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2016年10月18日 第97回労働政策審議会安全衛生分科会

労働基準局安全衛生部計画課

○日時

平成28年10月18日(火)16:00~


○場所

厚生労働省 省議室(中央合同庁舎第5号館9階)


○出席者

委員:五十音順、敬称略

青木 健、明石 祐二、栗林 正巳、城内 博、杉山 豊隆、角田 透、土橋 律、
中村 聡子、中村 節雄、三柴 丈典、水田 勇司、村上 陽子、最川 隆由、
山岸氏(岡本委員代理)

事務局:

田中 誠二 (安全衛生部長)
樋口 政純 (計画課長補佐)
野澤 英児 (安全課長)
武田 康久 (労働衛生課長)
塚本 勝利 (産業保健支援室長)
高橋 良和 (主任中央労働衛生専門官)
奥村 伸人 (化学物質対策課長)
穴井 達也 (化学物質評価室長)
木口 昌子 (環境改善室長)

○議題

(1)労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案要綱及び労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(2)その他

○議事

○土橋分科会長 第 97 回労働政策審議会安全衛生分科会を開催します。

 本日の出欠状況です。公益代表委員は桑野委員、水島委員、山口委員、労働者代表委員は勝野委員、袈裟丸委員、縄野委員、使用者代表委員は岡本委員、中澤委員が欠席です。なお、岡本委員の代理として、 JFE スチールの山岸様が御出席されております。

 傍聴の方へのお願いですが、カメラ撮影等はここまでとさせていただきますので、お願いいたします。

 議題 1 「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案要綱及び労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱について」、この諮問案件について事務局から説明をお願いいたします。

○奥村化学物質対策課長 資料 1-1 、資料 1-2 を用意していますが、主に資料 1-2 に沿って御説明いたします。

 福井県の化学工場において、オルト - トルイジンをはじめとした化学物質を取り扱う作業に従事していた労働者のうち、複数名が膀胱がんを発症する事案が昨年の 12 月に明らかになりました。厚生労働省では、独立行政法人労働者健康安全機構の労働安全衛生総合研究所と連携して調査を行ってきました。

 複数の膀胱がんの発症があった当該化学工場においては、オルト - トルイジンを取り扱う工程の設備が密閉化されておらず、労働者が空気中のオルト - トルイジンを吸い込む経気道ばく露が過去にあったほか、労働者がオルト - トルイジンに直接接触し皮膚から吸収される経皮ばく露があった可能性が高いと推定されています。

 オルト - トルイジンは平成 12 年から労働安全衛生法に基づく安全データシート (SDS) の交付対象物質とされ、さらに、本年 6 月からは改正労働安全衛生法による譲渡・提供時のラベル表示と取扱事業者によるリスクアセスメントの実施が義務とされております。

 厚生労働省では、福井県の化学工場における災害調査の結果と有識者による検討等を踏まえ、オルト - トルイジンを特定化学物質 ( 2 類物質 ) に追加することにより、作業主任者の選任、作業環境測定の実施及び特殊健康診断の実施等を事業者に義務付けることとする政省令改正案を取りまとめたところです。

 本件資料 1-2 1 ページでは、化学物質に関する労働安全衛生法の規制の概要を図式化しております。今般の改正案は、オルト - トルイジンを特定化学物質障害防止規則の対象とするとともに、特化則における経皮吸収防止対策を強化する内容となっています。

2 ページです。本年 8 月に発表された健康障害防止措置検討会の報告書の概要です。オルト - トルイジンは染料、印刷等に用いられる顔料などの原材料であり、平成 18 年度は 27 事業場で、約 400 人の労働者がその取扱いに従事していることを我々は把握しております。顔料は、例えば同じ黄色を発色する際にも、オルト - トルイジンを使用する物質と同じような材料であるパラ - トルイジンの黄色では色が違うそうで、ほかの物質での代替は利かないと、顔料メーカーから聞いております。その発がん性については、平成 22 (2010 ) 国際がん研究機関の IARC において、グループ 1 の「ヒトに対して発がん性がある」と分類されております。

 「必要な措置の検討結果」として、オルト - トルイジンを製造又は取り扱う作業については、健康障害を防止するため、特定化学物質障害予防規則の特定第 2 類物質とすることとし、作業環境測定の実施や発散抑制措置等を講じること、また、ヒトに対して発がん性があることから、作業等の記録を 30 年間保存することが必要とされました。

