ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 東日本大震災アスベスト対策合同会議(東日本大震災の復旧工事に係るアスベスト対策検証のための専門家会議)> 第15回東日本大震災アスベスト対策合同会議 議事録(2016年3月10日)
2016年3月10日 第15回東日本大震災アスベスト対策合同会議 議事録
労働基準局安全衛生部化学物質対策課
○日時
平成28年3月10日(木)
○場所
法曹会館 2階 高砂の間
○議題
(1)がれき処理作業等におけるアスベストの気中モニタリング等について
(2)被災地におけるアスベスト大気濃度調査について
(3)その他
○議事
【出席者】
委員: 神山委員長、石川委員、小坂委員、小島委員、小西委員、小林委員、高田委員、
戸塚委員、外山委員、名古屋委員、藤吉委員
専門委員(企業):株式会社日新環境調査センター、東北緑化環境保全株式会社
独立行政法人労働安全衛生総合研究所
環境省:瀧口大気環境課長、江田係長、福島係員
厚生労働省:森戸化学物質対策課長、富賀見中央労働衛生専門官
【議事録】
富賀見専門官(厚労省)
定刻を少し過ぎました。戸塚委員と小坂委員がまだ見えられておりませんが、時間になりましたので、ただいまから第15回東日本大震災アスベスト対策合同会議を開催したいと思います。
本日は、委員の皆様方にはお忙しいところをお越しいただきまして、ありがとうございます。
私、議事に入るまで司会をさせていただきます、厚生労働省安全衛生部の富賀見と申します。よろしくお願いいたします。
まず出席状況の御報告ですが、後から2名の方がお越しいただくということで勘定いたしますと、本日、森永委員から御欠席の連絡を受けております。したがいまして、委員12名のうち11名の方に御出席いただく予定になっております。また、石川委員は所用のため途中で御退席されるとお伺いしております。その他、専門委員として、測定機関、研究機関の方にも御出席いただいております。本日御出席いただいております委員の皆様方の御紹介は、お手元に委員名簿と座席表がございますので、それをもってかえさせていただきたいと思います。
事務局のほうで前回会議以降異動がありましたので、御紹介だけさせていただきたいと思います。
環境省水・大気環境局大気環境課の瀧口課長です。
瀧口課長(環境省)
本日は、この会議に出席いただきまして、どうもありがとうございます。環境省の瀧口です。昨年の10月から大気環境課長をしております。どうぞよろしくお願いします。
富賀見専門官(厚労省)
では、初めにお手元の資料の確認だけさせていただきたいと思います。
お手元、まず議事次第と委員名簿がございまして、それに環境省の資料があわせてクリップどめされているかと思います。環境省資料は、資料ナンバーで言うと1から4まで用意されておりまして、資料1、資料2は通達が表になっているもの、資料3が自治体のモニタリング結果、資料4は次年度の調査のマニュアルです。御確認ください。
別とじになっております厚生労働省の資料でございますが、左にクリップどめの資料で、一番上に資料の内容を書いてございます資料です。資料1から4までございます。資料1がA3のもの、あとはA4のものが資料2、資料3は通達でございます。資料4は、次年度のモニタリングの実施案というものになっております。御確認いただければと思います。
その他、メインテーブルのみになりますが、クリップどめのものが環境省のものでございます。右肩に「別紙4」と書いてある資料でございます。厚生労働省のほうは、同じく対応するようなものですが、ホチキスどめになっております。右肩に「委員限り配布」と書かれている資料です。それが一式ずつございます。
あと、お手元にもう一つ、1枚紙で「解体現場での石綿含有建材の取扱状況調査結果」という資料は、本日、外山委員からいただいている資料です。御確認いただければと思います。
不足、落丁等ございましたら、いつでも事務局にお申しつけいただければと思います。
それでは、今の時点で特になければ、これより議事に入りたいと思います。
神山委員長、よろしくお願いいたします。
神山委員長
本日は、お忙しいところを御出席、ありがとうございます。
東日本大震災も明日でちょうど丸5年ということで、あっという間ですが、被災を受けた方々にとってはまだまだ道半ばということでしょう。まだ大変な状況にあるということが時々報道されております。
幸いこのアスベスト対策は、自治体等の御努力で、青森県以下、千葉県に至るまで、福島県を除いて、がれき処理等が昨年度末でほぼ終了しております。原発事故等の影響で、福島県がやや遅れておりまして、本日御審議いただくのは福島県の状況を環境省が測定したデータと厚労省が測定したデータ、それから自治体独自に測定したデータが提示される予定になっております。それらをごらんいただいて御審議いただければと思っております。
(1)がれき処理作業等におけるアスベストの気中モニタリング等について
神山委員長
それでは、早速議題に入りたいと思いますが、本日は2つありまして、1つが厚労省側からの「がれき処理作業等におけるアスベストの気中モニタリング等について」で、厚労省が測定したデータを中心としたものです。
事務局から説明をよろしくお願いいたします。
富賀見専門官(厚労省)
では、私から厚生労働省の資料について説明させていただきたいと思います。
先ほど御紹介しましたクリップどめの資料、厚生労働省の資料をごらんいただきながら、説明をさせていただきます。
まず、表紙を外していただいて、厚生労働省資料1になりますが、A3の資料になっております。これは平成27年度に実施しました全ての測定結果を収録したものになっております。本年度、厚生労働省では、福島県において、整理番号が裏面までございますが、合計19カ所の測定を実施いたしまして、うち環境省のモニタリングと合同で実施しているものもございまして、それらについては右のほうの備考欄に、対応する環境省の番号を記載しております。それが合同で実施したものになっております。
調査結果の全体の詳細は、後ほど中村専門委員から、資料2にまとめていただいておりますので、それで御解説いただきたいと思っておりますが、私から全体の概略だけ簡単に説明させていただきたいと思います。
今回の調査地点の内訳になりますが、19カ所のうち、建築物の解体現場を2カ所やっております。整理番号でいうと、 No. 2と No. 13が建築物の解体現場になります。それ以外のものは、全てがれき処理現場の測定の結果ということになっております。
例年この資料には網かけさせていただいておりますが、網かけしている事案は、測定で総繊維数が30f/Lを超えたもの、いわゆる厚生労働省のモニタリングの実施の中で、仕様書において電顕による石綿の同定を行うとされているものになりますが、この会議ではこれまでもこの資料に網かけをさせていただいております。
