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2016年5月20日 薬事・食品衛生審議会 化粧品・医薬部外品部会 議事録

○日時

平成28年5月20日(金)16:00~


○場所

航空会館901会議室


○出席者

出席委員(9名)五十音順

有 森 和 彦、 井 上 和 秀、◎大 野 泰 雄、神 田 敏 子、
木 津 純 子、 栗 原 正 明、○西 川 秋 佳、西 村 哲 治、
松 永 佳世子
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(3名)

関 東 裕 美、 杉 林 堅 次、 藤 井 まき子
他参考人1名

行政機関出席者

中 垣 英 明 (医薬・生活衛生局長)
森   和 彦 (大臣官房審議官)
山 田 雅 信 (審査管理課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)

○議事

○審査管理課長 定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会化粧品・医薬部外品部会」を開催いたします。本日はお忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。本日の委員の出欠についてですが、関東委員、杉林委員、藤井委員より御欠席との連絡を頂いております。また、木津委員が少し遅れておられるようです。現在のところ、当部会委員数12名のうち8名の委員に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告させていただきます。なお、本日は審議事項の議題に関して、東京女子医科大学皮膚科学教室教授・講座主任であられます川島眞先生を参考人としてお呼びしております。大野部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。

○大野部会長 本日は、皆様お忙しいところお集まりいただきありがとうございます。本日の議題に入りたいと思います。まず、事務局から配布資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、報告をお願いいたします。

○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日、席上に議事次第、座席表、当部会の委員名簿を配布しております。議事次第に記載されている資料1、資料2については、あらかじめお送りしております。このほか、資料3の「専門協議委員リスト」、資料4「競合品目・競合企業リスト」、資料5「審議参加に関する確認事項の追加について」を配布しております。さらに、1枚紙ですが、本日御審議いただく品目の資材の現時点案ということで、「ポーラ リンクルショット メディカル セラム、1個箱パンフレット文案」という図が入っている資料をお配りしております。過不足等ありましたらお知らせいただければと思います。

 続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告いたします。各品目の競合品目選定理由について、資料4、「ポーラ リンクルショット メディカル セラム」ですが、予定する効能・効果は「シワを改善する」で、同様の効能・効果を有する薬用化粧品は承認されておりませんが、本審議品目と同一剤型であるものに関して、資料4に記載した選定理由により競合品目を選定しております。以上です。

○大野部会長 今、事務局から説明いただいたことに関して、御意見はありますでしょうか。

それでは、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、皆さんの御了解を得たものといたします。

 次に、委員の先生方からの申し出状況について報告をお願いいたします。

○事務局 各委員からの申し出状況について、御報告させていただきます。議題の「ポーラ リンクルショット メディカル セラム」について、退室委員なし、議決に参加しない委員なしです。

○大野部会長 いかがでしょうか。今の事務局の説明に特段御意見はありますでしょうか。

これについても皆さんに御確認いただいたといたします。

 続いて、資料5について、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 資料5です。「審議参加に関する確認事項の追加について」ということで説明いたします。本件は審議参加規程の運用改善を図るということで、平成28年3月25日の薬事分科会で了承され、4月から適用されているものです。薬事分科会の審議参加規程については、平成21年より運用しておりますが、独立した別途の評価委員会において、少なくとも年に1回、運用状況の評価等を行うこととしております。

 2ページ目です。別添1、評価委員会で、こちらの検討の結果、委員の先生方からの申告を製薬企業に確認する仕組みを試行的に導入することとし、昨年4月より運用してまいりましたが、一定程度の有用性があると考えられるということで、この仕組みを本格的に導入するという運びになったところです。また、本格導入に当たり、試行的な段階では対象になる企業について申請企業のみに確認していたところですが、別添1の2.にあるように対象を競合企業まで広げて確認をすることといたしました。

 具体的な確認事項の追加の内容が3ページ目、別添2で審議参加に係る確認事項の新旧対照表です。また、手続の流れについては従来と変更ありませんが、新しい手続の時間を確保できるようにということで、4ページの別添3で、「今後()」と書かれている部分ですが、先生方への申告の依頼を1週間前倒しにすることとしております。事務局としては、先生方にいろいろと御負担もおかけするところがありますが、審議の中立性、公平性等の確保に努めてまいりたいと考えておりますので、引き続き御協力のほどよろしくお願いいたします。資料の説明は以上です。

○大野部会長 いろいろ皆さんには煩わしいことがあるかもしれませんが、私は今の世の中の流れだとして受けざるを得ないのかなという感じがしますが、よろしいでしょうか。

それでは、皆さんに御確認いただいたものとして、議題に入りたいと思います。

 本日は、審議事項が一つ、報告事項が一つです。審議事項の審議に移りたいと思います。資料1について、機構から概要の説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 議題1、「ポーラ リンクルショット メディカル セラム」の製造販売承認の可否について説明申し上げます。資料1の審査報告書の3ページ目です。申請品目ですが、申請品目の販売名は「ポーラ リンクルショット メディカル セラム」、申請者はポーラ化成工業株式会社です。本剤は、有効成分として三フッ化メチルバリルプロリルバリルテレフタロイルグリシンナトリウム□□%を配合する薬用化粧品のクリームになります。また、申請時効能・効果として、「エラスチン・コラーゲンの分解を抑え、紫外線によるシワを防ぎ、改善する」が設定されておりました。

 なお、有効成分の成分名について、申請時にはこちらに記載したように設定しておりましたが、事前に栗原委員より、「化学名に基づいた名称としては適切ではない」という御指摘を頂いております。御指摘を踏まえて、化学名に基づいた適切な名称に改めたいと思います。

 3ページに記載しているイ.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況等に関する資料です。まず、シワは、細胞や組織の機能低下と紫外線や乾燥などの環境要因により、真皮を構成するエラスチンやコラーゲンなどの細胞外マトリックスが変性した所に、表情筋などによる変形が繰り返し起こることで形成されることが知られています。本成分は、細胞外マトリックス分解酵素である好中球エラスターゼを阻害したり、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の活性化を抑制したりすることによって、特に紫外線の曝露によって生じるエラスチン・コラーゲンの分解を抑えるとされています。なお、2015年7月現在、国内外において本成分を配合した医薬品や化粧品はありません。

 4ページ、5ページに記載しているロ.及びハ.を御覧ください。本剤の規格及び試験方法は適切に設定されていると判断しております。また、安定性について、光による影響を受けることが認められておりますが、遮光容器にて保存することで特段の問題はないと判断いたしました。

