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2016年3月14日 2016年3月14日 第9回厚生科学審議会健康危機管理部会 議事録

厚生労働省大臣官房厚生科学課

○日時

平成28年3月14日(月)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 専用第23会議室(中央合同庁舎5号館 6階)


○出席者

(委員)

大野部会長 明石委員 石井委員 大石委員 大友委員 加茂委員 吉川委員 倉橋委員 黒木委員 野村委員 山本委員

○議題

1 健康危機管理調整会議の開催報告について
2 国際保健規則(IHR2005)に基づく活動について
3 世界健康安全保障イニシアティブ(GHSI)について
4 国立感染症研究所村山庁舎内施設の感染症法に基づく大臣指定について
5 伊勢志摩サミットに向けた厚生労働省の取組について
6 その他

○配布資料

資料1 健康危機管理調整会議の主な議題について(平成27年4月~28年2月)
資料2 IHR(国際保健規則)に基づく我が国の連絡窓口(NFP:National Focal Point)の平成27年度の活動内容について
資料3 「第16回世界健康安全保障イニシアティブ閣僚級会合」の概要
資料4 国立感染研村山庁舎施設のBSL-4施設としての指定について
資料5 伊勢志摩サミットに向けた厚生労働省の取組について
参考資料1 国際保健規則(IHR2005)について
参考資料2 世界健康安全保障イニシアティブ(Global Health SecurityInitiative:GHSI)について
参考資料3 第16回世界健康安全保障閣僚級会合共同声明(英文・仮訳)

○議事

 

○安中健康危機管理・災害対策室長 それでは、ただいまから「第 9 回厚生科学審議会健康危機管理部会」を開催いたします。

 私は、大臣官房厚生科学課の健康危機管理・災害対策室長をしております安中でございます。どうぞよろしくお願いいたします。昨年の 10 月より前任の姫野に代わりまして着任しております。よろしくお願いいたします。

 本日、委員の皆様にはお忙しいところ、また、足元の悪いところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日の出席状況ですが、石井委員からは御欠席の連絡を頂いております。また、大友委員、工藤委員は遅れておられる状況ですが、現時点で委員 13 名のうち、現在御出席の皆様で既に 10 名ということで、過半数は超えており、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。

 それでは、事務局より御挨拶をさせていただきたいと思います。技術総括審議官と厚生科学課長は、急な所用が入りまして、少し遅れてまいります。まず、私から挨拶させていただきます。本部会においては、原因の明らかでない公衆衛生上の緊急事態に対して、臨時に会議を開催して、事態の対処について御議論いただくとともに、そういった事態がない場合には、定期的に会議を開催して御議論いただいているところでして、例年この時期に、年 1 回開催させていただいております。本日は定期の会議ということで、昨年 3 月の前回会議以降に生じた、様々な危機管理の事案に対する対応状況等について御報告させていただきます。

 現在、特に最近ではジカウイルス感染症をはじめ、様々な感染症が発生しております。また、大規模な食中毒もありました。こういった健康危機発生時の対応の在り方について、大所高所から御議論いただければと考えております。本日いただいた御議論については、今後の対応にいかしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、これより進行は、大野部会長によろしくお願いしたいと思います。

○大野部会長 それでは、第 9 回厚生科学審議会健康危機管理部会ということで、皆さん雨の中、忙しいところお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。また、 1 年間定例会議以外には会議が開かれなかったということで、それほど大きな問題はなかったということでございます。皆様方が本来やるべきことをきちんとやってくださって、先生方もいろいろ意見を頂いたということが反映しているのではないかと思います。とは言っても、本日はいろいろ議題が出ていますので、御審議をよろしくお願いいたします。

 それでは、議題 1 の健康危機管理調整会議の開催報告について、まず、事務局から説明をお願いします。

○安中健康危機管理・災害対策室長 承知いたしました。すみません、申し遅れましたが、メディアの方の頭撮りは、ここまでとさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、お手元の資料 1 を御覧ください。健康危機管理調整会議の主な議題についてということです。皆様、既に御案内かと思いますが、厚生労働省内において、関係課が集まった健康危機管理調整会議を開催しております。月に 1 度本委員、また、もう 1 回、幹事ということで、合計月 2 回関係課が集まって、それぞれの情報を持ち寄り議論を重ねているところです。本日は、その 1 年間の主な議題について御報告をいたします。

 まず、食品関係です。今年に入りまして、廃棄食品の不正流通事案について議論をしております。これは、愛知県、岐阜県における廃棄食品の不正流通事案でした。これらの対応については、生活衛生・食品安全部において対応している状況について、関係課において情報共有したところです。そのほか、豚肉の生食を禁止するための規格基準について報告をし、また、食中毒事案、特に昨年 12 月には、愛知県で仕出し弁当による大規模な食中毒が発生しております。こういった事案について対応を協議したところです。

2 番目は感染症関係です。こちらは事案発生から状況を毎月フォローアップしているところです。特に昨年では、エボラ出血熱の発生状況、また、年度の後半からは、ジカウイルス感染症の発生状況について報告をしております。特に、 2 月、 3 月、それぞれ中南米でジカウイルスが流行して以降、 1 例目、 2 例目となる輸入症例が発生しておりますので、そうした対応について協議をしているところです。また、 MERS コロナウイルスについては、昨年 5 月から韓国において、患者の流行が見られましたので、こういった状況についてもフォローアップをしております。さらに鳥インフルエンザの関係、また、蚊媒介感染症の予防指針についても報告しているところです。

3 番、健康危険情報として、がん治療に伴う有害事象については、報告を受けて定期的に、この調整会議においても報告をしております。

4 番、その他です。熱中症対策、それから、応急仮設住宅におけるカビ対策について、研究成果が報道されたということを受けまして議論をしております。

 また、後ほどの議題にも出てきますが、伊勢志摩サミットに向けた対応についても協議して、さらに昨年 10 月には、福井県で発生した顔料・染料の中間体の製造工場における膀胱がん発症事案について報告をしているところです。

