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2016年5月9日 (平成28年5月9日) 第1回発がん性評価ワーキンググループ 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成28年5月9日(月)15:00~


○場所

厚生労働省専用第20会議室


○議題

(1)平成27年度に実施した中期発がん性試験結果の評価について
(2)平成28年度に実施する中期発がん性試験物質の選定について
(3)その他

○議事

○平川化学物質評価室長補佐 本日はお忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより第1回発がん性評価ワーキンググループを開催いたします。本日の委員の出席状況ですが、小野寺委員は都合により御欠席です。また、この度事務局に異動がありましたので、紹介いたします。化学物質対策課長の奥村です。化学物質評価室長の穴井です。有害性調査機関査察官の上月です。化学物質情報管理官の米倉です。
 それでは、以下の進行は西川座長にお願いいたします。
○西川座長 議事に入る前に、事務局より議事次第と資料の確認をお願いいたします。
○平川化学物質評価室長補佐 本日の議事は、大きく3点あります。1点目は、平成27年度の中期発がん性試験の結果の評価について。2点目は、平成28年度の中期発がん性試験の対象物質の選定について。3点目は、平成27年度に実施しました文献調査を踏まえた発がん性評価についての3点です。
 次に、裏面が配布資料です。資料と参考資料を1つずつと、机上配布資料を2点ほど用意しております。まず、資料1は、平成27年度中期発がん性試験対象物質一覧ということで、6物質付けております。1から4が、DIMS医科学研究所で実施したもの、5と6が日本バイオアッセイ研究センターで実施したものです。資料1-1-1~資料1-6-1までを配布資料としております。また、各委員におかれましては、本日、中期発がん性試験結果机上配布ということで、資料番号1-1-2~資料番号1-6-2まで付けております。資料1-1-2が1ページから、資料1-2-2が31ページから、資料1-3-2が67ページから、資料1-4-2が99ページから、資料1-5-2が129ページから、資料1-6-2が147ページからとなっております。
 次に、資料2は、A3版の横長資料で、3枚組みの資料となっております。資料3-1は、文献調査を踏まえた平成27年度発がん性評価についての報告です。資料3-2は、平成27年度文献調査を踏まえた発がん性評価について(案)です。
 次は、参考資料です。参考資料1は、参集者名簿です。参考資料2-1は、職場で使用される化学物質の発がん性評価の加速化の詳細の資料です。参考資料2-2は、平成25年度からのラット肝中期発がん性試験の実施状況です。参考資料3-1は、ラット肝中期発がん性試験による調査の基準です。参考資料3-2は、ラット肝中期発がん性試験の結果の評価基準です。参考資料3-3は、職場で使用する化学物質の発がん性評価基準骨子です。参考資料4-1は、スクリーニングとして行う中期発がん性試験の対象物質の選定方法についてです。参考資料4-2は、昨年度の企画検討会で用いた資料で、平成28年度フィージビリティテストの候補物質です。最後に、参考資料5は、既存情報による発がん性評価のうち、専門家による発がん性評価の基本的な考え方です。
 また、委員の先生におかれましては、本日の参考資料2の参考として、構造式の資料を配布しております。不備がありましたら、事務局までお申し付けください。
○西川座長 資料はよろしいでしょうか。それでは、本日の議題に入ります。まず、議題1、平成27年度の中期発がん性試験の結果の評価について、事務局から説明をお願いいたします。
○平川化学物質評価室長補佐 平成27年度の中期発がん性試験の結果の評価について、今回評価を行うものが、資料1の6物質です。この6物質についての評価の基準ですが、調査の基準が参考資料3-1に書かれております。まず、試験の方法として、ラット肝中期発がん性試験は2段階発がんモデルによる試験方法とする。また、試験に用いる動物は、原則として6週齢の雄ラットで、1群当たりの動物数は有効匹数15匹以上とする。投与群、対照群、被験物質の用量について書いております。2ページ目は、試験手順、観察及び測定事項が書かれております。こちらの内容のとおりやられているかどうかの確認等も、必要に応じてお願いできればということで、付けさせていただきました。
 次に、参考資料3-2、中期発がん性試験の結果の評価基準です。これまでの中期発がん性試験結果については、いずれも陰性の結果でした。陽性の判断基準については参考資料3-2の1にありますように、投与群における肝臓の胎盤型陽性細胞巣の単位面積当たりの個数又は面積が、媒体対照群と比較して有意に増加し、かつ用量反応性が認められる場合、又は単一の用量群において明らかな増加が認められる場合、陽性と判断することとなっております。また、この陽性の結果に基づき、がん原性指針の策定の要否の判断基準を付けております。これも、平成26年度の第1回発がん評価ワーキンググループでの確認ですが、陽性と判断された物質は原則としてがん原性指針の対象とするということで、平成26年度時点では確認をさせていただいております。ただし、被験物質が遺伝毒性を有さず、かつラット肝中期発がん性試験から得られたNOAEL等が日本産衛学会の許容濃度等と比較して非常に大きく、労働者に健康影響を与える可能性が低い場合は、別途検討することとさせていただいております。さらに、陽性となった場合、リスク評価の要否の判断基準も示しております。原則として、リスク評価の候補物質とし、化学物質のリスク評価に係る企画検討会等での意見聴取を行った上で、有害物ばく露作業報告の対象とするということで、実際に有害物ばく露作業報告の対象とするのは、企画検討会で決めるわけですが、その候補として入ることになります。
 また、参考資料3-3の2ページ目にあります「上記(1)の丸数字3」の所ですが、既存の短期・中期発がん性試験又は他の発がん性に関する試験で陽性の結果が得られ、専門家によりヒトへの発がんの可能性があると判断されたものについては、長期発がん性試験対象物質の候補とすべきであるということで、これも発がん性評価ワーキンググループの時点での議論でこのような形で確認されているということで、発がん性試験の候補にもなり得るということで付けております。こういったものを踏まえ、本日の評価を行っていただければと思います。
 これから、6物質について、硫酸鉄、イソフタル酸、オクタン酸、2-ジメチルアミノエタノール、4-(1,1,3,3テトラメチルブチル)フェノール、1-フェニルアミノ-4-イソプロピルアミノ-ベンゼンについては、本日実施機関から説明者として来ていただいておりますので、質疑等をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
○西川座長 それでは、まず硫酸鉄からお願いいたします。
○平川化学物質評価室長補佐 概略について、事務局から説明いたします。被験物質です。2価の硫酸鉄です。CAS番号7782-63-0です。外観・性状が、薄い青緑色。結晶から結晶性粉末。臭いは無臭。融点は64℃ということで、溶解性は、水に溶ける、エタノールにはほとんど溶けないということです。製造・輸入量については、平成24年度で30万トンです。用途は、ベンガラ、屎尿処理剤、顔料、医薬品、食品添加物です。有害性情報については、形質転換試験で陽性の結果が出たということで、今回対象になっている物質です。よろしくお願いいたします。
○西川座長 続いて、実施機関から試験結果の説明をお願いいたします。
○DIMS医科学研究所 DIMS医科学研究所の土井と申します。私からは、硫酸鉄とイソフタル酸について説明いたします。資料1-1-1を御覧ください。試験方法の説明からまいります。群構成から説明いたします。被験物質投与群を3群と、陰性対照群及び陽性対照群の計5群で構成いたしました。各群とも、F344ラットの雄を20匹ずつ使用いたしました。実験開始時に、起始物質としてジエチルニトロソアミン(以下DEN)を200mg/kgの用量で単回腹腔内投与いたしました。DENの処置の2週間後より、被験物質を注射用水に溶解させ、0、100、300及び1,000mg/kgの用量で、1日1回6週間強制経口投与いたしました。陽性対照群には、フェノバルビタールナトリウムを500ppmの濃度で混餌投与いたしました。また、被験物質の投与開始1週後に、肝臓の3分の2を摘出する肝部分切除術を実施いたしました。投与期間終了後、生存動物を安楽死させ、肝臓を摘出し、肝臓の前腫瘍性病変である胎盤型Glutathione S-transterase(以下GST-P)の陽性細胞巣の発生を検査いたしました。肝臓の単位面積当たりのGST-P陽性細胞巣の個数及び面積を算出し、定量的に解析して評価いたしました。