この基準に該当するものは、今年は No. 2の建築物の解体現場のみでした。 No. 2の事案は、席上配布の資料も活用しながら後ほど詳細を説明させていただきたいと思いますが、この事案は、石綿含有成形板の除去作業の中で成形板の破砕を行っていたというものでして、資料で説明いたしますと、この事例の場合はアモサイトですが、定点で300f/Lを超えるアモサイトが検出されており、個人ばく露では最大2,434f/Lという数字もございます。
本年度は、この19カ所の中でこの事案以外は石綿が10f/Lを超える飛散事例はございませんでした。
資料をざっとごらんいただきますと、 No. 14が目につくと思います。これはがれき処理現場ですが、右のほうまで数字が連なっており、数値が高い数字も入っていますので、これは何だろうと思われるかもしれませんが、これは、建材がれきを破砕する現場で、もともと所轄の労基署の指導で、石綿の飛散防止のためにテントで現場を隔離して、その中で作業をしていたという事案です。当然、高い数値はテント内の数字で、それ以外の数字がテント外の数値で、その数値には問題がなかったという事案でして、参考のために測定していただいたものを掲載させていただいております。
続きまして、この2件、 No. 2と、 No. 14もですが、委員の皆様の「委員限り」として、現場の写真とか状況報告の資料ということで机上配布させていただいているものがございますので、それを取り出していただければと思います。
No. 2と No. 14、一緒にホチキスどめになっておりますが、めくっていただきまして、まず No. 2ですが、これは津波の被害を受けたS造の4階建ての建物の解体工事です。資料で見ていただくと、7ページに全体の写真がございますが、こういった事案です。事前調査で石綿が含有していることは既にわかっていて、その除去作業をしているというものでした。中の廊下の壁の下地材が石綿含有成形板、ケイカル板の1種になりますが、それを除去する作業が本件の作業でした。
次の8ページにその除去作業の様子がございます。建物からは手ばらしで除去されておりましたが、その後、除去した成形板を保管して、最終的に運搬します。ここに写ってはいませんが、用意していたフレコンバッグが1m角ぐらいですので、それに入れるため7ページの下の写真のように、30cm角ぐらいに、これはたたきつけて割った後のものです。そのたたきつけている様子は、9ページの上の写真のように、手で板を持って床にたたきつけたり、板を足で踏んで手で折り曲げたりして、破砕する作業を行っていたというものです。
この間、測定会社が、壁から外すところからずっとモニタリングしておりまして、仕様書のとおりデジタル粉じん計でも並行測定をしていました。板を手ばらしで壁から外している間はほとんどカウンターは反応しておりませんが、写真のような破砕作業が始まったところでカウント値が急激に上昇しておりまして、原因は成形板を破砕する作業だったということがわかる、そういった事案でございます。
破砕作業の前には、8ページの下の写真にありますように、板の表面にじょうろで散水をしている様子が写っておりますが、破断面が湿潤化されるわけではありませんので、このような割り方をその後すれば、当然破断面から大量に発じんがあり、さらには、現場の様子を測定会社から聞きますと、写真でも様子はわかると思いますが、床面に堆積している粉じんが再飛散していた様子が観察されております。
ですから、この事案に関しては、レベル3の成形板の除去作業をする際の原則であります、破砕は行わないということとか、除去した廃材も原形のまま保管や運搬ができるように十分な大きさのフレコンバッグを用意することとか、やむを得ず破砕が必要な場合も、レベル3の建材は破砕が伴えば作業の飛散レベルが高くなるのは当たり前ですので、相応の飛散防止措置を講じる必要があることとか、このような、我々も普段から指導しております成形板の取扱の原則が徹底されていない事案だったと言えます。
厚生労働省としましても、本日の厚生労働省資料3として11月に出した通達を参考に入れさせていただいておりますが、この事案を踏まえて、先ほど申し上げました成形板の取扱の原則の徹底について関係団体あてに要請を行うとともに、このようなレベル3の除去作業に対する現場の指導について労働局に通達したというものですので、御報告いたします。
また席上配布資料に戻っていただいて、 No. 14の事例がホチキスどめの39ページから始まりますが、これは御参考まで。先ほど申し上げました、集積された建材がれきを破砕してフレコンバッグに入れるというような作業を行う現場で、写真も43ページ以降にございますが、建材がれきを破砕する現場で、当然、石綿が使用された建材が混入していることも想定されますので、事前に所轄の労基署に相談もあり、先ほどの事案と同様、レベル3建材も破砕する場合は当然飛散のレベルは高くなります。ですので、飛散・ばく露防止の措置もレベルを上げて講じる必要がありますよという所轄の指導の結果、事業者にも御理解いただいて、43ページに外観と内観がありますが、このようなテントで隔離して、44ページの写真にもございますようにエアシャワーの前室を設けて、真ん中の写真は大型の除じん排気装置で、負圧管理しながら、その中で45ページのような建材の破砕作業を行っているというものでございます。
レベル3の建材に関しては、成形板に限らず、外壁の塗材みたいなものもそうですが、破砕を伴わず除去することができないものを除去する際の飛散防止対策につきましては、厚生労働省で別途検討会を設けてマニュアルを整備しておりますが、そちらでも記載は充実させて、引き続きしっかり現場指導もあわせて図ってまいりたいと考えております。
以上、本年度のモニタリング結果の全体の概要ということで御説明いたしまして、続いて、研究所の中村専門委員から、全体の調査結果の分析を—私はトピックの部分だけ御説明しましたが—厚生労働省資料2ということで取りまとめていただいておりますので、説明をお願いしたいと思うのですが、その前に私の説明の続きということで厚生労働省資料4の1枚紙だけ簡単に御説明させていただきます。
これは、厚生労働省のモニタリングの次年度28年度の予定ということで、モニタリングの方法や内容は全く変わっておりません。座長からもございましたが福島はまだ現場がございますので、基本的に福島で実施するということで、次年度も続けてやっていきたいと考えており、その結果はまたこの場で御報告させていただければと思っております。
では、資料2を中村委員に引き継ぎたいと思います。
よろしくお願いいたします。
中村専門委員
労働安全衛生総合研究所の中村です。資料2の説明をいたします。