 以上が、昨年 1 年間の主な議題でした。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○大野部会長 今、御説明いただいたところについて、幾つかのものについては後で詳しく説明いただきますが、取りあえず先生方、御意見、御質問はありますでしょうか。よろしいですか。それではまた個々の問題になったときに議論をお願いいたします。それでは、議題 2 にいきたいと思います。議題 2 は、国際保健規則 (IHR2005 ) に基づく活動について、事務局から説明をお願いします。

○安中健康危機管理・災害対策室長 それでは、資料 2 を御覧ください。国際保健規則に基づく我が国の連絡窓口を私ども、厚生科学課で務めております。昨年 1 年間の活動内容について御報告いたします。まず、 1 番目は、 WHO との情報共有ですが、 WHO では、「 EIS 」という、イベント発生情報の Web サイトがあります。ここに掲載された各国からの情報については、随時、関係者に伝達しているところです。

 我が国からは、特に昨年度、 7 月末から 8 月に山口市で行われました「世界スカウトジャンボリー」において、帰国後にイギリス人、スウェーデン人から「髄膜炎菌性髄膜炎」が発生したという事案がありまして、それぞれ英国、スウェーデンからの報告に併せて、日本国内の対応状況についても、日本から WHO に報告したところです。また、 2 25 日に中南米での流行以降後、初めてのジカウイルス感染症の輸入患者が発生しましたので、これについても WHO に報告しました。

2 番、ほかの IHR 参加国との個別の情報交換ですが、それぞれ IHR の連絡窓口が各国ありますので、いわゆる IHR のルールではありませんが、結核や麻疹などの患者の国際渡航や検疫体制に関する照会というのを個別に行っておりまして、今年、 3 2 日時点で、 12 件の情報交換を行ったところです。

3 番、 APSED 、アプセッド会合への出席ということです。 2005 年の IHR の改訂を受けまして、 IHR のコアとなる対応能力を達成するために、 WHO の西太平洋地域事務局の加盟国において、「アジア太平洋・新興感染症対処戦略」を作成しております。これはパンデミック・インフルエンザの知見を踏まえて、 2010 年に改訂されたところです。これに基づき、年 1 回会合しておりまして、昨年は 7 21 日から 23 日にマニラにおいて、 IHR の国内の連絡窓口の担当者が出席する会合が開かれました。私どももそこに参加して、日本における「デング熱」の発生と、その対応について発表を行いました。

 最後、 4 番、訓練への参加です。毎年、 WHO の西太平洋地域事務局におきましては、加盟国の連絡窓口を対象にコミュニケーション訓練を行っております。今年度は 12 月に開催されまして、域内の仮想の国において、鳥インフルエンザが発生したというシナリオのもと、 WHO との連絡調整などが行われました。

 以上が、今年度の IHR の連絡窓口における活動内容でした。

○大野部会長 ただいまの御説明について、御質問、御意見はありますでしょうか。いかがですか。

 では、私からですが、髄膜炎菌性髄膜炎というのが起きたということですが、これは日本の何かが原因だったということなのですか。

○大石委員 感染研の大石です。御説明させていただきます。世界スカウトジャンボリーが 8 月に開催され、 8 10 日過ぎに終了しましたが、その後にスコットランド隊の子供さんから髄膜炎菌性髄膜炎症、この髄膜炎菌性髄膜炎症というのは、濃厚な接触をしたときに感染伝播が起こって、そして、比較的重症な致命率が 10 30 %ぐらいに至る重症感染症を起こしてしまう細菌ですが、子供の喉、鼻に付いていて、それがジャンボリーで、テントを張って約 2 週間ぐらい過ごしているので、そこで交じってしまって、感染が発生したらしいということで、まずはイギリスに帰国したスコットランド隊の子供さん、そして、その家族でしたか、その報告があったということです。そうしたときに、その人たちが一定の潜伏期間をもって発症しているわけで、その間、スカウトジャンボリーの中で、テントを張った近接した生活の中で感染伝播が起こったかもしれないということで、国内、そして、世界スカウトジャンボリーの連盟に情報を発信して、こういう情報があったので、対応について注意喚起をしたということです。

 髄膜炎菌性髄膜炎はワクチンで予防できる感染症でして、日本でも昨年、定期接種にはなっていませんが、ワクチンが販売される状況になっております。そういったこともあって、スコットランド隊では帰国したスカウト隊全員に予防接種したり、あるいは抗菌薬で、予防内服ということで、そういったものを対応したということです。それからちょっと遅れて、スウェーデン隊からも同様の報告があったと。

 その原因菌となったものを調べてみると、セログループは W だったと思いますが、日本ではゼロではありませんが、ほとんど流行していないタイプのセログループのものがあって、それはむしろヨーロッパで流行しているもので、恐らくヨーロッパから子供たちが持って来たものが、そこで感染に関わったのだろうということで、いわゆるマスギャザリング、スカウトジャンボリーで 3 万人の子供たちが集まる、青少年が集まる所で、マスギャザリングでどう感染症対策をするのか。どの子にもワクチンをきちんと打ってきなさいということができればいいのですが、そう簡単ではなく、日本も定期接種にはなっていない状況で、定期接種になっているのはアメリカぐらいですか、そういった状況で、今後のマスギャザリングに対する感染症対策の難しさを非常に実感したところです。特には、各国の Focal Point にも、いろいろ連絡を取るのですが、かなりプライベートなプライバシーに関する情報もあったりして、教えてくれなかったり、電話会議を何回かしましたけれども、対策に苦労したというところです。