 6ページより始まるニ.安全性に関する資料の項です。14ページに審査の概略を記載しております。提出された毒性試験における無毒性量及び本剤の経皮吸収率から、経皮投与における安全係数は十分に確保されていることが確認されており、また、その他の試験の結果からも、次に説明する感作性の結果を除いて、本剤使用時の安全性に特段の問題はないと判断しました。本成分の感作性についてですが、非臨床感作性試験のうち、Buehler Test法、Adjuvant and Patch Test法において陰性の結果が得られていましたが、モルモットを用いたMaximization Test法において、製品配合濃度の倍である%を超える濃度で、皮膚感作性のリスクが示唆されていました。そのため、感作性のリスクを慎重に評価するため、追加試験を実施しております。その結果、マウスを用いる感作性試験(Local Lymph Node Assay法では、配合濃度の□□倍に相当する濃度まで感作性陰性と判断され、また本剤のヒト長期使用後のパッチテスト(本剤及び本成分%水溶液を用いてパッチテストを行っている)においても、皮膚感作性は認められませんでした。

 機構としては、これら追加試験成績に加えて、ヒトを対象にした本剤の24週間連用試験やヒト使用試験においても皮膚感作性は認められていないことから、実使用時においては本成分による皮膚感作性を発現する可能性は低いと判断しました。ただし、本剤は新規有効成分を含有する医薬部外品であり、開発段階におけるヒトでの使用経験は限られていること、製造販売後に初めて様々な肌状態の人に長期間にわたって使用されることから、使用者に対して過剰な使用を避ける旨とともに、これらリスクについて十分な注意喚起を行い、併せて使用者を一般消費者に拡大した際の使用実態下での安全性に関する情報を収集するために、製造販売後調査を行う必要があると考えております。

 報告書には詳細な記載はありませんが、現時点の計画として、申請者は製造販売後調査として使用者□□例を対象に調査を実施する予定です。また、万が一、予期せぬ副作用が生じた場合を想定して、何らかの皮膚症状等が発生した使用者の診断や治療並びに適切な因果関係の判断ができるように、事前に皮膚科専門医の所属する医療機関と協力関係を構築しておく予定とされています。

 ホ.効能又は効果に関する資料についてです。16ページから各種試験成績を記載しています。こちらの効能又は効果を裏付ける基礎試験として、1620ページに記載の各種試験が実施され、本成分の作用機序、またヘアレスマウス光老化モデルを用いた検討により、シワの改善及び真皮コラーゲン線維束の改善作用が確認されています。

 さらに、2022ページに記載していますが、本剤のシワに対する有効性評価を目的として、日本香粧品学会が取りまとめた新規効能取得のための抗シワ製品評価ガイドラインに準じて、両側目尻にシワを有する被験者を対象に、評価項目として目視又は写真によるシワグレード評価及びレプリカによるシワ解析パラメータを設定したヒト使用試験を2試験実施しております。その結果の詳細について説明いたします。

22ページ、審査の概略の項です。ヒト使用試験の結果について、21ページの表11に示したように、使用開始前から24週間使用後までに認められた目尻のシワグレード、写真評価及び最大シワ最大深さ、レプリカ解析の変化量は、基剤塗布部位に比べて本剤塗布部位で有意な改善が認められ、その有効性に大きな問題はないと考えられました。しかし、専門協議において、使用開始12週間後における最大シワ最大深さの変化量については、レプリカ解析で有意な改善が認められず、また被験者を対象にした24時間使用後のアンケート調査結果においても、本剤と基剤に明確な差が認められないことから、一般の使用者が本剤によるシワの改善を実感できるのか懸念があるとの指摘がありました。

 そこで、申請者は12週間使用によるヒト使用試験を追加で実施し、その結果は22ページの表12に掲載してありますが、いずれの評価項目においても、本剤は基剤に対して有意なシワの改善を示し、使用開始12週間後のアンケート調査においても、本剤塗布部位におけるシワの改善を実感した被験者が有意に多いことが確認され、機構としては本剤による効果が確認されたと判断しました。なお、申請時の効能・効果として、「エラスチン・コラーゲンの分解を抑え、紫外線によるシワを防ぎ、改善する」と設定していましたが、医薬部外品は一般の使用者が使用することから、その効能表現について分かりやすい簡潔な表現とすべきと考え、本剤の効能・効果は「シワを改善する」と設定することが適切であると判断しました。

23ページの下に記載している総合評価です。以上の審査を踏まえて、機構は本品目を医薬部外品、薬用化粧品のクリームとして、こちらに記載した効能・効果、用法・用量にて承認して差し支えないと判断いたしました。なお、本成分は医薬部外品に配合する新規の有効成分であることから、24ページに記載したように、2年間の製造販売後調査を承認条件として付すことが適当であると判断しております。説明は以上となります。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○大野部会長 委員の先生方から御意見を伺う前に、川島先生からガイドラインや効能表現について、御意見があったら伺いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○川島参考人 まず、シワに対する医薬部外品はまだ認められていません。現在、私は日本香粧品学会という化粧品研究者を中心とした学会の理事長をやっておりますが、長年の夢と申しましょうか、海外では例えばEUではアンチリンクルというカテゴリーの化粧品がありますし、カナダでもあります。アメリカではカテゴリーまではありませんが、標榜できます。あるいは、韓国ではアンチリンクルの製品があるということで、それに比べると日本はというような目で見られがちで、日本香粧品学会で皮膚科医の立場からアドバイスする者としても、今までの申請においては問題点があったのではなかろうかということで見直しをかけました。一つは各社がバラバラに評価を行ってきた、評価方法が統一されていなかったというところに大きな問題があろうということで、これは初めてのことですが、大手各社がシワに対する研究者を一堂に集めてくれて、その委員会の中で共通のプロトコールを作り上げて、それにのっとって各社、成績を出して、それで申請していきましょうこれが第一歩でありましょうということで、もう大分前に日本香粧品学会のほうからガイドラインを策定して出させていただきました。今回の製品は、その試験に準じて開発試験を行ってきたものです。

 ということで、我々としては、学会の立場としては、現在のシワ評価においては、最も優れたレベルの評価方法をとっていると考えておりますので、この基準をクリアできるものであれば、シワの改善という新たな効果を標榜させていただくこともできるのではなかろうかと考えております。