 次に、投与量設定の理由について説明いたします。本試験を実施するに当たり、事前に用量設定試験を実施いたしました。用量設定試験での投与量は、文献などのデータを参考に、0、300、600、1,000mg/kgを設定いたしました。用量設定試験では、F344ラットの雄を用い、DEN処置をしまして、その2週後より被験物質を3週間強制経口投与いたしました。肝部分切除術は、被験物質の投与1週後に実施いたしました。その結果、1,000mg/kg群において、投与開始初期に体重増加抑制が認められましたが、その後は回復傾向にあったことから、肝中期発がん性試験における投与量を最高用量1,000mg/kgとし、以下公比約3で除した300、及び100mg/kgが妥当と判断いたしました。
 試験結果の説明をいたします。一般状態においては、被験物質投与開始以降、300及び1,000mg/kg群の全生存動物において、黒色便が継続して観察されました。次のページの図1に、体重の推移を示しております。縦軸に体重、横軸に実験週を示しております。被験物質投与開始が2週からですが、その1週後、第3週より、1,000mg/kg群において体重の有意な低値が認められ、投与終了時まで継続して観察されました。1,000mg/kg群においては、第3週から7週の間に、摂餌量の有意な低値も見られました。剖検時には、低用量群も含む被験物質全群で、胃、小腸、あるいは大腸の黒色内容物が観察されました。表1に、肝臓の重量の測定結果を示しております。左側から群番号、投与量、検索匹数、剖検日体重、肝臓の絶対重量、肝臓の相対重量を示しております。1,000mg/kg群においては、剖検日体重の有意な低値が見られましたが、肝臓の絶対重量及び相対重量は、有意な高値が見られました。また、100、300mg/kg群においては、肝臓の相対重量の有意な高値が見られました。表1の下に、表3として記載しておりますが、表2の誤りでしたので、申し訳ありませんが訂正をお願いいたします。
 表2に、GST-Pの結果を示しております。左側から群番号、投与量、検索匹数、GST-Pの単位面積当たりの陽性細胞巣、個数及び面積を示しております。被験物質群においては、全ての群において統計学的に有意な変化は見られませんでした。ここまで、被験物質の結果について説明いたしました。
 陽性対照群においては、体重及び摂餌量の有意な低値、肝臓の絶対重量及び相対重量の有意な高値が認められ、病理組織学的検査においては、フェノバルビタールナトリウムにより認められる変化が観察されました。また、GST-P陽性細胞巣は、個数及び面積のいずれも統計学的に有意な高値が認められたことから、肝発がんプロモーション作用が明確に検出され、本試験の妥当性が示されました。以上の結果より、硫酸鉄は本試験条件下において肝発がんプロモーション作用はないと判断いたしました。以上です。
○西川座長 それでは、ただいま説明していただきました硫酸鉄の中期発がん性試験の結果について、御意見をお願いいたします。よろしいでしょうか。
○平川化学物質評価室長補佐 すみません、この件については、本日御欠席の小野寺委員からコメントを頂いておりますので、その点について、もしこの関係で御質問等があれば引き続きお願いできればと思います。「硫酸鉄は、投与群において肝の絶対重量は増加しておらず、体重減少の影響で相対重量は増えている。黒色便など、検体による栄養吸収が阻害された可能性がある。摂餌量の変化はいかがでしょう。プロモーション作用がないことには同意します」。以上です。
○西川座長 試験の結果は陰性であるということでよいというコメントですが、1つこの黒色便の原因は何が考えられるのですか。
○DIMS医科学研究所 硫酸鉄ですので、鉄が含まれておりますので、その影響だと考えております。
○西川座長 ありがとうございます。ほかに御意見がなければ、ワーキンググループの結果として、本試験については陰性ということにいたします。
 続いて、イソフタル酸の試験について、説明をお願いいたします。
○DIMS医科学研究所 イソフタル酸について説明いたします。資料1-2-1を御覧ください。被験物質の名称、物理化学的性状、製造・輸入量及び用途、有害性情報については、こちらに記載のとおりです。試験方法については、先ほどの硫酸鉄と同様ですので、省略いたします。なお、投与量については、0、100、400、1,600mg/kgとし、トウモロコシ油に懸濁した状態で投与いたしました。
 次に、投与量設定の理由について説明いたします。こちらも、事前に用量設定試験を実施しております。用量設定試験の投与量については、文献などの値を参考に、400、800、1,600mg/kgを設定いたしました。用量設定試験の試験方法についても、硫酸鉄と同様ですので省略いたします。用量設定試験の結果、1,600mg/kg群において、被験物質投与期間中に、体重の有意な低値、実験第3週に摂餌量の有意な低値が見られました。剖検時には著変は見られませんでしたが、器官重量において1,600mg/kg群で肝臓の絶対重量の有意な低値、腎臓の相対重量の有意な高値が見られました。以上の結果より、肝中期発がん性試験における用量としては、1,600mg/kgを最高用量とし、以下公比4で除した400及び100mg/kgを設定いたしました。
 試験結果の説明をいたします。一般状態においては被験物質の投与期間中、1,600mg/kg群において、2例から3例に軟便による肛門周囲の汚れが見られました。また、1例には削痩が見られましたが、この動物については、その後回復いたしました。
 次のページの図1に、体重の推移を示しております。被験物質投与開始1週後の第3週より、1,600mg/kg群において、体重の有意な低値が認められ、投与終了時第8週まで継続して観察されました。1,600mg/kg群においては、第3週及び7週で摂餌量の有意な低値も観察されました。剖検時には、1,600mg/kg群において、盲腸の拡張が認められております。
 表1に、肝臓重量の結果を示しております。1,600mg/kg群において、剖検日体重の有意な低値、肝臓絶対重量の有意な低値が認められました。その他の群においては、有意な変化は見られませんでした。表2に、GST-Pの検査結果を示しております。いずれの群においても、統計学的に有意な差は見られませんでした。なお、陽性対照群においては、体重、摂餌量の有意な高値、肝臓の絶対重量及び相対重量の有意な高値が認められ、病理組織学的検査においては、フェノバルビタールナトリウムにより認められる変化が観察されました。また、GST-P陽性細胞巣は、個数及び面積のいずれも統計学的に有意な高値が認められ、肝発がんプロモーション作用が明確に検出され、本試験の妥当性が示されました。
 結論ですが、以上の試験結果より、イソフタル酸は本試験条件下において肝発がんプロモーション作用はないと判断いたしました。以上です。
○西川座長 この物質についても、小野寺委員からコメントが入っております。
○平川化学物質評価室長補佐 小野寺委員のコメントですが、「最高用量で体重減少が見られていますが、肝の相対重量及び免疫組織化学的検査において陰性です。プロモーション作用がないことに同意します」。以上です。
○西川座長 ありがとうございます。ただいまの説明について、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。軟便が2、3例にあったということですが、これは個体差があるという理解でよろしいですか。
○DIMS医科学研究所 そうです。
○小川委員 最終的な結論には特に異存はありませんが、それにも関連するかもしれないですが、盲腸の拡張などは、原因などがもし示唆できるようなことがありましたらお願いいたします。
○DIMS医科学研究所 原因までは明確にはできなかったのですが、難消化性の物を投与したりすると拡張が起こったりということもありますので、恐らく管内浸透圧の変化や腸内細菌による修飾などがあったのではないかと考えております。