○大野部会長 ありがとうございます。先生方、いかがでしょうか。

○野村委員 今のを詳しく、日本の子供たちに対する対応、日本の参加者に対する対応はどうされたのですか。

○大石委員 日本ボーイスカウト連盟からスコットランド隊、スウェーデン隊、その周辺にいた地域の日本人の隊員については、国内で連絡を取って、その症例の発生がなかったかということについて通知をしたと思います。結果的には髄膜炎菌感染症が診断されたケースは 1 例もなかったということになっています。以上です。

○大野部会長 ありがとうございます。ほかの先生方はいかがですか。よろしいでしょうか。それでは、議題 2 は終了して、議題 3 にいきたいと思います。議題 3 は、世界健康安全保障イニシアティブ閣僚級クラスの会合概要ということです。では、事務局から説明をお願いします。

○安中健康危機管理・災害対策室長 それでは、資料 3 、併せて参考資料 2 を御覧ください。まず参考資料 2 を御覧いただくと、 GHSI というものの、これまでの経緯をまとめております。 2001 年の 9.11 の米国同時多発テロを受けて、世界的な健康危機管理の向上、それからテロリズムに対する準備と対応について設けられた各国の保健大臣による会合です。メンバーは G7 に、メキシコ、欧州委員会を加えているという格好になっておりまして、閣僚会議の下に局長級、あるいは専門家レベルといった様々なレベルの会議が用意されています。

 毎年各国持ち回りで開催しておりまして、昨年度は日本で開催しましたが、今年度については資料 3 にあるように、米国ワシントン DC で開催されました。今年は 2 26 日に米国で開催されておりまして、その会議の概要を御説明したいと思います。

 資料 3 の会議概要を御覧ください。今回は第 16 回目の会合ということで、議長国の主導によりまして例年どおりの活動報告の後に、新たにシナリオに基づくディスカッションをしております。具体的に申しますと、南米の仮想の国で新たな感染症が発生したというシナリオを立てまして、それぞれの加盟国の対応開始の基準とか、あるいは国際的な検体の共有の在り方について議論を行ったところです。これは新たな取組として、今回行われたものです。

 その後、 WHO 本部の事務局長、それから、世界銀行副総裁のほうから公衆衛生危機発生時の、それぞれの組織の取組について御発表があり、意見交換をいたしました。また、ジカウイルス感染症の拡大、それから、国際的な医薬品の展開の問題に対する GHSI 間の取組の必要性について確認をし、共同声明の採択が行われたところです。

 今後の予定は、一番下にあるとおり、来年度は欧州委員会のほうで開催し、ベルギーで開催予定ということになっています。以上です。

○大野部会長 先生方から御意見、御質問はありますでしょうか。よろしいですか。それでは、この報告は御了承いただいたということで、次の議題 4 、国立感染症研究所村山庁舎内施設の感染症法に基づく大臣指定について、事務局から説明をお願いします。

○安中健康危機管理・災害対策室長 資料 4 を御覧ください。国立感染症研究所村山庁舎にある BSL-4 施設の感染症法上の指定について御報告申し上げます。

 国立感染症研究所の村山庁舎というのは、東京都武蔵村山市にありまして、この中に高度安全試験検査施設、いわゆるバイオ・セーフティ・レベル -4 の実験施設があります。これについては、 1 ポツに書いてあるように、エボラ出血熱の原因ウイルスなど、危険性の高い重篤な感染症を引き起こす病原体、いわゆる一類感染症を安全に取り扱うことができるように高度に安全管理された施設になっています。

 ウイルスの遺伝子レベルの解析とか、あるいは動物への感染実験などは、この BSL-4 施設でなければできないということで、我が国における万全の感染症対策には不可欠な施設となっています。

 具体的には、そこに細い字で書いてある1の感染経路の分析、患者の治療経過や治癒の状況の確認、また、検査法の開発研究や治療薬・予防薬の開発研究、こういったものが、この BSL-4 の施設でなければできないとされております。

 なお、現在までありましたエボラ出血熱の疑似症例については、この診断検査に限っては BSL-3 で実施が可能というように法律上なっておりますので、今現在は、 BSL-3 として稼働させ、実施してきたところですが、上にあるような1から3のような対応を今後行っていくためには、 BSL-4 ということで、一番レベルの高い施設として運用していく必要があるという現状にあります。

 我が国におけるこれまでの状況ですが、 2 の所を御覧いただくと、昭和 56 年に村山庁舎にエボラ出血熱ウイルスなど、一種病原体を取り扱うことのできる実験施設を整備したところです。その後、住民の反対などを踏まえて、レベル 4 の施設としては利用していませんでした。最初に申しましたように、レベル 3 という形で運用してきたところです。

 この当時、利用できないのは、 G7 、先進国の中では日本だけという状況でした。しかし、平成 26 年のエボラ出血熱の西アフリカでの感染拡大といった事態も受けまして、この施設の稼働というのが喫緊の課題になってまいりました。

3 の所を御覧いただくと、平成 26 11 月に、厚生労働大臣と武蔵村山市長の会談がありました。この施設の使用について、まず協議を開始することの確認がなされました。その後、市民の御理解をいただくために、様々な取組を実施しております。まずは、近隣自治会の方々も含めた協議会を開催し、ここで BSL-4 施設の運用の在り方について議論を重ねてまいりました。最終的に指定に至るまで、計 5 回と資料ではなっていますが、その後昨年の夏以降も既に 3 回開催し、この後、 17 日に第 9 回も開催する予定になっています。

 また、市民公開セミナーというのも、この大臣と市長の会談以降、合計 3 回、約 100 名の方の御参加をいただいておりますし、市民向けの施設見学会も開催しているところです。