 適用に関してですが、これは目尻のシワで評価しております。今まで各化粧品メーカーとも評価のしやすい場所として、この部位で評価してまいりました。そして、目視、肉眼的な評価のためには、臨床写真をもとにシワの程度をグレーディングするというのは非常に大事だと思いますが、そのグレーディングの写真が、一番今まで使われてきた目尻というところで適切なものがありましたので、それをまた各社から集めて専門家たち、エキスパートたちがこの写真が代表的であるということでグレーディングして、そのグレーディングに基づいて評価してまいりました。つまり、試験としては目尻の小ジワ、中ジワ程度のところまでを評価してきています。考えますに顔面という部位のシワ、これは少なくとも顔面に限って言えば、多くは目尻のシワ、つまり加齢による自然のシワと光老化に伴う紫外線の影響で起こるシワ、このシワの出来方のメカニズムは、多くの顔全体のシワ、特に目の周り、目尻だけではなくて目の下の小ジワ、あるいは口の周りの小ジワ、その辺には十分に同様のメカニズムが作用してシワができていると考えております。その他の部位、体とか腕とか手とか、その辺のシワにまで広げるには、まだデータとして十分ではないと思いますが、顔という部位のシワを適用としてもよろしいのではないかと私個人としては考えているところです。以上です。

○大野部会長 まず、委員の先生方から、今の川島先生の御説明について御質問、御意見があったら伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

○木津委員 教えてください。慶應の木津でございます。先ほど海外ではいろいろなシワに対してのというお話があったのですが、製品として今回の対象となっているものは、国内外ではまだ使われたことがないというものだということですか。

○川島参考人 一切ありません。

○木津委員 それで、海外では使われている製品がほかの製品であるという理解でよろしいでしょうか。

○川島参考人 ある種のレチノイド等の成分に関しては、個人輸入の形で入ってきているものはあると考えております。

○木津委員 先生のお考えでよろしいのですが、それらの海外から入ってくるものと今回の製品の安全性とか有効性に関して、やはり優れているという感触でしょうか。

○川島参考人 日本人の肌というのが欧米人と比べてどうだということになると、プロピレングリコールの刺激性などに関しては日本人のほうが非常に敏感であると言われていますので、海外で広く使われているようなアンチリンクルの製品に関しても、私は日本でのきちんとした試験をクリアして使うべきだと思っておりますので、その点に関してはこの製品はデータを持っている、日本人の安全性のデータを十分持っているかなと考えております。

○木津委員 ありがとうございました。

○神田委員 ちょっと聞き取れなかったのですが、顔面にできるシワについては、加齢によってできるものと紫外線によってできるものがあるけれども、顔面にできるシワについてはメカニズムが同じなので、この成分は同様に効果があると。それとも分けて考えるのでしょうか。紫外線のものは紫外線に対してなのかとか、その辺をもう一度お願いいたします。

○川島参考人 少し私の言い方が誤解を招くようなところがありました。顔のシワに関しては、大きく分けると二つあると思います。一つは目尻にしても、口の周りにしても、いわゆる小ジワ、中ジワ程度のものは、もちろん年をとってくれば自然にシワができやすくなるという細胞の老化に起因するものがあります。もう一つ、大きく顔のシワの要因としては、紫外線、光老化があるわけです。顔のシワは一つのシワに関しては、加齢に伴う自然なシワ、プラス光によるシワで起こっていると考えられます。その光の影響が恐らく8割ぐらいではなかろうかと言われています。この数字はどこから出てきたのか、私自身もよく分からないのですが、光の作用が強いと言われています。これがいわゆる目尻とか目の下、あるいは口の周りの小ジワ、中ジワと呼ばれるものだと思います。

 もう一つ、顔においては、いわゆる表情ジワと呼ばれる筋肉の収縮で起こるシワがあって、それは眉間のシワであるとか、あるいは額の目を見開いたときにできる大きなシワとか、これはここで言うシワとは若干意味合いが違ってくると思います。ただ、そういう表情ジワと呼ばれるものに関しても、その表情を作っていないとき、つまりレスティングな状態でのシワは、やはり加齢と光老化によるシワも混じっております。複合であることは間違いないと思いますが、私が申し上げたいのは少なくとも顔全体で言えば、小ジワ、中ジワのレベルのものは全て同じようなメカニズム。つまり、加齢による自然のシワ形成プラス光老化によるシワ形成、この二つのメカニズムが働いているので、こういう目尻のシワで試験したものも、顔という部位に限って言えば全体の効果・効能が期待できるのではなかろうかという意味合いです。

○大野部会長 私からお聞きしたいのですが、今、顔に出るシワの発現メカニズムについては大体二つのということですが、それについては同等のメカニズムがほかの部分にも起きているのではないかというような説明でした。先ほどのお話の中で、川島先生はそう考えるとおっしゃったのですが、学会としてはどう考えるのでしょうか。

○川島参考人 学会レベルでも同じような考え方だと思います。つまり、顔のシワに関しては、光老化が8割ぐらいで、自然の老化が2割です。例えばお尻のたるみのシワは光は関係ありませんから、学会レベルでもあれは全て自然の老化だと考えています。

○大野部会長 同じように考えてよろしいと。

○川島参考人 それは大丈夫だと思いますが、松永先生、大丈夫ですよね。

○松永委員 はい、大丈夫です。

○大野部会長 ありがとうございます。もう一つ聞きたいことがありまして、今回の評価の中で、目視の評価と写真による評価と違っているデータがあったと思うのですが、その場合にどちらを優先して判断したらよろしいのかと思うのですが、その辺のお考えについてお聞きしたいのですけれども。

○川島参考人 どっちも若干、問題点はあると思っております。というのは、目視というのも、過去の記憶は始まったときどのぐらいのシワだったのか、ボランティアのシワのことを克明に覚えているわけではありませんので、そこを評価するのは難しいのです。それが絶対評価をやっていますので、グレード3なのか、グレード3.5なのかというところで見ていますが、3.25ぐらいなのに、その日は3.0と判定したかもしれないし、3.5と評価してしまったかもしれないというのは出てきますので、目視も非常に微妙なところもあると思うのです。その点では写真のほうが適切に後から見直しても評価できるので、上だとは思います。ただ、写真を撮るとき、力を入れないように、軽く目を瞑ってくださいという言い方で、同じような条件で撮ろうとしていますが、やはり若干なりとも力が入った場合もあるかと思いますので、非常に難しいと思います。その点に関しては、目視も写真も、そしてレプリカ等の機器を使った方法という複数のものを持ってこなくてはいけないと考えますが、今のところではやはりこの三つぐらいしかうまい評価方法はないのかなと考えております。

