、25,300万円の増加という結果が出ております。一方で、脱退率の変更を行った結果、責任準備金単価が増加し、その結果、責任準備金が36,800万円増加するという結果になりました。

28ページにその累積欠損金の解消状況の折れ線グラフと表があります。累積欠損金については、27年度末において91,100万円となり、年度ごとの解消目安額は達成できなかったという結果になりました。ただ、この責任準備金の繰入額の増加については、先ほど申しましたとおり責任準備金の単価が増加してしまったという状況がありました。そうしたものについては一時的なものと考えております。資産運用については市場環境が厳しい中で運用収入の3800万円の計上とか、掛金収入においても155,400万ということで、前年度に比べて6,700万円の増加ということで、収益の改善も図っております。更には27年度決算額においては、基本経費の繰入額についても前年度決算と比較して、400万円の節減をしているといった取組も図っていることを踏まえ、数値目標としては一時的に増えたことにはなりますけれども、それがなければ単年度目標は達成できたと、法人としては自己評価として、Bとさせていただきました。説明は以上です。

 

○今村主査

 御質問、御意見、よろしくお願いいたします。

 

○園田構成員

 いろいろと目標を満たしているとする理由をおっしゃっていましたけれども、先ほどの1-2もそうですが、減らすと言っていたものを増やしているわけですよね。何%足りませんでしたではなくて、全く逆の方向にぶれているわけですから、この重みというのは、会計的な数字としてはかなり重いと思います。そういった意味でいろいろなことはおっしゃっていましたけれども、やはりここはこれをBというのは、ちょっとないなと思います。

 

○勤労者退職金共済機構理事(成田)

 林退共を担当しております成田でございます。B評価に至った経緯について、繰り返しになるかもしれませんが、改めて御説明させていただきます。

林退共の給付経理の27年度の決算につきましては、資料のとおり、責任準備金繰入額が、前年比327.2%増の36,800万円となったことなどにより、当期純損失が11,500万円となり、毎年累積欠損金を9,200万円ずつ解消していくという累積欠損金解消計画の目標を達成できなかったのは事実です。

一方で、責任準備金の積立金の計算ですが、厚生労働大臣から示される積立要領に基づいて機構で計算しておりますけれども、昨年度は制度改正等があったこともあり、平成15年以来、初めて責任準備金の単価が見直されております。これにより、林業労働者の就労状況の変化等に伴い脱退率が低下したことなどから責任準備金の単価が増加したなどにより、責任準備金の繰入額が大幅に増加したと考えております。この措置については、ある意味技術的な対応で今年度限りの増加要因であると考えております。

 一方で、これも繰り返しになりますけれども、昨年度について、先ほど加入促進のところでも御説明しましたとおり、5年ぶりに新規加入目標を達成したことなどにより、退職給付金を上回る掛金収入を確保いたしました。運用収入についても、他の退職金共済事業よりも高い運用利回りとなったことから、3800万円を確保いたしました。それから業務費の節減として400万円、業務経理への繰入を減らしております。その結果としまして、11,500万円の当期純損失に留まったことから、B評価としております。

 これは仮定の話なので意味はないかもしれませんけれども、この責任準備金の繰入額36,800万円のうち、どの程度が今回の特殊要因で、どの程度が通年ベースのものかという推計は難しいわけですが、平成26年度の繰入額が8,600万円でしたので、仮にこれと同じであったと仮定しますと、平成27年度も15,000万円から16,000万円の累積欠損金の解消を行うことができたのではないかと推測されることから、このような評価にしたところです。

 

○園田構成員

 いろいろ事情は説明していただいたのですが、一般企業で同じような状況のときに、それはしょうがないですねと言ってもらえるかということをちょっと考えていただきたいのです。B評価というのは100%から120%ですよね。一般企業で、累積欠損を減らすと言っていながら増やしたときに、いろいろな事情はあっても、そのように評価してもらえるのかということを考えていただきたいなと思います。