 こうした取組を重ねてまいりまして、それぞれこの施設の必要性について御理解いただいてきたところです。

4 番にあるように、昨年 8 3 日、大臣と市長が再び会談し、以下の 4 点を確認することになりました。災害時などにおける安全対策の強化、 BSL-4 施設における業務の範囲、また、情報開示やコミュニケーションの推進、将来的な立地場所の検討、こういった内容について確認し、それを前提として、市長のほうから施設稼働はやむを得ないという判断をいただき、昨年 8 月に感染症法に基づく BSL-4 施設としての指定を行ったところです。

 今後の対応ですが、市長との確認事項に沿いまして、地域住民の安全・安心は最優先しつつ、施設を運営していきたいと考えております。以上、御報告でございます。

○大野部会長 先生方から御質問はいかがでしょうか。

○倉橋委員 施設の稼働について、大変喜ばしいことと思います。対応の現場である保健所から一言、賛同の意見を述べたいと思います。

 もちろんエボラ出血熱等の重症感染症が、日本国内で発生するということは非常に確率は低いと思いますが、韓国の MERS の件を見ても、現代、いつそのような発生あるいは、その疑い例というものが発生しないとも限らない状況であると思います。そこで、緊急に対応しなければいけないのが検疫と保健所ですが、検査もできない、あるいは治療も研究もできないという状況ですと、言わば武器がないまま闘えと言われているような状況になります。そういうことで、ここの経過に書いてありますが、稼働ができるようになり、市民の御理解をいただくために、十分に説明して稼働できるようになったこと、これは非常に望ましいことでして、今後も地域住民の皆様方の安全・安心を最優先と書いてありますが、十分に御理解をいただきながら、万全の体制で的確に BSL-4 施設の対策を実施していただきたいと思っております。

○大野部会長 ありがとうございます。私もようやく日本の BSL-4 が稼働できる状況に近付いたということで有り難いことだと思っています。先生方、いかがでしょうか。

○野村委員 ちょっと教えていただきたいのが、必要なものということでいいと思いますが、聞きたいのは、市民公開セミナーと見学会の参加の 96 名とか 84 人というのが、これぐらいのキャパでしかやれなかったからこのぐらいの人数になっているのか、参加者が余り応募が少なかったのか、どういう形なのか、若しくは広報をしたという広報がどこまで適切な広報だったかということもあると思いますが、その辺りのことと、あとは、 1981 年からずっとこういう形できて、今の現状の設備、整備が大分時代が変わっていると思いますので、その辺りを教えていただければと思います。

○安中健康危機管理・災害対策室長 それでは、事務局から答えさせていただきます。最初のセミナーや見学会については、これは市のほうにも御協力いただきまして、参加の呼び掛けを行っております。開催についても、土曜日の開催とかという形で開催日時も工夫して、なるべく多くの参加をいただくようにいたしました。どうしてもやはり会場の大きさというのもありますし、特に一番下の施設見学会については、もともと非常に封じ込めを高度にするという思想で出来た建物ですので、一度に多くの人が入れないという構造になっております。残念ながら御覧いただけなかった方もいらっしゃいますが、そういう意味で合計 4 回ということで、何度かに分けて御応募いただけるように工夫はしたつもりです。時期的なものとかありまして、 1 回当たりの参加人数は、かなりばらつきがあったというのは正直なところですが、御参加いただいた方々に、それぞれアンケート調査を取っていまして、おおむね好意的な意見、非常に必要性の高い施設であるとか、安全性に十分配慮した上で、市民の誇りとなるような施設として頑張ってもらいたいとか、また、今までこういう建物が近くにあったということを全然知らなかったのでいい機会で勉強になったという意見も頂いております。一方で、原発事故もありましたので、 100 %の安全というのはないのだから、そこは十分気を付けてやってもらいたいといったような意見も頂いております。

 それから、この施設の安全性ですが、確かに完成したのは昭和 56 年ということですが、年 1 回定期にそれぞれの機器の性能について点検をしております。これまでまだ BSL-4 施設として稼働したことはないわけですが、レベル 3 としては何度か使っておりまして、そういうこともありまして、安全性は常に確認はして、経年変化している部分については、それぞれ補修なり、機器の交換なりということを行ってきていますので、現時点においても、その安全性という意味では十分な機能を確保してきているというように考えております。

 世界では、様々なタイプの施設が出来ておりますので、感染症研究所にある、いわゆるグローブボックスタイプという密閉された箱の中で、グローブ、手袋を突っ込んだ形で病原体を操作するという施設のほかに、むしろ実験者自体が宇宙服型のスーツを着て、実験を行うといったスーツタイプのものもあります。様々なタイプが今、世界では出ておりますが、このグローブボックスのタイプというのも世界でかなりの数の施設において使われておりますし、それぞれ機器の安全性については確認をし、必要な補修を行っているという現状にあります。

○大野部会長 ほかにいかがでしょうか。私から確認いたしますが、 BSL 施設で実施する業務の範囲というのは、今、考えておられるのはどこまでなのですか。

○安中健康危機管理・災害対策室長 これは患者の生命を守るために必要な検査等の業務となっております。現在日本には、いわゆる一種病原体というものが存在しておりませんので、現時点においては、その疑似症が発生したような場合の検査ということに事実上、限られているということになろうかと思います。

○大野部会長 検査だけだと言うと、将来に向けての研究とか、そういうのができないわけですね。そういう面で先日ホームページを見ましたら、長崎大学で BSL-4 の設立の準備を進めているということですが、あの辺は大分進んでいるのでしょうか。それに対して、厚生労働省は何か関与しているのでしょうか。

○安中健康危機管理・災害対策室長 長崎大学のほうでも医学部の中に BSL-4 施設を作るという構想があるということで、今、長崎県と長崎市と長崎大学の 3 者で協議会を開いて議論を重ねていると承知しております。これそのものは、大学、県と市の会議ですので、厚生労働省としての関わりというのは特段ありませんが、この施設が今後、基本構想から設計工事というように順調に進んでいけば、この施設が出来た暁には、日本に 2 つの BSL-4 施設ができるということになりますが、その場合については、またその役割の在り方とかについて、内閣官房、文科省、厚労省、こういった関係省庁の中で議論をしていくことになろうかと思います。