○大野部会長 その三つを総合的に判断するのがよろしいということでしょうか。

○川島参考人 そのように私は考えております。

○大野部会長 ありがとうございます。

○川島参考人 お互いにその間で極端な矛盾がなければ許容できるのかなと考えております。

○松永委員 質問なのですが、最初のときに目視で差が出なくて、2回目のときに医師の目視で差が出ているのは、医師のほうがトレーニングされたというと変ですが、最初よりもだんだん教育されていくということなのかもしれないですね。写真判定も、自分自身も教育されながら、対照に写真を置いてあるのですが、そのぶれが非常に狭くなって、うまくいったのかもしれないので、評価をするときにある一定の目視トレーニングというと変ですが、その時その時に集中して、ぶれないように、アトラスなどでもう1回合わせつつ判定していくと、最初のときも、もしかしたら差があったのかも分からないですね、と実際やっている私は思います。

○川島参考人 実際、私もこの試験に関与しておりまして、診察もやってきましたが、トレーニングというのは確かに大事だと思います。松永先生がおっしゃるとおりで、そういう目を持っている医師、皮膚科専門医、あるいは皮膚科専門医に限らずとも、化粧品の業界におられる方でスペシャリスト的な方が、十分その目で見ていくということが、微妙な変化を捉えるという面では、本当はそちらのほうが上なのかもしれません。今回は私も何本か試験をやりましたが、確かにおっしゃるとおり、だんだん見る目が肥えてきた感じもいたします。

○大野部会長 ほかに川島先生に説明いただいたガイドラインとか効能評価といったものについて、御質問はありますでしょうか。それでは、今回の品目、「ポーラ リンクルショット メディカル セラム」についての御審議に入っていただきたいと思います。その関係で、川島先生に質問して答えていただくようなことはありますでしょうか。もしないようでしたら、川島先生はこの臨床試験に関与していますので、退席していただいたほうがよろしいかと思っていますが、今お聞きしたいことはありますか。よろしいですか。それでは、川島先生、どうもありがとうございました。

○川島参考人 どうもありがとうございました。

                                ( 川島参考人退席)

○大野部会長 それでは、この品目について、順々に審議していただきたいと思います。先ほど、栗原先生から化学名について御意見があったということですが、説明していただけますか。

○栗原委員 当初付けられていた三フッ化メチルバリルという名前があったのですが、これは一般的に略称として使う分にはよろしいかとは思うのですが、化学名から考えると少しまずいところがあります。アミノ酸が、バリル、プロリル、バリル、グリシンと四つ使われておりますが、アミノ酸の名前を付けるときはN末側からC末側に向かって付ける決まりがあります。この場合、まず最初のバリルは、アミノ酸ではなくてケトンなので、まずバリルが使えません。それから、プロリルの次のバリルも、これはC末側からN末側に向かって付けてしまっているので適切ではない。それから、テレフタロイルという命名の仕方も正しくないということです。最後のグリシンは、これは使ってもよろしいです。ということで、正しい化学名を付けてそれを少し略した形にしたものを、一応候補として考えております。これは、事務局側から説明しますか。

○大野部会長 お願いします。

○事務局 事前に、栗原先生から御意見を頂きまして、それを踏まえて申請者側にもお伝えをしております。最終的に少し長くなりますが、三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸ナトリウムということで、長い名称ですが、こちらのほうがより正確であろうということで、こちらのほうに名前は修正を頂く予定です。

○大野部会長 申請者にも了解を頂いたということですか。

○事務局 はい、事前にお伝えをして、了解を頂いております。

○大野部会長 私にはちんぷんかんぷんなところがありますが、これは西村先生、分かるのではないですか。

○西村委員 いや、ちょっと長い名前でフォローできないです。

○大野部会長 では、これについては申請者も了解してくださったということで、皆さん了解いただけますでしょうか。ありがとうございます。では、その他、品質や製剤学的な面について、何か御意見はありますか。

○有森委員 製造販売については問題ないと思うのですが、特に顔に付けるもので、しかもシワといったら過剰期待されることもあって、成分の単剤での安全性はこれで試験されているのですが、例えば日焼け止め、あるいは外用剤などと併用して用いることがないとは限らない、想定外のことが起きるので、今度製造販売調査が行われますから、そういったときのモニターをきちんとしておいていただかないと、新規ですから危ないのかなという気がいたしました。

○大野部会長 使用方法に関わることですね。これについて、西村先生お願いします。

○西村委員 追加なのですが、先生がおっしゃったことは、私もそういうことを少し考えたほうがいいと思います。これは紫外線で起きるシワというのも先ほど御説明がありましたように、例えば紫外線に対する何か化粧品を使って、そういうものが一緒に作用したときなど、様々な相互作用がある可能性があるというので、安全性についてはこれからの調査で少し細かく追っていっていただければいいのかなと思います。やはり、何か予想しないことが起こり得るということも考えていただきたいと思います。実際、これは半年間で安全性は認められていると思いますが、それ以上のところについては、例えばこういうものは期待が大きいので、過剰に使うと、ここで考えているより量としては多く使ったり、それから期間を長く使ったときに何か起こるということもあるので、2年間の使用後の調査をきめ細かくやっていただければいいのかなと思います。

○大野部会長 ただいまの件について、いかがでしょうか。市販後の調査について、併用の影響も見てほしいと。それに注意して市販後調査をやってほしいということですね。

○事務局 他の化粧品との併用は、非常に重要なポイントだと考えております。1点補足ですが、先ほど審査報告書の2021ページで、ヒトを対象とした使用試験ということで御説明がありましたが、この試験の中では従来使用されている化粧品については継続して使用をした上での試験です。この中では、特段安全性のところは問題なかったのですが、御指摘のように、やはり市販後いろいろな組み合わせが考えられますので、市販後の調査の中でもその点は情報収集などを企業に伝達してお願いをしたいと思っております。

○大野部会長 よろしくお願いいたします。ほかのところで御意見はありますか。

○神田委員 安全性はもちろん大事なのですが、まずは効能・効果がどうなのかが、一番この商品にとっては第一義的に大事なところなのかなと思います。先程来も、効果があるという形で御報告なり、感想なりもあったと思うのですが、シワグレード、シワの最大深さについて有意な改善がみられたというのですが、どの程度の改善なのか。それは、2021ページで解析、分析されたものについて数字が載っておりますが、これがどのレベルの改善と受け止めたらいいのかと。かなり小さな数字のように思われますので、研究としては改善されたと読めるのかもしれませんが、実際に使う立場からみたときに改善されたというのが実感されるような数字だと見ていいのか、その辺りのところをお聞きしたいと思います。