3 ページは本日お諮りする政省令案改正案の概要です。特定化学物質は製造許可の対象となる第 1 類物質、がん等の慢性障害を発生させる第 2 類物質、大量漏洩による中毒を発生する第 3 類物質に大きく分けることができます。発がん性のあるオルト - トルイジンについては、特定化学物質第 2 類物質とすることにより、技能講習を修了した作業主任者の選任、作業環境測定の実施、尿路系腫瘍等の健康障害を予防・早期発見するための特殊健康診断の実施を義務付けることとします。

 また、特化則の規定により、局所排気装置の設置、関係者以外の立入禁止、洗浄設備の設置、保護具の備付け等、作業環境測定の結果、健康診断の結果、作業記録等の 30 年間保存を必要とすることにします。

4 ページは、「経皮吸収を防止する対策」を整理しています。オルト - トルイジンに限らず、経皮吸収によって労働者に発がん等の重大な健康障害を及ぼす可能性が高いとされている物質を対象に、シャワー等の洗浄設備と、不浸透性の保護衣、保護手袋等について、従来は設置と備付けの義務はありましたが、今般はそれらの使用についての規定を新たに設けることとします。その対象物質は 5 ページにあり、これらの物質は日本産業衛生学会、米国の産業衛生専門家会議 (ACGIH) において、経皮吸収についての勧告がなされているものです。

 以上の規定については、必要な周知期間を設けた上、なるべく早く施行する必要があることから、平成 29 1 1 日から施行することを原則といたします。ただし、局所排気装置の設置、作業主任者の選任、作業環境測定については 1 年間の猶予期間を設けることとしています。本日お諮りする政省令改正案の説明は以上です。

○土橋分科会長 ただいま御説明いただいた要綱案の審議に移ります。御質問等はございますでしょうか。

○水田委員 今回の諮問内容については、昨年 12 月以降のオルト - トルイジンばく露に伴う調査や検討を受けてのものですから、妥当なものと考えます。

 今回、起こってしまったオルト - トルイジンばく露による膀胱がん発症のようなことを今後繰り返さないためにも、事業者などに向けて、今回の改正内容が確実に知られるものとなるように、周知・指導の徹底をお願いしたいと思います。

 なお、今年の 5 月に労働安全衛生総合研究所が公表した、福井県内の化学工場で発生した膀胱がんに関する調査結果によると、蒸留有機溶剤を用いたゴム手袋の洗浄はかなり多くの労働者が行っていた。しかも、洗浄していた手袋は厚手のゴム手袋だけではなく、生体作業で使用していた薄手のゴム手袋も洗浄していたとあり、これらのことから過去の作業において、オルト - トルイジンの経皮吸収による生体への取込みはかなりあったのではないかと推測できるとしています。

 この調査結果に基づいて、事業者などへの周知や指導に際しては、有害性が指摘されていた物質にもかかわらず、その物質を含んだ蒸留有機溶剤を用いてのゴム手袋の洗浄が行われていたなど、実際に職場で起こり得る作業内容も念頭に置いた内容とするように考慮しながら、周知・指導をお願いしたいと思います。

 それと併せて、 9 21 日に健康障害の防止対策について関係業界に要請を行った旨が公表されている MOCA について、その後の動向がどのようになっているかについても御説明をお願いいたします。

○奥村化学物質対策課長 御指摘いただいたように、オルト - トルイジンに限らず、健康障害を防止するため、特に今般は経皮吸収について、特化則の規定を強化充実いたしました。こういったことは、事業主に対して全国の監督署を通じて、周知・指導を徹底していきたいと考えております。

 続いて、 MOCA についてです。特化則では、「 3,3'- ジクロロ -4,4'- ジアミノジフェニルメタン」と言われている物質で、ウレタン防水工事、マンションの屋上などに塗装して、水漏れを防ぐ作用があります。今般、福井県の事業場での膀胱がん事案を踏まえ、全国でのオルト - トルイジン事業場への調査をしたところ、新聞発表で「 C 事業場」と呼ばれている事業場で、 6 名の膀胱がんの発症が確認されましたので、労働安全衛生総合研究所と一緒に調査してまいりました。そうしたところ、オルト - トルイジンだけではなく、 MOCA について多量にばく露していた労働者がいることが明らかになりました。

MOCA については、これまでも特化則の対象物質になっていたのですが、今回の事案を踏まえて、 9 21 日に原材料として作っているメーカーに対して、ばく露防止対策の徹底と、膀胱がんを診断項目にする自主的な健康診断の実施を要請したところです。