 

○今村主査

36,800万円の負担増に対して、11,500万円に留まったということを強調したいということですね。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 園田構成員の御指摘も、甚だ、会計士の立場から言えばごもっともですし、真摯に受け止めたいと思います。ただ1つだけ、これは言い訳でも何でもありませんけれども、私も一般企業で15年ぐらいの間そちら側に座っていましたけれども、一般企業の場合には、ほかにこれをカバーできるものがあるのですね。例えば最終損益がいろいろなことで、つまり退職給付の引当金が増えるとか。その場合には、株式売却で特別営利を計上するとか、そういうのができるのですが、ここはこれだけで勝負しているというのが1点。

 それから2点目としては、15年ぶりの改正が、たまたまこの時代に当たってしまったこともあって、それ以外のことで何か問題があれば別ですけれども、それ以外は実はパーフェクトにやっていると、しかも今までできなかった加入促進についても目標を捉えたということから考えると、園田構成員のお立場からの御指摘はごもっともですけれども、そこは是非、総合的に考えていただけると有り難いなと思います。私自身もそういうことを踏まえてこのB評価をさせていただきました。ここだけはちょっと申し上げておきたいと思います。

 

○今村主査

 民間企業では株式売却とか、いろいろ手があるという。

 

○園田構成員

 今、主査から振られましたので。最初の民間企業でというお話なのですが、これは林退共の給付経理に限定的な話で、ある意味でプロジェクトの評価ですよね。その場合には、やはりプロジェクトとしてのことですから、一般企業でも株式の売却でというのはちょっと当てはまらないのではないかなと思いました。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 本当に先ほどから申し上げていますように、園田構成員の立場から言えばごもっともなのですが、私から申し上げると、それ以外の項目が日々、我々機構が汗をかかなければいけない項目が1つでも抜かっていれば別ですけれども、これだけうまくいって、ばんざいと言って最後に地雷を踏んでしまったということですので、是非その辺をお願いしたいと、あとはお任せいたします、よろしくお願いします。

 

○今村主査

 あとは評価のほうに、我々の意見を是非最終的に反映させていただければと思います。よろしくお願いします。

 

○戸田構成員

 おっしゃるとおり、数値目標で見るとやはり未達である、逆に増えているというところは課題であるというようには認識しておりますが、建設的な議論をするためには、それは本当に単なる言い訳なのか、それとも合理的な理由によって説明できるのかというところが重要なポイントだと思っていて、我々もそういうところから評価、コメントをしないといけないというように認識しております。そういう意味では、諸々御説明頂きましたけれども、やはりそういうところをきちんと明記した上で、来年度以降、今後はこうした当期利益が下回るみたいなことがないように、考えられる上での手段を講じているかというところも重要であるかと思っております。そういうところも踏まえていただいて、来年度以降は累積欠損を増やさないようにするというところを目指して、努力していただければと思っております。

 

○今村主査

 次に、財務内容の2番目、3-2です、お願いいたします。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 項目No.3-2、資料1-129ページを御覧ください。2番、健全な資産運用等です。数値目標については、各事業本部の委託業務について、おおむねベンチマークと同等以上のパフォーマンスが達成されたかどうかという観点です。評価の視点は、それに伴う項目となっております。

 資料30ページを御覧ください。これは平成27年度運用実績に対する運用目標等の部分に関する評価結果概要とあり、その下に、資産運用委員会とあります。当機構におきましては、健全な資産運用等が行われたかどうかを検証するために、昨年平成2710月より、中小企業退職金共済法第69条の21項の規定に基づいて設置され、外部の専門家からなる資産運用委員会に、このような評価を頂いたところです。その30ページにあるのは、この委員会においてまとめた評価報告書を抜粋させていただいたものです。評価に当たり、この資産運用の基本方針に沿った運用がなされているかどうか等を中心に評価を頂いたところです。運用目標の達成状況が2つ目のカギ括弧で書いてあります。その中の3つ目の○ですが、運用状況の評価について書かれた部分として、各事業における委託運用(金銭信託)については、書いていますとおり、一部の資産でベンチマークを下回ったということですが、全体については次の31ページに細かく書いていますけれども、ベンチマークとほぼ同等のパフォーマンスとなっているというようになっており、自家運用についても適切な運用が行われているとの評価を資産運用委員会から頂いたところです。