今、富賀見専門官からありましたように、本年度の調査結果についてまとめたものになりますが、本年度は昨年から引き続き、福島県のがれき集積場についての調査が実施されており、全体で19カ所、そのうち建築物解体・改修作業が2カ所、がれき集積作業が17カ所となっております。
早速結果に触れたいと思いますが、建築物解体・改修の測定が2カ所で行われまして、どちらも事前調査により石綿含有の成形材が使われているということで、種類としてはケイ酸カルシウム板の第1種で、どちらも隔離養生はせずに、手作業での除去ということで行われておりました。
まず福島県 No. 2ですが、こちらは先ほど富賀見専門官から説明がありましたとおり、濃度の高い結果となっていたという現場ですが、事前調査によりクリソタイルとアモサイトが含有されたケイ酸カルシウム板があり、それを除去していたということです。
作業方法としては、取り外しの際、電動工具を使用してボルトを外して、それを手作業によって除去していたということですが、フレコンバッグに詰め込む際に床にたたきつけるような形で破砕をしていたということになります。
結果としまして、総繊維数濃度がとても高い値で、818.6~2,933.3f/Lというとても高い結果となっています。
電子顕微鏡による分析からもアモサイトが確認されていまして、これは厚生労働省資料1という表と数字が違うと思われるかもしれませんが、すみません、私のほうでまとめた資料2の104.5~1,479.9f/Lというのは、委員限り資料の5ページにもあるのですが、これは電子顕微鏡で計数した結果の数値となっております。資料1で見ますと、福島県 No. 2の石綿の気中濃度の数字が違うということになっていますが、これは電顕で出てきた石綿と石綿でないものの比を位相差顕微鏡の総繊維数にその比を当てはめて計算したものになりますので、そういう違いがあったので少し数字が違っているということだけ、紛らわしいかと思いましたので、ここで説明させていただきたいと思います。
このような形で、破砕によって飛散したことが原因と考えられる事例で、高濃度の飛散がありました。
続いて、もう一件ですが、福島県の No. 13というものです。こちらは木造2階建ての家屋の軒天部分にクリソタイル含有のケイ酸カルシウム板が使用されていたということです。
こちらも手作業による除去をしていたということですが、実際には釘打ちされていた箇所をバールで穴をあけた後に、手作業なのですが、壊しながら外すような形だったということであります。散水も行っていたのですが、作業によって発じんしていることは目視によっても確認されております。
ここでは、個人ばく露丸数字2と丸数字3で総繊維数濃度が3f/Lを超えていたので、位相差/偏光顕微鏡により同定を行って、その結果、個人ばく露丸数字2では1.18f/L、個人ばく露丸数字3では0.59f/Lと、わずかではありますがクリソタイルが確認されております。濃度としてはそれほど高いということではないのですが、作業内容的には破砕を伴っているということで、少し石綿が飛散していたと考えられます。
続きまして、がれきの仮置き場、集積場における集積作業ということで、こちらは17カ所で調査が行われました。このうち、福島県 No. 14が、先ほど富賀見専門官から説明もありましたが、石綿の含有しているものを破砕することを前提に、大型テントの中で作業が行われているものでした。
こちらは、作業内容から、他のがれき集積作業とは少し異なっておりますので、測定方法も他のがれき集積作業とは違う方法で行っています。つまり、建築物解体作業の隔離養生されているようなところで行っていたような、外で定点測定をするということと、前室の入口付近、それから集じん排気装置の排気口付近で測定をするという形で行っています。
残りの16カ所は、これまで同様、定点の測定と個人ばく露の3点をとるという形で測定をしております。
福島県 No. 14以外にも大型テント内で作業が行われているという現場はあったのですが、それらについては、家庭ごみとか津波堆積物などを対象としていて、きっちりと囲ってというよりは、横が開いていたりするような環境であったために、測定方法は他のがれき集積場と同じような形で行っております。
福島県 No. 14以外の16カ所の測定ですが、ほとんどいろいろなものがまじった混合がれきであり、がれきの中に成形材があることは確認されておりましたが、それらが石綿を含有していたかどうかは不明であるという状況でした。
今回の調査での総繊維数濃度の最大値としては、福島県 No. 6の個人ばく露丸数字3で15.45f/Lという結果がありまして、位相差/偏光顕微鏡による分析からアモサイトが確認されて、その濃度は4.75f/Lということでありました。
この地点でアモサイトが観測された理由については、考察するような材料が少ないので、わからないというのが本当のところですが、実際に建材が混入していたということが報告されておりますので、それらの中に石綿を含有していたものがあったことが可能性としては考えられます。
それ以外の現場では、1カ所、福島県 No. 17の個人ばく露丸数字3で0.59f/Lのクリソタイルが確認されていますが、それ以外では石綿は確認されないという結果でありました。
福島県 No. 14においては、先ほどもお話がありましたが、テントの中では高い濃度でありましたが、外にはほとんど出ていなかった。ただし、前室入口の測定において、位相差/偏光顕微鏡の分析から3.56f/Lのアモサイトが確認されておりますので、前室からの持ち出しが少しあったのではないかということで、これらは建築物の解体・改修工事と同様に、漏えいを防ぐような注意が必要であるということが言えます。
以上をまとめます。
平成27年度の調査で、建築物解体作業2カ所、がれき処理作業が17箇所の計19カ所で測定が行われ、建築物解体作業において、成形板の除去作業で石綿繊維数濃度が10f/Lを大幅に超える飛散事例が1件ありました。
建築物解体においては、どちらも成形板の除去だったのですが、破砕を伴っている作業で、そのような作業をする場合、石綿の飛散性が高くなってしまうということがありますので、原則として破砕を伴わないことで除去をしなければいけないということですが、それが余り徹底されていなかったということがあります。ですので、これから引き続き、成形材の除去においては石綿の飛散を防止する対策を徹底する必要があると考えられます。
また、がれきの仮置き場、集積場におきましては、石綿総繊維数濃度が10f/Lを超えるような飛散事例は確認されませんでしたが、若干石綿が確認されるという事例もありました。石綿の含有建材の混入を全て完全に防ぐことは困難であると考えられますので、発じんが懸念されるような作業においては、そういう可能性があることを周知すること、それから対策を適切に実施することを徹底していく必要があると考えられます。
以上です。
神山委員長
ありがとうございました。