 写真の話も先ほど出ましたが、改善されたのかが、確信を持ってされているなと写真からも見て取ることが私にはできなかったものですから、この数字の見方のところで確信が持てればいいなと思いますので、実際に人の目で見て分かるレベルというのでしょうか。消費者側、使う側は、やはり先程来期待が大きいという話がありましたが、見て、変わった、よくなったということではじめて効果があったと受け取るわけですので、そのレベルの改善と考えていいのかを、まずはお聞きしたいと思います。

 それから、年齢による違いですね。試験は、40代、50代の辺りの方でやっていたようなのですが、60代以上の年になったらどうなのかと、自分のことをお聞きしたいようなことなのですが、今は60代でも70代でもきれいになりたいといった方も多い中で、それは年齢制限みたいなものは考える必要があるのかどうかもお聞きしたいと思います。

○大野部会長 機構から御意見を伺えればと思います。

○医薬品医療機器総合機構 まず、1点目の有効性の結果についてですが、御指摘のとおり、審査報告書2122ページに記載した結果の値については、値としては小さくお感じになられるのかもしれません。これについては、被験者は50名ほどなのですが、その平均の結果、プラスマイナスの標準誤差ということで示しております。実際の被験者は、個々の被験者の目尻の部位をもとに評価をするのですが、例えば資料概要の197ページを御覧ください。代表的な被験者の使用前後での目尻の部位の写真をお示ししています。例えば、上のID8の使用者の目尻ですが、左側が製剤の塗布部位で、右側がプラセボ基剤のみの塗布部位になります。使用前が、シワグレードが5.0対して4.00。これは、比較的よく効いた被験者なのですが、多くの場合はその下のID40に示したシワグレード5.25からシワグレード4.75といった、0.50シワグレードが改善したと評価された被験者が多くいました。

 こちらも比較的よく改善した被験者を示す結果なのですが、改善が認められた多くの被験者の場合は0.250.5改善しました。その結果、全体の平均としては、この表で示したような平均値の結果が得られております。

 また、実際被験者が実感したかどうかについては、先ほども説明の中で簡単に御紹介しましたが、被験者にアンケート調査を行っており、改善したと実感したかどうかを確認しております。その結果も概要書に記載がありますが、例えば215ページのアンケートの結果の表があります。こちらで、四つ縦棒がありまして、右側二つが12週の結果です。右側が基剤、左側が本剤です。アンケートの選択肢1、2、3、4が214ページのアンケートの結果の表の番号と対応するのですが、1から3の比較的濃い色で塗り潰されている部分が改善したと感じた被験者の割合になります。この本剤群と基剤群を比べますと、本剤のほうが色を塗り潰した範囲が広いので、比較的実感した被験者が多かったということです。この結果については、有意差が付いています。このように、写真で個々の被験者を見た感じでもグレードに、わずか0.25程度ですが、改善する被験者が両群で有意な差を持って認められたというところと、実際の被験者自身のアンケート調査の結果においても、実感できているだろうということが伺える結果となっております。

 もう一つ御指摘いただきました年齢についてですが、今回の試験については、年齢層としては上限59歳までの日本人女性ということで、大体40歳から50代の被験者が多くいました。それらの年齢層において、今回の結果が得られたということです。若い被験者も一部入っております。高い年齢層でということなのですが、ここからはデータ自体はありませんので、あくまで推測でしかありませんが、先ほどの話にもありますように、顔面のシワについては、もちろん加齢に伴うシワというものもあるのでしょうが、紫外線による寄与も比較的高いというところで、川島先生から御指摘があったようなシワについては、高い年齢層でも本成分の作用機序等を踏まえると、効果は期待できるのではないかと考えております。

○大野部会長 神田先生、いかがでしょうか。

○神田委員 ありがとうございます。私も写真を見ましたが、御説明いただければそれはそれで効果があると理解してもいいのだろうとは一方で思いますが、なかなかこのぐらいなのかなという感じで分かりにくいなということを正直感じました。使用する側はシワを改善すると聞きますと、どうしても見た目にシワが小さくなるとか薄くなるとか短くなるという改善が分かるようにと期待をするわけですので、少しその辺りは気になりましたが、効果があったということでそこは理解しました。

 それから、「シワを改善する」という表現に変えましたよね。申請時の表現から、「シワを改善する」という形で、それは使う側に分かりやすくするために簡素化したというような御説明なのですが、「シワを改善する」と簡単に括ってしまいますと、先程来の話からしますと、シワにも紫外線によって起こるものが多いけれども、いろいろな起こり方があるといったようないろいろな意味を含んでいると思いますし、その辺をこんなに簡単に「シワを改善する」と言ってしまうと、逆に分かりにくく、あるいは誤解をする、期待を大きくしてしまうということにつながるのではないかと思います。

 「エラスチン・コラーゲンの分解を抑え」、ここは少し省略してもいいかとは思うのですが、紫外線によるシワというのは、やはりこの試験から見ても、紫外線によるシワという形で特定しておいたほうがいいと思いますし、それを改善するのであるというもともとの表現のほうがいいように思ったのですが、どうなのでしょうか。

 それから、「紫外線によるシワを防ぎ」というのも効能の1つかと思ったのですが、これを省略した理由は何なのでしょうか。そこをお聞きしたいと思います。

○大野部会長 いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 まず効能表現については、いろいろ検討はいたしました。「紫外線による」という所をなぜ取ったのかというと、これも検討はしたのですが、実際その効能表現を記載したとして、化粧品ですので一般の使用者の方が使われると。紫外線によるシワとそれ以外のシワを区別することはなかなか難しいのではないか。ということもありまして、「紫外線による」ということを表現としてする必要性は高くないかなと考えました。

 もう一つ、効能表現を検討するに当たって参考にしたのは、香粧品学会でこのシワを評価するガイドラインを策定しているのですが、その中でシワの効能表現についても検討された結果が記載されております。その表現がシワを改善するということで、記載がありました。香粧品学会では、化粧品の開発に関わるいろいろな研究者等が集まった中で議論されて決まってきたということで、一定のコンセンサスはあるのかなということで、一つ参考にさせていただきました。

 この表現というのは、なかなか一般の消費者が使う化粧品の効能として、どこまで表現するか、我々も非常に悩んだところですが、今、報告書に結論として挙げさせていただいたのは、以上のような背景からになります。