○大野部会長 いかがでしょうか。

○古米委員 この資料の裏側に、 8 3 日に行われた会談の概要4の所で、将来的な立地場所の検討ということは入っております。今、話に出てきた長崎の BSL-4 1 つが、構想があるということに加えて、更に、別の所に作るというようなことを検討しているのか、立地場所の検討というのは、この村山ではない別の所に BSL-4 を作るという議論を、今後進めることだけなのか分かりませんが、何かこの点については、具体的な動きがあるのでしょうか。

○安中健康危機管理・災害対策室長 今、先生からお話がありましたように、やはり 1 つは、長崎大学の構想がどう実現していくのかというのを十分見極める必要があろうかと思っております。 BSL-4 施設の日本における立地の在り方、それは、例えば東日本と西日本に、 2 か所あるのがいいかとか、そういった立地の在り方もあるかと思いますので、まずは長崎大学の構想の状況をよく見る必要があると思っております。

 また、村山庁舎における BSL-4 施設は昭和 56 年に完成しておりますので、先ほど野村委員の御指摘もありますが、それぞれ施設の必要な設備の交換などは行っておりますが、そうは言っても、相当な年月が経過していますので、いずれそういう新しく建て替える必要というのも出てくるかと思っております。そうしたところも含めて、将来的な立地場所をどこにすべきかといったところの検討をしていくということになります。まだ具体的に、どこというようなことの議論はされていません。

○大野部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、議題 4 については御了承いただいたことにいたします。次は、議題 5 の伊勢志摩サミットに向けた厚生労働省の取組について、事務局から説明をお願いいたします。

○安中健康危機管理・災害対策室長 資料 5 を御覧ください。伊勢志摩サミットに向けた厚生労働省の取組についてです。伊勢志摩サミットの議論の中身というよりは、むしろ警戒体制への厚生労働省の取組です。ここに項目だけ列挙させていただいておりますが、公開の場ということもあり、なかなか詳細について説明できないことをまず最初にお許しいただければと思います。警戒関係の取組の内容ですが、 1 つ目は救急医療体制の整備・拡充です。これは、 2 つの側面があります。 1 つは、サミットに来られるいわゆる VIP の方々の救急医療体制を万全なものにしていくこと。それから、そこには取材陣もおりますし、警備関係者も相当数入りますので、こうした方々の体調不良に対応できるような救急体制を整備・拡充していく必要があろうかと思っております。これは、なかなか三重県だけでは担い切れないところもあります。また、国際空港は愛知県にもありますので、そちらのほうの対応も必要になってまいります。愛知、三重、両県の救急医療体制について、国としてもバックアップをして、救急医療体制に万全を期していきたいと考えております。

2 点目は、毒物、劇物、それから病原体などの適正管理の徹底です。これは、平常時においても、いわゆる毒物、劇物、それから先ほど出てきたような病原体を持っている研究機関等においては、適正管理をしていただいているところですが、改めてこの機会にテロの対象などにならないように適正管理の徹底をお願いしているところです。

3 点目は、感染症について、発生動向調査、それから疑似症の届出の徹底です。これも、平常時から感染症の発生動向調査等は行っておりますが、特にこの期間サミットで多数の人が集まってきます。また、場合によってはテロの対象にもなりかねないということもありますので、感染症の発生動向で通常と異なる動きがないのかどうかといったところを見ていく必要があります。したがって、その調査の体制を強化していくことを検討しております。

 検疫体制の整備・拡充については、海外から来られる方の入国に際しての検疫体制について、通常の検疫体制では間に合わなく人手が足りなくなりますので、その辺りの整備・拡充をしていきたいと考えております。

 次は、旅館等における外国人宿泊客の本人確認の徹底です。旅館、ホテル等において、外国人宿泊客の方々に対して、パスポートの写しを求めるなどの本人確認をお願いしているところですが、特にこの期間は多くの外国人が一斉にサミット開催地に集まるということで、特にテロ対策の側面も考え、本人確認の徹底をお願いしているところです。更に、サミット会場に給水する水道施設に対する立入検査については、これもテロ対策の観点から、給水する水道施設について事前に立入検査をし、安全の確認をしていきたいと思っております。警備の確認についても、水道事業者にお願いをしているところです。

 最後の、食品衛生監視体制の強化についても、これも水道関係と同様に、事前に食品衛生監視の体制強化について関係機関にお願いしております。

○大野部会長 いかがでしょうか。御質問、御意見はありますか。

○倉橋委員  1 点は報告と、もう 1 点は質問です。全国保健所長会では 2 月に理事会があり、伊勢志摩サミットに絡んで、多数の外国人の方々がいらっしゃるということで、その対応を十分にしようということで、情報共有を図っております。また、特に三重県の保健所については、国からの通知もありましたし、季節変動の患者数等の情報も事前につかんでおく必要があるということで、事前の情報収集と今後の情報収集体制の強化を図っているところだという報告がありました。保健所長会としても、全面的にバックアップをすることと、全国でそれに対応するような形で注意喚起をしたところです。

 質問は、以前この会議でしたか。化学テロに対する解毒剤等の備蓄、そして迅速な搬送体制を整えるということがあったと思います。それを実施するところまでは承知していたのですが、その後各県レベル、あるいは現場レベルにまで体制整備がどの程度実現されているかの情報がありましたら、お聞きしたいと思います。