それでは、意見交換はまとめて行いたいと思いますので、御質問も含めて環境省からのこの後の報告の後に行っていきたいと思います。
(2)被災地におけるアスベスト大気濃度調査について
神山委員長
議題(2)の、「被災地におけるアスベスト大気濃度調査について」を、環境省から報告をお願いいたします。
福島係員(環境省)
それでは、環境省資料について説明させていただきます。
まず環境省資料の1をごらんください。右上に小さく、地点の分類という表がついているのですが、今年度、環境省は合計で53地点の調査を行いまして、そのうち、(1)の丸数字1にあるように避難所とか仮設住宅や学校などが14地点と、(2)の丸数字3、破砕等を行っているがれきの処理現場及びがれきの集積場が25地点ということで、昨年度と同様、この2つの分類の地点が多かったということでございます。また、解体・改修中の現場につきましては、昨年度は0地点だったのですが、今年度は1地点行っております。
続きまして、下の表につきまして、左側に地域分類が書かれてございますが、地域分類ごとに結果をまとめたものになっております。
まず(1)の丸数字1が1ページ目にございますが、これも昨年度と同様、学校が多かったということでございます。
上から見ていただきまして、地点 No. で32と入っているところがございまして、ここだけ少し測っている箇所の数が多いです。ここは学校側から、昨年10月に文部科学省の調査ということで公表したもので、煙突の保温材にアスベストを含んでいて、損傷・劣化等による石綿等の粉じんの飛散によりばく露のおそれがあるものがこの学校の煙突に含まれているということで、不安なのでボイラーを実際に運転して煙突が使用されているときに調査をしてほしいということがあり、少し地点も多めに調査をしました。こちらの調査結果につきましては、その煙突を使っている学校も含め、総繊維数濃度で1f/Lを超えるような地点はございませんでした。
続きまして、1枚めくっていただきまして、2ページ目でございます。こちらは上のほうに(1)丸数字2とございまして、毎年環境省が調査している地点でございます。
その次、真ん中のところ、(2)丸数字1は、先ほど厚労省からもお話があったのですが、解体・改修中の現場でございます。こちらは箇所丸数字1から丸数字5とあり、どこがどこかというのは机上資料で後ほどお話しさせていただこうと思いますが、丸数字1から丸数字4が敷地境界で、敷地境界のところでは総繊維数濃度で見ても1f/Lを超えていません。ただ、箇所丸数字5、作業現場の近傍において、少し高い、1f/Lを超える総繊維数濃度が検出され、位相差/偏光顕微鏡で測定したところ、アスベスト繊維数濃度が10f/L検出されたということでございます。こちらについては、後で机上資料も使いまして少し御説明させていただきます。
続きまして、その下、(2)丸数字3でございます。(2)丸数字3というのは地点数が多くて、2ページ目の下から、1枚めくった3ページ目の上まで結果が続いてございます。こちらについては、どの地点も総繊維数濃度で1f/Lを超えるような地点はございませんでした。
続きまして、3ページ目の(2)丸数字4、真ん中のところは廃棄物中間処理施設ということで、ことしは1現場を調査しまして、こちらも総繊維数濃度で1f/Lを超えるような結果にございませんでした。
最後に一番下、(2)丸数字5ということで、自治体が必要と判断した地点でございます。こちらにつきましても、総繊維数濃度で1f/Lを超えるような地点はございませんでした。ただ、(2)丸数字5のところで34番と入っている地点は、先ほど(2)丸数字1で作業現場の近傍で少しアスベストが検出された地点の跡地になってございまして、この調査を行ったときは、後でも少し説明させていただくのですが、一時的に石綿含有建材、廃材が置かれていたところでございます。
続きまして環境省資料2ですが、こちらは、(2)丸数字1の解体現場で、この現場は先ほどのレベル3建材ということがあったのですが、レベル3建材を破砕したことによって飛散した事例があったということもございまして、環境省からも厚労省と同じ日付で同時に通知を出させていただいたものでございます。
続きまして、机上資料をごらんいただきまして、「地点 No. 05-17」は、アスベストが検出された地点の野帳でございます。
2枚ほどめくっていただいたところに、どのポイントで調査したかということが載っておりまして、2枚めくった左側の4地点のところが敷地境界で、こちらでは総繊維数濃度で1f/Lは出ていないという結果になっております。
その右側のところ、中に廊下と階段の図があるところで10f/Lの石綿が検出されたということでございます。
さらに3枚ほどめくっていただきまして、「測定状況」の9番、10番のところを見ていただければと思います。9番、10番の立入禁止となっているドアの中が、先ほどの厚労省側の資料でもございました作業をしている現場で、その部屋のドアを挟んだすぐ外側で測ったところで少し検出されていたということでございます。
続きまして、もう一つ、「地点 No. 05-34」というものがございます。こちらも2枚ほどめくっていただきまして、左側を見ていただきますと、これが先ほどの解体現場の跡地となっておりまして、その図面の中に「石綿含有建材」ということで、解体後の廃材が置いてあったところの地点が載っております。測定している2地点は、この石綿含有建材がある風下2地点で、こちらでは総繊維数濃度で1f/Lも検出されていないということでございます。
さらにもう一つ、「地点 No. 05-32」というのがございます。こちらは煙突がついていた学校のところになっているのですが、こちらも2枚ほどめくっていただきますと、左側にどこでサンプリングをして調査したかということが記載されております。敷地境界4地点と、屋上の煙突の直近と、また屋上の北西の地点で1ポイントと、灰出し口のところで測っておりまして、いずれの場所でも総繊維数濃度で1f/Lを超えるようなところはございませんでした。
続きまして、環境省資料3について御説明させていただきます。こちらは自治体が実施したモニタリング結果を取りまとめたものでございます。「福島県」と書いておりますが、いずれもいわき市で調査された結果になってございます。
まず1ページ目ですが、これは大原局というところで測定したものでございまして、総繊維数濃度で1f/Lを超過した日はございませんでした。
めくっていただきまして、2ページ目は花ノ井局と常磐局の結果でございます。花ノ井局で1日、総繊維数濃度で1f/Lを超過した日はございますが、3日間の幾何平均では、いずれも総繊維数濃度は1f/L以下という結果でございました。
3ページ目が電顕の結果になってございます。花ノ井局で一部、5月14日にクリソタイルが0.11f/L検出されておりますが、それ以外はNDということで、未検出という結果が出てございます。