 一方、資産運用の「基本方針の遵守状況」は、30ページの下に書かれております。これについては、(1)資産配分割合の乖離許容幅に資産配分実績が収まるような基本ポートフォリオ管理がなされている。(2)自家運用に関する同一発行体への投資額及び取得格付けについて制限が実施されることにより、適切な管理がなされていると認められる。更に、そういう中で適切な管理がなされていると認められるといったこと等があります。また、268月に日本版スチュワードシップコードというものの受入れを機構で表明しておりますが、スチュワードシップ活動状況の概況及び資産運用委員会における議事要旨一覧表の公表等、資産運用を委託している民間金融機関のシェア変更、運用管理等その他の事項についても適切に行われていることが認められるとして、これらを踏まえ、資産運用委員会の評価については、各事業とも全般として基本方針に沿った運用に努めていると評価できるとされております。

 この資産運用に係るパフォーマンス状況については、次の3132ページに詳細を記載しております。以上のとおり、健全な資産運用については、運用目標の達成条件について、全体で見れば制度の健全性の向上とか事業の安定的な運営に資する運用収益の確保が行われていること、基本方針の遵守状況についても、各事業とも全般として、基本方針に沿った運用に努めているという資産運用委員会の評価も踏まえ、法人の自己評価をBとさせていただきました。説明は以上です。

 

○今村主査

 御質問、御意見がありましたらお願いします。よろしいですか。パフォーマンス的にも外部評価的にも、おおむね適正に推移しているということです。

 次に、No.3-3をお願いいたします。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 項目No.3-3、財務内容の改善に関する事項、第3の2と3です。財産形成促進事業、雇用促進融資事業については、資料1-133ページに、評価の視点が下に書かれております。

34ページ、財産形成促進事業、雇用促進融資事業のそれぞれの取組について、1つ目の枠です。財産形成促進事業の(1)効率的な財政運営については、制度の普及活動を行うとともに、厚生労働省及び関係機関と連携を図りながら適正な貸付金利の設定等により、安定的かつ効率的な財政運営に努めているところです。こうした中で財形融資については、681件約121億円の貸付決定を行い、運営費交付金の廃止を踏まえて自立的な財政規律の下、当期利益20億円を計上しております。また、債権管理についても、適切な管理に努めております。下の、雇用促進融資事業です。(1)債権管理については、債権者及び抵当物件に係る情報収集及び現状把握等、債権の適切な管理を行っており、リスク管理債権については、現状の把握等、適切な管理に努めるとともに、債権の回収・処理にも努めております。また、(2)財政投融資への償還についても、約定どおりの償還を行ったということです。以上の取組について、いずれもおおむね計画どおりの取組ということで、法人の自己評価をBとさせていただきました。説明は以上です。

 

○今村主査

 御質問、御意見をお願いします。

 

○園田構成員

 債権管理について伺いたいのです。回収不能見込額について、財産形成促進と雇用促進融資の両方の金額を教えていただきたいです。

 

○勤労者退職金共済機構財形事業本部勤労者財産形成部長

 不能というわけではないのですが、御案内のとおり、独法会計には独法会計基準に基づき債権区分を3区分にするという指示がありますので、そういう意味では、雇用促進融資については破産更生債権等は19億、それから財形持家融資については12,000万を計上しています。

 

○園田構成員

 特に雇用促進のほうですが、融資残高35億円ですね。35億円中の19億円が破産債権ということで、6割なのです。これだけの破産債権があって適切な管理と言えるのかということなのですが。