○若林委員 表2のイソフタル酸の免疫組織の所ですが、投与量0mgを含めて1,600mgで陽性細胞巣数や陽性細胞巣の面積がコントロールに比べて何か減少しているようにも思えるのですが、これは有意差はないのですか。
○DIMS医科学研究所 有意差はありません。
○西川座長 まあ、少し少なくなっているようにも見えますが、有意差がないということで、差がないという理解でよろしいと思います。そのほか、よろしいでしょうか。ないようですので、この物質についても、陰性という評価になるかと思います。御説明、どうもありがとうございました。
 次の物質に移ります。オクタン酸について、説明をよろしくお願いいたします。
○DIMS医科学研究所 DIMS医科学研究所の勝呂と申します。オクタン酸と2-ジメチルアミノエタノールについて御報告いたします。まず、オクタン酸の結果について御報告をいたします。資料は、1-3-1となります。被験物質の情報に関しては、資料に記載のとおりとなります。試験方法は、前の2物質と同じですので、省略いたします。媒体は、トウモロコシ油を用い、投与用量は125、500及び2,000mg/kgで強制経口投与いたしました。陽性対照群には、フェノバルビタールを500ppmで混餌投与しております。投与量設定の理由ですが、こちらも事前に用量設定試験を実施し、その結果に基づき、2,000mg/kgを最高用量とし、公比4で除した500、及び125に設定いたしました。
 結果ですが、後ろのページの表1に体重、表2に肝臓重量、表3に免疫組織化学的検査結果についてまとめております。一般状態、体重、摂餌量、肉眼的病理学検査、肝臓重量、免疫組織化学的検査、及び病理組織学的検査において、いずれも被験物質投与に起因すると考えられる変化は観察されませんでした。陽性対照群では、体重及び摂餌量の有意な高値、肝臓重量の有意な高値が認められ、GSP-T陽性細胞巣についても、統計学的に有意な高値が示されました。また、病理組織学的検査では、フェノバルビタールの投与によって見られる所見が観察されました。以上の結果から、オクタン酸は本試験条件下において肝発がんプロモーション作用はないと判断いたしました。以上です。
○西川座長 これも同様に、小野寺委員から事前にコメントが出ていますね。
○平川化学物質評価室長補佐 オクタン酸ですが、これは物性による最初の有害性情報によるところかと思いますが、「反復投与毒性試験のNOAELと生殖発生毒性試験の濃度差(62.5と1,000mg/kg/dayが気になります」ということです。それから、試験の関係でいいますと、表1と表2、特に表2の解剖時体重が異なるのはどうかということで、コメントがありました。プロモーション作用がないことには同意しますということです。
○西川座長 表1と表2の解剖時の体重が違うと。
○西川座長 最後の8週目のところですよね。
○平川化学物質評価室長補佐 はい。
○西川座長 それと、表2の剖検時は、余り大差がないような気がしますが。
○DIMS医科学研究所 表1の体重は、実験8週時に測定したもので、表2の体重は絶食後に、剖検日当日の朝に測定した体重です。
○西川座長 ですから、そういう意味では表2のほうが少し落ちているということですよね。
○DIMS医科学研究所 絶食後になります。
○西川座長 ですから、全然矛盾しないような気がしますが。分かりました。結論としては、陰性であるということに同意するという小野寺委員の意見です。何かありますか。よろしいですね。では、この試験についても、ワーキングとしては陰性という評価にいたします。
 続いて、2-ジメチルアミノエタノールの試験について説明をお願いいたします。
○DIMS医科学研究所 2-ジメチルアミノエタノールについて報告いたします。資料は1-4-1です。被験物質の情報については資料に記載のとおりです。こちらも先ほどまでの3物質同様の方法で行っております。媒体は注射用水を用いて被験物質投与群は30、100及び300mg/kgの用量で投与を実施しました。
 投与量の設定の理由です。事前に実施した用量設定試験において300及び500mg/kgの用量で投与を実施しましたが、その結果500mg/kgの群において死亡例が見られましたので、最高用量を300として以下、公比約3で除した100及び30mg/kgとしました。
 試験結果です。最高用量群の300mg/kgの投与群の1例に不規則呼吸が観察されましたが、その後回復しました。また、300mg/kgの群では体重及び接餌量の有意な低値が認められました。肝臓重量では、同じ群において相対重量の有意な高値が認められましたが、病理組織学的には被験物質投与の明らかな影響は認められませんでした。肝臓のGST-P陽性細胞巣の定量的解析では、被験物質投与群において陽性細胞巣の個数及び面積ともに有意な変化は認められませんでした。
 また、陽性対照群では体重及び接餌量の有意な高値、肝臓重量の増加、また、病理組織学的検査ではフェノバルビタール投与により認められる変化が観察され、GST-P陽性細胞巣についても統計学的に有意な高値が認められたことから、本試験の妥当性が示されました。
 以上の結果から、2-ジメチルアミノエタノールは本試験条件下において、肝発がんプロモーション作用は認められないと結論いたしました。以上です。
○西川座長 ありがとうございました。これも同様に小野寺委員から事前のコメントが出ております。
○平川化学物質評価室長補佐 最高用量群で肝の相対重量が増加していますが、増加量は小さく免疫組織学的検査で変化がないことにより、プロモーション作用がないことに同意しますということです。
○西川座長 ありがとうございます。何かございますか。用量設定試験で500mg/kg/dayの群で死亡例が2例ありますが、これはどうして死亡したかということは分からないのですか。
○DIMS医科学研究所 胃の出血等がありました。
○西川座長 そうですか、2匹とも。
○DIMS医科学研究所 はい。
○西川座長 そうですか。そのほかよろしいでしょうか。
○小川委員 そうしますと、本試験では胃の所見は、それなりに見られたのですか。
○DIMS医科学研究所 胃の所見は見られませんでした。
○小川委員 分かりました。
○西川座長 投与に起因するような病理組織変化がないということで、それはそれでいいのですが、逆に用量が少し足りなかったという可能性も考えたのですが、表1を見ると一番高い量でやはり体重が減っておりますので、用量としては十分な量であったと理解します。よろしいでしょうか。ないようですので、この物質についてもワーキンググループとして陰性と評価したいと思います。ありがとうございました。
 続いて、説明者が変わります。5番目、4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノールの試験について説明をお願いいたします。
○日本バイオアッセイ研究センター 日本バイオアッセイ研究センターの竹内と申します。よろしくお願いいたします。資料1-5-1を御覧ください。4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノールの肝中期発がん性試験の要約を発表いたします。この物質の性状は白色のフレーク固体です。
 2ページ裏です。試験の方法ですが、先ほどDIMSさんと若干異なり、まず、媒体対照群がコーン油ではなくてオリーブ油を用いております。被験物投与群は3段階を設け、陽性対照群はフェノバルビタールナトリウムを使っておりますが、強制経口投与で25mg/kg体重の用量で行っております。この物質の3段階の用量ですが、文献、予備試験の結果から濃度の一番下が12.5mg/kg、中用量が50mg/kg、高用量が200mg/kgを設定して行いました。
 3ページに結果の要約表を記載しております。この要約表のデータは平均値を示しております。結果です。動物の生死や一般状態に投与の影響はありませんでした。高用量の200mg/kg群では体重増加の抑制が認められました。また、肝臓重量は高用量の200mg/kgで増加しました。GST-P陽性細胞巣については、単位面積当たりの数、面積ともに投与による影響は認められませんでした。
 なお、この物質は肝臓以外に腎臓もターゲットにするようですので、腎臓の病理組織検査を若干、検査しました。まず、重量は中用量の50mgから増加し、高用量の200mgでは核の異型を伴う尿細管の好塩基性変化、壊死が観察されました。以上から結論として、この物質は本試験条件下では肝臓に対する発がんプロモーション作用は示さないと結論いたしました。以上です。