続きまして、環境省資料4でございます。こちらは毎年お出ししているものでございまして、このマニュアルにのっとって来年度以降も引き続き調査を実施していきたいということでございます。
以上でございます。
神山委員長
ありがとうございました。
今、厚労省及び環境省から今年度測定した全てのデータの説明をいただきました。それから、自治体で実施したデータも環境省の資料の後ろについております。
いくつか高い値が記録されましたが、ほとんどが高い値ではなかったということです。
いろいろと御意見があるかと思いますが、この後、意見交換を進めたいと思います。何か御質問等ありましたら、お願いいたします。御意見でも結構です。
小林委員、どうぞ。
小林委員
先ほど厚労省から御説明いただいた中で何点かあるのですが、これは環境省も同じですが、環境省の場合は大体都道府県に対して通知文書を送られると思いますが、厚労省の場合は業界あてに送られているわけです。業界から各事業者に対して通知文書が届いているのかどうかの確認をされたことがあるのでしょうか。それを確認したいのです。届いてもそのまま協会の机にほったらかしてあって、そこから送られていない例が結構あるのです。お金がないから送れないとか、そういうのがあるので、その辺どうなのかということを確認したい。
それから、同じことですが、解体はほとんど公費解体でやられていると思うので、そこの自治体にとっては、どこで何を解体していて、その業者がどこかというのは全部わかっているはずなのです。ですから、そこを通して業者に対して通知文書を出すほうが徹底するのではないかと思うのですが、そういうことはやられているのかどうか。それが2つ目です。
3つ目は、成形板を割るというのが先ほどから問題で出ているのですが、成形板を割るのに水中で割るという方法はとれないのかと思ったのです。要するに、3mのバットを大体どこでも置いており、足を洗うなどに使われていると思うのですが、そのバットの中につけて割ってしまうという方法をとればこういう問題は起こさないと思うのですが、そういうことをされた例があったのか、また、これからそういう指導をされたらいかがかと思ったのですが、いかがでしょうか。
神山委員長
では、まず厚労省からお願いします。
富賀見専門官(厚労省)
まず、要請文書を団体あてに送付した後のフォローアップといいましょうか、あて先の団体から事業者にちゃんと周知されたか。今回の通知のあて先はこれでも少ないほうかもしれませんが、私どもは広く関連する企業団体等をあて先にします。ちゃんと送りましたかとか、どこに送りましたかという確認は通常はやっておりませんが、今回の通知のあて先などはどこも関係が深いところでございますので、お話しする中で「会員企業さんから何らか反響がありましたか」とか、フォローアップとして、機会を捉えて聞ける範囲でしております。小西委員の日本繊維状物質研究協会にもこれに限らず送付させていただいていますが、協会の開催するいろいろな場で配布していただいたり、定期的に会員に送付する封筒の中に入れ込んでいただいたり、周知にご協力いただいているように聞いておりますす。
概ねそういった手法で、それぞれの会員あての機会があれば対応いただいているものと理解しておりますが、要請文書、お願いベースですので、ちゃんと送りましたかという確認まではしておりません。今回のような関係が深いところではほったらかしにされているようなことを想定してこちらもやっておりませんが、いろいろな機会、団体の方とお話しするような機会を捉えてフォローしながら、「ああ、そんなの来てたかな」のような反応があればやはり言わなければいけないと思いますし、ご指摘いただきましたフォローアップは念頭においておきたいと思います。
神山委員長
この17でしたか、福島の解体現場ですが、これは自治体には届出が出て、当然、こういうところで解体が行われるからというので、測定のときは自治体からも担当の人が来ていたのでしょうか。
小林委員
今の資料には、立会いなしと書いてある。
神山委員長
立会いがなかったのですね。立会いがあれば、割ったりするのはすぐストップがかけられたと思いますが。
今、小林委員から質問がありました、何かバットを用意しておいて、割る部分を水につけてやれば少し飛散が防げるのではないかというアイデアは、実際にはどうですか。現場で見たことはありますか。
東北緑化環境保全
そうですね。
神山委員長
どこか他でそういう措置をして、細かく割るのを、ご覧になったことはありますか。
小林委員
実はアスベストという限定でやられたというのは見たことがないのですが、例えば幼稚園の改修工事をやられているところでそういうことをやられていたのを見たことはある。これは粉じん対策としてやられておられたのですが。バットの中にボンとつけ込んで、その中で手で割っておられた。手というか、その中でたたいておられたのです。
神山委員長
そういうデータでも積み重ねられれば、有効性の判断ができますね。興味深いやり方だと思います。
他に御意見ありましたら、お願いいたします。
どうぞ、外山委員。
外山委員
まず質問ですが、本年やられた中で、厚労省の No. 2と No. 13が解体または改修作業ということで、 No. 2は顕著に飛散があって、 No. 13も濃度的には高かったということです。この2つというのは、そもそもどういう経緯で測定するようになったのか。どこから話が来て、つまり、他にたくさんあって、これを選んだのかというところですね。そのあたりはいかがでしょうか。
神山委員長
福島県に届出があったのではないですか。
福島係員(環境省)
No. 2は届出はなかったのですが、福島県から私が情報をいただきまして、測ってございます。恐らく No. 14は厚労省側だと思います。
富賀見専門官(厚労省)
先に一般的な話をしますと、うちはまず監督署で、解体現場であるとか測定にふさわしそうな現場があれば、事業場と話をして上げてもらうという仕組みが1つございまして、監督署で作業日とか工期も確認して上げてもらって、測定会社に伝えて、セッティングするようなものが1つございます。あとは、環境省から測定地点の情報提供をいただきながら、合同での測定を調整させてもらって測っている。大体このようなパターンでやっております。
No. 13はどちらでしたっけ。
東北緑化環境保全
No. 13は、環境省から一括で楢葉町の家屋解体を受注している業者を紹介というか、労働局からいただきまして、その中で、私と業者とでどの現場がふさわしいか調整して選定した地点になります。
外山委員
大体わかっていてお聞きしたのですが、多分、福島県の環境省の環境再生事務所が発注している工事じゃないのかなと思っているのですが、それはどうなのでしょう。
東北緑化環境保全
そのとおりです。
外山委員