 

○勤労者退職金共済機構財形事業本部勤労者財産形成部長

 この雇用促進融資については、平成14年をもって、新規融資が終了しています。現在回収だけ行っているものですから、どうしてもやはり、不良債権の部分が毎年割合としては高くなる傾向にあるところです。

 

○園田構成員

 そうは言っても、現在こういう状況なわけです。しかも、この配られた資料にはそういう金額が全く書かれていないというのは、私は非常に問題だと思います。

 

○勤労者退職金共済機構財形事業本部勤労者財産形成部長

 この雇用促進融資については、事業主にお貸しするのですが、その内容については、例えば社宅であったり、福利厚生施設の整備に使われるもので、ここの取立を余り厳しくすると、結局は会社の経営にも響いて、最終的には、場合によっては勤労者の方の雇用を失わせてしまうことにもなり兼ねないので、ここは慎重にやっています。

 それともう1つは、貸付を行った市中金融機関のほうに業務を委託しているのですが、そちらが大体、その会社のメインバンクにもなっています。したがって、そういう取立については、そのメインバンクと連携してやっているところです。

 

○園田構成員

 ただ、もう破産更生債権ですから、経営状況としてはどうなのですか。

 

○勤労者退職金共済機構財形事業本部勤労者財産形成部長

 やはり、芳しくない状況にはありますが、そこは私どもだけが突出した取立もできませんので、先ほど言いましたように、メインバンクである金融機関と連携を取っているところです。

 

○園田構成員

 融資のときの意思決定ですとか、そういうものもちょっとどうだったのかというのもありますし、これが配布資料に全く出てこないというのは、やはりどうなのですか、ディスクロージャーという観点からするといかがかと思いますが。

 

○勤労者退職金共済機構財形事業本部勤労者財産形成部長

 今回の、ここの所には出ていませんが、御案内のとおり財表については公開していますので、その数字は適切に表記しています。

 

○園田構成員

 ただ、ここでは「適切な管理」と書いていますから、普通はそういうものはもっと小さいと思うのではないですか。

 

○勤労者退職金共済機構理事(西川)

 委員の御指摘のとおりでして、ディスクロージャーの観点、特に、この場での御説明の資料として不適切であるという御意見は重く受け止めましたので、改善を図らせていただきたいと思っています。ただ、適切な管理ということで言いますと、先ほど財形部長から申し上げたとおり、メインバンクと連携を取って、また地元の金融機関にも継続的に私ども職員が行きまして、債権の管理状況について、文書の管理とか、それから先方の企業とのコミュニケーションとか、そういうものを継続的にウォッチして、管理をさせていただいております。何れに致しましても、金額的なものをきちんとディスクローズしていないではないかというところは確かにそのとおりですので、改善を図りたいと思います。

 

○園田構成員

 ついでに、もう1つ伺います。破産ではなくて回収遅延の債権はいくらぐらいあるのですか。

 

○勤労者退職金共済機構財形事業本部勤労者財産形成部長

 先ほど申しました3区分にかかわらず、1回でも延滞しているという数字でよろしいでしょうか。

 

○園田構成員

 はい。

 

○勤労者退職金共済機構財形事業本部勤労者財産形成部長

 この331日現在においては、雇用促進融資については13億、それから、財形持家融資については7,000万です。

 

○園田構成員

 そうすると、雇用促進に関しては、19億と13億を足すと、もうほとんど回収が滞りかけていると解釈してもよろしいのでしょうか。

 

○勤労者退職金共済機構財形事業本部勤労者財産形成部長

 期失させている債権もありますので、そういうケースについては当然、任意弁済している分については延滞と、カウントしていますので、そういう数字13億円になっているかと思っています。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 ちょっと付言させていただきます。園田構成員の御指摘はごもっともだと思います。数字で申し上げると、まず、雇用促進融資の貸付残高は、おっしゃるとおり35億円です。そのうちのリスク管理債権、貸倒懸念債権及び破産更生債権等の額は24億円です。ですから、何もしていないわけではないのですが、一応、財務上の手当として、引当金を16億積んでいます。それについても、先ほどから現場で話をしているように、きめ細かく回収に努めているということです。