 さらに、 10 7 日に、今度はユーザーである日本防水工事業協会や建災防に対して、ユーザーとして経皮吸収をしないようにという要請をするとともに、常時取り扱っている事業所に対しては、同様に自主的な健康診断の実施を要請した経緯があります。これらの対応を行っていますが、引き続き原因等の調査を進めていき、節目がありましたら、この場で御報告したいと考えています。

○明石委員 質問を 3 ついたします。 1 点目は 2 ページに、「取扱事業場は 27 事業場」とあり、「多くの労働者」と書かれていますが、何人ぐらいでしょうか。

○奥村化学物質対策課長 把握している限りでは、約 400 人が取扱いに従事しています。

○明石委員  2 点目は健診内容です。資料 1-1 の別紙 2 3-1 に書かれている「業務の経歴の調査」「作業条件の簡易な調査」など、これが特殊健診の内容ということでよろしいのでしょうか。

○奥村化学物質対策課長 こちらに書いているような具体的な項目がありますが、これが新しい特殊健診として、先般の専門家の検討会での御議論を踏まえて、このような提案をさせていただきましたものです。

○明石委員 もう 1 点です。資料 1-2 4 ページ、「改正案の概要2」の「特化則」と書いてある「保護衣等」の一番下の矢印に、「これらの保護具を使用すること (1,3- プロパンスルトンついても同様に規定 ) 」と書かれているのですが、これはどういうことですか。

○奥村化学物質対策課長 「 1,3- プロパンスルトン」は政令において特化物には指定されておらず、特化則そのものに書き込まれている物質です。そのため、ここにこのような使い分けをして書いているということです。

○明石委員 これは経皮吸収上問題があるということですか。

○奥村化学物質対策課長 はい。

○土橋分科会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、当分科会としては、議題の (1) 「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案要綱及び労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱について」、妥当と認めるとしてよろしいでしょうか。

                                  ( 異議なし )

○土橋分科会長 ありがとうございました。事務局で手続きをお願いいたします。

 次に議題の (2) 「その他」です。事務局から報告事項があるとのことですので、お願いいたします。

○樋口計画課長補佐  2 点御報告いたします。参考資料です。「第 12 次労働災害防止計画の実施状況」については、前回の分科会において御報告させていただきました。

 ページをめくっていただいて、平成 27 年の「メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合」と、次のページの「職場で受動喫煙を受けている労働者の割合」があります。平成 27 年の分については、前回の報告段階では統計が取れておりませんでしたが、これらは先週 10 13 日に平成 27 年の労働安全衛生調査として公表されました。具体的な統計結果の数字については資料に記載のとおりですが、今回は追加ということで御報告いたします。

 次に 2 点目です。「机上配布資料」について説明いたします。「受動喫煙防止対策」については、 2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会関係府省庁連絡会議の下に、内閣官房副長官を座長として本年 1 月に立ち上げられた受動喫煙防止対策強化検討チームと併せて厚生労働省健康局健康課長を座長とし、関係省庁の課長級を構成員とした検討チームのワーキンググループにおいて議論がなされてきましたところ、この度、 10 11 日に開催されたワーキンググループにおいて、現時点の厚生労働省案として「受動喫煙防止対策の強化について ( たたき台 ) 」を提示させていただきました。今後は、 10 月下旬からワーキンググループにおいて、関係団体に対する公開のヒアリングを行い、その後、ヒアリングでの意見等を踏まえてさらにワーキンググループで議論していく予定です。資料について簡単に説明いたします。

1 ページは「受動喫煙対策を強化する必要性」として、受動喫煙が健康に悪影響を与えるとされている中、我が国における受動喫煙防止対策は十分とは言えない状況にあることから、 2020 年の東京オリンピック・パラリンピック等を契機に、国民の更なる健康増進のために受動喫煙防止対策の強化を図る必要があるとしています。

3 ページは「受動喫煙防止対策の具体策」です。日本の受動喫煙防止対策をオリンピック・パラリンピック開催国と同等の水準とするため、イギリスと韓国の混合型の制度を導入することとしており、具体的には、官公庁や社会福祉施設等を「建物内禁煙」に、医療機関や学校を「敷地内禁煙」に、飲食店等のサービス業や事務所等を「原則建物内禁煙」で、喫煙室の設置を可能とすることとしています。また、施設の管理者にも必要な義務等を課すこととしており、義務違反者に対しては罰則を適用することとしておりますが、その詳細については引き続き検討することとしております。

5 ページは「今後の立案作業」についてです。必要な法案を国会に提出することを目指し、できるだけ早期に作業を進めることとしています。

 以上、「受動喫煙防止対策の強化 ( たたき台 ) 」について御報告といたします。

○土橋分科会長 ただいまの報告について、質問等はございますでしょうか。

○杉山委員 参考資料の 2 ページ、「第 12 次労働災害防止計画の実施状況」における平成 27 年度分追加報告のメンタルヘルス対策について、 2 点ほどお聞きします。