○安中健康管理危機・災害対策室長 今の化学テロの関係ですが、この部会において御提言を頂き、それに基づいて、ちょうど 1 年前に約 9,000 万円の予算で、必要な医薬品の備蓄をしたところです。これについては、迅速な搬送ができるように、全国各地に配備をして、実際の備蓄場所については対外秘とさせていただいておりますが、そういった体制を取っております。特に今回伊勢志摩サミットがありますので、現地三重県との間ではいろいろな話合いをさせていただいており、化学テロについても必要な医薬品が十分確保されるように連携を深めて取り組んでいるところです。

 冒頭、先生からもお話がありましたように、実はこのサミットだけではなく、これに関連して様々な大臣級の会合が全国各地で開かれます。一番最初は、 4 10 日に外務大臣会合が広島で開かれ、それ以降、 4 月、 5 月にかけて非常に多くの会議が開かれます。また、以前のイギリスにおけるサミットの場合ですと、サミット会場とは別に首都がテロに狙われたといった事例もあるということで、これはサミット会場だけではなく、そのほか全国の自治体においても非常に関係のあるところだと思っております。今、三重県といろいろな対応について協議をしておりますが、そう時間を開けないで、それぞれ各自治体に対しても協力の要請などを行っていきたいと考えております。また、詳細については、今後関係自治体と協議をしていきたいと考えておりますので、御支援のほどよろしくお願いいたします。

○大野部会長 よろしいでしょうか。ほかにありますか。

○大友委員 今、質問しようと思っていた内容に関係するのですが、御指摘のようにロンドンの同時多発テロのときにはグレンイーグルズサミット、これはスコットランドの観光地でやっていたときに、首都が狙われたということで、ちょうど伊勢志摩と似たような形だと思って、むしろ東京のほうがリスクが高いのではないかと。今の御説明で、三重県に関しては救急体制を含めて、特別な医療体制を整備するというお話でした。そうすると、全国各地の東京、大阪、名古屋、若しくは広島も含めて、これから特別な体制を構築していくということでよろしいでしょうか。

○安中健康管理危機・災害対策室長 大都市圏については、災害拠点病院をはじめ、救急の体制がそれなりに地方に比べて整っているものと認識しております。特に、今回伊勢志摩サミットで、警備の関係もあり、賢島という志摩地区の中でも一番観光地としてはいいのでしょうが、市の郊外に離れた所に会場が設けられていることもあり、三重県における基幹病院とはかなり離れた所にあることから、かなり特別な体制を組んでおります。そのほかの大都市圏については、もちろん化学テロに対する対応なども考えていく必要はあると思っておりますが、医療体制という意味ではサミット会場に比べて非常に恵まれた状況にあると思っておりますので、そこについて何か特別な医療提供体制を組むというところまでは考えておりません。

○大友委員 感染症のサーベイランスはこの期間強化するというお話でしたが、そのほかのことは通常の医療体制で臨むということでよろしいのでしょうか。というのは、かなり不安があると思うのです。秋葉原の事件、 10 数人程度の怪我人でも受入医療機関選定に困難を極めた状況です。それから化学テロへの対応に関しても、まだまだ不十分だと思いますので、その期間だけでも何らかの特別な体制を組んでおいたほうが、主要都市ではいいのではないかと思うのですが。

○安中健康管理危機・災害対策室長 御指摘ありがとうございます。今の御指摘については、関係部局にお伝えさせていただきたいと思います。化学テロについては、先ほど申しましたように、医薬品を国家備蓄という形でしており、これは全国各地に配備をしております。伊勢志摩サミットに向けてだけではなく、様々な関連会合、それから首都が狙われやすいということもありますので、今回備蓄させていただいた医薬品の活用も積極的に考えていきたいと思っております。

○大友委員 あとで、この意見は申し上げようと思ったのですが、関連するので、多くの救急病院、若しくは災害拠点病院は、化学テロは受け入れなくていいと考えている所が多いですね。うちは、化学テロは診ないと。一般自然災害や事故のときは診るけれども、化学テロ対応の体制はありませんし、そもそもそれを準備する必要がないと思っている所が圧倒的に多いです。受入体制は十分だというお話でしたが、解毒薬の備蓄はあるけれども、日は医者を診れる病院がほとんどないに等しいのではないかと思うので、今後はきちんと全国的に体制を整備する必要があると思います。その前段階として、その期間だけでもしっかり体制をつくってみましょうということをやってみるのが、今後に向けてもいいのではないかと。

 先日、ディスカッションがあったのですが、阪神大震災が 1995 年にあって、同じ年に地下鉄サリン事件があって、同じスタートラインなのですが、自然災害対応に関しては拠点病院を作ったり、 EMIS を作ったり、 DMAT を作ったり、広域の医療搬送計画を作ってどんどん進歩してきているのに、化学テロ対応に関してはほとんど進歩がないという意見があり、それは全くそのとおりだと思いました。そこを今後やっていくためにも、この機会を捉えて、開催期間中だけでもきちんとやってみましょうというこ とは取組としてはいいのではないかと思います。是非、御検討いただきたいと思います

○大野部会長 御検討をよろしくお願いいたします。ほかにありますか。

○黒木委員 コメントですが、日本中毒情報センターでは、厚生労働省の委託を受けて、年に 2 NBC 災害・テロ対策研修を DMAT と医療チームに対して行っております。通常は、大阪と東京、若しくはつくばで行っているのですが、伊勢志摩サミットに向けて昨年 12 月に三重大学で行いまして、三重県近隣の DMAT と医療チームの方と、聴講生として行政の方、消防の方、警察の方、約 80 名ぐらいの方々に来ていただき、教育研修を行いましたので報告させていただきます。

○大友委員 その研修の内容は我々が作っております。受講した方々がどういう体制を組まなければいけないのか、若しくは訓練をどうしたらいいのかに関して、かなり具体的に教育させていただいております。その効果も上がっているとは思うのですが、ただ自分の病院に帰ってもそれをきちんと実行できるような体制がないし、そのための財政的な保障がない。つまり、病院では除染の設備を整備するためのお金がないとか、十分の数の防護服が買えないということで、研修で勉強した人はたくさん増えているのですが、実際に動けるようなことにはなっていないのが現状ですので、そこも含めてまた御検討いただきたいと思います。