○西川座長 ありがとうございました。これについて小野寺委員からコメントが出ております。
○平川化学物質評価室長補佐 コメントを申し上げます。「最高用量で肝重量が増加していますが、免疫組織化学的検査では有意な増加はありません。腎障害がある可能性は否定できませんが、肝におけるプロモーション作用はないことに同意します」。以上です。
○西川座長 それでは、御意見、御質問等ございましたらお願いいたします。
○若林委員 前回もお願いしたと思うのですが、DIMSさんとバイオアッセイさんが、GST-Pのポジティブ細胞巣の表示がSDを入れるのと入れないのがあるのですよね。去年もお願いしたのですが、統一できないのでしょうか。
○日本バイオアッセイ研究センター 事務局とも相談の上できるだけ同じように整えるように努力いたします。
○若林委員 普通はプラスマイナスのSDを入れてあるのが、論文では多いのではないのですか。
○日本バイオアッセイ研究センター はい。報告書にはかなり細かく個体表から全て入れてあるのですが、これは要約用ですので、1ページに収めるために簡略化しております。
○西川座長 これは要約だから、SDが付いていないということですね。
○日本バイオアッセイ研究センター はい、おっしゃるとおりです。
○若林委員 でも、DIMSさんは2つの表にあるのですが、こちらは1つにまとめてあるのです。片方はあるのですが、体重の変化表もないのです。
○津田委員 ばらつきを見るのに必要ですから、あったほうがいいです。
○若林委員 そのように思います。
○西川座長 では、今後そのようにしていただきたいと思います。
○日本バイオアッセイ研究センター はい、分かりました。
○西川座長 あと、用量設定についてはどのようにされているのですか。
○日本バイオアッセイ研究センター 失礼いたしました。最後の4ページを御覧ください。参考として文献情報、参考2として用量設定試験の結果を記載しました。用量設定試験は、まず、無処置動物の3週間投与、その後に高用量の設定のために部分肝切除した動物に2週間投与した2試験行っております。
 無処置動物の3週間の投与です。用量設定を30 mg/kg、100 mg/kg、300 mg/kg、400 mg/kgの4段階で行いました。一番上の用量は1匹死亡し、状態として褐色尿、体重増加抑制が顕著に認められました。そのほか肝臓や腎臓の障害を示す血液性格的パラメーター、AST・ALT・総コレステロール・γ-GTP・BUNが増加、肝臓、腎臓の重量も増加して、特に400では肉眼的にも腎臓の淡色化、白色化、表面が顆粒状を呈している状態でした。
 次の300では、軟便や褐色尿がありました。体重増加抑制も87%とそれなりに強かったです。やはり肝臓、腎臓の障害を示すパラメーターが増加、肉眼的にも腎臓に関しては淡い色を呈しておりました。その下の100 mg/kgです。血液生化学的には総コレステロールの増加程度です。肝臓、腎臓の重量変化はありました。一番下の30 mg/kgでは、全く所見はありませんでした。
 これを基に一番上の用量を設定するために肝切除をした動物に対して2週間投与しました。用量は100 mg/kg、200 mg/kg、300 mg/kgと設定しました。やはり300 mg/kgでは体重抑制が2週間でも90%と非常に高い、肝臓、腎臓の重量も増加、200 mg/kgでは腎臓重量のみで、100 mg/kgでは何もなかったということで、高用量を200 mg/kg、公比4で除して中用量が50 mg/kg、低用量が12.5 mg/kgと設定しました。
○西川座長 ありがとうございました。予備試験についての指針は、ないと考えてよろしいですか。要するに先ほどのDIMSで実施している試験とは内容が違うような気がしますが、その辺りはいかがですか。用量設定試験は適当でいいという理解でよろしいのですか。
○平川化学物質評価室長補佐 試験の基準については、参考資料3-1にあります。調査の基準という所で、このとおりにやられているかどうかを見させていただきました。
○西川座長 用量設定試験に基づき決定するということはあるのですが、用量設定試験をどういう内容でやるかということについては記載がないと思います。
○小川委員 その下の4の(2)に、最高用量は最小限の毒性兆候を表すのに十分な用量、若しくは技術的に投与可能な上限の用量という。
○西川座長 これは本試験のことですよね。
○小川委員 そういうことです。用量設定試験からそれを持ってくるということです。
○西川座長 用量設定試験を
○小川委員 どのようにやるかということですね。
○西川座長 中身が違えば違いますよね。
○小川委員 そうですね、確かに。
○西川座長 ある程度、任意でよいという理解でよろしいですか。
○津田委員 およそですが、これをきちんと見るわけにはいかないので、当初これを決めるときにLD50の半分ぐらいを目安にするということでディスカッションしたと思います。LD50でやると肝臓を取った途端に死んでしまいますから、その半分ぐらい、できるだけそこに近いところを目安とするというディスカッションがあったと思います。
○西川座長 どのようにしますか。余り厳密にいろいろと設定試験の条件は決められないというところがありますので、取りあえず、それぞれ見ていただいて様子を見るというか、それしかしょうがないような気がします。
 設定試験も、この1つの条件でしか駄目というわけには、恐らくいかないと思います。そういう意味では柔軟に対応していくのがよいと思いますが、いかがですか。LD50を参考にするという御意見もあるのですが、やはり実際に短い試験で用量設定を求めるような試験をしたほうがいいと思いますので、LD50のデータを併せて、その両方で決めていくのがいいと思います。
○小川委員 LD50の2分の1は目安としては有りかと思いますが、十分な投与量であったということが示せるためには予備試験が必要だと思います。投与方法を勘案する物質の性質にもよるかと思うので、ある程度の柔軟性は必要かと思います。n数の記載がDIMSさんもなかったので、予備試験のn数はどのようにするのかな、動物数をどのようにするのかということもあったのですが、ある程度の自由度は必要かと。
○西川座長 余り細かいことを言うと。
○小川委員 切りがないですね。
○西川座長 がんじがらめになってしまうので。津田先生がおっしゃったようにLD50を1つの目安として、もう1つは短い試験での、何らかの用量設定試験をやるという形でよろしいかと思います。ありがとうございました。
○若林委員 質問です。結果の要約表の有効匹数です。スタートが22匹で、12.5mg/kgが有効匹数が17匹で、5匹亡くなっているのですが、理由は何ですか。
○日本バイオアッセイ研究センター 一番大きな理由は、ラットはロットによって肝臓の横隔膜ヘルニアの頻度が変わるのですが、それは1つとして手術しづらく失敗してしまうというところが大きい、あとは素直に肝臓を摘出する手術を失敗した個体があります。たまたま、それがこの群に多くあったというだけです。
○若林委員 ほかの所が1匹や2匹ぐらいなので、ここだけ急激に少なくなっていますが、何か特別な理由があったのかと思ったのですが、そういうわけではないのですか。
○日本バイオアッセイ研究センター はい。
○西川座長 部分肝切除をやってから被験物質を投与すればいいのでしょうが、投与を開始してから処置するので、群の構成を変えられない、動物を入れ替えることはできないということですよね。
○日本バイオアッセイ研究センター はい、それは。
○西川座長 意味が分かりますか。部分肝切除の前から投与を開始しているということですね。
○日本バイオアッセイ研究センター はい。
○西川座長 それでは、結論についてはいかがでしょうか。これは腎臓にも何らかの変化があります。この試験だけでは何とも言えないと思うのですが、腎臓が標的になるという可能性についてはいかがですか。この所見だけでは少し難しいかと思いますが。
○日本バイオアッセイ研究センター この物質は事前に28日間試験がSDラットで参考1の所に書いたとおり、経口投与試験が実施されております。そこでも、やはり腎臓の再生性変化として一番上ですが、300 mg/kgで認められているというところで、同じような変化がフィッシャーにおいて今回の200 mg/kgでも認められました。