 「 12 次防計画期間中のこれまでの取組」として、「メンタルヘルスの不調予防のための職場改善の取組」「ストレスへの気づきと対応の促進」などが挙げられています。しかし、 10 13 日に公表された「平成 27 年労働安全衛生調査」の結果によると、「メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場割合」は 59.7 %と、前回平成 25 年の 60.7 %をやや下回っています。平成 29 年に 80 %以上という目標に照らして考えたとき、メンタルヘルス対策の重要性が叫ばれるようになり、原則平成 27 10 31 日というストレスチェック制度開始直前の時期に実施された調査である割には伸び悩みが見られるのではないかと思っています。この点について、厚生労働省としての評価についてお聞きしたいと思います。

 もう 1 点です。実施義務を伴うストレスチェック実施開始前の調査結果とはいえ、ストレスチェックを実施した事業場の割合について、事業場規模と実施率の間に正比例の関係が見られる上、概して第 3 次産業で実施率が低くなっている点が気に掛かっています。残り期間が短くなりつつある 12 次防計画期間において、少なくともストレスチェック実施義務のある事業場においてはストレスチェックが確実に実施されるよう、年度末での実態把握も含めて取組を強化していただきたいと思います。

○塚本産業保健支援室長 「メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合」については、御指摘のとおり平成 25 年度調査から 1.0 ポイント減少しています。この調査で減少した内訳は、まず平成 25 年度の調査から調査項目を変更している、ストレスチェック後の集団ごとの分析を含む職場改善等の評価の改善、また医療機関を活用したメンタルヘルス対策の実施などです。

 これらについては、改正安衛法の施行を踏まえて、ストレスチェック制度をはじめとした労働者に対するメンタルヘルス対策の実態を正確に把握するため、質問項目を修正したものですが、それらの項目について、事業者の方がストレスチェック制度を含めたメンタルヘルス対策を厳密に捉え、「未実施」と回答した事業場があったことなどが理由として考えられます。

 いずれにしても、「メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場」の割合は平成 29 年までに 80 %以上という目標に対しては、現状は十分とは言えないことから、引き続き改正安衛法に基づくストレスチェックの実施をはじめ、事業所におけるメンタルヘルス対策の普及促進を図っていきたいと考えております。

 次に 2 つ目の御質問ですが、今後のストレスチェックの実施状況への対応についてです。第 1 回目の実施期限、具体的には平成 28 11 30 日に向けていくつかの労働局では自主点検等を行っています。これらの結果では、 9 割前後の事業場がストレスチェックを実施済み、又は実施予定と回答しています。今後、自主点検の結果、実施予定が明確でない事業場などに対する呼び掛けを行うなどの周知徹底により、ストレスチェック制度の適切な履行確保を図っていきたいと考えています。

○中村 ( ) 委員 ただいまの労働安全衛生調査結果のメンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合に関して質問です。メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合が 60.7 %から 59.7 %ということで 1 %減少しています。最終目標は 80 %ということです。この 1 %というのは、事業場の数としてはどのぐらいに当たるのでしょうか。

○塚本産業保健支援室長 手元に数字がありませんので、後ほど回答いたします。

○中村 ( ) 委員 その 1 %の事業場の数が多い場合、 80 %までというと、単純に 20 倍と理解していいのかということと、その数が多い場合に PDCA サイクルを回せるような計画ができているのかどうかを教えていただけたらと思います。

○塚本産業保健支援室長 メンタルヘルス対策に取り組む事業場の今回の統計の内訳ですが、これを規模別に見ていきますと、 100 人以上の事業場については既に 90 %を超えています。 50 人以上 100 人未満の事業場も 80 %以上で取り組んでいます。ただ、 50 人未満の事業場においては、例えば 30 49 人では 64 %、 10 29 人では 53 %といった状況で、 50 人未満の事業場の対応が非常に重要であると考えています。これについて、 50 人未満の事業場に対する取組の促進という観点から、ストレスチェック制度を含めたメンタルヘルス対策の周知徹底、また、産業保健活動総合支援事業、管理監督者や労働者を対象としたメンタルヘルス研修、さらに、面接指導体制の実地整備に取り組んでいるところで、 80 %以上の目標達成に向けて、 50 人未満の事業場を中心とした取組の促進により、目標達成に向けて進めていきたいと考えております。