○松永委員 同じように、目尻りのシワがどのように増えるか、S-エクオールという大豆製品から女性ホルモンに似たものに代謝されたもので、ランダム化した臨床試験をしたことがあります。そのときに、プラセボで12週間同じような方法で計測したのですが、3か月でシワの面積率が20%増えていくのですね。すごくびっくりして、こんなに女性が紫外線にさらされている普通の状態だけでシワが増えていくのだと思いました。そのとき、この件とは全く関係なくて、エクオールそのものはシワが改善したのだけれども、恐らく化粧品でシワが改善するという程度はこれぐらいかなと。もし、これよりももっと期待すると、例えばラジオ波をかけるとか、レーザーの治療をするとか、食べるとか、ほかの方法で効果を期待しないと、大きなシワは改善するのは難しいので、目で見てすごくよくなったねと言った人は10%以上はいなかったのですけれども、でもよくなったと3か月後に思った方が、プラセボと比べて非常に多かったので、それはいいのではないかと感じます。

 もう一つは、やはり機能性化粧品、シワにも効いていくとか、何かを改善させていくというような化粧品を作っていく日本の産業というと変ですが、そういうことでもプロモーション、エンカレッジしていかないと、新しい製品や夢のあるようなものができていかないので、この場合は安全性をかなり検討してあり、もちろん市販後に十分検討しないと何が起こるかは担保はできませんが、十分注意しながら育てていく形で見守っていけば、なかなか興味深い医薬部外品なのではないかと思います。

○神田委員 ありがとうございます。もちろん、パッと治ったら逆にそれは怖いと一方で同時に素人としても思っておりますから、効能のところについては御説明でよく分かりました。ただ、ここで得られた効能がきちんと使う側に伝わらなければいけない。そこで誤解を与えるような伝え方はいけないと思いましたので、先ほど「シワを改善する」という一言に収めてしまっていいのだろうかと思い、質問いたしました。先ほどお答えいただいたのですが、一般の消費者はそういった紫外線によってのシワというような表現をされても分からないとおっしゃったのですが、やはり表示や情報提供というのは誤解をさせてはいけない。正確に中身を伝えなければいけないというのがまず大事なことですので、そこは、分かる分からないということではなくて、必要なことはきちんと表現するというのが基本ではないかなと私は思います。シワを改善すると言ってしまうと、いろいろなことが含まれていくような気がするのですね。ですので、頂きました資料概要の中には、例えば紫外線によるシワを穏やかに改善するという表現にとどまっているわけですよ。いろいろな所にも、「紫外線によるシワを穏やかに改善する」と。この「穏やかに」というところも改善というところで省かれてしまっているので、その辺りが期待が大きくなってくる原因ではないかと思うので、やはり正確に伝えていただいて、そしてそれをもって消費者が選ぶといったことは、きちんとやっておく必要があるのではないかと。

 少し話が違うかもしれませんが、景品表示法などでは、誤解をさせる表示はいけないと。それは消費者がどう受け取るかで決めるわけですね。意図的に提供する側がそういった気持ちはないとしても、やはり受け取る消費者がそう思ったら、それはそれで景品表示法違反になるわけです。そういったことにも気を遣いながら、正確に伝わるようにしてほしいと思います。これが、多分サンプルだと思いますが、どういったコピーになるのかは分かりませんが、結局「シワを改善する」というのだけが大きなコピーになるのではないかと思います。そうすると、そこで期待が大きくなるので、そこのところも気になっておりますので、一つの言葉で、「シワを改善する」ということで済まさないほうが、私はいいのではないかと強く思います。

○事務局 ありがとうございました。当日配布資料ということで、本品の資材の案という1枚紙をお配りさせていただいております。本剤に関しては基本的に訪問販売で、販売員の方が直接御説明して販売するという形態を取り、そのときの資材ということでパンフレット文案があります。

 まだ具体的にその辺りの記載はこれからですが、例えば、シワのメカニズムとかがきちんと伝わるように説明をしっかり、また、図や、場合によっては動画での説明もあるかもしれませんが、販売に当たってはその辺りが伝わるような形で記載するように企業には伝えたいと思います。また、効能表現の所ですが、先ほど顔とほかの所のシワのメカニズムが違うということも参考人の川島先生からもありましたので、効能の表現の中で、もともと顔に使うということが前提ではあったのですが、効能の中に「顔の」ということを加えて顔のシワを改善するという効能にするということも、より分かりやすくするという意味ではよろしいかとも考えております。

○井上委員 最初、審査報告書の3ページにあるような効能で「紫外線によるシワを防ぎ」、こういう文言を読んだときに紫外線によるシワなら効くと多分、誤解する人も逆に出てくるかと思いました。参考人の御意見を聞くと、シワの原因はよく分かっていないと。確実に紫外線もあるだろうし、ほかの要因もあるだろうし、加齢プラス紫外線というように様々な要因でシワが起きてくるとなれば、むしろ「紫外線による」という限定の言葉を入れないで、「シワを改善する」と言ったほうが消費者は使いやすいのかと思いました。

 それと、確かに数値的には、見た目評価は余り差がないのです。なぜかとお聞きしたところ、多分、本人ではなくて先生なりが患者さんというか被験者を見て、前に比べてどうかという見方をされている。

 ところが、先生方がそんなに記憶力がいいとは思えないのです。一方、客観的な基準であれば、小さくても確実に有意差のあるデータとして出ているので、これは効果があるのだろうと。使う側の消費者が、これはシワを改善しますよという効能を見て使い始めると、恐らく毎日、一生懸命見ながら「あ、確かに効いている」というプラセボ効果も入っていいと思うのです。そのようにだんだん効いてくる、みんなが効くと言い始めると、多分、この薬は効くのです。むしろ、「紫外線によるシワ」となったら限定してしまって少し趣旨から外れるような印象を持ちました。以上です。

○大野部会長 ありがとうございます。私は紫外線によるということを付けることがまずいのではないかと思ったのですが、それはUV吸収剤と誤解を与えるのではないかという、「紫外線によるシワを防ぎ」というとUV吸収剤、ただ、これはクリームだから若干のUV吸収作用はあると思うのですが、メカニズムはそちらのほうが中心だと考えられてしまうとまずいというところで、やはりこれは取ったほうがいいかと思いました。