○大野委員 ほかにありますか。

○野村委員 質問というか意見なのですが、もちろんこういったサミットの話なので出せないような情報はたくさんあるかとは思うのですが、一般に向けての厚労省の関係する健康医療関連の情報公開はどのようにされていらっしゃるのでしょうか。あらかじめ意見として申し上げたいのは、先ほどの感染研の施設も同様ですが、無闇に不安を煽る必要はないとは思うのですが、当然 100 %安全というのはどこにもない話であって、安全です、安全ですではなくて、こういうリスクがありますみたいな形で、例えば三重県には三重大病院しか大きな病院がないというのもありますし、医療体制を取っていくと、どうしても通常の高度な医療に対する体制が手薄になってくるということは、よりここ数年皆さんに一般の人たちが自覚を持たなければいけないと言われているコンビニ受診をより控えなければいけないとか、各々県や自治体や国だけでは負い切れないようないろいろな対策やリスクを情報公開をきちんとして備えていただくことはありかなと思っております。大丈夫ですよ、安全ですよだけではない情報公開をきちんとしていただきたいと思っているのですが、今はどのようになっているでしょうか。

○安中健康管理危機・災害対策室長 この救急医療体制の中でも、特に VIP の方々への対応は、やはり基幹病院となるような所でお願いせざるを得ないと思っております。そういう意味では、いわゆる軽傷の方々の医療とは別だと思っているのです。そうは言いましても、たくさんのメディアの方、あるいは警備関係の方が一時期に集中いたしますので、通常の医療も含めて相当の医療資源が必要になってくるだろうと思っております。国でも、必要な医師の派遣やバックアップの体制は取っているのですが、やはり主要な医療機関を支援することに限定されてくると思います。これについては、日本医師会を通じて、特に三重県の医師会の会員の皆様にも御協力を頂き、通常の医療について、今までとは少し環境が変わりますので、その辺りの協力体制、例えば感染症の発生動向調査もそうですが、この期間中における協力体制をお願いしているところです。

 今お話いただいたようなコンビニ受診の防止といったようなところも参考にさせていただきながら、三重県医師会ともよく詰めてまいりたいと思います。

○大石委員 伊勢志摩サミットでは、私どもも感染研の所掌ではないといいながら、バイオテロの部分を担当すると。ここに書かれております感染症に対するサーベイランスの強化とバイオテロも視野に入れて対応しております。可能性としては低いのかもしれないのですが、もし発生した場合の医療の提供については、現状でほとんどどの施設も対応できる状況にはないのかと危惧しているところです。感染研としては、医療を提供する所ではなくて、アセスメントをする場所なのですね。ですから、その辺りを国としては考えておく必要があろうかと思っております。

○野村委員 追加ですが、先ほどの医療関係だけではなくて、万が一化学テロが起きたときに、もちろん参加者 VIP 対応は大事だと思うのですが、即住民はパニックに陥る状況になってくると思うので、その辺りの情報の公開を適切に。要は、パニックになるから隠そうではないような体制できちんとした情報公開をお願いしたいと思います。

○大野部会長 御意見の追加はありますか。

○安中健康管理危機・災害対策室長 今のテロが発生した場合のという御指摘だということで、そのときの情報公開の在り方については、よく気をつけてまいります。

○大野部会長 よろしくお願いいたします。ほかにいかがですか。

○明石委員  1 点お伺いしたいのですが、もちろん事態によって全て違うと思うのですが、これは国民保護法の対象になり得る事象であるのか、もしくはなり得ない事象なのかといういことです。もちろん、例えば VIP たちだけに何か起きたというのであれば多分ならないと思うのですが、その辺りは厚労省はどのようにお考えでしょうか。

○安中健康管理危機・災害対策室長 今、明石委員御指摘のとおり、国民保護法の対象になる場合とならない場合とあるとは思ってはおります。基本的に、テロが起こった場合の対応として、今、国民保護法が 1 つ既存の枠組みとしてありますので、それを参考にしながら、恐らく発災当初にこれは国民保護法かどうかを考えている余裕はなく、国民保護法の既存の計画にのっとって対応をしていくことになろうかと思っております。そういう意味で、特に化学テロの場合は症状の発生が急激に起こりますし、そういった対応については、国民保護法の国民保護計画に準じた形で対応を進めていくことになるかと思います。

○大野部会長 いかがでしょうか。御質問、御意見ありがとうございます。いろいろ意見も出まして、更に厚生労働省としてもいろいろと対応や検討をしていただきたいというような御意見を頂きました。ありがとうございました。

 それでは、本日の議題は 5 まで終了いたしました。それ以外に、何かここで話したほうがいいということがありましたら、お願いいたします。

○大友委員  2 3 のときにコメントすればよかったのですが、私は JICA 国際緊急援助隊医療チームの総合調整部会長をやらせていただいております。その関係で、 WHO の動きに関する動きの情報が入ってくるのですが、昨年 5 月に WHO は大きく変革というか、緊急対応により軸足を置くように、対応に関して見直しが行われております、マーガレット・チャン事務局長もそのことをアセンブリーで発表しております。 IHR に基づいて PHEIC 、国際的な公衆衛生上の緊急事態を加盟国に迅速に報告するように義務付けていたにもかかわらず、エボラウイルス感染症対策では 1 月に発生していたのに、 PHEIC 宣言が 8 月になってしまったと。それで、膨大なパンデミックになってしまった反省に基づいて、緊急対応をさらに強化しようと。新しくグローバルヘルスエマージェンシーワークフォースという組織を作ってやっていこうということでした。