 数例、かなり壊死が見えているものもありましたし、予備試験のときには肉眼的にも明らかに腎臓に障害が強く出ておりました。肝臓よりも、むしろ腎臓のほうが強い障害が出ております。
○西川座長 発がんの標的というわけにはいかないけれども、少なくとも毒性の標的、標的臓器であることは、恐らく間違いないということですね。
○日本バイオアッセイ研究センター はい。
○西川座長 ありがとうございます。それでは、ほかに御意見がなければ、この物質についても試験の結果は陰性ということになると思います。ありがとうございました。
 続いて、1-フェニルアミノ-4-イソプロピルアミノ-ベンゼンの試験結果について説明をお願いいたします。
○日本バイオアッセイ研究センター 資料1-6-1をお願いいたします。1-フェニルアミノ-4-イソプロピルアミノ-ベンゼンの性状も、やはり結晶から粉末の固体です。2ページです。方法は先ほど述べた方法と同じです。用量は3段階取り、一番下が4 mg/kg、次が15 mg/kg、一番高用量が60mg/kgを設定しております。
 4ページに用量設定試験の結果があります。用量設定試験をするに当たり、SDラットを用いた28日間の経口投与試験が実施されており、これを参考にしました。この物質も一番上の100で腎臓が若干ターゲットオーガンになるかという物質です。それプラス肝臓も強く障害が出るような物質です。
 参考2は、私どもで行った予備試験、用量設定試験の結果です。まず、無処置動物を用いて3週間投与しました。用量は10 mg/kg、30 mg/kg、100 mg/kg、200 mg/kgの用量で4段階で行っております。200 mg/kgの投与では、投与2回で死亡が見られ始めましたので直ちに投与中止して、この濃度は使えないと。100mg/kgは、体重増加抑制、若干軟便も認められました。血液検査は赤血球数の増加や総コレステロールやBUNの増加、肝臓、腎臓の重量が増加しております。30mg/kgは、総コレステロールの増加、肝臓、腎臓の重量の増加、低用量群の10 mg/kgにおいても総コレステロールの増加と肝臓重量の増加が認められました。
 これを基に部分肝切除動物を用いて2週間投与して高用量を設定する試験を行いました。30 mg/kg、60 mg/kg、100 mg/kgの用量を設定して行いました。100 mg/kgでは軟便があり体重増加抑制、肝臓、腎臓、脾臓の重量も増加しました。60 mg/kgでは体重増加抑制、肝臓と腎臓の重量の増加、30 mg/kgでも肝臓の重量は増加しておりました。これを基に100 mg/kgでは若干、高過ぎると判断して60 mg/kgをトップの用量にして公比4で15 mg/kg、4 mg/kgという設定をしました。
 3ページに戻ります。結果です。動物の生死、一般状態に投与の影響は認められませんでした。高用量の60mg/kg群には体重増加の抑制が認められました。肝臓重量は低用量の4mg/kg群から増加しております。病理組織学検査で小葉中心性の肝細胞肥大、脂肪変性が高用量の60mg/kg群に観察されております。GST-P陽性巣ですが、中間用量の15mg/kgでは数は減少傾向、統計学的に有意はありません。
 面積に関しては減少が認められましたが、高用量60mg/kg群では数については統計学的にも明らかに有意な増加が認められました。ただし、面積の増加は認められていますが、統計学的に有意な差は認められていません。本物質も腎臓が標的臓器になっておりますので調べました。重量の増加が高用量群で、近位尿細管の好塩基性変化が中間用量である15 mg/kg、高用量の60mg/kgで少数例でありますが観察されております。
 この結果から、結論として1-フェニルアミノ-4-イソプロピルアミノ-ベンゼンは60mg/kg/dayの用量で肝臓に対する発がんプロモーション作用を示すと結論されました。以上です。
○西川座長 ありがとうございます。これについても、小野寺委員から事前にコメントが出ております。
○平川化学物質評価室長補佐 コメントを申し上げます。「群の公比が4なので用量相関性は見られていませんが、参考からも肝に対する影響は明らかで、ハザード評価としてプロモーション作用があることに同意します。そんなに強い作用とは考えませんが、本剤の構造式からエームス試験は陰性で、プロモーション作用を有し、発がん性が認められれば興味があります」とのことです。以上です。
○西川座長 ありがとうございます。それでは、御意見、コメント等がありましたらお願いいたします。中間用量の15mg/kgの所で面積が逆に減少しているという結果が出ておりますが、何かこれについて考察はありますか。
○日本バイオアッセイ研究センター 肝臓がかなり大きくなっておりますので、その影響で面積当たりは増えていないので、こういう結果になったのかと思います。
○若林委員 この化合物は肝臓のほうではないのですが、構造式から考えると腎臓や尿細管、膀胱に何か影響がありそうな構造式ではあると思うのですが、膀胱には特に変化はありませんでしたか。
○日本バイオアッセイ研究センター 腎臓は尿細管の再生性変化、恐らく壊死が起こった後の結果だと思いますが、中間用量以上で少数例ですが認められました。膀胱は特に検査をしていないですが肉眼的には何もありませんでした。
○西川座長 よろしいでしょうか。
○津田委員 これは、ペルオキシソームプロリファレイターである可能性はないのですか。
○日本バイオアッセイ研究センター はい。
○西川座長 ペルオキシソーム増生剤。
○津田委員 フェノバルビタールのようにペルオキシソームを増生させるような物ですか?
○日本バイオアッセイ研究センター 病理組織以外では……。
○津田委員 言えますか。中心性の肝細胞肥大があると書いてありますが。
○日本バイオアッセイ研究センター 肝細胞自体の変化はほとんどないというか、大きくなっているのですが、色調的な変化はありません。
○津田委員 最高用量で小葉中心性の肝細胞肥大とありますが。
○日本バイオアッセイ研究センター ありますが。
○津田委員 その状態は、陽性対照のフェノバルビタール投与ほどではないという意味ですか。
○日本バイオアッセイ研究センター そうです。
○津田委員 結構です。
○西川座長 ほかにございますか。これは本日を含めて中期試験では初めての陽性例ということになりますか。
○平川化学物質評価室長補佐 そうですね。
○西川座長 これは数と面積両方ではなくて数だけが増えているということについて、何か考察はありますか。
○日本バイオアッセイ研究センター 考察は分かりませんが、小さいものがポツポツポツと多くあったということは顕微鏡下では認められております。ただ、大きなものはそう目立たなかったということです。
○西川座長 なるほど。プロモーション作用としては、どちらのほうが意味があるのですか。
○小川委員 以前は数がイニシエーション的なものを反映していて、面積がプロモーションという言い方もしました。ただ、肝臓自体が倍近く大きくなっていると、標本は一面しか取らないので、切ったときに当たる確率が相対的に少なくなるということを考慮しないといけないというところがあります。そうすると大きいものが当たりやすくなるというところもあるのですが、15の所で減っているように見えるのですが、肝臓全体の数で言えばそんなに減ってはいない可能性もあるかと思っております。面積が余り変わっていないということをどのように考えるのか難しいところがあるのかもしれません。
○西川座長 両方増えるのは多いですよね。
○小川委員 そうですね、普通は。
○西川座長 数だけ増えるというケースはどのぐらい、というかどういうものが多かったのですか。もし覚えていれば。
○小川委員 そこまでは覚えていないです。
○西川座長 ただ、少し特殊な感じがします。
○津田委員 カットオフはどれだけにしましたか。
○日本バイオアッセイ研究センター 染色分は全て。
○津田委員 GST-P陽性巣の面積を測るときに最初の大きさは。
○日本バイオアッセイ研究センター 対象の大きさは0.2mm以上の面積に相当するということで設定を。
○津田委員 直径が200μ以上を有効としたということですね。
○日本バイオアッセイ研究センター はい。
○津田委員 要約のプロトコールに書いていないのですが、入れておいたほうがいいと思います。
○西川座長 判定基準ですよね。2ページの下から2行目に直径0.2mm以上だとは書いてあります。
○小川委員 参考資料3-2の、もちろん、この試験でどうであったということが重要ですが、プロトコールの参考の所に。
○津田委員 そこに書いてありますか?