1つは、 No. 2で濃度が上がっているのですが、これは石綿作業だという認識があってやっていると思うのです。他に作業主任者の選任とか、作業者向けの掲示とか、幾つかの関連法規もあると思うのですが、そちらの遵守状況と、違反があったらその後指導があったのかということと、具体的に、破砕するということがどういう法律に違反するのかというあたりをお答えいただけたらと思います。
富賀見専門官(厚労省)
外山委員のは、 No. 2の個別の話ですか。
外山委員
No. 2です。
富賀見専門官(厚労省)
No. 2の事案に限らず、数値が高かったようなったものは、測定したらすぐに私に情報が来ますので、私も選別しながら、特にこういった高い値が出ているようなところは、監督署に連絡して対応を指示しております。これも、個別事案になるので詳細は言えませんが、こういった値が出た後、監督署で状況確認をしております。
次に、破砕ということに関する規制の状況ですが、外山委員は御存じで聞いておられるのだと思いますが、破砕はダメということが石綿則とかに書かれているものではございません。原則として、先ほど申し上げたような、破砕は行わないとか、破砕しないでいいように十分な大きさのフレコンバッグを用意するとか、やむを得ず破砕する場合には十分な湿潤化等の飛散防止措置をとるというようなところは、通達であったり、厚労省の解体マニュアルでより具体的に記載して、監督署のレベル3の指導ではそういったところを重点的に見て、飛散防止対策を技術的に適切になるように指導するといったところでして、基本的に行政指導のベースですが、その辺は意識して監督署で指導していただいているところでございます。
外山委員
これは意見ですが、石綿則の第13条があって、これは湿潤化をしなさいということで、できない場合は例外もあるのですが、湿潤化が原則ということですね。石綿則の中に破砕禁止というのが書かれていないところが1つ問題なのかなと思っていて、原則破砕禁止ということにして、どうしても割れてしまうものは当然ありますから、例外的なものは除くという規定の仕方をする必要があるのかなと思っています。大防法ではレベル3に関して全く何も規制がないということですので、やはり石綿則でしっかりやっていただきたいと思っています。
ついでですので、私の資料を今説明してもいいでしょうか。関係がありますので。
神山委員長
それでは、1枚紙で外山委員から提出のあった、解体現場での石綿含有建材、いわゆる一般にレベル3といっているものの取扱状況調査結果の説明をお願いします。
外山委員
これは、私たち東京安全センターが、環境省の外郭団体の環境再生保全機構の地球環境基金というところから助成金をいただいて、昨年度と今年度、8つの自治体で調査をした結果です。
建設リサイクル法の届出があって、解体現場の数は情報開示等で得ることができるので、それを一件一件回っていってどうだったのかということですが、8つの自治体で631回、そのうち行ってみて終わってしまっているものもあるので、解体中だったものが195件ありまして、そのうちの40件で湿潤化せずに破砕したり、そのような取り扱いの状況があって、2割ぐらいで問題の事例があったということです。表示も、きちんとできているよというところが61件で、3割ぐらいにとどまっているということですので、レベル3の取り扱いは、届出もないですし、現場での取り扱いで飛散させてしまっている事例が、今回の調査でも明らかになりましたが、多いのかなと思っています。
自治体ごとに分けているのは、下の2つの自治体の成績がいいです。問題事例の割合が10%以下です。ここはレベル3の届出条例がある自治体なのです。そこはやはり監視されていますので、非常に成績がいいということです。先ほど石綿則の話をしましたが、石綿則でもそうですし、大防法改正のときに議論になったのですが、レベル3に関して何らか届出なりの規制をしていく必要性があるということを示しているのではないかと思います。
今回の発注者は、1つは環境再生事務所ですから、環境省で、石綿についてある程度わかっているところが発注しているわけです。対策しなさいということを言われていると思うのですが、そこでこういう問題が起きているということですし、それ以外の岩手、宮城、福島で津波の被害を受けた地方自治体は32市町村あるのですが、その市町村の中で環境課にアスベストの届出の窓口がある、つまり大防法の政令市に指定されている市が3つしかないのです。宮古市と仙台市といわき市の3つしかない。それ以外の29市町村は、市町村の中にアスベストの担当者が誰もいないという状態です。その人たちが津波で被害を受けた建物の解体工事を発注しているということです。ですので、どう見てもきちんとできるわけがないのではないかと思います。
そういった問題もあって、私たちのアンケート調査でも、これら32の自治体にアンケート調査をしましたが、「レベル3の建材の量を把握していますか」という質問に対して、「わからない」という自治体が4割ぐらいで、レベル3がないということはないと思いますが、「レベル3はなかったです」という自治体も4割ぐらいあって、合わせて8割ぐらいの自治体がレベル3に関してきちんとできていなかったということです。
今回、2つ測定をして、1カ所で大きな問題があったということですので、東日本大震災の被災地でレベル3の建材の取り扱いは非常に大きな問題があったのではないかということが言えると思いますし、この状況は被災地の話だけではなくて、全国的にも同じような状況があると思いますので、この点、大防法か石綿則かわかりませんが、今後規制を強化していく必要があるのかなと思います。
長くなってすみません、私のほうは以上です。
神山委員長
ありがとうございました。
これはA市からH市までですが、全国ですね。特に東日本大震災あたりというわけではなくて、全国の市ということですね。
外山委員
東日本大震災の被災地も一部入っており、西のほうは大阪近辺、関西圏も幾つか入っています。
神山委員長
それと、散水あるいは破砕していた事例というのが、真ん中辺に20.5%ということですが、内訳というか、散水だけとか破砕だけというのもあったと思いますが、その辺はどうなのでしょうか。
外山委員
そこは余り細かくつけていなかったです。
神山委員長
散水して破砕していれば、ここには入らないということですね。
外山委員
散水していれば入らないのですが、例えば明らかに他の建材と一緒になって、ごちゃごちゃになっていて、誰もいなくてみたいな現場もあると思います。それは散水したかどうかわかりませんが、そういった現場は問題事例に入っています。きちんと分けられていなかったり、破砕されている証拠があったり、散水されていなかったり、私たちが見て問題だと思われるような事例です。
神山委員長
散水も、先ほどの写真だとじょうろでかけているような散水も中にはあったりして、レベルがいろいろあるのだろうと思います。あるいは、先ほど小林委員がおっしゃったように、割るときに、限られた量の水でも大事だと思いますが、用意しておいて割るとか、そういう工夫が散水という面で今後推奨されるのだろうと思います。