 それから、財形持家融資については、貸付残高で4,809億。そのうち、これは財形持家融資ですから、破産更生債権等の額は12,200万円、比率で言えば2.5bp、これは非常に余程のことがない限りは破産になっていないということです。

 それで、雇用促進融資については、ずっと今、回収が進んできていますから、分母がどんどん減少しているということです。

 

○園田構成員

 評価としてはB評価でいいと、理事長はお考えなのですか。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 私はB評価でいいと思っています。というのは、まず管理についてはきちんとやっているということと、それから回収についても努力をしているということ、それから、現実に新たなものについてはほとんど起こっていないことから考えると、B評価で、私はいいと思っています。ただ、数字的にここに出ていないのは大変申し訳ありませんでした。

 

○今村主査

 若干、付け加えますと、先程来指摘されているように、ネガティブなものをこれから収束に向けて管理することに関して、ここに全く出ていないというのはこれは問題だと思います。ですから今、言われたような、目標にはきちんと適正な管理、金融機関と連携してとかいろいろ書いてありますので、そういうことをやっていることは今の説明で分かりましたが、そういうことを一切書いていないというのはちょっと確かに問題ではないかと思います。以上おっしゃるように努力はしている、特に問題なく適正に収束に向けてやっているということですので、それでよろしいかと思います。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 かしこまりました。

 

○今村主査

 では、ほかになければ、次に行きます。今度は評価項目No.4-1です。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 それでは、評価項目4-1です。資料1-135ページを御覧ください。「その他の事項」です。第4から第9です。数値目標が定められています。まず1つ目、中退共事業の既加入事業主のうち一定規模以上の事業主に対して財産形成促進事業の資料を毎年度3,000件以上送付しているか。2つ目、中小企業事業主に対して中退共事業と財産形成促進事業の資料を毎年度1,000件以上送付しているかということです。評価の視点については、今の中退共事業と財形の連携の取組、以下となっています。

36ページは、最初に、「退職金共済事業と財産形成促進事業の連携について」という大枠があります。この連携については、両事業の周知に係るチャンネル、あるいは事業を両者で活用することが大変重要であると考えています。現在は、制度説明会及びパンフレットによる周知の連携を中心に行っています。平成27年度については、都道府県の労働局が主催している就職面接会において共同で資料を設置配布するなどの取組を行ったところです。

 「災害時における事業継続性(BCP)の強化」です。中退共事業においては、災害時に備えて事業継続のため、データを大阪コーナーへ転送することとなっており、そのテスト作業を定期的に実施しています。それ以外に、建退共、清退共、林退共においても、被共済者に対する振込の通知とか振込以外についての処理手順の見直し等を図ったところです。財形についてのバックアップの実施をした結果になっています。

37ページは、予算、収支計画及び資金計画の内容です。上に棒グラフが出ています。これは予算と決算の比較となっています。予算、収支計画及び資金計画については、既存の経費を見直すとともに、随意契約によらざるを得ない場合を除いて、原則として全て競争入札としています。随意契約の適正化の推進を図るなど、予算の範囲内で適正に執行するなどの取組を行っています。平成27年度決算は、平成27年度予算に比べて約5億円の減少となっています。また短期借入金の限度額についても、37ページの下に記載のとおりです。

38ページ、「職員の人事に関する計画」です。研修の内容等が書いてあります。真ん中に研修実績と書いてあります。右側に研修の実績をまとめたものがあります。こういう取組をしています。また、職員の採用については、左下の囲みにあるとおり、平成27年度については138名の応募を頂いて、9名を採用したという結果になっています。