○小川委員 はい。
○津田委員 プロトコールには書いていないです。
○西川座長 参考資料3-2に評価基準の項目の参考1として大きさについても言及されていますので、そのとおりに実施されたということだと思います。そのほかにはよろしいでしょうか。ないようでしたら、この物質については中期試験の結果は陽性ということになるかと思います。どうも御説明ありがとうございました。
 陽性が出たのですが、陽性物質の場合の取扱いについては、これまでに考え方が示されておりますので、この考え方について、先ほども少し説明いただいたのですが、もう一度、事務局から説明をお願いします。
○平川化学物質評価室長補佐 参考資料3-2と参考資料3-3に、今後の取扱いについての表現が書かれています。先ほど、陰性物質でも一部議論等がありましたので、併せて御説明させていただきます。参考資料3-2は結果の評価基準です。まず陽性の判断基準です。先ほど陽性の判断を頂きましたが、投与群における肝臓の胎盤型陽性細胞巣の単位面積当たりの個数又は面積が、媒体対照群に比較し、有意に増加し、かつ用量反応性が認められる場合又は単一の用量群において明らかな増加が認められる場合、陽性と判断するということです。検査方法については裏面の参考1に書いてあります。直径200μm以上というのは参考1に記載されている内容です。
 戻って2番のがん原性指針の策定の要否の判断基準です。これまで、長期発がん性試験の結果、発がんの証拠があるという結果が出たものについてがん原性指針ということでこれまではやっています。これは有害性評価小検討会でこれまで行っておりました。今回初めて肝中期発がん性試験で陽性が出たということで、このがん原性指針に入るかどうかということでの、あらかじめ定めておいた考え方が資料3-2の平成26年度第1回発がん性評価ワーキンググループで出ております。陽性と判断された物質は、「原則として労働安全衛生法第28条第3項の規定に基づく厚生労働大臣の指針の対象とする」となっています。
 「ただし、被験物質が遺伝毒性を有さず、かつラット肝中期発がん性試験から得られたNOAEL等が、日本産業衛生学会の許容濃度と比較して非常に大きく労働者に健康影響を与える可能性が低い場合は別途検討する」となっています。今回の対象物質については、エームス試験は陰性ですが、遺伝毒性があるという物質で、このラット肝中期発がん性試験の対象になっているところに御留意いただければと思います。
 3番は、リスク評価の要否の判断基準です。これについても今回のような、陽性と判断された物質については、「原則としてリスク評価の評価物質とし、化学物質のリスク評価に係る企画検討会等での意見聴取を行った上で、有害物ばく露作業報告の対象とする」となっています。これについては、これまでは最終的には化学物質のリスク評価に係る企画検討会での結論を得て、この対象ということになりますので、今回の時点では候補物質に入ってくるということで御承知ください。
 念のため参考2で、ラット肝中期発がん性試験以降の更なる試験の実施です。陽性と判断された場合、陰性と判断された場合の、それぞれの流れを示しております。先ほどのように、陽性と判断された物質の場合は、原則として吸入による長期発がん性試験の可否を確認するためのフィージビリティ試験を行うとされております。その結果、試験可能と判断された場合には、吸入による長期発がん性試験の候補物質とし、有害性評価小検討会において、候補物質の中から試験対象物質を選定する、その選定の候補になるということです。
 一方、陰性とされた場合も参考までに申し上げますと、陰性と判断された場合には、原則として肝臓以外の臓器を標的動物として、中期発がん性試験(以下「非肝臓中期発がん性試験」という)の候補物質とするということです。当分の間は、ラット肝中期発がん性試験を優先して行うこととし、将来、非肝臓中期発がん性試験を行う段階となった場合には、その時点までに実施したラット肝中期発がん性試験で陰性だった物質の中から、発がん性評価ワーキンググループにおいて追加の試験が必要な物質を選定するとともに、標的臓器及び試験方法を決定することとされております。
 以上のようなものが、これまでの発がん性評価ワーキンググループで確認されているところです。よろしくお願いいたします。
○西川座長 ただいまの説明からは、原則として、がん原性指針、リスク評価、長期発がん性試験の対象とされておりますが、それらに進むことになると、本日の結果を有害性評価小検討会で報告することになるかと思います。この点について何か御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。
○津田委員 数と面積と、どちらか片方でいいのではないかという議論があったのでしょうか。よくは覚えていないのですけれども。
○平川化学物質評価室長補佐 今回の確認事項を見る限りにおいては、そこの議論は入っていません。仮に今言った議論が必要であるということであれば、またこの発がん性ワーキンググループで引き続き当該物質について検討させていただきます。
○若林委員 6番目の化合物の結果の所は、60mgで数がポジティブなのですけれども、面積も他のものに比べてやや増加、これはプラスマイナスが分からないのですけれども増加傾向にあるので、ひょっとしてもう1つドーズが上げられれば、多分数も面積も増えることになるのではないかという可能性もあるのかと思って見たのです。でも、毒性の関係で上げられないかもしれないけれども、80とか90とか100ぐらいに上がると、数も面積もひょっとして上がるのかなというような様子が窺えるのです。津田先生、小川先生はいかがですか。
○津田委員 400物質ぐらいを試験した経験から考えると、発がん性は弱いです。
○西川座長 用量を少し上げればという御意見だったのですけれども、確かに面積が増えるという可能性はあると思います。
○若林委員 弱いですよね。
○西川座長 すごく用量を上げても、せいぜいそこぐらいですから、陽性と言っても余り強くないということだと思います。
○津田委員 もう1つは、ちょうどこのときのロットかも知れませんが、陽性対照のフェノバルビタールの値が10では高いですね。普通は8ぐらいです。そういうことなので全体がそれに引っ張られている可能性もあります。
○西川座長 よろしいでしょうか。他に御意見がないようでしたら、本日の結果を有害性評価小検討会で報告することといたします。事務局におきましては準備をお願いいたします。
○平川化学物質評価室長補佐 がん原性指針にするかどうかは、また後日改めてこの場で検討するということでよろしいでしょうか。
○西川座長 そうですね。
○津田委員 実際にばく露の労働衛生上の問題にどうかということも入ってくると思います。この辺は微妙なところで、グレーゾーンだと思います。
○平川化学物質評価室長補佐 がん原性指針の対象とするかどうかについては、改めて引き続き検討ということになります。他のリスク評価とか、長期発がん性試験の対象とすることについては、候補には入るという形で整理させていただいてよろしいでしょうか。
○西川座長 私はそのように理解していますけれども、よろしいでしょうか。皆さんに御了解いただきましたので、そのようにしたいと思います。議題2に移ります。平成28年度の中期発がん性試験の対象物質の選定についてを、事務局から説明をお願いします。
○平川化学物質評価室長補佐 資料2です。その説明に入る前に、参考資料4-1を御覧ください。これからスクリーニングとして行うのは、中期発がん性試験の対象物質選定方法ということです。これについては、リスク評価に係る企画検討会でまず御審議いただき、その後遺伝毒性評価ワーキンググループで評価を頂いた物質の結果を踏まえ、最終的にこちらの中期発がん性試験を、発がん性評価ワーキンググループで専門的な知見等を踏まえて入れていく流れになっています。
 全体の流れを参考資料4-1で申し上げますと、平成27年度以降の中期発がん性試験の対象物質選定方法ということですが、平成25年度から化学物質の発がん性評価を加速化することとし、遺伝毒性試験、中期発がん性試験等による発がん性のスクリーニングの仕組みが導入されております。企画検討会においては、この仕組みを踏まえ、従来実施してきた長期発がん性試験の対象物質の選定に代えて、中期発がん性試験の対象物質の候補物質を選定することとなり、その候補物質中から、発がん性評価ワーキンググループで対象物質を決定してきました。