○西川部会長代理 薬理作用から考えるとシワを防ぐということはよく分かります。シワを改善するメカニズムが何かということがよく分からないのです。つまり、3ページにあるようにシワというのは細胞外マトリックスの変性と表情筋等の物理的な影響で起こる。この剤のメインの薬理作用は好中球のエラスターゼを抑制して間接的にMMP-1及びMMP-2の活性を抑制することによって、エラスチン・コラーゲン等の分解を抑える。

 つまり素人の考えですが、変性したものを元に戻さない限りシワは改善しないような気がするのですが、その辺りのメカニズムはどのようになっているのですか。

○大野部会長 非臨床試験ではUVを当ててある程度変性させて、その後に改善効果だけ見ているのです。

○西川部会長代理 これは効果があるということはいいと思うのですが。

○大野部会長 改善効果があったので、こういう表現なのです。

○西川部会長代理 この薬理作用からなぜ改善するのかという説明ができる方は。

○大野部会長 私は想像で先生のほうが詳しいかもしれませんが、皮膚のターンオーバーが進んで新しいコラーゲンがどんどん出来ている。それで補充されていくので合成と分解のバランスが良くなるという、そういう作用なのかと思ったのです。

○西川部会長代理 それなりの説明がつけば、それで結構です。

○井上委員 川島先生は帰られたのですか。

○大野部会長 川島先生は帰られたと思います。

○井上委員 彼のほうが一番よく知っているのではないかと思います。

○大野部会長 松永先生が皮膚科の専門ですから、松永先生に伺ったらいいのではないかと思います。

○松永委員 この作用そのものは、本当はよく分からないです。普通はエストロゲンがきちんと作用していて、ファイブロブラストに作用するとコラーゲンは増生してくるというか、いろいろな作用でコラーゲンはファイブロブラストが産生し続けていると思うのですが、紫外線が当たることによって変性が早く進んでいるということがもしそうだとすれば、書いてあることは、そこを抑えることによって今まで傷んだコラーゲンが主になっていた sun damaged skinになった所が新しいコラーゲンの増生のスピードが上がるので、ぼちぼち3か月ぐらいたったときにはいいコラーゲンの層が増えているということなのでしょうね。

 もっといろいろな、そのコラーゲンの増生そのものを進めるのかということについては書いていないので、そこのところがもしあれば、先生がおっしゃっているように説明しやすいのです。今のぼちぼちの話は、分解されて正常なコラーゲンの増生を維持させてシワをゆっくりきれいにするのかと思いました。

○西川部会長代理 ありがとうございます。

○大野部会長 ありがとうございます。効能・効果の所の表現ですが、そういうことでいかがでしょうか。先ほどの機構からの提案は何でしたか、「シワを改善する」の前に何を入れたらどうかという。

○井上委員 顔のシワを。

○大野部会長 顔のシワですか、顔のシワを改善する。

 

 

○井上委員 概要の173の所に作用機序が書いてあります。これを読むと、やはり改善というのでしょうね。それは、確か先ほど学会でコンセンサスを得ていると言われていたように思いますし、確かに数値的にも改善を示しています。

○西川部会長代理 改善するということについて異議はないのですが、メカニズムが説明できるのかということが先ほどの質問なのです。ある程度、松永先生に御説明いただきましたので、もうこれ以上の議論は必要ないと思います。

○井上委員 そうですか。

○大野部会長 ありがとうございます。この表現の所ですが、「顔のシワ」というように「顔の」を付けたらいいのではないかという機構のお話でしたが、それについていかがでしょうか。

○木津委員 今、この説明パンフレットの案を拝見させていただいているのですが、これを見ると、裏には「毎日の朝夜のお手入れの際、ローションで肌を整えた後」と、顔にしか使えないように書かれております。また、1.面に使用上の注意で、使用方法を守ってくださいということが7...面に出てきます。「傷や腫物、湿疹等の異常のある部位にはお使いにならないでください」という事項は、もっと上に来てもいいのかという気もしました。

 一番気になるのは、裏面の商品紹介、商品特長の記載予定の中で、ここは余り大きな期待を膨らませないような表現に「穏やかに改善します」などにしていただきたいと思います。ここに画期的なことを書かれますと、使用方法を守らずたくさん使ったりしてしまうこともあると思います。また、これを見ると朝夕使ってもらうのが原則なのかどうか少しわかりにくいと思います。夜お手入れをするしないは人によって違うので、効果が出るのでしたら朝夕きちんと使ってほしいのか、それとも化粧品なので思い付いたときだけ使えばいいのかとか。一般の人だったらどのように使ったらいいのですかという御質問もあるかと思いましたので、使うときに正しく使っていただくために具体的にお示ししていただけると、使うときに安心して使えるかと思いました。以上です。

○大野部会長 ありがとうございました。書いてあること、シワを穏やかに改善しますとか、そういう必要なことを商品紹介のときに説明してもらう。私は顔にということが気になったのは、雑談みたいで申し訳ないのですが、テレビを見ていて気になるのは女性の方が顔をきれいにして出ている。でも、首を見るとやっぱり年だなという人は多いですよね。

 やはり首だって紫外線を浴びて、そこもシワになると思うのです。そこに塗ってはいけないという表現になってしまうような気がするのです。もっと女性には、その辺も気を遣ってほしいという気持ちもありますので、そのように限定しないほうがいいと思いました。

○松永委員 女性に対して優しい御意見ですね。女性も男性も多分、これは使えると思うのですが、朝晩で臨床試験をしていてこの成績なので、1日1回塗るより2回塗らないとこれは効果が多分。1日塗っていたら落ちてしまうかもしれないので、使い方としてスタンダードは朝晩でいいのでしょうね。

 首の場合はどのようにするのかという話は、本当に首に効くのかどうか検討していないので、学者としては、そんなことを言っていいのかなと、分かりません。

○大野部会長 顔に限定すると、首に使ってはいけないという表現になってしまう。

○松永委員 みんな使ってしまうと思いますが、そんなに高くなければ。

○大野部会長 そうですね。

○松永委員 すごく高かったら使わない。

○大野部会長 いかがでしょうか。効能・効果の所は、当初の機構の案でいかがでしょうか。よろしいでしょうか。では、それについては当初の効能・効果ということでいきたいと思います。それ以外に御意見ございますか。

○有森委員 効能・効果で有効性がうたわれているのですが、医薬品の場合は臨床試験をやってから、二重盲検をやって、そして効果を判定するのですが、この場合は二重盲検ではなくて、基剤を使ったものと比較も全然やっていないのですが、そういうことでアンケートで改善したといってもプラセボ効果がかなりあったりすることがあります。医薬部外品は、効能・効果をうたう場合にそれでもよろしいわけですか。