 以上の取組について、全体的におおむね計画どおりの取組としまして、法人の自己評価をBとしました。説明は以上です。

 

○今村主査

 御質問、御意見何かありましたらお願いします。いかがですか、大丈夫ですか。1つだけ、35ページの評価の視点の一番最初の所です。退職金共済事業と財産形成促進事業の広告媒体を相互に活用する等、事務の効率化を図りつつ、普及促進における両事業の連携を図っているかということですが、この辺の効率化が、もっとシナジー効果があってもいいのかと思うのです。単にパンフレットを置いたとか、交換したとか、そういうレベルにとどまっているというのが、もう少し何か工夫されているのか、効果があるのかということを少しだけ説明いただきたいと思います。いわゆるシナジー効果です。

 

○勤労者退職金共済機構理事(西川)

 このシナジー効果に向けた取組というのは、まだ始めてそれほど日がたっているわけではないのです。しかしながら、例えば説明会に一緒に行って、単に資料を置くだけではなくて一緒に説明をすることもやっていますし、パンフレットについて言えば、一緒に送ることによって、トータルとしての福利厚生の向上にも役立ちますし、それから私どもの懐事情として言えば送付代金が半分になるということもあります。そういう面で、いろいろなシナジー効果が今、出つつあるところだと認識しています。

 

○今村主査

 ありがとうございます。よろしいですか。では特になければ、次に、法人の監事、それから理事長からのヒアリングになります。まず法人の監事より、業務の監査結果等を取りまとめた「監査報告」について御説明いただくとともに、監査等を踏まえた現在の法人の業務運営の状況や今後の課題、改善方針等について、コメントをお願いします。よろしくお願いします。

 

○勤労者退職金共済機構監事(稲見)

 監事の稲見です。隣におります東監事とともに、監査業務を行っています。監査報告書については、資料1-4にあるように、会計監査人である有限責任あずさ監査法人、それと私ども、機構の監事である稲見と東の両名において監査報告をしています。

 監査の方法、その内容です。監査実施計画に基づいて役職員との意思疎通を図っています。また情報の収集及び監査の環境の整備に努めるとともに、理事会とか、その他重要な会議に出席して職務の執行状況について報告を受けています。また、必要に応じて説明を求めています。併せて、重要な決裁書類等についても閲覧を実施して、事務所における業務、あるいは財産の状況及び厚生労働大臣に提出する書類の調査・精査をしています。

 財務諸表等については、この検証に当たって、会計監査の適正性及び信頼性を確保するため、会計監査人である「あずさ監査法人」と、職務の執行状況について報告を受けて、その内容について説明を求めています。その監査結果については、先ほど説明した監査報告書の記載のとおりです。

 監査等を踏まえた業務運営の状況です。機構が定めた第3期中期計画に基づく平成27事業年度計画に沿って業務が着実に実施されていることを確認しています。また、資産運用に関しては、昨年改正された中小企業退職金共済法によって、厚生労働大臣が任命する外部有識者委員による資産運用委員会が開催されています。また、その場において資産運用における内部ガバナンスの強化が図られています。本年4月からは、特定退職金共済制度からの資産移換が可能になる等、制度の改正がなされていて、加入促進等の推進が今後期待されると考えています。引き続き、法令の遵守、効率的・効果的に業務運営に努めていただきたいと考えています。私からの報告は以上です。

 