 平成27年度からは、委託事業で実施している形質転換試験結果も踏まえて、中期発がん性試験の候補物質を選定する必要があることから、2の選定方針に基づき、対応することとするとなっております。
 その辺りの流れ図については、参考資料2-1に書かれています。ここでは「短期発がん性試験」と書いてありますけれども、これは「中期発がん性試験」のことです。2段階発がんモデルによる肝発がん性試験を優先的に実施するということ。ここの所で2つほど矢印が入っています。健康障害防止措置の指針による指導ということで、これは強い変異原性物質がここに入ってきますので、言い換えると強い変異原性物質が、この肝中期発がん性試験の候補になります。もう1つの矢印は、in vitro形質転換試験、遺伝子の発現量測定による発がん性予測試験等により、ヒトへの発がん性の可能性あり。この矢印も肝中期発発がん性試験の矢印に入っています。この2つのルートから、中期発がん性試験の物質を選んでいくことになる点について御留意いただければと思います。
 参考資料4-1に戻ります。1の次の段落です。一方、上記のスクリーニングの仕組みの導入により、長期発がん性試験は基本的に中期発がん性試験で陽性の結果が出たものについて実施することとなりましたが、物質の特性上、中期発がん性試験が実施できない物質であっても、遺伝毒性の強さ、蒸気圧等の物理化学性性状、社会的必要性等に鑑みると、長期発がん性試験の候補物質とするのが適当である物質も存在している。このため企画検討会において、これらの要素を総合的に判断の上、長期発がん性試験につながるフィージビリティ試験の対象物質を選定することを再開することとすると書いています。
 この中期発がん性試験と併せて、長期発がん性試験の物質選定も、この企画検討会のほうで行っていて、フィージビリティ試験の対象物質は参考資料4-2に付けております。これも企画検討会のほうで、物質としてリストを決めていて、その中から4物質がフィージビリティテストの候補ということで入っていますが、実際本年度でどれだけやるかはまた改めて調整させていただくこととしております。
 参考資料4-1の2は、中期発がん性試験対象物質の選定方針についてです。(1)上記丸数字1から4のいずれかに該当する物質を、中期発がん性試験の対象とする。丸数字1は、国が委託した微生物を用いる変異原性試験結果において陽性で、比活性値が1,000rev/mg以上となり、遺伝毒性評価ワーキンググループにおいて「強い遺伝毒性あり」と評価されたもの。丸数字2は、Bhas42細胞を用いる形質転換試験において、遺伝毒性評価ワーキンググループで陽性と判断したもの。丸数字3は、既存の遺伝毒性試験等の情報を踏まえ、遺伝毒性評価ワーキンググループにおいて、「強い遺伝毒性あり」で評価された物質(丸数字1、2を除く)。丸数字4は、国が「強い変異原性物質」であるとして行政指導の対象としている物質。これを対象とするとしております。
 (2)は、(1)により選定した物質の中から、予算上実施可能な物質数に絞り込みを行う。その際、製造・輸入量、性状、社会的な必要性等を考慮することとする。
 (3)企画検討会で候補物質を絞り込み、その結果を踏まえ、発がん性ワーキンググループで対象物質を決定する。こういう流れで、今般候補物質を示させていただくものです。
 資料2は、昨年度3月9日に企画検討会を開催し、その際に検討していただいた資料を若干修正したものです。その修正箇所というのは、今年度の遺伝毒性ワーキンググループの結果から候補となるものを■として入れたものが追加されました。これを、今回候補物質として考え、その中で予算上の観点から、合計6物質を、平成28年度候補物質として入れていくことになります。
 平成27年度の企画検討会の候補物質は7物質となっています。その他平成28年度のワーキンググループから出てきているものが約40物質あります。物質の候補としてはかなり多いように見えますけれども、中期発がん性試験はその結果を踏まえて、長期発がん性試験につなげていく観点から、企画検討会では、液体物質を優先するのが望ましいという方向となっておりますので、この中から液体物質を優先していく方向で進めていくことになろうかと思います。
 この試験が実際にできるかどうかというところについては、一部溶解性等の確認ができていないところもありますので、本日については、そういう物性的な話もありますけれども、その他この物質は社会的な必要性等から是非やったほうがいいというのがあれば、そういう意見も頂きつつ、物質の選定をさせていただければと考えております。よろしくお願いいたします。
○西川座長 ただいまの説明のとおり、試験物質については、今後溶媒を検討した上で、最終的に決定するということです。現段階で、特にこれについては実施したほうがよいという御意見があればお願いいたします。
○平川化学物質評価室長補佐 小野寺委員からのコメントは、生産・輸入状況、文献情報、試験実施可能性等諸条件により選定されると思いますということでした。
○小川委員 ●は何か意味があるのですか。
○平川化学物質評価室長補佐 ●は、平成27年度の企画検討会の際に、候補物質として残った物質です。
○西川座長 この表の●と■の中からということですね。
○平川化学物質評価室長補佐 はい。今のところ●と■から6物質ということで考えています。
○西川座長 特にこれはというものはないようです。最終的には試験溶媒の試験結果を考慮し、事務局で最終案を整理していただき、その後各委員に御確認いただくということで進めさせていただきます。議題3、平成27年度文献調査を踏まえた発がん性評価についてを、事務局から説明をお願いします。
○平川化学物質評価室長補佐 平成27年度の発がん性評価ワーキンググループにおいては、平成26年度の文献調査を踏まえた発がん性評価をしていただきました。その際には委員の皆様方に事前評価を頂きました。平成26年度については51物質、その中から委員の先生方には29物質の評価を頂きました。その結果を申し上げますと、資料3-1の4のとおり3物質、ウラシル、トリフルラリン、ベイシックバイオレット-3というのが、IARCの2B以上相当ということではないかということで評価されております。これらの物質については、今後リスク評価に係る企画検討会の中で、有害物ばく露作業報告の対象物質の候補として入ってくるということで予定しているものです。これが平成26年度、平成27年度の発がん性評価、文献調査を踏まえた報告です。
 資料3-2で、平成27年度においても継続的に文献調査を行ってまいりました。その文献情報が約190物質弱あります。継続ということで行っておりましたので4,482物質を対象とし、そのうちIARCの発がん性分類で2B以上となっているものを除いた上で、発がん性分類あり、IARC2B相当以上ではない物質に、発がん性分類はないが、発がん性試験等の情報がある物質を選定し、更にその中から平成26年度に行ったものを除いて文献収集を行いました。
 平成27年度に文献収集を行った物質について、今後発がん性評価をしていただく予定です。それについては事務局のほうでも、評価対象とするか検討の上、対象となった物質については、発がん性評価ワーキンググループによる発がん性評価を行っていただくということです。物質のリスト数についてはかなり多いですので、これから行政側で精査をした上で評価をしていただくことになります。昨年度に比べて非常に物質数が多いというところもありますので、その辺りはどういう形でやっていくか。昨年度のように1回では終わらないかと思いますので、そうしたところも踏まえ、あらかじめの御報告というか、またお願いということにさせていただく次第です。よろしくお願いいたします。
○西川座長 精査した上でないと正確な数は分からないということですが、昨年よりは多くなるということのようです。
○若林委員 文献調査ですけれども、最初にスタートしたときにはかなり混乱があったと思いますが、2回目は非常にスムーズでした。
○西川座長 そうですね、要領が大体分かってきたということだと思います。