それと、破砕は、通達等の周知徹底が問題で、残るかもしれませんが、随分出ている。これをどのように現場レベルまで周知徹底するかというのが今後の課題なのかもしれません。外山委員としたら、石綿則とか大防法でレベル3を何とかもう少し厳しく扱ったほうがいいのではないかという御意見ですか。
外山委員
そのとおりです。地方自治体の市町村のレベルの環境課の方は非常に熱心で、例えば私たちがこういう連絡をすると必ず来てくれるところがほとんどです。だけど、この人たちはレベル3に関しては権限が何もないのです。ないのですが一生懸命やろうとしているので、大防法の延長でその人たちにできるような権限を与えてあげたり、そういう法律をつくってあげたりするのが大事なのかなと思います。
今の所管でいうと、石綿則が重要な法律なのですが、現状を見ていると、人が足りないですね。衛生専門官という方が大体1人は監督署にいますが、有機溶剤とか他の業務があって、掛け持ちでやっているという状態ですので、非常に手が少なくて、私たちがお話をしに行っても、なかなか行けないという状況があると思いますので、両面から何とかしていく必要があると思います。
神山委員長
ありがとうございました。 他に御意見はございますでしょうか。
どうぞ、小坂委員。
小坂委員
先ほどから問題になっている福島の現場に私は立ち会わせてもらったのですが、午前中にずっと見て回ると、3階だったのですが、きちんと事前に手ばらししておられるわけです。ところが、午後になってマスクをして割りに入ったという、全く行動が矛盾しているというのか。基本的に原則手ばらしということですね。
神山委員長
最初のときはマスクをしないで手ばらしをしていたのですか。
小坂委員
外されたときは、私は見ていません。前日、もっと前の日にやっておられますから。
神山委員長
なるほどね。
小坂委員
そういうことがあったものですから、少しびっくりしたわけです。
今までレベル3については、先ほどからも話が出ていますが、吹付け材に比べて意識が薄いと思うのです。こういう問題が起きていますし、飛散量は吹付け材とは比較にならないのかもしれませんが、近くでばく露しますと、かなり高濃度ばく露になりますから、やはり気をつけないといけないと思うのです。
自治体の見回りは非常に大事だと思いますが、自治体の環境関係の方は、水質、大気、廃棄物等、多岐にわたって限られた人でおやりになっておられるので、一カ所一カ所全部回れというのは確かに無理なのかもしれませんが、自治体によって温度差があるようで、非常に熱心にやっておられるところを私も知っていますし、あるのですが、ほとんど見て回らないという自治体もあって、今後はもっと熱心に回っていただくことを期待しているのです。2005年のクボタ・ショックが起きたときに私も測定で解体現場に絶えず出入りしていたのですが、労基の方は必ず来ておられたわけです。マスクをして現場の中まで入っておられたわけです。最近は余り見かけないというか、たまたま私がそんなにたくさん現場へ行かないから知らないだけなのかもしれませんが、自治体だけではなくて労基からも監視を強化していただくことが必要ではないかと感じました。
監視なのですが、限られた人数でやるわけですから、工夫が要るのではないかと思います。イギリスで監視官という制度があり、その方が書かれた文献を読んでいて、どういうことをするかというと、違反した業者を重点的に抜き打ちで立入するのが効果的だということを書いておられたのを思い出して、自治体も含めて抜き打ちで立入ということで注意を喚起していく、あるいは緊張感を持ってもらうことも必要ではないかと感じています。
以上です。
神山委員長
ありがとうございました。
これは解体の内装材、レベル3の板の解体時での問題ですが、実は内装材みたいなものは建築時にも問題があって、特に高層ビルで、周りを全部ガラスで覆った後に内装する。ホテルなんかがありました。内装版をフィッティングするときにカッターナイフでエッジを切ったりするもんだから、もうもうたる粉じんの中でそういう作業が進められていました。1980年代から90年代にかけて、東京に高層ビルが盛んにできたときでした。高層ビルは、当時、件数がそれほど多くなかったですが、私も見に行ったときにそういう状況があったということで驚いた経験があります。それが今度は解体時に同じような問題が起きている。これは閉鎖空間の中で内装工事あるいは解体をして起きてしまっているというので、マスクだけでいいかどうかも含めて、何らかの対策を検討する必要があると思っております。
他に何か。藤吉委員、どうぞ。
藤吉委員
厚労省資料2の中村先生の考察ですが、1ページ目の一番下に書いてありますように、破砕による飛散もあるけれども、破砕した後の粉じんの堆積で、それがまた再飛散しているのではないかという考察があるわけです。多分こういうことが起きているのではないかと私も思うのですが、ということになりますと、こういう解体作業をやった後の後片づけと清掃のときに出るダストの管理をしっかりやらないと、またそれの処理現場で飛散が起きてしまうということで、小ロットで袋に入っていたりしますと、なかなか気がつかない。開けてしまったら飛散してしまう。気がつかないうちにそういう作業をやってしまうということになりますので、この扱いについても留意を喚起してほしいという気がします。
神山委員長
そうですね。その辺の問題が重要な点としてあると思います。
通達等の中ではこの辺のところは言及されていないのですね。
富賀見専門官(厚労省)
厚労省としては作業現場での再発じんの防止については触れておりますが、今、委員のおっしゃったような、それを清掃した後の廃棄物の話には触れておりません。今回の事例、再発じんがあったということは確認されていますし、この通達で言うと2ページ目の3のところですが、「破砕等に伴い発生した石綿等の粉じんが床面に堆積し、再飛散するおそれがあるので、状況に応じて飛散防止の措置を講じながら作業を行うこと」と、作業現場での留意事項は通達の中にあります。
神山委員長
これは通達でさらっと書いてあるから、具体的にどうしたらいいかというマニュアル的なものの準備は並行してされているのでしょうか。
富賀見専門官(厚労省)
先ほども御紹介させていただきました厚生労働省のマニュアルの検討会でも、レベル3のところの記載の強化は、来年度に作業現場で実際に措置可能な具体的な対策の例示などを持ち越したりしながら常に課題でありまして、この事案も検討会の場で紹介しながら、今回の通達の内容に関しましても、床面の堆積粉じんの再発じんの防止対策についても議題に上がっております。ただ水をまけばいいかというと、その散水でまた再発じんするとか、いろいろな現場の経験がおありの委員からも議論があり、これは持ち越していますが、来年も引き続き、具体的な事例とか、飛散防止の効果のある措置の提案とか、そういったものをいただきながら、マニュアルの中で普及していけるような事例を紹介していきたいと思っております。