○今村主査

 ありがとうございます。続いて法人の理事長より、日々のマネジメントを踏まえ、現在の法人の業務運営の状況や今後の課題、改善方針についてコメントを頂けると思います。よろしくお願いします。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 まず、当機構は、金融業務を行う中期目標管理法人として位置付けられていることも踏まえて、業務運営に当たっては、まず確実な退職金の支払い及び財形事業の融資業務など、日々の業務を着実に実行していくことが大事だと思っています。次に、安全かつ効率的な資産運用を行うことであると思っています。この2つを2本柱として業務運営に努めています。これは、前理事長からの方針でもありますし、いささかも、その方針については変わりはありません。このうち、日々の業務を行う取組についてはPDCAサイクル、先ほどから23御指摘も頂いています。私は去年10月にまいりまして、独立行政法人とはどういう所か分かりませんでしたが、これは非常に立派に回っているというのが私の印象並びに判断です。それに加えて、先ほど出ましたが、機密情報を守るための情報セキュリティ対策、これはやはりいろいろな部が分かれますので、理事長の全責任の下に取り組んでいきたいと思っています。ただこれらについては、今後ともたゆまざる努力が必要だと思っていますので、テンションが落ちることのないようやっていきたいと思っています。

 次に、安全かつ効率的な資産運用です。今回の独立行政法人のガバナンス強化の1つの目玉ですが、資産運用委員会が昨年10月に設置されました。大変良い方々を選んでいただいていて、私としては、この資産運用委員会を軌道に乗せることに注力してきました。お陰様で、資産運用についてはガバナンスの体制はできてきたと思っています。更に、厚生労働省の労働政策審議会との連携も、隣に座っています勤労者生活課長の冨田課長に担っていただいていますので、より良い緊密な関係が築けると思っています。以上、この機構は余り大向うをうならせるような施策もないわけで、コツコツと地道に適切な業務運営に万全を期していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 

○今村主査

 どうもありがとうございました。ただいまの御発言内容について、御意見、御質問等がありましたらどうぞ。

 

○志藤構成員

 すみません、直接今の理事長のお話を伺ってというよりは、ちょっと全体を拝見して感想のようなものを述べさせていただいてよろしいでしょうか。先ほどからも指摘が幾つかあったかと思いますが、評価の問題ではなくて、むしろ数値目標の設定に関してなのです。私が拝見していて気が付いたことを2つほど申し上げたいと思います。

1つは、23ページの「一般管理費及び業務経費の節減」です。これは、私なども自分の団体に関して、お金をどうやって減らすかは大事な問題なので注意して読ませてもらったのです。目標で、平成24年度中期目標を立てたときの最初の年度に比べて、一般管理費は15%以上削減したい。それから、業務経費は5%以上削減したいという2つの目標だったと思います。そうすると、業務経費の削減は3倍難しいわけだと、15%と5%ですから難しいのだと理解しましたら、達成された数値で見ると、一般管理費が12.8%で、業務経費は18.1%なのです。そうすると、最初の5%という数値の根拠がどこだったのか。それを考えたときに、ものすごく頑張ってよくやって5%のつもりが18%になったと読むか、最初から5%というのは割と安易に決めた数値だったのではないのかという気がどうしてもしてしまうものですから、この辺りの数値の決め方に対して、多分いろいろな方から、先ほどからお話も出ていたかと思いますが、もう少し何か、何でしょう、シビアにと言いますか。

 今度はそれと全く逆の数値目標なのです。実は一番最初の所なのです。これはずっと気になっていました。ものの考え方として、私の考え方がいいものではないとは思っていますが、ちょっと気になっているのが、一番最初4ページの、結局、未請求者の1%程度と言うのですが、これはちょっと信じられないぐらいの数字で、このようなことを実行しようとするほうが私は無理だと思っています。それで1.4何パーセントというのは、本当に奇跡のような話なので、こういうことでいいのかどうかということが私はむしろ逆に疑問なのです。