○青木委員 机上配布資料「受動喫煙防止対策の強化について ( たたき台 ) 」について教えていただきたいと思います。この「たたき台」の中で「基本的な方向性」として、「日本の受動喫煙防止対策をオリンピック・パラリンピックの開催国と同等の水準とするため、従来の努力義務よりも実効性の高い制度とする」とされています。また、「今後の立案作業」として「必要な法律案を国会に提出することを目指す」とされています。

 ここでいう法律案にはいろいろな法律があると思います。一般国民が対象となる健康増進法もあると思いますし、それだけではなく、職場の労働者が対象となる労働安全衛生法も含まれると思っていますが、そういう認識でよろしいのでしょうか。

 併せて、「たたき台」にも記載があるように、周知や準備の期間が必要であること、 2019 年にはラグビーのワールドカップが開催されるということを踏まえると、立案・立法作業に割ける時間はそんなに残されていないと思われます。改正作業の日程について、もう少し細かいイメージ等があれば教えていただければと思います。

○木口環境改善室長 まず 1 つ目の御質問についてです。今回のたたき台の内容をどのような法的な枠組みで運用するかについて、現在、法技術的な面も含めて検討中です。現時点で労働安全衛生法とどのような対応をするかについては未定なのですが、労働安全衛生法に関わる部分が今後出てきた場合には、本分科会での御議論をお願いすることになろうかと思いますので、その際にはまた改めまして、委員の皆様に御相談したいと思います。

 スケジュールについても可能な限り早急に準備を進めて、必要な法律案の国会提出を目指すとしていますが、具体的な時期については、現時点では未定です。申し訳ございません。

○明石委員 今の件ですが、来年度に向けて、受動喫煙防止の助成金はどうなるのでしょうか。

○木口環境改善室長 現時点で、今後の枠組みについては未定ですので、先週、議論が終結した助成金検討会での議論を踏まえて、来年度はそれを踏まえた形で引き続き助成金を運用していく予定で考えています。

○明石委員 我々事業者にとっては、対策を行って、更に仕様がころころ変わるというのは、申し訳ないですが、非常に迷惑な話です。ここの中には、「また新たに喫煙室も検討する」みたいなことを書いていますが、去年、この基準局で十分な技術的議論はやった話ですので、あまり変えていただくのも非常に困りますし、そのために事業者がある程度の費用は負担しなくてはいけない、コストがかかるということについては、我々は反対していきたいと思います。よろしくお願いします。

○村上委員 今、ご意見がありましたように、事業者の皆様には、健康増進法の改正や労働安全衛生法の改正によって、何かしらの措置をすればそれなりの負担は出てくるかもしれません。しかし、そうはいっても、受動喫煙を防止していこうという方向に国が進むのであれば、労働者の受動喫煙防止も一緒に進めていくべきだと私どもとしては考えております。そのための負担軽減は別途考えていく必要はあると思いますが、基本的にはその方向でいくべきだというのが、私どもの考え方です。

○土橋分科会長 御意見ということですね。

○山岸氏 ( 岡本委員代理 )  資料の 2 ページ。「受動喫煙防止対策の強化の内容 ( たたき台 ) 」に、「事務所 ( 職場 ) 」とあるのですが、「職場」のイメージというか、我々の製造現場でいう「職場」という感覚と同じと思ってよろしいのでしょうか。

○木口環境改善室長 はい、製造現場も含めてお考えいただいて結構です。

○山岸氏 ( 岡本委員代理 )  「製造現場の職場の建物内」ということは、「工場内禁煙」と受け取ってよろしいのですか。

○木口環境改善室長 こちらは「主な施設」ということの例示で書いています。ここに記載のない施設でも、基本的に多数の者が利用する施設を対象とすることとしております。具体的には、後日行われる公開のヒアリングなどを経た上で、検討チーム及びそのワーキンググループの中で検討していくことになります。

○土橋分科会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 これで全ての議題を終了いたしました。本日も熱心な御議論をありがとうございました。最後に事務局から連絡事項をお願いします。

○樋口計画課長補佐 本日も熱心に御議論いただき、誠にありがとうございました。

 御了解いただいた諮問案件については、早急に所用の手続きを進めさせていただきます。また、次回の分科会については追って御連絡させていただきますので、その際はよろしくお願いいたします。

○土橋分科会長 本日の分科会は終了いたします。なお、議事録の署名については、労働者代表委員は杉山委員、使用者代表委員は栗林委員にお願いいたしますので、よろしくお願いいたします。本日はお忙しい中ありがとうございました。


(了)

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