 私がどうしてそういうことを知ったかというと、 WHO では国際的に派遣する医療チームの体制の国際的な標準化を行っていこうという話をしていて、 FMT 、フォーリンメディカルチームという言い方をしていたのを EMT に言い換えるということを急に言い出したのです。外国に行くチームだけではなく、国内チーム、すなわちナショナルメディカルチーム、それから国外へのチーム、インターナショナルメディカルチーム、両方併せて EMT 、エマージェンシーメディカルチームと呼ぶのだということです。その意図するところは、各国の国内体制整備をもっと強化、ナショナルキャパシティービルディングをしていこうと。特に、途上国で体制が整っていない所の体制強化をしていこうということになりました。恐らく、西アフリカの各国も、国内の体制が十分ではなかったから報告が上がってこなかったのだろうということで、そういう大きな流れがあることに関して、事務局から余りコメントがなか ったので、その辺りはどのように認識されているのかを確認したいと思います。

○安中健康管理危機・災害対策室長 今のお話にありました IHR の報告が十分に行われる国内体制があるかどうかということで、 IHR WHO ではコアキャパシティーの達成を掲げております。これは、世界各国で対応することになっており、それぞれ WHO の地域事務局単位でも取組を進めておりますが、日本が所属しております西太平洋事務局においては現在のところコアキャパシティーを達成できている所が 67 %と、約 3 分の 2 の国で達成できている状況です。

 一方世界を見てまいりますと、アフリカでは全く達成されていない状況ですし、そのほかの国を見ても大体 4 割ぐらいということで、実はこの西太平洋地域がその中でも一番進んでいるという状況です。これについては、アメリカが主導で GHSA( グローバルヘルスセキュリティーアジェンダ ) が掲げられており、エボラ出血熱の対応の反省を基に、世界各国の IHR の報告体制を強化していこうと。それぞれ、先進国が地域を受け持って進めていこうということで、日本としても特に西太平洋地域を中心に取組を強化していきたいところです。現状はそんなところです。

○大友委員  WPRO が何パーセントですか。

○安中健康管理危機・災害対策室長  67 %です。

○大友委員 アフリカが。

○安中健康管理危機・災害対策室長 アフリカは、今は手元の資料ではゼロとなっており、世界全体で 33 %です。

○大友委員 キャパシティーが有る、無しの基準はどうなっていますか。

○堀国際健康危機管理調整官 これは、 WHO IHR で定めているコアキャパシティーになりますので、感染症の発生を検出して、それをアセスして報告する体制ということで、基本的にはサーベイランスの体制を含めた国内体制ということになります。 WPRO の状況を少し補足させていただきますと、達成できていない国に関しては、南太平洋の島嶼国が多いということで、この辺りの国内体制は 1 国で確立するのが難しい状況だと聞いております。

○大石委員  2014 11 月に、 IHR のレビューコミッティーに出たことがあって、そのときの議論が正にサマリーとして、コアキャパシティーがどの程度達成されているかという議論があったと思います。私が感じたのは、 WHO 加盟国は 194 国ですが、加盟していない国もあるわけで、そこはアンタッチャブルな状況なのですね。ですから、グローバルな感染症対策としてそこが抜け落ちていると。 WHO としても非加盟国に対しては何のコメントもできない立場なので、そこは今後の大きな課題なのかなと感じました。

○大友委員 ちなみに、 ASEAN 諸国で国内の災害派遣チーム、日本の DMAT のようなものを持っている所はタイしかないということでしたので、ちょっとこの 67 %というのはすごく甘いのかなと思いました。しっかりとした基準があるのでしょうからいいと思うのですが。コメントです。

○大野部会長 私も質問があったのですが、エボラ出血熱のときにたくさんの患者が出た 3 か国で、その国によって死亡率が随分違ったのですが、あれは何か国内の体制などがあったのでしょうか。

○大石委員 例えば、シエラレオネとかでは最初は致命率が高かったのですが、そのうちに下がってきたという状況があって、結構状況が時期時期で変わっていたのですが、要は診断が確定したケースについては届出されているのですが、その後のフォローアップがされていなくて、死亡したかどうかの状況が分からないというところで、致命率が低めに出てきていると。よく調べると、もう埋葬されていたという状況がかなり確認されていて、その辺りが不正確な致命率につながっていると聞いております。

○大野部会長 かえって混乱している所のほうが、死亡率が低いという結果が出てしまう可能性はあるわけですね。ほかに御意見、御質問はありますか。それでは、全ての議事が終了いたしました。課長から何かありますか。

○椎葉厚生科学課長 この危機管理部会ですが、年 1 回ということで毎年この時期にやっておりますが、また来年度もよろしくお願いいたします。もし、先生方から年 2 回以上にしたほうがいいなどの御希望がありましたら、おっしゃっていただければと思います。日程調整については、また御連絡させていただきますが、大体この時期は必ず 1 回やるというのは基本方針です。また、サミットについても 5 月に開催されますので、今日頂いた御意見などを踏まえて、関係省庁の連絡会議や省内のいろいろな連絡会議がありますので、そちらにも諮りながら、きちんとした対応をしていきたいと思います。ありがとうございました。

○大野部会長 今、次回の開催について御説明がありましたが、事務局から追加はありますか。

○安中健康管理機器・災害対策室長 特にありません。また次回については、引き続き日程調整をさせていただければと思います。

○大野部会長 それでは、本日はこれで閉会といたします。御協力、どうもありがとうございました。

 

 

※注

倉橋委員の任期が、平成 27 12 25 日に満了していましたが、再任命の手続をとらないまま、同委員出席の上、審議会を開催しました。

議事の定足数については、当該委員を除いても、委員及び臨時委員の過半数が出席していたため議事は成立しています。議決については、全会一致により決定していることから、審議会の決定に影響はありません。

また、今回の会議においては、当該委員は、参考人として取り扱われます。

 


(了)

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