○審査管理課長 申請資料の臨床試験は比較対照として基剤群を置いておりますので、比較試験ではあると思います。

○松永委員 二重盲検しているのではないのですか。分からないように判定していて、プラセボを置いているので臨床試験としては問題ない。

○有森委員 このアンケートはどうなのですか。

○松永委員 このアンケートも分からない形でやっていると思います。

○有森委員 基剤だけをしている人もいるのですか。

○松永委員 中に入っているということだと思います、違いますか。

○医薬品医療機器総合機構 それでは、少し補足いたします。二重盲検の比較試験です。比較試験なのですが、被験者間の比較ではなくて顔面の目尻の右目尻と左目尻を分けてランダムに基剤か本剤かで分けております。使用者は塗る薬剤をランダムに割り当てられるのですが、例えば、A、Bと割り当てられて、Aがどちらかということは分かりませんし、評価する人も分からないということになっております。アンケートも同様の状況でやっており、二重盲検の比較試験ということになっております。

○審査管理課長 医療用の医薬品でも皮膚科の外用剤の場合には、このような試験デザインでよく試験が行われております。そういう意味では、医薬部外品だから簡単な試験というわけではありません。医療用医薬品でもこのような試験で承認されたものが幾つもあります。

○松永委員 一つ方針を少しお聞きしたいのですが、例えば、今のお話の中でどのくらい効くかということを本当はきちんと分かるように説明するのが親切なのだろうと思うのですが、そのときに多分、消費者の方が一番納得するのはチャンピオンデータでもいいのですが、普通の効いた人の写真を見るのがいいのです。「あ、これぐらいね」と最初に覚悟して、「3か月塗っても一番いいデータがこれぐらいね」みたいだとか、「平均のデータがこれぐらいだね」ということが、本当は分かるといいですよね。そういうことは余り考えていないのですか。

○審査管理課長 私どもとして、添付文書というか商品の公式の説明文書でそういうことを書くということは基準が作りづらいものですから、なかなか難しいかと思います。承認を得た企業でいろいろ工夫していただいて、一つはこれも商品の説明用のパンフレットということなのですが、こういうものの中で、もう少し分かりやすいような説明を私どものほうからも指導させていただくということは可能だと思います。

○大野部会長 ほかにございますか。

○神田委員 商品の紹介とか特長、今のお話ともつながるかもしれませんが、先ほど木津委員からもありましたけれども、この紹介の所をどのようにされるのかということは最終的にどこかでチェックされるのでしょうか。それは、もうお任せということになるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 医薬部外品ですので、今回、お手元にお配りしたような資料で、審査の中でポイントとなった所については、確かに注意喚起しているとか、そういうところは確認しますが、細かいところ、実際に販売する資材はどういうものを用いるかということは、従来でも確認していないのが実情です。

○神田委員 分かりました。実際の効果と宣伝というのでしょうか、そのうたい文句の所のギャップができるだけ少なくなるようにしていただきたいと思います。ホワイトニングでも何でもそうなのですが、コマーシャルになりますと非常に1点強調で誤解させるということが目立ちます。冒頭に説明もありましたが、非常に夢というか、期待される商品でもあり、放っておいても過剰に期待してしまうというところがありますので、そこに輪を掛けないような形で気を付けていただきたいと申し添えたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘を踏まえて、今回初めてのシワ製品ということもありますので、本日御指摘いただいた点を申請者にきちんと伝えて可能な範囲で確認をさせていただこうと思います。ありがとうございました。

○大野部会長 よろしくお願いいたします。この品目について、ほかに御意見ございますか。それでは、いろいろ御議論いただいたところで、最終的にこの品目についての議決を行いたいと思います。本議題について、機構からの当初の提案、効能・効果としてはシワを改善する、皮膚を健やかに保つ、皮膚を保護する、皮膚の乾燥を防ぐという効能・効果の品目について承認を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。それでは異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。どうもありがとうございました。

 次は報告事項です。本日は報告事項が一つあります。それについて事務局から概要を説明してください。

○事務局 報告事項2について事務局から報告いたします。資料2を御覧ください。ゴキブリフマキラーPB1、PB2、PB3、全て一物多名称のものの劇薬指定からの除外について報告いたします。今回の対象成分名は長いのですが、その混合物及びその製剤が劇薬に指定されております。本成分については、施行規則の劇薬指定のただし書において除外規定を設けており、「殺虫剤であって混合物0.6%以下を含有するエアゾール剤及び5%以下を含有する乳剤及び燻煙剤」が劇薬から除外されております。ゴキブリフマキラーPB1からPB3は殺虫剤であり混合物5%を含有するエアゾール剤であり、この除外規定に該当しませんので、現在では劇薬に該当いたします。

 しかしながら、本剤の安全性については本成分を配合する既承認エアゾール剤を1製剤単位全量誤飲した場合と比較しても、本剤ではばく露量は同程度又は低く、原薬の概略の致死量(70mg/kg)を下回ることが確認されておりますので、劇薬の指定から除外することが適切であると考えております。

 2ページに記載しておりますが、ゴキブリフマキラーPB1からPB3はゴキブリの駆除を目的とした定量噴射式エアゾール剤で、害虫の潜んでいそうな冷蔵庫や食器棚の裏などの隙間に噴射して使用する製剤になっております。

 最後に若干、資料の訂正をいたします。資料の1、3ページに成分名を記載しているのですが、一部誤りがあります。成分名()-()-アルファ-シアノ--フェノキシベンジルの後に(1R・3S)と記載しておりますが、施行規則の新旧表を付けており、そちらのほうが正しくて(1R・3R)が正しい成分名です。新旧対照表の旧で、「七の六」という所が重複しておりますので、一つ削除させていただきます。以上です。

○大野部会長 ただいまの説明について、御質問ございますか。よろしいですか。それでは、報告事項については御確認いただいたものといたします。本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はありますか。

○事務局 ありがとうございました。次回の当部会の開催日程は、品目の審査状況等を見て改めて事務局で調整いたします。よろしくお願いいたします。

○大野部会長 先生方から何かございますか。よろしいですか。薬事・食品衛生審議会化粧品・医薬部外品部会を終了いたします。御審議どうもありがとうございました。

 


(了)

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 課長補佐 大原(内線2737)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(化粧品・医薬部外品部会)> 薬事・食品衛生審議会 化粧品・医薬部外品部会 議事録(2016年5月20日)

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