 と言うのは、自分の仕事の関係で、退職した方々、高齢化率が30%を超える世の中では、平均寿命よりは健康寿命を伸ばすことが、むしろ至上命令なわけで、そのときに退職した方々が健康診断をどういう形で受けてくれるかというのはものすごく大事なことで、健康管理とか御自身の意識の問題とか、私はそういう仕事をやっていますが、行政がどんなに努力をしても、退職した後も会社の健康診断とかを受けないで行政の健康診断を受ける方というのは、下手すると半分ぐらいしかいないのです。3分の1でしたらまあ、3分の2でしたら良しとするぐらいに、自分の意思で自分の健康を守るというのはとても大事なことなのですが、そういうことですら知らない人がいないようにしようということは徹底します。だけれども、知っても行かない人がいる、放っといてくれ、別に健康診断を受けて健康でなくてもいい、社会と関わりを持って別にこれから生きていかなくてもいいという人を、何て言うのですか、認識を変えて社会に参加してもらったり、健康診断を受けて健康寿命を伸ばすために努力をしてもらうのはものすごく大変なことなので、先ほどのお話にもあったように、分かっていても権利があっても面倒臭いから行かないというのも、その方のある意味価値観、人生観だと私は思ってもいいと思うので、健康診断に行かない方も含めて、私は余りにもtoo muchな管理をしすぎることはいかがなものかと思います。これが100%追跡して何とかお金を受け取ってもらうという方向でお金を使うことがいいことなのかどうか。私は行政の方には、健康診断を知らない人は知らなければいけないけれど、知っていても行かないとか、面倒臭いとか、放っといてくれ、自分の人生だという方にまで税金を使う必要はないといつも申し上げていて、嫌がられているのですが、やはりtoo muchな管理は私は余り個人的には好きではないという思いを込めて、この1%という数字がどうなのかということも、意見です、全く私の意見ですが申し上げさせていただきました。以上です。

 

○今村主査

 ありがとうございました。理事長は民間から来られて、ガバナンスには非常にスキルがおありですが、経済学でも組織の経済学とかで、いかに目標を設定して、それがそれぞれ、どの程度インセンティブの強度を付与するかはとても重要な問題だと思うのです。確かに目標設定に関しては、我々はもう1回再考する必要があると思います。組織のほうでもそういうことを努力して、先程来、頑張っていることをきちんと評価したいと繰り返しおっしゃっていますので、是非よろしくお願いします。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 ありがとうございます。先ほど申し上げましたように、私も15年間どちらかと言うと評価するほうをやっていまして、評価するほうは大変だと実は思っています。評価するというのは、評価だけではなくて、今までの目標が正しかったのかどうかというところまで考えないといけないのだろうと思っています。先ほどの1.4%の話ですが、全くおっしゃるとおりです。ただ一方、時効の問題もあって、時効が終わっても今ずっとやっているのですが、どこまでコストを掛けるのが本当にほかの人たちのためになるのかという。私は、この中期計画の期中で受けたので、これをとにかく貫徹することですが、私の頭の中では、やるべきことを全部やってもどの程度なのだと。それはどうも1.4ぐらいかというのが今の私の相場観です。以上です。

 

○今村主査

 ありがとうございます。ほかに何か御意見、御質問ありますか、大丈夫ですか。ありがとうございました。それでは、以上で御意見、御質問を終了します。

 最後に、勤労者退職金共済機構の「平成27年度業務実績評価に係る今後の取扱いについて」の御説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 本日、法人から説明のありました業務実績及び自己評価に対して、構成員の皆様方から寄せられた御意見や、法人の監事及び理事長のコメントなども踏まえまして、厚生労働大臣による評価として決定し、その評価結果について法人に通知するとともに公表いたします。決定した内容については、後日、構成員の皆様方にもお送りします。次回のワーキングの開催については、88(月曜日)の午後2時からを予定しています。場所は厚生労働省の低層棟の2階の講堂です。議題としては、「高齢・障害・求職者雇用支援機構の平成27年度業務実績評価」について御意見を賜ることとしています。最後に、本日配布しました資料の送付を御希望される場合には事務局より送付しますので、机の上にそのままにして御退席いただきますようよろしくお願いします。事務局からは以上です。

 

○今村主査

 ありがとうございます。それでは本日は以上といたします。明日から少し暑くなりそうですが、長時間の議論、また次回が8日にありますので、是非健康管理に気を付けていただきたいと思います。どうも今日はありがとうございました。


(了)

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