神山委員長
このレベル3の問題は、特に作業者の問題として厚労省が、現在は通達ですが、マニュアル等で細かく対応している。将来、法律変更が必要かどうか検討していただき、その辺の対応について今後の推移を注目していきたいと思います。
他に御意見はございますか。
どうぞ、小林委員。
小林委員
今お話を聞いていて1つだけ気になりだしたのですが、公費解体の発注者は市町村なのですか。環境省ではないのですか。
外山委員
環境省。
小林委員
そうでしょう。だとしたら、今度の大防法の改正で発注者に責任があるのですよね。そこを意識しないと問題かなと今ふと思ったのです。それが1点です。
もう一つは、これは公費でやるわけですから、発注段階でそれなりの注意事項を業者に言っているはずなのです。その上で、これは測定をしているわけですから、測定業者が行っているわけです。その目の前で壊しているということは、結局その業者は認識していないということになるわけです。これは2年ほど前に言ったのですが、「それを見ながら測定している業者の方は注意しなかったのですか」と言ったら、「そこまで言う権限はない」とそのときの方が御返事されたのですが、少し問題がある。そのとき、「その場ですぐに発注者である環境省に通告をしてください」と言ったら、「します」と言ったのですが、この場合はされたのでしょうかというのが気になりだしたのですが。
瀧口課長(環境省)
厚労省の番号で「 No. 2」、環境省でいうと「 No. 05-17」、これは環境省の福島事務所が発注している解体工事でして、こうした事例が出てきたものですから、我々も福島事務所には注意喚起といいますか、その連絡はしております。福島県とともに。先生の御指摘のとおりだと思います。
神山委員長
よろしいでしょうか。
それでは、他に御意見がないようでしたら、今年度福島県で測定したデータは、基本的な問題としてはレベル3の解体等で若干環境にも漏えいがあったこと、特に作業者へのばく露レベルが非常に高いものが検出されたということで、レベル3の扱いは今後も非常に注意していかなければまずいだろうということです。
外山委員からは、条例等のあるなしでその対応の仕方に差があるのではないかというデータを提示いただきましたが、この辺を参考にして、今後、通達の効果とか、マニュアルの効果とかを厚労省が検討していくだろうと思いますが、いずれにしても労働者の健康保持のために重要だと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、これで今年度のデータの説明は終わったということで、追加で何か御意見等はございませんでしょうか。
どうぞ、小林委員。
小林委員
今のお話の中で、今言われた通達なのですが、これだけあるわけですね。ここで議論する話ではないのでしょうが、厚労省も環境省も物すごい数の通達なりマニュアルを出しておられるので、できましたらこれを一本にして整理する方法はないのか。そうしないと、これは見るほうも大変だと思うのです。いわゆる通達は今さら直しようがないと思うのですが、その通達を全部整理した上で1つのマニュアルにまとめてしまうという。いわゆる解体マニュアルは前にもつくっておられるわけですが、それを見直して、全部入れたもので何かするということをしたら大分徹底するのかなという気がするのですが。
神山委員長
基本的な問題ですね。早急に知らせなければまずいということで通達を出すのでしょうが、法律変更だと結構時間がかかる。おっしゃるように、ある時点でまとめて、必要な法律の変更等も考えなければいけない。それは従来やってきていると思いますが、通達と法律の関係ですね。その辺は何かありますでしょうか。
富賀見専門官(厚労省)
補足しますと、先生がおっしゃるとおり、これだけになってくると、一覧性があったら便利なのではないかというのはそのとおりでございます。今回の成形板の破砕の話にしても、これまで繰り返し通達でも言っていきた内容ですので、通達においても重複する部分もあります。厚生労働省のマニュアルの構成においては、当然一番のエッセンスのところが通達になっている訳ですが、、まず初めに通達で記したようなものを原則として書いて、その関連の通達番号なども一覧できるように記しながら、それを補完するような形で具体的な対策の例示を書くというようにしてマニュアルを構成しております。そういった意味で、マニュアルにおいて、先生が御指摘のような一覧性があって、通達を一個一個引っ張り出さなくてもいいような、そういうところを念頭に作業しておりますので、またそちらを見守っていただければと思います。よろしくお願いします。
神山委員長
ありがとうございました。
外山委員
一言だけ、すみません。多分またしばらく開かれないと思いますので。
5年間にわたってこれだけ濃度も測定しましたし、すごくたくさんいいデータもとれましたし、初めて網羅的なこういう測定をやられた貴重なデータだと思うのです。その中で今回のようにレベル3の問題点も明らかになりましたし、レベル1、2の解体工事でも一定の問題があることがわかってきたと思います。通達とかということもあるのですが、日本のアスベスト対策はまだこれからだと思うので、これらの情報が、レベル1、2、3を含めた抜本的なアスベストの対策を行っていく1つの材料になればと思います。
以上です。
神山委員長
御意見、ありがとうございました。
最初に富賀見専門官からもお話がありましたように、福島県1県が残っておりますが、来年度も引き続き検討の予定のようですので、モニター結果がどうか監視していかないといけないと思います。
それでは、今年度の測定データを見ての意見交換は以上で終わりとさせていただきます。
それでは、事務局にお返しします。よろしくお願いします。
富賀見専門官(厚労省)
本日は、貴重ないろいろな御意見をいただきまして、どうもありがとうございました。
本日予定していた議題はこれで終えることができました。本日の議事録については、各委員に御確認いただいて、その上で公開したいと思います。
次回以降の会議の開催ですが、モニタリング調査の状況等も勘案して日程を検討して御案内したいと思いますので、その際はまた委員の皆様方に日程調整に御協力いただきまして、次回の開催としたいと思います。
それでは、これをもちまして第15回東日本大震災アスベスト対策合同会議を閉会とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございまし た。
<厚生労働省>
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