○若林委員 昨年に引き続き、うまくまとめてくれればよいと思います。
○平川化学物質評価室長補佐 やり方については、参考資料5に書かれております。共通事項は省略し、個別事項のところに、事務局で確認する内容というのがあります。まず事務局で確認させていただいた上で、そこから各委員の先生にお送りさせていただく形になります。現時点ではまだそこのところの作業が進んでおりませんので、若干時間を取らせていただいた上で、確認が取れ次第委員の先生に、これだけの数がありますのでということで御報告させていただいた上で、依頼させていただくということで進めてまいります。
○西川座長 昨年度と同様に、事務局から整理した表と、文献が送付されますので、御検討をよろしくお願いいたします。特に御意見、御質問、その他はないですか。
○平川化学物質評価室長補佐 昨年度は1委員当たり5、6物質だったかと思います。毎回1にお願いするとしても、1委員当たり5~10物質ぐらいかと考えております。それで、1回で終わらないようであれば、2回ないし3回ということだと、その都度発がん性評価ワーキンググループを、委員の評価が出てから余り時間を開けずに準備はさせていただきます。
○西川座長 昨年度程度であれば、何とか1回で終わると思うのです。1委員当たり10物質を超えるようなことがあると、やはり2回に分けてやりたいと思います。
○平川化学物質評価室長補佐 2回ないし3回と。
○西川座長 それは、数を見て決めていただきたいと思います。以上で、用意していた議題は終了ですが、議題4として何かありますか。
○平川化学物質評価室長補佐 次回以降の日程は、改めて調整させていただきます。先ほど申し上げました平成27年度に収集した文献情報に基づく発がん性の評価及び昨年度も行いましたが、がん原性試験の対象物質に選定された物質の試験方法などを御検討いただく予定としております。よろしくお願いいたします。
○若林委員 追加が3つほどあります。1つは、形質転換のときに経験したのですけれども、本日は中期発がん性試験の肝発がんプロモーションの中で、6物質が一応陽性になりました。津田先生や他の先生方も指摘しているようにごく弱いものです。しかし、強いものも陽性、弱いものも陽性です。エームスは1,000以上とか、やや定量的な表現があります。発がんプロモーションに関しても、このドーズでは数だけ上げて、面積は上げていないことから、弱いものだと予想されるとか、何かちょっと注釈を付けたほうが、同じ陽性の中でもいいと思います。これを是非お願いできればというのが1つ目なのですが、どうでしょうか。
○西川座長 私も遺伝毒性のワーキンググループの場でその旨を発言したのですけれども、やはりエームスの強い陽性とか、軽微とかいろいろ程度があります。形質転換についても、ある程度強いのか、弱いのかぐらい判断できるような目安があるといいのかと思います。
○平川化学物質評価室長補佐 参考資料3-1と参考資料3-2の中の議論も含め、一応確認ということで、参考資料3-1と参考資料3-2となっていますけれども、場合によっては今回陽性物質が出たということで、今後のいろいろな情報も踏まえ、必要があれば次回以降の発がん性評価ワーキンググループで見直しという形で出していければと思います。こちらも、なかなか良い提案ができない部分もありますので、委員の先生方からも良い御提案等があれば、それを頂いた上で、この基準の見直しについても検討してまいりたいと考えております。
○西川座長 ようやく陽性が出たというタイミングでもありますので、それを機会に改定できるものであれば改定していくということで進めていただければと思います。
○平川化学物質評価室長補佐 次回以降の議題の中で、これも検討課題ということでお願いいたします。次回をいつ開催するかというのは、文献評価の話もありますので、日程調整も含め、議題等の調整をさせていただければと思います。
○西川座長 お願いします。
○若林委員 2つ目は、中期発がん性試験の対象物質は労働環境だけではなくて、食品添加物や香料にも使われています。試験結果に関して、ポジティブのものに関しては、いろいろ慎重に扱うにしても、ネガティブの部分に関しては、まとめたものをどういう格好で公表していくのか。ネガティブデータに関しては大変重要なデータだと思うのです。食品安全委員会でいろいろ使ったり、例えばIARCとかNIEHSも多分こういうデータは欲しいのだと思うのです。せっかくこれだけしっかりした試験研究機関でやっていますので、このデータに関してはサマリーだけでも英語にして、どこかで正式に発表しておくと、ここでやったものが世の中で非常に貢献するのだと思うのです。
 ネガティブデータというのは、食品添加物とか、食品安全委員会というような所では非常に有用になります。せっかくのデータですし、国費を使っていますので、何らかの格好で、英語で非常にコンパクトでもいいのですけれども、公表するようなことを是非検討していただければと思います。津田先生どうですか。
○津田委員 そう思います。
○平川化学物質評価室長補佐 英文化というようなことについても、行政の可能な範囲で検討してみたいと思います。
○若林委員 受託研究機関の方が、この要約の所だけを英語でここに出してきてくれても全く構わないです。同じようなパターンですので。
○津田委員 それはもう一番良いです。
○若林委員 非常に簡単な英語でできると思います。
○西川座長 大変忙しいところで、また英文化というと、だんだん机の上に積んでいるものの下へ行ってしまいそうな気がするのです。
○若林委員 簡単な英語にしていただければ、それでいいと思います。
○津田委員 簡単な英語にして、それをどこかのホームページか何かに出すようにすればいいのではないですか。
○若林委員 すみません、いろいろなことを言いました。
○西川座長 検討をよろしくお願いします。
○平川化学物質評価室長補佐 はい。
○若林委員 3つ目は気になっていることです。韓国で問題になっている、加湿器に使った抗菌剤、防腐剤は、日本でもいろいろな所で使われています。このリストの中にそれがあるというようなことはないでしょうか。
○平川化学物質評価室長補佐 今回の中期発がん性試験のリストに、今言われたようなものが入っているかどうかということでしょうか。
○若林委員 はい。
○平川化学物質評価室長補佐 これは確認させていただきます。
○若林委員 あれだけ話題になっていますので、ちゃんとした毒性などに関しては優先してやるべきではないかと思いました。
○津田委員 扱うのは消費者庁ですか。
○平川化学物質評価室長補佐 この物質のリストとしてはうちです。
○若林委員 加湿器だけではなくて、浴槽の抗菌剤とか防腐剤で使われているようです。国内でも、加湿器ではなくて使われているようなことが言われていました。もし、こういう所にリストアップされていたら、こういうように使っている分には安全ですよ、というようなことは言ったほうがいいのではないですか。たくさんあるので、ちょっと追えませんでした。
○平川化学物質評価室長補佐 今回の中期発がん性試験のリストに今言われた物質があるかどうかは確認いたします。もし入っているようであれば、優先してやったほうがいいという御意見を頂いたものとして検討させていただくということで進めたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○西川座長 よろしくお願いします。
○津田委員 あれは、急性毒性だから、ちょっと外れるかもしれません。
○若林委員 そうですね。
○津田委員 加湿器は、生活用品ですよね。
○__ 防カビ剤。
○津田委員 防カビ剤というと、かつて問題になったOPP、オルトフェニルフェノールは発がんがありますね。
○若林委員 それが加湿されて、経気道的に肺の中に蓄積して。
○津田委員 肺繊維症ですか?
○若林委員 肺の機能がなくなる。
○西川座長 その他はよろしいでしょうか。ないようでしたら、以上で本日の発がん性評価ワーキンググループを閉会いたします。お忙しい中をお集まりいただきましてどうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室(内線5511)

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